JP2018535678A5 - - Google Patents

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高フェニルアラニン血症を低減させるように操作された細菌
本出願は、2015年11月16日に出願された米国仮特許出願第62/256,052号、および2016年5月13日に出願されたPCT出願番号PCT/US2016/032562に対する優先権の利益を主張し、それらの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
本開示は、高フェニルアラニン血症(Hyperphenylalaninemia)を低減させるための組成物および治療方法に関する。特定の態様では、本開示は、哺乳動物における高フェニルアラニン血症を低減させることができる遺伝子操作された細菌に関する。特定の態様では、本明細書に開示される組成物および方法は、高フェニルアラニン血症、例えばフェニルケトン尿症に関連する疾患を治療するために使用され得る。
フェニルアラニンは、食品タンパク質において主に見出される必須アミノ酸である。典型的に、少量がタンパク質合成のために利用され、残りは、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)および補因子テトラヒドロビオプテリンを必要とする酵素経路においてチロシンにヒドロキシル化される。高フェニルアラニン血症は、有毒であり、脳障害を引き起こす可能性がある、過剰なレベルのフェニルアラニンに関連する疾患の群である。原発性高フェニルアラニン血症は、PAH遺伝子の突然変異および/または補因子代謝の遮断によって生じるPAH活性の欠損によって引き起こされる。
フェニルケトン尿症(PKU)は、PAH遺伝子の突然変異によって引き起こされる高フェニルアラニン血症の重症型である。PKUは、世界中で最も一般的な先天性代謝異常(3,000人の出生のうちで1人)として位置付けられている常染色体性劣性遺伝病であり、米国において約13,000人の患者に影響を及ぼしている。400超の異なるPAH遺伝子突然変異が同定されている(Hoeksら、2009年)。血液中のフェニルアラニン(phe)の蓄積は、小児および成人の中枢神経系に深刻な損傷を引き起こす可能性がある。新生児で未治療の場合、PKUは不可逆的な脳損傷を引き起こす可能性がある。PKUの治療は現在、食事からフェニルアラニンを完全に排除することを含む。タンパク質のほとんどの天然源は、必須アミノ酸であり成長に必要なフェニルアラニンを含有する。これは、PKUの患者が、成長のためにちょうど十分なフェニルアラニンを供給するアミノ酸サプリメントとともに、医療食品とpheフリータンパク質サプリメントに依存していることを意味する。この食事療法は患者にとっては困難であり、生活の質に影響を与える。
上述のように、現在のPKU療法は、タンパク質制限からなる大幅に変更された食事を必要とする。一般的に、出生時からの治療により、脳障害および精神遅滞は低減する(Hoeksら、2009年;Sarkissianら、1999年)。しかしながら、タンパク質制限食は注意深くモニターされなければならず、必須アミノ酸およびビタミンが食事中に補われなければならない。さらに、低タンパク質食品を利用することは、それらが、変更されていない対応物であるそれらの高タンパク質よりコストがかかるので課題がある(Vockleyら、2014年)。
PKUを有する小児において、低フェニルアラニン食を続けることで成長遅延が一般的である(Dobbelaereら、2003年)。成人において、骨粗鬆症、母性PKU、およびビタミン欠乏症などの新たな問題が発生する場合がある(Hoeksら、2009年)。血液脳関門を自由に通過することができる血液中の過剰なレベルのフェニルアラニンは、神経学的障害、行動障害(例えば、過敏症、疲労)、および/または身体症状(例えば、痙攣、皮膚発疹、カビ臭物体)の原因となる可能性もある。国際的ガイドラインは生涯にわたる食事によるフェニルアラニン制限を推奨しているが、これは困難であり、非現実的であると広範に見なされており(Sarkissianら、1999年)、「PKUを伴う生活に対して最大の課題を克服するために継続的な努力−生涯にわたる低phe食の遵守が必要とされる」(Macleodら、2010年)。
残留PAH活性を有する患者のサブセットにおいて、補因子テトラヒドロビオプテリン(THB、BH4、Kuvan、またはサプロプテリンとも称される)の経口投与が、血中フェニルアラニンレベルを低下させるために食事制限と一緒に使用され得る。しかしながら、補因子療法はコストがかかり、フェニルケトン尿症の軽症型に適しているだけである。Kuvanの年間コストは、例えば、患者1人当たり57,000ドルほどの高さになる場合がある。さらに、Kuvanの副作用には、胃炎および重度のアレルギー反応(例えば、喘鳴、立ちくらみ、吐き気、皮膚の潮紅)が含まれ得る。
酵素フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)は、フェニルアラニンを無毒なレベルのアンモニアおよびtransケイ皮酸に代謝することができる。PAHと異なり、PALは、フェニルアラニンを代謝するためにTHB補因子活性を必要としない。PALを使用した経口酵素療法の研究が行われているが、「PALは手頃なコストにて十分な量で利用できないので、ヒトおよび動物でさえも研究は継続されなかった」(Sarkissianら、1999年)。組換えPAL(PEG−PAL)のペグ化形態もまた、注射可能な治療形態として開発中である。しかしながら、PEG−PALを投与されたほとんどの対象は、注射部位反応に悩まされ、および/またはこの治療用酵素に対する抗体が発生した(Longoら、2014年)。したがって、PKUを含む、高フェニルアラニン血症に関連する疾患のための、効果があり、信頼性があり、および/または長期間の治療に対する重要で満たされていない必要性が存在している。
いくつかの実施形態において、本開示は、フェニルアラニン代謝酵素(PME)をコードして発現する遺伝子操作された細菌を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼおよび/またはフェニルアラニンヒドロキシラーゼおよび/またはL−アミノ酸デアミナーゼをコードして発現し、高フェニルアラニン血症を低減することができる遺伝子操作された細菌を提供する。
フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)酵素は、フェニルアラニンを無毒なレベルのアンモニアおよびトランス−ケイ皮酸(transcinnamic acid)に代謝することができる。PAHとは異なり、PALはフェニルアラニンを代謝するためにTHB補因子活性を必要としない。L−アミノ酸デアミナーゼ(LAAD)は、フェニルアラニンの酸化的脱アミノ化を触媒して、フェニルピルベート、ならびに微量のアンモニアおよび過酸化水素を生成する。フェニルピルビン酸(PPA)は、医薬品、食品、および化学工業において広範に使用されており、PPAは、多くのキラル薬および食品添加物の製造における未加工の中間体であるD−フェニルアラニンを合成するための出発物質である。したがって、LAADは工業的PPA産生の観点から研究されている(Houら、2015年、Appl Microbiol Biotechnol.2015年10月;99(20):8391〜402頁;「Production of phenylpyruvic acid from L−phenylalanine using an L−amino acid deaminase from Proteus mirabilis:comparison of enzymatic and whole−cell biotransformation approaches」)。フェニルピルベートは、血液脳関門を横切ることができず(Steele、Fed Proc.1986年6月;45(7):2060〜4頁;「Blood−brain barrier transport of the alpha−keto acid analogs of amino acids.」、この変換はPKUの神経学的表現型を制御する際に有用であることを示している。
いくつかの実施形態では、本開示は、フェニルアラニン代謝酵素(PME)をコードし、発現する遺伝子操作された細菌を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)および/またはフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)および/またはL−アミノ酸デアミナーゼ(L−AAD)をコードして発現し、高フェニルアラニン血症を低減することができる遺伝子操作された細菌を提供する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、非天然フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)をコードする遺伝子を含み、哺乳動物においてフェニルアラニンをプロセシングおよび低減することができる。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、フェニルアラニントランスポーター、例えばPhePをコードする遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌はまた、L−AADをコードする遺伝子を含み得る。遺伝子操作された細菌はまた、バイオセイフティーおよび/または生物学的封じ込め、例えば、死滅スイッチ、遺伝子ガードシステムおよび/または栄養要求性に関連する1つ以上の遺伝子配列を含み得る。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、抗生物質耐性遺伝子を含み得る。これらのいずれの遺伝子配列の発現も、本明細書に開示されている任意のプロモーター系のような様々なプロモーター系を用いて調節することができ、当該プロモーター系は、1つ以上の異なる遺伝子を調節するために同じプロモーターを使用することを含むことができ、異なる遺伝子を調節するために同じプロモーターの異なるコピーを使用することを含むことができ、および/または異なる遺伝子の発現を調節するために異なるプロモーターを組み合わせて使用することを含むことができる。遺伝子発現を制御するために異なる調節系またはプロモーター系を使用することによって、柔軟性(例えば、異なる環境条件下で遺伝子発現を差異的に制御する能力および/または遺伝子発現を時間的に制御する能力)がもたらされ、また遺伝子発現を「微調整」する能力がもたらされ、これら調節のいずれかまたはすべてが遺伝子発現および/または細菌の増殖を最適化するのに役立ち得る。
特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は非病原性であり、フェニルアラニンの毒性レベルを低減させるために消化管に導入され得る。特定の実施形態では、フェニルアラニンアンモニアリアーゼおよび/もしくはフェニルアラニンヒドロキシラーゼおよび/もしくはL−アミノ酸デアミナーゼは、遺伝子操作された細菌によって安定に産生され、ならびに/または遺伝子操作された細菌はin vivoおよび/もしくはin vitroで安定に維持される。特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、フェニルアラニンのそれらの取り込みを増加させるためにフェニルアラニントランスポーター遺伝子をさらに含む。本発明はまた、遺伝子操作された細菌を含む医薬組成物、および高フェニルアラニン血症に関連する障害をモジュレートし、治療する方法も提供する。
本発明はまた、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ活性を測定およびモニターする方法、ならびにフェニルアラニンアンモニアリアーゼを発現する遺伝子操作された細菌の治療活性を測定およびモニターする方法を提供する。
フェニルケトン尿症(PKU)および高フェニルアラニン血症を特徴とする障害を治療するための合成生物を示した図である。 フェニルケトン尿症(PKU)におけるフェニルアラニンヒドロキシラーゼ作用の概略を示した図である。 フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)作用の概略を示した図である。 フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)作用の概略を示した図である。 L−アミノ酸デアミナーゼ(LAAD;例えば、プロテウス・ミラビリス由来)作用の概略を示した図である。 フェニルケトン尿症(PKU)および高フェニルアラニン血症を特徴とする障害を治療するための例示的な合成生物を示した図である。 フェニルケトン尿症(PKU)および高フェニルアラニン血症を特徴とする障害を治療するための例示的な合成生物を示した図である。 フェニルケトン尿症(PKU)および高フェニルアラニン血症を特徴とする障害を治療するための例示的な合成生物を示した図である。 例えば、SYN−PKU202、SYN−PKU303に含まれるように、高コピープラスミドにPAL3をコードする遺伝子およびTetプロモーター配列を含む構築物の1例の遺伝子構成を示した図である。 例えば、SYN−PKU304、SYN−PKU307、SYN−PKU305、SYN−PKU306に含まれるように、低コピープラスミドにPAL3をコードする遺伝子およびFNRプロモーター配列を含む構築物の1例の遺伝子構成を示した図である。 例えば、SYN−PKU302、SYN−PKU201のように、低コピープラスミドにPAL3をコードする遺伝子およびTetプロモーター配列を含む構築物の1例の遺伝子構成を示した図である。 Tetプロモーター配列の制御下のクローニングしたLAAD遺伝子およびTetリプレッサー遺伝子を含む、例えば、SYN−PKU401に含まれる構築物の1例の遺伝子構成を示した図である。 phePの第2のコピーをNissle lacZ遺伝子に挿入するために組み換えを使用する、phePノックイン株の構築物の概略を示した図である。 例えば、SYN−PKU203、SYN−PKU401、SYN−PKU402、SYN−PKU302およびSYN−PKU303に含まれるように、PhePをコードする遺伝子、TetRをコードする遺伝子および染色体挿入のためのTetプロモーター配列を含む構築物の1例の遺伝子構成を示した図である。 低コピーのカナマイシン耐性プラスミド(pSC101複製開始点)においてFNRプロモーター配列の制御下にクローニングしたPAL3遺伝子を含む構築物の1例の遺伝子構成を示した図である。嫌気的および/または低酸素条件下で、PAL3はフェニルアラニンを非毒性トランス−ケイ皮酸に分解する。 PfnrSプロモーターによって駆動され、Nissle染色体のlacZ座に挿入される内在性大腸菌高親和性フェニルアラニントランスポーター、phePの追加コピーを示した図である。 本開示の非限定的実施形態の概略を示した図である。大腸菌Nissle染色体に組み込まれたフェニルアラニン分解成分を示す。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたプラスミドを含まない細菌株を使用して、in vivoにおけるプラスミド接合を防ぐ。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子を多数挿入すると、コピー数の増加および/またはフェニルアラニン分解活性の増大が生じる。いくつかの実施形態では、内在性大腸菌高親和性フェニルアラニントランスポーター、phePのコピーは、PfnrSプロモーターによって駆動され、lacZ座に挿入される。 本開示の非限定一実施形態の概略図を示し、大腸菌Nissle染色体は、ゲノムの4つの異なる挿入部位(malE/K、yicS/nepI、agaI/rsmIおよびcea)に挿入されたPfnrS−PALの4個のコピーおよび異なる挿入部位(lacZ)に挿入されたフェニルアラニントランスポーター遺伝子の1個のコピーを含有するように遺伝子操作される。この実施形態では、PAL遺伝子はP.ルミネセンスから得られたPAL3で、フェニルアラニントランスポーター遺伝子は大腸菌由来のphePである。一実施形態では、株はSYN−PKU511である。 本開示の一実施形態の概略図を示し、大腸菌Nissle染色体は染色体の異なる組み込み部位(malE/K、yicS/nepI、malP/T、agaI/rsmIおよびcea)に挿入された酸素レベル依存性プロモーター(例えば、PfnrS−PAL3)の制御下にPALの5個のコピー、および染色体の異なる組み込み部位(lacZ)に挿入された酸素レベル依存性プロモーター(例えば、PfnrS−pheP)制御下にフェニルアラニントランスポーター遺伝子の1個のコピーを含有するように遺伝子操作される。ゲノムはさらに、thyA遺伝子が除去され、かつ/または無関係の遺伝子に置換されてthyA栄養要求性を含むように、ならびにカナマイシン耐性遺伝子を含むように遺伝子操作される。 例えば、SYN−PKU705に含まれるように、araCをコードする遺伝子およびプロテウス・ミラビリスのLAADをコードする遺伝子および染色体組み込み用の内在性アラビノースオペロンに染色体を挿入するためのアラビノース誘導性プロモーター(ParaBAD)配列を含む非制限的構築物の1例の遺伝子構成を示した図である。 無水テトラサイクリン(ATC)で誘導され、次にフェニルアラニン4mM(660000ng/mL)を補給した培地で増殖させた、低コピー(LC;SYN−PKU101)もしくは高コピー(HC;SYN−PKU102)プラスミドのPAL1または低コピー(LC;SYN−PKU201)もしくは高コピー(HC;SYN−PKU202)プラスミドのPAL3を発現する細菌を含む試料中のフェニルアラニン濃度を示した図である。試料は0時間、4時間および23時間後に取り出す。フェニルアラニン濃度は質量分析によって判定する。 誘導して4時間後および23時間後の試料中のケイ皮酸塩レベルを示す。PAL3発現株では、PAL3遺伝子は、大腸菌と同じ分類学的亜門の腸内細菌、フォトラブダス・ルミネセンスから得られる。 低コピー(LC)もしくは高コピー(HC)プラスミドのPAL1もしくはPAL3を発現する細菌か、または染色体に組み込まれたTetプロモーターによって駆動されるphePの1個のコピーをさらに含む細菌を含む試料におけるフェニルアラニン濃度を示した図である。細菌は、ATCで誘導し、次に、フェニルアラニン4mM(660000ng/mL)を補給した培地でOD600が2.0になるまで増殖させた。試料は、誘導して0時間後、2時間後および4時間後に取り出し、フェニルアラニン濃度は質量分析によって判定した。特に、phePの追加コピーによって、4時間でフェニルアラニン(4mM)の分解が促進された。 誘導して2時間後および4時間後の試料中のケイ皮酸塩レベルを示した図である。いくつかの実施形態では、ケイ皮酸塩は株の活性の代替的バイオマーカーとして使用することができる。PhePが過剰発現すると、遺伝子操作された細菌のフェニルアラニン代謝が改善される。この一連のデータで分析した株は、SYN−PKU101、SYN−PKU102、SYN−PKU202、SYN−PKU201、SYN−PKU401、SYN−PKU402、SYN−PKU203、SYN−PKU302、SYN−PKU303である。 非誘導条件下でのPAL構築物の非限定的な一実施形態を示した図である。酸素(O)による好気的条件下でFNRの二量体化を防ぎ、PALおよび/またはpheP遺伝子発現を活性化したことによる、比較的低いPALおよびPheP産生を示した図である。 誘導条件下でのPAL構築物の非限定的な一実施形態を示した図である。嫌気的条件下で、FNRが二量体化し、FNRプロモーターによってPALおよびphePの発現が誘導されたことによるPALおよびPheP産生の上方制御を示す(「PAL」および「pheP」上の不規則な曲線)。1つの長方形または長方形群の近くの矢印は、このような遺伝子(複数可)の(矢印の示す方向への)転写の駆動に関与するプロモーターを示す。各長方形の上の矢印は、各遺伝子の発現産物を示す。 表3で示したFNRプロモーターの例から選択されたFNRに関与するプロモーター(Pfnr1−5)からlacZを発現する低コピープラスミドを保有する細菌を含む試料中のβ−ガラクトシダーゼレベルを示した図である。様々なFNRに関与するプロモーターを使用して、様々な発現レベルおよびダイナミックレンジの嫌気性/低酸素条件下で誘導されるレポーターのライブラリーを作製した。これらのプロモーターは、強力なリボソーム結合部位を含んだ。細菌培養物は、好気的(+O)または嫌気的(−O)条件下で増殖させた。試料を4時間後に取り出し、β−ガラクトシダーゼレベルをベースにしたプロモーター活性は、標準β−ガラクトシダーゼ比色アッセイを実施することによって分析した。 FNRプロモーターの1例(PfnrS)の制御下のlacZ遺伝子の概略を示した図である。LacZはβ−ガラクトシダーゼ酵素をコードし、細菌における一般的なレポーター遺伝子である。 SYN−PKU904におけるβ−ガラクトシダーゼ活性の関数としてFNRプロモーター活性を示した図である。低コピーfnrS−lacZ融合遺伝子を保有する遺伝子操作された細菌株、SYN−PKU904を酸素の存在下または非存在下で増殖させた。標準β−ガラクトシダーゼ比色アッセイの値は、Miller単位(Miller、1972)で表す。これらのデータは、fnrSプロモーターが嫌気的および/または低酸素条件下で1時間以内に高レベルの遺伝子発現の駆動を開始することを示唆している。 酸素の存在下および非存在下の両方における、lacZを発現する細菌細胞培養物の経時的な増殖を示した図である。 野生型Nissleの試料、TetプロモーターもしくはFNRプロモーター例からPAL3を発現する低コピープラスミドを含む細菌またはTetプロモーターによって駆動され、染色体に組み込まれたphePの1個のコピーをさらに含む細菌の試料において、好気的条件下で産生されるフェニルアラニンレベルを示した図である。試料は、ATCおよびフェニルアラニン4mM(660000ng/mL)を補給した培地でインキュベートした。試料は、0時間後、2時間後、4時間後および24時間後に取り出した。フェニルアラニン濃度は、質量分析によって判定した。 野生型Nissleの試料、TetプロモーターもしくはFNRプロモーター例からPAL3を発現する低コピープラスミドを含む細菌またはTetプロモーターによって駆動され、染色体に組み込まれたphePの1個のコピーをさらに含む細菌の試料において、嫌気的および/または低酸素条件下で産生されるフェニルアラニンレベルを示した図である。試料は、ATCおよびフェニルアラニン4mM(660000ng/mL)を補給した培地でインキュベートした。試料は、0時間後、2時間後、4時間後および24時間後に取り出した。フェニルアラニン濃度は、質量分析によって判定した。これらのデータは、FNR応答性fnrSプロモーターは、嫌気的条件下でテトラサイクリン誘導性プロモーターのようにPAL3発現の活性化に有効であることを示唆している。 染色体にphePのコピーをさらに挿入した、または挿入しない合成プロバイオティクス株の培養物におけるフェニルアラニン濃度を示した図である。増殖して1.5時間後に、培養物を90%N、5%COおよび5%Hを供給したCoy嫌気性チャンバーに入れた。誘導から4時間後に、フェニルアラニン4mMを含有するアッセイ緩衝液に細菌を再懸濁した。質量分析によってフェニルアラニンを定量するために、細胞アッセイから一定量を30分毎に3時間取り出した。さらにphePのコピーを含む株(SYN−PKU304およびSYN−PKU305;左)のフェニルアラニン分解速度は、phePのコピーをさらに含まない株(SYN−PKU308およびSYN−PKU307;右)よりも高かった。 染色体の様々な位置に単一のPAL3挿入を含む株のトランス−ケイ皮酸塩濃度(PAL活性)を示した図である。 染色体の様々な位置に複数のPAL3挿入を含む株のトランス−ケイ皮酸塩濃度(PAL活性)を示した図である。 合成プロバイオティクス株SYN−PKU511の培養物における経時的なフェニルアラニン濃度を示した図である。増殖して2.5時間後に、培養物を90%N、5%COおよび5%Hを供給したCoy嫌気性チャンバーに入れた。フェニルアラニンを含有する培地中で3.5時間誘導した後、全細胞抽出物を30分毎に3時間にわたって調製し、フェニルアラニンを質量分析によって定量した。SYN−PKU511は、5つの染色体位置に組み込まれた、嫌気的に(FNR)制御されたフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)をコードする遺伝子の5個のコピーを含み、lacZ座に組み込まれた、嫌気的に制御された高親和性Pheトランスポーター(pheP)をコードする遺伝子を含む。 Tet誘導性プロモーターによって駆動されるLAADを有する高コピーpUC57−プラスミドを含む合成プロバイオティクス株、SYN−PKU401の培養物におけるフェニルアラニン濃度を示した図であり、細胞は振盪フラスコ中で37℃で増殖させ、対数期初期にTCAで2時間誘導した。細胞を遠心分離し、フェニルアラニンを含有するアッセイ緩衝液中に再懸濁した。細胞は、様々な細胞濃度および様々な酸素レベルで測定した。細胞は、14ml培養試験管内にて250rpmで振盪しながら好気的にインキュベートし(1ml)、微好気的条件では細胞(1ml)は1.7mlコニカルチューブ内で振盪せずにインキュベートし、または90%N 、5%CO および5%H を供給したCoy嫌気性チャンバー内で嫌気的にインキュベートした。質量分析によってフェニルアラニンを定量するために、細胞アッセイから一定量を30分毎に2時間取り出した。2つの細胞密度を使用した好気的条件下でのフェニルアラニン濃度を示す。AおよびBは、同じ実験条件下で繰り返した。好気的条件での活性は約50μmol/時間/1e9細胞である。 Tet誘導性プロモーターによって駆動されるLAADを有する高コピーpUC57−プラスミドを含む合成プロバイオティクス株、SYN−PKU401の培養物におけるフェニルアラニン濃度を示した図であり、細胞は振盪フラスコ中で37℃で増殖させ、対数期初期にTCAで2時間誘導した。細胞を遠心分離し、フェニルアラニンを含有するアッセイ緩衝液中に再懸濁した。細胞は、様々な細胞濃度および様々な酸素レベルで測定した。細胞は、14ml培養試験管内にて250rpmで振盪しながら好気的にインキュベートし(1ml)、微好気的条件では細胞(1ml)は1.7mlコニカルチューブ内で振盪せずにインキュベートし、または90%N 、5%CO および5%H を供給したCoy嫌気性チャンバー内で嫌気的にインキュベートした。質量分析によってフェニルアラニンを定量するために、細胞アッセイから一定量を30分毎に2時間取り出した。AおよびBは、同じ実験条件下で繰り返した。好気的、微好気的または嫌気的に増殖させた細胞のフェニルアラニン濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおける給餌前後のフェニルアラニン濃度を示した図である。試験開始時に、ホモ接合体BTBR−Pahenu2マウスにATC100マイクログラム/mLおよび5%スクロースを補給した水を投与した。固形飼料を撤去することによってマウスを一晩(10時間)絶食させ、フェニルアラニンの基準レベルを決定するために翌朝下顎を出血させて血液試料を収集した。マウスに再度固形飼料を与え、1時間後に細菌(SYN−PKU302または対照Nissle)100マイクロリットル(5×10CFU)を強制経口投与し、さらに2時間給餌した。血清フェニルアラニン濃度は、強制経口投与の2時間後に判定した。 給餌前後の血中フェニルアラニン濃度のパーセント(%)変化を雌または雄の群平均として示した図である(p<0.01)。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後の基準に対する血中フェニルアラニン濃度を示した図である。フェニルアラニン(0.1mg/群平均体重グラム)を注射して30分後および90分後に、マウスにHO(n=30)、SYN−PKU901(n=33)またはSYN−PKU303(n=34)200μLを強制経口投与した。フェニルアラニン注射の2時間後の血中フェニルアラニン濃度を示す。これらのデータは、遺伝子操作されたプロバイオティクス株SYN−PKU303を経口投与すると、モック処置(HO)または親株(SYN−PKU901)を投与したマウスと比較して、マウスの血中フェニルアラニンレベルが有意に低下することを示す(、p<0.05;***、p<0.001;****、p<0.00001)。SYN−PKU303は、フェニルアラニンの腸管再循環を妨害することができる。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後の基準に対する血中フェニルアラニン濃度を示した図である。フェニルアラニン(0.1mg/群平均体重グラム)を注射して30分後および90分後に、マウスにHO(n=30)、SYN−PKU901(n=33)またはSYN−PKU303(n=34)200μLを強制経口投与した。フェニルアラニン注射の4時間後の血中フェニルアラニン濃度を示す。これらのデータは、遺伝子操作されたプロバイオティクス株SYN−PKU303を経口投与すると、モック処置(HO)または親株(SYN−PKU901)を投与したマウスと比較して、マウスの血中フェニルアラニンレベルが有意に低下することを示す(、p<0.05;***、p<0.001;****、p<0.00001)。SYN−PKU303は、フェニルアラニンの腸管再循環を妨害することができる。 図28は、PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後の基準に対する血中フェニルアラニン濃度を示した図である。フェニルアラニン(0.1mg/群平均体重グラム)を注射して30分後および90分後に、マウスにHO(n=30)、SYN−PKU901(n=33)、SYN−PKU303(n=34)またはSYN−PKU304(n=34)200μLを強制経口投与した。フェニルアラニン注射後の血中フェニルアラニン濃度は、SYN−PKU304(fnrS−PALを含有する低コピープラスミド)が腸管再循環モデルにおける循環Pheレベルの低下において少なくともSYN−PKU303(Tet−PALを含有する高コピープラスミド)と同じくらい有効であることを示している。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後の基準に対する血中フェニルアラニン濃度を示した図である。フェニルアラニン(0.1mg/平均群体重グラム)を注射して30分後および90分後に、マウスにHO、SYN−PKU901、SYN−PKU303またはSYN−PKU304を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の2時間後の血中フェニルアラニン濃度を示す。これらのデータは、遺伝子操作されたプロバイオティクス株SYN−PKU303およびSYN−PKU304を経口投与すると、モック処置(HO)または親株(SYN−PKU901)を投与したマウスと比較して、マウスの血中フェニルアラニンレベルが有意に低下することを示す( 、p<0.05; ** 、p<0.01; *** 、p<0.001; **** 、p<0.0001)。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後の基準に対する血中フェニルアラニン濃度を示した図である。フェニルアラニン(0.1mg/群平均体重グラム)を注射して30分後および90分後に、マウスにHO、SYN−PKU901、SYN−PKU303またはSYN−PKU304を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の4時間後の血中フェニルアラニン濃度を示す。これらのデータは、遺伝子操作されたプロバイオティクス株SYN−PKU303およびSYN−PKU304を経口投与すると、モック処置(HO)または親株(SYN−PKU901)を投与したマウスと比較して、マウスの血中フェニルアラニンレベルが有意に低下することを示す( 、p<0.05; ** 、p<0.01; *** 、p<0.001; **** 、p<0.0001)。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後の基準に対する血中フェニルアラニン濃度を示した図である。フェニルアラニン(0.1mg/平均群体重グラム)を注射して30分後および90分後に、マウスにHO、SYN−PKU901、SYN−PKU303またはSYN−PKU304を強制経口投与した。図29Aで示したデータの散布図を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後の基準に対する血中フェニルアラニン濃度を示した図である。フェニルアラニン(0.1mg/平均群体重グラム)を注射して30分後および90分後に、マウスにHO、SYN−PKU901、SYN−PKU303またはSYN−PKU304を強制経口投与した。図29Bで示したデータの散布図を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後の基準に対する血中フェニルアラニン濃度を示した図である。フェニルアラニン(0.1mg/群平均体重グラム)を注射して30分後および90分後に、マウスにHO(n=12)200μL、SYN−PKU901(n=12)200μLまたはSYN−PKU304を100、200もしくは400μL(各投与群においてn=12)を強制経口投与した。SYN−PKU304処置したマウスのモック処置(HO)または親株(SYN−PKU901)を投与したマウスと比較した血中フェニルアラニンレベルの用量依存的減少を示している(30%減少;p<0.05)。この実験は、これと同じ計画の8つの研究の1つを表しており、それぞれはSYN−PKU304が腸管再循環フェニルアラニンを妨害することができることを示している。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後の基準に対する血中フェニルアラニン濃度を示した図である。フェニルアラニン(0.1mg/群平均体重グラム)を注射して30分後および90分後に、マウスにHO(n=12)200μL、SYN−PKU901(n=12)200μLまたはSYN−PKU304を100、200もしくは400μL(各投与群においてn=12)を強制経口投与した。SYN−PKU304処置したマウスのモック処置(HO)または親株(SYN−PKU901)を投与したマウスと比較した血中フェニルアラニンレベルの用量依存的減少を示している(30%減少;p<0.05)。この実験は、これと同じ計画の8つの研究の1つを表しており、それぞれはSYN−PKU304が腸管再循環フェニルアラニンを妨害することができることを示している。 PKU特異的フェニルアラニン代謝物の概略を示した図である。機能的PAHの非存在下でのフェニルアラニンからフェニルピルビン酸およびフェニル乳酸への変換の概略を示す。これらの代謝物は、実施例24〜26に記載したように質量分析によって、またはその他の手段によって検出することができる。 PAL特異的フェニルアラニン代謝物の概略を示した図である。PAL3によるフェニルアラニンからトランス−ケイ皮酸への変換の概略を示しており、これは肝酵素によって馬尿酸にさらに代謝される。これらの代謝物は、実施例24〜26に記載したように質量分析によって、またはその他の手段によって検出することができる。 基準に対する血中フェニルアラニン濃度およびフェニルアラニンの濃度を示した図である。フェニルアラニンを注射して30分後および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=12)、SYN−PKU901(n=12)、またはSYN−PKU304(n=12)800μL(2.9e10cfu/マウス)を強制経口投与した。基準に対する血中フェニルアラニン濃度を示し、SYN−PKU304の総代謝活性は81.2μmol/時間と算出され、SYN−PKU901に対する全低下量Δpheは45%であった(P<0.05)。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニンを注射して30分後および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=12)、SYN−PKU901(n=12)、またはSYN−PKU304(n=12)800μL(2.9e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後の血中フェニルアラニン濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニンを注射して30分後および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=12)、SYN−PKU901(n=12)、またはSYN−PKU304(n=12)800μL(2.9e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後の血中フェニルピルビン酸濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニンを注射して30分後および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=12)、SYN−PKU901(n=12)、またはSYN−PKU304(n=12)800μL(2.9e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後の血中フェニル乳酸濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニンを注射して30分後および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=12)、SYN−PKU901(n=12)、またはSYN−PKU304(n=12)800μL(2.9e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後の血中t−ケイ皮酸濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニンを注射して30分後および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=12)、SYN−PKU901(n=12)、またはSYN−PKU304(n=12)800μL(2.9e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後の血中馬尿酸濃度を示す。 基準に対する血中フェニルアラニン濃度およびフェニルアラニンの濃度を示した図である。フェニルアラニン注射の30分後および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=9)、SYN−PKU801(n=12)、またはSYN−PKU517(n=12)800μL(3.6e10cfu/マウス)を強制経口投与した。基準に対する血中フェニルアラニン濃度を示し、SYN−PKU517の総代謝活性は39.6μmol/時間と算出され、SYN−PKU801に対する全低下量Δpheは17%であった(P<0.05)。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニン注射の30分後および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=9)、SYN−PKU801(n=12)、またはSYN−PKU517(n=12)800μL(3.6e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後の血中フェニルアラニン濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニン注射の30分後および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=9)、SYN−PKU801(n=12)、またはSYN−PKU517(n=12)800μL(3.6e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後の血中フェニルピルビン酸濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニン注射の30分後および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=9)、SYN−PKU801(n=12)、またはSYN−PKU517(n=12)800μL(3.6e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後の血中フェニル乳酸濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニン注射の30分後および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=9)、SYN−PKU801(n=12)、またはSYN−PKU517(n=12)800μL(3.6e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後のt−ケイ皮酸濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニン注射の30分後および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=9)、SYN−PKU801(n=12)、またはSYN−PKU517(n=12)800μL(3.6e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後の血中馬尿酸濃度を示す。 基準に対する血中フェニルアラニン濃度およびフェニルアラニンの濃度を示した図である。フェニルアラニン注射の30分および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=12)、SYN−PKU901(n=12)、またはSYN−PKU705(n=12)800μL(3.6e10cfu/マウス)を強制経口投与した。基準に対する血中フェニルアラニン濃度を示し、SYN−PKU705の総代謝活性は133.2μmol/時間と算出され、SYN−PKU901に対する全低下量Δpheは30%であった(P<0.05)。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニン注射の30分および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=12)、SYN−PKU901(n=12)、またはSYN−PKU705(n=12)8μL(3.6e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後の血中フェニルアラニン濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニン注射の30分および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=12)、SYN−PKU901(n=12)、またはSYN−PKU705(n=12)8μL(3.6e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後の血中フェニルピルビン酸濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニン注射の30分および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=12)、SYN−PKU901(n=12)、またはSYN−PKU705(n=12)8μL(3.6e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後の血中フェニル乳酸濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニン注射の30分および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=12)、SYN−PKU901(n=12)、またはSYN−PKU705(n=12)8μL(3.6e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後の血中t−ケイ皮酸濃度を示す PKUのin vivoマウスモデルにおけるフェニルアラニン皮下曝露後のフェニルアラニンおよびPKU特異的代謝物およびPAL特異的代謝物の絶対値を示した図である。フェニルアラニン注射の30分および90分後に、マウスにHOを全部で800μL(n=12)、SYN−PKU901(n=12)、またはSYN−PKU705(n=12)8μL(3.6e10cfu/マウス)を強制経口投与した。フェニルアラニン注射の0時間後および4時間後の血中馬尿酸濃度を示す。 フェニルアラニン、ならびに、活性が増加したPAL酵素を選択するための標的を絞らないアプローチに有用な2つの毒性類似体、p−フルオロ−DL−フェニルアラニンおよびo−フルオロ−DL−フェニルアラニンを示した図である。P−フルオロ−DL−フェニルアラニンおよびo−フルオロ−DL−フェニルアラニンはフェニルアラニンの代わりに細胞タンパク質に組み込まれ、細胞死を引き起こす。これらの化合物は、PhePによって容易に取り込まれ、以下に示したようにPALの基質となることができるので、Phe消費活性が改善した株を同定するための遺伝子選択およびスクリーニングにおいて使用することができる。より効率的なPAL代謝を可能にする突然変異は、フェニルアラニン類似体の細胞タンパク質への組み込みを妨害することができ、したがって高濃度の類似体の下での増殖を可能にする。 フェニルアラニンまたは種々のフェニルアラニン含有ペプチドを基質として用いたときの、トランス−ケイ皮酸の生成速度を示す棒グラフである。結果は、PKU株がジペプチドおよびトリペプチドの形態であっても迅速にPheを分解できたこと、ならびに食餌タンパク質はジペプチドおよびトリペプチドに分解されて細菌基質として利用可能であろうから、遺伝子操作された細菌は食物とともに投与され得ることを示す。 in vitroにおけるフェニルアラニン分解速度に対する、pheP、PALの様々なコピー数、およびLAADのさらなる添加の効果を示す棒グラフである。結果は、PALのコピー数を増加させると、フェニルアラニン分解速度が増加することを証明している。高親和性トランスポーターphePの添加により、輸送制限が無効化され、より高いPAL活性が得られる。トランスポーターのコピー数は速度を増加させない(トランスポート(pheP)ではなく、PALが制限的である)。酸素の存在下では、LAADはPheを極めて高い速度で分解することができる。 フェニルアラニン腸管再循環モデルの特性評価の測定値を示す棒グラフである。Pheを含まない固形飼料でPKUマウスを維持し、T=0でフェニルアラニン(0.1mg/kg体重)を皮下注射した。注射後の血清フェニルアラニン(Phe)の動態を決定するため、示された時点で血液の採取を行った。マウス血液中の全フェニルアラニン(Phe)レベルの分布を示すウィスカープロットである。 フェニルアラニン腸管再循環モデルの特性評価の測定値を示す棒グラフである。Pheを含まない固形飼料でPKUマウスを維持し、T=0でフェニルアラニン(0.1mg/kg体重)を皮下注射した。注射後の血清フェニルアラニン(Phe)の動態を決定するため、示された時点で血液の採取を行った。マウス血液中のフェニルアラニン(Phe)レベルについて、T0からのPheレベルの変化の分布を示すウィスカープロットである。 フェニルアラニン腸管再循環モデルの特性評価の測定値を示す棒グラフである。Pheを含まない固形飼料でPKUマウスを維持し、T=0でフェニルアラニン(0.1mg/kg体重)を皮下注射した。注射後の血清フェニルアラニン(Phe)の動態を決定するため、示された時点で血液の採取を行った。Pheレベルが、少なくとも6時間にわたって安定して上昇することを示している。 PKU(enu2)マウスモデルにおける再循環の程度を決定するために、皮下への13C−Pheチャレンジ時に測定された総標識フェニルアラニン濃度を示すグラフである。T0において、0.1mg/kgの13C6−Pheを注射するまで、すべてのマウスを低Phe水とともにPheフリーの飼料で維持した。血液および腸溶出液を0、20分および2時間の時点で採取し、フェニルアラニン濃度をLC−MSによって決定した。標識された13C−Pheの腸内再循環の発生を確認した。さらに、非標識Pheの濃度決定も行ったところ、高レベルの既存の(非標識)フェニルアラニンが小腸で検出された(データは示さず)。 野生型およびenu2−/−マウスにおいて、種々の区画中のアミノ酸含量を示すグラフである。血液中のアミノ酸含有量の測定値を示す。予想される通り、フェニルアラニン(Phe)のレベルは、enu2−/−の血液中で高かった。野生型マウスとenu2−/−マウスとの間で、他に大きな違いは見られなかった。 野生型およびenu2−/−マウスにおいて、種々の区画中のアミノ酸含量を示すグラフである。小腸のアミノ酸含有量の測定値を示す。予想される通り、フェニルアラニン(Phe)のレベルは、enu2−/−の血液中で高かった。野生型マウスとenu2−/−マウスとの間で、他に大きな違いは見られなかった。 野生型およびenu2−/−マウスにおいて、種々の区画中のアミノ酸含量を示すグラフである。大腸のアミノ酸含量の測定値を示す。予想される通り、フェニルアラニン(Phe)のレベルは、enu2−/−の血液中で高かった。野生型マウスとenu2−/−マウスとの間で、他に大きな違いは見られなかった。 PKUの高速食餌モデルにおける、低コピーPfnrS−PAL、染色体PfnrS−pheP(SYN−PKU305)を含む菌株の強制投与による、フェニルアラニンの絶対濃度を示すグラフである。このモデルでは、Enu2マウスは、投与の時点まで通常の固形飼料で飼育を続けた。食餌はT0で取り除かれる。マウスに3時間にわたって1時間毎に(合計4回の投与、0、1、2、3時間)投与し、血清Phe濃度を決定するために4時間目に採血した。プロバイオティクス(SYN−PKU305)処理マウスは、血清Pheのより急速な低下を示す。 PKUの高速食餌モデルにおける、低コピーPfnrS−PAL、染色体PfnrS−pheP(SYN−PKU305)を含む菌株の強制投与による、ベースラインに対するフェニルアラニンの変化を示すグラフである。このモデルでは、Enu2マウスは、投与の時点まで通常の固形飼料で飼育を続けた。食餌はT0で取り除かれる。マウスに3時間にわたって1時間毎に(合計4回の投与、0、1、2、3時間)投与し、血清Phe濃度を決定するために4時間目に採血した。プロバイオティクス(SYN−PKU305)処理マウスは、血清Pheのより急速な低下を示す。 Pheチャレンジ後において、飲用水中に担体としてのゼラチンとともに含まれるSYN−PKU305(低コピーpSC101−PfnrS−PAL3、および染色体lacZ::PfnrS−phePを含む)を投与した効果を示すグラフである(5e9細胞/ml)。実験中、Enu2マウスは通常の固形飼料で飼育した。 Pheチャレンジ後において、飲用水中に担体としてのゼラチンとともに含まれるSYN−PKU305(低コピーpSC101−PfnrS−PAL3、および染色体lacZ::PfnrS−phePを含む)を投与した効果を示すグラフである(5e9細胞/ml)。実験中、Enu2マウスは通常の固形飼料で飼育した。 in vitroとin vitroの活性が相関しているが、deltaPheの減少が約50%で、in vivo活性が最大に達することを示す表である。 in vitroとin vitroの活性が相関しているが、deltaPheの減少が約50%で、in vivo活性が最大に達することを示す線グラフである。 PKUのin vivoマウスモデルにおける、皮下へのフェニルアラニンチャレンジ後の血液中のトランス−ケイ皮酸(TCA)濃度を示す棒グラフである。フェニルアラニン注射の1、2および3時間後に、マウスに以下を強制経口投与した:合計750μLのH2O(n=12)、SYN−PKU901(ストレプトマイシン耐性Nissle;n=12;3×250μl、3回の強制投与で合計1×10e11 cfu/マウス)、または750μLのSYN−PKU706(以下を含む。PALの2つの染色体挿入(2XfnrS−PAL(malEK、malPT))、およびphePの2つの染色体挿入(2XfnrS−pheP(lacZ、HA1/2))、およびLAADの1つの染色体(Para::LAAD)、およびdapA栄養要求性、およびクロラムフェニコール耐性;n=12;3×250μl;3回の強制投与で合計1×10e11 cfu/マウス)。フェニルアラニン注入の0時間および4時間後における血清中のTCA濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおける、皮下へのフェニルアラニンチャレンジ後の血液中の馬尿酸濃度を示す棒グラフである。フェニルアラニン注射の1、2および3時間後に、マウスに以下を強制経口投与した:合計750μLのH2O(n=12)、SYN−PKU901(ストレプトマイシン耐性Nissle;n=12;3×250μl、3回の強制投与で合計1×10e11 cfu/マウス)、または750μLのSYN−PKU706(以下を含む。PALの2つの染色体挿入(2XfnrS−PAL(malEK、malPT))、およびphePの2つの染色体挿入(2XfnrS−pheP(lacZ、HA1/2))、およびLAADの1つの染色体(Para::LAAD)、およびdapA栄養要求性、およびクロラムフェニコール耐性;n=12;3×250μl;3回の強制投与で合計1×10e11 cfu/マウス)。フェニルアラニン注入の0時間および4時間後における血清中の馬尿酸濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおける、皮下へのフェニルアラニンチャレンジ後の尿中のトランス−ケイ皮酸(TCA)濃度を示す棒グラフである。フェニルアラニン注射の1、2および3時間後に、マウスに以下を強制経口投与した:合計750μLのH2O(n=12)、SYN−PKU901(ストレプトマイシン耐性Nissle;n=12;3×250μl、3回の強制投与で合計1×10e11 cfu/マウス)、または750μLのSYN−PKU706(以下を含む。PALの2つの染色体挿入(2XfnrS−PAL(malEK、malPT))、およびphePの2つの染色体挿入(2XfnrS−pheP(lacZ、HA1/2))、およびLAADの1つの染色体(Para::LAAD)、およびdapA栄養要求性、およびクロラムフェニコール耐性;n=12;3×250μl;3回の強制投与で合計1×10e11 cfu/マウス)。フェニルアラニン注入の4時間後における尿中のTCA濃度を示す。 PKUのin vivoマウスモデルにおける、皮下へのフェニルアラニンチャレンジ後の尿中の馬尿酸濃度を示す棒グラフである。フェニルアラニン注射の1、2および3時間後に、マウスに以下を強制経口投与した:合計750μLのH2O(n=12)、SYN−PKU901(ストレプトマイシン耐性Nissle;n=12;3×250μl、3回の強制投与で合計1×10e11 cfu/マウス)、または750μLのSYN−PKU706(以下を含む。PALの2つの染色体挿入(2XfnrS−PAL(malEK、malPT))、およびphePの2つの染色体挿入(2XfnrS−pheP(lacZ、HA1/2))、およびLAADの1つの染色体(Para::LAAD)、およびdapA栄養要求性、およびクロラムフェニコール耐性;n=12;3×250μl;3回の強制投与で合計1×10e11 cfu/マウス)。フェニルアラニン注入の4時間後における尿中の馬尿酸濃度を示す。低レベルのTCAが尿および血清の両方に存在した。それよりさらに低いレベルの馬尿酸が血清中から検出された。尿中の馬尿酸について最も高いレベルが検出された。これは、細菌によって生成されたTCAの大部分が、肝臓で馬尿酸に変換され、尿中に排泄されることを示している。他の有効なPKU株を投与する際にも、同様のレベルの代謝産物が尿中において測定された。 TCA(0.0125、0.025、0.05、または0.1mg/g TCA)の強制経口投与の4時間後に回収されたTCA量を示す図である。PKUマウスに、0.0125、0.025、0.05、または0.1mg/gのTCA(1ケージにつき3匹のマウス、1群につき2ケージ)を強制経口投与した。強制経口投与の4時間後に、尿、糞便および血液を収集し、TCAおよびその主要分解産物である馬尿酸を分析した。血液および糞便からは、有意な量のTCAおよび馬尿酸は検出されなかった(データは示さない)。観察の結果、馬尿酸の形態でTCAがほぼ完全に回収されることが明らかになった。これらのデータは、尿中に見出される1molの馬尿酸が、PKU株の投与時にPKUマウスの小腸でTCAに変換された1molのPheに等しいことを示す。 TCA(0.0125、0.025、0.05、または0.1mg/g TCA)の強制経口投与の4時間後に回収された馬尿酸量を示す図である。 PKUマウス(enu2−/−)において、Pheチャレンジ後の6時間にわたるTCAの馬尿酸への変換の動態を示すグラフである。動物を代謝ケージ(1ケージにつき3匹のマウス、1群につき2ケージ)に移し、TCA投与の1、2、3、4、5、6時間後に尿サンプルを収集した。TCAは馬尿酸に変換され、4時間後までに尿中に排泄される。 本開示の遺伝子操作された細菌染色体の非限定的な実施形態の模式図である。大腸菌Nissle染色体に組み込まれたフェニルアラニン分解コンポーネントを含む例示的な細菌染色体の遺伝子構成の概略図を示す。SYN−PKU707は、PAL3の3つの染色体挿入(3XfnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K))および2コピーのpheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI))を含む。SYN−PKU707は、さらに変異FNR転写因子、すなわちFNRS24Yの1コピー(Para::FNRS24Y)を含む。 本開示の遺伝子操作された細菌染色体の非限定的な実施形態の模式図である。例示的な細菌染色体の遺伝子構成(例えば、SYN−PKU708株に見られるような)の概略図を示す。細菌染色体は、PAL3の3つの染色体挿入(3XfnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K))および2コピーのpheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI))を含む。細菌染色体は、変異FNR転写因子、すなわちFNRS24Yの1コピー(Para::FNRS24Y)と、同じ挿入部位(アラビノースオペロン)に挿入されたLAADの1コピーを含み、内在性アラビノースプロモーターからバイシストロニックメッセージで転写される。細菌染色体はさらにdapA栄養要求性(deltaDapA)を含む。 本開示の遺伝子操作された細菌染色体の非限定的な実施形態の模式図である。例示的な細菌染色体の遺伝子構成(例えば、SYN−PKU709に見られるような)の概略図を示す。細菌染色体は、PAL3の3つの挿入(3XfnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K))および2コピーのpheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI))を含む。細菌染色体は1コピーのLAADをさらに含み、当該LAADはアラビノースオペロンに挿入され、天然のParaプロモーター(Para::LAAD)によって発現が駆動される。dapA遺伝子が欠失しdapA栄養要求性を含むように、ゲノムはさらに改変される。 本開示の遺伝子操作された細菌染色体の非限定的な実施形態の模式図である。例示的な細菌染色体の遺伝子構成(例えば、SYN−PKU710に見られるような)の概略図を示す。細菌染色体は、PAL3の3つの挿入(3XfnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K))および2コピーのpheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI))を含む。細菌染色体は1コピーのLAADをさらに含み、当該LAADはアラビノースオペロンに挿入され、天然のParaプロモーター(Para::LAAD)によって発現が駆動される。細菌染色体は、2コピーのIPTG誘導性PAL3(2XLacIPAL、exo/ceaおよびrhtC/rhtB)、dapA栄養要求性をさらに含み、すべての抗生物質耐性が治癒される。 本開示の遺伝子操作された細菌染色体の非限定的な実施形態の模式図である。例示的な細菌染色体の遺伝子構成(例えば、SYN−PKU712に見られるような)の概略図を示す。SYN−PKU712は、本質的にdapA栄養要求性を有するSYN−PKU707に対応する。細菌染色体は、ノックインされたPara−FNRS24YおよびdeltadapA(DAP栄養要求性)とともに、染色体に組み込まれた3コピーのfnrSPAL3と2コピーのfnrSphePを含む。SYN−PKU712は、本質的にdapA栄養要求性を有するSYN−PKU707に対応する。 本開示の遺伝子操作された細菌染色体の非限定的な実施形態の模式図である。例示的な細菌染色体の遺伝子構成(例えば、SYN−PKU711に見られるような)の概略図を示す。SYN−PKU711は、本質的にdapA栄養要求性のないSYN−PKU708に対応する。細菌染色体は、染色体に組み込まれた3コピーの−fnrSPAL3と2コピーのfnrSpheP、およびノックインされたPara−FNRS24Y−LAADを含む。 例示的な構築物の遺伝子構成を示す図である。アラビノース誘導性プロモーターによって駆動されるFNRS24Yおよび逆方向のaraCを含む構築物を示す。SYN−PKU707およびSYN−PKU712は、そのような構築物(アラビノースオペロンに組み込まれた)を含む株の例である。例示的配列には配列番号64が含まれる。いくつかの実施形態では、図50に示す酸素バイパススイッチの一部としてFNRS24Y発現(図48Aまたは図48Bに示される構築物から)が誘導される。いくつかの実施形態では、図の構築物は、低酸素誘導性PAL3、pheP、および/またはLAAD構築物と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、構築物はプラスミド、例えば低コピーまたは高コピープラスミド上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物は、バイオセイフティーシステムのプラスミドコンポーネント上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物は、1つ以上の位置で細菌染色体に組み込まれる。非限定的な例において、図の構築物は、大腸菌アラビノースオペロンにノックインされ、内在性アラビノースプロモーターによって駆動される。 例示的な構築物の遺伝子構成を示す図である。FNRS24YおよびLAADが、アラビノース誘導性プロモーターからバイシストロニックメッセージで発現される構築物を示す。AraCは逆向きに転写される。SYN−PKU708は、そのような構築物(アラビノースオペロンに組み込まれている)を含む株の例である。例示的な配列には、配列番号73が含まれる。いくつかの実施形態では、図50に示す酸素バイパススイッチの一部としてFNRS24Y発現(図48Aまたは図48Bに示される構築物から)が誘導される。いくつかの実施形態では、図の構築物は、低酸素誘導性PAL3、pheP、および/またはLAAD構築物と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、構築物はプラスミド、例えば低コピーまたは高コピープラスミド上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物は、バイオセイフティーシステムのプラスミドコンポーネント上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物は、1つ以上の位置で細菌染色体に組み込まれる。非限定的な例において、図の構築物は、大腸菌アラビノースオペロンにノックインされ、内在性アラビノースプロモーターによって駆動される。 逆向きのLacI、およびPAL3の発現を駆動するIPTG誘導性プロモーターを含む例示的な構築物の遺伝子構成を示す。SYN−PKU710は、このような構築物を含む菌株の非限定的な例である。SYN−PKU710では、lacPALがexo/cea遺伝子座に挿入されている。例示的な配列には、配列番号74が含まれる。いくつかの実施形態では、好気性条件下および誘導物質(例えば、IPTG)の存在下で、in vivo投与前に治療菌株をプレ誘導およびプレローディングにするのに、当該構築物は有用である。いくつかの実施形態では、この構築物は単独で使用される。いくつかの実施形態において、この構築物は、他の構成的または誘導性PAL3構築物(例えば、低酸素、アラビノースまたはIPTGによって誘導される構築物)と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、当該構築物は、in vivo環境で活性な低酸素誘導性構築物と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、構築物はプラスミド上、例えば低コピープラスミドまたは高コピープラスミド上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物はバイオセイフティーシステムのプラスミド構成要素上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物は1つ以上の位置で細菌染色体に組み込まれる。いくつかの実施形態において、構築物はPheP構築物と組み合わせて使用され、該PheP構築物はプラスミド上に提供されるか、または1つ以上の位置で細菌染色体に組み込まれるかのいずれかであり得る。PheP発現は、構成的であり得るか、または誘導性プロモーター、例えば、低酸素、アラビノース、もしくはIPTGによって駆動され得る。いくつかの実施形態では、構築物はLAAD発現構築物と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、構築物PAL3配列はフォトラブダス・ルミネセンス(Phororhabdus chemiluminescens)由来のオリジナル配列である。いくつかの実施形態では、PAL3配列は、大腸菌での発現用にコドン最適化されている。いくつかの実施形態では、構築物はプラスミド上、例えば低コピープラスミドまたは高コピープラスミド上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物は、図61A、図61B、図61C、および図61Dに示されるシステムのようなバイオセイフティーシステムに用いられる。いくつかの実施形態では、構築物は、本明細書に記載の1つ以上の位置でゲノムに組み込まれる。 in vitroの培養容器中(例えば、細胞増殖、細胞拡大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造の間に使用される、例えばフラスコ、発酵槽または他の容器)にあって、低酸素FNRプロモーターの制御下に1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーターを含む株の好気性プレ誘導に有用な「酸素バイパススイッチ」を示す図である。いくつかの実施形態では、菌株の投与前に、活性PME、例えば、PAL3および/またはLAADで菌株をプレロードすることが望ましい。これは、菌株の増殖(例えば、フラスコ、発酵槽または他の適切な容器内で)およびin vivo投与のための調製を行う際に、前記酵素の発現をプレ誘導しておくことによってなしうる。いくつかの実施形態では、例えば、FNRプロモーター活性を誘導し、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーターの発現を駆動するために、菌株は嫌気性および/または低酸素条件下で誘導される。いくつかの実施形態では、好気性または微好気性条件下で菌株の調製、プレロードおよびプレ誘導を行うことが望ましい。これによって、より効率的な増殖が可能になり、場合によっては、毒性のある代謝産物の蓄積が減少するFNRS24YはFNRの突然変異型で、酸素による不活性化への耐性がより高く、したがって好気性条件下でFNRプロモーターを活性化することができる(例えば、Jervis AJ、Proc Natl Acad Sci USA、2009年3月24日、106巻(12号):4659−64頁、「The O2 sensitivity of the transcription factor FNR is controlled by Ser24 modulating the kinetics of [4Fe−4S] to [2Fe−2S] conversion」を参照。また、その内容は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。)。Proc Natl Acad Sci USA、2009年3月24日、106巻(12号):4659−64頁、「The O2 sensitivity of the transcription factor FNR is controlled by Ser24 modulating the kinetics of [4Fe−4S] to [2Fe−2S] conversion」を参照。また、その内容は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。)。上記の酸素バイパスシステムでは、FNRS24Yがアラビノースの添加によって誘導され、好気的条件下でFNRプロモーターに結合および活性化をすることによって、PAL3およびphePの発現を駆動する。したがって、当該システムでは、強力なFNRプロモーターを利用することによって、PALおよびPhePの高レベル発現が得られるので、効果的にプレ誘導およびプレローディングされている間に、好気性条件下で効率的に菌株を増殖、生産または製造することができる。変異FNRS24Yがアラビノースの非存在下ではもはや発現せず、野生型FNRがFNRプロモーターに結合して、in vivoでPAL3およびPhePの発現を駆動するので、上記システムはin vivo活性化への干渉または妥協化をすることはない。上記システムはまた、菌株の生産中に、FNRプロモーターからLAAD発現を駆動するために使用することができる(図示せず)。本明細書中に記載される他の実施形態において、LAAD発現はまた、好気的に、例えば、アラビノースによって誘導することができる。したがって、いくつかの実施形態では、LAADおよびFNRS24Yは、同時に誘導することができる。いくつかの実施形態では、FNRS24YおよびLAADは、バイシストロニックメッセージで転写され、その発現はアラビノースプロモーターによって駆動される。いくつかの実施形態では、FNRS24Yはアラビノースオペロンにノックインされ、内在性Paraプロモーターからの発現が可能になる。いくつかの実施形態において、FNRS24Y−LAADは、アラビノースオペロンにノックインされ、内在性Paraプロモーターからの発現が可能になる。いくつかの実施形態では、LacIプロモーターおよびIPTG誘導が上記システムにおいて使用される(Paraおよびアラビノース誘導の代わりに)。いくつかの実施形態では、ラムノース誘導性プロモーターが上記システムにおいて使用される。いくつかの実施形態では、FNRS24Yの発現を駆動するために、温度感受性プロモーターが使用される。 トランス−ケイ皮酸(TCA)の生成速度によって測定されたSYN−PKU707(3XP fnrS −PAL3; 2XP fnrS pheP; P ara −fnr S24Y )のin vitroにおけるPAL活性を示す棒グラフである。細胞は、アラビノースの存在下または非存在下で好気的または嫌気的に誘導された。培養物を10ml、20ml、または30mlのフラスコ中で増殖させた。fnrS24Yのアラビノース誘導性発現は、10ml、20ml、または30mlのフラスコ内の好気性条件下において、高レベルの活性をもたらす。さらに、嫌気性条件下で、アラビノースの非存在下における活性化が維持される。これらの結果は、当該株が、in vivo投与前に、好気性条件下で効率的にプレ誘導されることを示す。これらの結果はまた、アラビノースなしでの嫌気的活性化、例えば「in vivo」活性化が、当該株において保存されている可能性があることを示している。 PKUのin vivoマウスモデルにおける皮下フェニルアラニンチャレンジ後のベースラインに対する血中フェニルアラニン濃度を示す棒グラフである。フェニルアラニン注射の1、2および3時間後に、マウスに合計750μLのH2O(n=9)、SYN−PKU901(n=9)、または800μLのSYN−PKU707(n=9)(1X10e11 cfu/マウス)を3回強制経口投与し、注射の4時間後に血液および尿を採取した。ベースラインに対する血中フェニルアラニン濃度を示す;SYN−PKU707の総代謝活性は269μmol/時間として計算され、Δpheの総減少はSYN−PKU901(P<0.05)に対して49%(P<0.05)であった。 PKUのin vivoマウスモデルにおいて、皮下フェニルアラニンチャレンジ後に尿から回収された馬尿酸の絶対値を示す棒グラフある。フェニルアラニン注射の1、2および3時間後に、マウスに合計750μLのH2O(n=9)、SYN−PKU901(n=9)、または800μLのSYN−PKU707(n=9)(1X10e11 cfu/マウス)を3回強制経口投与し、注射の4時間後に血液および尿を採取した。フェニルアラニン注射の4時間後の尿中の馬尿酸濃度を示す。これらの結果は、注射したフェニルアラニンの約15〜20%が馬尿酸に変換されることを示している。フェニルアラニンは小腸でTCAに変換され、TCAは肝臓で馬尿酸に変換される。 SYN−PKU707を3回強制投与したマウスへの放射標識フェニルアラニンの皮下(SC)注射後における、尿中の非標識馬尿酸の絶対量の回復を示すグラフである。重Pheの皮下(SC)注射に続いて(注射後1、2および3時間)、代謝ケージ(3匹のマウス/ケージ;3ケージ/群)内のマウスにSYN1780を3回強制投与した。 SYN−PKU707を3回強制投与したマウスへの放射標識フェニルアラニンの皮下(SC)注射後における、尿中の標識馬尿酸の絶対量の回復を示すグラフである。重Pheの皮下(SC)注射に続いて(注射後1、2および3時間)、代謝ケージ(3匹のマウス/ケージ;3ケージ/群)内のマウスにSYN1780を3回強制投与した。 PheチャレンジのT0、2、4、6および8時間後におけるPKU株SYN−PKU707株の単回投与後に、尿中から回収された馬尿酸を示すグラフである。図示されているように、異なる細胞数を(一度の強制投与で)マウスに強制投与した。マウスの尿中から回収される馬尿酸の用量依存的な増加が観察された。 尿からの馬尿酸回収を示すグラフで、生細胞の強制投与によるフェニルアラニンからの馬尿酸生成の動態と、純粋なTCAの強制投与に由来する馬尿酸の生成の動態を比較している。純粋なTCAでは、回収開始後の最初の15分以内に、尿中からの馬尿酸回収の急速な減少が観察される。上記細胞の場合には、収集開始後少なくとも最初の30分間は馬尿酸の回収が持続し、下向きの勾配が減少している。これらの結果は、細胞が有用な時間にわたって小腸に留まり、TCAを産生することを示している。 示された用量のSYN−PKU708を強制投与したPKUマウスにおける、フェニルアラニン曝露4時間後の血液中のベースラインに対するフェニルアラニンの変化を示す棒グラフである。SYN−PKU708は血中フェニルアラニンを減少させるのに有効であった。このことは、当該細胞がin vivoで活性を有していたことを示している。 示された用量のSYN−PKU708を強制投与したPKUマウスにおける、フェニルアラニン曝露4時間後の尿中の馬尿酸の絶対量を示す棒グラフである。馬尿酸は、SYN−PKU708で処置したマウスのケージにおいて用量依存的に排泄された。このことは、当該細胞がin vivoで活性を有していたことを示している。 約3e10 cfuの単回強制投与後の細菌(SYN1780)の通過時間を示すグラフである。マウスに細菌(約3×10e10 CFU)を単回強制投与した。各時点(強制投与後15、30、45および60分)で、動物(n=4)を安楽死させ、小腸を取り出し3等分に切断し、洗い流した。腸溶出液を連続希釈播種のために処理して、細菌数を決定した。 約3e10 cfuの単回強制投与後の細菌(SYN1780)の通過時間を示すグラフである。 フェニルアラニン皮下(SC)注射の4時間後におけるベースラインに対する血中のフェニルアラニン濃度を示す図で、SYN−PKU710株とSYN−PKU708株を比較している。体重1グラム当たり0.1mgの皮下注射により、マウスにフェニルアラニンの単回用量を投与した。Pheチャレンジの1、2および3時間後に、細菌(または水)をマウスに強制経口投与した(300μl/用量、合計3Xe10 cfu/マウス)。SYN−PKU710およびSYN−PKU708におけるdeltaPheの減少パーセント率は、それぞれ29%および40%と算出された。 フェニルアラニン皮下(SC)注射の4時間後までの馬尿酸の絶対値を示す図で、SYN−PKU710株とSYN−PKU708株を比較している。 PAL発現が種々の誘導性プロモーター(アラビノース、IPTG(LacI)、ラムノース、Tet、温度(CI857))の制御下にある株において、TCA蓄積速度によって測定したin vitroでのPAL活性を示す棒グラフである。SYN−PKU707をベンチマークコントロールとして示す。 バイオセイフティーシステムのコンポーネントとして機能するプラスミドの遺伝子構成の非限定的な例の模式図である。バイオセイフティープラスミドシステムベクターは、Kid毒素およびR6K最小ori、dapAおよびこれらのコンポーネントの発現を駆動するプロモーターエレメントを含む。非限定的な例において、プラスミドは配列番号81を含む。非限定的な例において、プラスミドは配列番号82を含む。いくつかの実施形態において、blaはノックアウトされ、本明細書に記載の1つ以上の構築物で置換され、当該構築物において、PAL3および/またはPhePおよび/またはLAADは、誘導性プロモーターまたは構成的プロモーターから発現される。 バイオセイフティーシステムのコンポーネントとして機能するプラスミドの遺伝子構成の非限定的な例の模式図である。バイオセイフティープラスミドシステムベクターは、Kid毒素およびR6K最小ori、thyAおよびこれらのコンポーネントの発現を駆動するプロモーターエレメントを含む。非限定的な例において、プラスミドは配列番号81を含む。非限定的な例において、プラスミドは配列番号82を含む。いくつかの実施形態において、blaはノックアウトされ、本明細書に記載の1つ以上の構築物で置換され、当該構築物において、PAL3および/またはPhePおよび/またはLAADは、誘導性プロモーターまたは構成的プロモーターから発現される。 バイオセイフティーシステムの染色体コンポーネントの遺伝子構成の概略図である。低コピーRep(Pi)およびKis抗毒素を含む構築物を示す。Pi(Rep)はシステムのプラスミドコンポーネントの複製に必要であり、Pi(Rep)の転写は低コピーRBSを含むプロモーターによって駆動される。いくつかの実施形態では、構築物は配列番号89を含む。 バイオセイフティーシステムの染色体コンポーネントの遺伝子構成の概略図である。中コピーRep(Pi)およびKis抗毒素を含む構築物を示す。Pi(Rep)はシステムのプラスミドコンポーネントの複製に必要であり、Pi(Rep)の転写は中コピーRBSを含むプロモーターによって駆動される。いくつかの実施形態では、構築物は配列番号90を含む。機能性DapAを含むプラスミドが使用される場合(図61Aに示されるように)、図61Cおよび図61Dに示される染色体構築物がDapA遺伝子座にノックインされる。機能性ThyAを含むプラスミドが使用される場合(図61Bに示されるように)、図61Cおよび図61Dに示される染色体構築物がThyA遺伝子座にノックインされる。このシステムでは、染色体構築物およびノックアウトされたdapAもしくはthyA遺伝子を含む細菌は、dapまたはチミジンの非存在下では、プラスミドの存在下でのみ増殖することができる。 PAL構築物の非限定的な例の概略図である。ラムダCI誘導性プロモーターの制御下にあるPAL発現のための構築物について、その構成の非限定的例の概略図を示す。当該構築物はまた、CIの温度感受性突然変異体であるCI857のコード配列も提供する。温度感受性CIリプレッサー突然変異体CI857は、30℃では強固に結合するが、37℃以上の温度では結合(抑制)することができない。いくつかの実施形態では、構築物は配列番号101を含む。いくつかの実施形態では、この構築物は単独で使用される。いくつかの実施形態において、温度感受性構築物は、他の構成的または誘導性PAL3構築物、例えば低酸素、アラビノース、ラムノース、またはIPTG誘導性構築物と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、構築物は、in vivo投与前のPAL3および/またはPhePおよび/またはLAADのプレ誘導およびプレローディングを許容する。いくつかの実施形態では、構築物はin vivo活性を与える。いくつかの実施形態では、構築物はプラスミド、例えば低コピーまたは高コピープラスミド上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物はバイオセイフティーシステムのプラスミドコンポーネント上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物は、1つ以上の位置で細菌染色体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、構築物は、PheP構築物と組み合わせて使用され、当該PheP構築物は、プラスミド上で提供されるか、または1つ以上の位置で細菌染色体に組み込まれるかのいずれかであり得る。PheP発現は構成的であるか、または誘導性プロモーター、例えば、低酸素、アラビノース、ラムノース、もしくは温度感受性によって駆動されることができる。いくつかの実施形態において、構築物は、LAAD発現構築物と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、条件的栄養要求性を設定するために、温度感受性システムを使用することができる。deltaThyAまたはdeltaDapAを含む株において、dapAまたはthyA遺伝子を、温度調節プロモーター系の制御下にある菌株に導入することができる。当該株は、ThyおよびDapの非存在下では、許容温度、例えば37℃(およびそれよりも低くない)でのみ増殖することができる。 PAL構築物の非限定的な例の概略図である。ラムノース誘導性プロモーターの制御下にあるPAL発現のための構築物について、その構成の非限定的例の概略図を示す。ラムノース発現系の適用のためには、染色体からの発現量がマルチコピープラスミド上においてでさえ転写を活性化するほどに十分であるため、より多量の調節タンパク質を発現させる必要はない。したがって、rhaP BADプロモーターのみが、発現されるべき遺伝子の上流にクローンニングされる。いくつかの実施形態では、この構築物は単独で使用される。いくつかの実施形態において、ラムノース誘導性構築物は、他の構成的または誘導性PAL3構築物、例えば低酸素、アラビノース、温度感受性またはIPTG誘導性構築物と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、構築物は、in vivo投与前のPAL3および/またはPhePおよび/またはLAADのプレ誘導およびプレローディングを許容する。非限定的な例において、構築物はプレ誘導に有用であり、低酸素誘導性構築物と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、構築物はプラスミド、例えば低コピーまたは高コピープラスミド上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物はバイオセイフティーシステムのプラスミドコンポーネント上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物は、1つ以上の位置で細菌染色体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、構築物は、PheP構築物と組み合わせて使用され、当該PheP構築物は、プラスミド上で提供されるか、または1つ以上の位置で細菌染色体に組み込まれるかのいずれかであり得る。PheP発現は構成的であるか、または誘導性プロモーター、例えば、低酸素、アラビノース、ラムノース、もしくは温度感受性によって駆動されることができる。いくつかの実施形態において、構築物は、LAAD発現構築物と組み合わせて使用される。 PAL構築物の非限定的な例の概略図である。アラビノース誘導性プロモーターの制御下にあるPAL発現のための構築物について、その構成の非限定的例の概略図を示す。アラビノース誘導性PAL3構築物は、AraC(逆向き)、アラビノース誘導性プロモーターを含む領域、およびPAL3を含む。いくつかの実施形態では、当該構築物は単独で使用される。いくつかの実施形態では、ラムノース誘導性構築物が、他の構成的構築物または誘導性PAL3構築物、例えば低酸素、アラビノース、温度感受性またはIPTG誘導性構築物と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、構築物は、in vivo投与前のPAL3および/またはPhePおよび/またはLAADのプレ誘導およびプレローディングを許容する。非限定的な例において、構築物はプレ誘導に有用であり、低酸素誘導性構築物と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、構築物はプラスミド、例えば低コピーまたは高コピープラスミド上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物はバイオセイフティーシステムのプラスミドコンポーネント上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物は、1つ以上の位置で細菌染色体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、構築物は、PheP構築物と組み合わせて使用され、当該PheP構築物は、プラスミド上で提供されるか、または1つ以上の位置で細菌染色体に組み込まれるかのいずれかであり得る。PheP発現は構成的であるか、または誘導性プロモーター、例えば、低酸素、アラビノース、ラムノース、もしくは温度感受性によって駆動されることができる。いくつかの実施形態において、構築物は、LAAD発現構築物と組み合わせて使用される。 PssBプロモーターの遺伝子構成の概略を示す。ssB遺伝子産物は、ssDNAを分解から保護する。SSBはDNA代謝に関わる多数の酵素と直接相互作用し、DNA複製(および複製再開)、組換えおよび修復に関与する核タンパク質複合体の組織化ならびにプロセスにおいて中心的な役割を果たすと考えられている。PssBプロモーターをLacZレポーターの前にクローニングし、β−ガラクトシダーゼ活性を測定した。 好気性および嫌気性条件下におけるPssBプロモーターのレポーター遺伝子活性を示す棒グラフである。簡潔には、細胞を一晩好気的に増殖させ、次いで1:100に希釈し、2つの異なるチューブに分割した。1本のチューブを嫌気性チャンバーに入れ、もう1本を好気的条件で実験期間中保持した。特定の時間に、プロモーターの誘導について細胞を分析した。Pssbプロモーターは好気性条件下で活性であり、嫌気性条件下では遮断される。好気性条件下で目的の遺伝子を発現させるために、このプロモーターを用いることができる。このプロモーターはまた、遺伝子産物の発現をタイトに制御して、嫌気性および/または低酸素条件下でのみ発現するように使用することができる。この場合、酸素誘導性のPssBプロモーターはリプレッサーの発現を誘導し、そのリプレッサーが目的の遺伝子の発現を抑制する。したがって、目的の遺伝子は、リプレッサーの非存在下、すなわち嫌気性および/または低酸素条件下でのみ発現する。この戦略には、微調整の改善とよりタイトな制御のために、追加の制御レベルが存在するという利点がある。1つの非限定的な例において、thyAおよび/またはdapAの発現を制御するために、例えば、条件的栄養要求性を作製するために、この戦略を用いることができる。dapAまたはThyAの染色体コピーがノックアウトされる。嫌気性および/または低酸素条件下では、dapAまたはthyAが場合によっては発現され、当該株はdapまたはチミジンの非存在下で増殖することができる。好気性条件下では、dapAまたはthyAの発現は遮断され、当該株は、dapまたはチミジンの非存在下では増殖できないそのような戦略は、例えば、嫌気性および/または低酸素条件下、例えば消化管での細菌の生存を可能にするが、好気性条件下での生存を防止するために使用することができる(バイオセイフティースイッチ)。 リボソーム結合部位の最適化戦略を使用することによって、Para−PAL構築物の発現を微調整する戦略を示す図である。RBS最適化のためのバイオインフォマティクスツールは、当技術分野で公知である。1つの戦略では、強力なin vivo誘導を可能にするために、組み込み型P fnrS −PALおよびPhePを維持しながら、菌株の効率的な好気性増殖およびプレ誘導を提供するために(例えば、フラスコ、発酵槽または他の適切な容器内で)、アラビノース制御性PALおよびphePを染色体に組み込むことができる。 FNRS24Yのアラビノース誘導性発現によって、好気性条件下におけるPALおよびPhePの発現を可能にする戦略を示す図である。リボソーム結合部位の最適化戦略を用いることにより、Fnr S24Y の発現レベルを、例えば、最適誘導条件下(完全誘導のための適切な量のアラビノース)で微調整することができる。微調整は、適切な翻訳開始速度で適切なRBSを選択することによって達成される。RBS最適化のためのバイオインフォマティクスツールは、当技術分野で公知である。 本明細書に記載の様々な発現構築物の例示的な遺伝子構成を示す概略図である。これらの構築物は、単独で、または他のPAL3および/またはPhePおよび/またはLAAD発現構築物と組み合わせて使用することができる。逆向きのLacI、LacO部位を含むプロモーター含有領域、およびFNR結合部位を有するIPTGおよび低酸素誘導性構築物の構成の非限定的な例の模式図を示す。前記プロモーターは、PAL3をコードする2つのオープンリーディングフレームおよびPhePをコードする第3のオープンリーディングフレームの発現を駆動する;前記構築物は、トリシストロニックメッセージで転写され得る。非限定的な例において、当該構築物は配列番号95を含む。いくつかの実施形態では、この構築物は、FNRプロモーターの活性化による嫌気性および/または低酸素条件下でのプレ誘導に有用である。いくつかの実施形態では、この構築物は、消化管の特定領域に見られるような嫌気性および/または低酸素条件下において、FNRプロモーターの活性化によるin vivo活性化に有用である。いくつかの実施形態では、図中の構築物はPAL3配列を含み、当該PAL3配列はフォトラブダス・ケミルミネセンス(Photorhabdus chemiluminescens)のオリジナル配列である。いくつかの実施形態において、PAL3配列は、大腸菌における発現のためにコドン最適化される。いくつかの実施形態では、構築物から発現されるPAL3レベルを微調整する、すなわちアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションするための追加のコントロールとして、コドン最適化が使用される。いくつかの実施形態では、構築物は、プラスミド、例えば、低または高コピープラスミド上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物は、図61に示されるシステムのようなバイオセイフティーシステムにおいて使用される。いくつかの実施形態では、構築物は、本明細書に記載される1つ以上の位置でゲノムに組み込まれる。 本明細書に記載の様々な発現構築物の例示的な遺伝子構成を示す概略図である。これらの構築物は、単独で、または他のPAL3および/またはPhePおよび/またはLAAD発現構築物と組み合わせて使用することができる。逆向きのLacI、LacO部位を含むプロモーター含有領域、およびFNR結合部位を有するIPTGおよび低酸素誘導性構築物の構成の非限定的な例の模式図を示す。構築物はまた、PAL3をコードする2つのオープンリーディングフレームを含む。この構築物はバイシストロニックメッセージで転写される。いくつかの実施形態において、構築物は、別のプラスミドからPhePを発現する別の構築物と組み合わされる。いくつかの実施形態において、当該構築物は、1つ以上の位置で細菌染色体に組み込まれたPhePを発現する構築物と組み合わせられる。非限定的な例において、構築物は配列番号97を含む。いくつかの実施形態では、この構築物は、FNRプロモーターの活性化による嫌気性および/または低酸素条件下でのプレ誘導に有用である。いくつかの実施形態では、この構築物は、消化管の特定領域に見られるような嫌気性および/または低酸素条件下において、FNRプロモーターの活性化によるin vivo活性化に有用である。