JP2016020861A - 音響動き検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 検出対象の動きを主観的および直感的に知ることができる技術的手段を提供する。【解決手段】 音響動き検出装置1の送信装置100は、人間が聴取困難な高域の周波数f1の音を検出対象に向けてスピーカ103から放音する。音響動き検出装置1の受信装置200は、検出対象が動くことによって生じるドップラーシフトに基づいた反射音をマイク201によって取得する。受信装置200は、取得した反射音に周波数f2の正弦波を乗算器203において乗算することで、取得した反射音の周波数を可聴域にシフトする。受信装置200は、可聴域にシフトされた音から送信装置100が放音する高域の音に相当する成分をノッチフィルタ208によって除去した後にスピーカ210から放音する。【選択図】図1

Description

この発明は、検出対象の動きを音響的に検出する装置に関する。
検出対象(例えば人間など)の動きを検出する装置(以下、動き検出装置という)の一例として、特許文献1に開示された装置がある。特許文献1の動き検出装置は、超音波のドップラーシフト(ドップラー効果)を利用して検出対象の動き(あるいは姿勢)を検出するものである。
特許第5288416号公報
特許文献1の動き検出装置は、超音波を検出対象に向けて放射し、検出対象からの反射波から超音波のドップラーシフトの周波数シフト量を電気的に検出して、その検出結果をもとに検出対象の動き(あるいは姿勢)が特定の動き(あるいは姿勢)であるか否かを判断し、判断結果が特定の動き(あるいは姿勢)を示すものである場合に警報を発する。この特許文献1の動き検出装置を用いた場合、動き検出装置が検出対象の特定の動きを判断した結果を警報として出力するので、ユーザは、検出対象の動きの有無や動きの内容を自身の感覚により直接に知ることができなかった。すなわち、ユーザは、検出対象の動きを主観的および直感的に知ることができなかった。
この発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、検出対象の動きを主観的および直感的に知ることができる技術的手段を提供することを目的としている。
この発明は、人間が聴取困難な高域の音を放音する送信装置と、受信装置と、を具備し、前記受信装置は、検出対象に到達した前記高域の音が前記検出対象によって反射することにより生じる反射音を取得する収音手段と、前記収音手段が取得した前記反射音の周波数を人間が聴取容易な可聴域にシフトする周波数変換手段と、前記周波数変換手段によって前記可聴域にシフトした音を放音する放音手段と、を有することを特徴とする音響動き検出装置を提供する。
この発明によれば、人間が聴取困難な高域の音によって検出対象の動きを検出し、その検出結果の高域の音の周波数を人間が聴取容易な可聴域にシフトし、その可聴域にシフトした音を放音する。検出対象が動くと、ドップラーシフトによって検出対象からの反射音の周波数がシフトする。本音響動き検出装置は、そのドップラーシフトによる反射音の周波数の変化を可聴音の周波数の変化、すなわち、可聴音のピッチの変化として出力する。このため、検出対象が受信装置に近づくように動くと、受信装置は、ピッチが高くなる可聴音を放音し、検出対象が受信装置から離れるように動くと、受信装置は、ピッチが低くなる可聴音を放音する。このように、本音響動き検出装置では検出対象の動きを音響的に検出しているため、ユーザは、検出対象の動きに応じた音を直接に聴覚で知覚することができる。従って、本音響動き検出装置を用いれば、ユーザは、検出対象が受信装置に近づくように動くのかあるいは受信装置から離れるように動くのかなどの検出対象の動きを主観的および直感的に感じ取ることができる。
この発明の第1実施形態である音響動き検出装置1の構成を示すブロック図である。 検出対象が静止している場合に、同音響動き検出装置1のマイク201が収音する反射音の周波数を示す図である。 検出対象が動いている際の同音響動き検出装置1のマイク201が収音する反射音の周波数のシフト範囲を示す図である。 同音響動き検出装置1の乗算器203の出力を示す図である。 同音響動き検出装置1のノッチフィルタ208の出力を示す図である。 この発明の第2実施形態である音響動き検出装置1Aの構成を示すブロック図である。
