JP2019011266A - 油性点眼剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ヒマシ油と、ビタミンA類及び/またはビタミンE類とを含有しながらも、ビタミンA類及び/またはビタミンE類をより高い割合で残留させることが可能な油性点眼剤を提供することを目的とする。【解決手段】ポリエチレンテレフタレート製またはポリプロピレン製の容器に充填された油性点眼剤、ここで該油性点眼剤は、ヒマシ油と、ビタミンA類及びビタミンE類からなる群より選択される少なくとも1種と、水0〜8質量%とを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は油性点眼剤に関する。
ヒマシ油を点眼剤に配合可能であることがこれまでに知られている(特許文献1)。また、ビタミンA類やビタミンE類も点眼剤に配合可能であることがこれまでに知られている。
しかし、ビタミンA類やビタミンE類は、点眼剤用の容器に吸着したり、光や熱に不安定で分解しやすいといった特性を有する。このため、容器に充填した場合であっても、ビタミンA類やビタミンE類をより高い割合で点眼剤中に残留させておくことは重要である。
特開2000−273061号公報
そこで、本発明は、ヒマシ油と、ビタミンA類及び/またはビタミンE類とを含有しながらも、ビタミンA類及び/またはビタミンE類をより高い割合で残留させることが可能な油性点眼剤を提供することを目的とする。
本発明者が前記課題に鑑み鋭意検討を行ったところ、ビタミンA類やビタミンE類とヒマシ油とを混合し、得られた混合物を、ポリエチレンテレフタレート製の容器またはポリプロピレン製の容器に充填した場合、該混合物中にビタミンA類やビタミンE類をより高い割合で残留できることを見出した。本発明は該知見に基づき更に検討を重ねた結果完成されたものであり、次に掲げるものである。
項1.ポリエチレンテレフタレート製またはポリプロピレン製の容器に充填された油性点眼剤、
ここで該油性点眼剤は、ヒマシ油と、ビタミンA類及びビタミンE類からなる群より選択される少なくとも1種と、水0〜8質量%とを含有する。
項2.前記油性点眼剤が更にl−メントールを含有する、項1に記載の油性点眼剤。
項3.前記油性点眼剤が更にジブチルヒドロキシトルエンを含む、項1または2に記載の油性点眼剤。
項4.前記容器の色がオレンジ色である、項1〜3のいずれかに記載の油性点眼剤。
本発明によれは、ビタミンA類やビタミンE類とヒマシ油とを混合し、得られた混合物を、ポリエチレンテレフタレート製の容器またはポリプロピレン製の容器に充填することにより、該混合物中にビタミンA類やビタミンE類をより高い割合で残留させることができる。
本発明は、ポリエチレンテレフタレート製またはポリプロピレン製の容器に充填された油性点眼剤であり、且つ、ヒマシ油と、ビタミンA類及びビタミンE類からなる群より選択される少なくとも1種と、水0〜8質量%とを含有する油性点眼剤に関する。
ヒマシ油は、トウゴマ(Ricinus communis)の種子から得られる脂肪油であり、従来公知の油である。ヒマシ油は、薬学的または香粧学的に許容可能である限り制限されない。
ヒマシ油の含有量は制限されないが、油性点眼剤中、10質量%以上が例示され、好ましくは20〜99.99質量%、より好ましくは30〜99.99質量%、更に好ましくは40〜99.99質量%、更により好ましくは50〜99.99質量%、特に好ましくは60〜99.99質量%、特により好ましくは70〜99.99質量%が例示される。本発明の油性点眼剤において、ヒマシ油の含有量はこの限りにおいて制限されないが、より好ましくは80〜99.99質量%、更に好ましくは90〜99.99質量%、更により好ましくは95〜99.99質量%、特に好ましくは98〜99.99質量%、特により好ましくは99〜99.99質量%が例示される。
ビタミンA類としては、薬学的または香粧学的に許容される限り制限されず、レチノール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、ビタミンA脂肪酸エステル、d−δ−トコフェリルレチノエート、α−トコフェリルレチノエート、β−トコフェリルレチノエート等が例示される。ビタミンA類として、好ましくはパルミチン酸レチノール、酢酸レチノールが例示され、より好ましくはパルミチン酸レチノールが例示される。
