JP2019019239A - 保護フィルム用粘着剤組成物及び保護フィルム - Google Patents

保護フィルム用粘着剤組成物及び保護フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】表面に凹凸を有する部材に対する追従性及び剥離性に優れる保護フィルム用粘着剤組成物並びに保護フィルムを提供する。
【解決手段】保護フィルム用粘着剤組成物は、少なくともカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系樹脂(A)と、金属キレート系架橋剤(B)と、を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、保護フィルム用粘着剤組成物及び保護フィルムに関する。
各種光学部材用の保護フィルムは、液晶型表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)型表示装置等に用いられる光学部材を保護するために、広く用いられている。保護フィルムは、光学部材の外観検査の作業性を保つために、保護フィルムと光学部材との間に、空気の巻き込みがないことが求められる。
近年、表面に凹凸構造を有する光学部材として、例えば、アンチグレア(反射防止)性を高めた偏光板(以下、「AG偏光板」とも称する場合がある。)が、表示装置に使用されている。
表面に凹凸を有する光学部材への貼り合わせを高めた光学部材保護フィルム用粘着剤組成物として、例えば、モスアイ型の反射防止フィルムなどの微細凹凸を有する光学フィルムに使用される保護フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、アンチグレア処理された偏光板に対する密着力を改善した表面保護フィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
アンチグレア層など微細凹凸を有する層を設けた偏光板用の粘着剤組成物が開示されている(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。
特開2011−88356号公報 特開2011−168751号公報 特開2009−275128号公報 国際公開第2012/133343号
一般に、粘着剤組成物を柔らかくすると、表面に凹凸を有する部材に対する追従性の改善が可能である。しかしながら、粘着剤組成物を柔らかくすると粘着力が過大となり、被着体からの剥離力が高くなりすぎる傾向がある。そのため、作業性の低下、被着体表面に粘着剤が残る等の不具合が生じ易くなる。
また、発明者らが検討したところ、特許文献1〜特許文献4では、光学フィルム用保護フィルムの粘着剤層の形成にアクリル系粘着剤及びイソシアネート系架橋剤を用いているため、粘着力が過大となりやすく、剥離時に被着体表面に粘着剤が残る可能性がある。
そのため、特に、AG偏光板に代表される表面に凹凸を有する光学部材を保護する光学フィルムにおける、追従性と、剥離力、すなわち保護フィルムの用途に適した粘着力と、の両立が困難であった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、表面に凹凸を有する部材に対する追従性及び剥離性に優れる保護フィルム用粘着剤組成物並びに保護フィルムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 少なくともカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系樹脂(A)と、
金属キレート系架橋剤(B)と、
を含む、保護フィルム用粘着剤組成物。
<2> 前記(メタ)アクリル系樹脂(A)の酸価が9mgKOH/g〜80mgKOH/gである、<1>に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
<3> 前記(メタ)アクリル系樹脂(A)は水酸基を含まない、<1>又は<2>に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
<4> 光学部材に用いられる、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
<5> 前記光学部材の表面の算術平均粗さRaが0.1μm〜3μmである<4>に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
<6> 前記光学部材は、表面に凹凸を有し、前記凹凸の高低差が1μm〜20μmである、<5>に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
<7> 前記凹凸は、少なくとも凸部のアスペクト比が0.5〜2である、<6>に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
<8> 前記光学部材は、アンチグレア処理された偏光板である、<4>〜<7>のいずれか1つに記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
<9> <1>〜<8>のいずれか1つに記載の保護フィルム用粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層と、基材と、を有する保護フィルム。
本発明によれば、表面に凹凸を有する部材に対する追従性及び剥離性に優れる保護フィルム用粘着剤組成物並びに保護フィルムを提供することができる。
本発明に係る保護フィルムの被着体の一実施形態である、アンチグレア処理された偏光板(AG偏光板)の表面をレーザー顕微鏡で観察した写真である。 本発明に係る保護フィルムの被着体の一実施形態である、ポリエチレン板の表面をレーザー顕微鏡で観察した写真である。 AG偏光板から剥離した後の本発明に係る保護フィルムの粘着剤層表面を、レーザー顕微鏡で観察した写真である。
以下、本発明の粘着剤組成物について詳細に説明する。
なお、本発明において、数値範囲における「〜」は、「〜」の前後の数値を含むことを意味する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、(メタ)アクリル系樹脂又は(メタ)アクリル系オリゴマーとは、これを構成する単量体のうち少なくとも主成分である単量体が(メタ)アクリロイル基を有する単量体が重合して形成された樹脂又はオリゴマーを意味する。
(メタ)アクリル系樹脂又は (メタ)アクリル系オリゴマーにおける主成分とは、樹脂又はオリゴマーを形成する単量体成分の中で最も含有率(質量%)が多いことを意味する。例えば、(メタ)アクリル系樹脂の場合、主成分となる(メタ)アクリロイル基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が全構成単位の50質量%以上であることをいう。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の少なくとも一方を意味する。
≪保護フィルム用粘着剤組成物≫
本発明の保護フィルム用粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」ともいう。)は、少なくともカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系樹脂(A)と、金属キレート系架橋剤(B)と、を含む。
粘着剤組成物が上記構成を有していることで、表面に凹凸を有する部材に対する追従性及び剥離性に優れる粘着剤層を形成することが可能である。これは以下のように考えることができる。
通常、イソシアネート系架橋剤を含む保護フィルム用粘着剤組成物は、架橋後のゲル分率は98%以上である。
イソシアネート系架橋剤を含む従来の粘着剤組成物では、NCO(イソシアネート)基と反応性を有する樹脂中の官能基と、架橋剤中のNCO基とが、共有結合して架橋構造を形成する。
