JP2018538268A - イオン交換クロマトグラフィーにおける改善されたタンパク質分離 - Google Patents

イオン交換クロマトグラフィーにおける改善されたタンパク質分離 Download PDF

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Abstract

本発明は、改善された分取(>5g/l)タンパク質分離に関する。これらの改善を、組み合わせた塩−pH勾配試行によって発生したデータに基づく分取段階溶離タンパク質分離の開発と組み合わせて、予備的タンパク質分離のための塩およびpH勾配を組み合わせることによって達成する。

Description

本発明は、改善された分取(>5g/l)タンパク質分離に関する。これらの改善を、組み合わせた塩−pH勾配によって発生したデータに基づく分取段階溶離タンパク質分離の開発と組み合わせて、分取タンパク質分離のための塩およびpH勾配を組み合わせることによって達成する。
背景
タンパク質の多様性は、in vivoでの翻訳後修飾の結果として生じるか、またはそれは、化学的および酵素的反応を介して人工的に誘発されるか、または機械的応力、高温もしくは極度のpHに起因する発酵および精製プロセスにおける副産物としてである[1〜4]。mAbと関連するタンパク質の多様性は、酸性および塩基性変化体のような電荷変化体、グリコシル化変化体、ならびに凝集体、モノマー、断片、Fab、およびFc残基のようなサイズ変化体を含むが、それらに限定されない[5〜7]。治療的mAbにおいて、かかる生成物変化体によって、多様な薬物動態および薬力学がもたらされ、それは、薬物の安定性、有効性および効力に影響を及ぼす[1]。したがって、それらを、完全にプロファイリングし、最終製品プールから除去しなければならない。
液体クロマトグラフィー(LC)は、mAb産生のための標準的な精製ツールとして使用されている[8]。mAbについての一般的な下流プロセス(DSP)には、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー(AC)、イオン交換クロマトグラフィー、および疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)が含まれるが、それらに限定されない[9]。IEC(イオン交換クロマトグラフィー)、例えば強陽イオン交換クロマトグラフィー(SCX)、弱陽イオン交換クロマトグラフィー(WCX)、および弱陰イオン交換クロマトグラフィー(WAX)は、極めて類似した等電点(pI)を有するmAb電荷変化体ならびにサイズ変化体、グリコシル化変化体、シリル化変化体、およびC末端/N末端加工変化体を含むがそれらに限定されない他のタンパク質変化体を分離するための分析スケールで広く使用されている[7、10〜14]。
固定されたpH値を有する塩化ナトリウムを用いた浅い塩勾配傾斜を用いてmAb変化体を特徴付けることができる一方、電荷変化体分離におけるその適用は、タンパク質特異的であり、個々のmAbについて最適化されなければならない[15]。クロマトグラフィー(CF)は、塩勾配に対する代替であり、ここでpH勾配が、両性高分子電解質緩衝液を使用してカラムの内部で[16〜21]、またはカラム入口で異なるpH値を有する2種の適切な緩衝液を混合することによって外部で発生し、それはその後、カラムを通って移動する[22]〜[26]。それぞれのpI値に依存して、mAb電荷変化体は、pH勾配における異なる点に集束し、その結果高度に分割されたピークを生じる[27]。
mAb電荷変化体分離のためのIECにおける高速CFの最初の適用は、7.3〜9.0のpI範囲を有する中性および塩基性mAbに限定された[28〜29]。最近、この適用範囲を、pH勾配においてイオン強度を調節することによって酸性mAb(pI=6.2)に拡大することができることが、発見された[29]。上昇した、および制御されたイオン強度でのpH勾配により、酸性、中性、および塩基性mAb変化体についてのより良好な分解ピークが得られたことが、報告されている[29]。上記の例が分析的規模でのmAb電荷変化体分離のための塩媒介pH勾配の成功を示す一方、Kaltenbrunner et al.[30]は、はるかに以前から、マンニトール、ホウ酸塩、および塩化ナトリウムを用いたそれらのpH−塩複合勾配がmAbイソ型を分取的規模において分離することができることを主張している。それらは、下降する塩勾配と組み合わせたpH7.0〜9.1の上昇するpH勾配を使用して、8.15〜8.70のpIを有するイソタンパク質を分離した。
しかし、いくつかの制限、欠点、および相違が、彼らのアプローチにおいて見られる。例えば、彼らによって示唆された方法は、いくつかの炭水化物側鎖において異なる糖タンパク質イソ型の分離に適しているに過ぎない[29〜30]。これによって、かかる勾配系の使用が糖化タンパク質のみに限定され、したがってそれが、他のタイプのmAb変化体、例えば電荷またはサイズイソ型について非現実的になる。ピーク間の増加した分解能がpH−塩複合勾配に起因することが主張されているが、シス−ジオール含有オリゴ糖と緩衝成分ホウ酸塩との間の非特異的反応がまた改善された分離に対して顕著な効果を有するか否かは、依然として不明確である[29]。さらに、イソタンパク質のそれらのいわゆる「分取」分離は、充填した樹脂1mLあたりわずか0.5mgのmAbであり[30]、それは、プロセス規模分離において使用するには依然として極めて低い。
現在まで、pH−塩複合勾配系を用いたプロセススケール(≧30mg/mL)のmAb電荷変化体分離は、WCX-Fractogel(登録商標)COO(M)について報告されている[31]。しかし、上昇する塩勾配系を伴う上昇するpH勾配は、酢酸塩を用いて生成され、それは、5〜6の極めて狭いpH範囲のみを包含し、それによりこの方法を約5.6の溶離pHを有するmAbに限定する。それらのpH−塩複合勾配において使用するpH範囲は、カルボキシル官能基のpKa(pKa=4.5)に極めて近いことに、留意すべきである。WCXについて、移動相において使用する緩衝種のほかに、樹脂骨格上の官能基によってまた、特にカルボキシル基のpKa付近のpHで一時的なpH変化がもたらされることが、知られている[32〜33]。
彼らの研究において使用されたpH範囲がカルボキシル基のpKaに極めて近いので、移動相において使用する酢酸塩の他に、樹脂骨格上の部分的にプロトン化されたカルボキシル基がまた勾配系に対して一定の緩衝作用を及ぼすことを予測するのは、合理的である。さらに、複合pH−塩系におけるpH勾配が酢酸塩緩衝液単独によって発生するか、それがカルボキシル基および酢酸塩の組み合わせた効果であるかは、不明である。同様に、この効果が電荷変化体分離において主要な役割を果たすか否かもまた、不確実である。
また、このタイプの樹脂に推奨される通常の作用pH範囲は、6〜8であり、ここでカルボキシル基は、完全に脱プロトン化(すなわちイオン化)される。6より低いpH値で作業する場合、WCXが容量の喪失に苦しむ可能性がある。充填された樹脂1リットル当り38〜54gの高い結合能がそれらの研究において報告されている[31]が、この結果は、タンパク質特異的である可能性が高く、それは、それらの研究において示された分離効率が当該特定の抗体にのみ特異的であるという論文中での彼らの最後のメッセージと一致する。6より高いpHについてさらなる分離例が示されておらず、他の抗体が研究において使用されていないという事実によって、他のmAbの分離に対するこの方法の適用可能性が疑わしくなる。
いくつかの特許[34〜36]は、mAb変化体分離のためのCEXおよび混合モードクロマトグラフィー(MMC)の使用をクレームしており、それは、酸性、塩基性、脱アミド化またはグリコール変化体のmAbからのクリアランスを含むが、それに限定されない。それにもかかわらず、これらの特許請求の範囲[34〜36]において、塩濃度またはpH値の変化を伴う一勾配溶離および段階溶離が、一度に1回適用された。さらに、供給物は、比較的「純粋」である産物であるmAb[34〜36]以外の電荷変化体−酸性変化体の1つのタイプのみを含んでいた。
解決すべき課題
したがって、本発明の目的は、記載した問題および欠点を解消し、特にタンパク質がペプチドを含むこと、および特にタンパク質がmAb、任意のmAbまたは他のタンパク質イソ型、電荷変化体、mAb断片、mAb付加物、二重特異性mAb、抗体構築物から部分的に誘導される任意のタンパク質、例えばFab、mAbの他のタンパク質またはより小さな分子、例えばADCとの組み合わせを含むことを考慮した、イオン交換クロマトグラフィーの使用による前記タンパク質の分離および精製のための改善された方法を提供することにある。これは、本発明の目的はまた、可能な限り高い純度において所望の生成物を分離するために、これらのタンパク質生成物を分離することを意味する。
