以下の図は本明細書の一部を形成し、本発明の態様をさらに例証するために含まれる。本発明は、本明細書に示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて図を参照することによってより良く理解され得る。
図1は、PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックコポリマーのポリマーナノ粒子の概略図を提供する。
図2は、PLA、PEG−PPG−PEGおよびPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子のFTIRスペクトルを提供する。
図3Aは、1,100g/molのPEG−PPG−PEGのブロックコポリマーから合成したPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。
図3Bは、4,400g/molのPEG−PPG−PEGのブロックコポリマーから合成したPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。
図3Cは、8,400g/molのPEG−PPG−PEGのブロックコポリマーから合成したPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。
図4Aおよび4Bは、PLA−PEG−PPG−PEGポリマーナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真(TEM)画像を示す。
図5A、図5Bおよび図5Cは、蛍光色素ローダミンBを封入したPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子のMCF−7細胞への細胞インターナリゼーションを示す。
図6Aは、25℃で異なるコポリマーを使用して合成したPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子からの封入L−NuBCP−9の経時的なインビトロ放出を示す。
図6Bは、陰性対照として正常HUVEC細胞における、L−NuBCP−9をロードした異なるブロックコポリマーを使用して合成したPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の有効性の欠如を示す。
図7Aは、別の一次HUVEC細胞株に対する、抗癌ペプチドL−NuBCP−9ロードPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の有効性の欠如を示す。
図7Bは、MCF−7細胞増殖に対する抗癌ペプチドL−NuBCP−9ロードPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の送達の有効性を、細胞透過性ペプチド(CPP)を使用した薬物送達と比較して示す。
図8Aは、150mg/体重kgの用量で血液化学を行うことによって任意の一般毒性を定義するために単純PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子で処置したBALB/cマウスにおけるヘモグロビンのレベルを示す。
図8Bは、150mg/体重kgの用量で血液化学を行うことによって任意の一般毒性を定義するために単純PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子で処置したBALB/cマウスにおける好中球およびリンパ球数のレベルを示す。
図8Cは、150mg/体重kgの用量で血液化学を行うことによって任意の一般毒性を定義するために単純PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子で処置したBALB/cマウスにおける血中血球容積、MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)およびMCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)を示す。
図9Aは、150mg/体重kgの用量で血液化学を行うことによって任意の一般毒性を定義するために単純PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子で処置したBALB/cマウスにおけるアスパラギン酸トランスアミナーゼおよびアラニントランスアミナーゼのレベルを示す。
図9Bは、150mg/体重kgの用量で血液化学を行うことによって任意の一般毒性を定義するために単純PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子で処置したBALB/cマウスにおけるアルカリホスファターゼのレベルを示す。
図9Cは、150mg/体重kgの用量で血液化学を行うことによって任意の一般毒性を定義するために単純PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子で処置したBALB/cマウスにおける尿素および血中尿素窒素(BUN)のレベルを示す。
図10は、異なる器官の組織病理学を行うことによって任意の一般毒性を定義するために単純PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子を注射したBALB/cマウスの脳、心臓、肝臓、脾臓、腎臓および肺の組織病理学を示す。
図11Aおよび図11Bは、LNuBCP−9封入PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子(8,800g/mol)で処置したエールリッヒ腹水腫瘍(EAT)マウスにおける腫瘍退縮を示す。
図11Aおよび図11Bは、LNuBCP−9封入PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子(8,800g/mol)で処置したエールリッヒ腹水腫瘍(EAT)マウスにおける腫瘍退縮を示す。
図12Aは、1日目のBALB−cマウスにおけるエールリッヒ腹水腫瘍を示す。
図12Bは、L−NuBCP−9封入PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子(8,800g/mol)で処置したEATマウスの21日目の腫瘍成長抑制を示す。
図12Cは、21日目の未処置対照マウスを示す。
図13は、糖尿病ウサギの血中グルコースレベルの制御に対するインスリンロードPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の有効性を示す。
図14は、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子からの、ポリアルギニン配列(RRRRRRRRRCQCRRKN)に連結されたMUC1細胞質ドメインペプチドの放出データを示す。
図15Aは、PLA72K−PEG−PPG−PEG12K NPのSEMを示す。
図15Bは、PLA72K−PEG−PPG−PEG12K NPのTEMを示す。
図16は、ローダミンBロードPLA72K−PEG−PPG−PEG12K NPの細胞インターナリゼーションを示す。
図17Aは、PLA−PEG−PPG−PEG NPからのパクリタキセル(本明細書では「PTX」とも称される)放出を示す。
図17Bは、PLA−PEG−PPG−PEG NPからのL−NuBCP−9放出を示す。
図17Cは、両薬物を同じナノ粒子に封入した二重/ハイブリッドPLA−PEG−PPG−PEG NPからのPTXおよびL−NuBCP−9放出を示す。
図18Aは、異なる比のPTX:NuBCP−9(3:1、1:1および1:3)を封入したNPへの曝露によるMCF−7細胞(左のパネル)およびMDA−MB−231(右のパネル)細胞の処置を示す。72時間後、XTTアッセイによって、細胞を分析した。結果は、生存率(3回の独立した実験の平均±SD)として表されている。
図18Bは、ホルモン依存性乳癌腫細胞株MCF−7を使用して、単一ロードNPと比較した二重ロードNP(すなわち、PTXおよびNuBCP−9を含むポリマーNP)の時間依存研究(時点は、0時間(1);処置の12時間後(2);処置の24時間後(3);処置の48時間後(4)および処置の72時間後(5)である)を示す。
図18Cは、異なる濃度の薬物を使用して、遊離または単一ロードNPと比較した単一製剤のMCF−7細胞の増殖阻害を示す。
図18Dは、異なる濃度の薬物を使用して、遊離または単一ロードNPと比較した単一製剤のMDA−MB231細胞の増殖阻害を示す。
図18Eは、MCF7細胞の阻害における相乗作用に関連するパクリタキセルおよびL−NuBCP−9分析のCI(組み合わせ指数)を示す。1.0未満のCIは、相乗作用を示す。この分析で達成されたCI数値は、異なる用量で0.1〜0.3であったが、これは、MCF−7細胞の死滅における非常に高い相乗作用を実証している。
図18Fは、MDA−MB−231細胞の阻害における相乗作用に関連するパクリタキセルおよびL−NuBCP−9分析のCI(組み合わせ指数)を示す。この分析で達成されたCI数値は、異なる用量で0.1〜1.0であったが、これは、MCF−7細胞の死滅における顕著に高い相乗作用を実証している。
図18Gは、異なる濃度の空NP(円)、PTX/NP(三角)またはNuBCP−9/NP(四角)で72時間処置したMCF−7細胞を示す。XTTアッセイによって、細胞生存を決定した。結果は、生存率(3回の独立した実験の平均±SD)として左のパネルに表されている。異なる濃度の空NP(円)、PTX/NP+NuBCP−9/NP(四角)またはPTX−NuBCP−9/NP(三角)で、示されている細胞を72時間処置した。XTTアッセイによって、細胞生存を決定した。結果は、生存率(3回の独立した実験の平均±SD)として右のパネルに表されている。
図18Hは、異なる濃度の空NP(円)、PTX/NP(三角)またはNuBCP−9/NP(四角)で72時間処置したMDA−MB−231細胞を示す。XTTアッセイによって、細胞生存を決定した。結果は、生存率(3回の独立した実験の平均±SD)として左のパネルに表されている。異なる濃度の空NP(円)、PTX/NP+NuBCP−9/NP(四角)またはPTX−NuBCP−9/NP(三角)で、示されている細胞を72時間処置した。XTTアッセイによって、細胞生存を決定した。結果は、生存率(3回の独立した実験の平均±SD)として右のパネルに表されている。
図18Iは、示されている濃度のPTX/NP単独、示されている濃度のNuBCP−9/NP単独、および示されている濃度のPTX−NuBCP−9/NPでMCF−7細胞を72時間処置した際の組み合わせ指数を示す。XTTアッセイによって、平均細胞生存を3回反復で評価した。グラフ(左)の数字1〜7は、表(右)に列挙されている組み合わせを表す。Faは影響を受けた割合を示し、CIは組み合わせ指数を示す。
図18Jは、示されている濃度のPTX/NP単独、示されている濃度のNuBCP−9/NP単独、および示されている濃度のPTX−NuBCP−9/NPでMDA−MB−231細胞を72時間処置した際の組み合わせ指数を示す。XTTアッセイによって、平均細胞生存を3回反復で評価した。グラフ(左)の数字1〜7は、表(右)に列挙されている組み合わせを表す。Faは影響を受けた割合を示し、CIは組み合わせ指数を示す。
図19Aは、細胞死の誘導に対するPTXおよびNuBCP−9(単一/二重)ロードナノ粒子(NP)の効果を示す。未処置のMCF−7細胞(対照;最上段)、NuBCP−9ロードPLA72K−PEG−PPG−PEG NP(中央2番目)、PTXロードPLA72K−PEG−PPG−PEGナノ粒子(中央3番目)、対照として遊離PTXのみ(下から2番目)およびPTX−NuBCP−9ロードPLA72K−PEG−PPG−PEG Np(最下段)で示されている時間処置したMCF−7細胞のアネキシンV/PI二重染色の共焦点レーザー走査型顕微鏡画像。
図19Bは、L−NuBCP−9/PTX組み合わせNP、NuBCP−9 NP、PTX NP、PTXおよびNPへの曝露により、初期アポトーシス状態の陽性細胞、後期アポトーシス状態の陽性細胞または死亡した陽性細胞のパーセントを示す。
図19Cは、MCF−7細胞におけるBCL−2、チューブリン、切断型カスパーゼ3および切断型PARPタンパク質のレベルを決定するために使用したウエスタンブロットデータを示す。
図19Dは、図19Cに示されているウエスタンブロット分析によって決定した、乳癌細胞株におけるBCL−2、チューブリン、切断型カスパーゼ3および切断型PARPタンパク質のレベルを示す。
図20Aは、パクリタキセル(PTX)と組み合わせてNPにロードしたL−NuBCP−9ペプチドの週1回および週2回腹腔内投与から作成した腫瘍成長曲線(EAT同系腫瘍モデル)を示す。腫瘍成長曲線により、パクリタキセル(PTX)と組み合わせてナノ粒子にロードしたL−NuBCP−9ペプチドの週2回腹腔内投与は、未処置または週1回投与と比較して、EAT腫瘍成長の制御において有効であることが示された。各点は、すべての腫瘍EATマウスの体積の平均±SEを表す。*P<0.01、対照PBS群と有意に異なる;**P<0.001、対照PBSと有意に異なる;P<0.001、ペプチドまたはパクリタキセル単独群と有意に異なる。
NPにロードしたパクリタキセル(PTX)の週2回腹腔内投与から作成した腫瘍成長曲線(EAT同系腫瘍モデル)を示す。腫瘍成長曲線により、ナノ粒子にロードしたL−NuBCP−9パクリタキセル(PTX)の週2回腹腔内投与は、未処置または週1回投与と比較して、EAT腫瘍成長の制御において有効であることが示された。
図20Cは、NPにロードしたNuBCP−9ペプチドの週2回腹腔内投与から作成した腫瘍成長曲線を示す。腫瘍成長曲線により、ナノ粒子にロードしたL−NuBCP−9ペプチドの週2回腹腔内投与は、未処置または週1回投与と比較して、EAT腫瘍成長の制御において有効であることが示された。
図21は、対照、PTX対照、PTXロードNP、L−NuBCP−9ロードNPおよび二重薬物ロードNP(右から左)で21日間処置したマウスから得た腫瘍組織であって、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した腫瘍組織の組織病理学を示す(×400)。組み合わせ試験では、非常に低いKi67発現が見られる;L−NuBCP−9ロードNpおよびPTXロードNpでは、Ki67発現は減少しているが、ビヒクル対照およびPTX対照では、高発現が見られる(P<0.05)。組み合わせ薬物ロードNPでは、TUNEL陽性細胞が最も多く見られ、L−NuBCP−9ロードNpおよびPTXロードNpでは、いくつかのTUNEL陽性細胞が見られるが、ビヒクル対照では、TUNEL陽性細胞が見られない(P<0.05)。
図22は、PTXおよびL−NuBCP−9(単一/二重)ロードナノ粒子の抗腫瘍活性を示す。空NP(腹腔内、四角、週2回)、10mg/kg L−NuBCP−9ロードNP(腹腔内、三角、週2回)、10mg/kg PTXロードNP(腹腔内、菱形、週2回)または10mg/kg PTX−NuBCP−9二重薬物ロードNP(腹腔内、円、週2回)でエールリッヒ腫瘍担持マウスを21日周期で処置した。示されている日に、腫瘍測定を実施した。結果は、腫瘍体積(平均±SD)として表されている。
図23は、カプラン・マイヤー分析によって決定した場合の、生存率として表した図22に記載されている実験の結果を示す。空NP(四角)、L−NuBCP−9ロードNP(三角)、PTXロードNP(円)およびPTX−NuBCP−9ロードNP(白色の四角)。ビヒクル対照とPTX−NuBCP−9ロードナノ粒子群との間で、統計分析を実施した(P<0.001)。
図24は、30mg/kgの用量におけるPTXおよびL−NuBCP−9(単一/二重)ロードナノ粒子の抗腫瘍活性を示す。30mg/kg腹腔内週1回投与×3で、パクリタキセル/NP、L−NuBCP−9/NPとパクリタキセル+NuBCP−9二重/NPとを比較した同系EATモデル。
図25は、FITC標識L−NuBCP−9ナノ粒子で12時間処置したMCF−7細胞の共局在性研究を示す。洗浄後、細胞を固定し、共焦点顕微鏡法によって視覚化した。ミトコンドリア選択的Mitotracker色素でミトコンドリアを染色した(上のパネル)。別途、緑色蛍光色素(FITC)で標識したL−NuBCP−9−Rho Bおよびパクリタキセルを封入したNPでMCF−7細胞を12時間処置した。洗浄後、細胞を固定し、共焦点顕微鏡法によって視覚化した。ミトコンドリアにおいて、L−NuBCP−9およびPTXの共局在が見られた(下のパネル)。
図26は、複数の標的に作用して相乗効果を示すPTX−NuBCP−9二重ロードNPの概略図を示す。
図27Aは、抗P gp1、抗BCL−2および抗β−アクチン抗体を用いたイムノブロッティングによる、野生型MCF−7(MCF−7)およびPTX耐性MCF−7(MCF−7/PTX−R)由来の全細胞溶解物の分析を示す(実施例9を参照のこと)。
図27Bは、100nM PTXまたは100nM PTX/NPで12時間処置したMCF−7またはMCF−7/PTX−R細胞を示す。洗浄後、細胞を固定し、共焦点顕微鏡法によって視覚化した(実施例9を参照のこと)。
図27Cは、100nM PTXまたは100nM PTX/NPで48時間処置し、次いでアネキシンV/PIで染色したMCF−7(上の2つのパネル)およびMCF−7/PTX−R(下の2つのパネル)細胞の共焦点レーザー走査型顕微鏡画像を示す(実施例9を参照のこと)。
図27Dは、100nM PTXまたは100nM PTX/NPで48時間処置したMCF−7およびMCF−7/PTX−R細胞を示す。次いで、アネキシンV/PIで細胞を染色し、FACSによって分析した。PI+および/またはアネキシンV+細胞の割合は、パネルに含まれている(実施例9を参照のこと)。
図27Eは、100nM PTX、100nM nab−パクリタキセル(nab−PTX;アブラキサン)または100nM PTX/NPで48時間処置したMCF−7およびMCF−7/PTX−R由来の全細胞溶解物を示す。抗カスパーゼ−3 CF、抗PARP CFおよび抗β−アクチン抗体を用いたイムノブロッティングによって、分析を実施した(実施例9を参照のこと)。
図27Fは、100nM PTX−NuBCP−9/NPで72時間処置したMCF−7/PTX−R細胞由来の全細胞溶解物の分析を示す。抗P−gp、抗BCL−2および抗β−アクチン抗体を用いたイムノブロッティングによって、分析を実施した(実施例9を参照のこと)。
詳細な説明
NuBCP−9は、BCL−2BH3ドメインを露出させてBCL−xL生存機能を遮断することによって、癌細胞のアポトーシスを選択的に誘導する非常に有望な抗癌ペプチドである(Kolluri SKら、A short Nur77−derived peptide converts Bcl−2 from a protector to a killer.Cancer Cell 2008;14:285−98)。NuBCP−9は、細胞内送達のためにD−Argオクタマーr8(膜破壊を伴うBCL−2非依存性細胞死滅を誘導することによって、選択性を減少させると報告されている改変)に連結された。新規ポリマーPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の腹腔内投与によるL−NuBCP−9ペプチドの持続送達は、エールリッヒ腫瘍の完全退縮の誘導において有効であった(例えば、図11および図12ならびに実施例7を参照のこと)。この種類のナノ粒子を調製するための特徴およびプロセスは、国際公開第2013/160773号に開示されている(この内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
ナノ粒子(本明細書では「NP」とも称される)は、ナノカプセルまたはナノスフィアとして生成され得る。ナノ粒子へのタンパク質ロードは、吸着プロセスまたは封入プロセスのいずれかによって行われ得る(Spadaら、2011;Protein delivery of polymeric nanoparticles;World Academy of Science,Engineering and Technology:76)。受動的および能動的なターゲティング戦略の両方を使用することによって、正常細胞における毒性を回避しながら、ナノ粒子は、癌細胞における薬物の細胞内濃度を増強し得る。ナノ粒子が特定の受容体に結合して細胞に進入すると、それらは、通常、受容体媒介性エンドサイトーシスを介してエンドソームで覆われ、それにより、主要な薬剤耐性機構の1つであるP−糖タンパク質の認識を回避する(Choら、2008,Therapeutic Nanoparticles for Drug Delivery in Cancer,Clin.Cancer Res.,2008,14:1310−1316)。ナノ粒子は、オプソニン作用および食作用によって身体から除去される(Sosnikら、2008;Polymeric Nanocarriers:New Endeavors for the Optimization of the Technological Aspects of Drugs;Recent Patents on Biomedical Engineering,1:43−59)。ナノ担体ベースの系は、細胞内透過性の改善、局所送達、早期分解からの薬物の保護、薬物動態および薬物組織分布プロファイルの制御、より低い用量必要性および費用対効果の利点を有する有効な薬物送達のために使用され得る(Farokhzad OCら、Targeted nanoparticle−aptamer bioconjugates for cancer chemotherapy in vivo.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2006,103(16):6315−20;Fonseca Cら、Paclitaxel−loaded PLGA nanoparticles:preparation,physicochemical characterization and in vitro anti−tumoral activity.J.Controlled Release 2002;83(2):273−86;Hoodら、Nanomedicine,2011,6(7):1257−1272)。
ナノ粒子の取り込みは、その小さい寸法に間接的に比例する。その小さいサイズにより、ポリマーナノ粒子は、細網内皮系(RES)による認識および取り込みを逃れることが見出されているので、血液中で長時間循環し得る(Borchardら、1996,Pharm.Res.7:1055−1058)。ナノ粒子はまた、固形腫瘍の漏出性脈管構造のような病的部位で浸出することができ、受動的なターゲティング機構を提供する。より速い可溶化速度をもたらすより大きな表面積により、ナノサイズの構造は、通常、より高い血漿濃度および曲線下面積(AUC)値を示す。小さい粒径は、宿主防御機構を逃れるのに役立ち、血液循環時間を増加させる。ナノ粒子のサイズは、薬物放出に影響する。より大きな粒子は、系への薬物のより緩徐な拡散を有する。より小さい粒子は、より大きい表面積を提供するが、速い薬物放出をもたらす。より小さい粒子は、ナノ粒子分散液の保存および輸送の間に凝集する傾向がある。よって、ナノ粒子の小さいサイズと最大安定性との折衷が望ましい。薬物送達系において使用されるナノ粒子のサイズは、その毛細血管への急速な漏出を防ぐ程度には十分大きいが、肝臓および脾臓などの細網内皮系中に留まっている固定マクロファージによる捕捉を逃れる程度には十分小さいものとするべきである。
