JP2019015885A - 着色組成物、硬化物、及び画像表示装置 - Google Patents

着色組成物、硬化物、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱による吸光度低下が大幅に抑制でき、カラーフィルタ製造工程における耐熱性が十分な着色組成物を提供する。【解決手段】(a)着色剤、(b)分散剤、及び(c)溶剤を含む着色組成物であって、(a)着色剤が、トリアリールメタン系化合物を含み、(b)分散剤が、芳香族複素環を含む吸着基を有する分散剤(b1)を含有する着色組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、着色組成物、硬化物、及び画像表示装置に存する。
液晶表示装置及び有機EL(Electroluminescence)表示装置を始めとするフラットパネルディスプレイは、幅広く使用されており、これらのディスプレイにはカラーフィルタが使用されている。省エネルギー化という時代の流れを汲んで、カラーフィルタには更なる高色純度化、高輝度化及び高コントラスト化が求められている。
これまで、カラーフィルタ形成用材料として、顔料を用いた着色組成物が主に使用されているが、高輝度及び高コントラストとするために、例えば、非特許文献1では顔料粒子の粒径をその呈色波長の1/2以下にまで微分散する方法が開示されている。
一方、高輝度な着色組成物を得る方法として、従来の顔料に加え、高輝度を示す別の着色剤を任意の割合で配合することが知られている。例えば、特許文献1〜3には、色材として顔料とトリアリールメタン系化合物を含む着色組成物が開示されている。
国際公開第2012/129318号パンフレット 特開2014−012814号公報 特開2012−083652号公報
橋爪清、「色材協会誌」、1967年12月、p608
しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、特に青色顔料は他の赤色、緑色顔料に比較して呈色波長が短いため、この場合はさらなる微分散を必要とし、コストアップ並びに分散後の安定性が問題となる。
また、本発明者らの検討によると、特許文献1〜3に記載の着色組成物では、カラーフィルタ製造工程における230℃での焼成時に、そこに含まれるトリアリールメタン系化合物の吸収極大における吸光度の低下が大きく、耐熱性が十分でないことが見出された。
そこで本発明は、加熱による吸光度低下が大幅に抑制でき、カラーフィルタ製造工程における耐熱性が十分な着色組成物を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、着色組成物に含まれる分散剤として、特定の分散剤を含有させることで上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は以下を要旨とする。
[1] (a)着色剤、(b)分散剤、及び(c)溶剤を含む着色組成物であって、
前記(a)着色剤が、トリアリールメタン系化合物を含み、
前記(b)分散剤が、芳香族複素環を含む吸着基を有する分散剤(b1)を含有することを特徴とする着色組成物。
[2] 前記分散剤(b1)の吸着基に含まれる芳香族複素環が、イミダゾール環、ピリジン環、又はカルバゾール環である、請求項1に記載の着色組成物。
[3] 前記トリアリールメタン系化合物が、下記一般式(I)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載の着色組成物。
Figure 2019015885
(式(I)中、R1〜R4は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
Arは置換基を有していてもよい1価の芳香族環基を表す。
nは0又は1を表し、0のとき結合は存在しない。
Xは、a価の連結基を表す。
c-は、c価のアニオンを表す。
a、b、c、及びdは1〜4の整数を表し、a×b=c×dの関係を満たす。
mは0又は1を表す。mが0のとき結合は存在せず、aは1である。)
[4] 前記(a)着色剤がさらに顔料を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の着色組成物。
[5] さらに(d)バインダー樹脂を含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の着色組成物。
[6] さらに(e)光重合性モノマー及び(f)光重合開始剤を含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の着色組成物。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の着色組成物から構成される硬化物。
[8] [7]に記載の硬化物を有する画像表示装置。
本発明によれば、加熱による吸光度低下が大幅に抑制でき、カラーフィルタ製造工程における耐熱性が十分な着色組成物を提供することができる。
図1は、本発明のカラーフィルタを有する有機EL素子の一例を示す断面概略図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下の記載は本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及びメタクリルのうち少なくとも一方」、「アクリレート及びメタクリレートのうち少なくとも一方」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一方」を意味するものとする。
また「全固形分」とは、本発明の着色組成物に含まれる溶剤以外の全成分を意味するものとする。
更に、「芳香族環」とは、「芳香族炭化水素環」及び「芳香族複素環」の双方を意味するものとする。
また、「C.I.ピグメントグリーン」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)所収の色材名称を意味する。
本発明の着色組成物は、(a)着色剤、(b)分散剤、及び(c)溶剤を含み、前記(a)着色剤が、トリアリールメタン系化合物を含み、前記(b)分散剤が、芳香族複素環を含む吸着基を有する分散剤(b1)を含有するものである。さらに、(d)バインダー樹脂、(e)光重合性モノマー、及び(f)光重合開始剤を含有することが好ましく、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。
[(a)着色剤]
本発明の着色組成物は、(a)着色剤を含む。着色剤は着色組成物を着色する成分である。(a)着色剤を含むことで、所望の光吸収性を得ることができる。(a)着色剤としては、顔料を用いてもよいし、染料を用いてもよい。
(トリアリールメタン系化合物)
本発明の着色組成物において、(a)着色剤はトリアリールメタン系化合物を含む。トリアリールメタン系化合物は一般的に、その極大吸収波長付近に鋭い吸収ピークを持ち、その他の波長領域における吸収が小さく、特に青色着色組成物においては青色光である450nm付近の吸収が小さいことから、得られる青色画素等のパターンが高輝度となると考えられる。
トリアリールメタン系化合物とは、少なくともトリアリールメタン構造を含む化合物を意味する。トリアリールメタンにおけるアリールとは、芳香族環基を意味し、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基を意味する。つまり、トリアリールメタン系化合物は、3つの芳香族環基が少なくともsp2炭素で結合された化合物を意味する。なお、sp2炭素以外の連結基でさらに連結されていてもよい。
トリアリールメタン構造におけるアリール、つまり芳香族環基の炭素数は特に限定されないが、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、30以下がさらに好ましく、20以下が特に好ましく、また、通常4以上、6以上が好ましく、8以上がより好ましい。前記上限値以下とすることで芳香族環基自身の吸収が低下し輝度が向上する傾向があり、また、前記下限値以上とすることで焼成後の耐久性が向上する傾向がある。
芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環は、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
トリアリールメタン構造におけるアリール、つまり芳香族環基は、置換基を有していてもよい。アリール基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルオキシ基、スルホン酸基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、カルボニル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基などが挙げられ、これらの中でも透過スペクトルの急峻さ、焼成後の耐久性の観点から、アミノ基であることが好ましい。これにより、透過スペクトルが急峻となることで加熱前の輝度が十分高くなる傾向がある。また、アミノ基は1〜3級アミノ基のいずれでもよく、焼成後の耐久性の観点から2級又は3級アミノ基であることが好ましい。
また、トリアリールメタン系化合物において、焼成後の耐久性の観点から、3つの芳香族環基のうち少なくともいずれか2つがsp2炭素以外の連結基で連結されていることが好ましく、酸素原子で連結されていることがより好ましい。
また、本発明の着色組成物中のトリアリールメタン系化合物の存在形態については特に限定されず、溶解していてもよく、分散していてもよい。トリアリールメタン系化合物は染料であっても顔料であってもよい。
一方で、焼成後の耐久性の観点から、トリアリールメタン系化合物が、トリアリールメタン構造を有するカチオンと、アニオンとの分子間塩であることが好ましい。分子間塩の具体的な構造は特に限定されないが、透過スペクトルの急峻さ及び焼成後の耐久性の観点から、下記一般式(I)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2019015885
式(I)中、R1〜R4は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
Arは置換基を有していてもよい1価の芳香族環基を表す。
nは0又は1を表し、0のとき結合は存在しない。
Xは、a価の連結基を表す。
c-は、c価のアニオンを表す。
a、b、c、及びdは1〜4の整数を表し、a×b=c×dの関係を満たす。
mは0又は1を表す。mが0のとき結合は存在せず、aは1である。
(R1〜R4
前記式(I)中、R1〜R4は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、これらを結合した基が挙げられる。その炭素数は1以上が好ましく、2以上がより好ましく、また、10以下が好ましく、6以下がより好ましく、4以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで焼成後の耐久性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで立体障害によるトリアリールメタン構造中の該アリールの回転阻害の影響が抑えられ、透過スペクトルの急峻さが向上する傾向がある。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、3−メチルブチル基等が挙げられる。これらの中でもトリアリールメタン系化合物の合成プロセスにおける収率の観点から、直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、置換基を有するアルキル基の具体例としては、フェネチル基、2−エトキシエチル基、4,4,4−トリフルオロブチル基等が挙げられる。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は6以上が好ましく、また、18以下が好ましく、14以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで焼成時の耐久性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで立体障害によるトリアリールメタン構造中の該アリールの回転阻害の影響が抑えられ、透過スペクトルの急峻さが向上する傾向がある。
芳香族炭化水素環基が有する環は単環であっても縮合環であってもよく、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基が有する環は、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
これらの中でも焼成後の耐久性、透過スペクトルの急峻さ、及び耐光性の観点から、R1〜R4が各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族環基であることが好ましく、R1及びR2が各々独立に置換基を有していてもよいアルキル基であり、R3及びR4が置換基を有していてもよい芳香族環基であることがより好ましい。
(Ar)
前記式(I)中、Arは置換基を有していてもよい1価の芳香族環基を表す。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は6以上が好ましく、また、18以下が好ましく、14以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで焼成時の耐久性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで立体障害によるトリアリールメタン構造中の該アリールの回転阻害の影響が抑えられ、透過スペクトルの急峻さが向上する傾向がある。
芳香族炭化水素環基が有する環は単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基が有する環は、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
これらの中でも、nが1の場合には、特に青色着色組成物において色調を赤紫色〜紫色とし、および450nm付近の吸収を小さくして輝度を向上させる観点から、Arが置換基を有していてもよいフェニル基であることが好ましい。一方でnが0の場合には、特に青色着色組成物において色調を青色とし、および450nm付近の吸収を小さくして輝度を向上させる観点から、Arが置換基を有していてもよいナフチル基又は置換基を有していてもよいチアゾリル基であることが好ましい。
(n)
前記式(I)中、nは0又は1を表し、0のとき結合は存在しない。
特に青色着色組成物において450nm付近の吸収を小さくして輝度を向上させるか、または色調を青色とする観点ではnが0であることが好ましく、一方で焼成後の耐久性を向上させるか、または色調を赤紫色〜紫色とする観点ではnが1であることが好ましい。
(X)
前記式(I)中、Xはa価の連結基を表す。a価の連結基としては、a価の炭化水素基、中断されたa価の炭化水素基、置換されたa価の炭化水素基を表す。
a価の炭化水素基は直鎖状、分岐鎖状、環状又はこれらを組み合わせたものが挙げられる。その炭素数は1以上が好ましく、6以上がより好ましく、15以上がさらに好ましく、また、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで焼成後の耐久性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで溶剤への溶解性が向上する傾向がある。
a価の炭化水素基の具体例としては、aが2のものとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブテン基、ペンテン基、ヘキセン基、2,2−ジメチルプロピレン基、3,3−ジメチルペンテン基、2価のシクロペンタン、2価のシクロヘキサン、2価のノルボルナン基、フェニレン基、ナフチレン基、2価のフルオレン環基、2価のインドール環基、2価のアントラセン環基、2価のフラン環基、2価のチオフェン環基、及びこれらを組み合わせたもの等が挙げられる。
