JP2019011805A - 動力伝達装置 - Google Patents

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光将 松原
Mitsumasa Matsubara
光将 松原
克彰 小林
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克彰 小林
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Abstract

【課題】シール部材とケースとの密着性をより向上させる。【解決手段】ケース内をデフリングギヤおよびデファレンシャルギヤが配置されるデフ室と作動油を貯留する作動油貯留室とに区画する区画部材と、区画部材におけるケースの内周面に沿って設けられた外周縁部に取り付けられると共に外周縁部と内周面との間に配置されるシール部材を備えるものにおいて、シール部材は、弾性変形可能であると共に、内周面に当接する中空のシール部を有する。【選択図】図6

Description

本開示は、動力伝達装置に関する。
従来、この種の動力伝達装置としては、デファレンシャルケース内をリングギヤが配置される第1室と潤滑油を貯留する第2室とに区画するバッフルプレート本体と、バッフルプレート本体の円弧状の外周縁部に取り付けられてデファレンシャルケースの底壁部に密着される円弧状のシール部材と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここで、バッフルプレート本体とシール部材との取付は、バッフルプレート本体に形成された係止用爪部がシール部材に形成された嵌合孔(貫通孔)に嵌合(挿通)して係止されることにより行なわれる。また、シール部材は、先端部(外周側の端部)に、径方向外側に向かうにつれてリングギヤから離間する方向(第1室の油圧が高くなったときにその油圧を受け流す方向)に傾斜するリップ部を有する。これにより、第2室から第1室に向かう方向の潤滑油の流れを阻止するのに好ましいようにしている。
特開2015−178887号公報
上述の動力伝達装置では、シール部材は、デファレンシャルケースの底壁部との当接位置(リップ部の先端)に対して片側支持(片持ち)となる形状のリップ部を備えるから、リップ部とデファレンシャルケースの底壁部とが十分に密着しない可能性がある。リングギヤの回転の上昇に伴って第1室の油圧が高くなったときにその高い油圧を受け流すためにリップ部がデファレンシャルケースの底壁部から離間し、その後に、リングギヤの回転が低下して第1室の油圧が低くなるときに、リップ部とデファレンシャルケースとの間の隙間により、第2室に溜まった潤滑油が第1室に流れ込んで、第1室に潤滑油が溜まってしまい、リングギヤ等による攪拌抵抗が大きくなってしまう可能性がある。
本開示の動力伝達装置は、シール部材とケースとの密着性をより向上させることを主目的とする。
本開示の動力伝達装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本開示の動力伝達装置は、
変速機からの動力が伝達されるドライブピニオンギヤに噛合するデフリングギヤと、前記デフリングギヤに連結されるデフケースを有するデファレンシャルギヤと、前記デフリングギヤおよび前記デファレンシャルギヤを収容するケースと、前記ケース内を前記デフリングギヤおよび前記デファレンシャルギヤが配置されるデフ室と作動油を貯留する作動油貯留室とに区画する区画部材と、前記区画部材における前記ケースの内周面に沿って設けられた外周縁部に取り付けられると共に前記外周縁部と前記内周面との間に配置されるシール部材と、を備える動力伝達装置であって、
前記シール部材は、弾性変形可能であると共に、前記内周面に当接する中空のシール部を有する、
ことを要旨とする。
この本開示の動力伝達装置では、区画部材におけるケースの内周面に沿って設けられた外周縁部に取り付けられると共に区画部材と内周面との間に配置されるシール部材は、弾性変形可能であると共に、内周面に当接する中空のシール部を有する。したがって、シール部材の延在方向に直交する方向の断面で内周面との当接位置に対して両側支持(両持ち)となる形状のシール部を設けるから、片側支持(片持ち)となる形状のリップ部を設けるものに比して、シール部とケースの内周面との密着性をより向上させることができる。この結果、作動油貯留室からデフ室への作動油の流入を抑制し、デフリングギヤ等による攪拌抵抗が大きくなるのを抑制することができる。
本開示の動力伝達装置20を示す概略構成図である。 自動変速機25の各変速段とクラッチC1〜C4、ブレーキB1,B2、ワンウェイクラッチF1の作動状態との関係を示す作動表である。 動力伝達装置20を示す要部拡大断面図である。 リザーバプレート70およびシール部材80を示す斜視図である。 リザーバプレート70を示す側面図である。 図3の動力伝達装置20におけるシール部材80付近を示す拡大図である。 直線状のシール部材80の外観の模式図である。 図7におけるA−A断面の模式図である。 円弧状のシール部材80の外観の模式図である。 図9におけるB−B断面の模式図である。 他の実施形態の動力伝達装置120を示す要部拡大断面図である。 リザーバプレート170およびシール部材180を示す斜視図である。 リザーバプレート170を示す側面図である。 リザーバプレート170を示す側面図である。 図11の動力伝達装置120におけるシール部材180付近を示す拡大図である。 直線状のシール部材180の外観の模式図である。 図16におけるA−A断面の模式図である。 円弧状のシール部材180の外観の模式図である。 図18におけるB−B断面の模式図である。
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の動力伝達装置20を示す概略構成図である。同図に示す動力伝達装置20は、前輪駆動車両に搭載される図示しないエンジンのクランクシャフトに接続されると共にエンジンからの動力を図示しない左右の駆動輪DW(前輪)に伝達可能なものである。図示するように、動力伝達装置20は、トランスミッションケース22や、発進装置(流体伝動装置)23、オイルポンプ24、トランスミッションケース22内に収容される自動変速機25、ギヤ機構(ギヤ列)40、デファレンシャルギヤ(差動機構)50等を備える。
トランスミッションケース22は、ハウジング221や、ハウジング221に締結(固定)されるトランスアクスルケース222に加えて、ハウジング221とトランスアクスルケース222との間に位置するようにトランスアクスルケース222に締結(固定)されるフロントサポート223、トランスアクスルケース222に締結(固定)されるセンターサポート224を備える。本実施形態において、ハウジング221、トランスアクスルケース222、センターサポート224は、例えばアルミニウム合金により形成され、フロントサポート223は、鋼材(鉄合金)またはアルミニウム合金により形成される。
発進装置23は、図示しないドライブプレート等を介してエンジンのクランクシャフトおよび/または電気モータのロータに連結されるフロントカバーや、フロントカバーに密に固定されるポンプシェルを有する入力側のポンプインペラ23p、自動変速機25の入力軸26に連結される出力側のタービンランナ23t、ポンプインペラ23pおよびタービンランナ23tの内側に配置されてタービンランナ23tからポンプインペラ23pへの作動油の流れを整流するステータ23s、図示しないステータシャフトにより支持されると共にステータ23sの回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ23o等を備える。ポンプインペラ23p、タービンランナ23t、ステータ23sは、トルク増幅作用を有するトルクコンバータを構成する。
更に、発進装置23は、フロントカバーと自動変速機25の入力軸26とを互いに接続すると共に両者の接続を解除するロックアップクラッチ23cと、フロントカバーと自動変速機25の入力軸26との間で振動を減衰するダンパ装置23dとを備える。本実施形態において、ロックアップクラッチ23cは、複数の摩擦係合プレート(摩擦プレートおよびセパレータプレート)を有する多板摩擦式油圧クラッチとして構成される。ただし、ロックアップクラッチ23cは、単板摩擦式油圧クラッチであってもよい。また、発進装置23は、ステータ23sを有さない流体継手を含むものであってもよい。
