JP2004343262A - マイクロフォン・スピーカ一体構成型・双方向通話装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水平方向に、放射状に配置されたマイクロフォンMC1〜MC6を、下部の受話再生スピーカ16から等距離に位置させる。マイクロフォンMC1〜MC6は受話再生スピーカ16の中心から対をして位置させる。スピーカ収容部14の側面と対向する音反射板12の面がラッパ型に湾曲し、音反射面14aと協働して上部音出力開口部14cから出力される音を水平方向、全方位に拡散する。DSP25は、1対のマイクロフォンの集音信号を入力して、最も高い音を検出したマイクロフォンを選択して、相手側の双方向通話装置に電話回線を介してその集音信号を送出する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、2つの会議室にいる複数の会議参加者同士が、音声による会議を行うときに好適なマイクロフォン・スピーカ一体構成型・双方向通話装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
離れた位置にある2つの会議室にいる会議参加者同士が会議を行うため、テレビ会議システムが用いられている。テレビ会議システムは、それぞの会議室にいる会議参加者の姿を撮像手段で撮像し、音声をマイクロフォンで集音して、撮像した画像および集音した音声を通信経路を伝送し、相手側の会議室のテレビジョン受像機の表示部に画像を表示し、スピーカから音声出力する。
【0003】
このようなテレビ会議システムにおいては、撮像手段およびマイクロフォンから離れた位置にいる発言者の音声が集音しにくいという問題に遭遇しており、その改善策として、会議参加者ごとにマイクロフォンを設けている場合がある。
またテレビジョン受像機のスピーカから出力される音声が、スピーカから離れた位置にいる会議参加者には聞きにくいという問題もある。
【0004】
特開2003−87887号公報および特開2003−87890号公報は、互いに離れた位置の会議室相互においてテレビ会議を行うときに、映像および音声を提供する通常のテレビ会議システムに加えて、相手側の会議室にいる会議出席者の音声がスピーカから明瞭に聴こえ、こちら側の会議室内の雑音の影響を受けにくいまたはエコーキャンセラーの負担が少ない、マイクロフォンとスピーカとが一体構成された音声入出力装置を開示している。
【0005】
たとえば、特開2003−87887号公報に開示されている音声入出力装置は、図5〜図8、図9、図23を参照して記述されているように、下から上に向かって、スピーカ6が内蔵されたスピーカボックス5と、上に向かって放射状に開いている音を拡散する円錐状反射板4と、音遮蔽板3と、支柱8に支持された、単一指向性の複数のマイクロフォン(図6、図7においては4本、図23においては6本)を水平面に放射状に等角度で配置した構造をしている。音遮蔽板3は、下部のスピーカ5からの音が複数のマイクロフォンに入らないように遮蔽するためのものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特開2003−87887号公報および特開2003−87890号公報に開示された音声入出力装置は、映像および音声を提供するテレビ会議システムを補完する手段として活用されている。
しかしながら、遠隔会議方式としては、テレビ会議システムのような複雑な装置を用いず、音声だけで行うことでも十分な場合が多い。たとえば、同じ社内の本社と遠隔地の営業所との間で複数の会議参加者同士が会議を行うような場合は、顔見知りでもあり、肉声を理解しているから、テレビ会議システムによる映像なしでも十分会議を行うことができる。
また、テレビ会議システムを導入すると、テレビ会議システム自体を導入する投資額の大きさと、操作の複雑さと、撮像画像を伝送するために通信負担が大きいという不利益がある。
【0007】
そのような音声だけの会議適用する場合を想定すると、特開2003−87887号公報および特開2003−87890号公報に開示された音声入出力装置では、性能面、価格面、寸法的な面、そして、使用環境への適合性、使い勝手などの面から、改善することも多い。
【0008】
本発明の目的は、双方向通話のみに使用する手段としての性能面、価格面、寸法的な面、使用環境への適合性、使い勝手などの面から、さらに改善した双方向通話装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点によれば、垂直方向を指向するスピーカと、該スピーカを内蔵し、中心の垂直部に前記スピーカの音を放出させる上部音出力開口部を有し、側面が傾斜または凸に湾曲しているスピーカ収容部と、前記スピーカと対向する垂直方向に中心が位置し、前記スピーカ収容部の側面と対向する面がラッパ型に湾曲し、前記スピーカ収容部の側面と協働して前記上部音出力開口部から出力される音を水平方向、全方位に拡散する、音反射板と、該音反射板に開口端部に位置し、前記スピーカの中心軸を中心として、水平方向に放射状、かつ、前記中心軸を挟んで一直線に配置された少なくとも1対の指向性を持つマイクロフォンと、前記マイクロフォンの集音信号を信号処理する第1の信号処理手段と、前記スピーカに出力すべき音信号を信号処理する第2の信号処理手段とを具備し、
前記少なくとも1対のマイクロフォンは、前記スピーカから等しい距離に位置している、マイクロフォン・スピーカ一体構成型・双方向通話装置が提供される。
【0010】
好ましくは、前記第1の信号処理手段は、前記1対のマイクロフォンの集音信号を入力して、最も高い音を検出したマイクロフォンを選択して、その集音信号を送出する。
また好ましくは、前記第1の信号処理手段は、事前に当該双方向通話装置が設置される環境のノイズを測定しておき、前記マイクロフォンの選択とき、マイクロフォンの集音信号から前記測定したノイズ成分を除去する。
【0011】
好ましくは、前記第1の信号処理手段は、前記1対のマイクロフォンの信号差を参照して、前記音声の最も高い方向を検出し、選択するマイクロフォンを決定する。
【0012】
また好ましくは、前記第1の信号処理手段は、マイクロフォンの選択の際、各マイクロフォンの集音信号を帯域分離し、レベル変換して、前記選択するマイクロフォンを決定する。
【0013】
好ましくは、 当該双方向通話装置は、選択されたマイクロフォンを視認させる出力手段を有し、前記第1の信号処理手段は前記マイクロフォンを選択したとき、該当する出力手段に出力する。
特定的には、前記出力手段は発光ダイオードである。
【0014】
【発明の実施の形態】
まず、本発明のマイクロフォン・スピーカ一体構成型・双方向通話装置(以下、双方向通話装置)の適用例を述べる。
図1(A)〜(C)は本発明のマイクロフォン・スピーカ一体構成型・双方向通話装置(以下、双方向通話装置)が適用される1例を示す構成図である。
図1(A)に図解したように、遠隔に位置する2つの会議室901、902にそれぞれ双方向通話装置1A、1Bが設置されており、これらの双方向通話装置1A、1Bが電話回線920で接続されている。
図1(B)に図解したように、2つの会議室901、902において、双方向通話装置1A、1Bがそれぞれテーブル911、912の上に置かれている。ただし、図1(B)においては、図解の簡略化のため、会議室901内の双方向通話装置1Aについてのみ図解している。会議室902内の双方向通話装置1Bも同様である。双方向通話装置1A、1Bの外観斜視図を図2示す。
図1(C)に図解したように、双方向通話装置1A、1Bの周囲にそれぞれ複数の会議参加者A1〜A6が位置している。ただし、図1(C)においては、図解の簡略化のため、会議室901内の双方向通話装置1Aの周囲の会議参加者のみ図解している。会議室902内の双方向通話装置1Bの周囲に位置する会議参加者の配置も同様である。
【0015】
本発明の双方向通話装置は、たとえば、2つの会議室901、902との間で電話回線920を介して音声による応答が可能である。
