JP2019001005A - 複合不織布 - Google Patents

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藤 健 遠
Ken Endo
藤 健 遠
原 淳 上
Atsushi Uehara
原 淳 上
澤 剛 西
Tsuyoshi Nishizawa
澤 剛 西
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Abstract

【課題】しわ加工やエンボス加工等を行わなくても、柔らかさ、嵩高性および保温性が改善された長繊維不織布を提供する。
【解決手段】フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第1の不織布と、フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第2の不織布とを、前記第1の不織布のフィラメント配列方向と前記第2の不織布のフィラメント配列方向とが互いに平行にならないように積層した複合不織布において、前記フィラメントが主成分としてポリエステルを含み、前記複合不織布がアルカリ減量加工されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は複合不織布に関し、より詳細には、長繊維不織布を積層した複合不織布であって、軽量かつ機械的強度を維持しつつ、柔らかさ、嵩高性および保温性が改良された複合不織布に関する。
不織布には短繊維が用いられることが多く、その製造には、カード法やエアレイ法による短繊維ウェブを熱風でボンディングするエアスルー方法が用いられており、クッション性の嵩高性を持った柔らかさを付与している。しかしながら、短繊維では繊維自身の伸度がほとんどなく、不織布としての強度、伸度は繊維接着点の強度に依存するため、強度と伸度を向上させる手段としてはボンディング温度を高くする必要があり、風合いが硬いものとなっている。
一方、スパンボンド法やメルトブロー法による長繊維からなる不織布は強度や伸度に優れている。このような不織布として、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなる長繊維フィラメントを高度に縦方向に配列してなる、縦配列長繊維不織布が知られている(特許文献1等)。また、ポリエチレンテレフタレートからなる長繊維フィラメントを高度に横方向に配列してなる横配列長繊維不織布も知られており(例えば、特許文献2)、これらを積層してなる直交長繊維不織布も知られている。
特開2001−140159号公報 特開2002−249969号公報
上記したような長繊維不織布は、軽量で厚さが薄くても強度や伸度に優れているという利点を有するものの、厚み方向を占有する繊維は少なく、嵩高性を得ることは困難であった。即ち、長繊維不織布では柔らかさ、嵩高性および保温性が不十分である。そのため、長繊維不織布には、必要に応じて、しわ加工やエンボス加工等を施し、嵩高性および保温性を付与することが行われている。
しかしながら、しわ加工やエンボス加工等は長繊維不織布の形態を変形させて、長繊維不織布がより多くの空気を包含するようにしたものであり、長繊維不織布自体の柔らかさ、嵩高性および保温性を改善することはできなかった。
そこで、本発明の目的は、しわ加工やエンボス加工等を行わなくても、柔らかさ、嵩高性および保温性が改善された長繊維不織布を提供することである。
本発明者らは、特定の構造を有するポリエステル長繊維不織布にアルカリ減量加工を行うことで、長繊維不織布自体の柔らかさ、嵩高性および保温性を改善することができる、との知見を得た。本発明は係る知見に基づくものである。
本発明による複合不織布は、
フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第1の不織布と、
フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第2の不織布とを、
前記第1の不織布のフィラメント配列方向と前記第2の不織布のフィラメント配列方向とが互いに平行にならないように積層した複合不織布において、
前記フィラメントが主成分としてポリエステルを含み、
前記複合不織布がアルカリ減量加工されているものである。
本発明の複合不織布においては、前記第1の不織布のフィラメント配列方向と前記第2の不織布のフィラメント配列方向とが略直交するように積層されていることが好ましい。
本発明の複合不織布においては、前記フィラメントの繊径が1〜20μmであることが好ましい。
本発明の複合不織布においては、アルカリ減量加工前の複合不織布の目付が2〜20g/mであり、アルカリ減量加工後の複合不織布の目付が1〜19g/mであることが好ましい。
本発明の複合不織布においては、アルカリ減量加工前の複合不織布の通気度が500〜3000cm/mであり、アルカリ減量加工後の複合不織布の通気度が550〜5000cm/mであることが好ましい。
本発明の実施形態によれば、アルカリ減量加工前の複合不織布の剛軟度が、MD方向で0.02〜1.2mN・cm、CD方向で0.02〜0.4mN・cmであり、アルカリ減量加工後の複合不織布の剛軟度が、MD方向で0.01〜1.1mN・cm、CD方向で0.01〜0.3mN・cmであることが好ましい。
本発明の複合不織布においては、アルカリ減量加工された複合不織布にはしわ加工が施されていてもよい。
また、本発明の別の実施形態による複合不織布の製造方法は、
フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第1の不織布と、
フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第2の不織布とを、
前記第1の不織布のフィラメント配列方向と前記第2の不織布のフィラメント配列方向とが互いに平行にならないように積層した複合不織布を準備する工程、
前記複合不織布にアルカリ減量加工を施す工程、
を含み、
前記フィラメントが主成分としてポリエステルを含むものである。
