JP2019010436A - 生体センサおよび生体センサの信号取得方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この解析装置では、心音を検出するセンサを生体のどの場所に装着すれば好ましいかを判定した上で、当該センサが生体に装着される。
図1は、この発明の第1の実施形態による生体センサの構成を示す概略ブロック図である。
生体センサ1は、センサアレイ部(センサユニット)10、体動センサ20、音収集部30、音源分離部40を含んで構成される。
センサユニット10は、被測定者である生体に装着可能であり、少なくとも生体から生じる振動を検出し、この振動に基づく信号を得る。このセンサユニットは、複数のセンサを含んで構成されるものであり、例えばセンサ101から109である9つのセンサを含んで構成される。センサ101から109は、第1方向(横方向,行方向)に3つ、第2方向(縦方向,列方向)に3つ、並ぶように配置される。第1方向における1行目にはセンサ101、102、103、2行目にはセンサ部104、105、106、3行目にはセンサ107、108、109が並ぶように配列される。また、第2方向に見た場合には、1列目にセンサ101、104、107、2列目にセンサ102、105、108、3列目にセンサ103、106、109が並ぶように配列される。
これらセンサ101から109は、それぞれ、フィルム状のセンサであり、厚み方向に対する振動を検出するものであり、音圧も検出することができる。例えば、フィルム状(シート型)のエレクトレット圧力センサを用いることができる。このエレクトレット圧力センサは、例えば、多孔質発泡材料が用いられる。
また、これらセンサ101から109の外周形状は、それぞれ、略矩形状であるが、円形状等、他の形状であってもよい。
音収集部30は、センサユニット10の近傍に設置され、センサユニット10の周囲の音を検出し、検出結果を外部騒音信号として音源分離部40に供給する。音収集部30は、例えばマイクロフォンを用いることができる。
ノイズキャンセル部410は、これら得られた外乱ノイズの信号にフィルタを通し、それぞれ周波数特性(位相や振幅)を合せ込み、各センサから得られる信号と差分をとることで、心音等の目的の信号(ここでは、主に大動脈領域(a)、肺動脈領域(b)、三尖弁領域(d)、僧帽弁領域(e)から得られる信号)以外のノイズをキャンセリングする。
このフィルタの周波数特性は、予め体動や外部騒音位置と各センサ間の伝達関数を計測しておく。
ビームフォーミング部421は、予め記憶された特徴量データと各センサから得られた信号から抽出した同種の特徴量データとの相関に基づいて、他のセンサよりも相関の高い1つのセンサからの信号を選択しても良いし、相対的に相関の高い複数のセンサからの信号を合成しても良い。
例えば、大動脈領域(a)、肺動脈領域(b)、エルプ領域(c)、三尖弁領域(d)、僧帽弁領域(e)について、これら領域において得る目的となる音の特徴を示す特徴量データを予め取得部420の記憶領域に記憶しておく。より具体的に、大動脈領域(a)を一例として説明すると、大動脈領域(a)から得る目的の音は、大動脈弁が閉じる音であるため、この大動脈弁が閉じる音のサンプルとなるデータを予め取得しておき、この大動脈弁が閉じる音の信号に対して、DC除去(直流成分除去)、平滑化等のフィルタ処理を施した後にFFT(fast Fourier transform)処理を行ない、周波数パターン(例えば周波数と振幅との関係)、周波数時変動パターン(例えば、周波数パターンの時系列の関係)、目的音の音源の位置(方向)関係等において特徴的なデータを抽出することで、特徴量データを生成し、取得部420の記憶領域に記憶しておく。大動脈弁が閉じる音のサンプルは、被測定者自身から得たものであってもよいし、他の被測定者から得たものであってもよい。
そして、各センサから得られた信号の特徴量データのそれぞれと予め記憶された特徴量データとについて、周波数パターンと周波数時変動パターンとに基づき大動脈弁の閉じる音のパターンであるか否かのマッチングを行ない、マッチング度合が一定以上である場合には大動脈弁の閉じる音のパターンであることを同定し、周波数時変動パターンと9つのセンサの信号レベルに基づき大動脈弁と9つのセンサとの位置関係を同定する。例えば、大動脈弁に最も近いセンサほど、大動脈弁パターンが、早いタイミングかつ大きな振幅の信号が現れる。
ここでは、1つのセンサから得られた信号から、所望の信号を取り出すことも可能であるが、1つのセンサから得られる信号から所望の信号を取り出す場合に比べて、複数のセンサから得られた信号から所望の信号を分離する方が、高い精度で所望の信号を分離することができる。