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態による音響動き検出装置1は、検出対象(例えば人間など)の動きを音響的に検出する装置である。図1は、本実施形態による音響動き検出装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、音響動き検出装置1は、送信装置100と受信装置200とから構成される。送信装置100は、検出対象の動きを検出するのに用いる人間が聴取困難な高域の音を検出対象に向けて放音する装置である。以後、本明細書では、検出対象の動きを検出するのに用いる人間が聴取困難な高域の音をキャリア音と呼ぶ。受信装置200は、検出対象に到達したキャリア音が検出対象によって反射することにより生じる反射音を取得し、取得した反射音の周波数を人間が聴取容易な可聴域にシフトし、当該可聴域にシフトした音を放音する装置である。受信装置200が取得する反射音には、検出対象が動くことによって生じるドップラーシフトに基づいた音(すなわち、送信装置100が放音するキャリア音の周波数に対して周波数がシフトした音)が含まれる。このため、受信装置200は、このドップラーシフトに基づいた音の周波数を当該可聴域にシフトして、当該可聴域にシフトしたドップラーシフトに基づいた音を放音する。具体的には、検出対象が受信装置200に近づくように動くと、受信装置200は、送信装置100が放音する音の周波数よりも少し高い周波数の音を取得する。この場合、受信装置200は、取得した音の周波数を可聴域にシフトして、可聴域における所定のピッチよりもピッチが高い音を放音する。同様に、検出対象が受信装置200から遠ざかるように動くと、受信装置200は、送信装置100が放音する音の周波数よりも少し低い周波数の音を取得する。この場合、受信装置200は、取得した音の周波数を可聴域にシフトして、可聴域における所定のピッチよりもピッチが低い音を放音する。このように、受信装置200は、検出対象の動きに応じて、ピッチが変化した可聴音を放音する。以上が、音響動き検出装置1の構成の概略である。以下、音響動き検出装置1の構成を詳細に説明する。
まず、送信装置100について説明する。図1に示すように、送信装置100は、正弦波発生装置101、ゲイン調整器102およびスピーカ103を含んでいる。
正弦波発生装置101は、周波数f1のキャリア音の信号(以下、キャリア信号と呼ぶ)を発生させる装置である。正弦波発生装置101により生じるキャリア信号は、人間が聴取困難な高い周波数の正弦波である。具体的には、例えば、キャリア信号は、18kHzの正弦波である。正弦波発生装置101は、音響動き検出装置1の動作時に常にこの正弦波を発生させる。
ゲイン調整器102は、正弦波発生装置101が出力するキャリア信号の信号レベルを調整する装置である。ゲイン調整器102は、D/A変換器および増幅回路を含んでいる。ゲイン調整器102は、キャリア信号を増幅してスピーカ103に出力する。より詳細には、ゲイン調整器102は、検出の対象となる空間(以下、対象空間と呼ぶ)の暗騒音の信号レベルに対する検出対象からの反射音の信号レベルの比(S/N比)が充分に大きくなるようにキャリア信号を増幅する。
スピーカ103は、ゲイン調整器102から与えられる信号に応じた音を対象空間に放音する装置である。スピーカ103は、音響放射面を検出対象に向けて配置される。すなわち、スピーカ103は、周波数f1のキャリア音を検出対象に向けて放音する。
以上が、送信装置100の構成である。
次に、受信装置200について説明する。図1に示すように、受信装置200は、マイク201、高域通過フィルタ(HPF:High Path Filter)202、乗算器203および205、正弦波発生装置204および206、低域通過フィルタ(LPF:Low Path Filter)207、ノッチフィルタ208、ゲイン調整器209およびスピーカ210を含んでいる。
マイク201は、対象空間に配置されて対象空間の音を収音し、その収音した音に応じた信号を出力する装置である。より詳細には、マイク201は、送信装置100のスピーカ103が放音するキャリア音が検出対象に到達して反射したときの反射音を収音するための装置である。マイク201は、音響収音面を検出対象に向けた姿勢で所定の位置に固定される。検出対象からの反射音を容易に収音可能にするためである。具体的には、マイク201は、送信装置100のスピーカ103の位置とほぼ同様の位置に固定されるのが好ましい。スピーカ103が放音する周波数f1(本実施形態では18kHz)のキャリア音は、可聴音に比べて直進性が高いからである。
