JP2019021852A - 紫外線発光素子 - Google Patents

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実人 三好
Makoto Miyoshi
実人 三好
江川 孝志
Takashi Egawa
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Abstract

【課題】例えば600℃以下というような比較的低いプロセス温度を以てデバイス工程を進めていくことができる、発光素子特に紫外線発光素子を提供することである。【解決手段】電子供給層5であるAlGaNを介していわゆるトンネル効果が作用するために、比較的容易に良好なオーミックコンタクトが得られるほか、積層界面に沿った方向では、電子散乱の少ない低抵抗の導通状態を実現できる。発光デバイスのn型電極10から発光層6に至るまでの電子輸送経路に、2次元電子ガスを生成しうる電子供給層5を挿入することで、n型電極10におけるコンタクト抵抗を引き下げ、発光層6への電流注入効率を向上させる。【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物半導体(ダイオード)を用いた発光素子、特に紫外線発光素子に関するものである。
AlN成分比が高い窒化物半導体は、安価で長寿命の例えば紫外線発光デバイス用材料として期待されている。特に、発光波長255nm前後の新紫外域発光デバイスは、水銀ランプの代替を含めた空気・水質浄化、医療機器などの市場で応用可能性がある。窒化物半導体を用いた深紫外発光デバイスの発光層については、材料構成としてAlGaNを主成分とする多重量子井戸構造(MQW構造)、製法としては有機金属気相成長法(MOCVD法)によるエピタキシャル成長技術を用いた開発が数多く進められてきた(非特許文献1に記載)。
より高い結晶品質のAlGaN結晶を形成する目的で、成長用下地基板としてAlN単結晶を用いる方法(非特許文献2に記載)や、1400℃程度という従来よりも高温でエピタキシャル成長が可能なMOCVD装置を用いる方法(非特許文献3に記載)などが取り入れられている。他方、こうした単結晶基板や特殊仕様の成長装置には製造コ ストを増加させる懸念があった。
H.Hirayama et al,Jpn.J.Appl. Phys.53(2014)100209. J.R.Grandusky et al,J. Cryst. Growth,311(2009)2864 H.Tsuzuki et al,Physica Status Solidi A 206(2009)1199.
発光ダイオードのようなデバイスでは、発光層の構成材料よりもバンドギャップが大きな半導体、より具体的にはAl組成比の高いAlGaN混晶からなるクラッド層/コンタクト層の形成が必要である。そして、これらを経て発光層に効率良く電流注入するためのオーミック電極を形成する必要がある。しかしながら、例えばn型オーミック電極を形成する際、クラッド層/コンタクト層が高Al組成比のバンドギャップが大きいAlGaN混晶である場合、金属パターン形成後に少なくとも800℃以上の高温熱処理を施さないと良好なn型オーミック電極が形成できない。
そこで、本発明の目的は、上記のような課題を鑑み、例えば600℃以下というような比較的低いプロセス温度を以てデバイス工程を進めていくことができる、発光素子特に紫外線発光素子を提供することである。
(1)成長用基板と、成長用基板の上方に各々ウルツ鉱型結晶構造のIII族窒化物を含むn型クラッド層、電子供給層、発光層及びp型クラッド層をこの順に含んだ半導体積層構造を備えることを特徴とする紫外線発光ダイオード素子である。
(2)電子供給層のエネルギーバンドギャップが、n型クラッド層のエネルギーバンドギャップよりも大きいことを特徴とする(1)に記載の紫外線発光ダイオード素子である。
「各々ウルツ鉱型結晶構造のIII族窒化物を含むn型クラッド層、電子供給層、発光層及びp型クラッド層」とは、n型クラッド層、電子供給層、発光層及びp型クラッド層が各々ウルツ鉱型結晶構造のIII族窒化物を含むことを意味する。
(3)化学組成AlGa1−xN(0.55≦x≦0.75)であらわされるn型クラッド層に対し、電子供給層の化学組成をInz1Aly1Gax1N(x1+y1+z1=1、0≦x1≦0.2、0.8≦y1≦1、0≦z1≦0.1)であらわせる範囲から選ぶことで、シート電子濃度5×1012/cm以上の電子が、n型クラッド層と電子供給層によって形成される界面についてn型クラッド層側の2次元電子層に蓄積されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の紫外線発光ダイオード素子である。
