以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技機の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、各基板における具体的な処理を説明する。
図1は、本実施形態の遊技機100の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。図示のように、遊技機100は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠102と、この外枠102にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠104と、この中枠104に、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠106と、を備えている。
中枠104は、外枠102と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤108が保持されている。また、前枠106には、ガラス製または樹脂製の透過板110が保持されている。そして、これら中枠104および前枠106を外枠102に対して閉じると、遊技盤108と透過板110とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機100の正面側から、透過板110を介して遊技盤108が視認可能となる。
図2は、遊技機100の正面図である。この図に示すように、前枠106の下部には、遊技機100の正面側に突出する操作ハンドル112が設けられている。この操作ハンドル112は、遊技者が回転操作可能に設けられており、遊技者が操作ハンドル112を回転させて発射操作を行うと、当該操作ハンドル112の回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤108に設けられたレール114a、114b間を上昇して遊技領域116に導かれることとなる。
遊技領域116は、遊技盤108と透過板110との間隔に形成される空間であって、遊技球が流下または転動可能な領域である。遊技盤108には、多数の釘や風車が設けられており、遊技領域116に導かれた遊技球が釘や風車に衝突して、不規則な方向に流下、転動するようにしている。
遊技領域116は、発射機構の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする第1遊技領域116aおよび第2遊技領域116bを備えている。第1遊技領域116aは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の左側に位置し、第2遊技領域116bは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の右側に位置している。レール114a、114bが遊技領域116の左側にあることから、発射機構によって所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は第1遊技領域116aに進入し、所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球は第2遊技領域116bに進入することとなる。
また、遊技領域116には、遊技球が入球可能な一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122が設けられており、これら一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122に遊技球が入球すると、それぞれ所定の賞球が遊技者に払い出される。なお、賞球数は1個以上であれば何個でもよく、また、一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122のそれぞれで払い出す賞球数を異ならせてもよいし、同じ賞球数に設定してもよい。このとき、第1始動口120に遊技球が入球して払い出す賞球数を、第2始動口122に遊技球が入球して払い出す賞球数よりも少なく設定することも可能である。
なお、第1始動口120内には第1始動領域が設けられ、また、第2始動口122内には第2始動領域が設けられている。そして、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球して第1始動領域または第2始動領域に遊技球が進入すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1の特別図柄を決定するための抽選が行われる。各特別図柄には、遊技者にとって有利な大役遊技の実行可否や、以後の遊技状態をどのような遊技状態にするかといった種々の遊技利益が対応付けられている。したがって、遊技者は、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球すると、所定の賞球を獲得するのと同時に、種々の遊技利益を受ける権利獲得の機会を獲得することとなる。
また、第2始動口122には、可動片122bが開閉可能に設けられており、この可動片122bの状態に応じて、第2始動口122への遊技球の進入容易性が変化するようになっている。具体的には、可動片122bが閉状態にあるときには、第2始動口122への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、遊技領域116に設けられたゲート124内の進入領域を遊技球が通過すると、普通図柄の抽選が行われ、この抽選によって当たりに当選すると、可動片122bが所定時間、開状態に制御される。このように、可動片122bが開状態になると、当該可動片122bが遊技球を第2始動口122に導く受け皿として機能し、第2始動口122への遊技球の入球が容易となる。なお、ここでは、第2始動口122が閉状態にあるときに、当該第2始動口122への遊技球の入球が不可能であることとしたが、第2始動口122が閉状態にある場合にも一定の頻度で遊技球が入球可能となるように構成してもよい。
さらに、遊技領域116には、遊技球が入球可能な大入賞口128が設けられている。この大入賞口128には、開閉扉128bが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉128bが大入賞口128を閉鎖して、大入賞口128への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、前述の大役遊技が実行されると、開閉扉128bが開放されて、大入賞口128への遊技球の入球が可能となる。そして、大入賞口128に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。
なお、遊技領域116の最下部には、一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122、大入賞口128のいずれにも入球しなかった遊技球を、遊技領域116から遊技盤108の背面側に排出する排出口130が設けられている。
そして、遊技機100には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、液晶表示装置からなる演出表示装置200、駆動装置からなる演出役物装置202、さまざまな点灯態様や発光色に制御されるランプからなる演出照明装置204、スピーカからなる楽曲出力装置206、遊技者の操作を受け付ける演出操作装置208が設けられている。
演出表示装置200は、画像を表示する画像表示部からなる演出表示部200aを備えており、この演出表示部200aを、遊技盤108の略中央部分において、遊技機100の正面側から視認可能に配置している。この演出表示部200aには、図示のように演出図柄210a、210b、210cが変動表示され、これら各演出図柄210a、210b、210cの停止表示態様によって大役抽選結果が遊技者に報知される変動演出が実行されることとなる。
演出役物装置202は、演出表示部200aよりも前方に配置され、遊技者が視認できる領域において移動や回転を行うことで、遊技者に大当たりの期待感を付与するものである。例えば、図2における演出役物装置202としての回転役物202aは、上記の演出図柄210a、210b、210cの変動表示中などに、駆動源であるモータ(パルスモータやギヤードモータ)の回転に連動し、前後方向の軸を中心に回転する。また、図2における演出役物装置202としての移動役物202bは、通常、遊技盤108における退避領域に退避しているが、上記の演出図柄210a、210b、210cの変動表示中などには、演出表示部200aの前方まで移動する。
演出照明装置204は、例えばLED(Light Emitting Diode)で構成され、演出役物装置202や遊技盤108等に設けられており、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて、さまざまに点灯制御される。
楽曲出力装置206は、前枠106の上部位置や外枠102の最下部位置に設けられ、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて、遊技機100の正面側に向けてさまざまな楽曲を出力する。
演出操作装置208は、遊技者の押下操作を受け付けるボタンと、遊技者の回転操作を受け付ける回転操作部(例えば、ジョグダイヤル)で構成され、遊技機100の幅方向略中央位置であって、かつ、透過板110よりも下方位置に設けられている。この演出操作装置208は、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて有効化され、操作有効期間内に遊技者の操作を受け付けると、当該操作に応じて、さまざまな演出が実行される。
また、演出操作装置208の後方には、遊技機100から払い出される賞球や、遊技球貸出装置から貸し出される遊技球が導かれる上皿132があり、この上皿132が遊技球で一杯になると、遊技球は下皿134に導かれることとなる。また、この下皿134の底面には、当該下皿134から遊技球を排出するための球抜き孔(不図示)が形成されている。この球抜き孔は、通常、開閉板(不図示)によって閉じられているが、球抜きつまみ134aを図中左右方向にスライドさせることにより、当該球抜きつまみ134aと一体となって開閉板がスライドし、球抜き孔から下皿134の下方に遊技球を排出することが可能となっている。
また、遊技盤108には、遊技領域116の外方であって、かつ、遊技者が視認可能な位置に、第1特別図柄表示器160、第2特別図柄表示器162、第1特別図柄保留表示器164、第2特別図柄保留表示器166、普通図柄表示器168、普通図柄保留表示器170、右打ち報知表示器172が設けられている。これら各表示器160〜172は、遊技に係る種々の状況を表示するための装置である。
(制御手段の内部構成)
