US2013/0095079には、いずれかの患者に、その患者と臨床製品とのいかなる程度の免疫学的な適合性もなしに、安全に投与できたCD34+濃縮型増殖ヒト臍帯血幹細胞(Exp−CBSC)を含む画期的な臨床製品の開発について記載されている。Exp−CBSCは、免疫抑制状態の患者が免疫機能を回復させる時間を短縮することが示された。例えば、Exp−CBSCは、化学療法の患者が、Exp−CBSCを投与されなかった場合よりも速く、免疫機能を回復させるのを助けた。急性骨髄性白血病(AML)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療として臍帯血移植を受けるために、重度の免疫不全状態にした患者でも、同じ効果が見られた。Exp−CBSCは同様に、これらの臍帯血移植レシピエントの患者が、Exp−CBSCを投与されなかった場合よりも速く、免疫機能を回復させるのを助けた。Exp−CBSCは、免疫機能の低下または不全による感染、疾患の再発、及び治療によるその他の高致死率な合併症を軽減することによって、免疫抑制後の患者の転帰を大きく改善させた。
本開示は、US2013/0095079に記載されているExp−CBSCには、多様な患者集団において、予期しなかった追加の臨床効果があることを示す。例えば、Exp−CBSCは、移植拒絶反応、粘膜炎、完全静脈栄養の補給、オピオイドの使用、及び医療処置後の入院を低減し、同種異系移植後の移植片対宿主病を軽減する。Exp−CBSCの予期しなかった、多様な患者におけるこれらの追加の臨床効果は、患者の転帰も大きく改善させる。移植拒絶反応、粘膜炎及び移植片対宿主病の軽減により、固形組織移植及び/または同種異系移植後の生存とクオリティオブライフが向上する。完全静脈栄養の補給の低減により、このような人工栄養が原因で発生し得る多くの合併症が回避される。オピオイドの使用に対する患者の暴露の低減は、現在蔓延している鎮痛薬乱用に対処する助けとなることができる。最終的には、医療処置後の入院の低減により、診療に関わるコストが削減されるとともに、同様に、患者が入院中に負担する機会損失コストが削減される。これらの利用と利点についてはそれぞれ、以下でさらに詳しく説明する。これらの利用と利点は、個別に、または連動して、US2013/0095079に記載されているExp−CBSCによって、多様な患者集団において得られる大きな臨床効果に関するさらなるエビデンスを提供する。
Exp−CBSCの新たな利用法について説明する前に、念のために、助けとなる定義と、Exp−CBSCの作製方法と、それらの特徴を示す。
造血幹細胞:造血幹細胞は、多能性を持っており、最終的には、あらゆるタイプの最終分化血液細胞を作り出す。造血幹細胞は自己複製することができ、あるいは、指向性の向上した前駆細胞に分化することができ、その前駆細胞は、ほんの数種類の血液細胞の祖先であることが不可逆的に決定されている。例えば、造血幹細胞は、(i)骨髄前駆細胞(最終的に、単球と、マクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、赤血球、巨核球/血小板、樹状細胞を生み出す)または(ii)リンパ前駆細胞(最終的に、T細胞、B細胞、及びナチュラルキラー細胞(NK細胞)というリンパ球様細胞を生み出す)に分化できる。幹細胞が骨髄前駆細胞に分化すると、その子孫は、リンパ球系列の細胞を生み出すことはできず、同様に、リンパ前駆細胞は、骨髄系列の細胞を生み出すことはできない。造血と造血幹細胞の分化に関する大まかな考察については、Chapter 17,Differentiated Cells and the Maintenance of Tissues,Alberts et al.,1989,Molecular Biology of the Cell,2nd Ed.,Garland Publishing,New York, N.Y.、Chapter 2 of Regenerative Medicine,Department of Health and Human Services,August 2006及びChapter 5 of Hematopoietic Stem Cells,2009,Stem Cell Information,Department of Health and Human Servicesを参照されたい。
造血幹細胞を特徴付けるためのインビトロアッセイとインビボアッセイ、例えば、免疫不全マウスにおける脾臓コロニー形成(CFU−S)アッセイ及び再構築アッセイが開発されている。さらに、モノクローナル抗体の認識によって定められる細胞表面タンパク質マーカーの有無を用いて、造血幹細胞の認識と単離が行われている。このようなマーカーとしては、CD34、CD38、CD43、CD45RO、CD45RA、CD59、CD90、CD109、CD117、CD133、CD166及びHLA DR、ならびにこれらを組み合わせたものが挙げられる。Chapter 2 of Regenerative Medicine,Department of Health and Human Services,August 2006と、本明細書に引用されている参考文献を参照されたい。
臍帯血の採取:ヒト臍帯血及び/またはヒト胎盤血が、臍帯血幹細胞の供給源である。このような血液は、当該技術分野において知られているいずれかの方法によって採取できる。幹細胞の供給源として、臍帯血または胎盤血を利用すると、臍帯血と胎盤血を容易に、ドナーに外傷を与えることなく得ることができることを含め、多くの利点が得られる。例えば、ヒトの出産時に臍帯血と胎盤血を採取することの考察については、米国特許第5,004,681号を参照されたい。特定的な実施形態では、臍帯血の採取は、Goodmanらの米国特許第7,147,626B2号に開示されている方法によって行う。採血は、無菌状態で行う必要がある。採血後すぐに、臍帯血または胎盤血を抗凝固剤と混合する必要がある。このような抗凝固剤は、CPD(シトレート−フォスフェート−デキストロース)、ACD(アシッドシトレート−デキストロース)、Alsever液(Alsever et al.,1941,N.Y.St.J.Med.41:126)、De Gowin液(De Gowin,et al.,1940,J.Am.Med.Ass.114:850)、Edglugate−Mg(Smith,et al.,1959,J.Thorac.Cardiovasc.Surg.38:573)、Rous−Turner液(Rous and Turner,1916,J.Exp.Med.23:219)、その他のグルコース混合物、ヘパリン、エチルビスクムアセテートなどを含め、当該技術分野において知られているいずれかの抗凝固剤であることができる。概して、Hurn,1968,Storage of Blood,Academic Press,New York,pp.26−160)を参照されたい。特定的な実施形態では、ACDを用いることができる。
臍帯血は、臍帯から直接的なドレナージによって、及び/または産後の胎盤の根元及び拡張血管から穿刺吸引によって採取できる。概して、米国特許第5,004,681号を参照されたい。
特定の実施形態では、採取した血液試料に対して、ルーチンとして、または臨床で指示された場合のいずれかに、下記の検査を行うことができる。
(i)細菌培養:微生物汚染がないことを確認するために、ルーチンとしての好気及び嫌気条件での院内細菌培養のような確立されたアッセイを行うことができる。
(ii)病原微生物の診断スクリーニング:特定の病原微生物が存在しないことを確認するために、様々な診断検査を用いることができる。血液を通ることのできる多くの病原体のいずれかに関する診断スクリーニングは、標準的な手順によって行うことができる。一例としては、採取した血液試料(または母体血試料)に対して、ヒト免疫不全ウイルス1型または2型(HIV−1またはHIV−2)の存在に関する診断スクリーニングを行うことができる。ビリオン、ウイルスのコードするタンパク質、HIVに特異的な核酸、HIVタンパク質に対する抗体などの検出に基づく多くのアッセイ系のうちのいずれかを用いることができる。採取血液は、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型及びII型(HTLV−I及びHTLV−II)、B型肝炎、C型肝炎、サイトメガロウイルス、梅毒、ウエストナイルウイルス、ならびに米国食品医薬品局のような、該当する規制当局によって指定されているその他の感染性物質を含む他の感染症について検査することもできる。
好ましくは、臍帯血を採取する前に、当該臍帯血細胞が、がん、白血病、免疫障害、神経障害、肝炎またはAIDSなどの遺伝的疾患または感染症を移し得るリスクを特定するために、母体の健康履歴を確認する。採取した臍帯血試料に対して、細胞生存率、HLAタイピング、ABO/Rhタイピング、CD34+細胞数、総有核細胞数のうちの1つ以上に関して検査を行うことができる。
臍帯血幹細胞の濃縮:1人のヒトから出産時に、臍帯血及び/または胎盤血を採取したら、その血液を処理して、濃縮造血幹細胞集団、または臍帯血幹細胞集団を形成する濃縮造血幹細胞集団・前駆細胞集団を作製する。造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞は、造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞上で、他のタイプの造血細胞よりも高レベルで発現する特異的マーカーに対して陽性であることができる。例えば、このようなマーカーは、CD34、CD43、CD45RO、CD45RA、CD59、CD90、CD109、CD117、CD133、CD166、HLA DRまたはこれらを組み合わせたものであることができる。造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞は、他のタイプの造血細胞よりも、特異的マーカーに対して陰性であることもできる。例えば、Linは、陰性マーカーとして機能する系列特異的な抗体を組み合わせたものである。CD38も、陰性マーカーの一例となる。好ましくは、造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞は、CD34+細胞である。好ましくは、CB幹細胞集団は、CD34+幹細胞またはCD34+幹・前駆細胞が濃縮された(すなわち、T細胞が枯渇された)ものである。したがって、濃縮とは、試料中の造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞の割合を(濃縮手順前の試料中の割合よりも)上昇させるプロセスを指す。精製は、濃縮の一例である。特定的な実施形態では、CD34+細胞(またはその他の好適な抗原に対して陽性の細胞)の数の増大(濃縮手順前の試料に対する、濃縮試料中の細胞の割合として)は、5倍、50倍、100倍、200倍、350倍またはそれを超える規模である。特定的な実施形態では、CD34+細胞は、CD34に対するモノクローナル抗体(その抗体は、磁気ビーズにコンジュゲートされている)と、CD34+細胞を分離するための磁気細胞分離装置を用いて濃縮する。
特定的な実施形態では、濃縮処理前においては、採取した臍帯血及び/または胎盤血は新鮮であり、事前に凍結保存されていない。
当該技術分野において知られているいずれかの細胞分離/選択技法を用いて、造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞の濃縮を行うことができる。例えば、細胞表面マーカーの発現差に依存する方法を用いることができる。例えば、CD34に対するモノクローナル抗体を用いて、CD34を発現している細胞が保持され、CD34を発現していない細胞が保持されないようにして、細胞表面マーカーのCD34を発現している細胞を陽性選択することができる。さらに、使用する分離技法は、選択する細胞の生存能を最大化するものである必要がある。使用する具体的な技法は、分離効率、その方法の細胞毒性、実施のしやすさと速度、ならびに精巧な装置及び/または技術的スキルの必要性によって決まることになる。
分離手順としては、抗体をコートした磁気ビーズを用いる磁気分離、アフィニティクロマトグラフィー、モノクローナル抗体に結合しているか、モノクローナル抗体と併せて用いる細胞障害剤、例えば補体及び細胞毒素、ならびに固体マトリックス、例えばプレートに結合した抗体による「パニング」、またはその他の利便的な技法を挙げてよい。正確な分離/選択を実現する技法としては、様々な精巧度、例えば、複数のカラーチャネル、低角及び鈍角の光拡散検出チャネル、インピーダンスチャネルなどを有することのできる蛍光活性化セルソーターが挙げられる。
抗体は、マーカー、例えば、直接分離できるようにする磁気ビーズ、支持体に結合したアビジンまたはストレプトアビジンによって除去できるビオチン、蛍光活性化セルソーターとともに使用できる蛍光色素などとコンジュゲートして、特定のタイプの細胞の分離を容易にできるようにしてよい。選択される細胞の生存能に深刻な影響を及ぼさないいずれかの技法を用いてよい。
特定的な実施形態では、新鮮な臍帯血ユニットを処理して、磁気細胞分離器、例えば、酸化鉄とデキストランで構成されたナノサイズの超常磁性粒子を特定のモノクローナル抗体に結合させたもの用いるCliniMACS(登録商標)Cell Separation System(ドイツ、ベルギッシュ・グラートバッハのMiltenyi Biotec)とともに、磁性粒子に直接または間接的にコンジュゲートした抗CD34抗体を用いて、CD34+細胞について選択、すなわち濃縮する。CliniMACS(登録商標)Cell Separatorは、一回の使用で廃棄する使い捨てのチューブセットが装備された密封滅菌システムである。この使い捨てのセットは、採取した臍帯血及び/または胎盤血を1ユニット処理して、CD34+細胞について濃縮するのに用いることができ、この処理後に破棄することができる。同様に、抗CD133抗体を用いて、CD133+細胞を濃縮することができる。特定的な実施形態では、CD34+CD90+細胞について濃縮することができる。同様に、その標的抗原に対する抗体を用いて、CD43、CD45RO、CD45RA、CD59、CD90、CD109、CD117、CD166、HLA DRまたはこれらを組み合わせたものを発現している細胞について濃縮することができる。
特定的な実施形態では、造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞について濃縮するまで、1つ以上の臍帯血及び/または胎盤血試料をプールすることができる。特定的な実施形態では、造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞について濃縮した後、個々のCB幹細胞試料をプールすることができる。特定的な実施形態では、プールする臍帯血及び/もしくは胎盤血試料またはCB幹細胞試料の数は、2個以上(例えば、2個、3個、7個、15個、35個)である。特定的な実施形態では、臍帯血及び/もしくは胎盤血試料またはCB幹細胞試料は、存在する細胞のHLAタイプにかかわらず、プールする。特定的な実施形態では、手段にかかわらず、そのプール中の試料間のHLAの適合性の程度を割り出すための工程を行わない。特定の実施形態では、プール中の試料は、同じ人種、例えば、アフリカ系アメリカ人、コーカソイド、アジア人、ヒスパニック、ネイティブ・アメリカン、オーストラリアのアボリジニ、イヌイット、太平洋諸島系の個体の臍帯血及び/もしくは胎盤血に由来するか、または同じ民族、例えば、アイルランド人、イタリア人、日本人、中国人、ロシア人などの個体の臍帯血及び/もしくは胎盤血に由来する。
任意に応じて、造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞について濃縮する前に、臍帯血の赤血球細胞と白血球細胞を分離することができる。赤血球細胞と白血球細胞を分離したら、赤血球細胞画分を破棄できるとともに、白血球細胞画分を上記のような磁気細胞分離器で処理することができる。白血球細胞と赤血球細胞の画分の分離は、遠心分離技法を含め、当該技術分野において知られているいずれかの方法によって行うことができる。使用できるその他の分離方法としては、市販品のFICOLL(商標)、FICOLL−PAQUE(商標)またはPERCOLL(商標)(ニュージャージー州ピスカタウェイのGE Healthcare)の使用が挙げられる。FICOLL−PAQUE(商標)は通常、コニカルチューブの下に配置し、全血を上に重層する。遠心分離後、上から下に向かって、血漿及びその他の構成成分と、末梢血単核球(白血球細胞)を含むバフィーコートという単核球層と、FICOLL−PAQUE(商標)と、赤血球及び顆粒球(ペレット形態で存在しているはずである)という、遠心後の層がコニカルチューブ内で視認可能になる。この分離技法により、末梢血単核球を容易に回収可能になる。
任意に応じて、CD34+細胞の選択前に、新鮮な臍帯血ユニットのアリコートの総有核細胞数及び/またはCD34+含有量を調べることができる。特定的な実施形態では、CD34+細胞の選択後、CD34+(「CB幹細胞」)とCD34−細胞の画分の両方を回収する。患者に対するHLAマッチングを行わなくても、任意に応じて、初期HLAタイピングの検査と後のキメリズムの検査用に、CD34−細胞分画の試料から、DNAを抽出することができる。CD34+濃縮型幹細胞分画(「CB幹細胞」)は、増殖前に、後処理を行うことができ、例えば、輸送または保管のために、幹細胞を適切な細胞培養培地に懸濁できる。特定的な実施形態では、細胞培養培地としては、組み換えヒトインターロイキン−3(rhIL−3、例えば、10ng/mlまたは本明細書に記載されているその他の濃度)、組み換えヒトインターロイキン−6(rhIL−6、例えば、50ng/mlまたは本明細書に記載されているその他の濃度)、組み換えヒトトロンボポエチン(rhTPO、50ng/mlまたは本明細書に記載されているその他の範囲)、組み換えヒトFlt−3リガンド(rhFlt−3L、例えば、50ng/mlまたは本明細書に記載されているその他の濃度)及び組み換えヒト幹細胞因子(rhSCF、例えば、50ng/mlまたは本明細書に記載されているその他の濃度)を添加したSTEMSPAN(商標)無血清増殖培地(ブリティッシュコロンビア州バンクーバーのStemCell Technologies)が挙げられる。
特定的な実施形態では、臍帯血及び/または胎盤血試料は、赤血球が除去されたものであり、赤血球が除去された画分中のCD34+細胞数を算出する。特定的な実施形態では、350万個超のCD34+細胞を含む臍帯血及び/または胎盤血試料を上記の濃縮方法によって濃縮できるが、350万個未満のCD34+細胞を含む試料を用いてもよい。
臍帯血幹細胞の増殖方法:上記の濃縮方法または当該技術分野において知られているその他の方法に従って、1人以上のヒトから出産時に採取したヒト臍帯血及び/またはヒト胎盤血からCB幹細胞を単離した後、造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞、例えばCD34+細胞の数を増やすために、CB幹細胞を増殖する。増殖CB幹細胞を生み出すCB幹細胞の数を増やす方法のうち、当該技術分野において知られているいずれかの方法を用いることができる。CB幹細胞は、細胞成長条件(例えば、有糸分裂を促す条件)下で培養して、CB幹細胞が成長及び分裂(増殖)して、増殖CB幹細胞集団を得るようにできる。特定的な実施形態では、細胞のHLAのタイプにかかわらず、増殖技法を行う前または後に、出産時の1人のヒトの臍帯血及び/または胎盤血にそれぞれ由来する個々のCB幹細胞集団をプールすることができる。特定的な実施形態では、増殖させる試料は、試料プールではない。特定的な実施形態では、増殖に用いる技法は、(i)増殖試料中の造血幹細胞もしくは造血幹細胞・前駆細胞、例えばCD34+細胞の数を未増殖のCB幹細胞試料よりも増加させること、及び/または(ii)増殖試料中のSCID再構築細胞の数を増加させること(限界希釈解析によって割り出し、増殖試料を注入したNOD/SCIDマウスでの正着が、未増殖試料の場合よりも増大したことによって示され、この際、未増殖試料と増殖試料は、同じ試料の異なるアリコートに由来するものであり、増殖試料に対しては、増殖技法を実施し、未増殖試料には実施しない)が示されている技法である。特定の実施形態では、この技法により、増殖試料中の造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞の数が、未増殖のCB幹細胞試料と比べて、5倍、75倍、100倍、200倍、350倍、または500倍以上増加する。造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞は、CD34、CD43、CD45RO、CD45RA、CD59、CD90、CD109、CD117、CD133、CD166及びHLA DRのうちの1つ以上に対して陽性であることができ、及び/または、Lin及び/もしくはCD38に対して陰性であることができる。特定的な実施形態では、正着の増大は、増殖試料のアリコートを注入したマウスの骨髄中のヒトCD45+細胞の割合が、例えば、注入から10日、3週間または9週間後に、未増殖試料のアリコートを注入したマウスよりも上昇したことを検出することによって検出できる(Delaney et al.,2010,Nature Med.16(2):232−236を参照されたい)。
このような増殖技法としては、米国特許第7,399,633号、Delaney et al.,2010,Nature Med.16(2):232−236、Zhang et al.,2008,Blood 111:3415−3423及びHimburg et al.,2010,Nature Med.16,475−482に記載されている技法と、WO/2013/086436に記載されているような芳香族炭化水素レセプターアンタゴニスト、WO/2013/179633に記載されているようなLILRB2アゴニスト、及びヒドロゲル(例えば、両性イオン性ヒドロゲル)を用いた増殖と、下記の技法が挙げられる。
特定的な実施形態では、成長因子を用いてCB幹細胞を培養し、細胞成長条件(例えば、有糸分裂を促進する条件)に暴露して、その幹細胞が増殖して、増殖CB幹細胞集団を得るようにする。特定的な実施形態では、分化を阻害するのに有効な量のNotch機能アゴニストを用いてCB幹細胞を培養し、細胞成長条件(例えば、有糸分裂を促進する条件)に暴露して、CB幹細胞が増殖して、増殖CB幹細胞集団を得るようにする。特定的な実施形態では、分化を阻害するのに有効な量のNotch機能アゴニストを用いるとともに、成長因子の存在下で、CB幹細胞を培養し、細胞成長条件(例えば、有糸分裂を促進する条件)に暴露して、CB幹細胞が増殖して、増殖CB幹細胞集団を得るようにする。このようにして得られた増殖CB幹細胞集団は、後で使用するために凍結して、保存することができる。任意に応じて、患者に移植する前に、(例えば、分離、希釈によって)Notch経路アゴニストを不活化するか、または増殖CB幹細胞集団から除去する。
具体的な実施形態では、CB幹細胞は、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日もしくは25日以上培養し、または、特定的な実施形態では、CB幹細胞は、少なくとも10日間培養する。
CB幹細胞を増殖するためのその他の例示的な培養条件は、Zhang et al.,2008,Blood 111:3415−3423に示されている。特定的な実施形態では、CB幹細胞は、ヘパリン、幹細胞因子、トロンボポエチン、インスリン様成長因子−2(IGF−2)、線維芽細胞成長因子−1(FGF−1)及びAngpt13またはAngpt15を添加した無血清培地で培養できる。特定的な実施形態では、培地に、10μg/mlのヘパリン、10ng/mlの幹細胞因子、20ng/mlのトロンボポエチン、20ng/mlのIGF−2、10ng/mlのFGF−1及び100ng/mlのAngpt13またはAngpt15を添加し、細胞を19〜23日間培養する。特定的な実施形態では、CB幹細胞は、10μg/mlのヘパリン、10ng/mlの幹細胞因子、20ng/mlのトロンボポエチン、10ng/mlのFGF−1及び100ng/mlのAngpt15を添加した無血清培地で、そのCB幹細胞を11〜19日間培養することによって増殖できる。特定的な実施形態では、CB幹細胞は、50ng/mlの幹細胞因子、10ng/mlのトロンボポエチン、50ng/mlのFlt−3レセプターリガンド及び100ng/mlのインスリン様成長因子結合タンパク質−2(IGFBP2)または500ng/mlのAngpt15を添加した無血清培地で、そのCB幹細胞を10日間培養することによって増殖できる。特定的な実施形態では、CB幹細胞は、10μg/mlのヘパリン、10ng/mlの幹細胞因子、20ng/mlのトロンボポエチン、10ng/mlのFGF−1、500ng/mlのAngpt15及び500ng/mlのIGFBP2を添加した無血清培地で、そのCB幹細胞を11日間培養することによって増殖できる。Zhang et al.,2008,Blood 111:3415−3423を参照されたい。
CB幹細胞を増殖するための例示的な培養条件は、Himburg et al.,2010,Nature Med.,16,475−482に示されている。特定的な実施形態では、CB幹細胞は、トロンボポエチン、幹細胞因子、Flt−3レセプターリガンド及びプレイオトロフィンを添加した液体懸濁培養液で培養できる。特定的な実施形態では、液体懸濁培養液に、20ng/mlのトロンボポエチン、125ng/mlの幹細胞因子、50ng/mlのFlt−3レセプターリガンド及び10ng/ml、100ng/ml、500ng/mlまたは1000ng/mlのプレイオトロフィンを添加し、CB幹細胞を7日間培養する。
特定的な実施形態では、CB幹細胞の増殖後、細胞とCD34+生細胞の総数を割り出し、試料が造血機能を発揮する効力を測定する。多くの臨床研究によって、移植幹細胞中の総有核細胞数とCD34+細胞数は、好中球及び血小板の正着と、幹細胞移植後の移植不全と早期移植関連合併症(主に致死感染)の発生との相関が高いことが示されている。例えば、増殖中、培養開始から5〜8日目に、総有核生細胞数を割り出すために、試料を取ることができる。加えて、CD34+細胞の総数をマルチパラメータフローサイトメトリーによって、すなわち、試料中のCD34+細胞の割合によって割り出すことができる。同様に、凍結保存前または解凍後に、増殖CB幹細胞試料中の総CD34+生細胞数を算出する目的で、総有核細胞数と、CD34+生細胞の割合を割り出すために、増殖CB幹細胞試料のアリコートを取ることができる。
特定的な実施形態では、総CD34+(又はその他の抗原に対して陽性の)生細胞数を、治療用の最終製品の発売のための効力アッセイとみなすことができる。生存能は、当該技術分野において知られているいずれかの方法、例えば、トリパンブルー排除法または7−AAD排除法によって割り出すことができる。特定的な実施形態では、総有核細胞数(TNC)とその他のデータを用いて、製品の効力を算出する。CD34+生細胞の割合は、フローサイトメトリーと、生細胞によって排除される染料の使用によって評価できる。CD34+生細胞の割合は、試料のアリコート中において、7−AAD(またはその他の適切な染料)を排除するCD34+細胞の数を、そのアリコートのTNC(生細胞と非生細胞の両方)で除した値である。試料中のCD34+生細胞数は、CD34+生細胞数=試料のTNC×試料中のCD34+生細胞の割合という式によって算出できる。CD34+生細胞について濃縮中または増殖中の比例増加率は、培養後の総CD34+生細胞数/培養前の総CD34+生細胞という式によって算出できる。当然ながら、CD34以外の抗原またはCD34に加えて、他の抗原を用いることができる。