また、ビームフォーミング部421は、相関解析を行なうことで、どのセンサがどの領域に対応しているか、その位置関係を把握することができる。また、大動脈領域(a)、肺動脈領域(b)、エルプ領域(c)、三尖弁領域(d)、僧帽弁領域(e)のように、各領域の相対的な位置関係が予め解っているケースでは、たとえ目的音との相関が高い場合であっても、その音の音源の位置(方向)が各領域の位置関係とは異なる場合には、敢えて、非目的音方向のセンサの信号を利用しないことで、精度高く、所望の信号を分離してもよい。
なお、ビームフォーミング部421は、相関のないノイズは抑圧されるため、目的外の信号を分離・除去できる点においては、後述するノイズサプレッサ部422として機能しているともいうことができる。
まず、測定者は、被測定者の生体にセンサユニット10を装着する。ここでは、被測定者の心音を得る場合には、被測定者の前面の胸部に対し、センサユニット10の粘着面を胸部に貼り付けることで装着する。また、センサユニット10は、胸部に対する上下方向や左右方向等の装着向きは任意であるが、例えば、センサ101が被測定者に向かって左上、センサ103が右上となるように装着される。
センサユニット10が装着されると、音源分離部40は、各センサからの信号を得る(ステップS101)。ノイズキャンセル部410は、各センサから得られた信号からノイズを除去する(ステップS102)。ノイズが除去されると、取得部420のビームフォーミング部421は、信号を抽出する対象の領域を決定し(ステップS103)、決定された領域に対応する特徴量データを記憶領域から読み出す。例えば、大動脈領域(a)、肺動脈領域(b)、エルプ領域(c)、三尖弁領域(d)、僧帽弁領域(e)が対象の領域として予め指定されている場合には、これらの領域の中から所定の順(例えば大動脈領域(a)、肺動脈領域(b)、エルプ領域(c)、三尖弁領域(d)、僧帽弁領域(e)の順)に従い、大動脈領域(a)に対応する特徴量データを読み出す。
ビームフォーミング部421は、選択されたセンサ101、センサ102、センサ104の出力の位相と振幅を制御して合成を行う(ステップS106)。
例えば、実際の音源からセンサまでの距離は、センサごとに異なるため、音源から到達する音について、位相も異なる。そのため、各センサからの信号を単純に加算すると、位相によっては振幅が0となってしまう可能性もあるため、音源に最も近いとして選択されたセンサからの信号に対して他の選択されたセンサからの信号の位相を合せるように調整して加算することで、より大きな振幅に調整することができる。
また、生体センサ1から出力される信号に基づいて、画面上に表示あるいは印刷媒体に印刷することで、各領域にから得られた音の強さと時間の関係をグラフ等によって表すようにしてもよい。
図4は、第2の実施形態における生体センサ1Aの構成を示す概略ブロック図である。生体センサ1Aは、センサユニット10Aと、音源分離部40Aとを有する。
センサユニット10Aは、センサ111、センサ112、センサ113、センサ114、センサ115、センサ116、センサ117、センサ118、センサ119を有する。これらセンサ111からセンサ119は、第1の実施形態と同様に、フィルム状のエレクトレットシートを用いることができる。
これらセンサの配置は、第1の実施形態におけるセンサユニット10と同様に、縦方向に3行、横方向に3列となるように配列される。さらにセンサユニット10Aは、これらセンサの電極として、センサユニット10Aの第1主面(例えば、表面)に、電極x1、電極x2、電極x3が設けられ、センサユニット10Aの第2主面(例えば、裏面)に、電極y1、電極y2、電極y3が設けられる。
電極x1、電極x2、電極x3は、それぞれ縦方向に平行になるように並べられ、それぞれ、3つのセンサに対応する位置に重ねて配置される。ここでは、電極x1には、センサ111、センサ114、センサ117が重なるように配置され、電極x2には、センサ112、センサ115、センサ118が重なるように配置され、電極x3には、センサ113、センサ116、センサ119が重なるように配置される。
電極y1、電極y2、電極y3は、それぞれ横方向に平行になるように並べられ、それぞれ、3つのセンサに対応する位置に重ねて配置される。ここでは、電極y1には、センサ111、センサ112、センサ113が重なるように配置され、電極y2には、センサ114、センサ115、センサ116が重なるように配置され、電極y3には、センサ117、センサ118、センサ119が重なるように配置される。
