JP2018521189A - 融解物中のポリアミドの架橋 - Google Patents
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Abstract
本発明は、架橋したポリアミド(vP)を製造する方法に関し、この方法では、フラン単位を含む少なくとも1種のポリアミド(P)と少なくとも1種のジエノフィルとを含有する融解物(S)を、第一の温度T1で用意し、引き続き、融解物(S)を、少なくとも1種のポリアミド(P)の融解温度TMを下回る第二の温度T2に冷却し、架橋したポリアミド(vP)を得る。さらに、本発明は、本発明による方法により得られる架橋したポリアミド(vP)に関する。
Description
本発明は、架橋したポリアミド(vP)を製造する方法に関し、この方法では、フラン単位を含む少なくとも1種のポリアミド(P)と少なくとも1種のジエノフィルとを含有する融解物(S)を、第一の温度T1で用意し、引き続き、融解物(S)を、少なくとも1種のポリアミド(P)の融解温度TMを下回る第二の温度T2に冷却し、架橋したポリアミド(vP)を得る。さらに、本発明は、本発明による方法により得られる架橋したポリアミド(vP)に関する。
ポリアミドは、機械的特性が非常に良好であるという点で優れているため、通常、工業的に特に重要な部分結晶性ポリマーである。殊にこれらは、高い強度、剛性および靭性、良好な耐薬品性、ならびに高い耐摩耗性および耐トラッキング性を有する。これらの特性は、射出成形物を製造する際に殊に重要である。高い靭性は、ポリアミドを包装フィルムとして使用する際に特に重要である。その機械的特性に基づき、ポリアミドは、工業的には、テキスタイル、例えば釣り糸、クライミングロープおよび敷物類を製造するために使用される。さらに、ポリアミドは、壁用アンカー(Duebeln)、ボルトおよび結束バンドを製造するために使用される。さらに、ポリアミドは、塗料、接着剤および被覆材料として使用される。
機械的および化学的に特に安定したポリアミドを製造するためには、例えば、ポリアミドを架橋させる。ポリアミドを架橋させるために、従来技術では様々な手法が記載されている。
例えば、ポリアミドを製造する際に、三官能性またはそれよりも高い官能性のモノマーを使用することができ、これにより、生成するポリアミドが架橋する。しかしながら、この方法で欠点となるのは、そのようにして製造され、架橋したポリアミドを、通常の加工法、例えば射出成形および押出成形によりさらに加工することができないことである。というのも、ポリアミドは融解の際にアミド基転移によりさらに反応して、これによりその特性が変化するからである。
ポリアミドを架橋させるさらなる変法は、ポリアミド製の部材を、その製造後にガンマ線により架橋させることである。ここで欠点となるのは、架橋が不可逆的に起こり、よって、ポリアミドをさらに加工し、例えば変形することがもはやできないことである。さらに、さらなる加工工程により、コストおよび輸送費用が上がる。
従来技術において、そのさらなる加工を保証すべく可逆的に架橋可能なポリマー、殊にポリエステル、ならびにポリアミドを用意するために、様々な方法が記載されている。このようなポリマーは、官能性ポリマーとも称される。
例えば、ポリマーの側鎖にジエンおよびジエノフィルを組み込むことができ、これらは、ディールス・アルダー反応によって、隣接する鎖を互いに結合させ、そうすることで架橋させることができる。
一方で、ジエンおよびジエノフィルをポリマーの側鎖において使用する際の欠点は、側鎖によってポリマーの機械的特性が変化することである。さらに、側鎖によってポリマーのガラス転移温度TGが変化し、その結晶度が低下する。ジエンおよびジエノフィルをポリマーの側鎖において隣接して使用する際のさらなる問題は、例えばせん断時に、ジエンがジエノフィルと場合によっては不所望な反応を起こし、これにより、ポリマーの特性が変化し得ることに見られる。さらに、ジエンおよびジエノフィルを側鎖中に導入することは、しばしば合成費用の上昇、延いてはより高いコストに繋がる。
よって、先に記載した欠点を有しないか、または低減された程度で有する架橋したポリマー、殊に架橋したポリアミドの製造を可能にする方法が必要とされている。
したがって、本発明が基づく課題は、従来技術に記載の架橋したポリアミドの製造方法の先に記載した欠点を有しないか、または低減された程度で有する架橋したポリアミドの製造方法を提供することである。さらに、この方法は、できるだけ単純かつコスト的に有利に実施可能であるべきである。
この課題は、以下の工程:
i)成分:
A)一般式(I):
(上記式中、R1、R2は、互いに独立して、C1〜C10アルカンジイルから選択されている)
のジエン単位を含む、融解温度TMを有する少なくとも1種のポリアミド(P)、
B)成分A)中に含まれているジエン単位に対して反応性を示す少なくとも2つのジエノフィル単位を含む少なくとも1種のジエノフィル
を含有する融解物(S)を、成分A)の融解温度TMを上回る第一の温度T1で用意する工程、
ii)融解物(S)を、成分A)の融解温度TMを下回る第二の温度T2に冷却し、架橋したポリアミド(vP)を得る工程
を含む、架橋したポリアミド(vP)の製造方法により解決される。
i)成分:
A)一般式(I):
のジエン単位を含む、融解温度TMを有する少なくとも1種のポリアミド(P)、
B)成分A)中に含まれているジエン単位に対して反応性を示す少なくとも2つのジエノフィル単位を含む少なくとも1種のジエノフィル
を含有する融解物(S)を、成分A)の融解温度TMを上回る第一の温度T1で用意する工程、
ii)融解物(S)を、成分A)の融解温度TMを下回る第二の温度T2に冷却し、架橋したポリアミド(vP)を得る工程
を含む、架橋したポリアミド(vP)の製造方法により解決される。
本発明による方法による特徴は、その単純な実施可能性により優れている。本発明による方法により、得られる架橋したポリアミド(vP)の架橋度を選択的に制御することができ、延いては、材料の特性に、非常に選択的かつ制御された形で影響を与えることができる。
本発明による方法は融解物中で実施されるため、溶媒の使用は必要ではない。よって、架橋されるポリアミドは、溶媒による不純物を含有することはなく、これは、架橋したポリアミド(vP)のさらなる加工にとって殊に有利である。
架橋したポリアミド(vP)の架橋は可逆的であるため、架橋したポリアミド(vP)を再び融解し、例えば変形することができる。
本発明により製造される架橋したポリアミド(vP)は、さらに、架橋されていないポリアミドよりも、高い剛性、殊に高い弾性率および高い降伏応力、ならびに高い破壊応力を有する。
以下で、本発明による方法をより詳細に説明する。
工程i)
工程i)では、融解温度TMを有する少なくとも1種のポリアミド(P)を成分A)として、および少なくとも1種のジエノフィルを成分B)として含有する融解物を、成分A)の融解温度TMを上回る第一の温度T1で用意する。
工程i)では、融解温度TMを有する少なくとも1種のポリアミド(P)を成分A)として、および少なくとも1種のジエノフィルを成分B)として含有する融解物を、成分A)の融解温度TMを上回る第一の温度T1で用意する。
通常、融解物(S)は、成分A)およびB)の質量パーセントの合計を基準として、好ましくは融解物(S)の合計質量を基準として、85〜99.5質量%の範囲、好ましくは90〜99質量%の範囲、殊に好ましくは95〜99質量%の範囲で成分A)を含有する。
通常、融解物(S)は、それぞれ成分A)およびB)の質量パーセントの合計を基準として、好ましくは融解物(S)の合計質量を基準として、0.5〜15質量%の範囲、好ましくは1〜10質量%の範囲、殊に好ましくは1〜5質量%の範囲で成分B)を含有する。
本発明による一実施形態において、融解物(S)は、さらに、少なくとも1種の末端基調整剤を成分C)として含有する。
通常、融解物(S)は、それぞれ融解物(S)中に含有されている成分A)、B)およびC)の質量パーセントの合計を基準として、好ましくは融解物(S)の合計質量を基準として、さらに、0〜2質量%の範囲、好ましくは0.1〜1.5質量%の範囲、殊に好ましくは0.2〜1質量%の範囲で少なくとも1種の末端基調整剤を成分C)として含有する。
