JP2018538562A - 近視又は正視で老眼の装用者のための眼科用累進屈折力レンズと、かかるレンズを提供する方法 - Google Patents

近視又は正視で老眼の装用者のための眼科用累進屈折力レンズと、かかるレンズを提供する方法 Download PDF

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Abstract

処方遠方視平均屈折力と非ゼロ処方加入度ADDを有する老眼の装用者のための眼科用累進屈折力レンズであり、前記レンズは遠方視基準点と、平均屈折力PPO(α,β)と、結果として得られる非点収差のモジュールASR(α,β)と、経線ML(α,β)と、を有し、前記(α,β)関数は、装用者によるレンズの装用状態で、眼の回旋点CREとレンズを結合する視線方向(α,β)について決定され、aは度を単位とする下降角度であり、βは度を単位とする方位角であり、レンズ評価基準A1/A2は以下の要件を満たす:A1/A2≧0.50、ただし、A1=α100%−α85%、A2=α100%−α60%。

Description

本発明は一般に、視野改善に関し、より具体的には、処方遠方視平均屈折力がマイナス1ディオプトリ以下の近視で老眼の装用者のため、又は処方遠方視平均屈折力がマイナス1ディオプトリより高く、プラス1ディオプトリ未満の正視で老眼の装用者のための眼科用累進屈折力レンズに関する。それはまた、かかるレンズを提供する方法にも関する。
従来、眼鏡レンズは、要請を受けて、個々の装用者に固有の仕様に従って製造される。このような仕様とは一般に、眼科医又はアイケア専門医により作成された医学的処方を含む。
老眼の装用者の場合、屈折力矯正の値は遠方視と近方視とで異なり、これは、近方視における調節が困難であることによる。それゆえ、処方は遠方視の度数と、遠方視と近方視との間の屈折力増大を表す加入屈折力を含む。加入屈折力は、処方加入屈折力ADDとして示される。
発明者らは、近視又は正視で老眼の装用者のための現在の眼科用累進屈折力レンズは依然として、装用者の、特に70cm以下の距離での視覚的作業をする際の視覚的快適さを向上させるように改良可能であるとの認識を持った。
米国特許第6,318,859号
Fauquier,C.,et al."Influence of combined power error and astigmatism on visual acuity."Vision Science and Its Applications,OSA Technical Digent Series.Washington,DC:Optical Society of America(1995);151−4
それゆえ、発明が解決しようとする課題は、装用者の、特に70cm以下の距離での視覚的作業をする際の視覚的快適さを向上させることである。
この目的のために、本発明の主旨は、非ゼロ処方加入度ADDで、処方遠方視平均屈折力がマイナス1ディオプトリ以下の近視で老眼の装用者のため、又は処方遠方視平均屈折力がマイナス1ディオプトリより高く、プラス1ディオプトリ未満の正視で老眼の装用者のための眼科用累進屈折力レンズであり、前記レンズは遠方視基準点と、平均屈折力PPO(α,β)と、結果として得られる非点収差のモジュールASR(α,β)と、経線ML(α,β)と、を有し、前記(α,β)関数は、装用者によるレンズの装用状態で、眼の回旋点CREとレンズを結合する視線方向(α,β)について決定され、αは度を単位とする下降角度であり、βは度を単位とする方位角であり、レンズ評価基準A1/A2は以下の要件を満たす:
A1/A2≧0.50、ただし、
・ A1=α100%−α85%、
・ A2=α100%−α60%、
・ α100%は、
〇 処方加入度の100%が装用者によってその経線上で認識される下降角度と、
〇 その経線上の平均屈折力が最大であるPPOmax(αML,βML)下降角度
との間の最小の正のα角であり、
・ α85%は、処方加入度の85%が装用者によってその経線上で認識される下降角度であり、
・ α60%は、処方加入度の60%が装用者によってその経線上で認識される下降角度であり、
・ (αFV,βFV)は、遠方視基準点に対応する視野視線方向として定義される遠方視視線方向FVGDである。
発明者らは、評価基準A1/A2の閾値を定義することは、近視又は正視で老眼の装用者のための、特に70cm以下の距離での視覚的作業のためのその装用者の視覚的快適さが既知の先行技術の眼科用累進屈折力レンズに鑑みて向上されている眼科用累進屈折力レンズを特徴付けるのに適していることを発見した。
発明者らはさらに、本発明により、眼科用累進屈折力レンズの近視又は正視で老眼の装用者にとって視野は視力の点で改善できることを発見し、また、周辺収差ピークを低減させることができることも発見した。したがって、装用者の視覚的快適さを向上させることができる。
本発明の、組み合わせることのできる各種の実施形態によれば:
− 0.50≦A1/A2<0.54及びA1/A2=0.54及び0.54<A1/A2<0.60及びA1/A2=60及びA1/A2>0.60
− レンズは以下の要件を満たす:
0.48≦CRITER≦0.7、ただし、
CRITER=(A1/A2)+(PPO(αFV,βFV)/(100.ADD))
− 0.48≦CRITER<0.54及びCRITER=0.54及び0.54<CRITER<0.58及びCRITER=0.58及び0.58<CRITER<0.60及びCRITER=0.60及び0.60<CRITER≦0.70
− CRITER≧0.50及び/又はCRITER≦0.65
− レンズは正視で老眼の装用者のための眼科用累進屈折力レンズであり、CRITER≧0.52である
