JP2018531241A6 - 抗菌性ポリミキシン誘導体化合物 - Google Patents

抗菌性ポリミキシン誘導体化合物 Download PDF

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Abstract

本発明は、抗菌性ポリミキシン誘導体化合物およびそれらの使用、ならびに特に、細菌感染症、例えば、グラム陰性細菌感染症、とりわけ多剤耐性(multidrug−resistant:MDR)グラム陰性細菌感染症によって引き起こされるものなど、の処置において使用することができるペプチドポリミキシン抗生物質に関する。

Description

発明の分野
本発明は、抗菌性化合物およびそれらの使用、ならびに特に、細菌感染症、例えば、グラム陰性細菌感染症、とりわけ多剤耐性(multidrug−resistant:MDR)病原菌によって引き起こされるものなど、の処置において使用することができるペプチド抗生物質に関する。
発明の背景
世界は、ほとんど全ての利用可能な抗生物質に対して耐性を有する細菌の出現による、多大な増加する脅威に直面している。過去20年間において、多剤耐性(MDR)グラム陽性細菌を標的とする少数の新規の抗生物質が承認されているが、グラム陰性細菌の処置のための新規の抗生物質の発見は、顕著に減少している。
グラム陰性細菌の代表的な属は、アシネトバクター属(Acinetobacter);アクチノバシラス属(Actinobacillus);バルトネラ属(Bartonella);ボルデテラ属(Bordetella);ブルセラ属(Brucella);バークホルデリア属(Burkholderia);カンピロバクター属(Campylobacter);シアノバクテリア属(Cyanobacteria);エンテロバクター属(Enterobacter);エルウィニア属(Erwinia);エシェリヒア属(Escherichia);フランシセラ属(Francisella);ヘリコバクター属(Helicobacter);ヘモフィルス属(Hemophilus);クレブシエラ属(Klebsiella);レジオネラ属(Legionella);モラクセラ属(Moraxella);モルガネラ属(Morganella);ナイセリア属(Neisseria);パスツレラ属(Pasteurella);プロテウス属(Proteus);プロビデンシア属(Providencia);シュードモナス属(Pseudomonas);サルモネラ属(Salmonella);セラチア属(Serratia);シゲラ属(Shigella);ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas);トレポネーマ属(Treponema);ビブリオ属(Vibrio);およびエルシニア属(Yersinia)である。
米国感染症学会(IDSA)は、最近のその「Bad Bugs Need Drugs」キャンペーンにおいて、緑膿菌(シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa))、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)、および肺炎桿菌(クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae))を、6つの最優先の危険なMDR微生物、いわゆる、「スーパーバグ」の「対象リスト(hit list)」に加えた。チゲサイクリンは、アシネトバクター・バウマニを含む様々な臨床的に重要なグラム陰性病原菌に対して活性であるが、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に対しては有効ではないと報告されている。世界中の多数の病院は、最終選択治療であるポリミキシンを除く、全ての市販の抗生物質に対して耐性を有する緑膿菌(P.aeruginosa)、A.バウマニ(A.baumannii)、または肺炎桿菌(K.pneumoniae)によって引き起こされる感染症の大発生を経験している。
ポリミキシンは、70年以上前に発見されたペプチドのクラスに属する。それらは、パエニバチルス・ポリミクサ(Paenibacillus polymyxa)における二次代謝経路から非リボソーム性生合成酵素によって産生される。臨床的に利用可能な2種のポリミキシン、すなわちポリミキシンBおよびコリスチン(ポリミキシンE)、が存在する。ポリミキシンBおよびコリスチンの市販製剤は、発酵から得られる密接に関連するペプチドの混合物である(Orwa,J.A.,et al.(2001) J.Chromatography A.912,369−373;Govaerts,C.,et al.(2002) J.Chromatography A.976,65−78)。ポリミキシンB製剤中に見出される2つの主要成分は、ポリミキシンBおよびBであるが、その一方で、コリスチンの市販製剤は、コリスチンAおよびBで標識された2つの主要成分を含有する。これらのポリミキシンBおよびコリスチン成分の構造を以下に示す。
ポリミキシンは、現在、全ての他の利用可能な抗生物質が不活性である患者において、抗生物質の最終選択のクラスとして使用されている。ある特定のグラム陰性細菌感染症の処置におけるポリミキシンの効力にもかかわらず、コリスチン(その不活性プロドラッグであるコリスチンメタンスルホネートとして)およびポリミキシンBの非経口投与が、患者の最大で60%までにおいて腎毒性であり得、このことは、MDRグラム陰性感染症を処置するためにそれらをより日常的に使用することを制限している(Hartzell,J.D.,et.al.(2009) Clin.Infect.Dis.48,1724−1728;Kubin,C.J.,et.al.(2012) J.Infect.65,80−87;Akajagbor,D.S.,et.al.(2013) Clin.Infect.Dis.57,1300−1303;Rigatto,M.H.,et.al.(2015) J.Antimicrob.Chemother.70,1552−1557)。腎毒性は、現在利用可能なポリミキシンに対する主要な用量規制因子であり、ポリミキシンの準最適投薬は、ポリミキシン耐性の発現を促進し得る(Dudhani,R.V.,et.al.(2010) J.Antimicrob.Chemother.65,1984−1990;Garonzik,S.M.,et.al.(2011) Antimicrob.Agents.Chemother.55,3284−3294;Li,J.,et.al.(2006) Antimicrob.Agents Chemother.50,2946−2950;Dubrovskaya,Y.,et.al.(2013) Antimicrob.Agents Chemother.57,5394−5397)。
ポリミキシンBおよびコリスチンは、腎毒性を引き起こす可能性に加えて、投与において急性毒性反応(例えば、皮膚炎、呼吸困難など)も引き起こし得る。ポリミキシンBおよびコリスチンに関連する急性毒性は、当該化合物の安全な最大治療用量を制限し、結果として治療濃度域を狭くする(Nord,N.M.,Hoeprich,P.D.,(1964) N Engl.J.Med.270,1030−1035;Schwartz,B.S.,(1964) Chapter 7:The Polypeptides of the Polymyxin Group − Experimental Chemotherapy,page 245,Edited by Schnitzer,R.,Academic Press,New York,USA)。
利用可能な臨床的ポリミキシンと同様のまたはより高い効力を提供するが腎毒性副作用のない新規のポリミキシン化合物を開発する試みは、主に、いくつかの異なる疎水性C〜C10直鎖状または分岐鎖状アルキル鎖を有する、ポリミキシンBおよびコリスチンのN−末端領域の変更に集中してきた。これらのアルキル鎖の存在は、それらを除去することによって抗菌活性が失われるため、抗菌活性にとって不可欠であると考えられる。しかしながら、これらのアルキル鎖は、それらを除去することによって腎毒性が減少することから、ポリミキシンBおよびコリスチンの腎毒性にも貢献し得ると考えられる(Vaara,M.,Vaara,T.Nature,(1983) 303,526−528;Velkov,T.,et.al.(2010) J.Med.Chem.53,1898−1916)。腎毒性の可能性を減らしつつ抗菌活性を維持するため、アプローチの1つは、N−末端の分岐鎖状のアルキル鎖を疎水性の低いヘテロアリール基で置き換えることである。国際公開第2012/168820号は、N−末端環状ヘテロアリールおよび複素環式基ならびに3位のDap−3アミノ酸基を有するポリミキシンBおよびコリスチンの誘導体を提供しており、これは、ポリミキシンBと比べて低い腎毒性および高い活性を有することが報告された。その後、同じ著者によって、これらの化合物が、ポリミキシンBと比べていかなる有意な治療上の利点を提供しなかったことが報告された(Magee,T.V.,et.al.J.Med.Chem.(2013) 56,5079−5093)。
したがって、臨床的に利用可能なポリミキシンと同様のまたはより高い効力を提供するが腎毒性効果が無視できるような、新規のポリミキシン化合物を開発することが必要とされている。
ある特定ポリミキシンアナログが、グラム陰性細菌、特に、MDRグラム陰性細菌に対するそれらの効力を維持または高めつつも、ポリミキシンBまたはコリスチンと比べて低い腎毒性効果を有することが見出された。
したがって、一態様において、本発明は、下記の式(I):
[式中、
は、−C(O)C2〜12ヘテロアリール、−C(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)C3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C1〜22アルキルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C2〜22アルケニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C2〜22アルキニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C5〜12アリールC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C3〜10ヘテロシクリルC5〜12アリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−S(O)C3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C1〜22アルキルC3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C2〜22アルケニルC3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C2〜22アルキニルC3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C5〜12アリールC3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C3〜10ヘテロシクリルC5〜12アリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、C(O)OC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)OC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC1〜22アルキルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC2〜22アルケニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC2〜22アルキニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC5〜12アリールC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC3〜10ヘテロシクリルC5〜12アリール、−C(O)NHC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール−C(O)NHC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)NHC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC1〜22アルキルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC2〜22アルケニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC2〜22アルキニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC5〜12アリールC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC3〜10ヘテロシクリルC5〜12アリールから選択され、それぞれ、任意選択により1つまたは複数のC1〜22アルキル、C2〜22アルケニル、C2〜22アルキニル、ハロ、トリハロC1〜22アルキル、トリハロC2〜22アルケニル、またはトリハロC2〜22アルキニルで置換されていてもよく;