いくつかの実施形態では、図中の構築物はPAL3配列を含み、当該PAL3配列はフォトラブダス・ケミルミネセンス(Photorhabdus chemiluminescens)のオリジナル配列である。いくつかの実施形態において、PAL3配列は、大腸菌における発現のためにコドン最適化される。いくつかの実施形態では、構築物から発現されるPAL3レベルを微調整する、すなわちアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションするための追加のコントロールとして、コドン最適化が使用される。いくつかの実施形態では、構築物は、プラスミド、例えば、低または高コピープラスミド上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物は、図61に示されるシステムのようなバイオセイフティーシステムにおいて使用される。いくつかの実施形態では、構築物は、本明細書に記載される1つ以上の位置でゲノムに組み込まれる。 本明細書に記載の様々な発現構築物の例示的な遺伝子構成を示す概略図である。これらの構築物は、単独で、または他のPAL3および/またはPhePおよび/またはLAAD発現構築物と組み合わせて使用することができる。逆向きのLacI、LacOを含むプロモーター含有領域を有するIPTG誘導性構築物の構成の非限定的な例の模式図を示す。構築物はまた、PAL3をコードする2つのオープンリーディングフレームおよびPhePをする第3のオープンリーディングフレームを含む領域を有する。この構築物は、トリシストロニックメッセージで転写され得る。非限定的な例において、構築物は配列番号96を含む。いくつかの実施形態では、図中の構築物はPAL3配列を含み、当該PAL3配列はフォトラブダス・ケミルミネセンス(Photorhabdus chemiluminescens)のオリジナル配列である。いくつかの実施形態において、PAL3配列は、大腸菌における発現のためにコドン最適化される。いくつかの実施形態では、構築物から発現されるPAL3レベルを微調整する、すなわちアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションするための追加のコントロールとして、コドン最適化が使用される。いくつかの実施形態では、構築物は、プラスミド、例えば、低または高コピープラスミド上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物は、図61に示されるシステムのようなバイオセイフティーシステムにおいて使用される。いくつかの実施形態では、構築物は、本明細書に記載される1つ以上の位置でゲノムに組み込まれる。 本明細書に記載の様々な発現構築物の例示的な遺伝子構成を示す概略図である。これらの構築物は、単独で、または他のPAL3および/またはPhePおよび/またはLAAD発現構築物と組み合わせて使用することができる。逆向きのLacI、LacOを含むプロモーター含有領域を有するIPTG誘導性構築物の構成の非限定的な例の模式図を示す。構築物はまた、PAL3をコードする2つのオープンリーディングフレームを含む領域を有する。この構築物は、バイシストロニックメッセージで転写され得る。非限定的な例において、構築物は配列番号98を含む。いくつかの実施形態において、構築物は、別のプラスミドからPhePを発現する別の構築物と組み合わされる。いくつかの実施形態において、当該構築物は、1つ以上の位置で細菌染色体に組み込まれるPhePを発現する構築物と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、図中の構築物はPAL3配列を含み、当該PAL3配列はフォトラブダス・ケミルミネセンス(Photorhabdus chemiluminescens)のオリジナル配列である。いくつかの実施形態において、PAL3配列は、大腸菌における発現のためにコドン最適化される。いくつかの実施形態では、構築物から発現されるPAL3レベルを微調整する、すなわちアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションするための追加のコントロールとして、コドン最適化が使用される。いくつかの実施形態では、構築物は、プラスミド、例えば、低または高コピープラスミド上に位置する。いくつかの実施形態では、構築物は、図61に示されるシステムのようなバイオセイフティーシステムにおいて使用される。いくつかの実施形態では、構築物は、本明細書に記載される1つ以上の位置でゲノムに組み込まれる。 大腸菌1917Nissle染色体内の組み込み部位例のマップを示した図である。これらの部位は、必須遺伝子の発現を妨害することなく回路成分を染色体に挿入することができる領域を示す。バックスラッシュ(/)を使用して、挿入が分散的にまたは収束的に発現した遺伝子の間に生じることを示す。thyAなどの生合成遺伝子内の挿入は、栄養要求体を作製するために使用することができる。いくつかの実施形態では、個々の回路成分は指示した部位の2つ以上に挿入される。 赤色蛍光タンパク質(RFP)を構成的に発現する3つの細菌株を示した図である。株1〜3では、rfp遺伝子が細菌染色体内の異なる部位に挿入されており、蛍光の下で様々な程度の明るさを生じる。未改変大腸菌Nissle(株4)は蛍光を生じない。 in vivoにおけるNissleの存在を示したグラフである。ストレプトマイシン耐性Nissleをマウスに抗生物質で予備治療することなく強制経口投与した。投与後、全部で6匹のマウスの糞便ペレットをモニターして、マウス胃腸管内にまだ存在している投与したNissleの量を判定した。棒は、マウスに投与した細菌の数を表している。線は、毎日糞便試料から回収されたNissleの数を連続して10日間表している。 強制投与の1、4、8、12、24、および30時間後の胃腸管の様々な区画におけるストレプトマイシン耐性Nissleの経時的な滞留を示す棒グラフである。マウスを約10 CFUで処置し、各時点で動物(n=4)を安楽死させ、腸、盲腸および結腸を取り出した。小腸は3つの切片に切断され、大腸および結腸はそれぞれ2つの切片に切断された。腸溶出液を集めて、各区画のCFUを連続希釈播種によって決定した。 SYN−PKU302培養物中におけるフェニルアラニン濃度を経時的に示した図である。増殖して1.5時間後に、ATCをSYN−PKU302の培養物に添加し、90%N、5%COおよび5%Hを供給したCoy嫌気性チャンバーに入れた。誘導して4時間後に、フェニルアラニン4mMを含有し、様々なpH(pH範囲7.25〜2.25)のアッセイ緩衝液に細菌を再懸濁した。質量分析によってフェニルアラニンを定量するために、細胞アッセイから一定量を30分毎に2時間にわたって取り出した。フェニルアラニン分解速度は、SYN−PKU302におけるアッセイ緩衝液のpHが低下するにつれて低下した。 SYN−PKU304培養物中におけるフェニルアラニン濃度を経時的に示した図である。増殖して1.5時間後に、ATCをSYN−PKU304の培養物に添加し、90%N、5%COおよび5%Hを供給したCoy嫌気性チャンバーに入れた。誘導して4時間後に、フェニルアラニン4mMを含有し、様々なpH(pH範囲7.25〜2.25)のアッセイ緩衝液に細菌を再懸濁した。質量分析によってフェニルアラニンを定量するために、細胞アッセイから一定量を30分毎に2時間にわたって取り出した。フェニルアラニン分解速度は、SYN−PKU304株におけるアッセイ緩衝液のpHが低下するにつれて低下した。 多数の作用機構(MoA)を含む大腸菌1917Nissle染色体の概略の1例を示した図である。 PAL3およびpheP遺伝子がFNRプロモーター(PfnrS)の1例の制御下で同時転写される構築物の1例の遺伝子組成を示した図である。 Int5リコンビナーゼ遺伝子がFNRプロモーターの1例(PfnrS)に作動可能に連結し、PAL3遺伝子が強力な構成的プロモーターに作動可能に連結した構築物の1例の遺伝子構成を示した図である。OFF方向(3’から5’)にInt5部位が隣接したPAL3遺伝子の概略図を示している。いかなる強力な構成的プロモーター配列も使用することができる。 Int5リコンビナーゼ遺伝子がFNRプロモーターの1例(PfnrS)に作動可能に連結し、PAL3遺伝子が強力な構成的プロモーターに作動可能に連結した構築物の1例の遺伝子構成を示した図である。Int5遺伝子発現が嫌気的および/または低酸素条件下で活性化される場合、PAL3のON方向(5’から3’)へのリコンビナーゼによるフリッピングがPAL3の産生およびフェニルアラニン代謝を導く。いかなる強力な構成的プロモーター配列も使用することができる。 Int5リコンビナーゼ遺伝子がFNRプロモーター(PfnrS)に作動可能に連結し、T7RNAポリメラーゼをコードする遺伝子がリコンビナーゼ部位に隣接して強力な構成的プロモーターに作動可能に連結した構築物の1例の遺伝子構成を示した図である。OFF方向にInt5部位が隣接したT7RNAポリメラーゼ遺伝子の概略図を示している。 Int5リコンビナーゼ遺伝子がFNRプロモーター(PfnrS)に作動可能に連結し、T7RNAポリメラーゼをコードする遺伝子がリコンビナーゼ部位に隣接して強力な構成的プロモーターに作動可能に連結した構築物の1例の遺伝子構成を示した図である。Int5遺伝子発現が嫌気的および/または低酸素条件下で活性化される場合、T7RNAポリメラーゼ遺伝子はON方向にフリッピングされる。 Int5リコンビナーゼ遺伝子がFNRプロモーター(PfnrS)に作動可能に連結し、T7RNAポリメラーゼをコードする遺伝子がリコンビナーゼ部位に隣接して強力な構成的プロモーターに作動可能に連結した構築物の1例の遺伝子構成を示した図である。T7駆動プロモーター(PT7)の制御下にPAL3の1個のコピーを含む遺伝子操作された細菌株において、T7RNAポリメラーゼ発現は、PAL3の産生およびフェニルアラニン代謝を導く。 Int5リコンビナーゼ遺伝子がParaBADプロモーター(ParaBAD)に作動可能に連結し、T7RNAポリメラーゼをコードする遺伝子がリコンビナーゼ部位に隣接して強力な構成的プロモーターに作動可能に連結した構築物の1例の遺伝子構成を示した図である。Int5リコンビナーゼ遺伝子がParaBADプロモーター(ParaBAD)に作動可能に連結されている例示的な構築物を示す。 Int5リコンビナーゼ遺伝子がParaBADプロモーター(ParaBAD)に作動可能に連結し、T7RNAポリメラーゼをコードする遺伝子がリコンビナーゼ部位に隣接して強力な構成的プロモーターに作動可能に連結した構築物の1例の遺伝子構成を示した図である。OFF方向にInt5が隣接したT7RNAポリメラーゼ遺伝子の概略図を示す。Int5遺伝子発現が嫌気的および/または低酸素条件下で活性化される場合、T7RNAポリメラーゼ遺伝子はON方向にフリッピングされる。T7駆動プロモーターの制御下にPAL3の1個のコピーを含む遺伝子操作された細菌株において、T7RNAポリメラーゼ発現は、PAL3の産生およびフェニルアラニン代謝を導く。 異なる誘導性プロモーターおよびリボソーム結合部位を使用した、PAL3発現を活性化するためのリコンビナーゼをベースにしたスイッチの概略を示した図である。リコンビナーゼ発現は、PAL3遺伝子のON方向への組み換えフリッピングを引き起こし、PAL3の産生およびフェニルアラニンの分解を導く。いくつかの実施形態では、リコンビナーゼをベースにしたスイッチは、誘導因子の特定のレベルに応答するように調整される。 誘導因子の濃度とON方向にPAL3を含有する構築物の割合の間の関係を示した図である。影の領域は、in vivoにおける誘導因子の予測有効範囲を示す。 異種遺伝子の発現が外因性環境シグナルによって活性化される、本開示の別の非限定的実施形態を示した図である。異種遺伝子発現の一実施態様を描いたもので、アラビノースの非存在下では、AraC転写因子は転写を抑制する立体構造をとる。アラビノースの存在下では、AraC転写因子はParaBADプロモーター(ParaBAD)に結合して活性化する立体構造的変化を受け、Tetリプレッサー(TetR)および抗毒素の発現を誘導する。抗毒素は組換え細菌細胞内に蓄積するが、TetRは毒素の発現を妨害する(TetR結合部位を有するプロモーターの制御下である)。しかし、アラビノースが存在しない場合、抗毒素もTetRも発現しない。毒素の発現を抑制するTetRが存在しないので、毒素が発現し細胞を死滅させる。組換え細菌においては見いだされない必須遺伝子の発現が外因性環境シグナルによって活性化される本開示の別の非限定的実施形態も示す。アラビノースの非存在下では、AraC転写因子はaraBADプロモーターの制御下にある必須遺伝子の転写を抑制する立体構造をとり、細菌細胞は生存することができない。アラビノースの存在下では、AraC転写因子はaraBADプロモーターに結合して活性化させる立体構造的変化を受け、必須遺伝子の発現を誘導し、細菌細胞の生存能を維持する。 異種遺伝子の発現が外因性環境シグナルによって活性化される、本開示の別の非限定的実施形態を示した図である。抗毒素が構成的プロモーターから発現し、異種遺伝子の発現が外因性環境シグナルによって活性化される、本開示の非限定的実施形態を示した図である。アラビノースの非存在下では、AraC転写因子は転写を抑制する立体構造をとる。アラビノースの存在下では、AraC転写因子はaraBADプロモーターに結合して活性化させる立体構造変化を受け、TetRの発現を誘導し、こうして毒素の発現を妨害する。しかし、アラビノースが存在しない場合、TetRは発現せず、毒素が発現し、最終的に抗毒素を打ち負かし、細胞を死滅させる。抗毒素の発現を調節する構成的プロモーターは、毒素の発現を駆動するプロモーターよりも弱いプロモーターであろう。araC遺伝子は、この回路の構成的プロモーターの制御下にある。 異種遺伝子の発現が外因性環境シグナルによって活性化される、本開示の別の非限定的実施形態を示した図である。アラビノースの非存在下では、AraC転写因子は転写を抑制する立体構造をとる。アラビノースの存在下では、AraC転写因子はaraBADプロモーターに結合して活性化させる立体構造変化を受け、Tetリプレッサー(TetR)および抗毒素の発現を誘導する。抗毒素は組換え細菌細胞内に蓄積するが、TetRは毒素の発現を妨害する(TetR結合部位を有するプロモーターの制御下である)。しかし、アラビノースが存在しない場合、抗毒素もTetRも発現しない。毒素の発現を抑制するTetRが存在しないので、毒素が発現し細胞を死滅させる。araC遺伝子は、構成的プロモーターまたはこの回路の誘導性プロモーター(例えば、AraCプロモーター)のいずれかの制御下にある。 外因性環境条件または一以上の環境シグナルによって、一つまたは複数の誘導性プロモーターから、異種遺伝子および少なくとも一つのリコンビナーゼの発現が活性化される、本開示の1つの非限定的な実施態様を示す図である。リコンビナーゼは次いで毒素遺伝子を活性コンフォメーションに反転し、リコンビナーゼの天然動態によって毒素の発現に時間遅延が生じ、それにより異種遺伝子が完全に発現することが可能になる。毒素は発現すると、細胞を死滅させる。 外因性環境条件または一以上の環境シグナルによって、一つまたは複数の誘導性プロモーターから、異種遺伝子、抗毒素、および少なくとも1つのリコンビナーゼの発現が活性化される、本開示の別の非限定的な実施形態を示す図である。次いで、リコンビナーゼは、毒素遺伝子を活性コンフォメーションに反転するが、蓄積された抗毒素の存在によって毒素の活性は抑制される。外因性の環境条件またはキュー(cue(s))がもはや存在しなくなると、抗毒素の発現は停止される。毒素は構成的に発現され、蓄積し続け、細菌細胞を死滅させる。 外因性環境条件または一以上の環境シグナルによって、一つまたは複数の誘導性プロモーターから、異種遺伝子および少なくとも1つのリコンビナーゼの発現が活性化される、本開示の別の非限定的な実施形態を示す図である。次いで、リコンビナーゼは、少なくとも1つの除去酵素を活性コンフォメーションに反転させる。次いで、少なくとも1つの除去酵素は、1つ以上の必須遺伝子を切除し、老化および最終的には細胞死をもたらす。リコンビナーゼおよび除去遺伝子の天然動態によって時間遅延が生じ、そのキネティックスを切除される必須遺伝子の数および選択に応じて変更および最適化することができ、細胞死が数時間または数日以内に起こることを可能にする。複数のネストしたリコンビナーゼ(multiple nested recombinases)の存在を用いて、細胞死のタイミングをさらに制御することができる。 外因性環境条件または一以上の環境シグナルによって、一つまたは複数の誘導性プロモーターから、異種遺伝子および第1のリコンビナーゼの発現が活性化される、本開示の1つの非限定的な実施形態を示す図である。次いで、リコンビナーゼは、第2のリコンビナーゼを逆向きから活性コンフォメーションに反転させる。活性化された第2のリコンビナーゼは毒素遺伝子を活性コンフォメーションに反転し、リコンビナーゼの天然動態によって毒素の発現に時間遅延が生じ、それにより異種遺伝子が完全に発現することが可能になる。毒素は発現すると、細胞を死滅させる。 短寿命の抗毒素および長寿命の毒素の両方を産生するプラスミドを有するプラスミド安定性システムを含む、本開示の1つの非限定的な実施形態を示す図である。細胞がプラスミドを失うと、抗毒素はもはや産生されず、毒素は細胞を殺す。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、同量のHok毒素および短命のSok抗毒素を産生する。上のパネルでは、細胞は等量の毒素および抗毒素を産生し、安定である。中央のパネルでは、細胞はプラスミドを失い、抗毒素は崩壊し始める。下のパネルでは、抗毒素が完全に崩壊し、細胞は死滅する。 遺伝子操作された安全成分としてGeneGuardを使用することを示した図である。遺伝子操作されたDNAは全て、条件的に破壊することができるプラスミドに存在する。例えば、Wright等、2015年を参照のこと。 野生型clbA構築物の概略図である。 clbAノックアウト構築物の概略図である。 細胞内で発現したキメラペプチドが内膜および外膜を横断して周囲の宿主環境に移動することができるように、ペプチドを組換えによって天然の鞭毛成分のN末端鞭毛分泌シグナルに融合することによって、目的の治療用ペプチド(star)の分泌に不完全な鞭毛が使用される、鞭毛III型分泌に基づいた分泌系の概略を示した図である。 治療用ペプチド(star)をN末端分泌シグナル、リンカーおよびオートトランスポーターのベータ−ドメインに融合させることができる、組換えタンパク質の細胞外産生のためのV型分泌系の概略を示した図である。この系では、N末端シグナル配列はタンパク質をSecA−YEG機構に導き、これは、タンパク質を、内膜を越えて周辺質に移動させ、続いてシグナル配列を切断する。ベータドメインはBam複合体に動員され、そこでベータドメインは折り畳まれ、ベータバレル構造として外膜に挿入される。次に、治療用ペプチドがリンカー配列の前のベータバレル構造の中空孔に通される。治療用ペプチドは、自己触媒的切断によって、または膜関連ペプチダーゼ(ハサミ)をリンカーの相補的プロテアーゼ切断部位にターゲティングすることによって、リンカー系から開放される。 内膜および外膜両方を通るチャネルを形成するHlyB(ATP結合カセットトランスポーター;HlyD(膜融合タンパク質);およびTolC(外膜タンパク質)を使用してパッセンジャーペプチドを細胞質から直接細胞外空間に移動させる、I型分泌系の概略図である。分泌シグナルを含むHlyAのC末端部分を治療用ペプチド(star)のC末端部分に融合させて、当該ペプチドの分泌を媒介させる。 グラム陰性細菌の外膜および内膜の概略、ならびに漏出性または不安定化した外膜を形成し、それによって、治療用ポリペプチド、例えば、ジスルフィド結合を含有する真核細胞由来の治療用ペプチドを細胞外空間に容易に移動させるために欠落させる幾つかの標的を示した図である。外膜をペプチドグリカン骨格につなぎ止めるタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子、例えば、lpp、ompC、ompA、ompF、tolA、tolB、palおよび/または周辺質プロテアーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子、例えば、degS、degP、nlplの不活性化突然変異は、漏出性表現型を生じる。突然変異の組み合わせは、漏出性表現型を相乗的に増強することができる。 細菌が分泌された治療用タンパク質を消化管内腔に注入することを可能にする、改変型3型分泌系(T3SS)を示す図である。誘導性プロモーター(小さな矢印、上部)、例えば、FNR誘導性プロモーターは、細胞からタグ付きペプチドを分泌する装置を産生するT3分泌系遺伝子カセット(3つの大きな矢印、上部)の発現を駆動する。誘導性プロモーター(小さな矢印、下部)、例えば、FNR誘導性プロモーターは、調節因子、例えば、T7ポリメラーゼの発現を駆動し、調節因子は次いでタグ付き治療用ペプチド(六角形)の発現を活性化する。 鞭毛III型分泌系のコンポーネントを用いて分泌される治療用ポリペプチド発現のための本開示の例示的回路の遺伝子構成の概略図である。PALおよび/またはLAADなどの目的の治療用ポリペプチドは、fliC−5’UTRの後ろに組み立てられ、天然のfliCおよび/またはfliDプロモーターによって駆動される。別の実施形態では、酸素レベル依存性プロモーター(例えば、FNR誘導性プロモーター)などの誘導性プロモーター、およびアラビノースなどの消化管内に天然に存在し得るまたはし得ない(例えば、外因的に付加され得る)代謝産物によって誘導されるプロモーターを使用することができる。目的の治療用ポリペプチドは、プラスミド(例えば、中コピープラスミド)から発現されるか、またはfliC遺伝子座に組み込まれる(それによってfliCおよび/またはfliDの全部または一部が欠失される)。 鞭毛III型分泌系の成分を用いて分泌される治療用ポリペプチド発現のための本開示の例示的回路の遺伝子構成の概略図である。PALおよび/またはLAADなどの目的の治療用ポリペプチドは、fliC−5’UTRの後ろに組み立てられ、ネイティブfliCおよび/またはfliDプロモーターによって駆動される。別の実施形態では、酸素レベル依存性プロモーター(例えば、FNR誘導性プロモーター)などの誘導性プロモーター、およびアラビノースなどの消化管内に天然に存在し得るまたはし得ない(例えば、外因的に付加され得る)代謝産物によって誘導されるプロモーターを使用することができる。目的の治療用ポリペプチドは、プラスミド(例えば、中コピープラスミド)から発現されるか、またはfliC遺伝子座に組み込まれる(それによってfliCおよび/またはfliDの全部または一部が欠失される)。必要に応じて、FliCのN末端部分が構築物に含まれる。 鞭毛III型分泌系の成分を用いて分泌される治療用ポリペプチド発現のための本開示の例示的回路の遺伝子構成の概略図である。PALおよび/またはLAADなどの目的の治療用ポリペプチドは、fliC−5’UTRの後ろに組み立てられ、Tet誘導性プロモーターによって駆動される。別の実施形態では、酸素レベル依存性プロモーター(例えば、FNR誘導性プロモーター)などの誘導性プロモーター、およびアラビノースなどの消化管内に天然に存在し得るまたはし得ない(例えば、外因的に付加され得る)代謝産物によって誘導されるプロモーターを使用することができる。目的の治療用ポリペプチドは、プラスミド(例えば、中コピープラスミド)から発現されるか、またはfliC遺伝子座に組み込まれる(それによってfliCおよび/またはfliDの全部または一部が欠失される)。必要に応じて、FliCのN末端部分が構築物に含まれる。 拡散性外膜(DOM)系を介して分泌される治療用ポリペプチドの発現のための本開示の例示的回路の遺伝子構成の概略図である。目的の治療用ポリペプチドは、ペリプラズム空間への分泌の際に切断されるプロトタイプのN末端Sec依存性分泌シグナルまたはTat依存性分泌シグナルに融合される。例示的分泌タグには、sec依存性PhoA、OmpF、OmpA、cvaC、およびTat依存性タグ(TorA、FdnG、DmsA)が含まれる。特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、1つ以上のlpp、pal、tolA、および/またはnlpIにおいて欠損を含む。必要に応じて、degPおよびompTを含むが、それらだけに限定されないペリプラズムプロテアーゼもまた、例えば、ペリプラズム中のポリペプチドの安定性を高めるために、欠損される。FRT−KanR−FRTカセットは下流の組み込みに使用される。発現は、Tetプロモーター、および例えばアラビノースなどの消化管内に天然に存在し得るまたはし得ない(例えば、外因的に付加され得る)代謝産物によって誘導されるプロモーターによって駆動される。 拡散性外膜(DOM)系を介して分泌される治療用ポリペプチドの発現のための本開示の例示的回路の遺伝子構成の概略図である。目的の治療用ポリペプチドは、ペリプラズム空間への分泌の際に切断されるプロトタイプのN末端Sec依存性分泌シグナルまたはTat依存性分泌シグナルに融合される。例示的分泌タグには、sec依存性PhoA、OmpF、OmpA、cvaC、およびTat依存性タグ(TorA、FdnG、DmsA)が含まれる。特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、1つ以上のlpp、pal、tolA、および/またはnlpIにおいて欠損を含む。必要に応じて、degPおよびompTを含むが、それらだけに限定されないペリプラズムプロテアーゼもまた、例えば、ペリプラズム中のポリペプチドの安定性を高めるために、欠損される。FRT−KanR−FRTカセットは下流の組み込みに使用される。発現は、酸素レベル依存性プロモーターなどの誘導性プロモーター(例えば、FNR誘導性プロモーター)、および例えばアラビノースなどの消化管内に天然に存在し得るまたはし得ない(例えば、外因的に付加され得る)代謝産物によって誘導されるプロモーターによって駆動される。 設計−構築−試験サイクルの概略図である。ステップは次のとおりである。1:疾患経路を定義する; 2.標的代謝物を同定する; 3.遺伝学的回路を設計する; 4.合成バイオティックスを構築する; 5.in vivoで回路を活性化する; 6.回路活性化動態を特徴付ける; 7.in vitro生産性を疾病閾値に最適化する; 8.動物疾患モデルにおいて最適化回路を試験する; 9.マイクロバイオーム(microbiome)に同化する; 10.in vivo薬物動態(PK)および投薬レジメンの理解を発展させる。 本開示の遺伝子操作された細菌の上流および下流生産の非限定的製造方法の概略を示した図である。開始培養1(SC1)のパラメータ:白金耳量のグリセロールストック、期間一晩、温度37℃、250rpmで振盪 本開示の遺伝子操作された細菌の上流および下流生産の非限定的方法の概略を示した図である。開始培養2(SC2)のパラメータ:SC1の1/100希釈、期間1.5時間、温度37℃、250rpmで振盪 本開示の遺伝子操作された細菌の上流および下流生産の非限定的方法の概略を示した図である。生産用バイオリアクターのパラメータ:接種−SC2、温度37℃、pH設定7.00、pH不感帯0.05、溶解酸素設定点50%、溶解酸素カスケード撹拌/ガスFLO、撹拌限界300〜1200rpm、ガスFLO限界1分当たり0.5〜20標準リットル、期間24時間を示す。 本開示の遺伝子操作された細菌の上流および下流生産の非限定的方法の概略を示した図である。収集のパラメータ:速度4000rpmで30分間遠心分離、洗浄1×10%グリセロール/PBS、遠心分離、10%グリセロール/PBSに再懸濁を示す。 本開示の遺伝子操作された細菌の上流および下流生産の非限定的方法の概略を示した図である。バイアル充填/貯蔵のパラメータ:1〜2mLずつ分注、−80℃を示す。
本開示は、特に、遺伝子操作された細菌、その医薬組成物、ならびに高フェニルアラニン血症に関連する障害をモジュレートおよび治療する方法を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、非天然フェニルアラニンリアーゼ(PAL)をコードする遺伝子を含み、哺乳動物においてフェニルアラニンをプロセシングおよび低減することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、フェニルアラニントランスポーターをコードする遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はまた、L−AADをコードする遺伝子を含み得る。遺伝子操作された細菌はまた、バイオセイフティーおよび/または生物学的封じ込め、例えば、死滅スイッチ、遺伝子ガードシステム、および/または栄養要求性に関連する1つ以上の遺伝子配列を含み得る。これらの遺伝子配列の発現は、本明細書に開示されている任意のプロモーター系のような様々なプロモーター系を用いて調節することができ、当該プロモーターは、1つ以上の異なる遺伝子を調節するための同じプロモーターであることができ、異なる遺伝子を調節するための同じプロモーターの異なるコピーであることができ、または異なる遺伝子の発現を調節するために異なるプロモーターを組み合わせて使用することを含むことができる。遺伝子発現を制御するために異なる調節系またはプロモーター系を使用することによって、柔軟性(例えば、異なる環境条件下で遺伝子発現を差異的に制御する能力および/または遺伝子発現を時間的に差異的に制御する能力)がもたらされ、また遺伝子発現を「微調整」する能力がもたらされ、これら調節のいずれかまたはすべてが遺伝子発現および/または細菌の増殖を最適化するのに役立ち得る。PKUを含む高フェニルアラニン血症に関連する状態の治療および/または予防のために、遺伝子操作された細菌および当該細菌を含む医薬組成物を用いて、体内のフェニルアラニンを毒性のない分子に代謝することができる。特定の態様では、高フェニルアラニン血症に関連する障害を治療および/または予防するための本開示の方法において、遺伝子操作された細菌を含む組成物が使用され得る。
本開示がより容易に理解され得るように、特定の用語が最初に定義される。これらの定義は、本開示の残りの部分を考慮して、および当業者によって理解されるように読まれるべきである。他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。さらなる定義が詳細な説明の全体を通して記載されている。
「高フェニルアラニン血症(Hyperphenylalaninemia)」、「高フェニルアラニン血症(hyperphenylalaninemic)」、および「過剰なフェニルアラニン」は、体内の増加したまたは異常に高い濃度のフェニルアラニンを指すために本明細書において交換可能に使用される。いくつかの実施形態では、高フェニルアラニン血症の診断シグナルは、少なくとも2mg/dL、少なくとも4mg/dL、少なくとも6mg/dL、少なくとも8mg/dL、少なくとも10mg/dL、少なくとも12mg/dL、少なくとも14mg/dL、少なくとも16mg/dL、少なくとも18mg/dL、少なくとも20mg/dL、または少なくとも25mg/dLの血中フェニルアラニンレベルである。本明細書において使用される場合、高フェニルアラニン血症に関連する疾患には、限定されないが、フェニルケトン尿症、古典的または典型的フェニルケトン尿症、異型フェニルケトン尿症、永続的軽度高フェニルアラニン血症、非フェニルケトン尿症高フェニルアラニン血症、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ欠損症、補因子欠損症、ジヒドロプテリジンレダクターゼ欠損症、テトラヒドロプテリンシンターゼ欠損症、および瀬川病が含まれる。罹患者は、進行性および不可逆性の神経学的欠損、精神遅滞、脳症、てんかん、湿疹、低成長、小頭症、振戦、四肢痙攣、および/または低色素沈着を患う可能性がある(Leonard 2006年)。高フェニルアラニン血症はまた、他の状態、例えば肝疾患に続発する可能性がある。
「フェニルアラニンアンモニアリアーゼ」および「PAL」は、フェニルアラニンをtrans−ケイ皮酸およびアンモニアに変換または処理するフェニルアラニン代謝酵素(PME)を指すために使用される。trans−ケイ皮酸は、毒性が低く、哺乳動物における肝臓酵素によって、尿中に分泌される馬尿酸に変換される。PALは、過剰のフェニルアラニンを代謝するための酵素PAHの代わりになり得る。PAL酵素活性はTHB補因子活性を必要としない。いくつかの実施形態では、PALは原核生物種に由来するPAL遺伝子によってコードされる。代替の実施形態では、PALは真核生物種に由来するPAL遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、PALは、限定されないが、アクロモバクター・キシロソキシダンス(Achromobacter xylosoxidans)、シュードモナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、フォトラブダス・ルミネセンス(Photorhabdus luminescens)、アナベナ・バリアビリス(Anabaena variabilis)、およびアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を含む、細菌種に由来するPAL遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、PALは、アナベナ・バリアビリスに由来するPAL遺伝子によってコードされ、本明細書において「PAL1」と称される(Moffittら、2007年)。いくつかの実施形態では、PALは、フォトラブダス・ルミネセンスに由来するPAL遺伝子によってコードされ、本明細書において「PAL3」と称される(Williamsら、2005年)。いくつかの実施形態では、PALは、酵母種、例えば、ロドスポリジウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)に由来するPAL遺伝子によってコードされる(Gilbertら、1985年)。いくつかの実施形態では、PALは、植物種、例えばシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)に由来するPAL遺伝子によってコードされる(Wannerら、1995年)。PALの任意の適切なヌクレオチドおよびアミノ酸配列、またはその機能的断片が使用され得る。
「フェニルアラニンヒドロキシラーゼ」および「PAH」は、補因子テトラヒドロビオプテリンと併せてヒト体内でチロシンを作製するためにフェニルアラニンの芳香族側鎖のヒドロキシル化を触媒する酵素を指すために使用される。PAHをコードするヒト遺伝子は、22位と24.2位との間の第12染色体の長(q)腕に位置する。PAHのアミノ酸配列は哺乳動物の間で高度に保存されている。ヒトおよび哺乳動物PAHについての核酸配列は周知であり、広く利用可能である。PAHについての完全長ヒトcDNA配列は1985年に報告された(Kwokら、1985年)。PAHの活性断片もまた周知である(例えば、Kobeら、1997年)。
「L−アミノ酸デアミナーゼ」および「LAAD」は、それらのそれぞれのケト酸、アンモニア、および過酸化水素を生成するためにL−アミノ酸の立体特異的酸化的脱アミノ化を触媒する酵素を指すために使用される。例えば、LAADはフェニルアラニンのフェニルピルベートへの変換を触媒する。多数のLAAD酵素が当該分野において公知であり、それらの多くは、プロテウス属(Proteus)、プロビデンシア属(Providencia)、およびモルガネラ属(Morganella)などの細菌、または毒液に由来する。LAADはフェニルアラニン分解の速い反応速度を特徴とする(Houら、Appl Microbiol Technol.2015年10月;99(20):8391〜402頁;「Production of phenylpyruvic acid from L−phenylalanine using an L−amino acid deaminase from Proteus mirabilis:comparison of enzymatic and whole−cell biotransformation approaches」)。大部分の真核生物および原核生物のL−アミノ酸デアミナーゼは細胞外であるが、プロテウス種LAADは、酵素活性が存在する周辺質間隙に外側で面している細胞膜(内膜)に局在している。この局在化の結果として、内膜を通る細胞質へのフェニルアラニン輸送は、プロテウス属LAADにより媒介されるフェニルアラニン分解に必要とされない。フェニルアラニンは、トランスポーターを必要とせずに外膜を通して周辺質に容易に取り込まれ、基質の利用可能性を改善するトランスポーターの必要性を取り除く。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、限定されないが、プロテウス属、プロビデンシア属、およびモルガネラ属の細菌を含む、細菌種に由来するLAAD遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、細菌種はプロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)である。いくつかの実施形態では、細菌種は、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされるLAADは、周辺質間隙に面しており、周辺質間隙において触媒活性を生じる細胞膜に局在している。
「フェニルアラニン代謝酵素」または「PME」は、フェニルアラニンを分解することができる酵素を指すために使用される。当該技術分野において公知の任意のフェニルアラニン代謝酵素は、遺伝子操作された細菌によってコードされ得る。PMEには、限定されないが、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、アミノトランスフェラーゼ、L−アミノ酸デアミナーゼ(L−AAD)、およびフェニルアラニンデヒドロゲナーゼが含まれる。
フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼまたはアミノトランスフェラーゼとの反応は補因子を必要とするが、L−AADおよびPALはさらなる補因子を全く必要としない。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされるPMEは補因子を必要とする。いくつかの実施形態では、この補因子は、遺伝子操作された細菌の投与と同時または連続して提供される。他の実施形態では、遺伝子操作された細菌は補因子を産生することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はフェニルアラニンヒドロキシラーゼをコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はフェニルアラニンデヒドロゲナーゼをコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はアミノトランスフェラーゼをコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされるPMEは補因子を必要としない。理論に束縛されるものではないが、補因子の必要性がないことは、酵素によるフェニルアラニン分解の速度が基質の利用可能性に依存し、補因子の利用可能性によって制限されないことを意味する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌によって産生されるPMEはPALである。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌によって産生されるPMEはLAADである。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPMEの組合せをコードする。
いくつかの実施形態では、PMEの触媒活性は酸素レベルに依存する。いくつかの実施形態では、PMEは微好気的条件下で触媒的に活性である。非限定的な例として、LAAD触媒活性は酸素に依存する。いくつかの実施形態では、LAADは微好気的条件などの低酸素条件下で活性である。本発明のいくつかの実施形態では、PMEは、例えば結腸に見出されるような非常に低いレベルの酸素で、または酸素の非存在下で機能する。非限定的な例として、PAL活性は酸素の存在に依存しない。
特定の実施形態では、新たなまたは改善されたPMEは、当該分野において公知または本明細書に記載される方法に従って同定され得、遺伝子操作された細菌によってコードされる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされる酵素は、ウイルス、原核生物または真核生物から単離された野生型酵素である。いくつかの実施形態では、酵素配列は、安定性または触媒活性などの酵素の1つまたは複数の特異的性質を増加させるようにさらに修飾または突然変異されている。
「フェニルアラニン代謝産物」とは、フェニルアラニンの分解の結果として生成される代謝産物を指す。代謝産物は、基質としてフェニルアラニンを使用して酵素によってフェニルアラニンから直接的に、またはフェニルアラニン代謝産物基質に対して作用する、代謝経路の下流の異なる酵素によって間接的に生成されてもよい。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝産物は、PMEをコードする遺伝子操作された細菌によって産生される。
いくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝産物は、PAH活性から、例えば、遺伝子操作された細菌によって産生されたPAHから直接的または間接的に生じる。いくつかの実施形態では、代謝産物はチロシンである。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝産物は、不完全なPAH活性に起因してPKU患者の血液または尿中に蓄積する。このようなPKU代謝産物の非限定的な例は、フェニルピルビン酸およびフェニル−乳酸である。他の例には、フェニルアセテート、フェニルエチルアミン、およびフェニルアセチルグルタミンが含まれる。
いくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝産物は、PAL作用から、例えば、遺伝子操作された細菌によって産生されたPALから直接的または間接的に生じる。このようなPAL代謝産物の非限定的な例は、trans−ケイ皮酸および馬尿酸である。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝産物は、LAAD作用から、例えば、遺伝子操作された細菌によって産生されたLAADから直接的または間接的に生じる。このようなLAAD代謝産物の例は、フェニルピルベートおよびフェニル乳酸である。
「フェニルアラニントランスポーター」は、フェニルアラニンを細菌細胞に輸送することができる膜輸送タンパク質を指すために使用される(例えば、Piら、1991年を参照のこと)。大腸菌(Escherichia coli)において、pheP遺伝子は、フェニルアラニン輸送を担う高親和性フェニルアラニン特異的パーミアーゼをコードする(Piら、1998年)。いくつかの実施形態では、フェニルアラニントランスポーターは、限定されないが、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、および大腸菌を含む、細菌種に由来するpheP遺伝子によってコードされる。他のフェニルアラニントランスポーターには、aroP遺伝子によってコードされ、高親和性でフェニルアラニンを含む3つの芳香族アミノ酸を輸送し、PhePと一緒に、フェニルアラニン取り込みの最大の部分を担うアーゲネラル(Aageneral)アミノ酸パーミアーゼが含まれる。さらに、低レベルのフェニルアラニン輸送活性は、LIV−I/LS系の活性まで追跡され、そのLIV−I/LS系は、2つの周辺質結合タンパク質である、LIV結合タンパク質(LIV−I系)およびLS結合タンパク質(LS系)、ならびに膜成分であるLivHMGFからなる分枝鎖アミノ酸トランスポーターである。いくつかの実施形態では、フェニルアラニントランスポーターは、細菌種に由来するaroP遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、フェニルアラニントランスポーターは、LIV結合タンパク質およびLS結合タンパク質ならびに細菌種に由来するLivHMGF遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、pheP、aroP、およびLIV−I/LS系から選択される1種より多いフェニルアラニントランスポーターを含む。
「フェニルアラニン」および「Phe」は、式CCHCH(NH)COOHを有するアミノ酸を指すために使用される。フェニルアラニンは、チロシン、ドーパミン、ノルエピネフリン、およびエピネフリンの前駆体である。L−フェニルアラニンは必須アミノ酸であり、食品タンパク質中に主に見出されるフェニルアラニンの形態である。立体異性体D−フェニルアラニンは食品タンパク質中により少ない量で見出され、DL−フェニルアラニンは両方の形態の組合せである。フェニルアラニンは、L−フェニルアラニン、D−フェニルアラニン、およびDL−フェニルアラニンのうちの1つまたは複数を指すことができる。
「作動可能に連結している」とは、核酸配列、例えばcisで作用する核酸配列の発現を可能にするように調節領域配列に結合している、例えばPALをコードする遺伝子を指す。調節領域は、目的の遺伝子の転写を誘導することができ、プロモーター配列、エンハンサー配列、応答エレメント、タンパク質認識部位、誘導性エレメント、プロモーター制御エレメント、タンパク質結合配列、5’および3’非翻訳領域、転写開始部位、終止配列、ポリアデニル化配列、およびイントロンを含んでもよい核酸である。
「誘導可能なプロモーター」とは、1つまたは複数の遺伝子に作動可能に連結している調節領域を指し、遺伝子の発現は前記調節領域の誘導因子の存在下で増加する。
「直接的に誘導可能なプロモーター」とは、フェニルアラニン代謝酵素、例えばPALをコードする遺伝子に作動可能に連結している調節領域を指し、前記調節領域の誘導因子の存在下で、フェニルアラニン代謝酵素が発現される。「間接的に誘導可能なプロモーター」とは、2つ以上の調節領域、例えば、第1の分子、例えば、フェニルアラニン代謝酵素をコードする遺伝子に作動可能に連結している第2の調節領域を調節できる、転写調節因子をコードする遺伝子に作動可能に連結している第1の調節領域を含む調節系を指す。第1の調節領域の誘導因子の存在下で、第2の調節領域は活性化または抑制され得、それによってフェニルアラニン代謝酵素の発現を活性化または抑制する。直接的に誘導可能なプロモーターおよび間接的に誘導可能なプロモーターの両方は、「誘導可能なプロモーター」に包含される。
「外因性環境条件」または「環境条件」とは、本明細書に記載のプロモーターが直接的または間接的に誘導される設定または状況を指す。前記語句は、操作された微生物に対して外部であるが、宿主対象環境に対して内因性または天然である環境条件を指すことを意味する。したがって、「外因性」および「内因性」は、環境条件が哺乳動物の身体に対して内因性であるが、無傷微生物細胞に対して外部または外因性である環境条件を指すために交換可能に使用され得る。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は哺乳動物の消化管に特異的である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は哺乳動物の上部消化管に特異的である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は哺乳動物の下部消化管に特異的である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は哺乳動物の小腸に特異的である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の消化管の環境などの低酸素、微好気的、または嫌気的条件である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件とは、健康または疾患状態における哺乳動物の消化管に特異的である分子または代謝産物、例えばプロピオネートの存在を指す。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、組織特異的または疾患特異的代謝産物または分子である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は低pH環境である。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作された微生物はpH依存性プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作された微生物は、酸素レベル依存性プロモーターを含む。いくつかの態様では、細菌は酸素レベルを検知できる進化した転写因子を有する。異なるシグナル伝達経路が異なる酸素レベルによって誘発され得、異なる動態を伴って発生する。
本明細書中で使用される場合、「外因性環境条件」または「環境条件」はまた、操作された微生物の外部の設定または状況または環境条件のことを指し、微生物のin vitro培養条件に関連する。「外因性環境条件」はまた、生物の成長、生産、および製造中の条件を指す場合がある。そのような条件には、好気性培養条件、嫌気性培養条件、低酸素培養条件および設定酸素濃度下における他の条件も含まれる。そのような条件にはまた、培養液中のテトラサイクリン、アラビノース、IPTG、ラムノースなどの化学的および/または栄養性誘導物質の存在も含まれる。そのような条件にはまた、in vivo投与の前に微生物が増殖される温度も含まれる。例えば、特定のプロモーター系を使用すると、ある温度はペイロードの発現を許容するが、他の温度は許容しない。酸素レベル、温度および培地組成は、そのような外因性環境条件に影響を与える。そのような条件は、増殖速度、PME(例えば、PALまたはLAAD)の誘導速度、トランスポーター(例えば、PheP)および/または他の調節因子(例えば、FNRS24Y)の誘導速度、ならびに菌株生産中の当該株の全体的な生存能力および代謝活性に影響を与える。
「酸素レベル依存性プロモーター」または「酸素レベル依存性調節領域」とは、1つまたは複数の酸素レベル感受性転写因子が結合できる核酸配列を指し、対応する転写因子の結合および/または活性化は下流の遺伝子発現を活性化する。
酸素レベル依存性転写因子の例には、限定されないが、FNR、ANR、およびDNRが含まれる。対応するFNR応答性プロモーター、ANR応答性プロモーター、およびDNR応答性プロモーターは当該分野において公知である(例えば、Castiglioneら、2009年;Eiglmeierら、1989年;Galimandら、1991年;Hasegawaら、1998年;Hoerenら、1993年;Salmonら、2003年を参照のこと)。非限定的な例は表1に示される。
非限定的な例において、プロモーター(PfnrS)は、環境酸素が低いかまたは全くない条件下で高度に発現することが知られている、大腸菌Nissleフマレートおよび硝酸レダクターゼ遺伝子S(fnrS)に由来した(DurandおよびStorz、2010年;Boysenら、2010年)。PfnrSプロモーターは、Nissleにおいて天然に見出される包括的転写調節因子FNRによって嫌気的および/または低酸素条件下で活性化される。嫌気的および/または低酸素条件下で、FNRは二量体を形成し、その制御下で特異的遺伝子のプロモーターにおける特異的配列に結合し、それによってそれらの発現を活性化する。しかしながら、好気的条件下で、酸素はFNR二量体における鉄−硫黄クラスターと反応し、それらを不活性型に変換する。このように、PfnrS誘導性プロモーターはタンパク質またはRNAの発現をモジュレートするために採用される。PfnrSは、本出願において、FNRS、fnrS、FNR、P−FNRSプロモーターおよびプロモーターPfnrSを示す他のそのような関連した指定として交換可能に使用される。
本明細書において使用される場合、「非天然」核酸配列とは、通常、細菌に存在しない核酸配列、例えば内因性配列の追加のコピー、または細菌の異なる種、株、もしくは亜株由来の配列などの異種配列、または同じ亜型の細菌由来の非修飾配列と比較して修飾および/もしくは突然変異されている配列を指す。いくつかの実施形態では、非天然核酸配列は合成の天然に存在しない配列である(例えば、Purcellら、2013年を参照のこと)。非天然核酸配列は、調節領域、プロモーター、遺伝子、および/または遺伝子カセットにおける1つもしくは複数の遺伝子であってもよい。いくつかの実施形態では、「非天然」とは、天然において互いに同じ関係で見出されない2つ以上の核酸配列を指す。非天然核酸配列はプラスミドまたは染色体上に存在し得る。さらに、任意の調節領域、プロモーター、遺伝子、および/または遺伝子カセットの複数のコピーが細菌に存在してもよく、調節領域、プロモーター、遺伝子、および/または遺伝子カセットの1つまたは複数のコピーは、突然変異されてもよいか、または別様で本明細書に記載されるように変化されてもよい。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、コピー数を高めるために、または複数の異なる機能を実行する遺伝子カセットの複数の異なる成分を含むように同じ調節領域、プロモーター、遺伝子、および/または遺伝子カセットの複数のコピーを含むように操作される。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、天然では前記遺伝子に付随していない直接的または間接的に誘導可能なプロモーター、例えば、PALをコードする遺伝子に作動可能に連結しているFNRプロモーターまたはLAADに作動可能に連結しているParaBADプロモーターに作動可能に連結しているフェニルアラニン代謝酵素をコードする遺伝子を含む。
「構成的プロモーター」とは、その制御下および/またはそれが作動可能に連結しているコード配列または遺伝子の連続的な転写を促進することができるプロモーターを指す。構成的プロモーターおよびバリアントは当該分野において周知であり、限定されないが、BBa_J23100、構成的大腸菌σプロモーター(例えば、osmYプロモーター(国際遺伝子操作機構(International Genetically Engineered Machine)(iGEM)標準生物学的パーツ登録所(Registry of Standard Biological Parts)名称BBa_J45992;BBa_J45993))、構成的大腸菌σ32プロモーター(例えば、htpGヒートショックプロモーター(BBa_J45504))、構成的大腸菌σ70プロモーター(例えば、lacqプロモーター(BBa_J54200;BBa_J56015)、大腸菌CreABCDリン酸検知オペロンプロモーター(BBa_J64951)、GlnRSプロモーター(BBa_K088007)、lacZプロモーター(BBa_K119000;BBa_K119001);M13K07遺伝子Iプロモーター(BBa_M13101);M13K07遺伝子IIプロモーター(BBa_M13102)、M13K07遺伝子IIIプロモーター(BBa_M13103)、M13K07遺伝子IVプロモーター(BBa_M13104)、M13K07遺伝子Vプロモーター(BBa_M13105)、M13K07遺伝子VIプロモーター(BBa_M13106)、M13K07遺伝子VIIIプロモーター(BBa_M13108)、M13110(BBa_M13110))、構成的バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)σプロモーター(例えば、プロモーターveg(BBa_K143013)、プロモーター43(BBa_K143013)、PliaG(BBa_K823000)、PlepA(BBa_K823002)、Pveg(BBa_K823003))、構成的バチルス・サブティリスσプロモーター(例えば、プロモーターctc(BBa_K143010)、プロモーターgsiB(BBa_K143011))、サルモネラ(Salmonella)プロモーター(例えば、サルモネラ由来のPspv2(BBa_K112706)、サルモネラ由来のPspv(BBa_K112707))、バクテリオファージT7プロモーター(例えば、T7プロモーター(BBa_I712074;BBa_I719005;BBa_J34814;BBa_J64997;BBa_K113010;BBa_K113011;BBa_K113012;BBa_R0085;BBa_R0180;BBa_R0181;BBa_R0182;BBa_R0183;BBa_Z0251;BBa_Z0252;BBa_Z0253))、バクテリオファージSP6プロモーター(例えば、SP6プロモーター(BBa_J64998))、およびそれらの機能的断片が含まれる。
「消化管」とは、食物の移動および消化、栄養素の吸収、ならびに老廃物の排出を担う器官、腺、管、および系を指す。ヒトにおいて、消化管は、口から始まり肛門で終わり、食道、胃、小腸、および大腸をさらに含む、胃腸(GI)管を含む。消化管はまた、脾臓、肝臓、胆嚢、および膵臓などの副器官および腺を含む。上部胃腸管は、食道、胃、および小腸の十二指腸を含む。下部胃腸管は、小腸の残りの部分、すなわち空腸および回腸、ならびに大腸の全て、すなわち盲腸、結腸、直腸、および肛門管を含む。細菌は、消化管全体にわたって、例えば胃腸管において、特に腸において見出され得る。
いくつかの実施形態において、遺伝子操作された細菌は、消化管内で活性である(例えば、1つ以上のPMEを発現する)。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された細菌は、大腸において活性である(例えば、1つ以上のPMEを発現する)。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された細菌は、小腸において活性である(例えば、1つ以上のPMEを発現する)。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された細菌は、小腸および大腸において活性である。理論に縛られることは望まないが、フェニルアラニンの分解は、小腸においてアミノ酸吸収、例えばフェニルアラニン吸収が起こるので、小腸において非常に有効である。フェニルアラニンの血液への取り込みの防止または低減により、Pheレベルの上昇およびその結果生じるPheの毒性を回避することができる。さらに、腸と身体との間の広範な腸内循環は、PKUにおける全身性フェニルアラニンの除去を可能にし得る(例えば、Changらによって、PKUのラットモデルにおいて記載されている(Changら、「A new theory of enterorecirculation of amino acids and its use for depleting unwanted amino acids using oral enzyme−artificial cells, as in removing phenylalanine in phenylketonuria; Artif Cells Blood Substit Immobil Biotechnol.1995年; 23巻(1):1−21頁))。血液由来のフェニルアラニンは小腸内に循環し(例えば、図39参照)、当該部位で活性な細菌によって除去され得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は小腸を通過する。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された細菌は、小腸における滞留時間が長くなっている。いくつかの実施形態において、遺伝子操作された細菌は小腸に定着する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は小腸に定着しない。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、消化管内の滞留時間が長くなっている。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、small intestigutneに定着する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は消化管に定着しない。
本明細書で使用される場合、用語「低酸素」は、大気中に存在する酸素(O )のレベル、量、または濃度より低い酸素のレベル、量、または濃度を指すことを意味する(例えば、<21%O ; <160torrO ))。したがって、用語「低酸素条件(複数可)」または「低酸素環境」は、大気中に存在する酸素よりも低い酸素レベルを含む条件または環境を指す。いくつかの実施形態では、「低酸素」という用語は、哺乳類の消化管、例えば、内腔、胃、小腸、十二指腸、空腸、回腸、大腸、盲腸、結腸、遠位S状結腸、直腸および肛門管に見出される酸素(O )のレベル、量、または濃度を指すこと意味する。いくつかの実施形態において、「低酸素」という用語は、0〜60mmHgのO (0〜60torrのO )(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、および60mmHgのO )のレベル、量、または濃度を指すことを意味し、それらの任意およびすべての小数の増加を含む(例えば、0.2mmHg、0.5mmHgのO 、0.75mmHgのO 、1.25mmHgのO 、2.175mmHgのO 、3.45mmHgのO 、3.75mmHgのO 、4.5mmHgのO 、6.8mmHgのO 、11.35mmHgのO 、46.3mmHgのO 、58.75mmHgなどが含まれるが、これらの例示的な小数は、説明の目的でここに挙げたものであって、決して限定されることを意味するものではない。)。いくつかの実施形態において、「低酸素」とは、約60mmHg以下のO (例えば、0〜約60mmHgのO )を指す。低酸素」という用語はまた、0〜60mmHgの間(0mmHgと60mmHgを含めて)のO のレベル、量、または濃度の範囲、例えば、0〜5mmHg O 、<1.5mmHg O 、6〜10mmHg、<8mmHg、47〜60mmHgなどを指すことができるが、これらの例示的範囲は、説明の目的でここに挙げたものであって、決して限定されることを意味するものではない。例えば、Albenbergら、Gastroenterology、147巻(5):1055−1063頁(2014年);Bergofskyら、J Clin. Invest.、41巻(11):1971−1980頁(1962年);Cromptonら、J Exp. Biol.、43巻:473−478頁(1965年);Heら、PNAS(USA)、96巻:4586−4591頁(1999年);McKeown、Br. J. Radiol.、87巻:20130676(2014年)(doi:10.1259/brj.20130676)を参照されたい。前記の各文献では、様々な種の哺乳動物の消化管内に見出される酸素レベルが議論されており、これらの文献はそれぞれ全体とし本明細書に取り込まれる。いくつかの実施形態では、「低酸素」という用語は、哺乳動物の消化管以外の器官または組織、例えば尿生殖路、腫瘍組織などに見出される酸素(O )のレベル、量または濃度を意味し、当該器官または組織では、酸素は低下したレベル、例えば、低酸素(hypoxic)または無酸素(anoxic)レベルで存在する。いくつかの実施形態では、「低酸素」とは、部分的に好気性、半好気性(semi aerobic)、微好気性(microaerobic)、超好気性(nanoaerobic)、微酸素性(microoxic)、低酸素性(hypoxic)、無酸素性(anoxic)および/または嫌気性条件に存在する酸素(O )のレベル、量または濃度を意味する。例えば、表Aは、様々な器官および組織に存在する酸素量をまとめたものである。いくつかの実施形態では、酸素(O )のレベル、量、または濃度は、液体中に存在する遊離の非化合物の酸素(O )のレベルを指す溶存酸素(「DO」)の量として表され、典型的には、ミリグラムパーリッター(mg/L)、百万分率(ppm; 1mg/L=1ppm)またはマイクロモル(umole)(1μmol O =0.022391mg/L O )で報告されている。Fondriest Environmental、Inc.、 “Dissolved Oxygen”、環境測定の基礎、2013年11月19日、www.fondriest.com/environmental−measurements/parameters/water−quality/dissolved−oxygen/>。いくつかの実施形態では、「低酸素」という用語は、約6.0mg/L DO以下の酸素(O )のレベル、量、または濃度を指すことを意味し、例えば6.0mg/L、5.0mg/L、4.0mg/L、3.0mg/L、2.0mg/L、1.0mg/L、または0mg/L、ならびにそれらの小数、例えば、3.25mg/L、2.5mg/L、1.75mg/L、1.5mg/L、1.25mg/L、0.9mg/L、0.8mg/L、0.7mg/L、0.6mg/L、0.5mg/L、0.4mg/L、0.3mg/L、0.2mg/Lおよび0.1mg/L DOである。これらの例示的な小数は、説明の目的でここに挙げたものであって、決して限定されることを意味するものではない。液体または溶液中の酸素レベルは、空気飽和のパーセンテージまたは酸素飽和のパーセンテージとして報告され得る(溶液中の溶存酸素(O )濃度と、安定な平衡下で一定の温度、圧力、および塩濃度の溶液についての最大溶存酸素量との比)酸素の生成物または消費物を含まず、十分に酸素を供給された溶液(例えば、混合および/または撹拌された溶液)は、100%空気飽和である。いくつかの実施形態において、「低酸素」という用語は、40%以下の空気飽和、例えば、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、および0%空気飽和を指すことを意味し、それらの任意およびすべての小数の増加(例えば、30.25%、22.70%、15.5%、7.7%、5.0%、2.8%、2.0%、1.65%、1.0%、0.9%、0.8%、0.75%、0.68% 0.5%、0.44%、0.3%、0.25%、0.2%、0.1%、0.08%、0.075%、0.058%、0.04%、0.032%、0.025%、0.01%など)ならびに0〜40%の間(0%と40%を含めて)の酸素飽和レベルの任意の範囲(例えば、0〜5%、0.05〜0.1%、0.1〜0.2%、0.1〜0.5%、0.5〜2.0%、0〜10%、5〜10%、10〜15%、15〜20%、20〜25%、25〜30%など)が含まれる。ここに列挙した例示的な小数および範囲は、説明のためのものであり、決して限定されることを意味するものではない。いくつかの実施形態では、「低酸素」という用語は、9%以下の酸素飽和、例えば、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0%のO 飽和を指すことを意味し、それらの任意およびすべての小数の増加(例えば、6.5%、5.0%、2.2%、1.7%、1.4%、0.9%、0.8%、0.75%、0.68%、0.5%、0.44%、0.3%、0.25%、0.2%、0.1%、0.08%、0.075%、0.058%、0.04%、0.032%、0.025%、0.01%など)ならびに0〜9%の間(0%と9%を含めて)の酸素飽和レベルの任意の範囲(例えば、0〜5%、0.05〜0.1%、0.1〜0.2%、0.1〜0.5%、0.5〜2.0%、0〜8%、5〜7%、0.3〜4.2%のO など)が含まれる。ここに列挙した例示的な少数および範囲は、説明のためのものであり、決して限定的であることを意味するものではない。
表A
本明細書において使用される場合、「遺伝子」または「遺伝子配列」という用語は、遺伝子配列、例えば核酸配列を指すことを意味する。遺伝子、遺伝子配列または遺伝学的配列(genetic sequence)は、完全な遺伝子配列または部分的な遺伝子配列を含むことを意味する。遺伝子、遺伝子配列または遺伝学的配列は、タンパク質またはポリペプチドをコードする配列を含むことを意味し、また、タンパク質またはポリペプチドをコードしない遺伝学的配列、例えば、調節配列、リーダー配列、シグナル配列、または他の非タンパク質コード配列を含むことを意味する。
「微生物」とは、典型的に単細胞からなる微視的、超微視的、または超顕微鏡的なサイズの生物または微生物を指す。微生物の例には、細菌、酵母、ウイルス、寄生虫、真菌、特定の藻類、および原生動物が含まれる。いくつかの態様では、微生物は、目的の1つまたは複数の治療分子またはタンパク質を産生するように操作される(「操作された微生物」)。特定の態様では、微生物は、その環境、例えば消化管から特定の代謝産物または他の化合物を吸収し、異化するように操作される。特定の態様では、微生物は、特定の有益な代謝産物または他の化合物(合成または天然に存在する)を合成し、それらをその環境中へ放出するように操作される。特定の実施形態では、操作された微生物は操作された細菌である。特定の実施形態では、操作された微生物は操作されたウイルスである。
「非病原性細菌」とは、宿主において疾患または有害な反応を引き起こすことができない細菌を指す。いくつかの実施形態では、非病原性細菌はグラム陰性細菌である。いくつかの実施形態では、非病原性細菌はグラム陽性細菌である。いくつかの実施形態では、非病原性細菌は、消化管の常在微生物叢に存在する共生細菌である。非病原性細菌の例には、限定されないが、バチルス属(Bacillus)、バクテイロデス属(Bacteroides)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ブレビバクテリア属(Brevibacteria)、クロストリジウム属(Clostridium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、エシェリキア属(Escherichia)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、およびスタフィロコッカス属(Staphylococcus)、例えば、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・サブティリス、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・サブティリス(Bacteroides subtilis)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、大腸菌(Escherichia coli)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactococcus lactis)、およびサッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)が含まれる(Sonnenbornら、2009年;Dinleyiciら、2014年;米国特許第6,835,376号;米国特許第6,203,797号;米国特許第5,589,168号;米国特許第7,731,976号)。天然の病原性細菌は、病原性を低減または取り除くように遺伝子操作されてもよい。
「プロバイオティクス」は、適量の微生物を含有する宿主生物に対して健康の利点を与えることができる、生きている非病原性の微生物、例えば細菌を指すために使用される。いくつかの実施形態では、宿主生物は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、宿主生物はヒトである。非病原性細菌のいくつかの種、株、および/または亜型は、現在、プロバイオティクスとして認識されている。プロバイオティクス細菌の例には、限定されないが、ビフィドバクテリア属(Bifidobacteria)、エシェリキア属、ラクトバチルス属、およびサッカロミセス属、例えば、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム、エンテロコッカス・フェシウム、大腸菌、大腸菌株Nissle、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・パラカセイ、ラクトバチルス・プランタルム、およびサッカロミセス・ブラウディが含まれる(Dinleyiciら、2014年;米国特許第5,589,168号;米国特許第6,203,797号;米国特許第6,835,376号)。プロバイオティクスは細菌のバリアントまたは突然変異株であってもよい(Arthurら、2012年;Cuevas−Ramosら、2010年;Olierら、2012年;Nougayredeら、2006年)。非病原性細菌は、所望の生物学的特性、例えば生存率を向上または改善させるように遺伝子操作されてもよい。非病原性細菌は、プロバイオティクス特性を提供するように遺伝子操作されてもよい。プロバイオティクス細菌は、プロバイオティクス特性を向上または改善させるように遺伝子操作されてもよい。
本明細書において使用される場合、「安定に維持された」または「安定な」細菌は、非天然遺伝子物質、例えばPAL遺伝子を保有する細菌宿主細胞を指すために使用され、その非天然遺伝子物質が保持され、発現され、および/または増殖されるように、それは宿主ゲノム内に組み込まれるか、または自己複製染色体外プラスミド上で増殖する。安定な細菌は、in vitro、例えば培地中、および/またはin vivo、例えば消化管内で生存および/または増殖できる。例えば、安定な細菌は、PAL遺伝子を保有するプラスミドまたは染色体が宿主細胞中で安定に維持される、PAL遺伝子を含む遺伝子組換え細菌であってもよく、それによりPALは宿主細胞中で発現され得、宿主細胞はin vitroおよび/またはin vivoで生存および/または増殖できる。いくつかの実施形態では、コピー数は、非天然遺伝物質、例えば、PAL遺伝子またはPAH遺伝子の発現の安定性に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、コピー数は、非天然遺伝物質、例えば、PAL遺伝子またはPAH遺伝子の発現レベルに影響を及ぼす。
本明細書において使用される場合、「モジュレートする」および「治療する」という用語ならびにそれらの同語源語は、疾患、障害、および/もしくは状態、またはそれらのうちの少なくとも1つの識別できる症状の改善を指す。別の実施形態では、「モジュレートする」および「治療する」とは、必ずしも患者によって識別できるとは限らない、少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善を指す。別の実施形態では、「モジュレートする」および「治療する」とは、物理的(例えば、識別できる症状の安定化)、生理的(例えば、物理的パラメータの安定化)のいずれかまたは両方で、疾患、障害、および/または状態の進行を阻害することを指す。別の実施形態では、「モジュレートする」および「治療する」とは、疾患、障害、および/もしくは状態の進行を遅らせること、またはそれらの進行を反転させることを指す。本明細書において使用される場合、「予防する」およびその同語源語は、発症を遅延させること、あるいは所与の疾患、障害および/もしくは状態またはそのような疾患、障害、および/もしくは状態に関連した症状に罹るリスクを低減させることを指す。
治療を必要とするものは、特定の医学的疾患を既に有する個体、および疾患を有するリスクがあるか、または最終的に疾患に罹り得る個体を含んでもよい。治療の必要性は、例えば、疾患の発生、疾患の存在もしくは進行、または疾患を有する対象の治療に対する受容の可能性に関連する1つまたは複数のリスク因子の存在によって評価される。原発性高フェニルアラニン血症、例えばPKUは、治癒が知られていない先天的遺伝子突然変異によって引き起こされる。高フェニルアラニン血症はまた、他の状態、例えば肝疾患に続発する可能性がある。高フェニルアラニン血症を治療することは、過剰なフェニルアラニンおよび/または関連する症状を低減させるか、または取り除くことを包含することができ、必ずしも基礎疾患を取り除くことを包含する必要はない。
本明細書において使用される場合、「医薬組成物」とは、生理学的に適切な担体および/または賦形剤などの他の成分との本発明の遺伝子操作された細菌の調製物を指す。
交換可能に使用されてもよい「生理学的に許容される担体」および「薬学的に許容される担体」という語句は、生物に著しい刺激を引き起こさず、投与される細菌性化合物の生物学的活性および特性を無効にしない担体または希釈剤を指す。助剤はこれらの語句に含まれる。
「賦形剤」という用語は、活性成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に加えられる不活性な物質を指す。例には、限定されないが、重炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖および種類のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコール、ならびに例えばポリソルベート20を含む界面活性剤が含まれる。
「治療有効用量」および「治療有効量」という用語は、症状の発症の予防、遅延、または状態、例えば高フェニルアラニン血症の症状の改善をもたらす化合物の量を指すために使用される。治療有効量は、例えば、重症度を治療し、予防し、低減させ、発症を遅延させ、および/または過剰なフェニルアラニンレベルに関連する疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状の発生のリスクを低減させるのに十分であり得る。治療有効量、および投与の治療有効頻度は、当該分野において公知であり、以下に説明される方法によって決定され得る。
本明細書において使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、「ポリペプチド(単数)」および「ポリペプチド(複数)」を含み、アミド結合(すなわちペプチド結合)によって直線状に連結しているアミノ酸モノマーからなる分子を指す。「ポリペプチド」という用語は、2つ以上のアミノ酸の任意の鎖(複数可)を指し、特定の長さの生成物を指すわけではない。したがって、「ペプチド」、「ジペプチド」、「トリペプチド」、「オリゴペプチド」、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、または2つ以上のアミノ酸の鎖(複数可)を指すために使用される任意の他の用語は、「ポリペプチド」の定義の範囲内に含まれ、「ポリペプチド」という用語は、これらの用語のいずれかの代わりに、または交換可能に使用されてもよい。「ジペプチド」という用語は、2つの連結しているアミノ酸のペプチドを指す。「トリペプチド」という用語は、3つの連結しているアミノ酸のペプチドを指す。「ポリペプチド」という用語はまた、限定されないが、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、誘導体化、タンパク質分解的切断、または天然に存在しないアミノ酸による修飾を含む、ポリペプチドの発現後修飾の生成物を指すことを意図する。ポリペプチドは、天然の生物学的起源に由来してもよいか、または組換え技術によって産生されてもよい。他の実施形態では、ポリペプチドは、本発明の遺伝子操作された細菌またはウイルスによって産生される。本発明のポリペプチドは、約3個以上、5個以上、10個以上、20個以上、25個以上、50個以上、75個以上、100個以上、200個以上、500個以上、1000個以上、または2,000個以上のアミノ酸のサイズであってもよい。ポリペプチドは、定義された三次元構造を有してもよいが、必ずしもこのような構造を有する必要はない。定義された三次元構造を有するポリペプチドは折り畳まれたと称され、定義された三次元構造を保有しないが、多数の異なる立体配座を採用できるポリペプチドは折り畳まれていないと称される。「ペプチド」または「ポリペプチド」という用語は、タンパク質もしくはタンパク質の一部に対応するアミノ酸配列を指してもよいか、または非タンパク質配列、例えば、調節ペプチド配列、リーダーペプチド配列、シグナルペプチド配列、リンカーペプチド配列、および他のペプチド配列から選択される配列に対応するアミノ酸配列を指してもよい。
「単離された」ポリペプチドまたはその断片、バリアント、もしくは誘導体とは、その天然の環境に存在しないポリペプチドを指す。特定の精製レベルは必要とされない。限定されないが、細菌または哺乳動物細胞を含む宿主細胞中で発現される組換えにより産生されたポリペプチドおよびタンパク質は、任意の適切な技術によって分離、断片化、または部分的もしくは十分に精製されている天然または組換えポリペプチドがそうであるように、本発明の目的においては、単離されたとみなされる。組換えペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質とは、組換えDNA技術によって産生された、すなわちポリペプチドをコードする外因性組換えDNA発現構築物によって形質転換された細胞、微生物または哺乳動物から産生されたペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を指す。ほとんどの細菌培養物中で発現されるタンパク質またはペプチドは、典型的にグリカンを含まない。前述のポリペプチドの断片、誘導体、類似体またはバリアント、およびそれらの任意の組合せもまた、ポリペプチドとして含まれる。「断片」、「バリアント」、「誘導体」および「類似体」という用語は、元のペプチドのアミノ酸配列と十分に類似したアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、対応する元のポリペプチドの少なくとも1つまたは複数の特性を保持する任意のポリペプチドを含む。本発明のポリペプチドの断片は、タンパク質分解断片、および欠失断片を含む。断片はまた、特異的抗体もしくは生物活性断片または本明細書に記載される任意のポリペプチドに由来する免疫学的に活性な断片を含む。バリアントは天然に存在してもよいか、または天然に存在しなくてもよい。天然に存在しないバリアントは、当該分野において公知の突然変異誘発法を使用して産生され得る。バリアントポリペプチドは、保存的または非保存的アミノ酸置換、欠失または付加を含んでもよい。
ポリペプチドはまた、融合タンパク質も含む。本明細書において使用される場合、「バリアント」という用語は、元のペプチドまたは元のペプチドと十分に類似する配列を含む融合タンパク質を含む。本明細書において使用される場合、「融合タンパク質」という用語は、2つ以上の異なるタンパク質のアミノ酸配列を含むキメラタンパク質を指す。典型的に、融合タンパク質は周知のin vitro組換え技術から生じる。融合タンパク質は、その融合タンパク質の成分である個々の元のタンパク質と類似した構造機能(しかし必ずしも同じ程度である必要はない)、および/または類似した調節機能(しかし必ずしも同じ程度である必要はない)、および/または類似した生化学機能(しかし必ずしも同じ程度である必要はない)および/または免疫学的活性(しかし必ずしも同じ程度である必要はない)を有してもよい。「誘導体」は、限定されないが、20個の標準的なアミノ酸の1つまたは複数の天然に存在するアミノ酸誘導体を含有するペプチドを含む。2つのペプチド間の「類似性」は、1つのペプチドのアミノ酸配列を第2のペプチドの配列と比較することによって決定される。1つのペプチドのアミノ酸は、それが同一または保存的アミノ酸置換である場合、第2のペプチドの対応するアミノ酸と類似している。保存的置換には、Dayhoff,M.O.、ed.、The Atlas of Protein Sequence and Structure 5、National Biomedical Research Foundation、Washington,D.C.(1978年)、およびArgos、EMBO J.8(1989年)、779〜785頁に記載されているものが含まれる。例えば、以下の群の1つに属するアミノ酸は保存的変化または置換を表す:−Ala、Pro、Gly、Gln、Asn、Ser、Thr;−Cys、Ser、Tyr、Thr;−Val、Ile、Leu、Met、Ala、Phe;−Lys、Arg、His;−Phe、Tyr、Trp、His;および−Asp、Glu。
本明細書において使用される場合、「十分に類似する」という用語は、第1および第2のアミノ酸配列が共通の構造ドメインおよび/または共通の機能的活性を有するように、第2のアミノ酸配列と比較して十分または最低限の数の同一または等価のアミノ酸残基を含有する第1のアミノ酸配列を意味する。例えば、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%同一である共通の構造ドメインを含むアミノ酸配列は、十分に類似していると本明細書において定義される。好ましくは、バリアントは本発明のペプチドのアミノ酸配列と十分に類似している。このようなバリアントは、一般に、本発明のペプチドの機能的活性を保持する。バリアントは、1つまたは複数のアミノ酸の欠失、付加、および/または置換によって、天然および野生型ペプチドとアミノ酸配列がそれぞれ異なるペプチドを含む。それらは天然に存在するバリアントおよび人工的に設計されたバリアントであってもよい。
本明細書において使用される場合、「リンカー」、「リンカーペプチド」または「ペプチドリンカー」または「リンカー」という用語は、2つのポリペプチド配列を接続または連結する、例えば2つのポリペプチドドメインを連結する合成または非天然もしくは天然に存在しないアミノ酸配列を指す。本明細書において使用される場合、「合成」という用語は、天然に存在しないアミノ酸配列を指す。例示的なリンカーが本明細書に記載される。さらなる例示的なリンカーは米国特許出願公開第20140079701号に提供されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書において使用される場合、「コドン最適化配列」という用語は、既存のコード配列から改変された、あるいは例えば、コード配列から転写された転写RNA分子の発現宿主細胞もしくは生物における翻訳を改善するように、またはコード配列の転写を改善するように設計された配列を指す。コドンの最適化には、限定されないが、発現宿主生物のコドンの選好性に適合するように、コード配列についてのコドンを選択することを含むプロセスが含まれる。「コドン最適化された」という用語は、核酸分子によってコードされるポリペプチドを改変することなく、宿主生物の典型的なコドン使用頻度を反映するために、当該核酸分子の遺伝子またはコード領域においてコドンを改変することを指す。このような最適化には、少なくとも1つ、または2つ以上、または相当な数のコドンを、宿主生物の遺伝子においてより頻繁に使用されている1つ以上のコドンで置換することが含まれる。「コドン最適化配列」とは、既存のコード配列から改変された、あるいは例えば、コード配列から転写された転写RNA分子の発現宿主細胞もしくは生物における翻訳を改善するように、またはコード配列の転写を改善するように設計された配列を指す。いくつかの実施形態において、転写および/または翻訳の改善は、転写および/または翻訳のレベルを増加させることを含む。いくつかの実施形態では、転写および/または翻訳の改善は、転写および/または翻訳のレベルを低下させることを含む。いくつかの実施形態では、目的の構築物からの発現レベル、例えば、PAL3レベルおよび/またはPhePレベルを微調整するために、コドン最適化が用いられる。コドンの最適化には、発現宿主生物のコドン選好性に適合するように、コード配列のコドンを選択することを含むプロセスが含まれるが、これに限定されない。多くの生物は、成長ポリペプチド鎖において特定のアミノ酸の挿入をコードするために特定のコドンを使用するためのバイアスまたは選好性を示す。コドンの選好性またはコドンバイアス、生物間でのコドン使用頻度の差異は、遺伝暗号の縮重によって許容され、多くの生物の間で文書により十分に立証されている。コドンバイアスは、多くの場合、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳効率と相関し、次に、そのメッセンジャーRNA(mRNA)は、とりわけ、翻訳されるコドンの特性および特定のトランスファーRNA(tRNA)分子の利用可能性に依存すると考えられる。細胞における選択されたtRNAの優性は、一般に、ペプチド合成において最も頻繁に使用されるコドンの反映である。したがって、遺伝子は、コドン最適化に基づいた所与の生物における最適な遺伝子発現のために調整され得る。
本明細書において使用される場合、「分泌系」または「分泌タンパク質」という用語は、目的のタンパク質または治療タンパク質を微生物、例えば細菌細胞質から分泌または排出することができる天然または非天然の分泌機構を指す。分泌系は、単一タンパク質を含んでもよいか、または複合体、例えばHlyBDにおいて構築される2つ以上のタンパク質を含んでもよい。グラム陰性細菌についての分泌系の非限定的な例には、修飾されたIII型鞭毛、I型(例えば、溶血素分泌系)、II型、IV型、V型、VI型、およびVII型分泌系、耐性−結節形成−分裂(resistance−nodulation−division)(RND)多剤排出ポンプ、種々の単一膜分泌系が含まれる。グラム陽性細菌についての分泌系の非限定的な例には、SecおよびTAT分泌系が含まれる。いくつかの実施形態では、目的のタンパク質は、目的のタンパク質または治療タンパク質を特異的分泌系へ誘導するためのRNAまたはペプチド起源のいずれかの「分泌タグ」を含む。いくつかの実施形態では、分泌系は、操作した細菌から目的のタンパク質を分泌する前にこのタグを除去することができる。例えば、V型自己分泌媒介性分泌(auto−secretion−mediated secretion)において、N末端ペプチド分泌タグは、天然のSec系によって細胞質から周辺質区画への「パッセンジャー」ペプチドの転位の際に除去される。さらに、自己分泌因子が外膜を横切って移行すると、C末端分泌タグは、自己触媒的またはプロテアーゼによって触媒されるいずれかの、例えばOmpT切断によって除去され得、それによって目的のタンパク質を細胞外環境に放出する。
本明細書において使用される場合、「トランスポーター」という用語は、分子、例えば、アミノ酸、毒素、代謝産物、基質などを細胞外環境から微生物へ取り込むための機構、例えばタンパク質(複数可)を指すことを意味する。例えば、PhePなどフェニルアラニントランスポーターはフェニルアラニンを微生物に取り込む。
本明細書において使用される場合、冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、明確に反対であることが示されていない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
「および/または」という語句は、列挙における要素の間で使用される場合、(1)単一の列挙された要素のみが存在すること、または(2)列挙の1つより多い要素が存在することのいずれかを意味することを意図する。例えば、「A、Bおよび/またはC」は、その選択が、A単独;B単独;C単独;AおよびB;AおよびC;BおよびC;またはA、B、およびCであってもよいことを示す。「および/または」という語句は、列挙における要素の「少なくとも1つ」または「1つもしくは複数」と交換可能に使用されてもよい。
細菌
本発明の遺伝子操作された細菌は過剰のフェニルアラニンを低減させることができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は非病原性細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は共生細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はプロバイオティクス細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、病原性を低減させるか、または取り除くように修飾または突然変異された天然の病原性細菌である。いくつかの実施形態では、非病原性細菌はグラム陰性細菌である。いくつかの実施形態では、非病原性細菌はグラム陽性細菌である。例示的な細菌には、限定されないが、バチルス属、バクテイロデス属、ビフィドバクテリウム属、ブレビバクテリア属、クロストリジウム属、エンテロコッカス属、大腸菌、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、サッカロミセス属、およびスタフィロコッカス属、例えば、バチルス・コアグランス、バチルス・サブティリス、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・サブティリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ロングム、クロストリジウム・ブチリカム、エンテロコッカス・フェシウム、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ジョンソニ、ラクトバチルス・パラカセイ、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトバチルス・ラクティス、およびサッカロミセス・ブラウディが含まれる。特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・テタイオタオミクロン、バクテロイデス・サブティリス、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ラクティス、クロストリジウム・ブチリカム、大腸菌Nissle、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ロイテリ、およびラクトコッカス・ラクティスからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、最も特徴付けられたプロバイオティクスの1つに進化している腸内細菌科(Enterobacteriaceae family)のグラム陰性細菌である、大腸菌株Nissle 1917(E.coli Nissle)である(Ukenaら、2007年)。その株はその完全な無害により特徴付けられ(Schultz、2008年)、GRAS(一般に安全と認識されている(generally recognized as safe))状態を有する(Reisterら、2014年、下線は筆者による)。ゲノムシークエンシングにより、大腸菌Nissleが重要なビルレンス因子(例えば、大腸菌α−溶血素、P−線毛付着因子)を欠失していることが確認された(Schultz、2008年)。さらに、大腸菌Nissleは病原性接着因子を保有せず、腸毒素または細胞毒素を全く産生せず、侵襲性ではなく、尿路病原性ではないことが示されている(Sonnenbornら、2009年)。早くも1917年に、大腸菌Nissleは、治療的使用のために、Mutaflorと呼ばれる医薬用カプセルにパッケージ化された。大腸菌Nissleの治療効果および安全性は納得できるように証明されていることは一般に認められている(Ukenaら、2007年)。
