JP2019015680A - タイヤの制動シミュレーション方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ABSで制動力を与えたときのタイヤの制動状況を精度良く計算する。【解決手段】 路面を走行するタイヤにABSで制動力を与えたときのタイヤの制動状況を、コンピュータを用いて計算するための方法である。この制動シミュレーション方法は、コンピュータに、ABSの制動力と、制動力を受けたタイヤの物理量とを計算するための計算モデルを定義する工程S1を含んでいる。コンピュータは、計算モデルを用いて、タイヤの物理量を第1微小時間Δt1のステップで時間発展させながら計算する工程S5と、タイヤの物理量に基づいて、計算モデルのABSの制動力を、第1微小時間Δt1よりも大きい第2微小時間Δt2のステップで変更する工程S9とを実行する。【選択図】図2

Description

本発明は、タイヤの制動シミュレーション方法に関し、詳しくは、路面を走行するタイヤにABSで制動力を与えたときのタイヤの制動状況を、コンピュータを用いて計算するための方法に関する。
下記非特許文献1は、タイヤに制動力を与えるABSの制御を、コンピュータを用いて再現するためのシミュレーション方法を提案している。この種のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータに、タイヤ及びABSの計算モデルが入力される。次に、コンピュータが、タイヤの走行状態を計算する。そして、コンピュータが、予め定められた条件に基づいて変化するABSの制動力を、走行状態のタイヤに与えて、タイヤの物理量を計算する。
小林邦夫、外6名、"タイヤ‐路面間の摩擦力のモデル化とABS制御に関する研究"、[online]、東京都市大学 工学部 機械工学科 機械力学研究室、[平成29年2月2日検索]、インターネット<URL:http://www.mdl.me.tcu.ac.jp/research/20_B_2.pdf>
ABS(システム)の一般的なアルゴリズムでは、タイヤのスリップ率が大きくなると制動力を低下させる一方、タイヤのスリップ率が小さくなると制動力を大きくすることが行われる。一方、ABSで制動力が変更されてから、次に制動力が変更されるまでには、一定の時間を要する。従来のシミュレーション方法では、このような実状が考慮されておらず、タイヤの制動状況を精度良く計算するためには、さらなる改良の余地があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ABSで制動力を与えたときのタイヤの制動状況を精度良く計算できるシミュレーション方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、路面を走行するタイヤにABSで制動力を与えたときの前記タイヤの制動状況を、コンピュータを用いて計算するための方法であって、前記コンピュータに、前記ABSの制動力と、前記制動力を受けた前記タイヤの物理量とを計算するための計算モデルを定義する工程を含み、前記コンピュータは、前記計算モデルを用いて、前記タイヤの前記物理量を第1微小時間Δt1のステップで時間発展させながら計算する工程と、前記タイヤの前記物理量に基づいて、前記計算モデルの前記ABSの前記制動力を、前記第1微小時間Δt1よりも大きい第2微小時間Δt2のステップで変更する工程とを実行する。
本発明に係る前記タイヤの制動シミュレーション方法において、物理量を計算する工程は、前記タイヤのスリップ率を計算する工程を含み、前記ABSの前記制動力を変更する工程は、前記タイヤのスリップ率が、予め定められた目標スリップ率よりも大きい場合に、前記ABSの前記制動力を小さくする工程と、前記タイヤのスリップ率が、前記目標スリップ率よりも小さい場合に、前記ABSの前記制動力を大きくする工程とを含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤの制動シミュレーション方法において、前記ABSの前記制動力を変更する工程よりも先に、前記コンピュータに、前記タイヤの摩擦係数μとスリップ率Sとの関係を示すμ−S曲線を入力する工程と、前記μ−S曲線の前記摩擦係数μが最大となる第1スリップ率と、前記μ−S曲線の前記摩擦係数μが最小となる第2スリップ率との間で、前記目標スリップ率を定義する工程とをさらに含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤの制動シミュレーション方法において、前記ABSは、前記タイヤとともに回転するディスク部、及び、前記ディスク部に接触するパッド部を含み、前記物理量を計算する工程は、前記ディスク部と前記パッド部との間の摩擦係数と、前記ディスク部への前記パッド部の押圧力とを乗じることで、前記制動力を計算する工程をさらに含んでもよい。
本発明に係る前記タイヤの制動シミュレーション方法において、前記ディスク部と前記パッド部との間の摩擦係数は、前記ディスク部の温度の上昇とともに大きくなる温度依存性が定義されてもよい。
本発明のタイヤの制動シミュレーション方法は、コンピュータに、ABSの制動力と、制動力を受けたタイヤの物理量とを計算するための計算モデルを定義する工程を含んでいる。コンピュータは、計算モデルを用いて、タイヤの物理量を第1微小時間Δt1のステップで時間発展させながら計算する工程と、タイヤの前記物理量に基づいて、計算モデルのABSの制動力を、第1微小時間Δt1よりも大きい第2微小時間Δt2のステップで変更する工程とを実行している。
本発明のタイヤの制動シミュレーション方法は、ABSで制動力が変更されてから、次に制動力が変更されるまでの時間間隔(タイムラグ)を考慮して、ABSの制動力を受けたタイヤの物理量を計算することができる。従って、本発明のタイヤの制動シミュレーション方法は、ABSで制動力を与えたときのタイヤの制動状況を精度良く計算することができる。
