以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態における検知装置10の説明図を示す。検知装置10は、例えば超音波モーションセンサとして用いることができ、閉鎖空間20内の例えば天井、壁、床、または机の上等に配置されることができる。検知装置10は、閉鎖空間20内で超音波を出力して、閉鎖空間20の壁等で反射した反射信号を受信する。検知装置10は、反射信号に応じて、閉鎖空間20の窓30の開閉、閉鎖空間20のドア40の開閉、および閉鎖空間20内での物体50の移動のうちの少なくとも1つを状態変化として検知する。検知装置10は、超音波の出力と反射信号の受信とを一定期間(例えばユーザにより設定された期間、またはユーザが検知装置の電源オンしてから電源オフするまでの期間)継続して、閉鎖空間20の状態変化を監視してよい。
検知装置10は、閉鎖空間20の状態変化の検知に応じて各種の処理を実行でき、例えば、閉鎖空間20の外にいるユーザ60(例えば部屋の所有者または管理者)にスマートフォン等のユーザ端末70を介して警告等を通知することができる。
なお、閉鎖空間20は、上下および/または前後左右が閉鎖された空間(例えば、天井と床によりおよび/または前後左右が壁により閉鎖された空間)であればよく、また、閉鎖空間20の一部には開放可能なドア40または窓30等が形成されてよい。閉鎖空間20は、例えば、オフィスの会議室、または住宅の部屋等であってよい。
図2は、本実施形態における検知装置10の構成例を示す。検知装置10は、超音波生成部110と、出力部120と、受信部130と、検知部140とを備える。
超音波生成部110は、出力部120から出力される超音波を生成する。超音波生成部110は、信号発生部111と、信号増幅部112と、第1のDA変換部113aと、第2のDA変換部113bと、第1のフィルタ部114aと、第2のフィルタ部114bと、パワーアンプ115とを有する。
信号発生部111は、信号増幅部112に接続され、所定の周波数のデジタル信号を生成する。信号発生部111は、例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ)等のデジタル回路であってよい。信号増幅部112は、第1のDA変換部113aおよび第2のDA変換部113bに接続され、信号発生部111により生成されたデジタル信号を増幅する。
第1のDA変換部113aは、第1のフィルタ部114aに接続され、信号増幅部112からのデジタル信号を左チャネル(Lch)用のアナログ信号に変換する。第1のフィルタ部114aは、パワーアンプ115に接続され、デジタル−アナログ変換時の折り返しにより発生する高調波をアナログ信号から除去する。第1のフィルタ部114aは、例えばイメージ除去フィルタである。
第2のDA変換部113bは、第2のフィルタ部114bに接続され、信号増幅部112からのデジタル信号を右チャネル(Rch)用のアナログ信号に変換する。第2のフィルタ部114bは、パワーアンプ115に接続され、デジタル−アナログ変換時の折り返しにより発生する高調波をアナログ信号から除去する。第2のフィルタ部114bは、例えばイメージ除去フィルタである。
パワーアンプ115は、出力部120に接続され、第1のフィルタ部114aおよび第2のフィルタ部114bからの信号を増幅して出力部120に送信する。
出力部120は、超音波生成部110からの信号を非可聴音帯域の超音波として閉鎖空間20内に出力する。出力部120は、例えば、人に聞こえない範囲で極力低い周波数の超音波、例えばモスキート音より高い周波数(17kHz)以上の超音波を出力してよい。出力部120は、第1のスピーカ121aと第2のスピーカ121bとを有する。
第1のスピーカ121aと第2のスピーカ121bは、異なるチャネルで信号を同相出力するステレオスピーカーであってよい。例えば、第1のスピーカ121aは、左チャネルで超音波を出力し、第2のスピーカ121bは、右チャネルで超音波を出力する。なお、出力部120は、第1のスピーカ121aと第2のスピーカ121bに代わって、1つのモノラルスピーカを有してよく、当該モノラルスピーカにより超音波を出力してよい。
受信部130は、出力部120からの超音波の出力に応じて、出力された超音波が壁等の物体で反射した反射信号を受信し、反射信号に対して処理を行う。受信部130は、マイク131と、マイクアンプ132と、AD変換部133と、第3のフィルタ部134と、反射信号増幅部135とを有する。
