JP2018528250A - 移植片拒絶反応の処置方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、固形臓器移植片拒絶反応および移植片対宿主病(GvHD)の治療における、タンパク質キナーゼ阻害剤、特に本明細書に記載されるような式(I)のJAK2阻害剤の使用を提供する。また、固形臓器移植片拒絶反応および移植片対宿主病の治療のための併用療法も提供される。固形臓器移植片拒絶反応は、移植組織がレシピエントの免疫系に拒絶されるときに生じ、移植組織を破壊する。固形臓器移植片拒絶反応の典型的な治療は、短期の高用量コルチコステロイドを含み、多くの場合、抗増殖剤と併用される。また、抗体治療も免疫抑制療法に加えられてきた。しかし、OKT3などの特定の抗体は、サイトカイン放出症候群および移植後リンパ球増殖性障害を引き起こすため禁忌である。

Description

参照による援用
本明細書は、米国特許第8,153,632号および第8,415,338号、ならびに米国特許出願公開第2013/0172338号を参照によって援用し、本明細書中で言及される他の全ての刊行物は、個々の特許または刊行物の各々が、具体的かつ個別に参照によって援用されることが示されている場合と同程度に援用する。
本開示の背景
固形臓器移植片拒絶反応は、移植組織がレシピエントの免疫系に拒絶されるときに生じ、移植組織を破壊する。固形臓器移植片拒絶反応の典型的な治療は、短期の高用量コルチコステロイドを含み、多くの場合、抗増殖剤と併用される。また、抗体治療も免疫抑制療法に加えられてきた。しかし、OKT3などの特定の抗体は、サイトカイン放出症候群および移植後リンパ球増殖性障害を引き起こすため禁忌である。
移植片対宿主病(GvHD)は、同種異系組織移植後の一般的な合併症であり、多くの場合、幹細胞または骨髄移植に関連する。実質的に、GvHDは、移植骨髄により宿主に入る成熟移植リンパ球が、新しい宿主組織を異物と認識して宿主の組織を破壊するときに生じる。GvHDは、移植後、最初の100日を超えて生存する患者の約50%に影響を及ぼす。急性GvHDは、一般に、肝臓、皮膚、粘膜および胃腸管、ならびに造血系および肺を標的とし、一方で慢性GvHDは、同じ器官ならびに結合組織および外分泌腺に影響を与える。急性GvHD(以下、「aGvHD」)は、普通、移植後最初の100日以内に観察され、慢性GvHD(以下、「cGvHD」)は普通、100日後に生じる。
本開示の概要
本明細書では、固形臓器移植片拒絶反応および移植片対宿主病(GvHD)の治療を必要とする患者における固形臓器移植片拒絶反応および移植片対宿主病(GvHD)を治療する方法であって、治療有効量のヤーヌスキナーゼ(JAK)阻害剤(例えばJAK2)を投与することを含む方法が開示される。一部の実施形態では、本開示は、患者における固形臓器移植片拒絶反応およびGvHDを治療する方法であって、固形臓器移植片拒絶反応およびGvHDの治療を必要とする患者に、治療有効量の、以下の構造を有する式(I)の化合物
Figure 2018528250
[式中、
およびRはHであり、
は−N(H)−であり、
Ar
Figure 2018528250
(式中、R10はメトキシまたはフッ素であり、
kは0または1から選択される整数である)からなる群から選択され、
Arは式
Figure 2018528250
(式中、R11は、Hであるか、または
Figure 2018528250
Figure 2018528250
からなる群から選択される)の基であり、
Lは、式:
−X−Y−X
(式中、XはArに結合し、XはArに結合し、X、XおよびYは、基Lが直鎖中に5〜15個の原子を有するように選択され、
は、
(a)−OCH−、
(b)−OCHCH−、および
(c)−CHOCH
からなる群から選択され、
は、
(a)−CHO−、
(b)−CHCHO−、および
(c)−CHOCH
からなる群から選択され、
Yは、式−CR=CR−の基であり、
およびRはHである)の基である]またはその薬学的に許容される塩もしくはN−オキシドを投与することを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、11−(2−ピロリジン1−イル−エトキシ)−14,19−ジオキサ−5,7,26−トリアザテトラシクロ[19.3.1.12,6.18,12]ヘプタコサ−1(25),2(26),3,5,8,10,12(27),16,21,23−デカエン(パクリチニブ)またはその薬学的に許容される塩もしくはN−オキシド、例えばそのクエン酸塩またはマレイン酸塩である。ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、9E−15−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−7,12,25−トリオキサ−19,21,24−トリアザ−テトラシクロ[18.3.1.1(2,5).1(14,18)]ヘキサコサ−1(24),2,4,9,14,16,18(26),20,22−ノナエン、またはその薬学的に許容される塩もしくはN−オキシド、例えばそのクエン酸塩またはマレイン酸塩である。一部の実施形態では、患者は、固形臓器移植片拒絶反応またはGvHDの1つまたは複数の症状を示す。一部の実施形態では、GvHDは、多臓器GvHDである。