タイヤの制動シミュレーション方法が実施されるコンピュータの一例を示すブロック図である。 タイヤの制動シミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 タイヤの一例を示す概念図である。 ABSの一例を示す概念図である。 μ−S曲線定義工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 μ−S曲線の一例を示すグラフである。 物理量計算工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 ブレーキ油圧計算工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 制動力変更工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 実施例及び比較例のシミュレーションの平均スリップ率と、実験例の平均スリップ率との関係を示すグラフである。 実施例及び比較例のシミュレーションのスリップ率の標準偏差と、実験例のスリップ率の標準偏差との関係を示すグラフである。 実施例及び比較例のシミュレーションの制動距離と、実験例の制動距離との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態のタイヤの制動シミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある。)は、路面を走行するタイヤにABS(アンチロックブレーキングシステム)で制動力を与えたときのタイヤの制動状況を、コンピュータ1を用いて計算するための方法である。
図1は、本実施形態のシミュレーション方法が実施されるコンピュータ1の一例を示すブロック図である。本実施形態のコンピュータ1は、入力デバイスとしての入力部2、出力デバイスとしての出力部3、及び、タイヤの物理量等を計算する演算処理装置4を有し、タイヤの制動状況する計算するタイヤの制動シミュレーション装置1Aとして構成されている。
入力部2は、例えば、キーボード又はマウス等が用いられる。出力部3は、例えば、ディスプレイ装置又はプリンタ等が用いられる。演算処理装置4は、各種の演算を行う演算部(CPU)4A、データやプログラム等が記憶される記憶部4B、及び、作業用メモリ4Cが含まれている。
記憶部4Bは、例えば、磁気ディスク、光ディスク又はSSD等からなる不揮発性の情報記憶装置である。記憶部4Bには、データ部5及びプログラム部6が設けられている。
データ部5は、評価対象のタイヤやABSに関する情報が記憶される初期データ部5A、タイヤモデルが入力されるタイヤモデル入力部5B、ABSモデルが入力されるABSモデル入力部5C、μ−S曲線が入力されるμ−S曲線入力部5D、演算部4Aが計算した物理量等が入力される物理量入力部5E、及び、制動力スイッチが入力される制動力スイッチ入力部5Fが含まれている。
プログラム部6は、演算部4Aによって実行されるプログラムである。プログラム部6には、タイヤモデルを設定するタイヤモデル設定部6Aと、ABSモデルを設定するABSモデル設定部6Bと、μ−S曲線を設定するμ−S曲線設定部6Cと、タイヤの制動状況を計算する物理量計算部6Dとを含んで構成されている。
図2は、シミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1により、予め定められた第1微小時間Δt1のステップで時間発展させながら、タイヤの物理量等が計算される。第1微小時間Δt1については、求められるシミュレーション精度に応じて、適宜設定されうる。本実施形態の第1微小時間Δt1は、例えば、0.00001〜0.001秒(本実施形態では、0.0001秒)に設定される。
本実施形態のシミュレーション方法は、先ず、コンピュータ1に、ABSの制動力と、制動力を受けたタイヤの物理量とを計算するための計算モデルを定義する(工程S1)。計算モデルは、タイヤをモデル化したタイヤモデルと、ABSをモデル化したABSモデルとを含んで構成されている。
工程S1では、先ず、図1に示されるように、初期データ部5Aに記憶されているタイヤ11やABSに関する情報が、作業用メモリ4Cに入力される。さらに、タイヤモデル設定部6A、及び、ABSモデル設定部6Bが、作業用メモリ4Cに読み込まれる。そして、タイヤモデル設定部6A及びABSモデル設定部6Bが、演算部4Aによって実行される。
本実施形態のタイヤモデルとしては、一輪のタイヤをモデル化したものが例示される。なお、タイヤモデルは、このような態様に限定されない。タイヤモデルは、下記式(1)〜(4)によって定義される。図3は、タイヤ11の一例を示す概念図である。
ここで、
S:タイヤのスリップ率
M:タイヤが装着される車両の質量(kg)
g:重力定数(m/s2
μ:タイヤの摩擦係数
I:タイヤの慣性モーメント(kg・m2
R:タイヤ半径(m)
vehicle:車体速度(m/s)
wheel:タイヤ速度(m/s)
A:定数
Tr:計算パラメータ
上記式(1)は、タイヤのスリップ率Sを定義したものである。スリップ率Sは、車体速度Vvehicle(上記式(2)で特定される。)からタイヤ速度Vwheel(上記式(3)で特定される。)を減じたものを、車体速度Vvehicleで除することで求められる。
上記式(2)は、タイヤの進行方向の力のつり合いを、第1微小時間Δt1のステップ毎に定義したものである。上記式(2)において、車両の質量Mと車体の加速度(即ち、車体速度Vvehicleを微分したもの)とを乗じた左辺は、タイヤモデルの進行方向の力を示している。上記式(2)において、−1、車両の質量M、重力定数g、及び、タイヤの摩擦係数μ(S)を乗じた右辺は、進行方向とは逆方向の力を示している。なお、タイヤの摩擦係数μ(S)は、スリップ率Sの関数であり、下記式(11)で定義される。
上記式(3)は、タイヤの回転方向のトルクのつり合いを、第1微小時間Δt1のステップ毎に定義したものである。
上記式(3)において、タイヤの慣性モーメントIに、タイヤ加速度(即ち、タイヤ速度Vwheelを微分したもの)とタイヤ半径Rとの比を乗じた左辺は、タイヤの回転方向の角運動量の時間変化を示している。上記式(3)において、車両の質量M、重力定数g、タイヤ半径R、及び、タイヤの摩擦係数μ(S)を乗じたものからブレーキトルクτ(下記式(7)で定義)を減じた右辺は、タイヤの回転方向トルクを示している。なお、タイヤの摩擦係数μ(S)は、スリップ率Sの関数であり、下記式(11)で定義される。この上記式(3)は、その両辺に、R/Iを乗じ、上記式(4)に基づいて、MgR2/IをAに置き換え、さらに、上記式(5)に基づいてτ/MgRをTrに置き換えることで、上記式(6)のように単純化することができる。
