JP2018528221A - Pha 1b型の治療のための環状ポリペプチド - Google Patents

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Abstract

常染色体劣性の偽性低アルドステロン症1型(PHA 1B型)の治療のため、または機能欠失型変異ENaCのNa+輸送能力の修復のための、配列番号1:Gly−Gln−Arg−Glu−Thr−Pro−Glu−Gly−Ala−Glu−Ala−Lys−Pro−Trp−Tyrのアミノ酸配列に由来する少なくとも6つの連続するアミノ酸を含む環状ポリペプチド。

Description

本発明は、環状ポリペプチド、および常染色体劣性の偽性低アルドステロン症1型(PHA 1B型)の治療における、または機能欠失型変異ENaCのNa+輸送能力の修復のためのそれらの使用に関する。
常染色体劣性(AR)の偽性低アルドステロン症1型(PHA 1B型)は、稀な、命に関わる疾患であり、出生から最初の数日のうちに発症し、発育障害、体重減少、塩喪失、高カリウム血症および代謝性アシドーシスを伴う。この状態は最初に、1958年に特徴付けられた(CheekおよびPerry、1958年)。常染色体劣性の偽性低アルドステロン症1型は命に関わる状態であり、腎臓、結腸、唾液腺および汗腺、ならびに肺中に見出されるナトリウムイオンチャネルENaCがナトリウムイオン(Na+イオン)の細胞層を越える移動を促進する機能を失っている。非機能性のENaCにより、尿および糞便へのナトリウムの喪失、ならびに体内の重度の塩の不均衡が生じる。典型的な特徴は、血中における低いレベルのナトリウム(低ナトリウム血症)および高いレベルのカリウム(高カリウム血症)である。この障害は複数の臓器系が関与し、したがって、全身性PHA1型とも呼ばれ、これは塩の喪失が主として腎臓に制限され、異なる遺伝子中の変異により引き起こされる、より軽度の常染色体優性(AD)または腎性PHA1型とは区別される(Riepe、2009年)。腎性PHA1型と全身性PHA1型との間の区別を、Naの必要性、電解質の不均衡の管理の簡便性、発汗試験の結果、および遺伝子検査に基づいて行うことができる(Aminら、2013年)。とりわけ、腎性ではなく、全身性の偽性低アルドステロン症を有する小児は、原因不明の下気道の疾病を頻繁に発症し、嚢胞性線維症に罹患しているとしばしば誤診される(Hanukogluら、1994年;Marthinsenら、1998年;Huberら、2010年)。
PHA 1B型を有することが診断された新生児は最初に、レニンおよびアルドステロンの値の上昇を特徴的に示すが、血圧を維持することが不可能である。PHA 1B型患者の試験所評価から、高い血清アルドステロン濃度および低ナトリウム血症を伴う血漿レニン活性の増加、ならびにすでに言及した高カリウム血症が示される。生存を確保するためには、積極的な塩交換および高カリウム血症の制御が必要である。
常染色体劣性の偽性低アルドステロン症I型(PHA 1B型)は、上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)のサブユニット(アルファサブユニット、ベータサブユニット、ガンマサブユニット)をコードする3つの遺伝子のうちのいずれか1つにおけるホモ接合性または複合ヘテロ接合性の変異により引き起こされる。
上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)のアルファサブユニット、ベータサブユニットおよびガンマサブユニットをコードする3つの遺伝子のうちのいずれか1つにおける変異に起因して、変異体が発現するENaCタンパク質のアミノ酸配列は不完全であるか、またはそうでなければ、成熟した(変異していない)ENaCとは異なる。変異体ENaCは事実上不活性であり、細胞および膜を越えるナトリウムイオンの輸送を促進しない。
全身性PHA1型の臨床所見は新生児期内に生じ、汗中のNa濃度の上昇、および鼻または直腸における経上皮電圧差の不在に通常基づいて診断される(Riepe、2009年)。臨床表現型は、重度の腎臓における塩喪失、高カリウム血症、代謝性アシドーシス、ならびに血漿のレニンおよびアルドステロンのレベルの上昇のうちの1つである。ARのPHA1型に罹患している小児はしばしば、Na依存性の液体吸収の低下および気道表面の液体の体積の増加の結果生じる肺の合併症を示す(Keremら、1999年)。呼吸器の症状は典型的には、出生から数週間または数ヵ月以内に出現し、持続性の鼻漏、再発性の耳および副鼻腔の感染、発熱がしばしば伴う胸部うっ血、咳および頻呼吸、頻繁に観察される喘鳴および湿性ラ音が認められる。年に数回生じる場合がある呼吸器の疾病のこれらのエピソードの間に、患者の胸部X線が、気管支周囲の肥厚、無気肺および/または小さなふわふわした浸潤を示す場合がある(Thomasら、2002年)。肺の合併症は時には、致命的であることが判明する場合がある(Sharmaら、2013年)。
