JP2019013893A - 排ガス処理方法および排ガス処理システム - Google Patents

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Hirobumi Yoshikawa
博文 吉川
下平 和佳子
Wakako Shimodaira
和佳子 下平
昌利 川原垣
Masatoshi Kawaragaki
昌利 川原垣
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Abstract

【課題】ガスガスヒータの伝熱管のSO腐食を抑制し、かつ、ダストの付着性を低減できる排ガス処理方法および排ガス処理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、石炭を燃焼するボイラから排出される排ガスの処理方法であって、電気集塵機により、排ガス中の煤塵の一部を除去する集塵工程と、熱媒体を通す伝熱管を有する熱回収器により、集塵工程で煤塵の一部が除去された排ガスから熱回収する熱回収工程と、湿式脱硫装置により、熱回収工程で冷却された排ガスから硫黄酸化物を吸収除去する脱硫工程と、を備え、石炭の石炭灰中アルカリ濃度が少ないほど電気集塵機の出口における排ガスの煤塵濃度を高くするよう、石炭灰中アルカリ濃度に基づいて、集塵工程における集塵量を設定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、石炭焚きボイラの排ガス処理方法および排ガス処理システムに関するものである。
従来の排ガス処理システムでは、ボイラからの排ガスを空気予熱器で熱回収し、乾式電気集塵装置で除塵し、伝熱管を有する熱回収器で熱回収後、脱硫装置で脱硫し、再加熱器で昇温させた後、煙突から排出している。
熱回収器および再加熱器は、熱媒体連絡管で連結されたガスガスヒータである。熱回収器で熱を回収し、排ガス温度を下げた後、脱硫処理することで脱硫処理効率を高められる。また、脱硫処理後の低温の排ガスを、再加熱器で昇温させることで、後流機器の水分結露による腐食を防止できるとともに、白煙の発生を抑制することができる。
熱回収器は、乾式電気集塵装置から出た排ガスを受け入れる。そのため、排ガス中に残存する煤塵が伝熱管の表面に堆積する。煤塵が伝熱管の表面を覆うことは、伝熱効率の低下につながる。そのため、伝熱管表面に堆積した煤塵は、適宜スートブロア等により除去される。
熱回収器では、熱が回収されることで排ガス温度が低下する。これに伴い、排ガス中のSOが凝縮しやすい。SOは、凝縮すると硫酸を生成し、伝熱管を腐食させる要因となる。よって、ガスガスヒータの設計ではSO腐食を防止するための工夫が施される(特許文献1,2参照)。
特許文献1では、SO量に対し一定量以上の煤塵(ダスト)を存在させて、腐食量を低く保つようにしている。特許文献1では、排ガス中の煤塵濃度DとSO濃度Sとの比(D/S)が所定値となるよう乾式電気集塵機におけるダスト捕集量を制御する。特許文献1では、D/Sが5以上であれば腐食量を許容範囲に保てることが示されている。
特開昭63−175653号公報 特開2011−200781号公報
一方、特許文献2では、D/Sの考え方を適用したとしても、燃料となる石炭の種類によっては、SOによる腐食を抑制できない場合があることが開示されている。
特許文献2によれば、石炭に含まれる硫黄(S)分が多い場合、排ガス中の三酸化硫黄(SO)濃度が高くなる。熱回収器において凝縮したSOはダスト(煤塵)に付着する。SOが付着したダストは湿潤状態となり、スートブロアによる清掃では除去しにくい。