マイク131は、マイクアンプ132に接続され、物体からの反射波を反射信号に変換して、マイクアンプ132に送信する。マイクアンプ132は、AD変換部133に接続され、反射信号を増幅してAD変換部133に送信する。AD変換部133は、第3のフィルタ部134に接続され、アナログの反射信号をデジタル信号に変換して、第3のフィルタ部134に送信する。第3のフィルタ部134は、反射信号増幅部135に接続され、AD変換部133からの反射信号に対して、特定の周波数帯域のみとなるようにフィルタリングを行う。例えば、第3のフィルタ部134は、デジタルバンドパスフィルタである。反射信号増幅部135は、検知部140に接続され、第3のフィルタ部134からの反射信号を増幅する。反射信号増幅部135は、例えばデジタル回路である。
検知部140は、受信部130が受信した反射信号の変化に基づいて、閉鎖空間20の状態変化を検知する。例えば、検知部140は、受信した反射信号の信号強度の変化量を閾値と比較して、当該変化量が閾値より大きい場合に、閉鎖空間20の状態が変化したとして検知信号を出力してよい。検知部140は、検出部141と、加算部142と、閾値設定部144と、比較部143とを有する。
検出部141は、加算部142に接続され、受信部130の反射信号増幅部135からの信号に応じて信号Hiおよび信号Loを加算部142に出力する。加算部142は、比較部143の一方の入力に接続され、検出部141からの信号Hiおよび信号Loの間の差を示す差分信号を、比較部143に送信する。閾値設定部144は、比較部143の他方の入力に接続され、予め設定されている閾値を比較部143に出力する。比較部143は、加算部142からの差分信号と、閾値設定部144からの閾値とに基づいて検知信号を出力する。
図3は、検出部141の構成例を示す。検出部141は、時定数のより速いデジタルローパスフィルタ200と、時定数のより遅いデジタルローパスフィルタ210とを有する。時定数のより速いデジタルローパスフィルタ200と時定数のより遅いデジタルローパスフィルタ210とは、互いに時定数が異なっていればよく、時定数のより遅いデジタルローパスフィルタ210は、時定数のより速いデジタルローパスフィルタ200よりも時定数が大きい。
時定数のより速いデジタルローパスフィルタ200は、受信部130からの反射信号に対してローパスフィルタリングを行い、入力される反射信号の変化により速く追従して変化する信号Hiを出力する。時定数のより速いデジタルローパスフィルタ200は、第1の検出増幅部201と、第1のフリップフロップ202と、第2の検出増幅部203と、第1の検出加算部204とを有する。
第1の検出増幅部201は、第1の検出加算部204の入力に接続され、受信部130からの反射信号を増幅して、第1の検出加算部204に送信する。例えば、第1の検出増幅部201は、反射信号に係数1−a(ここで、0<a<1)を乗算する。第1のフリップフロップ202は、第1の検出加算部204の出力と第2の検出増幅部203の入力とに接続され、第1の検出加算部204からの信号Hiを遅延させて、第2の検出増幅部203へ送信する。第2の検出増幅部203は、第1の検出加算部204の入力に接続され、第1のフリップフロップ202からの遅延された信号を増幅して第1の検出加算部204に送信する。例えば、第2の検出増幅部203は、遅延された信号に係数aを乗算する。第1の検出加算部204は、第1の検出増幅部201からの信号と、第2の検出増幅部203からの信号とを加算して、信号Hiを第1のフリップフロップ202と加算部142とに送信する。
時定数のより遅いデジタルローパスフィルタ210は、受信部130からの反射信号に対してローパスフィルタリングを行い、入力される反射信号の変化により遅く追従して変化する信号Loを出力する。時定数のより遅いデジタルローパスフィルタ210は、第3の検出増幅部211と、第2のフリップフロップ212と、第4の検出増幅部213と、第2の検出加算部214とを有する。
第3の検出増幅部211は、第2の検出加算部214の入力に接続され、受信部130からの反射信号を増幅して、第2の検出加算部214に送信する。例えば、第3の検出増幅部211は、反射信号に係数1−b(ここで、0<b<1)を乗算する。第2のフリップフロップ212は、第2の検出加算部214の出力と第4の検出増幅部213の入力とに接続され、第2の検出加算部214からの信号Loを遅延させて、第4の検出増幅部213へ送信する。第4の検出増幅部213は、第2の検出加算部214の入力に接続され、第2のフリップフロップ212からの遅延された信号を増幅して第2の検出加算部214に送信する。例えば、第4の検出増幅部213は、遅延された信号に係数bを乗算する。第2の検出加算部214は、第3の検出増幅部211からの信号と、第4の検出増幅部213からの信号とを加算して、信号Loを第2のフリップフロップ212と加算部142とに送信する。
