JP2019022184A - 画像読取装置及び読取モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】原稿が光沢系媒体である場合でも、原稿の読取面からの正反射光周りに分布する過度に明るい不適切な散乱反射光の結像素子への入射に起因する、読み取り画像の画質の低下を抑制できる画像読取装置及び読取モジュールを提供する。
【解決手段】原稿Dの位置を規定する透明部材(ガラス板33A)に対して原稿Dとは反対側に配置された読取モジュール50と、原稿と読取モジュール50とを相対的に移動させる搬送部とを有している。読取モジュール50は、透明部材を介して原稿Dに光を照射する線光源52と、原稿Dから反射した光を集光する結像素子と、結像素子が集光した光を受光する受光素子とを備えている。線光源52は、線光源52の光の主軸L1が、透明部材の法線方向Zに対して第1の角度θ1で傾斜するように配置されている。結像素子は、法線方向Zに対して線光源52の光の主軸L1の傾斜と同じ方向に第2の角度θLで傾斜して配置されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、原稿と相対移動する読取モジュールにより原稿の画像を読み取る画像読取装置及び読取モジュールに関する。
従来から、画像読取装置の一例として、原稿台の下方からガラス板(透明部材の一例)上の原稿を読み取るために光源(線光源の一例)、レンズアレイ(結像素子の一例)、センサー(受光素子の一例)を含む読取モジュールを有するキャリッジを備えるスキャナー装置(例えば複合機)が知られている(例えば特許文献1)。この種の画像読取装置は、キャリッジを読取素子の長手方向である主走査方向と交差する副走査方向に移動させることで、読取モジュールにより原稿台上の原稿の画像を読み取る。
読取モジュールは、線光源からの光を原稿面に照射したその反射光を読取素子で受光することにより原稿の画像を読み取る。線光源と結像素子との配置において、線光源は原稿の読取面に対して斜め方向に光を投光できる姿勢角に配置され、結像素子はその光軸が原稿面の法線と平行な方向(法線方向)に一致する向きに配置されている。
原稿が光沢紙又は半光沢紙(以下、これらを総括して光沢系媒体ともいう。)である場合、原稿の読取面からの正反射光は結像素子に入射しないものの、反射特性によって正反射光周りに過度に明るいガウス散乱域が比較的広く分布する。この種の過度に明るいガウス散乱反射光が結像素子に入射した場合、コントラストを大きく低下させることになる。また、階調のリニアリティを狂わせてしまい、原稿皺などでも画像ムラとして読み込んでしまう場合がある。このように原稿が光沢系媒体である場合、読み取り画像の画質が低下するという課題がある。
例えば特許文献2には、被写体となる資料を置く原稿台と、原稿台に置かれた資料を撮影する撮影手段とを備え、撮影手段の撮像素子と光学系とを一体的に構成し、この撮影手段を、原稿台の中心部からオフセットして原稿台の上方に配備した資料提示装置が開示されている。この技術によれば、撮影手段と共に原稿台の中心部からオフセットして併設された光源から照射される光は、原稿台の上の資料に当たり、オフセット方向とは逆の方向に正反射されるため、この正反射光が直に撮影手段の光学系に入射することがなくなる。このため、光沢のある原稿を資料として利用した場合であっても、光源からの正反射光の写り込みによる画像の劣化(ハレーション等)が防止され、正確な画像が得られる。
特開2007−214944号公報 特開2004−187111号公報
しかし、スキャナー装置においては、ライン状の読取モジュールは、原稿に対して副走査方向に相対移動して原稿を読み取る構成であるため、特許文献1に記載の資料提示装置のように原稿台の中心部からオフセットした所定位置に配置しておくことは構成上できない。また、特許文献1には、撮影手段への正反射光の入射を防ぐことができるが、光沢系媒体の場合に比較的広く分布する過度に明るいガウス散乱反射光の入射に起因する読み取り画像の画質の低下については考慮されていない。もっとも、資料提示装置の場合、ユーザーが資料等の被写体を写した画像を見ながら、カメラ及び光源の位置及び角度を調整すればガウス散乱反射光も避けることはできるが、スキャナー装置ではユーザーによるその種の調整が構造上できない。このため、スキャナー装置において、原稿が光沢系媒体である場合に、ガウス散乱反射光が結像素子に入射し、これによるコントラストの低下及び階調リニアリティの悪化等のうち少なくとも1つが原因で、読み取り画像の画質が低下するという課題の解決が望まれている。
本発明の目的は、原稿が光沢系媒体である場合でも、原稿の読取面からの正反射光周りに分布する過度に明るい不適切な散乱反射光が結像素子へ入射することを抑制でき、これにより読み取り画像の画質の低下を抑制できる画像読取装置及び読取モジュールを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する画像読取装置は、原稿の位置を規定する透明部材と、前記透明部材に対して前記原稿とは反対側に配置された読取モジュールと、前記原稿と前記読取モジュールとを相対的に移動させる搬送部と、を有し、前記読取モジュールは、前記透明部材を介して前記原稿に光を照射する線光源と、前記線光源の延在方向に沿って配置され、前記原稿から反射した光を集光する結像素子と、前記結像素子の延在方向に沿って配置され、前記結像素子が集光した光を受光する受光素子と、を備え、前記線光源は、当該線光源の光の主軸が、前記透明部材の法線方向に対して第1の角度で傾斜するように配置され、前記結像素子は、当該結像素子の光軸が、前記原稿の読取位置で反射した光が前記透明部材から出射する位置に向けられるとともに、前記法線方向に対して前記線光源の光の主軸の傾斜と同じ方向に第2の角度で傾斜して配置されている。
この構成によれば、結像素子の光軸が、透明部材の法線方向に対して線光源の光の主軸の傾斜と同じ方向に第2の角度で傾斜しているので、結像素子の光軸が透明部材の法線方向に対して傾いていない構成に比べ、結像素子が不適切な散乱反射光を入射することを抑制できる。すなわち、結像素子は、ガウス散乱反射光をなるべく避けてランバート散乱反射光を入射することができる。このため、原稿が光沢系媒体でも、受光素子に適切な明るさの像を結像できる。よって、原稿が光沢系媒体であっても、反射特性によらず原稿面からの正反射光周りの過度な明るさの不適切な散乱反射光が結像素子に入射することを抑制でき、これにより読み取り画像の画質の低下を抑制できる。
上記画像読取装置において、前記第2の角度は前記第1の角度よりも小さいことが好ましい。
この構成によれば、第2の角度は前記第1の角度よりも小さいので、結像素子を法線方向に対して傾けた割に適切な受光量及び焦点深度を確保できる。このため、原稿が光沢系媒体である場合でも、受光素子に適切な明るさの像を結像でき、読み取り画像の画質の低下を抑制することができる。
上記画像読取装置において、前記読取モジュールは、前記線光源、前記結像素子及び前記受光素子を収容する筐体を備え、当該筐体は前記透明部材に対向する対向面を有し、前記結像素子の光軸は前記対向面の法線方向から前記第2の角度で傾斜していることが好ましい。
この構成によれば、筐体内の結像素子の光軸を、筐体の対向面の法線方向から第2の角度で傾斜させるように結像素子を筐体に対して傾斜する姿勢に配置するという比較的簡単な構成により、結像素子に適切な散乱反射光(例えばランバート散乱反射光)を入射させることができる。
上記画像読取装置において、前記読取モジュールは、前記線光源、前記結像素子及び前記受光素子を収容する筐体を備え、当該筐体は前記透明部材に対向する対向面を有し、前記結像素子の光軸は前記対向面の法線方向に沿っていることが好ましい。
この構成によれば、結像素子の光軸は筐体の対向面の法線方向に沿っている。つまり、筐体を法線方向に対して傾けることにより、結像素子の光軸を透明部材の法線方向に対して傾斜させている。筐体ごと傾斜させることにより、原稿が光沢系媒体である場合でも、原稿の読取面からの正反射光周りの過度な明るさの不適切な散乱反射光が結像素子に入射することを抑制し、読み取り画像の画質の低下を抑制できる。
