JP2018519836A - Cho細胞における改善された一過性タンパク質発現のための系及び方法 - Google Patents

Cho細胞における改善された一過性タンパク質発現のための系及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、概して、浮遊CHO細胞における組換えタンパク質の高レベル発現に好適な系及び方法を対象とする。具体的には、本発明は、本発明の導入により、手順中に成長培地を交換、補充、または補足する必要性を排除することを可能にする。本発明は、浮遊CHO細胞を培養及び形質転換/トランスフェクトするのに有用な組成物及びキットにも関する。一部の実施形態において、CHO細胞の導入/トランスフェクション中またはその後に使用された高密度成長培地を、そのさらなる成長を支持するために、CHO細胞の存在から除去する、それを補足、補充、または交換する必要はない。
【選択図】図6A

Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法§119(e)条に基づき、2015年7月13日に出願された、「System and Method for Improved Transient Protein Expression in CHO Cells」と題する米国仮特許出願第62/191,969号に対して優先権を主張し、その出願は、本出願と同じ出願人であり、その全内容は、本明細書に完全に記載されるかのように、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
技術分野
本発明は、概して、トランスフェクション及び細胞培養の分野に関する。具体的には、本発明は、培養された浮遊CHO細胞における組換えタンパク質の収量発現に好適なトランスフェクション系を提供する。本発明はさらに、培養された浮遊CHO細胞における組換えタンパク質の高収量発現のための系及び方法に関する。
CHO細胞は、チャイニーズハムスター卵巣に由来する上皮及び線維芽細胞の両方に分類されている。チャイニーズハムスター卵巣(CHO−K1)から開始する細胞系(Kao,F.−T.And Puck,T.T.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 60:1275−1281(1968)は、長年培養されているが、その同一性はまだ確認されていない。
大半の一次哺乳類上皮細胞、哺乳類線維芽細胞、上皮細胞系、及び線維芽細胞系は、典型的には、単層培養において成長する。しかしながら、一部の用途に関して、かかる細胞を浮遊培養として増殖することが利点であろう。例えば、浮遊培養は3次元空間で成長する。しかしながら、同様の大きさの槽における単層培養は、槽表面上で2次元的にのみ成長し得る。したがって、浮遊培養は、単層培養と比較して高細胞収量、そして対応して、生物学手的製剤(例えば、ウイルス、組換えポリペプチドなど)の高収量をもたらし得る。加えて、浮遊培養は、単層培養で必要とされることが多いトリプシン処理及び遠心分離よりも、単純に培養槽への新しい培養培地の添加を介して(希釈継代培養)供給及びスケールアップすることが容易であることが多い。供給が容易であり、浮遊培養のスケールアップが容易にできることは、相当数の細胞を取り扱うための時間及び労力の実質的な節減を意味する。
しかしながら、一次上皮細胞、一次線維芽細胞、上皮細胞系、及び線維芽細胞系などの多くの付着依存性細胞は、浮遊培養に容易に適応しない。それらは、典型的には、最適な成長のために基質への付着に依存するため、浮遊におけるこれらの細胞の成長は、ラテックスまたはコラーゲンビーズなどのマイクロキャリアへのそれらの接着を必要とし得る。したがって、この様式での細胞成長は、従来の単層培養よりも高密度培養が可能であるが、尚も実際には基質に接着される。したがって、これらの細胞の継代培養は、単層培養の継代に使用されるものと同様のステップを必要とする。さらに、大きなバッチまたは発酵培養が確立される場合、大量のマイクロキャリアが培養槽の底に沈降することが多く、それによって、細胞に剪断損傷をもたらすことなくマイクロキャリア(したがって、細胞)を浮遊状態に保つために、より複雑な攪拌機構が必要となる(Peshwa,M.V.,et al.,Biotechnol.Bioeng.41:179−187(1993))。
多くの形質転換された細胞は浮遊状態で成長させることが可能であるが(Freshney,R.I.,Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique,New York:Alan R.Liss,Inc.,pp.123−125(1983))、浮遊培養の成功には、比較的高タンパク質の培地、または血清もしくは血清構成成分(接着因子であるフィブロネクチン及び/またはビトロネクチンなど)による培地の補足、あるいは高度な灌流培養制御系が必要であり14:183−190(1994))、これは不利な場合がある。加えて、浮遊状態で成長させたとき、多くの上皮細胞は、継代の成功を妨害し、培養による生物学的製剤の成長速度及び産生を低減する凝集体または「集塊」を形成する。集塊が生じる場合、培地に曝された全体的な細胞表面積は減少し、細胞は栄養分を奪われ、廃棄物を培地中に効率的に交換することができない。結果として、成長が遅くなり、細胞密度の縮小が生じ、タンパク質発現が損なわれる。
CHO細胞は、生物学的治療用タンパク質を発現するための主な宿主系であり、認可されている生物学的製剤のほぼ70%がCHOにおいて製造される。複数の特性により、CHO細胞は、無血清及び既知組成培地において高密度浮遊培養に適応するそれらの能力、及びヒトにおいて生物学的に活性である翻訳後修飾の組み込みを含む生物産生に関して望ましいものとなる。これらの理由のため、薬物開発中の早い段階で一過性CHO由来タンパク質を産生する能力は、1つの宿主細胞から別の宿主細胞に切り替えたときに観察されるタンパク質の質/機能における変化を最小限にするために非常に有利である。残念なことに、CHO細胞は、一過性の系においてHEK293細胞よりも低レベルのタンパク質を発現することが広く知られており、場合によっては、最良の293に基づく系よりも50〜100倍低い。加えて、既存の一過性CHOワークフローの個々の構成成分の改善を通して得られたタンパク質力価の増大は、せいぜい中程度の傾向にある。より高い一過性CHOタンパク質産生のための満たされない重要な必要性に対処するために、細胞培養培地、供給、トランスフェクション試薬、及び発現エンハンサーにおける最新の進歩が、高発現CHOクローンと併せて最適化されて、293に基づく系において観察されるものと比較可能なタンパク質力価を生成することが可能なCHO細胞における一過性タンパク質発現のためのワークフローを生成する、系に基づくアプローチが利用された。
したがって、浮遊状態で真核細胞の成長を可能にし、同時に低減された操作量で細胞のトランスフェクションを可能にする細胞培地及び一過性トランスフェクション系が当該技術分野において依然として必要である。かかる培地は、好ましくは、高密度への哺乳類細胞の成長を容易にし、かつ/または組換えタンパク質の発現レベルを増大し、細胞集塊を低減し、また血清、トランスフェリン、インスリンなどの動物タンパク質による補足を必要としない無血清及び/もしくは既知組成及び/もしくは無タンパク質培地、ならびに/または動物由来の材料を欠く培地であるべきである。好ましくは、この種類の培地は、293細胞及びCHO細胞など、上皮細胞及び線維芽細胞を含む、通常付着依存性である哺乳類細胞の浮遊増殖を可能にする。好ましくは、かかる培地は、現在利用可能な培地で典型的に得ることができるよりも高い密度で、前述の細胞型の増殖及び培養も可能にするであろう。加えて、かかる培養培地は、バイオテクノロジー産業において、培養された哺乳類細胞によって産生された多量の商業的または科学的に重要な生物学的物質(例えば、ウイルス、組換えタンパク質、生物学的製剤、組換え抗体など)の、容易で、より費用効果が高くかつ効率的な産生及び精製を可能にし、哺乳類細胞の増殖を採用する方法においてより一貫した結果をもたらす。これら及び他の必要性は、本発明によって満たされる。
Kao,F.−T.And Puck,T.T.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 60:1275−1281(1968) Peshwa,M.V.,et al.,Biotechnol.Bioeng.41:179−187(1993) Freshney,R.I.,Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique,New York:Alan R.Liss,Inc.,pp.123−125(1983)
本発明は、系が、トランスフェクション及び後続の発現により、浮遊培養において、1つ以上の巨大分子(例えば、適切な培養条件下の宿主細胞において、少なくとも1つのタンパク質コード領域及びその発現を可能にする追加の遺伝要素を含有するDNAまたはRNA分子などの発現可能な核酸など)の複数の真核CHO細胞内への導入を支持し、導入/トランスフェクション後のCHO細胞の増殖及び成長をさらに支持し、少なくとも1つのCHO細胞の成長及び/または維持が、高密度成長培地が新しい高密度成長培地で補足、補充、または交換されることなく、高密度成長培地において継続する、細胞培養及び一過性トランスフェクション系を提供する。
一部の実施形態において、CHO細胞の導入/トランスフェクション中またはその後に使用された高密度成長培地を、そのさらなる成長を支持するために、CHO細胞の存在から除去する、それを補足、補充、または交換する必要はない。別の好ましい実施形態において、導入/トランスフェクション後に、CHO細胞の成長及び発現可能な核酸からの発現されたタンパク質の産生は、導入/トランスフェクションが生じた高密度成長培地の体積とほぼ同じ体積から最大それよりも約50%以下である培地の体積で達成され得る。本発明の高密度成長培地を使用することにより、細胞内に核酸を導入した後に、及び核酸が導入された細胞が核酸からタンパク質を一過的に発現するようにさらに培養される前に、培地を補充、交換、または補足する必要がない。
一過性発現は、迅速な哺乳類タンパク質産生の選択系となっている。一過性トランスフェクションの柔軟性は、構想からタンパク質を得るまでの迅速な実現時間を可能にし、多くの異なるタンパク質が同時または連続的に産生され得る。一過性トランスフェクション技術における次の主要な進歩は、一過性形式の速度及び柔軟性を失うことなく、安定した発現系を使用して達成された発現レベルに近づくこと、またはそれに等しいことである。我々は、高密度CHO−S細胞培養を利用して、細胞がトランスフェクトされた後14日以内に、組換えタンパク質、例えば、ヒトIgG及び非IgGタンパク質などの>2g/L(最大約4g/L)の発現レベルを生成する新しい一過性トランスフェクション系の開発を初めて報告する。
かかる高レベルのタンパク質発現を達成するために、CHO細胞のある特定の集団が最大40×10細胞/ml(より典型的には、最大約20×10細胞/ml)の生細胞密度に達することを可能にする、高密度成長培地において高密度成長に適応する浮遊CHO細胞の集団と組み合わせて、そしてさらに、タンパク質発現エンハンサー組成物及び細胞成長調節因子組成物と組み合わせて、高密度成長培地を含む新しい細胞培養系が開発された。これらの高密度CHO培養は、従来のプロトコルよりも高細胞密度及びタンパク質力価でのトランスフェクション及びタンパク質発現を可能にし、タンパク質の体積収量を大幅に増加させる。トランスフェクションワークフロー後またはその間に、本明細書に記載される1つ以上の発現エンハンサー製剤及び1つ以上の成長調節因子組成物を添加することにより、タンパク質の発現レベルを、現在市販されている一過性トランスフェクション系で見られる発現レベルよりも最大10〜20倍高いレベルにブーストすることも分かった。浮遊CHO細胞の高発現クローン(以後、CHO−S細胞と称される)が選択され、その後、高密度培養条件下での生存特徴である改善された成長に適応し、次に、発現系及びワークフローが、タンパク質産生増加のためにさらに最適化された。得られた高密度CHO−S−H2H細胞は、親CHO−S系またはCHO−S細胞を生じる細胞系と比較して、最適化された成長速度、増加した細胞の大きさ、浮遊状態における低減された細胞集塊、及び増加した特定生産性を有する。最後に、トランスフェクション方法及びワークフローは、1つ以上の発現エンハンサー製剤及び1つ以上の成長調節因子組成物と組み合わせて使用されて、初期培養体積の約1g/L〜約4g/Lの範囲、またはその中に入る任意の範囲もしくは濃度範囲のタンパク質収量が日常的に達成可能であるように、全体的なタンパク質収量をさらに増加させる1つ以上のトランスフェクション試薬の使用を通して最適化された。
これらの改善の全てが単一の発現系に組み合わされたとき、タンパク質レベルは、市販のFreeStyle(商標)293またはExpi293(商標)発現系と比較して、IgG及び非IgG両方の組換えタンパク質に関して最大20、30、40倍増加し、>2g/Lの発現レベルが複数のタンパク質に関して達成された。加えて、一般的な市販のFreeStyle(商標)293またはExpi293(商標)発現系と比較したとき、タンパク質の機能性は、本発明の高収量発現系において発現されたいくつかのタンパク質と比較可能であることが示された。まとめると、これらの結果は、機能性タンパク質収量の大幅な増加が、タンパク質発現技術において多数の進歩を、単一の、使用が容易な形式に組み込む、新しい一過性CHO発現系を使用して達成され得ることを示す。
本発明は、(a)細胞を、本発明の細胞高密度成長培地と接触させることと、(b)培養においてCHO細胞の増殖を支持するのに好適な条件下で、細胞を維持することと、(c)核酸を発現して、タンパク質産物を形成することと、を含む、CHO細胞を増殖する方法も提供する。
本発明は、培養において、1つ以上の巨大分子を少なくとも1つのCHO細胞内に導入するための方法も提供し、本方法は、(a)培養において、高密度成長培地中で少なくとも1つの真核細胞を培養することと、(b)少なくとも1つの巨大分子のうちの1つ以上を少なくとも1つの細胞内に導入させるのに好適な条件下で、少なくとも1つの巨大分子を培養物中に導入することと、(c)高密度成長培地中で少なくとも1つの細胞を増殖して、その産生が少なくとも1つの分子によって制御される産物を産生することと、を含み、少なくとも1つのCHO細胞の成長は、高密度成長培地が新しい高密度成長培地で交換、補充、または補足されることなく、高密度成長培地中で継続し、その成長を支持するために、導入中に使用された高密度成長培地を、少なくとも1つのCHO細胞の存在から除去する、もしくはその中にトランスフェクトされた1つ以上の核酸によってコードされるタンパク質の発現を支持する必要はなく、かつ/または導入後に、成長は、導入が生じた培養物の体積とほぼ同じ体積から最大その約50%以下である最終培養体積で達成される。具体的には、培養体積における任意の増加は、好ましくは、新しい高密度成長培地での高密度成長培地の添加または補足によるものではなく、細胞のトランスフェクション後の成長調節因子組成物または発現エンハンサー組成物の培養物への添加に起因する。
本発明は、インビトロでのCHO細胞の増殖及びトランスフェクションのためのキットも提供し、このキットは、本発明の高密度成長培地を含み、任意選択で、少なくとも1つの分子を細胞内に導入するための1つ以上の薬剤、1つ以上の巨大分子、CHO−S細胞、例えばCHO−S−2H2細胞の集団、1つ以上の発現エンハンサー組成物、1つ以上の成長調節因子組成物のうちの1つ以上、ならびに培養において、少なくとも1つのCHO細胞を培養するための、及び/または培養において、少なくとも1つの巨大分子を少なくとも1つのCHO細胞内に導入するための指示書をさらに含む。
本発明は、本発明のCHO細胞高密度成長培地と、少なくとも1つのCHO細胞、少なくとも1つの巨大分子を少なくとも1つの細胞内に導入するための1つ以上の薬剤(すなわち、好ましくは、1つ以上のカチオン性脂質であり得る、1つ以上のトランスフェクション剤)、1つ以上の発現エンハンサー組成物、1つ以上の成長調節因子組成物、及びタンパク質発現を可能にする適切な条件下で、宿主細胞においてその発現を可能にする1つ以上の要素に加えて、少なくとも1つのタンパク質コード領域を含む発現可能な核酸を含む1つ以上の巨大分子からなる群から選択される、少なくとも1つの構成成分と、を含む組成物も提供する。
一部の実施形態において、培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、CHO細胞の浮遊培養物を得ることであって、該CHO細胞が高密度培養条件下での成長に適応している、得ることと、浮遊CHO細胞の成長を可能にするように適応した高密度成長培地中で、約2×10〜約2×10細胞/mlの間の細胞密度で、該CHO細胞を培養することと、トランスフェクション試薬の存在下で該CHO細胞を発現ベクターでトランスフェクトすることであって、発現ベクターが、発現されたタンパク質を産生することができる核酸配列を含む、トランスフェクトすることと、第1の期間にわたって、該トランスフェクトされたCHO細胞をインキュベートすることと、該トランスフェクトされたCHO細胞を、少なくとも1つの発現エンハンサー組成物及び少なくとも1つの成長調節因子組成物と接触させることと、該発現ベクターが該タンパク質を発現するような条件下で、第2の期間にわたって、該トランスフェクションエンハンサー及び成長調節因子の存在下で該トランスフェクトされたCHO細胞をインキュベートすることと、該トランスフェクトされたCHO細胞を採取し、発現されたタンパク質を単離することと、を含み得る。
一部の実施形態において、培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、前述の第2の期間後に、トランスフェクトされた細胞を、再度、該成長調節因子組成物と接触させ、該トランスフェクトされたCHO細胞を採取し、発現されたタンパク質を単離する前に、少なくとも第3の期間にわたって、該トランスフェクトされた細胞をインキュベートすることを含み得る。
一部の実施形態において、前述の第3の期間は、最大約20日間、最大約15日間、最大約14日間、最大約13日間、最大約12日間、最大約11日間、最大約10日間、最大約9日間、最大約8日間、最大約7日間、最大約6日間、最大約5日間、最大約4日間、約20日間、約15日間、約14日間、約13日間、約12日間、約11日間、約10日間、約9日間、約8日間、約7日間、約6日間、約5日間、約4日間であり得る。
一部の実施形態において、トランスフェクトされた細胞は、前述の発現エンハンサー組成物及び成長調節因子組成物と接触させられ、次に、37℃未満かつ30℃超、35℃未満かつ31℃超の温度で、または約32℃の温度でさらに培養され得る。
一部の実施形態において、培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、その細胞が、高密度培養条件下での成長に適応し、組換えタンパク質の産生の増加のために選択された、CHO−S細胞またはCHO−S細胞の誘導体である浮遊CHO細胞を得ることを含み得る。一部の実施形態において、浮遊CHO細胞は、CHO−S−2H2細胞、CHO−S−クローン14細胞、またはExpiCHO−S細胞であり得る。
一部の実施形態において、培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、約3×10〜約15×10細胞/ml、約3.5×10〜約12×10細胞/ml、約4×10〜約10×10細胞/ml、約4.5×10〜約9×10細胞/ml、約5×10〜約8×10細胞/ml、約5.5×10〜約7×10細胞/ml、約6×10〜約6.5×10細胞/ml、約6×10〜約6.25×10細胞/mlの間、または約6×10細胞/mlの細胞密度で、適切な高密度成長培地中で浮遊CHO細胞を培養または増殖することを含み得る。
一部の実施形態において、培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、現在記載されるタンパク質発現系における使用に最適化されたトランスフェクション試薬を得ることを含み得る。実施形態において、トランスフェクション試薬は、カチオン性脂質または高分子アミン系トランスフェクション試薬であり得る。実施形態において、好適なトランスフェクション試薬は、ポリエチレンイミン(PEI)ポリマーまたはその誘導体、例えば、直鎖状PEIなどを含み得る。実施形態において、現在記載されるタンパク質発現系における使用に最適化されたトランスフェクション試薬は、カチオン性脂質を含み得る。好適なカチオン性脂質は、「Novel Reagents for Transfection of Eukaryotic Cells」と題する、PCT公開第WO2007/130073号、「MEMBRANE−PENETRATING PEPTIDES TO ENHANCE TRANSFECTION AND COMPOSITIONS AND METHODS FOR USING SAME」と題する、PCT公開第WO2015/089487号、及び「Transfection Reagents」と題する、PCT公開第WO2000/027795号(それらの全ては、本明細書に完全に記載されるかのように、参照によりその全体が明示的に本明細書に組み込まれる)に開示される種類の1つ以上のカチオン性脂質を含み得る。
一部の実施形態において、培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、該浮遊CHO細胞をトランスフェクトする前に、カチオン性脂質を発現ベクターまたは核酸分子と接触させて、トランスフェクション複合体を形成することを含み得る。カチオン性脂質は、カチオン性脂質と核酸分子との間のトランスフェクション複合体の形成を容易にする好適な水性培地において発現ベクターと接触させられ得る。ある特定の非限定的な実施形態において、トランスフェクション複合体は、0℃超かつ20℃未満、15℃未満、10℃未満、8℃未満、または5℃未満の温度で形成され得る。
本明細書に記載される実施形態との使用に好適な浮遊培養物の好適な体積は、10mL〜約5Lの範囲の任意の体積を含み得るが、本明細書において想定される方法、系、キット、及び試薬が拡張可能であり、特定されない培養に適応するための系または方法の修正が当業者の技能レベル内であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に包含され得ることは、当業者には容易に明らかである。一部の実施形態において、浮遊CHO細胞のトランスフェクション前の、本発明により使用される浮遊培養物の体積は、約20mL〜約1500ml、約25ml〜約1000ml、約30ml〜約750ml、約50ml〜約500ml、約75ml〜約400ml、約100ml〜約200mlの範囲、またはそれらの間の任意の範囲である。一部の実施形態において、浮遊CHO細胞のトランスフェクション前の、発明により使用される浮遊培養物の体積は、約20ml、約25ml、約30ml、約35ml、約40ml、約45ml、約50ml、約55ml、約60ml、約65ml、約70ml、約75ml、約80ml、約100ml、約125ml、約150ml、約175ml、約200ml、約250ml、約300ml、約400ml、約500ml、約750ml、1000ml、もしくは約1500ml、またはそれらの間の任意の体積である。
一部の実施形態において、培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、核酸分子でのそのトランスフェクション後に、浮遊CHO細胞を発現エンハンサー組成物と接触させることを含み得る。一部の実施形態において、好適な発現エンハンサー組成物は、バルプロ酸、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、酢酸リチウム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ガラクトース、アミノ酸、またはそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、任意選択で2つ以上、任意選択で2つ、任意選択で3つ、任意選択で4つを含み得る。一部の実施形態において、発現エンハンサー組成物は、バルプロ酸、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、酢酸リチウム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ガラクトース、アミノ酸、または前述の任意の組み合わせのうちの少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つ以上を含み得る。一部の実施形態において、本発明により使用される発現エンハンサー組成物は、バルプロ酸、プロピオン酸ナトリウム、及び酪酸ナトリウムを含み得る。
一部の実施形態において、発現エンハンサー組成物は、浮遊細胞の集塊を少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、または少なくとも50%低減する組成物を任意選択で含み得る。浮遊細胞の集塊を低減するかかる組成物は硫酸デキストランを含み得る。一部の実施形態において、発現エンハンサー組成物は、約10mg/ml〜約200mg/ml、約25mg/ml〜約175mg/ml、約50mg/ml〜約150mg/ml、約75mg/ml〜約125mg/ml、約90mg/ml〜約110mg/mlの間、もしくは任意の濃度、またはそれらの間の濃度範囲を含み得る。
一部の実施形態において、発現エンハンサー組成物はバルプロ酸(VPA)を含み得る。VPAは、発現エンハンサー組成物中に存在し得る。発現エンハンサー組成物中のバルプロ酸の濃度は、約5mg/ml〜約50mg/ml、約5mM〜約200mMの範囲、またはそれらの間の任意の濃度であり得る。発現エンハンサー組成物中のバルプロ酸の濃度は、約20mM〜約150mM、約25mM〜約125mM、約50mM〜約100mM、約75mM〜約80mMの範囲であり得る。発現エンハンサー組成物中のバルプロ酸の濃度は、約50mM〜約150mM、約75mM〜約125mM、約80mM〜約120mM、約90mM〜約110mM、または約100mMであり得る。発現エンハンサー組成物中のバルプロ酸の濃度は、約10mg/ml〜約20mg/ml、約12mg/ml〜約18mg/ml、約14mg/ml〜約16mg/ml、またはそれらの間の任意の濃度であり得る。発現エンハンサー組成物中のバルプロ酸の濃度は、約10mg/ml、約10.5mg/ml、約11mg/ml、約11.5mg/ml、約12mg/ml、約12.5mg/ml、約13mg/ml、約13.5mg/ml、約14mg/ml、約14.5mg/ml、約15mg/ml、約15.5mg/ml、約16mg/ml、約16.5mg/ml、約17mg/ml、約17.5mg/ml、約18mg/ml、約18.5mg/ml、約19mg/ml、約19.5mg/ml、もしくは約20mg/ml、またはそれらの間の任意の濃度であり得る。
一部の実施形態において、発現エンハンサー組成物はプロピオン酸ナトリウムを含み得る。使用されるとき、発現エンハンサー組成物が添加された後の培養物中のプロピオン酸ナトリウムの最終濃度は、約0.2mM〜約100mM、約0.5mM〜約50mM、約0.75mM〜約25mM、約1mM〜約15mM、約1.25mM〜約10mM、約1.5mM〜約5mM、約b0.75mM 約0.8mM、約1mM、約1.2mM、約1.4mM、約1.5mM、約1.5mM、約1.7mM、約2.0mMの範囲、またはそれらの間の任意の濃度であり得る。一部の実施形態において、発現エンハンサー組成物が添加された後の培養物中のプロピオン酸ナトリウムの最終濃度は、約0.1mg/ml〜約0.2mg/mlの範囲、またはそれらの間の任意の濃度であり得る。一部の実施形態において、発現エンハンサー組成物が添加された後の培養物中のプロピオン酸ナトリウムの最終濃度は、約0.5mM〜約5mM、またはそれらの間の任意の濃度であり得る。
一部の実施形態において、発現エンハンサー組成物が添加された後の培養物中のプロピオン酸ナトリウムの最終濃度は、約0.01mM〜約1mM、約0.05mM〜約0.5mM、約0.01mM〜約0.25mM、約5mg/L〜約20mg/L、約8mg/L〜約15m/L、約10mg/L〜約14mg/Lの範囲、またはそれらの間の任意の濃度であり得る。
一部の実施形態において、培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、約25mL〜約50Lの範囲、またはそれらの間の任意の濃度である体積を有するCHO細胞の浮遊培養物を得ることを含み得る。一部の実施形態において、培養物の体積は、約100mLμl〜約1Lの範囲であり得る。一部の実施形態において、培養物の体積は、約200mLμl〜約500mlの範囲であり得る。
一部の実施形態において、培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、トランスフェクションステップの細胞密度が約1×10〜約50×10細胞/ml、約2×10〜約25×10、約10×10〜約20×10細胞/ml、もしくは任意の細胞密度、またはその中に入る細胞密度の範囲であるCHO細胞の浮遊培養物を得ることを含み得る。
一部の特に好ましい実施形態において、本発明による培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、それらがトランスフェクトされた高密度成長培地におけるそのトランスフェクション後に、長期間、例えば最大20日間、細胞を培養することと、組換えタンパク質の発現を可能にする条件下で、そしてさらに、高密度成長培地がトランスフェクションステップ後に追加のまたは新しい培地で交換、補充、または補足される必要なく、その中で細胞を維持することと、を含み得る。一部の実施形態において、高密度成長培地は、細胞の発現可能な核酸でのトランスフェクションによるトランスフェクションステップ後に交換、補充、または補足されないが、一部の実施形態において、トランスフェクション後培養物は、本明細書に定義される成長調節因子組成物で、初期培養体積の最大30%、40%、または最大50%で補足され得る。
一部の実施形態において、培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、75%、80%、85%、90%、95%を上回ったままの細胞生存率で、及び初期細胞培養体積の少なくとも1mg/ml、1.25mg/ml、1.5mg/ml、1.75mg/ml、2mg/ml、2.25mg/ml、2.5mg/ml、2.75mg/ml、3mg/ml、3.25mg/ml、3.5mg/ml、3.75mg/ml、最大4mg/mlの組換えタンパク質の収量で、2×10細胞/mlから最大約5×10細胞/mlを上回る密度で、トランスフェクトされたCHO細胞の成長を促進する無血清/無タンパク質既知組成培養培地である、高密度成長培地を得ることを含み得る。
一部の実施形態において、培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、該発現ベクターでのそのトランスフェクション後に、75%、80%、85%、90%、95%を上回ったままの細胞生存率で、2×10細胞/ml〜約5×10細胞/mlを上回る密度で、トランスフェクトされたCHO細胞の成長を促進する無血清/無タンパク質既知組成培養培地である、高密度成長培地を得ることを含み得る。
一部の特に好ましい実施形態において、本発明による培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、それらがトランスフェクトされた高密度成長培地におけるそのトランスフェクション後に、長期間、例えば最大20日間、細胞を培養することと、組換えタンパク質の発現を可能にする条件下で、そしてさらに、高密度成長培地がトランスフェクションステップ後に追加のまたは新しい培地で交換、補充、または補足される必要なく、その中で細胞を維持することと、を含み得る。