aが3のものとしては、メチン基、3価のシクロペンタン環基、3価のシクロヘキサン環基、3価のベンゼン環基、3価のナフタレン環基、3価のトリアジン環基や、これらの3価の炭化水素基と上記のaが2のもので示した2価の基とを組み合わせたもの等が挙げられる。
aが4のものとしては、4価の炭素原子、4価のシクロペンタン環基、4価のシクロヘキサン環基、4価のベンゼン環基、4価のナフタレン環基や、これらの4価の炭化水素基と上記のaが2のもので示した2価の基とを組み合わせたもの、上記のaが3のもので示した3価の基を2個組み合わせたもの、または上記のaが3のもので示した3価の基2個を上記のaが2のもので示した2価の基で連結したもの等が挙げられる。
中断されたa価の炭化水素基としては、これらのa価の炭化水素基に含まれる炭素−炭素結合を、−O−、−CO−、−COO−、−CONH−、−CONR5−、−NH−、−NR5−、−SO2−、−SO2NH−、−SO2NR5−、−S−からなる群から選ばれる少なくとも1つで中断したものが挙げられる。
5としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族環基が挙げられる。これらの中でも合成上の観点から、置換基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
5におけるアルキル基としては直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる。その炭素数は通常1以上であり、2以上が好ましく、また、12以下が好ましく、6以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで高耐久性となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで合成が容易となる傾向がある。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、3−メチルブチル基等が挙げられる。これらの中でも耐久性と合成上の観点から、エチル基が好ましい。
アルキル基は、後述の置換基群W1に記載の置換基で置換されていてもよい。
5における芳香族環基としては芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は通常4以上であり、6以上が好ましく、また、12以下が好ましい。前記下限値以上とすることで高耐久性となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで合成が容易となる傾向がある。
芳香族炭化水素環基における芳香族炭化水素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基における芳香族複素環としては、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。これらの中でも耐久性と合成上の観点から、1個の遊離原子価を有するベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、1個の遊離原子価を有するベンゼン環がより好ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、例えば、後述の置換基群W2に記載のものが挙げられる。
置換されたa価の炭化水素基としては、これらのa価の炭化水素基のうち、3価または4価の炭化水素基に含まれるメチン基が、以下の基で置換されたものが挙げられる。*は結合手を示す。
Figure 2019015885
その他に、これらのa価の炭化水素基のうち、4価の炭化水素基に含まれる4価の炭素原子は、以下の基で置換されていてもよい。ただし、*は結合手を示す。
Figure 2019015885
(Ac-
前記式(I)中、Ac-は、c価のアニオンを表す。
c価のアニオンとしては、特に限定されないが、例えばF-、Cl-、Br-、I-等のハロゲン化物イオン;
(C654-、(C654-等のホウ素アニオン;
CH3COO-、C25COO-、C65COO-等のカルボン酸アニオン;
SO4 2-、HSO4 -等の硫酸アニオン;
HPO4 2-、PO4 3-等のリン酸アニオン;
スルホン酸アニオン等が挙げられる。
スルホン酸アニオンとしては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、カンファースルホン酸など置換基を有していてもよい脂肪族スルホン酸アニオン;
ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸など置換基を有していてもよい芳香族スルホン酸アニオン;
acid blue 80(C.I.61585)、acid green 25(C.I.61570)、acid blue 45(C.I.63010)、acid blue 43(C.I.63000)、acid blue 25(C.I.62055)、acid blue 40(C.I.65125)等のスルホナト基を有するアントラキノン系色素のアニオン;
direct blue 86(C.I.74810)、direct blue 199 (C.I.14190)等のスルホナト基を有するフタロシアニン系色素のアニオン;
acid blue 74(C.I.73015)等のスルホナト基を有するインジゴ系色素のアニオン;
ハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン、ハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオン等が挙げられる。
これらの中でも耐熱性の観点から、置換基を有していてもよいハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン、置換基を有していてもよいハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオン、(C654-等が好ましい。
(a、b、c、d及びm)
a、b、c、及びdは1〜4の整数を表し、a×b=c×dの関係を満たす。mは0又は1を表す。mが0のとき結合は存在せず、aは1である。
これらの中でも溶剤に対する溶解性、焼成後の耐久性、トリアリールメタン系化合物の合成プロセスにおけるコストの観点から、a、b、c及びdが1であり、かつ、mが0であることが好ましく、一方で焼成後の耐溶剤性、電気信頼性、隣接する画素への移染抑制の観点から、aが2であり、b及びcが1であり、dが2であり、mが1であることが好ましい。
1〜R4、及びXにおけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、下記の置換基群W1のものが挙げられる。また、R1〜R4、及びArにおける芳香族環基が有していてもよい置換基としては、例えば、下記の置換基群W2のものが挙げられる。
(置換基群W1)
フッ素原子、塩素原子、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルオキシ基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基。
中でも、好ましくは炭素数1〜8のアルコキシル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜8のアルキルカルボキシル基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、及びフッ素原子である。
(置換基群W2)
フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルオキシ基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基。
中でも、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜8のアルキルカルボキシル基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、及びフッ素原子である。
前記一般式(1)で表される化合物の中でも、焼成後の耐久性、透過スペクトルの急峻さの観点からは下記一般式(I−1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2019015885
式(I−1)中、R1〜R4、Ar及びXは式(I)におけるものと同義である。
a’、c及びdは1〜4の整数を表し、a’=c×dの関係を満たす。
mは0又は1を表す。mが0のとき結合は存在しない。
c-は、置換基を有していてもよいc価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン又はハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオンを表す。
(a’、c、d及びm)
a’、c、及びdは1〜4の整数を表し、a’=c×dの関係を満たす。mは0又は1を表す。mが0のとき結合は存在しない。
これらの中でも溶剤に対する溶解性、焼成後の耐久性、トリアリールメタン系化合物の合成プロセスにおけるコストの観点から、a’、c及びdが1であり、かつ、mが0であることが好ましく、一方で焼成後の耐溶剤性、電気信頼性、隣接する画素への移染抑制の観点から、a’が2であり、cが1であり、dが2であり、mが1であることが好ましい。
(Dc-
前記式(I−1)中、Dc-は、置換基を有していてもよいc価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン又はハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオンを表す。
ハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン又はハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオンにおけるハロゲノアルキル基の炭素数は12以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましく、通常1以上である。前記下限値以上とすることでアニオンの電荷が分散されて、アニオンが安定化する傾向があり、前記上限値以下とすることでカチオンとの立体反発の影響が小さくなり、カチオンとより強い相互作用が可能となる傾向がある。
ハロゲノアルキル基が有するハロゲン原子の種類は特に限定されないが、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であることが好ましく、フッ素又は塩素であることがより好ましく、フッ素であることがさらに好ましい。ハロゲン原子の種類を上記のものとすることで、アニオンの電荷がより非局在化して、色材の耐熱性を向上できる傾向がある。
また、ハロゲノアルキル基が有するハロゲン原子の数は特に限定されないが、27以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましく、通常3以上である。前記下限値以上とすることでアニオンの電荷が分散されて、アニオンが安定化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで適度な溶解性を有し、カチオンとの立体反発の影響が小さくなり、カチオンとより強い相互作用が可能となる傾向がある。
ハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオンの具体例としては、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオン、ビスペンタフルオロエタンスルホニルイミドアニオン、ビスノナフルオロブタンスルホニルイミドアニオンなどが挙げられるが、アニオンの耐熱性の観点からは、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオン、又はビスペンタフルオロエタンスルホニルイミドアニオンが好ましく、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンがより好ましい。
また、ハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオンの具体例としては、トリストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオン、トリスペンタフルオロエタンスルホニルイミドアニオン、トリスノナフルオロブタンスルホニルイミドアニオンなどが挙げられるが、カチオンとの立体反発の影響が小さいとの観点からは、トリストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオン、又はトリスペンタフルオロエタンスルホニルイミドアニオンが好ましく、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンがより好ましい。
また、ハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン、又はハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオンが有していてもよい置換基としては特に限定されないが、前述の置換基群W2として例示したものを用いることができ、その中でもアニオン中の電荷分布の安定性の観点からは置換基を有していてもよい芳香族環基が好ましい。
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は特に限定されないが、30以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、通常4以上であり、好ましくは6以上である。前記上限値以下とすることでカチオンとの立体障害を抑えてアニオンを安定化できる傾向がある。
芳香族炭化水素環基に含まれる環は、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基に含まれる環は、単環であっても縮合環であってもよい。報告族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
これらの中でもカチオンとの立体障害抑制の観点から、1価の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、又はトリアジン環が好ましく、ベンゼン環、又はトリアジン環がより好ましく、トリアジン環がさらに好ましい。トリアジン環は平面性が高いため、トリアリールメタン系化合物のカチオンが有するアリール部位や、同一系内に存在するアニオン部分との相互作用が強くなる傾向があると考えられる。また、スルホニルイミド骨格又はスルホニルメチド骨格を有するため、カチオンとの立体反発が少なく、より強固なイオン対を形成し易いものと考えられる。その結果、カチオンとアニオンとが分離し難いため、耐熱性が高く、電界中であってもカチオンとアニオンの相互作用の低下が抑制しやすく、これより得られる画素の電圧保持率が高くなる傾向がある。
ハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン、又はハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオンが有していてもよい置換基の数は特に限定されないが、立体障害抑制の観点から、1つ〜3つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。
(式(D−1)、式(D−2)で表されるアニオン)
これらの中でも、アニオン安定化の観点から、前記置換基はアニオンの末端にあることが好ましく、特に下記式(D−1)で表される1価のアニオン、又は下記式(D−2)で表される1価のアニオンであることが好ましい。
Figure 2019015885
上記式(D−1)中、R1a及びR2aは各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