上記式(4)において、定数Aは、シミュレーション計算を簡便に行うために設定したパラメータであり、車両の質量M、重力定数g、及び、タイヤ半径の二乗R2、及び、タイヤの慣性モーメントIから計算される。このような定数Aは、実測値から計算できる。上記式(5)において、計算パラメータTrも、定数Aと同様の目的で設定したパラメータであり、ブレーキトルクτ、車両の質量M、重力定数g、及び、タイヤの半径Rから計算される。このような計算パラメータTrは、ブレーキトルクτに、実測値から計算できる係数を乗じることで求めることができる。このため、シミュレーション計算が行われる前に予め計算しておくことで、例えば、上記式(3)を単純化した式を用いる処理のルーチンにおいて、代わりに上記式(6)を用いることで定数Aや係数を繰り返し計算する必要がなくなるため、計算時間を短縮することができる。
上記式(1)〜(3)により、路面を転動し、かつ、制動するタイヤ11を計算可能なタイヤモデルを定義することができる。タイヤモデルは、タイヤモデル入力部5B(図1に示す)に記憶される。
図4は、ABSの一例を示す概念図である。ABS12は、タイヤ11(図3に示す)とともに回転するディスク部13、及び、ディスク部13に接触するパッド部14を含んでいる。ディスク部13へのパッド部14の押圧力が大きくなるほど、タイヤ11の制動力(ブレーキトルクτ)が大きくなる。パッド部14の押圧力は、パッド部14に接続される油圧ユニット15のブレーキ油圧Pの大きさによって調節される。油圧ユニット15のブレーキ油圧Pの大きさは、図示しない制御手段によって制御される。
ABS(システム)12の一般的なアルゴリズムでは、タイヤ11(図3に示す)のスリップ率Sが大きくなると、パッド部14の押圧力(ブレーキ油圧P)を小さくして、制動力(ブレーキトルクτ)を低下させている。他方、タイヤ11のスリップ率Sが小さくなると、パッド部14の押圧力(ブレーキ油圧P)を大きくして、制動力を大きくさせている。これにより、ABS12は、制動時のタイヤのスリップ率Sを、理想のスリップ率(後述の目標スリップ率S0)付近に近づけることができるため、タイヤ11のロックによる滑走発生を低減しうる。本実施形態のABSモデルは、下記式(7)〜(10)によって定義される。



ここで、
S:タイヤのスリップ率
0:タイヤの目標スリップ率
μ:タイヤの摩擦係数
wheel:タイヤ速度(m/s)
τ:ブレーキトルク(N)
P:ブレーキ油圧(MPa)
T:ディスク部の温度(℃)
μpad(T):ディスク部とパッド部との間の摩擦係数
μ0:パッド部の基準摩擦係数
atm:外気温(℃)
0:ディスク部の基準温度(℃)
B、C、D、E、α:定数
上記式(7)は、ブレーキトルクτを定義したものである。ブレーキトルクτは、ディスク部の温度Tのときのディスク部とパッド部との間の摩擦係数μpad(T)(上記式(8)で特定される。)に、ブレーキ油圧Pが乗じられることによって定義される。
上記式(8)は、ディスク部13の温度Tによって変化するディスク部13とパッド部14との間の摩擦係数μpad(T)を定義したものである。上記式(8)のα(T−T0)は、ディスク部13の上昇温度(T−T0)に定数αを乗じることで定義されるパッド部14の摩擦係数の増加分を示している。この摩擦係数の増加分(α(T−T0))に、パッド部14の基準摩擦係数μ0が加算されることにより、ディスク部13の温度Tのときのディスク部13とパッド部14との間の摩擦係数μpad(T)が求められる。従って、摩擦係数μpad(T)には、ディスク部の温度Tの上昇とともに大きくなる温度依存性が定義される。
上記式(9)は、ディスク部13の温度Tの変化率を定義したものである。上記式(9)において、定数D、上記式(8)のμpad(T)、ブレーキ油圧P、及び、タイヤ速度Vwheel(上記式(3)で特定される。)を乗じたD・μpad(T)・P・Vwheelは、パッド部14の接触によるディスク部13の摩擦発熱を示している。この摩擦発熱(定数D・μpad(T)・P・Vwheel)において、定数Dは、発熱のしやすさを示すパラメータである。上記式(9)において、定数Eに、ディスク部13の温度Tから外気温Tatmを減じたものを乗じたE・(T−Tatm)は、ディスク部13の放熱を示している。この放熱(E・(T−Tatm))において、定数Eは、放熱のしやすさを示すパラメータである。摩擦発熱(D・μpad(T)・P・Vwheel)から放熱(E・(T−Tatm))を減じることにより、上記式(9)では、第1微小時間Δt1のステップ毎に変化するディスクの温度Tの変化率が定義される。
上記式(10)は、ブレーキ油圧Pの変化率を定義したものである。上記式(10)において、タイヤ11のスリップ率Sがタイヤの目標スリップ率S0よりも小さい場合(即ち、S<S0)、後述のブレーキ油圧計算工程S6において、第1微小時間Δt1のステップ毎に、正の定数Bの割合で増加するブレーキ油圧Pが定義される。他方、タイヤ11のスリップ率Sがタイヤの目標スリップ率S0よりも大きい場合(即ち、S>S0)、第1微小時間Δt1のステップ毎に、負の定数−Cの割合で減少するブレーキ油圧Pが定義される。
上記式(7)〜(10)により、スリップ率Sに応じてABSの制動力(ブレーキトルクτ)を変更しうるABSモデルを定義することができる。そして、上記式(7)のブレーキトルクτが、タイヤモデルの上記式(3)に代入されることにより、ABSの制動力で停止するタイヤモデルを計算することができる。ABSモデルは、ABS入力部2C(図1に示す)に記憶される。
