本発明は、電動モータの分野に関するものである。更に詳細には、本発明は、ステータに設けられるソレノイドと、ロータに設けられる複数の電磁石と、を含む電動モータに関するものである。
回転式の電動モータは良く知られており、現在では電気エネルギーを機械エネルギーに変換するために長きにわたり広く使用されている。通常の電動モータはロータ及びステータを備えている。
ロータはモータの可動部であり、ロータは、回転モーメントを負荷に伝達する回転シャフトを備える。ロータは通常、導体を備え、導体に電流を流して次に電磁場を生成し、電磁場がステータの磁場と相互作用してシャフトを回転させる力を発生させる。別の構成では、ロータが永久磁石を備えているのに対し、ステータは導体を備えている。
ステータは、今度は、モータの電磁気回路の固定部であり、前述した通り、巻線または永久磁石のいずれかを備える。ステータコアは通常、積層板と呼ばれる多くの薄い金属板により構成される。積層板を使用してエネルギー損失を低減させ、積層板を使用しないで中実コアを使用した場合にはエネルギー損失を伴う。
電動モータは、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する逆変換機能にも使用され、このような場合では、電動モータは実際には、発電機である。
特許文献1には、ステータに設けられる複数のソレノイドと、ロータに設けられる複数の永久磁石と、を備える電動モータが開示されている。ステータのソレノイド群は、円形平面に半径方向に向いて配置され、かつ等角度で離間される;ソレノイド群の各ソレノイドは間隙を有し、この間隙内を、ロータの永久磁石が移動する。ロータが今度は、略環状構造に配置される前記複数の磁石を備え、前記磁石群は、等角度で互いに離間される。隣接する磁石の間の隙間(このような隙間が発生する場合の)には、高透磁性材料が充填されることが好ましい。いずれにしても、磁石及び高透磁性材料(充填する場合の)が環状構造を形成する。電流をソレノイド群の全てに同時に供給して、永久磁石群の全てを、ソレノイドに対して特定の方向に押すか、または引っ張ることにより、磁石リングが回転するようにする。特許文献1に記載の実施形態では、幾つかの更に別の環状層を永久磁石の環状層の上方及び下方に設け、前記層群の全てが一体となってソレノイドの間隙内を回転する。特許文献1に記載の前記更に別の環状層群のうちの1つの環状層は歯付き環状体であり、歯付き環状体が永久磁石層(及び、これらの層のうち、永久磁石層の上下の残りの層)の回転モーメントを歯付きディスク(機械式歯車)に伝達し、歯付きディスクは、当該歯付きディスクが回転すると、歯付きディスクに高剛性に取り付けられるモータのシャフトを回転させる。
同時係属中の特許文献2には:(A)ロータと;(B)ステータと、を備える電動モータが開示されており、ロータは:(a)同心円状のシャフト及びディスクと;(b)前記ディスク上に等角度で離間され、かつ半径方向に向いて等間隔に配置される複数の永久磁石と、を備え、ステータは:(c)等角度で離間され、かつ半径方向に向いて等間隔に配置される複数のソレノイドであって、前記ソレノイド群の各ソレノイドが、今度は矩形の断面形状を有するソレノイドコアと、空洞と、ディスクスロットと、を有する、前記複数のソレノイドと;(d)前記ソレノイド群の各ソレノイド内のコイルと、を備え;前記ロータディスクは、前記ソレノイドスロット内に位置決めされ、前記永久磁石は、前記ロータディスクが回転しているときに、これらの永久磁石が、ソレノイドコアの前記空洞内を回転しながら通過することができるように配置される。電流をソレノイド群に供給して、永久磁石群を特定の方向に同時に押すか、または引っ張ることにより、磁石が回転するようにし、実際にロータディスクが回転するようにする。
上に説明したように、特許文献1及び特許文献2の両方に記載の電動モータはそれぞれ、永久磁石を電動モータのロータに備えている。しかしながら、永久磁石は、比較的高価であり、電磁石と比べると非常に高価である。従って、特許文献1及び特許文献2に記載のモータの永久磁石を電磁石に置き換えることが望ましい。
