JP2019011569A - 海洋資源揚鉱装置およびこれを用いた海洋資源の揚鉱方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、エアリフト方式は、水中機器が極めて少ないことから、ポンプリフト方式に比べて信頼性および耐久性に優れるものの、エネルギー効率が悪く、ポンプリフト方式以上のさらに多大なエネルギーを要するという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、海上から海底までの揚鉱用配管の延設を不要とし得る海洋資源揚鉱装置およびこれを用いた海洋資源の揚鉱方法を提供することを課題とする。
なお、本明細書において、「解泥」とは、海底鉱床の泥質堆積層に対するビットの掘削力と噴射流体の流体力とによって泥質堆積層の泥を解きほぐすことをいう。また、「泥質堆積層」とは、「非レアアース泥堆積層」および「レアアース泥堆積層」のいずれをも含む意味である。
さらに、この掘削装置は、ビットまたはビット近傍に設けられたノズルから海水よりも比重が軽いエマルションを噴射するように構成されているので、ビットによる掘削力とノズルから噴射されるエマルションの流体力とで泥質堆積層中のレアアース泥を解泥することができる。
例えば、本発明に係るエマルションとして、油(例えばケロシン)に界面活性剤(例えば、ドデシルスルホン酸ナトリウム)を混ぜたエマルションを用いることは好ましい。このようなエマルションを用いれば、比重が0.8から0.85になる。そのため、海水よりもエマルションが軽いので、上記混合物が貯鉱室に充填された海洋資源揚鉱装置自らを浮上させるためのエマルションとして好適である。
これに対し、本発明を完成する過程での研究によれば、レアアース泥中のアパタイトには、高品位にレアアースが吸着されている。そこで、上記エマルションにアパタイトを吸着させることにより、レアアース泥から不要な脈石を除き、高品位にレアアースが吸着されているアパタイトを効率良く液液分離できる。そのため、エネルギー効率を向上させる上でより好適である。
なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、以下に示す各実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
まず、本発明に係る海洋資源揚鉱装置の第一実施形態について図1〜図7を適宜参照しつつ説明する。
図1に示すように、第一実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aは、殻壁が扁平な卵型をした中空形状の貯鉱ケーシング3と、貯鉱ケーシング3内の中心部に略垂直に支持されたダウンホールモータ2とを備える。貯鉱ケーシング3の殻壁は、例えばステンレス鋼板を用いた溶接構造によって製作される。また、貯鉱ケーシング3内には、必要に応じて適所に補強リブ等の補強構造が設けられる。この海洋資源揚鉱装置100Aは、海中の採鉱位置への潜水および海上の浮上位置への浮上が自ら可能に構成され、後述する混合物Maを海上まで揚鉱する混合物回収部を構成する。
各スラスタ4は、貯鉱ケーシング3の内面側から固定された回動機構部4cと、回動機構部4cから貯鉱ケーシング3の外部に水平に張り出す回動軸4dと、回動軸4dの先端に固定されたスラスタ本体4bと、スラスタ本体4bの駆動モータの駆動により回転駆動されるスクリュー4aとを有する。
図2に要部を拡大図示するように、集鉱装置101は、下端部が、下方に向けて拡径する集鉱ホッパ103とされている。集鉱ホッパ103は下方に向けて開口しており、この開口部分が、後述するレアアース泥Drの吸込口になっている。集鉱ホッパ103の上部が集鉱管102に連通して集鉱装置101が構成されている。集鉱管102は、中空円筒状の管路であり、その上端部が貯鉱ケーシング3の内部に開口している。
駆動流体供給ホース7は、海水注入用の第一駆動流体供給ホース7aと、エマルション注入用の第二駆動流体供給ホース7bとを有して構成される。駆動流体供給ホース7の先端は、駆動流体供給用カップラ38を介してダウンホールモータ2上部の連結ハウジング23に接続され、さらに、連結ハウジング23内の駆動流体導入路を介して、ダウンホールモータ2の駆動流体供給路13に駆動流体が選択的に導入される。
