JP2019011709A - エンジンの潤滑装置、及び、携帯型作業機 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン周りの簡素化及びコンパクト化を図る。
【解決手段】エンジン1は、内部をピストン13が上下動するシリンダ3bと、ピストン13の上下動によって内部の圧力が変動するクランク室5aと、シリンダ3bより上方に配置されて複数のロッカーアーム27を収容するロッカーアーム室30と、を有する。エンジン1の潤滑装置100は、ロッカーアーム室30内に配置されて、ロッカーアーム室30内のブローバイガス中に含まれるオイルを分離するオイルセパレータ90と、オイルセパレータ90にてオイルが分離されたブローバイガスをエンジン1の吸気系19に供給するブローバイガス供給通路71と、オイルセパレータ90にて分離されたオイルをクランク室5aに供給するオイル供給通路72と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】エンジン1は、内部をピストン13が上下動するシリンダ3bと、ピストン13の上下動によって内部の圧力が変動するクランク室5aと、シリンダ3bより上方に配置されて複数のロッカーアーム27を収容するロッカーアーム室30と、を有する。エンジン1の潤滑装置100は、ロッカーアーム室30内に配置されて、ロッカーアーム室30内のブローバイガス中に含まれるオイルを分離するオイルセパレータ90と、オイルセパレータ90にてオイルが分離されたブローバイガスをエンジン1の吸気系19に供給するブローバイガス供給通路71と、オイルセパレータ90にて分離されたオイルをクランク室5aに供給するオイル供給通路72と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、エンジン(内燃機関)の潤滑装置、及び、この潤滑装置を備える携帯型作業機に関する。
特許文献1に開示の携帯型作業機では、その駆動源となるエンジンの吸気系にエアクリーナとキャブレタとが設けられており、キャブレタからエンジンの吸気系に、空気と燃料との混合気を供給している。特許文献1に開示のエンジンは、内部をピストンが上下動するシリンダと、ピストンの上下動によって内部の圧力が変動するクランク室と、シリンダより上方に配置されて一対のロッカーアームを収容するロッカーアーム室とを有している。ロッカーアーム室には、クランク室を経由した潤滑用のオイルが循環し、この循環させたオイルでロッカーアーム室内のロッカーアームなどの動弁系部品を潤滑している。
このシリンダでは、ピストンの脇を微量の燃料混合気が通過し、クランク室へ入り込む、いわゆるブローバイガスが発生する。このブローバイガスがクランク室やロッカーアーム室などでオイルと混合することで、ブローバイガスとオイルとの混合流体が生成される。
特許文献1に開示のエアクリーナには、オイルセパレータが設けられている。このオイルセパレータは、ロッカーアーム室から流入するブローバイガス中に含まれるオイルを当該ブローバイガスから分離する機能を有する。オイルセパレータでオイルが分離されたブローバイガスは、エアクリーナからエンジンの吸気系に再び供給されて燃焼室にて燃焼する。一方、オイルセパレータで分離されたオイルは、エンジンの潤滑用としてエンジンのクランク室に戻される。
しかしながら、特許文献1に開示のようにエアクリーナと一体にオイルセパレータを設けた場合には、エンジンのロッカーアーム室とエアクリーナのオイルセパレータとを連結するように、ブローバイガスとオイルとの混合流体用の配管を設ける必要があるのみならず、エアクリーナのオイルセパレータで分離されたオイルをエンジンのクランク室に戻すための配管を設ける必要がある。これら配管は、キャブレタから延びる複数の配管を避けて配置されるので、その結果、エアクリーナやキャブレタ周りの配管のレイアウトが複雑化していた。
また、特許文献1に開示のようにエアクリーナと一体にオイルセパレータを設けた場合には、エアクリーナがオイルセパレータの分だけ大型化していた。
本発明は、このような実状に鑑み、エンジン周りの簡素化及びコンパクト化を図ることを目的とする。
そのため本発明では、エンジンは、内部をピストンが上下動するシリンダと、ピストンの上下動によって内部の圧力が変動するクランク室と、シリンダより上方に配置されて複数のロッカーアームを収容するロッカーアーム室と、を有する。エンジンの潤滑装置は、ロッカーアーム室内に配置されて、ロッカーアーム室内のブローバイガス中に含まれるオイルを分離するオイルセパレータと、オイルセパレータにてオイルが分離されたブローバイガスをエンジンの吸気系に供給するブローバイガス供給通路と、オイルセパレータにて分離されたオイルをクランク室に供給するオイル供給通路と、を備える。
本発明によれば、ロッカーアーム室内のブローバイガス中に含まれるオイルを分離するオイルセパレータが、ロッカーアーム室内に配置される。これに加えて、オイル供給通路は、オイルセパレータにて分離されたオイルをクランク室に供給する。それゆえ、オイルセパレータにて分離されたオイルをロッカーアーム室からクランク室に戻すことができるので、エンジンの外側に前述のようなオイル戻し用の配管を設置する必要がない。従って、エアクリーナやキャブレタ周りの配管のレイアウトを簡素化することができる。また、エアクリーナにオイルセパレータを設ける必要がないので、エアクリーナの小型化を実現することができる。従って、エンジン周りの簡素化及びコンパクト化を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態におけるエンジン1の潤滑装置100の概略構成を示す図である。図2は、本実施形態におけるエンジン1の断面図である。図3は、図2のA−A断面図である。図4は、本実施形態における一対のロッカーアーム27を上方から見た図である。図5は、図4のB−B断面に対応する部分断面図である。図6は、本実施形態におけるエンジン1の部分分解斜視図である。図7及び図8は、本実施形態における内カバー40の上面図及び下面図である。図9及び図10は、図7のC−C断面図及びD−D断面図である。図12は、図8のF−F断面図である。図13及び図14は、本実施形態における箱状部材93を斜め上方から見た斜視図、及び、斜め下方から見た斜視図である。図15は、本実施形態におけるガスケット110の上面図である。