次に、本実施形態における検知装置10の動作について説明する。超音波生成部110の信号発生部111は、周波数17kHz以上40kHz未満、好ましくは17kHz以上30kHz以下の非可聴音帯域の正弦波信号を離散的に生成する。超音波生成部110は、生成した信号に対して信号処理を行い、出力部120に送信する。
出力部120は、超音波生成部110からの信号を、17kHz以上40kHz未満、好ましくは17kHz以上30kHz以下の周波数の超音波として閉鎖空間20内へ出力する。周波数を40kHz未満、好ましくは30kHz以下とすることで、出力部120のスピーカのゲインが高くなり、超音波をより強力に発信することができ、検知範囲が広がる。
受信部130は、出力部120からの超音波出力開始と同時に、または出力部120から超音波を出力している間に、物体で反射された反射信号の受信を開始する。受信部130は、反射信号をアナログ信号に変換して、アナログ信号を増幅し、検知部140に送信する。例えば、受信部130の第3のフィルタ部134は、反射信号に対して、出力した超音波の周波数が含まれる周波数帯域の周波数成分以外を急峻に除去するフィルタリング、好ましくは、出力した超音波の周波数と同じ周波数成分以外を急峻に除去するフィルタリングを行う。具体的には、第3のフィルタ部134は、フィルタリングにより、反射信号を、17kHz以上40kHz未満、好ましくは17kHz以上30kHz以下の周波数の信号とする。
検知部140は、受信部130で受信する反射信号の変化に応じた検知信号を出力する。図4は、反射信号の時間変化を示す。図5は、デジタルローパスフィルタ200,210の出力の時間変化を示す。図6は、デジタルローパスフィルタ200,210の出力の差分信号の時間変化を示す。
受信部130が受信する反射信号は、閉鎖空間20における、人の移動(動体)、ドア40または窓30の開閉等の閉鎖空間20の状態変化により、図4に示すように変化する。このとき、図5に示すように、検知部140の時定数のより速いデジタルローパスフィルタ200の出力信号Hiは、すぐに反射信号の変化に追従して変化する。一方、時定数のより遅いデジタルローパスフィルタ210の出力信号Loは、徐々に反射信号の変化に追従して変化する。従って、反射信号が変化した瞬間には、信号HiおよびLoの間の差分は大きいが、その後反射信号が変化せずに一定期間経過すると、信号HiおよびLoの間の差分は小さくなる。このため、信号HiおよびLoが入力される加算部142は、図6に示すように反射信号の変化を反映した差分信号を出力する。
比較部143は、加算部142から出力される差分信号A(時定数のより速いデジタルローパスフィルタ200の出力および時定数のより遅いデジタルローパスフィルタ210の出力の差)と閾値設定部144からの予め定められた閾値Bとを比較して、比較結果に応じて検知信号を出力する。例えば、比較部143は、差分信号Aが閾値Bより大きい場合、閉鎖空間20の状態変化を検知したことを示す検知信号を出力する。
本実施形態の検知装置10は、閉鎖空間20内に超音波を出力して、反射した超音波の変化を監視することで、当該閉鎖空間20の状態変化を検知できる。本実施形態の検知装置10は、超音波の周波数を下げることで超音波の指向性を低く抑え、閉鎖空間20の壁、床、天井など様々な経路で超音波が反射し、検知装置10の背面等からの反射信号によって広角の検知を行うことができる。例えば、本実施形態の検知装置10は、部屋等の閉鎖空間全体を1つの検知装置10で網羅して閉鎖空間内を監視することができる。検知装置10は、空間内の人の有無の把握、会議室等の使用状況把握等の用途に適応可能であり、また、部屋への人の侵入等の部屋の異常を検知するセキュリティ用途に適応可能である。また、検知装置10は、低い周波数の超音波を出力する通常のスピーカ及びマイクを使用することが可能であるため、圧電スピーカ等を有さないが既に通常のスピーカおよびマイクを備えている機器(例えば、インターフォンまたはロボット等)に容易に適応可能である。