上記式(4)、上記式(9)及び上記式(10)において、定数A〜E、及び、定数αは、例えば、ABS12が装備され、かつ、タイヤ11が装着された車両の実測値、又は、推定値を初期値として、上述のタイヤモデル及びABSモデルを用いた計算結果(スリップ率Sの平均値)と、実測されたスリップ率Sの平均値とが近似するように同定される。同定方法の一例として、定数Aは、上述したとおり、車両の質量M、重力定数g、タイヤ半径の二乗R2、及び、タイヤの慣性モーメントIの測定結果が、上記式(4)に代入されることで定められる。また、定数B、Cの同定方法の一例としては、先ず、制動時のブレーキ油圧の時間変化を測定して、ブレーキ油圧Pと時間tとの関係を示すグラフを求める。次に、求めたグラフにおいて、ブレーキ油圧Pが増加している区間を少なくとも一つ抽出し、これらの区間毎に求めたグラフの傾き(ブレーキ油圧P/時間t)の正の平均値B0を計算する。同様に、求めたグラフにおいて、ブレーキ油圧が減少している区間を少なくとも一つ抽出し、これらの区間毎に求めたグラフの傾きの負の平均値C0を計算する。そして、定数B、Cを下記の範囲で変化させながらスリップ率Sの平均値を計算するシミュレーションを実施し、スリップ率Sの平均値の計算結果と、実測されたスリップ率Sの平均値とが最も近い最適値の定数B、Cを特定する。
定数Bの範囲:0.9B0≦B≦1.1B0(Bの増分値:0.01B0
定数Cの範囲:0.9C0≦B≦1.1C0(Cの増分値:0.01C0
定数A〜E、及び、定数αが同定されることにより、評価対象のタイヤをモデル化したタイヤモデル、及び、評価対象のABSをモデル化したABSモデルが特定される。このように、本実施形態の計算モデル(タイヤモデル、及び、ABSモデル)は、定数A〜E、及び、定数αが適宜設定されることにより、例えば、メーカー毎に性能が異なるタイヤ及びABSを個別に設定できるため、汎用性に優れる。なお、上記式(1)〜(10)は、上記のような態様に限定されるわけではなく、必要に応じて適宜変更されてもよい。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1に、タイヤの摩擦係数μとスリップ率Sとの関係を示すμ−S曲線を入力する(μ−S曲線定義工程S2)。図5は、μ−S曲線定義工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のμ−S曲線定義工程S2では、先ず、タイヤの摩擦係数μ及びスリップ率Sが測定される(工程S21)。タイヤの摩擦係数μ及びスリップ率Sの測定方法の一例としては、ドラム試験機を用いて、ドラムの回転速度とタイヤの回転速度とを異ならせることにより、異なるスリップ率S毎に、摩擦係数μが測定される。タイヤの摩擦係数μ及びスリップ率Sは、物理量入力部5Eに記憶される。
次に、本実施形態のμ−S曲線定義工程S2では、μ−S曲線が求められる(工程S22)。工程S22では、図1に示されるように、物理量入力部5Eに記憶されているタイヤの摩擦係数μ及びスリップ率Sが、作業用メモリ4Cに読み込まれる。さらに、μ−S曲線設定部6Cが、作業用メモリ4Cに読み込まれる。そして、μ−S曲線設定部6Cが、演算部4Aによって実行される。
工程S22では、スリップ率S毎にタイヤの摩擦係数μがプロットされることによって、μ−S曲線が求められる。図6は、μ−S曲線の一例を示すグラフである。μ−S曲線は、μ−S曲線入力部5Dに記憶される。
次に、本実施形態のμ−S曲線定義工程S2では、コンピュータ1が、μ−S曲線を表すμ−S曲線の関数を定義する(工程S23)。工程S23では、図1に示されるように、μ−S曲線入力部5Dに記憶されている−S曲線が、作業用メモリ4Cに読み込まれる。さらに、μ−S曲線設定部6Cが、作業用メモリ4Cに読み込まれる。そして、μ−S曲線設定部6Cが、演算部4Aによって実行される。μ−S曲線の関数は、下記式(11)で定義される。

ここで、
μ:タイヤの摩擦係数
S:タイヤのスリップ率
max:摩擦係数μが最大となる第1スリップ率
a、Eb、Ec:定数
μ−S曲線の関数は、摩擦係数μが最大となる第1スリップ率Smaxと、摩擦係数μが最小となる第2スリップ率Sminとの間のμ−S曲線に近似する第1関数(上記式(11)の上側)と、第1スリップ率Smaxよりも大きいμ−S曲線に近似する第2関数(上記式(11)の下側)とに区分される。
定数Eaは、例えば、第1関数(上記式(11)の上側)を、第1スリップ率Smaxと第2スリップ率Sminとの間のμ−S曲線に、最小二乗法によってフィッティングさせることによって同定されうる。定数Eb、Ecは、第2関数(上記式(11)の下側)を、第1スリップ率Smaxよりも大きいμ−S曲線に、最小二乗法によって直線近似させることによって同定されうる。なお、定数Eb、Ecは、第1スリップ率Smaxよりも大きいスリップ率Sについて、一定間隔のスリップ率S(例えば、0.2、0.4、0.6及び0.8)毎に特定された摩擦係数μを結ぶ直線に基づいて同定されてもよい。
このようなμ−S曲線の関数により、コンピュータ1は、タイヤの摩擦係数μ及びスリップ率Sを一意に特定することができる。μ−S曲線の関数は、μ−S曲線入力部5Dに入力される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、タイヤの物理量を計算するのに先立ち、コンピュータ1に、計算モデル(タイヤモデル及びABSモデル)の初期値を入力する(工程S3)。本実施形態の工程S3では、上記式(1)〜(10)の各定数及び変数に、路面を転動し、かつ、制動するタイヤ11を計算するために必要な初期値が入力される。
