しかしながら、特許文献2の発明において、ガスケットにパネル材を嵌め込む作業は、未だ大きな労力を要するものであった。すなわち、特許文献2の図2(B)に示すように、パネル材を嵌め込む際には、押え片を大きく変形させなければならないが、パネル材が大きくなれば、それを支持するガスケットも大きくなり、押え片の変形にも大きな力が必要となる。パネル材を支えながらガスケットの押え片を変形させる作業は、多くの人手を要するものであった。また、開口部の角部においては、パネル材の角部が直角のままでは押え片に引っ掛かって嵌め込むことができないので、パネル材の角部の面取りが必要であり、特にパネル材が複層ガラスの場合には、面取りに大きな手間と費用がかかっていた。さらに、パネル材は、変形させた押え片を乗り越えて嵌め込むので、上下および左右のガスケットの挟持溝の底面同士の間隔よりも、高さおよび幅を一回り小さくしなければならなかった。これにより、挟持溝の底面とパネル材の端面との間に隙間が生じ、その分、ガスケットを大きくせざるを得ず、ガスケット自体の製造費用が高くなり、また意匠性も好ましくなかった。
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、設置面への取り付けが容易であって、かつパネル材の取り付けも容易であり、さらにコンパクトなガスケットを提供することを目的とする。
本発明のうち請求項1の発明は、支持部材と、押圧部材とを備え、前記支持部材と前記押圧部材とでパネル材の端部を挟み込んで支持するものであり、前記支持部材と前記押圧部材は、それぞれ設置面に形成された取付溝に挿入されるアンカー部と、該アンカー部に達するクサビ溝と、該クサビ溝に挿入されるクサビとを有しており、前記押圧部材は、ジッパー溝と、該ジッパー溝に挿入されるジッパーとを有しており、前記ジッパー溝に前記ジッパーを挿入することで前記パネル材を押圧するものであることを特徴とする。
本発明のうち請求項2の発明は、建築物の躯体に枠体を取り付けてあって、二本の取付溝のうちの少なくとも一方が、前記枠体に形成されていることを特徴とする。二本の取付溝のどちらか一方のみが枠体に形成される場合、もう一方の取付溝は建築物の躯体に形成され、枠体と躯体のそれぞれが設置面に相当し、枠体に取り付けられるのが支持部材であっても押圧部材であってもよい。二本の取付溝の両方が枠体に形成される場合、枠体が設置面に相当する。
本発明のうち請求項3の発明は、前記枠体が、立設片を有しており、該立設片が、前記取付溝の開口側に突出していて、前記取付溝と平行に延びており、前記枠体に取り付けられた前記支持部材または/および前記押圧部材が、前記パネル材と前記立設片に挟まれることを特徴とする。取付溝の開口側とは、枠体に対して支持部材または押圧部材が取り付けられる側となる。支持部材のみが枠体に取り付けられる場合、支持部材がパネル材と立設片に挟まれ、押圧部材のみが枠体に取り付けられる場合、押圧部材がパネル材と立設片に挟まれ、支持部材と押圧部材の両方が枠体に取り付けられる場合、支持部材と押圧部材の一方または両方がパネル材と立設片に挟まれる。
本発明のうち請求項1の発明によれば、支持部材と押圧部材は、何れもクサビ溝にクサビを挿入して固定するものであるから、設置面への取り付けが容易である。そして、支持部材と押圧部材が別部材になっているから、まず支持部材を取り付け、支持部材にパネル材を設置してから、押圧部材を取り付ければよく、従来品のようにガスケットを変形させる必要はないので、パネル材の取り付けも容易である。また、押圧部材を後から取り付けられるので、パネル材の角部が引っ掛かることもないから、パネル材の角部の面取りが必要なく、手間と費用を軽減できる。さらに、同じく押圧部材を後から取り付けられるので、パネル材を、支持部材に丁度嵌まる大きさにして、ガスケットとパネル材の端面との間の隙間をなくすことができる。これにより、支持部材および押圧部材をコンパクトにできるので、製造費用が抑えられ、また意匠性も良好なものとなる。
