JP2019004754A - ノンアルコールのビールテイスト飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】コラーゲンペプチドを含有しつつも、pH4以下のpH範囲において、良好な風味を実現した実質的にノンアルコールのビールテイスト飲料を提供すること。【解決手段】(A)平均分子量が500〜8000のコラーゲンペプチド、(B)炭酸ガス、(C)イソα酸、(D)酸味料、及び(E)大豆タンパク分解物を含有し、pH3以上4以下であり、かつコラーゲンペプチドの含有量が280〜1800mg/100mLであり、イソα酸の含有量が0.5×10−3〜5.0×10−3質量%であり、大豆タンパク分解物に由来するタンパク質の含有量が1〜70mg/100mLである、実質的にノンアルコールのビールテイスト飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、実質的にノンアルコールのビールテイスト飲料に関する。
コラーゲンは、ゼラチンとして、食品分野で従来から広く用いられている。動物性蛋白質であるコラーゲンは、真皮や結合組織などの主成分であることから、近年、医療分野や美容分野の面からも注目を集めている。
一般に、高分子量のコラーゲンを経口で摂取しても、摂取したコラーゲンを体内で効率的に利用することが難しいとされるが、近年は、体内での摂取に適するよう、高分子のコラーゲンを低分子量化したコラーゲンペプチドが開発され、コラーゲンペプチド入りの飲料も開発されている。
このようなコラーゲンペプチドを含有する飲料は、清涼飲料水に分類され、殺菌の目的で加熱処理が行われている。殺菌の条件は、日本における食品衛生法(厚生省告示第213号)では、飲料のpHによって区別されている。食品衛生法には、保存基準がなく殺菌を要するものの製造基準として、pH4.0未満のものの殺菌は、中心部温度を65℃10分間加熱する方法又は同等以上の方法、pH4.0〜4.6のものの殺菌は、85℃30分間加熱する方法又は同等以上の方法、と記載されている。
コラーゲンペプチド含有飲料に関し、特許文献1には、リン酸を含む2種以上の酸味料を含有させ、pHを4.0以下にすることによって、防腐性に効果のあるpH4.0以下のpH範囲において、適度な酸味と良好な風味を実現した飲料組成物が開示されている。一方、ビールテイスト飲料へのコラーゲンペプチドの配合も試みられており、特許文献2には、発泡酒における泡の質をより肌理こまやかにし、泡の硬さをより保持し、長時間にわたって泡が消えないようにすることにより、発泡酒の味わいを保持する技術が開示されている。
特開2013−081418号公報 特開2008−271942号公報
一般に、呈味は、飲料を口に含んだ後の時間経過とともに変化するが、酸味と苦味は、喫食直後から感じる先味として感じられ、先味のなかでも苦味は酸味よりも早く感じられる呈味である。そこで、本発明者らは、コラーゲンペプチドを配合したノンアルコールのビールテイスト飲料に関して、その呈味を詳細に検討したところ、先味を平坦な抑揚のない味わいとしてしまう問題点があることが判明した。
また、コラーゲンペプチドには、pH緩衝能を有することが知られている。このため、飲料中にコラーゲンペプチドを含有させる場合は、そのpH緩衝能の影響を無視できなくなる。本発明者らは、香味維持のために飲料に大きな熱負荷を与えたくない観点から、コラーゲンペプチドを含有し、かつ、pH4.0以下という飲料設計を試みたところ、pHを下げるために多くの酸味料を使用する必要が生じ、その結果、平坦で抑揚のない先味の味わいの中で、遅れて酸味を感じ始める官能結果となり、いわゆるビールテイストの飲料としては、極めて違和感のある風味となってしまうことも判明した。
従って、本発明においては、コラーゲンペプチドを含有しつつも、pH4以下のpH範囲において、良好な風味を実現した実質的にノンアルコールのビールテイスト飲料を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意研究を進めたところ、飲料にイソα酸を特定量配合することが先味の呈味改善に大きく影響することが分かった。イソα酸は苦味として先味のなかでも酸味よりも早く感じ始める呈味を付与するが、特定量のイソα酸の添加により先味の前半で抑揚をつける効果を奏すると共に、先味の後半の呈味にも影響し酸味料とあいまって先味の後半のバランスを良くする知見を見出した。
