図1は本発明による第1実施例の車両の自動運転制御システムのブロック図を示している。図1を参照すると、車両の自動運転制御システムは外部センサ1、GPS受信部2、内部センサ3、地図データベース4、記憶装置5、ナビゲーションシステム6、HMI(Human Machine Interface)7、種々のアクチュエータ8、ドライバ状態センサ9、働き掛け部10、及び電子制御ユニット(ECU,Electronic Computer Unit)20を備える。
外部センサ1は自車両の外部又は周囲の情報を検出するための検出機器である。外部センサ1はライダー(LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)、レーダー(Radar)、及びカメラのうち少なくとも1つを備える。本発明による第1実施例では図2に示されるように、外部センサ1はライダーSO1、レーダーSO2、及びカメラSO3を備える。
ライダーSO1はレーザー光を利用して自車両が走行している道路や外部の障害物を検出する装置である。図2に示される例ではライダーSO1は車両Vの屋根上に設置される。ライダーSO1は、自車両Vの全周囲に向けてレーザー光を順次照射し、その反射光から道路上及び道路周辺の障害物までの距離を計測し、自車両Vの全周囲における道路及び障害物を三次元画像の形で検出する。ライダーSO1により検出された道路及び障害物の三次元画像は電子制御ユニット20へ送信される。一方、レーダーSO2は、電波を利用して自車両Vの外部の障害物を検出する装置である。図2に示される例ではレーダーSO2は車両Vの前後のバンパーに取り付けられる。レーダーSO2は、レーダーSO2から自車両Vの周囲に電波を発射し、その反射波から自車両Vの周囲の障害物までの距離を計測する。レーダーSO2により検出された障害物情報は電子制御ユニット20へ送信される。カメラSO3は図2に示される例では、車両Vのフロントガラスの内側に設けられた前方カメラを備える。前方カメラSO3は自車両Vの前方をカラー撮影し、前方カメラSO3によるカラー撮影情報は電子制御ユニット20へ送信される。なお、上述したようにライダーSO1及びレーダーSO2は自車両Vの周囲の障害物までの距離を計測し、したがってこれらの一方又は両方は測距センサとも称される。
再び図1を参照すると、GPS受信部2は、3個以上のGPS衛星からの信号を受信し、それにより自車両Vの絶対位置(例えば自車両Vの緯度及び経度)を検出する。GPS受信部2により検出された自車両Vの絶対位置情報は電子制御ユニット20へ送信される。
内部センサ3は、自車両Vの走行状態を検出するための検出機器である。自車両Vの走行状態は、自車両の速度、加速度、及び姿勢のうち少なくとも1つにより表される。内部センサ3は、車速センサ及びIMU(Inertial Measurement Unit)の一方又は両方を備える。本発明による第1実施例では内部センサ3は車速センサ及びIMUを備える。車速センサは、自車両Vの速度を検出する。IMUは例えば3軸のジャイロ及び3方向の加速度センサを備え、自車両Vの3次元の角速度及び加速度を検出し、それらに基づいて自車両Vの加速度及び姿勢を検出する。内部センサ3により検出された自車両Vの走行状態情報は電子制御ユニット20へ送信される。
地図データベース4は、地図情報に関するデータベースである。この地図データベース4は例えば車両に搭載されたHDD(Hard disk drive)内に記憶されている。地図情報には、例えば道路の位置情報、道路形状の情報(例えば、カーブと直線部の種別、カーブの曲率、交差点、合流点及び分岐点の位置など)などが含まれる。
記憶装置5には、ライダーSO1により検出された障害物の三次元画像及びライダーSO1の検出結果に基づき作成された自動運転専用の道路地図が記憶されている。これら障害物の三次元画像及び道路地図は常時又は定期的に更新される。
ナビゲーションシステム6は、HMI7を介し自車両Vのドライバによって設定された目的地まで自車両Vを案内する装置である。このナビゲーションシステム6は、GPS受信部2により検出された自車両Vの現在の位置情報と地図データベース4の地図情報とに基づいて、目的地に至るまでの目標ルートを演算する。この自車両Vの目標ルートの情報は電子制御ユニット20へ送信される。
HMI7は、自車両Vの乗員と車両の自動運転制御システムとの間で情報の出力及び入力を行うためのインターフェイスである。本発明による第1実施例ではHMI7は、文字又は画像情報を表示するディスプレイ、音を発生するスピーカ、及び乗員が入力操作を行うための操作ボタン又はタッチパネルを備える。
アクチュエータ8は、電子制御ユニット20からの制御信号に応じて自車両Vの走行操作を制御するための装置である。車両Vの走行操作には車両Vの駆動、制動及び操舵が含まれる。アクチュエータ8は、駆動アクチュエータ、制動アクチュエータ、及び操舵アクチュエータのうちの少なくとも1つを備える。駆動アクチュエータは、車両Vの駆動力を提供するエンジン又は電気モータの出力を制御し、それにより車両Vの駆動操作を制御する。制動アクチュエータは、車両Vの制動装置を操作し、それにより車両Vの制動操作を制御する。操舵アクチュエータは、車両Vの操舵装置を操作し、それにより車両Vの操舵操作を制御する。
HMI7において乗員により自動運転を開始すべき入力操作がなされると、電子制御ユニット20に信号が送られて自動運転が開始される。すなわち、車両Vの走行操作である駆動、制動及び操舵がアクチュエータ8により制御される。一方、HMI7において乗員により自動運転を停止すべき入力操作がなされると、電子制御ユニット20に信号が送られて自動運転が停止され、車両Vの走行操作の少なくとも1つがドライバにより行われるマニュアル運転が開始される。言い換えると、自動運転からマニュアル運転に切り換えられる。なお、自動運転時にドライバにより車両Vの走行操作が行なわれたとき、すなわちドライバがステアリングを操作したとき、アクセルペダルを踏み込んだとき、又は、ブレーキペダルを踏み込んだときにも、自動運転からマニュアル運転に切り換えられる。更に、自動運転中に自動運転が困難と判断されたときには、HMI7を介してドライバに対しマニュアル運転が要求される。
ドライバ状態センサ9はドライバの状態を検出するための検出機器である。ドライバの状態は例えば、ドライバの外観及び内部状態の一方又は両方により表される。ドライバの外観は例えば、ドライバの視線、ドライバの瞼の状態、ドライバの顔の向き、ドライバの姿勢、ドライバがセカンドタスクをしているか否か、ドライバがステアリングを把持しているか否か、ドライバが車両Vの座席に与える圧力(着座圧)の分布、ドライバ用座席の調節量のうちの少なくとも1つにより表される。ドライバの姿勢は、腕組みしているか否か、ドライバの手の位置などによって表わされる。セカンドタスクは、車両Vの走行操作以外の行動、例えば携帯電話の操作などを含む。ドライバ用座席の調節量は、ドライバ用座席の位置、座席の背もたれ部分の角度など、ドライバにより調節可能な状態量によって表わされる。一方、ドライバの内部状態は例えば、ドライバの心拍数、血圧、皮膚電位のうちのような生理的指標により表される。
ドライバの状態がドライバの視線、ドライバの瞼の状態、ドライバの顔の向き、ドライバの姿勢、ドライバがセカンドタスクをしているか否かなどにより表される場合には、ドライバ状態センサは、例えば車両Vの内部に取り付けられたドライバカメラを備える。このドライバカメラはドライバを撮影する。図3に示される例では、ドライバ状態センサ9はドライバDに向かうよう車両Vのインストルメントパネルに取り付けられたドライバカメラSDを備える。ドライバの状態が、ドライバがステアリングを把持しているか否かにより表される場合には、ドライバ状態センサ9は例えば、ステアリングに取り付けられた接触センサを備える。この接触センサは、例えばドライバがステアリングをあらかじめ定められた設定把持力よりも高い把持力でもって把持しているか否かを検出する。ドライバの状態が着座圧の分布により表される場合には、ドライバ状態センサ9は座席に取り付けられた着座圧センサを備える。この着座圧センサは着座圧の分布を検出する。ドライバの状態がドライバ用座席の状態により表される場合には、ドライバ状態センサ9は、座席に取り付けられた座席状態センサを備える。この座席状態センサはドライバ用座席の状態を検出する。ドライバの状態がドライバの内部状態により表わされる場合には、ドライバ状態センサ9は、例えばステアリングに取り付けられた内部状態センサを備える。この内部状態センサは例えばドライバの生理的指標を検出する。ドライバ状態センサ9により検出されたドライバの状態情報は電子制御ユニット20へ送信される。