そのサイズに加えて、ナノ粒子の表面特性もまた、循環中の寿命および運命の決定における重要な要因である。ナノ粒子は、理想的には、マクロファージ捕捉を逃れるために親水性表面を有するべきである。親水性ドメインおよび疎水性ドメインを有するブロックコポリマーから形成されたナノ粒子は、これらの基準を満たす。制御されたポリマー分解もまた、疾患状態への薬剤送達のレベルの増加を可能にする。ポリマー分解はまた、粒径の影響を受け得る。分解速度は、インビトロの粒径の増加と共に増加する(Biopolymeric nanoparticles;Sundarら、2010,Science and Technology of Advanced Materials;doi:10.1088/1468−6996/11/1/014104)。
ポリ(乳酸)(PLA)は、組織工学、医療材料および薬物担体における適用のためにUS FDAによって承認されており、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)PLA−PEGベースの薬物送達系は、当技術分野で公知である。米国特許出願公開第2006/0165987号には、ポリ(エステル)−ポリ(エチレン)マルチブロックコポリマーおよびナノ球体に強剛性を与える任意の成分を含み、医薬化合物を組み込む、ステルス性のポリマー生分解性ナノ球体が記載されている。米国特許出願公開第2008/0081075号には、グラフト高分子および1つまたはそれを超えるブロックコポリマーから自己組織化した、機能的内部コアおよび親水性外部シェルを有する新規の混合ミセル構造が記載されている。米国特許出願公開第2010/0004398号には、相間領域を有するシェル/コア立体配置のポリマーナノ粒子およびそれを生成するためのプロセスが記載されている。
しかしながら、これらのポリマーナノ粒子は本質的に、ナノ粒子の安定性のために約1%〜2%の乳化剤の使用を必要とする。乳化剤は、媒質中の分散粒子を安定化させる。PVA、PEG、Tween 80およびTween 20は、一般的な乳化剤の一部である。しかしながら、乳化剤の使用は、乳化剤の浸出が被験体に対して毒性であり得るので、インビボ用途の懸念理由である(Safety Assessment on polyethylene glycols(PEGS)and their derivatives as used in cosmetic products,Toxicology,2005 Oct.15;214(1−2):1−38)。乳化剤の使用はまた、ナノ粒子の質量を増加させ、それにより薬物ロードを減少させ、より多い投与量必要性をもたらす。ナノ粒子薬物担体系において依然として広く存在する他の不利益は、不十分な経口バイオアベイラビリティ、循環中の不安定性、不適切な組織分布および毒性である。上記不利益を伴わずにNuBCP−9などの治療用ペプチドを含む治療剤を罹患(例、癌性)細胞の細胞質ゾルに有効に送達し得る送達系が本明細書に記載される。
当業者であれば、本明細書に記載される本発明は、具体的に記載されているもの以外のバリエーションおよび改変に供されることを認識するであろう。本明細書に記載される本発明は、すべてのこのようなバリエーションおよび改変を含むことを理解すべきである。本発明はまた、個々にもしくは集合的に本明細書で言及されもしくは示されているすべてのこのような工程、特徴、組成物および化合物、ならびに任意の2つもしくはそれを超える前記工程もしくは特徴のありとあらゆる組み合わせを含む。
定義
便宜上、本発明のさらなる説明の前に、本明細書、実施例および添付の特許請求の範囲で用いられる特定の用語をここにまとめる。これらの定義は、残りの開示を考慮して解釈し、当業者によって理解されるように理解すべきである。他に定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書全体を通して使用される用語は、特定の場合で他に制限がない限り、以下のように定義される。
「a」、「an」および「the」という冠詞は、冠詞の文法上の目的語の1つまたは1つを超えるもの(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。
「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」、「含むこと(including)」、「含有すること」、「を特徴とする」およびそれらの文法的同等物は、包括的な非限定的意味で使用され、さらなる要素が含まれ得ることを意味する。それは、「のみからなる」と解釈されることを意図しない。
本明細書で使用される「からなる」およびその文法的同等物は、特許請求の範囲で特定されていないいかなる要素、工程または成分も除外する。
本明細書で使用される「約」または「およそ」という用語は、通常、所定の値または範囲の20%以内、より好ましくは10%以内、最も好ましくはさらに5%以内を意味する。
本明細書で使用される「生分解性」という用語は、ポリマー構造の酵素的および非酵素的の両方の場合の破壊または分解を指す。
本明細書で使用される「ナノ粒子」という用語は、直径10nm〜1000nmの範囲内の粒子を指し、直径は、粒子と同じ容積を有する完全な球体の直径を指す。「ナノ粒子」という用語は、「ナノ粒子(単数または複数)」と互換的に使用される。いくつかの場合では、粒子の直径は、約1〜1000nm、10〜500nm、30〜270nm、30〜200nmまたは30〜120nmの範囲内である。
いくつかの場合では、粒子の集団が存在し得る。本明細書に使用される場合、ナノ粒子の直径は、特定の集団における分布の平均である。
本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、当技術分野で使用されるその通常の意味が与えられる(すなわち、共有結合によって接続された1つまたはそれを超える反復単位(モノマー)を含む分子構造)。反復単位はすべてが同一のものであり得るか、またはいくつかの場合では、1種類を超える反復単位がポリマー内に存在し得る。
「核酸」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、その変異体およびその誘導体などのポリヌクレオチドを指す。
本明細書で使用される「治療剤」および「薬物」という用語は互換的に使用され、本質的に薬学的もしくは生物学的に活性な化合物または種だけではなく、それらの活性化合物または種の1つまたはそれよりも多くを含む材料、ならびにそれらのコンジュゲーション、改変体および薬理学的に活性な断片ならびに抗体誘導体を包含することも意図する。
「ターゲティング部分」または「標的薬剤」は、ターゲティングされる細胞の表面に選択的に結合し得る分子である。例えば、ターゲティング部分は、特定の種類の細胞上に見られるか、または標的細胞上で他の細胞よりも高頻度で発現される細胞表面受容体に結合するリガンドであり得る。
標的薬剤または治療剤は、ペプチドまたはタンパク質であり得る。「タンパク質」および「ペプチド」は当技術分野で周知の用語であり、本明細書に使用される場合、これらの用語は、当技術分野におけるその通常の意味が与えられる。一般に、ペプチドは、約100個未満のアミノ酸長であるが、最大300個までのアミノ酸を含み得るアミノ酸配列である。タンパク質は、一般に、少なくとも100個のアミノ酸の分子であると考えられる。アミノ酸は、D−またはL−立体配置であり得る。タンパク質は、例えば、タンパク質薬、抗体、組換え抗体、組換えタンパク質、酵素などであり得る。いくつかの場合では、ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸の1つまたはそれよりも多くは、例えば、炭水化物基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、コンジュゲーションのためのリンカーなどの化学的実体の添加、機能化または他の改変、例えば環化、副次的環化、ならびにペプチドおよびタンパク質により有利な特性を付与することを目的とする多数の他の改変のいずれかによって改変され得る。他の場合では、ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸の1つまたはそれよりも多くは、1つまたはそれを超える天然に存在しないアミノ酸による置換によって改変され得る。ペプチドまたはタンパク質は、ファージライブラリー、酵母ライブラリーまたはインビトロコンビナトリアルライブラリーなどのコンビナトリアルライブラリーから選択され得る。
本明細書で使用される「抗体」という用語は、任意の種由来の分子を含有する免疫グロブリン可変領域によって示される結合親和性と同様またはそれよりも大きい結合親和性を所定の抗原に付与する二次または三次構造類似性を有するアミノ酸配列または分子を組み込んだ任意の分子を指す。抗体という用語は、限定されないが、単一特異性または二重特異性かにかかわらず、およびイメージング剤または化学療法薬分子などの二次診断用または治療用部分とコンジュゲーションされるかにかかわらず、2つの重鎖および2つの軽鎖からなるネイティブな抗体;軽鎖、重鎖もしくはその両方の断片、可変ドメイン断片、重鎖もしくは軽鎖のみの抗体、またはこれらのドメインの任意の操作された組み合わせに由来する結合分子を含む。この用語は、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ラマ、ラクダ、ヒトまたは任意の他の脊椎動物種に由来するかにかかわらず、免疫グロブリン可変領域由来結合部分を含む。この用語は、発見方法(ハイブリドーマ由来、ヒト化、ファージ由来、酵母由来、コンビナトリアルディスプレイ由来、または当技術分野で公知の任意の類似の誘導方法)または生産方法(細菌、酵母、哺乳類細胞培養または遺伝子導入動物または当技術分野で公知の任意の類似の生産方法)にかかわらず、任意のこのような免疫グロブリン可変領域結合部分を指す。
本明細書で使用される「組み合わせ」、「治療的組み合わせ」または「薬学的組み合わせ」という用語は、2つまたはそれを超える治療剤の併用投与(例えば、同時送達)を指す。
本明細書で使用される「薬学的に許容され得る」という用語は、過度の毒性、刺激性アレルギー反応および他の問題の合併症を伴わずに、健全な医学的判断の範囲内で温血動物、例えば哺乳類またはヒトの組織との接触に適切であり、合理的な利益/リスク比に見合った化合物、材料、組成物および/または剤形を指す。
1つまたはそれを超える治療剤を含むポリマーナノ粒子の「治療有効量」は、組み合わせで処置された障害のベースラインの臨床的に観察可能な兆候および症候に対する観察可能なまたは臨床的に顕著な改善を提供するために十分な量である。
本明細書で使用される「被験体」または「患者」という用語は、癌または癌が直接的もしくは間接的に関与する任意の障害を患うかまたはそれに罹患する可能性がある動物を含むことを意図する。被験体の例としては、哺乳類、例えばヒト、類人猿、サル、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラットおよびトランスジェニック非ヒト動物が挙げられる。一実施形態では、被験体は、ヒト、例えば、癌を患っているヒト、癌を患うリスクがあるヒト、または潜在的に癌を患う可能性があるヒトである。
本明細書で使用される「処置すること」または「処置」という用語は、被験体における少なくとも1つの症候を軽減、低減もしくは緩和し、または疾患進行の遅延をもたらす処置を含む。例えば、処置は、癌などの障害の1つもしくは複数の症候の縮小または障害の完全な根絶であり得る。本開示の意味の範囲内では、「処置する」という用語はまた、疾患の悪化を停止し、および/またはそのリスクを減少させることを示す。本明細書で使用される「予防する」、「予防すること」または「予防」という用語は、予防される状態、疾患または障害に関連するか、またはそれによって引き起こされる少なくとも1つの症候の予防を含む。
ポリマーナノ粒子
1つまたはそれを超える治療薬を送達するためのブロックコポリマーから構成される非毒性かつ安全な生分解性ポリマーナノ粒子が本明細書で提供される。本発明の生分解性ポリマーナノ粒子は、親水性−疎水性ブロックコポリマーで化学的に改変されたポリ(乳酸)(PLA)から本質的になるブロックコポリマーから形成され、前記親水性−疎水性ブロックコポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)−ポリ(メタクリル酸)(PMMA−PMAA)、ポリ(スチレン)−ポリ(アクリル酸)(PS−PAA)、ポリ(アクリル酸)−ポリ(ビニルピリジン)(PAA−PVP)、ポリ(アクリル酸)−ポリ(N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)(PAA−PDMAEMA)、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(ブチレングリコール)(PEG−PBG)およびポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PEG−PPG−PEG)から選択される。
本明細書で使用される「本発明のポリマーナノ粒子」は、親水性−疎水性ブロックコポリマーで化学的に改変されたポリ(乳酸)(PLA)を含むブロックコポリマーから形成されたポリマーナノ粒子を指し、前記親水性−疎水性ブロックコポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)−ポリ(メタクリル酸)(PMMA−PMAA)、ポリ(スチレン)−ポリ(アクリル酸)(PS−PAA)、ポリ(アクリル酸)−ポリ(ビニルピリジン)(PAA−PVP)、ポリ(アクリル酸)−ポリ(N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)(PAA−PDMAEMA)、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(ブチレングリコール)(PEG−PBG)およびポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PEG−PPG−PEG)から選択される。したがって、「本発明のポリマーナノ粒子」は、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PEG−PPG−PEG)で化学的に改変されたポリ(乳酸)(PLA)を含むかまたはそれから本質的になるブロックコポリマーから形成されたポリマーナノ粒子を包含する。
本発明は、1つまたはそれを超える治療剤を含む生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスを提供する。得られたナノ粒子は、非毒性、安全および生分解性であるだけではなく、インビボで安定しており、高い保存安定性を有し、医療分野におけるナノ担体系または薬物送達系で安全に使用され得る。実際、本発明のナノ粒子は、送達可能薬物または治療剤のインビボ半減期を増加させる。
本発明はまた、活性剤の早期分解を防止して、癌治療における大きな使用可能性を有する有効な標的薬物送達ナノ担体系を形成するために、薬物(例えば、単一薬剤としてNuBCP−9を含むペプチド、またはNuBCP−9および化学療法剤または標的抗癌剤)を生分解性ポリマーナノ粒子に効率的にロードするためのプロセスを提供する。
医療および他の分野において使用するための生分解性ポリマーナノ粒子を含む組成物であって、ナノ粒子の担体系またはリザーバーもしくはデポーを用いる組成物も提供される。本発明のナノ粒子は、予後用組成物、治療用組成物、診断用組成物またはセラノスティクス組成物において広く使用され得る。適切には、本発明のナノ粒子は、薬物および薬剤送達のために、ならびにヒトまたは動物における疾患診断および医用画像のために使用される。したがって、本発明は、本明細書に記載される治療剤をさらに含むナノ粒子を使用して疾患を処置するための方法を提供する。本発明のナノ粒子はまた、リザーバーもしくはデポーが必要とされる場合、バイオセンサーとして、固定化酵素のための薬剤としてなど、化学反応または生体反応などの他の用途において使用され得る。
本明細書に記載されるプロセスによると、いかなる乳化剤または安定剤も用いずに生分解性ポリマーナノ粒子の生産中に、予想外の驚くべき結果が得られた。前記プロセスによって得られた生分解性ポリマーナノ粒子は、安全、安定および非毒性である。一実施形態では、ブロックコポリマーPEG−PPG−PEGは、ポリ−乳酸(PLA)マトリックスと共有結合されており、その結果、ブロックコポリマーはマトリックスの一部となる(すなわち、ナノ粒子送達系)。対照的に、先行技術では、乳化剤(例えば、PEG−PPG−PEG)は、ナノ粒子マトリックスの一部ではないので浸出する(図1)。先行技術のナノ粒子とは対照的に、本明細書で提供されるナノ粒子から媒質への乳化剤の浸出はない。
本プロセスによって得られたナノ粒子は、インビボで浸出し得る乳化剤の添加がないので、非毒性および安全である。乳化剤の欠如またはその量の減少はまた、より高い薬物対ポリマー比を有するナノ粒子をもたらす。これらのナノ粒子は、当技術分野に存在するポリマーナノ粒子と比較して、より高い安定性および増加した保存期間を有する。本発明のポリマーナノ粒子は、分解産物が体から容易に排泄され得るような生分解性であるように調製される。分解はまた、ナノ粒子中の封入内容物が体内のある部位で放出され得る方法を提供する。
ポリ(乳酸)(PLA)は疎水性ポリマーであり、本発明のポリマーナノ粒子の合成に好ましいポリマーである。しかしながら、ポリ(グリコール酸)(PGA)およびポリ乳酸−コ−グリコール酸(PLGA)のブロックコポリマーも使用され得る。疎水性ポリマーはまた生物学的に誘導され得るか、またはバイオポリマーであり得る。
使用されるPLAの分子量は、一般に、約2,000g/mol〜80,000g/molの範囲内である。したがって、一実施形態では、使用されるPLAは、約2,000g/mol〜80,000g/molの範囲内である。PLAの平均分子量はまた、約72,000g/molであり得る。本明細書で使用される場合、1g/モルは、1「ダルトン」と同等である(すなわち、ポリマーの分子量について言及する場合、ダルトンおよびg/molは互換的である。
ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PEG−PPG−PEG)、ポリ(メチルメタクリレート)−ポリ(メタクリル酸)(PMMA−PMAA)、ポリ(スチレン)−ポリ(アクリル酸)(PS−PAA)、ポリ(アクリル酸)−ポリ(ビニルピリジン)(PAA−PVP)、ポリ(アクリル酸)−ポリ(N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)(PAA−PDMAEMA)、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(ブチレングリコール)(PEG−PBG)、ならびにPG−PR(ポリグリセロール(PG)およびアジピン酸、ピメリン酸およびセベシン酸を含むポリエステル(PR)とのそのコポリマー)のようなブロックコポリマーは、本発明において使用され得る親水性または親水性−疎水性コポリマーであり、PEG−PPG−PEGなどのABA型ブロックコポリマー、PPG−PEG−PPGなどのBABブロックコポリマー、(AB)n型交互マルチブロックコポリマーおよびランダムマルチブロックコポリマーを含む。ブロックコポリマーは、2つ、3つまたはそれを超える数の異なるブロックを有し得る。PEGは、親水性、マクロファージに対する抗食作用および免疫認識への耐性を与えるため、好ましい成分である。
いくつかの実施形態では、親水性−疎水性ブロックコポリマーの平均分子量(Mn)は一般に、1,000〜20,000g/molの範囲内である。さらなる実施形態では、親水性−疎水性ブロックコポリマーの平均分子量(Mn)は、約4,000g/mol〜15,000g/molである。いくつかの場合では、親水性−疎水性ブロックコポリマーの平均分子量(Mn)は、4,400g/mol、8,400g/molまたは14,600g/molである。
本発明のブロックコポリマーは、ポリ(乳酸)(PLA)のセグメントおよびポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PEG−PPG−PEG)のセグメントから本質的になり得る。
本発明の特定の生分解性ポリマーナノ粒子は、ブロックコポリマーポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)から形成される。
本発明の別の特定の生分解性ポリマーナノ粒子は、ブロックコポリマーポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(乳酸)(PLA−PEG−PPG−PEG−PLA)から形成される。
本発明の生分解性ポリマーは、共有結合を使用してPLAを親水性−疎水性ブロックコポリマーで化学的に改変することによって形成可能である。
本発明の生分解性ポリマーナノ粒子は、約30〜300nmの範囲内のサイズを有し得る。さらなる実施形態では、本発明の生分解性ポリマーナノ粒子は、約30〜120nmの範囲内のサイズを有する。
一実施形態では、本発明の生分解性ポリマーは、乳化剤を実質的に含まないか、または約0.5重量%〜5重量%の量の外部乳化剤を含み得る。
一実施形態では、本発明の生分解性ポリマーナノ粒子は、PLA−PEG−PPG−PEGであり、ポリ(乳酸)ブロックの平均分子量は約60,000g/molであり、PEG−PPG−PEGブロックの平均重量は約8,400または約14,600g/molであり、外部乳化剤は約0.5重量%〜5重量%である。
別の実施形態では、本発明の生分解性ポリマーナノ粒子はPLA−PEG−PPG−PEGであり、ポリ(乳酸)ブロックの平均分子量はおよそ16,000g/molまたはそれ未満であり、PEG−PPG−PEGブロックの平均重量は約8,400g/molまたは約14,600g/molであり、その組成物は、乳化剤を実質的に含まない。
ポリマーナノ粒子の調製
本発明の生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスは、ポリ(乳酸)(PLA)および親水性−疎水性ブロックコポリマーを有機溶媒に溶解して、溶液を得ること;、カルボジイミドカップリング剤および塩基を前記溶液に添加して、反応混合物を得ること;前記反応混合物を撹拌して、前記親水性−疎水性ブロックコポリマーで化学的に改変されたPLAのブロックコポリマーを得ること;前工程のブロックコポリマーを有機溶媒に溶解し、ホモジナイズして、均一化混合物を得ること;前記均一化混合物を水相に添加して、エマルジョンを得ること;前記エマルジョンを撹拌して、ポリマーナノ粒子を得ることを含む。
