(3. 発明の概要)
本明細書に提供されるのは、発癌性ウイルスの抗原、又は腫瘍関連ウイルスの抗原をコードする第1のヌクレオチド配列を有するアレナウイルスウイルスベクターである。ある実施態様において、該発癌性ウイルス又は腫瘍関連ウイルスは、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、又はC型肝炎ウイルスではない。ある実施態様において、該ウイルスベクターは、二セグメント又は三セグメントアレナウイルスウイルスベクターであり得る感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターである。ある実施態様において、該ウイルスベクターは、複製可能又は複製欠損であり得る三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。したがって、ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。
また、本明細書に提供されるのは、ゲノム中のORFを再配列させたアレナウイルスである。特に、本明細書に提供されるのは、野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORFと、発癌性ウイルスの抗原又は腫瘍関連ウイルスの抗原をコードする第1のヌクレオチド配列を担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントである。ある実施態様において、該発癌性ウイルス又は腫瘍関連ウイルスは、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、又はC型肝炎ウイルスではない。
さらに、本明細書に提供されるのは、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、及び複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又は発癌性ウイルス抗原をコードする第1のヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターであり、該発癌性ウイルスは、ヒトパピローマウイルス(HPV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、又はヒトTリンパ好性ウイルスである。特に、本明細書に提供されるのは、第3.1節を含めて、本明細書に記載されるHPV抗原をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクターは、感染性である、すなわち、宿主細胞に侵入するか、又は宿主細胞にその遺伝物質を注入することができる。あるより具体的な実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクターは、感染性である、すなわち、宿主細胞に侵入するか、又は宿主細胞にその遺伝物質を注入し、その後、宿主細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させることができる。ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクターは、感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させる能力を有するゲノムを含有するが、遺伝子改変されていない正常細胞ではさらなる感染性子孫粒子を生成することができないように改変された感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターである。ある実施態様において、該感染性アレナウイルスウイルスベクターは、複製可能であり、遺伝子改変されていない正常細胞でさらなる感染性子孫粒子を生成することができる。
また、本明細書に提供されるのは、ヒトパピローマウイルス(HPV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、又はヒトTリンパ好性ウイルスによって引き起こされるものなどの、発癌性ウイルスの感染によって引き起こされる腫瘍性疾患などの腫瘍性疾患の治療のための免疫療法である。ある実施態様において、該免疫療法は、HPVによって引き起こされる腫瘍性疾患の治療及び/又はHPV感染の治療のためのものである。そのような免疫療法は、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクター、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターを含む医薬組成物、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターを含む免疫原性組成物、又は本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターを含むワクチンを対象へ投与することを含む。
(3.1 発癌性ウイルス抗原及びHPV抗原)
ある実施態様において、本明細書に提供される感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、及び複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターは、第1のHPV抗原をコードする第1のヌクレオチド配列を含む。
ある実施態様において、該第1のヌクレオチド配列はさらに、第2のHPV抗原をコードする。
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントはさらに、第2のHPV抗原をコードする第2のヌクレオチド配列を含む。
ある実施態様において、該第1及び/又は第2のヌクレオチド配列は、複数のHPV抗原をコードする。より具体的な実施態様において、本明細書に提供される第1のヌクレオチド配列を含むアレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれより多くのHPV抗原をコードする。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される第2のヌクレオチド配列を含むアレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれより多くのHPV抗原をコードする。さらに別の実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントは、第1及び第2のヌクレオチド配列を含み、該第1のヌクレオチド配列は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれより多くのHPV抗原をコードし、該第2のヌクレオチド配列は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれより多くのHPV抗原をコードする。
ある実施態様において、該第1の抗原は、HPVタンパク質E1、HPVタンパク質E2、HPVタンパク質E3、HPVタンパク質E4、HPVタンパク質E5、HPVタンパク質E6、HPVタンパク質E7、HPVタンパク質L1及びHPVタンパク質L2からなる群から選択される。
ある実施態様において、該第2の抗原は、HPVタンパク質E1、HPVタンパク質E2、HPVタンパク質E3、HPVタンパク質E4、HPVタンパク質E5、HPVタンパク質E6、HPVタンパク質E7、HPVタンパク質L1及びHPVタンパク質L2からなる群から選択される。
ある実施態様において、該第1及び/又は第2の抗原は、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、又はHPV82の抗原である。
ある実施態様において、該第1の抗原はHPV16抗原であり、第2の抗原はHPV18抗原である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントはさらに、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれより多くのHPV抗原をコードする。具体的な実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントは、1つ、2つ又は3つのHPV16抗原及び1つ、2つ又は3つのHPV18抗原をコードする。さらにより具体的な実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントは、2つのHPV16抗原及び2つのHPV18抗原をコードする。ある実施態様において、これらのHPV抗原は:
・HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
・HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片;
からなる群から選択される。
ある実施態様において、該第1の抗原は:
・HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
・HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片;
からなる群から選択される。
ある実施態様において、該第1及び該第2の抗原は:
・HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
・HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片;
からなる群から選択され、該第1及び該第2の抗原は同じではない。
ある具体的な実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントはさらに、融合したHPVタンパク質E7-HPVタンパク質E6-HPVタンパク質E6-HPVタンパク質E7をコードし、一方のHPVタンパク質E7はHPV16株に由来し、他方はHPV18株に由来し、一方のHPVタンパク質E6はHPV18株に由来し、他方はHPV18株に由来する。
ある実施態様において、該第1又は第2の抗原は、Rb結合部位に変異を有するHPVタンパク質E7である。
ある実施態様において、該第1又は第2の抗原は、Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有するHPVタンパク質E7である。
ある実施態様において、該第1又は第2の抗原は、亜鉛結合ドメインに変異を有するHPVタンパク質E6である。
ある実施態様において、該第1又は第2の抗原は、ジンクフィンガーモチーフに変異を有するHPVタンパク質E6である。
ある実施態様において、該第1及び該第2の抗原は、互いに直接融合している。
ある実施態様において、該第1及び該第2の抗原は、ペプチドリンカーを介して互いに融合している。
ある実施態様において、該第1及び該第2の抗原は、自己切断ペプチドを介して互いに隔てられている。
ある実施態様において、該自己切断ペプチドは、豚テシオウイルス-1 2Aペプチド、トセアアシグナウイルス2Aペプチド、又は口蹄疫ウイルス2Aペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントはさらに、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含む。
ある実施態様において、該免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は:
・カルレティキュリン(CRT)又はその断片;
・ユビキチン又はその断片;
・顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)又はその断片;
・インバリアント鎖(CD74)又はその抗原性断片;
・結核菌(Mycobacterium tuberculosis)熱ショックタンパク質70又はその抗原性断片;
・単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22又はその抗原性断片;
・CD40リガンド又はその抗原性断片;
・Fms関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンド又はその抗原性断片
からなる群から選択される。
ある実施態様において、該免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は:
・カルレティキュリン(CRT)又はその断片;
・ユビキチン又はその断片;及び
・顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)又はその断片
からなる群から選択される。
ある実施態様において、該免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、該第1の抗原に直接融合しているか、又はペプチドリンカーを介して該第1の抗原に融合している。
ある実施態様において、該免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、該第2の抗原に直接融合しているか、又はペプチドリンカーを介して該第2の抗原に融合している。
ある実施態様において、該第1の抗原及び該免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、自己切断ペプチドを介して互いに隔てられている。
ある実施態様において、該第2の抗原及び該免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、自己切断ペプチドを介して互いに隔てられている。
ある実施態様において、該自己切断ペプチドは、豚テシオウイルス-1 2Aペプチド、トセアアシグナウイルス2Aペプチド、又は口蹄疫ウイルス2Aペプチドである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントはさらに、ヒトチロシナーゼ分泌シグナル、ヒト成長ホルモン分泌シグナル、又は組織プラスミノーゲン活性化因子シグナル配列をコードするヌクレオチド配列を含む。
ある実施態様において、得られる融合タンパク質は、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である。
ある実施態様において、得られる融合タンパク質は、配列番号34のアミノ酸配列の融合タンパク質と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である。
ある実施態様において、得られる融合タンパク質は、配列番号36のアミノ酸配列の融合タンパク質と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である。
ある実施態様において、得られる融合タンパク質は、配列番号38のアミノ酸配列の融合タンパク質と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントは、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるHPV16 E7/E6ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントは、配列番号34のアミノ酸配列のアミノ酸17〜263と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるHPV16 E7/HPV18 E6ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントは、配列番号36のアミノ酸配列のアミノ酸17〜270と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるHPV18 E7/HPV16 E6ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントは、配列番号38のアミノ酸配列のアミノ酸17〜516と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。
(3.2 複製欠損アレナウイルス)
ある実施態様において、本明細書に提供されるウイルスベクターは、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、発癌性ウイルスの抗原又は腫瘍関連ウイルスの抗原をコードする第1のヌクレオチド配列を含む感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターであり、該発癌性ウイルス又は腫瘍関連ウイルスはサイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、又はC型肝炎ウイルスではない。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、発癌性ウイルスの抗原をコードする第1のヌクレオチド配列を含む感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターであり、該発癌性ウイルスは、ヒトパピローマウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、又はヒトTリンパ好性ウイルスである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させる能力を有するゲノムを含有するが、遺伝子改変されていない正常細胞ではさらなる感染性子孫粒子を生成することができないように改変された感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターであり、1つのアレナウイルスオープンリーディングフレームは、少なくとも部分的に除去され、第1のHPV抗原をコードする第1のヌクレオチド配列と置換されている。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させる能力を有するゲノムを含有するが、遺伝子改変されていない正常細胞ではさらなる感染性子孫粒子を生成することができないように改変された感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターであり、1つのアレナウイルスオープンリーディングフレームは、少なくとも部分的に除去されているか、又は機能的に不活化され、該アレナウイルスベクターのゲノムは、HPV16 E6又はその抗原性断片、HPV16 E7又はその抗原性断片、HPV18 E6又はその抗原性断片、及びHPV18 E7又はその抗原性断片をコードする。
ある実施態様において、該アレナウイルスベクターは、HPV16 E6/E7融合タンパク質及びHPV18 E6/E7融合タンパク質をコードする。ある実施態様において、該アレナウイルスベクターは、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質をコードする。ある実施態様において、該アレナウイルスベクターは、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質をコードする。ある実施態様において、該アレナウイルスベクターは、HPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質をコードする。
ある実施態様において、HPV16 E6又はその抗原性断片、HPV16 E7又はその抗原性断片、HPV18 E6又はその抗原性断片、及びHPV18 E7又はその抗原性断片は、1つ、2つ、3つ又は4つの異種ヌクレオチド配列によってコードされている。
ある実施態様において、該ベクターは、HPV16 E6又はその抗原性断片、HPV16 E7又はその抗原性断片、HPV18 E6又はその抗原性断片、及びHPV18 E7又はその抗原性断片のうちの1以上に融合したシグナルペプチドをコードする。
ある実施態様において、該ベクターは、HPV16 E6又はその抗原性断片、HPV16 E7又はその抗原性断片、HPV18 E6又はその抗原性断片、及びHPV18 E7又はその抗原性断片のうちの2以上の間にペプチドリンカーをコードする。
ある実施態様において、該ベクターはさらに、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。特に、ある実施態様において、該アレナウイルスは、第3.1節を含めて、本明細書に記載されるHPV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。
ある実施態様において、該ベクターは、第3.1節を含めて、本明細書に記載されるHPV抗原(HPV16 E6、HPV16 E7、HPV18 E6、HPV18 E7)又はその抗原性断片と、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質の間にペプチドリンカーをコードする。
ある実施態様において、該アレナウイルスは、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)又はフニンウイルスである。
ある実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターをコードするゲノム情報は、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスクローン13株又はMP株に由来する。
ある実施態様において、該ウイルスベクターは、感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させる能力を有するゲノムを含有するように改変されるが、遺伝子改変されていない正常細胞ではさらなる感染性子孫粒子を生成することができず、1つのアレナウイルスオープンリーディングフレームは機能的に不活化されている。
ある実施態様において、本明細書に提供される感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターは、アレナウイルスの糖タンパク質(「GP」)、核タンパク質(「NP」)、マトリックスタンパク質Z(「Zタンパク質」)又はRNA依存性RNAポリメラーゼL(「Lタンパク質」)をコードするウイルスのオープンリーディングフレーム(「ORF」)が除去されているか、又は機能的に不活化されたウイルスベクターを含む。
ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの少なくとも1つは、除去されているか又は機能的に不活化されている。
ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの少なくとも1つは、除去されており、かつアレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。他の実施態様において、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの1つのみが、除去されており、かつアレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。より具体的な実施態様において、GPをコードするORFは、除去されており、かつアレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。他の実施態様において、NPをコードするORFは、除去されており、かつアレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。いくつかの実施態様において、Zタンパク質をコードするORFは、除去されており、かつアレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。他の実施態様において、Lタンパク質をコードするORFは、除去されており、かつアレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。
ある実施態様において、該異種ORFは、レポータータンパク質をコードする。いくつかの実施態様において、該異種ORFは、感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原をコードする。他の実施態様において、抗原をコードする異種ORFは、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原、ヒト免疫不全ウイルス抗原、C型肝炎ウイルス抗原、B型肝炎表面抗原、水痘・帯状疱疹ウイルス抗原、サイトメガロウイルス抗原、結核菌抗原、及び腫瘍関連抗原から選択される。
ある実施態様において、該感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターの増殖又は感染は、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFによって影響されない。
(3.3 アレナウイルスゲノムセグメント)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、そのゲノム中のORFを再配列させたアレナウイルスである。特に、本明細書に提供されるのは、野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORF、及び本明細書に記載される発癌性ウイルスの抗原又は腫瘍関連ウイルスの抗原をコードする第1のヌクレオチド配列を担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントである。ある実施態様において、該発癌性ウイルス又は腫瘍関連ウイルスは、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、又はC型肝炎ウイルスではない。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORF、及び発癌性ウイルス抗原をコードする第1のヌクレオチド配列を担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントであり、該発癌性ウイルスは、ヒトパピローマウイルス(HPV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、又はヒトTリンパ好性ウイルスである。特に、ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントは、第3.1節を含めて、本明細書に記載されるHPV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントは:
(i)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(vii)GPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(viii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ix)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(x)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(xi)NPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(xii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
からなる群から選択される。
ある実施態様において、該アレナウイルスの3'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はアレナウイルスLセグメントの3'UTRである。ある実施態様において、該アレナウイルスの5'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はアレナウイルスLセグメントの5'UTRである。
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントは、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(「LCMV」)又はフニンウイルスに由来する。特定の実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントは、LCMV由来である。該LCMVは、MP株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株であり得る。特定の実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントは、フニンウイルスに由来する。該フニンウイルスは、フニンウイルスワクチンCandid #1、又はフニンウイルスワクチンXJクローン3株であり得る。
また本明細書に提供されるのは、アレナウイルスウイルスベクターがSセグメント及びLセグメントを含むように、アレナウイルスゲノムセグメント及び第2のアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターである。
ある実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターは、感染性であり、複製可能である。いくつかの実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターは弱毒化される。他の実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターは、感染性であるが、非相補細胞ではさらなる感染性子孫を生成することができない。
ある実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターは、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(「LCMV」)又はフニンウイルスに由来する。特定の実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターは、LCMVに由来する。該LCMVは、MP株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株であり得る。特定の実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターは、フニンウイルスに由来する。該フニンウイルスは、フニンウイルスワクチンCandid #1、又はフニンウイルスワクチンXJクローン3株であり得る。
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクター又はアレナウイルスゲノムセグメントは、アレナウイルスの糖タンパク質(「GP」)、核タンパク質(「NP」)、マトリックスタンパク質Z(「Zタンパク質」)又はRNA依存性RNAポリメラーゼL(「Lタンパク質」)をコードするウイルスのオープンリーディングフレーム(「ORF」)が、除去されているか、又は機能的に不活化されているウイルスベクターを含む。
ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの少なくとも1つは、除去されているか、又は機能的に不活化されている。
ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの少なくとも1つは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。他の実施態様において、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする4つのORFの1つのみが、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。より具体的な実施態様において、GPをコードするORFは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。他の実施態様において、NPをコードするORFは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。いくつかの実施態様において、Zタンパク質をコードするORFは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。他の実施態様において、Lタンパク質をコードするORFは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。
ある実施態様において、該異種ORFは、レポータータンパク質をコードする。いくつかの実施態様において、該異種ORFは、感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原をコードする。他の実施態様において、抗原をコードする異種ORFは、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原、ヒト免疫不全ウイルス抗原、C型肝炎ウイルス抗原、B型肝炎表面抗原、水痘・帯状疱疹ウイルス抗原、サイトメガロウイルス抗原、結核菌抗原、及び腫瘍関連抗原から選択される。
ある実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターの増殖又は感染性は、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFによって影響されない。
(3.4 三セグメントアレナウイルスウイルスベクター)
ある実施態様において、本明細書に提供されるウイルスベクターは、発癌性ウイルスの抗原又は腫瘍関連ウイルスの抗原をコードする第1のヌクレオチド配列を有する三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。ある実施態様において、該発癌性ウイルス又は腫瘍関連ウイルスは、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、又はC型肝炎ウイルスではない。ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。本明細書に提供される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターはまた、発癌性ウイルスの抗原をコードする第1のヌクレオチド配列を含み、該発癌性ウイルスは、ヒトパピローマウイルス(HPV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、又はヒトTリンパ好性ウイルスである。特に、ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、第3.1節を含めて、本明細書に記載されるHPV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。