図1は、本発明の一実施形態におけるエンジン1の潤滑装置100の概略構成を示す図である。図2は、本実施形態におけるエンジン1の断面図である。図3は、図2のA−A断面図である。図4は、本実施形態における一対のロッカーアーム27を上方から見た図である。図5は、図4のB−B断面に対応する部分断面図である。図6は、本実施形態におけるエンジン1の部分分解斜視図である。図7及び図8は、本実施形態における内カバー40の上面図及び下面図である。図9及び図10は、図7のC−C断面図及びD−D断面図である。図12は、図8のF−F断面図である。図13及び図14は、本実施形態における箱状部材93を斜め上方から見た斜視図、及び、斜め下方から見た斜視図である。図15は、本実施形態におけるガスケット110の上面図である。
ここで、図1〜図3は、ピストン13が上死点に位置した状態にあるときのエンジン1を示している。図1では、ガスケット110,120の図示を省略している。図6では、ロッカー軸26、ロッカーアーム27、及びプッシュロッド28の図示を省略している。尚、本実施形態において、上側とは、エンジン1が最も長く使用される状態(正立状態)における鉛直上側と略一致する。
図1に示す潤滑装置100はエンジン1に搭載されている。エンジン1は、図1〜図6に示すように、OHV(Over Head Valve)形式の4ストロークエンジンであり、空冷式である。エンジン1は、シリンダヘッド3aが一体化されたシリンダブロック3と、クランクケース5と、油溜室7とを備える。クランクケース5は、シリンダブロック3の下部に取り付けられて、クランク室5aを形成する。油溜室7は、クランクケース5の下方に配置されている。油溜室7は、クランクケース5と別個に設けられており、潤滑用のオイルを貯留する。
ピストン13は、シリンダブロック3内に設けられたシリンダ3b内に摺動自在に挿入されている。すなわち、ピストン13は、シリンダ3bの内部を上下動する。クランク軸9は、シリンダブロック3とクランクケース5とによって回転自在に支持されている。ピストン13は、コンロッド11を介して、クランク軸9のクランクピン10に連接されている。
シリンダブロック3内に設けられたシリンダ3bの上壁には、吸気ポート14及び排気ポート15が設けられている。吸気ポート14には、吸気ポート14を開閉する吸気バルブ16が設けられている。排気ポート15には、排気ポート15を開閉する排気バルブ17が設けられている。吸気ポート14は、吸気通路61aを有するインシュレータ61、及びキャブレタ(気化器)62を介して、エアクリーナ63に連通している。排気ポート15は、排気マフラ18に連通している。ここで、エンジン1の吸気系19は、インシュレータ61、キャブレタ62、及びエアクリーナ63を含む。
吸気バルブ16及び排気バルブ17を駆動する動弁装置20は、バルブ駆動ギヤ21と、カムギヤ22と、カム23と、一対のカムフォロワ25と、複数のロッカーアーム27(本実施形態では一対のロッカーアーム27)と、一対のプッシュロッド28と、一対の弁ばね29とを有している。バルブ駆動ギヤ21は、クランク軸9に固着されている。カムギヤ22は、バルブ駆動ギヤ21によって駆動される。カム23は、カムギヤ22の一側に連結されている。カムフォロワ25は、シリンダブロック3に回動自在に支持されており、カム23によって揺動される。一対のロッカーアーム27は、シリンダブロック3の頭部(シリンダヘッド3a)に設けられたロッカー軸26に支持されている。一対のロッカーアーム27は、いわゆるシーソー式である。一方のロッカーアーム27の一端側27aは、吸気バルブ16の弁頭に当接している。他方のロッカーアーム27の一端側27aは、排気バルブ17の弁頭に当接している。プッシュロッド28は、ロッカーアーム27の他端側27bにカムフォロワ25を連接させる。一対の弁ばね29は、吸気バルブ16と排気バルブ17とをそれぞれ閉弁方向に付勢する。
動弁装置20を構成する部品(動弁系部品)のうち、バルブ駆動ギヤ21、カムギヤ22、及びカム23は、バルブ駆動室52内に収容されている。バルブ駆動室52は、供給通路51の途中に設けられている。供給通路51は、油溜室7と、ロッカーアーム室(動弁室)30とを連通させる。ここで、ロッカーアーム室30は、シリンダブロック3の頭部(シリンダヘッド3a)に形成されている。すなわち、ロッカーアーム室30は、燃焼室2及びシリンダ3bより上方に配置されている。ロッカーアーム室30は、一対のロッカーアーム27を収容する。
ロッカーアーム室30内には一対のロッカーアーム27が並んで配置されている。これらロッカーアーム27の相互間に、プレオイルセパレータ80及びオイルセパレータ90が配置されている。プレオイルセパレータ80及びオイルセパレータ90は、オイルを液体の状態でブローバイガスから分離する気液分離装置として機能し得る。
図4に示すように、一対のロッカーアーム27は、上方から見て、各々の一端側27aから他端側27bに向かうほど、相互間の間隔が広くなっている。オイルセパレータ90は、一対のロッカーアーム27の他端側27bの部分に隣り合うように配置されている。
図1及び図3に示すように、油溜室7とシリンダブロック3との間には、送油通路54が設けられている。送油通路54の油溜室7側の端部には、吸入部55が取り付けられている。吸入部55は、管体55aと、吸入口付きの錘55bとを有する。管体55aは、ゴムなどの弾性材料により形成されており、容易に撓むことができる。錘55bは、管体55aの先端部に取り付けられている。錘55bは、重力により鉛直下方に移動可能に取り付けられている。それゆえ、油溜室7が傾いても、規定量の範囲で貯留されるオイルの油面下に吸入部55の吸入口を没入させることができる。
送油通路54は、ピストン13の上昇によりクランク室5a内が負圧化傾向となったときに、クランク室5a内と油溜室7とを連通させ、油溜室7からオイルを吸い上げてクランク室5a内に供給する部分である。送油通路54のクランク室5a側に開口する開口端部54aは、ピストン13が上死点近傍位置から上死点に向かって移動する間にピストン13の移動に伴って開口する位置に設けられており、上死点近傍位置に移動したピストン13の下部のスカート部13aの下死点方向側に位置している。従って、送油通路54の開口端部54aは、ピストン13が上死点に達した時点では既に全開している。尚、送油通路54については、例えば、開口端部54aにリード弁を設けることで、クランク室5a内の負圧時に送油通路54とクランク室5aを連通させるようにしてもよい。
送油通路54の途中には一方向弁57が設けられている。一方向弁57は、クランク室5aの圧力変化に応じて開閉する。一方向弁57は、油溜室7内に対しクランク室5a内の圧力が低い状態で開いて送油通路54を連通状態にし、クランク室5a内の圧力の方が高い状態で閉じるように構成されている。