オイルポンプ24は、巻掛け伝動機構240を介して発進装置23のポンプインペラ23pに連結される外歯ギヤ(インナーロータ)241、外歯ギヤに噛合する内歯ギヤ(アウターロータ)242、外歯ギヤ241および内歯ギヤ242を収容する図示しないギヤ室を画成するポンプボディおよびポンプカバー(何れも図示省略)等を有するギヤポンプとして構成され、自動変速機25の入力軸26とは別軸上に配置される。オイルポンプ24は、巻掛け伝動機構240を介してエンジンからの動力により駆動され、ハウジング221の底部に設けられた作動油貯留室65(図3参照)に貯留されている作動油(ATF)を吸引して図示しない油圧制御装置へと圧送する。巻掛け伝動機構240は、発進装置23のポンプインペラ23pと一体に回転するドライブスプロケットや、オイルポンプ24の外歯ギヤと一体に回転するドリブンスプロケット、ドライブスプロケットおよびドリブンスプロケットに巻掛けられるチェーンを備える。
自動変速機25は、8段変速式の変速機として構成されており、図1に示すように、ダブルピニオン式の第1遊星歯車機構30と、ラビニヨ式の第2遊星歯車機構35と、入力側から出力側までの動力伝達経路を変更するための4つのクラッチC1,C2,C3,C4、2つのブレーキB1,B2、ワンウェイクラッチF1とを備える。
第1遊星歯車機構30は、外歯歯車であるサンギヤ(固定要素)31と、このサンギヤ31と同心円上に配置される内歯歯車であるリングギヤ32と、互いに噛合すると共に一方がサンギヤ31に、他方がリングギヤ32に噛合する2つのピニオンギヤ33a,33bの組を自転自在(回転自在)かつ公転自在に複数保持するプラネタリキャリヤ34とを有する。図示するように、第1遊星歯車機構30のサンギヤ31は、フロントサポート223を介してトランスミッションケース22に対して回転不能に連結(固定)されており、第1遊星歯車機構30のプラネタリキャリヤ34は、入力軸26に一体回転可能に接続されている。また、第1遊星歯車機構30は、いわゆる減速ギヤとして構成されており、入力要素であるプラネタリキャリヤ34に伝達された動力を減速して出力要素であるリングギヤ32から出力する。
第2遊星歯車機構35は、外歯歯車である第1サンギヤ36aおよび第2サンギヤ36bと、第1および第2サンギヤ36a,36bと同心円上に配置される内歯歯車であるリングギヤ37と、第1サンギヤ36aに噛合する複数のショートピニオンギヤ38aと、第2サンギヤ36bおよび複数のショートピニオンギヤ38aに噛合すると共にリングギヤ37に噛合する複数のロングピニオンギヤ38bと、複数のショートピニオンギヤ38aおよび複数のロングピニオンギヤ38bを自転自在(回転自在)かつ公転自在に保持するプラネタリキャリヤ39とを有する。第2遊星歯車機構35のリングギヤ37は、自動変速機25の出力部材として機能し、入力軸26からリングギヤ37に伝達された動力は、ギヤ機構40、デファレンシャルギヤ50、ドライブシャフト57を介して左右の駆動輪DWに伝達される。また、プラネタリキャリヤ39は、ワンウェイクラッチF1を介してトランスミッションケース22により支持され、プラネタリキャリヤ39の回転方向は、ワンウェイクラッチF1により一方向に制限される。
クラッチC1は、第1遊星歯車機構30のリングギヤ32と第2遊星歯車機構35の第1サンギヤ36aとを互いに接続すると共に両者の接続を解除するものである。クラッチC2は、入力軸26と第2遊星歯車機構35のプラネタリキャリヤ39とを互いに接続すると共に両者の接続を解除するものである。クラッチC3は、第1遊星歯車機構30のリングギヤ32と第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bとを互いに接続すると共に両者の接続を解除するものである。クラッチC4は、第1遊星歯車機構30のプラネタリキャリヤ34と第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bとを互いに接続すると共に両者の接続を解除するものである。本実施形態では、クラッチC1,C2,C3およびC4として、ピストン、複数の摩擦係合プレート(摩擦プレートおよびセパレータプレート)、それぞれ作動油が供給される係合油室および遠心油圧キャンセル室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧クラッチが採用される。
ブレーキB1は、第2遊星歯車機構35の第2サンギヤ36bをトランスミッションケース22に回転不能に固定(接続)すると共に第2サンギヤ36bのトランスミッションケース22に対する固定を解除するものである。ブレーキB2は、第2遊星歯車機構35のプラネタリキャリヤ39をトランスミッションケース22に回転不能に固定すると共にプラネタリキャリヤ39のトランスミッションケース22に対する固定を解除するものである。本実施形態では、ブレーキB1およびB2として、ピストン、複数の摩擦係合プレート(摩擦プレートおよびセパレータプレート)、作動油が供給される係合油室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧ブレーキが採用される。
また、ワンウェイクラッチF1は、第2遊星歯車機構35のプラネタリキャリヤ39に連結(固定)されるインナーレースや、アウターレース、複数のスプラグ、複数のスプリング(板バネ)、保持器等を有する。ワンウェイクラッチF1は、インナーレースに対してアウターレースが一方向に回転した際に各スプラグを介してトルクを伝達すると共に、インナーレースに対してアウターレースが他方向に回転した際に両者を相対回転させる。ただし、ワンウェイクラッチF1は、ローラ式といったようなスプラグ式以外の構成を有するものであってもよい。
これらのクラッチC1〜C4、ブレーキB1,B2は、油圧制御装置による作動油の給排を受けて動作する。図2に、自動変速機25の各変速段とクラッチC1〜C4、ブレーキB1,B2、ワンウェイクラッチF1の作動状態との関係を表した作動表を示す。自動変速機25は、クラッチC1〜C4、ブレーキB1,B2を図2の作動表に示す状態とすることにより、前進第1速〜第8速の変速段と後進第1速および第2速の変速段とを提供する。なお、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2の少なくとも何れかは、ドグクラッチといった噛み合い係合要素とされてもよい。
ギヤ機構40は、自動変速機25の第2遊星歯車機構35のリングギヤ37に連結されるカウンタドライブギヤ41と、自動変速機25の入力軸26と平行に延在するカウンタシャフト42に固定されると共にカウンタドライブギヤ41に噛合するカウンタドリブンギヤ43と、カウンタシャフト42に形成(あるいは固定)されたドライブピニオンギヤ(ファイナルドライブギヤ)44と、ドライブピニオンギヤ44に噛合すると共にデファレンシャルギヤ50に連結されたデフリングギヤ45とを有する。図1に示すように、ギヤ機構40のカウンタドライブギヤ41は、第1および第2遊星歯車機構30,35の間に位置するように複数のボルトを介してトランスアクスルケース222に固定されるセンターサポート224により軸受を介して回転自在に支持される。また、デフリングギヤ45は、はすば歯車であり、動力伝達装置20が車両に搭載された際に、ドライブピニオンギヤ44よりも下方に配置される。
図3は、動力伝達装置20を示す要部拡大断面図である。デファレンシャルギヤ50は、図3に示すように、一対(2個)のピニオンギヤ51と、それぞれドライブシャフト57(図1参照)に固定されると共に一対のピニオンギヤ51に直角に噛合する一対(2個)のサイドギヤ52と、一対のピニオンギヤ51を支持するピニオンシャフト53と、一対のピニオンギヤ51および一対のサイドギヤ52を収容すると共にデフリングギヤ45が連結(固定)されるデフケース54とを有する。本実施形態において、各ピニオンギヤ51および各サイドギヤ52は、すぐばかさ歯車である。また、各ピニオンギヤ51とデフケース54との間には、ピニオンワッシャ55が配置され、各サイドギヤ52とデフケース54との間には、サイドワッシャ56が配置される。デフケース54は、ケース本体54aとケース本体54aに締結されるカバー54bとを有し、ハウジング221により保持される軸受91とトランスアクスルケース222により保持される軸受92とによりドライブシャフト57と同軸かつ回転自在に支持される。
ハウジング221およびトランスアクスルケース222を有するトランスミッションケース22の内部は、樹脂製のリザーバプレート(区画部材)70により、デフリングギヤ45およびデファレンシャルギヤ50が配置されるデフ室60と、作動油を貯留する作動油貯留室65とに区画される。図4は、リザーバプレート70およびシール部材80(後述)を示す斜視図であり、図5は、リザーバプレート70を示す側面図である。図5は、リザーバプレート70を図4における右側(図3における左側)から見た図に相当する。リザーバプレート70は、トランスミッションケース22に対して固定されるものであり、図4〜図5に示すように、覆い部71と、覆い部71からリザーバプレート70の外径方向に延出されたフランジ部72と、フランジ部72の上側外周縁部から延出されたデフリング覆い部73とを備える。これらの覆い部71、フランジ部72、デフリング覆い部73は、樹脂により一体に成形される。なお、以下の説明において、「上」および「下」は、それぞれ動力伝達装置20が車両に搭載された状態での鉛直方向における「上」または「下」を示す。
