JP2019011569A - 海洋資源揚鉱装置およびこれを用いた海洋資源の揚鉱方法 - Google Patents

海洋資源揚鉱装置およびこれを用いた海洋資源の揚鉱方法 Download PDF

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【課題】海上から海底までの揚鉱用配管の延設を不要とし得る海洋資源揚鉱装置および海洋資源の揚鉱方法を提供する。【解決手段】海洋資源揚鉱装置100Aは、下部に採鉱口3bが開口する貯鉱室3aが形成された貯鉱ケーシング3と、貯鉱ケーシング3の外面に配置されたスラスタ4と、貯鉱ケーシング内の上部に基端部が固定され下方の採鉱口から張り出す位置にビット装着部33が位置するとともに海水またはエマルションを駆動流体とする流体モータ機構を有し且つビット装着部33に駆動流体を噴射するノズルが形成されたビット90が装着されるダウンホールモータ2と、ダウンホールモータ2の外周面であってビット上部の位置に配置された攪拌部218と、貯鉱ケーシング内のダウンホールモータ2を囲繞する位置に配置されて上部が貯鉱室内に開口するとともに下部に採鉱口に対向して下方に拡径する集鉱ホッパ103が形成された集鉱管102と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、海洋資源を揚鉱するための装置および方法に係り、特に、海洋に存在するレアアース泥等の海洋資源の揚鉱用に好適な装置並びにこれを用いた海洋資源の揚鉱方法に関する。
2012年、南鳥島の排他的経済水域の深海で極めて高濃度なレアアースを含む泥(以下、「レアアース泥」という)が発見された。ここで、海底石油の人工採油技術や深海のレアアース泥の回収技術としては、高揚程多段スラリーポンプを複数ヵ所で直列に連結して回収するポンプリフト方式や、船上の空気圧縮機から各水深層の数か所に高圧空気を注入するエアリフト方式が考えられている。ポンプリフト方式としては、例えば、特許文献1(ターボ形)や特許文献2(斜流形インペラ)が開示されている。
特許第54905213号公報 特開昭51−72902号公報
しかし、従来のポンプリフト方式は、装置の構造が複雑であり、軽量化が困難なことから、安定した運転を確保する上で課題が多く、水中機器の信頼性、特に、高圧水深下での水中モータの軸シールの耐久性と信頼性に問題がある。また、深海からのレアアース泥の揚泥には、水深分の揚程を圧送するための多大なエネルギーが必要となる。
一方、エアリフト方式は、水中機器が極めて少ないことから、ポンプリフト方式に比べて信頼性および耐久性に優れるものの、エネルギー効率が悪く、ポンプリフト方式以上のさらに多大なエネルギーを要するという問題がある。
また、いずれのリフト方式の場合も、レアアース泥のスラリー液を船上に回収する際は、海上から海底までライザー管等の揚鉱用配管を延設する必要があり、この種の揚鉱用配管の敷設には、多大な費用と多大な作業時間を要するという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、海上から海底までの揚鉱用配管の延設を不要とし得る海洋資源揚鉱装置およびこれを用いた海洋資源の揚鉱方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る海洋資源揚鉱装置は、海中の採鉱位置への潜水および海上の浮上位置への浮上が可能な海洋資源揚鉱装置であって、内部が貯鉱室とされるとともに下部に外部に連通する採鉱口が開口する貯鉱ケーシングと、該貯鉱ケーシングの外面に付設されたスラスタと、前記貯鉱ケーシング内に装備されて自身先端の回転部が前記採鉱口から下方に張り出す位置に配置される掘削装置と、を備え、前記掘削装置は、前記回転部に装着される掘削用のビットで掘削作動するとともに海水よりも比重が軽いエマルションを前記ビットまたは前記ビット近傍に設けられたノズルから噴射するように構成されている。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る海洋資源の揚鉱方法は、本発明の一態様に係る海洋資源揚鉱装置を用い、前記海洋資源揚鉱装置を海上から海中の採鉱位置まで潜水させる潜水工程と、前記採鉱位置に潜水後に、前記ビットによる掘削力と前記ノズルから噴射される前記エマルションの流体力とで泥質堆積層中のレアアース泥を解泥する解泥工程と、前記解泥したレアアース泥と前記エマルションとを混合してレアアースを吸着結合したエマルションの混合物とする混合工程と、前記混合物を前記貯鉱室内に導き、該貯鉱室に前記混合物を貯留する貯留工程と、前記混合物を貯留後に、前記海洋資源揚鉱装置を海上の浮上位置に浮上させて前記混合物を回収する回収工程と、を含むことを特徴とする。
なお、本明細書において、「解泥」とは、海底鉱床の泥質堆積層に対するビットの掘削力と噴射流体の流体力とによって泥質堆積層の泥を解きほぐすことをいう。また、「泥質堆積層」とは、「非レアアース泥堆積層」および「レアアース泥堆積層」のいずれをも含む意味である。
本発明の一態様に係る海洋資源揚鉱装置によれば、貯鉱ケーシングは、下部に外部に連通する採鉱口が開口しているので、採鉱口から貯鉱室内に海水またはエマルションを充填することにより、海洋資源揚鉱装置自身を容易に海中に沈めることができる。そして、貯鉱ケーシングの外面にはスラスタ付設されているので、このスラスタにより、貯鉱ケーシングの姿勢を制御するとともに潜水および浮上を含む潜航時の推進力を得ることができる。
よって、本発明の一態様に係る海洋資源揚鉱装置によれば、自身を海上から海中の採鉱位置まで潜水させることができる。ここで、海洋資源揚鉱装置全体の質量を適切に設定すれば、潜水に際しては、中性浮力よりも浮力を小さく設定することにより、推進力が小さいスラスタであっても容易に潜水および浮上等の潜航が可能であり、また、浮遊姿勢を容易に保持できる。
そして、本発明の一態様に係る海洋資源揚鉱装置によれば、貯鉱ケーシング内には、掘削装置が装備され、この掘削装置は、自身先端の回転部が下部の採鉱口から下方に張り出す位置に配置されているので、採鉱位置まで潜水後に、採鉱位置にて回転部に装着されたビットにより掘削を行うことができる。
さらに、この掘削装置は、ビットまたはビット近傍に設けられたノズルから海水よりも比重が軽いエマルションを噴射するように構成されているので、ビットによる掘削力とノズルから噴射されるエマルションの流体力とで泥質堆積層中のレアアース泥を解泥することができる。
そして、このエマルションは、海水よりも比重が軽く、また、このエマルションとレアアース泥とが結合された混合物も海水よりも比重が軽いものにすることができる。そのため、本発明の一態様に係る海洋資源揚鉱装置によれば、解泥したレアアース泥をエマルションに吸着させた混合物を貯鉱ケーシングの採鉱口から貯鉱室内に自ら浮上させ、貯鉱室内で海水またはエマルションと置換させて充填させることができる。
ここで、海洋資源揚鉱装置全体の質量を適切に調整すれば、浮上に際しては、貯鉱室に充填させるレアアース泥を吸着させた混合物の比重が海水よりも軽いので、中性浮力またはそれよりも浮力を大きく設定することができる。
例えば、本発明に係るエマルションとして、油(例えばケロシン)に界面活性剤(例えば、ドデシルスルホン酸ナトリウム)を混ぜたエマルションを用いることは好ましい。このようなエマルションを用いれば、比重が0.8から0.85になる。そのため、海水よりもエマルションが軽いので、上記混合物が貯鉱室に充填された海洋資源揚鉱装置自らを浮上させるためのエマルションとして好適である。
よって、貯鉱室に混合物を充填後には、推進力が小さいスラスタであっても容易に海洋資源揚鉱装置自らを海上の浮上位置に浮上させることができる。そして、浮上後に、貯鉱ケーシング内の貯鉱室から、エマルションにレアアース泥を吸着させた混合物を容易に回収することができる。よって、深海からレアアース泥を回収するに際し、上記特許文献1ないし2に記載の技術と比べて、海上から海底までの揚鉱用配管の延設が不要であり、また、エネルギー効率を向上させることができる。
ここで、レアアース泥に含まれるレアアースの品位はppmオーダーである。そのため、揚鉱前に海底で選鉱を行い、不要な脈石を予め取り除くことができれば、揚泥にかかるコストを大幅に減らす上でより好ましい。
これに対し、本発明を完成する過程での研究によれば、レアアース泥中のアパタイトには、高品位にレアアースが吸着されている。そこで、上記エマルションにアパタイトを吸着させることにより、レアアース泥から不要な脈石を除き、高品位にレアアースが吸着されているアパタイトを効率良く液液分離できる。そのため、エネルギー効率を向上させる上でより好適である。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る海洋資源の揚鉱方法は、本発明の一態様に係る海洋資源揚鉱装置を用い、前記海洋資源揚鉱装置を海上から海中の採鉱位置まで潜水させる潜水工程と、採鉱位置に潜水後に、前記ビットによる掘削力と前記ノズルから噴射される前記エマルションの流体力とで前記採鉱位置のレアアース泥を解泥する解泥工程と、解泥したレアアース泥と前記エマルションとを混合してレアアースを吸着結合したエマルションの混合物とする混合工程と、前記混合物を前記貯鉱室に導き、該貯鉱室に前記混合物を貯留する貯留工程と、貯留後に、前記海洋資源揚鉱装置を海上の浮上位置に浮上させて前記混合物を回収する回収工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る海洋資源の揚鉱方法によれば、本発明の一態様に係る海洋資源揚鉱装置を用いるので、海洋資源揚鉱装置を海上から海中の採鉱位置まで潜水させることができる。そして、採鉱位置への潜水後に、ビットの回転による掘削力とノズルから噴射されるエマルションの流体力とによって泥質堆積層中のレアアース泥を解泥できる。さらに、解泥されたレアアース泥と噴射されたエマルション相互を混合してレアアース泥をエマルションに吸着結合させて海水よりも比重が軽い混合物にすることができる。
そして、駆動流体として供給されるエマルションは、海水よりも比重が軽く、また、このエマルションとレアアース泥とが結合された混合物も海水よりも比重を軽くすることができる。そのため、エマルションにレアアース泥を吸着させた混合物を貯鉱ケーシングの下部に設けられた採鉱口から貯鉱室内に導入し、その混合物を海中で貯鉱室に充填後、海洋資源揚鉱装置自らを浮上させて混合物を洋上で回収できる。よって、本発明の一態様に係る海洋資源の揚鉱方法によれば、上記特許文献1ないし2に記載の技術と比べて、海上から海底までの揚鉱用配管の延設が不要であり、また、エネルギー効率を向上させることができる。