図1(Fig.1)に、mAb A電荷変化体の分離のための種々の勾配溶離タイプのスクリーニングを示す。 図2(Fig.2)において、左の列は、上から下に、図1(A)、(B)、および(D)に示し、記載したそれぞれの分取クロマトグラフィー試行を示す(破線:導電率(cond.)、点線:pH)。 図3a〜3d(Fig.3a 3d):左の列は、種々の標的負荷を使用した、反対のpH−塩複合勾配pH5〜10.5、0.15〜0MのNaCl(A、C、F、G)、線形pH勾配、pH5〜10.5、0.053mmolのNa(B、D)、およびEshmuno (登録商標)CPXにおける塩pH5〜10.5、0.15MのNaCl(E)を有する線形pH勾配のそれぞれの分取クロマトグラフィー試行を示す。 図3a〜3d(Fig.3a 3d):左の列は、種々の標的負荷を使用した、反対のpH−塩複合勾配pH5〜10.5、0.15〜0MのNaCl(A、C、F、G)、線形pH勾配、pH5〜10.5、0.053mmolのNa(B、D)、およびEshmuno (登録商標)CPXにおける塩pH5〜10.5、0.15MのNaCl(E)を有する線形pH勾配のそれぞれの分取クロマトグラフィー試行を示す。 図3a〜3d(Fig.3a 3d):左の列は、種々の標的負荷を使用した、反対のpH−塩複合勾配pH5〜10.5、0.15〜0MのNaCl(A、C、F、G)、線形pH勾配、pH5〜10.5、0.053mmolのNa(B、D)、およびEshmuno (登録商標)CPXにおける塩pH5〜10.5、0.15MのNaCl(E)を有する線形pH勾配のそれぞれの分取クロマトグラフィー試行を示す。 図3a〜3d(Fig.3a 3d):左の列は、種々の標的負荷を使用した、反対のpH−塩複合勾配pH5〜10.5、0.15〜0MのNaCl(A、C、F、G)、線形pH勾配、pH5〜10.5、0.053mmolのNa(B、D)、およびEshmuno (登録商標)CPXにおける塩pH5〜10.5、0.15MのNaCl(E)を有する線形pH勾配のそれぞれの分取クロマトグラフィー試行を示す。 図4:(Fig.4)左の列は、Eshmuno(登録商標)CPX上でのステップ溶離を用いた多重生成物分離を示す。中央および右側の列は、左側における分取クロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのHPLC分析である。 図5:(Fig.5)左の列は、Eshmuno(登録商標)CPX上の3つの直線勾配溶離タイプのそれぞれの分取クロマトグラフィー試行を示す。右の列は、左側におけるそれぞれの分取クロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのCEX−HPLC分析を示す。 図6:(Fig.6)左の列は、5%ブレークスルー(DBC5%)を使用した、Eshmuno(登録商標)CPX上での、線形塩勾配溶離0〜0.25MのNaCl、pH5、線形pH勾配溶離pH5〜9.5、0MのNaCl、および反対のpH塩複合勾配pH5〜9.5、0.05〜0MのNaClのそれぞれの分取クロマトグラフィー試行を示す。右の列は、左側におけるそれぞれの分取クロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのCEX−HPLC分析を示す。 図7a〜7c:(Fig.7a〜7c)図6に示すそれぞれの勾配タイプの溶離したピークにおける個々の電荷変化体の合計百分率。 図7a〜7c:(Fig.7a〜7c)図6に示すそれぞれの勾配タイプの溶離したピークにおける個々の電荷変化体の合計百分率。 図7a〜7c:(Fig.7a〜7c)図6に示すそれぞれの勾配タイプの溶離したピークにおける個々の電荷変化体の合計百分率。 図8(Fig.8):図6における反対のpH−塩複合勾配の肩ピーク5〜7からプールした電荷変化体E、F、GおよびHを含有する供給物の再クロマトグラフィー。左の列は、Eshmuno(登録商標)CPX上での、線形pH勾配溶離pH5〜9.5、0MのNaClおよび反対のpH−塩複合勾配pH5〜9.5、0.05〜0MのNaCl/0.10〜0MのNaCl(上から下へ)のそれぞれの分取クロマトグラフィー的試行を示す。右の列は、左側におけるそれぞれの分取クロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのCEX−HPLC分析を示す。 図9(Fig.9):左の列は、Eshmuno(登録商標)CPX上での、線形pH勾配溶離pH5〜9.5、0MのNaClおよび反対のpH−塩複合勾配pH5〜9.5、0.05〜0MのNaClのそれぞれの分取クロマトグラフィー的試行を示す。右の列は、左側におけるそれぞれの分取クロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのSE−HPLC分析を示す。 図10(Fig.10):左の列は、Eshmuno(登録商標)CPX上での、30mg/mLの充填された樹脂の負荷を用いた、線形pH勾配溶離pH5〜9.5、0MのNaClおよび反対のpH−塩複合勾配pH5〜9.5、0.05〜0MのNaClのそれぞれの分取クロマトグラフィー的試行を示す。右の列は、左側におけるそれぞれの分取クロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのSE−HPLC分析を示す。 図11:(Fig.11)左の列は、Eshmuno(登録商標)CPX上でのステップ溶離を用いた多生成物分離を示す。中央および右の列は、左側におけるそれぞれのクロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのHPLC分析である。 図12:(Fig.12)左の列は、Capto(登録商標)MMC上での線形pH勾配溶離pH5〜9.5、0MのNaClおよび反対のpH−塩複合勾配pH5〜9.5、0.05〜0MのNaClのそれぞれの分取クロマトグラフィー的試行を示す。右の列は、左側におけるそれぞれのクロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのSE−HPLC分析を示す。
発明の概要
本発明は、したがって、タンパク質をタンパク質の混合物から精製する方法であって、
a)少なくとも2種の異なるタンパク質を含む試料を提供すること、
b)この混合物を、≧5mg/ml、特に≧30mg/ml、特に≧60mg/mlの全タンパク質負荷を有するイオン交換物質に適用すること、
c)反対のpH−塩勾配を上昇するpHおよび下降する塩濃度によって流して、タンパク質を分離するか、または逆に下降するpH勾配および上昇する塩濃度を流すか、または上昇するpH勾配を流すか、または下降するpH勾配を流すこと、
d)c)からの分離データを用いて、タンパク質分離のためのステップ溶離プロフィールを定義すること、
ならびに
e)タンパク質を段階的溶離において分離すること、
による、前記方法に関する。
本発明において、タンパク質の分離をまた、ステップd)において勾配溶離において行うことができる。
したがって、本発明において、タンパク質の混合物を、したがってイオン交換物質に吸着または結合させ、再び溶離させる。分離すべきタンパク質の混合物の特性に依存して、精製のための方法を、陽イオン交換物質、陰イオン交換物質または混合モードクロマトグラフィー物質を用いて行ってもよい。
本発明の分離方法を、少なくとも2種の緩衝液の緩衝系を適用することによってpH勾配を誘発することによって処理することができ、これによりタンパク質の必要な吸着または結合が、1種の緩衝液の存在下で起こり、溶離が、他の緩衝溶液の増加する濃度の存在下で起こり、一方でpHは上昇し、塩濃度は同時に下降するか、またはもう一方の方法は、pHは下降し、塩濃度は同時に上昇する。pH勾配を誘発するのに適した緩衝系は、MES、MOPS、CHAPSなどおよび塩化ナトリウムを用いた導電率変化系を使用する。本発明の改変形態において、pH勾配を誘発するこれらの緩衝溶液の適用を、そうでなければ不変の系または一定の、もしくは徐々に変化する塩濃度を有する系と組み合わせることができる。
良好な分離結果は、c)においてpHを4〜10.5の範囲において変化させ、塩濃度を0〜1M塩の範囲において変化させる場合に見出される。
分離結果は、pH勾配をpH5〜9.5に調整した緩衝系を適用することによって誘発する場合、および塩勾配を0〜0.25Mの濃度範囲において誘発する場合に特に良好である。
前述の本発明による方法は、pH勾配によって特徴づけられ、それは、少なくとも2種の緩衝溶液の緩衝系を適用することによって、および第1の緩衝液の存在下でのタンパク質の吸着または結合によって、および増加する濃度の別の緩衝溶液の存在下での溶離によって誘発され、一方pH値は下降し、塩濃度は同時に上昇する。
特にモノクローナル抗体(mAB)を、本発明による方法においてタンパク質混合物から分離する。それらを、その関連する電荷変化体、グリコシル化変化体、および/または可溶性サイズ変化体、二量体および凝集体、モノマー、2/3断片、3/4断片、一般的な断片、抗原結合断片(Fab)およびFc断片から分離し、精製する。
要約すると、本発明は、タンパク質、例えばモノクローナル抗体を、イオン交換クロマトグラフィーにおいて反対のpH−塩勾配を使用し、精製スキーム、例えばイオン交換クロマトグラフィーにおけるステップ溶離精製を利用することによって分離するプロセスを指す。精製スキームは、最良の操作条件を同定するために反対のpH−塩勾配を利用して開発される。結果として、改善されたタンパク質分離効率化が可能となり、所望のタンパク質の段階的溶離が最適化された条件で可能となる。
発明の詳細な説明
本明細書中に開示する発明は、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)における反対のpH−塩複合勾配溶離に関する。より詳細には、本発明は、モノクローナル抗体(mAb)の、その関連する電荷変化体(例えば酸性および塩基性モノマー)、グリコシル化変化体、ならびに/または可溶性サイズ変化体(例えば凝集体、モノマー、2/3−断片、抗原結合断片(Fab)、および結晶化可能断片(Fc))からの分取分離のための下降する塩勾配と組み合わせた上昇するpH勾配の適用に関する。
先に記載した特許文献[34〜36]においてクレームされている塩またはpH変化を用いたモノ勾配溶離およびステップ溶離とは異なり、本発明において、下降する塩勾配と組み合わせた上昇するpH勾配から構成される反対のpH−塩複合勾配を、mAb変化体、例えば電荷変化体、グリコシル化変化体、2/3断片、Fab、Fcおよび生成物からの凝集体の分離のためIEC、好ましくはCEX、および最も好ましくSCXにおいて使用する。