カルボジイミドカップリング剤は、当技術分野で周知である。適切なカルボジイミドカップリング剤としては、限定されないが、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジエチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド(EDC)およびN,N−ジイソプロピルカルボジイミドが挙げられる。
カップリング反応は、通常、トリアルキルアミン、ピリジンまたは4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの触媒および/または補助塩基の存在下で行われる。
カップリング反応はまた、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)などのヒドロキシ誘導体と組み合わせて行われ得る。他のヒドロキシ誘導体としては、限定されないが、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、6−クロロ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(Cl−HOBt)が挙げられる。
本明細書で調製されるナノ粒子の調製において有用な有機溶媒は、適切には、アセトニトリル(C2H3N)、ジメチルホルムアミド(DMF;C3H7NO)、アセトン((CH3)2CO)およびジクロロメタン(CH2Cl2)である。
上記プロセスは、場合により、生分解性ポリマーナノ粒子を水で洗浄し、ポリマー生分解性ポリマーナノ粒子を乾燥させるさらなる工程を含み得る。前記プロセスはまた、場合により、乳化剤を添加する最初の工程を含み得る。このプロセスから得られたナノ粒子は、約30〜300nmまたは約30〜120nmの範囲内のサイズを有し得る。
特定のプロセスでは、PLAおよびコポリマーPEG−PPG−PEGを有機溶媒に溶解し、ポリマー溶液を得る。この溶液にN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を−4℃〜0℃で添加し、続いて、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を添加する。この溶液を250〜300rpm、−40℃〜0℃の範囲の低温で20〜28時間撹拌し得る。PLA−PEG−PPG−PEGのナノ粒子は、PEG−PPG−PEGに共有結合するPLAを有し、PLA−PEG−PPG−PEGマトリックスを形成する。ジエチルエーテル、メタノールまたはエタノールのような有機溶媒によってナノ粒子を沈殿させ、ろ過、超遠心分離または限外ろ過を含む当技術分野における従来の方法によって溶液から分離する。ナノ粒子を2℃〜8℃の範囲の温度で保存する。
前記プロセスでは、乳化剤が全く使用されないかまたは最小量の乳化剤が使用されるので、本発明のプロセスは、さらなる凍結工程またはデコイタンパク質の使用を必要としないさらなる利点を提供する。本発明は、25℃〜30℃の環境室温条件下で容易に行われ、所望の小粒径を得るために過剰なせん断を必要としない。
本発明のナノ粒子の一例のFTIRスペクトルは、図2に提供されている。ナノ粒子のNMRスペクトルは、図3A、3Bおよび3Cに提供されている。図4Aおよび4BのTEM画像に示されているように、ナノ粒子は立体配置で実質的に球状であるが、しかしながら、ナノ粒子は、膨張または収縮により非球状立体配置をとり得る。ナノ粒子は、本質的に両親媒性である。ナノ粒子のゼータ電位およびPDI(多分散指数)は、表2に提供されている。いかなる遊離乳化剤もプロセスに添加せず、PEG部分を含むブロックコポリマーは、PLA−PEG−PPG−PEGマトリックス全体と共有結合により連結されているので、本発明のナノ粒子の保存安定性は、従来の乳化剤ベースの系と比較して優れている。ナノ粒子の保存可能期間は、6〜18カ月間の範囲である。
透過型電子顕微鏡を使用して測定した場合、本発明のナノ粒子は、30〜120nmの範囲の寸法を有し得る(図4)。適切な実施形態では、本発明のナノ粒子の直径は、直径500nm未満、直径300nm未満または直径200nm未満である。特定のこのような実施形態では、本発明のナノ粒子は、直径約10〜500nm、約10〜300nm、約10〜200nmの範囲内、約20〜150nmの範囲内または約30〜120nmの範囲内となる。
参照目的のために、ナノ粒子形成のための特定のプロセスおよび医薬組成物における使用が本明細書で提供される。これらのプロセスおよび使用は、当業者に明らかな様々な方法によって行われ得る。
本発明の実施形態では、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスであって、(a)PEG−PPG−PEGコポリマーおよびポリ(乳酸)(PLA)を有機溶媒に溶解して、溶液を得ること、(b)N,N,−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を前記溶液に−4℃〜0℃の範囲内の温度で添加して、反応混合物を得ること、(c)前記反応混合物を250〜400rpm、−4℃〜0℃の範囲の温度で20〜28時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを得ること、(d)前記PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを有機溶媒に溶解し、250〜400rpmでホモジナイズして、均一化混合物を得ること、(e)前記均一化混合物を水相に添加して、エマルジョンを得ること、ならびに(f)前記エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの前記ナノ粒子を得ることを含むプロセスが本明細書で提供される。
本発明の別の実施形態では、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスであって、(a)PEG−PPG−PEGコポリマーおよびポリ(乳酸)(PLA)を有機溶媒に溶解して、溶液を得ること、(b)N,N,−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を前記溶液に−4℃〜0℃の範囲内の温度で添加して、反応混合物を得ること、(c)前記反応混合物を250〜400rpm、−4℃〜0℃の範囲の温度で20〜28時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを得ること、(d)前記PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを有機溶媒に溶解し、250〜400rpmでホモジナイズして、均一化混合物を得ること、(e)前記均一化混合物を水相に添加して、エマルジョンを得ること、ならびに(f)前記エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの前記ナノ粒子を得ることを含み、場合により、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの前記ナノ粒子を水で洗浄し、従来の方法によって前記ナノ粒子を乾燥させる工程を含むプロセスが提供される。
本発明の別の実施形態では、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスであって、(a)PEG−PPG−PEGコポリマーおよびポリ−乳酸(PLA)を有機溶媒に溶解して、溶液を得ること、(b)N,N,−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を前記溶液に−4℃〜0℃の範囲内の温度で添加して、反応混合物を得ること、(c)前記反応混合物を250〜400rpm、−4℃〜0℃の範囲の温度で20〜28時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを得ること、(d)前記PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを有機溶媒に溶解し、250〜400rpmでホモジナイズして、均一化混合物を得ること、(e)前記均一化混合物を水相に添加して、エマルジョンを得ること、ならびに(f)前記エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの前記ナノ粒子を得ることを含み、前記ナノ粒子のサイズが、約30〜300nmまたは約30〜120nmの範囲内であるプロセスが提供される。
本発明のまた別の実施形態では、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスであって、(a)PEG−PPG−PEGコポリマーおよびポリ−乳酸(PLA)を有機溶媒に溶解して、溶液を得ること、(b)N,N,−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を前記溶液に−4℃〜0℃の範囲内の温度で添加して、反応混合物を得ること、(c)前記反応混合物を250〜400rpm、−4℃〜0℃の範囲の温度で20〜28時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを得ること、(d)前記PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを有機溶媒に溶解し、250〜400rpmでホモジナイズして、均一化混合物を得ること、(e)前記均一化混合物を水相に添加して、エマルジョンを得ること、ならびに(f)前記エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの前記ナノ粒子を得ることを含み、前記PEG−PPG−PEGコポリマーの分子量が、1,000g/mol〜10,000g/molの範囲内であるプロセスが提供される。
本発明のさらなる実施形態では、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスであって、(a)PEG−PPG−PEGコポリマーおよびポリ(乳酸)(PLA)を有機溶媒に溶解して、溶液を得ること、(b)N,N,−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を前記溶液に−4℃〜0℃の範囲内の温度で添加して、反応混合物を得ること、(c)前記反応混合物を250〜400rpm、−4℃〜0℃の範囲の温度で20〜28時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを得ること、(d)前記PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを有機溶媒に溶解し、250〜400rpmでホモジナイズして、均一化混合物を得ること、(e)前記均一化混合物を水相に添加して、エマルジョンを得ること、ならびに(f)前記エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの前記ナノ粒子を得ることを含み、PLAの分子量が、10,000g/mol〜60,000g/molの範囲内であるプロセスが提供される。
本発明のさらなる実施形態では、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスであって、(a)PEG−PPG−PEGコポリマーおよびポリ(乳酸)(PLA)を有機溶媒に溶解して、溶液を得ること、(b)N,N,−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を前記溶液に−4℃〜0℃の範囲内の温度で添加して、反応混合物を得ること、(c)前記反応混合物を250〜400rpm、−4℃〜0℃の範囲の温度で20〜28時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを得ること、(d)前記PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを有機溶媒に溶解し、250〜400rpmでホモジナイズして、均一化混合物を得ること、(e)前記均一化混合物を水相に添加して、エマルジョンを得ること、ならびに(f)前記エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの前記ナノ粒子を得ることを含み、工程(a)の溶液が、場合により、乳化剤などの添加剤を含むことがあるプロセスが提供される。
本発明の別の実施形態は、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスによって得られるPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子であって、前記プロセスが、(a)PEG−PPG−PEGコポリマーおよびポリ(乳酸)(PLA)を有機溶媒に溶解して、溶液を得ること、(b)N,N,−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を前記溶液に−4℃〜0℃の範囲内の温度で添加して、反応混合物を得ること、(c)前記反応混合物を250〜400rpm、−4℃〜0℃の範囲の温度で20〜28時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを得ること、(d)前記PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを有機溶媒に溶解し、250〜400rpmでホモジナイズして、均一化混合物を得ること、(e)前記均一化混合物を水相に添加して、エマルジョンを得ること、ならびに(f)前記エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの前記ナノ粒子を得ることを含む、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を提供する。
本発明の別の実施形態は、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスによって得られるPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を含む組成物であって、前記プロセスが、(a)PEG−PPG−PEGコポリマーおよびポリ(乳酸)(PLA)を有機溶媒に溶解して、溶液を得ること、(b)N,N,−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を前記溶液に−4℃〜0℃の範囲内の温度で添加して、反応混合物を得ること、(c)前記反応混合物を250〜400rpm、−4℃〜0℃の範囲の温度で20〜28時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを得ること、(d)前記PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを有機溶媒に溶解し、250〜400rpmでホモジナイズして、均一化混合物を得ること、(e)前記均一化混合物を水相に添加して、エマルジョンを得ること、ならびに(f)前記エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの前記ナノ粒子を得ることを含む、組成物を提供する。
治療薬を含むポリマーナノ粒子
本発明のナノ粒子は、活性剤または実体を特定の部位に送達することができる(図5)。本発明のPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の粒径および放出特性は、ポリマーマトリックス中のPLAまたはPEG−PPG−PEGの分子量を変化させることによって制御され得る。活性剤または実体の放出は12時間〜60日間制御され得るが、これは、当技術分野で利用可能な従来のPLA−PEG系に対する改善である(図6A)。ナノ粒子の薬物ロード容量もまた、ナノ粒子のポリマーマトリックス中のブロックコポリマーの平均分子量を変化させることによって制御され得る。ナノ粒子の薬物ロード容量は、PEG−PPG−PEGブロックコポリマーのブロック長の増加と共に増加する(表3)。
PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーから構成されるポリマーナノ粒子は本質的に両親媒性であるので、疎水性薬物および親水性薬物は両方ともナノ粒子にロードされ得る。乳化剤を使用しないかまたは乳化剤の使用が最小限であるので、本発明のナノ粒子は、高い薬物ロード容量を有し、その結果、ロード用量および治療頻度が減少する。乳化剤の重量は総製剤重量の50%になり得るので、ナノ粒子に対する活性剤または実体の比は、本発明のナノ粒子では、乳化剤を用いる従来の系と比較して高い(International Journal of Pharmaceutics,15 June 2011,Volume 411,Issues 1−2,Pages 178−187;International Journal of Pharmaceutics,2010,387:253−262)。ナノ粒子は、毒性の減少を伴う単回低用量薬物送達の達成を支援する。PLA−PEG−PPG−PEGのナノ担体系に対する活性剤の重量割合は、ナノ粒子に対して2〜20%の範囲である。低い投与量レベルで有効量が投与され得るので、ナノ粒子へのより高い薬物ロードは、薬物用量の必要性を減少させる。ナノ粒子の総ロード容量を損なわずに、ポリマーナノ粒子への長期活性のロード実体の内部ロードの増強は、非常に将来性のある治療薬の有効な送達をもたらす。図7Bは、一次HUVEC細胞株における、ナノ粒子製剤にロードした抗癌ペプチドL−NuBCP−9(本明細書では、「NuBCP−9」(アミノ酸配列FSRSLHSLLのL−立体配置)とも称される)の有効性を、遊離ペプチド薬製剤および従来の細胞透過性ペプチドコンジュゲート薬物製剤と比較して示す。
インビトロ細胞株研究およびインビボマウスモデル研究によって確認されたように、本発明のPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子は非毒性である。150mg/体重kgの用量のPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子で処置したマウスにおいて評価した血液学的パラメータにより、対照群と比べて全血球数、赤血球数、白血球数、好中球およびリンパ球レベルの有意な変化はないことが示された(図8)。肝機能および腎機能について評価した生化学的パラメータにより、対照群とナノ粒子処置群との間で、総タンパク質、アルブミンおよびグロブリンレベルの有意な変化はないことが示された。図9Aおよび9Bに示されているように、肝臓酵素(アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)およびアルカリホスファターゼ(ALP))のレベルは、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子処置群では、対照群と比較して非有意に増加した。PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子で処置したマウスでは、対照と比較して、尿素および血中尿素窒素(BUN)のレベルの有意な変化はない(図9C)。PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子を注射したマウスの器官(脳、心臓、肝臓、脾臓、腎臓および肺)の組織病理学は、図10に示されている。
本発明のナノ粒子は、1つまたはそれを超える実体を封入および/または吸着し得る。実体はまた、生分解性ナノ粒子のブロックコポリマーに直接コンジュゲートされ得る。本発明の実体としては、限定されないが、有機小分子、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオシド、DNA、RNA、SiRNA、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、アミン、抗体およびその変異体、抗生物質、低分子量分子、化学療法薬、薬物もしくは治療剤、金属イオン、色素、放射性同位体、造影剤ならびに/またはイメージング剤が挙げられる。
封入され得る適切な分子は、治療剤である。タンパク質もしくはペプチドまたはそれらの断片、インスリンなど、ドキソルビシン(doxorubcin)、パクリタキセル(paclitaxil)、ゲムシタビン(gemcetabin)、ドセタキセルなどの疎水性薬物、アンホテリシンB、イソニアジド(INH)などの抗生物質および核酸が治療剤に含まれる。治療剤としては、パクリタキセル、ドキソルビシンピモジド、ペリメタミン、インデノイソキノリンまたはノル−インデノイソキノリンなどの化学療法薬も挙げられる。
治療剤は、天然および非天然(合成)アミノ酸を含み得る。非限定的な例としては、二環式化合物および環状ペプチド模倣薬などのペプチド模倣薬が挙げられる。
L形態またはL−立体配置の治療用ペプチドは、経済的に安価に製造され得るが、それらは、それらのD形態と比較してインビボ系において急速に分解することが公知であるので、薬物適用における不利益を有することが公知である。しかしながら、インビボ研究で確認されたように、本発明のナノ粒子によるこのようなL−ペプチドの封入は、ナノ粒子のコアへの封入により、循環中の分解をもたらさない(図11、12および13)。
当技術分野で普及している遊離薬物製剤と比較して、抗癌薬をロードしたナノ粒子の標的送達が達成され得る。本発明のナノ粒子はまた、ナノ粒子の表面上にターゲティング部分を含む1つまたはそれを超える実体と表面コンジュゲート、バイオコンジュゲートまたは吸着され得る。ターゲティング部分は、ナノ粒子を腫瘍または疾患部位に局在化させ、治療剤を放出させる。ターゲティング部分は、リンカー分子と結合または会合し得る。ターゲティング分子としては、限定されないが、抗体分子、成長受容体リガンド、ビタミン、ペプチド、ハプテン、アプタマーおよび当業者に公知の他のターゲティング分子が挙げられる。薬物分子およびイメージング分子はまた直接的に、またはリンカー分子を介してナノ粒子の表面上のターゲティング部分に結合され得る。
ターゲティング部分の非限定的な具体例としては、ビタミン、リガンド、アミン、ペプチド断片、抗体、アプタマー、トランスフェリン、抗体もしくはその断片、シアリルルイスX抗原、ヒアルロン酸、マンノース誘導体、グルコース誘導体、細胞特異的レクチン、ガラプチン、ガレクチン、ラクトシルセラミド、ステロイド誘導体、RGD配列、EGF、EGF結合ペプチド、ウロキナーゼ受容体結合ペプチド、トロンボスポンジン由来ペプチド、アルブミン誘導体および/またはコンビナトリアルケミストリーに由来する分子が挙げられる。
