JP2019007507A - 深溝玉軸受用冠型樹脂保持器 - Google Patents

深溝玉軸受用冠型樹脂保持器 Download PDF

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Abstract

【課題】高速回転軸受に好適な深溝玉軸受用冠型樹脂保持器を提供する。【解決手段】円環状基部2と基部2の軸方向一側面から軸方向へ突出する複数の片持ち状弾性片3,3,…とを備え、周方向に隣り合う弾性片3,3間の球面状のポケットPに転動体であるボールを保持する深溝玉軸受用冠型樹脂保持器1であって、基部2及び弾性片3,3,…の弾性片3,3,…が突出する側の軸方向側面の内径側部分全周の全部又は一部を、前記軸方向側面の外径側部分よりも段落ちさせた内側段落ち部4とし、内側段落ち部4は、ポケットPの曲率中心と同じ曲率中心、又はポケットPの曲率中心から軸方向若しくは径方向に離間した曲率中心で、ポケットPの曲率半径よりも曲率半径が大きくなるように外方へオフセットした内側ポケット面4Aを有する。【選択図】図4

Description

本発明は、深溝玉軸受の転動体であるボールが互いに接触しないように前記ボールを等間隔に分離した状態に保持する、合成樹脂製の深溝玉軸受用冠型保持器に関する。
深溝玉軸受の転動体であるボールが互いに接触しないように前記ボールを等間隔に分離した状態に保持する片円環型樹脂保持器として、深溝玉軸受用冠型樹脂保持器がある(例えば、特許文献1ないし3参照)。
深溝玉軸受用冠型樹脂保持器は、潤滑剤の供給が良好で軽量かつ低騒音であるため広く使用されており、円環状の基部と、前記基部の軸方向の一側面から軸方向へ突出する複数の片持ち状弾性片(爪部)とを備え、射出成形により一体成形される。
深溝玉軸受用冠型樹脂保持器を用いた軸受には、自動車の補機類、電気自動車やハイブリッド自動車のモーターなどに使用される軸受において、例えばdn値を15万ないし100万程度に、より高速性能を高める要望がある。
軸受を高速回転させると、特定の回転速度から急激に軸受が発熱して温度上昇が大きくなる現象が知られている。軸受のこのような温度上昇を抑制することにより、軸受を含む装置の高精度化、及び冷却のための消費電力低減による省エネルギー化を図ることができる。
深溝玉軸受用冠型樹脂保持器を用いた軸受の高速回転時に急激に温度が上昇する現象の原因の一つとして、深溝玉軸受用冠型樹脂保持器の弾性片(爪部)が遠心力により変形して転動体であるボールと接触することが考えられる。
遠心力は回転速度の自乗に比例するので、高速回転になると遠心力が非常に大きくなる。
よって、高速回転軸受用の保持器では、特に遠心力による深溝玉軸受用冠型樹脂保持器の変形を抑制する必要がある。
深溝玉軸受用冠型樹脂保持器の遠心力による変形を抑制する対策案として、例えば以下の特許文献1ないし3の先行技術がある。
すなわち、特許文献1の深溝玉軸受用冠型樹脂保持器では、保持器(24)の外径側の肉厚(径方向厚さT)を増加させて保持器(24)の剛性を向上させることにより、保持器(24)の遠心力による変形を抑制している。
また、特許文献2の深溝玉軸受用冠型樹脂保持器では、保持器(25)の直径方向の肉厚を爪部(38)の先端側に行くほど小さくするように内径側に傾斜面(50)を形成して質量減少用切欠部(52)を設けて軽量化することにより、保持器(25)の遠心力による変形を抑制している。
さらに、特許文献3の深溝玉軸受用冠型樹脂保持器では、保持器(7a)の直径方向の肉厚を弾性片(10a)の先端側に行くほど小さくするように外径側に傾斜面(12)を形成して軽量化することにより、保持器(7a)の遠心力による変形を抑制している(図1)。