このような保護フィルム用粘着剤組成物より形成された粘着剤層は、凹凸形状を有する部材の表面の凹凸に追従できず、その結果、保護フィルムと部材との間に空気が巻き込まれやすく、視認性、すなわち部材の外観検査の作業性に劣る場合がある。
一方、本発明の粘着剤組成物は、少なくともカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系樹脂(A)と、金属キレート系架橋剤(B)と、を含むため、(メタ)アクリル系樹脂(A)中に含まれるカルボキシ基と、金属キレート系架橋剤(B)中に含まれる金属原子と、が配位して架橋構造を形成すると推察される。このように、少なくともカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系樹脂(A)と金属キレート系架橋剤(B)とを含む本発明の粘着剤組成物と、イソシアネート系架橋剤を含む保護フィルム用粘着剤組成物と、では架橋形態が異なり、本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層は、共有結合により形成された架橋構造と比べて強固になりすぎない傾向があり、粘着剤組成物の架橋後のゲル分率を80%〜90%程度に抑制することができる。それゆえ、本発明の粘着剤組成物から形成された粘着剤層は硬くなり過ぎず、例えば、AG偏光板に代表される表面に凹凸を有する部材に対する追従性(以下、「段差追従性」とも称する場合がある。)に優れる。
さらに、本発明の粘着剤組成物は、イソシアネート系架橋剤を含む保護フィルム用粘着剤組成物のゲル分率に比べて低いにも関わらず粘着力が過大にならず、保護フィルムの用途に適した粘着力を保ちつつ、粘着剤残り(以下、「糊残り」と称する場合がある。)も起こり難く、剥離性が得られる。
以上より、本発明の粘着剤組成物は、段差追従性及び剥離性に優れる粘着剤層の形成に適している。
以下、本発明の粘着剤組成物に用いられる各成分の詳細について説明する。
<(メタ)アクリル系樹脂(A)>
粘着剤組成物は、少なくともカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系樹脂(A)(以下、「特定(メタ)アクリル系樹脂」ともいう。)を有する。特定(メタ)アクリル系樹脂中のカルボキシ基と、後述する金属キレート系架橋剤(B)と、が反応して、架橋構造を適度に形成するため硬くなりすぎず、粘着剤組成物より形成された粘着剤層は、優れた段差追従性を発揮することが可能となる。
特定(メタ)アクリル系樹脂は、少なくとも、カルボキシ基と、(メタ)アクリロイル基由来の構造と、を有する。特定(メタ)アクリル系樹脂は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系単量体を単独重合して形成された樹脂であってもよく、カルボキシ基を有しない(メタ)アクリル系単量体と、カルボキシ基を有する単量体と、を付加重合反応させて形成された樹脂であってもよい。
カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位は、1種又は2種以上を含んでいてもよい。
カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位としては、特に制限はなく、例えば、カルボキシ基を有するビニル単量体に由来する構成単位が挙げられる。これらの中でも、カルボキシ基を有するビニル単量体に由来する構成単位としては、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸に由来する構成単位が好ましい。
カルボキシ基を有するビニル単量体に由来する構成単位としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸等に由来する構成単位が挙げられる。
カルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位としては、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フマル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2−ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマーに由来する構成単位及び下記一般式(1)で表される構成単位等が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系樹脂が、一般式(1)で表される構成単位を有する場合、カルボキシ基がLを介して結合していることにより、粘着力を低く抑えることが可能となる。

上記一般式(1)で表される構成単位において、Lはアルキレン基、アリーレン基、カルボニル基及び酸素原子よりなる群より選ばれる少なくとも1種から構成される2価の連結基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す。但し、Lが酸素原子を含む場合には、酸素原子は、アルキレン基、アリーレン基及びカルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種と結合した基が形成され、−COO−及び−CO−と結合する。
Lにおけるアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。Lにおけるアルキレン基が直鎖状又は分岐鎖状の場合、アルキレン基の炭素数は、1〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜6であることが更に好ましい。
また、Lにおけるアルキレン基が環状の場合、例えば、アルキレン基の炭素数が3〜5の環状基となっていてもよい。
Lにおけるアリーレン基は、炭素数が6〜10であることが好ましく、フェニレン基であることがより好ましい。アリーレン基における結合位置は特に制限されない。例えばアリーレン基がフェニレン基の場合、結合位置は1位と4位、1位と2位、及び1位と3位のいずれであってもよく、1位と2位であることが好ましい。
Lにおけるアルキレン基及びアリーレン基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、フェニル基などが挙げられる。
一般式(1)におけるLで表される2価の連結基は、剥離性の観点から、下記一般式(2a)又は一般式(2b)で表される2価の連結基であることが好ましい。
一般式(2a)及び(2b)中、R21〜R24はそれぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキレン基又は炭素数6〜10のアリーレン基を示す。nは0〜10の数を示し、mは1〜10の数を示す。
21〜R24におけるアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
21〜R24におけるアリーレン基における結合位置は特に制限されない。例えばアリーレン基がフェニレン基又はシクロヘキシレン基の場合、結合位置は1位と4位、1位と2位、及び1位と3位のいずれであってもよく、1位と2位であることが好ましい。
21及びR22におけるアルキレン基は、各々独立に、炭素数が2〜10であることが好ましく、炭素数が2〜6であることがより好ましい。R21及びR22におけるアルキレン基は、同一であっても異なっていてもよい。
21及びR22におけるアリーレン基は、各々独立に、フェニレン基又はナフチレン基であることが好ましく、フェニレン基であることがより好ましい。
一般式(2a)におけるR21及びR22は、剥離性の観点から、各々独立に、炭素数1〜12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜6のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数2〜6であって直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることが更に好ましい。