さらに、本発明のナノ粒子は、目的の対象である他の分子と表面官能化および/またはコンジュゲートされ得る。葉酸のような低分子量小分子、前立腺膜特異的抗原(PSMA)、抗体、アプタマー、細胞表面の受容体もしくは抗原に結合する分子などは、ブロックコポリマーPEG−PPG−PEGまたはポリマーマトリックスのPEG成分に共有結合され得る。本発明の適切な実施形態では、マトリックスは、ポリマーおよび実体を含む。いくつかの場合では、実体またはターゲティング部分は、ポリマーマトリックスの表面と共有結合され得る。治療剤は、ポリマーマトリックスの表面と会合され得るか、またはナノ粒子のポリマーマトリックス全体に封入され得る。コンジュゲートナノ粒子の細胞取り込みは、単純ナノ粒子と比較して高い。
本発明のナノ粒子は、当技術分野で周知の方法によってナノ粒子の表面に結合された1つまたはそれを超える薬剤を含み得、さらに、多機能ナノ粒子として機能するように1つまたはそれを超える薬剤を封入し得る。本発明のナノ粒子は、オールインワンシステムで腫瘍ターゲティング、腫瘍治療および腫瘍イメージングを併せ持ち得る多機能ナノ粒子として機能して、癌との闘いにおいて有用な集学的アプローチを提供し得る。多機能ナノ粒子は、類似のもしくは異なる作用機構、類似のもしくは異なる作用部位;または類似のおよび異なる機能を有する1つまたはそれを超える活性剤を有し得る。
PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子への実体の封入は、エマルジョン沈殿法によって調製される。本発明のプロセスを使用して調製されたPLA−PEG−PPG−PEGポリマーナノ粒子を、有機溶媒を含む有機溶媒に溶解する。ポリマーの10〜20重量%の重量範囲で、実体をポリマー溶液に添加する。次いで、ポリマー溶液を水相に滴下し、溶媒を蒸発させ、ナノ粒子を安定化させるために室温で10〜12時間撹拌する。遠心分離によって実体ロードナノ粒子を収集し、乾燥させ、さらなる使用まで2℃〜8℃で保存する。実体ロードポリマーナノ粒子の調製のためのプロセスでは、糖、アミノ酸、メチルセルロースなどのような他の添加剤を水相に添加し得る。
表3に示されているように、本発明のナノ粒子の実体ロード容量は高く、ほぼ約70〜90%に達する。本発明のPLA−PEG−PPG−PEGベースのナノ担体系は早期分解を防止し、抗癌ペプチドを癌細胞に有効に標的送達する。NuBCP−9、Bax BH3などの治療用ペプチドをコアに封入した表面葉状生分解性PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子は、いかなる細胞透過性ペプチドも使用せずに、癌細胞の細胞質ゾル中に有効に送達され得る。NuBCP−9ロードナノ粒子をチャレンジしたMCF−7細胞株を用いたインビトロ研究では、XTTアッセイ(図7B)およびインビボ研究(図11および12)によって評価したように、48〜72時間で細胞の完全な死滅が示された。図7Bはまた、MCF−7細胞株における、薬物の持続放出および効率的な送達に関するナノ粒子の有効性を、遊離薬物製剤と比較して示す。
適切な実施形態では、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子への実体のより高いロードは、活性剤を低分子量PLAと結合させることによって達成される。実体は、ヒドロキシ誘導体と組み合わせたカルボジイミドカップリング試薬との反応によって、低分子量PLAと共有結合により連結される。一例として、カルボジイミドカップリング剤はエチル−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドであり、ヒドロキシ誘導体はN−ヒドロキシ−スクシンイミド(EDC/NHS)化学である。PLAの分子量は、約2,000〜10,000g/molの範囲内である。PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子への疎水性薬物および親水性薬物の両方のより高いロードが達成される(実施例5、表4および5)。細胞透過性ペプチド(CPP)の助けを用いずに、封入PLA−薬物を有するナノ粒子を細胞質ゾルに送達した。
したがって、1つまたはそれを超える実体(例えば、1つまたはそれを超える治療剤)を含むPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスが本明細書で提供される。
一実施形態では、1つまたはそれを超える実体(例えば、1つまたはそれを超える治療剤)を含むPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスであって、(a)有機溶媒に溶解されたPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーのポリマーナノ粒子と共に前記実体を250〜400rpmでホモジナイズして、一次エマルジョンを得ること、(b)水相中の前記一次エマルジョンを250〜400rpmで乳化して、二次エマルジョンを得ること、および(c)前記二次エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、前記実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGの前記ナノ粒子を得ることを含むプロセスが本明細書で提供される。
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つの実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスであって、(a)有機溶媒に溶解されたPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーのポリマーナノ粒子と共に前記実体を250〜400rpmでホモジナイズして、一次エマルジョンを得ること、(b)水相中の前記一次エマルジョンを250〜400rpmで乳化して、二次エマルジョンを得ること、および(c)前記二次エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、前記実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGの前記ナノ粒子を得ることを含み、場合により、前記実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの前記ナノ粒子を水で洗浄し、従来の方法によって前記ナノ粒子を乾燥させる工程を含むことがあるプロセスが提供される。
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つの実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスであって、(a)有機溶媒に溶解されたPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーのポリマーナノ粒子と共に前記実体を250〜400rpmでホモジナイズして、一次エマルジョンを得ること、(b)水相中の前記一次エマルジョンを250〜400rpmで乳化して、二次エマルジョンを得ること、および(c)前記二次エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、前記実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGの前記ナノ粒子を得ることを含み、前記実体が、有機小分子、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオシド、DNA、RNA、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、抗生物質、低分子量分子、薬理学的に活性な分子、薬物、金属イオン、色素、放射性同位体、造影剤、イメージング剤およびターゲティング部分からなる群より選択される、プロセスが提供される。
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つの実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスであって、(a)有機溶媒に溶解されたPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーのポリマーナノ粒子と共に前記実体を250〜400rpmでホモジナイズして、一次エマルジョンを得ること、(b)水相中の前記一次エマルジョンを250〜400rpmで乳化して、二次エマルジョンを得ること、および(c)前記二次エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、前記実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGの前記ナノ粒子を得ることを含み、前記実体が、ビタミン、リガンド、アミン、ペプチド断片、抗体およびアプタマーからなる群より選択される、プロセスが提供される。
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つの実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスであって、(a)有機溶媒に溶解されたPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーのポリマーナノ粒子と共に前記実体を250〜400rpmでホモジナイズして、一次エマルジョンを得ること、(b)水相中の前記一次エマルジョンを250〜400rpmで乳化して、二次エマルジョンを得ること、および(c)前記二次エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、前記実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGの前記ナノ粒子を得ることを含み、前記実体がPLAに連結されているプロセスが提供される。
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つの実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの生分解性ポリマーナノ粒子を調製するためのプロセスであって、(a)有機溶媒に溶解されたPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーのポリマーナノ粒子と共に前記実体を250〜400rpmでホモジナイズして、一次エマルジョンを得ること、(b)水相中の前記一次エマルジョンを250〜400rpmで乳化して、二次エマルジョンを得ること、および(c)前記二次エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、前記実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGの前記ナノ粒子を得ることを含み、前記実体が、2,000g/mol〜10,000g/molの範囲内の分子量のPLAに連結されているプロセスが提供される。
本発明の別の実施形態は、(a)有機溶媒に溶解されたPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーのポリマーナノ粒子と共に前記実体を250〜400rpmでホモジナイズして、一次エマルジョンを得ること、(b)水相中の前記一次エマルジョンを250〜400rpmで乳化して、二次エマルジョンを得ること、および(c)前記二次エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、前記実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGの前記ナノ粒子を得ることを含むプロセスによって得られた少なくとも1つの実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGの生分解性ポリマーナノ粒子を提供する。
本発明の別の実施形態は、(a)有機溶媒に溶解されたPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーのポリマーナノ粒子と共に前記実体を250〜400rpmでホモジナイズして、一次エマルジョンを得ること、(b)水相中の前記一次エマルジョンを250〜400rpmで乳化して、二次エマルジョンを得ること、および(c)前記二次エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、前記実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGの前記ナノ粒子を得ることを含むプロセスによって得られた少なくとも1つの実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGの生分解性ポリマーナノ粒子を含む組成物を提供する。
本発明の別の実施形態では、(a)有機溶媒に溶解されたPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーのポリマーナノ粒子と共に前記実体を250〜400rpmでホモジナイズして、一次エマルジョンを得ること、(b)水相中の前記一次エマルジョンを250〜400rpmで乳化して、二次エマルジョンを得ること、および(c)前記二次エマルジョンを250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間撹拌して、前記実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGの前記ナノ粒子を得ることを含むプロセスによって得られた少なくとも1つの実体を含むPLA−PEG−PPG−PEGの生分解性ポリマーナノ粒子を含む組成物であって、場合により、保存剤、抗酸化剤、増粘剤、キレート剤、等張剤、香味剤、甘味剤、着色剤、可溶化剤、色素、香味料、結合剤、軟化剤、充填剤、潤滑剤および保存剤からなる群より選択される少なくとも1つの薬学的賦形剤を含んでいてもよい組成物が提供される。
薬学的組み合わせを含むポリマーナノ粒子
本明細書に記載される生分解性ポリマーナノ粒子は、薬学的組み合わせを送達するために使用され得る。例えば、本明細書に開示されるナノ粒子によって送達され得る薬学的組み合わせは、化学療法薬、例えばパクリタキセルおよび抗癌ペプチド、例えばNuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドまたはMUC1(配列番号2)を含むペプチドを含む。ナノ粒子を介して送達した場合、EATモデルのBALB/cマウスにおけるそれらの活性のように、乳癌細胞株に対するパクリタキセルおよびNuBCP−9のインビトロ活性は相乗的に増加した(例えば、実施例8を参照のこと)。結果は、NuBCP−9と同時送達した場合、単一薬物のみの場合と比較して、パクリタキセルのIC50の約40倍の減少を示した(例えば、実施例8および表8を参照のこと)。PTX/NuBCP−9組み合わせの機構は、アポトーシスの増強を伴うことが見出され、これはカスパーゼ依存性であり、MCF7細胞におけるカスパーゼカスケードの本質的な部分に関与すると思われた。低濃度におけるNuBCP−9およびPTXの併用適用は、EAT腫瘍モデルBalb/cマウスに対して、いずれかの薬物のみの場合よりも顕著に有効であった。したがって、パクリタキセルとNuBCP−9抗癌ペプチドとの同時送達は、乳癌などの癌を有効に処置するために使用され得る。
一態様では、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロックコポリマーを含むポリマーナノ粒子であって、
a)1つまたはそれを超える化学療法剤;および
b)NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドまたはMUC1(配列番号2)を含むペプチド
がロードされているポリマーナノ粒子が本明細書で提供される。
一実施形態では、ポリマーナノ粒子は、NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドがロードされる。
別の実施形態では、ポリマーナノ粒子は、MUC1(配列番号2)を含むペプチドがロードされる。
一実施形態では、PLAの分子量は、約2,000〜約80,000ダルトンである。
別の実施形態では、PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックコポリマーは、PEG−PPG−PEGトリブロックコポリマーとPLAとの化学的コンジュゲーションから形成され、PEG−PPG−PEGトリブロックコポリマーは、異なる分子量のものであり得る。
一実施形態では、ポリマーナノ粒子は、
a)化学療法剤または標的抗癌剤;および
b)NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドまたはMUC1(配列番号2)を含むペプチド
がロードされる。
一実施形態において、ポリマーナノ粒子は、NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドがロードされる。
別の実施形態において、ポリマーナノ粒子は、MUC1(配列番号2)を含むペプチドがロードされる。
一実施形態において、前記化学療法剤がパクリタキセルである。さらなる実施形態では、ポリマーナノ粒子は、約9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8または1:9の比で、パクリタキセルと、NuBCP−9を含むペプチドとがロードされる。
別の実施形態において、前記化学療法剤がゲムシタビンである。さらなる実施形態では、ポリマーナノ粒子は、約9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8または1:9の比で、ゲムシタビンと、NuBCP−9を含むペプチドとがロードされる。
他の実施形態では、化学療法剤または標的抗癌剤は、ドキソルビシン、ダウノルビシン、デシタビン、イリノテカン、SN−38、シタラビン、ドセタキセル、トリプトライド(ジテルピノイドエポキシド)、ゲルダナマイシン(HSP90阻害剤)、17−AAG、5−FU、オキサリプラチン、カルボプラチン、タキソテール、メトトレキセートおよびボルテゾミブからなる群より選択される。
一実施形態では、ポリマーナノ粒子は、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロックコポリマーから本質的になる。
別の態様では、自己免疫疾患、炎症性疾患、代謝障害、発達障害、心臓血管疾患、肝臓疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患および神経学的障害からなる群より選択される疾患の処置に使用するためのポリマーナノ粒子であって、
a)ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロックコポリマー;
b)1つまたはそれを超える治療薬;および
c)NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドまたはMUC1(配列番号2)を含むペプチド
を含むポリマーナノ粒子が本明細書で提供される。
一実施形態では、ポリマーナノ粒子は、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロックコポリマーから本質的になる。
組成物
一態様では、癌などの疾患の処置または予防のための医薬の調製において使用するための本発明のポリマーナノ粒子であって、薬学的組み合わせを含む本発明のポリマーナノ粒子が本明細書で提供される。一実施形態では、薬学的組み合わせを含むポリマーナノ粒子は、癌の処置のための医薬の調製において使用するためのものである。
別の態様では、本発明は、医薬を製造するための、薬学的組み合わせを含むPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーから本質的になる生分解性ポリマーナノ粒子の使用を提供する。
また、本発明のポリマーナノ粒子を含む組成物であって、前記ポリマーナノ粒子が、治療剤の薬学的組み合わせ(例えば、NuBCP−9を含むペプチドおよび化学療法剤または標的抗癌剤)と、薬学的に許容され得る担体とを含む組成物も本明細書で提供される。
一態様では、癌などの疾患の処置または予防のための医薬を製造するための、薬学的組み合わせを含むポリマーナノ粒子の使用が本明細書で提供される。一実施形態では、薬学的組み合わせを含むポリマーナノ粒子の使用は、癌などの疾患の処置のための医薬を製造するためのものである。
本明細書で提供される組成物の一実施形態では、ポリマーナノ粒子は、ポリマーナノ粒子の外側に結合したターゲティング部分をさらに含み、ターゲティング部分は、抗体、ペプチドまたはアプタマーである。
一態様では、
a)ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロックコポリマーを含むポリマーナノ粒子;
b)1つまたはそれを超える化学療法剤または抗癌標的薬剤;および
c)NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドまたはMUC1(配列番号2)を含むペプチド
を含む組成物が本明細書で提供される。
組成物の一実施形態では、組成物は、NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドを含む。
組成物の別の実施形態では、組成物は、MUC1(配列番号2)を含むペプチドを含む。
組成物の一実施形態では、前記PLAの分子量が約2,000〜約80,000ダルトンである。
組成物の一実施形態では、PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックコポリマーは、PEG−PPG−PEGトリブロックコポリマーとPLAとの化学的コンジュゲーションから形成され、PEG−PPG−PEGトリブロックコポリマーは、異なる分子量のものであり得る。
組成物の一実施形態では、ポリマーナノ粒子は、
a)化学療法剤または標的抗癌剤;および
b)NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドまたはMUC1(配列番号2)を含むペプチド
がロードされる。
一実施形態において、ポリマーナノ粒子は、NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドがロードされる。
別の実施形態において、ポリマーナノ粒子は、MUC1(配列番号2)を含むペプチドがロードされる。
組成物のさらなる実施形態では、前記化学療法剤がパクリタキセルである。
組成物のなおさらなる実施形態では、前記ポリマーナノ粒子に、約9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8または1:9の比で、パクリタキセルと、NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドとがロードされている。