は、D−Ser、L−Dab、またはL−Dapから選択されるアミノ酸の側鎖を表し;
は、ロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン、フェニルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、またはt−ブチルグリシンから選択されるアミノ酸の側鎖を表し;ならびに
は、セリン、アラニン、スレオニン、バリン、t−ブチルグリシン、または2−アミノ酪酸から選択されるアミノ酸の側鎖を表す]
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様において、本発明は、下記の式(I):
[式中、
は、−C(O)C2〜12ヘテロアリール、−C(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、C(O)OC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)NHC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、または−C(O)NHC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリールから選択され、それぞれ、任意選択により1つまたは複数のC1〜22アルキル、C2〜22アルケニル、C2〜22アルキニル、ハロ、トリハロC1〜22アルキル、トリハロC2〜22アルケニル、またはトリハロC2〜22アルキニルで置換されていてもよく;
は、D−Ser、L−Dab、またはL−Dapから選択されるアミノ酸の側鎖を表し;
は、ロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン、フェニルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、またはt−ブチルグリシンから選択されるアミノ酸の側鎖を表し;ならびに
は、セリン、アラニン、スレオニン、バリン、t−ブチルグリシン、または2−アミノ酪酸から選択されるアミノ酸の側鎖を表す]
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様において、本発明は、グラム陰性細菌感染症を予防または処置する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書において定義されるような式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与する工程を含む方法を提供する。
さらなる態様において、本発明は、多剤耐性(MDR)グラム陰性細菌感染症を予防または処置する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書において定義されるような式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与する工程を含む方法を提供する。
別の態様において、本発明は、グラム陰性細菌感染症の予防または処置のための医薬品の製造における、本明細書において定義されるような式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
別の態様において、本発明は、多剤耐性(MDR)グラム陰性細菌感染症の予防または処置における使用のための、本明細書において定義されるような式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様において、本発明は、少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と一緒に、本明細書において定義されるような式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む医薬組成物を提供する。
本発明のこれらの態様または他の態様は、付随の実施例および特許請求の範囲と関連付けて以下の詳細な説明を読むことにより、当業者により明らかとなるであろう。
図1は、45mg/kgのポリミキシンBまたは45mg/kgの化合物1、3、6、または18による処置後の好中球減少マウス肺感染症モデルにおけるMDR臨床分離株A.バウマニFADDI−AB030の細菌負荷のグラフ表示である。 図2は、45mg/kgのポリミキシンBまたは90mg/kgおよび180mg/kgの化合物1による処置後の好中球減少症マウス肺感染症モデルにおけるMDR臨床分離株A.バウマニFADDI−AB030の細菌負荷のグラフ表示である。
発明の詳細な説明
グラム陰性細菌におけるポリミキシンの初期細胞標的は、外膜(OM)のリポ多糖(LPS)成分である。当該LPS標的は、一般的に、グラム陰性細菌の全てではないがほとんどにおいて保存されると考えられている。一般的に、LPSは、リピドAと、様々な多糖の繰り返しユニットで構成された可変のO−抗原と、それらに結合する保存された内部コアである2−ケト−3−デオキシオクタン酸との3つのドメインで構成される。リピドAの共通構造は、1−位および4’−位においてリン酸化されたβ−1’−6−連結D−グルコサミン二糖からなる。緑膿菌のリピドAの構造の例を以下に示す:
リピドAは、通常、6つのアシル鎖を有する。4つのβ−ヒドロキシアシル鎖(通常、C10からC14の長さ)は、グルコサミン糖に直接結合しているが、第二のアシル鎖は、しばしば、当該鎖のうちの2つのそれぞれにおけるβ−ヒドロキシ基に結合している。リピドAは、脂肪酸アシル鎖の密充填による疎水性アンカーとして機能し、外膜構造全体を安定させるのに役立つ。
カチオン性ポリミキシンペプチド(特に、荷電したα,γ−ジアミノ酪酸(Dab)残基)と、外膜におけるLPSのリピドA成分との間に初期極性相互作用が存在し、それにより、二価のカチオン(Ca2+およびMg2+)をリピドAにおける負に荷電されたリン酸基から移動させると考えられている。この初期の相互作用の後に、外膜を越えての取り込みと細胞膜との相互作用が生じる。
ポリミキシンBおよびコリスチン(ポリミキシンE)は、抗生物質として臨床用途において1950年代にはじめて利用可能となった。その後まもなく、腎毒性副作用に関する懸念から、それらの使用は人気を失った。コリスチンにおけるこれらの観察された腎毒性副作用により、結果として、1980〜2000の間、当該ペプチドは抗生物質としてほとんど使用されなくなった。主に、他の全ての抗生物質が有効でないことが見出された患者における必要性から、ここ10年間において、再び、最終選択の抗生物質としての使用が見いだされた。さらに、腎毒性が、現在のポリミキシンに対する主要な用量規制因子であることから、向上した腎毒性プロファイルを有する化合物は、感染症をより効果的に処置するため、およびポリミキシン耐性の発現の可能性を抑制するために、より多い用量の投与を可能にするであろう。
驚くべきことに、本発明の化合物は、ポリミキシンBまたはコリスチンと比べて向上した腎毒性および急性毒性プロファイルを示しつつ、グラム陰性細菌に対して有効であることが見出された。ポリミキシン構造内の3つの重要な位置におけるある特定のアミノ酸残基が、特定のN−末端ヘテロアリール基と組み合わせにおいて、当該化合物の抗菌効力を維持または向上させつつ、当該化合物の腎毒性および急性毒性のレベルを著しく低下させることができるということが発見された。
本明細書において使用される多くの用語は、当業者に周知である。それにもかかわらず、明瞭さのために、多くの用語について定義されるであろう。
本明細書において使用される場合、用語「アルキル」は、単独でまたは複合語のどちらかにおいて使用され、直鎖状または分岐鎖状のアルキルを意味する。好ましくは、アルキル基は、直鎖状のアルキル基である。「C1〜22」などの接頭語は、アルキル基内の炭素原子の数(この場合は、1個から22個)を示すために使用される。直鎖状または分岐鎖状のアルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、5−メチルヘプチル、5−メチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、およびドコシル(C22)が挙げられる。
用語「アルケニル」は、単独でまたは複合語のどちらかにおいて使用され、先に定義したようなエチレン性の一価不飽和、二価不飽和、または多価不飽和アルキル基を含む、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素残基を意味する。好ましくは、アルケニル基は、直鎖状のアルケニル基である。「C2〜22」などの接頭語は、アルケニル基内の炭素原子の数(この場合は、2個から22個)を示すために使用される。アルケニルの例としては、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、および5−ドコセニル(C22)が挙げられる。
用語「アルキニル」は、単独でまたは複合語のどちらかにおいて使用され、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素残基を意味する。好ましくは、アルキニル基は、直鎖状のアルキニル基である。「C2〜20」などの接頭語は、アルケニル基内の炭素原子の数(この場合は、2個から20個)を示すために使用される。
本明細書において使用される場合、用語「アリール」は、芳香族炭化水素環系の任意の単核性または多核性の共役残基または縮合残基を意味する。「C6〜16」などの接頭語は、アリール基の環状部分内の炭素原子の数(この場合は、6個から16個)を示すために使用される。アリールの例としては、フェニル(単核)、ナフチル(縮合多核)、ビフェニル(共役多核)、およびテトラヒドロナフチル(縮合多核)が挙げられる。
用語「ヘテロアリール」は、本明細書において使用される場合、典型的には各環において7個までの原子の単環式または二環式の環を表し、この場合、少なくとも1つの環は、芳香族であり、ならびに、O、N、およびSからなる群から選択される1個から4個のヘテロ原子を有する。この定義の範囲内のヘテロアリール基としては、これらに限定されるわけではないが、ベンゾイミダゾール、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンが挙げられる。
