JP2018534469A - ピストン、それらのためのオイルコントロールリングおよびそれらの構築方法 - Google Patents

ピストン、それらのためのオイルコントロールリングおよびそれらの構築方法 Download PDF

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Abstract

改良されたオイルコントロールリングを有する内燃機関のためのピストンが提供される。ピストン本体は、上部燃焼面と、そこから垂下する環状外壁とを有する。複数の環状リング溝を含むリングベルト領域が環状外壁に形成される。第1の圧縮リングがリング溝の1つに配置され、オイルコントロールリングが別のリング溝に配置される。オイルコントロールリングは、略平行な平面の上面および下面を有し、上面および下面はその中に窪んだ環状溝を有する。環状溝は、シリンダ壁から掻き取られるオイルの収集し、オイルをクランク室溜まりに戻し、オイルコントロールリングとリング溝の壁部との間の接触面積を低減する。

Description

関連出願の相互参照
この出願は、2015年10月30日に提出された米国特許出願第14/928,870号の利益を主張し、参照によりその内容全体がここに組み込まれる。
本発明の背景
1.技術分野
この発明は、概して、内燃機関に関し、より特定的には、ピストン、それらの構築方法、およびそれらのためのオイルコントロールリングに関する。
2.関連技術
エンジン製造者は、限定されるわけではないが、燃料経済の向上、燃料消費の向上、オイル消費の低減、ならびにそのサイズおよび重量の低減など、エンジンの効率および性能を向上させるための要求にますます直面している。これらの問題点に対して主に貢献するものは、エンジン内のピストンに直接関連する。ピストンは、増加される動力への要求に対応するのに十分なほど堅牢であると同時に、サイズおよび重量の低減を得るために質量が低減されなくてはならない。これらの関心事は互いに食い違うため、さらなる進歩をすることがますます挑戦的になっている。
この発明に従って構築されるピストンおよびそれらのための圧縮リングは、エンジンの運転効率を向上し、同時に高い強度および耐久性を有し、エンジンの全体のサイズおよび質量も低減させる。
本発明の概要
本発明の1つの局面によれば、改良されたオイルコントロールリングを有する内燃機関のためのピストンが提供される。ピストンは、中心長手方向軸に沿って延在するピストン本体を有する。ピストン本体は、燃焼力がピストン本体を中心長手方向軸に沿って往復させるように作用する上部燃焼面を有する。ピストン本体は、上部燃焼面から垂下する環状外壁を有し、リングベルト領域が環状外壁に形成される。リングベルト領域は、長手方向軸の方向に沿って互いに軸方向に離間される複数の環状リング溝を含む。第1の圧縮リングがリング溝の1つに配置され、オイルコントロールリングが第1の圧縮リングよりも上部燃焼面からさらに離れたリング溝の1つに配置される。オイルコントロールリングは、中心長手方向軸に対して略横方向に延在する上面および下面を有し、オイルコントロールリングの内面および外面が上面と下面との間に延在する。さらに、上面および下面は各々、その中に延在する環状溝を有する。環状溝は、シリンダ壁から掻き取られるオイルの収集を容易にし、さらに集められたオイルをクランク室溜まりに戻すことを容易にする。さらに、溝がオイルコントロールリングとピストン本体のリング溝の壁部との間の接触面積を低減することにより、オイルコントロールリングとピストン本体との間の膠着状態の可能性を低くする。
本発明の別の局面によれば、オイルコントロールリングが単一の一体部材として形成されることにより、オイルコントロールリングが占める長手方向軸に沿って延在する軸方向の空間をより少なくすることを可能にし、これにより、圧縮高さが低減されたピストンを提供する。
本発明の別の局面によれば、改良されたオイルコントロールリングは、それを有するピストンが、主に燃焼ガスを封止するために機能する最上の圧縮リングと、単一のオイルコントロールリングとを含む、2つのみのピストンリングを有して効率的に機能することを可能とし、これによりピストンの圧縮高さを最小化することができる。