特定の実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、複製可能二セグメントアレナウイルス粒子へと組換えを起こさない1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む。本明細書に記載される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、遺伝的安定性が改善され、導入遺伝子発現が持続する。したがって、ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠き、104 PFUの三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを感染させたマウスにおける持続感染の70日後に、複製可能二セグメントウイルスのウイルスベクターをもたらさない。さらに、ある実施態様において、2つの別々のセグメントの代わりに、一方のみに2つのアレナウイルスのORFを結合している2つのSセグメント又は2つのLセグメントのセグメント間の組換えは、ウイルスプロモーター活性を抑制する。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメント並びに発癌性ウイルスの抗原又は腫瘍関連ウイルスの抗原をコードする第1のヌクレオチド配列を含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターであり、該発癌性ウイルス又は腫瘍関連ウイルスは、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、又はC型肝炎ウイルスではなく、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠き、104 PFUの三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを感染させたマウスにおける持続感染の70日後に、複製可能二セグメントウイルスベクターをもたらさない。該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターはまた、発癌性ウイルスの抗原をコードする第1のヌクレオチド配列を含み、該発癌性ウイルスは、ヒトパピローマウイルス(HPV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、又はヒトTリンパ好性ウイルスである。特に、ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、第3.1節を含めて、本明細書に記載されるHPV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、2つのLセグメント及び1つのSセグメント並びに発癌性ウイルスの抗原又は腫瘍関連ウイルスの抗原をコードする第1のヌクレオチド配列を含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターであり、該発癌性ウイルス又は腫瘍関連ウイルスは、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、又はC型肝炎ウイルスではなく、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠き、104 PFUの三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを感染させたマウスにおける持続感染の70日後に、複製可能二セグメントウイルスベクターをもたらさない。該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターはまた、発癌性ウイルスの抗原をコードする第1のヌクレオチド配列を含み、該発癌性ウイルスは、ヒトパピローマウイルス(HPV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、又はヒトTリンパ好性ウイルスである。特に、ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、第3.1節を含めて、本明細書に記載されるHPV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。
また、本明細書に提供されるのは、該アレナウイルスウイルスベクターがSセグメント及びLセグメントを含むように、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメント及び本明細書に記載される第2のアレナウイルスゲノムセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。
ある実施態様において、本明細書に提供される1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、2つのSセグメントのうちの1つが:
(i)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
からなる群から選択されるアレナウイルスウイルスベクターを含む。
ある実施態様において、本明細書に提供される2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、2つのLセグメントのうちの1つが:
(i)GPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(v)NPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
からなる群から選択されるアレナウイルスウイルスベクターを含む。
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの3'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はアレナウイルスLセグメントの3'UTRである。他の実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの5'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はアレナウイルスLセグメントの5'UTRである。
ある実施態様において、2つのSセグメントは、(i)アレナウイルス以外の生物からの1つ若しくは2つの異種ORF;又は(ii)1つ若しくは2つの重複アレナウイルスORF;又は(iii)アレナウイルス以外の生物からの1つの異種ORF及び1つの重複アレナウイルスORFを含む。
ある実施態様において、2つのLセグメントは、(i)アレナウイルス以外の生物からの1つ若しくは2つの異種ORF;又は(ii)1つ若しくは2つの重複アレナウイルスORF;又は(iii)アレナウイルス以外の生物からの1つの異種ORF及び1つの重複アレナウイルスORFを含む。
ある実施態様において、該異種ORFは、感染性生物、腫瘍、又はアレルゲンに由来する抗原をコードする。他の実施態様において、抗原をコードする異種ORFは、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原、ヒト免疫不全ウイルス抗原、C型肝炎ウイルス抗原、B型肝炎表面抗原、水痘・帯状疱疹ウイルス抗原、サイトメガロウイルス抗原、結核菌抗原、及び腫瘍関連抗原から選択される。
ある実施態様において、少なくとも1つの異種ORFは、蛍光タンパク質をコードする。他の実施態様において、該蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)又は赤色蛍光タンパク質(RFP)である。
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、全4つのアレナウイルスORFを含む。いくつかの実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、感染性であり、複製可能である。
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、4つのアレナウイルスORFのうちの1以上を欠いている。他の実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、感染性であるが、非相補細胞ではさらなる感染性子孫を生成することができない。
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、4つのアレナウイルスORFのうちの1つを欠き、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、感染性であるが、非相補細胞ではさらなる感染性子孫を生成することができない。
いくつかの実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、GPのORFを欠いている。
さらなる態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。ある実施態様において、第1のSセグメントは、アレナウイルスの3'UTRの制御下の位置にGPをコードするORF、及びアレナウイルスの5'UTRの制御下の位置に第1のHPV抗原をコードするORFを担持するように改変される。いくつかの実施態様において、第2のSセグメントは、アレナウイルスの3'UTRの制御下の位置にNPをコードするORF、及びアレナウイルスの5'UTRの制御下の位置に第2のHPV抗原をコードするORFを担持するように改変される。
さらに別の態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。ある実施態様において、第1のSセグメントは、アレナウイルスの5'UTRの制御下の位置にGPをコードするORF、及びアレナウイルスの3'UTRの制御下の位置に第1のHPV抗原をコードするORFを担持するように改変される。いくつかの実施態様において、第2のSセグメントは、アレナウイルスの5'UTRの制御下の位置にNPをコードするORF、及びアレナウイルスの3'UTRの制御下の位置に第2のHPV抗原をコードするORFを担持するように改変される。
ある実施態様において、該第1の抗原はHPV16抗原であり、第2の抗原はHPV18抗原である。
ある実施態様において、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、1つ、2つ、又は3つのHPV16抗原及び1つ、2つ又は3つのHPV18抗原をコードする。
ある実施態様において、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、2つのHPV16抗原及び2つのHPV18抗原をコードしており、該抗原は、
・HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
・HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片;
からなる群から選択される。
ある実施態様において、該第1及び該第2の抗原は、
・HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
・HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片;
からなる群から選択され、ここで該第1及び該第2の抗原は、同じではない。
ある実施態様において、該第1の抗原は、
・HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
・HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片;
からなる群から選択される。
ある実施態様において、該HPV抗原は、配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるHPV16 E7/E6ポリペプチドである。
ある実施態様において、該HPV抗原は、配列番号34のアミノ酸配列のアミノ酸17〜263と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるHPV16 E7/HPV18 E6ポリペプチドである。
ある実施態様において、該HPV抗原は、配列番号36のアミノ酸配列のアミノ酸17〜270と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるHPV18 E7/HPV16 E6ポリペプチドである。
ある実施態様において、該HPV抗原は、配列番号38のアミノ酸配列のアミノ酸17〜516と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7ポリペプチドである。
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、感染性であり、複製可能である。いくつかの実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターは弱毒化される。他の実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、感染性であるが、非相補細胞でさらなる感染性子孫を生成することができない。
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、二セグメントアレナウイルス粒子と同じ指向性を有している。他の実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、複製欠損である。
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(「LCMV」)又はフニンウイルスに由来する。特定の実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターはLCMVに由来する。該LCMVは、MP株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株であり得る。特定の実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、フニンウイルスに由来する。該フニンウイルスは、フニンウイルスワクチンCandid #1、又はフニンウイルスワクチンXJクローン3株であり得る。
(3.5 核酸、宿主細胞及びウイルスベクターを作製する方法)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、cDNAを含む単離された核酸であり、該核酸は、上記のウイルスベクターをコードする。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、そのような核酸を含む発現ベクターである。また、本明細書に提供されるのは、そのような核酸又はそのような発現ベクターを含む宿主細胞である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるアレナウイルスゲノムセグメントの単離されたcDNAである。また、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを含むDNA発現ベクターである。
さらに本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるアレナウイルスゲノムセグメントを含む宿主細胞、該アレナウイルスゲノムセグメントのcDNA、又は該アレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを含むベクターである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターを作製する方法であって、
(i)宿主細胞に、上記の核酸をトランスフェクトすること;
(ii)該宿主細胞をウイルス形成に好適な条件下で維持すること;及び
(iii)感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターを収集すること、
を含み、該宿主細胞が、ゲノムセグメントを欠失しているか、又は機能的に不活化されたオープンリーディングフレームを発現する、前記方法である。
また、本明細書に提供されるのは、アレナウイルスゲノムセグメントを生成する方法である。ある実施態様において、本方法は、アレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを転写することを含む。
また、本明細書に提供されるのは、アレナウイルスウイルスベクターを作製する方法である。ある実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターを作製する方法は、
(i)宿主細胞に、該アレナウイルスゲノムセグメントのcDNAをトランスフェクトすること;
(ii)該宿主細胞に、第2のアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを含むプラスミドをトランスフェクトすること;
(iii)該宿主細胞をウイルス形成に好適な条件下で維持すること;及び
(iv)アレナウイルスウイルスベクターを収集すること、
を含む。
ある実施態様において、Lセグメント及びSセグメントの転写は、双方向プロモーターを使用して行われる。
ある実施態様において、本方法はさらに、アレナウイルスポリメラーゼをコードする1以上の核酸を宿主細胞にトランスフェクトすることを含む。さらにより具体的な実施態様において、該ポリメラーゼはLタンパク質である。他の実施態様において、本方法はさらに、NPをコードする1以上の核酸を該宿主細胞にトランスフェクトすることを含む。
ある実施態様において、Lセグメントの転写及びSセグメントの転写はそれぞれ、
(i)RNAポリメラーゼIプロモーター;
(ii)RNAポリメラーゼIIプロモーター;及び
(iii)T7プロモーター、
からなる群から選択されるプロモーターの制御下にある。
また、本明細書に提供されるのは、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを作製する方法である。ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを作製する方法は、
(i)宿主細胞に、1つのLセグメント及び2つのSセグメントのうちの1以上のcDNAをトランスフェクトすること;
(ii)該宿主細胞をウイルス形成に好適な条件下で維持すること;及び
(iii)アレナウイルスウイルスベクターを収集すること、
を含む。
また、本明細書に提供されるのは、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを作製する方法である。ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを作製する方法は、
(vii)宿主細胞に、2つのLセグメント及び1つのSセグメントのうちの1以上のcDNAをトランスフェクトすること;
(viii)該宿主細胞をウイルス形成に好適な条件下で維持すること;及び
(ix)アレナウイルスウイルスベクターを収集すること、
を含む。
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントの転写は、双方向性プロモーターを使用して行われる。いくつかの実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントの転写は、双方向性プロモーターを使用して行われる。
ある実施態様において、本方法はさらに、アレナウイルスポリメラーゼをコードする1以上の核酸を宿主細胞にトランスフェクトすることを含む。さらにより具体的な実施態様において、該ポリメラーゼはLタンパク質である。他の実施態様において、本方法はさらに、NPタンパク質をコードする1以上の核酸を該宿主細胞にトランスフェクトすることを含む。
ある実施態様において、1つのLセグメントの転写及び2つのSセグメントの転写はそれぞれ、
(i)RNAポリメラーゼIプロモーター;
(ii)RNAポリメラーゼIIプロモーター;及び
(iii)T7プロモーター、
からなる群から選択されるプロモーターの制御下にある。
ある実施態様において、2つのLセグメントの転写及び1つのSセグメントの転写はそれぞれ、
(i)RNAポリメラーゼIプロモーター;
(ii)RNAポリメラーゼIIプロモーター;及び
(iii)T7プロモーター、
からなる群から選択されるプロモーターの制御下にある。
(3.6 医薬組成物、ワクチン及び治療方法)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクター及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクター及び医薬として許容し得る担体を含む免疫原性組成物である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクター及び医薬として許容し得る担体を含むワクチンである。
さらに本明細書に提供されるのは、患者におけるヒトパピローマウイルス感染を治療又は予防する方法である。ある実施態様において、本方法は、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクター、本明細書に記載される医薬組成物、本明細書に記載される免疫原性組成物、又は本明細書に記載されるワクチンを該患者に投与することを含む。
ある実施態様において、本方法は、該患者における既存のHPVの力価を低下させる。
ある実施態様において、本方法は、該患者における抗原特異的CD8+T細胞応答を誘導する。
ある実施態様において、HPV感染は症候性である。
ある実施態様において、HPV感染は無症候性である。
ある実施態様において、本方法は、HPV感染の重症度又は頻度を低下させるか、又は症状を予防する。
ある実施態様において、該症状は、子宮頸癌、肛門癌、外陰癌、膣癌、陰茎癌、HPV陽性の口咽頭癌(OSCC)、一般的な疣贅、足底の疣贅、爪下又は爪周囲の疣贅、性器疣贅、尖圭コンジローム又は性病疣贅、呼吸器乳頭腫症、及び疣贅状表皮発育異常症からなる群から選択される。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、患者におけるヒトパピローマウイルス感染を治療又は予防する方法であって、本明細書に記載される第1のウイルスベクター、本明細書に記載される第1の医薬組成物、本明細書に記載される第1の免疫原性組成物、又は本明細書に記載される第1のワクチンを該患者に投与すること、並びに本明細書に記載される第2のウイルスベクター、本明細書に記載される第2の医薬組成物、本明細書に記載される第2の免疫原性組成物、又は本明細書に記載される第2のワクチンを該患者に投与することを含む、前記方法である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象において免疫応答を誘導する方法である。そのような方法は、本明細書に記載される第1のアレナウイルスウイルスベクターを該患者に投与すること、並びに、ある期間の後、本明細書に記載される第2の異なるアレナウイルスウイルスベクターを該患者に投与することを含むことができる。
ある実施態様において、第1のウイルスベクター、第1の医薬組成物、第1の免疫原性組成物、又は第1ワクチン、及び第2のウイルスベクター、第2の医薬組成物、第2の免疫原性組成物、又は第2のワクチンは、同種である(例えば、同じウイルスに由来する)。
ある実施態様において、第1のウイルスベクター、第1の医薬組成物、第1の免疫原性組成物、又は第1ワクチン、及び第2のウイルスベクター、第2の医薬組成物、第2の免疫原性組成物、又は第2のワクチンは、異種である(例えば、異なるウイルスに由来する)。
ある実施態様において、第1のウイルスベクター、第1の医薬組成物、第1の免疫原性組成物、又は第1ワクチンは、LCMVに由来し、第2のウイルスベクター、第2の医薬組成物、第2の免疫原性組成物、又は第2のワクチンは、フニンウイルスに由来する。
ある実施態様において、第1のウイルスベクター、第1の医薬組成物、第1の免疫原性組成物、又は第1ワクチンは、フニンウイルスに由来し、第2のウイルスベクター、第2の医薬組成物、第2の免疫原性組成物、又は第2のワクチンは、LCMVに由来する。
ある実施態様において、第1のアレナウイルスウイルスベクター及び第2アレナウイルスウイルスベクターは、同じ抗原を発現する。ある実施態様において、第1のアレナウイルスウイルスベクター及び第2アレナウイルスウイルスベクターは、異なる抗原を発現する。
(3.7 慣例及び略語)
(4. 配列表の説明)
配列番号1 リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスセグメントS、完全配列。該ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号1の配列はDNAについて示されている;しかしながら、配列番号1の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換すると、RNA配列が提供される。
配列番号2 リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスクローン13セグメントS、完全配列(GenBank:DQ361065.2)。該ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号2の配列はDNAについて示されている;しかしながら、配列番号2の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換すると、RNA配列が提供される。
配列番号3 リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスクローン13セグメントL、完全配列(GenBank:DQ361066.1)。該ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号3の配列はDNAについて示されている;しかしながら、配列番号3の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換すると、RNA配列が提供される。
配列番号4 リンパ球性脈絡髄膜炎株MPセグメントL、完全配列。該ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号4の配列はDNAについて示されている;しかしながら、配列番号4の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換すると、RNA配列が提供される。
配列番号5 リンパ球性脈絡髄膜炎株MPセグメントS、完全配列。該ゲノムセグメントはRNAであり、配列番号5の配列はDNAについて示されている;しかしながら、配列番号5の全てのチミジン(「T」)をウリジン(「U」)に交換すると、RNA配列が提供される。
配列番号6 LCMVのMP株のNPタンパク質のアミノ酸配列。
配列番号7 LCMVのMP株のGPタンパク質のアミノ酸配列。
配列番号8 LCMVのMP株のLタンパク質のアミノ酸配列。
配列番号9 LCMVのMP株のZタンパク質のアミノ酸配列。
配列番号10 Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有するHPV16 E7/E6融合タンパク質のアミノ酸配列。
配列番号11 マウスカルレティキュリンに連結され、Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有するHPV16 E7/E6融合タンパク質のアミノ酸配列。
配列番号12 マウスユビキチンに連結され、Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有するHPV16 E7/E6融合タンパク質のアミノ酸配列。
配列番号13 Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有し、自己切断ペプチド(2Aペプチド)をコードするヌクレオチド配列によって隔てられたマウスGM-CSFと共発現するHPV16 E7/E6融合タンパク質のアミノ酸配列。
配列番号14 Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有するHPV16 E7/E6融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列。
配列番号15 マウスカルレティキュリンに連結され、Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有するHPV16 E7/E6融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列。
配列番号16 マウスユビキチンに連結され、Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有するHPV16 E7/E6融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列。
配列番号17 Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有し、自己切断ペプチド(2Aペプチド)をコードするヌクレオチド配列によって隔てられたマウスGM-CSFと共発現するHPV16 E7/E6融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列。
配列番号:18 GSG。
配列番号19 フニンウイルスCandid#1 Lセグメント。
配列番号20 フニンウイルスCandid#1 Sセグメント。
配列番号21 HK1-E7E6-GMCSFのヌクレオチド配列。
配列番号22 E7E6-GMCSF抗原のアミノ酸配列。
配列番号23 HK1-E7E6-VP22のヌクレオチド配列。
配列番号24 E7E6-VP22抗原のアミノ酸配列。
配列番号25 HK1-E7E6-CD40Lのヌクレオチド配列。
配列番号26 E7E6-CD40L抗原のアミノ酸配列。
配列番号27 HK1-Flt3L-E7E6のヌクレオチド配列。
配列番号28 Flt3L-E7E6抗原のアミノ酸配列。
配列番号29 HK1-Flt3L-E7E6シャッフルのヌクレオチド配列。
配列番号30 Flt3L-E7E6シャッフル抗原のアミノ酸配列
配列番号31 HK1-li-E7E6のヌクレオチド配列。
配列番号32 li-E7E6抗原のアミノ酸配列。
配列番号33 N末端VSVGシグナル配列及びC末端GSGリンカーの後に、自己切断ペプチド(豚テシオウイルスからの2Aペプチド)及びヒトGM-CSFのCDSが続くHPV16E7-HPV18E6融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列。
配列番号34 N末端VSVGシグナル配列及びC末端GSGリンカーの後に、自己切断ペプチド(豚テシオウイルスからの2Aペプチド)及びヒトGM-CSFのCDSが続くHPV16E7-HPV18E6融合タンパク質のアミノ酸配列。
配列番号35 N末端VSVGシグナル配列及びC末端GSGリンカーの後に、自己切断ペプチド(豚テシオウイルスからの2Aペプチド)及びヒトGM-CSFのCDSが続くHPV18E7-HPV16E6融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列。
配列番号36 N末端VSVGシグナル配列及びC末端GSGリンカーの後に、自己切断ペプチド(豚テシオウイルスからの2Aペプチド)及びヒトGM-CSFのCDSが続くHPV18E7-HPV16E6融合タンパク質のアミノ酸配列。
配列番号37 N末端VSVGシグナル配列及びC末端GSGリンカーの後に、自己切断ペプチド(豚テシオウイルスからの2Aペプチド)及びヒトGM-CSFのCDSが続くHPV16E7-HPV18E6_HPV16E6-HPV18E7融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列。
配列番号38 N末端VSVGシグナル配列及びC末端GSGリンカーの後に、自己切断ペプチド(豚テシオウイルスからの2Aペプチド)及びヒトGM-CSFのCDSが続くHPV16E7-HPV18E6_HPV16E6-HPV18E7融合タンパク質のアミノ酸配列。
配列番号39 HPV16 E7E6融合タンパク質:Sセグメント1(GPを含有する)を発現する三セグメントr3LCMV人工ベースのベクターのヌクレオチド配列。
配列番号40 HPV16 E7E6融合タンパク質:Sセグメント2(GPを含有する)を発現する三セグメントr3LCMV人工ベースのベクターのヌクレオチド配列。
配列番号41 HPV16 E7E6融合タンパク質:Lセグメントを発現する三セグメントr3LCMV人工ベースのベクターのヌクレオチド配列。
配列番号42 HPV16 E7E6融合タンパク質:Sセグメント1(NPを含有する)を発現する三セグメントr3JUNV人工ベースのベクターのヌクレオチド配列。
配列番号43 HPV16 E7E6融合タンパク質:Sセグメント2(GPを含有する)を発現する三セグメントr3JUNV人工ベースのベクターのヌクレオチド配列。
配列番号44 HPV16 E7E6融合タンパク質:Lセグメントを発現する三セグメントr3JUNV人工ベースのベクターのヌクレオチド配列。
(6. 発明の詳細な説明)
本明細書に提供されるのは、癌などの腫瘍性疾患に関連する疾患及び状態の予防又は治療のための方法並びに組成物である。本明細書に提供されるのは、ワクチンを使用する、癌などの腫瘍性疾患に関連する疾患及び状態の治療又は予防のための方法並びに組成物である。具体的には、本明細書に提供されるのは、腫瘍関連ウイルスにより引き起こされる疾患及び状態の予防又は治療のためのワクチンとして使用するための、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、並びに複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターである。そのようなワクチンは、腫瘍関連ウイルスの抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルス、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントであり得る。
本明細書に提供されるのは、癌などの腫瘍性疾患の予防又は治療のための方法及び組成物である。本明細書に提供されるのは、ワクチンを使用する、癌などの腫瘍性疾患の治療又は予防のための方法及び組成物である。具体的には、本明細書に提供されるのは、癌などの腫瘍性疾患の予防又は治療のためのワクチンとして使用するための、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントである。より具体的には、これらのワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)などの発癌性ウイルスの感染により引き起こされる癌の予防又は治療のために使用することができる。そのようなワクチンは、HPVなどの発癌性ウイルスの抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルス、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントであり得る。
ある具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、遺伝子改変アレナウイルスであって、
i)感染性であり;
ii)非相補細胞(すなわち、複製欠損アレナウイルスから失われている機能性を発現せず、該ウイルスを複製欠損にする細胞)で感染性子孫ウイルスを形成することができず;
