JP2019000038A - 積層化細胞シートの作製方法及び積層化細胞シート - Google Patents

積層化細胞シートの作製方法及び積層化細胞シート Download PDF

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【課題】本発明の課題は、基材から剥がしても縮みにくく、かつ作製が容易な積層化細胞シートの作製方法を提供することにある。【解決手段】(a)培地を加えた培養基材上で、播種された2.0×105〜2.5×106個/cm2の繊維芽細胞を培養して積層化細胞シートを作製する工程;(b)酵素処理により該積層化細胞シートを培養基材から剥離する工程;の工程(a)、(b)を備えた積層化細胞シートを作製する。工程(b)で剥離後の積層化細胞シートの厚さが15μm以上であることが好ましい。【選択図】図12

Description

本発明は積層化細胞シートの作製方法及び積層化細胞シートに関する。
細胞移植療法は様々な疾患や組織損傷に対する有効な治療手段として注目されている。細胞を移植するにあたって、単に細胞を移植しても細胞が組織に着床し難い。そのため、細胞移植療法においては、移植する細胞をシート状に培養した細胞シートが用いられている。この細胞シートを用いることで、移植する細胞を所定の組織に定着させることが可能となる。
細胞シートを作製するには、細胞を培養して細胞シートとした後、その細胞シートを培養基材から剥がして回収する工程が必要となる。かかる工程において、細胞シートを容易に基材から剥がすために、回収できる標的物質に対して親和性を有する領域と温度応答性高分子よりなる領域とが相分離した表面を有する温度応答型分離材料を用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、本発明者らは、難治性皮膚潰瘍を治療する上で有用な細胞シートとして、トランスフォーミング増殖因子又は血小板由来増殖因子による刺激を受けた線維芽細胞を含む細胞シートを提案した(特許文献2参照)。
さらに、所定の密度の筋芽細胞を、有効量の成長因子を含まない細胞培養液中で培養する細胞シートの製造方法が提案されている(特許文献3参照)。
一方、より細胞シートによる治療効果を高めるために、細胞シートを積層化する研究も進められている。たとえば、ゲル内部に培地を灌流するための流路を設け、血管内皮細胞を誘導させ、ゲル内に血管網を構築させた血管床を作製し、その血管床上へ細胞シートを積層することで細胞シート内に血管網を構築させて得られる3層以下の細胞シートを複数回に分けて積層化する方法(特許文献4参照)や、ハイドロゲル粒子を用いて細胞シートを積層化させる方法(特許文献5参照)が提案されている。このほか、単層の細胞シートを作製して1枚ずつ積み重ねるという方法も行われている。
特開平8−103653号公報 国際公開第2016/068217号パンフレット 特開2010−81829号公報 国際公開第2012/036225号パンフレット 国際公開第2014/192909号パンフレット
上記特許文献1記載の方法では、温度応答型分離材料という特殊な材料を用いなければならず、かつ、得られる細胞シートが単層であることから血管内皮細胞増殖因子(VEGF
の産生量が少なく、さらに、細胞シートを培養基材から剥がす際に細胞シートが縮みやすいため、条件によっては75%も縮むことがあるという問題があった。上記特許文献3は、製造工程由来不純物成分を含まない細胞シートを製造することを課題としたものである。かかる課題を解決するなかで、あくまで単層の筋芽細胞シートについて着目しており、線維芽細胞で多層化細胞シートを作製するための条件については何ら検討されていない。また、上記特許文献4では複雑な装置が必要であり、上記特許文献5では所定の粒径及び面積を有するハイドロゲル粒子が必要であるという問題があった。さらに、単に単層の細胞シートを作製して1枚ずつ積み重ねる場合には、非常に手間がかかるほか、単層の細胞シート間に隙間が生じてしまい、細胞間の接触による相互作用が不十分になるという問題があった。
そこで、本発明の課題は、培養基材から剥がしても縮みにくく、かつ作製が容易な積層化細胞シートの作製方法を提供することにある。
従来、3層を超える細胞シートを作製しても、内側には細胞の生育又は機能維持に必要な栄養が行きわたらない層が生じ、結果として細胞シートとしての機能を十分発揮できないことから、播種する細胞は一定の数の細胞に抑えられていた。しかしながら本発明者らは、2.5×10以上もの繊維芽細胞を播種しても、VEFGの産生量が多い細胞シートを作製でき、かつ培養基材からの剥離も容易であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)以下の工程(a)、(b)を備えた積層化細胞シートの作製方法。
(a)培地を加えた培養基材上で、播種された2.0×10〜2.5×10個/cmの繊維芽細胞を培養して積層化細胞シートを作製する工程;
(b)酵素処理により該積層化細胞シートを培養基材から剥離する工程;
(2)工程(b)で剥離後の積層化細胞シートの厚さが15μm以上である上記(1)記載の積層化細胞シートの作製方法。
(3)工程(a)において、20時間以上間隔をあけて複数回に分けて繊維芽細胞を播種し、1回当たりの播種する繊維芽細胞数が1.5×105個/cm以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の積層化細胞シートの作製方法。
(4)工程(a)において、0.5〜12日間培養することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載の積層化細胞シートの作製方法。
(5)培養基材の材料が、プラスチック又はガラスであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載の積層化細胞シートの作製方法。
(6)工程(a)において、さらに以下の工程(a−1)、(a−2)を備えたことを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか記載の積層化細胞シートの作製方法。
(a−1)工程(a)で作製した積層化細胞シートを凍結する工程;
(a−2)工程(a−1)で凍結した積層化細胞シートを融解する工程;
(7)工程(a)で、播種された2.0×10〜2.5×10個/cmの繊維芽細胞及び0.1×106〜1.2×10個/cmの末梢血単核球を培養することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか記載の積層化細胞シートの作製方法。
