滅菌プロセスにおいて、内部の特性を測定することにより、内部に配設された手術器具の所望の滅菌レベルを保証する閾値プロセス条件に当該器具が曝されたかを判定するために用いられる例示的な滅菌筐体について記載する。閾値プロセス条件は、ルックアップテーブル等の適当なアルゴリズムを用いることにより、対応する器具の所望の滅菌レベルに基づいてカスタマイズまたは実験的に決定可能である。
用語「除染」が任意量の微生物の死滅を表す一方、滅菌は、特定の用途に関して、微生物の許容可能な死滅レベルとして実験的に決定された特定の除染レベルである。許容可能な滅菌プロセス条件の例としては、微生物の3対数減少または微生物の6対数減少が挙げられる。ただし、所望の滅菌レベルは、特定の用途の必要に応じて、これらの例示的な微生物の減少より高くすることも可能であるし、低くすることも可能である。したがって、本開示は、内部に含まれる手術器具の滅菌に用いられる滅菌容器のためのさまざまなデバイス、システム、および方法を対象とするが、医療または非医療用途の部屋全体等、除染が必要なその他種々適当な用途において、任意数のこれらデバイス、システム、方法、またはこれらの組み合わせを使用可能と考えられる。滅菌を要する非医療用途の非限定的な例としては、救急車、コンピュータ製造施設、航空機、および郵便局が挙げられる。
本明細書において、表現「手術器具」は、患者ケア、診断、治療、または手術等、およびこれらに限定されない任意の種類の医療手当に用いられる任意の器具またはデバイスを表すように広く理解されるものとする。
筐体は、滅菌プロセス中に内部の特性を測定するように構成された1つまたは複数のセンサを備え得る。さらに、筐体は、器具または筐体内部の状態をHCPに伝える1つまたは複数の通知デバイスを備え得る。さらに、通知デバイスは、筐体の位置をHCPに伝えるように構成されていてもよい。
滅菌筐体は、滅菌プロセス中に1つまたは複数の器具を密封して包含するとともに、手術室の無菌現場で器具を取り出す場合等、開放されるまで滅菌障壁を維持するように構成された内部を規定する任意の構造またはデバイスを含むように広く理解されるものとする。一実施形態において、用語「筐体」は、汚染物質滅菌デバイスの設計および性能規格ANSI/AAMI ST77を満たし得るデバイスまたは装置として理解されるものとする。
一部の例示的な筐体は、剛性本体および剛性本体に結合された蓋を有する容器を備える一方、他の考え得る筐体は、1つまたは複数の器具を密封して覆うように構成された滅菌障壁被覆を備える。これらの筐体の共通特性として、滅菌または除染プロセス中に滅菌剤が筐体内に進入することで、筐体内の器具上の微生物レベルの低減に影響し得る。また、筐体は、滅菌器から取り外された後も、器具の低下した微生物レベルを維持する。さらに他の筐体構成も考えられる。さらに、以下の例示的な滅菌筐体は、滅菌プロセス中に筐体内の特性を測定および/または比較するさまざまな構成要素のほか、器具および他の構成要素の状態を示唆および/または伝達するその他さまざまな構成要素を備える一方、上記センサおよび通知デバイスの任意の組み合わせ等、これら構成要素の任意の組み合わせを含み得ると考えられる。例示的な筐体を以下に説明する。当然のことながら、ある筐体に関して考えられる如何なる特徴も、他の筐体に関して記載の特徴と組み合わせ可能である。
図1〜図10Eは、容器50の形態の例示的な滅菌筐体を示している。図1および図2に示すように、容器は、本体52と、再利用可能な医療デバイスの滅菌用に取り外し可能に本体52に取り付けられた蓋70とを備える。ただし、筐体は、他の形態も含み得ると考えられる。この例において、本体52、蓋70、および蓋に取り付けられたさまざまな構成要素は、後述の通り、ステンレス鋼またはアルミニウム等、滅菌デバイス内に配置され、所望の滅菌レベルまで手術器具を除染するために用いられる滅菌剤への曝露に耐え得る材料で形成されている。図示の実施形態において、本体52は、本体を大略矩形状にするように一体的に構成された多数のパネルで形成されている。当然のことながら、本体52の構成は、特に制限されないと考えられる。図2においては、前面パネル54および側面パネル56が識別される。前面パネル54の反対の後面パネルおよび図示の側面パネル56の反対の第2の側面パネルは見えない。また、前面、後面、および側面パネル間で延びた底面パネルも見えない。底面パネルによって、本体52は、底端が閉じていることが了解される。本体52の上部は開放されている。図1には取っ手58が1つ見えるが、これは、側面パネル56それぞれの外側に枢動可能に取り付けられている。本体52は、1つまたは複数の手術器具60を保持するように成形されていてもよい。器具60は、本体52中に取り外し可能に固定されたラック62上に固定されていてもよい。
蓋70は、取り外し可能に本体52に取り付けられて、本体52の開放上端を覆っていてもよい。図1、図4、および図10Aに見られるように、蓋70は、その本体を構成するプレート72を具備する。プレート72は基本的に、容器本体52の開放端の全体にわたって延びるように構成されている。蓋プレート72の外周には、リム74が延びている。リム74は溝76を規定しており、溝76には、図10Aに一部が見られる圧縮性シール78が固定されている。容器50を構成する構成要素は、蓋70が本体52上に固定された場合に、本体、前面、後面、および側面パネルの上縁が溝76に受容されてシール78に隣接するように形成されている。
リム74の両側には、ラッチ80が取り付けられている。ラッチ80は、セットされた場合に、蓋70を本体52に対して解除可能に保持する。ラッチ80は、係止状態の場合に、蓋70を本体52に付勢するようにさらに設計されている。これにより、本体52の上縁と蓋リム74との間でシール78が圧縮される。このシール78の圧縮の結果として、シールは、本体52と蓋70との間に気密障壁を形成する。シール78は、圧縮された場合に、滅菌容器の内部の内容物の滅菌状態を損なう汚染物質の進入を防止するのに十分である。
特定の実施形態においては、蓋プレート72の本体52対向面から内方に、図10Aに見られるポスト82が延びていてもよい。ポスト82には、周囲に環状に延びた溝83が形成されている。図示の例において、ポスト82の中心は、プレート72の中心にある。
前面パネル54、側面パネル56、床57、蓋プレート72、またはこれらの任意の組み合わせは、滅菌器から容器の内部へと滅菌ガスが流れ得る開口部を含む。当然のことながら、任意数の開口部が考えられ、これらの開口部は、容器の任意適当な場所に位置付けられていてもよい。この例において、床57および蓋プレート72は、多くの開口部86を含んでおり、図1では2つが識別される。例示的な一構成において、開口部86は、ポスト82の周りに円形パターンで配置されている。また、開口部は、ポスト82から半径方向外方に離隔している。当然のことながら、開口部は、他のパターンも考えられる。
滅菌障壁被覆を備えた筐体において、被覆は通常、滅菌ガスの進入は許可するが汚染物質の進入は許可しない多孔質材料である。被覆中の細孔は、後述のフィルタ媒体410に類似する特性の開口部の一例と考えられる。
図示の実施形態において、蓋プレート72は、2つの開口88を有するようにさらに形成されており、図4では1つが見える。開口88は、ポスト82に関して互いに直径方向に対向している。各開口88には、透明ドーム92が取り付けられている。ドーム92は、ポリフェニルスルホンプラスチック等の滅菌可能な一片の材料で構成可能である。このようなプラスチックとしては、米国ジョージア州アルファレッタのSolvay Advanced PolymersによりRADELというブランド名で販売されているものがある。図4を参照して、ドーム92は、円筒状のステム94を有するように成形されている。ステム94は、開口88中に固定されたドームの部分である。また、ステムと一体的にヘッド95が形成され、上方に延びている。ヘッド95は、ドーム92が固定された開口88よりも大きな直径を有する。蓋プレート72の下側部から内方に突出したステム94の部分の周りには、リテーナ/シール96が配設されている。ここで、蓋プレート72の「下面」は、本体52の内部に面するプレートの表面を意味することが了解される。「上」面は、プレートの外方を向いた表面を意味することが了解される。シール96は、蓋プレート72と開口88中に固定されたステム94の部分との間に気密障壁を形成する。
図3および図10A〜図10Eから、滅菌ガスが容器の内部に進入する開口部に隣接して、センサモジュール102およびフィルタフレーム320が位置決めされていてもよいことが分かる。この例においては、センサモジュール102がフィルタフレーム320に結合され、これが、滅菌ガスが容器の内部に進入する開口部86を規定する蓋プレート72の下側部に結合されていてもよい。言い換えると、センサモジュール102は、その位置がフィルタフレーム320に対して選択的に固定されるように、任意適当にフィルタフレーム320に結合されていてもよい。この構成により、センサモジュールは、任意適当な滅菌容器構成に使用可能となる。元はセンサモジュールを具備するように設計されていない滅菌容器であっても、センサモジュールに合わせて改造可能なフィルタフレームを有し得るためである。また、滅菌容器の開口部に隣接して位置決めされたフィルタフレームにセンサモジュールを結合することにより、センサモジュールは、滅菌容器の内部に進入する滅菌剤の塊に隣接する。フィルタ媒体のすぐ横またはフィルタ媒体を通過する滅菌剤の特性をモニタリングすることにより、センサモジュールは、滅菌容器の内部を囲む制御面を通じて変化を検知できるため都合が良い。当然のことながら、センサモジュール102のフィルタフレーム320への結合によって、フィルタ容器のフィルタ媒体および/または開口部に隣接していない滅菌剤の塊等、滅菌剤の他の部分の特性をモニタリングすることができる。
他の実施形態においては、フィルタフレームがセンサモジュールに結合され、これが、開口部を規定する容器の部分に結合されていてもよい。さらに他の実施形態においては、センサモジュールおよびフィルタモジュールがそれぞれ、開口部を規定する容器の部分または容器のその他さまざまな部分に独立して直接結合されていてもよい。
フィルタフレーム320は、容器の内部において、形成された開口部86に隣接する容器の前面パネル54、側面パネル56、床57、蓋プレート72、またはこれらの任意の組み合わせに対して、フィルタ媒体410を保持および押圧するように構成されている。一例として、フィルタフレーム320は、フィルタ媒体410が開口部から下方かつ半径方向外方に延びるように、蓋プレート72の下側面に対してフィルタ媒体410を保持する。フィルタ媒体410は、気体状態で容器に配設された器具60を滅菌するように用いられる滅菌剤を通す一方、汚染物質を十分に通さずに滅菌容器の内部を無菌に保つ材料で構成されている。フィルタ媒体410は、蓋70の開口部86を覆うように寸法規定されていてもよい。さらに、フィルタ媒体410は、蓋プレート72の内側面に対して配設された場合に、ポスト82が通過して延び得るように位置決めされた中心孔412を含んでいてもよい。当然のことながら、滅菌容器は、その内部に含まれる任意の開口部に隣接してフィルタ媒体が位置決めされ得るように、複数のフィルタフレームを具備していてもよい。
図3〜図7に示す例の続きとして、センサモジュール102は、フィルタフレームに結合され、フィルタを通って進入する滅菌剤または滅菌容器の内部に存在する滅菌剤の特性を検知するように構成された1つまたは複数のセンサを保持するように構成されていてもよい。特に、センサモジュール102は、この例においてベース104およびシェル152を含むハウジングを具備し得る。ベース104は、形状が大略板状であり、貫通開口106を規定するように形成されていてもよい。図示の例において、貫通開口106は、ベース104の境界内のエリアの50%超のエリアを含む。センサモジュール102は、開口106によって滅菌剤がフィルタフレーム320を通って流れ得るようにさらに構成されている。ベース104の内側を向いた表面と一体的にリング107が形成され、上方に延びている。リング107は、開口106の外周を規定するベース104の内縁から上方に延びている。リング107の自由端からは、図4において最もよく見えるリップ108が半径方向外方に突出し、円周方向に延びている。リップ108の上を向いた表面からは、リム109が上方に延びている。図示の例において、リム109の円形内側面は、リング107の外側面から半径方向外方に位置付けられている。リム109の円形外側面は、リップ108の半径方向外側面から内方に位置付けられている。
図7を参照して、リング107は、多くの開口110を有するように形成されている。2つの開口110、110’が存在する。開口110、110’は、リング107において互いに90°離隔している。また、2対の開口112が存在する。各対の開口112は、その個々の開口を分離するリング107の部分が開口110、110’の中心から180°となるように、リング107に位置決めされている。開口112はそれぞれ、開口110、110’よりも直径が小さい。
開口106の境界を規定するリングの面と反対のリングの面であるリング107の内側面からは、多くの平面状ウェブが半径方向外方に延びている。開口110の一方を規定するリング107の部分からは、2つの基本的に同一の平行ウェブ114が外方に延びている。各ウェブ114は、隣接する開口110から弓状に離隔している。開口110’に隣接するリング面の内側面からは、ウェブ116およびウェブ118が離れる方向に延びている。ウェブ116およびウェブ118は、互いに平行である。各ウェブ116および118は、関連する開口110’から弓状に離隔している。ウェブ116は、基本的に形状がウェブ114と同じである。ウェブ118は、関連するウェブ116よりも断面幅が大きい。ここで、断面幅は、対応するウェブの壁厚であることが了解される。言い換えると、ウェブ118は、ウェブ116の壁厚よりも大きな壁厚を有する。モジュールハウジングを構成する構成要素は、ウェブ118を通ってボア120が長手方向に延びるようにさらに形成されている。ボア120の一端は、リング116の内側面へと開かれている。このため、ボア120は、リング107の内側面へと開かれている。ボア120は、リング107から、リングから半径方向に離隔したウェブ118の端部まで半径方向外方に延びている。
各対の開口112周りのリングからは、2つの平行ウェブ124が外方に延びている。各対の開口112と関連付けられたウェブ124は、当該ウェブが関連付けられた開口112の両側から離れて弓状に位置付けられている。ウェブ124は、隣接する開口112から弓状に離隔している。各対の開口112間には、それらと平行にウェブ126が位置付けられている。各ウェブ126は、当該ウェブが関連付けられた開口112間のリングの内側面の部分から外方に延びている。
リング107の内側面からは、2つの別のウェブ128、128’が外方に延びている。一方のウェブ128は、ウェブ116と弓状に隣接している。第2のウェブ128は、ウェブ116に最も近いウェブ124に隣接している。ウェブ128は、互いに平行である。
図示の例においては、開口106に延入するようにリング107に取り付けられた端子132が示されている。端子132は、多くのコンタクト(識別されず)を有する。端子132は、開端ケージ134に囲まれている。ケージ134は、リング107の外側面から開口106中へと外方に延びている。
図示の例においては、図3に示すような印138がベース104の外側面に形成されている。印138には、文字列「LATCH」および付随する矢印を含む。
図6および図7において最もよく見えるシェル152は、上面パネル154を具備する。図示の例において、上面パネル154は、ベース104の形状に大略一致する形状を有するものの、表面積はわずかに小さい。上面パネル154からは、遷移パネル156が下方かつ外方に延びている。遷移パネル156からは、側面パネル158(2つ識別)が下方に延びている。側面パネル158は、上面パネル154に垂直である。総じて、ベース104およびシェル152は、側面パネル158によって規定されるシェル152の外周がセンサモジュール102の外周と一致するように成形されている。
シェル152は、円形の中心開口162が上面パネル154に存在するようにさらに形成されている。円形開口162は、モジュール102が組み立てられた場合に当該円形開口162がベース開口106と同心になるように位置決めされている。シェル152は、外側リップ165および内側リップ167を規定するようにさらに形成されており、いずれも図4において最もよく見える。両リップ165および167とも、シェル上面パネル154の上面と平面状の露出面を有する。外側リップ165は、シェル上面パネル154の隣接部よりも小さな上下厚を有する。内側リップ167は、外側リップ165から半径方向内方に位置付けられている。内側リップ167は、外側リップよりも小さな上下厚を有する。内側リップ167の内周は、開口162の外周を規定する。
センサモジュールを構成する構成要素は、シェル152がベース104に固定された場合に、リング107と一体化したリップ108が外側リップ165の下方の空間に固定されるとともに、リム109が外側リップ165からわずかに内方に位置付けられるようにさらに構成されている。リング107と一体化したリップ108とシェル上面パネル154と一体化した外側リップ165との間には、図4および図9において識別されるOリング148が固定されている。センサモジュール102を組み立てるプロセスにおいて、Oリング148は、リップ108および165間で圧縮される。このように、Oリング148は、リング107とシェル上面パネル154との間を封止する。
シェル152は、上面パネルへと開かれた2つのボア164を有するようにさらに形成されている。ボア164は、開口162の中心に関して互いに直径方向に対称に対向している。上面パネル154の露出面において、各ボア164は、カウンタボア166に囲まれている。センサモジュール102が容器蓋70に取り付けられた場合、各シェルボアは、蓋に取り付けられたドーム92のうちの1つの下側に配設される。各構成要素は、覆っているドーム92と一体化したステム94をシェルの各カウンタボア166が受容し得るように寸法規定されている。
図6を参照して、シェル上面パネル154の2つの別の開口は、開口162から半径方向に離隔したボア170である。ボア170は、互いに直径方向に対向している。さらに、ボア170は、フィルタ媒体410がセンサモジュール102の上方に配設された場合に、当該フィルタ媒体410がボア170上へと延びるような場所に位置決めされている。図9に示すように、シェル152は、シェル上面パネル154から突出してボア170それぞれを形成するリップ172をさらに備える。この例示的なシェル152は、構造的配置が互いに同一の2つのボア170を備えるが、図9には、ボア170の一方のみを示している。
各ボア164をスリーブ状ボス168(図5においては1つのボスが見られる)が囲んで、上面パネル154の内側面から外方に延びている。また、各ボア170をスリーブ状ボス174(図5においては1つのボスが見られる)が囲んで、上面パネル154の内側面から外方に延びている。ボス168および174は、ボア164および170中に固定された構成要素をそれぞれ支持する。
図5を参照して、シェル152は、側面パネル158のうちの1つと一体的にスリーブ178が形成され、スリーブが関連付けられたパネルから内方に延びるようにさらに形成されている。スリーブ178を通る主軸に垂直な平面においては、スリーブの形状は矩形である。スリーブ178は、当該スリーブ178を通って軸方向に延びる閉端室180を規定するように形成されている。スリーブ178に最も近い側面パネル158には、ボア182が形成されている。ボア182は、室180へと開かれている。図示はしていないが、ボア182を規定するシェル152の内面には、ネジ切りが形成されていてもよい。
例示的なセンサモジュール102は、室180に取り付けられた一組の直列配置セル288をさらに備え得る。セル288は、機能するのに電流を要するモジュール内部の構成要素に電力を供給する。センサモジュール102は、スリーブ室180の閉端に隣接して配設された断熱材280をさらに備え得る。さらに、コンタクト286がリードセル288の正の端子に隣接可能であり、コンタクト292がテールセルの負の端子に隣接可能である。センサモジュール102は、セル288を室180に保持するように構成されたプラグ296をさらに備え得る。プラグ296は、ネジ切りボア182に取り外し可能に固定可能となるように、ネジ切りされた外側面を含み得る。センサモジュール102は、テールセル288とプラグ296との間に位置付けられ、断熱材280に隣接するコンタクト286に対してセル288を付勢するバネ297をさらに備え得る。プラグ296の周りには、Oリング298を配設可能である。センサモジュール102を構成する構成要素は、プラグ296とボア182を規定するシェルの表面との間をOリング298が封止するように配置されている。
シェル152は、側面パネル158のうちの2つが会合する隅部から三角形ブロック186が内方に延びるようにさらに形成されている。図示の例において、ブロック186が延びる隅部は、ボア182から離隔したスリーブ178の端部に隣接した隅部である。ブロック186には、細長ボア188が形成されている。ボア188は、ブロック186の平面状内側面から半径方向内方に延びている。ボア188は、ブロックが関連付けられた側面パネル158間の隅部の外側面で開口している(図7参照)。
シェル側面パネル158は、パネルの自由端から内方に延びた溝190を備える。溝190は、シェル152の外周のすぐ内方でシェルの円周方向に延びている。溝190には、図5に一部が見られるガスケット192が配設されている。ガスケット192は、シェル152から短い距離だけ外方に延びている。ベース104がシェル152に固定された場合、ガスケット192は、ベース104とシェル152の側面パネル158との間で圧縮される。このように、ガスケット192は、ベース104と側面パネル158との間を封止する。
モジュールベース104をシェル152に保持する締結具は図示していない。これらの締結具は、ベースの開口を通って、シェル側面パネルの内部の閉端ボア、ベース開口、および図示しないシェルボアに延入している。これらの締結具がベースをシェルに保持する結果として、ベース104と一体化したリング107とシェル上面パネル154との間でOリング148が圧縮される。ガスケット192は、ベース104とシェル側面パネル158との間で圧縮される。
当然のことながら、他のセンサモジュール構成であっても、フィルタフレームに結合されるとともに、フィルタを通過する滅菌剤の特性または滅菌容器もしくは筐体の内部の特性を検知するように構成されたセンサを保持するように動作可能である限り、フィルタフレームとの併用が考えられる。
図10Aに最もよく示すように、図示のフィルタフレーム320は、中心に位置付けられたハブ322を具備する。ハブ322の円周方向にはリム332が延びており、ハブ322から半径方向に離隔している。ハブ322とリム332との間には、ハブとリムとを一体的に接続するように、複数の可撓性のバネ状ウェブ330が延びている。ハブは、中心開口328を有するように形成されている。ハブ322は、その内方を向いた表面から下方に延びたリング324を有する。リング324は、開口328の境界を規定する。フィルタフレーム320は、蓋プレートの開口部に隣接してフィルタを圧縮するのに適した他の構成であってもよい。たとえば、フィルタフレームは、封止を形成するように開口部に隣接してフィルタ媒体を付勢し得る限り、任意適当な形状および寸法であってもよい。
特定の実施形態において、フィルタフレームは、上方を向いた溝334がリム332に形成されるようにさらに形成されていてもよい(図4参照)。溝334を規定するリム332の部分からは、小さなリップ336(図10Aに識別)が半径方向外方に突出する。センサモジュール102が組み立てられた場合、フィルタフレームリップ336は、リング107と関連付けられたリム109とシェル152と一体化した内側リップ167との間に挟まれる。リング107とシェル152との間のリップ336の挟み込みによって、フィルタフレーム320は、モジュール102の他の部分に保持される。
当然のことながら、前述の通り、センサモジュールに対してフィルタフレームの位置を保持するのに適したフィルタフレームおよびセンサモジュールの他の構成も考えられる。言い換えると、センサモジュールは、当該センサモジュールをフィルタフレームに結合するのに適したフィルタフレーム取り付けデバイスを備えていてもよい。図示の実施形態において、フィルタフレーム取り付けデバイスは、リング107および内側リップ167を含むが、他の構造も考えられる。たとえば、フィルタフレーム取り付けデバイスは、1つもしくは複数の締結具、接着剤、または1つもしくは複数の磁石を含んでいてもよい。
さらに図10Aを参照して、係止アセンブリ338がフィルタフレーム320を蓋プレート72の下面に対して解除可能に保持している。係止アセンブリ338は、フレームハブ322に取り付けられたキャップ342を具備する。キャップ342は、リング324上に配設されている。キャップ342には、2つのスライド344が移動可能に取り付けられている。スライド344には、ポスト82に形成された溝に固定されて、フィルタフレームを蓋70に保持するとともに、延長によって、センサモジュール102の全体を蓋70に保持するように構成された機構(識別せず)が形成されている。バネ346がスライド344をキャップ342中に保持するため、スライドは通常、蓋ポスト82と係合する位置となる。図示はしていないものの、各バネ346の一端は、スライド344のうちの第1のスライドに接続されている。各バネ346の他端は、第2のスライド344に接続されている。
スライド344は、キャップ中の対向する開口348から延出している(1つの開口348を図10Aに示す)。スライド344に指で力を加えると、スライドがロック状態から解除状態へと変位する。スライドは、解除状態の場合、ポスト82に係合しない。これにより、センサモジュール102を蓋70から取り外すことができる。当然のことながら、係止アセンブリの他の構成も考えられる。
キャップ342の内側を向いた面上には、剛性のディスク352が配設されている。ディスク352の外側面上には、エラストマ材料で構成された円形シール354が配設されている。フレームリム332の内部の溝334には、同じく圧縮性エラストマ材料で構成されたガスケット356が固定されている。フィルタフレーム320を構成する構成要素は、フィルタフレーム320が蓋70に係止された場合に、シール354およびガスケット356がフィルタ媒体410を押圧するように配置されている。その結果、容器50がこの状態の場合、フィルタの中心は、蓋70とシール354との間で圧縮される。フィルタの外周は、蓋70とガスケット356との間で圧縮される。
1つまたは複数のセンサが容器と協働して、滅菌プロセス中に容器の内部の特性を測定することができる。上述のセンサモジュール102は、フィルタ媒体410を通って容器に出入りする滅菌ガスおよび他の蒸気またはガスを測定するように構成されたセンサを具備していてもよい。フィルタ媒体410を通って滅菌ガスが出入りする別の場所を有し得る他の容器の場合は、適当に位置付けられた複数のセンサが互いに組み合わさって作用することにより、容器に出入りするすべての滅菌ガスおよび他の蒸気またはガスを測定して、容器内の器具の除染を達成することができる。これらのセンサは、容器の内部への配設および/または容器50の外面への結合が可能である。別の実施形態において、センサは、容器/筐体の一部を構成していてもよい。より具体的に、これらセンサのうちの1つまたは複数は、(1)容器内への配設、(2)容器の外面への結合および容器の内部との流体連通、ならびに/または(3)空気流阻止カニューレひいては本明細書に記載の容器の内部との連通がなされたセンサモジュールの1つもしくは複数の独立型デバイスならびに/または1つもしくは複数の一体構成要素を備え得る。
