JP2019017323A - 野生鳥獣肉製品の製造方法及び屋内製造施設 - Google Patents
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Abstract
【課題】作業者の熟練度にかかわらず、品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造することができる野生鳥獣肉製品の製造方法及び屋内製造施設を提供すること。【解決手段】血液抜き処理が行われた野生鳥獣から野生鳥獣肉製品を屋内製造施設内で製造する野生鳥獣肉製品の製造方法であって、血抜き処理が行われた野生鳥獣から被処理体としての枝肉を準備する準備工程と、被処理体と殺菌液とを接触させることにより被処理体を洗浄しながら殺菌して処理体を得る洗浄殺菌処理工程と、処理体を食肉処理して野生鳥獣肉製品を得る食肉処理工程とを含む、野生鳥獣肉製品の製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、野生鳥獣肉製品の製造方法及び屋内製造施設に関する。
イノシシ、シカなどの野生鳥獣は、農作物被害や山林被害を起こす有害鳥獣として狩猟者によって捕獲され駆除されており、現在、駆除された有害鳥獣の大半は埋設処分されている。
一方、野生鳥獣の中でも、例えばイノシシやシカは、筋肉内の脂肪を効率よく燃焼させるLカルチニンや、抗酸化作用、疲労回復、老化防止に効くアンセリンを豚肉より多く含有していることも知られている。
このため、近年では、捕獲された野生鳥獣の食用肉としての利用を促進することが検討されている。例えば、下記非特許文献1では、イノシシなどの野生鳥獣を捕獲して奪命させた後、捕獲・狩猟現場にて又は解体処理施設に搬入して血抜きを行い、内臓を摘出し、得られた肉体を水槽内にて流水に漬け、水槽から引き上げてから枝肉加工作業場所にて皮剥ぎを行い、枝肉状態にした後、精肉処理することによってイノシシ肉製品を製造する方法が開示されている。
"獣肉の資源利用"、[online]、平成20年12月18日、鳥取県、[平成28年12月8日検索]、インターネット<URL:http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/258826/satoyama_hokaku_kaitai.pdf>
しかし、上記非特許文献1に記載のイノシシ肉製品の製造方法は以下の課題を有していた。
すなわち、上記製造方法は、品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造する点で改善の余地を有していた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造することができる野生鳥獣肉製品の製造方法及び屋内製造施設を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記非特許文献1記載のイノシシ肉製品の製造方法において、上記課題が生じる原因について検討した。まず、野生鳥獣の体毛の間や表皮には多くの切断時血液、付着雑菌、寄生虫、付着臭等(以下、「表面付着物」と呼ぶ)が存在しており、上記表面付着物は腐敗要因となるだけでなく臭いや食中毒の原因ともなる。このため、この表面付着物が精肉処理工程に持ち込まれる場合があることで品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造することができないのではないかと本発明者らは考えた。一方、上記非特許文献1記載の製造方法では、内臓摘出後の肉体が、皮剥ぎの前に流水に漬けられ、さらに皮剥ぎも行われるので、枝肉においては上記表面付着物が十分に除去されているものと本発明者らは考えていた。実際、本発明者らが、枝肉を水に浸漬して放置した後、水の透明度を確認したところ、透明度は高く、あまり変わらなかった。しかし、本発明者らが、枝肉を水に漬けて枝肉に超音波振動を付与したところ、水の透明度が低くなることが確認された。このとき、水には血液のほか、体毛などが含まれていた。このことから、本発明者らは枝肉であっても、表面付着物は実際には十分に残留しており、この表面付着物によって品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造することができないのではないかと考えた。