別の態様では、特許文献1及び特許文献2に記載のモータの両方において、ソレノイドコイルに供給される電流の方向を周期的に(すなわち、ディスクの各周期中に数回)切り替えて、電磁場の向きをそれぞれ変える必要がある。明らかに、永久磁石の極性を変えることはできないので、電流方向の変更が、回転を維持するための唯一の方法である。
国際公開第2013/140400号
英国特許出願第1511226.1号
従って、本発明の目的は、特許文献1及び特許文献2に開示されているモータのようなソレノイド磁石式モータのコストを大幅に下げることを可能にすることにある。
本発明の別の目的は、特許文献1及び特許文献2に開示されているモータのようなソレノイド磁石式モータを回転させる方法のフレキシビリティを高めることを可能にすることにある。
本発明の他の目的及び利点は、説明が進むにつれて明らかになる。
本発明は電動モータに関するものであり、電動モータは:(A)環状ロータであって、前記環状ロータが:等角度で離間され、かつ半径方向に向いて等間隔に環状に配置される複数の電磁石を含む、前記環状ロータと;(B)ステータであって、前記ステータが:等角度で離間され、かつ半径方向に向いて等間隔に配置される複数のソレノイドであって、前記ソレノイド群の各ソレノイドがソレノイドコアを有し、前記ソレノイドコアが今度は、矩形の断面形状と、空洞と、を有する、前記複数のソレノイドと;前記ソレノイド群の各ソレノイド内のソレノイドコイルと、を含む、前記ステータと、を備え;前記電磁石群は、これらの電磁石が、前記ソレノイドコアの前記空洞内を回転しながら移動することができるように配置され、前記複数の電磁石の負側コイル端子及び正側コイル端子がそれぞれ、それぞれの負側周方向帯状体及び正側周方向帯状体に並列接続され、前記電磁石コイルに流れ込む電流は、電源から2つのブラシを介してそれぞれ前記負側帯状体及び前記正側帯状体に供給される。
本発明の1つの実施形態では、前記ロータは多層モータであり、層群の1つの層が歯付き環状体であり、前記ロータの回転モーメントが、前記歯付き環状体から歯車に伝達され、前記歯車に対して、シャフトが高剛性に取り付けられる。
本発明の別の実施形態では、前記複数の電磁石は回転ディスクに取り付けられ、前記回転ディスクが今度は、シャフトと同心円状に設けられ、前記ロータディスクは、前記ソレノイド群の各ソレノイドのそれぞれのディスクスロット内に位置決めされ、それぞれのディスクスロット内を回転することができる。
前記電源から前記電磁石コイルに流れる前記電流がDC電流であるのに対し、前記ソレノイドコイルに流れ込む電流は交流電流である。別の構成として、前記電源から前記電磁石コイルに流れる前記電流が交流電流であるのに対し、前記ソレノイドコイルに流れ込む電流はDC電流である。
特許文献1に記載のモータの概略構造を示している。
特許文献2に記載のモータの概略構造を示している。
特許文献1に記載のモータのロータ構造を示している。
本発明の第1の実施形態によるソレノイド−電磁石式モータのロータを示している。
本発明の第2の実施形態によるソレノイド−電磁石式モータのロータを示している。
上に説明したように、ソレノイド及び永久磁石を組み合わせて使用するモータ、更に詳細には、永久磁石が、特許文献1及び特許文献2に開示されているモータのように、ソレノイド内の間隙内または空洞内を移動する構成のモータ(以後、この種類のモータは、「solenoid−permanent magnets type motors(ソレノイド−永久磁石式モータ)」と表記される)は、比較的高価であり、特に高価な永久磁石を使用しているために高価である。更に、これらのモータが動作するためには、電磁場の向きを頻繁に変える必要があり、電磁場の向きは、ソレノイドに供給される電流の方向を変えることによってのみ変えることができる。