本発明のうち請求項2の発明によれば、パネル材を、建築物の躯体に取り付けた枠体に取り付けることで、建築物の躯体に直接取り付ける場合とは、異なる外観を呈するものとなる。また、枠体は、断面形状を自在に設定可能であり、孔開け加工なども容易であるから、たとえば排水口などを設けることもできる。
本発明のうち請求項3の発明によれば、支持部材または/および押圧部材が、取付溝に挿入したアンカー部と立設片に当接した部分の二箇所で見込方向に固定されるので、より安定してパネル材を支持することができる。
本発明のガスケットの具体的な構成について、各図面に基づいて説明する。なお、以下の第一実施形態の説明においては、図1中の左側を一方側、右側を他方側とする。また、図1、図3および図4は、何れも躯体の開口部の下側辺について示すものであり、以下においては下側辺を例として説明するが、上側辺および左右辺についても同様である。このガスケットの第一実施形態は、躯体の開口部にパネル材3を嵌め込むためのものであり、図1に示すように、コンクリート製の躯体に直接取り付けるものである。躯体の開口部の見込面(設置面4)には、二本の取付溝41,42が、一方側と他方側に平行に並んで形成されている。取付溝41,42は、断面略コ字形で上側(開口部の内周側)に向かって開口しており、開口部の四周を囲んでいる。ガスケットは、支持部材1と、押圧部材2とを備えるもので、支持部材1が一方側の取付溝41に取り付けられており、押圧部材2が他方側の取付溝42に取り付けられている。支持部材1と押圧部材2は、何れも開口部の四周にわたって取り付けられる四角環形状となっている。
支持部材1は、図1および図2(a)に示すように、支持本体部14と、支持片15と、アンカー部11とを備える。支持本体部14は、他方側面が垂直面となっており、一方側面は傾斜していて、下側に向けて幅広となる形状である。他方側面の上端には、他方側に向けて突出する先細のヒレ片14aが形成されている。また、支持片15は、支持本体部14の下端から他方側に向けて延出している。さらに、アンカー部11は、支持本体部14および支持片15の下面から下側に向けて突出している。アンカー部11は、先端側(下側)に向けてやや先細となる形状であり、その一方側面および他方側面には、複数のひだ11aが形成されている。そして、支持片15の上面には、クサビ溝12が形成されている。クサビ溝12は、断面略U字形で、その下端はアンカー部11の内部に達しており、上端の一方側と他方側の両開口縁部には係合突起12aが形成されていて、当該部分の溝幅が狭くなっている。このクサビ溝12に挿入されるクサビ13は、クサビ溝12の断面と略同一の略U字形のもので、上端の一方側と他方側の両面に、係合溝13aが形成されている。
押圧部材2は、図1および図2(b)に示すように、押圧本体部24と、ジッパー溝26およびジッパー27と、アンカー部21とを備える。押圧本体部24は、一方側面が垂直面となっており、他方側面は傾斜していて、下側に向けて幅広となる形状である。一方側面の上端には、一方側に向けて突出する先細のヒレ片24aが形成されている。そして、押圧本体部24の他方側面には、ジッパー溝26が形成されている。ジッパー溝26は、押圧本体部24の下側面および一方側面のみを残して大きくえぐった形状となっており、上端と他方側端の両開口縁部には凸部26aが形成されている。このジッパー溝26に挿入されるジッパー27は、ジッパー溝26の断面と略同一形状のもので、上端と他方側端に凹部27aが形成されている。なお、ジッパー溝26にジッパー27を挿入すると、押圧本体部24は、支持本体部14と略対称な形状となる。さらに、アンカー部21は、支持部材1に形成されたものと同じであり、押圧本体部24の下面から下側に向けて突出している。アンカー部21は、先端側(下側)に向けてやや先細となる形状であり、その一方側面および他方側面には、複数のひだ21aが形成されている。そして、ジッパー溝26の底面には、クサビ溝22が形成されている。クサビ溝22も、支持部材1に形成されたものと同じであり、断面略U字形で、その下端はアンカー部21の内部に達しており、上端の一方側と他方側の両開口縁部には係合突起22aが形成されていて、当該部分の溝幅が狭くなっている。このクサビ溝22に挿入されるクサビ23は、クサビ溝22の断面と略同一の略U字形のもので、上端の一方側と他方側の両面に、係合溝23aが形成されている。