働き掛け部10はドライバに対する働き掛けを行うことが可能な装置である。ドライバに対する働き掛けは、例えば、視覚的働き掛け、聴覚的働き掛け、及び体感的働き掛けのうちの少なくとも1つを含む。ドライバに対する働き掛けが視覚的働き掛けを含む場合、働き掛け部10は、ドライバが視認可能な表示部を備える。表示部は例えば、文字情報又は画像情報を表示するディスプレイ、ランプなどの少なくとも1つを備える。図3に示される例では、働き掛け部10は車両Vのインストルメントパネルに取り付けられたディスプレイAを備える。なお、本発明による第1実施例では、働き掛け部10及びHMI7は共通のディスプレイを備える。本発明による別の実施例(図示しない)では、働き掛け部10及びHMI7はそれぞれ個別のディスプレイを備える。一方、ドライバに対する働き掛けが聴覚的働き掛けを含む場合、働き掛け部10は例えば、音又は声を発するスピーカを備える。ドライバに対する働き掛けが体感的働き掛けを含む場合、働き掛け部10は例えば、ドライバに振動を与える振動器、ドライバの座席の角度又は位置を変更するドライバ座席調整器などの少なくとも1つを備える。
働き掛け部10はドライバに対する働き掛けの強さを変更することができる。すなわち、働き掛け部10がディスプレイを備える場合には、例えば、ディスプレイに表示される画像等の変化の頻度が上昇されることによりドライバに対する働き掛けが強められ、この頻度が低下されることによりドライバに対する働き掛けが弱められる。あるいは、画像等の変化のインターバルが短縮されることによりドライバに対する働き掛けが強められ、このインターバルが延長されることによりドライバに対する働き掛けが弱められる。働き掛け部10がスピーカを備える場合には、例えば、スピーカから発せられる音の大きさが増大されることによりドライバに対する働き掛けが強められ、この音の大きさが減少されることによりドライバに対する働き掛けが弱められる。あるいは、スピーカから発せられる音の周波数が増大されることによりドライバに対する働き掛けが強められ、この音の周波数が低下されることによりドライバに対する働き掛けが弱められる。働き掛け部10がドライバ座席調整器を備える場合には、例えば、座席の背もたれ部分の向きが垂直に近づけられることによりドライバに対する働き掛けが強められ、座席の背もたれ部分の向きが水平に近づけられることによりドライバに対する働き掛けが弱められる。
電子制御ユニット20は、双方向性バスによって相互に接続されたCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備えたコンピュータである。図1に示されるように、本発明による第1実施例の電子制御ユニット20は、ROM及びRAMを有する記憶部21、自動運転制御部22、信頼度算出部23、用心度算出部24、及び働き掛け制御部25を備える。
自動運転制御部22は、車両の自動運転を制御するように構成されている。図4は本発明による第1実施例の自動運転制御部22のブロック図を示している。図4を参照すると、本発明による第1実施例の自動運転制御部22は、複数の制御部、すなわち自己位置同定部22a、障害物検出部22b、動的/静的識別部22c、トラッキング部22d、統合認知部22e、信号機状態認識部22f、及び、判断/進路生成部22gを備える。次に、図5を参照して自動運転制御部22の機能を説明する。
図5を参照すると、自己位置同定部22aには、自車両Vのおおまかな位置及び姿勢の情報がGPS受信部及びIMUから入力されると共に、自車両Vの周辺の物標点の情報が測距センサから入力される。自己位置同定部22aでは、これらの入力と、記憶装置5内に記憶されている自動運転専用の道路地図とに基づいて、自車両Vの位置及び姿勢が補正される。一例では、測距センサから入力された物標点の位置が、道路地図内の物標点の位置に一致するように、自車両Vの位置及び姿勢が補正される。すなわち、補正済みの自車両Vの位置及び姿勢の情報が自己位置同定部22aから出力される。
一方、障害物検出部22bには、自車両Vの周辺の物標点の情報が測距センサから入力されると共に、補正された自車両Vの位置及び姿勢が自己位置同定部22aから入力される。障害物検出部22bでは、これらの入力と、記憶装置5内の道路地図とに基づいて、自車両Vの周囲の障害物が検出される。一例では、測距センサにより検出された物標点と、道路地図内の物標点との差分に基づいて、障害物が検出される。別の実施例(図示しない)では、測距センサにより検出された物標点の形状があらかじめ記憶されているテンプレートの形状と一致するか否かに基づいて、障害物が検出される。すなわち、自車両Vの周囲の障害物の情報が障害物検出部22bから出力される。
動的/静的識別部22cには、自車両Vの周囲の障害物の情報が障害物検出部22bから入力される。動的/静的識別部22cでは、この入力と、記憶装置5内の道路地図とに基づいて、障害物が動的障害物であるか静的障害物であるかが識別される。動的障害物は他車両、歩行者のように移動可能な障害物であり、静的障害物は建築物のように移動不能な障害物である。すなわち、動的障害物の情報及び静的障害物の情報が動的/静的識別部22cから出力される。
トラッキング部22dには、動的障害物の情報が動的/静的識別部22cから入力される。トラッキング部22dでは、この入力に基づいて、動的障害物の動きが追跡され、平滑化される。すなわち、平滑化済みの動的障害物の動きの情報がトラッキング部22dから出力される。
統合認知部22eには、補正済みの自車両Vの位置及び姿勢の情報が自己位置同定部22aから入力され、静的障害物の情報が動的/静的識別部22cから入力され、平滑化済みの動的障害物の動きの情報がトラッキング部22dから入力される。統合認知部22eでは、これらの入力に基づいて、自車両Vの外部環境の種々の情報が互いに統合された統合車外環境情報が形成される。統合車外環境情報には、例えば、動的障害物の特定情報(例えば、動的障害物が車両であるか歩行者であるか)や、静的障害物の特定情報(例えば、静的障害物が静止している車両であるか、建築物であるか)などが含まれる。すなわち、統合車外環境情報が統合認知部22eから出力される。
信号機状態認識部22fには、前方カラー画像が前方カメラから入力される。信号機状態認識部22fでは、自車両Vの前方の信号機の情報が特定される。信号機の情報には、自車両Vの前方に信号機が存在するか、信号機が青信号であるか、などの情報が含まれる。すなわち、信号機の状態の情報が信号機状態認識部22fから出力される。
判断/進路生成部22gには、補正済みの自車両Vの位置及び姿勢の情報が自己位置同定部22aから入力され、統合車外環境情報が統合認知部22eから入力され、平滑化済みの動的障害物の動きの情報がトラッキング部22dから入力され、信号機の状態の情報が信号機状態認識部22fから入力される。判断/進路生成部22gでは、これらの入力と、記憶装置5内の道路地図と、ナビゲーションシステム6により演算された目標ルートとに基づいて、種々の判断が行われると共に、自車両Vの目標進路の情報が生成される。すなわち、自車両Vの目標進路の情報が判断/進路生成部22gから出力される。
判断/進路生成部22gから出力された目標進路の情報、すなわち自動運転制御部22の出力はアクチュエータ8に入力される。アクチュエータ8では、自車両Vが目標進路に従って走行するように、自車両Vの走行操作が制御される。
再び図1を参照すると、信頼度算出部23は、自動運転制御部22の出力の信頼性の度合いを表す自動運転出力信頼度(reliance)を算出するように構成されている。なお、自動運転出力信頼度は連続的又は段階的に変化する数値の形で算出される。
