発明の詳細な説明
次の詳細な説明の目的には、本発明は、反対の明白な表現がある場合を除いて、様々な代替的な変形形態およびステップ順序を仮定することができると理解すべきである。さらに、任意の作動例の場合を除いて、またはそうではないと指摘されている場合を除いて、例えば本明細書および特許請求の範囲において使用されている原材料の量を表しているすべての数は、すべての場合において、「約」という用語によって修飾されたものとして理解すべきである。したがって、反対の指摘がない限り、下記の明細書および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値である。特許請求の範囲の均等論の適用を限定する試みとするわけではないが、最低限として、各数値パラメータは少なくとも、報告された有効桁数に照らして、通例の丸め法の適用によって解釈すべきである。
本発明の広範な範囲を説明している数値範囲およびパラメータは近似値であるが、特定の例において記載された数値は、可能な限り精密に報告されている。しかしながら、いかなる数値も、各試験測定において見受けられる標準偏差から必然的に生じる、ある特定の誤差を本質的に内包する。
さらに、本明細書において言及されたあらゆる数値範囲は、その中に包摂されるすべての部分範囲を含むように意図されていると理解すべきである。例えば、「1から10」までの範囲は、言及された最小値である1と、言及された最大値である10との間(1と10も含む)のすべての部分範囲、すなわち、1以上の最小値および10以下の最大値を有するすべての部分範囲を含むように意図されている。
そうではないと明示的に言明されていない限り、本出願において、単数形の使用は複数形を含み、複数形の使用は単数形を包含する。さらに、本出願において、「または」の使用は、そうではないと明示的に言明されていない限り「および/または」を意味するが、「および/または」が、ある特定の事例において、明確に使用されていてもよい。さらに、本出願において、「1つの」または「一」の使用は、そうではないと明示的に言明されていない限り、「少なくとも1つの」を意味する。
限定されるわけではないが発行特許および特許出願等、本明細書において言及されたすべての文献は、そうではないと指摘されていない限り、全体が「参照により組み込まれる」と解釈すべきである。
本発明は、光学的物品および光学的物品を製造する方法を対象とする。本発明の光学的物品は、少なくとも1個のコーティング層によってコーティングされた少なくとも1個の光学要素を含む。本明細書において使用される場合、「光学的」という用語は、光および/または視界に関係し、または関連付けられていることを意味する。例えば、光学的物品は、限定されるわけではないが眼用要素および眼用デバイス、ディスプレイ要素およびディスプレイデバイス、窓ならびに鏡等を含む、光学要素を含み得る。「眼用」という用語は、眼および視界に関係し、または関連付けられていることを意味する。眼用要素の非限定的な例には、矯正レンズおよび非矯正レンズが挙げられ、シングルビジョンレンズまたはセグメント化されたもしくはセグメント化されていないマルチビジョンレンズ(限定されるわけではないが、二焦点レンズ、三焦点レンズおよびプログレッシブレンズ等)であってよいマルチビジョンレンズならびに限定はないがコンタクトレンズ、眼内レンズ、拡大レンズおよび保護レンズまたはバイザーを含む視界を(美観または他の事柄を目的として)矯正、保護または向上するために使用される他の要素を含む。本明細書において使用される場合、「ディスプレイ」という用語は、単語、数、符号、設計または図に含まれる情報に関する、視認可能なまたは機械読取り可能な表示を意味する。ディスプレイ要素およびデバイスの非限定的な例には、スクリーン、モニターおよびセキュリティマーク等のセキュリティ要素が挙げられる。本明細書において使用される場合、「窓」という用語は、そこを介した放射線の透過を可能にするようになされた開口部を意味する。窓の非限定的な例には、自動車および航空機の透明部材、フィルター、シャッターおよび光学的スイッチが挙げられる。本明細書において使用される場合、「鏡」という用語は、入射光の大部分を正反射する表面を意味する。
さらに、光学要素は、透明な特性と反射特性との両方を有する、透明な光学要素、反射性光学要素または光学要素を含み得る。本明細書において使用される場合、「透明」という用語は、人間の眼で材料を明瞭に見通すことができるように可視光線を透過させる、材料を指し、「反射性」という用語は、可視光を透過させるまたは吸収するのではなく、材料から離れていくように可視光を方向転換する、材料を指す。光学要素に少なくともいくつかの反射特性をもたらすために、反射コーティングを付与することができる。例えば、反射性アルミニウムコーティングを光学要素の少なくとも一部に付与して、少なくともいくつかの反射特性を有する光学的セキュリティ要素を調製することができる。
光学的物品を形成する光学要素は、限定されるわけではないが、丸い形状、平坦な形状、円筒形の形状、球形の形状、平面形状、実質的に平面形状、平凹状の形状および/または平凸状の形状、限定されるわけではないが凸状の形状および/または凹状の形状を含む曲がった形状を含む、様々な形状を有し得る。
一般に、光学要素は、限定されるわけではないが有機材料、無機材料またはこれらの組合せ(例えば、複合材料)を含む、様々な材料から製造することができる。
本明細書において開示された光学要素を形成するために使用され得る有機材料の非限定的な具体例には、米国特許第5,962,617号および米国特許第5,658,501号の第15欄、28行目から第16欄、17行目までにおいて開示されたモノマーおよびモノマーの混合物から調製されたポリマー材料、例えばホモポリマーおよびコポリマーが挙げられ、これらの米国特許の開示は、参照により本明細書に特に組み込まれる。例えばこのようなポリマー材料は、熱可塑性または熱硬化性ポリマー材料であってよく、透明であるまたは光学的に透き通っていることが可能であり、必要とされる任意の屈折率を有し得る。このような開示されたモノマーおよびポリマーの非限定的な例には、ポリオール(アリルカルボネート)モノマー、例えば、PPG Industries,Inc.によって商標CR−39で販売されているモノマーであるジエチレングリコールビス(アリルカルボネート)等のアリルジグリコールカルボネート;例えばポリウレタンプレポリマーとジアミン硬化剤との反応によって調製されたものであり、そのようなポリマーの1つのための組成物がPPG Industries,Inc.によって商標TRIVEXで販売されている、ポリ尿素−ポリウレタン(ポリ尿素−ウレタン)ポリマー;ポリオール(メタ)アクリロイル末端化カルボネートモノマー;ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー;エトキシ化フェノールメタクリレートモノマー;ジイソプロペニルベンゼンモノマー;エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー;エチレングリコールビスメタクリレートモノマー;ポリ(エチレングリコール)ビスメタクリレートモノマー;ウレタンアクリレートモノマー;ポリ(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート);ポリ(ビニルアセテート);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(ビニルクロリド);ポリ(ビニリデンクロリド);ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリウレタン;ポリチオウレタン;ビスフェノールAおよびホスゲンに由来したカルボネート結合樹脂等であり、そのような材料の1つが商標LEXANで販売されている、熱可塑性ポリカルボネート;商標MYLARで販売されている材料等のポリエステル;ポリ(エチレンテレフタレート);ポリビニルブチラール;商標PLEXIGLASで販売されている材料等であり、ポリ官能性イソシアネートとポリチオールまたはポリエピスルフィドモノマーとを反応させることによって調製されたポリマーであり、単独重合されたまたはポリチオール、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネートおよび任意選択でエチレン性不飽和モノマーもしくはハロゲン化芳香族含有ビニルモノマーと共重合および/もしくは三元重合されたものである、ポリ(メチルメタクリレート)が挙げられる。例えばブロックコポリマーまたは相互侵入網目構造生成物を形成するような、このようなモノマーのコポリマーならびに記述されたポリマーおよびコポリマーと他のポリマーとのブレンドも想定される。
光学要素の形成における使用に適した無機材料の非限定的な例には、ガラス、鉱物、セラミックおよび金属が挙げられる。例えば、光学要素は、ガラスを含み得る。上記に提示されたように、反射コーティングまたは反射層を無機光学要素または有機光学要素の表面に堆積させ、または付与して、表面を反射性にし、または表面の反射率を向上することができる。
なおさらには、光学要素は、無彩色基材、彩色基材、直線偏光基材、円偏光基材、楕円偏光基材、フォトクロミック基材または彩色フォトクロミック基材であってよい。本明細書において使用される場合、光学要素基材に関して、「無彩色」という用語は、着色剤添加物(限定されるわけではないが、従来の染料等)を本質的に含まず、化学線に応答して有意に変化しない可視放射線の吸収スペクトルを有する、基材を意味する。さらに、光学要素の基材に関して、「彩色」という用語は、着色剤添加物(限定されるわけではないが、従来の染料等)および化学線に応答して有意に変化しない可視放射線の吸収スペクトルを有する、基材を意味する。類似した特性が、特定のコーティング(単数または複数)を光学要素上に付与することによって達成され得ると理解されており、これは、本明細書においてさらに詳細に説明されている。
本明細書において使用される場合、基材に関する「直線偏光」という用語は、放射線を直線偏光する(すなわち、光波の電気ベクトルの振動を1つの方向に制限する)ようになされた基材を指す。本明細書において使用される場合、基材に関する「円偏光」という用語は、放射線を円偏光するようになされた基材を指す。本明細書において使用される場合、基材に関する「楕円偏光」という用語は、放射線を楕円変更するようになされた基材を指す。さらに、本明細書において使用される場合、基材に関して、「彩色フォトクロミック」という用語は、着色剤添加物およびフォトクロミック材料を含有し、少なくとも化学線に応答して変化する可視放射線の吸収スペクトル基材を有する基材を意味する。したがって、限定はないが例えば、彩色フォトクロミック基材は、着色剤の第1の色特徴および化学線に曝露されたときの着色剤とフォトクロミック材料との組合せの第2の色特徴を有し得る。
指摘したように、本発明の光学的物品は、光学要素の少なくとも一部を覆うように付与された少なくとも1個のコーティングをさらに含む。コーティングは、光学要素の少なくとも1つの主面の少なくとも一部を覆うように付与することができる。コーティングは、光学要素の表面全体を覆うように付与されてもよい。
本明細書において使用される場合、「コーティング」という用語は、流動可能な組成物に由来しており、一様な厚さを有しても有さなくてもよい、支持体付きフィルムを意味する。したがって、コーティング組成物を光学要素の表面に付与し、硬化させて、コーティングを形成することができる。硬化された組成物または硬化性組成物に関して使用されているとき、「硬化性」という用語、「硬化させる」という用語、「硬化した」という用語または類似用語は、硬化性組成物を形成する重合性成分の少なくとも一部が、少なくとも部分的に重合されることを意味するように意図されている。
光学要素に付与されたコーティングは、少なくとも1種の異方性材料を含む少なくとも1個の異方性コーティング層を含む。一部の例において、異方性コーティング層は、2種もしくはそれよりも多い、3種もしくはそれよりも多いまたは4種もしくはそれよりも多い異方性材料等、複数の異方性材料を含む。複数の異方性材料が使用される場合、異方性材料は、同じであっても異なっていてもよい。
本明細書において使用される場合、「異方性」という用語は、少なくとも1つの異なる方向で測定されたときに値が変わる少なくとも1種の特性を有し、自己集合が可能であることを意味する。したがって、「異方性材料」は、少なくとも1つの異なる方向で測定されたときに値が異なる少なくとも1種の特性を有し、自己集合が可能である材料である。異方性材料の非限定的な例には、液晶材料が挙げられる。
液晶材料の構造を理由として、液晶材料は一般に、通常方向を獲得するように秩序化またはアラインメントされることが可能である。より厳密には、液晶分子がロッド状またはディスク状の構造、剛直な長軸および強固な双極子を有するため、液晶分子は、液晶分子の長軸が、一般に一般的な軸に対して平行である配向を獲得するような、外力または別の構造との相互作用によって、秩序化またはアラインメントされることが可能である。例えば、磁場、電場、直線偏光赤外線、直線偏光紫外線、直線偏光可視放射線またはせん断力によって、液晶材料の分子をアラインメントすることができる。配向された表面によって液晶分子をアラインメントすることもできる。すなわち、液晶分子は、例えばラビング法、グルービング法または光アラインメント法によって配向された表面に付与された後、各液晶分子の長軸が、一般に表面の配向の通常方向に対して平行である配向を獲得するようにアラインメントされることが可能である。
さらに、メソゲンは、液晶材料中に構造的秩序を誘起する、液晶材料の基礎単位である。液晶材料のメソゲン部分は一般的に、液晶材料の他のメソゲン成分と一緒に整列し、これにより、特定の一方向に液晶分子をアラインメントする、剛直な部分を含む。メソゲンの剛直な部分は、例えば単環式または多環式の芳香環構造を含む単環式または多環式の環構造等の剛直な分子構造からなり得る。
本発明と一緒にした使用に適した液晶メソゲンは、限定されるわけではないが、サーモトロピック液晶メソゲンおよびリオトロピック液晶メソゲンを含む。本明細書において使用される場合、「サーモトロピック液晶」は、温度に基づいて秩序化される液晶を意味し、「リオトロピック液晶」は、溶媒の添加によって秩序化される液晶を意味する。サーモトロピック液晶メソゲンの非限定的な例には、カラム状(またはロッド状)液晶メソゲン、ディスコチック(またはディスク状)液晶メソゲンおよびコレステリック液晶メソゲンが挙げられる。潜在的なメソゲンの非限定的な例は、例えば、米国特許出願第12/163,116号の段落[0024]〜[0047]においてさらに詳細に記載されており、Dennisら、「Flussige Kristalle in Tabellen」、VEB Deutscher VerlagFur Grundstoffindustrie、Leipzig、Germany、1974年および「Flussige Kristallein Tabellen II」、VEB Deutscher Verlag Fur Grundstoffindustrie、Leipzig、Germany、1984年において記述されたメソゲンが挙げられ、これらのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