iii)そのゲノムを複製し、その遺伝情報を発現することができ;かつ
iv)単独で又は免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質と組み合わせて、HPVウイルスなどの発癌性ウイルスの抗原又はその断片をコードする、
前記遺伝子改変アレナウイルスである。
ある具体的な実施態様において、提供される方法及び組成物と共に使用するためのアレナウイルスは、遺伝子改変リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)であるか、又は遺伝子改変フニンウイルスである。ある具体的な実施態様において、LCMV又はフニンウイルスは、得られるウイルスが、非相補細胞、すなわち、トランスで機能的に不活化されたORFを提供しない細胞でさらなる感染性子孫ウイルス粒子を生成することができないように、オープンリーディングフレーム(ORF)の機能的不活化(例えば、欠失)により遺伝子改変されている。得られる感染性複製欠損LCMV又はフニンウイルスは、HPVなどの発癌性ウイルスの抗原を発現するためのベクターとして使用することができる。本明細書に提供される組成物及び方法と共に使用するためのアレナウイルスベクターの作製並びに増殖は、第6.1節、第6.2節、第6.3節及び第6.4節により詳細に記載されている。
本明細書に提供されるアレナウイルスベクターは、異種ペプチド又はタンパク質を発現する異種ヌクレオチド配列を含むように遺伝子改変されている。ある実施態様において、該異種配列は腫瘍抗原をコードする。ある実施態様において、該異種配列は、発癌性ウイルスの抗原をコードする。ある具体的な実施態様において、該異種配列はHPV抗原をコードする。ある具体的な実施態様において、該異種配列は、1以上の発癌性ウイルスの2つ、3つ、4つ又はそれより多くの抗原をコードする。ある実施態様において、本発明の方法で使用するためのアレナウイルスベクターはまた、免疫調節ペプチド又はタンパク質をコードする。ある実施態様において、該アレナウイルスベクターはまた、シグナルペプチド又はタンパク質をコードする。理論に束縛されるものではないが、そのようなシグナルペプチドは、抗原及び/又は免疫調節タンパク質若しくはペプチドが発現する細胞の外へのタンパク質(例えば、HPV抗原及び/又は免疫調節タンパク質若しくはペプチド)の輸送を促進する。本明細書に提供される組成物及び方法と共に使用するための異種配列は、第6.5節により詳細に記載されている。
本明細書に提供されるアレナウイルスベクターを含む医薬組成物、免疫原性組成物、及びワクチンは、第6.6節に記載されている。
腫瘍性疾患、例えば、非悪性新生物若しくは癌の予防又は治療のためのアレナウイルスベクターを使用する方法は、本明細書に提供されている。具体的には、本明細書に提供されるのは、対象において癌を予防又は治療する方法であって、HPV抗原又はその断片を発現する1以上のアレナウイルスを該対象に投与することを含む、前記方法である。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象において癌を予防又は治療する方法であって、単独で又は免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、リンカー、又はシグナル配列のうちの1以上と組み合わせてHPV抗原又はその断片を発現する1以上のアレナウイルスを該対象に投与することを含む、前記方法である。ある実施態様において、本明細書に記載されるように、HPV抗原又はその断片を発現するアレナウイルスによる免疫化は、細胞傷害性T細胞応答を提供する。ある実施態様において、第2又は第3の免疫化は、ブースト効果のために投与することができる。ある実施態様において、該第2又は第3の免疫化は、同種ベクターを利用する。ある実施態様において、該第2又は第3の免疫化は、異種ベクターを利用する。ある実施態様において、該第1の免疫化は旧世界アレナウイルスベクターを利用し、該第2の免疫化は旧世界アレナウイルスベクターを利用する。ある実施態様において、該第1の免疫化は旧世界アレナウイルスベクターを利用し、該第2の免疫化は新世界アレナウイルスベクターを利用する。ある実施態様において、該第1の免疫化は新世界アレナウイルスベクターを利用し、該第2の免疫化は、旧世界アレナウイルスベクターを利用する。ある実施態様において、該第1の免疫化は、新世界アレナウイルスベクターを利用し、該第2の免疫化は新世界アレナウイルスベクターを利用する。本明細書に記載されるように、アレナウイルスを使用する腫瘍性疾患の治療及び/又予防の方法のより詳細な説明は、第6.7節に提供されている。
(6.1 複製欠損アレナウイルスベクター)
本明細書に記載されるように、感染性複製欠損ウイルスは、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる国際特許出願公開WO 2009/083210(出願番号PCT/EP2008/010994)に記載されている通りに生成することができる。
本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用するためのアレナウイルスは、旧世界ウイルス、例えば、ラッサウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、モバラウイルス、モペイアウイルス、若しくはイッピーウイルス、又は新世界ウイルス、例えば、アマパリウイルス、フレクサルウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラチノウイルス、マチュポウイルス、オリベロスウイルス、パラナウイルス、ピチンデウイルス、ピリタルウイルス、サビアウイルス、タカリベウイルス、タミアミウイルス、ベアキャニオンウイルス、若しくはホワイトウォーターアロヨウイルスであり得る。
本明細書に記載される遺伝子改変アレナウイルスは、感染性である、すなわち、宿主細胞に付着し、その遺伝物質を宿主細胞内に放出することができる。本明細書に記載される遺伝子改変アレナウイルスは、複製欠損性である、すなわち、該アレナウイルスは、非相補細胞でさらなる感染性子孫粒子を生成することができない。特に、該アレナウイルスのゲノムは、改変されたゲノムを担持するウイルスが、非相補細胞で感染性子孫ウイルスをもはや生成することができないように(例えば、オープンリーディングフレームの欠失若しくは機能的不活化、又は感染性粒子の作製に必要とされるウイルスゲノムの別の遺伝的要素により)改変されている。非相補細胞は、ウイルスゲノムの改変によって複製欠損アレナウイルスから除去された機能性を提供しない細胞である。例えば、GPタンパク質をコードするオープンリーディングフレームが欠失しているか又は機能的に不活化されている場合、非相補細胞はGPタンパク質を提供しない。しかしながら、本明細書に提供される遺伝子改変アレナウイルスは、相補細胞で感染性子孫ウイルスを生成することができる。相補細胞は、ウイルスゲノムの改変によって複製欠損アレナウイルスから除去された機能性を提供する細胞である。例えば、GPタンパク質をコードするオープンリーディングフレームが欠失しているか又は機能的に不活化されている場合でも、相補細胞はGPタンパク質を提供する。相補機能性(例えば、GPタンパク質)の発現は、当業者に公知の任意の方法(例えば、好適な発現ベクターを使用した一過性の又は安定的なトランスフェクション)によって達成することができる。
本明細書に記載される遺伝子改変アレナウイルスは、ウイルスが感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させることができる。具体的には、本明細書に記載されるように、該遺伝子改変アレナウイルスは、相補細胞又は非相補細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させることができる。本明細書に提供される遺伝子改変感染性複製欠損アレナウイルスは、対象となる抗原、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、シグナル配列、及び/又はリンカーをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。そのような配列及びそれらの配置は、第6.5節に記載されている。
ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質(GP)遺伝子をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)は、本明細書に提供される組成物及び方法と共に使用するための複製欠損アレナウイルスを作製するために欠失される。異種ヌクレオチド配列(第6.5節)が、欠失されたORFの代わりに挿入される。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供される遺伝子改変アレナウイルスウイルスベクターは、a)ゲノムセグメントの野生型形態で存在しているオープンリーディングフレームの欠失又は機能的不活化を有し、かつb)発癌性ウイルスの1以上の抗原(例えば、HPV E6、HPV E7、及び/若しくはHPV E6/E7融合タンパク質)、並びに/又は免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードするゲノムセグメントを含む。
通常、アレナウイルスウイルスベクターは、標準的な逆遺伝学技術により、LCMVについて記載されている通りに、組換えによって生成することができる(Flatzらの文献,2006,,Proc Natl Acad Sci USA 103:4663-4668; Sanchezらの文献,2006, Virology 350:370; Ortiz-Rianoらの文献,2013 J Gen Virol.94:1175-88)。本明細書に記載される感染性複製欠損ウイルスベクターは、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる国際特許出願公開WO 2009/083210(出願番号PCT/EP2008/010994)に記載されている通りに生成することができる。レスキューされたウイルスのゲノムは、第6.5節に記載されている通りに改変される。これらの改変は、i)非相補細胞での感染性粒子の形成を妨げるために、4つのアレナウイルスオープンリーディングフレーム(糖タンパク質(GP);核タンパク質(NP);マトリックスタンパク質Z;RNA依存性RNAポリメラーゼL)のうちの1以上、例えば、2つ、3つ又は4つが除去されているか又は機能的に不活化されているが、アレナウイルスベクター感染宿主細胞での遺伝子発現は依然として可能であること、かつii)異種抗原、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、シグナル配列、又はリンカーのうちの1以上をコードする核酸を導入することができることであり得る。
アレナウイルスベクター中のウイルス遺伝子のうちの1以上が除去されているか又は機能的に不活化されている(ここでは、糖タンパク質GPの欠失を例に取る)ため、アレナウイルスベクターを、欠失したウイルス遺伝子(複数可)、例えば、本例では、GPをトランスに提供する細胞で作製し、増やすことができる。以後、C細胞と呼ぶそのような相補細胞株は、BHK-21、HEK 293、VERO又はその他(ここでは、HEK293を例に取る)などの哺乳動物細胞株に、対象となるウイルス遺伝子(複数可)の発現のための1以上のプラスミド(複数可)(C-プラスミドと呼ばれる相補性プラスミド)をトランスフェクトすることにより作製される。C-プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞での発現に好適な1以上の発現カセット、例えば、ポリアデニル化シグナルを有するCMV又はEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーターの制御下で、作製されるアレナウイルスベクターにおいて欠失しているウイルス遺伝子(複数可)を発現する。さらに、相補性プラスミドは、哺乳動物細胞での遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のポリメラーゼII発現カセットの制御下にある哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、又はウイルス遺伝子転写物(複数可)の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌(E. coli)内での生成のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌選択マーカーを特徴とする。
C細胞の作製のために、使用することができる細胞、例えば、BHK-21、HEK 293、MC57Gを、培養下で保持し、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを使用して、C-プラスミド(複数可)をトランスフェクトする。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象となるウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を使用して高発現C細胞クローンを同定する。安定にトランスフェクトされたC細胞の使用の代替法として、正常細胞の一過性トランスフェクションは、C細胞を使用する以下の工程の各々において、失われたウイルス遺伝子(複数可)を補足することができる。さらに、ヘルパーウイルスを使用して、失われた機能性をトランスに提供することができる。他のある実施態様において、当技術分野で公知の他の方法、例えば、レンチウイルス形質導入を安定な細胞株の作製のために使用することができる。
アレナウイルスベクターの作製のために、使用することができるプラスミドは、2つのタイプのもの:i)アレナウイルスの最小限のトランス作用因子をC細胞で細胞内発現させるためのTF-プラスミドと呼ばれる2つのプラスミド、本例では該ベクターは、例えば、LCMV又はフニンウイルスのNP及びLタンパク質に由来する;及びii)アレナウイルスベクターゲノムセグメント、例えば、設計された改変を有するセグメントをC細胞で細胞内発現させるためのGS-プラスミドと呼ばれるプラスミドであり得る。TF-プラスミドは、それぞれのアレナウイルスベクターのNP及びLタンパク質を、哺乳動物細胞でのタンパク質発現に好適な発現カセット、通常、例えば、CMV又はEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーターの制御下で、これらのうちのどちらか一方をポリアデニル化シグナルと優先的に組み合わせて発現する。GS-プラスミドからは、該ベクターの小さい(S)ゲノムセグメント及び大きい(L)ゲノムセグメントが転写される。通常、ポリメラーゼI駆動性発現カセット又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ(T7-)駆動性発現カセットを使用することができ、後者は、3'末端リボザイムを一次転写物のプロセシングに優先的に使用して、正確な末端を生じさせる。T7系システムを使用する場合、C細胞でのT7の発現が、TF-プラスミドと類似した形で構築され、T7を提供するさらなる発現プラスミドをリカバリープロセスに含めることによってもたらされなければならないか、又はC細胞が、安定な様式でT7をさらに発現するように構築される。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。
該アレナウイルスベクターの回収のために、以下の手順を使用することができる。第1日目:M6ウェルプレートで通常80%コンフルエントのC細胞に、2つのTF-プラスミドと2つのGS-プラスミドの混合物をトランスフェクトする。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。このため、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを利用することができる。別の実施態様において、C細胞、例えば、P5A3細胞はまた、懸濁液中で培養され、定義された細胞密度でトランスフェクトすることができる。
3〜5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にアレナウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。その後、該アレナウイルスベクター調製物の感染力価を、C細胞に対するイムノフォーカスアッセイにより評価する。別の実施態様において、3〜5日後に、トランスフェクトした細胞及び上清を、より大きな培養フラスコに移す。3日後に、該培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にアレナウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。次いで、該アレナウイルスベクター調製物の感染力価を、C細胞上のイムノフォーカスアッセイにより評価する。
ひとたびcDNAから作製されると、本明細書に提供される感染性複製欠損アレナウイルスは、相補細胞で増殖することができる。相補細胞は、ゲノムの改変により感染性複製欠損アレナウイルスから除去された機能性を提供する細胞である(例えば、GPタンパク質をコードするオープンリーディングフレームが欠失しているか又は機能的に不活化されている場合に、相補細胞がGPタンパク質を提供する)。
本明細書に提供されるのは、異種配列を発現する感染性複製欠損アレナウイルスが感染した細胞培養物における異種抗原の発現のための組成物及び方法である。培養細胞における異種配列の発現に使用する場合、以下の2つの手順を使用することができる:
i)対象となる細胞型に、本明細書に記載されるアレナウイルスベクター調製物を、1以上、例えば、2、3、又は4の感染多重度(MOI)で感染させて、感染直後に既に全ての細胞で異種配列の生成をもたらす。
ii)或いは、より低いMOIを使用することができ、個々の細胞クローンをそのウイルス駆動性異種配列発現レベルについて選択することができる。その後、アレナウイルスベクターの細胞非溶解性のために、個々のクローンを無限に増殖させることができる。その手法に関係なく、その後、異種配列を、生成される異種配列の特性に応じて、培養上清又は細胞自体のどちらかから回収(及び精製)することができる。しかしながら、本明細書に提供される組成物及び方法は、これら2つの戦略に限定されるものではなく、感染性複製欠損アレナウイルスをベクターとして使用して異種配列の発現を駆動する他の方法を考慮してよい。
或いは、3つのプラスミドからなるレスキューシステムを使用することができる:(1)第1のプラスミドが、トランスフェクト細胞においてポリメラーゼIIを介した転写、その後の翻訳によってタンパク質NPを発現する;(2)第2のプラスミドが、ポリメラーゼIを介した転写によりLCMVゲノムの(マイナス鎖の)L-セグメントと、ポリメラーゼIIを介した、ポリメラーゼIプロモーターの反対方向での同じテンプレートからの転写によりLタンパク質とを生じさせる;(3)第3のプラスミドが、ポリメラーゼIによる転写を介して、(LCMV糖タンパク質の代わりに、抗原コード配列をコードする)LCMVゲノムのS-セグメントを生じさせる。各プラスミド3μgを、C-細胞のエレクトロポレーションに使用し、その後、6ウェルプレートに細胞を播種し、37℃でインキュベートする。インキュベーション後、トランスフェクションからの細胞及び上清を、新たに播種したC細胞と組み合わせ、感染後の定義した時点でベクターを収集し、細胞及び残骸を取り除く。ベクターが作製されると、発癌性ウイルスの抗原及び/又は免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードする核酸(第6.5節参照)は、感染性複製欠損ベクターのゲノムセグメントが当業者に公知の任意の技術によって転写されるプラスミドに挿入することができる。
アレナウイルスベクター中のウイルス遺伝子のうちの1以上が除去されているか又は機能的に不活化されている(ここでは、糖タンパク質GPの欠失を例に取る)ため、アレナウイルスベクターを、欠失した又は機能的に不活化されたウイルス遺伝子(複数可)(例えば、GP)をトランスに提供する細胞で作製し、増やすことができる。得られるウイルス自体は感染性であるが、欠失した又は機能的に不活化されたウイルス遺伝子(複数可)(例えば、GP)を欠いているため、非相補細胞でさらなる感染性子孫粒子を生成することができない。相補細胞は、安定なトランスフェクション、一過性のトランスフェクションによるか、又は失われた機能性を発現するヘルパーウイルスの感染によって、失われた機能性を提供することができる。
ある実施態様において、該相補細胞は、アレナウイルスベクターゲノムから欠失しているか又は機能的に不活化されているウイルス遺伝子を提供する。具体的な実施態様において、該相補細胞は、アレナウイルスベクターのゲノムを作製するために使用されたウイルス株と同じウイルス株からのウイルス遺伝子を提供する。別の実施態様において、該相補細胞は、アレナウイルスベクターのゲノムを作製するために使用されたウイルス株とは異なるウイルス株からのウイルス遺伝子を提供する。例えば、相補細胞に提供されるウイルス遺伝子は、LCMVのMP株から得られ、配列番号6、7、8、又は9のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする。
具体的な実施態様において、該相補細胞は、LCMVのMP株のGPを提供し、該アレナウイルスベクターは、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHPV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、該相補細胞は、LCMVのMP株のGPを提供し、該アレナウイルスベクターは、LCMVクローン13から得られ、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載されるヒトHPV抗原のORFを含む。さらにより具体的な実施態様において、該GPタンパク質は、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である。
(6.2 非天然位置にオープンリーディングフレームを有するアレナウイルス)
本明細書に提供されるのは、ORFを再配列させたアレナウイルスである。ある実施態様において、そのようなアレナウイルスは、複製可能であり、感染性である。ある実施態様において、そのようなアレナウイルスは、複製欠損であり、感染性である。そのようなアレナウイルスのゲノム配列は、本明細書に提供される。一態様において、本明細書に提供されるのは、アレナウイルスゲノムセグメントであり、該アレナウイルスゲノムセグメントは、それぞれの遺伝子が野生から単離されたウイルスで見出されている位置以外の位置にアレナウイルスORFを担持するように改変されている。一実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターはLCMVである。別の態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスゲノムセグメントは、対象となる抗原、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、シグナル配列、及び/又はリンカーをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。そのような配列及びそれらの配置は、第6.5節に記載されている。
野生型アレナウイルスゲノムセグメント及びORFは、当技術分野で公知である。特に、該アレナウイルスゲノムは、Sセグメント及びLセグメントからなる。該Sセグメントは、GP及びNPをコードするORFを担持する。該Lセグメントは、Lタンパク質及びZタンパク質をコードする。両方のセグメントは、それぞれ5'UTR及び3'UTRに隣接する。
ある実施態様において、アレナウイルスゲノムセグメントは、野生型の位置以外の位置に2以上のアレナウイルスORFを担持するように改変することができる。他の実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントは、野生型の位置以外の位置に2つのアレナウイルスORF、又は3つのアレナウイルスORF、又は4つのアレナウイルスORFを担持するように改変することができる。
ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質(「GP」)、核タンパク質(「NP」)、マトリックスタンパク質Z(「Zタンパク質」)又はRNA依存性RNAポリメラーゼL(「Lタンパク質」)をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)は、本明細書に提供される組成物及び方法と共に使用するための複製欠損アレナウイルスを作製するために除去される(例えば、欠失している)。異種ヌクレオチド配列(第6.5節)を、欠失したアレナウイルスORFの代わりに挿入することができる。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスゲノムセグメントは、a)ゲノムセグメントの野生型形態で存在しているオープンリーディングフレームの欠失又は機能的不活化を有し、かつb)発癌性ウイルスのうちの1以上の抗原(例えば、HPV E6、HPV E7、及び/又はHPV E6/E7融合タンパク質)、並びに/又は免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードするゲノムセグメントを含む。
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスゲノムセグメントは、
(i)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(vii)GPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグメント;
(viii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグメント;
(ix)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグメント;
(x)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグメント;
(xi)NPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグメント;及び
(xii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグメント;
であり得る。
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、アレナウイルスの3'UTR又はアレナウイルスの5'UTRの制御下に置くことができる。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスの3'UTRは、アレナウイルスSセグメントの3'UTRである。別の具体的な実施態様において、該アレナウイルスの3'UTRは、アレナウイルスLセグメントの3'UTRである。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスの5'UTRは、アレナウイルスSセグメントの5'UTRである。他の具体的な実施態様において、5'UTRは、Lセグメントの5'UTRである。
他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、アレナウイルスの保存された末端配列エレメントの制御下に置くことができる(5'-及び3'-末端19〜20ヌクレオチド領域)(例えば、Perez&de la Torreの文献,2003, J Virol. 77(2): 1184-1194参照)。
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、5'UTRプロモーターエレメントの制御下に置くことができる(例えば、Albarinoらの文献,2011,J Virol.,85(8):4020-4参照)。別の実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、3'UTRプロモーターエレメントの制御下に置くことができる(例えば、Albarinoらの文献,2011,J Virol.,85(8):4020-4参照)。より具体的な実施態様において、5'UTRプロモーターエレメントは、Sセグメント又はLセグメントの5'UTRプロモーターエレメントである。別の具体的な実施態様において、3'UTRプロモーターエレメントは、Sセグメント又はLセグメントの3'UTRプロモーターエレメントである。
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、切断型アレナウイルスの3'UTR又は切断型アレナウイルスの5'UTRの制御下に置くことができる(例えば、Perez&de la Torreの文献,2003, J Virol. 77(2):1184-1194;Albarinoらの文献,2011,J Virol.,85(8):4020-4参照)。より具体的な実施態様において、該切断型3'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントの3'UTRである。より具体的な実施態様において、該切断型5'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントの5'UTRである。
また本明細書に提供されるのは、アレナウイルスウイルスベクターがSセグメント及びLセグメントを含むように、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変された第1のゲノムセグメント及び第2アレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターである。具体的な実施態様において、ORFの野生型の位置以外の位置にあるORFは、アレナウイルスORFのうちの1つである。
ある具体的な実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターは、全4つのアレナウイルスORFの完全な相補体を含むことができる。具体的な実施態様において、該第2のアレナウイルスゲノムセグメントは、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変されている。別の具体的な実施態様において、該第2のアレナウイルスゲノムセグメントは、野生型ゲノムセグメントであり得る(すなわち、セグメント上のORFを野生型の位置に含む)。
ある実施態様において、該第1のアレナウイルスゲノムセグメントはLセグメントであり、該第2のアレナウイルスゲノムセグメントはSセグメントである。他の実施態様において、該第1のアレナウイルスゲノムセグメントはSセグメントであり、該第2のアレナウイルスゲノムセグメントはLセグメントである。
ORFの野生型の位置以外の位置にORFを有するゲノムセグメント及び第2のゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの非限定的な例を表1に示す。
表1
アレナウイルスウイルスベクター
*位置1は、アレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、アレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある;位置3は、アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置4は、アレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、例えば、感染症及び癌のワクチン接種並びに治療又は予防において、ワクチンとして使用するのに好適であり得るアレナウイルスゲノムセグメント及びそのようなアレナウイルスゲノムセグメントを使用する方法である。例えば、ある実施態様において、対象となる抗原、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、シグナル配列、及び/又はリンカーをコードする異種ヌクレオチド配列を有する、本明細書に提供されるアレナウイルスゲノムセグメントは、本明細書に提供される方法においてワクチンとして又は本明細書に提供される組成物の成分として使用することができる。本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントを使用する方法のより詳細な説明は、第6.7節に提供されている。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、例えば、感染症若しくは癌のワクチン接種及び治療又は予防において医薬組成物として使用するのに好適であり得るアレナウイルスゲノムセグメント並びにそのようなアレナウイルスゲノムセグメントを使用する方法である。例えば、ある実施態様において、対象となる抗原、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、シグナル配列、及び/又はリンカーをコードする異種ヌクレオチド配列を有する、本明細書に提供されるアレナウイルスゲノムセグメントは、本明細書に提供される方法において又は本明細書に提供される組成物の成分として使用することができる。本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントを使用する方法のより詳細な説明は、第6.7節に提供されている。
また本明細書に提供されるのは、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAである。より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、表1に記載のアレナウイルスゲノムのcDNA又はcDNAのセットである。
ある実施態様において、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAは、DNA発現ベクターの一部であるか、又はDNA発現ベクターに組み込まれている。具体的な実施態様において、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAは、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントの生成を促進するDNA発現ベクターの一部であるか、又はDNA発現ベクターに組み込まれている。別の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、プラスミドに組み込むことができる。cDNA又は核酸及び発現システムのより詳細な説明は、第6.8節に提供されている。cDNAの生成のための技術は、分子生物学並びにDNAの操作及び生成の日常的な従来技術である。当業者に公知の任意のクローニング技術を使用することができる。そのような技術は周知であり、当業者は、Sambrook及びRussellの文献、分子クローニング、実験室マニュアル、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory N.Y. (2001)などの実験室マニュアルで利用可能である。
