JP2019011089A - 缶蓋及び缶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 缶蓋の缶胴への巻き締め以降にテール部を容易にチップアップさせることができ、開缶性能を向上させることが可能な缶蓋及び缶の製造方法を提供すること。【解決手段】 缶蓋本体と、缶蓋本体の上面に取り付けられたタブ1とを備え、タブが、缶蓋本体の上面に突出して形成されるリベットに取り付けられる取り付け部4と、缶蓋本体にスコアにより画成された開口片の上に重ねられる先端部7と、取り付け部に対して先端部と反対方向に延びるテール部8とを備え、テール部が、その幅方向に延在した長孔部8bと、周縁部において缶蓋本体側に折り返して曲げて形成されたカール部9とを備え、カール部のうち長孔部の端部に対向した部分が、他の部分よりも折り返し幅が小さい幅狭部9bとされている。【選択図】 図1

Description

本発明は、缶胴の開口部に巻き締められる缶蓋及び缶の製造方法に関する。
飲料缶の缶蓋として、タブを缶蓋本体に取り付けたままの状態で飲み口が開口可能なステイオンタブ方式のものが知られている。このステイオンタブ方式の缶蓋では、タブを引き起こす際に、弱い力でも楽に蓋開けができるようにしたものが提案されている。
例えば、特許文献1には、タブの上面中央にV型溝を幅全体に設けておき、指挿入先端に指を引っ掛け、先端部を軽く持ち上げ、V型溝を折り曲げることで、指挿入部に指を深く挿入して楽に蓋開けすることができるステイオンタブの構造が記載されている。
また、特許文献2には、缶蓋本体のリベットに取り付けられる取り付け部と指掛け部との間に、タブの幅全面を横断するように折り曲げ溝を上面に設けた缶蓋開口用タブが記載されている。
特開2000−128167号公報 特開2003−54548号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記従来技術のように、折り曲げ溝がタブに形成されている場合、タブを引き起こすために、最初にテール部の端部に指や爪を引っ掛けて引き上げることで、溝を折り曲げる動作が必要であるが、タブの強度自体は高く、やはり爪を痛めるおそれがあった。
このため、ステイオンタブ方式の缶蓋において、タブへの指掛かり性を向上させるため、タブのテール部を予めチップアップさせておくことが考えられる。しかしながら、缶胴に缶蓋を巻き締める以前にチップアップを施すと、缶蓋を重ねて搬送する際に、重ねた缶蓋の内面にタブが接触し、タブの成形油が内面に付着してしまう不都合があった。また、缶蓋の重なりに隙間が生じてアコーディオン様となり、搬送が不安定になってしまう問題があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、缶蓋の缶胴への巻き締め以降にテール部を容易にチップアップさせることができ、開缶性能を向上させることが可能な缶蓋及び缶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る缶蓋は、缶蓋本体と、前記缶蓋本体の上面に取り付けられたタブとを備え、前記タブが、前記缶蓋本体の上面に突出して形成されるリベットに取り付けられる取り付け部と、前記缶蓋本体にスコアにより画成された開口片の上に重ねられる先端部と、前記取り付け部に対して前記先端部と反対方向に延びるテール部とを備え、前記テール部が、その幅方向に延在した長孔部と、周縁部において前記缶蓋本体側に折り返して曲げて形成されたカール部とを備え、前記カール部のうち前記長孔部の端部に対向した部分が、他の部分よりも折り返し幅が小さい幅狭部とされていることを特徴とする。
この缶蓋では、テール部が、その幅方向に延在した長孔部を備えているので、テール部を折り曲げる際に、低強度部となる長孔部を起点としてテール部が折り曲がり、テール部の端部側を容易にチップアップすることができる。特に、カール部のうち長孔部の端部に対向した部分が、他の部分よりも折り返し幅が小さい幅狭部とされているので、幅狭部が他のカール部に比べて強度が低くなり、幅狭部で折り曲げ易くなる。このように、長孔部とそのの幅狭部との相乗効果によって、これらの部分が他の部分に比べて相対的に低強度となり、長孔部の両端側でテール部が容易に折り曲がり、チップアップさせることができる。さらに、このとき、長孔部の内壁同士が当接することで、長孔部の幅に応じてテール部の折り曲げが制限され、テール部が必要以上にチップアップしないように設定することができる。
