JP2018531489A6 - 微生物燃料電池装置の運転を制御する方法及び微生物燃料電池装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、少なくとも1つの微生物燃料電池ユニットを有する微生物燃料電池装置の運転を制御する方法に関する。該ユニットは、外部電気回路を介して互いに接続されたアノード及びカソードを具備する。この方法では、微生物燃料電池ユニットに有機物質を含む液体培地の流入液流を供給し、微生物を使用して微生物燃料電池ユニット内で有機物質の少なくとも一部を電気エネルギーに変換する。基準電極に対してアノードの電位を測定し、測定値を得て、その測定値を使用して微生物燃料電池ユニットへ供する流入液流の供給を制御する。被処理液体培地の流出液流を、微生物燃料電池ユニットから除去する。また、本発明は、アノードの電位を測定する手段と入口へ供する流入液流を調整する手段とに、機能的に接触して配置された制御器を含む微生物燃料電池に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、添付した特許請求の範囲の独立請求項の前文(プレアンブル)に記載した、微生物燃料電池装置の運転を制御する方法、及び微生物燃料電池装置に関する。
微生物燃料電池(MFC)は、エネルギー生成に対する代替手段を提供する。また、微生物燃料電池は、微生物を用いて化学エネルギーを電気エネルギーに変換する可能性をもたらすものである。典型的な微生物燃料電池は、外部電気回路を介して互いに接続したアノード及びカソードを有する電池リアクター(反応装置)を具備する。電池リアクターのアノード側では、水性液体培地中の生分解性有機物質が微生物によって酸化される。この酸化により、二酸化炭素、電子及びプロトンが生成する。エクソエレクトロゲン(発電菌:exoelectrogens)と呼ばれるある種の微生物が、細胞呼吸で生成した電子のいくつかをアノードに放出することができる。この電子は外部回路を介してカソードに移動し、また、プロトンは液体培地を介してカソードに移動する。次いで、電子及びプロトンは、カソードで起こる化学反応に消費される。例えば、廃水処理においては、電子とプロトンはカソードで消費され、酸素と、例えば空気からの酸素と結合し、下記の反応に従い水を生成する。
+ 4H + 4e → 2H
微生物燃料電池を連続モードで運転し、実際のプロセス水又は廃水を流入液として使用する場合、その流入液の質及び量は経時的に変化する。微生物燃料電池は供給物の質及び量の変化に耐え得るものであるが、時には問題が発生し、微生物燃料電池の動作又は運転がひどく損なわれることがある。有機物質の量的レベルが低すぎると、電池リアクター内のエクソエレクトロゲンは十分な栄養分を持てず、生成できる電力が少なくなる。他方、栄養分を過剰に供給すると、電池リアクター内のエクソエレクトロゲン総数がメタノーゲン(メタン生成菌:methanogens)などの他の細菌総数と比較して減少することから、電力生産が永久に低下してしまう可能性がある。したがって、実際には、連続運転モードで微生物燃料電池を使用するには、流入液の量及び質の変化に対処する方法が必要となる。
本発明の一目的は、従来技術に存在する欠点を最小限にするか、又はさらには解消することである。
本発明の他の目的は、微生物燃料電池装置の運転を制御するための簡単、かつ、効果的な方法を提供することである。
本発明の更なる目的は、微生物燃料電池の運転に対する障害を効果的に検出して対処することができる方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、流入液の質が変化しても微生物燃料電池を適切に運転しその状態を維持することができる方法を提供することである。
これらの目的は独立請求項に記載した特徴事項によって達成され、また、本発明は該特徴事項によって画定される。また、本発明のいくつかの好ましい実施形態について、従属請求項に提示する。
実施例1で使用した制御MFC装置1についてのアノード電位、フローオーダー、及び流出液流のpHを示す。 実施例2で使用した制御MFC装置1についてのアノード電位、フローオーダー、及び流出液流のpHを示す。 実施例3で使用した制御MFC装置1についてのアノード電位、フローオーダー、及び流出液流のpHを示す。 実施例4で使用した制御MFC装置2についてのアノード電位、フローオーダー、及び流出液流のpHを示す。 実施例5のMFC装置のクーロン効率を示す。
外部電気回路を介して互いに接続されたアノード及びカソードを具備する少なくとも1つの微生物燃料電池ユニットを有する、微生物燃料電池装置の運転を制御するための本発明に係る典型的な方法は、
−微生物燃料電池ユニットに有機物質を含む液体培地の流入液流を供給すること、
−エクソエレクトロゲンなどの微生物を使用して、微生物燃料電池ユニット内で、有機物質の少なくとも一部を電気エネルギーに変換すること、
−被処理液体培地の流出液を微生物燃料電池ユニットから除去すること、
−基準電極に対するアノードの電位を測定し、アノード電位の測定値を得ること、及び
−該測定値を、微生物燃料電池ユニットに対する流入液流の供給を制御するために使用すること
を含む方法である。
本発明に係る典型的な微生物燃料電池装置は、
−液体培地用の入口及び出口を有する電池リアクターと、電池リアクター内に配置され、外部電気回路を介して互いに接続されたアノード及びカソードとを具備する、少なくとも1つの微生物燃料電池ユニットと、
−アノードの電位を測定する手段と、
−入口への流入液流を調整する手段と、
−アノードの電位を測定する手段及び入口への流入液流を調整する手段と機能的に接触して配置された制御器と
を含む装置である。