ビタミンA類は、ビタミンA油に含まれているものであってもよく、ビタミンA油として従来公知のものを使用できる。ビタミンA油として、前記ビタミンA類に植物油を加えたもの、その希釈物、濃縮物等が例示される。本発明を制限するものではないが、ビタミンA油としては、ビタミンA油1gあたりビタミンA類を3000IU以上含むものが好ましく例示される。なお、加えられる植物油の含有量について、植物油がヒマシ油である場合、これは前記ヒマシ油の含有量に合算され、植物油がヒマシ油以外の油である場合、これは後述の油性成分の含有量に合算される。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ビタミンA類の含有量は制限されないが、油性点眼剤中100g中、好ましくは10,000〜70,000IU、より好ましくは30,000〜70,000IU、更に好ましくは40,000〜70,000IU、特に好ましくは50,000〜70,000IUが例示される。
ビタミンE類としては、薬学的または香粧学的に許容される限り制限されず、トコフェロール、トコトリエノール、これらの誘導体、これらの塩が例示される。トコフェロール、トコトリエノールは、α−、β−、γ−、δ−のいずれであってもよく、また、d体、dl体のいずれであってもよい。
ビタミンE類として、好ましくはトコフェロール、その誘導体、これらの塩が例示される。トコフェロールの誘導体としては、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、リノレン酸トコフェロール等のトコフェロール有機酸エステル等が例示される。これらのトコフェロールの誘導体は、d体、dl体のいずれであってもよい。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ビタミンE類の含有量は制限されないが、油性点眼剤中、好ましくは0.005〜0.5質量%、より好ましくは0.005〜0.05質量%、更に好ましくは0.01〜0.05質量%が例示される。
本発明の油性点眼剤は、ビタミンA類とビタミンE類のどちらか一方を含んでいてもよく、これらの両方を含んでいてもよい。
本発明の油性点眼剤中は、水を含んでいても、含んでいなくてもよいが、水を含む場合、その含有量は8質量%以下である。このことから、水の含有量は、本発明の油性点眼剤中、0〜8質量%、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜3質量%、更に好ましくは0〜2質量%、更により好ましくは0〜1質量%、特に好ましくは0〜0.5質量%、特により好ましくは0〜0.3質量%、更に特に好ましくは0質量%が例示される。
本発明の油性点眼剤には、ヒマシ油以外の油性成分(以下、本明細書において「油性成分」は「ヒマシ油以外の油性成分」を意味する)を任意に含有してもよい。油性成分としては、薬学的または香粧学的に許容される限り制限されないが、ウイキョウ油、ハッカ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ゴマ油、ダイズ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ツバキ油、ラッカセイ油、アルモンド油、小麦胚芽油、ヒマワリ油、綿実油、オリブ油、ローズ油、ベニバナ油等の動植物油脂、流動パラフィン、ワセリン、マクロゴール4000、マクロゴール6000等が例示される。油性成分として好ましくは、ウイキョウ油、ハッカ油、ベルガモット油、ユーカリ油、流動パラフィン、ワセリン、マクロゴール4000、マクロゴール6000等が例示される。
これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
油性成分の含有量も制限されないが、本発明の油性点眼剤が油性成分を含有する場合、油性点眼剤中、0.0001〜50質量%、好ましくは0.0001〜40質量%、より好ましくは0.0001〜30質量%、更に好ましくは0.0001〜20質量%、更により好ましくは0.0001〜10質量%、特に好ましくは0.0001〜8質量%、特により好ましくは0.0001〜5質量%、更に特に0.0001〜3質量%が例示される。