また、飲料に大豆タンパク分解物を特定量配合することで飲料に厚みや飲みごたえを付与することができ、先味の呈味改善に大きく影響することも分かった。即ち、特定量の大豆タンパク分解物を併用すると飲料に厚みや飲みごたえが付与されるので、イソα酸の添加量が少ない場合においても先味の呈味を底上げして改善することができ、また、イソα酸の添加量が多くて苦みが強いことでバランスが崩れるような場合においても、バランスを保つことができるという知見を見出した。
即ち、本発明は、(A)平均分子量が500〜8000のコラーゲンペプチド、
(B)炭酸ガス、
(C)イソα酸、
(D)酸味料、及び
(E)大豆タンパク分解物
を含有し、pH3以上4以下であり、かつコラーゲンペプチドの含有量が280〜1800mg/100mLであり、イソα酸の含有量が0.5×10−3〜5.0×10−3質量%であり、大豆タンパク分解物に由来するタンパク質の含有量が1〜70mg/100mLである、実質的にノンアルコールのビールテイスト飲料
に関する。
本発明によれば、コラーゲンペプチドを含有した実質的にノンアルコールのビールテイスト飲料において、pH4以下のpH範囲において酸味と苦味のバランスのよい先味を有し、かつビールらしい味わいのビールテイスト飲料を提供することができる。
本発明にかかる、実質的にノンアルコールのビールテイスト飲料は、コラーゲンペプチドを含有するpH3以上4以下のpH範囲内の飲料において、特定量のイソα酸及び大豆タンパク分解物を含有することを特徴とする。
本発明にかかるビールテイスト飲料には、(A)コラーゲンペプチドが含まれる。本発明においてコラーゲンペプチドとは、平均分子量が8000以下となるように加水分解処理されたコラーゲンペプチドである。単なるコラーゲンでなくコラーゲンペプチドとすることによって、経口で摂取したときの体内への吸収性が高くなるため、飲料に関する本発明においてはコラーゲンペプチドを使用する。コラーゲンペプチドの平均分子量は、経口で摂取したときの体内への吸収性を高める観点から、上限は8000以下、好ましくは7000以下、より好ましくは6000以下、更に好ましくは5500以下である。また、下限は特に限定されるものではないが500以上、1000以上、1500以上、2000以上などとすることができる。これらいずれの組み合わせによる範囲としてもよい。
本明細書において、コラーゲンペプチドの平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:ポリエチレングリコール(PEG)標準)にて測定した値を意味するが、市販品の場合には、供給元から提供される製品情報に従えばよい。
GPCでの平均分子量は、あらかじめ分子量が既知で異なるポリエチレングリコール(PEG)数種を同条件で測定して得られたリテンションタイムと分子量の関係の検量線を元に算出する。本発明における平均分子量とは、この手法に従ってPEG換算で算出した重量平均分子量を言う。
本発明のコラーゲンペプチドは、ゼラチンを酵素や酸などによって加水分解して得ることができる。コラーゲンペプチドは、グリシンやヒドロキシプロリンを多く含むタンパク質であり、市販品としても入手可能である。コラーゲンとしては、哺乳類のコラーゲン組織から抽出したコラーゲンであっても、魚類のコラーゲン組織から抽出したコラーゲンであっても、特に限定されるものではない。商品イメージや安全性等の観点から、魚類由来のコラーゲンであることが好ましい。魚類由来のコラーゲンの原料としては、海水魚であっても淡水魚であってもよく、マグロ(キハダ)、サメ、タラ、ヒラメ、カレイ、タイ、テラピア、サケ、ナマズ等の皮が挙げられる。これらの魚類由来のコラーゲンは、魚類の鱗や皮から抽出したものである。哺乳類由来のコラーゲンの原料としては、ブタ、牛などが挙げられる。