− レンズは正視で老眼の装用者のための眼科用累進屈折力レンズであり、0.52≦CRITER<0.54及びCRITER=0.54及び0.54<CRITER<0.60及びCRITER=0.60及び0.60<CRITER≦0.70
− レンズは以下の要件を満たす:
LAcuSub60_85(0.1).ADD≧75deg.D、ただし、
・ LAcuSub60_85(0.1)は、レンズの、ACU(α,β)≦0.1 logMARであり、α60%≧α≧α85%の領域の角度範囲(単位deg)であり、
・ ACU(α,β)は、logMARで表現される視力低下であり、次式により定義される:ACU(α,β)=−log(AC%(α,β)/100)
・ P(α,β)≧0のとき、AC%(α,β)=100−63×P(α,β)−44.3×ASR(α,β)+7.2×P(α,β)+19.5×P(α,β)×ASR(α,β)+ASR(α,β)であり、
・ P(α,β)<0のとき、AC%(α,β)=100−44.3×ASR(α,β)+ASR(α,β)であり、
・ P(α,β)=PPO(α,β)−PPO(α,β_α_mer)、
・ β_α_merは、下降角度αでの経線ML(α,β)上の方位角βの値である。
− レンズは、以下の要件を満たす:
LAcuSub60_85(0.2).ADD≧135deg.D、ただし、
・ LAcuSub60_85(0.2)は、レンズの、ACU(α,β)≦0.2 logMARであり、α60%≧α≦α85%の領域の角度範囲(単位deg)である。
− レンズは、相互に対向する2つの主要面を含み、前記2つの主要面は複合面、例えば、2つの漸増面又は2つの漸減面又は1つの漸増面と1つの漸減面である。
他の態様において、本発明はまた、非ゼロ処方加入度ADDで、処方遠方視平均屈折力がマイナス1ディオプトリ以下の近視で老眼の装用者に、又は処方遠方視平均屈折力がマイナス1ディオプトリより高く、プラス1ディオプトリ未満の正視で老眼の装用者に眼科用累進屈折力レンズを提供するための、コンピュータ手段により実行される方法を提供し、これは、評価基準A1/A2の以下の要件を満たすように、平均屈折力再区分PPO(α,β)、結果として得られる非点収差モジュールの再区分ASR(α,β)を計算し、経線ML(α,β)を計算するステップを含み、前記(α,β)関数は、装用者によるレンズの装用状態で、眼の回旋点CREとレンズを結合する視線方向(α,β)について計算され、αは度を単位とする下降角度であり、βは度を単位とする方位角である:
A1/A2≧0.50、ただし、
・ A1=α100%−α85%、
・ A2=α100%−α60%、
・ α100%は、
〇 処方加入度の100%が装用者によってその経線上で認識される下降角度と、
〇 その経線上の平均屈折力が最大であるPPOmax(αML,βML)下降角度
との間の最小の正のα角であり、
・ α85%は、処方加入度の85%が装用者によってその経線上で認識される下降角度であり、
・ α60%は、処方加入度の60%が装用者によってその経線上で認識される下降角度であり、
・ (αFV,βFV)は、遠方視基準点に対応する視野視線方向として定義される遠方視視線方向FVGDである。
本発明の、組み合わせることのできる各種の実施形態によれば、方法はさらに、以下の特徴を有する:
− レンズは、評価基準CRITERの以下の要件を満たすように計算される:
0.48≦CRITER≦0.7、ただし、
CRITER=(A1/A2)+(PPO(αFV,βFV)/(100.ADD))、ある実施形態によれば、CRITER≧0.50及び/又はCRITER≦0.65
− レンズは、評価基準LAcuSub60_85(0.1)の以下の要件を満たすように計算される:
LAcuSub60_85(0.1).ADD≧75deg.D、ただし、
・ LAcuSub60_85(0.1)は、レンズの、ACU(α,β)≦0.1 logMARであり、α60%≧α≧α85%の領域の角度範囲(単位deg)であり、
・ ACU(α,β)は、logMARで表現される視力低下であり、次式により定義され:ACU(α,β)=−log(AC%(α,β)/100)
・ P(α,β)≧0のとき、AC%(α,β)=100−63×P(α,β)−44.3×ASR(α,β)+7.2×P(α,β)+19.5×P(α,β)×ASR(α,β)+ASR(α,β)であり、
・ P(α,β)<0のとき、AC%(α,β)=100−44.3×ASR(α,β)+ASR(α,β)であり、
・ P(α,β)=PPO(α,β)−PPO(α,β_α_mer)、
β_α_merは、下降角度αでの経線ML(α,β)上の方位角βの値である。
− レンズは、評価基準LAcuSub60_85(0.2)の以下の要件を満たすように計算される:
LAcuSub60_85(0.2).ADD≧135deg.D、ただし、
・ LAcuSub60_85(0.2)は、レンズの、ACU(α,β)≦0.2 logMARであり、α60%≧α≦α85%の領域の角度範囲(単位deg)である。
− 方法は、少なくとも1つの標的が、評価基準A1/A2、評価基準CRITER、評価基準LAcuSub60_85(0.1)、評価基準LAcuSub60_85(0.2)に関する要件群の中から選択される最適化ルーチンを含む。
さらに、本発明による眼科用累進屈折力レンズの上記の特徴は、本発明の方法に直接移行させることができ、例えば、前記方法の最適化ルーチンに1つ又は複数の標的として取り入れることができる点を強調する。
また別の態様において、本発明は、プロセッサにとってアクセス可能であり、そのプロセッサにより実行されると、そのプロセッサに上記の方法の各種の実施形態のステップのうちの少なくとも1つを実行させる1つ又は複数の保存された命令シーケンスを含むコンピュータプログラム製品に関する。