n型クラッド層と電子供給層が接合することによって界面は形成される。シート電子濃度が5×1012/cmであることは、単層もしくはバルク半導体としてのAlGaN結晶では成し得ないほどの高濃度の電子であるという意義を有する。
(4)化学組成AlGa1−xN(0.55≦x≦0.75)であらわされるn型クラッド層に対し、化学組成Inz1Aly1Gax1N(x1+y1+z1=1、0≦x1≦0.2、0.8≦y1≦1、0≦z1≦0.1)であらわせる層と、化学組成Inz2Aly2Gax2N(x2+y2+z2=1、0≦x2≦0.1、0.9≦y2≦1、0≦z2≦0.1)であらわされる層を交互に複数積層することによって、シート電子濃度1×1013/cm以上の電子を蓄積できる超格子層が、電子供給層とn型クラッド層の間にさらに挿入されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の紫外線発光ダイオード素子である。
超格子層を形成することでさらに高濃度の電子層群を形成できるため、さらに導通抵抗の低い発光素子を構成することができるのである。
(5)電子供給層が、少なくともInを含有することを特長とする(1)〜(4)の何れか1つに記載の紫外線発光ダイオード素子である。
(6)電子供給層の厚みが5〜20nmの範囲であることを特徴とする(1)〜(5)の何れか1つに記載の紫外線発光ダイオード素子である。
(7)発光層が化学組成(Aly3Gax3N)xx(Inz3Aly4N)1−xx(y3+x3=1、y4+z3=1、0.53≦y3≦0.8、0.8≦z3≦0.9、0≦xx≦1)であらわされることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1つに記載の紫外線発光ダイオード素子である。
本発明によれば、例えば600℃以下というような比較的低いプロセス温度を以てデバイス工程を進めていくことができる。従って、紫外線発光素子については、上記のような電子供給層を用いることにより、比較的低い温度域の熱処理であっても、コンタクト抵抗が低く、良好な電子輸送ならびに電子注入を可能とする構成となる。特にIn含有窒化物を発光層に備えた紫外線発光素子については、その組成分解を生じさせない温度域での熱プロセスが可能となるので高発光効率の紫外線発光デバイスが実現できる。
本発明による紫外線発光ダイオード素子の構成例を示す図である。 電子供給層と2次元電子層を備えた電子デバイス(HEMT)を示す図である。 本発明実施例1におけるエピタキシャル構造を示す図である。 本発明実施例1における紫外線発光ダイオード素子を示す図である。 本発明実施例2におけるエピタキシャル構造を示す図である。 本発明実施例2における紫外線発光ダイオード素子を示す図である。 本発明実施例3におけるエピタキシャル構造を示す図である。 本発明実施例3における紫外線発光ダイオード素子を示す図である。 本発明実施例4におけるエピタキシャル構造を示す図である。 本発明実施例4における紫外線発光ダイオード素子を示す図である。 本発明を説明するために作製した比較例1によるエピタキシャル構造を示す図である。 本発明を説明するために作製した比較例2による紫外線発光ダイオード素子を示す図である。 典型的な紫外線発光ダイオード素子の構成を示す図である。
(従来技術)
図200は、発光素子のうち特に紫外線発光ダイオード素子200の一例を示す断面模式図である。図200ではコンタクト層が分離して記載しているが、これらが区別なく一体または連続(n型コンタクト層203、p型コンタクト層207)とクラッド層(n型クラッド層204、p型クラッド層206)して形成されている場合も数多く存在する。図200のような発光デバイスを形成するには、エピタキシャル成長のための基板が必要である。従来、窒化物半導体の成長には、比較的安価な単結晶サファイアや単結晶Siが成長用基板201として用いられてきたが、こうした従来使用されてきた基板上に一般的なMOCVD法を用いて、AlGaN結晶をエピタキシャル成長した場合、結晶内部に多数の貫通転位が発生し発光効率が著しく低下することが知られている。
