JP2019018281A - 電解加工方法、孔あき部材の製造方法、加工用電極、及び、電解加工システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電解加工方法は、電解加工により被加工物に曲り形状の加工孔を形成する方法であって、加工用電極の内部流路に電解液を流通させ、加工用電極の先端面に設けられた内部流路の出口開口から電解液を噴出させるステップと、電解液を加工用電極の出口開口から噴出させながら、加工用電極と被加工物との間に電位差を印加するステップと、被加工物に曲り形状の加工孔を形成するステップと、を備え、電解液を噴出させるステップでは、加工用電極の先端面の軸心に対して、加工用電極の先端面の電流密度の分布、または、出口開口から噴出される電解液の流速分布の少なくとも一方を加工孔の曲り方向下流側に偏心させる。
【選択図】 図1
Description
電解加工により被加工物に曲り形状の加工孔を形成する電解加工方法であって、
加工用電極の内部流路に電解液を流通させ、前記加工用電極の先端面に設けられた前記内部流路の出口開口から前記電解液を噴出させるステップと、
前記電解液を前記加工用電極の前記出口開口から噴出させながら、前記加工用電極と前記被加工物との間に電位差を印加するステップと、
前記被加工物に前記曲り形状の加工孔を形成するステップと、を備え、
前記電解液を噴出させるステップでは、前記加工用電極の前記先端面の軸心に対して、前記加工用電極の先端面の電流密度の分布、または、前記出口開口から噴出される前記電解液の流速分布の少なくとも一方を前記加工孔の曲り方向下流側に偏心させる。
上記(1)の方法は本発明者らの上記知見に基づくものであり、該曲り形状の加工孔は、加工用電極に例えば流体導出部などを設けなくても、上述した偏心した方向に向かって湾曲する。ここで、被加工物の、曲り方向上流側に位置する内面に比べて、加工孔の曲り方向下流側に位置する内面は深く加工されるので、該内面と加工用電極の先端面との間の間隔が広がり、該間隔を流れる電解液の液圧が低下する。加工用電極は、周囲を流れる電解液の液圧により、上述した電解液の液圧が低下した方に、先端部が曲がるように促されて、被加工物を上述した偏心した方向に加工していく。したがって、上記の方法によれば、電極の構成の複雑化を回避しながら、曲り孔の形成を容易に行うことができる。
前記先端面のうち前記出口開口を除く領域の図心は、前記先端面の前記軸心に対して偏心しており、
前記軸心に対する前記領域の前記図心のずれ方向に前記加工孔を曲げて形成する。
前記内部流路は前記先端面において導電性部材により一部閉塞されることで、前記先端面のうち前記出口開口を除く領域の図心が前記軸心に対して偏心している。
前記出口開口の図心は、前記先端面の前記軸心に対して偏心しており、
前記軸心に対する前記出口開口の前記図心のずれ方向に前記加工孔を曲げて形成する。
前記内部流路は一部閉塞されることで、前記出口開口の前記図心が前記軸心に対して偏心している。
前記内部流路は間仕切部により複数に分割されており、前記複数に分割された前記内部流路のうちの少なくとも1つが閉塞される。
前記加工用電極の軸方向に直交する断面内において、前記内部流路の図心は前記加工用電極の軸心に対して偏心している。
前記加工用電極の先端には、周方向における少なくとも一部に、先端に向かうにつれて外形寸法が小さくなるようなテーパ面が形成されている。
上記(8)の方法によれば、テーパ面が形成された部分の近傍を流れる電解液が、電気絶縁層の外周と加工孔の内面との間に流れ込むことが容易になるので、電解加工の効率低下を防止できる。
前記電解液は、硝酸又は硝酸ナトリウムを含む。
上記(9)の方法によれば、電解液は電解加工能力の大きい硝酸又は硝酸ナトリウムを含むので、電解加工の効率化を図ることができる。
上記(1)〜(9)に記載の方法により前記被加工物に前記加工孔を形成して孔あき部材を製造するステップを備える。
上記(10)の方法によれば、上述した方法により、電極の構成の複雑化を回避しながら、加工孔の形成を容易に行うことができるので、加工孔を有する孔あき部材を容易に製造することができる。
前記孔あき部材は、前記加工孔としての曲り形状の冷却孔を有するガスタービン動翼である。
