JP2019012695A - X線ソース - Google Patents

X線ソース Download PDF

Info

Publication number
JP2019012695A
JP2019012695A JP2018179789A JP2018179789A JP2019012695A JP 2019012695 A JP2019012695 A JP 2019012695A JP 2018179789 A JP2018179789 A JP 2018179789A JP 2018179789 A JP2018179789 A JP 2018179789A JP 2019012695 A JP2019012695 A JP 2019012695A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ray
target
substrate
ray source
source according
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018179789A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6659025B2 (ja
Inventor
ユン、ウェンビン
Wenbing Yun
ジア ユン ルイス、シルヴィア
Jia Yun Lewis Sylvia
ジア ユン ルイス、シルヴィア
キーズ、ジャノス
Kirz Janos
フランシス リヨン、アラン
Francis Lyon Alan
フランシス リヨン、アラン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sigray Inc
Original Assignee
Sigray Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US14/465,816 external-priority patent/US20150092924A1/en
Priority claimed from US14/490,672 external-priority patent/US9390881B2/en
Application filed by Sigray Inc filed Critical Sigray Inc
Publication of JP2019012695A publication Critical patent/JP2019012695A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6659025B2 publication Critical patent/JP6659025B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J35/00X-ray tubes
    • H01J35/02Details
    • H01J35/04Electrodes ; Mutual position thereof; Constructional adaptations therefor
    • H01J35/08Anodes; Anti cathodes
    • H01J35/10Rotary anodes; Arrangements for rotating anodes; Cooling rotary anodes
    • H01J35/105Cooling of rotating anodes, e.g. heat emitting layers or structures
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2235/00X-ray tubes
    • H01J2235/08Targets (anodes) and X-ray converters
    • H01J2235/083Bonding or fixing with the support or substrate
    • H01J2235/084Target-substrate interlayers or structures, e.g. to control or prevent diffusion or improve adhesion
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2235/00X-ray tubes
    • H01J2235/08Targets (anodes) and X-ray converters
    • H01J2235/086Target geometry

Abstract

【課題】高輝度X線発生用の小型ソースを提供する。【解決手段】より高い輝度は、X線888の直線累積を実現すべく、互いに位置合わせされた複数の領域の電子ビーム衝撃によって実現される。これは、高熱伝導率の基板1000と密接に熱的接触をさせて製造された、X線発生材料の複数の微細構造700を有するX線ターゲット1100を用いることによって、実現される。これにより、熱がより効率的にX線発生材料から排除されることが可能になり、次により高い電子密度、及び/又は、より高いエネルギー電子111によるX線発生材料の衝撃が可能になるので、より大きなX線輝度をもたらす。複数の微細構造700の配置は、軸上収束角の使用を可能にし、「角度0°」のX線放出としても知られているが、単一の発生源を有するように見えるべく位置合わせされた複数の微細構造700からのX線888の累積を可能にする。【選択図】図7