発光ダイオード素子のうち特に紫外線発光ダイオード素子について、発明者らは、高効率の紫外線発光ダイオード素子を安価に提供するための技術として、InAlNまたはInAlGaNといったInを含有するMQW発光層の利用に取り組んできた。Inを含有した窒化物MQW構造の利点として、発光層205中のIn成分の組成偏析によって、発光効率の向上が得られることが挙げられる。ここでは類似の例として、高い発光効率を示し一般社会にも普及した青色発光ダイオードにおけるInGaN MWQ発光層について説明する。InGaN量子井戸内では、In成分の偏析に伴い局所的にバンドギャップが狭くなった領域が形成されると考えられており、この結果として、この領域におけるキャリア再結合発光が優先的に起こり、貫通転位部分での非発光性再結合がスクリーニングされるという効果が起こる。InAlNまたはInAlGaNといったInを含有するMQW発光層を用いた発光デバイスは、深紫外線の発光波長領域で、In偏析効果を利用しようとするものであり、これにより安価な成長用下地基板と、一般的な仕様のMOCVD成長装置の組み合わせだけで、高性能の紫外線発光デバイスを提供することができる。
Inを含有する窒化物半導体は、貫通転位など結晶欠陥の影響を強く受けずに発光できるため、高い発光効率が期待できる。このようなIn含有窒化物を、発光ダイオード素子に用いた発光デバイスは、MOCVD法によるエピタキシャル成長工程と、得られたエピタキシャルウェハに対して行う、半導体デバイス工程を経て製造することができる。ここで、問題になるのは、In含有窒化物材料が高温で分解しやすく、例えば、600℃以下というような比較的低いプロセス温度を以て、デバイス工程を進めていく必要があるということである。より具体的に説明すると、発光ダイオードのようなデバイスでは、発光層の構成材料よりもバンドギャップが大きな半導体、より具体的にはAl組成比の高いAlGaN混晶からなるクラッド層/コンタクト層の形成が必要である。そして、これらを経て発光層に効率良く電流注入するためのオーミック電極を形成する必要がある。
高い発光効率を有するIn含有窒化物を発光層に用いた場合、良好なオーミック電極を得るために800℃以上の高温で熱処理を行うと、発光層材料の熱分解が起こるために本来得られるはずであった高出力の発光が得られなくなる。他方、発光層材料の熱分解を防ぐために、熱処理温度を低くすると、電極部でのコンタクト抵抗が高くなり、電流駆動による高効率発光が得られなくなる、というメリット/デメリットが相反する問題を解決して本発明に至ったものである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである
図1は、2次元電子層150を備えた紫外線発光ダイオード素子1の概念を表すデバイス構造の一例である。一般に知られていることとして、組成の似通った同種の化合物半導体(例えばIII族窒化物どうしのAlGaNとGaNの組み合わせや、III族砒化物どうしのAlGaAsとGaAsの組み合わせ)を積層すると、そのヘテロ積層界面に高濃度の電子または正孔を蓄積させることができる。例えば、ウルツ鉱型結晶を有する窒化物半導体の場合、c軸方向のIII族極性面にてGaN層、AlGaN層をこの順に積層すると、界面のGaN層側に高濃度の電子が蓄積される。すなわち図1において、2次元電子層とは、その高濃度の電子が蓄積された電子の層のことである。
こうした構成は、図2に示すHEMT(高電子移動度トランジスタ)21と呼ばれる高速・低抵抗の電子デバイスに適用されている。すなわち、GaN層をチャネル層24、AlGaN層を電子供給層25としたHEMTデバイスでは、その積層界面に生成・蓄積された2次元電子ガスと呼ばれる電子群を可動電荷として利用する形態となっている。
こうした構造では、図1について言えば、電子供給層5であるAlGaNを介していわゆるトンネル効果が作用するために、比較的容易に良好なオーミックコンタクトが得られるほか、積層界面に沿った方向では、電子散乱の少ない低抵抗の導通状態を実現できる。本発明の骨子は、発光デバイスのn型オーミック電極部すなわちn型電極10から発光層6に至るまでの電子輸送経路に、こうした2次元電子ガスを生成しうる電子供給層5を挿入することで、n型電極10におけるコンタクト抵抗を引き下げ、発光層6への電流注入効率を向上させようとするものである。
(実施例1)