上記画像読取装置において、前記第2の角度は、前記原稿が光沢系媒体である場合に、前記結像素子が前記原稿から反射した反射光のうちガウス散乱域を避けてランバート散乱域の散乱反射光を入射可能な角度に設定されていることが好ましい。
この構成によれば、読取モジュールは、前記原稿が光沢系媒体である場合でも、ガウス散乱反射光を避けて、ランバート散乱反射光の像を読み取るので、読み取り画像の画質の低下を抑制することができる。
上記画像読取装置において、前記原稿の媒体種を取得する媒体種取得部を更に備え、
前記媒体種に応じて前記第2の角度を変更することが好ましい。
この構成によれば、媒体種取得部により取得した媒体種に応じて第2の角度が変更されるので、原稿が光沢系媒体である場合、読み取り画像の画質の低下を抑制することができ、原稿が非光沢系媒体である場合、結像素子の傾斜に起因する入射する光の明るさ(受光量)及び原稿浮きによる解像度の低下を抑制できる。
上記画像読取装置において、前記媒体種取得部は、入力部を通じて入力した媒体種情報を基に前記媒体種を取得するか、専用センサーで検出した前記原稿の反射状態を基に前記媒体種を判定するか、前記読取モジュールで検出した前記原稿の反射状態を基に前記媒体種を判定するかのうちいずれか1つにより前記媒体種を取得することが好ましい。
この構成によれば、比較的簡単な方法により原稿の媒体種を取得することができる。
上記課題を解決する読取モジュールは、原稿に光を照射する線光源と、前記線光源の延在方向に沿って配置され、前記原稿から反射した光を集光する結像素子と、前記結像素子の延在方向に沿って配置され、前記結像素子が集光した光を受光する受光素子と、前記原稿に対向する対向面を有し、前記線光源、前記結像素子及び前記受光素子を収容する筐体と、を備え、前記線光源は、当該線光源の光の主軸が、前記対向面の法線方向に対して第1の角度で傾斜するように配置され、前記結像素子は、当該結像素子の光軸が、前記対向面に対して前記線光源の光の主軸の傾斜と同じ方向に第2の角度で傾斜して配置される。この構成によれば、上記画像読取装置と同様の作用効果が得られる。
第1実施形態における複合機を示す斜視図。 原稿台カバーを開けた状態のスキャナー装置を示す模式平面図。 スキャナー装置の概略構成を示す部分側断面図。 読取モジュールの概略構成を示す模式側面図。 読取素子の概略構成を示す斜視図。 比較例の読取モジュールの概略構成を示す模式側面図。 視野角度と明るさとの関係を示すグラフ。 スキャナー装置の電気的構成を示すブロック図。 第2実施形態における読取モジュールの概略構成を示す模式側面図。 第3実施形態における読取モジュールの概略構成を示す模式側面図。 第4実施形態における読取モジュールの概略構成を示す模式側面図。
(第1実施形態)
以下、画像読取装置を具体化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。この第1実施形態における画像読取装置は、例えばスキャナー装置を備えた複合機である。
図1に示すように、複合機11は、用紙などの媒体Pに印刷を行う印刷装置21と、印刷装置21の鉛直方向Zにおける上側に配置され、原稿Dを読み取り可能なスキャナー装置31とを備えている。複合機11は、スキャン、コピー及び印刷の機能を備える。
複合機11の装置本体12に設けられた操作パネル13は、メニュー画面等を表示するための表示部14及び操作スイッチ等からなる操作部15を備える。例えば操作部15を操作することで、スキャン、コピー、印刷の要求が複合機11に与えられる。また、複合機11と通信ケーブルを通じて接続されたパーソナルコンピューター(PC)等からなるホスト装置200(図8参照)からも、スキャン、印刷の要求が複合機11に与えられる。複合機11は、スキャン、コピーの要求時に、例えばスキャンジョブを受け付ける。
印刷装置21は、装置本体12の下部に挿着されたカセット17から供給(給送)された媒体Pに印刷を施す。印刷後の媒体Pは装置本体12の排出口21aからスタッカー18上に排出される。スキャナー装置31が原稿Dを読み取り、その読み取り画像のデータを例えばホスト装置200へ転送する。コピーは、スキャナー装置31が読み取った原稿Dの画像データに基づく画像を、印刷装置21が媒体Pに印刷することで行われる。このため、スキャンとコピーが行われるときにスキャナー装置31による原稿Dの読み取りが行われる。
図1に示すように、スキャナー装置31は、原稿を定置可能なフラットベッド型の原稿台33(図2参照)を上部に有する本体32と、原稿台33に対して開閉可能な原稿台カバー34とを備えている。そして、本例では、原稿台カバー34の背面部(図1では上側)には、自動原稿搬送部35(オートドキュメントフィーダー(Auto Document Feeder;ADF))(以下、単に「原稿搬送部35」ともいう。)が装備されている。原稿搬送部35は、複数枚の原稿Dをセット可能な載置台36(セットトレイ)と、載置台36上の原稿Dを一枚ずつ搬送する搬送機構部37とを備えている。搬送機構部37は、載置台36上の原稿を読取位置まで送り込む給送と、画像が読み取られた後の原稿Dを送り出す排出とを含む搬送を行う。画像読み取り後の原稿Dは、例えば載置台36と原稿台カバー34との間の排出領域に排出される。
図2、図3に示すように、スキャナー装置31の本体32は、図1に示す原稿台カバー34と対向する部分に開口部を有する箱状のケース38を有している。ケース38の大きな開口部に四角板状の大きなガラス板33Aが嵌め込まれることにより原稿台33が形成されている。また、ケース38の小さな開口部に長四角板状の小さなガラス板39Aが嵌め込まれることにより読取窓39が形成されている。原稿台33のガラス板33Aは、フラットベッド方式で読み取られる原稿Dが定置される領域であり、スキャナー装置31が読取可能な最大原稿サイズよりも若干広いサイズを有している。また、読取窓39のガラス板39Aは、原稿搬送部35から搬送された原稿Dの画像が読み取られる読取位置にある。なお、本実施形態では、原稿Dの位置を規定するガラス板33A,39Aにより、透明部材の一例が構成される。
図1に示す原稿台カバー34は、図2、図3に示す原稿台33に定置された原稿Dを押さえる閉位置と、原稿台33に原稿Dをセットしたり読取り後の原稿Dを取り除いたりする際の開状態とに開閉可能である。
図1に示す原稿搬送部35によって搬送機構部37内へ送り込まれた原稿Dは、閉状態にある原稿台カバー34の裏面における読取窓39(図3参照)とほぼ対向する位置へ送り出され、読取窓39上で画像が読み取られた後、排出領域へ排出される。
このように本実施形態のスキャナー装置31は、フラットベット型の原稿台33に定置された原稿Dを読み取るFB(Flatbed)モードと、原稿搬送部35により載置台36から搬送された原稿Dを搬送途中における読取窓39と対応する読取位置で読み取るADF(Auto Document Feeder)モードとの2種類のモードで動作する。
図2に示すように、ケース38内には、主走査方向Xに沿って長く延びたライン状の読取モジュール50と、原稿D(図3参照)と読取モジュール50とを副走査方向Yに相対移動させる搬送部60とが設けられている。搬送部60は、読取モジュール50を搭載するセンシング用のキャリッジ61を備えている。さらに搬送部60は、副走査方向Yに沿って延びる案内レール62と、キャリッジ61を案内レール62に沿って副走査方向Yに搬送(移送)させる動力をキャリッジ61に与え、キャリッジ61を副走査方向Yに移動させる駆動機構63とを備える。キャリッジ61は、案内レール62に対して係合部61Aを介してレール長手方向(副走査方向Y)に移動可能な状態で支持されている。