Description

[関連出願の相互参照]
本特許出願は、米国仮特許出願第61/880,151号(出願日:2013年9月19日)、同第61/894,073号(出願日:2013年10月22日)、同第61/931,519号(出願日:2014年1月24日)、同第62/008,856号(出願日:2014年6月6日)、及び同第14/490,672号(出願日:2014年9月19日)の優先権及び利益を主張し、これらすべては、これら全体を参照によって本明細書に組み込まれたものとする。本願は、米国特許出願第14/465,816号(出願日:2014年8月21日)にも関連しており、これは、これによりその全体を参照によって組み込まれたものとし、また付録Aとして部分的に含まれる。
本明細書に開示された複数の実施形態は、X線の高輝度ソースに関する。そのような高輝度ソースは、製造検査、計測学、結晶学、構造/組成解析、及び医療用の画像処理/診断システムを含む、X線が使用される様々な用途に有用であり得る。
1895年のレントゲンによるX線の最初の発見[W.C.Rontgen著、『Eine Neue Art von Strahlen』(Wiirzburg Verlag、1895年);『On a New Kind of Rays』、Nature、53巻、274−276ページ(1896年1月23日)]は、レントゲンが真空管内でターゲットの電子衝撃を実験していた時に、偶然生まれた。これらの高エネルギーで短波長の光子は、現在では、医学的応用及び診断的評価、並びにセキュリティ検査、工業検査、品質管理、及び故障解析、さらに結晶学、トモグラフィ、X線蛍光分析、及び同様のものなど科学的応用に、日常的に使用されている。
実験用のX線ソースは、その後、クーリッジによって20世紀初頭に改善され[例えば、William D. Coolidgeによる米国特許第1,211,092号(発行日:1917年1月2日)、同第1,917,099号(発行日:1933年7月4日)、及び同第1,946,312号(発行日:1934年2月6日)を参照]、その後、20世紀後半に、シンクロトロンや自由電子レーザ(FEL)を用いて非常に強いX線ビームを発生させるシステムが開発された。しかしながら、これらのシンクロトロンやFELのシステムは、物理的に非常に大型のシステムであり、これらの設置には、大きな建物や広い土地を必要とした。小型で実用的な実験室ベースのシステム及び器械では、大部分のX線ソースは、クーリッジ管の基本的機構を現在でも使用している。
最も単純なX線ソースである透過X線ソース08の一例が図1に例示されている。ソースは、一般に密閉真空管02又は常時排気することによって提供される真空環境(典型的には10−6Torr、又はそれより高真空)を備え、管の外側にある高電圧源10の負極及び正極から、真空管02内部の様々な要素に通じる密封導線21及び22で製造されている。ソース08は、典型的には、ハウジング05内の真空管02を固定する複数のマウント03を備え、ハウジング05は、X線がソース08によって不要な方向に放出されるのを防止すべく、鉛などのシールド材を付加的に備え得る。
真空管02の内部では、導線21を通じて高電圧源10に接続された放出器11がカソードとして働き、多くの場合、フィラメントに電流を流すことによって、電子111のビームを発生させる。ターゲット01は、低電圧である反対側の高電圧導線22に電気的に接続され、これによりアノードとして働く。放出された電子111はターゲット01に向かって加速し、加速電圧の大きさによって決定される電子エネルギーを有する高エネルギーでターゲット01と衝突する。固体ターゲット01への電子111の衝突は、X線888の放出を含む複数の効果を引き起こす。X線888の一部は、X線を通すよう設計されたウィンドウ04を通って真空管02から出て行く。図1に示された構成において、ターゲット01はウィンドウ04上に堆積されるか、又は直接取り付けられ、ウィンドウ04は真空チャンバの壁の一部を形成する。他の従来技術による複数の実施形態において、ターゲットは、ウィンドウ04自体の不可欠な部分として形成され得る。
一般的なX線ソース設計の別の実施例は、反射X線ソース80であり、図2に例示されている。やはり、ソースは、一般に密閉真空管20又は常時排気することによって維持される真空環境(典型的には10−6Torr、又はそれより高真空)を備え、管の外側にある高電圧源10の負極及び正極から、真空管20内部の様々な要素に通じる密封導線21及び22で製造されている。ソース80は、典型的には、ハウジング50内の真空管20を固定する複数のマウント30を備え、ハウジング50は、X線がソース80によって不要な方向に放出されるのを防止すべく、鉛などのシールド材を付加的に備え得る。
真空管20の内部では、導線21を通じて高電圧源10に接続された放出器11がカソードとして働き、多くの場合、フィラメントに電流を流すことによって、電子111のビームを発生させる。ターゲット基板110に支えられたターゲット100は、低電圧である反対側の高電圧導線22及びターゲット支持部32に電気的に接続され、これによりアノードとして働く。電子111はターゲット100に向かって加速し、加速電圧の大きさによって決定される電子エネルギーを有する高エネルギーでターゲット100と衝突する。ターゲット100への電子111の衝突は、X線の放出を含む複数の効果を引き起こす。X線の一部は真空管20から出て、X線に対して透過的であるウィンドウ40を通過する。
反射X線ソースの別の従来技術による一実施形態において(図2には図示せず)、ターゲット100及び基板110は、一体化され得るか、又は銅(Cu)など同じ材料の固体ブロックを構成し得る。図1及び図2にも示されないが、実際には一般に使用されるように、複数の電子レンズ(静電レンズ又は電磁レンズ)が設けられ、電子の経路を誘導し、また形作って、より集中した収束ビームをターゲットに形成し得る。同様に、複数の放出器を備える電子ソースが提供され、より大きな電子の分散ソースを提供し得る。
電子がターゲット100と衝突するとき、電子は複数の態様で相互作用し得る。これらは図3に例示されている。電子ビーム111の中の電子は、ターゲット100と、その表面102において衝突し、表面を通過する電子は、これらのエネルギーを、入射電子ビームのフットプリント(面積)に電子侵入深さを乗じることによって概して画定される相互作用体積200内のターゲット100に伝達する。非常に小さいサイズの入射電子ビーム(例えば、ビーム径が100nm未満)では、相互作用体積200は、典型的には3次元において「洋ナシ」の形又は「涙」の形であり、電子伝搬方向を中心に対称形を成す。より大きいビームでは、相互作用体積は、横方向のビーム強度プロファイルを用い、この「涙」形状のコンボリューションによって表される。
材料への電子の侵入深さを推定するのに一般に使用される方程式は、ポットの法則(Pott's Law)[P.J. Potts著、1987年、Springer Netherlands刊、『A Handbook of Silicate Rock Analysis』、第10章「Electron Probe Microanalysis」、336ページ]であり、それによると、ミクロン単位の侵入深さxは、keV単位の電子エネルギーEを3/2乗して、材料密度で割った値の10%に関連付けられていることが述べられている。
ダイヤモンド基板など、より密度が低い材料に対して、侵入深さは、X線発生に使用される大部分の元素など、より高密度の材料に対するよりはるかに大きくなる。
生じ得る複数のエネルギー伝達機構が存在する。相互作用体積200の全体にわたって、電子エネルギーは単に熱に変換され得る。吸収されたエネルギーの一部は、典型的には、表面近くに位置する領域221から検出される二次電子の発生を生じさせ得るが、その一方で、電子の中には後方散乱されるものもあり得て、これは、これらの高エネルギーに起因して、幾分大きい領域231から検出され得る。
表面近くの領域221及び231を含み、ターゲット100の中へ約3倍深く延びている相互作用体積200の全体にわたって、X線888は発生し、外側に向かってあらゆる方向に放出される。X線放出は、複雑なエネルギースペクトルを有し得る。電子は材料に侵入すると、減速してエネルギーを失う。従って、相互作用体積200の異なる複数の部分で、異なる特性を有する複数のX線が生成される。100keVの電子がタングステンターゲットと衝突した際に放出される、典型的なX線放出スペクトルが図4に例示されている。
図4に示されるように、広範なスペクトルのX線放出388が、最初の軌道から進路を変えた電子から生じるが、それは、その電子が様々な核及び他の電子のどれだけ近くを通るかに依存する。方向の変化と関連付けられた電子エネルギーの減少及び運動量変化は、X線の放出を発生させる。広範囲の偏向及び減速が生じ得るので、ターゲット材料の原子との電子衝突の近似統計値に起因して、エネルギーの変化は連続的であり、従って、発生したX線のエネルギーも連続的である。より大量の放出はエネルギースペクトルの低エネルギー側で生じ、高エネルギー側で生じる放出は、はるかに少なく、元の電子エネルギー(この例では、100keV)より大きいエネルギーのX線が存在しない絶対限界に達する。電子の減速の語源に起因して、この種類の連続X線放出388は、「制動(braking)」に対するドイツ語の単語「bremsen」にならい、一般に制動放出(bremsstrahlung)と呼ばれている。
これらの連続X線888は、図3に相互作用体積200の最大の陰影部288として示される相互作用体積の全体にわたって発生する。より低いエネルギーにおいて、制動放出X線888は、典型的には等方的に、すなわち放出方向に関して強度変化がほとんどない状態で放出される[例えば、D.Gonzales、B.Cavness、S.William著『Angular distribution of thick−target bremsstrahlung produced by electrons with initial energies ranging from 10 to 20 keV incident on Ag』、Phys.Rev.A、84巻、052726(2011年)を参照]。より高いエネルギー励起は、電子ビームに垂直、すなわちターゲット表面に対して90度の入射ビームにとっては「0度」の放出を増加させ得る。[例えば、J.G.Chervenak、A.Liuzzi著、『Experimental thick−target bremsstrahlung spectra from electrons in the range 10 to 30 keV』、Phys.Rev.A、12巻(1)、26−33ページ(1975年7月)を参照]。
図1及び図2に示されるように、X線ソース08又は80は、典型的にはウィンドウ04又は40を有する。このウィンドウ04又は40は、アルミニウムのシート又は層など、低エネルギーX線を減衰させるフィルタを付加的に有し、図4に示された変更エネルギースペクトル488を生成し得る。
電子エネルギーが、ターゲット内の元素の内殻(コアシェル)電子の結合エネルギーより大きいとき、殻から電子の放出(電離)が生じ、空孔を生成し得る。次に、あまり強くなく結合された外殻の電子は、内殻の空孔に自由に遷移することができ、空孔を充填する。充填電子がより低いエネルギー準位に移動するので、余分なエネルギーが、X線光子の形で放出される。この放出は、光子のエネルギーが光子を発生する化学元素の特性を示しているので、「特性」放出として知られている。
図4に示された例では、69.5keVの結合エネルギーを有する、タングステン原子のK殻電子を、100keVの電子が電離させ得る。10.2keVの結合エネルギーを有する、L殻の電子によって空孔が充填される場合、X線光子は、これら2つの準位の間のエネルギー差異に等しいエネルギー、つまりKα1=59.3keVを有する。同様に、M殻からK殻への遷移が、Kβ1=67.2keVとして示されている。複数の分離が様々な準位で生じ、例えば、Kβ1、Kβ2、Kβ3など、エネルギーにわずかな変化を引き起こし得る。
これらの離散した輝線は、ターゲット材料の原子構造に依存するので、放出は概して「特性線」と呼ばれる。それは、「特性線」が特定の材料の特性を示すからである。図4に示されたX線放出スペクトルの例において、鋭い線988は、タングステンの「特性線」である。個々の特性線は非常に明るい可能性があり、単色ソースが所望される場合、適切なフィルタ又は結晶モノクロメータで単色化され得る。制動放射線に対する特性線の相対X線強度(フラックス)比は、元素及び入射電子エネルギーに依存し、実質的に変化し得る。概して、入射電子エネルギーが、内殻電子の電離エネルギーの3倍から5倍のときに、所与のターゲット材料に対する最大比が得られる。
図3に戻ると、これらの特性X線388は主に、相互作用体積200の2番目に大きい陰影部248として示される電子侵入深さのほんの一部で発生する。相対深さは、典型的には深さが増加するとともに低下する電子111のエネルギーによって、ある程度影響を受ける。電子エネルギーがターゲット内の電子の結合エネルギーを超えない場合、特性X線は全く放出されない。特性線の最大放出は、放出される特性X線光子のエネルギーの3倍から5倍を有する電子との衝撃の際に生じ得る。これらの特性X線は、複数の電子殻の間の原子放出によって生じるので、放出は概して完全に等方性になる。この相互作用体積200の実際の大きさは、電子のエネルギー及び入射角、表面トポグラフィ及び他の複数の特性(局所的な電荷密度を含む)、並びにターゲット材料の密度及び原子組成に応じて変化し得る。
用途によっては、広範なスペクトルを有するX線が適切であり得る。他の用途では、単色ソースが、要求される感度又は分解能のために所望され得るか、又は必要にさえなり得る。概して、ターゲット材料の組成は、特定の対象波長での強い特性線、又は所望の帯域幅にわたる制動放射線など、特定の用途に対して理想的な特性を有するX線スペクトルを提供すべく選択される。
ソースのX線放出特性の制御は、電子エネルギーの選択(典型的には、加速電圧を変化させることで変更される)、X線ターゲット材料の選択、及びターゲットからのX線収集の形状によって、制御され得る。
図3に例示されるように、X線は等方的に放出され得るが、図5A〜図5Cに示されるように、ソースのウィンドウ440の方向に向かう、小立体角内のX線放出888だけが収集される。秒当たり、立体角(mrad)当たり、X線ソースの面積(mm)当たりのX線光子の数として定義される(測定法によっては、0.1%の帯域幅ウィンドウを定義に含める場合もある)X線輝度(場合により「明るさ(brilliance)」と呼ばれることもある)は、ダウンストリームアプリケーション用の良好な信号対雑音比を得ることに関連しているので、ソースにとって重要なフィギュアオブメリットである。
輝度は、収集されるX線を最大化すべく、幾何学的因子を調節することによって増加し得る。図5A〜図5Cに例示されるように、反射X線ソースのターゲット100の表面は、(図2にも示されたように)概して角度θで取り付けられ、分散された電子ビーム111による衝撃を受ける。ウィンドウ440を通る放出は、3つのターゲット角度、θ=60°(図5A)、θ=45°(図5B)、及びθ=30°(図5C)に対して、5つの等間隔で並んだ放出スポット408のセットで示されている。高角度θのソースでは、ウィンドウ440を中心とする立体角に対して、5つのスポットはより広がるので、輝度は減少する。一方、低角度θでは、5つのソーススポットはともに近づくように見え、従って同じ立体角内により多くのX線を放出するので、輝度の増加をもたらす。
原理上は、θ=0°で取り付けられたソースは、すべてのソースに、放出されたX線を見掛け上では重ね合わさせ、累積させ得るので、可能な最大輝度を有すると考えられ得る。実際には、0°での放出は、従来のソース用の固体金属ターゲットの表面と平行に生じ、X線は、放出前にターゲット材料の長い距離に沿って伝搬しなければならないので、発生したX線の大部分は、ターゲット材料によって減衰され(再吸収され)、輝度を減少させる。 実際には、約6°から15°(ソース構成、ターゲット材料、及び電子エネルギーに依存する)の取り出し角を有するソースが、実用的な最大輝度を提供することが多く、ソースの見掛けのサイズを凝縮させるとともに、ターゲット材料内の再吸収を減少させ、従って一般に商用X線ソースに使用されている。
有効ソース面積は、X線が使用のために収集される方向に沿って、すなわち、X線ビームの軸に沿って見た投影面積である。限られた電子侵入深さのため、電子侵入深さに匹敵するサイズか、又はそれより大きいサイズを有する入射電子ビームの有効ソース面積は、X線ビームの軸と、ターゲットの表面との間の角度(「取り出し角」と称される)に依存する。電子ビームサイズが電子侵入深さよりはるかに大きいとき、有効ソース面積は取り出し角の減少とともに減少する。この効果は、X線ソースの輝度を増加させるのに使用された。しかしながら、広く平坦なターゲットでは、この利点に限界がある。その理由は、X線が表面に伝搬するにつれて、ターゲット内部のX線発生ポイントからのX線の吸収が増加し、このX線の吸収は取り出し角がより小さくなるとともに増加するからである。典型的には、より低い角度による輝度向上と、再吸収による輝度の減少との間の妥協により、約6°の取り出し角に到達した。
制動放射線用のX線ソースの輝度を増大させる別の方法は、より大きい原子番号Zのターゲット材料を使用することである。その理由は、材料の原子番号がだんだん高くなると、それに対応して制動放射線用のX線発生の効率が高くなるからである。さらに、X線放出材料は、ソースにかかるより高い電子パワーがX線発生を増加させることを可能にすべく、高融点及び高熱伝導率など、理想的には良好な熱特性を有するべきである。これらの理由のため、ターゲットは、原子番号Zが74のタングステンを用いて製造されることが多い。表1は、X線ターゲット、複数の更なる可能性のあるターゲット材料(対象となる特定の特性線に特に有用)、及びターゲット材料の基板として使用され得るいくつかの材料に一般に使用される複数の材料を記載している。融点及び熱/電気伝導率は、300K(27℃)近傍の値を示している。大部分の値は、CRC刊『Handbook of Chemistry and Physics』の第90版[フロリダ州ボカラトン、CRC Press、2009年]から引用されている。他の複数の値は、インターネット上に見られる様々なソースから引用されている。 例えば、サファイアなど、いくつかの材料では、液体窒素温度(77K)以下の温度に冷却されると、1桁大きい熱伝導率が可能であり得ることに留意されたい[例えば、E.R.Dobrovinskaya他著、『Sapphire:Material,Manufacturing,Applications』、Springer Science + Business Media,LLC刊(2009年)の2.1.5章「熱特性」を参照]。
X線ソースの輝度を増加させる他の複数の方法は、全体の電流を増加させる、又は、例えば複数の電子レンズを用いてより小さいスポットに電子ビームの焦点を合わせるか、どちらか一方によって電子流密度を増加させることであり、又は加速電圧を増加させることで電子エネルギーを増加させることである(これは、ターゲットに堆積される単位電子エネルギー当たりのX線発生を増加させ、特性線においてさらに多くの放出も引き起こし得る)。
しかしながら、これらの改善は全て、相互作用体積内で発生する熱量を増加させるという点で、限界がある。この問題は、真空中にターゲットを有することによって、そのため対流による表面の空気冷却が何も生じ得ないので、悪化する。過度の熱がターゲット内に発生した場合、ターゲット材料は相変化、さらに溶融や蒸発までも受け得る。電子ビームによってターゲットに堆積したエネルギーの大部分は熱になるので、熱の管理技術は、より優れたX線ソースを作るための重要なツールである。
この問題に対処すべく開発された従来技術による1つの技術は、図6Aに例示された回転アノードシステムである。図6Aには、典型的には3,300rpmと10,000rpmとの間で回転する、ターゲットアノード500を有する回転アノードX線ソース580の断面が示されている。ターゲットアノード500は、シャフト530によってロータ520に接続され、ロータ520は、そのマウント522を通じて、導線22及び高電圧源10の正極に接続する導電性ベアリング524によって支持されている。すべて真空チャンバ20内にある、ロータ520、シャフト530、及びアノード500の回転は、典型的には、真空の外側に取り付けられた固定子巻線525によって誘導的に駆動される。
図6Bに、ターゲットアノード500の表面が、より詳細に示されている。回転ターゲットアノード500の縁部510は、斜めに面取りされていることがあり、電子ビーム511のソースは、ターゲットアノード500の面取りされた縁部510に、電子ビームを方向付ける位置にあり、ターゲットスポット501からX線888を発生させる。ターゲットスポット501はX線を発生させるので、加熱するが、ターゲットアノード500が回転するので、加熱スポットがターゲットスポット501から離れ、ここで電子ビーム511はターゲットアノード500のより低温の部分を照射する。ホットスポット501を通過するときに再度加熱される前に、ホットスポットは冷却するための一回転分の時間を有する。ターゲットアノード500を継続的に回転させることによって、X線は固定された単一スポットから発生するが、電子ビームによって照射されるターゲットの総面積は、実質的に電子ビームスポットより大きくなり、電子エネルギーの堆積を、より大きい面積(及び体積)にわたって効果的に広げている。
熱を緩和する別のアプローチは、ターゲットX線材料の薄い層を高熱伝導の基板上に堆積したターゲットを使用することである。100keVまでのエネルギーを有する電子では、相互作用体積が薄いので、ターゲット材料自体は、数ミクロンより厚い必要はなく、熱を迅速に逃がすダイヤモンド、サファイア、又はグラファイトなどの基板上に堆積され得る。しかしながら、表1に示されるように、ダイヤモンドは電気伝導率が非常に低いので、ダイヤモンド基板上に作られるどのようなアノードの設計も、アノードのターゲット材料と高電圧の正極との間に電気接続をいまだに設ける必要がある。[ダイヤモンドに取り付けたX線ソースのアノードは、例えば、K.Upadhya他による米国特許第4,972,449号、B.Spitsyn他による米国特許第5,148,462号、及びM.Fryda他による米国特許第6,850,598号によって説明されている]。
基板は、例えば、水やエチレングリコールなどの液体、又は水素やヘリウムなどの気体といった、基板から熱を除去するクーラント用の複数の経路も有し得る(例えば、Paul E.Larsonによる米国特許第5,602,899号を参照)。水冷されたアノードは、回転アノードX線ソースを含む様々なX線ソースに用いられている。
次に基板は、熱伝導特性で選択された銅又は何か他の材料を有するヒートシンクに取り付けられ得る。ヒートシンクは、熱を排除すべく、クーラント用の複数の経路も有し得る(例えば、Edward J.Mortonによる米国特許第8,094,784号を参照)。いくつかの場合において、ヒートシンクに取り付けられたX線ターゲットに更なる冷却を提供すべく、熱電冷却器又は極低温システムが用いられてきた。やはり、すべては、過剰加熱によるターゲット材料の溶融又は損傷を起こさず、高いX線輝度を実現することが目的である。
微小焦点ソース用の熱を緩和する別のアプローチは、液体金属の噴流によって作成されたターゲットを用いることである。電子は、液体ガリウム(原子番号31)の導電性噴流に衝撃を与え、加熱されたガリウムは電子照射体積から噴流とともに流出するので、高電流密度が可能になる。[例えば、M.Otendal他著、『A 9 keV electron−impact liquid−gallium−jet x−ray source』、Rev.Sci.Instrum、79巻、016102、(2008年)を参照]。
特定の環境に効果的であるが、これらのソースには、まだ改善の余地がある。液体金属の噴流は、精巧な給排水システム及び消耗品を必要とし、用いられる材料(また、これにより原子番号の値及びその関連スペクトル)が制限され、より大きい出力に上げることが難しい。ダイヤモンド基板の上にコーティングされた一様な固体材料の薄膜ターゲットの場合では、回転アノード構成で用いられたとしても、膜への損傷が生じ得る前に許容され得る熱量にまだ限界がある。熱伝導は、膜の底面を通じて生じるだけである。横寸法においても、バルク材料に存在するのと同じ伝導の問題が存在する。
従って、高電子流密度の使用による高いX線輝度を実現するのに用いられ得るX線ソースのニーズが存在するが、それはまだ、実験室環境や机上環境に適応するに足るほど、又は携帯型装置に有用でさえあるほど小型である。そのような明るいソースは、画像処理並びに他の科学的用途及び診断用途のために、より良い信号対雑音比を提供するX線ベースのツールを可能にし得る。
本開示は、既存の商用X線技術に比べて桁違いの明るさにまで至る可能性を有する、新規のX線ソースを示す。より高い輝度は、電子ビーム衝撃からX線を発生させるのに用いられるX線ターゲット向けに、新規の構成を使用することで、ある程度実現される。X線ターゲットの構成は、熱がより効率的にX線発生材料から排除されるように、高熱伝導率の基板と密接に熱的接触をする(そこに埋め込まれる、又は埋設されるなど)ように製造された1又は複数の選択されたX線発生材料の複数の微細構造を有し得る。これにより今度は、高電子密度及び/又は高エネルギーの電子とX線発生材料の衝撃が可能となり、より大きいX線輝度をもたらす。
いくつかの実施形態の大きな利点は、複数の微細構造の配置が、軸上収束角の使用を可能とし、単一の発生源で発しているように見えるべく位置合わせされた複数の微細構造からのX線の累積を可能とし、また「角度0°」のX線放出の位置合わせに用いられ得ることである。複数の発生源からのX線の直線累積は、より大きいX線輝度をもたらす。
本発明のいくつかの実施形態は、1つの構造から放出されたX線を収集し、それを再度焦点に集めて第2の構造体からのX線に重ね合わせる複数のX線光学要素を付加的に備える。このX線のリレーによっても、より大きいX線輝度がもたらされ得る。
本発明のいくつかの実施形態は、アノード又は複数のアノードから熱を排除する付加的な冷却システムを備える。本発明のいくつかの実施形態は、更に熱を放散し累積X線輝度を増大させるべく、微細構造パターンのターゲットを有するアノード又は複数のアノードを回転させることをさらに含む。
標準的な従来技術の透過X線ソースの略断面図を示す。
標準的な従来技術の反射X線ソースの略断面図を示す。
従来技術のX線ソースの材料表面と電子の相互作用の断面図を示す。
タングステンターゲットの典型的な放出スペクトルを示す。
ターゲットを60°の傾斜角にしたときの、従来技術のターゲットからの放出を示す。
ターゲットを45°の傾斜角にしたときの、従来技術のターゲットからの放出を示す。
ターゲットを30°の傾斜角にしたときの、従来技術のターゲットからの放出を示す。
従来技術の回転アノードX線ソースの略断面図を示す。
図6Aの回転アノードシステムのアノードの上面図を示す。
本発明によるX線システムの一実施形態の略断面図を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、格子状の埋め込み矩形ターゲットの微細構造を大型基板上に有するターゲットの斜視図を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、収束電子ビームとともに使用するための、格子状の埋め込み矩形ターゲットの微細構造を大型基板上に有するターゲットの変形例の斜視図を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、格子状の埋め込み矩形ターゲットの微細構造を切断基板上に有するターゲットの変形例の斜視図を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、格子状の埋め込み矩形ターゲットの微細構造を棚状の凹み部を持つ基板上に有するターゲットの変形例の斜視図を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、ターゲット微細構造を大型基板上に有するターゲットに入射する電子の断面図を示す。
図12のターゲットによって放出された一部のX線の断面図を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、凹み領域を持つ基板上に配置された単一の矩形微細構造を有するターゲットの斜視図を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、凹み領域を持つ基板上に一列に配置された複数の矩形微細構造を有するターゲットの斜視図を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、格子状の埋め込み矩形ターゲットの微細構造を有するターゲットの斜視図を示す。
図16Aのターゲットの上面図を示す。
図16A及び図16Bのターゲットの側面/断面図を示す。
図16のターゲットの断面図を示し、電子ビーム照射を受けた熱伝導基板への熱の伝達を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、市松模様構成の埋め込みターゲット微細構造を有するターゲットの斜視図を示す。
図18Aのターゲットの上面図を示す。
図18A及び図18Bのターゲットの側面/断面図を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、階段型基板上に配置された格子状の埋め込み矩形ターゲットの微細構造を有するターゲットの斜視図を示す。
図19Aのターゲットの上面図を示す。
図19A及び図19Bのターゲットの側面/断面図を示す。
電子衝撃を受けてX線を放出する図19Cのターゲットの断面図を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、直線配列で配置されたX線放出器の集合体を示す。
1keVから400keVにわたるエネルギーを有するX線に対する、複数の材料の1/e減衰長を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、垂直入射電子ビームにさらされている直線配列のX線放出器を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、角度θで入射した電子ビームにさらされている直線配列のX線放出器を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、収束電子ビームにさらされている直線配列のX線放出器を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、複数の方向から角度θで入射する電子ビームにさらされている直線配列のX線放出器を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、様々な電子密度の電子ビームにさらされている直線配列のX線放出器を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、一様な電子ビームにさらされている直線配列のX線放出器を示す。
複数の電子放出器を有する、本発明によるX線システムの一実施形態の略断面図を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、異なる電子密度の電子ビームにさらされている多様なX線放出器の集合体を示す。
ある範囲のX線エネルギーにわたる、タングステンの減衰長及びCSDA(電子の連続減速近似)の図を示す。
ある範囲のX線エネルギーにわたる、タングステンの、減衰長とCSDAの比の図を示す。
ある範囲のX線エネルギーにわたる、複数の材料の、減衰長とCSDAの比の図を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、時分割された電子ビーム照射の中で時間ステップt=0における、直線配列で配置されたX線放出器の集合体を示す。
次の時間ステップt=1における、図28AのX線放出器の集合体を示す。
X線放出器の集合体を示す。t=0における図28A、次のステップt=1における図28B、及び次の時間ステップt=2における図28C。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、直線配列で配置されたX線放出器の集合体からのX線の軸外放出を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、広く離間した直線配列で配置されたX線放出器の集合体からのX線の軸外放出を示す。
複数の電子放出器と冷却システムを備える、本発明によるX線システムの一実施形態の略断面図を示す。
図30のX線システムのターゲットの断面を示す。
2つの面のターゲットを備える、本発明によるX線システムの一実施形態の略断面図を示す。
図32のX線システムのターゲットの断面を示す。
回転アノードの両面(opposite sides)に衝撃を与える複数の電子放出器を備える、本発明の一実施形態によるX線システムの略断面図を示す。
本発明によるシステムで使用する直線累積のために位置合わせされた、複数のターゲットの断面を示す。
本発明によるシステムに使用する直線累積のために位置合わせされた、X線発生材料の複数の微細構造を有する複数のターゲットの断面を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る分散電子ビームを用いて衝撃を受けられるX線コーティングを有するターゲットの側面図を示す。
図37Aのターゲット及び分散電子ビームの斜視図を示す。
図37Aのターゲット及び分散電子ビームの前面図を示す。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る、分散電子ビームを用いて衝撃を与えられている微細構造を有するターゲットの側面図を示す。
図38Aのターゲット及び分散電子ビームの斜視図を示す。
図38Aのターゲット及び分散電子ビームの前面図を示す。
X線発生材料の微細構造を有する複数のターゲットの断面を示す。ここでは、本発明によるシステムで使用するために、X線を収集して焦点を合わせるべく複数の反射レンズが用いられる。
様々な配置のX線発生材料の微細構造を有する複数のターゲットの断面を示す。ここでは、本発明によるシステムで使用するために、X線を収集して焦点を合わせるべく複数の反射レンズが用いられる。 X線発生材料の微細構造を有する複数のターゲットの断面を示す。ここでは、反対方向に伝搬するX線をモニタすべく、付加的なウィンドウ及び検出器が用いられる。
X線発生材料の微細構造を有する複数のターゲットの断面を示す。ここでは、本発明によるシステムで使用するために、X線を収集して焦点を合わせるべく、複数のウォルタレンズが用いられる。
X線に用いられる複数のウォルタレンズの従来技術の実施形態を示す。
複数の円筒形の光学要素を有する複数のウォルタレンズの従来技術の実施形態を示す。
X線発生材料の微細構造を有する複数のターゲットの断面を示す。ここでは、本発明によるシステムで使用するために、X線を収集して焦点を合わせるべく、複数のキャピラリレンズが用いられる。
1.本発明の基本的な実施形態
図7は、本発明による反射X線システム80−Aの一実施形態を示す。上述した従来技術の反射X線システム80においても同様であるが、ソースは、一般に密閉真空チャンバ20又は常時排気することによって維持される真空環境(典型的には10−6Torr又はそれより高真空)を備え、管の外側にある高電圧源10の負極及び正極から、真空チャンバ20内部の様々な要素に通じる密封導線21及び22を有して製造されている。ソース80−Aは、典型的にはハウジング50内に真空チャンバ20を固定するマウント30を備え、ハウジング50は、X線がソース80−Aによって不要な方向に放出されるのを防止すべく、鉛などのシールド材を付加的に備え得る。
前述のように、チャンバ20の内部では、導線21を通じて高電圧源10に接続された放出器11がカソードとして働き、多くの場合、フィラメントに電流を流すことによって、電子111のビームを発生させる。電子ビーム発生用の任意の数の従来技術の技法が、本明細書に開示された本発明の複数の実施形態に用いられ得る。電子ビーム発生に用いられる更なる公知技術は、熱電子放出のための加熱、ショットキー放出(加熱と電界放出との組み合わせ)、カーボンナノチューブなどのナノ構造を有する複数の放出器、複数の強誘電体材料を用いることを含む。[電子ビーム発生用の電子放出オプションに関する詳細は、Shigehiko Yamamoto著『Fundamental physics of vacuum electron sources』(Reports on Progress in Physics、第69巻、181−232ページ(2006年))、Alireza Nojeh著『Carbon Nanotube Electron Sources: From Electron Beams to Energy Conversion and Optophononics』(ISRN Nanomaterials、2014年版、論文番号879827、23ページ(2014年))、及びH.Riege著『Electron Emission from Ferroelectrics − A Review』(CERN Report CERN AT/93−18、スイス/ジュネーブ、1993年7月)を参照]。
前述のように、ターゲット基板1000及びX線発生材料の領域700を有するターゲット1100は、低電圧である反対側の高電圧導線22及びターゲット支持部32に電気的に接続され、これによりアノードとして働く。電子111はターゲット1100に向かって加速され、加速電圧の大きさで決定される電子エネルギーを有する高エネルギーでターゲット1100と衝突する。ターゲット1100への電子111の衝突は、X線の放出を含む複数の効果を引き起こす。X線の一部は真空管20から出て、X線に対して透過的であるウィンドウ40を通過する。
しかしながら、本発明のいくつかの実施形態において、導線27を介してコントローラ10−1によって制御され、放出器11によって提供される電子線量及び電圧と調整される、静電レンズシステム、又は複数の電子レンズの他のシステムなどの電子制御機構70も存在し得る。従って、電子ビーム111は、基板1000と密接に熱的接触をするように製造された1又は複数の微細構造700を有するターゲット1100の上で、走査され、焦点が合わせられ、デフォーカスされ、又はそうでなければ方向付けられ得る。
図7に例示されたように、微細構造700の配列は、電子ビーム又はビーム111による複数の微細構造700の衝撃が、ターゲットの面法線に対して直交する方向に、その視野方向への強度が増す又は累積するような様式で、放出を生じさせるように配置され得る。その方向は、ウィンドウ40を通ってシステムから出ていく指向性ビーム888を形成すべく、システムのスクリーン84の開口部840によっても選択され得る。いくつかの実施形態において、開口部840は真空チャンバの外側に配置され得るか、又はより一般にはウィンドウ40自体が開口部として働き得る。いくつかの実施形態において、開口部は真空チャンバ内部にあり得る。
本明細書に開示された本発明によるX線ソースで用いられるものなどのターゲットは、同時係属中の『X線発生用の構造ターゲット(STRUCTURED TARGETS FOR X−RAY GENERATION)』という名称の米国特許出願(米国特許出願第14/465,816号、2014年8月21日出願)に詳細に説明されており、その内容はこれによりその全体を参照によって組み込まれたものとし、付録Aとして含まれる。上記参照された同時係属中の出願に開示された任意のターゲット設計及び構成は、本明細書で開示された任意のX線ソース又はすべてのX線ソースの構成要素として、使用を考慮され得る。
図8は、本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るようなターゲットを示す。本図において、基板1000は、直(right)四角柱の規則的配列構造で配置されたX線発生材料(典型的には、金属材料)を含む微細構造700の配列を有する領域1001を有する。真空において、電子111は上からターゲットに衝撃を与え、微細構造700に熱及びX線を発生させる。基板1000の材料は、X線発生微細構造の材料と比較して、電子に対して比較的低いエネルギー堆積速度を有するように(典型的には、基板用に低原子番号の材料を選択することによって)選択されるので、大量の熱及びX線を発生しない。基板1000の材料は、典型的には100W/(m℃)より大きい高熱伝導率を有するようにも選択され得て、微細構造は典型的には基板内に埋め込まれている。すなわち、微細構造が四角柱として形成されている場合、微細構造700に発生した熱が基板1000へ効果的に放散されるように、6つ面のうち少なくとも5つの面が基板1000と密接に熱的接触をしていることが好ましい。しかしながら、他の複数の実施形態において用いられたターゲットは、より少ない直接接触の表面を有し得る。概して、「埋め込み」という用語が本開示で用いられるとき、微細構造の表面積の少なくとも半分は、基板と密接に熱的接触をしている。
本発明によるターゲット1100は、図1に例示された透過X線ソース08用のターゲット01、又は図2の反射X線ソース80に例示されたターゲット100の代わりとして取り付けられ得るか、又は図6Aの回転アノードX線ソース580で用いられたターゲット500としての使用に適応され得る。
「微細構造」という単語が本明細書で用いられるとき、X線発生材料を有する微細構造を特に表していることが、ここで留意されるべきである。X線微細構造を形成するのに用いられるキャビティなどの他の構造は、同じ規模の寸法を有するので、これも「微細構造」とみなされ得る。しかしながら、本明細書で用いられるように、「構造」、「キャビティ」、「穴」、「開口部」などの他の単語は、そのX線発生特性のために選択されない基板などの材料にこれらが形成されるとき、これらの構造に用いられ得る。「微細構造」という単語は、これらのX線発生特性のために選択された材料を有する構造のためのものである(reserved)。
同様に、「微細構造」という単語が用いられるが、1ミクロンより小さい寸法、又はさらに小さくナノスケール寸法(すなわち、10nmより大きい)を有するX線発生構造も、本明細書で用いられるように「微細構造」という単語によって説明され得ることが、留意されるべきである。