本発明の油性点眼剤には、前記成分以外に、薬学的または香粧学的に許容される他の任意の成分を更に含有していてもよい。任意の成分としては、界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤、可溶化剤、防腐剤、増粘剤、安定化剤、粘稠化剤、抗酸化剤、分散剤、等張化剤、キレート剤、清涼化剤、着色剤、香料、各種有用成分(抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、ピント調節機能改善剤、消炎剤、収斂剤、抗菌剤、角膜保護剤、充血除去剤、アミノ酸、ビタミン剤(ビタミンA類及びビタミンE類以外)等)等が例示される。
本発明を制限するものではないが、任意の成分の一例としてl−メントールが挙げられる。本発明の油性点眼剤がl−メントールを含有する場合、その含有量として、油性点眼剤中、好ましくは0.005〜1質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%、更に好ましくは0.02〜0.5質量%、更により好ましくは0.05〜0.5質量%、特に好ましくは0.08〜0.5質量%、特により好ましくは0.1〜0.5質量%、更に特に好ましくは0.2〜0.5質量%が例示される。
また、本発明を制限するものではないが、任意の成分の一例としてジブチルヒドロキシトルエンが挙げられる。本発明の油性点眼剤がジブチルヒドロキシトルエンを含有する場合、その含有量として、油性点眼剤中、好ましくは0.0001〜0.05質量%、より好ましくは0.0005〜0.05質量%、更に好ましくは0.005〜0.05質量%が例示される。
本発明の油性点眼剤において、任意の成分は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよく、また、その含有量も目的等に応じて適宜設定すればよい。
本発明の油性点眼剤は、ヒマシ油と、ビタミンA類及びビタミンE類からなる群より選択される少なくとも1種と、必要に応じて水、油性成分、任意の成分を混合することにより製造できる。
本発明の油性点眼剤の形態は制限されず、室温(24℃)で液状、乳液状、ゲル状等が例示され、好ましくは液状、乳液状であり、より好ましくは液状である。
また、本発明の油性点眼剤は澄明であり、この限りにおいて有色、無色を問わない。
本発明の油性点眼剤の粘度は、点眼剤として使用可能な範囲であれば制限されないが、好ましくは24℃で50〜800cp、より好ましくは200〜700cp、更に好ましくは300〜650cpが例示される。粘度は、ブルックフィールド粘度計(LVDV-II+)(Brookfield Engineering Labs社製)においてスピンドルFを使用し、スクリュー管No.7(35×78、マルエル社製)に、油性点眼剤50gを充填し、回転速度4rpm、24℃にて、計測開始から5分後の粘度である。
本発明の油性点眼剤のpHも、点眼剤として使用可能な範囲であれば制限されないが、24℃でpH5.5〜8、好ましくはpH6〜7.5が例示される。pHは、卓上型pHメーターF−52(堀場製作所製)で測定される。
本発明の油性点眼剤は、疲れ目、かすみ目、目のかゆみ、充血、ドライアイ、紫外線による眼炎(雪目等)、目の不快感、結膜炎、ものもらい、なみだ目、異物感等の予防や改善を目的として、また、角膜保護、角膜修復、抗アレルギー、抗菌、紫外線ケア、眼病予防、ドライアイ対策、眼瞼摩擦の潤滑、涙液油層の補充等を目的として使用できる。
本発明の油性点眼剤は、ポリエチレンテレフタレート製またはポリプロピレン製の容器に充填される。
該容器は、本発明の油性点眼剤の使用時及び保存時の少なくともいずかにおいて、油性点眼剤が触れる容器の内側がポリエチレンテレフタレート製またはポリプロピレン製であればよく、油性点眼剤が触れない部分の容器の素材は制限されない。該容器は、この限りにおいて制限されず、すなわち、油性点眼剤が触れる容器の内側がポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンの両方を備えているものであってもよい。本発明において容器は、この限りにおいて、従来公知の点眼剤用の容器を使用することができる。