図2に示すように、読取モジュール50は、ガラス板33Aに対してその上面(載置面)にセットされた原稿D(図3参照)と反対側(下側)の位置でキャリッジ61に搭載されている。読取モジュール50は、キャリッジ61と共にその長手方向と一致する主走査方向Xと交差する副走査方向Yに移動して原稿Dを読み取る機能を有している。読取モジュール50は、ガラス板33A,39Aを介して原稿D(図3参照)に光を照射する線光源52と、線光源52の延在方向である主走査方向Xに沿って配置され、原稿Dから反射した光を集光及び受光する読取素子53とを備えている。なお、読取モジュール50は、長手方向(主走査方向X)に原稿Dの想定最大幅以上の長さを有する。一例として読取モジュール50の長さは、原稿Dの想定最大幅である例えばA3サイズ(幅320mm)又はA4サイズ(幅210mm)よりも、若干長い値に設定されている。
図2に示すように、駆動機構63は、キャリッジ61を副走査方向Yに移動させる動力源となる第1モーター64(電動モーター)と、第1モーター64の動力をキャリッジ61に伝達する動力伝達機構65とを備えている。そして、第1モーター64が正転駆動すると、キャリッジ61は副走査方向Yにおける往動方向Y1(図2では右方向)に移動(往動)し、第1モーター64が逆転駆動すると、キャリッジ61が復動方向Y2(図2では左方向)に移動(復動)する。
動力伝達機構65は、第1モーター64の動力で回転する駆動プーリー66と、案内レール62に沿って延びる板金部材32Aの両端部に配置された2つの従動プーリー67,68と、各プーリー66〜68に巻き掛けられてキャリッジ61を牽引する無端状のベルト69とを備えている。
キャリッジ61は、ベルト69における案内レール62と平行に張設された部分の一部に固定されている。そして、第1モーター64が駆動されると、駆動プーリー66が回転してベルト69が周回移動し、これに伴いキャリッジ61が副走査方向Yに沿って移動する。読取モジュール50は、キャリッジ61が案内レール62に沿って副走査方向Yに移動する途中で、原稿台33に載置された原稿Dを読み取る。
図2に示すように、キャリッジ61の主走査方向Xの両端部には、副走査方向Yに延設される一対の可撓性ケーブル54(フレキシブルケーブル)の一端部が接続されている。この可撓性ケーブル54の他端部(基端部)は、装置本体12内に収容された制御部90(図8参照)と接続されている。可撓性ケーブル54は、制御部90から第1モーター64及び読取モジュール50に制御信号を送ったり、読取モジュール50の読取データを制御部90に送ったりするための複数の電線等を内蔵する。
一方、図3に示す原稿搬送部35は、載置台36から原稿を搬送機構部37内の搬送経路FP側へ送り込む給送機構の一部を構成する給送ローラー(ピックアップローラー)、給送ローラーにより送り込まれた原稿を読取位置SCへ搬送するべく給送経路SPに沿って設けられた複数の給送ローラー対73(図3では一対のみ図示)を備える。そして、複数の給送ローラー対73により給送された原稿は、その搬送途中の読取位置SCに配置されたキャリッジ61上の読取モジュール50により読取窓39のガラス板39Aを介して読み取られる。読み取られた原稿は排出経路EPに沿って設けられた複数の排出ローラー対74(図3では一対のみ図示)により搬送機構部37から外側へ排出される。読取位置SCには、原稿を読取窓39側へ押さえる長尺状のガイド部34cが主走査方向Xに沿って延びた状態に配置されている。このようにADFモードでは、載置台36(図1参照)にセットされた複数枚の原稿Dが一枚ずつ搬送機構部37内へ給送され、搬送経路FPの途中の読取位置SCで、キャリッジ61上の読取モジュール50により読み取られる。
また、図3に示すように、搬送機構部37内には、読取位置SCよりも搬送方向上流側の位置で給送中の原稿を検知可能な第1検知部76と、読取位置SCよりも搬送方向下流側の位置に排出中の原稿を検知可能な第2検知部77とが設けられている。さらに第2検知部77よりも搬送方向下流側の位置には、読取モジュール50による原稿の読取面(表面)と反対側の面(裏面)を排出経路EPの途中で読み取り可能な読取ユニット51が配置されている。このため、スキャナー装置31はADFモードにおいて原稿の両面の読取りも可能である。なお、この読取ユニット51には、キャリッジ61上のものと同様の読取モジュール50が内蔵されている。
また、図3に示すように、キャリッジ61に搭載された読取モジュール50は、ガラス板33A,39Aにおける原稿Dの載置面(表面)と反対側の裏面と対向して位置する。読取モジュール50は、線光源52と、読取素子53と、線光源52及び読取素子53を投光及び受光が可能な状態に収容する筐体55(ハウジング)とを有している。読取モジュール50は、線光源52によるガラス板39A上の原稿Dに向かう光の出射と、読取素子53による原稿Dからの反射光の受光とが可能になっている。
また、図3に示すように、スキャナー装置31の本体32(図1も参照)の上面部には、キャリッジ61の移動経路上で読取モジュール50による原稿Dの読取位置を避けた位置に、反射率の高い均一な反射面を有する2つの白基準板81,82が配置されている。第1白基準板81及び第2白基準板82は、シェーディング補正に用いる白基準データを取得する際の読取対象とされる。第1白基準板81及び第2白基準板82は、白基準板の読取りが必要な所定時期に、第1白基準読取位置W1又は第2白基準読取位置W2に配置されたキャリッジ61上の読取モジュール50により読み取られる。図3に示すように、キャリッジ61は第1白基準板81を読み取る際は第1白基準読取位置W1に配置される。また、図3に示すように、キャリッジ61は第2白基準板82を読み取る際は第2白基準読取位置W2に配置される。
また、FBモードで読取動作を行うときは、キャリッジ61が例えば二点鎖線で示す待機位置から往動方向Y1へ移動することにより、ガラス板39A上の原稿Dを読取モジュール50により読み取る。原稿Dを読み取った後のキャリッジ61は、その読取終了位置から復動方向Y2に移動して待機位置に復帰する。
次に図4を参照して、読取モジュール50の詳細な構成について説明する。図4に示すように、読取モジュール50は、ガラス板33A,39Aを介して原稿Dに光を照射する線光源52と、線光源52の延在方向(主走査方向X)に沿って配置され、原稿Dの読取面Dp(以下、「原稿面Dp」ともいう。)から反射した光を集光及び受光する読取素子53とを備える。筐体55には、ガラス板33A,39Aと対向する部分に開口55Aを有し、線光源52の原稿面Dpへの投光と、読取素子53の原稿面Dpからの反射光の受光とが可能になっている。また、筐体55は、ガラス板33A,39Aと対向する対向面55Bを有している。
図4に示す線光源52は、線光源52の光の主軸L1が、ガラス板33A,39A(つまり読取面Dp)の法線N1の方向(法線方向Z)に対して第1の角度θ1で傾斜する姿勢角で配置されている。線光源52は、LED等の発光体521と、発光体521から出射された光を主走査方向Xに導きつつ法線方向Zに対して第1の角度θ1をなす方向へ読取位置を指向して光を導出可能な導光部材としての例えばライトガイド522とを有している。ライトガイド522は、アクリル樹脂等の透明樹脂からなりその棒形状の端面に配置された発光体521からの光を導いて、読取対象の帯状のエリアを均一な明るさで照明する。図4に示すように、ライトガイド522から導出される光の主軸L1は、ライトガイド522の光軸に対して所定角度だけガラス板33A,39A側へ傾く方向を指向している。第1の角度θ1は、ライトガイド522から出射される光のガラス板33A,39Aの裏面に入射する入射角に等しい。
また、図4に示すように、読取素子53は、その光軸L2が、原稿Dの読取位置で反射した光がガラス板33A,39Aから出射する位置に向けられるとともに、法線方向Zに対して線光源52の光の主軸L1が傾斜する方向と同じ方向(図4では右側)に第2の角度θL(傾斜角度)で傾斜する姿勢角に配置されている。換言すれば、読取素子53は、その光軸L2が、筐体55がガラス板33A,39Aと対向する対向面55Bの法線N2(法線方向Z)に対して、線光源52と同じ方向へ第2の角度θLだけへ傾く姿勢で配置されている。本実施形態では、第2の角度θLは、第1の角度θ1よりも小さな値に設定されている(θL<θ1)。線光源52から主軸L1の方向に出射された光は、ガラス板33A,39Aに入射し、ガラス板33A,39Aで屈折した光は原稿面Dpで反射し、その正反射光はガラス板33Aの裏面で屈折し所定の出射角θoで出射する。