図7は、本実施形態における検知装置10を有するセキュリティ機器の一例として、セキュリティカメラ700の構成例を示す。セキュリティカメラ700は、セキュリティカメラの機能と共に、超音波モーションセンサの機能も有する。セキュリティカメラ700は、スピーカ710と、マイク720と、コーデック730と、デジタルシグナルプロセッサ740と、イメージセンサ750と、アナログフロントエンド(AFE)760と、通信部770と、中央処理装置780とを備える。
スピーカ710は、コーデック730に接続され、検知装置10の出力部120のうちの少なくとも1部の構成を有し、コーデック730からの信号を受信し、検知のために超音波として出力する。スピーカ710は、超音波の出力以外にも、セキュリティカメラ700の他の機能の一部を実行してよい。例えばスピーカ710は、警告音の出力、操作ガイダンスまたはハンズフリー通話機能のための音声出力等を行ってよい。
マイク720は、コーデック730に接続され、検知装置10の受信部130のうちの少なくとも1部の構成を有し、検知のために反射信号を受信してコーデック730に送信する。マイク720は、反射信号の受信以外にも、セキュリティカメラ700の他の機能の一部を実行してよい。例えばマイク720は、複数のマイク720からなり、音源の方向を推定するために音を検出してよい。また、マイク720は、録音またはハンズフリー通話機能等のために音声を受信してよい。
コーデック730は、デジタルシグナルプロセッサ740に接続され、検知装置10の受信部130のうちの少なくとも1部の構成および超音波生成部110のうちの少なくとも1部の構成を有してよい。コーデック730は、デジタルシグナルプロセッサ740からのデジタル信号に対してDA変換する等の各種の信号処理を実行し、処理したアナログ信号を、超音波として出力するためにスピーカ710に送信してよい。また、コーデック730は、マイク720からの反射信号に対してAD変換する等の各種の信号処理を実行し、処理した反射信号をデジタルシグナルプロセッサ740に送信してよい。コーデック730は、検知装置10の機能以外にも、セキュリティカメラ700の他の機能の一部を実行してよい。コーデック730は、例えば、録音のために入力された音声をAD変換してデジタルシグナルプロセッサ740に送信してよい。また、コーデック730は、ハンズフリー通話機能においてデジタルシグナルプロセッサ740からの音声データをDA変換し、再生のためにスピーカ710に送信してよい。
デジタルシグナルプロセッサ740は、中央処理装置780に接続され、検知装置10の受信部130のうちの少なくとも1部の構成および超音波生成部110の少なくとも1部の構成を有してよい。デジタルシグナルプロセッサ740は、コーデック730からの信号に対して、検知装置10による検知のための各種の信号処理を行って、処理された信号を中央処理装置780に送信してよい。また、デジタルシグナルプロセッサ740は、中央処理装置780からの信号に対して、検知装置10による検知のための各種の信号処理を行って、処理された信号をコーデック730に送信してよい。デジタルシグナルプロセッサ740は、検知装置10の機能以外にも、セキュリティカメラ700の他の機能の一部を実行してよい。デジタルシグナルプロセッサ740は、マイク720側からの音声との全二重会話を実現するために、中央処理装置780からの音声データに対して、エコーキャンセルやノイズキャンセルなどのハンズフリー通話機能のための演算処理を実行してよい。
イメージセンサ750は、アナログフロントエンド760に接続され、閉鎖空間20内の動画または静止画を撮像して、取得した信号をアナログフロントエンド760に送信する。イメージセンサ750は、例えば、CCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等であってよい。
アナログフロントエンド760は、中央処理装置780に接続され、イメージセンサ750からの信号に対して増幅等の処理を実行して、処理された信号を中央処理装置780に送信する。
通信部770は、中央処理装置780に接続され、検知装置10による閉鎖空間20の状態変化の検知に応じてユーザ端末70と無線通信する。例えば、通信部770は、閉鎖空間20の状態変化を検知したこと示す通知(Eメール等)をユーザ端末70に送信してよい。通信部770は、例えば、Blue Tooth(登録商標)、Wifi、またはLTEにより通信を行ってよい。