常染色体劣性の偽性低アルドステロン症I型は生涯にわたる疾患であり、時間が経過しても改善はほとんど認められない(Zennaroら、2004年)。PHA 1B型に罹患している患者は生涯を通じて、命に関わる塩を喪失する重大局面のリスクを有し、これに重度の高カリウム血症および脱水が組み合わされる(Riepe、2009年)。
現時点では、PHA 1B型の治療は、液体および電解質の管理に限定されている。現在のPHA 1B型の対症治療は、過剰な肺の液体を低下させるためのベータ2アゴニスト療法と、電解質の均衡を修復するための積極的な塩交換および高カリウム血症の制御との組合せである。
現時点では、機能欠失型変異ENaCのNa+イオン輸送能力を修復するかまたは少なくとも増加させる、薬物に基づく療法は存在しない。
したがって、本発明の目的は、機能欠失型変異ENaCのNa+イオン輸送能力を生理的なレベルに修復する、薬物に基づく療法を提供することである。
この目的は、常染色体劣性の偽性低アルドステロン症1型(PHA 1B型)の治療において用いるための、および機能欠失型変異ENaCのNa+イオン輸送能力の修復のために用いるための、配列番号1:
のアミノ酸配列のうちの少なくとも6つの連続するアミノ酸を含む環状ポリペプチドにより解決される。
現時点では、事実上不活性な変異体のENaCを、生理的に活性なENaCに変換する薬物に基づく療法は存在しないが、本発明の環状ポリペプチドが、Na+イオン輸送能力を修復し、機能欠失型変異ENaCのアミノ酸の変異を補完して、正常なレベルをもたらすことを見出すに至った。下記に詳述する環状ペプチドは、「正常な」(野生型の活性な)変異していないENaCのENaC活性を調節することが記載されてきたが、これらの環状ペプチドはまた、アミノ酸の変異を補完し、機能欠失型変異ENaCを修復して正常なレベルに戻すことも可能であることは驚くべきことである。
好ましい実施形態では、環状ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列のうちの少なくとも9つの連続するアミノ酸を含む。
配列番号1のうち、アミノ酸配列
(=配列番号5)を含む環状ポリペプチドが、ENaC受容体に対する最も強力な結合を示すことが判明した。したがって、一実施形態では、環状ポリペプチドが、配列番号1のうちの、配列番号5
のアミノ酸配列を含むことが好ましい。
一実施形態では、環状ポリペプチドは、アミノ酸配列
によって特徴付けられる。
リングを形成させて本発明の環状ポリペプチドを提供する異なる手段がある。
a)一実施形態では、ペプチド骨格を形成するための、ポリペプチド中の単一のアミノ酸間のアミド結合と、リングを形成するための、2つのアミノ酸システイン間のジスルフィド架橋とにより、環状のリングが形成される。したがって、一実施形態は、2つのアミノ酸システイン間のジスルフィド結合を含む。
その実施形態では、ポリペプチドは、好ましくは、配列番号2
(式中、ジスルフィド結合は、配列番号2のCys 1とCys 17との間で形成される)を含む。
この場合には、好ましい環状ポリペプチドは、AP301とも呼ばれている、配列番号3
であろう。
b)一実施形態では、環状ポリペプチドを形成するための、ポリペプチド中の単一のアミノ酸間のアミド結合により、環状のリングが形成される。一実施形態では、そのような環状のリングは、非天然のアミノ酸、例としてγ−アミノ酪酸(GABA)を含む。
この場合には、好ましい環状ポリペプチドは、AP318とも呼ばれている、配列番号4、すなわち、
であろう。
最も好ましくは、上記で言及した全ての実施形態において、環状ポリペプチドは、環状のリングが配列番号1の少なくとも10個、好ましくは、少なくとも14個のアミノ酸を含むことを特徴とする。
本発明の一態様は、上記で言及した環状ポリペプチドを含む医薬組成物に関する。
本発明は、本発明の環状ペプチド(または本発明のペプチドの混合物)、および薬学的担体分子を含有する医薬組成物に関する。この医薬組成物を、PHA 1B型の治療のために使用する。