また、容器は、異物の観察に差し支えのない程度の透明性を有していれば良く、有色であっても無色であってもよい。
本発明において容器は、ビタミンA類の光安定性を向上できる点から、オレンジ色等の有色であることがより好ましい。これにより、特に光照射下でのビタミンA類の光安定性を一層向上できる。オレンジ色等の有色とは、特に限定されないが、波長600nmにおける光透過率が、好ましくは60%以下であり、より好ましくは50%以下であるものをいう。無色透明の容器の少なくとも一部分が、オレンジ色等の有色のフィルムで包装されたものであってもよい。このような有色の容器は公知であり、本発明において従来公知の容器を使用してもよい。本発明において使用される容器が透明である場合や波長600nmにおける光透過率が高い場合、油性点眼剤を収容した容器は遮光下で保存されることが好ましい。波長600nmにおける光透過率は、分光光度計を用いて測定する。
また、容器の容量も制限されないが、好ましくは3〜20mLが例示され、より好ましくは5〜15mLが例示される。
本発明において容器は、この限りにおいて、好ましくは第十六改正日本薬局方解説書の製剤総則の点眼剤の説明に従うものであればよい。
本発明の油性点眼剤の使用回数や滴下量も制限されず、通常1日1〜数回、好ましくは1日3〜6回、より好ましくは1日3〜4回が例示され、また、通常1回あたり1〜数滴、好ましくは1回あたり1〜3滴、より好ましくは1回あたり1〜2滴が例示される。また、本発明の油性点眼剤は、目に滴下して使用される限り制限されないが、好ましくは滴下後10〜60秒間、より好ましくは40〜60秒間は目を閉じておくことが好適な例示として挙げられる。
本発明によれば、ヒマシ油と、ビタミンA類及びビタミンE類からなる群より選択される少なくとも1種と、水0〜8質量%とを含有する油性点眼剤を、ポリエチレンテレフタレート製またはポリプロピレン製の容器に充填することにより、油性点眼剤におけるビタミンA類やビタミンE類の残留割合を高めることができる。ビタミンA類やビタミンE類は有効成分の1つとして点眼剤に配合されることが多いことから、これらの残留割合をより高くすることは非常に重要である。
このことから、本発明は、ポリエチレンテレフタレート製またはポリプロピレン製の容器に充填されることが好ましい、ヒマシ油と、ビタミンA類及びビタミンE類からなる群より選択される少なくとも1種と、水0〜8質量%とを含有する油性点眼剤を提供するともいえる。
また、本発明によれば、後述の実施例に示すように、ヒマシ油を含む前記油性点眼剤にl−メントールを更に組み合わせることにより、ヒマシ油を含有しているにもかかわらず、特にヒマシ油を高含有量で含有している場合であっても、油性点眼剤の粘度を低減できる。本発明を検討するにあたり本発明者は、ヒマシ油を多く配合した点眼剤においては、ヒマシ油の粘性により、容器から滴下した際に1滴の量が多くなり、使用時に眼から溢れて使用感を低下させるといった問題があることに気付いた。本発明によれば、ヒマシ油を含む前記油性点眼剤に更にl−メントールを組み合わせることにより、油性点眼剤の1滴の量をより少なくすることができ、使用時に余分な点眼剤が眼から溢れでて使用感が低下するといった問題を抑制できる。
また、このことから本発明によれば、容器内の壁面への油性点眼剤の付着を抑制することができ、特に、容器内の残量が少なくなった使用後期に油性点眼剤が容器内の壁面に付着して油性点眼剤が滴下し難いあるいは滴下できないといった使用者のストレスを軽減することができる。
また、本発明者は、ヒマシ油単体では点眼しても目に油滴が入ったことが分かり難く、点眼しすぎて眼から溢れてしまうという問題が生じることに気付いた。本発明によれば、l−メントールを組み合わせて使用することにより、その清涼感により、ヒマシ油を点眼したことが分かりやすくなり、使用感をより向上できる。