本明細書において使用される場合、用語「複素環」または「ヘテロシクリル」は、単独でまたは複合語のどちらかにおいて使用され、O、N、およびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する、飽和または部分的不飽和の単環式、二環式、または縮合多環式の環系を意味する。「C4〜」などの接頭語は、当該基の環状部分内の炭素原子の数(この場合は、4個から8個)を示すために使用される。「複素環」は、上記において言及されたヘテロアリール基のジヒドロおよびテトラヒドロ類似体を包含する。好適な複素環式置換基の例としては、これらに限定されるわけではないが、ピロリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、テトラヒドロフラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、オキサゾリン、モルホリン、チオモルホリン、テトラヒドロチオフェン、オキサチアン、ジチアン、およびジチアジンが挙げられ、これらのそれぞれは、さらに、1つから3つの置換基で置換されていてもよい。
本明細書において使用される用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨードを意味する。
アミノ酸「側鎖」に対する言及は、当技術分野における標準的な意味を取る。アミノ酸の側鎖の例を、以下に示す:
本明細書において使用される場合、非天然由来のアミノ酸は、アミノ酸官能性およびカルボキシル官能性の両方を有する任意の化合物またはそれらの誘導体、または天然由来のアミノ酸の誘導体を含む。これらのアミノ酸は、それらのアミノ基およびカルボキシル基を介した結合によりペプチド鎖の一部を形成する。あるいは、これらの誘導体は、他の天然由来または非天然由来のアミノ酸と結合して非ペプチジル連鎖を形成し得る。
上記において示された負に荷電した側鎖に加えて、当該側鎖のいくつかはプロトン化もされ得、そのため、リジンの側鎖などのように、正に荷電され得ることは理解されるであろう。本発明は、これらのプロトン化された側鎖もその範囲内であることを想定する。
本発明の化合物が、1つまたは複数の立体異性体(例えば、ジアステレオマー)において存在し得ることは理解されるであろう。本発明は、単離された(例えば、エナンチオマー性単離)、または組み合わせにおける(ラセミ混合物およびジアステレオマー性混合物を含む)、これらの立体異性体の全てをその範囲内に含む。本発明は、例えばL体およびD体から独立して選択されるアミノ酸の使用を含む、L体およびD体の両方のアミノ酸の使用を想定し、この場合、ペプチドが2つのDab残基を含み、各Dab残基は、同じまたは反対の絶対立体化学を有し得る。明記されない限り、当該アミノ酸は、L−立体配置を取る。
したがって、本発明は、アミノ酸残基の不斉中心に関して実質的に純粋な、例えば、約90%超において、例えば、約95%から97%、または99%超の立体異性体の化合物、ならびにそれらの混合物、例えば、ラセミ混合物など、にも関する。そのようなジアステレオマーは、不斉合成、例えば、キラル中間体を使用することによって調製することができ、あるいは混合物は、従来の方法、例えば、クロマトグラフィなどによって、または分割剤の使用によって分けることができる。
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、一般式(I)に関して、以下の好ましい実施形態の1つまたは複数が適用される:
a)Rは、−C(O)C2〜12ヘテロアリール、−C(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)C3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C1〜22アルキルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C2〜22アルケニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C2〜22アルキニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C5〜12アリールC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C3〜10ヘテロシクリルC5〜12アリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−S(O)C3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C1〜22アルキルC3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C2〜22アルケニルC3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C2〜22アルキニルC3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C5〜12アリールC3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C3〜10ヘテロシクリルC5〜12アリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、C(O)OC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)OC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC1〜22アルキルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC2〜22アルケニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC2〜22アルキニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC5〜12アリールC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC3〜10ヘテロシクリルC5〜12アリール、−C(O)NHC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール−C(O)NHC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)NHC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC1〜22アルキルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC2〜22アルケニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC2〜22アルキニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC5〜12アリールC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC3〜10ヘテロシクリルC5〜12アリールから選択され、それぞれ、任意選択により1つまたは複数のC1〜22アルキル、C2〜22アルケニル、C2〜22アルキニル、ハロ、トリハロC1〜22アルキル、トリハロC2〜22アルケニル、またはトリハロC2〜22アルキニルで置換されていてもよい。
b)Rは、−C(O)C2〜12ヘテロアリール、−C(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、C(O)OC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)NHC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、または−C(O)NHC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリールから選択され、それぞれ、任意選択により1つまたは複数のC1〜22アルキル、C2〜22アルケニル、C2〜22アルキニル、ハロ、トリハロC1〜22アルキル、トリハロC2〜22アルケニル、またはトリハロC2〜22アルキニルで置換されていてもよい。
c)Rは、−C(O)C2〜12ヘテロアリール、−C(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリールから選択され、それぞれ、任意選択により1つまたは複数のC1〜6アルキル、ハロ、またはトリハロC1〜6アルキルで置換されていてもよい。
d)Rは、5−クロロニコチノイル、6−クロロニコチノイル、2,6−ジクロロニコチノイル、4,6−ジクロロニコチノイル、5,6−ジクロロニコチノイル、6−(トリフルオロメチル)ニコチノイル、3,5−ジクロロピコリノイル、4,6−ジクロロピコリノイル、5−フェニルピコリノイル、5−(4−クロロフェニル)ピコリノイル、4−(6−クロロ−3−ピリジニル)ベンゾイル、5−(4−クロロフェニル)チオフェン−2−カルボキシル、2,6−ジクロロイソニコチノイル、5−(トリフルオロメチル)ニコチノイル、4−(トリフルオロメチル)ピコリノイル、3,5−ジブロモピコリノイル、5−ブロモニコチノイル、2−クロロイソニコチノイル、2−ブロモイソニコチノイル、4−クロロピコリノイル、2−(トリフルオロメチル)イソニコチノイル、2,6−ジブロモイソニコチノイル、3,5−ジブロモピコリノイル、5−メチルニコチノイル、2−フルオロイソニコチノイル、2−(トリフルオロメチル)イソニコチノイル、5−ブロモ−3−クロロピコリノイル、3−クロロイソニコチノイル、3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリノイル、3−クロロピコリノイル、5−クロロピコリノイル、5−(トリフルオロメチル)ピコリノイル、2−クロロ−6−メチルイソニコチノイル、2−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ニコチノイル、6−エチルニコチノイル、5−エチルピコリノイル、6−クロロピコリノイル、6−(トリフルオロメチル)ピコリノイル、2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−カルボキシル、2−キノキサリンカルボキシル、1H−ベンゾイミダゾール−2−カルボキシル、1−メチルインドール−2−カルボキシル、6−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボキシル、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキシル、1−メチルインダゾール−3−カルボキシル、3−キノリンカルボキシル、ベンゾチアゾール−6−カルボキシル、1H−インダゾール−3−カルボキシル、キナルドイル、1H−インドール−2−カルボキシル、1−メチルベンゾイミダゾール−2−カルボキシル、5−クロロ−1−メチルインドール−2−カルボキシル、5−クロロ−1H−インドール−2−カルボキシル、5,6−ジフルオロ−1H−インドール−2−カルボキシル、3−クロロベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキシル、1−メチルインドール−3−アセチル、1−メチルインドール−3−カルボキシル、ベンゾ[d]チアゾール−2−カルボキシル、6−クロロベンゾイミダゾール−2−カルボキシル、ベンゾ[b]チアゾール−2−プロパノイル、2−フェニルピリミジン−5−カルボキシル、ベンゾオキサゾール−2−カルボキシル、ベンゾ[d]イソオキサゾール−3−カルボキシル、2,5−ジブロモチオフェン−3−カルボキシル、4,5−ジブロモピロール−2−カルボキシル、5−ブロモチオフェン−2−カルボキシル、4,5−ジブロモフラン−2−カルボキシル、5−フェニル−1,2−オキサゾール−3−カルボキシル、5−フェニル−1,2,4−オキサジアゾール−3−カルボキシル、2−フェニル−1H−イミダゾール−4−カルボキシル、4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキシル、5−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボキシル、3,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキシル、5−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルボキシル、3−フェニル−1,2−オキサゾール−5−カルボキシル、4−ブロモチオフェン−2−カルボキシル、3−クロロチオフェン−2−カルボキシル、4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシル、2−ブロモ−1,3−チアゾール−5−カルボキシル、ベンゾフラン−2−カルボキシル、4−ブロモ−1−メチルピロール−2−カルボキシル、5−(4−クロロフェニル)−1,2−オキサゾール−3−カルボキシル、5−ブロモチオフェン−3−カルボキシル、4−ブロモピコリノイル、5−ブロモフラン−3−カルボキシル、およびインドール−3−プロパノイルから選択される。