したがって、本発明の対象は、融解物(S)が、さらに、融解物(S)中に含有されている成分A)、B)およびC)の質量%の合計を基準として、0〜2質量%の範囲で少なくとも1種の末端基調整剤を成分C)として含有する方法でもある。
さらなる実施形態において、融解物(S)は、さらに、少なくとも1種のラジカル捕捉剤を成分D)として含有する。
通常、融解物(S)は、さらに、融解物(S)中に含有されている成分A)、B)、C)およびD)の合計質量を基準として、好ましくは融解物(S)の合計質量を基準として、0.1〜5質量%の範囲、好ましくは0.2〜4質量%の範囲、殊に好ましくは0.5〜3質量%の範囲で少なくとも1種のラジカル捕捉剤を成分D)として含有する。
したがって、本発明の対象は、融解物(S)が、さらに、融解物(S)中に含有されている成分A)、B)、C)およびD)の合計質量を基準として、0.5〜5質量%の範囲で少なくとも1種のラジカル捕捉剤を成分D)として含有する方法でもある。
先に記載した質量パーセントは、融解物(S)中に含有されている成分A)およびB)、ならびに場合によってはC)およびD)を基準とし、好適には融解物(S)の合計質量を基準とする。融解物(S)が成分A)およびB)しか含有しない場合、質量パーセントは、成分A)およびB)の質量パーセントの合計を基準とする。融解物(S)がさらに成分C)を含有する場合、質量パーセントは、成分A)、B)およびC)の質量パーセントの合計を基準とする。融解物(S)がさらに成分D)を含有する場合、質量パーセントは、成分A)、B)およびD)の質量パーセントの合計を基準とする。融解物(S)がさらに成分C)およびD)を両方とも含有する場合、質量パーセントは、成分A)、B)、C)およびD)の質量パーセントの合計を基準とする。好ましくは、質量パーセントは、それぞれ融解物(S)の合計質量を基準とする。
融解物(S)中に含有されている成分A)およびB)、ならびに場合によってはC)およびD)を基準とする合計質量%の記載は、特に記載のない限り、成分A)とB)との反応、ならびに場合によってはC)およびD)との反応が起こる前、殊に架橋したポリマー(vP)が工程ii)で得られる前の融解物(S)を基準とする。
融解物(S)がさらに成分C)およびD)を含有する場合、融解物(S)が、相応してより少ない割合の成分A)およびB)を含有することは自明のことである。
本発明による一実施形態において、融解物(S)は、以下の成分:
A)一般式(I)のジエン単位を含む、融解温度TMを有する少なくとも1種のポリアミド(P)、
B)成分A)中に含まれているジエン単位に対して反応性を示す少なくとも2つのジエノフィル単位を含む少なくとも1種のジエノフィル、
C)少なくとも1種の末端基調整剤、
D)少なくとも1種のラジカル捕捉剤
を含有する。
A)一般式(I)のジエン単位を含む、融解温度TMを有する少なくとも1種のポリアミド(P)、
B)成分A)中に含まれているジエン単位に対して反応性を示す少なくとも2つのジエノフィル単位を含む少なくとも1種のジエノフィル、
C)少なくとも1種の末端基調整剤、
D)少なくとも1種のラジカル捕捉剤
を含有する。
好ましい実施形態において、融解物(S)は、それぞれ成分A)〜D)の質量パーセントの合計を基準として、好ましくは融解物(S)の合計質量を基準として、83〜99質量%、好ましくは89.5〜97.9質量%、殊に好ましくは92〜97.8質量%の成分A)、0.5〜10質量%、好ましくは1〜8質量%、殊に好ましくは1〜6質量%の成分B)、0〜2質量%、好ましくは0.1〜1.5質量%、殊に好ましくは0.2〜1質量%の成分C)、および0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜4質量%、殊に好ましくは0.5〜3質量%の成分D)を含有する。
したがって、本発明の対象は、融解物(S)が、それぞれ融解物(S)中に含有されている成分A)〜D)の質量%の合計を基準として、以下の成分:
A)83〜99質量%の成分A)、
B)0.5〜10質量%の成分B)、
C)0〜2質量%の少なくとも1種の末端基調整剤、
D)0.1〜5質量%の少なくとも1種のラジカル捕捉剤
を含有する方法でもある。
A)83〜99質量%の成分A)、
B)0.5〜10質量%の成分B)、
C)0〜2質量%の少なくとも1種の末端基調整剤、
D)0.1〜5質量%の少なくとも1種のラジカル捕捉剤
を含有する方法でもある。
一実施形態において、融解物(S)は、溶媒を実質的に含まない。溶媒は、成分A)、B)、C)およびD)とは異なる。好適には、融解物(S)は、ラクタム、トルエン、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、水、濃酸、例えば硫酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、芳香族アルコール、例えばフェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、フェノール、またクレゾール、グリコール、トリフルオロエタノールおよびこれらの混合物から成る群より選択される溶媒を実質的に含まない。最も好ましくは、融解物(S)は、ポリアミドを溶解するのに適した溶媒を実質的に含まない。
ここで「溶媒を実質的に含まない」とは、融解物(S)が、それぞれ融解物(S)の合計質量を基準として、5質量%未満、好適には2質量%未満、殊に好ましくは1質量%未満の溶媒を含有することを意味する。
工程i)では、融解物(S)を第一の温度T1で用意する。
融解物(S)を当業者に公知のあらゆる手法により用意することができる。例えば、成分A)、B)、ならびに場合によってはC)およびD)をまとめて融解することで、融解物(S)を用意することができる。さらに、成分A)、B)または場合によってはC)もしくはD)のうち少なくとも1つを融解し、引き続き、その他の成分を添加することが可能である。例えば、まず成分A)を融解し、引き続き、成分B)、ならびに場合によっては成分C)およびD)を供給することができる。好ましくは、まず成分A)を融解し、それから、場合によっては成分C)およびD)を添加し、最後に成分B)を供給する。
融解物(S)を、第一の温度T1に加熱可能であり、かつ液体、殊にポリマー融解物の保管に適したあらゆる容器内で用意することができる。適切な反応器は、例えば撹拌槽型反応器、混練式反応器または押出成形機である。好ましくは、融解物(S)を押出成形機内で用意する。
押出成形機は、それ自体が当業者に公知である。押出成形機は、例えば静的および/または動的混合装置を含むことができる。静的および動的混合装置は、当業者に公知である。
工程i)で融解物(S)が用意される際の第一の温度T1は、成分A)の融解温度TMを上回る。通常、第一の温度T1は、少なくとも1℃、好ましくは少なくとも5℃、殊に好ましくは少なくとも10℃、成分A)の融解温度TMを上回る。
「融解温度TM」とは、ポリアミド(P)が完全に液体の凝集体状態で存在する温度またはそれを上回る温度と理解される。ここで融解温度は、純物質において特定される。融解温度TMは、半結晶性ポリアミドについて、動的示差熱量測定(示差走査熱量測定;DSC)または動的機械熱分析(DMTA)により特定される。非晶質ポリアミドについて、TMは、ポリアミド(P)(ISO307に従って硫酸において80mL/gの最低溶液粘度を有する)が、5000Pa sのゼロせん断粘度(zero shear viscosity)を少なくとも有し、かつそれにより融解物中で加工可能である温度として定義される(TA−instruments社の回転式レオメーター「DHR−1」で測定、プレート/プレート構造、プレート直径25mmおよび試料高さ1.0mm、変形1.0%、予熱時間1.5分、ならびに材料を事前に7日間にわたり80℃で真空において乾燥)。
通常、成分A)は分解温度を有し、この分解温度を上回ると、少なくとも1種のポリアミド(P)が分解される。通常、第一の温度T1は、少なくとも1℃、好ましくは少なくとも5℃、殊に好ましくは少なくとも10℃、成分A)の分解温度を下回る。
「分解温度」とは、ポリアミド(P)が熱分解により分子量の減少を示す温度またはそれを上回る温度と理解される。ここで分解温度は、純物質において特定される。分解は、熱重量分析、粘度数の減少またはポリアミド(P)の変色により測定可能である。このための方法は、当業者に公知である。
