JP2018531352A - ピストンリング - Google Patents

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Abstract

内燃機関用のピストンリングを提供する。ピストンリングのリング端部には少なくとも1つの凹部が設けられる。ピストンリングの周方向の少なくとも1つの凹部は変化する深さプロファイルを有する。【選択図】図4

Description

本発明はピストンリングに関し、特に、最新の内燃機関用に改善された耐久性を有するピストンリングに関する。
圧縮ピストンリング (以下、一般に「ピストンリング」と称する)は、主に内燃機関のクランクケースに対して燃焼室を密閉し、燃焼ガスのクランクケースへの進入を防ぐ役割を果たし、これより少ない程度において、潤滑油の燃焼室への進入を防ぐ役割を果たす。ピストンリングは軸受面、すなわちピストンリングの軸方向外面とシリンダの内壁との界面だけではなく、下方端部、すなわち、ピストンリング及びピストンリングの溝と、ピストンリングの下方径方向面との間の界面も密閉する。以後、「下方」とは、燃焼室の反対方向に面するシリンダ又はピストンの側面を意味する。
今日の高加圧機械において、ピストンリングの下方のリング端部において、しばしば腐食と摩耗の双方が発生する。これはリング端部とピストン溝との間の空間に非常に僅かな潤滑油しか到達しないからである。ピストン溝とピストンリングとの間の領域に到達する潤滑油の量を低減させる試みが更に行われるため、この問題は近い将来更に深刻化するだろう。これは、いわゆる「オイルポンピング(oil pumping)」、すなわち、ピストンの上下運動中のピストンリングの揺れによる、オイルの燃焼室への望ましくない排出を回避するために使用され、最終的には排出制御及び有害な燃焼材料の減少を提供する。
ピストンリングの溝及び端部の腐食及び摩耗によって機能的な密封性が制限されるため、ブローバイ値が高まり、最終的に使用後間もなくピストンリングが破損してしまう。
軸受面の摩耗対策としてクロムめっきがある。しかしながら上述のリング端部の摩耗の問題に関しては、クロムめっきが非常に肯定的な効果をもたらすことは滅多にない。特許文献1には、ピストンリングと溝の2つの金属面との間の乾燥摩耗を防ぐために、燃焼室に対向するピストンリングの少なくとも(上方の)面に、結合剤を含む乾燥潤滑剤の充填された凹部を設けることが提案されている。乾燥潤滑剤は同時に腐食を防止する。
しかしながら、このような凹部によって提供される摩耗及び/又は腐食に対する保護の持続期間は非常に限られたものである。更に摩耗を促進させる要因が加わった場合、このような保護用の凹部は短期間で摩滅し、その保護効果が失われてしまう可能性がある。本発明は上述の問題に対する解決策を提供する。
スイス国特許出願公開第373594A号明細書
本発明はピストンリングに関し、特に、最新の内燃機関用に改善された耐久性を持つピストンリングに関する。尚、本明細書において、燃焼室に面する側面、又は燃焼室の反対方向に面する側面は、必ずしも組みつけられた状態において対応する特徴が有効となることを意味するものではなく、クランクケース及び燃焼室に関して記載するピストンリングの設置方向に関して有効であることを意味する。 この意図される設置方向は通常ピストンリングに記されている(例えばリング端部に刻まれている「上」など)。
本発明の好適な実施形態において、内燃機関用のピストンリングが提供され、これは、ピストンリングのリング端部に設けられた少なくとも1つの凹部を備え、少なくとも1つの凹部はピストンリングの周方向に変化する深さプロファイルを有する。
一実施形態において、リング端部は燃焼室の反対方向に面している。別の実施形態において、リング端部は燃焼室に面している。
一実施形態において、ピストンリングはまた、燃焼室に面するリング端部に設けられた少なくとも1つの凹部も備え、この少なくとも1つの凹部はピストンリングの周方向に変化する深さプロファイルを有する。
一実施形態において、リング端部と凹部の最も高い点との間の軸方向距離は、リング端部と凹部の最も深い点との間の軸方向距離の50%以下である。
一実施形態において、凹部の深さプロファイルは正弦波形、波形、ジグザグ形、鋸歯形又は台形である。
一実施形態において、リング端部の一部に亘るピストンリングのリング端部における凹部は、リング端部の境界から径方向に変化する距離を有する。
一実施形態において、リング端部の境界からの径方向距離は、周方向において正弦曲線状に変化する。
更なる実施形態において、ピストンリングは燃焼室と反対方向に面するリング端部に設けられた第2凹部を備え、少なくとも1つの凹部はピストンリングの周方向に変化する深さプロファイルを有し、これは第1凹部の深さプロファイルに対して位相変化する。
一実施形態において、軟質材料が少なくとも1つの凹部のうちの1つ又は複数に導入される。
一実施形態において、軟質材料には、銅、モリブデン、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、スズ、亜鉛、タングステン又はそれらの合金からなる群から選択される材料が含まれる。
一実施形態において、軟質材料には、銅、モリブデン、又は潤滑ワニスからなる群から選択される材料が含まれる。
一実施形態において、軟質材料の凹部への充填高さは5〜50%、最も好適には10〜30%である。
一実施形態において、燃焼室の反対方向に面するリング端部の側面において、少なくとも2つの凹部が設けられ、そのうちの1つには軟質材料が充填され、もう1つには充填されない。
一実施形態において、燃焼室に面するリング端部の側面において、少なくとも2つの凹部が設けられ、そのうちの1つには軟質材料が充填され、もう1つには充填されない。