初期値が入力される定数及び変数としては、例えば、タイヤが装着される車両の質量M、重力定数g、タイヤの摩擦係数μ、タイヤの慣性モーメントI、タイヤ半径R、車体速度Vvehicle、タイヤ速度Vwheel、ディスク部の温度T、パッド部の基準摩擦係数μ0、外気温Tatm、及び、ディスク部の基準温度T0である。また、各初期値については、本実施形態のシミュレーション方法で計算したいタイヤの制動状況に応じて、適宜設定することができる。各定数の初期値は、初期データ部5A(図1に示す)に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1に、制動力スイッチの初期値が入力される(工程S4)。制動力スイッチは、ABSの制動力(本実施形態では、上記式(7)のブレーキトルクτ)を大きくするか否かを制御するためのものである。制動力スイッチの値としては、「初期値(例えば、0)」、「大(例えば、1)」、又は、「小(例えば、2)」が入力される。本実施形態のシミュレーション方法では、制動力スイッチの値に基づいて、ABSの制動力(上記式(7)のブレーキトルクτ)を計算するためのブレーキ油圧Pが設定される。制動力スイッチは、制動力スイッチ入力部5Fに記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1が、計算モデルを用いて、タイヤの物理量を計算する(物理量計算工程S5)。物理量計算工程S5では、図1に示されるように、タイヤモデル入力部5Bに記憶されているタイヤモデル、ABSモデル入力部5Cに記憶されているABSモデル、及び、初期データ部5Aに記憶されている初期値が、作業用メモリ4Cに読み込まれる。さらに、物理量計算部6Dが、作業用メモリ4Cに読み込まれる。そして、物理量計算部6Dが、演算部4Aによって実行される。図7は、物理量計算工程S5の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の物理量計算工程S5は、先ず、ABSの制動力が計算される(工程S51)。上述したように、本実施形態において、ABSの制動力は、ABSモデルの上記式(7)のブレーキトルクτである。ブレーキトルクτは、ディスク部とパッド部との間の摩擦係数μpad(T)と、ディスク部へのパッド部の押圧力(即ち、ブレーキ油圧P)とを乗じることで計算される。
工程S51において、最初の第1微小時間Δt1のステップ(処理開始時)では、先ず、パッド部の基準摩擦係数μ0の初期値、定数αの初期値、ディスク部の基準温度T0の初期値、ディスク部の温度Tの初期値、及び、ABSモデルの上記式(8)に基づいて、ディスク部の温度Tのときのディスク部とパッド部との間の摩擦係数μpad(T)が計算される。そして、上記式(8)の摩擦係数μpad(T)、ブレーキ油圧Pの初期値、及び、上記式(7)に基づいて、ブレーキトルクτが計算される。
工程S51において、最初の第1微小時間Δt1の次のステップ以降は、後述の工程S7で計算された新たなディスク部の温度Tと、ABSモデルの上記式(8)とに基づいて、ディスク部の温度Tのときのディスク部とパッド部との間の摩擦係数μpad(T)が計算される。そして、ディスク部の温度Tのときのディスク部とパッド部との間の摩擦係数μpad(T)、後述の工程S7で計算された新たなブレーキ油圧P、及び、ABSモデルの上記式(7)に基づいて、第1微小時間Δt1の現在のステップのブレーキトルクτが計算される。
このように、本実施形態の工程S51は、ABSの制動力(ブレーキトルクτ)を第1微小時間Δt1のステップで時間発展させながら計算することができる。制動力(ブレーキトルクτ)を含むABSの各物理量は、物理量入力部5Eに記憶される。
次に、本実施形態の物理量計算工程S5では、タイヤのスリップ率Sが計算される(工程S52)。工程S52において、最初の第1微小時間Δt1のステップ(処理開始時)では、上記した初期値、ABSモデルの上記式(7)で計算されたABSの制動力(ブレーキトルクτ)、及び、タイヤモデルの上記式(1)〜(3)に基づいて、スリップ率Sが計算される。初期値には、タイヤが装着される車両の質量Mの初期値、重力定数g、タイヤの摩擦係数μの初期値、タイヤの慣性モーメントIの初期値、タイヤ半径Rの初期値、車体速度Vvehicleの初期値、及び、タイヤ速度Vwheelの初期値が用いられる。
工程S52において、最初の第1微小時間Δt1の次のステップ以降は、工程S51で計算された新たなABSの制動力(ブレーキトルクτ)に基づいて、上記式(1)〜(3)を用いて、第1微小時間Δt1の現在のステップのタイヤの摩擦係数μ、車体速度Vvehicle、タイヤ速度Vwheel、及び、スリップ率S等が計算される。
このように、工程S52は、スリップ率Sを含むタイヤの各物理量を、第1微小時間Δt1のステップで時間発展させながら計算することができる。スリップ率Sを含むタイヤの各物理量は、物理量入力部5Eに記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1が、ブレーキ油圧P(即ち、ディスク部へのパッド部の押圧力)を計算する(ブレーキ油圧計算工程S6)。ブレーキ油圧計算工程S6では、図1に示されるように、ABSモデル入力部5Cに記憶されているABSモデル、初期データ部5Aに記憶されている初期値、及び、制動力スイッチ入力部5Fに記憶されている制動力スイッチが、作業用メモリ4Cに読み込まれる。さらに、物理量計算部6Dが、作業用メモリ4Cに読み込まれる。そして、物理量計算部6Dが、演算部4Aによって実行される。
本実施形態では、制動力スイッチに初期値を入力する工程S4、又は、後述の制動力変更工程S9で設定された現在の制動力スイッチ(「初期値」、「小」又は「大」)に基づいて、ブレーキ油圧Pが計算される。図8は、ブレーキ油圧計算工程S6の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のブレーキ油圧計算工程S6では、先ず、現在の制動力スイッチが、「初期値」、「小」又は「大」のいずれに属するか否かが判断される(工程S61)。
工程S61において、現在の制動力スイッチが「初期値」の場合、ブレーキ油圧Pを増加させる(工程S62)。工程S62では、下記式(12)に基づいて、ブレーキ油圧Pを増加させている。
ここで、
DT:第1微小時間Δt1
B:ブレーキ油圧の変化率
上記式(12)のブレーキ油圧の変化率(定数)Bは、上記式(10)において、第1微小時間Δt1のステップ毎のブレーキ油圧Pの変化率の正の定数Bである。従って、工程S62では、上記式(12)により、次のステップ(第1微小時間Δt1後)のブレーキ油圧Pを増加させることができる。これにより、本実施形態のシミュレーション方法は、ABSの制動力を計算する工程S51(図7に示す)において、上記式(7)のブレーキトルクτ(ABSの制動力)を大きくすることができる。ブレーキ油圧Pは、物理量入力部5Eに記載される。
