JP2019018961A - 吊下げ物体の姿勢制御装置 - Google Patents

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茂男 広瀬
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Abstract

【課題】3次元空間において、吊下げ部材の姿勢を比較的簡単な構成によって容易且つ正確に制御することができる吊下げ物体の姿勢制御装置を提供する。
【解決手段】姿勢制御装置1は、本体81の一側面壁81Aにおける線条体45A,45Bの連結点及び本体81の他側面壁81Bにおける線条体45C,45Dの連結点を通る回転軸線R回りに、ロッド部材83とともに本体81を回転させる回転駆動部10と、回転軸線Rと直角且つロッド部材83のロッド軸線Lと直角で水平方向に延びる旋回軸線Q回りに、ロッド部材83を旋回させる旋回駆動部30と、回転軸線Rと本体81の一側面壁81Aに連結される線条体45A,45Bとのなす角度θと、回転軸線Rと本体81の他側面壁81Bに連結される線条体45C,45Dとのなす角度θとを一定割合に設定する角度変更部50と、を備える。
【選択図】図8

Description

本発明は、線条体を用いて吊り下げた吊下げ物体の姿勢を制御するための吊下げ物体の姿勢制御装置に関する。
一般に、検査機や作業機等の物体をワイヤ或いはロープ等の線条体で吊り下げると共に、その吊下げ物体の姿勢を制御するためには、6本乃至8本の線条体が使用されている。従来の、この種の吊下げ物体の姿勢制御装置としては、例えば、特許文献1〜3に記載されているようなものがある。
米国特許第6566834号公報 米国特許第4883184号公報 米国特許第5585707号公報
特許文献1には、6本のケーブルで吊り下げた吊下げ物体(工具や荷重等)を精確に操縦できるケーブル駆動の操縦機に関するものが記載されている。この特許文献1に係る操縦機は、6本のケーブルと、モジュール式の組立て部からなり、ケーブルは、巻上げ機構によって独立に制御され、6自由度すべてにおいて直感的な操縦が可能とされていて、ジョイスティック手動或いはコンピュータ自動制御が可能に構成されている。
特許文献2には、6本のケーブルを用いて荷重を安定状態で持ち上げるための自動平衡装置を有する荷重引上げ装置に関するものが記載されている。この特許文献2に係る荷重引上げ装置は、サスペンションキャリッジと、リフト板と、6本のサスペンションケーブルを具備している。リフト板は、サスペンションキャリッジによってクレーンから吊り下げられ、サスペンションキャリッジは、ケーブルウィンチから6本のケーブルを案内するケーブルガイドを具備している。
そして、6本のケーブルをリフト板に固定するため、リフト板は、相互に等間隔に分離される3ヶ所のケーブルアタッチメントフレームを具備している。更に、リフト板は、その質量中心に対する荷重の不均衡を感知し、その不均衡を修正するために荷重を再位置決めすることによって荷重の安定を達成するようにしている。加えて、荷重を精確に位置決めし、荷重に制御された力を加えるため、水平面に対して荷重を360度回転させる装置と、リフト板の水平面に対して最大90度まで荷重の傾斜位置を調整する装置と、荷重固定装置の縦軸周囲で360度荷重を回転させる装置を具備している。
特許文献3には、可撓性を有する8つの腱(テンドン)でプラットホームを支えているロボットに関するものが記載されている。この特許文献3に係るロボットは、8つのプラットホームと、テンドンと、制御系等を備えて構成されている。8つのテンドンで支持されたプラットホームには8つのリールが配置されており、各リールに巻回された8つのテンドンの各遠端は別な位置に固定されていて、モータによって各リールを個別に回転駆動してテンドンの格納、収縮、伸長を調整することにより、作業空間内でプラットホームの位置と配向とを制御するように構成されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載されたいずれの装置においても、6〜8本の線条体(ケーブル、テンドン等)の伸長、収縮を個別に制御して吊下げ物体(サスペンションキャリッジ、プラットホーム等)の姿勢を制御するものであったため、装置全体が複雑で設置時や回収時に線条体が絡み易い等の問題が起こり易く、更に、その制御を精確に行うためには複雑で面倒な作業を行う必要があるという問題があった。