本発明の別の局面によれば、改良されたオイルコントロールリングは、上面および下面の環状溝間に延在して環状溝を互いに流体連通させる、少なくとも1つの貫通開口部を含んでいてもよく、これにより、掻き取られたオイルの収集および排出をさらに容易にする。
本発明の別の局面によれば、改良されたオイルコントロールリングは、シリンダ壁に対してオイルコントロールリングの外面の最適な接触圧を得てオイル消費を最小化することを容易にするために、内面の中へ延在する環状のエキスパンダ溝を含んでいてもよく、エキスパンダ溝にはエキスパンダリングが配置される。
本発明の別の局面によれば、改良されたオイルコントロールリングは、シリンダ壁に対するオイルコントロールリングの運動摩擦を最小化することを容易にするために、上面および下面の少なくとも1つから径方向外側に外面に向かって斜めに延在する、少なくとも1つのテーパ面を含んでいてもよい。
本発明の別の局面によれば、改良されたオイルコントロールリングは、その外面に向かって集まる1対のテーパ面を含んでいてもよい。
本発明の別の局面によれば、改良されたオイルコントロールリングは、その上面から垂下する1つのテーパ面を含んでいてもよく、さらに、テーパ面の下に環状凹状面を含んでいてもよく、これにより、オイルコントロールリングの周りに延在してオイルをシリンダ壁から掻き取ることを容易にする鉤形状の環状鼻部を形成する。
本発明の別の局面によれば、改良されたオイルコントロールリングは、熱的に形成され、形作られてもよく、これにより、別個のエキスパンダリングの必要がなくなることにより、部品の数および材料コストを削減する。
本発明の別の局面によれば、改良されたオイルコントロールリングは、比較的低コストの鉄金属から構築されてもよい。
本発明の別の局面によれば、改良されたオイルコントロールリングは、外面にめっきされた修正されたクロム系のコーティングを含んでもよく、さらに、コーティング内に飽和させたナノダイヤモンドを含んでもよい。
内燃機関のピストンのためのオイルコントロールリングは、以下を含む。
本発明の別の局面によれば、オイルコントロールリングが提供される。オイルコントロールリングは、中心軸の周りに延在する環状本体を有する。環状本体は、中心軸に対して略横方向に延在する実質的に平面の上面および下面と、上面と下面との間に延在する内側凹状面および外側凸状面とを有する。上面および下面は各々、その中に延在する環状溝を有し、これにより、シリンダ壁からのオイルの収集および収集されたオイルのクランク室溜まりへの戻りを容易にする。
本発明の別の局面によれば、内燃機関のためのピストンを構築する方法が提供される。上記方法は、ピストン本体を提供することを含み、それは、中心長手方向軸に沿って延在し、燃焼力がピストン本体を中心長手方向軸に沿って往復させるように作用する上部燃焼面を有し、上部燃面から垂下する環状外部壁を有し、リングベルト領域が環状外壁に形成される。リングベルト領域は、複数の環状リング溝を含む。さらに、第1の圧縮リングを上部燃焼面に最も近いリング溝の1つに配置することと、オイルコントロールリングを第1の圧縮リングよりも上部燃焼面からさらに離れたリング溝の1つに配置することとを含む。さらに、中心長手方向軸に対して略横方向に延在する上面および下面を有し、上面と下面との間に延在する内面および外面を有するオイルコントロールリングを提供することを含む。またさらに、その中に延在する環状溝を各々有する上面および下面を提供することを含む。
本発明の別の局面によれば、当該方法は、環状溝間に延在して環状溝を互いに流体連通させる少なくとも1つの貫通開口部を有するオイルコントロールリングを提供することを含んでいてもよく、少なくとも1つの貫通開口部を複数の貫通開口部として提供することをさらに含んでいてもよい。
本発明の別の局面によれば、当該方法は、上面および下面の少なくとも1つから径方向に離れるように外面に向かって斜めの関係で延在する、少なくとも1つのテーパ面を提供することを含んでいてもよく、少なくとも1つのテーパ面を外面に向かって集まる1対の対向するテーパ面として提供することをさらに含んでいてもよい。