一部の実施形態では、患者は、固形臓器移植を受けていた。一部の実施形態では、固形臓器移植片は、肺、肝臓、腎臓、心臓、膵臓、皮膚、胃、または血管柄付複合移植片である。一部の実施形態では、患者は、細胞移植を受けていた。一部の実施形態では、細胞移植は、同種異系骨髄または造血幹細胞移植である。一部の実施形態では、式(I)の化合物は、固形臓器移植、同種異系骨髄または造血幹細胞移植と同時に投与される。一部の実施形態では、式(I)の化合物は、固形臓器移植、同種異系骨髄または造血幹細胞移植に後続して投与される。一部の実施形態では、JAK阻害剤化合物(例えば、式(I)の化合物)の量は、固形臓器移植片拒絶反応またはGvHDを予防または軽減すると同時に、同種異系造血幹細胞移植(アロ−HCT)後の誘導性制御性T細胞(iTreg)応答を促進する。一部の実施形態では、式(I)の化合物は、1日当たり約0.1mg/kgから1日当たり約1000mg/kgの投与量で投与される。一部の実施形態では、式(I)の化合物の投与量は、約10mg/日、約100mg/日、約200mg/日、約400mg/日、約500mg/日、約600mg/日または約700mg/日である。一部の実施形態では、式(I)の化合物は、固形臓器移植または同種異系骨髄もしくは造血幹細胞移植後1日目から約2000日目まで、毎日1回投与される。一部の実施形態では、式(I)の化合物は、移植片拒絶反応の症状の発症から約2000日目まで、あるいは固形臓器移植または同種異系骨髄もしくは造血幹細胞移植後の拒絶反応の症状が消散するまで投与される。他の実施形態では、式(I)の化合物は、1日に2回、1日に3回、または1日に4回投与される。一部の実施形態では、式(I)の化合物は経口投与される。一部の実施形態では、式(I)の化合物は、1種または複数の追加の治療剤と組み合わせてまたは併用して投与される。
本開示はまた、有効量の式(I)の化合物および薬学的に許容される担体を投与することを含む、固形臓器移植片拒絶反応およびGvHDの発生の予防、治療もしくは軽減、またはそれらの重症度の軽減を必要とする患者における固形臓器移植片拒絶反応およびGvHDの発生の予防、治療もしくは軽減、またはそれらの重症度の軽減のための組成物も提供する。
本開示のこれらおよび他の実施形態は、本明細書における開示内容を考慮して当業者にとって容易に明らかになるであろう。
図1は、GvHDマウスの生存率を示す。プロットは、JAK2−/−T細胞の骨髄(BM)移植の全生存率が、野生型(WT)またはJAK2富化(JAK2+/+)ドナーと比べて有意に低いGvHDに関連することを示す。
図2は、GvHDマウスの生存率を示す。プロットは、末梢血単核細胞(PMBC)の注入後のビヒクル対照対パクリチニブ100mg/kg投与の移植片の生存率を示し、代表的画像は、抜糸時(−30日目)および+35日目の皮膚を示す。
図3は、移植片拒絶反応の発症前の、+21日目の皮膚移植片(skin grants)のH&E(上の画像)およびCD3(茶色/下の画像)のIHC染色を示す。
本開示の詳細な説明
本明細書では、固形臓器移植片拒絶反応および移植片対宿主病(GvHD)の治療を必要とする患者における固形臓器移植片拒絶反応および移植片対宿主病(GvHD)を治療する方法であって、治療有効量のヤーヌスキナーゼ(JAK)阻害剤(例えばJAK2)を投与することを含む方法が開示される。一部の実施形態では、本開示は、患者における固形臓器移植片拒絶反応およびGvHDを治療する方法であって、固形臓器移植片拒絶反応および移植片対宿主病(GvHD)の治療を必要とする患者に、治療有効量の、以下の構造を有する式(I)の化合物
Figure 2018528250
[式中、
およびRはHであり、
は−N(H)−であり、
Ar
Figure 2018528250
(式中、R10はメトキシまたはフッ素であり、
kは0または1から選択される整数である)からなる群から選択され、
Arは式
Figure 2018528250
(式中、R11は、Hであるか、または
Figure 2018528250
からなる群から選択される)の基であり、
Lは、式:
−X−Y−X
(式中、XはArに結合し、XはArに結合し、X、XおよびYは、基Lが直鎖中に5〜15個の原子を有するように選択され、
は、
(a)−OCH−、
(b)−OCHCH−、および
(c)−CHOCH
からなる群から選択され、
は、
(a)−CHO−、
(b)−CHCHO−、および
(c)−CHOCH
からなる群から選択され、
Yは、式−CR=CR−の基であり、
およびRはHである)の基である]またはその薬学的に許容される塩もしくはN−オキシドを投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、式(I)の化合物は、11−(2−ピロリジン1−イル−エトキシ)−14,19−ジオキサ−5,7,26−トリアザテトラシクロ[19.3.1.12,6.18,12]ヘプタコサ−1(25),2(26),3,5,8,10,12(27),16,21,23−デカエン(パクリチニブ)またはその薬学的に許容される塩もしくはN−オキシド、例えばそのクエン酸塩またはマレイン酸塩である。ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、9E−15−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−7,12,25−トリオキサ−19,21,24−トリアザ−テトラシクロ[18.3.1.1(2,5).1(14,18)]ヘキサコサ−1(24),2,4,9,14,16,18(26),20,22−ノナエン、またはその薬学的に許容される塩もしくはN−オキシド、例えばそのクエン酸塩またはマレイン酸塩である。一部の実施形態では、患者は、固形臓器移植片拒絶反応またはGvHDの1つまたは複数の症状を示す。一部の実施形態では、GvHDは、多臓器GvHDである。一部の実施形態では、患者は、固形臓器移植を受けていた。一部の実施形態では、固形臓器移植片は、肺、肝臓、腎臓、心臓、膵臓、皮膚、胃、または血管柄付複合移植片である。一部の実施形態では、患者は、細胞移植を受けていた。一部の実施形態では、細胞移植は、同種異系骨髄または造血幹細胞移植である。一部の実施形態では、式(I)の化合物は、固形臓器移植、同種異系骨髄または造血幹細胞移植と同時に投与される。一部の実施形態では、式(I)の化合物は、固形臓器移植、同種異系骨髄または造血幹細胞移植に後続して投与される。一部の実施形態では、JAK阻害剤化合物(例えば、式(I)の化合物)の量は、固形臓器移植片拒絶反応またはGvHDを予防または軽減すると同時に、同種異系造血幹細胞移植(アロ−HCT)後の誘導性制御性T細胞(iTreg)応答を促進する。一部の実施形態では、式(I)の化合物は、1日当たり約0.1mg/kgから1日当たり約1000mg/kgの投与量で投与される。一部の実施形態では、式(I)の化合物の投与量は、約10mg/日、約100mg/日、約200mg/日、約400mg/日、約500mg/日、約600mg/日または約700mg/日である。一部の実施形態では、式(I)の化合物は、固形臓器移植または同種異系骨髄もしくは造血幹細胞移植後1日目から約2000日目まで、毎日1回投与される。一部の実施形態では、式(I)の化合物は、GvHDの症状の発症から、固形臓器移植または同種異系骨髄もしくは造血幹細胞移植後、約2000日目まで投与される。他の実施形態では、式(I)の化合物は、1日に2回、1日に3回、または1日に4回投与される。一部の実施形態では、式(I)の化合物は経口投与される。一部の実施形態では、式(I)の化合物は非経口投与される。一部の実施形態では、式(I)の化合物は、1種または複数の追加の治療剤と組み合わせてまたは併用して投与される。
本開示はまた、有効量の式(I)の化合物および薬学的に許容される担体を投与することを含む、固形臓器移植片拒絶反応およびGvHDの発生の予防、治療もしくは軽減、またはそれらの重症度の軽減を必要とする患者における固形臓器移植片拒絶反応およびGvHDの発生の予防、治療もしくは軽減、またはそれらの重症度の軽減のための組成物も提供する。
本開示はまた、移植患者における同種移植片拒絶反応を遅延させる方法であって、同種移植片拒絶反応の遅延を必要とする患者に、治療有効量の上記の式(I)の化合物を投与することを含む方法も提供する。
本明細書では、さらなる実施形態において、移植患者におけるT細胞増殖を低減する方法であって、T細胞増殖の低減を必要とする患者に、治療有効量の上記の式(I)の化合物を投与することを含む方法が開示される。
本明細書では、いくつかの用語が使用されるが、それらは当業者に周知である。それにもかかわらず、明確にするという目的で、いくつかの用語は以下に定義される。
本発明の方法において使用される式(I)の化合物のファミリーには、ジアステレオ異性体、鏡像異性体、互変異性体、ならびに「E」もしくは「Z」立体配置異性体における幾何異性体またはEおよびZ異性体の混合物を含めた異性体の形態が含まれることを理解されたい。また、ジアステレオマー、鏡像異性体、および幾何異性体などの一部の異性体の形態は、物理的および/または化学的方法によって、ならびに当業者によって分離することができることも理解されたい。
本発明の方法を実践する上で使用される本開示の実施形態の化合物の一部は、単一立体異性体、ラセミ体、ならびに/または鏡像異性体および/もしくはジアステレオマーの混合物として存在し得る。このような単一立体異性体、ラセミ体およびこれらの混合物は全て、記載および特許請求される主題の範囲内にあることが意図される。加えて、式(I)は、該当する場合、溶媒和および非溶媒和の形態の化合物を包含することが意図される。
したがって、各式は、水和および非水和形態を含めた示される構造を有する化合物を含む。
式(I)の化合物に加えて、本発明の方法を実践する上で使用される様々な実施形態の化合物は、該化合物の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、N−オキシドおよび活性代謝産物、ならびに該代謝産物の薬学的に許容される塩を含む。