特許文献2では、熱回収器の前流側で排ガス中にアルカリを供給して、SOによるダストの湿潤を低減させている。このような方法では、多量のアルカリの供給が必要となり、経済的ではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ガスガスヒータの伝熱管のSO腐食を抑制し、かつ、ダストの付着性を低減できる排ガス処理方法および排ガス処理システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の排ガス処理方法および排ガス処理システムは以下の手段を採用する。
本発明は、石炭を燃焼するボイラから排出される排ガスの処理方法であって、電気集塵機により、前記排ガス中の煤塵の一部を除去する集塵工程と、熱媒体を通す伝熱管を有する熱回収器により、前記集塵工程で煤塵の一部が除去された排ガスから熱回収する熱回収工程と、湿式脱硫装置により、前記熱回収工程で冷却された排ガスから硫黄酸化物を吸収除去する脱硫工程と、を備え、前記石炭の石炭灰中アルカリ濃度が少ないほど前記電気集塵機の出口における排ガスの煤塵濃度を高くするよう、前記石炭灰中アルカリ濃度に基づいて、前記集塵工程における集塵量を設定する排ガス処理方法を提供する。
また本発明は、石炭を燃焼するボイラと、前記ボイラから出た排ガスから煤塵の一部を除去する電気集塵機と、熱媒体を通す伝熱管を有し、前記電気集塵機で煤塵の一部が除去された排ガスから熱を回収する熱回収器と、前記熱回収器で冷却された排ガスから硫黄酸化物を吸収除去する脱硫装置と、前記石炭の石炭灰中アルカリ濃度が少ないほど前記電気集塵機の出口における排ガスの煤塵濃度が高くなるよう、前記石炭灰中アルカリ濃度に基づいて、前記電気集塵機における集塵量を設定する集塵量設定部と、を備えている排ガス処理システムを提供する。
本発明者らは、電気集塵機、熱回収器および脱硫装置を順に備えた排ガス処理システムの実機において、従来のD/Sの考え方を適用して電気集塵機出口の煤塵濃度を設計しても、伝熱管の腐食を防止しきれない場合があるという知見を得た。
上記知見に基づき、腐食を防止できない要因を検討した結果、熱回収器における温度低下によって排ガス中のSOのほとんどは凝縮して煤塵に吸着し、灰中アルカリと反応すると中和されるが、石炭灰中アルカリ濃度が低い石炭種を用いた場合に、排ガス中の煤塵に含まれるアルカリの量では、排ガス中のSO全量を中和できず、中和されなかったSOを含んだ煤塵が伝熱管に付着し、腐食の要因となっていることを見出した。
また、本発明者らは、排ガス中のSOを中和しきれなかったとしても、煤塵中の残SO濃度が所定範囲内であれば、伝熱管への煤塵の固着を防止できる、または、煤塵が伝熱管に付着するが、付着した煤塵をスートブロアにより除去でき、かつ、腐食も防止できることを見出した。
上記発明によれば、電気集塵機において排ガスから集塵する煤塵の量を、石炭灰中アルカリ濃度に基づいて設定し、石炭灰中アルカリ濃度が少ないほど電気集塵機の出口における排ガスの煤塵濃度が高くなるようにする。これにより、石炭灰中アルカリ濃度が低い石炭種、灰分の割合が高い石炭種、または、石炭灰中アルカリ濃度が低くかつ灰分の割合が高い石炭種を用いた場合であっても、電気集塵機出口において必要なアルカリ濃度を確実に確保できる。よって、特許文献2のようにアルカリ供給装置を別途設けることなく、必要なアルカリ濃度を確保できる。ここで「アルカリ濃度」とは、単位体積の排ガス中の煤塵に含まれるアルカリの量(重量)である。
電気集塵機における集塵量は、電気集塵機の電流密度または電圧を制御することで、調整できる。
上記発明の一態様において、前記煤塵濃度は、前記石炭灰中アルカリ濃度(mmol/g)に所定定数を加えた値で、前記排ガス中のSO濃度(mmol/m)を除すことで算定され得る。
前記所定定数は、あらかじめ前記伝熱管の腐食防止に必要な石炭灰中アルカリ濃度を取得し、該取得した石炭灰中アルカリ濃度に基づいて算定するとよい。
腐食防止を目的とした場合、前記所定定数は、0.3以上0.6以下の範囲から選択できる。
前記所定定数は、あらかじめ前記伝熱管への煤塵の固着防止に必要な石炭灰中アルカリ濃度を取得し、該取得した石炭灰中アルカリ濃度に基づいて算定してもよい。