通常、第一の温度T1は、90〜380℃の範囲、好ましくは160〜290℃の範囲、殊に好ましくは190〜270℃の範囲にある。
したがって、本発明の対象は、工程i)における第一の温度T1が90〜380℃の範囲にある方法でもある。
工程i)で用意される融解物(S)中に、成分A)が融解して存在する。成分B)、ならびに場合によってはC)およびD)は、成分A)中に溶解して存在する。成分B)、ならびに場合によってはC)およびD)も同様に、融解して存在することができ、また成分A)中に溶解していてよい。
以下で、融解物(S)中に含有されている成分をより詳細に記載する。
成分A)
成分A)として、融解物(S)は、一般式(I):
(上記式中、R1およびR2は、先に記載の意味を有する)
の繰り返し単位としてフラン単位を含む、融解温度TMを有する少なくとも1種のポリアミド(P)を含有する。
成分A)として、融解物(S)は、一般式(I):
の繰り返し単位としてフラン単位を含む、融解温度TMを有する少なくとも1種のポリアミド(P)を含有する。
一般式(I)の繰り返し単位としてのフラン単位は、好ましくは少なくとも1種のポリアミド(P)の主鎖中に含まれている。殊に好ましくは、少なくとも1種のポリアミド(P)は、一般式(I)の繰り返し単位としてフラン単位を含む側鎖を含まず、最も好ましくは、少なくとも1種のポリアミド(P)は、側鎖を含まない。
また、少なくとも1種のポリアミド(P)は、最も好ましくは少なくとも1種の直鎖状ポリアミド(P)である。
また、フラン単位はジエン単位とも称される。本発明によると、これらの用語は、同義的に使用される。
好ましい実施形態において、一般式(I)のR1およびR2は、以下の意味を有する。
R1、R2は、互いに独立して、C1〜C4アルカンジイルから選択されており、
好ましくは、R1、R2は同じC1〜C4アルカンジイルであり、
最も好ましくは、一般式(I)において、R1、R2は両方ともメチレンである。
好ましくは、R1、R2は同じC1〜C4アルカンジイルであり、
最も好ましくは、一般式(I)において、R1、R2は両方ともメチレンである。
本発明の範囲において、「C1〜C10アルカンジイル」とは、例えば上記で一般式(I)の少なくとも1種のポリアミド(P)に関してR1およびR2について記載されているように、1〜10個の炭素原子および2つの自由価電子を有する炭化水素であると理解される。つまり、これは1〜10個の炭素原子を有するビラジカルである。「C1〜C10アルカンジイル」は、1〜10個の炭素原子および2つの自由価電子を有する直鎖状および環状、ならびに飽和および不飽和の炭化水素を含む。環状および直鎖状の割合を有する炭化水素も同様に、「C1〜C10アルカンジイル」という用語に該当する。C1〜C10アルカンジイルの例は、メチレン、エチレン(エタン−1,2−ジイル、ジメチレン)、プロパン−1,3−ジイル(トリメチレン)、プロピレン(プロパン−1,2−ジイル)およびブタン−1,4−ジイル(テトラメチレン)である。相応する説明が「C1〜C4アルカンジイル」に当てはまる。
本発明の範囲において、「少なくとも1種のポリアミド(P)」とは、ちょうど1種のポリアミド(P)でもあり、2種以上のポリアミド(P)からの混合物でもあると理解される。
少なくとも1種のポリアミド(P)を当業者に公知のあらゆる手法により製造することができる。
好ましい実施形態において、少なくとも1種のポリアミド(P)を反応温度TRで反応混合物(RM)から重合によって製造し、ここで反応混合物(RM)は、以下の成分を含有する:
A1)少なくとも1種のラクタム
A2)一般式(II):
(上記式中、R1、R2は、互いに独立して、C1〜C10アルカンジイルから選択されている)
の少なくとも1種のジアミン
A3)一般式(III)のジカルボン酸、一般式(IV)のジカルボン酸エステルおよび一般式(V)のジニトリルから成る群:
(上記式中、
R3、R4、R7は、互いに独立して、結合、非置換または少なくとも一置換のC1〜C40アルカンジイルおよび非置換または少なくとも一置換のC6〜C40アリーレンから成る群より選択されており、ここで、
これらの置換基は、F、Cl、Br、I、OR8、C1〜C10アルキルおよびC6〜C10アリールから成る群より選択されており、ここで、
R8は、HおよびC1〜C10アルキルから成る群より選択されており;
R5、R6は、互いに独立して、非置換または少なくとも一置換のC1〜C20アルキル、非置換または少なくとも一置換のC6〜C20アリールおよび非置換または少なくとも一置換のC6〜C20アラルキルから成る群より選択されており、ここで、
これらの置換基は、F、Cl、Br、I、OR9およびC1〜C10アルキルから成る群より選択されており、ここで、
R9は、HおよびC1〜C10アルキルから成る群より選択されている)
より選択される少なくとも1種のジカルボン酸誘導体、および
A4)水。
A1)少なくとも1種のラクタム
A2)一般式(II):
の少なくとも1種のジアミン
A3)一般式(III)のジカルボン酸、一般式(IV)のジカルボン酸エステルおよび一般式(V)のジニトリルから成る群:
R3、R4、R7は、互いに独立して、結合、非置換または少なくとも一置換のC1〜C40アルカンジイルおよび非置換または少なくとも一置換のC6〜C40アリーレンから成る群より選択されており、ここで、
これらの置換基は、F、Cl、Br、I、OR8、C1〜C10アルキルおよびC6〜C10アリールから成る群より選択されており、ここで、
R8は、HおよびC1〜C10アルキルから成る群より選択されており;
R5、R6は、互いに独立して、非置換または少なくとも一置換のC1〜C20アルキル、非置換または少なくとも一置換のC6〜C20アリールおよび非置換または少なくとも一置換のC6〜C20アラルキルから成る群より選択されており、ここで、
これらの置換基は、F、Cl、Br、I、OR9およびC1〜C10アルキルから成る群より選択されており、ここで、
R9は、HおよびC1〜C10アルキルから成る群より選択されている)
より選択される少なくとも1種のジカルボン酸誘導体、および
A4)水。
反応混合物(RM)は、少なくとも1種のラクタムを成分A1)として、少なくとも1種のジアミン(II)を成分A2)として、少なくとも1種のジカルボン酸誘導体(ジカルボン酸(III)、ジカルボン酸エステル(IV)およびジニトリル(V)から成る群より選択される)を成分A3)として、水を成分A4)として、および任意で、成分A1)〜A5)の合計質量を基準として、0〜5質量%の少なくとも1種の末端基調整剤を成分A5)として含有する。
本発明の一実施形態において、反応混合物(RM)は、26〜98質量%の範囲で少なくとも1種のラクタムを成分A1)として、0.5〜35質量%の範囲で少なくとも1種のジアミン(II)を成分A2)として、0.5〜30質量%の範囲で少なくとも1種のジカルボン酸誘導体を成分A3)として、1〜30質量%の範囲で水を成分A4)として、および0〜1質量%の範囲で少なくとも1種の末端基調整剤を成分A5)として含有し、ここで質量パーセントはそれぞれ、成分A1)〜A4)の合計質量を基準とするか、または反応混合物(RM)が成分A5)を含有する場合、成分A1)〜A5)の合計質量を基準とする。
本発明によると、成分A1)、A2)、A3)、A4)および任意で成分A5)の質量%の記載は、反応混合物(RM)中に含有されている成分A1)、A2)、A3)、A4)および任意で成分A5)の合計質量を基準とする。
成分A5)が反応混合物(RM)中に含有されていない場合、成分A1)、A2)、A3)およびA4)の質量%の記載は、反応混合物(RM)中に含有されている成分A1)、A2)、A3)およびA4)の合計質量を基準とする。
成分A5)が反応混合物(RM)中に含有されている場合、成分A1)、A2)、A3)、A4)およびA5)の質量%の記載は、反応混合物(RM)中に含有されている成分A1)、A2)、A3)、A4)およびA5)の合計質量を基準とする。
好ましい実施形態において、成分A1)、A2)、A3)、A4)および任意で成分A5)の質量%の記載は、反応混合物(RM)の合計質量を基準とする。
したがって、本発明の一実施形態において、反応混合物(RM)は、
26〜98質量%の成分A1)、
0.5〜35質量%の成分A2)、
0.5〜30質量%の成分A3)、および