組成物の別の実施形態では、前記化学療法剤がゲムシタビンである。組成物のさらなる実施形態では、前記ポリマーナノ粒子に、約9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8または1:9の比で、ゲムシタビンと、NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドとがロードされている。
組成物の別の実施形態では、前記化学療法剤または標的抗癌剤が、ドキソルビシン、ダウノルビシン、デシタビン、イリノテカン、SN−38、シタラビン、ドセタキセル、トリプトライド、ゲルダナマイシン、17−AAG、5−FU、オキサリプラチン、カルボプラチン、タキソテール、メトトレキセートおよびボルテゾミブからなる群より選択される。
別の態様では、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、代謝障害、発達障害、心臓血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患および神経学的障害からなる群より選択される疾患の処置に使用するための医薬組成物であって、
a)ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロックコポリマーを含むポリマーナノ粒子;
b)1つまたはそれを超える治療剤;および
c)NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチド
を含む医薬組成物が本明細書で提供される。
一実施形態では、組成物は、癌の処置において使用するためのものである。さらなる実施形態において、前記癌が、乳癌、前立腺癌、非小細胞肺癌、転移性結腸癌、膵臓癌または血液学的悪性腫瘍である。
またさらなる実施形態では、癌は、乳癌である。
別の態様では、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、代謝障害、発達障害、心臓血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患および神経学的障害からなる群より選択される疾患の処置に使用するための医薬組成物であって、
a)ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロックコポリマーを含むポリマーナノ粒子;
b)1つまたはそれを超える治療剤;および
c)MUC1(配列番号2)を含むペプチド
を含む医薬組成物が本明細書で提供される。
一実施形態では、組成物は、癌の処置において使用するためのものである。さらなる実施形態において、前記癌が、乳癌、前立腺癌、非小細胞肺癌、転移性結腸癌、膵臓癌または血液学的悪性腫瘍である。またさらなる実施形態では、癌は、乳癌である。
本明細書で提供される組成物のいずれかの実施形態では、前記ポリマーナノ粒子が、ポリ(乳酸)−ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレングリコール)−ポリ(エチレングリコール)(PLA−PEG−PPG−PEG)テトラブロックコポリマーから本質的になる。
本明細書で提供される組成物のいずれかの実施形態では、ポリマーナノ粒子は、ポリマーナノ粒子の外側に結合したターゲティング部分をさらに含み、ターゲティング部分は、抗体、ペプチドまたはアプタマーである。
適切な医薬組成物または製剤は、例えば、有効成分(単数または複数)の約0.1%〜約99.9%、好ましくは約1%〜約60%を含有し得る。経腸または非経口投与用の医薬製剤は、例えば、糖コーティング錠剤、錠剤、カプセルもしくは坐剤などの単位剤形のものまたはアンプルである。他に指示がない場合、これらは、それ自体が公知の手法において、例えば、従来の混合、造粒、糖コーティング、溶解または凍結乾燥プロセスの方法によって、調製される。各剤形の個々の用量に含まれている併用パートナーの単位含有量は、必須有効量が複数の投薬単位の投与によって達し得るため、それ自体が有効量を構成する必要はないと認識されよう。
医薬組成物は、有効成分として、1つまたはそれを超える薬学的に許容され得る担体(賦形剤)と組み合わせて本発明のナノ粒子の1つまたはそれよりも多くを含有し得る。本発明の組成物の作製において、有効成分は通常、賦形剤と混合されるか、賦形剤によって希釈されるか、または例えば、カプセル、小袋、紙もしくは他の容器の形態のこのような担体内に封入される。賦形剤が希釈剤としての役割を果たす場合、それは、有効成分のビヒクル、担体もしくは媒質として作用する固体、半固体または液体材料であり得る。したがって、組成物は、例えば、活性化合物の最大10重量%を含有する、錠剤、丸剤、粉末、トローチ剤、小袋、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ剤、エアロゾル(固体としてまたは液体媒質中で)、軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル、坐剤、滅菌注射液および滅菌パッケージ化粉末の形態であり得る。
適切な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース(例えば、ラクトース一水和物)、右旋糖、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム)、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、コロイド状二酸化ケイ素、微晶性セルロース、ポリビニルピロリドン(例えば、ポビドン)、セルロース、水、シロップ、メチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。製剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油などの潤滑剤、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、メチル−およびプロピルヒドロキシ−安息香酸塩などの保存剤、甘味剤および香味剤をさらに含み得る。
本発明の化合物および組成物が経口または注射による投与のために組み込まれ得る液体形態としては、水溶液、好適には香味シロップ、水性もしくは油性懸濁液および綿実油、胡麻油、ヤシ油もしくは落花生油などの食用油を使用した香味エマルジョン、ならびにエリキシル剤および類似の薬学的ビヒクルが挙げられる。
処置方法
また別の態様では、本発明は、疾患を処置するための方法であって、薬学的組み合わせ(すなわち、1つを超える治療剤)を含む(例えば、PLA−PEG−PPG−PEGから本質的になる)本発明の生分解性ポリマーナノ粒子をそれを必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。
一実施形態では、疾患は、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、代謝障害、発達障害、心臓血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患および神経学的障害からなる群より選択される。
癌の処置を必要とする被験体における癌を処置するための方法であって、
a)化学療法剤および/または標的抗癌剤;ならびに
b)NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドまたはMUC1(配列番号2)を含むペプチド
がロードされたPLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックコポリマーを含む治療有効量のポリマーナノ粒子を前記被験体に投与することを含む方法も本明細書で提供される。
一実施形態において、ポリマーナノ粒子は、NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドがロードされる。
別の実施形態において、ポリマーナノ粒子は、MUC1(配列番号2)を含むペプチドがロードされる。
一実施形態において、前記化学療法剤がパクリタキセルである。さらなる実施形態では、ポリマーナノ粒子は、約9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8または1:9の比で、パクリタキセルと、NuBCP−9を含むペプチドとがロードされる。
別の実施形態において、前記化学療法剤がゲムシタビンである。さらなる実施形態では、ポリマーナノ粒子は、約9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8または1:9の比で、ゲムシタビンと、NuBCP−9を含むペプチドとがロードされる。
他の実施形態では、化学療法剤または標的抗癌剤は、ドキソルビシン、ダウノルビシン、デシタビン、イリノテカン、SN−38、シタラビン、ドセタキセル、トリプトライド、ゲルダナマイシン、17−AAG、5−FU、オキサリプラチン、カルボプラチン、タキソテール、メトトレキセートおよびボルテゾミブからなる群より選択される。さらなる実施形態では、ポリマーナノ粒子は、約9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8または1:9の比で、化学療法剤または標的抗癌剤(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、デシタビン、イリノテカン、SN−38、シタラビン、ドセタキセル、トリプトライド、ゲルダナマイシン、17−AAG、5−FU、オキサリプラチン、カルボプラチン、タキソテール、メトトレキセートまたはボルテゾミブ)と、NuBCP−9を含むペプチドとがロードされる。
一実施形態において、前記癌が、乳癌、前立腺癌、非小細胞肺癌、転移性結腸癌、膵臓癌または血液学的悪性腫瘍である。特定の実施形態では、癌は、乳癌である。
一態様では、疾患の処置を必要とする被験体における疾患を処置するための方法であって、PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックコポリマーから本質的になる治療有効量のポリマーナノ粒子を前記被験体に投与することを含み、前記ポリマーナノ粒子に、
a)1つまたはそれを超える治療剤;および
b)NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドまたはMUC1(配列番号2)を含むペプチド
がロードされている方法が本明細書で提供される。
一実施形態において、ポリマーナノ粒子は、NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドがロードされる。
別の実施形態において、ポリマーナノ粒子は、MUC1(配列番号2)を含むペプチドがロードされる。
一実施形態において、疾患は、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、代謝障害、発達障害、心臓血管疾患、肝疾患、腸疾患、感染性疾患、内分泌疾患および神経学的障害からなる群より選択される。
別の態様では、癌の処置を必要とする被験体における癌を処置するための方法であって、
a)PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックコポリマーを含むポリマーナノ粒子;
b)化学療法剤および/または抗癌標的薬剤;ならびに
c)NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドまたはMUC1(配列番号2)を含むペプチド
を含む治療有効量の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む方法が本明細書で提供される。
方法の一実施形態では、前記医薬組成物が、NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドを含む。
方法の別の実施形態では、前記医薬組成物が、MUC1(配列番号2)を含むペプチドを含む。
方法の一実施形態では、前記化学療法剤がパクリタキセルである。前記方法のさらなる実施形態では、前記ポリマーナノ粒子に、約9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8または1:9の比で、パクリタキセルと、NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドとがロードされている。
方法の別の実施形態では、前記化学療法剤がゲムシタビンである。前記方法のさらなる実施形態では、ポリマーナノ粒子は、約9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8または1:9の比で、ゲムシタビンと、NuBCP−9を含むペプチドとがロードされる。
方法の別の実施形態では、前記化学療法剤または標的抗癌剤が、ドキソルビシン、ダウノルビシン、デシタビン、イリノテカン、SN−38、シタラビン、ドセタキセル、トリプトライド、ゲルダナマイシン、17−AAG、5−FU、オキサリプラチン、カルボプラチン、タキソテール、メトトレキセートおよびボルテゾミブからなる群より選択される。
方法の一実施形態では、前記癌が、乳癌、前立腺癌、非小細胞肺癌、転移性結腸癌、膵臓癌または血液学的悪性腫瘍である。
薬学的組み合わせを含むポリマーナノ粒子の投与は、本発明の組み合わせにおいて使用される薬学的治療剤の1つのみを適用する単剤療法(ポリマーナノ粒子送達系を使用する単剤療法、または従来の手段によって薬剤を送達する単剤療法のいずれか)と比較して、有益な効果、例えば症候の緩和、症候の進行の遅延または症候の阻害に関する相乗的な治療効果をもたらし得るだけではなく、さらに驚くべき有益な効果、例えばより少ない副作用、より持続的な反応、生活の質の改善、または罹患率の減少ももたらし得る。
薬学的組み合わせを含むポリマーナノ粒子が前記の有益な効果をもたらすことは、確立された試験モデルによって示され得る。当業者であれば、このような有益な効果を証明するために関連試験モデルを十分に選択することができる。薬学的組み合わせを含むポリマーナノ粒子の薬理学的活性は、例えば、臨床研究または動物モデルにおいて実証され得る。
1つまたはそれを超える成分間の相乗的相互作用の決定において、効果のための最適範囲および効果のための各成分の絶対用量範囲は、異なるw/w比範囲における前記成分の投与および処置を必要とする被験体への投薬によって最終的に測定され得る。ヒトの場合、患者の臨床研究を行うための複雑性および費用は、相乗作用の主要モデルとしてこの形式の試験を使用することを非現実的にし得る。しかしながら、特定の実験における相乗作用の観察結果(例えば、実施例8を参照のこと)は、他の種における効果を予測するものであり得、動物モデルの存在は、相乗効果をさらに定量するために使用され得る。このような研究の結果はまた、有効用量比範囲および絶対用量および血漿濃度を予測するために使用され得る。
一実施形態では、本明細書で提供される薬学的組み合わせを含むポリマーナノ粒子または薬学的組み合わせを含むポリマーナノ粒子を含む医薬組成物またはそれらの両方は、相乗効果を示す。本明細書で使用される「相乗効果」という用語は、例えば、癌またはその症候の症候性進行を遅らせる効果であって、単独投与(ポリマーナノ粒子送達系を使用する単独投与、または従来の手段によって薬剤を送達する単独投与のいずれか)した各薬物の効果の単純加算よりも大きな効果を生じさせる2つの薬剤(例えば、パクリタキセル、およびNuBCP−9を含むペプチド)の作用を指す。相乗効果は、S字形Emax方程式(Holford,N.H.G.and Scheiner,L.B.,Clin.Pharmacokinet.6:429−453(1981))、ローウェ加法性方程式(Loewe,S.and Muischnek,H.,Arch.Exp.Pathol Pharmacol.114:313−326(1926))および半有効方程式(Chou,T.C.and Talalay,P.,Adv.Enzyme Regul.22:27−55(1984))などの適切な方法を使用して計算され得る。上記で言及されている各方程式を実験データに適用して対応するグラフを作成し、薬学的組み合わせの効果の評価を支援し得る。上記で言及されている方程式に関連する対応するグラフは、それぞれ濃度−効果曲線、アイソボログラム曲線および組み合わせ指標曲線である。
さらなる実施形態では、被験体に投与するための、相乗的な薬学的組み合わせを含むポリマーナノ粒子であって、各成分の用量範囲が、適切な腫瘍モデルまたは臨床研究において示唆される相乗的範囲に対応するポリマーナノ粒子が本明細書で提供される。
本明細書で提供されるポリマーナノ粒子の形成において使用される組み合わせにおいて用いられる各組み合わせパートナーの有効投与量は、用いられる特定の化合物または医薬組成物、投与様式、処置される症状、および処置される症状の重症度に応じて変動し得る。したがって、薬学的組み合わせを含むポリマーナノ粒子の投与レジメンは、投与経路ならびに患者の腎機能および肝機能を含む様々な要因にしたがって選択される。
特定の比の薬学的組み合わせが開示されるが、本明細書で提供されるポリマーナノ粒子の形成において使用される組み合わせパートナー(例えば、NuBCP−9を含むペプチドおよびパクリタキセル)の最適な比および濃度であって、毒性を伴わずに有効性をもたらす最適な比および濃度は、標的部位に対する治療剤のアベイラビリティの動態に基づくものであり、当業者に公知の方法を使用して決定される。
本明細書に開示される処置方法は、本明細書に記載されるポリマーナノ粒子の使用によって処置可能と記載されている癌の少なくとも1つと診断された被験体に特に適切であり得る。例えば、細胞内PTX送達のための生分解性テトラブロックポリマーナノ粒子(PTX/NP)は、PTX流出の阻害において非常に有効である。実施例9に記載されているように、PTX/NPは、PTXおよびnab−パクリタキセルに対して耐性のP−gp発現乳癌細胞に対して活性である。
いくつかの実施形態では、被験体は、本明細書で指定される癌と診断されており、少なくとも1つの従来の化学療法剤、例えばパクリタキセル、nab−パクリタキセル(アブラキサン)、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、タキソールによる処置に対して不応性であることが判明している。したがって、一実施形態では、本発明の処置は、従来の化学療法薬による1回または1回を超える処置を受けた被験体または患者であって、より有効な処置を依然として必要とする被験体または患者を対象とする。特定の実施形態では、本発明の処置は、パクリタキセルまたはnab−パクリタキセルによる処置を受けた被験体または患者であって、より有効な処置を依然として必要とする被験体または患者を対象とする。
本明細書で提供される方法のいずれかの実施形態では、パクリタキセルまたはnab−パクリタキセルによる処置に対して耐性である。
本明細書で提供される方法のいずれかの実施形態では、パクリタキセルまたはnab−パクリタキセルによる処置に対して不応性である。
本明細書に提供される方法の別の実施形態において、パクリタキセルまたはnab−パクリタキセルによる処置後に再発状態にある。
別の態様では、細胞におけるパクリタキセル流出を阻害するため方法であって、前記細胞と、PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックコポリマーを含む有効量のポリマーナノ粒子とを接触させることを含む、方法が本明細書に提供される。
本発明の実施形態において、前記ポリマーナノ粒子にパクリタキセルがロードされている。
また別の態様では、細胞におけるP−糖タンパク質発現を遮断するため方法であって、前記細胞と、PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックコポリマーを含む有効量のポリマーナノ粒子とを接触させることを含む、方法が本明細書に提供される。
別の態様では、細胞におけるP−糖タンパク質媒介性薬剤耐性を打ち消すための方法であって、前記細胞と、PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックコポリマーを含む有効量のポリマーナノ粒子とを接触させることを含む、方法が本明細書に提供される。
本明細書で提供される方法のいずれかの実施形態では、前記ポリマーナノ粒子がPLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックコポリマーから本質的になる。
別の態様では、第1の化学療法薬に対する耐性を有する癌細胞を生じさせるための方法であって、前記癌細胞と、PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックコポリマーを含むポリマーナノ粒子とを接触させることを含み、前記ポリマーナノ粒子に第2の化学療法薬がロードされており、P−糖タンパク質のアップレギュレーションによって、前記第1の化学療法薬に対する前記癌細胞の前記耐性を生じさせる、方法が本明細書に提供される。
本方法の一実施形態において、前記ポリマーナノ粒子がPLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックコポリマーから本質的になる。
本方法の一実施形態において、前記癌細胞が乳癌細胞である。
本方法の一実施形態において、前記第1の化学療法薬がパクリタキセルである。
本方法の一実施形態において、前記第2の化学療法薬がパクリタキセルである。
本方法の一実施形態において、前記ポリマーナノ粒子に、NuBCP−9(配列番号1)を含むペプチドがロードされている。
本発明の別の実施形態において、前記ポリマーナノ粒子に、MUC1(配列番号2)を含むペプチドがロードされている。
主題は、その特定の好ましい実施形態を参照してかなり詳細に記載されているが、他の実施形態も可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨と範囲は、そこに含まれるその好ましい実施形態の説明に制限されるべきではない。
次に、実施例を用いて本開示を例証するが、これは本開示の実施を例証するためのものであり、本開示の範囲に対していかなる限定も制限的に意図するものではない。特に定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。開示される方法および組成物の実施に際して、本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料が使用され得るが、例示的な方法、装置および材料が本明細書に記載される。
実施例1:PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーのポリマーナノ粒子の調製