解泥工程が円滑に行われているか否かの判断は、例えば駆動流体供給用カップラ38に付設された圧力計から駆動流体の供給圧情報を取得し、その供給圧に所定を超えるような変動の有無を監視することにより判定できる。
また、コントローラ9は、混合工程の監視とともに、貯留工程監視処理を実行する。コントローラ9は、貯留工程監視処理では、混合物Maを貯鉱室3aに導き、貯鉱室3aに混合物Maを貯留する貯留工程が円滑に行われているか否かを監視する。
これに対し、貯鉱ケーシング3の内部にエマルションの混合物Maが貯留されるにつれ、混合物Maの比重が海水よりも軽いことから、4基のスラスタ4による中性浮力の維持が次第に容易となる。よって、中性浮力の維持に要する電力を監視することにより、混合工程および貯留工程が円滑に行われているか否かの判断が可能である。
ビット90は、貯鉱ケーシング3下部の採鉱口3bから下方に張り出す位置に設けられている。採鉱口3bからのビット90の張り出し長さ(つまり、ハウジング10の長さ)は、後述する非レアアース泥堆積層DNの見込み厚さの分を見込んで設定される。なお、ダウンホールモータ2の軸方向の位置を調整可能に構成することは好ましい。
ハウジング10の上部開口に連通する駆動流体流路が、駆動流体Mをダウンホールモータ2に導入する駆動流体供給路13になっている。本実施形態では、上述したように、駆動流体Mとして、高圧の海水Wおよび高圧のエマルションEmが、駆動流体供給ホース7から連結ハウジング23を介して駆動流体供給路13に選択的に導入される。
その装着状態において、第一シャフト支持部51は、上部ハウジング11の軸線に対して所定の偏心距離Eだけ偏心した位置に第一シャフト20の基端部21を支持するように複数の軸受51jが軸線方向に沿って配置され、複数の軸受51jを介して第一シャフト20の基端部21を回転自在に支持する。第一シャフト支持部51の複数の軸受51jの両側は、第一のシール61および第二のシール62により、第一シャフト20の基端部21の外周面と上部ハウジング11の内周面との間がシールされる。
また、下部側を支持する第二シャフト支持部53は、複数の軸受53jと、複数の軸受53jを軸方向の下方から自身鍔部で挟持するように装着される第四のブシュ44と、第四のブシュ44の内周面と第二シャフト30の外周面との間に介装された第四のシール64と、円環状のフロントキャップ81と、を有して構成されている。
その装着状態において、上下の第二シャフト支持部52、53は、下部ハウジング12の軸線に対して同軸となる位置に第二シャフト30の外周面を支持するように、複数の軸受52j、53jが軸線方向に沿って配置され、複数の軸受52j、53jを介して第二シャフト30の外周面を回転自在に支持する。
詳しくは、第一シャフト20は、上記基端部21と、基端部21の先端側に形成されたインナロータ部22とを一体に有して構成されている。基端部21の上面には、上述した駆動流体供給路13に連通して、基端部21の軸方向に沿って駆動流体導入路25が形成されている。基端部21の駆動流体導入路25は、基端部21とインナロータ部22との境となる位置まで延設されている。
ビット90の下面には、駆動流体Mを吐出するノズル91が、中央部から放射状に複数に分岐して開口しており、複数のキャビティKを経た高圧の駆動流体Mをノズル91から噴射可能になっている。なお、ノズル91を設ける位置は、本実施形態のようにビット90自体に形成する他、ビット90の近傍に設けることができる。
第一実施形態の攪拌部218は、所定方向に回転駆動されると、上方に配置された第一から第三攪拌翼212〜214は下降流を形成し、下方に配置された第四から第六攪拌翼215〜217は上昇流を形成するようになっている。これにより、ダウンホールモータ2が駆動されると、第二シャフト30の回転とともに、6枚の攪拌翼212〜217をも同時に回転し、所期の攪拌動作が行えるようになっている。なお、第一攪拌翼212が上昇流を形成するように構成してもよい。