本発明のコラーゲンペプチドの含有量は、飲料100mLあたり280〜1800mgである。コラーゲンペプチドの含有量が1800mg/100mLを超えると、ノンアルコールビールテイスト飲料においては、コラーゲンペプチド由来の不快臭が感じられる場合がある。一方、コラーゲンペプチドの含有量が280mg/100mL未満であると、コラーゲンペプチドの有するpH緩衝能に対応する本発明の効果が小さくなる。コラーゲンペプチドの含有量は、350mg/100mL以上が好ましく、400mg/100mL以上がより好ましく、500mg/100mL以上が更に好ましく、1500mg/100mL以下が好ましく、1200mg/100mL以下がより好ましく、1000mg/100mL以下が更に好ましい。また、350〜1500mg/100mLが好ましく、400〜1200mg/100mLがより好ましく、500〜1000mg/100mLが更に好ましい。また、コラーゲンペプチドの含有量は一般財団法人・日本食品分析センターで分析することもでき、これによりコラーゲンペプチドの濃度を測定することもできる。
本発明にかかるビールテイスト飲料には、ヒドロキシプロリンが含まれる。ヒドロキシプロリンはコラーゲンに特徴的なアミノ酸であり、本発明においては、(A)コラーゲンペプチドに由来するものであることが好ましいが、他のタンパク質由来のものが含まれていてもよい。ヒドロキシプロリンの含有量は、様々な手法で測定することができる。一例として、Nayama,Shibata,Ohtuki,Saitoの方法(藤本大三郎、永井裕(1985)、コラーゲン実験法、pp.51−56、講談社)に準じて測定することができる。また、一般財団法人・日本食品分析センターに委託して測定することもできる。本発明のビールテイスト飲料におけるヒドロキシプロリンの含有量としては、30mg/100mL以上が好ましく、36mg/100mL以上がより好ましく、42mg/100mL以上が更に好ましい。また、193mg/100mL以下が好ましく、161mg/100mL以下がより好ましく、128mg/100mL以下が更に好ましい。
また、本発明のビールテイスト飲料は、(B)炭酸ガスを含有する。圧入する(B)炭酸ガスは、コラーゲンペプチドに起因する先味の平坦さに抑揚をつけ、かつ呈味全般においてビールテイスト感を付与する観点から、本発明の飲料の炭酸ガス濃度は、0.4w/w%以上であることが好ましい。また、炭酸ガス濃度が高くなるにつれて刺激が強くなり先味に抑揚がつくため、炭酸ガス濃度としては、0.40〜0.60w/w%であることが好ましく、0.45〜0.55w/w%であることがより好ましく、0.48〜0.52w/w%であることが更に好ましい。
ガス濃度は当業者に良く知られている標準的な手法で測定することが出来る。測定には、従来技術の自動測定装置を用いても良い。例えば、ガスボリューム測定装置 GVA−500A(京都電子工業社)を用いることができる。ビールテイスト飲料中のガス含有量は、通常、重量%(w/w%またはg/kg)で表すほか、20℃におけるガス圧(kgf/cmまたはMPa)で表すことができる。炭酸ガスの濃度とガス圧は適宜換算可能である。本明細書中では特に断らない限り、炭酸ガス含有量を濃度(w/w%)で示す。
本発明にかかるビールテイスト飲料は、(C)イソα酸を含有する。イソα酸はビール製造に使われる原料であるホップに由来する苦味成分であり、α酸がイソ化した成分である。イソα酸の苦味が、飲料のビールテイスト感の付与に貢献する。本発明のビールテイスト飲料では、(C)イソα酸は、主にホップに由来するものであるが、ホップからの抽出物を配合してもよいし、市販のイソα酸製剤を配合してもよい。ホップの抽出手段としては公知の技術であれば何ら限定されず用いることができる。また、上記の1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
イソα酸は、EBC(European Brewery Convention)が発行している分析法の規定「Analytica−EBC」のMethod7.7に従って測定することができる。本明細書においては、公知の方法であればいずれの方法に従っても測定することができる。本発明のビールテイスト飲料におけるイソα酸の含有量としては、0.5×10−3質量%以上5.0×10−3質量%以下であるが、先味前半の平坦さに抑揚をつけ、良質な香味バランスを実現する観点から、1.0×10−3質量%以上が好ましく、1.5×10−3質量%以上がより好ましく、2.0×10−3質量%以上がさらに好ましい。また、先味後半の香味バランスを良好にする観点から、4.0×10−3質量%以下が好ましく、3.5×10−3質量%以下がより好ましく、3.0×10−3質量%以下がさらに好ましい。