さらに、センサは、任意適当な構成によって、滅菌プロセス中に容器内のさまざまな特性を測定可能であり、これらの特性によって個別または一体的に、器具の所望の滅菌レベルの実現が可能である。これらの構成の例としては、(1)1つもしくは複数の光学センサアセンブリ、(2)1つもしくは複数のガス濃度センサ、(3)1つもしくは複数の温度センサ、(4)1つもしくは複数の圧力センサ、(5)1つもしくは複数の音センサ、ならびに/または(6)1つもしくは複数の電磁波伝送センサが挙げられる。これらのセンサは、個別または一体的な使用によって、滅菌プロセス中に容器内の滅菌ガス濃度、温度、および/または圧力の対応する特性を測定することができる。
センサモジュール102の一体構成要素である複数のセンサが設けられていてもよい。この例において、センサは、滅菌プロセス中に容器内の滅菌ガスの濃度、温度、および圧力を一体的に検出する(1)1つもしくは複数のガス濃度センサ、(2)1つもしくは複数の温度センサ、ならびに(3)1つもしくは複数の圧力センサを含む。これらセンサのうちの1つまたは複数は、得られた測定結果を示す信号を生成するとともに、無線または有線伝送によってプロセッサにそれを伝えるように構成可能である。これらセンサの例示的な構成を以下に記載するが、これらセンサの他の構成および/またはその他の任意適当なセンサの使用により、滅菌プロセスにおいて、容器内の特性を測定することができる。
特定の一実施形態において、センサモジュール102は、容器の内部および/または容器が配設された滅菌デバイス内の滅菌ガスの濃度を示す滅菌ガスによる吸光を測定するように構成された光学センサアセンブリ等のガス濃度センサを具備していてもよい。プロセッサは、所望の滅菌レベルを保証するように実験的に決定された閾値プロセス条件に対して、測定した吸光を比較することができる。容器および/または滅菌デバイスの内部の複数の滅菌ガスの濃度を検出するため、対応するガスの濃度を測定するように構成された2つ以上の光学センサアセンブリを使用可能である。センサモジュールは、2つの光学センサアセンブリを備え得るが、任意数の光学センサアセンブリによって、滅菌ガスの濃度を測定することができる。他の実施形態において、ガス濃度センサには、触媒センサ、電気化学センサ、赤外線センサ、半導体センサ、およびこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
図11〜図14を参照して、センサモジュール102は、滅菌ガスの内部のガス濃度を決定するように構成された2つの光学センサアセンブリ202を具備する。一実施形態において、光学センサアセンブリ202は、水蒸気および過酸化水素等、容器50内の2つの滅菌ガスの対応する一方の濃度を示す吸光を測定するように構成されている。ただし、光学センサアセンブリ202は、任意適当な滅菌ガスの濃度を示す吸光を測定するように構成可能である。この例において、各光学センサアセンブリ202は、容器50内の滅菌ガスのサンプルを通して、ある波長の光線を発するように構成されている。対応する滅菌ガスのサンプルにより吸収された光の量は、当該サンプル内の当該滅菌ガスの濃度を示す。
光学センサアセンブリ202はそれぞれ、容器50内の1つまたは複数の光路に沿って滅菌ガスのサンプルによる吸光を測定するように構成されている。滅菌ガスにより吸収された光の量は、滅菌ガスの濃度を示す。光路の累積長は、光に曝露された滅菌ガスの量ひいては吸光および対応する滅菌ガスの濃度の測定精度と直接的な相関関係にある。
ガスの濃度が所定の閾値条件に達した場合は、器具の所望の滅菌レベルが実現されたものと判定可能である。別の例においては、プロセッサの使用により、経時的な滅菌ガスの濃度を規定する曲線を決定することができる。プロセッサは、ある期間にわたる曲線の下側の面積を計算して、その面積を器具の所望の滅菌レベルを保証するように実験的に決定されたルックアップテーブル中の対応する閾値プロセス条件と比較することができるが、これは、米国特許出願公開第2015/0374868号に記載されており、その開示内容を本明細書に援用する。
特定の一実施形態において、光学センサアセンブリ202はそれぞれ、センサモジュール102の開口106全体で光を発するように構成された光源を具備し得る。より具体的に、光源としては、1つまたは複数の所定波長で光を発するように構成されたLED204が可能である。一例において、LED204は、白色光を発する。LED204は、ウェブ124の一方と弓状に隣接したウェブ126との間に配設されている。各LED204は、当該LED204をウェブ124、126間に保持するように構成されたスリーブ206に含まれる。LED204は、ウェブ124および126のすぐ内方に位置付けられたリング開口112を通って光を発するように位置決めされている。また、LED以外の光源が代替として用いられるようになっていてもよい。
光学センサアセンブリ202はそれぞれ、光線をコリメート、集中、または狭幅させ、対応する開口112へと方向付けるように構成されたコリメータレンズ208をさらに備えていてもよい。LEDが発した光線は、任意選択としてコリメートされた状態で、コリメートされていない光線を検出するように構成された光検出器よりもいく分小さいため安価な光検出器239によって検出可能である。また、よりコンパクトな光検出器の別の利点として、いく分大きな光検出器であったなら結合できない容器50の部分にも取り付け可能である。コリメータレンズ208は、図14に示すようにLED204のすぐ下流に配設されているが、別の例示的なセンサモジュールでは、図15〜図17に示すように、コリメータレンズ208が光検出器239のすぐ上流に配設されていてもよく、これによって、より大きなガスのサンプルで吸光を検出可能なより広い光線が得られる。コリメータレンズ208によれば、より小さな光検出器を使用可能であるものの、光学センサアセンブリは、コリメータレンズを具備していなくてもよいと考えられる。
図示の実施形態において、コリメータレンズ208は、ベース104のリング107に結合されている。より具体的に、コリメータレンズ208は、ウェブ124および126間に配設され、LED204のすぐ下流または前方に位置付けられている。コリメータレンズ208は、開口112を規定するリング107の内側面に対して位置付けられている。レンズ208は、開口112よりも大きな直径を有する。開口112を規定するリング107の内側面の部分とレンズ208との間では、Oリング210が押圧されて、開口112の周囲を封止している。任意適当な締結具、シール、および/または他の取り付けデバイスによって、コリメータレンズ208を光学センサアセンブリ202内に組み込み可能であると考えられる。
図12および図13に最もよく示すように、光学センサアセンブリ202はそれぞれ、開口106を横切って直径方向に延びた2つの直線経路L1、L2内のガスのサンプルによって、対応するガスの濃度を示す吸光を測定するように構成されている。特に、各光学センサアセンブリ202は、LED204の直径方向反対のリング107の部分に結合されたプリズム反射器218と、光検出器239と、対応する光学センサアセンブリ202のコリメータレンズ208とをさらに備えることにより、コリメータレンズ208からプリズム反射器218まで一方の経路L1に沿って光線が伝わるようになっていてもよい。プリズム反射器218は、この光線を反射し、開口106を横切るとともに経路L2に沿って、発光位置に隣接したリング開口112へと戻るように構成および位置決めされている。このような反射器は、米国ニュージャージー州バーリントンのEdmund OptisによりTECHSPEC Fused Silica Wedge Prismとして販売されている。ただし、光学センサアセンブリは、任意適当なプリズム反射器を具備可能であり、光学センサアセンブリの他の実施形態では、プリズム反射器を有さない。この例において、プリズム反射器218は、関連するLED204からの光が発せられるリング開口112の反対のリング開口110のすぐ隣に取り付けられている。より具体的に、光学センサアセンブリ202の第1の光学センサアセンブリのプリズム反射器218は、一対のウェブ114間に取り付けられており、第2のセンサアセンブリのプリズム反射器218は、ウェブ116および118間に取り付けられている。プリズム反射器218は、保持リング216によって、当該反射器が関連付けられたウェブ間に保持される。プリズム反射器218は、隣接窓よりも大きなエリアを含む面を有する。反射器の境界部分と開口110を囲む内側リングの部分との間には、Oリング220が配設されている。このように、Oリング220は、リング107とプリズム反射器218との間を封止する。
光学センサアセンブリの特定の構成を上述するとともに図示したが、別の構成も考えられる。
図18を参照して、別の例示的な光学センサアセンブリ202’は、2つ以上の直線経路を含む多重セグメント化経路に沿って、滅菌ガスの濃度を示す吸光を測定するように構成可能である。複数の直線経路をつなぐことにより、容器内部の最終検出光の全長は、1セグメントの光のみが測定される場合よりも長くなり得る。言い換えると、図12および図13に示す2つの光路L1、L2と比較して、3つ以上の直線経路L1’、L2’、L3によれば、滅菌ガスに対応する波長でより多くの光を吸収するより大きな滅菌ガスのサンプルの光路を長くすることができる。より長い経路に沿ったいく分大きな総吸光量によって、滅菌ガスの濃度をより正確に決定することができる。
図18に示すように、例示的な光学センサアセンブリ202’は、図14および図17に示す光学センサアセンブリ202の要素と類似する複数の要素を備える。ただし、前述の例とは対照的に、光学センサアセンブリ202’は、2つ以上の異なる直線経路に沿って光線を方向変換することにより、いく分大きな滅菌ガスのサンプルの濃度を測定するように構成された複数の光導波管、光導体、光ファイバ要素、反射器、またはその他さまざまな光制御要素203’をさらに備え得る。これらの異なる直線経路は、必ずしも平行でなくてもよいし、互いに隣接して整列していなくてもよい。
異なる直線経路は、センサモジュール102または容器50内に配設され、容器50のさまざまな境界条件で滅菌ガスの吸光を測定するようにしてもよい。図12および図15に示す前述の例の光路L1、L2は、フィルタ媒体410に隣接する滅菌ガスの濃度を示す吸光を測定するように構成されているが、図18の光学センサアセンブリ202’は、容器50’のパネル54’の内側面54a’に隣接する複数の光路L1’、L2’、L3’を提供するように構成された複数の光制御要素203’を備える。容器50’の各パネルには、類似のセンサアセンブリが結合されていてもよい。特に、光制御要素203’はそれぞれ、LED204’、光検出器239’、またはその他の光制御要素203’が搭載された同じ平面状パネル54’の端部と反対の容器50’の各パネルの端部に配置可能である。より具体的には、光が直線方向に伝搬することから、LED204’、2つの光制御要素203’、および光検出器239’はそれぞれ、平面状の各四角形パネル54’の4つの象限のうちの対応する1つに配置可能であり、光線の直線経路L1’、L2’、L3’が本体52の各平面状パネル54’の内側面に沿うか隣接して配設され、直線経路L2’が直線経路L1’、L3’と垂直に配設されている。さらに、これらの直線経路L1’、L2’、L3’は、容器50’の内側面とラックまたはラックに搭載された器具との間に配設され、ラックまたは器具に要する空間を光学センサアセンブリ202’が占有しないようにしてもよい。
光制御要素203’により規定された直線経路は、特に限定されず、容器の3つのパネル54、56の内側面に沿った容器の内周に沿うとともに内部に含まれる手術器具の周りで方向付けられてもよいと考えられる。さらに、光制御要素203’は、滅菌が困難な凹部等の表面構成を有する器具の近くに方向付けられた直線経路を規定するように構成されていてもよい。さらに、光制御要素は、滅菌ガスの濃度を測定するように構成されたその他さまざまな光学センサアセンブリの一体部品であってもよい。
図17に示す例の続きとして、光学センサアセンブリ202はそれぞれ、上述の通り、光検出器239をさらに備える。光検出器239は、LED204の場所に隣接する面と反対のウェブ126の面上に位置付けられている。したがって、光検出器239は、ウェブ124および126間に位置付けられている。光検出器239は、ウェブ124および126の自由端に固定された配線板224に取り付けられている。図中、配線板224には、LED204も取り付けられている。また、開口112の外方かつウェブ124および126間にはフィルタ228が存在する。フィルタ228と隣接する光検出器239との間には、レンズ208が存在する。また、ウェブ124および126間には、スペーサ230および234が位置付けられ、ウェブ124および126間の適正な位置にフィルタ228およびレンズ208を保持している。開口112を規定するリング107の内側面とフィルタ228との間には、Oリング227が位置付けられている。Oリング227は、リングとフィルタ228との間で圧縮される。このように、Oリング227は、リング107とフィルタ228との間を封止する。
この例において、光学センサアセンブリ202はそれぞれ、容器50内の2つの異なるガスの対応する一方の濃度を示す吸光を決定するように構成されている。特に、光学センサアセンブリ202の第1の光学センサアセンブリと一体化した光検出器239は、第1のガスの濃度を示す吸光を表す信号を生成するように構成されている。たとえば、測定対象のガスの一方が蒸気の場合、関連する光学センサアセンブリ202は、水蒸気が吸収する光の波長である940または1360nmの波長で吸光を測定するように構成された構成要素を具備することになる。このため、いくつかの例において、第1の光学センサアセンブリ202の一部であるフィルタ228は、第1のガスが吸収する波長の光以外の光を取り除く。さらに、第2の光学センサアセンブリ202と一体化した光検出器239は、第1のガスと異なる第2のガスの濃度を表す信号を生成するように構成可能である。測定対象の第2のガスが気化過酸化水素である場合、第2の光学センサアセンブリ202は、245または1420nmの波長の光の吸収を表す信号を生成可能な構成要素で組み立てられる。これらの光の波長は、過酸化水素によって吸収される。第2の光学センサアセンブリ202の一部であるフィルタ228は、第2のガスが吸収する波長の光以外の光を取り除く。
対応する図12〜図18の専用光学センサアセンブリ202、202’はそれぞれ、1つの滅菌ガスのみの濃度を示す吸光を測定するように構成されているが、複数の滅菌ガスの濃度を示す吸光を同時に測定するように構成された光学センサアセンブリをプロセッサおよびルックアップテーブルと組み合わせて用いることにより、容器内の器具が所望の滅菌レベルに曝されたか、すなわち、特定濃度のガスへの曝露時間が所望の滅菌レベルと相関関係にあるかを判定することができる。
図19を参照して、別の例示的なセンサモジュール102’’は、マイクロ分光計202’’を備えた光学センサアセンブリを備える。このようなマイクロ分光計202’’は、米国ニュージャージー州ブリッジウォーターのHamamatsuによりC12666MAというブランド名で販売されている。ただし、光学センサアセンブリは、任意適当なマイクロ分光計を具備可能であり、光学センサアセンブリの他の実施形態では、マイクロ分光計を有していなくてもよい。分光法によれば、図12〜図18の光学センサアセンブリ202、202’と比較して、さまざまなガスの単一または複数の吸収ピークでの測定能力を増強するより狭い光周波数帯域幅を解析することができる。特に、分光法によれば、帯域幅が通常±10nmまたは±5nm)である従来のフィルタと比較して、選択可能でより正確な帯域幅許容範囲を有する測定結果も得られる。また、分光法によれば、対象ガスの測定に使用して精度を向上可能な複数の公称周波数での測定が可能となる。一例としては、水蒸気濃度の決定に940nmおよび1360nmの両波長を使用可能であり、プロセッサ384(図11)は、これらの測定結果を用いることにより、ランベルト・ベールの法則に基づいて滅菌ガスの濃度を計算することができる。このように、分光計の使用によって、複数の対象周波数で光線の強度を測定するとともに、関心波長範囲のみを解析することができる。波長範囲の非限定的な例としては、245nm±0.5nm、245nm±1.0nm、または1360nm±1nmが挙げられる。言い換えると、分光計を用いた例の場合は、前述の例のフィルタで光を正確にフィルタリングする必要がなく、対象波長前後の測定精度は、プログラム可能であって、測定中に生成されたデータ曲線から算出される。
マイクロ分光計202’’は、複数の滅菌ガスの濃度を測定するように構成されているため、2つ以上の光学センサアセンブリを有するセンサモジュールよりもいく分コンパクトなセンサモジュール202’’を提供する。具体的に、このマイクロ分光計202’’は、異なる波長の範囲を有する光を発するように構成されたLED204’’等の光源と、任意選択として光線をコリメートし、第1の直線経路L1’’に沿って方向付けるように構成されたコリメータレンズ208’’とを備えていてもよい。さらに、図18の前述の例の光学センサアセンブリ202’は、2つの光制御要素203’間の第2の直線経路L2’に沿って滅菌ガスを通る光線を方向変換した後、第1の直線経路L1’と平行に整列した第3の直線経路L3’に沿って光線を方向変換する2つの光制御要素203’を備えるが、図19の本例示のマイクロ分光計202’’は、第1の直線経路L1’’からの光線を受光するとともに第1の直線経路L1’’と平行に整列した第2の直線経路L2’’に沿って光線を方向変換するように構成された単一の逆反射器を備えた1つの光制御要素203’’をさらに備えることにより、逆反射器による方向変換がない光線の単一経路と比較して、吸収値および分解能が高くなり得る。方向変換された光線によりもたらされる吸収値および分解能の向上は、湿度が欠如した水蒸気の測定において特に有用となり得る。湿度は、滅菌ガスの滅菌有効性に大きく影響し得るためである。当然のことながら、逆反射器、コリメータレンズ、および他の構成要素の数は、特に限定されず、任意数の適当な配置によって、容器内の滅菌プロセス条件の決定精度が向上するようになっていてもよい。
マイクロ分光計、光源、および逆反射器の位置は、滅菌容器の内部環境に存在する十分な体積のガスを通過した後に光源から発した光を受光するようにマイクロ分光計が構成されている限り、特に限定されない。たとえば、マイクロ分光計、光源、および逆反射器は、容器の蓋、側面パネル、または底部に結合されていてもよいし、フィルタフレームに結合されていてもよい。
さらに、センサモジュール102’’は、熱赤外線分光法(TIR)光ガイドからの光線を受光して狭幅させるように構成されたTIR集光器を備えた別の光制御要素203’’をさらに備えていてもよい。図19のセンサモジュール102’’は、TIR集光器からの狭幅光線を受光して、複数の滅菌ガスの濃度を測定する信号および対応するデータを提供するように構成された単一のトランスデューサ239’’を備え得る。トランスデューサ239’’としては、測定データを示す信号を無線または有線伝送によってプロセッサ384(図11参照)に送信するように構成されたIR分光計が可能である。
図20を参照して、別の例示的なFTIRマイクロ分光計202’’’では、フーリエ変換赤外線(FTIR)分光法を用いることによって、広いスペクトル範囲の高スペクトル分解能データを同時に収集するとともに、データをプロセッサ384に提供して複数の滅菌ガスの濃度を決定する。このFTIRマイクロ分光計202’’’は、図19のマイクロ分光計202’’と同様の利点をもたらす。特に、FTIRマイクロ分光計202’’’は、図12〜図18の光学センサアセンブリ202、202’と比較して、さまざまなガスの吸収ピークでの測定能力を増強するより狭い光帯域幅を測定して解析することができる。さらに、逆反射器による方向変換がない光線の単一経路と比較して、吸光および分解能を向上させるように光線を方向変換するように逆反射器を構成可能である。方向変換された光線によりもたらされる吸収値および分解能の向上は、低湿度の水蒸気の測定において特に有用となり得る。湿度は、滅菌ガスの有効性に大きく影響し得るためである。図20のFTIRマイクロ分光計202’’’は、図19の光学センサアセンブリ202’’の構成要素に類似する複数の構成要素を有する。ただし、図19の光学センサアセンブリ202’’が熱赤外線分光法(TIR)分光法を用いて滅菌ガスの濃度に対応するデータを測定する一方、FTIRマイクロ分光計202’’’は、FTIR分光法を用いてデータを測定する光学センサアセンブリである。一例において、プロセッサ384(図11)は、温度センサおよび圧力センサから受信したデータと組み合わせてこのデータを解析することにより、滅菌ガス濃度または蒸気飽和状態を決定することができる。他の例においては、光路の累積長が大きくなり、吸光およびマイクロ分光計202’’’の分解能が向上するように、LED204’’’とトランスデューサ239’’’との間に2つ以上の逆反射器を配設可能である。
図11に示すように、プロセッサ384は、この例においてはFTIR分光計を備えるトランスデューサ239’’’から信号を受信するようにしてもよい。プロセッサ384は、FTIR分光計と一体化した可動ミラーの多くの離散位置207’’’で光エネルギー信号を測定することにより、インターフェログラム205’’’を生成するようにしてもよい。インターフェログラムは、フーリエ変換によって、実際のスペクトルに変換可能である。フーリエ変換分光計には、分散型(すなわち、格子およびプリズム)分光計よりも大きな利点がある。特に、FTIR分光計は、測定全体ですべての波長を同時にモニタリング可能であり、図12〜図18の光学センサアセンブリ202、202’と比較して、信号対雑音比が向上する。
さらに、当然のことながら、明示的に考察した上記以外の適当な分光計が用いられるようになっていてもよく、これらの分光計では、任意適当な分光法技術の使用により、容器内の滅菌ガスの吸光データ等の特性を解析するようにしてもよい。
後述の通り、光学センサアセンブリ202’’、202’’’の一方等、ガス濃度センサのいずれかを温度センサおよび/または圧力センサと組み合わせて使用することにより、器具の所望の滅菌レベルが実現されたかを判定する滅菌プロセスにおいて、容器内の蒸気飽和状態等の特性を測定することができる。
図5および図8を参照して、センサモジュール102は、温度センサ240をさらに具備し得る。例示的な温度センサ240は、滅菌容器に導入された滅菌ガスに曝された場合に腐食することのない熱伝導性の材料で形成された閉端チューブ242を備える。チューブ242の非限定的な一例は、アルミニウムで形成され、リング107により規定された空隙に隣接してチューブ242の閉端が位置付けられるように、ボア120中に取り付けられている。また、取り付け具246がチューブ242をウェブ118に保持する。取り付け具246のヘッドの周りには、リング107から離隔したウェブ118の端部に隣接して、Oリング244が配設されている。Oリング244は、ウェブ118と取り付け具246との間を封止する。
温度センサ240としては、閉端チューブ242に配設された感温トランスデューサが挙げられる。いくつかの例において、トランスデューサとしては、サーミスタが可能である。温度センサ240は、温度を示す信号を無線または有線伝送によってプロセッサ384(図11)に送信するように構成可能である。当然のことながら、任意適当な種類の温度センサが用いられるようになっていてもよく、熱電対、抵抗性温度デバイス、赤外線センサ、バイメタルデバイス、相変化インジケータ等が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、温度センサは、滅菌容器の内部環境の温度を検知可能である限り、滅菌容器に対する任意適当な場所に位置決めされていてもよい。
図5および図8の前述の例をさらに続けて、センサモジュール102は、圧力センサ256をさらに備えていてもよい。図示の実施形態において、圧力センサ256は、モジュールシェル152と一体化したブロック186の面に対して配設されるようにシェルに取り付けられた小さな開端ハウジング258を備える。ハウジング258は、ボア188がハウジングの開端へと開かれるように、シェル152に密封状態で取り付けられている。さらに、滅菌プロセス中の凝縮物または容器の洗浄もしくは清浄に対応するものとして流体がハウジング258に進入し得るものの、ハウジング258およびその構成要素は、これらの流体がハウジング258から排出され、圧力センサ256の精度が経時的に維持され得る構成で配置可能である。
圧力センサ256は、ハウジング258内に含まれる2つの感圧トランスデューサ260、262をさらに備えていてもよい。いくつかの例において、感圧トランスデューサ260、262はいずれも、キャパシタ型トランスデューサである。各トランスデューサ260、262の容量は、大気絶対圧の関数として変動する。第1のトランスデューサ260は、20〜50Torrという最小圧力を上回る圧力等、比較的高い圧力について、大気絶対圧の比較的正確な測定結果を与える。第2のトランスデューサ262は、比較的低い圧力について、絶対圧の比較的正確な測定結果を与える。この説明の目的として、比較的低い圧力は、10〜100Torrの最大圧力を下回る圧力である。トランスデューサ262は、0.5Torrという圧力、理想的には少なくとも0.2Torr、より理想的には0.05Torrまでの正確な圧力測定結果を与える。トランスデューサ260、262からハウジング258を通って延びる導電体については、図示していない。また、ハウジング258をブロック186に密封保持する構成要素についても図示していない。
滅菌容器と併用し得る圧力センサの種類は、滅菌容器の内部の圧力を決定し得る限り、特に限定されない。圧力センサとしては、力型圧力センサ、共振周波数圧力センサ、またはその他任意の適当な圧力センサが挙げられるが、これらに限定されない。蒸気等の滅菌剤のモニタリングにセンサモジュールが用いられる場合は、蒸気の飽和状態等の特性がより容易に決定されるように、蒸気の絶対圧を決定する圧力センサを使用するのが好ましい。圧力センサ256は、測定圧力を示す信号を無線または有線伝送によってプロセッサ384(図11)に送信するように構成可能である。
プロセッサ384は、所望の滅菌レベルを保証するように実験的に決定されたベンチマーク吸光値、温度閾値、圧力閾値、および/または色変化等、測定されたさまざまな特性に関する実験データを含めて、プロセッサ384の動作命令を格納するメモリをさらに備えていてもよい。また、メモリには、センサモジュール102の動作中にプロセッサ384によって取得および生成されたデータも格納される。
図中、プロセッサ384には、オン/オフスイッチ382が接続されている。図中の他の場所には見られないが、オン/オフスイッチ382は通常、ベース104またはリング107に取り付けられている。
プロセッサ384は、LED268、270に電流を流してこれらを作動させ、ガス濃度センサ、温度センサ、圧力センサ等の1つまたは複数のセンサモジュールから受信した入力に基づく容器50のさまざまな特性、滅菌ガスの他の特性、またはこれらの組み合わせを伝達する信号を出力するものとして示している。プロセッサ384は、有線または無線伝送によって、本明細書に記載の通知デバイスとさらに連通していてもよい。
図8を参照して、ウェブ124の自由端には、配線板278が取り付けられている。図示はしていないものの、配線板278は、モジュールを作動させるプロセッサ384および他の構成要素(図示せず)が取り付けられたモジュールの内部の構成要素である。