中央処理装置780は、検知装置10の受信部130のうちの少なくとも1部の構成、超音波生成部110のうちの少なくとも1部の構成、および/または検知部140のうちの少なくとも1部の構成を有してよい。中央処理装置780は、デジタルシグナルプロセッサ740からの信号に対して、検知装置10による検知のための各種の処理を行い、閉鎖空間20の状態変化を検知してよい。中央処理装置780は、閉鎖空間20の状態変化の検知に応じて、通信部770、マイク720、スピーカ710、またはセキュリティカメラ700の撮像方向等を制御してよい。例えば、中央処理装置780は、閉鎖空間20の状態変化を検知すると、マイク720に入力された音の録音を開始する、スピーカ710で警告音を出力する、通信部770を介して閉鎖空間20の状態変化を検知したこと示す通知をユーザ端末70に送信する、イメージセンサ750が取得した動画または静止画を記録する、およびセキュリティカメラ700の撮像方向を変更するのうちの少なくとも1つを実行するよう各構成を制御する。
中央処理装置780は、検知装置10の機能以外にも、セキュリティカメラ700の他の機能の一部を実行してよい。例えば、中央処理装置780は、マイク720に入力された音を解析して、音源の方向を推定して音源方向にセキュリティカメラ700の撮像方向を変更してよい。
本実施形態の検知装置10は、セキュリティカメラ700に搭載された通常のマイク720やスピーカ710を用いることができるため、検知装置10は、容易にセキュリティカメラ700に組み込み可能である。また、検知装置10をセキュリティカメラ700に搭載することで、侵入者が音をたてずに部屋に入ってきた場合など、音の検知では有効でない場合にも、超音波により部屋の異常を検知することが可能である。
なお、本実施形態の検知装置10における各種の信号処理は、セキュリティカメラ700のいずれの構成において実施されてもよく、例えば、デジタルシグナルプロセッサ740および/または中央処理装置780により検知のための信号処理を実施してよい。
図8は、本実施形態における検知装置10を有する音声認識装置800の構成例を示す。音声認識装置800は、音声認識の機能と共に、超音波モーションセンサの機能も有する。音声認識装置800は、例として、Blue Tooth(登録商標)スピーカ、ロボット、またはPC等であってよい。音声認識装置800は、検知装置10による閉鎖空間20の状態変化の検知とともに、音声コマンドの受信に応じて、スピーカのボリュームや選曲などの制御、ユーザのスケジュールの確認、E−コマース等のインターネットを介したショッピングのうちの少なくとも1つを実行することができる。音声認識装置800は、スピーカ810と、マイク820と、コーデック830と、通信部840と、中央処理装置850とを備える。
スピーカ810は、コーデック830に接続され、検知装置10の出力部120のうちの少なくとも1部の構成を有し、コーデック830からの信号を受信し、検知のために超音波として出力する。スピーカ810は、超音波の出力以外にも、音声認識装置800の他の機能の一部を実行してよい。例えばスピーカ810は、音楽の再生、または操作ガイダンスのための音声出力等を行ってよい。
マイク820は、コーデック830に接続され、検知装置10の受信部130のうちの少なくとも1部の構成を有し、検知のために反射信号を受信してコーデック830に送信する。マイク820は、一例として、複数のマイク素子が並んで配置されたアレイマイクであってよい。マイク820は、検知装置10の機能以外にも、音声認識装置800の他の機能の一部を実行してよい。例えばマイク820は、音声認識のためにユーザの音声を受信してよい。
コーデック830は、中央処理装置850に接続され、検知装置10の受信部130のうちの少なくとも1部の構成および超音波生成部110のうちの少なくとも1部の構成を有してよい。コーデック830は、例えばマルチチャンネルのコーデックである。コーデック830は、中央処理装置850からのデジタル信号に対してDA変換する等の各種の信号処理を実行し、処理された信号を、超音波として出力するためにスピーカ810に送信してよい。また、コーデック830は、マイク820からの反射信号に対してAD変換する等の各種の信号処理を実行し、処理された反射信号を中央処理装置850に送信してよい。コーデック830は、検知装置10の機能以外にも、音声認識装置800の他の機能の一部を実行してよい。例えばコーデック830は、入力された音声をAD変換して中央処理装置850に送信してよい。またコーデック830は、音楽再生のために、中央処理装置850からの音楽データをDA変換し、スピーカ810に送信してよい。