(8)酵素処理が、ディスパーゼ処理であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれか記載の積層化細胞シートの作製方法。
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の積層化細胞シートの作製方法によって作製された積層化細胞シート。
(10)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の積層化細胞シートの作製方法によって作製された難治性皮膚潰瘍治療用積層化細胞シート。
本研究により、血管新生に重要な働きを果たすVEGFの産生量が多く、培養基材から剥離しやすい細胞シートを作製することが可能となる。
実施例1における線維芽細胞単独による積層化線維芽細胞シートの作製工程を示す図である。 実施例1において、作製した積層化線維芽細胞シートの病理組織を作製し、断面を顕微鏡で観察した写真である。 実施例2において、積層化線維芽細胞シートの作製プロトコルの概要を示す図である。(a)は凍結保存なし、(b)は凍結保存ありである。 実施例2において、凍結保存あり、なしそれぞれの培養シートを培養した細胞培養基材の培地を遠心した後、上清中のVEGF濃度を測定した結果である。 実施例3において、培地組成とフィブロネクチンmRNAの発現量との関係を調べた図である。 実施例4において、作製した積層化線維芽細胞シートの外周部分を顕微鏡で観察した写真である。 実施例5において、積層化線維芽細胞シート作製後の細胞シートの形態を示す写真である。(a)はディスパーゼ処理後、(b)はピンセットで細胞シートの周辺をなぞって細胞シートの周辺が培養基材から剥離した状態、(c)は細胞シート全体が培養基材から剥離した状態、(d)は細胞シート全体を培養基材から剥離して24時間後である。 実施例6における線維芽細胞及び末梢血単核球による積層化混合細胞シートの作製工程において、末梢血単核球の細胞数の検討を行うための条件を示す図である。 実施例6において、作製した線維芽細胞及び末梢血単核球による積層化混合細胞シートにおけるVEGFの分泌量を調べた結果である。 実施例6において、作製した線維芽細胞及び末梢血単核球による積層化混合細胞シートを免疫染色して顕微鏡で観察した写真である。(a)は細胞シートに含有されているCD3陽性細胞、(b)はCD68陽性細胞、(c)細胞シートのHE染色の写真を示す。 実施例7において、線維芽細胞の細胞数とVEGF発現量との関係を調べた結果を示す図である。 実施例7において、7.5×10個/cm播種して作製した細胞シートをディスパーゼ処理し、細胞培養基材から積層化細胞シートを剥がして回収した写真である。 実施例8において、線維芽細胞の細胞数と培養基材からの剥離との関係を調べた結果を示す図である。 実施例9において、線維芽細胞の細胞数と積層化細胞シートの厚さとの関係を調べた結果を示す図である。(a)は細胞シートのHE染色、(b)はVEGFの発現量、(c)は細胞シートの厚さを示す。 実施例10において、6ウェル(9.4cm)培養基材を用いた場合の積層化細胞シートの作製条件を示す図である。 実施例10において、検討条件3で作製した細胞シートのVEGF、HGF、Angiopoietin−1、SDF1αの分泌を調べた結果である。 実施例11において、本発明の方法で作製した積層化線維芽細胞シートと市販の培養基材で作製した線維芽細胞シートの剥離後における細胞シートの縮小率を調べた結果である。
本発明において、「細胞シート」とは、細胞同士がシート状に結合した細胞の培養物を意味し、「積層化細胞シート」とは、平均2以上の細胞、好ましくは平均3以上の細胞、より好ましくは平均4以上の細胞からなる縦層が観察されるものを意味する。なお、上記「細胞同士がシート状に結合」とは、細胞同士が直接又は細胞由来の細胞外マトリックスを介してシート状に結合していることを意味する。すなわち、本発明における積層化細胞シートは、その作製にあたってハイドロゲル粒子等の人工的な細胞培養支持体を必要としない。
本発明の積層化細胞シートの作製方法に用いられる「線維芽細胞」とは、結合組織を構成する該組織固有の細胞である。正常組織においては特に顕著な機能を有しないが,揖傷が加わると損傷部に遊走し、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等を分泌することで、細胞外マトリックスの産生を開始し、細胞外マトリックスを更新する機能を有する。このほか、創の収縮を誘起する等、創傷治癒過程の中で重要な働きを果たしている。線維芽細胞の単離法については、例えば、上記特許文献2に記載の方法を挙げることができるがこれに限定されるものではなく、当該技術分野において線維芽細胞画分として通常調製される条件により取得した細胞群であればよい。
本発明の積層化細胞シートの作製方法に用いられる「末梢血単核球(PBMNC)」とは、末梢血管より採取される血液中に含まれるリンパ球及び単球等からなる白血球の総称名である。円形に近い核を有する細胞を多く有する為、上記総称にて呼ばれる。代表的な構成細胞及び構成比としては、全細胞中、およそ70−80%がリンパ球であり、残り20−30%は単球やマクロファージ、樹状細胞等により構成される。数%程度、骨髄由来の幹細胞が存在していてもよいが、該構成細胞及び構成比に限定されるものではなく、当該技術分野において末梢血単核球画分として通常調製される条件により取得した細胞群であればよく、該調製条件や採血される個体に応じて適宜変動することもある。末梢血単核球の単離方法については、例えば、上記特許文献2に記載の方法を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
本発明の積層化細胞シートの作製方法に用いられる線維芽細胞及び末梢血単核球は、該細胞を採取することの可能ないかなる動物種由来であってもよく、好ましくは哺乳類であり、特に好ましくは、ヒトの他、イヌ、ネコ、ウサギなどのペット動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマなどの家畜動物等であり、更に好ましくはヒトである。
また、本発明の積層化細胞シートの作製方法に用いられる末梢血単核球及び線維芽細胞は、いかなる動物個体から取得してもよいが、好ましくは、治療を施す対象である、治療対象の疾患を患う個体から取得してもよい。この様に治療対象の個体自身の細胞を用いることにより、移植時に発生する免疫拒絶反応を抑制することが可能となる。