1〜30質量%の成分A4)
を含有し、ここで質量パーセントはそれぞれ、成分A1)〜A4)の合計質量を基準とするか、または成分A1)〜A5)の合計質量を基準とし、好ましくは反応混合物(RM)の合計質量を基準とする。
26〜98質量%の成分A1)、
0.5〜35質量%の成分A2)、
0.5〜30質量%の成分A3)、および
1〜30質量%の成分A4)
を含有し、ここで質量パーセントはそれぞれ、成分A1)〜A4)の合計質量を基準とするか、または成分A1)〜A5)の合計質量を基準とし、好ましくは反応混合物(RM)の合計質量を基準とする。
本発明の好ましい実施形態において、反応混合物(RM)は、
50〜89質量%の成分A1)、
5〜25質量%の成分A2)、
5〜25質量%の成分A3)、
1〜20質量%の成分A4)、および
0.1〜0.9質量%の成分A5)
を含有し、ここで質量パーセントはそれぞれ、成分A1)〜A5)の合計質量を基準とし、好ましくは反応混合物(RM)の合計質量を基準とする。
50〜89質量%の成分A1)、
5〜25質量%の成分A2)、
5〜25質量%の成分A3)、
1〜20質量%の成分A4)、および
0.1〜0.9質量%の成分A5)
を含有し、ここで質量パーセントはそれぞれ、成分A1)〜A5)の合計質量を基準とし、好ましくは反応混合物(RM)の合計質量を基準とする。
したがって、本発明の特に好ましい実施形態において、反応混合物(RM)は、
75〜82質量%の成分A1)、
8〜12質量%の成分A2)、
8〜13質量%の成分A3)、
1〜5質量%の成分A4)、および
0.1〜0.75質量%の成分A5)
を含有し、ここで質量パーセントはそれぞれ、成分A1)〜A5)の合計質量を基準とし、好ましくは反応混合物(RM)の合計質量を基準とする。
75〜82質量%の成分A1)、
8〜12質量%の成分A2)、
8〜13質量%の成分A3)、
1〜5質量%の成分A4)、および
0.1〜0.75質量%の成分A5)
を含有し、ここで質量パーセントはそれぞれ、成分A1)〜A5)の合計質量を基準とし、好ましくは反応混合物(RM)の合計質量を基準とする。
通常、成分A1)〜A5)の質量パーセントは、合計で100質量%になる。
成分A1)〜A5)の合計質量パーセントの記載は、特に記載のない限り、重合開始前の反応混合物(RM)の組成を基準とする。本発明の範囲において、「重合開始前の反応混合物(RM)の組成」とは、反応混合物(RM)中に含有されている成分A1)〜A5)が互いに反応し始める前、つまり重合が開始する前の反応混合物(RM)の組成と理解される。つまりこの場合、反応混合物(RM)中に含有されている成分A1)〜A5)は、まだその未反応形態にある。反応混合物(RM)中に含有されている成分A1)〜A5)が重合の間に少なくとも部分的に互いに反応すること、それ故、反応混合物(RM)中に含有されている成分A1)〜A5)が重合の間に変化するのと同様に、成分A1)〜A5)の比も互いに変化することは自明のことである。これらの反応は当業者に公知である。
本発明によると、ラクタムとは、環内に3〜12個の炭素原子、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する環状アミドであると理解される。適切なラクタムは、例えば、3−アミノプロパン酸ラクタム(β−ラクタム;β−プロピオラクタム)、4−アミノブタン酸ラクタム(γ−ラクタム;γ−ブチロラクタム)、5−アミノペンタン酸ラクタム(δ−ラクタム;δ−バレロラクタム)、6−アミノヘキサン酸ラクタム(ε−ラクタム;ε−カプロラクタム)、7−アミノヘプタン酸ラクタム(ζ−ラクタム;ζ−ヘプタノラクタム)、8−アミノオクタン酸ラクタム(η−ラクタム;η−オクタノラクタム)、9−ノナン酸ラクタム(θ−ラクタム;θ−ノナノラクタム)、10−デカン酸ラクタム(ω−デカノラクタム)、11−ウンデカン酸ラクタム(ω−ウンデカノラクタム)および12−ドデカン酸ラクタム(ω−ドデカノラクタム)から成る群より選択されている。
ラクタムは、非置換または少なくとも一置換であってよい。少なくとも一置換のラクタムを使用する場合、これは、環の炭素原子において、1つ、2つまたはそれより多くの置換基を有することができ、これらの置換基は、互いに独立して、C1〜C10アルキル、C5〜C6シクロアルキルおよびC5〜C10アリールから成る群より選択されている。
C1〜C10アルキル置換基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルが適している。適切なC5〜C6シクロアルキル置換基は、例えばシクロヘキシルである。好ましいC5〜C10アリール置換基はフェニルおよびアントラニルである。
好ましくは、非置換ラクタムを使用し、ここで12−ドデカン酸ラクタム(ω−ドデカノラクタム)およびε−ラクタム(ε−カプロラクタム)が好ましい。ε−ラクタム(ε−カプロラクタム)が特に好ましい。
ε−カプロラクタムはカプロン酸の環状アミドである。また、これは6−アミノヘキサン酸ラクタム、6−ヘキサンラクタムまたはカプロラクタムとも称される。そのIUPAC名は「アセパン−2−オン」である。カプロラクタムは、CAS番号105−60−2および一般式C6H11NOを有する。カプロラクタムの製造方法は、それ自体が当業者に公知である。
好ましい実施形態において、成分A2)は、R1、R2が、互いに独立して、C1〜C4アルカンジイルから選択されている少なくとも1種のジアミン(II)である。
特に好ましくは、成分A2)は、R1、R2が同じC1〜C4アルカンジイルである少なくとも1種のジアミン(II)である。
殊に好ましくは、成分A2)は、R1、R2が両方ともメチレンである少なくとも1種のジアミン(II)である。
R1およびR2が両方ともメチレンである場合、ジアミン(II)は2,5−ビス(アミノメチル)フランである。2,5−ビス(アミノメチル)フランはCAS番号2213−51−6を有する。
さらに、一実施形態において、反応混合物(RM)は、さらに少なくとも1種のさらなるジアミン(成分A2‘))を含有することができる。
適切なさらなるジアミン(成分A2‘))は、それ自体が当業者に公知である。少なくとも1種のさらなるジアミン(成分A2‘))が、成分A2)であるジアミン(II)とは異なることは自明のことである。好ましくは、少なくとも1種のさらなるジアミンは、4〜36個の炭素原子を有するアルカンジアミン、殊に6〜12個の炭素原子を有するアルカンジアミン、および芳香族ジアミンから選択されている。特に好ましくは、少なくとも1種のさらなるジアミンは、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,13−トリデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,15−ペンタデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、1,17−ヘプタデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、C36ダイマージアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)−メタン(MACM)、4,4−メチレン−ビス(シクロヘキシルアミン)(PACM)、ビス(4−アミノ−3−エチル−シクロヘキシル)−メタン(EACM)、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチル−シクロヘキシル)メタン(TMACM)、イソホロンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,5−ビス(メチルアミノ)テトラヒドロフラン、2,2−ジ−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ−(4−アミノシクロヘキシル)−プロパン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび1,5−ジアミノ−2−メチル−ペンタンから成る群より選択されている。
好ましい実施形態において、式(III)、式(IV)および式(V)中の成分A3)の置換基は、以下の意味を有する:
R3、R4、R7は、互いに独立して、結合、非置換のC1〜C36アルカンジイルおよびC6〜C20アリーレンから成る群より選択されており、
R5、R6は、互いに独立して、非置換のC1〜C10アルキル、C6〜C10アリールおよびC6〜C12アラルキルから成る群より選択されている。
R3、R4、R7は、互いに独立して、結合、非置換のC1〜C36アルカンジイルおよびC6〜C20アリーレンから成る群より選択されており、
R5、R6は、互いに独立して、非置換のC1〜C10アルキル、C6〜C10アリールおよびC6〜C12アラルキルから成る群より選択されている。
殊に好ましい実施形態において、式(III)、式(IV)および式(V)中の置換基は、以下の意味を有する:
R3、R4、R7は、互いに独立して、結合、非置換のC1〜C12アルカンジイルおよびC6〜C10アリーレンから成る群より選択されており、
R5、R6は、互いに独立して、非置換のC1〜C4アルキル、C1〜C10アリールおよびC1〜C12アラルキルから成る群より選択されている。
R3、R4、R7は、互いに独立して、結合、非置換のC1〜C12アルカンジイルおよびC6〜C10アリーレンから成る群より選択されており、
R5、R6は、互いに独立して、非置換のC1〜C4アルキル、C1〜C10アリールおよびC1〜C12アラルキルから成る群より選択されている。
本発明の範囲において、「C1〜C40アルカンジイル」とは、例えば式(III)でR3について記載したように、2つの自由価電子および1〜40個の炭素原子を有する炭化水素であると理解される。別の言い方をすれば、C1〜C40アルカンジイルは、1〜40個の炭素原子を有するビラジカルである。「C1〜C40アルカンジイル」は、1〜40個の炭素原子および2つの自由価電子を有する直鎖状および環状、ならびに飽和および不飽和の炭化水素を含む。直鎖状要素および環状要素を両方とも有する炭化水素も同様に、この用語に該当する。相応する説明がC1〜C36アルカンジイルおよびC1〜C12アルカンジイルに当てはまる。
「C6〜C40アリーレン」とは、2つの自由価電子および6〜40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素を指す。別の言い方をすれば、「C6〜C40アリーレン」とは、6〜40個の炭素原子を有する芳香族ビラジカルを指す。つまり、C6〜C40アリーレンは芳香族の環系を有する。この環系は、一環式、二環式または多環式であってよい。相応する説明がC6〜C20アリーレンおよびC6〜C10アリーレンに当てはまる。
「C1〜C20アルキル」とは、1つの自由価電子(ラジカル)および1〜20個の炭素原子を有する飽和および不飽和の炭化水素を指す。この炭化水素は、直鎖状、分枝鎖状または環状であってよい。同様に、これが環状要素および直鎖状要素を含有することも可能である。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ヘキシルおよびシクロヘキシルである。相応する説明がC1〜C10アルキルにも当てはまる。
「C6〜C20アリール」とは、6〜20個の炭素原子を有する芳香族炭化水素のラジカルを指す。つまり、アリールは芳香族の環系を有する。この環系は、一環式、二環式または多環式であってよい。アリール基の例は、フェニルおよびナフチル、例えば1−ナフチルおよび2−ナフチルである。
ここで、「C6〜C20アラルキル」とは、置換基が、アリールでさらに置換されているアルキルであることを意味する。別の言い方をすれば、アラルキルとは、アリールラジカルで置換されているアルカンジイルを表わす。C6〜C20アラルキルは、6〜20個の炭素原子を含有するアラルキルである。アリールラジカルは、上記で定義したように、例えばアリールであってよい。アラルキルの例は、例えばフェニルメチル(ベンジル)またはフェニルエチルである。
さらなる好ましい実施形態において、少なくとも1種のジカルボン酸誘導体(成分A3))は、一般式(III)のジカルボン酸および一般式(IV)のジカルボン酸エステルから成る群より選択されている。
ジカルボン酸(III)およびジカルボン酸エステル(IV)には、先に記載した説明および好ましい形態が当てはまる。
さらなる好ましい実施形態において、ジカルボン酸(III)は、シュウ酸(エタン二酸)、マロン酸(プロパン二酸)、コハク酸(ブタン二酸)、グルタル酸(ペンタン二酸)、アジピン酸(ヘキサン二酸)、ピメリン酸(ヘプタン二酸)、コルク酸(オクタン二酸)、アゼライン酸(ノナン二酸)、セバシン酸(デカン二酸)、1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸、1,13−トリデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,15−ペンタデカン二酸、1,16−ヘキサデカン二酸、1,17−ヘプタデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、C36ダイマー酸、2,5−テトラヒドロフランジカルボン酸、2,5−フランジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸−一ナトリウム塩および5−スルホイソフタル酸−一リチウム塩から成る群より選択されている。
さらなる殊に好ましい実施形態において、ジカルボン酸(III)は、アジピン酸(ヘキサン二酸)、ピメリン酸(ヘプタン二酸)、コルク酸(オクタン二酸)、アゼライン酸(ノナン二酸)、セバシン酸(デカン二酸)、1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸、1,13−トリデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,15−ペンタデカン二酸、1,16−ヘキサデカン二酸、1,17−ヘプタデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、2,5−テトラヒドロフランジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸およびC36ダイマー酸から成る群より選択されている。
少なくとも1種の末端基調整剤(成分A5))には、さらに以下で成分C)について記載される説明および好ましい形態が当てはまる。
反応混合物(RM)からの重合を当業者に公知のあらゆる手法により行うことができる。好ましくは、重合は、ポリアミド(P)の融解温度TMを上回る反応温度TRで行われる。例えば、反応温度TRは、190〜235℃の範囲、好ましくは195〜230℃の範囲、殊に好ましくは200〜220℃の範囲にある。
通常、少なくとも1種のポリアミド(P)(成分A))は、30〜250ml/g、好ましくは90〜220ml/g、殊に好ましくは100〜130ml/gの範囲にある粘度数を有する。粘度数の特定は、フェノールとo−ジクロロベンゼンとの1:1混合物100ml中に0.5gのポリアミド(P)を入れた溶液中で行われる。
通常、少なくとも1種のポリアミド(P)の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(サイズ排除クロマトグラフィー(SEC))により特定して、20000〜150000g/molの範囲、好ましくは30000〜140000g/molの範囲、殊に好ましくは35000〜120000g/molの範囲にある。溶媒としては、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を使用した。
通常、数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(サイズ排除クロマトグラフィー(SEC))により特定して、5000〜75000g/molの範囲、好ましくは15000〜70000g/molの範囲、殊に好ましくは17500〜60000g/molの範囲にある。溶媒としては、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を使用した。