Notchアゴニスト:特定的な実施形態では、CB幹細胞は、Notch機能アゴニストと、1つ以上の成長因子またはサイトカインの存在下で、そのCB幹細胞を所定の期間にわたって培養することによって増殖する。CB幹細胞の培養は、当該技術分野において知られているいずれかの好適な培養培地/条件で行うことができる(例えば、Freshney Culture of Animal Cells,Wiley−Liss,Inc.,New York,N.Y.(1994)を参照されたい)。培養時間は、本明細書に定義されているような増殖CB幹細胞集団を作製するのに十分な時間である。例えば、CB幹細胞は、Notch機能アゴニストと、1つ以上の成長因子またはサイトカインの存在下で、無血清培地において、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日もしくは25日間、または、特定的な実施形態では、少なくとも10日間培養できる。任意に応じて、培養期間中のいずれかの時点に、培養培地を新鮮な培地と交換したり、または新鮮な培地を加えたりできる。
Notchアゴニストは、Notch経路機能の活性化を促す、すなわち、活性化させるか、または活性を向上させる物質である。本明細書で使用する場合、「Notch経路機能」とは、Notchの細胞内ドメインの核トランスロケーション、RBP−Jκまたはそのショウジョウバエ相同体Suppressor of Hairlessの核トランスロケーション、Enhancer of Split複合体のbHLH遺伝子、例えばMastermindの活性化、HES−1遺伝子またはKBF2(CBF1ともいう)遺伝子の活性化、ショウジョウバエ神経芽細胞分離の阻害、及びNotchのDelta、Jagged/Serrate、Fringe、DeltexもしくはRBP−Jκ/Suppressor of Hairless、またはそのホモログもしくはアナログへの結合を含め、Notchシグナリング(シグナル伝達)経路によって媒介される機能を意味するものとする。概して、Notchシグナル伝達経路と、活性化に対するその作用の考察については、Kopan et al.,2009,Cell 137:216−233による総説論文を参照されたい。また、Jarriault et al.,1998,Mol.Cell.Biol.18:7423−7431も参照されたい。
Notchの活性化は、細胞をNotchアゴニストに暴露することによって行う。Notchアゴニストは、可溶性分子、細胞表面上に組み換え発現する分子、前駆細胞が暴露される細胞単層上の分子、または固相上に固定化された分子であることができる。例示的なNotchアゴニストは、Notchの細胞外ドメインに結合して、Notchシグナル伝達を活性化する細胞外結合リガンドのDelta及びSerrate、またはNotchの細胞外ドメインに結合して、Notchシグナル伝達を活性化するDelta断片もしくはSerrate断片である。DeltaとSerrateの核酸配列及びアミノ酸配列は、ヒトを含むいくつかの種から単離されており、当該技術分野において知られており、国際公開第93/12141号、同第96/27610号、同第97/01571号、Gray et al.,1999,Am.J.Path.154:785−794に開示されている。特定的な実施形態では、Notchアゴニストは、DeltaもしくはSerrateタンパク質の固定化断片であって、そのタンパク質の細胞外ドメインをmycエピトープタグに融合したものを含む断片(それぞれ、Deltaext−mycもしくはSerrateext−myc)、またはDeltaもしくはSerrateタンパク質の固定化断片であって、そのタンパク質の細胞外ドメインをIgGのFc部分に融合したものを含む断片(それぞれ、Deltaext−IgGもしくはSerrateext−IgG)である。Notchアゴニストとしては、Notchタンパク質と、そのアナログ及び誘導体(断片を含む)、Notch経路の他の要素であるタンパク質と、そのアナログ及び誘導体(断片を含む)、そのタンパク質に対する抗体と、その抗体の断片またはその他の誘導体であって、その抗体の結合領域を含むもの、そのタンパク質と、その誘導体またはアナログをコードする核酸、ならびに、Notchタンパク質またはNotch経路内のその他のタンパク質に結合するか、またはそのタンパク質と相互作用して、Notch経路の活性が促進されるようにするタンパク質と、その誘導体及びアナログが挙げられる。このようなアゴニストとしては、Notchタンパク質と、細胞内ドメインを含むその誘導体、上記の物質をコードするNotch核酸、NotchリガンドのNotch相互作用ドメイン(例えば、DeltaまたはSerrateの細胞外ドメイン)を含むタンパク質が挙げられる。その他のアゴニストとしては、RBPR/Suppressor of HairlessまたはDeltexが挙げられる。Fringeを用いて、例えばDeltaタンパク質と連動して、Notch活性を増強できる。これらのタンパク質、その断片及び誘導体は、組み換え発現させて、単離することも、化学的に合成することもできる。
特定的な実施形態では、Notchアゴニストは、Notchをアゴナイズするタンパク質、またはその断片もしくは誘導体を組み換え発現させる細胞である。この細胞は、Notchシグナル伝達を活性化すべきCB幹細胞で利用できる形で、Notchアゴニストを発現させる。例えば、その細胞表面などで、Notchアゴニストを分泌、発現させる。
特定的な実施形態では、Notchアゴニストは、Notchシグナリング経路のメンバーに結合するペプチド模倣体、ペプチドアナログ、または有機分子である。このようなアゴニストは、当該技術分野において知られている結合アッセイから選択した結合アッセイ、例えば、Rebay et al.,1991,Cell 67:687−699及び国際公開第92/19734号に記載されている細胞凝集アッセイによって同定することができる。
特定的な実施形態では、このアゴニストは、Notchタンパク質またはNotchの断片(そのNotchの断片は、アゴニストタンパク質への結合を担うNotch領域、例えば、Notchの上皮細胞成長因子様リピート11及び12を含む)への結合を媒介するNotch相互作用遺伝子によってコードされるタンパク質の断片を少なくとも含むタンパク質である。Notch相互作用遺伝子とは、本明細書で使用する場合、遺伝子のNotch、Delta、Serrate、RBPJκ、Suppressor of Hairless及びDeltex、ならびにDelta/SerrateファミリーまたはDeltexファミリーの他のメンバーのうち、配列相同性または遺伝的相互作用に基づき同定できるメンバー、より一般的には、分子間相互作用(例えば、インビトロでの結合または例えばショウジョウバエにおいて表現型的に示されるような遺伝的相互作用)によって同定される「Notchカスケード」または「Notch群」の遺伝子のメンバーを意味するものとする。Notch結合タンパク質の例示的な断片であって、Notchへの結合を担う領域を含む断片は、米国特許第5,648,464号、同第5,849,869号及び同第5,856,441号に記載されている。
Notchアゴニストは、市場から得ることも、組み換え発現によって作製することも、化学的に合成することもできる。
特定的な実施形態では、Notchアゴニストへの細胞の暴露は、細胞表面にNotchリガンドを組み換え発現させる他の細胞とインキュベートすることによって行うのではなく(ただし、別の実施形態では、この方法を用いることができる)、無細胞Notchリガンドに暴露することによって、例えば、Notchの無細胞リガンド(そのリガンドは、固相の表面に固定化、例えば、組織培養皿の表面に固定化されている)とインキュベートすることによって行う。
具体的な実施形態では、Notch活性は、Notchリガンド(例えば、Delta、Serrate)をNotchレセプターの細胞外部分に結合させることによって促進する。Notchシグナリングは、Notchの細胞外ドメインと、隣接細胞上で膜結合しているか、または固体表面に固定化されているそのリガンドとの物理的相互作用によって誘発されると見られる。完全長リガンドは、Notchアゴニストである。1つの細胞上で発現すると、Notchレセプターを発現する隣接細胞において、Notch経路の活性化を誘発するからである。可溶性のトランケート型DeltaまたはSerrate分子であって、そのタンパク質の細胞外ドメインまたはそのNotch結合部分を含み、組織培養プレートなどの固体表面に固定化されている分子が、特に好ましいNotch経路アゴニストである。このような可溶性タンパク質は、抗体または相互作用タンパク質、例えば、融合タンパク質としてDeltaもしくはSerrateとともに発現するエピトープタグ(例えば、抗体9E10によって認識されるmycエピトープタグ)に対する抗体によって、または融合タンパク質としてDeltaもしくはSerrateとともに発現するエピトープタグ(例えば、プロテインAが結合する免疫グロブリンエピトープタグ)と相互作用するタンパク質によって、固体表面に固定化できる。
特定的な実施形態では、また、Artavanis−Tsakonasらの米国特許第5,780,300号に記載されているように、Notchアゴニストとしては、NotchまたはNotchシグナリング経路のメンバーの活性化に必要な成熟または処理工程を媒介する細胞プロセスを促進または活性化する試薬、例えば、Notchプロセッシングに必要なフューリン様コンバターゼ、Notchの上流において、もしくはNotchと平行して、Notch経路の活性化に必要であると考えられているメタロプロテアーゼ−ジスインテグリン(ADAM)のKuzbanian(Schlondorff and Blobel,1999,J.Cell Sci.112:3603−3617)、または、より一般的には、細胞輸送及びプロセッシングタンパク質(細胞コンパートメント間の移動に必要なGTPaseのrabファミリーなど)(Rab GTPaseの概要については、Olkkonen and Stenmark,1997,Int.Rev.Cytol.176:1−85を参照されたい)が挙げられる。このアゴニストは、上記のプロセスのうちの1つの活性を向上させるいずれかの分子、例えば、フューリン、Kuzbanianもしくはrabタンパク質、それらの断片、誘導体もしくはドミナントアクティブ変異体、または上記タンパク質に結合して、その機能を活性化するペプチド模倣体、ペプチドアナログもしくは有機分子をコードする核酸であることができる。
米国特許第5,780,300号にはさらに、Notch経路を活性化するのに使用できるクラスのNotchアゴニスト分子(及びその同定方法)、例えば、NotchアンキリンリピートとRBP−Jκとの解離を誘発することによって、RBP−Jκが細胞質から核にトランスロケーションするのを促す分子が開示されている。
成長因子/サイトカイン:特定的な実施形態では、CB幹細胞は、Notch機能アゴニストと、1つ以上の成長因子またはサイトカインの存在下で、その細胞を所定の期間にわたって培養することによって増殖する。あるいは、CB幹細胞は、1つ以上の成長因子またはサイトカインの存在下で、その細胞を所定の期間にわたって培養することによって増殖する。CB幹細胞を分化させずに増殖するようにする場合、CB幹細胞は、成長を補助するが、分化は補助しない成長因子の存在下で培養する。成長因子は、いずれかのタイプの分子、例えば、細胞の増殖及び/または生存を促進するタンパク質または化学化合物であることができる。
1つ以上の成長因子へのCB幹細胞の暴露は、NotchアゴニストへのCB幹細胞の暴露前、その暴露と同時、またはその暴露後に行うことができる。具体的な例示的実施形態では、増殖培地に存在する成長因子としては、幹細胞因子(SCF)(c−kitリガンドまたはマスト細胞成長因子としても知られている)、Flt−3リガンド(Flt−3L)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン−11(IL−11)及びトロンボポエチン(TPO)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、アンジオポエチン様タンパク質(Angptl)(Angptl2、Angptl3、Angptl5、Angptl7及びMfap4)、インスリン成長因子−2(IFG−2)、線維芽細胞成長因子−1(FGF−1)という成長因子のうちの1つ以上が挙げられる。SCF、Flt−3L、IL−6またはTPOの量は、10〜1000ng/ml、特定的な実施形態では50−500ng/ml、特定的な実施形態では100〜300ng/mlの範囲であることができる。特定的な実施形態では、SCF、Flt−3L、IL−6またはTPOの量は、100ng/ml、125ng/ml、150ng/ml、175ng/ml、200ng/ml、225ng/ml、250ng/ml、275ng/ml、300ng/ml、325ng/ml、350ng/ml、375ng/ml、400ng/ml、425ng/mlまたは450ng/mlである。IL−3、IL−11、G−CSFまたはGM−CSFの量は、2〜100ng/ml、特定的な実施形態では5〜50ng/ml、特定的な実施形態では7.5〜25ng/ml、特定的な実施形態では10〜15ng/mlの範囲であることができる。特定的な実施形態では、IL−3、IL−11、G−CSFまたはGM−CSFの量は、5ng/ml、6ng/ml、7ng/ml、8ng/ml、9ng/ml、10ng/ml、12.5ng/mlまたは15ng/mlである。
特定的な実施形態では、CB幹細胞を増殖するために、細胞外マトリックスタンパク質が結合されている組織培養皿内で、その細胞を培養する。特定的な実施形態では、その細胞外マトリックスタンパク質は、フィブロネクチン(FN)またはその断片である。このような断片は、CH−296(Dao et al.,1998,Blood 92(12):4612−21)またはRetroNectin(登録商標)(組み換えヒトフィブロネクチン断片)(ウィスコンシン州マディソンのClontech Laboratories,Inc.)であることができる。
特定的な実施形態では、CB幹細胞を増殖するために、固定化されたDeltaリガンド、例えば、Deltaの細胞外ドメインと、フィブロネクチンとを含むプラスチックの組織培養皿の上で、それぞれ100ng/mlのSCF及びTPOと、10ng/mlのGM−CSFの存在下で、その細胞を培養する。特定的な実施形態では、CB幹細胞を増殖するために、固定化されたDeltaリガンドとフィブロネクチンとを含むプラスチックの組織培養皿の上で、それぞれ100ng/mlのSCF、Flt−3L、TPO及びIL−6と、10ng/mlのIL−3の存在下で、その細胞を培養する。特定的な実施形態では、幹細胞を増殖するために、固定化されたDeltaリガンドとフィブロネクチンとを含むプラスチックの組織培養皿の上で、それぞれ100ng/mlのSCF及びFlt−3Lと、それぞれ10mg/mlのG−CSF及びGM−CSFの存在下で、その細胞を培養する。特定的な実施形態では、CB幹細胞を増殖するために、固定化されたDeltaリガンドとフィブロネクチンとを含むプラスチックの組織培養皿の上で、それぞれ100ng/mlのSCF、Flt−3L及びTPOと、10mg/mlのGM−CSFの存在下で、その細胞を培養する。特定的な実施形態では、CB幹細胞を増殖するために、固定化されたDeltaリガンドとフィブロネクチンを含むプラスチックの組織培養皿の上で、それぞれ300ng/mlのSCF及びFlt−3Lと、それぞれ100ng/mlのTPO及びIL−6と、10mg/mlのIL−3の存在下で、その細胞を培養する。特定的な実施形態では、CB幹細胞を増殖するために、固定化されたDeltaリガンドとフィブロネクチンとを含むプラスチックの組織培養皿の上で、それぞれ100ng/mlのSCF、Flt−3L及びTPOと、それぞれ10mg/mlのG−CSFとGM−CSFの存在下で、その細胞を培養する。特定的な実施形態では、フィブロネクチンは、組織培養皿から除外するか、または別の細胞外マトリックスタンパク質と交換する。CB幹細胞の増殖ためのさらなる例示的な培養条件については、Bernsteinらの米国特許第7,399,633B2号も参照されたい。
成長因子は、市場から得ることも、組み換え発現によって作製することも、化学的に合成することもできる。例えば、Flt−3L(ヒト)、IGF−1(ヒト)、IL−6(ヒト及びマウス)、IL−11(ヒト)、SCF(ヒト)、TPO(ヒト及びマウス)は、Sigma(ミズーリ州セントルイス)から購入できる。IL−6(ヒト及びマウス)、IL−7(ヒト及びマウス)、ならびにSCF(ヒト)は、Life Technologies,Inc.(メリーランド州ロックビル)から購入できる。
別の実施形態では、成長因子は、組み換え発現またはペプチドの化学合成(例えばペプチド合成装置)によって作製する。成長因子の核酸及びペプチド配列は概して、GenBankから入手可能である。
特定的な実施形態では、Notchアゴニストの存在下で、CB幹細胞を増殖する目的で用いる成長因子(複数可)は、CB幹細胞と同じ種に由来するものである。
CB幹細胞を増殖するのに適する、成長因子の量または濃度は、成長因子調製物の活性と、成長因子とCB幹細胞との種の一致性などによって決まることになる。概して、成長因子(複数可)とCB幹細胞が同じ種である場合、培養培地中の成長因子の総量は、1ng/ml〜5μg/ml、特定的な実施形態では5ng/ml〜1μg/ml、特定的な実施形態では10ng/ml〜200ng/mlの範囲である。特定的な実施形態では、CB幹細胞は、そのCB幹細胞をNotchアゴニストと100ng/mlのSCFに暴露することによって増殖する。特定的な実施形態では、CB幹細胞は、そのCB幹細胞をNotchアゴニストと、それぞれ100ng/mlのFlt−3L、IL−6及びSCFと、10ng/mlのIL−11に暴露することによって増殖する。
凍結保存及び解凍・凍結保存:臍帯血由来のCB幹細胞を増殖した後、増殖CB幹細胞集団を得たら、その増殖CB幹細胞集団は、凍結保存することができる。特定的な実施形態では、増殖CB幹細胞集団を1つ以上のバッグ(またはユニット)で分割して、凍結することができる。特定的な実施形態では、2つ以上の増殖CB幹細胞集団をプールして、別々のアリコートに分割することができ、各アリコートを凍結する。特定的な実施形態では、増殖CB幹細胞は、新鮮である。すなわち、増殖または凍結保存の前に、事前に凍結されていない。「凍結する/凍結」及び「凍結保存した/凍結保存」という用語は、本願では、同義的に用いられている。凍結保存は、細胞を生きた形態で凍結する方法であって、当該技術分野において知られているいずれかの方法によることができる。細胞の凍結は通常、破壊的である。冷却すると、細胞内の水分が凍結する。そして、細胞膜に対する浸透作用、細胞の脱水、溶質濃度及び氷結晶の形成によって、障害が生じる。細胞外に氷が形成されると、利用可能な水分が溶液から除去され、細胞から抜き出て、浸透脱水と溶質濃度の上昇が生じて、最終的に、細胞が破壊される。考察については、Mazur,P.,1977,Cryobiology 14:251−272を参照されたい。
これらの障害作用は、(a)凍結保護剤の使用、(b)凍結速度の制御、及び(c)分解反応を最小限にするのに十分に低い温度での保存によって回避できる。
使用できる凍結保護剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)(Lovelock and Bishop,1959,Nature183:1394−1395、Ashwood−Smith,1961,Nature190:1204−1205)、グリセロール、ポリビニルピロリジン(Rinfret,1960,Ann.N.Y.Acad.Sci.85:576)、ポリエチレングリコール(Sloviter and Ravdin,1962,Nature 196:548)、アルブミン、デキストラン、スクロース、エチレングリコール、i−エリトリトール、D−リビトール、D−マンニトール(Rowe et al.,1962,Fed.Proc.21:157)、D−ソルビトール、i−イノシトール、D−ラクトース、コリンクロリド(Bender et al.,1960,J.Appl.Physiol.15:520)、アミノ酸(Phan The Tran and Bender,1960,Exp.Cell Res.20:651)、メタノール、アセトアミド、グリセロールモノアセテート(Lovelock,1954,Biochem.J.56:265)及び無機塩(Phan The Tran and Bender,1960,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.104:388、Phan The Tran and Bender,1961,in Radiobiology,Proceedings of the Third Australian Conference on Radiobiology,Ilbery ed.,Butterworth,London,p.59)が挙げられる。特定的な実施形態では、低濃度では細胞に対する毒性のない液体であるDMSOを使用する。DMSOは、小分子であるので、細胞を自由に透過して、水と組み合わさって、その凍結能を改変して、氷の形成による損傷を防ぐことによって、細胞内オルガネラを保護する。血漿を(例えば、20〜25%の濃度まで)加えることにより、DMSOの保護作用を高めることができる。
制御された遅い冷却速度が重要であることがある。凍結保護剤が異なったり(Rapatz et al.,1968,Cryobiology 5(1):18−25)、細胞のタイプが異なったりすると、最適な冷却速度も異なる(例えば、冷却速度が、骨髄幹細胞の生存と、その移植潜在能力に及ぼす作用については、Rowe and Rinfret,1962,Blood 20:636、Rowe,1966,Cryobiology 3(1):12−18、Lewis,et al.,1967,Transfusion 7(1):17−32及びMazur,1970,Science168:939−949を参照されたい)。水が氷に変わる融解時の熱は、最小限でなければならない。冷却手順は、例えば、プログラム可能な凍結装置またはメタノール浴の手順を使用することによって行うことができる。
プログラム可能な凍結装置により、最適な冷却速度を割り出すことが可能になり、標準的な再現可能な冷却が容易になる。制御された速度のプログラム可能なフリーザー(CryomedまたはPlanarなど)により、凍結レジメンを所望の冷却速度曲線に合わせることができるようになる。例えば、10%DMSO及び20%血漿中の骨髄細胞では、最適な速度は、0℃から−80℃まで1℃〜3℃/分である。特定的な実施形態では、新生児細胞で、この冷却速度を使用できる。細胞を入れる容器は、凍結と解凍の両方を有効に制御するために、低温で安定しているとともに、速やかに熱を伝導できなければならない。複数の少量(1〜2ml)用には、密閉プラスチックバイアル(例えば、Nunc、Wheaton cryules)またはガラスアンプルを使用でき、より多くの量(100〜200ml)は、冷却中の熱伝導の向上のために、金属プレート間に保持したポリオレフィンバッグ(例えば、Dehned)で凍結できる。骨髄細胞バッグは、偶発的に3℃/分の冷却速度をもたらす、−80℃のフリーザーに入れることによってうまく凍結されてきている。
特定的な実施形態では、メタノール浴の冷却法を用いることができる。メタノール浴の方法は、複数の少量アイテムを大規模に日常的に凍結保存するのに非常に適している。この方法には、凍結速度の手動制御も、凍結速度をモニタリングするための記録装置も不要である。特定的な実施形態では、DMSOで処理した細胞を氷上で予冷して、冷却メタノールを含むトレイに移し、その後、そのトレイを−80℃の機械的冷蔵庫(例えば、HarrisまたはRevco)に入れる。メタノール浴と試料の熱電対による測定から、1℃〜3℃/分という所望の冷却速度が示されている。少なくとも2時間後に、検体は、−80℃の温度に達し、恒久保存のために、液体窒素(−196℃)に直接入れることができる。
十分に凍結した後、増殖CB幹細胞を長期極低温保存容器に移すことができる。特定的な実施形態では、試料は、液体窒素(−196℃)またはその蒸気(−165°C)中で極低温保存することができる。このような保存は、熱の漏洩と窒素の喪失が極限まで小さく保たれるように、極低真空状態及び内側が超断熱状態になっている大きなThermos容器のような高効率な液体窒素冷蔵庫の可用性によって大きく促進される。
好適なラックシステムは市販されており、個々の検体の目録の作成、保存及び検索に、そのシステムを用いることができる。
造血幹細胞、特に骨髄または末梢血由来の造血幹細胞の操作、凍結保存、及び長期保存のための考察事項及び手順の大部分は、増殖CB幹細胞に適用可能である。このような考察は、例えば、Gorin,1986,Clinics In Haematology 15(1):19−48、Bone−Marrow Conservation,Culture and Transplantation,Proceedings of a Panel,Moscow,Jul.22−26,1968,International Atomic Energy Agency,Vienna,pp.107−186という参照文献(参照により、本明細書に援用される)に見ることができる。
生細胞のその他の凍結保存方法またはその変形形態が利用可能であり、その使用が想定される(例えば、冷却金属ミラー法、Livesey and Linner,1987,Nature 327:255、Linner et al.,1986,J.Histochem.Cytochem.34(9):1123−1135。Senkanらによる米国特許第4,199,022号、Schwartzによる米国特許第3,753,357号、Fahyによる米国特許第4,559,298号も参照されたい)。
解凍:凍結細胞は、(例えば、37℃〜41℃に維持した水浴で)素早く解凍し、解凍したら、すぐに冷やすのが好ましい。特定的な実施形態では、凍結細胞を含むバイアルを、その首部まで温水浴に浸漬でき、ゆっくり回転させると、解凍の際に、細胞懸濁液が混合されるようになるとともに、温水から内側の氷塊への熱伝導が向上する。氷が完全に溶けたらすぐに、バイアルを氷中に入れることができる。
特定的な実施形態では、造血機能の必要なヒト患者において、造血機能をもたらすために、解凍した状態の増殖CB幹細胞試料またはその一部を注入できる。解凍した細胞の処理に関連するいくつかの手順が利用可能であり、望ましいとみなされた場合に、その手順を用いることができる。
凍結保護剤は、ヒトにおいて有毒である場合には、解凍した増殖CB幹細胞を治療で用いる前に取り除く必要がある。DMSOを凍結保護剤として用いる実施形態では、細胞の喪失を回避するために、この工程を省くのが好ましい。DMSOには、深刻な毒性はないからである。しかしながら、凍結保護剤を除去するのが望ましい場合には、その除去は、解凍時に行うのが好ましい。
凍結保護剤を除去する方法の1つは、低い濃度まで希釈することによるものである。これは、培地を加えてから、必要に応じて、遠心分離を1サイクル以上行って、細胞をペレット化し、上清を除去して、細胞を再懸濁することによって行うことができる。例えば、解凍した細胞中の細胞内DMSOは、回収した細胞に悪影響を及ぼさないレベル(1%未満)まで減らすことができる。DMSOの除去中に浸透勾配を損なう可能性を最小限にするために、上記の作業はゆっくり行うのが好ましい。
凍結保護剤の除去後、細胞数の計数(例えば、血球計算盤の使用による)と生存能の検査(例えば、トリパンブルー排除法による。Kuchler,1977,Biochemical Methods in Cell Culture and Virology,Dowden,Hutchinson & Ross,Stroudsburg,Pa.,pp.18−19、1964,Methods in Medical Research,Eisen et al.,eds.,Vol.10,Year Book Medical Publishers,Inc.,Chicago,pp.39−47)を行って、細胞の生存を確認できる。試料中の抗原(例えばCD34)陽性生細胞の割合は、試料のアリコートにおいて7−AAD(または生細胞によって排除されるその他の好適な染料)を排除する抗原陽性細胞の数を、試料のアリコート中の総有核細胞数(TNC)(生細胞と非生細胞の両方)で除した値を算出することによって求めることができる。続いて、抗原陽性生細胞の割合に、試料のTNCを掛けることによって、試料中の抗原陽性生細胞の数を求めることができる。