図11を参照して、セル288は、プロセッサ384に接続されているだけだが、センサモジュール102の他の電力消費構成要素に接続されていてもよいことが了解される。これらの接続は、図中に示していない1つまたは複数の電圧レギュレータを通じて行うことが多い。図中、プロセッサ384には、端子132が接続されている。この接続によって、命令をプロセッサ384に書き込み可能であるとともに、プロセッサと一体化したメモリに格納されたデータを読み出し可能である。いくつかの例においては、端子132と一体化したピンの一部とセル288との間の接続の結果として、セルには、端子132を介して充電電流が印加される。
特定の実施形態において、滅菌容器は、図11に示すように、フィルタ存在検出器209をさらに備えていてもよい。フィルタ媒体410の存在を検出することにより、HCPは、滅菌プロセスの開始前にフィルタが容器中に存在することを確認可能である。この例において、フィルタ存在センサは、2つの導電性ピン276を備える。図9に示すように、ピン276はそれぞれ、モジュールシェル152に取り付けられるとともに、シェル152に形成された開口170のうちの別個の1つに移動可能に取り付けられている。滅菌容器は、導電性ピン276をフィルタ媒体410側へと移動させるように構成された付勢部材をさらに具備しており、これによって、シェル上面パネル154の上方を向いた表面から離れる方向にピンの端部が突出するように、ピンが外方に付勢される。付勢部材としては、ピン276の周りのコイルバネ279が可能である。蓋プレート72の少なくとも一部は、導電性の金属で構成可能であり、フィルタ媒体410は、非導電性材料で構成可能である。非導電性のフィルタ媒体410が存在することにより、プロセッサ384を含む回路が開放可能なため、プロセッサ384は、フィルタが存在するものと判定可能になって、所望の滅菌レベルを保証する閾値プロセス条件に器具が曝されたかを判定する方法を進める。また、(フィルタ存在検出器209の入力に基づいて)フィルタが存在すると判定したことに応答して、プロセッサ384は、その旨を示す信号を生成することができる。プロセッサ384は、無線または有線伝送によって、この信号を通知デバイスに送信可能であり、一形態において通知デバイスは、LED268、270を備えており、フィルタがモジュール中に存在することをHCPに伝えるようにさらに構成されている。ただし、後述の通り、通知デバイスとしては、可聴式の通知デバイス等、フィルタがモジュール中に存在することをHCPに通知し得る任意適当な機構が可能である。フィルタ媒体410が容器50中に取り付けられていない場合は、ピン276が導電性の蓋プレート72に接触して、プロセッサ384を含む回路を閉じることにより、プロセッサ384は、フィルタ媒体410が存在しないものと判定して、フィルタ媒体410の非存在を伝達する信号を通知デバイスに送信する。機械的または電気機械的なフィルタ存在インジケータ等、他種のフィルタ存在インジケータも考えられる。
図2および図10A〜図10Eを参照して、容器50等の滅菌筐体の使用は通常、1つまたは複数の器具が容器本体52内に装填されたラック62で開始となる。蓋プレートの内側面に対しては、フィルタ媒体410が配置される。そして、フィルタ媒体410上にフィルタフレーム320が配置される。このステップにおいては、ポスト82へのキャップ342の嵌合および係止によって、フィルタフレーム320を蓋70に保持する。この係止の結果として、フィルタ媒体410は、蓋とフィルタフレーム320との間において、生物学的に密封状態で圧縮される。図示の実施形態において、センサモジュール102は、フィルタフレーム320に結合されている。このため、フィルタ媒体410上のフィルタフレームの取り付けによっても、滅菌容器50に対するセンサモジュール102の位置が固定される。別の実施形態において、センサモジュールは、上述の通り、フィルタフレーム320の一体部品として構成されることにより、フィルタ媒体410を容器50に対して密封状態で圧縮するとともに、フィルタ媒体410に隣接してセンサを位置決めする。
センサモジュール102およびフィルタフレーム320を蓋70に係止するステップにおいては、印138によって、モジュールが蓋70に対して正しく配向するような位置決めがプロセス実行者に指示される。一実施形態において、モジュール102がこのように配向すると、各LED268および270は、透明ドーム92それぞれの下側に配設される。
オン/オフスイッチ382等のユーザ入力装置の関与により、センサモジュール102が作動するようになっていてもよい。センサモジュール102の作動に応答して、プロセッサ384は最初に、ピン276と関連付けられた回路等のフィルタ存在インジケータを評価して、フィルタが存在するか否かを判定する。図示の実施形態において、回路が開いている場合は、ピン276が非導電性のフィルタ媒体410に隣接している。したがって、回路が開いている場合、プロセッサ384は、センサモジュール102がフィルタ媒体410の下方に配設される状態にあるものと考える。プロセッサは、別の動作を一切起こさない。あるいは、センサモジュール102の上方にフィルタが位置付けられていることをフィルタ存在インジケータが識別していない場合、ピン276は、導電性材料で構成された蓋プレート72を押圧する。このため、蓋プレート72に対するピン276の隣接によって、ピン276により構成された回路が閉じる。したがって、プロセッサ384は、回路がこの状態にあるものと判定した場合、フィルタが蓋70とセンサモジュール102との間に配設されない状態に容器50があるものと考える。プロセッサ384は、容器50がこの状態にあるものと判定した場合、この状態の指標をHCPに提供する。いくつかの例において、プロセッサ384は、LED268、270の交互オン/オフサイクル等によって、この指標を通知デバイスに提供する。
別の例においては、ピンの一方を取り外すことも可能であり、蓋との回路連続性は、センサモジュールが蓋に取り付けまたは係止された場合に確立される電気的経路によって増強可能である。もう一方のピンは、取り付けまたは係止時に確立される蓋への電気的経路と併せて、上述のフィルタ存在モニタとして機能することになる。さらに別の例において、フィルタ存在モニタは、フィルタホルダと併せて、上述のセンサモジュールに含まれるその他の滅菌プロセスセンサなしに使用することも可能である。
フィルタ媒体410が蓋70(または、1つもしくは複数の開口部を含む容器の他の部分)に適正に取り付けられたものと仮定して、蓋70は、容器本体52の開端上で係止される。1つまたは複数の器具60が内部に配設された容器50は、滅菌器に配置されて滅菌プロセスを受ける。
滅菌プロセスにおいて、1つまたは複数のセンサアセンブリ202、202’、202’’、202’’’、240、256は、容器の内部の特性を測定し、任意選択として、それを示す信号を生成する。これらの信号に基づいて、プロセッサ384は、器具の所望の滅菌レベルが実現されたか否かを判定する閾値プロセス条件に対して、測定した特性を比較する。「有効な滅菌プロセス」は、過去のテストに基づいて、器具上の如何なる微生物も無害になることを基本的に保証する所望の滅菌レベルまで特定の器具を滅菌することが知られている滅菌プロセスであることが了解される。手術器具は、微生物の6対数減少に対応する所望の滅菌レベルを有する場合、滅菌されたものと考えることが多い。これは、器具上の微生物の個体数が少なくとも99.9999%だけ少なくなる可能性が高いことを意味する。本明細書に援用の米国特許出願公開第2015/0374868号は、有効な滅菌プロセスの環境測定結果を得る方法を説明している。
プロセッサ384は、評価の結果として、有効な滅菌プロセスを保証する閾値プロセス条件に1つまたは複数の器具が曝されたものと判定し得る場合、LED270等の通知デバイスを作動させる。ただし、他の所望の滅菌レベルに器具が曝された場合は、プロセッサがLED270等の通知デバイスを作動可能と考えられる。また、通知デバイスに依拠する代わりとして、HCPは、容器に含まれる1つまたは複数のセンサを見て、1つまたは複数の器具が閾値プロセス条件に曝されたかを判定することにより、有効な滅菌プロセスを確認するようにしてもよい。
考え得る一実施態様において、LED270が発する緑色光は、覆っているドーム92(図4)を通して見えるが、これは、所望の滅菌レベルを保証する閾値プロセス条件に対して容器50中の器具が曝されたことをスタッフに通知する。あるいは、プロセッサ384は、評価の結果として、有効な滅菌プロセス等の所望の滅菌レベルを保証する閾値プロセス条件に1つまたは複数の器具60が曝されていないものと判定するようにしてもよい。プロセッサ384は、このように判定した場合、LED268を作動させる。LED268が発する赤色光は、1つまたは複数の器具が滅菌プロセスを受けたとしても、所望の滅菌レベルを保証する閾値プロセス条件には曝されていないことを示す。この指標は、器具の滅菌に別の動作を要することの合図として機能する。
考え得る別の実施態様において、通知デバイスは、ノイズの発生等、別の通知様式の利用により、容器内の器具が所望の滅菌レベルに到達したことまたは到達していないことをHCPに警告することも可能である。
第1の例示的な滅菌容器は、当該容器内に通常配設されたセンサを備えるが、第2の例示的な滅菌容器は、当該容器の外側に配設されているものの容器の内部と流体連通したセンサを備え得る。センサは、容器の外面に直接結合されていてもよいし、容器に無菌で取り外し可能に結合されたセンサモジュールの一体構成要素であってもよい。あるいは、滅菌容器の内部に配設されたものとして上述のセンサのいずれかは、容器の外側に配設されているものの容器の内部と連通することも可能であることが了解されるものとする。
図21および図22は、第2の例示的な滅菌容器430と、容器430に取り外し可能に結合され、後述の通り容器430と流体連通した1つまたは複数のセンサを含むセンサモジュール570とを示している。この例において、センサモジュール570は、容器430の外側に取り付けられている。特定の構成において、容器の内部には、バルブ450が存在する(図23参照)。センサモジュール570は、バルブ450に隣接して容器430に取り付けられている。
センサモジュール570および容器430は、センサモジュール570を容器430に取り外し可能に結合することによってバルブ450が開き、バルブ450が開放状態の場合に、センサモジュール570内に配設されたセンサ620(図30参照)が容器の内部と流体連通するように配置されていてもよい。同様にして、センサモジュール570および容器430は、センサモジュール570を容器430から取り外すことによってバルブ450が閉じ、センサモジュール570が取り外された場合に、容器430の周囲の外側環境と容器の内部との流体連通が確立されないように配置および構成されていてもよい。言い換えると、センサモジュール570および容器430は、容器430の内部および容器中の器具の無菌を損なわずにセンサモジュール570を容器430から切り離し得るように配置されているのが好都合である。
図示の実施形態において、容器430は、蓋440が取り外し可能に取り付けられる本体432を具備する。本体432は、本体52と同様に、本体を大略矩形状にするように一体的に構成された多数のパネルで形成されている。図21においては、前面パネル434および側面パネル436が識別される。前面パネル434の反対の後面パネルおよび図示の側面パネル436の反対の第2の側面パネルは見えない。また、前面、後面、および側面パネル間で延びた底面パネルも見えない。底面パネルによって、本体52は、有底閉端を有することが了解される。他の例において、底面パネルは、蓋のフィルタおよび開口部に類似のフィルタおよび開口を含むことも可能であり、これによって、滅菌ガスが容器に流入出可能である。本体52の上部は開放されている。図21には取っ手58が1つ見えるが、これは、側面パネル436それぞれの外側に枢動可能に取り付けられている。本体432は、1つまたは複数の手術器具を保持するように寸法規定された空隙を有する。別の例において、本体432は、器具を支持するラックも具備し得る。
図示の例において、バルブ450は、容器本体432の図示の側面パネル436に取り付けられている。バルブが取り付けられた側面パネル436は、図23において識別される貫通開口438を含む。バルブおよびセンサモジュール等の関連する構成要素は、蓋、側面パネル、底面パネル、または容器の他の部分等、容器の任意適当な場所に結合されていてもよいと考えられる。さらに、滅菌容器は、任意選択として、2つ以上のバルブおよびセンサモジュールアセンブリを具備していてもよい。
蓋440の構造は、前述の図3に示す第1の例示的な容器50の蓋70に類似しており、機能は同じである。蓋440を本体432の上部に係止するとともに蓋440と本体432とを封止する構成要素については、図示していない。蓋440には、開口部86が形成されている。フィルタ(本質的にはフィルタ媒体410)および蓋440の内方を向いた面にフィルタを取り外し可能に保持するフィルタフレームについては、図示していない。
図22〜図25を参照して、バルブ450は、容器430の本体432に結合され、開放状態と閉塞状態との間で回転可能であってもよい。この例において、バルブ450は、関連する側面パネル436の内側面に対して本体432に取り付けられたバルブキャップ452を備え得る。バルブキャップ452の形状は、大略平面状とすることができる。より具体的に、この例において、バルブキャップ452は一般的に、切頂ディスクを含む。バルブキャップ452は、側面パネル436の隣接内側面を向いた内側面454を有し得る。バルブキャップ452は、内側面454の円周方向および側面パネル436の隣接面へと延びるリム460をさらに備え得る。内側面454は、リム460から半径方向内方に離隔した円形の溝456を含み得る。
内側面454は、溝456の基部に配設され、そこから外方に延びた4つのリブ458を備えていてもよい。これらのリブ458は、互いに等角で離間している。各リブ458は、側面パネル436の方を向いた凸面を有し得る。より具体的に、各リブ458は、凸面が側面パネル436に向かって頂点まで徐々に湾曲した後、溝456の基部まで弓状に湾曲して戻るように、溝456の基部から弓状に延びていてもよい。リブ458はそれぞれ、溝456内に完全に配設されていてもよい。リブ458はそれぞれ、溝の全断面幅にわたって、リム460の内周まで延びていてもよい。当然のことながら、内側面の他の構成も考えられる。
バルブキャップ452は、滅菌容器の内部との流体連通した少なくとも1つの孔464をさらに含んでいてもよい。孔464は、内側面454から対向する外側面455まで延びていてもよい。図示の例において、バルブ450は、内側面454の中心から等距離で離隔した4つの孔464を含む。さらに、これらの孔464は、互いに等角度で離隔している。バルブキャップ452の内側面454は、4つの孔464のうちの対応する1つを囲む4つの溝466を含む。各溝466の内周は、対応する孔464の外周から半径方向外方に離隔している。
リム460は、外周と、外周から半径方向内方に延びたボア468とを備えていてもよい。図示はしていないものの、ボア468は、キャップ内側面454のすぐ前方の空間へと開かれている。
バルブキャップ452は、隣接する側面パネル436の開口438の中心軸から、バルブキャップ452の孔464が等距離で半径方向外方に離隔するように、本体432の側面パネル436の内側面に結合されていてもよい。側面パネル436に対してバルブキャップ452を静的に保持するアセンブリについては、図示していない。いくつかの例において、バルブは、側面パネル436およびバルブキャップ452の両者のボアを通って延びることにより、バルブキャップ452を側面パネル436に保持する締結具(図示せず)を備える。また、バルブキャップ452は、両構成要素間に間隙が生じないように側面パネル436に固定されることが了解されるものとする。多くの例においては、パネルとキャップリム460の露出面との間にガスケット(図示せず)が配設されていてもよい。バルブキャップ452を側面パネル436に保持する締結具は、このガスケットが側面パネル436とバルブキャップ452との間を封止するように、側面パネル436とキャップリム460との間でガスケットを圧縮可能である。
バルブキャップ452に対して、回転バルブプレート472が開放状態と閉塞状態との間で回転可能であってもよい。バルブプレート472は、バルブキャップ452の孔464と流体連通し、開放状態の場合に容器の内部と流体連通するボア486を含み得る。センサモジュール570は、容器430に回転可能に結合されている場合、バルブプレート472のボア486と流体連通する。この例において、バルブプレート472は、側面パネル436の内側面とバルブキャップ452の隣接内側面454との間で回転可能に配設されている。バルブプレート472は、円形のベース474と、当該バルブプレート472の外周で円周方向に延びたリム476とを備え得る。そして、リム476の一部がバルブキャップ452に向かって内方に延びている。バルブプレート472は、バルブキャップ452の内側面454を囲む溝456において、当該バルブプレート472のリム476が固定されるとともに回転可能となるように、バルブキャップ452に結合されていてもよい。また、リム476は、ベース474の面から容器側面パネル436の隣接内側面に向かって、わずかな距離だけ外方に突出している。
バルブプレート472のベース474は、側面パネル436に隣接する外側面と、この外側面から延びたボス484とを備えていてもよい。ボス484は、断面形状が非円形である。図示の例において、ボス484は、多角形状であり、より詳細には、六角形状である。ボス484は、隣接側面パネル436に形成された開口438中で回転するように寸法規定されている。また、ベース474からは、形状が円形でボス484を囲む段部483が外方に延びている。
バルブプレート472は、回転して開放状態となった場合に、バルブキャップ452の孔464とバルブプレート472のボア486との間で流体連通した1つまたは複数のチャネル480を備えていてもよい。特に、バルブプレート472は、バルブキャップ452の内側面454を向いた内側面および複数のチャネル480を備えていてもよい。図示の例においては、互いに分岐するとともにプレートベース474の中心で交差する2つのチャネル480が存在する。バルブプレート472は、バルブキャップ452に対して特定の回転配向となった場合に、バルブキャップ452に形成された孔464のうちの別個の1つと各チャネル480が位置決めされるようにさらに形成されている。各チャネル480の幅は、孔464の直径以下である。
バルブプレート472のベース474は、その内側面からボス484を通って外方に延びたボア486を含んでいてもよい。図25に最もよく示すように、リム476は、リブ458のうちの対応する1つを受容するように構成された多くの弓状に離隔した窪み488をさらに含む。各窪み488は、キャップ溝456の基部に隣接して位置付けられたリム476の面から内方に延びている。各窪み488は、形状として凹状が可能であり、リブ458のプロファイルを補完し得る。窪み488の数は、キャップリブ458と同数にすることができる。窪み488は、リブ458が互いに離隔するのと同じ角度だけ互いに角度離隔している。
以上、バルブ450を詳しく説明したが、バルブは、センサモジュールが滅菌容器に結合された場合にセンサモジュールと滅菌容器の内部との間に流体連通を確立するとともに、センサモジュールが滅菌容器から切り離された場合に滅菌容器の滅菌を維持するように動作可能である限り、他の構成も考えられる。
図示の実施形態において、バルブプレート472は、バルブキャップ452に対して一方向に回転するように構成されている。特に、バルブプレート472のリム476は、その円形外側面から半径方向内方に延びた一組の付加的な窪み490を有する。そして、窪み488および窪み490の一部が交差する。
バルブ450が容器本体432に取り付けられた場合、図示の実施形態において、バルブプレート472は、側面パネル436の内側面とバルブキャップ452との間に配設される。バルブキャップ452の内部の溝466にはそれぞれ、Oリング470が固定されている。ボス484は、パネルに形成された開口438を通って延びる。バルブ450を構成する構成要素は、側面パネル436の表面とバルブキャップ452との間でバルブプレート472が限定的な長手方向移動を行い得るように寸法規定されている。図24に見られるように、ボス484の周りには、波形ワッシャ492等の付勢部材が配設されている。波形ワッシャ492は、側面パネル436とバルブプレートベース474の隣接面との間で圧縮される。波形ワッシャ492は、バルブキャップ452の静的な内側面454に向けてバルブプレート472を押圧する。波形ワッシャ492以外の他種の付勢部材が用いられるようになっていてもよい。
図23を参照して、センサモジュールが滅菌容器から切り離された場合に、バルブを閉塞状態にロックするバルブロックアセンブリ499が設けられていてもよい。バルブロックアセンブリ499は一般的に、バルブプレート472の一方向の回転を阻止して、反対方向の回転を許可にするように動作可能である。バルブロックアセンブリ499は、容器の内部が滅菌状態の間に、HCPが滅菌容器の内部と外部環境とを不注意に連通させてしまうことを防止する。より詳細に、バルブロックアセンブリ499は、センサモジュールが滅菌容器から切り離された場合に、HCPが滅菌容器の外側からバルブプレートを開放状態へと移動させてしまうことを防止する。
一実施形態において、バルブロックアセンブリ499は、キャップボア468に摺動可能に取り付けられたピン502(図23において最もよく見える)と併せて、ボア468に配設されるとともにバルブプレート472の中心へと向かう方向の力をピン502に印加するように位置決めされたバネ504およびフェルール506を備えることにより、バルブプレート472に形成された窪み490にピン502の先端が固定されて、バルブプレート472の一方向の回転を阻止し、反対方向の回転を許可する。この例において、各窪み490は、リム476の接線方向に垂直かつリム476から谷部へ向かって半径方向内方に延びた壁を含むことにより、ピン502がこの壁に接触するとともに、バルブプレート472の閉塞状態から開放状態への回転を禁止するように構成可能である。さらに、各窪み490は、リム476から半径方向内方に延びた対向壁またはランプ部を含んで、ランプに沿って窪み490から出る方向にピンが摺動し得るようにすることにより、バルブプレート472が開放状態から閉塞状態へと回転し得るように構成可能である。バルブキャップ452の外方に突出したピンの端部であるピン502の自由端上には、ヘッド508が配設されていてもよい。ピン502が固定された窪み490から当該ピンを引き抜いてバルブプレート472を閉塞状態から開放状態へと回転させ得るように、指を使って手動で力を印加することによって、バネ504により加えられた力に打ち勝つようにすることができる。言い換えると、ピン502および窪み490は、容器50が開かれた状態で容器の内部のバルブロックアセンブリ499にアクセスがあった場合に、バルブ450の閉塞状態から開放状態への回転を選択的に可能とする手動操作式回転可能バルブロックアセンブリとして一体的に機能し得る。バルブロックアセンブリは、係合時すなわちセンサモジュールの取り外し後のバルブプレートの一方向への回転を防止する摩擦またはカム係合等、他の構成も考えられる。
図23、図26、および図27を参照して、バルブ450は、電気的構成要素を密封して含むとともにセンサモジュール570を本体432に取り付けるように構成されたベゼルプレート520をさらに備えていてもよい。ベゼルプレート520は、バルブ450が取り付けられた側面パネル436の外側面上に配設されている。ベゼルプレート520は、リング状コア522を具備していてもよく、2つの平面状翼部530がコア522の両側から外方に延びている。図示の例において、コア522は、翼部530の上下両縁部から外方に延びている。コア522および翼部530の両者の周りでは、リム523が円周方向外方に延びている。また、リム523は、コア522および翼部530から内方に延びている。バルブ450が容器432に取り付けられた場合、ベゼルプレート520は、リム523の平面状内側面が側面パネル436に隣接する部分となるように位置決めされる。リム523は、このように側面パネル436の隣接面から離れてコア522および翼部530の両者を保持する。このため、バルブ450の電気的構成要素を翼部530内に密封包含することにより、これらの構成要素を滅菌プロセスの影響から保護することができる。
ベゼルプレート520は、センサモジュール570をバルブ450に取り外し可能に結合するように構成されている。より具体的に、この例において、コア522は、中心開口524を規定していてもよい。コア522は、2つの切り欠き526、528をさらに規定し得る(図27参照)。切り欠き526、528は、開口524の中心に関して互いに直径方向に対向している。切り欠き526、528はそれぞれ、開口524へと開かれている。また、切り欠き526、528は、開口524周りの異なる円弧を含む。図示の例においては、切り欠き526が相対的に小さな円弧を含み、切り欠き528がいく分大きな円弧を含む。センサモジュール570は、後で回転してバルブ450および容器430に取り付けられるように、2つの切り欠き526、528の対応する一方に受容されるように構成された2つのタブ596、598を備える(図29参照)。
図示の例において、ベゼルプレート520は、対応する翼部530の下側に含まれたLEDを受容して発光可能とするように構成された孔536を含む翼部530のうちの1つまたは複数を備えていてもよい。翼部530は、センサモジュール570を本体432に取り外し可能に取り付ける位置までセンサモジュール570が回転した場合に、センサモジュール570上に形成された矢印の形状のアイコン577(図28参照)と一致するように位置決めされた鍵の形状のアイコン538をさらに含み得る。
図28および図30に示すように、センサモジュール570は、シェル572および当該シェル572に取り付けられたキャップ580を備えていてもよい。シェル572の形状は、大略円筒状であってもよい。シェル572の外径は、ベゼルプレート520のコア522上にシェル572が固定されて回転可能なものとなっている。シェル572は、一端にベースパネル574を備え、対向端が開放されている。シェル572の円筒状側壁からは、2つのボス576、578が外方に突出している。ボス576は形状が円形であり、ボス578は形状が矩形である。各ボス576、578は、シェル572への開口を規定する。
図30に示すように、モジュールキャップ580は、円形のベースプレート590を備える。ベースプレート590は、当該プレート590の円周方向に延びたリム582に囲まれている。リム582は、バルブ450方を向いたベースプレート590の表面から離れる方向に、プレートから外方に延びている。リム582は、その外側面から内方に延びた溝584を含み、溝584は、リム582の円周方向に延びている。
溝584には、Oリング586が固定されていてもよい(図32A参照)。センサモジュール570が組み立てられた場合、キャップリム582は、シェル572の円筒壁の内側面に隣接して配設されていてもよい。Oリング586は、シェル572とキャップ580との間で延びて、これら2つの構成要素間を封止する。センサモジュールは、電子的構成要素およびセンサを密封状態で囲ってこれらを滅菌剤から保護する一方、センサによって、滅菌剤および/または容器50の内部の特性を測定可能な限り、他の構成も考えられる。