工程S61において、現在の制動力スイッチが「小」の場合、ブレーキ油圧を減少させる(工程S63)。工程S63では、下記式(13)に基づいて、ブレーキ油圧Pを減少させている。
ここで、
DT:第1微小時間Δt1
dP/dt:ブレーキ油圧の変化率
上記式(13)のブレーキ油圧の変化率dP/dtは、上記式(10)に基づいて定められる。制動力スイッチが「小」の場合、後述の制動力変更工程S9において、タイヤのスリップ率Sが、タイヤの目標スリップ率S0よりも大きいと判断されている。このため、dP/dtには、上記式(10)に基づいて、第1微小時間Δt1のステップ毎のブレーキ油圧Pの変化率の負の定数−Cが設定される。従って、工程S63では、上記式(13)により、次のステップ(第1微小時間Δt1後)のブレーキ油圧Pを減少させることができる。これにより、本実施形態のシミュレーション方法は、ABSの制動力を計算する工程S51(図7に示す)において、上記式(7)のブレーキトルクτ(ABSの制動力)を小さくすることができる。ブレーキ油圧Pは、物理量入力部5Eに記憶される。
工程S61において、現在の制動力スイッチが「大」の場合、ブレーキ油圧Pを増加させる(工程S64)。工程S64では、上記式(13)に基づいて、ブレーキ油圧Pを増加させている。
上記式(13)のブレーキ油圧の変化率dP/dtは、上記式(10)に基づいて定められる。制動力スイッチが「小」の場合、後述の制動力変更工程S9において、タイヤのスリップ率Sが、タイヤの目標スリップ率S0よりも小さいと判断されている。このため、dP/dtには、上記式(10)に基づいて、第1微小時間Δt1のステップ毎のブレーキ油圧Pの変化率の正の定数Bが設定される。従って、工程S64では、上記式(13)により、次のステップ(第1微小時間Δt1後)のブレーキ油圧Pを増加させることができる。これにより、本実施形態のシミュレーション方法は、ABSの制動力を計算する工程S51(図7に示す)において、上記式(7)のブレーキトルクτ(ABSの制動力)を大きくすることができる。ブレーキ油圧Pは、物理量入力部5Eに記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1が、ディスク部の温度Tを計算する(工程S7)。工程S7では、図1に示されるように、ABSモデル入力部5Cに記憶されているABSモデル、初期データ部5Aに記憶されている初期値、及び、物理量入力部5Eに記憶されているディスク部の温度Tが、作業用メモリ4Cに読み込まれる。さらに、物理量計算部6Dが、作業用メモリ4Cに読み込まれる。そして、物理量計算部6Dが、演算部4Aによって実行される。
工程S7では、下記式(14)に基づいて、ディスク部の温度Tが計算される。
ここで、
dT/dt:ディスクの温度Tの変化率
上記式(14)のディスク部の温度Tの変化率dT/dtは、上記式(9)に基づいて定められる。これにより、工程S7では、ディスク部13の摩擦発熱と、ディスク部13の放熱とを考慮して、ディスクの温度Tが計算される。従って、本実施形態のシミュレーション方法は、ABSの制動力を計算する工程S51(図7に示す)において、上記式(8)のディスク部とパッド部との間の摩擦係数μpad(T)、及び、上記式(7)のブレーキトルクτ(ABSの制動力)を精度よく計算することができる。計算されたディスク部の温度Tは、物理量入力部5Eに記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1が、現在のステップが、第2微小時間Δt2のステップか否かを判断する(工程S8)。第2微小時間Δt2は、第1微小時間Δt1よりも大に設定されている。工程S8での判断は、演算部4A(図1に示す)によって実行される。
工程S8において、現在のステップ(第1微小時間Δt1のステップ)が、第2微小時間Δt2のステップであると判断された場合(工程S8において、「Y」)、次の制動力変更工程S9が実行される。他方、現在のステップが、第2微小時間Δt2のステップでないと判断された場合(工程S8において、「N」)、第1微小時間Δt1のステップを一つ進めて(工程S10)、次の工程S11が実行される。このように、本実施形態の制動力変更工程S9は、第2微小時間Δt2のステップ毎に実行される。
次に、制動力変更工程S9は、コンピュータ1が、タイヤの物理量に基づいて、計算モデルのABSの制動力を変更する。本実施形態の制動力変更工程S9では、タイヤのスリップ率Sに基づいて、計算モデルのABSの制動力を大きくするか否かを制御するための制動力スイッチが変更されている。
制動力変更工程S9では、図1に示されるように、μ−S曲線入力部5Dに記憶されているμ−S曲線の関数、物理量入力部5Eに記憶されているタイヤのスリップ率S、及び、制動力スイッチ入力部5Fに記憶されている制動力スイッチが、作業用メモリ4Cに読み込まれる。さらに、物理量計算部6Dが、作業用メモリ4Cに読み込まれる。そして、物理量計算部6Dが、演算部4Aによって実行される。図9は、制動力変更工程S9の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の制動力変更工程S9では、先ず、現在の制動力スイッチが「初期値」であり、かつ、タイヤのスリップ率Sが、図6に示したμ−S曲線の第1スリップ率Smaxと第2スリップ率Sminとの間であるか否かが判断される(工程S91)。第1スリップ率Smaxと第2スリップ率Sminとの間の範囲のスリップ率Sは、タイヤのロックを防ぐことができる領域である。
工程S91において、現在の制動力スイッチが「初期値」であり、かつ、現在のタイヤのスリップ率Sが第1スリップ率Smaxと第2スリップ率Sminとの間であると判断された場合(工程S91において、「Y」)、目標スリップ率S0が、現在のタイヤのスリップ率Sで定義され(工程S92)、制動力スイッチが「小」に変更される(工程S93)。目標スリップ率S0は、物理量入力部5Eに記憶される。制動力スイッチは、制動力スイッチ入力部5Fに記憶される。