凍結保存前及び/または解凍後に、総有核細胞数、または特定的な実施形態では、CD34+もしくはCD133+細胞の総数を求めることができる。例えば、総有核細胞数は、血球計算盤と、トリパンブルー色素排除法を用いることによって求めることができる。細胞充実度の高い検体は、手動計数に適する濃度範囲まで希釈できる。生成物の最終的な細胞数は、いずれかの希釈係数について補正する。総有核細胞数は、1mL当たりの有核生細胞数×生成物の体積(mL)である。試料中のCD34+またはCD133+陽性細胞の数は、例えば、蛍光色素にコンジュゲートした抗CD34または抗CD133モノクローナル抗体を用いるフローサイトメトリーの使用によって求めることができる。
特定の実施形態では、出発臍帯血及び/または胎盤血と、CB幹細胞と、凍結保存前の増殖CB幹細胞または解凍後の増殖CB幹細胞の同一性及び純度に関して、マルチパラメータフローサイトメトリーによる免疫表現型解析を行うことができ、この解析によって、試料に存在する抗原陽性生細胞の割合が得られる。各試料は、蛍光色素に直接コンジュゲートしたモノクローナル抗体のパネルを用いて、1.CD34+HPC、2.T細胞(CD3+、CD4+サブセットとCD8+のサブセットの両方を含む)、3.B細胞(CD19+またはCD20+)、4.NK細胞(CD56+)、5.単球(CD14+)、6.骨髄単球(CD15+)、7.巨核球(CD41+)、8.樹状細胞(系列陰性/HLA−DRbright及びCD123brightまたは系列陰性/HLA−DRbright及びCD11cbright)という細胞表現型のうちの1つ以上について調べることができる。
以下に、上記の方法に基づく具体的な例示的プロトコールを示す。臍帯血/胎盤血ユニット(複数可)を1人のヒトから出産時に採取することができる。続いて、採取した血液を抗凝固剤と混合して、凝固を防ぐことができる。この血液を、隔離した場所に4℃で、モニタリングしている冷蔵庫で保存できる。受領したユニット(複数可)を評価でき、どのユニット(複数可)を、増殖のために処理するかを判断することができる。ユニットに関して、受領日、そのユニットの経過時間、ドナーの在胎週数、ドナーの性別、ユニットの体積という情報を収集できる。さらに、各ユニットの総有核細胞数と総CD34+細胞数を割り出すことができ、CD34+細胞の割合を算出することができる。増殖のために、ユニットを選択するときには、隔離した場所からユニットを取り出し、固有の識別子のロットナンバーを割り当てることができ、そのロットナンバーは、製造プロセスを通じて維持することができる。
増殖培養を予定どおりに開始する前に、まず、組織培養容器を一晩、4℃で、または最低でも2時間、37℃で、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の2.5μg/mlのDelta1ext−IgGと、5μg/mlのRetroNectin(登録商標)(組み換えヒトフィブロネクチン断片)(ウィスコンシン州マディソンのClontech Laboratories,Inc.)でコーティングできる。続いて、そのフラスコをPBSで洗浄し、PBS−2%ヒト血清アルブミン(HSA)でブロックすることができる。CliniMACS(登録商標) Plus Cell Separation Systemを用いて、新鮮な臍帯血ユニットを処理して、CD34+細胞について選択できる。CD34についての選択の前に、新鮮な臍帯血ユニットのアリコートの総細胞数とCD34含有量を調べることができる。処理の後、CD34+細胞画分とCD34−細胞画分を回収することができる。この手順に従って濃縮した後、試料中のCD34+細胞の割合は概して、濃縮前の試料中のCD34+細胞の割合と比べて、88倍〜223倍上昇する。濃縮CD34+細胞画分を最終的な培養培地(rhlL−3(10ng/ml)と、rhIL−6(50ng/ml)と、rhTPO(50ng/ml)と、rhFlt−3L(50ng/ml)と、rhSCF(50ng/ml)とを添加したSTEMSPAN(商標)という無血清増殖培地(ブリティッシュコロンビア州バンクーバーのStemCell Technologies)を含む)に再懸濁できる。
特異的に標識して調製した組織培養容器の容器表面区域に、CD34+濃縮細胞を(例えば、≦1.8×104個の総有核細胞数/cm2という濃度で)加えてから、個々にモニタリングを行うアラーム付きインキュベーターであって、その生成物ロット専用のインキュベーターに入れることができる。2〜4日の培養後、初期体積の50%の新鮮な培養培地(上記)を培養容器に加えることができる。細胞培養容器を定期的(1〜3日おき)にインキュベーターから取り出し、倒立顕微鏡によって、細胞の成長とコンタミネーションの徴候について調べることができる。5〜8日目に、培養容器を軽く攪拌して、細胞を混合でき、処理中の試験のために、1mlの試料を取り出すことができる。細胞の試料を計数するとともに、CD34、CD7、CD14、CD15及びCD56の発現について、表現型の解析を行うことができる。培養期間にわたって、細胞密度が≧8×105細胞/mlまで上昇したら、必要に応じて、細胞を追加のフラスコに移すことができる。凍結保存のために細胞を回収する前日に、新鮮な培地を加えることができる。
14〜16日目に、凍結保存のために、増殖細胞集団を回収できる。その容器を攪拌して、すべての中身を500mlの滅菌遠心チューブに移すことができる。回収した細胞を遠心分離してから、遠心分離によって、PBS中で1回洗浄し、HSAと、Normosol−R(イリノイ州レイクフォレストのHospira)と、ジメチルスルホキシド(DMSO)とを含む凍結保護剤溶液に再懸濁できる。リリース試験を実施するための試料を取ることができる。増殖CB幹細胞集団生成物は、速度制御フリーザーで凍結して、気相式液体窒素(LN2)フリーザーの貯蔵室に移すことができる。
培養期間の終了時、得られた細胞集団は、CD34、CD7、CD14、CD15及びCD56抗原の存在に関するフローサイトメトリー解析によって示されるように、CD34+前駆細胞と、より成熟した骨髄及びリンパ球前駆細胞とを含み、不均質であるはずである。このプロセスによって増殖した細胞の増殖期間の終了時における典型的なフローサイトメトリーによる特徴は、図2に示されている。
培養期間中、CD34+細胞数と総細胞数は、有意に上昇しているはずであり、CD34+細胞の増加率は100〜387倍、総細胞数の増加率は617〜3337倍の範囲であるはずである(N=9の臍帯血ユニット。上記のような最終的な臨床増殖手順に従って処理)。免疫表現型解析によって測定すると、T細胞は本質的に完全に欠如しているはずである。機能的に、これらの細胞は、NOD/SCIDマウスモデルにおいて、多系列なヒト造血の正着を可能にする。
図3には、このプロトコールに従って実施した10回のフルスケールの体外増殖から得られたデータが示されている。総細胞数の平均増加率は、1723±230倍(平均±sem)で、CD34+細胞では、179±30倍(平均±sem)であった。図4には、19回のフルスケールの体外増殖における増殖後の総有核細胞数とCD34+細胞の開始時の数と、終了時の数と、増殖率の値が示されている。これらの19ユニットの増殖ヒト臍帯血幹細胞は、1つ以上のバッグで凍結保存した。図5には、それぞれの増殖ヒト臍帯血幹細胞試料の総有核細胞数(TNC)とCD34+細胞数と、凍結保存前の細胞生存率と、それぞれの凍結バッグにおけるTNC数とCD34+細胞数が示されている。さらに、追加の12個の濃縮CD34+細胞試料をDelta1ext−IgGによって増殖したところ、凍結保存前のCD34+細胞の増殖率は、平均で141倍(SEM17)であることが示された。
上記の説明に続き、以下では、下記の用語の定義を示すのが有用である。
「CB幹細胞」(本明細書では、「CB幹細胞試料」ともいう)とは、造血幹細胞が濃縮されているか、造血幹細胞・前駆細胞が濃縮されている集団であって、出産時に採取したヒト臍帯血及び/またはヒト胎盤血に由来する集団を指す。造血幹細胞または造血幹・前駆細胞は、造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞上において高レベルで発現する特異的マーカーに対して、他のタイプの造血細胞よりも陽性であることができる。例えば、このようなマーカーは、CD34、CD43、CD45RO、CD45RA、CD59、CD90、CD109、CD117、CD133、CD166、HLA DRまたはこれらを組み合わせたものであることができる。また、造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞は、ある発現マーカーに対して、他のタイプの造血細胞よりも陰性であることができる。例えば、このようなマーカーは、Lin、CD38またはこれらを組み合わせたものであることができる。特定的な実施形態では、造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞は、CD34+細胞である。
「増殖CB幹細胞」(本明細書では、「増殖CB幹細胞試料」及び「Ex−CBSC」ともいう)とは、臍帯血造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞の増殖技法を行ったCB幹細胞を指し、その増殖技法は、(i)試料アリコート中の造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞の数を増加させること、すなわち増殖させること、及び/または(ii)SCID再構築細胞の数を増加させること(限界希釈解析によって割り出し、そのようにして増殖させた試料アリコートを注入したNOD/SCIDマウスでの正着が、増殖技法を行わなかった試料アリコートの場合よりも増大したことによって示される)ことが示されているものである。特定的な実施形態では、NOD/SCIDマウスにおける正着の増大は、増殖試料のアリコートを注入したマウスの方が、増殖前の試料アリコートを注入したマウスよりも、例えば注入から10日後、3週間後または9週間後における骨髄中のヒトCD45+細胞の割合が向上したことを検出することによって検出できる(Delaney et al.,2010,Nature Med.16(2):232−236を参照されたい)。特定的な実施形態では、その増殖技法により、増殖試料アリコートにおける造血幹細胞または造血幹細胞・前駆細胞の数は、少なくとも50倍、75倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍または500倍増加し、特定的な実施形態では、少なくとも100倍増加する。
固形組織移植拒絶反応の軽減のためのEx−CBSCの利用:臓器機能障害または臓器不全に至る疾患と状態は、数多く存在する。特定の条件下では、臓器機能障害または不全を治療するための最善の治療選択肢は、臓器移植である。加えて、外傷または変性イベントを経験している個体では、臓器移植が有益であることがあり、またさらには、生命を救うものであり得る。例えば、熱傷及び/または倒壊の被害者は、皮膚移植片から恩恵を受けることができる。顔面移植でさえも、臨床領域に入ってきている。
主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子(ヒトでは、ヒト白血球抗原(HLA))は、細胞の表面に存在し、これらの分子の特定の構造は典型的には、各個体に固有のものである(一卵性双生児を除く)。
HLAクラスI抗原(HLA−A、HLA−B及びHLA−C)は、体のほぼすべての細胞(赤血球細胞と、中枢神経系の細胞を除く)の表面上に発現するとともに、ペプチド(このペプチドは、プロテアソームで分解される消化タンパク質から作られる)を細胞表面に提示する膜貫通タンパク質である。
HLAクラスII抗原(HLA−DP、HLA−DM、HLA−DOA、HLA−DOB、HLA−DQ及びHLA−DR)は、抗原をその細胞の外側から、T−リンパ球に提示する。これらの特定の抗原は、T−ヘルパー細胞を刺激して増殖させ、続いて、これらのT−ヘルパー細胞が、抗体を産生するB細胞を刺激して、その特異的な抗原に対する抗体を産生させる。自己抗原は、サプレッサーT細胞によって抑制される。
HLAクラスIII抗原は、補体系の成分をコードする。
ヒト集団におけるHLAの多様性は、疾患防御の一局面であり、その結果、血縁関係のない2人の個体が、すべての座に同じHLA分子を持つ可能性は非常に低い。したがって、HLAタイピングを行って、適切なアリル適合を確かめて、レシピエントによるドナー組織の拒絶を回避する必要がある。大半の組織タイピング(例えば、レシピエントに対する免疫学的な適合に関するタイピング)は、同定されているHLA抗原に特異的な抗体による血清学的な方法を用いて行う。HLA抗原コード遺伝子における多型を検出するためのDNAベースの方法も、HLAアリルのタイピングに用いられており、この方法は急速に、好ましいHLAタイピング方法となってきている。HLAタイピングは、(1)HLAアリルを割り出すことによって(アリル特異的な配列を割り出すことによって、DNA配列レベルで行う)(高解像度タイピング)及び/または(2)HLA−抗原に特異的な抗体によって、HLA抗原を血清学的に割り出すことによって(低解像度タイピング)行うことができる。
各個体の免疫系は、外来または「非自己」のMHCまたはHLAを持つ組織を攻撃するようにプログラムされている。これにより、治療のための移植における課題の1つは、レシピエント(宿主)の免疫系が移植片に及ぼす障害作用である。これらの障害作用に対処しなければ、移植拒絶反応が起こることがあり、例えば、重要器官が拒絶されると、死に至ることもある。したがって、本明細書で使用する場合、移植拒絶反応とは、固形組織の移植物質(例えば、器官、細胞群(例えば膵島β細胞)、皮膚移植片または毛髪)がレシピエント/宿主の免疫系によって拒絶されることを指す。特定的な実施形態では、移植拒絶反応とは、移植物質に対するレシピエント/宿主の免疫応答により、移植物質の80%または90%超の細胞または組織の壊死が見られることを意味する。特定的な実施形態では、移植拒絶反応とは、移植物質に対するレシピエント/宿主の免疫応答により、移植前の移植物質の生存能と比べて、移植物質の生存能が低下して、移植物質の想定される機能が、80%または90%超低下するようになることを意味する。
移植拒絶反応のリスクにより、ドナーとレシピエントとの間のMHC/HLA適合度を最適化する試みが行われている。この場合、適合/不適合移植片と、適合不明(unmatched)または適合不明(non−matched)移植片という用語が本明細書で使用されている場合、適合/不適合移植片と適合不明(unmatched)または適合不明(non−matched)移植片の区別を明確にすることが有用となる。「適合」または「不適合」を指す免疫学的な適合性は、適合度を指す。例えば、6つのHLA抗原をタイピングして適合性を調べたときには、試料は、4/6、5/6または6/6のHLA抗原で適合したと言うことができる。4/6及び5/6が同じ試料は、2/6または1/6のHLA抗原で「不適合」であるということもできる。いずれのケースでも、ドナーとレシピエントとの間で、高い適合性が見られる(>50%適合)。これに対して、「適合判定なし」、「適合不明(unmatched)」または「適合不明(non−matched)」とは、例えば、ドナーも、レシピエントも、HLAタイピングを行っていないために、ドナーとレシピエントとの適合度がわからないことを意味する。
移植医療では、ドナーとレシピエントとの間で考えられる免疫学的な適合度が高いことが好ましい。適合度が高いと、概して、レシピエントの拒絶応答の程度が低下するからである。移植物に対するレシピエント/宿主の免疫応答を抑制する薬物を用いることもできる。そのような免疫抑制剤(「拒絶反応抑制薬」)の例としては、プレドニゾン、シクロスポリンA及びシクロホスファミドが挙げられる。
移植を行う能力の向上にもかかわらず、移植片の維持には、課題が残っている。例えば、移植拒絶反応を防ぐために免疫抑制を行うと、日和見感染とがんのリスクが高まる。したがって、拒絶反応抑制のためのより有効な医療処置であって、移植片(すなわち患者)の寿命を延ばすとともに、クオリティオブライフを向上させる医療処置に対するニーズが存在する。
本開示は、Ex−CBSCの投与により、移植拒絶反応が軽減されることを示す。さらに詳細には、実施例1に示されているように、Ex−CBSCを投与すると、皮膚移植片の維持期間の延長によって示されているように、移植拒絶反応が有意に軽減される。Ex−CBSCが、同種異系の皮膚移植片の拒絶反応を軽減する能力により、Ex−CBSCが、他のタイプの固形組織の拒絶反応も軽減することになることが示されている。皮膚移植片の維持は特に難しいので、これらのタイプの移植片は、実験的な移植調査の「ゴールドスタンダード」になっているからである(Anderson & Matzinger,Nat.Med.2001.(7)1:80−87)。すべてのタイプの組織にわたり、固形組織の拒絶反応を担う主な機構は、MHC分子の提示する非自己のドナー由来ペプチドによって生じる、T細胞の活性化である。非自己のドナー由来抗原に応答するT細胞サブセットは、メモリーT細胞になり、それ以降、ドナー組織に対する制御性免疫応答の発現を防ぐことになる。メモリーT細胞は、皮膚移植片(Benichou et al.Immunotherapy.2011.3(6):757−770)、ならびにその他のタイプの器官(肝臓(Donckier et al.Tranplantation.2013.96(3):306−15)、心臓(Azzawi,J Heart Lung Transplant.1998.17:881−887)及び腎臓(Heeger,J Immunol.1999:163:2267−2275)など)の拒絶反応の重要な決定因子である。理論に拘束されるものではないが、Ex−CBSCが皮膚移植片に対する寛容を誘導する理由の1つは、Ex−CBSCの増殖の際に、ドナー特異的メモリーT細胞の二次リンパ組織を枯渇することによって、ドナー特異的制御性T細胞の活性を促すことである。ドナー特異的メモリーT細胞の抑制と、制御性T細胞の増強により、多くのタイプの器官の寛容を促すことができる。したがって、Ex−CBSCは、多くのタイプの固形器官と組織の拒絶反応を防ぐのに有用となる。
さらに、実施例1では、固形組織拒絶反応の軽減が、免疫寛容に起因し得ることも示されている。この関連においては、免疫寛容とは、宿主による移植物質に対する免疫応答の強度低下を指す。特定的な実施形態では、免疫応答の強度は、本明細書に開示されているようなEx−CBSCを投与しなかった場合の移植物質に対する平均宿主免疫応答と比べて、5〜100%、25〜100%または75〜100%低下することができる。特定的な実施形態では、免疫応答の強度は、移植物質が拒絶される時点を割り出すことによって測定することができる。例えば、免疫寛容により、移植物質は、更に長期間、存続及び機能可能になることができる。特定的な実施形態では、免疫寛容とは、特定の外来抗原によって、免疫応答が惹起されないか、または惹起される免疫応答が軽減される免疫系(宿主)状態を指すことができる。
上記に基づき、Ex−CBSCを用いて、多様な患者集団と状況において、免疫寛容を誘導できる。すなわち、本明細書に開示されている特定的な実施形態は、Ex−CBSCを投与して、対象において、移植片に対する免疫寛容をもたらすことを含む。免疫寛容状態の対象は、移植物質を著しく拒絶または破壊する免疫応答を発現しない。特定的な実施形態では、免疫寛容状態の対象は、抗原に結合できる抗体を産生することによって抗原に応答することをしないか、統計的に有意な程度及び/または臨床的に有意な程度低下したレベルで応答する。
特定的な実施形態では、本開示は、Exp−CBSCを投与して、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、幹細胞、胃、腱、精巣、1本または複数の歯及び椎間板の移植拒絶反応を軽減することを提供する。
上に示されているように、移植拒絶反応の軽減におけるEx−CBSCの有益な作用により、移植を受ける患者での免疫抑制の必要性を低減できる。したがって、Ex−CBSCの投与後、患者に投与する免疫抑制剤を少なくしてよい。例示的な免疫抑制剤としては、シクロスポリン、シクロスポリンA、シクロホスファミド、プレドニゾン、デキサメタゾン、メトトレキセート、アザチオプリン、ミコフェノレートモフェチル、サリドマイド、FK−506(タクロリムス)、シロリムス、全身性ステロイド、局所ステロイド、広範な抗体、レセプターアゴニスト、レセプターアンタゴニスト及び当業者に知られているようなその他の薬剤が挙げられる。免疫抑制剤の投与の低減は、用量の低下、投与間隔の延長及び/または免疫抑制剤の投与を早期に止めることを通じて反映できる。
特定的な実施形態では、マウス(例えば、C57BL/6マウス)の腎被膜下に移植物質を移植するとともに、Ex−CBSCを投与することによって、実験的な移植拒絶反応を解析できる。移植レシピエントを殺処分し、細胞生存率に関して染色するか、または移植物質の部位(すなわち、移植物質の部位に存在する器官もしくは組織)で、好適な移植後時点に、免疫細胞化学染色を行うことによって、移植拒絶反応の軽減を確認することができる。移植物質部位の染色(例えばヘマトキシリン及びエオシン、または免疫染色)を行う時点は、例えば、移植した動物の平均生存時間または予想生存時間によって変化し得る。
様々なモデルにおいて、例えば、移植から1日〜10年後(すなわち、1日後、5日後、10日後、30日後、100日後以上、1年後または2年後以上)、特定的な実施形態では、移植から10日〜1年後、より特定的な実施形態では、移植から10〜100日後に染色することによって、移植部位を解析できる。例えば、移植物質をマウスの腎被膜下に導入する場合、移植したマウスの腎臓を調べることができる。移植物質がまだ検出可能であり、及び/または特定的な実施形態では、移植物質が、組織塊に増殖していた場合には、移植物質は、正着がうまくいった(すなわち、拒絶されなかった)ことになる。
移植物質の検出と、移植物質の増殖は、例えば、移植部位(例えば腎臓)から調製した凍結切片をヘマトキシリン/エオシン染色して、移植レシピエントに由来しない(例えば、宿主腎臓に由来しない)新たな成長を検出することによって判断することができる。異種移植のケースでは、当該技術分野において知られている免疫細胞化学染色法に従って、移植物質の由来元である種の抗原に対して特異的な抗血清で特異的な免疫染色を行うことによって、陽性細胞が特定された場合に、移植物質は、正着がうまくいったことになる。あるいは、異種移植を行う実施形態では、移植片の種(移植物質の供給源である種)に由来する分子(すなわち、タンパク質または抗原)が移植レシピエントの血液中に検出された場合に、移植物質は、正着がうまくいったことになる。
完全静脈栄養の低減:完全静脈栄養(TPN)は、経静脈栄養によって、患者の栄養必要量を満たすことを伴う。TPN(高カロリー輸液という場合もある)は、組織の構築、エネルギー消費及びその他の生理作用に必要なすべての炭水化物、タンパク質、脂肪、水、電解質、ビタミン及びミネラルを供給する。
TPNは、最初は、消化管の重症及び大規模な外傷の手術後に用いる緊急処置として発案されたものである。静脈栄養は、完全的であるか、補足的であるかを問わず、今では、患者を食事の取れない状態にするか、または患者の食欲をなくす医学的介入後を含む多種多様な慢性状態で用いられている。
完全静脈栄養は、多くの患者にとって、命を救う栄養プログラムであるが、どの患者も、栄養混合物中の一部の要素に対する感受性と、栄養チューブによる感染の可能性により、有害反応に苦しむ場合がある。発症し得るその他の合併症としては、心過負荷、コリン欠乏、脱水、電解質平衡異常、高血糖、心臓への機械的外傷、代謝アシドーシス、代謝性骨疾患、静脈炎、腎疾患及び大静脈血栓が挙げられる。したがって、患者がTPNを受ける時間の短縮には、重要な臨床効果がある。
本開示は、Ex−CBSCを用いて、医療処置後の患者において、TPNを低減することを提供する。実施例2に記載されているように、本明細書に開示されているEx−CBSCには、小児患者において、臍帯血移植後のTPNを低下させる劇的な効果があった。著しいことに、Ex−CBSCの投与後、TPNの平均期間は、30.1日から20.7日に短縮した。この著しい低下により、TPNに伴う合併症の軽減を助けることができる。
オピオイドの使用の低減:医療処置に伴う疼痛を軽減するために、医療処置後に、オピオイドを投与することが多い。しかしながら、オピオイドの乱用は、米国で蔓延している。FDA Consumer Health Information,FDA Acts to Reduce Harm from Opioid Drugs,April 2011。FDAは、2007年には、3,300万人を超える米国人がオピオイドを誤用し、5年前の2,900万人から増加すると推定している。米国政府は、教育及びモニタリングプログラムを通じて、この蔓延に対処するように計画しているが、そのような戦略では、根柢をなすオピオイド化合物の中毒性という問題の核心には十分に対処できない可能性がある。
本明細書で使用する場合、オピオイドには、オピオイドレセプターを刺激する化合物が含まれる。オピオイドレセプターは、内因性オピオイドペプチドと臨床的に重要なアルカロイド鎮痛薬(モルヒネなど)の両方によって活性化されるGタンパク質共役型レセプター(GPCR)である。オピオイドレセプターには、δ−オピオイドレセプター、κ−オピオイドレセプター及びμ−オピオイドレセプターという3つの主なタイプがある。オピオイドの例としては、アニレリジン、アリルプロジン、アルフェンタニル、アルファプロジン、ベンジルモルヒネ、ブプレノルフィン、ベジトラミド、ブトルファノール、コデイン、クロニタゼン、シクラゾシン、デゾシン、デソモルヒネ、ジヒドロモルヒネ、デキストロモラミド、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジエチルチアムブテン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジピパノン、ジオキサフェチルブチレート、エプタゾシン、エチルモルヒネ、エチルメチルチアムブテン、エトニタジン、エトヘプタジン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヘロイン、6−ヒドロキシモルフォン、ヒドロキシペチジン、ヒドロモルフォン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、レボルファノール、モルヒネ、ミロフィン、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ナルセイン、ナルブフィン、ナロルフィン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、ピリトラミド、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、フェノモルファン、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、これらの立体異性体、これらの代謝物、これらの塩、これらのエーテル、これらのエステル及び/もしくはこれらの誘導体、及び/またはこれらの混合物が挙げられる。
μオピオイドレセプターを標的にするオピオイドアゴニストは、解熱薬及び/または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)などの第2の鎮痛剤と組み合わせて投与することが多い。いくつかのケースでは、このような組み合わせにより、相加効果が得られ、いくつかのケースでは、疼痛の治療のために用いたときに、相乗効果が得られると考えられる。FDAにより認可されている組み合わせの例としては、PERCOCET(登録商標)(オキシコドン/アセトアミノフェン)とVICODIN(登録商標)(ヒドロコドン/アセトアミノフェン)が挙げられる。このような組み合わせは、鎮痛作用の向上により、患者に投与するオピオイドの量を低下させる形で投与できる(「オピオイド節減」)。したがって、上記のような組み合わせは、中毒性の高いオピオイドの乱用の可能性を低下させるための潜在的手段をもたらす。さらに、このような組み合わせは、オピオイドを原因とする他の副作用も軽減し得る。