図3は、遊技の進行を制御する制御手段の内部構成を示すブロック図である。主制御基板300は遊技の基本動作を制御する。この主制御基板300は、メインCPU300a、メインROM300b、メインRAM300cを備えている。メインCPU300aは、各検出スイッチやタイマからの入力信号に基づいて、メインROM300bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信したりする。メインRAM300cは、メインCPU300aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
上記主制御基板300には、一般入賞口118に遊技球が入球したことを検出する一般入賞口検出スイッチ118s、第1始動口120に遊技球が入球したことを検出する第1始動口検出スイッチ120s、第2始動口122に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ122s、ゲート124を遊技球が通過したことを検出するゲート検出スイッチ124s、大入賞口128に遊技球が入球したことを検出する大入賞口検出スイッチ128sが接続されており、これら各検出スイッチから主制御基板300に検出信号が入力されるようになっている。
また、主制御基板300には、第2始動口122の可動片122bを作動する普通電動役物ソレノイド122cと、大入賞口128を開閉する開閉扉128bを作動する大入賞口ソレノイド128cと、が接続されており、主制御基板300によって、第2始動口122および大入賞口128の開閉制御がなされるようになっている。
さらに、主制御基板300には、第1特別図柄表示器160、第2特別図柄表示器162、第1特別図柄保留表示器164、第2特別図柄保留表示器166、普通図柄表示器168、普通図柄保留表示器170、右打ち報知表示器172が接続されており、主制御基板300によって、これら各表示器の表示制御がなされるようになっている。
また、本実施形態の遊技機100は、主に第1始動口120または第2始動口122への遊技球の入球によって開始される特別遊技と、ゲート124を遊技球が通過することによって開始される普通遊技とに大別される。そして、主制御基板300のメインROM300bには、特別遊技および普通遊技を進行するための種々のプログラムや、各種の遊技に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
また、主制御基板300には、払出制御基板310および副制御基板330が接続されている。
払出制御基板310は、遊技球を発射させるための制御、および、賞球を払い出すための制御を行う。この払出制御基板310も、CPU、ROM、RAMを備えており、主制御基板300に対して双方向に通信可能に接続されている。この払出制御基板310には遊技情報出力端子板312が接続されており、主制御基板300から出力される遊技進行上の種々の情報が、払出制御基板310および遊技情報出力端子板312を介して、遊技店のホールコンピュータ等に出力されることとなる。
また、払出制御基板310には、貯留部に貯留された遊技球を賞球として遊技者に払い出すための払出モータ314が接続されている。払出制御基板310は、主制御基板300から送信された払出個数指定コマンドに基づいて払出モータ314を制御して所定の賞球を遊技者に払い出すように制御する。このとき、払い出された遊技球数が払出球計数スイッチ316sによって検出され、払い出すべき賞球が遊技者に払い出されたかが把握されるようになっている。
また、払出制御基板310には、下皿134の満タン状態を検出する皿満タン検出スイッチ318sが接続されている。この皿満タン検出スイッチ318sは、賞球として払い出される遊技球を下皿134に導く通路に設けられており、当該通路を遊技球が通過するたびに、遊技球検出信号が払出制御基板310に入力されるようになっている。
そして、下皿134に所定量以上の遊技球が貯留されて満タン状態になると、下皿134に向かう通路内に遊技球が滞留し、皿満タン検出スイッチ318sから払出制御基板310に向けて、遊技球検出信号が連続的に入力される。払出制御基板310は、遊技球検出信号が所定時間連続して入力された場合に、下皿134が満タン状態であると判断し、皿満タンコマンドを主制御基板300に送信する。一方、皿満タンコマンドを送信した後、遊技球検出信号の連続入力が途絶えた場合には、満タン状態が解除されたと判断し、皿満タン解除コマンドを主制御基板300に送信する。
また、払出制御基板310には、遊技球の発射制御を行う発射制御回路320が設けられている。払出制御基板310には、操作ハンドル112に設けられ、当該操作ハンドル112に遊技者が触れたことを検出するタッチセンサ112sと、操作ハンドル112の操作角度を検出する操作ボリューム112aと、が接続されている。そして、タッチセンサ112sおよび操作ボリューム112aから信号が入力されると、発射制御回路320において、遊技球発射装置に設けられた発射用ソレノイド112cを通電して遊技球を発射させる制御がなされる。
副制御基板330は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この副制御基板330は、サブCPU330a、サブROM330b、サブRAM330cを備えており、主制御基板300に対して、不正防止の観点により、当該主制御基板300から副制御基板330への一方向に通信可能に接続されている。サブCPU330aは、主制御基板300から送信されたコマンドやタイマからの入力信号等に基づいて、サブROM330bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、演出を実行制御する。このとき、サブRAM330cは、サブCPU330aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
具体的には、副制御基板330は、上記演出表示部200aに画像を表示させる画像表示制御を行う。サブROM330bには、演出表示部200aに表示される図柄や背景等の画像データが多数格納されており、サブCPU330aが、画像データをサブROM330bから不図示のVRAMに読み出して、演出表示部200aの画像表示を制御する。また、副制御基板330は、演出役物装置202を駆動制御したり、演出照明装置204を点灯制御したり、楽曲出力装置206から楽曲を出力させる楽曲出力制御を行う。
図4は、副制御基板330における、演出表示部200a、演出役物装置202、演出照明装置204、楽曲出力装置206の制御態様を説明するためのブロック図であり、図5は、それらに共通する制御態様を示すフローチャートである。副制御基板330に設けられたサブCPU(CPU)330aは、サブROM330bに格納されたプログラムおよびサブRAM330cと協働して、演出決定手段332、演出実行手段334として機能する。演出決定手段332は、主制御基板300から送信されたコマンドを解読し、そのコマンドに対応する演出パターン(演出の一連の流れを示す内容)を決定する。演出実行手段334は、決定された演出パターンに基づいて画像IC340a、コントローラ342、楽曲IC346a等の各デバイスにコマンドを送信して演出を実行させる。かかる演出決定手段332および演出実行手段334は、いずれも割込に応じた処理(割込処理)であり、デバイスそれぞれに対応付けられた割込タイミングで実行される。
例えば、演出決定手段332は、図5に示すように、所定の割込周期(例えば33.3msec)の到来を待ち(S10におけるNO)、所定の割込周期が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた画像データ(演出パターンが示す演出のうち、演出表示部200aに表示する画像に相当するデータ)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、画像IC340aに対して、画像データを特定可能な画像コマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。画像IC340aは、VDP(Video Display Processor)とも呼ばれ、画像コマンドによって特定される画像データを画像ROM340bから画像RAM(VRAM)340cに読み出し、画像データを、順次、演出表示部200aに出力する。なお、演出表示部200aには、常に、何かしらの画像が表示される。したがって、演出決定手段332は、割込周期毎に、常に、画像データを決定していることとなる。なお、画像RAM340cは、それぞれ異なるレイヤを有し、各レイヤに異なる画像データを保持させることができる。そして、画像IC340aは、複数のレイヤに保持された画像データを重畳し、その重畳された画像データが演出表示部200aに出力される。
また、演出決定手段332は、上記の画像IC340aに対する制御と並行して、演出パターンの決定に伴い、所定の割込周期(例えば2msec)が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた役物パターン(演出パターンが示す演出のうち、演出役物装置202の一連の動作を示す内容)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、その役物パターンに従って、コントローラ342に所定時間間隔で、進行方向(回転方向)、進行量(回転量)、進行速度(回転速度)の少なくともいずれかを示すコマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。コントローラ342は、かかるコマンドに従い、演出役物装置202を駆動する。ここで、演出役物装置202は、役物パターンが決定されたときのみ動作している。なお、演出役物装置202は、遊技者に対し、大当たりの期待感を高める、物理的な動作を伴う一時的な演出なので、画像データや、後述する照明パターン、楽曲データと比較して、役物パターンが決定される頻度が低い。
また、演出決定手段332は、演出パターンの決定に伴い、所定の割込周期(例えば33msec)が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた照明パターン(演出パターンが示す演出のうち、演出照明装置204の一連の点灯態様を示す内容)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、その照明パターンに従って、役物パターン同様、コントローラ342に所定時間間隔で1(ON)または0(OFF)のコマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。コントローラ342は、かかるコマンドに従い、演出照明装置204を駆動するFETをONまたはOFFにする。こうして、演出照明装置204であるランプが点灯制御される。なお、演出照明装置204は、常に、点灯または消灯を繰り返している。したがって、演出決定手段332は、割込周期毎に、常に、演出パターンを決定していることとなる。