通常、電話回線920を介しての会話は、通話中、一人の話者と一人の話者同士、すなわち、1対1で通話を行うが、本発明の双方向通話装置は1つの電話回線920を用いて複数の会議参加者A1〜A6同士が通話できる。ただし、詳細は後述するが、音声の混雑を回避するため、同時刻の話者は、一方の会議室からの話者は選択された一人に限定する。
本発明の双方向通話装置は音声(通話)を対象としているから、電話回線920を介して音声を伝送するだけである。換言すれば、テレビ会議システムのような多量の画像データは伝送しない。さらに、本発明の双方向通話装置は会議参加者の通話を圧縮して伝送しているので、電話回線920の伝送負担は軽い。
【0016】
双方向通話装置の構成
図2〜図4を参照して本発明の1実施の形態としての双方向通話装置の構成について述べる。
図2は本発明の1実施の形態としての双方向通話装置の斜視図である。
図3は図2に図解した双方向通話装置の断面図である。
図4は図1に図解した双方向通話装置のマイクロフォン・電子回路収容部の平面図であり、図3の線X−X−Yにおける平面図である。
【0017】
図2に図解したように、双方向通話装置1は、上部カバー11と、音反射板12と、連結部材13と、スピーカ収容部14と、操作部15とを有する。
図3に図解したように、スピーカ収容部14は、音反射面14aと、底面14bと、上部音出力開口部14cとを有する。音反射面14aと底面14bで包囲された空間である内腔14dに受話再生スピーカ16が収容されている。スピーカ収容部14の上部に音反射板12が位置し、スピーカ収容部14と音反射板12とが連結部材13によって連結されている。
【0018】
連結部材13内には拘束部材17が貫通しており、拘束部材17は、スピーカ収容部14の底面14bの拘束部材・下部固定部14eと、音反射板12の拘束部材固定部12bとの間を拘束している。ただし、拘束部材17はスピーカ収容部14の拘束部材・貫通部14fは貫通しているだけである。拘束部材17が拘束部材・貫通部14fを貫通してここで拘束していないのはスピーカ16の動作によってスピーカ収容部14が振動するが、その振動を上面14c部分においては拘束させないためである。
【0019】
スピーカ
相手会議室の話者が話した音声は、受話再生スピーカ16を介して上部音出力開口部14cから抜け、音反射板12の音反射面12aとスピーカ収容部14の音反射面14aとで規定される空間に沿って拡散する。
音反射板12の音反射面12aの断面は図解したように、ゆるやかなラッパ型の弧を描いている。音反射面12aの断面は360度にわたり(全方位)、図解した断面形状をしている。
同様にスピーカ収容部14の音反射面14aの断面も図解したように、ゆるやかな凸面を描いている。音反射面14aの断面も360度にわたり(全方位)、図解した断面形状をしている。
【0020】
したがって、受話再生スピーカ16から出た音Sは、上部音出力開口部14cを抜け、音反射面12aと音反射面14aとで規定される音出力空間を経て、音声応答装置1が載置されているテーブル911の面に沿って、全方位に拡散していき、全ての会議参加者A1〜A6に等しい音量で聞き取られる。すなわち、本実施の形態においては、テーブル911の面も音伝播手段の一部として利用している。
音Sの拡散状態を矢印で図示した。
【0021】
音反射板12は、プリント基板21を支持している。
プリント基板21には、図4に平面を図解したように、マイクロフォン・電子回路収容部2のマイクロフォンMC1〜MC6、発光ダイオードLED1〜6、マイクロプロセッサ23、コーデック24、第1のディジタルシグナルプロセッサ(DSP1)DSP25、第2のディジタルシグナルプロセッサ(DSP2)DSP26、A/D変換器ブロック27、D/A変換器ブロック28、増幅器ブロック29などの各種電子回路が搭載されているから、音反射板12はマイクロフォン・電子回路収容部2を支持する部材としても機能している。
【0022】
プリント基板21には、受話再生スピーカ16からの振動が音反射板12を伝達してマイクロフォンMC1〜MC6などに進入しないように、ダンパー18が取り付けられている。これにより、マイクロフォンMC1〜MC6は、スピーカ16からの音の影響を受けない。
【0023】
マイクロフォンの配置
図4に図解したように、プリント基板21の中心から放射状に等間隔(本実施の形態では60度間隔で)で6本のマイクロフォンMC1〜MC6が位置している。各マイクロフォンは単一指向性を持つマイクロフォンである。その特性については後述する。
各マイクロフォンMC1〜MC6は、弾力性のある第1のマイク支持部材22aと弾力性のある第2のマイク支持部材22bとで、揺動自在に支持されており(図解を簡単にするため、マイクロフォンMC1の部分の第1のマイク支持部材22aと第2のマイク支持部材22bとについてのみ図解している)、上述したダンパー18による受話再生スピーカ16からの振動の影響を受けない対策に加えて、第1のマイク支持部材22a、第2のマイク支持部材22bで受話再生スピーカ16の振動の影響を受けないようにしている。
【0024】
図3に図解したように、受話再生スピーカ16はマイクロフォンMC1〜MC6が位置する平面の中心軸に対して垂直に指向しており(本実施の形態においては上方向に指向している)、このような受話再生スピーカ16と6本のマイクロフォンMC1〜MC6の配置により、受話再生スピーカ16と各マイクロフォンMC1〜MC6との距離は等距離となり、受話再生スピーカ16からの音声は、各マイクロフォンMC1〜MC6に対しほとんど同音量、同位相で届く。ただし、上述した音反射板12の音反射面12aおよびスピーカ収容部14の音反射面14aの構成により、受話再生スピーカ16の音が直接マイクロフォンMC1〜MC6には直接入力されないようにしている。
会議参加者A1〜A6は、通常、図1(C)に例示したように、音声応答装置1の周囲360度方向に、等間隔で位置している。
【0025】
発光ダイオード
話者を決定したことを通報する発光ダイオードLED1〜6がマイクロフォンMC1〜MC6の近傍に配置されている。
なお、発光ダイオードLED1〜6は上部カバー11を装着した状態でも、全ての会議参加者A1〜A6から視認可能に設けられている。したがって、上部カバー11は発光ダイオードLED1〜6の発光状態が視認可能なように透明窓が設けられている。もちろん、上部カバー11に発光ダイオードLED1〜6の部分に開口が設けられていてもよいが、マイクロフォン・電子回路収容部2への防塵の観点からは透光窓が好ましい。
【0026】
プリント基板21には、後述する各種の信号処理を行うために、DSP25、DSP26、各種電子回路27〜29が、マイクロフォンMC1〜MC6が位置する部分以外の空間に配置されている。
本実施の形態においては、DSP25を各種電子回路27〜29とともにフィルタ処理、マイクロフォン選択処理などの処理を行う信号処理手段として用い、DSP26をエコーキャンセラーとして用いている。
【0027】
図5は、マイクロプロセッサ23、コーデック24、DSP25、DSP26、A/D変換器ブロック27、D/A変換器ブロック28、増幅器ブロック29、その他各種電子回路の概略構成図である。
マイクロプロセッサ23はマイクロフォン・電子回路収容部2の全体制御処理を行う。
コーデック24は音声を符号化する。
DSP25が詳細を後述する各種の信号処理、たとえば、フィルタ処理、マイクロフォン選択処理などを行う。
DSP26はエコーキャンセラーとして機能する。
図5においては、A/D変換器ブロック27の1例として、A/D変換器271〜274を例示し、D/A変換器ブロック28の1例として、D/A変換器281〜282を例示し、増幅器ブロック29の1例として、増幅器291〜292を例示している。
その他、マイクロフォン・電子回路収容部2としては電源回路など各種の回路がプリント基板21に搭載されている。
【0028】
それぞれ1対のマイクロフォンMC1−MC4:MC2−MC5:MC3−M6が、それぞれ2チャネルのアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器271〜273に入力されている。