本発明の別の局面によれば、当該方法は、上面から延在するテーパ面の下に環状凹状面を提供することをさらに含んでいてもよく、これにより、略鉤形状の環状外部縁を有してオイルコントロールリングのオイル掻き取り性能を向上させるオイルコントロールリングを提供する。
本発明の別の局面によれば、内燃機関のピストンのためのオイルコントロールリングを構築する方法が提供される。当該方法は、中心軸に対して略横方向に延在する実質的に平坦な上面および下面を有する環状本体を獲得することを含む。本体は、上面と下面との間に延在する内側凹状面および外側凸状面を有する。さらに、上面および下面に環状溝を形成することを含む。
本発明の別の局面によれば、オイルコントロールリングを構築する方法は、環状溝を通って延在する少なくとも1つの開口部を形成することによって、環状溝を互いに流体連通させることを含んでいてもよく、これにより、シリンダ壁からのオイルの収集およびオイルのクランク室溜まりへの戻りをさらに強化する。
これらのおよび他の局面、構成ならびに本発明の利点は、現在好ましい実施形態およびベストモード、添付された請求項ならびに添付の図面の以下のより詳細な説明と結び付けて考えられたとき、より容易に理解されるであろう。
本発明の1つの局面に従って構築されるピストンの断面図である。 本発明の別の局面に従って構築されるピストンの図1Aに類似の図である。 図1A〜図1Bのピストンの本発明の1つの局面に従って構築されるオイルコントロールリングの断片的な断面斜視図である。 図1A〜図1Bのピストンの本発明の別の局面に従って構築されるオイルコントロールリングの断片的な断面斜視図である。 図2および図3のオイルコントロールリングの平面図である。
現在好ましい実施形態の詳細な説明
図面をより詳細に参照すると、図1Aおよび図1Bは、たとえば、高荷重ディーゼルエンジンなどの内燃機関のシリンダボアまたはチャンバ(図示せず)での往復運動のための、本発明の現在好ましい実施形態に従って構築される、それぞれのピストン10,10’を示す。2つのピストン10,10’間の相違点は、ピストン10はともに固定される2つの部品から構成され、ピストン10’は単一の材料の一体片として構築されることに関する。その他の点においてはピストンは類似しているため、本明細書では同様の構成を特定するために、ピストン10’のための参照符号はプライム(’)付きで、同様の参照符号が用いられる。ピストン10,10’は、鋳造もしくは鍛造され、または任意の他の製造加工によって形成され、ピストン10,10’がシリンダボアの中で往復する長手方向中心軸14,14’に沿って延在する、本体12,12’を有する。本体12は、下部クラウン18とも呼ばれる下部分と接合される、上部クラウン16とも呼ばれる上部分を有する。本体12,12’は、1対のピンボス20,20’を有し、ピンボス20は、上部クラウン16から垂下して、長手方向中心軸14,14’に対して略横方向に延在するピンボア軸24,24’に沿って位置合わせされる横方向に離間されたピンボア22,22’を提供する。ピンボス20,20’は、ストラット部28,28’を介して横方向に離間されたスカート部26,26’と接合される。スカート部26,26’は、ピンボア軸24,24’の両側にわたって互いから直径方向に離間され、ピストン10,10’をそれがシリンダボアを通って往復するときに所望の方向に維持するために、シリンダボア内のシリンダ壁29に沿った摺動運動のために構成される凸状の外面を有する。上部クラウン16および各本体12,12’は、その中に窪んだ、シリンダボアに所望のガス流をもたらす燃焼ボウル32,32’を備える上部燃焼面30,30’を有する。外壁34,34’は上面30,30’から垂下し、外側自由端部36まで延在するように示される上部クラウン16によって外壁34の一部が形成され、上部クラウン16によって提供される外壁34の部分にリングベルト領域38の少なくとも一部が形成される。一方、一体的な本体12’の外壁34’はリングベルト領域38’をさらに含む。上部クラウン16は、さらに、燃焼ボウル32の下方クラウン面から内側自由端部39まで垂下する環状内部リブ37を有するように示される。