用語「医薬組成物」は、機能欠失型変異ENaCのNa+イオン輸送能力を正常なレベルに修復する、上記で定義した環状ペプチドを含有する任意の組成物または調製物を指す。特に、語「医薬組成物」は、本発明の環状ペプチド、および薬学的に許容できる担体分子または賦形剤(両方の用語を相互互換的に使用する)を含む組成物を指す。適切な担体または賦形剤、例えば、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、緩衝液、ハンクス液、ベシクル形成化合物、不揮発性油、エチルオレエート、生理食塩水中のデキストロース、等張性および化学的安定性を増強する物質、緩衝液および保存剤は、当業者に公知である。その他の適切な担体は、それ自体が患者中で患者にとって有害である抗体の産生を誘発しない任意の担体を含む。その例は、十分な寛容であるタンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー性アミノ酸およびアミノ酸コポリマーである。この医薬組成物を、(薬物として)当業者に公知の適切な手順を介して投与することができる。好ましい投与経路は、エアロゾルとしての肺からの吸入、または静脈内投与である。非経口投与のために、本発明の医薬組成物を、上記で定義した薬学的に許容できる賦形剤と併せて製剤化した注射用の投与単位剤型、例えば、液剤、懸濁剤または乳剤として提供する。しかし、投与量および投与方法は、治療される個々の患者に依存する。一般に、本発明のペプチドを、1μg/kg〜10mg/kgの間、より好ましくは、10μg/kg〜5mg/kgの間、最も好ましくは、0.1mg/kg〜2mg/kgの間の用量で投与する。好ましくは、組成物の投与は腹腔内ボーラス投与として行う。また、連続注入も適用することができる。この場合には、ペプチドを、5〜20μg/kg/分、より好ましくは、7〜15μg/kg/分の用量で注入して送達する。
エアロゾルとしての肺からの吸入のために、本発明の医薬組成物を、上記で定義した薬学的に許容できる賦形剤と併せて製剤化した適切な投与単位剤型をとる乾燥粉末または液体の調製物、例えば、凍結乾燥および/または噴霧乾燥により調製した乾燥粉末粒子として、液剤、懸濁剤および乳剤として提供する。肺からの吸入に適切なエアロゾル粒子は、乾燥粉末粒子または液体のエアロゾル粒子のいずれであっても、50μm未満、より好ましくは、10μm未満の直径の粒子を有する。乾燥粉末粒子は、乾燥粉末用の吸入器により吸入することができる。液体の粒子は、ネブライザーにより吸入することができる。しかし、肺からの吸入のための投与量および投与方法は、治療される個々の患者に依存する。一般に、本発明のペプチドを、1μg/kg〜10mg/kgの間、より好ましくは、10μg/kg〜5mg/kgの間、最も好ましくは、0.1mg/kg〜2mg/kgの間の用量で投与する。好ましくは、組成物の投与は、反復吸入投与として行う。また、連続吸入も適用することができる。この場合には、ペプチドを、5〜20μg/kg/分、より好ましくは、7〜15μg/kg/分の用量で送達する。
本発明の一態様は、上記で言及した環状ペプチドを含む常染色体劣性の偽性低アルドステロン症1型(PHA 1B型)に罹患している患者を治療する方法に関する。
アミロライド感受性の上皮性ナトリウムイオンチャネル(ENaC)
機能的に活性なENaCは通常、ベータユニットおよびガンマユニットと一緒になった、1または2つのアルファサブユニットまたはデルタサブユニットで構成される。それぞれのENaCポリペプチド鎖が、細胞内に位置する短い−NH2末端および−COOH末端、ならびに大きな細胞外ループドメインの両側にある2つの膜貫通領域で構成される。
ENaCは、肺、遠位の結腸、遠位のネフロン、汗腺および唾液腺、ならびにその他の臓器および組織の分極している上皮細胞の頂端膜中に位置する。極性を有する密着した上皮においては、ENaCが、Na+イオン吸収についての律速段階であり;異常なENaCの機能が、塩および水のホメオスタシス、ならびに生理的な働きが生じる臓器および組織中でのそうした働きを撹乱する(GartyおよびPalmer、1997年;KellenbergerおよびSchild、2002年)。細胞を通るNa+イオンの経上皮輸送は、2段階のプロセスとして説明することができ、このプロセスのための推進力が、頂端膜を横切って存在するNa+イオンについての大きな電気化学的勾配により提供される。機能性の活性なENaCは、膜の頂端部側からのNa+イオンの進入を媒介する。Na+のENaCを通るこの頂端部からの進入を、マイクロモル以下の濃度のアミロライドの適用により遮断することができる。
哺乳動物の肺においては、Na+イオン輸送の調節は、効率的なガス交換に必要な、肺胞内壁の液体の最適なレベルを維持するのに極めて重要である(Eatonら、2009年)。
ENaC遺伝子内部または上流の調節領域中のいずれかの変異がENaCの正常な発現を混乱させ、その結果、チャネルの機能不全および異常な調節が生じる。
PHA 1B型患者は、ENaCのアルファサブユニット中に機能欠失型の変異を伴い、ベータサブユニットおよびガンマサブユニット中の変異が観察される頻度はより低い。