また、本発明の複合不織布の製造方法においては、前記アルカリ減量加工を施す前、前記アルカリ減量加工と同時に、または前記アルカリ減量加工後に、しわ加工を施す工程を更に含んでもいてもよい。
本発明によれば、特定の構造を有する複合不織布にアルカリ減量加工を行うことにより、長繊維不織布としての機械的物性等を維持しながら、しわ加工やエンボス加工等を行わなくても、柔らかさ、嵩高性および保温性が改善された長繊維不織布を実現することができる。
不織布の製造方法に用いられるメルトブロー法による不織布製造装置の一例を示す概略構成図。 不織布の製造方法に用いられるメルトブロー法による不織布製造装置の一例を示す概略構成図。
本発明の実施形態について説明する。先ず、アルカリ減量加工を行う前の複合不織布について説明する。アルカリ減量加工を行う前の複合不織布は、フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第1の不織布と、フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第2の不織布とを、第1の不織布のフィラメント配列方向と前記第2の不織布のフィラメント配列方向とが互いに平行にならないように積層したものである。例えば、好ましい実施形態として、第1の不織布のフィラメント配列方向と第2の不織布のフィラメント配列方向とが略直交するように両者を積層することができる。このような複合不織布は、例えば、以下のようにして製造することができる。
アルカリ減量加工前の複合不織布は、フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第1の不織布と、フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第2の不織布とを積層した層構造を有している。なお、2層に限らず、3層以上に積層させてもよく、この場合、3層目の不織布は、2層目の不織布のフィラメント配列方向と三層目の不織布のフィラメントの配列方向とが平行にならないように積層すればよい。なお、「長繊維フィラメントを一方向に配列し」とは、不織布を構成する繊維群の長さ方向が概ね同一の方向に配列することをいう。例えば、複合不織布を長尺シートとして製造する場合において、特定の配列方向は、長手方向もしくは幅方向を基準とした繊維の配列の方向、あるいは長手方向もしくは幅方向からの繊維の傾きの角度で表すことができる。ある実施形態においては、長繊維フィラメントの配列する一方向は、長尺シートの長手方向、すなわち縦方向であるか、または長尺シートの幅方向、すなわち横方向である。しかし、縦方向または横方向から、若干の傾斜角度を有してもよい。また、一方向に配列した長繊維フィラメントを配列の方向に平行に延伸することで、長繊維フィラメントを構成する分子が、延伸方向、すなわち繊維の配列方向と平行な方向に配向する。
本発明の実施形態においては、長繊維フィラメントの長さ方向が概ね縦方向となるように長繊維フィラメントを配列し、次いで縦方向に延伸すると、長繊維フィラメントを構成する分子が縦方向に配向する。なお、本明細書において「縦方向」とは、本発明に係る不織布を製造する際の機械方向すなわち送り方向を意味し、「横方向」とは、縦方向と直交する方向を意味する。本発明の複合不織布は、以下に説明する特定の繊維の配列方向、並びに長繊維フィラメント及び分子の配向方向に限定されるものではない。
ポリエステルを主成分とする長繊維フィラメントが一方向に配列し、当該方向に延伸された不織布において、延伸倍率は1.1〜7倍であり、延伸後の長繊維フィラメントの繊維径は1〜20μmであり、好ましくは5〜15μmである。例えば、好ましい実施形態として、延伸後の長繊維フィラメントの繊維径を10μmとすることができる。なお、延伸後の長繊維フィラメントの繊維径とは、後述の製造方法において、1.1〜7倍に延伸後、不織布となった状態における長繊維フィラメントの平均直径をいうものとする。また、フィラメントの長さ及び繊径は、拡大顕微鏡写真より測定した値をいうものとする。
長繊維フィラメントは、ポリエステルを主成分とする。本発明においてポリエステルとは、ジオール成分がエチレングリコール単位であり、ジカルボン酸成分がテレフタル酸単位であるポリエチレンテレフタレートに限られず、ポリトリメチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等も包含するものである。また、ポリエステルは、適当な一種又は二種以上の第3成分を添加して共重合ポリエステルとしても良い。添加する第3成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸等)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、テトラメチレングリコール等)、脂環族グリコール(シクロヘキサングリコール等)、芳香族ジオキシ化合物(ハイドロキノンビスフェノールA等)、芳香族を含む脂肪族グリコ−ル(1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等)、脂肪族オキシカルボン酸(p−オキシ安息香酸等)等が挙げられる。また、1個又は3個以上のエステル形成性官能基を有する化合物(安息香酸等又はグリセリン等)が含まれていてもよい。
ポリエステルには、二酸化チタン等の艶消し剤、リン酸等の安定剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤、タルク等の結晶化核剤、アエロジル等の易滑剤、ヒンダードフェノール誘導体等の抗酸化剤、難燃剤、制電剤、顔料、蛍光増白剤、赤外線吸収剤、消泡剤等を含有させても良い。これらは通常、マスターバッチとして、ポリエステルに添加されて使用される。
複合不織布を構成する第1および第2の不織布は、以下に説明するような、ポリエステルを主成分とする長繊維フィラメントを縦方向に配列し、縦方向に延伸してなる長繊維不織布(以下、便宜的に、縦延伸不織布ともいう)、または当該長繊維フィラメントを横方向、即ち配列方向が機械搬送方向と直角の方向と一致し、且つ当該一方向に延伸された長繊維不織布(以下、便宜的に、横延伸不織布ともいう)を用いることができる。