クランク室5aの底部と油溜室7との間には、クランク室5aと油溜室7を連通する連通路59が設けられている。連通路59は、クランク室5a内で生成されたオイルミスト(霧状のオイル)及び、このオイルミストが液化したオイルを油溜室7に送る機能を有する。連通路59のクランク室5a側に開口する開口端部59aにはリード弁60が設けられている。リード弁60は、クランク室5aの圧力変化に応じて開閉可能に構成されている。リード弁60は、ピストン13が下死点側に移動するときのクランク室5a内の正圧によって開いて連通路59を連通状態にするように構成されている。リード弁60が開いて連通路59が連通状態になると、クランク室5a内のオイルミスト及びオイルが連通路59を通って油溜室7内に送られる。
連通路59の油溜室7側の開口端部59bは、油溜室7内の略中央で開口し、油溜室7の傾斜状態に拘わらず、規定量以下で貯留されたオイルの油面上となる位置に配置されている。
供給通路51の開口端部51aは、油溜室7内の内部空間の略中央部で開口し、油溜室7の傾斜状態に拘わらず規定量以下で貯留されたオイルの油面の位置が変化しても油面下に没することがない位置に配置されている。更に、開口端部51aは、開口端部59bよりも上側に配置されている。
供給通路51のロッカーアーム室30側の開口端部51bは、ロッカーアーム室30のシリンダブロック3側にて開口している(図1及び図5参照)。それゆえ、供給通路51を流れるオイルミストはバルブ駆動室52内のバルブ駆動ギヤ21やカムギヤ22などを潤滑し、開口端部51bから吐出してロッカーアーム室30内に供給されてロッカーアーム室30内のロッカーアーム27などを潤滑する。
図1〜図6に示すように、ロッカーアーム室30は、ロッカーアーム室カバー31と、内カバー40と、板状又はシート状のガスケット(シール部材)110,120とを有する。ロッカーアーム室カバー31は、ロッカーアーム室30の底面30aに設けられたロッカーアーム27、プッシュロッド28及び弁ばね29(以下、これらをまとめて「バルブ機構24」と称する)を覆う。内カバー40は、ロッカーアーム室カバー31の内面に沿ってロッカーアーム室カバー31に装着される。
図5及び図6に示すように、ロッカーアーム室カバー31は下面開口のキャップ状に形成されている。ロッカーアーム室カバー31は、矩形状の天板部32と、天板部32の周縁部から下方に延びる側板部33とを有する。本実施形態では、側板部33は、天板部32に対して略直交する方向に延びているが、この他、天板部32に対して外側に拡開する方向に延びていてもよい。側板部33の下端側には、外側へ張り出すフランジ部34が設けられている。フランジ部34には、複数のボルト35を挿通するための複数の貫通孔34aが設けられている。
図2、図3、図5、及び図6に示すように、ガスケット110は、シリンダブロック3の頭部(シリンダヘッド3a)の上端部とロッカーアーム室カバー31の下端部(フランジ部34)との間に介装される。図6及び図15に示すように、ガスケット110は、フランジ部34に対応した環状の本体部111と、本体部111より内方に張り出した張出部112とを有する。ガスケット110の本体部111には、複数のボルト35を挿通するための複数の貫通孔114が設けられている。
ボルト35をロッカーアーム室カバー31のフランジ部34の貫通孔34aとガスケット110の本体部111の貫通孔114とに挿通して、シリンダブロック3の頭部(シリンダヘッド3a)に設けられた孔部3c(図6参照)に螺合させることで、ロッカーアーム室カバー31はシリンダブロック3の頭部(シリンダヘッド3a)に固定される。
従って、図1〜図6に示すエンジン1は、ロッカーアーム室30の下側部分を構成するシリンダヘッド3a(シリンダブロック3の頭部)と、シリンダヘッド3a(シリンダブロック3の頭部)の上端部に下端部(フランジ部34)が固定され、かつ、ロッカーアーム室30の上側部分を構成するロッカーアーム室カバー31と、シリンダヘッド3a(シリンダブロック3の頭部)の上端部とロッカーアーム室カバー31の下端部(フランジ部34)との間に介装されるガスケット110とを含む。ロッカーアーム室30内には、プレオイルセパレータ80とオイルセパレータ90とが配置されている。ここで、プレオイルセパレータ80とオイルセパレータ90とは、それぞれ、ロッカーアーム室30内のブローバイガス中に含まれるオイルを当該ブローバイガスから分離する機能を有する。
ロッカーアーム室カバー31の側板部33の下端側の内面には、ロッカーアーム室カバー31の開口端部に沿った凹溝(図示せず)が環状に設けられている。この凹溝に内カバー40の段部41が嵌合されることにより、内カバー40がロッカーアーム室カバー31に固定される。
ロッカーアーム室カバー31は、その天板部32にブリーザ通路36が設けられている。ブリーザ通路36は一端側が天板部32からロッカーアーム室カバー31の内部に延び、ロッカーアーム室カバー31をシリンダブロック3の頭部(シリンダヘッド3a)に固定した状態で、その開口端部36aがロッカーアーム室30のオイルセパレータ90(詳しくは、図13に示す箱状部材93の第2室96)内に位置するように構成されている。ブリーザ通路36の他端側は天板部32の表面に沿って延びて側板部33よりも外側へ突出している。
図2、図3、及び図5〜図12に示すように、内カバー40は下面開口のキャップ状に形成されている。内カバー40は、矩形状の天板部42と、天板部42の周縁部から下方に延びる側板部43とを有する。内カバー40は、合成樹脂などの材料を用いて一体成型される。
内カバー40の側板部43は、ロッカーアーム室カバー31の側板部33に沿って延びるので、ロッカーアーム室カバー31の側板部33がロッカーアーム室カバー31の天板部32に対して略直交する方向に延びている場合には、内カバー40の側板部43も内カバー40の天板部42に対して略直交する方向に延びる。またロッカーアーム室カバー31の側板部33がロッカーアーム室30の天板部32に対して外側に拡開する方向に延びている場合には、内カバー40の側板部43も内カバー40の天板部42に対して外側に拡開する方向に延びる。
内カバー40の天板部42には、ブリーザ通路36を挿通する挿通孔42aが設けられている。内カバー40の側板部43の下端部には内カバー40の開口端部40aの周縁から外側に突出する段部41が環状に設けられている。この段部41がロッカーアーム室カバー31の前述の凹溝に嵌合した状態で、ロッカーアーム室カバー31がボルト35を介してシリンダブロック3の頭部(シリンダヘッド3a)に固定されると、内カバー40は段部41を介してロッカーアーム室カバー31と共にシリンダブロック3の頭部(シリンダヘッド3a)に固定される。