本発明はまた、上記のコンピュータプログラム製品の1つ又は複数の命令シーケンスを担持するコンピュータ読取可能媒体も提供する。
本発明の特徴と本発明自体は、その構造とその動作の両方について、付属の説明と併せて下記のような付属の非限定的な図面と例を見ることにより最もよく理解されるであろう。
眼とレンズの光学系と眼の回旋点からのレイトレーシングを図式的に示す図である。 眼とレンズの光学系と眼の回旋点からのレイトレーシングを図式的に示す図である。 眼科用累積屈折力レンズの視野領域を示す。 本発明の枠組内で使用される評価基準/データの定義の理解を助ける略図である。 本発明の枠組内で使用される評価基準/データの定義の理解を助ける略図である。 本発明の枠組内で使用される評価基準/データの定義の理解を助ける略図である。 先行技術による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 先行技術による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 先行技術による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 先行技術による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 本発明による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 本発明による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 本発明による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 本発明による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 先行技術による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 先行技術による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 先行技術による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 先行技術による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 本発明による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 本発明による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 本発明による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 本発明による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 本発明による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 本発明による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。 本発明による複数の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示す図である。
図中、以下の参照記号は次のものに対応する:
・ MERは経線である。
・ NVGDは近方視視線方向である。
・ FVGDは遠方視視線方向である。
・ FCGDはフィッティングポイント視線方向である。
定義
以下の定義は、本発明の枠組内で使用される用語を定義するために提供される。
「装用者の処方」という用語は、「処方データ」とも呼ばれ、当業界で知られている。処方データとは、装用者について取得された少なくとも一方の眼、好ましくは各眼に関する、その装用者の各眼の屈折異常を矯正するのに適した処方球面度数SPH、及び/又は処方乱視度数CYL、及び処方軸度AXISと、適当であれば、その眼の各々の老眼を矯正するのに適した処方加入度数ADDを示す1つ又は複数のデータを指す。
「累進眼科用屈折力レンズ」は当業界で知られている。本発明によれば、レンズは標準的なレンズだけでなく、レンズが眼の正面に情報を表示する手段を含む情報グラスのためのレンズでもあってよい。レンズはまた、サングラスに適していてもいなくてもよい。本発明のすべての眼科用レンズは対として、レンズペア(左眼LE、右眼RE)を形成してもよい。
「視線方向」は2つの角度(α,β)により特定され、前記角度は一般に「CRE」と呼ばれる眼の回旋点を中心とする参照軸に関して測定される。より正確には、図1は、視線方向を定義するために使用されるパラメータα及びβを説明するこのような系の斜視図を示している。図2は、装用者の頭部の前後軸に平行で、パラメータβが0と等しいときに眼の回旋点を通る垂直面内の図である。眼の回旋点はCREと表示されている。図2において一点鎖線で示される軸CRE−F’は、眼の回旋点を通り、装用者の正面へと延びる水平軸であり、すなわち、軸CRE−F’は主視線方向に対応する。レンズは、軸CRE−F’がレンズの前面を、一般的にレンズ上にあり、眼鏡士がフレームにレンズを位置決めできるようにするためのフィッティングポイントと呼ばれる点において切断するように眼の正面に置かれ、中心が合わされる。レンズの後面と軸CRE−F’の交点は点Oである。眼の回旋点CREを中心とする半径q’=O−CREの頂点球は、レンズの後面と水平軸のある点で交差する。