また、ヒマシ油には皮膚感作性があることが知られており、ヒマシ油の接触により、腫れや痒みといったアレルギー性接触皮膚炎が生じることが報告されている(吉川邦彦ら、ヒマシ油による接触性皮膚炎の1例、皮膚、第28巻、増刊第2号昭和61年8月、増263−増265)。本発明を検討するにあたり、後述の実施例に示すように、本発明者は、ヒマシ油とビタミンA類とを組み合わせて使用することにより、ヒマシ油の皮膚感作性を抑制できることを見出した。このように、本発明によれば、ヒマシ油とビタミンA類とを組み合わせて使用することにより、ヒマシ油の皮膚感作性を抑制することができる。特に、ヒマシ油に、ビタミンA類とビタミンE類の両方を組み合わせて使用することにより、ヒマシ油の皮膚感作性を抑制することができる。本発明において皮膚感作性は、後述の実施例に示すペプチド結合性試験に従い評価される。
このことから、本発明はまた、ヒマシ油と、ビタミンA類及びビタミンE類からなる群より選択される少なくとも1種と、水0〜8質量%とを含有する油性点眼剤を、ポリエチレンテレフタレート製またはポリプロピレン製の容器に充填することを特徴とする、該油性点眼剤中のビタミンA類及びビタミンE類からなる群より選択される少なくとも1種の残留割合の低減抑制方法を提供するといえる。該方法において使用されるヒマシ油、ビタミンA類、ビタミンE類、油性点眼剤、ビタミンA類等の残留等、また、油性点眼剤に使用可能な成分、各成分の含有量等は、前述と同様に説明される。
このことから、本発明はまた、前記油性点眼剤において更にl−メントールを組み合わせることを特徴とする、前記油性点眼剤の粘度低減方法を提供するともいえる。該方法において使用されるヒマシ油、油性点眼剤、l−メントール等、また、油性点眼剤に使用可能な成分、各成分の含有量等も前述と同様に説明される。
このことから、本発明はまた、前記油性点眼剤において、ヒマシ油とビタミンA類とを組み合わせることを特徴とする、ヒマシ油の皮膚感作性抑制方法を提供するともいえる。本発明はまた、前記油性点眼剤において、ヒマシ油とビタミンA類とビタミンE類とを組み合わせることを特徴とする、ヒマシ油の皮膚感作性抑制方法を提供するともいえる。これらの方法において使用されるヒマシ油、ビタミンA類、ビタミンE類、油性点眼剤、該油性点眼剤に使用可能な成分、各成分の含有量等も前述と同様に説明される。
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
試験例1
次の表1に従い、各成分を混合し、油性点眼剤を調製した(実施例1〜5、比較例1)。なお、水とポリソルベート80とを含有する油性点眼剤においては、水とポリソルベート80を加熱しながら混合し、得られた混合物と残りの成分とを混合し、油性点眼剤を調製した。
得られた油性点眼剤3mLを点眼剤用の容器に充填し、50℃、遮光下で7日間保存した。使用した点眼剤用の容器は、次の通りである。
PP製容器:TSE−5mL(PP)(大成化工株式会社製、ポリプロピレン製)
PET製容器:SG−PET10mL容器原色(信晃化学株式会社製、ポリエチレンテレフタレート製)
PE製容器:TSE−5mL(PE)(大成化工株式会社製、ポリエチレン製)
前記保存前及び保存後の油性点眼剤に含まれるパルミチン酸レチノールと酢酸トコフェロールの濃度を、常法に従ってHPLC(高速液体クロマトグラフ)にて測定し、保存前の濃度に対する保存後の濃度の割合を、残留%としてそれぞれ算出した。
結果を表1に示す。
Figure 2019011266
表1から明らかなように、PE製容器に油性点眼剤を充填した場合と比較して(比較例1)、PP製容器またはPET製容器に油性点眼剤を充填した場合において(実施例1〜5)、パルミチン酸レチノールと酢酸トコフェロールの残留率が向上した。また、油性点眼剤がジブチルヒドロキシトルエンを含有する場合、パルミチン酸レチノールと酢酸トコフェロールの残留率が一層向上し、特に、酢酸トコフェロールの残留率が一層高まることが確認された。
また、表1には示さないが、比較例1においてPE製容器に代えてLDPE製容器(SK5点眼容器、大成化工株式会社製、低密度ポリエチレン製)に油性点眼剤を充填した場合と比較しても、実施例1〜5におけるパルミチン酸レチノールと酢酸トコフェロールの残留率はいずれも高かった。