元々のAP301ペプチドは、野生型ヒトTNFの残基C101〜E116に対応する、TNF−アルファのレクチン様のドメインまたはTIPドメインを模倣する(Lucasら、1994年)。AP301、すなわち、シクロ(CGQRETPEGAEAKPWYC)、理論平均分子質量:1923.1においては、C101がグリシンにより、E116がシステインにより置き換えられた状態になっており、N末端のシステインが付加され、レクチン様のドメインに相当するアミノ酸残基の配列が、末端のシステイン残基の側鎖間のジスルフィド結合を介して環状構造に拘束される。末端のシステイン残基を酸化してジスルフィド架橋を形成することによって、環化を達成する。
AP318、すなわち、シクロ(4−アミノブタン酸−GQRETPEGAEAKPWYD)、理論平均分子質量:1901.0は、TIPペプチドであり、この場合には、N末端の4−アミノブタン酸のアミノ基と、C末端のアスパラギン酸残基のベータ−炭素につながる側鎖のカルボキシル基との間でアミド結合を作り出すことによって、環化を達成する。
AP301
[CGQRETPEGAEAKPWYC](シクロCベータ1−Cベータ17)
AP318
[Gaba−GQRETPEGAEAKPWYD−OH](シクロ1−Dγ17)
本発明のさらなる詳細を、図面およびそれらの説明において示す。
ペプチドAP301とAP318との比較を示す図である。 αG70Sβγ−hENaCに対する、AP301の効果を示す図である。αG70Sβγ−hENaCを一過性に発現しているHEK−293細胞の全細胞についてのI/Vの関係を、対照について、240nMのAP301の存在下で、および10μmのアミロライドを添加した後にプロットした。 αβγG40S−hENaCに対する、AP301の効果を示す図である。αβγG40S−hENaCを一過性に発現しているHEK−293細胞の全細胞についてのI/Vの関係を、対照について、240nMのAP301の存在下で、および10μmのアミロライドを添加した後にプロットした。 δG71Sβγ−hENaCに対する、AP301の効果を示す図である。δG71Sβγ−hENaCを一過性に発現しているHEK−293細胞の全細胞についてのI/Vの関係を、対照について、240nMのAP301の存在下で、および10μmのアミロライドを添加した後にプロットした。 PHA Ib型の変異体のαβG37Sγ−hENaCに対する、AP301の効果を示す図である。αβG37Sγ−hENaCを一過性に発現しているHEK−293細胞の全細胞についてのI/Vの関係を、対照について、240nMのAP301の存在下で、および10μmのアミロライドを添加した後にプロットした。 アミロライド感受性の内向きナトリウム電流を示す棒グラフである。表示した変異体のサブユニットを一過性にトランスフェクトしたHEK−293細胞に対して、全細胞モードでパッチを行った;内向き電流を−100mVで惹起した。200nMのAP318またはAP301を適用した。
環状ペプチドの合成
ペプチドは全て、固相法により合成する;それらは、レクチン様のドメインのネイティブの立体構造をできるだけ保持するように設計されており、かつ同時に、直鎖状の配列の環化をもたらすための連結の代替の解決策も探索する。
固相ペプチド合成により、フルオレニルメチルオキシカルボニル/t−ブチル保護戦略に従って、2−クロロトリチルクロリド樹脂上でペプチドを合成する。ジイソプロピルカルボジイミドおよびN−ヒドロキシベンゾトリアゾールを、カップリング試薬として使用する。カップリングのステップは全て、N−N−ジメチルホルムアミド中で実施する。保護されているアミノ酸を、ペプチド鎖に、C末端のアミノ酸から始めて連続してカップリングさせる。フルオレニルメトキシカルボニルの脱保護を、N−N−ジメチルホルムアミド中の20%のピペリジン中で実施する。酢酸とジクロロメタンとの1:1の混合物中で、完成した、部分的に保護されているペプチドを樹脂から切断する。ソルナチド(solnatide)および変異体のTIPペプチドの場合は、樹脂からの切断後に、側鎖の脱保護を95%のトリフルオロ酢酸、5%の水中で実施し、続いて、未精製の直鎖状のペプチドにpH8.5で90時間通気することによる、末端のシステイン残基の酸化によって環化を行う。未精製のペプチド生成物を、逆相中圧液体クロマトグラフィー(RP−MPLC)により、RP−C18−シリカゲルカラム上で5%〜40%のアセトニトリルの勾配を用いて精製する。最後に、Lewatit MP64カラム上で、トリフルオロ酢酸対イオンを酢酸塩により置き換える(酢酸塩の形態)。水中での最後の洗浄の後に、酢酸の塩として精製したペプチドを凍結乾燥し、白色〜灰白色の粉末として得る。