ポリ(乳酸)(Mw.約45,000〜72,000g/mol)、PEG−PPG−PEG(表1)および組織培養試薬は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)から入手した。すべての試薬は分析グレードかまたはそれを超えるものであり、特に指定がない限りそのまま使用した。細胞株は、NCCS Pune,Indiaから入手した。95%の純度でNuBCP−9ペプチドをカスタム合成した。
PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの調製
250ml丸底フラスコ中で、60,000g/molの平均分子量を有する5gmのポリ(乳酸)(PLA)を100mlのCH2Cl2(ジクロロメタン)に溶解した。この溶液に、0.7gのPEG−PPG−PEGポリマー(分子量範囲1100〜12,500Mn)を添加した。この溶液を0℃で10〜12時間撹拌した。この反応混合物に、5mlの1%N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)溶液を添加し、続いて、5mlの0.1%4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を−4℃〜0℃/サブゼロ温度で徐々に添加した。この反応混合物をさらに24時間撹拌し、続いて、ジエチルエーテルを用いてPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを沈殿させ、Whatmanろ紙No.1を使用してろ過した。そのようにして得られたこのPLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマー沈殿物を低減圧下で乾燥させ、さらなる使用まで2℃〜8℃で保存した。
PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の調製
エマルジョン沈殿法によって、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子を調製した。上記プロセスによって得た100mgのPLA−PEG−PPG−PEGコポリマーを有機溶媒、例えばアセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)またはジクロロメタンに別々に溶解して、ポリマー溶液を得た。
このポリマー溶液を20mlの蒸留水の水相に滴下することによって、ナノ粒子を調製した。この溶液を室温で10〜12時間磁気撹拌して、残りの溶媒を蒸発させ、ナノ粒子を安定化させた。次いで、25,000rpmで10分間遠心分離することによってナノ粒子を収集し、蒸留水を使用して3回洗浄した。ナノ粒子をさらに凍結乾燥させ、さらなる使用まで2℃〜8℃で保存した。
PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーのポリマーナノ粒子の特性評価
図4A〜Bに示されている透過型電子顕微鏡画像に見られるように、上記プロセスによって得たナノ粒子の形状は、本質的に球状である。TEM画像により、粒径範囲が約30〜120nmであると決定した。動的光散乱(DLS)機器を使用してナノ粒子の流体力学半径を測定したところ、110〜120nmの範囲内である(表2)。
ブロックコポリマーPEG−PPG−PEGの分子量の範囲を使用して合成したPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の特性は、表2に示されている。
PLA、PLA−PEG、ブロックコポリマーPEG−PPG−PEGおよびポリマーナノ粒子PLA−PEG−PPG−PEGのFTIRスペクトルは、図2Aに示されている。FTIRは、これらの種間の差異に対して非感受性であることが判明した。したがって、NMRを使用して、さらなる特性評価を行った。
異なる分子量のブロックコポリマーPEG−PPG−PEGを使用して得たPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子のNMRスペクトルは、図3A〜Cに示されている。図中において、約5.1の化学シフトを有するプロトンは、PLAのエステルプロトンを表し、約3.5の化学シフトを有するプロトンは、PEG−PPG−PEGのエーテルプロトンを表す。スペクトルにおける両プロトンの存在は、PLAとPEG−PPG−PEGとのコンジュゲーションを裏付けている。
実施例2:実体封入ナノ粒子の調製
薬物封入ポリマーナノ粒子の調製
本発明のナノ粒子は本質的には両親媒性であり、ドキソルビシンのような疎水性薬物および抗癌9量体ペプチド(L−NuBCP−9、FSRSLHSLLのL−立体配置)、16量体BH3ドメインなどのような親水性薬物の両方をロードすることができる。
実施例1のプロセスを使用して調製した100gのPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子をアセトニトリル(CH3CN)、ジメチルホルムアミド(DMF;C3H7NO)、アセトンまたはジクロロメタン(CH2Cl2)のような5mlの有機溶媒に溶解する。
1〜5mgの薬物実体、NuBCP−9(FSRSLHSLLのL−立体配置)を水溶液に溶解し、上記ポリマー溶液に添加した。実体は、通常、ポリマーの約10〜20%重量の重量範囲で用いられる。この溶液を250〜400rpmで簡単に10〜15秒間超音波処理して、微細一次エマルジョンを生成する。
シリンジ/マイクロピペットを使用して、微細一次エマルジョンを20mlの蒸留水の水相に滴下し、溶媒を蒸発させ、ナノ粒子を安定化させるために250〜400rpm、25℃〜30℃で10〜12時間磁気撹拌する。水相は、糖添加剤をさらに含む。得られたナノ粒子懸濁液を開放無蓋条件下で一晩撹拌して、残りの有機溶媒を蒸発させた。10,000gで10分間遠心分離することによって、または3000gで15分間限外ろ過することによって、NuBCP−9封入ポリマーナノ粒子を収集する(Amicon Ultra,Ultracel membrane、100,000NMWL,Millipore,USA)。ナノ粒子を蒸留水に再懸濁し、3回洗浄し、凍結乾燥させる。さらなる使用まで、これらを2℃〜8℃で保存する。このポリマーナノ粒子は高度に安定しており、隠れた特徴はない。
異なる重量のコポリマーを使用して調製したポリマーナノ粒子のロード効果の比較
上記プロセスを使用し、異なる分子量のPEG−PPG−PEGポリマーを使用して、PLA−PEG−PPG−PEGポリマーナノ粒子を調製した。異なる分子量のPEG−PPG−PEGポリマーを使用して合成したPLA−PEG−PPG−PEGコポリマーを使用して、ピレンロードPLA−PEG−PPG−PEGポリマーナノ粒子を調製した。PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの2〜20%重量の範囲内でピレンを用い、蛍光色素ロードナノ粒子を調製した。ナノ粒子の実体ロード容量は、ナノ粒子の合成に使用したPEG−PPG−PEGポリマーの分子量に応じて変動した。表3は、異なる分子量のブロックコポリマーを使用して生成したポリマーナノ粒子によって封入したイメージング分子の割合を提供する。
蛍光色素ローダミンの細胞インターナリゼーション
上記プロセスを使用して、ローダミンロードPLA−PEG−PPG−PEGポリマーナノ粒子を調製した。PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーの2〜20%重量の範囲内でローダミンを用い、蛍光色素ロードナノ粒子を調製した。
最初に、1×105個のMCF−7細胞をプレーティングし、カバースリップフラスコ上で60%コンフルエンスまで成長させた。次いで、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、10%ウシ胎児血清(FBS)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含有する10mlのDMEM培地中で24時間培養した。次いで、成長培地を吸引し、PBSで細胞を2回洗浄した。カバースリップに付着させた細胞にローダミンロードナノ粒子を添加し、37℃で12時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を洗浄し、カバースリップを取り出した。この後、PBS溶液で洗浄し、最後に、4%パラホルムアルデヒドによって室温で20分間固定した。固定剤を除去した後、細胞を洗浄し、DAPI(蛍光色素染色核細胞)で細胞を5分間染色し、次いで、水道水で1分間リンスした。次いで、共焦点蛍光顕微鏡(Olympus,Fluoview FV1000 Microscope,Japan)を使用して、カバースリップを分析した。共焦点レーザー走査型顕微鏡(CLSM)と併せて蛍光色素(ローダミンB)ロードナノ粒子を使用することによって、MCF−7細胞へのナノ粒子の細胞インターナリゼーションを確認した(図5)。
実施例3:ターゲティング部分を有する薬物封入ポリマーナノ粒子の調製
それぞれ−COOHまたは−NH2官能基を提供するアミンまたはアミノ酸のような様々な小分子は、本発明のポリマーナノ粒子への生体分子(ターゲティング部分として)のコンジュゲーションに使用され得る。
PLA−PEG−PPG−PEG−リジンの調製
PLA−PEG−PPG−PEGコポリマーをアミノ酸リジンにコンジュゲートして、−NH2基をもたらした。250ml RBフラスコ中で、5gのPLA−PEG−PPG−PEGおよび0.05gのリジンを100mlのアセトニトリル/ジクロロメタン(1:1)に溶解し、−4〜0℃で撹拌した。この溶液に、1%N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)溶液を添加し、続いて、0.1%4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を0℃で徐々に添加した。この反応混合物を24時間撹拌し、続いて、PLA−PEG−PPG−PEG−リジンをジエチルエーテルで沈殿させ、Whatmanろ紙No.1に通してろ過した。沈殿物を低減圧下で乾燥させ、さらなる使用まで2℃〜8℃で保持した。
PLA−PEG−PPG−PEG−リジンからのナノ粒子の調製
ナノ粒子の調製のために、PLA−PEG−PPG−PEG−リジンコポリマー(100mg)をアセトニトリル(またはジメチルホルムアミド(DMF)もしくはジクロロメタン)に溶解した。次いで、薬物(ポリマーの約10〜20%重量)を溶液に添加し、簡単に15秒間超音波処理して、一次エマルジョン生成した。得られた一次エマルジョンを蒸留水(20ml)の水相に滴下し、溶媒を蒸発させ、ナノ粒子を安定化させるために室温で10〜12時間磁気撹拌した。形成されたナノ粒子を、25,000rpmで10分間遠心分離することによって収集し、蒸留水を使用して3回洗浄し、凍結乾燥させ、続いて、さらなる使用のために2〜8℃で保存した。
ナノ粒子と葉酸(FA)とのバイオコンジュゲーション
20mgの凍結乾燥PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子をmilliQ水に溶解し、N−(3−ジエチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド(EDC)(50μl、400mM)およびN−ヒドロキシスクシンアミド(NHS)(50μl、100mM)で処理し、混合物を穏やかに20分間振盪した。この後、10mMの葉酸溶液を添加し、溶液を穏やかに30分間振盪し、続いて、アミコンフィルタを使用してろ過し、ろ液中に残った未反応FAを除去した。葉酸コンジュゲートナノ粒子を凍結乾燥させ、続いて、−20℃で保存した。
実施例4:PLA−PEG−PPG−PEGポリマーナノ粒子の送達可能性の評価
ポリマーナノ粒子PLA−PEG−PPG−PEGによる封入薬物のインビトロ放出
10mlのリン酸緩衝生理食塩水と、ローダミンBコンジュゲートNuBCP−9(薬物)を封入した10mgのPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子とを含有する混合物を200rpm、37℃で撹拌した。異なる時間間隔において25,000rpmで6日間遠心分離することによって、混合物の上清サンプルを収集した。各遠心分離後、ナノ粒子を新たな緩衝液に再懸濁した。BCAキット(Pierce,USA)を使用して2mlの上清をタンパク質評価に供して、562nmにおける分光測定で薬物放出の量を評価した。標準検量線を用いて、薬物放出を計算した。PLA−PEG−PPG−PEGポリマーナノ粒子による薬物の放出は、従来のPLAナノ粒子よりも良好に制御され得ることが観察された(図6A)。
XTT(ナトリウム2,3,−ビス(2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−5−[(フェニルアミノ)−カルボニル]−2H−テトラゾリウム内塩)アッセイ
一次HUVEC細胞株およびMCF−7細胞株において、XTT(ナトリウム2,3,−ビス(2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−5−[(フェニルアミノ)−カルボニル]−2H−テトラゾリウム内塩)を使用した細胞生存アッセイを行った(図6B、7Aおよび7B)。
合計1×104個のMCF−7細胞を96ウェルプレートの各ウェル上に播種し、24時間培養した。24時間後、5μM NuBCP−9ペプチドを含有する本発明のポリマーナノ粒子、またはいかなるペプチドも含まない対照ナノ粒子で、各プレート中の細胞を処置した。また、いかなる細胞透過性ペプチド(CPP)も有しない同じ濃度のNuBCP−9ペプチドで、細胞を別々に処置した。16時間、24時間、48時間、72時間および96時間の範囲の異なる時間間隔で、細胞をナノ粒子と共にインキュベートした。インキュベーション後、抗癌ペプチドNuBCP−9をロードしたPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子を含有する培地を新たな培地と交換し、10μlの再構成XTT混合物キット試薬を各ウェルに添加した。4時間培養した後、マイクロタイタープレートリーダー(Bio−Rad,CA,U.S.A.)を使用することによって、サンプルの吸光度を450nmで測定した。未処置対照の生存細胞に対する割合として細胞の増殖を決定し、3回反復で分析した。図6Bは、時間との関連で、MCF−7細胞株の細胞生存に対するNuBCP−9ロードPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の効果を示す。図7Aは、時間との関連で、一次HUVEC細胞株の細胞生存に対する薬物NuBCP−9ロードPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の効果を示す。
実施例5:ナノ粒子へのより高い治療剤ロードを達成するためのペプチド薬の改変
低分子量PLAで薬物部分を共有結合により改変することによって、疎水性治療剤および親水性治療剤のより高いロードを達成した。エチル−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドおよびN−ヒドロキシ−スクシンイミド(EDC/NHS)化学を使用し、低分子量のPLAを使用して、ペプチド薬を改変する。実体の連結に使用したPLAの平均分子量は、通常、約2,000〜10,000g/molの範囲内である。
5,000g/molの分子量を有する1gのPLAを10mlのアセトニトリルに溶解した。この溶液に、500μlのジクロロメタン中N−(3−ジエチルアミノプロピル)−N−エチルカルボジイミド(EDC;400mM)および500μlのジクロロメタン中N−ヒドロキシスクシンアミド(NHS;100mM)を添加した。混合物を穏やかに2時間振盪し、続いて、ジエチルエーテルでPLAを沈殿させた。このPLAを「活性化」PLAと命名した。1mmolの活性化PLAをアセトニトリルに溶解し、この溶液に1mmolのペプチド薬NuBCP−9を添加し、反応混合物を再度穏やかに30分間振盪した。次いで、混合物をジエチルエーテルで沈殿させ、低減圧下で乾燥させ、続いて、さらなる使用まで−20℃で保存した。
ポリマーナノ粒子の薬物ロード容量は、ナノ粒子の調製に使用したブロックコポリマーの重量の増加と共に増加した。表4および5に示されているように、ナノ粒子の薬物ロード容量はまた、薬物をポリマーナノ粒子にロードする前に、低分子量PLAを治療剤(すなわち、NuBCP−9)にコンジュゲートすることによって顕著に増加する。本発明のナノ粒子の薬物ロード容量の増加は、5%〜10%である。
実施例6:ナノ粒子の安全性および毒性を評価するためのインビボ研究
実施例1に示されているプロセスを使用して調製したPLA−PEG−PPG−PEGポリマーナノ粒子の毒性および安全性を評価するために、BALB/cマウスにおいて研究を行った。
血液学的パラメータ
150mg/体重kgの単回用量でPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子を動物群に静脈内注射し、対照群およびナノ粒子処置群において21日間にかけて7日間隔で血液学的パラメータを評価した。対照群にはナノ粒子を投与しなかった。
図8に見られるように、対照群とナノ粒子処置群との間で、全血球数(CBC)、赤血球(RBC)数、白血球(WBC)数、好中球、リンパ球、血中血球容積、MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)およびMCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)の顕著な変化はなかった。
肝機能および腎機能の生化学血液アッセイ
150mg/体重kgの単回用量でPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子を動物群に静脈内注射し、対照群およびナノ粒子処置群において21日間にかけて7日間隔で血液学的パラメータを評価した。
対照群と処置群との間で、総タンパク質、アルブミンおよびグロブリンレベルの顕著な変化はなかった。図9に見られるように、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子処置群では、肝臓酵素(アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)およびアルカリホスファターゼ(ALP))のレベルの増加は無視できるものであった。尿素および血中尿素窒素(BUN)は、腎機能の優れた指標である。図9に見られるように、処置マウスの尿素およびBUNレベルは、対照と比較して顕著な変化はなかった。
PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子で処置したマウスの器官の組織病理学
150mg/体重kgの単回用量のPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子でBALB/cマウスを処置した。21日後、動物を屠殺し、器官組織の組織学的検査を行って、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子またはその分解産物によって引き起こされた毒性による任意の組織損傷、炎症または病変を評価した。図10に示されているように、ナノ粒子処置動物の脳、心臓、肝臓、脾臓、肺および腎臓では、明白な病理組織学的な異常または病変は観察されなかった。
実施例7:インビボにおけるナノ担体系としてのPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の有効性
ナノ担体系としてのナノ粒子の有効性を評価するために、BALB/c型系統のエールリッヒ腹水腫瘍(EAT)モデルトランスジェニックマウスを使用した。20gの体重を有する動物を研究に用いた(図12A)。
抗癌ペプチド薬NuBCP−9をPLA−PEG−PPG−PEGポリマーナノ粒子にロードした。200〜1000μgのペプチドの用量で、PLA−PEG−PPG−PEGに封入した抗癌ペプチドNuBCP−9を含むポリマーナノ粒子(実施例2で調製したもの)の腹腔内製剤をマウスに投与した。動物に投与した抗癌ペプチドの総重量は、300μg〜600μg/マウスであった。製剤の投与頻度は、21日間にわたって週2回であり、動物を60日間観察した。
NuBCP−9をロードしたナノ粒子の投与後、マウスにおいて腫瘍成長抑制が60日間観察された(図11)。NuBCP−9ロードナノ粒子で処置したマウスは、対照群(図12c)と比較して完全に腫瘍が治癒していることが見出された(図12b)。いかなる治療剤も含まない単純ナノ粒子を対照群に投与した。
糖尿病ウサギにおける非経口デポーとしてのインスリンロードPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の評価
PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子へのインスリンの封入
ダブルエマルジョン溶媒蒸発法によって、インスリン封入PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子を調製した。ナノ粒子の調製のために、1gのPLA−PEG−PPG−PEGコポリマーをアセトニトリルに溶解した。インスリン(500I.U.)を溶液に添加し、簡単に15秒間超音波処理して、一次エマルジョン生成した。得られた一次エマルジョンを30mlの水相に滴下し、溶媒を蒸発させ、ナノ粒子を安定化させるために室温で6〜8時間磁気撹拌した。21,000rpmで10分間遠心分離することによってナノ粒子を収集し、蒸留水を使用して3回洗浄した。インスリンロードPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子を凍結乾燥させ、さらなる使用まで4℃で保存した。
インビボ研究
インスリンロードPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子を50I.U./体重kgの単回用量で糖尿病ウサギに皮下投与し、10日間モニタリングした。
50I.U./体重kgのインスリン用量を投与した動物では、血中グルコースレベルは120〜150mg/dlで最大8日間まで維持された後、血中グルコースレベルの緩やかな増加が観察された。薬物ロードポリマーナノ粒子は注射部位でデポーを形成し、緩徐な分解および拡散により、封入インスリンを持続的に放出する。8日後においてさえ、グルコースレベルは元の糖尿病レベル(500mg/dl)に戻らなかったが、これは、1週間を超える期間にわたって生物活性インスリンを保持して持続的に放出するポリマーナノ粒子の能力を示している(図13)。
MUC1ロードPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の評価:
ポリマーナノ粒子PLA−PEG−PPG−PEGによる封入MUC1のインビトロ放出