キャップ580の一部でもある架台592(図29参照)は、ベースプレート590からバルブ450に向かって外方に延びている。架台592の形状は、円形であってもよい。架台は、ベゼルプレートコア522の内部の中心開口524における固定および回転を可能にする直径を有する。架台592の前方において、キャップ580は、架台592よりも直径がわずかに小さな円形の面プレート594を有する。2つの直径方向に対向するタブ596および598が面プレート594と一体化して、半径方向外方に延びている。タブ596および598は、異なる円弧を含む。タブ596は、ベゼルプレート520の内部の切り欠き526に固定されるように寸法規定されている。タブ598は、切り欠き526への固定は許可しないが切り欠き528への固定は許可する円弧を含む。上述のように構成されたタブ596、598および切り欠き526、528は、本体432に取り付けられた場合にセンサモジュール570に対して単一の配向となるため、それぞれの対応する機能を実行する特定の構成にて、センサモジュール570の1つまたは複数の構成要素を配設可能である。一例においては、後述の通り、センサモジュール570が本体342に取り付けられた場合にセンサモジュール570の最下位置に配設されるドレンプラグ623(図32A)をセンサモジュール570が具備するため、センサモジュール570内の凝縮物は、センサ等の構成要素からドレンプラグ623に向かって離れる方向に流れ得る。ただし、センサモジュール570は、本体432に取り付けられた場合の他の配向およびセンサモジュールの配向に基づいて対応する機能を実行する他の構成要素を有し得る。
キャップ580は、面プレート594の中心に開口602を有するようにさらに形成されている。開口602の形状は、非円形である。より詳細に、スリーブ604は、バルブプレート472と一体化したボス484の形状を補完する形状を有する。開口602は、キャップ580と一体的に形成されたスリーブ604の中心空隙へと開かれている。スリーブ604は、面プレート594から内方に延びている。これらの構成要素は、センサモジュール570が容器本体432に嵌合された場合に、ボス484が動作可能に開口602にスナップ嵌合するとともに、スリーブ604に固定されるように配置されている。
上述した特定の例示的な実施形態は、センサモジュール570をバルブ450に取り外し可能に結合するベゼルプレートを含む構成を対象とするが、センサモジュール570をバルブ450に取り外し可能に結合するには、その他の種々適当なデバイスおよび構成が利用されるようになっていてもよいと考えられる。
キャップ面プレート594には、Oリング595が取り付けられていてもよい。Oリング595は、開口602から半径方向外方に離隔して円周方向に延びた溝に取り付けられている(溝は識別せず)。このように、Oリング595は、プレート594の前方および開口602の周囲に延びている。
図30〜図32Aを参照して、キャップベースプレート590の内側面には、ブロック608が取り付けられていてもよい。ブロック608は、滅菌プロセス条件に繰り返し耐え得る金属または高温耐熱熱可塑性物質で形成されることが多い。図31に見られるように、ブロック608には、多くのボアおよび空隙が形成されている。キャップ580に隣接して位置付けられたブロック608の面からは、ボア612が内方に延びている。キャップ580に隣接するボア612の部分の周りには、識別されるカウンタボア613が延びている。カウンタボア613は、開口602がボア612へと開かれるようにスリーブ604を受容するように位置決めされている。図示の例において、ボア612は、キャップ580から最も離隔したブロック608の面まで延びている。ボア612の開端は、隆起ボス609が囲んでいる。ボス609の内方に位置付けられたボア612の部分を規定するブロック608の内壁は、ネジ切りされていてもよい(ネジ切りは図示せず)。このネジ切りによって、ボア612のこの部分における締結具630(図32Aに識別)の係合が容易となる。締結具630は、シェルベースパネル574の開口およびカウンタボア575を通って延びるが、シェルをブロック608に保持するとともに、延長によってキャップ580に保持する。ブロック608をキャップに保持する締結具等の構成要素については、図示していない。
ボア614がボア612と交差して、ボア612と垂直に延びている。ボア614は、直径が異なる部分を有するように形成されている(個々の部分は識別せず)。キャップ580から最も離隔したブロックの面であるブロック608の後面からは、2つの細長い空隙616が内方に延びている。各空隙616は、ボア612を通る長手方向軸と平行な長手方向軸を中心とする。各空隙616は、ボア614と交差する。また、各空隙616は、直径が異なる部分を有するように形成されている(個々の部分は識別せず)。各空隙616の大直径部分は、キャップ580から最も離隔したブロック608の面に隣接して位置付けられている。
ブロックには、2つの付加的な空隙である空隙618(図30において1つを識別)も形成されている。空隙618は、ボア612を通る長手方向軸と平行な長手方向軸を有する。各空隙618は、シェルベースパネル574に隣接するブロックの端部から内方に延びている。
前述の通り、センサモジュールは、1つまたは複数のセンサを具備していてもよい。潜在的な一実施態様においては、図32Aに見られるように、センサがブロック608に取り付けられている。図示の例においては、2つの温度センサ620がブロック608に取り付けられている。図示の例において、温度センサ620は、図5おおび図8に関して説明した前述の温度センサ240と実質的に同じである。各温度センサ620は、ブロックに取り付けられており、センサ620の細長チューブがボア614のうちの1つの小径部に嵌入されている。図30および図32Bには、2つの圧力センサ628も示している。圧力センサ628は、ゲージ圧または絶対圧を測定することも可能であり、後者は、測定結果を用いて蒸気飽和状態を正確に評価する場合に有益である。圧力センサ628および温度センサ620は、凝縮物が重力によって流れ去り、圧力センサ628および温度センサ620の対応する一方上の凝縮物の量に影響されないより正確な測定値をセンサ620、628が提供できるように配置されていてもよい。ただし、センサモジュール570は、上記光学センサアセンブリ202、202’、202’’、202’’’等、上述の任意の1つもしくは複数のガス濃度センサまたは後述のようなセンサ等、滅菌プロセス中に容器内の特性を測定するように構成されたその他任意のセンサを含み得ると考えられる。
図30および図32Aを参照して、一実施形態においては、プラグ622がボア614の開端のうちの1つに配設され、シェル572内に含まれる。プラグ622は、金属で構成されて熱質量を形成するとともに、温度センサ(図示せず)を含むように構成されている。図32Aに示すように、プラグ622は、シェル572の内側面に対向する開口を有するボアを含み、このボアは、温度センサを受容するように構成されている。温度センサは、質量の温度の変化速度を測定して、滅菌プロセスの蒸気飽和の状態を決定するように構成されている。
プラグ622の他端は、段付きボア614まで封止されていてもよく、滅菌プロセス中に容器の内側と流体結合されるボア612、614に存在する蒸気およびガスからの伝熱のための表面エリアを有する。ボア614の他端には、第2のプラグ623が取り付けられていてもよい。プラグ623は、センサモジュール570に取り付けられて、ボス576から突出している。プラグ623は、凝縮物が通過してセンサモジュール570から排出され得るように構成されている。また、プラグ623は、ボア614へと開かれた空隙621を規定するように形成されている。空隙621には、浮き球626が固定されている。球626の外側面とブロック608の内側面との間には、空隙621を規定する小さな間隙が存在し、上記のような凝縮物は、空隙621の軸に沿って球が上方に浮き、凝縮物がプラグ622から流れ出た場合に球の周りで流れ得る。空隙621の基部からプラグ623の外側面までは、ボア627が延びている。ボア627の直径は、球の直径よりも小さい。浮き球626は、重力によって通常の閉塞状態に設定されるため、空隙621に存在する空気およびガスは、浮き球626を通って漏れ出ることがない。浮き球626は、液体凝縮物によって持ち上げられ、凝縮物の液体をボア627から排出し得るように機能する。また、センサモジュールから流出する凝縮物を制御する別の機構が用いられるようになっていてもよい。
別の例において、熱質量プラグ622は、伝熱のための表面エリアがフロートバルブドレンプラグ623とセンサ620との間の段付きボア614内に露出した状態で下側センサ620の下方にて、凝縮物ドレンプラグ623の上方に隣接して位置付け可能である。この例において、熱質量プラグ622までの伝熱速度は、熱質量に取り付けられた温度センサによる測定として、滅菌プロセス中に流体接続されたボア612、614に存在する蒸気滅菌剤ととともに空気等のガスの混合物が存在するかを判定するのに役立ち得る。この別の場所は、滅菌プロセス中に容器430の内部に存在する滅菌剤のより正確な蒸気飽和状態を決定する際に好都合となり得る。
また、ブロック608には、配線板629が取り付けられていてもよい。配線板には、プロセッサ等、センサモジュール570の動作を制御するとともに温度センサ620により出力された信号に応答する後述の構成要素が取り付けられている。図30に見られるように、ブロック608には、セル631が配設されていてもよい。図示の例においては、2つのセル631が各空隙618に配設されている。セル631は、センサモジュール570の内部の電気作動する構成要素への給電に必要な電荷を供給する。セル631は、パラフィン、尿素、または他の保護材料等、断熱性の相変化物質を含むことにより、滅菌プロセス中の伝熱を調節して、容器430内で動作中の当該セル631の過熱を防止可能である。
モジュールシェル572と一体化したボス578には、端子632が取り付けられている。端子632は、前述の端子132と同じ機能を実行する。
図32Aを参照して、ブロック608に形成された溝には、多くのOリングが取り付けられていることが分かる。Oリングおよび溝の大部分は、識別していない。これらのOリングは、ブロック608と当該ブロック608に取り付けられてOリングが配設された構成要素との間のシールとして機能することが了解される。識別される1つのOリングは、Oリング634である。Oリング634は、カウンタボア613とボア612との間の段差に置かれている。これらのOリングは、センサモジュール570の電気的構成要素を含む空洞へと滅菌ガスが進入するのを防止するシールを構成する。
図33は、バルブ450およびセンサモジュール570の両者に取り付けられた電気的構成要素のブロック図である。バルブ450の内部の電気的構成要素は、ベゼルプレート520の翼部530のうちの1つの下方に配設されたシェルに含まれる(シェルは識別せず)。シェルは、容器40が曝される滅菌プロセスの影響から構成要素を保護可能であることが了解される。
図示の構成要素のうちの1つは、アンテナ542として示された通信デバイスである。アンテナ542は、バルブ450の外部の補完アンテナに対する信号のブロードキャストおよび受信を可能にする。アンテナ542は、送信機/受信機544に接続されている。送信機/受信機544は、受信した信号をデジタル信号に変換する。また、送信機/受信機544は、アンテナ542による信号のブロードキャストが可能な形態へとデジタル信号をフォーマットする。バルブ450には、プロセッサ546も取り付けられている。プロセッサ546は、送信機/受信機544からのデータ信号を受信するとともに、データを送信機/受信機に送信する。プロセッサ546の内部のメモリについては、識別していない。当然のことながら、プロセッサ546からの伝達には、アンテナ以外の他の通信デバイスが用いられるようになっていてもよく、この通信デバイスでは、RF、近距離無線、Bluetooth(登録商標)、携帯電話、またはWi−Fi通信等の任意適当な通信プロトコルを利用するようにしてもよい。
任意選択としてプロセッサ546に接続可能な別の構成要素は、蓋センサ545である。センサ545は、プロセッサ546が配設された同じシェルに必ずしも配設されていなくてもよい。センサ545は、蓋440が本体432に取り付けられたか否かをモニタリングする。いくつかの例において、センサ545は、磁界に感応するセンサである。このようなセンサとしては、ホール効果センサが挙げられる。これらの形態において、蓋440には、磁石(図示せず)が取り付けられていてもよい。磁石は、蓋440が本体432に取り付けられた場合にセンサ545と近接するように、蓋440に取り付けられている。他の種類の蓋センサも考えられる。
上述の図示の例において、容器430の滅菌状態を示す情報すなわち許容可能な滅菌剤または滅菌プロセス条件が容器内で実現されたかをHCPに伝えるように構成された通知デバイスは、LED548である。いくつかの例において、LED548は、容器の滅菌状態に応じて、異なる色の発光および/または間欠的なオン・オフ点滅が可能である。LED548は、LED548による発光をベゼルプレート520の孔536を通じて視認できるように、バルブに取り付けられている。バルブ450の電気作動する構成要素の作動に用いられる電力は、セル550によって供給されるが、これは、同じくバルブに取り付けられたプロセッサ546に接続されたものとしてのみ図示している。通知デバイスとしては、本明細書に記載の通知デバイスのうちの任意の1つもしくは複数または容器の滅菌状態を伝達するように構成されたその他任意のデバイスが可能と考えられる。
センサモジュール570は、プロセッサ650を備える。温度センサ620等、プロセッサとともに配設されたセンサにより生成された出力信号は、プロセッサ650に適用される。プロセッサ650は、プロセッサ384と同じ一般機能を実行する。また、プロセッサ650には、端子632が接続されている。プロセッサ650は、プロセッサ546と同じ機能を実行して、バルブ450に結合された同じ通知デバイスまたは容器430の他の部分に結合された類似の通知デバイスあるいは容器430の滅菌状態の伝達に用いられる類似の通知デバイスに信号を送信するように構成可能と考えられる。
図中、センサモジュールの内部には、送信機/受信機652およびアンテナ654も存在し得る。送信機/受信機652は、アンテナ654を介した適当な信号のブロードキャストによって、プロセッサにより出力されたデータおよびコマンドに応答する。送信機/受信機652は、アンテナ654を介して受信した信号を当該アンテナから受信する。送信機/受信機は、プロセッサ650による信号の処理が可能な形態へと受信信号を変換する。したがって、当然のことながら、プロセッサ546および650は、アンテナ542および654を介して無線通信可能である。当然のことながら、プロセッサ546からの伝達には、アンテナ以外の他の通信デバイスが用いられるようになっていてもよく、この通信デバイスでは、RF、近距離無線、Bluetooth(登録商標)、携帯電話、またはWi−Fi通信等の任意適当な通信プロトコルを利用するようにしてもよい。
図中、プロセッサ650には、端子632が接続されている。図中、プロセッサには、セル631が接続されている。この接続は、センサモジュール570の内部の電荷を消費する構成要素に対してセル631が給電し、端子632を介して、任意選択的にセルを再充電可能であることを表す。
図34A〜図34Cを参照して、滅菌容器430の最初の使用準備ができた際、センサモジュール570は通常、容器430に取り付けられておらず、バルブ450は閉塞・ロック状態にある。バルブ450が閉塞状態の場合、バルブプレート472は通常、バルブキャップ452に対して回転配向しているため、バルブプレート472と関連付けられた窪み488はそれぞれ、キャップ452と関連付けられたリブ458のうちの1つに配設される。波形ワッシャ492等の付勢デバイスにより付勢力が印加された結果として、バルブプレート472がバルブキャップ452に付勢されるため、各リブ458は、図34Aに見られるように、隣接する窪み488に固定される。バルブプレート472がこの配向の場合、プレートチャネル480は、孔464と位置決めされていない。バルブプレート472のベース474は、図34Bに見られるように、バルブキャップ452の孔464の周りに位置付けられたOリング470を押圧する。これにより、Oリング470は、バルブキャップ452とバルブプレート472との間を封止するため、バルブキャップ452の孔464がバルブプレート472のチャネル480およびボア486と流体連通することが防止される。こうして、バルブ450は、閉塞状態となる。別の構成においては、前述のOリング以外の他の封止部材も考えられる。
図35A〜図35Cを参照して、バルブプレート472は、バルブ450が開放状態の場合、Oリング470等の封止部材の周りに隙間を与えるため、バルブ450と境界を接するOリング470の要部が透過した滅菌ガスに曝露されてOリングが滅菌されるとともに、Oリング470は、バルブ450が開放状態から閉塞状態へと移動した場合に、バルブプレート472の表面上へと滅菌剤を掃引することも可能である。言い換えると、バルブキャップ432から離れる方向のバルブプレート472の平行移動によって、バルブ封止面の大部分が滅菌ガスに曝露される。単独での回転であれば、滅菌中にシール接触エリアの外側に存在する汚染物質は、滅菌プロセスを経ても存在し続け、バルブプレートの回転閉塞のみでは封止面間に残った汚染物質がこすり付けられるため、容器の内面を汚染する可能性があり、容器の内部に含まれる器具の滅菌を損ないかねない。ただし、図25を参照して、バルブプレート472の他の例は、Oリング470の隙間によってその大部分が滅菌剤に曝露されるようには構成されていなくてもよいと考えられる。
一実施形態において、バルブ450が閉塞状態の場合、ピン502は、バルブプレート472の窪み490のうちの1つに受容される。窪み490のうちの1つにピン502が存在することにより、バルブプレート472の閉塞状態から開放状態への回転が阻止される。そして、1つまたは複数の器具60が容器本体432の内部に配置される。
センサモジュール570は、バルブ450に取り付けられているが、このセンサモジュールは、2つの位置間を移動する駆動要素であり、バルブ450は、センサモジュールが2つの位置間を移動することに応答して閉塞状態と開放状態との間で移動可能な駆動要素である。この例においては、センサモジュール570がバルブ450に取り付けられたセンサモジュール570からバルブ450にトルクが移動するため、センサモジュール570およびバルブプレート472は、互いに同期して回転する。
図23、図26、および図29を参照して、センサモジュール570は、ベゼルプレート520に対して回転位置に整列するため、ベゼルプレート520の切り欠き526、528(図26)の対応する一方を介してタブ596、598(図29)が受容され、センサモジュール570の六角形ボア604(図29参照)にバルブプレート472の六角形ボス484(図23参照)が受容されるようになっている。ただし、センサモジュールのボアおよびバルブプレートのボスは、他の適当な非円形雌雄コネクタ構成を有することにより、センサモジュール570がバルブ450を駆動または回転させるようにし得ることも考えられる。一例として、バルブプレートのボスは、当該バルブプレートのスリーブの内径面内に形成された対応する溝に噛み合うキー溝を有し得る。さらに別の例として、バルブプレートのボスは、当該バルブプレートのスリーブに形成された対応するキー座面に噛み合うキー溝を有し得る。
センサモジュール570がバルブ450に回転可能に取り付けられると、バルブ450は、バルブロックアセンブリ499が容器430の内部からのアクセスを受けて、バルブキャップ452等の静的な容器構造からバルブプレート472が解放された場合にのみ、閉塞状態から開放状態へと移動可能である。一例において、容器430は、蓋440および本体423を具備しており、バルブロックアセンブリ499は、蓋440が本体432から取り外された場合にのみアクセス可能である。このため、バルブロックアセンブリ499は、係合されると、容器の滅菌が損なわれた状態となるまでアクセス不可能である。
より具体的に、この例においては、上方に向かう力をピン502のヘッド508に印加することによりバルブロックアセンブリ499が動作し、これによって、ピン502が固定された窪み490から当該ピン502が後退するようになっていてもよい。このバルブプレート472から離れる方向のピン502の移動により、バルブプレート472は、センサモジュール570の第1の位置から第2の位置への回転によって、閉塞状態から開放状態へと回転可能である。当然のことながら、バルブロックアセンブリは、上述のピン機構以外の他の構成も考えられる。
センサモジュール570は、閉塞状態から開放状態へと回転する。この例において、この移動は、モジュールアイコン577がベゼルプレート520上のバルブアイコン538と一致してバルブ450が開放状態に位置決めされるまで、容器の内部の視点からは反時計回りの方向になされ、容器の外部の視点からは時計回りの方向になされる。プレートコア522からは、容器外部パネルに向かって、任意選択としての少なくとも1つの回転ストッパ579(図26においては1つを示す)が延びており、モジュールアイコン577がバルブアイコン538と一致してバルブ450が開放状態に位置決めされた場合には、タブ596および/または598と係合するように位置決めされて物理的な回転ストッパとなり得る。センサモジュール570がベゼルプレート520に対してこの回転配向となった場合、タブ596および598は、プレートコア522の下側に配設される。このベゼルプレート520に対するタブ596および598の位置決めは、センサモジュールを容器430に対して解除可能に保持するのに役立つ。
上記形態において、センサモジュール570が容器に対してそのように整列した場合、プラグ623は、重力面の参照によって、ブロック608の底部に位置付けられる。この構成によって、前述の通りプラグ623から液体を排出可能となるように、浮き球626が位置決めされる。
バルブプレート472の回転の結果として、窪み488を規定するバルブプレート472の部分は、リブ458から離れる方向に回転するため、バルブプレート472は、バルブキャップ452の隣接内側面から離れる方向に変位する。このバルブプレート472の長手方向変位は、波形ワッシャ492によってバルブプレート472に印加された力と反対である。波形ワッシャ492は、バルブプレート472の回転に要する手動の力のみでワッシャの力に打ち勝てるように選択される。バルブプレート472は、その変位の結果として、キャップ孔464がそれぞれチャネル480のうちの1つと位置決めされ、Oリング470がベース474と接触しない配向へと回転する。このように、容器本体432の内部の空隙から孔464、チャネル480、およびボア486を通ってセンサモジュールのボア612へと流体連通経路が存在する。こうして、バルブ450は、開放状態となる。
センサモジュール570がバルブ450にロックされた結果として、バルブプレート472とモジュールキャップ580との間でOリング595が圧縮される。これにより、Oリング595は、容器本体432の内部の空隙とセンサモジュールのボア612との間の流体連通経路を囲む障壁をなす。
また、センサモジュール570が滅菌容器に取り付けられたら、プロセッサ546は、図33に示すように、データをプロセッサ650に供給するようにしてもよい。これらのデータは、容器430内の滅菌プロセス条件を記述したものである。
フィルタ媒体410が蓋440に取り付けられたものと仮定して、蓋は、容器430の本体432の開端上で封止される。容器430は、この状態となったら、滅菌デバイスへの配置の準備が整っている。
容器430および内容物は、従来の容器と同じ滅菌プロセスを受ける。
滅菌プロセスにおいて、容器の空隙に流れ込む滅菌ガスおよび蒸気は、バルブ450を通って、滅菌モジュール570の内部のボア612および614に流れ込む。したがって、温度センサ620等のセンサモジュール内のセンサは、容器430の内部の環境の特性を測定することができる。
図示の例において、容器430は、蒸気滅菌等の滅菌ガスに曝される器具を保持するように設計されている。ボア612および614中の水蒸気(蒸気)は、凝縮するようになっていてもよい。この水は、重力のため、プラグ623に向かって流れることになる。また、この水によって、球626が浮くことになる。球が浮いた結果として、水の相当部分がボア627を通ってプラグ623から流れ出ることになる。
図30および図32Aを参照して、プロセッサ650は、センサモジュール570内に取り付けられたさまざまなセンサからの信号に基づいて、所望の滅菌レベルを保証する閾値プロセス条件に器具が曝されたか否かを判定する。一例として、プロセッサ650は、所望の滅菌レベルを保証する閾値プロセス条件に関するルックアップテーブル中のデータに対して、センサからの測定特性を比較することができる。図33に示すように、プロセッサ650は、この評価の結果をプロセッサ546に通知する。評価が肯定的な場合、プロセッサ546は、通知デバイスを作動させて、容器430および器具が所望の滅菌レベルまで除染された状態を伝達する。この例においては、通知デバイスがLED548を備えており、プロセッサ546は、LED548を作動させて第1の色を発光させる。評価が否定的な場合、プロセッサ546は、LED548を作動させて、第2の色を発光させる。このように、LED548から見られる有色光によって、所望の滅菌レベルを保証する閾値プロセス条件に容器中の器具60が曝されたか否かに関する指標が与えられる。
滅菌プロセスが完了し、所望の滅菌レベルの実現を保証する閾値プロセス条件に器具が曝されたものと判定されたら、センサモジュール570を容器430から取り外すことができ、バルブロックアセンブリ499は、汚染されたセンサモジュールが容器430に取り付けられて容器の内部および滅菌した器具と流体連通することのないように防止可能である。このステップは、まず、センサモジュール570をその第2の位置から第1の位置へと反時計回りに回転させ、これによって、バルブプレート472を開放状態から閉塞状態へと反時計回りに回転させることにより実行可能であり、センサモジュール570のタブ596、598(図29)がベゼルプレート520の切り欠き526、528(図27)と一致して、センサモジュール570をバルブプレートから取り外すことができる。特に興味深いこととして、バルブプレート472が閉塞状態に戻っていることから、窪み490がバルブキャップ452のボア468と一致するため、バルブロックアセンブリ499が作動するようになる。この例においては、バネ504がピン502の一部を窪み490へと移動させ、バルブロックアセンブリ499がバルブプレート472に係合することにより、バルブプレート472は、容器の内部の視点からは反時計回りの方向であり、容器の外部の視点からは時計周りの方向の移動である閉塞状態から開放状態への回転が防止される。この点においては、センサモジュール570がバルブ450から取り外された後、汚染されたセンサモジュールがバルブ450に取り付けられる可能性があるものの、バルブロックアセンブリ499がバルブプレート472の閉塞状態から開放状態への移動を防止するため、汚染されたセンサモジュールが容器の内部および内部に含まれる滅菌された手術器具と流体連通してしまうことも防止される。ここでも、上記の通り、バルブロックアセンブリ499は、容器430の内部のみからアクセス可能であり、バルブロックアセンブリ499がバルブプレート472から開放され、バルブプレート472は、蓋440が本体432から取り外された場合に、閉塞状態から開放状態へと回転可能である。
より詳細に、バルブプレート472は、窪み488が再びリブ458と位置決めされて配置されるように回転する。波形ワッシャ492は、貯まっているポテンシャルエネルギーを解放する。このポテンシャルエネルギーによって、プレートベース474は、Oリング470に対して押し戻される。こうして、バルブ450は、閉塞状態に戻る。バルブ450がこのように位置決めされた場合のみ、タブ596および598はそれぞれ、ベゼルプレートの切り欠き526および528と位置決めされる。タブ596および598がこの回転配向の場合のみ、センサモジュール570を容器430から取り外すことができる。このように、バルブ450が閉塞状態に戻った後にのみ、センサモジュール570を容器430から取り外せるように構成されている。