A/D変換器271〜273で変換したマイクロフォンMC1〜MC6の集音信号はDSP25に入力されて、後述する各種の信号処理が行われる。
DSP25の処理結果の1つとして、マイクロフォンMC1〜MC6のうちの1つを選択した結果が、マイクロフォン選択結果表示手段30の1例である発光ダイオードLED1〜6に出力される。
【0029】
DSP25の処理結果が、DSP26に出力されてエコーキャン処理が行われる。
DSP26の処理結果が、D/A変換器281〜282でアナログ信号に変換される。D/A変換器281からの出力が、必要に応じて、コーデック24で符号化されて、増幅器291を介して電話回線920に出力され、相手方会議室に設置された音声応答装置1の受話再生スピーカ16を介して音として出力される。
D/A変換器282からの出力が増幅器292を介してこの双方向通話装置1の受話再生スピーカ16から音として出力される。すなわち、会議参加者A1〜A6はその会議室のいる発言者が発した音声を受話再生スピーカ16を介して聞くことが出来る。
相手方の会議室に設置された双方向通話装置1からの音声がA/D変換器274を介してDSP26に入力されてエコーキャンに使用される。また、相手方の会議室に設置された双方向通話装置1からの音声は図示しない経路で、スピーカ16に印加されて音として出力される。
【0030】
マイクロフォンMC1〜MC6
図6はマイクロフォンMC1〜MC6の特性を示すグラフである。
単一指向特性マイクは発言者からマイクへの音声の到達角度により図6に図解のように周波数特性、レベル特性が変化する。複数の曲線は、集音信号の周波数が、100、150、200、300、400、500、700、1000、1500、2000、3000、4000、5000、7000Hzの時の指向性を示している。
図7(A)〜(D)は音源の位置とマイクロフォンの集音レベルの分析結果を示すグラフである。双方向通話装置1の1.5メートルの距離にスピーカーを置いて各マイクが集音した音声を一定時間間隔でFFTした結果を示している。X軸が周波数を、Y軸が信号レベルを、Z軸が時間を表している。
図6の指向性を有もつマイクロフォンを用いた場合、マイクロフォンの正面に強い指向性を示すことが分かる。このような特性を活用して、後述するDSP25におけるマイクロフォンの選定処理を行う。
【0031】
なお、本発明のように指向性のないマイクロフォンを用いた場合、換言すれば、無指向性のマイクロフォンで集音した場合、マイクロフォンマイク周辺の全ての音を集音するので発言者の音声と周辺ノイズとのS/Nがあまり良い音が集音できない。これを避けるため、本願発明においては、指向性マイクロフォン1本で集音することによって周辺のノイズとのS/Nを改善している。
さらに、マイクロフォンの指向特性を得る方法として、複数の無指向性マイクを使用したマイクアレイを用いることができるが、このような方法では、信号の時間軸(位相)の処理を要したため、時間がかかり応答性が低いし、装置構成を複雑になる。すなわち、DSPの信号処理系にも複雑な信号処理を必要とする。本発明はそのような問題を解決している。
また、マイクアレイ信号を合成して指向性収音マイクとして利用する為には外形形状が通過周波数特性によって規制され外形形状が大きくなるという不利益がある。本発明はこの問題も解決している。
【0032】
双方向通話装置の装置構成の効果
上述した構成の双方向通話装置は下記の利点を示す。
(1)複数のマイクロフォンMC1〜MC6と受話再生スピーカ16との位置関係が一定であり、さらにその距離が非常に近いことで受話再生スピーカ16から出た音が会議室(部屋)環境を経てマイクロフォンMC1〜MC6に戻ってくるレベルより直接戻ってくるレベルが圧倒的に大きく支配的である。そのために、受話再生スピーカ16からマイクロフォンMC1〜MC6に音が到達する特性(信号レベル(強度)、周波数特性(f特)、位相)がいつも同じである。つまり、双方向通話装置1においてはいつも伝達関数が同じという利点がある。
(2)それ故、マイクロフォンを切り替えた時の伝達関数の変化がなく、マイクロフォンを切り替える都度、マイクロフォン系の利得を調整をする必要がないという利点を有する。換言すれば、本双方向通話装置の製造時に一度調整をするとやり直す必要がないという利点がある。
(3)上記と同じ理由でマイクロフォンを切り替えても、エコーキャンセラー(DSP26)が一つでよい。DSPは高価であり、種々の部材が搭載されて空きが少ないプリント基板21にDSPを配置するスペースも少なくてよい。
(4)受話再生スピーカ16とマイクロフォンMC1〜MC6間の伝達関数が一定であるため、±3dBもあるマイクロフォン自体の感度差調整をユニット単独で出来るという利点がある。
(4)双方向通話装置1が搭載されるテーブルは、通常、円いテーブルを用いるが、双方向通話装置11内の一つの受話再生スピーカ16で均等な品質の音声を全方位に均等に分散(閑散)するスピーカシステムが可能になった。
(5)受話再生スピーカ16から出た音はテーブル面を伝達して(バウンダリ効果)会議参加者まで有効に能率良く均等に上質な音が届き、会議室の天井方向に対しては対向側の音と位相キャンセルされて小さな音になり、会議参加者に対して天井方向からの反射音が少なく、結果として参加者に明瞭な音が配給されるという利点がある。
(6)受話再生スピーカ16から出た音は全てのマイクロフォンMC1〜MC6に同時に同じ音量で届くので発言者の音声なのか受話音声なのかの判断が容易になる。その結果、マイクロフォン選択処理の誤判別が減る。その詳細は後述する。
(7)偶数個、たとえば、6本のマイクロフォンを等間隔で配置したことで方向検出の為のレベル比較が容易に出来る。
(8)ダンパー18、マイクロフォン支持部材22などにより、受話再生スピーカ16の音による振動が、マイクロフォンMC1〜MC6の集音に影響を低減することができる。
(9)受話再生スピーカ16の音が直接、マイクロフォンMC1〜MC6には進入しない。したがって、この双方向通話装置1においは受話再生スピーカ16からのノイズの影響が少ない。
【0033】
変形例
図2〜図3を参照して述べた双方向通話装置1は、下部に受話再生スピーカ16を配置させ、上部にマイクロフォンMC1〜MC6(および関連する電子回路)を配置させたが、受話再生スピーカ16とマイクロフォンMC1〜MC6(および関連する電子回路)の位置を上下逆にすることもできる。このような場合でも上述した効果を奏する。
【0034】
もちろん、マイクロフォンの本数は6には限定されず、任意の偶数本のマイクロフォンを同方向に、たとえば、マイクロフォンMC1とMC4のように一直線に配置する。
2本のマイクロフォンMC1、MC4を対向させて一直線に配置する理由は、マイクロフォンの選定のためである。その詳細は後述する。
【0035】
信号処理内容
以下、主として第1のディジタルシグナルプロセッサ(DSP)25で行う処理内容について述べる。
図8はDSP25が行う処理の概要を図解した図である。
その概要を述べる。
【0036】
(1)周囲のノイズの測定
初期動作として、双方向通話装置1が設置される周囲のノイズの測定する。
双方向通話装置1は、種々の環境で使用されうる。マイクロフォンの選択の正確さを期し、双方向通話装置1の性能を高めるために、本発明においては、双方向通話装置1が設置される周囲環境のノイズを測定し、そのノイズの影響をマイクロフォンで集音した信号から排除することを可能とする。
もちろん、双方向通話装置1を同じ会議室で使用するような場合、事前にノイズ測定が行われており、ノイズ状態が変化しないような場合にこの処理は割愛できる。
なお、ノイズ測定は通常状態においても行うことができる。その詳細は後述する。
【0037】
(2)議長の選定
たとえば、双方向通話装置1を双方向会議に使用する場合、それぞれの会議室における議事運営を取りまとめる議長がいることが有益である。したがって、本発明においては、双方向通話装置1を使用する初期段階において、双方向通話装置1の操作部15から議長を設定する。本実施の形態における議長の設定方法は、議長として優先的に使用するマイクロフォンの設定として行う。