一般式(2a)において、nは0〜10の数を表す。特定(メタ)アクリル系樹脂が、一般式(1)で表される構成単位を1種類のみ含む場合には、nは整数であり、2種以上含む場合には、nは平均値である有理数となる。nは0〜4であることが好ましく、0〜2であることがより好ましい。
23は、炭素数1〜12のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜6のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基であることが更に好ましい。
24は、炭素数2〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素数4〜8の環状アルキレン基(2価のシクロ環基)、又は炭素数6〜10のアリーレン基であることが好ましく、炭素数2〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、炭素数5〜6の環状アルキレン基、又はフェニレン基であることがより好ましく、炭素数2〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、シクロヘキシレン基、又はフェニレン基であることが更に好ましい。
一般式(2b)において、mは1〜10の数を表す。特定(メタ)アクリル系樹脂が、一般式(1)で表される構成単位を1種類のみ含む場合には、mは整数であり、2種以上含む場合には、mは平均値である有理数となる。mは1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。
一般式(1)で表される構成単位は、例えば、下記一般式(1a)で表される単量体を、特定(メタ)アクリル系樹脂を構成する他の単量体とともに共重合することで、特定(メタ)アクリル系樹脂に導入することができる。
一般式(1a)中、R及びLは一般式(1)におけるR及びLとそれぞれ同義である。
一般式(1a)で表される単量体は、常法により製造したものであっても、市販の単量体から適宜選択したものであってもよい。一般式(1a)で表される単量体のうちLが一般式(2a)で表される単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ダイマー(好ましくは、一般式(2a)におけるnの平均値が約0.4のもの)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート(好ましくは、一般式(2a)におけるnの平均値が約1.0のもの)が挙げられる。これらの単量体は、例えば、「アロニックスM−5600」、「アロニックスM−5300」(以上、東亞合成株式会社製、商品名)として市販されているものを用いることができる。
また、一般式(1a)で表される単量体のうちLが一般式(2b)で表される単量体としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸が挙げられる。これらの単量体は例えば「ライトエステルHO−MS」、「ライトアクリレートHOA−MS(N)」、「ライトアクリレートHOA−HH(N)」、「ライトアクリレートHOA−MPL(N)」(以上、共栄社化学株式会社製、商品名)として市販されているものを用いることができる。
粘着性の観点から、カルボキシ基を有するビニル単量体に由来する構成単位としては、(メタ)アクリル酸及び上記一般式(1)で表される単量体に由来する構成単位の少なくとも一方であることが好ましく、(メタ)アクリル酸及び上記一般式(1a)に由来する構成単位の少なくとも一方であることがより好ましく、(メタ)アクリル酸及びω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートに由来する構成単位の少なくとも一方であることが更に好ましい。
剥離性の観点から、カルボキシ基を有するビニル単量体に由来する構成単位の含有率としては、全構成単位に対して、3質量%〜40質量%であることが好ましく、6質量%〜20質量%であることがより好ましく、8質量%〜10質量%であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系樹脂は、カルボキシ基を有するビニル単量体に由来する構成単位に加えて、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の少なくとも1種を更に含むことが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
特定(メタ)アクリル系樹脂は、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を1種単独又は2種以上含んでいてもよく、2種以上含んでいることが好ましい。
これらの中でも、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位としては、単独重合体としたときのガラス転移温度が−30℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位であることが好ましい。
特定(メタ)アクリル系樹脂が、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(好ましくは、単独重合体としたときのガラス転移温度が−30℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位)を含む場合、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(好ましくは単独重合体としたときのガラス転移温度が−30℃以下であるアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位)の総含有率は、全構成単位に対して、65質量%〜99質量%であることが好ましく、75質量%〜97質量%であることがより好ましく、80質量%以〜95質量%であることが更に好ましい。
アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の総含有率が65質量%以上であると、なじみ性(濡れ性)により優れる傾向がある。また、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の総含有率が99質量%以下であると、剥離時の粘着力が高くなりすぎず、剥離性により優れる傾向がある。
粘着力が高くなりすぎず、かつ、剥離性により優れる観点から、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位としては、n−ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートの少なくとも一方に由来する構成単位を含むことが好ましく、n−ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートに由来する構成単位を含むことがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系樹脂は、既述のカルボキシ基を有するビニル単量体に由来する構成単位及びアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位以外の他の構成単位を更に含んでいてもよい。
他の構成単位としては、カルボキシ基を有するビニル単量体に由来する構成単位と共に特定(メタ)アクリル系樹脂を構成可能であれば特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