なお、缶蓋本体に取り付けられ缶胴に巻き締め時又は巻き締め後に、缶蓋支持具のノックアウトパッドや専用装置等に設けられた突起部で長孔部の近傍又は幅狭部を下方に押圧することで、長孔部を起点にしてテール部が容易に折り曲がり、テール部の端部側を容易にチップアップすることができる。
第2の発明に係る缶蓋は、第1の発明において、前記テール部が、前記長孔部の周囲に前記缶蓋本体側に突出した孔周囲凸部を有していることを特徴とする。
すなわち、この缶蓋では、テール部が、長孔部の周囲に缶蓋本体側に突出した孔周囲凸部を有しているので、テール部の強度が増すと共に、長孔部の近傍又は幅狭部を下方に押圧して折り曲げる際に、長孔部の近傍が必要以上に缶蓋本体側に沈み込まないように孔周囲凸部で支持することができる。
第3の発明に係る缶蓋は、第2の発明において、前記長孔部が、前記孔周囲凸部にまで延在していることを特徴とする。
すなわち、この缶蓋では、長孔部が、孔周囲凸部にまで延在しているので、長孔部によって孔周囲凸部の強度を調整することができる。
第4の発明にる缶の製造方法は、缶蓋を缶胴の開口部に巻き締める巻き締め工程を有する缶の製造方法であって、前記巻き締め工程が、前記缶胴の開口部に被せた請求項1から3のいずれか一項に記載の缶蓋を缶蓋支持具により上方から押さえる缶蓋押さえ工程を有し、前記缶蓋押さえ工程時に、前記缶蓋支持具の下面に設けられた突起部により、前記長孔部の近傍又は前記幅狭部を下方に向けて押圧し、前記長孔部を起点にして前記テール部を曲げて前記テール部の端部を前記缶蓋本体の中央部分に配置される円板状のパネル部から上方に浮かせることを特徴とする。
すなわち、この缶の製造方法では、缶蓋押さえ工程時に、缶蓋支持具のノックアウトパッド等に設けられた突起部で長孔部の近傍又は幅狭部を下方に向けて押圧することで、長孔部を起点にしてテール部が折り曲がり、テール部の端部側を容易にチップアップすることができる。
また、テール部の端部が浮いた缶を製造する際に、巻き締め前ではテール部が曲げられていないため、缶蓋を重ねて搬送する場合にタブが接触しないと共に重なりに隙間も生じず、安定した搬送が可能になる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る缶蓋によれば、テール部が、その幅方向に延在した長孔部を備えると共に、カール部のうち長孔部の端部に対向した部分が、他の部分よりも折り返し幅が小さい幅狭部とされているので、長孔部とその両側の幅狭部との相乗効果によって、これらの部分が他の部分に比べて相対的に低強度となり、長孔部の両端側でテール部が容易に折り曲がり、チップアップさせることができる。
また、本発明の缶蓋を用いた缶の製造方法では、缶蓋押さえ工程時に、缶蓋支持具のノックアウトパッド等に設けられた突起部で長孔部の近傍又は幅狭部を下方に向けて押圧することで、長孔部を起点にしてテール部が折り曲がり、テール部の端部側を容易にチップアップすることができる。
したがって、本発明の製造方法では、缶胴に缶蓋を巻き締める前ではテール部がチップアップしておらず、良好な搬送性等が得られると共に、缶蓋を缶胴に巻き締めた状態でテール部をチップアップさせることができ、テール部の端部に指先が掛かり易く、従来よりも爪を痛めずに弱い力でも容易に開缶することができる。
本発明に係る缶蓋及び缶の製造方法の一実施形態において、タブを示す平面図(a)及び裏面図(b)である。 図1のA−A線断面図(a)、B−B線断面図(b)及びC−C線断面図である。 図1のD−D線断面図(a)及びE−E線断面図(b)である。 本実施形態において、缶蓋を示す上面図(a)及びG−G線断面図(b)である。 本実施形態において、タブ折り曲げ工程を工程順に示す断面図である。 本実施形態において、タブ折り曲げ前後の状態を示す説明図である。 本実施形態において、ノックアウトパッドの突起部による押圧を示す要部の拡大断面図である。 本実施形態において、缶蓋にノックアウトパッドが接触し、チャック部材が嵌合した状態を示す要部の拡大断面図である。 本実施形態において、缶巻き締め装置により缶蓋を缶胴に巻き締めている状態を工程順に示す断面図である。 本実施形態において、缶巻き締め装置における一組の巻き締めユニットを概略的に示した正面図である。
以下、本発明に係る缶蓋及び缶の製造方法の一実施形態を、図1から図10を参照しながら説明する。