3aは直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族環基を表す。
4aはハロゲノアルキル基を表す。
1〜X3は各々独立に、直接結合、−(CH2)−、−NH−、−O−及び−S−からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又はこれらが2以上結合した基を表す。
Figure 2019015885
上記式(D−2)中、R5a及びR6aは各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
7aは直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族環基を表す。
8a及びR9aは各々独立に、ハロゲノアルキル基を表す。
4〜X6は各々独立に、直接結合、−(CH2)−、−NH−、−O−及び−S−からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又はこれらが2以上結合した基を表す。
(R1a、R2a、R5a、R6a
1a、R2a、R5a、及びR6aは各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
これらのうち、アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、これらを連結した基が挙げられる。その炭素数は溶媒への溶解性の観点から、8以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、溶媒への溶解性の観点から、2以上であることが好ましい。
具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、3−メチルブチル基等が挙げられる。これらの中で形成される塩の結晶性と溶解性のバランスの観点から、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
アルキル基が有していてもよい置換基としては、前述の置換基群W1のものが挙げられる。
またこれらのうち、芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数は立体障害抑制の観点から、30以下であることが好ましく12以下であることがより好ましく、また結晶性と溶解性とのバランスの観点から4以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましい。
芳香族炭化水素環基に含まれる環は、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基に含まれる環は、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族複素環基としては、例えば、1個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
これらの芳香族環基の中でも製造容易性の観点からは、芳香族炭化水素環基であることが好ましい。
芳香族環基が有していてもよい置換基としては、前記置換基群W2のものが挙げられる。
これらの中でも、着色組成物の安定性の観点から、R1a及びR2aは各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基であることが好ましい。
1aとR2aは同じであっても異なっていてもよい。例えば、R1a及びR2aが、各々独立に置換基を有していてもよいアルキル基であってもよく、R1a及びR2aが、各々独立に置換基を有していてもよい芳香族環基であってもよく、R1aが置換基を有していてもよいアルキル基であり、かつ、R2aが置換基を有していてもよい芳香族環基であってもよい。
5aとR6aは同じであっても異なっていてもよい。例えば、R5a及びR6aが、各々独立に置換基を有していてもよいアルキル基であってもよく、R5a及びR6aが、各々独立に置換基を有していてもよい芳香族環基であってもよく、R5aが置換基を有していてもよいアルキル基であり、かつ、R6aが置換基を有していてもよい芳香族環基であってもよい。
(R3a、R7a
3aは直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族環基を表す。
これらのうち、アルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基、環状のアルキレン基、又はこれらを結合した基が挙げられる。その炭素数は電荷の偏りを抑制するとの観点から、8以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、通常1以上である。
具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。これらの中で電荷の偏りを抑制するとの観点から、メチレン基が好ましい。
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、前記置換基群W1のものが挙げられる。
また、これらのうち、2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基及び2価の芳香族複素環基が挙げられる。その炭素数はアニオンの剛直性及び耐熱性の観点から、30以下であることが好ましく12以下であることがより好ましく、通常4以上であり、6以上であることが好ましい。
2価の芳香族炭化水素環基に含まれる環は、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
また、芳香族複素環基に含まれる環は、単環であっても縮合環であってもよい。芳香族複素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
これらの2価の芳香族環基の中でも電荷の偏り抑制との観点からは、2価の芳香族炭化水素環基であることが好ましく、2価のベンゼン環であることがより好ましい。
2価の芳香族環基が有していてもよい置換基としては、前記置換基群W2のものが挙げられる。
(R4a、R8a、R9a
4a、R8a、及びR9aは各々独立に、ハロゲノアルキル基を表す。
ハロゲノアルキル基が有するハロゲン原子の種類は特に限定されないが、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であることが好ましく、フッ素又は塩素であることがより好ましく、フッ素であることがさらに好ましい。ハロゲン原子の種類を上記のものとすることで、アニオンの電荷がより非局在化して、トリアリールメタン系化合物の耐熱性を向上できる傾向がある。
また、ハロゲノアルキル基が有するハロゲン原子の数は特に限定されないが、27以下であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、6以下であることがさらに好ましく、通常3以上である。前記下限値以上とすることでアニオンの電荷が分散されて、アニオンが安定化する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで適度な溶解性を有し、カチオンとの立体反発の影響が小さくなり、カチオンとより強い相互作用が可能となる傾向がある。
ハロゲノアルキル基の炭素数は特に限定されないが、12以下が好ましく、6以下がより好ましく、通常1以上である。前記下限値以上とすることでアニオンの電荷が分散されて、アニオンが安定化する傾向があり、前記上限値以下とすることでカチオンとの立体反発の影響が小さくなり、カチオンとより強い相互作用が可能となる傾向がある。
具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基などが挙げられ、電荷の偏り抑制との観点からトリフルオロメチル基であることが好ましい。
(X1〜X6
1〜X6は各々独立に、直接結合、−(CH2)−、−NH−、−O−及び−S−からなる群から選ばれる少なくとも1つの基、又はこれらが2以上結合した基を表す。
つまり、X1〜X6は各々独立に、上記群から選ばれる2価の基を2種以上結合したものでもよく、また1種を2個以上結合したものでもよい。結合する場合の個数は、通常2個以上、また通常15個以下、好ましくは12個以下、より好ましくは10個以下である。
これらの中でも、合成容易性の観点から、−(CH2)−又は−NH−であることが好ましく、−NH−であることがより好ましい。
これらのアニオンの中でも耐熱性が高く、カチオンとの立体反発の影響が小さいためアニオンとのカチオンとの相互作用が大きくなり、対イオンが安定化してトリアリールメタン系化合物の耐熱性が向上するとの観点からは、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオン、トリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオン、又は2,6−ジフェニルアミノ−4−ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン環含有トリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンであることが好ましい。
一方で、前記一般式(1)で表される化合物の中でも、焼成後の耐久性の観点からは下記一般式(I−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2019015885
式(I−2)中、R1〜R4は式(I)におけるものと同義である。
a’’、c及びdは1〜4の整数を表し、a’’=c×dの関係を満たす。
c-は、置換基を有していてもよいc価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン又はハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオンを表す。
(a’’、c及びd)
a’’、c、及びdは1〜4の整数を表し、a’’=c×dの関係を満たす。
これらの中でも溶剤に対する溶解性、焼成後の耐久性、トリアリールメタン系化合物の合成プロセスにおけるコストの観点から、a’’、c及びdが1であることが好ましい。
(Ec-
前記式(I−2)中、Ec-は、置換基を有していてもよいc価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン又はハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオンを表す。置換基を有していてもよいc価のハロゲノアルキルスルホニルイミドアニオン又はハロゲノアルキルスルホニルメチドアニオンとしては、前記(式I−1)中のDc-として挙げたものと同じものを好適に用いることができる。
(トリアリールメタン系化合物の分子量)
トリアリールメタン系化合物の分子量は特に限定されないが、300以上が好ましく、1000以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましく、また、10000以下が好ましく、5000以下がより好ましく、3000以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで焼成後の耐溶剤性、電気信頼性、隣接する画素への移染抑制性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで溶剤に対する溶解性、焼成後の耐久性、トリアリールメタン系化合物の合成プロセスにおけるコスト性が向上する傾向がある。
(トリアリールメタン系化合物の具体例)
トリアリールメタン系化合物のカチオン部分の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2019015885
Figure 2019015885
Figure 2019015885
Figure 2019015885
Figure 2019015885
また、トリアリールメタン系化合物のカチオン部分の具体例として、以下に示すカチオン構造と、後述のナフタレン環化合物を組み合わせたものが挙げられる。
Figure 2019015885
Figure 2019015885
上記のカチオン構造と組み合わせられるナフタレン環化合物を以下に示す。
Figure 2019015885
Figure 2019015885
Figure 2019015885
Figure 2019015885
Figure 2019015885
Figure 2019015885
Figure 2019015885
Figure 2019015885
トリアリールメタン系化合物のアニオン部分の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 2019015885
Figure 2019015885
Figure 2019015885
(トリアリールメタン系化合物の合成方法)
トリアリールメタン系化合物の合成方法は特に限定されないが、例えば「総説合成染料」(堀口博著、三共出版、1968年)、「理論製造 染料化学」(細田豊著、技報堂、1957年)、国際公開第2009/107734号パンフレット、国際公開第2015/080217号パンフレットに記載の方法に準じて合成することができるが、この方法に限られない。
(トリアリールメタン系化合物の含有割合)
本発明の着色組成物における(a)着色剤はトリアリールメタン系化合物を含むが、トリアリールメタン系化合物を1種含んでいていもよく、2種以上を含んでいてもよい。
本発明の着色組成物におけるトリアリールメタン系化合物の含有割合は特に限定されないが、全固形分中に3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、また、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで高輝度となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで焼成後の耐久性が向上する傾向がある。
(その他の着色剤)
本発明の着色組成物における(a)着色剤はトリアリールメタン系化合物を含むが、さらにその他の着色剤を含んでいてもよい。その他の着色剤としては、その他の染料やその他の顔料が挙げられる。
(その他の染料)
その他の染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料、シアニン系染料、ジピロメテン系染料等が好ましく挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー25、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドブルー80、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー199、C.I.バットブルー5、特開2002−14222号公報、特開2005−134759号公報、特開2010−191358号公報、特開2011−148950号公報に記載のもの等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
更に、シアニン系染料としては、例えば、国際公開第2011/162217号パンフレットに記載のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
ジピロメテン系染料としては、例えば、特開2008−292970号公報、特開2010−84009号公報、特開2010−84141号公報、特開2010−85454号公報、特開2011−158654号公報、特開2012−158739号公報、特開2012−224852号公報、特開2012−224849号公報、特開2012−224847号公報、特開2012−224846号公報などに記載のものが挙げられる。