このように、工程S92では、実際のABSと同様に、第1スリップ率Smaxと第2スリップ率Sminとの間に、目標スリップ率S0が設定される。また、工程S93において、制動力スイッチが「初期値」から「小」に変更されるため、上述のブレーキ油圧計算工程S6において、減少したブレーキ油圧Pが計算される。これにより、ABSの制動力を計算する工程S51において、小さなABSの制動力が計算される。従って、工程S93では、ABSの制動力を小さく変更することができる。これにより、本実施形態では、タイヤのスリップ率Sが計算される工程S52(図7に示す)において、必要以上に増加したスリップ率Sが計算されるのを防ぐことができる。
他方、工程S91において、現在の制動力スイッチが「初期値」ではない、又は、現在のタイヤのスリップ率Sが第1スリップ率Smaxと第2スリップ率Sminとの間にないと判断された場合(工程S91において、「N」)、次の工程S94が実行される。これにより、第1スリップ率Smaxと第2スリップ率Sminとの間の範囲外に、目標スリップ率S0が定義されるのを防ぐことができる。
次に、工程S94では、コンピュータ1が、現在の制動力スイッチが「小」であり、かつ、現在のタイヤのスリップ率Sが目標スリップ率S0よりも小さいか否かが判断される。ABS(システム)の一般的なアルゴリズムでは、タイヤのスリップ率Sが目標スリップ率S0よりも小さいと、制動力を大きくして、制動距離が長くなるのを防いでいる。
工程S94において、現在の制動力スイッチが「小」、かつ、現在のタイヤのスリップ率Sが目標スリップ率S0よりも小さいと判断された場合(工程S94において、「Y」)、制動力スイッチが「大」に変更される(工程S95)。これにより、上述のブレーキ油圧計算工程S6において、増加したブレーキ油圧Pが計算される。さらに、ABSの制動力を計算する工程S51において、大きなABSの制動力が計算される。従って、工程S95では、ABSの制動力を大きく変更することができる。
これにより、本実施形態では、タイヤのスリップ率Sが計算される工程S52(図7に示す)において、必要以上に減少したスリップ率Sが計算されるのを防ぐことができるため、実際のABSと同様に、長い制動距離が計算されるのを防ぐことができる。制動力スイッチは、制動力スイッチ入力部5Fに記憶される。
他方、工程S94において、現在の制動力スイッチが「小」ではなく、又は、タイヤのスリップ率Sが目標スリップ率S0以上であると判断された場合(工程S94において、「N」)、次の工程S96が実行される。
次に、工程S96では、コンピュータ1が、現在の制動力スイッチが「大」であり、かつ、現在のタイヤのスリップ率Sが目標スリップ率S0よりも大きいか否かが判断される。ABS(システム)の一般的なアルゴリズムでは、タイヤのスリップ率Sが目標スリップ率S0よりも大きいと、制動力を小さくして、タイヤがロックするのを防いでいる。
工程S96において、現在の制動力スイッチが「大」であり、かつ、現在のタイヤのスリップ率Sが目標スリップ率S0よりも大きいと判断された場合(工程S96において、「Y」)、制動力スイッチが「小」に変更される(工程S97)。これにより、上述のブレーキ油圧計算工程S6において、減少したブレーキ油圧Pが計算される。さらに、ABSの制動力を計算する工程S51において、小さなABSの制動力が計算される。従って、工程S97では、ABSの制動力を小さく変更することができる。
これにより、本実施形態では、タイヤのスリップ率Sが計算される工程S52(図7に示す)において、必要以上に増加したスリップ率Sが計算されるのを防ぐことができるため、実際のABSと同様に、タイヤのロックが計算されるのを防ぐことができる。制動力スイッチは、制動力スイッチ入力部5Fに記憶される。
他方、現在の制動力スイッチが「大」ではなく、又は、現在のタイヤのスリップ率Sが目標スリップ率以下と判断された場合(工程S96において、「N」)、次の工程S10が実施される。
上述したように、本実施形態の制動力変更工程S9は、工程S8の判断により、第1微小時間Δt1よりも大きい第2微小時間Δt2のステップ毎に実行される。実際のABS(システム)では、ABSで制動力が(例えば、制動力を「大」に)変更されてから、次に制動力が(例えば、制動力を「小」に)変更されるまでには、一定の時間を要する。本実施形態のシミュレーション方法は、実際のABSに基づき、ABSで制動力(本実施形態では、制動力スイッチ)が変更されてから、次に制動力(本実施形態では、制動力スイッチ)が変更されるまでの時間間隔(タイムラグ)を考慮して、ABSの制動力を受けたタイヤの物理量を計算することができる。従って、本発明のタイヤの制動シミュレーション方法は、ABSで制動力を与えたときのタイヤの制動状況を精度良く計算することができる。
なお、従来のシミュレーション方法のように、第1微小時間Δt1と同一の第2微小時間Δt2のステップ毎に、制動力変更工程S9が実行された場合、スリップ率Sが常に目標スリップ率S0付近に位置し、ABSで制動力を与えたときのタイヤの制動状況を十分計算することが難しい。
第2微小時間Δt2は、ABSの特性やタイヤの特性に基づいて、適宜設定されるのが望ましい。第2微小時間Δt2が小さいと、タイヤの制動状況を十分計算することが難しいおそれがある。逆に、第2微小時間Δt2が大きくても、制動力が変更されるまでの実際の時間間隔(タイムラグ)よりも大きくなるため、タイヤの制動状況を十分計算することが難しい。このような観点より、第1微小時間Δt1が上記範囲に設定されている場合、第2微小時間Δt2は、好ましくは、第1微小時間Δt1の30倍以上であり、また、好ましくは100倍以下である。
次に、工程S11では、コンピュータ1が、車体速度Vvehicleが予め定められた下限値まで減少したか否かを判断する。工程S8での判断は、演算部4A(図1に示す)によって実行される。下限値については、本実施形態のシミュレーション方法で計算したいタイヤの制動状況に応じて、適宜設定することができる。本実施形態の下限値は、車体速度Vvehicleの初期値の30%に設定される。