上記(11)の方法によれば、加工孔(冷却孔)の曲り形状をガスタービン動翼の幾何形状に沿って湾曲させたりすることができる。
電解加工により被加工物に曲り形状の加工孔を形成するための加工用電極であって、
前記加工用電極の軸方向に沿って電解液を流通可能に構成されている内部流路と、
前記電解液を噴出するための前記内部流路の出口開口が形成された先端面と、を備え、
前記先端面のうち前記出口開口を除いた領域の図心、または、前記出口開口の図心の少なくとも一方は、前記先端面の軸心に対して偏心している。
上記(12)に記載の前記加工用電極を備え、
前記加工用電極を用いた電解加工により前記被加工物に前記加工孔を形成可能に構成されている。
1つの前記加工用電極に形成された複数の前記内部流路それぞれへの前記電解液の供給量を調整可能に構成されている電解液供給量調整装置をさらに備える。
上記(14)の構造によれば、電解液供給量調整装置により内部流路を通る電解液の流速分布の偏心させることで、出口開口から噴出される電解液の流速分布が偏心するので、内部流路を通る電解液の流速分布が偏心した方向に加工孔を曲げて形成可能である。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
これにより、上述した原理に基づいて、加工孔5aは、加工用電極3に例えば流体導出部などを設けなくても、電流密度分布又は流速分布の偏心方向に向かって湾曲する。ここで、被加工物5の、曲り方向上流側に位置する内面5dに比べて、曲り方向下流側に位置する内面5cは深く加工されるので、該内面5cと加工用電極3の先端面3cとの間の間隔が広がり、該間隔を流れる電解液Wの液圧が低下する。加工用電極3は、周囲を流れる電解液Wの液圧により、上述した電解液Wの液圧が低下した方に、先端部が曲がるように促されて、被加工物5を上述した偏心した方向に加工していく。したがって、上記の方法によれば、電極(加工用電極3)の構成の複雑化を回避しながら、曲り孔(加工孔5a)の形成を容易に行うことができる。
図4は、図1に示すA−A線に沿う概略的な断面図であり、一実施形態に係る加工用電極3の先端面の構成を示している。図5は、図4に示す加工用電極3を用いて加工孔5aを形成する様子を示す図である。
図6及び図9は、図4と同様に、一実施形態に係る加工用電極3の先端面の構成を示している。図7及び図10は、それぞれ、図6及び図9に示す加工用電極3を用いて加工孔5aを形成する様子を示す図である。図8は、先端にテーパ面3g,3hが形成された加工用電極3を用いて加工孔5aを形成する様子を示す図である。
図11は、図1に示すA−A線に沿う概略的な断面図であり、一実施形態に係る加工用電極3の先端面の構成を示している。図12は、図11に示す加工用電極3を用いて加工孔5aを形成する様子を示す図である。
図13は、図11と同様に、一実施形態に係る加工用電極3の先端面の構成を示している。図14は、図13に示す加工用電極3を用いて加工孔5aを形成する様子を示す図である。
図15は、一実施形態に係る加工用電極3Gの断面図である。同図に示すように、加工用電極3Gの軸方向に直交する断面内において、内部流路3bの図心Cfは加工用電極3Gの軸心Ceに対して偏心している。なお、内部流路3bの図心Cfを加工用電極3Gの軸心Ceに対して偏心するように、加工用電極3Gの軸方向に直交する断面内における、内部流路3bの形状を出口開口3dの形状とは異なる形状にしてもよい。
2 電解加工システム
3,3A〜3G 加工用電極
3a 外筒部
3b 内部流路
3c 先端面
3d 出口開口
3f 間仕切部
3g,3h テーパ面
4 電気絶縁層
5 被加工物
5A 孔あき部材
5B ガスタービン動翼
5a 加工孔
5b〜5d 内面
6 電源
7 電解液供給装置
8 電解液供給量調整装置
9 電極送り装置
10 電極ガイド部材
11 閉塞部材
11a 導電性部材
11b 非導電性部材
Ca 先端面のうち出口開口を除く領域の図心
Ce 加工用電極の図心
Cf 内部流路の図心
Co 出口開口の図心
Cs 先端面の軸心
F1 第1領域
F2 第2領域
Ld 基準線
Le 加工用電極の軸線
Lm 加工線
Ls 先端面の軸線
T1,T2 肉厚
W 電解液
θ1,θ2 傾斜角
Claims (14)