これら支持部材1および押圧部材2の本体(クサビ13,23およびジッパー27を除いた部分)は、シリコンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどの、弾性保持力が高く耐候性に優れたゴム素材を用いて押出成形されている。一方、クサビ13,23やジッパー27は、本体と比較してより硬質な樹脂を用いて押出成形されるものであることが望ましい。
また、パネル材3は、二枚のガラス板31の間にスペーサ32を挟んだ構成の複層ガラスである。
続いて、このガスケットを用いてパネル材3を取り付ける手順について、図3に基づき説明する。まず、図3(a)に示すように、設置面4に形成された二本の取付溝41,42のうち、一方側の取付溝41に、支持部材1のアンカー部11を挿入して取り付ける。この際、アンカー部11の内部にクサビ溝12が形成されているから、アンカー部11は幅が狭くなるように容易に変形するので、アンカー部11を取付溝41に容易に挿入することができる。そして、クサビ溝12にクサビ13を挿入する。クサビ13は大きな力を要することなく挿入可能であり、クサビ13を挿入することにより、アンカー部11は幅が広くなるように変形し、一方側面および他方側面に形成されたひだ11aが取付溝41の側壁に密接して、支持部材1が設置面4に強固に固定される。この際、クサビ13の係合溝13aが、クサビ溝12の係合突起12aに係合するので、クサビ13が抜けることはない。次に、図3(b)に示すように、支持部材1に対して他方側からパネル材3を設置する。パネル材3は、端部の一方側面を支持部材1の支持本体部14の他方側面に当接させ、端面を支持部材1の支持片15に当接させる。この際、支持部材1の他方側にはパネル材3の設置の妨げとなるような部材などは一切なく、パネル材3を水平方向に移動させるだけで支持部材1に設置できるので、設置作業が容易である。また、開口部の角部においても、パネル材3の角部が引っ掛かることはないので、パネル材3の角部を面取りする必要はなく、さらに、パネル材3の大きさを、上下および左右の支持部材1の支持片15同士の間隔とほぼ同じ高さおよび幅にして、パネル材3の端面と支持片15との間の隙間をなくすことができる。そして、パネル材3を支持本体部14の他方側面に当接させると、ヒレ片14aが変形しつつパネル材3の一方側面に当接するので、支持部材1とパネル材3が確実に密接する。次に、図3(c)に示すように、他方側の取付溝42に、押圧部材2のアンカー部21を挿入して取り付ける。この際、アンカー部21の内部にクサビ溝22が形成されているから、アンカー部21は幅が狭くなるように容易に変形するので、アンカー部21を取付溝42に容易に挿入することができる。そして、クサビ溝22にクサビ23を挿入する。クサビ23は大きな力を要することなく挿入可能であり、クサビ23を挿入することにより、アンカー部21は幅が広くなるように変形し、一方側面および他方側面に形成されたひだ21aが取付溝42の側壁に密接して、押圧部材2が設置面4に強固に固定される。この際、クサビ23の係合溝23aが、クサビ溝22の係合突起22aに係合するので、クサビ23が抜けることはない。このように押圧部材2を取り付けると、押圧本体部24の一方側面がパネル材3の他方側面に当接するとともに、ヒレ片24aが変形しつつパネル材3の他方側面に当接するので、押圧部材2とパネル材3が確実に密接する。最後に、図3(d)に示すように、押圧部材2のジッパー溝26に、ジッパー27を挿入する。ジッパー27の凹部27aがジッパー溝26の凸部26aに係合することで、ジッパー27はジッパー溝26に対して確実に固定され、そしてジッパー27を挿入することにより、押圧本体部24がパネル材3の他方側面を押圧する。こうして、支持部材1と押圧部材2とでパネル材3の端部を挟み込んで支持するものである。