固着防止を目的とした場合、前記所定定数は、0.1以上0.2以下の範囲から選択できる。
所定定数は、残SO濃度を上記所定範囲に収めるための数値である。上記発明では、灰分の割合が高い石炭種を用いた場合、電気集塵機出口での煤塵濃度が高くなる。石炭灰中アルカリ濃度が低くかつ灰分の割合が高い石炭種を用いた場合、電気集塵機出口での煤塵濃度が高くなりすぎることが懸念されるが、上記発明の態様では所定定数を石炭灰中アルカリ濃度に加算することで、加算しなかった場合と比較して電気集塵機出口の煤塵濃度を低くすることができる。煤塵濃度を少しでも低くすることで、熱回収器の後流への悪影響を抑制しつつ、熱回収器の腐食を防止できる。
上記発明の一態様では、前記熱回収器内において、前記伝熱管を、排ガス流れに直交するように複数段設置し、前記伝熱管の外径に対する隣り合う伝熱管の軸間距離の比を1.8以上5.5以下とするのが好ましい。
隣り合う伝熱管を上記のように並べることで、伝熱管群のつまりを防止できる。
上記発明は、石炭灰中アルカリ濃度が2mmol/g以下、灰分が20%以上である石炭を燃焼するボイラから出る排ガスの処理に好適である。
本発明に係る排ガス処理方法および排ガス処理システムは、石炭灰中アルカリ濃度に基づいて電気集塵機出口での煤塵濃度を設定することで、熱回収器の伝熱管のSO腐食を抑制し、かつ、ダストの付着性を低減できる。
本発明の一実施形態に係る排ガス処理システムの系統図である。 熱回収器内部の模式図である。 図2のA−A図である。 石炭種毎の石炭中灰分と灰中アルカリ濃度との関係を示す図である。 腐食試験の結果を示す図である。 目的毎に必要となるD/Sを求めた結果を示す図である。
以下に、本発明に係る排ガス処理方法および排ガス処理システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る排ガス処理方法および排ガス処理システムは、石炭を燃焼するボイラ(石炭焚きボイラ)から出る排ガスの処理に関する。特に、石炭灰中アルカリ濃度が2mmol/g以下、かつ、灰分の割合が20%以上である石炭種を燃焼させたときに生じる排ガスの処理に好適である。ここで、石炭灰中アルカリ濃度は、CaO、MgO、NaOおよびKOの合計濃度である。
図1は、本実施形態に係る排ガス処理システムの系統図である。排ガス処理システム1は、石炭焚きボイラ2の後流に、脱硝装置3、空気予熱器4、乾式電気集塵機5、熱回収器6、送風機7、吸収塔(湿式脱硫装置)8、再加熱器9、および煙突10を順に備えている。各構成は、煙道または配管等により接続されている。
本実施形態において、脱硝装置3は、アンモニア(NH)供給部(不図示)および脱硝触媒(不図示)を備えている。脱硝触媒は、窒素酸化物とアンモニアとの反応を促進させる触媒である。例えば、脱硝触媒は、バナジウム系触媒、またはゼオライト系触媒などである。
本実施形態において、空気予熱器4では、脱硝後の高温の排ガスと常温の燃焼用空気との熱交換を行い、熱交換により高温となった燃焼用空気は、石炭焚きボイラ2に供給され、熱交換して温度が低下した排ガスは、下流の乾式電気集塵機5へと導かれる。
本実施形態において、乾式電気集塵機5(以降、電気集塵機と略す)は、電極および電極に電圧を印加する電源を備えている。電気集塵機5は、煤塵(石炭を燃焼させた際に発生する微粉末の灰)の微粒子に電荷を与え、電極に引き寄せることで煤塵を捕集するものである。
本実施形態において、熱回収器6および再加熱器9は、熱媒体が通る熱媒体連絡管19によって連結されたノンリーク式のガスガスヒータ(GGH)である。熱回収器6および再加熱器9は、電気集塵機5の後流に設けられている。熱媒体は、例えば、水である。