上記した縦延伸不織布は、例えば以下のようにして製造することができるが、下記の方法に限定されるものではない。図1は、縦延伸不織布の製造方法に用いられるメルトブロー法による不織布製造装置10の一例を示す概略構成図である。図1に示す不織布製造装置は、主にメルトブローダイス11とコンベア16とで構成される紡糸ユニットと、延伸シリンダ20a,20b、引取ニップローラ24a,24b等で構成される延伸ユニットとを有する。
装置の前段において、ポリエステルを主成分とする樹脂が押出機(不図示)に投入され、溶融され、押し出されて、メルトブローダイス101に送られる。
メルトブローダイス11は、先端(下端)に、紙面に対して垂直な方向に、すなわちコンベアの進行方向に平行に列状に並べられた多数のノズル13を有する。ギアポンプ(不図示)から送られてきたポリエステルを主成分とする溶融樹脂がそれぞれノズル13から押し出されることで、多数のフィラメント19が形成される。各ノズル13の両側にはそれぞれエア溜め14a,14bが設けられている。樹脂の融点以上に加熱された高圧加熱エアは、これらエア溜め14a,14bに送入され、エア溜め14a,14bと連通してメルトブローダイス11の先端に開口するスリット15a,15bからフィラメント19に向けて噴出される。これにより、ノズル13からのフィラメント19の押し出し方向とほぼ平行な高速気流が生じる。この高速気流により、ノズル13から押し出されたフィラメント19はドラフト可能な溶融状態に維持され、高速気流の摩擦力によりフィラメント19にドラフトが与えられ、フィラメント19が細化される。上記の機構は、通常のメルトブロー法と同様である。高速気流の温度は、フィラメント19の紡糸温度よりも80℃以上、望ましくは120℃以上高くする。
メルトブローダイス11を用いてフィラメント19を形成する方法では、高速気流の温度を高くすることにより、ノズル13から押し出された直後のフィラメント19の温度をフィラメント19の融点よりも十分に高くすることができるため、フィラメント19の分子配向を小さくすることができる。
メルトブローダイス11の下方にはコンベア16が配置される。コンベア16は、不図示の駆動源により回転されるコンベアローラやその他のローラ(不図示)に掛け回されており、これらのローラの回転によりコンベア16を駆動することで、ノズル13から押し出されたフィラメント19は図示右方向へ搬送される。
メルトブローダイス11の近傍の、スリット15a,15bによる高速気流が発生している領域には、楕円柱状の気流振動機構18が設けられている。気流振動機構18は、コンベア16上でのフィラメント19の搬送方向にほぼ直交させて、すなわち製造すべき不織布の幅方向とほぼ平行に回転軸18cを配置させ、この回転軸18cを回転させることで回転軸18cを中心に図示矢印A方向に回転される。このように、高速気流の流域に楕円柱状の気流振動機構18を配置し、これを回転させることで、後述するようにコアンダ効果を利用してフィラメント19の流れる向きを変えることができる。気流振動機構18の数は一つに限られるものではなく、必要に応じて複数個設け、フィラメント19の振れ幅をより大きくしてもよい。
フィラメント19は、ノズル13の両側のスリット15a,15bから噴出された高圧加熱エアが合流した流れである高速気流に沿って流れる。高速気流は、スリット15a,15bから噴出された高圧加熱エアが合流して、コンベア7の搬送面とほぼ垂直な方向に流れる。ところで、気体や液体の高速噴流近傍に壁が存在しているとき、噴流軸の方向と壁面の方向とが異なっていても、噴流が壁面に沿った方向の近くを流れる傾向があることは一般に知られている。これをコアンダ効果という。気流振動機構18は、このコアンダ効果を利用してフィラメント19の流れの向きを変える。
気流振動機構18の幅、すなわち回転軸18cと平行な方向における長さは、メルトブローダイス11によって紡糸されるフィラメント群の幅よりも100mm以上大きいことが望ましい。これよりも気流振動機構18の幅が小さいと、フィラメント群の両端部で高速気流の流れ方向を十分に変えられず、フィラメント群の両端部でのフィラメント19の縦方向の配列が不十分になるおそれがある。また、気流振動機構18の周壁面18bと高速気流の気流軸との距離は、最も小さいときで25mm以下、望ましくは15mm以下である。気流振動機構18と気流軸との距離がこれ以上大きくなると、高速気流が気流振動機構18に引き寄せられる効果が小さく、フィラメント19を十分に振らせることができなくなるおそれがある。
さらに、フィラメント19の振れ幅は、高速気流の流速と気流振動機構18の回転速度に依存する。したがって、高速気流の速度は10m/sec以上、好ましくは15m/sec以上である。これ以下の速度では、気流は気流振動機構18の周壁面18bに十分に引き寄せられず、結果的にフィラメント19を十分に振らせることができなくなるおそれがある。気流振動機構18の回転速度は、周壁面18bにおける振動数を、フィラメント19の振れ幅を最大とする振動数とすればよい。このような振動数は、紡糸条件によっても異なるため、当業者が適宜決定することができる。
メルトブローダイス11とコンベア16との間には、スプレーノズル17が設けられている。スプレーノズル17は、高速気流中へ霧状の水を噴霧するもので、これによりフィラメント19が冷却され、急速に凝固される。スプレーノズル17は実際には各複数個設置されるが、図1では便宜的に1個のみを示している。
凝固したフィラメント19は、縦方向に振られながらコンベア16上に集積し、縦方向に部分的に折り畳まれて連続的に捕集される。コンベア16上のフィラメント19は、コンベア16により図示右方に搬送され、延伸温度に加熱された延伸シリンダ20aと押さえローラ22とにニップされ、延伸シリンダ20aに移される。その後、フィラメント19は、延伸シリンダ20bと押さえゴムローラ23とにニップされて延伸シリンダ20bに移され、2つの延伸シリンダ20a,20bに密着される。このようにフィラメント19が延伸シリンダ20a,20bに密着しながら送られることで、フィラメント19は、縦方向に部分的に折り畳まれた状態のまま、隣接するフィラメント同士が融着したウェブとなる。
