JP2019006757A - 皮膚外用塗布剤 - Google Patents

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前田 康博
Yasuhiro Maeda
康博 前田
哲志 上田
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哲志 上田
征一 島倉
Seiichi Shimakura
征一 島倉
爾織 田中
Ruori Tanaka
爾織 田中
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Abstract

【課題】薬剤の投与を終了した後も、皮膚炎の再発を抑制することが可能な皮膚外用塗布剤を提供する。【解決手段】ステロイド性抗炎症薬及び、グリセリンを30〜40重量%含有する。前記ステロイド性抗炎症薬は、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルが好ましく、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを0.1〜0.3重量%含有することが望ましい。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年6月28日出願の日本特願2017−126142号の優先権を主張し、それらの全記載は、ここに特に開示として援用される。
本発明は、ステロイド性抗炎症薬を用いた皮膚外用塗布剤に関し、特に皮膚炎の治療とその後の再発を抑制する皮膚外用塗布剤に関する。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステルおよびクロベタゾン酪酸エステル等のステロイド性抗炎症薬は、湿疹、皮膚炎、皮膚掻痒症等、皮膚疾患の治療に広く用いられている。
しかし、薬剤の投与期間中はステロイド性抗炎症薬の作用により高い治療効果が認められるが、薬剤の使用を終了すると皮膚症状が再発するという問題があり、患者は症状が改善された後も暫くは薬剤を投与し続ける必要があった。
一般に、ステロイド性抗炎症薬を用いた治療では、症状の改善とともに、投与量を減らす、又は、徐々に弱い薬理活性の薬剤へ切り替えていくことが理想的であるが、上記のような実情が、長期に亘るステロイド性抗炎症薬の常用や、薬理活性の高いステロイド性抗炎症薬への切替えを招く要因の一つとなっており、皮膚への負担や副作用が懸念されている。
従来、薬剤投与期間中に皮膚炎を抑える効果の高い組成物は種々提案されてきたが、薬剤の使用を終了した後の再発防止に効果のある薬剤組成は知られていない。
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、薬剤の投与を終了した後も、皮膚炎の再発を抑制することが可能な皮膚外用塗布剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、薬剤の投与期間中の抗炎症効果だけでなく、投与終了後の再発抑制効果に着目し、鋭意検討を重ねた結果、ステロイド性抗炎症薬にグリセリンを高濃度で配合した皮膚外用塗布剤が、薬剤の投与を終了した後の皮膚炎の再発を抑制する効果があることを見出した。
すなわち、本発明は、ステロイド性抗炎症薬および、グリセリンを30〜40重量%含有することを特徴とする。
本発明によれば、ステロイド性抗炎症薬および、グリセリンを30〜40重量%を含有することによって、皮膚炎の症状を治癒するだけでなく、薬剤の投与を終了した後の、症状の再発を抑制する。そのため、薬剤の投与期間及び投与量を必要最低限に抑えることが可能であり、患者への負担の少ない皮膚外用塗布剤を提供することができる。
本発明の皮膚外用塗布剤は、ステロイド性抗炎症薬、グリセリン、高級アルコール、脂肪酸エステル、炭化水素、乳化剤を配合し、皮膚に塗布するために適当な粘性を有するクリーム剤であって、医薬品、医薬部外品等の用途に適用可能である。
ステロイド性抗炎症薬は、皮膚の炎症症状を抑えるものであり、その機能と作用の強さによって「最も強い」「とても強い」「強い」「中程度」「弱い」等の5段階に分類されており、それぞれ投与期間と投与量の目安が定められている。
本実施形態においては、ステロイド性抗炎症薬として「中程度」に分類されるプレドニゾロンまたはそのエステル、ヒドロコルチゾンまたはそのエステル、デキサメタゾンまたはそのエステル、クロベタゾンまたはそのエステルなどを用いることが出来る。
ここで、エステルは、それぞれの化合物が形成する物であれば何でもよいが、例えば…
プレドニゾロンまたはそのエステルとしてはプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルが好ましく、ヒドロコルチゾンまたはそのエステルとしてはヒドロコルチゾン酢酸エステルが好ましく、デキサメタゾンまたはそのエステルとしてはデキサメタゾン酢酸エステルが好ましく、クロベタゾンまたはそのエステルとしてはクロベタゾン酪酸エステルが好ましい。
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルはリビメックスコーワクリーム(商標)、ヒドロコルチゾン酢酸エステルはオイラックスA(商標)、デキサメタゾン酢酸エステルはエマゼン(商標)、クロベタゾン酪酸エステルはキンダベート(商標)などに有効成分として含まれている。
また、症状の重症度に合わせてより強いステロイド性抗炎症薬を用いてもよい。
ステロイド性抗炎症薬の配合量(含有量)については、皮膚外用塗布剤における一般的に最適とされる配合量であることが望ましい。
プレドニゾロンまたはそのエステルの配合量は、例えば0.01〜0.3重量%であり、好ましくは0.075〜0.25重量%であり、ヒドロコルチゾンまたはそのエステルの配合量は、例えば0.1〜1.0重量%であり、好ましくは0.25〜0.75重量%であり、デキサメタゾンまたはそのエステルの配合量は、例えば0.01〜0.06重量%であり、好ましくは0.0125〜0.04重量%であり、クロベタゾンまたはそのエステルの配合量は、例えば0.01〜0.01重量%であり、好ましくは0.025〜0.075%重量%である。