e)Rは、D−セリン、L−Dab、またはL−Dapから選択されるアミノ酸の側鎖を表す。
f)Rは、アミノ酸L−Dapの側鎖を表す。
g)Rは、ロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン、フェニルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、またはt−ブチルグリシンから選択されるアミノ酸の側鎖を表す。
h)Rは、ロイシン、フェニルアラニン、ノルロイシン、またはノルバリンから選択されるアミノ酸の側鎖を表す。
i)Rは、セリン、アラニン、スレオニン、バリン、t−ブチルグリシン、または2−アミノ酪酸から選択されるアミノ酸の側鎖を表す。
j)Rは、アラニン、スレオニン、バリン、または2−アミノ酪酸から選択されるアミノ酸の側鎖を表す。
好ましい実施形態において、Rは、ジアミノプロピオン酸の側鎖残基である。
したがって、さらなる実施形態において、本発明は、下記の式(II):
[式中、
は、−C(O)C2〜12ヘテロアリール、−C(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、C(O)OC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)NHC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、または−C(O)NHC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリールから選択され、それぞれ、任意選択により1つまたは複数のC1〜22アルキル、C2〜22アルケニル、C2〜22アルキニル、ハロ、トリハロC1〜22アルキル、トリハロC2〜22アルケニル、またはトリハロC2〜22アルキニルで置換されていてもよく;
は、ロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン、フェニルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、またはt−ブチルグリシンから選択されるアミノ酸の側鎖を表し;ならびに
は、セリン、アラニン、スレオニン、バリン、t−ブチルグリシン、または2−アミノ酪酸から選択されるアミノ酸の側鎖を表す]
によって表される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の実施形態において、式(I)の化合物は、表1に一覧される化合物から選択される。
、R3、R、およびXに対して、この欄に示されたアミノ酸は側鎖を示しており、これらの位置での立体化学は、特に明記されない限り、L−立体配置を取り、D−は、D−アミノ酸を示し;Dap=ジアミノプロピオン酸、Dab=ジアミノ酪酸、Phe=フェニルアラニン、Thr=スレオニン、Ala=アラニン、Val=バリン、Abu=2−アミノ酪酸、Nle=ノルロイシン、Nva=ノルバリンであり、波線は、R残基の結合位置を示している。
好ましい実施形態において、グラム陰性細菌感染症を予防または処置する方法であって、本明細書において定義されるような式(I)の化合物の治療有効量を投与する工程を含む方法が提供される。
好ましい実施形態において、MDRグラム陰性細菌感染症を予防または処置する方法であって、本明細書において定義されるような式(I)の化合物の治療有効量を投与する工程を含む方法が提供される。
したがって、さらなる好ましい実施形態において、MDRグラム陰性細菌感染症の予防または処置での使用のための、本明細書において定義されるような式(I)の化合物が提供される。
グラム陰性細菌が多剤耐性である場合、当該細菌は、3つ以上の抗菌カテゴリにおける少なくとも1種の薬剤に対して非感受性であるであろうことは理解されるであろう。2つ以下の抗菌カテゴリを除く全ての抗菌カテゴリにおける少なくとも1種の薬剤に対して非感受性であるグラム陰性細菌は、超多剤耐性(XDR)として分類される。全ての抗菌カテゴリにおける全ての薬剤に対して非感受性であるグラム陰性細菌は、「汎薬剤耐性」(PDR:pandrug−resistant)として分類される(Magiorakos,A.P.et al.(2011) European Society of Clinical Microbiology and Infectious Diseases,Clin Microbiol Infect,18,268−281)。表2は、各抗菌カテゴリに属する抗菌剤のリストを提供する。
現在の臨床用途においてポリミキシンアナログによる腎毒性の副作用を最小限に抑えるために、ならびに広範囲の様々なグラム陰性細菌に対する当該化合物の効力を維持または向上させるために、それを必要とする対象に、本発明の2種以上の化合物の組み合わせ物を投与することが有益であり得ることは、理解されるであろう。一実施形態において、グラム陰性細菌感染症の処置は、それを必要とする対象に、式(I)の化合物を投与する工程を含むであろうことは想定される。グラム陰性細菌感染症の処置は、それを必要とする対象への、式(I)の2種以上の化合物の投与を含むであろうことも想定される。
好ましい実施形態において、グラム陰性細菌感染症を予防または処置するための医薬品の製造における、上記において定義されるような式(I)の1種または複数種の化合物の使用が提供される。
さらなる好ましい実施形態において、グラム陰性細菌感染症の予防または処置における使用のための、上記において定義されるような式(I)の1種または複数種の化合物が提供される。
理論に束縛されることを望むわけではないが、ポリミキシンBまたはコリスチンの6番目および7番目の残基の片方または両方を、疎水性の低い残基で置き換えることによって、腎毒性のレベルを低下させることができると考えられる。さらに、3番目の位置のある特定のアミノ酸残基と、ある特定のN−末端アルキル基およびアリール脂肪族アシル基またはN−末端ヘテロアリール基の選択も、当該化合物のコンフォメーション全体に対するこれらの基の効果により、結果として得られる化合物の腎毒性を減少させると考えられる。コンフォメーションにおける当該変化は、結果として腎毒性を生じる生理学的事象を引き起こす分子標的との重要な相互作用を形成する当該化合物の能力を妨げると考えられる。
さらなる好ましい実施形態において、第二抗菌剤と一緒に、本明細書において定義されるような式(I)の化合物の治療有効料を投与する工程を含む、グラム陰性細菌感染症を予防または処置する方法が提供される。
概して、本発明の化合物を調製するための技術は、当技術分野において周知であり、例えば、以下を参照されたい。
a)Alewood,P.;Alewood,D.;Miranda,L.;Love,S.;Meutermans,W.;Wilson,D.(1997) Meth.Enzymol.,289,14−28;
b)Merrifield,R.B.(1964) J.Am.Chem.Soc.,85,2149;
c)Bodanzsky,”Principles of Peptide Synthesis”,2nd Ed.,Springer−Verlag (1993);および
d)Houghten,(1985) Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,5131
合成ポリミキシンタイプの化合物に特に関連するものは、Sharma,S.K.,et al.(1999) J.Pept.Res.53,501−506;Kline,T.,Holub,D.,Therrien,J.et al.(2001) J.Pept.Res.57,175−187;de Visser,P.C.,et al.(1999) J.Pept.Res.61,298−306;Sukura,N.,et al.(2004) Bull.Chem.Soc.Jpn.77,1915−1924;and Vaara,M.,Fox,J.,Loidl,G.,Siikanen,O.et al.(2008) Antimicrob.Agents Chemother.52(9),3229−3236、である。これらの文献の内容全体は、参照により本明細書に組み入れられる。
本発明の化合物の合成において、固体支持体(典型的には、樹脂)へのN−またはC−末端のカップリングと、その後の直鎖状ペプチドの段階的な合成など、既知の固相または液相技術を使用することができる。直交保護基戦略を使用することにより、選択的脱保護および閉環を促進して当該化合物の環状ヘプタペプチドコアを形成してもよい。側鎖を含む、アミノ酸残基の保護のための保護基化学は、当技術分野において周知であり、例えば、Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis (Third Edition,John Wiley & Sons,Inc,1999)に見出すことができ、なお、当該文献の内容全体は、参照により本明細書に組み入れられる。
一般的戦略として、本発明の化合物の合成は、4つの段階において実施することができる。第一段階において、Fmoc−イソロイシンとしてのイソロイシンの保護など、アミノ酸が、当該化合物中への組み込みのために保護され得る。第二に、閉環にとって必要な官能基のみを選択的に露出する部分的に保護された直鎖状ペプチドが、固相技術を使用して合成され得る。第三に、保護された環状リポペプチドを生成するために、当該閉環反応が溶液中において実施され得る。第四に、当該化合物を提供するために、残留する側鎖保護基が脱保護され得る。
本発明の化合物が精製を必要とする場合、逆相高速液体クロマトグラフィ(HPLC)などのクロマトグラフィ技術を使用することができる。当該化合物は、質量分光分析および/または他の適切な方法によって特徴付けることができる。
当該化合物が、(例えば、生理的pHにおいて)プロトン化または脱プロトン化され得る1つまたは複数の官能基を有する場合、当該化合物は、薬学的に許容される塩として調製および/または単離され得る。当該化合物は、所定のpHにおいて双性イオン性であり得ることは理解されるであろう。本明細書において使用される場合、表現「薬学的に許容される塩」は、医薬品として投与にとって好適である、所定の化合物の塩を意味する。そのような塩は、例えば、それぞれ、酸または塩基とアミン基またはカルボキシル基との反応によって形成され得る。
薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製することができる。無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
薬学的に許容される塩基付加塩は、無機酸および有機酸から調製され得る。無機塩基に由来する対応する対イオンとしては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、およびマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基としては、第一級、第二級、および第三級アミン、置換アミン、例えば、天然由来の置換アミンなど、および環状アミン、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、およびN−エチルピペリジンなど、が挙げられる。
酸/塩基付加塩は、対応する遊離酸/塩基形態と比べて、水性溶媒に対してより可溶性である傾向がある。