上述のように、本発明によれば、深海からレアアース泥を回収するに際し、海上の浮上位置への浮上および海中の採鉱位置への潜水が自ら可能な海洋資源揚鉱装置によって揚鉱するので、海上から海底までの揚鉱用配管の延設が不要である。
本発明に係る海洋資源揚鉱装置の第一実施形態を示す説明図であり、同図では、海中の海洋資源揚鉱装置を短軸軸線に沿った断面で示している。 第一実施形態の海洋資源揚鉱装置に装備される掘削装置であるダウンホールモータの部分の説明図であり、同図は図1のA部を拡大図示している。 第一実施形態の潜水式海洋資源揚鉱装置で海底に直接露出しているレアアース泥を選鉱回収する工程(第一揚鉱例)の説明図である。 第一実施形態の潜水式海洋資源揚鉱装置で深海の非レアアース泥堆積層の下部に分布するレアアース泥堆積層からレアアースを選鉱回収する工程(第二揚鉱例)の説明図である。 第一実施形態の潜水式海洋資源揚鉱装置で深海の非レアアース泥堆積層の下部に分布するレアアース泥堆積層からレアアースを選鉱回収する工程(第二揚鉱例)の説明図である。 第一実施形態の潜水式海洋資源揚鉱装置で深海の非レアアース泥堆積層の下部に分布するレアアース泥堆積層からレアアースを選鉱回収する工程(第二揚鉱例)の説明図である。 第一実施形態の潜水式海洋資源揚鉱装置で貯鉱室にレアアース吸着エマルションを貯鉱し海上へ浮上する工程の説明図である。 本発明に係る海洋資源揚鉱装置の第二実施形態を示す説明図であり、同図では、海中の海洋資源揚鉱装置を短軸軸線に沿った断面で示している。 第二実施形態の海洋資源揚鉱装置に装備されるねじポンプの部分の説明図であり、同図は図8のB部を拡大図示している。 第二実施形態の潜水式海洋資源揚鉱装置で海底に直接露出しているレアアース泥を選鉱回収する工程(第一揚鉱例)の説明図である。 第二実施形態の潜水式海洋資源揚鉱装置で深海の非レアアース泥堆積層の下部に分布するレアアース泥堆積層からレアアースを選鉱回収する工程(第二揚鉱例)の説明図である。 第二実施形態の潜水式海洋資源揚鉱装置で深海の非レアアース泥堆積層の下部に分布するレアアース泥堆積層からレアアースを選鉱回収する工程(第二揚鉱例)の説明図である。 第二実施形態の潜水式海洋資源揚鉱装置で深海の非レアアース泥堆積層の下部に分布するレアアース泥堆積層からレアアースを選鉱回収する工程(第二揚鉱例)の説明図である。 第二実施形態の潜水式海洋資源揚鉱装置で貯鉱室にレアアース吸着エマルションを貯鉱し海上へ浮上する工程の説明図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。各実施形態は、深海に存在するレアアース泥等の海洋資源の揚鉱技術として、従来のポンプリフト方式やエアリフト方式に替わる、潜水式の海洋資源揚鉱装置およびこれを用いたに海洋資源の揚鉱方法の例である。
なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す各実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
[第一実施形態]
まず、本発明に係る海洋資源揚鉱装置の第一実施形態について図1〜図7を適宜参照しつつ説明する。
図1に示すように、第一実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aは、殻壁が扁平な卵型をした中空形状の貯鉱ケーシング3と、貯鉱ケーシング3内の中心部に略垂直に支持されたダウンホールモータ2とを備える。貯鉱ケーシング3の殻壁は、例えばステンレス鋼板を用いた溶接構造によって製作される。また、貯鉱ケーシング3内には、必要に応じて適所に補強リブ等の補強構造が設けられる。この海洋資源揚鉱装置100Aは、海中の採鉱位置への潜水および海上の浮上位置への浮上が自ら可能に構成され、後述する混合物Maを海上まで揚鉱する混合物回収部を構成する。
詳しくは、貯鉱ケーシング3は、卵型殻壁の長軸方向を水平とし短軸方向を上下とする潜航姿勢で海中に配備される。貯鉱ケーシング3の外面には、短軸軸線の殻壁周囲に複数のスラスタ4が付設されている。この例は、周方向に90°に離隔する位置に、4基のスラスタ4が付設されている。
各スラスタ4は、貯鉱ケーシング3の内面側から固定された回動機構部4cと、回動機構部4cから貯鉱ケーシング3の外部に水平に張り出す回動軸4dと、回動軸4dの先端に固定されたスラスタ本体4bと、スラスタ本体4bの駆動モータの駆動により回転駆動されるスクリュー4aとを有する。
これにより、各スラスタ4は、回動機構部4cの駆動してスラスタ本体4bを回動させることにより、スクリュー4aの向きを上方、下方、および水平方向の左右並びに斜めの向きに、スラスタ本体4bの姿勢制御が可能である。そして、回動機構部4cによるスラスタ本体4bの姿勢制御後、その位置でスラスタ本体4bに内蔵された駆動モータの駆動によりスクリュー4aを回転させて推進力を得ることが可能になっている。
また、貯鉱ケーシング3の殻壁外面3gには、下部中央に開口する採鉱口3bが設けられている。さらに、貯鉱ケーシング3の殻壁外面3gには、下部の採鉱口3bの側方に、下方に向けて配置された超音波センサ6が複数配置されている。貯鉱ケーシング3の殻壁内には、各スラスタ4の駆動部近傍に、各スラスタ4を駆動するためのバッテリ5がそれぞれ配置されている。さらに、貯鉱ケーシング3の内部には、貯鉱ケーシング3の短軸中心と並行にスライドガイド軸16が配置されており、スライドガイド16軸に沿って昇降装置8がスライド移動可能に設けられている。
昇降装置8の昇降機構は、例えばラックアンドピニオン機構を採用できる。具体的には、スライドガイド16軸に形成された不図示のラックと、このラックに歯合するように昇降装置8の内部に設けられた不図示の駆動ピニオンと、この駆動ピニオンを回転駆動するように昇降装置8の内部に設けられた不図示の駆動モータとを有し、駆動モータの駆動により、スライドガイド16軸に沿って昇降装置8を昇降可能である。
昇降装置8の本体部は、側方に張り出す支持腕8uを有し、支持腕8uの端部に、集鉱装置101の上部側面が固定されている。集鉱装置101は、集鉱管102と、集鉱管102の下端に設けられた集鉱ホッパ103とを有する。
図2に要部を拡大図示するように、集鉱装置101は、下端部が、下方に向けて拡径する集鉱ホッパ103とされている。集鉱ホッパ103は下方に向けて開口しており、この開口部分が、後述するレアアース泥Drの吸込口になっている。集鉱ホッパ103の上部が集鉱管102に連通して集鉱装置101が構成されている。集鉱管102は、中空円筒状の管路であり、その上端部が貯鉱ケーシング3の内部に開口している。
図1に示すように、貯鉱ケーシング3の短軸軸線方向の殻壁上部には甲板15が水平に設けられている。甲板15の中央には、駆動流体供給ホース7を接続するための駆動流体供給用カップラ38が設けられている。また、駆動流体供給用カップラ38の側方には、貯鉱ケーシング3の内部の貯鉱室3aに貯鉱されたアパタイト吸着エマルションである混合物Maを洋上で回収するための回収用カップラ40が設けられている。
この海洋資源揚鉱装置100Aは、駆動流体供給用カップラ38に、長尺で可撓性を有する駆動流体供給ホース7が海上に停泊する海洋資源回収船1から接続され、接続時には、海上に停泊する海洋資源回収船1まで海水が満たされた状態で延設される。
駆動流体供給ホース7は、海水注入用の第一駆動流体供給ホース7aと、エマルション注入用の第二駆動流体供給ホース7bとを有して構成される。駆動流体供給ホース7の先端は、駆動流体供給用カップラ38を介してダウンホールモータ2上部の連結ハウジング23に接続され、さらに、連結ハウジング23内の駆動流体導入路を介して、ダウンホールモータ2の駆動流体供給路13に駆動流体が選択的に導入される。
つまり、本実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aは、駆動流体Mとして、エマルションEmと海水Wを別々に注入できるように、ダウンホールモータ2の駆動流体供給路13に駆動流体Mを注入する駆動流体供給ホース7が2本配管されている。本実施形態では、海上の海洋資源回収船1には、海水圧送ポンプとエマルション圧送ポンプの2台の圧送ポンプが設置され、海水圧送ポンプには、海水注入用の第一駆動流体供給ホース7bが連結され、エマルション圧送ポンプには、エマルション注入用の第二駆動流体供給ホース7aが連結される。
本実施形態では、連結ハウジング23内の駆動流体導入路として、図2に示すように、連結ハウジング23内部の海水注入用の第一駆動流体供給管23bと、エマルション注入用の第二駆動流体供給管23aとがダウンホールモータ2の第一シャフト20の軸線と並行に所定距離離隔して貯鉱ケーシング3内部までそれぞれ配管されている。第一駆動流体供給管23bは、駆動流体供給用カップラ38を介して海水注入用の第一駆動流体供給ホース7bに接続され、第二駆動流体供給ホース7aは、駆動流体供給用カップラ38を介してエマルション注入用の第二駆動流体供給ホース7aに接続される。
さらに、図1に示すように、甲板15上には、この海洋資源揚鉱装置100Aを制御するコントローラ9が耐圧容器内に装備されている。コントローラ9は、バッテリ5からの電源で稼働されるマイクロコンピュータを含む情報処理装置であり、自動制御のプログラムまたは洋上からのオペレータの操作に応じて、所定の採鉱処理を実行可能に構成される。また、コントローラ9は、所定の採鉱処理の実行に際し、上述のスラスタ4の回動および回転制御、超音波センサ6による潜航位置情報の取得制御、昇降装置8の昇降動作の制御等を含む必要な揚鉱処理を実行する。
例えば所定の揚鉱処理として、コントローラ9は、海洋資源揚鉱装置100A自身を海上から海中の採鉱位置まで潜水させる潜水処理を実行する。潜水処理では、コントローラ9は、複数の超音波センサ6から取得する潜航位置情報およびコントローラ9内に設けられた姿勢センサから取得する姿勢情報等に基づき、4基のスラスタ4を駆動して、水平姿勢を維持しつつ所期の深度の採鉱位置まで潜航する。
採鉱位置に潜水後には、コントローラ9は、解泥工程監視処理を実行する。解泥工程監視処理では、コントローラ9は、ダウンホールモータ2を駆動させて、ビット90による掘削力とノズル91から噴射されるエマルションEmの流体力とで泥質堆積層中のレアアース泥Drを解泥する解泥工程が円滑に行われているか否かを監視する(例えば図3参照)。