延伸シリンダ20a,20bに密着して送られることにより得られたウェブは、さらに、引取ニップローラ24a,24b(後段の引取ニップローラ24bはゴム製)で引き取られる。引取ニップローラ24a,24bの周速は延伸シリンダ20a,20bの周速よりも大きく、これによりウェブは縦方向に延伸される。
ウェブの延伸倍率は、ウェブを構成するフィラメントのポリエステルの種類やウェブの紡糸手段や配列手段、目的とする縦方向及び横方向の強度や伸度等によって異なり、ウェブの高配列性、高強度を達成できる延伸倍率が選択される。特に、通常の不織布よりも高倍率に延伸することにより、フィラメント径が細くなり、それにより、ファインデニールの不織布となり、風合いやフィルター特性を改善することができる。本発明において、延伸倍率は、1.1〜7倍であり、好ましくは、2.5〜6倍である。
なお、延伸倍率は、延伸前のウェブに延伸方向に一定の間隔で入れたマークにより以下の式で定義される。
延伸倍率=[延伸後のマーク間の長さ]/[延伸前のマーク間の長さ]
ここでの延伸倍率は、通常の長繊維フィラメントヤーンの延伸のように、必ずしもフィラメント1本1本の延伸倍率を意味するものではない。
上記のようにして縦延伸不織布を得ることができる。縦延伸不織布は、さらに必要に応じて延伸されてもよいし、熱処理や熱エンボス等の部分接着処理等の後処理を行ってもよい。前述したように、本実施形態では、紡糸したウェブを縦方向に延伸することにより、フィラメントの配列性をさらに向上させている。従って、紡糸手段は、延伸性の良いフィラメントからなるウェブとして紡糸することも可能である。そのためには、フィラメントが十分に急冷されて、延伸応力が小さく伸度が大きいフィラメントからなるウェブとする必要がある。その手段として最も有効なのが、上述したようにスプレーノズル17から霧状の水を噴霧し、高速気流に霧状の液体を含ませることである。その霧状の液体に、いわゆる紡糸・延伸用油剤と称する延伸性や静電除去等の性質を付与することができる油剤を添加することも、その後の延伸性を向上させるとともに、毛羽も少なくすることができ、さらに延伸後の強度及び伸度も向上させることができるという点で有効である。なお、スプレーノズル17から噴射される流体は、フィラメント19を冷却することができるものであれば必ずしも水分等を含む必要はなく、冷エアであってもよい。
なお、図1を参照して説明した製造方法及び製造装置は、一例であって、本実施形態に係る縦延伸不織布の製造方法は上記方法には限定されない。例えば、フィラメントの紡糸方法は、上記のメルトブロー法に限定されず、スパンボンド法を用いたものであってもよい。また、延伸手段としては、少なくとも一段目は、赤外線、熱風、温水、蒸気等の熱源による加熱を伴った近接延伸法を用いることが好ましい。二段目以降は、ロール延伸、温水延伸、蒸気延伸、熱盤延伸、ロール圧延等の延伸方式を用いることができる。また、気流振動機構については、回転により高速気流の向きを変えるものや揺動により高速気流の向きを変えるものが知られており、例えば、特許文献1に開示された種々の機構のほか、高速気流の気流軸に対して傾斜した壁面を有しこの壁面と高速気流の気流軸との距離を変化させるように平行移動させるだけでコアンダ効果を生じさせる機構を用いてもよい。
次に、ポリエステルを主成分とする長繊維フィラメントを、横方向、即ち配列方向が機械搬送方向と直角の方向と一致し、且つ当該一方向に延伸された長繊維不織布(横延伸不織布)の製造方法の一例について説明する。図2は、横延伸不織布の製造方法に用いられるメルトブロー法による不織布製造装置10の一例を示す概略構成図である。図2に示す不織布製造装置は、主に、メルトブローダイス101と、コンベア107と、気流振動機構109とを有する。なお、図2において、メルトブローダイス101は内部構造が分かるように断面で示している。
装置の前段において、ポリエステルを主成分とする樹脂が押出機(不図示)に投入され、溶融され、押し出されて、メルトブローダイス101に送られる。メルトブローダイス101は、先端(下端)に、紙面に対して垂直な方向に、すなわちコンベアの進行方向に平行に列状に並べられた多数のノズル103を有する。ギアポンプ(不図示)から送られてきた低結晶性ポリプロピレンを主成分とする溶融樹脂がそれぞれノズル103から押し出されることで、多数のフィラメント111が形成される。各ノズル103の両側にはそれぞれエア溜め105a,105bが設けられている。樹脂の融点以上に加熱された高圧加熱エアは、これらエア溜め105a,105bに送入され、エア溜め105a,105bと連通してメルトブローダイス101の先端に開口するスリット106a,106bからフィラメント111に向けて噴出される。これにより、ノズル103からのフィラメント111の押し出し方向とほぼ平行な高速気流が生じる。この高速気流により、ノズル103から押し出されたフィラメント111はドラフト可能な溶融状態に維持され、高速気流の摩擦力によりフィラメント111にドラフトが与えられ、フィラメント111が細化される。上記の機構は、通常のメルトブロー法と同様である。高速気流の温度は、フィラメント111の紡糸温度よりも80℃以上、望ましくは120℃以上高くする。
上記した縦延伸不織布の場合と同様に、高速気流の温度を高くすることにより、ノズル103から押し出された直後のフィラメント111の温度をフィラメント111の融点よりも十分に高くすることができるため、フィラメント111の結晶化度を小さくすることができる。
メルトブローダイス101の下方にはコンベア107が配置される。コンベア107は、不図示の駆動源により回転されるコンベアローラやその他のローラ(不図示)に掛け回されており、これらのローラの回転によりコンベア107を駆動することで、ノズル103から押し出されたフィラメント111がコンベア107上に集積して得られるウェブ120は、図2において紙面の奥から手前に向かって、または手前から奥へ向かって搬送される。