覆い部71は、デファレンシャルギヤ50のデフケース54の外周面の一部に沿って延在するように形成され、デフケース54(ケース本体54a)の一部を覆う。フランジ部72は、覆い部71のトランスアクスルケース222側(図3における左側)の端部から径方向外側に延出されると共にその端部に沿って円弧状(略C字状)に延在する。フランジ部72の概ね下側半分には、凹円柱面状に形成されたトランスアクスルケース222の内周面222aに沿って円弧状に延在するように下側外周縁部72aが形成されている。この下側外周縁部72aのデフ室60側の側面(図4における右側面、図5における手前側面)には、トランスアクスルケース222の内周面222aに沿って所定の曲率半径の円弧状に延在するように凹部72bが形成されており、その凹部72bの内周面のうちデフリングギヤ45や下側外周縁部72aの内径方向の壁面には、突起72cが形成されている。
また、覆い部71およびフランジ部72には、両者に跨がると共にデファレンシャルギヤ50のピニオンシャフト53の上方で開口するように開口部70oが形成されている。更に、覆い部71およびフランジ部72の上側の一部は、カウンタシャフト42を回転自在に支持する軸受と干渉しないように切り欠かれており、これにより、リザーバプレート70には切欠部70sが形成される。
デフリング覆い部73は、デフリングギヤ45の外周面の概ね4分の1程度を上方から覆うように、フランジ部72の上側外周縁部から覆い部71とは反対側に軸方向(デフリングギヤ45の軸方向)に延出される。デフリング覆い部73は、リザーバプレート70の最下点よりも、動力伝達装置20が搭載される車両の前進走行時におけるデフリングギヤ45の回転方向における下流側に形成される。デフリング覆い部73およびフランジ部72には、図4および図5に示すように、両者に跨がる開口部73oが形成されている。また、デフリング覆い部73の外周面およびフランジ部72の外面には、開口部73oの上側縁部に沿って径方向外側および軸方向に突出する上側突出部73aと、開口部73oよりも下方でデフリング覆い部73の下側縁部に沿って径方向外側および軸方向に突出する下側突出部73bとが一体成形されている。
更に、リザーバプレート70は、フランジ部72の下側外周縁部72aから径方向外側に延出された第1固定部74aと、デフリング覆い部73から間隔をおいて径方向外側に延出された第2,第3固定部74b,74cとを有する。第1,第2固定部74a,74bは、それぞれボルト等を介してトランスミッションケース22のトランスアクスルケース222に固定される。また、第3固定部74cは、覆い部71とは反対側に軸方向に突出する図示しない嵌合部を有し、その嵌合部は、トランスアクスルケース222に形成された図示しない孔部に嵌合される。更に、本実施形態のリザーバプレート70は、図3に示すように、リザーバプレート70の作動油貯留室65と対向する側面、すなわち、フランジ部72の下部に固定された複数の磁石(永久磁石)Mを有する。
上述のように構成されるリザーバプレート70の第1、第2および第3固定部74a,74b,74cがトランスミッションケース22に対して固定された際には、図3に示すように、トランスミッションケース22内には、リザーバプレート70の図中左側にデフ室60が画成されると共に、リザーバプレート70の図中右側に作動油貯留室65が画成される。また、リザーバプレート70の覆い部71は、デフケース54の一部を覆う。フランジ部72は、デフリングギヤ45の作動油貯留室65側の端面の少なくとも一部に沿って延在し、フランジ部72の下部は、作動油貯留室65と対向する。フランジ部72の下側外周縁部72aおよび下側外周縁部72aのデフ室60側(図中左側)の側面に形成された凹部72bは、トランスアクスルケース222の内周面222aに沿って延在する。この凹部72bには、シール部材80が取り付けられる。シール部材80は、トランスアクスルケース222の内周面222aに沿って延在する。デフリング覆い部73は、デフリングギヤ45の外周面の概ね4分の1程度を上方から覆う。
作動油貯留室65には、オイルポンプ24により吸入される作動油が貯留される。更に、作動油貯留室65には、自動変速機25等の各種潤滑・冷却対象やドライブシャフト57の軸受91等を通過した作動油が上方から流れ込む。作動油貯留室65内に流入する作動油に混入した微小な金属片といった異物は、作動油貯留室65内で、リザーバプレート70に取り付けられた複数の磁石Mの磁力により吸引され、磁石Mに付着する。
また、ドライブシャフト57の軸受92には、トランスアクスルケース222に形成された図示しない油路等を介して、上方から潤滑・冷却媒体としての作動油が供給される。更に、デファレンシャルギヤ50のピニオンシャフト53の周辺には、トランスミッションケース22内に配置された図示しない冷却管から第3固定部74cに形成された油路に供給された潤滑・冷却媒体としての作動油が第3固定部74cの油路からリザーバプレート70の開口部70oを介して滴下される。そして、軸受92やデファレンシャルギヤ50等を通過した作動油は、デフ室60の下部に滞留する。
このように、デフ室60内では、その下部すなわちデフリングギヤ45の下部周辺に作動油が滞留するが、デフリングギヤ45の下部周辺に滞留した作動油は、動力伝達装置20を搭載した車両が前進走行する際に、デフリングギヤ45により掻き上げられる。ここで、本実施形態において、はすば歯車であるデフリングギヤ45のねじれ方向は、車両が前進走行する際にデフリングギヤ45の各歯がデフ室60内の作動油をリザーバプレート70のフランジ部72側に向けて掻き上げるように定められている。従って、デフリングギヤ45により掻き上げられた作動油の多くは、デフリング覆い部73の開口部73oを介してデフ室60の外部へと排出される。開口部73oからデフ室60の外部へと排出された作動油は、開口部73oの上側の縁部に沿って延びる上側突出部73aに当たってリザーバプレート70の下方側へと導かれる。更に、リザーバプレート70の下方側へと導かれた作動油は、開口部73oや覆い部71を伝って作動油貯留室65へと戻る。これにより、デフ室60内に作動油が必要以上に滞留するのを抑制し、デフリングギヤ45に作用する作動油の撹拌抵抗を良好に低減することが可能となる。
図6は、図3の動力伝達装置20におけるシール部材80付近を示す拡大図である。図6では、見やすさを考慮して、シール部材80のハッチングは省略した。また、図6では、理解の容易のために、シール部材80の各部の境界に破線を付した。トランスアクスルケース222の内周面222aは、開口端側からデフリングギヤ45側に向かって(図6における左側に向かって)上り勾配となるように形成されている。シール部材80は、ゴム製等で弾性変形可能であり、図6に示すように、トランスアクスルケース222の内周面222aに当接するシール部81と、シール部81に沿って延在すると共に下側外周縁部72aの凹部72bに嵌合される第1嵌合部82と、第1嵌合部82により支持されると共に下側外周縁部72aの凹部72bに嵌合される第2嵌合部83とを備える。
シール部81は、中空で、且つ、シール部81のうちトランスアクスルケース222の内周面222a側の部分(内周面222aに当接する当接位置81aを含む部分、図6の略下半分)は、シール部材80の延在方向に直交する方向の断面で内周面222a側に突出する円弧状に形成されている。また、シール部81は、中空を形成する内壁面81bのうち、第1嵌合部82側(トランスアクスルケース222の内周面222aとは反対側)の部分(以下、「嵌合部側部分81c」という)は、この断面でデフリングギヤ45の軸方向(図6における左右方向)に延びる直線状に形成され、嵌合部側部分81c以外の部分は、この断面で円弧状に形成されている。
第1嵌合部82は、シール部81の当接位置81aとは反対側のうち、シール部81に対してデフリングギヤ45の軸方向におけるデフリングギヤ45とは反対側(図6における右側)に若干オフセットした位置から、デフリングギヤ45やシール部材80の内径方向に(図6における上側に)延びている。第2嵌合部83は、第1嵌合部82の先端部よりも若干シール部81側から、デフリングギヤ45の軸方向におけるシール部81とは反対側に(図6における右側に)延びている。第1嵌合部82の重心G2からシール部81の重心G1に向かう方向と第1嵌合部82の重心G2から第2嵌合部83の重心G3に向かう方向D2との角度θ1は、鈍角となっている。