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、3次元空間において、吊下げ部材の姿勢を比較的簡単な構成によって容易且つ正確に制御することができる吊下げ物体の姿勢制御装置を提供する。
上記課題を解決する本発明の吊下げ物体の姿勢制御装置は、線条体を一側面壁に連結するとともに前記線条体とは別の前記線条体を前記一側面壁に対向する他側面壁に連結し、前記各線条体を張ることで吊り下げられる箱状の本体と、前記本体の背面壁に設けられるロッド部材と、を備える吊り下げ物体であって、前記本体の一側面壁における前記線条体の連結点及び前記本体の他側面壁における前記線条体の連結点を通る回転軸線回りに、前記ロッド部材とともに前記本体を回転させる回転駆動部と、前記回転軸線と直角且つ前記ロッド部材のロッド軸線と直角で水平方向に延びる旋回軸線回りに、前記ロッド部材を旋回させる旋回駆動部と、前記回転軸線と前記本体の一側面壁に連結される前記線条体とのなす角度と、前記回転軸線と前記本体の他側面壁に連結される前記線条体とのなす角度とを一定割合に設定する角度変更部と、を備える。
この姿勢制御装置では、角度変更部が回転軸線と本体の一側面に連結される線条体とのなす角度と、回転軸線と本体の他側面に連結される線条体とのなす角度とを一定割合に設定するので、この角度制御は不要となる。よって、吊下げ部材の姿勢は、回転駆動部及び旋回駆動部を制御すればよいので、比較的簡単な構成によって容易且つ正確に制御することができる。
3次元空間において、実施形態の吊下げ物体の使用状態を説明するための斜視図である。 実施形態の吊下げ物体の姿勢制御装置の全体構成を示す斜視図である。 図2を線条体の軸線方向から見た図である。 吊下げ物体のロッド部材の伸縮状態を示す図である。 吊下げ物体の本体及びロッド部材の回転状態を示す図である。 吊下げ物体のロッド部材の旋回状態を示す図である。 吊下げ物体の線条体の傾斜状態を示す図である。 姿勢制御装置の伸縮装置、回転装置、旋回装置、角度変更部を示す図である。 姿勢制御装置の回転装置、旋回装置、角度変更部を示す斜視図である。 図9を垂直上方から見た図である。 図9を回転軸線方向と直角な水平方向から見た図である。 姿勢制御装置の回転装置を回転軸線方向から見た図である。 図12のA−A線断面図である。 姿勢制御装置の旋回装置を旋回軸線方向から見た図である。 図14のA−A線断面図である。 姿勢制御装置の角度変更部を垂直上方から見た図である。 図16の主要部の拡大図である。 姿勢制御装置の角度変更部を回転軸線方向と直角な水平方向から見た図である。 図18の主要部の拡大図である。
(1.吊り下げ物体の使用状態)
図1は、3次元空間において、吊下げ物体の使用状態を説明するもので、吊下げ物体として橋梁点検装置90を適用し、その橋梁点検装置90で橋梁91の下面の状態を点検する説明図である。橋梁点検装置90は、線条体として4本のワイヤ45A〜45Dにより吊り下げられて橋梁91の下方に配置されている。
4本のワイヤ45A〜45Dは、橋梁91の幅方向の両側において、通行方向に所定距離あけて配置された左右2本ずつ合計4本の支持脚体92A,92B,92C,92Dによって支持されている。橋梁点検装置90は、4本のワイヤ45A〜45Dの長さを調節することにより、橋梁91の下面の任意の位置に配置することができる。
(2.吊り下げ物体の構造)
図2及び図3に示すように、橋梁点検装置90は、本体81と、伸縮装置82と、センサロッド(ロッド部材)83と、ロッド支持部材84を備える。本体81は、箱状に形成され、本体81の一側面壁81Aには、第一連結部材51A(図2及び図3では隠れている)及び第一アーム部材52A,52Bが連結され、本体81の他側面壁81Bには、第二連結部材51B及び第二アーム部材52C,52Dが連結されている。なお、図2及び図3では図示省略するが、第一アーム部材52A,52Bには、ワイヤ45A,45Bの先端が挿入され、第二アーム部材52C,52Dには、ワイヤ45C,45Dの先端が挿入される。