図1は、特許文献1に記載のモータの概略構造を示している。モータは、各ソレノイドが間隙を有する構成の複数のソレノイド62を有するステータと、環状構造に配置される複数の永久磁石61を含むロータと、を備える。図1には図示されていないが、高透磁性材料から成るロッドを任意の2つの隣接する磁石23の間に配置して環状構造を完成させる。電流をソレノイドのコイルに供給し、ソレノイドに供給する電流の方向を周期的に変えると、ロータの環状構造が回転する。ロータは更に、歯付き環状体101を備え、歯付き環状体101が回転モーメントを歯車63及びシャフト67に伝達する。モータ全体はベース65により支持される。
図2は、特許文献2に記載のモータの概略構造を示している。モータは、各ソレノイドが空洞を有する構成の複数のソレノイド31a〜31hを有するステータと、環状構造に配置される複数の永久磁石23a〜23hを含むロータと、を備える(環状構造は図2に明確には図示されていないが、図3に示されている)。環状構造に配置される永久磁石23は、支持用ディスク22上に配置される。上に説明したように、図2には図示されていないが、強磁性(例えば、鉄)ロッドが、任意の2つの隣接する磁石23の間に配置されて環状構造を完成させる。ソレノイド31を、電流(電流の方向は適宜入れ替わる)を供給することにより適切に作動させると、ロータ、すなわちディスク22が回転する。ロータは更に、ディスク22に高剛性に取り付けられるシャフト21を備える。モータ全体はベース32により支持される。
図3は、特許文献1に記載のモータのロータ構造(ディスク22は、図を分かり易くするために図から削除されている)を示しており、任意の隣接する永久磁石ペアの間に配置される強磁性(例えば、鉄)ロッド25a〜25hが更に図示されている。
本発明の発明者らは、このような「solenoid−permanent magnets type motors(ソレノイド−永久磁石式モータ)」のコストは、ロータに設けられる永久磁石群の各永久磁石を適切な電磁石に置き換えることにより大幅に低減させることができるという知見を得ている。
図4は、本発明によるソレノイド−電磁石式モータのロータを示している。ロータは図3のロータとほぼ同じであるが、磁石23a〜23hの各磁石が電磁石123a〜123hにそれぞれ置き換えられている。電磁石群123の各電磁石は、鉄コア(好適には、積層コア)に巻回される1本以上のコイル(図を分かり易くするために、この図には図示されていない)を備える。従来と同じく、各コイルは、電流供給がそれぞれに対して行われる2つのエンド部を有し、これらのコイルエンド部は、本明細書においては、簡潔性を期して、コイルの「正側」端子及び「負側」端子と表記することとする。電磁石123のコイルの正側端子群の全ては、一括して「正側」金属周方向帯状体144に接続され、同様に、電磁石123のコイルの負側端子群の全ては、一括して「負側」金属周方向帯状体145に接続される。このように、電磁石のコイル群の全ては実際には、並列接続される。回転モータの電磁石123に対する電流供給は、電源146から、この技術分野で公知の従来のブラシペア147a及び147bを介して行われる。更に詳細には、「正側」ブラシ147aが、正側帯状体144に継続的に接触しているのに対し、「負側」ブラシ147bは、負側帯状体145に継続的に接触している。このように、実際に、電磁石123a〜123hの各電磁石がそれぞれ、1つの永久磁石23a〜23hに置き換わって用いられる。動作状態では、各電磁石のコアは、実際には、N極−S極を持つ磁石として機能し、「ソレノイド−永久磁石式モータ」の対応する永久磁石に機能的に置き換わって用いられる。
図4に示すように電流を電磁石にブラシ及び帯状体144及び145のそれぞれを介して供給する方法は一例に過ぎないことに留意されたい。この技術分野で公知の他の装置及び方法を別の構成として使用することができる。
各電磁石が図1〜図3のモータのそれぞれの永久磁石と同様に機能するために、DC(直流)電流を電源146から供給する必要がある。