また、演出決定手段332は、上記の画像IC340a、コントローラ342に対する制御と並行して、演出パターンの決定に伴い、所定の割込周期(例えば50msec)が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた楽曲データ(演出パターンが示す演出のうち、楽曲出力装置206に出力する楽曲に相当するデータ)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、楽曲IC346aに対して、楽曲データを特定可能な楽曲コマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。楽曲IC346aは、楽曲コマンドによって特定される楽曲データを楽曲ROM346bから楽曲IC346aに読み出し、楽曲データを、順次、楽曲出力装置206であるスピーカに出力する。なお、楽曲出力装置206には、常に、何かしらの楽曲が出力されている。したがって、演出決定手段332は、割込周期毎に、常に、楽曲データを決定していることとなる。なお、楽曲IC346aは、複数の楽曲バッファ(バッファ)を有し、各楽曲バッファに異なる楽曲データを保持させることができる。そして、楽曲IC346aは、複数の楽曲バッファに保持された楽曲データを重畳し、その重畳された楽曲データが楽曲出力装置206に出力される。
ここでは、サブCPU330a、サブRAM330c、画像IC340a、画像ROM340b、画像RAM340c、コントローラ342、楽曲IC346a、楽曲ROM346b等の一連の機能部が、SoC(System-on-a-Chip)として1個の集積回路に集積されている。ただし、かかるSoCにいずれの機能部を集積するかは任意に設定することができる。また、サブCPU330a、サブRAM330c、画像IC340a、画像ROM340b、画像RAM340c、コントローラ342、楽曲IC346a、楽曲ROM346b等の各機能部がそれぞれ異なる集積回路として集積され、電気的に接続されているとしてもよい。
さらには、副制御基板330には、演出操作装置208が押下操作されたことを検出する押下検出スイッチ208s、および、演出操作装置208が回転操作されたことを検出する回転検出スイッチ209sから検出信号が入力される。これら押下検出スイッチ208sまたは回転検出スイッチ209sから検出信号が入力されると、演出表示部200aに画像が表示される等、さまざまな演出が実行される。
なお、各基板には、不図示の電源基板が接続されており、電源基板を介して商用電源から各基板に電力供給がなされている。
(演出役物装置202および演出照明装置204の説明)
図6は、演出役物装置202および演出照明装置204の処理の流れを説明するための説明図であり、図7および図8は、コントローラ342の伝送タイミングを説明するための説明図である。上述したように、副制御基板330において、演出決定手段332は、演出パターンに基づいた役物パターンを決定し、演出実行手段334は、その役物パターンに従ってコマンドを生成する。ここでは、演出役物装置202として回転役物202aを動作させるモータ222を駆動する例を説明する。したがって、モータ222の駆動(回転)に連動して回転役物202aが回転する。なお、ここでは、演出役物装置202として回転役物202aを動作させる回転系のモータ222を駆動する例を挙げて説明しているが、電気信号に応じて移動または回転するアクチュエータであればよく、リニアモータやソレノイド等、様々な電磁装置を適用することができる。
具体的に、演出実行手段334は、サブROM330bから、役物パターンに対応する制御命令テーブルを読み出す。制御命令テーブル(制御命令プログラム)は、演出パターンに基づいて実行される一連の役物パターンを構成する複数の制御命令が時系列にリスト化されたものであり、規定された処理順(順次、分岐、反復)に処理が行われる。制御命令は、モータ222を駆動する駆動条件を示す命令であり、例えば、回転方向、回転量、回転速度等が記述される。
演出実行手段334は、制御命令テーブルの先頭から、所定の時間間隔で制御命令を抽出し、抽出した制御命令を解析し、その解析内容に基づいてコマンドを生成してコントローラ342に送信する。例えば、読み出した制御命令が正方向の回転を示す制御命令「ADV」であれば、その制御命令に付加された回転速度で、制御命令に付加された回転量だけ正方向に回転するコマンドを生成する。なお、制御命令が計時処理やセンサ入力に対する処理を伴う場合、演出実行手段334は、それらの処理を自己完結的に行う。例えば、予め定められた所定時間経過後、回転役物202aの回転を開始する場合や、演出操作装置208が遊技者の押下操作を受け付けたことを契機に回転役物202aの回転を開始する場合、そのような契機の到来の待機処理を内部的に完結し、回転役物202aの回転動作に関するコマンドのみコントローラ342に伝送する。このように演出実行手段334で煩雑な処理を自己完結的に実行し、一方、コントローラ342では単純な処理のみを実行することで、全体として効率的かつ安価なシステムを形成することができる。
コントローラ342は、SMC(Serial Management Controller)とも呼ばれ、図6に示すように、1のコントローラ342に対して複数のドライバ220が接続される。かかるコントローラ342と複数のドライバ220とはそれぞれクロック同期式のシリアルバス(ASIB:Axell Serial Interface Bus)でツリー型に接続されている。このように1のコントローラ342に複数のドライバ220を接続することで、コントローラ342は、複数(例えば24個)のモータ222やそのモータ222に関連する複数(例えば32個)のセンサを制御することができる。
そして、コントローラ342は、演出実行手段334からコマンドを受信すると、受信したコマンドに従い、図7(a)のように、任意のモータ222を駆動するための励磁パターンを内部で自動的に生成する。例えば、任意のモータ222を1相励磁で正転する場合、A相、B相、/A相、/B相それぞれを、位相を異ならせて順次ON/OFFする励磁パターンを生成する。そして、コントローラ342は、かかる任意のモータ222の励磁パターンが変更されるタイミング、例えば、A相がOFFからONに変化する(/B相がONからOFFに変化する)タイミングが到来すると、図7(b)のように、その変化後の内容を示した励磁パターンデータを、対象となるモータ222が接続されたドライバ220の識別子(アドレスID)と組み合わせ、シリアルデータとしてシリアルバスに出力する。なお、励磁パターンデータは、モータ駆動用のパルス信号、例えば、1のモータ222に対して4相分のデータを示すパルス信号で構成される。また、ここでは駆動態様として1相励磁の例を挙げて説明したが、2相励磁、1−2相励磁を採用する場合でも、同様のタイミングでシリアルデータが伝送されるのは言うまでもない。
ここでは、コントローラ342が、励磁パターンが変化するタイミングで、対象となるモータ222に対するシリアルデータのみを出力する構成としているので、ドライバとして単にシリアル−パラレル変換のみ行うペリフェラルを用いる場合と比べ、シリアルバスにおける占有時間を短くするとともに、処理負荷や放射ノイズ(例えば、1Mbitの帯域)の低減を図ることが可能となる。
各ドライバ220は、コントローラ342から出力されたシリアルデータを読み出し、そのシリアルデータに付された識別子が自己を指定する識別子であるか否か判定し、その識別子が自己を指定する識別子であれば、シリアルデータ中の励磁パターンデータを内部に取り込む。ここで、その識別子が自己を指定する識別子でなければ、シリアルデータを無視する(取り込まない)。そして、ドライバ220は、その励磁パターンデータに従って、対象となるモータ222の励磁パターンを生成する。
具体的に、ドライバ220の離散(ON/OFF)出力それぞれにモータ222の励磁相が接続されており、ドライバ220は、各励磁相の励磁パターンに従って、順番に電流のON/OFFを行い、デューティ比50%のPWM(Pulse Width Modulation)によってモータ222を駆動する。例えば、図7(c)のように、A相をOFFからONする励磁パターンデータを取り込んだタイミングでは、A相をOFFからONし、同時に、/B相をONからOFFに変更する。この間、B相および/A相はOFFが維持される。
なお、ドライバ220に接続されているのが、ソレノイドである場合、後述する演出照明装置204同様、1ビット(1ポート)分の離散(ON/OFF)出力を制御することで駆動することができる。
ここでは、コントローラ342が励磁パターンの更新計算を行うことで、励磁パターンをコントローラ342で一元管理し、各ドライバ220は、受信した励磁パターンデータに応じて各励磁相の信号を出力するだけなので、ドライバ220の処理遅延により出力タイミングが異なるといった問題は生じない。
また、演出決定手段332は、演出パターンに基づいた照明パターンを決定し、演出実行手段334は、その照明パターンに従ってコマンドを生成する。ここでは、演出照明装置204としてLED(発光体)224を発光させる例を説明する。なお、発光体としては、LEDの他に、電球やランプを用いることもできる。
具体的に、演出実行手段334は、サブROM330bから、照明パターンに対応する制御命令テーブルを読み出す。かかる制御命令テーブルは、役物パターンの制御命令テーブル同様、演出パターンに基づいて実行される一連の照明パターンを構成する複数の制御命令が時系列にリスト化されたものであり、規定された処理順(順次、分岐、反復)に処理が行われる。ここで、制御命令は、発光体であるLED224を発光させる発光条件を示す命令であり、例えば、LED224のRGB(Red Green Blue)それぞれの輝度(発光量)、発光時間、点滅の周期等が記述される。
演出実行手段334は、制御命令テーブルの先頭から、所定の時間間隔で制御命令を抽出し、抽出した制御命令を解析し、その解析内容に基づいてコマンドを生成してコントローラ342に送信する。例えば、読み出した制御命令が、輝度を徐々に変化させる制御命令「SLINE」であれば、その制御命令に付加された開始時の輝度から、終了時の輝度まで、制御命令に付加された時間をかけて変化させるコマンドを生成する。なお、制御命令が計時処理やセンサ入力に対する処理を伴う場合、演出実行手段334は、役物パターンの場合同様、それらの処理を自己完結的に行う場合がある。
コントローラ342は、演出実行手段334からコマンドを受信すると、受信したコマンドに従い、図8(a)のように、任意のLED224に対する輝度の発光パターンを内部で自動的に生成する。なお、LED224の発光パターンは、例えば、RGBそれぞれの発光色を担う3つのLED224それぞれに対して形成される。すなわち、RGBのいずれか1のLED224に対し、ドライバ220の1ポートが割り当てられる。そして、コントローラ342は、かかる任意のLED224の発光パターンが変更されるタイミング、例えば、輝度が変化するタイミングが到来すると、図8(b)のように、その変化後の輝度を示した輝度データ(発光量データ)を、対象となるLED224が接続されたドライバ220の識別子と組み合わせ、シリアルデータとしてシリアルバスに出力する。なお、このとき、輝度とPWMのパルス幅とは比例関係を有さず、PWMのパルス幅の変化に対してLED224の輝度が非線形に変化する。したがって、このような非線形性の関係を吸収すべく、コントローラ342は、輝度とPWMのパルス幅とを一意に対応付けた輝度調整テーブルを通じ、輝度をPWM値に補正する。