本発明の着色組成物中には、その他の染料が1種だけ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
(その他の顔料)
その他の顔料としては、例えばカラーフィルタの画素等を形成する場合には、青色、紫色等各種の色の顔料を使用することができる。また、その化学構造としては、例えばフタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料が挙げられる。この他に種々の無機顔料等も利用可能である。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などを挙げることができる。
これらの中でも、耐熱性及び耐光性の観点から、中心金属を有するフタロシアニン顔料が好ましく、特に青色の銅フタロシアニン顔料が好ましい。該銅フタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6などが好ましく挙げられ、最も好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。
このため、本発明の着色組成物が青色顔料を含む場合、青色顔料の全含有量に対して、80質量%以上、特に90質量%以上、とりわけ95〜100質量%が、C.I.ピグメントブルー15:6であることが好ましい。
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることができる。
これらの中でも、紫色のジオキサジン顔料が好ましく、該ジオキサジン顔料として、C.I.ピグメントバイオレット19、23などが好ましく挙げられ、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
このため、本発明の着色組成物が紫色顔料を含む場合、紫色顔料の全含有量に対して、80質量%以上、特に90質量%以上、とりわけ95〜100質量%が、C.I.ピグメントバイオレット23であることが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
本発明の着色組成物に用いることのできる顔料は、高いコントラストの画素を形成しうる点から平均一次粒径の小さいものが好ましく、具体的には、平均一次粒径が40nm以下であることが好ましく、35nm以下であることがより好ましい。
特に、青色の銅フタロシアニン顔料についても同様に、好ましくは平均一次粒径が40nm以下であり、より好ましくは35nm以下、更に好ましくは20〜30nmである。
また、ジオキサジン顔料については、平均一次粒径は好ましくは40nm以下、より好ましくは25〜35nmである。着色組成物中で顔料が凝集し難い点からは、平均一次粒径が小さすぎない方が好ましい。
なお、ここで、顔料の平均一次粒径は以下の方法により測定・算出された値とすることができる。
まず、顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。この像から、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個(通常200〜300個程度)の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求める。
得られた一次粒径の値を用い、下式の計算式の通り個数平均値を計算し、平均粒径を求める。
個々の顔料粒子の粒径:X1、X2、X3、X4、・・・・、Xi、・・・・・・Xm(mは粒子の個数)
Figure 2019015885
その他の着色剤のうち、耐熱性及び耐光性向上の観点からその他の顔料を含むことが好ましく、青色色材に起因する耐熱性及び耐光性向上の観点からは青色顔料を含むことがより好ましい。
本発明の着色組成物がその他の着色剤を含む場合、その含有割合は特に限定されないが、全固形分中に1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、また、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで焼成後の耐久性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで輝度が向上する傾向がある。
[(b)分散剤]
本発明の着色組成物は、(b)分散剤を含む。(b)分散剤を含むことで(a)着色剤を微細に分散させ、且つ、その分散状態を安定化させることができる。
また本発明の着色組成物における(b)分散剤は、芳香族複素環を含む吸着基を有する分散剤(b1)(以下、「分散剤(b1)」と略記する。)を含有する。(b)分散剤として分散剤(b1)を用いることで、加熱した場合であっても、それに含まれる芳香族複素環がトリアリールメタン系化合物のsp2炭素と結合しにくく、トリアリールメタン系化合物の共役系が崩れて退色するのを抑制でき、トリアリールメタン系化合物の吸収極大における吸光度の低下が抑制できるものと考えられる。
芳香族複素環が有する環の数は特に限定されないが、通常1以上であり、また、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。前記上限値以下とすることで着色組成物の輝度が向上する傾向がある。
また、芳香族複素環の炭素数は特に限定されないが、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、また、15以下が好ましく、10以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、4以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで焼成後の耐久性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで着色組成物の輝度が向上する傾向がある。
また、芳香族複素環は置換基を有していてもよく、有していてもよい置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、3−メチルブチル基などが挙げられる。
芳香族複素環の中でも、トリアリールメタン系化合物のsp2炭素との反応性の観点から塩基性が低いものであることが好ましく、その水中でのプロトン化時のpKaが7以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、また、通常0.5以上である。
芳香族複素環の具体例としては、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、ベンゾピラゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェンベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピリジン、ピラジン、ピラダジン、ピリミジン、トリアジン、フェナントリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、オキサジアゾール、ピロロイミダゾール、ピロロピラゾール、ピロロピロール、チエノピロール、チエノチオフェン、フロピロール、フロフラン、チエノフラン、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾイソチアゾール、ペリミジン、ポルフィリンなどが挙げられ、これらの中でも焼成後の耐久性及び分散剤の合成プロセスにおけるコストの観点からイミダゾール環、ピリジン環、又はカルバゾール環が好ましく、イミダゾール環又はピリジン環がより好ましく、イミダゾール環がさらに好ましい。
分散剤の化学構造は特に限定されないが、例えば、顔料等に着色剤に吸着する吸着基と、立体障害を形成するための樹脂等と相溶する相溶性鎖を有するものが挙げられる。前述のとおり、分散剤(b1)における吸着基は芳香族複素環を含む。一方で相溶性鎖としては、樹脂等に配向するものであれば特に限定されず、アルキル鎖、ポリエーテル鎖、ポリエステル鎖等が挙げられる。
分散剤(b1)の重量平均分子量は特に限定されないが、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、3000以上がさらに好ましく、4000以上が特に好ましく、また、1000000以下が好ましく、100000以下がより好ましく、50000以下がさらに好ましく、20000以下が特に好ましい。前記下限値以上、また、前記上限値以下とすることで分散安定性が向上する傾向がある。
分散剤(b1)の酸価は特に限定されないが、50mgKOH/g以下が好ましく、20mgKOH/g以下がより好ましく、10mgKOH/g以下がさらに好ましく、0mgKOH/gであることが特に好ましい。前記上限値以下とすることで顔料の分散安定性が向上する傾向がある。
分散剤(b1)のアミン価は特に限定されないが、1mgKOH/g以上が好ましく、2mgKOH/g以上がより好ましく、5mgKOH/g以上がさらに好ましく、10mgKOH/g以上が特に好ましく、また、200mgKOH/g以下が好ましく、180mgKOH/g以下がより好ましく、160mgKOH/g以下がさらに好ましく、140mgKOH/g以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで顔料の分散安定性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで焼成後の耐久性が向上する傾向がある。
また、分散剤の種類としては、例えばウレタン系分散剤、アクリル系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリアリルアミン系分散剤、アミノ基を持つモノマーとマクロモノマーからなる分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーテルリン酸系分散剤、ポリエステルリン酸系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。これらの中でも焼成後の耐久性の観点からはウレタン系分散剤が好ましく、また、可視光の吸収が少なく得られるパターンの光学特性への影響が少ないとの観点からはアクリル系分散剤が好ましい。
このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(登録商標。BASF社製。)、DISPERBYK(登録商標。ビックケミー社製。)、ディスパロン(登録商標。楠本化成社製。)、SOLSPERSE(登録商標。ルーブリゾール社製。)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社化学社製)、アジスパー(登録商標。味の素社製。)、TEGO DISPER(登録商標。エボニック社製。)等を挙げることができる。
これらの分散剤は1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
ウレタン系及びアクリル系高分子分散剤としては、例えばDISPERBYK161、162、163、167シリーズ(いずれもウレタン系)、EFKA4046、4047、7496シリーズ(いずれもウレタン系)、EFKA4320シリーズ(アクリル系)が挙げられる。
ウレタン系高分子分散剤として好ましい化学構造を具体的に例示するならば、例えば、ポリイソシアネート化合物と、分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物と、同一分子内に活性水素と芳香族複素環基を有する化合物とを反応させることによって得られる、重量平均分子量1,000〜200,000の分散樹脂等が挙げられる。
上記のポリイソシアネート化合物の例としては、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω′−ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート、及びこれらの三量体、水付加物、及びこれらのポリオール付加物等が挙げられる。ポリイソシアネートとして好ましいのは有機ジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体とイソホロンジイソシアネートの三量体である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イソシアネートの三量体の製造方法としては、前記ポリイソシアネート類を適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いてイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のポリイソシアネートを溶剤抽出、薄膜蒸留により除去して目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物としては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール等、及びこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化されたもの及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独又は共重合させて得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシオクタメチレングリコール及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物をジカルボン酸又はそれらの無水物と反応させるか、又はポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペート等が挙げられる。ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
ポリエステルグリコールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等)又はそれらの無水物とグリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレングリコール、2−メチル−1,8−オクタメチレングリコール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、N−メチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン等)を重縮合させて得られたもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート等、又は前記ジオール類又は炭素数1〜25の1価アルコールを開始剤として用いて得られるポリラクトンジオール又はポリラクトンモノオール、例えばポリカプロラクトングリコール、ポリメチルバレロラクトン及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリエステルグリコールとして最も好ましいのはポリカプロラクトングリコール又は炭素数1〜25のアルコールを開始剤としたポリカプロラクトンである。
ポリカーボネートグリコールとしては、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等、ポリオレフィングリコールとしてはポリブタジエングリコール、水素添加型ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリイソプレングリコール等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物の数平均分子量は、通常300〜10,000、好ましくは500〜6,000、更に好ましくは1,000〜4,000である。
本発明に用いられる同一分子内に活性水素と芳香族複素環基を有する化合物を説明する。
活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子に直接結合している水素原子としては、水酸基、アミノ基、チオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級のアミノ基の水素原子が好ましい。