10mlのリン酸緩衝生理食塩水と、ポリアルギニンタンパク質導入ドメイン(Ac−RRRRRRRRRCQCRRKN−NH2)に連結されたMUC1細胞質ドメインペプチドにコンジュゲートされたローダミンBを封入した10mgのPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子とを含有する混合物を200rpm、37℃で撹拌した。異なる時間間隔において25,000rpmで6日間遠心分離することによって、混合物の上清サンプルを収集した。各遠心分離後、ナノ粒子を新たな緩衝液に再懸濁した。BCAキット(Pierce,USA)を使用して2mlの上清をタンパク質評価に供して、562nmにおける分光測定で薬物放出の量を評価した。標準検量線を用いて、薬物放出を計算した。PLA−PEG−PPG−PEGポリマーナノ粒子による薬物の放出は、最大60日間制御され得ることが観察された(図14)。
XTT(ナトリウム2,3,−ビス(2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−5−[(フェニルアミノ)−カルボニル]−2H−テトラゾリウム内塩)アッセイ
一次HUVEC細胞株およびMCF−7細胞株において、XTT(ナトリウム2,3,−ビス(2−メトキシ−4−ニトロ−5−スルホフェニル)−5−[(フェニルアミノ)−カルボニル]−2H−テトラゾリウム内塩)を使用した細胞生存アッセイを行った。
合計1×104個のMCF−7細胞を96ウェルプレートの各ウェル上に播種し、24時間培養した。24時間後、ポリアルギニン配列(RRRRRRRRRCQCRRKN)に連結された20もしくは30μMのMUC1細胞質ドメインペプチドを含有する本発明のポリマーナノ粒子、またはいかなるペプチドも含まない対照ナノ粒子で、各プレート中の細胞を処置した。16時間、24時間、48時間、72時間および96時間の範囲の異なる時間間隔で、細胞をナノ粒子と共にインキュベートした。インキュベーション後、MUC1細胞質ドメインペプチドをロードしたPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子を含有する培地を新たな培地と交換し、10μlの再構成XTT混合物キット試薬を各ウェルに添加した。4時間培養した後、マイクロタイタープレートリーダー(Bio−Rad,CA,U.S.A.)を使用することによって、サンプルの吸光度を450nmで測定した。未処置対照の生存細胞に対する割合として細胞の増殖を決定し、3回反復で分析した。表6は、ホルモン依存性乳癌腫細胞株MCF−7の細胞生存に対するMUC1細胞質ドメインペプチドロードPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の効果を示す。
当業者であれば、ルーチンな実験のみを使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態の多くの同等物を認識し、または確認することができるであろう。このような同等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図する。
実施例8:ポリマーナノ粒子によって同時送達したPTXおよびL−NuBCP−9ペプチドの相乗効果
パクリタキセルおよびL−NuBCP−9を、PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックポリマーナノ粒子に封入して、インビトロおよびインビボで悪性細胞に対する相乗効果を評価した。
I.材料および方法
A.PLA−PEG−PPG−PEGコポリマーの合成および特性評価:
70−kDa PLA(NatureWorks,USA)または12−kDa PLA(Purac Chemicals,EUROPE)ならびにPoloxamer−F127(12.5KDa)およびPoloxomer F68(6KDa);(Sigma−Aldrich,USA)を使用して、PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロック(terablock)コポリマーを合成した。DCC−DMAP(Sigma−Aldrich)法によって、テトラブロックコポリマーを合成した。
B.L−NuBCP9およびPTX薬物ロードナノ粒子の調製:Kumar M,Gupta D,Singh G,Sharma S,Bhat M,Prashant CK,Dinda AK,Kharbanda S,Kufe D,and Singh H.による前出の論文Cancer Research 74(12):3271−3281,2014に報告されているように、ダブルエマルジョン溶媒蒸発法を使用して、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子へのL−NuBCP−9ペプチド(Bioconcept,Indiaによるカスタム合成)のロードを実施した。エマルジョン溶媒蒸発法を使用して、PTXロードナノ粒子を生産した。簡潔に言えば、5mlのアセトニトリル(ACN)中の50mgのコポリマーおよび5mgのPTX(LC Laboratories,Boston,MA,US)を100μlのACNに溶解し、50mgのPLA−PEG−PPG−PEGのACN溶液5mlに添加した。次いで、得られた混合物を、蒸留水中F127から構成される20mlの水相に添加し、室温で6〜8時間撹拌して、溶媒の蒸発およびナノ粒子の安定化を促進した。ダブルエマルジョンプロセスによって、PTXおよびNuBCP−9ペプチドロードPLA−PEG−PPG−PEG(50mg)ナノ粒子を調製した。溶解したPLA−PEG−PPG−PEGコポリマーにパクリタキセルを添加し、その直後にペプチドを添加して軽い超音波処理を行った。次いで、この混合物全体を、ポロキサマーF127を含有する20mlの水相に添加した。また、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の細胞取り込み研究のために、同じ手順によって、ローダミン(RhB)(親水性色素として)およびクマリン6(疎水性色素として)ロードナノ粒子も調製した。
Amikon 30−kDaウルトラフィルタ(Millipore,USA)によってナノ粒子をろ過し、MQ水で2回洗浄して、遊離薬物/色素を除去した。ナノ粒子を凍結乾燥させ、使用まで−20℃で保存した。ろ液を収集し、遊離NuBCP−9ペプチドについて、Micro−BCAキット(Pierce Chemicals,USA)によって分析し、EPOCHマイクロプレートリーダー(BioTek,US)によって590nmで測定した。同様に、移動相としてアセトニトリル、水、メタノール(体積比60:35:5)を用いて、C18カラムを使用して高速液体クロマトグラフィーHPLC(Perkin Elmer,US)アッセイ法によって、遊離パクリタキセルを測定した。以下の式:
EE%=[全薬物(ペプチド/PTX)−ろ液]X100
合計(初期ペプチド/PTX)
を使用して、NuBCP−9ペプチド/PTXの封入効率(EE%)を決定した。
走査型電子顕微鏡(SEM,Zeiss EVO 50 Series)および透過型電子顕微鏡(TEM,Philips Model CM12)を使用して、ナノ粒子の形態および粒径を決定した。ナノ粒子追跡分析(Malvern nanosight,UK)によって、ナノ粒子のゼータ電位を評価した。
C.ナノ粒子からのペプチドおよびパクリタキセル放出の評価:限外ろ過法によって、ナノ粒子からのNuBCP−9およびパクリタキセルのインビトロ放出速度を決定した。簡潔に言えば、凍結乾燥ナノ粒子(10mg)のサンプルをPBSに懸濁し、150〜160rpmで常に振盪しながら37℃でインキュベートした。60日までの所定の時点で、インキュベーターからサンプルを取り出し、30−kDa Amikonフィルタ(Millipore)によって限外ろ過した。分析のためにろ液を収集し、新たな緩衝液を各チューブに添加した。マイクロBCAアッセイキットによってろ液中のペプチド濃度を決定し、HPLCによってPTXを測定した。
D.インビトロ細胞毒性分析:2つの癌細胞株において、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子のインビトロ細胞毒性を評価した。10%FBS、100単位/mLペニシリンおよび100g/mLストレプトマイシンを含有するDMEM中で、ヒトER+MCF−7およびER−MDA−MB231乳癌細胞を成長させた。実験の期間中、細胞を37℃および5%CO2雰囲気で維持した。指数関数的に成長している癌細胞を1ウェル当たり細胞3000個の播種密度で96ウェルプレートにプレーティングし、24時間インキュベートした。遊離PTXのDMSO溶液ならびにPTX−およびNuBCP−9ロード(単一/二重)PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子を、.001、0.01、0.1、1、5、10および20μMの最終薬物濃度でウェルに別個に添加した。細胞培地による希釈後、培養プレートウェル中のDMSOの最終レベルは<0.1%であった。72時間後、製造業者の説明書にしたがってXTTベースのインビトロ細胞増殖アッセイキット(Cayman,USA)によって、遊離薬物、薬物ロード単一または二重薬物PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の腫瘍細胞増殖阻害挙動を別個に評価した。Graph Pad prismを使用して半有効方程式によって、半最大阻害薬物濃度(IC50)を決定し、データは平均±SD(n=3)として示されている。
ナノ粒子の取り込みを評価するために、MCF−7細胞をカバースリップ上に播種し、24時間成長させ、次いで、ローダミンBおよびクマリン6ロードナノ粒子と共にインキュベートし、カバースリップを除去し、PBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定した。次いで、4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)(Invitrogen,US)で細胞を染色し、共焦点レーザー走査型顕微鏡(CLSM;Olympus,Fluoview FV1000 Microscope)下で視覚化した。
E.組み合わせ指数(CI)分析:PTXおよびNubCP−9ペプチドの組み合わせについて、compusynソフトウェア(バージョン1.0,combosyn Inc.,U.S.)を使用して、チョウ・タラレー法に基づくCI分析を実施し、MCF−7およびMDA−MB−231乳癌細胞に対する相乗効果、相加効果または拮抗細胞毒性効果を決定した。
CI>1の値は拮抗作用を表し、CI=1は相加作用を表し、CI<1は相乗作用を表す。一定の薬物組み合わせ比で、GraphPad prismソフトウェア(バージョン5.0,U.S.)を用いて、薬物組み合わせのfa(効果分率)(fractional affect)対CIプロットを得た(例えば、図18E、18F、18I、18J)。
F.アポトーシスの評価:アネキシンV−Alexa Fluor 488/PIアポトーシスアッセイキット(Invitrogen,USA)を使用して、細胞を染色した。定性分析のために、CLSM顕微鏡を使用して、細胞をイメージングした。FACS(Aria LLC)を使用して、アポトーシス/壊死の定量を実施した。
G.ウエスタンブロット分析:M−PER試薬(Pierce Chemicals,USA)を用いて細胞溶解物を調製し、抗Bcl−2、抗β−チューブリン、抗カスパーゼ−3(Biosepses,China)、抗PARPおよび抗β−アクチン(Santa Cruz Biotechnology,USA)を用いたイムノブロッティングによって分析した。化学発光のソフトウェア(Li−Cor blot scanner,USA)から、バンド強度の相対変化倍率を計算した。
H.抗腫瘍活性の分析:マウスエールリッヒ腫瘍細胞を同系Balb/cマウス(17〜22g)の後肢に皮下注射した。腫瘍担持マウス(約150mm3)を9群(マウス6匹/群)に分け、21日間にわたって異なる製剤で週1回または週2回で腹腔内(i.p.)処置した。ノギスによって腫瘍体積を決定し、式(A×B2)×0.5(式中、AおよびBは、それぞれ最長腫瘍径および最短腫瘍径である)を使用して計算した。病理組織学的検査のための腫瘍を採取するために、各群から、7日目、14日目および21日目に1匹のマウスを屠殺した。10%ホルマリン/生理食塩水で腫瘍を固定し、パラフィンに包埋した。さらなる免疫組織化学、TUNNELおよびKi67アッセイのために、ヘマトキシリンおよびエオシンで5マイクロメートル切片を染色した。Graph pad prismを使用して一元ANOVAによって、腫瘍体積の統計分析を実施した。Prism 4.0ソフトウェア(Graph Pad Software)を使用してカプラン・マイヤー法によって、マウスの生存を決定した。
I.データ/統計分析:すべての結果は平均±標準偏差として報告されており、スチューデントt検定を使用して、対照群と試験群との間の差異を試験した。分析のために、少なくとも3つのサンプルサイズを使用した。結果は、P<0.05のレベルで、対照処置と試験処置との間で統計的に有意であるとみなした。
II.結果
A.NuBCP−9ロードポリマーナノ粒子の調製および特性評価:
前述のようにDCC DMAPを使用して、12KDaまたは72KDaのPLAおよび6KDaまたは12.5KDaのPEG−PPG−PEGブロックを使用して、PLA−PEG−PPG−PEGブロックコポリマーを調製した。PLA12KPEG−PPG−PEGおよびPLA72KPEG−PPG−PEGは15.6KDaおよび83KDaであることが見出され、前述のように1HNMRによって、ブロック(bock)コポリマーの合成を確認した。
SEMおよびTEMによって、PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックコポリマーの形態およびサイズを分析した。SEMにより、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の球形形態が示され、TEMにより、PLAが疎水性コアとして存在し、PEGが親水性シェルとして存在し、疎水性PPGが2つの層に挟まれた多層構造が示された。粒径は、直径45〜90nmの範囲であった(図15Aおよび15B)。
ローダミンB(親水性薬物のモデル)およびクマリン6(疎水性薬物のモデル)色素ロードPLA72K−PEG−PPG−PEG12.5Kナノ粒子をMCF−7乳癌細胞と共にインキュベートすると、蛍光共焦点レーザー走査型顕微鏡によって、3時間後にナノ粒子の取り込みが示された(図16)。結果は、細胞質ゾル全体にわたるローダミンBおよびクマリン6ロードナノ粒子の細胞内蛍光を示していた。これらの観察結果に基づくと、PLAベースのNPの取り込みはエンドサイトーシスによるものであり、エンドリソソームの酸性pHにおける(アニオン性からカチオン性への)表面電荷反転に関連する。この電荷反転は、NPと小胞膜との相互作用を促進して一過性の局所的な膜不安定化をもたらし、それにより、NPが細胞質ゾルに漏出する(Kumar Mら、(2014)Novel polymeric nanoparticles for intracellular delivery of peptide cargos:antitumor efficacy of the BCL−2 conversion peptide NuBCP−9.Cancer Res 74(12):1−11;Hasegawa Mら、(2015)Intracellular targeting of the oncogenic MUC1−C protein with a novel GO−203 nanoparticle formulation.Clin Cancer Res 21(10):2338−2347)。
NuBCP−9は、BCL−2をターゲティングしてそれを細胞保護物質から細胞殺傷物質に変換する(Kolluri SKら、(2008)A short Nur77−derived peptide converts Bcl−2 from a protector to a killer.Cancer Cell 14(4):285−298)。したがって、FITC−NuBCP−9/NPでMCF−7細胞を処置した場合のNuBCP−9の細胞内局在を調査した。Mitotrackerによる染色によって明らかなように、FITC−NuBCP−9は、細胞質およびミトコンドリアに局在した(図25)。光親和性架橋研究では、微小管(Rao Sら、(1995)Characterization of the taxol binding site on the microtubule.2−(m−Azidobenzoyl)taxol photolabels a peptide(amino acids 217−231)of beta−tubulin.J.Biol.Chem.270(35):20235−20238;Rao Sら、(1999)Characterization of the Taxol binding site on the microtubule.Identification of Arg(282)in beta−tubulin as the site of photoincorporation of a 7−benzophenone analogue of Taxol.J.Biol.Chem.274(53):37990−37994)およびミトコンドリア(Carre Mら、(2002)Tubulin is an inherent component of mitochondrial membranes that interacts with the voltage−dependent anion channel.J.Biol.Chem.277(37):33664−33669)におけるチューブリンに対するPTX結合の局在が実証されている。これらのおよび上記の研究と一致して、FITC−PTX/NPおよびRhoB−NuBCP−9/NPで処置したMCF−7細胞の共焦点分析により、細胞質ゾルおよびミトコンドリアにおけるPTXおよびNuBCP−9の共局在が実証された(図25)。
B.薬物ロード効率およびインビトロ放出研究
異なる分子量のPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子を用いたNuBCP−9およびPTXの封入率は、表7に掲載されている。PLA−PEG−PPG−PEGテトラブロックコポリマーは、その高いPLA含有量(84%)により高疎水性であり、その結果、親水性ペプチドNuBCP−9の封入は、パクリタキセル(すなわち、87%)と比較して低かった(64.5%)。
最小濃度のPTXおよびNuBCP−9ペプチドで最大の細胞増殖阻害を達成することを目的として、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子中にPTX−NuBCP−9ペプチド組み合わせを含む異なる製剤を調製した。さらに、表7に示されているように、サイズおよびゼータ電位について、これらの製剤を観察した。PTXの封入効率は、すべての製剤において>90%であると決定されたのに対して、NuBCP−9ペプチドの場合、ペプチド量の増加と共にロードが増加した。すべての製剤の中でも、PTXおよびNuBCP−9ペプチドの比がそれぞれ1:4の場合に最大ロードが観察され、続いて、比が増加すると微粒子が形成される。
ナノ粒子のゼータ電位はまた、ペプチド封入の増加と共によりマイナスになることも観察された(表7)。ゼータ電位のこの減少の正確な理由は不明である;しかしながら、正電荷の吸着ペプチドと負電荷のPLAとの相互作用により、ペプチドカルボキシル基は負電荷を有すると思われる。PTXおよびNuBCP−9ロードPLA−PEG−PPG−PEG NP(単一/二重)のサイズ分布は100〜170nmの範囲であり、これは、すべての製剤においてほぼ同様であることが観察された。
PLA72K/12K−PEG−PPG−PEG12.5kナノ粒子からのPTXおよびNuBCP−9のインビトロ放出プロファイルは、図17Aおよび17Bに示されている。生理的pHにおけるPLA72K−PEG−PPG−PEG12.5KおよびPLA12K−PEG−PPG−PEG6KからのPTXおよびNuBCP−9ペプチドの同時放出は、7日以内にそれぞれ薬物の30%および40%の遅い持続的な累積放出を示したのに対して、単一薬物としてナノ粒子にロードした場合、それはPTXでは47%であり、ペプチドでは58%であった(図17C)。しかしながら、おそらくは低分子量PLAのより急速な分解および生体可溶性のために、低分子量PLA12K−PEG−PPG−PEG6KからのPTXおよびNuBCP−9(単一/二重)の完全インビトロ放出プロファイルは、それぞれ7日間および10日間しか持続しなかったのと比較して、高分子量PLA72K−PEGPPG−PEG12.5Kでは60日間であった。
これらの発見は、(i)PTXおよびNuBCP−9の両方の封入が同じNPで達成可能であり、(ii)PTX−NuBCP−9/NPからのPTXおよびNuBCP−9の放出が持続することを実証している。
これらの結果に基づいて、低分子量テトラブロックナノ粒子と比較して、より長期間にわたる薬物の制御持続送達のために、NuBCP−9およびPTX封入(単一および二重)PLA72K−PEG−PPG−PEG12.5Kナノ粒子をさらに採用し、インビトロ研究およびインビボ研究において、生物学的活性についてさらに研究した。
C.インビトロ細胞毒性および組み合わせ分析
同時送達系の相乗効果を検証するために、MCF7およびMDA−MB231細胞において、遊離薬物および単一/二重薬物ロードナノ粒子に対するインビトロ細胞生存効果について、異なる製剤を用量依存的に研究した。図18Aに示されているように、PTX−NuBCP−9組み合わせロードナノ粒子の1:1製剤は、他の様々な薬物製剤と比較して、MCF7およびMDA−MB231乳癌細胞の両方において最高の細胞増殖阻害を示すことが観察された。したがって、さらなるインビトロおよびインインビボ研究のために、PTX−L−NuBCP−9ロードナノ粒子の1:1製剤を使用した。
1uMにおける遊離と薬物ロード(単一/二重)NPとの有効性を比較するために、時間依存性研究を96時間まで実施した。図18Bでは、PTX−NuBCP−9ペプチドの1:1組み合わせをロードしたNPは、48時間の時点で>80%の細胞阻害を示した。PTXロードおよびL−NuBCP−9ロード混合物は共に、約70%の阻害(これは、遊離PTXと同程度である)を示した。しかしながら、単一ロードPTXおよびNuBCP−9は、それぞれ40%および20%の細胞増殖阻害しか示さなかった。したがって、48時間の時点における細胞増殖阻害によって、PTX−NuBCP−9ペプチドの1:1組み合わせをロードしたナノ粒子の相乗効果を確認した。115μMまでの異なる濃度で単純PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の細胞生存も試験したところ、85%超であったが、これは、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の非毒性および生体適合性を示している(図18Cおよび18D)。
