JP2019006960A - 炭素繊維強化樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】炭素繊維強化樹脂成形品に新規な用途を提供すると共に、新規な用途に用いられる炭素繊維強化樹脂成形品の製造方法を提供する。【解決手段】解繊された炭素繊維の切断物、未硬化の熱硬化性樹脂、及び、強磁性体の粉末粒子を含む混合材料を得る混合材料調製工程Q1と、混合材料を成形型に充填し、加熱により熱硬化性樹脂を硬化させる成形工程Q2と、を具備する製造方法により、解繊された炭素繊維の切断物、及び、強磁性体の粒子が、熱硬化性樹脂のマトリクスに分散しており、全体として強磁性を示す炭素繊維強化樹脂成形品を製造する。【選択図】図1

Description

本発明は、炭素繊維強化樹脂成形品、及び、その製造方法に関するものである。
炭素繊維強化樹脂(CFRP)は、軽量で機械的強度が高い。例えば、鉄と比べると、CFRPの比重は約1/5であり、引張強度は約6倍である。そのため、CFRPは金属材料に代替し得る材料として期待されているが、現状では、航空機や自動車の構造材料、釣り竿やゴルフクラブのシャフト材など、まだまだ用途が限定されている。
本出願人は、これまで、切削が困難であると言われているCFRPを容易に切削加工するノウハウを積み重ねると共に、金型を使用したCFRPの成形に関する研究・開発を進める中で、CFRPの新規な用途を模索してきた。本発明は、その過程でなされたものである。
以上のように、本発明は、炭素繊維強化樹脂成形品の新規な用途の提供、及び、新規な用途に用いられる炭素繊維強化樹脂成形品の製造方法の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる炭素繊維強化樹脂成形品(以下、「CFRP成形品」と称することがある)は、
「解繊された炭素繊維の切断物、及び、強磁性体の粒子が、熱硬化性樹脂のマトリクスに分散しており、全体として強磁性を示す」ものである。
「炭素繊維」としては、ポリアクリロニトリルを原料とするPAN系炭素繊維、石油や石炭のピッチを原料とするピッチ系炭素繊維の何れも、使用することができる。
「強磁性体」としては、鉄、コバルト、ニッケル、これらの合金、或いは、フェライトを使用することができる。
本構成のCFRP成形品は、強磁性を示す点で、新規なCFRP成形品である。そのため、磁性が求められる用途、例えば、モータやトランス等の磁心、磁気ヨーク、磁気ヘッド、電磁石、磁気記録材料としての用途を、CFRP成形品に新たに提供することができる。
ここで、炭素繊維として、炭素繊維が一方向または交差する方向に引き揃えられたシート材や、炭素繊維の織物を使用した場合は、CFRP成形品の全体に強磁性体の粒子を均一に分散させることが困難となるおそれがある。これに対して、本構成のCFRP成形品では、解繊された切断物として樹脂のマトリクス中に炭素繊維を分散させているため、炭素繊維と強磁性体の粒子とが良好に混合し、それぞれが樹脂中に均一に分散しているCFRP成形品とすることができる。なお、「解繊」は、繊維の束がほぐされて分離し、それぞれの繊維の方向がランダムとなった状態とすることを指している。
本発明にかかる炭素繊維強化樹脂成形品は、上記構成に加え、
「モータのロータコアまたはステータコアである」ものとすることができる。
本構成は、CFRPで形成された新規なロータコアまたはステータコアである。従前より、モータのコア材には、鉄に少量のケイ素が添加されたケイ素鋼が使用されている。ケイ素鋼は密度が高いため、従来のコア材はモータの回転時にそれ自体が負荷となる。また、所定の回転数に達するまでの所要時間が長いため、エネルギー効率が悪い。更に、物体の質量に比例する慣性モーメントが大きくなるため、回転を止めようとしてもすぐには止まらず応答性が悪い。そして、半導体の実装など軽量な小物品を搬送するロボットアームに使用されるモータ等、大きなトルクを要しないモータであってもケイ素鋼の重いコア材が使用されているのが現状であり、エネルギーの無駄でもある。