また、本発明者らは、非特許文献1記載の製造方法のように、内臓摘出後の肉体を皮剥ぎ前に流水に漬ける操作を循環水水槽で再現してみたところ、槽内に血、土などの、体毛に付着した残渣物を多く確認した。このため、非特許文献1記載の製造方法のように内臓摘出後の肉体を槽内から引き上げ、枝肉加工作業場所にて皮剥ぎを行うのは、枝肉加工作業場所に野生残渣物を持ち込むことになり、野生残渣物による枝肉への再汚染が懸念された。そこで、本発明者らはさらに鋭意研究を重ねた結果、以下の発明により上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、血抜き処理が行われた野生鳥獣から野生鳥獣肉製品を屋内製造施設内で製造する野生鳥獣肉製品の製造方法であって、血抜き処理が行われた野生鳥獣から被処理体としての枝肉を準備する準備工程と、前記被処理体と殺菌液とを接触させることにより前記被処理体を洗浄しながら殺菌して処理体を得る洗浄殺菌処理工程と、前記処理体を食肉処理して前記野生鳥獣肉製品を得る食肉処理工程とを含む野生鳥獣肉製品の製造方法である。
本発明の野生鳥獣肉製品の製造方法によれば、屋内製造施設内において血抜き処理が行われた野生鳥獣から野生鳥獣肉製品が製造される。この製造過程における洗浄殺菌処理工程において、被処理体としての枝肉と殺菌液とが接触されることにより被処理体が洗浄されながら殺菌されて処理体が得られる。このため、被処理体としての枝肉に表面付着物が付着していても、食肉処理工程においては、表面付着物が除去又は殺菌されていることとなるため、品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造することができる。
また、食肉処理工程において、表面付着物が除去又は殺菌されていることとなるため、枝肉に上記表面付着物を付着させないようにする作業において、作業者の熟練を要することなく、品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造できる。特に、野生鳥獣は通常、季節差、地域環境差が大きく、安定した捕獲ができないため、大量生産が困難であり、作業に熟練することが困難である。このため、本発明は、作業者の熟練度によらず、品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造する上で極めて有用である。
上記野生鳥獣肉製品の製造方法においては、前記洗浄殺菌処理工程において、前記被処理体を前記屋内製造施設内に設置された浸漬槽内の殺菌液に浸漬させることにより前記被処理体と前記殺菌液とを接触させ、前記浸漬槽内の前記殺菌液に流れを発生させることが好ましい。
浸漬槽内の殺菌液に流れを発生させると、この流れにより、被処理体の洗浄が促進される。このため、殺菌液に流れを発生させない場合に比べて、被処理体において洗浄を効果的に行うことが可能となる。このため、洗浄がより十分に行われた野生鳥獣肉製品を安定して製造することができる。
上記野生鳥獣肉製品の製造方法においては、前記洗浄殺菌処理工程において、前記被処理体を前記屋内製造施設内に設置された浸漬槽内の殺菌液に浸漬させることにより前記被処理体と前記殺菌液とを接触させ、前記殺菌液に振動を付与することが好ましい。
この場合、殺菌液に付与される振動により被処理体にも振動を付与することが可能となり、殺菌液に振動を付与しない場合に比べて、被処理体において洗浄をより促進させることが可能となる。このため、洗浄がより十分に行われた野生鳥獣肉製品を安定して製造することができる。
また本発明は、血抜き処理が行われた野生鳥獣から野生鳥獣肉製品を製造する野生鳥獣肉製品の屋内製造施設であって、血抜き処理が行われた野生鳥獣から準備される被処理体としての枝肉と殺菌液とを接触させることにより前記被処理体を洗浄しながら殺菌して処理体を得る洗浄殺菌処理装置と、前記処理体を食肉処理する食肉処理装置とを含む野生鳥獣肉製品の屋内製造施設である。