これらの特許文献[34〜36]に開示されている比較的「純粋な」供給物(1種の電荷変異型のみ)の使用とは対照的に、本発明の供給物は、1種より多い電荷変異タイプを含んでもよい。
したがって、分離すべきタンパク質物質を含む生物学的溶液を、最初に適切な緩衝液と混合する。次に、受けた混合物を、イオン交換クロマトグラフィーカラムに供給し、荷電基およびタンパク質、ペプチドまたは断片、凝集体、イソ型およびそれらの変化体を、強力なカチオン交換(SCX)固定相に強く結合させる。検体を回収するために、樹脂を、次にこのイオン相互作用を中和する溶媒で洗浄する。中和洗浄および溶離を、好適な緩衝溶液の混合物で行う。
最も好ましい好適な生物学的緩衝液を、4,5〜10,5の範囲内のpHを提供するものから選択する。適切な緩衝液は、既に上で述べた。好適な緩衝液の数をまた、http://www.hsbt.com.tw/pdf/Biological%20Buffers.pdfの下でインターネット上で見出すことができる。好適な緩衝液としては、好ましくは、MES、MOPS、CHAPS、HEPESとして知られている緩衝液が挙げられる。しかし、それらが所望の分離生成物と、または分離物質との干渉反応または相互作用を示さない限り、使用することができるさらなる緩衝液または緩衝溶液もまたある。
高い負荷でのpH勾配分離が、低い出発pH値によって特に強い陽イオン交換樹脂での高いタンパク質結合能力が可能になるので、可能である。MAbは、修飾、例えばシアリル化、脱アミド化およびC末端リジン切断などのために高度に不均一であり得る。
塩勾配陽イオン交換クロマトグラフィーは、mAb電荷変化体を特徴づけるのにある程度成功して使用されている。しかしながら、追加的な努力が、個々のmAbについての塩勾配法を調整するためにしばしば必要とされる。急速な薬物開発環境において、より汎用的なプラットフォーム方法は、大半のmAb分析に対応するために所望される。
2009年、FarnanおよびMorenoは、pH勾配イオン交換クロマトグラフィーを用いてmAb電荷変化体を分離する方法を報告した。pH勾配を発生させるために用いた緩衝液は、ピペラジン、イミダゾールおよびトリスからなり、5〜9.5のpH範囲を網羅していた。良好な分離が観察された一方、pH上昇の勾配は、最初は浅く、最後にかけて急峻であった[15]。
ここで、独自の実験を通して、プロテインA、mAbおよび対応するイソ型の改善された精製が、陽イオン交換クロマトグラフィーのための塩勾配法と組み合わせた新規なpH勾配法において可能であることが、見出された。いくつかの緩衝種を、緩衝液配合のために選択し、緩衝液のpHを、水酸化ナトリウムで調整した。この方法は、多成分緩衝系を特徴とし、直線勾配が低pH緩衝液(約5のpH)の100%溶離液から高pH緩衝液(約9.5〜10.5のpH)の100%溶離液まで実行される。各緩衝液種の濃度を、直線的な上昇または低下pH溶離プロファイルを達成するように調整する。好適な緩衝液組成物を、以下の例に開示する。
これに加えて、提供した例はまた、強い陽イオン交換樹脂を用いるより良好な分離のために、線形の上昇するpH勾配法を下降する線形塩勾配法といかにして組み合わせるかを示す。線形pH勾配が達成されたことを確認するために、簡単なオンラインpH計を使用することができる。異なる緩衝液を、異なる容器中に提供し、それをカラム中に供給し、したがって所望のpHをカラムにおいて設定することができる。しかし、容器からの適切な量の異なる緩衝溶液を一緒に混合し、混合した緩衝液を上昇するpHでカラム中への分離の過程で導入することがまた、可能である。緩衝溶液のこの予備混合は、pH値を分離カラムにおいて調整してはならず、イオン交換体に結合したタンパク質混合物を均一に変化するpHに供するという利点を有する。
標的mAbのおおよそのpH溶離範囲が最初の操作において確立されると、分離のさらなる最適化を、より浅いpH勾配をより狭いpH範囲において実行することによって単純に達成することができる。
強い陽イオン交換クロマトグラフィー(SCX)を使用するので、固定相からの緩衝効果の干渉はない。強い陽イオン交換(SCX)固定相は、通常粒子状またはモノリシックな物質から構成され、それは、水溶液中に負に荷電した基を含む。これらの荷電した基とタンパク質、ペプチドまたは断片、凝集体またはイソ型およびそれらの変化体との間の相互作用の結果、これらの塩基性分析物の強固な結合がもたらされる。一般的に、前記SCX材料は、スルホプロピル、スルホイソブチル、スルホエチルまたはスルホメチル基を保有する。
かかる固定相についての例は、交換材料、例えばEshmuno(登録商標)CPS、Eshmuno(登録商標)CPXまたはSP Fast Flow Sepharose(登録商標)、Eshmuno(登録商標)S Resin、Fractogel(登録商標)SO3(M)、Fractogel SE Hicap (M)、SP Cellthru BigBead Plus(登録商標)、Streamline(登録商標)SP XL、SP Sepharose(登録商標)Big Beads、Toyopearl(登録商標)M-Cap II SP-550EC、SP Sephadex(登録商標)A-25、Express-Ion(登録商標)S、Toyopearl(登録商標)SP-550C、Toyopearl(登録商標)SP-650C、Source(登録商標)30S、Poros(登録商標)50 HS、Poros(登録商標)50 XS、
SP Sepharose(登録商標)Fast Flow、SP Sepharose(登録商標)XL、Capto(登録商標)S、Capto(登録商標)SP ImRes、Capto(登録商標)S ImpAct、Nuvia(登録商標)HR-S、Cellufine(登録商標)MAX S-r、Cellufine(登録商標)MAX S-h、Nuvia(登録商標)S、UNOsphere(登録商標)S、UNOsphere(登録商標)Rapid S、Toyopearl(登録商標)Giga-Cap S-650 (M)、S HyperCel Sorbent(登録商標)、Toyopearl(登録商標)SP-650M、Macro-Prep(登録商標)High S、Macro-Prep(登録商標)CM、S Ceramic HyperD(登録商標)F、MacroCap(登録商標)SP、Capto(登録商標)SP ImpRes、Toyopearl(登録商標)SP-650S、SP Sepharose(登録商標)High Perform、Capto(登録商標)MMC、Capto(登録商標)MMC Imp Res、Eshmuno(登録商標)HCX、Nuvia(登録商標)High c-Primeまたは他のものである。
本発明による分離プロセスに適したSCX材料は、>30μm、好ましくは≧40μm、特に好ましくは50〜100μmの範囲内の平均粒子直径を有する粒状材料である。
好適な陽イオン交換(SCX)固定相および緩衝系を、タンパク質のpIに依存して選択すべきである。これは、非共有イオン相互作用を介してイオン交換樹脂に結合したタンパク質を溶離させるために、イオン相互作用を競合塩との相互作用によって、または中和によって弱めなければならないことを意味する。
あるいはまた、ならびにタンパク質の操作条件およびPIから依存して、また弱い陽イオン交換樹脂、例えばFractogel(登録商標)EMD COO (M)、CM Sepharose(登録商標)HP、CM Sepharose(登録商標)FF、Toyopearl(登録商標)AF Carboxy 650-M、Macro-Prep(登録商標)CM、Toyopearl(登録商標)GigaCap CM、CM Ceramic Hyper(登録商標)D、またはBio-Rex(登録商標)70を、用いてもよい。
タンパク質のpIから依存して、陰イオン交換樹脂(SAX)を、使用してもよい。強いアニオン交換樹脂の例は、Fractogel(登録商標)EMD TMAE (M)、Fractogel(登録商標)EMD TMAE Medcap (M)、Fractogel(登録商標)EMD TMAE Hicap (M)、Eshmuno(登録商標)Q、Eshmuno(登録商標)QPX、Eshmuno(登録商標)QPX Hicap、Capto Q、Capto Q ImpRes、Q Sepharose(登録商標)FF、Q Sepharose(登録商標)HP、Q Sepharose(登録商標)XL、Source(登録商標)30Q、Capto(登録商標)Adhere、Capto(登録商標)Adhere ImpRes、POROS(登録商標)50 HQ、POROS(登録商標)50 XQ、POROS(登録商標)50 PI、Q HyperCel、Toyopearl(登録商標)GigaCap Q 650-M、Toyopearl(登録商標)GigaCap Q 650-S、Toyopearl(登録商標)Super Q、YMC(登録商標)BioPro Q、Macro-Prep(登録商標)High Q、Nuvia(登録商標)QまたはUNOsphere(登録商標)Qである。
あるいはまた、およびタンパク質の操作条件およびpIから依存して、またジメチルアミノエチル(DMAE)官能性のジエチルアミノエチル(DEAE)を担持する弱い陰イオン交換樹脂を、使用してもよい。例は、Fractogel(登録商標)EMD DEAE、Fractogel(登録商標)EMD DMAE、Capto(登録商標)DEAEまたはDEAE Ceramic HyperD(登録商標)Fである。
