JP2019006840A - 樹脂組成物、キット、成形品の製造方法および成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>〜<11>により、上記課題は解決された。
<1>ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数4〜7のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するキシリレン系ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂6と、ガラス繊維と、光透過性色素とを含む樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂6は、樹脂組成物の5〜25質量%の割合で含み、前記ガラス繊維は、樹脂組成物の25〜60質量%の割合で含む、樹脂組成物。
<2>前記樹脂組成物のL値が5.0以下である、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記キシリレン系ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂6の合計で、樹脂組成物に含まれる樹脂成分の95質量%以上を占める、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記ガラス繊維を樹脂組成物の35〜55質量%の割合で含む、<1>〜<3>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<5>前記キシリレンジアミンが、メタキシリレンジアミンを含む、<1>〜<4>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<6>前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上がアジピン酸に由来する、<1>〜<5>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<7>ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の90モル%以上がアジピン酸に由来するキシリレン系ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂6と、ガラス繊維と、光透過性色素とを含む樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂6は、樹脂組成物の12〜25質量%の割合で含み、前記ガラス繊維は、樹脂組成物の35〜55質量%の割合で含む、<1>〜<3>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<8>さらに、タルクを含む、<1>〜<7>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<9><1>〜<8>のいずれかに記載の樹脂組成物と、熱可塑性樹脂と光吸収性色素とを含む光吸収性樹脂組成物とを有するキット。
<10><1>〜<8>のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形品と、熱可塑性樹脂と光吸収性色素とを含む光吸収性樹脂組成物を成形してなる成形品を、レーザー溶着させることを含む、成形品の製造方法。
<11><1>〜<8>のいずれかに記載の樹脂組成物、または、<9>に記載のキットを成形してなる成形品。
このように、所定のキシリレン系ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂6を組み合わせることにより、高い靱性を達成しつつ、光透過性に優れた樹脂組成物が得られる。ポリアミド樹脂6は、不透明な樹脂として知られており、かかるポリアミド樹脂6を配合することによって、得られる成形品の靱性の改良に加え、光透過性が向上することは驚くべきことである。この理由は推定ではあるが、これらのポリアミドを添加したことにより、モルフォロジーが変化し、球晶の大きさと分散状態が変わったことにより高い光透過性の達成に寄与したと考えられる。
本発明で用いるキシリレン系ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数4〜7のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する。
ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを用いる場合、ジアミン由来の構成単位の50モル%未満であり、30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%の割合で用いる。
ジカルボン酸成分として、炭素数4〜7のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸を用いる場合は、成形加工性、バリア性の点から、テレフタル酸、イソフタル酸を用いることが好ましい。
ジカルボン酸成分として、炭素数4〜7のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸を用いる場合、ジカルボン酸由来の構成単位の50モル%未満であり、30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%の割合で用いる。
数平均分子量(Mn)=2,000,000/([COOH]+[NH2])
ポリアミド樹脂の分子量分布は、例えば、重合時に使用する開始剤や触媒の種類、量および反応温度、圧力、時間等の重合反応条件などを適宜選択することにより調整できる。また、異なる重合条件によって得られた平均分子量の異なる複数種のポリアミド樹脂を混合したり、重合後のポリアミド樹脂を分別沈殿させることにより調整することもできる。
また、キシリレン系ポリアミド樹脂のガラス転移点は、50〜100℃が好ましい。
これらの測定には、DSC測定器を用い、試料(樹脂)量は約3mgとし、雰囲気ガスとしては窒素を30mL/分で流し、昇温速度は10℃/分の条件で室温から予想される融点以上の温度まで加熱し溶融させた際に観測される吸熱ピークのピークトップの温度から融点を求めることができる。次いで、溶融した樹脂を、ドライアイスで急冷し、10℃/分の速度で融点以上の温度まで再度昇温し、ガラス転移点、融点を求めることができる。DSC測定器としては、島津製作所(SHIMADZU CORPORATION)製、DSC−60を用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂6を樹脂組成物の5〜25質量%の割合で含む。ポリアミド樹脂6は、樹脂組成物の8質量%以上の割合で含むことが好ましく、12質量%以上の割合で含むことがより好ましく、15質量%以上の割合で含むことがさらに好ましく、また、22質量%以下の割合で含むことが好ましい。このような範囲とすることにより、得られる成形品の光線透過率が顕著に向上する傾向にある。