メルトブローダイス101の下方で、かつコンベア107の上方の、スリット106a,106bによる高速気流の流域には、断面が楕円形の気流振動機構109が設けられている。気流振動機構109は、その回転軸109aが、コンベア107上でのウェブ120の搬送方向と平行に配置され、この回転軸109aを中心に図示矢印A方向に回転される。気流振動機構109は、第1実施形態と同様に、コアンダ効果を利用してフィラメント111の流れの向きを変えることができる。
このように気流振動機構109を回転させることにより、フィラメント111を周期的に振動させることができる。気流振動機構109の回転軸109aはコンベア107によるウェブ120の搬送方向と平行に配置されているので、フィラメント111は、コンベア107による搬送方向と垂直な方向すなわち幅方向に振動する。これにより、コンベア107上に、フィラメント111が幅方向に配列した、幅Sのウェブ120が得られる。
気流振動機構109の周壁面109bが気流軸100に最も近付いた状態での気流軸100と周壁面109bとの距離をL1とする。また、ノズル103先端と略同一平面を構成するメルトブローダイス101の下端面と、気流振動機構109の回転軸109a中心との距離をL2とする。これらL1およびL2が小さいほど、得られるウェブ120の幅Sは大きくなる。しかし、L1が小さすぎると、フィラメント111が気流振動機構109に巻き付く等のトラブルが発生するおそれがあり、また、L2についても、気流振動機構109の断面の大きさ等により自ずと制限される。一方、L1およびL2が大きすぎると、周壁面109bによるフィラメント111の振動の効果が小さくなる。そこで、L1は、30mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは15mm以下であり、最も好ましいのは10mm以下である。また、L2は、80mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは55mm以下であり、最も好ましいのは52mm以下である。ただし、気流振動機構109は、フィラメント111に衝突しない位置に配置する必要がある。
また、フィラメント111の振れ幅Sは、高速気流の流速と、気流振動機構109の回転速度にも依存する。気流振動機構109の回転による、気流軸100と周壁面109bとの距離の変動を周壁面109bの振動として考えた場合、フィラメント111の振れ幅を最大とするような、周壁面109bの振動数が存在する。この振動数以外では、周壁面109bの振動数と高速気流の持つ固有の振動数とが異なるため、フィラメント111の振れ幅も小さくなる。この振動数は、紡糸条件によって異なるが、一般的な紡糸手段により紡糸されたフィラメント111を振動させる場合には、5Hz以上30Hz以下の範囲が好ましく、より好ましくは10Hz以上20Hz以下、最も好ましくは12Hz以上18Hz以下の範囲である。高速気流の速度は、10m/sec以上、好ましくは15m/sec以上である。これ以下の速度では、フィラメント111を十分に振らせることができなくなるおそれがある。
なお、気流振動機構109の長さは、メルトブローダイス101によって紡糸されるフィラメント群の幅よりも100mm以上大きいことが望ましい。これよりも気流振動機構109の長さが短いと、フィラメント群の両端部で高速気流の流れ方向を十分に変えられず、フィラメント群の両端部でのフィラメント111の横方向の配列が不十分になるおそれがある。
このようにして、気流振動機構109で高速気流の方向を横方向に振動させ、これによってフィラメント111を横方向に振らせてコンベア107上に集積し、ウェブ120とすることで、コンベア107上でのフィラメント111の横方向への配列性を向上させ、かつ、コンベア107上でのフィラメント111の折り畳み幅(すなわちウェブ120の幅S)を大きくすることができる。本実施形態によれば、幅Sが500mm以上のウェブ120も容易に得ることができ、フィラメント111の配列性および折り畳み幅を向上させる点で画期的な効果を有する。このようなフィラメント111の配列は、ウェブ120の横方向の強度を向上させるのに効果がある。また、折り畳み幅が大きいことは、フィラメント111を横方向に配列させる効果があるばかりでなく、ウェブ120の幅方向については1つのノズル103を設けるだけで広幅のウェブ120を生産性よく製造することができるという効果も有する。
得られたウェブ120は、コンベア107により紙面手前もしくは紙面奥に搬送され、図示しない延伸装置により延伸される。延伸装置としては、例えば、プーリ式延伸装置や、テンター延伸装置等が挙げられるが、これらには限定されない。延伸倍率は、上記した縦延伸不織布の場合と同様に、1.1〜7倍であり、好ましくは、2.5〜6倍である。延伸倍率の定義は上記したとおりである。このような延伸の工程を経て、横延伸不織布を得ることができる。
上記のようにして得られた横延伸不織布は、さらに必要に応じて延伸されてもよいし、熱処理や熱エンボス等の部分接着処理等の後処理を行ってもよい。また、フィラメントを十分に急冷するために、霧状の水を噴霧するためのスプレーノズル等を備えてもよい。
複合不織布は、上記のようにして得られた第1の不織布(縦延伸不織布)と第2不織布(横延伸不織布)とを積層し、熱溶着することにより得られる。この際、第1の不織布のフィラメント配列方向と第2の不織布のフィラメント配列方向とが互いに平行にならないように積層する。好ましい実施形態によれば、第1の不織布のフィラメント配列方向と第2の不織布のフィラメント配列方向とが略直交するように積層する。例えば、上記にように先ず第1の不織布を製造し、これとは別に、第2の不織布を製造し、それぞれを、供給方向に重ね合わせる。
本発明の実施形態の変形例としては、第1の不織布として、上記したような縦延伸不織布を用い、第2の不織布として、下記のようにして製造される横延伸不織布(即ち、フィラメントの配列方向が機械搬送方向と直角の方向と一致し、且つ当該一方向に延伸された不織布)を用いてもよい。本発明の実施形態の変形例として使用できる横延伸不織布は、例えば以下のようにして製造することができる。