ノンリーク式ガスガスヒータは、熱媒体を介して、脱硫処理前のガスから熱を回収し、脱硫処理後のガスを再加熱する様式の熱交換器である。脱硫処理前後のガスが接触することなく熱交換を行うことが可能になるため、脱硫処理前の排ガスの、脱硫処理後の排ガス側への(再加熱器9での)漏えいを防止できる。
図2に、熱回収器6内部の模式図を示す。図3は、図2のA−A断面図である。
熱回収器6内には、熱媒体を通す伝熱管11が、排ガス流れGに直交するように複数段設置されている。ここでは、複数段の伝熱管11を伝熱管群12と称す。伝熱管群12において、伝熱管11は、伝熱管11の外径(D)に対する隣り合う伝熱管11の軸間距離(P)の比(P/D)が1.8以上5.5以下となるよう配置されている。
熱回収器6内に配置されている伝熱管11は、外周に複数のフィン13を備えている。複数のフィン13はリング形状をしており、リングの内輪が伝熱管11の外周に接続されている。複数のフィン13は、互いに間隔をあけて配置されている。
伝熱管群12の上下には、スートブロア14が設置されている。図2では、上側に設置されたスートブロア14のみを表示する。スートブロア14は、伝熱管11に向けて蒸気または空気を間欠的に噴射する手段(不図示)を備えている。
再加熱器9内は、熱回収器6と同様の構成である。
吸収塔8は、排ガス流路に吸収液を供給する手段15を備えている。
排ガス処理システム1は、石炭灰中アルカリ濃度に基づいて、電気集塵機5における集塵量を設定する集塵量設定部16を備えていてもよい。
集塵量設定部16は、石炭灰中アルカリ濃度が少ないほど電気集塵機5の出口における排ガスの煤塵濃度が高くなるよう集塵量を設定するものである。集塵量設定部16には、石炭灰中アルカリ濃度に基づいて、電気集塵機5出口における排ガスの煤塵濃度を算定する式(1)が格納されている。
Figure 2019013893
αは、所定定数であり、目的に応じて変更されうる。伝熱管11への煤塵の固着防止を目的とする場合、αは0.1以上0.2以下の範囲から選択できる。伝熱管11の腐食防止を目的とする場合、αは0.3以上0.6以下の範囲から選択できる。
集塵量設定部16は、電気集塵機5に電気的に接続され、電気集塵機5の電流密度および電圧を制御できる。集塵量設定部16は、電気集塵機5出口における排ガスの煤塵濃度が式(1)で算定された値となるよう、電気集塵機5における集塵量を設定できる。
排ガス処理システム1は、煤塵濃度計17およびSO計18を備えていてもよい。煤塵濃度計17およびSO計18は、電気集塵機5の出口側煙道(または配管)に接続される。
集塵量設定部16は、煤塵濃度計17の測定値を受信し、該測定値から排ガス中に存在するアルカリの量を算定できる(煤塵濃度(g/m)×石炭灰中アルカリ濃度(mmol/g)=排ガス中アルカリ濃度(mmol/m))。集塵量設定部16は、SO計18の測定値を受信し、該測定値を上流で生成して熱回収器6に流入するSO濃度に換算できる。転換率は、1.0から4.0%の範囲となる場合が多い。
次に、本実施形態に係る排ガス処理方法について説明する。
石炭焚きボイラ2から排出された排ガスを、まず脱硝装置3に導く。ここで、選択的接触還元法(SCR)によって排ガス中の窒素酸化物(NO)を除去する。
次に、脱硝装置3で窒素酸化物が除去された排ガスを空気予熱器4に導く。ここで、空気と熱交換させることで排ガスから熱を回収する。熱交換により高温となった空気は、石炭焚きボイラ2に燃焼用空気として供給される。
次に、空気予熱器4で熱交換により温度が低下した排ガスを電気集塵機5に導く。ここで、排ガス中の煤塵の一部を除去する(集塵工程)。
次に、集塵工程で煤塵の一部が除去された排ガスを熱回収器6に導く。ここで、排ガスと伝熱管11内を通る熱媒体と熱交換させて排ガスから熱を回収する(熱回収工程)。熱回収器6では、例えば、130℃程度の排ガスから熱が回収され90℃程度の排ガスとなる。