上記にかかわらず、オピオイドの使用を抑制する追加の方法が必要とされており、本開示は、Ex−CBSCを用いて、医療処置後の患者において、オピオイドの使用を低減することを提供する。実際、実施例2に示されているように、本明細書に開示されているEx−CBSCには、小児患者において、臍帯血移植後のオピオイドの使用を低減させる劇的な効果があった。著しいことに、Ex−CBSCの投与後、アヘン剤の連続投薬の平均期間は、18.1日から9.7日に短縮した。
入院の低減:医療コストは、高度な医療システムを持つ米国及びその他の国々の全域で、劇的に増大している。医療処置に伴う所要入院期間を短縮するいずれの方法も、増大する医療コストを軽減する助けとなる。さらに、患者は、長期入院を必要とする医療処置を受けている間、機会損失コストを負う。同様に、所要入院期間の短縮により、患者が、より楽しい活動及び/または収入につながる活動に戻る支援となる。したがって、医療処置に伴う所要入院期間を短縮するいずれの方法も、大きな社会的及び個人的メリットをもたらすことになる。
実施例2に記載されているように、本明細書に開示されているEx−CBSCには、小児患者で、臍帯血移植後の入院日数において、有意な効果があった。平均で、患者は、Ex−CBSCの投与後、12日早く退院した(55.6日間の入院に対して、43.2日間の入院)。
理論に拘束されるものではないが、Ex−CBSCの投与後に、TPN、オピオイドの使用及び入院の低減が観察されたことは、患者の診療に携わった医療従事者によって文書化されているように、粘膜炎(Ex−CBSCの投与後にも観察されている)の軽減に関係し得る。粘膜炎は、口から肛門までの消化管の上皮組織の病変によって特徴付けられる炎症反応である。粘膜炎は、電離性放射線または化学療法剤のいずれかへの暴露に起因すると見られる。口内炎は、潰瘍を伴うか否かにかかわらず、口腔粘膜に影響を及ぼすいずれかの炎症反応である。粘膜炎は、臨床で認められている基準を用いて診断、測定及びモニタリングできる。したがって、本明細書に開示されている特定的な実施形態は、粘膜炎を軽減する必要のある患者において、Ex−CBSCを投与して、粘膜炎を軽減することを含む。
バクテリアルトランスロケーションを軽減または予防することによって、消化管内膜(例えば腸粘膜)の健康を維持すると、本明細書に記載されている有益な臨床効果のいくつかが得られると見られる。バクテリアルトランスロケーションは、管腔内細菌が腸外部位に移動するプロセスである。動物モデルが入手可能であり、当業者に知られており、例えば、van Minnen et al.,J Gastrointest Surg.2007 May;11(5):682−9に記載されている。
特定的な実施形態では、Ex−CBSCは、抗微生物化合物と組み合わせて投与できる。抗微生物剤の例としては、抗微生物化合物、抗菌剤(例えば抗生物質)、抗真菌剤、抗感染剤及び抗ウイルス剤が挙げられる。当業者には分かるように、特定の化合物は、これらの一般的な分類の2つ以上に含まれることがある。
例示的な抗微生物剤としては、抗微生物ペプチド(AMP)、クロルヘキシジンジアセテート及び炭酸銀を含む抗微生物化合物が挙げられる。
例示的な抗菌剤(例えば抗生物質)としては、アクラルビシン、アクチノマイシンD、アクチノプラノン、アドリアマイシン、アエロプリシニン誘導体、アミノグリコシド(例えばゲンタマイシンまたはネオマイシン)、アモキシシリン、アンピシリン、アムルビシン、アントラサイクリン、アジノマイシン−A、アジスロマイシン、アズトレオナム、ビスカベリン、ブレオマイシンサルフェート、ブリオスタチン−1、カリケアマイシン、セフェピム、セフィキシム、セフトリアキソン、セファロスポリンC、セファマンドール、セファゾリン、クロラムフェニコール、クロモキシマイシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジトリサルビシンB、ドキソルビシン、ドキソルビシン−フィブリノゲン、ドキシサイクリン、エルサミシン−A、エピルビシン、エルブスタチン、エリスロマイシン、エソルビシン、エスペラミシン−Al、エスペラミシン−Alb、ホストリエシン、グリドバクチン、グレガチン−A、グリンカマイシン、ハービマイシン、イダルビシン、イルジン、イミペネム、カズサマイシン、ケサリロジン、メノガリル、メロペネム、メトロニダゾール、マイトマイシン、ネオエナクチン、ネチルマイシン、オキサリシン、オキサウノマイシン、ペニシリン(例えば、オキサシリンまたはメズロシリン)、ペプロマイシン、ピラチン、ピラルビシン、ポロトラマイシン、ピリンダニシンA、リファンピシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、チゲサイクリン、トブラマイシン及びトリメトプリムが挙げられる。
例示的な抗真菌剤としては、ポリエン抗真菌剤(アンホテリシンB、カンジシジン、フィリピン、ハマイシン、イミダキソール、ナタマイシン、ナイスタチン、リモシジン、チアゾール抗真菌剤及びトリアゾールなど)が挙げられる。イミダゾール抗真菌剤としては、ビホナゾール、クロトリマゾール、ブトコナゾール、エコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール、スルコナゾール及びチオコナゾールが挙げられる。トリアゾール系抗真菌剤としては、アルバコナゾール、フルコナゾール、イサブコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、テルコナゾール及びボリコナゾールが挙げられる。チアゾール抗真菌剤としては、アバファンギンが挙げられる。アリルアミン抗真菌剤の例としては、アモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン及びテルビナフィンが挙げられる。エキノカンジン抗真菌剤としては、アニデュラファンギン、カスポファンギン及びミカファンギンが挙げられる。追加の抗真菌剤としては、安息香酸、シクロピロックス、クリスタルバイオレット、フルシトシンまたは5−フルオロシトシン、グリセオフルビン、ハロプロギン、ポリゴジアール、トルナフテート及びウンデシレン酸が挙げられる。抗真菌剤特性を持つ精油としては、アリシン、シトロネラ油、ヤシ油、レモンマートル、ルゴールヨウ素、ニームシード油、オリーブリーフ、オレンジ油、オレガノ、パルマローザ油、パチョリ、セレン及びティーツリー油が挙げられる。
例示的な抗感染剤としては、ピリミジンアナログが挙げられる。ピリミジンアナログは概して、1つ以上の原子または化学基で置換されているか、またはピリミジン環構造中の1つ以上の炭素の位置において酸化されているピリミジン環構造(1,3−ジアジン)を持つ化合物を指す。特定的な実施形態では、ピリミジンアナログは、ピリミジン環構造中の炭素の位置に、F、Cl、BrまたはIのようなハロゲン置換基を含む。例示的なフルオロピリミジンとしては、5−フルオロシトシン、5−フルオロチミジン、5−FU、5−FUdR(5−フルオロ−デオキシウリジン、フロクスウリジン)、カペシタビン、フルオロデオキシウリジンモノフォスフェート(5−dFUMP)、フルオロウリジントリフォスフェート(5−FUTP)、トリフルオロチミジン及びトリフルリジンが挙げられる。その他のハロゲン化ピリミジンアナログとしては、5−ブロモシトシン、5−ブロモデオキシウリジン(5−BudR)、5−ブロモウラシル、5−クロロシトシン、5−クロロデオキシウリジン、5−クロロウラシル、5−ヨードシトシン、5−ヨードデオキシウリジン(5−IudR)及び5−ヨードウラシルが挙げられる。
ウラシルピリミジンアナログとは、1つ以上の原子または化学基で置換されたウラシル環構造を含む化合物を指す。ウラシルアナログは、F、Cl、BrまたはIなどのハロゲン置換基を含む。特定の実施形態では、ウラシルアナログは、F置換基を含み、フルオロウラシルアナログという。例示的なフルオロウラシルアナログとしては、5−FU、カルモフール、ドキシフルリジン、エミテフール、フロクスウリジン及びテガフールが挙げられる。
その他の例示的な抗感染剤としては、クロルヘキシジン、銀化合物、銀イオン、銀粒子、またはその他の金属化合物、イオンもしくは粒子(金など)が挙げられる。追加の抗感染剤としては、2−p−スルファニルアニリノエタノール、4−スルファニルアミドサリチル酸、4,4’−スルファニルジアニリン、アセトスルホン、アミフロキサシン、アミカシン、アモキシシリン、アンホテリシンB、アパルシリン、アピサイクリン、アプラマイシン、アルベカシン、アスポキシシリン、アザセリン、アジダンフェニコール、アジスロマイシン、アズトレオナム、バシトラシン、バンベルマイシン(類)、ビアペネム、ブロジモプリム、ブチロシン、カンジシジン(類)、カプレオマイシン、カルベニシリン、カルボマイシン、カルモナム、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン、セフブペラゾン、セフクリジン、セフジニル、セフジトレン、セフェピム、セフェタメト、セフメノキシム、セフィキシム、セフミノクス、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタキシム、セフォテタン、セフォチアム、セフォゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、セフピロム、セフプロジル、セフロキサジン、セフタジジム、セフテラム、セフチブテン、セフトリアキソン、セフゾナム、セファレキシン、セファログリシン、セファロスポリンC、セフラジン、クロラムフェニコール、クロルヘキシジン、クロルフェネシン、クロルテトラサイクリン、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリナフロキサシン、クリンダマイシン、クロモサイクリン、コリスチン、シクラシリン、ダプソン、デメクロサイクリン、デルモスタチン(類)、ジアチモスルホン、ジベカシン、ジヒドロストレプトマイシン、ジリスロマイシン、エノキサシン、エンビオマイシン、エピシリン、エリスロマイシン、フィリピン、フレロキサシン、フロモキセフ、ホルチミシン(類)、フンギクロミン、ゲンタマイシン(類)、グルコスルホン、ソラスルホン、金化合物(塩化金、オーラノフィンなど)、金イオン、金粒子、グラミシジンS、グラミシジン(類)、グレパフロキサシン、グアメシクリン、ヘタシリン、イミペネム、ヨウ素、イセパマイシン、ジョサマイシン、カナマイシン(類)、ロイコマイシン(類)、リンコマイシン、ロメフロキサシン、ルセンソマイシン、リメサイクリン、メクロサイクリン、メパルトリシン、メロペネム、メタサイクリン、ミクロノミシン、ミデカマイシン(類)、ミノサイクリン、モキサラクタム、ムピロシン、ナジフロキサシン、ナタマイシン、ネオマイシン、ネチルミシン、ノルフロキサシン、ナイスタチン、オフロキサシン、オレアンドマイシン、オリゴマイシン(類)、オキシテトラサイクリン、パニペネム、パロモマイシン、パズフロキサシン、ペフロキサシン、ペニシリンN、ペリマイシンA、ピパサイクリン、ピペミド酸、ポリミキシン、ポビドン/ヨード、プリマイシン、p−スルファニルベンジルアミン、キナシリン、リボスタマイシン、リファミド、リファンピン、リファマイシンSV、リファペンチン、リファキシミン、リストセチン、リチペネム、ロキタマイシン、ロリテトラサイクリン、ロサラマイシン、ロソキサシン、ロキシスロマイシン、サラゾスルファジミジン、サンサイクリン、塩化銀、銀化合物(例えば銀イオン、硝酸銀、酸化銀)、銀粒子、シソマイシン、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、ストレプトマイシン、スクシスルホン、スルファクリソイジン、スルファロクス酸、スルファミドクリソイジン、スルファニル酸、スルホキソン、テイコプラニン、テマフロキサシン、テモシリン、テトラサイクリン、テトロキソプリム、チアンフェニコール、チアゾールスルホン、チオストレプトン、チカルシリン、チゲモナム、トブラマイシン、トスフロキサシン、トリメトプリム、トロスペクチノマイシン、トロバフロキサシン、ツベラクチノマイシン、ツベルシジン及びバンコマイシンが挙げられる。
例示的な抗ウイルス剤としては、5−ブロモウリジン、アシクロビル、アロブジン、アマンタジン、抗ウイルスタンパク質、アルビドール、ブリブジン、シドフォビル、ダクラタスビル、ドコサノール、二本鎖RNA(dsRNA)活性化カスパーゼオリゴマライザー(DRACO)、ファムシクロビル、FGI−104、フィアルウリジン、ホミビルセン、ホスカルネット、FV−100、ガンシクロビル、イバシタビン、イドクスウリジン、イミキモド、イノシン、イノシンプラノベクス、インターフェロン、マリバビル、メチサゾン、モロキシジン、ヌクレオチド抗ウイルス剤、オラジェン(oragen)、ペンシクロビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、プロセッタ、PSI−6130、reciGen、レシキモド、リバビリン、リンタトリモド、セマピモド、セトロブビル、シメプレビル、ソホスブビル、ソリブジン、タリバビリン、テコビリマット、テルビブジン、テノホビルアラフェナミドフマレート、テアフラビン、チロロン、トリフルリジン、トロマンタジン、バラシクロビル、バルガンシクロビル及びビダラビンが挙げられる。
HSPCと抗微生物剤は、防腐剤と組み合わせて投与することもできる。例示的な防腐剤としては、アルコール(例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール)、quatまたはQACとしても知られている四級アンモニウム塩(例えば、ベンザルコニウムクロリド(BAC)、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTMB)、セチルピリジニウムクロリド(Cetrim、CPC)及びベンゼトニウムクロリド(BZT))、ホウ酸、ブリリアントグリーン、次亜塩素酸カルシウム、クロルヘキシジングルコネート、過酸化水素、ヨウ素(例えば、ポビドン−ヨード及びルゴールヨウ素)、マーキュロクロム、オクテニジンジヒドロクロリド、フェノール(石炭酸)化合物、ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド、PHMB)、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ならびに次亜塩素酸ナトリウムが挙げられる。
同種異系造血細胞の移植後の移植片対宿主病の軽減:造血細胞移植(HCT)を用いて、延命することができ、または、HCTは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、骨髄異形成症候群(MDS)、リンパ腫、多発性骨髄腫、重症再生不良性貧血、ならびに免疫不全及び自己免疫障害などを含む多種多様な血液のがん及び疾患に利用可能な唯一の治療措置であることもある。
HCTとその他のタイプの臓器移植をさらに広く、成功裏に適用する際の主な障壁の1つは、移植レシピエントにおける移植片対宿主病(GVHD)のリスクである。GVHDは、レシピエント(宿主)の組織を攻撃する免疫系細胞を含むかまたは産生するドナー組織(移植片または移植物)によって特徴付けられる。GVHDは、移植物中の機能的な免疫細胞が、レシピエントを「外来物」として認識し、免疫学的攻撃を仕掛けると発症する。生命にかかわる多くの合併症は、GVHDが原因で発症し、移植物質に由来する免疫細胞がレシピエントの器官を攻撃して、十分な損傷を与えると、GVHDは、致命的になり得る。
GVHDは、急性であることも、慢性であることもある。急性GVHDは、肝臓、皮膚、粘膜、消化管(GI)、免疫系(造血系、例えば骨髄及び胸腺)自体、ならびに肺(特発性間質性肺炎の形態)の選択的な損傷によって特徴付けられる。急性GVHDは、各器官の病期分類が、低い1(I)から高い4(IV)まで個々になされた総合的グレード(皮膚−肝臓−消化管)で病期分類がなされる。皮膚のGVHDにより、びまん性紅斑丘疹型発疹、場合によっては、レース状のパターンが現れる。肝臓のGVHDは、ビリルビンレベルによって測定できる。消化管は、腸管の炎症、粘膜の壊死脱落、下痢、腹痛、悪心及び嘔吐の存在及び/または重症度に基づいて評価できる。消化管のGVHDは、腸生検によって病期分類を行うことができる。腎臓機能も、クレアチニン及び/またはBUNレベルを測定することによって評価することができる。説明されているI〜IVの病期分類は、臨床で実施されており、十分に認められている。
グレードIVのGVHDの患者は通常、予後が悪い。GVHDが重度な場合、疾患の制御には、ステロイドと追加の薬剤を伴う強力な更なる免疫抑制が必要となることがあり、患者は、その免疫抑制の結果、重大、またはさらには致命的な感染症を発現し得る。また、慢性GVHDは、上記の器官を攻撃するが、長期間にわたり、結合組織と外分泌腺を損傷させることもある。
GVHDの病態生理には、ドナーT細胞と宿主抗原提示細胞との相互作用、その後の炎症性サイトカインの産生(サイトカインストーム)と、それに並行して、標的器官を損傷させる同種反応性Tエフェクター細胞(Tエフェクター)の活性化が伴う。これに対して、ドナー由来の成熟foxp3+T制御性細胞(Tregs)は、同種反応性をダウンレギュレートできる。したがって、1つの仮説は、GVHDの重症度では、ドナーTエフェクターとドナーTregsとの比率が、重要な役割を果たすということである。しかしながら、移植造血細胞中のT細胞の枯渇によってGVHDを軽減する試みは、がん治療の関連においては、治療における移植片対白血病(GVL)効果の喪失、患者(宿主)における造血細胞の正着不全、及び日和見感染率の向上により、悪性腫瘍の有意な再発につながった。
臍帯血を用いて、同種異系または遺伝的に同一ではない、すなわち不適合な造血幹細胞移植が行われている。このタイプの幹細胞は、より入手しやすく、レシピエントに対する慢性GVHDのリスクが低く、ドナーが痛みを伴わず、重要なことに、ドナーとレシピエントとのHLA組織タイプの適合度が低くてもよく、適合する血縁成人または十分に適合する非血縁成人のボランティアドナーを特定できない患者が、HCTを投与されるチャンスが広がるからである。現在、臍帯血移植の臨床現場では、ドナー組織とレシピエントのHLAタイピングは、6つのHLA抗原またはアリル、通常は、HLA−A座、HLA−B座及びHLA−DR座のそれぞれ2つ、またはHLA−A座、HLA−B座及びHLA−C座のそれぞれ1つ、HAL−DRB1座、HLA−DQB1座及びHLA−DPB1座のそれぞれ1つを確認することに関するものである(例えば、Kawase et al.,2007,Blood110:2235−2241を参照されたい)。4/6もしくは5/6の不適合、または6/6の適合が、臨床ケアの基準である。
しかしながら、ヒトでの血液移植の細胞源として臍帯血を用いることの重大な障壁は、1つの臍帯血ユニット中の造血幹細胞/前駆細胞は、白血球細胞及び血小板の回復(造血再構築)の重大な遅延と、移植不全リスクの向上により、移植を安全に行うには不十分である場合が多い点である。したがって、これらの患者は、移植関連死の重大なリスクにさらされる。1つの臍帯血ユニットのサイズ(すなわち、ドナーからの1回分の輸血に含まれる造血細胞の数)は、血液移植には不十分なことが多かったので、2つの臍帯血ユニットが必要となることが多かった。2つの臍帯血ユニットの使用により、拒絶反応/移植不全のリスクが劇的に低下したが、造血回復までの時間は、大きく遅延したままで、そのため、生命にかかわる感染症と出血のリスクは上昇した。さらに、2つの臍帯血ユニットのアプローチでは、急性GVHDのリスクも上昇し、臍帯血移植レシピエントでは、早期移植関連死のリスクが上昇したままであった。
固形組織移植の関連において、Ex−CBSCの投与後に、免疫寛容が観察されたことを踏まえ、そのような免疫寛容が生じて、急性GVHDも軽減できるか調べた。当初は、重大なHLA不適合の可能性により、急性GVHDは、Ex−CBSCの適合不明投与に伴う重大なリスクと考えられていた。しかしながら、実施例3に記載されているように、適合不明なEx−CBSCは、予想外にも、高リスクの急性白血病、慢性骨髄性白血病及び骨髄異形成症候群の治療のために、HLA適合(6/6)または不適合(4/6もしくは5/6)な臍帯血移植を受けた患者において、急性GVHDの発症と重症度を低減することを本開示は示す。HLA適合または不適合臍帯血ユニットと組み合わせて、適合不明なEx−CBSCを投与した患者には、グレードIII〜IVのGVHDを発症した患者はいなかったが、臍帯血ユニットと組み合わせて、Ex−CBSCを投与しなかった患者の26%は、グレードIII〜IVのGVHDを発症した。この結果は重大である。上で示したように、グレードIVのGVHDの患者は通常、予後が悪いからである。GVHDの発症と重症度の低減により、強力な免疫抑制の必要性が低下し、致命的な感染症及び/またはがんの発現リスクも低下する。この知見により、多種多様な患者及び移植の関連において、Ex−CBSCが免疫寛容を誘導することも裏付けられる。
この関連においては、免疫寛容とは、移植物質による宿主に対する免疫応答強度の低下を指す。特定的な実施形態では、免疫応答強度は、本明細書に開示されているようなEx−CBSCを投与していない移植レシピエントと比べて、宿主に対する平均移植片免疫応答よりも5〜100%、25〜100%または75〜100%低下できる。特定的な実施形態では、免疫応答強度は、GVHDが現れる時点を割り出すことによって測定できる。例えば、免疫寛容により、宿主と宿主の器官は、より長期間にわたり生存及び機能可能になることができる。特定的な実施形態では、免疫寛容とは、特定の外来抗原によって、免疫応答が惹起されないか、または惹起される免疫応答が低下する免疫系(移植片)状態を指すことができる。
上記に基づき、本明細書に開示されている特定的な実施形態は、Ex−CBSCを投与して、同種異系造血細胞移植液が、宿主に対して免疫寛容を示すようにすることを含む。免疫寛容を示す同種異系造血細胞移植液(移植体)は、宿主に対して有意な免疫応答を起こさず、宿主において、GVHD、特定的な実施形態では急性GHVD、より特定的な実施形態では、ステージIIIまたはステージIVの急性GVHDの発症及び/または重症度が低減されるようになる。特定的な実施形態では、免疫寛容を示す同種異系造血細胞移植液は、抗原に結合できる抗体を産生することによって、抗原に応答することをしないか、統計的に有意な程度低下したレベルで応答する。
上に示されているように、Ex−CBSCの有益な作用により、同種異系造血細胞移植を受ける患者において、免疫抑制の必要性を軽減できる。したがって、Ex−CBSCの投与後、同種異系造血細胞移植レシピエントに投与する免疫抑制剤を軽減してよい。上に示されているように、免疫抑制剤の投与の低減は、用量の低下、投与間隔の延長及び/または免疫抑制剤の投与を早期に止めることによって反映できる。
臍帯血移植後のGVHDの軽減について記載されている参照文献が数多く存在することに触れるのは有益である。これらの参照文献には主に、より標準的な骨髄移植後に発症するGVHDよりも、臍帯血移植後のGVHDが軽減されていることが記載されている。さらに、GVHDの軽減により、概して、慢性GVHDが軽減される。Ex−CBSCの投与により、臍帯血移植に伴うGVHDがさらに軽減されることを本開示は提供する。Ex−CBSCはさらに、急性GVHD、より詳細には、最も危険な形態の急性GVHDであるステージIII及びIVも軽減する。
臨床関連外でも、急性GVHDの軽減効果は、動物モデルを用いて確認することもできる。例えば、免疫不全NOD.SCIDуc−/−(NSG)マウス(例えばJackson Laboratory製)に、2Gyの放射線を照射後、健常なドナーから得た末梢血単核球(PBMC)を合わせて2106個、注射することできる。GVHDの発現と重症度の臨床パラメーターとして、注射したマウスの経時的な体重減少と生存率を評価できる。体重減少は、注射したマウスの初期体重に対する、PBMC注射後の異なる時点における体重の割合として表すことができる。血液と脾臓細胞も回収でき、ヒト特異的な蛍光mAbを用いて、フローサイトメトリーによって、T細胞の出現頻度を割り出すことができる。
患者への投与用のExp−CBSCユニットの選択:本開示を通じて、固形組織移植物質と臍帯血ユニットの免疫学的な適合性(例えば、HLAの適合性)の重要性について説明されている。これに対して、Exp−CBSCは、免疫学的に適合させる必要はなく、むしろ、免疫学的な適合性に関わらず、いずれの患者にも投与できるオフザシェルフの製品として提供する。
特定的な実施形態では、Exp−CBSCは、Exp−CBSCのHLAタイプを患者のHLAタイプに免疫学的に適合させずに投与する。特定的な実施形態では、「HLAタイプを適合させずに」及び「免疫学的な適合判定なしに」とは、患者と試料との間で、HLA抗原またはアリルのいずれかが適合しているようにする工程を経ないことを意味する。特定的な実施形態では、患者に投与するExp−CBSCの選択は、Exp−CBSCを投与する予定の患者が、HLA抗原またはアリルのいずかにおいて、Exp−CBSCに適合しているか不適合かを考慮せずに行う。したがって、Exp−CBSC試料は、患者と同じHLAタイプを有していることもあれば、Exp−CBSCのHLAタイプは、タイピングしたHLA抗原及び/またはアリルの1個、2個、3個、4個、5個、6個以上において、患者のHLAタイプと異なることもある。特定的な実施形態では、Exp−CBSC試料のHLAタイプは、タイピングしたすべてのHLA抗原及び/またはアリルにおいて、患者のHLAタイプと異なっていてよい。しかしながら、疑念を回避するために、移植物質(例えば、固形組織または同種異系造血細胞移植液)は、現行の臨床ケア基準内で、免疫学的に適合させる。現行の臨床ケア基準では、免疫学的な適合内で、ある程度の不適合を許容できる。特定的な実施形態では、Exp−CBSCは、骨髄系列細胞に分化できる。特定的な実施形態では、Exp−CBSCは、リンパ球系列細胞に分化できる。特定的な実施形態では、Exp−CBSCは、T細胞が枯渇されたものである。T細胞の枯渇は、能動的なプロセスによるものであることも、及び/またはCD34+の選択と増殖培養中の受動的な除去によるものであることもできる。
適合不明なExp−CBSCの選択の際に考慮する任意のパラメーターには、総有核細胞数、CD34+(またはその他の好適な抗原に対して陽性の)総細胞数、試料の経過日数、患者の年齢、ドナーの人種または民族的バックグラウンド、患者の体重、特定の患者における治療対象の病状のタイプと重症度、患者の既存抗体検査結果などのうちの1つ以上を含めることができる。
特定的な実施形態では、患者への投与用のExp−CBSCを調製するために、細胞を培養培地から回収して、洗浄し、治療有効量で担体中に濃縮できる。例示的な担体としては、塩類溶液、緩衝塩類溶液、生理食塩水、水、ハンクス液、リンゲル液、Normosol−R(Abbott Labs)、Plasma−Lyte A(登録商標)(イリノイ州モートングローブのBaxter Laboratories,Inc.)、グリセロール及びこれらを組み合わせたものが挙げられる。
特定的な実施形態では、担体には、ヒト血清アルブミン(HSA)もしくはその他のヒト血清成分、またはウシ胎仔血清を添加できる。特定的な実施形態では、注入用担体としては、5%HSAまたはデキストロースを含む緩衝塩類溶液が挙げられる。追加の等張化剤としては、三価以上の糖アルコールを含む多価糖アルコール、例えば、グリセリン、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトールまたはマンニトールなどが挙げられる。
担体としては、シトレート緩衝液、サクシネート緩衝液、タートレート緩衝液、フマレート緩衝液、グルコネート緩衝液、オキサレート緩衝液、ラクテート緩衝液、アセテート緩衝液、フォスフェート緩衝液、ヒスチジン緩衝液及び/またはトリメチルアミン塩などの緩衝剤を挙げることができる。