図4において、線光源52の光の主軸L1(主光線)と法線N1とのなす角度(主光線入射角)がθ1であるとき、原稿面Dpからの正反射光がガラス板33A,39Aから出射する出射方向と法線N1とのなす角度、すなわちガラス板33A,39Aから出射される正反射光の出射角(主光線出射角)をθoとすると、θo=θ1の関係にある。つまり、線光源52からの光は、ガラス板33A,39Aに対して入射角θ1で入射し、出射角θoで出射する。このとき、入射角θ1と出射角θoは等しい(θ1=θo)。ガラス板33A,39Aに対して入射角θ1で入射した光が原稿面Dpで反射した正反射光はガラス板33A,39Aから出射角θoで出射する。このとき、ガラス板33A,39Aから出射角θoで出射する正反射光の主光線と、読取素子53の光軸L2とのなす角度θ2は、θ2=θo+θLとなる(但し、θo=θ1)。
図5は、読取モジュール50として、コンタクトイメージセンサーモジュール530(以下、「CISM(Contact Image Sensor Module)」ともいう)を用いた例における読取素子53を示す。図5に示すように、CISM530を構成する読取素子53は、線光源52(図4参照)の延在方向である主走査方向Xに沿って配置され、原稿Dから反射した光を集光する結像素子56と、結像素子56の延在方向である主走査方向Xに沿って配置され、結像素子56が集光した光を受光する受光素子57とを備える。結像素子56と受光素子57とは、ガラス板33A,39Aの面に近い側からこの順番に配列されている。結像素子56は原稿面Dpからの反射光のうち出射角θoの正反射光の周辺に分布する散乱反射光を入射し、その散乱反射光を結像した光の像を受光素子57が受光する。
結像素子56は、複数のレンズ561を互いの光軸L2が平行となるように列状に配したレンズアレイ562を有している。受光素子57は、基板571と、基板571上に実装されたリニア式のイメージセンサー572とを有している。イメージセンサー572は、密着型のイメージセンサー(CIS(Contact Image Sensor))からなる。
レンズアレイ562は、ガラス板33A,39Aの面と比較的近接した位置で対向している。レンズアレイ562を構成する複数のレンズ561は主走査方向Xに沿って配列されている。レンズアレイ562は、レンズ561に入射する光をイメージセンサー572に集光させるために設けられている。レンズアレイ562としては、棒状をなす複数のレンズ561を配列したロッドレンズアレイを用いている。特に本例では、レンズアレイ562として、屈折率分布型レンズ(Selfoc)からなるレンズ561を多数配列し、全体で1個の連続した像を形成する光学系で、スキャニングシステム用光学系に適した屈折率分布型ロッドレンズアレイである、セルフォックレンズ(登録商標)(SLA)を用いている。
また、イメージセンサー572は、副走査方向Yに「1個」の撮像素子を有するとともに、主走査方向Xに複数個(例えば「2048個」)の撮像素子を有している。このため、イメージセンサー572は、主走査方向Xの「1ライン」の像を撮像可能としている。ここで、原稿Dと読取素子53を構成する結像素子56(つまりレンズアレイ562)の入射口までの光路長は、レンズアレイ562を構成する複数のレンズ561の焦点距離に合わせてある。このため、原稿面Dpの像が受光素子57の面上に結像される。
図5に示す結像素子56及び受光素子57は、図4に示す線光源52と共に筐体55に収容されている。そして、結像素子56の光軸L2は、ガラス板33A,39Aの法線N1(法線方向Z)に対して図4に示す線光源52の光の主軸L1が傾斜する方向と同じ方向へ第2の角度θLで傾斜している。換言すれば、結像素子56の光軸L2は、筐体55のガラス板33A,39Aと対向する対向面55Bの法線N2の方向(法線方向Z)から線光源52と同じ方向へ第2の角度θLだけ傾斜している。
図4、図5に示す第2の角度θLは、例えば1〜20度の範囲内の所定値に設定されている。特に第2の角度θLは、3〜10度の範囲内の値に設定することが好ましい。図4に示す例では、第2の角度θLは、一例として7度に設定されている。ここで、第2の角度θLが、3度未満であると、原稿Dが光沢紙又は半光沢紙である場合に、その反射特性によって正反射光の周囲に比較的広く分布する過度に明るいガウス散乱反射光が入射光として受光される可能性があるので、ランバート散乱反射光が入射光として受光されるように、第2の角度θLは3度以上であることが好ましい。また、第2の角度θLが、10度を超えると、原稿Dが光沢紙又は半光沢紙である場合に、ガウス散乱反射光を避けてランバート散乱反射光を受光できるものの、受光される光が暗くなってしまうので、必要な光量を確保するうえで、第2の角度θLは10度以下であることが好ましい。なお、第2の角度θLは、上記の条件に限らず、読み取り画像の画質に一定以上の効果が得られる限りにおいて、3度未満や10度を超える角度に設定してもよい。また、本明細書では、光沢紙のような光沢媒体と、半光沢紙のような半光沢媒体とを総括して、「光沢系媒体」ともいう。
図6は、比較例の読取モジュール150を示す。この読取モジュール150は、図4に示す実施例の読取モジュール50のものと同様の線光源152と読取素子153とを筐体55に収容する。線光源152光の主軸L1は、図4に示す実施例の線光源52と同様に原稿面Dpの法線N1に対して第1の角度θ1をなす斜めの姿勢角に配置されている。
図6に示す比較例の読取素子153は、図4に示す本実施例のものと同様に図5に示す結像素子56及び受光素子57を備えるが、その光軸L2が原稿面Dpの法線N1(法線方向Z)と平行となる姿勢で配置されている。つまり、図6に示す比較例では、第2の角度θL=0°である。このため、ガラス板33A,39Aから出射角θoで出射する正反射光の主光線と、読取素子153の光軸L2とのなす角度θ3は、θ3=θoとなる(但し、θo=θ1)。
次に図7を参照して、反射率30%の灰色印刷をした半光沢紙からなる原稿Dに対して線光源52から10度の入射角θ1で光を照射した場合の視野角度θと明るさとの関係を示す反射特性について説明する。ここで、視野角度θは、読取素子53の光軸L2が原稿面Dpの法線N1に対してなす角度を指す。このグラフにおいて、視野角度θは、法線N1と平行な角度を零度(0°)とし、法線N1に対して、線光源52の光の主軸L1と同じ方向への傾き側をマイナス、原稿面Dpで反射した正反射光の主光線と同じ方向への傾き側をプラスとしている。
図7に示すように、視野角度θで、入射角θ1(例えば−10°)に対してθ=0°を挟んで反対側の正反射角である視野角度θ=10°で、反射特性曲線上の明るさが過剰に高くなるピーク点SR(正反射点SR)になっている。図7に示すように、原稿Dが半光沢紙(光沢系媒体)である場合、その反射特性によって、正反射点SRの周りに過度な明るさのガウス散乱域GRが比較的広く(例えば−2〜18°の範囲)分布し、さらにガウス散乱域GRの周囲にランバート(Lambert)散乱域LRが広がっている。ランバート散乱域LRでは、明るさが過度ではないものの、視野角度θの絶対値が大きくなるに連れて明るさが暗くなる。図7に示す反射特性曲線上の白丸で示す点LSが、第2の角度θL(例えば7°)で傾いた読取素子53に入射する光の明るさを示す。実施例(図4)の構成では、読取素子53(結像素子56)の光軸L2が、法線方向Zに対して線光源52の光の主軸L1と同じ方向(マイナス方向)へ第2の角度θLだけ傾斜しているので、図7に示すように、点LSは、正反射点SRからθ2=θo+θLだけ離れている。このため、実施例の読取素子53の視野角度θ=−7°の点LSは、ガウス散乱域GRの外側に少し外れたランバート散乱域LR内に存在している。このように第2の角度θLは、原稿Dが光沢系媒体である場合に、結像素子56が原稿Dから反射した反射光のうちガウス散乱域GRを避けてランバート散乱域LRの散乱反射光を入射可能な角度に設定されている。