リングベルト領域38,38’は、一対のリング溝40,42;40’,42’として示される複数の環状リング溝を含み、第1部であるリング溝40,40’は本体12,12’の外壁34,34’の上部燃焼面30,30’の最も近くに形成され、第2部であるリング溝42,42’は外壁34,34’の第1のリング溝40,40’よりも上部燃焼面30,30’からさらに離れるように形成される。第1のリング溝40,40’が径方向に窪んだ上面を有するように示されることにより、断面で見たときに概ねL字形の環状ポケットを形成する。圧縮リング44,44’として設けられる第1のピストンリングは、第1のリング溝40,40’に配置される。図1Aおよび図1Bでは概して46で示され、図2では第1の現在好ましい実施形態として46’で、図3では第2の現在好ましい実施形態として46”で特定される、改良されたオイルコントロールリングとして設けられる第2のピストンリングは、第2のリング溝42,42’に配置される。第2のリング溝42,42’は、その下面または底面に沿って、かつその中に延在する複数のオイル排出口43,43’を有するように示される。オイル排出口43,43’は、外壁34,34’を通って、かつ、少なくとも部分的に第2のリング溝42,42’の底面の中へ、第2のリング溝42,42’の背壁まで延在する削孔として形成される。複数のオイル排出口43,43’は、好ましくは、ピストン10,10’の前側および裏側に沿って、実質的にはピンボア軸24,24’に沿って形成され、2〜3のこのようなオイル排出口43,43’は、好ましくは、各対向側へ延在するが、これは例示であって限定ではない。圧縮リング44,44’は、ダイクスタイプ(Dykes-type)ピストンリングとしてその技術で知られる、略L字形の断面を有するように示される。圧縮リング44,44’の上面は、実質的に上面30,30’を有する平面である。一方、改良されたオイルコントロールリング46は、本発明に従って設けられて少なくとも以下の利点を有するピストン10,10’を供給する。利点とは、低減されたピストンの圧縮高さCH(上部燃焼面30,30’からピンボア軸24,24’までの距離として知られる)、低減されたピストン質量、ピストンリング44,44’,46に由来する低減された摩擦損失、低減された燃料消費、低減された動力損失、低減されたオイル消費、リング溝42,42’内のオイルコントロールリング46の低減された膠着、および低減された製造コストである。数ある利点の中でこれらは、ピストン技術における当業者によって容易に理解されるであろう。
2つの部品からなるピストン10のために、下部クラウン18は、例示であって限定ではないが、鍛造加工などで上部クラウン16とは分離して構築され、その後、真っ直ぐな環状外側リブ自由端部48と真っ直ぐな環状内側リブ自由端部50とを介して上部クラウン16に接合される。下部クラウン18は、任意の好適な鋼鉄、たとえば、4140Hなどの低度合金鋼などの経済的な鋼鉄材料、または、マイクロアロイ鋼から構築されてもよい。上部クラウン16および下部クラウン18は、本願では、摩擦溶接、または、それぞれの外側自由端部36,48および内側自由端部39,50にわたって形成された任意の好適な他のタイプの溶接接合52によって共に接合されるものとして描かれる。このように、ピストン10’と同様に、実質的に閉じられた外側冷却空洞54,54’が上部クラウン16と下部クラウン18との間に設けられ、一方、開かれた内側空洞56,56’が燃焼ボウル32,32’の中心部の下にピンボア22,22’の上側に設けられる。本発明に従って構築されるピストン10は、ピストン10,10’の両方が、たとえば、冷却空洞の異なる構成を有する、または冷却空洞のないもしくは実質的にないような、他の方法で形成される上部クラウン部および下部クラウン部を有してもよいことが認識されるべきである。