本発明にかかるビールテイスト飲料は、(D)酸味料を含有する。酸味料としては、クエン酸、乳酸、リン酸、及びリンゴ酸からなる群より選ばれる1種以上の酸を用いることが好ましい。また、本発明においては、前記酸以外の酸として、コハク酸、酒石酸、フマル酸および氷酢酸等も用いることができる。これらは食品に添加することが認められているものであれば制限なく用いることができる。本発明においては、まろやかな酸味を適切に付与する観点から乳酸と、やや刺激感のある酸味を適切に付与する観点からリン酸との組み合わせを用いることが好ましい。
酸味料の含有量は、本発明のビールテイスト飲料中、クエン酸換算で、500ppm以上が好ましく、1000ppm以上がより好ましく、1100ppm以上がさらに好ましい。また、7000ppm以下が好ましく、6500ppm以下がより好ましく、6000ppm以下が更に好ましい。酸を複数用いる場合は、合計含有量を意味する。なお、本明細書において、クエン酸換算量とは、クエン酸の酸味度を基準として各酸味料の酸味度から換算される量のことであり、例えば、乳酸100ppmに相当するクエン酸換算量は120ppm、リン酸100ppmに相当するクエン酸換算量は200ppm、リンゴ酸100ppmに相当するクエン酸換算量は125ppmとして換算する。
イソα酸と酸味料との含有質量比(イソα酸/酸味料)としては、コラーゲンペプチドに起因する先味の平坦さに抑揚をつけ、かつ呈味全般においてビールテイスト感を付与する観点から、0.003〜0.050が好ましく、0.003〜0.032がより好ましく、0.004〜0.032が更に好ましく、0.005〜0.025が更に好ましい。
本発明にかかるビールテイスト飲料は、(E)大豆タンパク分解物を含有する。本発明で用いられる大豆タンパク分解物としては、原料としての大豆をプロテアーゼやペプチダーゼ等で分解したものを用いてもよく、工業的に生産されたアミノ酸又はその混合物を用いることもできる。タンパク分解物の調製に用いるタンパク分解酵素としては、市販の酵素を用いることができる。大豆タンパク分解物は、ビールテイスト飲料に厚みや飲みごたえを付与することができる。また、前記のとおり、イソα酸の含有量が少ない場合において呈味を底上げすることや、イソα酸の含有量が多い場合において呈味のバランスを保つことができる。
大豆タンパク分解物の含有量は、本発明のビールテイスト飲料中、10mg/100mL以上が好ましく、50mg/100mL以上がより好ましく、100mg/100mL以上が更に好ましい。また、1500mg/100mL以下が好ましく、1000mg/100mL以下がより好ましく、500mg/100mL以下が更に好ましい。
大豆タンパク分解物に由来するタンパク質の含有量は、本発明のビールテイスト飲料中、味の厚み、飲みごたえの観点から、1mg/100mL以上であり、10mg/100mL以上が好ましく、20mg/100mL以上がより好ましい。また、塩味が過剰に付与されることを抑制する観点から、70mg/100mL以下であり、50mg/100mL以下が好ましく、40mg/100mL以下がより好ましく、30mg/100mL以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、大豆タンパク分解物に由来するタンパク質の含有量は、全窒素化合物の測定値を指す。全窒素化合物は、「BCOJビール分析法(2004.11.1 改訂版) 8.9 全窒素」の項に記載の方法に従って測定することができる。
本発明に係るビールテイスト飲料は、コラーゲンペプチドと大豆タンパク分解物を用いる以外は、一般的なノンアルコールビールテイスト飲料と同様にして製造できる。以下に、一般的な非発酵のノンアルコールビールテイスト飲料の製造工程を示す。酵母による発酵工程を有さないことにより、ノンアルコールビール等のノンアルコールビールテイスト飲料を容易に製造することができる。一般的な非発酵のノンアルコールビールテイスト飲料は麦芽を原料として使用するものとしないものとがあり以下のように製造することができる。