本発明の積層化細胞シートの作製方法の工程(a)における培養基材上への線維芽細胞の播種密度については、2.0×10〜2.5×10個/cmであればよく、好ましくは、2.5×10〜1.0×106個/cm、より好ましくは、4.0×10〜6.0×10個/cmである。2.0×10未満であればVEGFの分泌量が低く、かつ細胞シートの厚さが薄くなる。一方、6.0×10個/cmを超えてもVEGFの産生量が顕著に増加はしない。また、培養基材上への線維芽細胞の播種については、上記播種密度の細胞を一度に播種しても、複数回に分けて播種してもよい。複数回に分けて播種する場合における、1回当たりの播種する繊維芽細胞数は1.5×105個/cm以下とすることが好ましい。また、複数回に分けて播種する場合における、播種する間隔は20時間以上間隔をあけることが好ましく、24時間〜48時間間隔をあけて播種してもよい。
本発明の積層化細胞シートの作製方法においては、線維芽細胞と共に末梢血単核球を播種してもよい。かかる線維芽細胞と共に末梢血単核球を播種して作製した積層化細胞シート(以下、「積層化混合細胞シート」ともいう)の作製方法については、特に限定はしないが、例えば、線維芽細胞及び末梢血単核球それぞれを線維芽細胞画分及び末梢血単核球画分として、ある程度の純度で調製し、これを共培養する方法を挙げることができる。ここで共培養とは、2種類以上の異なる細胞を一緒に培養することであり、本発明においては、少なくとも線維芽細胞と末梢血単核球とを一緒に培養することを指す。共培養において、線維芽細胞及び末梢血単核球をどの様に播種するかについては、特に限定されず、同時に播種しても、一定の間隔をあけて播種してもよいが、同時に播種することが好ましい。かかる方法によって作製された積層化混合細胞シートは、線維芽細胞と共に末梢血単核球を主要な構成細胞として、同一の細胞シートに含有することとなる。
本発明に係る末梢血単核球の、培養基材上への播種密度については、好ましくは、0.1×106〜1.25×10個/cm、より好ましくは、0.25×106〜1.0×10個である
本発明の積層化細胞シートの作製方法における工程(b)で剥離後の積層化細胞シートの厚さとしては、好ましくは15μm以上、より好ましくは30〜100μm、さらに好ましくは40〜80μm、特に好ましくは50〜70μmである。
本発明の積層化細胞シートの作製方法における工程(a)の培養の時間としては、所望の細胞シートが形成されるために必要な時間であれば特に限定されるものではなく、例えば、0.5〜12日であってもよく、好ましくは、1日〜7日、より好ましくは、2日〜5日、さらに好ましくは3日〜5日である。
本発明の積層化細胞シートの作製方法における工程(a)の培養の温度としては、細胞シートの形成が可能であれば、いかなる方法を用いてもよく、用いられる線維芽細胞又は末梢血単核球に適した、当該技術分野において通常実施される条件等で行うことができる。例えば、30〜40℃、好ましくは36〜38℃である。
本発明の積層化細胞シートの作製方法における工程(a)の培養のCO濃度としては、細胞シートの形成が可能であれば、いかなる方法を用いてもよく、用いられる線維芽細胞又は末梢血単核球に適した、当該技術分野において通常実施される条件等で行うことができる。例えば、0〜10%、好ましくは4〜6%である。
本発明の積層化細胞シートの作製方法における工程(a)の培養の酸素(O)濃度の条件としては、細胞シートの形成が可能であれば、いかなる方法を用いてもよく、用いられる線維芽細胞又は末梢血単核球に適した、当該技術分野において通常実施される条件等で行うことができる。例えば、大気中酸素濃度(およそ20%)である。なお、大気中酸素濃度(およそ20%)で培養後、低酸素濃度(2%)で培養してもよく、かかる低酸素濃度による培養によりVEGFの分泌量を増加せることが可能となる。
工程(a)における「培養基材」とは細胞がその表面上で積層化細胞シートを作製でき、かつ酵素処理によって積層化細胞シートが剥がれるものであればいかなるものであってもよい。具体的には、細胞が接着し得るような平坦な部分を具備し、典型的には、細胞培養基材、細胞培養ボトル(又はフラスコ)であり、市販される培養用ディッシュなどが使用可能である。培養基材の材料としては、培養中に意図せずに作製した積層化細胞シートが培養基材から剥離しないもの、すなわち酵素処理を行うまでは積層化細胞シートが培養基材から剥離しないものであればよく、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックやガラスを挙げることができる。
また、工程(a)における「培養基材」には、積層化細胞シートの剥離を酵素処理によって任意のタイミングで行うために、細胞が接着する面には該温度応答性材料が被覆されていないものであることが好ましい。
さらに、工程(a)における「培養基材」の培養表面上には、細胞接着性成分/又は細胞接着阻害性成分が存在していてもよい。細胞接着性成分としては、細胞培養技術において、培養表面に細胞を接着させるために通常使用される成分であればいかなるものでもよく、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、カドヘリン、ゼラチン、フィブリノゲン、フィブリン、ポリLリジン、ヒアルロン酸、多血小板血漿、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。細胞接着阻害性成分も、細胞培養技術において、培養表面への細胞の接着を阻害させるために通常使用される成分であればいかなるものでもよく、例えば、アルブミンやグロブリンなどが挙げられる。これらの成分で細胞培養基材の培養表面上を被覆する場合、各成分によって、培養表面を被覆するために使用する溶液の濃度が異なるため、予備的な実験等、当業者であれば容易に検討できる方法によって、各成分の被覆のために適当な溶液濃度を決定することができる。
本発明の積層化細胞シートの作製方法における工程(a)において使用される培地は、培養する線維芽細胞や末梢血単核球の由来や培養条件に適した培地を適宜選択して使用することができる。例えば、一般的に使用可能な培地として、HFDM、MEM、DMEM、F12、IMEM、IMDM、RPMI−1640、Neurobasal等を挙げることができ、HFDMを好ましく挙げることができる。これらの培地は市販のものを購入して使用してもよい。また、これらの培地は単独で用いても、また、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、ヒト由来の線維芽細胞や末梢血単核球を培養する場合においては、限定はしないが、AIM V(登録商標)培地CTSを用いてもよい。