用心度算出部24は、自動運転に対するドライバの用心の度合いを表すドライバ用心度(vigilance)をドライバ状態センサ9により検出されたドライバの状態に基づいて算出するように構成されている。なお、ドライバ用心度は連続的又は段階的に変化する数値の形で算出される。
働き掛け制御部25は、働き掛け部10を制御してドライバへの働き掛けの強さを制御するように構成されている。
さて、上述したように、自動運転出力信頼度は自動運転制御部22の出力の信頼性の度合いを表している。本発明による第1実施例では、自動運転制御部22の出力は、判断/進路生成部22gの出力、すなわち目標進路の情報であるので、自動運転出力信頼度は目標進路の情報の信頼性の度合いを表している。すなわち、例えば、目標進路の情報が正確であるときには、目標進路の情報が不正確であるときに比べて、自動運転出力信頼度は高い。
図5を参照して説明したように、自動運転制御部22の出力、すなわち判断/進路生成部22gの出力は、上述した複数の制御部22a,22b,22c,22d,22e,22fの出力に基づいて求められる。したがって、自動運転制御部22の出力の信頼性の度合いである自動運転出力信頼度は、制御部22a,22b,22c,22d,22e,22fの出力の信頼性の度合いに依存する。そこで、本発明による第1実施例では、複数の制御部22a,22b,22c,22d,22e,22f,22gのうち少なくとも1つの出力の信頼性の度合いに基づいて自動運転出力信頼度が算出される。
具体的には、例えば、自己位置同定部22aの出力、すなわち自車両Vの位置及び姿勢の情報が正確であるときには、この情報が不正確であるときに比べて、自己位置同定部22aの出力の信頼性の度合いは高く、したがって自動運転出力信頼度は高い。この場合、例えば、信号を受けているGPS衛星の数が多いときは、信号を受けているGPS衛星の数が少ないときに比べて、自己位置同定部22aの出力は正確である。あるいは、信号を受けているGPS衛星が分散して位置しているときには、信号を受けているGPS衛星が集まって位置しているときに比べて、自己位置同定部22aの出力は正確である。あるいは、測距センサから入力された物標点の情報の数が多いときには、当該物標点の情報の数が少ないときに比べて、自己位置同定部22aの出力は正確である。あるいは、測距センサにより検出された物標点の位置と道路地図内の物標点の位置との誤差が小さいときには、当該誤差が大きいときに比べて、自己位置同定部22aの出力は正確である。
あるいは、障害物検出部22bの出力である障害物の情報が正確であるときには、この情報が不正確であるときに比べて、自動運転出力信頼度は高い。この場合、例えば、測距センサにより検出された物標点の位置の数が多いときには、当該位置の数が少ないときに比べて、障害物検出部22bの出力は正確である。あるいは、測距センサにより検出された物標点の位置と、道路地図内の物標点の位置との差の平方の和が小さいときには、当該和が大きいときに比べて、障害物検出部22bの出力は正確である。あるいは、測距センサにより検出された物標点の形状とテンプレートの形状との一致点の数が多いときには、当該一致点の数が少ないときに比べて、障害物検出部22bの出力は正確である。
動的/静的識別部22cの出力である動的障害物の情報もしくは静的障害物の情報が正確であるときには、この情報が不正確であるときに比べて、自動運転出力信頼度は高い。この場合、例えば、道路地図に記憶されている静的障害物であって、自車両Vの位置から検出可能な静的障害物の数に対する、実際に検出された静的障害物の数の割合が高いときには、当該割合が低いときに比べて、動的/静的識別部22cの出力は正確である。あるいは、所定時刻前に検出された動的障害物の形状、体積などと、現在検出された動的障害物の形状、体積などとの一致の程度が高いときには、当該一致の程度が低いときに比べて、動的/静的識別部22cの出力は正確である。
トラッキング部22dの出力である平滑化済みの動的障害物の動きの情報が正確であるときには、この情報が不正確であるときに比べて、自動運転出力信頼度は高い。この場合、例えば、検出された動的障害物の情報に基づき、動的障害物の位置が推定され、動的障害物の実際の位置に対する推定された位置の偏差が小さいときには、当該偏差が大きいときに比べて、トラッキング部22dの出力は正確である。
統合認知部22eの出力である統合車外環境情報が正確であるときには、この情報が不正確であるときに比べて、自動運転出力信頼度は高い。この場合、例えば、自己位置同定部22aの出力、障害物検出部22bの出力、動的/静的識別部22cの出力、及びトラッキング部22dの出力の整合性の程度が高いときには、当該整合性の程度が低いときに比べて、統合認知部22eの出力は正確である。例えば、障害物検出部22bが或る障害物を歩行者であると検出し、動的/静的識別部22cが当該障害物を静的障害物であると検出する場合がある。このような場合に、障害物検出部22bの出力と動的/静的識別部22cの出力との整合性の程度が低いと判断される。なお、当該障害物が人の写真を含むポスターである場合に、このような不整合が生ずるおそれがある。
信号機状態認識部22fの出力である信号機の状態の情報が正確であるときには、この情報が不正確であるときに比べて、自動運転出力信頼度は高い。この場合、例えば、自車両の現在位置と道路地図とに基づき、自車両の現在位置から検出されると予測される信号機の寸法が算出され、当該寸法と前方カメラにより実際に検出された信号機の寸法との偏差が小さいときには、当該偏差が大きいときに比べて、信号機状態認識部22fの出力は正確である。
別の実施例(図示しない)では、例えば、車両が目標進路に従って走行できなかったと仮定したときの車両の危険性が算出され、当該危険性が低下又は維持される場合には、当該危険性が増大する場合に比べて、目標進路の信頼性、すなわち判断/進路生成部22gの出力の信頼度は高い。
更に、図5に示されるように、自動運転制御部22の出力は、測距センサ、GPS受信部、IMU、及び前方カメラの出力に基づいて求められる。したがって、自動運転制御部22の出力の信頼性の度合いは、測距センサ、GPS受信部、IMU、及び前方カメラの出力の信頼性の度合いにも依存する。そこで、本発明による第1実施例では、測距センサ、GPS受信部、IMU、及び前方カメラのうち少なくとも1つの出力の信頼性の度合いに基づいて自動運転出力信頼度が算出される。
更に、自動運転出力信頼度は、車両が走行する道路の形状(例えば、カーブと直線部の種別、カーブの曲率、交差点、合流点及び分岐点の位置など)や、車両の周囲の状況(例えば、車両が交差点内にあるか否か、車両が駅前にあるか否か、など)にも依存する。すなわち、例えば、車両がカーブを走行する場合には、車両が直線部を走行する場合に比べて、自己位置同定部22aの出力が不正確になる可能性が高く、したがって自動運転出力信頼度が低いと推測される。あるいは、駅前には多数の歩行者及び車両が存在していると考えられるので、車両が駅前にある場合には、そうでない場合に比べて、障害物検出部22bの出力が不正確になる可能性が高く、したがって自動運転出力信頼度が低いと推測される。そこで、本発明による第1実施例では、例えば、自動運転出力信頼度が、地図データベース4内の地図情報又は記憶装置5内の道路地図と関連付けて記憶され、自車両が走行する地図上の位置に基づいて自動運転出力信頼度が算出される。
また、本発明による第1実施例では、車両が実際に走行したときに、車両が走行した地図上の位置に、このとき算出された自動運転出力信頼度が関連付けて記憶される。次いで、車両が当該位置を走行したときには、当該位置と関連付けられている自動運転出力信頼度がこのときの自動運転出力信頼度として算出される。
なお、上述したように、自動運転が困難であると判断されたときは、ドライバに対しマニュアル運転が要求される。本発明による第1実施例では、自動運転出力信頼度があらかじめ定められた一定の下限値よりも低いときに自動運転が困難と判断され、ドライバに対しマニュアル運転が要求される。