このように構成したガスケットによれば、支持部材1と押圧部材2は、何れもアンカー部11,21に達するクサビ溝12,22を有しているから、アンカー部11,21を取付溝41,42へ挿入することが容易であり、またクサビ13,23をクサビ溝12,22に挿入する際にも大きな力は要しないので、設置面4への取り付けが容易である。そして、支持部材1と押圧部材2が別部材になっているから、まず支持部材1を取り付け、支持部材1にパネル材3を設置してから、押圧部材2を取り付ければよく、従来品のようにガスケットを変形させる必要はないので、パネル材3の取り付けも容易である。また、パネル材3の角部の面取りの必要がないので、手間と費用を軽減できる。さらに、ガスケット(支持部材1の支持片15)とパネル材3の端面との間の隙間がなく、パネル材3を支持する支持本体部14、押圧本体部24および支持片15を小さくできる(上下方向の厚さを薄くできる)ので、支持部材1および押圧部材2がコンパクトになり、製造費用が抑えられ、また意匠性も良好なものとなる。
なお、このガスケットは、異なる厚さのパネル材3に対応するものである。図4に示すのは、パネル材3が、図1に示した複層ガラスよりも薄い、単層ガラスである場合の例である。支持部材1および押圧部材2の構成は複層ガラスの場合と全く同じであり、設置面4に形成した二本の取付溝41,42の間隔が、より狭くなっている。従来のガスケットにおいては、パネル材を挟む部分の形状を変えることはできなかったので、パネル材の厚さごとに専用のガスケットが必要であったが、このガスケットによれば、取付溝41,42の間隔を変えるだけで、異なる厚さのパネル材3を取り付けることができるので、複数種類のガスケットを用意する必要がなく、より費用を抑えることができる。
次に、本発明のガスケットの第二実施形態について説明する。第二実施形態は、建築物の躯体10の開口部にパネル材3を嵌め込んで室内外を仕切るためのものである。図5に示すように、躯体開口部の上下左右辺において、コンクリート製の躯体10の室外側部分にアルミ製の枠体5を取り付けてあり、室外側の取付溝41が枠体5に形成されており、室内側の取付溝42が躯体10に形成されている(図5(b)の横断面図においては、左右対称であるから、室外側から見て右側辺のみ示している)。よって、第二実施形態においては、枠体5と躯体10のそれぞれが設置面に相当する。躯体開口部の上側辺、左側辺および右側辺に取り付ける枠体5は、同形状のものであり、躯体開口部の内周側に向けて開口する略C字形の取付溝41と、取付溝41の外周側に設けてあり外周側に向けて開口する略C字形の固定溝52と、取付溝41から室外側に向けて延びる延出片53と、延出片53の室外側端から内周側に向けて突出する立設片51を備える。一方、躯体開口部の下側辺に取り付ける枠体5は、室内側部材5aと室外側部材5bの二部材からなる。室内側部材5aは、室内外方向に延びる片と内外周方向に延びる片からなるL字形部54と、L字形部54の外周側に設けてあり外周側に向けて開口する略C字形の固定溝52と、L字形部54の室外側端に設けた鉤形の係合部55を備える。一方、室外側部材5bは、室内外方向に延びる片と内外周方向に延びる片からなる十字形部56と、十字形部56の内周側端に設けてあり室内外方向に延びる延出片53と、延出片53の室外側端から内周側に向けて突出する立設片51と、十字形部56の室外側端から外周側に向けて延びる垂下片57と、十字形部56の室内側端に設けた鉤形の被係合部58を備える。