麦芽を原料として使用して製造されるノンアルコールビールテイスト飲料は、まず、麦芽等の麦の他、必要に応じて他の穀物、でんぷん、糖類、苦味料、又は着色料などの原料及び水を含む混合物に、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行なわせ、ろ過し、糖化液とする。必要に応じてホップや苦味料などを糖化液に加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除く。この糖化液の代替として、麦芽エキスに温水を加えたものにホップを加えて煮沸してもよい。ホップは煮沸開始から煮沸終了前のどの段階で混合してもよい。糖化工程、煮沸工程、固形分除去工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。煮沸後、得られた麦汁を濾過し、得られた濾過液に酸味料及びイソα酸として市販品を用いる場合は市販のイソα酸を加えた後、炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のノンアルコールビールテイスト飲料を得る。コラーゲンペプチド及び大豆タンパク分解物は、充填までのどのタイミングで混合させてもよい。
麦芽を原料として使用しないノンアルコールビールテイスト飲料を製造する場合には、まず、炭素源を含有する液糖や、必要に応じて食物繊維、酵母エキス等のアミノ酸含有材料としての窒素源、ホップ、色素等を、温水と共に混合し、液糖溶液とする。該液糖溶液は、煮沸する。原料としてホップを用いる場合、ホップは煮沸開始前ではなく、煮沸中に該液糖溶液に混合してもよい。煮沸後の液糖溶液に対して、酸味料及びイソα酸として市販品を用いる場合は市販のイソα酸を加えた後、炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のノンアルコールビールテイスト飲料を得る。コラーゲンペプチド及び大豆タンパク分解物は、充填までのどのタイミングで投入混合させてもよい。
コラーゲンペプチドがボディやコクを与えるため、爽快なビールテイスト飲料にするには、エキス分の総量が所定の範囲内であることが好ましい。本明細書における「エキス分の量」は、飲料のアルコール度数が0.005%以上の場合、日本の酒税法におけるエキス分、すなわち、温度15度の時において原容量100立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数をいい、アルコール度数が0.005%未満の飲料においては、脱ガスしたサンプルをビール酒造組合国際技術委員会(BCOJ)が定める「ビール分析法 7.2 エキス」に従い測定したエキス値(重量%)をいう。エキス分全体の内、麦芽等の麦に由来するエキス分の量は、例えば、総エキス分の量を実測で求めた上で、別途求めた添加物や他の原料のエキス分の量を減じることで求めることができる。
本明細書における「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつ炭酸飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲料は、特に断わりがない場合、ビール風味の炭酸飲料を全て包含する。本発明は、この飲料の内の、実質的にノンアルコールタイプのものに向けられ、そのアルコール度数は、0.005%以下であり、好ましくは、アルコールを実質的に含まない。ここで、アルコールを実質的に含まない本発明の飲料(ノンアルコール飲料)は、検出できない程度の極く微量のアルコールを含有する飲料を除くものではない。アルコール度数が四捨五入により0.0%となる飲料、中でも、アルコール度数が四捨五入により0.00%となる飲料は、本発明のノンアルコール飲料に包含される。本発明のビールテイスト飲料の種類としては、例えば、ノンアルコールのビールテイスト飲料、ビールテイストの清涼飲料などが含まれる。なお、ここでの「アルコール度数(アルコール含有量)」はエタノールの含有量を意味し、脂肪族アルコールは含まれない。
本発明のビールテイスト飲料のアルコール度数は、飲料中のアルコール分の含有量(v/v%)を意味し、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には、飲料から濾過又は超音波によって炭酸ガスを抜いた試料を調製し、そして、その試料を直火蒸留し、得られた留液の15℃における密度を測定し、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)の付表である「第2表アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。アルコール分が1.0%未満の低濃度の場合は、市販のアルコール測定装置や、ガスクロマトグラフィーを用いても良い。