一部の特に好ましい実施形態において、本発明による培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、それらがトランスフェクトされた高密度成長培地におけるそのトランスフェクション後に、長期間、例えば最大20日間、細胞を培養することと、組換えタンパク質の発現を可能にする条件下で、その中で細胞を維持することと、を含み得、そしてさらに、高密度成長培地はトランスフェクションステップ後に補足、交換、または補充されない。
一部の特に好ましい実施形態において、本発明による培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、浮遊CHO細胞を発現可能な核酸でトランスフェクトすることと、少なくとも第1の期間にわたって、発現可能な核酸からの組換えタンパク質の発現を可能にする条件下で、CHOを培養することと、を含み得、第1の期間は、約12時間〜約2日間、約15〜約36時間、約16時間〜約30時間、約18〜約28時間、約19〜約26時間、約19〜約25時間、約20〜約24時間、またはそれらの間の任意の時間の範囲である。一部の実施形態において、第1の期間は、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約25時間、約26時間、約27時間、約28時間、最大48時間、またはそれらの間の任意の時間であり得る。
一部の特に好ましい実施形態において、本発明による培養された浮遊CHO細胞において組換えタンパク質を産生するための方法は、浮遊CHO細胞を発現可能な核酸でトランスフェクトすることと、少なくとも第1の期間にわたって、発現可能な核酸からの組換えタンパク質の発現を可能にする条件下で、CHOを培養することと、第2の期間にわたって、トランスフェクトした細胞を少なくとも発現エンハンサー組成物及び少なくとも成長調節因子組成物と接触させることと、を含み得、第2の期間は、最大約20日間、最大約19日間、最大約18日間、最大約17日間、最大約16日間、最大約15日間、最大約14日間、最大約13日間、最大約12日間、最大約11日間、最大約10日間、最大約9日間、約8日間、最大約7日間、最大約6日間、最大約5日間、最大約4日間、最大約3日間、またはそれらの間の任意の時間である。
一部の実施形態において、成長調節因子組成物はグルコースを含み得る。一部の実施形態において、該成長調節因子組成物中のグルコースの浸透圧は、約500mOsm/kg〜約700mOsm/kg、約550mOsm/kg〜約650mOsm/kg、約575mOsm/kg〜約625mOsm/kgであり得る。一部の実施形態において、成長調節因子中のグルコースの濃度は、約85mg/ml〜約115mg/ml、約90mg/ml〜約110mg/ml、約95mg/ml〜約105mg/mlの範囲であり得る。
一部の実施形態において、成長調節因子組成物は、複数のアミノ酸を含み得、各アミノ酸は、約0.1mg/ml〜約8mg/mlの範囲の濃度を有する。一部の実施形態において、成長調節因子組成物は、約1000mOsm/kg〜約1500mOsm/kg、約1100mOsm/kg〜約1400mOsm/kg、約1200mOsm/kg〜約1300mOsm/kgの浸透圧、またはそれらの間の任意の浸透圧もしくは範囲を有し得る。一部の実施形態において、成長調節因子組成物は、約1100mOsm/kg、約1150mOsm/kg、約1200mOsm/kg、約1250mOsm/kg、約1300mOsm/kg、約1350mOsm/kg、約1400mOsm/kg、約1450mOsm/kg、約1500mOsm/kgの浸透圧を有し得る。
一部の実施形態において、トランスフェクトされたCHO細胞が採取されたときの培養物の体積は、浮遊細胞がトランスフェクトされたときの培養物の体積の約150%未満、約145%未満、約140%未満、約135%未満、約130%未満、約125%未満、約120%未満であり得、体積の増加は成長培地の添加、補足、または交換に起因せず、むしろ成長調節因子及び発現エンハンサー組成物の添加に起因する。
一部の実施形態において、トランスフェクトされたCHO細胞が採取されたときの培養物の体積は、浮遊細胞がトランスフェクトされたときの培養物の体積の約150%未満、約145%未満、約140%未満、約135%未満、約130%未満、約125%未満、約120%未満であり得、体積の増加は成長エンハンサー及び発現エンハンサー組成物の添加に起因する。
本発明の他の実施形態は、以下の図面及び本発明の説明、ならびに特許請求の範囲を踏まえると、当業者には明らかであろう。
参照による組み込み
本明細書に言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が、具体的かつ個別に参照により本明細書に組み込まれることが示されるのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾が生じる場合には、定義を含め、本明細書が優先されるものとする。本明細書における任意の参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明に対する先行技術として利用可能であることを認めるものと見なされるものではない。
本発明は、添付の図面に関して、単に例として本明細書において説明される。ここでより詳細に図面を具体的に参照すると、示される詳細は、例のため、及び単に本発明の好ましい実施形態の例示的な考察の目的のためであり、最も有用であると考えられ、本発明の原理及び概念的態様の説明が容易に理解されるものを提供するために提示されることが強調される。これに関して、本発明の基本的理解に必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細を示す試みは行われない。本発明の新しい特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴及び利点のより良好な理解は、本発明の原理が利用される、例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、ならびに添付の図面を参照することにより得られるであろう。
本発明の一実施形態による高発現CHOクローンを特定するための例示的だが、非限定的なワークフローを図示する概略図である。CHO細胞は、一過的にトランスフェクトされ、ClonePixシステム(Molecular Devices)を使用して、タンパク質発現について評価された。3つの異なるタンパク質が、クローンが多重ウェル振盪プレートから125mLのフラスコに拡張されたときの発現に関して試験された。 解凍後の継代10(破線)または継代34(実線)のCHO−S−2H2が、通常の振盪フラスコ培養において、一貫して≧20×10生細胞/mLを達成し、継代にわたって非常に類似する成長プロファイルを有することを示すグラフである。 CHO−S−2H2細胞が広範囲の継代にわたって一貫して発現されたタンパク質の高力価を示すことを示す棒グラフである。 最大タンパク質収量が、1μg/mLのプラスミドDNAを必要とする典型的な一過性トランスフェクションプロトコルと比較して、0.5μg/mL未満のプラスミドDNAを使用して、ExpiFectamineCHO(商標)トランスフェクション試薬を使用して達成され得ることを示す棒グラフである。 本明細書に記載される一実施形態によるエンハンサー試薬を使用することにより、本発明の一過性CHO発現系系においてタンパク質力価が2倍になることを示す棒グラフである。 FreeStyle(商標)CHO、Expi293(商標)発現系、及び本発明のCHO発現系の3つの独特のタンパク質を使用して得たヒトIgGタンパク質の平均タンパク質収量を示す棒グラフである。Expi293(商標)発現系と比較して、本CHO発現系は、およそ3倍高い力価のヒトIgGを生成した。FreeStyleCHO(商標)発現系と比較して、本CHO発現系は、およそ160倍高い力価のヒトIgGを生成した。 FreeStyle(商標)CHO、Expi293(商標)発現系、及び本発明のCHO発現系の3つの独特のタンパク質を使用して得たウサギIgGタンパク質の平均タンパク質収量を示す棒グラフである。Expi293(商標)発現系と比較して、本CHO発現系は、およそ4倍高い力価のウサギIgGを生成した。FreeStyleCHO発現系と比較して、本CHO発現系は、およそ95倍高い力価のウサギIgGを生成した。 FreeStyle(商標)CHO、Expi293(商標)発現系、及び本発明のCHO発現系の3つの独特のタンパク質を使用して得たエリスロポエチン(Epo)の平均タンパク質収量を示す棒グラフである。Expi293(商標)発現系と比較して、本CHO発現系は、およそ2倍高い力価のEpoを生成した。FreeStyleCHO発現系と比較して、本CHO発現系は、およそ25倍高い力価のEpoを生成した。 Expi293(商標)発現系(バックハッチング線)及びExpiCHO(商標)発現系の高/最大力価プロトコル(フォワードハッチング線)における、pcDNA3.4発現ベクターDNAから発現された20の異なるウサギモノクローナル抗体のパネルの発現レベル(mg/ml)を示す棒グラフである。 一部の非限定的な実施形態によるCHO発現系の標準、高、及び最大力価収量を得るためのプロトコルの概略図である。TFXRは「トランスフェクション試薬」の略語であることに留意する(この場合、Expifectamine(商標)CHO)。 標準的な力価プロトコル(ハッチング線の下の曲線)、高力価プロトコル(破線の中央の曲線)、及び最大力価プロトコル(実線の上の曲線)を使用する、ある実施形態によるCHO発現系(この場合、Life TechnologiesのExpiCHO(商標)発現系)におけるヒトIgG発現の相対的な収量を示すグラフである。 図6Bに示される実験からの細胞の培養日数の関数としての生存率を示すグラフである。 抗体を安定して発現するCHO−S由来細胞系であるExpi293(商標)系(白三角)及びExpiCHO(商標)発現系(最大力価プロトコル)を使用して生成されたタンパク質モノクローナル抗体(mAb)のリガンド結合活性の評価を示す。 Expi293(商標)発現系(左)、一過性CHO発現系(ExpiCHO(商標)発現系、最大力価プロトコル、中央)、及び安定したCHO−S細胞系(右)におけるヒトIgGタンパク質の示されるN結合グリコシル化プロファイルを示す棒グラフである。 一実施形態(ExpiCHO(商標)発現系、最大力価プロトコル)による一過性CHO発現系において発現されたヒトIgG1のHILIC LC−FLD−MS N−グリカンプロファイリングを示すグラフである。 ヒトIgG1を発現する安定したCHO−S細胞系において発現されたヒトIgG1のHILIC LC−FLD−MS N−グリカンプロファイリングを示すグラフである。 Expi293(商標)発現系において発現されたヒトIgG1のHILIC LC−FLD−MS N−グリカンプロファイリングを示すグラフである。 一部の実施形態によるCHO発現系の、対照rom35mLから1Lの培養体積の15%以内への拡張性を示す棒グラフである。
本発明は、真核及び原核細胞両方の成長のための改善された培地製剤を提供する。本発明の培地は、成長、導入、及び/または増殖間で培地の補充、交換、補足、または変更を必要とせずに、細胞成長、培養における巨大分子の細胞内への導入、ならびに細胞増殖を支持する。本発明の培地は、任意の細胞の成長及び増殖を支持または増強するために使用することができる。本発明はまた、1つ以上の望ましくない構成成分、例えば、動物由来の構成成分の代替物として、またはそれを交換するために使用され得る化合物も提供する。交換化合物は、望ましくない構成成分の少なくとも1つの所望の機能を提供する。
定義
以下の説明において、細胞培養及び組換えDNA技術において使用されるいくつかの用語が広範囲にわたって用いられる。かかる用語が与えられる範囲を含む仕様及び特許請求の範囲の明確かつより一貫性のある理解を提供するために、以下の定義が提供される。
培養物中への巨大分子または化合物の「導入」という用語は、巨大分子または化合物を培養培地に提供することを指す。
少なくとも1つの細胞内への巨大分子または化合物の「導入」という用語は、巨大分子または化合物が細胞内に内部移行されるように、巨大分子または化合物を細胞に提供することを指す。例えば、巨大分子または化合物は、トランスフェクション、形質転換、注入、及び/またはリポソーム導入を用いて細胞内に導入されてもよく、また当業者に既知の他の方法を用いて細胞内に導入されてもよい。好ましくは、巨大分子または化合物は、リポソーム導入により細胞内に導入される。巨大分子は、好ましくは、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、または核酸である。巨大分子はタンパク質であり得る。あるいは、巨大分子はペプチドであってもよい。あるいは、巨大分子はポリペプチドであってもよい。巨大分子はまた、核酸であってもよい。
「巨大分子」という用語は、本明細書に使用されるとき、生体分子を包含する。一実施形態において、巨大分子という用語は、核酸を指す。好ましい実施形態において、巨大分子という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を指す。より好ましくは、巨大分子という用語はDNAを指す。より好ましくは、巨大分子という用語は相補的DNA(cDNA)を指す。巨大分子は、荷電していてもよく、または荷電していなくてもよい。DNA分子は、荷電した巨大分子の一例である。一部の事例では、「巨大分子」という用語は、本明細書に使用されるとき、「発現可能な核酸」という用語と互換可能に使用され得る。
「トランスフェクション」という用語は、この核酸、タンパク質、または他の巨大分子が細胞内で発現されるかまたは生物学的機能を有するように、核酸、タンパク質、または他の巨大分子を標的細胞に送達することを意味して本明細書に使用される。
本明細書に使用される「発現可能な核酸」という用語には、分子量に関係なく、DNA及びRNAの両方が含まれ、「発現」という用語は、細胞内での核酸の機能的存在の何らかの顕在化を意味し、限定することなく、一過性発現及び安定した発現の両方が含まれる。機能的態様には、オリゴヌクレオチドまたはタンパク質の送達による発現の阻害が含まれる。
「核酸の発現」という用語及びそれらの同等物は、細胞における核酸の複製、メッセンジャーRNAへのDNAの転写、RNAのタンパク質への翻訳、タンパク質の転写後修飾、及び/もしくは細胞内へのタンパク質の運搬、またはこれらの変化形もしくは組み合わせを指す。
「成分」という用語は、化学または生物起源に関係なく、細胞の成長または増殖を維持または促進するために、細胞培養培地において使用され得る任意の化合物を指す。「構成成分」、「栄養素」、及び「成分」という用語は、互換可能に使用されてもよく、全てかかる化合物を指すことを意味する。細胞培養培地において使用される典型的な成分には、アミノ酸、塩、金属、糖、脂質、核酸、ホルモン、ビタミン、脂肪酸、タンパク質などが含まれる。エクスビボでの細胞の増殖を促進または維持する他の成分は、特定の必要性によって、当業者によって選択され得る。本発明の培地は、ウシ血清アルブミン(BSA)またはヒト血清アルブミン(HSA)、天然源(動物)または組換え源由来の1つ以上の成長因子(上皮成長因子(EGF)もしくは線維芽細胞成長因子(FGF)など)、1つ以上の脂質(脂肪酸、ステロール、及びリン脂質など)、1つ以上の脂質誘導体及び複合体(ホスホエタノールアミン、エタノールアミン、及びリポタンパク質など)、1つ以上のタンパク質、1つ以上及びステロイドホルモン(インスリン、ヒドロコルチゾン、及びプロゲステロンなど)、1つ以上のヌクレオチド前駆体、ならびに1つ以上の微量元素からなる群から選択される1つ以上の構成成分を含み得る。
本明細書に使用される「細胞」という用語は、あらゆる種類の真核及び原核細胞を指し、それらを含む。好ましい実施形態において、本用語は、哺乳類細胞、特に哺乳類CHO細胞を指す。ある特定の例示的であるが非限定的な実施形態において、「細胞」という用語は、浮遊状態で成長することができるため、浮遊CHO−S細胞またはその変異型、例えば、CHO−S−2H2変異型(Life Technologies Corp,Carlsbad,CAからEXPICHO−S(商標)として市販されている)などを指すことを意味する。必要ではないが本明細書に開示される実施形態に関して特に好ましいのは、本明細書においてCHO−S−2H2細胞と称される、浮遊培養において成長、増殖、及びトランスフェクトすることができる浮遊CHO−S細胞の変異型、具体的には、高密度(例えば、約2×10細胞/ml超、より好ましくは約10×10細胞/ml超、またはさらに任意選択で、約20×10細胞/ml超)で培養することができるそれらの変異型である。
本発明による細胞培養の文脈及びトランスフェクションワークフローを行う目的のためにそれを採用する本発明の方法において使用されるとき、本明細書に使用される「高密度」という用語は、一般的に、適切な細胞培養培地において、尚も高効率でトランスフェクトされる能力を維持しながら、>60%、>35%、>70%、>75%、>80%、>85%、>90%、または>90%の全体的な細胞生存率を維持する一方で、約2×10細胞/ml超、より好ましくは約10×10細胞/ml超、最も好ましくは約20×10細胞/ml超、さらに任意選択で約40×10細胞/ml超以上、または最大約50×10細胞/mlの密度に成長または培養することができ、高レベル(例えば、1mg/mlから最大約4mg/ml以上を上回るレベル)で標的タンパク質を発現することができる既知の細胞系、または既知の細胞系の変異型を指す。
「高密度培養培地」という句は、本明細書において、約75%を上回る該細胞の生存率を維持し、さらに該浮遊細胞が効率的にトランスフェクトされ、高量(培養の1.5mg/mlを上回る)の組換えタンパク質を発現する能力を維持しながら、最大約2×10細胞/mlの密度で、哺乳類細胞、好ましくは浮遊状態で成長する細胞の成長を持続することができる、任意の培養培地を指すように使用される。本発明の実施において使用される「高密度培養培地」は、異なる用途及び使用間で異なる場合があり、使用される細胞系の性質、一過的に発現される所望のタンパク質、発現ベクターの細胞内への移動のために選択されたトランスフェクションモダリティの性質、ならびに以下に記載される系に添加される任意の発現エンハンサーの量及び性質に依存し得る。それにもかかわらず、本一過性発現系及び方法に使用するのに想定される好ましい「高密度培養培地」は、典型的には、無血清、無タンパク質であり、浮遊細胞を最大約2×10細胞/ml、より典型的には約2×10細胞/ml〜約1×10細胞/mlの密度に増殖及び成長させることを可能にし、さらに一過性発現系において産生されたタンパク質の収量が細胞培養の少なくとも200μg/mLから細胞培養の最大2mg/mL、より典型的には細胞培養の約500μg/ml〜細胞培養の約1mg/mLを超えることを可能にする。理想的には、本発明により使用される高密度培養培地は、約1×10細胞/ml〜約50×10細胞/ml、約2×10細胞/ml〜約20×10細胞/ml、または約3×10細胞/ml〜約10×10細胞/mlの範囲の密度の細胞のトランスフェクションを容易にする。本発明の実施に使用するのに好適な例示的な高密度培養培地は、EXPICHO(商標)発現系、HuMEC基礎無血清培地、KNOCKOUT(商標)CTS(商標)XenoFREE ESC/iPSC培地、STEMPRO(商標)−34 SFM培地、STEMPRO(商標)NSC培地、ESSENTIAL(商標)−8培地、培地254、培地,106、培地,131、培地,154、培地,171、培地171、培地200、培地231、HeptoZYME−SFM、ヒト内皮−SFM、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)293発現培地、培地154CF/PRF、培地154C、培地154 CF、培地10、培地200PRF、培地131、Essential(商標)−6培地、STEMPRO(商標)−34培地、Gibco(登録商標)アストロサイト培地、AIM V(登録商標)培地CTS(商標)、AMINOMAX(商標)C−100基礎培地、AMINOMAX(商標)−II完全培地、CD FORTICHO(商標)培地、CD CHO AGT培地、CHO−S−SFM培地、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)CHO発現培地、CD OPTICHO(商標)培地、CD CHO培地、CD DG44培地、SF−900(商標)培地、LHC基礎培地、LHC−8培地、293 SFM培地、CD 293培地、AEM成長培地、PER.C6(登録商標)細胞培地、AIM V(登録商標)培地、EXPILIFE(登録商標)培地、Keratinocyte−SFM培地、LHC培地、LHC−8培地、LHC−9培地、及びそれらの任意の派生物または修正物を含むが、これらに限定されない。ある特定の好ましいが非限定的な実施形態において、高密度培養培地は、CD FORTICHO(商標)培地、CD CHO AGT培地、CHO−S−SFM培地、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)CHO発現培地、CD OPTICHO(商標)培地、CD CHO培地、CD DG44培地、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)293発現培地、EXPI293(商標)発現培地、もしくは同様の培地、またはそれらの修飾形態であってもよい。上記に列記される例示的な高密度培養培地は、CHO細胞、CHO細胞変異型、293細胞、293細胞変異型、CapT細胞、CapT細胞変異型、または高密度培養系における使用に適応した任意の他の細胞の高密度成長、伝播、トランスフェクション、及び維持に特に好適であり得る。
「高密度培養に適応した細胞」という句は、約60%またはそれを上回る細胞生存率を維持しながら、高密度培養培地において高密度で成長するように適応した細胞系列または同じ親細胞系列由来の(クローンまたは非クローン)細胞集団を指すことを意味する。かかる細胞は、>40、>50、>60、>70、または>80連続継代にわたって高密度で細胞を維持し、成長培地の比率を所望の高密度培養培地に徐々に交換することによって、細胞の親集団から単離されるか、または選別され得る。任意選択で、プロセス中、高密度で持続され成長し、高効率でトランスフェクトされ、高レベルの所望の組換えタンパク質を発現することができる細胞の非クローン集団が選択され得るように、異なるプールの細胞は個々に伝播され、トランスフェクション効率及びまたはタンパク質発現効率を同時に評価しながら選択手順を経ることができる。様々な細胞型及び系列がこの選択手順を経ることができることは当業者には容易に明らかであろうが、CHO細胞由来の細胞系列、293線維芽細胞由来の細胞系列、及びCapT細胞由来の細胞が高密度成長条件に適応するための選択プロセスに特に適していることが決定された。理想的には、高密度成長培養に適応し、本発明の使用に適している細胞は、高効率でトランスフェクトされることもでき、かつ/または細胞培養の少なくとも1約mg/mLから細胞培養の最大約4mg/mL、より典型的には細胞培養の約150mg/ml〜細胞培養の約3mg/mLを超える収量で組換えタンパク質を発現することもできる。理想的には、本発明により使用される高密度培養に適応した細胞は、約2×10細胞/ml、より好ましくは約10×10細胞/ml超、最も好ましくは約20×10細胞/ml超、もしくはさらに任意選択で約40×10細胞/ml超、またはさらに最大約50×10細胞/mlの範囲の密度で持続及びトランスフェクトされることができる。
「細胞培養」または「培養」とは、人工的なインビトロ環境における細胞の維持を意味する。
「増殖」とは、成長及び/または分化及び/またはまたは継続生存を好む条件下のインビトロでの細胞の維持を意味する。「増殖」は、「細胞培養」と互換可能に使用され得る。増殖は、生細胞の数/ml培養培地によって評価される。巨大分子の導入後の増殖は、好ましくは、産物、例えば、ウイルスでのタンパク質産物の産生を含む。
本明細書に使用される「補充、交換、または補足培地」という用語は、ある体積の細胞培養培地を、培養において既に存在する培地に添加すること、及び/または培養において既に存在する培地を新しい培地に交換すること、及び/または培養において既に存在する培地を新しい培地で補足することを指す。新しい培地は、少なくとも1つの細胞内に導入される1つ以上の巨大分子もしくは化合物を含有しない培地、または増殖におけるそれらの成長を支持するために細胞と接触していない培地である。当業者は、細胞計数(手動または自動)、トリパンブルー排除試験、タンパク質もしくは他の物質の産生、アラマーブルーアッセイ、1つ以上の代謝産物の存在もしくは濃度、細胞接着、形態学的外観、消費培地の分析などの、当該技術分野において既知の技法により、細胞成長及び/または生存率を監視することによって、培地を除去すること、及び/または補充、交換、もしくは補足することが利点であるか、または必要であるかを決定することができる。監視技法のうちの1つまたはその組み合わせは、培地が成長、少なくとも1つの巨大分子の導入、及び/または少なくとも1つの巨大分子の導入後の増殖を支持するために必要であるかを決定するために使用することができる。
「組換えタンパク質」とは、宿主細胞内に導入される核酸によってコードされるタンパク質を指す。宿主細胞は、核酸を発現する。「核酸を発現する」という用語は、「核酸によりコードされるRNAからタンパク質を発現すること」と同義である。本明細書に使用される「タンパク質」とは、広く、重合されたアミノ酸、例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質などを指す。
「タンパク質収量」という用語は、培養された細胞によって発現されたタンパク質の量を指し、例えば、産生されたタンパク質のグラム/ml培地に関して測定され得る。タンパク質が細胞によって分泌されない場合、タンパク質は、当業者に既知の方法によって細胞の内部から単離され得る。タンパク質が細胞によって分泌される場合、タンパク質は、当業者に既知の方法によって培養培地から単離され得る。細胞によって発現されたタンパク質の量は、当業者によって容易に決定され得る。タンパク質は組換えタンパク質であり得る。
「タンパク質産物」は、タンパク質による産生または作用に関連する産物である。タンパク質産物はタンパク質であり得る。タンパク質産物はまた、産物を産生するために、1つ以上の他の物質によるタンパク質の作用から生じる産物であってもよい。かかる作用の例は、タンパク質による酵素作用である。
「浮遊培養」とは、培養槽中の細胞の大部分または全てが浮遊状態で存在し、培養槽中の細胞の少数が槽の表面または槽内の別の表面に接着するか、またはいずれも接着しない細胞培養を意味する。好ましくは、「浮遊培養」は、培養槽中の細胞の75%超が浮遊状態であり、培養槽上の表面または培養槽に接着しない。より好ましくは、「浮遊培養」は、培養槽中の細胞の85%超が浮遊状態で存在し、培養槽上の表面または培養槽に接着しない。培養槽中の細胞の95%超が浮遊状態で存在し、培養槽上の表面または培養槽に接着しない「浮遊培養」がさらにより好ましい。
本発明の培地、方法、キット、及び組成物は、細胞の単層もしくは浮遊培養、トランスフェクション、及び増殖、ならびに単層もしくは浮遊培養での細胞におけるタンパク質の発現に好適である。好ましくは、本発明の培地、方法、キット、及び組成物は、細胞の浮遊培養、トランスフェクション、及び増殖、ならびに浮遊培養での細胞におけるタンパク質産物の発現用である。
「培養槽」とは、任意の容器、例えば、細胞を培養するための無菌環境を提供することができるガラス、プラスチック、または金属製の容器を意味する。
「細胞培養培地」、「組織培養培地」、「培養培地」(いずれの場合も、複数「培地(media)」)、及び「培地製剤」という句は、細胞または組織を増殖するための栄養素液を指す。これらの句は、互換可能に使用され得る。
「組み合わせる」という用語は、成分を混合または混和することを指す。
分子の誘導体は、塩基分子を含むが、追加のまたは修飾された側基を有する一部の化合物を含む。好ましくは、「誘導体」は、塩基分子を、1のみと、が、場合により2、3、4、5、6などの反応分子と反応させることによって形成され得る。単一ステップ反応が好ましいが、複数ステップ、例えば、誘導体を形成するために、2、3、4、5、6などの反応が当該分野において既知である。置換、縮合、及び加水分解反応が好ましく、誘導体化合物を形成するために組み合わせられ得る。あるいは、誘導体化合物は、好ましくは1だが、場合により2、3、4、5、6などの反応が塩基化合物、またはその置換もしくは縮合産物を形成することができる化合物であり得る。
細胞培養培地は、いくつかの成分から構成され、これらの成分は培地により異なり得る。細胞培養培地に使用される各成分は、その独特の物理的及び科学的特徴を有する。成分の相溶性及び安定性は、一部、水溶液における成分の「溶解度」によって決定される。「溶解度」及び「可溶性」という用語は、成分が他の成分と溶液を形成し、溶液中に残留する能力を指す。したがって、成分は、測定可能なまたは検出可能な沈殿物を形成することなく溶液中に維持され得る場合、相溶性である。
「相溶性成分」とは、溶液中に一緒に維持され、「安定した」組み合わせを形成することができるそれらの培地構成成分も意味する。「相溶性成分」を含有する溶液は、成分が実質的に培地からの細胞に利用可能な構成成分のうちの1つ以上の濃度が最適なまたは所望の細胞の成長をもはや支持しないレベルまで低減されるように沈殿、分解(degrade)、または分解(decompose)しないときに「安定している」と言われる。分解を検出することができない場合、または分解が1×細胞培養培地製剤中の同じ成分の分解と比較したときにより緩徐な速度で生じるときも、成分は「安定している」と考えられる。例えば、1×培地製剤グルタミンは、ピロリドンカルボン酸とアンモニアに分解することが知られている。二価のカチオンと組み合わせたグルタミンは、ほとんどまたは全くグルタミンの分解が溶液において、またはグルタミンと二価のカチオンの両方が存在する組み合わせにおいて経時的に検出することができないため、「相溶性成分」と考えられる。米国特許第5,474,931号を参照されたい。したがって、本明細書に使用される「相溶性成分」という用語は、濃縮または1×製剤のいずれかとして溶液に混合されたとき、「安定」かつ「可溶性」である特定の培養培地成分の組み合わせを指す。
「1×製剤」という用語は、作業用濃度で細胞培養培地中に見出される一部または全ての成分を含有する、任意の水溶液を指すことを意味する。「1×製剤」は、例えば、細胞培養培地、またはその培地の成分の任意の部分群を指し得る。1×溶液中の成分の濃度は、インビトロで細胞を維持または増殖するために使用された細胞培養製剤において見出されるその成分の濃度とほぼ同じである。細胞のインビトロ増殖に使用される細胞培養培地は、定義上、1×製剤である。いくつかの成分が存在する場合、1×製剤中の各成分は、細胞培養中の培地中の各それぞれの成分の濃度とほぼ等しい濃度を有する。例えば、RPMI−1640培養培地は、他の成分の中でも、0.2g/LのL−アルギニン、0.05g/LのL−アスパラギン、及び0.02g/LのL−アスパラギン酸を含有する。これらのアミノ酸の「1×製剤」は、溶液中にほぼ同じ濃度のこれらの成分を含有する。したがって、「1×製剤」に言及する場合、溶液中の各成分は、説明される細胞培養培地において見出される濃度と同じまたはほぼ同じ濃度を有することが意図される。細胞培養培地の1×製剤中の成分の濃度は当業者に周知である。例えば、Methods For Preparation of Media,Supplements and Substrate For Serum−Free Animal Cell Culture Allen R.Liss,N.Y.(1984),Handbook of Microbiological Media,Second Ed.,Ronald M.Atlas,ed.Lawrence C.Parks(1997)CRC Press,Boca Raton,Fla.及びPlant Culture Media,Vol.1:Formulations and Uses E.F.George,D.J.M.Puttock,and H.J.George(1987)Exegetics Ltd.Edington,Westbury,Wilts,BA13 4QG England(それらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。しかしながら、浸透圧及び/またはpHは、培養培地と比較したとき、特に、より少ない成分が1×製剤中に含有される場合、1×製剤において異なる場合がある。