オイルコントロールリング46,46’は、図4に示されるように、ピストン10,10’の長手方向中心軸14,14’と同軸的に位置合わせされるように構成される、中心軸59(中心軸59は示されるようにページの内外に延在する)の周りに延在する、周方向に分割される、トロイド形状の環状本体58’,58”を有する。分割は、リング46’,46”の対向する自由端部63’,63”,65’,65”間に延在する隙間61’,61”によってもたらされ、これにより、必要に応じて、径方向の延長および短縮を可能にする。図2および図3を参照すると、環状本体58’,58”は、中心軸59に対して概ね横方向に延在する平面のまたは実質的に平面の上面60’,60”および下面62’,62”と、上面60’,60”と下面62’,62”との間に延在する凹状内面64’,64”および凸状外面66’,66”とを有する。シリンダ壁からのオイルの収集およびクランク溜まりへのオイルの戻りを容易にするために、上面60’,60”および下面62’,62”は各々、その中に延在するそれぞれの環状溝68’,68”,70’,70”を有する。溝68’,68”,70’,70”は、互いに略鏡像の構成になるように示され、断面で略U形状であるように示されるが、これは例示であって限定ではない。シリンダ壁からのオイルの収集およびクランク溜まりへのオイルの戻りをさらに強化するために、本体58’,58”は、環状溝68’,68”,70’,70”間に延在して環状溝68’,68”,70’,70”を互いに流体連通する、少なくとも1つの、好ましくは複数の貫通開口部を有する。単に開口部ともよばれる貫通開口部72’,72”は、溝68’,68”,70’,70”の谷部を通り抜け、互いに周方向に均等に等距離の関係になるように離間されるように示される。加えて、少なくとも一部の貫通開口部72’,72”は、オイル排出口43,43’と軸方向に位置合わせされてもよく、これにより、オイルのクランク溜まりへの戻りの流れをさらに向上する。収集およびクランク溜まりへのオイルの戻りを容易にすることに加えて、溝68’,68”,70’,70”は、摩擦およびコントロールリング46’,46”のリング溝42,42’内における膠着の低減にさらに貢献する。これは、部分的には、オイルが溝68’,68”,70’,70”内に存在することが多くなること、さらには、上面60’,60”および下面62’,62”のリング溝42,42’の対向面との接触面積が減少することに起因する。
凹状内面64’,64”は、その中に延在する環状のエキスパンダ溝またはリセス74’,74”を有するように示され、リセス74’,74”は、エキスパンダリング76の少なくとも部分的な収容のためにサイズ決めされる。エキスパンダリング76はオイルコントロールリング46’,46”をシリンダ壁29に極めて接近するように径方向外側に付勢してそれとの面圧を高めることを容易にし、これにより、オイルコントロールリング46’,46”によるオイルの消費および通過を低減することによって、オイルコントロールリング46’,46”のオイルコントロール特性を向上させる。しかしながら、内面64’,64”は、エキスパンダリングが用いられず、オイルコントロールリング46’,46”が熱形成されて弾性的な所定の形状を保つ、リセス74’,74”のない状態のままであってもよいことが考えられるべきである。
オイルコントロールリング46は、上面60’,60”および下面62’,62”のうちの少なくとも1つから径方向に離れるように外面66’,66”に向かって斜めに延在する、少なくとも1つのテーパ面をさらに含む。図2に示される実施形態46’では、テーパ面78’,80’の対は、それらが軸59から径方向外側に延在するように互いに向かって集まるように示され、1つのテーパ面78’は上面60’から外面66’に向かって斜めになるように延在し、他の対向するテーパ面80’は下面62’から外面66’に向かって斜めになるように延在する。テーパ面78’,80’は、円錐台形(frustro-conical)ともよばれる、断面で円錐台の形状(truncated conical shape)を有するオイルコントロールリング46’の径方向外側の領域をもたらす。テーパ面78’,80’は、任意の所望な角度α、例示であって限定ではないが、好ましくは約10〜60度の間、より好ましくは約25〜45度の間で、上面60’および下面62’から傾けられ得る。ここで、テーパ面78’,80’の1つが、テーパ面78’,80’の他のものとそれぞれの上面60’および下面62’に対して異なる角度αで傾けられてもよいことが考えられるが、テーパ面78’,80’は、それらのそれぞれの上面60’および下面62’から同じ角度αで延在する、互いに略鏡像の関係で形成されてもよい。