リザーバプレート70の下側外周縁部72aの凹部72bは、凹部72bの延在方向に直交する方向の断面がコの字状であり、デフリングギヤ45や下側外周縁部72aの径方向および下側外周縁部72aの周方向に沿って延在する底面と、デフリングギヤ45の軸方向および下側外周縁部72aの周方向に沿って延在する内径側壁面(デフリングギヤ45や下側外周縁部72aの内径方向の壁面)および外径側壁面(デフリングギヤ45や下側外周縁部72aの外径方向の壁面)とを有する。凹部72bの底面の径方向における長さは、第2嵌合部83の径方向における長さよりも若干長くなっている。凹部72bの内径側壁面の軸方向における長さは、第2嵌合部83の軸方向における長さよりも若干長くなっている。凹部72bの外径側壁面の軸方向における長さは、第2嵌合部83の軸方向における長さと略同一になっている。上述の突起72cは、内径側壁面に形成されている(図5参照)。
シール部材81の第1,第2嵌合部82,83が下側外周縁部72aの凹部72bに嵌合される際には、少なくとも、第1嵌合部82の内径側壁面(デフリングギヤ45やシール部材80の内径方向の壁面)が凹部72bの内径側壁面に当接すると共に、第2嵌合部83の外径側壁面(デフリングギヤ45やシール部材80の外径方向の壁面)が凹部72bの外径側壁面に当接する。また、第2嵌合部83の、デフリングギヤ45の軸方向における端面(図6における右側の端面)が凹部72bの底面に当接したり、シール部80の、デフリングギヤ45の軸方向における第2嵌合部83側の端面(図6における右側の端面)が下側外周縁部72aの端面に当接したりする。
本実施形態では、シール部材80のシール部81を中空にすることにより、シール部材80の延在方向に直交する方向の断面で、トランスアクスルケース222の内周面222aとの当接位置81aに対して両側支持(両持ち)となる形状のシール部81を設けることになるから、片側支持(片持ち)となる形状のリップ部を設けるものに比して、シール部81とトランスアクスルケース222の内周面222aとの密着性をより向上させることができる。この結果、作動油貯留室65からデフ室60への作動油の流入を抑制し、デフリングギヤ45等による攪拌抵抗が大きくなるのを抑制することができる。しかも、シール部81における中空を形成する内壁面81bのうち、嵌合部側部分81cについてはこの断面でデフリングギヤ45の軸方向に延びる直線状に形成し、嵌合部側部分81c以外の部分についてはこの断面で円弧状に形成するから、嵌合部側部分81cもこの断面で円弧状に形成するものに比して、嵌合部側部分81c付近を肉厚にすることができ、嵌合部側部分81c以外の変形によりシール部材80とトランスアクスルケース222の内周面222aとの密着性をより向上させることができる。さらに、シール部81を第1嵌合部82に対してデフリングギヤ45の軸方向における第2嵌合部83とは反対側(デフリングギヤ45側)に少なくとも一部がオフセットするように形成するから、シール部81における第1,第2嵌合部82,83から遠い側の部分(図6における左側の部分)を近い側の部分よりも変形しやすくすることができる。
また、シール部81のトランスアクスルケース222の内周面222a側の部分(内周面222aとの当接位置81aを含む部分)をシール部材80の延在方向に直交する方向の断面で円弧状に形成するから、リザーバプレート70の振動などによりリザーバプレート70とトランスアクスルケース222の内周面222aとのデフリングギヤ45の軸方向(図6における左右方向)における相対移動が生じたときには、シール部81が転がってシール部81の内周面222aとの当接位置81aが移動することにより、シール部81が内周面222aに沿ってデフリングギヤ45の軸方向に摺動するものに比して、シール部材80(シール部81)の摩耗を抑制することができる。
さらに、シール部材80の嵌合部82,83を下側外周縁部72aの凹部72bに嵌合させるだけであるから、シール部材80や下側外周縁部72aに嵌合孔や嵌合爪を形成することなく、シール部材80が下側外周縁部72aから抜けるのを抑制することができる。また、下側外周縁部72aのデフ室60側の側面から凹むように凹部72bを形成し、シール部材80を下側外周縁部72a(凹部72b)に対してデフリングギヤ45側に配置するから、デフ室60をコンパクトにすることができる。さらに、トランスアクスルケース222の内周面222aが開口端側からデフリングギヤ45側に向かって上り勾配となるように形成されているから、シール部材80が下側外周縁部72aに対して相対的にデフリングギヤ45側(図6における左側)に移動するのをより抑制することができ、シール部材80が下側外周縁部72aの凹部72bから抜けるのをより抑制することができる。
次に、シール部材80の成形および下側外周縁部72aへの取付について説明する。上述したように、下側外周縁部72aおよび凹部72bは、何れもトランスアクスルケース222の内周面222aに沿って円弧状に延在している。そして、シール部材80については、ゴム材等によって、直線状に(シール部81、第1嵌合部82、第2嵌合部83が直線状に延在するように)一体成形した後に、円弧状に変形させながら下側外周縁部72aの凹部72bに第2嵌合部83を嵌合させて取り付けるものとした。これにより、円弧状のシール部材80を直接成形するものに比して、シール部材80の成形性を向上させることができ、シール部材80の製造コストを安価にすることができる。本実施形態のシール部材80のように中空を有する場合、円弧状に直接成形するのは困難であることから、直線状に成形した後に円弧状に変形させるのは特に有効である。また、凹部72bの曲率半径が異なる等の簡易な変更であれば、シール部材80の成形に用いる型をある程度流用することもできる。
図7は、直線状(成形後で下側外周縁部72aへの取付前)のシール部材80の外観の模式図であり、図8は、図7におけるA−A断面の模式図であり、図9は、円弧状(下側外周縁部72aへの取付後)のシール部材80の外観の模式図であり、図10は、図9におけるB−B断面の模式図である。なお、図8や図10では、第1嵌合部82の重心G2からシール部81の重心G1に向かう方向D1と、第1嵌合部82の重心G2から第2嵌合部83の重心G3に向かう方向D2と、方向D1と方向D2との角度θ1とについて、直線状のシール部材80については方向D1st,D2stおよび角度θ1stとし、円弧状のシール部材80については方向D1ar,D2arおよび角度θ1arとした。また、図10では、参考のために、方向D1st,D2stおよび角度θ1stについても図示した。
図7および図8に示すように、直線状のシール部材80では、シール部81、第1嵌合部82、第2嵌合部83の重心G1,G2,G3の延在方向(図7における左右方向)における長さは、同一である。また、このとき、角度θ1stは、鈍角となっている。
そして、シール部材80を直線状から円弧状に変形させると、図9および図10に示すように、シール部材80は、シール部81,第1嵌合部82,第2嵌合部83の重心G1,G2,G3の延在方向における長さのバラツキが大きくなるのが抑制されるように、すなわち、曲率の中心P1から重心G1,G2,G3までの距離のバラツキが大きくなるのが抑制される(例えば、曲率の中心P1から重心G2までの距離R1付近となる)ように、歪み変形する。具体的には、曲率の中心P1から重心G1までの距離が距離R1付近となるように、第1嵌合部82およびシール部81が第1嵌合部82の重心G2付近を中心にして図10における時計回りに回転しながら歪み変形すると共に、その回転および変形により、第2嵌合部83が、図10における時計回りに若干回転する。これにより、第1嵌合部82の重心G2からシール部81の重心G1,第2嵌合部83の重心G3に向かう方向D1,D2が方向D1st,D2stから方向D1ar,D2arに変化し、角度θ1が角度θ1st(鈍角)からそれよりも大きい角度θ1ar(鈍角)に変化する。なお、上述の距離R1は、第2嵌合部83の曲率半径と凹部72bの曲率半径とが略等しくなるように定められる。
このようにしてシール部材80を円弧状に変形させながら下側外周縁部72aに取り付けると、シール部材80の歪み変形により、図6に示すように、円弧状の第1嵌合部82の内径側壁面から凹部72bの内径側壁面に力Faが作用すると共に、円弧状の第2嵌合部83の外径側壁面から凹部72bの外径側壁面に力Fbが作用する。これにより、第1,第2嵌合部82,83と凹部72bとの密着性(摩擦力)を大きくすることができ、シール部材80(第1,第2嵌合部82,83)が凹部72bから抜けるのを抑制することができる。また、シール部材80が取り付けられたリザーバプレート70がトランスミッションケース22に固定されると、トランスアクスルケース222の内周面222aからシール部81に、シール部材80を図6における時計回りに回転させる方向の力Fcが作用するから、力Fa,Fbがより大きくなって第1,第2嵌合部82,83と凹部72bとの密着性(摩擦力)をより向上させることができ、シール部材80が凹部72bから抜けるのをより抑制することができる。さらに、上述したように、凹部72bの内径側壁面には突起72cが形成されているから、この部分でシール部材80が変形して第1,第2嵌合部82,83と凹部72bとの密着性(摩擦力)をより大きくすることができ、シール部材80が凹部72bから抜けるのを更に十分に抑制することができる。
