以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技機の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、各基板における具体的な処理を説明する。
図1は、本実施形態の遊技機100の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。図示のように、遊技機100は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠102と、この外枠102にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠104と、この中枠104に、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠106と、を備えている。
中枠104は、外枠102と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤108が保持されている。また、前枠106には、ガラス製または樹脂製の透過板110が保持されている。そして、これら中枠104および前枠106を外枠102に対して閉じると、遊技盤108と透過板110とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機100の正面側から、透過板110を介して遊技盤108が視認可能となる。
図2は、遊技機100の正面図である。この図に示すように、前枠106の下部には、遊技機100の正面側に突出する操作ハンドル112が設けられている。この操作ハンドル112は、遊技者が回転操作可能に設けられており、遊技者が操作ハンドル112を回転させて発射操作を行うと、当該操作ハンドル112の回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤108に設けられたレール114a、114b間を上昇して遊技領域116に導かれることとなる。
遊技領域116は、遊技盤108と透過板110との間隔に形成される空間であって、遊技球が流下または転動可能な領域である。遊技盤108には、多数の釘や風車が設けられており、遊技領域116に導かれた遊技球が釘や風車に衝突して、不規則な方向に流下、転動するようにしている。
遊技領域116は、発射機構の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする第1遊技領域116aおよび第2遊技領域116bを備えている。第1遊技領域116aは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の左側に位置し、第2遊技領域116bは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の右側に位置している。レール114a、114bが遊技領域116の左側にあることから、発射機構によって所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は第1遊技領域116aに進入し、所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球は第2遊技領域116bに進入することとなる。
また、遊技領域116には、遊技球が入球可能な一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122が設けられており、これら一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122に遊技球が入球すると、それぞれ所定の賞球が遊技者に払い出される。なお、賞球数は1個以上であれば何個でもよく、また、一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122のそれぞれで払い出す賞球数を異ならせてもよいし、同じ賞球数に設定してもよい。このとき、第1始動口120に遊技球が入球して払い出す賞球数を、第2始動口122に遊技球が入球して払い出す賞球数よりも少なく設定することも可能である。
なお、第1始動口120内には第1始動領域が設けられ、また、第2始動口122内には第2始動領域が設けられている。そして、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球して第1始動領域または第2始動領域に遊技球が進入すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1の特別図柄を決定するための抽選が行われる。各特別図柄には、遊技者にとって有利な大役遊技の実行可否や、以後の遊技状態をどのような遊技状態にするかといった種々の遊技利益が対応付けられている。したがって、遊技者は、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球すると、所定の賞球を獲得するのと同時に、種々の遊技利益を受ける権利獲得の機会を獲得することとなる。
また、第2始動口122には、可動片122bが開閉可能に設けられており、この可動片122bの状態に応じて、第2始動口122への遊技球の進入容易性が変化するようになっている。具体的には、可動片122bが閉状態にあるときには、第2始動口122への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、遊技領域116に設けられたゲート124内の進入領域を遊技球が通過すると、普通図柄の抽選が行われ、この抽選によって当たりに当選すると、可動片122bが所定時間、開状態に制御される。このように、可動片122bが開状態になると、当該可動片122bが遊技球を第2始動口122に導く受け皿として機能し、第2始動口122への遊技球の入球が容易となる。なお、ここでは、第2始動口122が閉状態にあるときに、当該第2始動口122への遊技球の入球が不可能であることとしたが、第2始動口122が閉状態にある場合にも一定の頻度で遊技球が入球可能となるように構成してもよい。
さらに、遊技領域116には、遊技球が入球可能な大入賞口128が設けられている。この大入賞口128には、開閉扉128bが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉128bが大入賞口128を閉鎖して、大入賞口128への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、前述の大役遊技が実行されると、開閉扉128bが開放されて、大入賞口128への遊技球の入球が可能となる。そして、大入賞口128に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。
なお、遊技領域116の最下部には、一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122、大入賞口128のいずれにも入球しなかった遊技球を、遊技領域116から遊技盤108の背面側に排出する排出口130が設けられている。
そして、遊技機100には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、液晶表示装置からなる演出表示装置200、駆動装置からなる演出役物装置202、さまざまな点灯態様や発光色に制御されるランプからなる演出照明装置204、スピーカからなる楽曲出力装置206、遊技者の操作を受け付ける演出操作装置208が設けられている。
演出表示装置200は、画像を表示する画像表示部からなる演出表示部200aを備えており、この演出表示部200aを、遊技盤108の略中央部分において、遊技機100の正面側から視認可能に配置している。この演出表示部200aには、図示のように演出図柄210a、210b、210cが変動表示され、これら各演出図柄210a、210b、210cの停止表示態様によって大役抽選結果が遊技者に報知される変動演出が実行されることとなる。
演出役物装置202は、演出表示部200aよりも前方に配置され、遊技者が視認できる領域において移動や回転を行うことで、遊技者に大当たりの期待感を付与するものである。例えば、図2における演出役物装置202としての回転役物202aは、上記の演出図柄210a、210b、210cの変動表示中などに、駆動源であるモータ(パルスモータやギヤードモータ)の回転に連動し、前後方向の軸を中心に回転する。また、図2における演出役物装置202としての移動役物202bは、通常、遊技盤108における退避領域に退避しているが、上記の演出図柄210a、210b、210cの変動表示中などには、演出表示部200aの前方まで移動する。
演出照明装置204は、例えばLED(Light Emitting Diode)で構成され、演出役物装置202や遊技盤108等に設けられており、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて、さまざまに点灯制御される。