通常、少なくとも1種のポリアミド(P)の融解温度TMは、半結晶性ポリアミドについて、動的示差熱量測定(示差走査熱量測定;DSC)または動的機械熱分析(DMTA)により特定して、80〜330℃の範囲、好ましくは150〜250℃の範囲、殊に好ましくは180〜230℃の範囲にある。非晶質ポリアミドについて、TMは、ポリアミド(P)(ISO307に従って硫酸において80mL/gの最低溶液粘度を有する)が、5000Pa sのゼロせん断粘度(zero shear viscosity)を少なくとも有し、かつそれにより融解物中で加工可能である温度として定義される(TA−instruments社の回転式レオメーター「DHR−1」で測定、プレート/プレート構造、プレート直径25mmおよび試料高さ1.0mm、変形1.0%、予熱時間1.5分、ならびに材料を事前に7日間にわたり80℃で真空において乾燥)。
したがって、本発明の対象はまた、成分A)の融解温度TMが80〜330℃の範囲にある方法でもある。
通常、成分A)はガラス転移温度TGを有する。通常、少なくとも1種のポリアミド(P)(成分A))のガラス転移温度TGは、DSCにより特定して、0〜150℃の範囲、好ましくは20〜100℃の範囲、殊に好ましくは40〜80℃の範囲にある。
したがって、本発明の対象は、成分A)のガラス転移温度TGが0〜150℃の範囲にある方法でもある。
成分B)
本発明によると、融解物(S)は、成分A)中に含まれているジエン単位に対して反応性を示す少なくとも2つのジエノフィル単位を含む少なくとも1種のジエノフィルを含有する。
本発明によると、融解物(S)は、成分A)中に含まれているジエン単位に対して反応性を示す少なくとも2つのジエノフィル単位を含む少なくとも1種のジエノフィルを含有する。
本発明の範囲において、「少なくとも1種のジエノフィル」とは、ちょうど1種のジエノフィルと2種以上のジエノフィルからの混合物との両方を意味する。
「成分A)中に含まれているジエン単位に対して反応性を示す少なくとも2つのジエノフィル単位」とは、少なくとも1種のジエノフィルが、ちょうど2つのジエノフィル単位を含み得ることと同様に、3つ以上のジエノフィル単位が含まれていてよいことを意味する。本発明によると、好ましくは、少なくとも1種のジエノフィルは、成分A)中に含まれているジエン単位に対して反応性を示すジエノフィル単位をちょうど2つ含む。
「成分A)中に含まれているジエン単位に対して反応性を示すジエノフィル単位」とは、ジエノフィル中に含まれるジエノフィル単位が成分A)のジエン単位と[4+2]環化付加で反応できることと理解される。このような基および相応するジエノフィルは、それ自体が当業者に公知である。ここで成分A)のジエン単位は、4つのπ電子を[4+2]環化付加に供与するジエン成分として機能する。ジエノフィルのジエノフィル単位は、2つのπ電子を[4+2]環化付加に供与する。
したがって、成分A)のジエン単位はそれぞれ、成分B)のジエノフィル単位とそれぞれ[4+2]環化付加を起こす。
したがって、本発明の対象は、工程ii)で成分A)を成分B)と[4+2]環化付加にて反応させ、架橋したポリアミド(vP)を得る方法でもある。
好ましくは、成分A)中に含まれているジエン単位(フラン単位)に対して反応性を示す、成分B)中に含有されている少なくとも2つのジエノフィル単位は、互いに独立して、C=C二重結合、C=O二重結合およびC=S二重結合から成る群より選択されている。
したがって、本発明の対象は、成分B)中に含有されている少なくとも2つのジエン単位が互いに独立してC=C二重結合、C=O二重結合およびC=S二重結合から成る群より選択されている方法でもある。
殊に好ましい実施形態において、成分B)中に含有されている少なくとも2つのジエノフィル単位はC=C二重結合である。
さらなる好ましい実施形態において、成分B)は、少なくとも2つのジエノフィル単位を含み、このジエノフィル単位は、互いに独立して、C=C二重結合、C=O二重結合およびC=S二重結合から成る群より選択されており、ここで二重結合は、電子求引性置換基を含有する。
電子求引性置換基は、それ自体が当業者に公知である。電子求引性置換基の例は、例えばカルボキシル基、エステル基、アミド、ニトリル、ニトロ基、置換アリール、フルオロアルキルおよびフッ素である。
電子求引性置換基により、フラン単位に対して、ジエノフィル反応性基の反応性が向上することは当業者に公知である。
本発明の殊に好ましい実施形態において、成分B)は、少なくとも2つの構造単位を含み、この構造単位はそれぞれ、ビスマレイミド、ベンゾフェノン、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、マレイン酸、マレイン酸無水物およびマレイン酸エステルから成る群より選択されている。最も好ましくは、成分B)は、少なくとも1種のポリマーを含有し、このポリマーはそれぞれ、ビスマレイミド、ベンゾフェノン、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、マレイン酸、マレイン酸無水物およびマレイン酸エステルから成る群より選択されている少なくとも2つの構造単位を含む。
好ましいビスマレイミドは4,4‘−ジフェニルメタンビスマレイミドである。
したがって、本発明の対象は、成分B)が少なくとも2つの構造単位を含み、この少なくとも2つの構造単位がそれぞれ、ビスマレイミド、ベンゾフェノン、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、マレイン酸、マレイン酸無水物およびマレイン酸エステルから成る群より選択されている方法でもある。
成分C)
好ましい実施形態において、融解物(S)は、さらに、少なくとも1種の末端基調整剤を成分C)として含有する。
好ましい実施形態において、融解物(S)は、さらに、少なくとも1種の末端基調整剤を成分C)として含有する。
本発明の範囲において、「少なくとも1種の末端基調整剤」とは、ちょうど1種の末端基調整剤と2種以上の末端基調整剤からの混合物との両方を意味する。
末端基調整剤は、それ自体が当業者に公知である。
末端基調整剤は、少なくとも1種のポリアミド(P)と、殊に少なくとも1種のポリアミド(P)のアミン末端基と反応し、これにより、融解物(S)におけるアミド基転移を効果的に防止することができると考えられている。
適切な末端基調整剤は、例えばモノカルボン酸、モノアミン、ベンゼンモノカルボン酸、ナフタリンモノカルボン酸、ベンゼンモノアミン、ナフタリンモノアミンまたはアミンによりイミドを形成する二酸もしくは無水物である。
好ましくは、成分C)は、プロピオン酸、安息香酸、ナフトエ酸およびコハク酸無水物から成る群より選択されている。
したがって、本発明の対象は、成分C)が、プロピオン酸、安息香酸、ナフトエ酸およびコハク酸無水物から成る群より選択されている方法でもある。
成分D)
本発明のさらなる好ましい実施形態において、融解物(S)は、さらに、少なくとも1種のラジカル捕捉剤を成分D)として含有する。
本発明のさらなる好ましい実施形態において、融解物(S)は、さらに、少なくとも1種のラジカル捕捉剤を成分D)として含有する。
本発明によると、「少なくとも1種のラジカル捕捉剤」とは、ちょうど1種のラジカル捕捉剤と2種以上のラジカル捕捉剤からの混合物との両方であると理解される。
ラジカル捕捉剤は、当業者に公知である。ラジカル捕捉剤としては、例えば、それ自体がラジカルであり、かつその他のラジカルとの反応によりこれらを捕捉するあらゆる物質、またはそれ自体がラジカルとの反応において、安定なラジカルを形成する物質が適している。
好ましくは、成分D)は、銅塩、芳香族アミン、立体障害アミン(HALS)、立体障害フェノール、ホスファイト、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、および2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)の誘導体から成る群より選択されている。これらの化合物は、当業者に公知である。
したがって、本発明の対象は、成分D)が、銅塩、芳香族アミン、立体障害アミン(HALS)、立体障害フェノール、ホスファイト、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、および2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルの誘導体から成る群より選択されている方法でもある。
工程ii)