安定剤とは、充填剤から、細胞の容器壁への接着を防ぐのを助ける添加剤まで、様々な機能に及ぶことができる広範なカテゴリーの賦形剤を指す。典型的な安定剤としては、多価糖アルコール、アミノ酸(アルギニン、リシン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2−フェニルアラニン、グルタミン酸及びトレオニンなど)、有機糖または糖アルコール(ラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイノシトール、ガラクチトール、グリセロール及びイノシトールのようなシクリトールなど)、PEG、アミノ酸ポリマー、含硫還元剤(尿素、グルタチオン、チオクト酸、ナトリウムチオグリコレート、チオグリセロール、α−モノチオグリセロール及びナトリウムチオサルフェートなど)、低分子量ポリペプチド(すなわち、10残基未満)、タンパク質(HSA、ウシ血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなど)、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど)、単糖(キシロース、マンノース、フルクトース及びグルコースなど)、二糖(ラクトース、マルトース及びスクロースなど)、三糖(ラフィノースなど)、ならびに多糖(デキストランなど)を挙げることができる。
必要または有益な場合、製剤には、リドカインのような局所麻酔剤を含めて、注射部位の疼痛を緩和できる。
例示的な保存剤としては、フェノール、ベンジルアルコール、メタクレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ハロゲン化ベンザルコニウム、ヘキサメトニウムクロリド、アルキルパラベン(メチルパラベンまたはプロピルパラベンなど)、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール及び3−ペンタノールが挙げられる。
製剤内の治療有効量の細胞は、102個超の細胞、103個超の細胞、104個超の細胞、105個超の細胞、106個超の細胞、107個超の細胞、108個超の細胞、109個超の細胞、1010個超の細胞または1011個超であることができる。特定的な実施形態では、製剤を調整して、対象に投与したときに、1キログラム当たりに100万〜2000万個のHSPCを供給できる。
本明細書に開示されている製剤では、細胞は概して、1リットル以下、500ml以下、250ml以下または100ml以下の体積である。したがって、投与する細胞の密度は典型的には、104個超の細胞/ml、107個超の細胞/mlもしくは108超の細胞/ml、またはそれを超える数(例えば109個の細胞/ml)である。
本明細書に開示されている製剤は、例えば、注射、注入、かん流または洗浄による投与用に調製できる。本発明の製剤はさらに、骨髄注射、静脈内注射、皮内注射、動脈内注射、結節内注射、リンパ内注射、腹腔内注射、病巣内注射、前立腺内注射、膣内注射、直腸内注射、局所注射、髄腔内注射、腫瘍内注射、筋肉内注射、小胞内注射及び/または皮下注射用に調合できる。
Exp−CBSC製剤を対象に投与する。対象としては、ヒト、ペット(イヌ、ネコ、爬虫類、トリなど)、家畜(ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、ニワトリなど)、及び実験動物(サル、ラット、マウス、魚など)が挙げられる。Exp−CBSC製剤は、対象に治療有効量で投与する。
治療有効量としては、有効量、予防的措置及び/または治療的措置をもたらす量が挙げられる。
「有効量」は、対象において所望の生理的変化をもたらすのに必要なExp−CBSCの量である。有効量は、研究目的で投与することが多い。実験モデルでは、本明細書に開示されている有効量は、(i)移植拒絶反応を軽減すること、(ii)TPNを低減すること、(iii)生理的処置後にオピオイドの使用を低減すること、(iv)入院期間に当たる回復期間を短縮すること、(v)急性GVHDを軽減すること、(vi)免疫寛容を誘導すること、及び/または(vi)粘膜炎を軽減することのうちの1つ以上を行う。
「予防的措置」としては、状態の徴候または症状を示していない対象に行う措置であって、その状態(例えば、移植拒絶反応、GVHD)の発現リスクを軽減、予防または低下させる目的で行う措置が挙げられる。したがって、予防的措置は、例えば、移植拒絶反応、ならびに/またはステージIII及び/もしくはステージIVのGVHDに対する予防的な措置として機能する。
「治療的措置」としては、状態の症状または徴候を示している対象に行う措置であって、その状態の重症度または進行を軽減する目的で対象に行う措置が挙げられる。治療的措置は、状態を部分的または完全に消散することもできる。本開示の関連においては、この状態としては、移植拒絶反応、TPNの使用、医療処置後のオピオイドの使用、入院、GVHD及び粘膜炎のうちの1つ以上が挙げられる。
示した状態の存在及び/または重症度を評価する方法は、本開示を通じて示されており、当業者が治療有効量を容易に特定できるようになっている。
医師、獣医または研究者は、例えば、標的、体重、状態のタイプ、移植物のタイプ、状態の重症度、分かる場合には、将来的に生じる関連イベント、過去または並行する治療的介入、対象の特発症及び投与経路などを含む物理的及び生理的要因のようなパラメーターを考慮して、特定の対象に対するExp−CBSCの実際の投与量を割り出すことができる。加えて、インビトロ及びインビボアッセイを任意に応じて用いて、最適な用量範囲の特定を助けることができる。
治療有効投与量としては、102個超の細胞、103個超の細胞、104個超の細胞、105個超の細胞、106個超の細胞、107個超の細胞、108個超の細胞、109個超の細胞、1010個超の細胞または1011個超の細胞を挙げることができる。特定的な実施形態では、治療有効量としては、1キログラム当たり100万〜2000万個のHSPCが挙げられる。
Exp−CBSCは、例えば、注射、注入、かん流または洗浄によって投与でき、より特定的には、1回以上の骨髄注入、静脈内注入、皮内注入、動脈内注入、結節内注入、リンパ内注入、腹腔内注入、病巣内注入、前立腺内注入、膣内注入、直腸内注入、局所注入、髄腔内注入、腫瘍内注入、筋肉内注入、小胞内注入及び/もしくは皮下注入、及び/またはボーラス注射による投与を挙げることができる。
特定的な実施形態では、HLAの適合判定なしに(対象とExp−CBSCとの間で、適合度を割り出す工程を経ずに)、Exp−CBSCの量を投与する。
Exp−CBSCは、臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で投与する。特定的な実施形態では、固形組織移植または同種異系造血細胞移植を受ける対象においては、臨床的に有意義なタイムウィンドウは、移植の12時間以内であることができる(例えば、WO2006/047569及びWO2007/095594を参照されたい)。特定的な実施形態では、臨床的に有意義なタイムウィンドウは、医療処置(移植など)の24時間、36時間、48時間または1週間以内であることができる。臨床的に有意義なタイムウィンドウの上限は、Exp−CBSCが有意義な臨床効果をもたらさなくなるまで、医学的介入とExp−CBSCの投与との間の遅延時間を延ばすことによって、実験によって割り出すことができる。
キット:キットは、本明細書に記載されている1つ以上のExp−CBSC製剤の入った1つ以上の容器を含むことができる。特定的な実施形態では、そのキットは、他の細胞、組成物または製剤と組み合わせて用いる1つ以上のExp−CBSC製剤の入った1つ以上の容器を含むことができる。このような容器(複数可)には、医薬または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する行政機関によって規定されている形態の通知であって、行政機関によるヒトへの投与用の製造、使用または販売の認可を反映する通知を付随できる。その通知は、提供するExp−CBSC製剤を免疫学的な適合判定なしに対象に投与できる旨を示すものであってよい。このキットは、そのキットを使用する際のさらなる説明、例えば、投与する際に細胞及び/または製剤を調製すること、関連する廃棄物の適切な破棄などに関する説明を含むことができる。この説明は、印刷した説明をキット内に入れた形態であることも、キット自体の一部に印刷することもできる。説明は、紙、パンフレット、チラシ、CD−ROMまたはコンピュータ可読デバイスの形態であってよく、あるいは、遠隔の場所(ウェブサイトなど)にある説明に誘導することもできる。特定的な実施形態では、キットは、そのキットを有効に使用するのに必要な医療器具(シリンジ、アンプル、チューブ材、フェイスマスク、針無流体移送器具、注射キャップ、スポンジ、滅菌接着片、Chloraprep、手袋など)の一部またはすべても含むことができる。本明細書に記載されているいずれのキットの中身は、様々であることができる。キットの説明によって、Exp−CBSCを使用して、本明細書に記載されている新たな臨床的な用途を実現するように指示することになる。
例示的な実施形態:
1.同種異系皮膚移植片拒絶反応を軽減する必要のある対象における同種異系皮膚移植片拒絶反応の軽減方法であって、
同種異系皮膚移植を受ける臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、CD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を治療有効量、同種異系皮膚移植を必要とする対象に投与することによって、その対象において、同種異系皮膚移植片拒絶反応を軽減することを含む方法。
2.(i)その同種異系皮膚移植片と対象が、免疫学的に適合しており、(ii)そのExp−CBSCを免疫学的な適合判定なしに、その対象に投与する、実施形態1に記載の方法。
3.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態1または2に記載の方法。
4.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態1のいずれかに記載の方法。
5.その対象が、皮膚の外傷により、同種異系皮膚移植片拒絶反応の軽減を必要とする、実施形態1〜3のいずれかに記載の方法。
6.その外傷が、火、熱、圧力、穿刺及び/または擦過によるものである、実施形態5に記載の方法。
7.同種異系皮膚移植を受ける前に、その臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態1〜6のいずれかに記載の方法。
8.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その同種異系皮膚移植を受ける36時間以内である、実施形態1〜7のいずれかに記載の方法。
9.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その同種異系皮膚移植を受ける12時間以内である、実施形態1〜7のいずれかに記載の方法。
10.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態1〜9のいずれかに記載の方法。
11.そのExp−CBSCが、出産時の1人のヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来するものである、実施形態1〜10のいずれかに記載の方法。
12.そのExp−CBSCが、2つ以上の異なる増殖ヒト臍帯血幹細胞試料の入ったプールを含み、そのプール中のそれぞれの異なる試料が、出産時における異なるヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態1〜10のいずれかに記載の方法。
13.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態1〜12のいずれかに記載の方法。
14.同種異系皮膚移植片拒絶反応を軽減する必要のある対象において、同種異系皮膚移植片拒絶反応を軽減する目的で、適合不明のCD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を使用すること。
15.その使用に、臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、同種異系皮膚移植を必要とする対象に、治療有効量を投与することが含まれる、実施形態14に記載の使用。
16.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態14または15に記載の使用。
17.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態14〜16のいずれかに記載の使用。
18.その対象が、皮膚の外傷により、同種異系皮膚移植片拒絶反応を軽減する必要のある、実施形態14〜17のいずれかに記載の使用。
19.その外傷が、火、熱、圧力、穿刺及び/または擦過によるものである、実施形態18に記載の使用。
20.同種異系皮膚移植を受ける前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態15〜19のいずれかに記載の使用。
21.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、同種異系皮膚移植を受ける36時間以内である、実施形態15〜20のいずれかに記載の使用。
22.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、同種異系皮膚移植を受ける12時間以内である、実施形態15〜20のいずれかに記載の使用。
23.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態14〜22のいずれかに記載の使用。
24.そのExp−CBSCが、出産時の1人のヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態14〜23のいずれかに記載の使用。
25.そのExp−CBSCが、2つ以上の異なる増殖ヒト臍帯血幹細胞試料の入ったプールを含み、そのプール中のそれぞれの異なる試料が、出産時における異なるヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態14〜23のいずれかに記載の使用。
26.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態15〜25のいずれかに記載の使用。
27.移植レシピエントにおいて免疫寛容を誘導する目的で、適合不明のCD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を使用すること。
28.その使用に、臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、免疫寛容を誘導する必要のある対象に、治療有効量を投与することが含まれる、実施形態27に記載の使用。
29.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態27または28に記載の使用。
30.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態27〜29のいずれかに記載の使用。
31.その移植レシピエントが、固形組織移植レシピエントである、実施形態27〜30のいずれかに記載の使用。
32.その固形組織が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態31に記載の方法。
33.その移植レシピエントが、造血細胞移植レシピエントである、実施形態27〜30のいずれかに記載の使用。
34.その移植レシピエントが、同種異系移植レシピエントである、実施形態27〜33のいずれかに記載の使用。
35.その移植レシピエントが、同種異系臍帯血移植レシピエントである、実施形態27〜30のいずれかに記載の使用。
36.その免疫寛容の誘導によって、その対象への免疫抑制薬の投与が低減される、実施形態27〜35のいずれかに記載の使用。
37.その免疫抑制薬が、シクロスポリン、シクロスポリンA、シクロホスファミド、プレドニゾン、デキサメタゾン、メトトレキセート、アザチオプリン、ミコフェノレート、モフェチル、サリドマイド、リチウム、FK−506、シロリムス、ATG、インフリキシマブ及び全身性ステロイドのうちの1つ以上を含む、実施形態36に記載の使用。
38.移植を受ける前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態28〜37のいずれかに記載の使用。
39.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、移植を受ける36時間以内である、実施形態28〜38のいずれかに記載の使用。
40.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、移植を受ける12時間以内である、実施形態28〜38のいずれかに記載の使用。
41.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態27〜40のいずれかに記載の使用。
42.そのExp−CBSCが、出産時の1人のヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態27〜41のいずれかに記載の使用。
43.そのExp−CBSCが、2つ以上の異なる増殖ヒト臍帯血幹細胞試料の入ったプールを含み、そのプール中のそれぞれの異なる試料が、出産時における異なるヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態27〜41のいずれかに記載の使用。
44.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態28〜43のいずれかに記載の使用。
45.固形組織移植レシピエントにおける固形組織移植片に対する免疫寛容の誘導方法であって、
固形組織移植を受ける臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、CD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を治療有効量、その移植レシピエントに投与することによって、その固形組織移植レシピエントにおいて、その固形組織移植片に対する免疫寛容を誘導することを含む方法。
46.(i)その固形組織移植片と対象が、免疫学的に適合しており、(ii)そのExp−CBSCを免疫学的な適合判定なしに、その対象に投与する、実施形態45に記載の方法。
47.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態45または46に記載の方法。
48.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態45〜47のいずれかに記載の方法。
49.免疫寛容が、固形組織移植の転帰の改善によって立証される、実施形態45〜48のいずれかに記載の方法。
50.Exp−CBSCを投与しない対照集団よりも、移植拒絶反応が軽減することによって、その固形組織移植の転帰の改善が立証される、実施形態49に記載の方法。
51.その固形組織移植片が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態49〜50のいずれかに記載の方法。
52.Exp−CBSCを投与しない対照集団よりも、免疫抑制薬の投与が低減されることによって、その固形組織移植の転帰の改善が立証される、実施形態49〜51のいずれかに記載の方法。
53.その免疫抑制薬が、シクロスポリン、シクロスポリンA、シクロホスファミド、プレドニゾン、デキサメタゾン、メトトレキセート、アザチオプリン、ミコフェノレート、モフェチル、サリドマイド、リチウム、FK−506、シロリムス、ATG、インフリキシマブ及び全身性ステロイドのうちの1つ以上を含む、実施形態52に記載の方法。
54.固形組織移植を受ける前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態45〜53のいずれかに記載の方法。
55.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、固形組織移植を受ける36時間以内である、実施形態45〜54のいずれかに記載の方法。
56.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、固形組織移植を受ける12時間以内である、実施形態45〜54のいずれかに記載の方法。
57.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態45〜56のいずれかに記載の方法。
58.そのExp−CBSCが、出産時の1人のヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態45〜57のいずれかに記載の方法。
59.そのExp−CBSCが、2つ以上の異なる増殖ヒト臍帯血幹細胞試料の入ったプールを含み、そのプール中のそれぞれの異なる試料が、出産時における異なるヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態45〜57のいずれかに記載の方法。
60.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態45〜59のいずれかに記載の方法。
61.免疫抑制薬の投与を低減する必要のある対象において、免疫抑制薬の投与を低減する目的で、適合不明のCD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を使用すること。
62.その使用に、臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、免疫抑制薬の投与を低減する必要のある対象に、治療有効量を投与することが含まれる、実施形態61に記載の使用。
63.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態61または62に記載の使用。
64.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態61〜63のいずれかに記載の使用。
65.その免疫抑制薬が、シクロスポリン、シクロスポリンA、シクロホスファミド、プレドニゾン、デキサメタゾン、メトトレキセート、アザチオプリン、ミコフェノレート、モフェチル、サリドマイド、リチウム、FK−506、シロリムス、ATG、インフリキシマブ及び全身性ステロイドのうちの1つ以上を含む、実施形態61〜64のいずれかに記載の方法。
66.移植処置が原因で、その対象に免疫抑制薬を投与する、実施形態61〜65のいずれかに記載の使用。
67.その移植処置が、固形組織移植処置を含む、実施形態66に記載の使用。
68.その固形組織移植片が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態67に記載の使用。
69.その移植処置が、造血細胞移植処置を含む、実施形態66のいずれかに記載の使用。
70.その移植処置が、同種異系移植処置を含む、実施形態66〜69のいずれかに記載の使用。
71.その移植処置が、同種異系臍帯血移植処置を含む、実施形態66のいずれかに記載の使用。
72.移植処置の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態62〜71のいずれかに記載の使用。
73.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、移植処置の36時間内である、実施形態62〜72のいずれかに記載の使用。
74.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、移植処置の12時間以内である、実施形態62〜72のいずれかに記載の使用。
75.そのExp−CBSCが、出産時の1人のヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態61〜74のいずれかに記載の使用。
76.そのExp−CBSCが、2つ以上の異なる増殖ヒト臍帯血幹細胞試料の入ったプールを含み、そのプール中のそれぞれの異なる試料が、出産時における異なるヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態61〜74のいずれかに記載の使用。
77.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態62〜76のいずれかに記載の使用。
78.固形組織移植レシピエントに必要な免疫抑制薬の量の低減方法であって、
固形臓器移植を受ける臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、CD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を治療有効量、その移植レシピエントに投与することによって、その固形組織移植レシピエントに必要な免疫抑制薬の量を低減することを含む方法。
79.(i)その固形組織移植片と対象が、免疫学的に適合しており、(ii)そのExp−CBSCを免疫学的な適合判定なしに、対象に投与する、実施形態78に記載の方法。
80.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態78または79に記載の方法。
81.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態78〜80のいずれかに記載の方法。
82.その免疫抑制薬が、シクロスポリン、シクロスポリンA、シクロホスファミド、プレドニゾン、デキサメタゾン、メトトレキセート、アザチオプリン、ミコフェノレート、モフェチル、サリドマイド、リチウム、FK−506、シロリムス、ATG、インフリキシマブ及び全身性ステロイドのうちの1つ以上を含む、実施形態78〜81のいずれかに記載の方法。
83.その固形組織移植片が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態78〜82のいずれかに記載の方法。
84.その固形組織移植片が、同種異系固形組織移植片を含む、実施形態78〜83のいずれかに記載の方法。
85.固形組織移植の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態78〜84のいずれかに記載の方法。
86.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、固形組織移植を受ける36時間以内である、実施形態78〜85のいずれかに記載の方法。
87.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、固形組織移植を受ける12時間以内である、実施形態78〜85のいずれかに記載の方法。
88.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態78〜87のいずれかに記載の方法。
89.そのExp−CBSCが、出産時の1人のヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態78〜88のいずれかに記載の方法。
90.そのExp−CBSCが、2つ以上の異なる増殖ヒト臍帯血幹細胞試料の入ったプールを含み、そのプール中のそれぞれの異なる試料が、出産時における異なるヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態78〜88のいずれかに記載の方法。
91.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態78〜90のいずれかに記載の方法。