マトリックススキャン部450は、センサ111からセンサ119のうち、信号を入力する対象のいずれか1つのセンサを選択し、選択された対象のセンサ部に対応する表面の電極と裏面の電極を選択し、センサから得られる信号を入力する。例えば、センサ111からの信号を入力する場合には、電極x1と電極y1を選択することで、センサ111からの信号を入力する。また、例えば、センサ118からの信号を入力する場合には、電極x2と電極y3を選択することで、センサ118からの信号を入力する。このように、マトリックススキャン部450は、取得する対象のセンサについて、x側電極とy側電極とについてそれぞれ1つずつ選択することで、選択された電極が重なる位置に配置されているセンサ部からの信号を取得することができる。
このように表面三本および裏面三本の電極を厚み方向において重なるようにクロスさせてマトリクスを形成し、クロスポイントにセンサ111から119を配置すれば、シート型エレクトレット圧力センサとしては1枚シートのものを利用することができ、さらに電極から信号を取り出す配線数を少なくすることができるので、低コストでの実現が可能となる。
信号処理部451は、マトリックススキャン450から得られた信号に対し、AD変換機能によって、センサから得られるアナログの信号をデジタルの信号に変換し、上述の第1の実施形態のビームフォーミング部421、ノイズサプレッサ部422の機能と同様の処理を行なうことで、目的の信号を得る。このような処理は、1つの信号処理部451を用いる場合であっても、各センサから得られる信号を時分割で処理することができる。
信号処理部451は、CPU(中央処理装置)によって実現することもできる。
なお、第2の実施形態における生体センサ1Aにおいても、第1の実施形態における生体センサ1と同様に、音収集部30、体動センサ20とを設けるようにしてもよい。この場合、音収集部30と体動センサ20から得られる信号は、信号処理部451に入力され、信号処理部451が、音収集部30から得られた信号と体動センサ20から得られた信号を用いて、外部ノイズに起因する音の信号成分を除去する。
なお、上述のマトリックススキャン部450と信号処理部451と含むようにして取得部を構成するようにしてもよく、信号処理部451を取得部420として構成するようにしてもよい。
図5は、センサユニット10Bの構成を示す概略構成図である。
センサユニット10Bは、複数のセンサ121から129が設けられ、これらセンサの間が接続部材131から142によって接続される。センサ121から129は、上述した実施形態におけるセンサと同様に、フィルム状のエレクトレットシートを用いることができる。接続部材131から142は、伸縮性のある素材であって、その抵抗値が、接続されるセンサの間の距離に応じた抵抗値となるような素材(例えば、カーボンナノチューブ)が用いられる。
ここで、センサユニット10Bが生体に装着された場合に、生体の表面が曲面になっていたとしても、貼り付けシート及び接続部材が伸縮することで、センサユニット10Bを曲面に倣うように貼り付けることが可能である。また、呼吸や関節の曲げ伸ばしに応じて生体の取付け部位の表面形状が変化したとしても、その変化に応じて貼り付けシート及び接続部材が伸縮することで、センサユニット10Bもその変化に追従するようにして、装着された状態を維持することができる。これにより、センサユニット10Bの取付け対象の生体の部位の表面形状に凹凸があったとしても、その形状に倣うようにして容易に装着することができ、取付け対象の部位の自由度を上げことができる。
ICAを行なうことによって、音源に応じた音を得られると、取得部は、予め記憶された特徴量を用いることで、それぞれの音について、どの領域から得られた音であるかを対応付けるラベリング処理を行なう。これにより、どの領域からどのような音が得られたかを取得することができる。
また、センサユニットは、生体に対して粘着させることで装着するようにしたが、これ以外に、センサユニットをベルトやバンド等を用いて生体に装着するようにしてもよい。また、センサをシャツの裏面(生体に触れる面)に取付け、このシャツを被験者に着用してもらうことで、センサユニットを被験者に装着させるようにしてもよい。また、リストバンドを用いて被験者の手首に装着し、被験者の動脈(あるいは静脈)からの振動を検出するようにしてもよいし、眼鏡のつるにおける頭部に接する面にセンサを設け、被験者の頭部(たとえばこめかみ近傍)における動脈(あるいは静脈)からの振動を検出するようにしてもよい。