マイク201が収音する検出対象からの反射音の周波数は、検出対象の静動によって変わる。図2は、検出対象が対象空間内で静止している場合に、マイク201が収音する反射音の周波数を示す図である。図2に示すように、検出対象が静止している場合には、マイク201は、スピーカ103が放音する周波数f1のキャリア音を含んだ音を収音する。
一方、検出対象が動いている場合には、マイク201は、ドップラーシフトによって周波数が周波数f1からシフトされた音を収音する。図3は、検出対象が対象空間内で動いている際のマイク201が収音する反射音の周波数シフト範囲を示す図である。図3の上側シフト領域fu1は、ドップラーシフトによって周波数f1よりも高域側に周波数シフトされる際の周波数シフト範囲を示している。また、下側シフト領域fd1は、ドップラーシフトによって周波数f1よりも低域側に周波数シフトされる際の周波数シフト範囲を示している。
ドップラーシフトについて詳細に説明する。マイク201は、検出対象からの反射音を収音するため、観測者とみなすことができる。マイク201は、所定の位置に固定されているため動かない。一方、検出対象は、スピーカ103が放音する周波数f1のキャリア音を反射するため、周波数f1のキャリア音を放音する音源とみなすことができる。このため、検出対象が動くということは、音源が動くということに相当する。このため、マイク201が収音する検出対象からの反射音の周波数は、以下のドップラーシフトの式(式(1))に従った周波数f´にシフトする。
f´=f1×V/(V−vs) ・・・(1)
なお、Vは音速、vsは音源の動く速度(検出対象の動く速度)である。
検出対象がマイク201に近づく方向に動く場合、検出対象からの反射音の進行方向と検出対象の移動方向が同じになるため、式(1)の(V−vs)はVよりも小さくなる。このため、検出対象からの反射音の周波数f´は、キャリア音の周波数f1よりも高くなる。すなわち、この場合、マイク201は、上側シフト領域fu1内に周波数シフトされた音を収音する。一方、検出対象がマイク201から離れる方向に動く場合、検出対象からの反射音の進行方向と検出対象の移動方向が反対になるため、式(1)の(V−vs)はVよりも大きくなる。このため、検出対象からの反射音の周波数f´は、キャリア音の周波数f1よりも低くなる。すなわち、この場合、マイク201は、下側シフト領域fd1内に周波数シフトされた音を収音する。また、上記式(1)に示すように、周波数f1からの周波数シフト量は、検出対象の動く速度に相応する。例えば、検出対象である人間がマイク201に向かって時速10kmで走って近づいた場合、ドップラーシフトによる周波数シフト量は、150Hz程度である。この例を考慮すれば、上側シフト領域fu1の周波数帯域幅および下側シフト領域fd1の周波数帯域幅は、各々数百Hz程度である。このため、上側シフト領域fu1内の各周波数の音および下側シフト領域fd1内の各周波数の音も、周波数f1の音と同様に、人間が聴取困難な音である。
図1に示す高域通過フィルタ202は、遮断周波数よりも高域の周波数成分を通過させ、遮断周波数よりも低域の周波数成分を低減させるフィルタである。高域通過フィルタ202は、マイク201が収音した音の低域周波数成分を取り除き、周波数f1付近の帯域(すなわち、上側シフト領域fu1および下側シフト領域fd1を含む帯域)の周波数成分を抽出する。
正弦波発生装置204は、キャリア信号の周波数f1よりも少し低い周波数f2の正弦波を発生させる装置である。より詳細には、正弦波発生装置204が生成する正弦波の周波数f2は、下側シフト領域fd1の最下限の周波数よりも少し低い周波数である。具体的には、キャリア信号の周波数f1よりも数百Hz程度低い周波数である。正弦波発生装置204は、生成した周波数f2の正弦波を乗算器203に出力する。
乗算器203は、高域通過フィルタ202が出力する周波数f1付近の帯域の周波数成分に正弦波発生装置204が出力する周波数f2の正弦波を乗算する装置である。換言すると、乗算器203は、マイク201が取得する反射音の周波数成分に送信装置100が放音する高域の音の周波数よりも少し低い周波数f2の信号を乗算する装置である。乗算器203は、このような乗算をすることで、周波数f1付近の周波数に周波数f2を加えた周波数の信号と周波数f1付近の周波数から周波数f2を引いた周波数の信号を出力する。