楽曲出力装置206は、前枠106の上部位置や外枠102の最下部位置に設けられ、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて、遊技機100の正面側に向けてさまざまな楽曲を出力する。
演出操作装置208は、遊技者の押下操作を受け付けるボタンと、遊技者の回転操作を受け付ける回転操作部(例えば、ジョグダイヤル)で構成され、遊技機100の幅方向略中央位置であって、かつ、透過板110よりも下方位置に設けられている。この演出操作装置208は、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて有効化され、操作有効期間内に遊技者の操作を受け付けると、当該操作に応じて、さまざまな演出が実行される。
また、演出操作装置208の後方には、遊技機100から払い出される賞球や、遊技球貸出装置から貸し出される遊技球が導かれる上皿132があり、この上皿132が遊技球で一杯になると、遊技球は下皿134に導かれることとなる。また、この下皿134の底面には、当該下皿134から遊技球を排出するための球抜き孔(不図示)が形成されている。この球抜き孔は、通常、開閉板(不図示)によって閉じられているが、球抜きつまみ134aを図中左右方向にスライドさせることにより、当該球抜きつまみ134aと一体となって開閉板がスライドし、球抜き孔から下皿134の下方に遊技球を排出することが可能となっている。
また、遊技盤108には、遊技領域116の外方であって、かつ、遊技者が視認可能な位置に、第1特別図柄表示器160、第2特別図柄表示器162、第1特別図柄保留表示器164、第2特別図柄保留表示器166、普通図柄表示器168、普通図柄保留表示器170、右打ち報知表示器172が設けられている。これら各表示器160~172は、遊技に係る種々の状況を表示するための装置である。
(制御手段の内部構成)
図3は、遊技の進行を制御する制御手段の内部構成を示すブロック図である。主制御基板300は遊技の基本動作を制御する。この主制御基板300は、メインCPU300a、メインROM300b、メインRAM300cを備えている。メインCPU300aは、各検出スイッチやタイマからの入力信号に基づいて、メインROM300bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信したりする。メインRAM300cは、メインCPU300aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
上記主制御基板300には、一般入賞口118に遊技球が入球したことを検出する一般入賞口検出スイッチ118s、第1始動口120に遊技球が入球したことを検出する第1始動口検出スイッチ120s、第2始動口122に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ122s、ゲート124を遊技球が通過したことを検出するゲート検出スイッチ124s、大入賞口128に遊技球が入球したことを検出する大入賞口検出スイッチ128sが接続されており、これら各検出スイッチから主制御基板300に検出信号が入力されるようになっている。
また、主制御基板300には、第2始動口122の可動片122bを作動する普通電動役物ソレノイド122cと、大入賞口128を開閉する開閉扉128bを作動する大入賞口ソレノイド128cと、が接続されており、主制御基板300によって、第2始動口122および大入賞口128の開閉制御がなされるようになっている。
さらに、主制御基板300には、第1特別図柄表示器160、第2特別図柄表示器162、第1特別図柄保留表示器164、第2特別図柄保留表示器166、普通図柄表示器168、普通図柄保留表示器170、右打ち報知表示器172が接続されており、主制御基板300によって、これら各表示器の表示制御がなされるようになっている。
また、本実施形態の遊技機100は、主に第1始動口120または第2始動口122への遊技球の入球によって開始される特別遊技と、ゲート124を遊技球が通過することによって開始される普通遊技とに大別される。そして、主制御基板300のメインROM300bには、特別遊技および普通遊技を進行するための種々のプログラムや、各種の遊技に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
また、主制御基板300には、払出制御基板310および副制御基板330が接続されている。
払出制御基板310は、遊技球を発射させるための制御、および、賞球を払い出すための制御を行う。この払出制御基板310も、CPU、ROM、RAMを備えており、主制御基板300に対して双方向に通信可能に接続されている。この払出制御基板310には遊技情報出力端子板312が接続されており、主制御基板300から出力される遊技進行上の種々の情報が、払出制御基板310および遊技情報出力端子板312を介して、遊技店のホールコンピュータ等に出力されることとなる。
また、払出制御基板310には、貯留部に貯留された遊技球を賞球として遊技者に払い出すための払出モータ314が接続されている。払出制御基板310は、主制御基板300から送信された払出個数指定コマンドに基づいて払出モータ314を制御して所定の賞球を遊技者に払い出すように制御する。このとき、払い出された遊技球数が払出球計数スイッチ316sによって検出され、払い出すべき賞球が遊技者に払い出されたかが把握されるようになっている。
また、払出制御基板310には、下皿134の満タン状態を検出する皿満タン検出スイッチ318sが接続されている。この皿満タン検出スイッチ318sは、賞球として払い出される遊技球を下皿134に導く通路に設けられており、当該通路を遊技球が通過するたびに、遊技球検出信号が払出制御基板310に入力されるようになっている。
そして、下皿134に所定量以上の遊技球が貯留されて満タン状態になると、下皿134に向かう通路内に遊技球が滞留し、皿満タン検出スイッチ318sから払出制御基板310に向けて、遊技球検出信号が連続的に入力される。払出制御基板310は、遊技球検出信号が所定時間連続して入力された場合に、下皿134が満タン状態であると判断し、皿満タンコマンドを主制御基板300に送信する。一方、皿満タンコマンドを送信した後、遊技球検出信号の連続入力が途絶えた場合には、満タン状態が解除されたと判断し、皿満タン解除コマンドを主制御基板300に送信する。
また、払出制御基板310には、遊技球の発射制御を行う発射制御回路320が設けられている。払出制御基板310には、操作ハンドル112に設けられ、当該操作ハンドル112に遊技者が触れたことを検出するタッチセンサ112sと、操作ハンドル112の操作角度を検出する操作ボリューム112aと、が接続されている。そして、タッチセンサ112sおよび操作ボリューム112aから信号が入力されると、発射制御回路320において、遊技球発射装置に設けられた発射用ソレノイド112cを通電して遊技球を発射させる制御がなされる。
副制御基板330は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この副制御基板330は、サブCPU330a、サブROM330b、サブRAM330cを備えており、主制御基板300に対して、不正防止の観点により、当該主制御基板300から副制御基板330への一方向に通信可能に接続されている。サブCPU330aは、主制御基板300から送信されたコマンドやタイマからの入力信号等に基づいて、サブROM330bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、演出を実行制御する。このとき、サブRAM330cは、サブCPU330aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
具体的には、副制御基板330は、上記演出表示部200aに画像を表示させる画像表示制御を行う。サブROM330bには、演出表示部200aに表示される図柄や背景等の画像データが多数格納されており、サブCPU330aが、画像データをサブROM330bから不図示のVRAMに読み出して、演出表示部200aの画像表示を制御する。また、副制御基板330は、演出役物装置202を駆動制御したり、演出照明装置204を点灯制御したり、楽曲出力装置206から楽曲を出力させる楽曲出力制御を行う。
図4は、副制御基板330における、演出表示部200a、演出役物装置202、演出照明装置204、楽曲出力装置206の制御態様を説明するためのブロック図であり、図5は、それらに共通する制御態様を示すフローチャートである。副制御基板330に設けられたサブCPU(CPU)330aは、サブROM330bに格納されたプログラムおよびサブRAM330cと協働して、演出決定手段332、演出実行手段334として機能する。演出決定手段332は、主制御基板300から送信されたコマンドを解読し、そのコマンドに対応する演出パターン(演出の一連の流れを示す内容)を決定する。演出実行手段334は、決定された演出パターンに基づいて画像IC340a、コントローラ342、楽曲IC346a等の各デバイスにコマンドを送信して演出を実行させる。かかる演出決定手段332および演出実行手段334は、いずれも割込に応じた処理(割込処理)であり、デバイスそれぞれに対応付けられた割込タイミングで実行される。