解泥工程が円滑に行われているか否かの判断は、例えば駆動流体供給用カップラ38に付設された圧力計から駆動流体の供給圧情報を取得し、その供給圧に所定を超えるような変動の有無を監視することにより判定できる。
さらに、コントローラ9は、解泥工程の監視とともに、混合工程監視処理を実行する。コントローラ9は、混合工程監視処理では、解泥されたレアアース泥DrとエマルションEmとを混合してレアアースを吸着結合したエマルションの混合物Maとする混合工程が円滑に行われているか否かを監視する。
また、コントローラ9は、混合工程の監視とともに、貯留工程監視処理を実行する。コントローラ9は、貯留工程監視処理では、混合物Maを貯鉱室3aに導き、貯鉱室3aに混合物Maを貯留する貯留工程が円滑に行われているか否かを監視する。
混合工程および貯留工程が円滑に行われているか否かの判断は、例えば中性浮力の管理情報に基づいて判定することができる。つまり、潜航直後は、貯鉱ケーシング3の内部には海水が満たされている。そのため、中性浮力を維持するためには、4基のスラスタ4による姿勢制御の出力が比較的に大きくなる。
これに対し、貯鉱ケーシング3の内部にエマルションの混合物Maが貯留されるにつれ、混合物Maの比重が海水よりも軽いことから、4基のスラスタ4による中性浮力の維持が次第に容易となる。よって、中性浮力の維持に要する電力を監視することにより、混合工程および貯留工程が円滑に行われているか否かの判断が可能である。
さらに、コントローラ9は、貯留後に、浮上処理を実行する。浮上処理では、コントローラ9は、海洋資源揚鉱装置100A自身を海上の浮上位置に浮上させる。また、浮上後には、混合物Maを回収する混合物回収工程を監視する回収工程監視処理を実行する。浮上処理では、コントローラ9は、複数の超音波センサ6から取得する浮上位置情報およびコントローラ9内に設けられた不図示の姿勢センサから取得する姿勢情報等に基づき、4基のスラスタ4を駆動して、水平姿勢を維持しつつ海上の浮上位置まで浮上する。
図2に示すように、集鉱装置101の筒内には、掘削用のビット90が装着されたダウンホールモータ2が集鉱管102と略同軸に配置される。ダウンホールモータ2は、中空円筒状のハウジング10を備える。本実施形態では、連結ハウジング23の先端部分が、ダウンホールモータ2のハウジング10を構成する上部ハウジング11の基端部と一体に接続されている。
ビット90は、貯鉱ケーシング3下部の採鉱口3bから下方に張り出す位置に設けられている。採鉱口3bからのビット90の張り出し長さ(つまり、ハウジング10の長さ)は、後述する非レアアース泥堆積層DNの見込み厚さの分を見込んで設定される。なお、ダウンホールモータ2の軸方向の位置を調整可能に構成することは好ましい。
ダウンホールモータ2は、その先端側が集鉱ホッパ103の下部開口に臨むように配置される。ビット90の位置は、集鉱ホッパ103の下端から張り出している。これにより、ダウンホールモータ2は、駆動流体供給ホース7から連結ハウジング23を介して上部ハウジング11内の駆動流体供給路13に高圧の駆動流体Mが供給されると、ビット90でレアアース泥床ODを掘削しつつ、レアアース泥床ODから掘削したレアアース泥Drを海水Wとともに集鉱ホッパ103から集鉱装置101内に導くようになっている。
詳しくは、本実施形態のハウジング10は、上部ハウジング11と、上部ハウジング11の下端に同軸に装着された中空円筒状の下部ハウジング12とを有する。ダウンホールモータ2は、使用時には、ハウジング10の軸線を上下方向として海中に配備される。ハウジング10は、内部が軸方向に沿って貫通しており、上端部および下端部にそれぞれ開口を有している。
ハウジング10の上部開口に連通する駆動流体流路が、駆動流体Mをダウンホールモータ2に導入する駆動流体供給路13になっている。本実施形態では、上述したように、駆動流体Mとして、高圧の海水Wおよび高圧のエマルションEmが、駆動流体供給ホース7から連結ハウジング23を介して駆動流体供給路13に選択的に導入される。
上部ハウジング11の下端には、インロー凸部11tが設けられ、下部ハウジング12の上端には、インロー凹部12dが設けられている。インロー凸部11tとインロー凹部12dとは、インロー嵌合され、その状態で相互が連結されている。そして、上部ハウジング11には、第一シャフト20が回転自在に支持され、下部ハウジング12には、第二シャフト30が回転自在に支持されている。
上部ハウジング11は、軸方向での下部の位置に、第一シャフト支持部51が設けられている。第一シャフト支持部51は、複数の軸受51jと、複数の軸受51jを上下の軸方向から自身の鍔部で挟持するようにそれぞれ装着される第一のブシュ41および第二のブシュ42と、第一のブシュ41の内周面と第一シャフト20の基端部21の外周面との間に介装された第一のシール61と、第二のブシュ42の内周面と第一シャフト20の基端部21の外周面との間に介装された第二のシール62と、下部開口に装着される円環状の支軸部キャップ82と、を有する。
第一シャフト支持部51は、上記インロー嵌合による連結時に、上部ハウジング11内の凹の段部に装着された複数の軸受51jおよびその両側の二つのブシュ41、42が、上部ハウジング11の下部開口部に装着された支軸部キャップ82によって軸方向に挟圧されることにより、装着状態が保持される。
その装着状態において、第一シャフト支持部51は、上部ハウジング11の軸線に対して所定の偏心距離Eだけ偏心した位置に第一シャフト20の基端部21を支持するように複数の軸受51jが軸線方向に沿って配置され、複数の軸受51jを介して第一シャフト20の基端部21を回転自在に支持する。第一シャフト支持部51の複数の軸受51jの両側は、第一のシール61および第二のシール62により、第一シャフト20の基端部21の外周面と上部ハウジング11の内周面との間がシールされる。
下部ハウジング12には、軸方向の上下に離隔して、二つの第二シャフト支持部52、53が設けられている。上部側を支持する第二シャフト支持部52は、複数の軸受52jと、複数の軸受52jを軸方向の上方から自身鍔部で挟持するように装着される第三のブシュ43と、第三のブシュ44の内周面と第二シャフト30の外周面との間に介装された第三のシール63と、を有して構成されている。
また、下部側を支持する第二シャフト支持部53は、複数の軸受53jと、複数の軸受53jを軸方向の下方から自身鍔部で挟持するように装着される第四のブシュ44と、第四のブシュ44の内周面と第二シャフト30の外周面との間に介装された第四のシール64と、円環状のフロントキャップ81と、を有して構成されている。
第二シャフト30の外周面には、軸方向の中央部に、凸の段部31mが形成されており、上下の軸受52j、53jの凸の段部31m側の側面が、凸の段部31mの側面に当接するように装着されるとともに、下部ハウジング12の下部開口部に装着されたフロントキャップ81の装着によって軸方向に挟圧されることにより、装着状態が保持される。なお、フロントキャップ81は、図示しない複数の埋め込みボルトにより下方から固定される。
その装着状態において、上下の第二シャフト支持部52、53は、下部ハウジング12の軸線に対して同軸となる位置に第二シャフト30の外周面を支持するように、複数の軸受52j、53jが軸線方向に沿って配置され、複数の軸受52j、53jを介して第二シャフト30の外周面を回転自在に支持する。
また、第二シャフト支持部52、53の複数の軸受52j、53jの上下の側は、第三のシール63および第四のシール64により、第二シャフト30の外周面と下部ハウジング12の内周面との間がシールされる。なお、本実施形態では、各シャフト20、30を支持する複数の軸受51j、52j、53jに、スラスト荷重およびラジアル荷重を受ける深溝玉軸受を使用しているが、これに限定されず、種々の軸受を用いることができる。
ここで、本実施形態のダウンホールモータ2は、上述した下部ハウジング12内に、流体モータ機構を構成する駆動機構部70が設けられている。
詳しくは、第一シャフト20は、上記基端部21と、基端部21の先端側に形成されたインナロータ部22とを一体に有して構成されている。基端部21の上面には、上述した駆動流体供給路13に連通して、基端部21の軸方向に沿って駆動流体導入路25が形成されている。基端部21の駆動流体導入路25は、基端部21とインナロータ部22との境となる位置まで延設されている。
そして、基端部21とインナロータ部22との境となる位置には、複数の駆動流体導出口24が、駆動流体導入路25の先端部と下部ハウジング12の内部とを連通するように径方向に形成されている。つまり、第一シャフト20には、駆動流体供給路13側から順に連通形成された、連結ハウジング23内部の駆動流体供給路13、駆動流体導入路25および駆動流体導出口24によって、自身基端側の連結ハウジング23内部の第一駆動流体供給管23bまたは第二駆動流体供給管23aから導入された駆動流体Mを自身先端側の駆動流体導出口24から吐出可能な駆動流体流路が設けられている。
さらに、インナロータ部22は、第一シャフト20の基端部21の先端から軸方向に沿って同軸に下方に向けて垂下された状態で延設され、その延設された部分に、雄ねじ状の外周面を有している。一方、第二シャフト30は、金属製で中空円筒状をなす外筒31と、外筒31内に配置されたゴム製のアウタロータ部32とを一体にして構成され、アウタロータ部32は、雌ねじ状の内周面を有している。
本実施形態の駆動機構部70は、内周面に(N+1)条雌ねじを有するアウタロータ部32と、外周面にN条雄ねじを有するインナロータ部22とを備える。そして、アウタロータ部32の回転軸線CL2に対し、インナロータ部22の回転軸線CL1は、相互の軸心が所定の偏心距離Eだけ離れた平行な2軸となるように配置され、インナロータ部22とともにアウタロータ部32が、N/(N+1)の回転角度で連れ回り駆動可能に構成されている。但し、Nは1以上の自然数である。
本実施形態の例では、駆動機構部70は、インナロータ部22の螺旋部22rが、左巻き2条雄ねじになっており、アウタロータ部32の螺旋部32rの形状が、120度間隔の頂点を有する横断面が3角リング形状の左巻き3条雌ねじになっている。そしてインナロータ部22外周面の螺旋部22rがアウタロータ部32の螺旋部32rに内装され、相互の隙間には、駆動に応じて独立した密閉空間とされるキャビティKが軸方向の複数個所に画成されている。