図4は、周波数f1付近の周波数から周波数f2を引いた周波数の信号に着目した際の乗算器203の出力を示す図である。図4では、周波数f1付近の周波数に周波数f2を加えた周波数の信号は省略している。図4に示すように、検出対象からの反射音の周波数が周波数f1の場合、乗算器203は、周波数f1から周波数f2を引いた周波数f1−f2の信号を出力する。周波数f1−f2は、具体的には、数百Hz程度である。また、検出対象からの反射音の周波数がドップラーシフトによって周波数f1から周波数fαだけシフトした周波数f1+fα(あるいはf1−fα)の場合、乗算器203は、周波数f1−f2に対して周波数fαだけ高域側にシフトした周波数f1−f2+fα(あるいは、周波数f1−f2に対して周波数fαだけ低域側にシフトした周波数f1−f2−fα)の信号を出力する。このため、周波数f1−f2における上側シフト領域fu2の周波数帯域幅は、周波数f1における上側シフト領域fu1の周波数帯域幅に対応しており、周波数f1−f2における下側シフト領域fd2の周波数帯域幅は、周波数f1における下側シフト領域fd1に対応している。周波数f1−f2が数百Hz程度であり、上側シフト領域fu2の周波数帯域幅および下側シフト領域fd2の周波数帯域幅も数百Hz程度であるため、上側シフト領域fu2内の各周波数の音および下側シフト領域fd2内の各周波数の音は、人間が聴取容易な可聴域の音である。従って、乗算器203は、マイク201が取得した検出対象からの人間が聴取困難な反射音の周波数を人間が聴取容易な可聴域にシフトする周波数変換手段である。
正弦波発生装置206は、周波数f2よりも低い周波数f3の正弦波を発生させる装置である。正弦波発生装置206は、生成した周波数f3の正弦波を乗算器205に出力する。また、正弦波発生装置206は、周波数f3を変えることが可能な構成になっている。例えば、正弦波発生装置206は、周波数調整ノブのような操作子を含んでおり、ユーザによる操作子の操作に従って周波数f3が変化する、という具合である。
乗算器205は、乗算器203の出力に正弦波発生装置204が出力する周波数f3の正弦波を乗算する装置である。換言すると、乗算器205は、乗算器203において反射音の周波数成分と乗算する信号の周波数よりも低い周波数の信号を、乗算器203の出力に乗算する装置である。乗算器205は、このような乗算をすることで、乗算器203が出力する信号の周波数に周波数f3を加えた周波数の信号と乗算器203が出力する信号の周波数から周波数f3を引いた周波数の信号を出力する。すなわち、乗算器205は、可聴域にシフトした後の信号の周波数に対して周波数f3だけ高い周波数の信号成分と可聴域にシフトした後の信号の周波数に対して周波数f3だけ低い周波数の信号成分とを出力する。従って、乗算器205は、人間が聴取容易な可聴域にシフトした後の周波数を人間が聴取容易な可聴域内においてシフトする周波数変換手段である。このため、正弦波発生装置206および乗算器205は、可聴域へシフトした後の周波数成分が示す音のピッチを可聴域内において調整する役割を果たす。
低域通過フィルタ207は、遮断周波数よりも低域の周波数成分を通過させ、遮断周波数よりも高域の周波数成分を低減させるフィルタである。低域通過フィルタ207は、前段の乗算器203および205によって生じた不要な高域成分を取り除く。具体的には、低域通過フィルタ207は、乗算器203における周波数f1付近の周波数に周波数f2を加えた周波数の信号成分や乗算器205における乗算器203が出力する信号の周波数に周波数f3を加えた周波数の信号成分を取り除く。低域通過フィルタ207の出力は、ノッチフィルタ208に引き渡される。
ノッチフィルタ208は、可聴域へシフトされてピッチ調整の行われた後のキャリア信号の周波数成分を低減し、その他の周波数成分を通過させるフィルタである。図5は、ノッチフィルタ208の出力を示す図である。図5に示すように、ノッチフィルタ208は、可聴域にシフトされたキャリア信号の周波数成分を含まない信号であり、かつ、可聴域にシフトされた上側シフト領域内の周波数成分および同下側シフト領域内の周波数成分を含む信号を出力する。すなわち、ノッチフィルタ208は、ドップラーシフトによって生じた周波数成分のみを出力する。
ゲイン調整器209は、ノッチフィルタ208の出力の信号レベルを調整する装置である。ゲイン調整器209は、ゲイン調整器102と同様の構成であり、D/A変換器および増幅器を含んでいる。ゲイン調整器209は、ノッチフィルタ208の出力を増幅してスピーカ210に出力する。ゲイン調整器209は、ゲイン調整量(増幅量)をユーザに操作させる操作子を含んでいる。すなわち、ゲイン調整器209は、スピーカ210の音量を操作子の操作に従った音量に調整する役割を担う。