別の構成として、電源146は、交流電流を電磁石123に適宜供給する(ブラシ147a及び147bを介して)ことにより、電磁石のコアのN極−S極を交互に周期的に変えることができる。従って、このようにして、ソレノイドコアの極性を交互に周期的に変えるのではなく、後者の本実施形態では、ロータ電磁石の極性を変える。
図5は、図1のモータ(すなわち、特許文献1に記載のモータ)を変更して、永久磁石ではなく電磁石を取り入れる過程を示している。図1の永久磁石群61の各永久磁石は、対応する電磁石(分かり易くするために図5には図示されていない)に置き換えられる。前記電磁石群の各電磁石は、鉄コアに巻回される1本以上のコイル(分かり易くするためにこの図には図示されていない)を備える。従来のように、各コイルは2つの端子、負側端子及び正側端子をそれぞれ有する。図4のモータと同様に、電磁石のコイルの正側端子群の全ては、一括して「正側」金属周方向帯状体77に接続され、同様に、電磁石のコイルの負側端子群の全ては、一括して「負側」金属周方向帯状体78に接続される。このように、電磁石のコイル群の全てが実際には並列接続される。回転モータの電磁石に対する電流供給は、電源から、図4の配置と同様の配置の従来のブラシペア(図示せず)を介して行われる。更に詳細には、「正側」ブラシが正側帯状体77に継続的に接触しているのに対し、負側ブラシは、負側帯状体78に継続的に接触している。このように、実際に、ロータの電磁石群の各電磁石がそれぞれ、図1のモータの1つの永久磁石61に置き換わって用いられる。動作状態では、各電磁石のコアが実際に、N極−S極を持つ磁石として機能し、「ソレノイド−永久磁石式モータ」の対応する永久磁石に機能的に置き換わって用いられる。電磁石群に流れ込む電流は、図4のモータについて上に説明した直流電流または交流電流のいずれかとすることができる。
本発明の幾つかの実施形態について例を通して説明してきたが、本発明は、多くの変形、変更、及び適合化を行って実施することができ、本発明の趣旨を逸脱しない限り、または特許請求の範囲を超えない限り、当業者が想到する範囲に収まる多数の均等物または代替解決策を用いて実施することができることが明らかであろう。
本発明は、電動モータの分野に関するものである。更に詳細には、本発明は、ステータに設けられるソレノイドと、ロータに設けられる複数の電磁石と、を含む電動モータに関するものである。
回転式の電動モータは良く知られており、現在では電気エネルギーを機械エネルギーに変換するために長きにわたり広く使用されている。通常の電動モータはロータ及びステータを備えている。
ロータはモータの可動部であり、ロータは、回転モーメントを負荷に伝達する回転シャフトを備える。ロータは通常、導体を備え、導体に電流を流して次に電磁場を生成し、電磁場がステータの磁場と相互作用してシャフトを回転させる力を発生させる。別の構成では、ロータが永久磁石を備えているのに対し、ステータは導体を備えている。
ステータは、今度は、モータの電磁気回路の固定部であり、前述した通り、巻線または永久磁石のいずれかを備える。ステータコアは通常、積層板と呼ばれる多くの薄い金属板により構成される。積層板を使用してエネルギー損失を低減させ、積層板を使用しないで中実コアを使用した場合にはエネルギー損失を伴う。
電動モータは、機械エネルギーを電気エネルギーに変換する逆変換機能にも使用され、このような場合では、電動モータは実際には、発電機である。
特許文献1には、ステータに設けられる複数のソレノイドと、ロータに設けられる複数の永久磁石と、を備える電動モータが開示されている。ステータのソレノイド群は、円形平面に半径方向に向いて配置され、かつ等角度で離間される;ソレノイド群の各ソレノイドは間隙を有し、この間隙内を、ロータの永久磁石が移動する。ロータが今度は、略環状構造に配置される前記複数の磁石を備え、前記磁石群は、等角度で互いに離間される。隣接する磁石の間の隙間(このような隙間が発生する場合の)には、高透磁性材料が充填されることが好ましい。いずれにしても、磁石及び高透磁性材料(充填する場合の)が環状構造を形成する。電流をソレノイド群の全てに同時に供給して、永久磁石群の全てを、ソレノイドに対して特定の方向に押すか、または引っ張ることにより、磁石リングが回転するようにする。