本実施形態では、リザーバプレート70の下側外周縁部72aのデフ室60側の側面に凹部72bが形成され、この凹部72bにシール部材80が取り付けられるものとした。しかし、下側外周縁部72aの作動油貯留室65側の側面に凹部が形成され、この凹部にシール部材が取り付けられるものとしてもよい。また、下側外周縁部72aの外周面(トランスアクスルケース222の内周面222aとの対向面)に凹部が形成され、この凹部にシール部材が取り付けられるものとしてもよい。
本実施形態では、直線状にシール部材80を成形し、シール部材80を直線状から第1,第2嵌合部82,83の曲率半径が凹部72bの曲率半径と略等しい円弧状となるように変形させながら(シール部材80に歪み変形を生じさせながら)第1,第2嵌合部82,83を下側外周縁部72aの凹部72bに嵌合させることにより、シール部材80を下側外周縁部72aに取り付けるものとした。しかし、第1,第2嵌合部82,83の曲率半径が凹部72bの曲率半径よりも大きい曲線状にシール部材80を成形し、第1,第2嵌合部82,83の曲率半径が凹部72bの曲率半径と略等しい円弧状となるように変形させながら第1,第2嵌合部82,83を凹部72bに嵌合させることにより、シール部材80を下側外周縁部72aに取り付けるものとしてもよい。また、可能であれば、第1,第2嵌合部82,83の曲率半径が凹部72bの曲率半径と略等しい円弧状にシール部材80を成形するものとしてもよい。
本実施形態では、シール部材80のシール部81の、トランスアクスルケース222の内周面222a側の部分(内周面222aとの当接位置81aを含む部分)は、シール部材80の延在方向に直交する方向の断面で内周面222a側に突出する円弧状に形成されるものとしたが、この円弧状に限定されるものではない。。
本実施形態では、リザーバプレート70の下側外周縁部72aの凹部72bに、シール部材80の第1,第2嵌合部82,83が嵌合されることにより、下側外周縁部72aにシール部材80が取り付けられるものとした。しかし、シール部材80が中空のシール部81を有するものであればよいから、下側外周縁部72aおよびシール部材80のうちの一方に嵌合孔が形成されると共に他方に嵌合爪が形成され、嵌合孔に嵌合爪が係止されることにより、下側外周縁部72aにシール部材80が取り付けられるものとしてもよい。また、下側外周縁部72aにシール部材80が溶着などにより取り付けられるものとしてもよい。
本実施形態では、シール部81は、第1嵌合部82に対してデフリングギヤ45の軸方向における第2嵌合部83とは反対側に少なくとも一部がオフセットするように形成されるものとした。しかし、シール部81は、第1嵌合部82に対してデフリングギヤ45やシール部材80の径方向(図6における上下方向)に並ぶように形成されるものとしてもよい。
本実施形態では、トランスアクスルケース222の内周面222aは、開口端側からデフリングギヤ45側に向かって(図6における左側に向かって)上り勾配となるように形成されるものとしたが、略水平に形成されるものとしてもよい。
本実施形態では、リザーバプレート70の下側外周縁部72aの凹部72bの内周面には、1つの突起72cが形成されるものとしたが、複数の突起が形成されるものとしてもよい。また、この凹部72bの内周面に、突起が形成されないものとしてもよい。
図11は、他の実施形態の動力伝達装置120を示す要部拡大断面図であり、図12は、リザーバプレート170およびシール部材180を示す斜視図であり、図13および図14は、リザーバプレート170を示す側面図である。図13は、リザーバプレート170を図12における右側(図11における左側)から見た図に相当し、図14は、リザーバプレート170を図12における左側から見た図に相当する。この実施形態の動力伝達装置120は、リザーバプレート70のフランジ部72の下側外周縁部72aをリザーバプレート170のフランジ部172の下側外周縁部172aに変更した点、シール部材80をシール部材180に変更した点を除いて、動力伝達装置20と同一である。したがって、動力伝達装置120のうち動力伝達装置20と同一の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
動力伝達装置120のリザーバプレート170のフランジ部172の下側外周縁部172aは、動力伝達装置20の下側外周縁部72aと同様に、トランスアクスルケース222の内周面222aに沿って円弧状に延在するように形成されている。そして、下側外周縁部172aのデフ室60側の側面(図12における右側面、図13における手前側面)には、トランスアクスルケース222の内周面222aに沿って円弧状に延在するように第1凹部172dが形成されている。この第1凹部172dは、第1凹部172dの延在方向に直交する方向の断面がコの字状に形成されている。また、下側外周縁部172aの作動油貯留室65側の側面(図12における左側面、図14における手前側面)には、トランスアクスルケース222の内周面222aに沿って円弧状に延在するように第2凹部172eが形成されている。この第2凹部172eは、第2凹部172eの延在方向に直交する方向の断面がコの字状に形成されている。
図15は、図11の動力伝達装置120におけるシール部材180付近を示す拡大図である。図15では、見やすさを考慮して、シール部材180のハッチングは省略した。また、図15では、理解の容易のために、シール部材180の各部の境界に破線を付した。シール部材180は、ゴム製等で弾性変形可能であり、図15に示すように、トランスアクスルケース222の内周面222aに当接するシール部181と、シール部181に沿って延在する基部182と、基部182に沿って延在する第1,第2繋ぎ部183a,183bと、第1,第2繋ぎ部183a,183bに沿って延在し且つ第1,第2繋ぎ部183a,183bにより支持され且つ下側外周縁部172aの第1,第2凹部172d,172eに嵌合される第1,第2嵌合部184a,184bとを備える。
シール部181は、中空で、且つ、シール部181のうちトランスアクスルケース222の内周面222a側の部分(内周面222aに当接する当接位置181aを含む部分)は、シール部材180の延在方向に直交する方向の断面で内周面222a側に突出する円弧状に形成されている。また、シール部181は、この断面で、ハウジング221とトランスアクスルケース222との隙間をシールするためのシール部226と接触しない形状に形成されており、基部182側の部分と内周面222a側の部分(当接位置181a付近)との間に屈曲部181b,181cを有する。
基部182は、デフリングギヤ45やシール部材180の径方向におけるシール部181の内側に形成され、シール部181に沿って延在し且つシール部材180の延在方向に直交する方向の断面でデフリングギヤ45の軸方向に沿って延在している。第1繋ぎ部183aは、デフリングギヤ45の軸方向における基部182の一端部(図15における左端部)から延出され、基端側から先端側に向かうにつれて第2繋ぎ部183bに接近するように延在している(デフリングギヤ45やシール部材180の内径方向(図15における上向き)に対して第2繋ぎ部183b側に傾斜した向きで延在している)。第2繋ぎ部183bは、デフリングギヤ45の軸方向における基部182の他端部(図15における右端部)から延出され、基端側から先端側に向かうにつれて第1繋ぎ部183aに接近するように延在している(デフリングギヤ45やシール部材180の内径方向に対して第1繋ぎ部183a側に傾斜した向きで延在している)。第1嵌合部184aは、第1繋ぎ部183aの先端部から第2繋ぎ部183bの先端部(第2嵌合部184b)に向かって延出されている。第2嵌合部184bは、第2繋ぎ部183bの先端部から第1繋ぎ部183aの先端部(第1嵌合部184a)に向かって延出されている。