システインを含有しないペプチドの場合は、2−クロロトリチルクロリド樹脂からの切断後に、部分的に保護されている直鎖状のペプチドに対して環化のステップを実施する。システインを含有しないペプチドの選択的環化の後に、システイン含有ペプチドの場合と同様に、トリフルオロ酢酸中での側鎖の脱保護、続いて、分取RP−MPLC、トリフルオロ酢酸イオンの酢酸塩による置き換え、およびペプチドの酢酸塩の形態の凍結乾燥を実施した。アスパラギン酸の側鎖のカルボキシル基を通して、環化にアミド結合の形成が関与するAP318の場合は、フルオレニルメチルオキシカルボニル基によりN保護されており、かつ三級ブチル(OtBu)基によりC−アルファカルボキシル保護されているC末端のアスパラギン酸を使用して合成を開始することによって、選択的環化を達成する。側鎖のカルボキシル基を通してC末端のアスパラギン酸残基をトリチル樹脂に連結し、続いて、保護されているアミノ酸残基をペプチド鎖に段階的に付加することによって合成を進める。N末端の4−アミノブタン酸のアミノ基の脱保護、および樹脂からの側鎖が保護されているペプチドの切断後に、遊離の側鎖のカルボキシル基とN末端の4−アミノブタン酸のアミノ基とを通して環化を実施する。最後に、その他のペプチドの場合と同様に、側鎖の保護基をトリフルオロ酢酸を用いて除去し、ペプチドをRP−MPLCにより精製する。
ペプチドの分子質量を、エレクトロスプレーイオン化質量分析またはMALDI−TOF−MSにより確認し、それらの純度を、分析用高速液体クロマトグラフィーにより決定する。
内因性および異種性に発現させたENaCの、AP301およびAP318による活性化の電気生理学的アッセイ
環状ペプチドのENaCを活性化させる特性をin vitroで、ホールセルおよび単一細胞のパッチクランプ法を使用して電気生理学的に試験する(Hazemiら、2010年;Tzotzosら、2013年;Shabbirら、2013年)。環状ペプチドについて、ホールセルパッチクランプアッセイを使用して、誘発されたアミロライド感受性のNa+電流を測定し、濃度−応答曲線を計算し、こうして最大応答の半値における有効濃度(EC50)として測定される効力を推定する。
HEK−293細胞、CHO細胞およびA549細胞中で、パッチクランプ実験を実施して、一過性に発現しているαβγ−hENaCに対するAP301/AP318の効力を推定する。
PHA 1B型に罹患している患者の肺の症状の治療のためにAP301およびAP318を適用することの可能性の検討についての理論的根拠の要約
偽性低アルドステロン症1B型(PHA 1B型)は、アミロライド感受性の上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)をコードする遺伝子中の機能欠失型の変異により引き起こされる。この状態は、新生児において、腎臓、結腸、肺、ならびに汗腺および唾液腺が関与するナトリウムの喪失に起因して、命に関わる重度の脱水、低ナトリウム血症および高カリウム血症として現われ、ナトリウム依存性の液体吸収の低下の結果、肺の液体レベルが上昇するために、小児に肺の病気が発症する。この疾患は年齢と共に改善を示すことはなく、患者はカリウムレベルを低下させるために、生涯にわたる塩の補充および食事の操作を必要とする。
パッチクランプアッセイにおいて、AP301およびAP318を適用して、ヒトENaCサブユニットを異種性に発現している細胞の応答を試験することができ、これらのサブユニット中には、PHA 1B型を引き起こすことが公知の機能欠失型の変異が部位特異的変異誘発により導入されている。このようにして、機能欠失型変異ENaCのこれらのサブユニットを発現している細胞中のアミロライド感受性のナトリウム電流を修復するAP301およびAP318の能力を測定することができる。環状ペプチドの存在下におけるナトリウム電流の増加は、環状ペプチドには、PHA 1B型の変異を伴う機能欠失型ENaCによるNa+イオンの移動を修復する能力を示し、したがって、ENaCの機能を修復する能力があること、およびPHA 1B型患者のための療法となる可能性があることを示している。
驚くべきことに、環状ペプチド、例としてAP301およびAP318が、機能欠失型変異ENaCに対して、Na+イオン輸送活性を修復することができることを検出するに至った。したがって、AP301およびAP318には、PHA IB型の肺の症状のための療法となる可能性がある。
実験プロトコール
異種性に発現させた、PHA IB型の変異を伴うENaCに対するAP301およびAP318の効果のin vitro研究