本発明の皮膚外用塗布剤に配合されるステロイド性抗炎症薬としては、0.075〜0.25重量%のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、0.25〜0.75重量%のヒドロコルチゾン酢酸エステル、0.0125〜0.04重量%のデキサメタゾン酢酸エステルまたは0.025〜0.075%重量%のクロベタゾン酪酸エステルが最も好ましい。
グリセリンは保湿成分として知られているが、本発明においては保湿効果の他に、薬剤の使用終了後の再発を防止するために用いている。本発明の皮膚外用塗布剤におけるグリセリンの最適な配合量は、30重量%〜40重量%である。30重量%未満では、皮膚外用塗布剤投与終了後の症状の再発抑制効果が十分に得られず、40重量%を超えると、塗布後のべたつきによる不快感から、患者が使用を拒むおそれがある。
なお、保湿剤としては、グリセリン以外の多価アルコール、例えば1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、D−ソルビトールや、ヒアルロン酸等を配合してもよい。
高級アルコールは、クリーム剤の粘度を調整するために配合してある。本実施形態においては、高級アルコールとしてセトステアリルアルコールと、オクチルドデカノールを用いたが、他の高級アルコール、例えば、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等を用いてもよい。
脂肪酸エステルは、ステロイド性抗炎症剤を溶解するため、又は、溶解し易くするために配合してある。本実施形態においては、脂肪酸エステルとしてアジピン酸ジイソプロピルを用いたが、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル等、ステロイド性抗炎症剤を溶解可能なものであればよい。
炭化水素は、油膜を形成し、皮膚の乾燥を防ぐために配合してある。本実施形態においては、炭化水素として流動パラフィンを用いたが、例えば、パラフィン、ワセリン、スクワラン等の他の炭化水素を用いてもよい。
乳化剤としては、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルとグリセリン脂肪酸エステルを用いたが、水相と油相とを乳化してクリーム剤とすることが可能であれば、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル等の他の乳化剤を用いてもよい。
本発明の皮膚外用塗布剤には、上記の他に、pH調節剤や、防腐剤を配合することが望ましい。pH調節剤は、本実施形態においては、クエン酸水和物及びクエン酸ナトリウム水和物を配合しているが、例えば、乳酸、リンゴ酸、リン酸、炭酸、酒石酸、又はこれらの塩等の他のpH調節剤を用いてもよい。防腐剤は、本実施形態においては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピルを配合しているが、例えば、パラオキシ安息香酸ブチル、フェノキシエタノール等の他の防腐剤を用いてもよい。
また、一般的なクリーム剤に配合される油脂として、オリーブ油、大豆油等の植物油や、ステアリン酸等の高級脂肪酸、ミツロウ等のロウ類等を配合してもよい。
下記の試験において、皮膚外用塗布剤の有効性及び再発抑制効果を評価した。なお、実施例1〜4及び比較例1〜3で用いた皮膚外用塗布剤は、それぞれ表1に記載の処方に従い、以下の工程によって得た。
まず、A成分及びB成分をそれぞれ70〜80℃で加温溶解した。そして、撹拌しながらA成分にB成分を徐々に加えて乳化した後、撹拌しながら冷却することによってクリーム剤を得た。
Figure 2019006757
実施例1及び比較例1〜3の試験方法及び評価方法は以下に示す同一の方法により行った。
<試験準備>
・マウスの準備
試験は、アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いて行った。このモデルマウスはNCマウスと呼ばれるマウスであり、アレルゲンによって、人のアトピー性皮膚炎と類似したアトピー性皮膚炎様症状を発症することから、皮膚炎のモデルマウスとして用いられている。詳しくは、8週齢のNC/NgaTndCrljマウスを、麻酔下で胸部、腹部、及び背部を電気バリカン及び除毛クリームを用いて剃毛して用いた。
・感作物質の調製
ピクリルクロライド(2,4,6-trinitrochlorobenzene)を5%(w/v)の濃度となるよう、エタノールとアセトンの混合液(体積割合4:1)に溶解して感作物質を調製した。
・惹起物質の調製
ピクリルクロライド(2,4,6-trinitrochlorobenzene)を1%(w/v)の濃度となるよう、加温しながら食用オリーブ油に溶解して惹起物質を調製した。
<処置開始>
・感作
剃毛翌々日に、マウスを麻酔下において、感作物質を150μL/匹の液量で、胸腹部及び両足の裏に塗布することにより感作した。感作日を試験0日目とした。
・皮膚炎の誘発
試験4日目、11日目、18日目(薬剤投与の前々日)、27日(最終の薬剤投与日の翌日)に誘発を行った。誘発前日にマウスの背部を剃毛し、誘発日に麻酔下で、惹起物質を150μL/匹の液量で背部に塗布することで、皮膚炎を誘発した。
・薬剤の投与
感作20日目から26日目まで、1日1回、7日間連続で、背部皮膚に1匹あたり100mgの実施例1及び比較例1〜3の各皮膚外用塗布剤を塗布した。
<評価方法>
皮膚炎の重症度を表2〜4に示す皮膚炎スコアに基づいて評価し、評点の合計にて結果を比較した。評価は第19日から第34日まで毎日行った。感作後の経過日数と皮膚炎スコアを示すグラフを表5に示す。なお、表5に示すそれぞれの値は、約10例の平均値±標準誤差を表す。
Figure 2019006757
Figure 2019006757
Figure 2019006757
Figure 2019006757
上記結果に示すように、皮膚外用塗布剤の投与期間中は実施例1が比較例1〜3に比べ低いスコアを示し、炎症症状を抑えている。さらに、皮膚外用塗布剤の投与終了後(27日目)に惹起物質を投与して再度皮膚炎を誘発した際は、比較例2ではスコアが27日目から29日目にかけて大きく上昇しているのに対し、実施例1ではスコアの上昇率が抑えられ、低いスコアを維持している。このように、実施例1は皮膚外用塗布剤の投与中及び投与終了後において比較例1〜3よりも有意に低い値を示し、皮膚炎の再発抑制効果の差は明確であった。
また、実施例2〜4で得た皮膚外用塗布剤についても同様の効果がみられる。