本発明にかかるビールテイスト飲料に、酒感を付与する観点から、脂肪族アルコールを添加してもよい。脂肪族アルコールとしては、公知のものであれば特に制限されない。
(カロリー)
本発明にかかるビールテイスト飲料は、近年の低カロリー嗜好に合わせて、低カロリーであることが望ましい。従って、本発明のビールテイスト飲料のカロリー数は、好ましくは11kcal/100mL以下であり、より好ましくは6kcal/100mL以下であり、さらに好ましくは5kcal/100mL以下である。下限は特に設定されないが、例えば、3kcal/100mL以上とすることができる。
飲料に含まれるカロリー数は、基本的に健康増進法に関連して公表されている「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」に従って算出する。すなわち、原則として、定量した各種栄養成分の量に、それぞれの成分のエネルギー換算係数(タンパク質:4kcal/g、脂質:9kcal/g、糖質:4kcal/g、食物繊維:2kcal/g、アルコール:7kcal/g、有機酸:3kcal/g)を乗じたものの総和として算出することができる。詳細は、「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」を参照されたい。
飲料に含まれる各栄養成分量の具体的な測定手法は、健康増進法「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」に記載の各種分析法に従えばよい。または、財団法人 日本食品分析センターに依頼すれば、このような熱量及び/又は各栄養成分量を知ることができる。
(糖質)
本発明でいう糖質とは、食品の栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号)に基づく糖質をいう。具体的には、糖質は、食品から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、アルコール分及び水分を除いたものをいう。また、食品中の糖質の量は、当該食品の重量から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量を控除することにより算定される。この場合に、大豆タンパク分解物に由来するタンパク質以外のタンパク質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量は、栄養表示基準に掲げる方法により測定する。具体的には、タンパク質の量は窒素定量換算法で測定し、脂質の量はエーテル抽出法、クロロホルム・メタノール混液抽出法、ゲルベル法、酸分解法またはレーゼゴットリーブ法で測定し、食物繊維の量は高速液体クロマトグラフ法またはプロスキー法で測定し、灰分の量は酢酸マグネシウム添加灰化法、直接灰化法または硫酸添加灰化法で測定し、水分の量はカールフィッシャー法、乾燥助剤法、減圧過熱乾燥法、常圧加熱乾燥法またはプラスチックフィルム法で測定する。
本発明にかかるビールテイスト飲料は、近年の低糖質嗜好に合わせて、低糖質であることが望ましい。従って、本発明のビールテイスト飲料の糖質の含有量は、好ましくは0.5g/100mL以下、より好ましくは0.4g/100mL以下である。また、下限は特に設定されないが、通常、0.1g/100mL程度であり、例えば、0.15g/100mL以上であっても、0.2g/100mL以上であってもよい。
(ホップ)
本発明のビールテイスト飲料においては、原料の一部にホップを用いることができる。香味がビールに類似する傾向にあることから、原料の一部にホップを用いることが望ましい。ホップを使用する際には、ビール等の製造に使用される通常のペレットホップ、粉末ホップ、ホップエキスを、所望の香味に応じて適宜選択して使用することができる。また、イソ化ホップ、還元ホップなどのホップ加工品を用いてもよい。本発明におけるホップには、これらのものが包含される。また、ホップの添加量は特に限定されないが、典型的には、飲料全量に対して0.0001〜1重量%程度である。