室内側部材5aと室外側部材5bとは、係合部55と被係合部58が係合して連結されており、室内側部材5aのL字形部54の内周側端と、室外側部材5bの延出片53の室内側端の間に、内周側に向けて開口する取付溝41が形成される。そして、何れの枠体5も、固定溝52を躯体10に埋め込んだアンカー20に係合させることで躯体10に固定されており、取付溝41の内周側端部および立設片51の内周側端部は躯体開口部の内周側面と面一であって、延出片53は躯体開口部の内周側面よりも外周側に位置している。また、取付溝41の内周側端の室外側と室内側の両開口縁部には、爪部41aが形成されていて、当該部分の溝幅が狭くなっている。そして、室外側の取付溝41に支持部材1を取り付け、室内側の取付溝42に押圧部材2を取り付けてある。支持部材1および押圧部材2は、第一実施形態と略同様の構成であって、支持部材1は、支持本体部14と、支持片15と、アンカー部11を有しており、押圧部材2は、押圧本体部24と、ジッパー溝26およびジッパー27と、アンカー部21を有していて、さらに何れもクサビ溝12,22およびクサビ13,23を有している。ただし、異なる部分として、支持部材1の支持本体部14は、外周側面の室外側部分が外周側に突出していて、当該部分が枠体5の延出片53に当接しており、支持本体部14の室外側端が立設片51に当接していて、支持部材1がパネル材3と立設片51に挟まれている。また、支持部材1のアンカー部11には、ひだが形成されておらず、代わりに室外側と室内側の両面に溝状の爪受部11bが形成されていて、取付溝41の爪部41aと係合する。さらに、躯体開口部の下側辺の枠体5において、延出片53、被係合部58、係合部55および十字形部56に孔を設けて(枠体5内の斜線部分)、排水経路を形成してある(図5中の破線矢印)。なお、垂下片57は、室外側から見た際に、十字形部56に形成した孔を覆い隠している。
このように構成したガスケットの第二実施形態においても、支持部材1と押圧部材2は、設置面(枠体5および躯体10)への取り付けが容易であり、また、支持部材1と押圧部材2が別部材になっているから、パネル材3の取り付けも容易であって、その他、第一実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、取付溝41,42の間隔を変えることで異なる厚さのパネル材3に対応する点も第一実施形態と同様であり、その際には枠体5の形状を変更するだけで間隔を変えられるので、より対応が容易である。また、パネル材3を、建築物の躯体10に取り付けた枠体5に取り付けることで、建築物の躯体10に直接取り付ける場合とは、異なる外観を呈するものとなる。特に、室外側の取付溝41を枠体5に形成してあり、室内側の取付溝42を躯体10に形成してあることから、室外側から見た場合と室内側から見た場合で異なる外観となる。さらに、枠体5は、断面形状を自在に設定可能であり、孔開け加工なども容易であるから、排水経路を設けることもできる。そして、枠体5の室外側端に立設片51を形成してあって、支持部材1が、枠体5に対して、取付溝41に挿入したアンカー部11と、立設片51に当接した支持本体部14の室外側端の二箇所で見込方向に固定されるので、ゴム素材からなる支持本体部14がパネル材3の荷重を確実に受け、より安定してパネル材3を支持することができる。
次に、本発明のガスケットの第三実施形態について説明する。第三実施形態も、建築物の躯体10の開口部にパネル材3を嵌め込んで室内外を仕切るためのものであるが、第二実施形態と異なり、水平方向にパネル材3を連続して設ける連窓となっている。図6(a)に示すように、躯体開口部の上下辺においては、コンクリート製の躯体10の室外側部分にアルミ製の枠体6を取り付けてあり、室外側の取付溝41が枠体6に形成されており、室内側の取付溝42が躯体10に形成されている。第二実施形態と比べると、枠体6の形状が異なる部分はあるが、全体の構成は同じであるから、説明を省略する。