内カバー40の天板部42と側板部43との間には、これらの端部間を繋ぐ平面状の肩部(面取り部)44が天板部42の縁部に沿ってC字状又は環状に設けられている。肩部44は、内カバー40がロッカーアーム室カバー31内に装着されると、肩部44の外面とロッカーアーム室カバー31の内面との間にC字状又は環状の隙間を形成するように構成されている。この隙間は、吸引管46と連通する吸引通路45となる。ここにおいて、ガスケット120は、吸引通路45と、プレオイルセパレータ80及びオイルセパレータ90との間をブローバイガス及びオイルが直接的に流通することを防止するために、内カバー40の天板部42とロッカーアーム室カバー31の天板部32との間に介装されている。
内カバー40には複数(本実施形態では4つ)の吸引管46が設けられている。吸引管46は下端側が内カバー40の開口端部40aよりも下方に突出し、下端に開口端部46bが形成されている。吸引管46の基端部側は段部41及び/又は側板部43を貫通して、開口端部46aが形成されている。この開口端部46aは、内カバー40のロッカーアーム室カバー31内への装着時に吸引通路45に連通する。吸引管46の下端側の開口端部46bは、ロッカーアーム室30の天板部32と対向する底面30aからオイルを吸い上げるために底面30aの近傍位置となるように配置される。本実施形態では、4本の吸引管46が内カバー40の天板部42の矩形状の四隅に対応するように配置されているが、吸引管46の配置はこれに限らない。
図1及び図4〜図6に示すように、シリンダヘッド3aが一体化されたシリンダブロック3には、ブロック側直通通路48が形成されている。ブロック側直通通路48は、クランク室5aに連通している。ガスケット110の本体部111には貫通孔115が形成されている。本実施形態では、内カバー40をロッカーアーム室カバー31に装着することで、内カバー40とロッカーアーム室カバー31の側板部33との間の隙間によってカバー側直通通路47が形成される。内カバー40がロッカーアーム室カバー31内に装着された状態でロッカーアーム室カバー31がシリンダブロック3の頭部(シリンダヘッド3a)に固定されると、カバー側直通通路47は、ガスケット110の本体部111の貫通孔115を介して、シリンダブロック3のブロック側直通通路48に連通する。従って、吸引管46は、吸引通路45、カバー側直通通路47、貫通孔115、及び、ブロック側直通通路48を介して、クランク室5aに連通する。
ブロック側直通通路48のクランク室5a側の開口端部48aは、送油通路54の開口端部54aと同様に、ピストン13が上死点近傍位置から上死点に向かって移動する間にピストン13の移動に伴って開口する位置に設けられており、上死点近傍位置に移動したピストン13の下部のスカート部13aの下死点方向側に位置している。従って、ブロック側直通通路48の開口端部48aは、ピストン13が上死点に達した時点では既に全開している。
ここで、ブロック側直通通路48に、ロッカーアーム室30からクランク室5a側への流れを許容し、クランク室5aからロッカーアーム室30側への流れを規制する一方向弁を設けてもよい(図4及び図5参照)。このようにすることで、クランク室5aからロッカーアーム室30へオイルやオイルミストが逆流することを確実に防止することができる。
本実施形態では、図6〜図8に示すように、内カバー40の天板部42の四隅に、吸引通路45に連通する小孔73が貫通形成されている。本実施形態では、ロッカーアーム室30が下方に位置する反転状態にエンジン1が傾いた場合でも、いずれかの小孔73を介してロッカーアーム室30内に溜まるオイルを吸引することができる。従って、エンジン1があらゆる姿勢であってもロッカーアーム室30内のオイルを吸引してクランク室5aに回収することができる。
図1に示すように、ブリーザ通路36の他端部はエアクリーナ63に接続されている。ブリーザ通路36は、ブローバイガスをエンジン1の燃焼室2へ排出することを目的として設けられている。ロッカーアーム室30内のプレオイルセパレータ80及びオイルセパレータ90を通過してオイル分が除去されたブローバイガスは、ブリーザ通路36を介してエアクリーナ63に送られて、吸気と共に燃焼室2に送られる。ここで、ブリーザ通路36が、本発明のブローバイガス供給通路71に対応して、プレオイルセパレータ80及びオイルセパレータ90にてオイルが分離されたブローバイガスをエンジン1の吸気系19に供給する機能を実現する。ブリーザ通路36には一方向弁36bが設けられており、この一方向弁36bによりエアクリーナ63からロッカーアーム室30側へのブローバイガスの逆流を防止している。
図1〜図4に示すプレオイルセパレータ80は、内カバー40の天板部42に下側に凹むように設けられた上面開口の本体部81(図6〜図12参照)と、この上面開口を塞ぐガスケット120(図2、図3、図5、及び図6参照)とにより構成される。本体部81には、その内外を連通するように、ガス流入口82、オイル流出口83a,83b、及びガス流出口84が貫通形成されている。
ガス流入口82は、ロッカーアーム室30内のオイルミスト及びブローバイガス(換言すれば、オイルを含むブローバイガス)を本体部81内に導く機能を有する。オイル流出口83aは、後述する第1流通通路86に連通する。オイル流出口83bは、後述する第3流通通路88に連通する。
オイル流出口83a,83bは、本体部81内にてブローバイガスから分離されたオイルを、ブロック側通路49(図1、図2、及び図4〜図6参照)に送る機能を有する。これに加えて、又は、これに代えて、オイル流出口83a,83bは、本体部81内にてブローバイガスから分離されたオイルを、ロッカーアーム室30に戻す機能を有してもよい。ここで、オイル流出口83aは、オイル流出口83bよりも、本体部81内におけるブローバイガス流通方向の上流側及び低位に形成されている。
ガス流出口84は、本体部81内を通過したブローバイガスを、オイルセパレータ90に導く機能を有する。
本体部81は、複数の屈曲部を有して迷路状に形成されたラビリンス構造の通路部85を有している。オイルを含むブローバイガスは、ガス流入口82から本体部81内に流入してラビリンス構造の通路部85を通過する過程で、ブローバイガス中のオイルの一部が通路部85の壁面に付着し、液化して本体部81内に溜まる。この溜まったオイルが、オイル流出口83a,83bからブロック側通路49へ排出される。一方、ラビリンス構造の通路部85を通過したブローバイガスは、若干のオイル(オイルミスト)を含んだ状態で、ガス流出口84からオイルセパレータ90に送られる。尚、プレオイルセパレータ80の本体部81は、ブローバイガスから分離されたオイルを貯留する貯留部として機能し得る。