スピーカ210は、ゲイン調整器209から与えられる信号に応じた音を空間に放音する装置である。スピーカ210は、検出対象に動きがあった場合にのみ、その動きに応じた周波数の可聴音を放音する。具体的には、スピーカ210は、検出対象がマイク201に近づく方向に動く場合、所定周波数(周波数f3によって調整された周波数)の可聴音に対して少し周波数の高い(ピッチの高い)可聴音を放音する。そして、検出対象の近づく速度が変われば、可聴音のピッチの高さも変わる。一方、スピーカ210は、検出対象がマイク201から遠ざかる方向に動く場合、同所定周波数の可聴音に対して少し周波数の低い(ピッチの低い)可聴音を放音する。そして、検出対象の遠ざかる速度が変われば、可聴音のピッチの低さも変わる。このように、スピーカ210は、検出対象の動きに応じたピッチの可聴音を検出対象の動きに同期して放音する。
また、スピーカ210は、検出結果の可聴音を聴取するユーザがいる空間に配置される。このため、ユーザが対象空間とは異なる空間において検出結果の可聴音を確認する場合には、スピーカ210は、対象空間とは異なる空間に配置される。一方、ユーザが対象空間において検出結果の可聴音を確認する場合には、スピーカ210は、対象空間と同じ空間に配置される。
このように、本実施形態による音響動き検出装置1では、検出対象の動きを可聴音の変化(具体的には可聴音のピッチの変化)として直接に検出することができる。すなわち、検出対象の動きを、ユーザが直接に聴覚で知覚することができる。このため、ユーザは、検出対象の動きを主観的および直感的に感じ取ることができる。また、音響動き検出装置1では、聴覚を使用して検出結果を確認するため、他の目視作業や手作業をしながらでも検出対象の動きを確認することができる。加えて、検出結果を表示装置に表示する検出装置に比べ、目が不自由な人でも検出対象の動きを確認することができる。また、音響動き検出装置1では、検出対象の動きを可聴音の変化で表現しているため、検出対象の画像や映像を用いずに検出対象の動きを確認することができる。このため、検出対象の画像や映像を用いる態様、例えば、検出対象をカメラで撮影してその動きを表示装置に表示する態様に比べ、検出対象のプライバシー(例えば、肖像的なプライバシー)に配慮をしつつ、検出対象の動きを検出することができる。
また、本実施形態による音響動き検出装置1は、ノッチフィルタ208を含んでいる。このノッチフィルタ208を設けた理由は、次の通りである。検出対象が静止している場合、受信装置200は、送信装置100が放音する周波数f1の正弦波の音を取得し、その取得した音の周波数を可聴域にシフトする。この場合、受信装置200のスピーカ210からは、可聴域にシフトした正弦波の純音が定常的に放音されることとなる。この純音は、ユーザに聴感上の不快感を与える。そこで、音響動き検出装置1では、この純音を放音しないようにするためにノッチフィルタ208を設けた。このノッチフィルタ208を設けることで、ユーザに聴感上の不快感を与えるのを回避することができる。
また、本実施形態による音響動き検出装置1の正弦波発生装置101は、具体的には18kHzの正弦波を発生していた。18kHzの周波数は、人間が聴取困難な周波数であり、かつ、市場に広く流通している通常のスピーカやマイクを適切に動作させることが可能な周波数である。このため、音響動き検出装置1では、スピーカ103およびマイク201として市場に広く流通している通常のスピーカやマイクを利用することができる。従って、価格の上昇を抑えつつ音響動き検出装置1を実現することができる。
また、本実施形態による音響動き検出装置1の正弦波発生装置204は、周波数f1よりも数百Hz程度低い周波数f2の正弦波を出力している。このため、ユーザは、乗算器203の出力における上側シフト領域fu2内の周波数成分の音と下側シフト領域fd2内の周波数成分の音の両方を適切に聴くことができる。これに対して、例えば、正弦波発生装置204が出力する正弦波の周波数f2を周波数f1と同じにすると、周波数f1の周波数成分を可聴域にシフトした後の周波数成分は直流成分に重なり、上側シフト領域fu2内の周波数成分の音は聴くことができるが、下側シフト領域fd2内の周波数成分の音はカットされて聴くことができなくなる。また、周波数f2を周波数f1よりも高くすると、下側シフト領域fu2内の周波数成分の音に加えて上側シフト領域fu2内の周波数成分の音もカットされて聴くことができなくなる。従って、周波数f2を周波数f1以上の周波数にするのは好ましくない。