特開2008−025627号公報 特開2012−163172号公報 特開2000−161365号公報
以上の先行技術において、特許文献1のような保持器外径側の肉厚増加による剛性向上では、高速回転域において内径側で保持器と転動体のクリアランスが狭まって接触又は拘束が発生する。
また、特許文献2のような保持器内径側の除肉による軽量化では、内径側で転動体の抱えを失い、主に保持器外径側で転動体を抱えることになることから、遠心力による変形が発生すると保持器外径側と転動体のクリアランスが増大し、保持器のバタツキが大きくなる。
さらに、特許文献3のような保持器外径側の除肉による軽量化では、軸受の外輪内径とのクリアランス拡大は達成できるものの、遠心力による変形が発生した際に内径側で保持器と転動体のクリアランスが狭まって接触又は拘束が発生する。
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、高速回転域における上記先行技術の不具合を解消して高速性能を高める要望に対応できる深溝玉軸受用冠型樹脂保持器を提供する点にある。
本発明に係る深溝玉軸受用冠型樹脂保持器は、前記課題解決のために、円環状基部と前記基部の軸方向一側面から軸方向へ突出する複数の片持ち状弾性片とを備え、
周方向に隣り合う前記弾性片間の球面状のポケットに転動体であるボールを保持する深溝玉軸受用冠型樹脂保持器であって、
前記基部及び前記弾性片の前記弾性片が突出する側の軸方向側面の内径側部分全周の全部又は一部を、前記軸方向側面の外径側部分よりも段落ちさせた内側段落ち部とし、
前記内側段落ち部は、
前記ポケットの曲率中心と同じ曲率中心、又は前記ポケットの曲率中心から軸方向若しくは径方向に離間した曲率中心で、前記ポケットの曲率半径よりも曲率半径が大きくなるように外方へオフセットした内側ポケット面を有することを特徴とする。
このような構成によれば、円環状基部及び片持ち状弾性片の前記弾性片が突出する側の軸方向側面の内径側部分全周の全部又は一部を、前記軸方向側面の外径側部分よりも段落ちさせた内側段落ち部とし、前記内側段落ち部の内側ポケット面がポケットよりも外方へオフセットしていることから、高速回転域において内径側で保持器と転動体のクリアランスが狭まって接触又は拘束が発生することがなく、ポケットよりも外方へオフセットしている内側ポケット面が高速回転域で転動体を抱えるので、高速回転域における保持器のバタツキを抑制できる。
その上、円環状基部及び片持ち状弾性片の前記弾性片が突出する側の軸方向側面の内径側部分全周の全部又は一部を、前記軸方向側面の外径側部分よりも段落ちさせた内側段落ち部としていることから、保持器の片持ち状弾性片の先端側部分を軽量化できるので、前記弾性片の遠心力による変形を抑制できる。
その上さらに、潤滑剤が減少しやすい内径側で、外方へオフセットした内側ポケット面が潤滑剤溜りとして機能するので、潤滑性を向上できる。
ここで、前記内側ポケット面のオフセット量は、前記ボールの直径の3%以上10%以下であるのが好ましい実施態様である。
このような構成によれば、内側段落ち部の内側ポケット面のオフセット量が転動体であるボールの直径の3%以上10%以下であるので、dn値15万ないし100万程度の高速回転域において保持器が遠心力により変形した際に、保持器と転動体とのクリアランスを僅少にできるので、高速回転域で前記内側ポケット面により転動体を安定かつ確実に保持できる。
また、前記弾性片の内径側に位置する前記内側段落ち部の段落ち面が、前記ポケットの曲率中心を含む径方向平面よりも前記弾性片の先端側に位置し、
周方向に隣り合う前記ポケット間における前記基部の前記弾性片が突出する側の軸方向側面の外径側部分が、前記ポケットの曲率中心を含む径方向平面よりも、前記基部の前記弾性片が突出する側と反対側の軸方向側面側に位置するのも好ましい実施態様である。