今や、アノード電位の測定値が、微生物燃料電池装置内の発電活性(エクソエレクトロゲン活性:exoelectrogenic activity)に関する情報を得るのに使用することができる信頼性のある指針・指標をもたらすことが分かった。そこで、微生物燃料電池装置内のエクソエレクトロゲン(発電菌)にとって適切な条件を得るか又は維持する目的で、流入液(物)流の供給を積極的に制御し、必要に応じて、調整する。アノード電位は微生物燃料電池の状態を監視するのに適したパラメータであることが分かった。その理由は、アノード電位は、例えば、外部電気回路の変化に対して比較的鈍感であるからである。さらに、アノード電位は、カソードの劣化、例えば、触媒被毒に対しても比較的鈍感である。こうした状況から、本発明に係る方法がロバスト・プロセス制御に適したものとなる。
本発明の好ましい一実施形態によれば、得られたアノード電位の測定値に基づいて流入液流の供給を調整する。つまり、アノード電位値を、流入液流の供給を調整する、すなわち増加又は減少させる必要性を判断するために使用することを意味する。上記調整の必要性を判断するに際し、当該装置から得ることができる他の情報も使用することが可能である。例えば、追加のパラメータに関する数値などであり、これについては後で詳しく説明する。
本出願では、用語「アノードの電位」と「アノード電位」とは、代替表現として使用するが、相互に完全に同じ意味で用いる。本書では、アノード電位は、微生物燃料電池のアノード電極と基準電極との間の電位差として理解される。アノード電位を決定するのに使用する基準電極としては、安定かつ堅牢で、液体培地と連続的に接触して再現可能な電位を維持することができる任意の適切な基準電極であることができる。その基準電極は、単一接合電極、多重接合電極、又は全固体型電極であってよい。適切な基準電極の典型的な具体例は、二重接合Ag/AgCl電極である。基準電極は、微生物燃料電池内のアノード側に、又は微生物燃料電池のアノード側に近接して液体培地流に接触するように配置することができる。基準電極は、装置の流入液流中又は流出液流中に、好ましくは流出液流中に配置することができる。基準電極を流出液流の方に配置した場合には、その交換が一層容易になる可能性があり、又は、微生物燃料電池装置の運転に対して生ずるおそれのある障害を一層減少させる可能性がある。
場合によって、基準電極は、液体培地から悪影響を受けることがあり、これによって、例えば、基準電極内の電解質の被毒を招き、及び/又は基準電極の液体接点が遮断する可能性がある。このことは、当然、基準電極の電位に影響を及ぼし、その電位が時間的にドリフトしたり、急激に異なるレベルに変化したりする可能性がある。基準電位の変化又はドリフトは、アノード電位の測定値の変化又はドリフトも引き起こす。好ましい一実施形態によれば、基準電極は、所定の間隔で、好ましくは1〜3ヶ月毎に1回交換する。交換した基準電極は、その電位が許容レベルに達するか、又は許容レベルを回復するまで、その充填用電解質中に貯蔵することができ、その後、装置に再使用することができる。
基準電極がその初期電位から安定したドリフトを示す場合、このドリフトを考慮に入れることができ、その基準電極が最後に貯蔵された時点から時間単位当たりどの程度ドリフトするかを示す適切な補償定数を計算又は選択することによって、そのドリフトを補償することができる。次いで、その補償定数を用いて、測定したアノード電位値を補正する。基準電極電位の誤差については、使用中の基準電極と、誤差測定の前にその充填用電解液に保存した外部基準電極とを比較することで間隔をおいて、測定することが好ましい。これら電極を液体接触状態に配置し、誤差の測定を行う。使用中の基準電極と外部基準電極との間の電位差から、電位ドリフトが引き起こす誤差に関する有効な信頼できる指標が得られる。基準電位の誤差が±20mVなどのような許容限度を超えて増加するような場合には、使用中の基準電極と容易に交換することが可能な少なくとも1つの外部基準電極を微生物燃料電池装置内に設けることが好ましい。
本発明の好ましい一実施形態によれば、アノード電位について得られた測定値に基づいて流入液流の供給速度を調節することによって、流入液の供給を制御及び/又は調整する。供給速度は、ここでは、特定の時間間隔の下で微生物燃料電池ユニット又は微生物燃料電池装置に供給する液体培地の量として理解される。供給速度の調整は、微生物燃料電池ユニット又は微生物燃料電池装置に供給する液体培地の量を増加させ、減少させ、又は一定に保持することを意味する。上記供給の調整は、供給速度を増加又は減少させることによって行うのが好ましい。例えば、測定したアノード電位に基づいて、微生物燃料電池への供給間隔又は流入液流のポンピング速度を調整することができる。また、流入供給物を希釈するか又は濃縮することで、液体培地中の有機物質の濃度を変化させて、流入液の供給を調整することも可能である。また、供給速度と流入液濃度の両方を調整することによって、流入液の供給を調整することも可能である。
アノード電位の測定は、連続的に、又は所定の時間間隔を置いて行うことができる。得た測定値は、流入液の供給を制御するのに直接、使用することもできるが、好ましくは、所定の期間にわたって得た直接測定値を用いて平均値を計算することができる。その後、平均値を算出して流入液の供給を制御するのに使用する。より好ましくは、所定の期間に得た測定値を使用して、加重平均値を計算する。個々の測定値に対するウェイトは、その期間の開始からその期間の終わりに向かって増加する。本発明の好ましい一実施形態によれば、アノードの電位を連続的に測定し、アノード電位について加重平均値を計算する。この値を、流入液流の供給を制御及び/又は調整するのに使用する。計算して得た値、特にアノード電位について計算で得た加重平均値を供給の制御及び/又は調整に使用する場合には、直接得た測定データに存在する突然の変動又は異常を排除することができる。本発明の一実施形態によれば、この装置には、アノード電位の測定値を記憶するためのメモリ手段、及び/又はアノード電位の測定値から平均アノード電位値を計算するための計算手段を具備することができる。