本実施形態の缶蓋20は、図4に示すように、缶蓋本体2と、缶蓋本体2の上面に取り付けられたタブ1とを備えている。
上記タブ1は、缶蓋本体2の上面に突出して形成されるリベット3に取り付けられる取り付け部4と、缶蓋本体2にスコア(主スコア5a)により画成された開口片6の上に重ねられる先端部7と、取り付け部4に対して先端部7と反対方向に延びるテール部8とを備えている。
上記テール部8は、図1から図3に示すように、その幅方向に延在した長孔部8bと、周縁部において缶蓋本体側に折り返して曲げて形成されたカール部9とを備えている。
上記長孔部8bは、打ち抜き加工により線状に形成された細孔であり、テール部8の端部と取り付け部4との間の中間点よりも若干端部側に形成されている。
上記カール部9のうち長孔部8bの端部に対向した部分は、他の部分よりも折り返し幅が小さい幅狭部9bとされている。
上記カール部9のうち幅狭部9bの両側部分には、幅狭部9bに向けて折り返し幅が漸次小さくされたテーパ薄折り部9aが形成されている。
上記幅狭部9bは、図2の(b)(c)に示すように、カール部9の他の部分(図2の(a))よりも厚さが薄く設定されている。
また、テーパ薄折り部9aの折り返した部分は、図1の(b)に示すように、幅狭部9bに向けて先細になっている。
このように、テール部8のうち、長孔部8bとその両端部側の幅狭部9bとを含む部分は、強度が他の部分よりも低くなった弱化部として形成されている。
また、テール部8は、長孔部8bの周囲に缶蓋本体2側に突出した一対の孔周囲凸部8aを有している。これらの孔周囲凸部8aは、中央の平板部8cの両側に形成され、テール部8の裏面側に突出しているが、平面側では凹部となっている。
上記長孔部8bは、孔周囲凸部8aにまで延在している。すなわち、長孔部8bは、平板部8cを分断していると共に、その両端部は一対の孔周囲凸部8aの中央付近にまで配されている。
上記缶蓋本体2は、図4に示すように、その中央部分に配置される円板状をなすパネル部20aと、パネル部20aの外周縁からコーナー部21を介して連続し下方に向けた環状凹部22を形成するカウンターシンク部23と、カウンターシンク部23の外周縁から上方に向けてほぼ拡径しながら延在するチャック壁部24と、チャック壁部24の外周縁から連なるショルダー部25と、ショルダー部25に連続するカール外周部26とから構成されている。
パネル部20aの上面には、パネル部20aの中央部に突出したリベット3が形成されており、このリベット3にタブ1が取り付けられている。また、パネル部20aの上面のリベット3から特定の半径方向に延びる部分(図4ではリベット3の左側)にスコア部40により画成される開口片6が形成され、開口片6とはリベット3を介して反対側(図4ではリベット3の右側)に指かけ凹部26が形成されている。
そして、これら開口片6及び指かけ凹部26を取り囲むように、凹状のパネルデボス20bが形成されている。
スコア部40は、始端部41と、リベット3をほぼ半分囲む円弧状の初期破断部となる円弧形状部42と、略楕円形状の中間部43と、終端部44とで構成され、始端部41と終端部44との間にパネル部20aとの接続部45を一部残して形成され、開口片6を画成している。円弧形状部42は、リベット3周囲のコイニングにより押しつぶされたリング状圧印部に形成される。
また、スコア部40は、タブ1による押圧によって破断されて開口片6を形成する主スコア5aと、主スコア5aの内側に隣接して平行に形成される補助スコア5bとを備えた二重構造とされており、スコア部40の始端部41および終端部44で、主スコア5aと補助スコア5bとが接続されている。
そして、補助スコア5bは、隣接する主スコア5aよりも浅く形成されており、タブ1の押圧によっては破断されない構成となっている。
なお、ここでいう本実施形態の主スコア5aが、本発明におけるスコアに対応する。
開口片6上には、スコア部40に沿うようにして突出させられたインナービード28が形成され、開口片6を補強している。
指かけ凹部26は、タブ1のテール部8端部を引き上げる際に、その端部の下方に指先を配置して引き上げ易くするものであり、テール部8端部の下方近傍のパネル部20aに半径方向外方にかけて形成されている。
リベット3は、パネル部20aの中心の周囲を上方からリング状に圧印するコイニング加工を施して、パネル部20aの中心部を上方に張り出させることにより形成されている。