センサモジュール570が滅菌容器430から取り外された後、プロセッサ546は、通知デバイスの作動を継続して、容器430および/または内部の器具の状態を伝達する。前述の例の続きとして、通知デバイスは、容器430中の器具60に対して所望の滅菌レベルが実現されたことを示す光を発するように構成されたLED548である。このため、滅菌された一組の器具60にアクセスしたいHCPは、センサモジュールが取り付けられた容器を確認する必要がない。HCPは、容器中の器具60に対して所望の滅菌レベルが実現されたことを発光によって示すLED548等の通知デバイスが起動された容器430を確認すればよい。
また、バルブプレート472が回転によい閉塞状態に戻った結果として、窪みのうちの1つが回転により、ピン502と位置決めされた状態に戻る。そして、バネ504がピン502を窪み490に押し戻す。こうして、バルブ450は、ロック状態に戻る。これにより、バルブプレート472およびボス484の露出部との接触によって、バルブ450が不用意に開いてしまう可能性はなくなる。
容器430中の器具60を使用する際には、蓋440が取り外される。センサ545は、蓋が取り外されたことを示す信号をプロセッサ546に与える。この信号の受信に応答して、プロセッサ546は、この容器システムにより形成された滅菌障壁の破棄により、容器中の器具が無菌であることを示す信号を以降与えないように、LED548等の通知デバイスをリセットする。
この形態の利点として、第1の滅菌容器430およびその内容物が滅菌されたら、容器の内部を汚染することなく、センサモジュール570を取り外すことができる。通知デバイスを調べることにより、HCPは、容器430の滅菌状態を決定することができる。前述の例をさらに続けて、通知デバイスはLED548を備えており、HCPは、第1の容器と関連付けられたLED548から発せされ、容器430中の器具に対して所望の滅菌レベルが実現されたことを示す光を観察する。そして、センサモジュール570は、滅菌プロセスを受けていない第2の滅菌容器に取り付けられて、第2の滅菌容器内の器具に対して所望の滅菌レベルが実現されたかを決定するのに使用可能である。このため、各滅菌容器にそれぞれのセンサモジュール570を設ける必要がなくなる。言い換えると、滅菌容器は、内容物が滅菌された状態のまま、センサモジュールを取り外して保管可能である。
図36A〜図36Eおよび図37は、滅菌容器430に取り付け可能な別のバルブ450aを示している。バルブ450aは、図23〜図25に示すバルブ450と実質的に同じである。2つのバルブの最も大きな違いとして、バルブ450aは、フィルタ676を解除可能に保持するように構成されている。
バルブ450aは、図23〜図25に示すバルブキャップ452と実質的に同じバルブキャップ452aを具備する。バルブキャップ452aは、その内側面454aから外方に延びていることでリム460に類似するリム460aを有するように形成されている。リム460aは、バルブキャップ452aの外側面454bからも外方に延びており、プレートの面は、容器本体432の内部の空隙を向いている。また、バルブキャップ452aは、その外側面から外方に延びたポスト672を含む。このポスト672は、バルブキャップ452aの中心から外方に延びており、図10Aおよび図10Eのポスト82と構造および機能が類似する。
フィルタ676は、バルブキャップ452aの外側面上およびリム460a内に固定されるように成形されている。フィルタ676には、ポスト672を受容する開口(識別せず)が形成されている。フィルタの外方を向いた表面上には、フィルタフレーム320と機能は類似するもののサイズが小さいフィルタフレーム680が配設されている。フィルタフレーム680は、リム460a内でフィルタ676に対して固定されるように寸法規定されている。フィルタフレーム680は、ポスト672に解除可能に固定されている。
図36Aおよび図37を参照して説明する形態は主として、容器430内の特性を測定するモジュール570内部のセンサの能力に対してフィルタ676の存在がそれほど大きく影響しない場合に用いられることが了解されるものとする。たとえば、滅菌ガスがフィルタ676を通って流れると、滅菌ガスの濃度は低下する可能性がある。容器430の内側におけるこの滅菌ガスの濃度の正確な測定結果が必要な場合、容器は、最初に説明した図23のバルブ450を具備するものとする。これは、容器の空隙からモジュールセンサまでの滅菌ガスの流れに対して、このバルブ450が開かれている場合は、何ら障壁とはならないためである。
図36A〜図36Eおよび図37は、図23のバルブロックアセンブリ499に類似するとともに、同じ参照番号に添え字「a」を付けて識別される類似の構成要素を具備する別のバルブロックアセンブリ499aをさらに示している。図23のバルブロックアセンブリ499が一般的に、バルブプレート472の一方向の回転を阻止して、反対方向の回転を許可するように動作可能であるのに対して、バルブロックアセンブリ499aは一般的に、バルブプレート472aの時計回りおよび反時計周りの両方向の回転を阻止するように動作可能である。より具体的には、図23のバルブプレート472が8つの窪み490を有し、各窪み490がピン502のランプに沿った摺動および当該窪み490からの滑り出しを可能にする壁またはランプ部を具備するのに対して、バルブプレート472aは、4つのボア490aを含むものの、いずれのボア490aにもランプを含んでいない。むしろ、各ボア490aは、バルブプレート472aのリム476aから半径方向内方に、接線方向と垂直に延びた対向壁を具備しており、ピン502は、壁を接触させるとともに、バルブプレート472aの如何なる方向の回転も禁止するように構成されている。
図36Bおよび図36Cを参照して、センサモジュール570がバルブ450aに取り付けられると、バルブ450aは、バルブロックアセンブリ499aが容器430の内部からのアクセスを受けて、バルブキャップ452a等の静的な容器構造からバルブプレート472aが解放された場合にのみ、閉塞状態から開放状態へと移動可能である。一例において、容器430は、蓋440および本体432を具備しており、バルブロックアセンブリ499aは、蓋440が本体432から取り外された場合にのみアクセス可能である。このため、バルブロックアセンブリ499aは、係合されると、容器の滅菌が損なわれた状態となるまでアクセス不可能である。
より具体的には、図36Bに示すように、上方に向かう力をピン502aのヘッド508aに印加することにより例示的なバルブロックアセンブリ499aが動作し、これによって、ピン502aが固定されたボア490aから当該ピン502aが後退するようになっていてもよい。このバルブプレート472aから離れる方向のピン502aの移動により、バルブプレート472aは、センサモジュール570の第1の位置から第2の位置への回転によって、(図36Cに示すように)閉塞状態から開放状態へと回転可能である。当然のことながら、バルブロックアセンブリは、上述のピン機構以外の他の構成も考えられる。
図36Cを参照して、センサモジュール570は、ピン502aをボア490aから手動で引き出した後、センサモジュール570をその第1の位置から第2の位置まで回転させることによって、閉塞状態から開放状態へと回転している。このように回転すると、ピン502aは解除された後、以下に詳しく説明する通りバルブプレート472aが閉塞状態に戻るまで、バルブプレート472の外周面上に存在可能であるが、この時点では、再びボア490aと一致してボア490a中へと付勢されるまで外周面上に載り続けるため、時計回りおよび反時計周りの両方向の移動が防止される。この例において、この移動は、モジュールアイコン577がベゼルプレート520上のバルブアイコン538と一致してバルブ450aが開放状態に位置決めされるまで、容器の内部の視点からは反時計回りの方向になされ、容器の外部の視点からは時計回りの方向になされる。プレートコア522からは、容器外部パネルに向かって、任意選択としての少なくとも1つの回転ストッパ579(図26においては1つを示す)が延びており、モジュールアイコン577がバルブアイコン538と一致してバルブ450aが開放状態に位置決めされた場合には、タブ596および/または598と係合するように位置決めされて物理的な回転ストッパとなり得る。センサモジュール570がベゼルプレート520に対してこの回転配向となった場合、タブ596および598は、プレートコア522の下側に配設される。このベゼルプレート520に対するタブ596および598の位置決めは、センサモジュール570を容器430に対して解除可能に保持するのに役立つ。
図36Dおよび図36Eを参照して、滅菌プロセスが完了し、所望の滅菌レベルの実現を保証する閾値プロセス条件に器具が曝されたものと判定されたら、センサモジュール570を容器430から取り外すことができ、バルブロックアセンブリ499aは、汚染されたセンサモジュールが容器430に取り付けられて容器の内部および滅菌した器具と流体連通することのないように防止可能である。このステップは、まず、センサモジュール570をその第2の位置から第1の位置へと反時計回りに回転させ、これによって、バルブプレート472aを開放状態から閉塞状態へと反時計回りに回転させることにより実行され、センサモジュール570のタブ596、598(図29)がベゼルプレート520の切り欠き526、528(図27)と一致して、センサモジュール570をバルブプレートから取り外すことができる。特に興味深いこととして、バルブプレート472aが閉塞状態に戻っていることから、バルブプレート472aのボア490aがバルブキャップ432のボア468aと一致するため、ピン502aがロック位置で両ボア490a、468aに受容されることになる。この例においては、バネ504aがピン502aの一部をボア490a中へと移動させ、バルブロックアセンブリ499aがバルブプレート472aと係合して、バルブプレート472aの如何なる方向の回転も防止する。この点においては、センサモジュール570がバルブ450aから取り外された後、汚染されたセンサモジュールがバルブ450aに取り付けられる可能性があるものの、バルブロックアセンブリ499aがバルブプレート472aの閉塞状態から開放状態への移動を防止するため、汚染されたセンサモジュールが容器の内部および内部に含まれる滅菌された手術器具と流体連通してしまうことも防止される。ここでも、上記の通り、バルブロックアセンブリ499aは、容器430の内部のみからアクセス可能であり、バルブロックアセンブリ499aがバルブプレート472aから開放され、バルブプレート472aは、蓋440が本体432から取り外された場合に、閉塞状態から開放状態へと回転可能である。
より詳細に、バルブプレート472aは、窪み488が再びリブ458と位置決めされて配置されるように回転する。波形ワッシャ492は、貯まっているポテンシャルエネルギーを解放する。このポテンシャルエネルギーによって、プレートベース474は、Oリング470に対して押し戻される。こうして、バルブ450aは、閉塞状態に戻る。バルブ450aがこのように位置決めされた場合のみ、タブ596および598はそれぞれ、ベゼルプレートの切り欠き526および528と位置決めされる。タブ596および598がこの回転配向の場合のみ、センサモジュール570を容器430から取り外すことができる。このように、バルブ450aが閉塞状態に戻った後にのみ、センサモジュール570を容器430から取り外せるように構成されている。
センサモジュール570が滅菌容器430から取り外された後、プロセッサ546は、通知デバイスの作動を継続して、容器430および/または内部の器具の状態を伝達する。前述の例の続きとして、通知デバイスは、容器430中の器具60に対して所望の滅菌レベルが実現されたことを示す光を発するように構成されたLED548である。このため、滅菌された一組の器具60にアクセスしたいHCPは、センサモジュールが取り付けられた容器を確認する必要がない。HCPは、容器中の器具60に対して所望の滅菌レベルが実現されたことを発光によって示すLED548等の通知デバイスが起動された容器430を確認すればよい。
容器430中の器具60を使用する際には、蓋440が取り外される。センサ545は、蓋が取り外されたことを示す信号をプロセッサ546に与える。この信号の受信に応答して、プロセッサ546は、この容器システムにより形成された滅菌障壁の破棄により、容器中の器具が無菌であることを示す信号を以降与えないように、LED548等の通知デバイスをリセットする。
上述の例示的なセンサモジュールは、容器内の滅菌ガスの濃度、温度、および圧力に基づいて、滅菌プロセス中に容器の内部の特性を測定するように構成されているが、別の例示的なセンサモジュールでは、1つもしくは複数の熱質量の温度測定結果、滅菌プロセス中の圧力測定結果、滅菌プロセスの長さ、ならびに/またはこれらの任意の組み合わせを考慮して計算された蒸気飽和状態に基づいて、所望の滅菌レベルが実現されたかを判定することができる。1つまたは複数のセンサモジュールの使用により、滅菌ガスの濃度、温度測定結果、圧力測定結果、1つもしくは複数の熱質量の温度測定結果、滅菌プロセス中の圧力測定結果、ならびに/または滅菌プロセスの長さの任意の組み合わせに基づいて、容器内の滅菌プロセス条件を決定可能と考えられる。
ある例示的なセンサモジュールは、滅菌プロセス中に容器の内部の特性を測定するとともに、1つもしくは複数の熱質量の温度、滅菌プロセス中の圧力、滅菌プロセスの長さ、ならびにこれらの任意の組み合わせに基づいて、蒸気飽和状態を決定するように構成可能である。
死滅がより困難と考えられる微生物を破壊するために蒸気の温度を上げるには、大気圧よりも高い圧力が必要である。所要温度および時間の飽和蒸気は、滅菌対象のアイテムのあらゆる表面に達して浸透するはずである。蒸気は、最初の所定の圧力で容器に進入した場合、容器内の器具および容器の内面等、いく分冷たいアイテムとの接触によって凝縮する。この凝縮によって熱が放出され、同時に、容器の内部に露出した表面が加熱・浸潤される。器具は、最低規定温度での最小時間にわたる湿式加熱への曝露によって、適正な滅菌を与える必要がある。たとえば、ある種の器具では、270°Fでの4分間にわたる100%飽和蒸気への曝露によって微生物を破壊した後、20分間の退避による容器内の器具の乾燥によって、凝縮が容器内に蓄積されないようにすることが必要となる場合がある。対象とする微生物を適正に死滅させるとともに所望の滅菌レベルの実現を保証するように、容器内のすべての部分および容器全体において、最低温度−時間および蒸気濃度の関係が閾値プロセス条件として維持される必要がある。微生物を破壊するための時間、温度、および蒸気濃度は、容器内で測定される多くの特性によって決まる。たとえば、容器内の内容物の内部空洞のサイズ、表面積、熱質量、配向、および深さのほか、容器の蒸気浸透特性が微生物の破壊効率に影響を及ぼし得る。滅菌の理想的な蒸気は、100%飽和蒸気である。飽和蒸気(100%相対湿度)は、熱容量が大きく、霧状ミストの形態の水が存在しない。蒸気飽和状態は、既知の質量の温度変化速度に基づいて決定可能である。
図38Aは、滅菌プロセス中に容器内の特性を測定する別の例示的なセンサモジュール692を示している。測定特性としては、容器内外の複数の熱質量の温度プロファイル、容器内外の圧力、滅菌プロセスの長さ、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。上述のセンサモジュールのうちのいくつかは、滅菌ガスの濃度を測定するように構成されたセンサアセンブリを備えるものの、このセンサモジュール692は、器具60aが曝露される蒸気(水蒸気)の蒸気飽和状態を測定するように構成されたセンサアセンブリ690を具備する。飽和蒸気熱は、微生物の破壊に使用可能な一種の滅菌ガスである。
センサアセンブリ690は、前述の図21および図22の容器430に類似する容器430aの内部の蒸気飽和状態を測定するように構成されている。より具体的に、センサアセンブリ690は、容器430aの内外いずれかに配設された1つまたは複数の対応する熱質量に結合された1つまたは複数の温度センサを備える。
図38Aに示す模式的な例を参照して、センサアセンブリ690は、この形態において対応する温度センサ704をそれぞれ有し得る複数の器具60aの少なくとも一部を含む複数の熱質量702を備え得る。より具体的に、センサアセンブリ690は、容器430aの外面に取り外し可能に取り付けられたセンサモジュール692を備える。モジュール692は、モジュール570と同じ基本ハウジングを有する。以下で明らかにする理由から、モジュール692には、センサが存在していなくてもよい。モジュール692は、プロセッサ650に類似のプロセッサ694を具備し得る。熱質量702はそれぞれ、対応する器具60aの少なくとも一部において位置付け可能であり、器具60aの本体698の少なくとも一部を含む。いくつかの例においては、器具の本体698が熱質量であり、器具以外の他の熱質量の温度はモニタリングされない。さらに、センサアセンブリ690は、器具60aのうちの対応する1つの本体698の内部に配設された1つまたは複数の温度センサ704を備え得る。
温度センサ704は、熱質量702の温度を示す信号をプロセッサ694に送信するようにしてもよい。この測定特性は、熱質量の温度のほか、熱質量702の温度の経時的な変化速度を用いて熱質量702の周囲環境における蒸気の状態を決定することができるため、有用である。特に、熱質量702が器具60aの一部であることから、温度センサ704からの測定結果によって、器具60aが曝露される蒸気環境の性質に関するデータがもたらされる。たとえば、いくつかの滅菌プロセスにおいて、有効と考えられるプロセスの場合、器具は、所定の時間にわたって、所定の圧力の飽和蒸気環境中に置く必要がある。飽和蒸気環境では、室のガスの大部分が水蒸気(蒸気)であり、空気を通常構成するガスはごく微量である。このため、温度センサ704および/または圧力センサからの測定結果に基づいて、プロセッサ694は、所望の滅菌レベルの実現を保証する閾値プロセス条件に器具60aが曝されたか否かを判定する。
蒸気滅菌プロセス中に温度センサ704から受信した信号に基づいて、プロセッサ694は、熱質量702の温度変化速度、熱質量702のピーク温度、容器内の圧力、またはこれらの任意の組み合わせを決定する。プロセッサ694は、たとえば参照ルックアップテーブルに格納されたデータに対する測定結果の比較または適当なアルゴリズムによって、滅菌プロセス条件を示す実験的に決定された要件を測定結果のいずれかが満たすかを判定することができる。このように、たとえば蒸気飽和状態を裏付ける対応器具の既知の変化速度に対して、器具60a内に配設された熱質量702の温度変化速度を比較することにより、プロセッサ694は、器具が適正に滅菌されたかを判定することができる。同様に、有効な状態の実現を裏付ける既知のピーク温度に対して、熱質量702のピーク温度を比較することにより、プロセッサ694は、器具60aが適正に滅菌されたかを判定することができる。
温度センサ704は、無線または有線伝送によって、信号をプロセッサ694に送信可能である。図38Aに示す例において、温度センサ704は、導電体708、710上で信号をプロセッサ694に送信する。特に、導電体708は、センサ704からハンドピース本体698を通って延長可能であり、他方の導電体710は、前者の導電体708に結合可能であるとともに、容器430a内に配設可能である。言い換えると、導電体710は、器具60aからモジュール692まで延びる。導電体708を導電体710に接続する端子および導電体710をモジュールプロセッサ694に接続する端子については、図示していない。
図38Bは、容器内外の最大単一熱質量の温度特性、容器内外の圧力、滅菌プロセスの長さ、またはこれらの任意の組み合わせ等、滅菌プロセス中に容器内のさまざまな特性を測定する別の例示的なセンサモジュール692’を示している。センサモジュール692’は、図38Aの温度センサモジュール692の構成要素に類似し、同じ参照番号にプライム記号(’)を1つだけ付けて識別される複数の構成要素を備える。ただし、図38Aのセンサアセンブリ690は、対応する温度センサ704を含む別個の器具60aの形態の複数の熱質量702を備えるものの、センサアセンブリ690’は、容器内に配設された唯一最大の熱質量と、これに結合された1つまたは複数の温度センサ704’とを備える。言い換えると、滅菌容器内に配設された唯一最大の熱質量に結合されているのは、容器内の温度センサのみである。特に、最大の熱質量は、器具60a’および当該器具60a’を保持するラック62の組み合わせを含み得る。温度センサ704’としては、器具60a’および当該器具60a’を保持するラック62に結合されたサーミスタが可能である。最大熱質量の熱質量を測定することにより、最大熱質量が閾値プロセス条件に達した場合は、小さな熱質量が容器中に存在すること、すなわち、小さな器具も閾値プロセス条件に達したことを合理的に認識することができる。
図38Cを参照して、さらに別の例示的なセンサモジュール692’’は、図38Aの温度センサモジュール692の構成要素に類似し、同じ参照番号に2つのプライム記号(’’)を付けて識別される複数の構成要素を備え得る。ただし、図38Aのセンサアセンブリ690は、容器430a内に複数の熱質量702および対応する温度センサ704を備えるものの、センサアセンブリ690’’は、容器430a’’の外側に配設された唯一最大の熱質量702’’と、これに結合された1つの対応する温度センサ704’’とを備える。ただし、容器の外部かつ滅菌デバイス内に配設された1つまたは複数の熱質量には、2つ以上の温度センサを結合可能である。
蒸気滅菌プロセス中に温度センサ704’’のうちのいずれか1つまたは複数から受信した信号に基づいて、プロセッサ694’’は、熱質量の温度変化速度、熱質量のピーク温度、またはこれらの任意の組み合わせを決定することができる。プロセッサ694’’は、たとえばルックアップテーブルに格納されたデータに対する測定結果の比較によって、測定特性のうちのいずれか1つまたは複数が閾値プロセス条件を満たすか超えるかを判定することができる。このように、たとえば所望の滅菌レベルまで器具を除染するように実験的に決定された対応する閾値プロセス条件に対して、熱質量の温度変化速度等の測定特性を比較することにより、プロセッサ694’’は、所望の滅菌レベルが実現されたかを判定することができる。同様に、有効な滅菌条件を裏付ける既知のピーク温度に対して、熱質量のピーク温度を比較することにより、プロセッサ694’’は、器具60a’’が閾値プロセス条件に曝されたかを判定することができる。プロセッサ694’’は、所望の滅菌レベルが適正に実現されたと判定した場合、信号を1つまたは複数の通知デバイスに送信してその旨を伝えることができる。いくつかの例および器具構成においては、(熱質量に結合されていない)前述の絶対圧センサ、滅菌剤濃度センサ、および滅菌剤/ガス温度センサ等の付加的なセンサをセンサアセンブリ690、690’、および690’’に追加することによって、プロセッサへのデータ入力ひいては滅菌プロセス条件の測定および決定の精度を向上させるようにしてもよい。
温度センサは、無線または有線伝送によって、信号をプロセッサ694’’に送信可能である。図38Cに示す例において、温度センサ704’’は、導電体710’’上で信号をプロセッサ694’’に送信する。
電気的ガス濃度センサ、温度センサ、および/または圧力センサの追加または代替として、他の例示的なセンサとしては、1つまたは複数の非電気的ガス濃度センサが挙げられる。非電気的ガス濃度センサの例としては、(1)容器内の滅菌ガスの濃度の測定ならびに/または(2)所望の滅菌状態の観点からの器具の状態の示唆もしくは伝達という組み合わせ機能を提供可能な生物学的インジケータ(BI)および/または化学的インジケータ(CI)が挙げられる。あるいは、BIおよび/またはCIは、LED、ボタン、または他の適当な通知デバイス等、後述のいずれか1つまたは複数の通知デバイスと協働して、器具の状態を伝えることができる。
BIとしては、滅菌剤に耐える一連の生胞子が挙げられる。これら胞子の一部は、滅菌ガスに曝露される乾燥胞子片、膜に包まれたディスク、封止バイアルまたはアンプル中に配設されていてもよい。胞子の別の部分は、滅菌ガスに曝露されない比較参照サンプル中に配設可能である。HCPおよび/またはカメラ等の走査デバイスは、BI、温度、圧力、および/または経過時間を解析して、容器の滅菌条件を決定することができる。
BIは、所望の滅菌レベルの保証に必要な閾値プロセス条件に対応する物理的および化学的条件が満たされているかを単に判定するのではなく、最も耐性の強い微生物(たとえば、ジオバチルス(Geobacillus)またはバチルス(Bacillus)種)が存在するかを判定するように構成されていてもよい。BIに用いられる胞子は耐性が強く、器具上に見られる一般的な微生物汚染物質よりも多く存在するため、不活性化BIは、器具上の他の低耐性病原体も死滅したことを示し得る。
CIとしては、滅菌ガス、温度、および/または圧力に感応して容器内の環境を評価する化学物質が挙げられる。例示的なCIとしては、所与のパラメータに達した場合に急激に変色するように構成された感熱テープが挙げられる。別の例示的なCIには、媒体と、媒体内の所定位置に配置され、滅菌ガスによる媒体の浸透を保証することにより、容器内の器具のすべての部分に滅菌ガスが達したことを表す内部化学的インジケータとを含み得る。単一パラメータの内部CIは、1つの滅菌パラメータのみに関する情報を提供可能であり、蒸気、乾熱、および/または不飽和薬品蒸気に使用可能である。多重パラメータ内部インジケータは、2つ以上のパラメータを測定可能であり、滅菌条件が満たされたことをより確実に示すことができる。CIの例としては、(1)1つまたは複数の滅菌パラメータに曝された場合に変色するインクで印刷されたテープ、ラベル、および紙片ならびに/または(2)所望のプロセスパラメータ下で経時的に融解して毛管作用で運ばれるインクまたは薬品タブレットを一端に有するウィッキング紙が挙げられる。適正な滅菌パラメータが満たされた場合は、インクまたはタブレットからの色の毛管作用によって、紙上の所定の「許容」エリアに達するカラーバーが生成され得る。
後述の通り、1つまたは複数のBIおよび/またはCIが(1)容器等の滅菌筐体内に配設され、(2)筐体の外面に取り外し可能に結合される一方で筐体の内部とは流体連通され、(3)容器から空気流阻止カニューレを通ってBIおよび/またはCIまで運ばれる滅菌ガスに曝露され、(4)上述のセンサモジュール内に配設され得る。以下、BIおよびCIは、プロセスインジケータ「PI」と総称する。したがって、以下の「PI」に関する如何なる言及も、BI、CI、またはこれらの組み合わせを表すものと解釈されるべきである。
図39および図40を参照して、センサモジュール570’の別の例は、1つまたは複数のPI57’を備え、容器430’の外面に取り外し可能に結合されている。このセンサモジュール570’は、図22、図23、および図30に示すセンサモジュール570の構成要素と実質的に同様で、同じ参照番号にプライム記号(’)を1つだけ付けて識別される複数の構成要素を備えていてもよい。ただし、センサモジュール570は、対応する空隙616に受容された2つの温度センサ620を備えるものの、この例示的なセンサモジュール570’は、その1つまたは複数の透明窓53の背後に配設された1つまたは複数のPI57’を有し得る(図40参照)。したがって、HCPは、透明窓53を通じてPI57’を読むことができる。当然のことながら、センサモジュール570は、透明窓を具備していてもよいと考えられる。透明窓の形状および構成は、センサモジュールが滅菌容器に結合された場合に、滅菌器内の滅菌条件に耐え得るとともに、センサモジュール内の滅菌環境を維持し得る限り、特に限定されない。窓のサイズおよび配向についても、特に限定されない。