次に、熱回収工程で熱回収され温度が低下した排ガスを送風機7で昇圧し、吸収塔8に導く。ここで、排ガスの流路に吸収液を噴霧して、排ガスと吸収液とを気液接触させる。これにより、排ガスから硫黄酸化物(SO)を吸収液中に吸収除去する(脱硫工程)。吸収液は、例えば、石灰石の微粉を水に加えたスラリーである。
次に、脱硫工程で硫黄酸化物が除去された排ガスを再加熱器9に導入する。ここで、脱硫工程で、例えば、50℃程度に温度が低下した排ガスと伝熱管11内を通る熱媒体と熱交換させて排ガスを加熱する(再加熱工程)。再加熱器9で加熱された排ガスの温度は、例えば、90℃程度である。
最後に、再加熱工程で加熱された排ガスを、煙突10から排出する。
集塵工程について、より詳細に説明する。
本実施形態では、石炭灰中アルカリ濃度が少ないほど電気集塵機の出口における排ガスの煤塵濃度が高くなるよう、石炭灰中アルカリ濃度に基づき、集塵工程における電気集塵機5で集塵される煤塵の量(集塵量)を設定する。
集塵量は、電気集塵機5における電流密度および電圧を変えることにより調整できる。
図4に、石炭種毎の石炭中灰分と石炭灰中アルカリ濃度との関係を示す。石炭中灰分は、石炭を電気炉等で所定温度×時間で燃焼させたとき残る残渣の、燃焼前の石炭に対する重量割合である。石炭灰中アルカリ濃度は一般に、石炭を燃焼させて得た灰を強力な酸の水溶液で溶解し、溶解液中の成分を化学分析することによって測定される。同図において、横軸が石炭中灰分(wt.%,dry)、縦軸が石炭灰中アルカリ濃度(mmol/g)である。石炭灰中アルカリ濃度は、1gの灰に含まれるCaO、MgO、NaOおよびKOの合計mol数である。乾燥した石炭全体を100%とする。
図4によれば、石炭種によって、石炭灰中アルカリ濃度および石炭中灰分の割合が異なっていた。A炭およびC炭は、石炭灰中アルカリ濃度が高く、石炭中灰分の割合が少なかった。これに対し、E炭は、特に石炭灰中アルカリ濃度が低く、石炭中灰分の割合が高かった。E炭の石炭灰中アルカリ濃度は2mmol/g以下、石炭中灰分の割合は20%以上であった。
図示しないが、A炭,C炭およびE炭中の硫黄分(S)の割合は、同程度(1.5%以下,dry)であった。
図4によれば、D/S(D:煤塵重量,S:SO重量)が同じ場合、A炭およびC炭と、E炭とで、電気集塵機5出口におけるアルカリ濃度が大きく異なることがわかる。E炭を用いた場合、電気集塵機5出口でのアルカリ濃度がかなり低くなる。
本実施形態では、石炭灰中アルカリ濃度に基づいて、石炭灰中アルカリ濃度が少ないほど電気集塵機5の出口における排ガスの煤塵濃度が高くなるよう電気集塵機5の集塵量を設定することで、E炭を用いた場合であっても、熱回収器6で必要となるアルカリ濃度を確保できる。
電気集塵機5の出口における排ガスの煤塵濃度は、式(1)から算定する。
Figure 2019013893
SOの濃度は、排ガス中のSO濃度から推定できる。SOからSOへの転換率は、概ね1%から4%である。排ガス中のSO濃度は、石炭の硫黄含有量から算出できる。排ガス中のSO濃度は、排ガス中のSO濃度を計測した値を用いてもよい。この場合、SO濃度の計測位置は、脱硫装置の上流であれば特に限定されないが、一般には脱硫装置の入口で測定することが多い。
αは所定定数であり、目的に応じて変更する。熱回収器6において排ガス中のSOの中和を目的とする場合、α=0である。
伝熱管11の腐食防止を目的とする場合、所定定数αは、0.3以上0.6以下、好ましくは0.3以上0.5以下の範囲から選択するとよい。
伝熱管11での煤塵の固着防止を目的とする場合、所定定数αは、0.1以上0.2以下の範囲から選択するとよい。
石炭灰中アルカリ濃度に所定定数αを加えることで、加えなかった場合よりも電気集塵機5出口の煤塵濃度を低くできる。よって、石炭灰中アルカリ濃度に所定定数αを加えて、煤塵濃度を算定することは、石炭灰中アルカリ濃度が低い石炭種、または石炭中灰分の割合の高い石炭種、または石炭灰中アルカリ濃度が低くかつ石炭中灰分の割合が高い石炭種を用いる場合に特に有効である。電気集塵機5出口の煤塵濃度をなるべく低くすることで、熱回収器6の後流への煤塵による悪影響を抑えられる。