芳香族複素環基は、特に限定されないが、例えば炭素数1〜4のアルキル基を有するヘテロ環構造、より具体的にはイミダゾール環、ピリジン環、又はカルバゾール環、などが挙げられる。
また、芳香族複素環基が含窒素ヘテロ環構造である場合の該含窒素ヘテロ環としては、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等の含窒素ヘテロ5員環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、アクリジン環、イソキノリン環等の含窒素ヘテロ6員環が挙げられる。これらの含窒素ヘテロ環のうち好ましいものはイミダゾール環、ピリジン環、又はカルバゾール環である。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ウレタン系高分子分散剤を製造する際の原料の好ましい配合比率はポリイソシアネート化合物100質量部に対し、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物が10〜200質量部、好ましくは20〜190質量部、更に好ましくは30〜180質量部、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物が0.2〜25質量部、好ましくは0.3〜24質量部である。
ウレタン系高分子分散剤の製造はポリウレタン樹脂製造の公知の方法に従って行われる。製造する際の溶媒としては、通常、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等一部のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム等の塩化物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等が用いられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記製造に際して、通常、ウレタン化反応触媒が用いられる。この触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の導入量は反応後のアミン価で1〜100mgKOH/gの範囲に制御するのが好ましい。より好ましくは5〜95mgKOH/gの範囲である。アミン価は、塩基性アミノ基を酸により中和滴定し、酸価に対応させてKOHのmg数で表した値である。アミン価が上記範囲より低いと分散能力が低下する傾向があり、また、上記範囲を超えると現像性が低下しやすくなる。
なお、以上の反応で高分子分散剤にイソシアネート基が残存する場合には更に、アルコールやアミノ化合物でイソシアネート基を潰すと生成物の経時安定性が高くなるので好ましい。
一方で、アクリル系高分子分散剤としては、芳香族複素環基を有する不飽和基含有単量体と、芳香族複素環基を有さない不飽和基含有単量体とのランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体を使用することが好ましい。これらの共重合体は公知の方法で製造することができる。
芳香族複素環基を有する不飽和基含有単量体としては、N−ビニルイミダゾール、4−ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−(メタ)アクリロイルイミダゾール等が具体例として挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
芳香族複素環を有さない不飽和基含有単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレン及びその誘導体、α−メチルスチレン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミドなどのN−置換マレイミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル及びポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマー、ポリ2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリエチレングリコールマクロモノマー、ポリプロピレングリコールマクロモノマー、ポリカプロラクトンマクロモノマーなどのマクロモノマー等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル系高分子分散剤は、特に好ましくは、芳香族複素環を有するAブロックと芳香族複素環を有さないBブロックからなるA−B又はB−A−Bブロック共重合体であるが、この場合、Aブロック中には上記芳香族複素環を含む不飽和基含有単量体由来の部分構造の他に、上記芳香族複素環を含まない不飽和基含有単量体由来の部分構造が含まれていてもよく、これらが該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。
Bブロックは、上記芳香族複素環を含まない不飽和基含有単量体由来の部分構造からなるものであるが、1つのBブロック中に2種以上の単量体由来の部分構造が含有されていてもよく、これらは、該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合のいずれの態様で含有されていてもよい。
該A−B又はB−A−Bブロック共重合体は、例えば、以下に示すリビング重合法にて調製される。
リビング重合法には、アニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法があり、このうち、アニオンリビング重合法は、重合活性種がアニオンであり、例えば下記スキームで表される。
Figure 2019015885
上記スキーム中、Ar1は1価の有機基であり、Ar2はAr1とは異なる1価の有機基であり、Mは金属原子であり、s及びtはそれぞれ1以上の整数である。
ラジカルリビング重合法は重合活性種がラジカルであり、例えば下記スキームで示される。
Figure 2019015885
上記スキーム中、Ar1は1価の有機基であり、Ar2はAr1とは異なる1価の有機基
であり、j及びkはそれぞれ1以上の整数であり、Raは水素原子又は1価の有機基であ
り、RbはRaとは異なる水素原子又は1価の有機基である。
このアクリル系高分子分散剤を合成するに際しては、特開平9−62002号公報や、P.Lutz, P.Masson et al, Polym. Bull. 12, 79 (1984), B.C.Anderson, G.D.Andrews et al, Macromolecules, 14, 1601(1981), K.Hatada, K.Ute,et al, Polym. J. 17, 977(1985), 18, 1037(1986), 右手浩一、畑田耕一、高分子加工、36, 366(1987),東村敏延、沢本光男、高分子論文集、46, 189(1989), M.Kuroki, T.Aida, J. Am. Chem. Sic, 109, 4737(1987)、相田卓三、井上祥平、有機合成化学、43, 300(1985), D.Y.Sogoh, W.R.Hertler et al, Macromolecules, 20, 1473(1987)などに記載の公知の方法を採用することができる。
本発明の着色組成物における(b)分散剤は、分散剤(b1)を含有するが、さらにその他の分散剤(b2)を含んでいてもよい。
本発明の着色組成物における(b)分散剤の含有割合は特に限定されないが、全固形分中に0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、4質量%以上が特に好ましく、また、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましく、6質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで分散安定性が向上する傾向があり、また、前記上限値以下とすることで高輝度となる傾向がある。
本発明の着色組成物における分散剤(b1)の含有割合は特に限定されないが、全固形分中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上が特に好ましく、また、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで、また、前記上限値以下とすることで焼成後の耐久性が向上する傾向がある。
[(c)溶剤]
本発明の着色組成物は(c)溶剤を含む。(c)溶剤は、着色組成物に含まれる各成分を溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を有する。
(c)溶剤としては、着色組成物を構成する各成分を溶解または分散させることができるものであればよく、沸点が100〜250℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは100〜200℃、さらに好ましくは120〜170℃の沸点をもつものである。
このような溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−モノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンのような1価または多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状または環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類:
これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記溶剤中、基板と塗布膜の密着性、塗布膜が均一な膜厚を形成できる観点から、グリコールモノアルキルエーテル類を含有することが好ましい。中でも、特に着色組成物中の各種構成成分の溶解性の点からプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
また、例えば任意成分として前述のその他の顔料を含む場合には、塗布性、表面張力などのバランスがよく、着色組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、溶剤としてさらにグリコールアルキルエーテルアセテート類を混合して使用することがより好ましい。尚、顔料を含む着色組成物中では、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、顔料を凝集させる傾向があり、着色組成物の粘度を上げる等、保存安定性を低下させる場合がある。このため、グリコールモノアルキルエーテル類の含有割合は過度に高くない方が好ましく、(c)溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の含有割合は5〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
また、最近の大型基板等に対応したスリットコート方式への適性という観点からは、150℃以上の沸点をもつ溶剤を併用することも好ましい。この場合、このような高沸点溶剤の含有割合は、(c)溶剤全体に対して0.5〜50質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、2〜30質量%が特に好ましい。前記下限値以上とすることで、例えばスリットノズル先端で染料成分などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こすのを回避しやすい傾向があり、前記上限値以下とすることで着色組成物の乾燥速度が遅くなって、カラーフィルタ製造工程における減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題が発生するのを回避しやすい傾向がある。
なお、沸点150℃以上の溶剤は、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶剤を別途含有させなくてもかまわない。
本発明の着色組成物は、インクジェット法によるカラーフィルタ製造に供してもよいが、インクジェット法によるカラーフィルタ製造においては、ノズルから発せられるインクは数〜数十pLと非常に微小であるため、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着弾する前に、溶剤が蒸発してインクが濃縮・乾固する傾向がある。これを回避するためには溶剤の沸点は高い方が好ましく、具体的には、(c)溶剤が沸点180℃以上の溶剤を含むことが好ましい。特に、沸点が200℃以上、とりわけ沸点が220℃以上の溶剤を含有することが好ましい。また、沸点180℃以上である高沸点溶剤は、(c)溶剤中50質量%以上であることが好ましい。このような高沸点溶剤の割合が50質量%以上である場合には、インク液滴からの溶剤の蒸発防止効果が十分に発揮される傾向がある。
尚、本発明の着色組成物に占める(c)溶剤の含有割合は、特に制限されないが、通常99質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下であり、塗布に適した粘性等をも考慮すれば、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
前述のとおり、本発明の着色組成物は、(a)着色剤、(b)分散剤、及び(c)溶剤を含むものであり、さらにその他の成分を含んでいてもよい。例えば(d)バインダー樹脂、(e)光重合性モノマー、及び(f)光重合開始剤が挙げられ、必要に応じてさらにその他の成分を含んでいてもよい。
[(d)バインダー樹脂]
本発明の着色組成物は(d)バインダー樹脂を含んでいてもよい。(d)バインダー樹脂を含むことで、十分な硬化度の硬化膜を形成することができる傾向がある。(d)バインダー樹脂の中でも、アルカリ現像してパターンを形成するとの観点からは、アルカリ可溶性樹脂が好ましい。例えば、特開平7−207211号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−140144号公報、特開平11−174224号公報、特開2000−56118号公報、特開2003−233179号公報などの各公報等に記載される高分子化合物を使用することができるが、中でも好ましくは下記(d−1)〜(d−5)の樹脂などが挙げられる。
(d−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、又は該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる、アルカリ可溶性樹脂(以下、「樹脂(d−1)」と称す場合がある。)
(d−2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂(d−2)(以下、「樹脂(d−2)」と称す場合がある。)
(d−2’):炭素数2〜4の環状エーテル基を有するラジカル重合性単量体とカルボキシル基を有するラジカル重合性単量体との共重合体、または炭素数2〜4の環状エーテル基を有するラジカル重合性単量体とカルボキシル基を有するラジカル重合性単量体とこれらと異なる他のラジカル重合性単量体との共重合体
(d−3):前記樹脂(d−2)のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「樹脂(d−3)」と称す場合がある。)
(d−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下、「樹脂(d−4)」と称す場合がある。)
(d−5):カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂(以下「樹脂(d−5)と称す場合がある。)
このうち特に好ましくは樹脂(d−1)が挙げられ、以下該樹脂について説明する。