センサロッド83は、ロッド軸線L方向に伸縮可能な多段に形成され、本体81の背面に設けられる円筒状のロッド支持部材84に嵌入され支持されている。そして、センサロッド83は、橋梁の底面や側面の状態を点検するもので、ひび割れや剥離その他の不具合を点検するものである。伸縮装置82は、センサロッド83の下端に設けられてセンサロッド83をロッド軸線L方向に伸縮させる。
そして、橋梁点検装置90は、図4に示すように、伸縮装置82で橋梁点検装置90のセンサロッド83をロッド軸線L方向に伸縮させ、図5に示すように、姿勢制御装置1の回転駆動部10(図8参照)で橋梁点検装置90のセンサロッド83とともに本体81を回転軸線R回りに回転させ、図6に示すように、姿勢制御装置1の旋回駆動部30(図8参照)でセンサロッド83を本体81に対し旋回軸線Q回りに旋回させる。これにより、所望の位置において橋梁91の状態を点検することができる。
また、橋梁点検装置90は、図7に示すように、橋梁91の下面の任意の位置において、姿勢制御装置1の角度変更部50(図8参照)で回転軸線Rとワイヤ45A,45Bとのなす角度θと、回転軸線Rとワイヤ45C,45Dとのなす角度θとを常に同一となるように設定することができる。これにより、ワイヤ45A,45B及びワイヤ45C,45Dは拘束されるので、本体81のぐらつきを防止できる。また、本体81(回転軸線R)を水平に維持する必要は無くなるので、姿勢制御装置1を簡易な構成とすることができる。なお、図7では、第一アーム部材52A,52B及び第二アーム部材52C,52Dは省略する。
(3.姿勢制御装置の構成)
図9−図11に示すように、姿勢制御装置1は、回転駆動部10と、旋回駆動部30と、角度変更部50とを備え、回転駆動部10及び旋回駆動部30は、本体81内に配置され、角度変更部50は、本体81の両側面81a,81bに設けられている。回転駆動部10は、回転用モータ11と、モータギヤ12と、回転用ギヤ13と、外パイプ14等とを備える。
旋回駆動部30は、旋回用モータ31と、モータギヤ32と、旋回用ギヤ33等とを備える。角度変更部50は、第一連結部材51Aと、第一伝達ギヤ53Aと、第一角度変更ギヤ54Aと、第二連結部材51Bと、第二伝達ギヤ53Bと、第二角度変更ギヤ54Bと、内パイプ55等とを備える。以下、回転駆動部10、旋回駆動部30、及び角度変更部50について詳述する。
回転駆動部10は、第一連結部材51A及び第二連結部材51Bを通る回転軸線R回りに、センサロッド83とともに本体81を回転させる(図5参照)。図12及び図13に示すように、回転用モータ11は、本体81の一側面壁81Aにブラケット17を介して固定されている。モータギヤ12は、同軸の対の円盤の間に周方向に間隔をあけてピン12Aが挟持されて形成されており、回転用モータ11のモータ軸に嵌入されている。
回転用ギヤ13は、半周分だけギヤ歯が形成されており、モータギヤ12と噛み合うように配置されている。そして、回転用ギヤ13は、ギヤ支持部材15Aに固定支持されている。そして、ギヤ支持部材15Aは、本体81の一側面壁81Aにベアリング16Aを介して回転自在に支持されている。外パイプ14は、中空円筒状に形成され、一端がギヤ支持部材15Aに固定支持され、他端が本体81の他側面壁81Bにベアリング16Bを介して回転自在に支持されているパイプ支持部材15Bに固定支持されている(図16参照)。
このような構成の回転駆動部10は、外パイプ14が固定されている状態で、回転用モータ11が回ると、モータギヤ12が回転用ギヤ13回りを公転するので、モータギヤ12の公転に伴って本体81が回転軸線R回りに回転する。
旋回駆動部30は、回転軸線Rと直角且つセンサロッド83のロッド軸線Lと直角で水平方向に延びる旋回軸線Q回りに、センサロッド83を旋回させる(図6参照)。図14及び図15に示すように、旋回用モータ31は、本体81の背面壁81Cにブラケット34を介して固定されている。モータギヤ32は、同軸の対の円盤の間に周方向に間隔をあけてピン32Aが挟持されて形成されており、旋回用モータ31のモータ軸に嵌入されている。