(その他の原料)
本発明では、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、その他の原料を用いてもよい。例えば、甘味料(高甘味度甘味料を含む)、香料、難消化性デキストリンなどの食物繊維、酵母エキス、カラメル色素などの着色料、大豆サポニンやキラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、大豆タンパク分解物以外のコーンなどの植物タンパク質およびペプチド含有物、ウシ血清アルブミン等のタンパク質系物質、アミノ酸などの調味料、アスコルビン酸等の酸化防止剤を、本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて用いることができる。
かくして本発明のビールテイスト飲料が得られる。本発明のビールテイスト飲料のpHはpH3以上4以下であればよいが、好ましくはpH3.0以上、より好ましくはpH3.3以上である。また、好ましくはpH4.0以下、より好ましくはpH3.7以下である。
(容器詰飲料)
本発明のビールテイスト飲料は、容器詰めとすることができる。容器の形態は何ら制限されず、ビン、缶、樽、またはペットボトル等の密封容器に充填して、容器入り飲料とすることができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
<エキス分の評価>
実施例においては、飲料中のエキス分の量を以下の方法により評価した。即ち、エキス分はBCOJビール分析法 7.2 エキス に従って計測した。20℃での比重を振動式密度計を使用して計測し、付属のエキス表によりエキス分を求めた。
<カロリーの評価>
カロリーは、健康増進法に関連して公表されている「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」に従って算出した。
<糖質の評価>
糖質の測定は、栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号)による計算式を用いた。
<香味の評価>
本明細書において、ビールテイスト飲料の香味を、評点法による官能試験によって評価した。専門パネリスト6名が、ビール様の香味について、口に含んで約0〜0.5秒後の先味前半の香味バランス、約0.5〜1秒後の先味後半の香味バランス、更に、総合評価として、5点満点で評価した。「非常によい」=5点、「よい」=4点、「ふつう」=3点、「やや劣る」=2点、「劣る」=1点として、評価点の平均点を算出した。平均点が2.5点以上であれば製品としては問題なく、3.0点以上であることが好ましい。
<ビールテイスト飲料の製造例>
表1〜5に示すビールテイスト飲料を下記のように調製した。
表1〜5に記載の大豆タンパク分解物由来の総窒素量となるように大豆タンパク分解物(不二製油株式会社製、製品名:ハイニュートAM)を加えた温水に、ホップを加えて20分間煮沸して100Lの液糖溶液を得た。得られた液糖溶液に、表1〜5に記載の含有量となるようにコラーゲンペプチドを加えた。いずれのサンプルも、酸化防止剤、香料、必要によりカラメル色素を適量加え、それぞれ表1〜5に記載のpHとなるように酸味料を添加した後、市販のイソα酸(JOHN I. HAAS,INC.製、製品名:ISOHOP)を、製品濃度が表1〜5に記載の含有量となるように添加して約24時間貯蔵した。その間、炭酸ガスを表1〜5に記載の含有量となるように添加した。その後、濾過・瓶詰め・殺菌(65℃以上で10分間加熱)の工程を経て、ノンアルコールのビールテイスト飲料を得た。
用いたコラーゲンペプチドは以下の通りである。
平均分子量 600:新田ゼラチン株式会社製、製品名:コラペプPU
平均分子量5100:新田ゼラチン株式会社製、製品名:SCP5100
平均分子量7500:新田ゼラチン株式会社製、特注品
得られたビールテイスト飲料について、上記評価方法により香味を評価した。結果を表1〜5に示す。
Figure 2019004754
表1から明らかな通り、炭酸ガスを含有する実施例1−1〜1−3では優れた香味バランスが得られたのに対し、炭酸ガスを含有しない比較例1−1は先味前半の評価が低く、また香味の総合評価も低いものであった。