図9は、本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るような別のターゲットを示しており、ここで電子ビーム111−Fは、静電レンズによって方向付けられ、より集中した収束スポットを形成する。この状況では、ターゲット1100−FはX線材料を含む微細構造700−Fの配列を有する領域1001−Fをまだ有しているが、この領域1001−Fのサイズ及び寸法は、電子照射が生じる領域に合致し得る。これらのターゲットにおいて、ソース形状及びX線発生材料の「調整」は、設計によって、発生する熱量を微細構造領域1001−Fにほとんど制限して、設計及び製造の複雑さも低減するように制御され得る。これは、微小スポットを形成すべく焦点が合わせられた電子ビームとともに用いられるとき、又はより複雑な電子照射パターンを形成するより複雑なシステムによって用いられるときに、特に有用であり得る。
図10は、本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るような別のターゲットを示しており、ここでターゲット1100−Eは、電子111にさらされたときにX線を放出するX線材料を含む微細構造700−Eの配列を有する領域1001−Eをまだ有しているが、領域1001−Eは基板1000−Eの縁部と同一平面を成して配置されるか、又はその近くに配置される。この構成は、図8に示されたように、基板がX線を吸収する材料を有するために、0°に近い角度での放出が構成内で著しく減衰され得るターゲットで有用であり得る。
しかしながら、図10のターゲットの欠点は、図8と比較すると、微細構造700−Eの片側で基板のかなりの部分がなくなっていることである。従って、熱は微細構造から対称に取り除かれず、局所的な加熱が増加し、熱の流れを悪化させ得る。
この問題に対処すべく、本発明のいくつかの実施形態において用いられるようないくつかのターゲットは、図11に示すような構成を用い得る。ここで、ターゲット1100−Rは、棚状の凹み部1002−Rを持つ基板1000−Rを有する。これにより、微細構造700−Rの配列を有する領域1001−Rは、基板の凹んだ縁部1003−Rと同一平面を成して配置されるか、又はその近くに配置され、0°又は0°に近い角度で、基板1000−Rに再吸収されることなくX線を放出することが可能になるが、それでも電子111にさらされたときに発生する熱に対して、より対称的なヒートシンクを提供する。
図12は電子ビーム111と、基板1000及びX線材料の微細構造700を有するターゲットとの間の関連する相互作用を示す。例示されたように、3つの電子経路だけが示されており、その電子の2つの代表が、示された2つの微細構造700に衝撃を与え、1つが基板と相互作用している。
上記の数式1で論じられたように、侵入の深さはポットの法則によって推定され得る。 この式を用いて、表2は、いくつかの一般的なX線ターゲット材料に対する推定侵入深さの一部を示す。
図12の例示では、60keVの電子が用いられ、基板1000の材料としてダイヤモンド(原子番号6)が選択され、微細構造700のX線発生材料として銅(原子番号29)が選択された場合、図12の左側にRと印を付けた大きさが10ミクロンの参考寸法に対応し、X線発生材料の深さDは、銅に対する電子侵入深さの2/3(66%)に設定されたとき、およそ3.5ミクロンになる。
Cuの特性X線(K線)の大部分は、深さD以内で発生する。その深さ以下での電子の相互作用は、典型的にはほとんど特性X線(K線)を発生させないが、熱発生の一因となり、これにより、深さ方向に沿って緩やかな温度勾配をもたらす。従って、いくつかの実施形態において、材料中の電子の相互作用を制限し、局所的な温度勾配を最適化すべく、ターゲット中の微細構造の最大厚みを設定することが好ましい。本発明の1つの実施形態は、ターゲット中の微細構造化したX線発生材料の深さを、入射電子エネルギーにおける電子侵入深さの1/3と2/3との間に制限している。この場合、より低い質量密度の基板は、X線発生材料の直下の基板材料に、より低いエネルギー堆積速度をもたらし、これは次に、下の基板材料により低い温度をもたらす。これにより、X線発生材料と基板との間に、より大きい温度勾配がもたらされ、熱伝導を高める。温度勾配は、基板材料の高熱伝導率によって更に拡大される。
同様の理由で、電子侵入深さより浅くなるように深さDを選択することも、制動放射線の効率的な発生に概して好ましい。というのは、その深さより下の電子はより低いエネルギー、従ってより低いX線発生効率を有するからである。
注記:X線発生材料の寸法の他の選択肢も用いられ得る。本発明のいくつかの実施形態において用いられるようなターゲットでは、X線材料の深さは、電子侵入深さの50%になるように選択され得る。他の実施形態においては、X線材料の深さは、電子侵入深さの33%になるように選択され得る。他の実施形態においては、微細構造の深さDは、材料中の電子の「連続減速近似」(CSDA)範囲に関連して選択され得る。他の深さは、所望のX線スペクトル、及び選択されたX線材料の特性に応じて、特定され得る。
注記:本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るような他のターゲットでは、X線発生材料の深さと横寸法(幅W及び長さLなど)との間の特定の比も特定され得る。例えば、深さが特定の大きさDになるように選択された場合、次に横寸法W及び/又はLは、Dの5倍以下になるように選択され、5という最大比を与える。本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るような他のターゲットでは、横寸法W及び/又はLは、Dの2倍以下になるように選択され得る。深さD並びに横寸法W及びL(X線発生微細構造の幅及び長さ)は、電子伝搬の軸に対して画定され得るか、又はX線発生材料の表面の向きに対して画定され得ることも、留意されるべきである。垂直入射電子に対しては、これらは同じ寸法になる。斜めに入射する電子に対しては、適切な予測が必ず用いられるように、注意が払われなければならない。
図13は、図12に示された様々な領域からの相対的なX線発生を示す。X線888は、それが発生するX線発生材料中の領域248から放出された特性X線を有し、電子が基板と相互作用する領域1280及び1080は、基板元素の特性X線を発生させる(X線発生領域248中のX線発生材料の元素の特性X線ではない)。さらに、X線発生材料の領域248から放出された制動放射X線は、典型的には、電子が低原子番号の基板にしか遭遇しない領域1280及び1080において、それらの領域が放出する弱い連続X線1088及び1228よりはるかに強い。
図13の例示は、右にだけ放出されるX線を示しているが、これは、このターゲットが図5A〜図5Cで論じられた低角度高輝度構成に用いられるときに、右に配置されているウィンドウまたはコレクタを予想しているからであることが、留意されるべきである。X線は、実際には、これらの領域からすべての方向に典型的に放出される。
図13が、微細構造に沿った特性X線の直線累積を可能とし、従って比較的強い特性X線信号を発生し得る構成を示すように、複数の材料がこれら自体の特性X線に対して比較的透明であることも、留意されるべきである。しかしながら、多くのより低いエネルギーのX線は、X線フィルタとして効果的に働くターゲット材料によって減衰させられる。複数の材料及び幾何学的パラメータの他の複数の選択肢が、低エネルギーX線の帯域通過が所望される用途など(例えば、画像処理用又は低原子番号の材料の蛍光分析用)で、非特性の連続X線が所望される場合に、選択され得る(例えば、非線形方式)。
ここまでは、平面構造に配置されたターゲットが示された。これらは、概して実装するのがより容易である。なぜなら、堆積、エッチング、及び他のプレーナプロセスの複数の工程のための装置及びプロセスレシピは、プレーナダイヤモンドを用いた微小電気機械システム(MEMS)用途のデバイスの処理、及び半導体産業用のシリコンウェーハの処理でよく知られているからである。
しかしながら、いくつかの実施形態において、3次元(3−D)で付加的な特性を有する表面を持つターゲットが所望され得る。前に論じられたように、電子ビームが電子侵入深さより大きいと、見掛けのX線ソースサイズ及び領域は、表面に対して平行に、すなわちゼロ度(0°)の取り出し角で見たときに最小になる(そして輝度は最大化される)。結果として、0°の取り出し角で見た時に、見掛け上の最大輝度のX線放出が生じる。X線発生材料内からの放出は、それが材料を通って0°で伝搬するにつれ累積する。
しかしながら、実質的に一様な材料の広いターゲットでは、X線が材料を通って表面に伝搬するにつれ、ターゲット内部のX線の複数の発生源の間のX線の減衰は、取り出し角を減少させるとともに、材料内を移動する距離がより長くなることに起因して増大し、多くの場合、0°の取り出し角において、又はその近くの角度で最大になる。従って、0°近くで見ることによって実現されるいかなる輝度の増加も、再吸収によって平衡させられ得る。X線ビームが強度において1/eまで減少する距離はX線減衰長と呼ばれている。従って、放出されたX線が可能な限り更なる材料を通過しない、X線減衰長に関連して選択された距離を有する構成が所望され得る。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るようなターゲットの例示が、図14に示されている。図14において、単一の微細構造2700を有するX線発生領域は、棚状部2002に接した基板の凹んだ縁部2003に、又はその近くに構成され、図11に例示された状況に類似している。X線発生微細構造2700は、X線発生材料から成る矩形バーの形状をしており、基板2000に埋め込まれ、電子111で衝撃を与えられたときに、X線2888を放出する。
バーの厚みD(ターゲットの面法線に沿った厚み)は、最適熱性能のために、入射電子エネルギーにおけるX線発生材料の電子侵入深さの1/3から2/3の間になるように選択される。バーの厚みDは、鉛直方向に所望のX線ソースサイズを得るようにも選択され得る。バーの幅Wは、対応する方向に所望のソースサイズを得るように選択される。例示されたように、WはおよそDの1.5倍であるが、所望のソーススポットのサイズに応じて、実質的にそれより小さくも、大きくもなり得る。
例示されたようにバーの長さLは、およそDの4倍であるが、いかなる大きさであってもよく、典型的には、選択されたX線発生材料のX線減衰長の1/4倍から3倍の間になるように決定され得る。例示されたように棚状部の縁部とX線発生材料の縁部との間の距離pはおよそWに等しいが、基板材料のX線再吸収特性、相対的な熱特性、及び電子で衝撃を与えられたときに発生が予想される熱量に応じて、縁部2003と同一平面を成すところ(p=0)から最大1mmまで、任意の値になるよう選択されてよい。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るような代替的なターゲットの例示が、図15に示されている。このターゲットでは、6つの微細構造2701、2702、2703、2704、2705、2706を有するX線発生領域が、棚状部2002に接した基板の凹んだ縁部2003に、又はその近くに構成され、図11及び図14に例示された状況と類似している。X線発生微細構造2701、2702、2703、2704、2705、2706は、基板2000に埋め込まれたX線を発生する直四角柱の直線配列で配置され、電子111で衝撃を与えられたときにX線2888−Dを放出する。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るようなこのターゲットにおいて、X線発生材料の総体積は、前の図14の例示におけるものと同じである。図14に示された場合においても同様であるが、バーの厚みD(ターゲットの面法線に沿った厚み)は、最適熱性能のために、入射電子エネルギーにおけるX線発生材料の電子侵入深さの1/3から2/3の間になるように選択される。図14に示された場合においても同様であるが、バーの幅Wは、対応する方向に所望のソースサイズを得るように選択され、例示されたようにWはおよそDの1.5倍である。前に論じられたように、バーの幅Wは、所望されるソーススポットのサイズに応じて、実質的にそれより小さくも、大きくもなり得る。
しかしながら、図14に例示されたような長さLの単一のバー2700は、6つのサブバー2701、2702、2703、2704、2705、2706に置き換えられており、それぞれの長さlはL/6である。X線発生の体積(同じ電子密度で衝撃を与えられたとき)は同じであるが、ここでそれぞれのサブバーは基板に熱を伝達する5つの面を有し、X線発生サブバー2701−2706から基板への熱の放散を増加させる。例示されたように、複数のサブバーの間の分離距離dはおよそlに等しいが、それより大きい又は小さい寸法が用いられてもよく、これは、基板に吸収されるX線量、及び、X線発生微細構造2701−2706の特定の材料と基板2000との間で実現され得る相対的な温度勾配に依存する。
同様に、棚状部の縁部とX線発生材料の縁部との間の距離pは、例示されたようにおよそWに等しいが、基板材料のX線再吸収特性、相対的な熱特性、及び電子で衝撃を与えられたときに発生が予想される熱量に応じて、縁部2003と同一平面を成すところ(p=0)から最大1mmまで、任意の値になるよう選択されてよい。
図15などに示された構成では、複数のX線発生サブバーの全長は、一般にX線発生材料におけるX線の直線減衰長の約2倍になるが、その距離の半分から3倍を超えるところまで選択され得る。同様に、バーの厚みD(ターゲットの面法線に沿った厚み)は、最適熱性能のために、入射電子エネルギーにおけるX線発生材料の電子侵入深さの1/3から2/3に等しくなるように選択されたが、実質的にそれより大きくなり得る。バーの厚みDは、該当方向に、ほぼ等しい所望のX線ソースサイズを得るためにも選択され得る。
示された複数のバーは、(示されたように)基板に埋め込まれ得るが、X線発生材料に発生する熱負荷が大き過ぎない場合には、基板の上に配置されてもよい。
図16A〜図16Cは、本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るような、規則的配列構造に配置されたX線発生材料を含む直四角柱の形をした微細構造700の配列を有するターゲットの領域1001を示している。図16Aは、このターゲット用の16個の微細構造700の斜視図を示し、図16Bは同じ領域の上面図を示し、図16Cは同じ領域の側面/断面図を示している。(本開示の「側面/断面図」という用語に対して、意味する図は、物体の断面を作成し、次に横から断面の表面の方を見たような図である。この図は、断面部分の詳細、及び、基板自体が透明であると仮定した場合に(ダイヤモンドの場合には、概して可視光に当てはまる)、横から見られ得る材料のさらに内部の両方を示している)。
これらのターゲットにおいて、複数の微細構造は6つの面のうち5つで基板と密接に熱的接触をするように、製造されている。例示されたように、複数の微細構造700の上面は基板の表面と同一平面を成すが、微細構造が凹所にある他のターゲットが製造されてよく、さらに複数の微細構造が基板の表面に対して局所的な「バンプ」を示す他のターゲットが製造されてもよい。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るような代替的なターゲットは、基板の表面上に単に堆積された複数の直四角柱の微細構造を有し得る。この場合、角柱の底面だけが、基板と熱的接触をし得る。 図16Cに示されたような側面/断面図で、深さD、並びに基板平面における横寸法W及びLを有して基板に埋め込まれた複数の微細構造を有する構造の場合、埋め込み微細構造と堆積微細構造との、基板と接触する総表面積の比は次の式で表される。
W及びLに対してDの値が小さい場合、比は実質的に1になる。厚みが大きくなると比も大きくなり、等しい5つの面が熱的接触をする立方体(D=W=L)では、比は5である。質量密度及び熱伝導率に関して基板と類似の特性を有する材料のキャップ層が用いられる場合、比は6まで増加し得る。
熱伝導は図17に代表的な矢印で例示されており、その中で、基板1000に埋め込まれた複数の微細構造700で発生した熱は、底面及び複数の側面を通って複数の微細構造700から外へ伝えられる(図面の平面から外へ複数の側面を通って伝達する矢印は示されていない)。 面積A、厚みdの材料を通って伝達される単位時間当たりの伝導熱量(ΔQ)は、次の式で与えられる。
ここでkは熱伝導率(W/(m℃))、ΔTは厚みdの全体にわたる温度の差異(℃)である。従って、表面積の増大、厚みの低下、及びΔTの増大はすべて、熱伝導の比例的増加につながる。
図18A〜図18Cは、本発明の一実施形態による、X線発生材料を含む直四角柱の形をした微細構造700及び701の市松模様状の配列を有する、ターゲットの領域1013を示している。示されたような配列は、基板の表面に埋め込み配列として配置されている。図18Aは25個の埋め込み微細構造700及び701の斜視図を示し、図18Bは同じ領域の上面図を示し、図18Cは点線で示された凹み領域を有する同じ領域の側面/断面図を示している。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るような別のターゲットの例示が、図19A−図19Cに示されており、厚みDを有するX線発生材料を含む微細構造2790及び2791の配列を有する、本発明の一実施形態によるターゲットの領域2001を示している。示された配列は、直四角柱の変更された市松模様であるが、複数の微細構造の他の構成及び配列も用いられ得る。
他の複数の実施形態で用いられるターゲットにおいても同様であるが、これらの微細構造2790及び2791は基板の表面に埋め込まれている。しかしながら、基板の表面は予め定められた非プレーナトポグラフィ、この特定の場合では、基板2000の面法線に沿った複数の段を有している。例示されたように、それぞれの段の高さhはほぼDに等しいが、段の高さは複数の微細構造の厚みの1倍から3倍の間になるように選択され得る。すべての段の全高は、鉛直方向(厚み方向)に沿った所望のX線ソースサイズと等しいか、又はそれよりも小さくなるように選択され得る。
微細構造領域の全幅は、対応する方向に所望のX線ソースサイズと等しくなり得る。全体の外観はX線ソースの階段に似ている。図19Aは18個の埋め込み微細構造2790及び2791の斜視図を示し、図19Bは同じ領域の上面図を示し、図19Cは同じ領域の側面/断面図を示している。基板がベリリウム、ダイヤモンド、サファイア、ケイ素、又は炭化ケイ素であるとき、電気伝導層が階段構造の上面にコーティングされ得る。
図20は、電子111によって衝撃を与えられたときの、図19Cの階段型ターゲットからのX線放出2888−Sを示している。他の複数の実施形態に用いられる複数のターゲットにおいても同様であるが、X線発生材料の複数の角柱は、電子が衝突したときに加熱される。X線発生材料の複数の角柱のそれぞれは、基板2000と熱的接触をしている5つの面を有しているので、X線材料から出ていく熱の伝導は、X線材料が表面に堆積された構成よりもまだ大きい。しかしながら、1つの面に対しては、X線の放出は、他の隣接する複数の角柱による吸収によって減衰されず、隣接する基板材料によって無視できるほどしか減衰されない。
従って、それぞれの角柱からのX線の輝度は、特に市松模様に配置されたX線発生材料の複数の角柱700及び701も示している図18A〜図18CのターゲットからのX線放出と比較したときに増加する。図18A〜図18Cの構成では、それぞれの角柱は基板に埋め込まれており、従って基板1000と熱的接触をしている5つの表面を有しているが、0°での横への放出は隣接する列の複数の角柱及び基板材料の両方によって減衰させられる。
トポグラフィを伴ったターゲットを備えるそのような一実施形態は、まずトポグラフィを伴った基板を用意し、次に、前に説明したプレーナ基板用の製造プロセスに従って、X線材料の複数の角柱を埋め込むことによって製造され得る。代替的に、X線材料で充填される複数のキャビティを形成する最初の複数の工程は、初期の平坦基板に階段状のトポグラフィ構造を形成すべく向上させられ得る。どちらの場合においても、埋め込まれる角柱を特定の特徴のトポグラフィと重ね合わせることが所望される場合に、プレーナプロセスの当業者に知られているなどの、付加的な複数の位置合わせ工程が使用され得る。
複数の微細構造は、図19A〜図19C及び図20に例示されたように階段の縁部に対してある距離をおいて埋め込まれるか、又は(図10に示されたように)縁部と同一平面を成すように埋め込まれ得る。どちらの構成が特定の用途に適切であるかという判断は、X線発生材料及び基板材料のまさにその特性に依存し得て、その結果、例えば、5つの表面か4つの表面かによる熱の伝達によって可能になる電子電流の増加で実現された付加的な輝度が、自由空間放出か基板材料の一部を通じた再吸収かによって実現された付加的な輝度と比較され得る。位置合わせ及び重ね合わせの工程、並びに複数の層に複数の角柱を作るのに必要になり得る複数のプロセス工程に関連した付加的なコストは、達成可能な輝度の増加と比較して考慮される必要があり得る。
上記の米国特許出願第14/465,816号で説明されたように、本発明の複数の実施形態に用いられ得る他の複数のターゲット構成は、複数のX線発生材料を有する複数の微細構造、X線発生材料の合金を有する複数の微細構造、拡散防止層又は密着層を堆積した複数の微細構造、熱伝導性オーバーコート膜を有する複数の微細構造、熱伝導性かつ導電性のオーバーコート膜を有する複数の微細構造、基板内に埋設された複数の微細構造、及び同様のものである。
上記の米国特許出願第14/465,816号で説明されたように、本発明の複数の実施形態に用いられ得る他の複数のターゲット構成は、ダイヤモンド又はサファイアなどの熱伝導性基板上にミクロン規模の寸法の形状としてパターニングされる(又はそこに埋め込まれる)任意の数の従来のX線ターゲット材料(銅(Cu)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)など)を有し得る複数の微細構造の配列である。いくつかの実施形態において、複数の微細構造は代替的に、これまで熱特性が劣ることに起因してその使用が限定されていた、スズ(Sn)、硫黄(S)、チタン(Ti)、アンチモン(Sb)などの従来と異なったX線ターゲット材料を有し得る。
上記の米国特許出願第14/465,816号で説明されたように、本発明の複数の実施形態に用いられ得る他の複数のターゲット構成は、立方体、矩形ブロック、正角柱、直四角柱、台形柱、球体、卵形、樽型物体、円柱、三角柱、ピラミッド型、四面体、又は、高輝度のX線を最も発生させ、熱も効率的に分散させるべく、表面積を増やす表面テクスチャ又は構造を有する形状を含む他の特別に設計された形状などの、任意の数の幾何学的形状を取る複数の微細構造の配列である。
上記の米国特許出願第14/465,816号で説明されたように、本発明の複数の実施形態に用いられ得る他の複数のターゲット構成は、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、レニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、イリジウム、タンタル、タングステン、インジウム、セシウム、バリウム、金、白金、鉛、並びに、これらの組み合わせ及びこれらの合金を含む、X線発生材料として様々な材料を有する複数の微細構造の配列である。
これまでに説明された複数の実施形態は、輝度を増加させたX線を発生させるX線ソースのターゲットとして用いられ得るX線材料を有する複数の微細構造を備えた様々なX線ターゲット構成を含んでいる。これらのターゲット構成は、電子で衝撃を与えられてX線を放出すると説明されてきたが、別の従来のソースにおいて固定X線ターゲットとして用いられて、図1の透過X線ソース08のターゲット01、又は図2の反射X線ソース80のターゲット100のいずれか一方を、本発明の複数の実施形態に従うX線ソースを形成する微細構造ターゲットと置き換え得る。
上述された複数のターゲットは可動X線ターゲットに埋め込まれて、例えば、図6Aの回転アノードX線ソース80のターゲット500を、本発明の他の複数の実施形態に従う可動微細構造ターゲットでソースを形成すべく、上述されたような微細構造ターゲットと置き換え得ることも可能である。
2.直線累積X線ソースの一般的な考察
図21は、直線配列で配置されたX線放出器の集合体を示している。直線配列の長軸は図の左から右に延びており、短軸は図の平面に入る、及びそこから出るように延びている。1又は複数のX線発生材料を有する、複数のX線発生要素801、802、803、804、…などは、高電圧(1keVから250keVまでのどこでも)において、電子ビーム1111、1112、1113、1114、…などによって衝撃を与えられ、X線818、828、838、848、…などを放出するサブソースを形成している。X線は等方的に放出される傾向があるが、ここでの解析は、サブソースの直線配列の中央を通る軸に沿った視点に対するものであり、そこに開口部840を有するスクリーン84が配置されている。
図21に描かれたように、開口部は累積された角度0°のX線がソースから出てくることを可能にするが、実際には、面法線に対して+/−3°又は+/−6°でも放出される複数の角度の放出X線を可能にする開口部は、いくつかの用途で用いるために設計され得ることが、留意されるべきである。ウィンドウは直線配列の長軸に対して垂直入射又は垂直入射近くであることが概して好ましいが、いくつかの実施形態においては、最大85°の角度に傾いたウィンドウが有用であり得る。
i番目の放出器80iが、X線8i8を軸に沿って図21の右側へ放出すると仮定すると、例示されたように、一番右の放出器に関する放出は、単に自由空間を介して右へ伝搬する。しかしながら、他の複数の放出器からのX線は、複数の放出器の間にどんな材料があっても、そこを通過する間に発生する吸収、散乱、又は他の損失機構を介して減衰させられ、また伝搬軸からの発散や隣接する放出器を通過することで生じる損失によっても減衰させられる。
次のように定義した場合、I:i番目の放出器80iからのX線放出強度8i8、T1,0:1番目の放出器801の右への伝搬に関するX線透過率、Ti,i−1:i番目の放出器80iから(i−1)番目の放出器80(i−1)への伝搬に関するX線透過率、T:i番目の放出器80iを通る伝搬に関するX線透過率(Tは1)、 N個の放出器の配列から右への軸上のX線の全強度は、次のように表される。
これは最終的に次式のようになる。
すべての放出器が、ほぼ同じ強度のX線を放出するソース設計では、
(これは、配列のX線放出要素が類似のサイズ及び形状であり、それらが類似のエネルギー及び密度を有する電子で衝撃を与えられる場合に実現し得る)。全放出強度は次式のようになる。
さらに、複数の放出器が、複数の要素の間の透過に対して実質的に同じ値を有する規則的配列構造で配置される場合は、次式のようになる。
そして、複数のX線放出要素のサイズ及び形状が、任意の所定の要素を通る伝搬も同じになるほど十分に類似している場合には、次式のようになる。
次に、全放出強度は次式のようになる。
及びTi,i−1は、損失に起因した伝搬の減衰を表しており、従って常に0から1の間の値を持つことに留意されたい。 Nが大きい場合、右辺の合計は等比級数によって近似されることができ、次式で表される。
これにより、おおよその強度は次式のようになる。
この式は、透過率TとT2,1との積を、可能な限り1に近づけることで、Itotが増大することを示唆している。
これは、損失及び減衰によって別のX線放出要素の追加が無駄になる前に、いくつの放出要素が一列に配置され得るかを推定するのにも用いられ得ることに留意されたい。例えば、放出要素の幅がX線の減衰長の1/eである場合、要素の透過率は、T=1/e=0.3679となる。 要素間の透過率をTi,i−1=T2,1=0.98と仮定すると、次式を導く。
この式は、1/eの長さと等しい幅を有する多数の要素は、1.564倍だけ強度を向上させ得るのみであることを示唆しており、要素の数を大きくしても2つの要素より軸上であまり生産的ではないことを示唆している。
例えば、T=0.80のX線減衰を有する、より細い要素では、次式のようになる。
この式は、多数のX線発生要素を有するソースと同じくらいの明るさのソースを形成するには、これらの要素のうちほぼ5つまでが、一列に配置され得ることを示唆している。
X線減衰は、異なるエネルギーのX線では異なり、TとT2,1との積は所定の材料に対して、ある範囲の波長にわたって著しく変化し得ることが留意されるべきである。
図22は、3種類のX線発生材料、すなわちモリブデン(Mo)、銅(Cu)、タングステン(W)の1keVから400keVにわたるエネルギーを有するX線に対する1/e減衰長と、3種類の基板材料、すなわちグラファイト(C)、ベリリウム(Be)、水(HO)の10keVから400keVまでの範囲のエネルギーを有するX線に対する1/e減衰長とを示している。[ここで示されたデータはもともと、B.L.Henke、E.M.Gullikson、J.C.Davisによって、『X−ray interactions: photoabsorption, scattering, transmission, and reflection at E=50−30000 eV, Z=1−92』、Atomic Data and Nuclear Data Tables、第54巻(2)、181−342ページ(1993年7月)に公開されており、<http://henke.lbl.gov/optical_constants/atten2.html>でアクセスされ得る。他のX線吸収の表は、<http://physics.nist.gov/PhysRefData/XrayMassCoef/chap2.html>で利用可能である]。
材料の1/e減衰長L1/eは、次式によって長さLに対する上記透過率と関連している。
従って、L1/eを大きくすると、Tが大きくなることを意味している。
図22の値を用いた一例として、タングステンの60keVのX線、およそ200ミクロンのL1/eを用いると、20ミクロン幅のX線発生要素の透過率は、次式で与えられる。
一方、およそ50,000ミクロンのL1/eのベリリウム基板では、ベリリウムに埋め込まれた100ミクロン幅のタングステンX線発生要素の透過率は、次式のようになる。
従って、ベリリウム基板に埋め込まれ、100ミクロン離れて離間した20ミクロン幅のタングステン要素の周期的配列に対して、軸上強度の最良の推定値は次式のようになる。
これは、単一のタングステンX線放出要素と比較したとき、X線強度が1桁増大することを表している。
3.X線ソースの制御
複数の変動要素があり、それらによって、X線出力を向上させるべく、そのような一般的な直線累積ソースが「調整」又は調節され得る。本発明の複数の実施形態は、これらの変動要素の一部又はすべての制御及び調節を可能にし得るか、あるいは、これらの変動要素を何も制御せず、調節もしない。
3.1.電子ビームのバリエーション
まず、いくつかの実施形態において、X線発生要素801、802、803、…などに衝撃を与える電子111、又は1111、1112、1113などのビーム又は複数のビームは、複数の電子レンズ、静電レンズ、又は磁界収束要素などの1又は複数の電子制御機構70を用いて形成され、かつ方向付けられ得る。典型的には、複数の静電レンズがX線ソースの真空環境内に配置され、複数の磁界収束要素が真空の外側に配置され得る。米国特許第6,870,172号『マスクを用いない反射電子ビーム投影リソグラフィ(Maskless reflection electron beam projection lithography)』に説明されているような従来技術のREBL(反射電子ビームリソグラフィシステム)に開示された、反射電子ビーム制御システムなどの様々な他の電子画像処理技術も、電子照射の複雑なパターンを形成するのに用いられ得る。
図21に例示されたように、また図23Aにも例示されたように、電子は垂直入射で複数の要素に衝撃を与え得て、図23Bに例示されたように電子ビーム1121、1122、1123などは角度θで、図23Cに例示されたように(収束電子ビームなどの)電子ビーム1131、1132、1133などは複数の角度で、図23Dに例示されたように両面から複数の微細構造700に衝撃を与える電子ビーム1141、1142、1143などは角度θで、図23Eに例示されたように電子ビーム1151、1152、1153などは様々な強度または電子密度で、図23Fに例示されたように一様な大面積の電子ビーム111で、又は当業者によって考案され得る多くの電子ビーム構成の任意の組み合わせで、複数の要素に衝撃を与え得る。
電子照射用のパターンの実際の設計は、X線発生材料、及び/又は複数のX線発生要素の間の領域を充填する材料の材料特性に一部依存し得る。図23Eに例示されたように、X線発生材料の吸収性がきわめて高い場合には、X線を放出し、さらに他の複数のX線発生要素を通って最も長い距離を進まなければならない領域に衝撃を与えるのに、より大きい電子密度が用いられ得る。 同様に、図23Bに例示されたように、電子侵入深さが深い場合には、X線発生材料は、斜めにした電子で衝撃を与えられ得る。電子侵入深さが所望されたより深い場合、X線発生材料のより薄い領域が用いられ、鉛直方向の大きさがより小さいソースを形成し得る。
多くの実施形態において、電子照射の領域は、電子ビーム又は複数の電子ビームが、主にX線発生要素1001、1002、1003などに衝撃を与え、これらの要素の間の領域には衝撃を与えないように調節され得る。多くの実施形態において、複数のX線発生要素の間の間隔は、真空ではなく、複数のX線発生要素からの熱の放散を容易にする固体材料で充填され得る。ダイヤモンドなどの熱伝導基板に埋め込まれた、又は埋設された複数のX線発生要素の配列を有するそのようなソースターゲットは、上述されたように同時係属中の米国特許出願第14/465,816号に開示されており、これはその全体を参照によって組み込まれたものとする。
複数のX線発生要素の間の領域が固体材料を有し、また電子で衝撃を与えられる場合、その領域は電子照射の下で加熱される傾向があり、それによって複数のX線発生要素との温度勾配が低減し、従ってX線発生要素からの熱の流れが低減する。電子エネルギー及び密度の量に対する制限が、溶融などの熱損傷が生じる前にX線発生材料によって吸収され得るエネルギー量で一部決定されることが多いということで、複数のX線発生要素からの熱の放散を増加させることが概して好ましく、それは、非X線発生領域の電子照射を減少させることによって、一部実現され得る。電子照射で発生した熱は、原子番号Zが増加するとともに増加する傾向があるので、ベリリウム(原子番号4)又はダイヤモンド(原子番号6)などの低原子番号の材料を有する基板を選択することが好ましい場合があることが、留意されるべきである。
別個の複数のX線発生要素に独立して衝撃を与えるのに用いられる複数の電子ビームを有するソースは、異なる加速電圧が異なる電子ビームソースで用いられることを可能にするようにも構成され得る。そのようなソース80−Bが図24に例示されている。この例示においてもやはり、前の高電圧源10が導線21−Aを介して、電子111−Aをターゲット1100−Bに向かって放出する電子放出器11−Aに接続されている。しかしながら、電圧10−B及び10−C用の2つの付加的な「ブースタ」も設けられ、これらの高電位が導線21−B及び21−Cを介して、異なるエネルギーの電子111−B及び111−Cを放出する付加的な電子放出器11−B及び11−Cに接続されている。X線発生要素801、802、803、…などを有するターゲット1100−Bは、通常は一様に接地電位に設定されているが、異なるX線発生要素を目標とするのに用いられる個々の電子ビームソースは異なる電位に設定され得て、従って、様々なエネルギーの電子が異なるX線発生要素801、802、803、…に衝撃を与えるのに用いられ得る。
これにより、個々のX線発生要素に用いられる材料に応じて、異なるエネルギーの電子が異なるX線放出スペクトルを発生し得るという点において、X線放出の管理に複数の利点が提供され得る。発生する熱負荷も、異なる電子エネルギーの使用を通じて管理され得る。そのような複数のビーム構成にとって、様々な複数のビームが互いに干渉しないようにし、また誤ったエネルギーの電子を誤ったターゲット要素に与えないようにするための複数の電子レンズの設計は、複雑になり得る。
3.2.材料のバリエーション
複数のX線発生要素を同一の構成単位として扱い、間にある複数の領域も同一とみなすことはより簡単であるが、いくつかの実施形態においては、これらのパラメータにバリエーションを有することに対して複数の利点があり得る。
いくつかの実施形態において、異なる複数の材料からの様々なスペクトルの特性X線を軸上ビューが示すように、異なる複数のX線発生要素は異なる複数のX線放出材料を有し得る。X線に対して比較的透明である材料は、出力ウィンドウ840に最も近い位置(例えば、図21において最右端の要素)に用いられ得るが、より強く吸収する材料は、他の複数のソースをあまり減衰させないように配列の反対側の要素に用いられ得る。
いくつかの実施形態において、複数のX線発生要素の間の距離は、複数の異なる材料の予想される熱負荷に応じて、変更され得る。例えば、複数の要素の間のより広い間隔は、電子衝撃の下でより多くの熱の発生が予想される要素に用いられ得て、より少ない熱が予想される場合には、より狭い間隔が用いられ得る。
3.3.サイズと形状のバリエーション
図25に例示されたように、いくつかの実施形態において、X線発生要素1801、1802、1803、…などは様々なサイズ及び幾何学的形状を有し得る。これは、複数の異なる材料が用いられ、複数の異なる材料によって電子の減速プロセス及びX線吸収が異なるという状況に特に有用であり得る。
直線累積X線ソースのための複数のX線発生要素の設計において考慮され得る有用なフィギュアオブメリットは、材料内のX線の1/e減衰長と、電子の「連続減速近似」(CSDA)飛程の半分との比である。電子は減速するにつれて、複数の衝突によってエネルギーを失い得るので、電子のCSDA飛程は、典型的には侵入深さより大きい。図26Aは、タングステンに対するこれら2つの関数の図を示しており、図26Bはその比の図を示している。X線データは、前に引用したヘンケ他によるソースからのものであり、CSDA飛程データは、NISTの「物理学的測定実験室(Physical Measurement Laboratory)」<http://physics.nist.gov/PhysRefData/Star/Text/ESTAR.html>からのものである。比は、X線の直線累積に用いられるとき、材料のX線発生に対するフィギュアオブメリットとみなされ得る。それは、材料のX線透過率が大きい(その微細構造に対するTが増加する)ときにその値は大きくなるが、CDSA飛程が小さいときにも大きくなるからである(これは、電子が迅速に吸収され、X線がより浅い深さのスポットから放出されるように見えることを意味している)。
図27は、この比を3種類の材料(Cu、Mo、及びW)の広範なX線エネルギーに対して示している。いったんX線材料が所望の特性線に対して選択されると、この比は特定のエネルギー範囲(タングステンでは約55keVなど)を示唆するのに用いられ得て、それにより、このフィギュアオブメリットが比較的大きくなるような状態でシステムが動作するように構成され得る。
経験則として、微細構造の厚みは、電子ビーム伝搬の方向で測定されるようなCSDAの1/2又はそれより小さく設定され得る。ターゲット材料のいくつかの選択では、薄箔コーティングの材料が必要なX線放出を提供するのに十分であり得て、より複雑な埋め込み又は埋設微細構造は必要とされない場合もある。
3.4.時分割放出
他の複数の実施形態において、X線発生要素801、802、803、804、…などは、電子による継続的な衝撃を受ける必要はないが、電子ビーム1211、1212、1213、1214、…などは、熱負荷を分散すべく時間とともにオンとオフとに切り替えられ得る。これは軸上で見たときに特に効果的であり得る。それは、すべてのX線が同じ発生源から発しているように見えるからである。
時分割した一実施形態は、図28A〜図28Cに例示されている。図28Aでは、最初の時間ステップt=0において、要素801及び804に対する電子ビーム1211及び1214がそれぞれオンになっており、他はすべてオフである。図28Bでは、時間ステップt=1において、要素802及び805に対する電子ビーム1212及び1215がオンであり、他はすべてオフである。図28Cでは、次の時間ステップt=2において、要素803及び806に対する電子ビーム1213及び1216がオンであり、他はすべてオフである。システムは、これらの構成の間を、単に様々な電子ビームを見えないようにするか、または機械的なシャッタでこれらのビームを遮断するか、あるいはこれらの電子ビームの位置を変えるかすることによって、切り替えられ得る。
さらに、いくつかの実施形態において、電子ビームは、X線発生材料を有するターゲット全面にわたって単に走査し得る。いくつかの実施形態において、この走査は規則的なラスタースキャンであってよく、他の複数の実施形態においては、走査を「一時休止(dwelling)」したり、X線発生領域をより低速で走査する一方で、1つのX線発生領域から次のX線発生領域へは急速に移動したりといった、不均一な走査であってもよい。他の実施形態において、電子ビームは、すべてのX線発生領域に同時に衝撃を与えるように設計され得るか、又は複数の電子ビームは複数のX線発生領域とほぼ同時に衝突するが、電子ビームを急速にオンオフさせて、「パルス状」のX線ソースを形成し得る。これは、いくつかの特定の用途に対していくつかの利点を有し得る。
電子照射のタイミングを変更可能なソースは、上述されたように、様々なスペクトルのX線エネルギー放出すべく、複数の異なる電位の電子で衝撃を与えられる複数の異なる種類の埋め込み微細構造を使用する複数の実施形態にも特に有用であり得る。
3.5.軸外構成
他の複数の実施形態において、僅かに軸外の構成が好ましい場合がある。そのような構成の複数の実施例が、図29A〜図29Bに例示されている。
図29Aでは、軸外ウィンドウ841、又は、スクリーン84又は壁にある開口部を通るX線放出が例示されている。X線放出は概して等方性であるので、電子で衝撃を受けたすべての微細構造からの放出は、この方向にも放出される。しかしながら、開口部841を通過するこの放出878の様々な光線は、同じ方向に伝搬せずに分散し、拡張したソースの様相を呈する。しかしながら、拡張したソースの様相が所望される場合、そのような軸外を用いた、X線用の小角度の集合体構成が適当であり得る。
図29Bは、複数の微細構造から、今回は入射電子ビーム1111、1112、1113などから離れた方向への放出を示している。この実施例では、微細構造801、802、803、…の間隔は、これらのサイズに対してはるかに大きいので、隣接する複数のX線放出要素による減衰もなくX線が検出器によって検出され得る軸外角度は、図29Aに例示された状況おける軸外角度よりもはるかに小さい。