図3に示される実施形態では、オイルコントロールリング46”は、軸59から径方向外側に外面66”まで延在するテーパ面78”として示される単一のテーパ面を有して形成される。テーパ面78”は、上面60’について上述されるように、上面60”からそれに対して傾斜角度αで延在する。しかしながら、オイルコントロールリング46’について示されおよび説明されたような対向するテーパ面を有するのではなく、環状凹状面82がテーパ面78”の下に形成される。凹状面82は、まず下面62”から上方向にアーチ状になり、その後、平坦域または頂部に達し、その後、外面66”に対してわずかに下側に延在するものとして示されるように、外面66”に対して外側にカールするように示され、これにより、上面60”からわずかに下側にアーチ状になる略鉤状の鼻部を形成する。湾曲の様々な半径が用いられて一定の半径または変化する半径を含む凹状面82を形成してもよいことが認識されるべきである。
本発明の別の局面によれば、内燃機関のためのピストン10,10’を構築する方法が提供される。当該方法は、中心長手方向軸14,14’に沿って延在し、燃焼力がピストン本体12,12’を中心長手方向軸14,14’に沿って往復させるように作用する上部燃焼面30,30’を有する、ピストン本体12,12’を提供することを含む。さらに、リングベルト領域38,38’がその中に形成され、リングベルト領域38,38’が複数の環状リング溝40,40’,42,42’を含む、上部燃焼面30,30’から垂下する環状外壁34,34’を有するピストン本体12,12’を提供することを含む。さらに、第1の圧縮リング44を上部燃焼面30,30’の最も近くのリング溝40,40’の1つに配置し、オイルコントロールリング46’,46”を第1の圧縮リング40,40’よりも上部燃焼面30,30’からさらに離れたリング溝42,42’の1つに配置することを含む。またさらに、中心長手方向軸14,14’に対して略横方向に延在する上面60’,60”および下面62’,62”と、上面60,60”と下面62’,62”との間に延在する内面64’,64”および外面66’,66”とを有するオイルコントロールリング46’,46”を提供し、その中に延在する環状溝68’,70’,68”,70”を各々有する上面60’,60”および下面62’,62”を提供することを含む。当該方法は、環状溝68’,70’,68”,70”を互いに流体連通させる1つ以上の貫通開口部72’,72”などの上述されたような構成を有するそれぞれのオイルコントロールリング46’,46”を提供することをさらに備えてもよい。
本発明のさらなる局面によれば、内燃機関のピストン10,10’のためのオイルコントロールリング46’,46”を構築する方法が提供される。当該方法は、中心軸59に対して略横方向に延在する実質的に平面の上面60’,60”および下面62’,62”を有する環状本体を獲得することを含む。本体は、上面60’,60”と下面62’,62”との間に延在する内側凹状面64’,64”および外側凸状面66’,66”を有する。さらに、上面60’,60”および下面62’,62”に環状溝68’,70’,68”,70”を形成することを含む。当該方法は、溝68’,70’,68”,70”を互いに流体連通させる1つ以上の貫通開口部72’,72”などの上述されたような構成を有するそれぞれのオイルコントロールリング46’,46”を提供することをさらに含んでいてもよい。またさらに、当該方法は、オイルコントロールリング46”のテーパ面78”の下に環状凹状面82を形成することを含んでいてもよい。凹状面82は、例示であって限定ではないが、まず下面62”から上側にアーチ状になり、その後、平坦域または頂部に達し、その後、外面66”に対してわずかに下側に延在するものとして示されるように、外面66”に対して外側にカールするように形成されてもよく、これにより、上面60”からわずかに下側にアーチ状になる略鉤形状の鼻部を形成する。凹状面82を形成する間に、湾曲の様々な半径が用いられて所望のように一定の半径または変化する半径を含む凹状面82の湾曲を形成してよいことが認識されるべきである。