本発明の一実施形態によれば、アノードの電位について最小及び/又は最大限界値を予め決定し、アノードの電位がその最小及び/又は最大限界値を(の外に)逸脱したとき流入液流の供給を調節する。したがって、その最小及び/又は最大限界値はアノード電位の許容範囲を画定する。最小及び最大限界値は、液体培地中の生分解性有機物質の組成及び/又は濃度;基準電極の種類・形式;微生物燃料電池の運転温度;電池内に存在する細菌種;ならびに微生物燃料電池の外部電気回路に対して想定される制御の有無などのような、様々な要因に依存する。例えば、純粋な細菌培養物を微生物燃料電池に使用した場合、測定したアノード電位は、また、培養物の代謝をも反映する。一方、エネルギーを最適化し及び/又は回収する目的で微生物燃料電池装置の外部電気回路を制御する場合、アノード電位は対応する静的負荷微生物燃料電池装置と比較してより高くなる可能性がある。最小及び/又は最大限界値については、微生物燃料電池へ供給する前の液体培地の酸化還元電位に基づいて決定することもできる。
このように、適切な最大及び/又は最小限界値は、各装置、運転条件及び液体培地に固有である。しかし、当業者であれば、これらの限界値については、わずかな簡単な測定及び/又は試験を行うことで決定することができる。例えば、最小限界値は、流入液として使用する液体培地の酸化還元電位を測定することによって自動的に決定することができる。液体培地の酸化還元電位とアノード電位との差が大きいほど、想定できる微生物の代謝エネルギーゲインはより高くなるが、微生物燃料電池から得られる到達可能な最大電圧はより低くなる。流入液の酸化還元電位に近づく、非常に負のアノード電位は、アノードに電子を移動させる微生物の能力を制限する可能性が高い。その結果、アノード電位が低すぎると、電子輸送が阻害され、基質の発酵がより大きなエネルギーを微生物に付与する可能性がある。したがって、アノード電位の最小限界値を定める際に、流入液の酸化還元電位を用いることができる。一方、アノード電位が標準水素電極の電位を超えるときには、発電に大きな利得が生じないことが観察されている。これをアノード電位の最大限界値とみなすことができる。アノード電位が無制御に一定のレベルを超えて上昇するときは、微生物燃料電池の状態が電気活性バイオフィルムにとって最適ではないことを示すからである。
本発明によれば、アノード電位を電気的に制御するものではなく、すなわち、アノード電位を強制的に特定の電位値に向けるようにする外部的電気制御は行わない。つまり、微生物燃料電池ユニットの発電活性の結果として、アノード電位は自由に変化することを意味する。
本発明の一実施形態によれば、微生物燃料電池内のメタン生成菌(methanogen)活性を最小にする目的で、アノード電位に基づいて流入液流の供給を調節することが可能である。この実施形態では、アノード電位の測定及び監視を行う。アノード電位が最大限界値に近接していることが好ましい。アノード電位が最大限界値を超える場合には、その供給を増加させる。アノード電位が最小限界値を下回って低下する場合には、その供給を減らす。
アノードの電位を測定する手段及び入口へ導く流入液流を調節する手段と機能的に接触して設置する制御器としては、PID制御器であることができる。アノード電位はプロセス変数であり、また、流入液供給、例えば、供給速度は制御変数である。
本発明の一実施形態によれば、pH、相対水素(rH)値、有機物質の濃度、及び/又は流入液流及び/又は流出液流の酸化還元値から選択される追加パラメータの値を測定することが可能であり、得られた追加パラメータの測定値を流入液流の制御及び/又は調整をするのに用いることが可能である。このような追加パラメータを測定することで、微生物燃料電池内の条件の最適化を図るため、流入液供給の際、正確な制御及び/又は調整に対し一層の改善を達成できることが観察されている。さらに、pH又はrHのような、これらの追加パラメータにより、アノード電位の測定だけでは容易に説明できない微生物燃料電池内における現在の状況に関する情報がもたらされる。例えば、流出液流のpH値が減少する場合であって、これに対応して同時に流入液流のpH値が減少しないときには、通常、カソード反応上の反応が消費するよりも多くのプロトンをアノードが生成していることを示している。そこで、流出液流のpH値を用いて、測定したアノード電位の変化が、微生物燃料電池に対する過剰な供給によるものであるか又は不十分な供給によるものであるかどうかを決定することができる。微生物燃料電池内のpHが、pH6未満又はpH6.5未満のような、ある特定のレベルを下回ると、通常、アノードでの微生物活性が著しく損なわれる。
一実施形態によれば、流入液流と流出液流のpHを測定して、測定流間のpH差を決定する。このpH差は、微生物燃料電池装置内のpH変化に相当する。微生物燃料電池装置内のpH変化が著しい場合には、流入液及び流出液のpH値が依然として許容範囲内であっても、発電菌活性の条件が最適レベルにない可能性があることが観察されている。
この装置は、pHセンサ、有機物質(単数若しくは複数)の濃度を測定するセンサ、及び/又は酸化還元センサからなる群から選択される少なくとも1つのセンサを更に含むことができる。各センサは、オンラインセンサであり、当該追加パラメータについての連続的な測定データを提供するように設置するのが好ましい。かかる適切なセンサ自体は、当該技術分野において周知であり、本出願ではさらに詳細には記載しない。