[第一実施形態:第一の揚鉱例]
まず、図3に示す、海底に直接露出しているレアアース泥堆積層Dからレアアース泥Drを選鉱回収する第一の揚鉱例について説明する。
レアアース泥Drを選鉱回収する際は、まず、図1に示すように、海洋資源回収船1を目的とする海域の海上に停泊し、次いで、上述の海洋資源揚鉱装置100Aを海洋資源回収船1から海中に降ろし潜航させる。このとき、第一実施形態では、貯鉱ケーシング3の貯鉱室3aには、海水Wを満たした状態で潜航させる。海洋資源揚鉱装置100Aは、コントローラ9の潜航処理に基づき、海中のレアアース泥床ODの所期の位置に自ら潜航して配置につく。貯鉱ケーシング3、駆動流体供給ホース7およびダウンホールモータ2の各配管内には、海底に配備される当初は海水Wが満たされる。
本実施形態では、駆動流体Mとして、油としてケロシンを用いるとともに界面活性剤としてドデシルスルホン酸ナトリウムを用いてエマルションEmを作り、このエマルションEmを駆動流体供給ホース7から連結ハウジング23を介してダウンホールモータ2に駆動流体Mとして供給する(以下、他の揚鉱例において同様)。
さらに、高圧の駆動流体Mは、インナロータ部22とアウタロータ部32との対向空間に画成された複数のキャビティKに順次に導入される。これにより、駆動機構部70は、キャビティKに作用する駆動流体Mの導入圧により、インナロータ部22とアウタロータ部32とが所定比率で連れ回りを開始する。
さらに、第一実施形態では、集鉱ホッパ103下部の複数の攪拌翼215〜217が上昇流を形成しているので、集鉱ホッパ103の下部に導かれたレアアース泥Drは、攪拌されつつ集鉱ホッパ103の上方に移動していく。一方、集鉱ホッパ103上部の複数の攪拌翼212〜214が下降流を形成しているので、集鉱ホッパ103上部のエマルションEmは、攪拌されつつ集鉱ホッパ103の下方に移動していく。なお、集鉱ホッパ103の高さは、昇降装置8の駆動により適切な位置に配置することが好ましい。
そのため、上部の集鉱管102にて集鉱ホッパ103から一定の距離を超えて移動した混合物Maは、海水Wとの比重差によって自ら集鉱管102内で浮上を開始する。なお、第一攪拌翼212が上昇流を形成するように構成すれば、浮上を開始させるタイミングを調整することができる。そして、集鉱管102の上部は、貯鉱ケーシング3内の上部近傍に開口しているため、図3に示すように、本実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aによれば、浮上を開始した混合物Maを、貯鉱ケーシング3の貯鉱室3a内に貯鉱することができる。
次に、海底のレアアース泥床ODにて、レアアース泥Drの堆積層Dが露出しておらず、非レアアース泥堆積層DNの下部に分布するレアアース泥堆積層Dからレアアース泥Drを選鉱回収する第二の揚鉱例について説明する。
この場合、海洋資源揚鉱装置100Aでの揚鉱は、第一の揚鉱例同様に潜水後、所期の採鉱位置において、図4に示すように、貯鉱ケーシング3をレアアース泥床ODに対向させる。ダウンホールモータ2は、ビット90が貯鉱ケーシング3の下端から張り出しているので、ビット90をレアアース泥床ODに押し当てる位置に配備する。第二の揚鉱例では、昇降装置8の昇降動作により、集鉱装置101はレアアース泥床ODの上方に離隔されている。そして、本実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aでの揚鉱作業では、駆動流体Mとして、まず、海水圧送ポンプの駆動により、駆動流体供給ホース7の海水注入管である第一駆動流体供給ホース7bからダウンホールモータ2に海水Wが注入される。
さらに、高圧の駆動流体Mは、インナロータ部22とアウタロータ部32との対向空間に画成された複数のキャビティKに順次に導入される。これにより、駆動機構部70は、キャビティKに作用する駆動流体Mの導入圧により、インナロータ部22とアウタロータ部32とが所定比率で連れ回りを開始する。