旋回用ギヤ33は、半周分だけギヤ歯が形成されており、モータギヤ32と噛み合うように配置されている。そして、旋回用ギヤ33は、ギヤ支持部材35に固定支持されている。そして、ギヤ支持部材35は、本体81の背面壁81Cにベアリング36を介して回転自在に支持されている。ロッド支持部材84は、ギヤ支持部材35に固定されている。
このような構成の旋回駆動部30は、本体81が固定されている状態で、旋回用モータ31が回ると、モータギヤ32が旋回用ギヤ33を回転させるので、旋回用ギヤ33とともにセンサロッド83が旋回軸線Q回りに旋回する。
角度変更部50は、本体81が橋梁91の下面の任意の位置に位置決めされている状態で、回転軸線Rと本体81の一側面壁81A側に配置されるワイヤ45A,45Bとのなす角度θと、回転軸線Rと本体81の他側面壁81B側に配置されるワイヤ45C,45Dとのなす角度θとが同一となるように設定する(図7参照)。
図16−図19に示すように、ギヤ支持部材15Aには、一対の突出部材15AAが回転軸線Rを中心に180度隔てて本体81の一側面壁81Aから外側に突出するように固定されている。そして、第一連結部材51Aは、一端側に一対の突出部材51AAが形成されてギヤ支持部材15Aの突出部材15AAに対し回転軸線Rと直角で水平方向に延びる2つの第一本体側軸ピン56Aに同軸でそれぞれ固定されている。そして、突出部材15AAに対しベアリング57Aを介して第一本体側軸ピン56Aの軸線回りに回動自在に支持されている。
さらに、第一連結部材51Aは、他端側に第一アーム部材52A,52Bがそれぞれ挿入固定される一対の突出部材51ABが形成されている。突出部材51ABは、第一アーム部材52A,52Bの軸線方向と直角且つ第一本体側軸ピン56Aの軸線と直角な方向に延びる2つの第一線条体側軸ピン58Aに同軸でそれぞれ連結されている。そして、第一線条体側軸ピン58Aの軸線回りに回動自在に支持されている。
第一伝達ギヤ53Aは、かさ歯車であり、回転用ギヤ13と同軸に配置され、ギヤ支持部材15Aにベアリング60Aを介して回転自在に支持されている。第一角度変更ギヤ54Aは、第一伝達ギヤ53Aと噛み合うかさ歯車であり、一方の第一本体側軸ピン56Aに同軸で固定されている。
パイプ支持部材15Bには、一対の突出部材15BAが回転軸線Rを中心に180度隔てて本体81の他側面壁81Bから外側に突出するように固定されている。そして、第二連結部材51Bは、一端側に一対の突出部材51BAが形成されてパイプ支持部材15Bの突出部材15BAに対し回転軸線Rと直角で水平方向に延びる2つの第二本体側軸ピン56Bに同軸でそれぞれ固定されている。そして、突出部材15BAに対しベアリング57Bを介して第二本体側軸ピン56Bの軸線回りに回動自在に支持されている。
さらに、第二連結部材51Bは、他端側に第二アーム部材52C,52Dがそれぞれ挿入固定される一対の突出部材51BBが形成されている。突出部材51BBは、第二アーム部材52C,52Dの軸線方向と直角且つ第二本体側軸ピン56Bの軸線と直角な方向に延びる2つの第二線条体側軸ピン58Bに同軸でそれぞれ連結されている。そして、第二線条体側軸ピン58Bの軸線回りに回動自在に支持されている。
第二伝達ギヤ53Bは、かさ歯車であり、回転用ギヤ13と同軸に配置され、パイプ支持部材59Bにベアリング60Bを介して回転自在に支持されている。第二角度変更ギヤ54Bは、第二伝達ギヤ53Bと噛み合うかさ歯車であり、一方の第二本体側軸ピン56Bに同軸で固定されている。
内パイプ55は、外パイプ14内部に同軸で配置され、一端が第一伝達ギヤ53Aに嵌入固定され、他端が第二伝達ギヤ53Bに嵌入固定されている。内パイプ55は、外パイプ14に対して回動自在である。
このような構成の角度変更部50は、第一連結部材51Aが第一本体側軸ピン56Aの軸線回りに回転すると、第一角度変更ギヤ54A及び第一伝達ギヤ53Aを介して内パイプ55が回動する。そして、第二伝達ギヤ53B及び第二角度変更ギヤ54Bを介して第二連結部材51Bが第二本体側軸ピン56B回りに第一連結部材51Aと逆方向に回転する。よって、回転軸線Rと本体81の一側面壁81A側に配置される第一アーム部材52A,52Bとのなす角度がθになり、それに伴い回転軸線Rとワイヤ45A,45Bとのなす角度がθになる。また、回転軸線Rと本体81の他側面壁81B側に配置される第二アーム部材52C,52Dとのなす角度が上記θと同一のθになり、それに伴い回転軸線Rとワイヤ45C,45Dとのなす角度上記θと同一のθとなる。