第二シャフト30の先端には、掘削用のビット90が装着される。本実施形態では、第二シャフト30の外筒部31の先端は、フロントキャップ81よりも下部ハウジング12の下方に張り出してビット装着部33とされている。ビット装着部33の外周面には、ビット90を接続可能な雄ねじが形成され、ビット90は、自身基端部が第二シャフト30先端のビット装着部33に接続される。
ビット90の下面には、駆動流体Mを吐出するノズル91が、中央部から放射状に複数に分岐して開口しており、複数のキャビティKを経た高圧の駆動流体Mをノズル91から噴射可能になっている。なお、ノズル91を設ける位置は、本実施形態のようにビット90自体に形成する他、ビット90の近傍に設けることができる。
これにより、このダウンホールモータ2は、インナロータ部22とアウタロータ部32とが、インナロータ部22の回転軸線CL1とアウタロータ部32の回転軸線CL2とを並列に且つ所定の偏心距離Eだけ離してそれぞれ回転自在に支承される。そして、このダウンホールモータ2を駆動するときは、インナロータ部22と一体の第一シャフト22内部に連通形成された駆動流体流路を介して駆動機構部70の上部の位置31uに駆動流体Mを導入し、インナロータ部22とアウタロータ部32とで画成されるキャビティKに高圧の駆動流体Mを流し込む。
これにより、このダウンホールモータ2は、ねじポンプの原理(逆作動)でインナロータ部22とアウタロータ部32とが所定比率で回転され、アウタロータ部32と一体の第二シャフト30を回転部として回転駆動し、その外筒部31を延設してなるビット装着部33に装着されたビット90を回転しつつ、ビット90の回転による掘削力と、ビット90のノズル91から噴射される海水WまたはエマルションEmの流体力とによってレアアース泥床ODの泥質堆積層を解泥可能になっている。なお、本実施形態では、レアアース泥床ODの泥質堆積層を解泥する掘削装置としてダウンホールモータを例に説明したが、これに限らず、レアアース泥床ODの泥質堆積層を解泥可能な掘削装置であれば、種々の掘削装置を採用できる。
さらに、ダウンホールモータ2の外周には、複数の攪拌翼212〜217を有する攪拌部218が設けられている。本実施形態の攪拌部218は、ビット90の基端部と一体に形成された中空円筒状の攪拌軸200を有する。攪拌軸200は、ハウジング10の外周面を囲繞するようにハウジング10と同軸に配置される。攪拌軸200は、ハウジング10との間に軸受201が介装され、ハウジング10と干渉することなく、回転部である第二シャフト30と一体で回転するように構成されている。
本実施形態の攪拌部218は、複数の攪拌翼として、6枚の攪拌翼212〜217を有する。各攪拌翼212〜217は、中心部がそれぞれ攪拌軸200と一体に設けられ、相互が軸方向上下に離隔配置されている。各攪拌翼212〜217は、攪拌軸200の中心から径方向に放射状に延びる複数の羽根を有する。
第一実施形態の攪拌部218は、所定方向に回転駆動されると、上方に配置された第一から第三攪拌翼212〜214は下降流を形成し、下方に配置された第四から第六攪拌翼215〜217は上昇流を形成するようになっている。これにより、ダウンホールモータ2が駆動されると、第二シャフト30の回転とともに、6枚の攪拌翼212〜217をも同時に回転し、所期の攪拌動作が行えるようになっている。なお、第一攪拌翼212が上昇流を形成するように構成してもよい。
次に、第一実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aの動作並びにこれを用いた海洋資源の揚鉱方法について説明する。
[第一実施形態:第一の揚鉱例]
まず、図3に示す、海底に直接露出しているレアアース泥堆積層Dからレアアース泥Drを選鉱回収する第一の揚鉱例について説明する。
レアアース泥Drを選鉱回収する際は、まず、図1に示すように、海洋資源回収船1を目的とする海域の海上に停泊し、次いで、上述の海洋資源揚鉱装置100Aを海洋資源回収船1から海中に降ろし潜航させる。このとき、第一実施形態では、貯鉱ケーシング3の貯鉱室3aには、海水Wを満たした状態で潜航させる。海洋資源揚鉱装置100Aは、コントローラ9の潜航処理に基づき、海中のレアアース泥床ODの所期の位置に自ら潜航して配置につく。貯鉱ケーシング3、駆動流体供給ホース7およびダウンホールモータ2の各配管内には、海底に配備される当初は海水Wが満たされる。
海洋資源揚鉱装置100Aでの揚鉱は、所期の位置において、図3に示すように、昇降装置8の昇降作動により、貯鉱ケーシング3の集鉱ホッパ103をレアアース泥床ODに対向させる。ダウンホールモータ2は、ビット90が集鉱ホッパ103の下端から張り出しているので、ビット90をレアアース泥床ODに押し当てる位置に配備する。中性浮力はスラスタ4の適宜駆動により維持される。
この例の海洋資源揚鉱装置100Aでの揚鉱作業では、を駆動流体供給ホース7の第二駆動流体供給ホース7aには、駆動流体Mとして、海洋資源回収船1に装備された、不図示のエマルジョン供給ポンプを介してエマルジョン供給槽に接続される。そして、海洋資源回収船1から、海洋資源揚鉱装置100Aに対し、第二駆動流体供給ホース7aから連結ハウジング23を介して駆動流体Mとして高圧のエマルションEmを導入する。
本実施形態では、駆動流体Mとして、油としてケロシンを用いるとともに界面活性剤としてドデシルスルホン酸ナトリウムを用いてエマルションEmを作り、このエマルションEmを駆動流体供給ホース7から連結ハウジング23を介してダウンホールモータ2に駆動流体Mとして供給する(以下、他の揚鉱例において同様)。
上記のように配置された海洋資源揚鉱装置100Aにおいて、作業時には、ダウンホールモータ2には、高圧の駆動流体MとしてエマルションEmが上記駆動流体供給路13から導入され、第一シャフト20の駆動流体導入路25を介して駆動流体導出口24から導出されて駆動機構部70の上部の位置31uに供給される(図2の符号M1)。
さらに、高圧の駆動流体Mは、インナロータ部22とアウタロータ部32との対向空間に画成された複数のキャビティKに順次に導入される。これにより、駆動機構部70は、キャビティKに作用する駆動流体Mの導入圧により、インナロータ部22とアウタロータ部32とが所定比率で連れ回りを開始する。
つまり、駆動機構部70において、駆動流体Mの導入圧が第二シャフト30の回転駆動力に変換される。駆動機構部70で第二シャフト30が回転駆動すると、第二シャフト30の先端に設けられたビット90が共に回転する。駆動流体供給路13から導入された駆動流体Mは、駆動機構部70の下部の位置31sを経て(図2の符号M2)、ビット90先端のノズル91から装置外に噴射される(図2の符号M3)。
これにより、この海洋資源揚鉱装置100Aは、図3に示すように、ビット90の回転による掘削力と、ビット90のノズル91から噴射されるエマルションEmの流体力とによってレアアース泥床ODのレアアース泥Drを解泥できる。そして、この海洋資源揚鉱装置100Aでは、ビット90が回転駆動されると、ビット90の上部の位置にビット90と一体に設けられた攪拌部218の複数の攪拌翼212〜217が共に回転する。
これにより、ビット90および攪拌部218の複数の攪拌翼212〜217の回転による流れに導かれ、解泥されたレアアース泥Drおよびその周囲の海水WがエマルションEmとともに集鉱ホッパ103内に送り込まれる(図2の符号M4)。
さらに、第一実施形態では、集鉱ホッパ103下部の複数の攪拌翼215〜217が上昇流を形成しているので、集鉱ホッパ103の下部に導かれたレアアース泥Drは、攪拌されつつ集鉱ホッパ103の上方に移動していく。一方、集鉱ホッパ103上部の複数の攪拌翼212〜214が下降流を形成しているので、集鉱ホッパ103上部のエマルションEmは、攪拌されつつ集鉱ホッパ103の下方に移動していく。なお、集鉱ホッパ103の高さは、昇降装置8の駆動により適切な位置に配置することが好ましい。
集鉱ホッパ103内に導入されたレアアース泥DrとエマルションEmは、集鉱ホッパ103内で相互に混合される。そして、レアアース泥DrがエマルションEmに接触することにより、レアアース元素が濃集したアパタイトがエマルションEmに吸着される。これにより、海中で液液分離された混合物Maとしてアパタイト吸着エマルションが生成される。
海洋資源揚鉱装置100Aが引き続き駆動されると、集鉱ホッパ103内の混合物Ma(アパタイト吸着エマルション)は、次第に集鉱ホッパ103上部の集鉱管102の端部まで満たされていく。そして、集鉱ホッパ103から集鉱管102の上部に行くほど、第一攪拌翼212による下降流の力が弱くなる。
そのため、上部の集鉱管102にて集鉱ホッパ103から一定の距離を超えて移動した混合物Maは、海水Wとの比重差によって自ら集鉱管102内で浮上を開始する。なお、第一攪拌翼212が上昇流を形成するように構成すれば、浮上を開始させるタイミングを調整することができる。そして、集鉱管102の上部は、貯鉱ケーシング3内の上部近傍に開口しているため、図3に示すように、本実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aによれば、浮上を開始した混合物Maを、貯鉱ケーシング3の貯鉱室3a内に貯鉱することができる。
以降、ビット90の張り出し長さに応じた所定の掘削深度まで掘削後、図3に示すように、スラスタ4による水平方向へのフィード動作F1により、所定の掘削深度での採鉱を継続する。本実施形態では、スラスタ4を水平方向に回動させた姿勢で推進駆動することで、貯鉱ケーシング3と共にダウンホールモータ2を一体で水平方向に平行移動させながらレアアース泥床ODからレアアース泥Drを連続的に採鉱することができる。
そして、駆動流体として供給されるエマルションEmは、海水よりも比重が軽く、また、このエマルションEmとレアアース泥Drとが結合された混合物Maも海水よりも比重が軽いものにすることができる。そのため、この海洋資源揚鉱装置100Aによれば、図7に示すように、エマルションEmにレアアース泥Drを吸着させた混合物Maを貯鉱ケーシング3の貯鉱室3a内で海水と置換させて充填させることができる。
ここで、海洋資源揚鉱装置100A全体の質量を適切に調整すれば、浮上に際しては、貯鉱室3aに充填させるレアアース泥を吸着させた混合物Maの比重が海水よりも軽いので、中性浮力またはそれよりも浮力を大きく設定することができる。よって、貯鉱室3aに混合物Maを充填後には、推進力が小さいスラスタ4であっても容易に海洋資源揚鉱装置100A自らを浮上することができる。なお、図7に示す符号F6は、混合物Maを貯鉱室3aに貯留後に、海洋資源揚鉱装置100A自らを海上の浮上位置に浮上させるイメージを示している。