例えば、演出決定手段332は、図5に示すように、所定の割込周期(例えば33.3msec)の到来を待ち(S10におけるNO)、所定の割込周期が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた画像データ(演出パターンが示す演出のうち、演出表示部200aに表示する画像に相当するデータ)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、画像IC340aに対して、画像データを特定可能な画像コマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。画像IC340aは、VDP(Video Display Processor)とも呼ばれ、画像コマンドによって特定される画像データを画像ROM340bから画像RAM(VRAM)340cに読み出し、画像データを、順次、演出表示部200aに出力する。なお、演出表示部200aには、常に、何かしらの画像が表示される。したがって、演出決定手段332は、割込周期毎に、常に、画像データを決定していることとなる。なお、画像RAM340cは、それぞれ異なるレイヤを有し、各レイヤに異なる画像データを保持させることができる。そして、画像IC340aは、複数のレイヤに保持された画像データを重畳し、その重畳された画像データが演出表示部200aに出力される。
また、演出決定手段332は、上記の画像IC340aに対する制御と並行して、演出パターンの決定に伴い、所定の割込周期(例えば2msec)が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた役物パターン(演出パターンが示す演出のうち、演出役物装置202の一連の動作を示す内容)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、その役物パターンに従って、コントローラ342に所定時間間隔で、進行方向(回転方向)、進行量(回転量)、進行速度(回転速度)の少なくともいずれかを示すコマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。コントローラ342は、かかるコマンドに従い、演出役物装置202を駆動する。ここで、演出役物装置202は、役物パターンが決定されたときのみ動作している。なお、演出役物装置202は、遊技者に対し、大当たりの期待感を高める、物理的な動作を伴う一時的な演出なので、画像データや、後述する照明パターン、楽曲データと比較して、役物パターンが決定される頻度が低い。
また、演出決定手段332は、演出パターンの決定に伴い、所定の割込周期(例えば33msec)が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた照明パターン(演出パターンが示す演出のうち、演出照明装置204の一連の点灯態様を示す内容)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、その照明パターンに従って、役物パターン同様、コントローラ342に所定時間間隔で1(ON)または0(OFF)のコマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。コントローラ342は、かかるコマンドに従い、演出照明装置204を駆動するFETをONまたはOFFにする。こうして、演出照明装置204であるランプが点灯制御される。なお、演出照明装置204は、常に、点灯または消灯を繰り返している。したがって、演出決定手段332は、割込周期毎に、常に、演出パターンを決定していることとなる。
また、演出決定手段332は、上記の画像IC340a、コントローラ342に対する制御と並行して、演出パターンの決定に伴い、所定の割込周期(例えば50msec)が到来すると(S10におけるYES)、演出パターンに基づいた楽曲データ(演出パターンが示す演出のうち、楽曲出力装置206に出力する楽曲に相当するデータ)を決定する(S11)。そして、演出実行手段334は、楽曲IC346aに対して、楽曲データを特定可能な楽曲コマンドを送信し(S12)、ステップS10からの処理を繰り返す。楽曲IC346aは、楽曲コマンドによって特定される楽曲データを楽曲ROM346bから楽曲IC346aに読み出し、楽曲データを、順次、楽曲出力装置206であるスピーカに出力する。なお、楽曲出力装置206には、常に、何かしらの楽曲が出力されている。したがって、演出決定手段332は、割込周期毎に、常に、楽曲データを決定していることとなる。なお、楽曲IC346aは、複数の楽曲バッファ(バッファ)を有し、各楽曲バッファに異なる楽曲データを保持させることができる。そして、楽曲IC346aは、複数の楽曲バッファに保持された楽曲データを重畳し、その重畳された楽曲データが楽曲出力装置206に出力される。
さらに、副制御基板330には、演出操作装置208が押下操作されたことを検出する押下検出スイッチ208s、および、演出操作装置208が回転操作されたことを検出する回転検出スイッチ209sから検出信号が入力される。コントローラ342は、演出操作装置208(押下検出スイッチ208sや回転検出スイッチ209s)から検出信号が入力されると、その旨、演出決定手段332に伝達し、演出決定手段332は、かかる検出信号の入力に応じて、演出表示部200aに画像を表示する等、さまざまな演出を決定する。
ここでは、サブCPU330a、サブRAM330c、画像IC340a、画像ROM340b、画像RAM340c、コントローラ342、楽曲IC346a、楽曲ROM346b等の一連の機能部が、SoC(System-on-a-Chip)として1個の集積回路に集積されている。ただし、かかるSoCにいずれの機能部を集積するかは任意に設定することができる。また、サブCPU330a、サブRAM330c、画像IC340a、画像ROM340b、画像RAM340c、コントローラ342、楽曲IC346a、楽曲ROM346b等の各機能部がそれぞれ異なる集積回路として集積され、電気的に接続されているとしてもよい。
なお、各基板には、不図示の電源基板が接続されており、電源基板を介して商用電源から各基板に電力供給がなされている。
(ユニポーラ型のステッピングモータ)
図6は、回転役物202aの制御態様を説明するための説明図であり、図7は、ユニポーラ型ステッピングモータ220a、220b、220c、220dへのパラレル信号の出力タイミングを説明するための説明図である。ここでは、演出役物装置202としての回転役物202aを、ユニポーラ型ステッピングモータ220(図6中、220a、220b、220c、220d)で回動する例を挙げて説明する。なお、副制御基板330は、ユニポーラ駆動基板(ユニポーラ駆動モジュール)350と接続され、コントローラ342は、ユニポーラ駆動基板350を介して、ユニポーラ型ステッピングモータ220a、220b、220c、220dを回転制御する。なお、ここでは、制御対象として4つのユニポーラ型ステッピングモータ220a、220b、220c、220dを挙げて説明するが、その数は4に制限されず、3以下でも、5以上であってもよいことは言うまでもない。
上述したように、副制御基板330において、演出決定手段332は、演出パターンに基づいた役物パターンを決定し、演出実行手段334は、その役物パターンに従って、例えば、演出役物装置202の回転方向、回転量、回転速度を特定するコマンドを生成する。
コントローラ342は、図6に示すように、ユニポーラ駆動基板350に設けられた複数のユニポーラ駆動素子222(図6中、222a、222b、222c、222d)に接続されている。ここで、コントローラ342は、ユニポーラ駆動素子222に対し同期式シリアル通信により出力情報を出力する。同期式シリアル通信は、基準となるクロック信号に同期してシリアル信号が送受信される通信方式である。
コントローラ342のデータ送信部342aは、コマンド等に基づいて、演出役物装置202に出力すべき複数ビット(ここでは16ビット)からなる出力情報を生成し、出力情報をシリアル化し、シリアル化したシリアル信号をユニポーラ駆動素子222aに送信する(図7参照)。また、データ送信部342aは、シリアル信号と並行して、シリアル信号を取得するための同期信号であるクロック信号をユニポーラ駆動素子222aに送信する。