そのため、上部の集鉱管102にて集鉱ホッパ103から一定の距離を超えて移動した混合物Maは、海水Wとの比重差によって自ら集鉱管102内で浮上を開始する。なお、レアアース泥Dr中のアパタイトを吸着したエマルションEmは、海水W中でエマルション油滴が合体し、集鉱管102において油滴径が大きくなる。
そして、平行移動後に、再度、上記非レアアース泥除去工程からダウンホールモータ引き上げ工程に至る一連の工程を繰り返す。このようにして、本実施形態によれば、図6に示すように、断続的に深海の非レアアース泥堆積層DNの下部に分布するレアアース泥堆積層Dからレアアース泥Drを効率良く選鉱回収することができる。
上述したように、第一実施形態の海洋資源揚鉱装置100Aによれば、海底設備としては、貯鉱ケーシング3の集鉱ホッパ103内部に一台のダウンホールモータ2を設けるだけで、流体モータ機構を有する駆動機構部70の駆動により、ビット90の回転による掘削力とエマルションEmの噴射による流体力とでレアアース泥Drを解泥しつつ、集鉱ホッパ103内にて、ビット90上方の攪拌部218でレアアース泥Drと海水W及びエマルションEmを混合し、アパタイト吸着エマルションを混合物Maとして生成することができる。
そして、第一実施形態のダウンホールモータ2によれば、従来のダウンホールモータのような、高圧の駆動流体で作り出されたロータの回転力を、ユニバーサルジョイントを介してシャフトに伝達していた構成と比べて、アウタロータ部32の回転駆動にユニバーサルジョイントが不要なので、駆動機構部70の全長を短くしてコンパクトに構成できる。
また、インナロータ部22の回転よりも減速されたアウタロータ部32の回転力をビット90に直接伝達できる。そのため、第一シャフト20のトルクよりも大きな回転トルクを、第二シャフト30の先端に設けられたビット90に効率良く伝達可能なので、より高トルクに対応できる。
以下、第二実施形態として図8〜図14を適宜参照しつつ説明する。第二実施形態は、海上の海洋資源回収船から水中ケーブルで潜水式海洋資源揚鉱装置に電力を供給し、貯鉱室に設置したねじポンプを作動させる例である。
なお、第二実施形態では、ダウンホールモータ2Bを駆動する駆動機構が上記第一実施形態とは相違し、また、攪拌部218の攪拌翼215〜217の構成が相違するが、その他の構成は上記第一実施形態と同様なので、以下、相違点について説明し、上記第一実施形態と同様または対応する構成については同一の符号を付すとともに、その説明を適宜省略する。
詳しくは、第二実施形態では、貯鉱ケーシング3には、上部の甲板15上の中央に電動機17が設けられている。貯鉱ケーシング3内には、甲板15の裏面側にねじポンプ300が電動機17の軸線と同軸に装備されている。ねじポンプ300は、中空円筒状のポンプハウジング301を有し、ポンプハウジング301の軸線を縦にしてその上端面が甲板15の裏面に固定されている。
インナロータ支軸部311の上端は、電動機17の出力軸17jに駆動力を伝達可能に接続され、電動機17によって回転駆動されるようになっている。インナロータ支軸部311は、ポンプハウジング301の上部を構成するインナロータ支持部302内に、上下のインナロータ軸受313を介して回転自在に支持されている。上下のインナロータ軸受313の端面は、それぞれ支軸部シール314によってシールされている。
電磁弁18b、19bが、ねじポンプ300から供給される噴射流体切換用の流路制御弁となっている。電磁弁18b、19bは、非レアアース泥堆積層DNを掘削時には、ダウンホールモータ2Bからの噴射流体として海水を供給し、レアアース泥堆積層Dを掘削時には、ダウンホールモータ2Bからの噴射流体としてエマルションEmを供給するように切り換えられる。
連結ハウジング23の内部には、連結シャフト331が同軸に配置されている。連結シャフト331の上端には、内部にスプライン溝343が形成された連結穴が形成されており、この連結穴内のスプライン溝343に上記スプライン軸342がスプライン嵌合するように挿入されスプライン連結部340が構成されている。
[第二実施形態:第一の揚鉱例]
まず、図10に示す、海底に直接露出しているレアアース泥堆積層Dからレアアース泥Drを選鉱回収する第一の揚鉱例について説明する。なお、上述した第一実施形態と同様の点は適宜説明を省略する。