用語「薬学的に許容される塩」は、上で特定した化合物の所望の生物学的活性を保持する塩を指し、薬学的に許容される酸付加塩および塩基付加塩を含む。本発明の方法を実践する上で使用される式(I)の化合物の好適な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製することができる。このような無機酸の例は、塩酸、硫酸、およびリン酸である。適切な有機酸は、脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式カルボン酸およびスルホン酸のクラスの有機酸から選択することができ、それらの例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸である。式(I)の化合物の好適な薬学的に許容される塩基付加塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、および亜鉛からつくられる金属塩、ならびにコリン、ジエタノールアミン、モルホリンなどの有機塩基からつくられる有機塩が挙げられる。有機塩の他の例は、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩などの第4級塩、グリシンおよびアルギニンとの塩などのアミノ酸付加塩である。薬学的に許容される塩に関するさらなる情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、19版、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.1995年で見つけることができる。固形物である薬剤の場合、当業者は、本発明の化合物、薬剤および塩は、異なる結晶または多形形態で存在し得、これらは全て、本発明および規定の式の範囲内にあることが意図されることを理解している。
「プロドラッグ」は、代謝手段によって(例えば、加水分解、還元または酸化によって)in vivoで式(I)の化合物に変換可能な化合物を意味する。例えば、ヒドロキシル基を含む式(I)の化合物のエステルプロドラッグは、in vivoでの加水分解によって親分子に変換可能であり得る。ヒドロキシル基を含む式(I)の化合物の好適なエステルは、例えば、酢酸エステル、クエン酸エステル、乳酸エステル、酒石酸エステル、マロン酸エステル、シュウ酸エステル、サリチル酸エステル、プロピオン酸エステル、コハク酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、メチレン−ビス−p−ヒドロキシナフトエ酸エステル、ゲンチジン酸エステル(gestisate)、イソチオン酸エステル、ジ−p−トルオイル酒石酸エステル、メタンスルホン酸エステル、エタンスルホン酸エステル、ベンゼンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル、シクロヘキシルスルファミン酸エステル、およびキニン酸エステルである。別の例として、カルボキシ基を含む式(I)の化合物のエステルプロドラッグが、in vivoでの加水分解によって親分子に変換可能であり得る。
用語「治療有効量」または「有効量」は、有益なまたは所望の臨床結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、単回または複数回の投与において投与され得る。有効量は、典型的には、病状(例えば、固形臓器移植片拒絶反応またはGvHD)の進行を軽減、改善、安定化、低減、好転、治療、減速または遅延させるのに十分である。
本発明の方法を実践する上で使用される特定の化合物には、以下の
Figure 2018528250
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またはこれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、11−(2−ピロリジン1−イル−エトキシ)−14,19−ジオキサ−5,7,26−トリアザテトラシクロ[19.3.1.12,6.18,12]ヘプタコサ−1(25),2(26),3,5,8,10,12(27),16,21,23−デカエン(パクリチニブ)またはその薬学的に許容される塩もしくはN−オキシド、例えばそのクエン酸塩またはマレイン酸塩である。ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、9E−15−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−7,12,25−トリオキサ−19,21,24−トリアザ−テトラシクロ[18.3.1.1(2,5).1(14,18)]ヘキサコサ−1(24),2,4,9,14,16,18(26),20,22−ノナエン、またはその薬学的に許容される塩もしくはN−オキシド、例えばそのクエン酸塩またはマレイン酸塩である。
固形臓器移植片拒絶反応およびGvHDの発生の予防、治療もしくは軽減、またはそれらの重症度の軽減を目的とした、ヒトへの式(I)内の化合物の投与は、経口もしくは直腸などの腸内投与の許容される様式のいずれかによって、または皮下、筋内、静脈内および皮内経路などの非経口投与によって行うことができる。注射は、ボーラス投与であっても、または一定もしくは間欠的注入によってもよい。活性化合物は、典型的には、薬学的に許容される担体または希釈剤の中に、患者に治療有効用量を送達するのに十分な量で含まれる。