- 電解加工により被加工物に曲り形状の加工孔を形成する電解加工方法であって、
加工用電極の内部流路に電解液を流通させ、前記加工用電極の先端面に設けられた前記内部流路の出口開口から前記電解液を噴出させるステップと、
前記電解液を前記加工用電極の前記出口開口から噴出させながら、前記加工用電極と前記被加工物との間に電位差を印加するステップと、
前記被加工物に前記曲り形状の加工孔を形成するステップと、を備え、
前記電解液を噴出させるステップでは、前記加工用電極の前記先端面の軸心に対して、前記加工用電極の先端面の電流密度の分布、または、前記出口開口から噴出される前記電解液の流速分布の少なくとも一方を前記加工孔の曲り方向下流側に偏心させる
ことを特徴とする電解加工方法。 - 前記先端面のうち前記出口開口を除く領域の図心は、前記先端面の前記軸心に対して偏心しており、
前記軸心に対する前記領域の前記図心のずれ方向に前記加工孔を曲げて形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の電解加工方法。 - 前記内部流路は前記先端面において導電性部材により一部閉塞されることで、前記先端面のうち前記出口開口を除く領域の図心が前記軸心に対して偏心していることを特徴とする請求項2に記載の電解加工方法。
- 前記出口開口の図心は、前記先端面の前記軸心に対して偏心しており、
前記軸心に対する前記出口開口の前記図心のずれ方向に前記加工孔を曲げて形成する
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電解加工方法。 - 前記内部流路は一部閉塞されることで、前記出口開口の前記図心が前記軸心に対して偏心していることを特徴とする請求項4に記載の電解加工方法。
- 前記内部流路は間仕切部により複数に分割されており、前記複数に分割された前記内部流路のうちの少なくとも1つが閉塞される
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の電解加工方法。 - 前記加工用電極の軸方向に直交する断面内において、前記内部流路の図心は前記加工用電極の軸心に対して偏心している
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の電解加工方法。 - 前記加工用電極の先端には、周方向における少なくとも一部に、先端に向かうにつれて外形寸法が小さくなるようなテーパ面が形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の電解加工方法。 - 前記電解液は、硝酸又は硝酸ナトリウムを含むことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の電解加工方法。
- 請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法により前記被加工物に前記加工孔を形成して孔あき部材を製造するステップを備えることを特徴とする孔あき部材の製造方法。
- 前記孔あき部材は、前記加工孔としての曲り形状の冷却孔を有するガスタービン動翼であることを特徴とする請求項10に記載の孔あき部材の製造方法。
- 電解加工により被加工物に曲り形状の加工孔を形成するための加工用電極であって、
前記加工用電極の軸方向に沿って電解液を流通可能に構成されている内部流路と、
前記電解液を噴出するための前記内部流路の出口開口が形成された先端面と、を備え、
前記先端面のうち前記出口開口を除いた領域の図心、または、前記出口開口の図心の少なくとも一方は、前記先端面の軸心に対して偏心している
ことを特徴とする加工用電極。 - 請求項12に記載の前記加工用電極を少なくとも備え、
前記加工用電極を用いた電解加工により前記被加工物に前記加工孔を形成可能に構成されている
ことを特徴とする電解加工システム。 - 1つの前記加工用電極に形成された複数の前記内部流路それぞれへの前記電解液の供給量を調整可能に構成されている電解液供給量調整装置をさらに備える
ことを特徴とする請求項13に記載の電解加工システム。
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