一方、図6(b)に示すように、躯体開口部の左右辺においては、コンクリート製の躯体10の室外側面にアルミ製の枠体6を取り付けてあり、室外側と室内側の両取付溝41,42が枠体6に形成されている(図6(b)の横断面図においては、左右対称であるから、室外側から見て右側辺のみ示している)。よって、第三実施形態の左右辺においては、枠体6が設置面に相当する。躯体開口部の左右辺に取り付ける枠体6は、外周側部材6aと内周側部材6bの二部材からなる。外周側部材6aは、中空で室内外方向に延びる部位と内外周方向に延びる部位からなるL字形部64と、L字形部64の室内側面に設けてあり室内側に向けて開口する略C字形の固定溝62と、L字形部64の室内側端かつ外周側端から室内側に向けて延出する補強片65と、L字形部64の外周側面の室内側端に設けてあり外周側に向けて開口する支持溝66と、L字形部64の内外周方向に延びる部位の室外側面の内周側に形成した嵌合突起67aおよび外周側に形成した嵌合溝68aと、L字形部64の室外側端に設けてあり内周側に向けて開口する取付溝41と、取付溝41から室外側に向けて延びる延出片63と、延出片63の室外側端から内周側に向けて突出する立設片61を備える。一方、内周側部材6bは、内周側に向けて開口する取付溝42と、取付溝42の室内側面の内周側に形成した被嵌合溝67bおよび外周側に形成した被嵌合突起68bを備える。そして、外周側部材6aのL字形部64の室内外に延びる部位の内周側面に内周側部材6bが当接し、外周側部材6aの嵌合突起67aおよび嵌合溝68aに、内周側部材6bの被嵌合溝67bおよび被嵌合突起68bがそれぞれ嵌合することで、外周側部材6aと内周側部材6bが連結している。外周側部材6aは固定溝62を躯体10に埋め込んだアンカー20に係合させることで躯体10に固定されており、補強片65は、躯体10の目地部分の見込面に当接している。また、外周側部材6aの支持溝66にはタイト材66aを取り付けてあり、躯体10の目地部分を挟んで左右対称に設けられた隣接する枠体のタイト材と当接して、目地部分をシールしている。そして、両取付溝41,42の内周側端部と立設片61の内周側端部は面一であって、延出片63は躯体開口部の内周側面よりも外周側に位置している。また、室外側の取付溝41の内周側端の室外側と室内側の両開口縁部には、爪部41aが形成されていて、当該部分の溝幅が狭くなっている。そして、躯体開口部の上下左右辺において、室外側の取付溝41に支持部材1を取り付け、室内側の取付溝42に押圧部材2を取り付けてある。支持部材1および押圧部材2は、第一実施形態と略同様の構成であって、支持部材1は、支持本体部14と、アンカー部11を有しており、押圧部材2は、押圧本体部24と、ジッパー溝26およびジッパー27と、アンカー部21を有していて、さらに何れもクサビ溝12,22およびクサビ13,23を有している。ただし、異なる部分として、支持部材1の支持本体部14は、外周側面の室外側部分が外周側に突出していて、当該部分が枠体6の延出片63に当接しており、支持本体部14の室外側端が立設片61に当接していて、支持部材1がパネル材3と立設片61に挟まれている。また、支持部材1が支持片を有しておらず、支持本体部14の外周側面にアンカー部11が形成されており、アンカー部11には、ひだが形成されておらず、代わりに室外側と室内側の両面に溝状の爪受部11bが形成されていて、取付溝41の爪部41aと係合する。さらに、支持部材1が、押圧部材2と同様にジッパー溝16およびジッパー17を有している。