このような構成によれば、弾性片の内径側に位置する内側段落ち部の段落ち面が、前記ポケットの曲率中心を含む径方向平面よりも前記弾性片の先端側に位置するので、その剛性により弾性片の遠心力による変形を抑制する効果が大きくなる。そして、前記内側段落ち部の前記段落ち面の位置の範囲内で、前記段落ち面をなるべく弾性片の基端側に近づけることにより、保持器の爪先をより軽量化できる。
その上、周方向に隣り合うポケット間における基部の弾性片が突出する側の軸方向側面が、前記ポケットの曲率中心を含む径方向平面よりも、前記基部の前記弾性片が突出する側と反対側の軸方向側面側に位置するので、保持器の円環状基部を軽量化できる。
以上のように、本発明に係る深溝玉軸受用冠型樹脂保持器によれば、主に以下の(1)ないし(4)の作用効果を奏するので、遠心力による変形を抑制するための従来構造の不具合を解消して高速性能を高める要望に対応できる。
(1)円環状基部及び片持ち状弾性片の前記弾性片が突出する側の軸方向側面の内径側部分全周の全部又は一部を、前記軸方向側面の外径側部分よりも段落ちさせた内側段落ち部とし、前記内側段落ち部の内側ポケット面がポケットよりも外方へオフセットしているので、高速回転域において内径側で保持器と転動体のクリアランスが狭まって接触又は拘束が発生することがない。
(2)ポケットよりも外方へオフセットしている内側ポケット面が高速回転域で転動体を抱えるので、高速回転域における保持器のバタツキを抑制できる。
(3)円環状基部及び片持ち状弾性片の前記弾性片が突出する側の軸方向側面の内径側部分全周の全部又は一部を、前記軸方向側面の外径側部分よりも段落ちさせた内側段落ち部としていることから、保持器の片持ち状弾性片の先端側部分を軽量化できるので、前記弾性片の遠心力による変形を抑制できる。
(4)潤滑剤が減少しやすい内径側で、外方へオフセットした内側ポケット面が潤滑剤溜りとして機能するので、潤滑性を向上できる。
本発明の実施の形態に係る深溝玉軸受用冠型樹脂保持器が装着された軸受の要部拡大縦断面正面図である。 同じく転動体を省略した縦断面斜視図である。 本発明の実施の形態に係る深溝玉軸受用冠型樹脂保持器の斜視図である。 同じくポケットまわりを示す要部拡大縦断面斜視図である。 同じくポケット内で切断した要部拡大縦断面斜視図である。 同じく要部拡大横断面平面図である。 同じく内方から見た要部拡大斜視図である。 内側ポケット面に底部平面を設けた変形例を示す要部拡大縦断面斜視図である。 ポケット間の内径側の段落ち面を基部の外径側の軸方向側面と面一にした変形例を示す要部拡大縦断面斜視図である。 ポケット間の内径側の段落ち面を無くした変形例を示す要部拡大縦断面斜視図である。 図8の形状の保持器の遠心力による径方向変位のコンター図である。 低速回転域の状態を転動体とともに模式的に示す要部拡大横断面平面図である。 中速回転域の状態を転動体とともに模式的に示す要部拡大横断面平面図である。 高速回転域の状態を転動体とともに模式的に示す要部拡大横断面平面図である。
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
なお、以下において、上下方向を軸方向とした軸受に本発明の実施の形態に係る深溝玉軸受用冠型樹脂保持器の円環状基部を下側にして装着した状態を基準にして上下方向を定義し、この基準状態で径方向外側から見た図を正面図とする。
また、軸受の回転軸の方向を「軸方向」、軸方向に直交する方向を「径方向」という。
<深溝玉軸受>