1種または複数のメソゲンを含む液晶材料は、液晶ポリマー、液晶プレポリマーおよび液晶モノマーを含み得る。本明細書において使用される場合、「プレポリマー」という用語は、部分的に重合された材料を意味する。さらに、「ポリマー」という用語は、ホモポリマー(例えば、単一のモノマー種から調製されたもの)、コポリマー(例えば、少なくとも2種のモノマー種から調製されたもの)およびグラフトポリマーを意味する。
異方性材料としての使用に適した液晶モノマーは、限定されるわけではないが、一官能性液晶モノマーおよび多官能性液晶モノマーを含む。さらに、液晶モノマーは、重合性液晶モノマーであってもよいし、さらに、光重合性および/または熱重合性液晶モノマーであってもよい。本明細書において使用される場合、「光重合性」という用語は、化学線に曝露したときに架橋され得るモノマー、プレポリマーまたはポリマー等の材料を意味する。本明細書において使用される場合、「化学線」という用語は電磁放射を意味し、限定はないが例えば、可視放射線および紫外(UV)線を含む。さらに、「熱重合性」という用語は、熱に曝露したときに架橋され得るモノマー、プレポリマーまたはポリマー等の材料を意味する。
異方性材料としての使用に適した液晶モノマーの非限定的な例には、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、無水物、エポキシド、水酸化物、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニル、ビニルエーテルおよびこれらのブレンドから選択される官能基を有する液晶モノマーが挙げられる。
異方性材料としての使用に適した液晶ポリマーおよび液晶プレポリマーは、限定されるわけではないが、サーモトロピック液晶ポリマーおよび液晶プレポリマーならびにリオトロピック液晶ポリマーおよび液晶プレポリマーを含む。さらに、液晶ポリマーおよび液晶プレポリマーは、主鎖ポリマーおよび主鎖プレポリマーまたは側鎖ポリマーおよび側鎖プレポリマーであってよい。主鎖液晶ポリマーおよび主鎖液晶プレポリマーにおいて、ポリマー骨格中には主に、ロッド状またはディスク状の液晶メソゲンが配置されている。側鎖ポリマーおよび側鎖プレポリマーにおいて、ポリマーの側鎖中には主に、ロッド状またはディスク状の液晶メソゲンが配置されている。さらに、液晶ポリマーまたはプレポリマーは、光重合性であってよい。
異方性材料としての使用に適した液晶ポリマーおよび液晶プレポリマーの非限定的な例には、限定されるわけではないが、アクリレート、メタクリレート、アリル、アリルエーテル、アルキン、アミノ、無水物、エポキシド、水酸化物、イソシアネート、ブロック化イソシアネート、シロキサン、チオシアネート、チオール、尿素、ビニル、ビニルエーテルおよびこれらのブレンドから選択される官能基を有する主鎖および側鎖ポリマーおよびプレポリマーが挙げられる。
本発明の異方性コーティング層は、少なくとも1種の二色性材料および/または少なくとも1種のフォトクロミック二色性材料ならびに任意選択で少なくとも1種のフォトクロミック材料ならびにこれらの組合せをさらに含み得る。二色性材料およびフォトクロミック二色性材料は、異方性材料の方向にアラインメントすることができる。例えば、二色性材料、および/またはフォトクロミック二色性材料は、二色性材料および/またはフォトクロミック二色性材料が周囲の異方性材料と同じ方向にアラインメントされるように、異方性コーティング層中に組み込むことができる。したがって、アラインメントされた異方性材料は、二色性材料および/またはフォトクロミック二色性材料をアラインメントするための、アラインメント媒体として作用する。
本明細書において使用される場合、「フォトクロミック」という用語は、少なくとも化学線に応答して変化する少なくとも可視放射線の吸収スペクトルを有することを意味する。さらに、「フォトクロミック材料」という用語は、熱可逆性のフォトクロミック材料および熱可逆性でないフォトクロミック材料を含み、これらのフォトクロミック材料は一般に、熱エネルギーおよび/または化学線に応答して、少なくとも可視スペクトルにおける第1の状態、例えば「透き通った状態」から、少なくとも可視スペクトルにおける第2の状態、例えば「着色状態」に転化し、熱エネルギーおよび/または化学線に曝露されていないときに第1の状態に戻ることが可能であり、ただし、これらの変化の少なくとも1つが、化学線に応答したものであることを条件とする。本明細書において限定を加えるわけではないが、本発明と一緒に使用されるフォトクロミック材料は、少なくとも可視スペクトルにおいて、透き通った状態から着色状態に変化することができ、または少なくとも可視スペクトルにおいて、ある着色状態から別の着色状態に変化することができる。
さらに、「二色性」という用語は、少なくとも透過放射線が有する直交する2つの平面偏光成分のうちの一方を、他方に比べてより強く吸収できることを意味する。二色性材料が、直交する2つの平面偏光成分のうちの一方をどのくらい強く吸収するかの尺度の1つは、「吸収比」である。本明細書において使用される場合、「吸収比」という用語は、第1の平面に対して直交する平面において直線偏光された同じ波長の放射線の吸収度に対する、第1の平面において直線偏光された放射線の吸収度の比を指し、第1の平面は、最も高い吸収度を有する平面であると考えられる。
二色性材料が、透過放射線が有する直交する2つの平面偏光成分のうちの一方を、他方に比べてより強く吸収する場合、二色性材料の分子は、透過放射線の正味偏光を得るために、適切に位置決めまたは配置されなければならない。したがって、異方性コーティング層中に組み込まれた場合、少なくとも1種の二色性材料の少なくとも一部は、全体的な偏光効果を達成できるように、適切な位置または配置に置くことができる(すなわち、秩序化またはアラインメントすることができる)。
さらに、「フォトクロミック二色性材料」という用語は、少なくとも化学線に応答してフォトクロミック特性および二色性特性を表示する、材料を指す。例えば、異方性コーティング層は、少なくとも化学線に応答して、少なくとも可視スペクトルにおける第1の光学的に透き通った偏光されない光状態から、少なくとも可視スペクトルにおける第2の着色偏光状態に可逆的に切り替わるようになされた、少なくとも1種のフォトクロミック二色性材料を含み得る。したがって、光学要素が、フォトクロミック二色性材料を含むコーティング層を有する眼用レンズである場合、レンズは、着用者が、例えば太陽光から出た化学線に曝露されていないときの光学的に透き通った偏光されない光状態から、着用者が、例えば太陽光から出た化学線に曝露されているときの着色偏光状態に可逆的に切り替わることができる。
有機フォトクロミック化合物の非限定的な例には、米国特許第5,645,767号の第1欄、10行目から第12欄、57行目までおよび米国特許第5,658,501号の第1欄、64行目から第13欄、36行目までにおいて開示されたもの等、ベンゾピラン、ナフトピラン(例えば、ナフト[1,2−b]ピランおよびナフト[2,1−b]ピラン)スピロ−9−フルオレノ[1,2−b]ピラン、フェナントロピラン、キノピランおよびインデノ縮合ナフトピランが挙げられ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。使用され得る有機フォトクロミック化合物のさらなる非限定的な例には、ベンゾオキサジン、ナフトオキサジンおよびスピロオキサジン等のオキサジンが挙げられる。使用され得るフォトクロミック化合物の他の非限定的な例には、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,931,220号の第20欄、5行目から第21欄、38行目までにおいて記述されたフルギドおよびフルギミド、例えば3−フリルフルギドおよびフルギミドならびに3−チエニルフルギドおよびフルギミド、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2003/0174560号の段落[0025]から[0086]までにおいて記述されたジアリールエテンならびに上記フォトクロミック材料または化合物のいずれかの組合せまたは混合物が挙げられる。
さらに、本発明と一緒に使用され得る適切な二色性材料には、限定されるわけではないが、アゾメチン、インジゴイド、チオインジゴイド、メロシアニン、インダン、キノフタロン型染料、ペリレン、フタロペリン、トリフェノジオキサジン、インドロキノキサリン、イミダゾトリアジン、テトラジン、アゾ染料および(ポリ)アゾ染料、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノンおよび(ポリ)アントラキノン、アントラピリミジノン、ヨウ素およびヨウ素酸塩ならびにこれらの組合せが挙げられる。
なおさらには、フォトクロミック二色性材料の非限定的なものには、米国特許出願公開第2005/0004361号の段落27から段落158までにおいて記述されたフォトクロミック二色性材料が挙げられ、この開示は、ここをもって、参照により本明細書に特に組み込まれる。
適切なフォトクロミック材料、二色性材料およびフォトクロミック二色性材料の他の非限定的な例は、2008年12月8日に出願された「Alignment Facilities for Optical Dyes」という題名の米国特許出願第12/329,197号の段落[0090]〜[0102]およびこの中で引用された参考文献ならびに2008年6月27日に出願された「Formulations Comprising Mesogen Containing Compounds」という題名の米国特許出願第12/163,180号の段落[0064]〜[0084]およびこの中で引用された参考文献において見出すことができ、これらのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、使用され得るフォトクロミック材料の非限定的な例は、米国特許第7,044,599号の第9欄、60行目から第11欄、3行目までにおいてさらに記述されており、この開示は、ここをもって、参照により本明細書に特に組み込まれる。使用され得る二色性材料の非限定的な例は、米国特許第7,044,599号の第7欄、18〜56行目においてさらに記述されており、この開示は、ここをもって、参照により本明細書に特に組み込まれる。さらに、フォトクロミック二色性材料の非限定的な他の例は、米国特許出願公開第2005/0012998A1号の段落11から段落442においてさらに記述されており、この開示は、ここをもって、参照により本明細書に特に組み込まれる。
異方性コーティング層は、さらなる添加剤をさらに含み得る。例えば、異方性コーティング層は、メソゲン型安定剤、アラインメント促進剤、反応速度向上用添加剤、光開始剤、熱開始剤、重合阻害剤、溶媒、光安定剤(限定されるわけではないが、紫外光吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤(HALS)等の光安定剤等)、熱安定剤、離型剤、レオロジー制御剤、レベリング剤(限定されるわけではないが、界面活性剤等)、フリーラジカル捕捉剤、付着促進剤(ヘキサンジオールジアクリレートおよびカップリング剤等)、従来の染料およびこれらの組合せをさらに含み得る。本明細書において使用される場合、「従来の染料」は、色または色合いをもたらすが偏光または可逆的変化をもたらさない染料を指す。
本明細書において使用される場合、「アラインメント促進剤」という用語は、添加剤が添加された材料のアラインメントの速度および一様性のうちの少なくとも1つを助長することができる、添加剤を意味する。アラインメント促進剤の非限定的な例には、米国特許第6,338,808号の第1欄、66行目から第35欄、23行目および米国特許出願公開第2002/0039627号の段落[0036]から[0286]までにおいて記述されたアラインメント促進剤が挙げられ、これらは、ここをもって、参照により本明細書に特に組み込まれる。
反応速度向上用添加剤の非限定的な例には、エポキシ含有化合物、有機ポリオールおよび/または可塑剤が挙げられる。このような反応速度向上用添加剤のより具体的な例は、米国特許第6,433,043号の第2欄、57行目から第13欄、54行目および米国特許出願公開第2003/0045612号の段落[0012]から[0095]までにおいて開示されており、これらは、ここをもって、参照により本明細書に特に組み込まれる。
光開始剤の非限定的な例には、開裂型光開始剤および引抜き型光開始剤が挙げられる。開裂型光開始剤の非限定的な例には、アセトフェノン、α−アミノアルキルフェノン、ベンゾインエーテル、ベンゾイルオキシム、アシルホスフィンオキシドおよびビスアシルホスフィンオキシドまたはこのような開始剤の混合物が挙げられる。このような光開始剤の商用の例は、Ciba Chemicals,Inc.から入手可能なDAROCURE(登録商標)4265である。引抜き型光開始剤の非限定的な例には、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、チオキサントン、アントラキノン、ショウノウキノン、フルオロン、ケトクマリンまたはこのような開始剤の混合物が挙げられる。
光開始剤の別の非限定的な例には、可視光光開始剤が挙げられる。適切な可視光光開始剤の非限定的な例は、米国特許第6,602,603号の第12欄、11行目から第13欄、21行目までにおいて記載されており、これは、参照により本明細書に特に組み込まれる。
熱開始剤の非限定的な例には、有機ペルオキシ化合物およびアゾビス(オルガノニトリル)化合物が挙げられる。熱開始剤として有用な有機ペルオキシ化合物の非限定的な具体例には、ターシャリーブチルペルオキシイソプロピルカルボネート等のペルオキシモノカルボネートエステル、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカルボネート、ジ(第二級ブチル)ペルオキシジカルボネートおよびジイソプロピルペルオキシジカルボネート等のペルオキシジカルボネートエステル、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、プロピオニルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドおよびp−クロロベンゾイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド(diacyperoxide)、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシオクチレートおよびt−ブチルペルオキシイソブチレート等のペルオキシエステル、メチルエチルケトンペルオキシドならびにアセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシドが挙げられる。非限定的な一実施形態において、使用される熱開始剤は、得られる重合生成物を退色しない熱開始剤である。熱開始剤として使用できるアゾビス(オルガノニトリル)化合物の非限定的な例には、アゾビス(イソブチロニトリル)、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)またはこれらの混合物が挙げられる。
重合阻害剤の非限定的な例には、ニトロベンゼン、1,3,5−トリニトロベンゼン、p−ベンゾキノン、クロラニル、DPPH、FeCl3、CuCl2、酸素、硫黄、アニリン、フェノール、p−ジヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼンおよび2,4,6−トリメチルフェノールが挙げられる。