ユニポーラ駆動素子222aは、所謂、シリアル-パラレル変換素子であり、クロック入力端子(CI)から入力されるクロック信号に基づき、シリアル入力端子(SI)からシリアル信号を受信し、内部のシフトレジスタで保持する。そして、ラッチ信号に基づいて(ラッチ信号の立ち上がりで)シフトレジスタに保持された出力情報をビット単位で出力ポート(Q0~Q3)にラッチすることで、図7のように、複数ビット分(ここでは4ビット)の出力情報をパラレル出力する。ここで、パラレル出力とは、出力情報をビット単位で並行かつ独立して出力することである。また、出力ポートからは、Hi(ハイレベル)とLow(ローレベル)の2値(2進数のデジタル信号)のいずれかの離散信号が、次のラッチタイミングまで連続して出力される。以下、このような、ラッチ信号を受信するまで連続的に出力されるビット単位の信号をパラレル信号と呼ぶ。
そして、ユニポーラ駆動素子222aのシリアル入力端子に入力されたシリアル信号は、シフトレジスタ分(パラレル出力のビット数分、ここでは4ビット)遅れてシリアル出力端子(SO)から送信される。なお、クロック入力端子に入力されたクロック信号もクロック出力端子(CO)から出力される。また、ユニポーラ駆動素子222aは、図6のようにユニポーラ駆動素子222b、ユニポーラ駆動素子222c、ユニポーラ駆動素子222dと数珠つなぎに連結し、デイジーチェーン接続されている。したがって、ユニポーラ駆動素子222a、222b、222c、222dを、図6のように連結した場合、16ビットの出力情報を、4つのユニポーラ駆動素子222a、222b、222c、222dのシフトレジスタがそれぞれ4ビットずつ保持することとなる。
そして、図7に示すように、16ビットの出力情報が、対応するユニポーラ駆動素子222a、222b、222c、222dのシフトレジスタに位置(保持)している状態で、ラッチ信号が入力されると、それぞれの出力ポートに出力情報がラッチされ、16ビット分のパラレル出力が可能となる。また、ユニポーラ駆動素子222a、222b、222c、222dは、それぞれの出力ポート(Q0~Q3)が、FET等の増幅回路を通じて、ユニポーラ型ステッピングモータ220a、220b、220c、220dそれぞれにおける4相(A相、B相、/A相、/B相)の励磁相に接続され、ユニポーラ型ステッピングモータ220a、220b、220c、220dの駆動制御を行う。したがって、ここでは、ユニポーラ駆動素子222a、222b、222c、222dそれぞれに対して、ユニポーラ型ステッピングモータ220a、220b、220c、220dが1つずつ対応することとなる。
ユニポーラ駆動素子222a、222b、222c、222dは、ユニポーラ型ステッピングモータ220a、220b、220c、220dの励磁相それぞれにHiまたはLowの離散信号を出力して、1相励磁、2相励磁、または、1-2相励磁による回転駆動制御を行う。例えば、1相励磁であれば、ユニポーラ駆動素子222a、222b、222c、222dは、図7のように、各相順番に電流のON/OFFを行い、A相、B相、/A相、/B相のいずれか1の相がHiとなり、他の3相はLowとなるように回転駆動制御を行う。そして、Hiとなる相を順次切り換えることで、励磁パターンを形成することができる。
このように、ユニポーラ型ステッピングモータ220への出力を、コントローラ342とユニポーラ駆動素子222との間で、シリアル通信で管理することで、以下のような汎用性を得ることができる。すなわち、出力情報を追加する場合に、ハーネスの数やハーネスの取り回しを変更することなく、予備(予約)の出力ポートに割り当てることで対応できる。また、仮に、予備の出力ポートが余っていなくとも、ユニポーラ駆動素子222の増設のみを行えば、ソフトウェアの修正のみで対応することができる。
コントローラ342のデータ受信部342bは、クロック信号に基づいて、ユニポーラ駆動素子222dからシリアル信号を受信する。こうして、実際に出力された出力情報をサブCPU330aに取り込むことができる。
(バイポーラ型のステッピングモータ)
上記では図6、図7を用いて、ユニポーラ型ステッピングモータ220により回転役物202aを回動する例を挙げて説明した。このようなユニポーラ型のステッピングモータは、バイポーラ型のステッピングモータと比べ、電流の向きを変える操作が不要で、電流を流すコイルを切り換えるだけで処理が完了し、高速トルクが大きい点で優れている。一方、バイポーラ型のステッピングモータは、ユニポーラ型のステッピングモータと比べ、コイルの巻数が同じであってもより効率良く回転させることができ、換言すれば、同効率で回転させるためにコイルの巻数を減らすことができ、低速トルクが大きい点で優れている。したがって、遊技機100の仕様によっては、ユニポーラ型のステッピングモータよりバイポーラ型のステッピングモータを利用する場合がある。
しかし、ユニポーラ型のステッピングモータとバイポーラ型のステッピングモータとでは、原理上の駆動方法や制御信号が異なり、対象となるステッピングモータに応じて、専用の駆動素子を準備しなければならない。例えば、ユニポーラ型のステッピングモータでは、4相(A相、B相、/A相、/B相)分の信号を生成しなければならないが、バイポーラ型のステッピングモータは、その特性から2相(A相、B相)分の信号を生成すればよい。また、バイポーラ型のステッピングモータでは、励磁相入力(AI、BI)がいずれも有効な信号であることを特定するため、後述するイネーブル信号が必要であるが、ユニポーラ型のステッピングモータではイネーブル信号を要さない。
したがって、使用するステッピングモータを、ユニポーラ型のステッピングモータからバイポーラ型のステッピングモータに安易に変更しようとすると、図6に示したユニポーラ駆動基板350におけるユニポーラ駆動素子222a、222b、222c、222dをバイポーラ駆動素子に置き換え、その周辺回路を大幅に見直す設計変更が必要となり、多大な設計負荷とコストを要することとなる。
そこで、本実施形態では、ユニポーラ型のステッピングモータの駆動信号(パラレル信号)をバイポーラ型のステッピングモータの駆動信号に変換するバイポーラ変換基板(バイポーラ変換モジュール)を用いることで、ユニポーラ型のステッピングモータからバイポーラ型のステッピングモータに容易に変更できるようにする。
図8は、回転役物202aの他の制御態様を説明するための説明図である。ここでは、演出役物装置202としての回転役物202aを、バイポーラ型ステッピングモータ230(図8中、230a、230b、230c、230d)で回動する例を挙げて説明する。なお、副制御基板330は、ユニポーラ駆動基板350と接続され、ユニポーラ駆動基板350は、バイポーラ変換基板360に接続され、コントローラ342は、ユニポーラ駆動基板350およびバイポーラ変換基板360を介してバイポーラ型ステッピングモータ230a、230b、230c、230dを回転制御する。
なお、図8における副制御基板330およびユニポーラ駆動基板350は、図6を用いて説明したものと実質的に機能が等しいので、その詳細な説明を省略し、主として、新たに追加されたバイポーラ変換基板360について詳述する。
上述したように、コントローラ342のデータ送信部342aは、コマンド等に基づいて出力情報を生成し、出力情報をシリアル化したシリアル信号をユニポーラ駆動素子222aに送信する。ユニポーラ駆動素子222a、222b、222c、222dは、クロック入力端子から入力されるクロック信号に基づき、シリアル入力端子からシリアル信号を受信し、内部のシフトレジスタで保持する。そして、ユニポーラ駆動素子222a、222b、222c、222dは、ラッチ信号に基づいてシフトレジスタに保持された出力情報をビット単位で出力ポート(Q0~Q3)にラッチすることで、出力情報をバイポーラ駆動素子232(図8中、232a、232b、232c、232d)にパラレル出力する。
バイポーラ駆動素子232a、232b、232c、232dは、所謂、バイポーラ型ステッピングモータ230のドライバであり、励磁相入力(AI、BI)から入力されたHi(ハイレベル)とLow(ローレベル)の離散信号を、順方向電流と逆方向電流の離散信号に置換して励磁相出力(AO、BO)から出力する。したがって、バイポーラ駆動素子232a、232b、232c、232dの励磁相入力(AI、BI)は、ユニポーラ駆動素子222a、222b、222c、222dの出力ポートQ0、Q1、Q2、Q3のうち、出力ポートQ0、Q1とのみ接続される。また、バイポーラ駆動素子232a、232b、232c、232dは、その励磁相出力が、バイポーラ型ステッピングモータ230a、230b、230c、230dそれぞれにおける2相(A相、B相)の励磁相に接続され、バイポーラ型ステッピングモータ230a、230b、230c、230dを駆動制御する。したがって、ここでは、バイポーラ駆動素子232a、232b、232c、232dそれぞれに対して、バイポーラ型ステッピングモータ230a、230b、230c、230dが1つずつ対応することとなる。
ただし、バイポーラ駆動素子232では、バイポーラ型ステッピングモータ230の特性上、順方向電流または逆方向電流のいずれかが出力されてしまうため、励磁相出力(AO、BO)からの励磁出力を許可するイネーブル端子(E)が存在する。かかるイネーブル端子には、励磁相入力(AI、BI)が有効な信号であることを示すイネーブル信号が入力されなければならない。かかるイネーブル信号が有効に入力されていない場合、励磁相入力に拘わらず、励磁相出力が全て無効(例えばLow)となる。したがって、イネーブル信号は、遊技機100の電源投入時や、バイポーラ型ステッピングモータ230a、230b、230c、230dの停止時に、励磁相出力を無効にして、励磁開放するために用いられる。