図1、図2、及び図4に示すオイルセパレータ90は、内カバー40に形成されてプレオイルセパレータ80の本体部81にガス流出口84を介して連通する下面開口の箱状の本体部91(図8〜図12参照)と、この下面開口を塞ぐガスケット110の本体部111及び張出部112(図2、図3、図5、図6、及び図15参照)と、本体部91とガスケット110の本体部111及び張出部112とによって囲まれる内部空間92内に配置される箱状部材93(図2、図6、図13、及び図14参照)とにより構成される。ゆえに、ガスケット110が、オイルセパレータ90の一部を構成している。ここで、本体部91には、前述のガス流出口84に連通して下方に延びる筒状部91aが形成されている。また、本体部91の内面には、前述のオイル流出口83bに接続して上下方向に延びる溝部91bが形成されている。
箱状部材93は、上面開口の箱体94と、箱体94の内部空間を第1室95と第2室96とに仕切る仕切壁97とを有している。箱体94は、底部94aと、4つの側壁94bとを有している。本実施形態では、箱体94の底部94aが台形状であるが、箱体94の底部94aの形状はこれに限らない。例えば、箱体94の底部94aは矩形状であってもよい。第1室95の容積は第2室96の容積に比べて小さい。
箱体94の側壁94b同士の連結部の外側には、それぞれ、底部94aの四隅に対応するように上下方向に延びる溝部94cが形成されている。箱体94の上端部には、第1室95と溝部94cとを連通する1つの切欠部94dが形成されている。箱体94の下端部には、第1室95と溝部94cとを連通する1つの貫通孔94eが形成されている。箱体94の上端部には、第2室96と溝部94cとを連通する3つの切欠部94fが形成されている。箱体94の下端部には、第2室96と溝部94cとを連通する3つの貫通孔94gが形成されている。
仕切壁97の上端部には、第1室95と第2室96とを連通する2つの切欠部94hが形成されている。箱体94の底部94aには、第1室95の内外を連通する3つの貫通孔94iが形成されている。
箱体94の底部94aと側壁94bとの間には、これらの端部間を繋ぐ平面状の面取り部94jが底部94aの縁部に沿って環状又はC字状に設けられている。ここで、溝部94cは、その下端部で、面取り部94jに接続している。
図6及び図15に示すように、ガスケット110の本体部111には、箱体94の底部94aの3つの貫通孔94iに対応するように、3つの貫通孔117が形成されている。ガスケット110の本体部111及び張出部112には、箱体94の4つの溝部94cに対応するように、4つの貫通孔118が形成されている。
尚、箱状部材93の溝部94c、切欠部94d、貫通孔94e、切欠部94f、貫通孔94g、切欠部94h、及び貫通孔94iについては、前述の個数に限らない。同様に、ガスケット110の貫通孔117,118についても、前述の個数に限らない。
ここで、プレオイルセパレータ80の本体部81の通路部85は、ガス流出口84及び筒状部91aを介して、オイルセパレータ90の箱状部材93の第1室95に連通している。ブリーザ通路36の一端側の開口端部36aは、オイルセパレータ90の箱状部材93の第2室96内に位置している。
図1、図2、及び図4〜図6に示すように、シリンダブロック3にはブロック側通路49が形成されている。ブロック側通路49は送油通路54に連通しており、送油通路54を介して、クランク室5aに連通している。
オイルセパレータ90の本体部91とガスケット110の本体部111及び張出部112とによって囲まれる内部空間92内に箱状部材93が配置されると、オイルセパレータ90の本体部91の内面と箱状部材93の箱体94の溝部94c及び切欠部94d,94fとの間の隙間によって第1流通通路86が形成される。また、オイルセパレータ90の本体部91の内面と箱状部材93の仕切壁97の切欠部94hとの間の隙間によって第2流通通路87が形成される。また、オイルセパレータ90の本体部91の溝部91bと箱状部材93の箱体94の側壁94bの外面との間の隙間によって第3流通通路88が形成される。また、オイルセパレータ90の本体部91の内面及びガスケット110の上面と箱状部材93の箱体94の面取り部94jとの間の隙間によって第4流通通路89が形成される。ここで、第1流通通路86と第3流通通路88とは、第4流通通路89を介して互いに連通する。
ゆえに、箱状部材93の第1室95及び第2室96は、第1流通通路86、第2流通通路87、貫通孔94e,94g,94i、及び、ガスケット110の貫通孔117,118を介して、シリンダブロック3のブロック側通路49に連通する。従って、オイルセパレータ90の第1室95及び第2室96は、第1流通通路86、第2流通通路87、貫通孔94e,94g,94i、ガスケット110の貫通孔117,118、ブロック側通路49、及び送油通路54を介して、クランク室5aに連通する。
ここで、プレオイルセパレータ80の本体部81(通路部85)は、オイル流出口83a、第1流通通路86、及び、ガスケット110の貫通孔118を介して、シリンダブロック3のブロック側通路49に連通する。これに加えて、プレオイルセパレータ80の本体部81(通路部85)は、オイル流出口83b、第3流通通路88、第4流通通路89、第1流通通路86、及び、ガスケット110の貫通孔118を介して、シリンダブロック3のブロック側通路49に連通する。従って、プレオイルセパレータ80の本体部81(通路部85)は、オイル流出口83a,83b、第3流通通路88、第4流通通路89、第1流通通路86、ガスケット110の貫通孔118、ブロック側通路49、及び送油通路54を介して、クランク室5aに連通する。
前述のガス流出口84及び筒状部91aから第1室95内に流入した、若干のオイル(オイルミスト)を含むブローバイガスは、第1室95、第2流通通路87、及び第2室96を通過する過程で、ブローバイガス中のオイルが、第1室95、第2流通通路87、及び第2室96の各々の壁面などに付着し、液化して第1室95及び第2室96内に溜まる。この溜まったオイルが、第1流通通路86、貫通孔94e,94g,94i,117,118、ブロック側通路49、及び送油通路54を通って、クランク室5aに送られる。一方、第1室95、第2流通通路87、及び第2室96を通過してオイルが分離されたブローバイガスは、ブリーザ通路36を介してエアクリーナ63に送られて、吸気と共に燃焼室2に送られる。尚、オイルセパレータ90の第1室95及び第2室96は、ブローバイガスから分離されたオイルを貯留する貯留部として機能し得る。
ここで、ブロック側通路49に、オイルセパレータ90からクランク室5a側への流れを許容し、クランク室5aからオイルセパレータ90側への流れを規制する一方向弁を設けてもよい(図4及び図5参照)。このようにすることで、クランク室5aからオイルセパレータ90へオイルやオイルミストが逆流することを確実に防止することができる。
