JP2019001753A - 口腔用組成物 - Google Patents
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Description
口腔用製剤中のフッ素含有化合物をより効果的に作用させるためには、歯面へのフッ素含有化合物の滞留性を向上させることが有効である。これまでに、カチオンポリマーがフッ素の歯面への静電的吸着を促進させ、歯面へのフッ素の滞留性を向上することが報告されている(特許文献1;特開昭62−145010号公報)。更に、特許文献2(特開2002−3351号公報)では、フッ素イオン供給化合物にワックスと共に、アネトール等の特定香料成分及びl−メントールを特定比率内で用いることで、口腔内のフッ素滞留性を向上している。
電子基板材料や電子記録媒体の研磨剤としてアルミナ被覆コロイダルシリカが用いられることは知られているが、本発明では、口腔用組成物において、(B)成分によって(A)成分の歯面滞留性が向上し、上述したような格別な作用効果を与える。
〔1〕
(A)フッ素含有化合物、及び
(B)表面の少なくとも一部が酸化アルミニウムであるコロイド粒子
を含有することを特徴とする口腔用組成物。
〔2〕
(B)表面の少なくとも一部が酸化アルミニウムであるコロイド粒子が、酸化アルミニウムコロイド粒子である〔1〕に記載の口腔用組成物。
〔3〕
(B)表面の少なくとも一部が酸化アルミニウムであるコロイド粒子が、有機又は無機のコロイド状核粒子表面の少なくとも一部が酸化アルミニウムで被覆された酸化アルミニウム被覆コロイド粒子である〔1〕に記載の口腔用組成物。
〔4〕
有機又は無機のコロイド状核粒子が、無機酸化物である〔3〕に記載の口腔用組成物。
〔5〕
無機酸化物が、コロイダルシリカである〔4〕に記載の口腔用組成物。
〔6〕
有機又は無機のコロイド状核粒子と酸化アルミニウムとの含有比率が質量比として100/1〜100/30である〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔7〕
(B)表面の少なくとも一部が酸化アルミニウムであるコロイド粒子が、体積平均粒子径0.1〜1,000nmである〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔8〕
(B)表面の少なくとも一部が酸化アルミニウムであるコロイド粒子が、BET比表面積90〜4,000mm2/gである〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔9〕
(A)成分をフッ素イオンとして500〜1,500ppm含有し、(B)成分を1〜10質量%含有する〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔10〕
更に、(C)アニオン性界面活性剤を0.05〜2質量%含有する〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔11〕
更に、(D)デキストラナーゼ及びムタナーゼから選ばれる1種以上の酵素を含有する〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔12〕
更に、(E)体積平均粒子径(メジアン径)5〜40μmのシリカ系研磨剤を2〜50質量%含有する〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔13〕
歯磨剤である〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
なお、フッ素イオン量は、上記範囲内で使用目的に応じて調整することができ、例えば子供用として500ppmにしてもよく、また、700ppm以上、更には900ppm以上であってもよい。
また、上記フッ素イオンとしての配合量の範囲内において、フッ化ナトリウムを使用する場合、その配合量は組成物全体の0.1〜0.3%(質量%、以下同様)(500〜1,500ppm)が好ましく、モノフルオロリン酸ナトリウムを使用する場合、その配合量は組成物全体の0.4〜1.1%(500〜1,500ppm)が好ましい。
また、前記の酸化アルミニウム被覆コロイド粒子(Bb)において、好ましい有機又は無機のコロイド状核粒子としては、無機酸化物が挙げられ、酸化アルミニウム以外の無機酸化物を使用することができ、コロイダルシリカがより好ましい。即ち、酸化アルミニウム被覆コロイド粒子(Bb)は、好ましくはシリカ表面の少なくとも一部がアルミナで被覆されたアルミナ被覆コロイダルシリカである。
アルミナ被覆コロイダルシリカとしては、シリカ表面がアルミナで表面処理されたコロイダルシリカが用いられ、シリカ表面の少なくとも一部にアルミナが付着し、アルミナによって被覆されていればよい。
なお、BET比表面積は、比表面積測定装置(日機装(株)製、自動比表面積計、BET多点法、測定ガス;窒素)を用いて、25℃で測定した値である。
酸化アルミニウムコロイド粒子
アルミナゾルAS−200(日産化学工業(株)製)
体積平均粒子径:7〜15nm、BET比表面積:120mm2/g
アルミナで表面処理したコロイダルシリカ
スノーテックスAK(日産化学工業(株)製)