「10×製剤」は、その溶液中の各成分の濃度が細胞培養中の培地中の各それぞれの成分の濃度よりも約10倍大きい溶液を指すことを意味する。例えば、RPMI−1640培養培地の10×製剤は、他の成分の中でも、2.0g/LのL−アルギニン、0.5g/LのL−アスパラギン、及び0.2g/LのL−アスパラギン酸を含有し得る。「10×製剤」は、1×培養製剤において見出される濃度の約10倍の濃度のいくつかの追加成分を含有し得る。容易に明らかであるように、「25×製剤」、「50×製剤」、「100×製剤」、「500×製剤」、及び「1000×製剤」は、1×細胞培養製剤と比較して、それぞれ、約25、50、100、500、または1000倍の濃度の成分を含有する溶液を表す。先と同様に、培地製剤及び濃縮溶液の浸透圧及びpHは異なる場合がある。
「微量元素」または「微量元素部分」という用語は、培養培地中に存在する他の部分もしくは構成成分の量または濃度に対して、非常に低い(すなわち、「微」)量または濃度でのみ細胞培養培地中に存在する部分を指す。本発明において、これらの用語は、Ag、Al3+、Ba2+、Cd2+、Co2+、Cr3+、Cu1+、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Ge4+、Se4+、Br、I、Mn2+、F、Si4+、V5+、Mo6+、Ni2+、Rb、Sn2+、及びZr4+、ならびにこれらの塩を包含する。例えば、以下の塩は、本発明の培養培地において微量元素として使用され得る:AgNO、AlCl・6HO、Ba(C、CdSO・8HO、CoCl・6HO、Cr(SO・1HO、GeO、NaSeO、HSeO、KBr、KI、MnCl・4HO、NaF、NaSiO・9HO、NaVO、(NHMo24・4HO、NiSO・6HO、RbCl、SnCl、及びZrOCl・8HO。微量元素部分の好適な濃度は、単に日常的な実験を使用して、当業者によって決定され得る。
「アミノ酸」という用語は、アミノ酸またはそれらの誘導体(例えば、アミノ酸類似体)、ならびにそれらのD形態及びL形態を指す。かかるアミノ酸の例としては、グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−システイン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−フェニルアラニン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−リジン、L−ロイシン、L−グルタミン、L−アルギニン、L−メチオニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、及びL−バリン、N−アセチルシステインが挙げられる。
「既知組成」培地は、各化学種及びそのそれぞれの量が、細胞の培養におけるその使用前に既知であるものである。既知組成培地は、その化学種が分からない、及び/もしくは定量化されていない可溶化液または加水分解物なしで作製される。既知組成培地は、本発明の培地の好ましい一実施形態である。
「無血清培養条件」及び「無血清条件」という用語は、あらゆる種類の血清を除外する細胞培養条件を指す。これらの用語は、互換可能に使用され得る。
「無血清培地」(「SFM培地」とも称される場合がある)は、血清(例えば、ウシ胎仔血清(FBS)、子ウシ血清、ウマ血清、ヤギ血清、ヒト血清など)を含有しない培地であり、一般的に、文字SFMで表される。当業者によく知られている例示的だが非限定的な無血清培地は、ExpiCHO(商標)発現培地、HuMEC基礎無血清培地、KNOCKOUT(商標)CTS(商標)XenoFREE ESC/iPSC培地、STEMPRO(商標)−34 SFM培地、STEMPRO(商標)NSC培地、ESSENTIAL(商標)−8培地、培地254、培地106、培地,131、培地,154、培地,171、培地171、培地200、培地231、HeptoZYME−SFM、ヒト内皮−SFM、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)293発現培地、培地154CF/PRF、培地154C、培地154 CF、培地200PRF、培地131、Essential(商標)−6培地、STEMPRO(商標)−34培地、Gibco(登録商標)アストロサイト培地、AIM V(登録商標)培地CTS(商標)、AMINOMAX(商標)C−100基礎培地、AMINOMAX(商標)−II 完全培地、CD FORTICHO(商標)培地、CD CHO AGT培地、CHO−S−SFM培地、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)CHO発現培地、CD OPTICHO(商標)培地、CD CHO培地、CD DG44培地、SF−900(商標)培地、EXPI293(商標)発現培地、LHC基礎培地、LHC−8培地、293 SFM培地、CD 293培地、AEM成長培地、PER.C6(登録商標)細胞培地、AIM V(登録商標)培地、EXPILIFE(登録商標)培地、ケラチノサイト−SFM培地、LHC培地、LHC−8培地、LHC−9培地、及びそれらの任意の派生物または修正物を含む。
「無タンパク質」培養培地という句は、タンパク質を含有しない(例えば、血清アルブミンもしくは接着因子などの血清タンパク質、成長因子などの栄養素タンパク質、またはトランスフェリン、セルロプラスミンなどの金属イオンキャリアタンパク質なし)培養培地を指す。好ましくは、ペプチドが存在する場合、ペプチドは小さいペプチド、例えば、ジまたはトリペプチドである。好ましくは、デカペプチド長またはそれ以上のペプチドは、無タンパク質培地中に存在するアミノ酸の約1%未満、より好ましくは約0.1%未満、さらにより好ましくは約0.01%未満である。
本明細書に使用される「低タンパク質」培養培地という句は、低量のタンパク質しか(典型的には5〜10%の血清で補足された標準的な基礎培地など、標準的な量のタンパク質を含有する培養培地において見出される総タンパク質の約10%未満、約5%未満、約1%未満、約0.5%未満、または約0.1%未満の量または濃度)含有しない培地を指す。
本明細書に使用される「動物由来」材料という用語は、全てまたは一部が、組換え動物DNAまたは組換え動物タンパク質DNAを含む、動物源に由来する材料を指す。好ましい培地は、動物の所望の材料を含有しない。
「発現エンハンサー」という用語は、一般的に、ここに記載される実施形態による培養培地製剤を補足するために使用される1つ以上の液体(好ましくは水性)添加物を指し、該添加物は、ここに記載される実施形態による一過性タンパク質発現系において産生される発現されたタンパク質の収量を改善するように選択される。本用語は、細胞周期の進行に影響を及ぼし、アポトーシスを阻害し、細胞成長を遅らせ、かつ/またはタンパク質産生を促進するいくつかの化合物のうちの任意の1つ以上を包含する。本発明の文脈において、「発現エンハンサー」という用語は、一般的に、一過性トランスフェクション系に添加される任意の1つ以上の化合物を指し、その存在は、標的タンパク質の発現を、かかる発現エンハンサー(複数可)の不在下において見られる発現レベルを少なくとも2倍から最大約10倍を超える率で増強または促進する。ここに記載される実施形態と共に使用するのに好適な例示的な発現エンハンサーは、限定されないが、バルプロ酸(VPA酸及びナトリウム塩)、プロピオン酸ナトリウム、酢酸リチウム、ジメチルスルホキシド(DMASO)、ガラクトースを含む糖、アミノ酸混合物、もしくは酪酸、または前述の任意の組み合わせなどの添加物を含む。各特定の発現エンハンサーの最適な濃度は、発現系の個々の特徴及びユーザの要件により異なってもよく、所与の実験シナリオにおいて何が任意の1つ以上の発現エンハンサーの最適な濃度を構成するかの決定は、十分に通常の技術レベルを有する当業者の範囲内である。単に例として、一部の実施形態において、本発明の実施において使用されるバルプロ酸(VPA)の最適な最終濃度範囲は、約0.20mM〜約25mMの範囲であり得る。より好ましくは、VPAの最終濃度は、約0.25mM〜約24mM、約0.26mM〜約23mM、0.27mM〜約23mM、0.28mM〜約23mM、0.29mM〜約22mM、約0.30mM〜約21mM、約0.31mM〜約20mM、約0.32mM〜約19mM、約0.33mM〜〜約17mM、約0.34mM〜約18mM、約0.35mM〜約17mM、約0.36mM〜約16mM、約0.37mM〜約15mM、約0.40mM〜約14mM、約0.41mM〜約13mM、約0.42mM〜約12mM、約0.43mM〜約11mM、約0.44mM〜約10mM、約0.45mM〜約9mM、約0.46mM〜約8mM、約0.47mM〜約7mM、約0.48mM〜約6mM、約0.49mM〜約5mM、約0.50mM〜約4mM、約0.50mM〜約4mM、約0.55mM〜約3mM、0.6mM〜約2mM、または0.75〜約1.5mMの範囲であり得る。一部の好ましいが非限定的な実施形態において、本発明の実施において使用されるVPAの最終濃度は、約0.15mM〜約1.5mM、約0.16mM〜約1.5mM、約0.17mM〜約1.5mM、約0.18mM〜約1.5mM、約0.19mM〜約1.5mM、約0.20mM〜約1.5mM、約0.25mM〜約1.5mM、約0.30mM〜約1.5mM、約0.40mM〜約1.5mM、約0.50mM〜約1.5mM、約0.60mM〜約1.5mM、約0.70mM〜約1.5mM、約0.80mM〜約1.5mM、約0.90mM〜約1.5mM、または約0.10mM〜約1.5mMであり得る。一部の好ましいが非限定的な実施形態において、本発明の実施において使用されるVPAの最終濃度は、約0.20〜約1.5mM、約0.21〜約1.4mM、約0.22〜約1.4mM、約0.23〜約1.4mM、約0.24〜約1.4mM、約0.25〜約1.3mM、約0.25〜約1.2mM、約0.25〜約1.1mM、または約0.25〜約1.0mMであり得る。
さらなる実施形態において、本発明の実施において使用されるプロピオン酸ナトリウム(NaPP)の最適な最終濃度は、約0.2mM〜約100mMの範囲であり得る。ある特定の好ましいが非限定的な実施形態において、NAPPの最適な最終濃度は、約0.5〜約80mM、約0.4mM〜約70mM、約0.5mM〜約60mM、約0.6mM〜約50mM、約0.7mM〜約40mM、約0.8mM〜約30mM、約0.9mM〜約20mM、約1mM〜約15mM、約2mM〜約10mM、約3mM〜約9mM、約4mM〜約8mM、または約5mM〜約7mMの範囲であり得る。ある特定の好ましいが非限定的な実施形態において、NAPPの最適な最終濃度は、約1mM〜約10mM、約1mM〜約2mM、約2mM〜約3mM、約3mM〜約4mM、約4mM〜約5mM、約5mM〜約6mM、約6mM〜約7mM、約7mM〜約8mM、約8mM〜約9mM、または約9mM〜約10mMの範囲であり得る。ある特定の好ましいが非限定的な実施形態において、NAPPの最適な最終濃度は、約1mM、約1.5mM、約2mM、約2.5mM、約3mM、約3.5mM、約4mM、約4.5mM、約5mM、約5.5mM、約6mM、約6.5mM、約7mM、約7.5mM、約8mM、約8.5mM、約9mM、約9.5mM、または約10mMであり得る。
さらなる実施形態において、本発明の実施において使用される酢酸リチウム(LiAc)の最適な最終濃度は、約0.25〜約25mM、約0.26mM〜約20mM、約0.27mM〜約15mM、約0.28mM〜約10mM、約0.29mM〜約5mM、約0.3mM〜約4.5mM、約0.31mM〜約4mM、約0.35mM〜約3mM、約0.5mM〜約2.5mM、約1mM〜約3mM、約1.5mM〜約2.5mM、または約2mM〜約3mMの範囲であり得る。
さらなる実施形態において、本発明の実施において使用される酪酸の最適な最終濃度は、約0.25〜約25mM、約0.26mM〜約20mM、約0.27mM〜約15mM、約0.28mM〜約10mM、約0.29mM〜約5mM、約0.3mM〜約4.5mM、約0.31mM〜約4mM、約0.35mM〜約3mM、約0.5mM〜約2.5mM、約1mM〜約3mM、約1.5mM〜約2.5mM、または約2mM〜約3mMの範囲であり得る。
本発明により使用される発現エンハンサーは、トランスフェクションの直前、または細胞及び発現されたタンパク質を採取する前のトランスフェクション後に、培養培地に添加され得る。以下に記載される一部の具体的だが非限定的な実施形態において、「エンハンサー1」は、一般的に、0.25mM〜1mMのバルプロ酸を指し、「エンハンサー2」は、一般的に、5mM〜7mMのプロピオン酸ナトリウムを指す。しかしながら、別途示される場合、エンハンサー1及びエンハンサー2という用語は、異なるエンハンサー化合物を包含し得る。発現エンハンサーは、連続して、またはカクテルとして培養培地に添加され得る。
「ベクター」という用語は、本明細書に使用されるとき、結合している別の核酸を輸送することができる、核酸分子を指すことが意図される。1つの種類のベクターは、「プラスミド」であり、これは、環状二重鎖DNAを指し、これにはさらなるDNAセグメントがライゲーションされている場合がある。別の種類のベクターは、ファージベクターである。別の種類のベクターは、ウイルスベクターであり、さらなるDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲーションされ得る。ある特定のベクターは、それらが導入されている宿主細胞において、自律的複製を行うことができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それによって宿主ゲノムと共に複製される。さらに、ある特定のベクターは、それらが操作可能に結合している遺伝子の発現を誘導することができる。そのようなベクターは、本明細書において、「組換え発現ベクター」または単純に「発現ベクター」と称される。一般に、組換えDNA技法で有用な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。本明細書において、「プラスミド」及び「ベクター」は、互換可能に使用することができるが、これは、プラスミドが、最も一般的に使用されているベクターの形態であるためである。本明細書に記載される本発明の実施により使用されるある特定のベクターは、例えば、pCDNA3.3、またはその修飾形態など、当該技術分野で使用される周知のベクターであり得る。本発明の実施において好適であり得るベクターに対する修飾の種類の非限定的な例としては、1つ以上のエンハンサー、1つ以上のプロモーター、1つ以上のリボソーム結合部位、1つ以上の複製起点など、修飾の付加などの修飾が挙げられるがこれらに限定されない。ある特定の好ましいが非限定的である実施形態において、本発明の実施に使用される発現ベクターには、本一過性発現系における対象のタンパク質の発現を改善するように選択される、1つ以上のエンハンサー要素を挙げることができる。選択されたエンハンサー要素は、対象のタンパク質を発現するのに使用される発現可能な核酸配列の5’または3’に位置付けられ得る。特に好ましいが非限定的なエンハンサー要素は、ウッドチャック肝炎転写後調節要素(WPRE)である。
本明細書に使用されるとき、「発現されたタンパク質を産生することができる遺伝子配列を含有する発現ベクター」という語句は、一般的に、所望の対象のタンパク質(該対象のタンパク質は、本発明の使用者により選択される)の少なくとも1つのオープンリーディングフレームを有する発現可能な核酸配列を、細胞または細胞不含の発現系においてその発現を支持するのに必要とされる1つ以上の核酸配列または要素に加えて、含むことができる、上に定義されるベクターを指す。本明細書に定義される発現ベクターに存在し得るかかる追加の核酸配列または要素には、1つ以上のプロモーター配列、1つ以上のエンハンサー要素、1つ以上のリボソーム結合部位、1つ以上の転写開始配列、1つ以上の複製起点、または1つ以上の選択可能なマーカーを挙げることができる。この目的に適う様々な核酸または要素が当業者に周知であり、本発明の実施において使用するためのその1つ以上の選択は、十分に通常の技術レベルを有する当業者の範囲内である。
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、本明細書に使用されるとき、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を含む、任意の核酸を指す。好ましい実施形態において、「核酸」は、ゲノムDNA、相補的DNA(cDNA)、及びオリゴDNAを含むオリゴヌクレオチドを含む、DNAを指す。ある特定の好ましいが非限定的である実施形態において、「核酸」とは、ゲノムDNA及び/またはcDNAを指す。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、及び/またはそれらの類似体、あるいはDNAもしくはRNAポリメラーゼまたは合成反応によってポリマーに組み込むことができる任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体を含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーのアセンブリの前後になされ得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分によって中断されることがある。ポリヌクレオチドは、ラベルへの接合など、合成後になされる修飾(複数可)を含んでもよい。他の種類の修飾には、例えば、「キャップ」、天然に生じるヌクレオチドのうちの1つ以上と類似体との置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、非荷電結合によるもの(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)及び荷電結合によるもの(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)、例えば、タンパク質など(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)のペンダント部分を含むもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)によるもの、キレート物質(例えば、金属、放射性金属、ボロン、酸化金属など)を含有するもの、アルキル化物質を含有するもの、修飾結合(例えば、αアノマー型核酸など)によるもの、ならびにポリヌクレオチド(複数可)の非修飾形態などが挙げられる。さらに、糖に通常存在するヒドロキシル基のうちの任意のものが、例えば、ホスホネート基、ホスフェート基によって置き換えられるか、標準的な保護基で保護されるか、またはさらなるヌクレオチドへのさらなる結合を調製するように活性化されてもよく、あるいは固体または半固体の支持体に接合されてもよい。5’及び3’末端のOHは、リン酸化されるか、またはアミンもしくは1〜20個の炭素原子の有機キャッピング基部分で置換され得る。他のヒドロキシルもまた、標準的な保護基に誘導体化されてもよい。ポリヌクレオチドはまた、例えば、2’−O−メチル−、2’−O−アリル−、2’−フルオロ−、または2’−アジド−リボース、炭素環式糖類似体、α−アノマー型糖、エピマー型糖、例えば、アラビノース、キシロース、もしくはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、及び塩基性ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドを含む、当該技術分野で一般的に既知であるリボースまたはデオキシリボース糖の類似体形態を含有してもよい。1つ以上のホスホジエステル結合が、代替的な結合基で置き換えられてもよい。これらの代替的な結合基には、リン酸がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、またはCH2(「ホルムアセタール」)で置き換えられている実施形態が挙げられるがこれらに限定されず、ここで、各RまたはR’は、独立して、H、または置換もしくは非置換アルキル(1〜20個のC)(エーテル(−−O−−)結合を任意選択で含む)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、もしくはアラルジル(araldyl)である。ポリヌクレオチドの全ての結合が必ずしも同一である必要はない。前述の説明は、RNA及びDNAを含む、本明細書に言及される全てのポリヌクレオチドに当てはまる。
「オリゴヌクレオチド」は、本明細書に使用されるとき、必ずではないが、一般的に、長さが約200ヌクレオチド未満である、短い、一般的に1本鎖の、一般的に合成ポリヌクレオチドを指す。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、相互に排他的ではない。ポリヌクレオチドに関する上記の説明は、オリゴヌクレオチドに等しくかつ完全に当てはまる。
本明細書に使用されるとき、「第1の期間」という句は、本明細書に記載される本発明の方法により細胞を一過的にトランスフェクトするための方法の文脈において使用されるとき、一般的に、発現可能な核酸を有する細胞集団のトランスフェクションと、トランスフェクトされた細胞への1つ以上の発現エンハンサーの添加との間の時間間隔を指す。典型的には、第1の期間は、約2時間〜約4日間の範囲である。ある特定の好ましいが非限定的な実施形態において、第1の期間は、約3〜約90時間、約4〜約85時間、約5〜約80時間、約6〜約75時間、約7〜約70時間、約8〜約65時間、約9〜約60時間、約10〜約55時間、約11〜約50時間、約12〜約45時間、約13〜約40時間、約14〜約35時間、約15〜約30時間、約16〜約24時間、約17〜約24時間、約18〜約24時間、約19〜約24時間、約20〜約24時間、約21〜約24時間、約22〜約24時間、または約23〜約24時間の範囲であり得る。非限定的な実施形態よりも好ましい他において、第1の期間は、最大約15時間、最大約16時間、最大約17時間、最大約18時間、最大約19時間、最大約20時間、最大約21時間、最大約22時間、最大約23時間、最大約24時間、最大約25時間、最大約26時間、最大約27時間、最大約28時間、最大約29時間、または最大約30時間であり得る。
本明細書に使用されるとき、「第2の期間」という句は、本明細書に記載される本発明の方法により細胞を一過的にトランスフェクトするための方法の文脈において使用されるとき、一般的に、1つ以上の発現エンハンサーの添加と、1つ以上の追加のエンハンサーの添加またはトランスフェクトされた細胞の採取及びその中に発現されたタンパク質の精製もしくは単離のいずれかとの間の時間間隔を指す。典型的には、第2の期間は、約10時間〜約10日間の範囲であるが、発現されるタンパク質に最適であると決定される場合、他の時間間隔を使用することができる。一部の好ましいが非限定的な実施形態において、第2の期間は、約2時間〜5日間、2.5時間〜4日間、約3〜約90時間、約4〜約85時間、約5〜約80時間、約6〜約75時間、約7〜約70時間、約8〜約65時間、約9〜約60時間、約10〜約55時間、約11〜約50時間、約12〜約45時間、約13〜約40時間、約14〜約35時間、約15〜約30時間、約16〜約24時間、約17〜約24時間、約18〜約24時間、約19〜約24時間、約20〜約24時間、約21〜約24時間、約22〜約24時間、または約23〜約24時間の範囲であり得る。非限定的な実施形態よりも好ましい他において、第1の期間は、最大約15時間、最大約16時間、最大約17時間、最大約18時間、最大約19時間、最大約20時間、最大約21時間、最大約22時間、最大約23時間、最大約24時間、最大約25時間、最大約26時間、最大約27時間、最大約28時間、最大約29時間、または最大約30時間であり得る。
本明細書に使用されるとき、「第3の期間」という句は、本明細書に記載される本発明の方法により細胞を一過的にトランスフェクトするための方法の文脈において使用されるとき、一般的に、少なくとも第1の発現エンハンサーと、少なくとも第2の発現エンハンサーの添加との間の時間間隔を指す。第1と第2の発現エンハンサーとの間の添加の時間間隔は、約数秒〜数日であり得るが、一部の実施形態において、かかる第1及び第2の発現エンハンサーは、本質的に同時に添加され得るか、または任意選択で単一製剤において提供され得る。
本明細書に使用されるとき、「複合体化反応」、「複合体化培地」などの用語は、一般的に、核酸が複合体化されてトランスフェクション試薬製剤となる、生理学的に許容される培養培地または反応を指す。典型的に、タンパク質を発現する目的で細胞に導入されることになる核酸は、まず、好適なトランスフェクション試薬(例えば、カチオン性脂質製剤など)と複合体化され、脂質/核酸複合体または凝集体となる。
「遷移要素」または「遷移金属」(互換可能に使用され得る)とは、要素が所与の一連の要素において最大陽電性と最小陽電性との間の遷移結合として作用するように、外殻ではなく内部電子価殻が部分的にのみ満たされる要素を意味する。遷移要素は、典型的には、高融点、高密度、高双極子もしくは磁気モーメント、多原子価、及び安定した複合イオンを形成する能力を特徴とする。本発明に有用なかかる繊維要素の例としては、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルビジウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、ランタン(La)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、及びアクチニウム(Ac)が挙げられる。本発明のそれらを含む培養培地組成物において使用するための遷移元素として特に関心のあるものは、イオン、キレート剤、塩、及び鉄の錯体(Fe2+またはFe3+)である。
「トランスフェクション」として知られるプロセスにおいて巨大分子を標的細胞に導入するための様々な技法及び試薬が利用可能である。広く使用されている試薬には、例えば、リン酸カルシウム、DEAE−デキストラン、及び脂質が挙げられる。これらの種類の試薬を使用するための詳細なプロトコルの例については、多数の参照文書、例えば、Current Protocols in Molecular Biology,Chapter 9,Ausubel,et al.Eds.,John Wiley and Sons,1998が利用可能である。細胞をトランスフェクトするためのさらなる方法が当該技術分野で既知であり、これには、エレクトロポレーション(遺伝子の電気的移入)、超音波穿孔法、光学トランスフェクション、プロトプラスト融合、インペールフェクション(impalefection)、マグネトフェクション(magnetofection)、またはウイルス形質導入を挙げることができる。
細胞内への「巨大分子の導入のための試薬」または「トランスフェクション試薬」は、細胞内への巨大分子の進入を容易にする、当業者に既知の任意の材料、製剤、または組成物である。例えば、米国特許第5,279,833号を参照されたい。一部の実施形態では、試薬は、「トランスフェクション試薬」であり得、1つ以上の標的細胞内への1つ以上の核酸の取り込みを増加させる任意の化合物及び/または組成物であり得る。様々なトランスフェクション試薬が、当業者に既知である。好適なトランスフェクション試薬としては、ポリエチレンイミン(PEI)などのカチオン性ポリマー、ポリリジン及びポリアルギニンなどの正に荷電したアミノ酸のポリマー、正に荷電したデンドリマー及び分裂したデンドリマー、カチオン性β−シクロデキストリン含有ポリマー(CDポリマー)、DEAE−デキストランなどを含む、1つ以上の化合物及び/または組成物を挙げることができるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、細胞内への巨大分子の導入のための試薬は、カチオン性脂質及び/または中性脂質であり得る1つ以上の脂質を含み得る。好ましい脂質には、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPE)、1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(4’−トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)、1,2−ジオレオイル−3−(4’−トリメチルアンモニオ)ブタノイル−sn−グリセロール(DOTB)、1,2−ジオレオイル−3−スクシニル−sn−グリセロールコリンエステル(DOSC)、コレステリル(4’−トリメチルアンモニオ)ブタノエート(ChoTB)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORI)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE)、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、O,O’−ジドデシル−N−[p(2−トリメチルアンモニオエチルオキシ)ベンゾイル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、1つ以上の脂質に接合したスペルミン(例えば、5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタデシルアミド(DOGS)、N,N,NII,NIII−テトラメチル−N,N,NII,NIII−テトラパルミチルスペルミン(TM−TPS)、及びジパルミトイルファスファチジルエタノールアミン5−カルボキシスペルミルアミンド(DPPES))、リポポリリジン(DOPEに接合したポリリジン)、TRIS(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トロメタミン)接合脂肪酸(TFA)、ならびに/またはペプチド、例えば、トリリジル−アラニル−TRISモノ、ジ、及びトリパルミテート(3β−[N−−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル]コレステロール(DC−Chol)、N−(α−トリメチルアンモニオアセチル)−ジドデシル−D−グルタメートクロリド(TMAG)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミン−カルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