3.6.複数の独立した電子ビーム
図30及び図31(ターゲットをさらに詳細に示している)に例示されているのは、上述された複数の要素の一部を組み込んだ、より一般的なX線システム80−Cである。本システムは、複数の導線21−A、21−B、及び21−Cを介して、電子ビーム111−A、111−B、111−Cなどを発生させる複数の電子放出器11−A、11−B、及び11−Cに様々な電圧を送る電子システムコントローラ10−Vを備えている。これらの電子ビーム111−A、111−B、111−Cのそれぞれは、導線27−A、27−B、及び27−Cを介して、複数の電子レンズ70−A、70−B、及び70−Cを制御するシステムコントローラ10−Vからの信号によって制御され得る。
例示されたように、本システムは冷却システムをさらに備えている。冷却システムは、典型的には水である冷却流体93を充填した容器90を有し、冷却流体93はポンプなどの機構1209によって、ターゲット1100−Cの基板1000を通過する冷却経路を含む複数の冷却経路1200を通って動かされる。
これらの例示は、本発明の理解を助ける目的で示されており、様々な要素(微細構造、表面層、冷却経路など)は縮尺通りに描かれていないことが、留意されるべきである。
図31は、電子による衝撃下にあるターゲット1100−Cを本システムの拡大図で示しており、その中に2つの付加的な電子ビーム111−D及び111−Eが加えられている。例示されたように、ビーム111−D及び111−Eの両方は、右側の3つの電子ビーム111−A、111−B、及び111−Cより高電流を有し、一番左の電子ビーム111−Eは、すべてのビームの中で最も高い電流密度を有しており、複数のビームは等しい密度である必要はないことを示している。より高い電流を受ける一番左のX線発生要素804及び805は、これらとこれらに隣接する微細構造との間に、より低い電子電流を受ける一番右の要素801、802、及び803の間に設けられている間隔より大きい間隔を有するようにも例示されている。いくつかの実施形態において、804及び805は、801、802、及び803よりも原子番号が高い材料で構成され得る。
図31には、熱伝導性(熱を除去するため)と導電性の両方を兼ねる導電性オーバーコート膜770も示されており、接地722への電子の戻り経路が設けられている。軸上にあるX線がターゲットから放射されることを可能にするための開口部840を有する、スクリーン84も設けられている。
3.7.基板用の材料選択
上記のように、X線発生材料の複数の微細構造を有するターゲットの基板では、基板に対するX線の透過率Tがほぼ1であることが好ましい。 長さL及び線吸収係数αの基板材料では、次式のようになる。
ここでL1/eは、X線強度が1/e倍まで減少する長さである。
概して、次式の関係で表される。
ここで、XはX線エネルギー(keV)であり、Zは原子番号である。従って、L1/e大きくするには(すなわち、材料をより透過させるには)、より高いX線エネルギーが求められ、より低い原子番号が非常に好ましい。このため、様々な形態(例えば、ダイヤモンド、グラファイトなど)のベリリウム(原子番号4)及び炭素(原子番号6)の両方が、基板として望ましい場合がある。と言うのは、これらがX線に対して非常に透過的であり、また高熱伝導率を有する(表1を参照)ためでもあるという両方の理由による。
4.本発明の複数の実施形態の他の実施例
4.1.2つの面のターゲット
直線累積用に配置された複数のX線発生要素を有するターゲットを用いたソース80−Dの1つの実施形態が、図32に例示されており、ターゲット2200が図33でより詳細に示されている。
図32に示された実施形態では、コントローラ10−2が、電子ビーム1221及び1222をターゲット2200の両面に向かって放出する2つの放出器11−D及び11−Eに高電圧を供給している。位置、方向、焦点合わせなど、電子ビーム1221及び1222の特性は、それぞれ導線27−D及び27−Eを介して、ビームの特性をビーム電流設定及び高電圧設定で調整する複数の電子レンズ70−D及び70−Eによって制御され、すべてはコントローラ10−2によって制御されている。ターゲット2200は基板2200と、基板2200の各面に1つずつある、2つのX線発生材料の薄いコーティング2221及び2222とを有している。
電子ビーム1221及び1222は、複数の電子レンズ70−D及び70−Eによって方向付けられ、それぞれの位置から発生したX線821及び822が、X線2888のビームがソース80−Dから放出されることを可能にするスクリーン84の開口部840と位置合わせされるような位置で、ターゲット2200の両面の薄いコーティング2221及び2222に衝撃を与える。
電子による大面積の衝撃はより大きな重なり合いを実現するが、電子密度がより高い場合に、より高いX線放出が生じるので、複数の電子レンズ70−D及び70−Eが、電子ビーム1221及び1222を25ミクロンの小さいスポットに、又はさらに小さいスポットに焦点合わせするのに用いられ得る。示されたような構成におけるそのような小さいスポットに対して、重畳されたX線放出パターンを生成するための(従って、2つのスポットの直線累積を実現するための)2つの電子衝撃スポットの位置合わせが、開口部840の向こうにX線検出器を配置して、X線ビーム2888の強度を測定することによって実行され、電子ビーム1221及び1222の位置及び焦点は、複数の電子レンズ70−D及び70−Eを用いて変更される。2つのスポットは、両方のスポットからの同時強度が検出器で最大になるときに、位置合わせされているとみなされ得る。
ターゲット2200は、真空チャンバ内の構造体にしっかりと取り付けられ得るか、又はその位置が変えられるように取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、ターゲットは更に加熱を放散すべく、回転アノードとして取り付けられ得る。
上述したように、コーティング2221及び2222の厚みは、予想電子エネルギー及び侵入深さ又は材料のCSDA推定値に基づいて選択され得る。例示されたように、面法線に対して斜めに衝撃が生じる場合、入射角はコーティング厚の選択にも影響を与え得る。電子ビーム1221及び1222に対するターゲット2200の傾きは約45°に示されているが、X線が放出されることを可能にする0°から90°までの任意の角度が用いられ得る。
上述された2つの面のターゲットは、アノードが回転して熱を分散させる回転アノードを備える一実施形態にも用いられ得ることにも留意されたい。これらの特徴を有するシステム580−Rが、図34に例示されている。この実施形態では、多くの要素が、図6Aに例示されたような従来の回転アノードシステムにおけるものと同じであるが、例示されたようなこの実施形態では、コントローラ10−3が、導線21−G及び21−Fを介して、電子ビーム2511−F及び2511−Gをそれぞれ放出する2つの放出器11−F及び11−Gに高電圧を供給する。これらの電子ビームは、X線2588を生成するX線発生材料を有するコーティング2521及び2522で両面をコーティングされた、ターゲット500−Rの面取りされた部分の両面に衝撃を与える。ビームをステアリングする複数の電子レンズ又はX線ビーム出力を画定するための開口部など、付加的な制御を伴う複数の実施形態も設計され得ることも明らかであるべきである。
4.2.複数の2つの面のターゲット
上述されたようなソース80−Dは、2つの面を有する単一ターゲットに限定されない。図35に示されているのは、一対のターゲット2203、2204であり、それぞれは2つのコーティング2231及び2232、並びに2241及び2242をそれぞれ有しており、これらはそれぞれ基板2230及び2240上にあるX線発生材料である。この実施形態において、今回は2つのターゲット2203、2204上のそれぞれの複数のコーティングに衝撃を与え、X線831及び832、並びに841及び842をそれぞれ発生させるように制御される4つの電子ビーム1231、1232、1241、1242があることを除いて、ソースは、図32に例示されたものと類似の構成を有する。
この実施形態では、単一の発生源から発しているように見えるべく、4つのX線発生スポットがスクリーン84の開口部840と位置合わせされている。開口部840の向こうに配置された検出器で総X線強度を最大化すべく、今回は4つの電子ビーム1231、1232、1241、及び1242が調節されることを除いて、位置合わせの手順は2つの面のターゲットの場合に対して上述された通りである。
上述されたように、ターゲット2203及び2204は、真空チャンバ内の構造体にしっかりと取り付けられ得るか、又はこれらの位置が変えられるように取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、ターゲット2203及び2204は更に加熱を放散すべく、回転アノードとして取り付けられ得る。ターゲット2203及び2204の回転は、同期してもよく、独立して制御されてもよい。
上述されたように、コーティング2231、2232、及び、2241、2242の厚みは、予想電子エネルギー及び侵入深さ又は材料のCSDA推定値に基づいて選択され得る。例示されたように、面法線に対して斜めに衝撃が生じる場合、入射角はコーティング厚の選択にも影響を与え得る。電子ビーム1231、1232、及び、1241、1242に対するターゲット2203及び2204の傾きは約45°に示されているが、X線が放出されることを可能にする0°から90°までの任意の角度が用いられ得る。
4つのX線発生表面を有する2つのターゲットのみが図35に例示されているが、X線発生材料でコーティングされた複数の表面を有する任意の数のターゲットを伴った複数の実施形態が、同じ様式で用いられ、それぞれのターゲットは、独立して制御された電子ビームで片面又は両面に衝撃を与えられ得る。さらに、様々なターゲット用のコーティングは、異なるX線材料になるように選択され得る。例えば、上流側のコーティング2241及び2242は、銀(Ag)又はパラジウム(PD)などの材料になるように選択され得て、下流側のコーティング2231及び2232は、上流側のターゲットから発生した特性X線に対してより高い透過率を有するロジウム(Rh)になるように選択され得る。これにより、複数の要素からの複数の特性線を有する、混合X線スペクトルが提供され得る。さらに、様々な電子ビーム電流及び密度を調節することによって、調整可能なX線の混合が実現され得る。
同様に、コーティング自体は一様な材料である必要はないが、複数の特性X線の混合を生成するように設計された、様々なX線発生物質の合金であってもよい。
4.3.埋め込構造を有する2つの面のターゲット
図36は別の実施形態を示しており、ここでターゲットは、薄いコーティングの代わりに、基板に埋め込まれたX線発生材料の複数の微細構造を有している。
2つのターゲット2301及び2302が示され(図32及び図33に例示されるなどの単一ターゲットもこの様式で構成され得るが)、それぞれは4つの微細構造であるX線発生材料2311、2312、2313、2314、及び、2321、2322、2323、2324をそれぞれ有し、基板2310、2320のそれぞれの面にそれぞれ埋め込まれている。電子ビーム1281、1282、1283及び1284は、ターゲット2301、2302の上に方向付けられ、スクリーン84−Bの開口部840−Bと位置合わせされたときに、同じソースから生じたように見えるビーム882を形成するX線を生成する。
上述されたように、この実施形態用の複数の埋め込み微細構造は、所望のスペクトル出力を実現すべく、異なる複数のX線発生材料を有し得るか、又は、複数のX線発生材料の合金又は混合物を有し得る。
4.4.傾斜表面上の複数の位置
ターゲット2400が分散電子ビーム2411と位置合わせされている、別の実施形態が図37A〜図37Cに例示されている。この実施形態では、電子ビーム2411は、基板2410上に形成されたX線発生材料のコーティング2408の上の複数のスポットに焦点が合わされている。電子ビーム2411は、複数のスポットが位置合わせされた列に形成され、列に沿った(角度0°での)これらのX線放出2488が、単一の発生源から生じているように見えるように、調節され得る。
この実施形態の変形例が図38A〜図38Cに例示されている。この実施形態のターゲット2401では、コーティングの代わりに、X線発生材料の微細構造2481、2482、2483が基板2410に埋め込まれている。分散電子ビーム2411は、これらの微細構造に衝撃を与え、やはり単一の発生源から生じているように見えるX線2488を発生させる。
5.付加的なX線レンズを用いたX線集中
ここまでに説明された複数の実施形態では、複数の発生源からの複数のX線放出が、それらを特定の角度から見たときに、それらが重なり合っているように見えるように、従って単に単一のより明るいX線ソースであるように見えるように、単に位置合わせされている。
しかしながら、X線放出は概して等方性であり、従って、小さい視野角しか持たない開口部が用いられる場合、大部分のX線エネルギーは失われる。
これは、他の角度で複数の発生源から放出されるその他のX線を、複数のX線光学要素を用いて収集することによって対処され得る。グレージング角ミラー、多層コーティングを有するミラー、又はより複雑なウォルタレンズやキャピラリレンズなど、従来のX線用の複数の光学要素が用いられ得る。
概して、ターゲットとレンズとの間の関係は、製造時に確立されている。レンズは、光学製造の当業者によく知られているなどの位置合わせの手順を用いて、真空中で使用するために設計された特定のマウント又はエポキシのどちらか一方で、所定の位置に固定され得る。前に説明されたように、最終的な位置合わせは、X線検出器を出力開口部に配置して、最大X線強度を実現すべく、様々な電子ビームの焦点及び位置を調節することによって実現され得る。最終的な調節は、X線を用いる複数の光学要素の位置合わせに対しても成され得る。検出器は、電子ビームコントローラにフィードバックを提供するのにも用いられ得ることが、留意されるべきである。例えば、検出器はスペクトル出力の測定値を提供し、それは次に特定の特性線を発生させる電子ビームにその出力を増加させるか又は減少させるように指示するのに用いられ得る。
すべてのターゲットが、同じ入射角の電子で照射される必要があるとは限らないことも、留意されるべきである。複数のX線放出材料を有する構成では、材料によっては異なる侵入深さを有し得る。従って、異なる入射角の電子で衝撃を与えることは、その特定のターゲットのX線発生に、より効率的であり得る。また、以前の複数の実施形態で説明されたように、異なる電子密度、エネルギー、角度、焦点調節の状態などが、異なるターゲットに用いられ得る。
放出はすべてのターゲットから等方的に生じ、収集及び焦点に集める複数のX線レンズは、両方向に伝搬するX線に作用することが、留意されるべきである。従って、複数のターゲットのつながりの反対端に配置された検出器は、較正及びX線システムの全体の出力のモニタとして働き得る。
5.1.一般的な反射レンズ
図39は、位置合わせされた3つのターゲット2801、2802、2803を用いた一実施形態を示しており、それぞれは基板2811、2812、2813に埋め込まれたX線発生材料の微細構造2881、2882、2883を有している。複数のターゲットのそれぞれは、電子ビーム1181、1182、1183によってそれぞれ衝撃を与えられ、X線2818、2828、2838をそれぞれ発生させる。
複数のX線放出ターゲットのそれぞれの間に、X線イメージングミラーレンズ2821、2822、2831、2832が配置され、より広い複数の角度に放出されたX線を収集して、それを別のX線ターゲットのX線発生スポットに対応する位置の焦点に再方向付けする。例示されたように、焦点は、隣接ターゲットのX線発生スポットになるように設定されているが、いくつかの実施形態において、すべてのX線ミラーは、X線を同じポイントに、例えば、最後の(一番右の)X線ターゲットの最後のX線発生スポットに焦点を合わせるように設計され得る。
これらのイメージングミラーレンズ2821、2822、2831、2832は、典型的にガラスで作られた反射面を有する楕円面ミラー、又は高質量密度材料でコーティングされた表面、又は多層コーティングされたX線リフレクタ(典型的にモリブデン(Mo)及びケイ素(Si)の層を用いて作られる)、又はクリスタルレンズ、又はこれらの組み合わせなど、任意の従来のX線イメージング光学要素であってよい。X線レンズ及びそのコーティング用の材料及び構造の選択は、収集され再度焦点に集められるX線のスペクトルに応じて異なり得る。断面として例示されているが、X線レンズ全体又はその一部は、円筒対称性を有し得る。
この実施形態の変形例が、図40に例示されている。この実施形態において、第1の(上流側の)X線ターゲット2830は、他の箇所で説明されたように、X線発生材料の複数の微細構造2883が埋め込まれた基板2833をここでは備えている。このターゲット2830から放出されたX線2838−Aの強度は、これらの複数の微細構造2883から放出されたX線の直線累積に起因して増加し、前に説明された複数の実施形態においてと同様に、この実施形態においても、より明るい全体のX線ソースに寄与し得る。しかしながら、この実施形態では、電子ビーム1183−Aは、複数の微細構造2883により効果的に衝撃を与えるべく、(例示されたように)図39の実施形態とは異なる入射角、サイズ、形状、及び焦点を有するように調節され得る。
この実施形態の別の変形例が、図41に例示されている。この例示では、左に伝搬する第2のX線ビーム2988−Lも例示されている。この第2のX線ビームは、プレート84−Lの第2の開口部840−Lを通って伝搬し、第2のX線照射ソースとして用いられ得るか、又は検出器4444と共に用いられて、輝度、明るさ、全強度、フラックス、エネルギースペクトル、ビームプロファイル、及び、発散又は収束など、X線ビーム特性のモニタとして働き得る。
5.2.ウォルタレンズ
本発明の別の実施形態が、図42に例示されている。この実施形態において、1つのターゲットから放出されたX線を収集し、それを下流側で焦点に集める光学要素2921及び2931は、現在ではウォルタレンズとして知られる光学要素である。ウォルタレンズは、X線を収集し焦点に集める、入れ子構造のミラーのよく知られたシステムであり、典型的に放物線状及び/又は双曲線状の反射面を、典型的にグレージング角で用いられるそれぞれの要素とともに有している。典型的には、反射面はガラスである。ガラス表面は、高質量密度材料又はX線多層(典型的に、モリブデン(Mo)及びケイ素(Si)の層を用いて作られる)でコーティングされ得る。
図43A及び図43Bは、水平及び鉛直の両方向に向けて配置された様々な円筒形のレンズを有する、X線用に用いられるウォルタレンズの従来技術の実施形態を示している。上述されたように、これらの光学要素に用いられる材料及びコーティングは、様々なX線発生源から放出されることが予想されるX線のスペクトルに適合するように選択され得る。
5.3.キャピラリレンズ
本発明の別の実施形態が、図44に例示されている。この実施形態において、1つのターゲットから放出されたX線を収集し、それを下流側で焦点に集める光学要素2941及び2951は、現在ではポリキャピラリレンズとして知られる光学要素である。ポリキャピラリレンズは、X線が細いファイバを通って誘導され、所望位置の別の端に現れるという点において、光ファイバと類似している。しかしながら、全内部反射を用いて反射させる固体のガラス繊維を有する光ファイバと異なり、ポリキャピラリレンズは複数の中空チューブを有し、X線はグレージング角において材料からの外部反射によってチューブへと誘導される。
ポリキャピラリレンズは、X線を収集して再方向付けするのによく知られた手段であり、任意の数の従来のポリキャピラリー光学要素が、本明細書で開示された本発明の複数の実施形態において用いられ得る。しかしながら、複数のキャピラリーファイバを有するポリキャピラリレンズは、多くの角度で放出されたX線を収集して、所望される焦点部分に方向付けられ得るように用いられると、概して考えられている。
5.4.バリエーション
特定のオプションが、反射レンズ、ウォルタレンズ、又はキャピラリレンズを示す複数の例示に示されたが、これらは決して限定することを意味するものではない。図39から図42、及び図44に例示された光学構成は、例えば、図41のミラー2821、2822を置き換えるウォルタレンズ2931と入れ換え可能であり得る。複数の微細構造を有する複数のターゲットがこれらの例示で用いられているが、図33及び図35で例示されたなどの複数の薄膜を有する複数のターゲットが、焦点に集めるこれらのX線レンズと共に用いられ得ることも、留意されるべきである。
6.限定及び拡張
本願をもって、発明者らによって意図される最良の形態を含む、本発明の複数の実施形態が開示されている。特定の複数の実施形態が示され得るが、いくつかの実施形態のためにのみ詳細に論じられた複数の要素は、他の複数の実施形態にも適用され得ることが認識されるであろう。
特定の複数の材料、複数の設計、複数の構成、及び複数の製造工程が、本発明及び好ましい複数の実施形態を説明すべく示されたが、そのような説明は限定することを意図するものではない。複数の変形例及び複数の変更例は、当業者には明らかであり得て、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載された範囲によってのみ限定されことが意図されている。
本明細書で説明されたすべての要素、部材、及び工程が含まれていることが好ましい。当業者には明らかであるように、これらの要素、部材、工程のいずれも、他の複数の要素、複数の部材、複数の工程によって置き換えられ得るか、又は完全に削除され得ることが理解されるべきである。
概して、本文書は少なくとも以下のことを開示している。高輝度X線発生用の小型ソース。より高い輝度は、X線の直線累積を実現すべく、互いに位置合わせされた複数の領域の電子ビーム衝撃によって実現される。これは、離散した複数のX線放出器を位置合わせすることによって、又は高熱伝導率の基板と密接に熱的接触をして作られた、X線発生材料の複数の微細構造を有する新規のX線ターゲットの使用によって実現される。これにより、熱がより効率的にX線発生材料から排除されることが可能となり、またこの材料がより高い電子密度及び/又はより高いエネルギーの電子で衝撃を与えられることが可能となるので、より大きいX線輝度がもたらされる。複数の微細構造の配置は、軸上収束角の使用を可能とし、位置合わせされた複数の微細構造からのX線の累積を可能にするので、単一の発生源を有しているように見え、これは「角度0°」のX線放出としても知られている。
本文書は、少なくとも以下の概念も示している。
(概念1)
真空チャンバと、
上記真空チャンバの壁に取り付けられた、X線に透過的なウィンドウと、
上記真空チャンバ内の少なくとも1つの電子ビーム放出器と、
少なくとも1つのターゲットであって、
第1の選択材料を有する基板と、
そのX線発生特性のために選択された第2の材料を有する複数の離散構造とを、
有する上記少なくとも1つのターゲットとを、
備え、
上記複数の離散構造のそれぞれは、上記基板と熱的接触をしており、
上記複数の離散構造のうち少なくとも1つは、10ミクロンより薄い厚みを有し、上記複数の離散構造のうち上記少なくとも1つのそれぞれの横寸法は、50ミクロンより小さい、
X線ソース。
(概念2)
上記複数の離散構造は、上記基板の表面に埋め込まれている、
概念1に記載のX線ソース。
(概念3)
上記複数の離散構造は、上記基板の表面の深さ100ミクロン未満内に埋設されている、
概念1又は2に記載のX線ソース。
(概念4)
上記放出器から上記ターゲット上に放出される電子ビームを方向付ける手段をさらに有する、
概念1から3の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念5)
電子ビームを方向付けるための上記手段は、複数の電子レンズを有する、
概念4に記載のX線ソース。
(概念6)
電子ビームを方向付けるための上記手段は、複数の静電レンズを有する、
概念4又は5に記載のX線ソース。
(概念7)
電子ビームを方向付けるための上記手段は、複数の磁気レンズを有する、
概念4から6の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念8)
電子ビームを方向付けるための上記手段は、焦点を合わせる、発散させる、焦点をぼかす、走査する、ラスタースキャンをする、一時休止する、見えないようにする、スイープする、ビーム方向を変更する、ビーム強度プロファイルを変更する、複数の電子ビームを形成する、ビーム電流密度を変更する、電子ビーム中の電子の加速を変更するから成る群から選択された操作によって、上記電子ビームの制御を可能とする、
概念4から7の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念9)
電子ビームを方向付けるための上記手段は、少なくとも1つの大きさにおいて30ミクロンより小さいスポットサイズに上記電子ビームの焦点を合わせることを可能にする、
概念4から8の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念10)
電子ビームを方向付けるための上記手段は、上記複数の離散構造の少なくとも一部の位置に対応するパターンに、上記電子ビームを方向付けることを可能にする、
概念1から9の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念11)
電子ビームを方向付けるための上記手段は、上記複数の離散構造の少なくとも一部の位置に対応するパターンに、上記電子ビームを方向付けることを可能にし、
上記パターンは、放出された上記X線の予め定められた複数の特性をモニタする検出器からの信号に応答して、時間内に適応される、
概念10に記載のX線ソース。
(概念12)
放出された上記X線の予め定められた上記複数の特性は、輝度、明るさ、全強度、フラックス、エネルギースペクトル、ビームプロファイル、及びビーム広がりから成る群から選択される、
概念11に記載のX線ソース。
(概念13)
上記複数の離散構造は、直線配列に配置される、
概念1から12の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念14)
上記複数の離散構造は、類似形状を有するように製造される、
概念1から13の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念15)
上記類似形状は、正角柱、直四角柱、立方体、三角柱、台形柱、ピラミッド型、四面体、円柱、球体、卵形、たる形から成る群から選択される、
概念14に記載のX線ソース。
(概念16)
上記第1の選択材料は、ベリリウム、ダイヤモンド、グラファイト、ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、サファイア、及びダイヤモンド状炭素から成る群から選択される、
概念1から15の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念17)
上記第2の材料は、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、イリジウム、タンタル、タングステン、インジウム、セシウム、バリウム、金、白金、鉛、並びに、これらの組み合わせ及びこれらの合金から成る群から選択される、
概念1から16の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念18)
上記複数の離散構造のサブセットは、そのX線発生特性のために選択された第3の材料を有する、
概念1から17の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念19)
上記第3の材料は、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、イリジウム、タンタル、タングステン、インジウム、セシウム、バリウム、金、白金、鉛、並びに、これらの組み合わせ及びこれらの合金から成る群から選択される、
概念18に記載のX線ソース。
(概念20)
上記複数の離散構造のうち少なくとも1つは、上記基板の縁部から500ミクロン以内に配置される、
概念1から19の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念21)
上記直線配列は、長軸及び短軸を有するように画定され、上記直線配列の上記長軸は、上記ウィンドウと位置合わせされ、上記長軸と上記ウィンドウの面法線との間の角度は、上記長軸と上記ウィンドウとが交差する部分において、85°よりも小さい、
概念13から20の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念22)
上記複数の離散構造のうち少なくとも1つは、上記ウィンドウに最も近い上記基板の縁部から500ミクロン以内に配置される、
概念21に記載のX線ソース。
(概念23)
上記ターゲットの上記複数の微細構造は、方向付けられた上記電子ビームにさらされたときに、上記複数の離散構造のうち予め定められた1つによって放出されたX線が、上記複数の離散構造の別のものを透過するように位置合わせされている、
概念4から22の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念24)
上記ターゲットは、方向付けられた上記電子ビームにさらされたときに、上記複数の離散構造のうち予め定められた数の離散構造によって放出されたX線が、上記複数の離散構造から選択された1つの予め定められた離散構造を透過するように、位置合わせされている、
概念21から23の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念25)
冷却システムであって、
冷却流体を保存するための容器と、
上記冷却流体を運ぶための上記基板内の経路と、
上記容器から上記基板内の上記経路に上記流体を運ぶための付加的な経路と、
上記基板内の上記経路から上記容器に上記流体を運ぶための付加的な経路と、
上記システムを通って上記流体をポンプで送り込むポンピング機構とを、
含む上記冷却システムをさらに備える、
概念1から24の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念26)
上記ターゲットを回転させる機構をさらに備える、
概念1から25の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念27)
真空チャンバと、
上記真空チャンバの壁に取り付けられた、X線に透過的な第1のウィンドウと、
上記真空チャンバ内の1又は複数の電子放出器と、
複数のX線ターゲットとを、
備え、
それぞれのターゲットは、そのX線発生特性のために選択された材料を有し、
上記材料の少なくとも1つの大きさは20ミクロンより小さく、
上記1又は複数の電子放出器及び上記複数のX線ターゲットは、上記複数のターゲット上の電子の衝撃が複数のX線サブソースを生成するように位置合わせされ、それにより上記複数のサブソースは上記第1のウィンドウを通過する軸に沿って位置合わせされている、
X線ソース。
(概念28)
そのX線発生特性のために選択された上記材料は、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、イリジウム、タンタル、タングステン、インジウム、セシウム、バリウム、金、白金、鉛、並びに、これらの組み合わせ及びこれらの合金から成る群から選択される、
概念27に記載のX線ソース。
(概念29)
予め定められたX線エネルギースペクトルに対して、上記複数のX線ターゲットのうち少なくとも1つのX線の透過率は、50%より大きい、
概念27又は28に記載のX線ソース。
(概念30)
予め定められた上記X線エネルギースペクトルは、少なくとも1つのX線サブソースの発光スペクトルに対応する、
概念27から29の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念31)
上記複数のターゲットのうち少なくとも1つは、基板をさらに有する、
概念27から30の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念32)
上記基板は、ベリリウム、ダイヤモンド、グラファイト、ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、サファイア、及びダイヤモンド状炭素から成る群から選択される材料を有する、
概念27から31の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念33)
上記X線発生材料は、薄膜の形で上記基板上にある、
概念31又は32に記載のX線ソース。
(概念34)
上記ターゲットは、0.1Wm−1−1より大きい熱伝導率の材料を有する基板に埋め込まれた複数の離散構造を有し、
上記複数の離散構造は、そのX線発生特性のために選択された材料を有する、
概念27から30の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念35)
複数のX線サブソースを形成すべく、上記ターゲット上の1又は複数の位置に、上記複数の電子放出器のうち少なくとも1つからの電子ビームを方向付けるための手段をさらに備える、
概念34に記載のX線ソース。
(概念36)
電子ビームを方向付けるための上記手段は、複数の電子レンズを備える、
概念35に記載のX線ソース。
(概念37)
複数の上記ターゲットへの上記複数の電子ビームの上記衝撃によって生成された複数のX線サブソースすべての中央部が、上記第1のウィンドウを通過する軸に沿って位置合わせされるように、上記複数の電子ビームのそれぞれを位置合わせする手段をさらに備える、
概念34から36の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念38)
少なくとも2つの隣接するX線サブソースが、共通の基板を共有する、
概念27から37の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念39)
X線光学要素をさらに備え、
上記光学要素は、サブソースによって放出されたX線が、上記光学要素によって、隣接するX線サブソースの上に方向付けられるように配置される、
概念27から38の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念40)
上記X線光学要素は、斜入射X線リフレクタを有する、
概念39に記載のX線ソース。
(概念41)
上記X線光学要素は、多層コーティングを有するX線リフレクタを有する、
概念40に記載のX線ソース。
(概念42)
上記X線光学要素は、20ナノメートルを超える厚みがあり、かつ高質量密度の材料を含むコーティングがされたX線リフレクタを有する、
概念40に記載のX線ソース。
(概念43)
上記X線光学要素はウォルタレンズを有する、
概念39に記載のX線ソース。
(概念44)
上記X線光学要素はポリキャピラリレンズを有する、
概念39に記載のX線ソース。
(概念45)
上記X線光学要素は、複数の焦点が2つの隣接するサブソースの中央に対応するように配置された、楕円体のキャピラリレンズを有する、
概念39に記載のX線ソース。
(概念46)
X線光学要素をさらに備え、
上記光学要素は、サブソースによって放出されたX線が上記光学要素に入り、上記真空チャンバ内の予め定められた位置の上に方向付けられるように配置される、
概念39に記載のX線ソース。
(概念47)
上記真空チャンバの壁に取り付けられた、X線に透過的な第2のウィンドウをさらに備え、
上記複数のサブソースは、上記第1のウィンドウ及び上記第2のウィンドウの両方を通過する線に沿って、位置合わせされている、
概念27から46の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念48)
X線検出器をさらに備え、
上記検出器は、上記複数のサブソースのうち少なくとも1つによって放出された上記X線が上記検出器に当たるように、位置合わせされている、
概念47に記載のX線ソース。
(概念49)
真空チャンバと、
上記真空チャンバの壁に取り付けられた、X線に透過的な第1のウィンドウと、
上記真空チャンバ内の第1の電子ビーム放出器と、
第2の電子ビーム放出器と、
ターゲットであって、
基板と、
そのX線発生特性のために選択された材料を有する第1の構造と、
そのX線発生特性のために選択された材料を有する第2の構造とを、
有するターゲットとを、
備える、
X線ソース。
(概念50)
複数の対の電子ビーム放出器と、
複数のターゲットであって、
基板と、
そのX線発生特性のために選択された材料を有する第1の構造と、
そのX線発生特性のために選択された材料を有する第2の構造とを、
有する複数のターゲットとを、
さらに備える、
概念49に記載のX線ソース。
(概念51)
上記第1の構造の上記材料と、上記第2の構造の上記材料とは、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、イリジウム、タンタル、タングステン、インジウム、セシウム、バリウム、金、白金、鉛、並びに、これらの組み合わせ及びこれらの合金から成る群から選択される、
概念49又は50に記載のX線ソース。
(概念52)
上記基板は、ベリリウム、ダイヤモンド、グラファイト、ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、サファイア、及びダイヤモンド状炭素から成る群から選択される材料を有する、
概念49から51の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念53)
上記複数の構造のうち少なくとも1つは、上記基板の表面上の薄膜コーティングである、
概念49から52の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念54)
上記第1の構造及び上記第2の構造は、両方とも上記基板の両面(opposite surfaces)上の薄膜コーティングである、
概念49から53の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念55)
上記複数の構造のうち少なくとも1つは、1又は複数の微細構造を有する、
概念49から54の何れか1つに記載のX線ソース。
(概念56)
上記1又は複数の微細構造は上記基板に埋め込まれている、
概念55に記載のX線ソース。
(概念57)
1又は複数の微細構造は、他の複数の微細構造のうち少なくとも1つに対し、上記基板の反対側の面に埋め込まれている、
概念56に記載のX線ソース。
(概念58)
上記第1の電子放出器及び上記第2の電子放出器は、上記ターゲットの両面に複数の電子ビームで衝撃を与えるべく位置合わせされている、
概念49に記載のX線ソース。
(概念59)
X線を発生させる方法であって、
少なくとも1つのターゲットを、複数の離散構造に当たるよう形成された電子ビームにさらす段階を備え、
上記少なくとも1つのターゲットは、
第1の選択材料を有する基板と、
そのX線発生特性のために選択された第2の材料を有する上記複数の離散構造とを、
有し、
上記複数の離散構造のそれぞれは、上記基板と熱的接触をしており、
上記複数の離散構造のうち少なくとも1つは、10ミクロンより薄い厚みを有し、
上記複数の離散構造のうち上記少なくとも1つのそれぞれの横寸法は、50ミクロンより小さい、
方法。
(概念60)
X線を発生させる方法であって、
単一の真空チャンバ内に含まれたX線発生材料を有する複数のターゲットを、複数の電子ビームを用いてさらす段階を備え、
上記複数の電子ビームの位置は、上記複数のターゲットから放出され、また予め定められた開口部も通過する上記X線の強度を増加させるように調節されている、
方法。
[付録A]
X線発生のための構造化ターゲット
付録図の13は、規則的配列構造に配置されたX線発生材料を含む直四角柱の形をした微細構造700の配列を有する、本発明の一実施形態によるターゲットの領域1001を示している。付録図の13Aは、この実施形態の16個の微細構造700の斜視図を示し、付録図の13Bは同じ領域の上面図を示し、付録図の13Cは同じ領域の側面/断面図を示している。(本開示の「側面/断面図」という用語に対して、意味する図は、物体の断面を作成し、次に横から断面の表面を見たような図である。この図は、断面部分の詳細、及び、基板自体が透明であると仮定した場合に(ダイヤモンドの場合には、概して可視光に当てはまる)、横から見られ得る材料のさらに内部の両方を示している)。
この実施形態において、複数の微細構造は6つの面のうち5つで基板と密接に熱的接触をするように、製造されている。例示されたように、複数の微細構造700の上面は基板の表面と同一平面を成すが、微細構造が凹所にある他の複数の実施形態が製造されてよく、さらに複数の微細構造が基板の表面に対して局所的な「バンプ」を示す他の複数の実施形態が製造されてもよい。
別の実施形態は、基板の表面上に単に堆積された複数の直四角柱の微細構造を有し得る。この場合、角柱の底面だけが、基板と熱的接触をし得る。 付録図の13Cに示されたような側面/断面図で、深さD、並びに基板平面における横寸法W及びLを有して基板に埋め込まれた複数の微細構造を有する構造の場合、埋め込み微細構造と堆積微細構造との、基板と接触する総表面積の比は次の式で表される。
W及びLに対してDの値が小さい場合、比は実質的に1になる。厚みが大きくなると比も大きくなり、等しい5つの面が熱的接触をする立方体(D=W=L)では、比は5である。質量密度及び熱伝導率に関して基板と類似の特性を有する材料のキャップ層が用いられる場合、比は6まで増加し得る。
熱伝導は付録図の14Aに代表的な矢印で例示されており、その中で、基板1000に埋め込まれた複数の微細構造700で発生した熱は、底面及び複数の側面を通って複数の微細構造700から外へ伝えられる(図面の面外方向へ複数の側面を通って伝達する矢印は示されていない)。 面積A、厚みdの材料を通って伝達される単位時間当たりの伝導熱量(ΔQ)は、次の式で与えられる。
ここでkは熱伝導率(W/(m℃))、ΔTは厚みdの全体にわたる温度の差異(℃)である。従って、表面積の増大、厚みの低下、及びΔTの増大はすべて、熱伝導の比例的増加につながる。
別の実施形態が付録図の14Bに例示されており、ここで基板は冷却経路1200を付加的有し得る。そのような冷却経路は、上述されたように、基板から熱を奪うための水又は別の冷却流体を用いた従来技術の冷却経路であってよく、又は埋め込み微細構造700の近くの領域から熱を最もよく除去するように適応された設計に従って製造されてもよい。