もちろん、双方向通話装置1を使用する議長が同じ場合はこの処理は割愛できる。
なお議長を変更する場合は、この処理を行う。
【0038】
通常処理として下記に例示する各種の処理を行う。
(3)マイクロフォン選択、切り替え処理
1つの会議室において同時に複数の会議参加者が通話すると、音声が入り交じり相手側会議室内の会議参加者A1〜A6にとって聞きにくい。そこで、本発明においては、原則として、1人ずつ通話させる。そのため、DSP26においてマイクロフォンの選択・切り替え処理を行う。
選択されたマイクロフォンからの通話のみが、電話回線920を介して相手方会議室の音声応答装置1に伝送されてスピーカから出力される。
この処理により、発言者に対向した単一指向性マイクの信号を選択し、送話信号として相手方にS/Nの良い信号を送ることを目的としている。
(4)選択したマイクロフォンの表示
選択された会議参加者のマイクロフォンがどれであるかを、会議参加者A1〜A6全員に容易に認識できるように、マイクロフォン選択結果表示手段30、たとえば、発光ダイオードLED1〜6の該当するもの点灯させる。
(5)上述したマイクロフォン選択処理の背景技術として、または、マイクロフォン選択処理を正確に遂行するため下記に例示する各種の信号処理を行う。
(a)マイクロフォンの集音信号の帯域分離と、レベル変換処理
(b)発言の開始、終了の判定処理
発言者方向に対向したマイク信号の選択判定開始トリガーとして使用するため。
(c)発言者方向マイクの検出処理
各マイクロフォンの集音信号を分析し、発言者に対向しているマイクを判定するため。
(d)発言者方向マイクの切り換えタイミング判定処理、および、検出された発言者に対向したマイク信号の選択切り替え処理
上述した処理結果から選択したマイクロフォンへ切り換えの指示をする。
(e)通常動作時のフロアノイズの測定
【0039】
フロア(環境)ノイズの測定
この処理は電源投入直後の初期処理と通常処理に分かれる。
なお、この処理は下記の例示的な前提条件の下に行う。
【0040】
【表1】
(1)条件:測定時間及び閾値暫定値:
1.テストトーン音圧 :マイク信号レベルで−40dB
2.ノイズ測定単位時間:10秒
3.通常状態でのノイズ測定:10秒間の測定結果で平均値計算し、さらにこれを10回繰り返して平均値を求めノイズレベルとする。
【0041】
【表2】
(2)フロアノイズと発言開始基準レベルとの差による有効距離の目安と閾値
1.26dB以上:3メートル以上
発言開始の検出レベル閾値:フロアノイズレベル+9dB
発言終了の検出レベル閾値:フロアノイズレベル+6dB
2.20〜26dB:3メートル以内
発言開始の検出レベル閾値:フロアノイズレベル+9dB
発言終了の検出レベル閾値:フロアノイズレベル+6dB
3.14〜20dB:1.5メートル以内
発言開始の検出レベル閾値:フロアノイズレベル+9dB
発言終了の検出レベル閾値:フロアノイズレベル+6dB
4.9〜14dB:1 メートル以内
発言開始の検出レベル閾値:
フロアノイズレベルと発言開始基準レベルとの差÷2+2dB
発言終了の検出レベル閾値:発言開始閾値−3dB
5.9dB以下:ちょっときつい、数10センチメートル
発言開始の検出レベル閾値:
6.フロアノイズレベルと発言開始基準レベルとの差÷2
発言終了の検出レベル閾値:−3dB
7.同じかマイナス:判定できず選択禁止
【0042】
【表3】
(3)通常処理のノイズ測定開始閾値は電源投入時のフロアノイズ+3dB以下のレベルになった時から開始する。
【0043】
双方向通話装置1の電源投入直後、双方向通話装置1は図9〜図10を参照して述べる下記のノイズ測定を行う。
双方向通話装置1の電源投入直後の初期処理は、フロアノイズと基準信号レベルを測定し、その差を元に話者と本システムとの有効距離の目安と発言開始、終了判定閾値レベルの設定するためる行う。
音圧レベル検出器のピークホールドされたレベル値を一定時間間隔、たとえば、10mSec、で読み出し、単位時間の値の平均値を算出しフロアノイズとする。そして、測定されたフロアノイズレベルを元に発言開始の検出レベル、発言終了の検出レベルの閾値を決定する。
【0044】
図9、処理1:テストレベル測定
DSP25は、図5に図解した受話信号系の入力端子にテストトーンを出力し、受話再生スピーカ16からの音を各マイクロフォンMC1〜MC6で集音し、その信号を発言開始基準レベルとして平均値を求める。
【0045】
図10、処理2:ノイズ測定1
DSP25は、各マイクロフォンMC1〜MC6からの集音信号のレベルをフロアノイズレベルとして一定時間収集し、平均値を求める。
【0046】
図11、処理3:有効距離試算
DSP25は、発言開始基準レベルとフロアノイズレベルを比較し、双方向通話装置1の設置されている会議室などの部屋の騒音レベルを推定し、本双方向通話装置1がが良好に働く発言者と本双方向通話装置1との有効距離を計算する。。
【0047】
マイク選択禁止判定
なお、処理3の結果フロアノイズの方が発言開始基準レベルより大きい(高い)場合、DSP25はそのマイクロフォンの方向に強大なノイズ源が有ると判定し、その方向のマイクロフォンの自動選択を禁止に設定し、それを、たとえば、マイクロフォン選択結果表示手段30または操作部15に表示する。
【0048】
しきい値決定
DSP25は、図12に図解したように、発言開始基準レベルとフロアノイズレベルを比較し、その差から発言開始、終了レベルの閾値を決定する。
【0049】
ノイズ測定に関する限り、次の処理は通常処理なので、DSP25は各タイマ(カウンタ)をセットして次処理の準備をする。
【0050】
ノイズ通常処理
DSP25は、初期動作時の上記ノイズ測定の後も、通常動作状態において、図13に示すフローチャートの処理に従って、ノイズ処理を行い、6本のマイクロフォンMC1〜MC6に対しそれぞれ選択された発言者の音量レベル平均値と発言終了検出後のノイズレベルを測定し一定時間単位で、発言開始、終了判定閾値レベルを再設定する。
【0051】
図13、処理1:DSP25は、発言中か発言終了かの判断で処理2か処理3への分岐を決定する。
【0052】
図13、処理2:発言者レベル測定
DSP25は、発言中の単位時間、たとえば、10秒分、のレベルデータを10回分平均して発言者レベルとして記録する。
単位時間内に発言終了になった場合、新たな発言開始まで時間計測及び発言レベル測定を中止し、新たな発言検出後、測定処理を再開する。
【0053】
図13、処理3:ノイズ測定2
DSP25は、発言終了検出後から発言開始までの間の単位時間、たとえば、10秒分、のノイズレベルデータを10回分平均してフロアノイズレベルとして記録する。
単位時間内に新たな発言があった場合は、DSP25は途中で時間計測及びノイズ測定を中止し、新たな発言終了検出後、測定処理を再開する。
【0054】
図13、処理4:閾値決定2
DSP25は、発言レベルとフロアノイズレベルを比較し、その差から発言開始、終了レベルの閾値を決定する。
なお、このほかに応用として、発言者の発言レベルの平均値が求められているのでそのマイクロフォンに対向した発言者固有の発言開始、終了検出閾値レベルを設定することもできる。
【0055】
フィルタ処理による各種周波数成分信号の生成
図14はマイクロフォンで集音した音信号を、前処理として、DSP25で行うフィルタリング処理を示す構成図である。
ただし、図14は1チャネル(1集音信号)分の処理について示す。
各マイクロフォンの集音信号は、たとえば、100Hzのカットオフ周波数を持つアナログ・フィルタ101で処理され、A/D変換器102に出力され、A/D変換器102でディジタル信号に変換された集音信号が、それぞれ7.5KHz、4KHz、1.5KHz、600Hz、250Hzのカットオフ周波数を持つ、ディジタルフィルタ103a〜103e(総称して103)で高周波成分が除去される(ハイカット処理)。ディジタルフィルタ103a〜103eの結果はさらに、減算器104a〜104d(総称して104)において隣接するフィルタ信号ごとの減算が行われる。