これに対して、比較例の構成(図6)では、読取素子153の第2の角度θLが0度(θL=0°)であるため、正反射点SRから角度θoだけ離れた読取素子153の視野角度θ=0°では、読取素子153がガウス散乱域GRの裾を取り込んでしまうことになる。図7の例では、比較例の読取素子153(結像素子56)に比べ、実施例の読取素子53(結像素子56)の第2の角度θLを、例えばさらに2度以上マイナス側へ大きくできればガウス散乱域GRの裾野を読み込まないで済む。そこで、図4に示す実施例では、結像素子56の光軸L2を法線方向Zに対して一例としてマイナス側へ7度傾け、読取素子53の視野角度θを、ガウス散乱域GRの裾野から外している。
図4に示す実施例と図6に示す比較例との各構成について、灰色光沢紙を読み込んで反射率を測定する検証実験を行った。予め標準白色板を読み込んで測定した受光電力Wgと、灰色光沢紙を読み込んで測定した受光電力Wwとを用いて灰色光沢紙の基準とする反射率(=Wg/Ww×100)(%)を求めた。灰色光沢紙の基準とする反射率は約30%であった。
次に、図4に示す実施例と図6に示す比較例とで、白色光沢原稿と上記灰色光沢紙(反射率約30%)とを用いて読み取りを行い、その読み取り時の受光素子57の電力(受光電力)を基に灰色光沢紙の反射率を測定した。図4に示す実施例では、白色光沢原稿を読み取ったときの受光素子57(図5参照)の受光電力は168μW(マイクロワット)であり、灰色光沢紙を読み込んだときの受光素子57の受光電力が51.8μWであった。これにより灰色光沢紙の反射率は、51.8/168=31%であった。一方、図6に示す比較例では、白色光沢原稿を読み取ったときの受光素子57の受光電力は173μWであり、灰色光沢紙を読み込んだときの受光素子57の受光電力が64μWであった。これにより灰色光沢紙の反射率は、64/173=37%であった。比較例よりも実施例の方が灰色光沢紙の反射率(31%)が、基準の反射率(約30%)に近く、忠実に階調を表現できることが認められた。また、読取位置で原稿Dが媒体の皺などにより正反射光を拾う側に傾いた場合、読取素子53を傾けていない図6に示す比較例では、皺の部分の階調が明るい側に変化し白浮きが認められたが、読取素子53を線光源52と同じ側へ傾けた図4に示す実施例では、白浮きを抑制できることが確認された。なお、反射率(%)は、階調0〜100%の値に相当する。
次に図8を参照して、複合機11におけるスキャナー装置31の電気的構成を説明する。なお、図8は、画像読取制御に係る電気的構成を示すもので、原稿搬送部35内の一部の構成については省略している。
スキャナー装置31は、装置全体の制御を司るとともに画像を読み取るため各種の処理を行う制御部90と、線光源52及び読取素子53を有する読取モジュール50を搭載したキャリッジ61と、キャリッジ61を副走査方向Yに移動させる駆動機構63と、原稿搬送部35とを備えている。駆動機構63は、第1モーター64及びエンコーダー92を備えている。原稿搬送部35は、センサー44及び第2モーター93を備えている。キャリッジ61に搭載された読取モジュール50は、FBモードとADFモードとの両方に使用される。なお、図8では、原稿搬送部35に設けられ、キャリッジ61に搭載されたものと同様の読取モジュール50を内蔵する読取ユニット51(図3参照)を省略している。
図8に示す制御部90は、読取モジュール50、第1モーター64、エンコーダー92、センサー44、第2モーター93及び操作部15等と電気的に接続されている。制御部90は、第1モーター64を駆動し、キャリッジ61を読取モジュール50と共に副走査方向Yに移動させる。制御部90は、エンコーダー92から入力したキャリッジ61の移動速度に比例する数のエンコーダーパルスを基に、第1モーター64を速度制御し、原稿Dの読取り動作過程でキャリッジ61を副走査方向Yに一定速度で移動させる。制御部90は、キャリッジ61の例えば往動過程にガラス板33A上の原稿Dを読取モジュール50に読み取らせる。
制御部90は、センサー44が載置台36上の原稿Dを検知した状態で第2モーター93を駆動し、載置台36にセットされた原稿Dを一枚ずつ搬送させる。原稿Dは、搬送途中の読取位置SCでキャリッジ61上の読取モジュール50により読み取られる。
読取モジュール50は、線光源52から照射された光が原稿面Dpで反射して結像素子56を構成するレンズアレイ562の各レンズ561で集光された光を受光素子57で受光し、その受光量に応じた電荷を蓄積し、アナログデータからなる画像読取データ(電気信号)として、制御部90に送る。
制御部90は、CPUと、プログラム等が記憶されたROMと、メインメモリーとしてデータ等を一時的に格納するRAMと、ホスト装置等との入出力を制御するインターフェイスと、各構成要素間の通信経路となるシステムバスとを備えた一般的なコンピューターにより構成される。また、制御部90は、各処理を専用に行うように設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)を備える。このように制御部90は、プログラムを実行するコンピューターによるソフトウェアとASIC等の電子回路によるハードウェアとを備えている。
制御部90は、キャリッジ61内の線光源52、読取モジュール50、駆動機構63及び原稿搬送部35を制御する読取制御部95を備える。また、制御部90は、読取モジュール50から出力されたアナログデータをデジタルデータに変換するなどのアナログ処理を行うAFE96と、AFE96から出力されたデジタルデータに対して各種補正を行うデータ処理部97と、データ処理部97が各種補正を行うためのデジタルデータを記憶する記憶部98とを備える。読取制御部95は、第1モーター64を駆動制御してキャリッジ61の移動を制御する。読取制御部95は、読み取り画像の補正に用いられる白基準データ等を取得するために、白基準板81,82(図3参照)の読み取りを制御し、得られた白基準データ104等を記憶部98に記憶する。さらに制御部90は、データ処理部97からのデータをホスト装置200に送るための出力部99などを備えている。
また、読取制御部95は、読取モジュール50からのデータの読み出しタイミング等を制御する。読取制御部95は、読取モジュール50が読み取ったデータのAFE96への転送を制御する。AFE96は、所定のIC(アナログフロントエンドIC)によって構成され、入力されたアナログデータに対して設定されたゲインGで入力信号を増減させるゲイン調整を行って必要なレベルの信号を出力するゲイン調整部101と、アナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換部102とを有している。なお、AFE96は、キャリッジ61内の基板に実装されていてもよい。
データ処理部97は、A/D変換部102から出力された画像データにシェーディング補正を施すシェーディング補正部105を備えている。データ処理部97は、A/D変換部102から出力された画像データを記憶部98に一時記憶し、対応する白基準データ及び黒基準データを用いて、画素ごとに、所定の補正式に従ったシェーディング補正を行う。データ処理部97は、シェーディング補正の他にもガンマ補正等の各種補正を施して、補正済みの画像データを出力部99に出力する。
次に、複合機11におけるスキャナー装置31の作用を説明する。ユーザーがホスト装置200で操作部(キーボード又はマウス)の操作でスキャンを指示すると、ホスト装置200から通信を介して複合機11はスキャンジョブを受信する。また、ユーザーが操作部15の操作でスキャンの実行を指示すると、複合機11はスキャンジョブを受け付ける。また、ユーザーが操作部15の操作で原稿Dのコピーの実行を指示すると、複合機11はスキャンジョブと印刷ジョブを受け付ける。制御部90はスキャンジョブに基づきスキャナー装置31を駆動制御し、スキャナー装置31に原稿Dの読取動作を行わせる。