流入液流のpH、流出液流のpHなどの追加パラメータに関し、及び/又は流入液と流出液とのpH差に関し、下限値及び/又は上限値を予め決定することができる。その追加パラメータが下限値及び/又は上限値外へ逸脱するときに、流入液流の供給を調節する。すなわち、追加パラメータの測定値が下限値及び上限値によって画定される許容範囲を逸脱した場合には、流入液流の供給を調節することを意味する。その限界値及び許容範囲は、液体培地中の有機物質の組成及び/又は濃度;水理学的(hydraulic)滞留時間;活性アノード面積/アノード室容積比;並びにカソードの酸化性培地及び当該培地の濃度などのような、様々な要因に依存する。したがって、下限値及び上限値は、各装置及び各液体培地について特定的に決定される。しかし、当業者は、特定の微生物燃料電池装置に対して適切な流入液及び水理学的滞留時間範囲を使用する、わずかな簡単な試験運転を行うことで限界値を決定することができる。
本発明の一実施形態によれば、アノード電位の最小及び最大限界値を最初に決定する。アノード電位を基準電極に対して測定し、そのアノード電位が最小及び最大限界値によって画定される許容範囲内にあることが観察される場合には、微生物燃料電池ユニット又は微生物燃料電池装置は、原則的に要求される態様で動作又は稼働するものであり、また、発電活性に必要な条件は満足のいくものである。しかし、少なくとも1つの追加パラメータの値を測定し、少なくとも1つの追加パラメータについて得られた測定値を使用して、流入液流の供給を制御及び/又は調整することが可能である。この場合、アノード電位を特定の所望レベルに調節又は維持する目的で、追加パラメータの値が供給の調整に使用される。
別の実施形態によれば、測定したアノード電位が予め定めた最大及び最小限界値によって画定される許容範囲内にあるが、上述の追加パラメータについての数値が予め定めた下限値及び上限値によって画定される許容範囲外にある場合には、追加パラメータの測定値を使用して、流入液流の供給を調節することができる。例えば、流出液流について測定したpH値が所定の下限値を下回る場合には、供給を減少させることができる。
本発明の一実施形態によれば、アノード電位が、設定限界値を逸脱した場合、例えば所定の最大限界値を超える場合には、流入液流の供給を調節して、アノード電位値を所定の最小値及び最大値内にある許容範囲に戻すことができる。この調節を行うのに、上記の1つ又は数個の追加パラメータの測定値が利用可能であれば、これを使用することも可能である。
本発明の好ましい一実施形態によれば、アノード電位の最小及び最大限界値を最初に決定する。アノード電位を基準電極に対して測定し、そのアノード電位が最小及び最大限界値の外側にあることが観察される場合には、少なくとも1つの追加パラメータ値を測定し、流入液流の供給を調節するのに使用する。例えば、アノード電位が所定の最大限界値を超えているが、測定したpH値が所定の下限値を下回っていない場合には、供給を、例えば10体積%増加させることができる。こうする代わりに、アノード電位が所定の最大限界値を超え、かつ、測定したpH値が所定の下限値を下回った場合には、供給を、例えば25体積%減少させることができる。換言すれば、アノード電位に加えて、流出液のpH値及び/又は流入液流と流出液流との間のpH差を測定する場合であって、これらの測定値から、そのpH値が所定の下限値を下回ったことが分かったときには、この追加パラメータについての測定値を、流入液流の供給を増加させるか、又は減少させるかを決定するのに使用することができる。
本発明の一実施形態によれば、アノード電位の他に、微生物燃料電池装置の電力生産量(発電量)を流入液供給の制御及び/又は調節のために使用することもできる。例えば、供給調節をして発電量の減少が10%を超えて高くなる場合には、事態を改善するため流入液流の供給を逆方向に再調節することができる。
また、流入液流及び/又は流出液流についても、当該流(両方の流を含む)中の生分解性有機物質の濃度を測定することによって、制御を行うことも可能である。例えば、化学的酸素要求量、COD値を用いて、液流の品質を評価することができる。所望であれば、得られた結果を、アノード電位及び/又は上記の他のパラメータと共に流入液流を調整するのに使用することができる。例えば、流入液流と流出液流の間の生分解性有機物質の濃度差は、微生物燃料電池内で有機物質が分解される速度の指標を与える。この実施形態では、流入液流の供給を調整するに際し、流入液として使用する液体培地の品質と量の両方を考慮に入れている。
発明の一実施形態によれば、流入液流の供給に関して、少なくとも1つの最小及び最大供給レベルを決定する。実際には、このことは、最小及び/又は最大供給速度を決定すること、及び、決定した限界内で供給速度を調整することを意味する。決定した供給限界に達し、そして、アノード電位が許容電位範囲内でなくなった場合、警報が鳴るようにすることも可能である。例えば、最大供給速度に達し、そして、測定したアノード電位が依然として所定のレベルを上回っている場合、これは流入ライン又は流出ラインの閉塞を示している可能性がある。
本発明の更なる実施形態によれば、利用可能な液体培地の量に関する情報も、また、流入液流の供給の調整に使用することができる。例えば、貯蔵/供給タンク内にある液体培地のレベルを監視し、これらの観察結果を流入液流供給の調整に取り入れることができる。しかし、利用可能な液体培地の量に基づいて行う供給調節は、通常、例えば約10体積%のように増加させるものである。利用可能な液体培地の量に基づく供給調整は、少なくともアノード電位及び好ましくは上記で定義した他のパラメータが各々の許容範囲内にある状況でのみ適用することが好ましい。