ポリアミド6とは、ε-カプロラクタムの開環重合体であるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他の構成単位を含んでいてもよい。具体的には、上述したキシリレン系ポリアミド樹脂のところで述べたジアミン成分およびジカルボン酸成分、ラウロラクタム等のε-カプロラクタム以外のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類を共重合成分として使用できる。これらの共重合成分は、ポリアミド6の5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
キシリレン系ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂6のブレンド比(質量比)は、90〜50:10〜50であることが好ましく、90〜52:10〜48であることがより好ましく、70〜52:30〜48であることがさらに好ましく、65〜54:35〜46であることが一層好ましく、60〜54:40〜46であることがより一層好ましい。
上記キシリレン系ポリアミド樹脂は、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記キシリレン系ポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂6以外のポリアミド樹脂を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。本発明では、樹脂組成物は、上記キシリレン系ポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂6以外のポリアミド樹脂を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、上記キシリレン系ポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂6以外のポリアミド樹脂の合計量が、上記ポリアミド樹脂成分(キシリレン系ポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂6)の5質量%以下であることをいい、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂以外の他の樹脂成分を含んでいてもよい。
他の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、ポリアミド樹脂以外の樹脂成分を実質的に配合しない構成としてもよく、例えば、樹脂組成物に含まれる樹脂成分全量の5質量%以下であることをいい、さらには、1質量%以下、特には、0.4質量%以下とすることもできる。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、キシリレン系ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂6の合計で、樹脂組成物に含まれる樹脂成分の95質量%以上を占めることが好ましい。
特に、本発明の樹脂組成物は、耐衝撃改良剤を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、ポリアミド樹脂6の配合量の5質量%以下であることをいい、さらには、1質量%以下、特には、0.4質量%以下とすることもできる。
本発明の樹脂組成物は、ガラス繊維を含む。
ガラス繊維は、Aガラス、Cガラス、Eガラス、Sガラスなどのガラス組成からなり、特に、Eガラス(無アルカリガラス)が好ましい。
ガラス繊維の形態は、単繊維や複数本撚り合わせたものを連続的に巻き取った「ガラスロービング」、カット長(数平均繊維長が)1〜10mmである「チョップドストランド」、粉砕長さ(数平均繊維長)10〜500μmである「ミルドファイバー」などのいずれであってもよい。かかるガラス繊維としては、旭ファイバーグラス社より、「グラスロンチョップドストランド」や「グラスロンミルドファイバー」の商品名で市販されており、容易に入手可能である。ガラス繊維は、形態が異なるものを併用することもできる。
本発明で用いるガラス繊維は、集束剤で集束されていてもよい。この場合の集束剤としては、ウレタン系集束剤が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ガラス繊維を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明で用いる光透過性色素は、通常、黒色色素であり、具体的には、ニグロシン、ナフタロシアニン、アニリンブラック、フタロシアニン、ポルフィリン、ペリノン、ペリレン、クオテリレン、アゾ染料、アントラキノン、スクエア酸誘導体、およびインモニウム染料等が挙げられる。
市販品としては、オリエント化学工業社製の着色剤であるe−BIND LTW−8731H、e−BIND LTW−8701H等が例示される。
本発明の樹脂組成物における光透過性色素の含有量は、ポリアミド樹脂成分100質量部に対し、0.001質量部以上であることが好ましく、0.005質量部以上であることがより好ましく、0.01質量部以上であることがさらに好ましく、0.03質量部以上であることが一層好ましく、0.04質量部以上であってもよい。また、光透過性色素の含有量の上限値は、ポリアミド樹脂成分100質量部に対し、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがさらに好ましく、1質量部以下であることが一層好ましく、0.2質量部以下、0.1質量部以下、0.06質量部以下であってもよい。光透過性色素は、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、カーボンブラックを実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、例えば、樹脂組成物の0.0001質量%以下であることをいう。
本発明の樹脂組成物はタルクを含んでいてもよい。本発明では、タルクを配合することにより、結晶化を促進することができる。