先ず、フィラメントがほぼ横方向に配列したウェブを形成する。フィラメントがほぼ横方向に配列したウェブは、紡糸ノズルより押し出されたフィラメントを、紡糸ノズルの周囲に配したエア噴出孔からのエア噴射により横方向に振らせ、コンベア上に集積させることによって形成することができる。紡糸ノズルの周囲からのエア噴射でフィラメントを横方向に振らせるためには、紡糸ノズルの周囲に、それぞれ紡糸ノズルを中心とした円周方向の成分を持ってエアを噴射する複数(通常は3〜8個)の第1のエア噴出孔を設け、さらに、これら第1のエア噴出孔の外側に、噴射したエアがコンベアによるウェブの搬送方向と平行な方向で互いに衝突するように配された2つの第2のエア噴出孔を設ける。紡糸ノズルから押し出されたフィラメントは、第1のエア噴出孔からのエア噴射によりスパイラル状に回転させられる。一方、第2のエア噴出孔から噴射されたエアは、回転しているフィラメントの通過経路上で互いに衝突し、コンベアによる搬送方向と直角すなわち横方向に広がる。回転しているフィラメントは、このエアの勢いで横方向に散らされる。これにより、コンベア上には、横方向に配列成分が多い状態でフィラメントが集積される。
このようにして得られたウェブは、横方向に延伸される。ウェブを横方向に延伸する方法としては、テンター方式やプーリ方式が挙げられるが、延伸倍率の変更を運転操作中でも簡単に行えるプーリ方式を用いるのが好ましい。また、一対の溝付きロールを利用して横延伸ウェブを横方向に延伸してもよい。
次いで、上記にようにして得られた縦延伸不織布(第1の不織布)と横延伸不織布(第2の不織布委)とを重ね合わせた2枚の長繊維不織布を、対向配置された一対の加熱シリンダ間に供給し、幅方向の収縮が生じないように固定しながら熱溶着を行う。このようにして、2枚の不織布(第1および第2の不織布)のフィラメントの配列方向が互いに直交した複合不織布を得ることができる。得られた複合不織布は、第1の不織布を構成するフィラメントと、第2の不織布を構成するフィラメントとが一部で融着して結合している。
不織布の熱融着は、エンボスローラー等を用いた熱圧着法により行うことができる。エンボスロールの温度(即ち、熱圧着温度)を144℃〜152℃とすることがより好ましい。このような熱圧着温度で不織布どうしを積層することにより、接着強度と生産性とを両立することができる。
上記のようにして製造される複合不織布は、通常のメルトブロー不織布やスパンボンド不織布と比較して、軽量かつ肉薄で、機械的強度に優れるという特性を有している。
上記のようにして製造される複合不織布は、好ましい実施形態として目付が5〜60g/mであり、より好ましくは10〜22g/mである。目付は、上記したフィラメントの繊径や、不織布を製造する際のウェブの搬送速度等を調整してフィラメントの密度を制御することにより、上記範囲内で調整することができる。
また、上記のようにして製造される複合不織布は、好ましい実施形態として引張強度は、MD方向(不織布を製造する際の長手方向:機械搬送方向)において20〜300N/50mmであり、好ましくは25〜160N/50mmであり、CD方向(MD方向と直角をなす方向:不織布の幅方向)において10〜150N/50mmであり、好ましくは10〜90N/50mmである。なお、引張強度は、JIS L 1913に準拠して測定される値である。
また、上記のようにして製造される複合不織布は、好ましい実施形態として厚みが1〜200μmであり、より好ましくは5〜80μmである。厚みは、フィラメントの繊径や、積層する不織布の枚数等により、上記範囲内で調整することができる。
また、上記のようにして製造される複合不織布は、好ましい実施形態として通気度が100〜5000cm/cm・sであり、より好ましくは500〜3000cm/cm・sである。なお、本明細書において、通気度とは、JIS L 1096に準拠してA法(フラジール形試験機を用いて測定される方法)により測定された値をいうものとする。
また、上記のようにして製造される複合不織布は、好ましい実施形態として剛軟度は、MD方向において0.01〜3mN・cm、より好ましくは0.02〜1.2mN・cmであり、CD方向において0.02〜3mN・cm、より好ましくは0.02〜0.4mN・cmである。なお、本明細書において、剛軟度とは、JIS L 1913に準拠したカンチレバー法により測定された値をいうものとする。
<アルカリ減量加工>
上記のようにして得られた複合不織布に対してアルカリ減量加工を行うことにより、本発明の複合不織布を得ることができる。複合不織布にアルカリ減少処理を施すと、複合不織布を構成するフィラメントが主成分としてポリエステルからなるため、ポリエステルの加水分解によりフィラメントの繊径が小さくなるため、複合不織布の目付が減少する。即ち、フィラメントによって区画された不織布中の空隙が大きくなり、複合不織布の通気度が向上する。また、アルカリ減量加工によって、複合不織布の柔らかさや嵩高性も向上する。アルカリ減量加工された複合不織布には通気性が生まれ、複合不織布を構成するフィラメント間に存在する空気と、複合不織布と皮膚との間に存在する空気との間に圧力差が生じて、熱対流が発現する。その結果、アルカリ減量加工された複合不織布には、しわ加工やエンボス加工等の後加工を施さなくても、保温性を向上させることができるものと考えられる。
アルカリ減量加工は、つり方式、ジッガー方式、ウインス方式、ワッシャー方式の常圧浸積のバッチ方式であっても液流高圧方式であっても良い。また、連続方式(別名:パッド方式)と称される常圧・高圧パッドスチーム方式、加熱蒸気を用いたパッド高温スチーム方式、乾熱のパッドドライ方式、さらには半連続方式と称されるパッドロール方式やパッドコールドバッチ方式なども適用することができる。
用いるアルカリ発生剤としては、特に限定されるものではなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム等が挙げられるが、コスト等の観点から水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。これらアルカリ発生剤の濃度や処理温度は、用いるアルカリ発生剤や上記の処理方法によって異なるため、適宜目的に応じて条件設定すれば良い。例えば、繊維とアルカリ液の比率(浴比)は0.1〜5%であることが好ましく、さらには0.4〜3%であることが好ましい。0.1%未満では複合不織布を構成するフィラメントとアルカリ液の接触は多いものの、ポリエステルフィラメントのアルカリ加水分解が十分でなく所望の減量率とするのに時間を要することがある。一方、5%以上ではフィラメント全体にアルカリ液が接触しないことがあり、減量加工むらを生じさせやすい。