所定定数αの設定根拠を以下で説明する。
(腐食試験)
伝熱管の材料である耐硫酸鋼について130℃で実施した腐食試験の結果を図5に示す。同図において、横軸は煤塵中残アルカリ(mmol/g)、縦軸は腐食速度(mm/y)である。腐食速度は、次のようにして測定した。まず、パイロット燃焼試験設備で燃焼させ、試験設備の熱回収器に付着した煤塵を採取する。この煤塵を耐硫酸鋼試験片に載せ、熱回収部の雰囲気を模擬した一定条件(130℃,水分60%)下に保つ。約2週間にわたって所定時間ごとに煤塵を除いた試験片の正味重量を測定し、その重量減少速度を厚さの減少速度に換算して腐食速度とした。
煤塵中残アルカリとは、石炭灰中アルカリ濃度から、熱回収器内で煤塵に凝縮されたSOとの反応で消費されたアルカリ濃度を引いたものである。石炭灰中アルカリ濃度不足によりSOを中和しきれずに、煤塵中にSOが残留している場合、煤塵中残アルカリはマイナス値になる。腐食速度(mm/y)は、単位時間あたりの厚み減少量である。
図5によれば、煤塵中残アルカリが−0.6mmol/gの場合の腐食速度は、0.2mm/y以下であった。煤塵中残アルカリが−0.5mmol/g以下であれば、腐食速度が、0.1mm/yを下回った。一般に腐食速度が0.1mm/y以下であれば耐腐食性材料として使用可能であるといわれている。煤塵中残アルカリが−0.3mmol/gの場合、ほとんど腐食は進行していなかった。このことから、腐食防止を目的とする場合、煤塵に凝縮したSOを完全に中和する必要はなく、煤塵中残SO濃度が所定の濃度範囲を超えなければ、腐食を防止できることが確認された。所定定数αを0.3以上0.6以下とすることで、煤塵中残SO濃度を所定の濃度範囲内に収められる。
熱回収器6内で排ガス温度の低下によって煤塵に凝縮したSOは、煤塵に含まれるアルカリ(CaO,MgO,NaO,KO)と反応して中和されるが、煤塵中で凝縮SO量よりもアルカリ量の方が少ない場合は、SOが中和しきれなくなる。しかし、図4のE炭のように圧倒的に灰分が多い石炭種では、電気集塵機5で捕集されずに熱交換器6に流入する煤塵量が多くなるため、煤塵中アルカリでSOを中和しきれなかったとしても、煤塵自体が大量に存在するため、煤塵重量当たりの残SO濃度は低くなる。すると、煤塵が湿潤状態にならないため伝熱管11に固着しにくく、また付着しても表面への酸の接触が減少することから、伝熱管11の腐食には至らないものと考えられる。
なお、図示しないが、SUS430J1L(SUS:ステンレス鋼)を用いて130℃で実施した腐食試験では、煤塵中残アルカリが−0.6mmol/gであっても腐食速度は、0.1mm/y以下であった。
(堆積・除去試験)
上記実施形態に係る排ガス処理システム1の実機における、伝熱管11での煤塵の堆積・除去の状況を確認した。
石炭灰中アルカリ濃度が1.77mmol/gの石炭(図4のE炭)を用い、排ガス処理システム1を稼働させた。電気集塵機5出口(熱回収器6入口)の煤塵濃度は4.3g/mNとした。D/Sは10.5とした。
4時間運転後の熱回収器6中のSO濃度は、94ppmであった。煤塵中残アルカリは、−0.08mmol/gであった。伝熱管11に堆積(付着)した煤塵は、スートブロアにより除去できた。スートブロア稼働直後、伝熱管11の表面が初期状態まで回復されたことを確認した。また、別試験では、煤塵中残アルカリが、−0.2mmol/gの場合にも、付着した煤塵をスートブロアで除去できることが確認された。
上記結果によれば、所定定数αを0.1以上0.2以下とすることで、伝熱管11の表面への煤塵の固着を防止できる。
(D/S)
上記式(1)を用いて目的毎に必要となるD/Sを求めた結果を図6に示す。同図において、横軸は石炭灰中アルカリ濃度(mmol/g)、縦軸は必要なD/S(g/g)である。