制御部90は、載置台36に原稿Dがあることを検知したときは、ADFモードで読取動作を行い、原稿台33のガラス板33A上に原稿Dがあることを検知したときは、FBモードで読取動作を行う。ADFモードでは、制御部90は、キャリッジ61を読取位置SC(図3参照)に配置するとともに、原稿搬送部35を駆動させて原稿Dを搬送し、その搬送途中の原稿Dをガラス板39Aを介して読取モジュール50に読み取らせる。また、FDモードでは、制御部90は、キャリッジ61を待機位置から副走査方向Yに一往復動させ、往動方向Y1への移動過程でガラス板33Aを介して原稿台33上の原稿Dを読取モジュール50に読み取らせる。
このとき、原稿Dが半光沢紙又は光沢紙であっても、読取素子53の光軸L2がガラス板33Aの法線方向Zに対して線光源52の傾斜と同じ方向へ第2の角度θLだけ傾斜している。このため、読取素子53には、原稿面Dpからの反射光のうちガウス散乱域GRの散乱反射光は入射されず、ランバート散乱域LRの散乱反射光が入射される。この結果、原稿Dが光沢系媒体である場合でも、反射特性によらず原稿面Dpからの正反射光周りの過度に明るいガウス散乱反射光が読取素子53に入射することを抑制でき、読み取り画像の画質の低下を抑制することができる。また、読取素子53を法線方向Zに対して傾斜させた第2の角度θLが、線光源52を読取素子53を法線方向Zに対して傾斜させた第1の角度θ1よりも小さいので、読取素子53に入射される光が暗くなり過ぎることもな適度な明るさを確保できる。
読み取られた画像読取データは、データ処理部97により記憶部98の白基準データ及び黒基準データに基づくシェーディング補正等を含む所定処理が施された後、画像データとして出力部99からホスト装置200へ出力される。また、コピーが指示されているときは、さらにその画像データに基づく画像を印刷装置21により印刷することで、コピー印刷された媒体Pが排出口21aからスタッカー18へ排出される。
以上詳述した実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)原稿Dの位置を規定するガラス板33A,39Aと、ガラス板33A,39Aに対して原稿Dとは反対側に配置された読取モジュール50と、原稿Dと読取モジュール50とを相対的に移動させる搬送部60とを有する。読取モジュール50は、ガラス板33A,39Aを介して原稿Dに光を照射する線光源52と、線光源52の延在方向に沿って配置され、原稿Dから反射した光を集光する結像素子56と、結像素子56の延在方向に沿って配置され、結像素子56が集光した光を受光する受光素子57とを備える。線光源52は、線光源52の光の主軸L1が、ガラス板33A,39Aの法線N1の方向(法線方向Z)に対して第1の角度θ1で傾斜するように配置されている。また、結像素子56は、当該結像素子56の光軸L2が、原稿Dの読取位置で反射した光がガラス板33A,39Aから出射する位置に向けられるとともに、法線方向Zに対して線光源52の光の主軸L1の傾斜と同じ方向に第2の角度θLで傾斜して配置される。よって、結像素子56の光軸L2がガラス板33A,39Aの法線方向Zに対して傾いていない比較例(図6)の構成に比べ、結像素子56が不適切な散乱反射光(ガウス散乱反射光)を入射することを抑制できる。すなわち、結像素子56は、ガウス散乱域GRを避けて適切な明るさのランバート散乱域LRの散乱反射光を入射できる。このため、原稿Dが光沢系媒体であっても、受光素子57に適切な像を結像できる。よって、ガウス散乱反射光に起因する、読み取り画像の画質の低下を抑制することができる。
(2)第2の角度θLは第1の角度θ1よりも小さい。よって、結像素子56を法線方向Zに対して傾けた割に適切な受光量及び焦点深度を確保できる。このため、原稿Dが光沢系媒体でも、受光素子57に適切な明るさの像を結像でき、読み取り画像の画質の低下を抑制することができる。
(3)読取モジュール50は、線光源52、結像素子56、受光素子57を収容する筐体55を備え、当該筐体55はガラス板33A,39Aに対向する対向面55Bを有し、結像素子56の光軸L2は対向面55Bの法線N2の方向(法線方向Z)から第2の角度θLで傾斜している。よって、筐体55内の結像素子56の光軸L2を、筐体55の対向面55Bの法線方向Zから第2の角度θLで傾斜させるように結像素子56を筐体55に対して傾斜する姿勢に配置するという比較的簡単な構成により、結像素子56に適切なランバート散乱反射光を入射させることができる。
(4)第2の角度θLは、原稿Dが光沢系媒体である場合に、結像素子56が原稿Dから反射した反射光のうちガウス散乱域GRを避けてランバート散乱域LRの散乱反射光を入射可能な角度に設定されている。よって、読取モジュール50は、原稿Dが光沢系媒体である場合でも、ガウス散乱反射光を避けてランバート散乱反射光の像を読み取るので、読み取り画像の画質の低下を抑制することができる。なお、原稿搬送部35の搬送経路の途中に設けられ、搬送途中の原稿D(原稿面Dp)を読取り可能な読取ユニット51は、キャリッジ61に搭載されたものと同様の読取モジュール50を備えるので、読取ユニット51によっても、上記(1)〜(4)の効果が同様に得られる。
(第2実施形態)
次に図9を参照して第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、読取モジュール50を筐体55ごと傾けることにより、読取素子53(つまり撮像素子56)の光軸L2をガラス板33A,39A(つまり読取面Dp)の法線N1に対して、線光源52からガラス板33A,39Aへの光の入射角θ1を大きくする側(図9における反時計方向)へ第2の角度θLだけ傾斜させている。このように筐体55ごと傾けているため、結像素子56はその光軸L2が、筐体55のガラス板33A,39Aと対向する対向面55Bの法線N2に沿うように配置されている。ここで、原稿Dと読取素子53を構成する結像素子56(つまりレンズアレイ562)の入射口までの光路長は、レンズアレイ562を構成する複数のレンズ561の焦点距離に合わせてある。このため、原稿面Dpの像が受光素子57の面上に結像される。本実施形態の構成であれば、読取モジュール50を筐体55ごと傾けるだけで、光沢紙等の光沢系媒体からなる原稿Dを読み込んだ場合の階調ずれを防ぐことができる。なお、原稿搬送部35による搬送途中の原稿D(原稿面Dp)を読取り可能な図3に示す読取ユニット51に適用した場合も同様の効果が得られる。
この第2実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(5)読取モジュール50は、線光源52、結像素子56、受光素子57を収容する筐体55を備え、筐体55はガラス板33A,39Aに対向する対向面55Bを有し、結像素子56の光軸L2は対向面55Bの法線方向に沿っている。よって、筐体55の対向面55Bの法線方向Zから結像素子56の光軸L2を第2の角度θLだけ傾斜させた状態に、結像素子56を筐体55に傾けて配置するという比較的簡単な構成により、結像素子56にランバート散乱反射光を入射させることができる。このため、原稿Dが光沢系媒体であっても、読み取り画像の画質の低下を抑制することができる。
(第3実施形態)
次に図10を参照して第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、読取素子53が角度調整可能に構成されている。
図10に示すように、読取モジュール50は、読取素子53においてその光軸L2と原稿面Dpの法線N1とのなす角度により規定される傾き角を調整する角度調整部110を備えている。角度調整部110は、読取素子53の傾き角を調整可能な角度調整機構111と、角度調整機構111に読取素子53の傾き角を変更させるための動力を与える電動モーター等のアクチュエーター112とを備えている。角度調整機構111は、読取素子53の長手方向の両側から読取素子53をその傾き角の変更が可能な状態で支持している。角度調整機構111は、原稿Dと結像素子56(つまりレンズアレイ562)の入射口までの光路長が、レンズアレイ562を構成する複数のレンズ561の焦点距離となるように角度調整可能に構成されている。なお、角度調整部110の動力源としてのアクチュエーター112は、電動モーターに限らず、ソレノイド、シリンダー、圧電アクチュエーター等でもよい。