一方、ドライバ用心度は上述したように、自動運転に対するドライバの用心の度合いを表している。すなわち、ドライバ用心度は、自動運転時にドライバがどの程度マニュアル運転に対する準備ができているかを表している。具体的には、ドライバのマニュアル運転に対する準備が十分であるときには、この準備が不十分なときに比べて、ドライバ用心度は高い。
このドライバ用心度は上述したドライバの状態に基づいて算出される。具体的には、例えば、ドライバの視線が車両Vの前方に向いているときには、ドライバが脇見をしているときに比べて、ドライバ用心度は高い。あるいは、ドライバの視線が車両Vの前方を向いている時間が長くかつドライバがサイドミラー又はバックミラーを見る頻度が高いときには、ドライバの視線が車両Vの前方を向いている時間が短いとき又はドライバがサイドミラー又はバックミラーを見る頻度が低いときに比べて、ドライバ用心度は高い。ドライバの視線が障害物、特に動的障害物に向いている時間が長いときには、この時間が短いときに比べて、ドライバ用心度は高い。ドライバの瞬きの頻度が高いときには、ドライバの瞬きの頻度が低いときに比べて、ドライバ用心度は高い。ドライバが腕組みしていないときには、ドライバが腕組みしているときに比べて、ドライバ用心度は高い。ドライバがセカンドタスクをしていないときには、ドライバがセカンドタスクをしているときに比べて、ドライバ用心度は高い。なお、ドライバ用心度は、ドライバが行っているセカンドタスクの種類又は時間にも依存する。ドライバがステアリングを把持しているときには、ドライバがステアリングを把持していないときに比べて、ドライバ用心度は高い。ドライバの着座圧の分布の偏りが小さいときには、分布の偏りが大きいときに比べて、ドライバ用心度は高い。あるいは、ドライバの着座圧の分布のあらかじめ定められた基準分布に対する偏差が小さいときには、当該偏差が大きいときに比べて、ドライバ用心度は高い。一例では基準分布は一定である。別の例では、基準分布は個々のドライバに応じて設定される。ドライバ用座席の背もたれ部分の向きが垂直に近いときには、背もたれ部分の向きが水平に近いときに比べて、ドライバ用心度は高い。ドライバの心拍数が高いときには、ドライバの心拍数が低いときに比べて、ドライバ用心度は高い。
上述したドライバに対する働き掛けが行なわれると、ドライバ用心度が上昇する。この場合、ドライバ用心度の上昇幅はドライバに対する働き掛けの強さに依存する。すなわち、ドライバに対する働き掛けが強いときには、ドライバ用心度は大幅に上昇する。ドライバに対する働き掛けが弱いときにはドライバ用心度はわずかに上昇し又はほとんど変わらない。一方、ドライバに対する働き掛けが行われないときには、ドライバ用心度を上昇させる行動をドライバが自発的に行なわない限り、ドライバ用心度は時間の経過と共に低下する。したがって、ドライバに対する働き掛けを制御することにより、ドライバ用心度を制御することができる。
さて、本発明による第1実施例では、自動運転出力信頼度及びドライバ用心度により定まる動作点が属しうる領域に、自動運転出力信頼度が低くなるにつれてドライバ用心度が高くなるように延びる少なくとも1本の境界線により複数の領域部分が区画されている。また、複数の領域部分のうちの一部が目標領域部分に設定されている。
図6に示される例では、動作点が属しうる領域に、自動運転出力信頼度が低くなるにつれてドライバ用心度が高くなるようにそれぞれ延びる2本の境界線B1,B2により3つの領域部分R1,R2,R3が区画されている。なお、図6において、縦軸の自動運転出力信頼度は上に向かうにつれて高くなり、横軸のドライバ用心度は左に向かうにつれて高くなる。第1の境界線B1は自動運転出力信頼度がより低くかつドライバ用心度がより低い側にあり、第2の境界線B2は自動運転出力信頼度がより高くかつドライバ用心度がより高い側にある。第1の領域部分R1は第1の境界線B1に関して自動運転出力信頼度がより低くかつドライバ用心度がより低い側にある。第2の領域部分R2は第1の境界線B1と第2の境界線B2との間にある。第3の領域部分R3は第2の境界線B2に関して自動運転出力信頼度がより高くかつドライバ用心度がより高い側にある。
また、3つの領域部分R1,R2,R3のうちの1つ、具体的には第2の領域部分R2が目標領域部分RTに設定されている。図6では目標領域部分RTにドットが付されている。領域部分R1,R2,R3及び目標領域部分RTは図6に示されるマップの形で記憶部21のROM内にあらかじめ記憶されている。なお、図6に示される例では、境界線B1,B2も目標領域部分RTに含まれる。
その上で、本発明による第1実施例では、働き掛け制御部25は、動作点が目標領域部分RT内に維持されるようにドライバに対する働き掛けの強さを制御するように構成されている。
すなわち、図7にP1で示されるように動作点が第1の領域部分R1内に属するときには、動作点が目標領域部分RT内まで移動するようにドライバに対する働き掛けの強さが制御される。具体的には、ドライバに対し比較的強い働き掛けが行なわれ、それによりドライバ用心度が比較的大きく高められ、したがって動作点が目標領域部分RT内まで移動される。この場合、ドライバに対する働き掛けが過度に強いと動作点が第2の領域部分R2内まで移動され、ドライバに対する働き掛けが過度に弱いとドライバ用心度が上昇されたとしても動作点は第1の領域部分R1内に維持される。本発明による第1実施例では、動作点が目標領域部分RT内に移動するようにドライバに対する働き掛けの強さが選択される。なお、働き掛け部10によりドライバに対する働き掛けが行なわれても、自動運転出力信頼度は変化しない。したがって、ドライバに対する働き掛けが行なわれると、自動運転出力信頼度が維持されつつドライバ用心度が変化される。
一方、図7にP2で示されるように動作点が第2の領域部分R2又は目標領域部分RT内に属するときには、動作点が目標領域部分RT内に維持されるようにドライバに対する働き掛けの強さが制御される。具体的には、ドライバに対し比較的弱い働き掛けが行なわれ、それによりドライバ用心度が比較的小さく高められ又は維持され、したがって動作点が目標領域部分RT内に維持される。
図7にP3で示されるように動作点が目標領域部分RT外の第3の領域部分R3内に属するときには、動作点が目標領域部分RT内まで移動するようにドライバに対する働き掛けの強さが制御される。具体的には、動作点が第3領域部分R3内に属するときには、ドライバに対する働き掛けの強さがゼロにされ、すなわちドライバに対する働き掛けが停止される。上述したように、ドライバに対する働き掛けが行われないと、ドライバ用心度は時間の経過と共に低下する。したがって、動作点はその後に目標領域部分RT内まで移動することになる。本発明による別の実施例(図示しない)では、動作点が第3の領域部分R3内に属するときに、動作点が目標領域部分RT内まで移動するようにドライバに対しごく弱い働き掛けが行われる。
このように、本発明による第1実施例では、動作点が目標領域部分RT外の第1の領域部分R1内に又は第3の領域部分R3内に移動したときに、動作点が目標領域部分RT内に戻される。なお、図8に矢印A1で示されるように自動運転出力信頼度が低下する場合や、図8に矢印A2で示されるようにドライバ用心度が低下する場合に、動作点が目標領域部分RTから第1の領域部分R1に移動する。一方、図8に矢印A3で示されるように自動運転出力信頼度が上昇する場合や、図8に矢印A4で示されるようにドライバ用心度が上昇する場合に、動作点が目標領域部分RTから第3の領域部分R3に移動する。無論、自動運転出力信頼度及びドライバ用心度が同時に変化する場合もある。
動作点が第1の領域部分R1内に属するときにはドライバは過度にリラックスしており、動作点が第3の領域部分R3内に属するときにはドライバは過度に緊張していると考えることができる。これに対し、動作点が第2の領域部分R2又は目標領域部分RT内に属するときには、ドライバは適度にリラックス又は緊張していると考えることができる。したがって、本発明による第1実施例では、ドライバが適切な状態にあるように、ドライバに対する働き掛けの強さが制御される、ということになる。