本明細書に示す全ての図面は概略的かつ例示的なものである。本発明の効果及び設計を説明するために、縮尺及びサイズは誇張されている場合がある。可能な限り、同じ又は類似の部分を示すために同じ参照符号が使用される。
ピストン溝に設置される、本発明によるピストンリングの断面図である。 本発明の一実施形態によるピストンリングの一部を示す図である。 凹部の深さプロファイルを示す、図2Aの切断線Sに沿ったピストンリングの断面図である。 本発明の別の実施形態によるピストンリングの一部を示す図である。 本発明の別の実施形態によるピストンリングの一部を示す図である。
本発明はピストンリングに関し、特に、最新の内燃機関用に改善された耐久性を有するピストンリングに関する。図1は、ピストン溝に設置された、本発明によるピストンリングの断面図である。
図1は特に内燃機関のピストン2における凹部又は溝1を示す。 ピストンリング3は溝1に挿入される。図1において、燃焼室(図示せず)は図示する装置上に位置する。燃焼ガスの接触圧により、ピストンリングは通常下向きに、すなわち燃焼室とは反対方向に押される。その結果、一方ではピストンリング3の軸受面(すなわち、 ピストンリング3の軸方向外面とシリンダ内壁6との界面 )において、また他方ではピストンリング3の下方端部4 (すなわち、ピストンリング溝1とピストンリング3の下方径方向面との間の界面)に大きな摩耗力が生じる。
本発明による凹部5はピストンリングの下方端部4及び上方端部に略的に示される。圧力のため、通常下方端部の力の方が強いので、ピストンリング5の下方端部における凹部5は特に好適であり、一方、本発明において、上方端部の凹部は任意選択で設けられる。
図2Aは本発明の一実施形態によるピストンリングの一部を示す図である。図2Aは、ピストンリング3の凹部5を下方リング端部4の同心凹部として示している。しかしながら対応する凹部は本発明によるピストンリングの上方リング端部にも設けることができる。
図2Bは図2Aのピストンリング3の、切断線Sに沿った断面図である。図2Bは特に凹部5に沿った凹部5の深さが一定でなく、一定の範囲で、好適には定期的に変化することを示している。図2Bは正弦曲線状の凹部プロファイルを例示的に示し、細い平行線からなる上方部(hatched upper part)は材料が取り除かれて凹部5が形成されたことを示している。凹部5における深さプロファイルの正弦波形に加え、波形、ジグザグ形、鋸歯形、台形などのその他のプロファイル形も可能である。凹部の形状はこれらに制限されない。異なる形状をリング端部の凹部5間、及びリング端部間において自由に組み合わせてもよい。しかしながら、特に好適なのは、図2Bに示すような波形、又は正弦波形である。
(図1に示すような)径方向の断面において、凹部は好適にはV字状(図1に示す)、長方形、台形、底の丸い(U字状の)凹形、又はこれらに限られないその他の適した形状とすることができる。一実施形態において、リング端部4と凹部の最も高い点との間の軸方向の距離bは、リング端部4と凹部の最も深い点との間の軸方向距離aの50%以下である。
図3及び図4はそれぞれ本発明の他の実施形態によるピストンリングの部分図を示す。図3は、ピストンリング3のリング端部4において複数の凹部5が同心状にオフセットして設けられている様子を略的に示している。図4はピストンリング5のリング端部4における凹部5が波状の形状を有していることを示し、従ってリング端部4における凹部5はピストンリング3の径方向高さの一部に亘って曲がりくねっている。換言すれば、ピストンリング3のリング端部4における凹部5は、リング端部4の一部に亘ってリング端部4の境界から径方向に変化する距離を有している。本明細書では好適に、リング端部4の外端を意味する。この波形は、正弦波又は波状の凹部プロファイル(図2Bに示す)を有する正弦波又は波状の凹部5(図4に示す)において特に肯定的な効果が得られるため、特に好適である。
取り囲む、又は部分的に取り囲む凹部5により、異なる圧力条件において、油が溝内の周方向に流れることを保証することができる。このようにして提供される油はピストンリング3の下方端部4における摩耗又は腐食を既知の方法で低減させ、任意の実施形態においてはピストンリング3の上方端部においても低減させる。(例えば図2Aに示すように)複数の凹部5が相互に平行に配置される場合、個々の凹部5の深さプロファイルを同相(すなわち、隣接する凹部5の最も深い点の上に径方向の凹部の最も深い点)に配置せずに、位相シフト(谷上に山)して配置することが望ましい。従って、ピストンリングの摩耗が均一でない場合でも、循環方向、又は周方向に一定量のオイルフローが確保される。
任意選択で、本発明による1つ又は複数の凹部5には軟質材料が導入され、これによって燃焼によってシステム内に運ばれる粒子が吸収される。好適に、軟質材料には銅、モリブデン、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、スズ、亜鉛、タングステン又はこれらの合金からなる群から選択される材料が含まれる。好適に、軟質材料には、銅、モリブデン、又は潤滑ワニスからなる群から選択される材料が含まれる。しかしながら一般的に、ピストンスカート又はシリンダ壁の構造(例えば、ピストンスカート/シリンダ壁における封入物又はビーズの形態)において通常望まれる、潤滑効果を提供するのに適する材料は全て軟質材料として適用可能である。
一実施形態において、軟質材料の凹部への充填量レベルは(キャビティの深さの%、すなわち、リング端部から凹部の最の低い点までの垂直方向の距離で表すと)、2〜99%であるが、好適には5〜50%、最も好適には10〜30%である。
本発明の凹部5は、既知の方法によってピストンリングへ機械的に粉砕する(milled)か、又は(化学的に)侵食することができる。