図10に示すアクチュエーター112は、図8に示す制御部90と電気的に接続されており、制御部90(例えば読取制御部95)がアクチュエーター112を駆動制御することにより、読取素子53の傾き角が調整される。このように第3実施形態では、アクチュエーター112の動力で角度調整機構111を介して読取素子53の筐体55に対する姿勢角を変更させることにより、読取素子53の光軸L2が法線N1に対してなす角度である第2の角度θLが変更可能となっている。
また、図8に示すように、スキャナー装置31は、原稿Dの媒体種(例えば紙種)を取得可能な同図に二点鎖線で示す媒体種取得部113を備えている。そして、制御部90は、媒体種取得部113が取得した媒体種(例えば紙種)を基に読取素子53(結像素子56)を媒体種に応じた第2の角度θLに変更する。
媒体種取得部113は、以下の3つのうち少なくとも1つにより媒体種を判定する。媒体種取得部113の第1の例は、ホスト装置200のドライバー201から受け付けた、又は操作部15の入力により受け付けたスキャンジョブと共に取得した媒体種情報(例えば紙種情報)を基に原稿Dの媒体種を判定する。例えばユーザーは、複合機11にスキャンを指示するときに、読取対象の原稿Dの媒体種をホスト装置200の不図示の入力装置を操作して入力する。ユーザーが入力装置を操作してスキャンを指示すると、ドライバー201が媒体種情報と共にスキャンジョブを複合機11に送る。また、ユーザーが複合機11の操作部15を操作して読取対象の原稿Dの媒体種を入力するとともに、操作部15を操作して複合機11にスキャンを指示すると、複合機11内の制御部90が、媒体種情報と共にスキャンジョブを受け付ける。なお、ユーザーが原稿Dのコピーを指示するときも同様のスキャンジョブが制御部90に送られる。媒体種取得部113は、制御部90が受け付けた媒体種情報を基に媒体種を取得する。
また、媒体種取得部113の第2の例は、図10に示す媒体種取得専用の光学センサー114(専用センサー)が読取モジュール50に設けられている。媒体種取得部113は、光学センサー114により読取対象の原稿Dの反射状態を検出してその検出結果を基に原稿Dの媒体種を判定する。光学センサー114は、読取対象の原稿Dが光沢系媒体である場合、線光源52からガラス板33A,39Aに入射した光が原稿面Dpで反射した正反射光を受光可能な位置に配置されている。光学センサー114は原稿Dから入射される反射光の受光量に応じた電圧値の検出信号を制御部90に出力する。読取対象の原稿Dが光沢系媒体である場合、制御部90は、光学センサー114から光沢系媒体からの正反射光又はガウス散乱反射光を受光したときの受光量に応じた検出値を入力する。また、光沢系媒体ではない場合(非光沢系媒体である場合)、制御部90は、光学センサー114から非光沢系媒体からのランバート散乱反射光を受光したときの受光量に応じた検出値を入力する。図8に示す媒体種取得部113は、光学センサー114から入力した検出値に応じて媒体種を判定する。媒体種取得部は、少なくとも光沢媒体(例えば光沢紙)、半光沢媒体(例えば半光沢紙)、非光沢媒体(例えば普通紙)の3種類を含む複数の媒体種を判定する。
さらに媒体種取得部113の第3の例は、読取モジュール50を利用して読取対象の原稿Dの反射状態を検出してその検出結果から原稿Dの媒体種を判定する。本実施形態では、読取素子53が角度調整可能な構成であるため、媒体種判定時に例えば読取素子53(つまり結像素子56)をガラス板33A,39Aの法線方向Zと平行となる姿勢(θL=0)に配置し、線光源52(つまりライトガイド522)からの光を原稿Dに反射させ、その反射光を読取素子53により受光する。このとき、読取対象の原稿Dが普通紙等の非光沢系媒体であれば、ランバート散乱域LRの散乱反射光を受光するため、読取素子53は閾値未満の明るさの光を受光することになる。一方、読取対象の原稿Dが光沢紙又は半光沢紙等の光沢系媒体であれば、ガウス散乱域GRの散乱反射光を受光するため、読取素子53は閾値以上の過度に明るい光を受光することになる。媒体種取得部113は、読取素子53(つまり受光素子57)の受光量に応じて原稿Dの媒体種(例えば紙種)を少なくとも3種類以上の複数の媒体種を判定する。
こうして制御部90は、媒体種取得部113が読取対象の原稿Dの媒体種を取得すると、アクチュエーター112を必要に応じて駆動させ、読取素子53を原稿Dの媒体種に応じた第2の角度θLに調整する。このため、原稿Dが光沢紙であれば、読取素子53(結像素子56)が比較的大きな第2の角度θL(例えばθL=7°)に調整され、原稿Dが半光沢紙であれば、読取素子53が中程度の大きさの第2の角度θL(例えばθL=5°)に調整される。この結果、読取素子53にガウス散乱反射光を避けつつランバート散乱反射光が入射光として入射される。また、原稿Dが非光沢系媒体であれば、読取素子53(結像素子56)が比較的小さな第2の角度θL(例えばθL=0°)に調整され、読取素子53にランバート散乱反射光が入射光として入射されるとともに、このとき読取素子53への入射光の明るさが確保される。なお、上記の構成は、原稿搬送部35による搬送途中の原稿D(原稿面Dp)を読取り可能な図3に示す読取ユニット51の読取モジュール50に適用してもよい。
この第3実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(6)原稿Dの媒体種を取得する媒体種取得部113を更に備え、媒体種に応じて第2の角度θLを変更する。よって、媒体種取得部113により取得した媒体種に応じて第2の角度θLが変更されるので、原稿Dが光沢系媒体である場合、読み取り画像の画質の低下を抑制することができ、原稿Dが非光沢系媒体である場合、結像素子56の傾斜に起因する入射する光の明るさ(受光量)の低下及び原稿浮きによる解像度の低下を抑制できる。したがって、原稿Dの媒体種によらず、良好な画質の読み取り画像を取得できる。
(7)媒体種取得部113は、入力部94を通じて入力した媒体種情報を基に媒体種を取得するか、専用センサーで検出した原稿Dの反射状態を基に媒体種を判定するか、読取モジュール50で検出した原稿Dの反射状態を基に媒体種を判定するかのうちいずれか1つにより媒体種を取得する。よって、比較的簡単な方法により原稿Dの媒体種を取得することができる。なお、原稿搬送部35による搬送途中の原稿D(原稿面Dp)を読取り可能な図3に示す読取ユニット51に適用した場合も同様の効果が得られる。
(第4実施形態)
次に図11を参照して第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、筐体55ごと傾けることにより、読取素子53が角度調整可能に構成されている。
図11に示すように、読取モジュール50は、線光源52及び読取素子53を収容する筐体55ごと、主走査方向Xと平行な回動軸を中心に傾動可能に構成されている。スキャナー装置31は、読取素子53の光軸L2と原稿面Dpの法線N1とのなす角度により規定される第2の角度θLを調整可能に筐体55の傾き角θLを調整する角度調整部110を備えている。角度調整部110は、筐体55の傾き角θLを調整可能な角度調整機構111と、筐体55を傾動させる動力を角度調整機構111に与える電動モーター等のアクチュエーター112とを備えている。角度調整機構111は、筐体55をその長手方向の両側から傾き角θLを変更可能な状態で支持している。角度調整機構111は、原稿Dと結像素子56(つまりレンズアレイ562)の入射口までの光路長が、レンズアレイ562を構成する複数のレンズ561の焦点距離と一致する条件を満たすように筐体55を角度調整する。