本発明の実施の形態において、ディジタルフィルタ103a〜103eおよび減算器104a〜104dはDSP25において処理している。A/D変換器102はA/D変換器ブロック27の1つとして実現できる。
【0056】
図15は、図14を参照して述べたフィルタ処理結果を示す周波数特性図である。このように1つのマイクロフォンで集音した信号から、各種の周波数成分をもつ複数の信号が生成される。
【0057】
バンドパス・フィルタ処理およびマイク信号レベル変換処理
マイクロフォン選択処理の開始のトリガの1つに発言の開始、終了の判定を行う。そのために使用する信号が、図16に図解したバンドパス・フィルタ処理およびレベル変換処理回路によって得られる。
図16はマイクロフォンMC1〜MC6で集音した6チャネル(CH)の入力信号処理中の1CHのみを示す。
バンドパス・フィルタ処理およびレベル変換処理回路は、マイクロフォンの集音信号を、それぞれ100〜600Hz、200〜250Hz、250〜600Hz、600〜1500Hz、1500〜4000Hz、4000〜7500Hzの帯域通過特性を持つバンドパス・フィルタ201a〜201a(総称してバンドパス・フィルタ・ブロック201)と、元のマイクロフォン集音信号および上記帯域通過集音信号をレベル変換するレベル変換器202a〜202g(総称して、レベル変換ブロック202)を有する。
【0058】
各レベル変換器は、信号絶対値処理部203とピークホールド処理部204を有する。したがって、波形図を例示したように、信号絶対値処理部203は破線で示した負の信号が入力されたとき符号を反転して正の信号に変換する。ピークホールド処理部204は、信号絶対値処理部203の出力信号の最大値を保持する。ただし、本実施の形態では、時間の経過により、保持した最大値は幾分低下していく。もちろん、ピークホールド処理部204を改良して、長時間保持可能にすることもできる。
【0059】
バンドパス・フィルタについて述べる。
双方向通話装置1に使用するバンドパス・フィルタは、2次IIRハイカット・フィルタと、マイク信号入力段のローカット・フィルタのみでバンドパス・フィルタを構成している。
フラットな信号1からハイカットフィルタを通した信号を引き算すれば残りはローカットフィルタを通した信号とほぼ同等になることを利用する。
周波数−レベル特性を合わせる為に、1バンド余分に全体帯域通過のバンドパス・フィルタが必要となるが、必要とするバンドパス・フィルタのバンド数+1のフィルタ段数と係数により必要とされるバンドパスが得られる。
今回必要とされるハンドパス・フィルタの帯域周波数はマイク信号1CH当りで、下記6バンドのバンドパス・フィルタとなる。
【0060】
【0061】
この方法で上記のIIR・フィルタの計算プログラムは、6CH×5(IIR・フィルタ) =30のみである。
なお従来のバンドパス・フィルタの構成と対比する。バンドパス・フィルタの構成は2次IIRフィルタを使用するとして、本発明のように6本のマイク信号にそれぞれ6バンドのバンドパス・フィルタを用意すると、6×6×2=72回路のIIR・フィルタ処理が必要になリます。この処理には、最新の優秀なDSPでもかなりのプログラム処理を要し他の処理への影響が出る。
本発明においては、100Hzのローカット・フィルタは入力段のアナログフィルタで処理する。用意する2次IIRハイカット・フィルタのカットオフ周波数は、250Hz,600Hz,1.5KHz,4KHz,7.5KHzの5種類である。このうちのカットオフ周波数7.5KHzのハイカット・フィルタは、実はサンプリング周波数が 16KHzなので必要が無いが、減算処理の過程で、IIRフィルタの位相回りの影響で、バンドパス・フィルタの出力レベルが減少する現象を、軽減する為にわざと被減数の位相を回す。
【0062】
図17は図16に図解した構成による処理をDSP25で処理したとのフローチャートである。
【0063】
図16に図解したフィルタ処理は1段目の処理としてハイパス・フィルタ処理、2段目の処理として1段目のハイパス・フィルタ処理結果からの減算処理を行う。図15その信号処理結果のイメージ周波数特性図である。
【0064】
第一段階
1.全体帯域通過フィルタ用として、入力信号を7.5KHzのハイカットフィルタを通す。このフィルタ出力信号は入力のアナログのローカットフィルタとの組み合わせにより [100Hz−7.5KHz] のバンドパス・フィルタ出力となる。
【0065】
2.入力信号を4KHzのハイカットフィルタを通す。このフィルタ出力信号は入力のアナログのローカットフィルタとの組み合わせにより [100Hz−4KHz] のバンドパス・フィルタ出力となる。
【0066】
3.入力信号を1.5KHzのハイカットフィルタを通す。このフィルタ出力信号は入力のアナログのローカットフィルタとの組み合わせにより [100Hz−1.5KHz] のバンドパス・フィルタ出力となる。
【0067】
4.入力信号を600KHzのハイカットフィルタを通す。このフィルタ出力信号は入力のアナログのローカットフィルタとの組み合わせにより [100Hz−600Hz] のバンドパス・フィルタ出力となる。
【0068】
5.入力信号を250KHzのハイカットフィルタを通す。このフィルタ出力信号は入力のアナログのローカットフィルタとの組み合わせにより [100Hz−250Hz] のバンドパス・フィルタ出力となる。
【0069】
第二段階
1.バンドパス・フィルタ(BPF5=[4KHz〜7.5KHz])は、フィルタ出力[1]−[2]([100Hz〜7.5KHz] − [100Hz〜4KHz])の処理を実行すると上記信号出力[4KHz〜7.5KHz]となる。
2.バンドパス・フィルタ(BPF4=[1.5KHz〜4KHz])は、フィルタ出力[2]−[3]([100Hz〜4KHz] − [100Hz〜1.5KHz])の処理を実行すると、上記信号出力[1.5KHz〜4KHz]となる。
3.バンドパス・フィルタ(BPF3=[600Hz〜1.5KHz])は、フィルタ出力[3]−[4]([100Hz〜1.5KHz] − [100Hz〜600Hz])の処理を実行すると、上記信号出力[600Hz〜1.5KHz]となる。
4.バンドパス・フィルタ(BPF2=[250Hz〜600Hz])は、フィルタ出力[4]−[5]([100Hz〜600Hz] − [100Hz〜250Hz]) の処理を実行すると
上記信号出力[250Hz〜600Hz]となる。
5.バンドパス・フィルタ(BPF1=[100Hz〜250Hz])は[5]の信号をそのままで出力信号[5]とする。
6.バンドパス・フィルタ(BPF6=[100Hz〜600Hz])は[4]の信号をそのままで上記(4)の出力信号とする。
以上の処理で必要とされるバンドパス・フィルタ出力が得られる。
【0070】
入力されたマイクロフォンの集音信号MIC1〜MIC6は、DSP25において、全帯域の音圧レベル、バンドパス・フィルタを通過した6帯域の音圧レベルとして表4のように常時更新される。
【0071】
【表4】
【0072】
表4において、たとえば、L1−1はマイクロフォンMC1の集音信号が第1バンドパス・フィルタ201aを通過したときのピークレベルを示す。
発言の開始、終了判定は、図16に図示した100Hz〜600Hzのバンドパス・フィルタ201aを通過し、レベル変換器202bで音圧レベル変換されたマイクロフォン集音信号を用いる。
【0073】
なお、従来のバンドパス・フィルタの構成は、バンドパス・フィルタ1段当りにハイ・パスフィルタとロー・パスフィルタの組み合わせで行うので、本実施の形態で使用する仕様の36回路のバンドパス・フィルタを構築すると72回路のフィルタ処理が必要となる。これに対して本発明の実施の形態のフィルタ構成は簡単になる。
【0074】
発言の開始、終了判定処理