工程ii)では、融解物(S)を、成分A)の融解温度TMを下回る第二の温度T2に冷却し、架橋したポリアミド(vP)を得る。本発明によると、第二の温度T2は、第一の温度T1よりも低い。
工程ii)では、融解物(S)を、成分A)の融解温度TMを下回る第二の温度T2に冷却し、架橋したポリアミド(vP)を得る。本発明によると、第二の温度T2は、第一の温度T1よりも低い。
通常、第二の温度T2は、成分A)の融解温度TMを下回り、少なくとも1℃、好ましくは少なくとも5℃、殊に好ましくは成分A)の融解温度TMを下回り、少なくとも10℃、である。
好ましい実施形態において、成分A)はガラス転移温度TGを有し、工程ii)における第二の温度T2は、成分A)のガラス転移温度TGを上回る。
したがって、本発明の対象は、成分A)がガラス転移温度TGを有し、かつ工程ii)における第二の温度T2が成分A)のガラス転移温度TGを上回る方法でもある。
通常、この実施形態において、第二の温度T2は、少なくとも1℃、好ましくは少なくとも5℃、殊に好ましくは成分A)のガラス転移温度TGを上回り、少なくとも10℃、である。
好ましくは、工程ii)における第二の温度T2は、80〜300℃の範囲、好ましくは90〜250℃の範囲、殊に好ましくは100〜180℃の範囲にある。
したがって、本発明の対象は、工程ii)における第二の温度T2が80〜300℃にある方法でもあり、ここで第二の温度T2は、第一の温度T1よりも低い。
工程i)における第一の温度T1が工程ii)における第二の温度T2より高いことは自明のことである。
よって、本発明の対象は、工程i)における第一の温度T1が工程ii)における第二の温度T2よりも高い方法でもある。
融解物(S)を第二の温度T2に冷却するために、当業者に公知のあらゆる手法が適している。例えば、融解物(S)を射出成形し、その際に、これを鋳型中で冷却することができる。
工程ii)における融解物(S)の冷却は、任意の時間内に行われ得る。好ましくは、融解物(S)の冷却は、0.1秒〜5分の範囲、殊に好ましくは0.5秒〜2分の範囲、最も好ましくは1秒〜1分の範囲にある時間で行われる。
ここで、工程ii)における冷却時間は、第一の温度T1から出発して第二の温度T2に達するために必要とされる時間である。
融解物(S)を第二の温度T2に冷却すると、架橋したポリアミド(vP)が得られる。
好適には、架橋したポリアミド(vP)は、成分A)を成分B)と[4+2]環化付加にて反応させることで得られる。[4+2]環化付加は、それ自体が当業者に公知である。これらは、ディールス・アルダー反応とも称される。
したがって、本発明の対象は、工程ii)で成分A)を成分B)と[4+2]環化付加にて反応させ、架橋したポリアミド(vP)を得る方法でもある。
[4+2]環化付加において、ジエノフィルを、成分A)中に含まれているフラン単位に対して反応性を示すジエノフィル単位、つまり、好適にはC=C二重結合、C=O二重結合またはC=S二重結合により、フラン単位(ジエン単位)に付加する。これにより、シクロヘキセン誘導体が形成される。この反応は、それ自体が当業者に公知である。
工程ii)後に、さらなる工程である工程iii)が続くことができる。それから、通常、架橋したポリアミド(vP)を、成分A)のガラス転移温度TGを下回る第三の温度T3にまず冷却する。引き続き、架橋したポリアミド(vP)を、成分A)のガラス転移温度TGを上回り、かつ成分A)の融解温度TMを下回る第四の温度T4に加熱する。第四の温度T4には、第二の温度T2の場合と同じ説明および好ましい形態が当てはまる。
通常、工程ii)および/または場合によっては工程iii)の後に、架橋したポリアミド(vP)を室温(20℃)に冷却する。
架橋したポリアミド(vP)
工程ii)で、架橋したポリアミド(vP)が得られる。架橋したポリアミド(vP)は、成分A)、成分B)、ならびに場合によっては成分C)およびD)から誘導され得る構造単位を含む。工程ii)における成分A)と成分B)との反応により、少なくとも1種のポリアミド(P)中に含まれているジエン単位(フラン単位)が少なくとも部分的に変化することは自明のことである。同様に、成分B)、ならびに場合によっては成分C)およびD)の構造も変わる。
工程ii)で、架橋したポリアミド(vP)が得られる。架橋したポリアミド(vP)は、成分A)、成分B)、ならびに場合によっては成分C)およびD)から誘導され得る構造単位を含む。工程ii)における成分A)と成分B)との反応により、少なくとも1種のポリアミド(P)中に含まれているジエン単位(フラン単位)が少なくとも部分的に変化することは自明のことである。同様に、成分B)、ならびに場合によっては成分C)およびD)の構造も変わる。
これらの反応は、それ自体が当業者に公知である。
通常、架橋したポリアミド(vP)の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(サイズ排除クロマトグラフィー(SEC))により特定して、40,000〜300,000g/molの範囲、好ましくは60,000〜280,000g/molの範囲、殊に好ましくは70,000〜240,000g/molの範囲にある。溶媒としては、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を使用した。
通常、架橋したポリアミド(vP)の数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(サイズ排除クロマトグラフィー(SEC))により特定して、5000〜75,000g/molの範囲、好ましくは8000〜70,000g/molの範囲、殊に好ましくは10,000〜60,000g/molの範囲にある。溶媒としては、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を使用した。
また、本発明の対象は、本発明による方法により得られる架橋したポリアミド(vP)でもある。
本発明により製造される架橋したポリアミド(vP)は、例えば、射出成形法、押出成形法、3D印刷および回転成形により成形物を製造するために使用され得る。
以下で、本発明による方法を実施例でより詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に制限されることはない。
実施例
実施例において、以下の成分を使用した:
A)PA6/F6(80/20)(w/w)、カプロラクタム(80質量%)と2,5−ビス(アミノメチル)フランおよびアジピン酸(合わせて20質量%)とからのコポリマー。
A‘)1%のH2SO4における相対粘度が2.2であるPA6(Ultramid B22、BASF SE)
B1)ビス(マレイミドフェニル)メタン(CAS13676−54−5)
B2)ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニルメタン)(CAS105391−33−1)
B3)N,N‘−1,3−ビス(マレイミド)ベンゼン(CAS3006−93−7)
C)コハク酸無水物(CAS108−30−5)
D)4−ヒドロキシ−TEMPO(2226−96−2)。
実施例において、以下の成分を使用した:
A)PA6/F6(80/20)(w/w)、カプロラクタム(80質量%)と2,5−ビス(アミノメチル)フランおよびアジピン酸(合わせて20質量%)とからのコポリマー。
A‘)1%のH2SO4における相対粘度が2.2であるPA6(Ultramid B22、BASF SE)
B1)ビス(マレイミドフェニル)メタン(CAS13676−54−5)
B2)ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニルメタン)(CAS105391−33−1)
B3)N,N‘−1,3−ビス(マレイミド)ベンゼン(CAS3006−93−7)
C)コハク酸無水物(CAS108−30−5)
D)4−ヒドロキシ−TEMPO(2226−96−2)。
架橋したポリアミド(vP)の製造
架橋したポリアミド(vP)を、円錐形二軸スクリューと、これに接続した射出成形機とを備えるDSM小型押出成形機内で製造した。そのために、成分A)および/またはA‘)、ならびに場合によっては成分B1)、B2)、B3)、C)およびD)からの融解物を230℃で用意し、5分にわたり混合した。引き続き、引張試験片(ISO37:2011(E)によるタイプ1)を射出成形により製造し、ここで融解物(S)を工程ii)に従って冷却した。金型温度(第二の温度T2に相応)、押出成形機温度(第一の温度T1に相当)、圧力および時間は、表1に記載されている。