ここでも、コントローラ342が、発光パターンが変化するタイミングで、対象となるLED224に対するシリアルデータのみを出力する構成としているので、ドライバとして単にシリアル−パラレル変換のみ行うペリフェラルを用いる場合と比べ、シリアルバスにおける占有時間を短くするとともに、処理負荷や放射ノイズの低減を図ることが可能となる。
各ドライバ220は、コントローラ342から出力されたシリアルデータを読み出し、そのシリアルデータに付された識別子が自己を指定する識別子であるか否か判定し、その識別子が自己を指定する識別子であれば、シリアルデータ中の輝度データを内部に取り込む。そして、ドライバ220は、その輝度データに従って、対象となるLED224の輝度を設定する。ここで、LED224の輝度は、図8(c)のように、離散信号のPWM制御により例えば128階調で表現される。したがって、輝度が大きくなるに従い、単位時間当たりのパルス幅が大きくなる。
ここでは、ドライバ220内においてPWM制御により輝度調光が可能なので、発熱を最小限に抑えることができ、ON時間削減に伴う省電力化および連続駆動時間の延長を図ることが可能となる。なお、当該ドライバ220は、本来、LED224をPWMにより発光させることを目的としており、上述したモータ222は、そのLED224に設けられたPWM機能を利用して動作させている。こうして、PWM機能を共用してモータ222およびLED224を動作させることができる。
上述したように、本実施形態のドライバ220は、モータ222を駆動するとともに、LED224を発光させることができる。したがって、図6に示すように、1のドライバ220にモータ222とLED224とを並行して接続することができる。また、モータ222を駆動するためのシリアルデータと、LED224を発光させるためのシリアルデータとのフォーマットを、識別子+データといったように共通化することで、1のコントローラ342で一括して複数のドライバ220を制御することができる。かかる構成により、ドライバ220の種類を減らすことが可能となる。このようにドライバ220の種類を減らすことで、ドライバ220の管理を一元化できるので、ドライバ220を制御する制御命令テーブルの設計が容易になるとともに、その処理を画一化することが可能となる。また、電気的な設計においても、複数種類のドライバそれぞれの規格を参照する必要がなくなり、配線を共通化することが可能となる。
また、ここでは、1のコントローラ342で複数のドライバ220を並行して制御しているものの、上述したように、励磁パターンや発光パターンが変化するタイミングでのみ、シリアルデータを出力しているので、ドライバとして単にシリアル−パラレル変換のみ行うペリフェラルを用いる場合と比べ、シリアルバスにおける占有時間を短くするとともに、処理負荷や放射ノイズの低減を図ることが可能となる。
(コントローラ342)
ただし、このように、1のコントローラ342で複数のドライバ220(複数のモータ222)を制御すると以下の問題が生じ得る。
図9は、コントローラ342の伝送タイミングを説明するための説明図である。コントローラ342は、演出実行手段334からコマンドを受信すると、受信したコマンドに従い、図9(a)のように、任意のモータ222を駆動するための励磁パターンを内部で自動的に生成する。例えば、任意のモータ222を1相励磁で正転する場合、A相、B相それぞれを、位相を異ならせて順次ON/OFFする励磁パターンを生成する。そして、コントローラ342は、かかる任意のモータ222の励磁パターンが変更されるタイミング、例えば、A相がOFFからONに変化するタイミングが到来すると、図9(b)のように、その変化後の内容を示した励磁パターンデータを、対象となるモータ222が接続されたドライバ220の識別子と組み合わせ、シリアルデータとしてシリアルバスに出力する。
ここで、仮に、駆動している複数のモータ222のうち、他のモータ222の回転速度が等しく、その励磁パターンの変化タイミングが、任意のモータ222の変化タイミングに近かったとする。コントローラ342は、複数のモータ222を並行して制御可能なので、図9(c)のように、他のモータ222を駆動するための励磁パターンを内部で自動的に生成することもできる。そして、コントローラ342は、任意のモータ222同様、他のモータ222の励磁パターンが変更されるタイミング、例えば、A相がOFFからONに変化するタイミングが到来すると、その変化後の内容を示した励磁パターンデータを、対象となる他のモータ222が接続されたドライバ220の識別子と組み合わせ、シリアルデータとしてシリアルバスに出力しようと試みる。しかし、ここでは、既に任意のモータ222の励磁パターンデータがシリアルデータとして出力されており、送信の衝突(競合)が生じる。
このように、複数のモータ222間で励磁パターンの変化タイミングが近くなってしまい、先に励磁パターンが変化した、任意のモータ222のシリアルデータの伝送が終了していない間に、他のモータ222の励磁パターンが変化すると、他のモータ222に関してはシリアルデータを送信できなくなってしまう。ここで、演出実行手段334がコントローラ342を監視し、励磁パターンの変化に応じてシリアルデータを送信したか否か確認し、シリアルデータを送信していなければ、シリアルデータの再送(リトライ)を促す構成とすることが考えられる。しかし、かかる構成を採用すると、演出実行手段334の処理負荷が高まり、全体的な処理効率が低下してしまう。
そこで、コントローラ342の構成を工夫し、複数のモータ222それぞれの励磁パターンの変化タイミングに拘わらず、適切にモータ222を駆動するようにする。例えば、コントローラ342は、励磁パターンデータの送信中に、他のモータ222の励磁パターンが変化すると、送信中の励磁パターンデータの送信終了後に、他のモータ222の励磁パターンデータを送信する。以下、その具体的な動作を説明する。
図10は、コントローラ342の伝送タイミングを説明するための説明図である。図9同様、コントローラ342は、演出実行手段334からコマンドを受信すると、受信したコマンドに従い、図10(a)のように、任意のモータ222を駆動するための励磁パターンを内部で自動的に生成する。そして、コントローラ342は、かかる任意のモータ222の励磁パターンが変更されるタイミング、例えば、A相がOFFからONに変化するタイミングが到来すると、図10(b)のように、その変化後の内容を示した励磁パターンデータを識別子と組み合わせ、シリアルデータとしてシリアルバスに出力する。ここで、図10(c)のように、他のモータ222の励磁パターンが変化すると、コントローラ342は、そのタイミングで、その変化後の内容を示した励磁パターンデータを識別子と組み合わせシリアルデータとしてシリアルバスに出力しようとする。
しかし、ここでは、既に任意のモータ222の励磁パターンデータが出力されているので、コントローラ342は、他のモータ222の励磁パターンデータの送信開始を延期し、図10(b)のように、任意のモータ222の励磁パターンデータの送信終了後に、任意のモータ222の励磁パターンデータに引き続き、他のモータ222の励磁パターンデータを送信する。
例えば、コントローラ342は、励磁パターンデータを保持するため、FIFO(First In First Out)機能を持ったシフトレジスタを有する。そして、コントローラ342は、いずれかのモータ222の励磁パターンが変化したタイミングで、そのモータ222の励磁パターンデータをシフトレジスタによって保持し、シフトレジスタから順次データを出力する。
図11は、励磁パターンデータの出力態様を説明するための説明図である。具体的に、コントローラ342は、図11(a)のようなシフトレジスタを有する。そして、任意のモータ222の励磁パターンが変化すると、図11(b)のように、コントローラ342は、その任意のモータ222のシリアルデータ(識別子+励磁パターンデータ)をシフトレジスタに保持する。その後、図11(c)のように、シリアルバスに定められたクロックに応じて、任意のモータ222のシリアルデータが順次出力される。
このような任意のモータ222のシリアルデータの伝送中、すなわち、シリアルデータの送信が完了していない間に、他のモータ222の励磁パターンが変化すると、図11(d)のように、コントローラ342は、その他のモータ222のシリアルデータをシフトレジスタに保持する。ただし、シフトレジスタには任意のモータ222のシリアルデータが残っているので、他のモータ222のシリアルデータは、任意のモータ222の励磁パターンデータの直後に保持される。
その後、図11(e)のように、シリアルバスに定められたクロックに応じて、任意のモータ222のシリアルデータの出力が完了すると、他のモータ222のシリアルデータの出力が開始される。かかる図11(d)から図11(e)までの時間が、他のモータ222のシリアルデータの出力遅延時間となる。こうして、他のモータ222の励磁パターンが一時的に乱れることとなるが、極めて短時間のため、実際の演出役物装置202の動作には影響しない。そして、シリアルバスに定められたクロックに応じて、他のモータ222のシリアルデータが順次シリアルデータとして出力され、図11(f)のように、全てのシリアルデータの出力が完了する。
このように、複数のモータ222それぞれの励磁パターンが非同期であっても、コントローラ342が、その変化態様に拘わらず、非同期に基づくデータの衝突に対し、主体的に、一方のシリアルデータの送信を遅延させ、その遅れをシフトレジスタで吸収する構成により、シリアルデータの送信タイミングは遅れるものの、そのブレを最小限に抑え、演出実行手段334に負荷をかけることなく、複数の演出役物装置202を適切に駆動することが可能となる。
(演出役物装置202の干渉)
このように、複数の演出役物装置202を適切に駆動可能とする一方で、1の遊技機100に設けられる演出役物装置202の数は増加の一途を辿り、複数の演出役物装置202同士が互いに干渉する位置関係となってしまうこともある。このような状況下で、任意の演出役物装置202の動作を試みると、他の演出役物装置202が、動作対象である任意の演出役物装置202と干渉する位置にないことを確認しなければならない。
しかし、演出役物装置202を動作させる度に他の演出役物装置202の位置を確認し、その演出役物装置202と干渉するか否かを判断するとなると、制御が煩雑になり処理負荷の増大を招く。また、何らかの原因で遊技機100に異常(エラー)が発生している状況下においては、演出役物装置202を退避位置に早急に退避させないと、演出役物装置202が演出表示部200aの表示を阻害したり、構造物の破損を招くおそれがあった。そこで、ここでは、簡易な処理で演出役物装置202同士の干渉を回避する方法を述べる。
上述したように、演出実行手段334は、制御命令テーブルに基づいて、その制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202を動作させる。このような演出役物装置202が複数ある場合、その複数の演出役物装置202には、それぞれ制御命令テーブルが対応付けられ、演出実行手段334は、その複数の制御命令テーブルを同時に開始させ、並行して処理(正確には時分割に処理)することで、複数の演出役物装置202を並行して動作させることができる。しかし、演出役物装置202同士が主従関係や排他関係となっていると、その演出役物装置202に対応付けられた制御命令テーブルも互いの進行状況を把握しなければならなくなる。そこで、このような制御命令テーブルとは別に、複数の制御命令テーブルが共通して参照可能なイベントフラグを設ける。なお、イベントフラグは、演出実行手段334によって読み出し可能となるように、サブRAM330c(イベントフラグ保持部)に保持される。また、ここでは、イベントフラグを1つのみ用いる例を挙げて説明するが、別途、演出役物装置202を複数纏めて管理する必要がある場合、その管理単位それぞれに対してイベントフラグを設けることができる。