本実施形態では、ロッカーアーム室30が下方に位置する反転状態にエンジン1が傾いた場合でも、オイルセパレータ90の第1室95及び第2室96内に溜まるオイルを、第1流通通路86、第2流通通路87、ガスケット110の貫通孔117,118を介して、吸引することができる。従って、エンジン1があらゆる姿勢であってもオイルセパレータ90の第1室95及び第2室96内のオイルを吸引してクランク室5aに回収することができる。
本実施形態において、図2及び図4に示すように、ブロック側通路49の上流側端部には、ガスケット110の貫通孔117,118を通過したオイルを集めるオイル収集部49aが形成されている。オイル収集部49aには、ガスケット110を介して箱状部材93を下方から支持する支持部49bが形成されている。ここで、オイル収集部49a及び支持部49bがシリンダブロック3の頭部(シリンダヘッド3a)に形成されていることは、図2及び図4の図示から明らかである。
ここにおいて、ガスケット110の貫通孔117,118、ブロック側通路49、及び送油通路54が、本発明のオイル供給通路72に対応して、オイルセパレータ90にて分離されたオイルをクランク室5aに供給する機能を実現する。ゆえに、ガスケット110の貫通孔117,118が、オイル供給通路72の一部に対応し得る。また、オイル供給通路72は、その全部が、エンジン1に形成されている。換言すれば、オイル供給通路72は、その全部が、エンジン1に内蔵されている。
本実施形態では、ブロック側通路49は、送油通路54を介して、クランク室5aに連通しているが、この他、クランク室5aに直接的に連通してもよい。また、ブロック側通路49は、ガスケット110の本体部111の貫通孔115を介して、カバー側直通通路47に連通してもよい。
図1に示すように、バルブ駆動室52の油溜室7側の底部とクランク室5aの間には、バルブ駆動室52内のオイルをクランク室5a内に戻すための戻し通路66が設けられている。クランク室5aの負圧時には、戻し通路66を介してバルブ駆動室52に溜まるオイルが吸引される。戻し通路66は、例えば、連通路59の断面積の1/10よりも小さく構成されている。クランク室5aの正圧時には、リード弁60が開き、クランク室5aと油溜室7が連通状態になる。クランク室5a内のオイルミストとオイルは断面積の大きな連通路59を流れ、戻し通路66はオイルで栓がされた状態になるので、クランク室5aからバルブ駆動室52へオイルが逆流することは殆どない。
尚、戻し通路66は、バルブ駆動室52とブロック側直通通路48とを連通するように設けられてもよい。また、戻し通路66内に、クランク室5a側へのオイルの流れを許容し、バルブ駆動室52側へのオイルの流れを規制する一方向弁を設けてもよい。この一方向弁を設けることにより、クランク室5a内からバルブ駆動室52側へのオイルの逆流を確実に防止することができる。
バルブ駆動室52と送油通路54との間には、流量調整通路67が設けられている。流量調整通路67がバルブ駆動室52内の空気を吸い込むことで、送油通路54を介してクランク室5aに供給されるオイルの流量が調整される。この空気の吸い込み量が多ければ、送油通路54を介して供給されるオイルの流量は減少する。尚、流量調整通路67を、バルブ駆動室52の底部から離して、バルブ駆動室52に滞留するオイルを吸い込みにくい位置に設けるのが好ましい。
流量調整通路67には、バルブ駆動室52から送油通路54に送られる空気の流量を調整する流量絞り68が設けられている。流量絞り68を調整してバルブ駆動室52から吸い込まれる空気の量を調整することで、送油通路54を介してクランク室5aに供給されるオイルの流量を調整することができる。つまり、流量調整通路67の内径を気にせず、流量絞り68の設計のみで容易にオイルの流量調整ができる。尚、流量絞り68は、流量調整通路67と別体に設ける必要はなく、流量調整通路67の一部として構成されてもよい。
従って、潤滑装置100の循環経路は、送油通路54、連通路59、供給通路51、吸引管46、吸引通路45、カバー側直通通路47、ブロック側直通通路48、オイル供給通路72、戻し通路66、及び流量調整通路67を有している。
エンジン1が始動されると、ピストン13の昇降運動によりクランク室5aに圧力変化が生じる。ピストン13の上昇時にはクランク室5aが減圧されて負圧化傾向となる。ピストン13の下降時にはクランク室5aが昇圧されて正圧化傾向となる。
クランク室5aが負圧化傾向となり、ピストン13の上死点近傍への移動に伴い送油通路54の開口端部54aが開き始め、クランク室5aと油溜室7が連通すると、送油通路54にクランク室5a内の負圧が作用する。エンジン1が傾いても送油通路54の吸入部55は、油溜室7のオイルの油面下に没した状態にあり、油溜室7からオイルが吸い込まれてクランク室5a内に送られる。開口端部54aは、ピストン13が上死点位置に達した時点では既に全開となっているので、クランク室5a内の負圧を充分に送油通路54に作用させることができる。そのため、油面下より汲み上げられるオイルをクランク室5a内に充分に供給することができる。
クランク室5a内に送られたオイルは、ピストン13やコンロッド11などの駆動部品を潤滑し、同時にこれら駆動部品により飛散されてオイルミストになる。オイルミストの一部はクランク室5aの壁面に付着して再度液化される。
ピストン13が上死点から下降するときには、クランク室5aが正圧に変わり、リード弁60は開放されて、クランク室5aと油溜室7は連通する。そして、クランク室5a内で昇圧されたオイルミスト及びオイルが連通路59を通って油溜室7に送られる。このときに、油溜室7内の圧力が高まる。尚、クランク室5aが正圧になると、一方向弁57の作用によりクランク室5aから油溜室7へのオイルが逆流しないよう送油通路54が遮断され、次いで開口端部54aがピストン13により閉じられる。
油溜室7内の圧力が高まることで、油溜室7内とロッカーアーム室30との間に圧力勾配ができ、油溜室7内に溜まるオイルミストは、供給通路51を介してロッカーアーム室30に送られる。油溜室7からロッカーアーム室30にオイルミストを送る過程で、供給通路51に設けられたバルブ駆動室52内のバルブ駆動ギヤ21、カムギヤ22、及びカム23などの部品が潤滑される。この際オイルミストの一部は液化する。
バルブ駆動室52で液化されたオイルは、戻し通路66を介してクランク室5aに送られ得る。それゆえ、バルブ駆動室52でオイルが過度に滞留することを抑止でき、ロッカーアーム室30にオイルが流出することを抑止できる。