SOの中和が目的の場合、所定定数αを0とした。固着防止が目的の場合、αを0.1とした。腐食防止を目的とした場合、αを0.3とした。
図6によれば、目的別にαを定め、石炭灰中アルカリ濃度にαを加えて煤塵濃度を算定すると、必要なD/Sに差が出ることが確認された。その差は、石炭灰中アルカリ濃度が2mmol/g以下で顕著になった。必要なD/Sは、所定定数を加算した場合と、しなかった場合で、2から3倍の違いが出た。
1 排ガス処理システム
2 石炭焚きボイラ
3 脱硝装置
4 空気予熱器
5 (乾式)電気集塵機
6 熱回収器(ガスガスヒータ)
7 送風機
8 湿式脱硫装置(吸収塔)
9 再加熱器(ガスガスヒータ)
10 煙突
11 伝熱管
12 伝熱管群
13 フィン
14 スートブロア
15 吸収液を供給する手段
16 集塵量設定部
17 煤塵濃度計
18 SO
19 熱媒体連絡管

Claims (10)

  1. 石炭を燃焼するボイラから排出される排ガスの処理方法であって、
    電気集塵機により、前記排ガス中の煤塵の一部を除去する集塵工程と、
    熱媒体を通す伝熱管を有する熱回収器により、前記集塵工程で煤塵の一部が除去された排ガスから熱回収する熱回収工程と、
    湿式脱硫装置により、前記熱回収工程で冷却された排ガスから硫黄酸化物を吸収除去する脱硫工程と、
    を備え、前記石炭の石炭灰中アルカリ濃度が少ないほど前記電気集塵機の出口における排ガスの煤塵濃度を高くするよう、前記石炭灰中アルカリ濃度に基づいて、前記集塵工程における集塵量を設定する排ガス処理方法。
  2. 前記煤塵濃度(g/m)は、前記石炭の灰中アルカリ成分のモル濃度(mmol/g)に所定定数を加えた値で、前記排ガス中のSOのモル濃度(mmol/m)を除すことで算定する請求項1に記載の排ガス処理方法。
  3. あらかじめ前記伝熱管の腐食防止に必要な石炭灰中アルカリ濃度を取得し、該取得した石炭灰中アルカリ濃度に基づいて、前記所定定数を算定する請求項2に記載の排ガス処理方法。
  4. 前記所定定数は、0.3以上0.6以下の範囲から選択する請求項2に記載の排ガス処理方法。
  5. あらかじめ前記伝熱管への煤塵の固着防止に必要な石炭灰中アルカリ濃度を取得し、該取得した石炭灰中アルカリ濃度に基づいて、前記所定定数を算定する請求項2に記載の排ガス処理方法。
  6. 前記所定定数は、0.1以上0.2以下の範囲から選択する請求項2に記載の排ガス処理方法。
  7. 前記熱回収器内において、前記伝熱管を、排ガス流れに直交するように複数段設置し、
    前記伝熱管の外径に対する隣り合う前記伝熱管の軸間距離の比を1.8以上5.5以下とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の排ガス処理方法。
  8. 前記集塵工程において、前記電気集塵機の電流密度または電圧を制御して、前記排ガスから除去する煤塵の量を調整する請求項1から請求項7のいずれかに記載の排ガス処理方法。
  9. 前記石炭は、石炭灰中アルカリ濃度が2mmol/g以下、灰分が20%以上である請求項1から請求項8のいずれかに記載の排ガス処理方法。
  10. 石炭を燃焼するボイラと、
    前記ボイラから出た排ガスから煤塵の一部を除去する電気集塵機と、
    熱媒体を通す伝熱管を有し、前記電気集塵機で煤塵の一部が除去された排ガスから熱を回収する熱回収器と、
    前記熱回収器で冷却された排ガスから硫黄酸化物を吸収除去する脱硫装置と、
    前記石炭灰中アルカリ濃度が少ないほど前記電気集塵機の出口における排ガスの煤塵濃度が高くなるよう、前記石炭灰中アルカリ濃度に基づいて、前記電気集塵機における集塵量を設定する集塵量設定部と、
    を備えている排ガス処理システム。
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