25.5mmの半径q’の値は通常の値に対応し、レンズ装用時に満足できる結果を提供する。半径q’のその他の値が選択されてもよい。図1の実線で示されるある視線方向は、CREの周囲の回転における眼の位置と、頂点球の点J(図2参照)に対応し、角度βは軸CRE−F’と、軸CRE−F’を含む水平面上に直線CRE−Jを投射したものとの間に形成される角度であり、この角度は図1の略図に示されている。角度αは、軸CRE−Jと、軸CRE−F’を含む水平面上に直線CRE−Jを投射したものとの間に形成される角度であり、この角度は図1及び2の略図に示されている。それゆえ、ある視線での視野は頂点球の点Jに、又は2つの数値(α,β)に対応する。下降視線角度の値がプラス方向に大きいほど視線は下がり、値がマイナス方向に大きいほど視線は上がる。ある視線方向において、物体空間内の、ある物体距離にある点Mの像は、最小及び最大距離JS及びJTに対応する2点S及びT間に形成され、これらは矢状及び接線方向の局所焦点距離となるであろう。物体空間内の無限遠のある点の像は、点F’に形成される。距離Dは、レンズの後方前額面(the reat frontal plane)に対応する。
各視線方向(α,β)について、平均屈折力PPO(α,β)、非点収差のモジュールASR(α,β)、及びこの非点収差の軸AXE(α,β)、並びに結果として得られる(残留又は不要とも呼ばれる)非点収差のモジュールASR(α,β)が定義される。
「非点収差」とは、レンズにより生成される非点収差、又は処方非点収差(装用者非点収差)とレンズにより生成される非点収差との間の差に対応する残留非点収差(結果としての非点収差)を指し、何れの場合も振幅又は振幅と軸の両方に関する。
「エルゴラマ」は、各視線方向に物体点の通常の距離を関連付ける関数である。典型的に、主視線方向に沿った遠方視において、物体点は無限遠にある。近方視において、基本的に鼻側に向かって絶対値で35°程度の角度α及び5°程度の角度βに対応する近方視では、物体距離は30〜50cm程度である。エルゴラマの定義と考えられるものに関して、より詳しくは、特許文献1を考慮してもよい。この文献には、エルゴラマ、その定義、及びそのモデル化方法が記載されている。本発明の方法に関して、点は無限遠にあっても、そうでなくてもよい。エルゴラマは、装用者の屈折異常の関数であってもよい。これらの要素を使用して、各視線方向への装用者の光学度数と非点収差を定義することが可能である。エルゴラマにより与えられる物体距離のある物体点Mは、ある視線方向(α,β)について考慮される。物体近接度ProxOは、物体空間内の対応する光線上の点Mについて、点Mと頂点球の点Jとの間の距離MJの逆数と定義される:
ProxO=1/MJ
これによって、頂点球のすべての点に関して、薄レンズ近似内の物体近接度を計算でき、これはエルゴラマの決定に使用される。実際のレンズの場合、物体近接度は、対応する光線上の、物体点とレンズ前面との間の距離の逆数と考えることができる。
同じ視線方向(α,β)について、ある物体近接度を有する点Mの像は、それぞれ最小及び最大焦点距離(これらは矢状及び接線方向の焦点距離となるであろう)に対応する2点S及びT間に形成される。量ProxIは点Mの像近接度と呼ばれる:
Figure 2018538562
したがって、薄レンズの場合の類推により、ある視線方向とある物体近接度について、すなわち対応する光線上の物体空間のある点について、光学度数PPOを像近接度と物体近接度の和として定義することができる。
PPO=ProxO+ProxI
光学度数は屈折力とも呼ばれる。
同じ表記法により、非点収差ASTは各視線方向について、及びある物体近接度について、
Figure 2018538562
と定義される。この定義は、レンズにより作られる光線ビームの非点収差に対応する。結果として得られる非点収差ASRは、レンズを通した各視線方向について、この視線方向での実際の非点収差の値ASTと同じレンズのために処方された非点収差との間の差として定義される。残留非点収差(結果として得られる非点収差)ASRは、より正確には、実際のデータ(AST、AXE)と処方データ(CYL、AXIS)との間のベクトル差のモジュールに対応する。
レンズの特性が光学的な種類である場合、これは上述のエルゴラマ−眼−レンズ系に関する。簡素化するために、説明文では「レンズ」という用語が使用されるが、これは「エルゴラマ−眼−レンズ系」と理解しなければならない。光学的数値は、視線方向について表現できる。エルゴラマ−眼−レンズ系の判定に適した条件は、本発明の枠組内では「装用時条件」と呼ばれる。
以下の説明文において、「上」、「下」、「水平」、「垂直」、「上方」、「下方」、又は相対位置を示すその他の単語が使用されるかもしれない。これらの用語は、レンズの装用状態で理解されるものとする。特に、レンズの「上側」部分は、マイナスの下降角度α<0°に対応し、レンズの「下側」部分は、プラスの下降角度α>0°に対応する。
「遠方視視線方向」はFVGDと呼ばれ、あるレンズについて、遠方視(遠見)基準点に対応する視野視線方向、それゆえ(αFV、βFV)として定義され、平均屈折力は遠方視の平均処方度数と実質的に等しく、平均処方度数はSPH+(CYL/2)と等しい。本開示内で、遠方視は遠見とも呼ばれる。
「近方視視線方向」はNVGDと呼ばれ、あるレンズについて、近方視(読書)基準点に対応する視野視線方向、それゆえ(αNV、βNV)として定義され、光学度数は遠方視の処方度数プラス処方加入度数ADDと実質的に等しい。
「フィッティングポイント視線方向」はFCGDと呼ばれ、あるレンズについて、フィッティングポイント基準点に対応する視野視線方向、それゆえ(αFC、βFC)と定義される。