本発明の野生鳥獣肉製品の屋内製造施設によれば、血抜き処理が行われた野生鳥獣から野生鳥獣肉製品が製造される。この製造施設における洗浄殺菌処理装置において、被処理体と殺菌液とが接触されることにより被処理体が洗浄されながら殺菌されて処理体が得られる。このため、被処理体としての枝肉に表面付着物が付着していても、食肉処理装置において表面付着物が除去又は殺菌されていることとなるため、品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造することができる。
また、食肉処理装置において、表面付着物が除去又は殺菌されていることとなるため、枝肉に上記表面付着物を付着させないようにする作業において、作業者の熟練を要することなく、品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造できる。特に、野生鳥獣は季節差、地域環境差が大きく、安定した捕獲ができないため、大量生産が困難であり、作業に熟練することが困難である。このため、本発明は、作業者の熟練度によらず、品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造する上で極めて有用である。
上記野生鳥獣肉製品の屋内製造施設においては、前記洗浄殺菌処理装置が、前記被処理体を浸漬させる殺菌液を貯留する浸漬槽と、前記殺菌液に流れを発生させる流れ発生装置とを更に備えることが好ましい。
この場合、流れ発生装置により浸漬槽内の殺菌液に流れを発生させることが可能となり、この流れにより、被処理体の洗浄が促進される。このため、殺菌液に流れを発生させない場合に比べて、被処理体において洗浄を効果的に行うことが可能となる。このため、洗浄がより十分に行われた野生鳥獣肉製品を安定して製造することができる。
上記野生鳥獣肉製品の屋内製造施設においては、前記洗浄殺菌処理装置が、前記被処理体を浸漬させる殺菌液を貯留する浸漬槽と、前記殺菌液に振動を付与する振動付与装置を更に備えることが好ましい。
この場合、洗浄殺菌処理装置の振動付与装置により、浸漬槽の殺菌液に振動が付与され、殺菌液に付与される振動により被処理体にも振動が付与される。このため、殺菌液に振動を付与しない場合に比べて、被処理体において洗浄をより促進させることが可能となる。このため、洗浄がより十分に行われた野生鳥獣肉製品を安定して製造することができる。
なお、本発明において、「血抜き処理が行われた野生鳥獣」とは、狩猟者によって捕獲されて奪命された後、血抜き処理が行われた野生鳥獣であって内臓摘出及び皮剥ぎがまだ行われていない状態の野生鳥獣をいう。
また、本発明において、「野生鳥獣」とは、野生に生息する鳥獣又は野生に生息する鳥獣を捕獲した後一定期間飼育した鳥獣であり、「野生鳥獣」には、シカ、イノシシ、ノウサギ、クマ、マガモ、アヒル、ヤマウズラ、キジ、ライチョウ、ヤマシギ、キョンなどが含まれる。
また、本発明において、「被処理体」とは、洗浄殺菌処理工程又は洗浄殺菌処理装置において、殺菌液と接触される直前のものをいう。
また、本発明において、「枝肉」とは、血抜きされた野生鳥獣から内臓摘出及び皮剥ぎが行われた状態の肉体を言い、頭部が切断されている肉体のみならず、頭部が切断されていない肉体をも含むものとする。
また、本発明において、「枝肉」とは、血抜きされた野生鳥獣から内臓摘出及び皮剥ぎが行われた状態の肉体を言い、頭部が切断されている肉体のみならず、頭部が切断されていない肉体をも含むものとする。
さらに、本発明において、「処理体」とは、洗浄殺菌処理工程又は洗浄殺菌処理装置において、殺菌液と接触させた直後のものをいう。
さらにまた、本発明において、「野生鳥獣肉製品」とは、処理体そのもの、又は、処理体に対して熟成、解体等の処理を行ったものをいう。
本発明によれば、品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造することができる野生鳥獣肉製品の製造方法及び屋内製造施設が提供される。
以下、本発明の野生鳥獣肉製品の屋内製造施設の実施形態について図1及び図2を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の野生鳥獣肉製品の屋内製造施設の一実施形態を示すフロー図、図2は、図1の洗浄殺菌処理装置の一例を概略的に示す部分断面図である。