かかるイベントフラグは、各制御命令テーブルを遂行した結果、複数の演出役物装置202が、どのような移動状態または回転状態となっているかを客観的に示し、複数の演出役物装置202のうちのいずれの演出役物装置202に対し移動または退避が許可され、いずれの演出役物装置202に対し移動または退避が制限(制約)されるかを特定することができる。したがって、複数の制御命令テーブルにおいては、それぞれ他の制御命令テーブルの進行状況、すなわち、他の制御命令テーブルによって、それに対応付けられた演出役物装置202がどの位置にあるか、また、自己の制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202と干渉する位置にないかを確認することなく、イベントフラグを参照するだけで動作可否を判断でき、演出役物装置202同士の干渉を回避することができる。
このようなイベントフラグを設けた上で、演出実行手段334は、イベントフラグが制御命令テーブルにおける所定の許可条件を満たしている場合に、かかる許可条件を満たした制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202を動作させることとする。ここで、許可条件は、自己の制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202の動作が妨げられないという条件をいう。したがって、イベントフラグが制御命令テーブルにおける所定の許可条件を満たすとは、イベントフラグによって示される複数の演出役物装置202の移動状態または回転状態が、自己の制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202の動作を妨げない状態であることを示す。逆に、イベントフラグが制御命令テーブルにおける所定の許可条件を満たさなければ、自己の制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202の移動が制限(制約)される。
かかる構成により、制御命令テーブルの遂行において、他の制御命令テーブルの進行状況を把握しなくとも、イベントフラグのみを参照すれば、自己の制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202が動作可能か否か把握できるので、演出実行手段334は、イベントフラグが所定の許可条件を満たしていることをもって、その制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202を自由に動作させることが可能となる。
また、演出実行手段334は、制御命令テーブルにおける所定の更新条件を満たすと、イベントフラグを更新(設定)する。ここで、更新条件は、自己の制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202がイベントフラグに影響を及ぼす動作を行ったという条件をいう。なお、イベントフラグの更新は制御命令に従って実行される。したがって、制御命令テーブルにおける所定の更新条件を満たすとは、制御命令テーブルに基づいて自己の制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202が移動または回転したことで、複数の演出役物装置202の移動状態または回転状態が変化したことを示す。この場合にイベントフラグが更新される。
かかる構成により、制御命令テーブルの遂行において、自己の制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202が動作した結果をイベントフラグに反映することができる。そして、他の制御命令テーブルでは、このように反映されたイベントフラグを参照することで、現時点の複数の演出役物装置202の移動状態または回転状態を把握することが可能となる。このように、任意の演出役物装置202の動作によりイベントフラグが更新され、その更新されたイベントフラグに従って、他の演出役物装置202が動作するといったように、複数の演出役物装置202が連動することで、所望する一連の動作が完了する。
また、演出実行手段334は、イベントフラグが制御命令テーブルにおける所定の退避条件を満たしている場合に、かかる退避条件を満たした制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202を退避させることとする。ここで、退避条件は、自己の制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202の退避が妨げられないという条件をいう。したがって、イベントフラグが制御命令テーブルにおける所定の退避条件を満たすとは、イベントフラグによって示される複数の演出役物装置202の移動状態または回転状態が、自己の制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202の退避を妨げない状態であることを示す。逆に、イベントフラグが制御命令テーブルにおける所定の退避条件を満たさなければ、自己の制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202の退避動作が制限(制約)される。
かかる構成により、制御命令テーブルの遂行において、他の制御命令テーブルの進行状況を把握しなくとも、イベントフラグのみを参照すれば、自己の制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202が退避可能か否か把握できるので、演出実行手段334は、イベントフラグが所定の退避条件を満たしていることをもって、その制御命令テーブルに対応付けられた演出役物装置202を適切に退避させることが可能となる。
こうして、イベントフラグを用い、許可条件、更新条件、退避条件を満たすか否かを判定することのみによって、複数の演出役物装置202同士に主従関係や排他関係が存在する場合であっても、それぞれの干渉を回避しつつ、演出役物装置202を適切に移動および退避させることができる。したがって、構造物が破損したり、演出表示部200aの表示が阻害されるのを防止することができる。また、制御命令テーブルは、許可条件、更新条件、退避条件等を満たすか否かを判定する制御命令さえ設ければ、他の制御命令テーブルの進行状況を監視するための制御命令を設けることなく、また、上位のプログラムの介入を受けることなく、自己完結的に処理することができる。
図12は、複数の演出役物装置202の動作を説明するための説明図である。ここでは、3つの演出役物装置202(202c、202d、202e)同士が互いに干渉する位置関係となっている例を挙げ、その干渉を回避する制御を説明する。
図12を参照すると、演出役物装置202cは、実線で示した退避位置に退避しており、回転軸Cを中心として回転することで破線で示した移動位置に移動することができる。また、演出役物装置202dは、実線で示した退避位置に退避しており、回転軸Dを中心として回転することで破線で示した移動位置に移動することができる。また、演出役物装置202eは、実線で示した退避位置に退避しており、図中上方にスライドすることで破線で示した移動位置に移動することができる。例えば、演出役物装置202eの移動位置に、演出表示装置200としての液晶表示装置が配置されている場合、演出役物装置202eの移動位置への移動により演出役物装置202eが液晶表示装置の前面に位置することとなり、演出役物装置202eと、その背後の液晶画像とで一体的な演出が可能となるので、遊技結果の報知効果を高めることができる。
ただし、3つの演出役物装置202(202c、202d、202e)同士は互いに干渉する位置関係となっており、例えば、移動に関し、演出役物装置202cが退避位置にある間、演出役物装置202dは移動できず、演出役物装置202cが移動位置に移動することで、演出役物装置202dの移動が可能となる。同様に、装置202dが退避位置にある間、演出役物装置202eは移動できず、演出役物装置202dが移動位置に移動することで、演出役物装置202eの移動が可能となる。一方、退避に関し、演出役物装置202eが移動位置にある間、演出役物装置202dは退避できず、演出役物装置202eが退避位置に移動することで、演出役物装置202dの退避が可能となる。同様に、演出役物装置202dが移動位置にある間、演出役物装置202cは退避できず(実際には退避可能ではあるが、演出役物装置202cが退避位置に退避すると、演出役物装置202dが退避位置に退避できなくなるので、演出役物装置202cの退避を禁止する制御を行っている)、演出役物装置202dが退避位置に移動することで、演出役物装置202cの退避が可能となる。ここでは、かかる条件の下、3つの演出役物装置202(202c、202d、202e)同士の干渉を回避する制御命令テーブルを提案する。
図13は、演出役物装置202cに対応付けられた制御命令テーブルを示した説明図であり、図14は、演出役物装置202dに対応付けられた制御命令テーブルを示した説明図であり、図15は、演出役物装置202eに対応付けられた制御命令テーブルを示した説明図である。ここでは、理解を容易にするため、制御命令テーブルの制御命令を、処理の流れを踏まえたフローチャートで示している。また、イベントフラグ(EVF)は、0〜5の値をとる。ここで、イベントフラグ0〜2は許可条件を示す。具体的に、イベントフラグ0は演出役物装置202cの動作が妨げられないこと、イベントフラグ1は演出役物装置202dの動作が妨げられないこと、イベントフラグ2は演出役物装置202eの動作が妨げられないことを示す。また、イベントフラグ3〜5は退避条件を示す。具体的に、イベントフラグ3は演出役物装置202eの退避が妨げられないこと、イベントフラグ4は演出役物装置202dの退避が妨げられないこと、イベントフラグ5は演出役物装置202cの退避が妨げられないことを示す。なお、イベントフラグの初期値は0とする。以下では、図13〜図15を用い、演出役物装置202c、202d、202e個々の処理の流れを説明し、その後、全体的な処理の流れを説明する。
(演出役物装置202c:ステップS10)
まず、演出実行手段334は、イベントフラグ(EVF)が0であるか否か判定する。その結果、イベントフラグが0であれば、ステップS11に処理を移し、イベントフラグが0でなければ、ステップS15に処理を移す。
(ステップS11)
上記ステップS10においてイベントフラグが0であると判定されれば、演出実行手段334は、図13(a)のように、演出役物装置202cを移動位置に移動する。
(ステップS12)
次に、演出実行手段334は、演出役物装置202cの移動中に異常が発生したか否か判定する。その結果、異常が発生していれば、ステップS13に処理を移し、異常が発生していなければ、ステップS14に処理を移す。