本発明の方法を実践する上で使用される化合物は、化合物を生物学的に利用可能にする任意の形態または様式で投与することができる。製剤を調製する当業者は、選択した化合物の具体的な特性、治療される状態、および他の関連状況に応じて適正な投与形態および様式を容易に選択することができる。さらなる情報については読者は、Remingtons Pharmaceutical Sciences、19版、Mack Publishing Co.(1995年)を参照されたい。本発明の方法を実践する上で使用される化合物は、単独で投与しても、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせた医薬組成物の形態で投与してもよい。本発明の方法を実践する上で使用される化合物は、それら自体で有効であるものの、典型的には、それらの薬学的に許容される塩の形態で製剤化され投与されるが、その理由は、これらの形態が、典型的には、より安定性であり、より容易に結晶化し、高い溶解性を有するからである。本発明の方法を実践する上で使用される化合物はまた、典型的には、所望の投与様式に応じて製剤化される医薬組成物の形態で使用される。組成物は、当技術分野において周知の方法で調製される。
本発明の方法を実践する上で使用される化合物は、1種または複数の追加の薬物、例えば固形臓器移植片拒絶反応および/またはGvHDの症状の治療または軽減に適した抗拒絶反応薬と組み合わせて使用または投与してよい。本発明の方法を実践する上で使用される化合物と組み合わせて使用または投与することができる代表的な薬物としては、プレドニゾンまたはメチルプレドニゾンなどのコルチコステロイド;シクロスポリンおよびタクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤;ミコフェノール酸モフェチル;アザチプリン(azathiprine)、エベロリムスおよびシロリムスなどの抗増殖剤;バシリキシマブ、ダクリズマブ、およびリツキシマブなどのモノクローナル抗体;ならびにウマ抗胸腺細胞グロブリンおよびウサギ抗胸腺細胞グロブリンなどのポリクローナル抗体が挙げられる。成分は、同じ製剤または別々の製剤で投与することができる。別々の製剤で投与する場合、本発明の方法を実践する上で使用される化合物は、他の薬物と連続的にまたは同時に投与してよい。抗拒絶反応薬を含む1種または複数の追加の薬物と組み合わせて投与することができることに加えて、本発明の方法を実践する上で使用される化合物は、併用療法において使用することができる。これを行うとき、化合物は、典型的には、互いに組み合わせて投与される。したがって、本発明の方法を実践する上で使用される化合物の1種または複数は、同時に(合わせた調合薬として)または連続的に投与して、所望の効果を実現することができる。これは、各化合物の治療プロファイルが異なることで、2種の薬物の複合効果が改善された治療結果をもたらすので、特に望ましい。
非経口注射用であり、本発明の方法を実践する上で使用される医薬組成物は、薬学的に許容される滅菌水性もしくは非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルションおよび使用直前に滅菌注射用液または分散液に再構成するための滅菌粉末を含む。好適な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびこれらの好適な混合物、植物油(オリーブオイルなど)、ならびにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合、必要な粒径の維持により、および界面活性剤の使用により維持することが可能である。
本発明の方法を実践する上で使用されるこれらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントも含有し得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含めることによって確実にすることができる。また、糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことも望ましいことがある。注射用医薬品形態の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる作用剤を含めることによってもたらすことができる。必要に応じて、より効果的に分配させるために、化合物を、ポリマーマトリクス、リポソーム、およびマイクロスフェアなどの徐放性または標的化送達システムに組み込むことができる。
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターに通す濾過により、または使用直前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体に溶解もしくは分散させることができる滅菌固形組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
経口投与用の、本発明の方法を実践する上で使用される固形剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末剤、および顆粒剤が挙げられる。このような固形剤形中、活性化合物は、クエン酸ナトリウムもしくは第二リン酸カルシウムなどの少なくとも1種の不活性の薬学的に許容される賦形剤もしくは担体、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、およびこれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は緩衝剤も含み得る。
同様のタイプの固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用した軟および硬充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として用いてもよい。