92.完全静脈栄養(TPN)を低減する必要のある対象においてTPNを低減する目的で、適合不明のCD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を使用すること。
93.その使用に、臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、TPNを低減する必要のある対象に、治療有効量を投与することが含まれる、実施形態92に記載の使用。
94.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態92または93に記載の使用。
95.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態92〜94のいずれかに記載の使用。
96.その対象が、医療処置後にTPNを受ける、実施形態92〜95のいずれかに記載の使用。
97.その医療処置が移植を含む、実施形態96に記載の使用。
98.その移植が、固形組織移植を含む、実施形態97に記載の使用。
99.その固形組織移植が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態98に記載の使用。
100.その移植が、造血細胞移植処置を含む、実施形態97のいずれかに記載の使用。
101.その移植が、同種異系移植処置を含む、実施形態97〜100のいずれかに記載の使用。
102.その移植が、同種異系臍帯血移植処置を含む、実施形態97のいずれかに記載の使用。
103.その対象が、小児の対象である、実施形態92〜102のいずれかに記載の使用。
104.その医療処置の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態93〜103のいずれかに記載の使用。
105.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その医療処置の36時間以内である、実施形態93〜104のいずれかに記載の使用。
106.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その医療処置の12時間以内である、実施形態93〜104のいずれかに記載の使用。
107.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態92〜106のいずれかに記載の使用。
108.そのExp−CBSCが、出産時の1人のヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態92〜107のいずれかに記載の使用。
109.そのExp−CBSCが、2つ以上の異なる増殖ヒト臍帯血幹細胞試料の入ったプールを含み、そのプール中のそれぞれの異なる試料が、出産時における異なるヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態92〜107のいずれかに記載の使用。
110.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態93〜109のいずれかに記載の使用。
111.同種異系移植を受けた後に、完全静脈栄養(TPN)を受けることになる小児患者を特定することと、
その小児患者に、その同種異系移植の臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、適合不明のCD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を投与することと、
を含み、
それによって、その小児患者が、同種異系移植後に完全静脈栄養(TPN)を使用することを低減する方法。
112.(i)その同種異系移植片と対象が、免疫学的に適合しており、(ii)そのExp−CBSCを免疫学的な適合判定なしに、その対象に投与する、実施形態111に記載の方法。
113.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態111または112に記載の方法。
114.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態111〜113のいずれかに記載の方法。
115.その同種異系移植が、固形組織移植を含む、実施形態111〜114のいずれかに記載の方法。
116.その固形組織移植が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態115に記載の方法。
117.その同種異系移植が、造血細胞移植を含む、実施形態111〜114のいずれかに記載の方法。
118.その同種異系移植が、臍帯血移植処置を含む、実施形態111〜114のいずれかに記載の方法。
119.その移植の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態111〜118のいずれかに記載の方法。
120.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける36時間以内である、実施形態111〜119のいずれかに記載の方法。
121.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける12時間以内である、実施形態111〜119のいずれかに記載の方法。
122.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態111〜121のいずれかに記載の方法。
123.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態111〜122のいずれかに記載の方法。
124.医療処置後の対象による完全静脈栄養(TPN)の使用の低減方法であって、その医療処置の臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、CD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を治療有効量、その対象に投与することによって、医療処置後のその対象によるTPNの使用を低減することを含む方法。
125.そのExp−CBSCを免疫学的な適合判定なしに、対象に投与する、実施形態124に記載の方法。
126.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態124または125に記載の方法。
127.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態124〜126のいずれかに記載の方法。
128.その医療処置が、移植を含む、実施形態124〜127のいずれかに記載の方法。
129.その移植が、固形組織移植を含む、実施形態128に記載の方法。
130.その固形組織移植が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態129に記載の方法。
131.その移植が、造血細胞移植を含む、実施形態128のいずれかに記載の方法。
132.その移植が、同種異系移植を含む、実施形態128〜131のいずれかに記載の方法。
133.その移植が、同種異系臍帯血移植を含む、実施形態128のいずれかに記載の方法。
134.その対象が、小児の対象である、実施形態124〜133のいずれかに記載の方法。
135.その移植の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態124〜134のいずれかに記載の方法。
136.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける36時間以内である、実施形態124〜135のいずれかに記載の方法。
137.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける12時間以内である、実施形態124〜135のいずれかに記載の方法。
138.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態124〜137のいずれかに記載の方法。
139.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態124〜138のいずれかに記載の方法。
140.オピオイドの使用を低減する必要のある対象において、オピオイドの使用を低減する目的で、適合不明のCD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を使用すること。
141.その使用に、臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、オピオイドの使用を低減する必要のある対象に、治療有効量を投与することが含まれる、実施形態140に記載の使用。
142.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態140または141に記載の使用。
143.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態140〜142のいずれかに記載の使用。
144.そのオピオイドが、アニレリジン、アリルプロジン、アルフェンタニル、アルファプロジン、ベンジルモルヒネ、ブプレノルフィン、ベジトラミド、ブトルファノール、コデイン、クロニタゼン、シクラゾシン、デゾシン、デソモルヒネ、ジヒドロモルヒネ、デキストロモラミド、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジエチルチアムブテン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジピパノン、ジオキサフェチルブチレート、エプタゾシン、エチルモルヒネ、エチルメチルチアムブテン、エトニタジン、エトヘプタジン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヘロイン、6−ヒドロキシモルフォン、ヒドロキシペチジン、ヒドロモルフォン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、レボルファノール、モルヒネ、ミロフィン、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ナルセイン、ナルブフィン、ナロルフィン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、ピリトラミド、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、フェノモルファン、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、これらの立体異性体、これらの代謝物、これらの塩、これらのエーテル、これらのエステル及び/もしくはこれらの誘導体、及び/またはこれらの混合物のうちの1つ以上から選択されている、実施形態140〜143のいずれかに記載の使用。
145.そのオピオイドが、第2の活性成分と混合されている、実施形態140〜144のいずれかに記載の使用。
146.そのオピオイドと第2の活性成分が、オキシコドンとアセトアミノフェン、またはヒドロコドンとアセトアミノフェンを含む、実施形態145に記載の使用。
147.その対象が、医療処置後にオピオイドを投与される、実施形態140〜146のいずれかに記載の使用。
148.その医療処置が、移植を含む、実施形態147に記載の使用。
149.その移植が、固形組織移植を含む、実施形態148に記載の使用。
150.その固形組織移植が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態149に記載の使用。
151.その移植が、造血細胞移植を含む、実施形態148のいずれかに記載の使用。
152.その移植が、同種異系移植を含む、実施形態148〜151のいずれかに記載の使用。
153.その移植が、同種異系臍帯血移植を含む、実施形態148のいずれかに記載の使用。
154.その対象が、小児の対象である、実施形態141〜153のいずれかに記載の使用。
155.その医療処置前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態142〜154のいずれかに記載の使用。
156.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その医療処置の36時間以内である、実施形態142〜155のいずれかに記載の使用。
157.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その医療処置の12時間以内である、実施形態142〜155のいずれかに記載の使用。
158.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態141〜157のいずれかに記載の使用。
159.そのExp−CBSCが、出産時の1人のヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態141〜158のいずれかに記載の使用。
160.そのExp−CBSCが、2つ以上の異なる増殖ヒト臍帯血幹細胞試料の入ったプールを含み、そのプール中のそれぞれの異なる試料が、出産時における異なるヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態141〜158のいずれかに記載の使用。
161.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態142〜160のいずれかに記載の使用。
162.同種異系移植を受けた後に、オピオイドを投与される小児患者を特定することと、
その同種異系移植の臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、適合不明のCD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)をその小児患者に投与することと、
を含み、
それによって、同種異系移植後のその小児患者によるオピオイドの使用を低減する方法。
163.(i)その同種異系移植片と対象が、免疫学的に適合しており、(ii)そのExp−CBSCを免疫学的な適合判定なしに、その対象に投与する、実施形態162に記載の方法。
164.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態162または163に記載の方法。
165.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態162〜164のいずれかに記載の方法。
166.そのオピオイドが、アニレリジン、アリルプロジン、アルフェンタニル、アルファプロジン、ベンジルモルヒネ、ブプレノルフィン、ベジトラミド、ブトルファノール、コデイン、クロニタゼン、シクラゾシン、デゾシン、デソモルヒネ、ジヒドロモルヒネ、デキストロモラミド、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジエチルチアムブテン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジピパノン、ジオキサフェチルブチレート、エプタゾシン、エチルモルヒネ、エチルメチルチアムブテン、エトニタジン、エトヘプタジン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヘロイン、6−ヒドロキシモルフォン、ヒドロキシペチジン、ヒドロモルフォン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、レボルファノール、モルヒネ、ミロフィン、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ナルセイン、ナルブフィン、ナロルフィン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、ピリトラミド、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、フェノモルファン、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、これらの立体異性体、これらの代謝物、これらの塩、これらのエーテル、これらのエステル及び/もしくはこれらの誘導体、及び/またはこれらの混合物のうちの1つ以上から選択されている、実施形態162〜165のいずれかに記載の方法。
167.そのオピオイドが、第2の活性成分と混合されている、実施形態162〜166のいずれかに記載の方法。
168.そのオピオイドと第2の活性成分が、オキシコドンとアセトアミノフェン、またはヒドロコドンとアセトアミノフェンを含む、実施形態167に記載の方法。
169.その同種異系移植が、固形組織移植を含む、実施形態162〜168のいずれかに記載の方法。
170.その固形組織移植が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態169に記載の方法。
171.その同種異系移植が、造血細胞移植を含む、実施形態162〜168のいずれかに記載の方法。
172.その同種異系移植が、臍帯血移植処置を含む、実施形態162〜168のいずれかに記載の方法。
173.その移植の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態162〜172のいずれかに記載の方法。
174.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける36時間以内である、実施形態162〜173のいずれかに記載の方法。
175.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける12時間以内である、実施形態162〜173のいずれかに記載の方法。
176.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態162〜175のいずれかに記載の方法。
177.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態162〜176のいずれかに記載の方法。
178.医療処置後の対象によるオピオイドの使用の低減方法であって、その医療処置の臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、CD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を治療有効量、その対象に投与することによって、医療処置後のその対象によるオピオイドの使用を低減することを含む方法。
179.そのExp−CBSCを免疫学的な適合判定なしに、その対象に投与する、実施形態178に記載の方法。
180.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態178または179に記載の方法。
181.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態178〜180のいずれかに記載の方法。
182.そのオピオイドが、アニレリジン、アリルプロジン、アルフェンタニル、アルファプロジン、ベンジルモルヒネ、ブプレノルフィン、ベジトラミド、ブトルファノール、コデイン、クロニタゼン、シクラゾシン、デゾシン、デソモルヒネ、ジヒドロモルヒネ、デキストロモラミド、ジアンプロミド、ジヒドロコデイン、ジエチルチアムブテン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジピパノン、ジオキサフェチルブチレート、エプタゾシン、エチルモルヒネ、エチルメチルチアムブテン、エトニタジン、エトヘプタジン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヘロイン、6−ヒドロキシモルフォン、ヒドロキシペチジン、ヒドロモルフォン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、レボルファノール、モルヒネ、ミロフィン、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ナルセイン、ナルブフィン、ナロルフィン、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、ピリトラミド、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、フェノモルファン、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、これらの立体異性体、これらの代謝物、これらの塩、これらのエーテル、これらのエステル,及び/もしくはこれらの誘導体、及び/またはこれらの混合物のうちの1つ以上から選択されている、実施形態178〜181のいずれかに記載の方法。
183.そのオピオイドが、第2の活性成分と混合されている、実施形態178〜182のいずれかに記載の方法。
184.そのオピオイドと第2の活性成分が、オキシコドンとアセトアミノフェン、またはヒドロコドンとアセトアミノフェンを含む、実施形態183に記載の方法。
185.その医療処置が、移植を含む、実施形態178〜184のいずれかに記載の方法。
186.その移植が、固形組織移植を含む、実施形態185に記載の方法。
187.その固形組織移植が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態186に記載の方法。
188.その移植が、造血細胞移植を含む、実施形態185〜184のいずれかに記載の方法。
189.その移植が、同種異系移植を含む、実施形態185〜188のいずれかに記載の方法。
190.その移植が、同種異系臍帯血移植を含む、実施形態185のいずれかに記載の方法。
191.その対象が、小児の対象である、実施形態178〜190のいずれかに記載の方法。
192.その移植の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態178〜191のいずれかに記載の方法。
193.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける36時間以内である、実施形態178〜192のいずれかに記載の方法。
194.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける12時間以内である、実施形態178〜192のいずれかに記載の方法。
195.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態178〜194のいずれかに記載の方法。
196.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態178〜195のいずれかに記載の方法。
197.入院を低減する必要のある対象において入院を低減する目的で、適合不明のCD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を使用すること。
198.その使用に、臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、入院を低減する必要のある対象に、治療有効量を投与することが含まれる、実施形態197に記載の使用。
199.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態197または198に記載の使用。
200.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態197〜199のいずれかに記載の使用。
201.その対象が、移植処置のために入院している、実施形態197〜200のいずれかに記載の使用。
202.その移植処置が、固形組織移植を含む、実施形態201に記載の使用。
203.その固形組織移植が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態202に記載の使用。
204.その移植処置が、造血細胞移植を含む、実施形態201のいずれかに記載の使用。
205.その移植処置が、同種異系移植を含む、実施形態201〜204のいずれかに記載の使用。
206.その移植処置が、同種異系臍帯血移植を含む、実施形態201のいずれかに記載の使用。
207.その対象が、小児の対象である、実施形態197〜206のいずれかに記載の使用。
208.その医療処置の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態198〜207のいずれかに記載の使用。
209.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その医療処置の36時間以内である、実施形態198〜208のいずれかに記載の使用。
210.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その医療処置の12時間以内である、実施形態198〜208のいずれかに記載の使用。
211.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態197〜210のいずれかに記載の使用。
212.そのExp−CBSCが、出産時の1人のヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態197〜211のいずれかに記載の使用。
213.そのExp−CBSCが、2つ以上の異なる増殖ヒト臍帯血幹細胞試料の入ったプールを含み、そのプール中のそれぞれの異なる試料が、出産時における異なるヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態197〜211のいずれかに記載の使用。
214.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態198〜213のいずれかに記載の使用。
215.同種異系移植を受けた後に入院する小児患者を特定することと、
その同種異系移植の臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、適合不明のCD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)をその小児患者に投与することと、
を含み、
それによって、同種異系移植後のその小児患者の入院期間を短縮する方法。
216.(i)その同種異系移植片と対象が、免疫学的に適合しており、(ii)そのExp−CBSCを免疫学的な適合判定なしに、その対象に投与する、実施形態215に記載の方法。
217.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態215または216に記載の方法。
218.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態215〜217のいずれかに記載の方法。
219.その同種異系移植が、固形組織移植を含む、実施形態215〜218のいずれかに記載の方法。
220.その固形組織移植が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態219に記載の方法。
221.その同種異系移植が、造血細胞移植を含む、実施形態215〜218のいずれかに記載の方法。
222.その同種異系移植が、臍帯血移植処置を含む、実施形態215〜218のいずれかに記載の方法。
223.その移植の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態215〜222のいずれかに記載の方法。
224.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける36時間以内である、実施形態215〜223のいずれかに記載の方法。