図1に示すように、野生鳥獣肉製品の屋内製造施設100は、血抜き処理が行われた野生鳥獣から野生鳥獣肉製品を製造するものであり、血抜き処理が行われた野生鳥獣(以下、「血抜き野生鳥獣」と呼ぶ)を受け入れて洗浄する洗浄部10と、血抜き野生鳥獣から内臓を摘出して皮剥ぎを行い、被処理体としての枝肉を得る内臓摘出・皮剥ぎ部20と、被処理体と殺菌液とを接触させることにより被処理体を洗浄しながら殺菌して処理体を得る洗浄殺菌処理装置30と、処理体を食肉処理する食肉処理装置40とを備える。食肉処理装置40は、熟成保管する熟成保管部50と、熟成された処理体を解体して包装することによって製品処理を行い、野生鳥獣肉製品を得る製品処理部60と、野生鳥獣肉製品を冷凍保管又は冷蔵保管する冷凍冷蔵保管庫70とを備える。
図2に示すように、洗浄殺菌処理装置30は、被処理体と接触させる殺菌液Lが貯留され、屋内製造施設100内に設置された浸漬槽1と、浸漬槽1の殺菌液Lに流れを発生させる流れ発生装置2と、殺菌液Lに振動を付与する振動付与装置3と、殺菌液Lを冷却する冷却装置4とを備えている。
次に、野生鳥獣肉製品の屋内製造施設100を用いた野生鳥獣肉製品の製造方法について図1〜図3を参照しながら説明する。図3は、図2の洗浄殺菌処理装置30を用いた洗浄殺菌処理工程を示す図である。
野生鳥獣肉製品の屋内製造施設100においては、まず、洗浄部10にて、受け入れた血抜き野生鳥獣を洗浄する。
血抜き野生鳥獣は、例えば捕獲されて奪命された野生鳥獣に対し、その血液が血管の中で固まらないうちに野生鳥獣をナイフで刺して野生鳥獣の肺動脈や大動脈を切断し放血させることで得ることができる。
次に、内臓摘出・皮剥ぎ部20にて、血抜き野生鳥獣から内臓を摘出して皮剥ぎを行い、被処理体としての枝肉を得る。こうして被処理体を準備する(準備工程)。
次に、洗浄殺菌処理装置30にて、上記被処理体と殺菌液とを接触させることにより被処理体を洗浄しながら殺菌して処理体を得る(洗浄殺菌処理工程)。具体的には、洗浄殺菌処理装置30においては、図3に示すように、上記被処理体Mを浸漬槽1の殺菌液L内に浸漬させることにより、被処理体Mと殺菌液Lとを接触させる。このとき、浸漬槽1の殺菌液Lには流れ発生装置2により流れを発生させ、振動付与装置3により振動を付与するとともに、冷却装置4により殺菌液Lの冷却を行う。
次に、食肉処理装置40の熟成保管部50にて、処理体を熟成保管する。
次に、食肉処理装置40の製品処理部60にて、熟成された処理体を解体して包装する。こうして野生鳥獣肉製品が得られる。なお、野生鳥獣製品は、長期間にわたって保管する場合には、冷凍冷蔵保管庫70にて冷凍保管され、短期で出荷される場合には、冷蔵保管される。
上記野生鳥獣肉製品の製造方法においては、屋内製造施設100内において血抜き処理が行われた野生鳥獣から野生鳥獣肉製品が製造される。この製造過程における洗浄殺菌処理装置30において、被処理体Mと殺菌液Lとが接触されることにより被処理体Mが洗浄されながら殺菌されて処理体が得られる。このため、被処理体Mとしての枝肉に表面付着物(切断時血液、付着雑菌、寄生虫、付着臭等)が付着していても、食肉処理装置40においては、表面付着物が除去又は殺菌されていることとなる。このため、野生鳥獣肉製品の屋内製造施設100によれば、品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造することができる。
また、食肉処理装置40において、表面付着物が除去又は殺菌されていることとなるため、枝肉に上記表面付着物を付着させないようにする作業において、作業者の熟練を要することなく、品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造できる。特に、野生鳥獣は季節差、地域環境差が大きく、安定した捕獲ができないため、大量生産が困難であり、作業に熟練することが困難である。このため、野生鳥獣肉製品の屋内製造施設100は、作業者の熟練度によらず、品質の高い衛生的な野生鳥獣肉製品を安定して製造する上で極めて有用である。
また、洗浄殺菌処理装置30においては、流れ発生装置2により浸漬槽1の殺菌液Lに流れを発生させることが可能となり、この流れにより、被処理体Mの洗浄が促進される。このため、殺菌液Lに流れを発生させない場合に比べて、被処理体Mにおいて洗浄を効果的に行うことが可能となる。このため、洗浄がより十分に行われた野生鳥獣肉製品を安定して製造することができる。