このことから、PP製容器またはPET製容器に、ヒマシ油とビタミンA類やビタミンE類とを含有する油性点眼剤を充填することにより、高温での安定性を高めることができ、ビタミンA類やビタミンE類の油性点眼剤中の残留率を向上できることが分かった。
試験例2
次の表2に従い、各成分を混合し、油性点眼剤を調製した(実施例6〜10)。なお、水と、ポリソルベート80またはポリオキシエチレン(POE)硬化ヒマシ油60とを含有する油性点眼剤においては、これらの成分を加熱しながら混合し、得られた混合物と残りの成分とを混合し、油性点眼剤を調製した。
得られた油性点眼剤について、以下の手順に従い粘度を測定した。
ブルックフィールド粘度計(LVDV-II+)(Brookfield Engineering Labs社製)においてスピンドルFを使用し、スクリュー管No.7(35×78、マルエル社製)に、得られた油性点眼剤50gを充填し、計測開始から5分後の粘度を測定した。測定は、回転速度4rpm、室温(24℃ )で行った。結果を表2に示す。
Figure 2019011266
表2から明らかなように、l−メントールを含有していない油性点眼剤(実施例10)と比較して、l−メントールを含有する油性点眼剤(実施例6〜9)では、油性点眼剤の粘度を一層低下させることができた。
このことから、前記油性点眼剤にl−メントールを更に組み合わせることにより、油性点眼剤の粘度を一層低減できることが分かった。
また、l−メントールを含有する油性点眼剤では、l−メントールによる清涼感により、点眼したことが分かりやすくなった。
また、実施例6〜10の油溶性点眼剤についても前記試験例1と同様に高温での安定性を評価したところ、これらの油溶性点眼剤をPP製容器またはPET製容器にそれぞれ充填した場合、高温での安定性を高めることができることが分かった。
このことから、前記油性点眼剤にl−メントールを更に組み合わせることにより、油性点眼剤の安定性の向上に加えて、油性点眼剤の粘度を一層低減できることが分かった。
試験例3
前述のようにして得た実施例6及び10の油性点眼剤3mLを、それぞれTSE−5mL(PP)(大成化工株式会社製、ポリプロピレン製)の点眼剤用容器に充填し、該容器から油性点眼剤を滴下し、電子天秤で1滴の重さを測定し、3回の平均値を求めた。
結果を表3に示す。
Figure 2019011266
表3から明らかなように、実施例6において1滴の重さは0.021mgであり、これは、実施例10における1滴の重さ0.029mgを下回った。
前記試験例及び本試験例の結果から、前記油性点眼剤にl−メントールを更に組み合わせることにより、油性点眼剤の安定性の向上に加えて、油性点眼剤の粘度を低減でき、1滴の滴下量を少なくできることが分かった。
試験例4
前述のようにして得た実施例6の油性点眼剤を、次の2種類の点眼剤用の容器に充填し、光安定性試験装置LT−120A(ナガノサイエンス社製、2900lx)を用いて、光照射下で13日間保存した。
実施例6A:TSE−5mL(PP)オレンジ(大成化工株式会社製、ポリプロピレン製、波長600nmにおける光透過率:45%以下)
実施例6B:前記試験例1で使用したPP製の点眼剤用の容器、無色(透明)
前記保存前及び保存後の油性点眼剤に含まれるパルミチン酸レチノールと酢酸トコフェロールの濃度を、前記試験例1と同様にして測定し、保存前の濃度に対する保存後の濃度の割合を、残留%として算出した。結果を表4に示す。
Figure 2019011266
表4から明らかなように、光照射下でオレンジ色の容器を使用した実施例6Aでは、パルミチン酸レチノールの残留率は、試験例1と同様に高い値であったのに対して、光照射下で無色(透明)の容器を使用した実施例6Bでは、その残留率は0%であった。このことから、前記実施例に示す油性点眼剤は、PP製容器やPET製容器に充填するとともに、光を遮って保存する、有色の容器に充填して保存するなど、何らかの遮光下での保存が好ましいことが分かった。
試験例5
次の表5に従い、各成分を混合し、油性点眼剤を調製した(実施例10〜15)。前記試験例1と同様に、水とポリソルベート80とを含有する油性点眼剤においては、水とポリソルベート80を加熱しながら混合し、得られた混合物と残りの成分とを混合し、油性点眼剤を調製した。ヒマシ油のみを含む油性点眼剤を参考例1とした。