本発明の化合物は、結晶形態において、または溶媒和物(例えば、水和物)としてであってもよく、両方の形態が本発明の範囲内にあることが意図される。用語「溶媒和物」は、溶質(本発明では、本発明のペプチド)および溶媒によって形成される、様々な化学量論組成の錯体である。そのような溶媒は、溶質の生物活性を妨げてはならない。溶媒は、例として、水、エタノール、または酢酸であり得る。溶媒和の方法は、当該分野において一般的に知られている。
本発明の化合物は、プロドラッグの形態であってもよい。用語「プロドラッグ」は、その最も広い意味において使用され、インビボにおいて本発明の化合物へと転化されるような誘導体を包含する。そのような誘導体は、当業者は容易に想到するであろうし、例えば、遊離ヒドロキシ基がエステル誘導体へと転化されるかまたは環窒素原子がN−酸化物へと転化される化合物が挙げられる。エステル誘導体の例としては、アルキルエステル(例えば、アセテート、ラクテート、およびグルタミンなど)、リン酸エステル、およびアミノ酸から形成されるもの(例えば、バリンなど)が挙げられる。本発明の化合物のプロドラッグである任意の化合物は、本発明の範囲および趣旨内である。本発明による好適なプロドラッグの調製のための従来の手順は、「Design of Prodrugs」 Ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985などのテキストブックに記載されており、なお、当該文献の内容全体は、参照により本明細書に組み入れられる。
本発明は、少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と一緒に、以下において定義されるような化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を含む医薬組成物も提供する。
用語「組成物」は、活性成分(他の担体の有無にかかわらない)が担体によって囲まれたカプセルを与えるための、担体としての封入材料を伴う活性成分の配合物を包含することが意図される。
以下において説明される化合物またはその薬学的に許容される塩は、対象へ投与される唯一の活性成分であり得るが、当該化合物と一緒の他の活性成分の投与も、本発明の範囲内である。1つまたは複数の実施形態において、本発明の化合物の2種以上の組み合わせ物が対象に投与されるであろうことが想定される。当該化合物はさらに、1種または複数種の追加の治療薬と組み合わせて投与することでできることも想定される。当該組み合わせ物は、他の活性成分と、以下において定義されるような当該化合物との、別々の、連続の、または同時の投与を可能にし得る。当該組み合わせ物は、医薬組成物の形態において提供され得る。
用語「組み合わせ物」は、本明細書において使用される場合、上記において定義されるような組み合わせパートナーを、従属的にまたは独立的に、または区別される量の当該組み合わせパートナーを伴う様々な固定された組み合わせ物の使用によって、すなわち、同時にまたは異なる時点において、投薬することができる、組成物またはパーツキットを意味する。当該組み合わせパートナーは、同時に、または時間をずらして、すなわち、異なる時点においてならびにパーツキットの任意のパーツに対して等しい時間間隔または異なる時間間隔で、投与することができる。当該組み合わせ物において投与される組み合わせパートナーの総量の比率は、例えば、処置される患者の部分集団のニーズ、または患者の年齢、性別、体重などにより異なり得る単独の患者のニーズ、に対処するように変えることができる。
当業者であれば容易に理解するであろうように、投与経路および薬学的に許容される担体の性質は、処置されるべき状態および哺乳動物の性質に応じて変わるであろう。特定の担体または送達系ならびに投与経路の選択は、当業者によって容易に決定することができると考えられる。活性化合物を含有する任意の処方物の調製において、当該化合物の活性が当該プロセスにおいて破壊されないこと、ならびに当該化合物が、破壊されることなく作用部位に確実に到達することができるように配慮するべきである。状況によって、当技術分野において既知の手段、例えば、マイクロカプセル化など、によって当該化合物を保護することが必要な場合もある。同様に、選択された投与経路は、当該化合物が作用部位に到達するような経路であるべきである。
当業者は、従来のアプローチを用いて、本発明の化合物にとって適切な処方を容易に決定することができる。好ましいpHの範囲および好ましい賦形剤、例えば、酸化防止剤など、の特定は、当技術分野において日常的な作業である。緩衝液系は、所望の範囲のpH値を提供するために日常的に使用され、そのようなものとして、カルボン酸緩衝液、例えば、アセテート、シトレート、ラクテート、およびスクシネートなどが挙げられる。様々な酸化防止剤が、そのような処方のために利用可能であり、そのようなものとしては、BHTまたはビタミンEなどのフェノール性化合物、メチオニンまたはスルフィットなどの還元剤、ならびにEDTAなどの金属キレート剤が挙げられる。
上記において説明されるような化合物またはその薬学的に許容される塩は、非経口剤形において調製され得、そのようなものとして、静脈内、髄腔内、および脳内、または硬膜外送達にとって好適な剤形が挙げられる。注射用途にとって好適な医薬品形態としては、滅菌注射溶液または分散液、および滅菌注射溶液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。それらは、製造および保存の条件下において安定であるべきであり、ならびに還元または酸化ならびに細菌および真菌などの微生物による汚染作用から守られ得る。
注射溶液または分散液のための溶媒または分散媒は、活性化合物のための従来の溶媒または担体系のいずれかを含有していてもよく、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および植物油を含有していてもよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には必要とされる粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物の作用の予防は、必要に応じて、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど、によって実現することができる。多くの場合、オスモル濃度を調節するための薬剤、例えば、糖類または塩化ナトリウムなど、を含有することが好ましいであろう。好ましくは、注射用の当該処方物は、血液と等張であろう。注射用組成物の長期にわたる吸収は、当該組成物における、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなど、吸収遅延剤の使用によって実現することができる。注射用途にとって好適な医薬品形態は、静脈内、筋肉内、脳内、髄腔内、硬膜外への注射または注入を含む任意の適切な経路によって送達され得る。
滅菌注射溶液は、上記に列挙したような様々な他の成分と共に適切な溶媒中に必要量の本発明の化合物を組み入れ、必要に応じて、その後にろ過滅菌することによって調製される。概して、分散液は、様々な滅菌された活性成分を、塩基性分散媒と上記に列挙した成分のうちの必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクル中に組み入れることによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、活性成分と任意の所望の追加成分とによる溶液を予め滅菌ろ過し、それを真空乾燥または凍結乾燥する方法である。
他の医薬品形態としては、本発明の経口および経腸処方物が挙げられ、それらにおいて、活性化合物は、不活性希釈剤または吸収可能な食用担体と共に処方され得るか、または硬質または軟質シェルゼラチンカプセル中に内包され得るか、または錠剤へと圧縮され得るか、または食事療法の食品に直接組み入れられ得る。経口治療投与の場合、当該活性化合物は、賦形剤と共に組み入られ得て、摂取可能な錠剤、口内または舌下用錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液剤、シロップ剤、ウェハ剤などの形態で使用され得る。そのような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、好適な投薬量が得られるような量である。
当該錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などは、以下において一覧される成分;結合剤、例えば、ガム、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンなど;賦形剤、例えば、リン酸二カルシウムなど;崩壊剤、例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸など;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムなど、も含有していてもよく;ならびに甘味料、例えば、ショ糖、乳糖、またはサッカリンなど、を加えてもよく、または、香味料、例えば、ペパーミント、ウィンターグリーン油、またはサクランボ香味料など、を加えてもよい。投薬単位形態がカプセル剤である場合、上記のタイプの材料に加えて、液状担体を含有していてもよい。様々な他の材料が、コーティングとして存在していてもよく、またはそれ以外に、投薬単位の物理的形態を変更するために存在してもよい。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセル剤は、シェラック、糖、またはその両方でコーティングされていてもよい。シロップ剤またはエリキシル剤は、活性成分、甘味料としてのスクロース、防腐剤としてのメチルパラベンまたはプロピルパラベン、色素、および香味料、例えば、サクランボまたはオレンジ香味料など、を含有していてもよい。当然のことながら、任意の投薬単位形態の調製において使用される全ての材料は、薬学的に純粋で、ならびに採用される量において実質的に非毒性であるべきである。さらに、本発明の化合物は、徐放性調製物および処方物に組み入れてもよく、そのようなものとしては、腸の特定の領域への活性ペプチドの特定の送達を可能にするものが挙げられる。
液体処方物は、胃または食道管を介して経腸によって投与することもできる。経腸処方物は、適切な基剤、例えば、乳化基剤または水溶性基剤など、と混合することによって、坐剤の形態において調製され得る。本発明の化合物は、局所的、鼻腔内、膣内、眼内などにおいて投与することも可能であるが、必ずしも必要ではない。
本発明の化合物は、噴射剤、例えば、二酸化炭素ガス、ジクロロジフルオロメタン、窒素、プロパン、または他の好適なガス、またはガスの組み合わせ物など、を収容する、加圧されたディスペンサーまたは容器からのエアゾールスプレーの形態における吸入によって投与してもよい。当該化合物は、ネブライザーを使用して投与してもよい。
向上した腎毒性プロファイルを有する、本発明の化合物は、当該化合物が経腸または非経口、例えば、経口、静脈内、または筋肉内などにより投与される場合、特に有用であることは理解されるであろう。
薬学的に許容されるビヒクルおよび/または希釈剤としては、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、ならびに吸収遅延剤などが挙げられる。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当該分野において周知である。任意の従来的な媒体または薬剤が当該活性成分と不適合性である場合を除き、治療組成物におけるそれらの使用は想定される。補助的な活性成分も、当該組成物中に組み入れることができる。
投与の容易さおよび投薬量の均一性のため、当該組成物を投薬単位形態に処方することは、とりわけ有利である。本明細書において使用される場合、投薬単位形態は、処置されるべき哺乳動物対象のための単位投薬量として適合された物理的に別個の単位を意味し;各単位は、必要な薬学的に許容されるビヒクルに関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定の量の活性材料を含有する。本発明の新規の投薬単位形態に対する仕様は、(a) 活性材料の独特な特徴、および達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)本明細書において詳細に開示されるような、身体上の健康が損なわれる病的状態を有する生体における疾患の処置のために活性材料を調合する技術分野における固有の制限、によって決定され、ならびにそれらに依存する。