DSP25は、音圧レベル検出器から出力される値を元に、図18に図解したように、マイクロフォン集音信号レベルがフロアノイズより上昇し、発言開始レベルの閾値を越した場合発言開始と判定し、その後開始レベルの閾値よりも大きいレベルが継続した場合発言中、発言終了の閾値よりもレベルが下がった場合をフロアノイズと判定し、一定時間、たとえば、0.5秒間、継続した場合発言終了と判定する。
発言の開始、終了判定処理は、図16に図解したマイク信号レベル変換処理部202bで音圧レベル変換された100Hz〜600Hzのバンドパス・フィルタを通過した音圧レベルデータ(マイク信号レベル(1)が図17に例示した閾値レベル以上になった時から発言開始と判定する。
また、DSP25は、頻繁なマイクロフォン切り替えに伴う動作不良を回避するため、発言開始を検出してから0.5秒間は次の発言開始を検出しないようにしている。
【0075】
マイクロフォン選択
DSP25は、相互通話システムにおける発言者方向検出および発言者に対向したマイク信号の自動選択を、いわゆる、「星取表方式」に基づいて行う。
図19は双方向通話装置1の動作形態を図解したグラフである。
図20は双方向通話装置1の通常処理を示すフローチャートである。
【0076】
双方向通話装置1は図19に図解したように、マイクロフォンMC1〜MC6からの集音信号に応じて、音声信号監視処理を行い、発言開始・終了判定を行い、発言方向判定を行い、マイクロフォン選択を行い、その結果をマイクロフォン選択結果表示手段30、たとえば、発光ダイオードLED1〜6に表示する。
以下、図20のフローチャートを参照して双方向通話装置1におけるDSP25を主体として動作を述べる。なお、マイクロフォン・電子回路収容部2の全体制御はマイクロプロセッサ23によって行われるが、DSP25の処理を中心に述べる。
【0077】
ステップ1:レベル変換信号の監視
マイクロフォンMC1〜MC6で集音した信号はそれぞれ、図16を参照して述べた、バンドパス・フィルタ・ブロック201、レベル変換ブロック202において、7種類のレベルデータとして変換されているから、DSP25は、各マイクロフォン集音信号についての7種類のの信号を常時監視する。
その監視結果に基づいて、DSP25は、発言者方向検出処理1、発言者方向検出処理2、発言開始・終了判定処理のいずれかの処理を移行する。
【0078】
ステップ2:発言開始・終了判定処理
DSP25は図18を参照して、さらに下記に詳述する方法に従って、発言の開始、終了の判定を行う。DSP25が処理が発言開始を検出した場合、ステップ4の発言者方向の判定処理へ発言開始検出を知らせる。
なお、ステップ2における発言の開始、終了の判定処理が発言レベルが発言終了レベルより小さくなった時、0.5秒のタイマを起動し0.5秒間発言レベルが発言終了レベルより小さい時、発言終了と判定する。
0.5秒以内に発言終了レベルより大きくなったら再び発言終了レベルより小さくなるまで待ちの処理に入る。
【0079】
ステップ3:発言者方向の検出処理
DSP25における発言者方向の検出処理は、常時発言者方向をサーチし続けて行う。その後、ステップ4の発言者方向の判定処理へデータを供給する。
この発言者方向の検出処理の詳細は、後述する。
【0080】
ステップ4:発言者方向マイクの切り換え処理
DSP25に発言者方向マイクの切り換え処理におけるタイミング判定処理はステップ2の処理とステップ3の処理の結果から、その時の発言者検出方向と今まで選択していた発言者方向が違う場合に、新たな発言者方向のマイク選択をステップ4のマイク信号切り換え処理へ指示する。
ただし、議長のマイクロフォンが操作部15から設定されていて、議長のマイクロフォンと他の会議参加者とが同時的に発言がある場合、議長の発言を優先する。
この時に、選択されたマイク情報をマイクロフォン選択結果表示手段30、たとえば、発光ダイオードLED1〜6に表示する。
【0081】
ステップ5:マイクロフォン集音信号の伝送
マイク信号切り換え処理は6本のマイク信号の中からステップ4処理により選択されたマイク信号のみを送話信号として、双方向通話装置1から電話回線920を介して相手側の双方向通話装置に伝送するため、図5に図解したラインアウトへ出力する。
【0082】
発言開始レベル閾値、発言終了閾値の設定
処理1:電源を投入直後に各マイクそれぞれの1秒間分のフロアノイズを測定する。
DSP25は、音圧レベル検出器のピークホールドされたレベル値を一定時間間隔、本実施の形態では10mSec間隔、で読み出し、1分間の値の平均値を算出しフロアノイズとする。
DSP25は測定されたフロアノイズレベルを元に発言開始の検出レベル(フロアノイズ +9dB)、発言終了の検出レベルの閾値(フロアノイズ+6dB)を決定する。DSP25は、以後も、音圧レベル検出器のピークホールドされたレベル値を一定時間間隔で読み出す。
発言終了と判定された時は、DSP25は、フロアノイズの測定として働き、発言開始の検出し、発言終了の検出レベルの閾値を更新する。
【0083】
この方法によれば、この閾値設定はマイクの置かれた位置のフロアノイズレベルがそれぞれ違うので各マイクにそれぞれ閾値が設定出来され、ノイズ音源による誤判定か防げる。
【0084】
処理2:周辺ノイズ(フロアノイズの大きい)部屋への対応。
処理1ではフロアノイズが大きく自動で閾値レベルを更新されると、発言開始、終了検出がしにくい時の対策として下記を行う。
DSP25は、予測されるフロアノイズレベルを元に発言開始の検出レベル、発言終了の検出レベルの閾値を決定する。
DSP25は、発言開始閾値レベルは発言終了閾値レベルより大きく(3dB以上の差)に設定する。
DSP25は、音圧レベル検出器のピークホールドされたレベル値を一定時間間隔で読み出す。
【0085】
この方法によれば、この閾値設定は閾値が全てのマイクに対して同じ値なので、ノイズ源を背にした人と、そうでない人とで声の大きさが同程度で発言開始が認識できる。
【0086】
発言開始判定
処理1、各マイクに対応した音圧レベル検出器の出力レベルと、発言開始レベルの閾値を比較し発言開始レベルの閾値を越した場合発言開始と判定する。
DSP25は、全てのマイクロフォンに対応した音圧レベル検出器の出力レベルが、発言開始レベルの閾値を越した場合は、受話再生スピーカ16からの信号であると判定し、発言開始とは判定しない。なぜなら、受話再生スピーカ16とマイクロフォンMC1〜MC6との距離は同じであるから、受話再生スピーカ16からの音は全てのマイクロフォンMC1〜MC6にほぼ均等に到達するからである。
【0087】
処理2、図4に図解したマイク配置で、指向特性軸を反対方向に180度ずらした単一指向性マイク2本(マイクロフォンMC1とMC4、マイクロフォンMC2とMC5、マイクロフォンMC3とMC6)の3組構成し、マイク信号のレベル差を利用する。すなわち下記の演算を実行する。
【0088】
マイク1の信号レベル−マイク4の信号レベルの絶対値・・・[1]
マイク2の信号レベル−マイク5の信号レベルの絶対値・・・[2]
マイク3の信号レベル−マイク6の信号レベルの絶対値・・・[3]
【0089】
DSP25は絶対値[1],[2],[3]と発言開始レベルの閾値を比較し発言開始レベルの閾値を越した場合発言開始と判定する。
この処理の場合、処理1のように全ての絶対値が発言開始レベルの閾値より大きくなる事は無いので(受話再生スピーカ16からの音がマイクロフォンMCに等しく到達するから)、受話再生スピーカ16からの音か話者からの音声かの判定は不要になる。
【0090】
発言者方向の検出処理
発言者方向の検出には、図6に例示した単一指向性マイクの特性を利用する。単一指向特性マイクロフォンは発言者からマイクロフォンへの音声の到達角度により図6に例示したように、周波数特性、レベル特性が変化する。その結果を、図9(A)〜(C)に例示した。図9(A)〜(C)は、双方向通話装置1の1.5メートルの距離にスピーカーを置いて各マイクロフォンが集音した音声を一定時間間隔でFFTした結果を示す。X軸が周波数を、Y軸が信号レベルを、Z軸が時間を表している。横線は、バンドパス・フィルタのカットオフ周波数を表し、この線にはさまれた周波数帯域のレベルが、図14〜図17を参照して述べたマイク信号レベル変換処理からの5バンドのバンドパス・フィルタを通した音圧レベルに変換されたデータとなる。