別の複数の実施形態は当業者によって理解され得るか、又は考案され得て、そこで、例えば基板は熱の伝達を向上させるために銅ブロックなどのヒートシンクに結合され得る。次に銅ブロックもその中に、ブロックから熱を奪うのに役立つ複数の冷却経路を有し得る。代替的に、基板は熱電冷却器に取り付けられ得て、電圧がその中の特別に作成された半導体デバイスに印可される。これらのデバイスにおいて、電流の流れは、一方に冷却、他方に加熱を生じさせる。ペルチェ冷却器などの市販のデバイスは、デバイス全体にわたって最大70℃の温度差を発生させることが可能であるが、熱源から大量の熱を除去する全体の能力には限界があり得る。
代替的に、基板は、液体窒素が流れる経路を有するブロックなどの極低温冷却器に取り付けられるか、又は、液体窒素の容器又は別の極低温基板と熱的接触をして、より強い冷却を供給され得る。基板が、ダイヤモンド、サファイア、ケイ素、又は炭化ケイ素などの材料を有するとき、熱伝導率は概して、室温から温度が減少するとともに増大する。そのような場合において、これらのより低い温度の冷却に耐え得るように、ターゲットを設計することが好ましいことがある。
付録図の15は別の実施形態を示しており、複数の微細構造700を形成するX線発生材料を埋め込む前に、基板1000に形成された複数のキャビティが、(好ましくは最小の厚みの)密着層715で最初にコーティングされている。そのような密着層は、X線材料と基板材料との間の結合が弱いような場合に適切であり得る。密着層は、2つの材料の熱膨張係数の差異が大きいときに、バッファ層としても働き得る。いくつかの材料の選択では、材料が複数の微細構造から基板材料へ(又はその逆に)拡散するのを防止すべく、密着層が拡散バリア層に置き換えられ得るか、又は(別の層を加えることによって)拡大され得る。密着層及び/又は拡散バリア層が用いられる複数の実施形態では、複数の微細構造700から基板1000への熱の流れが密着層715の存在によって著しく妨げられたり絶縁されたりしないように、材料及び厚みの選択は層の熱特性も考慮すべきである。
付録図の16は、導電層725がターゲットの表面に付加された別の実施形態を示している。電子による衝撃が与えられると、余分な電荷は、アノードとして効果的に機能するターゲットの接地に戻るための経路を必要とする。付録図の13に例示されたようなターゲットが、離散した接続されていない複数の微細構造700を、電気的に絶縁された基板材料(ドープされていないダイヤモンドなど)内に有し、継続した電子衝撃下にあった場合、大きな電荷が表面に蓄積され得る。さらにカソードからの電子は、同じエネルギーを持つターゲットと衝突しないか、又は反発すらして、X線の発生を減少させ得る。
これは、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、炭素(C)、クロム(Cr)、又はチタン(Ti)などの比較的低い原子番号であることが好ましい導電性材料の薄い層を堆積させることによって対処され、これにより、離散した複数の微細構造700から、高電圧源に対して正極に接続されている電気経路722への電気伝導が可能となり得る。実際には、この端子は典型的にシステムの電気接地であり、カソードの電子ソースには負の高電圧が供給されている。
付録図の17は、本発明の別の実施形態を示しており、複数の微細構造702が基板1000により深く埋め込まれているか、又は埋設されている。そのような埋め込み微細構造は、例えばダイヤモンドであってもよい付加的な層1010の堆積によって更に覆われ得て、基板と同じ熱伝導特性を提供し得る。これにより、埋設微細構造702のすべての面から、熱が放散されることが可能となる。しかしながら、そのような状況では、本構造上に入射する電子のために接地への経路722を提供することが望ましく、それは付加的な層1010を堆積させる前に設けられた埋め込み導電層726の形であってよい。 いくつかの実施形態において、この導電層726は、埋め込み導電層726を、ターゲット表面上の付加的な導電層728に連結するための導電性構造を提供する「ビア」727、又は鉛直方向の接続を、多くの場合、ピラー又は円柱の形で有し、次に付加的な導電層728は、接地への経路722に接続される。
付録図の18は、本発明の別の実施形態を示しており、複数の微細構造はその中に更なる複数の構造を順に有している。均一な微細構造の代わりに、最下層731、中間層732、及び最上層733を有する微細構造が示されている。これらの層は、全体が複数の特性線を放出するように、異なる複数のX線発生材料を有するよう選択され得る。代替的に、別個の複数の層を有する代わりに、所望のX線発光スペクトルを実現すべく、隣り合って配置された複数の材料を有する微細構造が用いられてもよい。代替的に、別個の複数の層を有する代わりに、所望のX線発光スペクトルを実現すべく、2又はそれより多い材料から成る一様又は多様な混合物、又は合金を有する微細構造が用いられてもよい。別の実施形態は、基板の材料と同じ材料を有する中間層732を有し、最上層733及び最下層のための高い熱放散を提供する。さらに、付録図の16及び付録図の17に示されたように、電気経路を導電性経路に提供すべく、側壁(図示せず)に沿って導電層が付加され得る。
付録図の19は、本発明の別の実施形態を示しており、やはり複数の微細構造702が基板内に埋設されている。しかしながら、この実施形態では、最初に導電層を設け、その後に付加的なキャップ層を堆積させる代わりに、電気特性と熱伝導特性との組み合わせのために選択された単一の層770のみが、この実施形態において堆積させられる。これは、複数の埋設微細構造702から熱及び電子の両方を運ぶように、例えば、表面に対して鉛直に配置されたカーボンナノチューブ(原子番号6)の堆積であってもよい。次に、この単一の層770は接地への経路722に接続されて、ターゲットがX線発生システムのアノードとして働くことを可能にし得る。代替的に、層770の材料は、アルミニウム(Al)、ベリリウム(Be)、クロム(Cr)、又は銅(Cu)を有するように選択され得る。
複数の実施形態が付録図の13〜付録図の19に別個に示され、これらを製造する様々なプロセスが後に示されるが、これらの実施形態の複数の要素は、互いに組み合わされ得るか、又は当該分野で知られている他の一般に知られている複数のターゲット製造方法と組み合され得ることが、当業者には明らかであろう。例えば、付録図の19の複数の埋設微細構造702は、付録図の18に例示されたような複数の材料も有し得る。同様に、付録図の15に例示されたような密着層715は、付録図の16に示されたような複数の埋め込み微細構造700の製造に適用されてもよい。これらの代替例の分離は例示のみを目的としており、任意の特定のプロセスを限定するものではない。
付録図の13〜付録図の19に例示された複数の微細構造は、一様なサイズ及び形状を有する規則的間隔のパターンとして示されたが、一様な微細構造の不規則パターン又はランダムパターン、あるいは多様なサイズ及び形状を有する微細構造の規則的なパターン、あるいは多様なサイズおよび形状を有する微細構造の不規則パターンも、本発明の複数の実施形態において用いられ得る。
同様に、いくつかの実施形態は、例えば、直四角柱の形状の微細構造で説明されたが、複数の製造プロセスは、用いられる特定のプロセスの製品に応じて、90°以外の角度で壁を有する、又は正確に直角のコーナーを有するのではなく、丸められ、面取りされ、又はアンダーカットされ得る複数の構造を形成し得る。複数の微細構造が本明細書で説明された形状と実質的に類似する複数の実施形態は、複数のプロセス製品が、例示された、又は説明されたような形状からある程度の逸脱をもたらすとしても、開示されているものとして当業者によって理解されるであろう。
同様に、本明細書で開示された様々な実施例は、複数の微細構造の規則正しい周期配列で例示され得るが、離散微細構造の相対的な位置、サイズ、及び形状は、規則的、周期的、又は一様である必要はない。様々なサイズを有し、複数の微細構造の間に様々な距離を有し得る間隔を持った複数の微細構造の構成も、機能し得る。
3.様々な微細構造の形状
本発明の特定の複数の実施形態が、前の章で説明された。しかしながら、複数の層及び構造における複数の変形例の他に、複数の実施形態は、様々なサイズ及び形状の複数の微細構造も有する。
付録図の20は、本発明の一実施形態による、典型的には金属のX線発生材料を含む直四角柱の形の微細構造700及び702から成る2つ規則的配列を有するターゲットの領域1011を示している。配列は、電子照射の下にあるとき、それぞれの微細構造が「より低温」の基板材料で囲まれるように、横方向に異なる深さで互い違いに配置されている。複数の微細構造の物理的な分離は、より低温の広い材料に複数の小さいホットスポットを提供し、これにより、複数の微細構造から熱を急速に放散させる多くの局所温度勾配を発生させる。付録図の20Aは、この実施形態における16個の埋め込み微細構造700と9個の埋設微細構造702の斜視図を示し、付録図の20Bは同じ領域の上面図を示し、付録図の20Cは同じ領域の側面/断面図を示している。
付録図の21Aに例示されたように、埋設微細構造702−Aは、異なる複数の層の複数の構造の間に電気接触が確立されるように、埋め込み微細構造700より僅かに大きく製造され得る。埋設微細構造702−Aが十分な電気伝導率を有する場合、これにより、接地への経路722を提供する単一の電気導電層725は、両方の層の帯電を防止するのに十分であり得る。
その一方で、付録図の21Aに例示された構成は、電子エネルギー及び材料組成の設定によっては、効果的な熱伝導及び電気伝導を提供するには小さ過ぎる領域しか提供できない場合がある。
これに対処すべく、付録図の21Bに例示されたように、複数の埋設微細構造702−Bは基板1000により深く埋設され、複数の埋設微細構造702−B用に、接地への経路722に更なる電気接続を提供するビア727によって接続された独自の導電層726を有するように製造され得る。この構成は、熱及びX線の複数のソースの間に長い距離を設けられるので、いくつかの用途では好ましい場合がある。
いくつかの製造プロセスでは、アンダーカットを提供すべく、エッチングプロセスが調整され得る。[例えば、ダイヤモンドの等方性エッチング及び異方性エッチングの両方に関しては、例えば、D.S.Hwang、T.Saito、N.Fujimori著『New etching process for device fabrication using diamond』、Diamond & Related Materials、第13巻、2207−2210ページ(2004年)を参照]。複数の微細構造を形成するのに用いられる複数のキャビティを基板にエッチングすべく、アンダーカットのプロセスが選択され、キャビティのすべての部分を充填し得る電気めっきなどの等方性プロセスを用いて複数の微細構造が形成される場合、所定の位置に「固定」された複数の微細構造が、付録図の22に例示されるように形成され得る。
付録図の22は、基板1000の中にアンダーカットを有する複数のキャビティを充填することによって形成された複数の微細構造704の配列を有する、本発明の一実施形態によるターゲットの領域1012を示している。そのように形成された複数の微細構造704は、X線発生材料を有する台形柱の形をしている。示されたような配列は、基板の表面に埋め込み配列として配置され、表面周りの「へり(lip)」又は残りの基板材料は、複数の微細構造704を所定の位置にさらによく保持して、応力又は熱的な過負荷がかかった際の剥離を防止するように働く。付録図の22Aは、この実施形態における、16個の台形状の埋め込み微細構造704の斜視図を示し、付録図の22Bは同じ領域の上面図を示し、付録図の22Cは同じ領域の側面/断面図を示している。
付録図の23は、本発明の一実施形態による、X線発生材料を含む直四角柱の形をした微細構造700及び701の市松模様状の配列を有する、ターゲットの領域1013を示している。示されたような配列は、基板の表面に埋め込み配列として配置されている。付録図の23Aは、この実施形態における、25個の埋め込み微細構造700及び701の斜視図を示し、付録図の23Bは同じ領域の上面図を示し、付録図の23Cは、点線で示された複数の凹み領域を有する同じ領域の側面/断面図を示している。
付録図の24は、X線発生材料を含む直円柱の形で複数の微細構造706の配列を有する、本発明の一実施形態によるターゲットの領域1014を示している。示されたような配列は、基板に埋め込まれた配列として配置されている。付録図の24Aは、この実施形態における、16個の埋め込み微細構造706の斜視図を示し、付録図の24Bは同じ領域の上面図を示し、付録図の24Cは、微細構造706の列の中央全体にわたる同じ領域の側面/断面図を示している。
付録図の25は、X線発生材料を含む直円柱の形で、微細構造708及び709の密集配列を有する、本発明の一実施形態によるターゲットの領域1015も示している。示されたような密集配列は、基板の表面に埋め込み配列としても配置されている。しかしながら、この実施形態では、横から又は端から見たときに、X線のソースに付録図の24の構成では存在する「間隙」が全くないように見えるような構成である。付録図の25Aは、この実施形態における、18個の埋め込み微細構造708及び709の斜視図を示し、付録図の25Bは同じ領域の上面図を示し、付録図の25Cは同じ領域の奥行き感のある側面/断面図を示している。
付録図の26は、X線発生材料を含む正三角柱の形で、微細構造711及び712の密集配列を有する、本発明の一実施形態によるターゲットの領域1016を示している。示されたような密集配列は、基板の表面に埋め込み配列として配置されている。付録図の26Aは、この実施例における、18個の埋め込み微細構造711及び712の斜視図を示し、付録図の26Bは同じ領域の上面図を示し、付録図の26Cは同じ領域の奥行き感のある側面/断面図を示している。
付録図の27は、X線発生材料を含む四面体の形で、微細構造713及び714の密集配列を有する、本発明の一実施形態によるターゲットの領域1017を示しており、1つの面が基板1000の表面とほぼ同一平面を成している。示されたような密集配列は、基板の表面に埋め込み配列として配置されている。付録図の27Aは、この実施形態における、18個の埋め込み微細構造713及び714の斜視図を示し、付録図の27Bは同じ領域の上面図を示し、付録図の27Cは同じ領域の奥行き感のある側面/断面図を示している。
付録図の28は、X線発生材料を含む直四角柱の形で、前に説明された微細構造700、701及び702の組み合わせを有する、本発明の一実施形態によるターゲットの領域1018を示している。この実施形態において、表面近くに埋め込まれた微細構造700及び701の層は、付録図の23に例示されたような市松模様を形成する一方で、この構造は、上部の市松模様の「間隙」より下に配置されている複数の微細構造702の埋設層も有している。前に説明された場合においても同様であるが、埋設層の複数の微細構造は、上部埋め込み層の微細構造700及び701と電気接触をするのに十分な大きさであり得るが、他の複数の実施形態においては、埋設微細構造702から電荷を逃がす別個の導電層が、接地への経路を提供すべく製造され得る。付録図の28Aは、この実施形態における、48個の埋め込み微細構造700、701及び702の斜視図を示し、付録図の28Bは同じ領域の上面図を示し、付録図の28Cは、同じ領域の奥行き感のある側面/断面図を示している。
付録図の29は、X線発生材料を含む長い直四角柱の形で、埋め込み微細構造716及び埋設微細構造717の両方を有する、本発明の一実施形態によるターゲットの領域1019を示している。示されたような実施形態において、交互の層では、長い角柱が、多くの場合、「丸太組み(stack−of−logs)」構成と呼ばれる構成で、互いに直交した方向に延伸するように配置されている。前に説明された場合においても同様であるが、埋設層の複数の微細構造717は、上部埋め込み層の微細構造716と電気接触をし得るが、他の複数の実施形態においては、埋設微細構造717から電荷を逃がす別個の導電層が、接地への経路を提供すべく製造され得る。付録図の29Aは、この実施形態における、微細構造716及び717の斜視図を示し、付録図の29Bは同じ領域の上面図を示し、付録図の29Cは同じ領域の奥行き感のある側面/断面図を示している。
付録図の30はX線発生材料を含む球体の形で、複数の微細構造718の配列を有する、本発明の一実施形態によるターゲットの領域1020を示している。示されたような配列は、基板の表面に埋め込み配列として配置されている。付録図の30Aは、この実施形態における、16個の埋め込み微細構造704の斜視図を示し、付録図の30Bは同じ領域の上面図を示し、付録図の30Cは同じ領域の側面/断面図を示している。
付録図の30に例示されたような埋め込み球体の領域の製造は、いくつかの実施形態において、良好な機械的剛性又はより低い製造コストを有し得るが、材料が堆積され得る球状のキャビティを基板に形成することは、複数のプロセス課題を与え得る。従って、いくつかの実施形態において、半球状のキャビティが基板に形成され得て、次にそれがX線発生材料で充填されるか、又は予め製造された球体が表面に堆積されて、堆積オーバーコート膜材料で覆われ得る。
前に論じられたように、本明細書で開示された様々な実施例は、複数の微細構造の規則正しい周期的又は規則的配列で例示され得るが、離散微細構造の相対的な位置、サイズ、及び形状は、規則的、周期的、又は一様である必要はない。様々なサイズを有し、複数の微細構造の間に様々な距離を有し得る間隔を持った複数の微細構造の構成も、機能し得る。
いくつかの実施形態では、X線発生材料を有する複数の微細構造のサイズ及び分布を決定する様々な測定基準が用いられ得る。複数の微細構造は、ターゲット内に予め定められた厚みDになるように指定され、前に論じられたように、Dは、所与のX線発生材料において所与のエネルギーの電子の電子侵入深さの特定の割合(例えば、30%または50%など)になるように選択され得るか、又はある範囲の許容された深さであり得る。複数の微細構造は、これらの横寸法L及びWが、特定の係数以上で乗じたD(例えば、2倍又は3倍)を超えないように、また個々の微細構造はどれも、隣接する微細構造に予め定められた距離dより近づくことがないように特定され得る。代替的に、複数の微細構造はこれらの横寸法L及びWが、用途によって異なるX線減衰長(特定のエネルギーのX線ビームの強度が1/e倍まで低下する長さ)を超えないように特定され得る。
最も一般的な場合では、複数の微細構造を有する領域は、X線発生材料を有する厚みDまで電子にさらされる全体領域の体積分率を画定することによって特定され得る。例えば、タングステン(W)の複数の微細構造が60keVの電子とともに用いられる場合、表2による侵入深さは2.41ミクロンとなり、D=1ミクロンという値は、侵入深さの41%に当たる厚みを表すことになる。基板材料に対するX線発生材料の体積分率が、複数の微細構造を含むが周囲のターゲット基板を含まないターゲットの領域内でほぼ50%である限り、最初の層の厚みD=1ミクロンに対して50%の体積分率を画定することは、例えば、付録図の23の市松模様配列を用いることによって、又は様々なサイズ及び形状のよりランダムな分布の微細構造によってのどちらか一方で実現され得る。そのような複数の構成は、例えば、熱伝導のための付加的な表面積に関して利点を提供し得る。
また、X線発生領域の体積分率は、電子エネルギー、X線発生材料特性、及び基板の再吸収特性に応じて、様々な値に設定され得る。特定の複数の特性線を必要とするいくつかの用途では、より低い体積分率を有する構成が好ましい場合がある。様々な波長を有するものなど、発光スペクトルに関する別の複数の変形例では、制動放出を増大させる、より高い体積分率が好ましい場合がある。概して、厚みDの第1の層における体積分率は、様々な用途で15%から85%の間になるように設定され得る。
代替的に、いくつかの実施形態において、X線発生材料の球状の複数の微細構造が事前に準備され、次に基板の表面の上に分散させられ得る。特に、複数の微細構造が(付録図の30に例示されたような)規則的配列構造に配置されることが所望される場合に、複数の微細構造を所定の位置に固定するプロセスが用いられ得る。この後に、これらの球状の複数の微細構造を熱伝導材料で覆う堆積プロセスが続く。いくつかの実施形態において、これは、その熱伝導特性のためのみに選択された材料であり得るが、別の複数の場合においては、堆積材料は、熱伝導率及び電気伝導率の両方が有益であるように選択された複数の材料の混合物として選択され得て、また覆う材料は接地への経路を提供する導電層としても働く。
別の実施形態において、X線発生材料を有する複数の微細構造の分散は、一様な球体に限定される必要はなく、様々なサイズ及び形状の複数の粒子であってよい。これは付録図の31に例示されており、本発明によるターゲットの領域1021は、多様な複数の微細構造を有している。同様に、類似の実施形態において、付録図の32に例示されたように、本発明によるターゲットの領域1022は、様々なサイズ及び形状の微細構造だけでなく、異なる材料組成の微細構造も有し得る。
ここまで、平面構造に配置されている複数の実施形態が示された。これらは、概して実装するのがより容易である。なぜなら、堆積、エッチング、及び他のプレーナプロセスの複数の工程のための装置及びプロセスレシピは、プレーナダイヤモンドを用いた微小電気機械システム(MEMS)用途のデバイスの処理、及び半導体産業用のシリコンウェーハの処理でよく知られているからである。
しかしながら、いくつかの実施形態において、3次元(3−D)で付加的な特性を有する表面が所望され得る。前に論じられたように、電子ビームが電子侵入深さより大きいと、見掛けのX線ソースサイズ及び領域は、表面に対して平行に、すなわちゼロ度(0°)の取り出し角で見たときに最小になる(そして輝度は最大化される)。結果として、0°の取り出し角で見た時に、見掛けの最大輝度のX線放出が生じる。X線発生材料内からの放出は、それが材料を通って0°で伝搬するにつれ累積する。
しかしながら、実質的に一様な材料の広いターゲットでは、X線が材料を通って表面に伝搬するにつれ、ターゲット内部のX線の複数の発生源の間のX線の減衰は、取り出し角を減少させるとともに、材料内を移動する距離がより長くなることに起因して増大し、多くの場合、0°の取り出し角において、又はその近くの角度で最大になる。従って、0°近くで見ることによって実現されるいかなる輝度の増加も、再吸収によって平衡させられ得る。X線ビームが強度において1/eまで減少する距離はX線減衰長と呼ばれている。従って、放出されたX線が可能な限り更なる材料を通過しない、X線減衰長に関連して選択された距離を有する構成が所望され得る。
ターゲットの1つの実施形態の例示が、付録図の33に示されている。付録図の33において、単一の微細構造2700を有するX線発生領域は、棚状部2002に接した基板の凹んだ縁部2003に、又はその近くに構成され、付録図の10に例示された状況に類似している。X線発生微細構造2700は、X線発生材料から成る矩形バーの形状をしており、基板2000に埋め込まれ、電子111で衝撃を与えられたときに、X線2888を放出する。
バーの厚みD(ターゲットの面法線に沿った厚み)は、最適熱性能のために、入射電子エネルギーにおけるX線発生材料の電子侵入深さの1/3から2/3の間になるように選択される。バーの厚みDは、鉛直方向に所望のX線ソースサイズを得るようにも選択され得る。バーの幅Wは、対応する方向に所望のソースサイズを得るように選択される。例示されたように、WはおよそDの1.5倍であるが、所望のソーススポットのサイズに応じて、実質的にそれより小さくも、大きくもなり得る。
例示されたようにバーの長さLは、およそDの4倍であるが、いかなる大きさであってもよく、典型的には、選択されたX線発生材料のX線減衰長の1/4倍から3倍の間になるように決定され得る。例示されたように棚状部の縁部とX線発生材料の縁部との間の距離pはおよそWに等しいが、基板材料のX線再吸収特性、相対的な熱特性、及び電子で衝撃を与えられたときに発生が予想される熱量に応じて、縁部2003と同一平面を成すところ(p=0)から最大1mmまで、任意の値になるよう選択されてよい。
別の本発明の実施形態の例示が、付録図の34に示されている。例示されたようなこの実施形態では、6つの微細構造2701、2702、2703、2704、2705、2706を持つX線発生領域を有する本発明によるターゲットが、棚状部2002に接した基板の凹んだ縁部2003に、又はその近くに構成され、付録図の10及び付録図の33に例示された状況と類似している。X線発生微細構造2701、2702、2703、2704、2705、2706は、基板2000に埋め込まれたX線を発生する直四角柱の直線配列で配置され、電子111で衝撃を与えられたときにX線2888−Dを放出する。
この実施形態において、X線発生材料の総体積は、前の付録図の33の例示におけるものと同じである。付録図の33に示された場合においても同様であるが、バーの厚みD(ターゲットの面法線に沿った厚み)は、最適熱性能のために、入射電子エネルギーにおけるX線発生材料の電子侵入深さの1/3から2/3の間になるように選択される。付録図の33に示された場合においても同様であるが、バーの幅Wは、対応する方向に所望のソースサイズを得るように選択され、例示されたようにWはおよそDの1.5倍である。前に論じられたように、バーの幅Wは、所望されるソーススポットのサイズに応じて、実質的にそれより小さくも、大きくもなり得る。
しかしながら、付録図の33に例示されたような長さLの単一のバー2700は、6つのサブバー2701、2702、2703、2704、2705、2706に置き換えられており、それぞれの長さlはL/6である。X線発生の体積(同じ電子密度で衝撃を与えられたとき)は同じであるが、ここでそれぞれのサブバーは基板に熱を伝達する5つの面を有し、X線発生サブバー2701−2706から基板への熱の放散を増加させる。例示されたように、複数のサブバーの間の分離距離dはおよそlに等しいが、それより大きい又は小さい寸法が用いられてもよく、これは、基板に吸収されるX線量、及び、X線発生微細構造2701−2706の特定の材料と基板2000との間で実現され得る相対的な温度勾配に依存する。
同様に、棚状部の縁部とX線発生材料の縁部との間の距離pは、例示されたようにおよそWに等しいが、基板材料のX線再吸収特性、相対的な熱特性、及び電子で衝撃を与えられたときに発生が予想される熱量に応じて、縁部2003と同一平面を成すところ(p=0)から最大1mmまで、任意の値になるよう選択されてよい。
付録図の34などに示された構成では、複数のX線発生サブバーの全長は、一般にX線発生材料におけるX線の直線減衰長の約2倍になるが、その距離の半分から3倍を超えるところまで選択され得る。同様に、バーの厚みD(ターゲットの面法線に沿った厚み)は、最適熱性能のために、入射電子エネルギーにおけるX線発生材料の電子侵入深さの1/3から2/3に等しくなるように選択されたが、実質的にそれより大きくなり得る。バーの厚みDは、該当方向に、ほぼ等しい所望のX線ソースサイズを得るためにも選択され得る。
示された複数のバーは、(示されたように)基板に埋め込まれ得るが、X線発生材料に発生する熱負荷が大き過ぎない場合には、基板の上に配置されてもよい。
本発明の別の実施形態の例示が付録図の35に示されており、厚みDを有するX線発生材料を含む微細構造2790及び2791の配列を有する、本発明の一実施形態によるターゲットの領域2001を示している。示された配列は、直四角柱の変更された市松模様であるが、複数の微細構造の他の構成及び配列も用いられ得る。
他の複数の実施形態においても同様であるが、これらの微細構造2790及び2791は基板の表面に埋め込まれている。しかしながら、基板の表面は予め定められた非プレーナトポグラフィ、この特定の場合では、基板2000の面法線に沿った複数の段を有している。例示されたように、それぞれの段の高さhはほぼDに等しいが、段の高さは複数の微細構造の厚みの1倍から3倍の間になるように選択され得る。すべての段の全高は、鉛直方向(厚み方向)に沿った所望のX線ソースサイズと等しいか、又はそれよりも小さくなるように選択され得る。
微細構造領域の全幅は、対応する方向に所望のX線ソースサイズと等しくなり得る。全体の外観はX線ソースの階段に似ている。付録図の35Aは、この実施形態において、18個の埋め込み微細構造2790及び2791の斜視図を示し、付録図の35Bは同じ領域の上面図を示し、付録図の35Cは同じ領域の側面/断面図を示している。基板がベリリウム、ダイヤモンド、サファイア、ケイ素、又は炭化ケイ素であるとき、電気伝導層が階段構造の上面にコーティングされ得る。
付録図の36は、電子111によって衝撃を与えられたときの、付録図の35Cの階段型実施形態からのX線放出2888−Sを示している。他の複数の実施形態においても同様であるが、X線発生材料の複数の角柱は、電子が衝突したときに加熱される。X線発生材料の複数の角柱のそれぞれは、基板2000と熱的接触をしている5つの面を有しているので、X線材料から出ていく熱の伝導は、X線材料が表面に堆積された構成よりもまだ大きい。しかしながら、1つの面に対しては、X線の放出は、他の隣接する複数の角柱による吸収によって減衰されず、隣接する基板材料によって無視できるほどしか減衰されない。
従って、それぞれの角柱からのX線の輝度は、特に市松模様に配置されたX線発生材料の複数の角柱700及び701も示している、例えば付録図の23の実施形態からのX線放出と比較したときに増加する。付録図の23の構成では、それぞれの角柱は基板に埋め込まれており、従って基板1000と熱的接触をしている5つの表面を有しているが、0°での横への放出は隣接する列の複数の角柱及び基板材料の両方によって減衰させられる。
トポグラフィを伴ったターゲットを備えるそのような一実施形態は、まずトポグラフィを伴った基板を用意し、次に、前に説明したプレーナ基板用の製造プロセスに従って、X線材料の複数の角柱を埋め込むことによって製造され得る。代替的に、X線材料で充填される複数のキャビティを形成する最初の複数の工程は、初期の平坦基板に階段状のトポグラフィ構造を形成すべく向上させられ得る。どちらの場合においても、埋め込まれる角柱を特定の特徴のトポグラフィと重ね合わせることが所望される場合に、プレーナプロセスの当業者に知られているなどの、付加的な複数の位置合わせ工程が使用され得る。
複数の微細構造は、付録図の35及び付録図の36に例示されたように階段の縁部に対してある距離をおいて埋め込まれるか、又は(付録図の9に示されたように)縁部と同一平面を成すように埋め込まれ得る。どちらの構成が特定の用途に適切であるかという判断は、X線発生材料及び基板材料のまさにその特性に依存し得えて、その結果、例えば、5つの表面か4つの表面かによる熱の伝達によって可能になる電子電流の増加で実現された付加的な輝度が、自由空間放出か基板材料の一部を通じた再吸収かによって実現された付加的な輝度と比較され得る。位置合わせ及び重ね合わせの工程、並びに複数の層に複数の角柱をパターニングするのに必要になり得る複数のプロセス工程に関連した付加的なコストは、達成可能な輝度の増加と比較して考慮される必要があり得る。
これまでに説明された複数の実施形態は、輝度を増加させたX線を発生させるべく、X線ソースのターゲットとして用いられ得るX線材料を有する、複数の微細構造を備える様々なX線ターゲット構成を説明している。これらのターゲット構成は、電子で衝撃を与えられてX線を放出すると説明されてきたが、別の従来のソースにおいて固定X線ターゲットとして用いられて、付録図の1の透過X線ソース08のターゲット01、又は付録図の2の反射X線ソース80のターゲット100のいずれか一方を、本発明によるターゲットと置き換え得る。
説明されたような複数の実施形態は、可動X線ターゲットにも同様にうまく適用され得て、例えば、付録図の6の回転アノードX線ソース80のターゲット500を、本発明によるターゲットと置き換え得ることも可能である。
付録図の37は、回転アノード2500として構成された、本発明の一実施形態を示している。回転アノード2500の外側の環状部には、複数のX線発生材料が形成されており、前に説明されたプロセスのどれによっても形成され得る。付録図の37に例示されたような実施形態では、2つの別個の材料が例示され、それぞれは、環状リング2508及び2509、又は、正方形構造2518及び2519の、どちらか一方の形をした様々な微細構造を有している。
従来の回転アノードにおいても同様であるが、電子は、従来の回転アノードが面取りされているのとちょうど同様に面取りされ得る縁部のターゲットアノード2500に衝撃を与え、電子ビームのソースは、ターゲットアノード2500の面取りされた縁部2510上に電子ビームを方向付けて、ターゲットスポット2501からX線を発生させる。ターゲットスポット2501はX線を発生させるので、加熱するが、ターゲットアノード2500が回転するので、加熱スポットがターゲットスポット2501から離れ、電子ビームはターゲットアノード2500のより低温の部分をここで照射する。ホットスポット2501を通過するときに再度加熱される前に、ホットスポットは冷却するための一回転分の時間を有する。ターゲットアノード2500を継続的に回転させることによって、単一のスポットが熱くなり過ぎることはないが、それでもX線の連続的なソースが提供され得る。
前に説明された回転アノードシステムにおいても同様であるが、アノードを更に冷却させるべく、回転アノードに更なる複数の冷却経路が提供され、より高い電圧又はより高い電流密度を有する電子との衝撃を可能にして、より明るいX線ソースを形成し得る。しかしながら、回転アノードのターゲット材料が、本明細書で開示された本発明による複数の微細構造を用いる場合、向上した熱特性によって、より高い電子の電力負荷が可能になり得る。これによって、いったん更なる熱負荷に適応することが可能になると、電子エネルギーおよび電流が増加され得るので、より高輝度のX線ソースが可能となる。代替的に、同じ輝度だが、より低い電圧、より低い電流、又はより低速のアノード回転速度など、設計するのがより容易な複数の構成要素を有する回転アノードソースを可能にすべく、熱に関する利点が用いられ得る。
4.製造プロセス
本発明によるターゲットを製造するための複数の方法は、付録図の38のフローチャート、及び付録図の39〜付録図の40の断面図に概略が述べられている複数の工程を含んでいる。
4.1.基板の選択
最初の工程において、適当な材料の基板3000が選択される。付録図の39Aでは、「1)」と指定された工程によって、これが示されている。上述されたように、これは典型的に、様々な物理特性及び熱特性、特に低質量密度、低原子番号、及び高熱伝導率のために選択された材料である。基板材料用の複数の候補が、表1に記載されており、いくつかは高熱伝導率(すなわち、100W/(m℃)より大きい熱伝導率の材料)を有している。これらの材料の中で、ダイヤモンドは、可能性のある基板として際立っている。室温において、熱伝導率はおよそ2200W/(m℃)であり、任意の材料に対してすでに知られている最も高い値の1つである。より低い温度、およそ−120℃において、この値は、ほぼ3倍高い値に増加し得る。
直径120mmまでCVD成長したダイヤモンドに2mm厚までダイヤモンドコーティングしたウェーハが、ドイツのフライブルクにあるDiamond Materials GmbHから購入され得る。ダイヤモンドでコーティングされたケイ素基板、又はダイヤモンド・オン・インシュレータ(DOI)基板も、例えば、イリノイ州ロムオービルのAdvanced Diamond Technologies,Inc.、又はカルフォルニア州サンタクララのsp3 Diamond Technologiesから購入され得る。ペンシルベニア州イースト・ピーターズバーグのRichter Precision,Inc.によって製造されるなどのダイヤモンド状炭素(DLC)の膜も、基板材料として有用であり得る。
ベリリウムも、基板材料の候補になり得る。低原子番号(原子番号4)なので、ベリリウムは非常に軽く、また特にX線に対して透過性があり、従って、基板内に埋め込まれた複数の微細構造からのX線放出を妨げ得る連続X線のソースにはなりにくい。ベリリウムのウェーハは、例えば、カルフォルニア州ロサンゼルスのAmerican Elements,Inc.、及びニューヨーク州ファーミングデールのAtomergic Chemetals Corporationから商業ベースで購入され得る。
基板として適当であり得る他の複数の材料は、グラファイト、ケイ素、窒化ホウ素、窒化ガリウム、炭化ケイ素、及びサファイアである。他の適当な複数の材料も、当業者に知られ得る。
4.2.基板のパターニング
いったん基板が選択されると、付録図の38に示されたように、次の工程3100は、付録図の39Aに示されたように基板3001をパターニングすることである。MEMS用途、ナノインプリント・リソグラフィ、及び他の複数のプロセス用にダイヤモンドをパターニングする、複数の知られたアプローチが存在する。[例えば、H.Masuda他著『Fabrication of Through−Hole Diamond Membranes by Plasma Etching Using Anodic Porous Alumina Mask』、Electrochemical and Solid−State Letters第4巻(11)、G101−G103ページ(2001年)、Y.Ando他著『Smooth and high−rate reactive ion etching of diamond』、Diamond and Related Materials第11巻(2002)、824−827ページ(2002年)、X.D.Wang他著『Precise patterning of diamond films for MEMS application』、J. Material Processing Technology第127巻、230−233ページ(2002年)、J.Taniguchi他著『Diamond Nanoimprint Lithography』、Nanotechnology第13巻、592−596ページ(2002年)、及び、D.S.Hwang/T.Saito/N.Fujimori著『New etching process for device fabrication using diamond』、Diamond & Related Materials第13巻、2207−2210ページ(2004年)を参照]。
Masuda他による上に引用されたプロセスにおいて、およそ3mmの厚さの研磨された多結晶ダイヤモンド膜が、多孔質アルミナマスクを用いて、パターニングされている。マスクは、アルミニウム表面にパターンを形成する炭化ケイ素モールドを用いて事前に準備されており、これは続いて陽極酸化プロセスによって酸化される。そのように形成されたアルミナ膜は、SiCモールド上のパターンによって位置が決定された、複数のポア(pore)を有している。次に膜は、そのアルミニウム基板から除去され、ダイヤモンド表面に転写される。次にダイヤモンドは、酸素による反応性イオンエッチングプロセスにさらされ、ここで多孔質アルミナ膜はマスクとして働く。
このプロセス工程3100のための代表的な複数の工程が、「a)」、「b)」、「2)」、「3)」、及び「4)」で示された付録図の39Aの対応する工程によって例示されている。
付録図の39Aの工程「a)」において、マスク3060は、基板3050上に形成され、パターニングされている。マスクは、例えば、アルミニウム基板上にパターニングされたアルミナであり得る。工程「b)」において、マスクは除去される。工程「2)」において、マスク3060は、基板3000に取り付けられる。工程「3)」において、マスク及び基板は、酸素による反応性イオンエッチング(RIE)などのパターン転写工程を受けて、最初の基板3000からパターニングされた基板3001を形成する。工程「4)」において、マスク3060は除去されて、パターニングされた基板3001が残る。
代替的に、基板は、従来の複数のリソグラフィプロセスを用いてパターニングされ得る。これらは、HSQなどのフォトレジストで基板をコーティングすること、及び、電子ビーム又は紫外線光子を用いて、ウェーハ上に形成される所望の構造を表しているパターンにレジストを露光することを含み得る。次にレジストは現像されて、露光された領域を除去し、基板を露出させる。次に基板とパターニングされたレジストとの組み合わせは、レジストパターンを基板に転写する適当なエッチングプロセス(酸素ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)など)で処理される。いったんこれが完了すると、余分なレジストは除去されて、付録図の39A及び付録図の39Bの工程「4)」に示されたパターニングされた基板3001と実質的に同じである、パターニングされた基板が残る。
上述されたリソグラフィによるパターニングプロセスに関する変形例において、基板をパターニングするためのハードマスクとして働く特別に選択された材料で、基板がコーティングされ得る。この場合における複数の工程は、基板上へのハードマスクのコーティング、ハードマスク上へのレジストのコーティング、電子線露光又は光露光のいずれか一方によるレジストのパターニング、レジストの現像、レジストからハードマスクへのパターンの転写、ハードマスクから基板へのパターンの転写、付録図の39A及び付録図の39Bの工程「4)」に示されたパターニングされた基板3001と実質的に同じである、パターニングされた基板を残すことである。そのような複数のリソグラフィプロセス及びこれら変形例は、当業者にはよく知られている場合がある。
上述された複数のリソグラフィによるパターニングプロセスの他の複数の代替例において、基板は、収束イオンビームなどの機械を用いて、直接イオンミリングもされ得る。レーザエッチングなどの他の複数の技術も、基板をパターニングするのに用いられ得る。
4.3.X線材料の埋め込み
いったん基板がパターニングされると、次の工程は、所望特性のX線を発生させ得る材料をパターニングされた複数のキャビティに堆積させる工程3300である。これは、材料に応じて、化学気相成長(CVD)、スパッタリング、電気めっき、機械的スタンピング、又は当業者に知られているであろう他の技術を含む任意の数のよく知られた堆積技術を受け得る。アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、レニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、イリジウム、タンタル、タングステン、インジウム、セシウム、バリウム、金、白金、鉛、並びにこれらの組み合わせ及び合金を含む様々な材料が、X線発生材料として用いるために選択され得る。