リザーバプレート170の外周縁部172aの第1,第2凹部172d,172eは、第1,第2凹部172d,172eの延在方向に直交する方向の断面がコの字状であり、デフリングギヤ45や下側外周縁部172aの径方向および下側外周縁部72aの周方向に沿って延在する底面と、デフリングギヤ45の軸方向および下側外周縁部172aの周方向に沿って延在する内径側壁面(デフリングギヤ45や下側外周縁部172aの内径方向の壁面)および外径側壁面(デフリングギヤ45や下側外周縁部172aの外径方向の壁面)とを有する。第1,第2凹部172d,172eの底面の径方向における長さは、第1,第2嵌合部183a,183bの径方向における長さと略同一またはそれよりも若干長くなっている。第1,第2凹部172d,172eの内径側壁面の軸方向における長さは、第1,第2嵌合部184a,184bの軸方向における長さよりも若干長くなっている。第1,第2凹部172d,172eの外径側壁面の軸方向における長さは、第1,第2嵌合部184a,184bの軸方向における長さと略同一になっている。
シール部材180の第1,第2嵌合部184a,184bが下側外周縁部172aの第1,第2凹部172d,172eに嵌合される際には、少なくとも、第1,第2嵌合部184a,184bの軸方向における端面および外径側壁面(デフリングギヤ45やシール部材180の外径方向の壁面)が第1,第2凹部172d,172eの底面および外径側壁面に当接する。
この実施形態では、シール部材180のシール部181を中空にすることにより、シール部材180の延在方向に直交する方向の断面で、トランスアクスルケース222の内周面222aとの当接位置181aに対して両側支持(両持ち)となる形状のシール部181を設けることになるから、片側支持(片持ち)となる形状のリップ部を設けるものに比して、シール部181とトランスアクスルケース222の内周面222aとの密着性をより向上させることができる。この結果、作動油貯留室65からデフ室60への作動油の流入を抑制し、デフリングギヤ45等による攪拌抵抗が大きくなるのを抑制することができる。しかも、シール部181は基部182側の部分と内周面222a側の部分(当接位置181a付近)との間に屈曲部181b,181cを有するから、屈曲部181b,181cの変形(屈曲の程度の変化)により、シール部181とトランスアクスルケース222の内周面222aとの密着性をより向上させることができる。
また、シール部181のトランスアクスルケース222の内周面222a側の部分(内周面222aとの当接位置181aを含む部分)をシール部材180の延在方向に直交する方向の断面で円弧状に形成するから、リザーバプレート170の振動などによりリザーバプレート170とトランスアクスルケース222の内周面222aとのデフリングギヤ45の軸方向(図15における左右方向)における相対移動が生じたときには、シール部181が転がってシール部81の内周面222aとの当接位置181aが移動することにより、シール部181が内周面222aに沿ってデフリングギヤ45の軸方向に摺動するものに比して、シール部材180(シール部181)の摩耗を抑制することができる。
さらに、シール部材180の嵌合部184a,184bを下側外周縁部172aの第1,第2凹部172d,172eに嵌合させるだけであるから、シール部材180や下側外周縁部172aに嵌合孔や嵌合爪を形成することなく、シール部材180が下側外周縁部172aから抜けるのを抑制することができる。
次に、シール部材180の成形および下側外周縁部172aへの取付について説明する。上述したように、下側外周縁部172aおよび第1,第2凹部172d,172eは、何れもトランスアクスルケース222の内周面222aに沿って円弧状に延在している。そして、シール部材180については、ゴム材等によって直線状に(シール部181、基部182、第1,第2繋ぎ部183a,183b、第1,第2嵌合部184a,184bが直線状に延在するように)一体成形した後に、円弧状に変形させながら下側外周縁部172aの第1,第2凹部172d,172eに第1,第2嵌合部184a,184bを嵌合させて取り付けるものとした。これにより、円弧状のシール部材180を直接成形するものに比して、シール部材180の成形性を向上させることができ、シール部材180の製造コストを安価にすることができる。本実施形態のシール部材180のように中空を有する場合、円弧状に直接成形するのは困難であることから、直線状に成形した後に円弧状に変形させるのは特に有効である。また、第1,第2凹部172d,172eの曲率半径が異なる等の簡易な変更であれば、シール部材180の成形に用いる型をある程度流用することもできる。
図16は、直線状(成形後で下側外周縁部172aへの取付前)のシール部材180の外観の模式図であり、図17は、図16におけるA−A断面の模式図であり、図18は、円弧状(下側外周縁部172aへの取付後)のシール部材180の外観の模式図であり、図19は、図18におけるB−B断面の模式図である。
図16および図17に示すように、直線状のシール部材180では、シール部181、基部182、第1,第2繋ぎ部183a,183b、第1,第2嵌合部184a,184bの重心G11,G12,G13a,G13b,G14a,14bの延在方向(図16における左右方向)における長さは、同一である。また、このとき、シール部材180を円弧状に変形させたときのデフリングギヤ45やシール部材180の内径方向RD(図16における上向き)に対して、第1繋ぎ部183aは、第2繋ぎ部183b側に角度θ3だけ傾斜しており、第2繋ぎ部183bは、第1繋ぎ部183a側に角度θ4だけ傾斜している。
そして、シール部材180を直線状から円弧状に変形させると、図18および図19に示すように、シール部材180は、シール部181,基部182,第1,第2繋ぎ部183a,183b,第1,第2嵌合部184a,184bの重心G11,G12,G13a,G13b,G14a,14bの延在方向における長さのバラツキが大きくなるのが抑制されるように、すなわち、曲率の中心P2から重心G11,G12,G13a,G13b,G14a,14bまでの距離のバラツキが大きくなるのが抑制される(例えば、曲率の中心P2から重心G12までの距離R2付近となる)ように、歪み変形する。具体的には、曲率の中心P2から重心G11までの距離が距離R2付近となるように、シール部181の中空が若干潰れると共に、曲率の中心P2から重心G13a,G13b,G14a,14bの中心までの距離が距離R2付近となるように、デフリングギヤ45やシール部材180の内径方向RDに対する第1,第2繋ぎ部183a,183bの延在方向の傾斜角度が角度θ3,θ4よりも大きい角度θ5,θ6となると共に第1,第2嵌合部184a,184bの先端側が更に基部182側に近づく。なお、上述の距離R2は、第1,第2嵌合部184a,184bの曲率半径と第1,第2凹部172d,172eの曲率半径とが略等しくなるように定められる。
このようにしてシール部材180を円弧状に変形させながら下側外周縁部172aの第1,第2凹部172d,172eに取り付けると、シール部材180の歪み変形により、図15に示すように、円弧状の第1嵌合部184aの軸方向における端面および外径側壁面(径方向外側の壁面)から第1凹部172dの底面および外径側壁面に力Fd1,Fd2が作用すると共に、円弧状の第2嵌合部184bの軸方向における端面および外径側壁面から第1凹部172dの底面および外径側壁面に力Fe1,Fe2が作用する。これにより、第1,第2嵌合部184a,184bと第1,第2凹部172d,172eとの密着性を向上させることができ、シール部材180(第1,第2嵌合部184a,184b)が第1,第2凹部172d,172eから抜けるのを抑制することができる。
本実施形態では、リザーバプレート170の下側外周縁部172aのデフ室60側の側面に第1凹部172dが形成されると共に下側外周縁部172aの作動油貯留室65側の側面に第2凹部172eが形成され、この第1,第2凹部172d,172eにシール部材180が取り付けられるものとした。しかし、下側外周縁部172aの外周面(トランスアクスルケース222の内周面222aとの対向面)に凹部が形成され、この凹部にシール部材が取り付けられるものとしてもよい。
本実施形態では、直線状にシール部材180を成形し、シール部材180を直線状から第1,第2嵌合部184a,184bの曲率半径が第1,第2凹部172d,172eの曲率半径と略等しい円弧状となるように変形させながら(シール部材180に歪み変形を生じさせながら)第1,第2嵌合部184a,184bを下側外周縁部172aの第1,第2凹部172d,172eに嵌合させることにより、シール部材180を下側外周縁部172aに取り付けるものとした。しかし、第1,第2嵌合部184a,184bの曲率半径が第1,第2凹部172d,172eの曲率半径よりも大きい曲線状にシール部材180を成形し、第1,第2嵌合部184a,184bの曲率半径が第1,第2凹部172d,172eの曲率半径と略等しい円弧状となるように変形させながら(シール部材80に歪み変形を生じさせながら)第1,第2嵌合部184a,184bを第1,第2凹部172d,172eに嵌合させることにより、シール部材180を下側外周縁部172aに取り付けるものとしてもよい。また、可能であれば、第1,第2嵌合部184a,184bの曲率半径が凹部172d,172eの曲率半径と略等しい円弧状にシール部材180を成形するものとしてもよい。