累進レンズの「経線」はML(α,β)と呼ばれ、レンズの上から下に定義され、人が物体点を明瞭に見ることのできるフィッティングポイントを通過する線である。前記経線は、結果として得られる非点収差のモジュールASRを(α,β)ドメインにわたって再区分することに基づいて定義され、結果として得られる非点収差の値の2つの中央等高線の中心に対応し、その値は0.25ディオプトリと等しい。より具体的には、本発明によれば、経線は以下の方法で計算される:
− フィッティングポイント(αFC,βFC)に対応する視線方向FCGDを定義する。
− 近方視視線方向に対応する下降角度αNVを計算する。
− αFCとαNVの間の各下降角度αについて、その値が0.25ディオプトリと等しい結果として得られる非点収差値のモジュールの2つの中央の等高線間の中間の方向に対応する方位角βを計算し、前記計算された方向は(α,β)と呼ばれ、直線d2を、前記直線との偏差(α,β)を最小化するように次式により計算する:
Figure 2018538562
ただし、<<min>>関数は、括弧内の等式を最小化するようにa及びbのパラメータを決定することに関する。
− 直線d2と、β=βFCに対応する線との交点として定義される旋回方向(αpiv,βpiv)を計算する:ただし、
Figure 2018538562
− 直線d1を計算する:ただし、d1:β(α)=βPIV;α<αPIV
− αNVに関する直線d2の方位角βであるβNVを決定する:ただし、βNV=ααNV+b
− αNVより大きい各下降角度αについて、その値が0.25ディオプトリと等しい結果として得られる非点収差値のモジュールの2つの中央の等高線間の中間の方向に対応する方位角βを計算し、前記計算された方向は(α,β)と呼ばれ、また、方向(αNV,βNV)に通過する直線d3を、前記直線との偏差(α,β)を最小化するように計算し、計算された勾配が負であれば、その勾配はゼロになるように選択され、d3はそれゆえ、次式により定義される:
Figure 2018538562
− 経線は最終的に、3つの線分d1、d2、d3に追従すると構築される線であると定義される。
− 「複合面」とは、非球面、非円環面、非球円環面である眼科用レンズの非球面であり、ある実施形態によれば、複合面は漸増面と漸減面からなる群の中から選択される。
「マイクロマーク」は、「アラインメント基準マーク」とも呼ばれ、整合規格ISO 13666:2012(「アラインメント基準マーク:製造者がレンズもしくはレンズブランクの水平アラインメントを確立するため、又はその他の基準点を再確立するために提供する永久マーク」)及びISO 8990−2(「永久マーク:レンズは、少なくとも以下の永久マークを提供しなければならい:相互に34mm離れ、フィッティングポイント又はプリズム基準点を通過する垂直面から等距離にある2つのマークを含むアラインメント基準マーク」)により、累進レンズに付すことが義務付けられている。同様に定義されるマイクロマークもまた通常、複合面上、例えばレンズの前面上に付され、前面は漸増又は漸減前面を含む。
「仮マーク」もまた、レンズの2つの面のうちの少なくとも一方に適用されてよく、レンズ上の制御点(基準点)、例えば遠方視のための制御点、近方視のための制御点、プリズム基準点及びフィッティングポイント等の位置を示す。プリズム基準点PRPは、ここでは、マイクロマークをつなぐ直線の線分の中間点と考えられる。仮マークがないか、又は消された場合でも、当業者は常に、取付図及び永久マイクロマークを使ってレンズ上の制御点の位置を特定できる。同様に、セミフィニッシュトレンズブランクにも、規格ISO 10322−2により、マイクロマークを適用することが義務付けられている。したがって、セミフィニッシュトレンズブランクの非球面の中心及び基準を判定できる。
図3は、眼科用累進屈折力レンズ30の視野領域を示し、前記レンズはレンズの上側部分にある遠方視(遠見)領域32と、レンズの下側部分にある近方視領域36と、遠方視領域32と近方視領域36との間にある中間領域34と、を含む。経線は38で示される。
本発明の範囲内で、複数の評価機基準/データが定義されており、これらの定義が図4及び5に示されている。
図4及び5の背景に、眼科用累進屈折力レンズの同じ例の視力低下等高線が示されている。
視力低下等高線は、(α,β)ドメインにわたる視力低下値ACU(α,β)の変化を示し、視力低下値はlogMARで表現される。
視力低下値ACU(α,β)は次式により定義される:
ACU(α,β)=−log(AC%(α,β)/100)
AC%(α,β)は、平均屈折力PPO(α,β)と結果として得られる非点収差のモジュールASR(α,β)の両方の関数として定義される視力関数であり、ただし、
・ 平均屈折力差関数P(α,β)が定義され、ただし、
P(α,β)=PPO(α,β)−PPO(α,β_α_mer)
β_α_merは、経線ML(α,β)上の、下降角度αでの方位角βの値であり、
・ P(α,β)≧0のとき、AC%(α,β)は次式により定義され:
AC%(α,β)={100−63×P(α,β)−44.3×ASR(α,β)+7.2×P(α,β)+19.5×P(α,β)×ASR(α,β)+ASR(α,β)}、
・ P(α,β)<0のとき、AC%(α,β)は次式により定義される:
AC%(α,β)=100−44.3×ASR(α,β)+ASR(α,β)
このような視力低下の定義の書誌参考情報は、非特許文献1に記載されている。
例示的レンズの視力低下値ACU(α,β)は図4及び5の背景にプロットされており、曲線は視力低下値の等高線を示し、異なる視力低下値の隣接する曲線間の増分は0.1 logMARである。