明らかに、本発明の多くの改良および変形が上記の教示に照らして可能である。したがって、添付の請求項の範囲内で、本発明が特定的に記載された以外の方法で実施されるかもしれないことが理解されるべきである。

Claims (32)

  1. 内燃機関のためのピストンであって、
    中心長手方向軸に沿って延在するピストン本体を備え、前記ピストン本体は、燃焼力が前記ピストン本体を前記中心長手方向軸に沿って往復させるように作用する上部燃焼面を有し、前記ピストン本体は、前記上部燃焼面から垂下する環状外壁を有し、リングベルト領域が前記環状外壁に形成され、前記リングベルト領域は、前記長手方向軸に沿って互いに離間される複数の環状リング溝を含み、前記ピストンはさらに、
    前記リング溝の1つに配置される圧縮リングと、
    前記第1の圧縮リングよりも前記上部燃焼面からさらに離れた前記リング溝の1つに配置されるオイルコントロールリングとを備え、前記オイルコントロールリングは、前記中心長手方向軸に対して略横方向に延在する上面および下面と、前記上面と前記下面との間に延在する内面および外面とを有し、前記上面および前記下面は各々、その中に延在する環状溝を有する、ピストン。
  2. 前記環状溝間に延在して前記環状溝を互いに流体連通させる、少なくとも1つの貫通開口部をさらに備える、請求項1に記載のピストン。
  3. 周方向に連続的な壁が前記少なくとも1つの貫通開口部を画定する、請求項2に記載のピストン。
  4. 前記少なくとも1つの貫通開口部は、複数の貫通開口部を含む、請求項2に記載のピストン。
  5. 前記複数の貫通開口部は、互いに周方向に均等に等間隔で離間される、請求項4に記載のピストン。
  6. 前記環状溝は、互いに鏡像の構成を有する、請求項1に記載のピストン。
  7. 前記内面の中へ延在する環状のエキスパンダ溝をさらに含み、エキスパンダリングが前記エキスパンダ溝に配置される、請求項1に記載のピストン。
  8. 前記上面および前記下面の少なくとも1つから径方向外側に前記外面に向かって斜めに延在する、少なくとも1つのテーパ面をさらに含む、請求項1に記載のピストン。
  9. 前記少なくとも1つのテーパ面は、前記外面に向かって集まる1対のテーパ面を含む、請求項8に記載のピストン。
  10. 前記少なくとも1つのテーパ面は、前記上面から垂下し、前記テーパ面の下に環状凹状面をさらに含む、請求項8に記載のピストン。
  11. 内燃機関のピストンのためのオイルコントロールリングであって、
    中心軸の周りに延在する環状本体を備え、前記環状本体は、前記中心軸に対して略横方向に延在する実質的に平面の上面および下面と、前記上面と前記下面との間に延在する内側凹状面および外側凸状面とを有し、前記上面および前記下面は各々、その中に延在する環状溝を有するオイルコントロールリング。
  12. 前記環状溝間に延在して前記環状溝を互いに流体連通させる、少なくとも1つの貫通開口部をさらに含む、請求項11に記載のオイルコントロールリング。
  13. 前記少なくとも1つの貫通開口部は、複数の貫通開口部を含む、請求項12に記載のオイルコントロールリング。
  14. 前記複数の貫通開口部は、互いに周方向に均等に等間隔で離間される、請求項13に記載のオイルコントロールリング。
  15. 前記内側凹状面の中へ延在する環状のエキスパンダ溝をさらに含み、エキスパンダリングが前記エキスパンダ溝に配置される、請求項14に記載のオイルコントロールリング。
  16. 前記上面および前記下面の少なくとも1つから径方向に離れるように前記外面に向かって斜めに延在する少なくとも1つのテーパ面をさらに含む、請求項11に記載のオイルコントロールリング。
  17. 前記少なくとも1つのテーパ面は、前記外面に向かって集まる1つのテーパ面を含む、請求項16に記載のオイルコントロールリング。
  18. 前記少なくとも1つのテーパ面は、前記上面から垂下し、前記テーパ面の下に環状凹状面をさらに含む、請求項16に記載のオイルコントロールリング。
  19. 内燃機関のためのピストンを構築する方法であって、