Claims (14)

  1. ステロイド性抗炎症薬および、グリセリンを30〜40重量%含有することを特徴とする皮膚外用塗布剤。
  2. クリーム剤である請求項1記載の皮膚外用塗布剤。
  3. 前記ステロイド性抗炎症薬がプレドニゾロンまたはそのエステルである、請求項1又は2記載の皮膚外用塗布剤。
  4. 前記ステロイド性抗炎症薬がプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルである、請求項1乃至3記載の皮膚外用塗布剤。
  5. 前記プレドニゾロンまたはそのエステルを0.01〜0.3重量%含有することを特徴とする請求項3又は4記載の皮膚外用塗布剤。
  6. 前記ステロイド性抗炎症薬がヒドロコルチゾンまたはそのエステルであるである、請求項1又は2記載の皮膚外用塗布剤。
  7. 前記ステロイド性抗炎症薬がヒドロコルチゾン酢酸エステルである、請求項1、2又は6記載の皮膚外用塗布剤。
  8. 前記ヒドロコルチゾンまたはそのエステルを0.1〜1.0重量%含有することを特徴とする請求項6または7記載の皮膚外用塗布剤。
  9. 前記ステロイド性抗炎症薬がデキサメタゾンまたはそのエステルであるである、請求項1又は2記載の皮膚外用塗布剤。
  10. 前記ステロイド性抗炎症薬がデキサメタゾン酢酸エステルである、請求項1、2又は9記載の皮膚外用塗布剤。
  11. 前記デキサメタゾンまたはそのエステルを0.01〜0.06重量%含有することを特徴とする請求項9または10記載の皮膚外用塗布剤。
  12. 前記ステロイド性抗炎症薬がクロベタゾンまたはそのエステルであるである、請求項1又は2記載の皮膚外用塗布剤。
  13. 前記ステロイド性抗炎症薬がクロベタゾン酪酸エステルである、請求項1、2又は12記載の皮膚外用塗布剤。
  14. 前記クロベタゾンまたはそのエステルを0.01〜0.01重量%含有することを特徴とする請求項9または10記載の皮膚外用塗布剤。

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