ここで、既に上述したように、予期せぬことに、タンパク質、ペプチドまたは断片、凝集体、イソ型および変化体を含む混合物の生体液からの分離を、反対のpH−塩複合勾配を実行することによって優れた結果で行うことができることが見出され、これは、上昇するpHおよび同時に下降する塩濃度、またはその逆によって、タンパク質を分離することを意味する。勾配溶離は、pHの変化を伴う溶離緩衝液における塩濃度の円滑な移行、ここでは主に高い塩濃度から低い塩濃度、を指す。この分離プロセスのための適切な条件を発生させるために、両方の緩衝溶液を、好適な塩濃度と混合する。
反対のpH−塩複合勾配のこれらの条件によって、複数の連続的な画分を改善された解像度において分離し、溶離条件、pHおよび塩濃度は、直線的様式において調整しながら、それらを採集することが可能になる。反対のpH−塩直線勾配は、イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーのための最も高い解像度を提供し、多数の連続的画分が採集され得る。
本発明による分離を行うために、高い塩濃度を、好ましくは低いpHを有する緩衝溶液に加える。高いpHの緩衝溶液を、好ましくは塩を加えずに使用する。得られた2種の緩衝溶液を徐々に一緒に混合し、混合後に分離カラム中に直接徐々に導入する場合、溶離溶液のpHは時間と共に上昇し、一方塩濃度は同時に減少する。
一般に、NaClは、異なるタンパク質画分の結合および溶離プロセスを行うのに有用な塩であり、なぜならNaCl濃度を変化させることは、イオン交換体に結合したタンパク質の荷電基の結合強度に影響する変化する導電率と組み合わされるからである。
分離のための反対のpH−塩複合勾配の適切な条件の後、タンパク質性混合物が確立され、異なるタンパク質画分の個々のピークを、混合物から分離が起こる最適条件に割り当てることができる。これらの条件を、各所望のタンパク質画分の段階的溶離のために使用することができる。以下の例において、この原理の適用を示す。
以下に、少なくとも3種の生成物電荷変化体および少なくとも3種の生成物サイズ変化体の分離を行う実験を、例示する。前に列挙したこれらの変化体が本発明において単一クロマトグラフィー操作においてうまく解決されることが、見出されている。
この驚くべき分離結果を、単純な緩衝系を両性高分子電解質緩衝液の代わりに用いて4,5〜10.5の広いpH範囲を網羅する場合に、および塩化ナトリウムを使用して塩勾配を誘発する場合に達成することができる。反対のpH−塩複合勾配を、異なるpH値および塩化ナトリウム濃度(すなわち低いpHおよび高い塩濃度を有するA;高いpHおよび低い塩濃度を有するB)を有する2種の緩衝液(すなわちAおよびB)をカラム入口で外部的に混合し、それが次にカラムを移動することによって発生させる。
実験によって、低い負荷および極めて高い負荷の両方で、良好な分離を、プロセスを相応に制御する場合に様々なタンパク質で達成することができることが、示された。極めて高い負荷で達成される結果は、一般的に早期のブレークスルーがあり、タンパク質の適切な分離が不可能であるため、特に説得力がある。
例示的な多重生成物分離の例を、低い負荷(≒1mg/mLの充填した樹脂)、高い負荷(≧30mg/mL)、および極めて高い負荷(≧60mg/mL)で様々なmAbイソタンパク質を含有する3種の異なる供給物について示す。分離のために、異なる勾配タイプ、例えば塩勾配、pH勾配、平行pH−塩複合勾配、および反対のpH−塩複合勾配を、試験した。低い負荷での結果は、塩勾配がサイズ変化体分離(すなわち凝集体およびモノマー)の分離に適しており、一方pH勾配は、電荷変化体分離(すなわち酸性、中性および塩基性モノマー)に適していることを示した。驚くべきことに、サイズおよび電荷変化体の両方のための最良の分離は、反対のpH−塩複合勾配系において達成される。
これらの実験の他の驚くべき結果は、≧30mg/mLのタンパク質負荷を有するより高い負荷によって良好な分離が調製規模において分離効率の損失を受けずに可能になることであった。
多数の実験の結果は、上昇するpH勾配を下降する塩勾配と共に使用し、したがってタンパク質変化体が線形pH勾配におけるフォーカシング効果のみならず、同時にまた減少する塩濃度によるタンパク質移動速度の遅延を経験し、それによって向上した解像度がもたらされることを示唆する。また、Zhou et al.[31]は、酢酸ナトリウムを唯一の緩衝成分として利用し、彼らは、同時に同一の塩を上昇した濃度で使用して、上昇する導電率勾配を発生させた。したがって、彼らは、1種のみの塩タイプを使用して、並行して上昇するpHおよび導電率勾配を付随して発生させた。酢酸塩のpKaのために、このタイプの緩衝系を使用して発生したpH勾配は、4.8〜6.2のpH範囲に限定されるに過ぎない[29、31]。
これとは対照的に、本実験は、有利な結果が、移動相がMES、MOPS、CHAPSなどを用いた緩衝系および塩化ナトリウムを用いた導電率変化系から構成されている場合に達成されることを示す。したがって、本発明の核心は、Zhou et al.[31]によって示唆されているものと匹敵しない。本発明の複合勾配系は、4.5〜10.5の広いpH範囲を網羅する共通緩衝系を利用する。これによって、酸性、中性または塩基性pI値を有する広範囲のmAbの分離のための利点が提供される。SCXを使用するので、4,5〜10.5のpH範囲におけるカルボキシルリガンドを有するWCXと比較して、固定相からの緩衝効果の干渉はない。緩衝系がヒドロキシルイオンを利用し、移動相において酸性pH値を達成するマンニトールのシス−ジオール基とホウ酸塩との反応において遊離されるKaltenbrunner et al.[30]によって記載されているpH−塩複合系と比較して、単純な緩衝系を適用する本発明の系は、基本的に異なる。
本発明の特定の利点は、ホウ酸塩緩衝液での場合におけるように移動相中の緩衝成分とタンパク質との間に非特異的結合がないことである。DSPにおいて、高い動的結合能力が、常に好ましい。一方、低い導電率を有する生成物プールもまた、溶離液を所要に応じて次のIEC上に直接負荷させることができ、これにより中間体希釈または脱塩工程についての必要性を軽減することができるように望ましい。本明細書中に開示する反対の複合pH−塩勾配系は、数種の塩を出発緩衝溶液中に加え、より低い濃度での溶離が下降する塩勾配に伴って可能になる場合に、動的結合能力(DBC)が増加することが見出されているので、これらの目的を極めて良好に果たす。
しかし、タンパク質変化体間の良好な分離は、上昇するpH勾配のクロマト分画効果によって促進される。および大事なことを言い忘れていたが、本明細書中に開示した方法が、分離効率の損失を受けずにタンパク質負荷≧30mg/mLを有する分取スケールにおけるmAb変化体分離に適していることを、述べなければならない。これに加えて、勾配溶離を用いた分離プロセスを、同様の緩衝系を用いる段階溶離に直接移行させることができる。さらに、高いタンパク質負荷によって、本発明の有用性がさらに強化される。
種々の実験が行われており、それから例の選択を、以下に開示する。これらの例は、クレームした方法がいかにして変化して行われ得るかを示す。プロセスパラメータを簡単に調整することにより、分離が一般的に困難である異なるタンパク質画分を分離し、精製することが、可能である。したがって、pH勾配をより小さく変化させるか、または塩濃度を数ミリモルのみ変化させることが、可能である。
別の変形は、クロマトグラフィー材料を選択することにある。一般に、陽イオン交換物質、例えばEshmuno(登録商標)CPXが適しているが、所望の分離に応じて、陰イオン交換物質または混合モードクロマトグラフィー物質(MMC)を使用することがまた、可能である。混合モードクロマトグラフィー材料は、イオン相互作用、水素結合および/または疎水性相互作用の組み合わせによるタンパク質吸着を可能にする多様な官能性のリガンドを含む。好適な混合モード分離材料は、Eshmuno(登録商標)HCXである。したがって、また異なるイオン交換材料の使用の結果、異なるタンパク質画分の特徴的な分離がもたらされる。
タンパク質分離および精製のための好適な陰イオン交換材料は、商業的に入手でき、例えばSepharose Q (商標) FF (Amersham-Biosciences/Pharmacia)、Capto(登録商標)Q ImpRes、DEAE Sepharose(登録商標)Fast Flow、Q Sepharose Fast Flow、(GE-Healthcare)、Fractogel(登録商標)EMD DEAE(M)、Fractogel(登録商標)EMD TMAE(M)、Eshmuno(登録商標)Q (Merck KGaA)、Econo-Pac(登録商標)(Bio-Rad)、Ceramic HyperDまたは他のものである。
タンパク質混合物および含まれる不純物に依存して、別のイオン交換体によって、最良の分離結果がもたらされ得る。
本説明によって、当業者が本発明を包括的に適用することが可能になる。さらなるコメントがなくても、当業者が上記の説明を最も広い範囲において利用することができることが、考えられる。
実行者は、常習的な実験的作業で、本明細書の教示を使用して、上記で定義したタンパク質を、精製スキーム、例えば最良の操作条件を同定するために反対のpH−塩勾配を利用して開発されたイオン交換クロマトグラフィーにおける段階溶離精製を利用する新たなプロセスにおいて効率的に分離することができる。
尚不明なことがあれば、引用した刊行物および特許文献を参考にすべきであることが、理解される。したがって、これらの文書を、本記載の開示内容の一部とみなす。
本発明をより良好に理解し、例示するために、例を以下に示し、それは本発明の保護の範囲内にある。これらの例はまた、可能な変形を例示するのに役立つ。記載した本発明の原理の一般的な妥当性のために、しかしながら、当該例は、本出願の保護の範囲をこれらのみに減少させるのに適していない。