第二実施形態では、上述の海洋資源揚鉱装置100Bを海洋資源回収船1から海中に降ろして潜航させるとき、図8に示すように、貯鉱ケーシング3の貯鉱室3aには、エマルションEmを満たした状態で潜航させる。
この例の海洋資源揚鉱装置100Bでの揚鉱作業では、電磁弁18bを常時閉として海水吸入口304を常に閉じ、電磁弁19bを常時開としてエマルション吸入口305を常に開いた状態で電動機17が稼働される。これにより、ねじポンプ300が駆動され、連結シャフト331の回転とともにダウンホールモータ2Bのビット90が回転するため、掘削を行うことができる。
そして、この海洋資源揚鉱装置100Bでは、攪拌部218においては、攪拌翼212と攪拌翼217が上昇流を形成し、攪拌翼213〜216が水平流を形成するので、ビット90の回転力とビット90のノズル91から噴射されるエマルションEmの流体力とによって解泥されたレアアース泥Drは、ノズル91から噴射されるエマルションEmと混合攪拌される。そして、海洋資源揚鉱装置100Bが引き続き駆動されると、集鉱ホッパ103内の混合物Ma(アパタイト吸着エマルション)は、次第に集鉱ホッパ103上部の集鉱管102の端部まで満たされ、集鉱ホッパ103の上方に移動して集鉱管102の上端部から貯鉱ケーシング3内に排出される。
次に、海底のレアアース泥床ODにて、レアアース泥Drの堆積層Dが露出しておらず、非レアアース泥堆積層DNの下部に分布するレアアース泥堆積層Dからレアアース泥Drを選鉱回収する第二の揚鉱例について説明する。
この場合、海洋資源揚鉱装置100Bでの揚鉱は、図8に示す潜水後、所期の採鉱位置において、第一実施形態の第二の揚鉱例同様に、図11に示すように、貯鉱ケーシング3をレアアース泥床ODに対向させる。ダウンホールモータ2は、ビット90が貯鉱ケーシング3の下端から張り出しているので、ビット90をレアアース泥床ODに押し当てる位置に配備する。集鉱装置101は上方に退避させておく。
これにより、この海洋資源揚鉱装置100Bは、図11に示すように、ビット90の回転による掘削力と、ノズル91から噴射される海水Wの流体力とによってレアアース泥床ODの非レアアース泥堆積層DNに竪穴を形成して非レアアース泥Dxを除去できる(非レアアース泥除去工程)。
これにより、この海洋資源揚鉱装置100Bは、図12に示すように、ビット90の回転による掘削力と、ノズル91から噴射されるエマルションEmの流体力とによって、非レアアース泥堆積層DNよりも下層に位置するレアアース泥床ODのレアアース泥Drを解泥できる。
そして、エマルションEmよりは比重が重く海水Wよりは比重が軽い混合物Maは、図12に示すように、貯鉱室3aの下部側から次第に貯留されていく。引き続き、レアアース泥堆積層Dにてレアアース泥Drの掘削および解泥作業を所定の掘削深度まで継続する(レアアース泥解泥工程)。
そして、図14に示したように、貯鉱室3aの上部まで混合物Maが満たされたら、同図のように、海洋資源揚鉱装置100B自らを浮上させて混合物Maを洋上で回収する。このように、第二実施形態の第二の揚鉱例おいても、上記第一実施形態同様に、断続的に深海の非レアアース泥堆積層DNの下部に分布するレアアース泥堆積層Dからレアアース泥Drを効率良く選鉱回収できる。
以上説明したように、上述した各実施形態によれば、ダウンホールモータ2、2B等の掘削装置を備える潜水式の海洋資源揚鉱装置100A、100Bを用いることにより、ビット90での掘削およびノズル91からの流体の噴射により非レアアース泥またはレアアース泥を容易に解泥できる。
さらに、ビット上部に設けた攪拌部218の複数の攪拌翼をも同時に駆動し、レアアース泥と海水及びエマルションの攪拌・混合に必要なエネルギーを、掘削装置を駆動する動力のみで賄える。そして、アパタイト吸着エマルションである混合物Maをその比重差によって自から貯鉱ケーシング3内に浮上させて集鉱できる。
さらに、貯鉱ケーシング3に貯鉱後は、潜水式の海洋資源揚鉱装置100A、100B自体を洋上まで浮上させてから混合物Maを洋上で回収できるので、海上から海底までの揚鉱用配管の延設を不要とし、また、使用エネルギーを大幅に削減できる。