当業者であれば、上述の脂質のある特定の組み合わせが、細胞内への核酸の導入に特に好適であることが示されていることを理解し、例えば、DOSPA及びDOPEの3:1(重量/重量)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPOFECTAMINE(商標)で入手可能であり、DOTMA及びDOPEの1:1(重量/重量)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPOFECTIN(登録商標)で入手可能であり、DMRIE及びコレステロールの1:1(M/M)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名DMRIE−C試薬で入手可能であり、TM−TPS及びDOPEの1:1.5(M/M)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名CellFECTIN(登録商標)で入手可能であり、DDAB及びDOPEの1:2.5(重量/重量)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPOFECTACE(登録商標)で入手可能である。上述の脂質の組み合わせに加えて、他の化合物との混和物中、具体的には、核局在配列を含むペプチド及びタンパク質との混和物中に脂質を含む他の製剤が、当業者には既知である。例えば、WO00/27795として公開された国際出願第PCT/US99/26825号を参照されたく、これらのいずれも参照により本明細書に組み込まれる。
リポソームなどの脂質凝集体は、細胞内への巨大分子の送達のための薬剤として有用であることがわかっている。具体的には、1つ以上のカチオン性脂質を含む脂質凝集体は、細胞内へのアニオン性巨大分子(例えば、核酸)の送達にきわめて効率的であることが示されている。広く使用されるカチオン性脂質の1つは、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)である。DOTMAを単独で含むか、またはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)との1:1混合物としてのリポソームは、細胞内に核酸を導入するために使用されている。DOTMA:DOPEの1:1混合物は、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPOFECTIN(商標)で市販されている。細胞内に核酸を導入するために使用されている別のカチオン性脂質は、1,2−ビス(オレオイル−オキシ)−3−3−(トリメチルアンモニア)プロパン(DOTAP)である。DOTAPは、オレオイル部分がDOTAPではエーテル結合によりプロピルアミン骨格に結合しており、一方でDOTMAではエステル結合によって結合しているという点で、DOTMAとは異なる。DOTAPは、標的細胞によってより容易に分解されると考えられている。トリメチルアンモニウム部分のメチル基のうちの1つが、ヒドロキシル基と置き換えられている、構造的に関連する群の化合物は、ホスホリパーゼAのローゼンタール阻害剤(RI)に構造が類似している(Rosenthal,et al.,(1960)J.Biol.Chem.233:2202−2206を参照されたい)。RIは、プロピルアミンコアに結合したステアロイルエステルを有する。RIのジオレオイル類似体は、一般的に、脂質部分とプロピルアミンコアとの結合に応じて、DOR1−エーテル及びDOR1−エステルと略される。ヒドロキシエチル部分のヒドロキシル基は、例えば、エステル化によりカルボキシスペルミンにさらに導化されてもよい。
細胞内に巨大分子を導入するのに使用されている別のクラスの化合物は、脂質に結合したカルボキシスペルミン部分を含む(Behr,et al.,(1989)Proceedings of the National Academy of Sciences,USA 86:6982−6986及び欧州特許第0394111号を参照されたい)。この種の化合物の例としては、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン5−カルボキシスペルミルアミド(DPPES)及び5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタデシルアミド(DOGS)が挙げられる。DOGSは、Promega,Madison,Wis.から商標名TRANSFECTAM(商標)で市販されている。
コレステロール(3β−[N−−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル]コレステロール、DC−Chol)のカチオン性誘導体が合成され、DOPEと共にリポソームに製剤化されており(Gao,et al.,(1991)BBRC 179(1):280−285を参照されたい)、細胞内にDNAを導入するために使用されている。このように製剤化されたリポソームは、低い細胞毒性レベルで細胞内にDNAを効率的に導入することが報告された。ポリリジンをDOPEに接合させることによって形成されるリポポリリジン(Zhou,et al.,(1991)BBA 1065:8−14)は、血清の存在下で細胞内に核酸を導入することに有効であることが報告されている。
細胞内に核酸を導入するために使用されている他の種類のカチオン性脂質には、米国特許第5,674,908号及び同第5,834,439号、ならびにWO00/27795として公開されている国際出願第PCT/US99/26825号に記載されるものなど、高充填ポリカチオン性アンモニウム、スルホニウム、及びホスホニウム脂質が挙げられる。本発明による巨大分子の送達のための1つの特に好ましいが非限定的であるトランスフェクション試薬は、LIPOFECTAMINE 2000(商標)であり、これは、Life technologiesから入手可能である(WO00/27795として公開されている米国国際出願第PCT/US99/26825号を参照されたい)。細胞への巨大分子の送達に好適な別の好ましいが非限定的であるトランスフェクション試薬は、EXPIFECTAMINE(商標)である。他の好適なトランスフェクション試薬には、LIOFECTAMINE(商標)RNAiMAX、LIPOFECTAMINE(商標)LTX、OLIGOFECTAMINE(商標)、Cellfectin(商標)、INVIVOFECTAMINE(商標)、INVIVOFECTAMINE(商標)2.0、及びYangらによる米国特許出願公開第2012/0136073号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示される脂質試薬または製剤のうちの任意のものが挙げられる。様々な他のトランスフェクション試薬が当業者に既知であり、これは、本明細書に記載される一過性トランスフェクション系及び方法に対するその適合性に関して評価され得る。
本発明は、(a)培養において、真核細胞内への少なくとも1つの巨大分子、好ましくは発現可能な核酸分子の導入、(b)少なくとも1つの巨大分子が導入される細胞の増殖、及び任意選択で(c)少なくとも1つの巨大分子が導入される細胞における組換えタンパク質産物の産生または核酸の発現を支持する高収量の一過性トランスフェクション系を対象とし、巨大分子を含有する培地は、培養物から除去され、また細胞内への少なくとも1つの巨大分子の導入後、ならびにタンパク質産物の増殖及び産生、または核酸の発現前に新しい培地に交換される必要がない。
本発明の一過性トランスフェクション系及び本明細書に記載される方法によるその使用は、細胞培養系において高レベルの対象のタンパク質の迅速かつ再現可能な発現をもたらす。典型的には、本一過性トランスフェクション系及び方法は、所望の組換えタンパク質及び使用される細胞型の個々の発現特徴により、培養の約200μgタンパク質/L〜培養の約2gタンパク質/Lの範囲のレベルの組換え発現されたタンパク質を産生することができる。本明細書に提供される一過性トランスフェクション系及び方法を使用することにより、ユーザは、標準的な市販の一過性トランスフェクション系を使用して現在得ることができるものの約2倍から最大約20倍を超える発現されたタンパク質のレベルを得ることができる。本明細書に提供される一過性トランスフェクション系及び方法を使用することにより、ユーザは、現在の一過性発現系で見られるよりも約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、約5.5倍、約6倍、約6.5倍、約7倍、約7.5倍、約8倍、約8.5倍、約9倍、約9.5倍、または最大約10倍以上大きい発現されたタンパク質のレベルを得ることができる。例えば、本一過性トランスフェクション系を使用して組換えタンパク質を産生することにより、ユーザは、浮遊細胞における組換えタンパク質の産生に最適化された市販の一過性トランスフェクション系、例えば、FREESTYLE(商標)Expression Systemなどを使用して得られたタンパク質収量よりも約2倍から最大約50倍高いタンパク質収量を得ることができる。
系が、他の要素の中でも、少なくとも高密度培養培地、少なくとも高密度成長に適応した浮遊細胞集団、任意選択で1つ以上の発現ベクター、任意選択で1つ以上のトランスフェクション試薬、及び任意選択で1つ以上の発現エンハンサーを含む、本発明の系を使用することにより、少なくとも1つの細胞内に少なくとも1つの巨大分子を導入した後、及び少なくとも1つの巨大分子が導入された細胞がさらに培養されて、タンパク質産物を産生するか、または核酸を発現する前に培地を補充、交換、または補足する必要がない。本発明の系において、培地は、理想的には、無血清培地及び/または既知組成培地及び/または無タンパク質もしくは実質的に低タンパク質培地、ならびに/または動物由来の構成成分を含有しない培地、もしくはこれらの特徴の組み合わせを有する培地である。
本発明の1つの非限定的な態様において、培養における細胞内への化合物または巨大分子(例えば、核酸)の導入に関して、本発明の高収量培養培地は、現在利用可能な一過性トランスフェクション系を使用して典型的に得ることができるよりも高い細胞トランスフェクション効率を容易にする。本発明の別の関連する非限定的な態様において、系はまた、トランスフェクション後に細胞が培養されるよりも少ない体積で細胞をトランスフェクトする必要がない。本発明のまた別の関連する非限定的な態様において、系は、現在利用可能な一過性トランスフェクション系よりも高い細胞生存率を容易にする。またさらに関連するが非限定的な態様において尚も、系は、現在利用可能な一過性トランスフェクション系よりも高い細胞密度(すなわち、培養培地の細胞/ml)を容易にする。本発明の別の関連する非限定的な態様において、系は、現在利用可能な一過性トランスフェクション系よりも培養下の細胞において高いレベルの組換えタンパク質発現を容易にする。必要ではないが、好ましくは、細胞のトランスフェクションが生じた培地を交換、除去、補足、または補充する必要なく、同じ体積の培地が細胞内に少なくとも1つの巨大分子を導入することに使用され得る。あるいは、細胞が分割されるか、または培地体積が約2、約5、約8、または約10倍からあまり増加しない。
本発明の培地、方法、キット、及び組成物は、任意の体積の培養培地中で、少なくとも1つの巨大分子を導入する、または細胞をトランスフェクト及び培養するために使用することが意図される。かかる導入は、好ましくは、トランスフェクトされる細胞を培養するために使用される培地量の0.1〜10倍で達成される。好ましくは、細胞培養体積は、約1ミリリットルを超える。より好ましくは、細胞培養体積は、約200μl〜100リットルである。より好ましくは、細胞培養体積は、約2ml〜約50リットル、最も好ましくは約5ml〜約5リットルである。より好ましくは、細胞培養体積は、約100ml〜約50リットルである。より好ましくは、細胞培養体積は、約500ml〜約50リットルである。より好ましくは、細胞培養体積は、約500ml〜約25リットルである。より好ましくは、細胞培養体積は、約500ml〜約10リットルである。より好ましくは、細胞培養体積は、約500ml〜約5リットルである。より好ましくは、細胞培養体積は、約500ml〜約1リットルである。
本発明の培地、方法、キット、及び組成物において、培地は、任意選択で、巨大分子の導入またはトランスフェクションに干渉し得る化合物、例えば、ポリスルホン化(polysulfonated)及び/または多硫酸化合物などのポリアニオン性化合物を含有しない。好ましくは、培地は、硫酸デキストランを含有しない。
本発明の培地、方法、キット、及び組成物は、培地を交換する必要なく、培養された細胞内(例えば、トランスフェクションにより)への化合物または巨大分子(特に巨大分子、例えば、核酸、タンパク質、及びペプチド)の導入を可能にする。好ましい一実施形態において、本発明は、真核細胞の増殖及びトランスフェクションのための培地を提供する。
本発明の培地、方法、キット、及び組成物を使用することにより、当業者は、培養において、細胞内に巨大分子または化合物(例えば、核酸)を導入することができる。好ましくは、巨大分子または化合物(例えば、核酸)は、少なくとも20パーセントの細胞内に導入される。より好ましくは、巨大分子または化合物(例えば、核酸)は、約20〜約100パーセントの細胞内に導入される。より好ましくは、巨大分子または化合物(例えば、核酸)は、約30〜約100パーセントの細胞内に導入される。より好ましくは、巨大分子または化合物(例えば、核酸)は、約50〜約100パーセントの細胞内に導入される。実際には、巨大分子または化合物は、約20%〜約90%の細胞、約20%〜約80%の細胞、約30%〜約60、70、80、または90%の細胞、約20、30、40、または50%〜約70、75、80、85、90、95、または98%などの細胞内に導入され得る。実に約60、70、75、または80〜約90%もしくは100%近くの細胞が、導入された分子または化合物を含有し得る。
本発明の培地、方法、キット、及び組成物の好ましい実施形態において、1つ以上の望ましくない構成成分(すなわち、1つ以上の血清構成成分、1つ以上の未定義の構成成分、1つ以上のタンパク質構成成分、及び/または1つ以上の動物由来の構成成分)は、1つ以上の機能において、1つ以上の交換化合物に置換されるか、または交換されている。本発明の交換化合物は、任意選択で、1つ以上の金属結合化合物及び/または1つ以上の遷移元素錯体を含み得、該錯体は、1つ以上の金属結合化合物との錯体において、1つ以上の遷移元素またはその塩もしくはイオンを含む。好ましくは、培地は、トランスフェリンなどの1つ以上の天然由来の金属キャリア、または他の動物由来タンパク質もしくは抽出物の不在下で、インビトロでの細胞の増殖を支持することができる。金属結合化合物は、金属結合化合物の培地への添加前は遷移金属との錯体であってもよい。他の実施形態において、金属結合化合物は、金属結合化合物の培地への添加前には遷移金属との錯体ではない。好ましくは、本発明の培地は、トランスフェリンを含有せず、かつ/またはインスリンを含有しない。
本発明は、培地を1つ以上の交換化合物と組み合わせることによって得られた細胞培養培地にも関する。好ましくは、培地は、無血清培地及び/または既知組成培地及び/または無タンパク質もしくは低タンパク質培地であり得、かつ/または動物由来構成成分を欠く培地であり得る。培地は、好ましくは、トランスフェリンを含有せず、かつ/またはインスリンを含有しない。一部の好ましい実施形態において、培地は、インビトロでの細胞の増殖を支持することができてもよく、かつ/または細胞内への巨大分子の導入を可能にし得る。一部の実施形態において、交換化合物のうちの1つ以上が金属結合化合物であり得、かつ/または遷移元素錯体であり得、該錯体は、少なくとも1つの金属結合化合物と錯体形成された、少なくとも1つの遷移元素またはその塩もしくはイオンを含む。本発明のこの態様において使用するための好ましい遷移元素、金属結合化合物、及び遷移元素錯体は、本明細書に詳細に記載されるものを含む。
本発明の交換化合物は、インビトロで培養された細胞内への遷移金属の送達を容易にすることができる。好ましい実施形態において、交換化合物は、鉄を送達し、トランスフェリンを交換する。好ましい交換化合物は、ヒドロキシピリジン誘導体である。好ましくは、ヒドロキシピリジン誘導体は、2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド、3−ヒドロキシ−4−ピロン、3−ヒドロキシピピリド−2−オン、3−ヒドロキシピリド−2−オン、3−ヒドロキシピリド−4−オン、1−ヒドロキシピリド−2−オン、1,2−ジメチル−3−ヒドロキシピリド−4−オン、1−メチル−3−ヒドロキシピリド−2−オン、3−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノン、及びピリドキサールイソニコチニルヒドラゾン、ニコチン酸−N−オキシド、2−ヒドロキシ−ニコチン酸からなる群から選択される。最も好ましくは、ヒドロキシピリジン誘導体は、2−ヒドロキシピリジン−N−オキシドである。
本発明の交換化合物は、真核及び/もしくは原核細胞、組織、臓器などの増殖または成長のための培地を含む、任意の培地と共に使用され得る。かかる培地には、CD FORTICHO(商標)培地、Expi293(商標)発現培地、ExpiCHO(商標)発現培地、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地(MEM)、基礎培地イーグル(BME)、RPMI−1640、ハムF−10、ハムF−12、α最小必須培地(αMEM)、グラスゴー最小必須培地(G−MEM)、及びイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)が含まれるが、これらに限定されない。市販されている(例えば、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から)、またはさもなければ当該技術分野において既知である他の培地が本発明により等しく使用され得、これには、293 SFM、CD−CHO培地、VP SFM,BGJb培地、Brinster’s BMOC−3培地、細胞培養凍結培地、CMRL培地、EHAA培地、eRDF培地、Fischer’s培地、Gamborg’s B−5培地、GLUTAMAX(商標)補足培地、Grace’s昆虫細胞培地、HEPES緩衝培地、Richter’s改変MEM、IPL−41昆虫細胞培地、Leibovitz’s L−15培地、McCoy’s 5A培地、MCDB 131培地、培地199、改変イーグル培地(MEM)、培地NCTC−109、Schneider’s Drosophila培地、TC−100昆虫培地、Waymouth’s MB 752/1培地、William’s培地E、無タンパク質ハイブリドーマ培地II(PFHM II)、AIM V培地、ケラチノサイトSFM、規定ケラチノサイトSFM、STEMPRO(登録商標)SFM、STEMPRO(登録商標)完全メチルセルロース培地、HepatoZYME−SFM、Neurobasal(商標)培地、Neurobasal−A培地、Hibernate(商標)A培地、Hibernate E培地、Endothelial SFM、ヒト内皮SFM、ハイブリドーマSFM、PFHM II、Sf 900培地、Sf 900 TI SFM、EXPRESS FIVE(登録商標)培地、CHO−S−SFM、AMINOMAX−II完全培地、AMINOMAX−C100完全培地、AMINOMAX−C 100基礎培地、PB−MAX(商標)核型培地、KARYOMAX骨髄核型培地、KNOCKOUT D−MEM、及びCO非依存培地が含まれるが、これらに限定されない。上記の培地は、JRH、Sigma、HyClone、及びBioWhittakerなどの当業者に既知の製造業者から得られる。本発明の実施において使用するのに好適な培地のさらなる例は、米国特許第5,135,866号及び同第5,232,848号、ならびに国際公開第WO88/02774号、同第WO98/15614号、同第WO98/08934号、及び欧州特許第0282942号に見出すことができ、それらの全体が参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
本発明は、細胞内に巨大分子を導入するための方法も提供し、本発明の培地中で細胞を培養することと、細胞のうちの1つ以上により巨大分子を取り込ませる条件下で、培地中の細胞を1つ以上の巨大分子と接触させることと、を含む。好ましくは、培地は、無血清培地及び/または既知組成培地及び/または無タンパク質もしくは低タンパク質培地であり、かつ/または動物由来構成成分を欠く培地であり得る。好ましい細胞は、真核細胞を含む。より好ましくは、細胞は、哺乳類細胞である。培地は、1つ以上の交換化合物を含むことができ、好ましくは、トランスフェリンを含有せず、かつ/またはインスリンを含有しない。一部の好ましい実施形態において、培地は、同じ培地中での細胞の成長及びトランスフェクションを可能にする。一部の実施形態において、巨大分子は、1つ以上の核酸を含むことができ、細胞により核酸分子を取り込ませる条件には、核酸を1つ以上の細胞内に導入させる試薬と接触させることが含まれる。
本発明は、本発明の培地及び細胞を含む組成物も提供する。好ましくは、培地は、無血清培地及び/または既知組成培地及び/または無タンパク質もしくは低タンパク質培地及び/または動物由来構成成分を欠く培地である。好ましい細胞は、真核細胞を含む。より好ましくは、細胞は、哺乳類細胞である。最も好ましくは、CHO細胞由来の浮遊細胞、具体的には、浮遊培養における高発現に関して選択された細胞クローンである。培地は、1つ以上の交換化合物を含むことができ、好ましくは、トランスフェリンを含有せず、かつ/またはインスリンを含有しない。好ましくは、培地は同じ培地中での細胞の成長及びトランスフェクションを支持し、より好ましくは、培地は組換えタンパク質を発現する哺乳類細胞の成長及び増殖を支持し、この場合、該培地は、その中への発現可能な核酸の導入後に、組換えタンパク質の産生の目的のために補充、交換、ないしは別の方法で補足される必要がない。
本発明は、本発明の培地及び1つ以上の細胞内に巨大分子を導入するための1つ以上の試薬を含む組成物も提供する。好ましくは、培地は、無血清培地及び/または既知組成培地及び/または無タンパク質もしくは低タンパク質培地及び/または動物由来構成成分を欠く培地である。培地は、1つ以上の交換化合物を含むことができ、好ましくは、トランスフェリンを含有せず、かつ/またはインスリンを含有しない。好ましくは、培地はトランスフェリン試薬を含有し、巨大分子は核酸である。巨大分子はまた、タンパク質及び/またはペプチドであってもよい。一部の実施形態では、トランスフェクション試薬は、1つ以上の脂質を含んでもよく、この1つ以上は、カチオン性脂質であり得る。より好ましくは、試薬は、中性及びカチオン性脂質の混合物を含む。一部の実施形態において、試薬は、単独で、または1つ以上の脂質との混和物で提供され得る1つ以上のペプチド及び/またはタンパク質を含む。
本発明は、本発明の培地及び細胞内に導入される1つ以上の巨大分子を含む組成物も提供する。好ましくは、培地は、無血清培地及び/または既知組成培地及び/または無タンパク質もしくは低タンパク質培地及び/または動物由来構成成分を欠く培地である。培地は、1つ以上の交換化合物を含むことができ、好ましくは、トランスフェリンを含有せず、かつ/またはインスリンを含有しない。巨大分子は、例えば、核酸及び/タンパク質及び/またはペプチドであってもよく、複合体化されなくてもよい、または細胞内への巨大分子の導入のための1つ以上の試薬との複合体の形態であってもよい。好ましくは、巨大分子は核酸であり、1つ以上のトランスフェクション試薬との複合体の形態であり得る。
本発明は、本発明の培地、少なくとも1つの細胞、少なくとも1つの巨大分子、少なくとも1つの細胞内に少なくとも1つの巨大分子を導入するための少なくとも1つの試薬からなる群から選択される、少なくとも1つの構成成分(またはその組み合わせ)を含む組成物も提供する。より好ましくは、細胞は、真核細胞である。より好ましくは、細胞は、哺乳類細胞である。好ましくは、培地は、無血清培地及び/または既知組成培地及び/または無タンパク質もしくは低タンパク質培地及び/または動物由来構成成分を欠く培地である。培地は、1つ以上の交換化合物を含むことができ、好ましくは、トランスフェリンを含有せず、かつ/またはインスリンを含有しない。一部の好ましい実施形態において、試薬はトランスフェクション試薬であり、巨大分子は、核酸、例えば、RNA及び/またはDNAである。あるいは、巨大分子は、タンパク質及び/またはペプチドである。
一部の実施形態において、試薬は、1つ以上の脂質を含んでもよく、この1つ以上は、カチオン性脂質であり得る。より好ましくは、試薬は、中性及びカチオン性脂質の混合物を含む。一部の実施形態において、試薬は、単独で、または1つ以上の脂質との混和物で提供され得る1つ以上のペプチド及び/またはタンパク質を含む。好ましい実施形態において、試薬は、巨大分子と複合体化されて、細胞内に巨大分子を導入する。
本発明は、細胞の培養及びトランスフェクションのための培地を含む少なくとも1つの容器を含む、細胞の培養及びトランスフェクションのためのキットも提供する。かかるキットは、本発明の培地、少なくとも1つの細胞、少なくとも1つの巨大分子、少なくとも1つの細胞内に少なくとも1つの巨大分子を導入するための少なくとも1つの試薬、少なくとも1つの緩衝剤もしくは緩衝塩、及び少なくとも1つの細胞内に少なくとも1つの巨大分子を導入するためのキットを使用するための指示書からなる群から選択される、少なくとも1つの構成成分(またはその組み合わせ)も含み得る。好ましくは、培地は、無血清培地及び/または既知組成培地及び/または無タンパク質もしくは低タンパク質培地及び/または動物由来構成成分を欠く培地である。培地は、1つ以上の交換化合物を含むことができ、好ましくは、トランスフェリンを含有せず、かつ/またはインスリンを含有せず、かつ/または動物成長因子を含有しない。培地は、金属結合化合物であり得る1つ以上の交換化合物を含み得、かつ/または1つ以上の交換化合物を含む1つ以上の錯体を含み得る。一部の実施形態において、培地は1つ以上の錯体を含み得、該錯体は、金属結合化合物であり得る1つ以上の交換化合物と錯体形成された、1つ以上の遷移元素またはその塩もしくはイオンを含む。一部の実施形態において、該培地は、インビトロでの細胞の増殖を支持することができ、その中で培養された細胞のトランスフェクションを可能にする。一部の実施形態において、本発明のキットは、細胞をトランスフェクトするための脂質を含む、少なくとも1つの容器をさらに含み得る。一部の実施形態において、本発明のキットは、核酸を含む、少なくとも1つの容器を含み得る。
本発明の一態様によると、遷移元素は、好ましくは、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルビジウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ランタン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、及びアクチニウム、またはそれらの塩もしくはイオンからなる群から選択され、好ましくは、鉄塩である。好適な鉄塩には、FeCl、Fe(NO)3、もしくはFeSO、またはFe+++もしくはFe++イオンを含有する他の化合物が含まれるが、これらに限定されない。
好ましい交換化合物には、金属結合化合物が含まれるが、これに限定されない。例えば、国際特許出願第PCT/US00/23580号、公開第WO01/16294号を参照されたい。
本発明の金属結合化合物は、遷移元素と相互作用または結合し、細胞によるそれらの取り込みを容易にすることができる任意の巨大分子を含む。かかる相互作用/結合は、共有結合または非共有結合的な性質のものであり得る。本発明のこの態様において使用される金属結合化合物は、好ましくは、ポリオール、ヒドロキシピリジン誘導体、1,3,5−N,N’,N’’−トリス(2,3−ジヒドロキシベンゾイル)アミノ−メチルベンゼン、エチレンジアミン−N,N’−テトラメチレンホスホン酸、トリスクシン(trisuccin)、酸性のサッカライド(例えば、グルコン酸第一鉄)、グリコサミノグリカン、ジエチレントリアミン五酢酸、ニコチン酸−N−オキシド、2−ヒドロキシニコチン酸、1−、2−、または3−置換2,2’−ビピリジン、ヒドロキサメート誘導体(例えば、アセトヒドロキサム酸)、アミノ酸誘導体、デフェロキサミン、フェリオキサミン、鉄塩基性ポルフィン及びその誘導体、DOTA−リジン、テキサフィリン、サフィリン、ポリアミノカルボン酸、α−ヒドロキシカルボン酸、ポリエチレンカルバメート、エチルマルトール、3−ヒドロキシ−2−ピリジン、ならびにIRC011からなる群から選択される。好ましい一実施形態において、金属結合化合物は、ソルビトールまたはデキストランなどのポリオール、特にソルビトールである。関連実施形態において、金属結合化合物は、ヒドロキシピリジン誘導体、例えば、2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド、3−ヒドロキシ−4−ピロン、3−ヒドロキシピピリド−2−オン、3−ヒドロキシピリド−2−オン、3−ヒドロキシピリド−4−オン、1−ヒドロキシピリド−2−オン、1,2−ジメチル−3−ヒドロキシピリド−4−オン、1−メチル−3−ヒドロキシピリド−2−オン、3−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノン、エチルマルトール、またはピリドキサールイソニコチニルヒドラゾンであり、好ましくは、2−ヒドロキシピリジン−N−オキシドである。本発明のこの態様による特に好ましい実施形態において、遷移金属錯体は、ソルビトール−鉄錯体または2−ヒドロキシピリジン−N−オキシド−鉄錯体であり得る。本発明の金属結合化合物は、Ca++及びMg++などの二価のカチオンも結合することができる。
本発明は、金属結合化合物であり得る1つ以上の交換化合物を含み、少なくとも1つのアミノ酸(L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−グルタミン酸、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、またはL−バリン、N−アセチル−システインなど)、少なくとも1つのビタミン(ビオチン、塩化コリン、D−パントテン酸Ca++、葉酸、i−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、またはビタミンB12など)、少なくとも1つの無機塩(カルシウム塩、CuSO、FeSO、Fe(NO、FeCl、KCl、マグネシウム塩、マンガン塩、酢酸ナトリウム、NaCl、NaHCO、NaHPO、Na、SO、セレニウム塩、ケイ素塩、モリブデン塩、バナジウム塩、ニッケル塩、スズ塩、ZnCl、ZnSO、または他の亜鉛塩など)、アデニン、エタノールアミン、D−グルコース、1つ以上のサイトカイン、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、リポ酸、フェノールレッド、ホスホエタノールアミン、プトレシン、ピルビン酸ナトリウム、トリヨードチロニン、PLURONIC F68、及びチミジンからなる成分の群から選択される1つ以上の成分をさらに含む、細胞培養培地に関する。
本発明の培養培地は、任意選択で、1つ以上の緩衝剤を含み得る。好適な緩衝剤には、N−[2−ヒドロキシエチル]−ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸](HEPES)、MOPS、MES、ホスフェート、重炭酸、及び細胞培養用途に使用するのに好適な他の緩衝剤が含まれるが、これらに限定されない。好適な緩衝剤は、培養される細胞に対して実質的な細胞毒性がない緩衝能を提供するものである。好適な緩衝剤の選択は、細胞培養の分野の当業者の範囲内である。