さらに、示した例およびまた記載の残りの両方において、組成物中に存在する構成成分の量は、常に加えられて全体としての組成に基づいて100重量%またはmol%であるに過ぎず、より高い値が示した百分率範囲から生じ得る場合であってもこれを超過し得ないことは、当業者には言うまでもない。他に示さない限り、%データは重量%またはmol%であり、比は例外であり、それを体積データにおいて示し、例えば溶離液、その調製のために一定の体積比における溶媒を、混合物において用いる。
例および説明ならびに特許請求の範囲において示す温度は、常に℃においてである。
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例1
IECを用いたmAb A電荷変化体の分取分離
分取クロマトグラフィー試行を、以下のように行う:
機器:AEKTApurifier 100
カラム:Eshmuno (登録商標)CPX、Merck Millipore、平均粒径50μm、イオン容量60μmol/mL、カラム寸法8 i.d. ×50mm(2.5mL)
供給物:MAbポストプロテインAプール
移動相
(A)直線塩勾配のための緩衝液は、10mMのMESからなった。緩衝液Aは、NaClを含まない。緩衝液Bは、1MのNaClを含む。両方の緩衝液のpHを、NaOHでpH6.5に調整した。
(B)線形pH勾配のための緩衝液は、12mMの酢酸、10mMのMES、6mMのMOPS、4mMのHEPES、8mMのTAPS、8mMのCHES、11μMのCAPS、53mMのNaOHからなった。図面の説明において述べない限り、NaClを、緩衝液AおよびB中に加えない。緩衝液Aを、HClでpH5に調整する。pH調整は、緩衝液Bについて必要でなかった(pH=10.5)。
(C)下降するpHおよび上昇する塩勾配を有する反対のpH−塩複合勾配のための緩衝液は、12mMの酢酸、12mMの酢酸、10mMのMES、6mMのMOPS、4mMのHEPESからなった。緩衝液Aは、NaClがなく、pHを、NaOHで8に調整した。緩衝液Bは、200mMのNaClを有し、pHを、NaOHで5に調整した。
(D)上昇するpHおよび下降する塩勾配を有する反対のpH−塩複合勾配のための緩衝液は、12mMの酢酸、12mMの酢酸、10mMのMES、6mMのMOPS、4mMのHEPES、8mMのTAPS、8mMのCHES、11mMのCAPSからなった。緩衝液Aは、150mMのNaClを有し、pHを、NaOHで5に調整した。緩衝液Bは、NaClがなく、pHを、NaOHで10.5に調整した。
(E)上昇するpHおよび上昇する塩勾配を有する平行pH−塩複合勾配のための緩衝液は、12mMの酢酸、10mMのMES、6mMのMOPS、4mMのHEPESからなった。緩衝液Aは、NaClがなく、pHを、NaOHで5に調整した。緩衝液Bは、200mMのNaClを有し、pHを、NaOHで8に調整した。
直線勾配溶離
勾配傾斜:60CV(2.5mL/CV)、他の点を、図面の説明において述べる
流量:1mL/分(=119cm/h)
タンパク質負荷:1mg/mL、他の点を、図面の説明において述べる
クリーニング・イン・プレース(CIP):0.5MのNaOH(3〜5CV)
段階溶離
流量:1mL/分(=119cm/h)を用いて、タンパク質を結合した;3mL/分(=358cm/h)を用いて、タンパク質を溶離させた
タンパク質負荷:30mg/mL
クリーニング・イン・プレース(CIP):0.5MのNaOH(3〜5CV)
(D)において述べた緩衝液AおよびB(移動相を参照)を、用いる。ゼロ%の緩衝液Bを、タンパク質結合のために使用する。タンパク質溶離のために、種々のステップを、緩衝液AおよびBを種々の濃度で以下のように混合することによって発生させる:
分析を、以下のように行う。
機器:AEKTAmicro
サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE−HPLC)を、BioSep(商標)-SEC-s3000, Phenomenex、カラム寸法7.8i.d.×300mm、粒径5μmを使用して行う。使用する緩衝液は、50mMのNaHPOおよび300mMのNaCl、pH7からなる。1mL/分の流量でのアイソクラチック溶離を、用いる。注入量を、40μLから100μLまで変化させる。
陽イオン交換高速液体クロマトグラフィー(CEX−HPLC)を、YMC BioPro Sp-F, YMC Co. Ltd.、カラム寸法4.6id×50mm、粒径5μmを用いて行った。前に(B)において記載した緩衝液を、使用する。0.7mL/分の流量で8.75CVの勾配長さにおいて50%〜85%の緩衝液Bからの勾配溶離を、使用した。注入量を、40μLから100μLまで変化させる。
結果
以下のデータを収集して、mAb A電荷変化体を分離する際の種々の勾配タイプの効率を、CEXを用いて比較する。
図1(Fig.1)に、mAb A電荷変化体の分離のための種々の勾配溶離タイプのスクリーニングを示す。(A)線形塩勾配溶離:0〜1MのNaCl、pH6.5、(B)線形pH勾配溶離:pH5〜10.5、0.053MのNa、(C)下降するpHおよび上昇する塩勾配を有する反対のpH−塩複合勾配溶離:pH8〜5、0〜1MのNaCl、(D)上昇するpHおよび下降する塩勾配を有する反対のpH−塩複合勾配溶離:pH5〜10.5、0.15〜0MのNaCl、(E)上昇するpHおよび上昇する塩勾配を有する並行するpH−塩複合勾配溶離:Eshmuno(登録商標)CPX上のpH5〜8、0〜0.2MのNaCl。水酸化ナトリウム(緩衝液のpH調整のために使用する)から由来する対イオンを、Naとして示し、一方塩化ナトリウムからのものを、NaClとして示す。
図1に示すすべての勾配溶離試行の中で、(D)における反対のpH−塩複合勾配は、6の分解ピークの最高の数を示し、一方他の2種の複合勾配(C)および(E)は、中程度に分解されたピーク(ピークの数−3)を示す。古典的な溶離法、例えば線形pH勾配(B)は、末端に肩を有する3つの高度に分解されたピークを示し、一方線形塩勾配は、2つのピークを示すに過ぎない。
以下のデータは、図1の勾配タイプ(A)、(B)および(D)においてプールされた画分の詳細なHPLC分析を示す。
図2(Fig.2)において、左の列は、上から下に、図1(A)、(B)、および(D)に示し、記載したそれぞれの分取クロマトグラフィー試行を示す(破線:導電率(cond.)、点線:pH)。中央および右側の列は、左側におけるそれぞれの分取クロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのHPLC分析である。Mono.−モノマー、Ag1、2および3−凝集体変化体1、2および3、AV−酸性電荷変化体、MP−主ピーク、BV−塩基性電荷変化体。水酸化ナトリウム(緩衝液のpH調整のために使用する)から由来する対イオンを、Naとして示し、一方塩化ナトリウムからのものを、NaClとして示す。
選択したすべての3つの勾配溶離タイプについて、凝集体をモノマーから分割することができることが、観察される(図2におけるSE−HPLCを参照)。図2における分取クロマトグラムによれば、線形塩勾配溶離により、モノマーピーク(ピーク番号1)からわずかにより良好な分割された凝集ピーク(ピーク番号2)が提供される。しかし、塩基性電荷変化体を除いて、電荷変化体の分離は、全くない(図2におけるCEX−HPLCを参照)。上昇するpHおよび下降する塩勾配を有する線形pH勾配および反対の(Opp.)pH−塩複合勾配は、主なピーク(MV)からの高度に分割された酸性(AV)および塩基性電荷変化体(BV)ピークを示す。電荷変化体分離に加えて、反対のpH−塩複合勾配はまた、3つの別個の凝集ピークを示し、それによって、このタイプの複合勾配の利点が例証される。
以下のデータは、反対のpH−塩複合勾配溶離および線形pH勾配の容量ならびに対応するイソタンパク質分離効率を比較する。
図3a〜3d(Fig.3a 3d):左の列は、種々の標的負荷を使用した、反対のpH−塩複合勾配pH5〜10.5、0.15〜0MのNaCl(A、C、F、G)、線形pH勾配、pH5〜10.5、0.053mmolのNa(B、D)、およびEshmuno (登録商標)CPXにおける塩pH5〜10.5、0.15MのNaCl(E)を有する線形pH勾配のそれぞれの分取クロマトグラフィー試行を示す。(A)〜(F)勾配傾きについて、60CVであり、一方(G)について、それは、276CVである。破線−導電率(cond.)、点線−pH。中央および右側の列は、左側におけるそれぞれの分取クロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのHPLC分析である。Mono.−モノマー、Ag1、2および3−凝集体変化体1、2および3、AV−酸性電荷変化体、MP−主ピーク、BV−塩基性電荷変化体。水酸化ナトリウム(緩衝液のpH調整のために使用する)から由来する対イオンを、Naとして示し、一方塩化ナトリウムからのものを、NaClとして示す。各試行についてのタンパク質回収率は、>90%である。
30mg/mLの充填した樹脂の標的負荷を使用する際に、タンパク質のブレークスルーが、線形pH勾配系について観察される(図3における(B)を参照)一方これは、反対のpH−塩複合勾配系については観察されない(図3における(A)を参照)。標的負荷が60mg/mLの充填樹脂に増加した際、タンパク質のブレークスルーは、線形pH勾配系について約80%(供給物についての100%UVシグナル≒1560mAU)に増加する(図3における(D)を参照)。60mg/mLの充填樹脂の同一の標的負荷で、反対のpH−塩複合勾配系において観察されるタンパク質のブレークスルーはないことに、留意すべきである。VR〜40および50mL(図3における(C)を参照)の間のピークが、試料注入が終了する際に(すなわちカラムを結合緩衝液で洗浄する際に)生じる。