溶媒の非限定的な例には、コーティングおよび要素および基材と適合するコーティングの固体成分を溶解させ、および/またはコーティングが付与された外面(単数または複数)の一様な被覆を確実に行うことができる、溶媒が挙げられる。限定されるわけではないが、潜在的な溶媒には、以下:N−メチル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびこれらの誘導体(DOWANOL(登録商標)工業用溶媒として販売されている)、アセトン、アミルプロピオネート、アニソール、ベンゼン、ブチルアセテート、シクロヘキサン、エチレングリコールのジアルキルエーテル、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテルおよびこれらの誘導体(CELLOSOLVE(登録商標)工業用溶媒として販売されている)、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメトキシベンゼン、エチルアセテート、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピオネート、プロピレンカルボネート、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、2−メトキシエチルエーテル、3−プロピレングリコールメチルエーテルならびにこれらの混合物が挙げられる。
指摘したように、異方性コーティング層は、特定の方向にアラインメントすることができる異方性材料を含む。一部の例において、異方性材料は、光学要素と異方性コーティング層との間に位置決めされたアラインメントコーティング層によって、アラインメントされる。したがって、本発明の光学的物品は、光学要素、光学要素の少なくとも一部を覆うように付与されたアラインメントコーティング層およびアラインメントコーティング層の少なくとも一部を覆うように付与された異方性コーティング層を含み得る。
本発明と一緒に使用されるアラインメントコーティング層は、特定の方向にアラインメントすることができる材料を含む。例えば、アラインメントコーティング層は、限定されるわけではないが平行な配向、楕円形の配向、すそ広がりの配向、垂直な配向、らせん状の配向またはこれらの任意の組合せを含む様々な方向にアラインメントすることができる、ラビング材料または光アラインメント材料を含む。
本明細書において使用される場合、「ラビング材料」という用語は、ラビング材料の表面の少なくとも一部を、別の適切に質感を付けた材料を用いて擦ることによって、少なくとも部分的に秩序化することができる材料を意味する。例えば、ラビング材料は、適切に質感を付けた布またはベルベットブラシによって擦られることが可能である。ラビング配向材料の非限定的な例には、(ポリ)イミド、(ポリ)シロキサン、(ポリ)アクリレート、(ポリ)クマリンおよびこれらの組合せが挙げられる。
本明細書において使用される場合、「光アラインメント材料」という用語は、偏光紫外線等の偏光放射線への曝露によってアラインメントすることができる材料を指す。光アラインメント材料は、光化学的に活性な発色団を含み得る。本明細書において使用される場合、「光化学的に活性な発色団」という語句は、化学線を吸収したときに化学反応する(分子もしくはポリマーどうしで化学反応するか、または別の活性部分、例えば別の光化学的に活性な発色団と化学反応する)分子またはポリマーの構造または部分を含む。光化学的に活性な発色団は、光化学的シスもしくはトランス異性化、光化学的[2+2]付加環化(ポリマーまたはオリゴマーの架橋につながる)、光化学的分解または光化学的転位を受け得る。
適切な光化学的に活性な発色団の非限定的な例には、限定されるわけではないが、ダイマー化可能な置換もしくは無置換シンナメートまたはダイマー化可能なクマリン、シスまたはトランス異性化可能な置換または無置換アゾ、光化学的に分解可能なポリイミドおよび光化学的に転位可能な置換または無置換芳香族エステルが挙げられる。シンナメートおよびクマリンは、「Alignment Technologies and Applications of Liquid Crystal Devices」、Kohki Takotahら、Taylor and Francis、New York、2005年、61〜63頁において記述されたように、化学線に曝露されたときに反応して、[2+2]付加環化を受けることが可能であり、この開示は、この参照により本明細書に組み込まれる。適切なシンナメートの非限定的な例は、米国特許第5,637,739号の第6欄、19〜32行目および7,173,114号の第3欄、13行目から第5欄、2行目までにおいて見出すことができ、クマリンは、米国特許第5,231,194号の第1欄、37行目から第3欄、50行目、米国特許第5,247,099号の第1欄、66行目から第4欄、28行目まで、米国特許第5,300,656号の第1欄、13行目から第10欄、15行目までおよび米国特許第5,342,970号の第1欄、6行目から第7欄、34行目までにおいて見出すことができ、これらのそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
光化学的に活性な発色団のさらなる例には、Macromol. Chem. Phys. 2009年、210巻、1484〜1492頁において記述されたポリ((n−ブチルメタクリレート−co−(E)−4−(フェニルジアゼニル)フェニルメタクリレート)−b−スチレン)等の光異性化可能なアゾ化合物、Macromolecules 1994年、27巻、832〜837頁において記述されたポリ(2−メチル−6−(4−(p−トリルオキシ)フェニル)ピロロ[3,4−f]イソインドール−1,3,5,7(2H,6H)−テトラオン)、ポリ(5−(2−(1,3−ジオキソ−2−(4−(p−トリルオキシ)フェニル)イソインドリン−5−イル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル)−2−メチルイソインドリン−1,3−ジオン)、ポリ(5−(2−(1,3−ジオキソ−2−(4−(2−(p−トリル)プロパン−2−イル)フェニル)イソインドリン−5−イル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イル)−2−メチルイソインドリン−1,3−ジオン)およびポリ(5−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(2−(4−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(p−トリル)プロパン−2−イル)フェニル)−1,3−ジオキソイソインドリン−5−イル)プロパン−2−イル)−2−メチルイソインドリン−1,3−ジオン)等の光分解性ポリイミド、Macromolecules 2003年、36巻、6527〜6536頁において記述された(2E,2’E)−4−(5−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(2−メチル−1,3−ジオキソイソインドリン−5−イル)プロパン−2−イル)−1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−4’−メチル−[1,1’−ビフェニル]−3,3’−ジイルビス(3−フェニルアクリレート)等の光反応性ポリイミド、K. Takatohらによる、The Liquid Crystal BookSeries: Alignment Technologies and Application of Liquid Crystal Devices、2005年、Taylor and Francis、63頁において記述された7−メチル−2−(4−(4−メチルベンジル)フェニル)テトラヒドロ−1H−5,9−メタノピリド[3,4−d]アゼピン−1,3,6,8(2H,4H,7H)−テトラオンおよび2−メチル−5−(4−(4−(2−(4−(p−トリルオキシ)フェニル)プロパン−2−イル)フェノキシ)フェニル)ヘキサヒドロシクロブタ[1,2−c:3,4−c’]ジピロール−13(2H,3aH)−ジオン等の光分解性ポリイミドならびにMolecular Crystal and Liquid Crystal、2007年、第479巻、121頁において記述されたポリ(5−メタクリルアミドナフタレン−1−イルメタクリレート)、ポリ(4−メタクリルアミドナフタレン−1−イルメタクリレート)、ポリ(4−メタクリルアミドフェニルメタクリレート)、ポリ(4−メタクリルアミドフェネチルメタクリレート)およびポリ(4−(2−メタクリルアミドエチル)フェニルメタクリレート)を含む光フリース転位を受けることができる芳香族エステルが挙げられる。光化学的に活性な発色団に関して上述した論文および文章のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
適切な光アラインメント材料の他の非限定的な例には、上記光化学的に活性な発色団のいずれか等の少なくとも1種の光化学的に活性な発色団および少なくとも1種の付着促進剤基を含む、(コ)ポリマー構造が挙げられる。本明細書において使用される場合、「付着促進剤」は、(コ)ポリマー構造と、付着促進剤がコーティングされた光学要素等の基材との付着を改善する、基もしくは構造を指し、または付着促進剤を含有するポリマーの表面上にコーティングされたポリマーフィルムを指す。付着促進剤は、分子レベルまたは原子レベルにおいて、(コ)ポリマーと基材または後続するコーティングとの間に少なくとも部分的な引力を形成することによって、作用し得る。引力の例には、共有結合、極性共有結合、イオン結合、水素結合、静電引力、疎水性相互作用およびファンデルワールス引力が挙げられる。コポリマーの構造中において、複数の付着促進剤基と、基材表面または後続するコーティング材料との引力による相互作用は、コポリマーと、基材表面および/または後続するコーティングとの付着の改善をもたらす。
(コ)ポリマー構造を形成するために使用できる付着促進剤基に適した構造の非限定的な例には、限定されるわけではないが米国特許第6,025,026の第6欄、5行目から第8欄、65行目、米国特許第6,150,430号の第2欄、59行目から第5欄、44行目および米国特許第7,410,691号の第6欄、4行目から第8欄、19行目において開示された促進剤等、ヒドロキシ、カルボン酸、無水物、イソシアナト、ブロック化イソシアナト、チオイソシアナト、ブロック化チオイソシアナト、アミノ、チオ、オルガノ官能性シラン、オルガノ官能性チタネート、オルガノ官能性ジルコネートおよびエポキシが挙げられ、各オルガノ官能基は、ビニル、アリル、ビニル官能性炭化水素ラジカル、エポキシ官能性炭化水素ラジカル、アリル官能性炭化水素ラジカル、アクリロイル官能性炭化水素ラジカル、メタクリロイル官能性炭化水素ラジカル、スチリル官能性炭化水素ラジカル、メルカプト官能性炭化水素ラジカルまたはこのようなオルガノ官能基の組合せから独立に選択され、前記炭化水素ラジカルは、C1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C1〜C20アルコキシ、C1〜C20アルキル(C1〜C20)アルコキシ、C1〜C20アルコキシ(C1〜C20)アルキル、アリール、ヘテロアリールおよびこのような炭化水素ラジカルの組合せから選択され、ただし、付着促進剤基がヒドロキシまたはカルボン酸である場合に、(コ)ポリマーが、少なくとも1個の他の付着促進剤基をさらに含むことを条件としており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書において使用される場合、イソシアナト基またはチオイソシアナト基への言及において使用されている場合の「ブロック化」という用語は、イソシアナト基またはチオイソシアナト基が、ブロック化基が取り除かれるまでイソシアナト基またはチオイソシアナト基を反応から保護するための基と可逆的に反応した、構造を指す。一般に、イソシアナト基またはチオイソシアナト基をブロックするために使用される化合物は、活性水素原子を有する有機化合物、例えば、限定されるわけではないが、揮発性アルコール、イプシロン−カプロラクタムまたはケトキシム化合物であってよい。ブロック化基の非限定的な例には、アミン、ヒドロキサム酸エステル(hydrooxamic ester)、置換または無置換ピラゾール基、フェノール、クレゾール、ノニルフェノール、カプロラクタム、トリアゾール、イミダゾリン、オキシム、ホルメートおよびジアセトンが挙げられ、X. Tasselら、「A New Blocking Agent ofIsocyanates」European Polymer Journal、2000年、36巻、1745〜1751頁およびZ. W. Wicks Jr., Progress in Organic Coatings、1975年、3巻、73〜99頁において記述されたものを含み、これらの開示は、この参照により本明細書に組み込まれる。
このような(コ)ポリマー構造の非限定的な具体例は、米国特許出願公開第2011/0135850号の段落[0031]〜[0053]および[0091]〜[0102]において記述されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。アラインメントコーティング層は、異方性コーティング層に関して上述したさらなる添加剤のいずれかを含み得ると理解される。
上記のように、上述したもの等の異方性コーティング層ならびに任意選択でアラインメントコーティング層は、光学要素の表面の少なくとも一部を覆うように付与することができる。異方性層またはアラインメントコーティング層は、光学要素の表面の少なくとも一部を覆うように直接付与することができる。アラインメントコーティング層が光学要素の表面の少なくとも一部を覆うように形成されたら、異方性材料ならびに例えば二色性材料、フォトクロミック材料およびフォトクロミック二色性材料等のさらなる材料がアラインメントコーティング層によってアラインメントされるように、異方性コーティング層を、アラインメントコーティング層を覆うように直接付与することができる。本明細書において使用される場合、「を覆うように直接付与される」という語句は、任意の他の構成要素が別のコーティング層等の間に位置決めされることなく、コーティング層が、光学要素の表面または別のコーティング層の表面を覆うように形成されることを意味する。
一般に、少なくとも異方性コーティング層の厚さは、製造しようとする光学的物品の所望の厚さを達成するために必要な任意の厚さであってよい。例えば、少なくとも異方性コーティング層の厚さは、0.1ミクロンから1ミリメートルまで、5ミクロンから50ミクロンまでまたは10ミクロンから30ミクロンまでであってよい。アラインメントコーティング層は、異方性コーティング層と同じ厚さを有してもよい。