ある実施態様において、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAは、宿主細胞に導入(例えば、トランスフェクト)される。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNA(すなわち、該ゲノムセグメントのcDNA)を含む宿主細胞である。他の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、DNA発現ベクターの一部であるか、又はDNA発現ベクターに組み込み、宿主細胞に導入することができる。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ベクターに組み込まれる、本明細書に記載されるcDNAを含む宿主細胞である。他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントは、宿主細胞に導入される。
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、アレナウイルスゲノムセグメントを生成する方法であって、アレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを転写することを含む、前記方法である。ある実施態様において、ウイルスポリメラーゼタンパク質は、インビトロ又はインビボでアレナウイルスゲノムセグメントの転写中に存在することができる。
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの転写は、二方向性プロモーターを使用して行われる。他の実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの転写は、二方向性発現カセットを使用して行われる(例えば、Ortiz-Rianoらの文献,2013, J Gen Virol., 94(Pt 6):1175-1188参照)。より具体的な実施態様において、該二方向性発現カセットは、それぞれ挿入されるアレナウイルスゲノムセグメントの両側から2つの末端へ読むポリメラーゼI及びポリメラーゼIIプロモーターの両方を含む。さらにより具体的な実施態様において、pol-I及びpol-IIプロモーターを有する二方向性発現カセットは、両側からLセグメント及びSセグメントへ読む。
他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAの転写はプロモーターを含む。プロモーターの具体例としては、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロモーター、SP6プロモーター又はT3プロモーターが挙げられる。
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントを生成する方法はさらに、アレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを宿主細胞に導入することを含むことができる。ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントを生成する方法はさらに、アレナウイルスゲノムセグメントの生成のための全ての他の成分を発現する宿主細胞に該アレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを導入すること、及び該宿主細胞の上清から該アレナウイルスゲノムセグメントを精製すること、を含むことができる。そのような方法は、当業者に周知である。
本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される核酸、ベクター、及び組成物に感染した細胞株、培養物及び細胞を培養する方法である。本明細書に記載される核酸、ベクター系及び細胞株のより詳細な説明は、第6.8節に提供されている。
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターは、感染性で複製可能なアレナウイルスウイルスベクターをもたらす。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターは弱毒化される。特定の実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターは、ウイルスが、依然として少なくとも部分的に広がることができ、インビボで複製できるが、不顕レベルの非病原性感染をもたらす低いウイルス負荷しか発生させることができないように弱毒化される。そのような弱毒化ウイルスは、免疫原性組成物として使用することができる。本明細書に提供されるのは、第6.6節に記載される、非天然位置にあるORFを有するアレナウイルスを含む免疫原性組成物である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、例えば、感染症及び癌のワクチン接種及び治療又は予防においてワクチンとして使用するのに好適であり得るアレナウイルスウイルスベクター及びそのようなアレナウイルスウイルスベクターを使用する方法である。例えば、ある実施態様において、対象となる抗原、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、シグナル配列、及び/又はリンカーをコードする異種ヌクレオチド配列を有する、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクターは、本明細書に提供される方法においてワクチンとして又は本明細書に提供される組成物の成分として使用することができる。本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターを使用する方法のより詳細な説明は、第6.7節に提供されている。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、例えば感染症若しくは癌のワクチン接種及び治療又は予防において医薬組成物として使用するのに好適であり得るアレナウイルスウイルスベクター及びそのようなアレナウイルスウイルスベクターを使用する方法である。例えば、ある実施態様において、対象となる抗原、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、シグナル配列、及び/又はリンカーをコードする異種ヌクレオチド配列を有する、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクターは、本明細書に提供される方法において又は本明細書に提供される組成物の成分として使用することができる。本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターを使用する方法のより詳細な説明は、第6.7節に提供されている。
((a)非天然位置にオープンリーディングフレームを有する複製欠損アレナウイルス粒子)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)ORFが該ORFの野生型の位置以外の位置にある;かつ(ii)得られるウイルスがさらなる感染性子孫ウイルス粒子を生成することができないように、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードするORFが除去される(例えば、欠失される)か又は機能的に不活化されたアレナウイルスウイルスベクターである。1以上のORFが欠失した又は機能的に不活化された遺伝子改変ゲノムを含むアレナウイルスウイルスベクターは、相補細胞(すなわち、欠失した又は機能的に不活化されたアレナウイルスORFを発現する細胞)で生成することができる。得られるアレナウイルスウイルスベクターの遺伝物質は、宿主細胞の感染時に宿主細胞に移され、その中で該遺伝物質は発現及び増幅することができる。さらに、本明細書に記載される遺伝子改変アレナウイルスウイルスベクターのゲノムは、アレナウイルスウイルスベクター以外の生物からの異種ORFをコードすることができる。
ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの少なくとも1つは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。別の実施態様において、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする少なくとも1つのORF、少なくとも2つのORF、少なくとも3つのORF、又は少なくとも4つのORFは、除去され、第6.5節に記載される異種ORFを含む、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換することができる。具体的な実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの1つのみが、除去され、第6.5節に記載される異種ORFを含む、アレナウイルスウイルスベクター以外の生物からの異種ORFと置換される。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのGPをコードするORFが除去される。別の具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのNPをコードするORFが除去される。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのZタンパク質をコードするORFが除去される。さらに別の具体的な実施態様において、Lタンパク質をコードするORFが除去される。
したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクターは、(i)非天然位置にアレナウイルスORFを担持するように改変され、(ii)GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが除去され;(iii)除去されるORFが、第6.5節に記載される異種ORFを含む、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されているゲノムセグメントを含む。
ある実施態様において、該異種ORFは、8〜100ヌクレオチド長、15〜100ヌクレオチド長、25〜100ヌクレオチド長、50〜200ヌクレオチド長、50〜400ヌクレオチド長、200〜500ヌクレオチド長、又は400〜600ヌクレオチド長、500〜800ヌクレオチド長である。他の実施態様において、該異種ORFは、750〜900ヌクレオチド長、800〜1000ヌクレオチド長、850〜1000ヌクレオチド長、900〜1200ヌクレオチド長、1000〜1200ヌクレオチド長、1000〜1500ヌクレオチド長又は1200〜1500ヌクレオチド長、1500〜2000ヌクレオチド長、1700〜2000ヌクレオチド長、2000〜2300ヌクレオチド長、2200〜2500ヌクレオチド長、2500〜3000ヌクレオチド長、3000〜3200ヌクレオチド長、3000〜3500ヌクレオチド、3200〜3600ヌクレオチド長、3300〜3800ヌクレオチド長、4000ヌクレオチド長〜4400ヌクレオチド長、4200〜4700ヌクレオチド長、4800〜5000ヌクレオチド長、5000〜5200ヌクレオチド長、5200〜5500ヌクレオチド長、5500〜5800ヌクレオチド長、5800〜6000ヌクレオチド長、6000〜6400ヌクレオチド長、6200〜6800ヌクレオチド長、6600〜7000ヌクレオチド長、7000〜7200ヌクレオチド長、7200〜7500ヌクレオチド長、又は7500ヌクレオチド長又はそれ以上である。いくつかの実施態様において、該異種ORFは、5〜10アミノ酸長、10〜25アミノ酸長、25〜50アミノ酸長、50〜100アミノ酸長、100〜150アミノ酸長、150〜200アミノ酸長、200〜250アミノ酸長、250〜300アミノ酸長、300〜400アミノ酸長、400〜500アミノ酸長、500〜750アミノ酸長、750〜1000アミノ酸長、1000〜1250アミノ酸長、1250〜1500アミノ酸長、1500〜1750アミノ酸長、1750〜2000アミノ酸長、2000〜2500アミノ酸長、又は2500以上のアミノ酸長であるペプチド又はポリペプチドをコードする。いくつかの実施態様において、該異種ORFは、2500アミノ酸長を超えないポリペプチドをコードする。具体的な実施態様において、該異種ORFは終止コドンを含まない。ある実施態様において、該異種ORFはコドン最適化されている。ある実施態様において、ヌクレオチド組成、ヌクレオチド対組成又はその両方を最適化することができる。そのような最適化のための技術は、当技術分野で公知であり、異種ORFを最適化するために適用することができる。
アレナウイルス以外の生物からの任意の異種ORFは、アレナウイルスゲノムセグメントに含まれてよい。一実施態様において、該異種ORFは、レポータータンパク質をコードする。レポータータンパク質のより詳細な説明は、第6.5節に記載されている。別の実施態様において、該異種ORFは、感染性病原体に対する抗原又は免疫応答を誘発することができる任意の疾患に関連した抗原をコードする。具体的な実施態様において、該抗原は、感染性生物、腫瘍(すなわち、癌)、又はアレルゲンに由来する。異種ORFのより詳細な説明は、第6.5節に記載されている。
ある実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターの増殖及び感染は、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFに影響されない。
当業者に公知の技術は、野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORFを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターを生成するために使用されてよい。例えば、逆遺伝学技術を使用して、そのようなアレナウイルスウイルスベクターを作製してよい。他の実施態様において、該複製欠損アレナウイルスウイルスベクター(すなわち、野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORFを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントであって、GP、NP、Zタンパク質、Lタンパク質をコードするORFが欠失している)は、相補細胞で生成することができる。
ある実施態様において、本願に従って使用するアレナウイルスゲノムセグメント又はアレナウイルスウイルスベクターは、旧世界ウイルス、例えば、LCMVであり得る。
ある実施態様において、本願は、例えば、感染症若しくは癌のワクチン接種及び治療又は予防においてワクチンとして使用するのに好適な、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクター並びにそのようなアレナウイルスウイルスベクターを使用する方法に関する。本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターを使用する方法のより詳細な説明は、第6.7節に提供されている。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、1以上の容器に、本明細書に記載される1以上のcDNAを含むキットである。具体的な実施態様において、キットは、1若しくは2又はそれより多くの容器に、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメント又はアレナウイルスウイルスベクターを含む。該キットはさらに、以下のもの:アレナウイルスゲノムセグメント若しくはアレナウイルスウイルスベクターのレスキューに好適な宿主細胞、宿主細胞にプラスミドcDNAをトランスフェクトするのに好適な試薬、ヘルパーウイルス、ウイルスタンパク質をコードするプラスミド及び/又は改変されたアレナウイルスゲノムセグメント若しくはアレナウイルスウイルスベクター又はそのcDNAに特異的な1以上のプライマーのうちの1以上を含み得る。
ある実施態様において、本願は、例えば、感染症及び癌のワクチン接種及び治療又は予防における医薬組成物として使用するのに好適な、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクター並びにそのようなアレナウイルスウイルスベクターを使用する方法に関する。本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターを使用する方法のより詳細な説明は、第6.7節に提供されている。
(6.3 三セグメントアレナウイルスウイルスベクター)
本明細書に提供されるのは、そのORFを再配列させた三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。
一態様において、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、対象となる抗原、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、シグナル配列、及び/又はリンカーをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。そのような配列及びそれらの配置は、第6.5節に記載されている。
別の態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、複製可能な二セグメントアレナウイルス粒子に組み込まれない。具体的な実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを含む。さらに別の具体的な実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、全4つのアレナウイルスORFを含む。したがって、ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、複製可能であり、感染性である。他の実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、4つのアレナウイルスORFのうちの1つを欠いている。したがって、ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、感染性であるが、複製欠損である(すなわち、非相補細胞でさらなる感染性子孫を生成することができない)。
ある実施態様において、本明細書に記載される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのGP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFは、アレナウイルスの3'UTR又はアレナウイルスの5'UTRの制御下に置くことができる。より具体的な実施態様において、該三セグメントアレナウイルスの3'UTRは、アレナウイルスSセグメント(複数可)の3'UTRである。別の具体的な実施態様において、該三セグメントアレナウイルスの3'UTRは、三セグメントアレナウイルスLセグメント(複数可)の3'UTRである。より具体的な実施態様において、該三セグメントアレナウイルスの5'UTRは、アレナウイルスSセグメント(複数可)の5'UTRである。他の具体的な実施態様において、該5'UTRは、Lセグメント(複数可)の5'UTRである。
他の実施態様において、本明細書に記載される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのGP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFは、アレナウイルスの保存された末端配列エレメント(5'及び3'末端の19〜20ヌクレオチド領域)の制御下に置くことができる(例えば、Perez&de la Torreの文献,2003, J Virol.77(2):1184-1194参照)。
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのGP、NP、Zタンパク質又はLタンパク質をコードするORFは、5'UTRプロモーターエレメントの制御下に置くことができる(例えば、Albarinoらの文献, 2011, J Virol., 85(8):4020-4参照)。別の実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのGP、NP、Zタンパク質、Lタンパク質をコードするORFは、3'UTRプロモーターエレメントの制御下に置くことができる(例えば、Albarinoらの文献, 2011, J Virol., 85(8):4020-4参照)。より具体的な実施態様において、5'UTRプロモーターエレメントは、Sセグメント(複数可)又はLセグメント(複数可)の5'UTRプロモーターエレメントである。別の具体的な実施態様において、3'UTRプロモーターエレメントは、Sセグメント(複数可)又はLセグメント(複数可)の3'UTRプロモーターエレメントである。
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのGP、NP、Zタンパク質又はLタンパク質をコードするORFは、切断型アレナウイルスの3'UTR又は切断型アレナウイルスの5'UTRの制御下に置くことができる(例えば、Perez&de la Torreの文献,2003, J Virol. 77(2): 1184-1194; Albarinoらの文献,2011,J Virol.,85(8):4020-4参照)。より具体的な実施態様において、該切断型3'UTRは、該アレナウイルスSセグメント又はLセグメントの3'UTRである。より具体的な実施態様において、該切断型5'UTRは、該アレナウイルスSセグメント(複数可)又はLセグメント(複数可)の5'UTRである。
また本明細書に提供されるのは、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのcDNAである。より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、表2又は表3に記載の三セグメントアレナウイルスウイルスベクターをコードするDNAヌクレオチド配列又はDNAヌクレオチド配列のセットである。
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスゲノムをコードする核酸は、1以上のDNA発現ベクターの一部であるか又は1以上のDNA発現ベクターに組み込まれている。具体的な実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのゲノムをコードする核酸は、本明細書に記載される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの生成を促進する1以上のDNA発現ベクターの一部であるか又は1以上のDNA発現ベクターに組み込まれている。別の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、プラスミドに組み込むことができる。cDNA及び発現系のより詳細な説明は、第6.8節に提供されている。cDNA生成のための技術は、分子生物学並びにDNAの操作及び生成の日常的な従来技術である。当業者に公知の任意のクローニング技術を使用することができる。そのような技術は周知であり、当業者は、Sambrook及びRussellの文献、分子クローニング、実験室マニュアル、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory N.Y. (2001)などの実験室マニュアルで利用可能である。
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスのcDNAは、宿主細胞に導入(例えば、トランスフェクト)される。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのcDNA(すなわち、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのゲノムセグメントのcDNA)を含む宿主細胞である。他の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、DNA発現ベクターの一部であるか、又はDNA発現ベクターに組み込み、宿主細胞に導入することができる。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ベクターに組み込まれる、本明細書に記載されるcDNAを含む宿主細胞である。他の実施態様において、本明細書に記載される三セグメントアレナウイルスゲノムセグメント(すなわち、Lセグメント及び/又はSセグメント又は複数のそれらのセグメント)は、宿主細胞に導入される。
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを生成する方法であって、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのcDNAを転写することを含む、前記方法である。ある実施態様において、ウイルスポリメラーゼタンパク質は、インビトロ又はインビボで該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの転写中に存在することができる。ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの転写は、二方向性プロモーターを使用して行われる。
他の実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの転写は、二方向性発現カセットを使用して行われる(例えば、Ortiz-Rianoらの文献,2013, J Gen Virol., 94(Pt 6): 1175-1188参照)。より具体的な実施態様において、該二方向性発現カセットは、それぞれ挿入されるアレナウイルスゲノムセグメントの両側から2つの末端へ読むポリメラーゼIとポリメラーゼIIプロモーターの両方を含む。
他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAの転写は、プロモーターを含む。プロモーターの具体例としては、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロモーター、SP6プロモーター、又はT3プロモーターが挙げられる。
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを生成する方法はさらに、三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのcDNAを宿主細胞に導入することを含むことができる。ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを生成する方法はさらに、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの生成のための全ての他の成分を発現する宿主細胞に三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのcDNAを導入すること、及び該宿主細胞の上清から該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを精製することを含むことができる。そのような方法は、当業者に周知である。
本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される核酸、ベクター、及び組成物に感染した細胞株、培養物及び細胞を培養する方法である。本明細書に記載される核酸、ベクター系及び細胞株のより詳細な説明は、第6.8節に提供されている。
ある実施態様において、本明細書に記載される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、感染性複製可能アレナウイルスウイルスベクターをもたらす。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターは弱毒化される。特定の実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、ウイルスが、依然として少なくとも部分的に複製可能であり、インビボで複製できるが、不顕レベルの非病原性感染もたらす低いウイルス負荷しか発生させることができないように弱毒化される。そのような弱毒化ウイルスは、免疫原性組成物として使用することができる。
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、該二セグメントアレナウイルス粒子と同じ指向性を有する。
また本明細書に提供されるのは、1以上の容器に、本明細書に記載される1以上のcDNAを含むキットである。具体的な実施態様において、キットは、1若しくは2又はそれより多くの容器に、本明細書に記載される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを含む。該キットはさらに、以下のもの:三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのレスキューに好適な宿主細胞、宿主細胞にプラスミドcDNAをトランスフェクトするのに好適な試薬、ヘルパーウイルス、ウイルスタンパク質をコードするプラスミド及び/又は改変されたアレナウイルスゲノムセグメント若しくはアレナウイルスウイルスベクター又はそれらをコードする核酸に特異的な1以上のオリゴヌクレオチドプライマーのうちの1以上を含む。
また本明細書に提供されるのは、第6.6節に記載される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを含む免疫原性組成物である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、例えば、感染症及び癌のワクチン接種及び治療又は予防においてワクチンとして使用するのに好適であり得る三セグメントアレナウイルスウイルスベクター並びにそのようなアレナウイルスウイルスベクターを使用する方法である。例えば、ある実施態様において、そのORFを再配列させ、かつ対象となる抗原、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、シグナル配列、及び/又はリンカーをコードする異種ヌクレオチド配列を有する、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、本明細書に提供される方法においてワクチンとして又は本明細書に提供される組成物の成分として使用することができる。本明細書に記載される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを使用する方法のより詳細な説明は、第6.7節に提供されている。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、例えば、感染症若しくは癌のワクチン接種及び治療又は予防における医薬組成物として使用するのに好適であり得る三セグメントアレナウイルスウイルスベクター並びにそのようなアレナウイルスウイルスベクターを使用する方法である。例えば、ある実施態様において、そのORFの再配列並びに対象となる抗原、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、シグナル配列、及び/又はリンカーをコードする異種ヌクレオチド配列を有する、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、本明細書に提供される方法において又は本明細書に提供される組成物の成分として使用することができる。本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターを使用する方法のより詳細な説明は、第6.7節に提供されている。
((a)1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクター)
一態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの増殖は、複製可能二セグメントウイルスベクターをもたらさない。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子(RAG1)を欠き、104 PFUの三セグメントアレナウイルスウイルスベクターに感染させたマウスにおける持続感染の少なくとも10日、少なくとも20日、少なくとも30日、少なくとも40日、少なくとも50日、少なくとも60日、少なくとも70日、少なくとも80日、少なくとも90日、又は少なくとも100日後に、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。他の実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの増殖は、少なくとも10継代、少なくとも20継代、少なくとも30継代、少なくとも40継代、又は少なくとも50継代後に複製可能二セグメントウイルスベクターをもたらさない。
一態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターはさらに、対象となる抗原、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、シグナル配列、及び/又はリンカーをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。そのような配列及びそれらの配置は第6.5節に記載されている。
それぞれの野生型の位置に全てのウイルス遺伝子を有する三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、当技術分野で公知である(例えば、Emonetらの文献,2011 J. Virol., 85(4):1473; Popkinらの文献,2011, J. Virol, 85(15):7928)。特に、該三セグメントアレナウイルスゲノムは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントからなり、その中の異種ORF(第6.5節)は、各Sセグメント上の1つの位置に挿入される。より具体的には、1つのSセグメントは、それぞれ、GP及びHPV抗原をコードする。他のSセグメントは、それぞれ、HPV抗原及びNPをコードする。該Lセグメントは、Lタンパク質及びZタンパク質をコードする。全てのセグメントは、それぞれ5'UTR及び3'UTRに隣接している。
ある実施態様において、2つの別々のセグメントの代わりに1つのセグメント上に2つのアレナウイルスORFを結合している、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの2つのSセグメントのセグメント間の組換えは、非機能的なプロモーター(すなわち、構造:5'UTR----5'UTR又は3'UTR----3'UTRのゲノムセグメント)をもたらし、その中で、ゲノムの一端を形成する各UTRは、同一ゲノムの他端の逆方向反復配列である。