当業者は、本明細書に開示される遺伝子組換えが、細菌の他の種、株、および亜型に適合され得ることを理解する。さらに、1つまたは複数の異なる種由来の遺伝子が互いに導入されてもよく、例えば、ロドスポリジウム・トルロイデス由来のPAL遺伝子は大腸菌において発現され得(Sarkissianら、1999年)、原核生物および真核生物のフェニルアラニンアンモニアリアーゼは配列相同性を共有することが知られている(XiangおよびMoore、2005年)。
非修飾大腸菌Nissleおよび本発明の遺伝子操作された細菌は、例えば、消化管もしくは血清中の防御因子によって(Sonnenbornら、2009年)、または投与後数時間もしくは数日の死滅スイッチ(kill switch)の活性化によって破壊され得る。このように、遺伝子操作された細菌は継続的な投与を必要とする場合がある。いくつかの実施形態では、滞留時間はヒト対象について計算される。in vivoでの滞留時間は、本発明の遺伝子操作された細菌について計算され得る(例えば、図68を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌はPALをコードする遺伝子を含み、PAL遺伝子は直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、細菌は非天然PAL遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、細菌は天然のPAL遺伝子のさらなるコピーを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは天然ではPAL遺伝子に付随していない。いくつかの実施形態では、プロモーターは、本明細書に開示される任意の1つ以上のプロモーターである。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌はPAHをコードする遺伝子を含み、PAH遺伝子は直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、細菌は非天然のPAH遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、細菌は天然のPAH遺伝子のさらなるコピーを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは天然ではPAH遺伝子に付随していない。いくつかの実施形態では、プロモーターは本明細書に開示される任意の1つ以上のプロモーターである。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌はLAADをコードする遺伝子を含み、LAAD遺伝子は直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、細菌は非天然のLAAD遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、細菌は天然のLAAD遺伝子のさらなるコピーを含む。いくつかの実施形態では、プロモーターは天然ではLAAD遺伝子に付随していない。いくつかの実施形態では、プロモーターは本明細書に開示される任意の1つ以上のプロモーターである。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はフェニルアラニントランスポーター(PheP)をコードする遺伝子をさらに含む。特定の実施形態では、細菌は、フェニルアラニントランスポーターをコードする天然遺伝子のさらなるコピーを含み、フェニルアラニントランスポーター遺伝子は、直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。代替の実施形態では、細菌は、非天然フェニルアラニントランスポーターをコードする遺伝子を含み、フェニルアラニントランスポーター遺伝子は、直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。両方の実施形態は、「非天然」フェニルアラニントランスポーターという用語に包含される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、天然ではpheP遺伝子に付随していない。いくつかの実施形態では、同じプロモーターは、PhePおよびPALおよび/またはPAHおよび/またはL−AADの発現を制御する。いくつかの実施形態では、PhePの発現を制御するプロモーターは、PALおよび/またはPAHおよび/またはL−AADの発現を制御するプロモーターとは異なる。いくつかの実施形態では、PhePの発現を制御するプロモーターは、本明細書に開示される任意の1つ以上のプロモーターである。
いくつかの実施形態では、PAL、PAH、LAAD、および/またはphePに作動可能に連結しているプロモーターは、外因性環境条件によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の消化管に特異的な外因性環境条件によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の小腸に特異的な外因性環境条件によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の大腸に特異的な外因性環境条件によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の消化管の環境などの低酸素または嫌気的条件および/または低酸素条件によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の消化管に特異的である分子または代謝産物、例えばプロピオネートの存在によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、テトラサイクリンへの曝露によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、アラビノースへの曝露によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、IPTGへの曝露によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、ラムノースまたは当業者に既知の他の化学的および/もしくは栄養性誘導物質への曝露によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、外因性の環境温度によって直接的または間接的に制御される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、IPTGまたは他のlacI結合性化合物への曝露によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、ラムノースへの曝露によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、温度の上昇によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、温度の低下によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、本発明の遺伝子操作された細菌と同時投与される分子によって直接的または間接的に誘導される。そのような分子はテトラサイクリンまたはIPTGまたはアラビノースまたは当業者に既知の他の化学的および/もしくは栄養性誘導物質であり得る。
いくつかの実施形態では、プロモーターは、培養容器(例えば、フラスコまたは発酵槽または他の適切な培養容器)中の条件によって直接的または間接的に誘導され、その中で菌株はin vivo投与前に増殖または維持される。菌株の培養中に提供されるこのような条件の非限定的な例には、低酸素、嫌気性、微好気性もしくは好気性条件、他の一定の酸素レベル(以下に例示されるものなど)、アラビノースの存在、IPTG、ラムノースまたは本明細書に記載されているか当技術分野で公知の他の化学的および/もしくは栄養性誘導物質の存在が含まれる。いくつかの実施形態では、培養容器中の条件は特定の酸素レベル、例えば、酸素1%〜10%、酸素10%〜20%、酸素20%〜30%、酸素30%〜40%、酸素40〜50%、酸素60〜70%、酸素70〜80%、酸素80〜90%、酸素90〜100%、および本明細書に記載される他の酸素レベルに設定され、その設定点においてプロモーターは直接的または間接的に誘導される。
高フェニルアラニン血症の低減
本発明の遺伝子操作された細菌は、フェニルアラニン代謝酵素(PME)をコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、フェニルアラニン代謝酵素(PME)をコードする遺伝子を含み、高フェニルアラニン血症を低減させることができる。
フェニルアラニン代謝酵素の例には、限定されないが、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、アミノトランスフェラーゼ、L−アミノ酸デアミナーゼ(L−AAD)、およびフェニルアラニンデヒドロゲナーゼが含まれる。フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼまたはアミノトランスフェラーゼとの反応は補因子を必要とするが、L−AADおよびPALは追加の補因子を全く必要としない。理論に束縛されるものではないが、補因子を必要としないことは、遺伝子操作された細菌によってコードされる酵素によるフェニルアラニン分解が基質の利用可能性に依存し、補因子の利用可能性によって制限されないことを意味する。
いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つ以上のフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)ポリペプチドをコードする遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は1つ以上のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)ポリペプチドをコードする遺伝子配列を含む。フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL;EC4.3.1.24)は、L−フェニルアラニンをアンモニアおよびtrans−ケイ皮酸に変換する反応を触媒する酵素である。フェニルアラニンアンモニアリアーゼは、L−Pheに特異的であり、L−チロシンにはより低い程度で特異的である。PALによって触媒される反応は、trans−ケイ皮酸およびアンモニアを生じるためのL−フェニルアラニンの自然発生する、非酸化的脱アミノ化である。哺乳動物酵素(PAH)と異なり、PALは単量体であり、補因子を必要としない(MacDonaldら、Biochem Cell Biol 2007年;85:273〜82頁. A modern view of phenylalanine ammonia lyase)。微生物において、それは、微生物が唯一の炭素および窒素源としてL−フェニルアラニン(L−Phe)を利用することを可能にする異化作用の役割を有する。一実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌はPAL遺伝子を含む。PALは、フェニルアラニンを非毒性レベルのtransケイ皮酸およびアンモニアに変換することができる。trans−ケイ皮酸(TCA)は、TCA代謝産物である安息香酸および馬尿酸にさらに変換され得る(Sarkissianら、J Mass Spectrom.2007年6月;42(6):811〜7頁;Quantitation of phenylalanine and its trans−cinnamic,benzoic and hippuric acid metabolites in biological fluids in a single GC−MS analysis)。PAL酵素活性はTHB補因子活性を必要としない。
いくつかの実施形態では、PALは、限定されないが、アクロモバクター・キシロソキシダンス、シュードモナス・アエルギノーザ、フォトラブダス・ルミネセンス、アナベナ・バリアビリス、およびアグロバクテリウム・ツメファシエンスを含む、細菌種に由来するPAL遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、細菌種はフォトラブダス・ルミネセンスである。いくつかの実施形態では、細菌種は、アナベナ・バリアビリスである。いくつかの実施形態では、PALは、真核生物種、例えば、酵母種、植物種に由来するPAL遺伝子によってコードされる。複数の異なるPALタンパク質が当該分野において公知である。遺伝子操作された細菌は、PAL遺伝子が発現されると、同じ条件下で同じ細菌亜型の非修飾細菌より多くのフェニルアラニンを変換する。したがって、PALを含む遺伝子操作された細菌は、PKUを含む、高フェニルアラニン血症に関連する状態を治療するために、体内のフェニルアラニンを非毒性分子に代謝するために使用され得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、アナベナ・バリアビリスPAL(「PAL1」)を発現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、フォトラブダス・ルミネセンスPAL(「PAL3」)を発現する。目的のPAL配列の非限定的な例は表2に示される。
いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つまたは複数のLAADポリペプチドをコードする遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つ以上のPALポリペプチドおよび1つ以上のLAADポリペプチドをコードする遺伝子配列を含む。LAADは、イミノ酸中間体を介してアンモニアおよび過酸化水素の生成と共に、立体特異的酸化、すなわち酸素を消費する、L−アミノ酸のα−ケト酸への脱アミノ化を触媒する。L−AADは、ヘビ毒、および多くの細菌(Bifulcoら、2013年)、具体的にはプロテウス属、プロビデンシア属、およびモルガネラ属の細菌の細胞膜に見出される。L−AAD(EC 1.4.3.2)は二量体構造を有するフラビン酵素である。各サブユニットは、非共有結合フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)補因子)を含有し、外部補因子を全く必要としない。プロテウス・ミラビリスは2種類のL−AADを含有する(DuerreおよびChakrabarty 1975年)。1つは広範な基質特異性を有し、脂肪族および芳香族L−アミノ酸のケト酸、典型的にはL−フェニルアラニンへの酸化を触媒する(GenBank:U35383.1)(Baekら、Journal of Basic Microbiology 2011年、51、129〜135頁;「Expression and characterization of a second L−amino acid deaminase isolated from Proteus mirabilis in Escherichia coli」)。他の種類は塩基性L−アミノ酸に対して主に作用する(GenBank:EU669819.1)。細菌、真菌、および植物源由来のLAADは、窒素源としてL−アミノ酸(すなわち、酵素活性によって産生されたアンモニア)の利用に関与するように見える。ほとんどの真核生物および原核生物のL−アミノ酸デアミナーゼは、膜結合型であるプロテウス種LAAD由来を除いて、細胞外に分泌される。プロテウス・ミラビリスにおいて、L−AADは、酵素活性が存在する周辺質間隙に外側で面している細胞膜に位置することが報告されている(Pelmont Jら、(1972年)「L−amino acid oxidases of Proteus mirabilis:general properties」 Biochimie 54:1359〜1374頁)。
一実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌はLAAD遺伝子を含む。LAADはフェニルアラニンを非毒性レベルのフェニルピルベートに変換することができ、そのフェニルピルベートはまた、例えば肝臓酵素によってフェニルラクテートにさらに分解され得る。フェニルピルベートは血液脳関門を横切ることができず、LAADにより、別の潜在的に有毒な代謝産物の蓄積を可能にせずに脳内のフェニルアラニンのレベルを低減させることができる。いくつかの実施形態では、LAADは、限定されないが、プロテウス属、プロビデンシア属、およびモルガネラ属の細菌を含む、細菌種に由来するLAAD遺伝子によってコードされる。いくつかの実施形態では、細菌種はプロテウス・ミラビリスである。いくつかの実施形態では、細菌種はプロテウス・ブルガリスである。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はプロテウス・ミラビリスLAAD酵素GenBank:U35383.1を発現する。目的のLAAD配列の非限定的な例は表2に示される。いくつかの実施形態では、LAAD酵素はヘビ毒に由来する。本発明によれば、遺伝子操作された細菌は、LAAD遺伝子が発現されると、同じ条件下で同じ細菌亜型の非修飾細菌より多くのフェニルアラニンを変換する。したがって、LAADを含む遺伝子操作された細菌は、PKUを含む高フェニルアラニン血症に関連する状態を治療するために、体内のフェニルアラニンを非毒性分子に代謝するために使用され得る。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は天然に存在するような野生型酵素をコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は野生型配列に対する突然変異を含む酵素をコードする。いくつかの実施形態では、突然変異は酵素の安定性を増加させる。いくつかの実施形態では、突然変異は酵素の触媒活性を増加させる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、表2に列挙されたタンパク質の1つまたは複数をコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号1〜8のいずれかの配列を含むポリペプチドの1つまたは複数をコードする遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号1〜8の配列のいずれかと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するポリペプチドをコードする遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、突然変異を含む、表2の1つまたは複数の酵素をコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、野生型PAHをコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、増加した安定性および/または活性を有する突然変異PAHをコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、野生型PALをコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、増加した安定性および/または活性を有する突然変異PALをコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、野生型LAADをコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、増加した安定性および/または活性を有する突然変異LAADをコードする。所望の特性を有する酵素をスクリーニングする方法は、当該分野において公知であり、本明細書に記載される。
[表2]
PME、例えば、PAL、LAAD、またはPAH遺伝子(群)は、遺伝子操作された細菌におけるプラスミドまたは染色体上に存在し得る。いくつかの実施形態では、PME遺伝子配列(群)は1つ以上の構成的プロモーター(複数可)の制御下で発現される。いくつかの実施形態では、PME遺伝子は、本明細書に記載されているような外因性環境条件によって直接的または間接的に誘導されるプロモーターの制御下で発現される。いくつかの実施形態では、PME遺伝子は、哺乳動物の消化管に特異的な分子または代謝産物の存在下などの外因性環境条件によって直接的または間接的に誘導されるプロモーターの制御下で発現される。一実施形態では、PME遺伝子は、低酸素、微好気的、または嫌気的条件によって直接的または間接的に誘導されるプロモーターの制御下で発現され、PME遺伝子、例えばPAL遺伝子の発現は、哺乳動物の消化管の環境などの低酸素または嫌気的環境下で活性される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、1つ以上のPALポリペプチド配列をコードする遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つ以上のPALポリペプチド配列をコードする遺伝子配列を含み、当該遺伝子配列は哺乳動物の消化管内のような低酸素または嫌気性条件によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つ以上のLAADポリペプチドをコードする遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つ以上のLAADポリペプチドをコードする遺伝子配列を含み、当該遺伝子配列は、胃、十二指腸および回腸を含むがそれらに限定されない近位の腸内において見出されるような酸素が供給された状態、低酸素状態、または微好気性状態によって直接的または間接的に誘導される。他の実施形態では、操作された細菌は、1つ以上のPMEポリペプチド配列をコードする遺伝子配列を含み、当該遺伝子配列は、哺乳動物の消化管内に天然に存在する環境因子によって直接的または間接的に誘導される。他の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、乳動物の消化管内に天然には存在しない環境因子、例えばアラビノースまたはIPTGによって直接的または間接的に誘導される1つ以上のPME遺伝子配列をコードする。他の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、炎症状態下で哺乳類の消化管内に天然に存在する環境因子によって直接的または間接的に誘導される1つ以上のPME遺伝子配列をコードする。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つ以上のPALポリペプチドをコードする遺伝子配列および1つ以上のL−AADポリペプチドをコードする遺伝子配列を含み、当該遺伝子配列は同一プロモーターまたは同一プロモーターの異なるコピーの制御下にあって、当該プロモーターは本明細書に記載のいずれかの環境条件および本明細書に記載のいずれかのプロモーターなどの外因性環境条件によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つ以上のPALポリペプチドをコードする遺伝子配列および1つ以上のL−AADポリペプチドをコードする遺伝子配列を含み、当該遺伝子配列は異なるプロモーターの制御下にあって、当該プロモーターは本明細書に記載のいずれかの環境条件および本明細書に記載のいずれかのプロモーターなどの外因性環境条件によって直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つ以上のPALポリペプチドをコードする遺伝子配列および1つ以上のL−AADポリペプチドをコードする遺伝子配列を含み、当該遺伝子配列は構成的プロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つ以上のPALポリペプチドをコードする遺伝子配列および1つ以上のL−AADポリペプチドをコードする遺伝子配列を含み、当該PAL遺伝子配列は構成的プロモーターの制御下にあり、当該LAAD遺伝子配列は誘導性プロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つ以上のPALポリペプチドをコードする遺伝子配列および1つ以上のL−AADポリペプチドをコードする遺伝子配列を含み、当該LAAD遺伝子配列は構成的プロモーターの制御下にあり、当該PAL遺伝子配列は誘導性プロモーターの制御下にある。これらの実施形態のいずれにおいても、細菌は、1つ以上のPheトランスポーターポリペプチドをコードする遺伝子配列をさらに含むことができ、当該遺伝子配列は、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの制御下にあることができ、Palおよび/またはLAAD遺伝子配列を制御するプロモーターと同じまたは異なるプロモーターであることができる。
他の実施形態では、操作された細菌は、細菌細胞培養中のin vivo投与前に直接的または間接的に誘導される1つまたは複数のPME遺伝子配列をコードする;すなわち、1つ以上のPME遺伝子配列が誘導性プロモーターの制御化で発現し、当該誘導性プロモーターは、フラスコ、発酵槽、または他の培養容器内における細菌増殖中に、細菌の培養物中に与えられる特定の分子もしくは代謝産物、温度、酸素レベル、または他のパラメータに応答する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、細菌細胞培養中のin vivo投与前に直接的または間接的に誘導される1つまたは複数のPME遺伝子配列をコードする;1つ以上のPME遺伝子配列は、低酸素または嫌気性条件下で発現される。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、細菌細胞培養中のin vivo投与前に直接的または間接的に誘導される1つまたは複数のPME遺伝子配列をコードする;1つ以上のPME遺伝子配列は好気性条件下で発現される。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、細菌細胞培養中のin vivo投与前に直接的または間接的に誘導される1つまたは複数のPME遺伝子配列をコードする;1つ以上のPME遺伝子配列は、微好気性条件下で発現される。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、細菌細胞培養中のin vivo投与前に直接的または間接的に誘導される1つまたは複数のPME遺伝子配列をコードする;1つ以上のPME遺伝子配列は、アラビノースの存在下で発現される。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、細菌細胞培養中のin vivo投与前に直接的または間接的に誘導される1つまたは複数のPME遺伝子配列をコードする;1つ以上のPME遺伝子配列はIPTGの存在下で発現される。
細菌は、酸素レベルを検知することができる進化した転写因子を有する。異なるシグナル伝達経路は異なる酸素レベルによって誘発され得、異なる動態を伴って発生する。酸素レベル依存性プロモーターは、1つまたは複数の酸素レベル検知転写因子が結合できる核酸配列であり、対応する転写因子の結合および/または活性化は下流の遺伝子発現を活性化する。一実施形態では、PME遺伝子は酸素レベル依存性プロモーターの制御下で発現される。より具体的な態様では、PAL遺伝子は、哺乳動物の消化管の環境などの低酸素または嫌気的環境下で活性化される酸素レベル依存性プロモーターの制御下にある。
特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、フマル酸および硝酸レダクターゼ調節因子(FNR)プロモーターの制御下で発現される1つ以上のPME遺伝子配列(群)、例えばPALを含む。大腸菌において、FNRは、好気的から嫌気的代謝への転換を制御する主要な転写活性化因子である(Undenら、1997年)。嫌気的および/または低酸素状態において、FNRは、嫌気的増殖への適応に関与する数百の遺伝子を活性化する活性DNA結合タンパク質に二量体化する。好気的状態において、FNRは酸素による二量体化が阻止され、不活性である。いくつかの実施形態では、複数の異なるFNR核酸配列は遺伝子操作された細菌に挿入される。代替の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、代替の酸素レベル依存性プロモーター、例えばANRプロモーター(Rayら、1997年)、DNRプロモーター(Trunkら、2010年)の制御下で発現されるPME、例えばPALを含む。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝は消化管などの低酸素または嫌気的環境において特に活性化される。
シュードモナス・アエルギノーザにおいて、アルギニンデイミナーゼおよび硝酸還元の嫌気的調節(ANR)転写調節因子は、「酸素制限または嫌気的条件下で誘導可能な生理学的機能の発現に必要とされる」(Wintelerら、1996年;Sawers 1991年)。シュードモナス・アエルギノーザANRは大腸菌FNRと相同であり、「コンセンサスFNR部位(TTGAT−−−−ATCAA)はANRおよびFNRによって効率的に認識された」(Wintelerら、1996年)。FNRと同様に、嫌気的状態において、ANRは嫌気的増殖に対する適応を担う多数の遺伝子を活性化する。好気的状態において、ANRは不活性である。シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、およびシュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)の全てはANRの機能的類似体を有する(Zimmermannら、1991年)。ANRによって調節されるプロモーター、例えば、arcDABCオペロンのプロモーターは当該分野において公知である(例えば、Hasegawaら、1998年を参照のこと)。
FNRファミリーはまた、「シュードモナス・アエルギノーザの嫌気的硝酸塩呼吸」(Hasegawaら、1998年)のためにANRと併せて必要とされる転写調節因子である、異化型硝酸塩呼吸調節因子(DNR)(Araiら、1995年)も含む。特定の遺伝子について、FNR結合モチーフは、「おそらくDNRによってのみ認識される」(Hasegawaら、1998年)。外因性環境条件および対応する調節領域によって制御される任意の適切な転写調節因子が使用され得る。非限定的な例には、ArcA/B、ResD/E、NreA/B/C、およびAirSRが含まれ、その他は当該分野において公知である。
FNRプロモーター配列は当該分野において公知であり、任意の適切なFNRプロモーター配列は本発明の遺伝子操作された細菌において使用され得る。任意の適切なFNRプロモーターは任意の適切なPALと組み合わされてもよい。非限定的なFNRプロモーター配列は表3に提供され、非限定的なPAL配列もまた、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、配列番号9、配列番号10、nirB1プロモーター(配列番号11)、nirB2プロモーター(配列番号12)、nirB3プロモーター(配列番号13)、ydfZプロモーター(配列番号14)、強力なリボソーム結合部位に融合したnirBプロモーター(配列番号15)、強力なリボソーム結合部位に融合したydfZプロモーター(配列番号16)、嫌気的に誘導される小RNA遺伝子であるfnrS(fnrS1プロモーター配列番号9またはfnrS2プロモーター配列番号17)、crp結合部位に融合したnirBプロモーター(配列番号18)、およびcrp結合部位に融合したfnrS(配列番号19)のうちの1つまたは複数を含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20のDNA配列またはその機能的断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%相同である核酸配列を一つ以上含む。
[表3]
他の実施形態では、一以上のPME、例えばPALは、転写活性化因子、例えばCRPについての結合部位に融合した酸素レベル依存性プロモーターの制御下で発現される。CRP(環状AMP受容体タンパク質またはカタボライト活性化タンパク質すなわちCAP)は、グルコースなどの急速に代謝可能な炭水化物が存在する場合、あまり有益ではない炭素源の取り込み、代謝、および同化を担う遺伝子を抑制することによって細菌において主要な調節的役割を果たす(Wuら、2015年)。グルコースに対するこの選好性は、グルコース抑制、および炭素カタボライト抑制と呼ばれている(Deutscher、2008年;GorkeおよびStulke、2008年)。いくつかの実施形態では、PME、例えばPAL発現は、CRP結合部位に融合した酸素レベル依存性プロモーターによって制御される。いくつかの実施形態では、PAL発現は、CRP結合部位に融合したFNRプロモーターによって制御される。これらの実施形態では、環状AMPは、グルコースが環境中に存在しない場合にCRPに結合する。この結合により、CRPの立体配座変化が引き起こされ、CRPがその結合部位に強く結合することを可能にする。次いで、CRP結合は、直接的タンパク質間相互作用を介してFNRプロモーターに対してRNAポリメラーゼを動員することにより、PME遺伝子、例えばPAL遺伝子の転写を活性化する。グルコースの存在下で、環状AMPはCRPに結合せず、PME、例えばPAL遺伝子転写が抑制される。いくつかの実施形態では、転写活性化因子についての結合部位に融合した酸素レベル依存性プロモーター(例えば、FNRプロモーター)は、例えば、グルコースをin vitroで増殖培地に添加することによって十分な量のグルコースが存在する場合に、PME、例えばPALが嫌気的条件下で発現されないこと確実にするために使用される。
別の実施形態では、一以上のPME、例えばLAADは、発現がグルコースの存在下で抑制されるように、転写活性化因子、例えばCRPについての結合部位に融合した誘導可能なプロモーターの制御下で発現される。
いくつかの実施形態では、LAADはFNRプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、LAADはFNRプロモーターではないプロモーターの制御下にある。LAADはフェニルアラニンのフェニルピルベートへの分解を触媒するために酸素を必要とする。したがって、酸素が供給された条件下で、またはLAADが活性である低酸素条件下においても、LAAD発現を誘導することが望ましい。
いくつかの実施形態では、1以上のPME、例えば、PALおよび/またはLAADは、環境(例えば、哺乳動物の消化管)内の特異的分子または代謝産物に対して応答する誘導可能なプロモーターの制御下で発現される。例えば、短鎖脂肪酸プロピオネートは、消化管に局在する主要な微生物発酵代謝産物である(Hosseiniら、2011年)。一実施形態では、1以上のPME遺伝子発現はプロピオネートにより誘導可能なプロモーターの制御下にある。より特定の実施形態では、PME遺伝子発現は、哺乳動物の消化管内のプロピオネートの存在によって活性化されるプロピオネートにより誘導可能な1以上のプロモーターの制御下にある。健康および/または疾患状態において、哺乳動物の消化管に見出される任意の分子または代謝産物はPME遺伝子発現を誘導するために使用され得る。非限定的な例には、プロピオネート、ビリルビン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、血液凝固因子II、VII、IX、およびX、アルカリホスファターゼ、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、肝炎抗原および抗体、アルファフェトプロテイン、抗ミトコンドリア、平滑筋、および抗核抗体、鉄、トランスフェリン、フェリチン、銅、セルロプラスミン、アンモニア、およびマンガンが含まれる。代替の実施形態では、PME、例えば、PALおよび/またはLAAD遺伝子発現は、糖アラビノースの存在下で活性化されるParaBADプロモーターの制御下にある。一実施形態では、LAAD発現はParaBADプロモーターの制御下にある。一実施形態では、LAADの発現は好気的または微好気的条件下で発生する。一実施形態では、PAL発現は、 araBAD プロモーターの制御下にある。一実施形態において、PAL発現は、好気性または微好気性条件下で生じる。一実施形態では、PAL発現は嫌気性または低酸素条件下で起こり、LADD発現は好気性または微好気性条件下で起こる。一実施形態では、PAL発現は嫌気性または低酸素条件下で起こり、LADD発現はParaBADプロモーターの制御下にある。
いくつかの実施形態において、1つ以上のPME遺伝子(例えば、PALおよび/またはLAAD遺伝子)は、化学的および/または栄養性誘導物質への曝露によって誘導されるプロモーターの制御下で発現される。いくつかの実施形態において、1つ以上のPME遺伝子(例えば、PALおよび/またはLAAD遺伝子)は、テトラサイクリンへの曝露によって誘導されるプロモーターの制御下で発現される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPME遺伝子(例えば、PALおよび/またはLAAD遺伝子)は、アラビノースへの曝露によって誘導されるプロモーターの制御下で発現される。いくつかの実施形態において、1つ以上のPME遺伝子(例えば、PALおよび/またはLAAD遺伝子)は、IPTGまたは他のLacI誘導物質への曝露によって誘導されるプロモーターの制御下で発現される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPME遺伝子(例えば、PALおよび/またはLAAD遺伝子)は、ラムノースへの曝露によって誘導されるプロモーターの制御下で発現される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPME遺伝子(例えば、PALおよび/またはLAAD遺伝子)は、テトラサイクリンへの曝露によって誘導されるプロモーターの制御下で発現される。いくつかの実施形態では、2つ以上のPME遺伝子(例えば、PALおよびLAAD遺伝子)が発現され、各遺伝子は異なるプロモーター、例えば、本段落および本明細書の他の箇所で論じられるプロモーターのいずれかの制御下で発現される。
いくつかの実施形態では、1以上のPME遺伝子、例えば、PALおよび/またはLAAD遺伝子は、非許容温度から許容温度への温度変化によって誘導されるプロモーターの制御下で発現される。いくつかの実施形態では、遺伝子発現は、当該分野において公知の方法、例えば、リボソーム結合部位の最適化、転写調節因子の操作、および/またはmRNA安定性の増加によってさらに最適化される。RBSの微調整および最適化のためのバイオインフォマティクスツールは、当該分野で既知である。
本明細書上記に記載の(および本明細書の他の箇所に記載の)実施形態のいずれにおいても、操作された細菌は、1つ以上のPheトランスポーターをコードする遺伝子配列をさらに含むことができ、当該遺伝子配列は本明細書に記載のいずれかのプロモーターの制御下にあることができる。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALが宿主細胞において発現され得、宿主細胞がin vitro、例えば培地中、および/またはin vivo、例えば消化管中で生存および/または増殖できるように、PAL遺伝子を保有する安定に維持されたプラスミドまたは染色体を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は2つ以上の異なるPAL遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は同じPAL遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子はプラスミド上に存在し、直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子はプラスミド上に存在し、低酸素または嫌気条的件下で誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子は染色体上に存在し、直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子は染色体に存在し、低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子はプラスミド上に存在し、テトラサイクリンへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子はプラスミド上に存在し、アラビノースへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子はプラスミド上に存在し、IPTGまたは別のLacI誘導物質への曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子はプラスミド上に存在し、ラムノースへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子はプラスミド上に存在し、テトラサイクリンへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子はプラスミド上に存在し、非許容温度から許容温度への温度変化によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子は染色体上に存在し、アラビノースへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子は染色体上に存在し、IPTGまたは別のLacI誘導物質への曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子は染色体上に存在し、ラムノースへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子は染色体上に存在し、テトラサイクリンへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、PAL遺伝子は染色体上に存在し、非許容温度から許容温度への温度変化によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、LAADが宿主細胞において発現され得、宿主細胞がin vitro、例えば培地中、および/またはin vivo、例えば消化管中で生存および/または増殖できるように、LAAD遺伝子を保有する安定に維持されたプラスミドまたは染色体を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は2つ以上の異なるLAAD遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は同じLAAD遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子はプラスミド上に存在し、直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子はプラスミド上に存在し、例えばアラビノースまたはテトラサイクリンによって誘導可能であるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子は染色体上に存在し、直接的または間接的に誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子は染色体に存在し、例えばアラビノースまたはテトラサイクリンによって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子はプラスミド上に存在し、テトラサイクリンへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子はプラスミド上に存在し、アラビノースへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子はプラスミド上に存在し、IPTGまたは他のLacI誘導物質への曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子はプラスミド上に存在し、ラムノースへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子はプラスミド上に存在し、非許容温度から許容温度への温度変化によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子はプラスミド上に存在し、構成的プロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子はプラスミド上に存在し、テトラサイクリンへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子は染色体上に存在し、アラビノースへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子は染色体上に存在し、IPTGまたは他のLacI誘導物質への曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子は染色体上に存在し、ラムノースへの曝露によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子は染色体上に存在し、非許容温度から許容温度への温度変化によって誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、LAAD遺伝子は染色体上に存在し、構成的プロモーターに作動可能に連結している。
PME遺伝子(例えば、PAL、PAH、および/またはLAAD)を含む細菌のこれらの実施形態のいずれにおいても、細菌は、1つ以上のPheトランスポーターをコードする遺伝子配列をさらに含むことができ、当該Pheトランスポーター遺伝子配列はプラスミドまたは染色体上に存在することができる。当該プラスミドまたは染色体は、PME遺伝子の存在するものとは、同一または異なりることができる。Pheトランスポーター遺伝子配列は、PMR遺伝子配列と同一または異なるプロモーターの制御下にあり得る。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、酸素レベル依存性転写調節因子、例えば、FNR、ANR、またはDNR、および異なる細菌種由来の対応するプロモーターを含む。非天然の酸素レベル依存性転写調節因子およびプロモーターは、同じ条件下で細菌における天然の転写調節因子およびプロモーターと比較して、低酸素または嫌気的環境において、前記プロモーターに作動可能に連結している遺伝子、例えばPALまたはPAHの転写を増加させる。特定の実施形態では、非天然の酸素レベル依存性転写調節因子は、ナイセリア・ゴノレア(N.gonorrhoeae)由来のFNRタンパク質である(例えば、Isabellaら、2011年を参照のこと)。いくつかの実施形態では、対応する野生型の転写調節因子はインタクトなままであり、野生型活性を保持する。代替の実施形態では、対応する野生型の転写調節因子は、野生型活性を低減させるか、または除去するように欠失または突然変異される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、野生型の酸素レベル依存性転写調節因子、例えば、FNR、ANR、またはDNR、および同じ亜型の細菌由来の野生型のプロモーターと比較して突然変異されている対応するプロモーターを含む。突然変異したプロモーターは、同じ条件下で野生型のプロモーターと比較して、低酸素または嫌気的環境において、野生型の転写調節因子への結合を向上させ、前記プロモーター、例えばPALまたはPAHに作動可能に連結している遺伝子の転写を増加させる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、野生型の酸素レベル依存性プロモーター、例えば、FNR、ANR、またはDNRプロモーター、および同じ亜型の細菌由来の野生型の転写調節因子に対して突然変異されている対応する転写調節因子を含む。突然変異した転写調節因子は、同じ条件下で野生型の転写調節因子と比較して、低酸素または嫌気的環境において、野生型プロモーターへの結合を向上させ、前記プロモーター、例えばPALまたはPAHに作動可能に連結している遺伝子の転写を増加させる。特定の実施形態では、突然変異した酸素レベル依存性転写調節因子は、二量体化およびFNR活性を向上させるアミノ酸置換を含むFNRタンパク質である(例えば、Mooreら、2006年を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、酸素レベル検知転写調節因子をコードする内因性遺伝子、例えばFNR遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、酸素レベル検知転写調節因子をコードする遺伝子はプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル検知転写調節因子をコードする遺伝子およびPALをコードする遺伝子は異なるプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル検知転写調節因子をコードする遺伝子およびPALをコードする遺伝子は同じプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル検知転写調節因子をコードする遺伝子は染色体上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル検知転写調節因子をコードする遺伝子およびPALをコードする遺伝子は異なる染色体上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル検知転写調節因子をコードする遺伝子およびPALをコードする遺伝子は同じ染色体上に存在する。いくつかの場合、発現安定性を向上させるために誘導可能なプロモーターの制御下で酸素レベル検知転写調節因子を発現することが有益であり得る。いくつかの実施形態では、転写調節因子の発現は、フェニルアラニン代謝酵素をコードする遺伝子の発現を制御するプロモーターと異なるプロモーターによって制御される。いくつかの実施形態では、転写調節因子の発現は、フェニルアラニン代謝酵素の発現を制御する同じプロモーターによって制御される。いくつかの実施形態では、転写調節因子およびフェニルアラニン代謝酵素はプロモーター領域から多岐に転写される。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、同じ条件下で同じ亜型の非修飾の細菌と比較して、血中フェニルアラニンを少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍低減させるために、哺乳動物の消化管の低酸素環境などの外因性環境条件下でPALを産生する。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、哺乳動物の消化管の低酸素環境などの外因性環境条件下でPALを産生し、同じ条件下で同じ亜型の非修飾の細菌と比較して、尿中の馬尿酸を少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍増加させる。特定の非修飾細菌は、感知できるレベルのフェニルアラニンの馬尿酸へのプロセシングを有さないであろう。これらの細菌の遺伝子組換え型を使用した実施形態では、フェニルアラニンのPAL媒介性プロセシングは外因性環境条件下で感知できる。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、in vitroの細菌培養条件下などの外因性環境条件下でPALを産生し、同じ条件下で同じ亜型の非修飾の細菌と比較して、培地中のトランス−ケイ皮酸を少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍増加させる。フェニルアラニンは当該分野において公知の方法、例えば、血液採取および質量分析によって測定され得る。いくつかの実施形態では、ケイ皮酸はPAL活性を評価するために当該分野において公知の方法によって測定される。ケイ皮酸産生はフェニルアラニン分解と直接的に相関し、いくつかの実施形態では、ケイ皮酸は、株活性についての代替のバイオマーカーとして使用され得る(図16B)。ケイ皮酸は肝酵素によって馬尿酸にさらに分解され得、両方は実施例24〜26に記載されるように測定され得る。本明細書に示されるように、in vivoにおいてTCAは速やかに馬尿酸に変化され、その後馬尿酸は尿中に蓄積されるしたがって、血液中および特に尿中の馬尿酸は、in vivoにおけるフェニルアラニン分解の遥かに優れたバイオマーカーになり得る。いくつかの実施形態では、PAL発現は当該分野において公知の方法、例えば血中のフェニルアラニンレベルの測定によって測定される。馬尿酸は本明細書の実施例、および当該分野おいて公知の方法で測定され得る。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、同じ条件下で同じ亜型の非修飾細菌と比較して、血中フェニルアラニンを少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍低減させるためにLAADを産生する。特定の非組換え細菌は感知できるレベルのフェニルアラニンプロセシングを有さない。これらの細菌の遺伝子組換え型を使用した実施形態では、フェニルアラニンのLAAD媒介性プロセシングは外因性環境条件下で感知できる。フェニルアラニンは当該分野において公知の方法、例えば、血液採取および質量分析によって測定され得る。LAADにより生成した分解産物であるピルビン酸およびフェニルピルベートは、実施例24〜26に記載されるように質量分析を使用して測定され得、LAAD活性のさらなる読み出し情報として使用され得る。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、in vivoまたはin vitroの細菌培養条件下などの外因性環境条件下で、2以上のPME、例えばPAL、PAH、および/またはLAADを産生し、同じ条件下で同じ亜型の非修飾細菌と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍、血中のフェニルアラニンを減少および/または培地中のトランス−ケイ皮酸を増加させる。これらの実施形態のいずれにおいても、細菌は、1つ以上のPheトランスポーターポリペプチドをコードする遺伝子配列をさらに含み得る。
いくつかの実施形態では、1つ以上のPME、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAHは、低コピープラスミド上で発現される。いくつかの実施形態では、低コピープラスミドは発現の安定性を増加させるのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、低コピープラスミドは非誘導条件下で発現の漏れを減少させるのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のPME、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAHは、高コピープラスミド上で発現される。いくつかの実施形態では、高コピープラスミドは、PME、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAH発現を増加させるのに有用であり得、それによってフェニルアラニンの代謝を増加させ、高フェニルアラニン血症を低減させる。いくつかの実施形態では、高コピープラスミド上で発現されるPME、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAHを含む遺伝子操作された細菌は、異種phePおよび天然phePのさらなるコピーの非存在下で、低コピープラスミド上で発現される同じPME、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAHを含む遺伝子操作された細菌と比較してフェニルアラニン代謝を増加させないか、またはフェニルアラニンレベルを減少させない。高および低コピープラスミド上の同じPME遺伝子(群)、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAH遺伝子(群)を含む遺伝子操作された細菌が生成された。例えば、高コピープラスミドおよび低コピープラスミド上のPAL1またはPAL3のいずれかが生成され、各々は代謝され、フェニルアラニンを同様のレベルまで低減させた(図15)。したがって、いくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝の律速段階はフェニルアラニン利用可能性である(例えば、図16を参照のこと)。これらの実施形態では、細胞へのフェニルアラニン輸送を増加させ、それによってフェニルアラニン代謝を向上させることが有益であり得る。phePと併せて、低コピーPALプラスミドでさえ、試験試料からPheをほぼ完全に除去することができる(例えば、図16Aを参照のこと)。さらに、phePを組み込んでいるいくつかの実施形態では、高フェニルアラニン代謝を維持しながらPAL発現の安定性を向上させ、形質転換した細菌上の負の選択圧を低減させるために、併用して低コピーPAL発現プラスミドを使用することがさらに有益であり得る。代替の実施形態では、フェニルアラニントランスポーターは高コピープラスミドと併用して使用される。
いくつかの実施形態では、トランスポーターはフェニルアラニン分解を増加させることができない。例えば、プロテウス・ミラビリスLAADは、酵素触媒作用が周辺質で発生する細胞膜に局在する。フェニルアラニンは、トランスポーターを必要とせずに外膜を容易に横切ることができる。したがって、遺伝子操作された細菌がLAADを発現する実施形態では、トランスポーターは、フェニルアラニン代謝を必要としなくてもよいか、または改善しなくてもよい。
いくつかの実施形態では、PME(複数可)、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAH遺伝子は染色体上で発現される。いくつかの実施形態では、染色体からの発現はPMEの発現の安定性を増加させるのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、PME遺伝子、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAH遺伝子は、遺伝子操作された細菌における1つまたは複数の組み込み部位において細菌染色体に組み込まれる。いくつかの実施形態では、PME遺伝子、例えば、PAL、LAAD、および/またはPAH遺伝子は、大腸菌Nissleにおける以下の挿入部位:malE/K、insB/I、araC/BAD、lacZ、agal/rsml、thyA、およびmalP/Tのうちの1つまたは複数において細菌ゲノムに挿入される。任意の適切な挿入部位が使用されてもよい(例えば、図66を参照のこと)。挿入部位は、ゲノム内、例えば、(栄養要求株を作製するために)thyAなどの生存および/もしくは増殖に必要とされる遺伝子内、ゲノム複製部位付近などのゲノムの活性領域内、ならびに/またはアラビノースオペロンのAraBとAraCとの間などの、意図しない転写のリスクを低減させるために分岐プロモーターの間のいずれの場所にあってもよい。いくつかの実施形態では、PME遺伝子、例えば、PAL、PAH、および/またはLAADの1個より多いコピー、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれより多いコピーが、遺伝子操作された細菌における1つまたは複数の組み込み部位において細菌染色体に組み込まれる。PME遺伝子の1個より多いコピーは、同じPME遺伝子の1個より多いコピーまたは異なるPME遺伝子の1個より多いコピーであってもよい。
例示的な構築物は以下の4〜13に示される。表4は、染色体への挿入のためのPhePおよびFNRプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号21)を示し、pheP配列には下線が引いてあり、FNRプロモーター配列は太字である。表5は、高コピープラスミド上でPAL1およびFNRプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号22)を示し、PAL1配列には下線が引いてあり、FNRプロモーター配列は太字である。表6は、高コピープラスミド上のPAL3およびFNRプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号23)を示し、PAL3配列には下線が引いてあり、FNRプロモーター配列は太字である。表7は、高コピープラスミド上のPAL1およびTetプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号24)を示し、PAL1配列には下線が引いてあり、Tetプロモーター配列は太字である。表8は、高コピープラスミド上のPAL3およびTetプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号25)を示し、PAL3配列には下線が引いてあり、Tetプロモーター配列は太字である。表9は、低コピープラスミド上のPAL1およびFNRプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号26)を示し、PAL1配列には下線が引いてあり、FNRプロモーター配列は太字である。表10は、低コピープラスミド上のPAL3およびFNRプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号27)を示し、PAL3配列には下線が引いてあり、FNRプロモーター配列は太字である。表11は、低コピープラスミド上のPAL1およびTetプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号28)を示し、PAL1配列には下線が引いてあり、Tetプロモーター配列は太字である。表12は、低コピープラスミド上のPAL3およびTetプロモーター配列をコードする遺伝子を含む例示的な構築物の配列(配列番号29)を示し、PAL3配列には下線が引いてあり、Tetプロモーター配列は太字である。表13は、phePをコードする遺伝子、TetRをコードする遺伝子、および染色体への挿入のためのTetプロモーター配列を含む例示的な構築物の配列(配列番号30)を示し、pheP配列には下線を引き、TetR配列は四角で囲い、FNRプロモーター配列は太字である。
[表4]
[表5]
[表6]
[表7]
[表8]
[表9]
[表10]
[表11]
[表12]
[表13]
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は配列番号21〜30のいずれかのうちの1つまたは複数の配列を含む遺伝子配列を含有する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号21〜30の配列のうちのいずれかと少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する1つまたは複数の配列を含む遺伝子配列を含有する。
フェニルアラニン輸送
PAL1およびPAL3の各々は、遺伝子操作された大腸菌Nissleにおいて高コピープラスミドおよび低コピープラスミド上で発現された。驚くべきことに、各々の構築物は、フェニルアラニンを同様のレベルまで代謝し、低減させ(図15)、フェニルアラニン代謝の律速段階はフェニルアラニン利用可能性であった(図16)。したがって、いくつかの実施形態では、細胞へのフェニルアラニン輸送を増加させ、それによってフェニルアラニン代謝を向上させることが有益である。予想外に、低コピーPALプラスミドでさえ、phePと併用して発現されると、試験試料からPheをほぼ完全に除去することができる(図16A)。さらに、高フェニルアラニン代謝を維持しながらPAL発現の安定性を向上させ、形質転換した細菌上の負の選択圧を低減させるために、phePと併用して低コピーPAL発現プラスミドを使用することはさらに有益であり得る。代替の実施形態では、フェニルアラニントランスポーターは高コピープラスミドと併用して使用される。
遺伝子操作された細菌は、フェニルアラニントランスポーターをコードする遺伝子をさらに含む。フェニルアラニントランスポーターは、細胞へのフェニルアラニン輸送を向上させるために、本発明の遺伝子操作された細菌において発現され得るか、または修飾され得る。
PhePは、細菌細胞にフェニルアラニンを輸送できる膜輸送タンパク質である(例えば、Piら、1991年を参照のこと)。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子組換え細菌における天然のpheP遺伝子は修飾されていない。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は天然のpheP遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は非天然のpheP遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、その天然のプロモーター、誘導可能なプロモーター、天然のプロモーターより強力なプロモーター、例えばGlnRSプロモーターもしくはP(Bla)プロモーター、または構成的プロモーターによって制御されるpheP遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、pheP遺伝子の発現は、フェニルアラニン代謝酵素および/または転写調節因子をコードする遺伝子の発現を制御するプロモーターと異なるプロモーターによって制御される。いくつかの実施形態では、pheP遺伝子の発現は、フェニルアラニン代謝酵素および/または転写調節因子の発現を制御する同じプロモーターによって制御される。いくつかの実施形態では、pheP遺伝子ならびにフェニルアラニン代謝酵素および/または転写調節因子は、プロモーター領域から多岐に転写される。いくつかの実施形態では、PheP、フェニルアラニン代謝酵素、および転写調節因子をコードする遺伝子の各々の発現は、異なるプロモーターによって制御される。いくつかの実施形態では、PheP、フェニルアラニン代謝酵素、および転写調節因子をコードする遺伝子の発現は、同じプロモーターによって制御される。
いくつかの実施形態では、遺伝子組換え細菌における天然のpheP遺伝子は修飾されず、天然のpheP遺伝子の1つまたは複数のさらなるコピーが、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPALの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下でゲノム内に挿入される。代替の実施形態では、天然のpheP遺伝子は修飾されず、異なる細菌種由来の非天然のpheP遺伝子のコピーが、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPALの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下でゲノム内に挿入される。
いくつかの実施形態では、遺伝子組換え細菌における天然のpheP遺伝子は修飾されず、天然のpheP遺伝子の1つまたは複数のさらなるコピーが、プラスミド上で、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPMEの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下で細菌に存在する。代替の実施形態では、天然のpheP遺伝子は修飾されず、異なる細菌種由来の非天然のpheP遺伝子のコピーが、プラスミド上で、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPALの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下で細菌に存在する。
いくつかの実施形態では、天然のpheP遺伝子は突然変異誘発され、フェニルアラニン輸送の増加を示す突然変異体が選択され、突然変異誘発されたpheP遺伝子は単離され、遺伝子操作された細菌に挿入される(例えば、Piら、1996年;Piら、1998年を参照のこと)。本明細書に記載されるフェニルアラニントランスポーター修飾はプラスミドまたは染色体上に存在し得る。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は大腸菌Nissleであり、大腸菌Nissleにおける天然のpheP遺伝子は修飾されず、1つまたは複数のさらなるコピーの天然の大腸菌Nissle pheP遺伝子が、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPALの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下で大腸菌Nissleゲノム内に挿入される。代替の実施形態では、大腸菌Nissleにおける天然のpheP遺伝子は修飾されず、異なる細菌由来の非天然のpheP遺伝子のコピーが、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPALの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下で、大腸菌Nissleゲノム内に挿入される。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は大腸菌Nissleであり、大腸菌Nissleにおける天然のpheP遺伝子は修飾されず、1つまたは複数のさらなるコピーの天然の大腸菌Nissle pheP遺伝子は、プラスミド上で、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPALの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下で細菌に存在する。代替の実施形態では、大腸菌Nissleにおける天然のpheP遺伝子は修飾されず、異なる細菌由来の非天然のpheP遺伝子のコピーが、プラスミド上で、PALの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはPALの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下で細菌に存在する。
他の実施形態では、1つ以上のPheトランスポーター(複数可)をコードする遺伝子(群)は、プラスミドまたは染色体に位置することができ、その遺伝子発現は本明細書に開示される任意のプロモーターによって制御されることができ、そのプロモーターはPME遺伝子(群)を調節するプロモーターと同一または異なることできる。
大腸菌は、芳香族アミノ酸を蓄積するための5つの異なる輸送系(AroP、Mtr、PheP、TnaB、およびTyrP)を有することが報告されている。aroP遺伝子によってコードされる一般的なアミノ酸ペルメアーゼは、フェニルアラニンを含む3つの芳香族アミノ酸を高親和性で輸送し、PhePと一緒に、フェニルアラニン取り込みの大部分を担うと考えられている。さらに、フェニルアラニンの低レベルの蓄積が芳香族アミノ酸トランスポーター欠損大腸菌株(ΔaroP ΔpheP Δmtr Δtna ΔtyrP)において観察され、LIV−I/LS系の活性まで追跡され、そのLIV−I/LS系は、2つの周辺質結合タンパク質である、LIV結合タンパク質(LIV−I系)およびLS結合タンパク質(LS系)、ならびに膜成分、LivHMGFからなる分枝鎖アミノ酸トランスポーターである(Koyanagiら、およびその中の参考文献;Identification of the LIV−I/LS System as the Third Phenylalanine Transporter in Escherichia coli K−12)。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はaroP遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は大腸菌Nissleであり、大腸菌Nissleにおける天然のaroP遺伝子は修飾されず、天然の大腸菌Nissle aroP遺伝子の1つまたは複数のさらなるコピーが、プラスミド上または染色体中で、PMEの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーター、もしくはaraBADプロモーター、PMEの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、または構成的プロモーターの制御下で細菌に存在する。代替の実施形態では、大腸菌Nissleにおける天然のaroP遺伝子は修飾されず、異なる細菌由来の非天然のaroP遺伝子のコピーは、プラスミド上または染色体中で、PMEの発現を制御する同じ誘導可能なプロモーター、例えばFNRプロモーターもしくはAraBADプロモーター、またはPMEの発現を制御するプロモーターと異なる誘導可能なプロモーター、あるいは構成的プロモーターの制御下で細菌に存在する。
他の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、同じまたは異なる誘導可能なまたは構成的プロモーターの制御下で、AroPおよびPhePを含む。
いくつかの実施形態では、pheP遺伝子は染色体上で発現される。いくつかの実施形態では、染色体からの発現はphePの発現の安定性を増加させるのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、pheP遺伝子は遺伝子操作された細菌における1つまたは複数の組み込み部位において細菌染色体内に組み込まれる。いくつかの実施形態では、pheP遺伝子は、大腸菌Nissleにおける以下の挿入部位:malE/K、insB/I、araC/BAD、lacZ、agal/rsml、thyA、およびmalP/Tのうちの1つまたは複数において細菌ゲノム内に挿入される。任意の適切な挿入部位が使用されてもよい(例えば、図66を参照のこと)。挿入部位は、ゲノム内、例えば、(栄養要求株を作製するために)thyAなどの生存および/もしくは増殖に必要とされる遺伝子内、ゲノム複製部位付近などのゲノムの活性領域内、ならびに/またはアラビノースオペロンのAraBとAraCとの間などの、意図しない転写のリスクを低減させるために分岐プロモーターの間のいずれの場所にあってもよい。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、1つ以上のPheトランスポーターをコードし、当該Pheトランスポーターは、in vivo投与前に直接または間接的にプレ誘導される(例えば、in vivo投与前の株の生産中に、フラスコ、発酵槽、または他の培養容器中の培養液に供給される特定の分子または代謝産物に応答する誘導性プロモーターの制御下で発現する)。
他の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、1つ以上のPheトランスポーターをコードし、当該Pheトランスポーターはin vivo投与、直接的または間接的に誘導される(例えば、外因性in vivo環境(例えば、消化管)における応答条件であり、または特異的分子もしくは代謝産物に対する誘導性プロモーターの制御下で発現する。)。いくつかの実施形態では、プロモーターは、消化管に特異的な分子または低酸素状態によって誘導される。いくつかの実施形態では、細菌株は、化学的および/または栄養性誘導物質と組み合わせて投与される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は複数の作用機構および/または1つもしくは複数の栄養要求性を含む。特定の実施形態では、細菌は、染色体上の異なる組み込み部位(例えば、malE/K、yicS/nepI、malP/T、agaI/rsmI、およびcea)において挿入される酸素レベル依存性プロモーター(例えば、PfnrS−PAL3)の制御下でPALの5つのコピー、および染色体上の異なる組み込み部位(例えば、lacZ)において挿入される酸素レベル依存性プロモーター(例えば、PfnrS−pheP)の制御下でフェニルアラニントランスポーター遺伝子の1つのコピーを含むように遺伝子操作される。より特定の態様では、細菌は、カナマイシン耐性遺伝子、およびthyA栄養要求性をさらに含むように遺伝子操作され、thyA遺伝子は欠失され、および/または非関連遺伝子と置き換えられる。
酸素レベル非依存誘導性プロモーター
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、アラビノース誘導系を介して誘導可能な1つ以上の遺伝子配列を含む。アラビノース代謝の遺伝子は、PAraBADプロモーターによって制御される1つのオペロン、AraBADに編成される。PAraBAD(またはPara)プロモーターは、誘導性発現系の基準を適切に満たす。PAraBADは、おそらく誘導因子およびリプレッサーの両方として機能するAraCの二重の制御の役割のために、他の多くのシステムよりもペイロード遺伝子発現のより厳密な制御を示す。さらに、ParaBADに基づく発現のレベルは、ペイロードの発現レベルを微調整するために、広範囲のL−アラビノース濃度にわたって調節することができる。しかし、亜飽和L−アラビノース濃度に曝露された細胞集団は、誘導細胞および非誘導細胞の2つの亜集団に分けられ、どちらに分けられるかは、L−アラビノーストランスポーターの利用可能性における個々の細胞間の差異によって決定される(Zhangら、Development and Application of an Arabinose−Inducible Expression System by Facilitating Inducer Uptake in Corynebacterium glutamicum; Appl.Environ.Microbiol. 2012年8月 78巻 16号 5831−5838頁)。あるいは、ParaBadからの誘導性発現は、本明細書に記載のように、リボソーム結合部位(RBS)の最適化によって制御または微調整することができる。例示的な構築物(アラビノース誘導性プロモーターの制御下にあるPAL発現のための構築物)を図62Cに示す。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)、および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、1つ以上のアラビノース誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、PALの発現は、アラビノース誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、PhePの発現は、アラビノース誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、LAADの発現は、アラビノース誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、FNRS24Yの発現は、アラビノース誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。
別の実施形態では、1つ以上のアラビノース誘導性プロモーターが、1つ以上のバイシストロニックメッセージの発現を駆動する。アラビノースによって誘導されるバイシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含み得る。そのようなバイシストロニックメッセージの非限定的な例には、どちらの方向においても、PALおよびPheP、PALおよびLAAD、PALおよびFNRS24Y、PhePおよびLAAD、PhePおよびFNRS24Y、LAADおよびFNRS24Yが含まれる。バイシストロニックメッセージにはまた、同じ遺伝子の2つの転写物、例えば、PAL−PAL、LAAD−LAAD、PheP−PhePおよび/またはFNRSY24S−FNRSY24Sが含まれる。バイシストロニックメッセージの非限定的な例が本明細書に記載され、例えば、配列番号73に含まれるPara−FNRS24Y−LAADが含まれる。
一実施形態では、1つ以上のアラビノース誘導性プロモーターがトリシストロニックメッセージの発現を駆動する。アラビノースによって誘導されるトリシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含むことができる。そのようなトリシストロニックメッセージは、例えば、(1)同じ遺伝子の3つのメッセージの転写;(2)第1の遺伝子の1つのメッセージ、および第2の遺伝子の2つのメッセージ;(3)3つの異なる遺伝子の3つのメッセージの転写を含むことができる。1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPhePの任意の組み合わせを、トリシストロニックメッセージに含めることができる。トリシストロニックメッセージの非限定的な例は、本明細書に記載され、例えば、配列番号95(太字)に含まれるPAL−PAL−PhePが含まれる。
一実施形態では、1つ以上のアラビノース誘導性プロモーターが、マルチシストロニックメッセージの発現を駆動する。アラビノースによって誘導されるマルチシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含むことができる。このようなマルチシストロニックメッセージは、例えば、(1)一つの同一遺伝子のいくつかのメッセージの転写;2)第1の遺伝子の1つ以上のメッセージ、および第2の遺伝子の1つ以上のメッセージ;または(3)1つ以上の異なる遺伝子からの1つ以上のメッセージの転写、を含み得る(DNA上に、糸に通したビーズのように(beads on a string)配置される)。1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の調節因子(例えば、FNRS24Y)の任意の組合せは、マルチシストロニックメッセージに含まれ得る。
いくつかの実施形態では、アラビノース誘導性プロモーターは、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)のin vivo発現に有用であり、またはin vivo発現中に誘導される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、1つ以上のアラビノース誘導性プロモーターによって、in vivoにおいて直接的または間接的に駆動される。いくつかの実施形態において、プロモーターは、本発明の遺伝子操作された細菌と同時投与される分子、例えば、アラビノースによって直接的または間接的に誘導される。
いくつかの実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、in vivo投与前のin vitroでの菌株の増殖、調製または製造中に、1つ以上のアラビノース誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。いくつかの実施形態では、アラビノース誘導性プロモーターは、培養中に、例えば、フラスコ、発酵槽または別の適切な培養容器内での増殖中に誘導される。いくつかの実施形態では、投与前に、発現を誘導して細菌をペイロードでプレロードするために細菌培養物に添加される分子、例えば、アラビノースによって、プロモーターは直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、アラビノースによって誘導された培養物を好気的に増殖する。いくつかの実施形態において、アラビノースによって誘導される培養物を嫌気的に増殖する。
一実施形態では、アラビノース誘導性プロモーターは、第2のプロモーター(例えば、第2の構成的または誘導性プロモーター)と共同して、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含む構築物の発現を駆動する。いくつかの実施形態では、2つのプロモーターが構築物の近位に位置し、その発現を駆動し、アラビノース誘導性プロモーターは第1の組の外因性条件の下で発現を駆動し、第2のプロモーターは第2の組の外因性条件の下で発現を駆動する。非限定的な例では、第1および第2の条件は、2つの連続した培養条件(すなわち、フラスコ、発酵槽または他の適切な培養容器内での培養物の調製中における、例えば、アラビノースおよびIPTG)であり得る。別の非限定的な例において、第1の誘導条件は培養条件でもよく(例えば、アラビノースの存在を含む)、第2の誘導条件はin vivo条件であってもよい。そのようなin vivo条件には、低酸素、微好気性もしくは嫌気性条件、消化管代謝産物の存在、および/または細菌株と組み合わせて投与される代謝産物が含まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上のアラビノースプロモーターは、同じ遺伝子配列の発現を駆動するFNRプロモーターと共同して、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動する。
いくつかの実施形態において、アラビノース誘導性プロモーターは、本明細書に記載の低コピープラスミドまたは高コピープラスミドまたはバイオセイフティーシステムプラスミドから、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動する。いくつかの実施形態では、アラビノース誘導性プロモーターは、細菌染色体に組み込まれた構築物から、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動する。例示的な挿入部位が本明細書に記載される。
いくつかの実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)がアラビノースオペロンにノックインされ、天然アラビノース誘導性プロモーターによって駆動される。いくつかの実施形態では、FNRS24Yはアラビノースオペロンにノックインされ、天然アラビノース誘導性プロモーターによって駆動される。いくつかの実施形態では、FNRS24Y−LAADはアラビノースオペロンにノックインされ、天然アラビノース誘導性プロモーターによって駆動される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号67の配列のいずれかと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する1つ以上の遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、アラビノース誘導性構築物は、AraCをコードする遺伝子をさらに含み、AraCは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)、および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または1つ以上の調節因子(例えば、FNRS24Y)と同じプロモーターから多岐に転写される。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号66の配列のいずれかと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する1つ以上の遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号66の配列のいずれかによってコードされるポリペプチドと、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するポリペプチドをコードする1つ以上の遺伝子配列を含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、ラムノース誘導系によって誘導可能な1つ以上の遺伝子配列を含む。rhaBAD遺伝子は、rhaP BADプロモーターによって制御される1つのオペロンに編成される。rhaP BADプロモーターは、2つの活性化因子、RhaSおよびRhaRによって調節され、対応する遺伝子はrhaBADの反対方向に分岐して転写される1つの転写単位に属する。L−ラムノースの存在下で、RhaRはrhaP RSプロモーターに結合し、RhaRおよびRhaSの生成を活性化する。次いで、RhaSはL−ラムノースとともにrhaP BADおよびrhaP Tプロモーターに結合し、構造遺伝子の転写を活性化する。AraCが供給され、遺伝子配列中で分岐して転写されるアラビノース系とは対照的に、ラムノース発現系においては、マルチコピープラスミド上においてでさえ転写を活性化するほどに染色体からの発現量が十分であるため、調節タンパク質をより多く発現させる必要はない。したがって、rhaP BADプロモーターのみが、発現されるべき遺伝子の上流にクローニングされる。rhaBAD転写の完全誘導はまた、異化作用抑制の重要な調節因子であるCRP−cAMP複合体の結合を必要とする。あるいは、rhaBADからの誘導性発現は、本明細書に記載のように、リボソーム結合部位(RBS)の最適化によって制御または微調整することができる。例示的な構築物を図62B(ラムノース誘導性プロモーターの制御下にあるPAL発現のための構築物)に示す。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)、および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、1つ以上のラムノース誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、PALの発現は、ラムノース誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、PhePの発現は、ラムノース誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、LAADの発現は、ラムノース誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、FNRS24Yの発現は、ラムノース誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。非限定的な例において、PAL発現は、例えば、配列番号106に含まれるようなラムノース誘導性PALを含む構築物によって駆動される。
別の実施形態では、1つ以上のラムノース誘導性プロモーターが、1つ以上のバイシストロニックメッセージの発現を駆動する。ラムノースによって誘導されるバイシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーターおよび/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含み得て、アラビノース誘導について上記したものと同じである。
一実施形態では、1つ以上のラムノース誘導性プロモーターがトリシストロニックメッセージの発現を駆動する。ラムノースによって誘導されるトリシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含み得る。ラムノースによって誘導されるトリシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーターおよび/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含み得て、アラビノース誘導について上記したものと同じである。