アミロライド感受性のNa+電流に対する環状ペプチドの効果を、ヒトENaCのサブユニットを異種性に発現しているHEK細胞中で観察した(HEK細胞は、ENaCの内因性の発現を示さない[Ruffieux−Daidieら、2008年]);これらのサブユニット中には、PHA IB型に罹患している患者の病的な表現型に関与することが見出されている変異と同じであるアルファENaC、ベータENaCおよびガンマENaCの単一の点変異が、部位特異的変異誘発により導入されていた。さらに、変異体のデルタENaCサブユニットもまた部位特異的変異誘発により構築し、これらのサブユニットは、その他の3つのENaCサブユニット中で保存されている位置において観察される変異に相同する変異を含有した。
ENaCのPHA I型の変異体の構築、およびHEK293中での発現
プラスミドベクター中にクローニングされた野生型ENaCのサブユニットのDNAに対して部位特異的変異誘発を行うことによってENaCの変異の多様な型を再現することができる。
部位特異的変異誘発
点変異を、アルファENaC、ベータENaC、ガンマENaCおよびデルタENaCをコードするcDNA中に、市販されている部位特異的変異誘発キット(QuikChange Lightning部位特異的変異誘発キット;Agilent Technologies)を使用して導入した。アルファ、ベータおよびガンマ−hENaCをコードするcDNAは、Dr.Peter Snyder(University of Iowa、Carver College of Medicine、Iowa City、IA)により供与され;デルタ−hENaCをコードするcDNAは、Dr.Mike Althaus(Justus−Liebig University、Giessen、ドイツ)により供与された。
科学報告の原書中に記載されている個々の変異に基づいて、変異誘発プライマーを個々に設計した。製造元のウェブサイト上に提供されているプライマー設計のプログラムをガイドとして使用し、プライマー自体はSigma−Aldrichに注文した。Pfuに基づくDNAポリメラーゼを用いるPCRにより、アルファ、ベータ、ガンマまたはデルタ−hENaCをコードする100ngの野生型(WT)cDNAを使用して、変異体の鎖を合成した。親(WT)の鎖を除去し、結果として得られた変異しているENaCを含有するプラスミドDNAを、大腸菌のコンピテントな細胞中に形質転換した。大腸菌細胞を培養して成長させた後に、プラスミドDNAをそれらの細胞から、市販されているプラスミド単離キット(GeneJET Plasmid Miniprepキット;Thermoscientific)を使用して抽出し、カラムクロマトグラフィーにより単離した。変異体の構築物は全て、制限部位のマッピング、および配列決定により調べた。
hENaCの異種性の発現のためのHEK−293細胞のトランスフェクション
HEK−293細胞に、変異体のアルファ−、ベータ−、ガンマ−およびデルタ−hENaCプラスミドDNA、ならびにWTのアルファ−、ベータ−、ガンマ−およびデルタ−hENaCプラスミドDNAを、市販されているキット(X−treme Gene HPトランスフェクション試薬(Roche Diagnostics、Mannheim、ドイツ))を使用して、製造元が推奨するプロトコールに従ってトランスフェクトした。1つの変異体のサブユニットと、残りの2つのWTのサブユニットとを一緒にして、同時にトランスフェクトして、三量体型の変異ENaCを発現させた。WTのアルファ−、ベータ−およびガンマ−hENaCプラスミドDNA、またはWTのデルタ−、ベータ−およびガンマ−hENaCプラスミドDNAを同時にトランスフェクトすることによって、WTのENaCを発現させた。
変異ENaCを一過性に発現しているHEK細胞中での、AP301およびAP318のENaCを活性化させる能力のパッチクランプ試験
ホールセルパッチクランプアッセイにおいて、WTのαβγ−hENaC、WTのδβγ−hENaC、またはWTのサブユニットと同時発現させる変異体のhENaCサブユニットを一過性に発現しているHEK−293細胞系をそれぞれAP301を用いて試験し、保存されている位置において、選択された変異をAP318を用いて試験した。ホールセルの電流を以前の記載に従って記録した(Shabbirら、2013年)。
濃度対応答の測定