本発明の一実施形態によれば、流入液供給についての2回の連続的な調整の間に待機時間を設ける。典型的には、発電菌のような微生物が供給調整に反応するのに最小時間が必要であるので、2回の連続する供給調整の間に最小の待機時間が存在する。2回の連続した供給調整が互いに接近し過ぎる場合には、諸条件が急激に変化することになるため、本装置が不安定になる可能性がある。また、待機時間の長さは、微生物燃料電池の水理学的滞留時間(HRT)に依存することがある。水理学的滞留時間が長いほど、待機時間は長くなる。待機時間は、下記のとおり計算することができる。
すなわち、待機時間(時間)=(水理学的滞留時間)/3
本発明の好ましい一実施形態によれば、本装置は、直列に配置した複数の微生物燃料電池ユニットを備えている。そのため、少なくとも1つの微生物燃料電池ユニットのアノード電位を測定し、本装置へ供する流入液流の供給を調整する。この調整は、得られたアノード電位の測定値に基づいて行うことができ、あるいは、上述したように、アノード電位測定値と追加パラメータの測定値とに基づいて行うことができる。アノード電位の測定値を流入液流の供給の調整に使用することが好ましい。装置が複数の微生物燃料電池ユニットを含む場合、前のユニットの流出液流が後続のユニットの流入液流を形成する。すなわち、各ユニットを水理学的直列(hydraulic series)に配置して運転することを意味する。有機物質の供給は、最初のユニットから最後のユニットまで直列配列の個々のユニットごとに減少する。アノード電位は、装置内の1つのユニット又は複数のユニットから、場合によっては全てのユニットからも測定することが可能である。例えば、アノード電位の測定は、数回の測定を行うときには、少なくとも水理学的直列の最初のユニット及び最後のユニットから測定を実施することができる。また、最初のユニットと最後のユニットとの間のユニットからアノード電位を測定することも可能である。各測定値は、液体培地の装置への供給を調整するために使用することができる。これにより、個々の微生物燃料電池ユニット内の状態を最適化することが可能となる。
装置内の個々の微生物燃料電池ユニットが、個別の供給手段を有する場合、得られた測定結果に基づいて個別に制御することができる。典型的には、1つの装置内の個々の微生物燃料電池ユニットが、全て、一緒に制御される。
また、微生物燃料電池装置は、その装置によって生成された電気エネルギー用に別個の制御装置を含むことができる。その制御装置は、外部抵抗値を変更して電力生産を最適化するように、又はエネルギーの回収に向けて切り替えを行うよう作動させることができる。電気エネルギーの制御に必要な調整は、液体培地の供給の調整よりも頻繁に行うのが通常である。電気エネルギーの制御によって引き起こされる可能性のある電気回路内の急速な摂動(perturbations)に対して、供給の制御は比較的鈍感である。当該供給が、好ましくは、アノード電位及び想定される他の変数の持続的な変化に基づいて、制御及び/又は調整されるからである。
液体培地の供給は自由に調整することが可能であり、すなわち、供給速度を調整できる分離したステップを決定することが可能である。
一実施形態によれば、アノード電位及び任意の追加パラメータが各々の許容される設定限界値内にある場合であっても、液体培地の供給を調整することができる。このような調整は、微生物燃料電池の流出液の質を改善するため、及び/又は電気エネルギーの生成を改善するために実施することができる。その調整には、供給を増加させるか、又は減少させるかのいずれかが含まれる可能性があり、それについては、全体のプロセス目標に適合するようにオペレータが選択することができる。許容範囲からの逸脱を補正する目的で調整を行う実施形態と比較して、この実施形態では、通常、待機時間がより長い。
本方法は、少なくとも1つのアノードと少なくとも1つのカソードとを有する電池リアクター(反応装置)を含む微生物燃料電池ユニットに適している。アノード及びカソードは、外部電気回路及び電池内に存在する液体培地を介して互いに接続されている。アノード材料上には、発電菌などの微生物によって電気活性バイオフィルムが形成される。このバイオフィルムは、液体培地中の有機物質を酸化し、アノードに電子を移動させる。この酸化により、二酸化炭素、電子及びプロトンが生成する。電子は、アノード及び外部回路を介してカソードに移動し、プロトンは、液体培地を介してカソードに移動する。電子及びプロトンは、カソードで酸化性媒体と反応し、必要に応じて触媒によって反応促進させる。
アノード及びカソードは、金属、カーボン又はポリマーなどの1種以上の導電性材料の混合物を含有する。また、アノード及びカソードは、他の材料、例えばイオン交換材料を含有することができる。アノード材料は発電活性を妨げないものであることができる。微生物燃料電池リアクターは、また、アノードとカソードとの間にセパレータを含むことができる。セパレータは、短絡を防止しつつ、アノードとカソードとの間隔を密なものとする。この目的のために、セパレータは少なくとも1つの電気絶縁層を含む。また、セパレータは、さらに追加の目的をも果たすことができ、例えば、カソードが汚染されないように保護し、又は流体(fluids)がカソードからアノードへ拡散するのを制限することができる。セパレータは膜、例えばカチオン選択性膜であることができる。アノード及びカソードは、必要に応じて、例えば平板又は中空管として形成することができる。
本発明で供給物として使用する液体培地は、微生物燃料電池内で微生物によって分解される、脂肪酸、糖及び/又はアルコールのような有機物質を含む。本発明の一実施形態によれば、液体培地は、好ましくは、パルプ及び製紙産業プロセス、石油及びガス産業プロセス、又は採掘プロセスからの流出物である。また、液体培地は、好ましくは、食品産業又は飲料産業、例えば醸造所又は酪農場に由来するものであってもよい。また、本発明の別の実施形態によれば、液体培地は都市下水又は農業廃水である。