(4.姿勢制御装置の動作)
次に、姿勢制御装置1の動作について、1例を説明する。4本のワイヤ45A〜45Dを出し引きすると、ワイヤ45A〜45Dと第一アーム部材52A,52B及び第二アーム部材52C,52Dは直線になろうとする。そして、本体81の両側面壁81A,81Bにおいて、第一アーム部材52A,52Bの開き角度及び第二アーム部材52C,52Dの開き角度が決まる。また、角度変更部50により上述の本体81の両側面壁81A,81Bにおける角度θが決まる。
そして、3次元空間において外パイプ14が固定され、回転駆動部10の回転モータ11を回転すると本体81が回転軸線R回りに回転し、それに伴ってセンサロッド83が回転軸線R回りに回転する。そして、3次元空間において本体81が固定され、旋回駆動部30の旋回モータ31を回転するとセンサロッド83が旋回軸線Q回りに旋回する。
そして、伸縮装置82でセンサロッド83を伸縮させる。この結果、センサロッド83のセンサを最適な位置と方向に制御できる。なお、ワイヤ45A〜45Dの出し引き装置、回転駆動部10、旋回駆動部30、伸縮装置82の動作の順番は、上記の順番に拘束されない。ワイヤ45A〜45Dの出し引き装置、回転駆動部10、旋回駆動部30、伸縮装置82の動作の順番は、この他の順番であってもよい。また、ワイヤ45A〜45Dの出し引き装置、回転駆動部10、旋回駆動部30、伸縮装置82の動作は、その一部または全部を同時に行ってもよい。
ここで、第一、第二アーム部材52A,52B,52C,52Dの存在意義について説明する。その存在意義は、第一、第二アーム部材52A,52B,52C,52Dを無くして各ワイヤ45A,45B,45C,45Dの先端を直に第一、第二連結部材51A,51Bに取り付けると、ワイヤ45A,45B,45C,45Dの第一、第二連結部材51A,51Bに取り付けられた部分が局所的に曲がってしまうため、姿勢制御装置1の効果が十分に発揮されないことになるからである。
一方、第一、第二アーム部材52A,52B,52C,52Dを第一、第二連結部材51A,51Bに対して第一、第二線条体側軸ピン58A,58Bの軸線回りにしか回転できないように取り付けると、張力のかかったワイヤ45A,45B,45C,45Dと第一、第二アーム部材52A,52B,52C,52Dが直線状になろうとする。その結果、橋梁点検装置90が柔らかいワイヤ45A,45B,45C,45Dで支持されていても、回転軸線Rと本体81の一側面壁81A側に配置されるワイヤ45A,45Bとのなす角度θと、回転軸線Rと本体81の他側面壁81B側に配置されるワイヤ45C,45Dとのなす角度θとを確実に制御することが可能となる。
また、第一、第二アーム部材52A,52Bの長さは、0.5m乃至2.0mの範囲内の値に設定することが好ましい。第一、第二アーム部材52A,52Bの長さが0.5m以上であれば、ワイヤ45A,45B,45C,45D側に加えられた操作力を確実に第一、第二連結部材51A,51Bに伝達させて、例えば第一角度変更ギヤ54A、第二角度変更ギヤ54Bを確実に回転させることができる。また、第一、第二アーム部材52A,52Bの長さが2.0m以下であれば、第一、第二連結部材51A,51Bの取り扱いを容易にすることができる。なお、第一、第二アーム部材52A,52Bは無くてもよく、その場合はワイヤ45A,45B,45C,45Dと第一、第二連結部材51A,51Bを直接つなげる。
(5.その他)
上述の実施形態では、第一角度変更ギヤ54Aと第一伝達ギヤ53Aのギヤ比、及び第二角度変更ギヤ54Bと第二伝達ギヤ53Bのギヤ比は、1対1として回転軸線Rとワイヤ45A,45Bとのなす角度θと、回転軸線Rとワイヤ45C,45Dとのなす角度θとを常に同一に保持する構成とした。なお、第一角度変更ギヤ54Aと第一伝達ギヤ53Aのギヤ比、第二角度変更ギヤ54Bと第二伝達ギヤ53Bのギヤ比の一方又は双方を変更してもよい。ギヤ比を変更することにより、回転軸線Rとワイヤ45A,45Bとのなす角度θ1と、回転軸線Rとワイヤ45C,45Dとのなす角度θ2の比率は1対5から5対1の範囲内にすることが好ましい。角度θ1と角度θ2の比率がこの範囲内にあると、橋梁91の片側でのみ橋梁点検装置90を使用するような場合に橋梁点検装置90を水平または水平近くに維持できる。この結果、橋梁点検装置90の姿勢を精度よく制御できる。