特許文献1に記載の実施形態では、幾つかの更に別の環状層を永久磁石の環状層の上方及び下方に設け、前記層群の全てが一体となってソレノイドの間隙内を回転する。特許文献1に記載の前記更に別の環状層群のうちの1つの環状層は歯付き環状体であり、歯付き環状体が永久磁石層(及び、これらの層のうち、永久磁石層の上下の残りの層)の回転モーメントを歯付きディスク(機械式歯車)に伝達し、歯付きディスクは、当該歯付きディスクが回転すると、歯付きディスクに高剛性に取り付けられるモータのシャフトを回転させる。
同時係属中の英国特許出願第1511226.1号(特許文献2として刊行)には:(A)ロータと;(B)ステータと、を備える電動モータが開示されており、ロータは:(a)同心円状のシャフト及びディスクと;(b)前記ディスク上に等角度で離間され、かつ半径方向に向いて等間隔に配置される複数の永久磁石と、を備え、ステータは:(c)等角度で離間され、かつ半径方向に向いて等間隔に配置される複数のソレノイドであって、前記ソレノイド群の各ソレノイドが、今度は矩形の断面形状を有するソレノイドコアと、空洞と、ディスクスロットと、を有する、前記複数のソレノイドと;(d)前記ソレノイド群の各ソレノイド内のコイルと、を備え;前記ロータディスクは、前記ソレノイドスロット内に位置決めされ、前記永久磁石は、前記ロータディスクが回転しているときに、これらの永久磁石が、ソレノイドコアの前記空洞内を回転しながら通過することができるように配置される。電流をソレノイド群に供給して、永久磁石群を特定の方向に同時に押すか、または引っ張ることにより、磁石が回転するようにし、実際にロータディスクが回転するようにする。
上に説明したように、特許文献1及び特許文献2の両方に記載の電動モータはそれぞれ、永久磁石を電動モータのロータに備えている。しかしながら、永久磁石は、比較的高価であり、電磁石と比べると非常に高価である。従って、特許文献1及び特許文献2に記載のモータの永久磁石を電磁石に置き換えることが望ましい。
別の態様では、特許文献1及び特許文献2に記載のモータの両方において、ソレノイドコイルに供給される電流の方向を周期的に(すなわち、ディスクの各周期中に数回)切り替えて、電磁場の向きをそれぞれ変える必要がある。明らかに、永久磁石の極性を変えることはできないので、電流方向の変更が、回転を維持するための唯一の方法である。
国際公開第2013/140400号
国際公開第2016/207877号
従って、本発明の目的は、特許文献1及び特許文献2に開示されているモータのようなソレノイド磁石式モータのコストを大幅に下げることを可能にすることにある。
本発明の別の目的は、特許文献1及び特許文献2に開示されているモータのようなソレノイド磁石式モータを回転させる方法のフレキシビリティを高めることを可能にすることにある。
本発明の他の目的及び利点は、説明が進むにつれて明らかになる。
本発明は電動モータに関するものであり、電動モータは:(A)環状ロータであって、前記環状ロータが:等角度で離間され、かつ半径方向に向いて等間隔に環状に配置される複数の電磁石を含む、前記環状ロータと;(B)ステータであって、前記ステータが:等角度で離間され、かつ半径方向に向いて等間隔に配置される複数のソレノイドであって、前記ソレノイド群の各ソレノイドがソレノイドコアを有し、前記ソレノイドコアが今度は、矩形の断面形状と、空洞と、を有する、前記複数のソレノイドと;前記ソレノイド群の各ソレノイド内のソレノイドコイルと、を含む、前記ステータと、を備え;前記電磁石群は、これらの電磁石が、前記ソレノイドコアの前記空洞内を回転しながら移動することができるように配置され、前記複数の電磁石の負側コイル端子及び正側コイル端子がそれぞれ、それぞれの負側周方向帯状体及び正側周方向帯状体に並列接続され、前記電磁石コイルに流れ込む電流は、電源から2つのブラシを介してそれぞれ前記負側帯状体及び前記正側帯状体に供給される。