また、洗浄殺菌処理工程においては、振動付与装置3により殺菌液Lに振動が付与され、殺菌液Lに付与される振動により被処理体Mにも振動が付与される。このため、殺菌液Lに振動を付与しない場合に比べて、被処理体Mにおいて洗浄をより促進させることが可能となる。このため、洗浄がより十分に行われた野生鳥獣肉製品を安定して製造することができる。
さらに、洗浄殺菌処理工程においては、冷却装置4により殺菌液Lの冷却が行われる。このため、殺菌液Lの温度を低下させることができ、被処理体Mの残留体内細菌の増殖を抑制することができるとともに、被処理体Mの鮮度を保つこともできる。
次に、上述した浸漬槽1、流れ発生装置2、振動付与装置3、冷却装置4及び洗浄殺菌処理工程について詳細に説明する。
(浸漬槽)
浸漬槽1の形状は、特に限定されるものではなく、円筒形、角筒形など種々の形状であってもよい。
浸漬槽1の形状は、特に限定されるものではなく、円筒形、角筒形など種々の形状であってもよい。
浸漬槽1の殺菌液Lは、被処理体Mの少なくとも一部を浸漬させることができる程度に貯留されていればよい。殺菌液Lは被処理体Mの全部を浸漬させることができる程度に貯留されていることが好ましい。
殺菌液Lは水及び殺菌剤を含む。殺菌剤としては、例えば次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム及び塩化ナトリウムなどの電解質が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
殺菌液L中の殺菌剤の濃度は特に制限されるものではないが、80ppm以上であることが好ましい。この場合、殺菌剤の濃度が80ppm未満である場合に比べて、殺菌をより促進できる。但し、殺菌液L中の殺菌剤の濃度は1200ppm以下であることが好ましい。この場合、殺菌剤の濃度が1200ppmを超える場合に比べて、殺菌剤の使用量を抑えることができる。殺菌液L中の殺菌剤の濃度は1000ppm以下であることがより好ましい。
浸漬槽1の内壁面の色は特に制限されるものではなく、赤色や赤色以外の色でよいが、赤色以外の色(例えば青色又は白色)であることが好ましい。この場合、洗浄が行われたかどうかを目視にて容易に判別することができる。
なお、浸漬槽1には、図2及び図3に示すように、浸漬槽1の殺菌液Lがオーバーフローした場合に備えて、浸漬槽1の側壁の上端に切欠き5が形成され、オーバーフローした殺菌液Lが切欠き5を通って浸漬槽1の外へ排出されるようになっていてもよい。また、浸漬槽1には、図2及び図3に示すように、浸漬槽1内の殺菌液Lを排出するためのドレインDが設けられていてもよい。
(流れ発生装置)
流れ発生装置2は、浸漬槽1の殺菌液Lに流れを発生させるものであればよい。このような流れ発生装置2としては、例えば循環ポンプが挙げられる。循環ポンプによって殺菌液Lを吸い込んだ後、浸漬槽1内に排出することで殺菌液Lを循環させれば、殺菌液Lに流れを発生させることができる。
流れ発生装置2は、浸漬槽1の殺菌液Lに流れを発生させるものであればよい。このような流れ発生装置2としては、例えば循環ポンプが挙げられる。循環ポンプによって殺菌液Lを吸い込んだ後、浸漬槽1内に排出することで殺菌液Lを循環させれば、殺菌液Lに流れを発生させることができる。
(振動付与装置)
振動付与装置3は、浸漬槽1の殺菌液Lに振動を付与できるものであればよい。このような振動付与装置3としては、例えば超音波振動装置、加振器などが挙げられる。中でも、超音波振動装置が好ましい。この場合、超音波振動装置は殺菌液Lを経て被処理体Mに超音波振動を付与できる。この場合、付与する振動が超音波振動でない場合に比べて、被処理体Mにおいて洗浄をより促進させることが可能となる。このため、洗浄がより十分に行われた野生鳥獣肉製品を製造することができる。振動付与装置3が超音波振動装置である場合、振動付与装置3は浸漬槽1の内側であって且つ浸漬槽1の底面に接触するように設けられることが好ましい(図2参照)。この場合、被処理体M全体に振動を与え、被処理体M全体を洗浄できる。なお、振動付与装置3が加振器である場合、振動付与装置3は通常、浸漬槽1の外側であって且つ浸漬槽1の底面に設けられる。