また、音響動き検出装置1は、送信装置100のスピーカ103から人間が聴取困難な高域の音を放音している。鼠はこのような高域の音を聴取可能である、と言われている。このため、送信装置100の放音する高域の音によって鼠にストレスを与えることができ、鼠を送信装置100から遠ざけることができる。従って、音響動き検出装置1は、防鼠器としての効果も期待できる。
なお、本実施形態による音響動き検出装置1では、キャリア音を検出対象に向けて放音していた。しかし、キャリア音は、必ずしも検出対象に向けて放音されなくても良い。キャリア音は、少なくとも対象空間に放音されていれば良い。キャリア音が対象空間に放音されていれば、対象空間内に入ってくる検出対象の動きを検出することができるからである。また、本実施形態による音響動き検出装置1では、キャリア音を放音するスピーカ103および反射音を収音するマイク201を各々固定していた。しかし、これらスピーカ103およびマイク201は、各々固定されていなくても良い。これらが固定されていなくてもドップラーシフトに基づく周波数シフトされた音が反射音に含まれることに変わりはないからである。また、検出結果の可聴音を放音するスピーカ210も固定されていなくても良い。
本実施形態による音響動き検出装置1は、種々の用途に応用することが可能である。第1の応用例として、独居老人を見守るシステムに応用することが考えられる。この態様では、独居老人を検出対象とし、見守る側の人に検出結果の可聴音を放音するようにすれば良い。このようにすることで、所定時間に亙って独居老人に動きがないなどの状態を、見守る側の人が知ることができる。さらに、高齢者は高域の音を聴き取り難いという性質があるため、この態様では、送信装置100からの高域のキャリア音を聴き取ることによる不快感を高齢者に与える虞も少ない。
第2の応用例として、音響動き検出装置1をジェスチャーセンサとして利用することが考えられる。音響動き検出装置1は、例えば人間の指の動きなどの検出対象の小さな動きを検出して放音することができるからである。
第3の応用例として、音響動き検出装置1を通信システムに応用することが考えられる。例えば、離れた空間にいる2人が音響動き検出装置1を用いて通信を行う、という具合である。この態様は、音響動き検出装置1を2個用意し、一方の音響動き検出装置1の送信装置100を一方の人がいる空間に設置し、当該一方の音響動き検出装置1の受信装置200を他方の人がいる空間に設置し、他方の音響動き検出装置1の送信装置100を当該他方の人がいる空間に設置し、当該他方の音響動き検出装置1の受信装置200を当該一方の人がいる空間に設置することにより実現することができる。このシステム構成により、一方の人がジェスチャーなどを行うと、他方の人がそのジェスチャーに応じた可聴音の変化からジェスチャーの内容を把握することができ、同様に、他方の人がジェスチャーなどを行うと、一方の人がそのジェスチャーに応じた可聴音の変化からジェスチャーの内容を把握することができる。このようにして、離れた空間にいる2人が通信を行うことができる。この態様では、各人のプライバシーに配慮をしつつ、通信を行うことができる。
第4の応用例として、検出対象が接近してくるのを検知するセンサとして利用することが考えられる。例えば、工場などにおける危険エリアへの立ち入りを監視するのに利用する、という具合である。この態様では、例えば、送信装置100を当該危険エリアに設置し、受信装置200のスピーカ210を監視室などに設置する。危険エリアに人間が近づくと、スピーカ210は、ピッチが高く変化する可聴音を放音する。このため、監視室の監視人は、当該危険エリアに人間が近づいていることを知ることができ、加えて、その近づく速さも直感的に知ることができる。
第5の応用例として、車間距離を報知するセンサとして利用することが考えられる。例えば、キャリア音を車の進行方向に放音するように送信装置100を車に設置し、受信装置200のスピーカ210を車内に設置する。この態様では、音響動き検出装置1を搭載した車が前方の車や障害物などに接近すると、スピーカ210は、ピッチが高く変化する可聴音を放音する。このため、車内の人は、車間距離が狭くなっていることを知ることができ、車間距離を保つように車を操作することができる。また、車間距離が狭くなる時に可聴音のピッチが高くなるため、車内の人に、緊張感を与えることができる。