これに対し、本構成は、鉄と同等以上の強度を有しながら、密度の小さいCFRPで形成されたコア材である。そのため、従来のコア材と異なり、モータ回転時の負荷が小さく、所定の回転数に達するまでの所要時間が短いことに加え、慣性モーメントが小さく応答性が良好である利点を有している。
加えて、本構成のコア材は、ケイ素鋼製の従来のコア材とは異なり、錆びを生じないという利点も有している。
次に、本発明に係る炭素繊維強化樹脂成形品の製造方法(以下、単に「製造方法」と称することがある)は、
「解繊された炭素繊維の切断物、未硬化の熱硬化性樹脂、及び、強磁性体の粉末粒子を含む混合材料を得る混合材料調製工程と、
前記混合材料を成形型に充填し、加熱により熱硬化性樹脂を硬化させる成形工程と、
を具備する」ものである。
これは、上記構成の炭素繊維強化樹脂成形品の製造方法である。なお、成形工程では、加熱に加え、加圧することができる。
本発明に係る炭素繊維強化樹脂成形品の製造方法は、上記構成に加え、
「熱硬化性樹脂は、常温で液体のフェノール樹脂であり、
前記混合材料調製工程は、
炭素繊維の切断物、未硬化の熱硬化性樹脂、及び、揮発性有機溶媒を混合して混錬物とする混錬工程と、
前記混錬物から揮発性有機溶媒を除き乾燥物とする乾燥工程と、
前記乾燥物を粉砕する粉砕工程と、
粉砕された前記乾燥物を強磁性体の粉末粒子と混合する混合工程と、を具備する」ものとすることができる。
或いは、本発明に係る炭素繊維強化樹脂成形品の製造方法は、上記構成に替えて、
「熱硬化性樹脂は、常温で液体のフェノール樹脂であり、
前記混合材料調製工程は、
炭素繊維の切断物、未硬化の熱硬化性樹脂、揮発性有機溶媒、及び、強磁性体の粉末粒子を混合し、炭素繊維を解繊しつつ混錬物とする混錬工程と、
前記混錬物から揮発性有機溶媒を除き乾燥物とする乾燥工程と、を具備し、
前記成形工程は、前記乾燥物の粉砕物または前記乾燥物の融解物を前記成形型に充填し、加熱する工程である」ものとすることができる。
何れの製造方法であっても、詳細は後述するように、高磁性体の粒子がマトリクス中に均一に分散したCFRP成形品を製造することができる。
ここで、「フェノール樹脂」は、フェノール類とアルデヒド類との縮合反応により合成される樹脂であり、原料とするフェノール類やアルデヒド類の種類や割合、触媒の種類などの合成条件によって、得られる樹脂の性質が異なり、熱硬化性、熱可塑性、常温硬化性のフェノール樹脂が存在する。また、常温で液体のフェノール樹脂も、顆粒状、微粒子状など常温で固体のフェノール樹脂も存在する。本製造方法では、常温で液体であり、且つ、熱硬化性のフェノール樹脂を使用する。また、「揮発性有機溶媒」は、常温で揮発する有機溶媒であり、アセトン、エタノール、メタノールを例示することができる。
従来、CFRPのマトリクスとして使用されている熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を始め殆どが主剤と硬化剤とを混合して重合させる二液性の樹脂である。そのため、炭素繊維と混合した状態では、硬化の進行を抑制するために冷凍保存をする必要があり、そのように保存したとしても長期保存が困難であるため、使い勝手が悪い。これに対し、本製造方法では、硬化剤を必要とせず加熱のみによって硬化し、常温では硬化しないフェノール樹脂を使用するため、成形工程に供する前の状態で長期保存が可能である。
以上のように、本発明により、炭素繊維強化樹脂成形品に新規な用途を提供することができると共に、新規な用途に用いられる炭素繊維強化樹脂成形品の製造方法を、提供することができる。