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、ORFの野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORFを担持するように改変されている。他の実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、野生型の位置以外の位置に2つのアレナウイルスORF、又は3つのアレナウイルスORF、又は4つのアレナウイルスORF、又は5つのアレナウイルスORF、又は6つのアレナウイルスORFを担持するように改変されている。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、全4つのアレナウイルスORFの完全相補体を含む。したがって、いくつかの実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、感染性複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。具体的な実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの2つのSセグメントは、野生型の位置以外の位置にそれらのORFのうちの1つを担持するように改変されている。より具体的な実施態様において、2つのSセグメントは、SセグメントのORFの完全相補体を含む。ある具体的な実施態様において、該Lセグメントは、野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変されているか、又は該Lセグメントは、野生型ゲノムセグメントであり得る。
ある実施態様において、2つのSセグメントのうちの1つは:
(i)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(ii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(iii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
であり得る。
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、重複ORF(すなわち、2つの野生型SセグメントのORF、例えば、GP又はNP)を含むことができる。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、1つの重複ORF(例えば、(GP,GP))又は2つの重複ORF(例えば、(GP,GP)及び(NP,NP))を含むことができる。
以下の表2Aは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのゲノム構成を示し、該三セグメントアレナウイルスゲノム中の2つのSセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルスベクターをもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTRから構成されている)。
表2A
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクター
*位置1は、アレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、アレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある;位置3は、アレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置4は、アレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある;位置5は、アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置6は、アレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある。
*ORFは、異種ORFが挿入されていることを示す。
ある実施態様において、位置1と位置2と間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであり得る。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであり得る。ある実施態様において、他の組み合わせも可能である。例えば、三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含み、該三セグメントアレナウイルスゲノム中の2つのSセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルスベクターをもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの5'UTRで構成されている)。
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクター中のSセグメントとLセグメントのセグメント間の組換えは、2つの別々のセグメントの代わりに、1つのみのセグメント上に2つのウイルス遺伝子を有する機能的セグメントを復元する。他の実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクター中のSセグメントとLセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。
以下の表2Bは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのゲノム構成を示し、該三セグメントアレナウイルスゲノム中の1つのSセグメントと1つのLセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、得られる組換えセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTRから構成されている)。
表2B
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクター
*位置1は、アレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、アレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある;位置3は、アレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置4は、アレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある;位置5は、アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置6は、アレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある。
*ORFは、異種ORFが挿入されていることを示す。
ある実施態様において、位置1と位置2と間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであり得る。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであり得る。ある実施態様において、他の組み合わせも可能である。例えば、三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含み、該三セグメントアレナウイルスゲノム中の2つのSセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの5'UTRで構成されている)。
ある実施態様において、当業者は、表2A又は2Bに示され、かつ本明細書に記載される構成でアレナウイルスゲノムを構築し、次いで、第6.9節に記載されるアッセイを使用して、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターが遺伝的に安定であるかどうか、すなわち、本明細書で論じられる複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさないかどうかを決定する。
((b)2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクター)
一態様において、本明細書に提供されるのは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの増殖は、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。具体的な実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠き、104 PFUの三セグメントアレナウイルスウイルスベクターに感染させたマウスにおける持続感染の少なくとも10日、少なくとも20日、少なくとも30日後、少なくとも40日、又は少なくとも50日、少なくとも60日、少なくとも70日、少なくとも80日、少なくとも90日、少なくとも100日後に、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。他の実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの増殖は、少なくとも10継代、20継代、30継代、40継代、又は50継代後に複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。
一態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターはさらに、対象となる抗原、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、シグナル配列、及び/又はリンカーをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。そのような配列及びそれらの配置は第6.5節に記載されている。
ある実施態様において、2つの別々のセグメントの代わりに、1つのセグメント上に2つのアレナウイルスORFを結合している、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの2つのLセグメントのセグメント間の組換えは、非機能的なプロモーター(すなわち、構造:5'UTR----5'UTR又は3'UTR----3'UTRのゲノムセグメント)をもたらし、その中で、ゲノムの一端を形成する各UTRは、同一ゲノムの他端の逆方向反復配列である。
ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、ORFの野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORFを担持するように改変されている。他の実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、野生型の位置以外の位置に2つのアレナウイルスORF、又は3つのアレナウイルスORF、又は4つのアレナウイルスORF、又は5つのアレナウイルスORF、又は6つのアレナウイルスORFを担持するように改変されている。具体的な実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、全4つのアレナウイルスORFの完全相補体を含む。したがって、いくつかの実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、感染性複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。具体的な実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの2つのLセグメントは、野生型の位置以外の位置にそれらのORFのうちの1つを担持するように改変されている。より具体的な実施態様において、2つのLセグメントは、LセグメントのORFの完全相補体を含む。ある具体的な実施態様において、該Sセグメントは、野生型の位置以外の位置にそれらのORFのうちの1つを担持するように改変されているか、又は該Sセグメントは、野生型ゲノムセグメントであり得る。
ある実施態様において、2つのLセグメントのうちの1つは:
(i)GPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(v)NPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
であり得る。
ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、重複ORF(すなわち、2つの野生型LセグメントのORF、例えば、Zタンパク質又はLタンパク質)を含むことができる。具体的な実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、1つの重複ORF(例えば、(Zタンパク質、Zタンパク質))又は2つの重複ORF(例えば、(Zタンパク質、Zタンパク質)及び(Lタンパク質、Lタンパク質))を含むことができる。
以下の表3は、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのゲノム構成を示し、該三セグメントアレナウイルスゲノム中の2つのLセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルスベクターをもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、おそらく得られる組換えLセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTRから構成されている)。表3に基づいて、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの5'UTRから構成されているアレナウイルスウイルスベクターを作製するために、同様の組み合わせを予測することができる。
表3
2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクター
*位置1は、アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、アレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある;位置3は、アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置4は、アレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある;位置5は、アレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置6は、アレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある。
*ORFは、異種ORFが挿入されていることを示す。
ある実施態様において、位置1と位置2と間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスS又はLセグメントのIGRであり得る。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRであり得る。ある実施態様において、他の組み合わせも可能である。
ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターからのLセグメントとSセグメントのセグメント間の組換えは、2つの別々のセグメントの代わりに、1つのみのセグメント上に2つのウイルス遺伝子を有する機能的セグメントを復元する。他の実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクター中のLセグメントとSセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。
以下の表3Bは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのゲノム構成を示し、該三セグメントアレナウイルスゲノム中のLセグメントとSセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、得られる組換えセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTRから構成されている)。
表3B
2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクター
*位置1は、アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、アレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある;位置3は、アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置4は、アレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある;位置5は、アレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置6は、アレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある。
*ORFは、異種ORFが挿入されていることを示す。
ある実施態様において、位置1と位置2と間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであり得る。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRであり得る。ある実施態様において、他の組み合わせも可能である。
ある実施態様において、当業者は、表3A又は3Bに示され、本明細書に記載される構成でアレナウイルスゲノムを構築し、次いで、第6.9節に記載されるアッセイを使用して、三セグメントアレナウイルスウイルスベクターが遺伝的に安定であるかどうか、すなわち、本明細書で論じられる複製可能二セグメントウイルスベクターをもたらさないかどうかを決定する。
((c)複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)ORFが該ORFの野生型の位置以外の位置にある;かつ(ii)得られるウイルスがさらなる感染性子孫ウイルス粒子を生成することができない(すなわち、複製欠損である)ように、GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが除去されているか、又は機能的に不活化されている三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。ある実施態様において、該第3のアレナウイルスセグメントはSセグメントであり得る。他の実施態様において、該第3のアレナウイルスセグメントはLセグメントであり得る。より具体的な実施態様において、該第3のアレナウイルスセグメントは、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変することができるか、又は該第3のアレナウイルスセグメントは、野生型アレナウイルスゲノムセグメントであり得る。さらにより具体的な実施態様において、該第3のアレナウイルスセグメントは、GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするアレナウイルスORFを欠く。
一態様において、本明細書に提供される複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクターはさらに、対象となる抗原、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、シグナル配列、及び/又はリンカーをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。そのような配列及びそれらの配置は、第6.5節に記載されている。
ある実施態様において、三セグメントゲノムセグメントは、S又はLセグメントハイブリッド(すなわち、SセグメントとLセグメントの組み合わせであり得るゲノムセグメント)であり得る。他の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、LセグメントのIGRを含むSセグメントである。別の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、SセグメントのIGRを含むLセグメントである。他の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、LセグメントのIGRを有するSセグメントのUTRである。別の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、SセグメントのIGRを有するLセグメントのUTRである。具体的な実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、LセグメントのIGRを有するSセグメントの5'UTRであるか、又はLセグメントのIGRを有するSセグメントの3'UTRである。他の具体的な実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、SセグメントのIGRを有するLセグメントの5'UTR又はSセグメントのIGRを有するLセグメントの3'UTRである。
1以上のORFが除去されている(例えば、欠失している)か又は機能的に不活化されている遺伝子改変ゲノムを含む三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、相補細胞(すなわち、除去されているか、又は機能的に不活化されているアレナウイルスORFを発現する細胞)で生成することができる。得られるアレナウイルスウイルスベクターの遺伝物質は、宿主細胞の感染時に宿主細胞に移ることができ、その中で該遺伝物質は発現及び増幅することができる。さらに、本明細書に記載される遺伝子改変アレナウイルスウイルスベクターのゲノムは、アレナウイルスウイルスベクター以外の生物からの異種ORFをコードすることができる。
ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの少なくとも1つは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。別の実施態様において、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする少なくとも1つのORF、少なくとも2つのORF、少なくとも3つのORF、又は少なくとも4つのORFは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換することができる。具体的な実施態様において、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの1つのみが、除去され、アレナウイルスウイルスベクター以外の生物からの異種ORFと置換されている。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのGPをコードするORFは除去される。別の具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのNPをコードするORFは除去される。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのZタンパク質をコードするORFは除去される。さらに別の具体的な実施態様において、Lタンパク質をコードするORFは除去される。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含み、その中で、(i)ORFが該ORFの野生型の位置以外の位置にある;かつ(ii)得られるウイルスが複製欠損で、感染性ではないように、GP又はNPをコードするORFが除去されているか、又は機能的に不活化されている三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。具体的な実施態様において、1つのORFは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。別の具体的な実施態様において、2つのORFは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。他の具体的な実施態様において、3つのORFは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。具体的な実施態様において、GPをコードするORFは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。他の具体的な実施態様において、NPをコードするORFは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。さらにより具体的な実施態様において、NPをコードするORF及びGPをコードするORFは、除去され、アレナウイルスウイルスベクター以外の生物からの1つ又は2つの異種ORFと置換されている。したがって、ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、(i)1つのLセグメント及び2つのSセグメント;(ii)ORFの野生型の位置以外の位置にあるORF;(iii)アレナウイルス以外の生物からの1以上の異種ORFを含む。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含み、その中で、(i)ORFが該ORFの野生型の位置以外の位置にある;かつ(ii)得られるウイルスが複製欠損で、感染性ではないように、Zタンパク質及び/又はLタンパク質をコードするORFが除去されているか、又は機能的に不活化されている三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。具体的な実施態様において、1つのORFは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。別の具体的な実施態様において、2つのORFは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。具体的な実施態様において、Zタンパク質をコードするORFは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。他の具体的な実施態様において、Lタンパク質をコードするORFは、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている。さらにより具体的な実施態様において、Zタンパク質をコードするORF及びLタンパク質をコードするORFは、除去され、アレナウイルスウイルスベクター以外の生物からの異種ORFと置換されている。したがって、ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、(i)2つのLセグメント及び1つのSセグメント;(ii)ORFの野生型の位置以外の位置にあるORF;(iii)アレナウイルス以外の生物からの異種ORFを含む。
したがって、ある実施態様において、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、i)非天然位置にORFを担持するように改変され、ii)GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが除去され;かつiii)除去されるORFがアレナウイルス以外の生物からの1以上の異種ORFと置換されている三セグメントアレナウイルスウイルスベクター(すなわち、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメント)を含む(第6.5節)。
ある実施態様において、該異種ORFは、8〜100ヌクレオチド長、15〜100ヌクレオチド長、25〜100ヌクレオチド長、50〜200ヌクレオチド長、50〜400ヌクレオチド長、200〜500ヌクレオチド長、又は400〜600ヌクレオチド長、500〜800ヌクレオチド長である。他の実施態様において、該異種ORFは、750〜900ヌクレオチド長、800〜1000ヌクレオチド長、850〜1000ヌクレオチド長、900〜1200ヌクレオチド長、1000〜1200ヌクレオチド長、1000〜1500ヌクレオチド長又は1200〜1500ヌクレオチド長、1500〜2000ヌクレオチド長、1700〜2000ヌクレオチド長、2000〜2300ヌクレオチド長、2200〜2500ヌクレオチド長、2500〜3000ヌクレオチド長、3000〜3200ヌクレオチド長、3000〜3500ヌクレオチド、3200〜3600ヌクレオチド長、3300〜3800ヌクレオチド長、4000ヌクレオチド長〜4400ヌクレオチド長、4200〜4700ヌクレオチド長、4800〜5000ヌクレオチド長、5000〜5200ヌクレオチド長、5200〜5500ヌクレオチド長、5500〜5800ヌクレオチド長、5800〜6000ヌクレオチド長、6000〜6400ヌクレオチド長、6200〜6800ヌクレオチド長、6600〜7000ヌクレオチド長、7000〜7200ヌクレオチド長、7200〜7500ヌクレオチド長、又は7500ヌクレオチド長又はそれ以上である。いくつかの実施態様において、該異種ORFは、5〜10アミノ酸長、10〜25アミノ酸長、25〜50アミノ酸長、50〜100アミノ酸長、100〜150アミノ酸長、150〜200アミノ酸長、200〜250アミノ酸長、250〜300アミノ酸長、300〜400アミノ酸長、400〜500アミノ酸長、500〜750アミノ酸長、750〜1000アミノ酸長、1000〜1250アミノ酸長、1250〜1500アミノ酸長、1500〜1750アミノ酸長、1750〜2000アミノ酸長、2000〜2500アミノ酸長、又は2500以上のアミノ酸長であるペプチド又はポリペプチドをコードする。いくつかの実施態様において、該異種ORFは、2500アミノ酸長を超えないポリペプチドをコードする。具体的な実施態様において、該異種ORFは終止コドンを含有しない。ある実施態様において、該異種ORFはコドン最適化されている。ある実施態様において、ヌクレオチド組成、ヌクレオチド対組成又はその両方を最適化することができる。そのような最適化のための技術は、当技術分野で公知であり、異種ORFを最適化するために適用することができる。
アレナウイルス以外の生物からの任意の異種ORFが、三セグメントアレナウイルスウイルスベクターに含まれてよい。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、a)野生型アレナウイルスに存在するオープンリーディングフレームの欠失又は機能的不活化を含み;かつb)発癌性ウイルスのうちの1以上の抗原(例えば、HPV E6、HPV E7、及び/又はHPV E6/E7融合タンパク質)、並びに/又は免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードする。異種ORFのより詳細な説明は、第6.5に記載されている。
一実施態様において、該異種ORFは、レポータータンパク質をコードする。レポータータンパク質のより詳細な説明は、第6.5節に記載されている。
ある実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターの増殖及び感染は、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFに影響されない。
当業者に公知の技術を使用して、野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORFを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターを生成してよい。例えば、逆遺伝学技術を使用して、そのようなアレナウイルスウイルスベクターを生成してもよい。他の実施態様において、該複製欠損アレナウイルスウイルスベクター(すなわち、GP、NP、Zタンパク質、Lタンパク質をコードするORFが欠失しているアレナウイルスORFを野生型の位置以外の位置に担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメント)は、相補細胞で生成することができる。
ある実施態様において、本願に従って使用される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、旧世界ウイルス、例えば、LCMVであり得る。
(6.4 アレナウイルスウイルスベクター及び三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの作製)
通常、アレナウイルスウイルスベクターは、標準的な逆遺伝学技術により、LCMVについて記載されている通りに、組換えによって生成することができる(引用により本明細書中に組み込まれるFlatzらの文献,2006,,Proc Natl Acad Sci USA 103:4663-4668; Sanchezらの文献,2006, Virology 350:370; Ortiz-Rianoらの文献,2013 J Gen Virol.94:1175-88参照)。本明細書に提供されるアレナウイルスウイルスベクターを作製するために、これらの技術は、以下に記載する通りに適用することができる。第6.2節又は第6.3節に記載される通りに、ウイルスのゲノムを改変することができる。
((a)非天然位置のオープンリーディングフレーム)
ORFの野生型の位置以外の位置にウイルスORFを担持するように改変されたゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの作製は、当業者に公知の任意の逆遺伝子技術により組換えによって生成することができる。
((i)感染性複製可能アレナウイルスウイルスベクター)
ある実施態様において、アレナウイルスウイルスベクターを作製する方法は、(i)第1のアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを宿主細胞にトランスフェクトすること;(ii)第2のアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを宿主細胞にトランスフェクトすること;(iii)アレナウイルスの最小限のトランス作用因子NP及びLを発現するプラスミドを宿主細胞にトランスフェクトすること;(iv)ウイルス形成に好適な条件下で該宿主細胞を維持すること;及び(v)アレナウイルスウイルスベクターを収集することを含む。特定のより具体的な実施態様において、該cDNAはプラスミド中に含まれる。