タブ1は、アルミニウム等の金属板を切り抜いてプレス加工等により形成されており、上述したように、開口片6の上方に重なって配置された先端部7と、リベット3を挟んで反対側に形成されたテール部8とを備えている。
先端部7とテール部8との間には、U字状のスロット34aによりタング部34が形成され、タング部34にリベット孔である取り付け部4が形成されており、その取り付け部4にリベット3が挿入されてタング部34の下面がパネルデボス20bの表面に当接した状態でタブ1が取り付けられている。
また、タブ1は、全体の外周縁で金属板が下面側に折り曲げられてカール成形が施された上記カール部9を有しており、全体の剛性が高められている。
本実施形態の缶の製造方法は、図10に示すように、缶蓋20を缶胴121の開口部に巻き締める巻き締め工程を有する缶の製造方法であって、巻き締め工程が、缶胴121の開口部に被せた缶蓋20を缶蓋支持具133により上方から押さえる缶蓋押さえ工程を有している。
この製造方法では、図5、図7及び図9に示すように、缶蓋押さえ工程時に、缶蓋支持具133の下面に設けられた突起部Pにより、長孔部8bの近傍又は幅狭部9bを下方に向けて押圧し、長孔部8bを起点にしてテール部8を曲げてテール部8の端部を缶蓋本体2の中央部分に配置される円板状のパネル部20aから上方に浮かせる。
なお、この際、テール部8の端部が、ショルダー部25及びカール外周部26の上端よりも上方に浮き過ぎないようにテール部8が曲げられる。すなわち、テール部8は、パネル部20aの上面からショルダー部25及びカール外周部26の上端までの範囲内に端部が配されるようにして曲げられる。これは、テール部8の端部が浮き過ぎて、搬送時等の取り扱いの際にテール部8の端部が他のものに引っ掛かって不用意に開栓してしまうことを防ぐためである。
また、一対の孔周囲凸部8aは、上記突起部Pによる押圧の際に、長孔部8bを起点として折り曲げ可能な強度にその強度が設定されている。
缶蓋20が巻締められる缶胴121は、図10に示すように、アルミニウム合金製板材を絞りしごき加工(DI加工)することにより形成した有底筒状の胴部122に、その開口端部から縮径したネック部123が形成され、このネック部123の上端に外向きのフランジ部124が連続して形成された形状とされている。
そして、この缶胴121と缶蓋20とを巻締めるための缶巻締め装置は、図10に示すように構成される。
この缶巻締め装置131は、図示略の巻締め機本体のターレットに、缶胴121を載置して上下移動及び回転駆動されるリフター132と、缶胴121に被せた缶蓋20を上方から押さえながら缶蓋20の内側に配置される缶蓋支持具133と、この缶蓋支持具133とリフター132との間に挟持された状態で回転させられる缶胴121及び缶蓋20に半径方向外方位置から接近して巻締め加工を行う複数のシーミングロール134,135との組み合わせからなる巻締めユニットが周方向に間隔を開けて複数組設けられている。
そして、これらリフター132、缶蓋支持具133及びシーミングロール134,135は、巻締め機本体のターレットの旋回により、周方向に移動しつつリフター132と缶蓋支持具133との間に缶胴121及び缶蓋20を受け入れてこれらを挟持した状態とし、シーミングロール134,135で巻締めるようになっている。図10にはリフター132、缶蓋支持具133及びシーミングロール134,135からなる巻締めユニットを一組のみ示している。
リフター132は、缶胴121が載置されるリフタープレート136、及びこのリフタープレート136を上方に付勢するスプリング等を保持したホルダー部137が備えられており、巻締め機本体のターレットとともに旋回することにより、巻締め機本体に固定状態のリング状カム(図示略)に沿って移動しながら矢印Aで示すように上下移動し、矢印B1で示すように自身の軸心X回りに回転駆動させられる構成である。
缶蓋支持具133は、缶蓋20を上方から押さえるノックアウトパッド141と、このノックアウトパッド141の周囲にノックアウトパッド141と同一の軸心上に配置され缶蓋20のチャックウォール106の内周面側を支持するチャック部材142とが備えられており、リフター132と同一の軸心上に配置される。したがって、リフター132、缶蓋支持具133のノックアウトパッド141、チャック部材142は同一の軸心X上に配置されている。