濃度−応答曲線をプロットし、EC50値およびヒル係数を、Microcal Origin 7.0を使用して決定した。WTのαβγ−hENaC、WTのδβγ−hENaC、または変異体のhENaCを一過性にトランスフェクトしたHEK−293細胞のホールセルのナトリウム電流を、AP301のストック溶液を浴溶液に追加しながら添加して、続いて−80mVの保持電位(Eh)で記録し、その結果、3.5〜240nMの範囲に及ぶソルナチドの最終濃度を得た。最後に、アミロライドを添加して、アミロライド感受性のNa+電流におけるペプチドが誘発する増加を推定することを可能にした。hENaCの発現の、培養した細胞の異なるバッチ間の変動のため、対にしたアミロライド応答のパーセントとして、AP301の活性を表現した。WTのαβγ−hENaC、WTのδβγ−hENaC、または変異体のhENaCに対して、アミロライドを10μMで使用した;これらの濃度は、95%超のhENaCの阻害をもたらした。明らかなアミロライド応答を示す細胞のみを、データの分析に含めた。
電流と電圧との関係
αβγ−hENaC、WTのδβγ−hENaC、または変異体のhENaCを一過性に感染させたHEK−293細胞の、ホールセルの電流と電圧との関係(I/V)を、それぞれ対照(AP301を添加する前)について、240nMのAP301を用いる処理について、および10μmのアミロライドを添加した後について決定した。GOhm−シール(G’Ω−シール)の形成、および5分間の平衡化の後に、ナトリウム電流を−80mVから+80mVまでのEhにおいて、20mV単位で増加させて、それぞれのEhで1分間保持して記録した。
統計学的分析
データは、別段の記載がない限り、平均±S.E.を示す;HEK−293の異種性の発現系中の3〜7つのバッチの独立にトランスフェクトした細胞に対して、実験を実施した。GraphPad Prism、3.02版(GraphPad Software、San Diego)を使用する、対応のない両側スチューデントt検定を使用して、異なる群間の統計学的有意性を決定した。
結果
PHA IB型のαβG37Sγ−hENaCおよび相同体に対するAP301の効果
PHA 1B型の変異体のαβG37Sγ−hENaC、または実験室で構築したその相同体うちの1つを発現しているHEK−293細胞に対するAP301の効果を、下記の図に示す。HEK−293細胞中で一過性に発現させた機能欠失型変異hENaCそれぞれについて、ホールセルの電流と電圧との関係(I/V)、ならびに対照とする相において、240nMのAP301を添加した後、および最後にアミロライド(10mM)を浴溶液に添加した後の、−80mVの保持電位における、内向き電流密度の絶対平均値を示す(下記の図)。
PHA IB型の変異体のENaCに対するAP318の効果
PHA 1B型の変異体のENaCにおける活性を修復する効果は、AP301のみの効果であるかどうか、またはそうした効果が環状ペプチド一般に認められる特性であるかどうかを試験するために、ホールセルパッチクランプアッセイにおいて、AP318およびAP301の存在下で、α−、β−およびγ−hENaCサブユニット中にそれぞれ変異を含有する、PHA IB型の変異体のENaC3つを試験した。3つの変異体は全て、PHA 1B型に罹患している患者において観察されたことがあり、ENaCのサブユニット中で保存されている位置において生じている;これらの変異体のうちの2つ、すなわち、αQ101Kβγ−hENaCおよびαβG37Sγ−hENaCはAP301を用いて以前に試験してあった。第3の変異は、γサブユニット中で生じ、αβγV543fs−hENaCをもたらし、これは、これまでに試験したいずれの変異体とも異なり、フレームシフト変異体であり、その結果、切り詰められたγサブユニットが生じる。
ホールセルパッチクランプアッセイにおいて、AP318およびAP301の存在下で、これらの変異体ENaCを発現しているHEK−293細胞を試験した結果を表2および図6に示す。
以下の結論を、これまでに得た結果から引き出すことができる。
1)PHA IB型の変異の結果、WTのhENaCと比較して、ENaCを介するアミロライド感受性のナトリウム電流の機能欠失が生じた。
2)AP301は、Na+イオン輸送能力を修復し、PHA IB型の患者において観察される、機能欠失型変異hENaCの全て、すなわち、αβG37Sγ−、αQ101Kβγ−およびαG327Cβγ−hENaCのアミノ酸の変異を補完した。
3)WTのαβγ−およびδβγ−hENaCを用いて観察された、アミロライド感受性のナトリウムイオン電流の生理的なレベルと比較して、AP301は、機能欠失型変異ENaCのアミロライド感受性のナトリウムイオン電流を、変異していない活性なENaCと同等のレベルに修復した。
4)PHA IB型の変異体のαβG37Sγ−hENaCおよび対応する相同体についての濃度−応答曲線およびEC50値から、AP301には、変異体のこれらのENaCチャネルの全てにおいて活性を修復し、アミノ酸の変異を補完する可能性があることが示されている;これらのチャネルにおいてはWTのαβγ−およびδβγ−hENaCと比較して、機能が欠失している。