センサモジュール570と同様に、センサモジュール570’は、容器430’に組み込まれたノーマルクローズバルブ450’に対して、無菌で取り外し可能に結合することができる。特に、この容器430’は、滅菌中にPI57’が容器430’中の滅菌ガスに曝露されるように、滅菌プロセスに先立ってセンサモジュール570’が容器430’に結合された場合に開かれるノーマルクローズバルブ450’を備えていてもよい。また、バルブ450’は、滅菌プロセス後にセンサモジュール570’が容器430’から取り外されたことに応答して閉じられるため、センサモジュール570’が容器430’から無菌で取り外されるとともに、汚染物質がバルブ450’を通じて容器430’に進入することが防止される。
図41は、ノーマルクローズバルブ450’の代わりにトラップドア機構750が設けられた別の例を示している。特に、トラップドア機構750は、センサモジュール570’が容器430’に結合された場合に、PI57’を容器内の滅菌ガスに曝露するように構成されている。より具体的に、トラップドア機構750は、開口部752を規定するパネル436’と、パネル436’に結合され、閉塞位置に移動して開口部752を密封閉塞するように構成されたドア754とを備え得る。トラップドア機構750は、ドア754を閉塞位置に移動させるように構成されたバネ等の付勢部材756をさらに備え得る。さらに、トラップドア機構750は、ドア754を閉塞位置に保持またはロックするように構成されたロック機構758も備え得る。特に、ロック機構758は、パネル436’に結合され、ドアを閉塞位置に保持するように係止位置へと移動可能であるとともに、係止位置への移動によって、センサモジュール570’が容器430’から取り外された場合にドア754を密封閉塞する付勢部材756に結合されたラッチ760を備え得る。ロック機構758は、容器430’内に配設され、取り外しまたは汚染後のセンサモジュール570’が容器430’に再挿入または再取り付けされることのないように容器からのみアクセス可能に構成された取っ手762をさらに備え得る。
滅菌プロセスが完了した後、HCPは、PIの解析によって、滅菌中のPIの特性ひいては容器の特性を決定することにより、所望の滅菌レベルの実現を保証する閾値プロセス条件に器具が曝されたかを判定可能であり、これがHCPに伝えられる。ただし、他の通知デバイスによる伝達にPIを利用する場合は、別のステップを実施可能である。一例において、HCPは、PIを読み、PIの状態に基づいて容器内の特性を決定し、この特性を容器の外面に手動で記録することができる。HCPは、容器の外面にラベルを取り付けるようにしてもよく、このラベルは、容器の内部の滅菌条件を示す一意の識別情報を含み得る。より具体的に、HCPは、入力装置を用いてPIの状態を入力することができ、ユーザインターフェースに結合された機械によって、容器の滅菌条件に対応するバーコード、QRコード(登録商標)、または英数字識別子を含むラベルを印刷可能であるとともに、HCPがこのラベルを容器に取り付けることができる。
他の例においては、PIの画像を捕捉するように構成されたカメラ65’等の画像認識デバイスにより、PIの状態が変化して滅菌プロセス中の容器の特性および/または器具の状態を示しているかの判定を補助することができる。特に、PIが容器の内側に位置付けられるとともに容器が窓を含まない場合等、PIが見えない例において、カメラ65’は、滅菌プロセス後、容器が開かれてPIにアクセス可能となる前に、PI等のセンサの画像を捕捉することができる。図41に示す例において、カメラ65’は、容器の外部のPI57’を読んでPIの識別または読み取りに役立つように位置決めされていてもよい。プロセッサ67’をカメラ65’に結合して、画像に対応するデータを受信することができる。プロセッサ67’は、画像の実験データとの比較またはメモリに格納されたアルゴリズムの利用によって、PIまたはセンサの状態および/または測定結果が、所望の滅菌レベルを保証する閾値プロセス条件に対応するかを判定することができる。この比較に基づいて、プロセッサ67’は、後述の通り、無線または有線伝送によって信号を任意適当な通知デバイスに送信することにより、結果を容器に伝えることができる。
図42Aを参照して、例示的な容器430’’は、図21に示す容器430の構成要素と実質的に同様で、同じ参照番号に2つのプライム記号(’’)を付けて識別される本体432’’等の構成要素を備える。ただし、この例において、本体432’’は、透明窓53’を含む。また、容器432’’は、光源55’およびPI57’をさらに備えるが、これらは、容器430’’内の滅菌ガスにPI57’が直接曝露されるように、容器430’’内への配設および/または容器430’’への結合がなされている。容器430’’は、蓋70’’を開放して無菌障壁を損なうことなく、HPCが透明窓53’を通じて容器内のPI57’および/または器具の状態を視認できるように、窓53’に隣接してPI57’を容器430’’の内側に取り付けるように構成されたホルダ59’または取り付けブラケットをさらに備えていてもよい。上述の通り、透明窓の位置、サイズ、配向、および構成は特に限定されておらず、窓は、滅菌容器の壁および/または蓋のいずれに位置付けられていてもよい。
光源57’は、任意選択として、PI57’および内部に位置決めされた器具を最適照射するとともに、HCPによる透明窓53’を通じたPI57’および器具の状態検査を容易化する色のコントラストを与える所定の波長範囲の光を発するように構成可能である。容器430’’は、光源55’に結合されて電力を供給する1つまたは複数のセル61’と、当該セル61’および光源55’を含む回路を閉じて、容器430’’の内部のPIおよび/または器具へと光を発するように構成されたスイッチ63’とをさらに備え得る。特定の例においては、光源55’が省略されていてもよい。
滅菌プロセスの完了後は、透明窓53’を通じた検査によるPI57’の解析によって、容器430’’内の滅菌条件を決定することができるため、結果をHCPに伝えるのに役立つ。特定の例において、光源55’は、HCPによる選択的な作動によって、無菌障壁を損なうことなく、HCPがPI57’を読み取り、これを考慮して容器内の滅菌プロセス条件を決定することを補助し得る。
さらに、PI57’は、経時的に容器430’’へと進入する滅菌ガスの特性を測定するように構成されていてもよい。このような例において、容器430’’は、滅菌プロセス中に所定の時間間隔でPI57’の画像を捕捉するように構成されたカメラ65’等の画像認識デバイスを備えることにより、PI57’の状態が変化して閾値プロセス条件の満足または超過となったタイミングのHCPによる決定を容易化することができる。
特に、カメラ65’は、滅菌プロセスの最後またはその近くの時間間隔でPI57’の画像を捕捉することができる。プロセッサ67’をカメラ65’に結合して、画像に対応するデータを受信することができる。プロセッサ67’は、画像を実験データと比較することも可能であるし、メモリに格納され、所望の滅菌レベルに対応するPIの状態を示すアルゴリズムを利用することも可能である。この比較に基づいて、プロセッサ67’は、後述の通り、無線または有線伝送によって信号を任意適当な通知デバイスに送信することにより、容器430’’の結果を伝えることができる。
図43を参照して、別の例示的な容器50’’は、図1の容器50の構成要素と実質的に同様で、同じ参照番号に3つのプライム記号(’’’)を付けて識別される複数の構成要素を備えていてもよい。ただし、容器50’’’は、内部を通ってPI57’に至る滅菌ガスの流れまたは伝搬を妨げるバッフルまたは空気流阻止カニューレ51’’をさらに備えていてもよい。カニューレ51’’は、滅菌容器の壁および/または蓋のいずれか等、任意適当な場所で任意適当に、容器50’’’に対して無菌で取り外し可能に結合可能である。また、カニューレ51’’は、容器の外壁に取り付けられていてもよい。このように滅菌ガスの流れを妨げることにより、許容可能な滅菌プロセス条件が存在するかの判定の信頼性が向上する。これは特に、妨げによって、器具の最外露出面よりも容器への露出がいく分少ないと考えられる器具の凹部の滅菌が模擬され、これに対応するためである。
特に、カニューレ51’’は、管路61’’と、PI57’への滅菌ガスまたは蒸気の伝搬を妨げる狭隘または複雑な通路55’’とを備え得る。この例において、カニューレ51’’の通路55’’は、容器50’’’と直接流体連通したポート59’’を有する一端で終端する。通路55’’は、PI57’と連通する他端をさらに備え得る。PI57’は、狭隘な通路55’’に沿って、ポート59’’から離隔して配設可能であり、内部の滅菌ガスは、PI57’に達するため、ポート59’’および通路55’’の少なくとも一部を伝搬する必要がある。あるいは、PI57’は、カニューレ51’’の他端に位置付け可能である。こうして、いずれにしろ、滅菌ガスは、通路55’’に取り込まれた空気を変位させてPI57’へと達する必要があり、これは、器具の表面により規定された窪みまたはポケットに取り込まれた空気の変位または空気を通る伝搬によって当該表面を滅菌することに対応する。この通路55’’内に配設されたPI57’は、容器内または容器の外側に配設されたPIよりも、滅菌ガスへの曝露にいく分長い時間を要し得る。後者のPIは、それに達する前の如何なる通路も伝搬する必要のない滅菌ガスに対して、容器および滅菌器内で直接曝露されるためである。したがって、狭隘な通路に沿って配設されたPIまたは狭隘な通路の他端に配設されたPIを含む容器の場合、必要なPIは1つだけである。狭隘な通路に配設されたPIは、容器内に配設されたPIまたは容器の外側に配設されたPIと比較して、適正な滅菌プロセス条件が得られたかの判定の信頼性を向上可能なためである。
特に、容器50’’’は、ポート59’’に結合されるとともにカニューレ51’’に取り外し可能に結合されるノーマルクローズバルブ450’’’を備え得る。カニューレ51’’は、ノーマルクローズバルブ450’’’に取り外し可能に結合可能であり、これは、カニューレ51’’に応答して開放されるように構成可能である。さらに、ノーマルクローズバルブ450’’’は、無菌障壁がもたらされるように、カニューレ51’、通路53’’、またはPI57’を含む筐体が当該バルブ450’’’から取り外されたことに応答して閉塞されるように構成されている。
PIは、適正な滅菌プロセス条件が実現されたかの判定に使用可能であるが、前述のセンサとの組み合わせまたは代替として用いられるようになっていてもよい。
滅菌プロセスの完了後は、容器および/または器具の状態に対応する信号を電気的または非電気的にHCPへと伝達可能である。センサモジュールは、滅菌プロセス中の容器内の1つもしくは複数の特性ならびに/または容器および/もしくは器具の状態をHCPに伝えるように構成された1つまたは複数の通知デバイスを備える。特性としては、滅菌ガスの濃度、滅菌ガスへの曝露時間、温度、および/または圧力が挙げられる。通知デバイスは、プロセッサに結合可能であるとともに、プロセッサからの信号の受信に応答して、容器の特性ならびに/または容器および/もしくは器具の状態を伝達するように構成可能である。
一例においては、無菌障壁を損なうことなく、容器内に配設された1つまたは複数のセンサがプロセッサ384(図11)ならびに/または1つもしくは複数の通知デバイスと無線で連通して、通知デバイスの作動により、容器内の特性ならびに/または容器および/もしくは内部の器具の状態を伝達し得るように、通知デバイスがプロセッサ384と連通可能である。もう一例として、プロセッサ384は、光学センサアセンブリ202、202’、202’’、202’’’のうちのいずれか1つまたは複数からの信号を受信し、滅菌プロセス条件に対応する実験的に収集されたデータに対して、滅菌ガスの測定濃度を比較することができる。プロセッサ384は、所望の滅菌レベルを保証する実験的に決定された閾値プロセス条件を測定濃度が満足または超過すると判定した場合、LED268、270等の通知デバイスを作動させて、所望の滅菌レベルまで除染されている容器および/または器具の状態を伝達することができる。別の例として、プロセッサ67’(図41および図42)は、カメラ65’から、滅菌プロセス中のPI57’の捕捉画像に対応する信号を受信可能である。プロセッサ67’は、所望の滅菌レベルを保証する閾値プロセス条件を示す実験データにこれら画像のうちの1つが対応すると判定した場合、LED69’を作動させて、器具が所望の滅菌レベルまで除染されたことを示し得る。ただし、通知デバイスは、センサの手動検査に応じたHCPによる作動または任意適当なセンサからの受信信号に応じた種々プロセッサによる作動が可能である。例示的な通知デバイスについては、以下に示す。
図11に戻って、例示的なセンサモジュール102は、複数の通知デバイスを備えることができ、プロセッサ384に結合されて、滅菌プロセス中の容器50内の特性ならびに/または容器および/もしくは内部の器具の状態を示す光を発するように構成された2つのLED268、270が挙げられる。一例として、LED268は、閾値プロセス条件を満たさない容器50の測定特性を示す赤色光を、この条件に対応する信号をプロセッサ384から受信したことに応答して発するように構成可能である。さらに、LED270は、閾値プロセス条件を満たす容器50の特性を示す緑色光を、これに対応する信号をプロセッサ384から受信したことに応答して発するように構成可能である。
図4を参照して、LED268、270はそれぞれ、シェル上面パネル154に形成されたボア164それぞれに固定可能である。より具体的には、図4に例示するように、LED270が関連するボア164に固定されていてもよく、Oリング272がLED270を囲む。Oリング272は、LED270とボア164を規定するパネルの隣接内側円筒壁との間を封止する。同様に、LED268は、関連するボアへの固定および対応するOリングによる包囲によって、LED268とボア164を規定するパネルの隣接内側円筒壁との間を封止することができる。LED268、270は、容器50および/または器具の対応する状態を示す異なる色の光を発する。センサモジュールの他の例(図示せず)としては、任意色の光を定常状態または間欠パターンで発して容器の任意の特性を示すように構成された任意数のLEDが挙げられる。
図44Aおよび図44Bを参照して、別の通知デバイスまたはフィルタ存在通知デバイスは、一旦作動したら電力が不要なため、セル288(図8)等の電源の電力が節約される電気機械式通知デバイス1500を備える。通知デバイス1500は、許容可能な状態を示す位置および否定的な状態を示す位置という少なくとも2つの異なる位置を仮定するように構成されている。より具体的に、許容可能な状態を示す通知デバイス1500は、所望の滅菌レベルを保証する閾値プロセス条件が実現されたことまたはフィルタが存在することを示し得る。否定的な状態を示す通知デバイス1500は、所望の滅菌レベルを保証する閾値プロセス条件が満たされていないことまたはフィルタが存在しないことを示し得る。一例において、通知デバイスは、容器50に結合されたボタン1501を備える。ボタン1501は、許容可能な状態を示す上昇位置および許容不可能な状態を示す下降位置へと移動可能である。通知デバイス1500は、ボタン1501を上昇位置へと移動させるように構成されたコイルバネ等の付勢部材1502と、ボタン1501に隣接して下降位置に保持するように構成された戻り止め1504とをさらに備える。特定の例において、通知デバイス1500は、戻り止め1504をボタン1501から取り外すソレノイド等のアクチュエータ1506をさらに備え、許容可能な状態が満たされている(たとえば、許容可能な滅菌条件が満たされた)とプロセッサ384が判定した場合またはピン276が開回路を構成してフィルタ媒体410が存在することを示している場合にアクチュエータ1506がプロセッサ384から信号を受信したことに応答して付勢部材1502がボタン1501を上昇位置へと移動させることができる。
図45Aおよび図45Bを参照して、電力を必要としないためセル288(図8)等の電源の電力が節約される機械式通知デバイス1500’の別の例は、機械式通知デバイス1500の構成要素と実質的に同様で、同じ参照番号にプライム記号(’)を1つだけ付けて識別されるボタン1501’、付勢部材1502’等の構成要素を備える。機械式通知デバイス1500’は、無菌保管室内の棚に置かれている場合にユーザが視認できる位置にある容器に結合されているのが好ましい。ただし、図44Aおよび図44Bに示す付勢部材1502がボタン1501を上昇位置へと移動させるように構成されているのに対して、この例示的な通知デバイス1500’の付勢部材1502’は、ボタン1501’を下降位置へと付勢する。この例のフィルタ媒体410は、ボタン1501’を上昇位置に保持することによって、フィルタ媒体410の存在を示す。さらに、容器50は、ボタン1501が下降位置へと移動してフィルタが存在しないことを示し得る開口1504’および/または他の隙間をさらに含む。さらに、フィルタ存在センサの他の構成も考えられる。
図46を参照して、フィルタ媒体410は、光学フィルタ検出器101等の非機械的なフィルタ検出器によっても検出可能である。光学フィルタ検出器101は、図示のように、容器、センサモジュール等の構成要素に組み込まれていてもよい。光学フィルタ検出器101は、前述のプロセッサまたは他のプロセッサのうちの1つへと信号を送信することができ、プロセッサがその後、LED268、270の一方もしくは両方または他のインジケータにコマンド信号を送信して発光させるか、あるいは、フィルタ媒体410が存在するかを示す。プロセッサは、ドッキングステーション1000等の場所へ有線または無線通信で信号を送信して、フィルタの有無を含む容器の特性を伝達するように構成された他の通知デバイスを起動させることも可能である。ドッキングステーション1000は、無菌保管室の棚に容器を保持または載置するように構成されていてもよい。
他の例において、ドッキングステーション1000自体は、容器の内部にフィルタが取り付けられているかを検出するように構成されたフィルタ存在センサ1002をさらに備え得る。一例において、フィルタ存在センサ1002は、容器430を走査してフィルタ媒体410が存在するかを判定する光学センサ1004を備え得る。ドッキングステーション1000は、フィルタ媒体410が存在するかを判定できるように、当該ドッキングステーション1000上で光学センサ1004に対してフィルタ開口部86を位置合わせする。
図46を参照して、携帯型リーダ2000の使用により、無菌保管室内で容器を位置特定することができる。携帯型リーダ2000は、蓋70を走査してフィルタ媒体410が存在するかを判定するように構成された光学フィルタ検出器2002を備える。より具体的に、光学フィルタ検出器2002は、容器430の蓋70に形成された1つまたは複数の開口部86との位置合わせにより、これらの開口部86を走査して、蓋70の直下にフィルタ媒体410が存在するかを判定することができる。携帯型リーダ2000は、容器、センサモジュール、および/またはドッキングステーション1000のいずれかのプロセッサと連通して、上記構成要素がフィルタの存在を事前に検出したかを判定するプロセッサ2004をさらに備え得る。
容器は、閉塞容器内、外部センサモジュール内、または空気流阻止カニューレ51’’内のPIの存在を検出するように構成されたPI存在センサをさらに備え得る。PIの存在を確認することの非限定的かつ例示的な利点として、PIを含む容器のみが外科手術用の無菌手術室に運ばれることを保証する。言い換えると、容器にPIがない場合は、外科手術の準備をしているHCPが器具の滅菌を確認できず、器具が滅菌されたことをHCPが確認可能となるまで、1つまたは複数の別の容器を手術室へと運ぶ必要がある。これによって、外科手術が遅延するとともに、病院設備の利用可能なリソースに悪影響が及ぶ可能性がある。
図47Aおよび図47Bを参照して、PI57’が存在する場合には、1つの例示的なPI存在センサ700が発光するように構成されている。特に、センサ700は、図9および図11に示すフィルタ存在検出器209の導電性ピン276等の構成要素と実質的に類似する2つの導電性ピン776等の構成要素を備え得る。PI存在センサ700の導電性ピン776は、PI57’が存在する場合、PI57’の一部に向かって付勢可能である。特に、PI存在センサ700は、導電性ピン776をPI57’に向かって付勢する1つまたは複数のバネ705を具備し得る。さらに、2つのピン776間に延びるPI57’の一部には、ピン776が付勢されて接触した場合に回路703を閉じる箔層等の導電層702を含み得る。PI57’およびその導電層702が存在する場合は、回路が閉じられてPI57’の存在を示すことになる。ただし、PI57’およびその導電層702が存在しない場合は、バネ705がピン776を移動させて非導電性のパッドまたはシェル152に隣接させるため、回路が開いてLED768は発光せず、PI57’が存在しないことを示す。回路には、セル788と、回路が閉じたことに応答して発光することによりPI57’が存在することを示すLED768とをさらに含み得る。
図48Aおよび図48Bを参照して、PI57’が存在しない場合には、別の例示的なPI存在センサ800が発光するように構成されている。センサ800は、図47Aおよび図47Bの存在センサ700と実質的に類似する構成要素を備えるとともに、対応する参照番号を100だけ増やして識別される類似の構成要素を備えていてもよい。ただし、図47Aおよび図47BのPI存在センサ700が導電層702を備えるのに対して、この例示的なPI存在センサ800は、導電層を伴わない非導電材料で構成されている。さらに、図47Aおよび図47Bのセンサ700は、付勢によって導電性のフィルタ媒体410に接触する一対の対向ピン776を備えるものの、センサ800は、PI57’を受容するように構成されたノーマルクローズスイッチ876を備え、PI57’がスイッチ876を開放位置へと付勢する。この例において、PI57’は、その外部に露出する導電層を伴わない非導電材料で構成されている。このため、非導電性のPI57’がスイッチ876内に配設された場合は、スイッチ876が閉じられないため回路は開いたままで、この例においてはLED868である通知デバイスに電流が供給されない。ただし、PI57’が存在しない場合は、スイッチが閉じられて、この形態においてはLED868である通知デバイスに電力が供給されて発光し、PI57’が存在しないことを示す。当然のことながら、PI存在センサの他の構成も考えられる。
他の例示的な容器は、滅菌プロセス条件を伝達するスピーカを具備可能であるものの、スピーカ等の音声放射体は、後述の通り、HCPによって促された場合にHCPが無菌保管室で容器を見つけるのを支援するために用いられるのが好ましいと考えられる。
通知デバイスは、HCPが無菌保管室から容器を効率的に取り出して無菌手術室に運び、外科手術中に使用できるように、容器およびそれに密封して含まれる器具の場所をHCPに警告するようにさらに構成されていてもよい。
LEDを用いて容器の状態をHCPに視覚的に示すことの追加または代替として、スピーカが間欠ビープ等の音声を放出するように構成可能である。LEDおよびスピーカは、前述のセルのいずれかへの結合によって電力を供給することにより、対応する容器およびその内部の器具をHCPが見つけられるようにすることができる。ただし、LEDおよびスピーカは、容器、センサモジュール等のデバイスに組み込まれた他の電源との結合によって、そこから受電することができる。
図42Aを再び参照して、例示的な容器430’’は、HCPが操作するドッキングステーション78’または手持ちのペン型スキャナ80’等のリーダ76’の少なくとも1つの遠隔検出アンテナ74’と無線通信するように構成された遠隔検出可能な要素72’をさらに備え得る。遠隔検出可能な要素72’としては、容器および/または容器内に配設された器具に対応する一意の識別情報を含むRFID素子、バーコード、QRコード(登録商標)、または任意適当な機械可読要素が挙げられる。一例において、一意の識別情報としては、シリアル番号等の一意の識別子が挙げられる。リーダ76’は、指定された無菌器具をHCPが外科手術に使えるように、無菌保管室から取り出され、無菌手術室に運ばれて開封される対応容器内の器具の保管名簿に対応するシリアル番号を示すデータを含む信号を送信することができる。
一例において、通知デバイスは、上述のLED268、270(図11)の一方または両方を備えることができ、間欠的に発光して、無菌保管室内でのHCPによる容器50の探索を支援するようにさらに構成されている。このため、リーダ76’が遠隔検出可能な要素72’に近接したら、通知デバイスのLED268、270は、所定の時間にわたって発光した後、通知デバイスがスリープモードに入った場合にオフとなって、セル288の電力を節約するように構成可能である。
遠隔検出可能な要素72’および通知デバイスは、容器に取り外し可能に結合されたパックまたはディスク状体等の独立型デバイスの一体部品とすることができる。ただし、独立型デバイスは、任意適当な形状を有し得る。リーダ76’は、滅菌プロセス中に上述のセンサのうちのいずれかからプロセッサが信号を受信したことに応答して、データの修正により、容器および対応する器具の滅菌条件を滅菌プロセスの完了後に伝達できるように、滅菌プロセスに先立って、対応する容器および内部の指定器具を伴う遠隔検出可能な要素72’の一意の識別情報を格納するメモリを有し得る。さらに、通知デバイスは、滅菌プロセス測定結果または条件を示す信号をセンサモジュールから受信するように構成可能であるとともに、信号をリーダ76’に送信して、一意の識別情報に対応する信号をリーダ76’が格納し得るようにさらに構成可能である。遠隔検出可能な要素72’および通知デバイスは、上述のセンサモジュールのうちのいずれかの一体部品とすることができる。
センサモジュールは、滅菌プロセス中の容器内の特性ならびに/または器具および/もしくは容器の状態を伝達するように構成された1つまたは複数の通知デバイスをさらに備える。測定特性に基づいて、プロセッサは、所望の滅菌レベルの実現を保証する閾値プロセス条件が満足または超過となったかを判定することができる。通知デバイスとしては、容器の滅菌プロセス条件および/または場所を伝達する上述の同じ通知デバイスのうちの任意の1つまたは複数を含めて、任意適当な通知デバイスが可能である。ただし、センサモジュールは、任意数の他の適当な通知デバイスを備え得る。
図42Bは、所望の手術器具を含む滅菌容器を取り出す方法のフローチャートである。ステップ4200においては、所望の手術器具に対応する検索コマンドをユーザインターフェースに入力する。ユーザインターフェースとしては、タブレットコンピュータ、スマートフォン、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、またはその他の任意適当なユーザインターフェースが可能である。
ステップ4202においては、データベースに結合された制御装置に、ユーザインターフェースから検索信号を送信する。検索信号は、検索コマンドに対応しており、無線または有線通信によって、ユーザインターフェースから制御装置に送信されるようになっていてもよい。一例において、制御装置およびデータベースは、所望の手術器具を有する容器を検索する複数のユーザインターフェースからの複数のリクエストを処理するように構成されたサーバまたは高性能コンピュータの構成要素である。より具体的に、データベースには、複数の参照検索コマンドおよび対応する参照符号化信号を含む参照テーブルが格納されている。参照符号化信号はそれぞれ、容器、これに含まれる手術器具、および/または手術器具の状態を示していてもよい。手術器具の例示的な状態としては、無菌、汚染、または他のさまざまな状態が挙げられる。