また、上述の実施形態では、3次元空間において、4本のワイヤ45A,45B,45C,45D及び4本の第一、第二アーム部材52A,52B,52C,52Dを用いた例について説明したが、ワイヤ及びアーム部材の数は3本又は5本を用いる構成としてもよい。ワイヤ及びアーム部材の数を3本用いる場合には橋梁点検装置90を安定性良く支持することができ、また、ワイヤ及びアーム部材を5本用いる場合にはワイヤ等の本数が多くなって構造が複雑化するのを防ぐことができる。
また、上述の実施形態において、センサロッド(ロッド部材)83としては、テレスコロッドのようなテレスコピック機構のもの、またパンタグラフ機構などその他の機構のものを採用することができる。要するに、ロッド部材としては、本体に設けられたロッド支持部材からその先端部までの距離を可変に調整可能なものであれば、採用することができる。
(6.実施形態の効果)
この姿勢制御装置1では、角度変更部50が回転軸線Rと本体81の一側面81Aに連結されるワイヤ45A,45Bとのなす角度θと、回転軸線Rと本体81の他側面81Bに連結されるワイヤ45C,45Dとのなす角度θとを一定割合に設定するので、この角度制御は不要となる。よって、橋梁点検装置90の姿勢は、回転駆動部10及び旋回駆動部30を制御すればよいので、比較的簡単な構成によって容易且つ正確に制御することができる。
1:姿勢制御装置 10:回転装置 30:旋回装置 45A,45B,45C,45D:ワイヤ 50:角度変更部 81:本体 83:センサロッド 90:橋梁点検装置

Claims (3)

  1. 線条体を一側面壁に連結するとともに前記線条体とは別の前記線条体を前記一側面壁に対向する他側面壁に連結し、前記各線条体を張ることで吊り下げられる箱状の本体と、
    前記本体の背面壁に設けられるロッド部材と、
    を備える吊り下げ物体であって、
    前記本体の一側面壁における前記線条体の連結点及び前記本体の他側面壁における前記線条体の連結点を通る回転軸線回りに、前記ロッド部材とともに前記本体を回転させる回転駆動部と、
    前記回転軸線と直角且つ前記ロッド部材のロッド軸線と直角で水平方向に延びる旋回軸線回りに、前記ロッド部材を旋回させる旋回駆動部と、
    前記回転軸線と前記本体の一側面壁に連結される前記線条体とのなす角度と、前記回転軸線と前記本体の他側面壁に連結される前記線条体とのなす角度とを一定割合に設定する角度変更部と、
    を備える、吊下げ物体の姿勢制御装置。
  2. 前記角度変更部は、
    一端が前記本体の一側面壁に対し前記回転軸線と直角で水平方向に延びる第一本体側軸ピンに連結されて、前記第一本体側軸ピンの軸線回りに回動自在に支持され、且つ前記本体の一側面壁に対し前記回転軸線回りに回動自在に支持される第一連結部材と、
    一端が前記第一連結部材の他端に連結され、他端が前記本体の一側面壁側に配置される前記線条体に連結される第一アーム部材と、
    一端が前記本体の他側面壁に対し前記回転軸線と直角で水平方向に延びる第二本体側軸ピンに連結されて、前記第二本体側軸ピンの軸線回りに回動自在に支持され、且つ前記本体の他側面壁に対し前記回転軸線回りに回動自在に支持される第二連結部材と、
    一端が前記第二連結部材の他端に連結され、他端が前記本体の他側面壁側に配置される前記線条体に連結される第二アーム部材と、
    を備える、
    請求項1に記載の吊下げ物体の姿勢制御装置。
  3. 前記ロッド部材は、前記本体に設けられたロッド支持部材からその先端部までの距離を可変に調整可能なものである、
    請求項1又は2に記載の吊下げ物体の姿勢制御装置。
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