サファイア基板32上に、MOCVD法を用いて図3に示すような2次元電子層153を備える紫外線発光ダイオード構造(エピタキシャル構造)31を成長した。なお、ここでの発光層36は、厚さ3nmからなるIn0.1Al0.9N量子井戸層4層を、厚さ8nmのIn0.03Al0.97Nバリア層3層で分割したMQW構造となっている。また、2次元電子供給層35としては、n型クラッド層であるSiドープ(した厚さ2μmの)Al0.65Ga0.35N層34の上に、同じくSiドープした厚さ20nmのIn0.06Al0.94N層35を積層しており、これによってその積層界面に2次元電子ガス層(2次元電子層153)が蓄積される構成としている。なお、容量―電圧測定の結果として、シート電子濃度1×1013/cm程度の高濃度電子層が生成できていることを確認した。
このように作製したエピタキシャルウェハ31に対して、以下の手順で図4に示す紫外線発光ダイオード素子41を作製した。まず、第1の工程として、フォトリソグラフィ技術と反応性イオンエッチング法を用いて、n型電極43を形成する領域のエッチング処理を施した。このとき、エッチングにより除去されなかった領域は1辺500μmの正方形構造となっている。また、エッチングの深さについては、電子供給層35であるIn0.06Al0.94N層が10〜20nmの厚さとなるように調整した。次に、第2の工程として、p型半導体層(p−GaN)39にドープしたアクセプタ元素Mgのイオン化のために、窒素雰囲気中600℃中の熱処理を20分間施した。続いて、第3の工程として、エッチングにより露出させたIn0.06Al0.94N電子供給層35上に、フォトリソグラフィ技術と電子ビーム蒸着法によって下から順にTi/Al/Ni/Au(厚さ15/60/12/60nm)からなる多層金属膜パターン(図示せず)を形成し、その後、窒素雰囲気中600℃の熱処理を2分間施すことでn型電極43を得た。次に、第4の工程として、フォトリソグラフィ技術と電子ビーム蒸着法を用いてp型GaN層39上に下から順にNi/Au(厚さ5/60 nm)からなる2層金属膜パターン(図示せず)を形成した後、酸素雰囲気中600℃の熱処理を5分間施すことによってp型オーミック電極すなわちp型電極42を得た。
このように作製した紫外線発光ダイオード素子41について、直流電流をp型電極42からn型電極43に向けて注入し発光出力特性、発光スペクトル測定を行った。なお、これら発光特性は、紫外線発光ダイオード素子41の基板(サファイヤ基板32)側からの発光を評価することによってなされた。
(実施例2)
サファイア基板52上に、MOCVD法を用いて図5に示すような超格子層50(2次元電子層群155)を備える紫外線発光ダイオード構造(エピタキシャル構造)51を成長した。なお、本実施例における紫外線発光ダイオード構造51は、n型クラッド層であるSiドープAl0.65Ga0.35N層54とSiドープした厚さ20nmのIn0.06Al0.94N層55の間に、同じくSiドープした厚さ1.5nmのIn0.06Al0.94Nと、厚さ5.5nmのIn0.03Al0.97Nの各層を交互に10層ずつ積層した多層膜構造である超格子層50(2次元電子層群155)を挿入したこと以外は、実施例1と同様の構成となっている。このような構成を取ることにより、シート電子濃度2×1013/cmを超える高濃度電子層が生成できていることを容量―電圧測定によって確認した。
このように作製したエピタキシャルウェハ51に対して、実施例1と同様の手順で図6に示す紫外線発光ダイオード素子61を作製した。このように作製した紫外線発光ダイオード素子61について、実施例1と同様に、電流注入による発光出力特性、発光スペクトル測定を行った。なお、これら発光特性は、紫外線発光ダイオード素子61の基板(サファイア基板52)側からの発光を評価することによってなされた。
(実施例3)
シリコン基板上72に、MOCVD法を用いて図7に示すような2次元電子供給層76を、備える紫外線発光ダイオード構造(エピタキシャル構造)71を成長した。なお、本実施例における紫外線発光ダイオード構造は、シリコン基板72上に良好な窒化物結晶を成長させる目的で、厚さ200nmのAlN初期層73からn型AlGaNクラッド層75まで、連続的に組成傾斜させた組成傾斜バッファ層74を採用していることと、クラック発生を防ぐ目的でn−AlGaNクラッド層75を、厚さ0.5μmにとどめたこと以外は、実施例1と同様の構成となっている。なお、容量―電圧測定の結果として、シート電子濃度1×1013/cm程度の高濃度電子層が生成していることを確認した。