ひとたびcDNAから作製すると、アレナウイルスウイルスベクター(すなわち、感染性で、複製可能)は増やすことができる。ある実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターは、本明細書に記載されるウイルスの使用を可能にする力価まで、ウイルスが成長するのを可能にする任意の宿主細胞で増やすことができる。一実施態様において、該宿主細胞は、対応する野生型について決定される力価に匹敵する力価まで、アレナウイルスウイルスベクターが成長するのを可能にする。
ある実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターは、宿主細胞で増やしてよい。使用することができる宿主細胞の具体例としては、BHK-21、HEK 293、VERO又はその他を含む。具体的な実施態様において、該アレナウイルスウイルスベクターは、細胞株で増やしてよい。
ある実施態様において、該宿主細胞は、培養で維持され、1以上のプラスミド(複数可)をトランスフェクトされる。該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞における発現に好適な、例えば、ポリメラーゼIのプロモーター及びターミネーターからなる1以上の発現カセットの制御下で作製されるアレナウイルスゲノムセグメント(複数可)を発現する。
アレナウイルスウイルスベクターの作製に使用することができるプラスミドは、i)Sゲノムセグメント、例えば、pol-I Sをコードするプラスミド、ii)Lゲノムセグメント、例えば、pol-I Lをコードするプラスミドを含むことができる。ある実施態様において、ウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成を導くアレナウイルスポリメラーゼをコードするプラスミドは、トランスフェクション混合物に組み込むことができる。例えば、Lタンパク質をコードするプラスミド及び/又はNPをコードするプラスミド(それぞれpC-L及びpC-NP)は存在することができる。Lタンパク質及びNPは、ウイルスRNAの転写及び複製に必要な最小限のトランス作用因子である。或いは、NP及びLタンパク質と一緒の、ウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成は、それぞれ、両側から2つの別々のプラスミドのL及びSセグメントのcDNAへ読むpol-I及びpol-IIプロモーターを有する発現カセットを使用して行うことができる。
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントは、プロモーターの制御下にある。通常、RNAポリメラーゼI駆動性発現カセット、RNAポリメラーゼII駆動性カセット又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ駆動性カセットを使用することができる。ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントをコードするプラスミド(複数可)は同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、1個のプラスミドからプロモーターによって転写することができる。プロモーターの具体例としては、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロモーター、SP6プロモーター又はT3プロモーターが挙げられる。
さらに、該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞での遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの制御下にある哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とすることができるか、又はウイルス遺伝子転写物(複数可)の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での生成のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌選択マーカーを特徴とする。
プラスミド(複数可)での宿主細胞のトランスフェクションは、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般的に使用される戦略のいずれかを使用して行うことができる。数日後、適切な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存クローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象となるウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を使用して高発現クローンを同定する。
本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターの回収のために、以下の手順が想定される。第1日目:上記のように、通常、M6ウェルプレート中で80%コンフルエントの細胞に、プラスミドの混合物をトランスフェクトする。このために、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの任意の一般的に使用される戦略を利用することができる。
3〜5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にアレナウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。該アレナウイルスベクター調製物の感染力価を、イムノフォーカスアッセイにより評価する。或いは、トランスフェクトした細胞及び上清を、トランスフェクション後3〜5日目に大きな容器(例えば、T75組織培養フラスコ)で継代することができ、培養上清を継代後5日までに収集する。
本願はさらに、ゲノムセグメントをコードするプラスミドが、異種ORFを組み込むように改変される異種ORFの発現を提供する。異種ORFについてのより詳細な説明は、第6.5節に記載されている。該異種ORFは、制限酵素を使用してプラスミドに組み込むことができる。
((ii)感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター)
感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクターは、上記のようにレスキューすることができる。しかしながら、ひとたびcDNAから作製されると、本明細書に提供される感染性複製欠損アレナウイルスは、相補細胞で増殖することができる。相補細胞は、そのゲノムの改変により、複製欠損アレナウイルスから除去された機能性を提供する細胞である(例えば、GPタンパク質をコードするORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている場合、相補細胞がGPタンパク質を提供する)。
アレナウイルスベクター中のORFのうちの1以上が除去されているか又は機能的に不活化されている(ここでは、糖タンパク質GPの欠失を例に取る)ため、アレナウイルスベクターを、欠失したウイルス遺伝子(複数可)、例えば、本例では、GPをトランスに提供する細胞で作製し、増やすことができる。以後、C細胞と呼ぶそのような相補細胞株は、BHK-21、HEK 293、VERO、又はその他などの細胞株に、対象となるウイルス遺伝子(複数可)の発現のための1以上のプラスミド遺伝子(複数可)(C-プラスミドと呼ばれる相補性プラスミド)をトランスフェクトすることにより作製される。C-プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞での発現に好適な1以上の発現カセット、例えば、ポリアデニル化シグナルを有するEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーターの制御下で、作製されるアレナウイルスベクターで欠失しているウイルス遺伝子(複数可)を発現する。さらに、相補性プラスミドは、哺乳動物細胞での遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの制御下にある、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、又はウイルス遺伝子転写物(複数可)の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での生成のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌選択マーカーを特徴とする。
使用することができる細胞、例えば、BHK-21、HEK 293、MC57G又はその他を、培養下で保持し、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを使用して、相補性プラスミド(複数可)をトランスフェクトする。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象となるウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を使用して高発現C細胞クローンを同定する。安定にトランスフェクトされたC細胞の使用の代替法として、正常細胞の一過性トランスフェクションは、C細胞を使用する以下の工程の各々において、失われたウイルス遺伝子(複数可)を補足することができる。さらに、ヘルパーウイルスを使用して、失われた機能性をトランスに提供することができる。
プラスミドは、2つのタイプのもの:i)本例では、例えば、LCMVのNP及びLタンパク質に由来する、アレナウイルスの最小限のトランス作用因子をC細胞で細胞内発現させるためのTF-プラスミドと呼ばれる2つのプラスミド;及びii)アレナウイルスベクターゲノムセグメント、例えば、設計された改変を有するセグメントをC細胞で細胞内発現させるためのGS-プラスミドと呼ばれるプラスミドであり得る。TF-プラスミドは、それぞれのアレナウイルスベクターのNP及びLタンパク質を、哺乳動物細胞でのタンパク質発現に好適な発現カセット、通常、例えば、CMV又はEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーターの制御下で、これらのうちのどちらか一方をポリアデニル化シグナルと優先的に組み合わせて発現する。GS-プラスミドは、該ベクターの小さい(S)ゲノムセグメント及び大きい(L)ゲノムセグメントを発現する。通常、ポリメラーゼI駆動性発現カセット又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ(T7-)駆動性発現カセットを使用することができ、後者は、3'末端リボザイムを一次転写物のプロセシングに優先的に使用して、正確な末端を生じさせる。T7系システムを使用する場合、C細胞でのT7の発現が、TF-プラスミドと類似した形で構築され、T7を提供するさらなる発現プラスミドをリカバリープロセスに含めることによってもたらされなければならないか、又はC細胞が、安定な様式でT7をさらに発現するように構築される。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。
該アレナウイルスベクターの回収のために、以下の手順を使用することができる。第1日目:M6ウェルプレートで通常80%コンフルエントのC細胞に、2つのTF-プラスミドと2つのGS-プラスミドの混合物をトランスフェクトする。ある実施態様において、TF及びGSプラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。このために、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを利用することができる。
3〜5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にアレナウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。その後、該アレナウイルスベクター調製物の感染力価をC細胞に対するイムノフォーカスアッセイにより評価する。或いは、トランスフェクトした細胞及び上清を、トランスフェクション後3〜5日目に大きな容器(例えば、T75組織培養フラスコ)で継代することができ、培養上清を継代後5日までに収集する。
また本明細書に提供されるのは、抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスが感染した細胞培養物における抗原の発現である。培養細胞における抗原の発現に使用する場合、以下の2つの手順を使用することができる:
i)対象となる細胞型に、本明細書に記載されるアレナウイルスベクター調製物を、1以上、例えば、2、3、又は4の感染多重度(MOI)で感染させると、感染直後に既に全ての細胞で抗原が生成される。
ii)或いは、より低いMOIを使用することができ、個々の細胞クローンをそのウイルス駆動性抗原発現レベルについて選択することができる。その後、アレナウイルスベクターの細胞非溶解性のために、個々のクローンを無限に増殖させることができる。その手法に関係なく、その後、抗原を、生成される抗原の特性に応じて、培養上清又は細胞自体のどちらかから回収(及び精製)することができる。しかしながら、本発明は、これら2つの戦略に限定されるものではなく、感染性複製欠損アレナウイルスをベクターとして使用して抗原の発現を駆動する他の方法を考慮してよい。
((b)三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの作製)
引用により本明細書中に組み込まれる、例えば、Emonetらの文献,2008, PNAS, 106(9):3473-3478; Popkinらの文献, 2011, J. Virol., 85 (15):7928-7932により記載されるように、三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、当技術分野で公知の逆遺伝学的技術により組換えによって生成することができる。本明細書に提供される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの作製は、第6.3節に記載されている通りに改変することができる。
((i)感染性複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター)
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを作製する方法は、(i)1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントのcDNAを宿主細胞にトランスフェクトすること;(ii)該アレナウイルスの最小限のトランス作用因子のNP及びLを発現するプラスミドを宿主細胞にトランスフェクトすること;(iii)ウイルス形成に好適な条件下で該宿主細胞を維持すること;並びに(iv)アレナウイルスウイルスベクターを収集することを含む。
ひとたびcDNAから作製すると、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクター(すなわち、感染性で、複製可能)は増やすことができる。ある実施態様において、三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、本明細書に記載される通りに、ウイルスの使用を可能にする力価まで、ウイルスが成長するのを可能にする任意の宿主細胞で増やすことができる。一実施態様において、該宿主細胞は、対応する野生型について決定される力価に匹敵する力価まで、三セグメントアレナウイルスウイルスベクターが成長するのを可能にする。
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、宿主細胞で増やしてよい。使用することができる宿主細胞の具体例としては、BHK-21、HEK 293、VERO又はその他を含む。具体的な実施態様において、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、細胞株で増やしてよい。
ある実施態様において、該宿主細胞は、培養で維持され、1以上のプラスミド(複数可)をトランスフェクトされる。該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞における発現に好適な、例えば、ポリメラーゼIのプロモーター及びターミネーターからなる1以上の発現カセットの制御下で、作製されるアレナウイルスゲノムセグメント(複数可)を発現する。
具体的な実施態様において、該宿主細胞は、培養で維持され、1以上のプラスミド(複数可)をトランスフェクトされる。該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞における発現に好適な、例えば、ポリメラーゼIのプロモーター及びターミネーターからなる1以上の発現カセットの制御下で、作製されるウイルス遺伝子(複数可)を発現する。
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスの作製に使用することができるプラスミドは、i)Sゲノムセグメント、例えば、pol-I Sをそれぞれコードする2つのプラスミド、ii)Lゲノムセグメント、例えば、pol-I Lをコードするプラスミドを含むことができる。2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスに必要なプラスミドは、i)Lゲノムセグメント、例えば、pol-Lをそれぞれコードする2つのプラスミド、ii)Sゲノムセグメント、例えば、pol-I Sをコードするプラスミドを含むことができる。
ある実施態様において、ウイルスL及びSセグメントの細胞内合成を導くアレナウイルスポリメラーゼをコードするプラスミドを、トランスフェクション混合物に組み込むことができる。例えば、Lタンパク質をコードするプラスミド及びNPをコードするプラスミド(それぞれpC-L及びpC-NP)。Lタンパク質及びNPは、ウイルスRNAの転写及び複製に必要な最小限のトランス作用因子である。或いは、NP及びLタンパク質と一緒の、ウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成は、それぞれ、両側から2つの別々のプラスミドのL及びSセグメントのcDNAへ読むpol-I及びpol-IIプロモーターを有する発現カセットを使用して行うことができる。
さらに、該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞における遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のポリメラーゼII発現カセットの制御下で、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、又はウイルス遺伝子転写物(複数可)の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での生成のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌選択マーカーを特徴とする。
プラスミド(複数可)でのBHK-21細胞のトランスフェクションは、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを使用して行うことができる。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象となるウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を使用して高発現クローンを同定する。
通常、RNAポリメラーゼI駆動性発現カセット、RNAポリメラーゼII駆動性カセット又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ駆動性カセットを使用することができ、後者は、3'末端リボザイムを一次転写物のプロセシングに優先的に使用して、正確な末端を生じさせる。ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントをコードするプラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。
該三セグメントアレナウイルスベクターの回収のために、以下の手順が想定される。第1日目:上記のように、M6ウェルプレートで通常80%コンフルエントの細胞に、プラスミドの混合物をトランスフェクトする。このために、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを利用することができる。
3〜5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にアレナウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。該アレナウイルスベクター調製物の感染力価をイムノフォーカスアッセイにより評価する。或いは、トランスフェクション後3〜5日目に、トランスフェクトした細胞及び上清をより大きな容器(例えば、T75組織培養フラスコ)で継代し、継代後5日までに培養上清を収集する。
本願はさらに異種ORFの発現に関連し、ゲノムセグメントをコードするプラスミドは、異種ORFを組み込むように改変される。異種ORFのより詳細な説明は、第6.5節に記載されている。該異種ORFは、制限酵素を使用してプラスミドに組み込むことができる。
((ii)感染性複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター)
感染性複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを、上記のようにレスキューすることができる。しかしながら、ひとたびcDNAから作製されると、本明細書に提供される感染性複製欠損アレナウイルスは、相補細胞で増殖することができる。相補細胞は、そのゲノムの改変により、複製欠損アレナウイルスから除去された機能性を提供する細胞である(例えば、GPタンパク質をコードするORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている場合、相補細胞がGPタンパク質を提供する)。
アレナウイルスベクター中のORFのうちの1以上が除去されているか又は機能的に不活化されている(ここでは、糖タンパク質GPの欠失を例に取る)ため、アレナウイルスベクターを、欠失したウイルス遺伝子(複数可)、例えば、本例では、GPをトランスに提供する細胞で作製し、増やすことができる。以後、C細胞と呼ぶそのような相補細胞株は、BHK-21、HEK 293、VERO又はその他(ここでは、BHK-21を例に取る)などの哺乳動物細胞株に、対象となるウイルス遺伝子(複数可)の発現のための1以上のプラスミド遺伝子(複数可)(C-プラスミドと呼ばれる相補性プラスミド)をトランスフェクトすることにより作製される。C-プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞での発現に好適な1以上の発現カセット、例えば、ポリアデニル化シグナルを有するCMV又はEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーターの制御下で、作製されるアレナウイルスベクターで欠失しているウイルス遺伝子(複数可)を発現する。さらに、該相補性プラスミドは、哺乳動物細胞での遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの制御下にある、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、又はウイルス遺伝子転写物(複数可)の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での生成のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌選択マーカーを特徴とする。
使用することができる細胞、例えば、BHK-21、HEK 293、MC57G又はその他を、培養下で保持し、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを使用して、相補性プラスミド(複数可)をトランスフェクトする。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象となるウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を使用して高発現C細胞クローンを同定する。安定にトランスフェクトされたC細胞の使用の代替法として、正常細胞の一過性トランスフェクションは、C細胞を使用する以下の工程の各々において、失われたウイルス遺伝子(複数可)を補足することができる。さらに、ヘルパーウイルスを使用して、失われた機能性をトランスに提供することができる。
2つのタイプのプラスミド:i)本例では、例えば、LCMVのNP及びLタンパク質に由来する、アレナウイルスの最小限のトランス作用因子をC細胞で細胞内発現させるためのTF-プラスミドと呼ばれる2つのプラスミド;並びにii)アレナウイルスベクターゲノムセグメント、例えば、設計された改変を有するセグメントをC細胞で細胞内発現させるためのGS-プラスミドと呼ばれるプラスミドを使用することができる。TF-プラスミドは、それぞれのアレナウイルスベクターのNP及びLタンパク質を、哺乳動物細胞でのタンパク質発現に好適な発現カセット、通常、例えば、CMV又はEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーターの制御下で、これらのうちのどちらか一方をポリアデニル化シグナルと優先的に組み合わせて発現する。GS-プラスミドは、該ベクターの小さい(S)ゲノムセグメント及び大きい(L)ゲノムセグメントを発現する。通常、ポリメラーゼI駆動性発現カセット又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ(T7-)駆動性発現カセットを使用することができ、後者は、3'末端リボザイムを一次転写物のプロセシングに優先的に使用して、正確な末端を生じさせる。T7系システムを使用する場合、C細胞でのT7の発現が、TF-プラスミドと類似した形で構築され、T7を提供するさらなる発現プラスミドをリカバリープロセスに含めることによってもたらされなければならないか、又はC細胞が、安定な様式でT7をさらに発現するように構築される。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。
該アレナウイルスベクターの回収のために、以下の手順を使用することができる。第1日目:M6ウェルプレートで通常80%コンフルエントのC細胞に、2つのTF-プラスミドと2つのGS-プラスミドの混合物をトランスフェクトする。ある実施態様において、TF及びGSプラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。このために、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを利用することができる。
3〜5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にアレナウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。その後、該アレナウイルスベクター調製物の感染力価をC細胞に対するイムノフォーカスアッセイにより評価する。或いは、トランスフェクトした細胞及び上清を、トランスフェクション後3〜5日目に大きな容器(例えば、T75組織培養フラスコ)で継代することができ、培養上清を継代後5日までに収集する。
本発明はさらに、抗原を発現する感染性複製欠損三セグメントアレナウイルスが感染した細胞培養物における抗原の発現に関する。培養細胞中のCMV抗原の発現に使用される場合、以下の2つの手順を使用することができる:
i)対象となる細胞型に、本明細書に記載されるアレナウイルスベクター調製物を、1以上、例えば、2、3、又は4の感染多重度(MOI)で感染させると、感染直後に既に全ての細胞で該抗原が生成される。
ii)或いは、より低いMOIを使用することができ、個々の細胞クローンをそのウイルス駆動性抗原発現レベルについて選択することができる。その後、アレナウイルスベクターの細胞非溶解性のために、個々のクローンを無限に増殖させることができる。その手法に関係なく、その後、該抗原を、生成される抗原の特性に応じて、培養上清又は細胞自体のどちらかから回収(及び精製)することができる。しかしながら、本発明は、これら2つの戦略に限定されるものではなく、感染性複製欠損アレナウイルスをベクターとして使用してCMV抗原の発現を駆動する他の方法を考慮してよい。
(6.5 異種配列)
((a)発癌性ウイルス抗原及びHPV抗原)
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターに包含される異種配列は、抗原をコードする。ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物と共に使用するための発癌性ウイルス抗原は、DNAウイルス、RNAウイルス又はレトロウイルスの抗原である。あるより具体的な実施態様において、抗原自体が発癌性である。
ある実施態様において、該異種ヌクレオチド配列は、発癌性ウイルスに由来する。
ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物と共に使用するための抗原は、B型肝炎ウイルス抗原及びC型肝炎ウイルス抗原を除く、任意の発癌性ウイルスの抗原であり得る。
ある実施態様において、発癌性ウイルス抗原は、ヒトパピローマウイルス抗原、潜伏期関連核抗原などのカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスの抗原、EBV-EA、EBV-MA、又はEBV-VCAなどのエプスタイン-バーウイルスの抗原、MCV T抗原などのメルケル細胞ポリオーマウイルスの抗原、又はHTLV-1 Tax抗原などのヒトTリンパ好性ウイルスの抗原である。
ある具体的な実施態様において、本明細書に記載する方法及び組成物と共に使用するための抗原は、HPV抗原である。
ある実施態様において、ヒトHPVの任意の株又はヒトHPVの任意の臨床分離株を使用して、本明細書に記載される組成物及び方法と共に使用するためのアレナウイルスの作製のための異種配列を得ることができる。ある実施態様において、該異種配列は、HPV遺伝子型1(HPV1)、HPV遺伝子型2(HPV2)、HPV遺伝子型3(HPV3)、HPV遺伝子型4(HPV4)、HPV遺伝子型6(HPV6)、HPV遺伝子型7(HPV7)、HPV遺伝子型8(HPV8)、HPV遺伝子型10(HPV10)、HPV遺伝子型11(HPV11)、HPV遺伝子型13(HPV13)、HPV遺伝子型16(HPV16)、HPV遺伝子型18(HPV18)、HPV遺伝子型22(HPV22)、HPV遺伝子型26(HPV26)、HPV遺伝子型31(HPV31)、HPV遺伝子型32(HPV32)、HPV遺伝子型33(HPV33)、HPV遺伝子型35(HPV35)、HPV遺伝子型39(HPV39)、HPV遺伝子型42(HPV42)、HPV遺伝子型44(HPV44)、HPV遺伝子型45(HPV45)、HPV遺伝子型51(HPV51)、HPV遺伝子型52(HPV52)、HPV遺伝子型53(HPV53)、HPV遺伝子型56(HPV56)、HPV遺伝子型58(HPV58)、HPV遺伝子型59(HPV59)、HPV遺伝子型60(HPV60)、HPV遺伝子型63(HPV63)、HPV遺伝子型66(HPV66)、HPV遺伝子型68(HPV68)、HPV遺伝子型73(HPV73)、又はHPV遺伝子型82(HPV82)、又は他の遺伝子型を含む株などのHPV株から得られ、HPV株の抗原をコードしている。ある実施態様において、株には、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、及びHPV82などのHPVの「高リスク」遺伝子型が含まれる。
ある実施態様において、該抗原は、パピローマウイルス抗原のオルソログ、例えば、哺乳動物(すなわち、ヒト以外の霊長類、ブタ、イヌ、ネコ、又は馬)のパピローマウイルス抗原であり得る。
ある実施態様において、アレナウイルスのオープンリーディングフレーム(ORF)は、欠失しており、発癌性ウイルスの抗原をコードする異種配列と置換されている。
より具体的には、アレナウイルスベクター感染細胞における遺伝子発現が依然として可能ではあるが、4つのアレナウイルスORF(糖タンパク質(GP);核タンパク質(NP);マトリックスタンパク質Z;RNA依存性RNAポリメラーゼL)のうちの1以上、例えば、2つ、3つ、又は4つを、正常細胞での感染性粒子の形成を防止するために除去するか、又は変異させる。1以上のタンパク質をコードする外来核酸などの異種配列を導入することができる。これらの外来核酸は、4つのアレナウイルスプロモーターのSセグメントの5'UTR及び3'UTR、並びにLセグメントの5'UTR及び3'UTRのうちの1以上、例えば、2つ若しくは3つから、又はウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼによって、細胞性RNAポリメラーゼI、RNAポリメラーゼII若しくはRNAポリメラーゼIIIによって読まれることができる追加的に導入されたプロモーター配列、例えば、それぞれ、ウイルスのUTRに天然に見られるウイルスプロモーター配列の重複、28SリボソームRNAプロモーター、β-アクチンプロモーター、又は5SリボソームRNAプロモーターから転写される。タンパク質をコードするか、又は宿主遺伝子発現を調節するリボ核酸は、それらだけで、又はアレナウイルスタンパク質ORFとの融合によるリードスルーとして転写及び翻訳される。宿主細胞でのタンパク質の発現は、1以上の、例えば、2つ、3つ又は4つの内部リボソーム進入部位を適当な場所(複数可)でウイルス転写物配列中に導入することにより増強することができる。
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、DNAウイルス抗原、RNAウイルス抗原、又はレトロウイルス抗原をコードする異種配列と置換されている。
あるより具体的な実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、B型肝炎ウイルス抗原及びC型肝炎ウイルス抗原を除く任意の発癌性ウイルス抗原をコードする異種配列と置換されている。
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、ヒトパピローマウイルスの抗原などの発癌性ウイルスの抗原、潜伏期関連核抗原などのカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスの抗原、EBV-EA、EBV-MA、又はEBV-VCAなどのエプスタイン-バーウイルスの抗原、MCV T抗原などのメルケル細胞ポリオーマウイルスの抗原、又はHTLV-1 Tax抗原などのヒトTリンパ好性ウイルスの抗原をコードする異種配列と置換されている。
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、1以上のHPV抗原をコードする異種配列と置換されている。