本発明によると、本発明の細胞培養培地の形成に使用するのに好適な培地は、1つ以上の成分を含み得、例えば、アデニン、エタノールアミン、D−グルコース、ヘパリン、緩衝剤、ヒドロコルチゾン、リポ酸、フェノールレッド、ホスホエタノールアミン、プトレシン、ピルビン酸ナトリウム、トリヨードチロニン、チミジン、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−グルタミン酸、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、N−アセチル−システイン、ビオチン、塩化コリン、D−パントテン酸Ca++、葉酸、i−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、ビタミンB12、Pluronic F68、組換えインスリン、カルシウム塩、CuSO、FeSO、FeCl、Fe(NO、KCl、マグネシウム塩、マンガン塩、酢酸ナトリウム、NaCl、NaHCO、NaHPO、NaSO、セレニウム塩、ケイ素塩、モリブデン塩、バナジウム塩、ニッケル塩、スズ塩、ZnCl、ZnSO、または他の亜鉛塩からなる群から選択される1つ以上の成分を組み合わせることによって得ることができ、各成分は、インビトロでの細胞の増殖を支持する量で添加される。
本発明は、エタノールアミン、D−グルコース、HEPES、インスリン、リノール酸、リポ酸、フェノールレッド、PLURONIC F68、プトレシン、ピルビン酸ナトリウム、トランスフェリン、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸、L−システイン、L−グルタミン酸、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、ビオチン、塩化コリン、D−パントテン酸Ca++、葉酸、i−イノシトール、ナイアシンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、ビタミンB12、1つ以上のカルシウム塩、Fe(NO、KCl、1つ以上のマグネシウム塩、1つ以上のマンガン塩、NaCl、NaHCO、NaHPO、NaSO、1つ以上のセレニウム塩、1つ以上のバナジウム塩、及び1つ以上の亜鉛塩から選択される成分を含む細胞培養培地も対象とし、各成分は、インビトロでの哺乳類上皮細胞の浮遊増殖を支持する量で存在する。本発明は、任意選択で、1つ以上のサイトカイン、ヘパリン、1つ以上の動物ペプチド、1つ以上の酵母ペプチド、及び1つ以上の植物ペプチド(最も好ましくは、コメ、アロエベラ、ダイズ、トウモロコシ、コムギ、マメ、カボチャ、ホウレンソウ、ニンジン、ジャガイモ、サツマイモ、タピオカ、アボカド、オオムギ、ココナツ、及び/もしくはインゲン、ならびに/または1つ以上の他の植物のうちの1つ以上)からなる群から選択される、1つ以上の補足物をさらに含み得るかかる培地も対象とし、例えば、WO98/15614として公開されている国際出願第PCT/US97/18255号を参照されたい。
本発明によって提供される培地は、無タンパク質であってもよく、1×製剤であるか、または例えば、10×、20×、25×、50×、10×、500×、または1000×培地製剤として濃縮され得る。
本発明の培地は、異なる形態、例えば、乾燥粉末撥(「DPM」)、粒状調製物(水の添加を必要とするが、pHの調整などの他の加工を必要としない)、液体培地、または培地濃縮物としても調製され得る。
単に維持には有用であるが、成長または産物の産生には有用ではない基礎培地は、アミノ酸、ビタミン、有機及び無機塩、糖、ならびに他の構成成分を含む、いくつかの成分を含み得、各成分は、インビトロでの哺乳類上皮細胞の増殖を支持する量で存在する。
本発明の培地、方法、キット、及び組成物において、培地は様々な細胞を培養するために使用することができる。好ましくは、培地は真核細胞を培養するために使用される。より好ましくは、培地は、植物及び/または動物細胞を培養するために使用される。より好ましくは、培地は、哺乳類細胞、魚細胞、昆虫細胞、両生類細胞、または鳥類細胞を培養するために使用される。より好ましくは、培地は哺乳類細胞を培養するために使用される。より好ましくは、培地は、一次上皮細胞(例えば、ケラチノサイト、子宮頚部上皮細胞、気管支上皮細胞、気管上皮細胞、腎臓上皮細胞、及び網膜上皮細胞)、ならびに樹立細胞系及びそれらの株(例えば、293胚性腎臓細胞、BHK細胞、HeLa子宮頚部上皮細胞、及びPER−C6網膜細胞、MDBK(NBL−1)細胞、911細胞、CRFK細胞、MDCK細胞、CapT細胞、CHO細胞、BeWo細胞、Chang細胞、Detroit 562細胞、HeLa 229細胞、HeLa S3細胞、Hep−2細胞、KB細胞、LS180細胞、LS174T細胞、NCI−H−548細胞、RPMI 2650細胞、SW−13細胞、T24細胞、WI−28 VA13、2RA細胞、WISH細胞、BS−C−I細胞、LLC−MK細胞、Clone M−3細胞、1−10細胞、RAG細胞、TCMK−1細胞、Y−1細胞、LLC−PK細胞、PK(15)細胞、GH細胞、GH細胞、L2細胞、LLC−RC 256細胞、MH細胞、XC細胞、MDOK細胞、VSW細胞、及びTH−I、B1細胞、またはこれらの誘導体)、任意の組織もしくは臓器からの線維芽細胞(心臓、肝臓、腎臓、結腸、腸、食道、胃、神経組織(脳、脊髄)、肺、血管組織(動脈、静脈、毛細血管)、リンパ組織(リンパ腺、咽頭扁桃、扁桃腺、骨髄、及び血液)、脾臓、ならびに線維芽細胞及び繊維芽細胞様細胞系(例えば、CHO細胞、TRG−2細胞、IMR−33細胞、Don細胞、GHK−21細胞、シトルリン血症細胞、Dempsey細胞、Detroit 551細胞、Detroit 510細胞、Detroit 525細胞、Detroit 529細胞、Detroit 532細胞、Detroit 539細胞、Detroit 548細胞、Detroit 573細胞、HEL 299細胞、IMR−90細胞、MRC−5細胞、WI−38細胞、WI−26細胞、MiCl細胞、CHO細胞、CV−1細胞、COS−1細胞、COS−3細胞、COS−7細胞、Vero細胞、DBS−FrhL−2細胞、BALB/3T3細胞、F9細胞、SV−T2細胞、M−MSV−BALB/3T3細胞、K−BALB細胞、BLO−11細胞、NOR−10細胞、CH/IOTI/2細胞、HSDM細胞、KLN細胞、McCoy細胞、Mouse L細胞、Strain 2071(マウスL)細胞、L−M株(マウスL)細胞、L−MTK(マウスL)細胞、NCTCクローン2472及び2555、SCC−PSA1細胞、Swiss/3T3細胞、インドホエジカ細胞、SIRC細胞、CII細胞、ならびにJensen細胞、またはこれらの誘導体を含むが、これらに限定されない)を含む、哺乳類細胞を培養するために使用され得る。最も好ましくは、培地は、哺乳類CHO細胞、CHO−S細胞もしくはこれらの誘導体、PER−C6細胞もしくはその誘導体、CHO細胞もしくはその誘導体、CapT細胞もしくはその誘導体、COS−7L細胞もしくはその誘導体、及びSp2/0細胞もしくはその誘導体、または上に定義される高細胞密度で培養することができる任意の他の浮遊細胞系もしくは誘導体を培養するために使用される。より好ましくは、培地は、本発明の基礎を形成する高密度成長培地における最適な成長に特に適応したCHO細胞、CHO−S細胞もしくはその誘導体を培養するために使用される。一部の好ましい実施形態において、高密度成長培地は、浮遊状態で細胞を培養するために使用される。
本発明の培地によって支持される細胞は、任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはマウスまたはヒトに由来し得る。本培地中で増殖された細胞は、正常な細胞または異常な細胞(すなわち、形質転換された細胞、樹立細胞、または患部組織試料由来の細胞)であり得る。
本発明は、(a)細胞を本発明の細胞培養培地と接触させることと、(b)細胞の増殖を支持するのに好適な条件下で細胞を培養することと、を含む、本明細書に開示される培養培地製剤を使用して哺乳類上皮または線維芽細胞を増殖する方法も提供する。一部の実施形態において、本発明の方法は、任意選択で、細胞のうちの1つ以上への巨大分子のうちの1つ以上の導入を引き起こす条件下で、培養された細胞を、1つ以上の巨大分子を含む溶液(好ましくは、1つ以上の核酸を含む)と接触させるステップを含み得る。好ましくは、これらの方法により増殖された細胞(上述の細胞のうちのいずれかを含み得る)は、浮遊状態で増殖される。
一部の態様において、一過性トランスフェクション及び組換えタンパク質系は、約1×10〜約20×10細胞/mlの範囲、より好ましくは約2×10〜約6×10細胞/mlの範囲の密度の培養された哺乳類細胞の成長及び伝播に好適な高密度培養培地を含み得る。任意の培養培地が本発明の実施において使用され得るが、但し、用いられる培養培地が、約80%を上回る該細胞の生存率を維持し、さらに該浮遊細胞が効率的にトランスフェクトされ、高量の組換えタンパク質を発現する能力を維持しながら、最大約2×10細胞/mlの密度で、哺乳類細胞、好ましくは浮遊状態で成長する細胞の成長を持続することができることを条件とする。本発明の実施において使用される高密度培養培地は、異なる用途及び使用間で異なる場合があり、使用される細胞系の性質、一過的に発現される所望のタンパク質、発現ベクターの細胞内への移動のために選択されたトランスフェクションモダリティの性質、ならびに以下に記載される系に添加される任意の発現エンハンサーの量及び性質に依存し得る。それにもかかわらず、本一過性発現系及び方法に使用するのに想定される好ましい高密度培養培地は、典型的には、無血清、無タンパク質であり、浮遊細胞を最大約2×10細胞/ml、より典型的には約2×10細胞/ml〜約1×10細胞/mlの密度に増殖及び成長させることを可能にし、さらに一過性発現系において産生されたタンパク質の収量が細胞培養の少なくとも200μg/mLから細胞培養の最大2mg/mL、より典型的には細胞培養の約500μg/ml〜細胞培養の約1mg/mLを超えることを可能にする。理想的には、本発明により使用される高密度培養培地は、約1×10〜約20×10細胞/ml、約2×10〜約2×10細胞/ml、または約2.5×10〜約6×10細胞/mlの範囲の密度の細胞のトランスフェクションを容易にする。
本発明の実施に好適な特に好ましい高密度成長培地は、各化学種及びそのそれぞれの量が細胞を培養する際のその使用前に既知である、既知組成培地であり得る。選択された既知組成培地は、任意選択で、その化学種が分からない、及び/もしくは定量化されていない可溶化液または加水分解物なしで作製される。
本発明の一部の態様において、本発明の実施に特に好適な種類の培地は、例えば、ウシ胎仔血清(FBS)、子ウシ血清、ウマ血清、ヤギ血清、ヒト血清などを完全に含まない、無血清培地(時折「SFM培地」と称される)である。当業者によく知られている例示的だが非限定的な無血清培地は、ExpiCHO発現培地、HuMEC基礎無血清培地、KNOCKOUT(商標)CTS(商標)XenoFREE ESC/iPSC培地、STEMPRO(商標)−34 SFM培地、STEMPRO(商標)NSC培地、ESSENTIAL(商標)−8培地、培地254、培地,106、培地,131、培地,154、培地,171、培地171、培地200、培地231、HeptoZYME−SFM、ヒト内皮−SFM、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)293発現培地、EXPICHO(商標)発現培地、培地154CF/PRF、培地154C、培地154 CF、培地106、培地200PRF、培地131、Essential(商標)−6培地、STEMPRO(商標)−34培地、Gibco(登録商標)アストロサイト培地、AIM V(登録商標)培地CTS(商標)、AMINOMAX(商標)C−100基礎培地、AMINOMAX(商標)−II完全培地、CD FORTICHO(商標)培地、CD CHO AGT培地、CHO−S−SFM培地、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)CHO発現培地、CD OPTICHO(商標)培地、CD CHO培地、CD DG44培地、SF−900(商標)培地、EXPI293成長標)発現培地、LHC基礎培地、LHC−8培地、293 SFM培地、CD 293培地、AEM成長培地、PER C6(登録商標)細胞培地、AIM V(登録商標)培地、EXPILIFE(登録商標)培地、ケラチノサイト−SFM培地、LHC培地、LHC−8培地、LHC−9培地、それらの任意の派生物または修正物を含む。
本発明の一部の態様において、本発明の実施に特に適した種類の培地は、タンパク質を完全に含まない(例えば、血清アルブミンもしくは接着因子などの無血清タンパク質、成長因子などの栄養タンパク質、またはトランスフェリンなどの金属イオンキャリアタンパク質、セルロプラスミンなど)、無タンパク質培地(時折「PFM培地」と称される)である。好ましくは、ペプチドが存在する場合、ペプチドは小さいペプチド、例えば、ジまたはトリペプチドである。好ましくは、デカペプチド長またはそれ以上のペプチドは、無タンパク質培地中に存在するアミノ酸の約1%未満、より好ましくは約0.1%未満、さらにより好ましくは約0.01%未満である。
理想的には、本発明との使用に想定される無血清培地及び無タンパク質培地の両方はさらに、あらゆる動物由来材料、または組換え動物DNAまたは組換え動物タンパク質DNAを含む、全体または一部において動物源に由来するあらゆる材料を含まない。
本発明の実施において使用するのに好適な例示的な高密度培養培地は、ExpiCHO(商標)発現培地、HuMEC基礎無血清培地、KNOCKOUT(商標)CTS(商標)XenoFREE ESC/iPSC培地、STEMPRO(商標)−34 SFM培地、STEMPRO(商標)NSC培地、ESSENTIAL(商標)−8培地、培地254、培地,106、培地,131、培地,154、培地,171、培地171、培地200、培地231、HeptoZYME−SFM、ヒト内皮−SFM、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)293発現培地、培地154CF/PRF、培地154C、培地154 CF、培地106、培地200PRF、培地131、Essential(商標)−6培地、STEMPRO(商標)−34培地、Gibco(登録商標)アストロサイト培地、AIM V(登録商標)培地CTS(商標)、AMINOMAX(商標)C−100基礎培地、AMINOMAX(商標)−II完全培地、CD FORTICHO(商標)培地、CD CHO AGT培地、CHO−S−SFM培地、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)CHO発現培地、CD OPTICHO(商標)培地、CD CHO培地、CD DG44培地、SF−900(商標)培地、LHC基礎培地、LHC−8培地、293 SFM培地、CD 293培地、AEM成長培地、PER.C6(登録商標)細胞培地、AIM V(登録商標)培地、EXPILIFE(登録商標)培地、Keratinocyte−SFM培地、LHC培地、LHC−8培地、LHC−9培地、及びそれらの任意の派生物または修正物を含むが、これらに限定されない。ある特定の好ましいが非限定的な実施形態において、高密度培養培地は、CD FORTICHO(商標)培地、CD CHO AGT培地、CHO−S−SFM培地、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)CHO発現培地、CD OPTICHO(商標)培地、CD CHO培地、CD DG44培地、GIBCO(登録商標)FREESTYLE(商標)293発現培地、EXPI293(商標)発現培地、もしくは同様の培地、またはそれらの修飾形態であってもよい。上記に列記される例示的な高密度培養培地は、CHO細胞、CHO細胞変異型、または高密度培養系における使用に適応した任意の他のCHO細胞の高密度成長、伝播、トランスフェクション、及び維持に特に好適であり得る。任意選択で、ユーザは、本明細書に記載される特性を有する新しい培養培地を製剤化しようとしてもよい、または代わりに、既存の培養培地を再製剤化もしくは修正することを選択してもよい。
一部の態様において、高密度成長培地は、リストから選択され得る。かかる培地には、ExpiCHO(商標)発現培地、CD FORTICHO(商標)培地、Expi293(商標)発現培地、ExiCHO(商標)発現培地、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地(MEM)、基礎培地イーグル(BME)、RPMI−1640、ハムF−10、ハムF−12、α−最小必須培地(α−MEM)、グラスゴー最小必須培地(G−MEM)、及びイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)が含まれるが、これらに限定されない。市販されている(例えば、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から)、またはさもなければ当該技術分野において既知である他の培地が本発明により等しく使用され得、これには、293 SFM、CD−CHO培地、VP SFM、BGJb培地、Brinster’s BMOC−3培地、細胞培養凍結培地、CMRL培地、EHAA培地、eRDF培地、Fischer’s培地、Gamborg’s B−5培地、GLUTAMAX(商標)補足培地、Grace’s昆虫細胞培地、HEPES緩衝培地、Richter’s改変MEM、IPL−41昆虫細胞培地、Leibovitz’s L−15培地、McCoy’s 5A培地、MCDB 131培地、培地199、改変イーグル培地(MEM)、培地NCTC−109、Schneider’s Drosophila培地、TC−100昆虫培地、Waymouth’s MB 752/1培地、William’s培地E、無タンパク質ハイブリドーマ培地II(PFHM II)、AIM V培地、ケラチノサイトSFM、規定ケラチノサイトSFM、STEMPRO(登録商標)SFM、STEMPRO(登録商標)完全メチルセルロース培地、HepatoZYME−SFM、Neurobasal(商標)培地、Neurobasal−A培地、Hibernate(商標)A培地、Hibernate E培地、Endothelial SFM、ヒト内皮SFM、ハイブリドーマSFM、PFHM II、Sf 900培地、Sf 900 TI SFM、EXPRESS FIVE(登録商標)培地、CHO−S−SFM、AMINOMAX−II完全培地、AMINOMAX−C100完全培地、AMINOMAX−C 100基礎培地、PB−MAX(商標)核型培地、KARYOMAX骨髄核型培地、KNOCKOUT D−MEM、及びCO非依存培地が含まれるが、これらに限定されない。上記の培地は、JRH、Sigma、HyClone、及びBioWhittakerなどの当業者に既知の製造業者から得られる。本発明の実施において使用するのに好適な培地のさらなる例は、米国特許第5,135,866号及び同第5,232,848号、ならびに国際公開第WO88/02774号、同第WO98/15614号、同第WO98/08934号、及び欧州特許第0282942号に見出すことができ、それらの全体が参照により本明細書に具体的に組み込まれる。任意選択で、ユーザは、本明細書に記載される特性を有する新しい培養培地を製剤化しようとしてもよい、または代わりに、既存の培養培地を再製剤化もしくは修正することを選択してもよい。
本発明はさらに、任意選択で1つ以上の哺乳類上皮もしくは線維芽細胞、例えば上述のものなど、特に、1つ以上のCHO細胞、CHO−S細胞、またはそれらの任意の誘導体、例えば、CHO−S−2H2細胞もしくはExiCHO−S(商標)細胞などをさらに含み得る、本発明の培養培地を含む組成物を提供する。
本発明の一部の態様において、本発明の高収量一過性トランスフェクション系は、それらの生存、効率的にトランスフェクトされる能力、または高レベルの組換えタンパク質を発現する能力を実質的に失うことなく、高密度条件下で成長するように適応しているか、または適応した、1つ以上の細胞または細胞系を含み得る。好ましくは、細胞は、約1×10〜約20×10細胞/mlの範囲、より好ましくは約2×10〜約6×10細胞/mlの範囲の密度の培養された哺乳類細胞の本発明の成長及び伝播の使用に好適な細胞系である。任意の細胞系が限定されることなく使用され得るが、但し、細胞系は、上に定義される高密度条件下で成長することができ、一方で、約80%を上回る高密度でそれらの生存率を維持し、高効率でトランスフェクトし、培養の最大約2g/Lレベルで組換えタンパク質を発現するそれらの能力を保持する。かかる細胞系の特定は、十分に当業者の範囲内であり、かかる当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明における使用に好適な細胞系を特定することができる。高密度培養に適応した細胞は、約80%またはそれを上回る細胞生存率を維持しながら、高密度培養培地において高密度で成長するように適応した細胞系列または同じ親細胞系列由来の(非クローン)細胞集団であってもよい。かかる細胞は、>40、>50、>60、>70、または>80連続継代にわたって高密度で細胞を維持し、成長培地の比率を所望の高密度培養培地に徐々に交換することによって、細胞の親集団から単離されるか、または選別され得る。任意選択で、プロセス中、高密度で持続され成長し、高効率でトランスフェクトされ、高レベルの所望の組換えタンパク質を発現することができる細胞の非クローン集団が選択され得るように、異なるプールの細胞は個々に伝播され、トランスフェクション効率及びまたはタンパク質発現効率を同時に評価しながら選択手順を経ることができる。様々な細胞型及び系列がこの選択手順を経ることができることは当業者には容易に明らかであろうが、CHO細胞由来の細胞系列が高密度成長条件に適応するための選択プロセスに特に適していることが決定された。理想的には、高密度成長培養に適応し、本発明の使用に適している細胞は、高効率でトランスフェクトされることもでき、かつ/または細胞培養の少なくとも200約μg/mLから細胞培養の最大約2mg/mL、より典型的には約500μg/mlの細胞培養〜細胞培養の約1mg/mLを超える収量で組換えタンパク質を発現することもできる。理想的には、本発明により使用される高密度培養に適応した細胞は、約1×10〜約20×10細胞/ml、約2×10〜約25×10細胞/ml、または約2.5×10〜約50×10細胞/mlの範囲の密度で持続及びトランスフェクトされることができる。
非限定的な例として、本明細書に記載される実施形態による高密度培養に適応し得る細胞または細胞系には、培養された真核細胞、より好ましくは培養された植物及び/または動物細胞、より好ましくは培養された哺乳類細胞、魚細胞、昆虫細胞、両生類細胞、または鳥類細胞などの細胞が含まれ得る。ある特定の好ましいが非限定的な実施形態において、本明細書に記載される実施形態による高密度培養に適応し得る細胞または細胞系には、一次上皮細胞(例えば、ケラチノサイト、子宮頚部上皮細胞、気管支上皮細胞、気管上皮細胞、腎臓上皮細胞、及び網膜上皮細胞)、ならびに樹立細胞系及びそれらの株(例えば、293胚性腎臓細胞、BHK細胞、HeLa子宮頚部上皮細胞、及びPER−C6網膜細胞、MDBK(NBL−1)細胞、911細胞、CRFK細胞、MDCK細胞、CapT細胞、CHO細胞、BeWo細胞、Chang細胞、Detroit 562細胞、HeLa 229細胞、HeLa S3細胞、Hep−2細胞、KB細胞、LS180細胞、LS174T細胞、NCI−H−548細胞、RPMI 2650細胞、SW−13細胞、T24細胞、WI−28 VA13、2RA細胞、WISH細胞、BS−C−I細胞、LLC−MK細胞、Clone M−3細胞、1−10細胞、RAG細胞、TCMK−1細胞、Y−1細胞、LLC−PK細胞、PK(15)細胞、GH1細胞、GH細胞、L2細胞、LLC−RC 256細胞、MH細胞、XC細胞、MDOK細胞、VSW細胞、及びTH−I、B1細胞、またはこれらの誘導体)、任意の組織もしくは臓器からの線維芽細胞(心臓、肝臓、腎臓、結腸、腸、食道、胃、神経組織(脳、脊髄)、肺、血管組織(動脈、静脈、毛細血管)、リンパ組織(リンパ腺、咽頭扁桃、扁桃腺、骨髄、及び血液)、脾臓、ならびに線維芽細胞及び繊維芽細胞様細胞系(例えば、CHO細胞(CHO−S細胞を含む)、TRG−2細胞、IMR−33細胞、Don細胞、GHK−21細胞、シトルリン血症細胞、Dempsey細胞、Detroit 551細胞、Detroit 510細胞、Detroit 525細胞、Detroit 529細胞、Detroit 532細胞、Detroit 539細胞、Detroit 548細胞、Detroit 573細胞、HEL 299細胞、IMR−90細胞、MRC−5細胞、WI−38細胞、WI−26細胞、MiCl細胞、CV−1細胞、COS−1細胞、COS−3細胞、COS−7細胞、Vero細胞、DBS−FrhL−2細胞、BALB/3T3細胞、F9細胞、SV−T2細胞、M−MSV−BALB/3T3細胞、K−BALB細胞、BLO−11細胞、NOR−10細胞、CH/IOTI/2細胞、HSDM細胞、KLN細胞、McCoy細胞、Mouse L細胞、Strain 2071(マウスL)細胞、L−M株(マウスL)細胞、L−MTK(マウスL)細胞、NCTCクローン2472及び2555、SCC−PSA1細胞、Swiss/3T3細胞、インドホエジカ細胞、SIRC細胞、CII細胞、ならびにJensen細胞、またはこれらの誘導体を含むがこれらに限定されない)を含む、培養哺乳類細胞が含まれ得る。最も好ましくは、培地は、293細胞、293 F細胞、もしくはこれらの誘導体、PER−C6細胞もしくはその誘導体、CHO細胞もしくはその誘導体(CHO−S細胞、浮遊CHO細胞、CHO−S−2H2細胞、ExpiCHO−S(商標)細胞を含む)、CapT細胞もしくはその誘導体、COS−7L細胞もしくはその誘導体、及びSp2/0細胞もしくはその誘導体、または上に定義される高細胞密度で培養することができる任意の他の浮遊細胞系もしくは誘導体からなる群から選択される哺乳類細胞を培養するために使用される。より好ましくは、培地は、本発明の基礎を形成する細胞培養培地における最適な成長に特に適応した細胞系である、CHO細胞もしくはその誘導体(CHO−S細胞、浮遊CHO細胞、CHO−S−2H2細胞、ExpiCHO−S(商標)細胞を含む)を培養するために使用される。本発明の一部の好ましいが非限定的な態様において、高密度培養に使用するのに適応した細胞は、浮遊細胞、または浮遊状態で成長するように適応した接着細胞である。
本発明の培地によって支持される細胞は、任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはマウスまたはヒトに由来し得る。本培地中で増殖された細胞は、正常な細胞または異常な細胞(すなわち、形質転換された細胞、樹立細胞、または患部組織試料由来の細胞)であり得る。
本明細書に記載される実施形態により培養された高密度に適応した細胞は、任意選択で、1つ以上の発現増強タンパク質を発現し得る。本明細書に使用される「発現増強タンパク質」という用語は、細胞によって発現された任意のタンパク質を指し、タンパク質の発現は、組換えタンパク質の発現を増強する。細胞系または細胞の集団による発現増強タンパク質の発現は、本実施形態の目的のため、安定しているか、または一過性であり得る。様々なかかる発現増強タンパク質が当該技術分野において既知であり、例えば、PKBa、Bcl−x、P21、P18、AKTなどのタンパク質を含み得る。本発明の一部の態様において、本発明の高収量一過性トランスフェクション系は、対象の組換えタンパク質を一過的に発現するための、1つ以上の発現ベクターを含み得る。発現ベクターは、発現可能な核酸(例えば、最適化された対照タンパク質と比較したときに発現効率を評価するための陽性対照など)を既に含有して提供され得るか、ないしは別の方法で、発現ベクターは、対象のタンパク質が組換えにより及び高効率で細胞において発現され得るように、ユーザが対象のタンパク質のオープンリーディングフレームを含有する発現可能な核酸を容易に挿入できる形態で提供され得る。
対象のタンパク質の組換え産生に関して、タンパク質をコードする発現可能な核酸は単離され、さらなるクローニング(DNAの増幅)または発現のために複製可能なベクター内に挿入される。タンパク質をコードするDNAは容易に単離され、従来の手順(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)を使用して配列決定され得る。多くのベクターが利用可能である。ベクター構成成分は、一般的に、以下のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない:シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサー要素、プロモーター、及び転写終結配列。
a)シグナル配列構成成分
対象のタンパク質は、直接的だけでなく、好ましくはシグナル配列、または成熟タンパク質もしくはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種ポリペプチドとの融合ポリペプチドとして、組換えにより産生され得る。選択された異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞によって認識及び処理される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。哺乳類細胞発現において、哺乳類シグナル配列ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。
b)複製起点
発現ベクター及びクローニングベクターの両方は、1つ以上の選択された宿主細胞においてベクターが複製することができる核酸配列を含有する。一般的に、クローニングベクターにおいて、この配列は、ベクターが宿主染色体DNAと関係なく複製することができるものであり、複製起点または自律複製配列を含む。かかる配置は、様々な細菌、酵母、及びウイルスに関して周知である。プラスミドpBR322からの複製起点は大半のグラム陰性細菌に好適であり、2μプラスミド起源は酵母に好適であり、種々のウイルス起源(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV、またはBPV)は哺乳類細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般的に、複製起点構成成分は、哺乳類発現ベクターに必要ではない(SV40起源は、典型的には、単に初期プロモーターを含有するため、使用され得る)。
c)遺伝子構成成分の選択
発現ベクター及びクローニングベクターは、選択可能マーカーとも称される、選択遺伝子を含有し得る。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、もしくはテトラサイクリンへの耐性を付与する、(b)栄養要求欠損を補完する、あるいは(c)複合培地から入手不可能な重要な栄養素、例えば、BacilliのためにD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子を供給するタンパク質をコードする。
選択スキームの一例は、宿主細胞の成長を停止させる薬物を利用する。異種遺伝子でうまく形質転換されるそれらの細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を産生するため、選択レジメンを生き残る。かかる優性選択の例は、ネオマイシン、ミコフェノール酸、及びハイグロマイシンの薬物を使用する。
哺乳類細胞に好適な選択可能マーカーの別の例は、抗体コード核酸、例えば、DHFR、グルタミンシンテターゼ(GS)、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン−I及び−II、好ましくは霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼなどを取り込む細胞構成成分の特定を可能にするものである。
例えば、DHFR遺伝子で形質転換された細胞は、DHFRの競合アンタゴニストであるメトトレキサート(Mtx)を含有する培養培地中で形質転換体を培養することにより特定される。これらの条件下で、DHFR遺伝子は、任意の他の共形質転換核酸と共に増幅される。内因性DHFR活性(例えば、ATCC CRL−9096)におけるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系欠損が使用され得る。