さらに、培地に対し、必要に応じて適当な添加物を加えて使用してもよい。添加物としては、例えば、L型アミノ酸類(例としては、L−アルギニン、L−シスチン、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トリオニン、L−トリプトファン、L−チロシンなど)、ビタミン類(例えば、葉酸、リボフラビン、チアミンなど)、D−グルコース、ヒト血清、ウシ胎児血清(FBS)、ウマ血清などの動物血清などを含んでもよい。また、緩衝剤(例えば、PBS、HEPES、MES、HANK’Sなど)を適宜培地に加えてもよい。さらに、培養する細胞の由来や目的等に応じて、適宜、細胞成長因子などを添加してもよい。ヒト由来の線維芽細胞を培養する場合においては、該細胞を採取した被験者より血液を採血し、該血液から血清(自己血清:self serum)を調製し、これを含有させてもよい。
例として、線維芽細胞からなる細胞シートに用いる培地としては、線維芽細胞用培地であるHFDM−1(+)にself serumを加えた自己血清含有HFDM培地や、HFDM−1(+)とAIM V Medium CTSにself serumを加えた自己血清含有AIM/HFDM培地を挙げることができる。なお、AIM V Medium CTSには、ゲンタマイシン10μg/ml、ストレプトマイシン50μg/ml及びL−グルタミンを含んでいる。
また、培地に血清を含有する場合には、その含有量を0.5〜6%、好ましくは1〜5%とすることができる。
本発明の積層化細胞シートの作製方法における工程(b)の酵素処理に用いる酵素としては、ディスパーゼ、トリプシン、コラゲナーゼを挙げることができ、ディスパーゼを好適に挙げることができる。ディスパーゼ処理を行う場合には、ディスパーゼをPBS等で希釈して1〜10PU/mLとなるように加えることが好ましい。
工程(b)における積層化細胞シートの培養基材からの剥離は、シート状の構造が破損されないような方法で実施することができる。例えば、シート状細胞培養物を直接ピンセットなどによって摘み、培養表面から剥離させる、あるいは、ピペッティングにより細胞を培養表面との間を剥離する等、物理的な手法を用いてもよい。あるいは、細胞シート上面に、PVDF膜、ニトロセルロース膜、CellShifterのような、細胞に親和性を有する細胞シート回収用支持体を被せて、細胞を膜に写し取ることによって細胞を剥離、回収することもできる。
工程(a)において、さらに、工程(a−1)として工程(a)で作製した積層化細胞シートを凍結する工程、及び工程(a−2)として工程(a−1)で凍結した積層化細胞シートを融解する工程、を備えてもよい。本発明の方法で作製された積層化細胞シートは、凍結及び融解を行ってもVEGFの分泌量が凍結前とほとんど同等である。したがって、本発明の方法で作製された積層化細胞シートを凍結保存しておき、必要になった際に融解してすぐに用いることが可能となる。凍結方法は特に制限されないが、たとえばセルバンカー等の凍結保存液を用いる方法を挙げることができる。また、融解方法としては特に制限されないが、たとえば大気中酸素(Noromo:約20%)、37℃、5%COで培養する方法を挙げることができる。
本発明の積層化細胞シートの作製方法によって作製された積層化細胞シートは、様々な動物の組織、器官、臓器等の機能不調を改善する目的で、移植を行う為の生物材料として使用することが出来る。ここで「動物」とは、特に限定はしないが、移植により機能改善がなされることが期待される動物が望ましく、具体的には、ヒトの他、イヌ、ネコ、ウサギなどのペット動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマなどの家畜動物などのことであり、好ましくはヒトである。
更に、本発明の積層化細胞シートの作製方法によって作製された積層化細胞シートを移植する組織、器官、臓器等については、特に限定はしないが、皮膚、骨格筋、血管などが挙げられ、好ましくは、皮膚である。皮膚を対象とする場合の疾患としては、特に限定はしないが、褥瘡、閉塞性動脈硬化症、糖尿病、静脈不全、膠原病、血管炎などに代表される、皮膚にできた創(きず)において、正常であるなら治癒すべきものが、感染、血管障害、知覚障害といった異常な要因により、治り難い潰瘍状態になったものの、すなわち難治性皮膚潰瘍が挙げられる。したがって、本発明の積層化細胞シートの作製方法によって作製された積層化細胞シートは、難治性皮膚潰瘍治療用積層化細胞シートとすることができる。
なお、前記線維芽細胞を、治療を施す対象である、難治性皮膚潰瘍を患う個体から取得してきてもよい。該個体から取得した線維芽細胞から細胞シートを作製することにより、移植時の免疫拒絶反応を抑制することが可能となる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの
例示に限定されるものではない。
<ヒト由来の線維芽細胞の分離>
ヒト由来の細胞系を培養するにあたり、培地は無血清培地(AIM V(登録商標) Medium CTS:Life Technologies社製)を用い、血清は本件発明者の自己血清(self serum)を調製した。具体的には、自家血清調製専用血液成分分離バッグ(セルエイド:ジェイ・エム・エス社製)を使用して、採血した本件発明者自らの血液から血清を作製した。
ヒト由来の線維芽細胞は以下の方法で調製した。AIM V Medium CTS 10mLとPenicillin−Streptomycin, Liquid200μLを50mLチューブに入れ、上記で血清を調製した発明者が自己から採取した口腔内組織を該50mLチューブに入れた。6cm−dishに該組織をピンセットにて移動し、使い捨てメスにて組織を細断、6−well plateに該細断組織片を押し付けて接着させ、10分間、37℃、5%COの条件で培養した。その後、乾燥を防ぐために、該組織周辺にAIM V Medium CTSを散布し、37℃、5%COで4時間培養を続けた。その後、 6−well plate(3810−006:ASAHI GLASS社製)の1wellにAIM V Medium CTS5mL、自己血清250μL、Penicillin−Streptomycin,Liquid 200μLを入れて、3−4週間、37℃、5%COで培養した。Trypsin−EDTA(Gibco社製)で細胞を剥離させ、40μm Cell Strainer(BD ファルコム社製)に透過させた後、1200rpm、2分間遠心した。遠心後、上清を吸引除去し、ペレットを10cm dishに移し、5%血清含有AIM培地(AIM V Medium CTS(Thermo Fisher Scientific社製)+5%自己血清)を10mL添加して、37℃、5%COで培養した。