(ステップS13)
上記ステップS12において異常が発生していると判定されれば、演出実行手段334は、演出役物装置202cの退避条件を満たすようにイベントフラグに5を設定し、演出役物装置202cの退避を許可する。
(ステップS14)
上記ステップS12において異常が発生していないと判定されれば、演出実行手段334は、演出役物装置202dの許可条件を満たすようにイベントフラグに1を設定し、演出役物装置202dの動作を許可する。
(ステップS15)
次に、演出実行手段334は、イベントフラグが5であるか否か判定する。その結果、イベントフラグが5であれば、ステップS16に処理を移し、イベントフラグが5でなければ、ステップS10からの処理を繰り返す。
(ステップS16)
上記ステップS15においてイベントフラグが5であると判定されれば、演出実行手段334は、図13(b)のように、演出役物装置202cを退避位置に退避させ、当該演出役物装置202cの動作を終了する。
(演出役物装置202d:ステップS20)
まず、演出実行手段334は、イベントフラグ(EVF)が1であるか否か判定する。その結果、イベントフラグが1であれば、ステップS21に処理を移し、イベントフラグが1でなければ、ステップS25に処理を移す。
(ステップS21)
上記ステップS20においてイベントフラグが1であると判定されれば、演出実行手段334は、図14(a)のように、演出役物装置202dを移動位置に移動する。
(ステップS22)
次に、演出実行手段334は、演出役物装置202dの移動中に異常が発生したか否か判定する。その結果、異常が発生していれば、ステップS23に処理を移し、異常が発生していなければ、ステップS24に処理を移す。
(ステップS23)
上記ステップS22において異常が発生していると判定されれば、演出実行手段334は、演出役物装置202dの退避条件を満たすようにイベントフラグに4を設定し、演出役物装置202dの退避を許可する。
(ステップS24)
上記ステップS22において異常が発生していないと判定されれば、演出実行手段334は、演出役物装置202eの許可条件を満たすようにイベントフラグに2を設定し、演出役物装置202eの動作を許可する。
(ステップS25)
次に、演出実行手段334は、イベントフラグが4以上(4または5)であるか否か判定する。その結果、イベントフラグが4以上であれば、ステップS26に処理を移し、イベントフラグが4以上でなければ、ステップS20からの処理を繰り返す。
(ステップS26)
上記ステップS25においてイベントフラグが4以上であると判定されれば、演出実行手段334は、イベントフラグが4であるか否か判定する。その結果、イベントフラグが4であれば、ステップS27に処理を移し、イベントフラグが4でなければ、当該演出役物装置202dの動作を終了する。
(ステップS27)
上記ステップS26においてイベントフラグが4であると判定されれば、演出実行手段334は、図14(b)のように、演出役物装置202dを退避位置に退避させる。
(ステップS28)
次に、演出実行手段334は、演出役物装置202cの退避条件を満たすようにイベントフラグに5を設定し、演出役物装置202cの退避を許可し、当該演出役物装置202dの動作を終了する。
(演出役物装置202e:ステップS30)
まず、演出実行手段334は、イベントフラグ(EVF)が2であるか否か判定する。その結果、イベントフラグが2であれば、ステップS31に処理を移し、イベントフラグが2でなければ、ステップS35に処理を移す。
(ステップS31)
上記ステップS30においてイベントフラグが2であると判定されれば、演出実行手段334は、図15(a)のように、演出役物装置202eを移動位置に移動する。
(ステップS32)
次に、演出実行手段334は、演出役物装置202eの移動中に異常が発生したか否か判定する。その結果、異常が発生していれば、ステップS34に処理を移し、異常が発生していなければ、ステップS33に処理を移す。
(ステップS33)
上記ステップS32において異常が発生していないと判定されれば、演出実行手段334は、他の演出を実行するため、かかる図15(a)の状態を維持(ウェイト)する。
(ステップS34)
次に、演出実行手段334は、演出役物装置202eの退避条件を満たすようにイベントフラグに3を設定し、演出役物装置202eの退避を許可する。
(ステップS35)
次に、演出実行手段334は、イベントフラグが3以上(3、4または5)であるか否か判定する。その結果、イベントフラグが3以上であれば、ステップS36に処理を移し、イベントフラグが3以上でなければ、ステップS30からの処理を繰り返す。
(ステップS36)
上記ステップS35においてイベントフラグが3以上であると判定されれば、演出実行手段334は、イベントフラグが3であるか否か判定する。その結果、イベントフラグが3であれば、ステップS37に処理を移し、イベントフラグが3でなければ、当該演出役物装置202eの動作を終了する。
(ステップS37)
上記ステップS36においてイベントフラグが3であると判定されれば、演出実行手段334は、図15(b)のように、演出役物装置202eを退避位置に退避する。
(ステップS38)
次に、演出実行手段334は、演出役物装置202dの退避条件を満たすようにイベントフラグに4を設定し、演出役物装置202dの退避を許可し、当該演出役物装置202eの動作を終了する。
図13〜図15を参照し、演出役物装置202c、202d、202eの全体的な処理の流れを追うと、まず、演出役物装置202cはイベントフラグが0(初期値)となっているので移動位置に移動し(ステップS11)、イベントフラグが1に設定される(ステップS14)。かかるイベントフラグが1に設定されたことを契機に、演出役物装置202dは移動位置に移動し(ステップS21)、イベントフラグが2に設定される(ステップS24)。そして、イベントフラグが2に設定されたことを契機に、演出役物装置202eは移動位置に移動し(ステップS31)、その状態を維持する(ステップS33)。
そして、他の演出が終了すると、イベントフラグが3に設定される(ステップS34)。かかるイベントフラグが3に設定されたことを契機に、演出役物装置202eは退避位置に退避し(ステップS37)、イベントフラグが4に設定される(ステップS38)。そして、イベントフラグが4に設定されたことを契機に、演出役物装置202dは退避位置に退避し(ステップS27)、イベントフラグが5に設定される(ステップS28)。最後に、イベントフラグが5に設定されたことを契機に、演出役物装置202cは退避位置に退避する(ステップS16)。こうして、演出役物装置202c、202d、202e同士が干渉することなく、それぞれ適切に移動および退避することができる。
また、仮に、演出役物装置202cの移動中に異常が発生すると、イベントフラグが5に設定される(ステップS13)。イベントフラグが5に設定されたことを契機に、演出役物装置202cは退避位置に退避する(ステップS16)。また、イベントフラグが5に設定されたことを契機に、演出役物装置202d、202eは動作を終了する(ステップS25、ステップS35)。こうして、演出役物装置202d、202eを移動させることなく、演出役物装置202cを適切に退避させることができる。
また、演出役物装置202dの移動中に異常が発生すると、イベントフラグが4に設定される(ステップS23)。このように、イベントフラグが4に設定されたことを契機に、演出役物装置202eは動作を終了する(ステップS35)。そして、イベントフラグが4に設定されたことを契機に、演出役物装置202dは退避位置に退避し(ステップS27)、イベントフラグが5に設定される(ステップS28)。イベントフラグが5に設定されたことを契機に、演出役物装置202cは退避位置に退避する(ステップS16)。こうして、演出役物装置202eを移動させることなく、演出役物装置202c、202dを適切に退避させることができる。
同様に、演出役物装置202eの移動中に異常が発生すると、イベントフラグが3に設定される(ステップS34)。かかるイベントフラグが3に設定されたことを契機に、演出役物装置202eは退避位置に退避し(ステップS37)、イベントフラグが4に設定される(ステップS38)。そして、イベントフラグが4に設定されたことを契機に、演出役物装置202dは退避位置に退避し(ステップS27)、イベントフラグが5に設定される(ステップS28)。最後に、イベントフラグが5に設定されたことを契機に、演出役物装置202cは退避位置に退避する(ステップS16)。こうして、演出役物装置202c、202d、202eを適切に退避させることができる。ここでは、正常動作における演出役物装置202c、202d、202eの退避処理を利用して、異常時における演出役物装置202c、202d、202eの退避処理を実現している。
このように、各制御命令テーブルは、他の制御命令テーブルを参照することなく、それぞれ自己完結的に動作し、イベントフラグを用い、許可条件を満たすか否かを判定する(ステップS10、S20、S30)、更新条件を満たすか否かを判定する(ステップS12、S22、S32)、および、退避条件を満たすか否かを判定する(ステップS15、S26、S36)ことのみによって、複数の演出役物装置202同士に主従関係や排他関係が存在する場合であっても、それぞれの干渉を回避することができる。
なお、複数の演出役物装置202同士に主従関係や排他関係が存在する場合、それぞれの演出役物装置202に、動作を許可する優先順位を定めることができる。この場合、イベントフラグは、優先順位に従った昇順または降順の数値で表されるとしてもよい。
例えば、図13〜図15の例では、動作を許可する優先順位は、演出役物装置202c>演出役物装置202d>演出役物装置202eの順に高い。すなわち、円滑な動作のためには、まず、演出役物装置202cの動作を許可しなければならず、その次には、演出役物装置202dの動作を許可しなければならない。この場合、演出役物装置202c、演出役物装置202d、演出役物装置202eの優先順位に従って、上述したように、イベントフラグとして昇順の数値(0、1、2)を付与する。こうすることで、イベントフラグの数値が高いほど、多くの演出役物装置202の動作が許可されていることを容易に把握することができる。
また、それぞれの演出役物装置202に、退避を許可する優先順位を定めることができる。この場合、イベントフラグは、優先順位に従った昇順または降順の数値で表されるとしてもよい。
例えば、図13〜図15の例では、退避を許可する優先順位は、演出役物装置202e、演出役物装置202d、演出役物装置202cの順に高い。すなわち、円滑な動作のためには、まず、演出役物装置202eの退避を許可しなければならず、その次には、演出役物装置202dの退避を許可しなければならない。この場合、演出役物装置202e、演出役物装置202d、演出役物装置202cの優先順位に従って、上述したように、イベントフラグとして昇順の数値(3、4、5)を付与する。こうすることで、イベントフラグの数値が高いほど、多くの演出役物装置202の退避が許可されていることを容易に把握することができる。