液体培地のpHは、微生物燃料電池に供給する前に、好ましくはpH6〜9の間に調整することができる。アノード電位について及び/又は上述した追加パラメータについて得られた測定情報は、液体培地のpH値を調整するのに使用することができる。
実験例
本発明について、いくつかの実施形態を以下の非限定的な実施例で説明する。
装置の構成
MFCリアクター、各種センサ、ポンプ及び供給制御器(コントローラ)を含む微生物燃料電池装置を設計し、実験室規模で評価した。
3つの同様の微生物燃料電池リアクターを実施例で使用した。各リアクターは、カーボンクロス(FuelCellsEtc GDL−CT)であるアノードと、触媒及び防水層を有するカーボンクロス(2mg/cm白金及びPTFEを有するFuelCellsEtc GDL−CT)であるカソードを含むものであった。全ての実施例において、アノード室の体積は25mlであった。電極有効面積は50cmであった。リアクターの形状は平板であった。ティッシュ(tissue)からなるセパレータを、アノードとカソードの間に配置した。
液体培地の供給物を微生物燃料電池のリアクター入口に圧送する前発酵用槽内に、pH電極及びPT100温度計を設置した。前発酵用槽と微生物燃料電池とは、流入液供給ライン内の有機物質が不必要に分解するのを回避するように互いに近接して配置した。リアクター入口はリアクターのアノード室の下部に設け、流出液出口はリアクターのアノード室の上部に配した。基準電極はリアクター出口に近い流出液流中に配置し、pH電極は基準電極に近い流出液流中に設置した。また、流出液流を流出液容器に導入した。
使用したpH電極は、Van London−Phoenixから入手した、型式PHO−5533501であった。基準電極はBASi製の型式RE−5B Ag/AgClであった。ポンプはMasterflex L/S 07522−30であった。各pH電極は信号変換器に接続し、信号変換器はSiemens IOカードに接続した。制御器は、4つのSiemens S7−300 IOカード(2つのアナログ入力と2つのアナログ出力)を使用するS7−300 314プログラマブル論理制御器(PLC)であった。このセットアップは、Siemens TP177タッチスクリーンをユーザーインターフェースとして含むものであった。温度計、アノード電極、基準電極、及びポンプはIOカードに接続した。pHの温度補償については、個々のpH信号及び前発酵済み廃水についてPT100で測定した温度に基づいて制御論理内で行った。また、制御器は、データロガー(Agilent 34972A)に4〜20mA信号を送信するものであった。信号には、pH測定値、温度測定値、及びフローオーダー(flow order)が含まれていた。
装置の運転操作
3つの同一の微生物燃料電池装置に、同時に接種(植菌)を実施した。接種は3日間続けた。これら装置について合計で66日間運転を行った。装置の運転は27.6±0.6℃の温度で操作した。
各装置には、前発酵させた醸造廃水を供給した。前発酵用容器の水理学的滞留時間は16〜24時間の間で変動した。また、前発酵させた廃水の溶解性CODは、試験期間中3300±700mg/lの間で変動した。
各装置は、液体培地として前発酵した醸造廃水を供給するための独自のポンプを備えていた。接種の後、3つの装置全てが流速2ml/hで液体培地の受け入れを開始した。11日目以降、液体培地を、各装置から得た測定結果により決定した速度で2つの装置に供給した。その液体培地は、2〜20ml/hで変動する流速でリアクターに供給した。アノード電位及びCOD低減に基づいて、1つの装置について手動で供給調整を行った。この装置について、供給速度は、運転日3〜59の間は2ml/hであり、運転日59〜66の間は3ml/hであった。
必要と認められる場合、溶解性CODの分析を週2〜3回行った。溶解性CODの分析は、前発酵用槽から得た試料及び流出液ラインの末端部における試料について行った。同時に流出液容器の重量を測定した。
可変外部抵抗器をアノードとカソードとの間に接続した。その値を、最初500オームからテスト期間の終了時に60オームまで、四中間段階を経て手動で変化させた。アノード、カソード及び基準電極の各電位を3〜10分間隔で測定し、データロガーで記録した。電池の電圧と外部抵抗値を使用して電力と電流を計算した。発電量(W/m)の結果及びCOD除去(kg/m/d)の結果は、すべて、アノード室体積との関係で表す。
装置の制御論理
アノード電位、流入液流のpH及び流出液流のpHをパラメータとして使用して、自動制御論理をプログラムした。アノード電位が所定のレベルを超えた場合、及び/又は、流出液のpHが所定のレベルを下回った場合、下記の基準を使用して、流速を増加させる必要があるか又は減少させる必要があるかどうかを決定した。
1)アノード電位が所定のレベルを超えたが、流出液pHが所定のレベルを下回らなく、しかも規定の待機時間内に供給速度の変化がなかった場合、供給速度を10%の所定量だけ増加させた。
2)アノード電位が所定のレベルを超え、流出液pHが所定のレベルを下回り、規定の待機時間内に供給速度の変化がなかった場合、供給速度を25%の所定量だけ減少させた。
3)アノード電位が依然として許容範囲内であり、流出液pHが所定のレベルを下回り、規定の待機時間内に供給速度の変化がなかった場合、供給速度を所定量だけ減少させた。流入液pHが所定のレベルを上回った場合、供給速度を10%だけ減少させ、それ以外の場合、減少量は25%であった。
供給速度を最大化するための規則を含めた。すなわち、アノード電位が所定のレベルより低く、流出液pHが所定のレベルを上回ったとき、n回目の待機時間後ごとに、供給速度を10%増加させた。