そして、海上の浮上位置に浮上後に、回収用カップラ40に回収用ホースを接続して、貯鉱ケーシング3内の貯鉱室3aから、エマルションにレアアース泥を吸着させた混合物Maを容易に回収することができる。よって、上記特許文献1ないし2に記載の技術と比べて、海上から海底までのライザー管等の揚鉱用配管の延設が不要である。また、エネルギー効率を向上させることができる。
[第一実施形態:第二の揚鉱例]
次に、海底のレアアース泥床ODにて、レアアース泥Drの堆積層Dが露出しておらず、非レアアース泥堆積層DNの下部に分布するレアアース泥堆積層Dからレアアース泥Drを選鉱回収する第二の揚鉱例について説明する。
この場合、海洋資源揚鉱装置100Aでの揚鉱は、第一の揚鉱例同様に潜水後、所期の採鉱位置において、図4に示すように、貯鉱ケーシング3をレアアース泥床ODに対向させる。ダウンホールモータ2は、ビット90が貯鉱ケーシング3の下端から張り出しているので、ビット90をレアアース泥床ODに押し当てる位置に配備する。第二の揚鉱例では、昇降装置8の昇降動作により、集鉱装置101はレアアース泥床ODの上方に離隔されている。そして、本実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aでの揚鉱作業では、駆動流体Mとして、まず、海水圧送ポンプの駆動により、駆動流体供給ホース7の海水注入管である第一駆動流体供給ホース7bからダウンホールモータ2に海水Wが注入される。
これにより、作業時には、ダウンホールモータ2には、高圧の海水Wが駆動流体供給ホース7から駆動流体供給路13を介してダウンホールモータ2に導入され、第一シャフト20の駆動流体導入路25を介して駆動流体導出口24から導出されて駆動機構部70の上部の位置31uに海水Wが駆動流体Mとして供給される。
さらに、高圧の駆動流体Mは、インナロータ部22とアウタロータ部32との対向空間に画成された複数のキャビティKに順次に導入される。これにより、駆動機構部70は、キャビティKに作用する駆動流体Mの導入圧により、インナロータ部22とアウタロータ部32とが所定比率で連れ回りを開始する。
これにより、図4に示すように、高圧の海水Wをダウンホールモータ2に注入することでビット90を回転させ、レアアース泥堆積層Dの上に堆積している非レアアース泥堆積層DNに竪穴を掘削して非レアアース泥Dxを除去することができる(非レアアース泥除去工程)。なお、同図に示す符号F2の矢印は、ビット90を回転させつつ、海洋資源揚鉱装置100A全体の軸方向のフィード位置をスラスタ4により調整して非レアアース泥Dxを除去するイメージを示している。
そして、レアアース泥堆積層Dにビット90が到達した後は、海水圧送ポンプを停止するとともにエマルション圧送ポンプを起動させ、駆動流体供給ホース7のエマルション注入管である第二駆動流体供給ホース7aを通して高圧のエマルションEmを駆動流体Mとしてダウンホールモータ2に注入する。その際、昇降装置8の駆動により、集鉱ホッパ103でビット90の周囲を覆うように、貯鉱ケーシング3の軸方向の位置を必要に応じて調整する。
これにより、図5に示すように、ビット90を回転させるとともにノズル91からエマルションEmを噴射してレアアース泥Drを解泥することができる(レアアース泥解泥工程)。なお、同図に示す符号F3の矢印は、貯鉱ケーシング3全体の上下方向の位置を調整して解泥されたレアアース泥Drを集鉱ホッパ103に収容するイメージを示している。また、同図に示す符号F4の矢印は、昇降装置8の駆動により、集鉱ホッパ103でビット90で掘削された竪穴の周囲を覆うように、貯鉱ケーシング3の軸方向の位置を調整するイメージを示している。
引き続き、高圧のエマルションEmをダウンホールモータ2に注入することでビット90を回転させ、レアアース泥堆積層Dにてレアアース泥Drの掘削および解泥作業を継続する(レアアース泥解泥工程)。さらに、ビット90と一体になったビット上部の攪拌部218により、解泥されたレアアース泥DrとエマルションEmとを集鉱ホッパ103の内部で攪拌しつつ、集鉱ホッパ103の内部で、ビット上部に浮上したレアアース泥DrとエマルションEmとを混合する(攪拌混合工程)。
すなわち、第一実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aでは、ビット90が回転駆動されると、ビット90の上部の位置にビット90と一体に設けられた攪拌部218の複数の攪拌翼212〜217が共に回転する。これにより、ビット90および複数の攪拌翼212〜217の回転による流れに導かれ、解泥されたレアアース泥Drおよびその周囲の海水WがエマルションEmとともに集鉱ホッパ103内に送り込まれる。
さらに、集鉱ホッパ103下部の攪拌翼215〜217が上昇流を形成しているので、集鉱ホッパ103の下部に導かれたレアアース泥Drは、攪拌されつつ集鉱ホッパ103の上方に移動していく。一方、集鉱ホッパ103上部の攪拌翼212〜214が下降流を形成しているので、集鉱ホッパ103上部のエマルションEmは、攪拌されつつ集鉱ホッパ103の下方に移動していく。
集鉱ホッパ103内に導入されたレアアース泥DrとエマルションEmは、集鉱ホッパ103内で相互に混合される。そして、レアアース泥DrがエマルションEmに接触することにより、レアアース元素が濃集したアパタイトがエマルションEmに吸着される。これにより、海中で液液分離された混合物Maとしてアパタイト吸着エマルションが生成される。昇降装置8の駆動により集鉱ホッパ103の高さを調整することが好ましい。
海洋資源揚鉱装置100Aが引き続き駆動されると、集鉱ホッパ103内の混合物Ma(アパタイト吸着エマルション)は、次第に集鉱ホッパ103上部の集鉱管102の端部まで満たされていく。集鉱ホッパ103から集鉱管102の上部に行くほど、攪拌翼212〜214による下降流の力が弱くなる。
そのため、上部の集鉱管102にて集鉱ホッパ103から一定の距離を超えて移動した混合物Maは、海水Wとの比重差によって自ら集鉱管102内で浮上を開始する。なお、レアアース泥Dr中のアパタイトを吸着したエマルションEmは、海水W中でエマルション油滴が合体し、集鉱管102において油滴径が大きくなる。
これにより、本実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aによれば、貯鉱ケーシング3下部に設けられた集鉱ホッパ103で、レアアース泥Drを吸着結合したアパタイト吸着エマルションである混合物Maを集鉱管102を介して貯鉱ケーシング3内部の貯鉱室3aに導き、海水よりも比重が軽い混合物Maをその比重差を利用して貯鉱室3aに貯留することができる(混合物貯留工程)。
以降、所定深度までの掘削・解泥および貯留がなされた後は、スラスタ4の上昇作動により海洋資源揚鉱装置100Aとともにダウンホールモータ2を海底面の上方へ引き上げ(ダウンホールモータ引き上げ工程)、その後、図6に示すように、スラスタ4での水平方向へのフィード動作F5により、貯鉱ケーシング3と貯鉱ケーシング下部に設置された集鉱ホッパ103およびダウンホールモータ2を全体的に平行移動させる(平行移動工程)。
そして、平行移動後に、再度、上記非レアアース泥除去工程からダウンホールモータ引き上げ工程に至る一連の工程を繰り返す。このようにして、本実施形態によれば、図6に示すように、断続的に深海の非レアアース泥堆積層DNの下部に分布するレアアース泥堆積層Dからレアアース泥Drを効率良く選鉱回収することができる。
そして、駆動流体Mとして供給されるエマルションEmは、海水よりも比重が軽く、また、このエマルションEmとレアアース泥Drとが結合された混合物Maも海水よりも比重を軽くすることができる。そのため、図7に示したように、エマルションにレアアース泥を吸着させた混合物Maを貯鉱ケーシング3の下部に設けられた採鉱口3bから貯鉱室3a内に導入し、その混合物Maを海中で貯鉱室3aに充填後、海洋資源揚鉱装置100A自らを浮上させて混合物Maを洋上で回収できる。よって、上記特許文献1ないし2に記載の技術と比べて、海上から海底までのライザー管等の揚鉱用配管の延設が不要である。また、エネルギー効率を向上させることができる。
ここで、従来のポンプリフト方式やエアリフト方式では、深海の非レアアース泥堆積層の下部に分布するレアアース泥堆積層からレアアース泥を船上まで揚泥する場合、レアアース泥堆積層上部に堆積している非レアアース泥も船上まで揚泥するか、クローラドリル等で非レアアース泥堆積層を掘削排除した後に、レアアース泥を船上まで揚泥する必要があった。
これに対し、本実施形態の第二の揚鉱例によれば、海上の海洋資源回収船1から深海の海底まで延設配置された貯鉱ケーシング3の下部に集鉱ホッパ103を配置し、貯鉱ケーシング3内部に海上の海洋資源回収船1に設置された海水圧送ポンプとエマルション圧送ポンプの2台の圧送ポンプに連結された第一駆動流体供給ホース7b(海水注入管)と第二駆動流体供給ホース7a(エマルション注入管)の2本の流体注入管を並列配置し、2本の流体注入管の下部にダウンホールモータ2を配置した海洋資源揚鉱装置100Aを用いたので、クローラドリル等の設備も不要であり、深海の非レアアース泥堆積層DNの下部に分布するレアアース泥堆積層Dから効率的なレアアースDrの回収が可能となる。
次に、第一実施形態の海洋資源揚鉱装置10およびこれを用いた海洋資源の揚鉱方法の作用効果について説明する。
上述したように、第一実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aによれば、海底設備としては、貯鉱ケーシング3の集鉱ホッパ103内部に一台のダウンホールモータ2を設けるだけで、流体モータ機構を有する駆動機構部70の駆動により、ビット90の回転による掘削力とエマルションEmの噴射による流体力とでレアアース泥Drを解泥しつつ、集鉱ホッパ103内にて、ビット90上方の攪拌部218でレアアース泥Drと海水W及びエマルションEmを混合し、アパタイト吸着エマルションを混合物Maとして生成することができる。