その他の構成単位を形成し得る単量体としては、例えば、水酸基を有する単量体、アルキレンオキシド鎖を有する単量体、芳香環を有する単量体が挙げられる。
水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート及び3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
特定(メタ)アクリル系樹脂が水酸基を有する単量体に由来する構成単位を更に含む場合、粘着剤組成物より形成された粘着剤層は、剥離後に、粘着剤が被着体に残りやすくなる傾向がある。
そのため、特定(メタ)アクリル系樹脂が、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含む場合、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率としては、特定(メタ)アクリル系樹脂の全構成単位に対して、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、実質的に含まないことが更に好ましい。
なお、実質的に含まないとは、不可避的に混入した水酸基を有する単量体に由来する構成単位の存在を許容するが、意図して添加された水酸基を有する単量体に由来する構成単位の存在は許容されないことを意味する。
アルキレンオキシド鎖を有する単量体としては、例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート及びメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。
芳香環を有する単量体としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
特定(メタ)アクリル系樹脂の酸価としては、保護フィルムの用途に適した粘着力がより得られ易い観点から、酸価が9mgKOH/g〜80mgKOH/gであることが好ましく、11mgKOH/g〜40mgKOH/gであることがより好ましく、酸価が13mgKOH/g〜30mgKOH/gであることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系樹脂又は後述の(メタ)アクリル系オリゴマーの酸価は、それぞれ以下の計算式によって求められる。
酸価(mgKOH/g)={(A/100)÷B}×56.1×1000×C
A=(メタ)アクリル系樹脂又は(メタ)アクリル系オリゴマーに使用される全単量体中の、カルボキシ基を有するビニル単量体の含有率(質量%)
B=(メタ)アクリル系単量体の分子量
C=カルボキシ基を有するビニル単量体1分子中に含まれるカルボキシ基の数
なお、56.1はKOHの分子量である。
また、カルボキシ基を有するビニル単量体が複数種ある場合は、それぞれの単量体について上記式より求めた値を合算して酸価を求めることができる。
特定(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度は、剥離性の観点から、−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、下記式の計算により求められるモル平均ガラス転移温度である。
1/Tg=m/Tg+m/Tg+・・・+m(k−1)/Tg(k−1)+m/Tg
・・・(式1)
式1中、Tg、Tg、・・・、Tg(k−1)、Tgは、特定(メタ)アクリル系樹脂を構成する各単量体を単独重合体としたときの絶対温度(K)で表されるガラス転移温度である。m、m、・・・、m(k−1)、mは、特定(メタ)アクリル系樹脂を構成する各単量体のモル分率をそれぞれ表し、m+m+・・・+m(k−1)+m=1である。
なお、「単独重合体としたときの絶対温度(K)で表されるガラス転移温度」は、そのモノマーを単独で重合して製造した単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度をいう。単独重合体のガラス転移温度は、その単独重合体を、示差走査熱量測定装置(DSC)(セイコーインスツルメンツ株式会社製、EXSTAR6000)を用い、窒素気流中、測定試料10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られたDSCカーブの変曲点を、単独重合体のガラス転移温度としたものである。
代表的な単量体の「単独重合体のセルシウス温度(℃)で表されるガラス転移温度」は、メチルアクリレートは5℃であり、エチルアクリレートは−27℃であり、メチルメタクリレートは103℃であり、n−ブチルアクリレートは−57℃であり、2−エチルヘキシルアクリレートは−76℃であり、n−ドデシルメタクリレートは−65℃であり、n−オクチルアクリレートは−65℃であり、イソオクチルアクリレートは−58℃であり、イソノニルアクリレートは−58℃であり、イソミリスチルアクリレートは−56℃であり、アクリル酸は163℃であり、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレートは−30℃であり、2−アクリロイルオキシエチル−コハク酸は−40℃である。
例えば、これら代表的な単量体を用いることで、既述のガラス転移温度を適宜調整することが可能である。
特定(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、特に制限はなく、20万〜100万であることが好ましく、30万〜80万であることがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が20万以上であると、剥離時に、粘着剤が被着体に残ることをより効果的に抑制することが可能となる。また、特定(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が100万以下であれば、追従性及びなじみ性(濡れ性)がより優れる傾向がある。
特定(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、下記の(1)〜(3)に従って測定される値である。
(1)特定(メタ)アクリル系樹脂の溶液を剥離紙に塗布し、100℃で2分間乾燥し、フィルム状の特定(メタ)アクリル系樹脂を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の特定(メタ)アクリル系樹脂とテトラヒドロフラン(THF)とを用いて、固形分濃度が0.2質量%である試料溶液を得る。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算値として、特定(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)を測定する。
(条件)
GPC :HLC−8220 GPC〔東ソー株式会社製〕
カラム :TSK−GEL GMHXL 4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流速 :0.6mL/分
カラム温度:40℃
粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系樹脂の含有率は、目的に応じて適宜選択することができる。特定(メタ)アクリル系樹脂の含有率としては、粘着剤組成物の固形分総質量中に、80質量%〜99質量%であることが好ましく、85質量%〜99質量%であることがより好ましく、90質量%〜98質量%であることが更に好ましい。
なお、固形分総質量とは粘着剤組成物から、溶剤などの揮発性成分を除いた残渣の総質量を意味する。
特定(メタ)アクリル系樹脂は、1種単独であってもよく又は、単量体の組成、重量平均分子量等が異なる2種以上を併用したものであってもよい。
本発明の粘着剤組成物は、重量平均分子量(Mw)が3,000〜30,000である(メタ)アクリル系オリゴマーを更に含んでいてもよい。