錠剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固形剤形は、腸溶コーティングおよび医薬製剤化の技術分野において周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。これらは、任意選択で乳白剤を含有していてもよく、また、有効成分のみを放出する、または優先的に腸管の特定の部位で、任意選択で遅延させて放出する組成物であってもよい。使用可能な包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
必要に応じて、より効果的に分配させるために、本発明の方法を実践する上で使用される化合物を、ポリマーマトリクス、リポソーム、およびマイクロスフェアなどの徐放性または標的化送達システムに組み込むことができる。
本発明の方法を実践する上で使用される活性化合物はまた、適切な場合、上記の賦形剤の1種または複数を含む、マイクロカプセル化形態であってもよい。
経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルション、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブオイル、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール(tetrahydroforfuryl alcohol)、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物などの当技術分野において一般に使用される不活性希釈剤を含有してよい。
不活性希釈剤の他、経口用組成物はまた、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味剤、香料、ならびに芳香剤などのアジュバントも含むことができる。本発明の化合物の局所投与用の剤形としては、粉末、パッチ、スプレー、軟膏および吸入剤が挙げられる。本発明の方法を実践する上で使用される活性化合物を、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体および任意の必要な防腐剤、緩衝剤、または噴射剤と混合する(必要な場合がある)。
本発明の方法を実践する上で投与される化合物の量は、好ましくは、状態を治療および低減または緩和するであろう。治療有効量は、担当診断医もしくは医師または他の医療従事者によって、従来技術を使用し、類似の状況下で得られた結果を観察することによって容易に決定することができる。治療有効量を決定する上で、これらに限定されないが、動物種、そのサイズ、年齢および全体的な健康、関連する特有の状態、状態の重症度、治療に対する患者の応答、投与する特定の化合物、投与様式、投与する調合薬のバイオアベイラビリティ、選択した用法、他の薬の使用および他の関連状況を含めたいくつかの因子が考慮される。
好ましい投与量は、1日に体重1キログラム当たり約0.01〜1000mgの範囲であろう。より好ましい投与量は、1日に体重1キログラム当たり0.1〜100mg、より好ましくは1日に体重1キログラム当たり0.2〜80mg、さらにより好ましくは1日に体重1キログラム当たり0.2〜50mgの範囲であろう。好適な用量を、1日に細分した用量(sub−doses)で複数回投与してもよい。
本明細書では、一部の実施形態において、固形臓器移植片拒絶反応および移植片対宿主病(GvHD)の発生または重症度の予防、治療または低減を必要とする患者における固形臓器移植片拒絶反応および移植片対宿主病(GvHD)の発生または重症度を予防、治療または低減する方法であって、治療有効量のJAK阻害剤(例えば、JAK2阻害剤)を投与することを含む方法が記載される。本明細書では、細胞移植を必要とする患者における移植片対宿主病の発生を低減する、またはGvHD発生の重症度を低減する方法であって、患者に治療有効量のJAK阻害剤化合物(例えば、例えばパクリチニブなどのJAK2阻害剤)を含む組成物を投与することを含む方法がさらに記載される。一実施形態では、GvHDは、造血幹細胞移植などの同種異系移植後の同種抗体産生に一部起因して発症する同種抗体により駆動されるGvHDである。一部の実施形態では、患者は、末梢血幹細胞移植を受けていた。一部の実施形態では、患者は、骨髄移植を受けていた。一部の実施形態では、JAK阻害剤化合物(例えば、パクリチニブ)は、細胞移植の施行前に投与される。別の実施形態では、JAK阻害剤化合物は、細胞移植の施行に後続して投与される。さらに別の実施形態では、JAK阻害剤化合物は、細胞移植の施行と同時に投与される。
本明細書では、幹細胞移植を必要とする患者における同種抗体により駆動されるGvHDの発生を予防、治療もしくは低減する、または同種抗体により駆動されるGvHD発生の重症度を低減する方法であって、患者に治療有効量のパクリチニブを含む組成物を投与することを含む方法が記載される。