振動付与装置3は、浸漬槽1の殺菌液Lに振動を付与できるものであればよい。このような振動付与装置3としては、例えば超音波振動装置、加振器などが挙げられる。中でも、超音波振動装置が好ましい。この場合、超音波振動装置は殺菌液Lを経て被処理体Mに超音波振動を付与できる。この場合、付与する振動が超音波振動でない場合に比べて、被処理体Mにおいて洗浄をより促進させることが可能となる。このため、洗浄がより十分に行われた野生鳥獣肉製品を製造することができる。振動付与装置3が超音波振動装置である場合、振動付与装置3は浸漬槽1の内側であって且つ浸漬槽1の底面に接触するように設けられることが好ましい(図2参照)。この場合、被処理体M全体に振動を与え、被処理体M全体を洗浄できる。なお、振動付与装置3が加振器である場合、振動付与装置3は通常、浸漬槽1の外側であって且つ浸漬槽1の底面に設けられる。
(冷却装置)
冷却装置4は、殺菌液Lを冷却できるものであればよい。このような冷却装置4としては、例えば図2に示すように、本体部4aと、本体部4aに接続され、殺菌液Lに浸漬される冷却コイル4bとを備える冷却器が挙げられる。あるいは、冷却装置4は、冷却水を循環させる循環ポンプと、循環ポンプに接続されるとともに殺菌液Lに浸漬され、冷却水を還流させる冷却管とを有するもので構成されてもよい。
冷却装置4は、殺菌液Lを冷却できるものであればよい。このような冷却装置4としては、例えば図2に示すように、本体部4aと、本体部4aに接続され、殺菌液Lに浸漬される冷却コイル4bとを備える冷却器が挙げられる。あるいは、冷却装置4は、冷却水を循環させる循環ポンプと、循環ポンプに接続されるとともに殺菌液Lに浸漬され、冷却水を還流させる冷却管とを有するもので構成されてもよい。
(洗浄殺菌処理工程)
洗浄殺菌処理工程による処理時間は、特に制限されないが、0.5時間以上であることが好ましい。この場合、洗浄殺菌処理工程による処理時間が0.5時間未満である場合に比べて、被処理体Mの洗浄殺菌がより十分に行われる。但し、洗浄殺菌処理工程による処理時間は、3時間以下であることが好ましい。この場合、洗浄殺菌処理工程による処理時間が3時間を超える場合に比べて、洗浄時間が短縮される。
洗浄殺菌処理工程による処理時間は、特に制限されないが、0.5時間以上であることが好ましい。この場合、洗浄殺菌処理工程による処理時間が0.5時間未満である場合に比べて、被処理体Mの洗浄殺菌がより十分に行われる。但し、洗浄殺菌処理工程による処理時間は、3時間以下であることが好ましい。この場合、洗浄殺菌処理工程による処理時間が3時間を超える場合に比べて、洗浄時間が短縮される。
振動付与装置3として超音波振動装置が用いられる場合、その振動周波数は特に限定されるものではないが、28〜40kHzであることが好ましい。この場合、振動周波数が上記範囲を外れる場合に比べて、被処理体Mにおいて洗浄をより一層促進させることが可能となる。さらに、超音波出力の強度も特に限定されるものではないが、0.6〜1W/cm2であることが好ましい。この場合、超音波出力が上記範囲を外れる場合に比べて、被処理体Mにおいて洗浄をより一層促進させることが可能となる。
冷却装置4は、殺菌液Lを0℃より高く10℃以下の温度に冷却することが好ましい。この場合、殺菌液Lが10℃より高い温度に冷却される場合に比べて、被処理体Mの残留体内細菌の増殖を抑制することができるとともに、被処理体Mの鮮度をより良好に保つこともできる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、洗浄殺菌処理装置30が浸漬槽1のほか、流れ発生装置2、振動付与装置3、及び冷却装置4を備えているが、流れ発生装置2、振動付与装置3、及び冷却装置4のうち一部又は全部が省略されてもよい。
また、上記実施形態では、洗浄殺菌処理装置30が、殺菌液Lが貯留された浸漬槽1を備えているが、浸漬槽1に代えて、殺菌液Lを被処理体Mに噴霧する噴霧装置を備えてもよい。噴霧装置によって殺菌液Lが被処理体Mに噴霧されても、殺菌液Lと被処理体Mとが接触され、被処理体Mは洗浄されながら殺菌されることになる。
さらに、上記実施形態では、野生鳥獣肉製品の屋内製造施設100が洗浄部10及び内臓摘出・皮剥ぎ部20を有しているが、洗浄部10及び内臓摘出・皮剥ぎ部20の一部又は全部が省略されてもよい。なお、洗浄部10及び内臓摘出・皮剥ぎ部20の全部が省略される場合、野生鳥獣肉製品の屋内製造施設100で受け入れられた血抜き野生鳥獣がそのまま被処理体Mとなる。