Claims (15)

  1. 内燃機関用のピストンリング(3)であって、該ピストンリング(3)のリング端部(4)に設けられた少なくとも1つの凹部(5)を備え、該少なくとも1つの凹部(5)は前記ピストンリングの周方向に変化する深さプロファイルを有するピストンリング(3)。
  2. 請求項1に記載のピストンリング(3)において、前記リング端部(4)は前記燃焼室の反対方向に面するピストンリング(3)。
  3. 請求項1に記載のピストンリング(3)において、前記リング端部(4)は前記燃焼室に面するピストンリング(3)。
  4. 請求項2に記載のピストンリング(3)において、前記燃焼室に面する前記リング端部に設けられた少なくとも1つの凹部(5)を更に備え、前記少なくとも1つの凹部(5)は、前記ピストンリング(3)の周方向に変化する深さプロファイルを有するピストンリング(3)。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載のピストンリング(3)において、前記リング端部(4)と前記凹部の最も高い点との間の軸方向の距離(b)は、前記リング端部(4)と前記凹部の最も深い点との間の軸方向の距離(a)の50%以下であるピストンリング(3)。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載のピストンリング(3)において、前記凹部(5)の前記深さプロファイルは、正弦波形、ジグザグ形、鋸歯形又は台形を有するピストンリング(3)。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載のピストンリング(3)において、該ピストンリング(3)の前記リング端部(4)における前記凹部(5)は、前記リング端部(4)の一部において、該リング端部(4)の前記端部から径方向に変化する距離を有するピストンリング(3)。
  8. 請求項7に記載のピストンリング(3)において、前記リング端部(4)の境界からの前記径方向距離は、前記周方向において正弦曲線状に変化するピストンリング(3)。
  9. 請求項1〜8の何れか一項に記載のピストンリング(3)において、前記燃焼室の反対方向に面する前記リング端部(4)に設けられた第2凹部(5)を備え、前記少なくとも1つの凹部(5)は、前記ピストンリングの前記周方向に変化する深さプロファイルを有し、該深さプロファイルは、前記第1凹部(5)の前記深さプロファイルに対して位相シフトするピストンリング(3)。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載のピストンリング(3)において、前記少なくとも1つの凹部(5)のうちの1つ又は複数に軟質材料が導入されるピストンリング(3)。
  11. 請求項10に記載のピストンリング(3)において、前記軟質材料には、銅、モリブデン、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、スズ、亜鉛、タングステン又はそれらの合金からなる群から選択される材料が含まれるピストンリング(3)。
  12. 請求項10又は11に記載のピストンリング(3)において、前記軟質材料には、銅、モリブデン又は潤滑ワニスからなる群から選択される材料が含まれるピストンリング(3)。
  13. 請求項10〜12の何れか一項に記載のピストンリング(3)において、前記軟質材料の前記凹部への充填高さは、5%〜50%、最も好適には10%〜30%であるピストンリング(3)。
  14. 請求項10〜13の何れか一項に記載のピストンリング(3)において、 前記燃焼室の反対側に面する前記リング端部(4)の側面に少なくとも2つの凹部(5)が設けられ、その内の1つには前記軟質材料が充填され、もう片方には充填されないピストンリング(3)。
  15. 請求項10〜14の何れか一項に記載のピストンリング(3)において、前記燃焼室に面する前記リング端部(4)の側面に少なくとも2つの凹部(5)が設けられ、その内の1つには前記軟質材料が充填され、もう片方には充填されないピストンリング(3)。
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