ロッカーアーム室30に供給されたオイルミストは、ロッカーアーム室30内に設けられたバルブ機構24を潤滑し、カバー側直通通路47及びブロック側直通通路48を介してクランク室5aに送られる。また、ロッカーアーム室30内に供給されたオイルミストが液化して滞留しても、クランク室5a内の強い負圧が作用して、クランク室5aにオイルを送ることができ、ロッカーアーム室30でオイルが滞留することを抑止できる。
ロッカーアーム室30からブリーザ通路36を介して排出されるブローバイガスについては、ブローバイガスがブリーザ通路36に至るに先立って、ロッカーアーム室30内のプレオイルセパレータ80及びオイルセパレータ90にてブローバイガスからオイルが分離される。それゆえ、ブリーザ通路36からブローバイガスを排出する際のオイルの放出を抑えることができる。
ロッカーアーム室30内のプレオイルセパレータ80内及びオイルセパレータ90内に溜まったオイルは、クランク室5aが負圧化傾向であるときにオイル供給通路72を介して吸引されて、クランク室5aに回収される。
図16は、エンジン1を搭載した携帯型作業機の一例である刈払機150を示す。刈払機150は、操作杆151の後端部に装着されたエンジン1と、操作杆151の前端部に回転自在に取り付けられた円板状の刈刃152と、刈刃152を覆うようにして操作杆151の前端部に装着された安全カバー153と、を有している。
操作杆151の前端部にはギヤヘッド154が取り付けられている。エンジン1の駆動軸(図示せず)とギヤヘッド154とは、操作杆151内に設けられたドライブシャフト(図示せず)を介して連結されている。それゆえ、エンジン1からの動力がギヤヘッド154に伝達可能である。ギヤヘッド154には刈刃152が装着されている。従って、エンジン1の動力がギヤヘッド154を介して刈刃152に伝達されて、刈刃152が回転する。
操作杆151の中間部にはハンドル155が取り付けられている。ハンドル155にはエンジン1の動力を調整するためのコントロールレバー(図示せず)が装着されている。作業者Mはハンドル155を把持して操作することによって、刈払作業を行う。
本実施形態によれば、エンジン1は、内部をピストン13が上下動するシリンダ3bと、ピストン13の上下動によって内部の圧力が変動するクランク室5aと、シリンダ3bより上方に配置されて複数のロッカーアーム27を収容するロッカーアーム室30と、を有する。エンジン1の潤滑装置100は、ロッカーアーム室30内に配置されて、ロッカーアーム室30内のブローバイガス中に含まれるオイルを分離するオイルセパレータ90と、オイルセパレータ90にてオイルが分離されたブローバイガスをエンジン1の吸気系19に供給するブローバイガス供給通路71と、オイルセパレータ90にて分離されたオイルをクランク室5aに供給するオイル供給通路72と、を備える。それゆえ、オイルセパレータ90にて分離されたオイルをロッカーアーム室30からクランク室5aに戻すことができるので、エンジン1の外側に前述のようなオイル戻し用の配管を設置する必要がない。従って、エアクリーナ63やキャブレタ62周りの配管のレイアウトを簡素化することができる。また、エアクリーナ63にオイルセパレータを設ける必要がないので、エアクリーナ63の小型化を実現することができる。従って、エンジン1周りの簡素化及びコンパクト化を実現することができる。
また、本実施形態によれば、ロッカーアーム室30内には一対のロッカーアーム27が並んで配置されている。一対のロッカーアーム27の相互間にオイルセパレータ90が配置されている。それゆえ、ロッカーアーム室30内の空きスペースにオイルセパレータ90を配置することで当該空きスペースを有効に活用することができる。
また、本実施形態によれば、一対のロッカーアーム27は、上方から見て、各々の一端側27aから他端側27bに向かうほど、相互間の間隔が広くなる。オイルセパレータ90は、一対のロッカーアーム27の他端側27bの部分に隣り合うように配置されている。ゆえに、一対のロッカーアーム27の一端側27aよりも空きスペースが比較的大きな他端側27bに隣接するようにオイルセパレータ90を配置することで当該空きスペースを有効に活用することができる。
また、一対のロッカーアーム27が、上面視で、各々の一端側27aから他端側27bに向かうほど、相互間の間隔が広くなるように配置されることにより、一対のプッシュロッド28を互いに平行に配置することが可能になる。ゆえに、一対のプッシュロッド28が例えば上方に向かうほど互いに近づくように傾斜して延びる場合に比べて、プッシュロッド28を小型化して軽量化することができる。また、この一対のプッシュロッド28の平行配置化により、シリンダブロック3の駄肉を低減することができる。
また、本実施形態によれば、エンジン1は、ロッカーアーム室30の下側部分を構成するシリンダヘッド3aと、シリンダヘッド3aの上端部に下端部が固定され、かつ、ロッカーアーム室30の上側部分を構成するロッカーアーム室カバー31と、シリンダヘッド3aの上端部とロッカーアーム室カバー31の下端部との間に介装されるガスケット110と、を含む。ガスケット110が、オイルセパレータ90の一部を構成する。ゆえに、ガスケット110は、ロッカーアーム室30での気液密性を確保する役割と、オイルセパレータ90の構成部品としての役割との双方を有することができる。
また、本実施形態によれば、ガスケット110に形成された貫通孔117,118が、オイル供給通路72の一部を構成する。ゆえに、ガスケット110の貫通孔117,118は、オイルをクランク室5aに戻すための通路としての役割を有することができる。
また本実施形態によれば、オイル供給通路72の全部がエンジン1に形成されている。特に本実施形態によれば、オイル供給通路72の全部がガスケット110とシリンダブロック3とに形成されている。それゆえ、オイルセパレータ90にて分離されたオイルを、エンジン1外を経由させることなく、クランク室5aに戻すことができる。
また本実施形態によれば、携帯型作業機の一例である刈払機150は、エンジン1の潤滑装置100を備える。ゆえに、刈払機150において、エアクリーナ63やキャブレタ62周りの配管のレイアウトを簡素化することができる。
尚、本実施形態では、オイルセパレータ90において、本体部91とガスケット110の本体部111及び張出部112とによって囲まれる内部空間92内に箱状部材93が配置されているが、内部空間92内に配置される部材は箱状部材93に限らない。例えばメッシュ構造を有する部材などの、ブローバイガスが通過可能な多数の微小貫通孔を有する部材を内部空間92内に配置してもよい。
また、本実施形態では、シリンダヘッド3aがシリンダブロック3に一体化されているが、この他、シリンダヘッド3aとシリンダブロック3とが別体であってもよい。