第一実施形態の製造方法の工程図である。 実施例E11及び実施例E12の磁化曲線である。 実施例E12及び実施例E13の磁化曲線である。 第二実施形態の製造方法の工程図である。 実施例E21及び実施例E22の磁化曲線である。 第二実施形態の変形例の製造方法の工程図である。
以下、本発明の具体的な実施形態である製造方法、及び、製造される炭素繊維強化樹脂成形品について、説明する。
第一実施形態の製造方法は、図1に示すように、混錬工程P1と、乾燥工程P2と、粉砕工程P3と、混合工程P4と、充填工程P5と、硬化工程P6とを具備している。第一実施形態では、混錬工程P1〜混合工程P4が本発明の混合材料調製工程Q1に相当し、充填工程P5〜硬化工程P6が本発明の成形工程Q2に相当する。
混錬工程P1では、炭素繊維の切断物を未硬化の熱硬化性樹脂、及び、揮発性有機溶媒と混合する。未硬化の熱硬化性樹脂としては、常温で液体のフェノール樹脂を使用する。この工程により、炭素繊維がフェノール樹脂及び揮発性有機溶媒と混錬された混錬物が得られる。常温で液体のフェノール樹脂は、粘性の高い液体であるが、揮発性有機溶媒と共に使用することにより、炭素繊維とフェノール樹脂とを十分に混合することができる。
乾燥工程P2では、混錬物に含まれる揮発性有機溶媒を揮発させる。揮発性有機溶媒は常温で揮発するものであるが、40℃〜70℃に加熱することにより、効率よく揮発させることができる。この工程を経て、混錬物は硬い顆粒状の乾燥物となる。
粉砕工程P3では、硬い顆粒状の乾燥物を粉砕し、微細な粉末とする。炭素繊維は、混錬工程P1においてある程度は解繊されているが、この粉砕工程P3において、より解繊される。
混合工程P4では、粉砕された乾燥物を強磁性体の粉末粒子と混合して混合材料とする。本実施形態では、炭素繊維とフェノール樹脂とを混合したものを予め粉末としてから強磁性体の粉末粒子と混合しており、粉末同士の混合となるため、強磁性体の粉末粒子が炭素繊維及びフェノール樹脂と良好に混合している状態の混合材料を、得ることができる。
充填工程P5では、混合材料を成形型に充填する。混合材料は乾燥した粉末状であるため、成形型が複雑な形状であっても、その隅々まで充填させることができる。
硬化工程P6では、混合材料が充填された成形型を加熱し、熱硬化樹脂を硬化させる。この工程は、加圧しつつ行うことができる。
上記の工程P1〜P6を経て、解繊された炭素繊維の切断物、及び、強磁性体の粒子が、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂のマトリクスに分散しているCFRP成形品が製造される。
<実施例E11>
PAN系炭素繊維の切断物(繊維の長さ6mm、太さ5μm〜10μm)50質量%、常温で液体のフェノール樹脂45質量%、アセトン5質量%を混合し、混錬物を得た。混錬物を約70℃で乾燥してアセトンを乾燥させ、粉砕した。強磁性体として鉄の粉末(株式会社高純度化学研究所製、FEE13PB)を使用し、乾燥物の粉砕物と混合して混合材料とした。混合割合は、質量比で、(炭素繊維とフェノール樹脂との和):鉄=1.7:1.2とした。混合材料を成形型(直径10mm、厚さ3mm)に充填し、加圧しつつ加熱してフェノール樹脂を硬化させ、CFRP成形品を得た。
<実施例E12>
強磁性体としてマンガンフェライトの粉末(株式会社高純度化学研究所製、MNF02PB)を使用した以外は、実施例E11と同様にし、実施例E12のCFRP成形品を得た。
実施例のCFRP成形品の密度は、実施例E11が2.18、実施例E12が2.04であり、ケイ素鋼の密度(約7.8)に比べ、かなり小さい値(1/3未満)であった。
実施例E11,E12のCFRP成形品について、振動試料型磁力計を使用して、外部磁場をかけたときの磁化の強さを測定した。磁場の方向は、試料の厚さ方向とした。測定された磁化曲線を図2に示す。何れの試料も、外部磁場を正逆方向に増加させた際に、同一方向に磁化の大きさが増加しており、強磁性を示している。飽和質量磁化の大きさは、強磁性体として鉄を使用した実施例E11は約63emu/gであり、強磁性体としてマンガンフェライトを使用した実施例E12の約25emu/gより大きな値を示した。