    ピストン本体を提供することを含み、前記ピストン本体は、中心長手方向軸に沿って延在し、燃焼力が前記ピストン本体を前記中心長手方向軸に沿って往復させるように作用する上部燃焼面を有し、前記上部燃焼面から垂下する環状外壁を有し、リングベルト領域が前記環状外壁に形成され、前記リングベルト領域は、複数の環状リング溝を含み、前記方法はさらに、
    第1の圧縮リングを前記上部燃焼面の最も近くの前記リング溝の1つに配置することと、
    オイルコントロールリングを前記第1の圧縮リングよりも前記上燃焼面からさらに離れた前記リング溝の1つに配置することと、
    前記中心長手方向軸に対して略横方向に延在する上面および下面と、前記上面と前記下面との間に延在する内面および外面とを有する前記オイルコントロールリングを提供し、その中に延在する環状溝を各々有する前記上面および前記下面を提供することを備える、方法。
  20. 前記環状溝間に延在して前記環状溝を互いに流体連通させる少なくとも1つの貫通開口部を有する前記オイルコントロールリングを提供することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記少なくとも1つの貫通開口部を複数の貫通開口部として提供することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記上面および下面の少なくとも1つから径方向に離れるように前記外面に向かって斜めに延在する少なくとも1つのテーパ面を提供することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
  23. 前記少なくとも1つのテーパ面を前記外面に向かって集まる1対のテーパ面として提供することを含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記上面から垂下する前記少なくとも1つのテーパ面を提供することをさらに含み、前記テーパ面の下に環状凹状面を提供することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
  25. オイルコントロールリングを構築する方法であって、
    中心軸に対して略横方向に延在する実質的に平面の上面および下面を有する環状本体を獲得することを含み、前記本体は、前記上面と前記下面との間に延在する内側凹状面および外側凸状面を有し、前記方法は、
    前記上面および前記下面に環状溝を形成することを備える、方法。
  26. 前記環状溝を通って延在する少なくとも1つの開口部を形成することによって、前記環状溝を互いに流体連通させることをさらに含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記少なくとも1つの貫通開口部を互いに離間された複数の貫通開口部として提供することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記複数の開口部に互いに均等に等間隔で間隔を空けることをさらに含む、請求項27に記載の方法。
  29. 環状エキスパンダ溝を前記内側凹状面に形成することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
  30. 前記上面および前記下面の少なくとも1つから径方向外側に前記外面に向かって斜めに延在する少なくとも1つのテーパ面を形成することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
  31. 前記少なくとも1つのテーパ面を前記外面に向かって集まる1対のテーパ面として形成することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
  32. 前記上面から垂下する前記少なくとも1つのテーパ面を形成することをさらに含み、前記テーパ面の下に環状凹状面を形成することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
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