上記において言及したように、主要な活性成分は、簡便で効果的な投与のために、好適な薬学的に許容されるビヒクルと共に治療有効量において投薬単位形態に調合され得る。単位投薬形態は、例えば、0.25μgから約2000mgの範囲の量において主要な活性化合物を含有し得る。割合で表現される場合、当該活性化合物は、担体の約0.25μg/mLから約2000mg/mLにおいて存在し得る。補助的な活性成分を含有する組成物の場合、投薬量は、当該成分の通常の用量および投与方法を参考にすることによって決定される。
本明細書において使用される場合、用語「有効量」は、所望の投薬レジメンに従って投与される場合に所望の治療活性を提供する、化合物の量を意味する。投薬は、1回において、または数分もしくは数時間の間隔で、またはこれらの期間のいずれか一部にわたって連続的に行われ得る。好適な投薬量は、投薬1回あたりにおいて体重1kgあたり約0.1ngから体重1kgあたり1gの範囲内であり得る。典型的な投薬量は、投薬1回あたりにおいて体重1kgあたり1μgから1g、例えば、投薬1回あたり体重1kgあたり1mgから1gなど、の範囲である。一実施形態において、当該投薬量は、投薬1回あたりにおいて体重1kgあたり1mgから500mgの範囲であり得る。別の実施形態において、当該投薬量は、投薬1回あたりにおいて体重1kgあたり1mgから250mgの範囲であり得る。さらに別の実施形態において、当該投薬量は、投薬1回あたりにおいて体重1kgあたり1mgから100mg、例えば、投薬1回あたりにおいて体重1kgあたり最大で50mgまでなど、の範囲であり得る。
用語「処置(treatment)」および「処置すること(treating)」は、本明細書において使用される場合、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおける状態または疾患の任意の処置を包含し、(i)細菌感染症を阻害すること、例えば、細菌の激増を阻止すること;(ii)感染症を軽減すること、例えば、当該感染症の重篤度を低下させることなど;または(iii)感染症によって引き起こされた状態、例えば、当該感染症の症状など、を緩和すること、を含む。用語「予防(prevention)」および「予防すること(preventing)」は、本明細書において使用される場合、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトにおける状態または疾患の予防(prevention)または予防(prophylaxis)を包含し、ならびに、感染症に罹り易くなっているかもしれないがまだ感染しているとは診断されていない対象が細菌感染症を発症するのを防ぐ。
いくつかの実施形態において、グラム陰性細菌感染症は、以下の属:アシネトバクター属;アクチノバシラス属;バルトネラ属;ボルデテラ属;ブルセラ属;バークホルデリア属;カンピロバクター属;シアノバクテリア属;エンテロバクター属;エルウィニア属;エシェリヒア属;フランシセラ属;ヘリコバクター属;ヘモフィルス属;クレブシエラ属;レジオネラ属;モラクセラ属;モルガネラ属;ナイセリア属;パスツレラ属;プロテウス属;プロビデンシア属;シュードモナス属;サルモネラ属;セラチア属;シゲラ属;ステノトロフォモナス属;トレポネーマ属;ビブリオ属;およびエルシニア属、の1つまたは複数から選択される1つまたは複数の種によって引き起こされ得る。種の特定の例は、緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)、大腸菌(Escherichia coli)、およびサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)である。
以下において、本発明について以下の非限定的な実施例を参照しながら説明する。
実施例1:一般式(I)の化合物を調製する方法
以下の実施例は、本発明の代表例であり、本発明の例示的化合物を調製するための詳細な方法を提供する。
化合物1の合成
保護された直鎖状ペプチド(残基1〜10およびN末端3,5−ジクロロピコリノイル)の合成は、標準的なFmoc固相ペプチド化学を用いて、Protein Technologies Prelude自動化ペプチド合成機において実施した。
詳細には、合成は、0.1mmolスケールの、Fmoc−Thr(tBu)−OHを事前に負荷させたTCP−樹脂を使用して行った。デフォルトの機器プロトコル:6モル当量のDIPEAを使用した、DMF中における(樹脂負荷に対して)3モル当量のFmocアミノ酸およびHCTUのインサイチューで活性化、を使用してFmoc−アミノ酸のカップリングを実施した。これを、室温において50分間実施した。デフォルトの機器プロトコル:室温においてジメチルホルムアミド中における20%ピペリジン(1×5分、1×10分)、を使用して、Fmoc脱保護を実施した。当該樹脂をDMFで洗浄し、次いで、DMF中における3%ヒドラジンで処理して(4×15分)、ivDde基を除去した。
保護された直鎖状ペプチドを、DCM中における10〜20%のヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)で樹脂を処理することにより(1×30分、1×5分)、当該樹脂から切断した。結果として得られた溶液を、真空において濃縮し、結果として得られた残留物(保護された粗直鎖状ペプチド)をDMF(10mL)中に溶解させ、それにDPPA(0.3mmol、0.65μL、樹脂の負荷に対して3モル当量)およびDIPEA(0.6mmol、104μL、樹脂の負荷に対して6モル当量)を加えた。この溶液を室温で一晩撹拌した。次いで、当該反応溶液を真空下において一晩濃縮した。結果として得られた残留物を、TFA(5mL)中における2.5%のEDT、5%のTIPSの溶液またはTFA(5mL)中における2.5%のチオアニソール、5%の2−メチルインドールの溶液に取り、室温で2時間撹拌した。この溶液に、40mLのジエチルエーテルを加えた。結果として得られた沈殿物を遠心分離により収集し、ジエチルエーテル(40mL)でさらに2回洗浄し、次いで、ドラフトにおいて空気乾燥させて、白色固体として粗環状ペプチドを得た。結果として得られた固体を、Milli−Q水(5mL)中に取り、Vari−Pure IPE SAXカラムを用いて脱塩した。
当該粗環状ペプチドを、光ダイオードアレイ検出器(214nm)を備えるWaters Prepシステムにおいて、Phenomenex Axiaカラム(Luna C、250×21.3mm内径)を使用して、逆相HPLC(RP−HPLC)によって精製した。60分間にわたる0.1%水性TFA中での60%のアセトニトリルの勾配を、15mL/分の流速において用いた。収集した分画を、エレクトロスプレーイオン化源および単一の四重極質量分析器に直接連結された光ダイオードアレイ検出器(214nm)を組み込んだShimadzu 2020 LCMSシステムを用いて分析した。RP−HPLCを、Phenomenexカラム(Luna C8(2)、100×2.0mm内径)を用いて、0.2mL/分の流速において10分にわたって、0.05%水性TFA中での60%のアセトニトリルの勾配により溶離させることによって行った。質量スペクトルを、200〜2,000m/zの走査範囲による陽イオンモードにおいて取得した。収集した分画を2日間凍結乾燥させて、65.5mgの収量において白色のTFA塩として化合物1を得た。純度は、214nmにおいてRP−HPLCで評価したところ、98.3%であった。ESI−MS分析:m/z(モノアイソトピック):[M+2H]2+=582.05により、当該化合物が正しい分子量(1161.1)を有することを確認した。
この代表的な合成が、本明細書において説明される様々な化合物の合成に適用することができるは理解されるであろう。例えば、当該代表的な合成は、本明細書において説明されるような、ならびに以下の表3に一覧される、化合物2から104の合成に適用することができる。
、R、R、およびXについて、これらの欄に示されるアミノ酸は側鎖であり、これらの位置での立体化学は、特に明記されない限り、L−立体配置を取り、D−はD−アミノ酸を示し、Dap=ジアミノプロピオン酸、Dab=ジアミノ酪酸、Phe=フェニルアラニン、Thr=スレオニン、Ala=アラニン、Val=バリン、Abu=2−アミノ酪酸、Nle=ノルロイシン、Nva=ノルバリンであり、波線はR残基の結合位置を示している。
実施例2.最小阻害濃度(MIC)の測定
リポペプチド(トリフルオロ酢酸塩、TFA)のMICを、臨床・検査標準協会(Clinical and Laboratory Standards Institute)プロトコルに従って、カチオン調節されたMueller−Hintonブロス(CAMHB)(Oxoid Australia、スバートン、SA、オーストラリア)でのブロス微量希釈によって特定した(Clinical and Laboratory Standards Institute,Performance standards for antimicrobial susceptibility testing;twentyforth informational supplement M100−S24.Wayne,PA,2014)。ポリミキシンBサルフェートを、対照として用いた。ポリミキシン感受性グラム陰性細菌に対する化合物1〜104の抗菌活性を調べた。以下の分離株を調べた:緑膿菌ATCC 27853、緑膿菌FADDI−PA022、緑膿菌FADDI−PA01、緑膿菌FADDI−PA038、アシネトバクター・バウマニFADDI−AB034、アシネトバクター・バウマニATCC17978、アシネトバクター・バウマニFADDI−AB030、肺炎桿菌FADDI−KP032、肺炎桿菌FADDI−KP022、肺炎桿菌Kp BM1*§、エンテロバクター・クロアカエFADDI−EC006、エンテロバクター・クロアカエFADDI−EC001、およびエンテロバクター・クロアカエFADDI−EC003(多剤耐性臨床分離株、§ニューデリー・メタロ−β−ラクタマーゼ−1(NDM−1)産生)。当該結果を表4および5に示す。
上記データから明らかなように、例示した化合物は、1つまたは複数の上記グラム陰性細菌分離株に対して同等のまたは向上した抗菌効力を有する。
実施例3.マウスモデルにおける腎毒性
ポリミキシンBサルフェートおよびコリスチンサルフェートは、Betapharma(Shanghai Co.,Ltd、中国)から供給された。使用前、塩水中における化合物のストック溶液(5mg塩基/mL)を4℃で貯蔵した。マウス(n=3)に、当該化合物を、12mg/kgの遊離塩基形態において、2時間ごとに1日に6用量において皮下投与した。最後の用量のおよそ20時間後に、マウスを過量のイソフランの吸入によって安楽死させた。血液採取の直後に、各マウスから右腎臓を直ちに採取し、5mLのプラスチックチューブ内の10%ホルマリン中に入れ、左腎臓は、事前に秤量した14mLのプラスチックチューブに入れて、再び秤量し、ホモジナイゼーションならびにポリミキシンBおよびコリスチンの分析まで−20℃で貯蔵した。凍結した腎臓試料を解凍し、2mLのMilli−Q水中においてホモジナイズして、−20℃の冷凍庫に貯蔵した。ホルマリン固定された腎臓を、組織学的検査のためにオーストラリア・フェノミクス・ネットワーク−組織病理学・臓器病理学(Australian Phenomics Network−Histopathology and Organ Pathology)(メルボルン大学、パークビル、オーストラリア)に送った。試料を、処置群について知らされていない病理学者によって検査した。