しかし、イネーブル信号を生成するために、新たにパラレル信号の一部を割り当てると、その分、パラレル信号を追加する必要が生じ、回路規模が大きくなるのみならず、コントローラ342においては、イネーブル信号を生成する処理を新たに追加しなくてはならなくなる。また、ユニポーラ駆動素子222の出力ポートは、2の累乗、例えば、4ビットや8ビットで構成されることが多く、1のユニポーラ型ステッピングモータ220を動作させるための4ビットのパラレル信号に、イネーブル信号を1ビットだけ追加すると、合計が5ビットとなり、信号の規則性を保てなくなる。仮に、信号の規則性を優先すると、1ビットのために1のユニポーラ駆動素子222が必要となり、ユニポーラ駆動素子222が無駄に増えてしまう。一方、ユニポーラ駆動素子222の増大を抑制しようとすると、信号の規則性が犠牲になる。
そこで、本実施形態では、イネーブル信号を、ユニポーラ駆動素子222の出力ポートに割り当てることなく、図8のように、ハードウェア(許可回路234a、234b、234c、234d)で生成する。
図9は、許可回路234の具体的な回路構成を説明するための説明図であり、図10は、許可回路234の出力タイミングを説明するための説明図である。
図9で示したように、許可回路234は、3つの論理和素子L1、L2、L3で構成される。論理和素子L1は、ユニポーラ駆動素子222の出力ポートQ0のパラレル信号(励磁信号)と出力ポートQ1のパラレル信号(励磁信号)との論理和を演算し、論理和素子L2は、ユニポーラ駆動素子222の出力ポートQ2のパラレル信号(励磁信号)と出力ポートQ3のパラレル信号(励磁信号)との論理和を演算する。そして、論理和素子L3は、論理和素子L1の出力と論理和素子L2の出力との論理和を演算し、バイポーラ駆動素子232のイネーブル端子に出力する。なお、ここでは、2入力の論理和素子を3つ用いているが、4入力の論理和素子があれば、その1の論理和素子で、ユニポーラ駆動素子222の出力ポートQ0、Q1、Q2、Q3のパラレル信号(励磁信号)の論理和を演算し、バイポーラ駆動素子232のイネーブル端子に出力するとしてもよい。
ここでは、対象となるステッピングモータが、ユニポーラ型ステッピングモータ220であるかバイポーラ型ステッピングモータ230であるかに拘わらず、ユニポーラ駆動素子222を通じ、ユニポーラ型ステッピングモータ220を動作させる共通の処理を行っている。したがって、対象となるステッピングモータがユニポーラ型ステッピングモータ220またはバイポーラ型ステッピングモータ230のいずれであっても、また、1相励磁または2相励磁のいずれであっても、図10に示すように、A相、B相、/A相、/B相に相当するユニポーラ駆動素子222の出力ポートQ0、Q1、Q2、Q3の少なくともいずれか1の相が必ずHiとなっている。このように、出力ポートQ0、Q1、Q2、Q3からパラレル信号として励磁信号が出力されると、その論理和であるイネーブル信号は必ず有効(例えばHi)となる。一方、遊技機100の電源投入時や、バイポーラ型ステッピングモータ230の停止時、すなわち、ユニポーラ駆動素子222のパラレル信号に何ら出力されていない間、イネーブル信号は無効(例えばLow)となる。こうして、遊技機100の電源投入時や、バイポーラ型ステッピングモータ230の停止時に、バイポーラ型ステッピングモータ230を励磁開放することができる。
ここでは、ユニポーラ駆動基板350を変更することなく固定的に扱い、ユニポーラ型のステッピングモータを用いるときには、ユニポーラ駆動基板350におけるユニポーラ駆動素子222で直接駆動制御し、バイポーラ型のステッピングモータを用いるときには、バイポーラ変換基板360を追加接続し、バイポーラ変換基板360で駆動制御を行う。かかる構成により、ユニポーラ駆動基板350を共通に利用しつつ、バイポーラ変換基板360の接続有無のみによって、ユニポーラ型のステッピングモータからバイポーラ型のステッピングモータに容易に変更が可能となる。このように、ステッピングモータの変更が容易になると、遊技機100の設計の自由度が高くなる。
また、対象となるステッピングモータが、ユニポーラ型のステッピングモータであるかバイポーラ型のステッピングモータであるかに拘わらず、ユニポーラ型のステッピングモータを動作させる共通の処理によって駆動制御できるので、設計負荷を軽減することができる。また、遊技機100の仕様がユニポーラ型のステッピングモータにしか対応していない場合であっても、ユニポーラ型のステッピングモータを動作させる共通の処理によって、バイポーラ型のステッピングモータを適用することができる。
また、バイポーラ駆動素子232は、バイポーラ型ステッピングモータ230への電流値を追従させるための参照電圧を入力する参照電圧端子(REF)と、参照電圧に対応する電流値を4段階(25%、50%、75%、100%)の比率で制限する2本の制限端子(TRQ1、TRQ2)を有する。図8の例では、参照電圧端子には固定電圧が入力され、制限端子には固定値が入力させている。
しかし、遊技機100においては、その試験時にトルクを制限したり、そもそもトルクを半分しか要さなかったり、バイポーラ型ステッピングモータ230の動作開始時(例えば100%)後の慣性で動作している時にトルクを低減(例えば25%)させたり、バイポーラ型ステッピングモータ230の停止時(例えば100%)より、所定時間後にトルクを低減(例えば25%)させる場合がある。このようなバイポーラ型ステッピングモータ230への電流値を、コントローラ342で制御できると非常に便利である。そこで、本実施形態では、ユニポーラ駆動素子222を、バイポーラ型ステッピングモータ230の電流値の制御に割り当て、その電流値を複数段階に調整する。
図11は、回転役物202aのさらに他の制御態様を説明するための説明図である。ここでは、演出役物装置202としての回転役物202aを、バイポーラ型ステッピングモータ230(図11中、230a、230b)で回動する例を挙げて説明する。なお、副制御基板330は、図8同様、ユニポーラ駆動基板350と接続され、ユニポーラ駆動基板350は、バイポーラ変換基板360に接続され、コントローラ342は、ユニポーラ駆動基板350およびバイポーラ変換基板360を介してバイポーラ型ステッピングモータ230a、230bを回転制御する。
なお、図11における副制御基板330およびユニポーラ駆動基板350は、図8を用いて説明したものと実質的に機能が等しいので、その詳細な説明を省略し、主として、接続態様が異なるバイポーラ変換基板360について詳述する。
上述したように、コントローラ342のデータ送信部342aは、コマンド等に基づいて出力情報を生成し、出力情報をシリアル化したシリアル信号をユニポーラ駆動素子222aに送信する。ユニポーラ駆動素子222a、222b、222c、222dは、クロック入力端子から入力されるクロック信号に基づき、シリアル入力端子からシリアル信号を受信し、内部のシフトレジスタで保持する。そして、ユニポーラ駆動素子222a、222b、222c、222dは、ラッチ信号に基づいてシフトレジスタに保持された出力情報をビット単位で出力ポート(Q0~Q3)にラッチすることで、出力情報をバイポーラ駆動素子232(図11中、232a、232b)にパラレル出力する。
バイポーラ駆動素子232a、232bは、励磁相入力(AI、BI)から入力されたHi(ハイレベル)とLow(ローレベル)の離散信号を、順方向電流と逆方向電流の離散信号に置換して励磁相出力(AO、BO)から出力する。バイポーラ駆動素子232a、232bは、バイポーラ型ステッピングモータ230a、230bそれぞれにおける2相(A相、B相)の励磁相に接続される。したがって、ここでは、バイポーラ駆動素子232a、232bそれぞれに対して、バイポーラ型ステッピングモータ230a、230bが1つずつ対応することとなる。
また、ここでは、図8~図10を用いて説明したように、許可回路234(図11中、234a、234b)によってイネーブル信号が生成され、バイポーラ駆動素子232a、232bのイネーブル端子に出力される。ただし、図8と異なり、図11の例では、バイポーラ駆動素子232a、232bの参照電圧端子および制限端子を用いて電流値を制御している。例えば、ユニポーラ駆動素子222a、222cとは別に、ユニポーラ駆動素子222b、222dの出力ポート(Q0~Q3)を、参照電圧端子および制限端子への信号を制御するパラレル信号として割り当てる。そして、コントローラ342は、出力情報中に、バイポーラ型ステッピングモータ230a、230bへの電流値を段階的に調整する4ビットの信号を含める。また、ここでは、参照電圧端子に入力する参照電圧を段階的に変化させる調整回路236(図11中、236a、236b)を設けている。以下、参照電圧端子と制限端子をその順に説明する。