動的結合能力(DBC)が上昇した塩濃度に伴い増加し得ることを確認するために、pH勾配溶離実験を、0.15M塩化ナトリウムを緩衝液AおよびBの両方中に加えることによって繰り返し、(E)における結果は、60mg/mLの充填樹脂の標的負荷をいかなるタンパク質もカラムを通過して流動せずに達成することを示す。それにもかかわらず、分離効率に関して、60mg/mL負荷で、反対のpH−塩複合勾配(図3における(C)のCEX−HPLCを参照)においてプールした画分は、0.15MのNaClを有するpH勾配のものと比較して、個々の変化体種のより高い純度を示す(図3における(E)のCEX−HPLCを参照)。また、主ピーク2および塩基性電荷変化体ピーク3は、反対のpH−塩複合勾配において、上昇した塩濃度でのpH勾配におけるよりも良好に分割される(図3における分取クロマトグラム(C)および(E)を比較されたい)。
反対のpH−塩複合勾配系について、5%ブレークスルーでの動的結合能力(DBC5%)は、約98mg/mLの充填樹脂であることが見出される(図3における(F)を参照)。異なる勾配傾斜間の分離効率を調査するために、同一のDBC5%実験を、極めて浅い勾配−276CVを用いて繰り返した(図3における(G)を参照)。浅い勾配における個々のピーク間のより高い分解能以外には、それぞれのプールの純度における顕著な改善は、より急峻な勾配と比較して観察されない(図3における(F)および(G)のCEX−HPLCを比較されたい。結合能力の有意な増加に加えて、反対のpH−塩複合勾配系はまた、酸性および塩基性電荷変化体の主ピークからの高い分割分離を支持する。古典的なpH勾配溶離と比較して、反対のpH−塩複合勾配系は、以下の利点を提供する:より高い結合能力(少なくとも2〜3倍)、生成物関連電荷変化体間のより良好な分離がない場合に匹敵、および生成物関連凝集種間の顕著な改善された分離。
150mMの反対のpH−塩における初期の塩濃度は、分取CEX樹脂について比較的高いことに、留意すべきである。より低い塩濃度(例えば50mMまたは100mM)を使用する場合、ピーク間の改善された分解能でより高い結合能力を達成することができることを予想することは、合理的である。
以下は、複合pH−塩勾配溶離から一連の段階的溶離中への、同一の緩衝系を用いた分離プロセスの移送を示す。
図4:(Fig.4)左の列は、Eshmuno(登録商標)CPX上でのステップ溶離を用いた多重生成物分離を示す。ピーク1および2は、第1ステップにおいて溶離し(46%緩衝液B)、ピーク3は、第2ステップにおいて溶離し(55%緩衝液B)、ピーク4は、第3ステップにおいて溶離し(70%緩衝液B)、ピーク5は、第4ステップにおいて溶離し(緩衝液B81%)、ピーク6は、第5ステップにおいて溶離し(緩衝液B89%)、ピーク7は、第6ステップにおいて溶離する(緩衝液B93%)。破線−導電率(cond.)、点線−pH。中央および右側の列は、左側における分取クロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのHPLC分析である。Mono.−モノマー、Ag1、2および3−凝集体変化体1、2および3、AV−酸性電荷変化体、MP−主ピーク、BV−塩基性電荷変化体。
図3の(A)における溶離プロフィールに基づいて、各変化体種が溶離する緩衝液Bのそれぞれの濃度を、同一の緩衝系を用いて一連の段階的溶離中に移す。図4において見られるように、個々の生成物変化体は、ステップ溶離を介して互いから極めて良好に分離される。良好な分離に加えて、それぞれのモノマー種(すなわちAV、MPおよびBV)の80%より大きい収率(図4のCEX−HPLCにおけるピーク下の面積による)が、ピーク1、2および3において達成される。
分離プロセスを勾配溶離からステップ溶離に移行させることの容易さにより、最小の経験的努力を用いて最短の時間において複数生成物分離のプロセス開発のための反対のpH−塩複合勾配の利点が強化される。
例2
IECを用いたmAbB電荷変化体の分取分離
分取クロマトグラフィー試行を、以下のように行う:
機器:AEKTApurifier 100
カラム:Eshmuno (登録商標)CPX、Merck Millipore、平均粒径50μm、イオン容量60μmol/mL、カラム寸法8 i.d. ×20mm(1mL)
供給物:MAbBモノマーポストプロテインAプール
移動相
(A)線形塩勾配について、緩衝液AおよびBは、20mMの酢酸からなる。緩衝液Bにおいて、250mMの塩化ナトリウムを加え、一方緩衝液Aには加えない。両方の緩衝液を、NaOHでpH5に調整した。
(B)線形pH勾配について、緩衝液Aは、12mMの酢酸、10mMのMES、および10mMのMOPSからなり、一方緩衝液Bは、6mMのMOPS、6mMのHEPES、10mMのTAPS、および9mMのCHESからなった。緩衝液AおよびBを、それぞれNaOHでpH5および9.5に調整する。
(C)上昇するpHおよび下降する塩勾配を有する反対のpH−塩複合勾配について、(A)と同一の緩衝液組成物を使用するが、ある量の塩化ナトリウム(50mMまたは100mM)を、緩衝液A中に加え、一方緩衝液Bには何も加えない。両方の緩衝液を、それぞれNaOHでpH5および9.5に調整した。
勾配傾斜:60CV(1mL/CV)、他の点を、図面の説明において述べる。
流量:1mL/分(=119cm/h)
タンパク質負荷:1mg/mL、他の点を、図面の説明において述べる
CIP:0.5MのNaOH(3〜5CV)
分析を、以下のように行う。
機器:AEKTAmicro
CEX−HPLCを、YMC BioPro Sp -F、YMC Co. Ltd.、カラム寸法4.6 id×50mm、粒径5μmを用いて行う。緩衝液は、10mMのMES、6mMのMOPS、4mMのHEPES、8mMのTAPS、8mMのCHESおよび31.8mMのNaOHからなっていた。緩衝液Aを、HClでpH6に調整する。緩衝液B(pH=9.5)については、pH調整は必要でない。15.76CVの勾配長において0.7mL/分の流量で、25%〜60%の緩衝液Bからの勾配溶離を、使用する。注入容積を、40μLから100μLまで変化させた。
結果:
以下のデータは、3つの異なる勾配溶離系のイソタンパク質分離効率を比較する:線形塩勾配溶離、線形pH勾配溶離、およびCEX上での反対のpH−塩複合勾配溶離。
図5:(Fig.5)左の列は、Eshmuno(登録商標)CPX上の3つの直線勾配溶離タイプのそれぞれの分取クロマトグラフィー試行を示す。破線−導電率(cond.)、点線−pH。右の列は、左側におけるそれぞれの分取クロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのCEX−HPLC分析を示す。CEX−HPLC分析におけるA〜Hは、種々のモノマー電荷変化体を示す。
図5における3つの異なる勾配タイプを比較することにより、線形塩勾配溶離は、1つの溶出ピークを示すに過ぎず、一方他の2つは、主ピークおよび肩を示す。これは、塩勾配がここで試験した3つの方法の中で最も効率の低い系であることを示す。pH勾配および複合勾配溶離について、特定の荷電変化体の除去を両方のセットアップにおいて達成することができるが、後者は、基本的な荷電変化体を含むより良好に分割された肩を示す。また、CEX−HPLC分析から、複合勾配中の肩ピーク3は、pH勾配(F、G、およびH)と比較して2種の基本的な荷電変化体(GおよびH)を含み、それは、従来のpH勾配溶離系と比較して複合勾配を使用するイソタンパク質のより良好な分離を示すことが、明らかである。
以下のデータは、線形pH勾配および反対のpH−塩複合勾配溶離の能力ならびに対応する電荷変化体分離効率を比較する。
図6:(Fig.6)左の列は、5%ブレークスルー(DBC5%)を使用した、Eshmuno(登録商標)CPX上での、線形塩勾配溶離0〜0.25MのNaCl、pH5、線形pH勾配溶離pH5〜9.5、0MのNaCl、および反対のpH塩複合勾配pH5〜9.5、0.05〜0MのNaClのそれぞれの分取クロマトグラフィー試行を示す。勾配傾斜−690CV。破線−導電率(cond.)、点線−pH。右の列は、左側におけるそれぞれの分取クロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのCEX−HPLC分析を示す。CEX−HPLC分析におけるA〜Hは、種々のモノマー電荷変化体を示す。毎回についてのタンパク質回収率は、>90%である。
図7a〜7c:(Fig.7a〜7c)図6に示すそれぞれの勾配タイプの溶離したピークにおける個々の電荷変化体の合計百分率。A〜Hは、勾配に沿って図6のCEX−HPLCにおいて示す個々の電荷変化体の最大値を示す。数字(1〜7)で標識した直線は、図6における画分プールが採取される位置を示す。
古典的な線形塩および線形pH勾配溶離(DBC5%≒53〜55mg/mLの充填樹脂)のDBCと比較して、mAbBのDBCは、上昇するpHおよび下降する塩勾配を有する反対のpH−塩複合勾配を使用する際には有意に高い(DBC5%≒71mg/mL充填樹脂)(図6を参照)。溶離勾配(図7を参照)に沿った電荷変化の変化によれば、線形塩勾配において、酸性電荷変化体(A、B、C、D)および塩基性電荷変化体(G、H)は、それぞれ勾配の開始時および勾配の終了時に上昇し、したがって電荷変化体の非効率的な分離がもたらされることが、観察される。反対に、これらの電荷変化体は、それぞれpH勾配および複合勾配に沿って均一に分布する。