このプロセス工程3300のための代表的な複数の工程が、「5)」で示された付録図の39Bの対応する工程によって例示されている。
いったんX線材料が堆積されると、典型的に余分な材料が基板上に存在する。機械砥粒研磨プロセス又は化学機械研磨(CMP)プロセスのどちらかを用いた次の研磨工程3500は、余分な材料を除去して、「6)」で示された付録図の39Bの対応する工程によって例示されたように、X線材料の離散微細構造3401で今は充填されている、パターニングされた基板3001の複数のキャビティを残す。
4.4.別の密着材料
いくつかの材料は、特定の基板と組み合わせて用いられるとき、両者の間に良好な結合を提供する界面層を形成し得る。例えば、タングステンなどの選択されたX線材料では、パターニングされたダイヤモンド基板3001上へのタングステン材料のCVD堆積3400が、ダイヤモンドの複数のキャビティを、タングステンと炭素との間の境界に強固な炭化結合を形成するタングステンで充填するのに適切であり得る。しかしながら、銅などの他の複数の材料では、銅とダイヤモンド基板との間に、10nm厚のチタン(Ti)又はクロム(Cr)の層を堆積させるなどの密着層の使用は、2つの材料の間の密着性を向上させることによって、そしてまたいくつかの場合においては、一方の領域から他方の領域へ材料が拡散するのを防止することによっての両方により、アノードの機械的完全性を向上させるのに好ましい場合がある。
このプロセス工程のための代表的な複数の工程が、"「5)」、「5a)」、「6a)」、及び「7a)」で示された付録図の40の対応する工程によって例示されている。
パターニングされた基板3001から始まる付録図の40において、工程「5a)」は、パターニングされた基板3001上への適当な密着層3350の堆積を示している。典型的な密着層3350は、例えば、X線材料として銅(Cu)とともに用いられたとき、クロム(Cr)又はチタン(Ti)の層であり得る。他の複数の材料は、銅に対して炭化銅(CuC)、又はアルミニウムに対して炭化アルミニウム(AlC)など、ターゲット材料の炭化物合金を含み得る。さらに、両方の材料に良好な密着性を有する、当業者に知られた他の複数の材料が用いられ得る。一例として、多くの場合、モリブデンが銅に対するバリア層として用いられている。さらに、炭化チタン(TiC)バイレイヤ、又は炭化クロム(CrC)バイレイヤなどの複数の材料層が、密着層として用いられ得る。密着層の厚みは、X線材料及び基板材料の選択によって変わり得るが、典型的には、10nm厚のオーダになる。いったん堆積されると、堆積工程の後に炭化工程が続き得て、基板との炭化化合物を形成する。他の複数の実施形態において、炭化材料が直接堆積されて、密着層を提供し得る。
4.5.オーバーコート膜
いったん基板がパターニングされ、X線材料の複数の微細構造を形成すべく複数のキャビティが充填されると、次の工程は、X線材料に衝突する電子が接地への経路を有するようにする導電層の堆積である。
このプロセス工程3700のための代表的な例示が、「7)」で示された付録図の39Bの対応する結果によって示されている。
堆積された材料3750は、ベリリウム(Be)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)などの複数の導電性材料、又は、グラファイト又はカーボンナノチューブなどの炭素材料のうち、いずれか1つであり得る。材料は、最小5nm、又は最大100nmであり得るが、充填された複数のキャビティを有する基板に、より大きなトポグラフィの変動が存在する場合など、いくつかの状況においては、材料は最大500nmになり得る。
複数の堆積技術は、限定されないが、化学気相成長(CVD)、スパッタリング、電気めっき、機械的スタンピング、又は当業者に知られているであろう他の技術を含む、任意の数の様々な堆積技術であり得る。
いったん導電層が堆積されると、最終的な保護オーバーコート膜又はキャップ層も堆積され得る。
このプロセス工程3900のための代表的な例示が、「8)」で示された付録図の39Bの対応する結果によって示されている。
堆積材料3950は、複数の材料のうちいずれか1つであり得るが、典型的には、ダイヤモンド(C)、ダイヤモンド状炭素(DLC)、又はベリリウム(Be)など、基板に用いられた同じ材料、又は炭化ケイ素(SiC)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、及びパラジウム(PD)などの別の複数の材料になるように選択され得る。材料は、最小100nm、又は最大50ミクロンであり得る。
複数の堆積技術は、限定されないが、化学気相成長(CVD)、スパッタリング、電気めっき、機械的スタンピング、又は当業者に知られているであろう他の技術を含む、任意の数の様々な堆積技術であり得る。
下の層に対して良好な密着性を有すべく、キャップ層の堆積は、ダイヤモンド成長のシード層を形成する炭化チタン(TiC)などの密着層の堆積後に行われ得る。このシード層を提供する堆積は非常に薄く、おそらく1nmから5nmの間になり得る。
4.6.プロセスの組み合わせ
いったんこれらの工程が完了すると、付録図の39Bに「8)」で示された最終的な目的物は、X線ソースのターゲットとして用いるのに適当なX線発生材料の複数の微細構造を有する基板を備える。
特定の複数のプロセス工程が特定の順序で説明されたが、同様の結果を実現すべく、特定の複数の工程は異なる順序で、又は互いに組み合わされて実行され得ることは、理解されるべきである。
例えば、導電層の堆積はキャップ層の堆積前に行われると説明されたが、付録図の19に例示されたものなど、これらを組み合わせた層が機能を果たす(すなわち、導電性キャップ層)。同様に、複数のプロセス工程の一部が繰り返されて、付録図の18に例示されたような複数の層のターゲット材料を堆積し得る。
さらに、付録図の21に例示されたような複数の層の微細構造は、この章で説明されたように、複数のプロセス工程(又はその一部)を繰り返すことによって形成され得る。
[付録図 13A]
[付録図 13B]
[付録図 13C]
[付録図 14A]
[付録図 14B]
[付録図 15]
[付録図 16]
[付録図 17]
[付録図 18]
[付録図 19]
[付録図 20A]
[付録図 20B]
[付録図 20C]
[付録図 21A]
[付録図 21B]
[付録図 22A]
[付録図 22B]
[付録図 22C]
[付録図 23A]
[付録図 23B]
[付録図 23C]
[付録図 24A]
[付録図 24B]
[付録図 24C]
[付録図 25A]
[付録図 25B]
[付録図 25C]
[付録図 26A]
[付録図 26B]
[付録図 26C]
[付録図 27A]
[付録図 27B]
[付録図 27C]
[付録図 28A]
[付録図 28B]
[付録図 28C]
[付録図 29A]
[付録図 29B]
[付録図 29C]
[付録図 30A]
[付録図 30B]
[付録図 30C]
[付録図 31]
[付録図 32]
[付録図 33]
[付録図 34]
[付録図 35A]
[付録図 35B]
[付録図 35C]
[付録図 36]
[付録図 37]
[付録図 38]
[付録図 39A]
[付録図 39B]
[付録図 40]
1896年のレントゲンによるX線の最初の発見[W.C.Rontgen著、『Eine Neue Art von Strahlen』(Wiirzburg Verlag、1895年);『On a New Kind of Rays』、Nature、53巻、274−276ページ(1896年1月23日)]は、レントゲンが真空管内でターゲットの電子衝撃を実験していた時に、偶然生まれた。これらの高エネルギーで短波長の光子は、現在では、医学的応用及び診断的評価、並びにセキュリティ検査、工業検査、品質管理、及び故障解析、さらに結晶学、トモグラフィ、X線蛍光分析、及び同様のものなど科学的応用に、日常的に使用されている。
真空管02の内部では、導線21を通じて高電圧源10に接続された放出器11がカソードとして働き、多くの場合、フィラメントに電流を流すことによって、電子111のビームを発生させる。ターゲット01は反対側の高電圧導線22に電気的に接続され、これによりアノードとして働く。放出された電子111はターゲット01に向かって加速し、加速電圧の大きさによって決定される電子エネルギーを有する高エネルギーでターゲット01と衝突する。固体ターゲット01への電子111の衝突は、X線888の放出を含む複数の効果を引き起こす。X線888の一部は、X線を通すよう設計されたウィンドウ04を通って真空管02から出て行く。図1に示された構成において、ターゲット01はウィンドウ04上に堆積されるか、又は直接取り付けられ、ウィンドウ04は真空チャンバの壁の一部を形成する。他の従来技術による複数の実施形態において、ターゲットは、ウィンドウ04自体の不可欠な部分として形成され得る。
真空管20の内部では、導線21を通じて高電圧源10に接続された放出器11がカソードとして働き、多くの場合、フィラメントに電流を流すことによって、電子111のビームを発生させる。ターゲット基板110に支えられたターゲット100は反対側の高電圧導線22及びターゲット支持部32に電気的に接続され、これによりアノードとして働く。電子111はターゲット100に向かって加速し、加速電圧の大きさによって決定される電子エネルギーを有する高エネルギーでターゲット100と衝突する。ターゲット100への電子111の衝突は、X線の放出を含む複数の効果を引き起こす。X線の一部は真空管20から出て、X線に対して透過的であるウィンドウ40を通過する。
図3に戻ると、これらの特性X線388は主に、相互作用体積200の2番目に大きい陰影部248として示される電子侵入深さのほんの一部で発生する。相対深さは、典型的には深さが増加するとともに低下する電子111のエネルギーによって、ある程度影響を受ける。電子エネルギーがターゲット内の電子の結合エネルギーを超えない場合、特性X線は全く放出されない。特性線の最大放出は、放出される特性X線光子のエネルギーの3倍から5倍を有する電子との衝撃の際に生じ得る。これらの特性X線は、複数の電子殻の間の原子遷移によって生じるので、放出は概して完全に等方性になる。この相互作用体積200の実際の大きさは、電子のエネルギー及び入射角、表面トポグラフィ及び他の複数の特性(局所的な電荷密度を含む)、並びにターゲット材料の密度及び原子組成に応じて変化し得る。
制動放射線用のX線ソースの輝度を増大させる別の方法は、より大きい原子番号Zのターゲット材料を使用することである。その理由は、材料の原子番号がだんだん高くなると、それに対応して制動放射線用のX線発生の効率が高くなるからである。さらに、X線放出材料は、ソースにかかるより高い電子パワーがX線発生を増加させることを可能にすべく、高融点及び高熱伝導率など、理想的には良好な熱特性を有するべきである。これらの理由のため、ターゲットは、原子番号Zが74のタングステンを用いて製造されることが多い。表1は、X線ターゲット、複数の更なる可能性のあるターゲット材料(対象となる特定の特性線に特に有用)、及びターゲット材料の基板として使用され得るいくつかの材料に一般に使用される複数の材料を記載している。融点及び熱/電気伝導率は、300K(27℃)近傍の値を示している。大部分の値は、CRC刊『Handbook of Chemistry and Physics』の第90版[フロリダ州ボカラトン、CRC Press、2009年]から取られている。他の複数の値は、インターネット上に見られる様々なソースから引用されている。 例えば、サファイアなど、いくつかの材料では、液体窒素温度(77K)以下の温度に冷却されると、1桁大きい熱伝導率が可能であり得ることに留意されたい[例えば、E.R.Dobrovinskaya他著、『Sapphire:Material,Manufacturing,Applications』、Springer Science + Business Media,LLC刊(2009年)の2.1.5章「熱特性」を参照]。
特定の環境に効果的であるがまだ改善の余地がある。液体金属の噴流は、精巧な給排水システム及び消耗品を必要とし、用いられる材料(また、これにより原子番号の値及びその関連スペクトル)が制限され、より大きい出力に上げることが難しい。ダイヤモンド基板の上にコーティングされた一様な固体材料の薄膜ターゲットの場合では、回転アノード構成で用いられたとしても、膜への損傷が生じ得る前に許容され得る熱量にまだ限界がある。熱伝導は、膜の底面を通じて生じるだけである。横寸法においても、バルク材料に存在するのと同じ伝導の問題が存在する。
タングステンターゲットの典型的なX線放射スペクトルを示す。
ターゲットを60°の傾斜角にしたときの、従来技術のターゲットからのX線放射を示す。
ターゲットを45°の傾斜角にしたときの、従来技術のターゲットからのX線放射を示す。
ターゲットを30°の傾斜角にしたときの、従来技術のターゲットからのX線放射を示す。
電子衝撃を受けてX線を放出する図19Cのターゲットの側面/断面図を示す。
の時間ステップt=2における図28A及び図28BのX線放出器の集合体を示す。
図37A及び図37Bのターゲット及び分散電子ビームの前面図を示す。
図38A及び図38Bのターゲット及び分散電子ビームの前面図を示す。
2つの円筒形の光学要素を有する複数のX線レンズの従来技術の実施形態を示す。
複数の円筒形の光学要素を有する複数のX線レンズの従来技術の実施形態を示す。
前述のように、チャンバ20の内部では、導線21を通じて高電圧源10の負極に接続された放出器11がカソードとして働き、多くの場合、フィラメントに電流を流すことによって、電子111のビームを発生させる。電子ビーム発生用の任意の数の従来技術の技法が、本明細書に開示された本発明の複数の実施形態に用いられ得る。電子ビーム発生に用いられる更なる公知技術は、熱電子放出のための加熱、ショットキー放出(加熱と電界放出との組み合わせ)、カーボンナノチューブなどのナノ構造を有する複数の放出器、複数の強誘電体材料を用いることを含む。[電子ビーム発生用の電子放出オプションに関する詳細は、Shigehiko Yamamoto著『Fundamental physics of vacuum electron sources』(Reports on Progress in Physics、第69巻、181−232ページ(2006年))、Alireza Nojeh著『Carbon Nanotube Electron Sources: From Electron Beams to Energy Conversion and Optophononics』(ISRN Nanomaterials、2014年版、論文番号879827、23ページ(2014年))、及びH.Riege著『Electron Emission from Ferroelectrics − A Review』(CERN Report CERN AT/93−18、スイス/ジュネーブ、1993年7月)を参照]。
前述のように、ターゲット基板1000及びX線発生材料の領域700を有するターゲット1100は反対側の高電圧導線22及びターゲット支持部32に電気的に接続され、これによりアノードとして働く。電子111はターゲット1100に向かって加速され、加速電圧の大きさで決定される電子エネルギーを有する高エネルギーでターゲット1100と衝突する。ターゲット1100への電子111の衝突は、X線の放出を含む複数の効果を引き起こす。X線の一部は真空管20から出て、X線に対して透過的であるウィンドウ40を通過する。
しかしながら、本発明のいくつかの実施形態において、導線27を介してコントローラ10−1によって制御され、放出器11によって提供される電子線量及び電圧と調整される、静電レンズシステム、又は複数の電子レンズの他のシステムなどの電子ビーム制御機構70も存在し得る。従って、電子ビーム111は、基板1000と密接に熱的接触をするように製造された1又は複数の微細構造700を有するターゲット1100の上で、走査され、焦点が合わせられ、デフォーカスされ、又はそうでなければ方向付けられ得る。
図7に例示されたように、微細構造700の配列は、電子ビーム又はビーム111による複数の微細構造700の衝撃が、ターゲットの面法線に対して直交する方向に、その視野方向への強度が増す又は累積するような様式で、放出を生じさせるように配置され得る。その方向は、ウィンドウ40を通ってシステムから出ていく指向性ビーム888を形成すべく、システムのスクリーン84の開口部840によっても選択され得る。いくつかの実施形態において、開口部840は真空チャンバの外側に配置され得るか、又はより一般にはウィンドウ40自体が開口部840として働き得る。いくつかの実施形態において、開口部は真空チャンバ内部にあり得る。
図8は、本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るようなターゲット1100を示す。本図において、基板1000は、直(right)四角柱の規則的配列構造で配置されたX線発生材料(典型的には、金属材料)を含む微細構造700の配列を有する領域1001を有する。真空において、電子111は上からターゲットに衝撃を与え、微細構造700に熱及びX線を発生させる。基板1000の材料は、X線発生微細構造の材料と比較して、電子に対して比較的低いエネルギー堆積速度を有するように(典型的には、基板用に低原子番号の材料を選択することによって)選択されるので、大量の熱及びX線を発生しない。基板1000の材料は、典型的には100W/(m℃)より大きい高熱伝導率を有するようにも選択され得て、微細構造は典型的には基板内に埋め込まれている。すなわち、微細構造が四角柱として形成されている場合、微細構造700に発生した熱が基板1000へ効果的に放散されるように、6つ面のうち少なくとも5つの面が基板1000と密接に熱的接触をしていることが好ましい。しかしながら、他の複数の実施形態において用いられたターゲットは、より少ない直接接触の表面を有し得る。概して、「埋め込み」という用語が本開示で用いられるとき、微細構造の表面積の少なくとも半分は、基板と密接に熱的接触をしている。
図9は、本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るような別のターゲット1100−Fを示しており、ここで電子ビーム111−Fは、静電レンズによって方向付けられ、より集中した収束スポットを形成する。この状況では、ターゲット1100−FはX線材料を含む微細構造700−Fの配列を有する領域1001−Fをまだ有しているが、この領域1001−Fのサイズ及び寸法は、電子照射が生じる領域に合致し得る。これらのターゲットにおいて、ソース形状及びX線発生材料の「調整」は、設計によって、発生する熱量を微細構造領域1001−Fにほとんど制限して、設計及び製造の複雑さも低減するように制御され得る。これは、微小スポットを形成すべく焦点が合わせられた電子ビームとともに用いられるとき、又はより複雑な電子照射パターンを形成するより複雑なシステムによって用いられるときに、特に有用であり得る。
図10は、本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るような別のターゲット1100−Eを示しており、ここでターゲット1100−Eは、電子111にさらされたときにX線を放出するX線材料を含む微細構造700−Eの配列を有する領域1001−Eをまだ有しているが、領域1001−Eは基板1000−Eの縁部と同一平面を成して配置されるか、又はその近くに配置される。この構成は、基板がX線を吸収する材料を有するために、図8に示されたような構成において、0°に近い角度での放出が著しく減衰され得るターゲットで有用であり得る。
図12は電子ビーム111と、基板1000及びX線材料の微細構造700を有するターゲットとの間の関連する相互作用を示す。例示されたように、3つの電子経路だけが示されており、2つの代表電子が、示された2つの微細構造700に衝撃を与え、1つの代表電子が基板と相互作用している。
図13は、図12に示された様々な領域からの相対的なX線発生を示す。X線888は、それが発生するX線発生材料の複数の微細構造700中の領域248から放出された特性X線を有し、電子が基板と相互作用する領域1280及び1080は、基板元素の特性X線を発生させる(複数の微細構造700のX線発生領域248元素の特性X線ではない)。さらに、X線発生材料の複数の微細構造700の領域248から放出された制動放射X線は、典型的には、電子が低原子番号の基板にしか遭遇しない領域1280及び1080において、それらの領域が放出する弱い連続X線1088及び1228よりはるかに強い。
質的に一様な材料の広いターゲットでは、X線が材料を通って表面に伝搬するにつれ、ターゲット内部のX線の複数の発生源の間のX線の減衰は、取り出し角を減少させるとともに、材料内を移動する距離がより長くなることに起因して増大し、多くの場合、0°の取り出し角において、又はその近くの角度で最大になる。従って、0°近くで見ることによって実現されるいかなる輝度の増加も、再吸収によって平衡させられ得る。X線ビームが強度において1/eまで減少する距離はX線減衰長と呼ばれている。従って、放出されたX線が可能な限り更なる材料を通過しない、X線減衰長に関連して選択された距離を有する構成が所望され得る。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るようなターゲットの一部の例示が、図14に示されている。図14において、単一の微細構造2700を有するX線発生領域は、棚状部2002に接した基板の凹んだ縁部2003に、又はその近くに構成され、図11に例示された状況に類似している。X線発生微細構造2700は、基板2000に埋め込まれている幅W、長さL、及び深さ又は厚みDの矩形バーの形状をしており、電子111で衝撃を与えられたときに、X線2888を放出する。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るような代替的なターゲットの一部の例示が、図15に示されている。このターゲットでは、6つの微細構造2701、2702、2703、2704、2705、2706を有するX線発生領域が、棚状部2002に接したターゲット基板2000の凹んだ縁部2003に、又はその近くに構成され、図11及び図14に例示された状況と類似している。示されるように、X線発生微細構造2701、2702、2703、2704、2705、2706は、基板2000に埋め込まれたX線を発生する直四角柱の直線配列で配置され、電子111で衝撃を与えられたときにX線2888−Dを放出する。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るようなこのターゲットにおいて、X線発生材料の総体積は、前の図14の例示におけるものと同じである。図14に示された場合においても同様であるが、微細構造2701−2706の厚みD(ターゲットの面法線に沿った厚み)は、最適熱性能のために、入射電子エネルギーにおけるX線発生材料の電子侵入深さの1/3から2/3の間になるように選択される。図14に示された場合においても同様であるが、微細構造2701−2706の幅Wは、対応する方向に所望のソースサイズを得るように選択され、例示されたようにWはおよそDの1.5倍である。前に論じられたように、バーの幅Wは、所望されるソーススポットのサイズに応じて、実質的にそれより小さくも、大きくもなり得る。
しかしながら、示されるように、図14に例示されたような長さLの単一のバー2700は、6つのサブバーの形で微細構造2701、2702、2703、2704、2705、2706に置き換えられており、それぞれの長さlはL/6である。X線発生の体積(同じ電子密度で衝撃を与えられたとき)は同じであるが、ここでそれぞれのサブバーは基板に熱を伝達する5つの面を有し、X線発生サブバー2701−2706から基板への熱の放散を増加させる。例示されたように、複数のサブバーの間の分離距離dはおよそlに等しいが、それより大きい又は小さい寸法が用いられてもよく、これは、基板に吸収されるX線量、及び、X線発生微細構造2701−2706の特定の材料と基板2000との間で実現され得る相対的な温度勾配に依存する。
図15などに示された構成では、複数のX線発生サブバーの全長は、一般にX線発生材料におけるX線の直線減衰長の約2倍になるが、その距離の半分から3倍を超えるところまで選択され得る。同様に、複数のサブバーの厚みD(ターゲットの面法線に沿った厚み)は、最適熱性能のために、入射電子エネルギーにおけるX線発生材料の電子侵入深さの1/3から2/3に等しくなるように選択されたが、実質的にそれより大きくなり得る。バーの厚みDは、該当方向に、ほぼ等しい所望のX線ソースサイズを得るためにも選択され得る。
数のバーは、(示されたように)基板に埋め込まれ得るが、X線発生材料に発生する熱負荷が大き過ぎない場合には、基板の上に配置されてもよい。
図16A〜図16Cのターゲットにおいて、複数の微細構造は6つの面のうち5つで基板と密接に熱的接触をするように、製造されている。例示されたように、複数の微細構造700の上面は基板の表面と同一平面を成すが、複数の微細構造が凹所にある他のターゲットが製造されてよく、さらに複数の微細構造が基板の表面に対して局所的な「バンプ」を示す他のターゲットが製造されてもよい。
ここでkは熱伝導率(W/(m℃))、ΔTは厚みdの全体にわたる温度の差異(℃)である。従って、表面積の増大、厚みの低下、及びΔTの増大はすべて、熱伝導の比例的増加につながる。
図18A〜図18Cは、本発明の一実施形態による、X線発生材料を含む直四角柱の形をした微細構造700及び701の市松模様状の配列を有する、ターゲットの領域1013を示している。示されたような配列は、基板1000の表面に埋め込み配列として配置されている。図18Aは25個の埋め込み微細構造700及び701の斜視図を示し、図18Bは同じ領域の上面図を示し、図18Cは点線で示された凹み領域を有する同じ領域の側面/断面図を示している。
本発明のいくつかの実施形態において用いられ得るような別のターゲットの領域2001の例示が、図19A−図19Cに示されており、厚みDを有するX線発生材料を含む微細構造2790及び2791の配列を有する、本発明の一実施形態によるターゲットの領域2001を示している。示された配列は、直四角柱の変更された市松模様であるが、複数の微細構造の他の構成及び配列も用いられ得る。
2.直線累積X線ソースの一般的な考察
図21は、直線配列で配置されたX線放出器の集合体を示している。直線配列の長軸は図の左から右に延びており、短軸は図の平面に入る、及びそこから出るように延びている。1又は複数のX線発生材料を有する、複数のX線発生要素801、802、803、804、…などは、高電圧(1keVから250keVまでのどこでも)において、電1111、1112、1113、1114、…などのビームによって衝撃を与えられ、X線818、828、838、848、…などを放出するサブソースを形成している。X線は等方的に放出される傾向があるが、この解析は、サブソースの直線配列の中央を通る軸に沿った視点に対するものであり、そこに開口部840を有するスクリーン84が配置されている。
すべての放出器が、ほぼ同じ強度のX線を放出するソース設計では、
(これは、配列のX線放出要素が類似のサイズ及び形状であり、それらが類似のエネルギー及び密度を有する電子で衝撃を与えられる場合に実現し得る)。全放出強度は次式のようになる。
図22は、3種類のX線発生材料、すなわちモリブデン(Mo)、銅(Cu)、タングステン(W)の1keVから1000keVにわたるエネルギーを有するX線に対する1/e減衰長と、3種類の基板材料、すなわちグラファイト(C)、ベリリウム(Be)、水(HO)の10keVから400keVまでの範囲のエネルギーを有するX線に対する1/e減衰長とを示している。[ここで示されたデータはもともと、B.L.Henke、E.M.Gullikson、J.C.Davisによって、『X−ray interactions: photoabsorption, scattering, transmission, and reflection at E=50−30000 eV, Z=1−92』、Atomic Data and Nuclear Data Tables、第54巻(2)、181−342ページ(1993年7月)に公開されたものであり、<http://henke.lbl.gov/optical_constants/atten2.html>でアクセスされ得る。他のX線吸収の表は、<http://physics.nist.gov/PhysRefData/XrayMassCoef/chap2.html>で利用可能である]。
図22の値を用いた一例として、タングステンにおける60keVのX線では、L1/eがおよそ200ミクロンとなり、20ミクロン幅のX線発生要素の透過率は、次式で与えられる。
ベリリウム基板における60keVのX線では、L 1/e およそ50,000ミクロンとなり、埋め込まれた複数のタングステンX線発生要素の間の、100ミクロン幅のベリリウム間隙の透過率は、次式のようになる。
従って、ベリリウム基板に埋め込まれ、100ミクロン離れて離間した20ミクロン幅のタングステン要素の周期的配列に対して、軸上強度の最良の推定値は次式のようになる。
これは、単一のタングステンX線放出要素と比較したとき、X線強度が1桁増大することを表している。
図21に例示されたように、また図23Aにも例示されたように、電子は垂直入射で複数の微細構造要素801、802、803などに衝撃を与え得て、図23Bに例示されたように電子ビーム1121、1122、1123などは角度θで、図23Cに例示されたように(収束電子ビームなどの)電子ビーム1131、1132、1133などは複数の角度で、図23Dに例示されたよう電子ビーム1141、1142、1143などは両面から角度θで、図23Eに例示されたように電子ビーム1151、1152、1153などは様々な強度または電子密度をそれぞれが有して、図23Fに例示されたように一様な大面積の電子ビーム111で、又は当業者によって考案され得る多くの電子ビーム構成の任意の組み合わせで、複数の要素に衝撃を与え得る。
電子照射用のパターンの実際の設計は、X線発生材料、及び/又は複数のX線発生要素の間の領域を充填する材料の材料特性に一部依存し得る。図23Eに例示されたように、X線発生材料の吸収性がきわめて高い場合には、X線を放出し、さらに他の複数のX線発生要素を通って最も長い距離を進まなければならない領域に衝撃を与えるのに、より大きい電子密度が用いられ得る。同様に、図23Bに例示されたように、電子侵入深さが深い場合には、X線発生材料は、斜めにした電子で衝撃を与えられ得る。電子侵入深さが所望されたより深い場合、X線発生材料のより薄い領域が用いられ、より小さい鉛直方向の大きさでソースを形成し得る。
多くの実施形態において、電子照射の領域は、電子ビーム又は複数の電子ビームが、主にX線発生要に衝撃を与え、これらの要素の間の領域には衝撃を与えないように調節され得る。多くの実施形態において、複数のX線発生要素の間の間隔は、真空ではなく、複数のX線発生要素からの熱の放散を容易にする固体材料で充填され得る。ダイヤモンドなどの熱伝導基板に埋め込まれた、又は埋設された複数のX線発生要素の配列を有するそのようなソースターゲットは、上述されたように同時係属中の米国特許出願第14/465,816号に開示されており、これはその全体を参照によって組み込まれたものとする。
別個の複数のX線発生要素に独立して衝撃を与えるのに用いられる複数の電子ビームを有するソースは、異なる加速電圧が異なる電子ビームソースで用いられることを可能にするようにも構成され得る。そのようなソース80−Bが図24に例示されている。この例示においてもやはり、前の高電圧源10が導線21−Aを介して、電子111−Aをターゲット1100−Bに向かって放出する電子放出器11−Aに接続されている。しかしながら、電圧10−B及び10−C用の2つの付加的な「ブースタ」も設けられ、これらの高電位が導線21−B及び21−Cを介して、異なるエネルギーの電子111−B及び111−Cをそれぞれ放出する付加的な電子放出器11−B及び11−Cに接続されている。X線発生要素801、802、803、…などを有するターゲット1100−Bは、通常は一様に接地電位に設定されているが、異なるX線発生要素を目標とするのに用いられる個々の電子ビームソースは異なる電位に設定され得て、従って、様々なエネルギーの電子が異なるX線発生要素801、802、803、…などに衝撃を与えるのに用いられ得る。
いくつかの実施形態において、異なる複数の材料からの様々なスペクトルの特性X線を軸上ビューが示すように、異なる複数のX線発生要素は異なる複数のX線放出材料を有し得る。X線に対して比較的透明である材料は、出力ウィンドウ840に最も近い位置(例えば、図21において最右端の要素801)に用いられ得るが、より強く吸収する材料は、他の複数のX線サブソースをあまり減衰させないように配列の反対側の要素に用いられ得る。
図27は、3種類の材料(Cu、Mo、及びW)の広範なX線エネルギーに対する、この比の図を示している。いったんX線発生材料が所望の特性線に対して選択されると、この比は特定のエネルギー範囲(タングステンでは約55keVなど)を示唆するのに用いられ得てこのフィギュアオブメリットが比較的大きくなるようシステムが動作するよう構成され得る。
3.4.時分割X線発生
他の複数の実施形態において、X線発生要素801、802、803、804、…などは、電子による継続的な衝撃を受ける必要はないが、電子ビーム1211、1212、1213、1214、…などは、熱負荷を分散すべく時間とともにオンとオフとに切り替えられ得る。これは軸上で見たときに特に効果的であり得る。それは、すべてのX線が同じ発生源から発しているように見えるからである。
さらに、いくつかの実施形態において、電子ビームは、X線発生材料を有するターゲット全面にわたって単に走査し得る。いくつかの実施形態において、この走査は規則的なラスタースキャンであってよく、他の複数の実施形態においては、走査を「一時休止(dwelling)」したり、X線発生領域をより低速で走査する一方で、1つのX線発生領域から次のX線発生領域へは急速に移動したりといった、不均一な走査であってもよい。他の実施形態において、電子ビームは、すべてのX線発生領域に同時に衝撃を与えるように又は複数の電子ビームを複数のX線発生領域にほぼ同時に衝突させるが、電子ビームを急速にオンオフさせて、「パルス状」のX線ソースを形成すように設計され得る。これは、いくつかの特定の用途に対していくつかの利点を有し得る。
図29Bは、複数の微細構造から、今回は入射電子ビーム1111、1112、1113などから離れた方向への放出を示している。この実施例では、微細構造801、802、803、…の間隔は、これらのサイズに対してはるかに大きいので、隣接する複数のX線放出要素による減衰もなくX線が伝搬し得る軸外角度は、図29Aに例示された状況おける軸外角度よりもはるかに小さい。
3.6.複数の独立した電子ビーム
図30及び図31(ターゲットをさらに詳細に示している)に例示されているのは、上述された複数の要素の一部を組み込んだ、より一般的なX線システム80−Cである。本システムは、複数の導線21−A、21−B、及び21−Cを介して、電子ビーム111−A、111−B、111−C発生させる複数の電子放出器11−A、11−B、及び11−Cに様々な電圧を送る電子システムコントローラ10−Vを備えている。これらの電子ビーム111−A、111−B、111−Cのそれぞれは、導線27−A、27−B、及び27−Cを介して、複数の電子レンズ70−A、70−B、及び70−Cを制御するシステムコントローラ10−Vからの信号によって制御され得る。
例示されたように、本システムは冷却システムをさらに備えている。冷却システムは、典型的には水である冷却流体93を充填した容器90を有し、冷却流体93はポンプなどの機構1209によって、一部がターゲット1100−Cの基板1000を通過す複数の冷却経路1200を通って動かされる。
図31は、電子による衝撃下にあるターゲット1100−Cの一部を、本システムの拡大図で示しており、その中に2つの付加的な電子ビーム111−D及び111−Eが加えられている。例示されたように、ビーム111−D及び111−Eの両方は、右側の3つの電子ビーム111−A、111−B、及び111−Cより高電流を有し、一番左の電子ビーム111−Eは、すべてのビームの中で最も高い電流密度を有しており、複数のビームは等しい密度である必要はないことを示している。より高い電流を受ける一番左のX線発生要素804及び805は、これらとこれらに隣接する微細構造との間に、より低い電子電流を受ける一番右の要素801、802、及び803の間に設けられている間隔より大きい間隔を有するようにも例示されている。いくつかの実施形態において、804及び805は、801、802、及び803よりも原子番号が高い材料で構成され得る。
図31には、熱伝導性(熱を除去するため)と導電性の両方を兼ねる導電性オーバーコート膜770も示されており、接地722への電子の戻り経路が設けられている。軸上にあるX線がターゲットから放射されることを可能にするための開口部840を有する、スクリーン84も示されている。
上述された2つの面のターゲットは、アノードが回転して熱を分散させる回転アノードを備える一実施形態にも用いられ得ることにも留意されたい。これらの特徴を有するシステム580−Rが、図34に例示されている。この実施形態では、多くの要素が、図6Aに例示されたような従来の回転アノードシステムにおけるものと同じであるが、例示されたようなこの実施形態では、コントローラ10−3が、導線21−及び21−を介して、電子ビーム2511−F及び2511−Gをそれぞれ放出する2つの放出器11−F及び11−Gのそれぞれに高電圧を供給する。これらの電子ビームは、X線2588を生成するX線発生材料を有するコーティング2521及び2522で両面をコーティングされた、ターゲット500−Rの面取りされた部分の両面に衝撃を与える。ビームをステアリングする複数の電子レンズ又はX線ビーム出力を画定するための開口部など、付加的な制御を伴う複数の実施形態も設計され得ることも明らかであるべきである。
4.3.埋め込構造を有する2つの面のターゲット
図36は別の実施形態を示しており、ここで複数のターゲットは、薄いコーティングの代わりに、基板に埋め込まれたX線発生材料の複数の微細構造を有している。
概して、ターゲットとレンズとの間の関係は、製造時に確立されている。レンズは、真空中で使用するために設計された特定のマウント又はエポキシのどちらか一方で、そして光学製造の当業者によく知られているなどの位置合わせの手順を用いることによって、所定の位置に固定され得る。前に説明されたように、最終的な位置合わせは、X線検出器を出力開口部に配置して、最大X線強度を実現すべく、様々な電子ビームの焦点及び位置を調節することによって実現され得る。最終的な調節は、X線を用いる複数の光学要素の位置合わせに対しても成され得る。検出器は、電子ビームコントローラにフィードバックを提供するのにも用いられ得ることが、留意されるべきである。例えば、検出器はスペクトル出力の測定値を提供し、それは次に特定の特性線を発生させる電子ビームにその出力を増加させるか又は減少させるように指示するのに用いられ得る。
すべてのターゲットが、同じ入射角の電子で衝撃を与えられる必要があるとは限らないことも、留意されるべきである。複数のX線放出材料を有する構成では、材料によっては異なる侵入深さを有し得る。従って、異なる入射角の電子で衝撃を与えることは、その特定のターゲットのX線発生に、より効率的であり得る。また、以前の複数の実施形態で説明されたように、異なる電子密度、エネルギー、角度、焦点調節の状態などが、異なるターゲットに用いられ得る。
放出はすべてのターゲットから等方的に生じ、収集及び焦点に集める複数のX線レンズは、両方向に伝搬するX線に作用することが、留意されるべきである。従って、複数のターゲットのつながりの反対端に配置された検出器は、X線システムの較正及び全体の出力のモニタとして働き得る。
5.2.ウォルタレンズ及び他の多要素X線レンズ
本発明の別の実施形態が、図42に例示されている。この実施形態において、1つのターゲットから放出されたX線を収集し、それを下流側で焦点に集める光学要素2921及び2931は、現在ではウォルタレンズとして知られる光学要素である。ウォルタレンズは、X線を収集し焦点に集める、入れ子構造のミラーのよく知られたシステムであり、典型的に放物線状及び/又は双曲線状の反射面を、典型的にグレージング角で用いられるそれぞれの要素とともに有している。典型的には、反射面はガラスである。ガラス表面は、高質量密度材料又はX線多層(典型的に、モリブデン(Mo)及びケイ素(Si)の層を用いて作られる)でコーティングされ得る。
図43A及び図43Bは、水平及び鉛直の両方向に向けて配置された様々な湾曲レンズを有する、X線用に用いられる多要素レンズの従来技術の実施形態を示している。上述されたように、これらの光学要素に用いられる材料及びコーティングは、様々なX線発生源から放出されることが予想されるX線のスペクトルに適合するように選択され得る。
5.3.ポリキャピラリレンズ
本発明の別の実施形態が、図44に例示されている。この実施形態において、1つのターゲットから放出されたX線を収集し、それを下流側で焦点に集める光学要素2941及び2951は、現在ではポリキャピラリレンズとして知られる光学要素である。ポリキャピラリレンズは、X線が細いファイバを通って誘導され、所望位置の別の端に現れるという点において、光ファイバと類似している。しかしながら、全内部反射を用いて反射させる固体のガラス繊維を有する光ファイバと異なり、ポリキャピラリレンズは複数の中空チューブを有し、X線はグレージング角において材料からの外部反射によってチューブへと誘導される。
5.4.バリエーション
特定のオプションが、反射レンズ、ウォルタレンズ、又はポリキャピラリレンズを示す複数の例示に示されたが、これらは決して限定することを意味するものではない。図39から図42、及び図44に例示された光学構成は、例えば、図41のミラー2821、2822を置き換えるウォルタレンズ2931と入れ換え可能であり得る。複数の微細構造を有する複数のターゲットがこれらの例示で用いられているが、図33及び図35で例示されたなどの複数の薄膜を有する複数のターゲットが、焦点に集めるこれらのX線レンズと共に用いられ得ることも、留意されるべきである。
例えば、導電層の堆積はキャップ層の堆積前に行われると説明されたが、付録図の19に例示されたものなど、これらの機能を組み合わせた層(すなわち、導電性キャップ層)が用いられる。同様に、複数のプロセス工程の一部が繰り返されて、付録図の18に例示されたような複数の層のターゲット材料を堆積し得る。