通信部840は、中央処理装置850に接続され、検知装置10による閉鎖空間20の状態変化の検知に応じてユーザ端末70と無線通信する。例えば、通信部840は、閉鎖空間20の状態変化を検知したこと示す通知をユーザ端末70に送信してよい。また、通信部840は、音声認識のために音声データをルータ860を介してクラウド870に送信し、認識結果をクラウド870から受信することができる。通信部840は、例えば、Blue Tooth(登録商標)、Wifi、またはLTEにより通信を行ってよい。
中央処理装置850は、検知装置10の受信部130のうちの少なくとも1部の構成、超音波生成部110の少なくとも1部の構成、および/または検知部140のうちの少なくとも1部の構成を有してよい。中央処理装置850は、コーデック830からの信号に対して、検知装置10による検知のための各種の処理を行い、閉鎖空間20の状態変化を検知してよい。中央処理装置850は、閉鎖空間20の状態変化の検知に応じて、通信部840、マイク820、またはスピーカ810等を制御してよい。例えば、中央処理装置850は、閉鎖空間20の状態変化を検知すると、マイク820に入力される音の録音を開始する、スピーカ810で警告音を出力する、および通信部840を介して閉鎖空間20の状態変化を検知したこと示す通知をユーザ端末70に送信するのうちの少なくとも1つを実行するよう各構成を制御する。
中央処理装置850は、検知装置10の機能以外にも、音声認識装置800の他の機能の一部を実行してよい。例えば、中央処理装置850は、ビームフォーミング、ノイズキャンセル、音声認識のデジタル処理等を行ってよい。中央処理装置850は、クラウド870上で文脈解析などの音声認識を行って得られた認識結果を受信して、音声認識装置800の各種の動作を制御してよい。
本実施形態の検知装置10は、音声認識装置800に搭載された通常のマイク820やスピーカ810を用いることができるため、検知装置10は、容易に音声認識装置800に組み込み可能である。また本実施形態の音声認識装置800は、ユーザが在宅中は、音声アシスタント機器として動作し、ユーザが不在時は、検知装置10を動作させることで、侵入者、ドア40の開閉、または窓30の開閉など、部屋の異常を検知するセキュリティ機器として動作することができる。また、プライバシーの問題からカメラを搭載できない音声認識装置に対しても、マイク820とスピーカ810で異常を検知できる本実施形態の検知装置10を搭載することが有効である。
なお、本実施形態の検知装置10における各種の信号処理は、音声認識装置800のいずれの構成において実施されてもよい。また、音声認識装置800において、中央処理装置850とコーデック830との間にデジタルシグナルプロセッサを追加し、デジタルシグナルプロセッサに検知装置10における各種の処理を実行させてもよい。
図9は、本実施形態における検知装置10を有する照明機器900の構成例を示す。照明機器900は、照明の機能と共に、超音波モーションセンサの機能も有する。照明機器900は、検知装置10による閉鎖空間20の状態変化の検知に応じて照明をオン/オフ制御する。照明機器900は、一例として、LED電球などの照明装置にBlue Tooth(登録商標)スピーカ機能が組み込まれた、スマートライトスピーカ照明機器であってよい。照明機器900は、スピーカ910と、マイク920と、コーデック930と、デジタルシグナルプロセッサ940と、通信部950と、スイッチ960と、ドライバアンプ970、照明部980と、マイクロプロセッサ990とを備える。
スピーカ910は、コーデック930に接続され、検知装置10の出力部120のうちの少なくとも1部の構成を有し、コーデック930からの信号を受信し、検知のために超音波として出力する。スピーカ910は、超音波の出力以外にも、照明機器900の他の機能の一部を実行してよい。例えばスピーカ910は、音楽の再生、または操作ガイダンスのための音声出力等を行ってよい。
マイク920は、コーデック930に接続され、検知装置10の受信部130のうちの少なくとも1部の構成を有し、検知のために反射信号を受信してコーデック930に送信する。マイク920は、検知装置10の機能以外にも、照明機器900の他の機能の一部を実行してよい。