一実施形態では、1つ以上のラムノース誘導性プロモーターが、マルチシストロニックメッセージの発現を駆動する。ラムノースによって誘導されるマルチシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の調節因子(例えば、FNRS24Y)を含み得る。ラムノースによって誘導されるマルチシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーターおよび/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含み得て、アラビノース誘導について上記したものと同じである。
いくつかの実施形態では、ラムノース誘導性プロモーターは、1つ以上のPME(PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の調節因子(例えば、FNRS24Y)のin vivo発現に有用であり、またはin vivo発現中に誘導される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の調節因子(例えば、FNRS24Y)は、in vivoで1つ以上のラムノース誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、本発明の遺伝子操作された細菌と同時投与される分子、例えば、ラムノースによって直接的または間接的に誘導される。
いくつかの実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の調節因子(例えば、FNRS24Y)は、in vivo投与前のin vitroでの株の増殖、調製または製造の間に、1つ以上のラムノース誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。いくつかの実施形態では、ラムノース誘導性プロモーターは、培養中に、例えば、フラスコ、発酵槽または別の適切な培養容器内での増殖中に誘導される。いくつかの実施形態では、投与前に、発現を誘導して細菌をペイロードでプレロードするために細菌培養物に添加される分子、例えばラムノースによって、プロモーターは直接または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、ラムノースによって誘導される培養物を好気的に増殖する。いくつかの実施形態では、ラムノースによって誘導される培養物を嫌気的に増殖する。
一実施形態では、ラムノース誘導性プロモーターは、第2のプロモーター(例えば、第2の構成的または誘導性プロモーター)と共同して、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の調節因子(例えば、FNRS24Y)を含む構築物の発現を駆動する。いくつかの実施形態では、2つのプロモーターが構築物の近位に位置し、当該構築物の発現を駆動し、ラムノース誘導性プロモーターは第1の組の外因性条件下で発現を駆動し、第2のプロモーターは第2の組の外因性条件下で発現を駆動する。非限定的な例において、第1および第2の条件は、2つの連続した培養条件(すなわち、フラスコ、発酵槽または他の適切な培養容器内での培養物の調製中における、例えば、ラムノースおよびアラビノース)であり得る。別の非限定的な例では、第1の誘導条件は、培養条件、例えば、ラムノースの存在を含むものであり得て、第2の誘導条件は、in vivo条件であり得る。そのようなin vivo条件には、低酸素、微好気性もしくは嫌気性条件、消化管代謝産物の存在、および/または細菌株と組み合わせて投与される代謝産物が含まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上のラムノースプロモーターは、同じ遺伝子配列の発現を駆動するFNRプロモーターと共同して、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動する
いくつかの実施形態では、ラムノース誘導性プロモーターは、本明細書に記載の低コピープラスミドまたは高コピープラスミドまたはバイオセイフティーシステムプラスミドから、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動する。いくつかの実施形態では、ラムノース誘導性プロモーターは、細菌染色体に組み込まれた構築物から、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動する。例示的な挿入部位が本明細書に記載される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号107のいずれかの配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する1以上の遺伝子配列を含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)誘導系またはLacプロモーターからの転写を誘導した他の化合物を介して誘導可能な1つ以上の遺伝子配列を含む。IPTGは、lacオペロンの転写を活性化するラクトース代謝産物であるアロラクトース(allolactose)の分子模倣物である。アロラクトースとは対照的に、IPTG中の硫黄原子は非加水分解性の化学結合を生成し、IPTGの分解を防ぎ、濃度を一定に保つ。IPTGはlacリプレッサーに結合し、アロステリック様式でlacオペレーターから四量体リプレッサー(lacI)を放出し、それによってlacオペロンにおける遺伝子の転写を可能にする。IPTGは大腸菌によって代謝されないので、その濃度は一定のままであり、Lacプロモーター制御の発現速度はin vivoおよびin vitroの両方で厳密に制御される。他の輸送経路も関与しているため、IPTG摂取はラクトースパーミアーゼの作用に依存しない。PLacからの誘導性発現は、本明細書に記載のように、リボソーム結合部位(RBS)の最適化によって制御または微調整することができる。同様の方法で、IPTGの代わりに、LacIを不活性化する他の化合物を使用することができる。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、1つ以上のIPTG誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、PALの発現は、IPTG誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、PhePの発現は、IPTG誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、LAADの発現は、IPTG誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、FNRS24Yの発現は、IPTG誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。IPTG誘導性プロモーターの制御下にPALを含む構築物の非限定的な例(例えば、配列番号74に含まれるような)(例えば、図60参照)。
別の実施形態では、1つ以上のIPTG誘導性プロモーターが、1つ以上のバイシストロニックメッセージの発現を駆動する。IPTGによって誘導されるバイシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含むことができ、アラビノース誘導に関して上記したものと同じである。一実施形態では、1つ以上のIPTG誘導性プロモーターが、トリシストロニックメッセージの発現を駆動する。IPTGによって誘導されるトリシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含むことができ、アラビノース誘導に関して上記したものと同じである。一実施形態では、1つ以上のIPTG誘導性プロモーターが、マルチシストロニックメッセージの発現を駆動する。IPTGによって誘導されるマルチシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含むことができ、アラビノース誘導に関して上記したものと同じである。
いくつかの実施形態では、IPTG誘導性プロモーターは、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)のin vivo発現に有用であり、またはin vivo発現中に誘導される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、1つ以上のIPTG誘導性プロモーターによって、in vivoで直接的または間接的に駆動される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、本発明の遺伝子操作された細菌と同時投与される分子、例えば、IPTGによって直接的または間接的に誘導される。
いくつかの実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、in vivo投与前のin vitroでの株の増殖、調製または製造中に、1つ以上のIPTG誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。いくつかの実施形態では、IPTG誘導性プロモーターは、培養中に、例えば、フラスコ、発酵槽または別の適切な培養容器内での増殖中に誘導される。いくつかの実施形態では、投与前に、発現を誘導して細菌をペイロードでプレロードするために細菌培養物に添加される分子、例えば、IPTGによって、プロモーターは直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、IPTGによって誘導される培養物は、好気的に増殖される。いくつかの実施形態において、IPTGによって誘導される培養物は、嫌気的に増殖される。
一実施形態では、IPTG誘導性プロモーターは、第2のプロモーター(例えば、第2の構成的または誘導性プロモーター)と共同して、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含む構築物の発現を駆動する。いくつかの実施形態では、2つのプロモーターが構築物の近位に位置し、当該構築物の発現を駆動し、IPTG誘導性プロモーターは第1の組の外因性条件のもとで発現を駆動し、第2のプロモーターは第2の組の外的条件下の条件下で発現を駆動する。非限定的な例では、第1および第2の条件は、2つの連続した培養条件(すなわち、フラスコ、発酵槽または他の適切な培養容器内での培養物の調製中における、例えば、アラビノースおよびIPTG)であり得る。別の非限定的な例において、第1の誘導条件は培養条件(例えば、IPTGの存在を含む)であってもよく、第2の誘導条件はin vivo条件であってもよい。そのようなin vivo条件には、低酸素、微好気性もしくは嫌気性条件、消化管代謝産物の存在、および/または細菌株と組み合わせて投与される代謝産物が含まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上のIPTG誘導性プロモーターは、同じ遺伝子配列の発現を駆動するFNRプロモーターと共同して、1つ以上のPME(例えばPALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動する。
いくつかの実施形態では、IPTG誘導性プロモーターは、本明細書に記載の低コピープラスミドまたは高コピープラスミドまたはバイオセイフティーシステムプラスミドから、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動する。いくつかの実施形態では、IPTG誘導性プロモーターは、細菌染色体に組み込まれた構築物から、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動する。例示的な挿入部位が本明細書に記載される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号76のいずれかの配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する1つ以上の遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、IPTG誘導性構築物はlacIをコードする遺伝子をさらに含み、lacI遺伝子は1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の調節因子(例えば、FNR24Y)と同じプロモーターから多岐に転写される。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号75の配列のいずれかと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する1つ以上の遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号75の配列のいずれかによってコードされるポリペプチドと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するポリペプチドをコードする1つ以上の遺伝子配列を含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、テトラサイクリン誘導系を介して誘導可能な1つ以上の遺伝子配列を含む。GossenおよびBujardが開発した最初の系(Tight control of gene expression in mammalian cells by tetracycline−responsive promoters.、Gossen M & Bujard H.PNAS、1992年6月15日; 89巻(12):5547−51頁)は、テトラサイクリン・オフとして知られている:テトラサイクリンの存在下では、tet誘導性プロモーターからの発現が減少する。テトラサイクリン制御性トランス活性化因子(tTA)は、tetRを単純ヘルペスウイルス由来のVP16(ビリオンタンパク質16)のC末端ドメインに融合させることによって作製された。テトラサイクリンが存在しない場合、tTAのtetR部分はtetプロモーター内のtetO配列に結合し、活性化ドメインが発現を促進する。テトラサイクリンの存在下では、テトラサイクリンがtetRに結合し、tTAのtetO配列への結合を妨げる。次に、抑制ではなく誘導のためにテトラサイクリンの存在に依拠するリバースTetリプレッサー(rTetR)が開発された。新たなトランス活性化因子rtTA(リバーステトラサイクリン制御性トランス活性化因子)は、rTetRとVP16とを融合させることによって作製した。テトラサイクリン・オン系は、rtTA依存系としても知られている。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、1つ以上のテトラサイクリン誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、PALの発現は、テトラサイクリン誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、PhePの発現は、テトラサイクリン誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、LAADの発現は、テトラサイクリン誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、FNRS24Yの発現は、テトラサイクリン誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。
別の実施形態では、1つ以上のテトラサイクリン誘導性プロモーターが、1つ以上のバイシストロニックメッセージの発現を駆動する。テトラサイクリンによって誘導されるバイシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含むことができ、アラビノース誘導に関して上記したものと同じである。一実施形態では、1つ以上のテトラサイクリン誘導性プロモーターが、トリシストロニックメッセージの発現を駆動する。テトラサイクリンによって誘導されるトリシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含むことができ、アラビノース誘導に関して上記したものと同じである。一実施形態では、1つ以上のテトラサイクリン誘導性プロモーターが、マルチシストロニックメッセージの発現を駆動する。テトラサイクリンによって誘導されるマルチシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含むことができ、アラビノース誘導に関して上記したものと同じである。
いくつかの実施形態では、テトラサイクリン誘導性プロモーターは、1つ以上のPME(PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)のin vivo発現に有用であり、またはin vivo発現中に誘導される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、1つ以上のテトラサイクリン誘導性プロモーターによってin vivoで直接的または間接的に駆動される。いくつかの実施形態において、プロモーターは、本発明の遺伝子操作された細菌と同時投与される分子、例えば、テトラサイクリンによって直接的または間接的に誘導される。
いくつかの実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、in vivo投与前のin vitroでの菌株の増殖、調製または製造中に、1つ以上のテトラサイクリン誘導性プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。いくつかの実施形態では、テトラサイクリン誘導性プロモーターは、培養中に、例えば、フラスコ、発酵槽または別の適切な培養容器中での増殖中に誘導される。いくつかの実施形態では、投与前に、発現を誘導して細菌をペイロードでプレロードするために細菌培養液に添加される分子、例えば、テトラサイクリンによって、プロモーターは直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、テトラサイクリンによって誘導される培養物は、好気的に増殖される。いくつかの実施形態において、テトラサイクリンによって誘導される培養物は、嫌気的に増殖される。
一実施形態では、テトラサイクリン誘導性プロモーターは、第2のプロモーター(例えば、第2の構成的または誘導性プロモーター)と共同して、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含む構築物の発現を駆動する。いくつかの実施形態では、2つのプロモーターが構築物の近位に位置し、当該構築物の発現を駆動し、テトラサイクリン誘導性プロモーターは第1の組の外因性条件の下で発現を駆動し、第2のプロモーターは第2の組の外因性条件の下で発現を駆動する。非限定的な例において、第1および第2の条件は、2つの連続した培養条件(すなわち、フラスコ、発酵槽または他の適切な培養容器内での培養物の調整中における、例えば、テトラサイクリンおよびIPTG)であり得る。別の非限定的な例において、第1の誘導条件は、培養条件(例えば、テトラサイクリンの存在を含む)で、第2の誘導条件はin vivo条件であり得る。そのようなin vivo条件には、低酸素、微好気性もしくは嫌気性条件、消化管代謝産物の存在、および/または細菌株と組み合わせて投与される代謝産物が含まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上のテトラサイクリンプロモーターは、同じ遺伝子配列の発現を駆動するFNRプロモーターと共同して、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動する。
いくつかの実施形態では、テトラサイクリン誘導性プロモーターは、本明細書に記載の低コピープラスミドまたは高コピープラスミドまたはバイオセイフティーシステムプラスミドから、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動する。いくつかの実施形態では、テトラサイクリン誘導性プロモーターは、細菌染色体に組み込まれた構築物から、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動する。例示的な挿入部位が本明細書に記載される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号39の太字の配列(tetプロモーターが太字)のいずれかと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する1以上の遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、テトラサイクリン誘導性構築物は、AraCをコードする遺伝子をさらに含み、AraCは、1以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)、および/または1以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または1以上の調節因子(例えば、FNR24Y)と同じプロモーターから多岐に転写される。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号39のイタリック体の配列(Tetリプレッサーはイタリック体である)のいずれかと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する1以上の遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号39のイタリック体の配列(Tetリプレッサーはイタリック体である)のいずれかによってコードされるポリペプチドと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するポリペプチドをコードする1以上の遺伝子配列を含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、発現が温度感受性機構によって制御される1つ以上の遺伝子配列を含む。温度調節因子は、外部からの化学物質または特殊培地を使用することなく強力な転写制御ができる点で有利である(例えば、Nemaniら、Magnetic nanoparticle hyperthermia induced cytosine deaminase expression in microencapsulated E. coli for enzyme−prodrug therapy; J Biotechnol.2015年6月10日;203巻:32−40頁およびその中の参考文献)。突然変異体cI857リプレッサーならびにpLおよび/もしくはpRファージλプロモーターを用いた温度調節されたタンパク質発現は、組換え細菌株を操作するために使用されてきた。λプロモーターの下流にクローニングされた目的の遺伝子は、バクテリオファージλの熱不安定性変異体cI857リプレッサーによって効率的に調節され得る。37℃より低い温度では、cI857はpRプロモーターのoLまたはoR領域に結合し、RNAポリメラーゼによる転写をブロックする。37℃より高い温度では、機能を有するcI857二量体は不安定化され、oLまたはoR DNA配列への結合は排除され、mRNA転写が開始される。例示的な構築物を図62Aに示す。ParaBadからの誘導性発現は、本明細書に記載のように、リボソーム結合部位(RBS)の最適化によって、制御またはさらなる微調整を受け得る。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、1つ以上の温度調節プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、PALの発現は、温度調節プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、PhePの発現は、温度調節プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、LAADの発現は、温度調節プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。一実施形態では、FNRS24Yの発現は、温度調節プロモーターによって直接的または間接的に駆動される。PAL発現が37℃および42℃で誘導され、かつ、より低温では誘導されない構築物の非限定的な例は、配列番号101に含まれる(例えば、図60および図62A参照)。
別の実施形態では、1つ以上の温度調節プロモーターが、1つ以上のバイシストロニックメッセージの発現を駆動する。温度、例えば37℃および/または42℃によって誘導されるバイシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/また1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含むことができ、アラビノース誘導に関して上記したものと同じである。一実施形態では、1つ以上の温度調節プロモーターがトリシストロニックメッセージの発現を駆動する。温度、例えば、37℃および/または42℃によって誘導されるトリシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含むことができ、アラビノース誘導に関して上記したものと同じである。一実施形態では、1つ以上の温度調節プロモーターが、マルチシストロニックメッセージの発現を駆動する。温度調節によって誘導されるマルチシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含むことができ、アラビノース誘導に関して上記したものと同じである。
いくつかの実施形態では、温度調節プロモーターは、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)のin vivo発現に有用であり、またはin vivo発現中に誘導される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、1つ以上の温度調節プロモーターによってin vivoで直接的にまたは間接的に駆動される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、本発明の遺伝子操作された細菌と同時投与される分子、例えば温度によって、直接的または間接的に誘導される。
いくつかの実施形態では、1つ以上のPME(PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、in vivo投与前のin vitroでの増殖、調製または製造中に、1つ以上の温度調節プロモーターによって直接または間接的に駆動される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPhePの産生を遮断することが有利であり得る。これは、温度調節系において、より低い温度、例えば、30℃で株を増殖させることによってなし得る。次いで、温度を37℃および/または42℃に上昇させることによって、発現を誘導することができる。いくつかの実施形態において、温度調節プロモーターは培養中、例えば、フラスコ、発酵槽または別の適切な培養容器中で誘導される。いくつかの実施形態では、37℃〜42℃の間の温度で誘導される培養物を好気的に増殖させる。いくつかの実施形態では、37℃〜42℃の間の温度でよって誘導される培養物を嫌気的に増殖させる。
一実施形態では、温度調節されたプロモーターは、第2のプロモーター(例えば、第2の構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター)と共同して、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含む構築物の発現を駆動する。いくつかの実施形態では、2つのプロモーターが構築物の近位に位置し、当該構築物の発現を駆動し、温度調節プロモーターが第1の組の外因性条件の下で発現を駆動し、第2のプロモーターが第2の組の外因性条件の下で発現を駆動する。非限定的な例において、第1および第2の条件は、2つの連続した培養条件(すなわち、フラスコ、発酵槽または他の適切な培養容器における培養の調製中における、例えば、温度調節とアラビノース)であり得る。別の非限定的な例において、第1の誘導条件は培養条件、例えば、許容温度であり得て、第2の誘導条件はin vivo条件であり得る。そのようなin vivo条件には、低酸素、微好気性もしくは嫌気性条件、消化管代謝産物の存在、および/または細菌株と組み合わせて投与される代謝産物が含まれる。いくつかの実施形態では、1つ以上の温度調節プロモーターは、同じ遺伝子配列の発現を駆動するFNRプロモーターと共同して、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動する。
いくつかの実施形態では、温度調節プロモーターは、本明細書に記載の低コピープラスミドまたは高コピープラスミドまたはバイオセイフティーシステムプラスミドから、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動するいくつかの実施形態では、温度調節プロモーターは、細菌染色体に組み込まれた構築物から、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を駆動する例示的な挿入部位が本明細書に記載される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号103の配列のいずれかと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する1以上の遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、温度調節された構築物は、突然変異体cI857リプレッサーをコードする遺伝子をさらに含み、それは1以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)、および/または1以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または1以上の調節因子(例えば、FNR24Y)と同じプロモーターから多岐に転写される。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号102の配列のいずれかと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する1以上の遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号102の配列のいずれかによってコードされるポリペプチドと少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するポリペプチドをコードする1以上の遺伝子配列を含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PssBプロモーターによって駆動される系を介して間接的に誘導される1つまたは複数の遺伝子配列を含む。Pssbプロモーターは好気性条件下で活性であり、嫌気性条件下では遮断される。
このプロモーターを用いて好気性条件下で目的の遺伝子を発現させることができる。このプロモーターはまた、遺伝子産物が嫌気的条件下でのみ発現されるように、遺伝子産物の発現を強く制御するために使用することができる。この場合、酸素誘導性PssBプロモーターは、目的の遺伝子の発現を抑制するリプレッサーの発現を誘導する。結果として、目的の遺伝子は、リプレッサーの非存在下、すなわち嫌気性条件下でのみ発現される。この戦略には、改良された微調整とより厳しい制御のための追加の制御レベルという利点がある。図63Aは、PssBプロモーターの遺伝子構成の概略を示す。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、1つ以上のPssBプロモーターの制御下で発現されるリプレッサーによって間接的に調節される。一実施形態では、PALの発現は、1つ以上のPssBプロモーターの制御下で発現されるリプレッサーによって間接的に調節される。一実施形態では、PhePの発現は、1つ以上のPssBプロモーターの制御下で発現されるリプレッサーによって間接的に調節される。一実施形態では、LAADの発現は、1つ以上のPssBプロモーターの制御下で発現されるリプレッサーによって間接的に調節される。一実施形態では、FNRS24Yの発現は、1つ以上のPssBプロモーターの制御下で発現されるリプレッサーによって間接的に調節される。
別の実施形態では、RssBプロモーターの誘導は、1つ以上のバイシストロニックメッセージの発現を駆動する。誘導されるバイシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含むことができ、アラビノース誘導に関して上記したものと同じである。別の実施形態では、RssBプロモーターの誘導は、1つ以上のトリシストロニックメッセージの発現を駆動する。誘導されるトリシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含むことができ、アラビノース誘導に関して上記したものと同じである。一実施形態では、RssBプロモーターの誘導は、間接的に、1つ以上のマルチシストロニックメッセージの発現を駆動する。アラビノースによって誘導されたマルチシストロニックメッセージは、1つ以上のPME(例えば、PALまたはLAAD)および/または1つ以上のPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または1つ以上の転写調節因子(例えば、FNRS24Y)を含むことができ、アラビノース誘導に関して上記したものと同じである。
いくつかの実施形態では、RssBプロモーターの誘導は、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)、および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)のin vivo発現を間接的に駆動する。いくつかの実施形態では、RssBプロモーターの誘導は、in vivo投与前のin vitroにおける株の増殖、調製または製造中において、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)、および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を間接的に駆動する。いくつかの実施形態では、RssBプロモーターの誘導条件は、培養物中、例えば、フラスコ、発酵槽または別の適切な培養容器中において提供される。
いくつかの実施形態では、PssBプロモーターは、1以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)、および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を、本明細書に記載の低コピープラスミドまたは高コピープラスミドまたはバイオセイフティーシステムプラスミドから間接的に駆動する。いくつかの実施形態では、PssBプロモーターは、1以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)、および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現を、細菌染色体に組み込まれた構築物から間接的に駆動する。例示的な挿入部位が本明細書に記載される。
別の非限定的な例において、この戦略は、thyAおよび/またはdapAの発現を制御するために、例えば、条件付き栄養要求株を作製するために、使用することができる。dapAまたはThyAの染色体コピーがノックアウトされる。嫌気性条件下では、場合に応じて、dapAまたはthyAが発現するので、株はdapまたはチミジンの非存在下で増殖することができる。好気的条件下では、dapAまたはthyAの発現は停止し、該株は、dapまたはチミジンの非存在下では増殖できない。そのような戦略は、例えば、嫌気性条件下(例えば、消化管内)における細菌の生存を可能にするが、好気性条件下では生存を防止するために使用することができる(バイオセイフティースイッチ)。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号117のいずれかの配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89% 90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する1つ以上の遺伝子配列を含む。
PME遺伝子および/またはPheトランスポーター遺伝子は、酸素レベルに応答して誘導されるプロモーターに加えて、反応性窒素種の存在下または反応性酸素種の存在下などの炎症状態に応答して誘導されるプロモーターによって制御される。そのような誘導性プロモーターの例は、同時係属中の共有に係る国際出願PCT/US2016/050836(2006年9月8日出願)に見出される。
菌株培養中のPMEおよび/またはPheトランスポーターの誘導
いくつかの実施形態では、被験体への投与前にPME発現およびPME活性をプレ誘導することが望ましい。すなわち、いくつかの実施形態では、PME発現およびPME活性を、in vivo活性化前の培養中にプレ誘導することが望ましい。そのような状況では、株は活性PME(PAL3および/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)をプレロードされる。そのような場合、本発明の遺伝子操作された細菌は、in vivo投与前の細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中の細菌培養物中おいてに与えられる条件下で、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)を発現する。そのような培養条件は、フラスコ、発酵槽または他の適切な培養容器内で、例えば、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に使用されるもの中で与えられる。本明細書中で使用される場合、用語「細菌培養物または細菌細胞培養物」または「培養物」は、細胞増殖、細胞増大、回収、精製、発酵および/または製造を含むいくつかの製造プロセス中に、in vitroで維持または増殖される細菌細胞または微生物を指す。本明細書で使用される場合、用語「発酵」は、規定された条件下での細菌の増殖、増大および維持を指す。発酵は、嫌気性または低酸素または酸素化条件、誘導物質、栄養素の存在下、規定の温度などを含む多数の細胞培養条件下において起こり得る。
培養条件は、細胞の最適活性を維持しながら、細菌細胞の高収率および高生存率を達成するように選択される。酸素レベル(例えば、低酸素、微好気性、好気性)、培地の温度、ならびに培地に供給される栄養素、化学誘導物質および他の成分を含む多くの細胞培養パラメータのモニターおよび調整をして、最適活性、高収率および高生存率を達成する。いくつかの実施形態において、フェニルアラニンは、例えば、細胞の健康を増強するために、培地に添加される。理論に縛られることは望まないが、フェニルアラニンを培地に添加すると、細胞増殖に必要な内在的に産生されたフェニルアラニンが細菌によって異化されるのを防ぐことができる。
いくつかの実施形態では、in vivo投与のために株が増殖される間に、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーターが直接的または間接的に誘導される。理論に縛られることを望むものではないが、プレ誘導はin vivo活性を高め得る。プレ誘導は、細菌が最初に到達する消化管の近位領域、例えば、小腸において特に重要である。この区画内における細菌の滞留時間が比較的短い場合、細菌は、完全なin vivo誘導能力に達せずに、小腸を通過してしまうかもしれない。これとは対照的に、菌株がプレ誘導およびプレロードされている場合、菌株は既に完全に活性化されており、細菌が腸に到達するにつれてより迅速により高い活性が得られる。それゆえに、菌株が最適活性ではない通過時間が「無駄」になることは一切ない。細菌が消化管を通って移動し続けるとき、in vivo誘導は、消化管の環境条件下(例えば、低酸素、または消化管代謝産物の存在下)で起こる。
一実施形態では、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現が誘導される。一実施形態では、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、1つ以上のPAL遺伝子配列の発現が誘導される。一実施形態では、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、1つ以上のPheP遺伝子配列の発現が誘導される一実施形態では、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、1つ以上のLAAD遺伝子配列の発現が誘導される。一実施形態では、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、1つ以上のPALおよびPheP遺伝子配列の発現が誘導される。一実施形態では、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、1つ以上のPALおよびLAAD遺伝子配列の発現が誘導される。一実施形態では、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、1つ以上のPhePおよびLAAD遺伝子配列の発現が誘導される。一実施形態では、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、1つ以上のPhePおよびLAADおよびPAL遺伝子配列の発現が誘導される
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、同じプロモーターからマルチシストロニックメッセージで駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、同じプロモーターから2つ以上の別個のメッセージとして駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、1つ以上の異なるプロモーターから駆動される。
いくつかの実施形態では、in vivo投与前の株の増殖中におけるプレ誘導プロトコールなしで、菌株を投与する。
嫌気性誘導
いくつかの実施形態において、細胞は、培養における嫌気性または低酸素条件下で誘導される。そのような場合、細胞は、特定の密度(例えば、1X10^8〜1X10^11の範囲)と対数増殖を示す特定のOD(例えば0.1〜10の範囲内のOD)に達するまで培養され(例えば、1.5〜3時間)、それから約3〜5時間嫌気性または低酸素条件に切り替えられる。いくつかの実施形態では、例えば、FNRプロモーター活性を誘導し、1以上のFNRプロモーター制御下で1以上のPMEおよび/またはPheトランスポーターの発現を駆動するために、株は嫌気性または低酸素条件下で誘導される。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、嫌気性または低酸素条件下での細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPAL遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、嫌気性または低酸素条件下での細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPheP遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、嫌気性または低酸素条件下での細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のLAAD遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、嫌気性または低酸素条件下での細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびPheP遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、嫌気性または低酸素条件下での細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびLAAD遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、嫌気性または低酸素条件下での細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAAD遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、嫌気性または低酸素条件下での細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAADおよびPAL遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、嫌気性または低酸素条件下での細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は1つ以上のFNRプロモーター制御下にあり、嫌気性または低酸素条件下で、マルチシストロニックメッセージの形態で同じプロモーターから駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は1つ以上のFNRプロモーター制御下にあり、嫌気性または低酸素条件下で、2つ以上の別個のメッセージとして同じプロモーターから駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は1つ以上のFNRプロモーター制御下にあり、嫌気性または低酸素条件下で、1つ以上の異なるプロモーターから駆動される。
理論に縛られることを望むものではないが、FNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPMEおよび/またはPhePトランスポーターおよび/または転写調節因子を含む株は、in vitroの嫌気性または低酸素培養条件下、および消化管に見出されるin vivoの低酸素条件下で、これらのプロモーターからのPMEおよび/またはPhePトランスポーターおよび/または転写調節因子の発現を可能にすることができる。
いくつかの実施形態では、アラビノース、IPTG、ラムノース、テトラサイクリン、ならびに/または他の化学的および/もしくは栄養性誘導物質によって誘導可能なプロモーターは、化学的および/または栄養性誘導物質の存在下で、嫌気性または低酸素条件下で誘導することができる。特に、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかはFNRプロモーターの制御下にあり、他のものは化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導されるプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、株は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列、ならびに1つ以上の化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導される1つ以上のプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列を含むことができ、当該化学的および/または栄養性誘導物質には、アラビノース、IPTG、ラムノース、テトラサイクリン、ならびに/または本明細書に記載されているか当該分野で公知の他の化学的および/もしくは栄養性誘導物質が含まれるが、限定はされない。いくつかの実施形態では、株は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列ならびに本明細書に記載の1つ以上の構成的プロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、株は、FNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列ならびに本明細書に記載の1つ以上の温度制御プロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列を含むことができる。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPAL遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPheP遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のLAAD遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびPheP遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびLAAD遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAAD遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAADおよびPAL遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、前記の化学的および/または栄養性誘導物質はアラビノースであり、前記のプロモーターはアラビノースによって誘導可能である。一実施形態では、前記の化学的および/または栄養性誘導物質はIPTGであり、前記のプロモーターはIPTGによって誘導可能である。一実施形態では、前記の化学的および/または栄養性誘導物質はラムノースであり、前記のプロモーターはラムノースによって誘導可能である。一実施形態では、前記の化学的および/または栄養性誘導物質はテトラサイクリンであり、前記のプロモーターはテトラサイクリンによって誘導可能である。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあって、嫌気性および/または低酸素条件下で同じプロモーターからマルチシトロニックメッセージの形態で駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあって、嫌気性および/または低酸素条件下で同じプロモーターから2つ以上の別個のメッセージとして駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあって、嫌気性および/または低酸素条件下で1つ以上の異なるプロモーターから駆動される。
一実施形態では、株は遺伝子配列の組合せを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーターの制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーターの制御下にあり、いずれの誘導性プロモーターも嫌気性または低酸素条件下で、化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導される。一実施形態では、株は遺伝子配列の組合せを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーターの制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーターの制御下にあり、いずれの誘導性プロモーターも化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導される。いくつかの実施形態では、株は、第3の誘導性プロモーター、例えば、嫌気性/低酸素プロモーター(例えば、FNRプロモーター)の制御下にある遺伝子配列を含む。一実施形態では、株は遺伝子配列の組合せを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーター(例えば、化学的に誘導されるプロモーターまたは低酸素プロモーター)の制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーター(例えば、温度感受性プロモーター)の制御下にある。一実施形態では、株は遺伝子配列の組合せを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーター(例えば、FNRプロモーター)の制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーター(例えば、温度感受性プロモーター)の制御下にある。一実施形態では、株は遺伝子配列の組合せを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーター(例えば、化学的に誘導されるプロモーター)の制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーター(例えば、温度感受性プロモーター)の制御下にある。いくつかの実施形態では、株は、FNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列、ならびに1つ以上の化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導される1つ以上のプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列を含むことができ、当該化学的および/または栄養性誘導物質には、アラビノース、IPTG、ラムノース、テトラサイクリン、ならびに/または本明細書に記載されているか当該分野で公知の他の化学的および/もしくは栄養性誘導物質が含まれるが、限定はされない。さらに、当該株は、温度調節制御下にある1つの構築物を含み得る。いくつかの実施形態では、細菌株は、低酸素条件下で活性な1つ以上の構成的プロモーターの制御下にあるPMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。
好気性誘導
いくつかの実施形態では、好気性条件下で株を調製し、プレロードし、プレ誘導することが望ましい。これにより、より効率的な成長および生存が可能になり、場合によっては有毒な代謝産物の蓄積が減少する。そのような場合、特定の密度(例えば1×10^8〜1×10^11)および対数増殖を示す特定のOD(例えば0.1〜10の範囲内のOD)に達するまで細胞を培養してから(例えば、1.5〜3時間)、誘導物質の添加または許容温度へのシフトなどの他の手段によって約3〜5時間誘導する。
いくつかの実施形態では、アラビノース、IPTG、ラムノース、テトラサイクリンおよび/または本明細書中に記載もしくは当該技術分野で公知の他の化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導可能なプロモーターは、好気性条件下における化学的および/または栄養性誘導物質の存在下で、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導することができる。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPAL遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPheP遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のLAAD遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびPheP遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびLAAD遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAAD遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAADおよびPAL遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)、および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または転写調節因子の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあって、好気性条件下で同一プロモーターからマルチシストロニックメッセージの形態で駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)、および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または転写調節因子の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあって、好気性条件下で同一プロモーターから2つ以上の別個のメッセージとして駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)、および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または転写調節因子の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあって、好気性条件下で1つ以上の異なるプロモーターから駆動される。
一実施形態では、化学的および/または栄養性誘導物質はアラビノースであり、プロモーターはアラビノースによって誘導可能である。一実施形態では、化学的および/または栄養性誘導物質はIPTGであり、プロモーターはIPTGによって誘導可能である。一実施形態では、化学的および/または栄養性誘導物質はラムノースであり、プロモーターはラムノースによって誘導可能である。一実施形態では、化学的および/または栄養性誘導物質はテトラサイクリンであり、プロモーターはテトラサイクリンによって誘導可能である。
いくつかの実施形態では、温度によって調節されるプロモーターは、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、1つ以上の温度調節プロモーターによって直接的または間接的に駆動され好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPAL遺伝子配列の発現は、1つ以上の温度調節プロモーターによって直接的または間接的に駆動され、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPheP遺伝子配列の発現は、1つ以上の温度調節プロモーターによって直接的または間接的に駆動され、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のLAAD遺伝子配列の発現は、1つ以上の温度調節プロモーターによって直接的または間接的に駆動され、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびPheP遺伝子配列の発現は、1つ以上の温度調節プロモーターによって直接的または間接的に駆動され、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびLAAD遺伝子配列の発現は、1つ以上の温度調節プロモーターによって直接的または間接的に駆動され、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAAD遺伝子配列の発現は、1つ以上の温度調節プロモーターによって直接的または間接的に駆動され、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAADおよびPAL遺伝子配列の発現は、1つ以上の温度調節プロモーターによって直接的または間接的に駆動され、好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、1つ以上の温度調節プロモーターによって直接的にまたは間接的に駆動され、好気性条件下で同じプロモーターからマルチシストロニックメッセージの形態で駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、1つ以上の温度調節プロモーターによって直接的にまたは間接的に駆動され、好気性条件下で同じプロモーターから2つ以上の別個のメッセージとして駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、1つ以上の温度調節プロモーターによって直接的または間接的に駆動され、好気性条件下で1つ以上の異なるプロモーターから駆動される。
一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーターの制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーターの制御下にあり、いずれの誘導性プロモーターも好気性条件下で誘導される。いくつかの実施形態において、菌株は、好気性培養条件下で誘導される3つ以上の異なるプロモーターを含む。
一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーターの制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーターの制御下にあり、いずれの誘導性プロモーターも化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導される。一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーター(例えば、化学的に誘導可能なプロモーター)の制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーター(例えば、好気性条件下の温度感受性プロモーター)の制御下にある。いくつかの実施形態では、2つ以上の化学的に誘導されるプロモーター遺伝子配列が、本明細書に記載される温度調節される構築物と組み合わされる。一実施形態では、化学的および/または栄養性誘導物質はアラビノースであり、プロモーターはアラビノースによって誘導可能である。一実施形態では、化学的および/または栄養性誘導物質はIPTGであり、プロモーターはIPTGによって誘導可能である。一実施形態では、化学的および/または栄養性誘導物質はラムノースであり、プロモーターはラムノースによって誘導可能である。一実施形態では、化学的および/または栄養性誘導物質はテトラサイクリンであり、プロモーターはテトラサイクリンによって誘導可能である。
一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーター(例えば、FNRプロモーター)の制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーター(温度感受性プロモーター)の制御下にある。一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーター(例えば、化学的に誘導されるプロモーター)の制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーター(例えば、温度感受性プロモーター)の制御下にある。いくつかの実施形態では、株は、FNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節遺伝子配列を含むことができ、1つ以上の化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導される1つ以上のプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節遺伝子配列を含むことができる。上記の1つ以上の化学的および/または栄養性誘導物質には、アラビノース、IPTG、ラムノース、テトラサイクリン、ならびに/または本明細書に記載されているか当該分野で公知の他の化学的および/もしくは栄養性誘導物質が含まれるが、限定はされない。さらに、株は、温度調節制御下にある1つの構築物を含み得る。いくつかの実施形態では、細菌株は、好気性条件下で活性な1つ以上の構成的プロモーターの制御下にあるPMEおよび/またはPheトランスポーターの配列をさらに含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株は、好気性培養条件下で誘導されるPAL、LAAD、およびPheP遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子PMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子配列をさらに含まない。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のPAL遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような遺伝子操作された株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のLAAD遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、そのような株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のPheP遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子PMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子配列をさらに含まない。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のPAL遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような遺伝子操作された株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のLAAD遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態において、そのような株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のPheP遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子PMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子配列をさらに含まない。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のLAAD遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のPAL遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のPheP遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子PMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子配列をさらに含まない。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のLAAD遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のPAL遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のPheP遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子PMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子配列をさらに含まない。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のLAAD遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態において、そのような株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のPAL遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のPheP遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子PMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子配列をさらに含まない。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のLAAD遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態において、そのような株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のPAL遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のPheP遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子PMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子配列をさらに含まない。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のLAAD遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のPAL遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のPheP遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子PMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子配列をさらに含まない。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のLAAD遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のPAL遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のPheP遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子PMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子配列をさらに含まない。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のLAAD遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態において、そのような株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のPAL遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のPheP遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子PMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子配列をさらに含まない。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のLAAD遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のPAL遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のPheP遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子PMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子配列をさらに含まない。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のLAAD遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のPAL遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のPheP遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子PMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子配列をさらに含まない。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のLAAD遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でアラビノース誘導性のPAL遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、そのような株は、好気性培養条件下でIPTG誘導性のPheP遺伝子配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子PMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、これらの株は、消化管におけるin vivo活性化のためのFNR誘導性遺伝子配列をさらに含まない。
上記の非限定的な例から明らかなように、遺伝子操作された株は、多数の組み合わせによって誘導することができる誘導性PMEおよび/またはPheトランスポーター遺伝子配列を含む。例えば、ラムノースまたはテトラサイクリンは、アラビノースおよび/もしくはIPTGまたは温度制御に加えて、あるいはその代わりに、適切なプロモーターとともに誘導物質として使用することができる。さらに、そのような細菌株は、嫌気的条件下で、化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導することもできる。
微好気性誘導
いくつかの実施形態において、生存率、増殖および活性は、微好気性条件下で細菌株をプレ誘導することによって最適化される。いくつかの実施形態において、微好気条件は、最適な成長、活性および生存の条件と、誘導のための最適条件との間の「バランスをとる」ために最も適している;特に、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーターの発現が、嫌気性および/または低酸素プロモーター(例えば、FNRプロモーター)によって駆動される場合。そのような場合、細胞は、特定の密度、例えば1×10^8〜1×10^11および対数増殖を示す特定のOD、例えば0.1〜10の範囲内のODに達するまで培養され(例えば、1.5〜3時間)、次いで誘導因子の添加または許容温度への移行などの他の手段により約3〜5時間誘導される。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPAL遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPheP遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のLAAD遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびPheP遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびLAAD遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAAD遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAADおよびPAL遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下でマルチシストロニックメッセージの形態で同じプロモーターから駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下で2つ以上の別個のメッセージとして同じプロモーターから駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下で1つ以上の異なるプロモーターから駆動される。
理論に縛られることを望むものではないが、FNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPMEおよび/またはPhePトランスポーターおよび/または転写調節因子を含む株は、in vitroの微好気培養条件下および消化管内に見出されるin vivoの低酸素条件下で、これらのプロモーターから、PMEおよび/またはPhePトランスポーターおよび/または転写調節因子を発現させることができる。
いくつかの実施形態では、アラビノース、IPTG、ラムノース、テトラサイクリン、ならびに/または他の化学的および/もしくは栄養性誘導物質によって誘導可能なプロモーターは、微好気性条件下における化学的および/または栄養性誘導物質の存在下で誘導することができる。特に、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかはFNRプロモーターの制御下にあり、他のものは化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導されるプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、株は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列、ならびに1つ以上の化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導される1つ以上のプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列を含むことができ、当該化学的および/または栄養性誘導物質には、アラビノース、IPTG、ラムノース、テトラサイクリン、ならびに/または本明細書に記載されているか当該分野で公知の他の化学的および/もしくは栄養性誘導物質が含まれるが、限定はされない。いくつかの実施形態では、株は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列、ならびに本明細書に記載の1つ以上の構成的プロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列を含み得る。いくつかの実施形態では、株は、FNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列、ならびに本明細書に記載の1つ以上の温度調節プロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列を含み得る。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPAL遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPheP遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のLAAD遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびPheP遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびLAAD遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAAD遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAADおよびPAL遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、微好気性条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、化学的および/または栄養性誘導物質はアラビノースであり、プロモーターはアラビノースによって誘導可能である。一実施形態では、化学的および/または栄養性誘導物質はIPTGであり、プロモーターはIPTGによって誘導可能である。一実施形態では、化学的および/または栄養性誘導物質はラムノースであり、プロモーターはラムノースによって誘導可能である。一実施形態では、化学的および/または栄養性誘導物質はテトラサイクリンであり、プロモーターはテトラサイクリンによって誘導可能である。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーター制御下にあって、微好気条件下においてマルチシストニックメッセージの形態で同じプロモーターから駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーター制御下にあって、微好気性条件下で2つ以上の別個のメッセージとして同じプロモーターから駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーター制御下にあって、微好気性条件下で1つ以上の異なるプロモーターから駆動される。
一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーターの制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーターの制御下にあり、いずれの誘導性プロモーターも微好気条件下で化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導される。一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーターの制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーターの制御下にあり、いずれの誘導性プロモーターも化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導される。いくつかの実施形態では、株は、第3の誘導性プロモーター、例えば、嫌気性/低酸素性プロモーターまたは微好気性プロモーター(例えば、FNRプロモーター)の制御下に遺伝子配列を含む。一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合せを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーター(例えば、化学的に誘導されるプロモーターまたは低酸素もしくは微好気性プロモーター)の制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーター(例えば、温度感受性プロモーター)の制御下にある。一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合せを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーター(例えば、FNRプロモーター)の制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーター(例えば、温度感受性プロモーター)の制御下にある。一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合せを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーター(例えば、化学的に誘導されるプロモーター)の制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーター(例えば、温度感受性プロモーター)の制御下にある。いくつかの実施形態では、株は、FNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列、ならびに1つ以上の化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導される1つ以上のプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列を含むことができ、当該化学的および/または栄養性誘導物質には、アラビノース、IPTG、ラムノース、テトラサイクリン、ならびに/または本明細書に記載されているか当該分野で公知の他の化学的および/もしくは栄養性誘導物質が含まれるが、限定はされない。さらに、株は、温度調節制御下にある1つの構築物を含み得る。いくつかの実施形態では、細菌株は、低酸素条件で活性な1つ以上の構成的プロモーターの制御下にPMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。
フェージング、パルシングおよび/またはサイクリングを用いた株の誘導
いくつかの実施形態では、細胞増殖、増大、回収、精製、発酵および/または製造の間にサイクリング、フェージング、またはパルシング技術を使用して、in vivo投与前に効率的に株を誘導および成長させる。この方法は、最適な成長、活性、細胞の健康および生存のための条件と、誘導の最適条件との間の「バランスをとる」ために使用される;特に、誘導条件下で、成長、細胞の健康または生存率に負の影響がある場合。そのような場合、細胞が特定の密度(例えば、1×10^8〜1×10^11の範囲)を示す特定のOD(例えば、ODが0.1〜10の範囲)に達するまで、第1の段階またはサイクルでは細胞を増殖させる(例えば、1.5〜3時間)。そして、その後、誘導物質の添加または許容温度へのシフト(プロモーターが温度調節されている場合)もしくは酸素レベルの変化(例えば、FNRプロモーター駆動性構築物の誘導の場合における、酸素レベルの低下)などの他の手段によって約3〜5時間誘導される。第2段階またはサイクルでは、条件を、最適な成長、細胞の健康および生存をサポートする元の条件に戻す。あるいは、化学的および/または栄養性誘導物質が使用される場合には、第2のフェーズまたはサイクルにおける誘導物質の2回目の投与によって、培養物をスパイクすることができる。
いくつかの実施形態では、2サイクルの最適条件および誘導条件(すなわち、増殖、誘導、回復および増殖、誘導)が使用される。いくつかの実施形態では、3サイクルの最適条件および誘導条件が使用される。いくつかの実施形態では、4サイクル以上の最適条件および誘導条件が使用される。非限定的な例では、そのようなサイクリングおよび/またはフェージングは、嫌気性および/または低酸素条件下での誘導(例えば、FNRプロモーターの誘導)に使用される。一実施形態では、細胞を最適密度まで増殖させ、次いで嫌気性および/または低酸素条件下で誘導する。ストレスの多い誘導条件が原因で増殖および/または生存能力が負の影響を受ける前に、細胞を酸素化された条件に戻して回復させ、その後、誘導性の嫌気性および/または低酸素条件にもう一回戻す。いくつかの実施形態では、これらのサイクルは必要に応じて繰り返される。
いくつかの実施形態において、増殖培養物は、化学的および/または栄養性誘導物質で1回スパイクされる。いくつかの実施形態において、増殖培養物は、化学的および/または栄養性誘導物質で2回スパイクされる。いくつかの実施形態において、増殖培養物は、化学的および/または栄養性誘導物質で3回以上スパイクされる。非限定的な例では、細胞が特定の密度、0.1〜10に達するまで、細胞が1×10^8〜1×10^11の範囲の密度になるまで、最初は、最適増殖条件下で培養する(例えば、1.5〜3時間)。次いで、化学的誘導物質、例えば、アラビノースまたはIPTGを培養物に添加する。3〜5時間後、追加用量の誘導物質を加えて誘導を再開する。スパイクは、必要に応じて繰り返すことができる。
いくつかの実施形態では、フェージングまたはサイクリングは、培養物中の温度において、変化する。別の実施形態では、温度を調節することによって、PMEの活性を改善することができる。例えば、培養中の温度を低下させることにより、PMEの適切な折り畳みを改善することができる。そのような場合、細胞は最初は、増殖のために最適な温度(例えば、37℃)で増殖される。いくつかの実施形態では、次いで、細胞を、例えば化学的誘導物質によって誘導してPMEを発現させる。同時にまたは設定量の誘導時間後に、培地の温度を、例えば25〜35℃の間に下げて、発現したPME(例えば、PAL)の折りたたみを改善することができる。
いくつかの実施形態では、PMEおよびPheトランスポーターは、異なる誘導性プロモーター、例えば、2つの異なる化学誘導物質の制御下にある。他の実施形態では、PMEは低酸素条件または微好気性条件下で誘導され、Pheトランスポーターは化学的誘導物質によって誘導される。他の実施形態では、Pheトランスポーターは低酸素または微好気性条件で誘導され、PMEは化学的誘導物質、例えば、アラビノースまたはIPTGによって誘導される。最適な結果を得るためには、Pheトランスポーターを最初に誘導するか、またはPMEと同時に誘導することが望ましい。これにより、場合によっては、Pheのより効率的な取り込みをが可能になり、その結果、継続的な細胞増殖が維持される。非制限的な例において、PMEがアラビノースなどの他の誘導物質によって、例えばさらに3〜5時間誘導される前に、PhePは微好気性条件下で1〜2時間誘導され得る。非限定的な例において、PhePおよびPME、例えば、PALおよびLAADは、アラビノースによって同時に誘導される。別の非限定的な例では、PhePは微好気的に誘導され、PALはIPTGで誘導され、最後にLAADはアラビノースで誘導される。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術を用いて誘導される。一実施形態では、1つ以上のPAL遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術の使用によって誘導される。一実施形態では、1つ以上のPheP遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術の使用によって誘導される。一実施形態では、1つ以上のLAAD遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術の使用によって誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびPheP遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術の使用によって誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびLAAD遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術の使用によって誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAAD遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術の使用によって誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAADおよびPAL遺伝子配列の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術の使用によって誘導される。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、フェージング(phasing)またはサイクリング(cycling)またはパルシング(pulsing)またはスパイキング(spiking)技術の使用によって、マルチシストロニックメッセージの形態で同じプロモーターから駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術の使用によって、2つ以上の別個のメッセージとして同じプロモーターから駆動される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にあり、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術の使用によって、1つ以上の異なるプロモーターから駆動される。
理論に縛られることを望むものではないが、FNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPMEおよび/またはPhePトランスポーターおよび/または転写調節因子を含む株は、in vitroの微好気培養条件下、および消化管内に見出されるin vivoの低酸素条件下において、これらのプロモーターからのPMEおよび/またはPhePトランスポーターおよび/または転写調節因子の発現を許容し得る。