複合勾配と比較してpH勾配に沿った電荷変化体のわずかに良好な分布は、より少ないタンパク質を、DBC5%に達する前にpH勾配緩衝液を用いてカラム上に負荷させることができるためであったことに、留意すべきである。例1(図3a〜3d(C)および(E)を参照)に示すように、複合勾配において使用したものと同様の量のタンパク質(すなわち充填樹脂あたり〜71mg/mL)をカラム上にpH勾配緩衝液を使用して高められた塩濃度で負荷させる場合、電荷変化体の分離は、複合勾配よりも劣悪になる。したがって、複合勾配がタンパク質のDBCを古典的なpH勾配法と比較してイソタンパク質分離効率の損失なしに改善すると結論付けることは、合理的である。
実験によって、電荷変化体分離を、より少ないかかる種を含む混合物を使用する場合に改善することができることが示される。したがって、図6における反対のpH−塩複合勾配の肩ピーク5〜7をプールし、組み合わせて、より少ない電荷変化体(E、F、GおよびH)を有する供給物を形成し、同様の実験的組立を用いて再クロマトグラフィー分離する。
以下のデータは、E、F、GおよびH電荷変化体を含む再クロマトグラフィー分離した供給物の結果を示す。
図8(Fig.8):図6における反対のpH−塩複合勾配の肩ピーク5〜7からプールした電荷変化体E、F、GおよびHを含有する供給物の再クロマトグラフィー。左の列は、Eshmuno(登録商標)CPX上での、線形pH勾配溶離pH5〜9.5、0MのNaClおよび反対のpH−塩複合勾配pH5〜9.5、0.05〜0MのNaCl/0.10〜0MのNaCl(上から下へ)のそれぞれの分取クロマトグラフィー的試行を示す。破線−導電率(cond.)、点線−pH。右の列は、左側におけるそれぞれの分取クロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのCEX−HPLC分析を示す。CEX−HPLC分析におけるE〜Hは、種々のモノマー電荷変化体を示す。
肩ピーク1と主ピーク2との間の最良の分割は、0.05MのNaClでの反対のpH−塩複合勾配を使用する場合に達成される(図8中の中段)。それにもかかわらず、CEX−HPLC結果によって、0.10MのNaClでの複合勾配における主ピーク2が1種のみの主要な電荷変化体Hを含むことが示され、この系が最も有効な電荷変化体分離を有することが示される。3つの系の中で、複合勾配系は、分割および電荷変化体除去効率の点で線形pH勾配系より性能が優れている。
例3
IECを用いたmAb B Fc、Fab、2/3断片、およびモノマー種の分取分離
分取クロマトグラフィー試行を、以下のように行った:
機器:AEKTApurifier 100
カラム:Eshmuno (登録商標)CPX、Merck Millipore、平均粒径50μm、イオン容量60μmol/mL、カラム寸法8 i.d. ×20mm(1mL)
供給物:Fc/Fabを有するMAb B天然モノマースパイク、および2/3断片
移動相
(A)線形pH勾配について、緩衝液Aは、12mMの酢酸、10mMのMES、および10mMのMOPSからなり、一方緩衝液Bは、6mMのMOPS、6mMのHEPES、10mMのTAPS、および9mMのCHESからなった。緩衝液AおよびBを、それぞれNaOHでpH5および9.5に調整した。
(B)上昇するpHおよび下降する塩勾配を有する反対のpH−塩複合勾配について、(A)と同一の緩衝液構成成分を使用するが、ある量の塩化ナトリウム(50mMまたは100mM)を、緩衝液A中に加え、一方緩衝液Bには何も加えない。両方の緩衝液を、それぞれNaOHでpH5および9.5に調整する。
勾配傾斜:60CV(1mL/CV)
流量:1mL/分(=119cm/h)
タンパク質負荷:1mg/mL、他の点を、図面の説明において述べる。
CIP:0.5MのNaOH(3〜5CV)
ステップ溶離:
流量:1mL/分(=119cm/h)を使用して、タンパク質を結合させた;3mL/分(=358cm/h)を使用して、タンパク質を溶離させる。
タンパク質負荷:30mg/mL
クリーニング・イン・プレース(CIP):0.5MのNaOH(3〜5CV)
(B)(移動相を参照)において述べた緩衝液AおよびBを、使用する。ゼロ%緩衝液Bを、タンパク質結合のために使用する。タンパク質溶離のために、種々のステップを、緩衝液AおよびBを以下の通りの種々の濃度で混合することによって発生させる:
分析を、以下のように行った。
機器:AEKTAmicro
SE−HPLCを、Superdex(商標) 200 Increase 10/300 GL, GE Healthcare、カラム寸法10 i.d.×300mm、平均粒径8.6μmを使用して行った。使用する緩衝液は、50mMのNaHPOおよび300mMのNaCl、pH7からなる。0.5mL/分の流量でのアイソクラチック溶離を、用いる。注入容積を、40μLから100μLまで変化させる。
結果:
以下のデータは、本発明のプロセスが、CEXを用いて2/3断片、FcおよびFabのような他の可溶性サイズ変化体からの天然のmAbの分離のためのpH勾配を用いるプロセスよりも特別な利点を有することを示す。
図9(Fig.9):左の列は、Eshmuno(登録商標)CPX上での、線形pH勾配溶離pH5〜9.5、0MのNaClおよび反対のpH−塩複合勾配pH5〜9.5、0.05〜0MのNaClのそれぞれの分取クロマトグラフィー的試行を示す。破線−導電率(cond.)、点線−pH。右の列は、左側におけるそれぞれの分取クロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのSE−HPLC分析を示す。MAb−天然のモノマーmAb B、2/3Fg.−2/3断片、Fc−結晶化可能な断片、Fab−抗原結合断片。
分離結果は説得力があるが、図9におけるSE−HPLC結果におけるFcおよびFabピークを解釈する場合に、熟練した専門家が必要である。Fc(VR≒15mL)は、Fab(VR≒15.5mL)の前に肩として出現する。線形pH勾配溶離を用いたクロマトグラフィー的試行のSE−HPLC分析のために、画分プール1および2は、Fcのみを含み、一方Fabは、画分プール4および5中に見出される。同様に、反対のpH−塩複合勾配溶離を用いるクロマトグラフィー的試行について、対応するSE−HPLC結果によって、画分プール1が主にFabを含み、一方画分プール2がFcおよびFabの両方の混合物であることが示される。
図9における左側の両方のクロマトグラフィー的試行を比較することにより、線形pH勾配溶離を用いて得られた分割したピークのより大きい数にもかかわらず、生成物ピーク(すなわち左上のクロマトグラムにおけるピーク6)は、Fabピーク(すなわち同一のクロマトグラムにおけるピーク5)と重複する。反対に、より低いピークが反対のpH−塩複合勾配溶離において分割されるが、生成物ピーク(すなわち左下のクロマトグラムにおけるピーク4)は、他の不純物ピークから極めて良好に遮断され得、それによって、ステップ溶離を用いる生成物の溶離のためのより広いウィンドウが提供される。
ここで、下降する塩勾配を上昇するpH勾配において用いることにより、Fabと固定相との間の相互作用が強く抑制され、それによりこのピークの生成物ピークからの完全な排除がもたらされることがまた、明らかである。pH勾配溶離(図9における左上)において、Fab種は、Fcおよび2/3断片の後に溶離する。しかし、複合勾配溶離(図9における左下)において、Fab種は、Fcおよび2/3断片の前に溶離する。
この研究において使用する天然のモノマーmAbは、例2において使用したものと同一であるので、反対のpH−塩複合勾配溶離のピーク4および5(図9における左下)は、図5(左下)における溶出ピークと類似し、以前に、電荷変化体が図5において分離したことが示されている。したがって、例2および3の両方の結果を組み合わせることによって、反対のpH−塩複合勾配を用いて電荷およびサイズ変化体の両方を同時に分離することができることが明らかになり、それによって、再び例1に示す結果が確認される。
以下のデータは、より高い負荷での線形pH勾配および反対のpH−塩複合勾配溶離の対応する荷電変化体分離効率を比較する。
図10(Fig.10):左の列は、Eshmuno(登録商標)CPX上での、30mg/mLの充填された樹脂の負荷を用いた、線形pH勾配溶離pH5〜9.5、0MのNaClおよび反対のpH−塩複合勾配pH5〜9.5、0.05〜0MのNaClのそれぞれの分取クロマトグラフィー的試行を示す。破線−導電率(cond.)、点線−pH。右の列は、左側におけるそれぞれの分取クロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのSE−HPLC分析を示す。mAb−天然のモノマーmAb B、2/3Fg.−2/3断片、Fc−結晶化可能な断片、Fab−抗原結合断片。
図10において、多生成物分離効率を、高い負荷(=30mg/mLの充填した樹脂)で試験する。図9に示すのと同一の分離結果が、再現される。ここで、この実験において使用した供給物が図9において使用した供給物と比較してFcおよびFabのわずかに高い百分率を含んでいたことに留意されたい。それにもかかわらず、溶離プロフィールおよび溶離剤順序は、両方の場合において同一である;pH勾配溶離はより大きい数の分離されたピークを示すが、より低効率で分離された生成物プールを示し(図10における左上のクロマトグラムのピーク6)、一方それは、複合勾配溶離については逆である(図10における左下のクロマトグラムのピーク4)。再び、複合勾配溶離系を精製のために高いタンパク質負荷で使用することができることが、示される。
以下に、複合pH−塩勾配溶離から同一の緩衝系を用いることによる一連の段階的溶離への分離プロセスの移行を、示す。