例えば上記第一実施形態では、ダウンホールモータ2は、ねじポンプを流体モータ機構70に使用し、その出力を、ユニバーサルジョイントを介することなく出力軸となるビット装着部33に出力し、これにより、省スペース化を実現し、流体モータ機構70での駆動力を効率良く伝達する構成例を示したが、これに限らず、流体モータ機構70での出力を、ユニバーサルジョイントを介して出力軸に出力する一軸偏心ねじポンプで構成してもよい。
1 海洋資源回収船
2、2B ダウンホールモータ(掘削装置)
3 貯鉱ケーシング
4 スラスタ
5 バッテリ
6 超音波センサ
7 駆動流体供給ホース(駆動流体流路)
8 昇降装置
9 コントローラ
10 ハウジング
11 上部ハウジング
12 下部ハウジング
13 駆動流体供給路(駆動流体流路)
14 水中ケーブル
15 甲板
16スライドガイド軸
17 電動機
18 海水吸入管
19 エマルション吸入管
20 第一シャフト
21 基端部
22 インナロータ部
23 連結ハウジング(駆動流体流路、駆動流体の導入口)
24 駆動流体導出口(駆動流体流路)
25 駆動流体導入路(駆動流体流路)
30 第二シャフト
31 外筒部
32 アウタロータ部
33 ビット装着部
38 駆動流体供給用カップラ
40 回収用カップラ
41 第一のブシュ
42 第二のブシュ
43 第三のブシュ
44 第四のブシュ
51 第一シャフト支持部
52 第二シャフト支持部
53 第二シャフト支持部
61 第一のシール
62 第二のシール
63 第三のシール
64 第四のシール
70 駆動機構部(流体モータ機構)
81 フロントキャップ
82 支軸部キャップ
90 ビット
91 ノズル(噴射口)
101 集鉱装置
102 集鉱管
103 集鉱ホッパ
200 攪拌軸
212〜217 攪拌翼
218 攪拌部
300 ねじポンプ
301 ポンプハウジング
302 インナロータ支持部
303 ねじポンプ部
304 海水吸入口
305 エマルション吸入口
310 インナロータ
311 インナロータ支軸部
312 インナロータねじ部
313 インナロータ軸受
314 支軸部シール
320 アウタロータ
321 アウタロータ外筒
322 アウタロータねじ部
323 アウタロータ軸受
324 ポンプ部シール
330 水中軸受
331 連結シャフト
340 スプライン連結部
341 連結部ハウジング
342 スプライン軸
343 スプライン溝
CL1 第一シャフトの回転軸線
CL2 第二シャフトの回転軸線
E 偏心距離
K キャビティ
M 駆動流体
Em エマルション(駆動流体、噴射流体)
Ma 混合物(移送流体:アパタイト吸着エマルション)
D レアアース泥堆積層(泥質堆積層)
Dr (解泥された)レアアース泥
DN 非レアアース泥堆積層(泥質堆積層)
Dx (解泥された)非レアアース泥
W 海水(駆動流体、噴射流体)
OD レアアース泥床(海底鉱床)
Claims (14)
- 海中の採鉱位置への潜水および海上の浮上位置への浮上が可能な海洋資源揚鉱装置であって、
内部が貯鉱室とされるとともに下部に外部に連通する採鉱口が開口する貯鉱ケーシングと、
該貯鉱ケーシングの外面に付設されたスラスタと、
前記貯鉱ケーシング内に装備されて自身先端の回転部が前記採鉱口から下方に張り出す位置に配置される掘削装置と、を備え、
前記掘削装置は、前記回転部に装着される掘削用のビットで掘削作動するとともに海水よりも比重が軽いエマルションを前記ビットまたは前記ビット近傍に設けられたノズルから噴射するように構成されていることを特徴とする海洋資源揚鉱装置。 - 前記掘削装置は、ダウンホールモータであり、当該ダウンホールモータは、駆動流体として海水および海水よりも比重が軽いエマルションで駆動される流体モータ機構を有するとともに前記駆動流体を噴射するノズルが形成されたビットが前記回転部の先端に装着される請求項1に記載の海洋資源揚鉱装置。
- 前記ダウンホールモータは、前記回転部の外周面であって前記ビット上部の位置に前記回転部と共に回転する攪拌翼を更に有する請求項2に記載の海洋資源揚鉱装置。