本実施形態では、シール部材180のシール部181の、トランスアクスルケース222の内周面222a側の部分(内周面222aとの当接位置181aを含む部分)は、シール部材180の延在方向に直交する方向の断面で円弧状に形成されるものとしたが、円弧状以外の形状に形成されるものとしてもよい。
本得実施形態では、シール部材180のシール部181は、屈曲部181b,181cを有するものとしたが、この屈曲部181b,181cを有しないものとしてもよい。
本実施形態では、リザーバプレート170の下側外周縁部172aの凹部172bに、シール部材180の第1,第2嵌合部184a,184bが嵌合されることにより、下側外周縁部172aにシール部材180が取り付けられるものとした。しかし、シール部材180が中空のシール部181を有するものであればよいから、下側外周縁部172aおよびシール部材180のうちの一方に嵌合孔が形成されると共に他方に嵌合爪が形成され、嵌合孔に嵌合爪が係止されることにより、下側外周縁部172aにシール部材180が取り付けられるものとしてもよい。また、下側外周縁部172aにシール部材180が溶着などにより取り付けられるものとしてもよい。
本実施形態では、特に説明していないが、リザーバプレート170の下側外周縁部172aの第1,第2凹部172d,172eの内周面に、少なくとも1つの突起が形成されるものとしてもよい。
以上説明したように、本開示の動力伝達装置は、変速機(25)からの動力が伝達されるドライブピニオンギヤ(44)に噛合するデフリングギヤ(45)と、前記デフリングギヤ(45)に連結されるデフケース(54)を有するデファレンシャルギヤ(50)と、前記デフリングギヤ(45)および前記デファレンシャルギヤ(50)を収容するケース(22,221,222)と、前記ケース(22,221,222)内を前記デフリングギヤ(45)および前記デファレンシャルギヤ(50)が配置されるデフ室(60)と作動油を貯留する作動油貯留室(65)とに区画する区画部材(70)と、前記区画部材(70)における前記ケース(22,221,222)の内周面(222a)に沿って設けられた外周縁部(72a,172a)に取り付けられると共に前記外周縁部(72a,172a)と前記内周面(222a)との間に配置されるシール部材(80,180)と、を備える動力伝達装置(20,120)であって、前記シール部材は、弾性変形可能であると共に、前記内周面(222a)に当接する中空のシール部(80,180)を有することを要旨とする。
この本開示の動力伝達装置では、区画部材におけるケースの内周面に沿って設けられた外周縁部に取り付けられると共に区画部材と内周面との間に配置されるシール部材は、弾性変形可能であると共に、内周面に当接する中空のシール部を有する。したがって、シール部材の延在方向に直交する方向の断面で内周面との当接位置に対して両側支持(両持ち)となる形状のシール部を設けるから、片側支持(片持ち)となる形状のリップ部を設けるものに比して、シール部とケースの内周面との密着性をより向上させることができる。この結果、作動油貯留室からデフ室への作動油の流入を抑制し、デフリングギヤ等による攪拌抵抗が大きくなるのを抑制することができる。
本開示の動力伝達装置において、前記シール部(81,181)の前記内周面(222a)に当接する部分は、前記シール部材(80,180)の延在方向に直交する方向の断面で、前記内周面(222a)側に突出する円弧状に形成されている、こうすれば、区画部材の振動などにより区画部材とケースの内周面との相対移動が生じたときには、シール部が転がってシール部の内周面との当接位置が移動することにより、シール部材(シール部)の摩耗を抑制することができる。
本開示の動力伝達装置において、前記外周縁部(72a,172a)は、円弧状に延在するように形成された凹部(72b,172d,172e)を有し、前記シール部材(80,180)は、前記凹部(72b,172d,172e)に嵌合される嵌合部(82,83,184a,184b)を有するものとしてもよい。
凹部に嵌合部が嵌合される態様の本開示の動力伝達装置において、前記凹部(72b)は、前記外周縁部(72a)の前記デフ室(60)側の側面または前記作動油貯留室(65)側の側面に形成され、前記嵌合部(82,83)は、前記シール部(81)から前記デフリングギヤ(45)の内径方向に延びる第1嵌合部(82)と、前記第1嵌合部(82)から前記デフリングギヤ(45)の軸方向に延びる第2嵌合部(83)とを有し、前記第1嵌合部(82)の前記内径方向の壁面が前記凹部(72b)の前記内径方向の壁面に当接すると共に前記第2嵌合部(83)の前記デフリングギヤ(45)の外径方向の壁面が前記凹部(72b)の前記外径方向の壁面に当接することにより、前記シール部材(80)が前記外周縁部(72b)に取り付けられるものとしてもよい。こうすれば、第1,第2嵌合部と凹部との密着性をより向上させて、シール部材(第1,第2嵌合部)が凹部から抜けるのをより抑制することができる。
この場合、前記シール部(81)は、前記第1嵌合部(82)に対して前記軸方向における前記第2嵌合部(83)とは反対側に少なくとも一部がオフセットするように形成されているものとしてもよい。こうすれば、シール部における第1,第2嵌合部から遠い部分を近い部分よりも変形しやすくすることができる。
また、この場合、前記シール部材(80)は、前記シール部材(80)の延在方向に直交する方向の断面では、前記第1嵌合部(82)の重心から前記シール部(81)の重心に向かう方向と前記第1嵌合部(82)の重心から前記第2嵌合部(83)の重心に向かう方向との角度が鈍角となるものとしてもよい。
凹部に嵌合部が嵌合される態様の本開示の動力伝達装置において、前記凹部(72b)は、前記外周縁部(72a)の前記デフ室(60)側の側面から凹むように形成されているものとしてもよい。こうすれば、シール部材が外周縁部に対してデフリングギヤ側に配置されることになり、デフ室をコンパクトにすることができる。この場合、前記内周面(222a)は、前記シール部(81)との当接位置から前記デフリングギヤ(45)側に向かって上り勾配となるように形成されているものとしてもよい。こうすれば、シール部材がデフリングギヤ側すなわち凹部から離間する側に移動するのをより抑制することができ、シール部材(嵌合部)が凹部から抜けるのをより抑制することができる。
凹部に嵌合部が嵌合される態様の本開示の動力伝達装置において、前記シール部(81)における前記中空を形成する内壁面(81b)のうち、前記第1嵌合部(82)側の嵌合部側部分(81c)は、前記シール部材(80)の延在方向に直交する方向の断面で前記デフリングギヤ(45)の軸方向に延びる直線状に形成され、前記嵌合部側部分(81c)以外の部分は、前記断面で曲線状に形成されているものとしてもよい。こうすれば、嵌合部側部分もこの断面で曲線状に形成されるものに比して、嵌合部側部分周辺を肉厚にすることができ、嵌合部側部分以外の変形によりシール部とケースの内周面との密着性をより向上させることができる。
凹部に嵌合部が嵌合される態様の本開示の動力伝達装置において、前記凹部(172d,172e)は、前記外周縁部(172a)の前記デフ室(60)側の側面に形成された第1凹部(172d)と、前記外周縁部(172a)の前記作動油貯留室(65)側の側面に形成された第2凹部(172e)とを有し、前記嵌合部(184a,184b)は、前記第1凹部(172d)に嵌合される第1嵌合部(184a)と、前記第2凹部(172e)に嵌合される第2嵌合部(184b)とを有し、前記シール部材(180)は、前記シール部(181)に沿って延在する基部(182)と、前記基部(182)および前記第1嵌合部(184a)に沿って延在すると共に前記第1嵌合部(184a)を支持する第1繋ぎ部(183a)と、前記基部(182)および前記第2嵌合部(184b)に沿って延在すると共に前記第2嵌合部(184b)を支持する第2繋ぎ部(183b)とを更に有するものとしてもよい。