図8に示すように、制御部90は、第3実施形態と同様に同図に二点鎖線で示す媒体種取得部113を有している。制御部90は、媒体種取得部113が読取対象の原稿Dの媒体種を取得すると、アクチュエーター112を必要に応じて駆動させ、読取モジュール50を筐体55ごと傾動させることにより、読取素子53を原稿Dの媒体種に応じた第2の角度θLに調整する。このため、原稿Dが光沢系媒体であっても、読取素子53にガウス散乱反射光を避けてランバート散乱反射光を入射させることができる。また、原稿Dが非光沢系媒体であれば、筐体55の傾き角θLが例えば0度に調整されることにより、第2の角度θLが例えば0度(θL=0°)に調整される。よって、読取素子53にランバート散乱反射光が入射されて白浮き等が抑制され、かつ読取素子53への入射光の明るさ及び原稿浮きの場合の解像度が確保される。なお、上記の構成は、搬送途中の原稿Dを読み取る図3に示す読取ユニット51の読取モジュール50に適用してもよい。
この第4実施形態によれば、第3実施形態における上記の効果(6),(7)が同様に得られるうえ、以下の効果を得ることができる。
(8)結像素子56を筐体55ごと傾動させる構成なので、読取素子53(結像素子56)を筐体55に強固に固定できる。読取素子53は歪みに敏感であるため、第3実施形態の構成のように読取素子53を筐体55に対して傾動可能に支持した構成であると、読取素子53の結像精度が歪みの影響で低下することが心配される。これに対して、第4実施形態では、読取素子53を筐体55に強固に固定できることから、第3実施形態の構成に比べ、結像素子56の結像精度が歪みの影響で低下することを抑制できる。よって、良好な読み取り画像を取得できる。
なお、上記実施形態は以下の形態に変更することもできる。
・前記各実施形態では、第2の角度θLと第1の角度θ1との大小関係をθL<θ1としたが、θL≧θ1でもよい。結像素子56にランバート散乱反射光を入射できる限りにおいて、例えばθL=θ1でもよいし、θL>θ1でもよい。
・第1実施形態における読取素子53を筐体55に対して傾斜させる構成と、第2実施形態における法線方向Zに対して筐体55ごと傾斜させる構成との両方を適用してもよい。要するに、読取素子53を法線方向Zに対して線光源52と同じ方向へ第2の角度θLで傾斜させられればよい。
・第3実施形態では、媒体種に応じて第2の角度θLを変更させたが、専用の光学センサー114(専用センサー)又は読取モジュール50に白色原稿(白色媒体)の反射状態を検出させた検出結果に応じて第2の角度θLを変更させる構成でもよい。この構成によれば、線光源52の組付けや明るさにばらつきがあっても、読取素子53(結像素子56)にガウス散乱反射光を避けてランバート散乱反射光を入射させることができる。
・読取素子53は、CISMに限らず、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等の縮小光学系の読取素子でもよい。
・読取素子53がCISMである場合、結像素子を構成するレンズはSLAに限らず、マイクロレンズアレイでもよい。
・線光源52を構成するライトガイド522は、図4に示す構成に限定されず、原稿Dを均一に照明できるものであればよい。ライトガイドは、例えばファイバ素線を複数本バンドルしてアッセンブリされた構成のものでもよい。
・線光源52は、発光体521とライトガイド522とを用いる方式に限定されない。線光源52は、例えば線状発光体でもよい。
・発光体521はLEDに限らず、キセノンランプ等の蛍光ランプを用いてもよい。
・画像読取装置は、スキャナー装置を備えた複合機に限定されず、スキャナー装置を備えた複写機でもよい。また、画像読取装置は、原稿搬送部(ADF装置)を備えたスキャナー装置であってもよいし、フラットベッド型のスキャナー装置であってもよい。
11…画像読取装置の一例としての複合機、15…操作部、21…印刷装置、31…スキャナー装置、32…装置本体、33…原稿台、33A…透明部材の一例としてのガラス板、34…原稿台カバー、35…原稿搬送部、36…載置台、39…読取窓、39A…透明部材の一例としてのガラス板、50…読取モジュール、52…光源の一例としての線光源、53…読取素子、55…筐体、55B…対向面、56…結像素子、57…受光素子、60…搬送部、90…制御部、94…入力部、98…記憶部、113…媒体種取得部、114…光学センサー(専用センサー)、200…ホスト装置、D…原稿、Dp…原稿面、SC…読取位置、X…主走査方向、Y…副走査方向、Z…法線方向(鉛直方向)、θ1…第1の角度、θL…第2の角度、L1…線光源の光の主軸、L2…結像素子の光軸、N1…原稿面の法線、N2…対向面の法線、GR…ガウス散乱域、LR…ランバート散乱域。

Claims (8)

  1. 原稿の位置を規定する透明部材と、
    前記透明部材に対して前記原稿とは反対側に配置された読取モジュールと、
    前記原稿と前記読取モジュールとを相対的に移動させる搬送部と、を有し、
    前記読取モジュールは、
    前記透明部材を介して前記原稿に光を照射する線光源と、
    前記線光源の延在方向に沿って配置され、前記原稿から反射した光を集光する結像素子と、
    前記結像素子の延在方向に沿って配置され、前記結像素子が集光した光を受光する受光素子と、
    を備え、
    前記線光源は、当該線光源の光の主軸が、前記透明部材の法線方向に対して第1の角度で傾斜するように配置され、
    前記結像素子は、当該結像素子の光軸が、前記原稿の読取位置で反射した光が前記透明部材から出射する位置に向けられるとともに、前記法線方向に対して前記線光源の光の主軸の傾斜と同じ方向に第2の角度で傾斜して配置される、ことを特徴とする画像読取装置。
  2. 前記第2の角度は前記第1の角度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
  3. 前記読取モジュールは、前記線光源、前記結像素子及び前記受光素子を収容する筐体を備え、当該筐体は前記透明部材に対向する対向面を有し、前記結像素子の光軸は前記対向面の法線方向から前記第2の角度で傾斜していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
  4. 前記読取モジュールは、前記線光源、前記結像素子及び前記受光素子を収容する筐体を備え、当該筐体は前記透明部材に対向する対向面を有し、前記結像素子の光軸は前記対向面の法線方向に沿っていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
  5. 前記第2の角度は、前記原稿が光沢系媒体である場合に、前記結像素子が前記原稿から反射した反射光のうちガウス散乱域を避けてランバート散乱域の散乱反射光を入射可能な角度に設定されている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
  6. 前記原稿の媒体種を取得する媒体種取得部を更に備え、
    前記媒体種に応じて前記第2の角度を変更する請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の画像読取装置。
  7. 前記媒体種取得部は、入力部を通じて入力した媒体種情報を基に前記媒体種を取得するか、専用センサーで検出した前記原稿の反射状態を基に前記媒体種を判定するか、前記読取モジュールで検出した前記原稿の反射状態を基に前記媒体種を判定するかのうちいずれか1つにより前記媒体種を取得することを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
  8. 原稿に光を照射する線光源と、
    前記線光源の延在方向に沿って配置され、前記原稿から反射した光を集光する結像素子と、
    前記結像素子の延在方向に沿って配置され、前記結像素子が集光した光を受光する受光素子と、
    前記原稿に対向する対向面を有し、前記線光源、前記結像素子及び前記受光素子を収容する筐体と、
    を備え、
    前記線光源は、当該線光源の光の主軸が、前記対向面の法線方向に対して第1の角度で傾斜するように配置され、
    前記結像素子は、当該結像素子の光軸が、前記対向面に対して前記線光源の光の主軸の傾斜と同じ方向に第2の角度で傾斜して配置される、ことを特徴とする読取モジュール。
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