ステップ4204においては、検索コマンドに対応する符号化信号を決定する。特に、制御装置は、データベースにアクセスし、参照ルックアップテーブルおよび検索コマンドを利用して、符号化信号を決定することができる。
ステップ4206においては、所望の手術器具を含む滅菌容器に結合された受信機に、制御装置から符号化信号を送信する。一実施形態において、符号化信号は、滅菌容器に結合されたRFIDタグに送信可能である。容器内の手術器具は、これと関連付けられたRFIDタグを有していなくてもよい。また、制御装置は、他の複数の手術容器を有する保管室内の滅菌容器または病院等の医療施設の任意の部分に位置付けられた滅菌容器に達するように、十分な電力で符号化信号を送信することができる。他の実施形態において、滅菌容器および/または手術器具は、無線周波数通信以外のプロトコルと連通する受信機を具備していてもよい。
ステップ4208においては、受信機が符号化信号を受信したことに応答して、所望の手術器具を有する滅菌容器に結合された通知デバイスを作動可能である。通知デバイスとしては、容器に結合された1つまたは複数の光源を含めて、上述の通知デバイスのうちのいずれかが可能である。一例において、光源としては、滅菌容器の外部に位置決めされたLED69’が可能である。別の例において、光源としては、容器の内部に位置決めされ、透明窓53’を通じて視認可能なLED55’が可能である。容器の光源は、オンによって、所望の手術器具を有する容器の場所および/または状態をHCPに視覚的に示すことができる。また、光源は、透明窓53’を通じた手動検査によって確認可能となるように、容器の内部に位置決めされた器具の内容物を照射することができる。これは、最初の投入時に、滅菌容器の内容物が誤ってユーザインターフェースに入力され得る場合に都合が良い。このため、HCPは、所望の手術器具が含まれると考えられる滅菌容器を識別して当該滅菌容器を開けるのであれば、その所望の手術器具を視認することはない。さらに、誤認された滅菌容器は、所望の手術器具を探すHCPによって開封されているため、もはや無菌ではなくなる。滅菌容器の無菌を損なうことなくその内容物を視覚的に検査することによって、この種のリソースを浪費する行為は軽減可能である。
これらの内容物には、所望の手術器具および/またはPI57’を含み得る。一例において、制御装置は、間欠的にオン・オフ点滅するようにLEDを作動し得る。LEDを用いることの追加または代替として、間欠ビープ等の音声を放出するようにスピーカを作動可能である。LEDおよびスピーカは、前述のセルのいずれかへの結合によって電力を供給するとともに、所望の器具を含む対応容器をHCPが見つけられるようにすることができる。
容器の内容物またはこれら内容物の状態が変化した場合は、状態更新コマンドをユーザインターフェースに入力可能であり、この状態更新コマンドは、容器、容器に含まれる器具、および器具の状態を示し得る。そして、通知デバイスの起動により、保管室から所望の滅菌容器を容易に取り出すことができる。ユーザインターフェースは、状態更新コマンドに対応する状態更新信号を制御装置に送信可能である。制御装置は、手術器具および当該手術器具を含む容器に対応する参照符号化信号を更新可能である。
図49Aを参照して、1つの例示的な独立型センサ/通知デバイスは、相変化物質(PCM)デバイス900を備え得る。PCMデバイスは、容器50等の任意適当な滅菌筐体に結合されていてもよいし、滅菌筐体内に配設されていてもよいし、滅菌筐体に隣接していてもよい。PCMデバイスは一般的に、内部に配設された相変化物質が受け取った熱エネルギー量を示すように機能するようになっていてもよく、これは、滅菌器によって滅菌容器内に存在する器具に伝わった熱エネルギー量と相関する。この相関により、HCPは、所望の滅菌レベルの実現を保証する所定の閾値プロセス条件に滅菌容器の器具等の内容物が達したかを判定可能であってもよい。所定の標準的な滅菌を実現する十分な熱エネルギーの一例として4分間にわたる133℃の飽和蒸気が可能であるものの、PCM通知デバイス900は、所定の蒸気滅菌レベルを実現する他の条件が存在するかを示すように構成可能である。さらには、PCMデバイスの使用によって、手術器具の滅菌の状況以外の任意適当なデバイス/システムにおけるプロセス条件をモニタリングすることができる。
図49Aに示すように、PCMデバイス900は、当該PCM通知デバイス900を容器に取り付ける取り付けアセンブリ901を具備する。この例において、PCM通知デバイス900は、容器50の内部に位置決めされている。一例において、取り付けアセンブリ901によれば、PCMデバイスが滅菌容器に対して回転可能となる回転可能取り付けが可能となる。一構成において、取り付けアセンブリ901は、滅菌容器50に対してPCM通知デバイス900を垂直に取り付けるように配置されている。図示の実施形態において、取り付けアセンブリ901は、容器の外部に位置決めされた外部プレート905と、容器の内部に位置決めされた内部プレート907とを具備する。当然のことながら、他種の取り付け構成も考えられる。
プレート905、907はそれぞれ、PCMデバイス900を視認可能な1つまたは複数の透明窓912を有していてもよい。あるいは、透明窓912は、容器50の本体または蓋の任意の部分への組み込みによって、容器50の内部に位置決めされたPCMデバイス900の検査を可能にする。透明窓912は、後述する通り、所望の滅菌レベルに対応する1つまたは複数のマーキングを含んでいてもよい。さらに、PCM通知デバイス900は、容器の内部または容器の外部の任意適当な位置にも位置決め可能であるし、容器の蓋または本体を構成する任意のパネルの一体部分としても位置決め可能であると考えられる。また、PCM通知デバイスは、容器への取り付けが不要であり、容器が滅菌器へと投入される前に当該容器内に配置されるだけであってもよい。
図49Bを参照して、PCM通知デバイス3000の別の実施形態は、図49AのPCMデバイス900に類似している。ただし、図49AのPCM通知デバイス900が容器50の内部に配置されるのに対し、PCM通知デバイス3000は、容器の外部に位置決めされている。一例として、PCM通知デバイス3000は、前面パネルまたは側面パネルの外面に結合可能である。別の例として、PCM通知デバイスは、滅菌器内に位置決めされ、容器の壁から離隔した別個の構成要素とすることができる。
図49Cを参照して、PCMデバイス4000のさらに別の実施形態は、図49AのPCMデバイス900に類似している。図49AのPCM通知デバイス900が容器50の内部に配置されるのに対し、PCM通知デバイス4000は、容器50の一体部分である。特に、容器50の前面パネル54は開口4002を規定可能であり、PCM通知デバイス4000は、開口4002内に無菌で受容されるとともに容器50に結合されて、開口4002を密封閉鎖することができる。開口4002および対応するPCMデバイス4000の位置は、特に限定されない。さらに、PCMデバイスは、容器の一体構成要素とすることも可能であり、さらには、回転可能な取り付けおよび無菌での受容も可能と考えられる。
PCM通知デバイス900は、相変化するとともに、容器内の条件に応答して予測可能に移動する相変化物質(PCM)902を含み得る。一例において、PCMデバイスは、4分間にわたる133℃の飽和蒸気等の所定条件に曝された場合に融解する相変化物質を含むことにより、相変化通知デバイス900を調べるHCPに対してその旨を伝達する。当然のことながら、PCMデバイスで利用されるPCMの種類および量は、モニタリングおよび/または実現が求められる所望の条件に対応するように選択される。たとえば、より大きな伝熱量の測定が求められる場合、PCMデバイスに含まれるPCMは、より小さな伝熱量の測定に用いられるPCMよりも高い融点を有する可能性がある。同様に、より大きな伝熱量の測定が求められる場合、PCMデバイスに含まれるPCMの量は、より小さな伝熱量の測定に用いられるPCMの量より多い可能性がある。
PCMとしては、所定の温度で固相から液相に変化し、このプロセス中にエネルギーを吸収する物質である固液総変化物質が挙げられる。PCMは、共晶塩、塩水和物、有機化合物、またはこれらの組み合わせから成る群から選択されるようになっていてもよい。塩水和物は、塩化カルシウム水和物または硫酸ナトリウム水和物の群から選択されるようになっていてもよい。有機化合物としては、パラフィンが挙げられる。さらに、PCM902の非限定的な例としては、尿素、カルバミド、カルボニルジアミド、およびこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態において、PCMは、融解状態と固体状態とで同じ色である。すなわち、PCMの融解によって色変化は生じない。一般的に、パラフィンは、塩水和物よりも低い融合エネルギーを有し得るものの、固体状態と液体状態との間の繰り返し遷移は同様に阻止されない可能性がある。パラフィンは、発熱または吸熱に際して物理的に変化するのみで、その組成は保たれるものの、塩水和物は、発熱または吸熱に際して化学的に変化する。ただし、パラフィンは、熱伝導率が低いため、融解および結晶化プロセスにおいて貯蔵および放出される熱の速度も低い。
いくつかの実施形態において、PCMは、ある温度の上下10℃の範囲内、ある温度の上下5℃の範囲内、ある温度の上下1℃の範囲内、またはある温度の上下0,5℃の範囲内等の狭い温度範囲内で完全に融解するように構成されていてもよい。言い換えると、これらの実施形態において、PCMは、20、10、2、または1℃に及ぶ温度帯等の狭い温度帯範囲内で完全に融解する。場合により、PCMは、急峻な融点すなわち離散的な温度で完全に融解するように構成されていてもよい。当然のことながら、PCMは、任意の融点の任意適当な範囲内で融解するように構成されていてもよい。融解範囲の非限定的な例としては、100〜150℃、120〜140℃、130〜140℃、130〜135℃、133〜135℃、または134〜135℃が挙げられる。
さらに別の例において、PCMは、グラファイトマトリクス中への埋め込みによって、エネルギー貯蔵の大きな低下なく、組成物の熱伝導率を大幅に向上可能である。グラファイト以外の充填材をPCMと混合することも考えられ、これにより、混合物の所望の熱伝導率が調整されるとともに、PCM通知デバイスが特定のプロセス条件すなわち所望の滅菌レベルと相関するプロセス条件となったタイミングを示すように調節される。
PCM通知デバイス900に用いられるPCMは、たとえば固体から液体への可逆的な相変化によって予測可能な移動または流れを可能にする特定の繰り返し温度を有していてもよく、それが好ましい。別の実施形態において、PCM通知デバイス900に用いられるPCMとしては、不可逆的に相変化する熱硬化性物質が可能である。
図50Aおよび図50Bを参照して、別の例においては、上室904および下室906を備えるハウジング903をPCM通知デバイス900が備えることができ、重力により、相変化したPCM902が上室904から下室906に移行して蒸気滅菌状態を示し得る。
上室および下室904、906を備えたハウジング903の部分は、全部または一部を透明とすることも可能であるし、図示の透明窓912を含んでいてもよく、上室および下室904、906の視覚的検査によって、上室および/または下室に存在するPCM902の量を明らかにすることができる。また、ハウジング等、PCMデバイスの如何なる構成要素も透明材料を含み、明確な窓は含まれないと考えられる。任意適当な透明の構成要素または透明の構成要素に隣接するPCM通知デバイスの構成要素としては、後述の1つまたは複数のマーキングが挙げられる。
PCMハウジングアセンブリ903の空隙911(図51A)には、PCMを囲むPCMハウジングアセンブリ内の空隙を構成する特定のガスまたはガス混合物を含んでいてもよい。このガスは、不活性ガス、乾燥ガス、またはPCM通知デバイスの耐用年数にわたって反応も混合もPCM特性の変化も生じないガスであってもよく、それが好ましい。
PCMの閾値量が他方の室、通常は下室に移った場合は、PCM通知デバイスの周囲環境において所望の条件の実現を保証する閾値プロセス条件にPCM通知デバイスが曝されたものと判定することができる。場合により、この閾値量は、視覚的に検出可能なPCMデバイスに含まれるすべてのPCMである。言い換えると、滅菌器等、プロセスに曝す前の最初は上室に存在していたPCMデバイスに含まれるすべてのPCMが、相変化によって現在は下室に存在する場合は、閾値プロセス条件が実現されたと結論付けることができる。PCM通知デバイスに含まれる相変化物質の量は、全体として、滅菌容器に含まれる手術器具の所望の滅菌レベルに対応する閾値条件の実現に要する熱エネルギー量に対応する融合熱を有していてもよい。
図51Aおよび図51Bを参照して、PCM通知デバイス900は、上室904と下室906との間に位置決めされて、当該PCMデバイス900が十分な熱エネルギーすなわち所望の滅菌レベルと相関する量のエネルギーに曝された場合に、相変化した相変化物質を所定の速度かつ所定の量で上室904から下室906へと選択的に移動させ得るバッフル909をさらに備え得る。バッフル909は、プレート(図51C)、スクリーン、または格子(図51B)を含んでいてもよい。また、バッフルは、ハウジングと一体化していてもよい。
バッフル909の構成すなわち配向、テクスチャ、および/または開口数を制御することによって、上室904から下室906へのPCM902の流量を制御可能である。言い換えると、上室904から下室906への流量を制御することによって、PCM902が上室904から下室906へと移動するのに要する時間が調整される。この時間は、所望の滅菌レベルに対応する閾値プロセス条件の実現に要する熱エネルギー量に一致するようにバッフル909の構成を変化させることによって調整可能である。
図51Aおよび図51Bを参照して、バッフル909の格子908は、上室904から下室906への物質の移動を可能にする複数の開口910を含む。開口910のサイズは、上室から下室へと通過可能な固体粒子のサイズに対応するように調節可能である。バッフル909に設けられた開口が小さい場合は、上室904に存在するPCMの大きな凝集体が固体状態で開口910を通過することができない。このため、固体PCM902aの寸法が開口よりも大きい場合は、開口によって、上室904から下室906への固体PCMの移動が阻止される。また、開口901は、半固体相が上室から下室へと移動できるようにサイズ規定可能と考えられる。
これらの開口910としては、一連の円形開口部、互いに平行に配置された一連の長手方向スロット、または溶融、粘性、もしくは液体状態の場合のPCMの重力流を可能にする任意適当な形状の他のオリフィスが可能である。また、完全に融解したPCM902bが一方の室904から別の室906へと移行し得るようにして、バッフル909は、完全に融解したPCM902bがPCM902aの未融解部分の周りにたまってその融解能力に影響を及ぼすことのないようにすることができる。
開口910のサイズ/形状は、所望の物質移動速度すなわち閾値プロセス条件を実現する熱エネルギー量と相関した物質移動速度に従って構成されていてもよい。たとえば、バッフル909の各開口910は、幅が1、2、3、4、または5mm以下であってもよい。他の実施形態において、バッフル909の開口910は、幅が0.1〜5mmの範囲であってもよい。
特定の実施形態において、バッフル909は、相変化していない相変化物質の上室904から下室906への移動を阻止するように構成された複数の開口910を備えた格子908の形態となる。この非限定的な例において、開口910は、液体状態またはジェル状態のPCM902aが一方の室904から別の室906へと通過し得るようにする一方、所定のサイズまたは粘性を超えるPCM902の未融解部分または一部しか融解していない部分の通過を阻止するように構成されている。開口数および開口のサイズは、PCM902に関して所望の物質移動速度となるように開口のサイズおよび数が調節されている限り、特に限定されない。さらに、格子の開口は、均一であってもよいし、不均一であってもよい。すなわち、格子の一部の開口は、格子のその他部分の開口と異なっていてもよい。
さらに、格子908は、融解したPCM902bによる開口910の通過を促進するため、水平にすることも可能であるし、(図51Aに示すように)水平ではない角度で配設されていてもよい。特に、格子908は、垂直ではない角度だけハウジング903から延びた上面を含んでいてもよく、融解したPCM902bが開口910のうちの1つを通って流れる前に格子の上面を横切って重力により当該PCM902bを引っ張ることができる。その他の実施形態では、任意の角度に配向した構成要素を具備していてもよいと考えられる。たとえば、プレートまたはスクリーンは、本明細書に記載の格子と同様に、ある角度で配向していてもよい。
図51Bに示すように、傾斜した格子908は、複数の開口910を備えるとともに水平ではない位置に配設され、上室904から開口910を通って下室906へとPCM902の未融解粒子が移動するのを阻止する平面状の壁である。傾斜した格子908は、完全に融解したPCM902の付着量を抑えられるため、水平格子の場合より物質移動がいく分高くなる。また、開口910には、完全に融解したPCM902が格子に付着する量を抑えつつ当該開口910の通過をさらに促進するための小溝、導入部、放射状体等を含んでいてもよい。別の例においては、中央格子908の上下で対称に離隔した複数の格子(図示せず)を具備し得る。また、これら複数の格子は、上室から下室側に移動する未融解PCMのサイズをさらに規制または階層化するための開口910に類似した異なる形状および/またはサイズの開口を有し得る。
図51Cを参照して、PCM通知デバイス5000の別の実施形態は、図51Aに示すPCM通知デバイスの構成要素と実質的の同様の構成要素を有し得る。PCM通知デバイス5000は、所定のサイズを超えるとともに相変化していない相変化物質の大部分が上室5004から下室5006へと移動しないように防止する単一の開口5010を規定したプレート5008を備えたバッフル909’を具備する。開口5010のサイズは、固体状態のPCMが上室から下室へと通過しないように選択されるようになっていてもよく、都合が良い。
図52A〜図52Fを参照して、PCM通知デバイス900’の別の例は、図51Aおよび図51Bに示すPCM通知デバイスの構成要素と実質的に同様で、同じ参照番号にプライム記号(’)を1つだけ付けて識別される構成要素を有し得る。ただし、PCM通知デバイス900は、上室および下室904、906の相互連通用の格子908および複数の開口910を備えるものの、PCM通知デバイス900’は、完全に融解した全PCM902bの通過を要する単一の調節済みオリフィス910’を含むことにより、PCM902aの全量が一方の室904’から他方の室906’へと移動する前に、オリフィス910’を閉鎖する如何なる未融解PCM902aも融解している必要がある円筒状の砂時計構成を有する。図51Aおよび図51BのPCM通知デバイス900が格子908の形態のバッフルを具備するのに対して、PCM通知デバイス900’は、上室904’と下室906’との間で流体連通したハウジングの壁により構成されたテーパ状通路の形態のバッフル909’’を具備する。
図52B〜図52Fを参照して、PCM通知デバイス900’は、その上室および/または下室に存在するPCMの量をHCPが評価できる透明窓912’を含む。透明窓912’は、1つまたは複数のマーキング913’、913’’、913’’’を含んでいてもよく、これによりHCPは、PCM通知デバイスの上室904’および/または下室906’のPCMの量を1つまたは複数の所定レベルと比較することができる。当然のことながら、上述のPCM通知デバイスの如何なる構成にも、後述のマーキングのうちの1つまたは複数を含んでいてもよい。
一実施形態においては、図52Bおよび図52Cを参照して、PCM通知デバイス900’は、「レディ」状態に対応するレディ状態マーキング913’を上室904’に含んでいてもよい。これにより、レディ状態マーキング913’に達する量のPCM902aが上室904’に存在する場合、HCPは、たとえばPCM通知デバイス900’が既に使用されてPCM902aの少なくとも一部が上室904’から下室906’へと移動した後、PCM通知デバイス900’の使用の準備ができているものと確認することができる(図52B参照)。レディ状態マーキング913’に達する十分な量のPCM902aが上室904’に存在しない場合、HCPは、PCM通知デバイス900’をリセットして使用の準備をする必要があるものと判定することができる(図52C参照)。図52Cに見られるように、上室904’の固体PCMは、レディ状態マーキング913’に達するレベルにない。一部の固体PCM902aが下室906’に残っているためである。一実施形態においては、レディ状態マーキング913’に達する十分なPCMが上室906に存在するように、PCM通知デバイス900’を滅菌器に配置してリセットあるいは加熱することができる。
PCM通知デバイス900’が十分なPCM902aを上室904’に含んでレディ状態となっていることをHCPが確認したら、PCM通知デバイス900’および滅菌筐体は、滅菌器に配置されて、所望の滅菌サイクルが行われる。滅菌サイクルが完了したら、HCPは、PCM通知デバイス900’を検査して、PCM通知デバイスの下室へと実際に移動したPCMの量を確認するとともに、このPCMの量が所望の滅菌レベルに対応するかを確認することができる。この確認の補助のため、図52D〜図52Fを参照して、PCM通知デバイス900は、所望の滅菌レベルを示す閾値プロセス条件に対応する1つまたは複数のマーキング913’’、913’’’をさらに含んでいてもよい。より詳細に、各容積測定マーキングは、滅菌サイクル中にPCMへと移動した所与の熱量に対応していてもよい。これらの伝熱量は、所望の滅菌レベルを実現するのに有効であったプロセス条件に対応していてもよい。無菌状態マーキング913’’、913’’’は、PCM通知デバイス900’の下室906’の透明窓912’に一致していてもよい。
例示的な一構成において、PCM通知デバイス900’の下室906’は、微生物の6対数減少に対応する第1の無菌状態マーキング913’’および微生物の3対数減少に対応する第2の無菌状態マーキング913’’’を含んでいてもよい。HCPは、サイクルの完了後に滅菌容器および対応するPCM通知デバイス900’を滅菌器から取り外した場合、PCM通知デバイス900’を視覚的に検査して、下室906’に存在するPCM902bの量すなわち滅菌サイクル中に融解して上室904’から下室906’へと移動したPCMの量を確認する。下室906のPCM902bの量が第1の無菌状態マーキング913’’または第2の無菌状態マーキング913’’’に対応する場合、HCPは、所望の滅菌レベルを示す閾値プロセス条件に手術器具が曝されたものと確認することができる。当然のことながら、任意数の無菌状態マーキングを含むことも可能と考えられる。さらには、上室904’および下室906’の両者がレディ状態マーキング913’および無菌状態マーキング913’’、913’’’を含むことによって、PCM通知デバイスの再利用が可能となる前にHCPがPCMを再融解する必要をなくせると考えられる。
具体的に図52Cを参照して、滅菌サイクルの完了後、HCPは、PCM通知デバイス900’を検査するとともに、下室906’のPCMの量が第1の無菌状態マーキング913’’にも第2の無菌状態マーキング913’’’にも達していないと判定することができる。無菌状態マーキング913’’、913’’’との比較によるPCMのレベルに基づいて、HCPは、所望の滅菌レベルを実現するのに有効であった閾値プロセス条件に滅菌容器が曝されていないものと判定することができる。
図52Dを参照して、滅菌サイクルの完了後は、一部の固体PCM902aが上室904’内に残っている。ただし、下室906’に存在するPCMの量は、下室906’のPCMレベルが3対数減少である第2の無菌状態レベル913’’’に達するのに十分である。これにより、HCPは、容器を開放することなく所望の滅菌レベルを実現するのに有効であったプロセス条件等の閾値プロセス条件に器具が曝されたものと確認することができる。
図52Eを参照して、滅菌サイクルの完了後は、PCM通知デバイス900’中のすべてのPCM902aが下室906’に存在し、上室904’に検出できる量のPCMは残っていない。さらに、下室906’のPCM902bのレベルは、微生物の6対数減少に相当する第1の無菌状態マーキング913’’に対応する。
ここで図52Fを参照して、PCM通知デバイス900’は、下室906’が上室904’の上方となるようにハウジング903を回転あるいは位置決めすることによりリセットされるようになっていてもよい。PCM通知デバイス900’がこのように位置付けられて十分な熱量に曝露されると、液体PCM902bが下室906’から上室904’へと流れ得る。これにより、PCM通知デバイス900’がHCPによって次に使用される場合には、レディ状態マーキング913’に対応する十分なPCM902が上室904’に存在することになる。
特定の一例において、PCM通知デバイス900’は、133℃で3分間にわたって100%飽和蒸気に囲まれた場合に12ccのPCM902aが融解して下室906’に流れ込み、さらに、133℃で4分間にわたって100%飽和蒸気に囲まれた場合に16ccのPCMが融解して下室906’に流れ込むように、熱率学的にサイズ規定することも可能である。この例において、透明窓912はそれぞれ、少なくとも1つのマーキングまたは複数の段階的なマーキングを含むことにより、たとえば曝露時間3分の場合の12ccマーキングおよび曝露時間4分の場合の16ccマーキング等、容積量ひいては特定の時間にわたって特定の蒸気状態にPCM通知デバイスが曝された対応する時間を示すことができる。
上室および下室の段階的なマーキングの数および配置は、特に限定されない。当然のことながら、このようなマーキングによれば、HCPは、ミスが生まれにくい単純な様態で望ましい種類の蒸気滅菌剤および曝露時間が実現されているかを確認することができる。特定の実施形態において、HCPは、無菌状態マーキングとの比較によって下室に存在するPCMの容積を確認することにより、特定のプロセス条件が実現されたものと判定することができる。これは、PCMの色または透明度が変化したかをHCPが判定する必要があり、PCMを検査するエリアの照明レベルに応じてミスが生まれやすい方法と対照をなす。
図52Fを参照して上述した通り、ここでは図51A〜図51Cを参照して、PCM通知デバイス900の別の利点は、PCM902の全量が下室906へと移動し、PCM902が未融解状態に戻った後にも、PCM通知デバイス900を上下逆さまに回転させることにより、重力および閾値蒸気条件への曝露によって、完全に融解したPCM902をハウジングの一端からハウジングの他端へと復帰または移動可能とすることで再利用可能なことである。そして、固体状態のPCMが冷えると、この例ではPCM通知デバイスの上室である反対の室に位置付けられることになる。
上述の通り、PCMデバイスのハウジング903は、内部容器に回転可能に取り付け可能である。一実施形態において、PCMデバイスは、図50Aに示すように、ボス軸が外部ハウジング903を中心とする円形ボス918によって回転可能に取り付けられるようになっていてもよい。このボスは、容器の側面パネルに取り付けられた補完機構との協働によって、円形ボス918の軸周りでのPCM通知デバイス900の180°回転を容易化するとともに、レディ状態に位置決めして再利用する。ハウジング903は、当該ハウジングのある部分から当該ハウジングの別の部分まで、重力が相変化を経たPCM902を移動させ得る任意適当な形状を有し得る。ハウジング903の本例では、傾斜した格子を含む矩形プリズムを備えるが、格子が水平であり得ることおよび/またはハウジングが他の適当な形状を有し得ることも考えられる。