また、アルカリ減量加工の処理時間は5〜60分であることが好ましく、さらには10〜30分であることが好ましい。5分未満ではアルカリ減量が不十分となるおそれがある。一方、60分以上であると減量が過剰になり、複合不織布の機械的強度が損なわれるおそれがある。
また、アルカリ減量加工において、アルカリ濃度は2%〜20%である事が好ましい。2%未満では、アルカリ不足となり、減量速度が極めて遅くなるおそれがある。一方、20%を越えるとアルカリ減量が進み減量率を制御するのが困難となる。
また、アルカリ減量加工に使用するアルカリ水溶液には、必要に応じて減量促進剤、糊剤、界面活性剤等の添加剤を併用してもよい。
アルカリによる減量率は、柔らかさ、嵩高性および保温性の観点から適宜選択すれば良いが、複合不織布質量に対して好適には1質量%以上の減量範囲が好ましく、より好ましい減量率は、5〜20質量%である。アルカリによる減量率が1質量%未満では、柔らかさ、嵩高性および保温性の向上が不十分となる場合がある。一方、減量率が高くなりすぎると複合不織布の強度が不十分になる。例えば、アルカリ減量加工前の複合不織布の目付が2〜20g/mであり、アルカリ減量加工後の複合不織布の目付が1〜19g/mとなるようにアルカリ減量加工を行うことができる。なお、アルカリ減量複合不織布を得るに際しては、上記した液流機等を用いて、温度、アルカリ溶液濃度、加工時価などの条件を適宜調整しながら、アルカリ減量加工を行うことが好ましい。
<後加工>
また、本発明の複合不織布は、本発明の効果を損なわない範囲で、常用の後加工、例えば耐モモケ性、弾発性、嵩や腰を向上させる、さらには機能や外観を高めるために、天然物の澱粉、カゼイン、膠、天然物の誘導体である天然ゴム、ニトロセルロース、アセチルセルロース、塩化ゴム、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノ酸樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、クロルスルホン化ポリエチレン、NBR(ニトロブチレンゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、EPT(エチレンプロピレンターポリマー)、ネオプレンゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂の皮膜形成成分や前記ポリビニルアルコールを始めとするポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等の高分子化合物の溶液または高分子化合物が分散してなるエマルジョン溶液などを含浸、コーティング、ラミネート、ボンディング等の常法処方を適宜選択して加工すれば良い。
また、染色を施してもよい。例えば、液流染色機などを用いて通常のポリエステル布帛と同様にして染色を行うことができる。その際、揉み処理時の温度やノズル圧の条件により、複合不織布に嵩高加工を施すこともできる。このような後加工を施すことにより、より一層、柔らかさ、嵩高性および保温性を改善することができる。例えば、公知の手法により複合不織布にしわ加工を施してもよい。複合不織布にしわ加工を施すことにより、より一層、複合不織布に柔軟性や嵩高性を付与して、保温性を向上させることができる。しわ加工は、サンフォライズ加工、マイクレックス加工、ギアクリンプ加工などのしわ加工機を用いて行う方法の他、液流染色機により複合不織布の染色を行う際に、複合不織布にしわが生じるように塊の状態で液流染色機に投入したり、上記したアルカリ減量加工を、複合不織布にしわが生じるように塊の状態で行うことによっても、しわを付与することができる。しわ加工は、アルカリ減量加工後の複合不織布に施してもよく、また、アルカリ減量加工前またはアルカリ減量加工と同時に行ってもよい。
上記のようにして得られた複合不織布は、MD方向での引張強度が15〜94N/50mm程度であり、CD方向での引張強度が1〜80N/50mm程度である。一方、通気度は550〜5000cm/m程度であり、剛軟度はMD方向で0.01〜1.1mN・cm、CD方向で0.01〜0.3mN・cm程度である。このように、本発明のアルカリ減量加工された複合不織布は、長繊維不織布としての機械的物性等を維持しながら、柔らかさ、嵩高性および保温性を改善することができる。
<複合不織布の用途>
本発明による複合不織布は、上記したように、長繊維不織布としての機械的物性等を維持しながら、柔らかさ、嵩高性および保温性が改善されたものであるため、種々の用途に使用することができる。例えば、衣類用保温材として、スーツ、ジャケット、スカート、スラックス(パンツ)、ヤッケ、コート、ベスト、マフラー、ショール、帽子、ベルトなどに応用することができる。また、衣類に限らず、寝具、カーテンなどの多用な用途に好適に応用することができる。
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
<複合不織布の準備>
フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第1の不織布と、フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第2の不織布とを、第1の不織布のフィラメント配列方向と第2の不織布のフィラメント配列方向とが互いに平行にならないように積層した複合不織布であるミライフ(登録商標)TY0503FE、同TY0505FE、同TY1010FE、および同TY1515FE(いずれも、JX ANCI株式会社製)を準備した。
<アルカリ減量加工>