また、実施例E11,E12何れの磁化曲線においても、保持力が小さい軟磁性を示しており、モータのコア材やトランスの磁心として適していることが分かる。そこで、実施例E11,E12それぞれと同様に得た混合材料を、モータのコア材の形状に成形した。コア材の形状としては、永久磁石界磁型直流モータのロータコアである「溝(スロット)付きコア」の形状とした。対比のために、ケイ素鋼製の従来のロータコアと、同一サイズ・同一形状となるように成形型を精密に作成した。この成形型に混合材料を充填し、加圧しつつ加熱してフェノール樹脂を硬化させた。脱型した成形体に、シャフトを挿し込むための孔を加工し、実施例のロータコアを得た。
実施例のロータコアの溝にコイルを巻いてモータ内にセットし、12Vの直流を印加したしたところ、ステータに対してロータが回転し、モータとして問題なく機能することが確認された。また、機械的時定数(最大回転数の63.2%に達するまでの時間)は、約800msecであった。これは、同一サイズ・同一形状のケイ素鋼製のロータコアを使用した従来のモータの機械的時定数950msecより小さく、所定の回転数に達するまでの所要時間が短いことを示している。また、上記のように、実施例のロータコアの比重はケイ素鋼製の従来のロータコアの比重の1/3未満と小さいことから、実施例のロータコアを使用したモータは回転時の負荷が小さく、物体の質量に比例する慣性モーメントも小さいことから、応答性も高いことが分かる。
なお、CFRP成形品における強磁性体の割合と磁化の大きさとの関係を確認するために、強磁性体の混合割合を実施例E12の1/2、すなわち質量比で、(炭素繊維とフェノール樹脂の和):鉄=1.7:0.6とした以外は、実施例E12と同様に作成した実施例E13について、外部磁場をかけたときの磁化の強さを測定した。実施例E13の磁化曲線を、実施例E12と合わせて図3に示す。図3から明らかなように、飽和質量磁化の大きさは、強磁性体の割合が高い実施例E12の方が、実施例E13の約16emu/gより大きい。強磁性体の混合割合をCFRP成形品全体における質量割合に換算すると、実施例E12では約41%で実施例E13では約26%であり、飽和質量磁化の大きさは、CFRP成形品全体における強磁性体の質量割合と比例関係にあることが確認された。
次に、第二実施形態の製造方法について説明する。第二実施形態の製造方法は、図4に示すように、混錬工程S1と、乾燥工程S2と、粉砕工程S13と、充填工程S14と、硬化工程S15とを具備している。第二実施形態では、混錬工程S1〜乾燥工程S2が本発明の混合材料調製工程Q1に相当し、粉砕工程S13〜硬化工程S15が本発明の成形工程Q2に相当する。
混錬工程S1では、炭素繊維の切断物、未硬化の熱硬化性樹脂、揮発性有機溶媒、及び、強磁性体の粉末粒子を混合する。未硬化の熱硬化性樹脂としては、常温で液体のフェノール樹脂を使用する。この工程では、炭素繊維を十分に解繊しつつ、混合・混錬する。これにより、第一実施形態とは異なり、最初の工程で炭素繊維と強磁性体の粉末粒子とを混合する場合であっても、強磁性体の粉末粒子を均一に分散させることが可能となる。このように最初の工程で炭素繊維と強磁性体の粉末粒子とを混合する場合、仮に、炭素繊維として、炭素繊維を一方向または交差する方向に引き揃えたシート材や炭素繊維の織物を使用したとすると、強磁性体の粉末粒子は単に炭素繊維のシート材や炭素繊維の織物の表面にまぶされた状態(付着した状態)にとどまり、混合状態が不均一となりやすい。これに対し、本実施形態では炭素繊維として切断物を使用しており、且つ、十分に解繊しているため、強磁性体の粉末粒子が均一に分散した混錬物を得ることができる。