上記の方法で口腔内組織から単離及び培養した上記細胞が線維芽細胞であることは、線維芽細胞のマーカーであるVimentinを用いた免疫染色により確認した。
<ヒト由来の末梢血単核球の分離>
ヒト由来の末梢血単核球の分離は以下の方法で行った。BDバキュティナ採血管に約4mLの血液を分取し、1500g、20分、ノーブレーキにて遠心を行った。遠心後、単核球の層を、新規の15mLチューブに回収し、PBSを加えて10mLとして、1000g、3分、ノーブレーキにて再度遠心を行った。その後、AIM V Medium CTSで1回洗浄を行った。細胞シート作製又は単独培養のために、細胞数をカウントし、上記5%血清含有AIM培地を用いて該末梢血単核球を2×10cells/mLに調製した。
[実施例1:線維芽細胞単独による細胞シートの作製]
24ウェル プラスチック(ポリスチレン)製の細胞培養基材(2cm/ウェル、3820−024:ASAHI GLASS社製)を3つ(1−A、B、C)準備し、各細胞培養基材のウェルに、5%自己血清含有HFDM培地(HFDM−1(+)(2102P:細胞科学研究所社製)+5% 自己血清)2mlを用いて、上記方法にて分離してきたヒト由来の線維芽細胞を8日間、大気中酸素(Noromo、約20%)、37℃、5%COで培養した。細胞培養基材1−Aでは1日目に1.25×10個/cmとなるように播種(1.25×10個/mLに調整した線維芽細胞懸濁液2mLを添加)し、細胞培養基材1−Bでは1日目及び2日目(1日目の播種から24時間後)にそれぞれ線維芽細胞を1.25×10個/cm播種し、細胞培養基材1−Cでは1日目、2日目、及び3日目にそれぞれ線維芽細胞を1.25×10個/cm播種した。培地は1日おきに除去して新鮮な培地を2ml加えた。上記工程をまとめた表を図1に示す。なお、本発明において、2日目、3日目とは、それぞれ細胞を播種した日を1日目とし、かかる1日目の播種した時間から24時間後、48時間後を意味し、4日目以降も同様である。また、上記HFDM−1(+)は、ヒト線維芽細胞用完全合成培地であり、増殖促進因子であるEGF、組換えヒトインシュリンを含有し、動物由来成分を含有しない培地である。
8日目に10PU/mLのディスパーゼ(合同酒精社製)を加えて37℃で1時間処理後にディスパーゼを除去し、PBSで洗浄後に、ピンセットを用いて細胞培養基材から線維芽細胞シートを剥がして回収した。回収した線維芽細胞シートのうち、細胞培養基材1−Cで作製した線維芽細胞シートを皮膚のモデルとして厚さが均等な市販の食用ハムに載せた。次に、10%中性緩衝ホルマリンで固定してパラフィン包埋による病理組織を作製し、断面を顕微鏡で観察した写真を図2に示す。図中、積層化線維芽細胞シートにおける一部の線維芽細胞の核を矢印で示す。
図2に示すように、厚さ約50μmの積層化線維芽細胞シートを得ることができた。なお、ディスパーゼ処理までは積層化線維芽細胞シートは培養基材から剥離していなかった。
[実施例2:凍結融解した積層化線維芽細胞シートにおけるVEGFの分泌]
24ウェル 細胞培養基材(2cm/ウェル、3820−024:ASAHI GLASS社製)を準備し、細胞培養基材のウェルに、上記5%血清含有AIM培地を用いて、上記方法にて分離したヒト由来の線維芽細胞を実施例1の細胞培養基材1−Cと同様に1日目、2日目、3日目に1.25×10個/cmとなるように播種して積層化線維芽細胞シートを作製した。4日目、5日目に凍結保存液(CELLBANKER2(登録商標):日本全薬工業社製)で−80℃に保存して細胞シートを凍結し、6日目に大気中酸素(Noromo:約20%)、37℃、5%COでの培養を再開して融解し、同条件で8日目まで培養して凍結融解した積層化線維芽細胞シートを作製した。培地は1日おきに除去して新鮮な培地を2ml加えた。凍結融解なしのコントロールとして、4日目の凍結保存をせずに4日目、5日目に培地交換のみを行って凍結保存なしの積層化線維芽細胞シートを作製した。それぞれの細胞シートの作製プロトコルの概要を図3A(a),(b)に示す。
それぞれの培養シートを培養した細胞培養基材の培地を1.5mLチューブに移し、3000rpmにて5分間遠心した後、上清を新規の1.5mLチューブに分取し、該上清中のVEGF濃度をHuman VEGF Quantikine ELISA Kit(R&D systems社製 #DVE00)を用いて測定した。吸光度の測定と濃度計算には、iMark Microplate Reader (BIO−RAD社製)とMPM6.exe(BIO−RAD社製)を用いた。結果を図3Bに示す。図3B中、(a)が凍結融解なし、(b)が凍結融解ありの場合である。
図3Bに示すように、凍結融解ありの場合となしの場合で、VEGFの分泌量に有意な差はみられなかった。一般的に、細胞シートは作製までに時間がかかるため、治療のために細胞シートが必要な状況において、すぐに提供できないという問題がある。上記のように本発明の積層化線維芽細胞シートは凍結融解してもVEGFの分泌量がほとんど維持されている。したがって、作製後に凍結保存が可能な線維芽細胞シートであり、より迅速に必要となる患者へ細胞シートを提供することが可能となる。
[実施例3:培地組成の検討]
培地として、HFDM−1(+)とAIM−Vを100:0、90:10、80:20、50:50の割合とし、self selumを5%となるように加えた培地を調整し、細胞培養基材中でヒト由来の繊維芽細胞を2.5×10個/cm播種して培養し、フィブロネクチンmRNAの発現量をqPCRで測定した。フィブロネクチンmRNAの発現量は、ΔΔCt値計算によるHFDM−1(+)とAIM−Vを100:0のフィブロネクチンmRNAの発現量を1にした場合の比較である。なお、HFDM−1(+)の割合の下限を50%としたのは、HFDM−1(+)が100%と50%における細胞増殖に有意な差がないからである。結果を図4に示す。
図4に示すように、HFDM−1(+)のみと比較してAIM−Vを加えた場合にはフィブロネクチンのmRNA発現量が増加し、特にHFDM−1(+)とAIM−Vが等量の場合にフィブロネクチンのmRNA発現量が多いことが明らかとなった。したがって、以下の実施例においてHFDM−1(+)とAIM−Vの両方を含む培地においては、それぞれの含有量を50:50とした。