225.臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける12時間以内である、実施形態215〜223のいずれかに記載の方法。
226.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態215〜225のいずれかに記載の方法。
227.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態215〜226のいずれかに記載の方法。
228.医療処置後の対象の入院期間の短縮方法であって、その医療処置の臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、CD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を治療有効量、その対象に投与することによって、医療処置後のその対象の入院期間を短縮することを含む方法。
229.そのExp−CBSCを免疫学的な適合判定なしに、その対象に投与する、実施形態228に記載の方法。
230.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態228または229に記載の方法。
231.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態228〜230のいずれかに記載の方法。
232.その医療処置が、移植を含む、実施形態228〜231のいずれかに記載の方法。
233.その移植が、固形組織移植を含む、実施形態232に記載の方法。
234.その固形組織移植が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態233に記載の方法。
235.その移植が、造血細胞移植を含む、実施形態232のいずれかに記載の方法。
236.その移植が、同種異系移植を含む、実施形態232〜235のいずれかに記載の方法。
237.その移植が、同種異系臍帯血移植を含む、実施形態228〜231のいずれかに記載の方法。
238.その対象が、小児の対象である、実施形態228〜237のいずれかに記載の方法。
239.その移植の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態228〜238のいずれかに記載の方法。
240.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける36時間以内である、実施形態228〜239のいずれかに記載の方法。
241.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける12時間以内である、実施形態228〜239のいずれかに記載の方法。
242.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態228〜241のいずれかに記載の方法。
243.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態228〜242のいずれかに記載の方法。
244.粘膜炎を軽減する必要のある対象の粘膜炎を軽減する目的で、適合不明のCD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を使用すること。
245.その使用に、臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、粘膜炎を軽減する必要のある対象に、治療有効量を投与することが含まれる、実施形態244に記載の使用。
246.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態244または245に記載の使用。
247.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態244〜246のいずれかに記載の使用。
248.その対象が、移植処置のために、粘膜炎を軽減する必要のある、実施形態244〜247のいずれかに記載の使用。
249.その移植処置が、固形組織移植を含む、実施形態248に記載の使用。
250.その固形組織移植が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態249に記載の使用。
251.その移植処置が、造血細胞移植を含む、実施形態248に記載の使用。
252.その移植処置が、同種異系移植を含む、実施形態248〜251のいずれかに記載の使用。
253.その移植処置が、同種異系臍帯血移植を含む、実施形態248に記載の使用。
254.その対象が、小児の対象である、実施形態244〜253のいずれかに記載の使用。
255.その医療処置の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態245〜254のいずれかに記載の使用。
256.臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その医療処置の36時間以内である、実施形態245〜255のいずれかに記載の使用。
257.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その医療処置の12時間以内である、実施形態245〜255のいずれかに記載の使用。
258.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態244〜257のいずれかに記載の使用。
259.そのExp−CBSCが、出産時の1人のヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態244〜258のいずれかに記載の使用。
260.そのExp−CBSCが、2つ以上の異なる増殖ヒト臍帯血幹細胞試料の入ったプールを含み、そのプール中のそれぞれの異なる試料が、出産時における異なるヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態244〜258のいずれかに記載の使用。
261.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態245〜260のいずれかに記載の使用。
262.同種異系移植を受けることに基づき、粘膜炎を発症するリスクのある小児患者を特定することと、
その同種異系移植の臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、適合不明のCD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を投与することと、
を含み、
それによって、リスクのある小児患者において、粘膜炎を軽減する方法。
263.(i)その同種異系移植片と対象が、免疫学的に適合しており、(ii)そのExp−CBSCを免疫学的な適合判定なしに、その対象に投与する、実施形態262に記載の方法。
264.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態262または263に記載の方法。
265.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態262〜264のいずれかに記載の方法。
266.その同種異系移植が、固形組織移植を含む、実施形態262〜265のいずれかに記載の方法。
267.その固形組織移植が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態266に記載の方法。
268.その同種異系移植が、造血細胞移植を含む、実施形態262〜265のいずれかに記載の方法。
269.その同種異系移植が、臍帯血移植処置を含む、実施形態262〜265のいずれかに記載の方法。
270.その移植の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態262〜269のいずれかに記載の方法。
271.臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける36時間以内である、実施形態262〜270のいずれかに記載の方法。
272.臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける12時間以内である、実施形態262〜270のいずれかに記載の方法。
273.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態262〜272のいずれかに記載の方法。
274.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態262〜273のいずれかに記載の方法。
275.医療処置後の対象の粘膜炎の軽減方法であって、その医療処置の臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、CD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を治療有効量、その対象に投与することによって、医療処置後のその対象の粘膜炎を軽減することを含む方法。
276.そのExp−CBSCを免疫学的な適合判定なしに、その対象に投与する、実施形態275に記載の方法。
277.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態275または276に記載の方法。
278.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態275〜277のいずれかに記載の方法。
279.その医療処置が、移植を含む、実施形態275〜278のいずれかに記載の方法。
280.その移植が、固形組織移植を含む、実施形態279に記載の方法。
281.その固形組織移植が、脂肪組織、血管、骨、骨髄、心臓細胞、軟骨、軟骨(cartilaginous)細胞、軟骨(chondral)細胞、蝸牛、結合組織、角膜、培養細胞単層、歯の組織、目、顔、筋膜、線維組織、足、機能的脊椎単位、髪、手、心臓、心臓弁、腸、膵島細胞、腎臓、水晶体、靱帯、肝臓、肺、半月板、筋腱移植片、筋肉組織、神経細胞、神経組織、骨軟骨細胞、骨形成原細胞、卵巣、膵臓、半腱様筋組織、皮膚、脾臓、胃、腱、精巣、歯または椎間板を含む、実施形態280に記載の方法。
282.その移植が、造血細胞移植を含む、実施形態279のいずれかに記載の方法。
283.その移植が、同種異系移植を含む、実施形態279〜282のいずれかに記載の方法。
284.その移植が、同種異系臍帯血移植を含む、実施形態279のいずれかに記載の方法。
285.その対象が、小児の対象である、実施形態275〜284のいずれかに記載の方法。
286.その医療処置の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態275〜285のいずれかに記載の方法。
287.臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける36時間以内である、実施形態275〜286のいずれかに記載の方法。
288.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その移植を受ける12時間以内である、実施形態275〜286のいずれかに記載の方法。
289.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態275〜288のいずれかに記載の方法。
290.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態275〜289のいずれかに記載の方法。
291.急性移植片対宿主病を軽減する必要のある対象において、急性移植片対宿主病を軽減する目的で、適合不明のCD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を使用すること。
292.その使用に、臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、急性移植片対宿主病を軽減する必要のある対象に、治療有効量を投与することが含まれる、実施形態291に記載の使用。
293.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態291または292に記載の使用。
294.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態291〜293のいずれかに記載の使用。
295.急性GVHDの軽減に、ステージIIIの急性GVHDの軽減が含まれる、実施形態291〜294のいずれかに記載の使用。
296.急性GVHDの軽減に、ステージIVの急性GVHDの軽減が含まれる、実施形態291〜295のいずれかに記載の使用。
297.その対象が、同種異系造血細胞移植のために、急性移植片対宿主病を軽減する必要のある、実施形態291〜296のいずれかに記載の使用。
298.その同種異系造血細胞移植が、臍帯血移植を含む、実施形態297に記載の使用。
299.その臍帯血移植液と対象が、4/6、5/6または6/6のHLA抗原で適合している、実施形態298に記載の使用。
300.その対象が、小児の対象である、実施形態291〜299のいずれかに記載の使用。
301.その医療処置の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態292〜300のいずれかに記載の使用。
302.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その医療処置の36時間以内である、実施形態292〜301のいずれかに記載の使用。
303.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その医療処置の12時間以内である、実施形態292〜301のいずれかに記載の使用。
304.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態291〜303のいずれかに記載の使用。
305.そのExp−CBSCが、出産時の1人のヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態291〜304のいずれかに記載の使用。
306.そのExp−CBSCが、2つ以上の異なる増殖ヒト臍帯血幹細胞試料の入ったプールを含み、そのプール中のそれぞれの異なる試料が、出産時における異なるヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態291〜304のいずれかに記載の使用。
307.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態292〜306のいずれかに記載の使用。
308.同種異系移植を受けることに基づき、急性移植片対宿主病(GVHD)のリスクのある患者を特定することと、
その同種異系移植の臨床的に有意義なタイムウィンドウ内で、適合不明のCD34+濃縮型増殖臍帯血試料(Exp−CBSC)を投与することと、
を含み、
それによって、リスクのあるその患者において、急性GVHDを軽減する方法。
309.(i)その同種異系移植片と対象が、免疫学的に適合しており、(ii)そのExp−CBSCを免疫学的な適合判定なしに、その対象に投与する、実施形態308に記載の方法。
310.そのExp−CBSCが、事前に凍結保存したものである、実施形態308または309に記載の方法。
311.そのExp−CBSCが、T細胞を含まない、実施形態308〜310のいずれかに記載の方法。
312.急性GVHDの軽減に、ステージIIIの急性GVHDの軽減が含まれる、実施形態308〜311のいずれかに記載の方法。
313.急性GVHDの軽減に、ステージIVの急性GVHDの軽減が含まれる、実施形態308〜312のいずれかに記載の方法。
314.その対象が、同種異系造血細胞移植のために、急性GVHDを軽減する必要のある、実施形態308〜313のいずれかに記載の方法。
315.その同種異系造血細胞移植が、臍帯血移植を含む、実施形態314に記載の方法。
316.その臍帯血移植液と対象が、4/6、5/6または6/6のHLA抗原で適合している、実施形態315に記載の方法。
317.その対象が、小児の対象である、実施形態308〜316のいずれかに記載の方法。
318.その医療処置の前に、臨床的に有意義なタイムウィンドウが存在する、実施形態308〜317のいずれかに記載の方法。
319.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その医療処置の36時間以内である、実施形態308〜318のいずれかに記載の方法。
320.その臨床的に有意義なタイムウィンドウが、その医療処置の12時間以内である、実施形態308〜318のいずれかに記載の方法。
321.そのExp−CBSCが、少なくとも7500万個のCD34+細胞を含む、実施形態308〜320のいずれかに記載の方法。
322.そのExp−CBSCが、出産時の1人のヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態308〜321のいずれかに記載の方法。
323.そのExp−CBSCが、2つ以上の異なる増殖ヒト臍帯血幹細胞試料の入ったプールを含み、そのプール中のそれぞれの異なる試料が、出産時における異なるヒトの臍帯血及び/または胎盤血に由来する、実施形態308〜321のいずれかに記載の方法。
324.その治療有効量が、対象の1キログラム当たりに100万個〜2000万個のCD34+細胞を含む、実施形態308〜323のいずれかに記載の方法。
実施例1.Notch増殖マウス造血幹細胞・前駆細胞を投与したMHC不適合レシピエントにおける移植片拒絶反応の軽減:主要組織適合遺伝子複合体が完全に不適合なレシピエントに、体外増殖マウス造血幹細胞・前駆細胞(HSPC)を注入すると、ドナー由来であるが、サードパーティーのものではない皮膚移植片の寿命が改善される。この知見から、マウスh−ARSモデルにおいて、体外で増殖させた不適合HSPCにより、ドナー特異的免疫寛容が生じることが示される。
同種異系造血幹細胞移植(HCT)は、固形臓器移植レシピエントにおいて、ドナー特異的免疫寛容を促し、その後、急性及び慢性移植片拒絶反応のリスクを低下させる(Millan et al.,2002,Transplantation;73:1386−1391、Scandling et al.,2008,N Engl J Med358:362−368、Granados et al.,2015,Curr Opin Organ Transplant.20:49−56)。腎臓移植レシピエントにおいて、骨髄非破壊的HCTの設定で、持続的な混合キメリズムと免疫抑制薬の完全な退薬とともに、同種異系移植片に対する免疫寛容がうまく生じることが観察されている(Kawai et al.,Am J Transplant 2014,14:1599−1611、Scandling et al.,Am J Transplant 2015,15:695−704、Sorof et al.,Transplantation 1995,59:1633−1635)。興味深いことに、腎臓同種異系移植片に対する寛容は、ヒト以外の霊長類動物とヒトにおいて、キメリズムが一過性でも誘導されている(Sorof et al.,Transplantation 1995,59:1633−1635、Kawai and Sachs,Curr Opin Organ Transplant 2013,18:402−407)。この現象は、非成熟樹状細胞またはT細胞のようなドナー造血細胞の一過性の増殖によるものであったが、この一過性の増殖により、ドナー反応性レシピエントT細胞が胸腺で除去されたり、ドナー特異的制御性T細胞が誘導されたりすることがあるという仮説をKawaiは立てた。
この実施例では、致死量の放射線照射後、MHCが不適合の凍結保存体外増殖マウスHSPC(Lin−Sca1+cKit+[LSK]細胞)生成物を注入すると、ドナー特異的免疫寛容が誘導され、その結果、ドナー皮膚同種異系移植片の寿命が延長されることが報告されている。これらのデータにより、この臨床的に有意義な万能ドナーの凍結保存オフザシェルフ細胞生成物が、臓器移植レシピエントにおいて、ドナー特異的寛容を誘導して、移植拒絶反応を軽減し得ることが更に裏付けられる。
方法:マウス:雌または雄のB6−Ly5a(H−2b、CD45.1+)マウスを交配させ、Fred Hutchinson Cancer Research Center(FHCRC)のAnimal Health Resourcesの総合施設において、特定病原体未感染の状態で維持した。雌のBALB/cJ(H−2d、CD45.2+)及びC3H(H−2k、CD45.2+)マウスをJackson Laboratory(メイン州バーハーバー)から購入した。マウスは、標準的な条件下で維持し、すべての実験は、FHCRC Institutional Animal Care and Use Committee(IACUC)の承認と指導の下で行った。
マウス造血幹細胞・前駆細胞の単離と増殖:以前に説明されたように(Varnum−Finney,et al.,Blood 1998,91:4084−4091)、蛍光活性化セルソーター(FACS)Aria(ニュージャージー州フランクリンレイクスのBecton Dickinson[BD])を用いることによって、B6−Ly5aマウスBM由来のLSK細胞を濃縮した。それぞれのソーティング後、ソーティングした集団の純度を確認したところ、90%を超えていた。6ウェルの非組織培養処理プレートに、操作したNotchリガンド(Delta1ext−IgG、DXI)またはヒトIgGを5mg/mlの濃度で2時間、37℃でコーティングしてから、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、2%ウシ血清アルブミンを含むPBSで少なくとも30分ブロックした。ソーティングしたLSK細胞を、DXIまたはIgGの存在下で、20%ウシ胎仔血清(Hyclone FBS、Thermo Fisher Scientific Life Sciences)、1%ペニシリン−ストレプトマイシン、ならびにマウス幹細胞因子、ヒトFlt−3リガンド、ヒトIL−6(それぞれ100ng/ml)及びヒトIL−11(10ng/ml、すべてのサイトカインは、ニュージャージー州ロッキーヒルのPeproTechから購入した)というサイトカインを添加したイスコブ改変ダルベッコ培地(マサチューセッツ州ウォルサムのThermo Fisher Scientific Life Sciences)において培養した(Varnum−Finney et al.,2003,101:1784−1789)。14日間の培養中、細胞密度を1×106細胞/mlに維持した。14日間の最後に、増殖したLSK細胞を回収し、新鮮な細胞を移植実験に用いたか、または90%FBS+10%ジメチルスルホキシドにおいて凍結保存した。移植日に、トリパンブルー色素排除を用いることによって、解凍後の細胞の回収を行い、フローサイトメトリーを用いることによって、LSK表現型の維持を割り出した。
放射線照射、造血幹細胞移植及びドナーキメリズムの追跡:セシウム源(カリフォルニア州サンフランシスコのJL Shepherd & Associates)を用いて、81.4cGy/分の線量率で、6〜8週齢の雌のBALB/cJマウスに、6.5〜8.5Gyのγ線照射を1回行った。4〜72時間後、マウスに、IgGまたはDXIで増殖した新鮮なまたは凍結保存したLSK細胞(示されているように、1×106細胞、3×106細胞、5×106細胞及び15×106細胞)を静脈内注射した。性別の影響を取り除き、交絡変数を除去し、実験規模を縮小するために、雌のマウスのみをレシピエントとして使用した。IgG増殖細胞により、ドナー細胞が再構築されなかったことを確認したら、その後の実験において、コントロールマウスに生理食塩水を注射した。マウスを毎日観察し、IACUCから認可されたプロトコールによって定められた特定の基準を満たす瀕死のマウスを安楽死させ、放射線誘発毒性による実験死として文書に記録した。別のコホートのマウスの末梢血(PB)とBMにおいて、放射線照射後のフローサイトメトリーによって、ドナーのキメリズム(CD45.1+細胞の割合(%))とリンパ−骨髄系の分布を文書で記録した。
フローサイトメトリー:以前に説明されたように(Varnum−Finney et al.,Blood 1998,91:4084−4091)、FACSを用いることによって、Ly5aマウスのBM由来のLSK細胞を濃縮した。簡潔に述べると、B6−Ly5aマウスのBM細胞を、自家作製の系列(LIN)カクテルとともにインキュベートした。このLINカクテルには、CD2に対する抗体(クローンRM2−5)、CD3に対する抗体(クローン17A2)、CD5に対する抗体(クローン53−7.3)、CD8aに対する抗体(クローン53−6.7)、CD11bに対する抗体(クローンM1/70)、GR1に対する抗体(クローンRB6−8)、B220に対する抗体(クローンRA3−6B2)及びTER−119に対する抗体(クローンTER−119)が含まれていた。すべての抗体は、BD Biosciences製であり、ラットにおいて産生させた。LINカクテルとともに10分インキュベートした後、その試料を洗浄し、ヒツジ抗ラットIgGビーズ(Dynabeads、Thermo Fisher Scientific Life Sciences)を加えた。DynaMag magnets(Thermo Fisher Scientific Life Sciences)を用いて、LIN陽性細胞を分離した。LIN陰性細胞をSca1−PE(クローンE13−161.7)とc−kitフルオレセインイソチオシアネート(FITC)(クローン2B8)で染色し、FACS ARIA IIセルソーターを用いて、LSK細胞を単離した。
眼窩後部採血法を用いることによって、血液試料を採取し、BM細胞を全身麻酔下で右または左大腿骨から吸引した。赤血球溶解後、PB及びBM細胞をブロッキング試薬(2%FBS、抗CD16/CD32抗体(2.4G2)を含むPBS)とともにインキュベートし、CD45.1−PE−Cy7(クローンA20)、CD45.2−アロフィコシアニン(APC)−Cy7(クローン104)、CD3−FITC(クローン17A2)、Gr1−APC(クローンRB6−8C5)、B220−APC(クローンRA3−6B2)という抗マウス特異的抗体(断りのない限り、すべてBD製)で染色した。LSRII(BD Biosciences)を用いることによって、フローサイトメトリー解析を行った。FlowJoというソフトウェア(バージョン9.0)(カリフォルニア州のTreeStar)を用いることによって、すべてのフローサイトメトリーデータを解析した。
皮膚移植手順:40日超生存したマウスのサブセットにおいて、それらのマウスの両側に同種異系移植と同系皮膚移植を行うことによって、ドナー特異的寛容を評価した。両側の同種異系移植と同系皮膚移植は、2つの群のBALB/cJマウスで行った。第1の群には、BALB/cJ皮膚移植を左側に行い、B6−Ly5aまたはC3H(H−2k、CD45.2)のいずれかの皮膚移植を右側に行った。第2の群のBALB/cJマウスには、B6−Ly5a皮膚移植を左側に行い、C3H皮膚移植を右側に行った。移植法は、以前に報告された方法(McFarland and Rosenberg,Curr Protoc Immunol 2009,Chapter 4:Unit 4.4)から適合させた。簡潔に述べると、ドナーのBALB/cJ、B6−Ly5a及びC3Hマウスを安楽死させ、腹部と体幹側部の皮膚を採取し、切断して小さい正方形にし、冷PBS中に保管した。コントロール(BALB/cJバルクBM細胞で再構築したもの)とキメラBALB/cJマウスにイソフルレンで麻酔をかけ、両側の胸部背側側部に7〜10mmの移植床を作り、皮膚移植片を配置し、インサイチュで適切なサイズにトリミングし、断続縫合(5.0ワックスコーティングブレイド絹糸)で隅を固定した。移植片を非粘着性ガーゼパッド、紙テープ及びベトラップで被覆した。7日後、被覆材と縫合糸を除去し、その後、移植片を毎日スコア化した。拒絶反応の日は、移植片の>80%が壊死するか、痂皮化するかまたは移植床から剥離することとして定義した。