さらなるコーティング層は、異方性コーティング層およびアラインメントコーティング層と一緒に使用されることも可能である。すなわち、1個または複数のさらなる層が、光学要素の表面、異方性コーティング層の表面および/またはアラインメントコーティング層の表面上に付与されてもよい。さらなるコーティング層の非限定的な例には、セパレートタイ層(separate tie layer)、プライマー層、耐摩耗性コーティング層、ハードコーティング層、保護コーティング層、反射コーティング層、フォトクロミックコーティング層、二色性コーティング層、フォトクロミック二色性コーティング層、反射防止コーティング層、直線偏光コーティング層、円偏光コーティング層、楕円偏光コーティング層、遷移コーティング層、相溶化コーティング層、機能性有機コーティング層、リターダー層またはこれらの組合せが挙げられる。これらのさらなる層の少なくとも一部に関する記述および非限定的な例は、米国特許出願公開第2011/0135850号の段落[0060]〜[0064]において記述されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
さらに、異方性コーティング層および任意選択でアラインメントコーティング層を光学要素に付与して、1種または複数の光影響特性を有する光学的物品を形成することができる。本明細書において使用される場合、「光影響特性」という用語は、光が光学的物品に接触したときまたは光が光学的物品を横断したときに1種または複数の光学特性を呈する、光学的物品の機能を指す。光影響特性の非限定的な例には、色または色合い、偏光、フォトクロミックおよび/もしくはフォトクロミック二色性可逆的変化またはこれらの組合せが挙げられる。異方性コーティング層および任意選択でアラインメントコーティング層を、光学要素を覆うように付与して、異なる光影響特性を有する複数の光影響ゾーンを形成することができる。さらに、異方性コーティング層および任意選択でアラインメントコーティング層を、所定のパターンとして光学要素を覆うように付与して、所定のパターンの光影響ゾーンを形成することができる。
一部の例において、異方性コーティング層および任意選択でアラインメントコーティング層を、光学要素を覆うように付与して、少なくとも1種の一様なまたは勾配のある光影響特性を有する少なくとも1個の光影響ゾーンを形成する。例えば、異方性コーティング層および任意選択でアラインメントコーティング層を、光学要素を覆うように付与して、一様な偏光または勾配のある偏光を有する少なくとも1個の光影響ゾーンを形成する。本明細書において使用される場合、「一様な偏光」は、少なくとも1個の光影響ゾーンの全体にわたる偏光の一定の規模または度合いを指し、「勾配のある偏光」は、少なくとも1個の光影響ゾーンの全体にわたる偏光の規模または度合いの増大または減少を指す。一様な偏光をもたらすために、異方性コーティング層は、少なくとも1個の光影響ゾーンの全体にわたって、同じ量のアラインメントされた二色性材料および/または同じ量のアラインメントされたフォトクロミック二色性材料を有し得る。さらに、勾配のある偏光をもたらすために、異方性コーティング層は、少なくとも1個の光影響ゾーンの全体にわたって、異なる量のアラインメントされた二色性材料および/または異なる量のアラインメントされたフォトクロミック二色性材料を有し得る。アラインメントされた二色性および/またはフォトクロミック二色性材料の量は、少なくとも1個の光影響ゾーンの全体にわたって、異なる量の二色性および/もしくはフォトクロミック二色性材料を組み込むことによって変更されることが可能であり、または、類似した量の二色性および/またはフォトクロミック二色性材料を組み込むが、次いで、少なくとも1個の光影響ゾーンの全体にわたって、異なる量の二色性および/またはフォトクロミック二色性材料をアラインメントすることによって変更されることが可能である。
異方性コーティング層および任意選択でアラインメントコーティング層を、光学要素を覆うように付与して、一様な色もしくは色合いまたは勾配のある色もしくは色合いを有する少なくとも1個の光影響ゾーンを形成することもできる。本明細書において使用される場合、「一様な色または色合い」は、少なくとも1個の光影響ゾーンの全体にわたる色または色合いの一定の規模または度合いを指し、「勾配のある色または色合い」は、少なくとも1個の光影響ゾーンの全体にわたる色または色合いの規模または度合いの増大または減少を指す。一様な色または色合いをもたらすために、異方性コーティング層は、少なくとも1個の光影響ゾーンの全体にわたって、同じ量の二色性材料、フォトクロミック材料、フォトクロミック二色性材料および/または従来の染料を有し得る。さらに、勾配のある色または色合いをもたらすために、異方性コーティング層は、少なくとも1個の光影響ゾーンの全体にわたって、異なる量の二色性材料、フォトクロミック材料、フォトクロミック二色性材料および/または従来の染料を有し得る。
異方性コーティング層および任意選択でアラインメントコーティング層を、光学要素を覆うように付与して、一様なフォトクロミックおよび/もしくはフォトクロミック二色性可逆的変化または勾配のあるフォトクロミックおよび/もしくはフォトクロミック二色性可逆的変化を有する少なくとも1個の光影響ゾーンを形成することもできる。本明細書において使用される場合、「一様なフォトクロミックおよび/またはフォトクロミック二色性可逆的変化」は、少なくとも化学線に曝露されたときの、少なくとも1個の光影響ゾーンの全体にわたる色または色合いおよび/または偏光の変化の一定の規模または度合いを指し、「勾配のあるフォトクロミックおよび/またはフォトクロミック二色性可逆的変化」は、少なくとも化学線に曝露されたときの、少なくとも1個の光影響ゾーンの全体にわたる色または色合いおよび/または偏光の変化の規模または度合いの増大または減少を指す。一様なフォトクロミックおよび/またはフォトクロミック二色性可逆的変化をもたらすために、異方性コーティング層は、少なくとも1個の光影響ゾーンの全体にわたって、同じ量のフォトクロミック材料および/またはフォトクロミック二色性材料を有し得る。さらに、勾配のあるフォトクロミックおよび/またはフォトクロミック二色性可逆的変化をもたらすために、異方性コーティング層は、少なくとも1個の光影響ゾーンの全体にわたって、異なる量のフォトクロミック材料および/またはフォトクロミック二色性材料を有し得る。
理解されることになるとおり、一様なまたは勾配のある偏光および/または色または色合いをもたらすためのフォトクロミック材料およびフォトクロミック二色性材料の使用は、一様なまたは勾配のあるフォトクロミックおよび/またはフォトクロミック二色性可逆的変化をもたらす。したがって、フォトクロミック材料および/またはフォトクロミック二色性材料の使用によって、最後に2種の異なる光影響特性を有する光影響ゾーンが、形成され得る。異方性コーティング層および任意選択でアラインメントコーティング層を、光学要素を覆うように付与して、一様なまたは勾配のある光影響特性の任意の組合せを独立に含む1個または複数の光影響ゾーンを形成できることも理解される。
指摘したように、光学的物品は、異なる光影響特性を有する2個またはそれよりも多い光影響ゾーンを含み得る。したがって、本発明の光学的物品は、異なる偏光特性、異なる色もしくは色合い、異なるフォトクロミック可逆的変化および/またはフォトクロミック二色性可逆的変化またはこれらの任意の組合せを有する2個またはそれよりも多い光影響ゾーンを含み得る。
一部の例において、光学的物品は、異なる偏光特性を有する少なくとも2個の光影響ゾーンを含む。例えば、光学的物品は、(i)少なくとも1個の第2の光影響ゾーンの偏光アラインメントと異なる偏光アラインメントを有する少なくとも1個の第1の光影響ゾーン、(ii)少なくとも1個の第2の光影響ゾーンの偏光より大きいまたは小さい偏光の規模または度合いを有する少なくとも1個の第1の光影響ゾーン、(iii)一様な偏光を有する少なくとも1個の第1の光影響ゾーンおよび偏光を有さない少なくとも1個の第2の光影響ゾーン、(iv)勾配のある偏光を有する少なくとも1個の第1の光影響ゾーンおよび偏光を有さない少なくとも1個の第2の光影響ゾーン、(v)勾配のある偏光を有する少なくとも1個の第1の光影響ゾーンおよび一様な偏光を有する少なくとも1個の第2の光影響ゾーン(vi)第1の勾配のある偏光を有する少なくとも1個の第1の光影響ゾーンおよび例えば異なる度合いもしくは規模の偏光の変化、異なる偏光アラインメントもしくは異なる偏光の規模もしくは度合いの方向の変化等の第1の勾配のある偏光と異なる第2の勾配のある偏光を有する少なくとも1個の第2の光影響ゾーンまたは(vii)これらの任意の組合せを含み得る。
さらに、光学的物品は、異なるフォトクロミックおよび/またはフォトクロミック二色性可逆的変化を有する少なくとも2個の光影響ゾーンをさらに含み得る。例えば、光学的物品は、(i)フォトクロミック材料を含む少なくとも1個の第1の光影響ゾーンおよびフォトクロミック材料を有さない少なくとも1個の第2の光影響ゾーン、(ii)フォトクロミック二色性材料を含む少なくとも1個の第1の光影響ゾーンおよびフォトクロミック二色性材料を有さない少なくとも1個の第2の光影響ゾーン、(iii)勾配のあるフォトクロミック可逆的変化を含む少なくとも1個の第1の光影響ゾーンおよび一様なフォトクロミック可逆的変化を有する少なくとも1個の第2の光影響ゾーン、(iv)勾配のあるフォトクロミック二色性可逆的変化を含む少なくとも1個の第1の光影響ゾーンおよび一様なフォトクロミック二色性可逆的変化を有する少なくとも1個の第2の光影響ゾーンまたは(v)これらの任意の組合せを含み得る。
光学的物品は、異なる色または色合い特性を有する少なくとも2個の光影響ゾーンをさらに含み得る。例えば、光学的物品は、(i)少なくとも1個の第2の光影響ゾーンの色もしくは色合いより大きいまたは小さい規模もしくは度合いの色もしくは色合いを有する少なくとも1個の第1の光影響ゾーン、(ii)少なくとも1個の第2の光影響ゾーンの色もしくは色合いの色調と異なる色調の色もしくは色合いを有する少なくとも1個の第1の光影響ゾーン、(iii)一様な色もしくは色合いを有する少なくとも1個の第1の光影響ゾーンおよび色もしくは色合いを有さない少なくとも1個の第2の光影響ゾーン、(iv)勾配のある色もしくは色合いを有する少なくとも1個の第1の光影響ゾーンおよび色もしくは色合いを有さない少なくとも1個の第2の光影響ゾーン、(v)勾配のある色もしくは色合いを有する少なくとも1個の第1の光影響ゾーンおよび一様な色もしくは色合いを有する少なくとも1個の第2の光影響ゾーン、(vi)第1の勾配のある色もしくは色合いを有する少なくとも1個の第1の光影響ゾーンおよび例えば異なる色もしくは色合いの変化の規模もしくは異なる色もしくは色合いの空間的な方向の変化等の第1の勾配のある色もしくは色合いと異なる第2の勾配のある色もしくは色合いを有する少なくとも1個の第2の光影響ゾーンまたは(vii)これらの任意の組合せを含み得る。
光学的物品は、上述した非限定的な光影響ゾーンおよび特性の任意の組合せを伴って形成されることが可能である。さらに、光学的物品は、限定されるわけではないが2個もしくはそれよりも多い、3個もしくはそれよりも多いまたは4個もしくはそれよりも多い光影響ゾーンを含む、所望される任意の数の光影響ゾーンを含み得る。光影響ゾーンの数および種類は、所望される光学的物品の使用に基づいて、選択することができる。例えば、眼用レンズとして使用される光学的物品は、太陽光を十分に遮蔽し、グレアを選択的に低減する、強く偏光させる暗い第1のゾーンと、自動車、飛行機またはボートのデジタルディスプレイの読取りおよび視認のための偏光させる度合いが減じたより明るい第2のゾーンとを有し得る。1個または複数の光影響ゾーンを有する眼用レンズの非限定的な具体例は、図1から図5においてさらに示されている。
図1に示すように、異方性コーティング層および任意選択でアラインメントコーティング層は、上縁14と、下縁16と、上縁14から下縁16まで延在する2つの側縁18および20との間に形成された上面12を有する眼用レンズ10を覆うように付与されることが可能である。図1に示すように、異方性コーティング層は、偏光の規模または度合いが上縁14から下縁16まで低下していき、色または色合いの規模または度合いが上縁14から下縁16まで同じ状態のままであるように、眼用レンズ10の上面12全体にわたって、一様な色または色合いおよび勾配のある偏光を提供する。
図2を参照すると、異方性コーティング層および任意選択でアラインメントコーティング層が、上縁28と、下縁30と、上縁28から下縁30まで延在する2つの側縁32および34との間に形成された上面26を有する眼用レンズ24を覆うように付与される。図2にさらに示すように、高い度合いの水平偏光を有する第1の光影響ゾーン36が、レンズ24の上面26の上側部分を覆うように形成されており、偏光を有さない第2の光影響ゾーン38が、レンズ24の上面26の下側部分を覆うように形成されている。
図3に示すように、異方性コーティング層および任意選択でアラインメントコーティング層が、上縁44と、下縁46と、上縁44から下縁46まで延在する2つの側縁48および50との間に形成された上面42を有する眼用レンズ40を覆うように付与される。図3にさらに示すように、垂直偏光を有する第1の光影響ゾーン52が、側縁48および50に隣接する上面42の側方部分を覆うように形成されており、水平偏光を有する第2の光影響ゾーン54が、上縁44と、下縁46と、第1の光影響ゾーン52との間にあるレンズ24の上面26の中心部分を覆うように形成されている。
図4は、上縁62と、下縁64と、上縁62から下縁64まで延在する2つの側縁66および68との間に形成された上面60を有する眼用レンズ58を覆うように付与された、異方性コーティング層および任意選択でアラインメントコーティング層を示している。図4に示すように、垂直偏光を有する第1の光影響ゾーン70が、側縁66および68に隣接する上面60の側方部分を覆うように形成されており、水平偏光を有する第2の光影響ゾーン72が、第1の光影響ゾーン70の間にあるレンズ58の上面60の上側部分を覆うように形成されており、偏光を有さない第3の光影響ゾーン74が、第1の光影響ゾーン70の間にあるレンズ58の上面60の下側部分を覆うように形成されている。
図5は、上縁80と、下縁82と、上縁80から下縁82まで延在する2つの側縁84および86との間に形成された上面78を有する眼用レンズ76を覆うように付与された、異方性コーティング層および任意選択でアラインメントコーティング層を示している。図5に示すように、勾配のある偏光および勾配のある色合いを有する第1の光影響ゾーン88が、レンズ76の上面78の上側部分を覆うように形成され、勾配のある偏光および勾配のある色合いを有する第2の光影響ゾーン90が、レンズ76の上面78の下側部分を覆うように形成される。さらに、図5に示す第1の光影響ゾーン88は、第2の光影響ゾーン90に比べて、偏光および色合いの度合いがより大きい。この配置により、2個の異なる光影響ゾーンがある上縁80から底部縁部82までにわたって、偏光および色合いが緩やかな変化を提供し得る。