第6の応用例として、スマートホンなどの携帯機器に搭載しても良い。例えば、ユーザがスマートホンの画面を見る姿勢においてキャリア音がユーザの前方に放音されるように送信装置100を設置する。この態様では、ユーザが他の人や障害物などに衝突しそうになると、スピーカ210は、ピッチが高く変化する可聴音を放音する。このため、ユーザは、他の人や障害物に衝突しそうになることを知ることができ、その衝突を回避することができる。また、ユーザに緊張感を与えることができる。
第7の応用例として、音響的なゲームに利用することができる。例えば、ユーザが検出結果の可聴音を聴取する聴取者になるとともに検出対象にもなるように音響動き検出装置1を設置する。そして、ユーザは、検出結果の可聴音が予め用意された所定のピッチ変化のシーケンスに合うように動く、というようなゲームが考えられる。
<第2実施形態>
図6は、この発明の第2実施形態による音響動き検出装置1Aの構成を示すブロック図である。図6に示すように、本実施形態による音響動き検出装置1Aは、送信装置100に代えて送信装置100Aを有し、受信装置200に代えて受信装置200Aを有する点において第1実施形態による音響動き検出装置1と異なる。
送信装置100Aは、スピーカ103に代えてスピーカ103Aを有し、さらに加算器104Aを有する点において送信装置100と異なる。受信装置200Aは、スピーカ210を削除し、ゲイン調整器209の出力を送信装置100Aの加算器104Aに引き渡す点において受信装置200と異なる。加算器104Aは、ゲイン調整器102の出力にゲイン調整器209の出力を加え合わせる装置である。加算器104Aの出力は、スピーカ103Aに引き渡される。スピーカ103Aは、ゲイン調整器102の出力に応じた音とゲイン調整器209の出力に応じた音の両方を放音する点においてスピーカ103と異なる。すなわち、スピーカ103Aは、キャリア音と検出結果の可聴音の両方を放音する役割を果たす。本実施形態におけるキャリア音は、第1実施形態と同様に、市場に広く流通している通常のスピーカやマイクを適切に動作させることが可能な18kHzの音である。このため、スピーカ103Aは、キャリア音と検出結果の可聴音の両方を放音可能である。
音響動き検出装置1Aでは、音響動き検出装置1に比べ、スピーカの数を少なくしている。このため、音響動き検出装置1Aでは、音響動き検出装置1に比べ、当該音響動き検出装置1Aをコンパクトに構成することができる。また、本実施形態による音響動き検出装置1Aでは、キャリア音と検出結果の可聴音の両方が対象空間に放音される。このため、ユーザが対象空間において検出結果の可聴音を確認する場合に有益である。
<他の実施形態>
以上、この発明の第1および第2実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)上記第1および第2実施形態による音響動き検出装置1および1Aの送信装置100および100Aでは、18kHzの音を空間に放音していた。しかし、送信装置が放音する音の周波数は18kHzに限られない。人間が聴取困難な周波数であれば良いからである。例えば、送信装置は、18kHzから20kHzの間のいずれかの周波数の音を空間に放音しても良い。18kHzから20kHzの間の周波数は、人間が聴取困難な周波数であり、かつ、市場に広く流通している通常のスピーカやマイクを適切に動作させることが可能な周波数である。従って、この範囲の周波数の音を空間に放音する態様では、上記各実施形態と同様の効果を奏する。また、送信装置は、20kHzよりもさらに高い周波数の音、すなわち、超音波を空間に放音しても良い。超音波は、人間が聴取困難な周波数であることに変わりはないからである。なお、送信装置100が放音する音の周波数を18kHzから変える態様は、正弦波発生装置101が出力する正弦波の周波数f1を変えることにより実現することができる。
(2)可聴域にシフトした音信号に、その可聴音の音色を変化させるエフェクトを付与しても良い。このエフェクトは、例えば、検出対象の位置、検出対象の移動速度、検出対象の大きさ等の他の情報に応じて変えても良い。例えば、検出対象の大きさが大きい場合にリバーブを付与した音色にする、という具合である。この態様によれば、検出結果の可聴音の音色にバリエーションが生じる。このため、ユーザは、検出結果の可聴音やその可聴音が示す内容をより適切に知ることができる。