本発明の樹脂組成物における、タルクの含有量は、樹脂組成物に対し、0.05〜20質量%であることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましく、0.15〜5質量%であることがさらに好ましく、0.2〜1.0質量%であることが特に好ましい。タルクは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の樹脂組成物では、光透過性色素とタルクの質量比率が、10〜3:1であることが好ましく、8〜4:1であることがより好ましく、8〜5:1であることがさらに好ましい。この様な比率とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される。
本発明の樹脂組成物は、離型剤をさらに含有していてもよい。離型剤は、主に、樹脂組成物の成形時の生産性を向上させるために使用されるものである。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸アミド系、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。これらの離型剤の中では、特に、カルボン酸アミド系化合物が好ましい。
離型剤の詳細は、特開2016−196563号公報の段落0037〜0042の記載および特開2016−078318号公報の段落0048〜0058の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の樹脂組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の成分を含んでいてもよい。このような添加剤としては、ガラス繊維以外のフィラー、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。これらの成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、本発明の樹脂組成物は、各成分の合計が100質量%となるように、樹脂成分および光透過性色素、さらには、ガラス繊維や他の添加剤の含有量等が調整される。
本発明の樹脂組成物は、また、厚さ3.0mmの試験片に成形したときの、ISO13468−1およびISO13468−2に従った、波長1000nmにおける光線透過率が17%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、23%以上であることがさらに好ましく、25%以上であることが一層好ましい。前記光線透過率の上限値は特に定めるものではないが、例えば、45%以下、40%以下、30%以下であっても、十分に実用レベルである。前記光線透過率は、後述する実施例に記載の方法で測定される。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に制限されないが、ベント口から脱揮できる設備を有する1軸または2軸の押出機を混練機として使用する方法が好ましい。上記ポリアミド樹脂成分、ガラス繊維および必要に応じて配合される他の添加剤は、混練機に一括して供給してもよいし、ポリアミド樹脂成分に他の配合成分を順次供給してもよい。ガラス繊維は、混練時に破砕するのを抑制するため、押出機の途中から供給することが好ましい。また、各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合、混練しておいてもよい。
本発明では、光透過性色素は、ポリアミド樹脂等で、マスターバッチしたものをあらかじめ調製し、上記キシリレン系ポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂6と混練して、本発明における樹脂組成物を得ることができる。
本発明は、また、上記樹脂組成物と、熱可塑性樹脂と光吸収性色素とを含む光吸収性樹脂組成物とを有するキットを開示する。本発明のキットは、レーザー溶着による成形品の製造に好ましく用いられる。
すなわち、キットに含まれる樹脂組成物は、光透過性樹脂組成物としての役割を果たし、光透過性樹脂組成物を成形してなる成形品は、レーザー溶着の際のレーザー光に対する透過樹脂部材となる。一方、光吸収性樹脂組成物を成形してなる成形品は、レーザー溶着の際のレーザー光に対する吸収樹脂部材となる。
本発明で用いる光吸収性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と光吸収性色素とを含み、さらに、無機フィラーを含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂、オレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等が例示され、樹脂組成物との相溶性が良好な点から、特に、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましく、ポリアミド樹脂がさらに好ましい。また、熱可塑性樹脂は1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
光吸収性樹脂組成物に用いるポリアミド樹脂としては、その種類等を定めるものではなく、上述のポリアミド樹脂(キシリレン系ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂6、およびこれらの混合物)を用いてもよいし、用いなくてもよい。
無機フィラーは、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ、アルミナ、タルク、カーボンブラックおよびレーザーを吸収する材料をコートした無機粉末等のレーザー光を吸収しうるフィラーが例示され、ガラス繊維が好ましい。ガラス繊維は、上記本発明の樹脂組成物に配合してもよいガラス繊維と同義であり、好ましい範囲も同様である。
光吸収性色素としては、照射するレーザー光波長の範囲、すなわち、本発明では、波長800nm〜1100nmの範囲に極大吸収波長を持つものであり、無機顔料(カーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックなど)などの黒色顔料、酸化鉄赤などの赤色顔料、モリブデートオレンジなどの橙色顔料、酸化チタンなどの白色顔料)、有機顔料(黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料など)などが挙げられる。なかでも、無機顔料は一般に隠ぺい力が強く好ましく、黒色顔料がさらに好ましい。これらの光吸収性色素は2種以上組み合わせて使用してもよい。光吸収性色素の含有量は、樹脂成分100質量部に対し0.01〜30質量部であることが好ましい。
次に、レーザー溶着方法について説明する。本発明では、本発明の樹脂組成物を成形してなる成形品(透過樹脂部材)と、上記光吸収性樹脂組成物を成形してなる成形品(吸収樹脂部材)を、レーザー溶着させて成形品を製造することができる。レーザー溶着することによって透過樹脂部材と吸収樹脂部材を接着剤を用いずに、強固に溶着することができる。