図12は、調整回路236aの具体的な回路構成を説明するための説明図であり、図13は、参照電圧端子に入力される電圧を示した説明図である。図12で示したように、調整回路236aは、例えば、3つのトランジスタT1、T2、T3と、6つの抵抗R1、R2、R3、R4、R5、R6とを含んで構成される。ここでは、まず、ユニポーラ駆動素子222bの出力ポートQ2のパラレル信号と出力ポートQ3のパラレル信号を用いて、参照電圧の電圧値を4段階調整する。具体的に、出力ポートQ2のパラレル信号はトランジスタT1により反転され、抵抗R1とトランジスタT2により、さらにその信号が反転される。したがって、出力ポートQ2がHiのとき、トランジスタT2はONとなり、出力ポートQ2がLowのとき、トランジスタT2はOFFとなる。そうすると、参照電圧端子に入力される電圧を抵抗分割する電源側の抵抗は、出力ポートQ2がHiのとき、抵抗R2と抵抗R3との合成抵抗となり、出力ポートQ2がLowのとき、抵抗R3のみとなる。また、出力ポートQ3のパラレル信号は抵抗R4とトランジスタT3により、そのまま信号が伝達される。したがって、出力ポートQ3がHiのとき、トランジスタT3はONとなり、出力ポートQ3がLowのとき、トランジスタT3はOFFとなる。そうすると、参照電圧端子に入力される電圧を抵抗分割するGND側の抵抗は、出力ポートQ3がHiのとき、抵抗R5と抵抗R6との合成抵抗となり、出力ポートQ3がLowのとき、抵抗R6のみとなる。
したがって、図13のように、出力ポート(Q2、Q3)に応じて、抵抗分割する電源側の抵抗と、GND側の抵抗が変わり、それに伴い抵抗分割された電圧値が変化する。例えば、R2=15.0kΩ、R3=3.0kΩ、R5=3.0kΩ、R6=1.1kΩとすると、出力ポート(Q2、Q3)に応じて、電圧値は、図13のように、電源電圧値が例えば3.3Vの場合、その21%、24%、27%、31%と変化する。こうして、ユニポーラ駆動素子222b、222dの出力ポート(Q2、Q3)により、調整回路236を介して、参照電圧端子の電圧、すなわち、バイポーラ型ステッピングモータ230の電流値を調整することが可能となる。なお、ここでは、R2=15.0kΩ、R3=3.0kΩ、R5=3.0kΩ、R6=1.1kΩとする例を挙げて説明したが、参照電圧の設定に従って、R2、R3、R5、R6の抵抗値を任意に決定してもよいのは言うまでもない。
また、ユニポーラ駆動素子222bの出力ポートQ0のパラレル信号と出力ポートQ1のパラレル信号をバイポーラ駆動素子232aの制限端子に入力する。制限端子は、2ビットの制限状態が定義されており、その2ビットの入力(00b、01b、10b、11b)に応じて、参照電圧に対応する電流値を4段階(25%、50%、75%、100%)の比率で制限する。したがって、出力ポート(Q2、Q3)に応じて、参照電圧端子により調整された電流値を、さらに、4段階の比率で制限することができる。すなわち、参照電圧端子により4段階、制限端子により4段階調整できるので、合わせて、16段階の調整が可能となる。こうして、ユニポーラ駆動素子222b、222dの出力ポート(Q2、Q3)により、バイポーラ型ステッピングモータ230の電流値を高い分解能で調整することが可能となる。
ここでは、ユニポーラ駆動基板350を変更することなく固定的に扱い、ユニポーラ型のステッピングモータを用いるときには、ユニポーラ駆動基板350におけるユニポーラ駆動素子222で直接駆動制御し、バイポーラ型のステッピングモータを用いるときには、バイポーラ変換基板360を追加接続し、バイポーラ変換基板360で駆動制御を行う。かかる構成により、ユニポーラ駆動基板350を共通に利用しつつ、バイポーラ変換基板360の接続有無のみによって、ユニポーラ型のステッピングモータからバイポーラ型のステッピングモータに容易に変更が可能となる。このように、ステッピングモータの変更が容易になると、遊技機100の設計の自由度が高くなる。
また、対象となるステッピングモータが、ユニポーラ型のステッピングモータであるかバイポーラ型のステッピングモータであるかに拘わらず、ユニポーラ型のステッピングモータを動作させる共通の処理によって駆動制御できるので、設計負荷を軽減することができる。また、遊技機100の仕様がユニポーラ型のステッピングモータにしか対応していない場合であっても、ユニポーラ型のステッピングモータを動作させる共通の処理によって、バイポーラ型のステッピングモータを適用することができる。
また、ユニポーラ駆動素子222を2つ利用してバイポーラ駆動素子232を1つ動作させているので、同一のユニポーラ駆動基板350を用いる場合、制御可能なステッピングモータの数は減るものの、バイポーラ駆動素子232の機能を利用し、ステッピングモータの電流値を高い分解能で制御することが可能となる。こうして、遊技機100の試験時にトルクを制限することが可能となる。したがって、試験時に、別途専用の基板等を準備する必要がなく、量産出荷状態のままで検査を進めることができる。また、バイポーラ型ステッピングモータ230の電流値(トルク)を制御することで、バイポーラ型ステッピングモータ230の消費電力や発熱を低減することが可能となる。
なお、ここでは、バイポーラ駆動素子232に備わっている参照電圧端子および制限端子を、ユニポーラ駆動基板350に予め配されたユニポーラ駆動素子222を用いて制御できるので、新たに別途の制御回路を設計することなく、簡易なソフトウェアの修正のみで対応することができる。
また、ここでは、ユニポーラ駆動素子222の出力ポートを、参照電圧端子のために2ビット割り当て、制限端子のために2ビット割り当て、参照電圧端子4段階×制限端子4段階で、合わせて、16段階の調整を可能とした。しかし、制限端子を用いなくとも、ユニポーラ駆動素子222の出力ポートを、参照電圧端子に4ビット割り当て、電圧を16段階変化させることでも、電流値を16段階で調整できる。
また、ここでは、1の許可回路234を1のバイポーラ駆動素子232に割り当てる例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、1の許可回路234を複数のバイポーラ駆動素子232に割り当て、複数のバイポーラ駆動素子232を、1の許可回路234で統括的に制御するとしてもよい。かかる構成により、許可回路234の数を削減できるので、その分、バイポーラ駆動素子232を多く配することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態においては、遊技機として、大当たり図柄を含む複数種類の図柄の中からいずれかを決定する図柄決定手段と、図柄が決定されてから所定の変動時間が経過すると、図柄表示部に図柄を表示させる図柄表示手段と、図柄表示部に大当たり図柄が表示されると、複数回のラウンド遊技で構成される大役遊技を実行する大役遊技実行手段と、大役遊技におけるラウンド遊技のうち予め設定された特定ラウンド遊技中に、大入賞口に入球した遊技球が特定領域に進入すると、所定の遊技利益を付与する遊技利益付与手段と、大役遊技中の演出を実行する演出実行手段と、を備えるパチンコ機を例示した。しかし、かかる場合に限らず、スタートスイッチの操作に基づき、複数種類の当選役のいずれかを当選役抽選により決定する当選役抽選手段と、スタートスイッチの操作に応じて、複数種類の図柄がそれぞれ配列された複数の回転リールを回転制御し、回転している回転リールに対応するストップスイッチの操作に応じ、当選役抽選手段の抽選結果に基づいて、操作されたストップスイッチに対応する回転リールをそれぞれ停止制御するリール制御手段と、複数種類の演出のいずれかを実行する演出制御手段と、を備えるスロットマシンにも適用できる。以下、スロットマシン600について詳述する。
(スロットマシン600の機械的構成)
図14および図15の外観図に示すように、スロットマシン600は、略矩形状の箱体である筐体602と、筐体602の前面開口部に対して回動可能な連結部材により開閉可能に取り付けられた前面上扉604と、前面上扉604の下方に位置し、前面上扉604同様、筐体602の前面開口部に対して開閉可能に取り付けられた前面下扉606と、前面下扉606の下部に位置し、メダル排出口608aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部608とを備えている。
前面下扉606の上部には操作部設置台622が形成され、操作部設置台622には、メダル投入部624、ベットスイッチ626、スタートスイッチ628、ストップスイッチ630、演出スイッチ632等が配設されている。