図11:(Fig.11)左の列は、Eshmuno(登録商標)CPX上でのステップ溶離を用いた多生成物分離を示す。ピーク1は、第1のステップにおいて溶離し(28.5%緩衝液B)、ピーク2は、第2のステップにおいて溶離し(34%緩衝液B)、ピーク3は、第3のステップにおいて溶離し(46%緩衝液B)、ピーク4は、第4のステップにおいて溶離し(63%緩衝液B)、ピーク5は、第5のステップにおいて溶離する(76%)。破線−導電率(cond.)、点線−pH。中央および右の列は、左側におけるそれぞれのクロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのHPLC分析である。mAb−天然のモノマーmAb B、2/3Fg.−2/3断片、Fc−結晶化可能な断片、Fab−抗原結合断片。CEX−HPLC分析におけるA〜Hは、異なるモノマー電荷変化体を示す。
例1と同様に、分離プロセスは、複合勾配溶離系から一連の段階的溶離に移行する。図11におけるSE−HPLCの結果によれば、ピーク1は、>99%の純度および〜91%の収率を有するFabを含み、一方ピーク4は、>99%の純度および〜70%の収率を有するmAbを含有する。ピーク2は、〜75%の純度の2/3断片を〜25%の純度のFcと一緒に含んでいた。2/3断片の約50%収率が、ピーク2において溶離され、一方他方の半分は、数種のmAbと一緒にピーク3において見出される。またピーク4および5において、電荷変化体分離が観察され、図10におけるCEX−HPLC結果において示し、ここで酸性変化体A、B、C、D、EおよびFは、画分プール4中に見出され、塩基性変化体GおよびHは、最終的な画分プール5中に見出される。ステップ溶離を用いた電荷変化体の分離によって、対応する緩衝液系が酸性電荷変化体の塩基性電荷変化体からの分離に適しているという、例2に示す複合勾配溶離における観察が再確認される。
要約すると、例3は、高い負荷で動作し、また一連の段階的溶離に容易に移行可能である、サイズ変化体および電荷変化体分離のための本反対の複合pH−塩勾配系の普遍的な適合性を示す。
例4
MMCを用いたmAb B Fc、Fab、2/3断片、およびモノマー種の分取分離
分取クロマトグラフィー試行を、以下のように行った:
機器:AEKTApurifier 100
カラム:Capto(登録商標)MMC、GE Healthcare、平均粒径75μm、イオン容量70〜90μmol/mL、カラム寸法8 id×20mm(1mL)
供給物:Fc/Fabを有するMAb B天然モノマースパイク、および2/3断片
移動相
(A)線形pH勾配について、緩衝液Aは、12mMの酢酸、10mMのMES、および10mMのMOPSからなり、一方緩衝液Bは、6mMのMOPS、6mMのHEPES、10mMのTAPS、および9mMのCHESからなる。緩衝液AおよびBを、それぞれNaOHでpH5および9.5に調整する。
(B)上昇するpHおよび下降する塩勾配を有する反対のpH−塩複合勾配について、(A)と同一の緩衝液構成成分を使用するが、ある量の塩化ナトリウム(50mMまたは100mM)を、緩衝液A中に加え、一方緩衝液Bには何も加えない。両方の緩衝液を、それぞれNaOHでpH5および9.5のpH範囲に調整する。
勾配傾斜:60CV(1mL/CV)
流量:1mL/分(=119cm/h)
タンパク質負荷:1mg/mL
CIP:0.5MのNaOH(3〜5CV)
分析を、以下のように行う。
機器:AEKTAmicro
SE−HPLCを、Superdex(商標) 200 Increase 10/300 GL, GE Healthcare、カラム寸法10 i.d.×300mm、平均粒径8.6μmを使用して行う。使用する緩衝液は、50mMのNaHPOおよび300mMのNaCl、pH7からなる。0.5mL/分の流量でのアイソクラチック溶離を、用いる。注入容積を、40μLから100μLまで変化させた。
結果
以下のデータを収集し、MMCを用いて2/3断片、FcおよびFabのような他の可溶性サイズ変化体からの天然のmAbの分離のためのpH勾配を上回る本発明の利点を示す。
図12:(Fig.12)左の列は、Capto(登録商標)MMC上での線形pH勾配溶離pH5〜9.5、0MのNaClおよび反対のpH−塩複合勾配pH5〜9.5、0.05〜0MのNaClのそれぞれの分取クロマトグラフィー的試行を示す。破線−導電率(cond.)、点線−pH。右の列は、左側におけるそれぞれのクロマトグラフィー試行からプールした個々のピークのSE−HPLC分析を示す。mAb−天然のモノマーmAb B、2/3Fg.−2/3断片、Fc−結晶化可能な断片、Fab−抗原結合断片。
図12によれば、線形pH勾配の結果、4つのピーク(ピーク1〜4)がもたらされ、ここでタンパク質は、SE−HPLCにおいて検出され、一方反対のpH−塩複合勾配の結果、タンパク質で3つのピーク(ピーク2〜4)がもたらされた。それにもかかわらず、生成物ピーク(ピーク4)は、線形pH勾配と比較して反対のpH−塩複合勾配を使用して他のピーク(すなわち不純物)からより良好に分割される。これは、CEX上でのイソタンパク質の分離からの結果と整合しており(図9を参照)、それはまた、不純物からの生成物分離のためのステップ溶離を行うための最適化のウインドウが、反対のpH−塩複合勾配系を用いて、古典的な線形pH勾配アプローチと比較して広いことを意味する。
したがって、本発明は、IECにおいてのみならずMMCにおいてもイソタンパク質の分離に適していることが、示される。

Claims (13)

  1. タンパク質をタンパク質の混合物から分離し、精製する方法であって、以下のステップ:
    a)少なくとも2種の異なるタンパク質を含む試料を提供すること、
    b)この混合物を、全タンパク質負荷≧5mg/ml、特に≧30mg/ml、特に≧60mg/mlを有するイオン交換物質に適用すること、
    c)反対のpH−塩勾配を上昇するpHおよび下降する塩濃度によって流して、タンパク質を分離するか、または逆に下降するpHおよび上昇する塩濃度を流すか、または上昇するpH勾配を流すか、または下降するpH勾配を流すこと、
    d)c)からの分離データを用いて、タンパク質分離のためのステップ溶離プロフィールを定義すること、ならびに
    e)タンパク質を段階的溶離において分離すること、
    による、前記方法。
  2. タンパク質をタンパク質の混合物から分離し、精製する方法であって、以下のステップ:
    a)少なくとも2種の異なるタンパク質を含む試料を提供すること、
    b)この混合物を、全タンパク質負荷≧5mg/ml、特に≧30mg/ml、特に≧60mg/mlを有するイオン交換物質に適用すること、
    c)反対のpH−塩勾配を上昇するpHおよび下降する塩濃度によって流して、タンパク質を分離するか、または逆に下降するpHおよび上昇する塩濃度を流すか、または上昇するpH勾配を流すか、または下降するpH勾配を流すこと、
    d)タンパク質を勾配溶離において分離すること
    による、前記方法。
  3. タンパク質の混合物をイオン交換物質に吸着または結合させて溶離させる、請求項1または2に記載の方法。
  4. タンパク質の混合物を陽イオン交換物質に吸着させ、溶離させる、請求項1または2に記載の方法。
  5. タンパク質の混合物を陰イオン交換物質に吸着させ、溶離させる、請求項1または2に記載の方法。
  6. タンパク質の混合物を混合モードクロマトグラフィー材料に吸着または結合させ、溶離させる、請求項1に記載の方法。
  7. c)において、反対のpH−塩勾配をMES、MOPS、CHAPSおよび同等の生物学的緩衝液を用いる緩衝系および塩化ナトリウムを使用する伝導度変更系によって誘発させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. c)において、pHを4〜10.5の範囲内で変化させ、塩濃度を0〜1M塩の範囲内で変化させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  9. pH勾配をpH5および9.5に調整した緩衝系を適用することによって誘発させる、請求項1〜6に記載の方法。
  10. 塩勾配を0〜0.25Mの濃度範囲内で誘発させる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. pH勾配を少なくとも2種の緩衝溶液の緩衝系を適用することによって誘発させ、
    それによってタンパク質の吸着または結合が1種の緩衝溶液の存在下で起こり、溶離が増加する濃度の他方の緩衝溶液の存在下で起こり、一方pH値が上昇し、塩濃度が同時に降下する、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. pH勾配を少なくとも2種の緩衝溶液の緩衝系を適用することによって誘発させ、
    それによってタンパク質の吸着または結合が1種の緩衝溶液の存在下で起こり、溶離が増加する濃度の他方の緩衝溶液の存在下で起こり、一方pH値が降下し、塩濃度が同時に上昇する、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  13. タンパク質、特にモノクローナル抗体(mAB)を、その関連する電荷変化体、グリコシル化変化体、および/または可溶性サイズ変化体、二量体および凝集体、モノマー、2/3断片、3/4断片、一般的な断片、抗原結合断片(Fab)およびFc断片から分離し、精製する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
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