尚、樹脂(d−2)〜(d−5)は、アルカリ性の現像液によって溶解され、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有するものであれば何でもよく、各々、特開2009−025813号公報の同項目として記載のものと同様である。好ましい態様も同様である。
樹脂(d−1)の特に好ましい樹脂の一つとして、エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
そのエポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3、4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3、4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、本発明の効果を損わない限り特に制限はなく、例えば、ビニル芳香族類、ジエン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、ビニル化合物類、不飽和ジカルボン酸ジエステル類、モノマレイミド類などが挙げられるが、特に下記式(III)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
下記式(III)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
Figure 2019015885
上記式(III)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は下記式(IV)で表される構造を示す。
Figure 2019015885
上記式(IV)中、R91〜R98は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。尚、R96とR98とが、互いに連結して環を形成していてもよい。
96とR98が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、更に炭素数は5〜6であることが好ましい。
中でも、式(IV)で表される構造としては、特に下記構造式(IVa)、(IVb)、又は(IVc)で表されるものが好ましい。
Figure 2019015885
尚、前記式(IV)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(IV)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、着色組成物に優れた耐熱性及び強度を向上しうる点で、スチレン、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、が挙げられる。
上記モノマー群から選択された少なくとも1種に由来する繰返し単位の含有量が、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものが更に好ましい。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
上記範囲内であると、後述の重合性成分及びアルカリ可溶性成分の付加量が十分であり、また、耐熱性や膜の強度が十分であるため好ましい。
上記の様に合成された、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、更に多塩基酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる。
ここで、エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂に重合性を付与することができる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。前記範囲内であると、着色組成物の経時安定性に優れるため好ましい。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる多塩基酸無水物としては、公知のものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、無水コハク酸及びテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。
上記範囲内であると、現像時の残膜率及び溶解性が十分であるため好ましい。
尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、光感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載されている。
(d)バインダー樹脂の、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000以上が好ましく、5000以上がより好ましく、また、100000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下がさらに好ましく、10000以下が特に好ましい。上記範囲内であると、耐熱性や膜強度、更に現像液に対する溶解性が良好である点で好ましい。
また、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
なお、(d)バインダー樹脂の酸価は、10mg−KOH/g以上が好ましく、30mg−KOH/g以上がより好ましく、50mg−KOH/g以上がさらに好ましく、200mg−KOH/g以下が好ましく、150mg−KOH/g以下がより好ましく、100mg−KOH/g以下がさらに好ましい。前記下限値以上とすることで現像液に対する溶解性が良好となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで膜荒れを抑制できる傾向がある。
着色組成物における(d)バインダー樹脂の含有割合は特に限定されないが、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、また、30質量%以上が特に好ましく、また、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下がよりさらに好ましく、40質量%以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像によるパターン形成に適切な膜厚が確保できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像によるパターン形成に適切な感度となる傾向がある。
[(e)光重合性モノマー]
本発明の着色組成物は(e)光重合性モノマーを含有することが好ましい。(e)光重合性モノマーは、光重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と言う場合がある。)であることが好ましい。
エチレン性化合物は、本発明の着色組成物が活性光線の照射を受けた場合、後述する光重合開始剤の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。尚、本発明における(e)光重合性モノマーは、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも包含する。
本発明においては、特に、1分子中にエチレン性不飽和結合を2個以上有する多官能エチレン性モノマーを使用することが望ましい。多官能エチレン性モノマーが有するエチレン性不飽和結合の数は特に限定されないが、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上であり、また、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。前記下限値以上とすることで重合性が向上して高感度となる傾向があり、前記上限値以下とすることで現像性がより良好となる傾向がある。
(e)光重合性モノマーにおけるエチレン性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;モノヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル;ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物;等が挙げられる。
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、これら(メタ)アクリル酸エステルの(メタ)アクリル酸部分を、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、或いは、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、ピロガロールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、単一物であってもよく、混合物であってもよい。代表例としては、(メタ)アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、テレフタル酸、及びペンタエリスリトールの縮合物;(メタ)アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール、及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ〔1,1,1−トリ(メタ)アクリロイルオキシメチル〕プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
その他、本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が挙げられる。
これらの中では脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、エチレン性化合物は酸価を有するモノマーも好適に用いることが出来る。酸価を有するモノマーとしては、例えば、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能単量体が好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールのうち少なくとも一方であるものである。
これらの単量体は1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を得ることは難しいことから、2種以上の混合物を使用してもよい。
また、必要に応じて(e)光重合性モノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜100mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜80mg−KOH/gである。
上記範囲内であると、現像溶解特性が低下しにくく、また製造や取り扱いが容易である。更に、光重合性能が落ち難く、画素の表面平滑性等の硬化性が良好であるため好ましい。
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーと他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
本発明の着色組成物において、これらの(e)光重合性モノマーの含有割合は、全固形分中、通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上であり、また、通常90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下、特に好ましくは50質量%以下である。
また、(e)光重合性モノマーの前述の(a)着色剤100質量部に対する比率は、通常1質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは50質量部以上、さらに好ましくは100質量部以上、よりさらに好ましくは150質量部以上、特に好ましくは200質量部以上であり、また、通常300質量部以下、好ましくは200質量部以下、より好ましくは150質量部以下である。
上記範囲内であると、光硬化が適度であり、現像時の密着不良が置き難く、また現像後の断面が逆テーパー形状になり難く、更に溶解性低下による剥離現象・抜け不良が置き難いため好ましい。
[(f)光重合開始剤]
本発明の着色組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(f)光重合開始剤を含むことが好ましい。ただし、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色組成物が、(d)成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、(e)成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始剤することが好ましい。(f)光重合開始剤を含む場合、重合加速剤、増感色素などの付加剤を併用してもよい。
本発明における(f)光重合開始剤は、光を直接吸収し、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
(f)光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報等に記載のチタノセン誘導体類;特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開2000−56118号公報等に記載されるヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報等に記載のオキシムエステル系誘導体類等が挙げられる。
具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の光重合開始剤等が挙げられる。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、ビイミダゾール誘導体類、アセトフェノン誘導体類、及びチオキサントン誘導体類がより好ましい。
また、オキシムエステル系誘導体類としては、2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノン、O−アセチル−1−[6−(2−メチルベンゾイル)−9−エチル−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンオキシム及び下記式(V)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2019015885
(式(V)中、R101は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数3〜20のヘテロアリール基または炭素数4〜25のヘテロアリールアルキル基を示し、これらはいずれも置換基を有していてもよい。あるいは、R101はXまたはZと結合し、環を形成していてもよい。
102は、炭素数2〜20のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数4〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のヘテロアリール基、炭素数3〜20のヘテロアリーロイル基または炭素数2〜20のアルキルアミノカルボニル基を示し、これらはいずれも置換基を有していてもよい。
Xは、置換基を有していてもよい、2個以上の環が縮合してなる、2価の芳香族炭化水素環基及び芳香族複素基のうち少なくとも一方を示す。
Zは、置換基を有していてもよい芳香族環基を示す。)
なお、前記式(V)で表される化合物の中でも、Xが置換基を有していてもよいカルバゾール環、置換基を有していてもよいフルオレン環である化合物が好ましく、具体的には下記式(VI)で表される化合物などが挙げられ、中でも下記式(VII)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2019015885