(3)上記第1実施形態による音響動き検出装置1では、スピーカ210から検出結果の可聴音を放音していた。しかし、検出結果の可聴音は、スピーカ210の代わりにゲイン調整器209に接続されたイヤホンやヘッドホンから放音されても良い。
(4)上記第1および第2実施形態による音響動き検出装置1および1Aでは、1個の送信装置100および100Aと1個の受信装置200および200Aを有していた。しかし、送信装置の個数および受信装置の個数は、各1個に限られない。音響動き検出装置は、送信装置および受信装置を複数個有していても良い。送信装置および受信装置を複数個用いれば、検出対象の位置を特定することが可能になるからである。
(5)上記第1および第2実施形態による音響動き検出装置1および1Aは、検出結果の可聴音のピッチを調整するための正弦波発生装置206および乗算器205を有していた。しかし、この正弦波発生装置206および乗算器205を設けないようにしても良い。検出結果の可聴音を放音する点において上記第1および第2実施形態と同様だからである。
(6)上記第1および第2実施形態による音響動き検出装置1および1Aでは、低域通過フィルタ207とゲイン調整器209との間にノッチフィルタ208を設けていた。しかし、ノッチフィルタ208の設けられる位置は、低域通過フィルタ207とゲイン調整器209の間に限られない。例えば、高域通過フィルタ202と乗算器203との間に設けても良い。この態様のノッチフィルタは、検出対象からの反射音の周波数を高域から可聴域にシフトする前に、その反射音に含まれるキャリア信号成分を取り除く。この態様においても、上記第1および第2実施形態と同様の効果を奏する。また、ノッチフィルタ208を設けないようにしても良い。検出結果の可聴音を放音する点において上記第1および第2実施形態と同様だからである。
(7)上記第1および第2実施形態による音響動き検出装置1および1Aでは、検出対象からの反射音のドップラーシフトによる周波数の変化を可聴化していた。この検出結果の可聴音を聴くことによってドップラーシフトによる音量の変化も知覚することができる。検出対象がマイク201に近い場合、検出対象からの反射音の音量は大きくなり、検出対象がマイク201から離れている場合、検出対象からの反射音の音量は小さくなるからである。そこで、この音量の違いを利用して、ユーザに、検出対象の位置を感じさせるようにしても良い。
1,1A…音響動き検出装置、100,100A…送信装置、101,204,206…正弦波発生装置、102,209…ゲイン調整器、103,103A,210…スピーカ、104A…加算器、200,200A…受信装置、201…マイク、202…高域通過フィルタ、203,205…乗算器、207…低域通過フィルタ、208…ノッチフィルタ。

Claims (5)

  1. 人間が聴取困難な高域の音を放音する送信装置と、
    受信装置と、を具備し、
    前記受信装置は、
    検出対象に到達した前記高域の音が前記検出対象によって反射することにより生じる反射音を取得する収音手段と、
    前記収音手段が取得した前記反射音の周波数を人間が聴取容易な可聴域にシフトする周波数変換手段と、
    前記周波数変換手段によって前記可聴域にシフトした音を放音する放音手段と、
    を有することを特徴とする音響動き検出装置。
  2. 前記周波数変換手段は、前記収音手段が取得する前記反射音の周波数成分に前記送信装置が放音する前記高域の音の周波数よりも少し低い周波数の信号を乗算する第1の乗算器を有することを特徴とする請求項1に記載の音響動き検出装置。
  3. 前記周波数変換手段は、前記第1の乗算器において前記反射音の周波数成分と乗算する信号の周波数よりも低い周波数の信号を、前記第1の乗算器の出力に乗算する第2の乗算器を有することを特徴とする請求項2に記載の音響動き検出装置。
  4. 前記周波数変換手段は、前記収音手段が取得する前記反射音に含まれる前記送信装置が放音する前記高域の音の成分を取り除くノッチフィルタを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1の請求項に記載の音響動き検出装置。
  5. 前記送信装置が放音する前記高域の音と前記受信装置が放音する前記可聴域にシフトした音の両方を同一の放音手段から放音するようにしたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1の請求項に記載の音響動き検出装置。
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