統計解析:すべての統計解析は、Prism vVersion 6.0fというソフトウェア(カリフォルニア州サンディエゴのGraphPad)を用いることによって行ったとともに、<0.05のp値が、統計的に有意な差を表すものとみなした。実験の結果は、平均±SEMとして表されている。正着データは、標準化スチューデントt検定を用いることによって解析したとともに、全生存率と移植片寿命は、カプラン−マイヤー生存曲線解析を用いることによって解析した。ロジスティック回帰を用いて、暴露集団の50%を30日以内に死亡させると予測される放射線量と、暴露集団の70%を30日以内に死亡させると予測される放射線量(LD70/30)を算出した。皮膚移植片の寿命データは、生存関数の同等性に関する層化ウィルコクソン(ブレスロー)検定を用いることによって解析した。
致死量の放射線照射後に、不適合な増殖マウス前駆細胞を注入すると、骨髄が速やかに回復する:フィブロネクチン断片と固定化Notchリガンドを含む培養液中で増殖させたマウス及びヒトHSPCが、同系及び異種レシピエント細胞を効率的に再増殖させることが以前に示されている(Varnum−Finney et al.,2003,101:1784−1789、Delaney C et al.,Blood 2005,106:2693−2699)。この研究では、増殖マウスHSPCを、致死量の放射線照射後にMHC不適合レシピエントに注入したときに、同様に、速やかに造血を再構築できるか試験した。この実現のために、致死量放射線照射(8.5Gy)を行った6〜8週齢の雌のBALB/cJ(H−2d、CD45.2)マウスに、IgGまたはDelta1ext−IgGで14日間増殖した新鮮な1×106個のB6−Ly5a(H−2b、CD45.1)LSK細胞を注射した(図6A)。予想されたように、14日の培養期間の最後に、Delta1ext−IgGで培養した細胞の76%が、Sca−1+c−Kit+であった(図6B、左下のパネル)とともに、顆粒球関連(GR−1及びCD11b)抗原を発現した細胞はわずかであった(図6B、右下のパネル)。これに対して、コントロールのIgGで培養した細胞には、Sca−1+c−Kit+のものはわずかであったとともに、大半は、GR−1+及びCD11b+顆粒球であったことから、分化が示された(図6B、左上及び右上のパネル)。
新鮮なDXI培養細胞の注入から7日後には、MHC不適合マウスのPB及びBMの両方において、高レベルの正着が観察された(図6C)。これらのマウスでは、ドナー細胞が8週間にわたって減少し続け、その結果、移植から60日後までに、PB中のドナー細胞のレベルは低くなった(4.5%±0.6%)。これに対して、コントロールのIgG培養細胞を注入したマウスでは、7日目のドナー正着率は低く(24%±4%)、BMでしか検出されなかった。この群では、14日目には、ドナー細胞の正着は検出されなかった(図6C)。DXI培養細胞の場合、早期におけるドナー由来の造血再構築は、主に骨髄であった(データは示されていない)が、移植の2カ月後においては、ドナー由来の造血は、主にTリンパ球細胞(体外増殖した短期再構築細胞の子孫)であった(図6C、挿入図)。
DXIで培養した不適合細胞を注入すると、ドナー特異的寛容が誘導され、皮膚移植片の寿命が改善される(すなわち、移植拒絶反応が軽減される):DXI培養細胞とともに移植を行ったマウスのPB中のドナーT細胞の低レベル状態が長期間続き、移植片対宿主病(GVHD)のエビデンスが見られなかったことから、すべてのMHCのバリアを越えたドナー特異的移植寛容の存在が示唆された。これらのマウスで、ドナー特異的寛容が生じたか検討するために、コントロールの同系BMまたはDXI培養細胞を移植した60日後に、同系(BALB/cJ、H−2d)皮膚移植片、ドナー(B6−Ly5a、H−2b)皮膚移植片またはサードパーティー(C3H、H−2k)皮膚移植片を外科的に移植することによって、マウスを感作した。いずれのマウスにも、腹部の両側に1枚ずつ、2枚の皮膚移植片を移植し、それぞれの腹部の移植片源は、同系/ドナー、同系/サードパーティーまたはドナー/サードパーティーであった(図7A)。技術的な問題により、コントロール群では6枚、DXI群では4枚の移植片が機能不全となった。同系BM(図7B、7E)またはDXIで培養した同種異系細胞(図7C、7E)を事前に移植したマウスでは、同系皮膚移植片に対する拒絶反応は見られなかったが、すべてのマウスにおいて、移植片移植から最初の13日以内に、すべてのサードパーティー皮膚移植片に対して拒絶反応が見られ、収縮性瘢痕組織が残った(図7B、7C、7G)。
これに対して、ドナー移植片の30日生存率は、DXI群において有意に向上し、30日目までには、皮膚移植片の48%(21枚中10枚)が健常に見え、拒絶反応の兆候(痂皮及び瘢痕)が見られなかった(図7C、7F、p≦0.001)。さらに、これらの移植片の14%で、完全な正着が見られた(手術部位で白い地色に黒い毛が生えたことをエビデンスとした)(図7D)。これらのマウスにおける移植片寿命の延長は、免疫不全によるものではなかった。これらのマウスでは、すべてのサードパーティー皮膚移植片に対して拒絶反応が見られたからである(図7C、7G)。極めて対照的なことに、同系BM細胞を移植したマウスでは、すべてのドナー移植片に対して拒絶反応が見られた(図7B、7F)。興味深いことに、皮膚移植時のPBにおける持続的なドナー正着レベルは、移植片寿命と相関しなかった。理論に拘束されるものではないが、これらの結果から、皮膚移植片の寿命の向上が、DXIで培養した凍結保存同種異系細胞の注入によるドナー特異的免疫寛容の誘導に起因するという見方が裏付けられている。TBIから最初の30日を越えて生き延びたマウスでは、実験中(90日間)、いずれかの長期的な放射線被ばく合併症を発症したマウスはいなかった。
この実施例により、MHC不適合マウスレシピエントにおいて、広範な致死量TBI線量の照射後に、凍結保存した体外DXI増殖マウスHSPCで処置したところ、その増殖細胞とレシピエントとの間に重大な不適合があるにもかかわらず、増殖細胞生成物の注入から7日目までに、ドナー由来骨髄細胞が速やかに回復したことが示されている。この実施例により、完全不適合マウスにおいて、BM及びPBにおける混合ドナーキメリズムの持続が、主要H2組織適合性のバリアを越えて、GVHDのいずれのエビデンスもなしに可能になることが示されている。重要なことに、この調査では、移植後の免疫抑制または抗宿主抗体療法を使用しなかった(過去の研究では、これらの療法が必要であることが明らかになった)(Cobbold et al.,Nature 1986,323:164−166、Yamada et al.,Am J Transplant 2015,15:3055−3066、de Vries−van der Zwan et al.,Bone Marrow Transplant 1998,22:91−98)。
致死量放射線照射マウスにおいて、ドナー由来細胞の正着は、7日目にピークに達し、骨髄細胞が占めていた。その後、ドナー細胞の正着レベルは低下し、60日目までには、ドナーの正着は、低レベルで安定化し、ほぼすべて、主にCD3+のTリンパ球に由来しており、GVHDのいずれのエビデンスもなかった。MHC不適合細胞を移植したこれらのマウスにおけるTリンパ球ドナーキメリズムは、MHC適合DXI増殖細胞を移植したマウスにおいて以前報告されたもの(Varnum−Finney et al.,2003,101:1784−1789)と同様であり、それらの細胞は、体外で生成した短期リンパ球骨髄再構築細胞の子孫である。Notchシグナリングは、増殖再構築細胞から生成される子孫T細胞の発生に対して影響を及ぼさないものと見られる。NotchリガンドDelta1を用いて、増殖を誘導した一方で、LSKの分化を阻害したからである。理論に拘束されるものではないが、すべてのMHCのバリアを越えた免疫寛容の誘導は、DXI増殖細胞を移植したマウスにおいて、有意に高い皮膚移植片生存率によって示された。他の研究者によって以前報告されたように(Sorof et al.,Transplantation 1995,59:1633−1635、Ildstad et al.,J Exp Med 1985,162:231−244)、キメリズムのレベルと移植片寿命の間には、いずれの相関関係も観察されなかった。低レベルのT細胞キメリズム(3.4%±5%、0.2%〜11.2%の範囲)は、皮膚移植片に対するドナー特異的免疫寛容を起こすのに十分であった。しかしながら、移植片生存率は、8.0GyのTBIに暴露したマウスの方が、7.5GyのTBIに暴露したマウスよりも高かった(40%)とともに、30日目に、10枚のうち1枚の皮膚移植片のみに対して、拒絶反応が見られなかった。この調査では、これらのマウスが、サードパーティー(C3H)抗原に対して応答したとともに、サードパーティー皮膚移植片に対して拒絶反応を速やかに示したことを示すことによって、これらのマウスにおける皮膚同種異系移植片寿命の延長は、具体的には、特異的ドナー抗原に対するレシピエントの応答性の欠如によるものであったことが示された。
今回の実施例は、凍結保存した体外増殖同種異系の不適合HLA−HSPCで処置したレシピエントにおけるドナー特異的寛容の誘導を示すための第1の実施例である。
実施例2:オピオイドの使用、TPNの補給、医療処置後の入院日数:体外増殖臍帯血前駆細胞の注入は、骨髄破壊的臍帯血移植を受ける小児患者における入院日数の短縮と、アヘン剤注入の使用軽減と、完全静脈栄養の低減と関連付けられている。
方法:この実施例には、骨髄破壊的前処置(FLU/CY/13.2GyのTBI)を受ける小児患者(21歳未満、n=34)であって、増殖CB HSPC(新鮮なものまたは凍結保存したもの)を投与したかまたは投与しなかった小児を含めた。各患者において、初期入院期間中、アヘン鎮痛剤の(持続注入またはPCAによる)使用と、TPNの使用を確かめた。両側独立t検定によって、群間の統計的比較を行った。
結果:11人の患者に、1〜2個の未操作CBユニットに加えて、増殖CB HSPCを投与し、同時コホートの23人の患者には、増殖細胞を注入せずに、同じ前処置レジメンを行った。医療処置後の初期入院の平均期間は、43.2日と55.6日(p=0.05)(図8)、アヘン剤の持続投与の平均期間は、9.7日と18.1日(p=0.07)、TPN補給平均期間は、20.7日と30.1日(p=0.06)(図9)であった。
この実施例によって、Exp−CBSCの重要なさらなる利点が示されている。非経口栄養補給総量の軽減により、このような人工栄養に起因し得る多くの合併症が回避される。オピオイドの使用に対する患者の暴露の低減は、現在蔓延している鎮痛薬乱用に対処する助けとなることができる。最終的には、医療処置後の入院の低減により、診療に関わるコストが削減されるとともに、同様に、患者が入院中に負担する機会損失コストが削減される。
実施例3:急性GVHDの軽減:1ユニットまたは2ユニットのCBTを行った後に、事前に体外増殖と凍結保存を行ったHLA適合不明CB前駆細胞生成物を注入した患者において、安全性、実現可能性、予備的有効性を評価するための前向きオープンラベル単群試験を行った。
患者:適格患者は、6カ月以上、45歳以下の高リスクの急性白血病、慢性骨髄性白血病または骨髄異形成症候群の患者であった。更なる組み入れ要件には、十分なパフォーマンスステータス、十分な器官機能、HLAクラスIアリル(A及びB)に関する中精度タイピングまたはHLAクラスII DRB1アリルに関する高精度タイピングによって4つ以上のHLA座が適合した1つまたは2つのCBユニットの利用可能性を含めた。総有核細胞数(TNC)が≧2.5×107個/kgの6/6ユニット、TNCが≧4.0×107個/kgの5/6及び4/6ユニットについて、1ユニットCBTを認めた。これらの閾値を満たさなかった場合には、2ユニットCBT(dCBT)を行い、各ユニットのTNCは、≧1.5×107個/kgであることを要件とした。
体外増殖前駆細胞生成物:細胞の処理と製造:簡潔に述べると、ヒトCB試料は、Puget Sound Blood Center Cord Blood Bankによって、治験審査委員会の承認と、21CFR1271に従って定めたドナー適性を有する正常満期分娩者から得た。CBユニットは、赤血球を除去し、Miltenyi CliniMACSをメーカーの指示に従って用いて、CD34+細胞について臨床グレードの選択を行ったものであった。陰性画分は破棄した。
精製CD34+細胞によって培養を開始し、組織培養処理されていない75〜225cm2の組織培養用フラスコ(Nunc、米国ピッツバーグ州のThermo Fisher Scientific)で14〜16日間培養した。培養容器は、臨床グレードのNotchリガンド(Delta1ext−IgG、Fred HutchinsonのBiologics Production Facilityで調製、DMF BB−MF12366)2.5μg/ml(NOD/SCID再構築細胞の作製に最適であることが以前示された密度)とともに、5ng/mlのフィブロネクチン断片CH−296(日本、大津のTakara Shuzo Co.LTD.)で2時間、37°または一晩、4°で事前にコーティングし、PBSで洗浄した。細胞は、臨床グレードの組み換えヒトIL−3(10ng/ml)、IL−6、トロンボポエチン(TPO)、Flt−3リガンド及び幹細胞因子(SCF)(50ng/ml)(ドイツ、フライブルクのCellGenix)を含む無血清培地(Stemspan SFEM、カナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバーのStemcell Technologies)で培養した。細胞を新たな培養容器に分けて、培地1ミリリットル当たりに<1×106個の総細胞数という細胞密度を維持した。
培養の14〜16日目に、細胞の全体積を回収し、最終細胞数、CD34及びTNC増殖率の算出、免疫表現型解析、細菌及び真菌の無菌性、ならびにエンドトキシンを含む最終リリース試験を行った。図10A及び10Bには、増殖細胞性生成物の回収時におけるCD34+細胞の平均増殖数(図10A)と、総有核細胞数の平均増殖数(図10B)が示されている。続いて、その生成物を速度制御フリーザーで凍結保存した。
最終的な回収HSPC生成物:留意すべきことに、増殖移植液とともに注入された成熟T細胞はなかった。この生成物は、1つのCBユニットから単離したCD34+HSPCの培養後に作られた全子孫細胞から構成されていたからである。陰性画分に含まれるT細胞は、保持されておらず、T細胞は、14日の培養期間では、産生または維持されない。Exp−CBSCに由来する平均凍結前TNCは5.8×107個/Kg(範囲は2.2×107〜10.9×107)、平均凍結前CD34+細胞数は、0.26×106個/kg(範囲は3.1×106〜11.6×106)であった。未操作移植液に由来する平均凍結前TNCは6.1×107個/Kg(範囲は4.3×107〜17.1×107)、平均凍結前CD34+細胞数は、0.26×106個/kg(範囲は0.08×106〜0.98×106)であった。Exp−CBSCを投与された患者の未操作ユニットにおけるTNCは、コントロール群における患者のTNCよりも有意に高かった(図11)。
統計解析:カプランとマイヤーの方法[MacMillan et al.,Blood 2009;113:2410−15]を用いて、無病生存(DFS)の確率を導き出した。累積発現率の推定を用いて、再発、非再発期死亡(NRM)及び急性GVHDの累積発現率を集約し、再発は、NRMの競合リスクとみなし、NRMは、再発の競合リスク、その他の各評価項目の無増悪死亡は、それぞれにおける競合リスクとみなした。
Exp−CBSCを投与された患者群におけるDFS、NRM、急性GVHDを、EPCなしにCBTを投与された50人の患者の転帰と比較した。全員の患者には、同じ前処置レジメンとGVHD予防策を行った。ファイン・グレー法を用いて、再発、NRM及び急性GVHDの発生率を比較した。
結果:生存患者の追跡期間中央値は、4.2年であった(範囲は2.9〜4.8年)。患者は、5〜45歳(中央値は21歳)、体重は23〜89kg(中央値は59kg)であった。疾患には、AML(n=6)、ALL(n=8)、MDS(n=1)が含まれていた。移植時、6人の患者(40%)に微小残存病変が残っていた(HCTの前に、慣例のベースラインとして、採取した骨髄穿刺液において、10カラーマルチパラメーターフローサイトメトリーによって評価した疾患の存在として定義した)。4人(27%)以外のすべての患者に2CBユニットを投与して、所要の細胞量を実現させた。コントロール群と比較したところ、移植時の性別、年齢、体重、CMVセロステータス及び疾患の状態に関しては、差は見られなかった。
移植転帰:3年DFSの確率は、Exp−CBSCのレシピエントでは86%(95%CI:57〜97)、コントロールでは、67%であった(95%CI:52〜78)(p=0.16)(図12A)。図6Bには、Exp−CBSCレシピエントにおけるNRMの累積発現率をコントロールと比較したもの、図12Cには、Exp−CBSCレシピエントにおける再発の累積発現率をコントロールと比較したものが示されている。調査期間にわたって、NRMは観察されなかったが、2人の患者が、移植後53日目と219目に再発し、その後、さらなる療法を行った後、死亡した。53日目に再発した患者は、移植時に明らかな再発状態であった。
急性及び慢性GVHD:全員の患者が、32日の期間中央値(14〜86日)で、グレードII以下の急性GVHDと診断され、グレードIII〜IVのGVHDは観察されなかった。これに対して、コントロールでは、グレードIII〜IVのGVHDの累積発現率は26%であった(p=0.005)(図13)。皮膚は、Exp−CBSCを投与された群(n=12)において、最も広く影響を受けた器官であった。8人(53%)の患者に、6日の期間中央値(範囲は4〜9日)で、正着前症候群の治療を行ったとともに、5人(33%)の患者が、100日後にGVHDを発症していた。100日後、評価可能な13人の患者のうち、3人(23%)が、遅発型aGVHDの特徴を示したか、またはオーバーラップ症候群になったが、古典的なcGVHDの特徴を有すると診断された者はいなかった。2年後には、9人の患者(70%)が、免疫抑制から回復していた。
この調査では、疾患の再発により、2人が死亡したが、15人の患者では、移植関連死は観察されず、高い全生存率が得られた。良好な転帰が観察されたのは、CBTを行った患者に見られた正着遅延の解消に起因すると見られるが、オフザシェルフのExp−CBSCを注入したことにより、移植片対白血病相互作用が増大し、その結果、移植片対白血病効果が増大したことも考えられる。少数の患者からは、確定的な結論は出せないが、患者の特徴(半数は、移植時にはMRD+であった)と長期追跡により、これらの結果は、かなり有望となっている。
注入と関連する毒性は観察されなかったとともに、オフザシェルフのExp−CBSC生成物に起因する重大な有害イベントは見られなかった。さらに驚くべきことに、今回の調査に含めた患者には、グレードIII〜IVのaGVHDになった者はいなかったことから、このオフザシェルフの生成物の免疫調節特性が示唆されている。このオフザシェルフの増殖生成物の存在下で、未操作ユニット由来の同種反応性T細胞がインビボで増殖し、aGVHDを軽減できる特定の細胞サブユニットに分化することが考えられる。確認されれば、この観察は、重要な臨床的意義を持つことができる。重症形態のaGVHDが、罹病と死亡のリスクの増大と関連付けられていることを考えると[Brunstein et al.,Blood 2007;110:3064−70、MacMillan et al.,Blood 2009;113:2410−15]、このオフザシェルフの生成物の使用は、aGVHD軽減の目的で、異なる幹細胞源を用いる他のタイプのHCTに拡大できるであろう。
当業者であれば分かるように、本明細書に開示されている各実施形態は、その具体的に示されている要素、工程、成分または構成要素を含むことも、その具体的に示されている要素、工程、成分または成分から本質的になることも、その具体的に示されている要素、工程、成分または成分からなることもできる。「includes(含む)」または「including(含む)」とは、「comprises(含む)」、「〜から本質的になる」または「〜からなる」を意味する。移行語の「comprise(含む)」または「comprises(含む)」は、「〜が挙げられるが、これらに限らない」を意味し、明示されていない要素、工程、成分または構成要素を、たとえ大量でも含めることを可能にする。移行句の「〜からなる」は、示されていないあらゆる要素、工程、成分または構成要素を除外する。移行句の「〜から本質的になる」は、実施形態の範囲を、示されている要素、工程、成分、構成要素と、その実施形態に重大な影響を及ぼさない要素、工程、成分、構成要素に限定する。重大な影響により、本明細書に記載されているプロトコールによるExp−CBSCの投与によって(i)移植拒絶反応、(ii)TPN、オピオイドの使用及び医療処置後の入院日数、(iii)粘膜炎、または(iv)臍帯血移植後におけるグレードIII及びグレードIVの急性GVHDの発症及び/または重症度を軽減する効果が統計的に有意かつ臨床的に有意義な形で低下する。
別段の定めのない限り、本明細書及び請求項で用いられている、成分、特性(分子量、反応条件など)、の量を表しているすべての数字は、いずれの場合も、「約」という用語で修飾されているものとして理解するものとする。したがって、特に反対の記載がない限り、本明細書及び添付の請求項に定められている数値パラメーターは、本発明によって実現するように求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。最低限でも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメーターは少なくとも、報告されている有効数字の数を考慮するとともに、通常の四捨五入の技法を適用することによって解釈しなければならない。さらに明確にする必要があるときには、「約」という用語は、示されている数値または数値範囲と併せて用いられている場合に、当業者が「約」という用語のものと認める意味を有し、すなわち、示されている値または範囲よりも幾分大きいかまたは幾分小さく、示されている値の±20%、示されている値の±19%、示されている値の±18%、示されている値の±17%、示されている値の±16%、示されている値の±15%、示されている値の±14%、示されている値の±13%、示されている値の±12%、示されている値の±11%、示されている値の±10%、示されている値の±9%、示されている値の±8%、示されている値の±7%、示されている値の±6%、示されている値の±5%、示されている値の±4%、示されている値の±3%、示されている値の±2%または示されている値の±1%の範囲までの値を示す。
本発明の広範な範囲を定めている数値範囲及びパラメーターは近似値であるが、具体例で定められている数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値にも、それぞれの試験測定値で見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差が本来的に含まれる。
本発明を説明する文脈(特に、下記の請求項の文脈)で用いられている「a」、「an」、「the」という用語及び類似の指示は、本明細書に別段の定めがない限り、または文脈上明らかに矛盾がない限り、単数と複数の両方を網羅するように解釈するものとする。本明細書における数値範囲の列挙は、その範囲内にある別々の各値に個別に言及する簡便な方法として機能するように意図されているに過ぎない。本明細書に別段の定めのない限り、個別の各値は、本明細書に個別に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されている方法はいずれも、本明細書に別段の定めのない限り、または文脈上明らかに矛盾がない限り、いずれかの好適な順序で行うことができる。本明細書に示されているすべての例または例示的な語句(例えば「など」)の使用は、本発明をさらに明確にするためのものとして意図されているに過ぎす、別段に特許請求されている本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書のいずれの語句も、特許請求されていない要素であって、本発明の実施に必須な要素を示すものと解釈すべきではない。
本明細書に開示されている本発明の代替的な要素または実施形態の群分けは、限定するものとして解釈しないものとする。各群のメンバーは、個別に、またはその群の他のメンバーもしくは本明細書に見られる他の要素といずれかに組み合わせた形で、言及及び特許請求してよい。便宜及び/または特許性のために、群の1つ以上のメンバーを群に含めたり、または群から削除したりしてよいことが予想される。このように含めたり、または削除したりしたときにはいずれも、本明細書には、添付の請求項で用いられているすべてのマーカッシュ群の記述を満たすように修正した群が含まれるものとみなす。
本発明の特定的な実施形態は、本発明を実施するための、本発明者に既知の最良の形態を含め、本明細書に記載されている。当然ながら、記載されているこれらの実施形態の変形形態は、上記の説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。そのような変形形態を当業者が適宜採用することを本発明者は期待しているとともに、本明細書に具体的に記載されている以外の形で、本発明が実施されるように本発明者は意図している。したがって、準拠法で認められているように、本発明には、添付の請求項に示されている主題のあらゆる修正形態と均等物が含まれる。さらに、本明細書に別段の定めのない限り、または文脈上明らかに矛盾がない限り、その考え得るあらゆる変形形態において、上記要素をいずれかに組み合わせたものが含まれる。
さらに、本明細書を通じて、書籍、学術論文、専門書、特許、印刷刊行物など(「参照文献」と総称する)への参照が何度も行われている。上で引用した各参照文献は、参照により、引用されているその教示に関して、本明細書に個々に援用される。
最後に、本明細書に開示されている本発明の実施形態は、本発明の原理を例示するものであることを理解されたい。用いてよいその他の修正形態も、本発明の範囲内である。したがって、例として、また非限定的なものとして、本明細書の教示に従って、本発明の代替的な構成を用いてよい。したがって、本発明は、示されているとともに、説明されているものと全く同じ構成に限定されない。
本明細書に示されている詳細は、一例であるとともに、本発明の好ましい実施形態の例示的な考察を目的とするものに過ぎず、本発明の様々な実施形態の原理及び概念的態様の最も有用かつ理解しやすい説明であると考えられる内容を示すために記載されている。この点においては、本発明を根本的に理解するのに、必要以上に詳しく、本発明の構造的な詳細を示す試みは行われておらず、当業者であれば、図面及び/または実施例を取り上げて行った説明により、本発明のいくつかの形態をいかにして実施できるかが分かる。
本開示で用いられている定義及び説明は、下記の例で明確かつ明瞭に修正されていない限り、またはその意味を適用すると、いずれかの構成が無意味になったりもしくは本質的に無意味になったりしない限り、あらゆる今後の構成において優先されるように意図されている。その用語の構成により、無意味または本質的に無意味になる場合には、その定義は、Webster’s Dictionary,3rd Editionまたは当業者に知られている辞書(Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(Ed.Anthony Smith,Oxford University Press,Oxford,2004)など)から採用するものとする。