しかも、本発明による第1実施例では、目標領域部分RTは、自動運転出力信頼度が低くなるにつれてドライバ用心度が高くなるように延びる境界線B1,B2により画定され、したがって自動運転出力信頼度が低くなるにつれてドライバ用心度が高くなるように拡がる。このため、動作点が目標領域部分RT内に維持されると、自動運転出力信頼度が高いときにはドライバ用心度が低く制御されることになる。このことは、ドライバが過度に緊張するおそれがないことを意味している。一方、自動運転出力信頼度が低いときにはドライバ用心度が高く制御されることになる。したがって、ドライバが過度にリラックスするおそれがない。このように、自動運転出力信頼度が高いときにも低いときにも、ドライバ用心度が適切に維持される。
このように本発明による第1実施例では、図9に示されるように、動作点が第1の領域部分R1内に属するときにはドライバに対し比較的強い働き掛けが行われ、動作点が目標領域部分RT内に属するときにはドライバに対し比較的弱い働き掛けが行われ、動作点が第3の領域部分R3内に属するときにはドライバに対する働き掛けが行われない。そうすると、働き掛け制御部25は、動作点が属する領域部分に応じて異なるようにドライバに対する働き掛けの強さを制御するように構成されている、ということになる。なお、ドライバに対する働き掛けの強さは例えば図9に示されるマップの形で記憶部21のROM内にあらかじめ記憶されている。
図10は、本発明による第1実施例の働き掛け制御部25で行われる処理を示すルーチンを示している。このルーチンはあらかじめ定められた設定時間ごとに繰り返し実行される。図10を参照すると、ステップ100では自動運転出力信頼度が算出される。続くステップ101ではドライバ用心度が算出される。続くステップ102では、図6のマップを用いて、自動運転出力信頼度及びドライバ用心度により定まる動作点が属する領域部分が決定される。続くステップ103では、図9のマップを用いて、ドライバに対する働き掛けの強さが決定される。続くステップ104では、算出された強さでもってドライバに対する働き掛けが実行される。
図11及び図12は境界線の別の例を示している。図6に示される例では2本の境界線B1,B2は互いに平行に延びる直線である。これに対し、図11に示される例では、境界線B1,B2は互いに非平行に延びている。具体的には、自動運転出力信頼度が高くなりかつドライバ用心度が低くなるにつれて互いに離れるように境界線B1,B2は延びる。別の例(図示しない)では、自動運転出力信頼度が高くなりかつドライバ用心度が低くなるにつれて互いに近づくように境界線B1,B2は延びる。一方、図12に示される例では、境界線B1,B2は曲線である。具体的には、境界線B1,B2は上に凸の曲線である。別の例(図示しない)では境界線B1,B2は下に凸の曲線である。更に別の例(図示しない)では、境界線B1,B2の一部が上に凸の曲線であり、残りが下に凸の曲線である。更に別の例(図示しない)では、境界線B1,B2の一部が直線であり、残りが曲線である。
図13から図16は境界線及び目標領域部分の別の例をそれぞれ示している。図6に示される例では、動作点が属しうる領域に2本の境界線により3つの領域部分が区画される。これに対し、図13に示される例では、動作点が属しうる領域に1本の境界線Bにより2つの領域部分R1,R2が区画される。第1の領域部分R1は境界線Bに関して自動運転出力信頼度がより低くかつドライバ用心度がより低い側にある。第2の領域部分R2は境界線Bに関して自動運転出力信頼度がより高くかつドライバ用心度がより高い側にある。また、図13に示される例では、第2の領域部分R2が目標領域部分RTに設定される。
一方、図14から図16に示される例では、動作点が属しうる領域に3本の境界線B1,B2,B3により4つの領域部分R1,R2,R3,R4が区画される。第1の領域部分R1は第1の境界線B1に関して自動運転出力信頼度がより低くかつドライバ用心度がより低い側にある。第2の領域部分R2は第1の境界線B1と第2の境界線B2との間にある。第3の領域部分R3は第2の境界線B2と第3の境界線B3との間にある。第4の領域部分R4は第3の境界線B3に関して自動運転出力信頼度がより高くかつドライバ用心度がより高い側にある。
図14に示される例では、第3の領域部分R3が目標領域部分RTに設定される。図15に示される例では、第2の領域部分R2が目標領域部分RTに設定される。図16に示される例では、複数の領域部分、すなわち第2の領域部分R2及び第3の領域部分R3が目標領域部分RTに設定される。この点、第1の境界線B1と第3の境界線B3との間にある領域部分R2,R3が目標領域部分RTに設定されると考えることもできる。
したがって、図6及び図14から図16に示される例を包括的に表現すると、動作点が属しうる領域に少なくとも2本の境界線により少なくとも3つの領域部分に分割されており、境界線のうち2本の境界線の間の領域部分が目標領域部分に設定されている、ということになる。
なお、図13に示される例では、例えば、動作点が第1の領域部分R1内に属するときにはドライバに対し比較的強い働き掛けが行なわれ、動作点が第2の領域部分R2内に属するときにはドライバに対し比較的弱い働き掛けが行なわれ、それにより動作点が目標領域部分RT内に維持される。一方、図14から図16に示される例では、例えば、動作点が第1の領域部分R1内に属するときにはドライバに対し比較的強い働き掛けが行われ、動作点が第2の領域部分R2内に属するときにはドライバに対し比較的弱い働き掛けが行われ、動作点が目標領域部分RT内に属するときにはドライバに対しごく弱い働き掛けが行われ、動作点が第4の領域部分R4内に属するときにはドライバに対する働き掛けが行われず、それにより動作点が目標領域部分RT内に維持される。
更に、図14に示される例において、目標領域部分RTよりも自動運転出力信頼度が低くかつドライバ用心度が低い側にある第1の領域部分R1及び第2の領域部分R2に着目すると、第1の領域部分R1は目標領域部分RTに隣接しておらず、目標領域部分RTから比較的遠い。また、第2の領域部分R2は目標領域部分RTに隣接しており、目標領域部分RTから比較的近い。一方、上述したように、動作点が第1の領域部分R1内に属するときにはドライバに対する働き掛けは比較的強く、動作点が第2の領域部分R2内に属するときにはドライバに対する働き掛けは比較的弱い。
一方、図15に示される例において、目標領域部分RTよりも自動運転出力信頼度が高くかつドライバ用心度が高い側にある第3の領域部分R3及び第4の領域部分R4に着目すると、第3の領域部分R3は目標領域部分RTに隣接しており、目標領域部分RTから比較的近い。また、第4の領域部分R4は目標領域部分RTに隣接しておらず、目標領域部分RTから比較的遠い。一方、上述したように、動作点が第3の領域部分R3内に属するときにはドライバに対する働き掛けは比較的強く、動作点が第4の領域部分R4内に属するときにはドライバに対する働き掛けは比較的弱い。
そうすると、図14及び図15に示される例では、目標領域部分RT外に、境界線B1,B3により、目標領域部分RTに近い領域部分R2,R3と目標領域部分から遠い領域部分R1,R4が区画されており、働き掛け制御部25は、動作点が目標領域部分RT外にあるときにおいて、動作点が目標領域部分に近い領域部分R2,R3に属するときと、動作点が目標領域部分から遠い領域部分R1,R4に属するときとで、互いに異なるようにドライバに対する働き掛けの強さを制御するように構成されている、と考えることができる。更に、図14に示される例では、働き掛け制御部25は、動作点が目標領域部分RTよりも自動運転出力信頼度が低くかつドライバ用心度が低い側の領域部分R1,R2内に属するときにおいて、動作点が目標領域部分RTから遠い領域部分R1に属するときには、動作点が目標領域部分RTに近い領域部分R2に属するときに比べて、ドライバに対する働き掛けが強くなるように構成されている、ということになる。図15に示される例では、働き掛け制御部25は、動作点が目標領域部分RTよりも自動運転出力信頼度が高くかつドライバ用心度が高い側の領域部分R3,R4内に属するときにおいて、動作点が目標領域部分RTから遠い領域部分R4に属するときには、動作点が目標領域部分RTに近い領域部分R3に属するときに比べて、ドライバに対する働き掛けが弱くなるように構成されている、ということになる。その結果、いずれの例でも、目標領域部分RT外にある動作点が速やかに目標領域部分RT内に戻される。