このように構成したガスケットの第三実施形態においても、支持部材1と押圧部材2は、設置面(枠体6および躯体10)への取り付けが容易であり、また、支持部材1と押圧部材2が別部材になっているから、パネル材3の取り付けも容易であって、その他、第一実施形態と同様の作用効果を奏する。取り付けに際しては、支持部材1と押圧部材2の両方がジッパー17,27を有しているから、どちらから先に取り付けることもできる。さらに、取付溝41,42の間隔を変えることで異なる厚さのパネル材3に対応する点も第一実施形態と同様であり、その際には枠体6の形状を変更するだけで間隔を変えられるので、より対応が容易である(特に左右辺においては、内周側部材6bのみを変更すればよい)。また、パネル材3を、建築物の躯体10に取り付けた枠体6に取り付けることで、建築物の躯体10に直接取り付ける場合とは、異なる外観を呈するものとなる。特に、躯体開口部の上下辺においては、室外側の取付溝41を枠体6に形成してあり、室内側の取付溝42を躯体10に形成してあることから、室外側から見た場合と室内側から見た場合で異なる外観となる。さらに、枠体6は、断面形状を自在に設定可能であり、孔開け加工なども容易であるから、排水経路を設けることもできる。そして、枠体6の室外側端に立設片61を形成してあって、支持部材1が、枠体6に対して、取付溝41に挿入したアンカー部11と、立設片61に当接した支持本体部14の室外側端の二箇所で見込方向に固定されるので、ゴム素材からなる支持本体部14がパネル材3の荷重を確実に受け、より安定してパネル材3を支持することができる。
次に、本発明のガスケットの第四実施形態について説明する。第四実施形態も、建築物の躯体10の開口部にパネル材3を嵌め込んで室内外を仕切るためのものであり、第三実施形態と同様に、水平方向にパネル材3を連続して設ける連窓となっている。図7に示すように、躯体開口部の上下左右辺において、コンクリート製の躯体10にアルミ製の枠体7を取り付けてあり、室外側と室内側の両取付溝41,42が枠体7に形成されている(図7(b)の横断面図においては、左右対称であるから、室外側から見て右側辺のみ示している)。よって、第四実施形態においては、枠体7が設置面に相当する。躯体開口部の上側辺、左側辺および右側辺に取り付ける枠体7は、同形状のものであり、中空で室内外方向に延びる部位と内外周方向に延びる部位からなるL字形部74と、L字形部74の室内側端に設けてあり外周側と内周側に向けてそれぞれ開口する略C字形の溝部72a,72bと、L字形部74の室内外方向に延びる部位の室外側端および室内側端に設けてありそれぞれ内周側に向けて開口する取付溝41,42と、室外側の取付溝41から室外側に向けて延びる延出片73と、延出片73の室外側端およびL字形部74の室内側端かつ内周側端から内周側に向けて突出する立設片71を備える。一方、躯体開口部の下側辺に取り付ける枠体7は、室内側部材7aと室外側部材7bの二部材からなる。室内側部材7aは、内周側に向けて開口する取付溝42と、取付溝42の室内側面に設けてあり外周側に向けて開口する略C字形の固定溝72と、固定溝72の室内側端から内周側に向けて突出する立設片71と、取付溝42の室外側面の内周側端から室外側に向けて延びる突出片77と、取付溝42の室外側面の外周側端から室外側に向けて延びる片の先端に設けた鉤形の係合部78aを備える。一方、室外側部材7bは、室内外方向に延びる片と内外周方向に延びる片からなる十字形部79と、十字形部79の内周側端に設けてあり室内外方向に延びる延出片73と、延出片73の室外側端から内周側に向けて突出する立設片71と、十字形部79の室外側端から外周側に向けて延びる垂下片80と、十字形部79の室内側端に設けた鉤形の被係合部78bを備える。室内側部材7aと室外側部材7bとは、係合部78aと被係合部78bが係合して連結されており、室内側部材7aの突出片77の室外側端と、室外側部材7bの延出片73の室内側端の間に、内周側に向けて開口する取付溝41が形成される。そして、何れの枠体7も、躯体10に埋め込んだアンカー20により躯体10に固定されているが、上側辺においては、枠体7の外周側の溝部72aにアンカー20を係合させてあり、左右辺においては、枠体7の内周側の溝部72bにアンカー20を係合させてあり、下側辺においては、枠体7の固定溝72にアンカーを係合させてある。