図1の要部拡大縦断面正面図、及び図2の転動体を省略した縦断面斜視図に示す深溝玉軸受Aは、本発明の実施の形態に係る深溝玉軸受用冠型樹脂保持器1が装着されたものである。深溝玉軸受Aは、外周側に軌道面を有する内輪C、内周側に軌道面を有する外輪D、内輪C及び外輪Dの間を転動する転動体であるボールB,B,…、ボールB,B,…が互いに接触しないように等間隔に分離した状態を保持する冠型樹脂保持器1等を主要構成部品としている。内輪Cと外輪Dとの間には潤滑剤が封入され、内輪Cと外輪Dとの間の環状開口を塞ぐ、略円環状のシールE,Eが装着される。
<冠型樹脂保持器>
図3の斜視図、並びに図4及び図5の要部拡大縦断面斜視図に示すように、本発明の実施の形態に係る深溝玉軸受用冠型樹脂保持器1は、円環状基部2と、基部2の上面(軸方向の一側面)から上方へ突出する複数の片持ち状弾性片3,3,…とを備え、周方向に隣り合う弾性片3,3,…間のポケットP,P,…に転動体であるボールB,B,…を保持する。
対向する弾性片3,3及び当該弾性片3,3間の基部2の上面により球面状のポケットPが形成される。
冠型樹脂保持器1は、射出成形により一体成形され、その成形材料は、例えば、脂肪族ナイロン(PA66、PA46等)、芳香族ナイロン(PA6T、PA9T等)、PPS、PEEK等の熱可塑性樹脂材料であり、要求仕様に応じてガラス繊維や炭素繊維等の繊維強化材を添加してもよい。
図4及び図5に示すように、冠型樹脂保持器1は、基部2及び弾性片3,3,…の上面(弾性片3,3,…が突出する側の軸方向側面、ポケットP,P,…側の軸方向側面)の内径側部分を、前記上面の外径側部分よりも段落ちさせた内側段落ち部4としている。
すなわち内側段落ち部4は、ポケットPの内径側の段落ち面4A、弾性片3の内径側の段落ち面4B、及び隣り合うポケットP,P間の内径側の段落ち面4Cを有する。
ここで、段落ち面4C下方の最も薄い部分の軸方向の肉厚は、図5に示すポケット底肉厚T以上にする。
段落ち面4Cを設けることにより、軽量化しながら剛性を維持できるとともに、潤滑剤溜りとしても機能する。
図4及び図5の要部拡大縦断面斜視図に示す内側段落ち部4の段落ち面4Aは、図7の内方から見た要部拡大斜視図に示すポケットPの曲率中心Oを含む水平面(径方向平面)よりも上側の部分である先端面Fは円筒面であり、先端面F以外は球面状である。段落ち面4Aの先端面F以外の球面状の部分は、図6の要部拡大横断面平面図に示すようにポケットPと同じ曲率中心OでポケットPの曲率半径R1よりも曲率半径R2が大きくなるように外方へオフセットしている内側ポケット面である。
そして、この内側ポケット面4Aのオフセット量(R2−R1)は、ボールBの直径の3%以上10%以下に設定する。
また、円環状基部2の内周面2Aは、ボールB,B,…のピッチ円直径よりも内径側に位置するように設定する。例えば、円環状基部2の内周面2Aの位置は、ピッチ円直径の95%ないしピッチ円直径未満とする。
なお、本実施形態では、円環状基部2の下面に溝を設けていないが、特許文献1の図2の符号31のような肉ぬすみ用の溝を設けてもよい。それにより、保持器成形時の冷却速度を均一化しボイドやヒケを抑えることができる。
図7の内方から見た要部拡大斜視図に示すように、弾性片3の内径側に位置する内側段落ち部4の段落ち面4Bは、ポケットPの曲率中心Oを含む水平面(径方向平面)よりも上側(弾性片3の先端側)に位置する(ポケットPの曲率中心Oを含む径方向平面と弾性片3の内径側の段落ち面4Bとの距離H1参照)。それにより内側段落ち部4の弾性片3の内径側部分の剛性により弾性片3の遠心力による変形を抑制する効果が大きくなる。そして、曲率中心Oよりも高位置である内側段落ち部4の段落ち面4Bの高さ位置の範囲内で、段落ち面4Bをなるべく低くする(弾性片3の基端側に近づける)ことにより、保持器1の爪先を軽量化できる。