得られた実施例10〜15及び参考例1について、ペプチド結合性試験により皮膚感作性の評価を行った。ペプチド結合性試験は、皮膚感作性試験の一つであり、皮膚感作性成立の初期段階の反応であるハプテンとタンパク質との結合性に基づく評価方法である。これらの結合率が高いほど皮膚感作性のリスクが高いと判断できる。試験手順は次の通りとした。
前述のようにして得た実施例10〜15、参考例1の各油性点眼剤を100mg/1mLとなるようにDMSO(ジメチルスルホキシド)と混合し、被験溶液を得た。HPLC(高速液体クロマトグラフ)用のバイアル遮光瓶を用いて、各被験溶液について、次の通り2つの検体(サンプル、コントロール)を調製した。
サンプル 被験溶液:システイン含有ペプチド=1:1
コントロール DMSO:システイン含有ペプチド=1:1
ここで、システイン含有ペプチドとしては、「H-Phe-Thr-Leu-Cyc-Phe-Arg-NH2」の配列を有する合成ペプチドを使用した。
これらの検体を調製後、遮光下で40℃、24時間静置した。次いで、各検体について、未反応のシステイン含有ペプチド量(ピーク面積)をHPLCを用いて次の条件で分析した。
カラム:ODSカラム 4.6mm×150mm
温度:40℃
UV検出波長:220nm
移動層・流速:0.1%リン酸水溶液と0.1%リン酸アセトニトリルを混合し、平衡化した後、システイン含有ペプチドのピークが13分になるよう流速を調節した。
このようにして得た、サンプル及びコントロールのピーク面積から、次の式により、ペプチド結合率を算出した。
ペプチド結合率
=(1−(サンプルのピーク面積/コントロールのピーク面積))×100
結果を表5に示す。
Figure 2019011266
表5から明らかなように、ヒマシ油のみを含有する参考例1では、結合率が5.29%と高い値であった。また、ヒマシ油に酢酸トコフェロールを組み合わせた実施例14及び15においても、結合率が5.59%、5.18%であり、参考例1と同様の結果となった。これに対して、ヒマシ油にパルミチン酸レチノールを組み合わせた実施例10〜13では、結合率が高くても1.92%であった。
このことから、ヒマシ油とビタミンA類とを組み合わせることにより、ヒマシ油単体よりも、ペプチド結合率が低くなり、皮膚感作性リスクが低減したことが分かった。
また、ヒマシ油にビタミンA類とビタミンE類とを組み合わせた実施例10及び13では、ヒマシ油にビタミンA類のみを組み合わせた実施例11及び12よりも、ペプチド結合率を更に低減できた。
このことから、ヒマシ油にビタミンA類を組み合わせることにより、また、更にビタミンE類を組み合わせることにより、油性点眼剤の安定性の向上に加えて、皮膚感作性のリスクを低減できることが分かった。
処方例
表6に示す処方に従い油性点眼剤を調製し、PET製またはPP製容器(オレンジ色、波長600nmにおける光透過率:50%以下)に充填した。処方例1〜13は、(A)成分及び(B)成分を混合して調製し、容器に充填した。処方例14〜16は、(B)成分を混合して得た混合液を80℃に温め、攪拌しながら、別途(A)成分を混合して得た混合液を少しずつ加えることにより調製し、容器に充填した。これらは、前記試験例の場合と同様に、ビタミンA類及び/またはビタミンE類をより高い割合で残留させることが可能であり、高い安定性が期待できる油性点眼剤である。
Figure 2019011266

Claims (4)

  1. ポリエチレンテレフタレート製またはポリプロピレン製の容器に充填された油性点眼剤、
    ここで該油性点眼剤は、ヒマシ油と、ビタミンA類及びビタミンE類からなる群より選択される少なくとも1種と、水0〜8質量%とを含有する。
  2. 前記油性点眼剤が更にl−メントールを含有する、請求項1に記載の油性点眼剤。
  3. 前記油性点眼剤が更にジブチルヒドロキシトルエンを含む、請求項1または2に記載の油性点眼剤。
  4. 前記容器の色がオレンジ色である、請求項1〜3のいずれかに記載の油性点眼剤。
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