チャック部材142は、図8に拡大して一部を示したように、その外周面に、巻締め時にシーミングロール134,135から加えられる半径方向内方に向けた押圧力を缶蓋20のチャックウォール106の内側で支持するウォール支持面143が、チャック部材142の軸心Xに対して上方に向かうにしたがって漸次拡径する方向に例えば4°の傾斜角度で形成され、そのウォール支持面143の下方に、缶蓋20のカウンターシンク部105内に嵌合する環状突出部144が形成され、この環状突出部144の内側にノックアウトパッド141を収容するための凹部145が形成されている。なお、このチャック部材142は、その上部が巻締め機本体のターレットに回転自在に支持されているとともに、ターレットの旋回に伴い、巻締め機本体のラックにピニオンギヤが係合して図10の矢印B2で示すように回転駆動されるようになっている。
ノックアウトパッド141は、チャック部材142の軸心X上に上下移動可能に配置される支持軸146(図9参照)と、この支持軸146の先端に固定された水平な円板部147と、その円板部147の外周部に一体に形成されたテーパ状筒部148とから構成されている。支持軸146は、軸心Xを中心に回転自在に支持されていると共に、前述したターレットの旋回に伴い図示略のロッドを介して巻締め機本体のカムによって上下動され、その上下動により、ノックアウトパッド141の円板部147がチャック部材142の凹部145内に収容された位置(図9(a)参照)と、環状突出部144の先端よりも下方に突出する位置(図9(b)参照)との間を往復移動させられるようになっている。
上記缶蓋支持具133の下面には、図7に示すように、突起部Pが設けられている。すなわち、缶蓋支持具133のノックアウトパッド141において、円板部147の下面に、円環状に延在し、下方に向けて突出した突起部Pが形成されている。この突起部Pは、図9に示すように、タブ1の凹み部11に対向した上面部分を下方に向けて押圧可能な位置に設けられている。
このように構成された缶巻締め装置131によって缶胴121に缶蓋20を巻締める場合、ターレットによって旋回される各リフター132に順次缶胴121が供給されると共に、そのリフター132に載置された状態の缶胴121のフランジ部124の上に、図9(a)に示すように、缶蓋20が1枚ずつ供給され、缶胴121内のヘッドスペース部分に窒素ガスが供給されて、内部の空気を窒素ガスにより置換した後、ノックアウトパッド141が下降して、図9の(b)に示すように、缶蓋20のパネル部20aを上方から押さえる。
この際、ノックアウトパッド141の突起部Pが、図7に示すように、タブ1の凹み部11に対向した上面部分を下方に向けて押圧し、長孔部8bを起点にしてテール部8を曲げてテール部8の端部を缶蓋本体2のパネル部20aから上方に浮かせる。すなわち、突起部Pが長孔部8bの端部に対向した幅狭部9bを押すことで、テール部8が折り曲げられて、端部が缶蓋本体2から離れて浮く。
次に、図9の(b)に示すように、缶蓋20がノックアウトパッド141で押さえられた状態から、リフター132及びノックアウトパッド141が上昇して缶胴121及び缶蓋20を押し上げ、図9の(c)及び図8に示すように、チャック部材142の環状突出部144に缶蓋20のカウンターシンク部105を嵌合して缶蓋20を把持させる。このチャック部材142の嵌合時は、缶蓋20とノックアウトパッド141とが芯合わせされているので、チャック部材142の環状突出部144は缶蓋20のカウンターシンク部105の環状凹部104に円滑かつ正確に案内され、片当たり等が生じることがない。
次いで、シーミングロール134,135が缶胴121のフランジ124と缶蓋20とを巻締めて、巻締め部157を形成した後、リフター132が下降することにより、図9の(d)に示すように、チャック部材142が缶蓋20から離間する。このとき、ノックアウトパッド141は缶蓋20を押さえた状態とされ、その後、さらにリフター132が下降するとともに、ノックアウトパッド141もチャック部材142の凹部145内に戻される。
この一連の巻締め加工において、ノックアウトパッド141が缶蓋20を正確に芯合わせするので、周方向に均一な巻締め加工を行うことができ、巻締め寸法のばらつきの発生を防止することができる。
上述したように、本実施形態では、図5の(a)に示すように、タブ1を缶蓋本体2のリベット3に取り付けた状態で、缶胴121に巻き締めを行う。この際、図5の(b)に示すように、長孔部8bの近傍を上方からノックアウトパッド141の突起部Pで缶蓋本体2側に押圧することにより、図5の(c)に示すように、長孔部8bの端部に対向した幅狭部9bが凹んでテール部8の端部がチップアップする。