なお、上述したように本発明による第1実施例では、自動運転出力信頼度があらかじめ定められた下限値よりも低いときに、ドライバに対しマニュアル運転が要求される。言い換えると、自動運転出力信頼度が下限値よりも高いときには、ドライバが自発的にマニュアル運転を開始しない限り、自動運転が継続される。ところが、自動運転出力信頼度は突然低下するおそれがあり、したがって動作点が突然、目標領域部分RT外の第1の領域部分R1に移動するおそれがある。この場合、ドライバ用心度が過度に低いおそれがあり、ドライバのマニュアル運転に対する準備が十分でないおそれがある。そこで本発明による別の実施例(図示しない)では、自動運転が継続して行われた時間があらかじめ定められた設定時間を越えるごとに、ドライバに対する働き掛けが一時的に強められ、それによりドライバ用心度が一時的に高められる。その結果、自動運転出力信頼度が突然低下したとしても、ドライバはマニュアル運転に対応することができる。この場合のドライバに対する働き掛けとして、例えば、HMI7を介して、ドライバに対しマニュアル運転が要求される。具体的には、車両の駆動、制動及び操舵の全部又は一部の操作がドライバに対し要求される。次いで、マニュアル運転が例えば一定時間だけ行われると、自動運転が再開される。あるいは、ドライバが自動運転を開始すべき入力操作を行うと、自動運転が再開される。
ところで、例えばドライバがサングラスをかけており、又は、ドライバが逆光状態にあると、ドライバ状態センサ9がドライバ状態、たとえばドライバの視線を検出することが困難となり、したがってドライバ用心度を正確に算出することができないおそれがある。ドライバ用心度を正確に算出できないと、動作点を正確に決定できず、動作点が属する領域部分を正確に決定できない。一方、このような状況下であっても、自動運転が継続されるのが好ましい。そこで本発明による別の実施例(図示しない)では、ドライバ用心度を正確に算出できないときには、ドライバに対し強い働き掛けを行いながら、自動運転が継続される。したがって、ドライバ用心度が高く維持された状態のもとで、自動運転が継続される。本発明による別の実施例(図示しない)では、ドライバ用心度を正確に算出できないときには、マニュアル運転が要求される。
ドライバに対する働き掛けの別の例を説明する。動作点が目標領域部分RTから第1の領域部分R1に移動したときに動作点が目標領域部分RT内に戻るようにドライバに対する働き掛けが制御される。この場合、動作点の第1の領域部分R1への移動が自動運転出力信頼度の低下によるときには、この自動運転出力信頼度の低下の原因に応じて異なるように、ドライバに対する働き掛けの種類が制御される。すなわち、例えば、自己位置同定部22aの出力精度低下により自動運転出力信頼度が低下した場合には、ドライバ用座席の背もたれ部分の向きが垂直に近づけられ、それにより、ドライバが直ちにマニュアル運転を開始できるように、ドライバ用心度が高められる。動的障害物の特定精度低下により統合認知部22eの出力精度が低下し、それにより自動運転出力信頼度が低下した場合、又は、トラッキング部22dの出力精度低下により自動運転出力信頼度が低下した場合には、当該動的障害物に向くようにドライバの視線が誘導される。すなわち、例えば当該動的障害物がドライバの右側に位置する場合には、働き掛け部10のうちドライバの右側に位置するランプ等が点灯又は点滅される。動的障害物の数が多すぎるために動的/静的識別部22cの出力精度が低下し、それにより自動運転出力信頼度が低下した場合には、ドライバが直ちにマニュアル運転を開始できるように、例えば視覚的働き掛け又は視覚的働き掛け及び聴覚的働き掛けが行われる。ドライバの視線を誘導するだけでは不十分だからである。障害物検出部22bの出力精度低下により自動運転出力信頼度が低下した場合には、直ちにドライバに対しマニュアル運転が要求される。障害物検出部22bの出力の精度低下は外部センサ1などの故障による可能性が高く、自動運転を継続するのは困難であると考えられるからである。
次に、本発明による第2実施例を説明する。以下では、本発明による第1実施例との相違点について説明する。
図17は本発明による第2実施例の車両の自動運転制御システムのブロック図を示している。図17を参照すると、電子制御ユニット20は、目標用心度算出部30及び用心度偏差算出部31を更に備える。
目標用心度算出部30は、ドライバ用心度の下限目標値である下限目標用心度を自動運転出力信頼度に基づいて算出するように構成されている。この下限目標用心度は図18に示されるように、自動運転出力信頼度が高くなるにつれて低くなる。下限目標用心度は図18に示されるマップの形で記憶部21のROM内にあらかじめ記憶されている。
再び図17を参照すると、用心度偏差算出部31は、下限目標用心度に対するドライバ用心度の偏差である用心度偏差を算出するように構成されている。本発明による第2実施例では、用心度偏差は差の形で表される(ドライバ用心度−下限目標用心度)。本発明による別の実施例(図示しない)では用心度偏差は比の形で表される(用心度偏差=ドライバ用心度/下限目標用心度)。
その上で、本発明による第2実施例では、働き掛け制御部25は、ドライバ用心度が下限目標用心度以上に維持されるようにかつ用心度偏差に応じて異なるようにドライバに対する働き掛けの強さを制御するように構成されている。このことを、図19を参照して説明する。
図19において、PXは自動運転出力信頼度がDRXでありドライバ用心度がDVXである場合の動作点を示している、また、LVLは、自動運転出力信頼度に応じて定まる下限目標用心度を結んで得られる線を示している。図19に示されるように、自動運転出力信頼度がDRXのときの下限目標用心度はDVLである。したがって、本発明による第2実施例では、ドライバ用心度がDVL以上となるように、ドライバに対する働き掛けの強さが制御される。
その結果、自動運転出力信頼度が高いときにはドライバ用心度が低く制御され、自動運転出力信頼度が低いときにはドライバ用心度が高く制御されることになる。したがって、自動運転出力信頼度が高いときにも低いときにも、ドライバ用心度が適切に維持される。
また、このときの用心度偏差は(DVX−DVL)となる。本発明による第2実施例では、この用心度偏差に応じて異なるように、ドライバに対する働き掛けの強さが制御される。具体的には、用心度偏差が小さいときには、用心度偏差が大きいときに比べて、強くなるようにドライバに対する働き掛けが制御される。
すなわち、本発明による第2実施例では、図20に示されるように、用心度偏差が小さくなるにつれて強くなるようにドライバに対する働き掛けが制御される。ドライバに対する働き掛けの強さは図20に示されるマップの形で記憶部21のROM内にあらかじめ記憶されている。これに対し、本発明による別の実施例では、図21に示されるように、用心度偏差が正値及びゼロのときにはドライバに対する働き掛けがゼロに制御され、すなわちドライバに対する働き掛けが停止され、用心度偏差が負値のときには用心度偏差が小さくなるにつれて強くなるようにドライバに対する働き掛けが制御される。なお、用心度偏差が負値であるのはドライバ用心度が下限目標用心度よりも低いときであり、用心度偏差が正値であるのはドライバ用心度が下限目標用心度よりも高いときである。
その結果、ドライバ用心度が下限目標用心度よりも低いときにはドライバ用心度が速やかに下限目標用心度以上に制御され、ドライバ用心度が下限目標用心度以上のときにはドライバ用心度が下限目標用心度以上に確実に維持される。
図22は、本発明による第2実施例の働き掛け制御部25で行われる処理を示すルーチンを示している。このルーチンはあらかじめ定められた設定時間ごとに繰り返し実行される。図22を参照すると、ステップ200では自動運転出力信頼度が算出される。続くステップ201ではドライバ用心度が算出される。続くステップ202では、例えば図18のマップを用いて下限目標用心度が算出される。続くステップ203では、用心度偏差が算出される。続くステップ204では、図20のマップを用いてドライバに対する働き掛けの強さが決定される。続くステップ205では、算出された強さでもってドライバに対する働き掛けが実行される。