本明細書では、一部の実施形態において、移植片対宿主病(GvHD)および固形臓器移植片拒絶反応の治療を必要とする患者における同種抗体により駆動される移植片対宿主病(GvHD)および固形臓器移植片拒絶反応を治療する方法であって、治療有効量のJAK阻害剤(例えば、JAK2阻害剤)を投与することを含む方法が記載される。本明細書では、細胞移植を必要とする患者における移植片対宿主病(GvHD)の発生を予防する、またはGvHD発生の重症度を低減する方法であって、患者に治療有効量のJAK阻害剤化合物(例えば、例えばパクリチニブなどのJAK2阻害剤)を含む組成物を投与することを含む方法がさらに記載される。
本明細書では、骨髄介在性疾患の緩和およびその結果として発症する移植片対宿主病(GvHD)の緩和のために患者を治療する方法であって、患者に同種異系造血幹細胞および/または同種異系T細胞を投与することを含み、治療有効量のJAK阻害剤化合物(例えば、例えばパクリチニブなどのJAK2阻害剤)が、同種異系造血幹細胞および/または同種異系T細胞の前にまたは同時に投与される方法がさらに記載される。
パクリチニブが既成のGvHDを治療できるかを判定するために、同種異系造血細胞移植のマウスモデルを利用した。加えて、JAK2阻害剤が、固形臓器移植片拒絶反応の重症度を予防または低減できるかを判定するために、ヒト皮膚/NSGマウス異種移植片モデルを用いた。アロ−HCTのマウスモデルを使用して、本発明者らは、ドナーJAK2−/−T細胞の移動が、野生型またはJAK2富化ドナーと比べて、有意に低いGVHDと関連することを実証した(図1を参照されたい、それぞれP=0.003および0.01)。JAK2−/−T細胞間のTh1分化は、対照と比べて激減している。逆に、iTreg極性化および安定性は、JAK2欠損T細胞間で有意に高くなっている。
薬理的JAK2阻害のT細胞アロ応答(alloresponses)への影響を調べるために、JAK1/JAK2阻害剤とは異なり、骨髄抑制を誘発しないまたは骨髄線維症患者における日和見感染のリスクを上げないという理由でパクリチニブ(CTI BioPharmaより供給)を選択した。パクリチニブは、JAK2を強く阻害するが、JAK3、CSF1R、およびIRAK1に対して抑制活性も有する。パクリチニブは、MHCが異なるアロ−HCTの日から開始して4週間、経口胃管栄養法により、1日に2回100mg/kgで投与し、レシピエントマウスにおけるGVHDが有意に低減された。
次いで、本発明者らは、ヒト皮膚/NSGマウス異種移植片モデルを使用して、JAK2阻害が固形臓器移植片拒絶反応を予防できたかを評価した。1×1cm分層ヒト皮膚移植片を動物の背部に移植し、続いて5×10個の同種異系末梢血単核細胞(PMBC)を手術の30日後に腹腔内注射した。パクリチニブを、NSGマウスに許容されるように、PBMC注射時から開始して15日間、経口胃管栄養法により、1日に2回100mg/kgを投与した。治療は、ビヒクル対照と比べて、ヒトドナーPBMCによる同種移植片および異種移植片拒絶反応を有意に遅延させた(図2を参照されたい:移植片の平均生存期間32.5対51日、+60日目の生存率0%対33.3%、2つの実験からの統合データ、n=5〜6匹のマウス/アーム、P=0.0011;図3を参照されたい:+21日目の皮膚移植片の代表的切片は、パクリチニブが組織のリンパ球浸潤を低減することを示す(H&E(上の画像)およびCD3[茶色/下の画像])。
ヒト細胞を使用した同種異系混合白血球反応において、パクリチニブ(2.5μM)は、5日間の培養後にT細胞増殖を有意に低減した(平均増殖率100%対23.7%、DC:T細胞比1:30、n=4、3連、P<0.0001)。in vitro研究は、パクリチニブ(2.5μM)が、ヒトCD4+T細胞中のIL−6によりSTAT3活性を除去し、一方でJAK3へのその効果にもかかわらず、IL−2誘発STAT5リン酸化を可能にしたことを検証した。これにより、Th17の発生を低減し、一方でTreg集合を促進するプラットフォームがもたらされる。したがって、パクリチニブは、DMSOと比べて、同種異系樹状細胞(DC)により刺激されたナイーブCD4+T細胞間でのTh17の分化を劇的に抑制する(相対的RORガンマT発現1対0.12、n=2、3連、P≦0.0001)。iTregを、5日間、パクリチニブまたはDMSOの存在下、同種異系DCを用いて生じさせ、次いで自己T細胞レスポンダーおよび新鮮なDCを用いて、追加の薬物曝露なしで培養した。パクリチニブまたはDMSOで処置したiTregの抑制効力は同様であり、iTreg機能にJAK2が必要でないことを示唆した。まとめると、これらのデータは、同種異系造血細胞移植(HCT)または固形臓器移植の後に、ドナーの同種反応性を制御し、iTreg応答を促進するための治療標的としてJAK2を明確に特定する。

Claims (23)

  1. 固形臓器または細胞移植を受けていた哺乳動物における移植片拒絶反応を治療する方法であって、移植片拒絶反応の治療を必要とする哺乳動物に、治療有効量の式Iの化合物
    Figure 2018528250
    [式中、
    およびRはHであり、
    は−N(H)−であり、
    Ar
    Figure 2018528250
    (式中、R10はメトキシまたはフッ素であり、
    (i)kは0または1から選択される整数である)からなる群から選択され、
    Arは式
    Figure 2018528250
    (式中、R11は、Hであるか、または
    Figure 2018528250
    からなる群から選択される)の基であり、
    Lは、式:
    −X−Y−X