シリカ/アルミナの質量比=9/1=100/11
体積平均粒子径:17nm、BET比表面積:130〜280mm2/g
シリカドール20P(日本化学工業(株)製)
シリカ/アルミナの質量比=8/1=100/13
体積平均粒子径:20nm、BET比表面積:160mm2/g
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数が14〜16のα−オレフィンスルホン酸のナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩を用いることができ、好ましくは炭素数14のα−オレフィンスルホン酸塩、特にナトリウム塩(一般名;テトラデセンスルホン酸ナトリウム)である。これらは口腔用組成物に使用可能な市販品を入手することができ、例えばライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の商品名「KリポランPJ−400CJ」を使用し得る。
酵素としては、デキストラナーゼ、ムタナーゼが挙げられ、特にデキストラナーゼが好ましい。
酵素の組成物中への配合量は、1〜260単位/g(U/g)、特に2〜130単位/g、とりわけ10〜130単位/gとなる範囲が好ましい。13,000単位/gのデキストラナーゼを使用した場合は、その配合量は組成物全体の0.01〜2%が好ましく、より好ましくは0.02〜1%、特に0.1〜1%である。前記範囲で、フッ素の滞留性、酵素特有の異臭抑制の点で優れ、好ましい。
研磨剤、特にシリカ系研磨剤の平均粒子径は、体積平均を用いたメジアン径(d50)が5〜40μm、特に10〜30μmが好適である。なお、メジアン径は、粒度分布測定装置(日機装(株)製、マイクロトラック粒度分布計、分散媒;水)を用いて測定した値である。
研磨剤の配合量は、通常、組成物全体の0〜50%、特に2〜50%、とりわけ2〜40%である。一般的に練歯磨での配合量は10〜50%である。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩が挙げられ、両性界面活性剤としては、酢酸ベタイン型、ベタイン型、イミダゾリン型が挙げられる。
界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.001〜10%、特に0.01〜5%がよい。
また、配合量も特に限定されないが、上記の香料素材は、組成物中に0.000001〜1%使用するのが好ましい。また、上記香料素材を使用した賦香用香料としては、組成物中に0.1〜2%使用するのが好ましい。
なお、物性の測定法を下記に示す。
体積平均粒子径;ナノ粒子解析装置(nano Partica SZ−100、HORIBA社製)によって測定した。
BET比表面積;比表面積測定装置(日機装(株)製、自動比表面積計、BET多点法、測定ガス;窒素)を用いて、25℃で測定した。
表1〜3に示す組成の歯磨剤組成物を常法により調製し、下記に示す方法で歯面へのフッ素の滞留性を評価した。結果を表に併記した。
(A1)フッ化ナトリウム;ステラケミファ(株)製、精製フッ化ナトリウム
(A2)モノフルオロリン酸ナトリウム;
ICLJAPAN(株)製、Phoskadent Na211
(B)
(Ba)アルミナコロイド;
日産化学工業(株)製、AS−200
カチオン種:Al2O3
体積平均粒子径:12nm、BET比表面積:120mm2/g
(Bb)アルミナ被覆コロイダルシリカI;
日産化学工業(株)製、スノーテックスAK
カチオン種:Al2O3
シリカとの存在比:シリカ/アルミナの質量比:100/9.1
体積平均粒子径:17nm、BET比表面積:200mm2/g
(Bb)アルミナ被覆コロイダルシリカII;
日本化学工業(株)製、シリカドール20P
カチオン種:Al2O3
シリカとの存在比:シリカ/アルミナの質量比:100/8.1
体積平均粒子径:20nm、BET比表面積:160mm2/g
カチセル(比較成分);
アクゾノーベル(株)製
ヒドロキシエチルセルロース・ジメチルジアリルアンモニウム塩
ライスワックス(比較成分);
横関油脂工業(株)製、ライスワックス S−100
コロイダルシリカ(比較成分);
日揮触媒化成(株)製、カタロイド SI−50、体積平均粒子径:25nm
合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩(比較成分);
特開2010−275271号公報に記載の合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩
(アルミニウムがAl2O3としてSiO2に対し0.5〜7.5%、かつOH基量
がSiO2に対し2.0〜3.5%である合成無定形アルミニウム結合ケイ酸塩)
シリカ/アルミナの質量比:98/2=100/2.04
体積平均粒子径:20μm
無水ケイ酸(増粘性シリカ);
DSLジャパン(株)製、CARPLEX #67、体積平均粒子径:6μm
無水ケイ酸(研磨性シリカ);
多木化学(株)製、ジルコノシリケート
平均粒子径(体積平均を用いたメジアン径):12μm
デキストラナーゼ;
第一三共プロファーマ(株)製、13,000単位(unit)/g
実験方法