5)PHA IB型の変異体のαβG37Sγ−hENaCおよび対応する相同体についての電流と電圧との関係(I/V)により、変異体のこれらのチャネルに対するAP301の修復効果がより詳細に特徴付けられている。hENaCの種々のサブユニット中で保存されている位置において存在する変異と同じ変異を起こした結果、異なる機能特性および表現型の効果を示すナトリウムイオンチャネルが生じ、こうしたチャネルは、AP301の存在下で活性が修復されることが明らかに示されている(表3)。
6)AP301およびAP318の非存在下におけるホールセルの電気生理学的アッセイの結果から、野生型と比較して、αβγ−hENaCサブユニット全てにおけるPHA 1B型の変異の結果、機能欠失が生じることが示されている。AP301およびAP318の存在下では、ナトリウムイオンチャネルの正常な機能の修復を示す、PHA−1B変異体を介したアミロライド感受性のナトリウムイオン電流の顕著な増加が観察された。
全体的な結論
これらの結果から、AP301およびAP318は、機能が欠失しているPHA IB型の変異体のhENaCにおいて、Na+イオン輸送を修復し、アミノ酸の変異を補完することができると結論付けることができ、このことは、環状ペプチドには、これらの変異体において、損傷しているENaCの機能を修復し、アミノ酸の変異を補完し、それにより、全身性のPHA I型に罹患している患者を治療するための療法として作用する可能性があることを示している。
参考文献

Claims (14)

  1. 常染色体劣性の偽性低アルドステロン症1型(PHA 1B型)の治療における使用のため、または機能欠失型変異ENaCのNa+イオン輸送能力の修復における使用のための、配列番号1:
    のアミノ酸配列からの少なくとも6つの連続するアミノ酸を含む環状ポリペプチド。
  2. 配列番号1のうち、配列番号5:
    のアミノ酸配列を含むことを特徴とする、請求項1に記載の使用のための環状ポリペプチド。
  3. 配列番号1のアミノ酸配列からの、少なくとも7つの連続するアミノ酸で特徴付けられる、請求項1に記載の使用のための環状ポリペプチド。
  4. 配列番号1:
    のアミノ酸配列で特徴付けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用のための環状ポリペプチド。
  5. 環状のリングが、2つのアミノ酸システイン間のジスルフィド結合を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用のための環状ポリペプチド。
  6. ポリペプチドが、配列番号2:
    を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用のための環状ポリペプチド。
  7. 環状のリングが、非天然のアミノ酸を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用のための環状ポリペプチド。
  8. 非天然のアミノ酸が、γ−アミノ酪酸(GABA)である、請求項7に記載の使用のための環状ポリペプチド。
  9. 環状のリングが、配列番号1の少なくとも10個、好ましくは、少なくとも14個のアミノ酸を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用のための環状ポリペプチド。
  10. 配列番号3:
    、または
    配列番号4:
    である、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用のための環状ポリペプチド。
  11. 請求項1から10のいずれか一項において定義した少なくとも1つの環状ポリペプチドを含む、医薬組成物。
  12. 少なくとも1つの薬学的担体分子によって特徴付けられる、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 常染色体劣性の偽性低アルドステロン症1型(PHA 1B型)に罹患している患者を治療する方法であって、配列番号1:
    のアミノ酸配列からの少なくとも6つの連続するアミノ酸を含む環状ポリペプチドの有効量を、患者に投与することを含む、方法。
  14. 機能欠失型変異ENaCを有する患者のNa+輸送能力の、生理的なレベルへの修復のための方法であって、配列番号1:
    のアミノ酸配列からの少なくとも6つの連続するアミノ酸を含む環状ポリペプチドの有効量を、患者に投与するステップを含む方法。
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