【0091】
本発明の1実施の形態としての双方向通話装置1における発言者方向の検出
のために実際の処理として適用した判定方法を述べる。
各帯域バンドパス・フィルタの出力レベルに対しそれぞれ適切な重み付け処理(1dBFsステップなら0dBFsの時0、−3dBFsなら3というように、又はこの逆に)を行います。この重み付けのステップで処理の分解能が決まる。
1サンプルクロック毎に上記の重み付け処理を実行し、各マイクの重み付けされた得点を加算して一定サンプル数で平均値化して合計点の小さい(大きい)マイク信号を発言者に対向したマイクロフォンと判定する。この結果をイメージ化したものが表5である。
【0092】
【表5】
【0093】
この例では一番合計点が小さいのはMIC1なので、マイク1方向に音源が有ると判定する。その結果を音源方向マイク番号という形で保持する。
上述したように、各マイクロフォン毎の周波数帯域のバンドパス・フィルタの出力レベルに重み付けを付けを実行し、各帯域バンドパス・フィルタの出力の、得点の小さい(または大きい)マイク信号順に順位をつけ、1位の順位が3つの帯域以上に有るマイク信号を発言者に対向したマイクロフォンと判定する。そして、マイク1方向に音源が有るとして、表6のような成績表を作成する。
【0094】
【表6】
【0095】
実際には部屋の特性により音の反射や定在波の影響で、必ずしもマイクロフォンMC1の成績が全てのバンドパス・フィルタの出力で一番となるとは限らないが、5バンド中の過半数が1位であればマイク1方向に音源が有ると判定することができる。その結果を音源方向マイク番号という形で保持する。
【0096】
各マイクの各帯域バンドパス・フィルタの出力レベルデータを下記表7に示した形態で合計し、レベルの大きいマイク信号を発言者に対向したマイクと判定し、その結果を音源方向マイク番号という形で保持する。
【0097】
【表7】
【0098】
発言者方向マイクの切り換えタイミング判定処理
ステップ2の発言開始判定結果により起動し、ステップ3の発言者方向の検出処理結果と過去の選択情報から新しい発言者マイクが検出された時、ステップ5のマイク信号の選択切り替え処理へマイク信号の切り換えコマンドを発効すると共に、マイクロフォン選択結果表示手段30(発光ダイオードLED1〜6)へ発言者マイクが切り替わったことを通知し、発言者に自分の発言に対し本双方向通話装置1が応答した事を知らせます。
【0099】
反響の大きい部屋で、反射音や定在波の影響を除くため、マイクロフォンを切り換えてから一定時間(0.5秒)経過しないと、新しいマイク選択コマンドの発効は禁止する。
ステップ1のマイク信号レベル変換処理結果、および、ステップ3の発言者方向の検出処理結果から、マイク選択切り替えタイミングは2通りを準備する。
【0100】
第1の方法:発言開始が明らかに判定できる時
選択されていたマイク方向からの発言が終了し新たに別の方向から発言があった場合。
この場合は、全てのマイク信号レベル(1)とマイク信号レベル(2)が発言終了閾値レベル以下になってからインターバル時間(0.5秒)以上経過してから発言が開始され、どれかのマイク信号レベル(1)が発言開始閾値レベル以上になった時発言が開始されたと判断し、音源方向マイク番号の情報を元に発言者方向に対向したマイクを集音マイクと決定し、ステップ5のマイク信号選択切り替え処理を開始する。
【0101】
第2の方法:発言継続中に新たに別の方向からより大きな声の発言があった場合。
この場合は発言開始(マイク信号レベル(1)が閾値レベル以上になった時)からインターバル時間 (0.5 秒)以上経過してから判定処理を開始する。
発言終了検出前に、3の処理からの音源方向マイク番号が変更になり、安定していると判定された場合音源方向マイク番号に相当するマイクに現在選択されている発言者よりも大声で発言している話者がいると判断し、その音源方向マイクをを集音マイクと決定し、ステップ5のマイク信号選択切り替え処理を起動する。
【0102】
検出された発言者に対向したマイク信号の選択切り替え処理
ステップ4の発言者方向マイクの切り換えタイミング判定処理からのコマンドで選択判定されたコマンドにより起動する。
マイク信号の選択切り替え処理は、図21に図解したように、6回路の乗算器と6入力の加算器で構成する。マイク信号を選択する為には、選択したいマイク信号が接続されている乗算器のチャネルゲイン(チャネル利得:CH Gain)を〔1〕に、その他の乗算器のCH Gainを〔0〕とする事で、加算器には選択された(マイク信号×〔1])の信号と(マイク信号×〔0])の処理結果が加算されて希望のマイク選択信号が出力に得られる。
【0103】
上記の様にCH Gainを[1]と[0]に切り換えると切り換えるマイク信号のレベル差によりクリック音が発生する可能性が有る。そこで、双方向通話装置1では、図22に図解したように、CH Gainの変化を[1]から[0]へ、[0]から[1]へ変化するのに10m秒の時間で連続的に変化させてクロスするようにして、マイク信号のレベル差によるクリック音の発生を避けている。
【0104】
また、CH Gainの最大を[1]以外、たとえば[0.5]の様にセットする事で後段のエコーキャンセル処理への出力レベルの調整もできる。
【0105】
上述したように、本発明の第1実施の形態の双方向通話装置は、ノイズの影響を受けず、有効に会議などの双方向通話装置に適用できる。
もちろん、本発明の双方向通話装置は会議用に限定されることなく、種々の他の用途に適用できる。すなわち、本発明の双方向通話装置は、各通過帯域の群遅延特性を重視しなくても良い時通過帯域の電圧レベルの測定にも適している。したがって、たとえば、簡易スペクトラム・アナライザー、高速フーリエ変換(FFT)処理を行う(FFT的な)レベルメータ、グラフィクイコライザーなどのイコライザー処理結果の確認用レベル検出処理装置、カーステレオ、ラジカセ等のレベルメーターなどにも適用できる。
【0106】
【発明の効果】
本発明のマイクロフォン・スピーカ一体構成型・双方向通話装置(双方向通話装置)は構造面から下記の利点を有する。
(1)複数のマイクロフォンMC1〜MC6と受話再生スピーカ16との位置関係が一定であり、さらにその距離が非常に近いことで受話再生スピーカから出た音が会議室(部屋)環境を経て複数のマイクロフォンに戻ってくるレベルより直接戻ってくるレベルが圧倒的に大きく支配的である。そのために、受話再生スピーカから複数のマイクロフォンに音が到達する特性(信号レベル(強度)、周波数特性(f特)、位相)がいつも同じである。つまり、双方向通話装置においてはいつも伝達関数が同じという利点がある。
【0107】
(2)それ故、マイクロフォンを切り替えた時の伝達関数の変化がなく、マイクロフォンを切り替える都度、マイクロフォン系の利得を調整をする必要がないという利点を有する。換言すれば、本双方向通話装置の製造時に一度調整をするとやり直す必要がないという利点がある。
【0108】
(3)上記と同じ理由でマイクロフォンを切り替えても、エコーキャンセラー(DSP26)が一つでよい。DSPは高価であり、種々の部材が搭載されて空きが少ないプリント基板にDSPを配置するスペースも少なくてよい。
【0109】
(4)受話再生スピーカと複数のマイクロフォン間の伝達関数が一定であるため、±3dBもあるマイクロフォン自体の感度差調整をユニット単独で出来るという利点がある。
【0110】
(4)双方向通話装置が搭載されるテーブルは、通常、円いテーブルを用いるが、双方向通話装置内の一つの受話再生スピーカで均等な品質の音声を全方位に均等に分散(閑散)するスピーカシステムが可能になった。
【0111】
(5)受話再生スピーカから出た音はテーブル面を伝達して(バウンダリ効果)会議参加者まで有効に能率良く均等に上質な音が届き、会議室の天井方向に対しては対向側の音と位相キャンセルされて小さな音になり、会議参加者に対して天井方向からの反射音が少なく、結果として参加者に明瞭な音が配給されるという利点がある。