コーデック930は、デジタルシグナルプロセッサ940に接続され、検知装置10の受信部130のうちの少なくとも1部の構成および超音波生成部110の少なくとも1部の構成を有してよい。コーデック930は、デジタルシグナルプロセッサ940からのデジタル信号に対してDA変換する等の各種の信号処理を実行し、処理されたアナログ信号を、超音波として出力するためにスピーカ910に送信してよい。また、コーデック930は、マイク920が受信した反射信号に対してAD変換する等の各種の信号処理を実行し、処理された反射信号をデジタルシグナルプロセッサ940に送信してよい。コーデック930は、検知装置10の機能以外にも、照明機器900の他の機能の一部を実行してよい。例えばコーデック930は、音楽再生のために、デジタルシグナルプロセッサ940からの音楽データをDA変換し、スピーカ910に送信してよい。
デジタルシグナルプロセッサ940は、マイクロプロセッサ990に接続され、検知装置10の受信部130のうちの少なくとも1部の構成および超音波生成部110のうちの少なくとも1部の構成を有してよい。デジタルシグナルプロセッサ940は、コーデック930からの信号に対して、検知装置10による検知のための各種の信号処理を行って、処理された信号をマイクロプロセッサ990に送信してよい。また、デジタルシグナルプロセッサ940は、マイクロプロセッサ990からの信号に対して、検知装置10による検知のための各種の信号処理を行って、処理された信号をコーデック930に送信してよい。デジタルシグナルプロセッサ940は、検知装置10の機能以外にも、照明機器900の他の機能の一部を実行してよい。
通信部950は、マイクロプロセッサ990に接続され、検知装置10による閉鎖空間20の状態変化の検知に応じてユーザ端末70と無線通信する。例えば、通信部950は、閉鎖空間20の状態変化を検知したこと示す通知をユーザ端末70に送信してよい。また通信部950は、スピーカ910による音楽再生のために、ユーザ端末70から音楽データを受信してよい。通信部950は、例えば、Blue Tooth(登録商標)、Wifi、またはLTEにより通信を行ってよい。
スイッチ960は、一端が電源に接続され、他端がマイクロプロセッサ990に接続される。スイッチ960は、マイクロプロセッサ990によりオンオフ制御される。ドライバアンプ970は、マイクロプロセッサ990と照明部980とに接続され、マイクロプロセッサ990からの信号に応じて照明部980に電流を流す。
照明部980は、検知装置10による閉鎖空間20の状態変化の検知に応じて、スイッチ960のオン/オフにより制御される。照明部980は、例えば、LEDまたは白熱電球であってよい。
マイクロプロセッサ990は、検知装置10の受信部130のうちの少なくとも1部の構成、超音波生成部110のうちの少なくとも1部の構成、および/または検知部140のうちの少なくとも1部の構成を有してよい。マイクロプロセッサ990は、デジタルシグナルプロセッサ940からの信号に対して、検知装置10による検知のための各種の処理を行い、閉鎖空間20の状態変化を検知してよい。マイクロプロセッサ990は、閉鎖空間20の状態変化の検知に応じて、通信部950、マイク920、スピーカ910、または照明部980等を制御してよい。マイクロプロセッサ990は、閉鎖空間20の状態変化を検知すると、スイッチ960をオンまたはオフすることによって、照明部980をオンまたはオフしてよい。また、マイクロプロセッサ990は、閉鎖空間20の状態変化を検知すると、マイク920に入力される音の録音を開始する、スピーカ910で警告音を出力する、および通信部950を介して閉鎖空間20の状態変化を検知したこと示す通知をユーザ端末70に送信するのうちの少なくとも1つを実行するよう各構成を制御してよい。また、マイクロプロセッサ990は、通信部950を介して受信したユーザ端末70からの指示等のユーザ入力に応じて照明部980をオン/オフ制御してよい。
本実施形態の検知装置10は、スマートライトスピーカ照明機器等にマイク920を追加することにより、照明機器900に容易に組み込み可能である。また本実施形態の照明機器900は、ユーザが在宅中は、照明装置として動作し、ユーザが不在時は、検知装置10を動作させることで、侵入者、ドア40の開閉、または窓30の開閉など、部屋の異常を検知するセキュリティ機器として動作することができる。また、照明機器900に白熱電球を用いた場合には、発熱の問題からIRセンサを用いることには不向きであるが、本実施形態の検知装置10であれば、検知精度が発熱には影響を受けず、高精度の検知が可能である。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。