また、図15のステップS35や、図14のステップS25のように、自己より優先順位の低い演出役物装置202の退避が許可されている場合、不等号によって、自己の演出役物装置202の移動を制限することで、無用な演出役物装置202同士の干渉を確実に回避することができる。
ここでは、許可条件、退避条件等を満たすか否かといった条件分岐、および、更新条件を満たした場合のイベントフラグの設定といった簡易な制御指令さえ設ければ、さらに上位のプログラムにおいて、他の制御命令テーブルを監視する必要がないので、制御命令テーブルのみで、自己完結的に処理を遂行することができる。したがって、設計者は、複数の演出役物装置202同士の主従関係や排他関係を気にすることなく、対象となる演出役物装置202の制御命令テーブルのみを容易かつ自己完結的に設計することが可能となり、設計の利便性が向上する。
また、イベントフラグによって、各演出役物装置202の移動や退避を一元管理しており、イベントフラグによって、複数の演出役物装置202の移動状態または回転状態を一義的に特定できるので、複数の演出役物装置202の複雑な動作を想定する必要がなく、それぞれの制御命令テーブルのみを設計したとしても、問題が生じにくい。
なお、ここでは、イベントフラグを0〜5の数値を代入することで設定する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、設定は、例えば、論理和(OR演算)、論理積(AND演算)、その都度加算、ビット単位で反転等様々な態様で行うことができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態においては、遊技機として、大当たり図柄を含む複数種類の図柄の中からいずれかを決定する図柄決定手段と、図柄が決定されてから所定の変動時間が経過すると、図柄表示部に図柄を表示させる図柄表示手段と、図柄表示部に大当たり図柄が表示されると、複数回のラウンド遊技で構成される大役遊技を実行する大役遊技実行手段と、大役遊技におけるラウンド遊技のうち予め設定された特定ラウンド遊技中に、大入賞口に入球した遊技球が特定領域に進入すると、所定の遊技利益を付与する遊技利益付与手段と、大役遊技中の演出を実行する演出実行手段と、を備えるパチンコ機を例示したが、かかる場合に限らず、スタートスイッチの操作に基づき、複数種類の当選役のいずれかを当選役抽選により決定する当選役抽選手段と、スタートスイッチの操作に応じて、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数の回転リールを回転制御し、回転している回転リールに対応するストップスイッチの操作に応じ、当選役抽選手段の抽選結果に基づいて、操作されたストップスイッチに対応する回転リールをそれぞれ停止制御するリール制御手段と、複数種類の演出のいずれかを実行する演出制御手段と、を備えるスロットマシンにも適用できる。以下、スロットマシン600について詳述する。
(スロットマシン600の機械的構成)
図16および図17の外観図に示すように、スロットマシン600は、略矩形状の箱体である筐体602と、筐体602の前面開口部に対して回動可能な連結部材により開閉可能に取り付けられた前面上扉604と、前面上扉604の下方に位置し、前面上扉604同様、筐体602の前面開口部に対して開閉可能に取り付けられた前面下扉606と、前面下扉606の下部に位置し、メダル排出口608aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部608とを備えている。
前面下扉606の上部には操作部設置台622が形成され、操作部設置台622には、メダル投入部624、ベットスイッチ626、スタートスイッチ628、ストップスイッチ630、演出スイッチ632等が配設されている。
操作部設置台622の右側に位置するメダル投入部624は、メダル投入口624aを通じて遊技媒体としてのメダルの投入を受け付け、前面下扉606の背面に設けられたメダルセレクタ(図示せず)にメダルを送る。メダルセレクタには、メダルの投入が可能な投入期間外に投入されたメダルや規格外のメダルをメダル排出口608aに導くブロッカー(図示せず)と、投入期間内に投入された規格内のメダルの通過を検出する投入メダル検出部624bとが設けられている。ここで、メダル排出口608aに導かれたメダルは受け皿部608に排出される。遊技者により、1遊技を開始するために必要なメダルの投入数である規定投入数を超えてメダルが投入されると、その規定投入数を超えた分のメダルが、所定枚数(例えば50枚)を上限としてスロットマシン600の内部に電気的に貯留(以下、単にクレジットという)される。上記1遊技については後程詳述する。
また、ここでは、規定投入数は「3」または「2」に設定されている。なお、1遊技を実行するために必要なメダル数を、複数の規定投入数から任意に選択できる場合、その複数の規定投入数の中の最大のものを最大規定投入数といい、最小のものを最小規定投入数という。仮に、規定投入数が1〜3の間で選択可能な場合、最大規定投入数は「3」となり、最小規定投入数は「1」となる。
ベットスイッチ626は、クレジットされているメダルのうち規定投入数のメダルを投入(ベット)する、押圧式のボタンスイッチである。規定投入数以上のメダルがクレジットされている状態で、ベットスイッチ626を押圧すると、1遊技が開始可能となるとともに、クレジットされているメダルが規定投入数分だけ減枚される。
操作部設置台622の左側に位置するスタートスイッチ628は、傾倒操作を検出可能なレバーで構成され、遊技者による1遊技の開始操作を検出する。また、スタートスイッチ628は、押圧操作を検出可能なボタンスイッチによって構成することも可能である。
前面上扉604の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓636が設けられ、筐体602内の図柄表示窓636に対応した位置には、リールユニット634が設けられている。リールユニット634には、図18のリールの図柄配列に示すように、21に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列された3つの回転リール(左リール634a、中リール634b、右リール634c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられ、遊技者は、図柄表示窓636を通じて、左リール634a、中リール634b、右リール634cを視認することができる。リールユニット634は、スタートスイッチ628の操作を契機として、左リール634a、中リール634b、右リール634cの回転を開始する。
操作部設置台622の中央に位置するストップスイッチ630は、左リール634a、中リール634b、右リール634cそれぞれに対応して設けられた、遊技者の押圧操作を検出可能なボタンスイッチであり、左リール634a、中リール634b、右リール634cそれぞれを停止させようとする遊技者の停止操作を検出する。なお、ストップスイッチ630に係る3つのボタンスイッチを特にストップボタンスイッチとよび、その位置に応じて左から順にストップボタンスイッチ630a、ストップボタンスイッチ630b、ストップボタンスイッチ630cとする。
演出スイッチ632は、押圧式のボタンスイッチと、その周囲に回転自在に配されたジョグダイヤルスイッチとから構成され、遊技者の押圧操作や回転操作を検出する。かかる演出スイッチ632は、主として演出中に用いられ、遊技者の操作によって演出態様を異ならせることができる。
前面上扉604の上部略中央には、演出に伴う様々な映像を表示する液晶表示部638が設けられている。また、前面上扉604の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ642が設けられる。また、図柄表示窓636と操作部設置台622との間には、駆動装置からなる演出役物装置660が設けられている。
また、図17に示すように、前面上扉604の裏面における液晶表示部638の左右位置や前面下扉606の裏面における内面左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ640が設けられている。さらに、筐体602内におけるリールユニット634の下方には、メダル排出口608aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)764が設けられている。メダル払出装置764は、メダルを貯留するメダル貯留部764aと、メダル貯留部764aに貯留されたメダルをメダル排出口608aから排出するための払出制御部764bと、メダル排出口608aから排出されるメダルを検出する払出メダル検出部764cとを備えている。具体的に払出制御部764bは、当該払出制御部764bの本体外装に回動可能に支持され、メダル貯留部764aから落下したメダルが上方より1枚ずつ嵌入するメダル嵌入孔を円周方向に複数配してなるディスク(図示せず)と、かかるディスクを回転するディスクモータ(図示せず)とを備え、このディスクを回転させて、メダル嵌入孔に嵌入したメダルを、押出機構を通じて1枚ずつ外部に排出するとともに、排出により空いたメダル嵌入孔に次のメダルを順次嵌入させることで、メダルを1枚ずつ連続排出する。
また、図16や図17では図示していないが、各回転リール634a、634b、634cの内側には、左リール634a、中リール634b、右リール634cそれぞれに施された図柄のうち、図柄表示窓636に対応する(払い出しの対象となるラインである有効ラインの対象となり得る)各回転リール634a、634b、634cの上段、中段、下段の図柄を背面から個々に独立して照射するリールバックライト644(図19参照)が設けられている。また、図柄表示窓636の裏面上部にも左リール634a、中リール634b、右リール634c全ての正面を直接照射するリール上方ライト646が設けられている。
また、図16に示すように、操作部設置台622において、図柄表示窓636とストップスイッチ630との間に設けられた段部622aの略水平面には、メインクレジット表示部652およびメイン払出表示部654が設けられている。また、図柄表示窓636と操作部設置台622との間には、サブクレジット表示部656およびサブ払出表示部658が設けられている。これらメインクレジット表示部652およびサブクレジット表示部656にはクレジット枚数が表示され、メイン払出表示部654およびサブ払出表示部658にはメダルの払出枚数が表示される。なお、サブクレジット表示部656およびサブ払出表示部658には、演出に伴う様々な数値を表示することもできる。
また、筐体602内の任意の位置には、電源スイッチ648が設けられている。電源スイッチ648は、ロッカースイッチ等、押圧操作を検出可能なスイッチで構成され、当該スロットマシン600を管理する管理者側が操作し、電源の切断状態と電源の投入状態の2つの状態を切り換えるために用いられる。