【0112】
(6)受話再生スピーカから出た音は全てのマイクロフォンに同時に同じ音量で届くので発言者の音声なのか受話音声なのかの判断が容易になる。その結果、マイクロフォン選択処理の誤判別が減る。
【0113】
(7)偶数個のマイクロフォンを等間隔で配置したことで方向検出の為のレベル比較が容易に出来る。
【0114】
(8)ダンパー、マイクロフォン支持部材などにより、受話再生スピーカの音による振動が、マイクロフォンの集音に影響を低減することができる。
【0115】
(9)受話再生スピーカの音が直接、マイクロフォンには進入しない。したがって、この双方向通話装置においは受話再生スピーカからのノイズの影響が少ない。
【0116】
本発明のマイクロフォン・スピーカ一体構成型・双方向通話装置は信号処理面から下記の利点を有する。
(a)複数の単一指向性マイクを等間隔で放射状に配置して音源方向を検知可能とし、マイク信号を切り換えてS/Nの良い音、クリアな音を集音(収音)して、相手方に送信することができる。
(b)周辺の発言者からの音声をS/N良く集音して、発言者に対向したマイクを自動選択できる。
(c)本発明においては、マイク選択処理の方法として通過音声周波数帯域を分割し、それぞれの分割された周波数帯域事のレベルを比較する事で、信号分析を簡略化している。
(d)本発明のマイク信号切り換え処理をDSPの信号処理として実現し、複数の信号をすべてにクロス・フェード処理する事で切り換え時のクリック音を出さないようにしている。
(e)マイク選択結果を、発光ダイオードなどのマイクロフォン選択結果表示手段、または、外部への通知処理することができる。したがって、たとえば、テレビカメラへの発言者位置情報として活用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は本発明のマイクロフォン・スピーカ一体構成型・双方向通話装置(双方向通話装置)が適用される1例しての会議システムの概要を示す図であり、図1(B)は図1(A)における双方向通話装置が載置される状態を示す図であり、図1(C)はテーブルに載置された双方向通話装置と会議参加者との配置を示す図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態のマイクロフォン・スピーカ一体構成型・双方向通話装置の斜視図である。
【図3】図3は図1に図解した双方向通話装置の内部断面図である。
【図4】図4は図1に図解した双方向通話装置の上部カバーを取り外したマイクロフォン・電子回路収容部の平面図である。
【図5】図5はマイクロフォン・電子回路収容部の主要回路の接続状態を示す図であり、第1のディジタルシグナルプロセッサ(DSP1)および第2のディジタルシグナルプロセッサ(DSP2)の接続の接続状態を示している。
【図6】図6は図4に図解したマイクロフォンの特性図である。
【図7】図7(A)〜(D)は、図6に図解した特性を持つマイクロフォンの指向性を分析した結果を示すグラフである。
【図8】図8は、第1のディジタルシグナルプロセッサ(DSP1)における全体処理内容の概要を示すグラフである。
【図9】図9は本発明におけるノイズ測定方法の第1形態を示すフローチャートである。
【図10】図10は本発明におけるノイズ測定方法の第2形態を示すフローチャートである。
【図11】図11は本発明におけるノイズ測定方法の第3形態を示すフローチャートである。
【図12】図12は本発明におけるノイズ測定方法の第4形態を示すフローチャートである。
【図13】図13は本発明におけるノイズ測定方法の第5形態を示すフローチャートである。
【図14】図14は本発明の双方向通話装置内のフィルタリング処理を示す図面である。
【図15】図15は図14の処理結果を示す周波数特性図である。
【図16】図16は本発明のバンドパス・フィルタリング処理とレベル変換処理を示すブロック図である。
【図17】図17は図16の処理を示すフローチャートである。
【図18】図18は本発明の双方向通話装置における発言開始、終了を判定する処理を示すグラフである。
【図19】図19は本発明の双方向通話装置における通常処理の流れを示すグラフである。
【図20】図20は本発明の双方向通話装置における通常処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】図21は本発明の双方向通話装置におけるマイクロフォン切り替え処理を図解したブロック図である。
【図22】図22は本発明の双方向通話装置におけるマイクロフォン切り替え処理の方法を図解したブロック図である。
【符号の説明】
1・・マイクロフォン・スピーカ一体構成型・双方向通話装置
(双方向通話装置)
11・・上部カバー
12・・音反射板
12a・・音反射面、12b・・拘束部材固定部
13・・連結部材
14・・スピーカ収容部
14a・・音反射面、14b・・底面
14c・・上面14b、14d・・内腔
14e・・拘束部材・下部固定部
14f・・拘束部材・貫通部
15・・操作部
16・・受話再生スピーカ
17・・拘束部材
18・・ダンパー
2・・マイクロフォン・電子回路収容部
21・・プリント基板
MC1〜MC・・マイクロフォン
22・・マイクロフォン支持部材
22a・・第1のマイク支持部材
22b・・第2のマイク支持部材
23・・マイクロプロセッサ、24・・コーデック
25・・第1のディジタルシグナルプロセッサ(DSP1)
26・・第2のディジタルシグナルプロセッサ(DSP2)
27・・A/D変換器ブロック
28・・D/A変換器ブロック
29・・増幅器ブロック
30・・マイクロフォン選択結果表示手段
LED1〜6・・発光ダイオード
Claims (7)
- 垂直方向を指向するスピーカと、
該スピーカを内蔵し、中心の垂直部に前記スピーカの音を放出させる上部音出力開口部を有し、側面が傾斜または凸に湾曲しているスピーカ収容部と、
前記スピーカと対向する垂直方向に中心が位置し、前記スピーカ収容部の側面と対向する面がラッパ型に湾曲し、前記スピーカ収容部の側面と協働して前記上部音出力開口部から出力される音を水平方向、全方位に拡散する、音反射板と、
該音反射板に開口端部に位置し、前記スピーカの中心軸を中心として、水平方向に放射状、かつ、前記中心軸を挟んで一直線に配置された少なくとも1対の指向性を持つマイクロフォンと、
前記マイクロフォンの集音信号を信号処理する第1の信号処理手段と、
前記スピーカに出力すべき音信号を信号処理する第2の信号処理手段と
を具備し、
前記少なくとも1対のマイクロフォンは、前記スピーカから等しい距離に位置している、
マイクロフォン・スピーカ一体構成型・双方向通話装置。 - 前記第1の信号処理手段は、
前記1対のマイクロフォンの集音信号を入力して、最も高い音を検出したマイクロフォンを選択して、その集音信号を送出する、
請求項1記載の双方向通話装置。 - 前記第1の信号処理手段は、
事前に当該双方向通話装置が設置される環境のノイズを測定しておき、
前記マイクロフォンの選択とき、マイクロフォンの集音信号から前記測定したノイズ成分を除去する、
請求項2記載の双方向通話装置。 - 前記第1の信号処理手段は、前記1対のマイクロフォンの信号差を参照して、前記音声の最も高い方向を検出し、選択するマイクロフォンを決定する、
請求項2記載の双方向通話装置。 - 前記第1の信号処理手段は、マイクロフォンの選択の際、各マイクロフォンの集音信号を帯域分離し、レベル変換して、前記選択するマイクロフォンを決定する、
請求項2記載の双方向通話装置。 - 当該双方向通話装置は、選択されたマイクロフォンを視認させる出力手段を有し、
前記第1の信号処理手段は前記マイクロフォンを選択したとき、該当する出力手段に出力する、
請求項2記載の双方向通話装置。 - 前記出力手段は発光ダイオードである、
請求項6記載の双方向通話装置。
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