また、上述の生体センサを、胸部に装着し、呼吸に伴う音(例えば肺音)の特徴量データを取得部内に記憶し、これと相関を取ることで、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、ぜんそく等に関しても把握することができる。
また、上述の生体センサは、センサユニットを胸部以外に装着して被験者の状態をモニタリングすることもできる。例えば、センサユニットを妊婦の腹部に装着することにより、胎児の活動状況をモニタリングする胎児モニタとして利用することもできる。また、妊婦の腹部の張りの状態も把握することが可能となる。
生体センサのうち、センサユニットについては、必要に応じて音源分離部から取り外し、交換できるようにしてもよい。これにより、センサユニットを使い捨てにすることも可能である。特に、粘着シートを用いてセンサユニットを生体に装着する場合には、衛生面あるいは、粘着シートの粘着力の低下等を考慮して、必要なタイミングで交換できると使い勝手がよい場合がある。
また、特に遠隔においてモニタリングするにあたり、センサユニットを被験者自身が装着する場合もあり得る。このような場合、被験者は、必ずしも医療に精通しているとは限らないため、胸部に装着することを理解していたとしても、胸部のどの辺りに装着すればよいか具体的な位置を把握していない場合が考えられる。このような場合であっても、指定された部位に装着することができれば、部位における細かい位置がわからなくても、所望の信号を得ることができる。
Claims (12)
- 生体に装着可能であり少なくとも振動に基づく信号を得る複数のセンサからなるセンサアレイ部と、
前記センサアレイ部の複数のセンサから得られる信号から選択または合成して所望の信号を取得する取得部と、
を有する生体センサ。 - 前記センサから得られた信号から、外部の音に応じた信号と前記生体の体動に応じた信号とのうち少なくともいずれか一方の信号を除去するノイズキャンセル部
を有する請求項1に記載の生体センサ。 - 前記取得部は、
予め記憶された特徴量データと前記センサから得られた信号に基づく特徴量データとの相関に基づいて、他のセンサよりも相関の高い一または複数のセンサからの信号から所望の信号を得るビームフォーミング部
を有する請求項1または2に記載の生体センサ。 - 前記ビームフォーミング部は、
前記複数のセンサのうち、前記特徴量データと相関が最も高い信号が得られたセンサを選択し、特定されたセンサからの信号と相関が高い他のセンサを選択し、これら選択された各センサから得られる信号から所望の信号を得る
請求項3記載の生体センサ。 - 前記取得部は、
各センサから得られた信号に対して、所定の信号処理を行なってノイズ成分を低減することで所望の信号を抽出するノイズサプレッサ部
を有する請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の生体センサ。 - 前記取得部は、
複数のセンサの出力から位相と振幅を調整し、目的の信号を取り出す
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の生体センサ。 - 前記取得部は、
各センサから得られた信号に対し、独立成分分析を行なうことで、所望の信号を得る
請求項1記載の生体センサ。 - 前記複数のセンサのうち信号を得る対象のセンサ部を順に選択する選択部
を有する請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の生体センサ。 - 前記複数のセンサのうち隣接するセンサ部の距離を検知する距離検知部を有し、
前記ビームフォーミング部は、前記距離検知部によって検知された距離をビームフォーミングに用いて、所望の信号を得る
請求項3または請求項4に記載の生体センサ。 - 前記複数のセンサから得られた信号から、前記ビームフォーミングによって得られた信号を除去することで得られるノイズ成分を、前記前記ビームフォーミングによって得られた信号から除去するノイズキャンセル部
を有する請求項3または請求項4に記載の生体センサ。 - 前記センサは、フィルム状のエレクトレット圧力センサである
請求項1から請求項10のうちいずれか1項に記載の生体センサ。 - 複数のセンサが、生体に装着可能であり少なくとも振動に基づく信号を得て、
取得部が、前記複数のセンサから得られる信号から所望の信号を取得する
生体センサの信号取得方法。
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