上記で指摘したように、本発明は、限定されるわけではないが上記光学的物品のいずれかを含む光学的物品を調製する方法も対象とする。光学的物品は、光学要素を覆うように異方性コーティング層および任意選択でアラインメントコーティング層を形成することによって、調製することができる。種々の方法を使用して、これらのコーティング層を形成することが可能であり、限定されるわけではないが、インビビションすること、オーバーモールド処理、スピンコーティング、噴霧コーティング、噴霧スピンコーティング、カーテンコーティング、フローコーティング、ディップコーティング、射出成型、キャスティング、ロールコーティング、スプレッドコーティング、キャストコーティング、リバースロールコーティング、転写ロールコーティング、キスコーティング(kiss coating)またはしごきコーティング、グラビアロールコーティング、スロットダイコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、ロッドまたはバーコーティングおよびワイヤーコーティング、インクジェット印刷ならびにこれらの方法のいずれかの組合せが挙げられる。本開示のある特定の非限定的な実施形態における使用に適した様々なコーティング方法が、「Coating Processes」、Kirk-Othmer Encyclopediaof Chemical Technology、第7巻、1〜35頁、2004年においても記述されている。インビビションの非限定的な方法は、米国特許第6,433,043号の第1欄、31行目から第13欄、54行目において記述されている。これらの参考文献のそれぞれの開示は、これらの参考文献のそれぞれの開示は、全体が参照により組み込まれる。
一般に、光学的物品は、上記のように、少なくとも1種の異方性材料および少なくとも1種の二色性材料および/または少なくとも1種のフォトクロミック二色性材料を付与して、1個または複数の光影響ゾーンを形成することによって調製される。任意選択で、少なくとも1種のフォトクロミック材料および/または少なくとも1種の従来の染料を付与することもできる。代表的には、これらの材料の一部は、1種または複数のコーティング組成物中の上記添加剤等の他の添加剤と一緒に、光学要素に付与される。例えば、少なくとも1種の異方性材料を含むコーティング組成物を光学要素に付与し、1つまたは複数の方向にアラインメントし、次いで硬化させて、少なくとも1個の異方性コーティング層を形成することができる。
さらに、少なくとも1種の異方性材料を含む異方性コーティング組成物は、少なくとも1種の二色性材料および/または少なくとも1種のフォトクロミック二色性材料ならびに任意選択で少なくとも1種のフォトクロミック材料および/または少なくとも1種の従来の染料をさらに含み得る。したがって、異方性材料、少なくとも1種の二色性材料および/または少なくとも1種のフォトクロミック二色性材料ならびに任意選択で少なくとも1種のフォトクロミック材料および/または少なくとも1種の従来の染料は、同時に光学要素に付与し、アラインメントし、次いで硬化させることができる。代替的には、少なくとも1種の二色性材料、少なくとも1種のフォトクロミック二色性材料ならびに任意選択で少なくとも1種のフォトクロミック材料および少なくとも1種の従来の染料は、インビビションによって、アラインメントされた硬化された異方性コーティング層中に拡散させてもよい。したがって、少なくとも1種の二色性材料、少なくとも1種のフォトクロミック二色性材料ならびに任意選択で少なくとも1種のフォトクロミック材料および少なくとも1種の従来の染料は、後の時点において、アラインメントされた硬化された異方性コーティング層中に組み込むことができる。
本明細書において使用される場合、「インビビション(imbibition)」という用語は、ホスト材料またはコーティング中に二色性材料、フォトクロミック二色性材料、フォトクロミック材料および/または従来の染料を拡散または浸透させるプロセス、溶媒の補助によりこのような材料を多孔性ポリマー中に移入させること、気相による移入および熱による移入等を指す。異方性コーティング層中への染料のインビビションは、異方性コーティング層の少なくとも一部に、1種または複数のインビビション樹脂ならびに少なくとも1種の二色性材料、フォトクロミック二色性材料、フォトクロミック材料および/または従来の染料を含む組成物を付与するステップを含み得る。次いで、組成物は、染料が異方性コーティング層中に拡散またはインビビションするように加熱される。残りのインビビションする樹脂および他の残留材料は、異方性コーティング層の表面から洗い落とすことができる。異方性コーティング層中への染料をインビビションすることは、染料移入基材を利用してもよい。本明細書において使用される場合、「染料移入基材」は、染料を吸収し、ある特定の条件下で放出することができる、構成要素を指す。染料移入基材は、二色性材料、フォトクロミック材料、フォトクロミック二色性材料および/または従来の染料を吸収し、異方性コーティング層中に放出することができる。染料移入基材は、加熱中および/または加圧下において、染料材料を放出することができる。
上記のように、少なくとも異方性材料は、異方性コーティング組成物の付与後にアラインメントされる。異方性材料は、異方性コーティング組成物の加熱によってアラインメントすることができる。一般に、異方性コーティング組成物は、組成物を硬化させることなく、加熱される。例えば、異方性コーティング組成物は、代表的には、10℃から90℃までの温度において、10分から200分までの範囲の期間にわたって加熱される。次いで、異方性コーティング組成物は、限定するわけではないが化学線処理、アラインメント温度より高い温度で組成物を加熱すること等による熱処理およびこれらの組合せを含む、当技術分野において認識されている種々の技法を使用して硬化させることができる。
一部の例において、異方性材料は、光学要素と異方性コーティング層との間に位置決めされたアラインメントコーティング層中にある方向情報によって、アラインメントされる。したがって、本発明の光学的物品を調製する方法は、異方性コーティング組成物を付与する前に、光学要素の表面の少なくとも一部を覆うようにアラインメントコーティング層を形成するステップを含み得る。次いで、異方性コーティング組成物を、アラインメントコーティング層の少なくとも一部を覆うように付与し、硬化させることができる。
アラインメントコーティング層は、アラインメント材料を含むアラインメントコーティング組成物を付与し、次いで、任意の所望の方向(単数または複数)に向かってアラインメント材料を少なくとも部分的にアラインメントすることによって、形成することができる。本明細書において使用される場合、コーティング層中におけるアラインメント可能な材料のアラインメントの度合いに関して使用されている場合の「少なくとも部分的に」という語句は、材料のアラインメント可能な要素のうちの10%から100%までが、アラインメントされることを意味する。材料のアラインメント可能な要素は、25%から100%までのアラインメント、50%から100%までのアラインメントまたは100%のアラインメントを表示することもできる。アラインメント材料を少なくとも部分的にアラインメントするのに適した方法には、限定されるわけではないが、組成物の少なくとも一部を磁場に曝露すること、組成物の少なくとも一部をせん断力に曝露すること、組成物の少なくとも一部を電場に曝露すること、組成物の少なくとも一部を平面偏光紫外線に曝露すること、組成物の少なくとも一部を赤外線に曝露すること、組成物の少なくとも一部を乾燥させること、組成物の少なくとも一部をエッチングすること、組成物の少なくとも一部を擦ることおよびこれらの組合せが挙げられる。層に適したアラインメント方法も、米国特許第7,097,303号の第27欄、17行目から第28欄、45行目までにおいて詳細に記述されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
一部の例において、上記光アラインメント材料のいずれか等の光アラインメント材料を含むアラインメントコーティング組成物が、光学要素の表面の少なくとも一部を覆うように付与され、偏光処理用電磁放射への曝露によって任意の所望の方向にアラインメントされる。次いで、異方性コーティング組成物が、アラインメントコーティング層の少なくとも一部を覆うように付与され、異方性材料の少なくとも一部が、光アラインメント材料の方向にアラインメントされる。次いで、異方性コーティング組成物を硬化させて、異方性コーティング層を形成する。異方性コーティング組成物がいかなる染料材料をも含まない場合であれば、少なくとも1種の二色性材料および/または少なくとも1種のフォトクロミック二色性材料ならびに任意選択で少なくとも1種のフォトクロミック材料および従来の染料を付与し、あらかじめ形成された異方性コーティング層中に拡散させる。
本明細書に記載の方法は、1個または複数の光影響ゾーンを有する光学的物品を形成するためにも使用される。これらの光影響ゾーンは、異方性コーティング層、アラインメントコーティング層またはこれらの組合せによって形成することができる。本発明の方法を使用して、上記の任意の光影響ゾーンを形成することができることが理解される。
異方性コーティング層を有する光影響ゾーンを形成するために、噴霧、スピンコーティングおよび上述した他の非限定的な技法のいずれか等の様々な方法を使用して、異方性材料ならびに異なる種類および/または量の染料材料(すなわち、二色性材料、フォトクロミック二色性材料、フォトクロミック材料および/または従来の染料)を有する1種または複数のコーティング組成物を付与することができる。例えば、異方性材料および少なくとも1種の二色性材料を含む第1のコーティング組成物は、アラインメントコーティング層の第1の領域を覆うように付与することができ、異方性材料および少なくとも1種のフォトクロミック材料を含む第2のコーティング組成物は、アラインメントコーティング層の第2の領域を覆うように付与することができる。次いで、異方性コーティング組成物をアラインメントし、硬化させて、固定された色または色合いおよび固定された偏光を呈する第1の光影響ゾーンを有する単一の異方性コーティング層ならびに可逆的な色の変化を呈するが偏光を呈さない第2の光影響ゾーンを形成することができる。インビビション法を使用して、異なる光影響ゾーンを有する異方性コーティング層を形成することもできる。例えば、複数の光影響ゾーンが形成されるように、異なる量および/または種類の染料材料を、あらかじめ硬化させた異方性コーティング層の異なる領域中に拡散させることができる。
複数の異方性コーティング組成物を使用して、異なる光影響ゾーンを設けることができるが、複数の異方性コーティング組成物は、光学要素および/またはアラインメントコーティング層を覆うように単一かつ連続的な異方性コーティング層を形成するために、付与および硬化される。単一かつ連続的な異方性コーティング層は、光学的物品上で連続的に遷移する複数の光影響特性を有する、コーティングを提供する。
さらに、アラインメントコーティング層をまた、光影響ゾーンを形成するために使用することもできる。一部の例において、光影響ゾーンは、光アラインメントコーティング組成物の異なる領域を、異なる方向の偏光電磁放射に選択的に曝露することによって、形成される。例えば、光アラインメント材料を含むアラインメントコーティング組成物を光学要素に付与することが可能であり、少なくともアラインメントコーティング組成物の第1の部分は、第1の方向の偏光紫外線に曝露することができ、一方で、少なくともアラインメントコーティング組成物の第2の部分は、第1の方向と異なる第2の方向の偏光紫外線に曝露することができる。次いで、二色性材料および/またはフォトクロミック二色性材料ならびに任意選択でフォトクロミック材料および従来の染料を含む異方性コーティング層が、アラインメントコーティング層を覆うように形成される。アラインメントコーティング層の第1の部分を覆うように付与された二色性材料および/またはフォトクロミック二色性材料は、第1の光影響ゾーンを形成するように第1の方向に整列し、アラインメントコーティング層の第2の部分を覆うように付与された二色性材料および/またはフォトクロミック二色性材料は、第2の光影響ゾーンを形成するように第2の方向に整列する。当業者ならば、このプロセスを使用して、複数の光影響ゾーンを形成できることは、理解されよう。
光アラインメントコーティング層に関しては、マスキング方法を使用して、光アラインメントコーティング組成物の異なる領域を選択的にアラインメントすることができる。光アラインメントコーティング層の領域のアラインメントに関して、本明細書において使用される場合、「マスキング」は、偏光紫外線を遮蔽する構成要素の使用を指す。光アラインメントコーティング組成物の異なる領域を遮蔽するために使用される構成要素は、限定するわけではないが、ポジ型紫外線遮蔽シートおよびネガ型紫外線遮蔽シートを含む。さらに、単一のマスキングステップまたは複数のマスキングステップを使用して、光アラインメントコーティング組成物の異なる領域を選択的にアラインメントしてもよい。単一のマスキングステップに関しては、偏光紫外線を遮蔽するマスキングシートを、光アラインメントコーティング組成物の第1の領域を覆うように付与することができる。マスキングシートを付与した後、光アラインメントコーティング組成物を、第1の方向の偏光紫外線に曝露する。次いで、マスキングシートを取り除き、光アラインメントコーティング組成物の全体を、第1の方向と異なる第2の方向の偏光紫外線に曝露する。得られた光アラインメントコーティング層は、光アラインメント材料が第1の方向にアラインメントされた少なくとも1個の第1の領域および光アラインメント材料が第2の方向にアラインメントされた少なくとも1個の第2の領域を有する。
代替的には、複数のマスキングステップに関して、偏光紫外線を遮蔽する第1のマスキングシートが、光アラインメントコーティング組成物の第1の領域を覆うように付与されてもよい。第1のマスキングシートを付与した後、光アラインメントコーティング組成物を、第1の方向の偏光紫外線に曝露する。次いで、第1のマスキングシートを取り除き、第2のマスキングシートを、光アラインメントコーティング組成物の第2の領域を覆うように付与する。次いで、光アラインメントコーティング組成物を、第1の方向と異なる第2の方向の偏光紫外線に曝露する。得られた光アラインメントコーティング層は、光アラインメント材料が第1の方向にアラインメントされた少なくとも1個の第1の領域および光アラインメント材料が第2の方向にアラインメントされた少なくとも1個の第2の領域を有する。
マスキング方法を使用して、勾配のある偏光を有するアラインメントコーティング層を形成することもできる。例えば、勾配のある偏光は、より多量の光アラインメント材料がコーティング層の一方の端部から他方の端部まで整列するような、アラインメントコーティング組成物中への偏光紫外線の勾配量を可能にするマスキングシートの使用によって、形成することができる。続いて、異なる偏光方向の偏光放射線を遮蔽する第2の勾配マスキングシートを使用することによって、この技法が、少なくとも2種の異なる偏光方向に沿って勾配のある偏光をもたらすために使用されてもよい。二色性材料および/またはフォトクロミック二色性材料は、アラインメントされた異方性材料の勾配量に基づいて、勾配のある偏光を形成するように整列すると理解される。