式(VI)中、R101、R102及びZは、前記式(V)における定義と同義である。R103〜R109は各々独立に水素原子または任意の置換基を示す。
Figure 2019015885
式(VII)中、R101aは、炭素数1〜3のアルキル基、または下記式(VIIa)で表される基を示す。
Figure 2019015885
式(VIIa)中、R110は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数3〜20のヘテロアリール基または炭素数4〜25のヘテロアリールアルキル基を示す。*は、結合部位を表す。)
102aは、炭素数2〜4のアルカノイル基を示し、Xは、窒素原子が1〜4のアルキル基で置換されていてもよい3,6−カルバゾリル基を示す。Zは、アルキル基で置換されていてもよいフェニル基またはモルホリノ基で置換されていてもよいナフチル基を示す。
オキシム系開始剤としては市販品を用いてもよい。市販品の例としては、OXE−01、OXE―02、OXE−03、OXE−04(BASF社製)、TRONLYTR−PBG−304、TRONLYTR−PBG−309、TRONLYTR−PBG−305、TRONLYTR−PBG−314、−3057、−326、−345、−346、−358、−363、−365(常州強力電子新材料有限公司社(CHANGZHOU TRONLY NEW ELECTRONIC MATERIALS CO.,LTD)製)、N−1919、NCI−930、NCI−831(ADEKA社製)等が挙げられる。
光重合開始剤としては、その他に、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体類;2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン誘導体類、2−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類、安息香酸エステル誘導体類、アクリジン誘導体類、フェナジン誘導体類、アンスロン誘導体類等も挙げられる。これらの開始剤として市販品を用いてもよい。
市販品としては、例えば、IRGACURE 651、IRGACURE 184、DAROCURE 1173、IRGACURE 2959、IRGACURE 127、IRGACURE 907、IRGACURE 369、IRGACURE 379EG、LUCIRIN TPO、IRGACURE 819、IRGACURE 784(いずれも、BASF社製、「IRGACURE」は登録商標)等が挙げられる。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、チオキサントン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類がより好ましい。特に、オキシムエステル系誘導体類が好ましい。
必要に応じて用いられる重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
分子内に−SHを1つ有するメルカプト化合物としては、例えば、2−メルカプトオキサゾール、2−メルカプトチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトニコチン酸、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリジン−3−オール、2−メルカプトピリジン−N−オキサイド、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、4−アミノ−2−メルカプトピリミジン、6−アミノ−5−ニトロソ−2−メルカプトピリミジン−4−オール、4,5−ジアミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミノ−2−メルカプトピリミジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプトピリミジン、4,6−ジヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、4,6−ジメチル−2−メルカプトピリミジン、4−ヒドロキシ−2−メルカプト6−メチルピリミジン、4−ヒドロキシ−2−メルカプト−6−プロピルピリミジン、2−メルカプト−4−メチルピリミジン、2−メルカプトピリミジン、3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−チオール、4,5−ジフェニルイミダゾール−2−チオール、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト1−メチルイミダゾール、4−アミノ−3−ヒドラジノ−5−メルカプト1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト1,2,4−トリアゾール、2−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、(フラン-2-イル)メタンチオール、2−メルカプト−5−チアゾリドン、2−メルカプトチアゾリン、2−メルカプト4(3H)−キナゾリノン、1−フェニル−1H−テトラゾール−5−チオール、2−キノリンチオール、2−メルカプト5−メチルベンゾイミダゾール、2−メルカプト5−ニトロベンゾイミダゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−ニトロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトナフトイミダゾール、2−メルカプトナフトオキサゾール、3−メルカプト1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−6−メルカプトピラゾロ[2,4−d]ピリジン、2−アミノ−6−プリンチオール、6−メルカプトプリン、4−メルカプト1H−ピラゾロ[2,4−d]ピリミジン等が挙げられる。
分子内に−SHを2つ有するメルカプト化合物としては、1,2−ジメルカプトエタン、1,3−ジメルカプトプロパン、1,4−ジメルカプトブタン、2,3−ジメルカプトブタン、1,5−ジメルカプトペンタン、1,6−ジメルカプトヘキサン、1,8−ジメルカプトオクタン、1,9−ジメルカプトノナン、1,10−ジメルカプトデカン、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、ジメルカプトエリスリトール、1,2−ジメルカプトベンゼン、1,2−ベンゼンジメタンチオール、1,4−ベンゼンジメタンチオール、1,3−ベンゼンジチオール、3,4−ジメルカプトトルエン、4−クロロ−1,3−ジメルカプトベンゼン、2−ヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−ジエチルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3−メルカプトプロポキシフェニルプロパン)、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ビス(3−スルファニルブチルオキシ)ブタン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール等が挙げられる。
分子内に−SHを3つ有するメルカプト化合物としては、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトアセテート)、1,2,6−ヘキサントリオールトリチオグリコレート等が挙げられる。
分子内に−SHを4つ有するメルカプト化合物としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、トリスヒドロキシエチルトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4−メルカプトブチレート)等が挙げられる。
これらの光重合開始剤及び重合加速剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、必要に応じて感応感度を高める目的で、増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号公報、特開平4−219756号公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号公報、特開平5−289335号公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号公報、特開平5−289335号公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号公報、特開昭54−155292号公報、特公昭45−37377号公報、特開昭48−84183号公報、特開昭52−112681号公報、特開昭58−15503号公報、特開昭60−88005号公報、特開昭59−56403号公報、特開平2−69号公報、特開昭57−168088号公報、特開平5−107761号公報、特開平5−210240号公報、特開平4−288818号公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等が挙げられる。
増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色組成物において、これらの(f)光重合開始剤の含有割合は、全固形分中、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、よりさらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは7質量%以上であり、また、通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、特に好ましくは12質量%以下の範囲である。前記下限値以上とすることで露光光線に対する感度の低下を抑制できる傾向があり、前記上限値以下とすることで未露光部分の現像液に対する溶解性の低下と、それに伴う現像不良を抑制できる傾向がある。
[その他の任意成分]
本発明の着色組成物は、前記各成分の外に、界面活性剤、熱硬化性化合物、熱重合開始剤、可塑剤、熱重合防止剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤等を含有していてもよい。これら任意成分としては、例えば特開2007−113000号公報記載の各種化合物を使用することができる。また、顔料を含有する場合には、分散助剤を含有してもよい。
[着色組成物の調製方法]
本発明において、着色組成物は、適宜の方法により調製することができるが、例えば、(a)着色剤及び(b)分散剤を、(c)溶剤及び必要に応じて用いられる任意成分と共に混合することで調製できる。
また、(a)着色剤、(b)分散剤、及び(c)溶剤を含む着色剤含有液を準備し、そこに(d)バインダー樹脂等の任意成分を共に混合してもよい。
また、(a)着色剤として顔料を含む場合の調製方法としては、(a)着色剤を含む溶剤中、(b)分散剤及び必要に応じて添加する分散助剤の存在下で、場合により(d)バインダー樹脂の一部と共に、例えば、ペイントシェイカー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して着色剤分散液を調製する。該着色剤分散液に、(d)バインダー樹脂、必要に応じて、(e)光重合性モノマー、(f)光重合開始剤などを添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
[着色組成物の応用]
本発明の着色組成物は、通常、すべての構成成分が溶剤中に溶解或いは分散された状態である。このような着色組成物を基板上へ供給し硬化することで硬化物が得られる。このように、本発明の硬化物は本発明の着色組成物から構成され、この硬化物はカラーフィルタなどの、液晶表示装置や有機EL表示装置などの画像表示装置を構成する構成部材として用いることができる。
以下、本発明の着色組成物の応用例として、カラーフィルタの画素としての応用、及びそれらを用いた画像表示装置について説明する。画像表示装置としては、具体的には液晶表示装置(パネル)及び有機EL表示装置が挙げられる。
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物を用いて形成された画素を有するものである。
以下に、本発明のカラーフィルタを形成する方法について説明する。
カラーフィルタの画素は、様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の着色組成物を使用してフォトリソグラフィー法にて形成する場合を例に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するようにブラックマトリックスを形成し、この基板上に、本発明の着色組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、赤色、緑色、青色の各画素パターンを形成して、カラーフィルタを作製することができる。
本発明では特に、本発明の着色組成物を用いて形成された画素が、青色の画素であることが好ましい。
画素を形成する際に使用される基板としては、透明で適度な強度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂、各種ガラスなどが挙げられる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤やウレタン系樹脂などによる薄膜形成処理、コロナ放電処理やオゾン処理などの表面処理等、適宜前処理を施してもよい。
着色組成物を基板に塗布する際には、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、スリット・アンド・スピン法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等が挙げられる。中でも、スリット・アンド・スピン法、及びダイコート法が好ましい。
塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.2〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.8〜5.0μmである。
上記範囲内であると、パターン現像や液晶セル化工程でのギャップ調整が容易であり、また所望の色発現がし易い点で好ましい。
露光の際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
画像露光に使用される、波長190〜450nmの放射線を用いるための光源は、特に限定されるものではないが、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
放射線の露光量は、10〜10,000J/m2が好ましい。
また、前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ−エタノールアミン、ジ−エタノールアミン、トリ−エタノールアミン、モノ−メチルアミン、ジ−メチルアミン、トリ−メチルアミン、モノ−エチルアミン、ジ−エチルアミン、トリ−エチルアミン、モノ−イソプロピルアミン、ジ−イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−イソプロパノールアミン、ジ−イソプロパノールアミン、トリ−イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物等の水溶液が好ましい。
前記アルカリ現像液には、例えばイソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。現像条件は、室温(23℃)で5〜300秒が好ましい。
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