そして、順次に生成された混合物Maを集鉱ホッパ103から集鉱管102へと移動させて混合物Maを安定させつつ、海水Wとの比重差によって自ら集鉱管102内を浮上させ、貯鉱ケーシング3の貯鉱室3a内で海水と置換させて充填させることができる。そして、貯鉱室3aに混合物Maを充填後には、海洋資源揚鉱装置100Aは、自ら浮上できるので、エマルションにレアアース泥を吸着させた混合物Maを容易に洋上に回収することができる。そのため、従来のポンプリフト方式やエアリフト方式で必要とする海上から海底までのライザー管等の揚鉱用配管の延設が不要である。
また、従来のポンプリフト方式では、深海からの揚泥には水深分の揚程を圧送する多大なエネルギーが必要となり、エアリフト方式では、エネルギー効率が悪く、ポンプリフト方式以上のさらなる多大なエネルギーが必要となるところ、第一実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aによれば、安定した運転性能を確保するとともに、揚鉱に要するエネルギーを大幅に削減可能なので、エネルギー効率を向上させることができる。
また、特許文献1に記載されるようなターボ形のポンプの場合、機器はかなり複雑な形状のため、深海(例えば水深6000m)の高圧下では、局部的形状や各部の肉厚に強度的に十分な考慮が必要となる。これに対し、本実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aであれば、貯鉱ケーシング3およびダウンホールモータ2が卵型形状や円筒形状のシンプルな形状のため、深海の高圧下での強度的対応に優位な形状である。よって、安定した運転性能を確保する上で好適である。
さらに、特許文献1に記載されるようなターボ形のポンプの場合、機器はかなり大型かつ複雑な形状のため、複数のポンプの、各号機相互の接続に大きな横幅を必要とする。これに対し、本実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aであれば、貯鉱ケーシング3が単純な卵型形状の上部に甲板を設けた構造であり、また、ダウンホールモータ2も単純な円筒形状のため、シンプルな配管接続が可能である。
そして、第一実施形態のダウンホールモータ2によれば、従来のダウンホールモータのような、高圧の駆動流体で作り出されたロータの回転力を、ユニバーサルジョイントを介してシャフトに伝達していた構成と比べて、アウタロータ部32の回転駆動にユニバーサルジョイントが不要なので、駆動機構部70の全長を短くしてコンパクトに構成できる。
また、第一実施形態のダウンホールモータ2によれば、アウタロータ部32の回転駆動にユニバーサルジョイントが不要なので、ユニバーサルジョイントやその連結用ロッドも不要なことから、これらの強度に依存するという問題も解消される。
また、インナロータ部22の回転よりも減速されたアウタロータ部32の回転力をビット90に直接伝達できる。そのため、第一シャフト20のトルクよりも大きな回転トルクを、第二シャフト30の先端に設けられたビット90に効率良く伝達可能なので、より高トルクに対応できる。
さらに、第一実施形態のダウンホールモータ2によれば、インナロータ部22の外径よりも大きなアウタロータ部32の外筒部31を支承する大きな軸受52j、53jを有する第二シャフト支持部52、53によって、ビット90に加わる負荷を受けることができる。そのため、駆動機構部70の全長をコンパクトに構成しつつも、より信頼性の高い海洋資源揚鉱装置100Aを提供できる。
[第二実施形態]
以下、第二実施形態として図8〜図14を適宜参照しつつ説明する。第二実施形態は、海上の海洋資源回収船から水中ケーブルで潜水式海洋資源揚鉱装置に電力を供給し、貯鉱室に設置したねじポンプを作動させる例である。
なお、第二実施形態では、ダウンホールモータ2Bを駆動する駆動機構が上記第一実施形態とは相違し、また、攪拌部218の攪拌翼215〜217の構成が相違するが、その他の構成は上記第一実施形態と同様なので、以下、相違点について説明し、上記第一実施形態と同様または対応する構成については同一の符号を付すとともに、その説明を適宜省略する。
図8に示すように、第二実施形態の海洋資源揚鉱装置100Bは、海上の海洋資源回収船1から水中ケーブル14が、コントローラ9の耐圧容器に接続され、水中ケーブル14を介して電源の供給および必要な通信が可能に構成されている。なお、第二実施形態の海洋資源揚鉱装置100Bは、海上の海洋資源回収船1からオペレータが遠隔操作を行うこともできる。
詳しくは、第二実施形態では、貯鉱ケーシング3には、上部の甲板15上の中央に電動機17が設けられている。貯鉱ケーシング3内には、甲板15の裏面側にねじポンプ300が電動機17の軸線と同軸に装備されている。ねじポンプ300は、中空円筒状のポンプハウジング301を有し、ポンプハウジング301の軸線を縦にしてその上端面が甲板15の裏面に固定されている。
図9に要部を拡大図示するように、ポンプハウジング301内には、インナロータ310とアウタロータ320とが内装されている。インナロータ310は、上方に設けられた円筒状のインナロータ支軸部311と、インナロータ支軸部311の下端に一体に連結された雄ねじ状外周面を有するインナロータねじ部312とを有する。
インナロータ支軸部311の上端は、電動機17の出力軸17jに駆動力を伝達可能に接続され、電動機17によって回転駆動されるようになっている。インナロータ支軸部311は、ポンプハウジング301の上部を構成するインナロータ支持部302内に、上下のインナロータ軸受313を介して回転自在に支持されている。上下のインナロータ軸受313の端面は、それぞれ支軸部シール314によってシールされている。
ポンプハウジング301の途中部分には、水平方向に開口する海水吸入口304と、エマルション吸入口305とが設けられている。海水吸入口304には、流路を開閉可能な電磁弁18bが介装された海水吸入管18が接続されている。また、エマルション吸入口305には、流路を開閉可能な電磁弁19bが介装されたエマルション吸入管19が接続されている。
電磁弁18b、19bが、ねじポンプ300から供給される噴射流体切換用の流路制御弁となっている。電磁弁18b、19bは、非レアアース泥堆積層DNを掘削時には、ダウンホールモータ2Bからの噴射流体として海水を供給し、レアアース泥堆積層Dを掘削時には、ダウンホールモータ2Bからの噴射流体としてエマルションEmを供給するように切り換えられる。
ポンプハウジング301は、海水吸入口304およびエマルション吸入口305よりも下部が、ねじポンプ部303とされている。ねじポンプ部303の内には、上記アウタロータ320が内装されている。アウタロータ320は、金属製で中空円筒状をなすアウタロータ外筒321と、アウタロータ外筒321内に設けられたゴム製の雌ねじ状内周面を有するアウタロータねじ部322とから構成される。アウタロータ320は、上下のアウタロータ軸受323を介して回転自在に支持されている。上下のアウタロータ軸受323の端面は、それぞれポンプ部シール324によってシールされている。
本実施形態のねじポンプ部303は、内周面に(N+1)条雌ねじを有するアウタロータ320と、外周面にN条雄ねじを有するインナロータ310とを備える。そして、アウタロータ320の回転軸線に対し、インナロータ310の回転軸線は、相互の軸心が所定の偏心距離だけ離れた平行な2軸となるように配置され、インナロータ310とともにアウタロータ320が、N/(N+1)の回転角度で連れ回り駆動可能に構成されている。但し、Nは1以上の自然数である。
本実施形態の例では、ねじポンプ部303は、インナロータ310のインナロータねじ部312が、左巻き2条雄ねじになっており、アウタロータ320のアウタロータねじ部322の形状が、120度間隔の頂点を有する横断面が3角リング形状の左巻き3条雌ねじになっている。そして、インナロータねじ部312がアウタロータねじ部322に内装され、相互の隙間には、駆動に応じて独立した密閉空間とされるキャビティが軸方向の複数個所に画成されてねじポンプが構成されている。
本実施形態では、インナロータねじ部312の先端には、スプライン軸342がインナロータねじ部312と同軸に一体形成され、このスプライン軸342の部分が、ポンプハウジング301の下端よりも下方に張り出している。ポンプハウジング301の下端には、円筒状の連結部ハウジング341がポンプハウジング301と同軸に連結され、連結部ハウジング341の下端が、ダウンホールモータ2Bの連結ハウジング23の上端に連結されている。
連結ハウジング23の内部には、連結シャフト331が同軸に配置されている。連結シャフト331の上端には、内部にスプライン溝343が形成された連結穴が形成されており、この連結穴内のスプライン溝343に上記スプライン軸342がスプライン嵌合するように挿入されスプライン連結部340が構成されている。
連結シャフト331の下端には、雄ねじが形成され、ダウンホールモータ2Bのビット90が装着される。これにより、連結シャフト331は、ダウンホールモータ2Bのビット90を回転させる回転部として機能する。連結シャフト331の上端側の適所には、連結ハウジング23との間に介装された水中軸受330によって回転自在に支承されている。この水中軸受330は、軸方向に沿って貫通する貫通孔が複数設けられており、連結シャフト331と連結ハウジング23との間に流れる噴射用流体の流路が確保されている。
また、第二実施形態では、上記第一実施形態とは、攪拌部218の攪拌翼215〜217の構成が相違する。つまり、第二実施形態の攪拌部218は、所定方向に回転駆動されると、上方に配置された第一から第三攪拌翼212〜214は下降流を形成し、下方に配置された第四から第六攪拌翼215〜217は上昇流を形成するようになっている。これにより、ダウンホールモータ2Bが駆動されると、ビット90の回転とともに、6枚の攪拌翼212〜217をも同時に回転し、貯鉱ケーシング3内のエマルションEm中にあっても、所期の攪拌動作が行えるようになっている。
次に、第二実施形態の海洋資源揚鉱装置100Bの動作並びにこれを用いた海洋資源の揚鉱方法について説明する。
[第二実施形態:第一の揚鉱例]
まず、図10に示す、海底に直接露出しているレアアース泥堆積層Dからレアアース泥Drを選鉱回収する第一の揚鉱例について説明する。なお、上述した第一実施形態と同様の点は適宜説明を省略する。
第二実施形態では、上述の海洋資源揚鉱装置100Bを海洋資源回収船1から海中に降ろして潜航させるとき、図8に示すように、貯鉱ケーシング3の貯鉱室3aには、エマルションEmを満たした状態で潜航させる。