単一薬物PTXおよびNuBCP−9ペプチドロードナノ粒子を1:1の比で混合して、二重PTX−NuBCP−9ペプチドロードナノ粒子と比較し、細胞増殖阻害研究のために評価した。48時間の時点では、二重ロードPTX−NuBCP−9ペプチドロードNPによる90%の阻害と比較して、混合ナノ粒子は70%の阻害しか示さなかった。単一薬物ロードナノ粒子を同じ比で混合した場合、1uMではほとんど効果がないのに対して、両薬物を同じナノ粒子に一緒にロードした場合、単一PTXまたはNuBCP−9ロードNPよりもはるかに優れた最大相乗効果が示された。したがって、二重ロードナノ製剤の相乗効果が確認された。
上記観点から、細胞へのPTX−NuBCP−9 NPの最適化同時送達は、インビトロにおける抗腫瘍効果の増強のために非常に重要であると結論付けることができる。
MCF−7およびMDA−MB細胞において、広範囲の濃度で、異なるナノ製剤の組み合わせ指数を分析した。1未満、1または1超の組み合わせ指数(CI)値は、それぞれ相乗作用、相加作用または拮抗作用を示す。PTX−NuBCP−9ペプチドロードナノ粒子の1:1ナノ製剤は、遊離または単一薬物ロードナノ粒子と比較して、最良適合レベルの高い相乗作用を有することが観察された(図18Eおよび18F)。これらの知見をさらに立証するために、異なる濃度のPTX/NP、NuBCP−9/NPまたはPTX−NuBCP−9/NPでMCF−7細胞を処置した。Compusynソフトウェアを使用して、チョウ・タラレー法に基づくCI分析を実施した。結果は、異なる組み合わせのすべてが相乗的であり、CI値が<0.2であることを実証している(図18I)。MDA−MB−231細胞を用いても同様の結果が得られたが(図18J)、これは、乳癌腫細胞の成長および生存の阻害において、PTX−NuBCP−9/NPが相乗的であることを示している。
D.乳癌細胞のアポトーシスに対するNuBCP−9−PTX組み合わせロードナノ粒子の効果:
単一または二重ロードPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子を用いてアポトーシス効果に対するPTX−NuBCP−9ナノ粒子の効果を評価するために、ナノ粒子でMCF−7細胞処置し、細胞膜におけるホスファチジルセリンのエクスターナリゼーションをモニタリングした。アネキシンV−Alexa flour 488/PIで染色したMCF−7細胞の共焦点画像により、PTX−NuBCP−9および単一薬物の組み合わせをロードしたナノ粒子による処置は、48時間の時点で、単一ロードナノ粒子よりも高いアポトーシスをもたらし、アポトーシス応答の誘導に関連することが実証された。対照的に、空ナノ粒子による処置は、明らかな効果を有しなかった。
FACS(Aria BD falcon)によるアネキシンVおよびPI染色の定量により、PTX−NuBCP−9 PLA72K−PEG−PPG−PEG12.5Kナノ粒子の組み合わせは、24時間の時点で、MCF−7細胞のアポトーシスの誘導に関して単一ロードナノ粒子よりも有効であることがさらに確認された(図19A/19B)。
ウエスタンブロット分析によって、乳癌細胞株におけるBCL−2、チューブリン、カスパーゼ3の切断断片およびPARPタンパク質の切断断片のレベルを調べた(図19C)。PTX−NuBCP−9ナノ製剤の組み合わせは、いずれかの単一薬物ロードナノ粒子のみの場合よりも、BCL−2およびチューブリンの発現レベルを減少させ、カスパーゼ3の切断断片およびPARPの切断断片の発現を増加させた(図19D)。これらの知見は、PTX−NuBCP−9/NPが、MCF−7細胞のアポトーシスの誘導に関してPTX/NPまたはNuBCP−9/NPよりも活性が高いという仮説を裏付けている。
E.インビボにおける相乗抗腫瘍効果の評価:
EAT腫瘍モデルBalb/cマウスにおいて、二重薬物および単一薬物ロードナノ粒子のインビボ抗腫瘍効果および全身毒性を評価した。狭い尾静脈では、薬物ロードナノ粒子の粘性懸濁液の正確な投与は困難であったので、腸間膜血管および門脈を介してナノ粒子が全身循環に入ることを可能にする腹腔内投与経路を使用した。個別にまたは組み合わせでロードし、最大21日間にわたって週2回および週1回スケジュールで投与する異なる薬物製剤でマウスを処置したところ、生理食塩水対照で得られた効果と比較して、腫瘍成長に対する有意な効果を示した。
以前の研究は、NuBCP−9ペプチドのみおよびNuBCP−9ロードPLA72K−PEG−PPG−PEG12.5k NPを使用して、20mg/kg週2回腹腔内注射を与えることによって実施したところ、腫瘍体積のほぼ90%の退縮が示された。これと比較して、NuBCP−9−PTXの組み合わせは、腫瘍成長の完全な阻害を伴うより良好な有効性を示し、処置全体の間に明白な腫瘍再発を示さなかった。3つのセット(二重−、PTX−、NuBCP−9ペプチドロードNP)すべてにおいて、週2回腹腔内投与は、週1回投与よりも有効性を示すことも観察された(図20A、20Bおよび20C)。重要なことに、PTX/NuBCP−9ナノ粒子(単一/二重)処置マウスのいずれにおいても、体重減少または他の明白な毒性は観察されなかった。
エールリッヒ腫瘍担持マウスを3週間にわたって週2回腹腔内処置した。空NPで処置したマウスと比較して、10mg/kg PTX/NPによる処置は、腫瘍の部分的な退縮に関連していた(図22)。また重要なことに、10mg/kg PTX−NuBCP−9/NPによる処置は、長期の完全腫瘍退縮に関連していた(図22)。カプラン・マイヤープロットによって決定した生存の分析により、PTX−NuBCP−9/NPで処置したマウスは、空NP、PTX/NPまたはNuBCP−9/NPで処置したマウスよりも顕著に長く生存することがさらに実証された(図23)。高い抗腫瘍効果および低い薬物関連毒性により、二重薬物ロード系は、癌処置において有望である。薬物組み合わせの原理は、より低い薬物用量で効率的な抗腫瘍効果を達成し、マイナスの副作用を減少させながら最大の治療効果を得ることである。
F.組織学的および免疫組織化学的分析:
Co−NPの抗腫瘍活性をさらに調査するために、処置後(21日目)に腫瘍担持Balb/Cマウスを屠殺し、腫瘍を解剖し、病理学的分析のためにH&EおよびTUNELで染色した。PBS、NuBCP−NP、PTX−NPおよびCo−NP処置群のデータを図21に示した。
H&E染色では、正常腫瘍細胞は、球形または紡錘形およびより多くのクロマチンを有する大きな核を有していた。壊死細胞は明確な細胞形態を有していなかったのに対して、クロマチンは、より暗色で濃縮していたか、または細胞外では欠如していた。図7に示されているように、PBS群では、正常な形状およびより多くのクロマチンを有する腫瘍細胞が観察されたが、これは、活発な腫瘍成長を示している。しかしながら、単一ロードPTXまたはNuBCP 9 NP処置群では、広範囲の組織壊死が観察された。しかしながら、Co−NP処置群では、NuBCP−9−NPおよびPTX−NPで処置した群と比較して、腫瘍の完全な退縮を示す正常な筋組織が示されなかったが、これは、Co−NP処置群では、ほとんどの腫瘍細胞が壊死性であることを示していた。
TUNELアッセイにより、腫瘍細胞の核におけるDNA断片化を検出することができた。PBS処置腫瘍組織では、アポトーシスはほとんど検出されなかった。一方、NuBCP−9−NP、PTX−NPおよびCo−NP処置群では、明白な細胞アポトーシス領域が観察された。H&E分析と一致して、Co−NPの処置は、単一薬物ロードナノ粒子と比較してアポトーシスレベルを明らかに増加させた。
III.考察
パクリタキセルは、乳癌および様々な固形腫瘍のための主な化学療法剤であった。パクリタキセルの主な臨床的限界は、長期処置後の神経毒性および細胞耐性である。NuBCP−9ペプチドは、BCL−2媒介性アポトーシスの二重効果を有する新規エピジェネティック剤である、Cancer Cell 2008;14:285−298。実施例8は、ナノ粒子によって送達した場合に、パクリタキセルおよびNuBCP−9が、2つの異なる乳癌細胞株(MCF−7およびMDA−MB−231)の成長に対して顕著な相乗的阻害効果を有することを実証している。NuBCP−9およびPTXのIC50は、これら2つの薬剤を組み合わせて使用した場合に劇的に減少する。結果は、これら2つの薬物を組み合わせることによって、臨床的有効性を維持または増強しながら、PTXの副作用を大幅に減少させることが可能であることを示唆している。
二重薬物ロードPLA−PEG−PPG NPを特性評価するために、PEG−PPG−PEG12.5k/6K NPを用いて異なる分子量のPLA72KDa/12KDaで一緒にパクリタキセル、NuBCP−9およびPTX−NuBCP−9ナノ粒子のロード量を決定し、それらのインビトロ放出特性を調査した。異なるPLA−PEG−PPG−PEG NPを用いたPTXおよびNuBCP−9の平均ロード度合(loadingdegrees)は、表7に掲載されている。表7に示されているように、ロード薬物にかかわらず、高分子量PLA−PEG−PPG−PEG NPのロード度合は、対応する低分子量PLA−PEG−PPG−PEG NPよりも常に高かった。さらに、個々の薬物分子のロード度合は、二重薬物ロード(PLA12K−PEG−PPG−PEG−PTX−PEPおよびPLA72K−PEG−PPG−PTX−PEP)では、単一薬物ロード(PLA10KPEG−PPG−PEG−PTX/PLA10KPEG−PPG−PEG−PEPおよびPLA72K−PEG−PPG−PTX/PLA72K−PEG−PPG−PEP)の場合よりも低かった。したがって、ロード度合の差異は、ペイロード間の静電引力および疎水性力の異なる強度に起因する可能性がある。
二重薬物ロード手順においてPTXのより高いロード度合が得られたのは、その後のNuBCP−9ペプチドのロードに起因する可能性があり、これが、NPからのNuBCP−9のわずかな放出をもたらした可能性がある。類似物質は溶け合うという理論にしたがえば、疎水性の性質により、PTXはペプチドよりも多くのPLAの疎水性コアを捕捉し、さらにPTXは立体障害も引き起こし、その結果単一薬物ロードと比較して低いロード度合がもたらされた。他方、二重薬物ロードPLA−PEG−PPG−PEG NPの全ロード度合は、単一薬物ロードのものよりも高かった。これはおそらく、PTXをロードした後に、PLA−PEG−PPG−PEG NPの細孔が不完全に充填されたことに起因する可能性がある。加えて、すべての細孔がPTXで充填または遮断された場合であっても、ペプチドはまた、ペプチドの疎水性部分と粒子の表面との間の疎水性相互作用を介して、PTXロードPLA−PEG−PPG−PEG NPの外表面に吸着することができた。静電気引力もまた、もっともらしい説明である。NuBCP−9の等電点は約pH7.2であるが、これは、ロード過程中に、水中のペプチドが当然正に帯電することを意味する。PTXロードPLA−PEG−PPG−PEG(−3.21±1.5mV)は負に帯電したので、PTXを最初にロードして細孔へのペプチド拡散を防止したとしても、ペプチドは、静電引力によってもPLA−PEG−PPG−PEG粒子表面上に吸着することができた。
pH7.4における高分子量および低分子量PLA−PEG−PPG−PEGS NPからのPTXおよびNuBCP−9ペプチドの放出プロファイルは、図3に示されている。ペプチドおよびPTX(単一または二重)は、60日まで高分子量PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子から徐々に放出され得るのに対して、薬物の沈殿またはコポリマーのより急速な分解により、低分子量PLA−PEG−PPG−PEG粒子は安定性を示すことができなかった。
相乗効果は、各薬物の個々の抗腫瘍機構の組み合わせから生じ得ることが示唆された。前述のように、NuBCP−9はBCL−2カスケードに結合し、それにより、このタンパク質をアポトーシス促進性から抗アポトーシス性に変換するのに対して、PTXは微小管の分解を阻害し得、有糸分裂および細胞増殖に必要な微小管ネットワークの正常な動的再構成を妨げ、そして細胞アポトーシスを引き起こす。PTXはBCL−2に直接結合し、Nur77の活性を機能的に模倣することも報告された。報告されているように、同じ細胞経路を有する複数の薬物は、より高い治療有効性およびより高い標的選択性のために相乗的に機能し得る。
NuBCP−9およびPTX Npの混合物によるMCF−7の処理はPTXの場合と同様に作用するが、同じビヒクルで両治療剤を同時送達して同時に作用させた場合、最高の相乗効果が達成された(図18Gおよび18H、右のパネル)。インビトロ研究によれば、他の薬物比を使用した場合、相乗効果は効率的に示され得ず、2つの薬物の互いにバランスの取れた投与量が最高の腫瘍有効性をもたらした。
MCF−7細胞およびMDA−MB231トリプルネガティブ細胞では、PTX−NuBCP−9 NpのIC50が劇的に減少し、通常のパクリタキセルと比較して約40および4倍の差異であることが示されている(表8)。したがって、同時処置は、パクリタキセルの細胞毒性を強化する能力を示唆しており、臨床的有効性を拡大する可能性を提供する。
可能な機構を調べるために、インビトロ研究により、同じビヒクルで2つの薬物を同時送達することの相乗効果が実証された。アポトーシス促進性BCL−2およびチューブリンの発現は、組み合わせNuBCP−9−PTXロードNpでは、単一薬物のみの場合と比較して顕著に減少する。これらの生化学的データにより、アポトーシスおよび細胞周期停止に対する2つの薬剤の相乗効果の機構の根拠が提供された。
可能なアポトーシス経路をさらに調べるために、カスパーゼ−3およびPARPを含むいくつかの重要なアポトーシス関連タンパク質の発現をアッセイした。この研究では、カスパーゼ−3およびPARPタンパク質のレベルは、二重薬物ロードNP群では、単一ロード群と比較して顕著に上昇していた。切断PARPは、内因性アポトーシス経路に決定的に関与し、アポトーシスのマーカーであると考えられる。
腹腔内投与したNuBCP−9ナノ粒子の抗腫瘍効果の以前の研究では、長期の腫瘍退縮が示された。インビボにおいて、二重薬物ロードNPを注射したマウスの腫瘍体積は、単一ロードNPで処置したマウスの腫瘍体積と比べてほぼ消失しており、Np/生理食塩水のみがマウスの腫瘍体積に影響を与えなかった(図20A〜C)。これらの結果により、二重薬物ロードNPがより顕著な抗腫瘍活性を示すことが示された。さらに、二重/単一ロードNPは、最大60日間の持続的な制御放出によって、薬物を腫瘍細胞に有効に送達すると推測され得る。さらに重要なことに、単一/二重Npの投与は忍容性良好であり、体重減少または明白な毒性の証拠はなかった。これらの結果は、二重ロードナノ製剤によって用量を減少させて腫瘍組織縮小を増強することの実行可能性を支持し得る。
IV.結論
要約すると、NuBCP−9(抗癌ペプチド)およびPTXの同時送達のためのPEG−PPG−PEGコポリマーを有するポリ乳酸(PLA)テトラブロックを開発した。高分子量PLA−PEG−PPG−PEGのロバストな構造安定性、効率的な送達能力、優れた生体適合性および良好なサイズ分布は、癌処置において腹腔内注射を介して抗腫瘍薬を送達するための大きな可能性を示した。Co−NPは、MCF−7の抑制およびトリプルネガティブMDA−MB231乳癌細胞の成長において相乗効果を有していた。Co−NPは、インビボにおいて高い腫瘍集積、優れた抗腫瘍効率および非常に低い毒性を示した。本研究は、同時送達系が、乳癌およびおそらくは他の種類の癌の処置における併用療法として有望なプラットフォームを提供することを示している。
実施例9:PTX−NuBCP−9/NPは、PTXおよびnab−パクリタキセルに対して耐性のMCF−7細胞に対して活性である。
パクリタキセル(PTX)は、乳癌および他の癌の処置のために広く使用されている微小管阻害剤である。PTXはまた、アルブミン結合ナノ粒子製剤(nab−パクリタキセル;アブラキサン)で投与される。しかしながら、PTXの有効性は、薬物排出ポンプ、例えばP−糖タンパク質(P−gp)および抗アポトーシスBCL−2タンパク質のアップレギュレーションによって伝達される耐性機構によって制限される。本明細書に記載される細胞内PTX送達のための生分解性テトラブロックポリマーナノ粒子(PTX/NP)は、PTX流出の阻害において非常に有効である。具体的には、PTX/NPは、PTXおよびnab−パクリタキセルに対して耐性のP−gp発現乳癌細胞に対して活性である。これらのナノ粒子は、抗アポトーシスBCL−2タンパク質を細胞保護物質から細胞殺傷物質に変換するNuBCP−9ペプチド(NuBCP−9/NP)を全身送達するために使用されている。PTX IC50の40倍の減少およびアポトーシス応答の増強によって明らかなように、PTXおよびNuBCP−9の両方を含有するNP(PTX−NuBCP−9/NP)による乳癌細胞の処置は、インビトロで乳癌細胞に対して著しく相乗的である。PTX−NuBCP−9/NPによる同系エールリッヒ乳房腫瘍モデルマウスの処置もまた、PTX/NPおよび/またはNuBCP−9/NPのいずれかで得られたものよりも顕著に有効であった(実施例8を参照のこと)。これらの結果は、nab−パクリタキセル耐性の状況でPTX/NPが活性であり、PTX−NuBCP−9/NPでNuBCP−9と同時送達すると、PTXの活性が相乗的に増加することを実証している。これらの知見はまた、P−gp基質でありおよび/またはBCL−2過剰発現によって阻害される他の細胞毒性剤の活性を増強するために、このプラットフォームが広く適用可能であり得るという考えを裏付けている。
PTX−NuBCP−9/NPは、アポトーシスの誘導において相乗的であるという知見により、これらのNPが、PTX耐性細胞に対して有効であり得るという可能性がもたらされた。したがって、漸増PTX濃度への曝露によって、PTXに対して耐性のMCF−7細胞が生じた(表9)。注目すべきことに、MCF−7/PTX−R細胞もnab−パクリタキセルに対して耐性であったが、PTX/NPに対して耐性ではなかった(表9)。PTX/NPに対するMCF−7/PTX−R細胞の感受性の機構的根拠を明らかにするために、P−gp発現について野生型およびPTX耐性MCF−7細胞を分析したところ、以前の報告(Brown Tら、(1991)J.Clin.Oncol.9(7):1261−1267;Wiernik PHら、(1987)Cancer Res 47(9):2486−2493;Wiernik PHら、(1987).J.Clin.Oncol.5(8):1232−1239)と一致して、耐性はP−gpのアップレギュレーションに関連することが見出された(図27A)。P−gp過剰発現と協調して、細胞内FITC−PTXは、MCF−7/PTX−Rでは、野生型MCF−7細胞と比較して顕著に減少していた(図27B)。また印象的なことに、FITC−PTX/NPによるMCF−7/PTX−R細胞の処置は、FITC−PTXの細胞内保持に関連していたが(図27B)、これは、これらのポリマーNPがPTX流出を阻害するという考えを裏付けている。(i)アネキシンV/PI染色(図27C)、(ii)FLOW分析による定量(図27D)ならびに(iii)カスパーゼ−3およびPARP切断(図27E)によって明らかなように、PTXまたはnab−パクリタキセルではなくPTX/NPによるMCF−7/PTX−R細胞の処置もアポトーシスの誘導に関連していた。MCF−7/PTX−R細胞では、P−gpおよびBCL−2がアップレギュレートされているという観察結果により、PTX活性を十分に増強するためには、両方の潜在的PTX耐性機構をターゲティングすることが必要であり得ることが示唆された。したがって、PTX−NuBCP−9/NPでMCF−7/PTX−R細胞を処置したところ、IC50は10.3nMであり、PTX/NPで得られたものよりも5倍低いことが見出された(表9)。加えて、PTX−NuBCP−9/NPによるMCF−7/PTX−R細胞の処置は、P−gpおよびBCL−2レベルの大幅な阻害に関連していた(図27F)。
これらの知見により、PTX−NuBCP−9/NPは、Pgp1を遮断してBCL−2をターゲティングし、PTX耐性を有効に打ち消すことによって、PTXの細胞内レベルを増加させるというモデルの証拠が提供された。
表のリスト
表1は、PLA−PEG−PPG−PEGコポリマーの調製に使用したPEG−PPG−PEGブロックコポリマーの詳細を提供する。
表2は、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子の特性評価を示す。
表3は、様々な分子量のポリマーPEG−PPG−PEGを使用して合成したPLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子のロード効率を示す。
表4は、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子への非改変抗癌ペプチド薬NuBCP−9のロード率を提供する。
表5は、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子への改変抗癌ペプチド薬NuBCP−9のロード率を提供する。
表6は、PLA−PEG−PPG−PEGナノ粒子にロードしたポリアルギニンタンパク質導入ドメインに連結されたMUC1細胞質ドメインペプチドの増殖研究から得られたデータを提供する。(*は、1mg/ウェルの濃度を示す)
表7は、単一または二重ロードPLA72K−PEG−PPG−PEG12.5K NPのサイズ、ゼータ電位、EE%を提供する
表8は、図18A〜Fに関するデータを示す:これらの結果は、ナノ粒子中でPTXとL−NuBCP−9とを組み合わせることにより、PTXの有効用量が実質的に38倍(38nMから1nMに)減少することを実証している。NuBCP−9用量も3600nMから12nMに減少する(約300倍の減少)。
表9は、MCF−7およびMCF−7/PTX−R細胞株におけるPTX、nab−パクリタキセル、PTX/NPおよびPTX−NuBCP−9/NPのIC
50値を示す。
配列番号1:NuBCP−9、配列FSRSLHSLL
Phe Ser Arg Ser Leu His Ser Leu Leu
配列番号2:MUC1ペプチド、配列CQCRRKN、MUC1−CDドメイン由来の配列
Cys Gln Cys Arg Arg Lys Asn
配列番号3:GO−203−2c、配列RRRRRRRRRCQCRRKN、ポリアルギニンに共有結合したMUC1−CDドメイン由来の配列
Arg Arg Arg Arg Arg Arg Arg Arg Arg Cys Gln Cys Arg Arg Lys Asn
配列番号4:MUC1−CD突然変異体配列、配列AQARRKN、MUC1−CDドメイン由来の改変配列
Ala Gln Ala Arg Arg Lys Asn
配列番号5:CP−3、配列RRRRRRRRRAQARRKN、ポリアルギニンに共有結合したMUC1−CDドメイン由来の改変配列
Arg Arg Arg Arg Arg Arg Arg Arg Arg Ala Gln Ala Arg Arg Lys Asn