本発明の粘着剤組成物が(メタ)アクリル系オリゴマーを含むと、例えば帯電防止性の付与又は粘着力の調整を容易に行うことが可能となる。
(メタ)アクリル系オリゴマーは、1種単独又は、単量体の組成、重量平均分子量等が異なる2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系オリゴマーは、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含んでいてもよい。アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位は、粘着力の調整に寄与する傾向がある。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、既述の特定(メタ)アクリル系樹脂におけるアルキル(メタ)アクリレートと同義であり、具体例も同様である。
粘着剤層を高温高湿環境下に曝した場合に、高い耐久性が発揮される点で、アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数4〜12のアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましく、分岐鎖を有する炭素数4〜12のアルキル(メタ)アクリレートであることがより好ましく、2−エチルヘキシルメタクリレートであることが更に好ましい。
(メタ)アクリル系オリゴマーは、本発明の効果が発揮される範囲内において、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位以外の構成単位(その他の構成単位)を含んでいてもよい。
その他の構成単位を構成する単量体としては、既述のアルキレンオキシド鎖を有する単量体、カルボキシ基を有する単量体、水酸基を有する単量体、芳香環を有する単量体等が挙げられ、具体例及び好ましい範囲も同様である。
なお、(メタ)アクリル系オリゴマーがカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含む場合、カルボキシ基が後述の金属キレート系架橋剤と反応するため、剥離時に(メタ)アクリル系オリゴマーが被着体に残りにくく、好ましい。
カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含む場合、(メタ)アクリル系オリゴマーの酸価は、既述の方法と同様にして算出することができる。
(メタ)アクリル系オリゴマーの含有量としては、被着体から不意に剥離しない程度に必要な粘着力を粘着剤層に付与しつつ、保護フィルムの用途に適した剥離性を保持させる観点から、特定(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、0.05質量部〜2.00質量部であることが好ましく、0.10質量部〜1.50質量部であることがより好ましく、0.10質量部〜1.20質量部であることが更に好ましい。
(メタ)アクリル系オリゴマーの重量平均分子量(Mw)としては、剥離時に(メタ)アクリル系オリゴマーが被着体に残ることを防ぐ観点からは、3,000以上であることが好ましく、4,000以上であることがより好ましく、7,000以上であることが更に好ましい。(メタ)アクリル系オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、粘着剤層のヘイズを低くする観点からは、30,000以下であることが好ましく、25,000以下であることがより好ましく、20,000以下であることが更に好ましい。
(メタ)アクリル系オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、既述の特定(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定方法と同様にして測定することができる。
(メタ)アクリル系オリゴマーのガラス転移温度(Tg)は、50℃以下であることが好ましい。(メタ)アクリル系オリゴマーのTgが50℃以下であると、加熱処理による粘着力の上昇を抑制できるため、剥離性がより優れる傾向がある。
(メタ)アクリル系オリゴマーのガラス転移温度は、既述の特定(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度の計算方法と同様にして計算することができる。
<金属キレート系架橋剤(B)>
本発明の粘着剤組成物は、金属キレート系架橋剤を含む。金属キレート系架橋剤は、金属キレート系架橋剤(B)中に含まれる金属原子と、特定(メタ)アクリル系樹脂中のカルボキシ基とが反応して配位結合を形成することにより、樹脂中に架橋構造を形成し、架橋後のゲル分率を80%〜90%程度に抑制する。このため、粘着剤組成物から形成された粘着剤層は硬くなりすぎず適度の粘着力が得られ、優れた段差追従性を発揮することが可能となる。
本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層と、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等を用いて形成した粘着剤層と、は、架橋形態が異なっており、本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層は粘着力が過大になり過ぎない傾向がある。そのため、本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層は、保護フィルムの用途に適した粘着力を保ちつつ、粘着剤残りが抑制された剥離性が得られる。
金属キレート系架橋剤としては、多価金属原子及び有機化合物が配位結合している化合物が挙げられる。
多価金属原子としては、例えば、Al、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Tiが挙げられる。 これらの中でも、低コスト及び入手し易さの観点から、多価金属原子としては、Al、Zr、及びTiから選択される少なくとも1種であることが好ましく、Alであることがより好ましい。
多価金属原子と配位結合する有機化合物中の原子としては、酸素原子などが挙げられる。酸素原子を有する有機化合物としては、アルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。
比較的安定でかつ取り扱いが容易な観点から、金属キレート系架橋剤としては、アルミニウムトリスアセチルアセトネートなどを好適に用いることができる。
金属キレート系架橋剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粘着力を粘着剤層に付与し、かつ、保護フィルムの用途に適した剥離性の観点から、金属キレート系架橋剤の当量としては、特定(メタ)アクリル系樹脂のカルボキシ基1当量に対して、0.3当量〜2.0当量であることが好ましく、0.4当量〜1.5当量であることがより好ましく、0.6当量〜1.2当量であることが更に好ましい。
金属キレート系架橋剤の当量は、以下の式より計算した値である。
当量=( A×B/C)/(D×E/F+D×E/F+・・・・+D×E×F
A=金属キレート系架橋剤の金属の価数
B=金属キレート系架橋剤の質量部数(固形分としての量)
C=金属キレート系架橋剤の分子量
、D、・・・D=特定(メタ)アクリル系樹脂及び(メタ)アクリル系オリゴマーに使用される全単量体中のカルボキシ基を有する各単量体の含有率(質量%)
、E、・・・E=カルボキシ基を有する各単量体の1分子中に含まれるカルボキシ基の数
、F、・・・F=特定(メタ)アクリル系樹脂及び(メタ)アクリル系オリゴマーに使用される、カルボキシ基を有する各単量体の分子量
なお、nは、使用された単量体の種類の数を表し、例えば、使用された(メタ)アクリル系単量体が1種である場合は、Dのみが計算に用いられ、D・・・Dは計算に用いられない。