あるいは、GS遺伝子で形質転換された細胞は、GSの阻害剤であるL−メチオニンスルホキシイミン(Msx)を含有する培養培地中で形質転換体を培養することにより特定される。これらの条件下で、GS遺伝子は、任意の他の共形質転換核酸と共に増幅される。GS選択/増幅系は、上述のDHFR選択/増幅系と組み合わせて使用され得る。
あるいは、対象の抗体、野生型DHFR遺伝子、及び別の選択可能マーカー(アミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼ(APH)など)をコードするDNA配列で形質転換または共形質転換された宿主細胞(特に、内因性DHFRを含有する野生型宿主)は、アミノグリコシド系抗生物質、例えば、カナマイシン、ネオマイシン、またはG418などの選択可能マーカー用の選択剤を含有する培地中での細胞成長によって選択され得る。米国特許第4,965,199号を参照されたい。
酵母において使用するのに好適な選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcomb et al.,Nature,282:39(1979))。trp1遺伝子は、トリプトファン中で成長する能力を欠く酵母の突然変異株、例えば、ATCC番号44076またはPEP4−1のための選択マーカーを提供する。Jones,Genetics,85:12(1977)。次いで、酵母宿主細胞ゲノム中のtrp1損傷の存在は、トリプトファンの不在下での成長により形質転換を検出するための効果的な環境を提供する。同様に、Leu2−欠損酵母株(ATCC 20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を保有する既知のプラスミドにより補完される。
加えて、1.6μm環状プラスミドpKD1由来のベクターは、Kluyveromyces酵母の形質転換のために使用され得る。あるいは、組換え子ウシキモシンの大規模な産生のための発現系がK.lactisに関して報告された。Van den Berg,Bio/Technology,8:135(1990)。Kluyveromycesの工業用株による成熟組換えヒト血清アルブミンの分泌のための安定した多コピー発現ベクターも開示されている。Fleer et al.,Bio/Technology,9:968−975(1991)。
d)プロモーター構成成分
発現ベクター及びクローニングベクターは、一般的に、宿主生物によって認識され、対象のタンパク質をコードする核酸に作動可能に連結されるプロモーターを含有する。様々なプロモーター配列が真核生物に関して知られている。実質的に、全ての真核遺伝子は転写が開始される部位からおよそ25〜30塩基上流に位置するAT豊富領域を有する。多くの遺伝子の転写の開始から70〜80塩基上流に見られる別の配列は、Nが任意のヌクレオチドである、CNCAAT領域である。大半の真核遺伝子の3’では、コード配列の3’端へのポリA尾部の付加のためのシグナルであり得る、AATAAA配列である。これらの配列の全ては、真核発現ベクターに好適に挿入される。
哺乳類宿主細胞におけるベクターからのタンパク質転写は、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、サルウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから、または異種哺乳類プロモーター、例えば、アクチンプロモーターもしくはイムノグロブリンプロモーターから、熱ショックプロモーターから得られるプロモーターによって制御され得るが、但し、かかるプロモーターは、宿主細胞系と適合性があることを条件とする。
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターは、便宜的に、SV40ウイルスの複製起点も含有するSV40制限断片として得られる。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは、便宜的に、HindIII E制限断片として得られる。ベクターとしてウシパピローマウイルスを使用する哺乳類宿主においてDNAを発現するための系は、米国特許第4,419,446号に開示されている。この系の変形例は、米国特許第4,601,978号に記載されている。単純ヘルペスウイルスからのチミジンキナーゼプロモーターの制御下のマウス細胞におけるヒトβ−インターフェロンcDNAの発現に関して、Reyes et al.,Nature 297:598−601(1982)も参照されたい。あるいは、ラウス肉腫ウイルス末端反復がプロモーターとして使用されてもよい。
e)エンハンサー要素構成成分
高等真核生物による本発明による対象のタンパク質をコードするDNAの転写は、エンハンサー配列をベクターに挿入することにより増加または増強されることが多い。現在、哺乳類遺伝子からの多くのエンハンサー配列が知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−胎児タンパク質、及びインスリン)。排他的ではないが、多くの場合、真核細胞ウイルスからのエンハンサーを使用する。例としては、複製起点の後期側(bp100〜270)のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。真核プロモーターの活性化のための増強要素に関して、Yaniv,Nature 297:17−18(1982)も参照されたい。エンハンサーは、抗体コード配列の位置5’または3’でベクター内にスプライスされ得るが、好ましくは、プロモーターから部位5’に位置する。さらなるエンハンサーが当該技術分野において既知であり、例えば、哺乳離もしくはウイルス遺伝子から得られる、またはそれに由来するエンハンサーを含み得る。本明細書における使用に想定される1つの特に好ましいエンハンサーは、ウッドチャック肝炎転写後調節要素(WPRE)である。
f)転写終結構成成分
真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、または他の多細胞生物からの有核細胞)において使用される発現ベクターは、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列も含有する。かかる配列は、通常、真核またはウイルスDNAもしくはcDNAの非翻訳領域である、5’及び時折3’から得ることができる。これらの領域は、mRNAコード抗体の非翻訳部分においてポリアデニル化断片として転写されたヌクレオチドセグメントを含有する。1つの有用な転写終結構成成分は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。WO94/11026及び本明細書に開示される発現ベクターを参照されたい。
一部の態様において、本発明の実施に十分に適している発現ベクターは、当該技術分野において使用される周知のベクターのうちのいずれか、例えば、pCDNA 3.3またはその修飾形態などであり得る。本発明の実施において好適であり得るベクターに対する修飾の種類の非限定的な例としては、1つ以上のエンハンサー、1つ以上のプロモーター、1つ以上のリボソーム結合部位、1つ以上の複製起点など、修飾の付加などの修飾が挙げられるがこれらに限定されない。ある特定の好ましいが非限定的である実施形態において、本発明の実施において使用される発現ベクターには、本一過性発現系における対象のタンパク質の発現を改善するように選択される、1つ以上のエンハンサー要素を挙げることができる。選択されたエンハンサー要素は、対象のタンパク質を発現するのに使用される発現可能な核酸配列の5’または3’に位置付けられ得る。特に好ましいが非限定的なエンハンサー要素は、ウッドチャック肝炎転写後調節要素(WPRE)である。
1つの好ましいが非限定的な実施形態において、ここに記載される発明により使用される発現ベクターは、pcDNAベクター、または具体的にはpcDNA 3.3ベクター、より具体的にはpcDNA 3.3ベクターの変異型であり得る。ベクターは、任意選択で、増強されたプロモーター、例えば、及び増強されたCMVプロモーターなどを含み得る。任意選択で、ベクターは、アデノT+M領域、任意選択でSV40ori部位、任意選択でSV40スプライスドナー/アクセプター部位、または任意選択でウッドチャック肝炎転写後調節要素(WPRE)を含み得る。
本発明の一部の態様において、本発明の高収量一過性トランスフェクション系は、1つ以上の発現エンハンサーを含み得る。発現エンハンサーは、一過性発現系における組換えタンパク質の発現を増加させる1つ以上の化合物を含有する水溶液であり得る。様々な発現エンハンサーが当該技術分野において既知であり、任意の1つ以上が限定されることなく本発明の実施において使用され得る。
一般的に、1つ以上のトランスフェクションエンハンサーは、タンパク質発現細胞の集団と、該細胞が発現可能な核酸または発現ベクターでトランスフェクトされる間、またはその後に接触させられる。2つ以上の発現エンハンサーが使用されるとき、各発現エンハンサーは、実質的に同時に細胞と接触させられ得るか、ないしは別の方法で、発現エンハンサーは、連続して、任意選択で細胞の第1の発現エンハンサーとの接触と、細胞の第2の発現エンハンサーとの接触との間の一定期間が経過した後にタンパク質発現細胞と接触させられる。
当業者は、任意の数の発現エンハンサーが限定されることなく本発明の実施において使用され得、何が本実施形態において使用するのに好適な発現エンハンサーを構成するかの特定は十分にかかる当業者の範囲内であることを容易に理解する一方で、様々な例示的であるが非限定的な発現エンハンサーが以下に記載されるが、その記述は、本発明の実施における使用に想定され得る好適な発現の範囲を限定しないことを理解されたい。
一部の態様において、1つ以上の発現エンハンサーは、ここに記載される実施形態による培養培地製剤を補足するために使用される液体(好ましくは水性)添加物を含み得、該添加物は、ここに記載される実施形態による一過性タンパク質発現系において産生される発現されたタンパク質の収量を改善するように選択される。1つ以上の発現エンハンサーは、細胞周期の進行に影響を与え、アポトーシスを阻害し、細胞成長を遅らせ、かつ/またはタンパク質産生を促進するいくつかの化合物のうちの1つ以上を含み得る。本発明の文脈において、「発現エンハンサー」という用語は、一般的に、一過性トランスフェクション系に添加される任意の1つ以上の化合物を指し、その存在は、標的タンパク質の発現を、かかる発現エンハンサー(複数可)の不在下において見られる発現レベルを少なくとも2倍から最大約10倍を超える率で増強または促進する。ここに記載される実施形態と共に使用するのに好適な例示的な発現エンハンサーは、限定されないが、バルプロ酸(VPA酸及びナトリウム塩)、プロピオン酸ナトリウム、酢酸リチウム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ガラクトースを含む糖、アミノ酸混合物、もしくは酪酸、または前述の任意の組み合わせなどの添加物を含む。各特定の発現エンハンサーの最適な濃度は、発現系の個々の特徴及びユーザの要件により異なってもよく、所与の実験シナリオにおいて何が任意の1つ以上の発現エンハンサーの最適な濃度を構成するかの決定は、十分に通常の技術レベルを有する当業者の範囲内である。
例示的な一実施形態において、発現エンハンサーは、バルプロ酸を含有する製剤であり得る。本発明の実施において使用されるバルプロ酸(VPA)の最適な最終濃度範囲は異なってもよいが、好ましくは、約0.20mM〜約25mMの範囲、またはこの範囲によって包含される任意の小範囲もしくは濃度値である。より好ましくは、VPAの最終濃度は、約0.25mM〜約24mM、約0.26mM〜約23mM、0.27mM〜約23mM、0.28mM〜約23mM、0.29mM〜約22mM、約0.30mM〜約21mM、約0.31mM〜約20mM、約0.32mM〜約19mM、約0.33mM〜〜約17mM、約0.34mM〜約18mM、約0.35mM〜約17mM、約0.36mM〜約16mM、約0.37mM〜約15mM、約0.40mM〜約14mM、約0.41mM〜約13mM、約0.42mM〜約12mM、約0.43mM〜約11mM、約0.44mM〜約10mM、約0.45mM〜約9mM、約0.46mM〜約8mM、約0.47mM〜約7mM、約0.48mM〜約6mM、約0.49mM〜約5mM、約0.50mM〜約4mM、約0.50mM〜約4mM、約0.55mM〜約3mM、0.6mM〜約2mM、または0.75〜約1.5mMの範囲であり得る。一部の好ましいが非限定的な実施形態において、本発明の実施において使用されるVPAの最終濃度は、約0.15mM〜約1.5mM、約0.16mM〜約1.5mM、約0.17mM〜約1.5mM、約0.18mM〜約1.5mM、約0.19mM〜約1.5mM、約0.20mM〜約1.5mM、約0.25mM〜約1.5mM、約0.30mM〜約1.5mM、約0.40mM〜約1.5mM、約0.50mM〜約1.5mM、約0.60mM〜約1.5mM、約0.70mM〜約1.5mM、約0.80mM〜約1.5mM、約0.90mM〜約1.5mM、または約0.10mM〜約1.5mMであり得る。一部の好ましいが非限定的な実施形態において、本発明の実施において使用されるVPAの最終濃度は、約0.20〜約1.5mM、約0.21〜約1.4mM、約0.22〜約1.4mM、約0.23〜約1.4mM、約0.24〜約1.4mM、約0.25〜約1.3mM、約0.25〜約1.2mM、約0.25〜約1.1mM、または約0.25〜約1.0mMであり得る。
別の例示的な実施形態において、発現エンハンサーは、プロピオン酸ナトリウム(NaPP)を含有する製剤であり得る。任意選択で、NaPPは、単独で、または上記のバルプロ酸と組み合わせて提供されてもよい。本発明の実施において使用されるNaPPの最適な最終濃度範囲は異なってもよいが、好ましくは約の範囲である。さらなる実施形態において、本発明の実施において使用されるNaPPの最適な最終濃度は、約0.2mM〜約100mMの範囲、またはこの範囲内に包含される任意の小範囲もしくは個々の濃度であり得る。ある特定の好ましいが非限定的な実施形態において、NAPPの最適な最終濃度は、約0.5〜約80mM、約0.4mM〜約70mM、約0.5mM〜約60mM、約0.6mM〜約50mM、約0.7mM〜約40mM、約0.8mM〜約30mM、約0.9mM〜約20mM、約1mM〜約15mM、約2mM〜約10mM、約3mM〜約9mM、約4mM〜約8mM、または約5mM〜約7mMの範囲であり得る。ある特定の好ましいが非限定的な実施形態において、NAPPの最適な最終濃度は、約1mM〜約10mM、約1mM〜約2mM、約2mM〜約3mM、約3mM〜約4mM、約4mM〜約5mM、約5mM〜約6mM、約6mM〜約7mM、約7mM〜約8mM、約8mM〜約9mM、または約9mM〜約10mMの範囲であり得る。ある特定の好ましいが非限定的な実施形態において、NAPPの最適な最終濃度は、約1mM、約1.5mM、約2mM、約2.5mM、約3mM、約3.5mM、約4mM、約4.5mM、約5mM、約5.5mM、約6mM、約6.5mM、約7mM、約7.5mM、約8mM、約8.5mM、約9mM、約9.5mM、または約10mMであり得る。
また別の例示的な実施形態において、発現エンハンサーは、酢酸リチウム(LiAc)を含有する製剤であり得る。任意選択で、LiAcは、単独で、または上記のNAPPまたはバルプロ酸と組み合わせて提供されてもよい。さらなる実施形態において、本発明の実施において使用される酢酸リチウム(LiAc)の最適な最終濃度は、約0.25〜約25mM、約0.26mM〜約20mM、約0.27mM〜約15mM、約0.28mM〜約10mM、約0.29mM〜約5mM、約0.3mM〜約4.5mM、約0.31mM〜約4mM、約0.35mM〜約3mM、約0.5mM〜約2.5mM、約1mM〜約3mM、約1.5mM〜約2.5mM、または約2mM〜約3mMの範囲であり得る。
また別の例示的な実施形態において、発現エンハンサーは、酪酸を含有する製剤であり得る。本発明の実施において使用される酪酸の最適な最終濃度は、約0.25〜約25mM、約0.26mM〜約20mM、約0.27mM〜約15mM、約0.28mM〜約10mM、約0.29mM〜約5mM、約0.3mM〜約4.5mM、約0.31mM〜約4mM、約0.35mM〜約3mM、約0.5mM〜約2.5mM、約1mM〜約3mM、約1.5mM〜約2.5mM、または約2mM〜約3mMの範囲であり得る。
本発明により使用される発現エンハンサーは、トランスフェクションの直前もしくはその間、またはトランスフェクション後であるが、細胞及び発現されたタンパク質を採取する前に、培養培地に添加され得る。以下に記載される一部の具体的だが非限定的な実施形態において、「エンハンサー1」は、一般的に、0.25mM〜1mMのバルプロ酸を指し、「エンハンサー2」は、一般的に、5mM〜7mMのプロピオン酸ナトリウムを指す。しかしながら、別途示される場合、エンハンサー1及びエンハンサー2という用語は、異なるエンハンサー化合物を包含し得る。発現エンハンサーは、連続して、またはカクテルとして培養培地に添加され得る。
本発明の一部の態様において、本発明の高収量一過性トランスフェクション系は、培養された細胞内への巨大分子の導入のための1つ以上の試薬を含み得る(該試薬は、通常、「トランスフェクション試薬」と称される)。ここに記載される実施形態により使用されるトランスフェクション試薬は、核酸が生物学的機能に影響を及ぼし得るか、または発現可能な核酸の場合、該発現可能な核酸によりコードされた遺伝子もしくはタンパク質が発現され得る細胞内への生物学的分子、特に核酸分子の導入のための任意の化合物または他の化学モダリティであり得る。様々な好適なトランスフェクション試薬が当該技術分野において既知であり、任意の1つ以上が限定されることなく本発明の実施において使用され得る。
本実施形態と共に使用するためのトランスフェクション試薬は、細胞内への巨大分子の進入を容易する、当業者に既知の任意の製剤または組成物である。例えば、米国特許第5,279,833号を参照されたい。一部の実施形態では、試薬は、「トランスフェクション試薬」であり得、1つ以上の標的細胞内への1つ以上の核酸の取り込みを増加させる任意の化合物及び/または組成物であり得る。様々なトランスフェクション試薬が、当業者に既知である。好適なトランスフェクション試薬には、ポリエチレンイミン(PEI)などのカチオン性ポリマー、ポリリジン及びポリアルギニンなどの正に荷電したアミノ酸のポリマー、正に荷電したデンドリマー及び分裂したデンドリマー、カチオン性β−シクロデキストリン含有ポリマー(CDポリマー)、DEAE−デキストランなどを含む、1つ以上の化合物及び/または組成物が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、細胞内への巨大分子の導入のための試薬は、カチオン性脂質及び/または中性脂質であり得る1つ以上の脂質を含み得る。好ましい脂質には、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPE)、1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(4’−トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)、1,2−ジオレオイル−3−(4’−トリメチルアンモニオ)ブタノイル−sn−グリセロール(DOTB)、1,2−ジオレオイル−3−スクシニル−sn−グリセロールコリンエステル(DOSC)、コレステリル(4’−トリメチルアンモニオ)ブタノエート(ChoTB)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORI)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE)、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、O,O’−ジドデシル−N−[p(2−トリメチルアンモニオエチルオキシ)ベンゾイル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、1つ以上の脂質に接合したスペルミン(例えば、5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタデシルアミド(DOGS)、N,N,NII,NIII−テトラメチル−N,N,NII,NIII−テトラパルミチルスペルミン(TM−TPS)、及びジパルミトイルファスファチジルエタノールアミン5−カルボキシスペルミルアミンド(DPPES))、リポポリリジン(DOPEに接合したポリリジン)、TRIS(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トロメタミン)接合脂肪酸(TFA)、ならびに/またはペプチド、例えば、トリリジル−アラニル−TRISモノ、ジ、及びトリパルミテート(3β−[N−−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル]コレステロール(DC−Chol)、N−(α−トリメチルアンモニオアセチル)−ジドデシル−D−グルタメートクロリド(TMAG)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミン−カルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
当業者であれば、上述の脂質のある特定の組み合わせが、細胞内への核酸の導入に特に好適であることが示されていることを理解し、例えば、DOSPA及びDOPEの3:1(重量/重量)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPOFECTAMINE(商標)で入手可能であり、DOTMA及びDOPEの1:1(重量/重量)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPOFECTIN(登録商標)で入手可能であり、DMRIE及びコレステロールの1:1(M/M)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名DMRIE−C試薬で入手可能であり、TM−TPS及びDOPEの1:1.5(M/M)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名CellFECTIN(登録商標)で入手可能であり、DDAB及びDOPEの1:2.5(重量/重量)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LipfectACE(登録商標)で入手可能である。上述の脂質の組み合わせに加えて、他の化合物との混和物中、具体的には、核局在配列を含むペプチド及びタンパク質との混和物中に脂質を含む他の製剤が、当業者には既知である。例えば、WO00/27795として公開された国際出願第PCT/US99/26825号を参照されたく、これらのいずれも参照により本明細書に組み込まれる。
リポソームなどの脂質凝集体は、細胞内への巨大分子の送達のための薬剤として有用であることがわかっている。特に、1つ以上のカチオン性脂質を含む脂質凝集体は、細胞内へのアニオン性巨大分子(例えば、核酸)の送達にきわめて効率的であることが示されている。広く使用されるカチオン性脂質の1つは、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)である。DOTMAを単独で含むか、またはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)との1:1混合物としてのリポソームは、細胞内に核酸を導入するために使用されている。DOTMA:DOPEの1:1混合物は、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPOFECTIN(商標)で市販されている。細胞内に核酸を導入するために使用されている別のカチオン性脂質は、1,2−ビス(オレオイル−オキシ)−3−3−(トリメチルアンモニア)プロパン(DOTAP)である。DOTAPは、オレオイル部分がDOTAPではエーテル結合によりプロピルアミン骨格に結合しており、一方でDOTMAではエステル結合によって結合しているという点で、DOTMAとは異なる。DOTAPは、標的細胞によってより容易に分解されると考えられている。トリメチルアンモニウム部分のメチル基のうちの1つが、ヒドロキシル基と置き換えられている、構造的に関連する群の化合物は、ホスホリパーゼAのローゼンタール阻害剤(RI)に構造が類似している(Rosenthal,et al.,(1960)J.Biol.Chem.233:2202−2206を参照されたい。)RIは、プロピルアミンコアに結合したステアロイルエステルを有する。RIのジオレオイル類似体は、一般に、脂質部分とプロピルアミンコアとの結合に応じて、DOR1−エーテル及びDOR1−エステルと略される。ヒドロキシエチル部分のヒドロキシル基は、例えば、エステル化によりカルボキシスペルミンにさらに誘導化されてもよい。
細胞内に巨大分子を導入するのに使用されている別のクラスの化合物は、脂質に結合したカルボキシスペルミン部分を含む(Behr,et al.,(1989)Proceedings of the National Academy of Sciences,USA 86:6982−6986及び欧州特許第0394111号を参照されたい)。この種の化合物の例としては、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン5−カルボキシスペルミルアミド(DPPES)及び5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタデシルアミド(DOGS)が挙げられる。DOGSは、Promega,Madison,Wis.から商標名TRANSFECTAM(商標)で市販されている。
コレステロール(3β−[N−−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル]コレステロール、DC−Chol)のカチオン性誘導体が合成され、DOPEと共にリポソームに製剤化されており(Gao,et al.,(1991)BBRC 179(1):280−285を参照されたい)、細胞内にDNAを導入するために使用されている。このように製剤化されたリポソームは、低い細胞毒性レベルで細胞内にDNAを効率的に導入することが報告された。ポリリジンをDOPEに接合させることによって形成されるリポポリリジン(Zhou,et al.,(1991)BBA 1065:8−14)は、血清の存在下で細胞内に核酸を導入することに有効であることが報告されている。
細胞内に核酸を導入するために使用されている他の種類のカチオン性脂質には、米国特許第5,674,908号及び同第5,834,439号、ならびにWO00/27795として公開されている国際出願第PCT/US99/26825号に記載されるものなど、高充填ポリカチオン性アンモニウム、スルホニウム、及びホスホニウム脂質が挙げられる。本発明による巨大分子の送達のための1つの特に好ましいが非限定的であるトランスフェクション試薬は、LIPOFECTAMINE 2000(商標)であり、これは、Life technologiesから入手可能である。WO00/27795として公開されている米国国際出願第PCT/US99/26825号を参照されたい。細胞への巨大分子の送達に好適な別の好ましいが非限定的であるトランスフェクション試薬は、EXPIFECTAMINE(商標)である。他の好適なトランスフェクション試薬には、LIOFECTAMINE(商標)RNAiMAX、LIPOFECTAMINE(商標)LTX、OLIGOFECTAMINE(商標)、Cellfectin(商標)、INVIVOFECTAMINE(商標)、INVIVOFECTAMINE(商標)2.0、及びYangらによる米国特許出願公開第2012/0136073号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示される脂質試薬または製剤のうちの任意のものが挙げられる。様々な他のトランスフェクション試薬が当業者に既知であり、これは、本明細書に記載される一過性トランスフェクション系及び方法に対するその適合性に関して評価され得る。
本発明は、一部、(a)培養において、真核細胞内への少なくとも1つの巨大分子、好ましくは発現可能な核酸分子の導入、(b)少なくとも1つの巨大分子が導入される細胞の増殖、及び任意選択で(c)少なくとも1つの巨大分子が導入される細胞における組換えタンパク質産物の産生または核酸の発現を支持する高収量の一過性トランスフェクション系を対象とし、巨大分子を含有する培地は、培養物から除去され、また細胞内への少なくとも1つの巨大分子の導入後、ならびにタンパク質産物の増殖及び産生、または核酸の発現前に新しい培地に交換される必要がない。
本発明の一過性トランスフェクション系及び本明細書に記載される方法によるその使用は、細胞培養系において高レベルの対象のタンパク質の迅速かつ再現可能な発現をもたらす。典型的には、本一過性トランスフェクション系及び方法は、所望の組換えタンパク質及び使用される細胞型の個々の発現特徴により、培養の約200μgタンパク質/L〜培養の約2gタンパク質/Lの範囲のレベルの組換え発現されたタンパク質を産生することができる。本明細書に提供される一過性トランスフェクション系及び方法を使用することにより、ユーザは、標準的な市販の一過性トランスフェクション系を使用して現在得ることができるものの約2倍から最大約20倍を超える発現されたタンパク質のレベルを得ることができる。本明細書に提供される一過性トランスフェクション系及び方法を使用することにより、ユーザは、現在の一過性発現系で見られるよりも約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍、約5倍、約5.5倍、約6倍、約6.5倍、約7倍、約7.5倍、約8倍、約8.5倍、約9倍、約9.5倍、または最大約10倍以上大きい発現されたタンパク質のレベルを得ることができる。例えば、本一過性トランスフェクション系を使用して組換えタンパク質を産生することにより、ユーザは、浮遊細胞における組換えタンパク質の産生に最適化された市販の一過性トランスフェクション系、例えば、FREESTYLE(商標)発現系などを使用して得られたタンパク質収量よりも約2倍から最大約10倍高いタンパク質収量を得ることができる。
方法
本発明はさらに、高レベルの対象のタンパク質を発現するための方法に関する。本発明の方法は、(a)浮遊状態で増殖される哺乳類細胞を得ることと、(b)浮遊状態で細胞の増殖を支持するのに十分な条件下で、細胞を本発明の培養培地と接触させ、培養された細胞を、対象のタンパク質をコードする発現可能な核酸でトランスフェクトし、トランスフェクトされた細胞を1つ以上の発現エンハンサーと接触させ、定義された期間にわたって、対象のタンパク質の発現を可能にする条件下でトランスフェクトされた細胞を培養し、細胞を採取することを含む、浮遊状態で哺乳類細胞(特に上述されるもの、及びとりわけ、293細胞、293 F細胞、PER−C6細胞、CHO細胞もしくはその誘導体(CHO−S細胞、浮遊CHO細胞、CHO−S−2H2細胞、ExpiCHO−S(商標)細胞、CapT細胞、COS−7L細胞、及びSp2/0細胞、またはこれらの任意の誘導体を含む)を培養することを含み得る。
本発明はさらに、ポリペプチドを産生する方法、及びこれらの方法によって産生されたポリペプチドに関し、本方法は、(a)細胞、好ましくは上述の哺乳類細胞、最も好ましくは293細胞、293 F細胞、PER−C6細胞、CHO細胞もしくはその誘導体(CHO−S細胞、浮遊CHO細胞、CHO−S−2H2細胞、ExpiCHO−S(商標)細胞、CapT細胞、COS−7L細胞、及びSp2/0細胞、またはこれらの任意の誘導体を含む)を得ることと、(b)細胞内への核酸の導入を引き起こす条件下で、細胞を、ポリペプチドをコードする核酸を含む溶液と接触させることと、(c)細胞による所望のポリペプチドの発現を好む条件下で本発明の培養培地中で細胞を増殖させることと、を含む。