いくつかの実施形態において、アラビノース、IPTG、ラムノース、テトラサイクリン、ならびに/または他の化学的および/もしくは栄養性誘導物質によって誘導可能なプロモーターは、化学的および/または栄養性誘導物質の存在下で、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術を用いて誘導され得る。特に、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかはFNRプロモーターの制御下にあり、他のものは化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導されるプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、株は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列、ならびに1つ以上の化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導される1つ以上のプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列を含むことができ、当該化学的および/または栄養性誘導物質には、アラビノース、IPTG、ラムノース、テトラサイクリン、ならびに/または本明細書に記載されているか当該分野で公知の他の化学的および/もしくは栄養性誘導物質が含まれるが、限定はされない。いくつかの実施形態では、株は、1つ以上のFNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列、ならびに本明細書に記載の1つ以上の構成的プロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列を含むことができ、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術の使用によって誘導される。いくつかの実施形態では、株は、FNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列、ならびに本明細書に記載の1つ以上の温度調節プロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列を含むことができ、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術の使用によって誘導される。
本明細書に記載のいずれの株も、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術を用いて増殖させることができる。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子(例えば、FNRS24Y)の発現は化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPAL遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPheP遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のLAAD遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびPheP遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPALおよびLAAD遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAAD遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、1つ以上のPhePおよびLAADおよびPAL遺伝子配列の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、嫌気性および/または低酸素条件下における細胞増殖、細胞増大、発酵、回収、精製、製剤化および/または製造中に誘導される。一実施形態では、前記の化学的および/または栄養性誘導物質はアラビノースであり、プロモーターはアラビノースによって誘導可能である。一実施形態では、前記の化学的および/または栄養性誘導物質はIPTGであり、プロモーターはIPTGによって誘導可能である。一実施形態では、前記の化学的および/または栄養性誘導物質はラムノースであり、プロモーターはラムノースによって誘導可能である。一実施形態では、前記の化学的および/または栄養性誘導物質はテトラサイクリンであり、プロモーターはテトラサイクリンによって誘導可能である。
一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、マルチシストロニックメッセージの形態で同じプロモーターから駆動され、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術によって誘導される。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、同じプロモーターから2つ以上の別個のメッセージとして駆動され、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術を用いて成長させる。一実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PALおよび/またはLAAD)および/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)および/または転写調節因子の発現は、化学的および/または栄養性誘導物質によって調節される1つ以上のプロモーターの制御下にあり、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術の使用によって誘導される1つ以上の異なるプロモーターから駆動される。
一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーターの制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーターの制御下にあり、いずれの誘導性プロモーターもフェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術の使用によって、化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導される。一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーターの制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーターの制御下にあり、いずれの誘導性プロモーターもフェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術の使用によって、化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導される。いくつかの実施形態では、株は、第3の誘導性プロモーター、例えば、嫌気性/低酸素プロモーター(例えば、FNRプロモーター)の制御下にある遺伝子配列を含むことができる。一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーター(例えば、化学的に誘導されるプロモーターまたは低酸素プロモーター)の制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーター(例えば、温度感受性プロモーター)の制御下にある。一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーター(例えば、FNRプロモーター)の制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーター(例えば、温度感受性プロモーター)の制御下にある。一実施形態では、株は遺伝子配列の組み合わせを含むことができ、そのうちのいくつかは第1の誘導性プロモーター(例えば、化学的に誘導されるプロモーター)の制御下にあり、他のものは第2の誘導性プロモーター(例えば、温度感受性プロモーター)の制御下にある。いくつかの実施形態では、株は、FNRプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列、ならびに1つ以上の化学的および/または栄養性誘導物質によって誘導される1つ以上のプロモーターの制御下にある1つ以上のPME遺伝子配列および/またはPheトランスポーター遺伝子配列および/または転写調節因子遺伝子配列を含むことができ、当該化学的および/または栄養性誘導物質には、アラビノース、IPTG、ラムノース、テトラサイクリン、ならびに/または本明細書に記載されているか当該分野で公知の他の化学的および/もしくは栄養性誘導物質が含まれるが、限定はされない。さらに、当該株は、温度調節性の制御下にある構築物を含み得る。いくつかの実施形態では、細菌株は、低酸素条件下で活性な1つ以上の構成的プロモーターの制御下にPMEおよび/またはPheトランスポーター配列をさらに含む。これらの実施形態に記載されているいずれの株も、フェージングまたはサイクリングまたはパルシングまたはスパイキング技術を用いて誘導され得る。
FNRプロモーターの好気的誘導
FNRS24Yは、酸素による不活性化により耐性があり、したがって好気性条件下でFNRプロモーターを活性化することができるFNRの突然変異体である(例えば、Jervis AJ、The O2 sensitivity of the transcription factor FNR is controlled by Ser24 modulating the kinetics of [4Fe−4S] to [2Fe−2S] conversion、Proc Natl Acad Sci USA、2009年3月24日、106巻(12号):4659−64頁を参照、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、図50に図示および記載の酸素バイパスシステムが使用される。この酸素バイパスシステムでは、FNRS24Yはアラビノースの添加によって誘導され、好気的条件下でFNRプロモーターへの結合および活性化をすることによって、PAL3およびphePの発現を駆動する。したがって、当該システムでは、強力なFNRプロモーターを利用することによって、PALおよびPhePの高レベルの発現が得られるので、効果的にプレ誘導およびプレローディングしながら、好気性条件下で効率的に株を増殖、生産または製造することができる。変異FNRS24Yはアラビノースの非存在下ではもはや発現せず、野生型FNRがFNRプロモーターに結合して、PAL3およびPhePの発現を駆動するため、このシステムはin vivo活性化への干渉または妥協化をすることはない。
いくつかの実施形態において、FNRS24Yは、好気性培養増殖中に発現され、FNR−PALを誘導する。いくつかの実施形態において、FNRS24Yは、培養増殖中に発現され、FNR−phePを誘導する。いくつかの実施形態では、FNRS24Yは培養増殖中に発現され、FNR−LAADを誘導する。他の実施形態では、FNRS24Yは培養増殖中に発現され、FNR−PALおよびFNR−PhePを誘導する。他の実施形態では、FNRS24Yは、培養増殖中に発現され、FNR−PALおよびFNR−LAADを誘導する。他の実施形態では、FNRS24Yは培養増殖中に発現され、FNR−LAADおよびFNR−PhePを誘導する。他の実施形態において、FNRS24Yは、培養増殖中に発現され、FNR−PALおよびFNR−PhePおよびFNR−LAADを誘導する。
本明細書に記載の他の実施形態では、LAAD発現は、好気的に、例えばアラビノースによって誘導することもできる。非限定的な例において、いくつかの実施形態では、LAADおよびFNRS24Yは、例えば、アラビノース誘導性プロモーターから同時に誘導され得る。いくつかの実施形態では、FNRS24YおよびLAADは、バイシストロニックメッセージで転写され、その発現はアラビノースプロモーターによって駆動される。いくつかの実施形態では、FNRS24Yはアラビノースオペロンにノックインされ、内因性Paraプロモーターから発現が駆動されることが可能になる。いくつかの実施形態において、FNRS24Y−LAADはアラビノースオペロンにノックインされ、内因性Paraプロモーターから発現が駆動されることが可能になる。
いくつかの実施形態において、LacIプロモーターおよびIPTG誘導が、この系で(Paraおよびアラビノース誘導の代わりに)使用される。いくつかの実施形態では、ラムノース誘導性プロモーターがこの系で使用される。いくつかの実施形態では、FNRS24Yの発現を駆動するために温度感受性プロモーターが使用される。
プレ誘導の測定
いくつかの実施形態では、PMEおよび/またはPhePの発現が誘導されるそのような培養条件によって、同じ条件下で同じ亜型の非修飾の細菌と比較して、またはベースラインレベルと比較して、培地中のフェニルアラニンが少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍減少する。いくつかの実施形態では、PMEおよび/またはPhePの発現が誘導されるそのような培養条件によって、同じ条件下で同じ亜型の非修飾の細菌と比較して、またはベースラインレベルと比較して、培地中におけるトランス−ケイ皮酸(TCA)の生産が少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、または少なくとも約50倍になる。
いくつかの実施形態では、細菌培養物中のケイ皮酸の蓄積は、当該分野で公知であり本明細書に記載の方法によって測定される。ケイ皮酸生成は、フェニルアラニン分解と直接相関し、いくつかの実施形態では、ケイ皮酸は、株の増殖、生産および製造中の株活性の指標として使用され得る。したがって、フェニルアラニンの減少および/またはTCAの産生の測定は、in vivo投与前の治療株の誘導を測定および監視し、微調整するために使用され得る。
複数の作用機構
いくつかの実施形態では、細菌は、複数の作用機構(MoA)、例えば、(例えば、コピー数を向上させるために)同じ生成物の複数のコピーを生成する回路または複数の異なる機能を実行する回路を含むように遺伝子操作される。挿入部位の例には、限定されないが、malE/K、yicS/nepI、insB/I、araC/BAD、lacZ、agal/rsml、thyA、malP/T、dapA、およびcea、ならびに図66に示されるその他が含まれる。例えば、遺伝子操作された細菌は、4つの異なる挿入部位、例えば、malE/K、insB/I、araC/BAD、およびlacZにおいて挿入されたPALの4つのコピーを含んでもよい。遺伝子操作された細菌はまた、4つの異なる挿入部位、例えば、malE/K、yicS/nepI、agaI/rsmI、およびceaにおいて挿入されたPALの4つのコピー、ならびに異なる組み込み部位、例えば、lacZにおいて挿入されたフェニルアラニントランスポーター遺伝子の1つのコピーを含んでもよい(図13B)。あるいは、遺伝子操作された細菌は、3つの異なる挿入部位、例えば、malE/K、insB/I、およびlacZにおいて挿入されたPALの3つのコピー、ならびに3つの異なる挿入部位、例えば、dapA、cea、およびaraC/BADにおいて挿入されたフェニルアラニントランスポーター遺伝子の3つのコピーを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、(1)野生型または(安定性または代謝活性を増加させるための)突然変異型においてフェニルアラニンを分解するためPAL、PAH、および/またはLAAD、(2)野生型または(安定性または代謝活性を増加させるための)突然変異型においてフェニルアラニンを取り込むためのトランスポーターPhePおよび/またはAroP、(3)分泌および細胞外フェニルアラニン分解のためのPAL、PAH、LAAD、および/またはPheP、(4)本明細書に記載されているような分泌機構の成分、(5)栄養要求性、例えば、デルタThyAおよび/またはデルタdapA、(6)限定されないが、カナマイシンまたはクロラムフェニコール耐性を含む抗生物質耐性、(7)本明細書に記載されているように酸素代謝に関与する遺伝子の突然変異/欠失ならびに(8)内因性Nissleフェニルアラニン合成経路の遺伝子の突然変異/欠失(例えば、Phe栄養要求性についてデルタPheA)、(9)1つまたは複数のバイオセイフティーシステム構築物および/または死滅スイッチ、のうちの1つまたは複数をコードする1つまたは複数の遺伝子配列を含む。
いくつかの実施形態では、ペイロード、例えばPME、Pheトランスポーターおよび/または転写調節因子を産生するための遺伝子配列が発現される条件下で、本開示の遺伝子操作された細菌は、フェニルアラニンの分解およびTCAの生成の両方を、同一条件下の同じ亜型の未修飾細菌と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約600倍、少なくとも約700倍、少なくとも約800倍、少なくとも約900倍、少なくとも約1000倍、または少なくとも約1500倍高いレベルで行う。
いくつかの実施形態では、ペイロード、例えばPME、Pheトランスポーターおよび/または転写調節因子を産生するための遺伝子配列が発現される条件下で、本開示の遺伝子操作された細菌は、フェニルアラニンの分解および馬尿酸の生成の両方を、同一条件下の同じ亜型の未修飾細菌と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約600倍、少なくとも約700倍、少なくとも約800倍、少なくとも約900倍、少なくとも約1000倍、または少なくとも約1500倍高いレベルで行う。
いくつかの実施形態において、PMEおよび/またはPheトランスポーター(例えばPheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする遺伝子配列は、構成的プロモーターの制御下で発現される。別の実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする遺伝子配列は、誘導性プロモーターの制御下で発現される。いくつかの実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする遺伝子配列は、直接的または間接的に外因性環境条件によって誘導されるプロモーターの制御下で発現される。一実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする遺伝子配列は、低酸素もしくは嫌気性条件によって直接的または間接的に誘導されるプロモーターの制御下で発現され、当該PMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする遺伝子配列の発現は、哺乳動物の消化管内の環境などの低酸素または嫌気性環境下で活性化される。本明細書に記載される例示的な誘導性プロモーターには、酸素レベル依存性プロモーター(例えば、FNR誘導性プロモーター)と、消化管内に天然に存在し得るまたはし得ない(例えば、外因的に添加され得る)代謝産物(アラビノース、テトラサイクリン、IPTG、ラムノース、ならびに他の化学的および/または栄養性誘導物質)によって誘導されるプロモーターが含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のこのような誘導性プロモーターは、本明細書に記載されるように、in vivo投与の前に菌株が調製される際に、in vitro培養条件下で誘導される。例示的な誘導性プロモーターの例には限定されないが、FNR応答性プロモーター、P araBAD プロモーター、およびP TetR プロモーター、Placプロモーター、rhaP BAD(ラムノース)プロモーターが含まれ、その各々について本明細書で詳細に記述する。誘導性プロモーターは、以下により詳細に記載される。
1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする少なくとも1つの遺伝子は、細菌細胞内のプラスミドまたは染色体上に存在し得る。一実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする遺伝子配列は、細菌細胞内のプラスミド上に位置する。別の実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする遺伝子配列は、細菌細胞内の染色体に位置する。さらに別の実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする遺伝子配列の天然コピーが細菌細胞内の染色体に位置し、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする1つ以上の遺伝子が細菌細胞内のプラスミド上に位置する。さらに別の実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする遺伝子配列の天然コピーが細菌細胞内のプラスミド上に位置し、別種の細菌由来の少なくとも1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする少なくとも1つの遺伝子が細菌細胞内のプラスミド上に位置する。さらに別の実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする遺伝子配列の天然コピーが染色体に位置し、別種の細菌由来の1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする1つ以上の遺伝子が細菌細胞の染色体に位置する。いくつかの実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする遺伝子配列は低コピープラスミド上で発現する。いくつかの実施形態では、1つ以上のPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)をコードする遺伝子配列は高コピープラスミド上で発現する。いくつかの実施形態では、高コピープラスミドは、少なくとも1つのPMEおよび/またはPheトランスポーター(例えば、PheP)、および/または他の調節タンパク質(例えば、FNRS24Y)の発現を増加させるために有用であり得る。
いくつかの実施形態では、上記の遺伝子操作された細菌は、本明細書に記載の内在性遺伝子における1つ以上の改変、突然変異、および/または欠失をさらに含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌株は、FNR駆動PAL3(3XfnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K)、例えば配列番号38)の3つの染色体挿入および2コピーのFNR駆動pheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI)、例えば、配列番号62)を含む。該株は、アラビノースオペロンにノックインされた変異FNR転写因子(FNRS24Y)の1コピーをさらに含み、発現は天然Paraプロモーター(Para::FNRS24Y、例えば、配列番号64)によって駆動される。一実施形態では、遺伝子操作された細菌株は、SYN−PKU707である(例えば、図47Aに示されるように)。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌株は、FNR駆動PAL3の3つの染色体挿入(3XfnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K)、例えば配列番号38)および2コピーのFNR駆動pheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI)、例えば、配列番号62)を含む。該株は、アラビノースオペロンにノックインされた変異FNR転写因子(FNRS24Y)の1コピーをさらに含み、発現は天然Paraプロモーター(Para::FNRS24Y、例えば配列番号64)によって駆動される。ゲノムは、dapA栄養要求性を含むようにさらに操作され、dapA遺伝子が欠失される。一実施形態では、遺伝子操作された細菌株は、SYN−PKU712である(例えば、図47Eに示されるように)。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌株は、FNR駆動PAL3の3つの染色体挿入(3XfnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K)、例えば配列番号38)および2コピーのFNR駆動pheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI)、例えば、配列番号62)を有する細菌染色体を含む。該株は、アラビノースオペロンにノックインされた変異FNR転写因子(FNRS24Y)の1コピーと、同じ挿入部位に挿入された1コピーのLAAD(Para::FNRS24Y−LAAD、例えば、配列番号73)をさらに含み、当該FNRS24Yの発現は天然Paraプロモーターによって駆動され、当該LAADコピーは内在性アラビノースプロモーターからバイシストロニックメッセージで転写される。ゲノムは、dapA栄養要求性を含むようにさらに操作され、dapA遺伝子が欠失される。一実施形態では、遺伝子操作された細菌株は、SYN−PKU708である(例えば、図47Bに示されるように)。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌株は、FNR駆動PAL3(3×fnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K)、例えば配列番号38)の3つの染色体挿入および2コピーのFNR駆動pheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI)、例えば、配列番号62)を有する細菌染色体を含む。該株は、アラビノースオペロンにノックインされた変異FNR転写因子(FNRS24Y)の1コピーと、同じ挿入部位に挿入された1コピーのLAAD(Para::FNRS24Y−LAAD、例えば、配列番号73)をさらに含み、当該FNRS24Yの発現は天然Paraプロモーターによって駆動され、当該LAADコピーは内在性アラビノースプロモーターからバイシストロニックメッセージで転写される。一実施形態では、遺伝子操作された細菌株は、SYN−PKU711である(例えば、図47Fに示されるように)。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌株は、FNR駆動PAL3の3つの染色体挿入(3×fnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K)、例えば、配列番号38)および2コピーのFNR駆動pheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI)、例えば、配列番号62)を含む細菌染色体を有する。該株は、天然のParaプロモーター(Para::LAAD、例えば、配列番号40)によって駆動される発現を伴うアラビノースオペロンにノックインされた1コピーのLAADをさらに含む。ゲノムは、dapA栄養要求性を含むようにさらに操作され、dapA遺伝子が欠失される。一実施形態では、遺伝子操作された細菌株は、SYN−PKU709である(例えば、図47Cに示されるように)。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌株は、FNR駆動PAL3の3つの染色体挿入(3×fnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K)、例えば、配列番号38)および2コピーのFNR駆動pheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI)、例えば、配列番号62)を含む細菌染色体を有する。該株は、天然のParaプロモーター(Para::LAAD、例えば、配列番号40)によって駆動される発現を伴うアラビノースオペロンにノックインされた1コピーのLAADをさらに含む。SYN−PKU710は、2コピーのIPTG誘導性PAL3(2XLacIPAL、exo/ceaおよびrhtC/rhtB、例えば、配列番号74)、dapA栄養要求性をさらに含み、全ての抗生物質耐性が治癒される。一実施形態では、遺伝子操作された細菌株は、SYN−PKU710である(例えば、図47Dに示されるように)。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Cに示す構築物(低コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号97)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1001である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Cに示す構築物(低コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号98)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1002である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示す構築物(中コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号97)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1003である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示す構築物(中コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号98)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1004である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Cに示す構築物(低コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号97)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1005である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Cに示す構築物(低コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号98)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1006である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示す構築物(中コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号97)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1007である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Dに示す構築物(中コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号98)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1008である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物(低コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号97)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1009である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物(低コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号98)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1010である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物を含む(中コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)。当該菌株は、bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号97)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1011である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物(中コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号98)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1012である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物を含む(低コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)。当該菌株は、bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号97)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1013である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物を含む(低コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)。当該菌株は、bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号98)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1014である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物を含む(中コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)。当該菌株は、bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号97)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1015である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物を含む(中コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)。当該菌株は、bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL、例えば配列番号98)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1016である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Cに示す構築物(低コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Aの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号95)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1017である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Cに示す構築物(低コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Cの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号96)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1018である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示す構築物(中コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Aの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号95)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1019である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)を含み、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示す構築物(中コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Cの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号96)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1020である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Cに示す構築物(低コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Aの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号95)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1021である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Cに示す構築物(低コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Cの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号96)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1022である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示す構築物(中コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Aの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号95)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1023である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Dに示す構築物(中コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Cの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号96)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1024である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物(低コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Aの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号95)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1025である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物(低コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Cの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号96)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1026である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物を含む(中コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)。当該菌株は、bla遺伝子が図65Aの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号95)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1027である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物(中コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。当該菌株は、bla遺伝子が図65Cの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号96)で置換されていることを除いて、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1028である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物を含む(低コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)。当該菌株は、bla遺伝子が図65Aの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号95)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1029である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物を含む(低コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)。当該菌株は、bla遺伝子が図65Cの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号96)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1030である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物を含む(中コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)。当該菌株は、bla遺伝子が図65Aの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号95)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1032である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物を含む(中コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)。当該菌株は、bla遺伝子が図65Cの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL−PheP、例えば配列番号96)で置換されていることを除いて、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。一実施形態では、株はSYN−PKU1032である。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびPAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびPAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)を含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびLAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびLAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびPAHの1つまたは複数のコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびPAHの1つまたは複数のコピーを含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびLAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびLAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)およびPAHの1つまたは複数のコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下に)およびPAHの1つまたは複数のコピーを含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAHの1つまたは複数のコピーおよびLAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAHの1つまたは複数のコピーおよびLAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。PMEおよびトランスポーターは、本明細書に記載される挿入部位のいずれかに組み込まれてもよい。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、およびPAHの1つまたは複数のコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、およびPAHの1つまたは複数のコピーを含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、およびPAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、およびPAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)を含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびPAHの1つまたは複数のコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびPAHの1つまたは複数のコピーを含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、PAHの1つまたは複数のコピー、およびPAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、PAHの1つまたは複数のコピー、およびPAL1の1つまたは複数のコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)を含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。PMEおよび/またはトランスポーターは、本明細書に記載される挿入部位のいずれかに組み込まれてもよい。あるいは、PMEおよび/またはトランスポーターは低または高コピープラスミドに含まれてもよい。PMEおよび/またはトランスポーターは、低または高コピープラスミドに含まれるPMEおよび/またはトランスポーターと組み合わせて、本明細書に記載される挿入部位のいずれかに組み込まれてもよい。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PAL1の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、およびPAHの1つまたは複数のコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PAL3の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PAL1の1つまたは複数のコピー、例えば(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、LAADの1つまたは複数のコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)、およびPAHの1つまたは複数のコピーを含み、フェニルアラニントランスポーターの1つまたは複数のコピー(例えば、PhePおよび/またはAroP、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)をさらに含む。PMEおよびトランスポーターは本明細書に記載される挿入部位のいずれかに組み込まれてもよい。あるいは、PMEおよび/またはトランスポーターは低または高コピープラスミドに含まれてもよい。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの1つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの1つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの1つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの1つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。PMEおよびトランスポーターは、本明細書に記載される挿入部位のいずれかに組み込まれてもよい。あるいは、配置されたPMEおよび/またはトランスポーターは低または高コピープラスミドに含まれてもよい。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの2つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの2つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの2つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの2つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの3つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの3つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの4つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの4つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの4つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの4つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの5つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの5つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの5つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの1つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの5つのコピー(例えば、PAL1またはPAL3、例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(例えば、Pfnrプロモーターの制御下)、およびLAADの2つのコピー(例えば、ParaBADプロモーターの制御下)を含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、分泌のための1つまたは複数のPMEと組み合わせてフェニルアラニンを代謝するための1つまたは複数のPMEを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、分泌のための1つまたは複数のPMEと組み合わせてフェニルアラニンを代謝するための1つまたは複数のPMEおよびフェニルアラニントランスポーターを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、分泌のための1つまたは複数のPMEと組み合わせてフェニルアラニンを代謝するための1つまたは複数のPMEおよびフェニルアラニントランスポーターを含み、また、栄養要求性および/または抗生物質耐性も含む。本明細書に記載される分泌系は、複数の作用機構を有する遺伝子操作された細菌においてPMEを分泌するために利用される。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、(野生型遺伝子に加えて)PhePの2つのさらなるコピーを含む。これにより、PheP遺伝子の1つが突然変異を獲得する場合に冗長性が提供される。一実施形態では、PheP遺伝子はlacZおよびagal/rsmlにおいて挿入される。一実施形態では、PhePの2つのコピーはPfnrSプロモーターの制御下にある。一実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAL3の3つのコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、malEK、malPT、yicS/neplにおいて挿入されたPAL3の3つのコピーを含む。一実施形態では、PAL3の3つのコピーの発現はPfnrSプロモーターの制御下にある。一実施形態では、遺伝子操作された細菌はLAADの1つまたは複数のコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌はアラビノースオペロンにおいて挿入されたLAADの1コピーを含む。一実施形態では、LAADは内因性ParaBADプロモーターの制御下にある。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、栄養要求性、例えばデルタThyAを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は抗生物質耐性を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は抗生物質耐性および栄養要求性、例えばデルタThyAを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、栄養要求性、例えばデルタThyAを含まない。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は抗生物質耐性を含まない。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、抗生物質耐性も、栄養要求性、例えばデルタThyAも含まない。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー、例えばPAL3、PhePの2つのコピー(内因性PhePに加えて)、およびLAADの1つのコピーを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー、例えばPAL3、PhePの2つのコピー(内因性PhePに加えて)、およびLAADの1つのコピー、ならびに栄養要求性、例えばデルタThyAを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー、PhePの2つのコピー(内在性PhePに加えて)、およびLAADの1つのコピー、ならびに抗生物質耐性遺伝子を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー、PhePの2つのコピー(内因性PhePに加えて)、およびLAADの1つのコピー、ならびに抗生物質耐性遺伝子および栄養要求性、例えばデルタThyAを含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(内因性ParaBADプロモーターの制御下)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(内因性ParaBADプロモーターの制御下)、ならびに抗生物質耐性を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(内因性ParaBADプロモーターの制御下)、ならびに栄養要求性、例えばデルタThyAを含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下)、およびLAADの1つのコピー(内因性ParaBADプロモーターの制御下)、ならびに抗生物質耐性および栄養要求性、例えばデルタThyAを含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、malEK、malPT、およびyicS/nepl部位において挿入される)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、LacZおよびagal/rsml部位において挿入される)、およびLAADの1つのコピー(内因性ParaBADプロモーターの制御下にあり、内因性アラビノースオペロンにおいて挿入される)を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、malEK、malPT、およびyicS/nepl部位において挿入される)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、LacZおよびagal/rsml部位において挿入される)、およびLAADの1つのコピー(内因性ParaBADプロモーターの制御下にあり、内因性アラビノースオペロンにおいて挿入される)を含み、さらに抗生物質耐性を含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、malEK、malPT、およびyicS/nepl部位において挿入される)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、LacZおよびagal/rsml部位において挿入される)、およびLAADの1つのコピー(内在性ParaBADプロモーターの制御下にあり、内因性アラビノースオペロンにおいて挿入される)を含み、栄養要求性、例えばデルタThyAをさらに含む。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PALの3つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、malEK、malPT、およびyicS/nepl部位において挿入される)、PhePの2つのコピー(各々、PfnrSプロモーターの制御下にあり、LacZおよびagal/rsml部位において挿入される)、およびLAADの1つのコピー(内因性ParaBADプロモーターの制御下にあり、内因性アラビノースオペロンにおいて挿入される)を含み、抗生物質耐性および栄養要求性、例えばデルタThyAをさらに含む。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌はSYN−PKU705である。一実施形態では、SYN−PKU705は抗生物質耐性をさらに含む。一実施形態では、SYN−PKU705は、栄養要求性、例えばデルタThyAをさらに含む。一実施形態では、SYN−PKU705は、抗生物質耐性および栄養要求性、例えばデルタThyAをさらに含む。
表14は、本開示の遺伝子操作された細菌の非限定的な例を含む。特定の実施形態では、表14の遺伝子操作された細菌は分泌のためのPMEをさらに含む。
[表14]
分泌
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、細胞外環境において細菌細胞質から分子を分泌することができる天然の分泌機構または非天然の分泌機構をさらに含む。多くの細菌は細菌細胞外被を横切って基質を輸送するために高度な分泌系に進化している。小分子、タンパク質、およびDNAなどの基質は、細胞外間隙または周辺質(消化管内腔または他の間隙など)内に放出され得、標的細胞内に注入され得るか、または細菌膜に付随され得る。
グラム陰性細菌において、分泌機構は内膜および外膜の一方または両方に及んでもよい。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は非天然の二重膜貫通分泌系をさらに含む。膜貫通分泌系には、限定されないが、I型分泌系(T1SS)、II型分泌系(T2SS)、III型分泌系(T3SS)、IV型分泌系(T4SS)、VI型分泌系(T6SS)、および多剤排出ポンプの耐性−結節形成−分裂(RND)ファミリーが含まれる(本明細書に参照として組み込まれる、Pugsley 1993年;Gerlachら、2007年;Collinsonら、2015年;Costaら、2015年;Reevesら、2015年;WO2014138324A1)。このような分泌系の例は図94、95、96、97、98、99、および100に示される。グラム陰性のような細胞外被を有するマイコバクテリア(Mycobacteria)もまた、VII型分泌系(T7SS)をコードできる(Stanleyら、2003年)。T2SSを除いて、二重膜貫通分泌物は一般に、基質を細菌細胞質から細胞外間隙内または標的細胞内に直接輸送する。対照的に、外膜のみを貫通するT2SSおよび分泌系は二段階機構を使用することができ、基質は内膜貫通トランスポーターによって最初に周辺質へ移行し、次いで外膜に移動するか、または細胞外間隙内に分泌される。外膜貫通分泌系には、限定されないが、V型分泌またはオートトランスポーター系または自己分泌体系(T5SS)、curli線毛分泌系、および線毛構築のためのシャペロン−アッシャー経路が含まれる(Saier、2006年;Costaら、2015年)。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、赤痢菌(Shigella)、サルモネラ属(Salmonella)、大腸菌、ビブリオ属(Bivrio)、バークホルデリア属(Burkholderia)、エルシニア属(Yersinia)、クラミジア属(Chlamydia)、またはシュードモナス属(Pseudomonas)由来のIII型またはIII型様分泌系(T3SS)をさらに含む。T3SSは、タンパク質を細菌細胞質からニードル複合体を介して宿主細胞質に輸送できる。T3SSは、細菌細胞質から分子を分泌するが、宿主細胞質内に分子を注入しないように修飾され得る。したがって、分子は消化管腔または他の細胞外間隙内に分泌される。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、前記修飾されたT3SSを含み、目的の分子を細菌細胞質から分泌できる。いくつかの実施形態では、異種タンパク質またはペプチドなどの分泌される分子には、目的の分子が細菌から分泌することを可能にするIII型分泌配列を含まれる。
いくつかの実施形態では、鞭毛III型分泌経路が、目的の分子を分泌するために使用される。いくつかの実施形態では、不完全な鞭毛が、ペプチドを天然の鞭毛成分のN末端鞭毛分泌シグナルに組換えにより融合することによって、目的の治療用ペプチドを分泌するために使用される。このように、細胞内で発現されたキメラペプチドは、内膜および外膜を横切って周囲の宿主環境内に動員され得る。例えば、鞭毛修飾III型分泌装置を用いて異種ポリペプチドを分泌させることができ、当該鞭毛修飾III型分泌装置では、fliC遺伝子(フラジェリンをコードする)の上流の非翻訳DNA断片、例えば、173bp領域が目的のポリペプチドをコードする遺伝子に融合される(例えば、Majanderら、「Extracellular secretion of polypeptides using a modified Escherichia coli flagellar secretion apparatus.」、Nat Biotechnol.2005年4月;23(4):475−81頁を参照)。いくつかの場合では、fliC遺伝子座からの非翻訳領域は、鞭毛を介したパッセンジャーペプチドの輸送を媒介するのに十分ではないかもしれない。この場合、例えば、FliCの最初の20アミノ酸とともに173bpの非翻訳領域を使用することによって、N末端シグナルをFliCのアミノ酸コード配列にまで伸長する必要があるかもしれない(例えば、Duanら、「Secretion of Insulinotropic Proteins by Commensal Bacteria: Rewiring the Gut To Treat Diabetes」、Appl.Environ.Microbiol. 2008年12月、74巻23号、7437−7438頁を参照)。
いくつかの実施形態では、V型オートトランスポーター分泌系が、目的の分子、例えば、治療用ペプチドを分泌するために使用される。比較的大きなタンパク質フラックスを扱う機構および能力の簡潔さに起因して、V型分泌系は組換えタンパク質の細胞外産生にとって魅力的である。図94に示されるように、治療用ペプチド(星印)は、オートトランスポーターのN末端分泌シグナル、リンカー、およびベータ−ドメインに融合され得る。N末端のSec依存性シグナル配列はタンパク質をSecA−YEG機構に導き、これは、タンパク質を、内膜を横切って周辺質に移動させ、続いてシグナル配列を切断する。ベータ−ドメインはBam複合体(「ベータ−バレル構築機構(Beta−barrel assembly machinery)」)に動員され、そこでベータ−ドメインは折り畳まれ、ベータ−バレル構造として外膜に挿入される。治療用ペプチドは、リンカー配列の前のベータ−バレル構造の中空孔に通される。細胞外環境に曝露されると、治療用ペプチドは、自己触媒的切断(Bam複合体の左側)によって、または膜結合ペプチダーゼ(ブラックシザー(black scissor);Bam複合体の右側)をリンカーにおける相補的(complimentary)プロテアーゼ切断部位にターゲティングすることによってリンカー系から解放され得る。したがって、いくつかの実施形態では、異種タンパク質またはペプチドは、分子が細菌から分泌できるようにオートトランスポーターのN末端分泌シグナル、リンカー、およびベータ−ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、溶血素ベースの分泌系が、目的の分子、例えば、治療用ペプチドを分泌するために使用される。I型分泌系は、それらのパッセンジャーペプチドを細胞質から細胞外間隙に直接移行させる利点を与え、他の分泌型の2段階プロセスを不要にする。図96は、尿路病原性大腸菌のアルファ−溶血素(HlyA)を示す。この経路は、ATP結合カセットトランスポーターであるHlyB;膜融合タンパク質であるHlyD;および外膜タンパク質であるTolCを使用する。これらの3つのタンパク質の集合体は内膜および外膜の両方を通るチャネルを形成する。天然では、このチャネルはHlyAを分泌するために使用されるが、本開示の治療用ペプチドを分泌するために、HlyAの分泌シグナル含有C末端部分が、このペプチドの分泌を媒介するように治療用ペプチド(星印)のC末端部分に融合される。
代替の実施形態では、遺伝子操作された細菌は非天然の単一膜貫通分泌系をさらに含む。単一膜貫通トランスポーターは、分泌系の成分として機能してもよいか、または基質を独立して輸送してもよい。このようなトランスポーターには、限定されないが、ATP結合カセットトランスロカーゼ、鞭毛/毒性関連トランスロカーゼ、コンジュゲーション関連トランスロカーゼ、一般的な分泌系(例えば、大腸菌におけるSecYEG複合体)、マイコバクテリアおよびグラム陽性細菌のいくつかの種類(例えば、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、ラクトバチルス・ジョンソニ、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、ストレプトコッカス・ゴルドニ(Streptococcus gordonii)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus))における補助的分泌系ならびにツイン−アルギニン透過(TAT)系が含まれる(Saier、2006年;RigelおよびBraunstein、2008年;Albiniakら、2013年)。一般的な分泌およびTAT系の両方は、切断可能なN末端シグナルペプチドを有する基質を周辺質に輸送でき、生物薬剤生産という観点から調査されていることが知られている。しかしながら、TAT系は折り畳まれた基質を輸送することができるので、早すぎるまたは不正確な折り畳みの可能性を排除するという点で、特定の利点を与えることができる。特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌はTATまたはTAT様系を含み、細菌細胞質由来の目的の分子を分泌することができる。当業者は、本明細書に開示される分泌系が、細菌の異なる種、株、および亜型において作用するように修飾されてもよく、および/または異なるペイロードを送達するように適合されてもよいことを理解する。
タンパク質、例えば、治療用ポリペプチドを細胞外間隙に移行するために、ポリペプチドは最初に細胞内で翻訳され、内膜を横切って動員され、最終的に外膜を横切って動員されなければならない。多くのエフェクタータンパク質(例えば、治療用ポリペプチド)−特に真核生物起源のもの−は、三次および四次構造を安定化させるためにジスルフィド結合を含有する。外膜を横切ってポリペプチドを移行させるために、これらの結合は周辺質シャペロンの支援を受けて酸化周辺質区画内で正確に形成することができるが、ジスルフィド結合は還元されなければならず、タンパク質は再び折り畳まれなくなる。
グラム陰性細菌−特にジスルフィド結合を必要とするもの−において適切に折り畳まれたタンパク質を分泌する1つの方法は、不安定化した外膜と併せて還元性環境のペリプラズムを標的とすることである。このように、タンパク質は酸化環境内に動員され、適切に折り畳まれ得る。組織化された細胞外分泌系とは対照的に、次いでタンパク質は膜漏出によって正確に折り畳まれた形態で周辺質間隙を回避することができる。したがって、これらの「漏出性」グラム陰性突然変異体は生物活性の適切にジスルフィド結合したポリペプチドを分泌することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、「漏出性」または不安定化外膜を有する。漏出を誘導するための細菌外膜の不安定化は、例えば、lpp、ompC、ompA、ompF、tolA、tolB、pal、degS、degP、およびnlplを含む、強固なペプチドグリカン骨格に外膜をつなぎ止めることを担う遺伝子を欠失させるか、または突然変異誘発することよって達成され得る。Lppは、1個の細胞当たり約500,000個のコピーで存在する細菌細胞中の最も豊富なポリペプチドであり、ペプチドグリカンに対する細菌細胞壁の主要な「ステープル」として機能する。1.Silhavy,T.J.、Kahne,D.およびWalker,S. The bacterial cell envelope. Cold Spring Harb Perspect Biol 2、a000414(2010年)。TolA−PALおよびOmpA複合体は、Lppと同様に機能し、漏出性表現型を生成するための他の欠失標的である。さらに、周辺質プロテアーゼが失活すると、漏出性表現型が観察された。周辺質にはタンパク質が非常に高密度に充填され、したがってタンパク質の代謝回転を促進するためにいくつかの周辺質タンパク質をコードする。degS、degPまたはnlpIなどの周辺質プロテアーゼの除去は、周辺質タンパク質の過剰な蓄積を促すことによって漏出性表現型を誘導することができる。プロテアーゼの突然変異はまた、これらのプロテアーゼによって標的化された分解を阻止することによってエフェクターポリペプチドを保存することができる。さらに、これらの突然変異の組合せは、細胞生存を大きく犠牲にせずに細胞の漏出性表現型を相乗的に向上させることができる。したがって、いくつかの実施形態では、操作された細菌は1つまたは複数の欠失または突然変異した膜遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は欠失または突然変異したlpp遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、ompA、ompA、およびompF遺伝子から選択される1つまたは複数の欠失または突然変異した遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、tolA、tolB、およびpal遺伝子から選択される1つまたは複数の欠失または突然変異した遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つまたは複数の欠失または突然変異した周辺質プロテアーゼ遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、degS、degP、およびnlplから選択される1つまたは複数の欠失または突然変異した周辺質プロテアーゼ遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、lpp、ompA、ompF、tolA、tolB、pal、degS、degP、およびnlpl遺伝子から選択される1つまたは複数の欠失または突然変異した遺伝子を有する。
細胞生存に対する妨害を最小化するために、漏出性表現型は、1つもしくは複数の膜または例えば、lpp、ompA、ompF、tolA、tolB、pal、degS、degP、およびnlplから選択される周辺質プロテアーゼ遺伝子を誘導可能なプロモーターの制御下に配置することによって誘導可能になり得る。例えば、lppまたは他の細胞壁安定タンパク質または周辺質プロテアーゼの発現は、治療用ポリペプチドが送達される(分泌される)のに必要とされる条件において抑制され得る。例えば、誘導条件下で、転写リプレッサータンパク質または設計されたアンチセンスRNAが発現され得、これにより標的膜または周辺質プロテアーゼ遺伝子の転写または翻訳が低減する。反対に、特定のペプチドの過剰発現は、不安定化した表現型、例えば、コリシンまたはTolAの第3のトポロジカルドメインの過剰発現をもたらし得、ペプチド過剰発現は、治療ポリペプチドが送達される(分泌される)のに必要とされる条件において誘導され得る。これらの種類のストラテジーは、壊れやすい、漏出性表現型をバイオマス産生から分離する。したがって、いくつかの実施形態では、操作された細菌は、誘導可能なプロモーターの制御下で1つもしくは複数の膜および/または周辺質プロテアーゼ遺伝子を有する。
表15Aおよび表15Bはグラム陽性細菌およびグラム陰性細菌についての分泌系を列挙している。それらは、操作された細菌由来のポリペプチド、目的のタンパク質または治療用タンパク質を分泌するために使用され得、Milton H.Saier,Jr.Microbe/Volume 1、Number 9、2006年「Protein Secretion Systems in Gram−Negative Bacteria Gram−negative bacteria possess many protein secretion−membrane insertion systems that apparently evolved independently」に概説されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
[表15A]
[表15B]
グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌の上記の表は、操作された細菌からポリペプチドおよび他の分子を分泌するために使用することができる分泌系を列挙しており、Milton H.Saier,Jr.微生物/第1巻、第9号、2006年「Protein Secretion Systems in Gram−Negative Bacteria Gram−negative bacteria possess many protein secretion−membrane insertion systems that apparently evolved independently」に概説されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書中に記載される分泌系のいずれも、本開示にしたがって、目的のタンパク質を分泌するために使用され得る。目的のタンパク質の非限定的な例には、PME、例えば、本明細書に記載のPAH、PALおよび/またはLAADが含まれる。これらのポリペプチドは、安定性、プロテアーゼ消化に対する耐性および/または活性を増加させるように突然変異され得る。
[表16]
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PME、例えば、PAH、PALおよび/またはLAADの分泌のための本明細書に記載される天然または非天然の分泌系を含む。いくつかの実施形態では、分泌系は、修飾されたIII型鞭毛、I型(例えば、溶血素分泌系)、II型、IV型、V型、VI型、およびVII型分泌系、耐性−結節形成−分裂(RND)多剤排出ポンプ、単一膜分泌系、Secおよび、TAT分泌系から選択される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌によって分泌されたPMEはプロテアーゼに対する耐性を増加させるように修飾される。例えば、いくつかの実施形態では、投与される1つまたは複数のPMEは、Sarkissianら、2011年、Mol Genet Metab.2011年11月;104(3):249〜254頁に記載されるように修飾され、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、分泌されたPALはAv−p.C503S/p.C565S/p.F18A PALである。いくつかの実施形態では、分泌されたPALはPEG−Av−p.C503S/p.C565S/p.F18A PALである。
いくつかの実施形態では、分泌のための1つまたは複数のPMEは、本明細書に記載されるように誘導可能なプロモーターの制御下にある。一例では、1つまたは複数のPMEはFNRプロモーターの制御下にあり、嫌気的および/または低酸素条件下で産生され、分泌される。いくつかの実施形態では、分泌のためのPMEはParaBADプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、分泌のためのPMEは構成的プロモーターの制御下にある。
1つまたは複数のPMEが微生物から分泌または輸送されるいくつかの実施形態では、操作された微生物は分泌タグを含む遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、PMEは、PMEを特異的分泌系に誘導するためにRNAまたはペプチド起源のいずれかの「分泌タグ」を含む。例えば、I型溶血素分泌系についての分泌タグは、アルファ溶血素タンパク質(HlyA)のC末端53アミノ酸においてコードされる。HlyA分泌シグナル。
HlyBは孔を形成するために内膜に挿入し、HlyDはHlyBをTolC(外膜孔)と整列させ、それによって内膜および外膜を通るチャネルを形成する。C末端分泌タグは、自己触媒的またはプロテアーゼによって触媒されるいずれかの、例えばOmpT切断によって除去され得、それによってPMEを細胞外環境に放出する。
V型自己分泌系はN末端Sec依存性ペプチドタグ(内膜)およびC末端タグ(外膜)を利用する。これは細胞質から周辺質に到達するようにSec系を使用する。次いでC末端タグは外膜に挿入し、「パッセンジャータンパク質」が通る孔を形成する。外膜を横切ると、パッセンジャー(抗がん分子)は、自己触媒的インテイン様機構によって、または膜結合プロテアーゼ(すなわちOmpT)を介してのいずれかで、膜に埋め込まれたC末端タグから放出される。N末端タグはSec系によって除去される。したがって、いくつかの実施形態では、分泌系は、PME、例えば、PAL、PAH、および/またはLAADを操作された細菌から分泌する前に、このタグを除去することができる。V型自己分泌媒介性分泌において、N末端ペプチド分泌タグは、天然Sec系による細胞質から周辺質区画への「パッセンジャー」ペプチドの移行の際に除去される。さらに、自己分泌因子が外膜を横切って移行すると、C末端分泌タグは、自己触媒的またはプロテアーゼによって触媒されるいずれかの、例えばOmpT切断よって除去され得、それによって抗がん分子を細胞外環境に放出する。
鞭毛修飾III型分泌において、タグはmRNAの5’非翻訳領域においてコードされ、したがって切断/除去するためのペプチドタグは存在しない。この修飾系は、「シリンジ」部分を含有せず、代わりに、両方の膜を横切り、形成している鞭毛を通って外部へ移行するように鞭毛構造の基底小体を孔として使用する。fliC/fliD遺伝子(鞭毛「尾部」/鞭をコードする)が破壊される場合、鞭毛は完全に形成することができず、これにより全体の分泌が促される。いくつかの実施形態では、尾部は完全に除去され得る。III型の従来の分泌系において、基底小体は鞭毛に非常に似ているが、「尾部」/鞭の代わりに、従来のT3SSは、宿主細胞内のパッセンジャータンパク質を注入するためのシリンジを有する。分泌タグはN末端ペプチド(長さは異なり、いくつかの異なるタグが存在する、PCT/US14/020972を参照のこと)によってコードされ。N末端タグはこの分泌系におけるポリペプチドから除去されない。
いくつかの実施形態では、目的の治療用ポリペプチドは、鞭毛III型分泌系の成分を用いて分泌される。非限定的な例では、PME(例えば、LAAD、PAH、および/またはPAL)などのそのような目的の治療用ポリペプチドは、fliC−5’UTRの後ろに組み立てられ(例えば、fliC遺伝子座からの173bp非翻訳領域)、天然のプロモーターによって駆動される。他の実施形態では、鞭毛III型分泌系の成分を使用して分泌される関心のある治療用ペプチドの発現は、Tet誘導性プロモーターによって駆動される。別の実施形態では、酸素レベル依存性プロモーター(例えば、FNR誘導性プロモーター)などの誘導性プロモーター、ならびにアラビノースなどの消化管内に天然に存在し得るもしくはし得ない(例えば、外因的に付加され得る)代謝産物によって誘導されるプロモーターが使用されるいくつかの実施形態では、目的の治療用ポリペプチドは、プラスミド(例えば、中コピープラスミド)から発現される。いくつかの実施形態では、目的の治療用ポリペプチドは、fliC遺伝子座に組み込まれた構築物(それによってfliCを欠失させる)から発現され、天然のFliCプロモーターによって駆動される。いくつかの実施形態では、分泌効率をさらに高めるために、FliCのN末端部分(例えば、FliCの最初の20アミノ酸)が構築物に含まれる。
いくつかの実施形態では、PME(例えば、LAAD、PAH、および/またはPAL)などの目的の治療用ポリペプチドは、拡散性外膜(DOM)系を介して分泌される。いくつかの実施形態では、目的の治療用ポリペプチドは、N末端Sec依存性分泌シグナルに融合される。そのようなN末端Sec依存性分泌シグナルの非限定的な例には、PhoA、OmpF、OmpA、およびcvaCが含まれる。別の実施形態では、目的の治療用ポリペプチドは、Tat依存性分泌シグナルに融合される。例示的なTat依存性タグには、TorA、FdnG、およびDmsAが含まれる。いくつかの実施形態では、分泌タグ付き治療用タンパク質の発現は、tetプロモーターまたは酸素レベル依存性プロモーター(例えば、FNR誘導性プロモーター)などの誘導性プロモーター、または消化管内に天然に存在し得るもしくはし得ない(例えば、外因的に付加され得る)代謝産物(例えば、アラビノース)によって誘導されるプロモーターによって駆動される。いくつかの実施形態では、目的の分泌タグ付き治療用ポリペプチドは、プラスミド(例えば、中コピープラスミド)から発現される。他の実施形態では、目的の治療用ポリペプチドは、細菌染色体に組み込まれた構築物、例えば、本明細書に記載の1つ以上の組み込み部位において組み込まれた構築物から発現される。特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、1つ以上の外膜タンパク質および/またはペリプラズムタンパク質に欠失または突然変異を有する。そのようなタンパク質の非限定的な例には、lpp、pal、tolA、および/またはnlpIが含まれ、そのうちの1つ以上が欠失または変異され得る。いくつかの実施形態において、lppは欠失または突然変異される。いくつかの実施形態では 、palは欠失または変異される。いくつかの実施形態では、tolAは欠失または変異される。他の実施形態では、nlpIは欠失または変異される。さらに他の実施形態では、例えば、ペリプラズム中のポリペプチドの安定性を高めるために、特定のペリプラズムプロテアーゼが欠失または変異される。そのようなプロテアーゼの非限定的な例としては、degPおよびompTが挙げられる。いくつかの実施形態では、degPは欠失または突然変異される。いくつかの実施形態では、ompTは欠失または変異される。いくつかの実施形態では、degPおよびompTは欠失または変異される。
いくつかの実施形態において、目的の治療用ポリペプチド、例えばPME(例えば、LAAD、PAHおよび/またはPAL)は、タイプVの自動分泌体(picタンパク質)分泌を介して分泌される。いくつかの実施形態では、目的の治療用タンパク質は、天然Nissleの自己分泌体であるE.coli_01635(元のパッセンジャータンパク質が目的の治療用ポリペプチドで置き換えられている)との融合タンパク質として発現される。
いくつかの実施形態では、目的の治療用ポリペプチド、例えばPME、(例えば、LAAD、PAH、およびまたはPAL)は、I型溶血素分泌によって分泌される。一実施形態では、目的の治療用ポリペプチドは、大腸菌CFT073のα−溶血素(hlyA)のC末端の53アミノ酸との融合タンパク質として発現される。
酸素消費酵素
LAAD触媒活性は酸素に依存し、したがって腸、例えば結腸における嫌気的および/または低酸素環境において活性ではない場合がある。酸素は胃腸管のより近位の区画に存在する。
健康なマウスにおいて測定された酸素圧が表17に示される。Heら、Proc Natl Acad Sci USA.1999年4月13日;96(8):4586〜91頁;「Noninvasive measurement of anatomic structure and intraluminal oxygenation in the gastrointestinal tract of living mice with spatial and spectral EPR imaging」、この内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。近位から遠位胃腸管までの著しい酸素勾配。Heらによって示されるように、胃腸管に沿って見られる観察された酸素勾配はプロセスの組合せによって説明され得る。理論に束縛されるものではないが、飲み込んだ場合、食物は最初に周囲室内空気の酸素圧で平衡化される。胃およびその後の小腸への通過中に、酸素は粘膜を横切って拡散するので酸素レベルは減少し得る。毛細管レベルの酸素(すなわち、5〜10torr;ref.9)との平衡化の漸進的なプロセスが発生し得る。結腸への通過中に、そこへの多くの細菌定着により、酸素化のさらなる減少が生じる。最後に、遠位結腸の内腔は、予想されるように、この部位における多量の嫌気的細菌に基づいて、著しい低酸素状態を示す。
[表17]
図25Bに示されるように、LAAD活性は、好気的条件下よりも低いレベルではあるが、微好気的条件において保持される(図25Aおよび図25B)。したがって、LAADは、胃、十二指腸、空腸、および回腸などの腸のより近位の領域において活性であり得る。遺伝子操作された細菌によって発現されるLAADは、有益には、FNRプロモーターの制御下の場合、結腸において発現され得るPALと異なる区画において活性であり得ることが本開示の一部として意図される。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、PMEが胃腸系全体にわたって発現され、活性であるように、異なる酸素需要量を有し、および/または異なる酸素条件下で誘導される2つの酵素を発現する。例えば、第1の酵素、例えば、酸素の存在に依存するLAADは、構成的または誘導可能なプロモーター(ParaBADなど)の制御下で胃、十二指腸および回腸のうちの1つまたは複数において発現され、第2の酵素、例えば、PALは、FNRプロモーターの制御下で結腸において発現される。いくつかの実施形態では、PALは、小腸で見出される条件下で、例えば、FNRプロモーター、構成的プロモーター、または本明細書に記載の別の誘導性プロモーターの制御下で発現される。いくつかの実施形態では、PALおよび/またはLAADは、in vivo投与前にプレ誘導され、腸の近位部分において発現され、活性である。いくつかの実施形態では、PALおよび/またはLAADは、in vivo投与前にプレ誘導され(本明細書に記載のように、好気的にまたは嫌気的に、または化学的および/もしくは栄養性誘導物質ありかなしで)、腸の遠位部において発現されて活性である。
いくつかのストラテジーが、酸素制限条件下でLAAD活性をさらに増加させるために利用され得る。例えば、大量の酸素を消費する他の酵素の活性は減少または消失され得る。1つのそのような酵素はNADHデヒドロゲナーゼである。大腸菌は2つのNADHデヒドロゲナーゼ;nuoおよびndh2を有し、これらの酵素の両方のノックアウトが酸素消費量を80%減少させることが示されている。いくつかの実施形態では、制限酸素を保存するため、すなわちLAADを発現する遺伝子操作された細菌において、より低い外因性酸素条件下でLAADを機能させるためにさらなる手段が取られる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は酸素消費に関与する1つまたは複数の遺伝子において突然変異をさらに含む。いくつかの実施形態では、一方または両方の大腸菌NADHデヒドロゲナーゼはノックアウトされる。いくつかの実施形態では、ノックアウトされたNADHデヒドロゲナーゼはnuoである。いくつかの実施形態では、ノックアウトされたNADHデヒドロゲナーゼはndh2である。いくつかの実施形態では、nuoおよびndh2はノックアウトされる。cydB(高親和性末端酸化酵素のサブユニット)、cydD(シトクロムDを作製するために必要とされる酵素)、およびcyoABC(低親和性シトクロム酸化酵素のサブユニット)などの、呼吸鎖における酵素を含む、大腸菌の酸素代謝に関与する他の酵素もまたノックアウトされ得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、cydB、cydD、およびcyoABCから選択される1つまたは複数の遺伝子におけるノックアウト突然変異/欠失を保有する。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされる1つまたは複数のPMEが発現され、胃において活性を示す。一実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされる1つまたは複数のPMEが発現され、十二指腸において活性を示す。一実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされる1つまたは複数のPMEが発現され、空腸において活性を示す。一実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされる1つまたは複数のPMEが発現され、回腸において活性を示す。一実施形態では、遺伝子操作された細菌によってコードされる1つまたは複数のPMEが発現され、結腸において活性を示す。
必須遺伝子および栄養要求株