なお、本実施形態において、上記1遊技は、メダル投入部624を通じたメダルの投入、ベットスイッチ626の操作を通じたクレジットされているメダルの投入、または、リプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づくメダルの自動投入のいずれかが行われてから、遊技者によるスタートスイッチ628の操作に応じて、複数の回転リール634a、634b、634cが回転制御されるとともに当選役抽選が実行され、当選役抽選の抽選結果および遊技者による複数のストップボタンスイッチ630a、630b、630cの操作に応じて、操作されたストップボタンスイッチ630a、630b、630cに対応する回転リール634a、634b、634cがそれぞれ停止制御され、メダルの払い出しを受け得る当選役に入賞した場合、そのメダルの払い出しが実行されるまでの遊技をいう。また、メダルの払い出しを受け得る当選役に非当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合、回転リール634a、634b、634cが全て停止したことをもって1遊技が終了する。ただし、1遊技の開始を、上記のメダルの投入、または、リプレイ役の当選の代わりに、遊技者によるスタートスイッチ628の操作と読み替えてもよい。また、かかる1遊技が繰り返される数を遊技数とする。
(スロットマシン600の電気的構成)
図19は、スロットマシン600の概略的な電気的構成を示したブロック図である。図21に示すように、スロットマシン600は、主として、制御基板によって制御されている。ここでは、制御基板の一例として、制御基板の機能を分担した、主制御基板700と、副制御基板702とを挙げて説明する。例えば、遊技の進行に関わるプログラムのうち、遊技に供する当選役の抽選やその入賞といったような、特に重要な処理を主制御基板700で実行し、それ以外の例えば演出に関する処理を副制御基板702で実行している。また、図21に示したように、主制御基板700と副制御基板702との間の電気的な信号の伝達は、不正防止等の観点から、主制御基板700から副制御基板702への一方向のみに制限される。ただし、このような制限がなければ、電気的に双方向通信も技術的に可能である。
(主制御基板700)
主制御基板700は、中央処理装置であるメインCPU700a、プログラム等が格納されたメインROM700b、ワークエリアとして機能するメインRAM700c等を含む各種半導体集積回路を有し、スロットマシン600全体を統括的に制御する。ただし、メインRAM700cには不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、設定変更が行われてメインRAM700cの初期化処理を実行しない限り、データが消去されることなく保持される。
また、主制御基板700は、メインCPU700aが、メインROM700bに格納されたプログラムに基づきメインRAM700cと協働することで機能する、初期化手段800、ベット手段802、当選役抽選手段804、リール制御手段806、判定手段808、払出制御手段810、状態移行手段812、コマンド決定手段814、コマンド送信手段816等の機能部を有する。
初期化手段800は、主制御基板700における初期化処理を実行する。ベット手段802は、遊技に使用するためのメダルをベットする。ここで、ベットは、ベットスイッチ626の操作を通じてクレジットされているメダルを投入する場合と、メダル投入部624を通じてメダルを投入する場合と、リプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づいてメダルを自動投入する場合のいずれも含む。当選役抽選手段804は、メダルのベットおよびスタートスイッチ628の操作に基づき、小役、リプレイ役、および、ボーナス役を含む複数種類の当選役、ならびに、ハズレのうちいずれかを当選役抽選により決定する。
リール制御手段806は、スタートスイッチ628の操作に応じて、複数の回転リール634a、634b、634cを回転制御し、回転している回転リール634a、634b、634cにそれぞれ対応した複数のストップボタンスイッチ630a、630b、630cの操作に応じ、操作されたストップボタンスイッチ630a、630b、630cに対応する回転リール634a、634b、634cをそれぞれ停止制御する。また、リール制御手段806は、スタートスイッチ628の操作に応じて、前回の遊技においてストップスイッチ630の操作を有効化してから、当選役抽選の抽選結果を表示するために遊技者によるストップスイッチ630の操作を有効化するまで(前回の遊技におけるストップスイッチ630の操作完了により無効化されている)の時間を規定の時間より延長し、その間、回転リール634a、634b、634cを多彩な態様で回転させるリール演出(フリーズ演出)を行う場合がある。リール演出は、本来有効となるべき任意のスイッチを所定時間有効にしなかったり、本来実行されるべき処理を所定時間保留したり、本来送受信されるべき任意のスイッチの信号を所定時間送信または受信させなかったりすることで実現できる。
判定手段808は、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否か判定する。ここで、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることを単に入賞という場合がある。払出制御手段810は、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたこと(入賞されたこと)に基づいて、当該当選役に対応する数だけメダルを払い出す。状態移行手段812は、ボーナス役の当選や入賞に基づいて遊技状態を遷移させる。
コマンド決定手段814は、ベット手段802、当選役抽選手段804、リール制御手段806、判定手段808、払出制御手段810、状態移行手段812等の動作に伴う、遊技に関するコマンドを順次決定する。コマンド送信手段816は、コマンド決定手段814が決定したコマンドを副制御基板702に順次送信する。
主制御基板700では、投入メダル検出部624b、ベットスイッチ626、スタートスイッチ628およびストップスイッチ630から各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、ベット手段802、当選役抽選手段804、リール制御手段806、判定手段808が上述した種々の処理を実行する。また、主制御基板700には、メインクレジット表示部652およびメイン払出表示部654が接続されており、払出制御手段810が両表示部652、654に対してメダルのクレジット枚数や払出枚数の表示を制御する。
また、主制御基板700には、リール駆動制御部758が接続されている。このリール駆動制御部758は、スタートスイッチ628の操作信号に応じ、リール制御手段806から送信される各回転リール634a、634b、634cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ762を駆動するとともに、ストップスイッチ630の操作信号に応じ、リール制御手段806から送信される、左リール634a、中リール634b、右リール634cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路760の検出信号に基づいて、ステッピングモータ762の駆動を停止する。
また、主制御基板700には、メダル払出装置764が接続されている。主制御基板700には払出メダル検出部764cの検出信号が入力されるようになっており、払出制御手段810は、その検出信号に応じてメダルの払出枚数を計数しながら払出制御部764bからのメダルの排出を制御する。
また、主制御基板700には、乱数発生器700dが設けられる。乱数発生器700dは、計数値を順次インクリメントし、所定の総数(例えば65536)内でループさせ(0〜65535)、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を生成(取得)する。主制御基板700の乱数発生器700dによって生成される乱数(以下、当選役抽選乱数という)は、遊技者に付与する遊技利益、例えば、当選役抽選手段804が当選役抽選を実行するために用いられる。
(副制御基板702)
また、副制御基板702は、主制御基板700と同様に、中央処理装置であるサブCPU702a、プログラム等が格納されたサブROM702b、ワークエリアとして機能するサブRAM702c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板700からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM702cにもメインRAM700c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板702にも、主制御基板700同様、乱数発生器702dが設けられており、乱数発生器702dによって生成される乱数(以下、演出抽選乱数という)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。
また、副制御基板702は、サブCPU702aが、サブROM702bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM702cと協働することで機能する、初期化決定手段830、コマンド受信手段832、演出制御手段834等の機能部を有する。
初期化決定手段830は、副制御基板702における初期化処理を実行する。コマンド受信手段832は、主制御基板700等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出制御手段834は、演出スイッチ632から検出信号を受信するとともに、当選役コマンドに基づいて液晶表示部638、スピーカ640、演出用ランプ642の各デバイスで行われる遊技の演出を決定する。具体的に、演出制御手段834は、液晶表示部638に表示される画像データや、演出用ランプ642、リールバックライト644、リール上方ライト646、サブクレジット表示部656、サブ払出表示部658等の電飾機器を通じた演出のための電飾データを決定するとともに、スピーカ640から出力すべき音声を構成する音声データを決定する。そして、演出制御手段834は、決定した遊技の演出を実行する。
演出は、上述したリール演出のような主制御基板700によって実行される演出と、副制御基板702によって実行される演出がある。副制御基板702によって実行される演出は、遊技の進行に伴い、液晶表示部638、スピーカ640、演出用ランプ642、リールバックライト644、リール上方ライト646、サブクレジット表示部656、サブ払出表示部658等を通じて提供される視覚的および聴覚的な表現手段であり、当該遊技にストーリー性を与えたり、当選役抽選の結果をよりダイナミックな画像で示唆したりすることができる。このような演出では、例えば、ボーナス遊技の当選を示唆する演出を複数遊技に亘って行い、遊技者の期待感を高めることができる。また、たとえ、いずれの当選役にも当選していなかったとしても、恰も当選しているかのような演出を通じて遊技者に高配当の期待感を持たせ、遊技者を飽きさせないようにすることが可能となる。
なお、スロットマシン600においては、演出制御手段834が、上述した演出決定手段332および演出実行手段334として機能し、演出役物装置660が、上述した演出役物装置202として機能し、サブRAM702cが上述したサブRAM330cとして機能する。