操作部設置台622の右側に位置するメダル投入部624は、メダル投入口624aを通じて遊技媒体としてのメダルの投入を受け付け、前面下扉606の背面に設けられたメダルセレクタ(図示せず)にメダルを送る。メダルセレクタには、メダルの投入が可能な投入期間外に投入されたメダルや規格外のメダルをメダル排出口608aに導くブロッカー(図示せず)と、投入期間内に投入された規格内のメダルの通過を検出する投入メダル検出部624bとが設けられている。ここで、メダル排出口608aに導かれたメダルは受け皿部608に排出される。遊技者により、1遊技を開始するために必要なメダルの投入数である規定投入数を超えてメダルが投入されると、その規定投入数を超えた分のメダルが、所定枚数(例えば50枚)を上限としてスロットマシン600の内部に電気的に貯留(以下、単にクレジットという)される。上記1遊技については後程詳述する。
また、ここでは、規定投入数は「3」または「2」に設定されている。なお、1遊技を実行するために必要なメダル数を、複数の規定投入数から任意に選択できる場合、その複数の規定投入数の中の最大のものを最大規定投入数といい、最小のものを最小規定投入数という。仮に、規定投入数が1~3の間で選択可能な場合、最大規定投入数は「3」となり、最小規定投入数は「1」となる。
ベットスイッチ626は、クレジットされているメダルのうち規定投入数のメダルを投入(ベット)する、押圧式のボタンスイッチである。規定投入数以上のメダルがクレジットされている状態で、ベットスイッチ626を押圧すると、1遊技が開始可能となるとともに、クレジットされているメダルが規定投入数分だけ減枚される。
操作部設置台622の左側に位置するスタートスイッチ628は、傾倒操作を検出可能なレバーで構成され、遊技者による1遊技の開始操作を検出する。また、スタートスイッチ628は、押圧操作を検出可能なボタンスイッチによって構成することも可能である。
前面上扉604の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓636が設けられ、筐体602内の図柄表示窓636に対応した位置には、リールユニット634が設けられている。リールユニット634には、図16のリールの図柄配列に示すように、21に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列された3つの回転リール(左リール634a、中リール634b、右リール634c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられ、遊技者は、図柄表示窓636を通じて、左リール634a、中リール634b、右リール634cを視認することができる。リールユニット634は、スタートスイッチ628の操作を契機として、左リール634a、中リール634b、右リール634cの回転を開始する。
操作部設置台622の中央に位置するストップスイッチ630は、左リール634a、中リール634b、右リール634cそれぞれに対応して設けられた、遊技者の押圧操作を検出可能なボタンスイッチであり、左リール634a、中リール634b、右リール634cそれぞれを停止させようとする遊技者の停止操作を検出する。なお、ストップスイッチ630に係る3つのボタンスイッチを特にストップボタンスイッチとよび、その位置に応じて左から順にストップボタンスイッチ630a、ストップボタンスイッチ630b、ストップボタンスイッチ630cとする。
演出スイッチ632は、押圧式のボタンスイッチと、その周囲に回転自在に配されたジョグダイヤルスイッチとから構成され、遊技者の押圧操作や回転操作を検出する。かかる演出スイッチ632は、主として演出中に用いられ、遊技者の操作によって演出態様を異ならせることができる。
前面上扉604の上部略中央には、演出に伴う様々な映像を表示する液晶表示部638が設けられている。また、前面上扉604の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ642が設けられる。また、図柄表示窓636と操作部設置台622との間には、駆動装置からなる演出役物装置660が設けられている。
また、図15に示すように、前面上扉604の裏面における液晶表示部638の左右位置や前面下扉606の裏面における内面左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ640が設けられている。さらに、筐体602内におけるリールユニット634の下方には、メダル排出口608aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)764が設けられている。メダル払出装置764は、メダルを貯留するメダル貯留部764aと、メダル貯留部764aに貯留されたメダルをメダル排出口608aから排出するための払出制御部764bと、メダル排出口608aから排出されるメダルを検出する払出メダル検出部764cとを備えている。具体的に払出制御部764bは、当該払出制御部764bの本体外装に回動可能に支持され、メダル貯留部764aから落下したメダルが上方より1枚ずつ嵌入するメダル嵌入孔を円周方向に複数配してなるディスク(図示せず)と、かかるディスクを回転するディスクモータ(図示せず)とを備え、このディスクを回転させて、メダル嵌入孔に嵌入したメダルを、押出機構を通じて1枚ずつ外部に排出するとともに、排出により空いたメダル嵌入孔に次のメダルを順次嵌入させることで、メダルを1枚ずつ連続排出する。
また、図14や図15では図示していないが、各回転リール634a、634b、634cの内側には、左リール634a、中リール634b、右リール634cそれぞれに施された図柄のうち、図柄表示窓636に対応する(払い出しの対象となるラインである有効ラインの対象となり得る)各回転リール634a、634b、634cの上段、中段、下段の図柄を背面から個々に独立して照射するリールバックライト644(図17参照)が設けられている。また、図柄表示窓636の裏面上部にも左リール634a、中リール634b、右リール634c全ての正面を直接照射するリール上方ライト646が設けられている。
また、図14に示すように、操作部設置台622において、図柄表示窓636とストップスイッチ630との間に設けられた段部622aの略水平面には、メインクレジット表示部652およびメイン払出表示部654が設けられている。また、図柄表示窓636と操作部設置台622との間には、サブクレジット表示部656およびサブ払出表示部658が設けられている。これらメインクレジット表示部652およびサブクレジット表示部656にはクレジット枚数が表示され、メイン払出表示部654およびサブ払出表示部658にはメダルの払出枚数が表示される。なお、サブクレジット表示部656およびサブ払出表示部658には、演出に伴う様々な数値を表示することもできる。
また、筐体602内の任意の位置には、電源スイッチ648が設けられている。電源スイッチ648は、ロッカースイッチ等、押圧操作を検出可能なスイッチで構成され、当該スロットマシン600を管理する管理者側が操作し、電源の切断状態と電源の投入状態の2つの状態を切り換えるために用いられる。
なお、本実施形態において、上記1遊技は、メダル投入部624を通じたメダルの投入、ベットスイッチ626の操作を通じたクレジットされているメダルの投入、または、リプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づくメダルの自動投入のいずれかが行われてから、遊技者によるスタートスイッチ628の操作に応じて、複数の回転リール634a、634b、634cが回転制御されるとともに当選役抽選が実行され、当選役抽選の抽選結果および遊技者による複数のストップボタンスイッチ630a、630b、630cの操作に応じて、操作されたストップボタンスイッチ630a、630b、630cに対応する回転リール634a、634b、634cがそれぞれ停止制御され、メダルの払い出しを受け得る当選役に入賞した場合、そのメダルの払い出しが実行されるまでの遊技をいう。また、メダルの払い出しを受け得る当選役に非当選であった場合または当選したが入賞しなかった場合、回転リール634a、634b、634cが全て停止したことをもって1遊技が終了する。ただし、1遊技の開始を、上記のメダルの投入、または、リプレイ役の当選の代わりに、遊技者によるスタートスイッチ628の操作と読み替えてもよい。また、かかる1遊技が繰り返される数を遊技数とする。
(スロットマシン600の電気的構成)
図17は、スロットマシン600の概略的な電気的構成を示したブロック図である。図17に示すように、スロットマシン600は、主として、制御基板によって制御されている。ここでは、制御基板の一例として、制御基板の機能を分担した、主制御基板700と、副制御基板702とを挙げて説明する。例えば、遊技の進行に関わるプログラムのうち、遊技に供する当選役の抽選やその入賞といったような、特に重要な処理を主制御基板700で実行し、それ以外の例えば演出に関する処理を副制御基板702で実行している。また、図17に示したように、主制御基板700と副制御基板702との間の電気的な信号の伝達は、不正防止等の観点から、主制御基板700から副制御基板702への一方向のみに制限される。ただし、このような制限がなければ、電気的に双方向通信も技術的に可能である。
(主制御基板700)