上記各複合不織布を下記条件にてアルカリ減量加工を行った。苛性ソーダを4倍の水で希釈した苛性ソーダ液800ccを、10Lの水に混合し、撹拌して得られたアルカリ溶液1(アルカリ溶液濃度8%)、および上記苛性ソーダ液1600ccを、10Lの水に混合し、撹拌して得られたアルカリ溶液2(アルカリ溶液濃度16%)の2種類のアルカリ水溶液を調製した。続いて、上記アルカリ溶液1および各複合不織布を液流機に投入し、72時間の減量加工を行った。また、アルカリ溶液1に代えてアルカリ溶液2を用いた以外は同様にして減量加工を行った。
<物性評価>
(1)フィラメント繊径
上記で準備した各不織布の表面の電子顕微鏡写真(2000倍)により、任意の3本のフィラメントの直径を測定し、それらの平均値をフィラメント繊径(μm)とした。
(2)目付
上記で準備した各不織布の目付を、JIS L 1913に準拠して測定した。各不織布で任意の2点を測定し、その平均値を目付(g/m)とした。
(3)引張強度
上記で準備した各不織布を測定用試料として50mm×300mmの大きさに切断し、JIS L 1913に準拠して引張強度(破断強度)を測定した。試験速度を200mm/秒とし、チャック間距離を200mmとした。引張強度は、不織布のMD方向とCD方向のそれぞれについて測定を行った。
(4)厚み
上記で準備した各不織布の厚みを、株式会社ミツトヨ製ダイヤルゲージ(ABSデジマチックインジケータID−C112X)を用いて測定した。不織布の幅方向に等間隔で任意の5箇所を測定し、それらの平均値を厚み(μm)とした。
(5)通気度
上記で準備した各不織布の通気度を、JIS L 1096に準拠してA法(フラジール形試験機を用いて測定される方法)により測定した。4回の測定を行い、それらの平均値を通気度(cm/cm・s)とした。
(6)剛軟度
上記で準備した各不織布を測定用試料として50mm×300mmの大きさに切断し、剛軟度を測定した。剛軟度の測定は、JIS L 1913に準拠したカンチレバー法により行い、試験速度は10mm/秒とし、移動距離は最大225mmとし、角度41.5度とした。測定は2回行いそれらの平均値を剛軟度(mN・cm)とした。また、不織布のMD方向とCD方向のそれぞれについて測定を行った。
上記(1)〜(6)の評価結果は下記表1に示されるとおりであった。
Figure 2019001005
(7)保温性
ミライフ(登録商標)TY0503FEを用いて、アルカリ減量加工を行っていない試料、および8%濃度のアルカリ溶液1を用いて減量加工を行った試料のそれぞれについて、各不織布を2枚または3枚重ね合わせて、JIS L 1096に準拠したA法(恒温法)により、発熱体表面温度36±0.5℃の条件にて、保温率(%)およびclo値を求めた。評価結果は下記表2に示されるとおりであった。
Figure 2019001005
10 不織布製造装置
11 メルトブローダイス
15a、b スリット
16 コンベア
20a、b 延伸シリンダ
24a、b 引取ニップローラ
101 メルトブローダイス
103 ノズル
111 フィラメント
106a、b スリット
107 コンベア
109 気流振動機構
120 ウェブ

Claims (9)

  1. フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第1の不織布と、
    フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第2の不織布とを、
    前記第1の不織布のフィラメント配列方向と前記第2の不織布のフィラメント配列方向とが互いに平行にならないように積層した複合不織布において、
    前記フィラメントが主成分としてポリエステルを含み、
    前記複合不織布がアルカリ減量加工されている、複合不織布。
  2. 前記第1の不織布のフィラメント配列方向と前記第2の不織布のフィラメント配列方向とが略直交するように積層されている、請求項1に記載の複合不織布。
  3. 前記フィラメントの繊径が1〜20μmである、請求項1または2に記載の複合不織布。
  4. アルカリ減量加工前の複合不織布の目付が2〜20g/mであり、アルカリ減量加工後の複合不織布の目付が1〜19g/mである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合不織布。
  5. アルカリ減量加工前の複合不織布の通気度が500〜3000cm/mであり、アルカリ減量加工後の複合不織布の通気度が550〜5000cm/mである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合不織布。
  6. アルカリ減量加工前の複合不織布の剛軟度が、MD方向で0.02〜1.2mN・cm、CD方向で0.02〜0.4mN・cmであり、アルカリ減量加工後の複合不織布の剛軟度が、MD方向で0.01〜1.1mN・cm、CD方向で0.01〜0.3mN・cmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合不織布。
  7. しわ加工が施されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合不織布。
  8. フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第1の不織布と、
    フィラメントが略一方向に配列され且つ当該一方向に延伸された第2の不織布とを、
    前記第1の不織布のフィラメント配列方向と前記第2の不織布のフィラメント配列方向とが互いに平行にならないように積層した複合不織布を準備する工程、
    前記複合不織布にアルカリ減量加工を施す工程、
    を含み、
    前記フィラメントが主成分としてポリエステルを含む、複合不織布の製造方法。
  9. 前記アルカリ減量加工を施す前、前記アルカリ減量加工と同時に、または前記アルカリ減量加工後に、しわ加工を施す工程を更に含む、請求項8に記載の複合不織布の製造方法。
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