部材の形状は特に制限されないが、部材同士をレーザー溶着により接合して用いるため、通常、少なくとも面接触箇所(平面、曲面)を有する形状である。レーザー溶着では、透過樹脂部材を透過したレーザー光が、吸収樹脂部材に吸収されて、溶融し、両部材が溶着される。本発明の樹脂組成物の成形品は、ガラス繊維を含有しているにも関わらずレーザー光に対する透過性が高いので、透過樹脂部材として好ましく用いることができる。ここで、レーザー光が透過する部材の厚み(レーザー光が透過する部分におけるレーザー透過方向の厚み)は、用途、樹脂組成物の組成その他を勘案して、適宜定めることができるが、例えば5mm以下であり、好ましくは4mm以下である。
このようにして透過樹脂部材と吸収樹脂部材を溶着された成形品は、高い接合強度を有する。なお、本発明における成形品とは、完成品や部品の他、これらの一部分を成す部材も含む趣旨である。
<ポリアミド樹脂>
キシリレン系ポリアミド樹脂(MXD6):ポリメタキシリレンアジパミド、三菱ガス化学社製、MXナイロンS6001
ポリアミド樹脂6:宇部興産社製、UBEナイロン1011FB
ポリアミド樹脂610:東レ社製、アミランCM2001
T756H:日本電気硝子(株)製、ECS03T−756H、重量平均繊維径10.5μm、カット長3mm
ミクロンホワイト#5000S:林化成社製
CS8CP:日東化成工業社製
LTW−8701H:オリエント化学工業社製、e−BIND LTW−8701H、ポリアミド66と光透過性色素のマスターバッチ
<<コンパウンド>>
後述する下記表1に示す組成となるように(表1の各成分は質量%表記である)、ポリアミド樹脂成分とタルクと離型剤と光透過性色素をそれぞれ秤量し、ドライブレンドした後、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)のスクリュー根元から2軸スクリュー式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE−W−1−MP)を用いて投入した。また、ガラス繊維については振動式カセットウェイングフィーダ(クボタ社製、CE−V−1B−MP)を用いて押出機のサイドから上述の二軸押出機に投入し、樹脂成分等と溶融混練し、樹脂組成物ペレットを得た。押出機の温度設定は、280℃とした。
上述の製造方法で得られた樹脂ペレットを120℃で4時間乾燥させた後、日精樹脂工業社製、NEX140IIIを用いて、4mm厚さのISO引張り試験片を射出成形した。成形に際し、シリンダー温度は280℃、金型表面温度は130℃にて実施した。
ISO178に準拠して、上記ISO引張り試験片(4mm厚)を用いて、23℃の温度で曲げ強さ(単位:MPa)および曲げ弾性率(単位:GPa)を測定した。
東洋精機製作所社製全自動曲げ試験システム(型式B−2)を用いたISO178規格における曲げ試験を行い、試験片の破壊点変位(単位:mm)を測定した。
ISO13468−1およびISO13468−2に従い光線透過率を測定した。具体的には、上記で得られた樹脂組成物ペレットを、120℃で4時間乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業社製、SE−50D)を用いて、光線透過率測定用の試験片(3.0mm厚)を作製した。光線透過率は、可視・紫外分光光度計(島津製作所社製、UV−3100PC)を用いて測定し、波長1000nmおよび800nmにおける光線透過率(単位:%)をそれぞれ測定した。
上述の方法で得られたISO引張り試験片を用い、ISO179−1およびISO179−2に準拠し、23℃の条件で、ノッチ有シャルピー衝撃強さを測定した。シャルピー衝撃強さの単位は、kJ/m2で示した。
日本電色工業社製色差計SpectroPhotometerSE6000を用い、C光源、視野2°で透過法により、上述の方法で得られた光線透過率測定用の試験片の2mm厚部分を測定した。
上記実施例1において、表1に示す通り変更し、他は同様に行った。
ポリアミド樹脂6を配合することによって、光線透過率が顕著に向上することは極めて驚くべきことである。
Claims (11)
- ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が炭素数4〜7のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するキシリレン系ポリアミド樹脂と、
ポリアミド樹脂6と、
ガラス繊維と、
光透過性色素とを含む樹脂組成物であって、
前記ポリアミド樹脂6は、樹脂組成物の5〜25質量%の割合で含み、
前記ガラス繊維は、樹脂組成物の25〜60質量%の割合で含む、樹脂組成物。 - 前記樹脂組成物のL値が5.0以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記キシリレン系ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂6の合計で、樹脂組成物に含まれる樹脂成分の95質量%以上を占める、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記ガラス繊維を樹脂組成物の35〜55質量%の割合で含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記キシリレンジアミンが、メタキシリレンジアミンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上がアジピン酸に由来する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、前記ジカルボン酸由来の構成単位の90モル%以上がアジピン酸に由来するキシリレン系ポリアミド樹脂と、ポリアミド樹脂6と、ガラス繊維と、光透過性色素とを含む樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂6は、樹脂組成物の12〜25質量%の割合で含み、前記ガラス繊維は、樹脂組成物の35〜55質量%の割合で含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- さらに、タルクを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物と、熱可塑性樹脂と光吸収性色素とを含む光吸収性樹脂組成物とを有するキット。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる成形品と、熱可塑性樹脂と光吸収性色素とを含む光吸収性樹脂組成物を成形してなる成形品を、レーザー溶着させることを含む、成形品の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物、または、請求項9に記載のキットを成形してなる成形品。
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