主制御基板700は、中央処理装置であるメインCPU700a、プログラム等が格納されたメインROM700b、ワークエリアとして機能するメインRAM700c等を含む各種半導体集積回路を有し、スロットマシン600全体を統括的に制御する。ただし、メインRAM700cには不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、設定変更が行われてメインRAM700cの初期化処理を実行しない限り、データが消去されることなく保持される。
また、主制御基板700は、メインCPU700aが、メインROM700bに格納されたプログラムに基づきメインRAM700cと協働することで機能する、初期化手段800、ベット手段802、当選役抽選手段804、リール制御手段806、判定手段808、払出制御手段810、状態移行手段812、コマンド決定手段814、コマンド送信手段816等の機能部を有する。
初期化手段800は、主制御基板700における初期化処理を実行する。ベット手段802は、遊技に使用するためのメダルをベットする。ここで、ベットは、ベットスイッチ626の操作を通じてクレジットされているメダルを投入する場合と、メダル投入部624を通じてメダルを投入する場合と、リプレイ役が有効ライン上に表示されたことに基づいてメダルを自動投入する場合のいずれも含む。当選役抽選手段804は、メダルのベットおよびスタートスイッチ628の操作に基づき、小役、リプレイ役、および、ボーナス役を含む複数種類の当選役、ならびに、ハズレのうちいずれかを当選役抽選により決定する。
リール制御手段806は、スタートスイッチ628の操作に応じて、複数の回転リール634a、634b、634cを回転制御し、回転している回転リール634a、634b、634cにそれぞれ対応した複数のストップボタンスイッチ630a、630b、630cの操作に応じ、操作されたストップボタンスイッチ630a、630b、630cに対応する回転リール634a、634b、634cをそれぞれ停止制御する。また、リール制御手段806は、スタートスイッチ628の操作に応じて、前回の遊技においてストップスイッチ630の操作を有効化してから、当選役抽選の抽選結果を表示するために遊技者によるストップスイッチ630の操作を有効化するまで(前回の遊技におけるストップスイッチ630の操作完了により無効化されている)の時間を規定の時間より延長し、その間、回転リール634a、634b、634cを多彩な態様で回転させるリール演出(フリーズ演出)を行う場合がある。リール演出は、本来有効となるべき任意のスイッチを所定時間有効にしなかったり、本来実行されるべき処理を所定時間保留したり、本来送受信されるべき任意のスイッチの信号を所定時間送信または受信させなかったりすることで実現できる。
判定手段808は、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否か判定する。ここで、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることを単に入賞という場合がある。払出制御手段810は、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたこと(入賞されたこと)に基づいて、当該当選役に対応する数だけメダルを払い出す。状態移行手段812は、ボーナス役の当選や入賞に基づいて遊技状態を遷移させる。
コマンド決定手段814は、ベット手段802、当選役抽選手段804、リール制御手段806、判定手段808、払出制御手段810、状態移行手段812等の動作に伴う、遊技に関するコマンドを順次決定する。コマンド送信手段816は、コマンド決定手段814が決定したコマンドを副制御基板702に順次送信する。
主制御基板700では、投入メダル検出部624b、ベットスイッチ626、スタートスイッチ628およびストップスイッチ630から各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、ベット手段802、当選役抽選手段804、リール制御手段806、判定手段808が上述した種々の処理を実行する。また、主制御基板700には、メインクレジット表示部652およびメイン払出表示部654が接続されており、払出制御手段810が両表示部652、654に対してメダルのクレジット枚数や払出枚数の表示を制御する。
また、主制御基板700には、リール駆動制御部758が接続されている。このリール駆動制御部758は、スタートスイッチ628の操作信号に応じ、リール制御手段806から送信される各回転リール634a、634b、634cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ762を駆動するとともに、ストップスイッチ630の操作信号に応じ、リール制御手段806から送信される、左リール634a、中リール634b、右リール634cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路760の検出信号に基づいて、ステッピングモータ762の駆動を停止する。
また、主制御基板700には、メダル払出装置764が接続されている。主制御基板700には払出メダル検出部764cの検出信号が入力されるようになっており、払出制御手段810は、その検出信号に応じてメダルの払出枚数を計数しながら払出制御部764bからのメダルの排出を制御する。
また、主制御基板700には、乱数発生器700dが設けられる。乱数発生器700dは、計数値を順次インクリメントし、所定の総数(例えば65536)内でループさせ(0~65535)、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を生成(取得)する。主制御基板700の乱数発生器700dによって生成される乱数(以下、当選役抽選乱数という)は、遊技者に付与する遊技利益、例えば、当選役抽選手段804が当選役抽選を実行するために用いられる。
(副制御基板702)
また、副制御基板702は、主制御基板700と同様に、中央処理装置であるサブCPU702a、プログラム等が格納されたサブROM702b、ワークエリアとして機能するサブRAM702c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板700からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM702cにもメインRAM700c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板702にも、主制御基板700同様、乱数発生器702dが設けられており、乱数発生器702dによって生成される乱数(以下、演出抽選乱数という)は、主に演出の態様を決定するために用いられる。
また、副制御基板702は、サブCPU702aが、サブROM702bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM702cと協働することで機能する、初期化決定手段830、コマンド受信手段832、演出制御手段834等の機能部を有する。
初期化決定手段830は、副制御基板702における初期化処理を実行する。コマンド受信手段832は、主制御基板700等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。演出制御手段834は、演出スイッチ632から検出信号を受信するとともに、当選役コマンドに基づいて液晶表示部638、スピーカ640、演出用ランプ642の各デバイスで行われる遊技の演出を決定する。具体的に、演出制御手段834は、液晶表示部638に表示される画像データや、演出用ランプ642、リールバックライト644、リール上方ライト646、サブクレジット表示部656、サブ払出表示部658等の電飾機器を通じた演出のための電飾データを決定するとともに、スピーカ640から出力すべき音声を構成する音声データを決定する。そして、演出制御手段834は、決定した遊技の演出を実行する。
演出は、上述したリール演出のような主制御基板700によって実行される演出と、副制御基板702によって実行される演出がある。副制御基板702によって実行される演出は、遊技の進行に伴い、液晶表示部638、スピーカ640、演出用ランプ642、リールバックライト644、リール上方ライト646、サブクレジット表示部656、サブ払出表示部658等を通じて提供される視覚的および聴覚的な表現手段であり、当該遊技にストーリー性を与えたり、当選役抽選の結果をよりダイナミックな画像で示唆したりすることができる。このような演出では、例えば、ボーナス遊技の当選を示唆する演出を複数遊技に亘って行い、遊技者の期待感を高めることができる。また、たとえ、いずれの当選役にも当選していなかったとしても、恰も当選しているかのような演出を通じて遊技者に高配当の期待感を持たせ、遊技者を飽きさせないようにすることが可能となる。
なお、スロットマシン600においては、演出役物装置660が、上述した演出役物装置202として機能し、サブCPU702aが上述したサブCPU330aとして機能する。