Figure 2019004754
表2から明らかな通り、実施例2−1〜2−3において、イソα酸の含有量が0.5×10−3〜5.0×10−3質量%の範囲で優れた香味バランスが得られたのに対し、イソα酸の含有量の少なすぎる比較例2−1では、苦味が弱く呈味のバランスが良くないものであった。また、イソα酸の含有量の多すぎる比較例2−2や、イソα酸が比較的多めで大豆タンパク分解物を含まない比較例2−4では、苦味がうき呈味のバランスが良くないものであった。ここで、実施例2−3と比較例2−4を対比すると、いずれもイソα酸の量が比較的多めであるが、大豆タンパク分解物を含む実施例2−3では、香味バランスを保つことができることがわかる。実施例2−2と比較例2−3を対比すると、実施例2−2ではイソα酸が少なくても大豆タンパク分解物を含有しているため先味の呈味が良好であるが、大豆タンパク分解物を含まない比較例2−3では厚みが少なく飲みごたえが不十分であり香味バランスが不十分であった。
Figure 2019004754
表3から明らかな通り、実施例3−1〜3−3において、pHが3.0〜4.0の範囲で優れた香味バランスが得られたのに対し、pHが3.0未満の比較例3−1では、酸味が強く呈味が良くないものであった。また、pHが4.0を超える比較例3−2では、酸味が弱く呈味が良くないものであった。
Figure 2019004754
表4から明らかな通り、実施例4−1〜4−3において、大豆タンパク分解物由来の総窒素量が1〜50の範囲で優れた香味バランスが得られたのに対し、大豆タンパク分解物の量が多すぎる比較例4−1では、塩味が感じられ、先味の呈味が十分でないものであった。
Figure 2019004754
表5から明らかな通り、実施例5−1〜5−3において、コラーゲンペプチドの含有量が280〜1800mg/100mLの範囲で優れた香味バランスが得られたのに対し、コラーゲンペプチドの含有量の多すぎる比較例5−1、5−2では、pHを調整するために多量の酸味料が必要となり、酸味が強すぎるものであった。比較例5−2では大豆タンパク分解物およびイソα酸の量を追加して香味の改善を試みたが、効果は得られなかった。なお、参考例は、コラーゲンペプチドを配合していない例であり、この場合、コラーゲンペプチドの添加による香味への影響がないことがわかる。
本発明のビールテイスト飲料は、酸味と苦味のバランスのよい先味を有し、かつビールらしい味わいを有するものであり、嗜好品として新たなテイストを提供できる。

Claims (7)

  1. (A)平均分子量が500〜8000のコラーゲンペプチド、
    (B)炭酸ガス、
    (C)イソα酸、
    (D)酸味料、及び
    (E)大豆タンパク分解物
    を含有し、pH3以上4以下であり、かつコラーゲンペプチドの含有量が280〜1800mg/100mLであり、イソα酸の含有量が0.5×10−3〜5.0×10−3質量%であり、大豆タンパク分解物に由来するタンパク質の含有量が1〜70mg/100mLである、実質的にノンアルコールのビールテイスト飲料。
  2. ヒドロキシプロリンを含有し、その含有量が30〜193mg/100mLである、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
  3. ヒドロキシプロリンが(A)コラーゲンペプチドに由来するものを含む、請求項2に記載のビールテイスト飲料。
  4. (C)イソα酸と(D)酸味料との含有質量比〔(C)/(D)〕が0.003〜0.050である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のビールテイスト飲料。
  5. カロリーが11kcal/100mL以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のビールテイスト飲料。
  6. 糖質含有量が0.5g/100mL以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のビールテイスト飲料。
  7. 原料が麦芽を含まない、請求項1〜6のいずれか1項に記載のビールテイスト飲料。
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