なお、図6に示される例では、ドライバ用心度が、境界線B1により表されるドライバ用心度以上に維持され、かつ、境界線B2により表されるドライバ用心度以下に維持されるように、ドライバに対する働き掛けの強さが制御される、と考えることができる。そうすると、境界線B1はドライバ用心度の下限目標である下限目標用心度に、境界線B2はドライバ用心度の上限目標である上限目標用心度に、それぞれ対応する。そこで、本発明による別の実施例(図示しない)では、目標用心度算出部30は、ドライバ用心度の上限目標である上限目標用心度を自動運転出力信頼度に基づいて算出するように構成されており、上限目標用心度は自動運転出力信頼度が低くなるにつれて高くなり、働き掛け制御部25は、ドライバ用心度が下限目標用心度以上かつ上限目標用心度以下に維持されるように、かつ、用心度偏差に応じて異なるように、ドライバに対する働き掛けの強さを制御するように構成されている。
ところで、自動運転を継続して行うことが可能な時間を自動運転継続可能時間と称すると、自動運転継続可能時間が長いときには、自動運転継続可能時間が短いときに比べて、自動運転出力信頼度は高い。一方、ドライバがマニュアル運転を開始するのに必要な時間を運転切換必要時間と称すると、運転切換必要時間が短いときには、運転切換必要時間が長いときに比べて、ドライバ用心度は高い。ここで、自動運転からマニュアル運転へのスムーズな切り換えのことを考えると、運転切換必要時間は自動運転継続可能時間以下であるのが好ましい。そこで、運転切換必要時間が下限目標用心度に対応すると考えると、ドライバ用心度を下限目標用心度以上に維持するということは、運転切換必要時間を自動運転継続可能時間以下に維持するということに対応する。すなわち、本発明による第2実施例では、運転切換必要時間が自動運転継続可能時間以下に維持されるようにドライバに対する働き掛けの強さが制御される、ということになる。
次に、本発明による第3実施例を説明する。以下では、本発明による第2実施例との相違点について説明する。
図23は本発明による第3実施例の車両の自動運転制御システムのブロック図を示している。図23を参照すると、車両の自動運転制御システムは、ドライバが視認可能な表示部40を更に備える。表示部40は例えば、画像情報を表示するディスプレイを備える。本発明による第3実施例では、表示部40及びHMI7は共通のディスプレイを備える。本発明による別の実施例(図示しない)では表示部40及びHMI7はそれぞれ個別のディスプレイを備える。
一方、電子制御ユニット20は、表示部40を制御して表示部40に自動運転出力信頼度及びドライバ用心度を同時に表示するように構成されている表示制御部50を更に備える。
図24は、表示部40における表示の一例を示している。図24において41rで示されるように、自動運転出力信頼度は、自動運転出力信頼度が高くなるにつれて第1の軸線42aに沿いつつ第1の端部43aから第2の端部43bに向かうように表示部40に表示される。具体的には、自動運転出力信頼度は、第1の端部43aと第2の端部43bとの間に第1の軸線42aに沿って配置された複数のブロック44rにより表示される。これらブロック44rは例えば点灯された状態又は消灯された状態で表示される。自動運転出力信頼度が高くなるにつれて、第1の端部43aの側から順に、点灯表示されるブロック44rの数が増大される。図24に示される例では、点灯表示されたブロック44rはハッチングと共に描かれており、消灯表示されているブロック44rは破線でもって描かれている。したがって、図24に示される例では表示部40は、自動運転出力信頼度が7段階のうち4段階にあることを示している。
一方、図24において41vで示されるように、ドライバ用心度が高くなるにつれて第1の軸線42aに沿いつつ第2の端部43bから第1の端部43aに向かうようにドライバ用心度が表示部40に表示される。具体的には、ドライバ用心度は、第1の端部43aと第2の端部43bとの間に第1の軸線42aに沿って配置された複数のブロック44vにより表示される。これらブロック44vは例えば点灯された状態又は消灯された状態で表示される。ドライバ用心度が高くなるにつれて、第2の端部43bの側から順に、点灯表示されるブロック44vの数が増大される。なお、図24に示される例では、点灯表示されたブロック44vはハッチングと共に描かれており、消灯表示されているブロック44vは破線でもって描かれている。したがって、図24に示される例では表示部40は、ドライバ用心度が7段階のうち4段階にあることを示している。
更に、ドライバ用心度が下限目標用心度に等しいときに、表示された自動運転出力信頼度41rと表示されたドライバ用心度41vとが第1の軸線42aに垂直な第2の軸線42b方向に見て互いに一致するように、自動運転出力信頼度及びドライバ用心度が表示部40に表示される。図24に示される例では、表示された自動運転出力信頼度と表示されたドライバ用心度とが第2の軸線42b方向に見て互いに一致している。このようにしているのは次の理由による。
図25は、ドライバ用心度が図24に示される場合よりも低い場合を示している。したがって、図25は、ドライバ用心度が下限目標用心度よりも低い場合を示している。この場合、図25にXで示されるように、第2の軸線42b方向に見て、表示された自動運転出力信頼度41rと表示されたドライバ用心度41vとは互いに重なっていない。
これに対し、図26は、ドライバ用心度が図24に示される場合よりも高い場合を示している。したがって、図26は、ドライバ用心度が下限目標用心度よりも高い場合を示している。この場合、図26にYで示されるように、第2の軸線42b方向に見て、表示された自動運転出力信頼度41rと表示されたドライバ用心度41vとは互いに重なっている。
すなわち、ドライバ用心度が下限目標用心度以上であるときには、表示された自動運転出力信頼度41rと表示されたドライバ用心度41vとが互いに重なり、ドライバ用心度が下限目標用心度よりも低いときには、表示された自動運転出力信頼度41rと表示されたドライバ用心度41vとは互いに重ならない。したがって、本発明による第3実施例のように自動運転出力信頼度及びドライバ用心度を並べて表示すると、ドライバ用心度が下限目標用心度以上であるか否かを、ドライバが容易に理解することができる。このため、表示された自動運転出力信頼度41rと表示されたドライバ用心度41vとが互いに重なっていないときに、これらが互いに重なるように、ドライバがドライバ用心度を高めることが可能となる。
なお、図27は自動運転出力信頼度が図24に示される場合よりも低い場合を示している。この場合、下限目標用心度は高いので、ドライバ用心度は高い必要がある。一方、図28は自動運転出力信頼度が図24に示される場合よりも高い場合を示している。この場合、下限目標用心度は低いので、ドライバ用心度は低くて構わない。
上述したように表示部40の表示内容によってドライバ用心度が高められる。この意味で、本発明による第3実施例の表示部40は本発明による第1実施例及び第2実施例の働き掛け部10としても機能し、本発明による第3実施例の表示制御部50は本発明による第1実施例及び第2実施例の働き掛け制御部25としても機能する。
図29は、本発明による第3実施例の表示制御部50で行われる処理を示すルーチンを示している。このルーチンはあらかじめ定められた設定時間ごとに繰り返し実行される。図29を参照すると、ステップ300では自動運転出力信頼度が算出される。続くステップ301ではドライバ用心度が算出される。続くステップ302では、例えば図18のマップを用いて下限目標用心度が算出される。続くステップ303では、表示部40に自動運転出力信頼度及びドライバ用心度が表示される。
図30は、表示部40における表示の別の例を示している。図30において41rで示されるように、自動運転出力信頼度は、自動運転出力信頼度が高くなるにつれて第1の軸線42aに沿いつつ第1の端部43aから第2の端部43bに連続的に向かうバーにより表示される。この場合、自動運転出力信頼度が高くなるにつれて、バーの長さが長くなるようにバーが表示される。