架橋したポリアミド(vP)を、円錐形二軸スクリューと、これに接続した射出成形機とを備えるDSM小型押出成形機内で製造した。そのために、成分A)および/またはA‘)、ならびに場合によっては成分B1)、B2)、B3)、C)およびD)からの融解物を230℃で用意し、5分にわたり混合した。引き続き、引張試験片(ISO37:2011(E)によるタイプ1)を射出成形により製造し、ここで融解物(S)を工程ii)に従って冷却した。金型温度(第二の温度T2に相応)、押出成形機温度(第一の温度T1に相当)、圧力および時間は、表1に記載されている。
架橋したポリアミド(vP)の特性決定
表1に記載されている架橋したポリアミド(vP)の特性を以下のように特定した:
−重量平均分子量Mw;数平均分子量Mn:Millipore Millex FG(0.2μm)フィルターを介して、ヘキサフルオロイソプロパノール+0.05%のトリフルオロ酢酸カリウム塩中で、スチレン−ジビニルベンゼンカラムにおいて、0.8kDa〜1820kDaのPMMA標準を用いて測定。35℃で1mL/分の貫流速度および1.5mL/mgの試料濃度により測定。
−VZ(粘度数):0.5g/mlのポリマーをフェノール/オルト−ジクロロベンゼン(1:1)中に溶解させ、引き続き、粘度数を特定した(ISO307による)。
−弾性率(弾性係数):ISO527−2(2012)により測定。
−降伏応力:ISO527−2(2012)により測定。
−降伏ひずみ:ISO527−2(2012)により測定。
−破壊応力:ISO527−2(2012)により測定。
−流動性(レオロジー):プレート/プレート構造を有するTA−instruments社の回転式レオメーター「DHR−1」により230℃で測定(直径25mm、高さ約1.0mm〜1.6mm)。予熱時間1.5分、ならびに周波数スイープにおける変形1.0%および時間スイープにおける変形10%。損失弾性率および貯蔵弾性率を特定した。測定前に、試料を7日間にわたり80℃で真空において乾燥させた。
−tanδ:Tanδ(損失係数)を求めるために、貯蔵弾性率に対する損失弾性率の比率を特定し、ここで、損失弾性率および貯蔵弾性率は、レオロジーを利用して特定した。
表1に記載されている架橋したポリアミド(vP)の特性を以下のように特定した:
−重量平均分子量Mw;数平均分子量Mn:Millipore Millex FG(0.2μm)フィルターを介して、ヘキサフルオロイソプロパノール+0.05%のトリフルオロ酢酸カリウム塩中で、スチレン−ジビニルベンゼンカラムにおいて、0.8kDa〜1820kDaのPMMA標準を用いて測定。35℃で1mL/分の貫流速度および1.5mL/mgの試料濃度により測定。
−VZ(粘度数):0.5g/mlのポリマーをフェノール/オルト−ジクロロベンゼン(1:1)中に溶解させ、引き続き、粘度数を特定した(ISO307による)。
−弾性率(弾性係数):ISO527−2(2012)により測定。
−降伏応力:ISO527−2(2012)により測定。
−降伏ひずみ:ISO527−2(2012)により測定。
−破壊応力:ISO527−2(2012)により測定。
−流動性(レオロジー):プレート/プレート構造を有するTA−instruments社の回転式レオメーター「DHR−1」により230℃で測定(直径25mm、高さ約1.0mm〜1.6mm)。予熱時間1.5分、ならびに周波数スイープにおける変形1.0%および時間スイープにおける変形10%。損失弾性率および貯蔵弾性率を特定した。測定前に、試料を7日間にわたり80℃で真空において乾燥させた。
−tanδ:Tanδ(損失係数)を求めるために、貯蔵弾性率に対する損失弾性率の比率を特定し、ここで、損失弾性率および貯蔵弾性率は、レオロジーを利用して特定した。
本発明により製造される架橋したポリアミド(vP)は、特に高い弾性率、特に高い降伏応力、高い破壊応力、高い降伏ひずみおよび硫酸中での低減された溶解度により優れている。
Claims (15)
- 工程ii)で成分A)を成分B)と[4+2]環化付加にて反応させ、架橋したポリアミド(vP)を得ることを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
- 成分A)がガラス転移温度TGを有し、工程ii)における第二の温度T2が、成分A)のガラス転移温度TGを上回ることを特徴とする、請求項1または2記載の製造方法。
- 工程i)における第一の温度T1が90〜380℃の範囲にあることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の製造方法。
- 工程ii)における第二の温度T2が80〜300℃の範囲にあり、ここで第二の温度T2が、第一の温度T1よりも低いことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の製造方法。
- 成分A)のガラス転移温度TGが0〜150℃の範囲にあることを特徴とする、請求項3から5までのいずれか1項記載の製造方法。
- 成分A)の融解温度TMが80〜330℃の範囲にあることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の製造方法。
- 成分B)中に含有されている少なくとも2つのジエン単位が、互いに独立して、C=C二重結合、C=O二重結合およびC=S二重結合から成る群より選択されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の製造方法。
- 成分B)が少なくとも2つの構造単位を含み、前記少なくとも2つの構造単位がそれぞれ、ビスマレイミド、ベンゾフェノン、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、マレイン酸、マレイン酸無水物およびマレイン酸エステルから成る群より選択されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の製造方法。
- 融解物(S)が、さらに、成分C)として、融解物(S)中に含有されている成分A)、B)およびC)の質量%の合計を基準として、0〜2質量%の範囲で少なくとも1種の末端基調整剤を含有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の製造方法。
- 成分C)が、プロピオン酸、安息香酸、ナフトエ酸およびコハク酸無水物から成る群より選択されていることを特徴とする、請求項10記載の製造方法。
- 融解物(S)が、さらに、成分D)として、融解物(S)中に含有されている成分A)、B)、C)およびD)の合計質量を基準として、0.5〜5質量%の範囲で少なくとも1種のラジカル捕捉剤を含有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の製造方法。
- 成分D)が、銅塩、芳香族アミン、立体障害アミン(HALS)、立体障害フェノール、ホスファイト、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、および2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルの誘導体から成る群より選択されていることを特徴とする、請求項12記載の製造方法。
- 融解物(S)が、それぞれ融解物(S)中に含有されている成分A)〜D)の質量%の合計を基準として、以下の成分:
A)83〜99質量%の成分A)、
B)0.5〜10質量%の成分B)、
C)0〜2質量%の少なくとも1種の末端基調整剤、
D)0.1〜5質量%の少なくとも1種のラジカル捕捉剤
を含有することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の製造方法。 - 請求項1から14までのいずれか1項記載の製造方法により得られ得る、架橋したポリアミド(vP)。
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