本発明の1つの実施形態では、前記ロータは多層モータであり、層群の1つの層が歯付き環状体であり、前記ロータの回転モーメントが、前記歯付き環状体から歯車に伝達され、前記歯車に対して、シャフトが高剛性に取り付けられる。
本発明の別の実施形態では、前記複数の電磁石は回転ディスクに取り付けられ、前記回転ディスクが今度は、シャフトと同心円状に設けられ、前記ロータディスクは、前記ソレノイド群の各ソレノイドのそれぞれのディスクスロット内に位置決めされ、それぞれのディスクスロット内を回転することができる。
前記電源から前記電磁石コイルに流れる前記電流がDC電流であるのに対し、前記ソレノイドコイルに流れ込む電流は交流電流である。別の構成として、前記電源から前記電磁石コイルに流れる前記電流が交流電流であるのに対し、前記ソレノイドコイルに流れ込む電流はDC電流である。
特許文献1に記載のモータの概略構造を示している。
特許文献2に記載のモータの概略構造を示している。
特許文献1に記載のモータのロータ構造を示している。
本発明の第1の実施形態によるソレノイド−電磁石式モータのロータを示している。
本発明の第2の実施形態によるソレノイド−電磁石式モータのロータを示している。
上に説明したように、ソレノイド及び永久磁石を組み合わせて使用するモータ、更に詳細には、永久磁石が、特許文献1及び特許文献2に開示されているモータのように、ソレノイド内の間隙内または空洞内を移動する構成のモータ(以後、この種類のモータは、「solenoid−permanent magnets type motors(ソレノイド−永久磁石式モータ)」と表記される)は、比較的高価であり、特に高価な永久磁石を使用しているために高価である。更に、これらのモータが動作するためには、電磁場の向きを頻繁に変える必要があり、電磁場の向きは、ソレノイドに供給される電流の方向を変えることによってのみ変えることができる。
図1は、特許文献1に記載のモータの概略構造を示している。モータは、各ソレノイドが間隙を有する構成の複数のソレノイド62を有するステータと、環状構造に配置される複数の永久磁石61を含むロータと、を備える。図1には図示されていないが、高透磁性材料から成るロッドを任意の2つの隣接する磁石23の間に配置して環状構造を完成させる。電流をソレノイドのコイルに供給し、ソレノイドに供給する電流の方向を周期的に変えると、ロータの環状構造が回転する。ロータは更に、歯付き環状体101を備え、歯付き環状体101が回転モーメントを歯車63及びシャフト67に伝達する。モータ全体はベース65により支持される。
図2は、特許文献2に記載のモータの概略構造を示している。モータは、各ソレノイドが空洞を有する構成の複数のソレノイド31a〜31hを有するステータと、環状構造に配置される複数の永久磁石23a〜23hを含むロータと、を備える(環状構造は図2に明確には図示されていないが、図3に示されている)。環状構造に配置される永久磁石23は、支持用ディスク22上に配置される。上に説明したように、図2には図示されていないが、強磁性(例えば、鉄)ロッドが、任意の2つの隣接する磁石23の間に配置されて環状構造を完成させる。ソレノイド31を、電流(電流の方向は適宜入れ替わる)を供給することにより適切に作動させると、ロータ、すなわちディスク22が回転する。ロータは更に、ディスク22に高剛性に取り付けられるシャフト21を備える。モータ全体はベース32により支持される。
図3は、特許文献1に記載のモータのロータ構造(ディスク22は、図を分かり易くするために図から削除されている)を示しており、任意の隣接する永久磁石ペアの間に配置される強磁性(例えば、鉄)ロッド25a〜25hが更に図示されている。
本発明の発明者らは、このような「solenoid−permanent magnets type motors(ソレノイド−永久磁石式モータ)」のコストは、ロータに設けられる永久磁石群の各永久磁石を適切な電磁石に置き換えることにより大幅に低減させることができるという知見を得ている。