また、本実施形態では、エンジン1の潤滑装置100を備える携帯型作業機の一例として刈払機を用いて説明したが、当該携帯型作業機は刈払機に限らない。例えば、穴掘機、コンクリートカッター、送風作業機、スプレイヤ(噴霧機)などの携帯型作業機であってもよい。
以上からわかるように、前述の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
1…エンジン、2…燃焼室、3…シリンダブロック、3a…シリンダヘッド、3b…シリンダ、3c…孔部、5…クランクケース、5a…クランク室、7…油溜室、9…クランク軸、10…クランクピン、11…コンロッド、13…ピストン、13a…スカート部、14…吸気ポート、15…排気ポート、16…吸気バルブ、17…排気バルブ、18…排気マフラ、19…吸気系、20…動弁装置、21…バルブ駆動ギヤ、22…カムギヤ、23…カム、24…バルブ機構、25…カムフォロワ、26…ロッカー軸、27…ロッカーアーム、27a…一端側、27b…他端側、28…プッシュロッド、29…弁ばね、30…ロッカーアーム室、30a…底面、31…ロッカーアーム室カバー、32…天板部、33…側板部、34…フランジ部、34a…貫通孔、35…ボルト、36…ブリーザ通路、36a…開口端部、36b…一方向弁、40…内カバー、40a…開口端部、41…段部、42…天板部、42a…挿通孔、43…側板部、44…肩部、45…吸引通路、46…吸引管、46a,46b…開口端部、47…カバー側直通通路、48…ブロック側直通通路、48a…開口端部、49…ブロック側通路、49a…オイル収集部、49b…支持部、51…供給通路、51a,51b…開口端部、52…バルブ駆動室、54…送油通路、54a…開口端部、55…吸入部、55a…管体、55b…錘、57…一方向弁、59…連通路、59a,59b…開口端部、60…リード弁、61…インシュレータ、61a…吸気通路、62…キャブレタ、63…エアクリーナ、66…戻し通路、67…流量調整通路、68…流量絞り、71…ブローバイガス供給通路、72…オイル供給通路、73…小孔、80…プレオイルセパレータ、81…本体部、82…ガス流入口、83a,83b…オイル流出口、84…ガス流出口、85…通路部、86…第1流通通路、87…第2流通通路、88…第3流通通路、89…第4流通通路、90…オイルセパレータ、91…本体部、91a…筒状部、91b…溝部、92…内部空間、93…箱状部材、94…箱体、94a…底部、94b…側壁、94c…溝部、94d…切欠部、94e…貫通孔、94f…切欠部、94g…貫通孔、94h…切欠部、94i…貫通孔、94j…面取り部、95…第1室、96…第2室、97…仕切壁、100…潤滑装置、110…ガスケット、111…本体部、112…張出部、114,115,117,118…貫通孔、120…ガスケット、150…刈払機、151…操作杆、152…刈刃、153…安全カバー、154…ギヤヘッド、155…ハンドル、M…作業者
Claims (7)
- 内部をピストンが上下動するシリンダと、前記ピストンの上下動によって内部の圧力が変動するクランク室と、前記シリンダより上方に配置されて複数のロッカーアームを収容するロッカーアーム室と、を有するエンジンにおいて、
前記ロッカーアーム室内に配置されて、前記ロッカーアーム室内のブローバイガス中に含まれるオイルを分離するオイルセパレータと、
前記オイルセパレータにてオイルが分離されたブローバイガスをエンジンの吸気系に供給するブローバイガス供給通路と、
前記オイルセパレータにて分離されたオイルを前記クランク室に供給するオイル供給通路と、
を備える、エンジンの潤滑装置。 - 前記ロッカーアーム室内には一対のロッカーアームが並んで配置されており、
前記一対のロッカーアームの相互間に前記オイルセパレータが配置されている、請求項1に記載のエンジンの潤滑装置。 - 前記一対のロッカーアームは、各々の一端側から他端側に向かうほど、相互間の間隔が広くなり、
前記オイルセパレータは、前記一対のロッカーアームの他端側部分に隣り合うように配置されている、請求項2に記載のエンジンの潤滑装置。 - 前記エンジンは、
前記ロッカーアーム室の下側部分を構成するシリンダヘッドと、
前記シリンダヘッドの上端部に下端部が固定され、かつ、前記ロッカーアーム室の上側部分を構成するロッカーアーム室カバーと、
前記シリンダヘッドの上端部と前記ロッカーアーム室カバーの下端部との間に介装されるガスケットと、
を含み、
前記ガスケットが、前記オイルセパレータの一部を構成する、請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載のエンジンの潤滑装置。 - 前記ガスケットに形成された貫通孔が、前記オイル供給通路の一部を構成する、請求項4に記載のエンジンの潤滑装置。
- 前記オイル供給通路の全部が前記エンジンに形成されている、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のエンジンの潤滑装置。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のエンジンの潤滑装置を備える、携帯型作業機。
Priority Applications (1)
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JP2017128603A JP2019011709A (ja) | 2017-06-30 | 2017-06-30 | エンジンの潤滑装置、及び、携帯型作業機 |
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JP2017128603A JP2019011709A (ja) | 2017-06-30 | 2017-06-30 | エンジンの潤滑装置、及び、携帯型作業機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2019011709A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7343580B2 (ja) | 2019-06-12 | 2023-09-12 | 株式会社クボタ | ブローバイガス還流装置 |
-
2017
- 2017-06-30 JP JP2017128603A patent/JP2019011709A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7343580B2 (ja) | 2019-06-12 | 2023-09-12 | 株式会社クボタ | ブローバイガス還流装置 |
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