ハウジング903の構成要素である室904、室906、および格子908は、同じ材料で構成することも可能であるし、対応する熱伝導率を有する異なる材料で構成することも可能であり、PCMインジケータ900は、さまざまな器具および/または容器の滅菌プロセス条件を示すように構成可能である。たとえば、格子908に隣接する壁を規定するハウジング903の部分は、室904を通じて比較的遅い伝熱速度Q’を有する上室904を規定するハウジング903の部分よりも高い熱伝導率を有する材料で構成可能なため、下室906を規定するハウジング903の部分よりも高い熱伝導率を有し得る。ただし、PCMインジケータ900の任意部分のさまざまな組み合わせが相互的に高い熱伝導率または低い熱伝導率を有し得ると考えられる。別の例においては、既知の適当な壁および格子の1つまたは複数の層を比較的高い伝熱速度Qの材料で構成可能である。
相互的に高い熱伝導率または低い熱伝導率を有する任意選択的な断熱材料(図示せず)をハウジング903の1つまたは複数の部分に取り付け可能である。断熱材料によれば、PCMハウジング903の外側面の伝熱速度Q’’が非常に遅くなり得るため、比較的高い伝熱速度を生じ得る外面エリアSの量が変化する。一例においては、ハウジング903のすべての部分が同じ熱伝導率を有する同じ材料で構成されていてもよく、格子908に隣接するハウジング903の部分が断熱材料の層を一切具備していなくてもよい。
上室904を規定するハウジング903の部分は、下室906を規定するハウジング903の部分を覆う断熱層よりも高い熱伝導率を有する材料で構成可能である。断熱層は、互いに重なり合うことも可能であるし、互いに離隔することも可能であるし、ハウジングアセンブリを通ってPCM902に至る伝熱の速度を調節する任意適当な構成での配置も可能である。これらの構成詳細は、PCM902の材料の熱力学的特性との組み合わせによって、対象とする蒸気滅菌条件を得るための時間の関数として既知量のPCM材料902が融解して下室に流れ込む繰り返し可能な熱力学的通知システムを構成するように、PCM通知デバイスを具体的にサイズ規定して構築可能である。PCMデバイスのハウジングとしては、PCMデバイスの耐用年数にわたって一定の特性および容積を有するハウジング内にPCMおよび当該PCMを囲む空隙911が封止されるように、封止ハウジングアセンブリが可能である。ハウジングアセンブリの封止の別の利点として、滅菌プロセスの加圧流体が内部に進入してPCMの汚染または熱エネルギーおよび温度変化に対する校正応答の変化を引き起こすことがない。
PCM通知デバイス900は、滅菌ガスの流れまたは伝搬が妨げられて、滅菌プロセス条件が実現されたタイミングをPCM通知デバイス900が決定する閾値が高くなる位置に配設可能である。特に、PCM通知デバイスは、空気流阻止カニューレ51’’の底端でPI57’に取って代わってもよいし、PI57’と接合されていてもよい。他の例において、PCM通知デバイス900は、容器内に配設可能である。特に、PCM通知デバイス900は、容器内に配設され、1つまたは複数の透明窓53、53’(図39参照)を通じて視認可能となるように、容器の内側でPI57’に取って代わってもよいし、PI57’と併せて用いられるようになっていてもよい。HCPは、容器を開放することなく、窓53を通じてPCM通知デバイス900を読むことができる。この例において、PCM通知デバイスは、上下逆さま180°回転による手動リセットにより、容器ベースに対する蓋の封止および滅菌室への投入に先立って、開放蓋を通じた再利用が可能である。ただし、さらに別の例において、PCM通知デバイス900は、ユーザが透明窓53を通じて見る必要なくPCM通知デバイス900を読めるように、容器の外壁に隣接して配置可能である。このような例においては、容器内の滅菌ガスに対して、PCM通知デバイス900の少なくとも一部が曝露される。
図53を参照して、所望の滅菌レベルの実現を保証する閾値プロセス条件が満足または超過となったかの判定には、蒸気飽和特性の測定に用いられる上述のセンサ構成要素の追加または代替として、音センサ950を使用可能である。音センサ950は、容器の内部の音速をモニタリングすることによって、蒸気飽和状態を決定するように構成可能である。音が内部を進む速度に基づいて、音センサ950は、内部の状態を決定することができる。とりわけ、音は、蒸気の飽和度に応じた異なる速度で蒸気中を進む。たとえば、音は、50%飽和蒸気よりも100%飽和蒸気中で速く進む。特に、音センサ950の一例には、選択周波数の音響波(音)を放出するように構成された第1の圧電放射体952と既知の距離だけ放射体から離隔した補助圧電受音体954とを含むことができ、プロセッサ956は、放射体952から受音体954まで既知の距離を音が進むタイミングからの経過時間に基づいて音速を決定することができる。この種のセンサアセンブリを適用可能なのは、空隙中の音速が空隙中のガスの濃度の関数として変動し得るためである。この例において、容器中の音速は、容器内の蒸気(水蒸気)の濃度と直接相関する。プロセッサ956は、容器内の音速に基づいて、信号を通知デバイス958に送信することにより、滅菌プロセス中の容器内の特性ならびに/または容器および/もしくは器具の状態を伝達することができる。これらの信号は、有線または無線伝送によって、音センサ950の構成要素間で送信可能である。さらに、通知デバイス958としては、上述の通知デバイスまたは別の通知デバイスのうちの任意の1つまたは複数が可能である。
他の種類のセンサも考えられる。たとえば、特定種類の波の内部伝送の速度を測定可能な他の種類の電磁検知構成も可能と考えられ、無線周波数波が挙げられるが、これに限定されない。
図54Aおよび図54Bを参照して、別の例示的な滅菌容器970は、第1および第2の例示的な滅菌容器50、430に組み込まれたもののいずれかに類似する、1つもしくは複数のセンサ972、通知デバイス974、ならびにプロセッサ976を具備し得る。図1および図21の滅菌容器50、430がそれぞれ剛性の本体および本体に結合された蓋を備えるのに対して、この例示的な容器970は、1つまたは複数の器具980が配設されたトレイ978または穿孔筐体と、器具980ならびに/またはトレイ978もしくは穿孔筐体に巻き付けられて内部の内容物を囲む抗菌性障壁である滅菌障壁被覆982とを備える。滅菌障壁被覆982は、フィルタ媒体410と同様の特性を有していてもよく、滅菌流体(液体および/または気体)が被覆を通って、被覆により形成された筐体へと浸透可能であるものの、細菌および微生物の通過を抑えることによって、囲まれた器具類の微生物レベルを維持している。さらに、センサ、通知デバイス、およびプロセッサのうちの任意の1つまたは複数は、被覆直下の容器内への配設、容器外部への配設、および/または空気流阻止カニューレへの結合が可能である。HCPが内部の器具および通知デバイスを視認できる透明窓53’およびLED69’が内部に配設された図42Aの容器430’’と同様に、滅菌障壁被覆982は、HCPが直下の器具980および通知デバイス974を視認できる透明窓53’’を有し得る。さらに、通知デバイス974がPI、電子センサ、機械センサ、およびPCM通知デバイスを備えるのに対して、容器970は、上述のような任意適当な通知デバイスまたはその組み合わせを有し得る。
図54Aに最もよく示すように、容器970は、上述のPI57’のうちの2つを備え得る。一例においては、第1のPI57’を容器970内の被覆982直下に配設可能である。特に、容器970は、トレイ978および/または被覆982に結合されたホルダ59’を備えることができ、ホルダ59’は、第1のPI57’を容器970内に保持するように構成可能である。ホルダ59’は、透明窓53’’を通じて第1のPI57’を視認でき、器具980が汚染物質に曝される可能性のあるトレイ978からの被覆982の取り外しなく読めるように、取り付けブラケット、ポケット、または第1のPI57’用のその他任意適当なシートをある位置に備え得る。ただし、ホルダ59’は、特に透明窓を含まない容器の例として、容器970内の任意適当な位置に第1のPI57’を保持可能と考えられる。
容器970は、その外面に取り外し可能に取り付けられた第2のPI57’をさらに備え得る。特に、被覆982、トレイ978、第2のPI57’、または第2のPI57’を含むセンサモジュールのうちの任意の1つまたは複数は、第2のPI57’の読み取りによって容器970の滅菌プロセス条件を決定できるように、被覆982の外面に対して第2のPI57’を取り外し可能に取り付ける1つまたは複数の取り付け機構984を備え得る。HCPは、透明窓53’を通じて第1のPI57’を読むことにより、第2のPI57’の状態を確認することができる。ただし、透明窓を持たない容器970の例においては、滅菌プロセスの完了時またはその近くで第2のPI57’を読むことができ、第1のPI57’の読み取りによって、無菌手術室内のトレイ978から被覆982が取り外された場合の滅菌プロセス条件を確認することができる。
第2のPI57’を取り付ける取り付け機構は、HCPによる必要に応じた第2のPI57’の取り付けおよび取り外しが可能な磁気締結具を備え得る。ただし、PI57’等の通知デバイスの被覆外側への取り付けには、接着剤等の他の種類の仮締結具が用いられるようになっていてもよい。これにより、ユーザは、滅菌障壁の破壊なく、容器の状態を決定することができる。
容器970は、上述の通り、図3のセンサモジュール102または図21のセンサモジュール570と同様の構成要素を有する2つのセンサモジュール102a、102bをさらに備え得る。一方のセンサモジュール102aは、被覆982直下で容器970内に配設可能であり、他方のセンサモジュール102bは、被覆982および/またはトレイ978の外面に結合可能である。センサモジュール102a、102bは、無線伝送および/または有線伝送によって互いに連通可能である。無線伝送の場合、センサモジュール102a、102bは、互いに信号を送受信するための対応する送受信機を有し得る。有線伝送の場合、センサモジュール102a、102bは、無菌で被覆982および/またはトレイ978を通って延びる1つまたは複数の導電体(図示せず)を通じて互いに連通可能である。センサモジュール102a、102bの一方または両方は、プロセッサ384およびLED268、270をさらに備えて、容器の滅菌プロセス条件を伝達することができる。
PI57’は、この形態ではPI57’が取り付けられる滅菌障壁被覆982の部分である容器970に対する取り外し可能な結合および容器970との流体連通が可能である。ただし、被覆は、開口と、開口を密封して覆うように結合された別個のフィルタ媒体とを備え得るものと考えられる。一例においては、PI57’を被覆に直接結合可能であるものの、PI57’が容器970の外側に配設されてその内部と連通するように、被覆に結合されるセンサモジュール内にPI57’を配設可能と考えられる。
フィルタ媒体410は、容器からPI57’への滅菌ガスの流れを阻止または妨害することによって、容器内に配設されたPI57’よりもいく分高い滅菌プロセス条件評価用閾値を与えることができる。
上述の通り、容器の滅菌プロセス条件の伝達に用いられる通知デバイスのうちの任意の1つまたは複数は、容器970への組み込みによって、無菌保管室の容器の場所をHCPに警告するとともに、その内容物の状態をさらに伝達することができる。一例として、容器の場所をHCPに通知するために用いられる通知デバイスは、容器の滅菌状態を示すために用いられるのと同じLED268、270とすることができる。
本明細書に記載の代替例は、上記特徴のすべてを有していなくてもよい。さらに、本明細書に別々に記載の異なる形態の特徴は、組み合わせによって、別の例を構成可能である。たとえば、吸光の関数として滅菌剤の濃度を測定するセンサは、本明細書に記載のセンサモジュールのうちの任意の1つまたは複数に組み込まれていてもよい。さらに、これらのセンサは、容器内に配設された独立型デバイスおよび/または容器の外側に配設されて容器の内部と流体連通する独立型デバイスであってもよい。
以上から、上記説明は例示であり、何ら限定的なものではないことが了解される。以上の例以外の多くの例および用途についても、上記説明を読めば明らかとなるであろう。本明細書に記載の技術は将来的に発展し、そのような将来的な例に開示のシステムおよび方法が組み込まれることになるものと予想および企図される。総じて、本願は、改良および変形可能であることが了解されるものとする。
本開示の実施形態は、以下の番号付き条項を参照して説明可能であり、具体的な特徴は従属条項に展開されている。
I.滅菌器内に配置されるように構成された滅菌筐体であり、手術器具を収容して滅菌するように構成され、滅菌器と流体連通して滅菌器から蒸気を受容可能な内部を規定する、滅菌筐体であって、
前記筐体の内部に位置決めされた相変化物質通知デバイスを備え、前記相変化物質通知デバイスは、
上室および下室を規定するハウジングと、
前記上室内に位置決めされ、相変化を経るとともに前記上室から前記下室に移動するように構成された相変化物質と、
前記相変化物質通知デバイスに隣接する滅菌器の蒸気から相変化物質に閾値量の熱エネルギーが伝わった場合に、前記相変化物質が前記上室から前記下室に移動し得るように前記上室と前記下室との間に位置決めされたバッフルと、
を備えた、滅菌筐体。
II.前記相変化物質通知デバイスが、回転可能に結合された、条項Iに記載の滅菌筐体。
III.前記相変化物質通知デバイスが、回転可能に結合されて、前記下室の上方に前記上室を位置決めする、条項IまたはIIに記載の滅菌筐体。
IV.前記相変化物質通知デバイス内の前記相変化物質の少なくとも一部が見える透明窓を備えた、条項IからIIIのいずれか1項に記載の滅菌筐体。
V.本体および前記本体に結合された蓋を具備する容器であって、前記本体および前記蓋の少なくとも一方に前記透明窓が組み込まれた、容器を備えた、条項IVに記載の滅菌筐体。
VI.前記透明窓が組み込まれた滅菌障壁被覆を備えた、条項IVに記載の滅菌筐体。
VII.前記滅菌障壁被覆が、抗菌性障壁を備えた、条項VIに記載の滅菌筐体。
VIII.前記ハウジングが、前記上室および前記下室の少なくとも一方に対応して、前記上室および前記下室の対応する一方内に位置付けられた前記相変化物質の量を示すマーキングを含む、条項IからVIIのいずれか1項に記載の滅菌筐体。
IX.前記バッフルが、開口部、長手方向スロット、またはこれらの組み合わせを含み、それぞれ、前記相変化を経ていない前記相変化物質が前記上室から前記下室に移動することを防止するように構成された、条項IからVIIIのいずれか1項に記載の滅菌筐体。
X.前記バッフルが、プレート、スクリーン、格子、またはこれらの組み合わせを含む、条項IからIXのいずれか1項に記載の滅菌筐体。
XI.前記バッフルが、前記相変化を経ていない前記相変化物質の大部分が前記上室から前記下室に移動することを防止する、条項Xに記載の滅菌筐体。
XII.前記バッフルが、上面を含み、重力によって前記相変化物質の一部が通過する前に前記上面に沿って移動できるように、垂直以外の角度にてハウジング内部で延びた、条項Xに記載の滅菌筐体。
XIII.前記バッフルが、前記相変化物質の少なくとも一部がジェル状態、液体状態、粘性状態、またはこれらの組み合わせである場合に、前記相変化物質が通過し得るように構成された、条項IからXIIのいずれか1項に記載の滅菌筐体。
XIV.前記相変化物質が、可逆相変化可能である、条項IからXIIIのいずれか1項に記載の滅菌筐体。
XV.前記相変化物質が、ある温度のある範囲内で融解するように構成された、条項IからXIVのいずれか1項に記載の滅菌筐体。
XVI.前記相変化を経た前記相変化物質が、重力に応答して前記上室から前記下室に移動可能である、条項IからXVのいずれか1項に記載の滅菌筐体。
XVII.前記相変化物質通知デバイスが、前記ハウジングに結合された断熱層をさらに備えた、条項IからXVIのいずれか1項に記載の滅菌筐体。
XVIII.前記相変化物質通知デバイスの前記ハウジングが、前記相変化物質の少なくとも一部が見られる透明窓を含む、条項IからXVIIのいずれか1項に記載の滅菌筐体。
XIX.前記バッフルが、前記上室と前記下室との間で流体連通したテーパ状通路である、条項IからXVIIIのいずれか1項に記載の滅菌筐体。
XX.滅菌器内に配置されるように構成された滅菌筐体であり、手術器具を収容して滅菌するとともに、滅菌器と流体連通して滅菌器から蒸気を受容可能な内部を規定する、滅菌筐体であって、
前記筐体に結合された相変化物質通知デバイスを備え、前記相変化物質通知デバイスは、
上室および下室を規定するハウジングと、
前記上室内に位置決めされ、相変化を経るとともに前記上室から前記下室に移動するように構成された相変化物質と、
前記相変化物質通知デバイスに隣接する滅菌器の蒸気から相変化物質に閾値量の熱エネルギーが伝わった場合に、前記相変化物質が前記上室から前記下室に移動し得るように前記上室と前記下室との間に位置決めされたバッフルと、
を備えた、滅菌筐体。
XXI.前記相変化物質通知デバイスが、前記内部に位置決めされた、条項XXに記載の滅菌筐体。
XXII.前記相変化物質通知デバイスが、外部に位置決めされた、条項XXに記載の滅菌筐体。
XXIII.容器を備え、前記容器が開口を規定し、前記相変化物質通知デバイスが、前記開口内に無菌で受容されるとともに前記筐体に結合されて、前記開口を密封閉鎖する、条項XXに記載の滅菌筐体。
XXIV.滅菌器内に配置されるように構成された滅菌筐体であり、手術器具を収容して滅菌するように構成され、滅菌器と流体連通して滅菌器から蒸気を受容可能な内部を規定する、滅菌筐体と併用するように構成された相変化物質通知デバイスであって、
上室および下室を規定するハウジングと、
前記上室内に位置決めされ、相変化を経るとともに前記上室から前記下室に移動するように構成された相変化物質と、
前記上室および前記下室の少なくとも一方に対応して、前記上室および前記下室の対応する一方内に位置付けられた前記相変化物質の量を示すマーキングと、
前記相変化物質が前記上室から前記下室に移動し得るように前記上室と前記下室との間に位置決めされたバッフルと、
を備え、
前記マーキングが、隣接する滅菌器の蒸気から相変化物質に伝わっている閾値量の熱エネルギーであり、所望の滅菌レベルと相関した、閾値量の熱エネルギーを示す相変化物質の体積に対応する、相変化物質通知デバイス。
XXV.滅菌器内に配置された滅菌筐体の所望の滅菌レベルを検出する方法であって、
滅菌筐体および相変化物質通知デバイスを滅菌器内に配置するステップであり、相変化物質通知デバイスが、上室および下室を規定するハウジングと、上室に位置決めされた相変化物質とを含む、ステップと、
蒸気エネルギーを滅菌器から相変化物質通知デバイスに移して、相変化物質の少なくとも一部の相を変化させることにより、相変化物質が上室から下室に移動できるようにするステップと、
滅菌筐体に対してハウジングを回転させることにより、相変化物質通知デバイスをリセットするステップと、
を含む、方法。
XXVI.滅菌器内に配置され、少なくとも1つの手術器具を収容する内部を有し、滅菌器から取り外された後に少なくとも1つの手術器具の無菌を維持する滅菌筐体であって、
内部および透明窓と、
前記内部および前記内部に位置決めされた少なくとも1つの手術器具が前記透明窓を通じて見えるように、前記内部および少なくとも1つの手術器具を照射するように結合された光源と、
を備えた、滅菌筐体。
XXVII.所望の手術器具を含む滅菌容器を取り出す方法であって、
取り出す所望の手術器具に対応する検索コマンドをユーザインターフェースに入力するステップと、
前記ユーザインターフェースから、複数の参照検索コマンドならびに筐体およびその内部に含まれる手術器具をそれぞれ示す複数の対応する参照コード信号が格納されたデータベースに結合された制御装置に、前記検索コマンドに対応する検索信号を送信するステップと、
前記検索コマンドに対応する符号化信号を決定するステップと、
滅菌筐体に結合された受信機に前記符号化信号を送信するステップと、
前記受信機が前記符号化信号を受信したことに応答して、滅菌筐体に結合された通知デバイスを作動させることにより、所望の手術器具を含む滅菌筐体の位置を前記通知デバイスが示すようにするステップと、
を含む、方法。
XXVIII.前記通知デバイスを作動させるステップが、滅菌筐体に結合された光源を明るくすることを含む、条項XXVIIに記載の方法。
XXIX.滅菌筐体の内部に位置決めされた光源を明るくするステップをさらに含む、条項XXVIIまたはXXVIIIに記載の方法。
XXX.滅菌筐体が透明窓をさらに含み、透明窓を通じた視認によって、滅菌筐体の内部に位置決めされた内容物を確認するステップをさらに含む、条項XXVIIからXXIXのいずれか1項に記載の方法。
XXXI.滅菌筐体が透明窓およびプロセスインジケータをさらに含み、滅菌筐体の内部に位置決めされたプロセスインジケータの状態を確認するステップをさらに含む、条項XXVIIからXXIXのいずれか1項に記載の方法。
XXXII.滅菌筐体の外部に位置決めされた光源を明るくするステップをさらに含む、条項XXVIIからXXXIのいずれか1項に記載の方法。
XXXIII.前記光源をオン・オフ点滅させるステップをさらに含む、条項XXVIII、XXIX、およびXXXIIのいずれか1項に記載の方法。
XXXIV.前記符号化信号を送信するステップが、滅菌筐体に結合されたRFIDに前記符号化信号を送信することを含む、条項XXVIIからXXXIIIのいずれか1項に記載の方法。
XXXV.手術器具を滅菌筐体の内部に配置して滅菌筐体を滅菌するステップであり、手術器具がこれと関連付けられたRFIDタグを含まない、ステップをさらに含む、条項XXVIIからXXXIVのいずれか1項に記載の方法。
XXXVI.滅菌器内に配置され、滅菌器から取り外された後に少なくとも1つの手術器具の無菌を維持するように構成されており、内部を有するとともに、滅菌器から内部への滅菌ガスの流れ込みを可能にする滅菌容器であって、
内部を規定する少なくとも1つの壁と、
内部に位置決めされ、内部において、前記壁に対してフィルタ媒体を保持するように構成されたフィルタフレームと、
前記フィルタフレームに結合され、内部の滅菌ガスの特性を検知するように構成されたセンサと、
を備えた、滅菌容器。
XXXVII.前記センサが、ガス濃度センサ、温度センサ、圧力センサ、音センサ、および電磁波伝送センサのうちの少なくとも1つである、条項XXXVIに記載の滅菌容器。
XXXVIII.前記センサが、前記ガス濃度センサを含む、条項XXXVIまたはXXXVIIに記載の滅菌容器。
XXXIX.前記ガス濃度センサが、滅菌ガスの濃度を検出するように構成された光学センサアセンブリを含む、条項XXXVIIまたはXXXVIIIに記載の滅菌容器。
XL.前記光学センサアセンブリが、
前記フィルタフレームの第1の部分に結合された光源および光検出器と、
前記フィルタフレームの第2の部分に結合されたプリズム反射器であり、前記第1の部分および前記第2の部分が前記フィルタフレームの直径方向反対側にある、プリズム反射器と、
を備えた、条項XXXIXに記載の滅菌容器。
XLI.複数の壁、床、および蓋を備え、前記壁のうちの少なくとも1つ、前記床、および前記蓋が、滅菌器から内部への滅菌ガスの流れ込みを可能にする開口部を規定した、条項XXXVIからXLのいずれか1項に記載の滅菌容器。
XLII.前記フィルタフレームが、前記壁のうちの少なくとも1つ、前記床、および前記蓋に対して、前記開口部に隣接して前記フィルタ媒体を押圧する、条項XLIに記載の滅菌容器。
XLIII.滅菌器内に配置され、滅菌器から取り外された後に内部の少なくとも1つの手術器具の無菌を維持するように構成された滅菌容器に取り付けられるように構成されたフィルタモジュールであり、蓋アセンブリが滅菌容器の内部を囲むとともに、滅菌器から内部への滅菌ガスの流れ込みを可能にするように構成された、フィルタモジュールであって、
フィルタ媒体と、
滅菌容器に取り付けられ、前記フィルタ媒体を前記筐体に対して保持するように構成されたフィルタフレームと、
前記フィルタフレームに結合され、前記フィルタフレームが滅菌容器に結合された場合に、前記フィルタフレームに隣接して滅菌ガスの濃度を検知するように構成されたガス濃度センサと、
を備えた、フィルタモジュール。
XLIV.前記フィルタ媒体が、前記フィルタフレームにより保持された、条項XLIIIに記載のフィルタモジュール。
XLV.前記フィルタフレームが、滅菌容器に形成された開口部に隣接して、前記フィルタ媒体を前記滅菌容器に押圧する、条項XLIIIまたはXLIVに記載のフィルタモジュール。
XLVI.滅菌容器が、複数の壁、床、および蓋を備え、前記開口部が、前記複数の壁、前記床、および前記蓋のうちの少なくとも1つに形成された、条項XLIIIからXLVのいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
XLVII.前記ガス濃度センサが、滅菌ガスの濃度を検出するように構成された光学センサを含む、条項XLIIからXLVIのいずれか1項に記載のフィルタモジュール。
XLVIII.滅菌器内に配置されるように構成され、内部を有する滅菌容器であり、手術器具を内部に保持するとともに、滅菌剤の内部への進入によって手術器具の滅菌を可能にするように構成された、滅菌容器であって、
筐体に結合され、閉塞状態と開放状態との間で回転可能であり、回転して前記閉塞状態となった場合に、手術容器の内部と手術容器の外部との連通を阻止する、バルブと、
前記容器に取り外し可能に結合され、前記バルブが回転して前記開放状態となった場合に、前記バルブを通じて手術容器の内部と流体連通するセンサモジュールと、
前記バルブに結合され、前記バルブが前記開放状態へと回転することを防止し、手術容器の内部に位置決めされて手術容器の内部からのみアクセス可能なバルブロックアセンブリと、
を備えた、滅菌容器。
XLIX.前記バルブロックアセンブリが、滅菌容器の内部から手動で作動される、条項XLVIIIに記載の滅菌容器。
L.前記バルブが、
滅菌容器の内部と流体連通した孔を有するバルブキャップと、
前記バルブキャップに対して回転可能であり、回転して前記開放状態となった場合に、前記バルブキャップの前記孔と流体連通したボアを有するバルブプレートと、
を備え、
前記センサモジュールが、バルブプレートの前記ボア、前記バルブキャップの前記孔、および滅菌容器の内部と流体連通した空隙ならびに前記空隙内に位置決めされたセンサを有し、バルブプレートが回転して前記開放状態となった場合に、前記空隙が滅菌容器の内部から滅菌ガスを受容し得るとともに、前記センサが前記滅菌ガスの特性を測定する、条項XLVIIIに記載の滅菌容器。
LI.前記ボアが、前記バルブプレートが回転して前記閉塞状態となった場合に、前記孔と流体連通せず、滅菌容器の内部への汚染物質の進入を前記バルブが防止する、条項XLIXに記載の滅菌容器。
LII.前記バルブプレートが、回転して前記開放状態となった場合に、前記バルブプレートの前記ボアと前記バルブキャップの前記孔との間で流体連通したチャネルを規定しており、前記チャネルが、前記バルブプレートが回転して前記閉塞状態となった場合に、前記バルブプレートの前記ボアと前記バルブキャップの前記孔との間で流体連通しない、条項XLIXに記載の滅菌容器。
LIII.前記センサモジュールが、前記バルブプレートに結合され、前記バルブプレートとともに回転する、条項XLIXに記載の滅菌容器。
LIV.前記センサモジュールが前記バルブを前記開放状態へと回転させた場合に、前記センサモジュールを滅菌容器に結合するように構成されたベゼルプレートをさらに備え、前記ベゼルプレートが、前記センサモジュールが前記バルブを前記閉塞状態へと回転させた場合に、前記センサモジュールを滅菌容器から解除するように構成された、条項XLIXに記載の滅菌容器。