図4は、評価基準LAcuSub60_85(0.1)の計算方法を示しており、LAcuSub60_85(0.1)は、0.1 logMARと等しい中央の2つの隣接する視力低下曲線間の領域(図中のグレー部分)の角度範囲(deg)であり、前記角度範囲は、α60%以上の下降角度αについて(すなわち、α≧α60%について)、及びα85%以下の下降角度αについて(すなわち、α≦α85%について)計算される。
α85%は、処方加入度の85%が装用者によって経線上で認識される下降角度として定義される。処方加入度の85%が装用者によって認識される経線の下降角度は、本発明の枠組内で、平均屈折力PPO(α85%)が次式を満たす下降角度αと定義される:
PPO(α85%)=PPO(FVGD)+0.85×ADD
ただし、PPO(FVGD)は、遠方視視線方向FVGDによる平均屈折力である。
同様の定義がα60%についても使用され、これは処方加入度の60%が装用者により認識される経線の下降角度であり、平均屈折力PPO(α60%)が次式を満たす下降角度αに対応する。
PPO(α60%)=PPO(FVGD)+0.60×ADD
α100%は、
〇 処方加入度の100%が装用者によってその経線上で認識される下降角度と、
〇 その経線上の平均屈折力が最大であるPPOmax(αML,βML)下降角度
との間の最小の正のα角に対応する下降角度と定義される。
別に挙げる例では、α100%は、処方加入度の100%が装用者により認識される経線の下降角度であり、これは平均屈折力PPO(α100%)が次式を満たす下降角度αに対応する。
PPO(α100%)=PPO(FVGD)+ADD
経線の下降角度の何れも上式を満たさない場合、α100%は、経線上の平均屈折力が最大であるPPOmax(αML,βML)下降角度である。
図5は、評価基準LAcuSub60_85(0.2)の計算方法を示しており、LAcuSub60_85(0.2)は、0.2 logMARと等しい中央の2つの隣接する視力低下曲線間の領域(図中のグレー部分)の角度範囲(deg)であり、前記角度範囲は、α60%以上の下降角度αについて(すなわち、α≧α60%について)、及びα85%以下の下降角度αについて(すなわち、α≦α85%について)計算される。
図6は、特許文献1を参照してエルゴラマを定義するために使用される下降角度αの関数としての物体近接度ProxOの変化を示す。
本発明の枠組で使用されるエルゴラマは以下のデータにより定義され、物体近接度の値は下降角度αについて示されている。
Figure 2018538562
〔実施例〕
処方遠方視平均屈折力がマイナス1ディオプトリ以下である近視で老眼の装用者のための眼科用累進屈折力レンズ;
図7〜10は、先行技術による近視で老眼の装用者のための眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示し、これを以下、「PA_lens_myopic」と呼ぶ。
図11〜14は、本発明による近視で老眼の装用者のための眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示し、これを以下、「INV_lens_myopic」と呼ぶ。
前記両方の眼科用累進屈折力レンズは、以下の処方特徴を満たすように設計されている:
− 処方球面度数SPH=−4ディオプトリ
− 処方乱視度数CYL=0ディオプトリ
− 処方軸度AXIS=0°
− 処方加入度数ADD=2ディオプトリ
図7及び11は、それぞれ先行技術の眼科用累進屈折力レンズと本発明による眼科用累進屈折力レンズに関する、経線に沿った下降角度αの関数としての平均屈折力の再区分分布PPOを示す。α60%、α85%、及びα100%に対応する下降角度が示されている。
図8及び12は、それぞれ先行技術の眼科用累進屈折力レンズと本発明による眼科用累進屈折力レンズに関する、(α,β)ドメインにわたる平均屈折力の再区分PPOを示す。曲線は、平均屈折力値の等高線を示し、結果として得られる非点収差値の異なるモジュールの隣接する曲線間の増分は0.25ディオプトリである。
図9及び13は、それぞれ先行技術の眼科用累進屈折力レンズと本発明による眼科用累進屈折力レンズに関する、(α,β)ドメインにわたる結果として得られる非点収差のモジュールの再区分ASRを示す。曲線は、結果として得られる非点収差値のモジュールの等高線を示し、結果として得られる非点収差値の異なるモジュールの隣接する曲線間の増分は0.25ディオプトリである。
図10及び14は、それぞれ先行技術の眼科用累進屈折力レンズと本発明による眼科用累進屈折力レンズに関する、(α,β)ドメインにわたる視力低下値の再区分ACUを示す。曲線は、視力低下値の等高線を示し、結果として得られる非点収差値の異なるモジュールの隣接する曲線間の増分は0.1 logMARである。
上で定義される評価基準が前記の両方の眼科用累進屈折力レンズについて計算された。結果を以下に報告する。
Figure 2018538562
LAcuSub60_85(0.1).ADDとLAcuSub60_85(0.2).ADDは、deg.Dで表される。
処方遠方視平均屈折力がマイナス1ディオプトリより大きく、プラス1ディオプトリ未満である正視で老眼の装用者のための眼科用累進屈折力レンズ
図15〜18は、先行技術による正視で老眼の装用者のための眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示し、これを以下、「PA_lens_em」と呼ぶ。
図19〜22は、本発明による正視で老眼の装用者のための第一の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示し、これを以下、「INV_lens_em1」と呼ぶ。