[実施例4:凍結融解した積層化線維芽細胞シートにおけるVEGFの分泌]
温度応答性材料が被覆された培養基材で作製した従来の細胞シートは、凍結による保存によって培養基材から自然に剥離してしまうという問題があった。そこで、本発明の方法で作製した細胞シートを長期保存してもシートとして、凍結保存して解凍後に細胞シートが培養基材から剥がれることがないかどうかを調べた。24ウェル 細胞培養基材(2cm/ウェル、3820−024:ASAHI GLASS社製)を準備し、細胞培養基材のウェルに、1%血清含有AIM/HFDM−1培地(AIM V Medium CTS(Thermo Fisher Scientific社製)+HFDM−1(+)+1%自己血清)を加えて、ヒト繊維芽細胞を1.0×10個/cm、5×10個/cm、5.5×10個/cm播種して大気中酸素(Noromo)、37℃、5%COで2日間培養した。3日目(播種から48時間)にウェルから培地を吸引除去し、凍結保存液(CELLBANKER2(登録商標):日本全薬工業社製)を1ml加えて−80℃で凍結保存した。凍結保存して80日経てから、プレートを−80℃から取り出して、サーモプレート(東海ヒット社製)を使用して37℃で30〜40分間静置して融解した。ウェルから凍結保存液を吸引除去し、PBSを1mL入れてウェルを洗う操作を合計3回行った後に、上記培地を入れて、作製した細胞シートの外周部分(細胞培養基材の縁の部分)を顕微鏡で観察した。結果を図5に示す。
図5に示すように、いずれの細胞数を播種した場合においても、作製した細胞シートは剥離することなく、細胞がウェルの壁面に張りついていることが観察された。
なお、UpCell(登録商標)(24ウェル、1.9cm/ウェル:セルシード社製)に線維芽細胞を0.625×10cm/ウェル播種して37℃で2日間培養し、上記と同様の方法で凍結して1日後に、融解してウェルを観察すると、細胞がシートとして剥離し、かつシート状の形状を維持できずに丸く縮小していた。
[実施例5:繊維芽細胞シートの室温保存]
上記積層化繊維芽細胞シートを室温で24時間保存した場合の細胞シートの形態を調べた。24ウェル 細胞培養基材(2cm/ウェル、3820−024:ASAHI GLASS社製)を準備し、細胞培養基材のウェルに、上記1%血清含有AIM/HFDM−1培地を用いて、上記方法にて分離したヒト由来の線維芽細胞を細胞培養基材に2.5×10個/cmとなるように播種して大気中酸素(Noromo)、37℃、5%COで2日間培養した。2日後(播種から48時間後)に低酸素(2%O:Hypo)、33℃、5%CO条件下で24時間培養して細胞シートを作製した。次に、作製した繊維芽細胞シートをディスパーゼ処理し、ウェルをPBSで3回洗浄した。1ウェルにPBS1mLを入れた後のウェル内の細胞シートの状態(ディスパーゼ処理後)、ピンセットで細胞シートを剥離途中、全てのウェルの細胞シートを剥離した直後の写真をそれぞれ図6(a)〜(c)示す。図6(c)のウェル底面に対する細胞シートサイズの縮小率は33.6±3.4%であった。さらに、剥離した細胞シートをそのままPBS中で24時間室温にて静置後の写真を図6(d)に示す。
図6(d)に示すように、本発明の細胞シートは、培養基材から剥離後もシート形状を維持可能であり、図6(d)のウェル底面に対する細胞シートサイズの縮小率は24.7±2.3%でことが確認された。なお、図6(d)は24時間静置後であるが、1週間静置後も24時間静置後とほぼ同じシート形状を維持しており、縮小の程度もほぼ同程度であった。
[実施例6:線維芽細胞及び末梢血単核球による細胞シートの作製]
1回に播種する線維芽細胞数を1.25×105個/cmとし、線維芽細胞(1.25×105個/cm)、末梢血単核球、線維芽細胞(1.25×105個/cm)の順で細胞播種を行い、末梢血単核球の細胞数を下記の条件で検討することで、積層化細胞シートが作製出来るかを試みた。24ウェル 細胞培養基材(2cm/ウェル、3820−024:ASAHI GLASS社製)を6つ(6−A〜G)準備し、各細胞培養基材のウェルに、5%血清含有AIM/HFDM−1培地(AIM V Medium CTS(Thermo Fisher Scientific社製)+HFDM−1(+)+5%自己血清)を用いて、上記方法にて分離してきたヒト由来の線維芽細胞を6日間(6−A〜D)又は5日間(6−E、F)、大気中酸素(Noromo)、37℃、5%COで培養した。線維芽細胞、及び末梢血単核球の播種は図7Aに示すとおりである。培地交換は1日おきに行った。図7Aにおける繊維芽細胞播種はFで示してあり、1回に播種する繊維芽細胞数は1.25×105個/cmである。また、図7Aにおける末梢血単核球播種はPで示してあり、1回に播種する末梢血単核球数は、6−A〜Gにおいてそれぞれ0個〜2.5×106個である。また、図7Aにおいて培地交換のみを行ったものをMで示し、細胞が自然に剥離したものをXで示し、食用ハムに移植したものをTで示している。
図7Aに示すように、末梢血単核球が1.5×106個/cm、2.0×106個/cm、及び2.5×105個/cmの場合には5日目に培養の過程で細胞が培養基材から剥離した。したがって、24−ウェル培養基材を用い、線維芽細胞2.5×105個/cm播種2回の間に末梢血単核球を播種する場合、細胞が培養基材から剥離せずに積層化細胞シートを作製するためには末梢血単核球が1.0×105個/cmを超えないようにすることが必要であることが明らかとなった。すなわち、繊維芽細胞数に対する末梢血単核球数の比が0.4未満であることが好ましいことが明らかとなった。
なお、培養基材から剥離しなかった4種(6−A〜Dで作製した細胞シート:図7A中の点線枠)について、5日目に培地交換後に低酸素条件(33℃、2%O、5%CO)で24時間培養し、培養上清中のVEGF量を実施例2に記載と同様の方法で調べた結果を図7Bに示す。
図7Bに示すように、いずれも血管新生に重要な働きを果たすVEGFの分泌が確認され、末梢血単核球の播種量が多いほどVEGFの分泌量が多いことが確認された。
さらに、上記培養基材2−Cで作製した細胞シート(線維芽細胞1.25×105個/cm)、末梢血単核球1.0×10個/cm、線維芽細胞1.25×105個/cmの順で細胞播種)に末梢血単核球が組み込まれているかどうかを、免疫染色を用いて調べた。