一態様において、本発明による組換えタンパク質を発現するための方法は、高密度培養培地において細胞の培養物を得ることを含み得る。細胞は、好ましくは、293細胞、293 F細胞、PER−C6細胞、CHO細胞もしくはその誘導体(CHO−S細胞、浮遊CHO細胞、CHO−S−2H2細胞、ExpiCHO−S(商標)細胞、CapT細胞、COS−7L細胞、もしくはSp2/0細胞、またはこれらの任意の誘導体を含む)の浮遊培養物であり、この細胞は、高密度培地における成長に適応している。細胞培養の任意の体積が本発明の実施において使用され得ることは当業者には容易に理解されるであろうが、培養物は、典型的には、約200μl〜100リットル、より好ましくは、細胞培養体積は、約2ml〜約50リットル、最も好ましくは約5ml〜約5リットルである。一部の態様において、細胞培養体積は、約100ml〜約50リットルである。より好ましくは、細胞培養体積は、約500ml〜約50リットルである。より好ましくは、細胞培養体積は、約500ml〜約25リットルである。より好ましくは、細胞培養体積は、約500ml〜約10リットルである。より好ましくは、細胞培養体積は、約500ml〜約5リットルである。より好ましくは、細胞培養体積は、約500ml〜約1リットルである。一部の実施形態において、細胞培養体積は、最大約100リットル、最大約95リットル、最大約90リットル、最大約85リットル、最大約80リットル、最大約75リットル、最大約70リットル、最大約65リットル、最大約60リットル、最大約55リットル、最大約50リットル、最大約45リットル、最大約40リットル、最大約35リットル、最大約30リットル、最大約35リットル、最大約20リットル、最大約15リットル、最大約10リットル、最大約9リットル、最大約8リットル、最大約7リットル、最大約6リットル、最大約5リットル、最大約4リットル、最大約2リットル、または最大約1リットルであり得る。
一態様において、細胞培養物は、約1.5×10細胞/ml〜約20×10細胞/mlの細胞密度、またはそれらの内に包含される任意の濃度、濃度範囲、もしくは小範囲で維持され得る。
ここに記載される発明により細胞においてタンパク質を発現するために、細胞は、典型的には、新しい培地体積中に希釈される。最適な希釈は異なってもよいが、例示目的のため、新しい培地体積中に希釈される細胞の密度は、0.5×10細胞/ml〜約10×10細胞/ml、より好ましくは1×10細胞/ml〜約5×10細胞/ml、より好ましくは1.5×10細胞/ml〜約3×10細胞/mlであり得る。
一態様において、新しい培養培地の体積中への細胞の希釈後に、細胞は、発現可能な核酸でトランスフェクトされる前に、ある期間にわたって該体積中で培養され得る。任意選択で、細胞は、最大2日間、より好ましくは最大約1.5日間、最も好ましくは最大約1日間培養され得る。任意選択で、細胞は、新しい培地体積中で培養される細胞の密度が最大約100%、より好ましくは最大約95%、最大約90%、最大約85%、最大約80%、最大約75%、最大約70%、最大約65%、最大約60%、最大約55%、最大約50%、最大約45%、最大約40%、最大約35%、最大約30%、最大約25%、最大約20%、または最大約15%増加するまで、その中で培養され得る。
一態様において、細胞は、細胞が上述の期間にわたって高密度成長培地中で培養された後に、発現可能な核酸または発現ベクターでトランスフェクトされ得る。通常の技術レベルを有する当業者によって容易に認識されるように、細胞内への発現ベクターの導入を達成するためにユーザが実施するステップの正確な順序は、選択された特定のトランスフェクション試薬、細胞系、培地、及び種々の他の実験パラメータにより異なってもよい。単に例として、脂質ベースのトランスフェクション系(具体的には、少なくとも1つのカチオン性脂質を有するトランスフェクション系)が選択される場合、トランスフェクション試薬はまず、水溶液中で核酸と接触させられて、上に定義され、本明細書に組み込まれるように、非公式に「複合体化」または「複合体化反応」として知られるプロセスにおいて、脂質−DNA複合体を形成する。かかる反応は、典型的には、細胞が培養される槽とは別個の反応槽において達成される。
ある態様において、上述の複合体化ステップにおける脂質−DNA複合体の形成後に、トランスフェクション複合体を培養された細胞と接触させることができる。細胞をトランスフェクション複合体と接触させた後に、細胞は第1の期間にわたってトランスフェクション複合体の存在下で培養され得る。第1の期間の持続時間は、細胞の性質、使用されるトランスフェクション試薬、及び当業者に既知の様々な他の因子により異なる。「第1の期間」という句は、本明細書に記載される本発明の方法により細胞を一過的にトランスフェクトするための方法の文脈において使用されるとき、一般的に、発現可能な核酸を有する細胞集団のトランスフェクションと、トランスフェクトされた細胞への1つ以上の発現エンハンサーの添加との間の時間間隔を指す。典型的には、第1の期間は、約2時間〜約4日の範囲、またはそれらの内に包含される任意の範囲もしくは小範囲である。ある特定の好ましいが非限定的な実施形態において、第1の期間は、約3〜約90時間、約4〜約85時間、約5〜約80時間、約6〜約75時間、約7〜約70時間、約8〜約65時間、約9〜約60時間、約10〜約55時間、約11〜約50時間、約12〜約45時間、約13〜約40時間、約14〜約35時間、約15〜約30時間、約16〜約24時間、約17〜約24時間、約18〜約24時間、約19〜約24時間、約20〜約24時間、約21〜約24時間、約22〜約24時間、または約23〜約24時間の範囲であり得る。非限定的な実施形態よりも好ましい他において、第1の期間は、最大約15時間、最大約16時間、最大約17時間、最大約18時間、最大約19時間、最大約20時間、最大約21時間、最大約22時間、最大約23時間、最大約24時間、最大約25時間、最大約26時間、最大約27時間、最大約28時間、最大約29時間、または最大約30時間であり得る。
1つの非常に好ましいが非限定的な実施形態において、培養培地は、細胞内へのトランスフェクション複合体の導入後、及び第1の期間の持続時間にわたって、交換、補足、または補充されない。
本発明の一態様において、培養においてトランスフェクトされた細胞は、第1の期間の後に、1つ以上の発現エンハンサーと接触させられ得る。発現エンハンサーは、一過性発現系における組換えタンパク質の発現を増加させる1つ以上の化合物を含有する水溶液であり得る。様々な発現エンハンサーが当該技術分野において既知であり、任意の1つ以上が限定されることなく本発明の実施において使用され得る。
一般的に、1つ以上のトランスフェクションエンハンサーは、タンパク質発現細胞の集団と、該細胞が発現可能な核酸または発現ベクターでトランスフェクトされる間、またはその後に接触させられる。2つ以上の発現エンハンサーが使用されるとき、各発現エンハンサーは、実質的に同時に細胞と接触させられ得るか、ないしは別の方法で、発現エンハンサーは、連続して、任意選択で細胞の第1の発現エンハンサーとの接触と、細胞の第2の発現エンハンサーとの接触との間の一定期間が経過した後にタンパク質発現細胞と接触させられる。
当業者は、任意の数の発現エンハンサーが限定されることなく本発明の実施において使用され得、何が本実施形態において使用するのに好適な発現エンハンサーを構成するかの特定は十分にかかる当業者の範囲内であることを容易に理解する一方で、様々な例示的であるが非限定的な発現エンハンサーが以下に記載されるが、その記述は、本発明の実施における使用に想定され得る好適な発現の範囲を限定しないことを理解されたい。
一部の態様において、1つ以上の発現エンハンサーは、ここに記載される実施形態による培養培地製剤を補足するために使用される液体(好ましくは水性)添加物を含み得、該添加物は、ここに記載される実施形態による一過性タンパク質発現系において産生される発現されたタンパク質の収量を改善するように選択される。1つ以上の発現エンハンサーは、細胞周期の進行に影響を与え、アポトーシスを阻害し、細胞成長を遅らせ、かつ/またはタンパク質産生を促進するいくつかの化合物のうちの1つ以上を含み得る。本発明の文脈において、「発現エンハンサー」という用語は、一般的に、一過性トランスフェクション系に添加される任意の1つ以上の化合物を指し、その存在は、標的タンパク質の発現を、かかる発現エンハンサー(複数可)の不在下において見られる発現レベルを少なくとも2倍から最大約10倍を超える率で増強または促進する。ここに記載される実施形態と共に使用するのに好適な例示的な発現エンハンサーは、限定されないが、バルプロ酸(VPA酸及びナトリウム塩)、プロピオン酸ナトリウム、酢酸リチウム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ガラクトースを含む糖、アミノ酸混合物、もしくは酪酸、または前述の任意の組み合わせなどの添加物を含む。各特定の発現エンハンサーの最適な濃度は、発現系の個々の特徴及びユーザの要件により異なってもよく、所与の実験シナリオにおいて何が任意の1つ以上の発現エンハンサーの最適な濃度を構成するかの決定は、十分に通常の技術レベルを有する当業者の範囲内である。
例示的な一実施形態において、発現エンハンサーは、バルプロ酸を含有する製剤であり得る。本発明の実施において使用されるバルプロ酸(VPA)の最適な最終濃度範囲は異なってもよいが、好ましくは、約0.20mM〜約25mMの範囲、またはこの範囲によって包含される任意の小範囲もしくは濃度値である。より好ましくは、VPAの最終濃度は、約0.25mM〜約24mM、約0.26mM〜約23mM、0.27mM〜約23mM、0.28mM〜約23mM、0.29mM〜約22mM、約0.30mM〜約21mM、約0.31mM〜約20mM、約0.32mM〜約19mM、約0.33mM〜〜約17mM、約0.34mM〜約18mM、約0.35mM〜約17mM、約0.36mM〜約16mM、約0.37mM〜約15mM、約0.40mM〜約14mM、約0.41mM〜約13mM、約0.42mM〜約12mM、約0.43mM〜約11mM、約0.44mM〜約10mM、約0.45mM〜約9mM、約0.46mM〜約8mM、約0.47mM〜約7mM、約0.48mM〜約6mM、約0.49mM〜約5mM、約0.50mM〜約4mM、約0.50mM〜約4mM、約0.55mM〜約3mM、0.6mM〜約2mM、または0.75〜約1.5mMの範囲であり得る。一部の好ましいが非限定的な実施形態において、本発明の実施において使用されるVPAの最終濃度は、約0.15mM〜約1.5mM、約0.16mM〜約1.5mM、約0.17mM〜約1.5mM、約0.18mM〜約1.5mM、約0.19mM〜約1.5mM、約0.20mM〜約1.5mM、約0.25mM〜約1.5mM、約0.30mM〜約1.5mM、約0.40mM〜約1.5mM、約0.50mM〜約1.5mM、約0.60mM〜約1.5mM、約0.70mM〜約1.5mM、約0.80mM〜約1.5mM、約0.90mM〜約1.5mM、または約0.10mM〜約1.5mMであり得る。一部の好ましいが非限定的な実施形態において、本発明の実施において使用されるVPAの最終濃度は、約0.20〜約1.5mM、約0.21〜約1.4mM、約0.22〜約1.4mM、約0.23〜約1.4mM、約0.24〜約1.4mM、約0.25〜約1.3mM、約0.25〜約1.2mM、約0.25〜約1.1mM、または約0.25〜約1.0mMであり得る。
別の例示的な実施形態において、発現エンハンサーは、プロピオン酸ナトリウム(NaPP)を含有する製剤であり得る。任意選択で、NaPPは、単独で、または上記のバルプロ酸と組み合わせて提供されてもよい。本発明の実施において使用されるNaPPの最適な最終濃度範囲は異なってもよいが、好ましくは約の範囲である。さらなる実施形態において、本発明の実施において使用されるNaPPの最適な最終濃度は、約0.2mM〜約100mMの範囲、またはこの範囲内に包含される任意の小範囲もしくは個々の濃度であり得る。ある特定の好ましいが非限定的な実施形態において、NAPPの最適な最終濃度は、約0.5〜約80mM、約0.4mM〜約70mM、約0.5mM〜約60mM、約0.6mM〜約50mM、約0.7mM〜約40mM、約0.8mM〜約30mM、約0.9mM〜約20mM、約1mM〜約15mM、約2mM〜約10mM、約3mM〜約9mM、約4mM〜約8mM、または約5mM〜約7mMの範囲であり得る。ある特定の好ましいが非限定的な実施形態において、NAPPの最適な最終濃度は、約1mM〜約10mM、約1mM〜約2mM、約2mM〜約3mM、約3mM〜約4mM、約4mM〜約5mM、約5mM〜約6mM、約6mM〜約7mM、約7mM〜約8mM、約8mM〜約9mM、または約9mM〜約10mMの範囲であり得る。ある特定の好ましいが非限定的な実施形態において、NAPPの最適な最終濃度は、約1mM、約1.5mM、約2mM、約2.5mM、約3mM、約3.5mM、約4mM、約4.5mM、約5mM、約5.5mM、約6mM、約6.5mM、約7mM、約7.5mM、約8mM、約8.5mM、約9mM、約9.5mM、または約10mMであり得る。
また別の例示的な実施形態において、発現エンハンサーは、酢酸リチウム(LiAc)を含有する製剤であり得る。任意選択で、LiAcは、単独で、または上記のNAPPまたはバルプロ酸と組み合わせて提供されてもよい。さらなる実施形態において、本発明の実施において使用される酢酸リチウム(LiAc)の最適な最終濃度は、約0.25〜約25mM、約0.26mM〜約20mM、約0.27mM〜約15mM、約0.28mM〜約10mM、約0.29mM〜約5mM、約0.3mM〜約4.5mM、約0.31mM〜約4mM、約0.35mM〜約3mM、約0.5mM〜約2.5mM、約1mM〜約3mM、約1.5mM〜約2.5mM、または約2mM〜約3mMの範囲であり得る。
また別の例示的な実施形態において、発現エンハンサーは、酪酸を含有する製剤であり得る。本発明の実施において使用される酪酸の最適な最終濃度は、約0.25〜約25mM、約0.26mM〜約20mM、約0.27mM〜約15mM、約0.28mM〜約10mM、約0.29mM〜約5mM、約0.3mM〜約4.5mM、約0.31mM〜約4mM、約0.35mM〜約3mM、約0.5mM〜約2.5mM、約1mM〜約3mM、約1.5mM〜約2.5mM、または約2mM〜約3mMの範囲であり得る。
本発明により使用される発現エンハンサーは、トランスフェクションの直前もしくはその間、またはトランスフェクション後であるが、細胞及び発現されたタンパク質を採取する前に、培養培地に添加され得る。以下に記載される一部の具体的だが非限定的な実施形態において、「エンハンサー1」は、一般的に、0.25mM〜1mMのバルプロ酸を指し、「エンハンサー2」は、一般的に、5mM〜7mMのプロピオン酸ナトリウムを指す。しかしながら、別途示される場合、エンハンサー1及びエンハンサー2という用語は、異なるエンハンサー化合物を包含し得る。発現エンハンサーは、連続して、またはカクテルとして培養培地に添加され得る。
一態様において、2つ以上の発現エンハンサーが使用されるとき、2つ以上の発現エンハンサーは、実質的に同時にトランスフェクトされた培養された細胞と接触させられ得るか、ないしは別の方法でトランスフェクトされた培養された細胞はまず、第1の発現エンハンサーと接触させられ得、そして第2の期間の後に、トランスフェクトされた培養された細胞が第2の発現エンハンサーと接触させられ得る。一態様において、「第2の期間」は、本明細書に記載される本発明の方法により細胞を一過的にトランスフェクトするための方法の文脈において使用されるとき、一般的に、1つ以上の発現エンハンサーの添加と、1つ以上の追加のエンハンサーの添加またはトランスフェクトされた細胞の採取及びその中に発現されたタンパク質の精製もしくは単離のいずれかとの間の時間間隔を指す。典型的には、第2の期間は、約10時間〜約10日間の範囲であるが、発現されるタンパク質に最適であると決定される場合、他の時間間隔を使用することができる。一部の好ましいが非限定的な実施形態において、第2の期間は、約2時間〜5日間、2.5時間〜4日間、約3〜約90時間、約4〜約85時間、約5〜約80時間、約6〜約75時間、約7〜約70時間、約8〜約65時間、約9〜約60時間、約10〜約55時間、約11〜約50時間、約12〜約45時間、約13〜約40時間、約14〜約35時間、約15〜約30時間、約16〜約24時間、約17〜約24時間、約18〜約24時間、約19〜約24時間、約20〜約24時間、約21〜約24時間、約22〜約24時間、または約23〜約24時間の範囲であり得る。非限定的な実施形態よりも好ましい他において、第1の期間は、最大約15時間、最大約16時間、最大約17時間、最大約18時間、最大約19時間、最大約20時間、最大約21時間、最大約22時間、最大約23時間、最大約24時間、最大約25時間、最大約26時間、最大約27時間、最大約28時間、最大約29時間、または最大約30時間であり得る。
適切な時間量が経過した後に、ユーザは細胞を採取し、任意選択で、発現された組換えタンパク質を精製することができる。
本発明の方法は、プロセス中に、培養培地を交換、補足、またはさもなければ補充する必要なく、ユーザに、上述の実施形態による組換えタンパク質を一過的に発現することを可能にする。本明細書に記載される方法は、ユーザに、培養された培地の最大約2g/Lを発現することを可能にする。一部の実施形態において、ユーザは、培養された細胞のリットル当たり、最大約1.9g、最大約1.8g、最大約1.7g、最大約1.6g、最大約1.5g、最大約1.4g、最大約1.3g、最大約1.2g、最大約1.1g、または最大約1gの組換えタンパク質を発現させることができる。
本発明は、任意選択で、1つ以上の交換化合物を含む、組成物、特に、上に定義される高密度細胞培養培地も対象とする。本発明は、例えば、インビトロでの真核細胞、特に動物細胞の増殖のための方法を含む、かかる組成物の使用方法も対象とする。本発明は、かかる培養培地及び1つ以上の細胞、特に、本明細書において具体的に言及されるそれらの細胞を含む組成物、ならびに上述の組成物のうちの1つ以上を含むキットにも関する。本発明は、上に定義され、本明細書に組み込まれるように、1つ以上のプロモーター、エンハンサー、及び培養された細胞において発現可能な核酸を発現するために必要な他の要素と組み合わせて、1つ以上の該発現可能な核酸配列を含む発現ベクターにも関する。本発明は、1つ以上の発現エンハンサー組成物、特に、培養された細胞において該発現可能な核酸の発現を、少なくとも2〜2.5倍の率で増強するように選択されたものを含む組成物にも関する。任意選択で、発現エンハンサーは、共製剤化または別個に提供される2つ以上の発現エンハンサーの組み合わせであり得る。本発明は、トランスフェクション試薬、特に、培養された細胞の内部への、1つ以上の核酸分子の送達を容易にするように最適化されたものにも関する。本発明は、上述の組成物、ベクター、発現エンハンサー、トランスフェクション試薬などのうちの1つ以上を含むキット、及び上述の組成物、特に本明細書に具体的に言及されるもののうちの1つ以上を含むキットにも関する。
具体的な方法:
CHO発現系:
一部の実施形態による本明細書に記載されるCHO発現系は、浮遊適応チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(CHO−S−2H2細胞)に基づく高収量一過性トランスフェクション系である。CHO発現系は、(1)CHO−S−2H2細胞、(2)高密度成長培地、例えば、ExpiCHO発現培地など、(3)本系において使用するのに最適化されたカチオン性トランスフェクション試薬、例えば、ExpiFectamineCHO試薬、(4)発現エンハンサー組成物、(5)成長調節因子組成物、(6)任意選択で、複合体化培地、例えば、OptiPro(商標)SFM複合体化培地、及び(7)任意選択で、ヒトIgG抗体陽性対照ベクターを含み得る。
系構成成分の詳細
ExpiCHO−S細胞
CHO−S−2H2細胞系は、CHO−S細胞系のクローン誘導体である。CHO−S−2H2細胞は、ExpiCHO発現培地における高密度浮遊培養に適応している。凍結細胞は、ExpiCHO発現培地に供給され、その中で直接解凍され得る。
ExpiCHO−S細胞系は、以下の特徴を呈する:CHO−Sと同じ親系列に由来し、細胞は高タンパク質発現に関して選択され、細胞は解凍後の迅速な回復を呈し、細胞は複数の継代にわたって安定した一過性発現レベルを呈し、細胞は、高密度成長培地、例えば、ExpiCHO発現培地において、高密度、無血清、浮遊成長に適応し、細胞は最小の凝集/集塊を呈し、実質的に均一な単一細胞形態を呈し、細胞は約15〜20時間の倍加時間を有する。
大半の実施形態において使用された最大細胞密度は、振盪フラスコ培養において≧20×10細胞/mLである。
高密度成長発現培地
高密度成長培地、例えば、ExpiCHO発現培地は、高密度培養及び浮遊状態でのCHO−S細胞のトランスフェクションに具体的に適応した既知組成培地である。
高密度培地は、以下の特徴を呈する:高密度培養及び浮遊状態でのExpiCHO−S細胞のトランスフェクションを支持するように設計され、GlutaMAX(商標)−Iで補足された、最適化された既知組成の無血清で無タンパク質の動物起源を含まない製剤は、拡張可能な一過性トランスフェクション及びタンパク質発現のために設計された本系と共に使用するカチオン性脂質トランスフェクション試薬に干渉せず、またはその活性を低減しない。
成長調節因子組成物:
本系において使用するための成長調節因子組成物は、長期高密度一過性トランスフェクションを支持するために、高密度成長培地と共に機能するように設計された、最適化された既知組成の無血清で無タンパク質の動物起源を含まない製剤である。一部の事例では、「成長調節因子」、「成長エンハンサー」、及び「フィード」(例えば、図5に示される概略図など)という用語は、互換可能に使用され得る。
トランスフェクション試薬:
カチオン性トランスフェクション試薬、例えば、ExipFectamine(商標)CHO試薬は、高密度CHO−S−H2H培養内への核酸のトランスフェクションを最適化する。
ExipFectamine(商標)CHO試薬は、以下の特徴を呈する:ExpiCHO−S培養の高トランスフェクション効率は、ExpiCHO発現培地において維持され、ExpiFectamineCHO/プラスミドDNA複合体は、ExpiCHO発現培地中の細胞に直接添加されてもよく、トランスフェクション後に複合体を除去することも、培地を交換または添加する必要もない。
発現エンハンサー:
発現エンハンサー組成物、例えば、Expifectamine(商標)CHOエンハンサーは、タンパク質産生を増強するために、カチオン性トランスフェクション試薬組成物、例えば、ExpiFectamine(商標)CHO試薬、及び成長調節因子組成物、例えば、ExpiCHO(商標)フィードと共に使用されるように開発された製剤であり、最大タンパク質収量をもたらす。
i.Opti−Pro(商標)SFM複合体化培地
OptiPro(商標)SFMは、ExpiFectamineCHO試薬とプラスミドDNAを複合体化するために使用される無血清の動物起源を含まない培地であり、効率的なトランスフェクションを通して高タンパク質発現を提供する。
ii.陽性対照ベクター
pcDNA3.4ベクター(100μLの1mg/mL溶液)におけるヒトIgG抗体陽性対照は、ExpiCHO−S細胞においてトランスフェクション及び発現の陽性対照として提供される。ExpiCHO−S細胞におけるこのタンパク質の発現により、以下の特徴を有する培養培地内に分泌されるIgGが得られる:
標準的なプロトコル:約0.5〜1g/Lがトランスフェクション後8〜10日目に採取される
高力価プロトコル:1.0〜1.5g/Lがトランスフェクション後10〜12日目に採取される
最大力価プロトコル:>1.5g/Lがトランスフェクション後12〜14日目に採取される
陽性対照ベクターを使用することにより、培養の生存率は、トランスフェクション翌日におよそ95%のはずであり、トランスフェクション実行を通して70%付近にとどまる。
2.ExpiCHO発現系に対する重要な背景情報
以下は、典型的な一過性CHOプロトコルとは異なってもよく、またトランスフェクションの最良の結果を達成するのに役立つ、ExpiCHO発現系のいくつかの主要な特徴である。
・ExpiCHO−Sは、およそ17時間の倍加時間の高密度成長条件に適応した頑強な細胞系である。ExpiCHO−S細胞は、振盪フラスコ培養において、約4〜15×10細胞/mLに及ぶ広い対数期成長窓を有し、約20×10細胞/mLの最大密度を有する。
・継代培養時に、4〜6×10生細胞/mL(すなわち、初期の対数成長)に達したExpiCHO−S細胞を使用することが理想的である。この初期対数成長窓の外側の密度で継代培養される細胞は、経時的により長い倍加時間及び低力価を示す場合がある。必要な場合は、継代培養時に、初期の播種密度を増加させて標的の4〜6×10生細胞/mL密度を達成する。
・トランスフェクション前に、解凍後2回以上の継代にわたって、新しく解凍した細胞を培養において回復させる。
・プラスミドDNA及びExpiFectamineCHO試薬の複合体化は、冷試薬(4°C)を使用して、室温で行う。組み合わされたら、ExpifectamineCHO/DNA複合体を直ぐにフラスコに添加してもよいが、性能を全く失うことなく、最大5分間保持することができる。より長い保持時間(最大10分間)は、性能のわずかな喪失をもたらす場合がある。10分を超える保持時間は推奨されない。十分な混合を確実にするために、使用前にExpiFectamine試薬を必ず4〜5回転倒させる。
・最大の柔軟性のために、CHO発現系は、優先度により3つの異なるプロトコルを提供する(追加の情報については表1を参照されたい)。
・標準的なプロトコル:トランスフェクション後1日目に単一フィード、発現実行を通してフラスコを37°Cに維持。
・高力価プロトコル:トランスフェクション後1日目に単一フィード、トランスフェクション後1日目にフラスコを32°Cに変更。
・最大力価プロトコル:トランスフェクション後1日目及び5日目にフィード、トランスフェクション後1日目にフラスコを32°Cに変更。
注記:大半のタンパク質に関して、最大力価プロトコルを使用して得られた力価は、標準的なプロトコルよりも2〜3倍大きいが、一部のタンパク質は、タンパク質の性質により、温度を変更することなく、標準的なプロトコルを使用して、同様に、または良好に発現する。
・このプロトコルは、以下のCorningポリカーボネート製のバッフルの付いていない、通気式フラスコを使用して開発された:125mL:#431143、250mL:#431144、500mL:#431145、1L:#431147、3L:#431252。
3.ExpiCHO−S細胞を培養するための一般的なガイドライン
i.一般的な細胞の取り扱い
CHO−S−2H2細胞の成長及び維持のため、以下の一般的なガイドラインに従う。
・細胞と接触する全ての溶液及び機器は、減菌されなければならない。常に適切な無菌技法を使用し、層流フード下で作業する。
・実験を開始する前に、解凍後2回以上の継代にわたって、新しく解凍した細胞を培養において回復させる。
・トリパンブルー排除試験方法による血球計数器または自動細胞計数器を使用して、細胞生存率を決定する。対数期の培養は>95%生存可能であるべきである。
ii.培地の調製
・ExpiCHO発現培地は、GlutaMAX(商標)−I試薬と共に製剤化される。追加の補足を必要としない。
b.CHO−S−2H2の解凍及び維持
i.はじめに
以下のプロトコルに従い、ExpiCHO−S細胞を解凍し、細胞培養を開始する。CHO−S−2H2細胞系は、90%ExpiCHO発現培地及び10%DMSOにおいて、1×10生細胞/mLで1mLの細胞を含有するバイアルで供給される。CHO−S−2H2細胞を、キットと共に供給される、予め温めたExpiCHO発現培地中に直接解凍する。
ii.必要な材料
・CHO−S−2H2細胞
・ExpiCHO発現培地
・125mLのポリカーボネート製の使い捨ての減菌通気式Erlenmeyer振盪フラスコ
・生細胞密度及び生存率パーセントを決定するための試薬及び機器(例えば、血球計数器または自動細胞計数器、トリパンブルー)
・8%COの加湿条件の37℃のインキュベータ中の125±5rpmに設定された軌道式振盪機
注記:このプロトコルの振盪速度は、19mm(3/4インチ)の軌道直径の使用を前提とする。他の軌道直径の振盪機に関して、以下の方程式を使用して対応する振盪速度を決定する:
式中、
d1=古い振盪機のスロー長であり、d2=新しい振盪機のスロー長であり、
r1=古い振盪機のrpmであり、r2=新しい振盪機のrpmスロー長である。
通常使用される換算:
19mmスローで125rpm=25mmスローで110rpm
19mmスローで70rpm=25mmスローで60rpm
iii.CHO−S−2H2細胞の解凍
1.細胞のバイアルを液体窒素貯蔵場所から取り出し、37℃の水浴で1〜2分間旋回させて、少量の氷のみが残るまで細胞を迅速に解凍する。バイアルを水中に浸漬しない。
2.70%エタノールで拭くことによって、バイアルを除染する。
3.2mLまたは5mLのピペットを使用して、バイアルの全内容物を、予め温めた30mLのExpiCHO発現培地が入った125mLのポリカーボネート製の使い捨ての減菌の通気キャップ付きErlenmeyer振盪フラスコ内に移す。
4.125±5rpmで回転する軌道式振盪機プラットホーム上の8%COの加湿条件の37℃のインキュベータ中で細胞をインキュベートする。
5.解凍翌日に、生細胞密度及び生存率パーセントを決定する。細胞生存率は、解凍の1日後、>95%のはずである。
6.細胞密度及び生存率の監視を続け、以下の手順により、培養が4〜6×10生細胞/mL(典型的には、解凍後3〜4日)に達したら、細胞を継代培養する。
iv.ExpiCHO−S細胞の日常的な継代培養
注記:以下のガイドラインは、125mLのErlenmeyerフラスコ内での30mL培養に基づく。培養体積は、他のフラスコサイズに比例して拡張することができる。
1.生細胞密度及び生存率パーセントを決定する。
2.生細胞密度を使用して、下の表の推奨される播種密度により、新しい125mLのフラスコに播種するのに必要な細胞浮遊体積を計算する。
3.計算された体積の細胞を新しい予め温めた、125mLの振盪フラスコ中のExpiCHO発現培地に移す。
4.培養が4〜6×10生細胞/mLの密度に達するまで、125±5rpmで回転する軌道式振盪機プラットホーム上の8%CO2の加湿条件を含む37℃のインキュベータ中でフラスコをインキュベートする。
注記:この初期対数成長窓の外側の密度で継代培養される細胞は、経時的により長い倍加時間及び低力価を示す場合がある。継代培養時に、初期の播種密度を修正して標的の4〜6×10生細胞/mL密度を達成する。
5.ステップ1〜4を繰り返してトランスフェクション用の細胞を維持または拡張する。
c.ExpiCHO−S細胞のトランスフェクト
i.はじめに
高密度浮遊ExpiCHO−S培養の最適なトランスフェクションのために、トランスフェクションキットに含まれるExpiFectamineCHO試薬を使用する。一部の他の無血清培地製剤とは異なり、ExpiCHO発現培地はトランスフェクションを阻害しない。ExpiCHO発現培地は、培地を交換または添加する必要なくトランスフェクションを可能にするように具体的に製剤化される。
ii.必要な材料
・ExpiCHO発現培地中で培養されたCHO−S−2H2細胞
・減菌のフェノール及び塩化ナトリウムを含まず、大半はスーパーコイルDNAを含有するプラスミドDNA調製物
・ヒトIgG抗体陽性対照ベクター(キットにおいて提供される100μLの1mg/mL溶液)
・ExpiFectamineCHO(商標)試薬(4°C)
・OptiPro(商標)SFM複合体化培地(4°C)
・ExpiCHO発現培地(37℃)