本明細書において使用される場合、「必須遺伝子」という用語は、細胞増殖および/または生存に必要とされる遺伝子を指す。細菌の必須遺伝子は当業者に周知であり、遺伝子の指向性欠失ならびに/またはランダム突然変異誘発およびスクリーニングによって同定され得る。(例えば、ZhangおよびLin、「DEG 5.0,a database of essential genes in both prokaryotes and eukaryotes」、Nucl Acids Res、2009年;37:D455−D458ならびにGerdesら、「Essential genes on metabolic maps」、Curr Opin Biotechnol、2006年;17(5):448〜456頁を参照のこと、それらの各々の全内容は参照により本明細書に明確に組み込まれる)。
「必須遺伝子」は、生物が生存している状況および環境に依存し得る。例えば、必須遺伝子の突然変異、修飾、または除去により、栄養要求株になる本開示の遺伝子操作された細菌が得られ得る。栄養要求性の修飾は、細菌がその必須栄養素を産生するのに必要な遺伝子を欠いているため、生存または増殖に必須の外部から加えられた栄養素の非存在下で細菌を死滅させることを意図する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される遺伝子操作された細菌のいずれかもまた、細胞生存および/または増殖に必要な遺伝子の欠失または突然変異を含む。一実施形態では、必須遺伝子はDNA合成遺伝子、例えばthyAである。別の実施形態では、必須遺伝子は細胞壁合成遺伝子、例えばdapAである。さらに別の実施形態では、必須遺伝子は、アミノ酸遺伝子、例えばserAまたはMetAである。対応する野生型遺伝子産物が細菌において産生されない限り、限定されないが、cysE、glnA、ilvD、leuB、lysA、serA、metA、glyA、hisB、ilvA、pheA、proA、thrC、trpC、tyrA、thyA、uraA、dapA、dapB、dapD、dapE、dapF、flhD、metB、metC、proAB、およびthi1を含む、細胞生存および/または増殖に必要な任意の遺伝子が標的化されてもよい。表18は、栄養要求性株を産生するために破壊または欠失され得る例示的な細菌遺伝子を列挙する。これらには、限定されないが、オリゴヌクレオチド合成、アミノ酸合成、および細胞壁合成に必要な遺伝子が含まれる。
[表18]
表19は、経管栄養の24時間後および48時間後に検出したときのマウスの消化管における種々のアミノ酸栄養要求株の生存を示す。これらの栄養要求株は、大腸菌のNissle株ではないBW25113を使用して生成した。
[表19]
例えば、チミンは細菌細胞増殖に必要とされる核酸であり、その非存在下では、細菌は細胞死を受ける。thyA遺伝子は、dUMPをdTMPに変換することによってチミン合成における第1段階を触媒する酵素である、チミジル酸シンテターゼをコードする(Satら、2003年)。いくつかの実施形態では、本開示の細菌細胞は、thyA遺伝子が欠失し、および/または非関連遺伝子と置き換えられているthyA栄養要求株である。thyA栄養要求株は、例えば、in vitroで増殖培地にチミンを添加することによって、またはin vivoでヒトの消化管に天然に見出される高いチミンレベルの存在下で十分な量のチミンが存在する場合にのみ増殖できる。いくつかの実施形態では、本開示の細菌細胞は、細菌が哺乳動物の消化管に存在する場合に相補される遺伝子の栄養要求性である。十分な量のチミンがないと、thyA栄養要求株は死滅する。いくつかの実施形態では、栄養要求性の修飾は、細菌細胞が栄養要求性の遺伝子産物の非存在下(例えば消化管の外部)で生存しないことを確実にするために使用される。
ジアミノピメリン酸(DAP)は、リシン生合成経路内で合成されるアミノ酸であり、細菌細胞壁成長に必要とされる(Meadowら、1959年;Clarksonら、1971年)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される遺伝子操作された細菌のいずれかは、dapDが欠失し、および/または非関連遺伝子と置き換えられているdapD栄養要求株である。例えば、in vitroでDAPを増殖培地に添加することによって、またはin vivoでヒトの消化管に天然に見出される高いDAPレベルの存在下で、十分な量のDAPが存在する場合にのみdapD栄養要求株は増殖できる。十分な量のDAPがないと、dapD栄養要求株は死滅する。いくつかの実施形態では、栄養要求性の修飾は、細菌細胞が栄養要求性の遺伝子産物の非存在下(例えば消化管の外部)で生存しないことを確実にするために使用される。
他の実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は、uraAが欠失し、および/または非関連遺伝子と置き換えられているuraA栄養要求株である。uraA遺伝子は、ピリミジンウラシルの取り込みおよびその後の代謝を促進する膜結合性トランスポーターであるUraAをコードする(Andersenら、1995年)。uraA栄養要求株は、例えば、in vitroで増殖培地にウラシルを添加することによって、またはin vivoでヒトの消化管に天然に見出される高いウラシルレベルの存在下で十分な量のウラシルが存在する場合にのみ増殖できる。十分な量のウラシルがないと、uraA栄養要求株は死滅する。いくつかの実施形態では、栄養要求性の修飾は、細菌が、栄養要求性の遺伝子産物の非存在下(例えば、消化管の外部)で生存しないことを確実にするために使用される。
複合的な集団において、細菌がDNAを共有することは可能である。非常にまれな状況において、栄養要求性細菌株は、ゲノム欠失を修復し、栄養要求株を恒久的に救出する非栄養要求性株からDNAを受け取ることができる。したがって、1つより多い栄養要求株で細菌株を操作することにより、栄養要求性を救出するのに十分な時間、DNA転移が発生する可能性を大きく減少させることができる。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、細胞生存および/または増殖に必要な2つ以上の遺伝子の欠失または突然変異を含む。
必須遺伝子の他の例には、限定されないが、yhbV、yagG、hemB、secD、secF、ribD、ribE、thiL、dxs、ispA、dnaX、adk、hemH、lpxH、cysS、fold、rplT、infC、thrS、nadE、gapA、yeaZ、aspS、argS、pgsA、yefM、metG、folE、yejM、gyrA、nrdA、nrdB、folC、accD、fabB、gltX、ligA、zipA、dapE、dapA、der、hisS、ispG、suhB、tadA、acpS、era、rnc、ftsB、eno、pyrG、chpR、lgt、fbaA、pgk、yqgD、metK、yqgF、plsC、ygiT、pare、ribB、cca、ygjD、tdcF、yraL、yihA、ftsN、murI、murB、birA、secE、nusG、rplJ、rplL、rpoB、rpoC、ubiA、plsB、lexA、dnaB、ssb、alsK、groS、psd、orn、yjeE、rpsR、chpS、ppa、valS、yjgP、yjgQ、dnaC、ribF、lspA、ispH、dapB、folA、imp、yabQ、ftsL、ftsI、murE、murF、mraY、murD、ftsW、murG、murC、ftsQ、ftsA、ftsZ、lpxC、secM、secA、can、folK、hemL、yadR、dapD、map、rpsB、infB、nusA、ftsH、obgE、rpmA、rplU、ispB、murA、yrbB、yrbK、yhbN、rpsI、rplM、degS、mreD、mreC、mreB、accB、accC、yrdC、def、fmt、rplQ、rpoA、rpsD、rpsK、rpsM、entD、mrdB、mrdA、nadD、hlepB、rpoE、pssA、yfiO、rplS、trmD、rpsP、ffh、grpE、yfjB、csrA、ispF、ispD、rplW、rplD、rplC、rpsJ、fusA、rpsG、rpsL、trpS、yrfF、asd、rpoH、ftsX、ftsE、ftsY、frr、dxr、ispU、rfaK、kdtA、coaD、rpmB、dfp、dut、gmk、spot、gyrB、dnaN、dnaA、rpmH、rnpA、yidC、tnaB、glmS、glmU、wzyE、hemD、hemC、yigP、ubiB、ubiD、hemG、secY、rplO、rpmD、rpsE、rplR、rplF、rpsH、rpsN、rplE、rplX、rplN、rpsQ、rpmC、rplP、rpsC、rplV、rpsS、rplB、cdsA、yaeL、yaeT、lpxD、fabZ、lpxA、lpxB、dnaE、accA、tilS、proS、yafF、tsf、pyrH、olA、rlpB、leuS、lnt、glnS、fldA、cydA、infA、cydC、ftsK、lolA、serS、rpsA、msbA、lpxK、kdsB、mukF、mukE、mukB、asnS、fabA、mviN、rne、yceQ、fabD、fabG、acpP、tmk、holB、lolC、lolD、lolE、purB、ymfK、minE、mind、pth、rsA、ispE、lolB、hemA、prfA、prmC、kdsA、topA、ribA、fabI、racR、dicA、ydfB、tyrS、ribC、ydiL、pheT、pheS、yhhQ、bcsB、glyQ、yibJ、およびgpsAが含まれる。他の必須遺伝子は当業者に公知である。
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は合成リガンド依存性必須遺伝子(SLiDE)細菌細胞である。SLiDE細菌細胞は、特定のリガンドの存在下でのみ増殖する1つまたは複数の必須遺伝子において突然変異を有する合成栄養要求株である(LopezおよびAnderson、「Synthetic Auxotrophs with Ligand−Dependent Essential Genes for a BL21(DE3)Biosafety Strain」、ACS Synth Biol 2015年;4(12):1279〜1286頁、その全内容は参照により本明細書に明確に組み込まれる)。
いくつかの実施形態では、SLiDE細菌細胞は必須遺伝子における突然変異を含む。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、pheS、dnaN、tyrS、metG、およびadkからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、以下の突然変異:H191N、R240C、I317S、F319V、L340T、V347I、およびS345Cのうちの1つまたは複数を含むdnaNである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異H191N、R240C、I317S、F319V、L340T、V347I、およびS345Cを含むdnaNである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、以下の突然変異:F125G、P183T、P184A、R186A、およびI188Lのうちの1つまたは複数を含むpheSである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異F125G、P183T、P184A、R186A、およびI188Lを含むpheSである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、以下の突然変異:L36V、C38A、およびF40Gのうちの1つまたは複数を含むtyrSである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異L36V、C38A、およびF40Gを含むtyrSである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、以下の突然変異:E45Q、N47R、I49G、およびA51Cのうちの1つまたは複数を含むmetGである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異E45Q、N47R、I49G、およびA51Cを含むmetGである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、以下の突然変異:I4L、L5I、およびL6Gのうちの1つまたは複数を含むadkである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異I4L、L5I、およびL6Gを含むadkである。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はリガンドによって相補される。いくつかの実施形態では、リガンドは、ベンゾチアゾール、インドール、2−アミノベンゾチアゾール、インドール−3−酪酸、インドール−3−酢酸、およびL−ヒスチジンメチルエステルからなる群から選択される。例えば、metGにおける突然変異(E45Q、N47R、I49G、およびA51C)を含む細菌細胞は、ベンゾチアゾール、インドール、2−アミノベンゾチアゾール、インドール−3−酪酸、インドール−3−酢酸、またはL−ヒスチジンメチルエステルによって相補される。dnaNにおける突然変異(H191N、R240C、I317S、F319V、L340T、V347I、およびS345C)を含む細菌細胞は、ベンゾチアゾール、インドール、または2−アミノベンゾチアゾールによって相補される。pheSにおける突然変異(F125G、P183T、P184A、R186A、およびI188L)を含む細菌細胞は、ベンゾチアゾールまたは2−アミノベンゾチアゾールによって相補される。tyrSにおける突然変異(L36V、C38A、およびF40G)を含む細菌細胞は、ベンゾチアゾールまたは2−アミノベンゾチアゾールによって相補される。adkにおける突然変異(I4L、L5IおよびL6G)を含む細菌細胞は、ベンゾチアゾールまたはインドールによって相補される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、それをリガンドに対して栄養要求性にする1つより多い突然変異必須遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、細菌細胞は2つの必須遺伝子における突然変異を含む。例えば、いくつかの実施形態では、細菌細胞は、tyrSにおける突然変異(L36V、C38A、およびF40G)およびmetGにおける突然変異(E45Q、N47R、I49G、およびA51C)を含む。他の実施形態では、細菌細胞は3つの必須遺伝子における突然変異を含む。例えば、いくつかの実施形態では、細菌細胞は、tyrSにおける突然変異(L36V、C38A、およびF40G)、metGにおける突然変異(E45Q、N47R、I49G、およびA51C)、およびpheSにおける突然変異(F125G、P183T、P184A、R186A、およびI188L)を含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、必須遺伝子が、図85〜86に示されるアラビノース系を使用して置き換えられている条件付き栄養要求株である。
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は栄養要求株であり、また、本明細書に記載される死滅スイッチ成分および系のいずれかなどの死滅スイッチ回路も含む。例えば、遺伝子操作された細菌は、細胞生存および/または増殖に必要とされる必須遺伝子、例えばDNA合成遺伝子、例えばthyA、細胞壁合成遺伝子、例えばdapAおよび/またはアミノ酸遺伝子、例えばserAもしくはMetAにおける欠失または突然変異を含んでもよく、また、環境条件および/もしくはシグナル(記載されるアラビノース系など)に応答して発現される1つもしくは複数の転写活性化因子によって調節されるか、または外因性環境条件および/もしくはシグナル(本明細書に記載されるリコンビナーゼ系など)を検知すると発現される1つもしくは複数のリコンビナーゼによって調節される毒素遺伝子も含んでもよい。他の実施形態は、Wrightら、「GeneGuard:A Modular Plasmid System Designed for Biosafety」、ACS Synth Biol、2015年;4(3):307〜316頁に記載されており、その全内容は参照により本明細書に明確に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は栄養要求株であり、また、本明細書に記載される死滅スイッチ成分および系のいずれかなどの死滅スイッチ回路、ならびに条件付き複製起点などの別のバイオセキュリティー系も含む(Wrightら、2015年)。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、1つ以上のバイオセイフティープラスミドと組み合わせて細菌染色体に組み込まれた1つ以上のバイオセイフティー構築物を含む。いくつかの実施形態では、プラスミドは、プラスミド複製開始タンパク質がトランスで提供される(すなわち、染色体に組み込まれたバイオセイフティー構築物によってコードされる)条件付き複製起点(COR)を含む。いくつかの実施形態において、染色体に組み込まれた構築物は、栄養要求性(例えば、dapAまたはthyA栄養要求性)が生じるように宿主にさらに導入され、当該栄養要求性は、バイオセイフティープラスミド構築物から発現する遺伝子産物によって補充される。いくつかの実施形態では、バイオセイフティープラスミドは広域スペクトル毒素(例えば、Kis)をさらにコードするが、組み込みバイオセイフティー構築物は抗毒素(例えば、抗Kis)をコードし、両方の構築物を含む細菌細胞ではプラスミド増殖が可能になる。理論に縛られることを望むものではないが、この機構は、プラスミドDNA自体が野生型細菌によって維持されることを不利にすることによって、プラスミド散布を選択しないように機能する。そのようなバイオセイフティーシステムの非限定的な例が、図61A、図61B、図61C、および図61Dに示されている。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号81、82、83、84、85またはその機能的断片のDNA配列に、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%相同な染色体に挿入されたバイオセイフティー構築物核酸配列(プラスミドベースのバイオセイフティー構築物と組み合わせられる)を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号86、87、88またはその機能的断片のポリペプチド配列に、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%相同なポリぺチド配列をコードする染色体に挿入されたバイオセイフティー構築物核酸配列(プラスミドベースのバイオセイフティー構築物と組み合わせられる)を含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号89、90、91、92、93、94またはその機能的断片のDNA配列に、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%相同な染色体ベースのバイオセイフティー構築物核酸配列(プラスミドベースのバイオセイフティー構築物と組み合わせられる)を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号89、90、91、92、93、94またはその機能的断片のDNA配列によってコードされるポリペプチド配列に、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%相同なポリペプチド配列をコードする染色体ベースのバイオセイフティー構築物核酸配列(プラスミドベースのバイオセイフティー構築物と組み合わせられる)を含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、フェニルアラニンの異化のためのペイロード構築物を含むプラスミドベースのバイオセイフティー構築物核酸配列(染色体ベースのバイオセイフティー構築物と組み合わせられる)を含む。いくつかの実施形態では、プラスミドベースの構築物は、PALの1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、プラスミドベースの構築物は、PhePの1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、プラスミドベースの構築物は、LAADの1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、プラスミドベースの構築物は、PALの1つ以上のコピーおよびPhePの1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、プラスミドベースの構築物は、PALの1つ以上のコピーおよびLAADの1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、プラスミドベースの構築物は、LAADの1つ以上のコピーおよびPhePの1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、プラスミドベースの構築物は、PALの1つ以上のコピーおよびPhePの1つ以上のコピーおよびLAADの1つ以上のコピーを含む。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン異化プラスミドペイロード(すなわち、PAL、PheP、および/またはLAAD)は、本明細書に記載の1つ以上の構成的または誘導性プロモーター(例えば、低酸素、アラビノース、IPTG誘導性、またはそれらの組み合わせ)の制御下にある。いくつかの実施形態では、プロモーターはプレ誘導に有用である。いくつかの実施形態では、プロモーターはin vivoでの活性化に有用である。いくつかの実施形態では、プロモーターは、プレ誘導およびin vivo活性に有用である。いくつかの実施形態では、構築物は2つ以上のプロモーターを含み、当該プロモーターの一部はプレ誘導に有用であり、一部はin vivo活性に有用である。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号36、37、74、95、96、98、99、100、113またはその機能的断片のDNA配列に、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%相同なプラスミドベースのバイオセイフティー構築物ペイロード核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、配列番号36、37、74、95、96、98、99、100、113またはその機能的断片のDNA配列によってコードされるポリペプチドに、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%相同なポリペプチドをコードするプラスミドベースのバイオセイフティー構築物ペイロード核酸配列を含む。
Phe栄養要求性の付加はまた、フェニルアラニン分解速度を増加させるための有用性も有することができる。例えば、pheA遺伝子の欠失により、フェニルアラニン栄養要求性がもたらされる。内因性細菌のフェニルアラニン産生の停止によって、環境からの取り込みの増加を促すことができ、また、環境から取り込まれたフェニルアラニンの分解の増加ももたらすことができる。
遺伝子調節回路
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、本明細書に記載される構築物を発現するための多層遺伝子調節回路を含む(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国仮出願第62/184,811号を参照のこと)。遺伝子調節回路は、フェニルアラニン代謝酵素を産生するか、または栄養要求株を救出する突然変異細菌をスクリーニングするのに有用である。特定の実施形態では、本発明は、1つまたは複数の目的の遺伝子を産生する遺伝子操作された細菌を選択する方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)およびT7ポリメラーゼによって調節される遺伝子調節回路を産生するための遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作された細菌を提供する。例えば、遺伝子操作された細菌は、T7ポリメラーゼをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している第1の遺伝子;フェニルアラニン代謝酵素を産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットであって、T7ポリメラーゼによって誘導されるT7プロモーターに作動可能に連結している第2の遺伝子または遺伝子カセット;およびT7ポリメラーゼを阻害できる抑制因子であるlysYをコードする第3の遺伝子を含む。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、フェニルアラニン代謝酵素は発現されない。LysYは構成的に発現され(P−lac構成的)、さらにT7ポリメラーゼを阻害する。酸素の非存在下では、FNRは二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、T7ポリメラーゼはlysY阻害を克服するのに十分なレベルで発現され、フェニルアラニン代謝酵素が発現される。いくつかの実施形態では、lysY遺伝子はさらなるFNR結合部位に作動可能に連結している。酸素の非存在下では、FNRは上記のようにT7ポリメラーゼ発現を活性化するために二量体化し、また、lysY発現を阻害する。
いくつかの実施形態では、本発明は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)およびプロテアーゼにより調節される遺伝子調節回路を産生するための遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作された細菌を提供する。例えば、遺伝子操作された細菌はmf−lonプロテアーゼをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している第1の遺伝子;Tet調節領域(TetO)に作動可能に連結しているフェニルアラニン代謝酵素を産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセット;およびTetリプレッサー(TetR)に連結しているmf−lon分解シグナルをコードする第3の遺伝子であって、TetRはTet調節領域に結合でき、第2の遺伝子または遺伝子カセットの発現を抑制することができる、第3の遺伝子を含む。mf−lonプロテアーゼは、mf−lon分解シグナルを認識でき、TetRを分解することができる。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、リプレッサーは分解されず、フェニルアラニン代謝酵素は発現されない。酸素の非存在下では、FNRは二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、それによってmf−lonプロテアーゼの発現を誘導する。mf−lonプロテアーゼは、mf−lon分解シグナルを認識し、TetRを分解し、フェニルアラニン代謝酵素が発現される。
いくつかの実施形態では、本発明は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)およびリプレッサーにより調節される遺伝子調節回路を産生するための遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作された細菌を提供する。例えば、遺伝子操作された細菌は、第1のリプレッサーをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している、第1の遺伝子;構成的プロモーターを含む第1の調節領域に作動可能に連結しているフェニルアラニン代謝酵素を産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセット;および第2のリプレッサーをコードする第3の遺伝子であって、第2のリプレッサーは、第1の調節領域に結合でき、第2の遺伝子または遺伝子カセットの発現を抑制することができる、第3の遺伝子を含む。第3の遺伝子は構成的プロモーターを含む第2の調節領域に作動可能に連結しており、第1のリプレッサーは第2の調節領域に結合でき、第2のリプレッサーの発現を阻害することができる。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、第1のリプレッサーは発現されず、第2のリプレッサーは発現され、フェニルアラニン代謝酵素は発現されない。酸素の非存在下では、FNRは二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、第1のリプレッサーは発現され、第2のリプレッサーは発現されず、フェニルアラニン代謝酵素が発現される。
これらの実施形態において有用なリプレッサーの例には、限定されないが、ArgR、TetR、ArsR、AscG、LacI、CscR、DeoR、DgoR、FruR、GalR、GatR、CI、LexA、RafR、QacR、およびPtxSが含まれる(米国特許出願公開第20030166191号)。
いくつかの実施形態では、本発明は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)および調節性RNAにより調節される遺伝子調節回路を産生するための遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作された細菌を提供する。例えば、遺伝子操作された細菌は、調節性RNAをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している、第1の遺伝子、およびフェニルアラニン代謝酵素を産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットを含む。第2の遺伝子または遺伝子カセットは、構成的プロモーターに作動可能に連結しており、フェニルアラニン代謝酵素の翻訳を阻害するmRNAヘアピンを産生できるヌクレオチド配列にさらに連結している。調節性RNAは、mRNAヘアピンを除去でき、リボソーム結合部位を介して翻訳を誘導することができる。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、調節性RNAは発現されず、mRNAヘアピンはフェニルアラニン代謝酵素が翻訳されるのを防ぐ。酸素の非存在下では、FNRは二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、調節性RNAが発現され、mRNAヘアピンが除去され、フェニルアラニン代謝酵素が発現される。
いくつかの実施形態では、本発明は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)およびCRISPRにより調節される遺伝子調節回路を産生するための遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作された細菌を提供する。例えば、遺伝子操作された細菌は、Cas9タンパク質;CRISPRガイドRNAをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している、第1の遺伝子;フェニルアラニン代謝酵素を産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットであって、構成的プロモーターを含む調節領域に作動可能に連結している、第2の遺伝子または遺伝子カセット;および構成的プロモーターに作動可能に連結しているリプレッサーをコードする第3の遺伝子であって、リプレッサーは調節領域に結合でき、第2の遺伝子または遺伝子カセットの発現を抑制することができる、第3の遺伝子を含む。第3の遺伝子は、CRISPRガイドRNAに結合できるCRISPR標的配列にさらに連結しており、CRISPRガイドRNAへの前記結合はCas9タンパク質による切断を誘導し、リプレッサーの発現を阻害する。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、ガイドRNAは発現されず、リプレッサーは発現され、フェニルアラニン代謝酵素は発現されない。酸素の非存在下では、FNRは二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、ガイドRNAが発現され、リプレッサーは発現されず、フェニルアラニン代謝酵素が発現される。
いくつかの実施形態では、本発明は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)およびリコンビナーゼにより調節される遺伝子調節回路を産生するための遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作された細菌を提供する。例えば、遺伝子操作された細菌は、リコンビナーゼをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している、第1の遺伝子、および構成的プロモーターに作動可能に連結しているフェニルアラニン代謝酵素を産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットを含む。第2の遺伝子または遺伝子カセットは、配向が反転し(3’から5’)、リコンビナーゼ結合部位に隣接し、リコンビナーゼは、その配向を戻す(5’から3’)ことによって第2の遺伝子または遺伝子カセットの発現を誘導するためにリコンビナーゼ結合部位に結合できる。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、リコンビナーゼは発現されず、遺伝子または遺伝子カセットは3’から5’配向のままであり、機能的フェニルアラニン代謝酵素は産生されない。酸素の非存在下では、FNRは二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、リコンビナーゼが発現され、遺伝子または遺伝子カセットは5’から3’配向に戻り、機能的フェニルアラニン代謝酵素が産生される(例えば、図82を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、本発明は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)ならびにポリメラーゼによりおよびリコンビナーゼにより調節される遺伝子調節回路を産生するための遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作された細菌を提供する。例えば、遺伝子操作された細菌は、リコンビナーゼをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している、第1の遺伝子;T7プロモーターに作動可能に連結しているフェニルアラニン代謝酵素を産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセット;T7ポリメラーゼをコードする第3の遺伝子であって、T7ポリメラーゼはT7プロモーターに結合でき、フェニルアラニン代謝酵素の発現を誘導することができる、第3の遺伝子を含む。T7ポリメラーゼをコードする第3の遺伝子は、配向が反転し(3’から5’)、リコンビナーゼ結合部位に隣接し、リコンビナーゼは、その配向を戻す(5’から3’)ことによってT7ポリメラーゼ遺伝子の発現を誘導するためにリコンビナーゼ結合部位に結合できる。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、リコンビナーゼは発現されず、T7ポリメラーゼ遺伝子は3’から5’配向のままであり、フェニルアラニン代謝酵素は発現されない。酸素の非存在下では、FNRは二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、リコンビナーゼが発現され、T7ポリメラーゼ遺伝子は5’から3’配向に戻され、フェニルアラニン代謝酵素が発現される(例えば、図83を参照のこと)。
プラスミド上で発現される合成遺伝子回路は短期間で十分に機能できるが、長期間では能力および/または機能を喪失する(Daninoら、2015年)。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、長時間にわたって目的の遺伝子を発現するための安定な回路を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)を産生でき、毒素(hok)および寿命の短い抗毒素(sok)を同時に産生する毒素−抗毒素系をさらに含み、プラスミドの喪失により、寿命の長い毒素によって細胞を死滅させる(Daninoら、2015年)。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、バチルス・サブティリスプラスミドpL20由来のalp7をさらに含み、細胞分裂の間、均等な分離を確実にするためにプラスミドを細胞極に押すことができる繊維を産生する(Daninoら、2015年)。
宿主−プラスミド相互依存性
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌はまた、宿主−プラスミド相互依存性を生じるように修飾されているプラスミドも含む。特定の実施形態では、相互依存性宿主−プラスミドプラットフォームはGeneGuard(Wrightら、2015年)である。いくつかの実施形態では、GeneGuardプラスミドは、(i)必要な複製開始タンパク質がtransで提供される条件付き複製起点;(ii)ゲノム転座を介して宿主によって救出され、富栄養培地における使用にも適合している栄養要求性の修飾;および/または(iii)広域スペクトル毒素をコードする核酸配列を含む。毒素遺伝子は、プラスミドDNA自体を、抗毒素を発現しない株(例えば、野性型細菌)にとって不利なものにすることによって、プラスミドが分散しないように選択するために使用され得る。いくつかの実施形態では、GeneGuardプラスミドは、抗生物質選択を行わずに少なくとも100世代にわたって安定である。いくつかの実施形態では、GeneGuardプラスミドは宿主の増殖を妨げない。GeneGuardプラスミドは、本発明の遺伝子操作された細菌において意図的でないプラスミド増殖を大いに減少させるために使用される。
相互依存性宿主−プラスミドプラットフォームは、単独で、または本明細書に記載されるものなどの他のバイオセイフティー機構(例えば、死滅スイッチ、栄養要求性)と組み合わせて使用されてもよい。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はGeneGuardプラスミドを含む。他の実施形態では、遺伝子操作された細菌はGeneGuardプラスミドおよび/または1つもしくは複数の死滅スイッチを含む。他の実施形態では、遺伝子操作された細菌はGeneGuardプラスミドおよび/または1つもしくは複数の栄養要求性を含む。さらに他の実施形態では、遺伝子操作された細菌はGeneGuardプラスミド、1つもしくは複数の死滅スイッチ、および/または1つもしくは複数の栄養要求性を含む。
死滅スイッチ
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌はまた、死滅スイッチを含む(例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国仮出願第62/183,935号および第62/263,329号を参照のこと)。死滅スイッチは、外部刺激に応答して遺伝子操作された細菌を能動的に死滅させることを意図する。細菌が生存のための必須栄養素を欠いているために細菌が死滅する栄養要求性突然変異とは対照的に、死滅スイッチは、細胞死を引き起こす微生物内の毒性分子の産生を誘導する環境における特定の要因によって誘発される。
死滅スイッチを含む細菌は、例えば、実験室環境の外部でのバイオ燃料産生微生物の拡散を制限するためにin vitroで研究目的のために操作されている。疾患を治療するためにin vivo投与用に操作された細菌もまた、異種遺伝子(複数可)、例えば、フェニルアラニン代謝酵素の発現および送達後、または対象が治療効果を受けた後の特定の時間で死滅するようにプログラムされてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、死滅スイッチは、フェニルアラニン代謝酵素(例えば、PALまたはPAH)および/またはフェニルアラニントランスポーター遺伝子の酸素レベル依存性発現後、しばらくすると、細菌を死滅させるように活性化される。いくつかの実施形態では、死滅スイッチは、フェニルアラニン代謝酵素および/またはフェニルアラニントランスポーター遺伝子の酸素レベル依存性発現後、遅延様式で活性化される。あるいは、細菌は、細菌が疾患部位の外側に拡散した後、死滅するように操作されてもよい。具体的には、微生物による対象の長期間の定着、対象内の目的の領域の外側(例えば、消化管の外側)での微生物の拡散、または環境への対象の外部での微生物の拡散(例えば、対象の便を介して環境に拡散する)を阻止することは有用であり得る。死滅スイッチにおいて使用され得るこのような毒素の例には、限定されないが、バクテリオシン、リシン、および細胞膜を溶解すること、細胞DNAを分解すること、または他の機構によって細胞死を引き起こす他の分子が含まれる。このような毒素は個々にまたは組み合わせて使用されてもよい。それらの産生を制御するスイッチは、例えば、転写活性化(トグルスイッチ;例えば、Gardnerら、2000年を参照のこと)、翻訳(リボレギュレーター)、またはDNA組換え(リコンビナーゼベースのスイッチ)に基づいてもよく、嫌気状態または反応性酸素種などの環境刺激を検知できる。これらのスイッチは、単一の環境要因によって活性化され得るか、または細胞死を誘導するためにAND、OR、NANDおよびNOR論理的構成において複数の活性化因子を必要としてもよい。例えば、ANDリボレギュレータースイッチは、細胞膜を透過性にし、細胞を死滅させる、リシンの発現を誘導するためにテトラサイクリン、イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)、およびアラビノースによって活性化される。IPTGは、後でアラビノースおよびテトラサイクリンの添加によって活性化される、エンドリシンおよびホリンmRNAの発現を誘導する。3つ全ての誘導因子が細胞死を引き起こすために存在しなければならない。死滅スイッチの例は当該分野において公知である(Calluraら、2010年)。
死滅スイッチは、毒素が環境条件または外部シグナルに応答して産生されるように設計されてもよいか(例えば、細菌は外部刺激に応答して死滅する)、または代替として、環境条件がもはや存在しないかもしくは外部シグナルが停止すると、毒素が産生されるように設計されてもよい。
したがって、いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は、例えば低酸素環境において外因性環境シグナルを検知した後に死滅するようにさらにプログラムされる。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は、1つまたは複数のリコンビナーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子を含み、その発現は環境条件またはシグナルに応答して誘導され、最終的に細胞を死滅させる毒素の発現をもたらす1つまたは複数の組換え事象を引き起こす。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、細菌毒素をコードする反転した異種遺伝子のフリッピングであり、その細菌毒素は次いで、その異種遺伝子が第1のリコンビナーゼによってフリッピングされた後、構成的に発現される。一実施形態では、細菌毒素の構成的発現は遺伝子操作された細菌を死滅させる。これらの種類の死滅スイッチ系において、操作された細菌細胞が外因性環境条件を検知し、目的の異種遺伝子を発現すると、組換え細菌細胞はもはや生存できない。
本開示の遺伝子操作された細菌が、少なくとも1つの組換え事象を引き起こす環境条件またはシグナルに応答して1つまたは複数のリコンビナーゼを発現する別の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、外因性環境条件またはシグナルに応答して抗毒素をコードする異種遺伝子をさらに発現する。一実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、第1のリコンビナーゼによる細菌毒素をコードする反転した異種遺伝子のフリッピングである。一実施形態では、細菌毒素をコードする反転した異種遺伝子は、第1のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第1のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、細菌毒素をコードする異種遺伝子は、その異種遺伝子が第1のリコンビナーゼによってフリッピングされた後に構成的に発現される。一実施形態では、抗毒素は毒素の活性を阻害し、それによって遺伝子操作された細菌の死滅を遅延させる。一実施形態では、外因性環境条件がもはや存在しない場合に抗毒素をコードする異種遺伝子がもはや発現されなくなると、遺伝子操作された細菌は細菌毒素によって死滅される。
別の実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、第1のリコンビナーゼによる第2のリコンビナーゼをコードする反転した異種遺伝子のフリッピング、それに続く、第2のリコンビナーゼによる細菌毒素をコードする反転した異種遺伝子のフリッピングである。一実施形態では、第2のリコンビナーゼをコードする反転した異種遺伝子は、第1のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第1のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、細菌毒素をコードする反転した異種遺伝子は、第2のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第2のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、第2のリコンビナーゼをコードする異種遺伝子は、その異種遺伝子が第1のリコンビナーゼによってフリッピングされた後に構成的に発現される。一実施形態では、細菌毒素をコードする異種遺伝子は、その異種遺伝子が第2のリコンビナーゼによってフリッピングされた後に構成的に発現される。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は細菌毒素によって死滅される。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、外因性環境条件に応答して抗毒素をコードする異種遺伝子をさらに発現する。一実施形態では、外因性環境条件が存在する場合、抗毒素は毒素の活性を阻害し、それによって遺伝子操作された細菌の死を遅延させる。一実施形態では、外因性環境条件がもはや存在しない場合に抗毒素をコードする異種遺伝子がもはや発現されなくなると、遺伝子操作された細菌は細菌毒素によって死滅される。
一実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、第1のリコンビナーゼによる第2のリコンビナーゼをコードする反転した異種遺伝子のフリッピング、それに続く、第2のリコンビナーゼによる第3のリコンビナーゼをコードする反転した異種遺伝子のフリッピング、それに続く、第3のリコンビナーゼによる細菌毒素をコードする反転した異種遺伝子のフリッピングである。
一実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、第1のリコンビナーゼによる第1の除去酵素をコードする反転した異種遺伝子のフリッピングである。一実施形態では、第1の除去酵素をコードする反転した異種遺伝子は、第1のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第1のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、第1の除去酵素をコードする異種遺伝子は、その異種遺伝子が第1のリコンビナーゼによってフリッピングされた後に構成的に発現される。一実施形態では、第1の除去酵素は第1の必須遺伝子を除去する。一実施形態では、プログラムされた組換え細菌細胞は、第1の必須遺伝子が除去された後に生存できない。
一実施形態では、第1のリコンビナーゼは、第2の除去酵素をコードする反転した異種遺伝子をさらにフリッピングする。一実施形態では、第2の除去酵素をコードする反転した異種遺伝子は、第2のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第2のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、第2の除去酵素をコードする異種遺伝子は、その異種遺伝子が第1のリコンビナーゼによってフリッピングされた後に構成的に発現される。一実施形態では、第1の必須遺伝子および第2の必須遺伝子の両方が除去されると、遺伝子操作された細菌は死滅するか、またはもはや生存できない。一実施形態では、第1の必須遺伝子が除去されるか、または第2の必須遺伝子が第1のリコンビナーゼによって除去されるかのいずれかの場合、遺伝子操作された細菌は死滅するか、またはもはや生存できない。
一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、少なくとも1つの組換え事象が発生した後に死滅する。別の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、少なくとも1つの組換え事象が発生した後にもはや生存できない。
これらの実施形態のいずれかにおいて、リコンビナーゼは、BxbI、PhiC31、TP901、BxbI、PhiC31、TP901、HK022、HP1、R4、Int1、Int2、Int3、Int4、Int5、Int6、Int7、Int8、Int9、Int10、Int11、Int12、Int13、Int14、Int15、Int16、Int17、Int18、Int19、Int20、Int21、Int22、Int23、Int24、Int25、Int26、Int27、Int28、Int29、Int30、Int31、Int32、Int33、およびInt34、またはそれらの生物学的に活性な断片からなる群から選択されるリコンビナーゼであってもよい。
上記の死滅スイッチ回路において、毒素は環境要因またはシグナルの存在下で産生される。死滅スイッチ回路の別の態様では、毒素は環境要因の存在下で抑制され得(すなわち、産生されず)、次いで環境条件または外部シグナルがもはや存在しなくなると、産生され得る。このような死滅スイッチは抑制ベースの死滅スイッチと呼ばれ、細菌細胞がアラビノースまたは他の糖などの外部要因またはシグナルの存在下でのみ生存できる系を表す。毒素が外部要因またはシグナルの存在下で抑制される(および外部シグナルが除去されると活性化される)、例示的な死滅スイッチ設計は図43〜47に示される。本開示は、外因性環境においてアラビノースまたは他の糖を検知すると、1つまたは複数の異種遺伝子を発現する組換え細菌細胞を提供する。この態様では、組換え細菌細胞は、AraC転写因子をコードするaraC遺伝子、ならびにaraBADプロモーター(ParaBAD)の制御下の1つまたは複数の遺伝子を含有する。アラビノースの非存在下では、AraC転写因子はaraBADプロモーターの制御下で遺伝子の転写を抑制する立体配座を取る。アラビノースの存在下では、AraC転写因子は、それをaraBADプロモーターに結合させ、活性化させ得る立体配座変化を受け、そのaraBADプロモーターは、毒素遺伝子の発現を抑制する、所望の遺伝子、例えばTetRの発現を誘導する。この実施形態では、毒素遺伝子はアラビノースまたは他の糖の存在下で抑制される。アラビノースが存在しない環境では、TetR遺伝子は活性化されず、毒素が発現され、それによって細菌を死滅させる。アラビノース系はまた、必須遺伝子を発現するために使用され得、必須遺伝子はアラビノースまたは他の糖の存在下でのみ発現され、アラビノースまたは他の糖が環境に存在しない場合、発現されない。
したがって、1つまたは複数の異種遺伝子が、外因性環境においてアラビノースを検知すると発現されるいくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種遺伝子はaraBADプロモーターの制御下で直接的または間接的に存在する。いくつかの実施形態では、発現される異種遺伝子は、以下:異種治療遺伝子、抗毒素をコードする異種遺伝子、リプレッサータンパク質もしくはポリペプチドをコードする異種遺伝子、例えばTetRリプレッサー、細菌細胞に見出されない必須タンパク質をコードする異種遺伝子、および/または調節タンパク質もしくはポリペプチドをコードする異種のうちの1つまたは複数から選択される。
ara、ParaB、ParaC、およびParaBADを含む、アラビノース誘導性プロモーターは当該分野において公知である。一実施形態では、アラビノース誘導性プロモーターは大腸菌由来である。いくつかの実施形態では、ParaCプロモーターおよびParaBADプロモーターは、一方の方向において異種遺伝子の発現を制御するParaBADプロモーター、および他方の方向において異種遺伝子の発現を制御するParaC(ParaBADプロモーターに近接し、それと反対の鎖にある)である両方向性プロモーターとして作動する。アラビノースの存在下では、両方のプロモーターからの両方の異種遺伝子の転写が誘導される。しかしながら、アラビノースの非存在下では、両方のプロモーターからの両方の異種遺伝子の転写は誘導されない。
本開示の1つの例示的な実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は、少なくとも以下の配列:テトラサイクリンリプレッサー(TetR)タンパク質をコードする異種遺伝子に作動可能に連結しているParaBADプロモーター、AraC転写因子をコードする異種遺伝子に作動可能に連結しているParaCプロモーター、およびTetRタンパク質によって抑制されるプロモーターに作動可能に連結している細菌毒素をコードする異種遺伝子を有する死滅スイッチを含有する。アラビノースの存在下では、AraC転写因子はParaBADプロモーターを活性化し、そのParaBADプロモーターはTetRタンパク質の転写を活性化し、次にそのTetRタンパク質は毒素の転写を抑制する。しかしながら、アラビノースの非存在下では、AraCはParaBADプロモーターからの転写を抑制し、TetRタンパク質は発現されない。この場合、異種毒素遺伝子の発現は活性化され、毒素が発現される。毒素は組換え細菌細胞内に蓄積し、組換え細菌細胞は死滅する。一実施形態では、AraC転写因子をコードするaraC遺伝子は構成的プロモーターの制御下にあり、したがって構成的に発現される。
本開示の一実施形態では、遺伝子操作された細菌は構成的プロモーターの制御下で抗毒素をさらに含む。この状況において、アラビノースの存在下では、毒素はTetRタンパク質による抑制に起因して発現されず、抗毒素タンパク質が細胞内に蓄積する。しかしながら、アラビノースの非存在下では、TetRタンパク質は発現されず、毒素の発現が誘導される。毒素は組換え細菌細胞内に蓄積し始める。組換え細菌細胞は、毒素タンパク質が細胞内の抗毒素タンパク質の量と等しいか、またはそれを超える量で存在すると、もはや生存できず、組換え細菌細胞は毒素によって死滅する。
本開示の別の実施形態では、遺伝子操作された細菌はParaBADプロモーターの制御下で抗毒素をさらに含む。この状況において、アラビノースの存在下では、TetRおよび抗毒素が発現され、抗毒素は細胞内に蓄積し、毒素はTetRタンパク質による抑制に起因して発現されない。しかしながら、アラビノースの非存在下では、TetRタンパク質および抗毒素の両方は発現されず、毒素の発現が誘導される。毒素は組換え細菌細胞内に蓄積し始める。組換え細菌細胞は、毒素タンパク質が発現されると、もはや生存できず、組換え細菌細胞は毒素によって死滅する。
本開示の別の例示的な実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は、少なくとも以下の配列:組換え細菌細胞に見出されない(および生存のために必要とされる)必須ポリペプチドをコードする異種遺伝子に作動可能に連結しているParaBADプロモーター、およびAraC転写因子をコードする異種遺伝子に作動可能に連結しているParaCプロモーターを有する死滅スイッチを含有する。アラビノースの存在下では、AraC転写因子はParaBADプロモーターを活性化し、そのParaBADプロモーターは必須ポリペプチドをコードする異種遺伝子の転写を活性化し、組換え細菌細胞を生存させることができる。しかしながら、アラビノースの非存在下では、AraCはParaBADプロモーターからの転写を抑制し、生存に必要な必須タンパク質は発現されない。この場合、組換え細菌細胞はアラビノースの非存在下で死滅する。いくつかの実施形態では、組換え細菌細胞に見出されない必須ポリペプチドをコードする異種遺伝子に作動可能に連結しているParaBADプロモーターの配列は、すぐ上に記載されているTetR/毒素死滅スイッチ系と併せて細菌細胞内に存在し得る。いくつかの実施形態では、組み換え細菌細胞に見出されない必須ポリペプチドをコードする異種遺伝子に作動可能に連結しているParaBADプロモーターの配列は、すぐ上に記載されているTetR/毒素/抗毒素死滅スイッチ系と併せて細菌細胞内に存在し得る。
さらに他の実施形態では、細菌は、寿命の短い抗毒素および寿命の長い毒素の両方を産生するプラスミドを有するプラスミド安定系を含んでもよい。この系において、細菌細胞は毒素を中和するために等量の毒素および抗毒素を産生する。しかしながら、細胞がプラスミドを喪失した場合/とき、寿命の短い抗毒素が減衰し始める。抗毒素が完全に減衰すると、細胞を死滅させる寿命の長い毒素の結果として細胞は死滅する。
いくつかの実施形態では、本開示の操作された細菌は上記の死滅スイッチ回路のいずれかの成分をコードする遺伝子をさらに含む。
上記の実施形態のいずれかでは、細菌毒素は、リシン、Hok、Fst、TisB、LdrD、Kid、SymE、MazF、FlmA、Ibs、XCV2162、dinJ、CcdB、MazF、ParE、YafO、Zeta、hicB、relB、yhaV、yoeB、chpBK、hipA、ミクロシンB、ミクロシンB17、ミクロシンC、ミクロシンC7〜C51、ミクロシンJ25、ミクロシンColV、ミクロシン24、ミクロシンL、ミクロシンD93、ミクロシンL、ミクロシンE492、ミクロシンH47、ミクロシンI47、ミクロシンM、コリシンA、コリシンE1、コリシンK、コリシンN、コリシンU、コリシンB、コリシンIa、コリシンIb、コリシン5、コリシン10、コリシンS4、コリシンY、コリシンE2、コリシンE7、コリシンE8、コリシンE9、コリシンE3、コリシンE4、コリシンE6、コリシンE5、コリシンD、コリシンM、およびコリシンDF13、またはそれらの生物学的に活性な断片からなる群から選択される。
上記の実施形態のいずれかでは、抗毒素は、抗リシン、Sok、RNAII、IstR、RdlD、Kis、SymR、MazE、FlmB、Sib、ptaRNA1、yafQ、CcdA、MazE、ParD、yafN、イプシロン、HicA、relE、prlF、yefM、chpBI、hipB、MccE、MccECTD、MccF、Cai、ImmE1、Cki、Cni、Cui、Cbi、Iia、Imm、Cfi、Im10、Csi、Cyi、Im2、Im7、Im8、Im9、Im3、Im4、ImmE6、クロアシン免疫タンパク質(Cim)、ImmE5、ImmD、およびCmi、またはそれらの生物学的に活性な断片からなる群から選択される。
一実施形態では、細菌毒素は遺伝子操作された細菌に対して殺菌性である。一実施形態では、細菌毒素は遺伝子操作された細菌に対して静菌性である。
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される遺伝子操作された細菌は栄養要求株である。一実施形態では、遺伝子操作された細菌は、cysE、glnA、ilvD、leuB、lysA、serA、metA、glyA、hisB、ilvA、pheA、proA、thrC、trpC、tyrA、thyA、uraA、dapA、dapB、dapD、dapE、dapF、flhD、metB、metC、proAB、およびthi1栄養要求株から選択される栄養要求株である。いくつかの実施形態では、操作された細菌は1つより多い栄養要求性を有し、例えば、それらはΔthyAおよびΔdapA栄養要求株であってもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される遺伝子操作された細菌は、本明細書において提供される死滅スイッチ回路のいずれかなどの死滅スイッチ回路をさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、誘導可能なプロモーターおよび反転した毒素配列の制御下で1つまたは複数のリコンビナーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は抗毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、誘導可能なプロモーターおよび1つまたは複数の反転した除去遺伝子の制御下で1つまたは複数のリコンビナーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含み、除去遺伝子は必須遺伝子を欠失している酵素をコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、抗毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、TetRリプレッサー結合部位を有するプロモーターの制御下で毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子およびParaBADなどの、アラビノースによって誘導される誘導可能なプロモーターの制御下でTetRをコードする遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は抗毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、フェニルアラニン代謝酵素をコードする遺伝子を含む栄養要求株であり、本明細書に記載される死滅スイッチ回路のいずれかなどの、死滅スイッチ回路をさらに含む。
上記の遺伝子操作された細菌のいくつかの実施形態では、フェニルアラニン代謝酵素を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは、細菌内のプラスミド上に存在し、低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーターにプラスミド上で作動可能に連結している。他の実施形態では、フェニルアラニン代謝酵素を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは、細菌染色体内に存在し、低酸素または嫌気条件下で誘導されるプロモーターに染色体内で作動可能に連結している。
医薬組成物および製剤
本発明の遺伝子操作された細菌を含む医薬組成物は、高フェニルアラニン血症に関連する疾患、例えばPKUを治療、管理、改善、および/または予防するために使用され得る。単独で、または予防剤、治療剤、および/もしくは薬学的に許容される担体と組み合わせて1つまたは複数の遺伝子操作された細菌を含む本発明の医薬組成物が提供される。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される遺伝子組換えを含むように操作された細菌の1つの種、株、または亜型を含む。代替の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される遺伝子組換えを含むように各々操作された細菌の2つ以上の種、株、および/または亜型を含む。
本明細書に記載される医薬組成物は、製剤学的用途のための組成物への活性成分の処理を容易にする、賦形剤および助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容される担体を使用して従来の方式で製剤化され得る。医薬組成物を製剤化する方法は当該分野において公知である(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton、PAを参照のこと)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、腸溶コーティングされてもよいか、またはコーティングされなくてもよい、錠剤、粒剤、ナノ粒子、ナノカプセル、マイクロカプセル、微小錠剤、ペレット、または粉剤を形成するように錠剤化、凍結乾燥、直接圧縮、従来の混合、溶解、造粒、粉状化、乳化、カプセル化、封入、または噴霧乾燥に供される。適切な製剤は投与経路に依存する。
本明細書に記載される遺伝子操作された細菌は、任意の適切な剤形(例えば、液体、カプセル、サシェ、硬質カプセル、軟質カプセル、錠剤、腸溶コーティング錠剤、懸濁粉末、顆粒、または経口投与用のマトリクス持続放出製剤)で、および任意の適切な種類の投与(例えば、経口、局所、注射、即時放出、パルス放出、遅延放出、または持続放出)のための医薬組成物に製剤化され得る。遺伝子操作された細菌についての適切な投薬量は、約10〜1012細菌、例えば約10細菌、約10細菌、約10細菌、約10細菌、約10細菌、約1010細菌、約1011細菌、または約1011細菌の範囲であり得る。組成物は、1日に1回もしくは複数回、1週に1回もしくは複数回、1カ月に1回もしくは複数回投与されてもよい。組成物は、食事の前、間、または後に投与され得る。一実施形態では、医薬組成物は、対象が食事を食べる前に投与される。一実施形態では、医薬組成物は現在の食事とともに投与される。一実施形態では、医薬組成物は、対象が食事を食べた後に投与される。
遺伝子操作された細菌は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、増粘剤、希釈剤、バッファー、緩衝剤、界面活性剤、中性またはカチオン性脂質、脂質複合体、リポソーム、浸透促進剤、担体化合物、および他の薬学的に許容される担体または薬剤を含む医薬組成物に製剤化され得る。例えば、医薬組成物は、限定されないが、重炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、種々の糖および種類のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコール、ならびに例えばポリソルベート20を含む界面活性剤の付加を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、重炭酸ナトリウム溶液、例えば1モルの重炭酸ナトリウム溶液(例えば胃などの酸性細胞環境を緩衝するため)中で製剤化され得る。遺伝子操作された細菌は中性または塩形態として投与および製剤化され得る。薬学的に許容される塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するアニオンなどのアニオンと形成される塩、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するカチオンなどのカチオンと形成される塩が含まれる。
本明細書に開示される遺伝子操作された細菌は、局所的に投与されてもよく、軟膏、クリーム、経皮パッチ、ローション、ゲル、シャンプー、噴霧、エアロゾル、溶液、エマルションの形態、または当業者に周知の他の形態で製剤化されてもよい。例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton、PAを参照のこと。一実施形態では、噴霧可能ではない局所剤形に関して、局所適用に適合し、水より大きい動粘性係数を有する担体または1つもしくは複数の賦形剤を含む、粘性から半固体または固体形態が利用される。適切な製剤には、限定されないが、滅菌され得るか、または種々の特性、例えば浸透圧に影響を与える助剤(例えば、防腐剤、安定化剤、湿潤剤、バッファー、または塩)と混合され得る、溶液、懸濁剤、エマルション、クリーム、軟膏、粉剤、塗布薬、膏薬などが含まれる。他の適切な局所剤形には、噴霧可能なエアロゾル調製物が含まれ、固体または液体不活性担体と組み合わせた活性成分が、加圧された揮発性物質(例えば、フレオンなどのガス状推進剤)と共に混合物中またはスクイーズボトル内に充填される。保湿剤または保水剤もまた、医薬組成物および剤形に加えられてもよい。このようなさらなる成分の例は当業者に周知である。一実施形態では、本発明の組換え細菌を含む医薬組成物は衛生製品として製剤化されてもよい。例えば、衛生製品は、抗菌製剤、または発酵ブロスなどの発酵製品であってもよい。衛生用品は、例えば、シャンプー、コンディショナー、クリーム、ペースト、ローション、およびリップクリームであってもよい。
本明細書に開示される遺伝子操作された細菌は、経口投与され、錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁剤などとして製剤化されてもよい。経口用途のための医薬組成物は、錠剤または糖衣錠コアを得るために、固体賦形剤を使用し、任意選択で、得られた混合物を粉砕し、所望の場合、適切な助剤を加えた後に顆粒の混合物を処理して作製され得る。適切な賦形剤には、限定されないが、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖などの充填剤;トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボメチルセルロースナトリウム(sodium carbomethylcellulose)などのセルロース組成物;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの生理学的に許容されるポリマーが含まれる。架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウムなどのそれらの塩などの崩壊剤もまた、添加されてもよい。
錠剤またはカプセルは、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、スクロース、グルコース、ソルビトール、デンプン、ガム、カオリン、およびトラガカント);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、またはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプン、安息香酸ナトリウム、L−ロイシン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリカ);錠剤崩壊剤(例えば、デンプン、ジャガイモデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、糖、セルロース誘導体、シリカ粉末);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤と共に従来の手段によって調製されてもよい。錠剤は当該分野において周知の方法によってコーティングされ得る。コーティングシェルが存在してもよく、一般的な膜には、限定されないが、ポリラクチド、ポリグリコール酸、ポリ無水物、他の生分解性ポリマー、アルギン酸−ポリリシン−アルギン酸(APA)、アルギン酸−ポリメチレン−co−グアニジン−アルギン酸(A−PMCG−A)、ヒドロキシメチルアクリレート−メチルメタクリレート(hydroymethylacrylate−methyl methacrylate)(HEMA−MMA)、多層HEMA−MMA−MAA、ポリアクリロニトリル塩化ビニル(PAN−PVC)、アクリロニトリル/メタリルスルホン酸ナトリウム(AN−69)、ポリエチレングリコール/ポリペンタメチルシクロペンタシロキサン/ポリジメチルシロキサン(PEG/PD5/PDMS)、ポリN,N−ジメチルアクリルアミド(PDMAAm)、封入シリカ、硫酸セルロース/アルギ酸ナトリウム/ポリメチレン−co−グアニジン(CS/A/PMCG)、酢酸フタル酸セルロース、アルギン酸カルシウム、k−カラギーナン−ローカストビーンガムゲルビーズ、ジェラン−キサンタンビーズ、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、カラギーナン、デンプンポリ−無水物、デンプンポリメタクリレート、ポリアミノ酸、および腸溶コーティングポリマーが含まれる。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、消化管または消化管の特定の領域、例えば大腸に放出するために腸溶コーティングされる。胃から結腸までの典型的なpHプロファイルは、約1〜4(胃)、5.5〜6(十二指腸)、7.3〜8.0(回腸)、および5.5〜6.5(結腸)である。いくつかの疾患では、pHプロファイルは変更されてもよい。いくつかの実施形態では、コーティングは放出部位を特定するために特定のpH環境で分解される。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのコーティングが使用される。いくつかの実施形態では、外側コーティングおよび内側コーティングは異なるpHレベルにて分解される。
経口投与用の液体調製物は、使用前に水または他の適切なビヒクルを用いて構成するための溶液、シロップ、懸濁剤、または乾燥製剤の形態を取ることができる。このような液体調製物は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または硬化食用油脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンドオイル、油性エステル、エチルアルコール、または分画植物油);および防腐剤(例えば、メチルもしくはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)などの薬学的に許容される薬剤を用いて従来の手段によって調製され得る。調製物はまた、必要に応じて緩衝塩、香味料、着色剤、および甘味剤を含有してもよい。経口投与用の調製物は、本明細書に記載される遺伝子操作された細菌の徐放、制御放出、または持続放出のために適切に製剤化され得る。
一実施形態では、本開示の遺伝子操作された細菌は、小児対象への投与に適した組成物に製剤化され得る。当該分野において周知のように、子供は、異なる胃内容排出速度、pH、胃腸透過性など含む、多くの態様において成人と異なる(Ivanovskaら、2014年)。さらに、小児の製剤許容性ならびに投与経路および味覚特質などの好みが、許容される小児の服薬順守を達成するのに重要である。したがって、一実施形態では、小児対象への投与に適した組成物は、飲み込みやすいもしくは溶解可能な剤形、または香味料、甘味料、もしくは味覚遮断剤を加えた組成物などの、より口当たりの良い組成物を含んでもよい。一実施形態では、小児対象への投与に適した組成物はまた、成人への投与にも適していてもよい。
一実施形態では、小児対象への投与に適した組成物は、溶液、シロップ、懸濁剤、エリキシル剤、懸濁剤または溶液として復元するための粉末、分散性/発泡性錠剤、チュアブル錠、グミキャンディー、ロリポップ、アイスキャンディー、トローチ、チューインガム、経口薄片、口腔内崩壊錠、サシェ、軟質ゼラチンカプセル、散剤経口粉末、または顆粒を含んでもよい。一実施形態では、組成物は、キャンディー弾力性、所望のかみごたえのある稠度(chewy consistency)、およびより長い保存期間を与える、ゼラチンベースから作製されたグミキャンディーである。いくつかの実施形態では、グミキャンディーはまた、甘味料または香味料を含んでもよい。
一実施形態では、小児対象への投与に適した組成物は香味料を含んでもよい。本明細書において使用される場合、「香味料」は、製剤に明確な味および香りを与える物質(液体または固体)である。香味料はまた、製剤の嗜好性を改善するのにも役立つ。香味料には、限定されないが、イチゴ、バニラ、レモン、ブドウ、バブルガム、およびチェリーが含まれる。
特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、例えば、不活性希釈剤または吸収可能な食用担体と共に経口投与されてもよい。化合物はまた、硬質または軟質シェルゼラチンカプセルに封入されてもよく、錠剤に圧縮されてもよく、または対象の食事に直接組み込まれてもよい。経口治療投与のために、化合物は賦形剤と共に組み込まれてもよく、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、ウエハーなどの形態で使用されてもよい。非経口投与以外によって化合物を投与するために、その不活性化を阻止するために物質で化合物をコーティングするか、または物質と共に化合物を同時投与することが必要な場合がある。
別の実施形態では、本発明の組換え細菌を含む医薬組成物は、食べられる製品、例えば食品であってもよい。一実施形態では、食品は、ミルク、濃縮乳、発酵乳(ヨーグルト、酢乳、フローズンヨーグルト、乳酸菌発酵飲料)、粉ミルク、アイスクリーム、クリームチーズ、ドライチーズ、豆乳、発酵豆乳、野菜−果物ジュース、果物ジュース、スポーツドリンク、菓子、キャンディー、乳児用食品(乳児用ケーキなど)、栄養食品、動物飼料、または栄養補助食品である。一実施形態では、食品は発酵乳製品などの発酵食品である。一実施形態では、発酵乳製品はヨーグルトである。別の実施形態では、発酵乳製品は、チーズ、ミルク、クリーム、アイスクリーム、ミルクセーキ、またはケフィアである。別の実施形態では、本発明の組換え細菌は、プロバイオティクスとして機能することが意図される他の生細菌細胞を含有する調製物中に組み合わされる。別の実施形態では、食品は飲料である。一実施形態では、飲料は、果物ジュースベースの飲料または植物もしくはハーブ抽出物を含有する飲料である。別の実施形態では、食品はゼリーまたはプディングである。本発明の組換え細菌の投与に適した他の食品は当該分野において周知である。例えば、それらの各々の全内容が参照により本明細書に明確に組み込まれる米国特許出願公開第2015/0359894号および米国特許出願公開第2015/0238545号を参照のこと。さらに別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、パン、ヨーグルト、またはチーズなどの食品に注入され、噴霧され、または振りかけられる。
いくつかの実施形態では、組成物は、腸溶コーティングされているか、またはコーティングされていない、ナノ粒子、ナノカプセル、マイクロカプセル、または微小錠剤によって、腸内投与、空腸内投与、十二指腸内投与、回腸内投与、胃バイパス投与、または結腸内投与用に製剤化される。医薬組成物はまた、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤の基剤を使用して、坐剤または停留浣腸などの直腸組成物に製剤化されてもよい。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、溶液、またはエマルションであってもよく、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤を含有してもよい。
本明細書に記載される遺伝子操作された細菌は、鼻腔内投与されてもよく、エアロゾル形態、噴霧、ミストで、または液滴の形態で製剤化されてもよく、便宜上、適切な推進剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガス)を使用して加圧パックまたは噴霧器からエアロゾル噴霧提示の形態で送達されてもよい。加圧エアロゾル投薬単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。吸入具または注入器における使用のための(例えば、ゼラチンの)カプセルおよびカートリッジは、化合物およびラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤の粉末混合物を含有して製剤化されてもよい。
遺伝子操作された細菌は、デポー製剤として投与され、製剤化されてもよい。このような長時間作用する製剤は、移植または静脈内注射、皮下注射、局所注射、直接注射、もしくは点滴を含む、注射によって投与されてもよい。例えば、組成物は、適切なポリマーもしくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルションとして)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは難溶性誘導体として(例えば、難溶性塩として)製剤化されてもよい。
いくつかの実施形態では、単回剤形の薬学的に許容される組成物が本明細書に開示される。単回剤形は液体または固体形態であってもよい。単回剤形は、修飾せずに患者に直接投与されてもよいか、または投与前に希釈もしくは復元されてもよい。特定の実施形態では、単回剤形は、複数の錠剤、カプセル、丸薬などを含む経口用量を含む、ボーラス形態、例えば、単回注射、単回経口用量で投与されてもよい。代替の実施形態では、単回剤形は、例えば点滴によって一定の期間にわたって投与されてもよい。
医薬組成物の単回剤形は、医薬組成物をより少ない一定量、単回投与容器、単回投与液体形態、または腸溶コーティングされてもよいか、もしくはコーティングされていなくてもよい、錠剤、顆粒、ナノ粒子、ナノカプセル、マイクロカプセル、微小錠剤、ペレット、もしくは粉末などの単回投与固体形態に分けることによって調製されてもよい。固体形態の単回用量は、患者に投与する前に液体、典型的には滅菌水または生理食塩水を加えることによって復元されてもよい。
他の実施形態では、組成物は制御放出または持続放出系において送達され得る。一実施形態では、ポンプが制御または持続放出を達成するために使用されてもよい。別の実施形態では、ポリマー材料が本開示の治療の制御または持続放出を達成するために使用されてもよい(例えば、米国特許第5,989,463号を参照のこと)。持続放出製剤に使用されるポリマーの例には、限定されないが、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコライド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド−co−グリコライド)(PLGA)、およびポリオルトエステルが含まれる。持続放出製剤に使用されるポリマーは、不活性で、浸出可能な不純物を含まず、保管時に安定であり、滅菌され、生分解性であり得る。いくつかの実施形態では、制御または持続放出系は予防または治療標的に近接して配置されてもよく、それによって全身用量の一部しか必要とされない。当業者に公知の任意の適切な技術が使用されてもよい。
投薬レジメンは治療応答を提供するように調節されてもよい。投薬は、疾患の重症度および応答性、投与経路、治療の時間的経過(数日から数カ月から数年)、および疾患の改善時期を含む、いくつかの要因に依存し得る。例えば、単一ボーラスが一度に投与されてもよく、いくつかの分割用量が所定の期間にわたって投与されてもよく、または用量は、治療状況によって示されるように減少もしくは増加されてもよい。投薬量についての仕様は活性化合物の特有の特徴および達成される特定の治療効果によって決定される。投薬量の値は、軽減されるべき状態の種類および重症度によって変わり得る。任意の特定の対象について、特定の投薬レジメンは、個々の必要性および治療を行う医師の専門的判断に従って経時的に調節されてもよい。本明細書において提供される化合物の毒性および治療効果は、細胞培養または動物モデルにおける標準的な薬剤的手順によって決定され得る。例えば、LD50、ED50、EC50、およびIC50が決定され得、毒性と治療効果との間の用量比(LD50/ED50)が治療指数として計算され得る。有毒な副作用を示す組成物が、副作用を低減させるために潜在的な損傷を最小化するための注意深い変更を行って使用されてもよい。投薬は最初に細胞培養アッセイおよび動物モデルから推定されてもよい。in vitroおよびin vivoアッセイならびに動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のための広範な投薬量を決定する際に使用され得る。
成分は、別個に、または例えば、活性剤の量を示すアンプルもしくはサシェなどの密閉容器中の乾燥した凍結乾燥粉末もしくは水を含まない濃縮物として、単位剤形で一緒に混合されて供給される。投与様式が注射による場合、注射のための滅菌水または生理食塩水のアンプルが、成分が投与前に混合され得るように提供され得る。
医薬組成物は薬剤の量を示すアンプルまたはサシェなどの密封容器にパッケージ化されてもよい。一実施形態では、医薬組成物の1つまたは複数は、密閉容器中の乾燥滅菌した凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として供給され、対象への投与のために適切な濃度に(例えば水または生理食塩水を用いて)復元され得る。一実施形態では、予防もしくは治療剤または医薬組成物の1つまたは複数は、2℃から8℃の間で保存された密閉容器中の乾燥滅菌凍結乾燥粉末として供給され、復元後、1時間以内、3時間以内、5時間以内、6時間以内、12時間以内、24時間以内、48時間以内、72時間以内、または1週間以内に投与される。凍結乾燥剤形のために原則として0〜10%のスクロース(最適には0.5〜1.0%)の抗凍結剤が含まれてもよい。他の適切な抗凍結剤には、トレハロースおよびラクトースが含まれる。他の適切な増量剤には、グリシンおよびアルギニン(それらのいずれも0〜0.05%の濃度で含まれてもよい)、ならびにポリソルベート−80(最適には0.005〜0.01%の濃度で含まれる)が含まれる。さらなる界面活性剤には、限定されないが、ポリソルベート20およびBRIJ界面活性剤が含まれる。医薬組成物は注射溶液として調製されてもよく、吸収または分散を増加させるために使用されるアジュバント、例えばヒアルロニダーゼなどの、アジュバントとして有用な薬剤をさらに含んでもよい。
治療方法
本開示の別の態様は、高フェニルアラニン血症に関連する疾患または高フェニルアラニン血症に関連する症状の治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、高フェニルアラニン血症に関連する疾患または高フェニルアラニン血症に関連する症状の治療方法を提供し、それを必要とする対象に、本明細書に開示される操作された細菌を含む組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、高フェニルアラニン血症に関連する疾患または高フェニルアラニン血症に関連する症状の治療方法を提供し、それを必要とする対象に操作された細菌を含む組成物を投与することを含み、操作された細菌は、1つ以上のPME(例えば、PAHおよび/またはPAHおよび/または、LAAD)をコードする遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、高フェニルアラニン血症に関連する疾患または高フェニルアラニン血症に関連する症状の治療方法を提供し、それを必要とする対象に操作された細菌を含む組成物を投与することを含み、操作された細菌は、1つまたは複数のPME(例えば、PAHおよび/またはPAHおよび/または、LAAD)をコードする遺伝子配列、ならびに1つ以上のPheトランスポーターをコードする遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、本開示は、高フェニルアラニン血症に関連する疾患または高フェニルアラニン血症に関連する症状の治療方法を提供し、それを必要とする対象に操作された細菌を含む組成物を投与することを含み、操作された細菌は、1つ以上のPME(例えば、PAHおよび/またはPAH、および/またはLAAD)をコードする遺伝子配列、ならびに必要に応じて1つ以上のPheトランスポーターをコードする遺伝子配列を含む。上記の1つ以上のPMEをコードする遺伝子配列は、誘導性プロモーター、例えば、本明細書に記載のいずれかの誘導性プロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、本開示は、高フェニルアラニン血症に関連する疾患または高フェニルアラニン血症に関連する症状の治療方法を提供し、それを必要とする対象に操作された細菌を含む組成物を投与することを含み、操作された細菌は、1つ以上のPME(例えば、PAHおよび/またはPAH、および/またはLAAD)をコードする遺伝子配列、ならびに必要に応じて1つ以上のPheトランスポーターをコードする遺伝子配列を含む。上記の1つ以上のPMEをコードする遺伝子配列は誘導性プロモーターの制御下にあり、上記の1つ以上のPheトランスポーターをコードする遺伝子配列は誘導性プロモーターの制御下にあり、誘導性プロモーターは、例えば、本明細書に記載のいずれかの誘導性プロモーターである。遺伝子配列は、同一または異なる誘導性プロモーターの制御下にあり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のPME(例えば、PAHおよび/またはPAH、および/またはLAAD)をコードする1つ以上の遺伝子配列は、構成的プロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、1つ以上のPheトランスポーターをコードする1つ以上の遺伝子配列は、構成的プロモーターの制御下にある。他の実施形態では、細菌は、以下の1つ以上を含み得る:1つ以上の栄養要求性、1つ以上の死滅スイッチ、遺伝子ガードコンポーネント、および/または抗生物質耐性
いくつかの実施形態では、疾患は、フェニルケトン尿症、古典的または典型的フェニルケトン尿症、異型フェニルケトン尿症、永続的軽度高フェニルアラニン血症、非フェニルケトン尿症高フェニルアラニン血症、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ欠損症、補因子欠損症、ジヒドロプテリジンレダクターゼ欠損症、テトラヒドロプテリンシンターゼ欠損症および瀬川病からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、高フェニルアラニン血症はその他の疾患、例えば、肝疾患に続発する。いくつかの実施形態では、本発明は、限定はしないが、神経障害、知能障害、脳症、てんかん、湿疹、成長障害(reduced growth)、小頭症、振戦、四肢痙縮および/または色素沈着低下を含む、これらの疾患に関連する1つまたは複数の症状(複数可)を低減、回復させるか、または排除するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、治療する対象は、ヒト患者である。
特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は、高フェニルアラニン血症、例えば、PKUに関連する疾患または障害を治療するために、食餌中のフェニルアラニンを代謝することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は食物タンパク質と同時に送達する。その他の実施形態では、遺伝子操作された細菌は食物タンパク質と同時には送達しない。研究によって、小腸への膵分泌およびその他の腺分泌物は、高レベルのタンパク質、酵素およびポリペプチドを含有し、これらの異化反応の結果として産生されるアミノ酸は「腸管再循環」として知られるプロセスで血中に再吸収されることが示された(Chang、2007年;Sarkissian等、1999年)。したがって、小腸内の高いフェニルアラニンレベルは部分的には食物摂取とは無関係である可能性があり、PALによる分解に利用され得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌および食物タンパク質は、絶食またはフェニルアラニン制限食の期間後に送達する。これらの実施形態では、高フェニルアラニン血症に罹患している患者は、実質的に通常の食事またはフェニルアラニンを含まない食事よりも制限の少ない食事を再開することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、高フェニルアラニン血症、例えば、PKUに関連する疾患を治療するために、他の原料、例えば、血液からフェニルアラニンを代謝することができる。これらの実施形態では、遺伝子操作された細菌は食物タンパク質と同時に送達する必要はなく、例えば、血液から消化管までフェニルアラニン勾配が形成され、遺伝子操作された細菌がフェニルアラニンを代謝し、高フェニルアラニン血症を低減させる。