一方、図30において41vで示されるように、ドライバ用心度は、ドライバ用心度が高くなるにつれて第1の軸線42aに沿いつつ第2の端部43bから第1の端部43aに向かう線分により表示される。この場合、ドライバ用心度が高くなるにつれて第2の端部43bから離れるように線分が表示される。
更に、ドライバ用心度が下限目標用心度に等しいときに、表示された自動運転出力信頼度41rと表示されたドライバ用心度41vとが第1の軸線42aに垂直な第2の軸線42b方向に見て互いに一致するように、自動運転出力信頼度及びドライバ用心度が表示部40に表示される。したがって、ドライバ用心度が下限目標用心度以上であるときには、表示された自動運転出力信頼度41rと表示されたドライバ用心度41vとが互いに重なり、ドライバ用心度が下限目標用心度よりも低いときには、表示された自動運転出力信頼度41rと表示されたドライバ用心度41vとは互いに重ならない。図30に示される例では、表示された自動運転出力信頼度41rと表示されたドライバ用心度41vとが互いに重なっており、ドライバ用心度が下限目標用心度以上であることが示されている。
図31は、表示部40における表示更に別の例を示している。図31に示される例では、41rで示されるように、自動運転出力信頼度の時間履歴が折れ線グラフの形で表示され、41vで示されるように自動運転出力信頼度の時間履歴が折れ線グラフの形で表示される。
図32は、表示部40における表示更に別の例を示している。図32に示される例では、41dで示されるように、上述した用心度偏差が表示される。この場合、用心度偏差は、用心度偏差が大きくなるにつれて第1の軸線42aに沿いつつ第1の端部43aから第2の端部43bに向かうように表示部40に表示される。図32に示される例では、用心度偏差がゼロ以上のときに、用心度偏差が大きくなるにつれて、第1の端部43aの側から順に、点灯表示されるブロック44dの数が増大される。言い換えると、用心度偏差がゼロよりも小さいとき、すなわちドライバ用心度が下限目標用心度よりも低いときには、すべてのブロック44dが消灯表示される。その結果、ドライバ用心度が下限目標用心度以上であるか否かを、ドライバが容易に理解することができる。
本開示は以下を含む。
[構成1]
ドライバの状態を検出するドライバ状態センサと、前記ドライバに対する働き掛けを行うことが可能な働き掛け部と、電子制御ユニットと、を備えた、マニュアル運転と自動運転とを切り換え可能な車両の自動運転制御システムであって、
前記電子制御ユニットは、
自動運転を制御するように構成されている自動運転制御部と、
前記自動運転制御部の出力の信頼性の度合いを表す自動運転出力信頼度を算出するように構成されている信頼度算出部と、
前記自動運転に対するドライバの用心の度合いを表すドライバ用心度を前記ドライバ状態センサにより検出されたドライバの状態に基づいて算出するように構成されている用心度算出部と、
前記働き掛け部を制御して前記ドライバへの働き掛けの強さを制御するように構成されている働き掛け制御部と、
を備え、
前記自動運転出力信頼度及び前記ドライバ用心度により定まる動作点が属しうる領域に、前記自動運転出力信頼度が低くなるにつれて前記ドライバ用心度が高くなるように延びる少なくとも1本の境界線により複数の領域部分が区画されており、
前記働き掛け制御部は、前記動作点が属する領域部分に応じて異なるように前記ドライバに対する働き掛けの強さを制御するように構成されている、
車両の自動運転制御システム。
[構成2]
前記複数の領域部分のうちの一部が目標領域部分に設定されており、
前記働き掛け制御部は、前記動作点が前記目標領域部分内に維持されるように前記ドライバに対する働き掛けの強さを制御するように構成されている、
構成1に記載の車両の自動運転制御システム。
[構成3]
前記動作点が属しうる領域に少なくとも2本の前記境界線により少なくとも3つの領域部分が区画されており、
前記境界線のうち2本の境界線の間の領域部分が前記目標領域部分に設定されている、
構成2に記載の車両の自動運転制御システム。
[構成4]
前記目標領域部分外の前記領域に、前記境界線により、前記目標領域部分に近い前記領域部分と前記目標領域部分から遠い前記領域部分とが区画されており、
前記働き掛け制御部は、前記動作点が前記目標領域部分外にあるときにおいて、前記動作点が前記目標領域部分に近い前記領域部分に属するときと、前記動作点が前記目標領域部分から遠い前記領域部分に属するときとで、互いに異なるように前記ドライバに対する働き掛けの強さを制御するように構成されている、
構成2又は3に記載の車両の自動運転制御システム。
[構成5]
ドライバの状態を検出するドライバ状態センサと、前記ドライバに対する働き掛けを行うことが可能な働き掛け部と、電子制御ユニットと、を備えた、マニュアル運転と自動運転とを切り換え可能な車両の自動運転制御システムであって、
前記電子制御ユニットは、
自動運転を制御するように構成されている自動運転制御部と、
前記自動運転制御部の出力の信頼性の度合いを表す自動運転出力信頼度を算出するように構成されている信頼度算出部と、
前記自動運転に対するドライバの用心の度合いを表すドライバ用心度を前記ドライバ状態センサにより検出されたドライバの状態に基づいて算出するように構成されている用心度算出部と、
前記ドライバ用心度の下限目標値である下限目標用心度を前記自動運転出力信頼度に基づいて算出するように構成されている目標用心度算出部であって、前記下限目標用心度は前記自動運転出力信頼度が低くなるにつれて高くなる、目標用心度算出部と、
前記下限目標用心度に対する前記ドライバ用心度の偏差である用心度偏差を算出するように構成されている用心度偏差算出部と、
前記働き掛け部を制御して前記ドライバへの働き掛けの強さを制御するように構成されている働き掛け制御部と、
を備え、
前記働き掛け制御部は、前記ドライバ用心度が前記下限目標用心度以上に維持されるようにかつ前記用心度偏差に応じて異なるように前記ドライバに対する働き掛けの強さを制御するように構成されている、
車両の自動運転制御システム。
[構成6]
前記働き掛け制御部は、前記用心度偏差が小さいときには、前記用心度偏差が大きいときに比べて、強くなるように前記ドライバに対する働き掛けの強さを制御するように構成されている、
構成5に記載の車両の自動運転制御システム。
[構成7]
ドライバの状態を検出するドライバ状態センサと、前記ドライバが視認可能な表示部と、電子制御ユニットと、を備えた、マニュアル運転と自動運転とを切り換え可能な車両の自動運転制御システムであって、
前記電子制御ユニットは、
自動運転を制御するように構成されている自動運転制御部と、
前記自動運転制御部の出力の信頼性の度合いを表す自動運転出力信頼度を算出するように構成されている信頼度算出部と、
前記自動運転に対するドライバの用心の度合いを表すドライバ用心度を前記ドライバ状態センサにより検出されたドライバの状態に基づいて算出するように構成されている用心度算出部と、
前記表示部を制御して前記表示部に前記自動運転出力信頼度及び前記ドライバ用心度を同時に表示するように構成されている表示制御部と、
を備える、車両の自動運転制御システム。
[構成8]
前記電子制御ユニットは、前記ドライバ用心度の下限目標である下限目標用心度を前記自動運転出力信頼度に基づいて算出するように構成されている目標用心度算出部であって、前記下限目標用心度は前記自動運転出力信頼度が低くなるにつれて高くなる、目標用心度算出部を更に備え、
前記表示制御部は前記表示部に、前記自動運転出力信頼度が高くなるにつれて第1の軸線に沿いつつ第1の端部から第2の端部に向かうように前記自動運転出力信頼度を表示し、前記ドライバ用心度が高くなるにつれて前記第1の軸線に沿いつつ前記第2の端部から前記第1の端部に向かうように前記ドライバ用心度を表示し、更に、前記ドライバ用心度が前記下限目標用心度に等しいときに、表示された前記自動運転出力信頼度と表示された前記ドライバ用心度とが前記第1の軸線に垂直な第2の軸線方向に見て互いに一致するように、前記自動運転出力信頼度及び前記ドライバ用心度を表示するように構成されている、
構成7に記載の車両の自動運転制御システム。