図3の斜視図及び図7の内方から見た要部拡大斜視図に示すように、周方向に隣り合うポケットP,P間における基部2の上面の外径側部分(軸方向側面)2Bは、ポケットPの曲率中心Oを含む径方向平面よりも下側(基部2の弾性片3,3,…が突出する側と反対側の軸方向側面側)に位置する(ポケットPの曲率中心Oを含む径方向平面と隣り合うポケットP,P間における基部2の外径側の軸方向側面2Bとの距離H2参照)。それにより、保持器1の円環状基部2を軽量化できる。
ここで、ポケットPの曲率中心OよりボールBの半径の1/2下げた位置までが距離H2の最大値である。その理由は、ボールB,B,…の進み遅れが発生した場合、片持ち状弾性片3の剛性が不足すると、遅いボールBと速いボールBに挟まれた片持ち状弾性片3が周方向に変形しようとした結果、ポケットPの入口径がボールBの直径よりも大きくなって保持器1が脱落する懸念があるからである。
<変形例>
図4及び図5に示す内側ポケット面4Aのオフセット量によっては、内側ポケット面4A底部の肉厚がポケット底肉厚Tよりも小さくなり過ぎるので、図8の要部拡大縦断面斜視図に示すように、内側ポケット面4Aの底部に、ポケットPの底に合わせた径方向平面部Gを設けてもよい。それにより、内側ポケット面4Aの底部下方の円環状基部2の肉厚が大きくなるので、保持器1の剛性及び強度が高くなる。
図4で説明した隣り合うポケットP,P間の内径側の段落ち面4Cは、剛性確保に重点を置く場合には、図9の要部拡大縦断面斜視図に示すように基部2の外径側の軸方向側面2Bと面一にしてもよい。
また、軽量化に重点を置き他の部位で剛性が確保できる場合には、図10の要部拡大縦断面斜視図に示すように段落ち面4Cを無くした形状にしてもよい。
以上のとおり、保持器1に設ける内側段落ち部4は、円環状基部2及び片持ち状弾性片3,3,…の弾性片3,3,…が突出する側の軸方向側面の内径側部分全周の全部又は一部に設ける。
<内側段落ち部による弾性片の変形抑制>
特許文献1の図2の形状の保持器、及び本実施形態の図8の形状の保持器について、遠心力による変形の大きさを比較するために、コンピュータによる数値解析を行った。
ポリアミド66(PA66)に25重量%のガラス繊維を添加した材料のデータを用い、雰囲気温度を120℃、回転速度を20,000rpmとした場合について解析した。
本実施形態の図8の形状の保持器の遠心力による径方向変位のコンター図を図11に示す。図11に示す弾性片3の先端Sの径方向変位量は、本実施形態の図8の形状の保持器の方が、特許文献1の図2の形状の保持器よりも約20%小さかった。
よって、本実施形態の保持器1の形状は、弾性片の遠心力による変形を抑制する効果が非常に大きいことが分かる。
このような弾性片の遠心力による変形を抑制する効果は、本実施形態の保持器1が、円環状基部2及び弾性片3,3,…の上面の内径側部分を、前記上面の外径側部分よりも段落ちさせた内側段落ち部4としていることによる。すなわち内側段落ち部4により保持器1の弾性片3,3,…の先端側部分を軽量化できるので、弾性片3,3,…の遠心力による変形を抑制できる。
<内側ポケット面の作用>
図12Aの要部拡大横断面平面図に示す低速回転域ではポケットPの外径側とボールBが適切なクリアランスを保持する。
図12Bの要部拡大横断面平面図に示す中速回転域を経て図12Cの要部拡大横断面平面図に示す高速回転域となった場合、ポケットPの内径側及び内側ポケット面4Aでクリアランスを確保する。