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、HPVの任意の株又はHPVの任意の臨床分離株の抗原をコードする異種配列と置換されている。そのような株には、HPV遺伝子型1(HPV1)、HPV遺伝子型2(HPV2)、HPV遺伝子型3(HPV3)、HPV遺伝子型4(HPV4)、HPV遺伝子型6(HPV6)、HPV遺伝子型7(HPV7)、HPV遺伝子型8(HPV8)、HPV遺伝子型10(HPV10)、HPV遺伝子型11(HPV11)、HPV遺伝子型13(HPV13)、HPV遺伝子型16(HPV16)、HPV遺伝子型18(HPV18)、HPV遺伝子型22(HPV22)、HPV遺伝子型26(HPV26)、HPV遺伝子型31(HPV31)、HPV遺伝子型32(HPV32)、HPV遺伝子型33(HPV33)、HPV遺伝子型35(HPV35)、HPV遺伝子型39(HPV39)、HPV遺伝子型42(HPV42)、HPV遺伝子型44(HPV44)、HPV遺伝子型45(HPV45)、HPV遺伝子型51(HPV51)、HPV遺伝子型52(HPV52)、HPV遺伝子型53(HPV53)、HPV遺伝子型56(HPV56)、HPV遺伝子型58(HPV58)、HPV遺伝子型59(HPV59)、HPV遺伝子型60(HPV60)、HPV遺伝子型63(HPV63)、HPV遺伝子型66(HPV66)、HPV遺伝子型68(HPV68)、HPV遺伝子型73(HPV73)、又はHPV遺伝子型82(HPV82)、又は他の遺伝子型が含まれる。ある実施態様において、株には、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、又はHPV82などのHPVの「高リスク」遺伝子型が含まれる。
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、HPVの任意の株又はHPVの任意の臨床分離株の抗原をコードする異種配列と置換されており、該抗原のアミノ酸配列は、抗原、例えば、HPV遺伝子型1(HPV1)、HPV遺伝子型2(HPV2)、HPV遺伝子型3(HPV3)、HPV遺伝子型4(HPV4)、HPV遺伝子型6(HPV6)、HPV遺伝子型7(HPV7)、HPV遺伝子型8(HPV8)、HPV遺伝子型10(HPV10)、HPV遺伝子型11(HPV11)、HPV遺伝子型13(HPV13)、HPV遺伝子型16(HPV16)、HPV遺伝子型18(HPV18)、HPV遺伝子型22(HPV22)、HPV遺伝子型26(HPV26)、HPV遺伝子型31(HPV31)、HPV遺伝子型32(HPV32)、HPV遺伝子型33(HPV33)、HPV遺伝子型35(HPV35)、HPV遺伝子型39(HPV39)、HPV遺伝子型42(HPV42)、HPV遺伝子型44(HPV44)、HPV遺伝子型45(HPV45)、HPV遺伝子型51(HPV51)、HPV遺伝子型52(HPV52)、HPV遺伝子型53(HPV53)、HPV遺伝子型56(HPV56)、HPV遺伝子型58(HPV58)、HPV遺伝子型59(HPV59)、HPV遺伝子型60(HPV60)、HPV遺伝子型63(HPV63)、HPV遺伝子型66(HPV66)、HPV遺伝子型68(HPV68)、HPV遺伝子型73(HPV73)、若しくはHPV遺伝子型82(HPV82)、若しくは他の遺伝子型のE6及び/又はE7抗原のアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である。ある実施態様において、株には、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、又はHPV82などのHPVの「高リスク」遺伝子型が含まれる。
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、1以上のHPV抗原をコードする異種配列と置換されている。ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、HPVの初期(E)又は後期(L)タンパク質をコードする異種配列と置換されている。ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、HPVタンパク質E1、HPVタンパク質E2、HPVタンパク質E3、HPVタンパク質E4、HPVタンパク質E5、HPVタンパク質E6、HPVタンパク質E7、HPVタンパク質L1又はHPVタンパク質L2をコードする異種配列と置換されている。ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、HPVタンパク質E1、HPVタンパク質E2、HPVタンパク質E3、HPVタンパク質E4、HPVタンパク質E5、HPVタンパク質E6、HPVタンパク質E7、HPVタンパク質L1又はHPVタンパク質L2のうちの2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれより多くの融合タンパク質をコードする異種配列と置換されている。ある具体的な実施態様において、該異種配列は、融合したHPVタンパク質E6-HPVタンパク質E7である。ある具体的な実施態様において、該異種配列は、融合したHPVタンパク質E7-HPVタンパク質E6-HPVタンパク質E6-HPVタンパク質E7であり、一方のHPVタンパク質E7はHPV16株に由来し、他方はHPV18株に由来し、一方のHPVタンパク質E6はHPV18株に由来し、他方はHPV18株に由来する。ある具体的な実施態様において、該異種配列は、融合したHPVタンパク質E6-HPVタンパク質E7のシャッフル化配列である。ある具体的な実施態様において、融合したHPVタンパク質E6-HPVタンパク質E7の配列は、タンパク質E6の上流にタンパク質E7を有して発現する。ある具体的な実施態様において、融合したHPVタンパク質E6-HPVタンパク質E7の配列は、タンパク質E7の上流にタンパク質E6を有して発現する。ある実施態様において、該E7タンパク質は、Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有する。ある実施態様において、該E6タンパク質は、ジンクフィンガーモチーフに変異を有する。
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、HPVタンパク質E1、HPVタンパク質E2、HPVタンパク質E3、HPVタンパク質E4、HPVタンパク質E5、HPVタンパク質E6、HPVタンパク質E7、HPVタンパク質L1又はHPVタンパク質L2の抗原のアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である抗原をコードする異種配列と置換されている。ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、融合したHPVタンパク質E6-HPVタンパク質E7のアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である抗原をコードする異種配列と置換されている。ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、融合したHPVタンパク質E6-HPVタンパク質E7のシャッフル化配列のアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である抗原をコードする異種配列と置換されている。ある具体的な実施態様において、融合したHPVタンパク質E6配列-HPVタンパク質E7配列は、タンパク質E6配列の上流にタンパク質E7配列を有して発現する。ある具体的な実施態様において、融合したHPVタンパク質E6配列-HPVタンパク質E7配列は、タンパク質E7配列の上流にタンパク質E6配列を有して発現する。ある実施態様において、該E7タンパク質配列は、Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有する。ある実施態様において、E6タンパク質配列は、ジンクフィンガーモチーフに変異を有する。
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、抗原、例えば、HPVタンパク質E6及び/又はE7抗原をコードする異種ヌクレオチド配列と置換されている。HPVタンパク質E6は腫瘍性タンパク質である。例えば、タンパク質E6は腫瘍抑制因子p53に結合し、p53のプロテアソーム分解を引き起こすことが報告されている(Gangulyらの文献,2009, J. Biosci. 34(1), 113-123)。HPVタンパク質E7も腫瘍性タンパク質である。例えば、E7は、腫瘍抑制タンパク質である網膜芽細胞腫タンパク質(pRb)に結合し、その機能を不活化することが示されている(Gangulyらの文献,2009, J. Biosci. 34(1), 113-123)。
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、抗原、例えば、HPVタンパク質E6及び/若しくはE7抗原又はその断片をコードする異種ヌクレオチド配列と置換されている。ある実施態様において、該E6タンパク質断片は、N-末端切断断片である。ある実施態様において、該E6タンパク質断片は、C-末端切断断片である。ある実施態様において、該E6タンパク質断片は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、又は158アミノ酸長である。ある実施態様において、該E7タンパク質断片はN末端切断断片である。ある実施態様において、該E7タンパク質断片はC-末端切断断片である。ある実施態様において、該E7タンパク質断片は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は98アミノ酸長である。ある実施態様において、該E7タンパク質断片は、Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有する。ある実施態様において、該E6タンパク質断片は、ジンクフィンガーモチーフに変異を有する。
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、HPV16タンパク質E6、HPV16タンパク質E7、HPV18タンパク質E6、及びHPV18タンパク質E7をコードする異種ヌクレオチド配列と置換されている。ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片、HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片、HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7又はその抗原性断片をコードする異種ヌクレオチド配列と置換されている。ある実施態様において、HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片、HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片、HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7又はその抗原性断片のうちの1つ、2つ、3つ又は全4つは、シャッフル化配列であり得る。HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片、HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片、HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片のそれぞれ1つは、HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片、HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片、HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片のうちの1つ又は2つの異なる配列に直接融合することができる。HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片、HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片、HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片のそれぞれ1つは、HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片、HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片、HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片のうちの1つ又は2つの異なる配列にリンカー又は自己切断ペプチドを介して融合することができる。HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片、HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片、HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片のそれぞれ1つは、HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片、HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片、HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片のうちの1つ又は2つの異なる配列に融合することができる。HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片、HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片、HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片の配列は、当業者に公知の任意の方法で配置することができ、例えば、HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片、HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片、HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片のそれぞれ1つは、HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片、HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片、HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片のうちの異なる1つの上流又は下流に存在することができる。HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片、HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片、HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片のそれぞれ1つは、シグナルペプチドに融合することができる。あるより具体的な実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、HPV16 E6/HPV16 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV16 E6/HPV18 E6融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV16 E7/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV18 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片をコードする異種ヌクレオチド配列と置換されている。あるより具体的な実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、2つの融合タンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列と置換されており、第1の融合タンパク質は、HPV16 E6/HPV16 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV16 E6/HPV18 E6融合タンパク質若しくはその抗原性断片、HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質若しくはその抗原性断片、HPV16 E7/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV18 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片であり、第2の融合タンパク質は、HPV16 E6/HPV16 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV16 E6/HPV18 E6融合タンパク質若しくはその抗原性断片、HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質若しくはその抗原性断片、HPV16 E7/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV18 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片から選択される異なる融合タンパク質である。ある具体的な実施態様において、該異種ヌクレオチド配列はさらに、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードする。ある具体的な実施態様において、該異種ヌクレオチド配列はさらに、シグナル配列をコードする(例えば、VSVGに由来する)。
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、HPV16 E6/E7融合タンパク質及びHPV18 E6/E7融合タンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列と置換されている。ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、HPV16 E6/E7融合タンパク質のシャッフル化配列及びHPV18 E6/E7融合タンパク質のシャッフル化配列をコードする異種ヌクレオチド配列と置換されている。ある具体的な実施態様において、該異種ヌクレオチド配列は、互いに直接融合しているHPV16 E6/E7融合タンパク質及びHPV18 E6/E7融合タンパク質をコードする。ある具体的な実施態様において、該異種配列は、ペプチドリンカー又は自己切断ペプチドを介して互いに融合しているHPV16 E6/E7融合タンパク質及びHPV18 E6/E7融合タンパク質をコードする。ある具体的な実施態様において、該異種配列は、HPV18 E6/E7融合タンパク質の上流に位置するHPV16 E6/E7融合タンパク質をコードする。ある具体的な実施態様において、該異種ヌクレオチド配列は、HPV18 E6/E7融合タンパク質の下流に位置するHPV16 E6/E7融合タンパク質をコードする。ある具体的な実施態様において、該異種ヌクレオチド配列は、シグナルペプチドに融合したHPV16 E6/E7融合タンパク質をコードする。ある具体的な実施態様において、該異種ヌクレオチド配列は、シグナルペプチドに融合したHPV18 E6/E7融合タンパク質をコードする。ある具体的な実施態様において、該異種ヌクレオチド配列はさらに、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードする。
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、HPV16 E6/E7融合タンパク質のアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である抗原及びHPV18 E6/E7融合タンパク質のアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である抗原をコードする異種配列と置換されている。
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、HPV16 E6/E7融合タンパク質のシャッフル化配列のアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である抗原をコードする異種配列と置換されている。ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、HPV18 E6/E7融合タンパク質のシャッフル化配列のアミノ酸配列と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である抗原をコードする異種配列と置換されている。
ある具体的な実施態様において、HPV16 E6/E7融合タンパク質又はHPV18 E6/E7融合タンパク質のE6タンパク質断片は、N-末端切断断片である。ある実施態様において、該E6タンパク質断片はC-末端切断断片である。ある実施態様において、該E6タンパク質断片は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、又は158アミノ酸長である。ある実施態様において、HPV16 E6/E7融合又はHPV18 E6/E7融合のE7タンパク質断片は、N末端切断断片である。ある実施態様において、該E7タンパク質断片はC-末端切断断片である。ある実施態様において、該E7タンパク質断片は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は98アミノ酸長である。
ある実施態様において、HPV16 E6/E7融合タンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列及びHPV18 E6/E7融合タンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列は、ウイルスゲノムの同じ位置にある。ある実施態様において、HPV16 E6/E7融合タンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列及びHPV18 E6/E7融合タンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列は、ウイルスゲノムの異なる位置にある。ある実施態様において、HPV16 E6/E7融合タンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列及びHPV18 E6/E7融合タンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列は、同じウイルスで発現する。ある実施態様において、HPV16 E6/E7融合タンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列及びHPV18 E6/E7融合タンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列は、異なるウイルスで発現する。
ある具体的な実施態様において、タンパク質E7に融合したHPV16タンパク質E6の異種ヌクレオチド配列は、タンパク質E6の上流にタンパク質E7を有して発現する。ある具体的な実施態様において、タンパク質E7に融合したHPV18タンパク質E6の異種ヌクレオチド配列は、タンパク質E7の上流にタンパク質E6を有して発現する。ある実施態様において、HPV16 E6/E7融合タンパク質又はHPV18 E6/E7融合タンパク質のE7タンパク質は、Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有する。ある実施態様において、HPV16 E6/E7融合タンパク質又はHPV18 E6/E7融合タンパク質のE6タンパク質は、ジンクフィンガーモチーフに変異を有する。
ある実施態様において、発癌性ウイルスの抗原をコードする異種配列はさらに、シグナルペプチドをコードする。より具体的には、該異種配列は、得られた発現生成物が、それが発現する細胞から分泌されるように、シグナルペプチドに融合した抗原をコードする。そのようなシグナルペプチドは、抗原のN末端又はC末端に融合することができる。当業者に公知の任意のシグナルペプチドは、本明細書に提供される組成物及び方法と共に使用することができる。具体的には、該シグナルペプチドは、ヒト分泌タンパク質のシグナルペプチドである。より具体的には、該シグナルペプチドは、ヒトチロシナーゼ分泌シグナル、ヒト成長ホルモン分泌シグナル、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子シグナル配列、又はVSVGシグナル配列である。
該異種ヌクレオチド配列は、複数の抗原をコードすることができる。ある実施態様において、該異種ヌクレオチド配列は、1以上の異なる発癌性ウイルスの2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれより多くの抗原をコードする。具体的には、該異種ヌクレオチド配列は、1つのHPV株の第1の抗原及びHPVの異なる株からの類似の抗原である第2の抗原をコードすることができる。例えば、該異種ヌクレオチド配列は、1つのHPV株(例えば、HPV16株)からのタンパク質E6及び別の株(例えば、HPV18株)からのタンパク質E6、並びに/又は1つのHPV株(例えば、HPV16株)からのタンパク質E7、及び別の株(例えば、HPV18株)からのタンパク質E7をコードすることができる。ある実施態様において、該異種ヌクレオチド配列は、同じ発癌性ウイルス又は1以上の異なる発癌性ウイルスのうちの2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれより多くの異なる抗原をコードする。具体的には、該異種ヌクレオチド配列は、1つのHPV株の第1の抗原及びHPVの同じ株若しくは異なる株からの類似の抗原である第2の異なる抗原をコードすることができる。例えば、該異種ヌクレオチド配列は、1つのHPV株(例えば、HPV16株)からのタンパク質E6及び同じ株若しくは別の株(例えば、HPV18株)からのタンパク質E7をコードすることができる。別の例として、該異種ヌクレオチド配列は、HPVの2つの株(例えば、HPV16株及び18株)からのタンパク質E6並びに2つの株(例えば、HPV16株及び18株)からのタンパク質E7をコードすることができる。
ある実施態様において、発癌性ウイルスの抗原をコードする異種配列はさらに、リンカー又は自己切断ペプチドをコードする。該リンカー又は自己切断ペプチドは、2以上の遺伝子の同時発現に有用である。より具体的には、該異種配列は、別の抗原又は免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質に直接融合するか、又はリンカー配列を介して融合する抗原をコードする。別の具体的な実施態様において、該異種配列は、自己切断ペプチドを介して、別の抗原又は免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質に連結された抗原をコードする。そのようなリンカー又は自己切断ペプチドは、抗原のN-末端又はC末端に融合することができる。当業者に公知の任意のリンカーペプチド又は自己切断ペプチドは、本明細書に提供される組成物及び方法と共に使用することができる。任意の数の抗原又は免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質は、この方法で融合又は連結することができる。例えば、具体的な一実施態様において、該第1のHPV抗原は、第2のHPV抗原に直接融合するか、又はペプチドリンカーを介して第2の抗原に融合する。別の具体的な実施態様において、該第2のHPV抗原は、第3のHPV抗原に直接融合するか、又はペプチドリンカーを介して第3の抗原に融合する。別の具体的な実施態様において、該第1のHPV抗原及び該第2のHPV抗原は、自己切断ペプチドを介して互いに隔てられている。別の具体的な実施態様において、該第2のHPV抗原及び該第3のHPV抗原は、自己切断ペプチドを介して互いに隔てられている。
ある実施態様において、本明細書に記載される2つ、3つ、4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードするORFは、単一の転写物として転写される。ある実施態様において、その転写物上のHPV抗原をコードするORFは、自己切断ペプチド又はリボソームスキッピング配列をコードする核酸によって隔てられている。ある実施態様において、該自己切断ペプチドは、ピコルナウイルス科というウイルスファミリーのメンバーの2Aタンパク質から得ることができる。ある具体的な実施態様において、該自己切断ペプチドは、豚テシオウイルス-1 2A、トセアアシグナウイルス2A、口蹄疫ウイルス2Aペプチド、又はウマ鼻炎Aウイルス2Aペプチドから得られる(又は由来する)。ある具体的な実施態様において、豚テシオウイルス-1 2Aから得られる(又は由来する)2Aペプチドは、最大の切断効率を有する。ある実施態様において、該2Aペプチドは、該2Aペプチドの上流又は下流にある本明細書に記載のHPV抗原との組合せで高い切断効率を有する。
ある実施態様において、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードするORFは、リボソームスキッピング配列によって隔てられている。より具体的な実施態様において、該リボソームスキッピング配列は、シス作用型ヒドロラーゼエレメント配列である。
ある実施態様において、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードするORFは、ポティウイルス科のタバコエッチ病ウイルス(TEV)から得られる(又は由来する)自己切断プロテアーゼによって隔てられている。
ある実施態様において、
リンカーは、2AペプチドのN末端及び/又はC末端に挿入される。より具体的な実施態様において、
リンカーは、2AペプチドのN末端に挿入される。より具体的な実施態様において、
リンカーは、2AペプチドのC末端に挿入される。ある実施態様において、
リンカーは、2Aペプチドによる切断の効率を向上させる。
ある実施態様において、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードするORFは、内部リボソーム進入部位によって隔てられている。ある実施態様において、該内部リボソーム進入部位は、上流プロモーターの制御下で機能する。ある実施態様において、該内部リボソーム進入部位は、脳心筋炎ウイルスから得られる(又は由来する)。
ある実施態様において、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードするORFは、2Aペプチド及びフューリン切断部位によって隔てられている。ある実施態様において、該2Aペプチドは、フューリン切断部位に隣接する。ある実施態様において、該フューリン切断部位は、HPV抗原をコードするORFと2AペプチドをコードするORFの間に位置付けられる。ある実施態様において、該フューリン切断部位は、2Aペプチドの上流に付加される。ある実施態様において、該フューリン切断部位は、2Aペプチドの下流に付加される。ある実施態様において、該フューリン切断部位は、2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードするORF、自己切断ペプチド、及びこれらの組合せを有するベクター中に位置付けられる。ある実施態様において、該フューリン切断部位のコンセンサス配列は、R-X-K-/R-Rである。より具体的な実施態様において、該フューリン切断部位は、トランスゴルジネットワークでフューリンタンパク質によって切断される。別の実施態様において、該フューリン切断部位は、2Aペプチド配列を除去する。また別の実施態様において、該フューリン切断部位は、自己切断ペプチド配列をC末端で除去する。例えば、Fangらの文献、2007, Molecular Therapy 15(6):1153-1159を参照されたい。
ある実施態様において、2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードするORFは、2Aペプチド及びタグによって隔てられている。ある実施態様において、該タグは、2Aペプチドに連結される。ある実施態様において、該タグは、2Aペプチドとフューリン切断部位の間に位置付けられる。ある実施態様において、該タグは、HPV抗原をコードする下流ORFのC末端又はN末端に位置付けられる。ある実施態様において、該タグは、HPV抗原をコードする上流ORFのC末端又はN末端に位置付けられる。ある実施態様において、該タグは、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードするORF、2Aペプチド、フューリン切断部位、又はこれらの組合せを有するベクター中に位置付けられる。ある実施態様において、該タグは、ペプチドタグである。より具体的な実施態様において、該タグは、V5アミノ酸タグである。
ある実施態様において、2つ、3つ、4つ、若しくは5つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードするORFは、2Aペプチド及びスペーサー配列によって隔てられている。ある実施態様において、該スペーサー配列は、2Aペプチドの上流に位置付けられる。ある実施態様において、該スペーサー配列は、HPV抗原をコードするORFの間に位置付けられる。ある実施態様において、該スペーサー配列は、2Aペプチドの上流とタグの間に位置付けられる。ある実施態様において、該スペーサー配列は、上流の2Aペプチドと下流のフューリン切断部位の間に位置付けられる。ある実施態様において、該スペーサー配列は、HPV抗原、自己切断ペプチド、フューリン切断部位、タグ又はこれらの組合せをコードするORFを有するベクター中に位置付けられる。ある実施態様において、該スペーサー配列は、切断効率を増大させる。
ある実施態様において、アレナウイルスのORF、は欠失しており、1つ、2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードする異種配列と置換されている。
((b)免疫調節配列)
ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物と共に使用するための抗原は、免疫調節エレメント、例えば、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質と共に投与される。