6日目に、上記実施例5と同様の方法でディスパーゼ処理し、CellShifterを用いて細胞培養基材から混合細胞シートを剥がして回収し、食用ハム上に載せた。次に、抗CD3抗体(Abcam社製)によりTリンパ球を、抗CD68抗体(Abcam社製)によりマクロファージを染色し、顕微鏡で観察した。結果を図8に示す。図8中、(a)は細胞シートに含有されているCD3陽性細胞、(b)はCD68陽性細胞、(c)細胞シートのHE染色の写真である。
図8(a)、(b)に示すように、末梢血単核球に分類されるTリンパ球やマクロファージが積層細胞シート内に存在しているのが確認され、細胞シートが線維芽細胞と末梢血単核球からなり、末梢血単核球が線維芽細胞に組み込まれていることが明らかとなった。
[実施例7:線維芽細胞の細胞数の上限の検討]
24ウェル 細胞培養基材(2cm/ウェル、3820−024:ASAHI GLASS社製)を7つ(7−A〜G)準備し、各細胞培養基材のウェルに、上記5%血清含有AIM/HFDM−1培地を用いて、4.5×10個/cm、5.0×10個/cm、5.5×10個/cm、6.0×10個/cm、7.5×10個/cm、10.0×10個/cm、12.5×10個/cm播種し、大気中酸素(Noromo)、37℃、5%CO条件下で培養した。2日後(播種から48時間後)に低酸素(2%O:Hypo)、33℃、5%CO条件下で24時間培養して細胞シートを作製した。次に、培養上清中のVEGF量を上記実施例2に記載と同様の方法で調べた結果を図9に示す。さらに、7.5×10個/cm播種して作製した細胞シートを実施例1に記載と同様の方法でディスパーゼ処理し、CellShifterを用いて細胞培養基材から混合細胞シートを剥がして回収し、マイクロピペットを用いてウェルにPBSが入っている12ウェル培養基材に移した写真を図10に示す。
図9に示すように、線維芽細胞数が増加するにつれてVEGF量が増加するが、6.0×10個/cm以上ではVEGF量にほとんど差はみられなかった。また、図10に示すように、作製された細胞シートはきれいに培養基材から剥がれ、かつ、丈夫な細胞シ−トの形を保持していた。
[実施例8:線維芽細胞の細胞数の下限の検討]
24ウェル 細胞培養基材(2cm/ウェル、3820−024:ASAHI GLASS社製)を6つ(8−A〜G)準備し、各細胞培養基材のウェルに、上記5%血清含有AIM/HFDM−1培地を用いて、1.0×10個/cm、0.75×10個/cm、0.625×10個/cm、0.5×10個/cm、0.375×10個/cm、0.25×10個/cm播種し、大気中酸素(Noromo)、37℃、5%CO条件下で培養した。2日後(播種から48時間後)に低酸素(2%O:Hypo)、33℃、5%CO条件下で24時間培養して細胞シートを作製した。作製した細胞シートを、実施例1に記載と同様の方法でディスパーゼ処理し、ピンセットを用いて剥がした状態の写真を図11に示す。
図11に示すように、0.25×10個/cm播種した場合は、ディスパーゼ処理によっても細胞シートが培養基材から剥離しなかった。また、0.375×10個/cm及び0.5×10個/cm播種した場合は、細胞シートが培養基材から剥離したものの、円形が崩れてしまった。一方、1.0×10個/cm、0.75×10個/cm、0.625×10個/cm播種した場合には、培養基材から円形のシート状態で剥離することが可能であった。
[実施例9:所定の厚さの細胞シートの作製]
繊維芽細胞の細胞数と細胞シートの厚さとの関係を調べた。24ウェル 細胞培養基材(2cm/ウェル、3820−024:ASAHI GLASS社製)を3つ(9−A〜C)準備し、各細胞培養基材のウェルに、上記1%血清含有AIM/HFDM−1培地を用いて、2.5×10個/cm、4.0×10個/cm、6.0×10個/cm播種し、大気中酸素(Noromo)、37℃、5%CO条件下で培養した。2日後(播種から48時間後)に低酸素(2%O:Hypo)、33℃、5%CO条件下で24時間培養し、培養上清中のVEGF量を上記実施例2に記載と同様の方法で調べると共に、細胞シートの厚さを調べた。結果を図12に示す。
図12に示すように、播種する線維芽細胞が多いほどVEGFの分泌量が多いことが確認された。また、播種する線維芽細胞が4.0×10個/cmでシートの厚さが30μmを超え、6.0×10個/cmではシートの厚さが70μmを超えることが明らかとなった。さらに、2.5×10個/cmでは厚さが15μmであるものの、単層ではなく積層のシートとなっており、細胞シートとして培養基材から剥離する場合や細胞シートを動かす際の取り扱いが容易であった。なお、播種する線維芽細胞が2.5×10個/cmで、4.0×10個/cm、6.0×10個/cmで作製した積層化細胞シートは、それぞれ平均2以上の細胞、平均3以上の細胞、平均4以上の細胞からなる縦層が観察された。
[実施例10:6ウェル培養基材を用いた積層化細胞シートの作製]
これまでは24ウェル(2cm)培養基材を用いていたが、6ウェル(9.4cm)培養基材を用いた場合に積層化細胞シートが作製できるかどうかを検討した。
図13に記載の3つの条件にて培養を行って細胞シートの作製を試みた。図13における繊維芽細胞播種はFで示してあり、1回に播種する繊維芽細胞数は1.06×105個/cm又は2.13×10個/cmである。また、図13における末梢血単核球播種はPで示してあり、1回に播種する末梢血単核球数は1.06×105個/cm又は2.13×105個/cmである。
その結果、図13に示す3つの条件の場合において、積層化細胞シートが作製可能であり、ディスパーゼによってきれいに細胞シートを培養基材から剥がすことが可能であることが明らかとなった。
また、上記検討条件3で作製した細胞シート(積層化細胞混合シート)のVEGF、HGF、Angiopoietin−1、SDF1α(いずれも血管新生能の指標)の分泌を調べた結果を図14に示す。「線維芽細胞シート」は上記検討条件3の細胞数と培地で同条件にて線維芽細胞のみを培養したものである。また、「末梢血単核球」は上記検討条件3の細胞数と培地で同条件にて末梢血単核球を培養したものである。さらに、VEGFは実施例2と同様の方法で、HGF、Angiopoietin−1、SDF1αの分泌はそれぞれ、Human HGF Quantikine ELISA Kit(R&D systems社製 #DHG00)、Human Angiopoietin−1 Quantikine ELISA Kit(R&D systems社製 #DANG10)、Human CXCL12/SDF−1 alpha Quantikine ELISA Kit(R&D systems社製 #DANG10)、によって調べた。