(帯電防止剤)
粘着剤組成物は、帯電防止剤を含有していてもよい。
帯電防止剤としては、イオン性化合物が挙げられる。イオン性化合物としては、特に制限はなく、アルカリ金属塩、有機塩などが挙げられる。
イオン解離性が高く、少量であっても優れた帯電防止性を発現しやすい点から、帯電防止剤としては、アルカリ金属塩及び有機塩であることが好ましい。
アルカリ金属塩としては、リチウムイオン(Li)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、ルビジウム(Rb)などをカチオンとする金属塩であれば特に制限されない。
例えば、Li、Na及びKからなる群より選ばれる少なくとも1種のカチオンと、Cl、Br、I、BF 、PF 、SCN、ClO 、CFSO 、(FSO、(CFSO、(CSO及び(CFSOからなる群より選ばれる少なくとも1種のアニオンと、から構成される金属塩を好適に用いることができる。
中でも、アルカリ金属塩としては、帯電防止性の観点から、LiBr、LiI、LiBF、LiPF、LiSCN、LiClO、LiCFSO、Li(FSON、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CFSOC等のリチウム塩であることが好ましく、LiClO、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CFSOCであることがより好ましい。
アルカリ金属塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機塩は、有機カチオンとその対イオンとを含むものである。
有機塩としては、融点が30℃以上であることが好ましい。有機塩の融点が30℃以上であると、被着体への移行が少なく、汚染性が低く好ましい。
有機塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機カチオンとしては、例えば、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、アルキルピロリジニウムカチオン、有機基を置換基として有するアンモニウムカチオン、有機基を置換基として有するスルホニウムカチオン及び有機基を置換基として有するホスホニウムカチオンが挙げられる。これらの中でも、帯電防止性の観点から、有機カチオンとしては、ピリジニウムカチオン及びイミダゾリウムカチオンの少なくとも一方であることが好ましい。
有機カチオンの対イオンとなるアニオン部としては、特に限定されるものではなく、無機アニオン又は有機アニオンのいずれであってもよい。中でも、特に帯電防止性に優れるため、アニオン部としては、フッ素原子を含むフッ素含有アニオンであることが好ましく、ヘキサフルオロホスフェートアニオン(PF )であることが更に好ましい。
有機塩の例としては、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、アルキルアンモニウム塩、アルキルピロリジニウム塩、アルキルホスホニウム塩等が好適に挙げられる。中でも、有機塩としては、ピリジニウム塩及びイミダゾリウム塩の少なくとも一方であることが好ましく、ピリジニウムカチオン又はイミダゾリウムカチオンの少なくとも一方と、フッ素含有アニオンとの塩であることがより好ましい。
粘着剤組成物が帯電防止剤を含む場合、帯電防止剤の含有量としては、特定(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、0.05質量部〜0.50質量部であることが好ましく、0.10質量部〜0.30質量部であることがより好ましい。
<その他の成分>
粘着剤組成物は、特定(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル系オリゴマー、金属キレート系架橋剤及び帯電防止剤の他に、必要に応じて、金属キレート系架橋剤以外の架橋剤、ポリエーテル変性シリコーン、耐候性安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、剥離助剤、染料、顔料、無機充填剤、界面活性剤などを適宜含有することができる。
なお、粘着剤組成物は、金属キレート系架橋剤以外の架橋剤を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、不可避的に混入した金属キレート系架橋剤以外の架橋剤の存在を許容するが、意図して添加された金属キレート系架橋剤以外の架橋剤の存在は許容されないことを意味する。
[用途]
本発明の粘着剤組成物は、光学部材に用いることが好ましい。本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層は、段差追従性及び剥離性に優れるため、表面に凹凸を有する光学部材に好適に用いることができ、中でも、アンチグレア(反射防止)処理した偏光板(AG偏光板)に用いることがより好ましい。なお、本発明の粘着剤組成物より形成された粘着剤層は、光学部材の凹凸を有する表面と積層して好適に用いられる。
光学部材の表面の算術平均粗さRaは、0.1μm〜3μmであることが好ましく、0.1μm〜2.7μmであることがより好ましい。粘着剤組成物より形成された粘着剤層は、算術平均粗さRaが上記範囲内にある光学部材に対して、より優れた段差追従性及び粘着性を発揮する傾向がある。
算術平均粗さRaは、光学部材の表面の凸凹の高さ方向に関するパラメータを表し、JIS B 0601(2001)に準じて測定して求められる値である。
光学部材の表面の算術平均粗さRaは、例えば、レーザー顕微鏡により観察し、手計算により算出することができる。
光学部材の表面の凹凸は、高低差が、1μm〜20μmであることが好ましく、1μm〜3μmであることがより好ましい。
光学部材の表面の凹凸の高低差は、レーザー顕微鏡等を用いて、光学部材の表面において取得した画像の全範囲におけるY軸(高さ)の距離を例えば10点測定し、その最大値を意味する。
光学部材の表面の凹凸は、少なくとも凸部のアスペクト比が0.5〜2であることが好ましい。
本明細書において、凸部のアスペクト比とは、光学部材の表面を含む平面における凸部の最大幅の長さに対する、凸部の高さの比を意味する。
[保護フィルム]
本発明の保護フィルムは、保護フィルム用粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層と、基材と、を少なくとも有する。
保護フィルムが有する粘着剤層は、表面に凹凸を有する部材に対して、優れた粘着性及び追従性(段差追従性)を発揮することが可能である。
保護フィルムに用いられる基材としては、基材上に粘着剤層が形成可能であれば特に制限されない。
透視による光学部材の検査及び管理の観点から、基材としては、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びアクリル系樹脂などから選択される樹脂を用いたフィルムが挙げられる。
中でも、基材としては、表面保護性能の観点から、ポリエステル系樹脂を用いたフィルムであることが好ましく、実用性を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いたフィルムであることがより好ましい。
基材の厚さとしては、一般には500μm以下とすることができ、好ましくは5μm〜300μmであり、より好ましくは10μm〜200μmである。
基材の片面又は両面には、帯電防止層を設けてもよい。また基材の粘着剤層が設けられる側の表面には、粘着剤層と基材との密着性を向上させるためにコロナ放電処理などが施されていてもよい。
基材上には、粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層が設けられている。