海洋資源揚鉱装置100Bでの揚鉱は、所期の位置において、図10に示すように、第一実施形態同様に、貯鉱ケーシング3の集鉱ホッパ103をレアアース泥床ODに対向させる。ダウンホールモータ2Bは、ビット90が集鉱ホッパ103の下端から張り出しているので、ビット90をレアアース泥床ODに押し当てる位置に配備する。昇降装置8の昇降動作により、集鉱装置101の集鉱高さを調整する。
この例の海洋資源揚鉱装置100Bでの揚鉱作業では、電磁弁18bを常時閉として海水吸入口304を常に閉じ、電磁弁19bを常時開としてエマルション吸入口305を常に開いた状態で電動機17が稼働される。これにより、ねじポンプ300が駆動され、連結シャフト331の回転とともにダウンホールモータ2Bのビット90が回転するため、掘削を行うことができる。
さらに、貯鉱室3a内のねじポンプ300が駆動されることにより、貯鉱室3a内に開口するエマルション吸入管19からエマルションEmがねじポンプ300に吸引され(図9の符号M1)、ポンプハウジング301の下端開口から高圧のエマルションEmとして吐出できる。そして、ポンプハウジング301の下端開口から吐出されたエマルションEmは、スプライン連結部340の内部から連結ハウジング23内に導入され(図9の符号M2)、ビット90に形成されたノズル91から噴射される(図9の符号M3)。
これにより、この海洋資源揚鉱装置100Bは、図10に示すように、ビット90の回転による掘削力と、ノズル91から噴射されるエマルションEmの流体力とによってレアアース泥床ODのレアアース泥Drを解泥できる。
そして、この海洋資源揚鉱装置100Bでは、攪拌部218においては、攪拌翼212と攪拌翼217が上昇流を形成し、攪拌翼213〜216が水平流を形成するので、ビット90の回転力とビット90のノズル91から噴射されるエマルションEmの流体力とによって解泥されたレアアース泥Drは、ノズル91から噴射されるエマルションEmと混合攪拌される。そして、海洋資源揚鉱装置100Bが引き続き駆動されると、集鉱ホッパ103内の混合物Ma(アパタイト吸着エマルション)は、次第に集鉱ホッパ103上部の集鉱管102の端部まで満たされ、集鉱ホッパ103の上方に移動して集鉱管102の上端部から貯鉱ケーシング3内に排出される。
ここで、エマルションにアパタイトが吸着したアパタイト吸着エマルションは貯鉱ケーシング3内のエマルションEmよりも比重が重くなる。そして、この第二実施形態では、貯鉱ケーシング3の貯鉱室3aには、エマルションEmが満たされているので、図10に示すように、エマルションEmよりは比重が重く海水Wよりは比重が軽い混合物Maは、貯鉱室3aの下部側から次第に貯留されていく。
以降、ビット90の張り出し長さに応じた所定の掘削深度まで掘削後、図10に示すように、水平方向へのフィード動作F1により、所定の掘削深度での採鉱を継続する。本実施形態では、第一実施形態同様に、スラスタ4を水平方向に回動させた姿勢で推進駆動することで、貯鉱ケーシング3と共にダウンホールモータ2Bを一体で水平方向に平行移動させながらレアアース泥床ODからレアアース泥Drを連続的に採鉱することができる。
そして、図14に示すように、エマルションEmにレアアース泥Drを吸着させた混合物Maを貯鉱ケーシング3の貯鉱室3a内でエマルションEmと置換させて充填させることができる。そして、浮上後に、回収用カップラ40に回収用ホースを接続して、貯鉱ケーシング3内の貯鉱室3aから、混合物Maを容易に回収することができる。よって、上記特許文献1ないし2に記載の技術と比べて、第二実施形態おいても、上記第一実施形態同様、海上から海底までのライザー管等の揚鉱用配管の延設が不要である。また、エネルギー効率を向上させることができる。なお、図14に示す符号F6は、混合物Maを貯鉱室3aに貯留後に、海洋資源揚鉱装置100B自らを海上の浮上位置に浮上させるイメージを示している。
[第二実施形態:第二の揚鉱例]
次に、海底のレアアース泥床ODにて、レアアース泥Drの堆積層Dが露出しておらず、非レアアース泥堆積層DNの下部に分布するレアアース泥堆積層Dからレアアース泥Drを選鉱回収する第二の揚鉱例について説明する。
この場合、海洋資源揚鉱装置100Bでの揚鉱は、図8に示す潜水後、所期の採鉱位置において、第一実施形態の第二の揚鉱例同様に、図11に示すように、貯鉱ケーシング3をレアアース泥床ODに対向させる。ダウンホールモータ2は、ビット90が貯鉱ケーシング3の下端から張り出しているので、ビット90をレアアース泥床ODに押し当てる位置に配備する。集鉱装置101は上方に退避させておく。
そして、本実施形態の第二の揚鉱例において、海洋資源揚鉱装置100Bでの揚鉱作業では、まず、電磁弁19bを閉じてエマルション吸入管19からのエマルションEmの導入を止める一方、電磁弁18bを開いて海水吸入管18から海水吸入口304に海水Wを導入する。そして、この状態で電動機17が稼働される。これにより、ねじポンプ300が駆動され、連結シャフト331の回転によりダウンホールモータ2Bのビット90が回転するため、掘削を行うことができる。
さらに、ねじポンプ300が駆動されることにより、海水吸入管18から海中の海水Wがねじポンプ300に吸引され、ポンプハウジング301の下端開口から高圧の海水Wが吐出される。そして、吐出された高圧の海水Wは、スプライン連結部340の内部から連結ハウジング23内に導入され、ビット90に形成されたノズル91から噴射される。
これにより、この海洋資源揚鉱装置100Bは、図11に示すように、ビット90の回転による掘削力と、ノズル91から噴射される海水Wの流体力とによってレアアース泥床ODの非レアアース泥堆積層DNに竪穴を形成して非レアアース泥Dxを除去できる(非レアアース泥除去工程)。
そして、レアアース泥堆積層Dにビット90が到達した後は、図9に示す電磁弁18bを閉にして海水吸入口304を閉じる一方、電磁弁19bを開にしてエマルション吸入口305を開いた状態で電動機17を稼働する。これにより、ダウンホールモータ2Bのビット90を回転させつつ、ビット90に形成されたノズル91から高圧のエマルションEmが噴射される。その際、集鉱ホッパ103でビット90の周囲を覆うように、貯鉱ケーシング3の軸方向の位置を調整するとともに、昇降装置8の昇降作動により、集鉱装置101をレアアース泥床ODを覆う集鉱位置に下降させる。
なお、図12に示す符号F3の矢印は、貯鉱ケーシング3全体の上下方向の位置を調整して解泥されたレアアース泥Drを集鉱ホッパ103に収容するイメージを示している。また、同図に示す符号F4の矢印は、昇降装置8の駆動により、集鉱ホッパ103でビット90で掘削された竪穴の周囲を覆うように、貯鉱ケーシング3の軸方向の位置を調整するイメージを示している。
これにより、この海洋資源揚鉱装置100Bは、図12に示すように、ビット90の回転による掘削力と、ノズル91から噴射されるエマルションEmの流体力とによって、非レアアース泥堆積層DNよりも下層に位置するレアアース泥床ODのレアアース泥Drを解泥できる。
そして、上記第一揚鉱例同様に、ビット90が回転駆動されると、ビット90の上部の位置にビット90と一体に設けられた攪拌部218の複数の攪拌翼212〜217が共に回転し、上記第一揚鉱例同様の作用機序により、海中で液液分離された混合物Maとしてアパタイト吸着エマルションが生成される。
そして、エマルションEmよりは比重が重く海水Wよりは比重が軽い混合物Maは、図12に示すように、貯鉱室3aの下部側から次第に貯留されていく。引き続き、レアアース泥堆積層Dにてレアアース泥Drの掘削および解泥作業を所定の掘削深度まで継続する(レアアース泥解泥工程)。
以降、ビット90の張り出し長さに応じた所定の掘削深度までの掘削・解泥および貯留がなされた後は、スラスタ4の稼働によりダウンホールモータ2Bを海底面の上方へ引き上げ(ダウンホールモータ引き上げ工程)、その後、図13に示すように、スラスタ4での水平方向へのフィード動作F5により、貯鉱ケーシング3と貯鉱ケーシング下部に設置された集鉱ホッパ103およびダウンホールモータ2Bを全体的に平行移動させる(平行移動工程)。
そして、平行移動後に、再度、上記非レアアース泥除去工程からダウンホールモータ引き上げ工程に至る一連の工程を繰り返す。海洋資源揚鉱装置100Bが引き続き駆動されると、貯鉱ケーシング3内の混合物Maは、次第に貯鉱室3a上部まで満たされていく。
そして、図14に示したように、貯鉱室3aの上部まで混合物Maが満たされたら、同図のように、海洋資源揚鉱装置100B自らを浮上させて混合物Maを洋上で回収する。このように、第二実施形態の第二の揚鉱例おいても、上記第一実施形態同様に、断続的に深海の非レアアース泥堆積層DNの下部に分布するレアアース泥堆積層Dからレアアース泥Drを効率良く選鉱回収できる。
[総括]
以上説明したように、上述した各実施形態によれば、ダウンホールモータ2、2B等の掘削装置を備える潜水式の海洋資源揚鉱装置100A、100Bを用いることにより、ビット90での掘削およびノズル91からの流体の噴射により非レアアース泥またはレアアース泥を容易に解泥できる。
さらに、ビット上部に設けた攪拌部218の複数の攪拌翼をも同時に駆動し、レアアース泥と海水及びエマルションの攪拌・混合に必要なエネルギーを、掘削装置を駆動する動力のみで賄える。そして、アパタイト吸着エマルションである混合物Maをその比重差によって自から貯鉱ケーシング3内に浮上させて集鉱できる。
さらに、貯鉱ケーシング3に貯鉱後は、潜水式の海洋資源揚鉱装置100A、100B自体を洋上まで浮上させてから混合物Maを洋上で回収できるので、海上から海底までの揚鉱用配管の延設を不要とし、また、使用エネルギーを大幅に削減できる。
ここで、レアアース泥に含まれるレアアースの品位はppmオーダーであるところ、上述した各実施形態によれば、レアアース泥をエマルションに接触させて、レアアース元素が濃集したアパタイトをエマルションに吸着させた「アパタイト吸着エマルション」を貯鉱した貯鉱ケーシング3自体を浮上させて回収するので、海底で選鉱を行い不要な脈石を取り除くことができる。そのため、レアアース泥を海底から船上にすべて揚泥して、そのあとで選鉱する揚鉱方法と比較して、レアアースの回収にかかるコストを大幅に削減できる。
なお、本発明に係る海洋資源揚鉱装置およびこれを用いた海洋資源の揚鉱方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば上記第一実施形態では、ダウンホールモータ2は、ねじポンプを流体モータ機構70に使用し、その出力を、ユニバーサルジョイントを介することなく出力軸となるビット装着部33に出力し、これにより、省スペース化を実現し、流体モータ機構70での駆動力を効率良く伝達する構成例を示したが、これに限らず、流体モータ機構70での出力を、ユニバーサルジョイントを介して出力軸に出力する一軸偏心ねじポンプで構成してもよい。