図14に示すように、末梢血単核球のみ(シートを形成せず)と比較して、末梢血単核球と繊維芽細胞の混合による積層化細胞混合シートの方がVEGF、HGF、及びSDF1αの分泌量が多いことが確認された。また、繊維芽細胞のみから作製した繊維芽細胞シートと比較して、末梢血単核球と繊維芽細胞の混合による積層化細胞混合シートの方がVEGF、HGF、及びAngiopoietin−1の分泌量が多いことが確認された。
[実施例11:縮小率]
6ウェル 細胞培養基材(9.4cm/ウェル、3820−024:ASAHI GLASS社製)を準備し、細胞培養基材のウェルに1%血清含有AIM/HFDM−1培地を加えて、線維芽細胞を2.13×10個/cm播種して大気中酸素(Noromo)、37℃、5%COで2日間培養した。2日後(播種から48時間後)に低酸素(2%O:Hypo)、33℃、5%CO条件下で24時間培養して細胞シートを作製した。その後、10PU/mLディスパーゼで処理後に細胞シートを剥離した。対象として、市販のUpCell((登録商標):10cm dish、56.7cm)に5%血清含有AIM培地を加えて、3.88×10個/cmの線維芽細胞を播種して大気中酸素(Noromo)、37℃、5%COで2日間培養して剥離した。2日後(播種から48時間後)に低酸素(2%O:Hypo)、33℃、5%CO条件下で24時間培養して細胞シートを作製した。縮小率(S)は、S=剥離後の細胞シートの面積/剥離前の細胞シートの面積(ウェル又はdishの面積)で求めた。縮小率を図15(a)に、剥離後の細胞シートの写真を図15(b)に示す。
図15(a)、(b)から明らかなように、本発明の細胞シートは一般的な細胞培養基材で作製した細胞シートと比較して縮小率が極めて低いことが明らかとなった。
[参考例1]
市販のUpCell(登録商標)(24ウェル、1.9cm/ウェル:セルシード社製)にマウス線維芽細胞を1.25×105個/cm播種して大気中酸素(Noromo)、37℃で24時間培養した。播種後24時間後に培地を除去し、さらに線維芽細胞を2.5×105個/cm播種して大気中酸素(Noromo)、37℃で培養したところ、2回目の播種から1時間後に細胞シートが自然に剥離していた。
[参考例2]
市販の積層培養用プレートであるAlvetex(登録商標)(4cm:リプロセル社製)にマウス線維芽細胞を2.5×105個/cm播種して37℃で1時間後にさらに10.5mLの10%血清含有AIM培地(血清はGibco社のFBS)を加えて7日間培養した。培地は1日ごとに新鮮培地に替えた。その結果、積層の細胞シートを作製することはできたが、実施例1と同様のディスパターゼ処理後も細胞シートが培養用プレートから剥離しなかった。なお、トリプシン処理では細胞シートがシート形状を維持できず、細胞がバラバラになってしまった。
[参考例3]
積層培養用プレートであるCellfeuille(登録商標)(0.33cm:住友ベークライト社製)にマウス線維芽細胞を2.0×106個/cm播種して37℃で1時間後にさらに1.0mLの10%血清含有AIM培地(血清はGibco社のFBS)を加えて12時間培養した。その結果、積層の細胞シートを作製することはできたが、実施例1と同様のディスパターゼ処理(1000U)後も細胞シートが培養用プレートから剥離しなかった。なお、トリプシン処理では細胞シートがシート形状を維持できず、細胞がバラバラになってしまった。
本発明は、血管新生に重要な働きを果たす血管成長因子の産生量を大幅に増加し、皮膚創傷部位への移植により、該創傷部位の有意な治癒率上昇を誘導する積層化細胞シートの製造方法を提供する。かかる方法によって作製した積層化細胞シートは、移植に関連する医療分野、特に静脈性や虚血性潰瘍などの難治性皮膚潰瘍における利用性が高い。更に、移植を受ける患者由来の線維芽細胞(低侵襲的に採取が可能)にて作製された細胞シートは、免疫拒絶反応を生じないという点で極めて有用であり、該医療分野の発展に大きく貢献するものである。

Claims (10)

  1. 以下の工程(a)、(b)を備えた積層化細胞シートの作製方法。
    (a)培地を加えた培養基材上で、播種された2.0×10〜2.5×10個/cmの繊維芽細胞を培養して積層化細胞シートを作製する工程;
    (b)酵素処理により該積層化細胞シートを培養基材から剥離する工程;
  2. 工程(b)で剥離後の積層化細胞シートの厚さが15μm以上である請求項1記載の積層化細胞シートの作製方法。
  3. 工程(a)において、20時間以上間隔をあけて複数回に分けて繊維芽細胞を播種し、1回当たりの播種する繊維芽細胞数が1.5×105個/cm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層化細胞シートの作製方法。
  4. 工程(a)において、0.5〜12日間培養することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の積層化細胞シートの作製方法。
  5. 培養基材の材料が、プラスチック又はガラスであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の積層化細胞シートの作製方法。
  6. 工程(a)において、さらに以下の工程(a−1)、(a−2)を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の積層化細胞シートの作製方法。
    (a−1)工程(a)で作製した積層化細胞シートを凍結する工程;
    (a−2)工程(a−1)で凍結した積層化細胞シートを融解する工程;
  7. 工程(a)で、播種された2.0×10〜2.5×10個/cmの繊維芽細胞及び0.1×106〜1.2×10個/cmの末梢血単核球を培養することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の積層化細胞シートの作製方法。
  8. 酵素処理が、ディスパーゼ処理であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の積層化細胞シートの作製方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の積層化細胞シートの作製方法によって作製された積層化細胞シート。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の積層化細胞シートの作製方法によって作製された難治性皮膚潰瘍治療用積層化細胞シート。
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