病変を以下のように格付けした:尿細管の肥大を伴う軽度の急性尿細管損傷、目立った核、および少数の弱い尿細管円柱(pale tubular cast)(グレード1);尿細管上皮細胞の壊死および多数の尿細管円柱を伴う重篤な急性尿細管損傷(グレード2);乳頭壊死の有無にかかわらない、尿細管および糸球体の急性皮質壊死/梗塞(グレード3)。当該グレードに以下のスコアを与えた:グレード1=1、グレード2=4、およびグレード3=10。組織学的障害を示している腎臓切片の領域の百分率に対して、以下のようなスコアを与えた:<1%=0、1%から<5%=1、5%から<10%=2、10%から<20%=3、20%から<30%=4、30%から<40%=5、および>40%=6。総合的な腎臓組織学スコアを、百分率スコアおよびグレードスコアの積として算出した。これらのスコアを、腎臓組織学的変化に対して0から+5のスケールにおける半定量的スコア(腎臓組織学スコア(Kidney Histological Score))として表した。これらのスコアを以下ように割り当てた:SQS 0=有意な変化は無し(総合スコア、<1);SQS +1=軽度な損傷(総合スコア、1から<15);SQS +2=軽度から中度までの損傷(総合スコア、15から<30);SQS +3=中度の損傷(総合スコア、30から<45);SQS +4=中度から重度までの損傷(総合スコア、45から<60);およびSQS +5=重度の損傷(総合スコア、≧60)(Yousef,J.,et al.,(2011) Antimicrob.Agents and Chemother.55 (9),4044−4049)。
得られた結果を、表6に示す。≦+1.0の腎臓組織学スコアを有する任意の化合物を、このモデルにおいて低腎毒性を有するものとみなす。
上記データから観察することができるように、コリスチンおよびポリミキシンBは、このモデルにおいて重篤な腎毒性を示す。一方、本発明の化合物は、有意な腎毒性を全く示さなかった。
実施例4.好中球減少マウス肺感染モデルにおけるインビボでの効力
臨床分離株のA.バウマニFADDI−AB030に対するいくつかの化合物のインビボでの効力を、好中球減少マウス肺感染モデルにおいて調べた。このグラム陰性分離株は、表7に示されるように非常に多剤耐性である。
FADDI−AB030を、−80℃のストックから、栄養寒天培地部レート上において継代培養した。当該細菌株のコロニーの1つを10mLのCAMHBに分散させ、一晩インキュベートした。二日目に、一晩培養した懸濁液の一定分量(0.2mL)を20mLのCAMHBに分散させ、早期の対数期増殖細菌培養の産生のために1.5〜2.5時間インキュベートした。早期対数期増殖懸濁液の細菌を、遠心分離法(3,220gで10分間)によって濃縮し、マウスへの接種のためにの0.9%の滅菌塩水に再懸濁させた。塩水における細菌細胞濃度(コロニー形成単位[CFU]/mL)を、当該懸濁液の光学濃度(OD)を600nmにおいて測定することによって推定し、当該懸濁液を栄養寒天培地プレート上において平板培養することによって確認した。動物実験は、実験動物倫理委員会(institutional animal ethics committee)によって承認され、動物は、科学的目的のための動物の管理および使用のためのオーストラリア実務規範(Australian Code of Practice for the Care and Use of Animals for Scientific Purposes)の評価基準に従って飼育した。8週齢から10週齢の特定病原体除去(specific−pathogen−free)の雌のスイスマウス(24〜30g)をMonash Animal Services(クレイトン、ビクトリア、オーストラリア)から入手し、給餌し、収容し、シクロホスファミドの2回用量を接種前の−4日目(150mg/kg)および−1日目(100mg/kg)に腹腔内に注射することによって好中球減少状態にした。
肺感染症は以下のように発生させた:マウス(n=4)を、酸素中における2%から5%のイソフルランの吸入によって麻酔し、水平から60〜70°傾斜した保定板に仰臥位にて寝かせた。各マウスに、MicroSprayer(登録商標) Aerosolizer(モデルIA−1C;Penn−Century、フィラデルフィア、PA、米国)を使用して、塩水による25μLの菌懸濁液(初期対数期増殖において約10細菌細胞)を竜骨の上方において気管に直接噴霧することにより接種した。細菌性エアゾールの噴霧後、マウスを保定板上にて、2分間直立に維持し、無感覚から回復させるために暖かいパッドの上に位置した。ポリミキシンBおよび化合物1、3、6、および18による処置(一日用量における用量分割レジメンの腹腔内注射)を摂取の2時間後に開始した。投薬量レジメンは、45mg/kgの総用量の場合、ポリミキシンBまたは本発明の化合物の遊離塩基形態において、24時間において8時間毎の15mg/kgであった。これは、副作用、すなわち、急性毒性を生じることなく安全に投与することができる、ポリミキシンBの最大用量であった。肺での細菌負担は、接種の2時間後(未処置の対照)および24時間後(未処置の対照および化合物処置されたマウス)において特定した。過剰用量のイソフルランの吸入によって、24時間の時点で動物を安楽死させた。各動物の胸および前肢の皮膚を、70%エタノールおよびBetadine(登録商標)によって十分に洗浄した。肺を採取し、8mLの0.9%塩水においてホモジナイズした。肺ホモジネートをろ過し(Bag Stomacher Filter Sterile、孔径280μm、9.5×16cm、Labtek Pty Ltd)、栄養寒天培地プレート上において平板培養した。寒天プレートを37℃で一晩インキュベートした。寒天培地プレート上の細菌コロニーをカウントし、各マウスのlog10CFU/肺を算出した(図1)。
図1のデータから明白であるよういに、化合物1、3、6、および18はすべて、肺感染モデルにおいて、臨床的に利用可能なポリミキシンBと同じ用量において、向上したインビボ抗菌効力を有していた。処置された動物のそれぞれから右腎臓を取り出し、実施例3に対して説明されたように、組織学的損傷について評価した。このモデルにおいて、腎臓組織学的スコア≧+1の全ての化合物は、腎毒性であると考えられる。腎臓組織学的調査の結果を表8に示す。本発明の化合物1、3、および18で処置されたマウスの腎臓は、いかなる組織学的損傷も示さなかった。化合物6では、試験された4匹のマウスのうち1匹が、45mg/kgにおいていくらか少量の組織学的損傷を示した。ポリミキシンBで処置された全てのマウスでは、45mg/kgにおいて腎臓への組織学的損傷が観察された。
化合物1を、より多い総用量の(遊離塩基形態の)90mg/kgおよび180mg/kgにおいてさらに試験した。ここで、投薬レジメンは、24時間において8時間毎に30mg/kgまたは60mg/kgであった。得られた結果を図2に示す。この研究において、化合物1は、観察可能な急性毒性を生じることなく、はるかに多い用量(180gm/kgではポリミキシンBの4倍を超える)において安全に静脈内投与することができることが観察され、このことは、本発明の化合物がポリミキシンBよりも著しく低い急性毒性を有することを示している。さらに、調査したこれらより多い用量では、肺において細菌細胞は検知できず、このことは、細菌感染症の完全な根絶が達成されたことを示している。
処置された動物のそれぞれから右腎臓を取り出し、実施例3に対して説明されたように、組織学的損傷について評価した。このモデルにおいて、腎臓スコア≧+1の全ての化合物は、腎毒性であると考えられる。腎臓組織学的調査の結果を表9に示す。化合物1で処置されたマウスの腎臓は、180mg/kgである最も多い用量においてさえ、組織学的損傷を全く示さなかったが、その一方で、ポリミキシンBで処置されたマウスは、45mg/kgの用量において処置された全てのマウスの腎臓に組織学的損傷を示した。
本明細書および特許請求の範囲の全体を通じて、文脈がそうでないことを必要としない限り、語句「含む(comprise)」と、「含む(comprises)」または「含むこと(comprising)」などの変形は、言及された整数または整数の群または工程を包含するが他の整数または整数の群も除外しないことを意味するものと理解される。
任意の先行の刊行物(またはそれらから得られる情報)に対する、または既知の事項に対する本明細書中での参照は、そのような先行の刊行物(またはそれらから得られる情報)または既知の事項が本明細書の関連する努力傾注分野における共通の一般的知識の一部を形成するということの認知もしくは承認または任意の形態の示唆ではなく、ならびにそのように解釈すべきではない。

Claims (16)

  1. 下記の式(I):
    [式中、
    は、−C(O)C2〜12ヘテロアリール、−C(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)C3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C1〜22アルキルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C2〜22アルケニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C2〜22アルキニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C5〜12アリールC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)C3〜10ヘテロシクリルC5〜12アリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−S(O)C3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C1〜22アルキルC3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C2〜22アルケニルC3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C2〜22アルキニルC3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C5〜12アリールC3〜10ヘテロシクリル、−S(O)C3〜10ヘテロシクリルC5〜12アリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、C(O)OC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)OC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC1〜22アルキルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC2〜22アルケニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC2〜22アルキニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC5〜12アリールC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)OC3〜10ヘテロシクリルC5〜12アリール、−C(O)NHC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール−C(O)NHC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)NHC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC1〜22アルキルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC2〜22アルケニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC2〜22アルキニルC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC5〜12アリールC3〜10ヘテロシクリル、−C(O)NHC3〜10ヘテロシクリルC5〜12アリールから選択され、それぞれ、任意選択により1つまたは複数のC1〜22アルキル、C2〜22アルケニル、C2〜22アルキニル、ハロ、トリハロC1〜22アルキル、トリハロC2〜22アルケニル、またはトリハロC2〜22アルキニルで置換されていてもよく;