このようにして作製されたカラーフィルタを液晶表示装置に使用する場合には、このままの状態で画像上にITO等の透明電極を形成して、カラーディスプレイ、液晶表示装置等の部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。また、一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。また、垂直配向型駆動方式(MVAモード)では、リブを形成することもある。また、ビーズ散布型スペーサに代わり、フォトリソグラフィー法による柱構造(フォトスペーサー)を形成することもある。
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、本発明の硬化物を有するものであり、例えば、カラーフィルタを有するものが挙げられる。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機EL表示装置が挙げられる。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のカラーフィルタを用いたものである。本発明の液晶表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明のカラーフィルタを用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989年9月29日発行、日本学術振興会第142委員会著)に記載の方法で、本発明の液晶表示装置を形成することができる。
<有機EL表示装置>
本発明のカラーフィルタを有する有機EL表示装置を作成する場合、例えば図1に示すように、透明支持基板10上に、本発明の着色組成物により画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製する。
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100は、パッシブ駆動方式の有機EL表示装置にもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
次に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1:トリアリールメタン系化合物Aの合成)
Figure 2019015885
窒素雰囲気下、N−エチル−o−トルイジン(21.6g、160mmol)にN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(60mL)を加え、5℃以下に冷却した。5℃以下を保ちながら、カリウムt−ブトキシド(18.0g、160mmol)を数回に分けて添加した。次に4,4−ジフルオロベンゾフェノン(8.73g、40.0mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液(35mL)を15℃以下になるように注意しながら、30分間かけて滴下した。滴下終了後、室温まで昇温し、さらに50℃で3時間加熱撹拌した。反応終了後、室温まで放冷し、水(100mL)に注入した。これをトルエン(50mL)で2回抽出し、水(20mL)で3回洗浄した後、溶媒をエバポレーターで留去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=100/0〜66/34(体積比))で精製し、化合物1(3.08g、収率17%)を得た。
Figure 2019015885
窒素雰囲気下、1−ヨードナフタレン(5.1g、20mmol)、2−メチルシクロヘキシルアミン(4.7g、41mmol)、ナトリウムt−ブトキシド(2.4g、25mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)(クロロホルム)ジパラジウム(0)(52mg、0.050mmol)、2,2’−(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(96mg、0.15mmol)、トルエン(50mL)の混合物を100℃で2.5時間攪拌した。室温に冷却後、濾別し、濾液を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=100/0〜95/5(体積比))で精製し、化合物2(3.6g、収率75%)を得た。
Figure 2019015885
窒素雰囲気下、化合物1(610mg、1.36mmol)、化合物2(336mg、1.40mmol)及びトルエン(10mL)の混合物を溶解するまで室温で撹拌した。オキシ塩化リン(312mg、2.04mmol)を5分かけて滴下し、滴下後に80〜85℃まで加熱し、そのまま9時間加熱撹拌を行った。更にオキシ塩化リン(208mmol、1.36mmol)を滴下し、そのまま4時間加熱撹拌した後、室温まで放冷した。水(10mL)を添加し、室温で1時間撹拌した。クロロホルム(10mL)を加えて有機層を抽出し、水(10mL)で3回洗浄した後、溶媒をエバポレーターで留去した。得られた固体をクロロホルム(10mL)に溶解させ、シリカクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=100/0〜82/8(体積比))で精製し、青色固体の化合物3(590mg、収率61%)を得た。
Figure 2019015885
窒素雰囲気下、化合物3(0.59g、0.84mmol)、メタノール(5mL)及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(0.24g、0.84mmol)の混合溶液を外温50℃にて1.5時間加熱撹拌した。室温まで放冷し、溶媒をエバポレーターで留去した後、メタノール/水=2/1(体積比)混合溶液(30mL)で洗浄した。得られた固体をクロロホルム(10mL)に溶解させ、シリカクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/メタノール=94/6〜87/13(体積比))で精製し、青色固体のトリアリールメタン系化合物A(0.50g、収率62%)を得た。
トリアリールメタン系化合物Aをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)=35/65(体積比)に10質量ppmだけ溶解させた。このときの極大吸収波長(λmax)は575nmで、グラム吸光係数(g)は81.8Lg-1cm-1であった。この化合物の液体クロマトグラフ−質量分析の結果を下記に示す。なお、このときの質量は、トリアリールメタンカチオン部位の質量を示している。
LCMS(ESI、posi)m/z 670(M+48523
(合成例2:樹脂Aの合成)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)145質量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン5.2質量部、グリシジルメタクリレート132質量部、トリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレートFA−513M(日立化成社製)4.4質量部及び2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47質量部の混合液を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸67.0質量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール1.1質量部及びハイドロキノン0.19質量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)15.2質量部、トリエチルアミン0.2質量部を加え、100℃で3.5時間反応させた。こうして得られた樹脂溶液のGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは約9000、酸価25mgKOH/gであった。この樹脂溶液に固形分が40質量%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて、樹脂Aとして用いた。
(合成例3:樹脂Bの合成)
「NC3000H」(エポキシ当量288、軟化点69℃、日本化薬社製)400質量部、アクリル酸102質量部、p−メトキシフェノール0.3質量部、トリフェニルホスフィン5質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)264質量部を反応容器に仕込み、95℃で酸価が3mgKOH/g以下になるまで撹拌した。酸価が目標(2.2mgKOH/g)に達するまで9時間を要した。次いで、更にテトラヒドロ無水フタル酸151質量部を添加し、95℃で4時間反応させ、酸価102mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが3900の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液に固形分が44質量%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて、樹脂Bとして用いた。
(合成例4:開始剤の合成)
国際公開第2009/131189号パンフレット記載の方法で3−(2−アセトキシイミノ−1,5−ジオキソ−5−メトキシペンチル)−9−エチル−6−(o−トルオイル)−9H−カルバゾールを合成した。
[着色組成物の調製]
前記合成例1で得られたトリアリールメタン系化合物A、並びに合成例2、3で得られた樹脂A、Bを下記表1に記載された組成となるように他の成分と混合して、着色組成物を調製した。
尚、表1の上段の数値は、いずれも添加する各成分の着色組成物中の含有割合(質量%)を表し、下段の数値は各成分の全固形分中の含有割合(質量%)を表す。
混合に際しては、各成分が十分に混合するまで1時間以上攪拌し、最後に5μmのコマ型フィルターによって濾過し、異物を取り除いた。
実施例1〜4の着色組成物には(b)分散剤として分散剤A〜Dを用い、比較例1の着色組成物には分散剤Eを用いた。
Figure 2019015885
尚、表12中の各化合物は、各々以下の通りである。
DISPERBYK−167:ビックケミー社製。吸着基がイミダゾール環を含む分散剤。固形分アミン価は24mgKOH/g。固形分濃度52質量%の溶液。
DISPERBYK−161:ビックケミー社製。吸着基がイミダゾール環を含む分散剤。固形分アミン価は37mgKOH/g。固形分濃度30質量%の溶液。
EFKA4046:BASF社製。吸着基がイミダゾール環を含む分散剤。固形分アミン価は51mgKOH/g。固形分濃度41質量%の溶液。
EFKA4320:BASF社製。吸着基がピリジン環を含む分散剤。固形分アミン価は56mgKOH/g。固形分濃度50質量%の溶液。
BYK−LPN6919:ビックケミー社製。吸着基が脂肪族アミンを含む分散剤。固形分アミン価は120mgKOH/g。固形分濃度60質量%の溶液。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
F559:パーフルオロアルキル基含有オリゴマー(DIC社製)
Irganox1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジーtert−ブチルー4−ヒドロキシフェニル)プロピネート](BASF社製)
JPP−100:テトラフェニルジプロピレングリコールジフォスファイト(城北化学工業社製)
[着色硬化膜の製造及び、耐熱性の評価]
5cm角に切断したガラス基板上に、上記[着色組成物の調製]にて調製した各着色組成物をスピンコート法により焼成後の膜厚が1.5μmとなるように塗布し、減圧乾燥させた後、ホットプレート上にて80℃で3分間プリベークした。その後、60mJ/cm2の露光量にて全面露光した後に、クリーンオーブンにて230℃で30分間焼成して着色硬化膜を得た。得られた着色硬化膜の吸光度を分光光度計U−3310(日立製作所製)にて測定し、吸収スペクトルの吸収極大を比較し、焼成後の吸光度/焼成前の吸光度×100として吸光度比を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2019015885
表2に示したように、230℃で30分間焼成することで、芳香族複素環を含む吸着基を有する分散剤を使用した実施例1〜4は、トリアリールメタン系化合物の分解による吸収極大における吸光度の低下が抑制され、分散剤を使用していない参考例1と同等の吸光度を示した。これに対して、脂肪族アミンを有する分散剤を使用した比較例1では、トリアリールメタン系化合物の分解による吸収極大における吸光度が大きく低下することが明らかとなった。
脂肪族アミンを有する分散剤を使用した場合、塩基性の強い脂肪族アミンが加熱によってトリアリールメタン系化合物の3つのアリール基の中心に位置するsp2炭素と結合して共役系が崩れ退色することにより、吸収極大における吸光度が大きく低下したと考えられる。
これに対して芳香族複素環を有する分散剤を使用した場合、塩基性の弱い芳香族複素環が加熱によってもトリアリールメタン系化合物のsp2炭素と結合しにくく、共役系が崩れて退色しにくいため、吸収極大における吸光度の低下が抑制できたと考えられる。
また、本発明の着色組成物を用いることにより、溶媒に不溶性の成分、例えば、顔料を含む着色組成物とする場合であっても、トリアリールメタン系化合物の耐熱性を悪化させることなく顔料を良好に分散可能であることが示唆された。
これらの結果から、本発明の着色組成物はカラーディスプレイ製造工程に要求される耐熱性を満足することを示している。
100 有機EL素子
10 透明支持基板
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
50 透明陽極

Claims (8)

  1. (a)着色剤、(b)分散剤、及び(c)溶剤を含む着色組成物であって、
    前記(a)着色剤が、トリアリールメタン系化合物を含み、
    前記(b)分散剤が、芳香族複素環を含む吸着基を有する分散剤(b1)を含有することを特徴とする着色組成物。
  2. 前記分散剤(b1)の吸着基に含まれる芳香族複素環が、イミダゾール環、ピリジン環、又はカルバゾール環である、請求項1に記載の着色組成物。
  3. 前記トリアリールメタン系化合物が、下記一般式(I)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の着色組成物。
    Figure 2019015885
    (式(I)中、R1〜R4は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
    Arは置換基を有していてもよい1価の芳香族環基を表す。
    nは0又は1を表し、0のとき結合は存在しない。
    Xは、a価の連結基を表す。
    c-は、c価のアニオンを表す。
    a、b、c、及びdは1〜4の整数を表し、a×b=c×dの関係を満たす。
    mは0又は1を表す。mが0のとき結合は存在せず、aは1である。)
  4. 前記(a)着色剤がさらに顔料を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色組成物。
  5. さらに(d)バインダー樹脂を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色組成物。
  6. さらに(e)光重合性モノマー及び(f)光重合開始剤を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の着色組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の着色組成物から構成される硬化物。
  8. 請求項7に記載の硬化物を有する画像表示装置。
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