この方法は、本明細書で記載した細菌の少なくとも1種の遺伝子操作された種、株、またはサブタイプを含む医薬組成物を調製し、この医薬組成物を治療有効量で対象に投与することを含むことができる。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、例えば、液体懸濁液で経口投与する。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、ジェルカップで凍結乾燥し、経口投与する。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、栄養チューブまたは胃シャントによって投与する。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、直腸内、例えば、浣腸剤によって投与する。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作された細菌は、局所的、小腸内、空腸内、十二指腸内、回腸内および/または結腸内に投与する。
特定の実施形態では、本明細書で記載した医薬組成物は、対象のフェニルアラニンレベルを低減させるために投与する。いくつかの実施形態では、本発明の開示の方法は、対象のフェニルアラニンレベルを未治療または対照の対象のレベルと比較して少なくとも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ超低減させる。いくつかの実施形態では、低減は医薬組成物の投与前後の対象のフェニルアラニンレベルを比較することによって測定する。いくつかの実施形態では、高フェニルアラニン血症を治療または回復させる方法は、状態または障害の1つまたは複数の症状を少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ超改善させる。
医薬組成物の投与前、投与中および投与後に、対象のフェニルアラニンレベルは、血液、血清、血漿、尿、腹水、脳脊髄液、糞便、小腸粘膜擦過物、組織から収集した試料および/または以下の1つまたは複数の内容物:胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、結腸、直腸および肛門管から収集した試料などの生物学的試料で測定することができる。いくつかの実施形態では、方法には、フェニルアラニンを低減させるために本発明の組成物を投与することを含めることができる。いくつかの実施形態では、方法には、対象におけるフェニルアラニンを検出不可能なレベルに低減させるために、本発明の組成物を投与することを含めることができる。いくつかの実施形態では、方法には、フェニルアラニン濃度を検出不可能なレベル、または治療前の対象のフェニルアラニンレベルの約1%、2%、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%もしくは80%未満に低減させるために、本発明の組成物を投与することを含めることができる。
対象の馬尿酸レベルは、血液、血清、血漿、尿、腹腔液、脳脊髄液、糞便物質、腸粘膜掻爬物、組織から採取した試料、および/または以下のうちの1つ以上の内容物から採取した試料などの生体試料中において測定することができる:胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、結腸、直腸および肛門管。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、フェニルアラニンを低減し、馬尿酸産生レベルの増加をもたらすために、本発明の組成物を投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、対象においてフェニルアラニンを検出不能レベルまで低下させ、それと共に馬尿酸レベル(例えば、尿中の)を比例的に増加させるために、本発明の組成物を投与することを含み得る。いくつかの実施形態において、本方法は、本発明の組成物を投与することを含むことができ、治療前の対象の尿中の馬尿酸レベルの約1%、2%、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%以上、または99%までもしくは100%までの増加をもたらす。
いくつかの実施形態では、馬尿酸の産生量およびその蓄積速度を測定することによって、哺乳動物被験体(例えば、動物モデルまたはヒト)の尿中において、PALを発現する遺伝子操作された細菌の活性(例えば、フェニルアラニン分解活性)を検出することができる。馬尿酸はPAL特異的な分解産物であり、ヒト尿中に通常は低濃度で存在する。馬尿酸は、PAL経路を介したフェニルアラニンの代謝の最終産物である。フェニルアラニンアンモニアリアーゼは、フェニルアラニンのケイ皮酸への変換を媒介する。ケイ皮酸は消化管内で産生されると、吸収されて肝臓で速やかに馬尿酸に変換され、肝臓で排出される(Hoskins JAおよびGray、Phenylalanine ammonia lyase in the management of phenylketonuria: the relationship between ingested cinnamate and urinary hippurate in humans.J Res Commun Chem Pathol Pharmacol.1982年2月; 35巻(2):275−82頁)。フェニルアラニンは1:1の比で馬尿酸に変換される。すなわち1モルのPheが1モルの馬尿酸に変換される。したがって、尿中の馬尿酸レベルの変化は、前記のメカニズムを利用する療法の効果の非侵襲的尺度として使用することができる。
したがって、馬尿酸は、PALベースのレジメンを受けている患者において、食事の順守および治療効果をモニタリングを可能にするバイオマーカーとして機能する可能性を有する。患者の管理において、馬尿酸は、血液Pheレベル測定の補助として使用することができる。また、馬尿酸は尿バイオマーカーであるため、特に子供のタンパク質摂取量を調整するうえで、利点を有しうる−成長に基づいてニーズが変化するため、困難でありうる。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、被験体の尿中の馬尿酸レベルを未処置またはコントロールの被験体のレベルと比べて、少なくとも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上、増加させる。いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物の投与前後の被験体における馬尿酸レベルを比較することによって、当該増加量を測定する。
このセクションでは、「PALベースの薬物」という用語は、PAL活性を有する任意の薬物、ポリペプチド、生物学的または治療レジメン、例えばPEG−PAL、Kuvan、本開示の細菌(例えば、PALおよび場合によってはPhePトランスポーターをコードする細菌)を含む組成物を指す。いくつかの実施形態では、本開示は、被験体、例えば哺乳動物被験体にPALベースの薬物を投与し、PAL活性の尺度として被験体において産生される馬尿酸量を測定することによって、in vivoでPAL活性を測定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、被験体、例えば哺乳動物被験体にPALベースの薬物を投与し、PAL治療活性の尺度として被験体において産生される馬尿酸量を測定することによって、PALベースの薬物の治療活性をモニタリングする方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、被験体、例えば哺乳動物被験体にPALベースの薬物を投与し、PAL活性を決定するために被験体において産生される馬尿酸量を測定して、被験体におけるPAL活性を増加または減少させるために薬物の投薬量を調整(例えば、増加または減少)することによって、PALベースの薬物の用量を調節する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、高フェニルアラニン血症を有する被験体のタンパク質摂取および/または食事を調整する方法を提供し、被験体へのPALベースの薬物の投与、被験体の馬尿酸生成量の測定、被験体におけるPAL活性を増加または減少させるために被験体のタンパク質摂取を調整すること、もしくは被験体の食事を調節することを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、高フェニルアラニン血症を有する被験体のタンパク質摂取および/または食事療法に対する遵守を確認するための方法を提供し、被験体へのPALベースの薬物投与、被験体の馬尿酸生成量の測定、およびPAL被験におけるPAL活性の測定を含む。
本明細書中に開示される方法のいくつかの実施形態において、血液中のフェニルアラニンレベルおよび尿中の馬尿酸レベルの両方が被験体においてモニターされる。いくつかの実施形態では、フェニルアラニンの分解速度を決定するために、血液中のフェニルアラニンおよび尿中の馬尿酸を複数の時点で測定する。いくつかの実施形態では、尿中の馬尿酸レベルを用いて、動物モデルにおけるPAL活性または株活性を評価する。
いくつかの実施形態において、尿中の馬尿酸測定は、単独で、または血液フェニルアラニン測定と組み合わせて、作用の機構を証明するために株に使用される。いくつかの実施形態では、尿中の馬尿酸測定を、単独または血中フェニルアラニン測定と組み合わせて、株におけるPAL活性およびLAAD活性を区別するためのツールとして使用し、全株活性に対する各酵素の寄与を決定することができる。
いくつかの実施形態では、尿中の馬尿酸測定を単独で、または血液フェニルアラニン測定と組み合わせて使用して、動物モデルおよびヒト被験体における安全性を評価する。いくつかの実施形態では、尿中の馬尿酸測定を、単独または血液フェニルアラニン測定と組み合わせて、所望の薬理学的効果および安全性のための用量応答および最適レジメンの評価に使用する。いくつかの実施形態において、尿中の馬尿酸測定は、単独で、または血液フェニルアラニン測定と組み合わせて、有効性および/または毒性の代替エンドポイントとして使用される。いくつかの実施形態では、尿中の馬尿酸測定を、単独で、または血液フェニルアラニン測定と組み合わせて使用して、治療菌株を含むレジメンに対する患者の応答を予測する。いくつかの実施形態において、尿中の馬尿酸測定は、単独で、または血液フェニルアラニン測定と組み合わせて、薬物療法に応答する可能性のある特定の患者集団の同定のために使用される。いくつかの実施形態において、尿中の馬尿酸測定は、単独または血中フェニルアラニン測定と組み合わせて、特定の有害作用を回避するために使用される。いくつかの実施形態において、尿中の馬尿酸測定は、単独で、または血液フェニルアラニン測定と組み合わせると、患者選択に有用である。
いくつかの実施形態では、PALを発現する治療用PKU株の投与を含むレジメンで、PKU患者のタンパク質摂取/食事を調節するための1つの方法として、尿中の馬尿酸測定を、単独で、または血液フェニルアラニン測定と組み合わせて使用する。
いくつかの実施形態では、単独または血液フェニルアラニン測定と組み合わせた馬尿酸の尿レベルの測定を用いて、組換えPALの活性を測定および/またはモニターする。いくつかの実施形態において、馬尿酸の尿レベルの測定は、組換えペグ化PAL(Peg−PAL)の活性を測定および/またはモニターするために使用される。いくつかの実施形態では、単独または血液フェニルアラニン測定と組み合わせた馬尿酸の尿レベルの測定は、本明細書に記載されている治療菌株と組み合わせて投与される組換えPALの活性を測定および/またはモニターするために使用される。
いくつかの実施形態において、尿中の馬尿酸測定は、単独で、または血液フェニルアラニン測定と組み合わせて、他のバイオマーカー、例えば臨床安全性バイオマーカーと併用される。そのような安全性マーカーの非限定的な例には、身体検査、バイタルサイン、および心電図(ECG)が含まれる。他の非限定的な例には、当該分野で公知の肝臓安全性試験、例えば血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アルカリホスファターゼ(ALP)、ガンマ−グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)およびビリルビンが含まれる。このようなバイオセイフティーマーカーには、腎臓安全性試験、例えば当該分野で公知のもの、例えば血中尿素窒素(BUN)、血清クレアチニン、糸球体濾過率(GFR)、クレアチニンクリアランス、血清電解質(ナトリウム、カリウム、塩化物および重炭酸塩)、および徹底的な尿分析(色、pH、比重、グルコース、タンパク質、ケトン体、および血液、白血球、外観の顕微鏡検査)、ならびにシスタチン−c、β2−ミクログロブリン、尿酸、クラスタリン、N−アセチル−β−D−グルコサミニダーゼ、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、N−アセチル−β−D−グルコサミニダーゼ(NAG)、および腎臓損傷分子−1(KIM−1)が含まれる。他の非限定的な例には、当該分野で公知の血液学的安全性バイオマーカー、例えば、全血球数、全ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数、平均赤血球体積、平均細胞ヘモグロビン、赤血球分布幅%、平均細胞ヘモグロビン濃度、総白血球数、特定の白血球数(好中球、リンパ球、好塩基球、好酸球および単球)および血小板が含まれる。他の非限定的な例には、当該分野で公知の骨安全性マーカー、例えば、血清カルシウムおよび無機リン酸が含まれる。他の非限定的な例には、当該分野で公知の基本代謝安全性バイオマーカー、例えば、血糖、トリグリセリド(TG)、総コレステロール、低密度リポタンパク質コレステロール(LDLc)、および高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−c)が含まれる。当該分野で公知の他の特異的安全性バイオマーカーには、例えば、血清免疫グロブリンレベル、C反応性タンパク質(CRP)、フィブリノーゲン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、チロキシン、テストステロン、インスリン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クレアチンキナーゼ(CK)およびそのアイソザイム、心臓トロポニン(cTn)、およびメトヘモグロビンが含まれる。
いくつかの実施形態において、LAADを発現する遺伝子操作された細菌の活性は、糞便中で特異的に検出され、他の大腸菌株と区別することができる。この目的のために、フェニルアラニンデアミナーゼ試験「フェニルアラニンアガースラント(Phenylalanine Agar Slant)」を使用することができる。微生物がフェニルアラニンを消費して、フェニルアラニンをフェニルピルビン酸に変換できるかどうかを決定するために、フェニルアラニンアガーが用いられる。フェニルアラニンアガー上に試料を含むチューブに試験化学物質を添加すると、フェニルピルビン酸が緑色化合物に変換され、検査が陽性であることを示す。野生型大腸菌は、フェニルアラニンからフェニルピルビン酸を生成可能な酵素をコードしないので、フェニルピルビン酸を生成せず、他の大腸菌株との区別が可能である。そのため、野生型大腸菌は、フェニルピルビン酸を産生しない。遺伝子操作された細菌は、当該分野で公知のPCRベースの検査によって、フェニルピルビン酸を産生することができる他の細菌種と区別することができる。例えば、種に特異的な配列を増幅することができる。例えば、様々な細菌の保存領域を増幅するユニバーサルPCRは、検体のスクリーニングにおいて病原体を検出するのに理想的である。この目的のために、16S rRNA遺伝子の保存領域を、ユニバーサルPCRの標的遺伝子として使用することができる;16S rRNA遺伝子は種特異的領域を含み、当該領域によって多数の細菌種を区別することができる。
いくつかの実施形態では、フェニルアラニンデアミナーゼ試験を使用して、糞便サンプル中の遺伝子操作された細菌を検出することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌を他の細菌種と区別するためにPCRに基づく試験を行うことができる。
いくつかの実施形態では、ペイロード、例えばPMEおよび/またはPhePを産生するための遺伝子、遺伝子(複数可)または遺伝子カセットのmRNA発現レベルを増幅、検出および/または定量化するために、定量的PCR(qPCR)を使用する。プライマーは、当該分野で公知の方法に従って、サンプル中のmRNAを検出するために設計および使用され得る。いくつかの実施形態では、ペイロードRNAを含み得るサンプル反応混合物にフルオロフォアを添加し、サーマルサイクラーを使用してサンプル反応混合物を特定波長の光で照射し、フルオロフォアによるその後の発光を検出する。反応混合物を所定の時間、所定の温度に加熱および冷却する。特定の実施形態では、加熱および冷却を所定のサイクル数繰り返す。いくつかの実施形態では、反応混合物を所定のサイクル数、90〜100℃、60〜70℃、および30〜50℃に加熱および冷却する。特定の実施形態では、反応混合物を所定のサイクル数、93〜97℃、55〜65℃、および35〜45℃に加熱および冷却する。いくつかの実施形態において、蓄積アンプリコンは、qPCRの各サイクルの後に定量化される。蛍光が閾値を超えるサイクル数が閾値サイクル(CT)である。各サンプルについて少なくとも1つのCT結果が生成され、当該CT結果はペイロードのmRNA発現レベルを決定するために使用され得る。
いくつかの実施形態では、ペイロードのmRNA発現レベルを増幅、検出、および/または定量化するために、定量的PCR(qPCR)を使用する。プライマーは、当該分野で公知の方法に従って、サンプル中のmRNAを検出するために設計および使用され得る。いくつかの実施形態では、ペイロード(複数可)、例えばPMEおよび/またはPhePおよび/またはFNRS24Y、mRNAを含有し得るサンプル反応混合物にフルオロフォアを添加し、サーマルサイクラーを用いてサンプル反応混合物を特定波長の光で照射し、フルオロフォアによるその後の発光を検出する。反応混合物を所定の時間、所定の温度に加熱および冷却する。特定の実施形態では、加熱および冷却を所定のサイクル数繰り返す。いくつかの実施形態では、反応混合物を所定のサイクル数、90〜100℃、60〜70℃、および30〜50℃に加熱および冷却する。特定の実施形態では、反応混合物を所定のサイクル数、93〜97℃、55〜65℃、および35〜45℃に加熱および冷却する。いくつかの実施形態において、蓄積アンプリコンは、qPCRの各サイクルの後に定量化される。蛍光が閾値を超えるサイクル数が閾値サイクル(CT)である。各試料について少なくとも1つのCT結果が生成され、当該CT結果は、ペイロード、例えばPMEおよび/またはPhePおよび/またはFNRS24YのmRNA発現レベルを決定するために使用され得る。
特定の実施形態では、遺伝子操作された細菌は大腸菌Nissleである。遺伝子操作された細菌は、例えば、消化管内もしくは血清中の防御因子によって(Sonnenborn等、2009年)、または死滅スイッチの活性化によって、投与の数時間または数日後に破壊されることがある。したがって、遺伝子操作された細菌を含む医薬組成物は、治療有効用量および頻度で再投与してもよい。マウスにおいてin vivoにおけるNissleの滞留期間の長さを図68に示す。他の実施形態では、遺伝子操作された細菌は投与後の数時間以内または数日以内に破壊されず、消化管で増殖して定着することができる。
本発明の方法は、医薬組成物を単独で、または1つまたは複数の治療薬とさらに組み合わせて投与することを含むことができる。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、補因子テトラヒドロビオプテリン(例えば、クバン/サプロプテリン)、大型中性アミノ酸(例えば、チロシン、トリプトファン)、グリコマクロペプチド、プロバイオテック(例えば、VSL3)、酵素(例えば、ペグ化PAL)、および/またはフェニルケトン尿症の治療で使用されるその他の薬剤(Al HafidおよびChristodoulou、2015年)と併せて投与する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、1つまたは複数の組換えによって生成したPME酵素、例えば、組換えPAL、LAADまたはPAHと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、組換え酵素は、安定性および/または送達を改善するためにさらに製剤化する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌と組み合わせて投与する1つまたは複数のPME酵素はペグ化する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌と組み合わせて投与する1つまたは複数のPME酵素は融合タンパク質として送達する。このような融合タンパク質の非限定的な例は、PMEと細胞に取り込むための形質導入ドメインとの融合物である。このような形質導入ドメインまたは細胞貫通ペプチドの非限定的な例はTATペプチドである。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌と組み合わせて投与する1つまたは複数のPME酵素はナノ粒子中に製剤化する。このようなナノ粒子の非限定的な例は、デキストラン硫酸/キトサンPMEナノ粒子である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌と組み合わせて投与する1つまたは複数のPME酵素はPME小球体として送達する。このような小球体の非限定的な例は、アルギン酸バリウムPME小球体である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌と組み合わせて投与する1つまたは複数のPME酵素は非結晶性シリカPME粒子として送達する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPALと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAHと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はLAADと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPALおよびPAHと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPALおよびLAADと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAHおよびLAADと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAL、PAHおよびLAADと組み合わせて投与する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はペグ化PALと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はペグ化PAHと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はペグ化LAADと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAL融合タンパク質、例えば、細胞貫通ペプチドと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAH融合タンパク質、例えば、細胞貫通ペプチドと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はLAAD融合タンパク質、例えば、細胞貫通ペプチドと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAL−ナノ粒子と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAH−ナノ粒子と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はLAAD−ナノ粒子と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAL−小球体と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAH−小球体と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はLAAD−小球体と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAL−シリカ粒子と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はPAH−シリカ粒子と組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はLAAD−シリカ粒子と組み合わせて投与する。
いくつかの実施形態では、組換え酵素補充療法または置換療法、例えば、PAL、PAH、および/またはLAADを遺伝子操作された細菌なしに投与する。
いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPMEはPALである。いくつかの実施形態では、PALは、その内容全体を参考として本明細書に組み込んだSarkissian等、2011年、Mol Genet Metab.2011年11月;104(3):249〜254頁で記載された通りに改変する。いくつかの実施形態では、PALはAv−p.C503S/p.C565S/p.F18A PALである。いくつかの実施形態では、PALはPEG−Av−p.C503S/p.C565S/p.F18A PALである。
いくつかの実施形態では、PALはペグ化する。一実施形態では、ペグ化PALはアナベナ・バリアビリス由来である。一実施形態では、ペグ化PALはフォトラブダス・ルミネセンス由来である。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPMEはPAHである。一実施形態では、PAHはヒトPAHである。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPMEはLAADである。いくつかの実施形態では、投与したLAADタンパク質は、プロテウス・ミラビリスから得られる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のPMEはPALおよびPAHと組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPMEはPALおよびLAADである。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPMEはPAHおよびLAADである。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPMEはPAL、PAHおよびLAADである。
いくつかの実施形態では、組換え酵素は、安定性および/または送達を改善するためにさらに製剤化する。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPME酵素はペグ化する。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPME酵素は融合タンパク質として送達する。このような融合タンパク質の非限定的な例は、PMEと細胞に取り込むための形質導入ドメインとの融合物である。このような形質導入ドメインまたは細胞貫通ペプチドの非限定的な例はTATペプチドである。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPME酵素はナノ粒子中に製剤化する。このようなナノ粒子の非限定的な例は、デキストラン硫酸/キトサンPMEナノ粒子である。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPME酵素はPME小球体として送達する。このような小球体の非限定的な例は、アルギン酸バリウムPME小球体である。いくつかの実施形態では、投与した1つまたは複数のPME酵素は非結晶性シリカPME粒子として送達する。
いくつかの実施形態では、ペグ化PALを投与する。いくつかの実施形態では、ペグ化LAADを投与する。いくつかの実施形態では、プロテウス・ミラビリス由来のペグ化LAADを投与する。いくつかの実施形態では、ペグ化PAHを投与する。
一実施形態では、例えば、細胞貫通ペプチドとのPAL融合タンパク質を投与する。一実施形態では、例えば、細胞貫通ペプチドとのLAAD融合タンパク質を投与する。一実施形態では、例えば、細胞貫通ペプチドとのPAH融合タンパク質を投与する。いくつかの実施形態では、PALナノ粒子を投与する。いくつかの実施形態では、PAHナノ粒子を投与する。いくつかの実施形態では、LAADナノ粒子を投与する。いくつかの実施形態では、PAL小球体を投与する。いくつかの実施形態では、PAH小球体を投与する。いくつかの実施形態では、LAAD小球体を投与する。いくつかの実施形態では、PAL−シリカ粒子を投与する。いくつかの実施形態では、PAH−シリカ粒子を投与する。いくつかの実施形態では、LAAD−シリカ粒子を投与する。
いくつかの実施形態では、PME、例えば、PAH、PALおよび/またはLAADはアプロチニン、例えば、アプロチニン40mg/mlと共に製剤化する。
いくつかの実施形態では、PMEは遺伝子治療薬として送達する。いくつかの実施形態では、CRISPR技術を使用する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のPME、例えば、PAL、LAADおよび/またはPAHを送達するために、遺伝子治療ベクターを使用する。遺伝子治療ベクターは当業界では公知で、限定はしないが、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターが含まれる。あるいは、製剤化した、または裸のPME遺伝子DNAもしくはRNAを送達することができる。
1つまたは複数のさらなる治療薬の選択において肝心なことは、薬剤(複数可)が本発明の遺伝子操作された細菌と適合すること、例えば、薬剤(複数可)が細菌を妨害したり、死滅させたりしてはならないことである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は食物と一緒に投与する。他の実施形態では、医薬組成物は食物を食べる前後に投与する。医薬組成物は、1つまたは複数の食事の改善、例えば、低フェニルアラニン食と組み合わせて投与することができる。医薬組成物の投与量および投与頻度は、疾患の症状の重症度および進行に基づいて選択することができる。適切な治療有効用量および/または投与頻度は、治療する臨床医が選択することができる。
本発明の方法にはまた、本明細書で記載した医薬組成物を含むキットが含まれる。キットには、限定はしないが、使用説明書、その他の試薬、例えば、標識、さらなる治療薬、対象におけるフェニルアラニンレベルまたは高フェニルアラニン血症に関連するその他の分子もしくは代謝物のレベルを測定するための装置または材料、投与用に本発明の医薬組成物を調製するための装置またはその他の材料および対象に投与するための装置またはその他の材料を含む、1つまたは複数のその他の構成要素を含めることができる。使用説明書には、例えば、高フェニルアラニン血症の患者における推奨投与量および/または投与形式などの治療的応用のための指導を含めることができる。キットはさらに、1つまたは複数の別々の医薬品調製物において、少なくとも1つのさらなる治療薬、および/または適切ならば製剤化された本発明の1つまたは複数の遺伝子操作されたさらなる細菌株を含有することができる。
いくつかの実施形態では、キットは医薬組成物を対象に投与するために使用する。いくつかの実施形態では、キットは医薬組成物を単独で、または1つまたは複数のさらなる治療薬と組み合わせて対象に投与するために使用する。いくつかの実施形態では、キットは医薬組成物の対象への投与前、投与中、投与後の対象におけるフェニルアラニンレベル(例えば、血中フェニルアラニンレベル)を測定するために使用する。特定の実施形態では、キットは、血液フェニルアラニンレベルが増加するか、または異常に高いとき、医薬組成物を単独で、または1つまたは複数のさらなる治療薬と組み合わせて投与および/または再投与するために使用する。いくつかの実施形態では、高フェニルアラニン血症の診断シグナルは、少なくとも2mg/dL、少なくとも4mg/dL、少なくとも6mg/dL、少なくとも8mg/dL、少なくとも10mg/dL、少なくとも12mg/dL、少なくとも14mg/dL、少なくとも16mg/dL、少なくとも18mg/dL、少なくとも20mg/dLまたは少なくとも25mg/dLの血中フェニルアラニンレベルである。
表20は、古典的PKU患者の平均のフェニルアラニンレベルをベースにした、標的分解速度の非限定的例を示す。
[表20]
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.15から約8.01μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.15から約2μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.6から約8.01μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.2から約2.67μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.15から約0.6μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.22から約0.9μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.3から約1.21μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.54から約2.16μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約1.13から約4.53μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約1.84から約7.38μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約1.61から約6.43μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約2から約8.01μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約0.1から約1μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約1から約2μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約2から約3μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約3から約4μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約4から約5μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約5から約6μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約6から約7μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約7から約8μmol/10CFU/時間の標的分解速度を実現する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は0.15μmol/10CFU/時間未満の標的低減速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約8.01μmol/10CFU/時間超の標的低減速度を実現する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は約178mgと2382mgとの間の標的低減速度を実現する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は1.08mmolから14.42mmolの標的低減速度を実現する。いくつかの実施形態では、低減は1.08mmol未満である。いくつかの実施形態では、低減は14.42mmol超である。
いくつかの実施形態では、標的低減速度および標的分解速度は、古典的PKUフェニルアラニンレベルをベースにしている。いくつかの実施形態では、標的低減速度および標的分解速度は、軽度PKUで認められたフェニルアラニンレベルをベースにしている。いくつかの実施形態では、標的低減速度および標的分解速度は、軽度高フェニルアラニン血症で認められたフェニルアラニンレベルをベースにしている。
in vivoにおける治療
本発明の遺伝子操作された細菌は、in vivoにおいて、例えば動物モデルにおいて評価することができる。高フェニルアラニン血症に関連する疾患または疾患の任意の適切な動物モデルを使用することができる(例えば、Sarkissian等、1999年参照)。いくつかの実施形態では、動物モデルは、PKUのマウスモデルである。特定の実施形態では、PKUのマウスモデルは、PAH突然変異体BTBRマウス(BTBR−Pahenu2、Jackson Laboratories)である。これらの実施形態では、マウスモデルは、Pah遺伝子のエクソン7に化学的に(ENU)誘導したホモ接合体ミスセンス変異(T835C)を含有し、アミノ酸263のフェニルアラニンからセリンへの置換(F263S)を引き起こす。この残基は、結晶構造分析によって示されたようにPAH酵素の活性部位に位置し、PAH活性の完全な消失を引き起こす。通常の食餌では、これらの突然変異マウスは変化していない対照と比較して、血清フェニルアラニンレベルの10から20倍の増加を示す。本発明の遺伝子操作された細菌は、例えば、強制経口投与によって動物に投与することができ、治療の有効性は、例えば、治療前後の血中フェニルアラニンおよび/またはケイ皮酸塩を測定することによって判定する。動物モデルでは、GI管内での遺伝子操作された細菌の滞留時間は、ヒトにおける滞留時間よりも短いことがあることに注意されたい。動物を殺処分し、組織試料を収集して分析する。
細菌は、例えば、実施例に記載のように、1日1回以上、1週間に1回以上、ボーラスとして動物に投与することができる。あるいは、より長期的な投与、例えば、飲用水中に細菌を提供することによる、が望ましい場合があり得る。例えば、実施例(実施例44および45)に記載されているように、および当技術分野において記載されているように(例えば、Chenら、「Incorporation of therapeutically modified bacteria into gut microbiota inhibits obesity.」、J. Clin Invest.2014年; 124巻(8):3391−3406頁)、懸濁液中に細菌を維持するために、担体として0.125%ゼラチンを含む飲用水中において、細菌を提供することができる。
いくつかの実施形態において、遺伝子操作された細菌の投与から生じる潜在的な毒性を決定するために、薬物動態学試験および薬力学試験を、非ヒト霊長類において実施することができる。遺伝子操作された細菌の薬物動態および薬力学。そのような研究の非限定的な例を、実施例30および31に記載する。
スクリーニング方法
本開示のいくつかの実施形態では、遺伝子操作株は、例えば、PME酵素活性を増加させるか、または株がフェニルアラニンを取り込む能力を増加させるために、スクリーニング方法および選択方法を使用することによって改善することができる。いくつかの実施形態では、スクリーニングは、PME活性が改善した細菌株を作製するために役立つ。いくつかの実施形態では、スクリーニングは、フェニルアラニン取り込み能力が改善した細菌株を作製するために役立つ。いくつかの実施形態では、スクリーニングによって、PME活性が改善し、基質取り込みも増強された細菌株を同定することができる。使用することができるスクリーニング方法の非限定的例を本明細書で記載する。
生体分子を輸送する能力が増強した細菌株の作製
培養が簡単で、生成時間が短く、集団密度が非常に高く、ゲノムが小さいので、微生物は時間尺を短縮して特有の表現型に進化させることができる。適応実験室進化(ALE)は、好ましい表現型を有する株を進化させる選択圧下で微生物を継代する方法である。最も一般的には、炭素/エネルギー源の利用を増加させるか、または株を環境ストレス(例えば、温度、pH)に適合させて、それによって、炭素基質またはストレス下で増殖することができる突然変異株が、集団におけるあまり適合していない株を打ち負かし、最終的に集団で優位を占めるようにするために、ALEを適用する。
これと同じ方法を、栄養要求株を作製することによって任意の必須代謝物に適用することができる。栄養要求株は、必須代謝物を合成することができない株で、したがって、増殖するための培地に代謝物を供給しなければならない。この場合、栄養要求株を作製し低量の代謝物で継代することによって、得られた優位な株は、この必須代謝物を獲得して取り込む能力が高まっているはずである。
例えば、アミノ酸を産生する生合成経路が破壊された場合、前記アミノ酸を高い親和性で捕捉することができる株をALEによって進化させることができる。最初に、増殖を支持する最小限の濃度が確立するまで、栄養要求性アミノ酸の様々な濃度で株を増殖させる。次に、この株をこの最小限の濃度で継代し、アミノ酸濃度を規則正しい間隔で低下させて希釈した。徐々に、アミノ酸に対して−増殖限界濃度で−最も競争力がある細胞が優位な集団になる。これらの株はおそらくアミノ酸−トランスポーターに突然変異を有していて、必須かつ制限されているアミノ酸を取り込む能力が増強しているのだろう。
同様に、アミノ酸を形成するために上流の代謝物を使用することができない栄養要求株を使用することによって、上流の代謝物を効率的に取り込むことができるだけでなく、代謝物を必須の下流の代謝物に変換することができる株を進化させることができる。これらの株はまた、上流の代謝物の取り込みを増加させるように突然変異を進化させるが、下流の酵素の発現もしくは反応速度が増加した、または基質利用が競合する経路が低減した突然変異を含有していてもよい。
以前の実施例では、微生物に本来備わっている代謝物は栄養要求性変異によって必須となったので、内在性代謝物を増殖限界で補給することによって選択を行った。しかし、非天然化合物を消費することができる表現型は、その消費を必須化合物の産生に結びつけることによって進化させることができる。例えば、必須化合物または必須化合物の前駆体を産生することができる異なる生物の遺伝子を単離した場合、この遺伝子を組換えによって異種宿主に導入し、発現させることができる。この新たな宿主株はこうして以前の非代謝性基質から必須栄養素を合成する能力を有するようになる。これによって、すぐ下流の代謝物を変換することができない栄養要求株を作製し、非天然化合物の増殖限界量で選択して組換え酵素を同時発現させることによって、類似のALE方法を適用することができる。これは、非天然基質の輸送、異種酵素の発現および活性ならびに下流の天然酵素の発現および活性に突然変異を引き起こすこととなる。この方法の重要な必要条件は、非天然代謝物の消費を増殖に必須の代謝物の産生に結びつける能力であることを強調したい。
選択機構の基礎を確立し、補給の最小限レベルを確立したら、実際のALE実験を進めることができる。この方法全体を通じて、いくつかのパラメータは注意深くモニターしなければならない。培養物は指数増殖期で維持し、飽和/定常期に至らないようにすることが重要である。これは、増殖速度を各継代およびその後の希釈中に点検し、それに応じて調整しなければならないことを意味している。希釈が大幅になるような程度まで増殖速度が上昇したら、増殖速度が低下し、選択圧が増加し、継代中の小集団の偏りが大きくなるほど希釈が著しくならないように、栄養要求性補給の濃度を減少させるべきである。さらに、規則正しい間隔で細胞を希釈して、固体培地で増殖させ、ALE培養で認められる増殖速度表現型を確認するために個々のクローンを試験するべきである。
いつ停止するかを予測して、ALE実験を停止するにはまた用心を要する。進化誘導の成功は実験全体を通じて「スクリーニングした」突然変異体の数と直接結びつき、突然変異は一般的にDNA複製中のエラーの関数なので、累積した細胞分裂(CCD)はスクリーニングした突然変異体総数の代わりとなる。以前の研究によって、様々な炭素源で増殖させるために有益な表現型は約1011.2CCDで単離することができることが示された。この割合は、DNA複製エラーを増加させる原因となる化学的変異誘発物質、例えば、N−メチル−N−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)を培養物に添加することによって高めることができる。しかし、継代の継続が増殖速度の限界に達するか、または増殖速度の改善をもたらされない場合、集団の適応度はかなり最大に収束しており、ALE実験を停止することができる。
ALE実験の結果、細胞は希釈して、固体培地で単離して、培養フラスコの増殖表現型に合致する増殖表現型についてアッセイするべきである。次に、選択したもののうち最良の性能のものをゲノムDNAのために用意し、全ゲノム配列決定に送る。配列決定によって、改善した表現型をもたらすことができるゲノム全体に生じた突然変異を明らかにするはずであるが、サイレント変異(利益はもたらさないが、所望する表現型を損なわない変異)も含まれるはずである。NTGまたはその他の化学的変異誘発物質の存在下で進化させた培養物では、さらによりサイレ揮毫ントな自然突然変異がある。現在の状態で最良の性能の株に満足したならば、使用者はこの株の適用を進めることができる。そうでなければ、ゲノム操作技術によって変異を親株に再導入することによって、進化した株から関与する変異を解析することができる。Lee,D.−H.、Feist,A.M.、Barrett,C.L.& Palsson,B.O.「Cumulative Number of Cell Divisions as a Meaningful Timescale for Adaptive Laboratory Evolution of Escherichia coli.」PLoS ONE 6、e26172(2011年)を参照のこと。
いくつかの実施形態では、ALE法は、フェニルアラニン取り込みが改善した遺伝子操作された細菌を同定するために使用することができる。
PME活性を改善するための特異的なスクリーニング
遺伝子選択を使用するスクリーニングは、遺伝子操作された細菌におけるフェニルアラニン消費を改善するために実行する。毒性のあるフェニルアラニン類似体は、細胞タンパク質に組み込まれることによって作用(MOA)機構を発揮し、細胞死をもたらす。パラログp−フルオロ−DL−フェニルアラニンおよびオルソログo−フルオロ−DL−フェニルアラニンなどのこれらの化合物は、活性が増加したPAL酵素を選択するための非標的アプローチに有用である。これらの毒性化合物は、細胞タンパク質に取り込まれるよりもPALによって非毒性代謝物に代謝され得ると仮定すると、フェニルアラニン分解活性が改善した遺伝子操作された細菌は、高レベルのこれらの化合物に耐性があり、これに基づいてスクリーニングし、選択することができる。
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以下の実施例は、本開示の実施形態の例である。当業者ならば、本開示の趣旨または範囲を変化させることなく実施することができる数々の改変および変更を認識するだろう。このような改変および変更は、本開示の範囲内に包含される。実施例は、決して本開示を限定しない。
大腸菌NissleにおけるPAL産生の誘導を容易にするために、アナベナ・バリアビリス(「PAL1」)またはフォトラブダス・ルミネセンス(「PAL3」)のPAL遺伝子、ならびに転写および翻訳エレメントを合成し(Gen9、Cambridge、MA)ベクターpBR322にクローニングした。PAL遺伝子は、誘導性プロモーターの制御下に置いた。誘導FNRプロモーターまたはTetプロモーターの制御下にあるPAL1およびPAL3それぞれについて低コピーおよび高コピープラスミドを生成した。FNRプロモーターの例を表3に示す。これらの構築物の構成およびヌクレオチド配列を図6〜9に示す。しかし、上記のように、その他のプロモーターを使用してPAL遺伝子を発現させてもよく、その他のPAL遺伝子を使用してもよく、その他のフェニルアラニン代謝制御遺伝子を使用してもよい。
大腸菌の形質転換
本明細書で記載したプラスミドはそれぞれ、以下のステップにしたがって、本明細書で記載した試験のために大腸菌Nissleに形質転換した。試験管、溶液およびキュベットは全て予め4℃まで冷却した。大腸菌Nissleを一晩培養したものを、アンピシリンを含有する溶原培地(LB)5mLで1:100に希釈し、OD600が0.4〜0.6に達するまで増殖させた。次に大腸菌細胞を4℃で2000rpmで5分間遠心分離して、上清を除去し、細胞を4℃の水1mLに再懸濁した。再度、大腸菌細胞を4℃で2000rpmで5分間遠心分離して、上清を除去し、細胞を4℃の水0.5mLに再懸濁した。再度、大腸菌細胞を4℃で2000rpmで5分間遠心分離して、上清を除去し、細胞を最後に4℃の水0.1mLに再懸濁した。電気穿孔器を2.5kVに設定した。プラスミド(0.5μg)を細胞に添加し、ピペットで混合し、冷却した滅菌キュベットにピペットで入れた。乾燥したキュベットを試料チャンバーに入れ、電気パルスを印加した。室温のSOC培地1mLをすぐに添加し、混合物を培養試験管に移し、37℃で1時間インキュベートした。アンピシリンを含有するLBプレートに細胞を広げ、一晩インキュベートした。
PAL1とPAL2を発現する高コピープラスミドと低コピープラスミドとの間のフェニルアラニン代謝の比較
同じPAL遺伝子、低コピープラスミドもしくは高コピープラスミド(SYN−PKU101 and SYN−PKU102)にPAL3または低コピープラスミドもしくは高コピープラスミド(SYN−PKU201およびSYN−PKU202)にPAL3を含む遺伝子操作された細菌のin vitroにおけるフェニルアラニン代謝についてアッセイした。
遺伝子操作された細菌は、無水テトラサイクリン(ATC)で誘導し、次に、フェニルアラニン4mM(660000ng/mL)を補給した培地で2時間増殖させた。試料は、0時間後、4時間後および23時間後に取り出し、実施例24〜26に記載したようにフェニルアラニン(図15A)およびトランス−ケイ皮酸(TCA)(図15B)濃度を質量分析によって判定した。
高コピープラスミドおよび低コピープラスミド株は、フェニルアラニンを類似のレベルまで代謝し、低減させることが見いだされた(図15)。フェニルアラニンレベルの大きな低減およびTCAレベルの増加が、PAL3を発現する株で認められた。
フェニルアラニントランスポーター−PhePの細菌染色体への組み込み
いくつかの実施形態では、細胞へのフェニルアラニンの輸送を増加させ、それによってフェニルアラニン代謝を高めることが有利であり得る。したがって、誘導性プロモーターによって駆動される天然の高親和性フェニルアラニントランスポーター、PhePの第2のコピーを相同組み換えによってNissleゲノムに挿入した。構築物の構成を図11に示す。pheP遺伝子をPtetプロモーターの下流に置き、テトラサイクリンリプレッサー、TetRは分岐して転写させた(例えば、図11を参照のこと)。この配列はGenewizによって合成された(Cambridge、MA)。合成したTetR−PheP構築物を染色体に組み込むことができるベクターを作製するために、ギブソンアッセンブリを最初に使用して、Nissle lacZ座に相同なDNAの1000bp配列をR6K複製開始点プラスミドpKD3に付加した。これは、NissleゲノムのlacZ座に組み込むために、これらの相同腕の間にクローニングされたDNAを標的とする(図10)。ギブソンアッセンブリを使用してTetR−PheP断片をこれらの腕の間にクローニングした。PCRを使用して、相同腕の全配列ならびに相同腕の間にpheP配列を含有するこのプラスミドからこの領域を増幅した。このPCR断片を使用して、エレクトロコンピテントNissle−pKD46、ラムダレッドリコンビナーゼ遺伝子をコードする温度感受性プラスミドを含有する株を形質転換した。形質転換後、細胞を2時間増殖させてからクロラムフェニコール20μg/mLに37℃で播種した。37℃で増殖させることによって、pKD46プラスミドをキュアリングする。無水テトラサイクリン(ATC)誘導性phePを含有する形質転換体は、lacマイナス(lac−)およびクロラムフェニコール耐性であった。
フェニルアラニン分解に対するフェニルアラニントランスポーターの影響
フェニルアラニン分解に対するフェニルアラニントランスポーターの影響を判定するために、染色体に組み込まれたTetプロモーターによって駆動されるphePのコピーの存在下または非存在下で、低コピー(LC)または高コピー(HC)プラスミドのPAL1またはPAL3を発現する遺伝子操作された細菌によって実現した、フェニルアラニン分解およびトランス−ケイ皮酸塩蓄積を評価した。
in vitroにおける試験では、インキュベーションは全て37℃で実施した。Tetプロモーターによって駆動するPAL遺伝子を含むプラスミドで形質転換した大腸菌Nissleの培養物を一晩増殖させ、その後LBで1:100に希釈した。細胞を振盪(200rpm)しながら対数期初期まで増殖させた。無水テトラサイクリン(ATC)を培養物に100ng/mLの濃度で添加し、PALの発現を誘導し、細菌をさらに2時間増殖させた。その後、細菌をペレットにして、洗浄し、最少培地に再懸濁し、フェニルアラニン4mMを補給した。実施例24〜26に記載したように、質量分析によってフェニルアラニンを定量するために0時間後、2時間後および4時間後(図16A)、ケイ皮酸を定量するために2時間後および4時間後(図16B)に一定量を取り出した。図16に示したように、PALと併せてphePを発現させると、PAL単独またはpheP単独と比較してフェニルアラニンの分解が著しく増強する。特に、phePをさらにコピーすることによって4時間でフェニルアラニン(4mM)の分解が完了する(図16A)。図16Bは、誘導して2時間後および4時間後の試料中のケイ皮酸塩レベルを示す。ケイ皮酸塩産生はフェニルアラニン分解に直接関与するので、これらのデータは、フェニルアラニン消失がフェニルアラニン異化反応によるものであり、ケイ皮酸塩は株の活性の代替バイオマーカーとして使用できることを示唆している。PheP過剰発現は、遺伝子操作された細菌のフェニルアラニン代謝を改善する。
結論として、phePと併せると、低コピーPAL発現プラスミドであっても試験試料からほとんど完全にフェニルアラニンを排除することができる(図16Aおよび16B)。さらに、特定の理論に拘束されることは望まないが、phePを組み込むいくつかの実施形態では、高いフェニルアラニン代謝を維持しながらPAL発現の安定性を増強するために、および形質転換した細菌に対する負の選択圧を低減させるために、phePと組み合わせて低コピーPAL発現プラスミドを使用するとさらに有利であり得る。他の実施形態では、高コピーPAL発現プラスミドと併せてフェニルアラニントランスポーターを使用する。
FNRプロモーター活性
異なるFNRプロモーターのプロモーター活性を測定するために、lacZ遺伝子ならびに転写および翻訳エレメントを合成し(Gen9、Cambridge、MA)、ベクターpBR322にクローニングした。lacZ遺伝子は、表3で開示したFNRプロモーター配列の例のいずれかの制御下に置いた。これらの構築物のヌクレオチド配列を表21〜28(配列番号31〜38)に示す。しかし、上記のように、lacZ遺伝子は、その他の誘導性プロモーターの活性を分析するためにそれらのプロモーターによって駆動することができ、その他の遺伝子をプロモーター活性の指標としてlacZ遺伝子の代わりに使用することもできる。あるいは、ベータ−ガラクトシダーゼをレポーターとして使用することもでき、結果の例を図18に示す。
表21は、lacZをコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnr1(配列番号3)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、Nissle nirB1遺伝子とlacZ遺伝子の翻訳融合物を含み、この翻訳融合物はlacZコーディング領域の8番目のコドンにインフレームで融合している。Pfnr1配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。lacZ配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
表22は、lacZをコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnr2(配列番号6)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、Nissle ydfZ遺伝子とlacZ遺伝子の翻訳融合物を含み、この翻訳融合物はlacZコーディング領域の8番目のコドンにインフレームで融合している。Pfnr2配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。lacZ配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
表23は、lacZをコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnr3(配列番号7)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、Nissle nirB遺伝子とlacZ遺伝子の転写融合物を含み、この転写融合物は強力なリボソーム結合部位に融合したプロモーター領域のみを使用する。Pfnr3配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。lacZ配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
表24は、lacZをコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnr4(配列番号8)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、Nissle ydfZ遺伝子およびlacZ遺伝子の転写融合物を含む。Pfnr4配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。lacZ配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
表25は、lacZをコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnr5(配列番号9)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、lacZに融合した嫌気的に誘導される低分子RNA遺伝子、fnrS1の転写融合物を含む。Pfnrs配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。lacZ配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
表26は、PAL3をコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnr3(配列番号7)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、Nissle nirB遺伝子とPAL3遺伝子の転写融合物を含み、この転写融合物は強力なリボソーム結合部位に融合したプロモーター領域のみを使用する。Pfnr3配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。PAL3配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
表27は、PAL3をコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnr4(配列番号8)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、Nissle ydfZ遺伝子およびPAL3遺伝子の転写融合物を含む。Pfnr4配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。PAL3配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
表28は、PAL3をコードする遺伝子およびFNRプロモーターの1例、Pfnrs(配列番号9)を含む構築物の1例のヌクレオチド配列を示す。この構築物は、PAL3に融合した嫌気的に誘導される低分子RNA遺伝子、fnrS1の転写融合物を含む。Pfnrs配列は太字の小文字で、プロモーター内の予測されたリボソーム結合部位には下線が引いてある。PAL3配列は下線を引いた大文字である。ATG部位は太字の大文字で、構築物の合成に使用したクローニング部位は通常の大文字で示す。
[表21]
[表22]
[表23]
[表24]
[表25]
[表26]
[表27]
[表28]
前述したように、プラスミドはそれぞれ、大腸菌Nissleに形質転換した。形質転換した大腸菌Nissleの培養物を一晩増殖させ、その後LBで1:200に希釈した。細胞は、250rpmで振盪しながら好気的に、または90%N2、5%CO2および5%H2を供給したCoy嫌気性チャンバー内で嫌気的に増殖させた。インキュベーション4〜6時間後、試料を収集し、β−ガラクトシダーゼアッセイ(Miller、 1972年)を実施することよってプロモーター活性を分析した。図20に示したように、FNRプロモーターの活性は、好気的条件と比較して嫌気的条件下で大いに増強された。
FNRプロモーターの活性測定
FNRプロモーター駆動遺伝子発現の動力学を判定するために、低コピーfnrS−lacZ融合遺伝子を保有する大腸菌株(図19A)を250rpmで振盪しながら好気的に増殖させた。培養物は1時間後に分割し、37℃で好気的に、または(90%N、5%COおよび5%Hを供給した)Coy嫌気性チャンバー内で嫌気的にインキュベートした。プロモーター活性は、標準比色アッセイ(Miller、1972年)を使用してβ−ガラクトシダーゼ活性の関数として測定した。図19Bは、fnrSプロモーターは嫌気的条件下で1時間以内に高レベルの遺伝子発現の駆動を開始することを示す。酸素の存在下および非存在下の両方における、lacZを発現する細菌細胞培養物の増殖曲線を図19Cに示す。
組換え大腸菌におけるFNRプロモーターによるPALの産生
FNRプロモーターの例のいずれかによって駆動されるPAL遺伝子を含むプラスミドで形質転換した大腸菌Nissleの培養物を一晩増殖させ、その後LBで1:200に希釈した。細菌細胞はさらに、Tetプロモーターによって駆動され、染色体に組み込まれるpheP遺伝子を含むことができる。ATCを培養物に100ng/mLの濃度で添加してphePの発現を誘導し、細胞は、250rpmで振盪しながら好気的に、または90%N、5%COおよび5%Hを供給したCoy嫌気性チャンバー内で嫌気的に増殖させた。4時間インキュベートした後、細胞をペレットにして、洗浄し、0.5%グルコースおよびフェニルアラニン4mMを補給したM9最少培地に再懸濁した。フェニルアラニン定量のために、0時間後、2時間後、4時間後および24時間後に一定量を収集した(図20)。図20Bに示したように、FNRプロモーターによって駆動されるPAL3を発現する遺伝子操作された細菌は、好気的条件下と比較して嫌気的条件下で培地からフェニルアラニンをより効率的に除去する(図20A)。PAL3と併せてphePを発現するとさらにフェニルアラニンのレベルが減少した。
phePを過剰発現する、または過剰発現しない組換え大腸菌におけるフェニルアラニン分解
SYN−PKU304およびSYN−PKU305株はPAL3遺伝子を保有する低コピープラスミドおよびlacZ座に組み込まれたphePのコピーを含有する。SYN−PKU308およびSYN−PKU307株はまた、PAL3遺伝子を保有する低コピープラスミドを含有するが、lacZ座にはphePのコピーは組み込まれていない。4つの株全てにおいて、PAL3およびpheP(適用するならば)の発現は、酸素レベル依存性プロモーターによって制御される。
染色体にphePを有する、および有さない操作された大腸菌Nissleにおけるフェニルアラニン分解の速度を決定するために、SYN−PKU304およびSYN−PKU307を一晩培養したものを、アンピシリンを含有するLBで1:100に希釈し、SYN−PKU308およびSYN−PKU305を一晩培養したものを、カナマイシンを含有するLBで1:100に希釈した。全株を1.5時間増殖させた後、培養物を90%N、5%COおよび5%Hを供給したCoy嫌気性チャンバーに入れた。誘導して4時間後に、細菌をペレットにして、PBSで洗浄して、アッセイ緩衝液1mLに再懸濁した。アッセイ緩衝液は、0.5%グルコース、8.4%炭酸水素ナトリウムおよびフェニルアラニン4mMを補給したM9最少培地を含有した。
活性をアッセイするために、コロニー形成単位(cfu)の開始カウントを系列希釈および播種を使用して定量した。質量分析によってフェニルアラニンを定量するために、各細胞アッセイから一定量を30分毎に3時間にわたって取り出した。具体的には、細菌細胞150μLをペレットにして、上清をLC−MS分析のために収集し、細胞を含まないアッセイ培地をゼロ時間点として使用した。図21は、染色体(SYN−PKU304およびSYN−PKU305;左)にphePを有する株ならびに染色体にphePを欠如した株(SYN−PKU308およびSYN−PKU307;右)で認められたフェニルアラニン分解を示す。これらのデータは、pheP過剰発現は、合成プロバイオティクスにおいてフェニルアラニン分解速度を増加させるために重要であることを示す。
染色体にPAL3を1個または複数挿入した株の活性
挿入部位および挿入数の遺伝子操作された細菌の活性に対する影響を評価するために、様々な染色体位置に異なるPAL3を1個挿入した株および複数のPAL3を挿入した株のin vitro活性を測定した。
細胞をLB中で一晩増殖させ、1:100に希釈した。増殖1.5時間後に、培養物を90%N、5%COおよび5%Hを供給したCoy嫌気性チャンバーに入れた。誘導して4時間後に、細菌をフェニルアラニン50mMを含有するアッセイ緩衝液に再懸濁した。290nmの吸光度によるトランス−ケイ皮酸塩定量のために、細胞アッセイから一定量を20分毎に1.5時間にわたって取り出した。結果を図22および23および表39および表40に示す。図22は、染色体の様々な位置に単一のPAL3挿入を含む株のトランス−ケイ皮酸塩濃度(PAL活性)を示す。図23は、染色体の様々な位置に複数のPAL3挿入を含む株のトランス−ケイ皮酸塩濃度(PAL活性)を示す。
[表39]
[表40]
染色体にPAL3の5個のコピーを有する株の活性
嫌気的に(FNR)制御されたPAL3の5個のコピーが組み込まれ、lacZ座に組み込まれた嫌気的に制御されたphePを含む株、株SYN−PKU511の活性を評価した。
遺伝子操作された細菌を一晩増殖させ、希釈して、さらに2.5時間増殖させた。次に、培養物を90%N、5%COおよび5%Hを供給したCoy嫌気性チャンバーに入れた。フェニルアラニンを含有する培地(フェニルアラニン4mM)中で3.5時間誘導した後、全細胞抽出物を30分毎に3時間にわたって調製し、フェニルアラニンを質量分析によって定量した。結果を図24に示す。細胞のin vitro活性は8μmol/時間/1e9細胞であった。フェニルアラニンレベルは2時間後に元のレベルの約半分に低下した。
LAADを発現する株の活性
LAAD発現がPAL3に対して代替の、追加の、または補足的なフェニルアラニン分解手段として使用できるかどうかを評価するために、Tet誘導性プロモーターによって駆動されるLAADを発現する高コピープラスミドを含有する遺伝子操作された株、SYN−PKU401の能力を、様々な細胞濃度および様々な酸素レベルで測定した。
SYN−PKU401を一晩培養したものを1:100に希釈し、対数期初期まで増殖させてからATC(100ng/ml)で2時間誘導した。細胞を遠心分離し、以下の通りにインキュベートした。
細胞(1ml)は、14ml培養管内で好気的にインキュベートし、250rpmで振盪した(図25AおよびB)。微好気的条件では、細胞(1ml)は1.7mlコニカル管内で振盪せずにインキュベートした。細胞は、90%N、5%COおよび5%Hを供給したCoy嫌気性チャンバー内で嫌気的にインキュベートした(図25B)。質量分析によってフェニルアラニンを定量するために、細胞アッセイから一定量を30分毎に2時間にわたって取り出し、結果を図25Aおよび25Bに示す。図25Aは、細胞濃度依存性好気的活性を示す。好気的条件における活性は約50μmol/時間/1e9細胞であり、いくらかの活性は微好気的条件下で保持され、環境空気未満の酸素濃度の環境下での活性を可能にし得る。微好気的条件下でのSYN−PKU401の活性を、嫌気的条件下のSYN−PKU304と比較したが、活性は細胞密度に依存しているようである。
表41および表42は目的のLAAD構築物を含有する。表41は、プラスミドにプロテウス・ミラビリス由来のLAADをコードする遺伝子およびTetリプレッサー遺伝子およびTetプロモーター配列およびRBSおよびリーダー領域を含む構築物の1例の配列を示しており、配列番号39、LAAD配列には下線を引いてあり、TetR配列はイタリック体で、Tetプロモーター配列は太字で、RBSおよびリーダー領域は下線を引いたイタリック体である。表42は、araCをコードする遺伝子およびプロテウス・ミラビリス由来のLAADをコードする遺伝子および内在性アラビノースオペロンに染色体挿入するためのアラビノース誘導性プロモーター(ParaBAD)配列を含む構築物の1例の配列を示しており(配列番号40)、araC配列には下線を引いてあり、ParaBADプロモーター配列は太字で、LAAD配列はイタリック体で、RBSおよびリーダー領域は下線を引いたイタリック体である。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は配列番号20〜42のDNA配列に少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%もしくは少なくとも約99%相同な核酸配列またはそれらの機能的断片を含む。
[表41]
[表42]
PKUのマウスモデルにおけるPAL発現細菌の有効性
in vivoにおける試験のために、BTBR−Pahenu2マウスをJacksonLaboratoryから入手し、PKUのモデルとして使用するためにホモ接合型に交配した。TetプロモーターからPAL3を発現する低コピーpSC101複製開始点のプラスミドならびにゲノムに組み込まれたTetプロモーターによって駆動されるphePの1個のコピーを保有する細菌(SYN−PKU302)を増殖させた。SYN−PKU1は、投与前にATCによって2時間誘導した。細菌をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁し、10ATC誘導性SYN−PKU302または対照Nissle細菌を強制経口投与によってマウスに投与した。
試験開始時に、マウスにATC100マイクログラム/mLおよび5%スクロースを補給した水を与えた。マウスは、一晩(10時間)固形飼料を除去することによって絶食させ、フェニルアラニンの基準レベルを決定するために翌日下顎出血によって血液試料を収集した。血液試料をヘパリン化試験管に収集し、2Gで20分管遠心分離して血漿を生成し、その後取り出して−80℃で保存した。マウスに固形飼料を再度与え、既にATCで2時間誘導した細菌100μL(5×10CFU)を1時間後に強制経口投与した。マウスは固形飼料に2時間戻した。血漿試料は、前述したように調製した。
図26Aは給餌前後のフェニルアラニンレベルを示し、図26Bは、給餌前後の血中フェニルアラニンレベルのパーセント(%)変化を雌雄群平均として示す(p<0.01)。図26に示したように、SYN−PKU1で治療したPKUマウスは、対照と比較して給餌後の血清フェニルアラニンレベル上昇の著しい低減を示す。
フェニルアラニン皮下曝露後のPAL発現細菌の有効性
ストレプトマイシン耐性大腸菌Nissle(SYN−PKU901)を凍結保存物から1010細胞/mLの密度まで増殖させた。lacZ座に組み込まれたTetプロモーターの制御下にphePの1個のコピーおよびTetプロモーター制御下にPAL3を発現する高コピープラスミドを含有する細菌(SYN−PKU303)をA600が0.25になるまで増殖させ、その後ATC(100ng/mL)によって4時間誘導した。細菌を遠心分離して、洗浄して、炭酸水素緩衝液に1×1010細胞/mLの密度まで再懸濁してから−80℃で凍結した。
試験の少なくとも3日前に(すなわち、−6日から−3日)開始して、ホモ接合体BTBR−Pahenu2マウス(約6〜12週齢)を、フェニルアラニンを含まない固形飼料およびフェニルアラニン0.5グラム/Lを補給した水で維持した。1日目に、マウスを治療群に無作為化し、フェニルアラニン基準レベルを決定するために顎下皮膚穿刺によって血液試料を収集した。マウスの体重も測定して、各群の平均体重を決定した。次に、群の平均体重にしたがって、マウスに皮下注射によってフェニルアラニンを体重1グラム当たり0.1mgで単回投与した。注射して30分後および90分後に、HO(n=30)、SYN−PKU901(n=33)またはSYN−PKU303(n=34)200μLをマウスに強制経口投与によって投与した。フェニルアラニン曝露2時間後および4時間後に血液試料を収集し、血中のフェニルアラニンレベルは質量分析を使用して測定した。
図27は、フェニルアラニン注射の2時間後(図27A)および4時間後(図27B)の基準濃度に対するフェニルアラニン血中濃度を示す。これらのデータは、フェニルアラニンの皮下注射がホモ接合体enu2/enu2マウスにおいて高フェニルアラニン血症を引き起こし、SYN−PKU303の経口投与がフェニルアラニン曝露後の血中フェニルアラニンレベルを対照群と比較して有意に低下させる(4時間後でp<0.00001)ことを示唆している。さらに、これらの結果によって、経口投与した遺伝子操作された細菌および遺伝子操作されていない親Nissleは、食餌曝露に関係なく血中フェニルアラニンレベルに有意な影響を及ぼし得ることが確認される。したがって、PKU特異的プロバイオティクスは、食餌と併せて同時投与する必要がないこともある。
全身フェニルアラニンに対するPAL発現細菌の用量応答活性
ストレプトマイシン耐性大腸菌Nissle(SYN−PKU901)を凍結保存物から1010細胞/mLの密度まで増殖させた。lacZ座に組み込まれたPfnrSプロモーターの制御下にphePの1個のコピーおよびPfnrSプロモーター制御下にPAL3を発現する低コピープラスミドを含有する細菌(SYN−PKU304)をA600が0.25になるまで増殖させ、その後細菌発酵槽を窒素で4時間パージすることによって嫌気的に誘導した。細菌を遠心分離して、洗浄して、炭酸水素緩衝液に5×10細胞/mLの密度で再懸濁してから−80℃で凍結した。
試験の少なくとも3日前に(すなわち、−6日から−3日)開始して、マウスをフェニルアラニンを含まない固形飼料およびフェニルアラニン0.5グラム/Lを補給した水で維持した。1日目に、マウスを治療群に無作為化し、フェニルアラニン基準レベルを決定するために顎下皮膚穿刺によって血液試料を収集した。マウスの体重も測定して、各群の平均体重を決定した。次に、群の平均体重にしたがって、マウスに皮下注射によってフェニルアラニンを体重1グラム当たり0.1mgで単回投与した。注射して30分後および90分後に、HO200μL(n=12)、SYN−PKU901 200μL(n=33)またはSYN−PKU304 100μL、200μLもしくは400μL(各投与群についてn=12)をマウスに強制経口投与によって投与した。フェニルアラニン投与2時間後および4時間後に血液試料を収集し、血中のフェニルアラニンレベルは質量分析を使用して測定した。
図30は、フェニルアラニン注射後の基準濃度に対するフェニルアラニン血中濃度を示す。これらのデータは、フェニルアラニンの皮下注射後の、SYN−PKU304治療したマウスの血中フェニルアラニンレベルのモック治療(HO)または親株(SYN−PKU901)の投与と比較した用量依存的減少を示している(30%減少;p<0.05)。
in vivoにおけるフェニルアラニン分解活性(PAL)
in vivoおよびin vitroにおけるフェニルアラニン活性の相関を比較するために、SYN−PKU304(PAL3を発現する低コピープラスミドを含有し、LacZ座にPfnrS−phePの染色体挿入を有する)をSYN−PKU901(in vivoにおいてストレプトマイシン耐性を有する対照Nissle株)と比較した。
試験の少なくとも3日前に(すなわち、−6日から−3日)開始して、ホモ接合体BTBR−Pahenu2マウス(約6〜12週齢)を、フェニルアラニンを含まない固形飼料およびフェニルアラニン0.5グラム/Lを補給した水で維持した。1日目に、マウスを治療群に無作為化し、フェニルアラニン基準レベルを決定するために顎下皮膚穿刺によって血液試料を収集した。マウスの体重も測定して、各群の平均体重を決定した。次に、群の平均体重にしたがって、マウスに皮下注射によってフェニルアラニンを体重1グラム当たり0.1mgで単回投与した。注射して30分後および90分後に、細菌をマウスに強制経口投与によって投与した。
細胞を調製するために、細胞をLB(2L)で1:100に希釈し、好気的に1.5時間増殖させ、その後嫌気性チャンバーに4時間移した。投与する前に、細胞を200倍に濃縮し、凍結した(15%グリセロール、グルコース2g/L、PBS溶液)。細胞を氷上で解凍し、4e10cfu/mLで、炭酸水素1Mに9:1に混合した。各マウスに全部で800μL、または2.9e10cfu/マウスを強制経口投与した。
フェニルアラニン曝露2時間後および4時間後に血液試料を収集し、血中のフェニルアラニンレベルは質量分析を使用して測定し、1時間当たりのフェニルアラニン濃度の変化を計算した。結果を図32に示す。測定した総代謝活性は81.2μmol/時間で、フェニルアラニンの変化の低下は全体で45%(P<0.05)であった。これら同じ細胞のin vitro活性は2.8μmol/時間/1e9細胞を示した。
さらに、様々な代謝物を測定して、2次代謝物が遺伝子操作された細菌のフェニルアラニン消費の速度を評価するための追加的パラメータとして使用できるかどうかを判定した。PAH活性がPKUで低減する場合、蓄積したフェニルアラニンはPKU特異的代謝物フェニルピルビン酸に変換され、さらにフェニル乳酸に変換され得る。遺伝子操作された細菌の存在下で、フェニルアラニンはPALによってPAL特異的代謝物トランス−ケイ皮酸に変換され、次に肝酵素によって馬尿酸にさらに変換され得る(図32)。血液試料のフェニルピルビン酸、フェニル酢酸、トランス−ケイ皮酸および馬尿酸を実施例24〜26に記載したように分析した。結果を図32C、32D、32Eおよび32Fに示したところ、これらは図32Aおよび32Bに示したフェニルアラニン分解と一致する。SYN−PKU304については、PAL特異的代謝物が4時間後に検出され、さらにSYN−PKU901と比較して低レベルのPKU特異的代謝物が認められ、PALフェニルアラニン分解はPKU特異的代謝物からPAL特異的代謝物に転換する原因となり得ることを示唆している。
in vivoにおけるフェニルアラニン分解活性(PAL)
SYN−PKU517(PALの2染色体挿入(2×fnrS−PAL(malEK、malPT))およびpheP染色体挿入(fnrS−pheP(lacZ))、thyA栄養要求性(kan/cm)を含む)をSYN−PKU901と比較した。
マウスを維持し、給餌し、前述のようにフェニルアラニンを投与した。強制経口投与用の細菌細胞を調製するために、細胞をLB(2L)で1:100に希釈し、好気的に1.5時間増殖させ、その後嫌気性チャンバーに4時間移した。投与する前に、細胞を200倍に濃縮し、凍結した(15%グリセロール、グルコース2g/L、PBS溶液)。細胞を氷上で解凍し、4e10cfu/mLを炭酸水素1Mに9:1に混合した。各マウスに全部で800μL、または3.6e10cfu/マウスを強制経口投与した。
前述のように、血液試料を収集し、基準と比較したフェニルアラニン濃度の変化を計算した。結果を図33Aおよび33Bに示す。測定した総代謝活性は39.6μmol/時間で、フェニルアラニンの変化の低減は全体で17%(P<0.05)であった。これらの同じ細胞のin vitro活性は1.1μmol/時間/1e9細胞を示した。
フェニルアラニンおよびPKUおよびPAL代謝物の絶対レベルを図33C、33D、33Eおよび33Fに示したところ、図33Aおよび33Bに示したフェニルアラニン分解と一致する。SYN−PKU517については、PAL特異的代謝物が4時間後に検出され、さらに、SYN−PKU901と比較して低レベルのPKU特異的代謝物が認められ、PALフェニルアラニン分解は、PKU特異的代謝物からPAL特異的代謝物に転換する原因となり得ることを示している。
いくつかの実施形態では、尿を予定された時点で収集し、フェニルアラニンレベルならびにPALおよびPKU代謝物のレベルを分析する。
in vivoにおけるフェニルアラニン分解活性(PAL)
SYN−PKU705(PALの3染色体挿入(3×fnrS−PAL(malEK、malPT、yicS/nepl))およびphePの2染色体挿入(2×fnrS−pheP(lacZ、agal/rsml))およびLAAD(内在性アラビノースオペロン内に組み込まれたParaBADプロモーターによって駆動される)を含む)をSYN−PKU901と比較した。
マウスを維持し、給餌し、前述のようにフェニルアラニンを投与した。強制経口投与用の細菌細胞を調製するために、細胞をLB(2L)で1:100に希釈し、好気的に1.5時間増殖させ、その後嫌気性チャンバーに4時間移した。投与する前に、細胞を200倍に濃縮し、凍結した(15%グリセロール、グルコース2g/L、PBS溶液)。細胞を氷上で解凍し、5e10cfu/mLを炭酸水素1Mで9:1に混合した。各マウスに全部で800μL、または3.6e10cfu/マウスを強制経口投与した。注意:この株はLAAD遺伝子を含有するが、この試験では誘導されなかった。
前述のように、血液試料を収集し、基準と比較したフェニルアラニン濃度の変化を計算した。結果を図34Aに示す。測定した総代謝活性は133.2μmol/時間で、フェニルアラニンの変化の低減は全体で30%(P<0.05)であった。これらの同じ細胞のin vitro活性は3.7μmol/時間/1e9細胞を示した。
フェニルアラニンおよびPKUおよびPAL代謝物の絶対レベルを図34C、34D、34Eおよび34Fに示したところ、図34Aおよび34Bに示したフェニルアラニン分解と一致した。PAL特異的代謝物が4時間後に検出され、さらに、SYN−PKU901と比較して低レベルのPKU特異的代謝物が認められ、PALフェニルアラニン分解は、PKU特異的代謝物からPAL特異的代謝物に転換する原因となり得ることを示している。測定した総代謝活性は、PAL3プラスミドをベースにした株SYN−PKU304の測定した総代謝活性よりも大きく、フェニルアラニンの全体の低減はSYN−PKU304に近づいた(45%と比較して30%)。
いくつかの実施形態では、尿は予定の時点で収集し、フェニルアラニンレベルならびにPALおよびPKU代謝物のレベルを分析する。
in vivoにおけるフェニルアラニン分解活性(PAL)LAAD
遺伝子操作された細菌によるフェニルアラニン分解に対するP.プロテウスLAADの適合性をさらにin vivoで評価する。細菌株SYN−PKU401(Tet誘導性プロモーターによって駆動されるLAADを含む高コピープラスミドを含む)をSYN−PKU901と比較する。
マウスを維持し、給餌し、前述のようにフェニルアラニンを投与する。強制経口投与用の細菌細胞を調製するために、細胞をLB(2L)で1:100に希釈し、好気的に1.5時間増殖させ、その後ATCを添加して細胞をさらに2時間増殖させる。投与する前に、細胞を200倍に濃縮し、保存するために凍結する。細胞を氷上で解凍し、再懸濁する。細胞を炭酸水素1Mで9:1に混合する。各マウスに全量800μLを4回で、または全量で2×10から1×1010の範囲の細菌を強制経口投与する。血液試料を前記の実施例で記載したマウスから収集し、フェニルアラニン、フェニルピルビン酸、フェニル酢酸、トランス−ケイ皮酸および馬尿酸レベルを分析する。フェニルアラニンおよび総代謝活性の低減量全体を計算する。
組換え大腸菌におけるフェニルアラニン分解に対するpHの影響
SYN−PKU304およびSYN−PKU302におけるフェニルアラニン分解速度が低pHによって影響を受けるかどうかを判定するために、両株の一晩培養物をLBで1:100に希釈し、振盪しながら(250rpm)37℃で増殖させた。増殖1.5時間後に、ATC(100ng/mL)をSYN−PKU302およびSYN−PKU304の培養物に添加し、Coy嫌気性チャンバー(90%N、5%COおよび5%Hを供給した)に入れた。誘導して4時間後に、細菌をペレットにして、PBSで洗浄し、アッセイ緩衝液(0.5%グルコース、8.4%炭酸水素ナトリウムおよびPhe4mMを含むM9最少培地)に再懸濁し、濃度を5e9細胞/mLにした。アッセイ緩衝液は、HCl1Mを使用してpHの値を7.25〜2.25の範囲で徐々に低下させて調製した。質量分析によってフェニルアラニンを定量するために、各細胞アッセイから一定量を30分毎に2時間にわたって取り出した。図70に示したように、フェニルアラニン分解速度は、両株SYN−PKU302(図70A)およびSYN−PKU304(図70B)におけるアッセイ緩衝液のpHが低下するにつれて減少した。
ジペプチドおよびトリペプチドの分解
SYN−PKU304およびSYN−PKU705の一晩培養した株を1:100に希釈し、対数初期まで増殖させてから、PALおよびphePを誘導するために嫌気的条件に転換した。SYN−PKU705の1培養物はまた、アラビノースで誘導してLAADタンパク質を誘導した。本試験の焦点は、ジおよびトリペプチドの形状に隔離したとき、PKU株がPheを分解することができるかどうかを判定することであった。株を誘導した後、細胞を遠心分離し、M9最少培地、0.5%グルコース、MOPS50mMおよびPheまたはPheを含有する、ジもしくはトリペプチド50mMを含有するアッセイ緩衝液に再懸濁した。上清試料を20分毎に全部で80分間にわたって取り出し、上清をUV−Vis分光光度計で分析して、290nmの吸光度(トランス−ケイ皮酸の吸収ピーク)を測定した。結果を表36に示すが、PKU株はジおよびトリペプチドの形状であってもPheを迅速に分解することができることが示された。
染色体挿入を使用した細菌株の遺伝子操作
FNR応答性プロモーターの制御下にある大腸菌Nissleゲノムに、phePおよび/またはPAL3遺伝子を直接組み込んだ細菌株を構築した。以下に記載した方法は、染色体挿入を含む細菌株(例えば、SYN−PKU902および/または表14に挙げた組み込み株のいずれか)を遺伝子操作するために使用することができる。
SYN−PKU902株(lacZ::PfnrS−PAL3−pheP)は、lacZ座に組み込まれたPAL3の1個のコピーおよびphePの1個のコピーを含有し、両遺伝子は単一のfnrSプロモーターに作動可能に連結し、バイシストロニックメッセージで同時転写される(図81)。表21は、PAL3およびpheP遺伝子がFNRプロモーターの1例の制御下で同時転写される構築物の1例の配列を示し(配列番号31)、FNRプロモーター配列は太字で、PAL3配列は四角で囲い、pheP配列には下線を引き、リボソーム結合部位は網掛けで強調してある。
fnrS−PAL3−PheP配列を染色体に組み込むことができるベクターを作製するために、ギブソンアッセンブリを使用して、Nissle lacZ座に相同なDNAの1000bp配列をノックインノックアウト(KIKO)プラスミドのフリッパーゼ再結合標的(FRT)部位に隣接したクロラムフェニコール耐性(cm)カセットの両側に付加した。次に、ギブソンアッセンブリを使用して、FRT−cm−FRT部位近傍の、これらの相同腕の間のPfnrS−PAL3−pheP DNA配列をクローニングした。断片挿入の成功は、配列決定によって確認した。PCRを使用して、lacZ::FRT−cm−FRT::PfnrS−PAL3−pheP::lacZ領域全体を増幅した。このノックインPCR断片を使用して、ラムダレッドリコンビナーゼ遺伝子をコードする温度感受性プラスミドを含有するエレクトロコンピテントNissle株を形質転換した。形質転換後、細胞を37℃で2時間増殖させた。37℃で増殖させることによって、温度感受性プラスミドをキュアリングした。断片の染色体組み込みが成功した形質転換体をクロラムフェニコール20μg/mLで選択した。
SYN−PKU501株(malPT::PfnrS−PAL3、lacZ::PfnrS−pheP)は、malP/T座に組み込まれたPAL3の1個のコピーおよびlacZ座に組み込まれたphePの1個のコピーを含有し、両遺伝子は別々のfnrSプロモーターに作動可能に連結している(表28;配列番号38参照)。SYN−PKU502株(malPT::PfnrS−PAL3、lacZ::PfnrS−PAL3−pheP)は、malP/T座にfnrSプロモーターの制御下に組み込まれたPAL3の1個のコピー(表28;配列番号38参照)、ならびにlacZ座に組み込まれたPAL3−pheP構築物を含有し、lacZ座の両遺伝子は単一のfnrSプロモーターに作動可能に連結しており、バイシストロニックメッセージで同時転写される(表21;配列番号31参照)。
fnrS−PAL3配列(配列番号38)をSYN−PKU501およびSYN−PKU502の大腸菌Nissle染色体に組み込むことができるベクターを作製するために、ギブソンアッセンブリを使用してDNA相同体の1000bp配列をKIKOプラスミドのFRTに隣接したカナマイシン耐性(kn)カセットの両側のNissle malPおよびmalT座に付加した。次に、ギブソンアッセンブリを使用して、FRT−kn−FRT部位近傍の、これらの相同腕の間のPfnrS−PAL3 DNA配列をクローニングした。断片挿入の成功は、配列決定によって確認した。PCRを使用して、malP::FRT−kn−FRT::PfnrS−PAL3::malT領域全体を増幅した。このノックインPCR断片を使用して、lacZ座にPfnrS−phePまたはバイシストロニックPfnrS−PAL3−phePを既に含有し、ラムダレッドリコンビナーゼ遺伝子を発現するエレクトロコンピテントNissle株を形質転換した。形質転換後、細胞を37℃で2時間増殖させた。断片の組み込みが成功した形質転換体をカナマイシン50μg/mLで選択した。これらの同じ方法を使用して、PfnrS−PAL3配列(配列番号38)をSYN−PKU506およびSYN−PKU507のmalE/K挿入部位に組み込むことができるベクターを作製した。
いくつかの実施形態では、リコンビナーゼをベースにしたスイッチは、PAL3発現の活性化に使用することができる。SYN−PKU601株(malPT::PfnrS−Int5、rrnBUP−PAL3;lacZ::PfnrS−pheP)は、mal/T座に組み込まれた、PfnrSプロモーターに作動可能に連結したInt5リコンビナーゼならびに強力な構成的プロモーターの制御下にPAL3の1個のコピーを含有する(図82)。表45は、PfnrS−Int5の1例、rrnBUP−PAL3構築物の配列(配列番号42)を示しており、PfnrS、Int5およびPAL3の方向は逆向きである。Int5配列は太字で、PfnrS配列は四角で囲い、PAL3配列には下線を引き、リコンビナーゼ部位は下線を引いた太字である。リボソーム結合部位は網掛けで強調し、rrnBUP構成的プロモーター配列は波線で囲ってある。いかなる強力なプロモーターも使用することができるが、PAL3の高発現をもたらすためにUPエレメント含有大腸菌rrnBUPプロモーターを選択した(Estrem等、1998年)。SYN−PKU601はまた、lacZ座に組み込まれたphePの1個のコピーを含有する。
SYN−PKU601株を構築するために、PfnrS駆動Int5遺伝子およびrrnBUP駆動リコンビナーゼに隣接したPAL3遺伝子配列をGenewiz(Cambridge、MA)によって合成した。ギブソンアッセンブリを使用してDNA相同体の1000bp配列をPfnrS−Int5の両側、rrnBUP−PAL3 DNA配列の両側のNissle malPおよびmalT座に付加し、相同腕の間のこの配列をクローニングした。断片のKIKOプラスミドへの挿入の成功は、配列決定によって確認した。PCRを使用して、PfnrS−Int5、rrnBUP−PAL3領域全体を増幅した。このノックインPCR断片を使用して、lacZ座にPfnrS−phePを既に含有し、ラムダレッドリコンビナーゼ遺伝子を発現するエレクトロコンピテントNissle株を形質転換した。形質転換後、細胞を37℃で2時間増殖させた。PfnrS−PAL3断片のmalPT遺伝子間領域への組み込みが成功した形質転換体をカナマイシン50μg/mLで選択した。この戦略はまた、PAL3発現にT7ポリメラーゼ活性を必要とするリコンビナーゼをベースにした株を構築するために使用することができる(図83)。表46は、PfnrS−Int5、rrnBUP−T7構築物の1例の配列(配列番号43)を示しており、PfnrS、Int5およびT7ポリメラーゼ遺伝子の方向は逆向きである。Int5配列は太字で、PfnrS配列は四角で囲い、T7ポリメラーゼ配列には下線を引いて、リコンビナーゼ部位は下線を引いた太字である。リボソーム結合部位は網掛けで強調し、rrnBUP構成的プロモーター配列は波線で囲ってある。表44は、PT7−PAL3構築物の1例の配列を示しており、PT7配列は網掛けで強調し、リボソーム結合部位には下線を引き、PAL3配列は太字である。