なお、躯体開口部の上側辺、左側辺および右側辺に取り付ける枠体7は同形状であるが、上側辺においては、躯体10の内周側面に取り付けてあり、左右辺においては、躯体10の室外側面に取り付けてある。また、左右辺の枠体7の外周側の溝部72aにはタイト材76aを取り付けてあり、躯体10の目地部分を挟んで左右対称に設けられた隣接する枠体のタイト材と当接して、目地部分をシールしている。そして、両取付溝41,42の内周側端部と延出片73は面一であり、立設片71はその面より内周側に突出している。また、両取付溝41,42の内周側端の室外側と室内側の両開口縁部には、爪部41a,42aが形成されていて、当該部分の溝幅が狭くなっている。そして、第二および第三実施形態とは逆に、室内側の取付溝42に支持部材1を取り付け、室外側の取付溝41に押圧部材2を取り付けてある。支持部材1および押圧部材2は、第一実施形態と略同様の構成であって、支持部材1は、支持本体部14と、支持片15と、アンカー部11を有しており、押圧部材2は、押圧本体部24と、ジッパー溝26およびジッパー27と、アンカー部21を有していて、さらに何れもクサビ溝12,22およびクサビ13,23を有している。ただし、異なる部分として、支持部材1の支持本体部14の室内側端が室内側の立設片71に当接しており、押圧部材2の押圧本体部24の室外側端が室外側の立設片71に当接していて、支持部材1および押圧部材2がそれぞれパネル材3と立設片71に挟まれている。また、支持部材1および押圧部材2のアンカー部11,21には、ひだが形成されておらず、代わりに室外側と室内側の両面に溝状の爪受部11b,21bが形成されていて、取付溝41,42の爪部41a,42aと係合する。さらに、躯体開口部の下側辺の枠体7において、延出片73、被係合部78b、係合部78a、十字形部79、突出片77および取付溝42の室外側面に孔を設けて(枠体7内の斜線部分)、排水経路を形成してある(図7中の破線矢印)。なお、垂下片80は、室外側から見た際に、十字形部79に形成した孔を覆い隠している。
このように構成したガスケットの第四実施形態においても、支持部材1と押圧部材2は、設置面(枠体7)への取り付けが容易であり、また、支持部材1と押圧部材2が別部材になっているから、パネル材3の取り付けも容易であって、その他、第一実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、取付溝41,42の間隔を変えることで異なる厚さのパネル材3に対応する点も第一実施形態と同様であり、その際には枠体7の形状を変更するだけで間隔を変えられるので、より対応が容易である。また、パネル材3を、建築物の躯体10に取り付けた枠体7に取り付けることで、建築物の躯体10に直接取り付ける場合とは、異なる外観を呈するものとなる。さらに、枠体7は、断面形状を自在に設定可能であり、孔開け加工なども容易であるから、排水経路を設けることもできる。そして、枠体7の室内側端および室外側端に立設片71を形成してあって、支持部材1および押圧部材2が、枠体7に対して、取付溝42,41に挿入したアンカー部11,21と、立設片71に当接した支持本体部14または押圧本体部24の端部の二箇所で見込方向に固定されるので、ゴム素材からなる支持本体部14および押圧本体部24がパネル材3の荷重を確実に受け、より安定してパネル材3を支持することができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、支持本体部および押圧本体部は、パネル材を両面から挟み込んで支持できるものであれば、どのような形状のものであってもよい。また、クサビとクサビ溝や、ジッパーとジッパー溝の形状については、確実に挿入固定できるものであれば、どのようなものであってもよい。さらに、パネル材は、ガラスのほか、ソーラーパネルなどであってもよい。また、枠体の形状や素材についても、パネル材を設置する場所の環境や意匠性などを考慮して、自由に設定できる。