なお、巻き締め以降の工程から梱包工程の間に、専用の押圧機を用いて長孔部8bの近傍を押圧して、テール部8の端部をチップアップさせても構わない。また、専用機等によって、テール部8の端部を上方に引き上げて長孔部8bを起点に曲げ、チップアップさせても構わない。
このように本実施形態の缶蓋20では、テール部8が、その幅方向に延在した長孔部8bを備えているので、テール部8を折り曲げる際に、低強度部となる長孔部8bを起点としてテール部8が折り曲がり、テール部8の端部側を容易にチップアップすることができる。特に、カール部9のうち長孔部8bの端部に対向した部分が、他の部分よりも折り返し幅が小さい幅狭部9bとされているので、幅狭部9bが他のカール部9に比べて強度が低くなり、幅狭部9bで折り曲げ易くなる。
このように、長孔部8bとその両側の幅狭部9bとの相乗効果によって、これらの部分が他の部分に比べて相対的に低強度となり、長孔部8bの両端側でテール部8が容易に折り曲がり、チップアップさせることができる。さらに、図6に示すように、折り曲げた際に長孔部8bの内壁同士が当接することで、長孔部8bの幅に応じてテール部8の折り曲げが制限され、テール部8が必要以上にチップアップしないように設定することができる。
また、テール部8が、長孔部8bの周囲に缶蓋本体2側に突出した孔周囲凸部8aを有しているので、テール部8の強度が増すと共に、長孔部8bの近傍又は幅狭部9bを下方に押圧して折り曲げる際に、長孔部8bの近傍が必要以上に缶蓋本体2側に沈み込まないように孔周囲凸部8aで支持することができる。
さらに、長孔部8bが、孔周囲凸部8aにまで延在しているので、長孔部8bによって孔周囲凸部8aの強度を調整することができる。
本実施形態の缶の製造方法では、缶蓋押さえ工程時に、缶蓋支持具133のノックアウトパッド141等に設けられた突起部Pで長孔部8bの近傍又は幅狭部9bを下方に向けて押圧することで、長孔部8bを起点にしてテール部8が折り曲がり、テール部8の端部側を容易にチップアップすることができる。
また、テール部8の端部が浮いた缶を製造する際に、巻き締め前ではテール部8が曲げられていないため、缶蓋20を重ねて搬送する場合にタブ1が接触しないと共に重なりに隙間も生じず、安定した搬送が可能になる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…タブ、2…缶蓋本体、3…リベット、4…取り付け部、5a…主スコア、6…開口片、7…先端部、8…テール部、8a…孔周囲凸部、8b…長孔部、9…カール部、20…缶蓋、121…缶胴、133…缶蓋支持具、P…突起部

Claims (4)

  1. 缶蓋本体と、
    前記缶蓋本体の上面に取り付けられたタブとを備え、
    前記タブが、前記缶蓋本体の上面に突出して形成されるリベットに取り付けられる取り付け部と、前記缶蓋本体にスコアにより画成された開口片の上に重ねられる先端部と、前記取り付け部に対して前記先端部と反対方向に延びるテール部とを備え、
    前記テール部が、その幅方向に延在した長孔部と、周縁部において前記缶蓋本体側に折り返して曲げて形成されたカール部とを備え、
    前記カール部のうち前記長孔部の端部に対向した部分が、他の部分よりも折り返し幅が小さい幅狭部とされていることを特徴とする缶蓋。
  2. 請求項1に記載の缶蓋において、
    前記テール部が、前記長孔部の周囲に前記缶蓋本体側に突出した孔周囲凸部を有していることを特徴とする缶蓋。
  3. 請求項2に記載の缶蓋において、
    前記長孔部が、前記孔周囲凸部にまで延在していることを特徴とする缶蓋。
  4. 缶蓋を缶胴の開口部に巻き締める巻き締め工程を有する缶の製造方法であって、
    前記巻き締め工程が、前記缶胴の開口部に被せた請求項1から3のいずれか一項に記載の缶蓋を缶蓋支持具により上方から押さえる缶蓋押さえ工程を有し、
    前記缶蓋押さえ工程時に、前記缶蓋支持具の下面に設けられた突起部により、前記長孔部の近傍又は前記幅狭部を下方に向けて押圧し、前記長孔部を起点にして前記テール部を曲げて前記テール部の端部を前記缶蓋本体の中央部分に配置される円板状のパネル部から上方に浮かせることを特徴とする缶の製造方法。
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