よって、図12Aの要部拡大横断面平面図に示す低速回転域から、図12Bの要部拡大横断面平面図に示す中速回転域を経て図12Cの要部拡大横断面平面図に示す高速回転域まで回転速度が上昇して保持器1に遠心力が作用しても、内側ポケット面4AがポケットPよりも外方へオフセットしているので、高速回転域において内径側で保持器1とボールBのクリアランスが狭まって接触又は拘束が発生することがない。その上、ポケットPよりも外方へオフセットしている内側ポケット面4Aが図12Cの高速回転域でボールBを抱えるので、高速回転域における保持器のバタツキを抑制できる。
さらに、潤滑剤が減少しやすい内径側で、外方へオフセットした内側ポケット面4Aが潤滑剤溜りとして機能するので、潤滑性を向上できる。
さらにまた、内側ポケット面4Aのオフセット量をボールBの直径の3%以上10%以下にしていることから、dn値15万ないし100万程度の高速回転域において保持器1が遠心力により変形した際に、保持器1とボールB,B,…とのクリアランスを僅少にできるので、高速回転域で内側ポケット面4AによりボールB,B,…を安定かつ確実に保持できる。
以上の説明においては、図6及び図7に示す曲率中心Oは、ポケットPの曲率中心であるとともに内側ポケット面4Aの曲率中心でもある場合を示した。
本発明は、内側ポケット面4Aの曲率中心を、ポケットPの曲率中心から軸方向又は径方向に離間させた場合であっても成立する。すなわち、内側ポケット面4Aの曲率半径R2はポケットPの曲率半径R1よりも大きく、内側ポケット面4Aは、高速回転域において内径側で保持器1とボールBのクリアランスが狭まって接触又は拘束が発生しないように、ポケットPよりも外方へオフセットしていればよい。
A 深溝玉軸受
B ボール(転動体)
C 内輪
D 外輪
E シール
F 先端面
G 径方向平面部
H1 ポケットの曲率中心を含む径方向平面と弾性片の内径側の段落ち面との距離
H2 ポケットの曲率中心を含む径方向平面と隣り合うポケット間における基部の外径側の軸方向側面との距離
O 曲率中心
P ポケット
R1,R2 曲率半径
S 先端
T ポケット底肉厚
1 深溝玉軸受用冠型樹脂保持器
2 円環状基部
2A 内周面
2B 外径側の軸方向側面
3 弾性片
4 内側段落ち部
4A 内側ポケット面(段落ち面)
4B,4C 段落ち面

Claims (3)

  1. 円環状基部と前記基部の軸方向一側面から軸方向へ突出する複数の片持ち状弾性片とを備え、
    周方向に隣り合う前記弾性片間の球面状のポケットに転動体であるボールを保持する深溝玉軸受用冠型樹脂保持器であって、
    前記基部及び前記弾性片の前記弾性片が突出する側の軸方向側面の内径側部分全周の全部又は一部を、前記軸方向側面の外径側部分よりも段落ちさせた内側段落ち部とし、
    前記内側段落ち部は、
    前記ポケットの曲率中心と同じ曲率中心、又は前記ポケットの曲率中心から軸方向若しくは径方向に離間した曲率中心で、前記ポケットの曲率半径よりも曲率半径が大きくなるように外方へオフセットした内側ポケット面を有することを特徴とする、
    深溝玉軸受用冠型樹脂保持器。
  2. 前記内側ポケット面のオフセット量は、前記ボールの直径の3%以上10%以下である、
    請求項1記載の深溝玉軸受用冠型樹脂保持器。
  3. 前記弾性片の内径側に位置する前記内側段落ち部の段落ち面が、前記ポケットの曲率中心を含む径方向平面よりも前記弾性片の先端側に位置し、
    周方向に隣り合う前記ポケット間における前記基部の前記弾性片が突出する側の軸方向側面の外径側部分が、前記ポケットの曲率中心を含む径方向平面よりも、前記基部の前記弾性片が突出する側と反対側の軸方向側面側に位置する、
    請求項1又は2記載の深溝玉軸受用冠型樹脂保持器。
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