Claims (60)

  1. 真空チャンバと、
    前記真空チャンバの壁に取り付けられた、X線に透過的なウィンドウと、
    前記真空チャンバ内の少なくとも1つの電子ビーム放出器と、
    少なくとも1つのターゲットであって、
    第1の選択材料を有する基板と、
    そのX線発生特性のために選択された第2の材料を有する複数の離散構造とを、
    有する前記少なくとも1つのターゲットとを、
    備え、
    前記複数の離散構造のそれぞれは、前記基板と熱的接触をしており、
    前記複数の離散構造のうち少なくとも1つは、10ミクロンより薄い厚みを有し、前記複数の離散構造のうち前記少なくとも1つのそれぞれの横寸法は、50ミクロンより小さい、
    X線ソース。
  2. 前記複数の離散構造は、前記基板の表面に埋め込まれている、
    請求項1に記載のX線ソース。
  3. 前記複数の離散構造は、前記基板の表面の深さ100ミクロン未満内に埋設されている、
    請求項1又は2に記載のX線ソース。
  4. 前記放出器から前記ターゲット上に放出される電子ビームを方向付ける手段をさらに備える、
    請求項1から3の何れか一項に記載のX線ソース。
  5. 電子ビームを方向付けるための前記手段は、複数の電子レンズを有する、
    請求項4に記載のX線ソース。
  6. 電子ビームを方向付けるための前記手段は、複数の静電レンズを有する、
    請求項4又は5に記載のX線ソース。
  7. 電子ビームを方向付けるための前記手段は、複数の磁気レンズを有する、
    請求項4又は5に記載のX線ソース。
  8. 電子ビームを方向付けるための前記手段は、焦点を合わせる、発散させる、焦点をぼかす、走査する、ラスタースキャンをする、一時休止する、見えないようにする、スイープする、ビーム方向を変更する、ビーム強度プロファイルを変更する、複数の電子ビームを形成する、ビーム電流密度を変更する、電子ビーム中の電子の加速を変更するから成る群から選択された操作によって、前記電子ビームの制御を可能とする、
    請求項4から7の何れか一項に記載のX線ソース。
  9. 電子ビームを方向付けるための前記手段は、少なくとも1つの大きさにおいて30ミクロンより小さいスポットサイズに前記電子ビームの焦点を合わせることを可能にする、
    請求項4から8の何れか一項に記載のX線ソース。
  10. 電子ビームを方向付けるための前記手段は、前記複数の離散構造の少なくとも一部の位置に対応するパターンに、前記電子ビームを方向付けることを可能にする、
    請求項4から9の何れか一項に記載のX線ソース。
  11. 電子ビームを方向付けるための前記手段は、前記複数の離散構造の少なくとも一部の位置に対応するパターンに、前記電子ビームを方向付けることを可能にし、
    前記パターンは、放出された前記X線の予め定められた複数の特性をモニタする検出器からの信号に応答して、時間内に適応される、
    請求項10に記載のX線ソース。
  12. 放出された前記X線の予め定められた前記複数の特性は、輝度、明るさ、全強度、フラックス、エネルギースペクトル、ビームプロファイル、及びビーム広がりから成る群から選択される、
    請求項11に記載のX線ソース。
  13. 前記複数の離散構造は、直線配列に配置される、
    請求項1から12の何れか一項に記載のX線ソース。
  14. 前記複数の離散構造は、類似形状を有するように製造される、
    請求項1から13の何れか一項に記載のX線ソース。
  15. 前記類似形状は、正角柱、直四角柱、立方体、三角柱、台形柱、ピラミッド型、四面体、円柱、球体、卵形、たる形から成る群から選択される、
    請求項14に記載のX線ソース。
  16. 前記第1の選択材料は、ベリリウム、ダイヤモンド、グラファイト、ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、サファイア、及びダイヤモンド状炭素から成る群から選択される、
    請求項1から15の何れか一項に記載のX線ソース。
  17. 前記第2の材料は、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、イリジウム、タンタル、タングステン、インジウム、セシウム、バリウム、金、白金、鉛、並びに、これらの組み合わせ及びこれらの合金から成る群から選択される、
    請求項1から16の何れか一項に記載のX線ソース。
  18. 前記複数の離散構造のサブセットは、そのX線発生特性のために選択された第3の材料を有する、
    請求項1から17の何れか一項に記載のX線ソース。
  19. 前記第3の材料は、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、イリジウム、タンタル、タングステン、インジウム、セシウム、バリウム、金、白金、鉛、並びに、これらの組み合わせ及びこれらの合金から成る群から選択される、
    請求項18に記載のX線ソース。
  20. 前記複数の離散構造のうち少なくとも1つは、前記基板の縁部から500ミクロン以内に配置される、
    請求項1から19の何れか一項に記載のX線ソース。
  21. 前記直線配列は、長軸及び短軸を有するように画定され、前記直線配列の前記長軸は、前記ウィンドウと位置合わせされ、前記長軸と前記ウィンドウの面法線との間の角度は、前記長軸と前記ウィンドウとが交差する部分において、85°よりも小さい、
    請求項13に記載のX線ソース。
  22. 前記複数の離散構造のうち少なくとも1つは、前記ウィンドウに最も近い前記基板の縁部から500ミクロン以内に配置される、
    請求項21に記載のX線ソース。
  23. 前記ターゲットの複数の離散構造は、方向付けられた前記電子ビームにさらされたときに、前記複数の離散構造のうち予め定められた1つによって放出されたX線が、前記複数の離散構造の別のものを透過するように位置合わせされている、
    請求項4から22の何れか一項に記載のX線ソース。
  24. 前記ターゲットは、方向付けられた前記電子ビームにさらされたときに、前記複数の離散構造のうち予め定められた数の離散構造によって放出されたX線が、前記複数の離散構造から選択された1つの予め定められた離散構造を透過するように、位置合わせされている、
    請求項21から23の何れか一項に記載のX線ソース。
  25. 冷却システムであって、
    冷却流体を保存するための容器と、
    前記冷却流体を運ぶための前記基板内の経路と、
    前記容器から前記基板内の前記経路に前記冷却流体を運ぶための付加的な経路と、
    前記基板内の前記経路から前記容器に前記冷却流体を運ぶための付加的な経路と、
    前記冷却システムを通って前記冷却流体をポンプで送り込むポンピング機構とを、
    含む前記冷却システムをさらに備える、
    請求項1から24の何れか一項に記載のX線ソース。
  26. 前記ターゲットを回転させる機構をさらに備える、
    請求項1から25の何れか一項に記載のX線ソース。
  27. 真空チャンバと、
    前記真空チャンバの壁に取り付けられた、X線に透過的な第1のウィンドウと、
    前記真空チャンバ内の1又は複数の電子放出器と、
    複数のX線ターゲットとを、
    備え、
    それぞれのターゲットは、そのX線発生特性のために選択された材料を有し、
    前記材料の少なくとも1つの大きさは20ミクロンより小さく、
    前記1又は複数の電子放出器及び前記複数のX線ターゲットは、前記複数のX線ターゲット上の電子の衝撃が複数のX線サブソースを生成するように位置合わせされ、それにより前記複数のX線サブソースは前記第1のウィンドウを通過する軸に沿って位置合わせされている、
    X線ソース。
  28. そのX線発生特性のために選択された前記材料は、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、イリジウム、タンタル、タングステン、インジウム、セシウム、バリウム、金、白金、鉛、並びに、これらの組み合わせ及びこれらの合金から成る群から選択される、
    請求項27に記載のX線ソース。
  29. 予め定められたX線エネルギースペクトルに対して、前記複数のX線ターゲットのうち少なくとも1つのX線の透過率は、50%より大きい、
    請求項27又は28に記載のX線ソース。
  30. 予め定められた前記X線エネルギースペクトルは、少なくとも1つのX線サブソースの発光スペクトルに対応する、
    請求項29に記載のX線ソース。
  31. 前記複数のX線ターゲットのうち少なくとも1つは、基板をさらに有する、
    請求項27から30の何れか一項に記載のX線ソース。
  32. 前記基板は、ベリリウム、ダイヤモンド、グラファイト、ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、サファイア、及びダイヤモンド状炭素から成る群から選択される材料を有する、
    請求項31に記載のX線ソース。
  33. X線発生材料は、薄膜の形で前記基板上にある、
    請求項31又は32に記載のX線ソース。
  34. 前記ターゲットは、0.1Wm−1−1より大きい熱伝導率の材料を有する基板に埋め込まれた複数の離散構造を有し、
    前記複数の離散構造は、そのX線発生特性のために選択された材料を有する、
    請求項27から30の何れか一項に記載のX線ソース。
  35. 複数のX線サブソースを形成すべく、前記ターゲット上の1又は複数の位置に、前記複数の電子放出器のうち少なくとも1つからの電子ビームを方向付けるための手段をさらに備える、
    請求項34に記載のX線ソース。
  36. 電子ビームを方向付けるための前記手段は、複数の電子レンズを備える、
    請求項35に記載のX線ソース。
  37. 複数の前記ターゲットへの複数の電子ビームの衝撃によって生成された複数のX線サブソースすべての中央部が、前記第1のウィンドウを通過する軸に沿って位置合わせされるように、前記複数の電子ビームのそれぞれを位置合わせする手段をさらに備える、
    請求項34から36の何れか一項に記載のX線ソース。
  38. 少なくとも2つの隣接するX線サブソースが、共通の基板を共有する、
    請求項27から37の何れか一項に記載のX線ソース。
  39. X線光学要素をさらに備え、
    前記X線光学要素は、サブソースによって放出されたX線が、前記X線光学要素によって、隣接するX線サブソースの上に方向付けられるように配置される、
    請求項27から38の何れか一項に記載のX線ソース。
  40. 前記X線光学要素は、斜入射X線リフレクタを有する、
    請求項39に記載のX線ソース。
  41. 前記X線光学要素は、多層コーティングを有するX線リフレクタを有する、
    請求項40に記載のX線ソース。
  42. 前記X線光学要素は、20ミクロンを超える厚みがあり、かつ高質量密度の材料を含むコーティングがされたX線リフレクタを有する、
    請求項40に記載のX線ソース。
  43. 前記X線光学要素はウォルタレンズを有する、
    請求項40に記載のX線ソース。
  44. 前記X線光学要素はポリキャピラリレンズを有する、
    請求項40に記載のX線ソース。
  45. 前記X線光学要素は、複数の焦点が2つの隣接するサブソースの中央に対応するように配置された、楕円体のキャピラリレンズを有する、
    請求項40に記載のX線ソース。
  46. X線光学要素をさらに備え、
    前記X線光学要素は、サブソースによって放出されたX線が前記X線光学要素に入り、前記真空チャンバ内の予め定められた位置の上に方向付けられるように配置される、
    請求項40に記載のX線ソース。
  47. 前記真空チャンバの壁に取り付けられた、X線に透過的な第2のウィンドウをさらに備え、
    前記複数のX線サブソースは、前記第1のウィンドウ及び前記第2のウィンドウの両方を通過する線に沿って、位置合わせされている、
    請求項27から46の何れか一項に記載のX線ソース。
  48. X線検出器をさらに備え、
    前記X線検出器は、前記複数のX線サブソースのうち少なくとも1つによって放出された前記X線が前記X線検出器に当たるように、位置合わせされている、
    請求項47に記載のX線ソース。
  49. 真空チャンバと、
    前記真空チャンバの壁に取り付けられた、X線に透過的な第1のウィンドウと、
    前記真空チャンバ内の第1の電子ビーム放出器と、
    第2の電子ビーム放出器と、
    ターゲットであって、
    基板と、
    そのX線発生特性のために選択された材料を有する第1の構造と、
    そのX線発生特性のために選択された材料を有する第2の構造とを、
    有するターゲットとを、
    備える、
    X線ソース。
  50. 複数の対の電子ビーム放出器と、
    複数のターゲットであって、
    基板と、
    そのX線発生特性のために選択された材料を有する第1の構造と、
    そのX線発生特性のために選択された材料を有する第2の構造とを、
    有する複数のターゲットとを、
    さらに備える、
    請求項49に記載のX線ソース。
  51. 前記第1の構造の前記材料と、前記第2の構造の前記材料とは、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ニオブ、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、イリジウム、タンタル、タングステン、インジウム、セシウム、バリウム、金、白金、鉛、並びに、これらの組み合わせ及びこれらの合金から成る群から選択される、
    請求項49又は50に記載のX線ソース。
  52. 前記基板は、ベリリウム、ダイヤモンド、グラファイト、ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、サファイア、及びダイヤモンド状炭素から成る群から選択される材料を有する、
    請求項49から51の何れか一項に記載のX線ソース。
  53. 前記第1の構造及び前記第2の構造のうち少なくとも1つは、前記基板の表面上の薄膜コーティングである、
    請求項49から52の何れか一項に記載のX線ソース。
  54. 前記第1の構造及び前記第2の構造は、両方とも前記基板の両面(opposite surfaces)上の薄膜コーティングである、
    請求項49から53の何れか一項に記載のX線ソース。
  55. 前記第1の構造及び前記第2の構造のうち少なくとも1つは、1又は複数の微細構造を有する、
    請求項49から54の何れか一項に記載のX線ソース。
  56. 前記1又は複数の微細構造は前記基板に埋め込まれている、
    請求項55に記載のX線ソース。
  57. 1又は複数の微細構造は、他の複数の微細構造のうち少なくとも1つに対し、前記基板の反対側の面に埋め込まれている、
    請求項56に記載のX線ソース。
  58. 前記第1の電子ビーム放出器及び前記第2の電子ビーム放出器は、前記ターゲットの両面に複数の電子ビームで衝撃を与えるべく位置合わせされている、
    請求項49に記載のX線ソース。
  59. X線を発生させる方法であって、
    少なくとも1つのターゲットを、複数の離散構造に当たるよう形成された電子ビームにさらす段階を備え、
    前記少なくとも1つのターゲットは、
    第1の選択材料を有する基板と、
    そのX線発生特性のために選択された第2の材料を有する前記複数の離散構造とを、
    有し、
    前記複数の離散構造のそれぞれは、前記基板と熱的接触をしており、
    前記複数の離散構造のうち少なくとも1つは、10ミクロンより薄い厚みを有し、
    前記複数の離散構造のうち前記少なくとも1つのそれぞれの横寸法は、50ミクロンより小さい、
    方法。
  60. X線を発生させる方法であって、
    単一の真空チャンバ内に含まれたX線発生材料を有する複数のターゲットを複数の電子ビームにさらす段階を備え、
    前記複数の電子ビームの位置は、前記複数のターゲットから放出され、また予め定められた開口部も通過する前記X線の強度を増加させるように調節されている、
    方法。
JP2018179789A 2013-09-19 2018-09-26 X線ソース Active JP6659025B2 (ja)