乾燥工程S2は、混錬物に含まれる揮発性有機溶媒を揮発させる工程であり、第一実施形態の乾燥工程P2と同様に、40℃〜70℃の加熱下で行うことができる。この工程を経て、混錬物は硬い顆粒状の乾燥物となる。この乾燥物は、「解繊された炭素繊維の切断物、未硬化の熱硬化性樹脂、及び、強磁性体の粉末粒子を含む混合材料」に相当する。
粉砕工程S13では、硬い顆粒状の乾燥物を粉砕する。第一実施形態では、粉砕工程P3後の混合工程P4で炭素繊維と十分に混合するために、微細粒子となるまで乾燥物を粉砕する必要があった。これに対し、第二実施形態における粉砕工程S13は、この後の充填工程S14で成形型に充填され易い程度まで粉砕すれば足りるため、炭素繊維の最終的な長さを第一実施形態より長いものとすることが可能である。炭素繊維は、強磁性体の粉末粒子と十分に混合させることができれば、より長い方が、CFRP成形品の機械的強度を高くすることができ、望ましい。
充填工程S14では、粉砕された乾燥物(混合材料)を成形型に充填する。硬化工程S15では、粉砕された乾燥物が充填された成形型を加熱し、熱硬化樹脂を硬化させる。この工程は、加圧しつつ行うことができる。
上記の工程S1,S2,S13〜S15を経て、解繊された炭素繊維の切断物、及び、強磁性体の粒子が、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂のマトリクスに分散しているCFRP成形品が製造される。
<実施例E21>
PAN系炭素繊維の切断物(繊維の長さ6mm、太さ5μm〜10μm)50質量%、常温で液体のフェノール樹脂45質量%、アセトン5質量%、及び、強磁性体として鉄の粉末(JFEスチール株式会社製、JIP(KIP)304A)を混合し、炭素繊維を十分に解繊しつつ混錬物を得た。強磁性体の混合割合は、質量比で、(炭素繊維とフェノール樹脂の和):鉄=1.7:1.2とした。混錬物を約70℃で乾燥してアセトンを乾燥させ、乾燥物を得た。乾燥物を粉砕して成形型(直径10mm、厚さ3mm)に充填し、加圧しつつ加熱してフェノール樹脂を硬化させ、CFRP成形品を得た。
<実施例E22>
強磁性体としてマンガン亜鉛フェライトの粉末(JFEスチール株式会社製、LD−M)を使用した以外は、実施例E21と同様にし、実施例E22のCFRP成形品を得た。
得られたCFRP成形品の密度は、実施例E21が2.25、実施例E22が2.11であり、ケイ素鋼の密度(約7.8)に比べ、かなり小さい値(1/3未満)であった。
実施例E21,E22のCFRP成形品について、振動試料型磁力計を使用して、外部磁場をかけたときの磁化の強さを測定した。磁場の方向は、試料の厚さ方向とした。測定された磁化曲線を図5に示す。何れの試料も、外部磁場を正逆方向に増加させた際に、同一方向に磁化の大きさが増加しており、強磁性を示している。また、磁化曲線において保磁力は小さく、軟磁性を示した。飽和質量磁化の大きさは、強磁性体として鉄を使用した実施例E21は約80emu/gであり、強磁性体としてマンガン亜鉛フェライトを使用した実施例E22の約33emu/gより大きな値を示した。
以上のように、本実施形態の製造方法によれば、強磁性を示す新規なCFRP成形品を製造することができ、CFRP成形品に新規な用途を提供することができる。
そして、新規な用途の一例として、強磁性を示すCFRP成形品をモータのロータコアとしたところ、ケイ素鋼製のコア材を有する従来のモータに比べて、モータの回転の際の負荷が小さく、所定の回転数に達するまでの所要時間が短く、且つ、慣性モーメントが小さく応答性の高いモータを製造することができた。
更に、この新規なロータコアでは、強磁性体として鉄を使用した場合であっても、鉄の粉末粒子はマトリクスの樹脂に取り囲まれた状態であるため、ケイ素鋼製の従来のコア材とは異なり、錆びを生じないという利点も有している。