このように作製したエピタキシャルウェハ71に対して、以下に記載した点以外は、実施例1と同様の手順で、図8に示す紫外線発光ダイオード素子81を作製した。すなわち、実施例1の第4の工程における電極パターンは、いわゆる櫛型電極形状を模した構造82とした。さらに、その第4の工程の後に櫛型電極パターン(図示せず)を、エッチングマスクとして反応性イオンエッチングを施し、p−GaN層70/p−Al0.3Ga0.7N層79を部分的に除去した。シリコン基板72上に形成した紫外線発光ダイオード素子81の場合、シリコン基板72が紫外線を吸収するために、シリコン基板72側から光を取り出すことができない。一方、紫外線発光ダイオード素子81上部のp−GaN層70/p−Al0.3Ga0.7N層79も紫外線の一部を吸収するが、p型電極82以外を除去し、光取出し窓として活用することで、p型表面側から光を取り出すことが可能となる。
このように作製した紫外線発光ダイオード素子81について、実施例1と同様に、電流注入による発光出力特性、発光スペクトル測定を行った。なお、これら発光特性は、紫外線発光ダイオード素子81の表面側、すなわちp型櫛型電極82の側からの発光を評価することによってなされた。
(実施例4)
サファイア基板92上に、MOCVD法を用いて、図9に示すような2次元電子供給層95を有するエピタキシャル構造91を成長した。この構造は、n型クラッド層であるSiドープAl0.65Ga0.35N層94の上に、同じくSiドープした厚さ20nmのIn0.06Al0.94N層95を積層しており、これによってその積層界面に2次元電子ガス層(2次元電子層159)が蓄積される構成としている。なお、容量―電圧測定の結果として、シート電子濃度1×1013/cm程度の高濃度電子層が生成できていることを確認した。
このように作製したエピタキシャルウェハ91に対して、スパッタ法によるSiO膜形成、フォトリソグラフィ技術とバッファード弗酸を用いたウェットエッチング法を用いて、SiOパターン(図示せず)を形成した。次に、SiOパターンを形成したウェハを再度MOCVD炉にセットし、発光ダイオードにおける発光層96より上部の構造を成長した。このとき、エピタキシャル成長は、SiOで覆われた部分では起こらず、電子供給層であるIn0.06Al0.94N層95が露出した領域のみに選択的に起こる(いわゆる「選択エピタキシャル成長」である)。従って、このような手順を取ることで実施例1〜3に示したような反応性イオンエッチングの工程を経ることなく、発光ダイオード構造を構成することができる。
これ以降は、実施例1記載の第2の工程以降と同様の手順で、図10に示す紫外線発光ダイオード素子101を作製した(選択エピタキシャル成長によって、選択的再成長層104が形成された)。このように作製した紫外線発光ダイオード素子101について、実施例1と同様に、電流注入による発光出力特性、発光スペクトル測定を行った。なお、これら発光特性は、紫外線発光ダイオード素子101の基板(サファイヤ基板92)側からの発光を評価することによってなされた。
実施例1から実施例4に記載のn型クラッド層と電子供給層は、本発明が効果的となる態様として例示したものであるが、電子供給層とクラッド層の間に2次元電子層が生成できる窒化物半導体の組み合わせであればここに示した化学組成の組み合わせに必ずしも限定されるものではない。具体的には、化学組成AlGa1−xN(0.55≦x≦0.75)であらわされるn型クラッド層に対し、電子供給層の化学組成はInz1Aly1Gax1N(x1+y1+z1=1、0≦x1≦0.2、0.8≦y1≦1、0≦z1≦0.1)であらわせる範囲から適宜選ぶことができる。また、実施例2の超格子層については、化学組成AlGa1−xN(0.55≦x≦0.75)であらわされるn型クラッド層に対し、化学組成Inz1Aly1Gax1N(x1+y1+z1=1、0≦x1≦0.2、0.8≦y1≦1、0≦z1≦0.1)であらわせる層と、化学組成Inz2Aly2Gax2N(x2+y2+z2=1、0≦x2≦0.1、0.9≦y2≦1、0≦z2≦0.1)であらわされる層を交互に複数積層することによって形成することができる。
実施例1から4の発光層組成は、本発明が効果的となる態様として例示したものであるが、Inを含有し且つ波長230〜270nmの深紫外線を発光できる窒化物半導体であればここに示した化学組成の組み合わせに必ずしも限定されるものではない。具体的には、化学組成(Aly3Gax3N)xx(Inz3Aly4N)1−xx(y3+x3=1、y4+z3=1、0.53≦y3≦0.8、0.8≦z3≦0.9、0≦xx≦1)から適宜選ぶことができる。