粘着剤層の形成方法としては、例えば、粘着剤組成物を、そのままで又は必要に応じて適宜の溶媒で希釈し、これを基材に塗布した後、乾燥して溶媒を除去する方法を採用することができる。
また、粘着剤層の形成方法としては、先ずシリコーン樹脂などにより離型処理が施された紙、ポリエステルフィルム等の適宜のフィルムからなる剥離シート上に粘着剤組成物を塗布し、加熱乾燥して粘着剤層を形成し、次いで剥離シートの粘着剤層側を基材に圧接して粘着剤層を基材に転写させる方法を採用することもできる。
基材上に形成される粘着剤層の厚さは、保護フィルムに求められる粘着力、光学部材の表面粗さなどに応じて適宜設定することができる。粘着剤層の厚さとしては、一般に1μm〜100μmであり、好ましくは5μm〜50μmであり、更に好ましくは15μm〜30μm程度の厚さを例示することができる。
粘着剤層は、180°剥離(剥離速度0.3m/分)における粘着力(剥離力)が1N/25mm以下であることが好ましく、0.5N/25mm以下であることがより好ましい。
また、保護フィルムの不意な剥離を防止する観点から、剥離速度0.3m/分における粘着力(剥離力)が0.05N/25mm以上であることが好ましく、0.2N/25mm以上であることがより好ましい。
本発明の保護フィルムは、光学部材の保護フィルムとして好適に用いることができる。
保護フィルムは、光学部材の表面に積層されて、その光学部材の表面が汚染されたり損傷したりしないよう保護し、光学部材が液晶表示板などに加工される際には、保護フィルムが光学部材に積層された状態のまま、打抜加工、検査、輸送、液晶表示板の組立などの各工程に供され、必要に応じて、オートクレーブ処理、高温エージング処理などの加熱加圧処理が施され、表面保護が不要となった段階で光学部材から剥離除去される。
光学部材としては、画像表示装置、入力装置などの機器(光学機器)を構成する部材又はこれらの機器に用いられる部材が挙げられる。光学部材の具体例としては、例えば、偏光板、AG偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルムなど)が挙げられる。
優れた段差追従性を発揮する点から、本発明の保護フィルムは、偏光板に用いることが好ましく、AG偏光板に用いることが更に好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
−(メタ)アクリル系樹脂の製造−
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応容器内に、酢酸エチル70.0質量部を入れ、また別の容器に、n−ブチルアクリレート(BA)60.0質量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)30.0質量部、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート(商品名;アロニックスM−5300、東亞合成株式会社製)10.0質量部を入れ、混合して単量体混合物とした。
この単量体混合物のうち、20.0質量%を反応容器中に加え、次いで反応容器の空気を窒素ガスで置換した後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」ともいう。)0.01質量部を添加して、攪拌下に窒素雰囲気中で、反応容器内の混合物の温度を85℃に昇温させて、初期反応を開始させた。
初期反応がほぼ終了した後、残りの単量体混合物80.0質量%、並びに酢酸エチル15.0質量部及びAIBN0.10質量部の混合物をそれぞれ逐次添加しながら約2時間反応させ、引き続いて、さらに2時間反応させた。その後、酢酸エチル25.0質量部にt−ブチルペルオキシピバレート0.10質量部を溶解させた溶液を、単量体混合物に1時間かけて滴下し、さらに1.5時間反応させた。反応終了後、(メタ)アクリル系樹脂(A)の溶液を得た。
得られた(メタ)アクリル系樹脂(A)の溶液の酸価及び重量平均分子量(Mw)を表1に示す。
酸価及び重量平均分子量(Mw)は既述の方法で算出したものである。
酸価は、次のとおり計算した。
酸価(mgKOH/g)={(A/100)÷B}×56.1×1000×C
A=(メタ)アクリル系樹脂に使用される全単量体中のカルボキシ基を有するビニル単量体の含有率(質量%):10
B=アロニックスM−5300の分子量:300.4
C=カルボキシ基を有するビニル単量体1分子中に含まれるカルボキシ基の数:1
酸価={(10/100)÷300.4}×56.1×1000×1=約18.7
(製造例2〜製造例6)
製造例1において、表1に示す単量体組成に変更し、適宜開始剤量などを調整したこと以外は、製造例1と同様にして、(メタ)アクリル系樹脂の溶液を製造した。得られた(メタ)アクリル系樹脂の酸価及び重量平均分子量(Mw)を表1に示す。
なお、酸価及び重量平均分子量(Mw)は既述の方法で算出したものである。
表1における略号は、以下の通りである。なお、表1中の「−」は、該当の成分を含まないことを示す。
・BA:n−ブチルアクリレート
・2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
・M−5300:ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート(商品名:アロニックスM−5300、東亞合成株式会社製)(一般式(1a)で表される単量体)
・AA:アクリル酸
・4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
(実施例1)
撹拌羽根、温度計、冷却器及び滴下ロートを備えた四つ口フラスコに上記で調製した(メタ)アクリル系樹脂(A)の溶液(固形分45%)を222.2質量部(固形分として100質量部)を仕込み、フラスコ内の液温を25℃付近に保って4時間混合撹拌を行った。金属キレート系架橋剤(B)として、アルミニウムトリスアセチルアセトネート(商品名:アルミキレートA、川研ファインケミカル株式会社製)をアセチルアセトン及びトルエンで希釈したアルミ二ウムキレート希釈物(固形分9.72質量%)25.7質量部(固形分として2.5質量部)、を添加し、十分に攪拌して保護フィルム用粘着剤組成物溶液を得た。
なお、「固形分」とは(メタ)アクリル系樹脂の溶液から溶媒を除去した残渣である。
−保護フィルムの作製−
上記で調製した粘着剤組成物溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:帝人テトロンフィルムタイプG2、厚み38μm、帝人デュポンフィルム株式会社製)上に、乾燥後の塗工量が20g/mとなるように塗布した。次いで、100℃で60秒間、熱風循環式乾燥機にて乾燥して、PETフィルム上に粘着剤層を形成し、粘着剤層付PETフィルムを作製した。
その後、シリコーン系剥離処理剤で易剥離処理された剥離フィルム(商品名:フィルムバイナ100E−0010NO23、厚み100μm、藤森工業株式会社製)の剥離処理面に粘着剤層が接するように、粘着剤層付PETフィルムを載置して積層体とした。この積層体を加圧ニップロール対に通して圧着して貼り合わせた後、23℃、50%RHの条件下で1時間養生し、保護フィルムを得た。
[評価]
−追従性−
算術平均粗さRaが0.85μmである凹凸光学フィルム(AG偏光板)を用意した(図1参照)。なお、算術平均粗さRaは、レーザー顕微鏡(機器名:Laser microscope VK―X200、キーエンス株式会社製)を用いて、283μm×212μmの範囲を測定し、算出した値である。
凹凸光学フィルムと、上記で作製した保護フィルムと、を重ね合わせて、2kgのゴムロールを2往復して圧着して、5cm×2.5cmにカットした。次いで、23℃50%RH環境下で24時間静置し、評価用光学フィルムサンプルを得た。