工程S11において、車体速度Vvehicleが下限値まで減少したと判断された場合(工程S11で、「Y」)、本実施形態のシミュレーション方法の一連の処理が終了する。他方、車体速度Vvehicleが下限値まで減少していないと判断された場合(工程S11で、「N」)、物理量計算工程S5〜工程S11が再度実行される。これにより、本実施形態のシミュレーション方法は、車体速度Vvehicleが下限値の速度に減少するまでの間、ABSで制動力を与えたときのタイヤの制動状況を計算することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
3種類のタイヤ(タイヤA、タイヤB、タイヤC)について、図2に示した処理手順に基づいて、ABSの制動力と、制動力を受けたタイヤの物理量とを計算するための計算モデルが定義された(実施例、比較例)。実施例及び比較例は、図5、図7、及び、図8に示した処理手順に従って、μ−S曲線定義工程、物理量計算工程、及び、ブレーキ油圧計算工程が実施された。
実施例では、図9に示した処理手順に従って、タイヤの物理量に基づいて、計算モデルのABSの制動力を、第1微小時間Δt1よりも大きい第2微小時間Δt2のステップで変更する制動力変更工程が実施された。さらに、実施例では、上記式(8)の定数αに「1.3」が入力されることにより、ディスク部の温度Tの上昇とともに摩擦係数μpad(T)が大きくなる温度依存性が考慮された。そして、実施例では、タイヤA、タイヤB、及び、タイヤCについて、平均スリップ率、スリップ率の標準偏差、及び、スリップ率の制動距離が計算された。
他方、比較例では、計算モデルのABSの制動力が、第1微小時間Δt1と同一の第2微小時間Δt2のステップで変更された。また、比較例では、上記式(8)の定数αに「0」が入力されることにより、摩擦係数μpad(T)の温度依存性が考慮されなかった。そして、比較例では、タイヤA、タイヤB、及び、タイヤCについて、平均スリップ率、スリップ率の標準偏差、及び、制動距離が計算された。
タイヤA、タイヤB、タイヤCを下記条件で下記の質量Mの国産FF車に装着して、下記の車体速度Vvehicleで走行し、ABSの制動力をタイヤに与えて制動させたときの平均スリップ率、スリップ率の標準偏差、及び、制動距離が測定された(実験例(実車))。共通仕様は、次のとおりである。
タイヤA、タイヤB、タイヤC:
タイヤサイズ:195/65R15
リムサイズ:15×6.0JJ
内圧:0.2MPa
初期値:
車両の質量M:250kg
重力定数g:9.8m/s2
タイヤの摩擦係数μ:0.1
タイヤの慣性モーメントI:0.6kg・m2
タイヤ半径R:0.31m
車体速度Vvehicle:27.8m/s(100km/h)
タイヤ速度Vwheel:27.8m/s
ディスク部の温度T:25℃
パッド部の基準摩擦係数μ0:1.0
外気温Tatm:25℃
ディスク部の基準温度T0:25℃
定数A:100
定数B:10
定数C:25
定数D:1
定数E:0.2
第1微小時間Δt1:0.0001s
第2微小時間Δt2:
実施例:0.005s(即ち、Δt2=Δt1×50)
比較例:0.0001s(即ち、Δt2=Δt1)
速度の下限値(シミュレーションの終了条件):8.34m/s
図10は、実施例及び比較例のシミュレーションの平均スリップ率と、実験例の平均スリップ率との関係を示すグラフである。図11は、実施例及び比較例のシミュレーションのスリップ率の標準偏差と、実験例のスリップ率の標準偏差との関係を示すグラフである。図12は、実施例及び比較例のシミュレーションの制動距離と、実験例の制動距離との関係を示すグラフである。図10〜12から明らかなように、実施例は、比較例に比べて、実験例のスリップ率、及び、制動距離に近似した。従って、実施例は、比較例に比べて、ABSで制動力を与えたときのタイヤの制動状況を精度良く計算することができた。
S1 計算モデルを定義する工程
S5 タイヤの物理量を計算する工程
S9 ABSの制動力を変更する工程

Claims (5)

  1. 路面を走行するタイヤにABSで制動力を与えたときの前記タイヤの制動状況を、コンピュータを用いて計算するための方法であって、
    前記コンピュータに、前記ABSの制動力と、前記制動力を受けた前記タイヤの物理量とを計算するための計算モデルを定義する工程を含み、
    前記コンピュータは、
    前記計算モデルを用いて、前記タイヤの前記物理量を第1微小時間Δt1のステップで時間発展させながら計算する工程と、
    前記タイヤの前記物理量に基づいて、前記計算モデルの前記ABSの前記制動力を、前記第1微小時間Δt1よりも大きい第2微小時間Δt2のステップで変更する工程とを実行するタイヤの制動シミュレーション方法。
  2. 前記物理量を計算する工程は、前記タイヤのスリップ率を計算する工程を含み、
    前記ABSの前記制動力を変更する工程は、
    前記タイヤのスリップ率が、予め定められた目標スリップ率よりも大きい場合に、前記ABSの前記制動力を小さくする工程と、
    前記タイヤのスリップ率が、前記目標スリップ率よりも小さい場合に、前記ABSの前記制動力を大きくする工程とを含む請求項1記載のタイヤの制動シミュレーション方法。
  3. 前記ABSの前記制動力を変更する工程よりも先に、前記コンピュータに、前記タイヤの摩擦係数μとスリップ率Sとの関係を示すμ−S曲線を入力する工程と、
    前記μ−S曲線の前記摩擦係数μが最大となる第1スリップ率と、前記μ−S曲線の前記摩擦係数μが最小となる第2スリップ率との間で、前記目標スリップ率を定義する工程とをさらに含む請求項2記載のタイヤの制動シミュレーション方法。
  4. 前記ABSは、前記タイヤとともに回転するディスク部、及び、前記ディスク部に接触するパッド部を含み、
    前記物理量を計算する工程は、前記ディスク部と前記パッド部との間の摩擦係数と、前記ディスク部への前記パッド部の押圧力とを乗じることで、前記制動力を計算する工程をさらに含む請求項1乃至3のいずれかに記載のタイヤの制動シミュレーション方法。
  5. 前記ディスク部と前記パッド部との間の摩擦係数は、前記ディスク部の温度の上昇とともに大きくなる温度依存性が定義される請求項4記載のタイヤの制動シミュレーション方法。
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