比較例
(比較例1)
サファイア基板上に、MOCVD法を用いて図11に示すような電子供給層を備えない紫外線発光ダイオード構造111を成長した。なお、ここでの発光デバイス構造は、電子供給層としてのIn0.06Al0.94N層35を形成していないこと以外は、実施例1と同様の構成となっていた。
このように作製したエピタキシャルウェハ111に対して、以下に記載した点以外は、実施例1と同様の手順で、図12に示す紫外線発光ダイオード素子121を作製した。すなわち、実施例1の第1の工程にあたる部分では、n型クラッド層であるSiドープAl0.65Ga0.35N層112(34)が露出するまで、エッチング処理を施した。このように作製した紫外線発光ダイオード素子121について、実施例1と同様に、電流注入による発光出力特性、発光スペクトル測定を行った。なお、これら発光特性は、紫外線発光ダイオード素子121の基板(サファイア基板)側からの発光を評価することによってなされた。
(比較例2)
比較例1で作製したエピタキシャルウェハ111を用いて、以下に示す手順で紫外線発光ダイオード素子131を作製した。すなわち、実施例1の第3の工程にあたる部分で、熱処理温度を600℃に替えて850℃としたこと以外は、比較例1と同様の手順で紫外線発光ダイオード素子131の作製を行った。このように作製した紫外線発光ダイオード素子131について、実施例1と同様に、電流注入による発光出力特性、発光スペクトル測定を行った。なお、これら発光特性は、紫外線発光ダイオード素子131の基板(サファイア基板32)側からの発光を評価することによってなされた。
実施例、比較例の記載に沿って作製・評価した紫外線発光ダイオード素子の電気特性・発光特性をまとめた結果を表1に示した。これより、本発明実施例で作製した紫外線発光ダイオード素子が、良好な通電特性と紫外域発光を示していることが明らかであるった。他方、本発明によらない比較例1では25Vまで電圧印可しても計測可能な電流が流れることはなく、結果として電流駆動による紫外線発光が得られなかった。これは、電子供給層を備えていない比較例1による発光ダイオード構造では、温度600℃で十分な導通性を示すn型オーミック電極すなわちn型電極を、形成できなかったためと考えられた。また、n型電極形成のための熱処理温度を850℃とした比較例2では、導電性の改善が得られているものの計測可能な紫外線発光が得られなかった。これは、熱処理温度を高くしたことにより、In成分を含有する窒化物半導体が分解して、形成時の組成・構造を保てなくなったためと考えられた。なお、相対値とは、実施例1の発光出力を1とした場合における実施例2等の発光出力を記載したものである。
以上より、本発明による電子供給層を備えた紫外線発光ダイオード素子は、In含有窒化物の組成分解を生じさせない600℃という比較的低い温度域においても、良好な導電性が得られるため、電流駆動による紫外線発光デバイスの発光効率を向上できることが明らかであった。
1、41、61、81、101、121、131 紫外線発光ダイオード構造
21 HEMT
31、51、71、91、111 紫外線発光ダイオード構造(エピタキシャル構造)
41、61、81、101、121 紫外線発光ダイオード素子
2、22、201 成長用基板
3、23、202 成長用バッファ層
203 n型コンタクト層
4、34、54、75、94、204 n型クラッド層
6、36、56、77、96、205 発光層
7、37、57、78、97、206 p型クラッド層
8、207 p型コンタクト層
24 チャネル層
5、25、35、55、76、95 電子供給層
150、152、153、157、159 2次元電子層
50、155 超格子層(2次元電子層群)
104 選択再成長層
74 傾斜組成
112(34) n型クラッド兼コンタクト層
9、42、62、82、102、122 p型電極
10、43、63、83、103、123 n型電極
26 負電極
27 ゲート電極
28 正電極
32、52 92 サファイア基板
72 シリコン基板
33、53、73、93 AIN初期層
45、65、85、105 AIN電子ブロック層
59、39、99 P−GaN(P型半導体層)
38、58、98 P−Al0.3Ga0.7N:Mg