[表44]
[表45]
[表46]
[表47]
ARA−Int5構築物、PT7−PAL3構築物およびPLac−T7ポリメラーゼ構築物を含むSYN−PKU602株を構築するために(図84)、ギブソンアッセンブリは本質的に前述したように使用した。
表48は、Ara座に組み込むためのPARA−Int5構築物の1例の配列(配列番号45)を示す。Int5配列は太字で、TSSおよびRBS部位を含有するPara配列には下線を引いて、AraC配列はイタリック体である。
[表48]
DeltaThyAの生成
栄養要求突然変異は、必須栄養素を産生するための必要な遺伝子(複数可)が欠如していることにより生存または増殖に必須の栄養素の外部からの添加がない場合、細菌の死滅を引き起こす。栄養要求性が改変した遺伝子操作された細菌を生成するために、オリゴヌクレオチド合成に必須の遺伝子、thyAを欠失させた。大腸菌NissleにおけるthyA遺伝子の欠失は、チミジンを補給しなければLBプレートでコロニーを形成することができない株を生じる。
thyA::camPCR断片は、以下のようにPCRを3回使用して増幅した。100μmの濃度で使用したプライマーの配列を表49に示す。
[表49]
1回目のPCRでは、鋳型としてpKD3 1ng、2×phusion 25μL、プライマーSR36およびSR38 0.2μLおよびDMSOを0、0.2、0.4もしくは0.6μL含有するPCR反応物4×50μLを、ヌクレアーゼを含まない水で50μLの体積にして、以下のサイクル条件下で増幅した。
ステップ1:98℃30秒
ステップ2:98℃10秒
ステップ3:55℃15秒
ステップ4:72℃20秒
ステップ2〜4を30回反復
ステップ5:72℃5分
その後、各PCR反応物5μLをアガロースゲルで泳動し、適切な大きさのPCR産物を確認した。PCR産物は、ZymocleanゲルDNA回収キットを使用して製造者の指示に従い残存するPCR反応物から精製し、ヌクレアーゼを含まない水30μLで溶出した。
2回目のPCRでは、1回目から精製したPCR産物1μLを、プライマーSR33およびSR34 0.2μL以外は前述した通りのPCR反応物4×50μLにおいて鋳型として使用した。サイクル条件は、1回目のPCR反応で前述したものと同じであった。PCR産物をアガロースゲルで泳動して増幅を確認し、精製して、前述のように30μLで溶出した。
3回目のPCRでは、2回目から精製したPCR産物1μLをプライマーSR43およびSR44以外は前述した通りのPCR反応物4×50μLにおいて鋳型として使用した。サイクル条件は、1回目および2回目で記載したものと同じであった。増幅を確認し、PCR産物を精製し、前述のように溶出した。濃度および純度は、分光光度計を使用して測定した。得られた直鎖DNA断片は、thyAの上流に相同な92bp、frt部位に隣接したクロラムフェニコールカセットおよびthyA遺伝子の下流に相同な98bpを含有し、組換え用に増殖させたpKD46を含有する大腸菌Nissle1917株に形質転換した。エレクトロポレーション後、チミジン3mMを含有するSOC培地1mlを添加し、細胞を振盪しながら37℃で2時間回復させた。その後、細胞を10000×gで1分間ペレットにして、上清を廃棄し、細胞ペレットはチミジン3mMを含有するLB100μLに再懸濁し、thy3mMおよびクロラムフェニコール20μg/mlを含有するLB寒天プレートに広げた。細胞を37℃で一晩インキュベートした。LBプレートに出現したコロニーを再度画線した。+cam20μg/ml+または−thy3mM。(thyA栄養要求株は、thy3mMを補給した培地でのみ増殖する)。
次に、抗生物質耐性をpCP20形質転換で除去した。pCP20は酵母Flpリコンビナーゼ遺伝子、FLP、クロラムフェニコールおよびアンピシリン耐性遺伝子、ならびに温度感受性複製を有する。選択した抗生物質を含有するLB培地で細菌を37℃でOD600=0.4〜0.6になるまで増殖させた。細胞1mLを以下の通りに洗浄した:細胞を16000×gで1分間ペレットにした。上清を廃棄し、ペレットを氷冷10%グリセロール1mLに再懸濁した。この洗浄ステップは3回反復した。最終的なペレットを氷冷10%グリセロール70μLに再懸濁した。次に、細胞をpCP20プラスミドDNA 1ngでエレクトロポレートし、チミジン3mMを補給したSOC1mLをすぐにキュベットに添加した。細胞を再懸濁し、培養試験管に移して、30℃で1時間増殖させた。その後、細胞を10000×gで1分間ペレットにして、上清を廃棄し、細胞ペレットはチミジン3mMを含有するLB100μLに再懸濁し、thy3mMおよびカルベニシリン100μg/mlを含有するLB寒天プレートに広げ、30℃で16〜24時間増殖させた。次に、形質転換体を非選択的に(抗生物質無しで)42℃でコロニー精製した。
コロニー精製した形質転換体を試験するために、コロニーをピペットチップで42℃プレートから採取し、LB10μLに再懸濁した。細胞懸濁液3μLをピペットで一連の3枚のプレート、Cam(37℃;宿主株のゲノムにおけるCamR遺伝子の有無の試験)、Amp(30℃、pCP20プラスミドにおけるAmpRの有無の試験)およびLBのみ(クロラムフェニコールカセットおよびpCP20プラスミドを欠如した所望する細胞)に37℃で移した。CamでもAmpプレートでも増殖しない場合、コロニーはキュアリングしたと考えられ、コロニーを採取し、LBプレートに再度画線して単一のコロニーを得て、37℃で一晩増殖させた。
フェニルアラニンの定量(ダンシルクロリド誘導体化)
遺伝子操作された細菌がフェニルアラニンを分解する能力を評価し、試料中のフェニルアラニンレベルの定量を必要とする本明細書で記載したin vitroおよびin vivoアッセイのために、ダンシルクロリド誘導体化プロトコールを以下のように使用した。
試料調製
フェニルアラニン標準物(1000、500、250、100、20、4および0.8μg/mL水溶液)を調製した。氷上で、試料10μLをV底ポリプロピレン96ウェルプレートにピペットで入れ、L−フェニル−d−アラニン内部標準物1μg/mLを含む60%アセトニトリル190μLを添加した。プレートを密封加熱してよく混合し、4000rpmで5分間遠心分離した。次に、希釈した試料5μLをV底96ウェルポリプロピレンプレート内の誘導体化混合物(NaHCO 10mM pH9.7 85μLおよびダンシルクロリド10mg/mL(アセトニトリルで希釈)10μL)95μLmに添加しプレートを密封加熱してよく混合した。誘導体化するために試料を60℃で45分間インキュベートし、4000rpmで5分間遠心分離した。次に、誘導体化した試料20μLを丸底96ウェルプレート内の0.1%ギ酸を含む水180μLに添加し、プレートを密封加熱してよく混合した。
LC−MS/MS法
フェニルアラニンは、タンデム質量分析に結合させた液体クロマトグラフィー(LC−MS/MS)によってThermo TSQ Quantum Maxトリプル4重極質量分析計を使用して測定した。HPLC法の詳細は表50および表51に記載する。タンデム質量分析の詳細は表52に記載する。
[表50]
[表51]
[表52]
トランス−ケイ皮酸の定量(トリフルオロエチルアミン誘導体化)
遺伝子操作された細菌がフェニルアラニンを分解する能力を評価し、試料中のトランス−ケイ皮酸レベルの定量を必要とする本明細書で記載したin vitroおよびin vivoアッセイのために、トリフルオロエチルアミン誘導体化プロトコールを以下のように使用した。
試料調製
トランス−ケイ皮酸標準物(500、250、100、20、4および0.8μg/mL水溶液)を調製した。氷上で、試料10μLをピペットでV底ポリプロピレン96ウェルプレートに入れた。次に、トランス−ケイ皮酸−d7内部標準物2μg/mLを含む80%アセトニトリル30μLを添加し、プレートを密封加熱してよく混合し、4000rpmで5分間遠心分離した。次に、希釈した試料20μLを丸底96ウェルポリプロピレンプレート内のMES10mM pH4、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC)20mM、トリフルオロエチルアミン20mM 180μLに添加した。プレートを密封加熱してよく混合し、試料を室温で1時間インキュベートした。
LC−MS/MS法
トランス−ケイ皮酸は、タンデム質量分析に結合させた液体クロマトグラフィー(LC−MS/MS)によってThermo TSQ Quantum Maxトリプル4重極質量分析計を使用して測定した。HPLC法の詳細は表53および表54に記載する。タンデム質量分析詳細を表55に記載する。
[表53]
[表54]
[表55]
フェニルアラニン、トランス−ケイ皮酸、フェニル酢酸、フェニルピルビン酸、フェニル乳酸、馬尿酸および安息香酸の定量(2−ヒドラジノキノリン誘導体化)
遺伝子操作された細菌がフェニルアラニンを分解する能力を評価し、試料中のフェニルアラニン、トランス−ケイ皮酸、フェニル酢酸、フェニルピルビン酸、フェニル乳酸、馬尿酸および安息香酸レベルの定量を必要とする本明細書で記載したin vitroおよびin vivoアッセイのために、2−ヒドラジノキノリン誘導体化プロトコールを以下のように使用した。
試料調製
水に各標準物250、100、20、4、0.8、0.16および0.032μg/mLを含有する標準溶液を調製した。氷上で、試料10μLをピペットでV底ポリプロピレン96ウェルプレートに移し、L−フェニル−d−アラニン1μg/mL、馬尿酸−d5 1μg/mLおよびトランス−ケイ皮酸−d7内部標準物0.25μg/mLを含むアセトニトリルに、2−ヒドラジノキノリン(2−HQ)、ジピリジルジスルフィドおよびトリフェニルホスフィン50mMを含有する誘導体化溶液90μLを添加した。プレートを密封加熱してよく混合し、誘導体化のために試料を60℃で1時間インキュベートし、その後4000rpmで5分間遠心分離した。丸底96ウェルプレート内で、誘導体化試料20μLを、0.1%ギ酸を含む水180μLに添加した。プレートを密封加熱してよく混合した。
LC−MS/MS法
2−HQによって誘導体化された代謝物は、タンデム質量分析に結合させた液体クロマトグラフィー(LC−MS/MS)によってThermo TSQ Quantum Maxトリプル4重極質量分析計を使用して測定した。HPLC法の詳細は表56および表57に記載する。タンデム質量分析の詳細を表58に記載する。
[表56]
[表57]
[表58]
染色体挿入およびプラスミドを保有する株の相対的な有効性
染色体挿入を有する遺伝子操作された細菌株とプラスミドを保有する遺伝子操作された細菌株との間のフェニルアラニン分解速度を比較するために、一晩培養物をLBで1:100に希釈し、振盪しながら(250rpm)37℃で増殖させた。増殖1.5時間後に、培養物を90%N、5%CO、5%Hを供給したCoy嫌気性チャンバーに入れた。誘導して4時間後に、細菌をペレットにして、PBSで洗浄し、アッセイ緩衝液(0.5%グルコース、8.4%炭酸水素ナトリウムおよびPhe4mMを含むM9最少培地)に再懸濁した。30分から90分のフェニルアラニン分解速度(すなわち、アッセイ溶液の消失)またはケイ皮酸塩蓄積を1e9細胞に正規化した。表59は、全株の正規化した速度を示し、遺伝子操作されたプラスミドを保有する株および染色体挿入を含む遺伝子操作された株の非限定的例の遺伝子型および活性について記載している。
[表59]
改善されたPhe消費のスクリーニング
遺伝子選択を使用するスクリーニングは、遺伝子操作された細菌におけるフェニルアラニン消費を改善するために実行する。毒性のあるフェニルアラニン類似体は、細胞タンパク質に組み込まれることによって作用機構(MOA)を発揮し、細胞死をもたらす。これらの化合物は、活性が増加したPAL酵素を選択するための非標的アプローチへの有用性を評価した。これらの毒性化合物は、細胞タンパク質に取り込まれるよりもPALによって非毒性代謝物に代謝され得ると仮定すると、フェニルアラニン分解活性が改善した遺伝子操作された細菌は、高レベルのこれらの化合物に耐性があり、これをベースにしてスクリーニングし、選択することができる。
様々な遺伝子操作された細菌株ならびに対照Nissleを2つの類似体、p−フルオロ−DL−最小のフェニルアラニン(p−fluoro−DL−minimum phenylalanine)およびo−フルオロ−DL−フェニルアラニン(図35)の漸増濃度で処置した。最小阻止濃度(MIC)を判定し、野生型Nissleに対する変化倍率を判定した。結果を表60に示す。
これらの結果は、パラ類似体はphePによって容易に取り込まれるものと考えられ、PALの基質となる可能性があり、オルソログはphePによって容易に取り込まれるものと考えられ、PALの基質となる可能性があることを示している。結果として、これらの化合物は活性の大きなPAL酵素をスクリーニングするために有用である。
[表60]
カニクイザルにおいて毎日28日間にわたって経鼻胃管投与した後の、遺伝子操作された細菌の反復投与の薬物動態および薬力学的試験(非GLP)
遺伝子操作された細菌または大腸菌Nissleの単独投与によって生じるいかなる潜在的毒性も評価するために、雌カニクイザルに毎日28日間にわたって経鼻胃管(NG)投与した後に遺伝子操作された細菌および大腸菌Nissleの薬物動態および薬力学を試験する。カニクイザルを選択するのは、この種が系統学的にも生理学的にもヒトに密接に関係していて、非臨床毒性試験のために通常使用される種であるからである。遺伝子操作された細菌は、ヒトにおいて推奨される投与経路と同じ経鼻胃管投与によって投与する。動物の全体的な健康状態(臨床的所見)、体重、臨床病理(血清化学、血液学および血液凝固)を追跡する。血漿のアンモニアレベルを分析し、糞便試料の細菌負荷を調べる。
遺伝子操作された株は、染色体に組み込まれたPAL3の1つまたは複数のコピーおよび染色体に組み込まれたPhePの1つまたは複数のコピーを含み、それぞれFNRSプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株はまた、アラビノース誘導性プロモーター、例えば、ParaBADによって駆動されるLAADの1つまたは複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、これらの株はさらに、栄養要求性変異、例えば、deltaThyAを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はさらに、抗生物質耐性、例えばカナマイシン耐性を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、栄養要求性変異を含まない。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、抗生物質耐性を含まない。
材料、動物および投与計画
試験は、米国食品医薬品局によって発行された医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施基準(連邦行政規則集の21巻、第58章;1979年6月20日施行)および医薬品の安全性試験の実施基準のOECD原則(C[97]186/最終;1997年施行)を遵守して実施する。動物は、実験動物の管理と使用に関する指針(米国学術研究会議、2011年)に記載された推奨に基づいて個々に収容する。
試験に使用した動物は、3〜8歳(最初の身体検査時)の3〜6kg(最初の身体検査時)の実験用に生産された非ナイーブ雌カニクイザル(Macaca fascicularis)(SNBL USA飼育、カンボジア産)である。
試験期間中、動物にはPMI LabDiet(登録商標)Fiber−Plus(登録商標)サル用食餌5049ビスケットを1日2回与えた。動物は、投薬前に少なくとも2時間、および投薬後1時間以内は絶食させた。動物はまた、必要な場合は特定の手順で絶食させた(例えば、血清化学用の採血の前、糞便収集前)。食餌は汚染物質を定期的に分析し、製造者の指示範囲内であることを確認する。試験の成績を妨害するレベルでは汚染物質は存在しないと予想される。食品分析記録は、試験施設の記録に保持される。
動物には全て、新鮮な飲用水を自由に与える。水は定期的に汚染物質を分析する。試験の成績を妨害するレベルでは汚染物質は存在しない。動物には、試験期間を通じて果実、野菜、その他の栄養補助食品およびケージエンリッチメント装置を与える。
以前に隔離した動物は、投与開始(1日目)前に7日間試験室に馴化させる。最後の投薬は28日目に行う。動物を試験群に割り当てるために、体重を組み込んだ層別ランダム化方式を使用する。表61に示したように動物を群に割り当てて処置する。
[表61]
Nissle対照および遺伝子操作された細菌の保存物は、2.2%グルコースおよびチミジン3mMを含む1×PBSに溶かした15%グリセロール溶液で1×10cfu/mLおよび1×1011cfu/mLに調製し、86から−60℃で維持する(表61参照)。炭酸水素ナトリウムを含む20%グリセロールで作製したPBSを対照媒体として使用する。炭酸塩濃度は0.36Mで、炭酸水素ナトリウムとしては0.12Mである。各投与日に、細菌および媒体対照を冷凍庫から取り出し、氷上に置き、解凍して、投与するまで氷上に置く。
動物に0.1×10または1×1012cfu/動物で投与する。動物には全て経鼻胃管投与(NG)によって投与し、その後対照/媒体を1日1回28日間にわたってフラッシュする。各群の炭酸水素塩の濃度および体積は表YYYに明記する。バイアルは、シリンジで用量を抜き取る前に、少なくとも3回反転させる。投与部位および投与時間(フラッシュの終了時間)を記録する。
分析
全体条件:臨床的観察は、各動物について馴化の2日目に開始して1日2回実施する。最初の観察は午前中、居室清掃前である。2回目の観察は、AM観察の4時間後以降である。投与期間中、2回目の観察は用量投与の4時間後(±10分)に実施する。必要ならば、さらに臨床的観察を実施する。
体重:各動物の体重を最初の給餌の6日前、1、8、15、22および29日目ならびに用量投与前にも測定する。必要ならば、随時体重測定をさらに行う。
血液収集:血液は、拘束した、意識下にある動物の末梢静脈から収集する。可能なときはいつでも血液は1回の採血で収集し、その後適切に分割する。検体収集頻度を表62にまとめて示す。
[表62]
血液学:血液約1.3mLを2mL K2EDTA試験管に入れてAdvia自動分析装置を用いて調べる。測定するパラメータは、白血球、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、平均赤血球容積、平均赤血球ヘモグロビン量、平均赤血球ヘモグロビン濃度、赤血球分布幅、血小板、平均血小板容積、白血球百分率(絶対値):好中球絶対数、リンパ球絶対数、単核球絶対数、好酸球絶対数、好塩基球絶対数、網状赤血球パーセントおよび網状赤血球絶対数である。
血液凝固:血液約1.3mLを1.8mL 3.2%クエン酸ナトリウム試験管に入れて調べる。以下の血液凝固パラメータ:活性化部分トロンボプラスチン時間、フィブリノーゲンおよびプロトロンビン時間は、STACompact自動分析器を使用して判定する。クエン酸ナトリウム処理した血漿は、分析前に−60から−86℃で保存し、分析後廃棄する。
血清化学:動物は、試料を取り出す前に4時間絶食させる。以下のパラメータ:アルブミン、アルカリホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、総ビリルビン量、カルシウム、総コレステロール、クレアチニンキナーゼ、クレアチニン、グルコース、無機リン、総タンパク質量、トリグリセリド、ナトリウム、カリウム、グロブリン塩化物、アルブミン/グロブリン比、血中尿素窒素およびガンマグルタミルトランスフェラーゼは、4mL血清分離器試験管内で血液約1mLを用いてAU680分析器を使用して試験する。
残存した血清は−60から−86℃で保存し、試験終了前に廃棄する。
血漿試料:動物は、試料を取り出す前に4時間絶食させる。血液試料は、表YYYに挙げた目標とする時点に大腿静脈から収集する。血液チューブに目標とする量の血液を分取した後、鉱物油約0.05mLを添加して血液表面を覆う。試験管を反転させずに、氷冷ラックに置く。血液試料収集日および時間を記録した。血液試料の最小量は、2mlヘパリンリチウム試験管に収集した1mlである。収集して15分以内に、試料を2から8℃で遠心分離して、血漿を得る。血漿をバイアルに移し、−60から−86℃で保存する。検体は分析する前にドライアイス上で保存する。検体の分析は、血液アンモニア分析器を使用して実行する。
フェニルアラニン、トランス−ケイ皮酸、および馬尿酸は、タンデム質量分析に結合させた液体クロマトグラフィー(LC−MS/MS)によってThermo TSQ Quantum Maxトリプル4重極質量分析計を使用して測定する。
糞便試料収集:表YYYに挙げた目標とする時点で動物当たり2つの糞便試料を収集する。試料収集日および時間を記録する。PBS約5mLを含む50mLファルコンチューブを容器として使用する(糞便が液体の場合、PBSは添加しない)。糞便試料の重さを測定するために、検体採取前後の容器の重さを調べる。試料は、各動物のケージの底から収集する。新鮮で汚染されていない試料を得るために、残存する食品は除去し、収集前に残渣および/または水を除去するためにケージ受け皿を清掃して拭く。試料は収集直後に氷上に置く。試料は、分析するまで−20から−15℃で保存する。検体分析は、PCR分析法を使用して実行する。
4週間回復させたカニクイザルにおける4週間毒性試験(GLP)
遺伝子操作された細菌の投与によって生じるいかなる潜在的毒性も評価するために、遺伝子操作された細菌を雌カニクイザルにGLP条件下で毎日28日間にわたって経鼻胃管(NG)投与した後に薬物動態および薬力学を試験する。
遺伝子操作された株は、染色体に組み込まれたPAL3の1つまたは複数のコピーおよび染色体に組み込まれたPhePの1つまたは複数のコピーを含み、それぞれFNRSプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された株はまた、アラビノース誘導性プロモーター、例えば、ParaBADによって駆動されるLAADの1つまたは複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、これらの株はさらに、栄養要求性変異、例えば、deltaThyAを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はさらに、抗生物質耐性、例えばカナマイシン耐性を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、栄養要求性変異を含まない。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、抗生物質耐性を含まない。
試験は、米国食品医薬品局によって発行された医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準(連邦行政規則集の21巻、第58章;1979年6月20日施行)および医薬品の安全性試験の実施基準のOECD原則(C[97]186/最終;1997年施行)を遵守して実施する。動物は、実験動物の管理と使用に関する指針(米国学術研究会議、2011年)に記載された推奨に基づいて個々に収容する。
材料は全てGMP基準で製造すること以外は本質的に実施例29に記載したように、動物に対して遺伝子操作された細菌または対照媒体を投与する。投与は、表63にまとめて示す。さらに、動物は14日間馴化し、投与期間は毎日28日間で、その後28日間休薬する。さらに、動物は組織学的分析を実施するために試験終了時に安楽死させる。
[表63]
試験分析は、表64に記載したように実施する。血液学、血液凝固、血清化学および血漿試料パラメータは、本質的に実施例30に記載した通りで、実施例30で記載した方法を使用して分析する。糞便試料の収集および分析は、本質的に実施例30に記載した通りである。
[表64]
PME分泌用にHlyAタグを有する遺伝子操作された細菌
PME分泌用の構築物は、表65に示したように作製した。その後、この配列に、例えば、HISタグをC末端分泌配列の前に挿入してタグ付けする。大腸菌は低コピープラスミドの構築物で形質転換する。分泌したPMEは、アフィニティークロマトグラフィー(Hisタグ)を使用して培地から単離する。PME分子量は、ウェスタンブロットによって確認する。精製した酵素の活性は、フェニルアラニン含有緩衝液中でin vitroアッセイで試験する。代謝物は、実施例24〜26で記載したように経時的に測定する。
[表65]
[表66]
さらに構築物を含む遺伝子操作された細菌
PME分泌用の構築物は、表66に示したように作製した。
[表66]
LC−MS/MSによる血漿および尿中の馬尿酸、トランス−ケイ皮酸、フェニルアラニン、およびフェニルピルベートの定量
試料調整
以下のストック溶液を調製し(10mg/mL)、1.5mLのエッペンドルフチューブに小分け(100μL)して、−20℃で保存した:フェニルアラニン(0.1M HCl)、フェニルピルビン酸ナトリウム(0.1M HCl)、トランス−ケイ皮酸(DMSO)、および馬尿酸(DMSO)。次に、250、100、20、4、0.8、0.16、0.032μg/mLの各標準物質を水中で調製した。
5μLの尿に195μLの水を加えることによって、マウスの尿を40倍に希釈した。氷上で、試料および標準液(10μL)をV底ポリプロピレン96ウェルプレートにピペットで入れた。次いで、1μg/mLのフェニルアラニン−d5、馬尿酸−d5、トランス−ケイ皮酸−d7およびフェニルピルベート−d5とともに、アセトニトリル中に50mMの2−ヒドラジノキノリン(2−HQ)、ジピリジルジスルフィドおよびトリフェニルホスフィンを含有する誘導体化溶液90μLを最終溶液に添加した。プレートをThermASealホイルでヒートシールし、よく混合し、誘導化のためにサンプルを60℃で1時間インキュベートし、4000rpmで5分間遠心分離した。丸底96ウェルプレートにおいて、誘導体化サンプル20μLを水/ACN(140:40)中の0.1%ギ酸180μLに添加した。プレートを再びClearASealシートでヒートシールし、よく混合した。
LC−MS/MS法
誘導体化された代謝産物は、タンデム質量分析に結合させた液体クロマトグラフィー(LC−MS/MS)によってThermo TSQ Quantum Maxトリプル四重極質量分析計を使用して測定した。表67、表68、および表69は、LC−MS/MS法の概要を提供する。
[表67]
[表68]
[表69]
PALコピー数、pheP、およびLAADの株活性への影響
pheP、PALの様々なコピー数、およびLAADのさらなる追加がin vitroにおけるフェニルアラニン分解速度に与える影響を例示するために、phePおよびLAADの存在下または非存在下において、異なるコピー数のPALを含む株のサイドバイサイド比較をin vitroフェニルアラニン消費アッセイにて行った。
遺伝子操作された細菌を一晩増殖させ、希釈し、0.1%アラビノースの非存在下または存在下で(構築物がLAADを含む場合)、さらに2.5時間増殖させた。次いで培養液を、フェニルアラニン含有培地(4mMフェニルアラニン)中にて、90%N2、5%CO2、および5%H2を供給するCoy嫌気性チャンバー内に4時間置いた。全細胞抽出物を調製し、フェニルアラニンを質量分析によって定量し、速度を計算した。
図37に示す結果は、PALのコピー数を増加させるとフェニルアラニン分解速度が増加することを示している。高親和性トランスポーターphePの添加は輸送制限を無効にし、より大きなPAL活性を可能にする。トランスポーターのコピー数は速度を増加させない(トランスポート(pheP)ではなく、PALが制限的である)。酸素の存在下では、LAADはPheを極めて高い速度で分解することができる。
血液および尿中のSYN−PKU706におけるPAL特異的代謝産物の検出
尿中のTCAおよび馬尿酸のレベルを評価し、および株活性の指標としてのTCAおよび馬尿酸の測定の有用性を評価するために、in vivoマウスモデル(BTBR−Pahenu2マウス)において、皮下フェニルアラニンチャレンジ後の血清および尿中のTCAおよび馬尿酸のレベルを測定した。この研究では、SYN−PKU706(3コピーのfnrS−PAL(MalP/T、HA3/4およびMalE/Kにおいて組み込まれている)、2コピーのfnr−PheP(HA1/2およびLacZにおいて組み込まれている)、および1コピーのPara−LAAD(アラビノースオペロンにノックインされたLAAD(Para::LAAD))を含む)を、ストレプトマイシン耐性を有する野生型Nissle(SYN−PKU901)と比較した。
細胞を調製するために、細胞をLB(2L)で1:100に希釈し、0.1%アラビノースの存在下で好気的に1.5時間増殖させてから、嫌気性チャンバーに4時間移した。投与前に、細胞を濃縮し、凍結させた(15%グリセロール、2g/Lグルコース、PBS中)。細胞を氷上で解凍し、1M重炭酸塩中にて9:1で混合した。各マウスに合計750uL、または3回の強制投与で合計1x10e11 cfu/マウスを強制投与した。
試験の4日前から(すなわち、−4〜1日目)、フェニルアラニンを含まない固形飼料および0.5g/Lのフェニルアラニンを補充した水で、Pah ENU2/2マウス(約11〜15週齢)を維持した。1日目に、マウスを処置群に無作為に分けて、血液サンプルを顎下皮膚穿刺により採取し、ベースラインのフェニルアラニンレベルを決定した。また、マウスの体重を測定して、各群の平均体重を決定した。次いで、平均群体重に従って、0.1mg/g体重での皮下注射によって、単回用量のフェニルアラニンをマウスに投与した。Pheチャレンジの1、2および3時間に、細菌を以下のようにマウスに強制経口投与した(3×250ul;3回の強制投与で合計1×10e11 cfu/マウス):SYN−PKU901(ストレプトマイシン耐性ニッスルn=12)、SYN−PKU−706(n=12)。両方の株について、最終濃度100mMの炭酸水素ナトリウムを加えた。H2Oのみをコントロールとして投与した(n=12)。動物から採血し、Pheチャレンジの4時間後にすべての動物から尿を採取した。血液をLC/MS分析のために氷上に保存した。
TCAおよび馬尿酸は、実施例33に記載の要領で測定した。図44A、図44B、図44C、および図44Dに見られるように、TCAおよび馬尿酸の血清および尿レベルは両方とも、H2Oコントロールと比較して、SYN−PKU−901よりもSYN−PKU−706において増加した。他の有効なPKU株を投与した場合にも、同様のレベルの代謝産物が尿中で測定された。低レベルのTCAが尿および血清の両方に存在した。より低いレベルの馬尿酸が血清中に検出された。尿中の馬尿酸について最も高いレベルが検出された。これは、細菌によって生成されるTCAの大部分が、肝臓で馬尿酸に変換され、尿中に排泄されることを示す。本明細書に記載されるこれらおよび他の結果は、尿中の馬尿酸レベルがPAL活性の指標またはバイオマーカーとして使用され得ることを示す。
in vivo細胞活性の測定方法としての馬尿酸測定
尿中の馬尿酸の検出がin vivo細胞活性および潜在的なバイオマーカーの尺度として適切であるかどうかを決定するために、TCAの馬尿酸への代謝回転の程度を、PKUマウスへの種々の濃度のTCAの強制経口投与と、それに引き続くLC/MSによるTCAおよび馬尿酸の測定によって評価した。
試験の1日目に、Pah ENU2/2マウス(約8〜10週齢)を以下のように、無作為にTCAチャレンジ処置群に分けた:群1:0.1mg/g TCA(n=6);群2:0.05mg/g TCA(n=6);群3:0.025mg/g TCA(n=6);群4:0.0125mg/g TCA(n=6);群5:H2Oコントロール(n=6)。種々の濃度のTCAを強制経口投与した。
動物を代謝ケージ(ケージあたり3匹のマウス、1群あたり2ケージ)に移し、尿および糞便をTCA投与の4時間後に収集した。尿および糞便を適切なチューブに移し、MS分析のために処理するまで試料を氷上に保存した。図45Aおよび図45Bは、0.0125、0.025、0.05、または0.1mg/gのTCA強制経口投与の4時間後に回収されたTCA(図45A)および馬尿酸(図45B)の量を表している。血中および糞便中には、有意な量のTCAおよび馬尿酸は検出されなかった(データは示さず)。尿中から馬尿酸の形でTCAがほぼ完全に回収された。その結果、尿中に見出された馬尿酸1モルは、PKU株の投与に伴い、PKUマウスの小腸でTCAに変換されたPheの1モルに相当する。
次に、TCAの馬尿酸への変換のキネティックスを、純粋なTCAの強制経口投与後の時間経過において評価した。試験の1日目に、Pah ENU2/2マウス(約8〜10週齢)を以下のように、TCAチャレンジ処置群に無作為に分けた;群1:0.033mg/g TCA(n=6);群2:0.1mg/g TCA(n=6);群3:H2Oコントロール(n=6)。TCA濃度を強制経口投与により投与した。動物を代謝ケージ(ケージあたり3匹のマウス、1群あたり2ケージ)に移し、TCA投与の1、2、3、4、5、6時間後に尿サンプルを収集した。尿を適切なチューブに移し、MS分析のために処理するまで試料を氷上に保存した。図46に見られるように、高用量のTCAを強制投与した場合、TCAは馬尿酸に変換され、4時間までに尿中に排泄される。
追加のPKU株の作製
以下の実施例で使用するために、以下のPKU株を作製した。概略図が、図47A、図47B、図47C、図47D、図47E、および図47Fに示されている。
SYN−PKU707は、PAL3の3つの染色体挿入(3XfnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K))および2コピーのpheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI))を含む。SYN−PKU707はさらに、1コピーの変異FNR転写因子(FNRS24Y)(Para::FNRS24Y)を含む。SYN−PKU712は、本質的に、dapA栄養要求性を有するSYN−PKU707に相当する。
SYN−PKU708は、PAL3(3XfnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K))の3つの染色体挿入、および2コピーのpheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI))を有する細菌染色体を含む。SYN−PKU708は、変異FNR転写因子(FNRS24Y)(Para::FNRS24Y)の1コピーと、同じ挿入部位(アラビノースオペロン)に挿入されたLAADの1コピーを含み、内在性アラビノースプロモーターからバイシストロニックメッセージで転写される。ゲノムは、dapA栄養要求性を含むようにさらに操作され、dapA遺伝子が欠失される。SYN−PKU711は、本質的に、dapA栄養要求性のないSYN−PKU708に相当する。
SYN−PKU709は、PAL3(3XfnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K))の3つの染色体挿入、および2コピーのpheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI))を有する細菌染色体を含む。SYN−PKU709は、天然Paraプロモーターによって駆動される発現を伴って、アラビノースオペロンに挿入されたLAADの1コピーをさらに含む(Para::LAAD)。ゲノムは、dapA栄養要求性を含むようにさらに操作され、dapA遺伝子が欠失される。
SYN−PKU710は、PAL3の3つの染色体挿入(3XfnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K))、および2コピーのpheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI))を有する細菌染色体を含む。SYN−PKU710は、天然Paraプロモーターによって駆動される発現を伴って、アラビノースオペロンに挿入されたLAADの1コピー(Para::LAAD)をさらに含む。SYN−PKU710は、2コピーのIPTG誘導性PAL3(2XLacIPAL、exo/ceaおよびrhtC/rhtB)、dapA栄養要求性をさらに含み、すべての抗生物質耐性が治癒される。これらの株の作製のための構築物および方法は、本明細書に記載されている。株構築に必要なさらなる構築物は、本明細書に記載の方法、例えば実施例1、2、22、および23に従って作製され、表70、表71および表72に示されている。
[表70]
[表71]
[表72]
PKU株SYN−PKU−707の投与後の血液Pheレベルおよび馬尿酸への代謝変換の分析
操作されたプロバイオティクス株SYN−PKU−707がフェニルアラニンを馬尿酸に変換する能力を評価した。SYN−PKU−707株は、FNRプロモーターによって駆動される3コピーのPAL(malE/K、yicS/nepl、dmalP/T遺伝子座において染色体に挿入された)、およびFNRプロモーターによって駆動される2コピーのpheP(LacZおよびagaI/rsmI遺伝子座において染色体に挿入された)、および変異体FNRS24Yを含む(例えば、図47A参照)。
誘導のために最終濃度0.15%のL−アラビノースを添加する前に、培養物(一晩培養物からの1:100の逆希釈物)を対数期初期まで1.5時間増殖させた。培養物を4時間(好気的に)誘導した。投与前に、細胞を200倍に濃縮し、凍結した(10%グリセロール、2g/L グルコース、PBS中)。細胞を氷上で解凍し、1M重炭酸塩中にて9:1で混合した。各マウスに、合計750uL、すなわち1×10e11 cfu/マウスを強制投与した。
試験の4日前から(すなわち、−4〜1日)、フェニルアラニンを含まない固形飼料および0.5グラム/リットルのフェニルアラニンを補充した水で、Pah ENU2/2マウス(約11〜15週齢)を維持した。1日目に、マウスを以下のように体重に従って処置群に無作為に分けた:群1:SYN−PKU901(n=9);群2:SYN−PKU−707(n=9);群3:H2Oコントロール(n=9)。ベースラインのフェニルアラニンレベルを決定するために、顎下皮膚穿刺によって血液サンプルを収集した。次いで、平均群体重に従って、0.1mg/g体重での皮下注射によって単回用量のフェニルアラニンをマウスに投与した。Pheチャレンジの1、2および3時間後に、細菌(または水)をマウスに強制経口投与した(3×250ul; 1×10e11、全細菌)。両方の株について、最終濃度100mMの炭酸水素ナトリウムを加えた。動物から採血し、Pheチャレンジの4時間後まですべての動物から尿を採取した。フェニルアラニンチャレンジの4時間後に、全ての処置群から採血した。血液をLC/MS分析のために氷上に保存した。図52および図53の結果は、SYN−PKU707が血液フェニルアラニンを減少させるのに有効であったこと、および馬尿酸がSYN−PKU707で処置したマウスのケージにおいて特異的に排泄されることが見出されることを示しており、細胞がin vivoで活性であることを示している。
図52は、ベースラインに対する血液フェニルアラニン濃度を示す図である。SYN−PKU707の総代謝活性は269μmol/時間と計算され、Δpheの総減少はSYN−PKU901(P<0.05)に対して49%(P<0.05)であった。図53は、フェニルアラニン注射の4時間後における尿中の馬尿酸濃度を示す。図53では、各ケージ(ケージあたり3匹のマウス)のレベルを別々に示し、各株について1〜3の番号が付けられている。これらの結果は、注射したフェニルアラニンの約15〜20%が馬尿酸に変換されることを示している。フェニルアラニンは小腸でTCAに変換され、TCAは肝臓で馬尿酸に変換される。
PKU株SYN−PKU707の単回投与後に尿中に回収された馬尿酸
1回の強制投与で投与される細胞数が尿中の馬尿酸の回収にどのように影響するかを決定するために、PKUマウスに種々の用量のSYN−PKU707を単回投与して、強制投与から6時間にわたって馬尿酸レベルをモニターした。SYN−PKU−707株は、FNRプロモーターによって駆動される3コピーのPAL(malE/K、yicS/nepl、およびdmalP/T遺伝子座において染色体に挿入される)、およびFNRプロモーターによって駆動される2コピーのpheP(LacZおよびagaI/rsmI遺伝子座において染色体に挿入される)、および変異体FNRS24Yを含む(例えば、図47A参照)。
細胞を調製するために、細胞をLB(2L)で1:100に希釈し、好気的に1.5時間増殖させ、0.15%アラビノースの存在下で好気的に4時間誘導した。投与前に、細胞を200倍に濃縮し、凍結した(PBS中10%グリセロール、2g/Lグルコース)。細胞を氷上で解凍した。各マウスに、3e10、6e6、1.2e9、および2.4e8cfu/マウスで合計750uLを強制投与した。
簡単に述べると、研究の4日前から、フェニルアラニンを含まない固形飼料および0.5グラム/Lのフェニルアラニンを補充した水で、Pah ENU2/2マウス(約11〜15週齢)を維持した。1日目に、マウスを以下のように体重に従って処置群に無作為に分けた:群1:SYN−PKU−707(n=6);群2:H2Oコントロール(n=6)。ベースラインのフェニルアラニンレベルを決定するために、顎下皮膚穿刺によって血液サンプルを収集した。次いで、平均群体重に従って、0.1mg/g体重での皮下注射によって単回用量のフェニルアラニンをマウスに投与した。Pheチャレンジの1、2および3時間後に、種々の用量(3e10、6e9、1.2e9、および2.4e8)で、細菌をマウスに強制経口投与した(3×250μl)。両方の株について、最終濃度100mMの炭酸水素ナトリウムを加えた。フェニルアラニンチャレンジの1、2、3、4、5および6時間後まで、全ての動物から尿を採取し、各時点で回収した馬尿酸の総量をLC/MSによって決定した。図55は、質量分析によって測定した、6時間にわたって尿中に回収された馬尿酸の絶対量を示す。マウスの尿中に回収された馬尿酸の用量依存的増加が観察された。
尿中の馬尿酸回収:生細胞と純粋なTCAの強制投与
株活性の持続時間および輸送時間を評価するために、生細胞と純粋なTCAとの間で尿中の馬尿酸回収のキネティックスを比較した。強制経口投与された純粋なTCAは、小腸から血液中に急速に取り込まれ、肝臓で馬尿酸に変換され、尿中に排泄される。逆に、PALは、取り込まれて馬尿酸に変換される前に、まずフェニルアラニンをTCAに変換しなければならない。したがって、より遅れて馬尿酸が蓄積されることが予想されるので、このサイドバイサイド比較は、強制投与された細胞の輸送時間を探るのに有用であり得る。PKUマウスに単回用量の水、TCA、またはSYN−PKU707を強制投与し、強制投与後の1.5時間にわたって馬尿酸レベルをモニターした。
細胞を調製するために、細胞をLB(2L)で1:100に希釈し、好気的に1.5時間増殖させ、0.15%アラビノースの存在下で好気的に4時間誘導した。投与前に、細胞を200倍に濃縮し、凍結した(PBS中10%グリセロール、2g/Lグルコース)。細胞を氷上で解凍した。各マウスに、3e10 CFU cfu/マウスで合計300 uLを強制投与した。
簡単に述べると、研究の4日前から、フェニルアラニンを含まない固形飼料および0.5グラム/Lのフェニルアラニンを補充した水でPah ENU2/2マウス(約11〜15週齢)を維持した。1日目に、マウスを以下のように体重に従って処置群に無作為に分けた:群1:SYN−PKU−707(3e10CFU;n=6);群2:TCA(0.033mg/g;n=6);群3:H2Oコントロール(n=6)。細菌、TCAまたはH2Oを、マウスに強制経口投与した(300μl)。両方の株について、最終濃度100mMの炭酸水素ナトリウムを加えた。強制経口投与の15、30、45、60、90および120分後まで、全ての動物から尿を採取し、各時点で回収された馬尿酸の総量をLC/MSによって決定した。図56は、質量分析によって測定した、1.5時間にわたる様々な時点で尿中に回収された馬尿酸の絶対量を示す。線の傾きは、細菌の輸送時間の指標として使用することができる。純粋なTCAでは、採取開始後の最初の15分以内に、尿中の馬尿酸の回収が急速に減少することが観察される。遺伝子操作された細胞では、採取開始後少なくとも最初の30分間、馬尿酸の回収が持続され、右下がりの傾きが減少する。これらの結果は、細胞が有用な時間にわたって、TCAを産生する小腸に留まることを示している。この解釈と一致して、本明細書に記載の他の研究において、SYN−PKU−707は血液フェニルアラニンの減少をもたらすことが示された。
タンパク質チャレンジおよびSYN−PKU707、SYN−PKU711およびSYNPKU712の血液および尿パラメータに対する効果およびカニクイザル(非GLP)におけるSITZMARKS(登録商標)の消化管輸送
複数回投与後のタンパク質チャレンジを伴うPKU株の投与に対するカニクイザルの応答(第1相)およびSITZMARKS(登録商標)の消化管内輸送を評価する。
この種は、系統学的および生理学的にヒトに密接に関連しており、非臨床毒性評価に一般的に使用される種であるため、カニクイザルが選択される。
遺伝子操作された細菌は、ヒトにおいて提案されている投与経路と一致して、経鼻胃管投与される。動物の全体的な健康(臨床的観察)、体重の臨床的病理(血清化学、血液学および凝固)が追跡される。尿および血漿測定を行い、糞便サンプルを細菌負荷について検査する。
以下の3つの株を研究で比較する:1.SYN−PKU712(3X−fnrSPAL3、2X−fnrSphePを含み、Para−FNRS24Y−デルタdapA(DAP栄養要求株)がノックインされる); 2.SYN−PKU707 − LAADなし(Para−FNRS24Yがノックインされた3X−fnrSPAL3、2X−fnrSpheP); 3.SYN−PKU711 − LAADあり(Para−FNRS24Y−LAAD(LAADポジティブ)がノックインされた3X−fnrSPAL3、2X−fnrSpheP)。
動物
本実験では、実験用に飼育されたカニクイザル(Macaca fascicularis;オス;12匹の未処置の動物、3〜6kg(最初の身体検査時);3〜8歳(最初の身体検査時))を用いる。12匹の動物を使用し、そのうち10匹を投与のために使用する。選ばれた動物は獣医による検査を受け、施設の健康基準を満たして健康であると考えられる動物のみが、研究のための使用することを獣医によって承認される。
温度および湿度管理された環境内に、動物を収容する。温度および相対湿度の標的範囲は、それぞれ18〜29℃および30〜70%である。自動照明システムが設定され、12時間の明/暗のサイクルが与えられる。動物はケージ内に個別収容/共同収容/グループ収容され、動物保護法ならびに実験動物の管理と使用に関する指針(米国学術研究会議、2011年)およびSNBL USAの標準操作手順に記載された推奨事項を遵守する。剖検による離別の場合または獣医の勧告がある場合は、確立した共同収容/グループ収容ユニット内の動物を実験中に新しいソーシャルパートナーに引き合わせることができる。
PMI LabDiet(登録商標) Fiber−Plus(登録商標) Monkey Diet 5049ビスケットを動物に1日2回与える。必要な場合は、特定の手順で(例えば、血清化学用の採血の前、採尿前)動物を絶食させる。食餌は汚染物質について定期的に分析し、製造業者の指示範囲内であるこを確認している。飲用水新鮮な飲用水は、すべての動物に自由に与えられる。水は汚染物質について定期的に分析される。動物には、試験期間を通じて果実、野菜、その他の栄養補助食品およびケージエンリッチメント装置を与える。
動物を試験群に割り当てるために、体重を組み込んだ層別ランダム化方式を使用する。
前もって隔離された動物は、投与開始前に、最短で14日間かけて研究室に馴化させる。馴化段階のデータは、予備の動物を含むすべての動物から集められる。必要に応じて、馴化段階の間に生成された結果に基づいて、選定した動物を予備の動物に置き換える。予備の動物は、1日目以降に研究から除外される。
試験物の投与、調製および管理
第1相試験では、表73に示すように、動物への投与を行う。一定容量の各試験物(10mL)を経鼻胃管投与(NG)によって動物に投与し(1投与につき動物あたり約10 12 個の細菌)、および一定容量のタンパク質チャレンジ(20mL)を動物に投与する。試験物の各投与後に、一定容量(2mL)の投与用溶媒フラッシュを与える。タンパク質チャレンジの各投与後に、一定容量(2mL)の脱イオン水フラッシュを与える。上記の投与経路は、ヒトにおいて提案されている投与経路と一致する。
バニラフレーバー付きタンパク質シェイク(MET−Rx RTD51(MET−Rx)、室温で保存)をタンパク質チャレンジに使用する。菌株投与のための溶媒として、0.36M炭酸水素ナトリウムおよび15%グリセロールを含むリン酸緩衝食塩水(PBS)を使用する。PBSを炭酸水素ナトリウムおよびグリセロールと混合して0.36M炭酸水素ナトリウムおよび15%グリセロールを含む溶液を得ることによって、追加の用量溶媒を調製する。
[表73]
第2相試験では、動物に群を割り当て、表74に示すように処置する。動物に強制経口投与(OG)する。輸送時間を決定するために、SITZMARKSカプセルを製造業者/供給業者から供給されるように使用する。
[表74]
1日目に、タンパク質チャレンジを最初に投与し、続いてタンパク質チャレンジの少なくとも30分後に、1回分のSYN−PKU707を投与する。4日目に、SYN−PKU707を最初に投与し、続いてSYN−PKU707投与の少なくとも30分後に、タンパク質チャレンジを投与する。9日目に、タンパク質チャレンジを最初に投与し、続いてタンパク質チャレンジの少なくとも2時間後に、1回分のSYN−PKU707を投与する。15日目に、SYN−PKU707を最初に投与し、続いてSYN−PKU707の投与の少なくとも2時間後に、タンパク質チャレンジを投与する。19日目に、SYN−PKU707のみを投与する。24日目に、溶媒のみを投与する。29日目に、SYN−PKU711(群1)およびSYNPKU712(群2)を投与する。
37日目に、1つのSITZMARKS(登録商標)カプセルを各動物に1回投与した後、カプセルの内容物を追跡するために一連のX線検査を行う。投与後0.5、1、3、4、6および12時間時点で、各時点につき2匹の動物のX線検査を行う。
24日目を含む各投与日に、動物を一晩絶食させ、投与から少なくとも6時間後に、食物を再び入手可能にする。第1相における投与頻度は、試験物の投与の前および後の異なる時間に投与されたタンパク質チャレンジの影響を評価することである。第2相における投与頻度は1回であり、第1相後の胃腸管における輸送時間の影響を評価する。
観察および検査
臨床観察:臨床観察は、各動物の馴化の2日目から毎日実施される。必要に応じて追加の臨床観察が行われる。
摂食量:馴化の2日目から、各動物について、摂食量の定性的評価を給餌前の午前中に1日に1回行う。摂食量の評価は、前の給餌から残っているビスケットの平均枚数に基づいて行われる。予定された手順にしたがった一晩の絶食後には、摂食量の評価を行わない。摂食量データは、正常、低、無消費、または除去されたと報告される。
体重:投与の最初の日の前に、各動物の体重測定をし、試験期間を通して週に2回体重を測定する。必要に応じて、追加の体重を加えることができる。
採尿と採血の手順
検体採取頻度は表75に記載されている。
[表75]
尿採取:動物ケージの下に置かれた尿収集皿または剖検時の膀胱から、尿を湿った氷上に収集する。尿がある場合には、動物ケージの下に置かれた尿収集皿から、尿を湿った氷上またはゲルパック上に採取する。給餌前の午前中に試料を採取する。
各尿サンプルの総容量を測定し、記録する。尿試料は、分析前にドライアイスまたは−60〜−86℃で保存する
糞便採取:糞便がある場合には、動物ケージの下の尿収集皿の上に置かれたスクリーンから、糞便を周囲温度で収集する。糞便サンプルを風袋計量した容器に集め、総重量を記録する。秤量後、サンプルは湿った氷上または冷蔵ゲルパック上に置かれる。サンプルが存在しない場合、糞便スワブが収集される。
糞便サンプルを約5mLのPBSを含む50mLファルコンチューブに移す。複数のチューブが必要な場合、サンプルはほぼ等量のサンプルに分割される。糞便スワブを約1mLのPBSを含む15mLファルコンチューブに移す。糞便試料は、分析まで−15〜−25℃で保存する。
採血:拘束された意識のある動物の末梢静脈から採血する。
最小試料体積は、0.5mLの血液であり、0.5mLのK2EDTA MAP管に収集する。収集後、血液サンプルを室温で遠心分離して血漿を分離する。血漿を取り出し、−60〜−86℃で保存する前にチューブに入れる。試料を分析前にドライアイス上に置くことができる。
この研究の結果は、LAADの存在が馬尿酸レベルに及ぼす影響、およびLAADが血漿中のフェニルアラニンレベルに及ぼす影響を示す。この研究はまた、dap栄養要求性の株活性への影響を示す。この研究はまた、尿中の馬尿酸レベルに基づく最適なフェニルアラニン変換のために、食物摂取に関連する投与タイミングについても示している。
SYN−PKU709、SYN−PKU707およびSYN−PKU708のin vitro活性
図47Cに示すSYN−PKU709の一晩培養物からの1:100逆希釈物を、本明細書に記載のように誘導のために4時間嫌気性チャンバーに移動する前に、対数期初期まで1.5時間増殖させた。活性アッセイを行うために、1e8細胞をアッセイ緩衝液(0.5%グルコース、50mM Pheおよび50mM MOPSを含むM9培地)に再懸濁してインキュベートした。上清試料を経時的に採取し、TCA(PALの生成物)を290nmでの吸光度で測定し、TCA生成速度/PAL活性を決定した。
FNRS24Yを保有する株(SYN−PKU707およびSYN−PKU708)について:誘導のために最終濃度0.15%のL−アラビノースを添加する前に、培養物(一晩培養物からの1:100の逆希釈物)を対数期初期まで1.5時間増殖させた。培養物を4時間(好気的に)誘導した。活性アッセイを行うために、1e8細胞をアッセイ緩衝液(0.5%グルコース、50mM Pheおよび50mM MOPSを含むM9培地)に再懸濁してインキュベートした。上清試料を経時的に採取し、TCA(PALの生成物)を290nmでの吸光度で測定し、TCA生成速度/PAL活性を決定した。
すべての培養物は、同じレベルのPAL活性(4μmol 産生されたTCA/時間/1e9細胞)を共通して有していた。
腸内循環(Enterocirculation)モデルにおけるフェニルアラニン動態の決定
フェニルアラニン腸内循環モデルを特徴付けるために、まず、フェニルアラニンチャレンジ後のフェニルアラニンの血清レベルの動態を評価した。
−6日目に、PKU(enu2)マウスを、フェニルアラニンを含まない固形飼料および水(+)Phe(0.5g/L)上に置いた。
1日目に、動物の採血をしてT=0(プレPheチャレンジ)とし、測定したフェニルアラニンレベルに基づいて、動物を2つの群に無作為に分けた。第1の処置群(n=15)には、フェニルアラニンチャレンジ時点から2時間後、6時間後および24時間後の使用のためのマウスが含まれていた。第2群(n=15)には、フェニルアラニンチャレンジ時点から4時間後および8時間後の使用のためのマウスが含まれていた。
マウスの体重をを事前に測定して、各群の平均体重を得た。フェニルアラニンは平均群体重に等しい濃度で投与した。動物に0.1mg/gのフェニルアラニンを皮下投与した。第1群では、Pheチャレンジの2、6および24時間後に動物から採血した。第2群では、Pheチャレンジの4時間後および8時間後に動物から採血した。図38Aおよび図38Bのウィスカープロットは、マウスの血液フェニルアラニンレベル(全体のフェニルアラニンレベル(図38A)およびT0からのフェニルアラニンレベルの変化(図38B)の両方)の分布を示している。フェニルアラニンレベルは、少なくとも6時間にわたって安定して上昇した。
次に、我々のPKU(enu2)マウスにおける再循環の程度を決定するために、皮下13C−Pheチャレンジを行った。
−6日目に、PKUマウスを、フェニルアラニンを含まない固形飼料および水(+)Phe(0.5g/L)上に置いた。動物の体重をを事前に測定して、各群の平均体重を得た。1日目に、動物から採血してT=0(プレPheチャレンジ)を得た。測定したフェニルアラニンレベルに基づいて、動物を3つの処置群に無作為に分けた。群(1群につきn=2)は次の通りであった:第1群=0分(Pheチャレンジなし); 第2群=Pheチャレンジの時点の20分後; 第3群=Pheチャレンジ時点の2時間後。動物には、0.1mg/g Pheの皮下投与量で、平均群体重に等しい濃度のフェニルアラニンを投与した。第1群(0分の群)はフェニルアラニンの投与を受けなかった。Pheチャレンジ後の各時点(20分および2時間)に、動物を採血および安楽死させ、消化管を摘出し、小腸および大腸に切片化した。
T=0分の群については、臓器の摘出は一切のPheチャレンジなしで行う。切片を約1mlの冷PBSで洗い流し、溶出液を1mlのマイクロチューブに集め、試料を氷上に保存した。その結果、腸のPBS洗浄によって、全ての腸溶出液が測定において約2.5倍に希釈されているため、in vivoにおける絶対レベルは示したものよりも高い可能性が大きい)。
図39に見られるように、20分以内に小腸内に皮下注射(SC)された同位体Pheが見られ、標識13C−Pheの腸内再循環が起こることが確認された。
次に、全体的なアミノ酸レベルを、野生型マウスおよびマウスの血液、小腸および大腸において測定した。
1日目に、動物を1時間絶食させ、採血してT=0を得た。動物を安楽死させ、各動物について臓器を採取した。消化管を取り出し、小腸および大腸に切片化した。切片を約1ml冷PBSで洗い流し、流出液を1mlのマイクロチューブに集めた。試料をLC−MS分析まで氷上(血液および腸溶出液)で保存した。図40に示されるように、フェニルアラニンレベルは、enu2血液中で高かったが、WTマウスとenu2マウスとの間で他に大きな違いは観察されなかった。
マウス飲用水中のゼラチンに懸濁したPKUプロバイオティクス株SYN−PKU305の有効性
マウス飲用水中のゼラチンに懸濁したSYN−PKU305の有効性を評価した。−7日目に、動物(Enu PKUマウス)に通常の固形飼料および水を与えた。実験中、Enu2マウスを通常の固形飼料で飼育を続けた。1日目に、動物を治療群に無作為に分けて、採血してベースライン血液フェニルアラニン(Phe)レベル(T=0)を得た。マウスを以下のように分類した:群1:H O(n=12);群2:SYN−PKU305(n=12);群2では、飲用水をH O(+)SYN−PKU305(5e9細胞/ml)ならびに0.125%ゼラチン、5%スクロースおよびATC(0.02mg/L)に変更した;当該混合物を作製するために、20mlのSYN−PKU305を280mlのH O(+)0.125%ゼラチン、5%スクロース中に混合し、2つの動物ケージ間で分割する。3日目に、SYN−PKU305を含有する水ボトルを交換した。4日目に、血液フェニルアラニン分析のために、ゼラチン/水添加後d=4の処置群の採血をした。5日目に、SYN−PKU305を含有する水ボトルを交換した。8日目に、ゼラチン/水添加後d=8での血液フェニルアラニン分析のために、全ての処置群について採血を行った。
この研究のために細胞を調製するために、細胞をLBで1:100に希釈し、好気的に1.5時間増殖させ、次いでATCを100ng/mLの濃度で培養物に加え、細胞をさらに4時間培養した。投与前に、細胞を200倍に濃縮し、凍結させた(15%グリセロール、2g/Lグルコース、PBS中)。細胞を氷上で解凍し、重炭酸塩1M中9:1で混合した。
結果を図42Aおよび図42Bに示し、フェニルアラニンチャレンジの4日後および8日後の両方で水処理マウスと比較して、SYN−PKU305処置マウスにおいて絶対フェニルアラニンレベルが低下することを示す。
マウス飲用水中のゼラチンに懸濁したPKUプロバイオティックス株SYN−PKU707の有効性
マウス飲用水中のゼラチン中に懸濁したSYN−PKU707(3XP fnrS −PAL3;2XP fnrS pheP;P ara −fnrS24Y)の有効性を評価した。マウスの飲用水は毎日交換される。−7日目に、動物(Enu PKUマウス)に通常の固形飼料および水を与える。実験中、Enu2マウスは通常の固形飼料で飼育を続ける。1日目に、動物を処置群に無作為に分けて、ベースラインの血液フェニルアラニン(Phe)レベル(T=0)を得るために採血する。マウスは以下のように分類される:群1:H O(n=12);群2:SYN−PKU901(n=12;ストレプトマイシン耐性ニッスル);群3:SYN−PKU707(n=12)。群2および3については、飲用水を、0.125%ゼラチン、5%スクロースならびにSYN−PKU901(1e10細胞/ml)もしくはSYN−PKU707(1e10細胞/ml)を含むH Oに変更する2日目および3日目に、SYN−PKU901およびSYN−PKU707を含有する水ボトルを、当該細菌株の新鮮な混合物を含む新しいボトルに交換する。3日目に、マウスを代謝ケージに移す(1群あたり4ケージ、1ケージあたり3匹のマウス)。4日目に、血液フェニルアラニン分析のためにゼラチン/水添加後d=4の処置群の採血を行い、馬尿酸分析のために尿を採取する。糞便ペレットを収集して、糞便中の細菌数を決定する。
この研究のために細胞を調製するために、細胞を発酵培地中でOD 0.2まで増殖させ、次いで最終濃度0.15%のアラビノースの存在下でさらに4時間誘導した後、細胞を濃縮し、凍結させる(15%グリセロール、2g/Lグルコース、PBS中)。細胞を氷上で解凍し、重炭酸塩1M中9:1で混合する。
−7日目から開始して試験期間を通して、Enu2マウスを低Phe固形飼料で維持すること以外は実質的に上記の通りに、第2の試験を実施する。
PKUの迅速な食事モデル
SYN−PKU305の有効性は、PKUの高速食餌モデルで評価した。このモデルでは、Enu2マウスは、投薬の時間まで、通常の餌で飼い続けた。餌はT0で取り除かれた。マウスは、下記のレジメンに従って投薬された。
この研究のために細胞を調製するために、細胞をLB(2L)で1:100に希釈し、好気的に1.5時間増殖させ、次いで嫌気性チャンバーに4時間移した。投与前に、細胞を200倍に濃縮し、凍結させた(15%グリセロール、2g/Lグルコース、PBS中)。細胞を氷上で解凍し、重炭酸塩1M中9:1で混合した。
−5日目に、動物に通常の固形飼料および水を与えた。1日目に、以下のように群間で類似する平均体重に従って、動物を処置群に無作為に分けた:群1:H Oコントロール(n=12); 群2:SYN−PKU901−200ul(n=12); 群3:SYN−PKU305−200ul(n=12)。動物を4時間絶食させ、採血してベースライン血液フェニルアラニンレベルを得た(T=0、絶食後)。絶食の0.5時間後および1.5時間後および2.5時間後に、各群に強制経口投与を行った。各マウスに合計600μL、または1×10e11CFUを強制投与した。絶食の2時間後および4時間後に、全ての処置群から採血した。最後の採血後、動物をPheフリーの固形飼料およびH2O(+)0.5g/L Pheに置いた。
この研究のために細胞を調製するために、細胞をLB(2L)で1:100希釈し、好気的に1.5時間増殖させ、次いで嫌気性チャンバーに4時間移した。投与前に、細胞を200倍に濃縮し、凍結させた(15%グリセロール、2g/Lグルコース、PBS中)。細胞を氷上で解凍し、重炭酸塩1M中9:1で混合した。図41Aおよび図41Bの結果は、SYN−PKU305で処置したマウスが血清Pheのより急速な減少を示すことを明らかにしている。
標識フェニルアラニンを強制投与したマウスにおける馬尿酸の回収
標識フェニルアラニンを注射し、SYN−PKU305を3回強制投与したマウスにおける馬尿酸の回収について評価した。
この研究のために細胞を調製するために、細胞をLB(2L)で1:100に希釈し、好気的に1.5時間増殖させ、0.15%アラビノースの存在下で好気的に4時間誘導した。投与前に、細胞を200倍に濃縮し、凍結した(10%グリセロール、2g/Lグルコース、PBS中)。細胞を氷上で解凍した。
研究の4日前から、フェニルアラニンを含まない固形飼料および0.5g/Lのフェニルアラニンを補充した水でPah ENU2/2マウス(約11〜15週齢)を維持した。1日目に、マウスを以下のように体重に従って、処置群に無作為に分けた:群1:SYN−PKU−707(n=6(3XP fnrS −PAL3;2XP fnrS pheP;P ara −fnrS24Y));群2:SYN−PKU901(n=6;(ストレプトマイシン耐性ニッスル));群3:H2Oコントロール(n=6)。血液サンプルを下顎皮膚穿刺によって収集し、ベースラインのフェニルアラニンレベルを決定した。次いで、平均群体重に従って、0.1mg/g体重での皮下注射によって放射性標識フェニルアラニンの単回用量をマウスに投与した。Pheチャレンジの1、2および3時間後に、細菌をマウスに強制経口投与(3×250μl、3×10e10の3回の投与で)した。両方の株について、最終濃度100mMの炭酸水素ナトリウムを加えた。フェニルアラニンチャレンジの1、2、3、4、5および6時間後まで全ての動物から尿を採取し、各時点で回収された非標識および放射標識された馬尿酸量をLC/MSによって決定した。図54Aおよび図54Bは、質量分析によって決定した、6時間にわたり尿中に回収された非標識および標識馬尿酸の量を示す。マウスの尿中に回収される馬尿酸の増加が観察された。尿中に回収された馬尿酸の約4.5%は放射標識されており、この試験で分解されたフェニルアラニンの大部分は、皮下注射されたものではなく、SIに予め存在するものであることを示唆している。
様々な用量でのSYN−PKU708のin vivo 投与および有効性
操作されたプロバイオティクス株SYN−PKU−708がSC注射後にフェニルアラニンレベルを変化させ、フェニルアラニンを馬尿酸に変換する能力を様々な用量で評価した。SYN−PKU−707株は、FNRプロモーター(malE/K、yicS/nepl、dmalP/T遺伝子座で染色体に挿入された)によって駆動される3コピーのPAL、およびFNRプロモーター(LacZおよびagaI/rsmI遺伝子座で染色体に挿入された)によって駆動される2コピーのpheP、およびアラビノースオペロンにノックインされた変異体FNRS24Y−LAADを含み、バイシストロニックメッセージで転写される(例えば、図47B参照)。
誘導のために最終濃度0.15%のL−アラビノースを添加する前に、培養物(一晩培養物からの1:100の逆希釈物)を対数期初期まで1.5時間増殖させた。培養物を4時間(好気的に)誘導した。投与前に、細胞を200倍に濃縮し、凍結した(10%グリセロール、2g/Lグルコース、PBS中)。細胞を氷上で解凍し、重炭酸塩1M中9:1で混合した。各マウスに、合計750uL、または5.3×10e11、1.8×10e11、6×10e11、2×10e9 cfu/マウスを強制投与した。
試験の4日前から(すなわち、−4〜1日目)、フェニルアラニンを含まない固形飼料および0.5g/Lフェニルアラニンを補充した水で、Pah ENU2/2マウス(約11〜15週齢)を維持した。1日目に、マウスを以下のように体重に従って、処置群に無作為に分けた:群1:SYN−PKU−708(n=9;5.3×10e11 CFUで投与); 群2:SYN−PKU−708(n=6;1.8×10e11 CFUで投与); 群3:SYN−PKU−708(n=6;6×10e11 CFUで投与); 群4:SYN−PKU−708(n=6;2×109 CFUで投与); 群5:H2Oコントロール(n=6)。
動物を代謝ケージ(1ケージあたり3匹のマウス、1群あたり3ケージ)に移し、ベースラインのフェニルアラニンレベルを決定するために、顎下皮膚穿刺により血液サンプルを収集した。次いで、平均群体重に従って、0.1mg/g体重での皮下注射によってフェニルアラニンの単回用量をマウスに投与した。Pheチャレンジの1、2および3時間後に、細菌(または水)をマウスに強制経口投与(3×250 ul; 5.3×10e11、1.8×10e11、6×10e11、2×10e9 cfu/マウス)した。両方の株について、最終濃度100mMの炭酸水素ナトリウムを加えた。Pheチャレンジから4時間後まで、動物から採血し、すべての動物から尿を採取した。全ての処置群について、フェニルアラニンチャレンジの4時間後に採血した。血液および尿をLC/MS分析のために氷上に保存した。
図57Aは、ベースラインに対する血液フェニルアラニン濃度を示す。Δpheの総減少を表76に示す。
[表76]
図57Bは、フェニルアラニン注射から4時間後の尿中の馬尿酸濃度を示す。図57の結果は、SYN−PKU708が血液フェニルアラニンを減少させるのに有効であること、およびSYN−PKU708で処置したマウスのケージにおいて馬尿酸が用量依存的に排泄されることを示しており、細胞がin vivoで活性であることを示している。
約3e10 cfuの単回強制投与後の細菌(SYN−PKU707)の輸送時間
SYN−UCD707(3XP fnrS −PAL3; 2XP fnrS pheP; P ara −fnrS24Y、図47A)の局在および腸滞留時間を評価した。マウスに強制投与し、様々な時点で屠殺し、流出液を小腸の上部、中部、下部から収集した。
細菌培養物を一晩増殖させ、ペレット化した。当該ペレットをPBSに再懸濁した。マウス(C57BL6/J、10〜12週齢)に100μLの細菌(約3×10e10 CFU)を単回強制投与した。マウスの飲用水は、0.1mg/mLの無水テトラサイクリン(ATC)および嗜好性のために5%スクロースを含むように変更した。各時点(強制投与の15、30、45および60分後)で、動物を安楽死させ、腸を取り出した。小腸を3等分に切断した。各切片を0.5ml冷PBSで洗い流し、別々の1.5mlチューブに集めた。腸溶出液を段階希釈プレーティングのために氷上に置いた。
各流出液中の細菌のCFUを決定するために、流出液を段階希釈し、カナマイシンを含有するLBプレート上にプレーティングした。プレートを37℃で一晩インキュベートし、コロニーを計数した。各区画に見られるSYN−UCD707の細菌量および滞留時間を図58に示す。
好気性条件下で増殖させた誘導性FNRS24Y発現株SYN−PKU707の活性
アラビノースプロモーターの制御下でFNRS24Yを発現する株であるSYN−PKU707(3XPfnrS−PAL3; 2XPfnrSpheP; Para−fnrS24Y)の活性を好気性増殖条件下で評価し、嫌気性条件下で達成された活性と比較した。
3XP fnrS −PAL3;2XP fnrS pheP;P ara −fnr S24Y を含むSYN−PKU707の一晩培養物を1:100に希釈し、対数期初期まで1.5時間増殖させた。10ml、20ml、または30mlのフラスコ中において、最終濃度0.15%の誘導物質アラビノースの存在下または非存在下で、細胞をさらに4時間好気的に増殖させた。同時に、別のサンプルでは、アラビノースの存在下または非存在下で、菌株はまた4時間嫌気的に誘導された。活性アッセイを行うために、1e9細胞をアッセイ緩衝液(0.5%グルコース、50mM Pheおよび50mM MOPSを含むM9培地)に再懸濁し、インキュベートした。上清試料を経時的に採取し、TCA(PALの生成物)を290nmでの吸光度で測定し、TCA生成速度/PAL活性を決定した。図51に見られるように、アラビノースによって誘導されたfnrS24Yの発現は、10ml、20ml、または30mlのフラスコ中の好気性条件下で高レベルの活性をもたらす。さらに、嫌気的条件下におけるアラビノースの非存在下での活性化が維持される。このことは、当該株が、in vivo投与前に、好気性条件下で効率的にプレ誘導されることを示す。これらの結果はまた、アラビノースによる「in vivo」活性化を伴わない嫌気的活性化が、この株においておそらく保存されていることを示唆している。
誘導性急性PKUモデルにおけるSYN2619とSYN1967の活性比較
Pah ENU2/2 PKUマウスモデルにおいて、SYN−PKU710(図47Dに示されている)およびSYN−PKU708(図47Aに示されている)の2つの株のin vivo活性を比較した。SYN−PKU708は、PAL3(3XfnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K))の3つの染色体挿入およびpheP(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI))の2つの染色体コピーを含む。SYN−PKU708は、変異型FNR転写因子であるFNRS24Yの1ノックインコピー(Para::FNRS24Y)および1コピーのLAADをさらに含み、当該コピーは同じ挿入部位(アラビノースオペロン)に挿入されていて、内在性アラビノースプロモーターからバイシストロニックメッセージで転写される。SYN−PKU708は、さらにデルタdapA(dapA栄養要求性)を含む。SYN−PKU710は、PAL3の3つの染色体挿入(3XfnrS−PAL(malP/T、yicS/nepI、malE/K))およびphePの2つの染色体コピー(2XfnrS−pheP(lacZ、agaI/rsmI))を含む。SYN−PKU710は、IPTG誘導性Lac−プロモーターによって駆動される2コピーのPAL(2Xlac−PAL(exo/ceaおよびrhtC/rhtB))、および天然のParaプロモーターによって駆動される発現を伴うアラビノースオペロンにノックインされた1コピーのLAAD(Para::LAAD)をさらに含む。SYN−PKU710はdapA栄養要求株である。
試験の4日前から(すなわち、−4〜1日)、Pah ENU2/2マウス(約11〜15週齢)を、フェニルアラニンを含まない固形飼料および0.5g/Lのフェニルアラニンを補充した水で維持した。1日目にマウスの体重を測定して、各群の平均体重を決定し、以下のように体重に従って処置群に無作為に分けた:群1:H2Oコントロール(n=12);群2:SYN−PKU−710(n=12);群3:SYN−PKU−708(n=12)。ベースラインのフェニルアラニンレベルを決定するために、顎下皮膚穿刺によって血液サンプルを収集した。
マウスに、0.1mg/g体重の皮下注射によって、単回用量のフェニルアラニンを平均群体重に従って投与した。Pheチャレンジの1、2および3時間後に、細菌(または水)をマウスに強制経口投与(300μl/用量、3回の投与で合計3Xe10 cfu/マウスを投与)した。いずれの菌株についても、炭酸水素ナトリウムを100mMの最終濃度で添加した。Pheチャレンジの4時間後まで、全ての動物から尿を採取した。フェニルアラニンチャレンジの4時間後に、全ての処置群から採血した。血液および尿をLC/MS分析のために氷上に保存した。フェニルアラニンの皮下注射の4時間後におけるベースラインに対する血液フェニルアラニン濃度を図59Aに示す。SYN−PKU710およびSYN−PKU708におけるdPheの減少パーセントは、それぞれ29%および40%と計算された。尿中に回収された全馬尿酸を図59Bに示す。dH20で処置したマウスからは、無視できる程度の馬尿酸しか回収されなかった。
この研究のための細胞は、以下のように発酵槽中で調製した。SYN−PKU708については、フリーザーバイアルを解凍したものを用いて、グリセロール、酵母エキス(yeast extract)、ソイトン(soytone)および緩衝液ならびにDAP(SYN−PKU708はデルタDapA)からなる発酵培地のフラスコ培養物に接種した。フラスコを一晩増殖させ、同じ培地を含む37℃、pH7、および溶存酸素60%の発酵槽に接種するために使用した。短い初期成長段階の後、培養物を0.6mMアラビノースで誘導して、FNRS24Yの発現をオンにして、FNRによって駆動されるPALおよびPhePの発現を誘導した。細胞を遠心分離により濃縮し、<−60℃での凍結中に細胞を保護するために、グリセロール、スクロースおよび緩衝液を含む製剤緩衝液に再懸濁した。
SYN−PKU710については、フリーザーバイアルを解凍したものを用いて、グリセロール、酵母エキス、ソイトン、緩衝液、およびDAP(SYN−PKU708はデルタDapA)からなる発酵培地のフラスコ培養物に接種した。フラスコを一晩増殖させ、同じ培地を含む37℃、pH7、および溶存酸素30%の発酵槽に接種するために使用した。短い初期成長段階の後、培養物を1mMのIPTGで誘導して、PALの発現を制御するPlacプロモーターの発現をオンにした。この研究では、LAAD発現は誘導されなかった。5時間の活性化後、細胞を遠心分離により濃縮し、<−60℃での凍結中に細胞を保護するために、製剤緩衝液(グリセロール、スクロースおよび緩衝液を含む)に再懸濁した。
バイオセイフティーシステム含有株のin vitroおよびin vivo活性の評価
以下の菌株の活性を試験する。
SYN−PKU1001は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物(低コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1002は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物(低コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1003は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物(中コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1004は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物(中コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1005は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物(低コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1006は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物(低コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1007は、phePの2つの染色体コピー(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)、および細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物(中コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1008は、pheP(lacZ::PfnrS−pheP、agaI/rsmI::PfnrS−pheP)の2つの染色体コピー、および細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物(中コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1009は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物(低コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1010は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物(低コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1011は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物(中コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1012は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物(中コピーRBS;dapA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Aに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1013は、細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物(低コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1014は、細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Cに示される構築物(低コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1015は、細菌染色体上のdapA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物(中コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Bの構築物(LacI Fnrs−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。
SYN−PKU1016は、細菌染色体上のthyA遺伝子座にノックインされた図61Dに示される構築物(中コピーRBS;thyA::構成的プロモーター1(BBA_J26100)−Pi(R6K)−構成的プロモーター2(P1)−Kis抗毒素)を含む。bla遺伝子が図65Dの構築物(lacI−Ptac−PAL−PAL)で置換されていることを除いて、該株は、図61Bに示されるプラスミドをさらに含む。
細胞をLB中で一晩増殖させ、1:100に希釈する。1.5時間の増殖後、細胞を1mM IPTGの存在下で4時間増殖させて、PAL(および、いくつかの場合ではPheP)の発現を制御するPlacプロモーターの発現をオンにする。細菌を遠心により沈殿させ、50mMフェニルアラニンを含むアッセイ緩衝液に再懸濁する。290nmの吸光度によるトランス−ケイ皮酸の定量のために、細胞アッセイから一定量を20分ごとに1.5時間にわたって取り除く。別の研究では、染色体に組み込まれたPara−LAADをさらに含む株とともに、上記と同じ構築物を使用し、当該Para−LAADはPLacIと同時に誘導される。別の研究では、菌株が染色体に組み込まれたPara−FNRS24Yをさらに含むことを除いて、上記と同じ構築物が使用される。別の研究では、菌株が染色体に組み込まれたPara−FNRS24Y−LAADをさらに含むことを除いて、上記と同じ構築物が使用される。
これらの構築物の構築のための配列を表77、表78、および表79に示す。いくつかの実施形態では、上記株で使用されるPAL3はコドン最適化されている。他の実施形態では、本明細書に記載のフォトラブダス・ケミルミネセンス(Photorhabdus chemiluminescens)のオリジナルなPAL3配列は、上記および図65に記載の構築物のいずれかで使用される。
実施例51、実施例44および本明細書の他の箇所に記載されるように、in vivo実験を行う。
[表77]
[表78]
[表79]
様々な誘導性プロモーターからのin vitroにおけるPAL活性の比較
PAL発現が種々の誘導性プロモーター(アラビノース、IPTG(LacI)、ラムノース、Tet、温度(CI857))の制御下にある株のin vitroでのPAL活性は、TCA蓄積速度によって測定される。この研究では、SYN−PKU707がベンチマークコントロールとして示されている。菌株を、本明細書に記載のように、0.1%アラビノース、1mMIPTGまたはラムノース、またはテトラサイクリンで誘導した。Ci857は37℃および42℃で誘導した。細胞をアッセイ緩衝液に再懸濁し、本明細書に記載のように、様々な時点でTCAレベルを測定して活性を決定した。結果を図60に示す。この研究に使用される構築物は、表80、表81、および表82に記載されている。LacI−PALおよびTet−PALは、本明細書の他の場所に示されている(例えば、表72)。構築物は、図49、図62A、図62B、および図62Cに示されている。
[表80]
[表81]
[表82]
株活性
SYN−707、SYN−PKU710、およびSYN−PKU708の活性をin vitroで測定した。結果を表83に報告する。
SYN−PKU710については、細胞を発酵培地中でOD 0.2まで増殖させ、1mMのIPTGの添加により1時間誘導した。次いで、最終濃度0.009%のアラビノースを添加した。細胞をさらに4時間誘導した。SYN−PKU708およびSYN−PKU707については、細胞を発酵培地中でOD 0.2まで増殖させ、最終濃度0.15%のアラビノースを添加することによって4時間誘導した。酸素の存在下(振盪)では、酸素、グルコース、pHまたは基質によって制限されない高いレベルの活性が観察される。微好気条件下(静的インキュベーション)では、LAAD活性は酸素に依存する。結果を表83に報告する。
[表83]
野生型clbAおよびclbAノックアウト
[表84]

Claims (30)

  1. a)フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)をコードする1つまたは複数の遺伝子であって、温度調節プロモーター、IPTG誘導性プロモーター、ラムノース誘導性プロモーター、アラビノース誘導性プロモーター、および、PssBプロモーターから選択される誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している遺伝子と、
    b)フェニルアラニントランスポーターをコードする1つまたは複数の遺伝子であって、天然ではフェニルアラニントランスポーター遺伝子に付随していない誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している遺伝子とを含む、遺伝子操作された細菌。
  2. L−アミノ酸デアミナーゼ(LAAD)をコードする1つまたは複数の遺伝子であって、天然ではLAAD遺伝子に付随していない誘導可能なプロモーターに作動可能に連結している遺伝子をさらに含む、請求項1に記載の細菌。
  3. 前記PALをコードする前記遺伝子は、温度調節プロモーターに作動可能に連結されている、請求項1また2に記載の細菌。
  4. 前記PALをコードする前記遺伝子は、IPTG誘導性プロモーターに作動可能に連結されている、請求項1または2に記載の細菌。
  5. LacIリプレッサーをコードする遺伝子を更に含む、請求項1、2、または4に記載の細菌。
  6. (a)前記PALをコードする前記遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターおよび前記フェニルアラニントランスポーターをコードする前記遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターが、同じプロモーターの別個のコピーであるか;
    (b)前記PALをコードする前記遺伝子および前記フェニルアラニントランスポーターをコードする前記遺伝子が、同じプロモーターの同じコピーに作動可能に連結されている、請求項1〜のいずれか一項に記載の細菌。
  7. LAADをコードする遺伝子が、前記PALをコードする前記遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターおよび前記フェニルアラニントランスポーターをコードする前記遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターとは異なるプロモーターに作動可能に連結されている、請求項2〜6のいずれか一項に記載の細菌。
  8. 前記フェニルアラニントランスポーターをコードする前記遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターが、低酸素または嫌気性条件下で誘導されるプロモーター;温度調節プロモーター;および、アラビノース、IPTG、テトラサイクリン、またはラムノースにより誘導されるプロモーターから選択される、請求項1〜のいずれか一項に記載の細菌。
  9. 前記LAADをコードする前記遺伝子に動作可能に連結する前記プロモーターが、低酸素または嫌気性条件下で誘導されるプロモーター;温度調節プロモーター;および、アラビノース、IPTG、テトラサイクリン、またはラムノースにより誘導されるプロモーターから選択される、請求項2〜8のいずれか一項に記載の細菌。
  10. 前記温度調節プロモーターが37℃〜42℃の間の温度で誘導される、請求項1〜3、6〜9のいずれか一項に記載の細菌。
  11. 前記温度調節プロモーターがラムダCI誘導性プロモーターである、請求項1〜3、6〜10のいずれか一項に記載の細菌。
  12. 温度感受性CIリプレッサー突然変異体をコードする1つまたは複数の遺伝子を更に含む、請求項1〜3、6〜11のいずれか一項に記載の細菌。
  13. 温度感受性CIリプレッサー突然変異体がCI857である、請求項12に記載の細菌。
  14. 前記フェニルアラニントランスポーターをコードする前記遺伝子および/または前記LAADをコードする前記遺伝子が、FNR応答性プロモーター;または、アラビノース、IPTG、トラサイクリン、もしくはラムノースにより誘導されるプロモーターの制御下にある、請求項2〜13のいずれか一項に記載の細菌。
  15. フェニルアラニントランスポーターをコードする前記遺伝子、PALをコードする前記遺伝子、および/またはLAADをコードする前記遺伝子が、
    (a)前記細菌における染色体上に位置するか、
    (b)前記細菌におけるプラスミド上に位置する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の細菌。
  16. 前記温度感受性CIリプレッサー突然変異体をコードする遺伝子およびLAADをコードする前記遺伝子が、同じプロモーターの制御下にある、請求項12〜15のいずれか一項に記載の細菌。
  17. 前記PALが、アナベナ・バリアビリス(Anabaena variabilis)(PAL1)またはフォトラブダス・ルミネセンス(Photorhabdus luminescens)(PAL3)に由来する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の細菌。
  18. 前記フェニルアラニントランスポーターがPhePである、請求項1〜17のいずれか一項に記載の細菌。
  19. 前記細菌がプロバイオティクス細菌である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の細菌。
  20. 前記細菌が、バクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属、クロストリジウム属、エシェリキア属、ラクトバチルス属、およびラクトコッカス属からなる群から選択される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の細菌。
  21. 前記細菌が、大腸菌株Nissleである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の細菌。
  22. 前記細菌が、前記細菌が哺乳動物の消化管に存在する場合に相補される遺伝子の栄養要求株である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の細菌。
  23. 前記細菌が、ジアミノピメリン酸またはチミジンにおける栄養要求株である、請求項22に記載の細菌。
  24. 前記細菌が、前記細菌に対して有毒な物質をコードする遺伝子を更に含み、前記遺伝子が、環境要因の有無またはシグナルによって直接的または間接的に誘導されるプロモーターの制御下にある、請求項1〜23のいずれか一項に記載の細菌。
  25. 請求項1〜24のいずれか一項に記載の細菌、および薬学的に許容される担体を含む薬学的に許容される組成物。
  26. 経口投与用に製剤化された、請求項25に記載の組成物。
  27. 高フェニルアラニン血症を低減させるか、または高フェニルアラニン血症に関連する疾患を治療する方法に使用するための、請求項25または26に記載の組成物。
  28. 前記疾患が、フェニルケトン尿症、古典的または典型的フェニルケトン尿症、異型フェニルケトン尿症、永続的軽度高フェニルアラニン血症、非フェニルケトン尿症高フェニルアラニン血症、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ欠損症、補因子欠損症、ジヒドロプテリジンレダクターゼ欠損症、テトラヒドロプテリンシンターゼ欠損症、瀬川病、および肝疾患からなる群から選択される、請求項27に記載の組成物
  29. 高フェニルアラニン血症を低減させるか、または高フェニルアラニン血症に関連する疾患を治療するための薬剤の製造における、請求項1〜24のいずれか一項に記載の細菌の使用。
  30. 前記疾患が、フェニルケトン尿症、古典的または典型的フェニルケトン尿症、異型フェニルケトン尿症、永続的軽度高フェニルアラニン血症、非フェニルケトン尿症高フェニルアラニン血症、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ欠損症、補因子欠損症、ジヒドロプテリジンレダクターゼ欠損症、テトラヒドロプテリンシンターゼ欠損症、瀬川病、および肝疾患からなる群から選択される、請求項29に記載の使用。
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