指摘したように、インクジェットプリンタを使用して、本発明の光学的物品を形成することもできる。図6に示すように、インクジェットプリンタ100は、偏光しないか、または色を可逆的に変化させない異方性材料104、二色性材料106、フォトクロミック材料108、フォトクロミック二色性材料110および/または従来の染料112を含有する供給源(単数または複数)に流体連通した、印刷ヘッド102を含み得る。運転中、インクジェット印刷ヘッド100は、光学要素103の上方にあるインクジェット印刷ヘッド部102を走査し、異方性材料104、二色性材料106、フォトクロミック材料108、フォトクロミック二色性材料110および/または従来の染料112を光学要素103上に付与することができる。インクジェットプリンタは、異方性材料104、二色性材料106、フォトクロミック材料108、フォトクロミック二色性材料110および/または従来の染料112を同時に付与することができる。代替的には、インクジェットプリンタ100は、異方性材料102を付与した後に、二色性材料106、フォトクロミック材料108、フォトクロミック二色性材料110、および/または従来の染料112を付与することもできる。当業者によって認識されるように、異方性材料104、二色性材料106、フォトクロミック材料108、フォトクロミック二色性材料110および/または従来の染料112は、代表的には、上記のように、コーティング組成物中のさらなる添加剤と一緒に付与される。
本明細書に記載のインクジェット印刷プロセスにより、使用者は、光学的物品の異なる領域を覆うように異なる光影響ゾーンを形成することができるように、異なる種類および/または量の染料材料を付与することができる。したがって、インクジェットプリンタ100は、異なる量および/または種類の二色性材料106、フォトクロミック材料108、フォトクロミック二色性材料110および/または従来の染料112を光学要素103に付与して、限定されるわけではないが上記光影響ゾーンのいずれかを含む1個または複数の光影響ゾーンを有する光学的物品を形成するために使用することができる。
インクジェットプリンタは、後の時点において染料材料を組み込むことができるように、いかなる染料材料も含まない異方性コーティング層を形成するために使用することもできる。例えば、インクジェットプリンタ100を使用して、異方性材料104を有する異方性コーティング層を光学要素103上に付与することができる。この後、後の時点において、二色性材料、フォトクロミック材料、フォトクロミック二色性材料、および/または従来の染料を、インビビション法によって組み込むことができる。
一部の例において、光学要素103は、例えばスピンコーティング法等を用いて、アラインメントコーティング層によってコーティングされる。上記のように、アラインメントコーティング層全体が、1つの方向にアラインメントされてもよいし、またはアラインメントコーティング層全体が、異なる方向にアラインメントされた異なる領域を有してもよい。次いで、インクジェットプリンタ100は、異方性材料104および様々な染料を含む異方性コーティング層を付与して、1個または複数の光影響ゾーンを有する光学的物品を形成することができる。インクジェットプリンタ100は、様々な種類の染料材料を、正確で精密な態様で付与して、複数の光影響ゾーンを有する光学的物品を、光学的物品の任意の所望の領域にもたらすことができることが判明した。
複数の光影響ゾーンを有する光学的物品は、少なくとも1種の異方性材料および1種または複数の二色性材料および/またはフォトクロミック二色性材料を有する2種またはそれよりも多い異方性コーティング組成物を付与し、その後回転プロセスが続くことによって形成することもできる。例えば、2種またはそれよりも多い異方性コーティング組成物は、例えば噴霧コーティング等の上記コーティングプロセスのいずれかによって付与した後、コーティング組成物が、光学要素を覆うように1個の連続的な組成物層を形成するように特定の時間にわたってある特定の速度(すなわち、回毎分(rpm))で回転させることができる。さらに、異方性コーティング組成物のいずれかの一部は、光学要素に付与されたときに、別の異方性コーティング組成物と重なり合ってもよいし、または重なり合わなくてもよい。一部の例において、別個の異方性コーティング組成物が重なり合った部分を回転させて、上記勾配のいずれか等の勾配をもたらすことができる。回転プロセスは、異なるコーティング組成物どうしの何らかの実質的な重なり合いを防止するように制御することもできる。回転させた後、連続的な組成物層を硬化させて、複数の光影響ゾーンを有する異方性コーティング層を形成することができる。
さらに、一部の例において、1個または複数の光影響ゾーンを有する光学的物品は、浸染プロセスまたは染料移入基材の使用等による染料のインビビションによって調製される。このプロセスに関する異なるステップは、異なる個人および実体等によって、異なる時点において実施することができる。このプロセスによって上記光学的物品等の光学的物品を生産できることは、理解されよう。例えば、図7を参照すると、1個または複数の光影響ゾーンを有する光学的物品200を、上記のようにインビビションプロセスによって生産し、もう1つの光影響ゾーンが、連続的な勾配のある色合いおよび勾配のある偏光を有する状態の光学的物品200を得ることができる。しかしながら、光学的物品200の勾配のある色合いおよび勾配のある偏光は、連続的でない勾配(すなわち、段階的勾配)を有することもできる。上記で指摘したように、光学的物品200は、限定されるわけではないが光学レンズ、眼用レンズ、光学フィルター、窓、バイザー、鏡およびディスプレイ等を含む光学要素を含み得る。さらに、光学要素は、少なくとも1つの主面を含み得、少なくとも1個のアラインメントゾーンは、この少なくとも1つの主面の少なくとも一部を覆うように配置されることが可能である。主面は、曲がった表面であっても曲がっていない表面であってもよい。
図7に示すように、光学的物品200の勾配のある色合いおよび勾配のある偏光は、光学的物品200の表面全体にわたって延在し得る。例えば、図7において、色合いの勾配は、色合いが最も暗い光学的物品200の頂部から、色合いが最も明るいまたは色剤が存在しない光学的物品200の底部まで延在する。さらに、図7は、光学的物品200の表面全体にわたる勾配のある偏光も示しており、偏光の勾配は、最も多い偏光が存在する光学的物品200の頂部から、最も少ない偏光が存在するか、または偏光が存在しない光学的物品の底部まで延在する。しかしながら、他の例において、色合いの勾配および偏光の勾配は、光学的物品200の表面の一部のみにわたって延在してもよい。
さらに、図7は、最も多い偏光を有する光学的物品200の端部に対応する最も暗い色合いを有する光学的物品200の端部および最も少ない偏光を有するか、または偏光を有さない光学的物品の端部に対応する最も明るい色合いを有するか、または色合いを有さない光学的物品200の端部も示している。したがって、図7における色合いおよび偏光の勾配は、同じ方向に色合いまたは偏光が低下していく。しかしながら、他の例において、最も多い偏光を有する光学的物品200の端部は、最も暗い色合いを有する光学的物品200の端部と異なっていてもよく、同様に、光学的物品200の色合いおよび偏光の勾配の方向もまた、異なっていてもよい。
図8Aから図9Eは、勾配のある色合いおよび勾配のある偏光を有する光学的物品を製造するための例示的な方法を示す、ブロック図である。
図8Aから図8Cを参照すると、光学的物品の生産者は、勾配のある色合いおよび勾配のある偏光を有する光学的物品を製造することができる。生産者は、光学的物品に関するいかなるメーカーであってもよく、一部の例においては、レンズの製造業者、レンズの供給業者および眼科研究室が挙げられる。図8Aに示すように、例示的な一プロセス210において、生産者は、特定の方向に配向された少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する少なくとも1個の異方性コーティング層を含む光学要素を提供し(212)、染料組成物を光学要素の異方性コーティング層と接触させて(214)、染料組成物の少なくとも一部を、異方性コーティング層の少なくとも一部に沿った所定の濃度勾配で異方性コーティング層中に拡散させて、勾配のある色合いおよび勾配のある偏光をもたらす。別の例示的なプロセス220において、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する少なくとも1個の異方性コーティング層を含む光学要素を提供するステップ(212)の前に、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層が、光学要素上に形成される(222)。別のプロセス230において、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する少なくとも1個の異方性コーティング層を含む光学要素を提供するステップ(212)の前に、予め製作された形態で光学要素が提供される(232)。
図8Dおよび図8Eを参照すると、生産者は、勾配のある色合いおよび勾配のある偏光を有する光学的物品を製造することができる。図8Dに示す240である例示的なプロセスにおいて、生産者は、消費者から少なくとも1種の所望の製品特性を得る(242)。さらに、生産者は、単一の商業的供給源から光学要素および染料組成物も得る(244)。少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する少なくとも1個の異方性コーティング層を含む光学要素を提供する(212)。次いで、染料組成物を含む染料溶液中に光学的物品を浸漬することによって、染料組成物を異方性コーティング層に付与する(246)。次いで、所定の濃度勾配を達成するのに十分な速度で染料溶液から光学的物品を抜き出す(248)。別の例示的なプロセス250において、生産者は、消費者から少なくとも1種の所望の製品特性を得る(242)。さらに、生産者は、単一の商業的供給源から光学要素および染料組成物も得る(244)。光学要素は、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する少なくとも1個の異方性コーティング層を含む(212)。次いで、光学的物品の異方性コーティング層を、染料組成物の勾配のある層を含む染料移入基材と接触させる(252)。次いで、染料移入基材に熱を加えて、染料組成物の少なくとも一部を所定の濃度勾配で異方性コーティング層中に拡散させる(254)。
図9Aから図9Cを参照すると、勾配のある色合いおよび勾配のある偏光を有する光学的物品を製造することができる。一プロセス310において、光学的物品は、1種または複数の染料組成物を、少なくとも1個のアラインメントゾーンを含む連続的な異方性コーティング層を有する光学要素と接触させる(312)ことによって、製造することができる。別の例示的なプロセス320において、アラインメントコーティング組成物が光学要素を覆うように付与され、第1のアラインメント領域が光学要素の少なくとも一部を覆うように形成される(322)。次いで、異方性材料を含む異方性コーティング組成物を、第1のアラインメント領域を覆うように付与し、アラインメントして、第1のアラインメントゾーンを形成した後、硬化させて、連続的な異方性コーティング層を形成する(324)。次いで、少なくとも1個のアラインメントゾーンを含む連続的な異方性コーティング層を有する光学要素を、1種または複数の染料組成物と接触させる(312)。別のプロセス330において、アラインメントコーティング組成物が、光学要素を覆うように付与され、第1のアラインメント領域が、光学要素の少なくとも一部を覆うように形成される(322)。次いで、アラインメントコーティング組成物の第2のアラインメント領域が、少なくとも光学要素の第2の部分を覆うように形成される(332)。異方性材料を含む異方性コーティング組成物を、第1のアラインメント領域を覆うように付与し、アラインメントして、第1のアラインメントゾーンを形成し、次いで硬化させて、連続的な異方性コーティング層を形成する(324)。次に、第2のアラインメント領域を覆うように第2の異方性コーティング組成物を付与して、第2のアラインメントゾーンを形成する(334)。次いで、少なくとも2個のアラインメントゾーンを含む連続コーティングを有する光学要素に、1種または複数の染料組成物が接触することができる(312)。
図9Dから図9Eを参照すると、勾配のある色合いおよび勾配のある偏光を有する光学的物品を製造することができる。例示的な一プロセス340によれば、アラインメントコーティング組成物を、光学要素の少なくとも一部を覆うように付与することができる(342)。アラインメントコーティング組成物の第1の部分を、第1の偏光方向を有する第1の偏光放射線に曝露して、アラインメントコーティング層中に第1のアラインメント領域を形成することができる(344)。アラインメントコーティング組成物の第2の部分を、第2の偏光方向を有する第2の偏光放射線に曝露して、アラインメント層中に第2のアラインメント領域を形成することができる(346)。異方性材料を含む異方性コーティング組成物を、第1のアラインメント領域を覆うように付与し、アラインメントし、硬化させて、第1のアラインメントゾーンを形成することができ(324)、第2の異方性コーティング組成物を、第2のアラインメント領域を覆うように付与し、アラインメントし、硬化させて、第2のアラインメントゾーンを形成することができる(334)。染料組成物は、染料組成物を含む染料溶液中に光学要素を浸漬することによって、光学要素に接触することができる(348)。次いで、光学要素を染料溶液から抜き出して所定の濃度勾配を達成することができる。第2の例示的なプロセス350において、染料組成物は、コーティングを、染料組成物の勾配のある層を含む染料移入基材と接触させることによって、光学要素に接触する(358)。次いで、染料移入シートを加熱して、染料組成物の少なくとも一部を異方性コーティング層中に拡散させることができる(359)。
少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層を含む光学要素は、光学要素のサードパーティーの製造業者または任意の他の製造業者から光学要素を購入することによって、提供することができる。光学要素は、サードパーティーの製造業者によって予め製作された形態として、生産者に提供されることが可能である。予め製作された形態は、光学要素が、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層があらかじめ形成された状態であらかじめ調製されることを意味する。例えば、サードパーティーの製造業者は、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層を含むプレハブ式レンズブランクを生産者に提供することができる。しかしながら、他のプロセスにおいて、生産者は、サードパーティーの製造業者から少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層を含む光学要素を得ず、代わりに、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層を含む光学要素が、生産者によって製造されてもよい。これらの場合において、生産者は、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層を光学要素上に形成することができる。
少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層を含む光学要素は、生産者またはサードパーティーの製造業者によって、上記プロセス等の任意の適切なプロセスを使用して製造され得る。