待機時間の後に、供給を調整した。待機時間は、次のとおり計算した。すなわち、待機時間(時間)=(水理学的滞留時間)/3。アノード電位又は流出液pHの変化に基づいて供給速度を変更した場合には、さらに0.5時間の遅延時間を待機時間の計算に加えた。
各MFC配置に対して制御論理では、フローオーダー、すなわち1時間にMFC装置に供給される液体培地の実際の量を定義した。オペレータは、制御論理で定義したフローオーダーを手動で変更し、新しい実験を開始することができる。液体培地を供給する流入ポンプを1分間操作した。制御論理により、その時間中にポンプ送給を行う時間を調整して定義したフローオーダーを達成した。ポンプ送給の合間のポンプ送給速度は、最大流量限界によって規定した。
制御論理に使用する、アノード電位、流入液流pH、及び流出液流pHの限界値は、運転中に変更することができた。オペレータにより定義可能な他のパラメータは、待機時間乗数n、及び最大供給流量であった。試験中、限界値及び変数には、下記の数値又は数値範囲を使用した。
−アノード電位:−380〜−420mV、前発酵した醸造廃水用のAg/AgCl 3M NaCl基準電極に対して、運転温度28℃、混合細菌培養;
−流出液流pH:6.5〜6.8、前発酵した醸造廃水及びエアカソードの場合;
−流入液流pH:6.3〜6.7、前発酵した醸造廃水及びHRT1〜13時間の場合;
−待機時間乗数n:4〜8;
−最小流量:2ml/h;
−最大流量:5〜20ml/h
実施例1
アノード電位が急激に上昇した。流出液流のpHが規定した上限値6.6を超えた。アノード電位が規定の限界値−420mVを下回るまで、制御器により供給速度を2回増加した。
図1は、実施例1で使用した制御MFC装置1についてのアノード電位、フローオーダー、及び流出液流のpHを示す。
実施例2
アノード電位が規定の限界値−420mVを超えて上昇した。流出液流のpHが規定の限界値6.6を下回って低下するまで、供給速度を6回増加させた。その低いpH値は過剰供給を示すものと考えられた。その後、制御器により供給速度を減少させ、供給速度の減少を4回行った。実施例2は、規定のアノード電位限界が、もしかしたら低すぎるものであり、その結果、不必要な供給速度の変更になったことを示している。しかし、制御器はそれに応じて供給速度を調整し再調整することができるものであった。
図2は、実施例2で使用した制御MFC装置1についてのアノード電位、フローオーダー、及び流出液流のpHを示す。
実施例3
実験中、時刻15:20に外部抵抗器を125オームから90オームに変更した。アノード電位が瞬間的に上昇した。流出液供給pHが、定義された上限値6.8を超えた。アノード電位が規定の限界値−400mVを下回るまで、制御器が供給速度を2回増加させた。外部回路の変化が、大きかったので、アノード電位にも影響を与え、それに応じて、制御器が液体培地の供給速度を調節した。
図3は、実施例3で使用した制御MFC装置1についてのアノード電位、フローオーダー、及び流出液流のpHを示す。
実施例4
実験中、時刻13:00に外部抵抗器を75オームから60オームに変更した。アノード電位は規定の限界値−395mVを超えて上昇した。流出液流のpHは規定の限界値6.5を超えた。アノード電位が規定した最大限界値を下回るまで、制御器が供給速度を2回増加させた。流出液流のpHが限界を上回っていたので、供給速度を、さらに、待機時間乗数値n=8を用いて追加の調整として増加させた。
図4は、実施例4で使用した制御MFC装置2についてのアノード電位、フローオーダー、及び流出液流のpHを示す。
実施例5:MFC装置の性能比較
制御MFC装置1及び2並びに基準MFCについて、クーロン効率を比較する。
クーロン効率(CE%)は、(完全な流入液酸化から得られる)理論量Cinに対する、得られた総クーロン量Coutの割合を用いて計算することができる。すなわち、
CE% = Cout/Cin × 100%
=(I×t)/((F × n × ΔCOD × V)/M)
式中、
Iは電池電圧と抵抗値から計算した、1日の平均電流(A)であり;
tは時間間隔であり;
Mは酸素の分子量であり;
Fはファラデー定数であり;
nは酸素1モル当たりに交換される電子の数であり;
ΔCODは溶解性CODの除去量の質量であり;
Vはリアクターのアノード室の体積である。
図5は、実施例5のMFC装置のクーロン効率を示す。
図5から、基準のMFC装置が、試験期間の30日後に、通常、制御MFC装置1及び2よりも高いクーロン効率値を有することが観察できる。この結果は、アノード電位及び流出液流のpH値が定義された範囲内にある場合には、制御器が間隔を置いて供給を増加させるようにプログラムしていたことから予想されることである。制御MFC装置の制御目標は、発電活性を損なわずにCOD除去を最大にすることであった。その結果、クーロン効率が低下した。電流を同時に増加させることができなかったからである。
図8に、実施例5のMFC装置のクーロン効率を示す。
MFC装置の最大電力点(MPP)データを表1に示す。MPPデータは、2つの電極及びポテンシオスタット(Ivium nSTAT)を使用するリニアスイープ(線形掃引)ボルタンメトリー(LSV)スキャンから得たものである。最初のスキャンは9日目に行い、最後のスキャンを62日目に行った。
制御MFC装置についてはCOD減少を最大化するように運転したにもかかわらず、3つのMFCすべてについて、LSVスキャンの電力生産(発電)結果は同様である。したがって、供給速度は、電気活性バイオフィルムを分解又は劣化するほど高すぎるものではなかった。また、この実施例の目標を達成することができた。すなわち、電力を減少させることなく、COD除去をより高いものとすることができた。比較目的で、試験期間中における平均COD除去率を表1に含める。
Figure 2018531489