・ポリカーボネート製の使い捨ての減菌Erlenmeyerフラスコ
・8%COの加湿条件の37℃のインキュベータ中の軌道式振盪機
・5%COの加湿条件の32℃のインキュベータ中の軌道式振盪機(OPTIONAL:以下のプロトコルステップ8を参照されたい)
・生細胞密度及び生存率パーセントを決定するための試薬及び機器
iii.タンパク質発現の最適化
発現レベルは、発現された特定の組換えタンパク質及び使用されたベクターにより異なるが、ExpiCHO発現系は、1つのトランスフェクションから次のトランスフェクションの任意の特定のタンパク質に関して一貫した発現レベルを呈する。初めてタンパク質を発現するとき、発現実行の長さを最適化するために、時間経過(例えば、トランスフェクション後のいくつかの時間点で細胞または培地を採取する)を行うことを望んでもよい。ExpiCHO発現培地は、ExpiCHOエンハンサー及びExpiCHOフィードと共に最大14日間一過的にトランスフェクトされた培養を支持するように設計される。
iv.トランスフェクションの拡張
ExpiCHO発現系は、125mL〜3Lのフラスコサイズに拡張可能である。大きいフラスコサイズ(すなわち、3Lのフラスコ)に関して、培養の振盪速度は、125rpmから70rpmに減速されなければならない(表1を参照されたい)。
表1.種々の規模でのトランスフェクションの推奨体積
フィードは、初期培養体積の30%を表す
フィードは、初期培養体積の約25%を表す
フィードは、初期培養体積の16%を表す
ExpiCHO−S細胞のトランスフェクト
手順は125mLのフラスコにおけるExpiCHO−S細胞の開始体積が25mLのトランスフェクションに関して以下に詳述し、体積は比例して拡張され得る(参考に表1を参照されたい)。我々は、系の性能を確保するために、Beta Testキットの一部として含まれるヒトIgG抗体陽性対照ベクターの発現を試験することを推奨する。
1.細胞がおよそ4〜6×10生細胞/mLの密度に達するまでExpiCHO−S細胞を継代培養し、維持する。
2.トランスフェクションの前日に、ステップ1からのExpiCHO−S細胞を、3〜3.5×10生細胞/mLの最終密度に継代培養して、次の日におよそ7〜10×10生細胞/mLの密度を達成する。生存率は、トランスフェクションを進めるためには>95%であるべきである。
3.新しい予め温めたExpiCHO発現培地を添加することにより、ステップ2からの細胞を6×10生細胞/mLの最終密度に希釈する。
4.ExpiFectamineCHO/プラスミドDNA複合体を以下のように調製する:
注記:トランスフェクトされる培養体積のmL当たり0.5〜1.0μgの範囲の総プラスミドDNAが大半のタンパク質に適切である。
a)ExpiFectamineCHO試薬瓶を穏やかに4〜5回転倒して十分に混合する。
b)冷OptiPRO培地でプラスミドDNAを希釈する。チューブを旋回させるか、または穏やかに渦流することにより混合する。
c)冷OptiPRO培地でExpiFectamineCHO試薬を希釈する。上下に穏やかにピペット操作することにより混合する。
d)希釈したExpiFectamineCHO試薬を希釈したDNAに添加する。上下に穏やかにピペット操作することにより混合する。
5.ExpiFectamineCHO/プラスミドDNA複合体を室温で1〜5分間インキュベートし、次いで、ステップ3からの振盪機フラスコに全溶液を移し、添加中はフラスコを旋回させる。
6.125rpm(3Lの振盪フラスコに関しては70rpm)で回転する軌道式振盪機上の空気中8%COの加湿条件の37℃のインキュベータ中で細胞をインキュベートする。
7.翌日(トランスフェクション後18〜22時間)、選択されたプロトコルにより、以下の添加を行う:
a)標準的なプロトコル:150μLのExpiCHOエンハンサー及び7.5mLのExpiCHOフィードをフラスコに添加し、添加中はフラスコを旋回させる。振盪している空気中8%COの加湿条件の37℃のインキュベータにフラスコ(複数可)を戻す。
b)高力価プロトコル:150μLのExpiCHOエンハンサー及び6mLのExpiCHOフィードをフラスコに添加し、添加中はフラスコを旋回させる。振盪している空気中5%COの加湿条件の32℃のインキュベータにフラスコ(複数可)を戻す。
c)最大力価プロトコル:150μLのExpiCHOエンハンサー及び4mLのExpiCHOフィードをフラスコに添加し、添加中はフラスコを旋回させる。振盪している空気中5%COの加湿条件の32℃のインキュベータにフラスコ(複数可)を戻す。トランスフェクション後5日目に、さらに4mLのExpiCHO Feedを添加し、振盪している32℃のインキュベータにフラスコ(複数可)を戻す。
8.タンパク質を採取する最適な時間は、発現されるタンパク質の特定の特性及び選択されたプロトコルに依存する。参照のため、ヒトIgG抗体陽性対照がトランスフェクション後の翌日に採取される。
a)標準的なプロトコル:トランスフェクション後8〜10日
b)高力価プロトコル:トランスフェクション後10〜12日
c)最大力価プロトコル:トランスフェクション後12〜14日
キット
本発明の別の態様は、インビトロで細胞を増殖するためのキットに関する。キットは1つ以上の容器を含み、第1の容器は本発明の培養培地を収容する。キットは、1つ以上の追加の容器をさらに含み得、各容器は、1つ以上のサイトカイン、ヘパリン、1つ以上の動物もしくは動物由来のペプチド、1つ以上の酵母ペプチド、及び1つ以上植物ペプチドからなる群から選択される、1つ以上の補足物を収容する。
本発明のキットは、核酸及び/または少なくとも1つの巨大分子、例えば、核酸の、本発明の培地において培養された細胞内への導入を容易にする試薬、すなわち、トランスフェクション試薬を含む1つ以上の容器をさらに含み得る。好ましいトランスフェクション試薬には、カチオン性脂質などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の一態様によるキットは、本発明の培養培地のうちの1つ以上、1つ以上の金属結合化合物であり得る1つ以上の交換化合物、及び/または1つ以上の遷移元素錯体を含み得、任意選択で、1つ以上の核酸及びトランスフェクション試薬を含み得る。本発明の別の態様によるキットは、1つ以上細胞培養培地(そのうちの1つは基礎培地であり得る)及び任意選択で1つ以上の交換化合物を含み得る。本発明のキットは、細胞を培養し、かつ/または細胞内に巨大分子もしくは化合物(例えば、DNAなどの核酸)を導入するためのキットを使用するための指示書も含有し得る。
以下の実施例は、本開示のある特定の態様を例示するため及び当業者が本開示を実施するのを助けるために提供される。これらの実施例は、決して、本開示の範囲を限定すると見なされるものではない。
実施例1:CHO一過性発現系の種々の構成成分の性能特徴
一過性CHO系において産生されたモノクローナル抗体の典型的な収量は、10〜100mg/L範囲であり、研究者は、彼らの研究に十分な材料を生成するために大規模なトランスフェクション、複数のトランスフェクション、またはそれらの両方を行うことを強いられる。一過性CHOにおけるタンパク質発現のリットル当たりのグラムまたはより大きいレベルを達成するために、発現系の各構成成分が新しく開発され、得られるCHO一過性発現系において最大性能を得るために個々に及び集合的の両方で、DoEによって最適化された。このプロセスの最初のステップとして、新しい高発現CHOクローンを、既存のGMP CHO−S細胞バンクから単離し、新しい既知組成及び動物起源を含まない細胞培養培地(ExpiCHO発現培地)に適合させた。ExpiCHO発現培地中で維持されるとき、これらの新しい細胞(CHO−S−2H2)は、単一細胞の非集塊表現型を維持しながら、標準的な振盪フラスコ培養において、高密度(>20×10細胞/mL)に迅速に(倍加時間約17時間)成長する。CHO−S−2H2細胞は、経時的に一貫した性能を確実にする継代にわたって優れた成長の安定性(図2A)及びタンパク質発現(図2B)を示す。ExpiCHO発現培地は、6.0×10細胞/mLのトランスフェクションを可能にし、ExpiCHOフィードと共に使用されるとき、最大14日のタンパク質産生実行を通して高細胞生存率(採取時で70〜80%)を維持し、タンパク質精製前に最小限しか/全く事前処理を必要としない極めてきれいな上清を可能にする。
図2A〜2Dに戻ると、図2A、解凍後の継代10または継代34のCHO−S−2H2は、日常的な振盪フラスコ培養において、一貫して≧20×10生細胞/mLを達成し、継代にわたって非常に類似する成長プロファイルを有する。図2B、CHO−S−2H2細胞は、広範囲の継代にわたって発現されたタンパク質の一貫した力価を示す。図2C、ExpiFectamineCHO(商標)トランスフェクション試薬は、1μg/mLプラスミドDNAを必要とする典型的な一過性トランスフェクションプロトコルと比較して、50〜75%少ないDNAの使用を可能にする。図2D、ExpiFectamineCHOエンハンサーの使用はタンパク質力価を倍増する。
実施例2:FreeStyle(商標)CHO及びExpi293(商標)発現系と比較した一過性CHO発現系におけるタンパク質収量
ヒトIgG1ウサギIgG及びエリスロポエチン(Epo)は、推奨される製造者のプロトコル及び上記による本発明のCHO発現系(CHO ES)、FreeStyle(商標)MAX、及びExpi293(商標)発現系において一過的に発現された。CHO ESに関して、最大力価プロトコルが使用された。6または7日目(FreeStyle MAX CHO及びExpi293)または10〜12日目(CHO ES)にタンパク質を採取し、ForteBio OctetまたはELISAにより定量化した。ExpiCHOにおけるタンパク質収量の増幅率は、2つの他のそれぞれの系に関して棒の上に示される。全てのタンパク質はpcDNA 3.4発現ベクターを使用して発現された。データは図3A〜3Cに要約される。図3Aにおいて、Expi293(商標)系と比較して、CHO ES系は、ヒトIgGについて3倍高い力価、ウサギIgGについて4倍高い力価、及びEpoについて2倍高い力価を生成した。FreeStyleCHO発現系と比較して、ExpiCHO系は、ヒトIgGについて160倍高い力価、ウサギIgGについて95倍高い力価、及びEpoについて25倍高い力価を生成した。
実施例3:CHO ESまたはExpi(商標)293発現系においてスクリーニングされたpcDNA3.4ベクターにおける20のウサギモノクローナル抗体プラスミドのパネル
CHO ESに関して、最大力価プロトコルが全てのプラスミドに使用された。19/20の抗体に関して、CHO ES系は、Expi293(商標)系よりも高い力価を生成した。これらの20の抗体のうち、1つは、Expi293(商標)系を使用して発現することができなかったが、CHO ES系において82mg/Lをもたらし、1つの抗体はいずれの系においても発現することができなかった。Expi293(商標)と比較して、CHO ESの発現における増幅率は、1.4〜3.9倍の範囲であり、平均増加は2.4倍であった。
実施例4:ヒトIgGの発現の動態学
最大力価プロトコル(実線、上の曲線)、高力価プロトコル(破線の中央の曲線)、及び標準的な力価プロトコル(ハッチング線の下の曲線)(プロトコルの詳細に関しては上記を参照されたい)を使用して、ヒトIgGがCHO ES系において一過的にトランスフェクトされた。IgG力価は、発現期間を通してForteBio octetにより定量化され、グラフにプロットされた。全てのプロトコルは、トランスフェクトされた培養のリットル当たり少なくとも1グラムのタンパク質を達成した。最大力価プロトコルは、標準的なプロトコルよりもおよそ3倍高い収量を生成し、一方、高力価プロトコルはおよそ2倍高い収量を生成した。タンパク質の収量は、発現された特定のタンパク質に非常に依存し、3つの異なるプロトコルで達成された相対的収量はこの研究において観察された結果を反映していない可能性がある。データを図6Aに示す。図6Bのデータは、3つのCHO ESプロトコルの発現実行中の細胞生存率に対応する。
実施例5:種々の系において発現された抗体のリガンド結合アッセイ
図7は、示される発現系において発現されたウサギモノクローナル抗体のリガンド結合アッセイからの結果を示す。データは、安定した一過性のCHOならびにExpi293由来タンパク質間で比較可能な性能を示す。
実施例6:Expi293(商標)と比較した安定した一過性CHO間で類似するグリコシル化パターン
本発明のCHO発現系は、初期の段階の薬物候補スクリーニング中の一過性タンパク質発現のためのCHO細胞の使用に革命を起こすのに役立ち得る。Expi293及びCHO ES一過性発現系により産生された組換えIgGのグリコシル化パターンを、安定したCHO細胞において発現された同じタンパク質と比較した。ExpiCHO系において産生された組換えIgGのグリコシル化は、安定したCHO細胞系のグリコシル化に非常に近いことは明らかであり、一過的に発現された薬物候補がCHOにおいて製造された下流生物学的薬剤を模倣することを確信をもってユーザに提供する。
N結合グルコシル化プロファイルは、Expi293及びCHO ES一過性トランスフェクション系ならびに安定したCHO−S細胞において発現されたヒトIgGに関して得られた。ヒトIgGは、図8に示される発現系(Expi293(商標)、CHO ES、及び安定したCHO−S)において一過的に発現された。ヒトIgG上清試料を回収し、POROS MabCapture A樹脂を使用して精製した。PNGase消化及びAPTS標識の後に、グリカンプロファイルを、キャピラリー電気泳動により、Applied Biosystems 3500シリーズ遺伝子分析器で分析した。結果は、CHO ES系からの一過的に発現されたタンパク質が安定したCHO発現されたタンパク質に類似するグリコシル化を呈し、一方、Expi293(商標)発現されたタンパク質は、グリコシル化において、より大きな相違を呈する。3つ全ての系において産生されたヒトIgGの結合活性は同等であった(データ示さず)。
図9A〜9Cは、示されるように、CHO ES系、安定してトランスフェクトされたCHO−S細胞、またはExpi293(商標)において発現されたヒトIgG1のHILIC LC−FLD−MS N−グリカンを示す。
CHO ES系の拡張性
CHO ES系は、35mLから1Lの培養体積の対照の15%以内で拡張可能である。
本発明の好ましい実施形態が本明細書において示され、記載されてきたが、かかる実施形態が単に例として提供されることは、当業者には明らかであろう。多くの変化形、変更、及び置換が本発明から逸脱することなく当業者に生じるだろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の種々の代替物が本発明の実施に用いられ得ることを理解されたい。以下の請求項は、本発明の範囲を定義し、これらの請求項の範囲内の方法及び構造ならびにそれらの等価物がそれにより網羅されることが意図される。

Claims (63)

  1. 培養された浮遊CHO細胞における組換えタンパク質の産生方法であって、
    CHO細胞の浮遊培養物を得ることであって、前記CHO細胞が、高密度培養条件下での成長に適応している、得ることと、
    浮遊CHO細胞の成長を可能にするように適応した高密度成長培地中で、約2×10〜約2×10細胞/mlの間の細胞密度で、前記CHO細胞を培養することと、
    トランスフェクション試薬の存在下で前記CHO細胞を発現ベクターでトランスフェクトすることであって、前記発現ベクターが、発現されたタンパク質を産生することができる核酸配列を含む、トランスフェクトすることと、
    第1の期間にわたって、前記トランスフェクトされたCHO細胞をインキュベートすることと、
    前記トランスフェクトされたCHO細胞を、少なくとも1つの発現エンハンサー組成物及び少なくとも1つの成長調節因子組成物と接触させることと、
    前記発現ベクターが前記タンパク質を発現するような条件下で、第2の期間にわたって、前記トランスフェクションエンハンサー及び成長調節因子の存在下で前記トランスフェクトされたCHO細胞をインキュベートすることと、
    前記トランスフェクトされたCHO細胞を採取し、前記発現されたタンパク質を単離することと、を含む、方法。
  2. 前記第2の期間後に、前記トランスフェクトされた細胞を、再度、前記成長調節因子組成物と接触させ、前記トランスフェクトされたCHO細胞を採取し、前記発現されたタンパク質を単離する前に、第3の期間にわたって、前記トランスフェクトされた細胞をインキュベートする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第3の期間が、最大約20日間、最大約15日間、最大約14日間、最大約13日間、最大約12日間、最大約11日間、最大約10日間、最大約9日間、最大約8日間、最大約7日間、最大約6日間、最大約5日間、最大約4日間、約20日間、約15日間、約14日間、約13日間、約12日間、約11日間、約10日間、約9日間、約8日間、約7日間、約6日間、約5日間、約4日間である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記トランスフェクトされた細胞が前記発現エンハンサー組成物及び前記成長調節因子組成物と接触させられた後に、前記トランスフェクトされた細胞が、37℃未満かつ30℃超の温度で培養される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記トランスフェクトされた細胞が、35℃未満かつ31℃超の温度で培養される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記トランスフェクトされた細胞が、約32℃の温度で培養される、請求項4に記載の方法。
  7. 前記浮遊CHO細胞が、高密度培養条件下での成長に適応したCHO−S細胞またはCHO−S細胞の誘導体である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記浮遊CHO細胞が、CHO−S−2H2細胞またはCHO−S−クローン14細胞である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記浮遊CHO細胞が、約3×10〜約15×10細胞/ml、約3.5×10〜約12×10細胞/ml、約4×10〜約10×10細胞/ml、約4.5×10〜約9×10細胞/ml、約5×10〜約8×10細胞/ml、約5.5×10〜約7×10細胞/ml、約6×10〜約6.5×10細胞/ml、約6×10〜約6.25×10細胞/mlの間、または約6×10細胞/mlの細胞密度で、トランスフェクション前に培養される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記トランスフェクション試薬が、カチオン性脂質または高分子アミン系トランスフェクション試薬を含む、請求項1に記載の方法。
  11. 前記トランスフェクション試薬が、ポリエチレンイミン(PEI)またはその誘導体を含む、請求項1に記載の方法。
  12. 前記PEIが、直鎖状PEIである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記トランスフェクション試薬が、カチオン性脂質を含む、請求項1に記載の方法。
  14. 前記浮遊CHO細胞をトランスフェクトする前に、カチオン性脂質が、前記発現と接触させられて、トランスフェクション複合体を形成する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記トランスフェクション複合体が、0℃超かつ20℃未満、15℃未満、10℃未満、8℃未満、または5℃未満の温度で形成される、請求項14に記載の方法。
  16. トランスフェクション前の前記浮遊培養物の体積が、約20mL〜約1500ml、約25ml〜約1000ml、約30ml〜約750ml、約50ml〜約500ml、約75ml〜約400ml、約100ml〜約200mlの範囲、またはそれらの間の任意の範囲である、請求項1に記載の方法。
  17. トランスフェクション前の前記浮遊培養物の体積が、約20ml、約25ml、約30ml、約35ml、約40ml、約45ml、約50ml、約55ml、約60ml、約65ml、約70ml、約75ml、約80ml、約100ml、約125ml、約150ml、約175ml、約200ml、約250ml、約300ml、約400ml、約500ml、約750ml、1000ml、もしくは約1500ml、またはそれらの間の任意の体積である、請求項1に記載の方法。
  18. 前記発現エンハンサー組成物が、バルプロ酸、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、酢酸リチウム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ガラクトース、アミノ酸、または前述の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
  19. 前記発現エンハンサー組成物が、バルプロ酸、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、酢酸リチウム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ガラクトース、アミノ酸、または前述の任意の組み合わせのうちの少なくとも2つ以上を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記発現エンハンサー組成物が、バルプロ酸、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、酢酸リチウム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ガラクトース、アミノ酸、または前述の任意の組み合わせのうちの少なくとも3つ以上を含む、請求項18に記載の方法。
  21. 前記発現エンハンサー組成物が、バルプロ酸、プロピオン酸ナトリウム、及び酪酸ナトリウムを含む、請求項18に記載の方法。
  22. 前記発現エンハンサー組成物が、浮遊細胞の集塊を少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも65%、少なくとも60%、少なくとも55%、または少なくとも50%低減する組成物をさらに含む、請求項18に記載の方法。
  23. 浮遊細胞の集塊を低減する前記組成物が、硫酸デキストランを含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記発現エンハンサー組成物中の硫酸デキストランの濃度が、約10mg/ml〜約200mg/ml、約25mg/ml〜約175mg/ml、約50mg/ml〜約150mg/ml、約75mg/ml〜約125mg/ml、約90mg/ml〜約110mg/mlの間、またはそれらの間の任意の濃度もしくは濃度範囲である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記発現エンハンサー組成物が、バルプロ酸(VPA)を含む、請求項18に記載の方法。
  26. 前記発現エンハンサー組成物中のバルプロ酸の濃度が、約5mg/ml〜約50mg/ml、約5mM〜約200mMの範囲、またはそれらの間の任意の濃度である、請求項25に記載の方法。
  27. 前記発現エンハンサー組成物中のバルプロ酸の濃度が、約20mM〜約150mM、約25mM〜約125mM、約50mM〜約100mM、約75mM〜約80mMの範囲である、請求項25に記載の方法。
  28. 前記発現エンハンサー組成物中のバルプロ酸の濃度が、約50mM〜約150mM、約75mM〜約125mM、約80mM〜約120mM、約90mM〜約110mM、または約100mMである、請求項25に記載の方法。
  29. 前記発現エンハンサー組成物中のバルプロ酸の濃度が、約10mg/ml〜約20mg/ml、約12mg/ml〜約18mg/ml、約14mg/ml〜約16mg/ml、またはそれらの間の任意の濃度である、請求項25に記載の方法。
  30. バルプロ酸の濃度が、約10mg/ml、約10.5mg/ml、約11mg/ml、約11.5mg/ml、約12mg/ml、約12.5mg/ml、約13mg/ml、約13.5mg/ml、約14mg/ml、約14.5mg/ml、約15mg/ml、約15.5mg/ml、約16mg/ml、約16.5mg/ml、約17mg/ml、約17.5mg/ml、約18mg/ml、約18.5mg/ml、約19mg/ml、約19.5mg/ml、もしくは約20mg/ml、またはそれらの間の任意の濃度である、請求項29に記載の方法。
  31. 前記発現エンハンサー組成物が、プロピオン酸ナトリウムを含む、請求項18に記載の方法。
  32. 前記培養物中のプロピオン酸ナトリウムの最終濃度が、約0.2mM〜約100mM、約0.5mM〜約50mM、約0.75mM〜約25mM、約1mM〜約15mM、約1.25mM〜約10mM、約1.5mM〜約5mM、約b0.75mM 約0.8mM、約1mM、約1.2mM、約1.4mM、約1.5mM、約1.5mM、約1.7mM、約2.0mMの範囲、またはそれらの間の任意の濃度である、請求項31に記載の方法。
  33. 前記培養物中のプロピオン酸ナトリウムの最終濃度が、約0.1mg/ml〜約0.2mg/mlの範囲、またはそれらの間の任意の濃度である、請求項31に記載の方法。
  34. 前記発現エンハンサー組成物中のプロピオン酸ナトリウムの最終濃度が、約0.5mM〜約5mM、またはそれらの間の任意の濃度である、請求項31に記載の方法。
  35. 前記発現組成物が、酪酸ナトリウムを含む、請求項18に記載の方法。
  36. 前記培養物中の酪酸ナトリウムの最終濃度が、約0.01mM〜約1mM、約0.05mM〜約0.5mM、約0.01mM〜約0.25mM、約5mg/L〜約20mg/L、約8mg/L〜約15m/L、約10mg/L〜約14mg/Lの範囲、またはそれらの間の任意の濃度である、請求項35に記載の方法。
  37. 前記浮遊培養物の体積が、約25mLμl〜約50Lの範囲、またはそれらの間の任意の濃度である、請求項1に記載の方法。
  38. 前記浮遊培養物の体積が、約100mLμl〜約1Lの範囲である、請求項1に記載の方法。
  39. 前記浮遊培養物の体積が、約200mLμl〜約500mlの範囲である、請求項1に記載の方法。
  40. 前記トランスフェクションステップの細胞密度が、約1×10〜約20×10細胞/mlの間である、請求項1に記載の方法。
  41. 前記トランスフェクションステップの細胞密度が、約2×10〜約6×10の範囲である、請求項1に記載の方法。
  42. 前記方法が、前記トランスフェクションステップ後に、前記高密度培養培地の交換、補充、または補足を必要としない、請求項1に記載の方法。
  43. 前記高密度培養培地が、前記トランスフェクションステップ後に、交換、補充、または補足されない、請求項1に記載の方法。
  44. 前記高密度成長培地が、75%、80%、85%、90%、95%を上回ったままの細胞生存率で、2.×10細胞/ml〜約2×10細胞/mlを上回る密度で、トランスフェクトされたCHO細胞の成長を促進する無血清/無タンパク質既知組成培養培地である、請求項1に記載の方法。
  45. 前記高密度成長培地が、前記発現ベクターでのそのトランスフェクション後に、75%、80%、85%、90%、95%を上回ったままの細胞生存率で、2×10細胞/ml〜約2×10細胞/mlを上回る密度で、トランスフェクトされたCHO細胞の成長を促進する無血清/無タンパク質既知組成培養培地である、請求項1に記載の方法。
  46. 前記高密度成長培地が、前記トランスフェクションステップ後に、前記培地の補足、交換、または補充を必要としない、請求項1に記載の方法。
  47. 前記高密度成長培地が、前記トランスフェクションステップ後に、補足、交換、または補充されない、請求項1に記載の方法。
  48. 前記発現されたタンパク質を精製することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  49. 前記CHO細胞が、1つ以上の発現増強タンパク質を発現する、請求項1に記載の方法。
  50. 前記発現増強タンパク質が、AKT、P18、P21、Bcl−X、及びPKBaからなるリストから選択される、請求項49に記載の方法。
  51. 前記CHO細胞が、1つ以上の発現増強タンパク質を一過的に発現する、請求項49に記載の方法。
  52. 前記CHO細胞が、1つ以上の発現増強タンパク質を安定して発現する、請求項49に記載の方法。
  53. 前記第1の期間が、約12時間〜約2日間、約15〜約36時間、約16時間〜約30時間、約18〜約28時間、約19〜約26時間、約19〜約25時間、約20〜約24時間の範囲、またはそれらの間の任意の時間である、請求項1に記載の方法。
  54. 前記第1の期間が、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約25時間、約26時間、約27時間、約28時間、最大48時間、またはそれらの間の任意の時間である、請求項1に記載の方法。
  55. 前記第2の期間が、最大約20日間、最大約19日間、最大約18日間、最大約17日間、最大約16日間、最大約15日間、最大約14日間、最大約13日間、最大約12日間、最大約11日間、最大約10日間、最大約9日間、最大約8日間、最大約7日間、最大約6日間、最大約5日間、最大約4日間、最大約3日間、またはそれらの間の任意の時間である、請求項1に記載の方法。
  56. 前記成長調節因子組成物が、複数のアミノ酸を含み、各アミノ酸は、約0.1mg/ml〜約8mg/mlの範囲の濃度を有する、請求項1に記載の方法。
  57. 前記成長調節因子組成物が、グルコースをさらに含む、請求項56に記載の方法。
  58. 前記成長調節因子組成物中の前記グルコースの浸透圧が、約500mOsm/kg〜約700mOsm/kg、約550mOsm/kg〜約650mOsm/kg、約575mOsm/kg〜約625mOsm/kgの間である、請求項57に記載の方法。
  59. 前記グルコースの濃度が、約85mg/ml〜約115mg/ml、約90mg/ml〜約110mg/ml、約95mg/ml〜約105mg/mlの範囲である、請求項57に記載の方法。
  60. 前記成長調節因子組成物が、約1000mOsm/kg〜約1500mOsm/kg、約1100mOsm/kg〜約1400mOsm/kg、約1200mOsm/kg〜約1300mOsm/kgの間の浸透圧、またはそれらの間の任意の浸透圧もしくは範囲を有する、請求項56に記載の方法。
  61. 前記成長調節因子組成物が、約1100mOsm/kg、約1150mOsm/kg、約1200mOsm/kg、約1250mOsm/kg、約1300mOsm/kg、約1350mOsm/kg、約1400mOsm/kg、約1450mOsm/kg、約1500mOsm/kgの浸透圧を有する、請求項56に記載の方法。
  62. 前記トランスフェクトされたCHO細胞が採取されたときの前記培養物の体積が、前記浮遊細胞がトランスフェクトされたときの前記培養物の体積の約150%未満、約145%未満、約140%未満、約135%未満、約130%未満、約125%未満、約120%未満であり、体積の増加は、成長培地の添加、補足、または交換に起因しない、請求項1に記載の方法。
  63. 前記トランスフェクトされたCHO細胞が採取されたときの前記培養物の体積が、前記浮遊細胞がトランスフェクトされたときの前記培養物の体積の約150%未満、約145%未満、約140%未満、約135%未満、約130%未満、約125%未満、約120%未満であり、体積の増加は、前記成長エンハンサー組成物及び前記発現エンハンサー組成物の添加に起因する、請求項1に記載の方法。
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