生産者が、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層を含む光学要素を得た後または製造した後、光学要素の異方性コーティング層を染料組成物と接触させる。生産者は、染料組成物のサードパーティーの製造業者または任意の他の製造業者から少なくとも1種の染料組成物を得ることができる。染料組成物は、商用としてあらかじめ包装された組成物であってよい。染料組成物は、二色性染料および/またはフォトクロミック二色性染料を含み得、任意選択で、フォトクロミック染料および/または従来の染料を含んでもよい。さらなる染料組成物(単数または複数)を得ることもできる。各さらなる染料組成物は、二色性染料および/またはフォトクロミック二色性染料および/またはフォトクロミック染料および/または従来の染料を含み得る。染料組成物および/またはさらなる染料組成物は、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層を含む光学要素のサードパーティーの製造業者と同じサードパーティーの製造業者(すなわち、単一の商業的供給源)から得ることができる。別の例示的なプロセスにおいて、染料組成物および/またはさらなる染料組成物は、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層を含む光学要素のサードパーティーの製造業者と異なるサードパーティーの製造業者から得ることができる。別の例示的なプロセスにおいて、染料組成物および/またはさらなる染料組成物が、生産者によって製造されてもよい。
生産者は、限定されるわけではないがスピンコーティング、フローコーティング、噴霧コーティング、浸染法、染料移入基材の使用、カーテンコーティングおよびこれらの任意の組合せを含む任意の適切な方法によって、染料組成物を光学要素の異方性コーティング層と接触させて、勾配のある色合いおよび勾配のある偏光を有する光学的物品を生産することができる。
図10Aから図12を参照すると、染料溶液は、浸染法によって、光学要素の異方性コーティング層に接触することができる。本発明の浸染法によれば、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層402を含む光学要素400を、浴254中に浸漬し、染料溶液406と接触させる。浴404は、染料溶液406を保持することが可能であり、異方性コーティング層402を含む光学要素400がその中に浸漬できるようになるのに十分なサイズを有する、任意の容器であってよい。染料溶液は、0℃から約200℃の間等の任意の温度に保持することができる。染料溶液406は、二色性染料および/またはフォトクロミック二色性染料(および任意選択でフォトクロミック染料または従来の染料)を含む染料組成物(単数または複数)432(図14に示す)を含み得る。染料溶液406および任意のさらなる染料溶液を保持している、複数の浴404が存在してもよい。さらなる染料溶液は、二色性染料および/またはフォトクロミック二色性染料および/またはフォトクロミック染料および/または従来の染料を含む染料組成物(単数または複数)432を含み得る。染料溶液406を含む複数の浴404が存在する場合において、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層402を含む光学要素400は、所望の効果を得るために、調製された浴404のそれぞれに順次浸漬することができる。
浸染法によって、異方性コーティング層402を含む光学要素400の少なくとも一部が、浴404の染料組成物(単数または複数)432の染料溶液406中に沈められる(浸漬される)。光学要素400は、上記のように、光学レンズ、眼用レンズ、光学フィルター、窓、バイザー、鏡およびディスプレイ等、任意の種類であってよい。図10Aおよび図10Cは、いくつかの異なる種類の光学要素400(すなわち、曲がった光学要素400および曲がっていない光学要素400)を示している。光学要素400は、任意の配向(図10Aから図10Dに示すように)において、浴404中に浸漬することができる。例えば、光学要素400は、ある角度をなしながら、浴404中に浸漬することができる(図10Aおよび図10Dを参照されたい)。他の例において、光学要素400は、実質的に水平に浸漬されてもよいし(図10Bおよび図10Cを参照されたい)、または実質的に垂直に浸漬されてもよく(図示なし)、または実質的に水平から実質的に垂直の間の任意の配向において浸漬されてもよい。光学要素400が浴404中に浸漬されるときの配向は、得られる光学的物品における色合いの勾配および偏光の勾配に影響し得る。
図11Aおよび図11Bを特に参照すると、異方性コーティング層402を有する光学要素400は、光学要素400の少なくとも一部を染料溶液406中に沈める任意の手段によって、染料溶液406を含む浴404中に浸漬することができる。例えば、図11Aに示すように、光学要素400は、使用者408によって、染料溶液406中に手動により浸漬される(例えば、素手で浸漬される)ことが可能である。対照的に、図11Bに示すように、光学要素400は、例えば制御装置412によって制御された機械的部材410によって、染料溶液406中に自動的に浸漬することができる。
図12を参照すると、浸染法によって、異方性コーティング層402を有する光学要素400の少なくとも一部が、染料溶液406中に沈められる。染料溶液406中に沈められる光学要素400の部分は、生産者が光学要素400の異方性コーティング層402に付与することを望む、所望の勾配のある色合いおよび勾配のある偏光に依存する。例えば、光学要素400は、染料溶液406中に完全に沈められてもよいし、または染料溶液406中に部分的にのみ沈められてもよい(図12を参照されたい)。
浸染法によって、最初に、異方性コーティング層402を有する光学要素400の少なくとも一部が、浴404中に含有される染料組成物中に沈められる。次いで、沈められた光学要素400を染料溶液406から取り除く。沈められた光学要素400は、所定の濃度勾配を達成するのに十分な速度で染料溶液406から取り除くことができる。染料溶液406中に沈め、染料溶液406から取り除くプロセスは、所望の色合いおよび偏光を達成するために複数回繰り返されてもよい。任意選択で、光学要素400をさらなる浴404中に浸漬し、所定の濃度勾配を達成するのに十分な速度でさらなる染料溶液から抜き出してもよい。光学要素400が染料溶液(単数または複数)406中に浸漬されたとき、染料溶液406が、異方性コーティング層402の三次元的ポリマーマトリックス中に拡散する。異方性コーティング層402を含む光学要素400が、染料溶液406中により長く沈められ、またはより多くの回数沈められるほど、より多くの染料が、ポリマーマトリックス中に拡散する(すなわち、色合いおよび偏光が増す)。異方性コーティング層402の第1のアラインメントゾーンの三次元的ポリマーマトリックスは、第1の方向にアラインメントされているため、染料はやはり、第1のアラインメントゾーンのポリマーマトリックス中に拡散したときに、第1の方向に整列し、第1の方向に偏光を提供する。
浸染法によって、異方性コーティング層402を含む光学要素400を、所定の速度において染料溶液406から抜き取って、光学要素の長さに沿って、異方性コーティング層402のポリマーマトリックス中に拡散した染料の所定の濃度勾配を達成することができる。これにより、光学要素の長さに沿った所定の色合いの勾配および偏光の勾配が生じ得る。別の例において、異方性コーティング層402を含む光学要素400は、染料溶液406から取り除かれているとき、異なる速度で抜き取られていてもよい。例えば、異方性コーティング層402を含む光学要素400は、染料溶液406中に完全に沈めることができる。光学要素400の第1の部分は、ある速度で染料溶液406から取り除くことが可能であり、この後、光学要素400の第2の部分は、別の速度で取り除くことが可能である(すなわち、光学要素400が取り除かれる速度は、光学要素400の全体が取り除かれる前に変化する)。染料溶液406から光学要素400を取り除いている最中には、沈められた残り部分が、光学要素400の残り部分を染料溶液406から取り除く前により多くの染料を吸収できるようにすべく、休止があってもよい。一定の速度で取り除かれた光学要素400は、連続的な色合いの勾配および偏光の勾配を有し得るが、光学要素400が染料組成物から取り除かれる速度を変更することにより、連続的でない色合いの勾配および偏光の勾配(すなわち、段階的勾配)を発生させてもよい。
図13を参照すると、染料組成物は、異方性コーティング層402を、染料組成物416の勾配のある層を含む染料移入基材414と接触させることによって、光学要素400の異方性コーティング層402に接触することができる。染料移入基材は、染料組成物416の勾配のある層を保持しながらも、染料移入基材416を加熱したときに、染料組成物416の勾配のある層が、付着表面に移入することを可能にするように構成された可撓性シート等のシートであってよい。染料組成物416の勾配のある層は、染料組成物416の勾配のある層を含む染料移入基材414の一面を、異方性コーティング層402に付与することによって、光学要素400の異方性コーティング層402に接触することができる。任意選択で、据付け手段418は、染料組成物416の勾配のある層が異方性コーティング層402と接触した状態のままで滑動できなくなるように、染料組成物416の勾配のある層を有する染料移入基材の面の反対側にある染料移入基材414の一面に据え付けられることが可能である。据付け手段418は、染料組成物416の勾配のある層と異方性コーティング層402のいずれもが滑動できなくなるように、染料組成物416の勾配のある層を異方性コーティング層402に十分に据え付ける、任意の材料であってよい。例えば、据付け手段418は、金属板等の重い材料であってよい。染料組成物416の勾配のある層を含む染料移入基材414が、コーティングに付与されたら、染料移入基材414は、加熱装置420によって加熱される。加熱装置420は、染料組成物416の勾配のある層による異方性コーティング層402中への染料の拡散を可能にする十分な温度に染料移入基材414を加熱するための、任意の手段であってよい。別の例において、染料組成物416の勾配のある層は、接触している染料移入基材414と異方性コーティング層402とに圧力を加えることによって、異方性コーティング層402中に拡散させることができる。所望の量の染料が染料移入基材414から異方性コーティング層402に移入されたらすぐに、染料移入基材414を取り除くことができる。
消費者は、勾配のある色合いおよび勾配のある偏光を有する光学的物品を注文するために、生産者と連絡を取ることができる。消費者は、個人の消費者であっても、商売目的の消費者であってもよい。一例において、消費者は、勾配のある色合いおよび勾配のある偏光を有する、光学レンズ等の光学的物品を所望し、生産者に連絡を取って、光学レンズを製造するように仕向ける。光学レンズを、メガネフレームに組み付けて、メガネを形成することができる。一部の例において、消費者は、メガネの着用者等の光学的物品の着用者であってよい。
生産者は、消費者から所望の製品特性情報を得ることができる。所望の製品特性情報は、所望の固定された色合いの勾配、所望の活性化された色合いの勾配、所望の固定された偏光の勾配および所望の活性化された偏光の勾配を含み得る。固定された色合いの勾配および固定された偏光の勾配は、紫外線等の化学線に曝露されていない光学的物品の色合いおよび偏光を指す。活性化された色合いの勾配および活性化された偏光の勾配は、化学線に曝露したときの光学的物品の色合いおよび偏光を指す。ある特定の所望の製品特性情報は、消費者によって所望される光学的物品の種類に依存し得る。例えば、勾配のある色合いおよび勾配のある偏光を有する光学レンズを所望する消費者は、処方用量(prescription strength)、メガネフレームの選択、有彩色、さらなる着色料、勾配のある色合いによって被覆すべき光学レンズの量および勾配のある偏光によって被覆される光学レンズの量等、さらなる所望の製品特性情報を提供することができる。
上記プロセスは、消費者から収集された所望の特性情報に照らして、実施することができる。生産者は、顧客の仕様と合致する光学的物品を製造するために、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層を含む光学要素を提供し、コーティングを染料組成物と接触させることができる。顧客が所望する製品需要を満たすために、さらなるステップが、生産者またはサードパーティーの製造業者によって採用されてもよい。例えば、メガネのためのレンズを注文する顧客の場合、レンズは、適正なサイズおよび仕様になるように、切断および研磨が必要となる可能性がある。別の例において、これにより、光学的物品を消費者に提供する前に、光学的物品をさらに調製することが必要になる可能性がある。例えば、ハードコーティングが、スクラッチ等から光学的物品を保護するために光学的物品を覆うように付与されてもよい。別の例において、消費者は、光学的物品を消費者に提供する前に消費者が選択したメガネフレームに組み付けられてもよい光学レンズ等、2個の光学的物品を所望する可能性もある。
図14を参照すると、生産者は、勾配のある色合いおよび勾配のある偏光を有する光学的物品を製造するためのキット430を得ることができる。キット430は、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層402を含む光学要素400を含んでもよい。この異方性コーティング層402を含む光学要素400は、上述した異方性コーティング層402を含むプレハブ式光学要素400であってもよい(すなわち、キット430は、生産者がキット430を得る前に異方性コーティング層402が光学要素400にあらかじめ付与された、光学要素400を含む)。キット430は、染料組成物(単数または複数)432をさらに含んでもよい。染料組成物432の少なくとも1つは、二色性染料および/またはフォトクロミック二色性染料(および任意選択でフォトクロミック染料または従来の染料)を含む。キット430は、さらなる染料組成物を含んでもよく、これらのさらなる染料組成物は、二色性染料および/またはフォトクロミック二色性染料および/またはフォトクロミック染料および/または従来の染料を含んでもよい。キット430は、染料組成物(単数または複数)を含む予備混合された溶液を含んでもよい。キット430は、染料組成物416の勾配のある層を含む染料移入基材414をさらに含んでもよい。キット430は、光学要素400のコーティング402と接触した染料組成物432が、異なる勾配の色合いおよび偏光を含むことを可能にする、染料組成物416の勾配のある層を有する複数の染料移入基材414を含んでもよい。キット430は、所定の濃度勾配を形成するという目的で、染料組成物432を光学要素400の異方性コーティング層402と接触させるための取扱説明書434をさらに含んでもよい。キット430は、上記方法のいずれかによって、勾配のある色合いおよび勾配のある偏光を有する光学的物品200を製造するために、生産者によって使用され得る。