    (式中、XはArに結合し、XはArに結合し、X、XおよびYは、基Lが直鎖中に5〜15個の原子を有するように選択され、
    は、
    (a)−OCH−、
    (b)−OCHCH−、および
    (c)−CHOCH
    からなる群から選択され、
    は、
    (a)−CHO−、
    (b)−CHCHO−、および
    (c)−CHOCH
    からなる群から選択され、
    Yは、式−CR=CR−の基であり、
    およびRはHである)の基である]またはその薬学的に許容される塩もしくはN−オキシドを投与することを含む方法。
  2. が−CHOCH−である、請求項1に記載の方法。
  3. が−CHOCH−である、請求項1に記載の方法。
  4. Yが、
    Figure 2018528250
    からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記化合物が、
    Figure 2018528250
    Figure 2018528250
    Figure 2018528250
    Figure 2018528250
    Figure 2018528250
    Figure 2018528250
    Figure 2018528250
    またはこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記式(I)の化合物が、式:
    Figure 2018528250
    またはその薬学的に許容される塩を有する、請求項1に記載の方法。
  7. 前記式(I)の化合物が、式:
    Figure 2018528250
    またはその薬学的に許容される塩を有する、請求項1に記載の方法。
  8. 前記哺乳動物が、細胞移植を受けていた、請求項1に記載の方法。
  9. 前記細胞移植が、同種異系骨髄または造血幹細胞移植である、請求項8に記載の方法。
  10. 請求項1に記載の化合物が、同種異系骨髄または造血幹細胞移植と同時に投与される、請求項1に記載の方法。
  11. 請求項1に記載の化合物が、1日当たり約0.1mg/kgから1日当たり約1000mg/kgの投与量で投与される、請求項1に記載の方法。
  12. 請求項1に記載の化合物の量が、1日当たり約100mg/kgである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記化合物が経口投与される、請求項1に記載の方法。
  14. 前記化合物が、1日に2回投与される、請求項1に記載の方法。
  15. 前記哺乳動物が、固形臓器移植を受けていた、請求項1に記載の方法。
  16. 前記固形臓器が、肺、肝臓、腎臓、心臓、膵臓、皮膚、胃、または血管柄付複合移植片である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記式Iの化合物が、前記固形臓器移植と同時に投与される、請求項1に記載の方法。
  18. 前記式Iの化合物が、1日当たり約0.1mg/kgから1日当たり約1000mg/kgの投与量で投与される、請求項1に記載の方法。
  19. 前記式Iの化合物の投与量が、1日当たり約100mg/kgである、請求項18に記載の方法。
  20. 前記式Iの化合物が経口投与される、請求項1に記載の方法。
  21. 前記式Iの化合物が、1日に2回投与される、請求項1に記載の方法。
  22. 前記式Iの化合物が、コルチコステロイド、カルシニューリン阻害剤、抗増殖剤、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体からなる群から選択される抗拒絶反応剤と組み合わせて投与される、請求項1に記載の方法。
  23. 哺乳動物におけるGvHDを治療する方法であって、GvHDの治療を必要とする哺乳動物に、治療有効量の式Iの化合物
    Figure 2018528250
    [式中、
    およびRはHであり、
    は−N(H)−であり、
    Ar
    Figure 2018528250
    (式中、R10はメトキシまたはフッ素であり、
    (ii)kは0または1から選択される整数である)からなる群から選択され、
    Arは式
    Figure 2018528250
    (式中、R11は、Hであるか、または
    Figure 2018528250
    からなる群から選択される)の基であり、
    Lは、式:
    −X−Y−X
    (式中、XはArに結合し、XはArに結合し、X、XおよびYは、基Lが直鎖中に5〜15個の原子を有するように選択され、
    は、
    (a)−OCH−、
    (b)−OCHCH−、および
    (c)−CHOCH
    からなる群から選択され、
    は、
    (a)−CHO−、
    (b)−CHCHO−、および
    (c)−CHOCH
    からなる群から選択され、
    Yは、式−CR=CR−の基であり、
    およびRはHである)の基である]またはその薬学的に許容される塩もしくはN−オキシドを投与することを含む方法。
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