    は、D−Ser、L−Dab、またはL−Dapから選択されるアミノ酸の側鎖を表し;
    は、ロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン、フェニルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、またはt−ブチルグリシンから選択されるアミノ酸の側鎖を表し;ならびに、
    は、セリン、アラニン、スレオニン、バリン、t−ブチルグリシン、または2−アミノ酪酸から選択されるアミノ酸の側鎖を表す]
    の化合物またはその薬学的に許容される塩。
  2. 下記の式(I):
    [式中、
    は、−C(O)C2〜12ヘテロアリール、−C(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、C(O)OC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)NHC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、または−C(O)NHC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリールから選択され、それぞれ、任意選択により1つまたは複数のC1〜22アルキル、C2〜22アルケニル、C2〜22アルキニル、ハロ、トリハロC1〜22アルキル、トリハロC2〜22アルケニル、またはトリハロC2〜22アルキニルで置換されていてもよく;
    は、D−Ser、L−Dab、またはL−Dapから選択されるアミノ酸の側鎖を表し;
    は、ロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン、フェニルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、またはt−ブチルグリシンから選択されるアミノ酸の側鎖を表し;ならびに
    は、セリン、アラニン、スレオニン、バリン、t−ブチルグリシン、または2−アミノ酪酸から選択されるアミノ酸の側鎖を表す]
    の化合物またはその薬学的に許容される塩。
  3. 下記の式(II):
    [式中、
    は、−C(O)C2〜12ヘテロアリール、−C(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−S(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、C(O)OC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)OC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリール、−C(O)NHC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC1〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)NHC5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、または−C(O)NHC2〜12ヘテロアリールC5〜12アリールから選択され、それぞれ、任意選択により1つまたは複数のC1〜22アルキル、C2〜22アルケニル、C2〜22アルキニル、ハロ、トリハロC1〜22アルキル、トリハロC2〜22アルケニル、またはトリハロC2〜22アルキニルで置換されていてもよく;
    は、ロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン、フェニルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、またはt−ブチルグリシンから選択されるアミノ酸の側鎖を表し;ならびに
    は、セリン、アラニン、スレオニン、バリン、t−ブチルグリシン、または2−アミノ酪酸から選択されるアミノ酸の側鎖を表す]
    によって表される、請求項2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
  4. が、−C(O)C2〜12ヘテロアリール、−C(O)C1〜22アルキルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルケニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜22アルキニルC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C5〜12アリールC2〜12ヘテロアリール、−C(O)C2〜12ヘテロアリールC5〜12アリールから選択され、それぞれ、任意選択により1つまたは複数のC1〜6アルキル、ハロ、またはトリハロC1〜6アルキルで置換されていてもよい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
  5. が、5−クロロニコチノイル、6−クロロニコチノイル、2,6−ジクロロニコチノイル、4,6−ジクロロニコチノイル、5,6−ジクロロニコチノイル、6−(トリフルオロメチル)ニコチノイル、3,5−ジクロロピコリノイル、4,6−ジクロロピコリノイル、5−フェニルピコリノイル、5−(4−クロロフェニル)ピコリノイル、4−(6−クロロ−3−ピリジニル)ベンゾイル、5−(4−クロロフェニル)チオフェン−2−カルボキシル、2,6−ジクロロイソニコチノイル、5−(トリフルオロメチル)ニコチノイル、4−(トリフルオロメチル)ピコリノイル、3,5−ジブロモピコリノイル、5−ブロモニコチノイル、2−クロロイソニコチノイル、2−ブロモイソニコチノイル、4−クロロピコリノイル、2−(トリフルオロメチル)イソニコチノイル、2,6−ジブロモイソニコチノイル、3,5−ジブロモピコリノイル、5−メチルニコチノイル、2−フルオロイソニコチノイル、2−(トリフルオロメチル)イソニコチノイル、5−ブロモ−3−クロロピコリノイル、3−クロロイソニコチノイル、3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリノイル、3−クロロピコリノイル、5−クロロピコリノイル、5−(トリフルオロメチル)ピコリノイル、2−クロロ−6−メチルイソニコチノイル、2−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ニコチノイル、6−エチルニコチノイル、5−エチルピコリノイル、6−クロロピコリノイル、6−(トリフルオロメチル)ピコリノイル、2−(トリフルオロメチル)ピリミジン−5−カルボキシル、2−キノキサリンカルボキシル、1H−ベンゾイミダゾール−2−カルボキシル、1−メチルインドール−2−カルボキシル、6−メチル−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−カルボキシル、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキシル、1−メチルインダゾール−3−カルボキシル、3−キノリンカルボキシル、ベンゾチアゾール−6−カルボキシル、1H−インダゾール−3−カルボキシル、キナルドイル、1H−インドール−2−カルボキシル、1−メチルベンゾイミダゾール−2−カルボキシル、5−クロロ−1−メチルインドール−2−カルボキシル、5−クロロ−1H−インドール−2−カルボキシル、5,6−ジフルオロ−1H−インドール−2−カルボキシル、3−クロロベンゾ[b]チオフェン−2−カルボキシル、1−メチルインドール−3−アセチル、1−メチルインドール−3−カルボキシル、ベンゾ[d]チアゾール−2−カルボキシル、6−クロロベンゾイミダゾール−2−カルボキシル、ベンゾ[b]チアゾール−2−プロパノイル、2−フェニルピリミジン−5−カルボキシル、ベンゾオキサゾール−2−カルボキシル、ベンゾ[d]イソオキサゾール−3−カルボキシル、2,5−ジブロモチオフェン−3−カルボキシル、4,5−ジブロモピロール−2−カルボキシル、5−ブロモチオフェン−2−カルボキシル、4,5−ジブロモフラン−2−カルボキシル、5−フェニル−1,2−オキサゾール−3−カルボキシル、5−フェニル−1,2,4−オキサジアゾール−3−カルボキシル、2−フェニル−1H−イミダゾール−4−カルボキシル、4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキシル、5−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボキシル、3,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキシル、5−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−カルボキシル、3−フェニル−1,2−オキサゾール−5−カルボキシル、4−ブロモチオフェン−2−カルボキシル、3−クロロチオフェン−2−カルボキシル、4H−チエノ[3,2−b]ピロール−5−カルボキシル、2−ブロモ−1,3−チアゾール−5−カルボキシル、ベンゾフラン−2−カルボキシル、4−ブロモ−1−メチルピロール−2−カルボキシル、5−(4−クロロフェニル)−1,2−オキサゾール−3−カルボキシル、5−ブロモチオフェン−3−カルボキシル、4−ブロモピコリノイル、5−ブロモフラン−3−カルボキシル、およびインドール−3−プロパノイルから選択され;
    が、ロイシン、フェニルアラニン、ノルロイシン、またはノルバリンから選択されるアミノ酸の側鎖を表し;ならびに
    が、アラニン、スレオニン、バリン、または2−アミノ酪酸から選択されるアミノ酸の側鎖を表す、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. 少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と一緒に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む医薬組成物。
  7. グラム陰性細菌感染症を予防または処置する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与する工程を含む方法。
  8. 前記グラム陰性細菌感染症が、多剤耐性(MDR)グラム陰性細菌感染症である、請求項7に記載の方法。
  9. さらに、前記対象に第二抗菌剤を投与する工程を含む、請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記1種または複数種の化合物が、それを必要とする対象に、経口、静脈内、または筋肉内において投与される、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. グラム陰性細菌感染症の予防または処置のための医薬品の製造における、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用。
  12. 前記グラム陰性細菌感染症が、多剤耐性(MDR)グラム陰性細菌感染症である、請求項11に記載の使用。
  13. 前記医薬品が、第二抗菌剤と一緒に投与される、請求項11または12に記載の使用。
  14. グラム陰性細菌感染症の前記予防または処置における使用のための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
  15. 前記グラム陰性細菌感染症が、多剤耐性(MDR)グラム陰性細菌感染症である、請求項14に記載の、使用のための化合物。
  16. 前記化合物が、第二抗菌剤と一緒に投与される、請求項14または15に記載の、使用のための化合物。
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