この場合、前記基部(182)は、前記デフリングギヤ(45)の径方向における前記シール部(181)の内側に形成され、前記第1嵌合部(184a)は、前記第1繋ぎ部(183a)から前記第2繋ぎ部(183b)に向かって延出され、前記第2嵌合部(184b)は、前記第2繋ぎ部(183b)から前記第1繋ぎ部(183a)に向かって延出され、前記第1繋ぎ部(183a)は、前記デフリングギヤ(45)の軸方向における前記基部(182)の一端部から前記第1嵌合部(184a)側に向かうにつれて前記第2繋ぎ部(183b)に接近するように延在し、前記第2繋ぎ部(183b)は、前記軸方向における前記基部(182)の他端部から前記第2嵌合部(184b)側に向かうにつれて前記第1繋ぎ部(183a)に接近するように延在するものとしてもよい。こうすれば、第1,第2嵌合部と第1,第2凹部との密着性をより向上させて、シール部材(第1,第2嵌合部)が第1,第2凹部から抜けるのをより抑制することができる。
また、この場合、前記シール部(181)は、前記内周面(222a)側の部分と前記基部(182)側の部分との間に屈曲部(181b,181c)を有するものとしてもよい。こうすれば、屈曲部の変形(屈曲の程度の変化)により、シール部とケースの内周面との密着性をより向上させることができる。
凹部に嵌合部が嵌合される態様の本開示の動力伝達装置において、前記凹部(72b)の内周面には、前記嵌合部(83)に当接する少なくとも1つの突起(72c)が形成されているものとしてもよい。こうすれば、嵌合部と凹部との密着性をより向上させて、シール部材(嵌合部)が凹部から抜けるのをより抑制することができる。
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本開示は、動力伝達装置の製造産業などに利用可能である。
20,120 動力伝達装置、22 トランスミッションケース、23 発進装置、23c ロックアップクラッチ、23d ダンパ装置、23o ワンウェイクラッチ、23p ポンプインペラ、23s ステータ、23t タービンランナ、24 オイルポンプ、25 自動変速機、26 入力軸、30 第1遊星歯車機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、33a,33b ピニオンギヤ、34 プラネタリキャリヤ、35 第2遊星歯車機構、36a 第1サンギヤ、36b 第2サンギヤ、37 リングギヤ、38a ショートピニオンギヤ、38b ロングピニオンギヤ、39 プラネタリキャリヤ、40 ギヤ機構、41 カウンタドライブギヤ、42 カウンタシャフト、43 カウンタドリブンギヤ、44 ドライブピニオンギヤ、45 デフリングギヤ、50 デファレンシャルギヤ、51 ピニオンギヤ、52 サイドギヤ、53 ピニオンシャフト、54 デフケース、54a ケース本体、54b カバー、55 ピニオンワッシャ、56 サイドワッシャ、57 ドライブシャフト、60 デフ室、65 作動油貯留室、70,170 リザーバプレート、70o 開口部、70s 切欠部、71 覆い部、72,172 フランジ部、72a,172a 下側外周縁部、72b 凹部、72c 突起、73 デフリング覆い部、73a 上側突出部、73b 下側突出部、73o 開口部、74a 第1固定部、74b 第2固定部、74c 第3固定部、80,180 シール部材、81,181 シール部、81a,181a 当接位置、81b 内壁面、81c 嵌合部側部分、82,184a 第1嵌合部、83,184b 第2嵌合部、91,92 軸受、172d 第1凹部、172e 第2凹部、181b,181c 屈曲部、182 基部、183a 第1繋ぎ部、183b 第2繋ぎ部、221 ハウジング、222 トランスアクスルケース、222a 内周面、223 フロントサポート、224 センターサポート、226 シール部、240 巻掛け伝動機構、241 外歯ギヤ、242 内歯ギヤ、B1,B2 ブレーキ、C1,C2,C3,C4 クラッチ、F1 ワンウェイクラッチ、M 磁石。

Claims (13)

  1. 変速機からの動力が伝達されるドライブピニオンギヤに噛合するデフリングギヤと、前記デフリングギヤに連結されるデフケースを有するデファレンシャルギヤと、前記デフリングギヤおよび前記デファレンシャルギヤを収容するケースと、前記ケース内を前記デフリングギヤおよび前記デファレンシャルギヤが配置されるデフ室と作動油を貯留する作動油貯留室とに区画する区画部材と、前記区画部材における前記ケースの内周面に沿って設けられた外周縁部に取り付けられると共に前記外周縁部と前記内周面との間に配置されるシール部材と、を備える動力伝達装置であって、
    前記シール部材は、弾性変形可能であると共に、前記内周面に当接する中空のシール部を有する、
    動力伝達装置。
  2. 請求項1記載の動力伝達装置であって、
    前記シール部の前記内周面に当接する部分は、前記シール部材の延在方向に直交する方向の断面で、前記内周面側に突出する円弧状に形成されている、
    動力伝達装置。
  3. 請求項1または2記載の動力伝達装置において、
    前記外周縁部は、円弧状に延在するように形成された凹部を有し、
    前記シール部材は、前記凹部に嵌合される嵌合部を有する、
    動力伝達装置。
  4. 請求項3記載の動力伝達装置であって、
    前記凹部は、前記外周縁部の前記デフ室側の側面または前記作動油貯留室側の側面に形成され、
    前記嵌合部は、前記シール部から前記デフリングギヤの内径方向に延びる第1嵌合部と、前記第1嵌合部から前記デフリングギヤの軸方向に延びる第2嵌合部とを有し、
    前記第1嵌合部の前記内径方向の壁面が前記凹部の前記内径方向の壁面に当接すると共に前記第2嵌合部の前記デフリングギヤの外径方向の壁面が前記凹部の前記外径方向の壁面に当接することにより、前記シール部材が前記外周縁部に取り付けられる、
    動力伝達装置。
  5. 請求項4記載の動力伝達装置であって、
    前記シール部は、前記第1嵌合部に対して前記軸方向における前記第2嵌合部とは反対側に少なくとも一部がオフセットするように形成されている、
    動力伝達装置。
  6. 請求項4または5記載の動力伝達装置であって、
    前記シール部材は、前記シール部材の延在方向に直交する方向の断面では、前記第1嵌合部の重心から前記シール部の重心に向かう方向と前記第1嵌合部の重心から前記第2嵌合部の重心に向かう方向との角度が鈍角となる、
    動力伝達装置。
  7. 請求項3ないし6のうちの何れか1つの請求項に記載の動力伝達装置であって、
    前記凹部は、前記外周縁部の前記デフ室側の側面から凹むように形成されている、
    動力伝達装置。
  8. 請求項7記載の動力伝達装置であって、
    前記内周面は、前記シール部との当接位置から前記デフリングギヤ側に向かって上り勾配となるように形成されている、
    動力伝達装置。
  9. 請求項3ないし8のうちの何れか1つの請求項に記載の動力伝達装置であって、
    前記シール部における前記中空を形成する内壁面のうち、前記第1嵌合部側の嵌合部側部分は、前記シール部材の延在方向に直交する方向の断面で前記デフリングギヤの軸方向に延びる直線状に形成され、前記嵌合部側部分以外の部分は、前記断面で曲線状に形成されている、
    動力伝達装置。
  10. 請求項3記載の動力伝達装置であって、
    前記凹部は、前記外周縁部の前記デフ室側の側面に形成された第1凹部と、前記外周縁部の前記作動油貯留室側の側面に形成された第2凹部とを有し、
    前記嵌合部は、前記第1凹部に嵌合される第1嵌合部と、前記第2凹部に嵌合される第2嵌合部とを有し、
    前記シール部材は、前記シール部に沿って延在する基部と、前記基部および前記第1嵌合部に沿って延在すると共に前記第1嵌合部を支持する第1繋ぎ部と、前記基部および前記第2嵌合部に沿って延在すると共に前記第2嵌合部を支持する第2繋ぎ部とを更に有する、
    動力伝達装置。
  11. 請求項10記載の動力伝達装置であって、
    前記基部は、前記デフリングギヤの径方向における前記シール部の内側に形成され、
    前記第1嵌合部は、前記第1繋ぎ部から前記第2繋ぎ部に向かって延出され、
    前記第2嵌合部は、前記第2繋ぎ部から前記第1繋ぎ部に向かって延出され、
    前記第1繋ぎ部は、前記デフリングギヤの軸方向における前記基部の一端部から前記第1嵌合部側に向かうにつれて前記第2繋ぎ部に接近するように延在し、
    前記第2繋ぎ部は、前記軸方向における前記基部の他端部から前記第2嵌合部側に向かうにつれて前記第1繋ぎ部に接近するように延在する、
    動力伝達装置。
  12. 請求項10または11記載の動力伝達装置であって、
    前記シール部は、前記内周面側の部分と前記基部側の部分との間に屈曲部を有する、
    動力伝達装置。
  13. 請求項3ないし12のうちの何れか1つの請求項に記載の動力伝達装置であって、
    前記凹部の内周面には、前記嵌合部に当接する少なくとも1つの突起が形成されている、
    動力伝達装置。
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