また、例えば、上記各実施形態では、集鉱ホッパ103等を含む集鉱装置101を設けた例を示したが、これに限らず、集鉱ホッパ103等を含む集鉱装置101を設けない場合であっても、貯鉱ケーシング3の下部の採鉱口3b近傍にて、ビット90で掘削するとともに海水よりも比重が軽いエマルションEmをビット90またはその近傍に設けられたノズル91から噴射すれば、掘削力とエマルションEmの噴射による流体力とでレアアース泥Drを解泥しつつ、レアアース泥Drと海水W及びエマルションEmを混合し、アパタイト吸着エマルションを混合物Maとして採鉱口3bに浮上させ、貯鉱室3a内で海水と置換させて充填させることができる。但し、より効率良く採鉱する上では、集鉱装置101を設けることが望ましい。
また、例えば上記第一実施形態では、海洋資源回収船1が、駆動流体供給ホース7から、非レアアース泥堆積層Dnを掘削時には、ダウンホールモータ2の駆動流体Mとして海水Wを供給し、レアアース泥堆積層Dを掘削時には、ダウンホールモータ2の駆動流体MとしてエマルションEmを供給する例を示したが、これに限らず、例えば、上記第二実施形態の構成のように、海洋資源揚鉱装置100Aの側に電動機とこれにより駆動されるポンプを配置してもよい。
すなわち、例えば上記第一実施形態で、海洋資源揚鉱装置100Aにおいては、駆動流体供給ホース7に替えて、海上の海洋資源回収船1から水中ケーブル14を介して電源が供給されるように構成する。そして、貯鉱ケーシング3内の貯鉱室3aには、潜航時にエマルションEmが満たされる。さらに、海洋資源揚鉱装置100Aには、甲板15上に電動機17を設けるとともに貯鉱室3aにねじポンプ300を設ける。
但し、このねじポンプ300は、上記第二実施形態とは替えて、ダウンホールモータ2の連結ハウジング23内に駆動流体Mを供給する駆動流体供給用ねじポンプとして用いる。これにより、このねじポンプ300から連結ハウジング23内に駆動流体Mを供給してダウンホールモータ2を駆動できる。そして、連結ハウジング23内に供給される駆動流体Mとして海水WおよびエマルションEmの供給路を電磁弁18b、19bによって適宜切り換えることにより、上記第一実施形態の第二揚鉱例と同様の揚鉱を行うことができる。
100A、100B 海洋資源揚鉱装置
1 海洋資源回収船
2、2B ダウンホールモータ(掘削装置)
3 貯鉱ケーシング
4 スラスタ
5 バッテリ
6 超音波センサ
7 駆動流体供給ホース(駆動流体流路)
8 昇降装置
9 コントローラ
10 ハウジング
11 上部ハウジング
12 下部ハウジング
13 駆動流体供給路(駆動流体流路)
14 水中ケーブル
15 甲板
16スライドガイド軸
17 電動機
18 海水吸入管
19 エマルション吸入管
20 第一シャフト
21 基端部
22 インナロータ部
23 連結ハウジング(駆動流体流路、駆動流体の導入口)
24 駆動流体導出口(駆動流体流路)
25 駆動流体導入路(駆動流体流路)
30 第二シャフト
31 外筒部
32 アウタロータ部
33 ビット装着部
38 駆動流体供給用カップラ
40 回収用カップラ
41 第一のブシュ
42 第二のブシュ
43 第三のブシュ
44 第四のブシュ
51 第一シャフト支持部
52 第二シャフト支持部
53 第二シャフト支持部
61 第一のシール
62 第二のシール
63 第三のシール
64 第四のシール
70 駆動機構部(流体モータ機構)
81 フロントキャップ
82 支軸部キャップ
90 ビット
91 ノズル(噴射口)
101 集鉱装置
102 集鉱管
103 集鉱ホッパ
200 攪拌軸
212〜217 攪拌翼
218 攪拌部
300 ねじポンプ
301 ポンプハウジング
302 インナロータ支持部
303 ねじポンプ部
304 海水吸入口
305 エマルション吸入口
310 インナロータ
311 インナロータ支軸部
312 インナロータねじ部
313 インナロータ軸受
314 支軸部シール
320 アウタロータ
321 アウタロータ外筒
322 アウタロータねじ部
323 アウタロータ軸受
324 ポンプ部シール
330 水中軸受
331 連結シャフト
340 スプライン連結部
341 連結部ハウジング
342 スプライン軸
343 スプライン溝
CL1 第一シャフトの回転軸線
CL2 第二シャフトの回転軸線
E 偏心距離
K キャビティ
M 駆動流体
Em エマルション(駆動流体、噴射流体)
Ma 混合物(移送流体:アパタイト吸着エマルション)
D レアアース泥堆積層(泥質堆積層)
Dr (解泥された)レアアース泥
DN 非レアアース泥堆積層(泥質堆積層)
Dx (解泥された)非レアアース泥
W 海水(駆動流体、噴射流体)
OD レアアース泥床(海底鉱床)

Claims (14)

  1. 海中の採鉱位置への潜水および海上の浮上位置への浮上が可能な海洋資源揚鉱装置であって、
    内部が貯鉱室とされるとともに下部に外部に連通する採鉱口が開口する貯鉱ケーシングと、
    該貯鉱ケーシングの外面に付設されたスラスタと、
    前記貯鉱ケーシング内に装備されて自身先端の回転部が前記採鉱口から下方に張り出す位置に配置される掘削装置と、を備え、
    前記掘削装置は、前記回転部に装着される掘削用のビットで掘削作動するとともに海水よりも比重が軽いエマルションを前記ビットまたは前記ビット近傍に設けられたノズルから噴射するように構成されていることを特徴とする海洋資源揚鉱装置。
  2. 前記掘削装置は、ダウンホールモータであり、当該ダウンホールモータは、駆動流体として海水および海水よりも比重が軽いエマルションで駆動される流体モータ機構を有するとともに前記駆動流体を噴射するノズルが形成されたビットが前記回転部の先端に装着される請求項1に記載の海洋資源揚鉱装置。
  3. 前記ダウンホールモータは、前記回転部の外周面であって前記ビット上部の位置に前記回転部と共に回転する攪拌翼を更に有する請求項2に記載の海洋資源揚鉱装置。
  4. 前記貯鉱ケーシング内の前記ダウンホールモータを囲繞する位置に配置されて上部が前記貯鉱室内に開口するとともに下部が前記採鉱口に対向して下方に拡径する集鉱ホッパが形成された集鉱管を更に有する請求項2または3に記載の海洋資源揚鉱装置。
  5. 前記集鉱管を前記貯鉱ケーシング内で昇降させる昇降装置を更に有する請求項4に記載の海洋資源揚鉱装置。
  6. 前記ダウンホールモータは、その基端部が前記貯鉱ケーシング内の上部の位置に固定されるとともに該基端部に前記駆動流体の導入口が設けられ、該導入口に前記駆動流体として海水および前記エマルションを供給可能に海上の海洋資源回収船に駆動流体供給ホースで連結される請求項2〜5のいずれか一項に記載の海洋資源揚鉱装置。
  7. 前記ダウンホールモータは、その基端部が前記貯鉱ケーシング内の上部の位置に固定されるとともに該基端部に前記駆動流体の導入口が設けられ、
    前記海洋資源揚鉱装置は、海上の海洋資源回収船から水中ケーブルを介して電源が供給されるように構成され、前記貯鉱ケーシングには、前記エマルションが潜航時に満たされるとともに、電動機と、該電動機で駆動されて前記導入口に駆動流体を供給する駆動流体供給用のねじポンプと、該ねじポンプから前記導入口に供給される駆動流体として海水および前記エマルションの供給路を切換可能な電磁弁と、が配置されている請求項2〜5のいずれか一項に記載の海洋資源揚鉱装置。
  8. 前記海洋資源揚鉱装置は、海上の海洋資源回収船から水中ケーブルを介して電源が供給されるように構成され、
    前記貯鉱ケーシングには、電動機と、該電動機で駆動するねじポンプと、該ねじポンプから前記ノズルに供給される噴射流体の供給路を切り換える流体切換用の電磁弁と、が配置され、
    前記ねじポンプのロータには、前記掘削装置のビットを回転させる前記回転部のシャフトが連結されている請求項1に記載の海洋資源揚鉱装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の海洋資源揚鉱装置を用い、
    前記海洋資源揚鉱装置を海上から海中の採鉱位置まで潜水させる潜水工程と、
    前記採鉱位置に潜水後に、前記ビットによる掘削力と前記ノズルから噴射される前記エマルションの流体力とで泥質堆積層中のレアアース泥を解泥する解泥工程と、
    前記解泥したレアアース泥と前記エマルションとを混合してレアアースを吸着結合したエマルションの混合物とする混合工程と、
    前記混合物を前記貯鉱室内に導き、該貯鉱室に前記混合物を貯留する貯留工程と、
    前記混合物を貯留後に、前記海洋資源揚鉱装置を海上の浮上位置に浮上させて前記混合物を回収する回収工程と、
    を含むことを特徴とする海洋資源の揚鉱方法。
  10. 請求項6に記載の海洋資源揚鉱装置を用い、
    海洋資源回収船は、前記駆動流体供給ホースから、非レアアース泥堆積層を掘削時には、前記ダウンホールモータの駆動流体として海水を供給し、レアアース泥堆積層を掘削時には、前記ダウンホールモータの駆動流体としてエマルションを供給する請求項9に記載の海洋資源の揚鉱方法。
  11. 請求項7に記載の海洋資源揚鉱装置を用い、
    前記駆動流体切換用の電磁弁は、非レアアース泥堆積層を掘削時には、前記ダウンホールモータの駆動流体として海水を供給し、レアアース泥堆積層を掘削時には、前記ダウンホールモータの駆動流体としてエマルションを供給するように駆動流体の供給路を切り換える請求項9に記載の海洋資源の揚鉱方法。
  12. 前記潜水工程では、前記貯鉱ケーシング内の貯鉱室に、海水を満たした状態で潜航する請求項9〜11のいずれか一項に記載の海洋資源の揚鉱方法。
  13. 請求項8に記載の海洋資源揚鉱装置を用い、
    前記切換用の電磁弁は、非レアアース泥堆積層を掘削時には、前記ねじポンプに海水を供給して前記ノズルから噴射させ、レアアース泥堆積層を掘削時には、前記ねじポンプにエマルションを供給して前記ノズルから噴射させるように噴射流体の供給路を切り換える請求項9に記載の海洋資源の揚鉱方法。
  14. 前記潜水工程では、前記貯鉱ケーシング内の貯鉱室に、前記エマルションを満たした状態で潜航する請求項9または13に記載の海洋資源の揚鉱方法。
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