また、上記実施形態では、野生鳥獣肉製品の屋内製造施設100が熟成保管部50、製品処理部60及び冷凍冷蔵保管庫70を有しているが、熟成保管部50、製品処理部60及び冷凍冷蔵保管庫70の一部又は全部が省略されてもよい。なお、熟成保管部50、製品処理部60及び冷凍冷蔵保管庫70の全部が省略される場合、処理体がそのまま野生鳥獣肉製品となる。
1…浸漬槽
2…流れ発生装置
3…振動付与装置
4…冷却装置
5…切欠き
10…洗浄部
20…内臓摘出・皮剥ぎ部
30…洗浄殺菌処理装置
40…食肉処理装置
100…野生鳥獣肉製品の屋内製造施設
L…殺菌液
M…被処理体
D…ドレイン
2…流れ発生装置
3…振動付与装置
4…冷却装置
5…切欠き
10…洗浄部
20…内臓摘出・皮剥ぎ部
30…洗浄殺菌処理装置
40…食肉処理装置
100…野生鳥獣肉製品の屋内製造施設
L…殺菌液
M…被処理体
D…ドレイン
すなわち、本発明は、血抜き処理が行われた野生鳥獣から野生鳥獣肉製品を屋内製造施設内で製造する野生鳥獣肉製品の製造方法であって、血抜き処理が行われた野生鳥獣から被処理体としての枝肉を準備する準備工程と、前記被処理体と殺菌液とを接触させることにより前記被処理体を洗浄しながら殺菌して処理体を得る洗浄殺菌処理工程と、前記処理体を食肉処理して前記野生鳥獣肉製品を得る食肉処理工程とを含み、前記洗浄殺菌処理工程において、前記殺菌液の冷却を行う、野生鳥獣肉製品の製造方法である。
また本発明は、血抜き処理が行われた野生鳥獣から野生鳥獣肉製品を製造する野生鳥獣肉製品の屋内製造施設であって、血抜き処理が行われた野生鳥獣から準備される被処理体としての枝肉と殺菌液とを接触させることにより前記被処理体を洗浄しながら殺菌して処理体を得る洗浄殺菌処理装置と、前記処理体を食肉処理する食肉処理装置とを含み、前記洗浄殺菌処理装置が、前記殺菌液を冷却する冷却装置を備える野生鳥獣肉製品の屋内製造施設である。
Claims (6)
- 血抜き処理が行われた野生鳥獣から野生鳥獣肉製品を屋内製造施設内で製造する野生鳥獣肉製品の製造方法であって、
血抜き処理が行われた野生鳥獣から被処理体としての枝肉を準備する準備工程と、
前記被処理体と殺菌液とを接触させることにより前記被処理体を洗浄しながら殺菌して処理体を得る洗浄殺菌処理工程と、
前記処理体を食肉処理して前記野生鳥獣肉製品を得る食肉処理工程とを含む野生鳥獣肉製品の製造方法。 - 前記洗浄殺菌処理工程において、前記被処理体を前記屋内製造施設内に設置された浸漬槽内の殺菌液に浸漬させることにより前記被処理体と前記殺菌液とを接触させ、前記浸漬槽内の前記殺菌液に流れを発生させる、請求項1に記載の野生鳥獣肉製品の製造方法。
- 前記洗浄殺菌処理工程において、前記被処理体を前記屋内製造施設内に設置された浸漬槽内の殺菌液に浸漬させることにより前記被処理体と前記殺菌液とを接触させ、前記殺菌液に振動を付与する、請求項1に記載の野生鳥獣肉製品の製造方法。
- 血抜き処理が行われた野生鳥獣から野生鳥獣肉製品を製造する野生鳥獣肉製品の屋内製造施設であって、
血抜き処理が行われた野生鳥獣から準備される被処理体としての枝肉と殺菌液とを接触させることにより前記被処理体を洗浄しながら殺菌して処理体を得る洗浄殺菌処理装置と、
前記処理体を食肉処理する食肉処理装置とを含む、野生鳥獣肉製品の屋内製造施設。 - 前記洗浄殺菌処理装置が、
前記被処理体を浸漬させる殺菌液を貯留する浸漬槽と、
前記殺菌液に流れを発生させる流れ発生装置とを更に備える、請求項4に記載の野生鳥獣肉製品の屋内製造施設。 - 前記洗浄殺菌処理装置が、
前記被処理体を浸漬させる殺菌液を貯留する浸漬槽と、
前記殺菌液に振動を付与する振動付与装置とを更に備える、請求項4に記載の野生鳥獣肉製品の屋内製造施設。
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JP2008301784A (ja) * | 2007-06-08 | 2008-12-18 | Mayekawa Mfg Co Ltd | 食肉処理場の冷却作湯方法及び装置 |
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