また、マトリクスの樹脂として熱硬化性のフェノール樹脂を使用しているため、成形型に充填する前の状態で長期の保存が可能であり、製造が容易である。加えて、フェノール樹脂は、耐熱性や高温下での機械的強度が高いため、回転により高温となり得るモータのコア材とするCFRP成形品のマトリクスとして適している。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、第二実施形態の製造方法の変形例として、図6に示す製造方法を採用することができる。第二実施形態では、乾燥工程S2を経て得られた硬い顆粒状の乾燥物を、成形工程Q2において粉砕し、成形型に乾式充填していた。これに対し、図6に示す変形例では、乾燥工程S2を経て得られた硬い顆粒状の乾燥物を、粉砕することなく、加熱により融解させ、射出により成形型に充填する。フェノール樹脂は熱硬化性であっても、固体の乾燥物は加熱によりいったん融解してから硬化する。この製造方法では、加熱・融解工程S23、充填工程S24、及び、硬化工程S25が、本発明の成形工程Q2に相当する。
また、上記の実施形態では、強磁性体の混合割合を、質量比で、(炭素繊維とフェノール樹脂の和):強磁性体=1.7:1.2とした場合を例示したが、CFRP成形品における強磁性体の割合は、コア材とする場合の形状や、製品に求められる磁化の大きさに応じて、変更することができる。
Q1 混合材料調製工程
Q2 成形工程
P1 混錬工程
P2 乾燥工程
P3 粉砕工程
P4 混合工程
P5 充填工程
P6 硬化工程
S1 混錬工程
S2 乾燥工程
S13 粉砕工程
S14 充填工程
S15 硬化工程
S23 加熱・融解工程
S24 充填工程
S25 硬化工程

Claims (5)

  1. 解繊された炭素繊維の切断物、及び、強磁性体の粒子が、熱硬化性樹脂のマトリクスに分散しており、全体として強磁性を示す
    ことを特徴とする炭素繊維強化樹脂成形品。
  2. モータのロータコアまたはステータコアである
    ことを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維強化樹脂成形品。
  3. 解繊された炭素繊維の切断物、未硬化の熱硬化性樹脂、及び、強磁性体の粉末粒子を含む混合材料を得る混合材料調製工程と、
    前記混合材料を成形型に充填し、加熱により熱硬化性樹脂を硬化させる成形工程と、
    を具備することを特徴とする炭素繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  4. 熱硬化性樹脂は、常温で液体のフェノール樹脂であり、
    前記混合材料調製工程は、
    炭素繊維の切断物、未硬化の熱硬化性樹脂、及び、揮発性有機溶媒を混合して混錬物とする混錬工程と、
    前記混錬物から揮発性有機溶媒を除き乾燥物とする乾燥工程と、
    前記乾燥物を粉砕する粉砕工程と、
    粉砕された前記乾燥物を強磁性体の粉末粒子と混合する混合工程と、を具備する
    ことを特徴とする請求項3に記載の炭素繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  5. 熱硬化性樹脂は、常温で液体のフェノール樹脂であり、
    前記混合材料調製工程は、
    炭素繊維の切断物、未硬化の熱硬化性樹脂、揮発性有機溶媒、及び、強磁性体の粉末粒子を混合し、炭素繊維を解繊しつつ混錬物とする混錬工程と、
    前記混錬物から揮発性有機溶媒を除き乾燥物とする乾燥工程と、を具備し、
    前記成形工程は、前記乾燥物の粉砕物または前記乾燥物の融解物を前記成形型に充填し、加熱する工程である
    ことを特徴とする請求項3に記載の炭素繊維強化樹脂成形品の製造方法。
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