図23〜25は、本発明による正視で老眼の装用者のための第二の眼科用累進屈折力レンズの光学特性を示し、これを以下、「INV_lens_em2」という。
前記3つの眼科用累進屈折力レンズは、以下の処方特徴を満たすように設計されている:
− 処方球面度数SPH=0ディオプトリ
− 処方乱視度数CYL=0ディオプトリ
− 処方軸度AXIS=0°
− 処方加入度数ADD=2ディオプトリ
図15、19、及び23は、それぞれ先行技術による眼科用累進屈折力レンズと、INV_lens_em1及びINV_lens_em2と呼ぶ本発明による眼科用累進屈折力レンズに関する、経線に沿った下降角度αの関数としての平均屈折力の再区分分布PPOを示す。図7及び11に関する上記の説明をこれらの図面にも適用する。
図16、20、及び24は、それぞれ先行技術による眼科用累進屈折力レンズと、INV_lens_em1及びINV_lens_em2と呼ぶ本発明による眼科用累進屈折力レンズに関する、(α,β)ドメインにわたる平均屈折力の再区分PPOを示す。図8及び12に関する上記の説明をこれらの図面にも適用する。
図17、21、及び25は、それぞれ先行技術による眼科用累進屈折力レンズと、INV_lens_em1及びINV_lens_em2と呼ぶ本発明による眼科用累進屈折力レンズに関する、(α,β)ドメインにわたる結果として得られる非点収差のモジュールの再区分ASRを示す。図9及び13に関する上記の説明をこれらの図面にも適用する。
図18及び22は、それぞれ先行技術による眼科用累進屈折力レンズと、INV_lens_em1と呼ぶ本発明による眼科用累進屈折力レンズに関する、(α,β)ドメインにわたる視力低下値の再区分ACUを示す。図10及び14に関する上記の説明をこれらの図面にも適用する。
上で定義される評価基準が前記の両方の眼科用累進屈折力レンズについて計算された。結果を以下に報告する。
Figure 2018538562
発明者らは、CRITERの選択された閾値と、任意選択によりLAcuSub60_85(0.1).ADD及びLAcuSub60_85(0.2).ADDの選択された閾値が、近視又は正視で老眼の装用者に対し、その装用者の視覚的快適さが既知の先行技術の眼科用累進屈折力レンズに鑑みて向上されている眼科用累進屈折力レンズを提供するのに適当であることを実証する試験を行った。
より詳しくは、発明者らは、本発明によるCRITERの要件を満たすことは、近視又は正視で老眼の装用者にとって、累進屈折力レンズの経線に沿った平均屈折力の変化を扱うために、すなわち70cmの範囲内の視覚的作業のために有利であることを実証した。また、したがって、装用者の快適さがそれに応じて、すなわち前記視覚的作業にとって大幅に向上されたことと、70cmの範囲内での視覚的作業に関する視覚的満足は全体的な装用者の視覚的快適さと満足において非常に重要な役割を果たすことも実証された。
30 眼科用累進屈折力レンズ
32 遠方視領域
34 中間領域
36 近方視領域

Claims (13)

  1. 非ゼロ処方加入度ADDで、処方遠方視平均屈折力がマイナス1ディオプトリ以下の近視で老眼の装用者のため、又は処方遠方視平均屈折力がマイナス1ディオプトリより高く、プラス1ディオプトリ未満の正視で老眼の装用者のための眼科用累進屈折力レンズにおいて、前記レンズは遠方視基準点と、平均屈折力PPO(α,β)と、結果として得られる非点収差のモジュールASR(α,β)と、経線ML(α,β)と、を有し、(α,β)関数は、前記装用者によるレンズの装用状態で、眼の回旋点CREとレンズを結合する視線方向(α,β)について決定され、αは度を単位とする下降角度であり、βは度を単位とする方位角であり、レンズ評価基準A1/A2は以下の要件を満たす:
    A1/A2≧0.50、ただし、
    〇 A1=α100%−α85%、
    〇 A2=α100%−α60%、
    〇 α100%は、
    〇 前記処方加入度の100%が前記装用者によって前記経線上で認識される下降角度と、
    〇 前記経線上の平均屈折力が最大であるPPOmax(αML,βML)下降角度
    との間の最小の正のα角に対応する下降角度であり、
    〇 α85%は、前記処方加入度の85%が前記装用者によって前記経線上で認識される下降角度であり、
    〇 α60%は、前記処方加入度の60%が前記装用者によって前記経線上で認識される下降角度であり、
    〇 (αFV,βFV)は、前記遠方視基準点に対応する視野視線方向として定義される遠方視視線方向FVGDである
    眼科用累進屈折力レンズ。
  2. レンズ評価基準CRITERが以下の要件を満たす:
    0.48≦CRITER≦0.7、ただし、
    CRITER=(A1/A2)+(PPO(αFV,βFV)/(100.ADD))
    請求項1に記載の眼科用累進屈折力レンズ。
  3. CRITER≧0.50及び/又はCRITER≦0.65である、請求項1に記載の眼科用累進屈折力レンズ。
  4. 前記レンズは正視で老眼の装用者のための眼科用累進屈折力レンズであり、
    CRITER≧0.52
    の、請求項1〜3の何れかに記載の眼科用累進屈折力レンズ。
  5. 前記レンズは以下の要件を満たす:
    LAcuSub60_85(0.1).ADD≧75deg.D、ただし、
    ・ LAcuSub60_85(0.1)は、レンズの、ACU(α,β)≦0.1 logMARであり、α60%≧α≧α85%の領域の角度範囲(単位deg)であり、