図4は、本発明によるソレノイド−電磁石式モータのロータを示している。ロータは図3のロータとほぼ同じであるが、磁石23a〜23hの各磁石が電磁石123a〜123hにそれぞれ置き換えられている。電磁石群123の各電磁石は、鉄コア(好適には、積層コア)に巻回される1本以上のコイル(図を分かり易くするために、この図には図示されていない)を備える。従来と同じく、各コイルは、電流供給がそれぞれに対して行われる2つのエンド部を有し、これらのコイルエンド部は、本明細書においては、簡潔性を期して、コイルの「正側」端子及び「負側」端子と表記することとする。電磁石123のコイルの正側端子群の全ては、一括して「正側」金属周方向帯状体144に接続され、同様に、電磁石123のコイルの負側端子群の全ては、一括して「負側」金属周方向帯状体145に接続される。このように、電磁石のコイル群の全ては実際には、並列接続される。回転モータの電磁石123に対する電流供給は、電源146から、この技術分野で公知の従来のブラシペア147a及び147bを介して行われる。更に詳細には、「正側」ブラシ147aが、正側帯状体144に継続的に接触しているのに対し、「負側」ブラシ147bは、負側帯状体145に継続的に接触している。このように、実際に、電磁石123a〜123hの各電磁石がそれぞれ、1つの永久磁石23a〜23hに置き換わって用いられる。動作状態では、各電磁石のコアは、実際には、N極−S極を持つ磁石として機能し、「ソレノイド−永久磁石式モータ」の対応する永久磁石に機能的に置き換わって用いられる。
図4に示すように電流を電磁石にブラシ及び帯状体144及び145のそれぞれを介して供給する方法は一例に過ぎないことに留意されたい。この技術分野で公知の他の装置及び方法を別の構成として使用することができる。
各電磁石が図1〜図3のモータのそれぞれの永久磁石と同様に機能するために、DC(直流)電流を電源146から供給する必要がある。
別の構成として、電源146は、交流電流を電磁石123に適宜供給する(ブラシ147a及び147bを介して)ことにより、電磁石のコアのN極−S極を交互に周期的に変えることができる。従って、このようにして、ソレノイドコアの極性を交互に周期的に変えるのではなく、後者の本実施形態では、ロータ電磁石の極性を変える。
図5は、図1のモータ(すなわち、特許文献1に記載のモータ)を変更して、永久磁石ではなく電磁石を取り入れる過程を示している。図1の永久磁石群61の各永久磁石は、対応する電磁石(分かり易くするために図5には図示されていない)に置き換えられる。前記電磁石群の各電磁石は、鉄コアに巻回される1本以上のコイル(分かり易くするためにこの図には図示されていない)を備える。従来のように、各コイルは2つの端子、負側端子及び正側端子をそれぞれ有する。図4のモータと同様に、電磁石のコイルの正側端子群の全ては、一括して「正側」金属周方向帯状体77に接続され、同様に、電磁石のコイルの負側端子群の全ては、一括して「負側」金属周方向帯状体78に接続される。このように、電磁石のコイル群の全てが実際には並列接続される。回転モータの電磁石に対する電流供給は、電源から、図4の配置と同様の配置の従来のブラシペア(図示せず)を介して行われる。更に詳細には、「正側」ブラシが正側帯状体77に継続的に接触しているのに対し、負側ブラシは、負側帯状体78に継続的に接触している。このように、実際に、ロータの電磁石群の各電磁石がそれぞれ、図1のモータの1つの永久磁石61に置き換わって用いられる。動作状態では、各電磁石のコアが実際に、N極−S極を持つ磁石として機能し、「ソレノイド−永久磁石式モータ」の対応する永久磁石に機能的に置き換わって用いられる。電磁石群に流れ込む電流は、図4のモータについて上に説明した直流電流または交流電流のいずれかとすることができる。
本発明の幾つかの実施形態について例を通して説明してきたが、本発明は、多くの変形、変更、及び適合化を行って実施することができ、本発明の趣旨を逸脱しない限り、または特許請求の範囲を超えない限り、当業者が想到する範囲に収まる多数の均等物または代替解決策を用いて実施することができることが明らかであろう。