本発明による紫外線発光ダイオード素子の構成例を示す図である。 電子供給層と2次元電子層を備えた電子デバイス(HEMT)を示す図である。 本発明実施例1におけるエピタキシャル構造を示す図である。 本発明実施例1における紫外線発光ダイオード素子を示す図である。 本発明実施例2におけるエピタキシャル構造を示す図である。 本発明実施例2における紫外線発光ダイオード素子を示す図である。 本発明実施例3におけるエピタキシャル構造を示す図である。 本発明実施例3における紫外線発光ダイオード素子を示す図である。 本発明実施例4におけるエピタキシャル構造を示す図である。 本発明実施例4における紫外線発光ダイオード素子を示す図である。 本発明を説明するために作製した比較例1によるエピタキシャル構造を示す図である。 本発明を説明するために作製した比較例2による紫外線発光ダイオード素子を示す図である。 典型的な紫外線発光ダイオード素子の構成を示す図である。
(従来技術)
13は、発光素子のうち特に紫外線発光ダイオード素子200の一例を示す断面模式図である。図13ではコンタクト層が分離して記載しているが、これらが区別なく一体または連続(n型コンタクト層203、p型コンタクト層207)とクラッド層(n型クラッド層204、p型クラッド層206)して形成されている場合も数多く存在する。図13のような発光デバイスを形成するには、エピタキシャル成長のための基板が必要である。従来、窒化物半導体の成長には、比較的安価な単結晶サファイアや単結晶Siが成長用基板201として用いられてきたが、こうした従来使用されてきた基板上に一般的なMOCVD法を用いて、AlGaN結晶をエピタキシャル成長した場合、結晶内部に多数の貫通転位が発生し発光効率が著しく低下することが知られている。

Claims (7)

  1. 成長用基板と、前記成長用基板の上方に各々ウルツ鉱型結晶構造のIII族窒化物を含むn型クラッド層、電子供給層、発光層及びp型クラッド層をこの順に含んだ半導体積層構造を備えことを特徴とする紫外線発光ダイオード素子。
  2. 前記電子供給層のエネルギーバンドギャップが、前記n型クラッド層のエネルギーバンドギャップよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の紫外線発光ダイオード素子。
  3. 化学組成AlGa1−xN(0.55≦x≦0.75)であらわされる前記n型クラッド層に対し、前記電子供給層の化学組成をInz1Aly1Gax1N(x1+y1+z1=1、0≦x1≦0.2、0.8≦y1≦1、0≦z1≦0.1)であらわせる範囲から選ぶことで、シート電子濃度5×1012/cm以上の電子が、前記n型クラッド層と前記電子供給層によって形成される界面について前記n型クラッド層側の2次元電子層に蓄積されることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線発光ダイオード素子。
  4. 化学組成AlGa1−xN(0.55≦x≦0.75)であらわされる前記n型クラッド層に対し、化学組成Inz1Aly1Gax1N(x1+y1+z1=1、0≦x1≦0.2、0.8≦y1≦1、0≦z1≦0.1)であらわせる層と、化学組成Inz2Aly2Gax2N(x2+y2+z2=1、0≦x2≦0.1、0.9≦y2≦1、0≦z2≦0.1)であらわされる層を交互に複数積層することによって、シート電子濃度1×1013/cm以上の電子を蓄積できる超格子層が、前記電子供給層と前記n型クラッド層の間にさらに挿入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線発光ダイオード素子。
  5. 前記電子供給層が、少なくともInを含有することを特長とする請求項1〜4の何れか1項に記載の紫外線発光ダイオード素子。
  6. 前記電子供給層の厚みが5〜20nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の紫外線発光ダイオード素子。
  7. 前記発光層が化学組成(Aly3Gax3N)xx(Inz3Aly4N)1−xx(y3+x3=1、y4+z3=1、0.53≦y3≦0.8、0.8≦z3≦0.9、0≦xx≦1)であらわされることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の紫外線発光ダイオード素子。










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