歯磨剤組成物1gを歯ブラシにとり、3分間ブラッシングし、60mLの水で3回濯いだ後、唾液を1g採取し、これに水を加えて計10mLとした唾液希釈液に含まれるフッ素イオンをフッ素電極(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製)を用いて測定し、フッ素イオン濃度を求めた(値は被験者4名の平均値)。フッ素イオンの測定は、水濯ぎ直後と、水濯ぎ後に6時間経過後に行い、それぞれのフッ素イオン濃度を求めた。 この場合、唾液中のフッ素イオン濃度が高いことは、すすぎや経時でフッ素が流失せず、歯面への滞留性が高いことを示している。
エナメル試料の調製及び操作は、以下のように実施した。
牛歯の歯冠部の有機物及び沈着物を研磨剤により除去し、エナメル表面にインレーワックスによって20mm2のウィンドウを作製したものをエナメル試料とした。このエナメル試料をBMM培地*1中で培養することで、ウィンドウ表面にモデルバイオフィルム*2(歯垢)を形成させた。
前記歯磨剤組成物1gを3倍量の蒸留水で希釈懸濁し、上記の歯垢を付着させたエナメル試料をこの懸濁液に入れ、37℃恒温槽内で24時間浸漬した。浸漬後のエナメル試料を、蒸留水で濯ぎ、0.5mol/Lの過塩素酸0.4mLを加えたプラスチック容器に60秒間浸漬した後、直ちに1.6mLの0.5mol/Lのクエン酸ナトリウム溶液を添加して全量を2.0mLとした。この溶液(脱灰液)中のフッ素イオン濃度(ppm)を、フッ素イオン電極で測定し、これをエナメル質内層のフッ素イオン濃度とした(値はn=3の平均値)。
この場合、上記のエナメル質内層のフッ素イオン濃度が高いことは、フッ素のエナメル質への取り込みが効果的に行われたことを意味する。
エナメル試料を0.45μmのフィルターでろ過したヒト無刺激唾液で4時間処理したものをモデルバイオフィルム作製の担体に用いた。
BMM培地の組成(1リットル中の質量で表す。)
プロテオースペプトン(Becton and Dickinson社製):
4g/L
トリプトン(Becton and Dickinson社製):2g/L
イーストエキス(Becton and Dickinson社製):
2g/L
ムチン(Sigma社製): 5g/L
ヘミン(Sigma社製): 2.5mg/L
ビタミンK(和光純薬工業(株)製): 0.5mg/L
KCl(和光純薬工業(株)製): 1g/L
システイン(和光純薬工業(株)製): 0.2g/L
蒸留水:残(全量が1Lになるようにメスアップし、121℃で20分間オートクレ ーブした。)
Claims (13)
- (A)フッ素含有化合物、及び
(B)表面の少なくとも一部が酸化アルミニウムであるコロイド粒子
を含有することを特徴とする口腔用組成物。 - (B)表面の少なくとも一部が酸化アルミニウムであるコロイド粒子が、酸化アルミニウムコロイド粒子である請求項1に記載の口腔用組成物。
- (B)表面の少なくとも一部が酸化アルミニウムであるコロイド粒子が、有機又は無機のコロイド状核粒子表面の少なくとも一部が酸化アルミニウムで被覆された酸化アルミニウム被覆コロイド粒子である請求項1に記載の口腔用組成物。
- 有機又は無機のコロイド状核粒子が、無機酸化物である請求項3に記載の口腔用組成物。
- 無機酸化物が、コロイダルシリカである請求項4に記載の口腔用組成物。
- 有機又は無機のコロイド状核粒子と酸化アルミニウムとの含有比率が質量比として100/1〜100/30である請求項3〜5のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
- (B)表面の少なくとも一部が酸化アルミニウムであるコロイド粒子が、体積平均粒子径0.1〜1,000nmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
- (B)表面の少なくとも一部が酸化アルミニウムであるコロイド粒子が、BET比表面積90〜4,000mm2/gである請求項1〜7のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
- (A)成分をフッ素イオンとして500〜1,500ppm含有し、(B)成分を1〜10質量%含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
- 更に、(C)アニオン性界面活性剤を0.05〜2質量%含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
- 更に、(D)デキストラナーゼ及びムタナーゼから選ばれる1種以上の酵素を含有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
- 更に、(E)体積平均粒子径(メジアン径)5〜40μmのシリカ系研磨剤を2〜50質量%含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
- 歯磨剤である請求項1〜12のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
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