また、凹凸光学フィルムをポリエチレン(PE)板(EL−N−ANグレード、株式会社パルテック製)に変更した以外は、上記と同様の方法で、評価用ポリエチレンサンプルを作製した。PE板の表面の算術平均粗さRaは、2.88μmであった(図2参照)。算術平均粗さRaは、凹凸光学フィルムと同様に、取得画像全体(707μm×530μm)を測定して算出した値である。
静置後の各サンプルから保護フィルムを剥離し、各保護フィルムの粘着剤層の状態を目視で観察し、粘着剤層の変形の有無を確認した。
ここで、粘着剤層の変形とは、剥離後の保護フィルムの粘着剤層表面に凹又は凸の形状が見られる場合、粘着剤層が変形していることを意味する。
目視において粘着剤層の変形が確認された場合、レーザー顕微鏡(機器名:Laser microscope VK−X200、キーエンス株式会社製)を用いて粘着剤層表面を更に観察し、下記の評価基準に従って追従性を評価した。結果は表2に示す。
評価基準が「A」であれば、追従性に優れると判断した。
<評価基準>
A:粘着剤層の変形が目視で判断でき、かつ、レーザー顕微鏡を用いて粘着剤層の変形が判断できる。
B:粘着剤層の変形が目視で判断できない。
C:保護フィルムの粘着力が非常に低く、貼り合わせ自体が困難であり、粘着剤層の変形が目視で確認できない。
D:保護フィルムを剥離した後の被着体に粘着剤残りがあり、粘着剤層の変形が目視で確認できない。
−粘着力(剥離性)−
凹凸光学フィルム(AG偏光板)と保護フィルムとを、AG偏光板と粘着剤層とを接触させて2kgのゴムロールを2往復して圧着し、15cm×2.5cmにカットした。次いで、23℃50%RH環境下で24時間静置し、評価用光学フィルムサンプルを得た。
測定装置として、卓上型材料試験機(型番:STA−1225、株式会社オリエンテック製)を用い、剥離速度0.3m/分の条件にて、評価用光学フィルムサンプルから保護フィルムを長辺方向に180°剥離したときの粘着力(単位:N/25mm)を測定した。
粘着力が0.05N/25mm〜1N/25mm未満の範囲にある場合、表面に凹凸を有する部材に対する剥離性が優れると判断した。
(実施例2〜7及び比較例1〜7)
実施例1の組成を表2に示した組成に変更した以外は、実施例1と同様にして表2に示すような保護フィルム用粘着剤組成物を作製した。作製した粘着剤組成物を用い、実施例1と同様にして評価用光学フィルムサンプル及び評価用ポリエチレンサンプルを作製し、それぞれ評価を行った。得られた結果を表2に示す。
なお、比較例5及び比較例6の粘着剤組成物が含むDBTDLは架橋触媒であり、金属キレート系架橋剤(B)には該当しない。
表2における略号は以下の通りである。なお、表2中の「−」は、該当の成分を含まないこと又は測定できないことを示す。
・LiTFSI:Li(CFSON(森田化学工業株式会社製)
・DBTDL:ジブチルスズジラウレート(和光純薬工業株式会社製、アセチルアセトンにより適宜希釈して使用)
・アルミキレートA:アルミニウムトリスアセチルアセトネート(商品名:アルミキレートA、川研ファインケミカル株式会社製、トルエン及びアセチルアセトンを用いて固形分9.7質量%に希釈して使用)
・コロネートL:トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体(商品名:コロネートL、東ソー株式会社製、固形分100質量%)
・Tetrad C:1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン(商品名:TETRAD−C、三菱瓦斯化学株式会社製)
・スミジュールN3300:イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート(住化コベストロウレタン株式会社製、固形分100質量%)
少なくともカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系樹脂と、金属キレート系架橋剤と、を含む、実施例1〜7の粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層は、段差追従性及び剥離性に優れていた。
特に、実施例1〜5の粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層は、段差追従性及び剥離性の双方のバランスに特に優れていた。
これに対して、イソシアネート系架橋剤を含む比較例1及び比較例2の粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層は、剥離後に被着体に粘着剤残りが見られ、段差追従性が劣り、かつ、粘着力が高すぎるため剥離性に劣っていた。
また、エポキシ系架橋剤を含む比較例3及び比較例4の粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層は、硬すぎて、段差追従性に劣っていた。
カルボキシ基を有さない(メタ)アクリル系樹脂と、イソシアネート系架橋剤とを含む比較例5では、架橋構造が形成されにくいため、粘着力が非常に低く、剥離性に劣り、かつ、段差追従性に劣っていた。また、カルボキシ基を有さない(メタ)アクリル系樹脂を含みかつ、イソシアネート系架橋剤の含有量を増加させた比較例6では、粘着力が得られた一方、段差追従性に劣っていた。
カルボキシ基を有さない(メタ)アクリル系樹脂と、金属キレート系架橋剤とを含む、比較例7では、架橋構造を形成することができず、段差追従性及び剥離性に特に劣っていた。
また、図1及び図3に示されるとおり、本発明の粘着剤組成物よりの架橋物である粘着剤層は、表面に凹凸を有する部材に対し、十分に追従していることがわかる。
以上より、本発明の粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層は、段差追従性及び剥離性に優れるため、表面に凹凸を有する光学部材の保護フィルムとして好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 少なくともカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系樹脂(A)と、
    金属キレート系架橋剤(B)と、
    を含む、保護フィルム用粘着剤組成物。
  2. 前記(メタ)アクリル系樹脂(A)の酸価が9mgKOH/g〜80mgKOH/gである、請求項1に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル系樹脂(A)は水酸基を含まない、請求項1又は請求項2に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
  4. 光学部材に用いられる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
  5. 前記光学部材の表面の算術平均粗さRaが0.1μm〜3μmである、請求項4に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
  6. 前記光学部材は、表面に凹凸を有し、前記凹凸の高低差が1μm〜20μmである、請求項5に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
  7. 前記凹凸は、少なくとも凸部のアスペクト比が0.5〜2である、請求項6に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
  8. 前記光学部材は、アンチグレア処理された偏光板である、請求項4〜請求項7のいずれか1項に記載の保護フィルム用粘着剤組成物。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の保護フィルム用粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層と、基材と、を有する保護フィルム。
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