- 前記貯鉱ケーシング内の前記ダウンホールモータを囲繞する位置に配置されて上部が前記貯鉱室内に開口するとともに下部が前記採鉱口に対向して下方に拡径する集鉱ホッパが形成された集鉱管を更に有する請求項2または3に記載の海洋資源揚鉱装置。
- 前記集鉱管を前記貯鉱ケーシング内で昇降させる昇降装置を更に有する請求項4に記載の海洋資源揚鉱装置。
- 前記ダウンホールモータは、その基端部が前記貯鉱ケーシング内の上部の位置に固定されるとともに該基端部に前記駆動流体の導入口が設けられ、該導入口に前記駆動流体として海水および前記エマルションを供給可能に海上の海洋資源回収船に駆動流体供給ホースで連結される請求項2〜5のいずれか一項に記載の海洋資源揚鉱装置。
- 前記ダウンホールモータは、その基端部が前記貯鉱ケーシング内の上部の位置に固定されるとともに該基端部に前記駆動流体の導入口が設けられ、
前記海洋資源揚鉱装置は、海上の海洋資源回収船から水中ケーブルを介して電源が供給されるように構成され、前記貯鉱ケーシングには、前記エマルションが潜航時に満たされるとともに、電動機と、該電動機で駆動されて前記導入口に駆動流体を供給する駆動流体供給用のねじポンプと、該ねじポンプから前記導入口に供給される駆動流体として海水および前記エマルションの供給路を切換可能な電磁弁と、が配置されている請求項2〜5のいずれか一項に記載の海洋資源揚鉱装置。 - 前記海洋資源揚鉱装置は、海上の海洋資源回収船から水中ケーブルを介して電源が供給されるように構成され、
前記貯鉱ケーシングには、電動機と、該電動機で駆動するねじポンプと、該ねじポンプから前記ノズルに供給される噴射流体の供給路を切り換える流体切換用の電磁弁と、が配置され、
前記ねじポンプのロータには、前記掘削装置のビットを回転させる前記回転部のシャフトが連結されている請求項1に記載の海洋資源揚鉱装置。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の海洋資源揚鉱装置を用い、
前記海洋資源揚鉱装置を海上から海中の採鉱位置まで潜水させる潜水工程と、
前記採鉱位置に潜水後に、前記ビットによる掘削力と前記ノズルから噴射される前記エマルションの流体力とで泥質堆積層中のレアアース泥を解泥する解泥工程と、
前記解泥したレアアース泥と前記エマルションとを混合してレアアースを吸着結合したエマルションの混合物とする混合工程と、
前記混合物を前記貯鉱室内に導き、該貯鉱室に前記混合物を貯留する貯留工程と、
前記混合物を貯留後に、前記海洋資源揚鉱装置を海上の浮上位置に浮上させて前記混合物を回収する回収工程と、
を含むことを特徴とする海洋資源の揚鉱方法。 - 請求項6に記載の海洋資源揚鉱装置を用い、
海洋資源回収船は、前記駆動流体供給ホースから、非レアアース泥堆積層を掘削時には、前記ダウンホールモータの駆動流体として海水を供給し、レアアース泥堆積層を掘削時には、前記ダウンホールモータの駆動流体としてエマルションを供給する請求項9に記載の海洋資源の揚鉱方法。 - 請求項7に記載の海洋資源揚鉱装置を用い、
前記駆動流体切換用の電磁弁は、非レアアース泥堆積層を掘削時には、前記ダウンホールモータの駆動流体として海水を供給し、レアアース泥堆積層を掘削時には、前記ダウンホールモータの駆動流体としてエマルションを供給するように駆動流体の供給路を切り換える請求項9に記載の海洋資源の揚鉱方法。 - 前記潜水工程では、前記貯鉱ケーシング内の貯鉱室に、海水を満たした状態で潜航する請求項9〜11のいずれか一項に記載の海洋資源の揚鉱方法。
- 請求項8に記載の海洋資源揚鉱装置を用い、
前記切換用の電磁弁は、非レアアース泥堆積層を掘削時には、前記ねじポンプに海水を供給して前記ノズルから噴射させ、レアアース泥堆積層を掘削時には、前記ねじポンプにエマルションを供給して前記ノズルから噴射させるように噴射流体の供給路を切り換える請求項9に記載の海洋資源の揚鉱方法。 - 前記潜水工程では、前記貯鉱ケーシング内の貯鉱室に、前記エマルションを満たした状態で潜航する請求項9または13に記載の海洋資源の揚鉱方法。
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