    ・ ACU(α,β)は、logMARで表現される視力低下であり、次式により定義され:ACU(α,β)=−log(AC%(α,β)/100)
    ・ P(α,β)≧0のとき、AC%(α,β)=100−63×P(α,β)−44.3×ASR(α,β)+7.2×P(α,β)+19.5×P(α,β)×ASR(α,β)+ASR(α,β)であり、
    ・ P(α,β)<0のとき、AC%(α,β)=100−44.3×ASR(α,β)+ASR(α,β)であり、
    ・ P(α,β)=PPO(α,β)−PPO(α,β_α_mer)、
    ・ β_α_merは、下降角度αでの経線ML(α,β)上の方位角βの値である、
    請求項1〜4の何れかに記載の眼科用累進屈折力レンズ。
  6. 前記レンズは以下の要件を満たす:
    LAcuSub60_85(0.2).ADD≧135deg.D、ただし、
    ・ LAcuSub60_85(0.2)は、レンズの、ACU(α,β)≦0.2 logMARであり、α60%≧α≦α85%の領域の角度範囲(単位deg)である、
    請求項1〜5の何れかに記載の眼科用累進屈折力レンズ。
  7. 前記レンズは、相互に対向する2つの主要面を含み、前記2つの主要面は複合面、例えば、2つの漸増面又は2つの漸減面又は1つの漸増面と1つの漸減面である、請求項1〜6の何れかに記載の眼科用累進屈折力レンズ。
  8. 非ゼロ処方加入度ADDで、処方遠方視平均屈折力がマイナス1ディオプトリ以下の近視で老眼の装用者に、又は処方遠方視平均屈折力がマイナス1ディオプトリより高く、プラス1ディオプトリ未満の正視で老眼の装用者に眼科用累進屈折力レンズを提供するための、コンピュータ手段により実行される方法において、評価基準A1/A2の以下の要件を満たすように、平均屈折力再区分PPO(α,β)、結果として得られる非点収差モジュールの再区分ASR(α,β)を計算し、経線ML(α,β)を計算するステップを含み、(α,β)関数は、前記装用者によるレンズの装用状態で、眼の回旋点CREとレンズを結合する視線方向(α,β)について計算され、αは度を単位とする下降角度であり、βは度を単位とする方位角である:
    A1/A2≧0.50、ただし、
    〇 A1=α100%−α85%、
    〇 A2=α100%−α60%、
    〇 α100%は、
    〇 前記処方加入度の100%が前記装用者によって前記経線上で認識される下降角度と、
    〇 前記経線上の平均屈折力が最大であるPPOmax(αML,βML)下降角度
    との間の最小の正のα角に対応する下降角度であり、
    〇 α85%は、前記処方加入度の85%が前記装用者によって前記経線上で認識される下降角度であり、
    〇 α60%は、前記処方加入度の60%が前記装用者によって前記経線上で認識される下降角度であり、
    〇 (αFV,βFV)は、遠方視基準点に対応する視野視線方向として定義される遠方視視線方向FVGDである
    眼科用累進屈折力レンズを提供する方法。
  9. 前記レンズは、評価基準CRITERの以下の要件を満たすように計算される:
    0.48≦CRITER≦0.7、ただし、
    CRITER=(A1/A2)+(PPO(αFV,βFV)/(100.ADD))
    請求項8に記載の眼科用累進屈折力レンズを提供する方法。
  10. 前記レンズは、評価基準CRITERの要件を満たすように計算され、CRITER≧0.50及び/又はCRITER≦0.65である、請求項9に記載の眼科用累進屈折力レンズを提供する方法。
  11. 前記レンズは、評価基準LAcuSub60_85(0.1)の以下の要件を満たすように計算される:
    LAcuSub60_85(0.1).ADD≧75deg.D、ただし、
    ・ LAcuSub60_85(0.1)は、レンズの、ACU(α,β)≦0.1 logMARであり、α60%≧α≧α85%の領域の角度範囲(単位deg)であり、
    ・ ACU(α,β)は、logMARで表現される視力低下であり、次式により定義され:ACU(α,β)=−log(AC%(α,β)/100)、
    ・ P(α,β)≧0のとき、AC%(α,β)=100−63×P(α,β)−44.3×ASR(α,β)+7.2×P(α,β)+19.5×P(α,β)×ASR(α,β)+ASR(α,β)であり、
    ・ P(α,β)<0のとき、AC%(α,β)=100−44.3×ASR(α,β)+ASR(α,β)であり、
    ・ P(α,β)=PPO(α,β)−PPO(α,β_α_mer)、
    β_α_merは、下降角度αでの経線ML(α,β)上の方位角βの値である、
    請求項8〜10の何れかに記載の眼科用累進屈折力レンズを提供する方法。
  12. 前記レンズは、評価基準LAcuSub60_85(0.2)の以下の要件を満たすように計算される:
    LAcuSub60_85(0.2).ADD≧135deg.D、ただし、
    ・ LAcuSub60_85(0.2)は、前記レンズの、ACU(α,β)≦0.2 logMARであり、α60%≧α≦α85%の領域の角度範囲(単位deg)である、請求項8〜11の何れかに記載の眼科用累進屈折力レンズを提供する方法。
  13. 前記方法は、少なくとも1つの標的が、評価基準A1/A2、評価基準CRITER、評価基準LAcuSub60_85(0.1)、評価基準LAcuSub60_85(0.2)に関する要件群の中から選択される最適化ルーチンを含む、請求項8〜12の何れかに記載の眼科用累進屈折力レンズを提供する方法。
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