Applications Claiming Priority (12)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201361880151P 2013-09-19 2013-09-19
US61/880,151 2013-09-19
US201361894073P 2013-10-22 2013-10-22
US61/894,073 2013-10-22
US201461931519P 2014-01-24 2014-01-24
US61/931,519 2014-01-24
US201462008856P 2014-06-06 2014-06-06
US62/008,856 2014-06-06
US14/465,816 US20150092924A1 (en) 2013-09-04 2014-08-21 Structured targets for x-ray generation
US14/465,816 2014-08-21
US14/490,672 US9390881B2 (en) 2013-09-19 2014-09-19 X-ray sources using linear accumulation
US14/490,672 2014-09-19

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016544039A Division JP2016537797A (ja) 2013-09-19 2014-09-19 直線累積を用いたx線ソース

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019012695A true JP2019012695A (ja) 2019-01-24
JP6659025B2 JP6659025B2 (ja) 2020-03-04

Family

ID=53274258

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016544039A Pending JP2016537797A (ja) 2013-09-19 2014-09-19 直線累積を用いたx線ソース
JP2018179789A Active JP6659025B2 (ja) 2013-09-19 2018-09-26 X線ソース

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016544039A Pending JP2016537797A (ja) 2013-09-19 2014-09-19 直線累積を用いたx線ソース

Country Status (4)

Country Link
EP (2) EP3047501A4 (ja)
JP (2) JP2016537797A (ja)
CN (1) CN105556637B (ja)
WO (1) WO2015084466A2 (ja)

Families Citing this family (33)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20150117599A1 (en) 2013-10-31 2015-04-30 Sigray, Inc. X-ray interferometric imaging system
US10297359B2 (en) 2013-09-19 2019-05-21 Sigray, Inc. X-ray illumination system with multiple target microstructures
US10269528B2 (en) 2013-09-19 2019-04-23 Sigray, Inc. Diverging X-ray sources using linear accumulation
US10295485B2 (en) 2013-12-05 2019-05-21 Sigray, Inc. X-ray transmission spectrometer system
US10304580B2 (en) 2013-10-31 2019-05-28 Sigray, Inc. Talbot X-ray microscope
USRE48612E1 (en) 2013-10-31 2021-06-29 Sigray, Inc. X-ray interferometric imaging system
US10401309B2 (en) 2014-05-15 2019-09-03 Sigray, Inc. X-ray techniques using structured illumination
US10352880B2 (en) 2015-04-29 2019-07-16 Sigray, Inc. Method and apparatus for x-ray microscopy
US10295486B2 (en) 2015-08-18 2019-05-21 Sigray, Inc. Detector for X-rays with high spatial and high spectral resolution
KR101724213B1 (ko) * 2015-12-04 2017-04-18 전남대학교산학협력단 엑스선 하베스팅 장치
US10247683B2 (en) 2016-12-03 2019-04-02 Sigray, Inc. Material measurement techniques using multiple X-ray micro-beams
WO2018175570A1 (en) 2017-03-22 2018-09-27 Sigray, Inc. Method of performing x-ray spectroscopy and x-ray absorption spectrometer system
GB2565138A (en) * 2017-08-04 2019-02-06 Adaptix Ltd X-ray generator
US10847336B2 (en) * 2017-08-17 2020-11-24 Bruker AXS, GmbH Analytical X-ray tube with high thermal performance
CN107887243B (zh) * 2017-09-19 2019-11-08 中国电子科技集团公司第三十八研究所 一种用于电子束扫描ct的x射线源的阵列靶及制作方法
US10624195B2 (en) * 2017-10-26 2020-04-14 Moxtek, Inc. Tri-axis x-ray tube
CN108269725A (zh) * 2018-01-24 2018-07-10 宁波英飞迈材料科技有限公司 一种脉冲式x射线发生装置及产生方法
JP6857400B2 (ja) 2018-03-01 2021-04-14 株式会社リガク X線発生装置、及びx線分析装置
US10578566B2 (en) 2018-04-03 2020-03-03 Sigray, Inc. X-ray emission spectrometer system
WO2019236384A1 (en) 2018-06-04 2019-12-12 Sigray, Inc. Wavelength dispersive x-ray spectrometer
US10658145B2 (en) 2018-07-26 2020-05-19 Sigray, Inc. High brightness x-ray reflection source
US10656105B2 (en) * 2018-08-06 2020-05-19 Sigray, Inc. Talbot-lau x-ray source and interferometric system
DE112019004433T5 (de) 2018-09-04 2021-05-20 Sigray, Inc. System und verfahren für röntgenstrahlfluoreszenz mit filterung
CN112823280A (zh) 2018-09-07 2021-05-18 斯格瑞公司 用于深度可选x射线分析的系统和方法
US11152183B2 (en) 2019-07-15 2021-10-19 Sigray, Inc. X-ray source with rotating anode at atmospheric pressure
CN114729907B (zh) * 2019-09-03 2023-05-23 斯格瑞公司 用于计算机层析x射线荧光成像的系统和方法
CN111479377A (zh) * 2020-04-22 2020-07-31 吉林大学 一种d-d中子管靶膜保护层
CN115667896A (zh) * 2020-05-18 2023-01-31 斯格瑞公司 使用晶体分析器和多个检测器元件的x射线吸收光谱的系统和方法
DE112021006348T5 (de) 2020-12-07 2023-09-21 Sigray, Inc. 3d-röntgenbildgebungssystem mit hohem durchsatz, das eine transmissionsröntgenquelle verwendet
JP2022105848A (ja) 2021-01-05 2022-07-15 浜松ホトニクス株式会社 X線発生装置及びx線撮像システム
JP2022105846A (ja) 2021-01-05 2022-07-15 浜松ホトニクス株式会社 X線発生用ターゲット、x線発生装置及びx線撮像システム
GB2604137A (en) * 2021-02-25 2022-08-31 Modular Energy Tech Ltd Experimentation and electricity generation apparatus
US11885755B2 (en) 2022-05-02 2024-01-30 Sigray, Inc. X-ray sequential array wavelength dispersive spectrometer

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5148462A (en) * 1991-04-08 1992-09-15 Moltech Corporation High efficiency X-ray anode sources
JPH11304728A (ja) * 1998-04-23 1999-11-05 Hitachi Ltd X線計測装置
JP2003149392A (ja) * 2001-11-09 2003-05-21 Tohken Co Ltd X線増強反射板及びx線検査装置
WO2010109909A1 (ja) * 2009-03-27 2010-09-30 株式会社リガク X線発生装置とそれを用いた検査装置
JP2011029072A (ja) * 2009-07-28 2011-02-10 Canon Inc X線発生装置及びそれを備えたx線撮像装置。

Family Cites Families (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US1211092A (en) 1915-06-05 1917-01-02 Gen Electric X-ray tube.
BE355009A (ja) 1927-10-18
US1917099A (en) 1929-10-18 1933-07-04 Gen Electric x-ray tube
FR2548447B1 (fr) * 1983-06-28 1986-02-21 Thomson Csf Tube a rayons x a foyer de forte intensite
US4972449A (en) 1990-03-19 1990-11-20 General Electric Company X-ray tube target
US5602899A (en) 1996-01-31 1997-02-11 Physical Electronics Inc. Anode assembly for generating x-rays and instrument with such anode assembly
US6125167A (en) * 1998-11-25 2000-09-26 Picker International, Inc. Rotating anode x-ray tube with multiple simultaneously emitting focal spots
DE19934987B4 (de) 1999-07-26 2004-11-11 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Röntgenanode und ihre Verwendung
US8094784B2 (en) 2003-04-25 2012-01-10 Rapiscan Systems, Inc. X-ray sources
US7003077B2 (en) * 2003-10-03 2006-02-21 General Electric Company Method and apparatus for x-ray anode with increased coverage
DE112005000798T5 (de) * 2004-04-08 2007-04-05 Japan Science And Technology Agency, Kawaguchi Röntgenstrahlen-Target und Vorrichtungen, die es verwenden
US6870172B1 (en) 2004-05-21 2005-03-22 Kla-Tencor Technologies Corporation Maskless reflection electron beam projection lithography
DE102005034687B3 (de) * 2005-07-25 2007-01-04 Siemens Ag Drehkolbenstrahler
JP4878311B2 (ja) * 2006-03-03 2012-02-15 キヤノン株式会社 マルチx線発生装置
JP4912743B2 (ja) * 2006-05-18 2012-04-11 浜松ホトニクス株式会社 X線管及びそれを用いたx線照射装置
JP5647607B2 (ja) * 2008-08-14 2015-01-07 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ マルチセグメント陽極ターゲットを備えた回転陽極を有するx線管、及びそれを有するx線スキャナシステム
CN102422364B (zh) * 2009-05-12 2015-08-05 皇家飞利浦电子股份有限公司 具有多个电子发射器的x射线源
CN101644689A (zh) * 2009-08-21 2010-02-10 江苏天瑞仪器股份有限公司 一种多靶材x光管
JP5984403B2 (ja) * 2012-01-31 2016-09-06 キヤノン株式会社 ターゲット構造体及びそれを備える放射線発生装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5148462A (en) * 1991-04-08 1992-09-15 Moltech Corporation High efficiency X-ray anode sources
JPH11304728A (ja) * 1998-04-23 1999-11-05 Hitachi Ltd X線計測装置
JP2003149392A (ja) * 2001-11-09 2003-05-21 Tohken Co Ltd X線増強反射板及びx線検査装置
WO2010109909A1 (ja) * 2009-03-27 2010-09-30 株式会社リガク X線発生装置とそれを用いた検査装置
JP2011029072A (ja) * 2009-07-28 2011-02-10 Canon Inc X線発生装置及びそれを備えたx線撮像装置。

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016537797A (ja) 2016-12-01
CN105556637B (zh) 2019-12-10
EP3047501A2 (en) 2016-07-27
WO2015084466A3 (en) 2015-07-30
EP3168856B1 (en) 2019-07-03
EP3168856A3 (en) 2017-08-23
CN105556637A (zh) 2016-05-04
EP3047501A4 (en) 2017-06-21
JP6659025B2 (ja) 2020-03-04
EP3168856A2 (en) 2017-05-17
WO2015084466A2 (en) 2015-06-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6659025B2 (ja) X線ソース
US9543109B2 (en) X-ray sources using linear accumulation
US9390881B2 (en) X-ray sources using linear accumulation
US20150092924A1 (en) Structured targets for x-ray generation
US10297359B2 (en) X-ray illumination system with multiple target microstructures
US10269528B2 (en) Diverging X-ray sources using linear accumulation
US10401309B2 (en) X-ray techniques using structured illumination
US9570265B1 (en) X-ray fluorescence system with high flux and high flux density
US10416099B2 (en) Method of performing X-ray spectroscopy and X-ray absorption spectrometer system
WO2017204850A1 (en) Diverging x-ray sources using linear accumulation
US9449781B2 (en) X-ray illuminators with high flux and high flux density
US20170162288A1 (en) X-ray illuminators with high flux and high flux density
US7443953B1 (en) Structured anode X-ray source for X-ray microscopy
WO2016187623A1 (en) X-ray techniques using structured illumination
US7215741B2 (en) X-ray generating apparatus
US6333968B1 (en) Transmission cathode for X-ray production
JP2011029072A (ja) X線発生装置及びそれを備えたx線撮像装置。
JP7117452B2 (ja) 高輝度反射型x線源
JP6973816B2 (ja) 半導体x線ターゲット
EP3602020A1 (en) Method of performing x-ray spectroscopy and x-ray absorption spectrometer system
US20020136354A1 (en) Laser plasma x-ray generation apparatus
WO2019074548A1 (en) X-RAY LIGHTING SYSTEM WITH MULTIPLE TARGET MICROSTRUCTURES
US20230145938A1 (en) X-ray source and system and method for generating x-ray radiation

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180926

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181101

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190702

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190903

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200128

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6659025

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250