本発明について、現時点で最も実用的で好適な実施形態であると思われるものについて説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではないと解釈すべきであり、また、本発明は、添付した特許請求の範囲に記載した範囲内で各種の変形例及び均等な技術解決手段を包含することを意図している。

Claims (15)

  1. 外部電気回路を介して互いに接続されたアノード及びカソードを具備する少なくとも1つの微生物燃料電池ユニットを有する、微生物燃料電池装置の運転を制御する方法であって、
    −微生物燃料電池ユニットに有機物質を含む液体培地の流入液流を供給すること、
    −微生物を用いて、微生物燃料電池ユニット内で有機物質の少なくとも一部を電気エネルギーに変換すること、
    −基準電極に対するアノードの電位を測定し、測定値を得ること、
    −該測定値を、微生物燃料電池ユニットに対する流入液流の供給を制御するのに使用すること、及び
    −被処理液体培地の流出液流を微生物燃料電池ユニットから除去すること
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記アノード電位について得た測定値に基づいて流入液流の供給を調整することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記アノード電位について得た測定値に基づいて流入液流の供給速度を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記装置が、直列に配置した複数の微生物燃料電池ユニットを含むこと、少なくとも1つの微生物燃料電池ユニットのアノード電位を測定し、該装置への流入液流の供給を制御し、及び/又は調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. −アノードの電位について最小及び/又は最大限界値を予め定めること、及び
    −アノードの電位が最小及び/又は最大限界値の外に逸脱したとき、流入液流の供給を調整すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. pH、有機物質の濃度及び/又は流入液流及び/又は流出液流の酸化還元値から選択される追加パラメータの値を測定すること、及び、追加パラメータについて得た測定値を使用して、流入液流の供給を制御及び/又は調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. −追加パラメータについて上限値及び/又は下限値を予め決定すること、及び
    −追加パラメータの値が上限値及び/又は下限値の外に逸脱したとき、流入液流の供給を調整すること
    を特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. −アノードの電位について最小及び/又は最大限界値を予め定めること、
    −基準電極に対するアノードの電位を測定し、アノードの電位が最小及び最大限界値によって画定される許容範囲内にあることを観察すること、及び
    −少なくとも1つの追加パラメータの値を測定し、少なくとも1つの追加パラメータについて得た測定値を使用して、流入液流の供給を調整すること
    を特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
  9. −アノードの電位について最小及び/又は最大限界値を予め定めること、
    −基準電極に対するアノードの電位を測定し、アノードの電位が最小及び最大限界値の外側にあることを観察すること、及び
    −少なくとも1つの追加パラメータの値を測定し、追加パラメータについて得た測定値を使用して流入液流の供給を調整すること
    を特徴とする請求項6又は7に記載の方法。
  10. 流入液供給について行う連続的な2回の調整の間に待機時間を適用することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 流入液流の供給について少なくとも1つの最小及び最大供給レベルを決定することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記液体培地が、都市下水又は農業廃水、パルプ及び製紙産業プロセスからの流出液、石油及びガス産業プロセスからの流出液、採掘プロセスからの流出液であり、又は食品若しくは飲料産業に由来することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 微生物燃料電池装置であって、
    −液体培地用の入口及び出口を有する電池リアクターと、電池リアクター内に配置され、外部電気回路を介して互いに接続されたアノード及びカソードとを具備する、少なくとも1つの微生物燃料電池ユニットと、
    −アノードの電位を測定する手段と、
    −入口への流入液流を調整する手段と、
    −アノードの電位を測定する手段及び入口への流入液流を調整する手段と機能的に接触して配置された制御器と
    を含むことを特徴とする装置。
  14. 前記装置が、一群のpHセンサ、有機物質の濃度を測定するセンサ、及び/又は酸化還元センサから選択される少なくとも1つの追加センサを含むことを特徴とする請求項13に記載の装置。
  15. 前記装置が、アノード電位の測定値を記憶するメモリ手段、及び/又は、アノード電位の測定値からアノード電位の平均値を計算する計算手段を含むことを特徴とする請求項13又は14に記載の装置。
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