染料組成物を異方性コーティング層と接触させて、所定の濃度勾配を形成するための取扱説明書434は、消費者によって得ることができる。取扱説明書434は、限定されるわけではないが、使用すべき少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層を含む光学要素の種類、使用すべき染料組成物の種類(単数または複数)、どのようにして染料組成物(単数または複数)から染料溶液を調製するか、染料溶液を光学要素の異方性コーティング層と接触させる方法、必要とされる染料溶液と光学要素の異方性コーティング層との接触の持続期間、一旦染料溶液を光学要素の異方性コーティング層に接触させてから光学的物品を生産するためのさらなるプロセスステップ等の情報を含み得る。取扱説明書434は、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング層および染料組成物(単数または複数)を含む光学要素のサードパーティーの製造業者と同じサードパーティーの製造業者(すなわち、単一の商業的供給源)から得ることができる。別の例示的なプロセスにおいて、取扱説明書434は、少なくとも1個のアラインメントゾーンを有する異方性コーティング組成物および染料組成物を含む光学要素のサードパーティーの製造業者と異なるサードパーティーの生産者または製造業者から得ることができる。別の例示的なプロセスにおいて、取扱説明書434は、生産者によって開発されていてもよい。
勾配のある色合いおよび勾配のある偏光を有する光学的物品は、上記方法のいずれかから調製することができる。
下記の実施例は、本発明の一般的原理を実証するために提供されている。本発明は、提供された具体例に限定されるものとして解釈すべきでない。実施例におけるすべての部および百分率は、そうではないと指摘されていない限り、重量によるものである。
(実施例1)
第1部 プライマー層配合物(PLF)の調製
マグネチックスターラーバーを備え付けた適切な容器内に、下記の材料を、下記の表1に提示の量で添加した。
混合物を室温で2時間撹拌して、溶液の総重量に対して51.47重量%の最終的固形分を有する溶液を得た。
第2部 液晶アラインメント配合物(LCAF)の調製。
米国特許出願公開第US2011/0135850A1号において比較例として記載の光アラインメント材料を、溶液の総重量に対して6重量パーセントの光アラインメント材料をシクロペンタノンに添加することによって調製した。この混合物を、光アラインメント材料が完全に溶解するまで撹拌した。
第3部 異方性層配合物(CLF)の調製。
下記の表2に提示の材料を合わせ、80℃で2時間撹拌して、均一な溶液を得ることによって異方性層配合物を調製し、次いで、室温に冷却した。すべての量は、重量部として報告されている。
第4部 アラインメントされた異方性層を有する基材を調製するために使用される手順。
コロナ処理:
下記において指摘されている場合、報告されたコーティング層のいずれかの付与前に、基材またはコーティングされた基材には、高電圧変圧器を有するTantec EST Systems Power Generator HV2000シリーズのコロナ処理装置内のコンベヤベルト上を通過されることによって、コロナ処理を施した。基材は、3.8ft/分のベルト速度でコンベヤ上を移動しながら、1288ワットで発生したコロナに曝露された。
基材の調製:
75mmの直径を有するCR−39(登録商標)SFSV Base4.25のレンズ基材を、Essilorから得た。各基材は、アセトンを浸したティッシュでふくことによって清浄化し、空気流によって乾燥させ、上記のようにコロナ処理した。
プライマー層のためのコーティング手順:
約1.5mLの溶液を分注し、基材を500回毎分(rpm)で2秒、続いて、2500rpmで2.2秒回転させ、4.5ミクロンの目標フィルム厚さを達成することによって、PLFを、調製されたレンズに付与した。この後、コーティングされた基材を、125℃に維持されたオーブン内に60分配置し、次いで、室温に冷却した。次いで、コーティングされた基材を、上記のようにコロナ処理した。
液晶アラインメント層のためのコーティング手順:
約1.0mLの溶液を分注し、基材を600回毎分(rpm)で2秒、続いて、2,400rpmで2秒回転させ、1ミクロン未満の目標フィルム厚さを達成することによって、試験基材の表面の一部におけるスピンコーティングにより、LCAFを試験基材に付与した。この後、コーティングされた基材を、120℃に維持されたオーブン内に15分配置し、次いで、室温に冷却した。
各基材上の乾燥済み光アラインメント層を、直線偏光紫外線への曝露によって少なくとも部分的に秩序化した。光源は、放射線が、基材の表面に直角な平面において直線偏光されるように配向された。各光アラインメント層を曝露した紫外線の量は、EIT Inc.製のUV POWER PUCKTM高エネルギー放射計を使用して測定したが、次の通りだった:UVA0.020W/cm2および0.298J/cm2、UVB0.010W/cm2および0.132J/cm2、UVC0.002W/cm2および0.025J/cm2ならびにUVV0.025W/cm2および0.355J/cm2。光配向可能なポリマー網目構造の少なくとも一部を秩序化した後、基材を室温に冷却し、被覆された状態のままに保ち、コロナ処理を施さなかった。
異方性層のためのコーティング手順:
異方性層配合物CLF−1を、レンズ基材上にある少なくとも部分的に秩序化した光アラインメント材料上に、スピンコーティングによって500回毎分(rpm)の速度で2秒、続いて、1500rpmで1.3秒付与し、約20ミクロンの目標フィルム厚さを達成した。各コーティングされた基材は、60℃のオーブン内に30分配置した。この後、コーティングされた基材は、61cm/分(2ft/分)の線形速度で動作するコンベヤベルト上を移動し続けている間に、Belcan Engineeringが設計および構築したUV Curing Oven Machine内にある2個の紫外線ランプの下で、窒素雰囲気下において硬化させた。オーブンは、UVAが0.388ワット/cm2でUVVが0.165ワット/cm2のピーク強度およびUVAが7.386ジュール/cm2でUVVが3.337ジュール/cm2の紫外線線量において、動作した。
第5部 勾配のある色合いまたは勾配のある偏光の光学的物品の調製
表3の原材料を使用して、二色性染料の溶液を調製した。
得られた彩色懸濁液を、空気圧が20psiに設定されたエアブラシ内に装填した。上記の第1部から第4部において調製されたレンズは、異方性層のアラインメントが水平に配向されるように、垂直から45°の角度に支持し、配向した。頂部から始まって底部に向かって移動していく水平な前後移動を使用して、二色性染料溶液を、頂部において最も厚く付与され、底部において最も薄く付与されるようにレンズ上に噴霧した。次いで、コーティングされたレンズを、100℃の加熱オーブン内に900秒配置した。冷却後、レンズをメタノールによってすすいで、樹脂および残留染料を取り除いた。生産されたレンズは、勾配のある色合いおよび勾配のある偏光特性を実証した。これは、次の図面においてもさらに実証されている。図15は、視認可能な色合いの勾配を呈する、偏光されない光によって背後から照明されたレンズを示している。図16は、偏光子が異方性層のアラインメントに対して平行(0°)に配向されたときの、レンズを通る光の通過を示している。図17は、偏光子が異方性コーティング層のアラインメントの方向に対して直角(90°)に配向されているときの、同じレンズを通る光の通過を示している。
第6部 一様な色合いで勾配のある偏光の物品の調製
表4の原材料を使用して、従来の染料の溶液を調製した。
この溶液に、Aromatic 100および従来の染料を添加した。染料が溶解するまで、懸濁液を混合した。
第5部において調製した二色性染料の懸濁液を、空気圧が20psiに設定されたエアブラシに装填した。上記の第1部から第4部において調製されたレンズは、異方性層アラインメントが水平に配向されるように、垂直から45°の角度に支持し、配向した。頂部から始まって中心に向かって移動していく水平な前後移動を使用して、二色性染料懸濁液が、頂部において最も厚く付与され、中心において最も薄く付与され、底部が、無コーティングの状態のままになるように、二色性染料配合物をレンズ上に噴霧した。
上記の表4において調製された往来の染料の懸濁液を、空気圧が20psiに設定された第2のエアブラシ内に装填した。底部から始まって中心に向かって上方向に移動していく水平な前後移動を使用して、従来の染料配合物を、底部において最も厚く付与され、中心において最も薄く付与され、頂部において存在せず、二色性染料配合物と従来の染料配合物とが、レンズの中心において重なり合うように、レンズ上に噴霧した。
次いで、コーティングされたレンズを、100℃の加熱オーブン内に900秒配置した。冷却後、レンズをメタノールによってすすいで、樹脂および残留染料を取り除いた。生産されたレンズは、レンズの表面にわたる一様な色合いおよび勾配のある偏光特性を実証した。これは、次の図面においてもさらに実証されている。図18は、一様な色合いを呈する、偏光されない光によって背後から照明されたレンズを示している。図19は、偏光子が異方性層のアラインメントに対して平行(0°)に配向されたときの、レンズを通る光の通過を示している。図20は、偏光子が異方性コーティング層のアラインメントの方向に対して直角(90°)に配向されたときの、同じレンズを通る光の通過を示している。
(実施例2)
第1部 プライマー層配合物(PLF)の調製。
マグネチックスターラーバーを備え付けた適切な容器内に、下記の材料を、下記の表5に提示の量で添加した。
混合物を室温で2時間撹拌して、溶液の総重量に対して51.47重量%の最終的固形分を有する溶液を得た。
第2部 液晶アラインメント配合物(LCAF)の調製。
米国特許出願公開第US2011/0135850A1号において比較例として記載の光アラインメント材料を、溶液の総重量に対して6重量パーセントの光アラインメント材料をシクロペンタノンに添加することによって調製した。この混合物を、光アラインメント材料が完全に溶解するまで撹拌した。
第3部 異方性層配合物(CLF)の調製。
下記の表6に提示の材料を合わせ、80℃で2時間撹拌して、均一な溶液を得ることによって異方性層配合物を調製し、次いで、室温に冷却した。すべての量は、重量部として報告されている。
第4部 アラインメントされた異方性層を有する基材を調製するために使用される手順。
コロナ処理:
下記において指摘されている場合、報告されたコーティング層のいずれかの付与前に、基材またはコーティングされた基材には、高電圧変圧器を有するTantec EST Systems Power Generator HV2000シリーズのコロナ処理装置内のコンベヤベルト上に受け渡すことによって、コロナ処理を施した。基材は、3.8ft/分のベルト速度でコンベヤ上を移動しながら、1288ワットで発生したコロナに曝露された。
基材の調製:
75mmの直径を有するCR−39(登録商標)SFSV Base4.25のレンズ基材を、Essilorから得た。各基材は、アセトンを浸したティッシュでふくことによって清浄化し、空気流によって乾燥させ、上記のようにコロナ処理した。
プライマー層のためのコーティング手順:
約1.5mLの溶液を分注し、基材を500回毎分(rpm)で2秒、続いて、2500rpmで2.2秒回転させ、4.5ミクロンの目標フィルム厚さを達成することによって、PLFを、調製されたレンズに付与した。この後、コーティングされた基材を、125℃に維持されたオーブン内に60分配置し、次いで、室温に冷却した。次いで、コーティングされた基材を、上記のようにコロナ処理した。
液晶アラインメント層のためのコーティング手順:
約1.0mLの溶液を分注し、基材を600回毎分(rpm)で2秒、続いて、2,400rpmで2秒回転させ、1ミクロン未満の目標フィルム厚さを達成することによって、試験基材の表面の一部におけるスピンコーティングにより、LCAFを試験基材に付与した。この後、コーティングされた基材を、120℃に維持されたオーブン内に15分配置し、次いで、室温に冷却した。
各基材上の乾燥済み光アラインメント層を、直線偏光紫外線への曝露によって少なくとも部分的に秩序化した。光源は、放射線が、基材の表面に対して直角な平面において直線偏光されるように配向された。各光アラインメント層が曝露された紫外線の量を、EIT Inc.製のUV POWER PUCK(商標)高エネルギー放射計を使用して測定したが、次の通りだった:UVA0.020W/cm2および0.298J/cm2、UVB0.010W/cm2および0.132J/cm2、UVC0.002W/cm2および0.025J/cm2ならびにUVV0.025W/cm2および0.355J/cm2。光配向可能なポリマー網目構造の少なくとも一部を秩序化した後、基材を室温に冷却し、被覆された状態のままに保ち、コロナ処理を施さなかった。
異方性層のためのコーティング手順:
異方性層配合物CLF−1を、レンズ基材上にある少なくとも部分的に秩序化した光アラインメント材料上に、スピンコーティングによって500回毎分(rpm)の速度で2秒、続いて、1500rpmで1.3秒付与し、約20ミクロンの目標フィルム厚さを達成した。各コーティングされた基材は、60℃のオーブン内に30分配置した。この後、コーティングされた基材は、61cm/分(2ft/分)の線形速度で動作するコンベヤベルト上を移動し続けている間に、Belcan Engineeringが設計および構築したUV Curing Oven Machine内にある2個の紫外線ランプの下で、窒素雰囲気下において硬化させた。オーブンは、UVAが0.388ワット/cm2でUVVが0.165ワット/cm2のピーク強度およびUVAが7.386ジュール/cm2でUVVが3.337ジュール/cm2の紫外線線量において、動作した。
第5部 ディップコーティング手順
表7の原材料を使用することによって、二色性染料の溶液を調製した。
溶液をビーカー内に配置し、65℃に加熱した。上記において調製されたレンズには、レンズの縁部にクランプを取り付け、レンズを溶液に対して直角に保持し、異方性層のアラインメントを溶液の表面に対して平行に配向した。レンズを溶液中に3秒完全に沈めた後、レンズのうちの30mmが溶液より上に保持されるように引き上げた。次いで、レンズを、1分当たり125サイクルの速度において、この位置から+/−10mmのところに3分浸漬した。次いで、レンズを3秒完全に沈め、溶液から取り除いた。クランプから解放した後、異方性層のアラインメントの水平な配向を維持しながら、レンズを垂直から10°の角度に据え付け、100℃のオーブン内に120秒配置した。冷却後、レンズをメタノールによってすすいで、残留染料を取り除いた。生産されたレンズは、勾配のある色合いおよび勾配のある偏光特性を実証した。これは、次の図面においてもさらに実証されている。両方の図面が、偏光フィルターを介してバックライトを当てられたレンズを示している。図21は、偏光子が異方性層のアラインメントに対して平行(0°)に配向されたときの、レンズを通る光の通過を示している。図22は、偏光子が異方性コーティング層のアラインメントの方向に対して直角(90°)に配向されたときの、同じレンズを通る光の通過を示している。
当業者ならば、上記において指摘された修正が、上記の記述において開示された構想から逸脱することなく本発明になされ得ることは、容易に理解されよう。したがって、本明細書において詳細に記述された特定の実施形態は、説明用のものにすぎず、添付の特許請求の範囲ならびに特許請求の範囲のいずれかの均等物およびすべての均等物の全範囲を提供すべきものである本発明の範囲を限定していない。