ある実施態様において、感染性の複製欠損アレナウイルスによって包含される異種ヌクレオチド配列はさらに、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする。該免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、カルレティキュリン(CRT)若しくはその断片、ユビキチン若しくはその断片、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)若しくはその断片、インバリアント鎖(CD74)若しくはその抗原性断片、結核菌熱ショックタンパク質70若しくはその抗原性断片、単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22若しくはその抗原性断片、CD40リガンド若しくはその抗原性断片、又はFms-関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンド若しくはその抗原性断片であり得る。
ある実施態様において、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする配列及び抗原をコードする配列は、ウイルスゲノムの同じ位置にある。例えば、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする配列及び抗原をコードする配列は、機能的に不活化、例えば、欠失した、感染性複製欠損アレナウイルスのORFの場所に位置付けられる。ある実施態様において、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする配列及び抗原をコードする配列は、ウイルスゲノムの異なる位置にある。ある実施態様において、該免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする配列及び第1の抗原をコードする配列は、感染性複製欠損アレナウイルスの異なるゲノムセグメント上に位置付けられる。
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しており、1つ、2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードする異種配列と置換されている。
ある実施態様において、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする異種配列はさらに、シグナルペプチドをコードする。より具体的には、該異種配列は、得られた発現生成物が、それが発現する細胞から分泌されるように、シグナルペプチドに融合した免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする。そのようなシグナルペプチドは、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質のN末端又はC末端に融合することができる。当業者に公知の任意のシグナルペプチドは、本明細書に提供される組成物及び方法と共に使用することができる。具体的には、該シグナルペプチドは、ヒト分泌タンパク質のシグナルペプチドである。より具体的には、該シグナルペプチドは、ヒトチロシナーゼ分泌シグナル、ヒト成長ホルモン分泌シグナル、又は組織プラスミノーゲン活性化因子シグナル配列である。
ある実施態様において、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする異種配列はさらに、リンカー又は自己切断ペプチドをコードする。より具体的には、該異種配列は、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードし、これは、直接又はリンカー配列を介して融合する抗原又は別の免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質と融合する。別の具体的な実施態様において、該異種配列は、自己切断ペプチドを介して、抗原又は別の免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質に連結された免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードする。そのようなリンカー又は自己切断ペプチドは、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質のN末端又はC末端に融合することができる。当業者に公知の任意のリンカーペプチド又は自己切断ペプチドは、本明細書に提供される組成物及び方法と共に使用することができる。任意の数の免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、この方法で抗原又は別の免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質と融合又は連結することができる。例えば、具体的な一実施態様において、該免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、第1の抗原に直接融合するか、又はペプチドリンカーを介して第1の抗原に融合する。別の具体的な実施態様において、該免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、第2の抗原に直接融合するか、又はペプチドリンカーを介して第2の抗原に融合する。別の具体的な実施態様において、該第1の抗原及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、自己切断ペプチドを介して互いに隔てられている。別の具体的な実施態様において、該第2の抗原及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、自己切断ペプチドを介して互いに隔てられている。
ある実施態様において、2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードするORFは、単一の転写物として転写される。ある実施態様において、その転写物上のHPV抗原及び免疫調節配列をコードするORFは、自己切断ペプチド又はリボソームスキッピング配列をコードする核酸によって隔てられている。ある実施態様において、該自己切断ペプチドは、ピコルナウイルス科というウイルスファミリーのメンバーの2Aタンパク質から得ることができる。ある具体的な実施態様において、該自己切断ペプチドは、豚テシオウイルス-1 2Aペプチド、トセアアシグナウイルス2Aペプチド、口蹄疫ウイルス2Aペプチド、又はウマ鼻炎Aウイルス2Aペプチドから得られる(又は由来する)。ある具体的な実施態様において、豚テシオウイルス-1 2Aから得られる(又は由来する)2Aペプチドは、最大の切断効率を有する。ある実施態様において、該2Aペプチドは、該2Aペプチドの上流又は下流にある、本明細書に記載されるHPV抗原との組合せで高い切断効率を有する。
ある実施態様において、2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードするORFは、リボソームスキッピング配列によって隔てられている。より具体的な実施態様において、該リボソームスキッピング配列は、シス作用型ヒドロラーゼエレメント配列である。
ある実施態様において、2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードするORFは、ポティウイルス科のタバコエッチ病ウイルス(TEV)から得られる(又は由来する)自己切断プロテアーゼによって隔てられている。
ある実施態様において、
リンカーは、2AペプチドのN末端及び/又はC末端に挿入される。より具体的な実施態様において、
リンカーは、2AペプチドのN末端に挿入される。より具体的な実施態様において、
リンカーは、2AペプチドのC末端に挿入される。ある実施態様において、
リンカーは、2Aペプチドによる切断の効率を向上させる。
ある実施態様において、2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードするORFは、内部リボソーム進入部位によって隔てられている。ある実施態様において、該内部リボソーム進入部位は、上流プロモーターの制御下で機能する。ある実施態様において、該内部リボソーム進入部位は、脳心筋炎ウイルスから得られる(又は由来する)。
ある実施態様において、2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードするORFは、2Aペプチド及びフューリン切断部位によって隔てられている。ある実施態様において、該2Aペプチドは、フューリン切断部位に隣接する。ある実施態様において、該フューリン切断部位は、HPV抗原をコードするORFと2AペプチドをコードするORFの間に位置付けられる。ある実施態様において、該フューリン切断部位は、2Aペプチドの上流に付加される。ある実施態様において、該フューリン切断部位は、2Aペプチドの下流に付加される。ある実施態様において、該フューリン切断部位は、2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードするORF、自己切断ペプチド、及びこれらの組合せを有するベクター中に位置付けられる。ある実施態様において、該フューリン切断部位のコンセンサス配列は、R-X-K-/R-Rである。より具体的な実施態様において、該フューリン切断部位は、トランスゴルジネットワークでフューリンタンパク質によって切断される。別の実施態様において、該フューリン切断部位は、2Aペプチド配列を除去する。また別の実施態様において、該フューリン切断部位は、自己切断ペプチド配列をC末端で除去する。例えば、Fangらの文献、Molecular Therapy. 2007; 15(6):1153-1159を参照されたい。
ある実施態様において、2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードするORFは、2Aペプチド及びタグによって隔てられている。ある実施態様において、該タグは、2Aペプチドに連結される。ある実施態様において、該タグは、2Aペプチドとフューリン切断部位の間に位置付けられる。ある実施態様において、該タグは、HPV抗原をコードする下流ORFのC末端又はN末端に位置付けられる。ある実施態様において、該タグは、HPV抗原をコードする上流ORFのC末端又はN末端に位置付けられる。ある実施態様において、該タグは、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードするORF、2Aペプチド、フューリン切断部位、又はこれらの組合せを有するベクター中に位置付けられる。ある実施態様において、該タグは、ペプチドタグである。より具体的な実施態様において、該タグは、V5アミノ酸タグである。
ある実施態様において、2つ、3つ、4つ、若しくは5つ、又はそれより多くのHPV抗原及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードするORFは、2Aペプチド及びスペーサー配列によって隔てられている。ある実施態様において、該スペーサー配列は、2Aペプチドの上流に位置付けられる。ある実施態様において、該スペーサー配列は、HPV抗原をコードするORFの間に位置付けられる。ある実施態様において、該スペーサー配列は、2Aペプチドの上流とタグの間に位置付けられる。ある実施態様において、該スペーサー配列は、上流の2Aペプチドと下流のフューリン切断部位の間に位置付けられる。ある実施態様において、該スペーサー配列は、HPV抗原をコードするORF、自己切断ペプチド、フューリン切断部位、タグ、又はこれらの組合せを有するベクター中に位置付けられる。ある実施態様において、該スペーサー配列は、切断効率を増大させる。
ある実施態様において、2つ、3つ、4つ、若しくは5つ、又はそれより多くのHPV抗原及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードするORFは、自己切断ペプチド、「リボソームスキッピング」による上流アミノ酸配列の遊離をもたらすアミノ酸配列、又は「内部リボソーム進入部位」(IRES)などのリボソームの結合及び下流配列の翻訳をもたらす配列エレメントをコードするヌクレオチド配列によって隔てられている。
((c)例示的な挿入)
ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、本明細書に記載される1つ、2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質をコードする核酸配列と置換される。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、自己切断ペプチド又はリボソームスキッピング配列によって、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質から隔てられた、本明細書に記載される2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードする核酸配列と置換される。ある実施態様において、該自己切断ペプチド(又はリボソームスキッピング配列)は、ピコルナウイルス科というウイルスファミリーのメンバーの2Aタンパク質から得ることができる。ある具体的な実施態様において、該自己切断ペプチド(又はリボソームスキッピング配列)は、豚テシオウイルス-1 2A、トセアアシグナウイルス2A、又は口蹄疫ウイルス2Aペプチドから得られる(又は由来する)。
ある実施態様において、該異種ヌクレオチド配列は、
・HPV抗原若しくはその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E6/タンパク質E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片;
・シャッフル化HPV16タンパク質E6/タンパク質E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E6/HPV18タンパク質E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E7/HPV18タンパク質E6融合タンパク質若しくはその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E6/HPV16タンパク質E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片;又は
・HPV18タンパク質E7/HPV16タンパク質E6融合タンパク質若しくはその抗原性断片;
のうちの1以上をコードする。
ある実施態様において、該異種ヌクレオチド配列がさらに、
・カルレティキュリン(CRT)若しくはその断片;
・ユビキチン若しくはその断片;
・顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)若しくはその断片;
・インバリアント鎖(CD74)若しくはその抗原性断片;
・結核菌熱ショックタンパク質70若しくはその抗原性断片;
・単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22若しくはその抗原性断片;
・CD40リガンド若しくはその抗原性断片;又は
・Fms-関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンド若しくはその抗原性断片
をコードするか、又は該感染性複製欠損アレナウイルスゲノムが、それらをコードする第2の異種ヌクレオチド配列をさらに含む。
ある実施態様において、該カルレティキュリンタンパク質断片は、N-末端切断断片である。ある実施態様において、該カルレティキュリンタンパク質断片は、C-末端切断断片である。ある実施態様において、該カルレティキュリンタンパク質断片は、少なくとも20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、又は417アミノ酸長である。ある実施態様において、該ユビキチンタンパク質断片は、N-末端切断断片である。ある実施態様において、該ユビキチンタンパク質断片は、C-末端切断断片である。ある実施態様において、該ユビキチンタンパク質断片は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、又は76アミノ酸長である。ある実施態様において、該GM-CSFタンパク質断片は、N-末端切断断片である。ある実施態様において、該GM-CSFタンパク質断片は、C-末端切断断片である。ある実施態様において、該GM-CSFタンパク質断片は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、又は127アミノ酸長である。ある実施態様において、該インバリアント鎖(CD74)タンパク質断片は、N-末端切断断片である。ある実施態様において、該インバリアント鎖(CD74)タンパク質断片は、C-末端切断断片である。ある実施態様において、該インバリアント鎖(CD74)タンパク質断片は、少なくとも20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、又は232アミノ酸長である。ある実施態様において、該結核菌熱ショックタンパク質70タンパク質断片は、N-末端切断断片である。ある実施態様において、該結核菌熱ショックタンパク質70タンパク質断片は、C-末端切断断片である。ある実施態様において、該結核菌熱ショックタンパク質70タンパク質断片は、少なくとも20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、520、540、560、580、600、620、640、660、680、700、又は701アミノ酸長である。ある実施態様において、該単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22タンパク質断片は、N-末端切断断片である。ある実施態様において、該単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22タンパク質断片は、C-末端切断断片である。ある実施態様において、該単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22タンパク質断片は、少なくとも20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、又は301アミノ酸長である。ある実施態様において、該CD40リガンドタンパク質断片は、N-末端切断断片である。ある実施態様において、該CD40リガンドタンパク質断片は、C-末端切断断片である。ある実施態様において、該CD40リガンドタンパク質断片は、少なくとも20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、260、又は261アミノ酸長である。ある実施態様において、該Fms-関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンドタンパク断片は、N-末端切断断片である。ある実施態様において、該Fms-関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンドタンパク断片は、C-末端切断断片である。ある実施態様において、該Fms-関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンドタンパク質断片は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、又は153アミノ酸長である。
具体的な実施態様において、該異種ヌクレオチド配列は、HPV16タンパク質E6又はその断片をコードする。より具体的な実施態様において、該異種ヌクレオチド配列がコードする抗原は、ジンクフィンガーモチーフ(複数可)に1以上の変異(複数可)を有するHPV16タンパク質E6である。ジンクフィンガーモチーフにおける変異は、腫瘍タンパク質p53への結合を防ぐ。腫瘍タンパク質p53は、抗癌機能を有しており、その理由は、DNAが持続的な損傷を有している時に、DNA修復タンパク質を活性化することができること、DNA損傷の認識時にG1/S制御ポイントで細胞周期を保持することによって成長を阻止すること、かつDNA損傷が治せないことが判明した場合にアポトーシスを開始することができることである。具体的な実施態様において、該抗原は、HPV16タンパク質E7又はその断片である。より具体的な実施態様において、該抗原は、Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに1以上の変異(複数可)を有するHPV16タンパク質E7である。該変異は、網膜芽細胞腫タンパク質(pRb)への結合を防ぐ。pRbの1つの機能は、細胞が分裂する準備ができるまで、細胞周期の進行を阻害することにより過剰な細胞成長を防止することであるので、発癌性タンパク質がpRbに結合し、pRbを不活化すると、癌につながる可能性がある。具体的な実施態様において、該抗原は、HPV18タンパク質E6又はその断片である。より具体的な実施態様において、該抗原は、ジンクフィンガーモチーフに1以上の変異(複数可)を有するHPV18タンパク質E6である。具体的な実施態様において、該抗原は、HPV18タンパク質E7又はその断片である。より具体的な実施態様において、該抗原は、Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに1以上の変異(複数可)を有するHPV18タンパク質E7である。
ある実施態様において、該抗原は、HPV16タンパク質E7/E6融合タンパク質、HPV18タンパク質E7/E6融合タンパク質、HPV16タンパク質E7/HPV18タンパク質E6融合タンパク質、又はHPV18タンパク質E7/HPV16タンパク質E6融合タンパク質であり、該E6タンパク質は、ジンクフィンガーモチーフに1以上の変異(複数可)を有し、該タンパク質E7は、Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに1以上の変異(複数可)を有する。
ある実施態様において、該抗原は、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質と共に発現するHPV16タンパク質E7/E6融合タンパク質、HPV18タンパク質E7/E6融合タンパク質、HPV16タンパク質E7/HPV18タンパク質E6融合タンパク質、又はHPV18タンパク質E7/HPV16タンパク質E6融合タンパク質であり、該免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質は、カルレティキュリン(CRT)若しくはその断片、ユビキチン若しくはその断片、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)若しくはその断片、インバリアント鎖(CD74)若しくはその抗原性断片、マイコバクテリウム結核菌熱ショックタンパク質70若しくはその抗原性断片、単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22若しくはその抗原性断片、CD40リガンド若しくはその抗原性断片、又はFms-関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンド若しくはその抗原性断片であり、該E6タンパク質は、ジンクフィンガーモチーフに1以上の変異(複数可)を有し、該タンパク質E7は、Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに1以上の変異(複数可)を有する。
ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HPV抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HPV16タンパク質E6若しくはその断片の遺伝子の遺伝子産物の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、又は158アミノ酸の断片である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HPV16タンパク質E7若しくはその断片の遺伝子の遺伝子産物の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は98アミノ酸の断片である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HPV18タンパク質E6若しくはその断片の遺伝子の遺伝子産物の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、又は158アミノ酸の断片である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HPV18タンパク質E7若しくはその断片の遺伝子の遺伝子産物の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は98アミノ酸の断片である抗原をコードする核酸配列と置換されている。
ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HPV16タンパク質E6とHPV16タンパク質E7の融合タンパク質である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HPV16タンパク質E7とHPV18タンパク質E6の融合タンパク質である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HPV18タンパク質E7とHPV16タンパク質E6の融合タンパク質である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HPV18タンパク質E6とHPV18タンパク質E7の融合タンパク質である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HPV16 E7、HPV18 E6、HPV16 E6及びHPV18 E7の融合タンパク質である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、少なくとも10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、1000又はそれ以上のアミノ酸長である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、配列番号14と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である核酸配列と置換されている。
ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HPV16タンパク質E6とHPV16タンパク質E7の融合タンパク質である抗原、及びカルレティキュリンをコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、少なくとも10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、500、600、又は少なくとも676アミノ酸長である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、配列番号15と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である核酸配列と置換されている。
ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、HPV16タンパク質E6とHPV16タンパク質E7の融合タンパク質である抗原、及びユビキチンをコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、少なくとも10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、又は少なくとも332アミノ酸長である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、配列番号16と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である核酸配列と置換されている。
ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、自己切断ペプチド(2Aペプチド)をコードするヌクレオチド配列によって隔てられている、HPV16タンパク質E6とHPV16タンパク質E7の融合タンパク質である抗原、及びGM-CSFをコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、少なくとも10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、350、又は少なくとも383アミノ酸長である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、配列番号17と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である核酸配列と置換されている。
ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、N末端VSVGシグナル配列及びC末端ペプチドリンカーに続き、自己切断ペプチド(2Aペプチド)及びGM-CSFをコードするヌクレオチド配列を有する、HPV16タンパク質E7とHPV18タンパク質E6の融合タンパク質である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、少なくとも10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、又は少なくとも428アミノ酸長である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、配列番号33と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である核酸配列と置換されている。
ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、N末端VSVGシグナル配列及びC末端ペプチドリンカーに続き、自己切断ペプチド(2Aペプチド)及びGM-CSFをコードするヌクレオチド配列を有する、HPV18タンパク質E7とHPV16タンパク質E6の融合タンパク質である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、少なくとも10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、又は少なくとも435アミノ酸長である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、配列番号35と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である核酸配列と置換されている。
ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、N末端VSVGシグナル配列及びC末端ペプチドリンカーに続き、自己切断ペプチド(2Aペプチド)及びGM-CSFをコードするヌクレオチド配列を有する、HPV16タンパク質E7、HPV18タンパク質E6、HPV16タンパク質E6とHPV18タンパク質E7の融合タンパク質である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、少なくとも10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、又は少なくとも681アミノ酸長である抗原をコードする核酸配列と置換されている。ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質をコードするORFは、配列番号37と80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である核酸配列と置換されている。
これらの例示的な例で提示した免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、マウス配列である。ヒト配列をコードする類似のコンストラクトは、ヒトのワクチン開発のために作製される。
他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメント又はアレナウイルスウイルスベクターはさらに、レポータータンパク質を含む。該レポータータンパク質は、本明細書に記載される抗原と同時に発現することが可能である。理想的には、発現は、通常光又は光の他の波長で見える。ある実施態様において、レポータータンパク質によってもたらされた効果の強度を用いて、アレナウイルス粒子又は三セグメントアレナウイルス粒子を直接測定し、モニタリングすることができる。
レポーター遺伝子は、当業者によって容易に認識される。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、蛍光タンパク質である。他の実施態様において、レポーター遺伝子はGFPである。GFPは、UV又は青色などに暴露された時に、明るい緑色の光を発する。レポータータンパク質の非限定的な例は、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ又はRFPなどの様々な酵素を含むが、これらに限定されない。
(6.6 免疫原性組成物及びワクチン)
本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターを含むワクチン、免疫原性組成物、及び医薬組成物である。そのようなワクチン及び医薬組成物は、当技術分野における標準的な手順に従って製剤化することができる。そのような組成物は、疾患の治療及び予防の方法において使用することができる。
具体的な実施態様において、本明細書に記載される組成物は、HPV感染若しくはHPVの再活性化を患っているか、又はそれを起こしやすい対象の治療に使用される。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される組成物を使用して、組成物が投与される宿主において免疫応答を誘導することができる。本明細書に記載される免疫原性組成物は、ワクチンとして使用することができ、それに応じて、医薬組成物として製剤化することができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物は、HPVによる対象(例えば、ヒト対象)の感染若しくは対象(例えば、ヒト対象)におけるHPVの再活性化の予防又は治療に使用される。
ある実施態様において、本明細書に提供される組成物はさらに、医薬として許容し得る賦形剤を含む。ある実施態様において、そのような免疫原性組成物はさらに、アジュバントを含む。アジュバントはまた、前記アレナウイルスウイルスベクターの投与前、投与と同時、又は投与後に、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクター(本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む)と組み合わせて投与されるが、それから分離することができる。いくつかの実施態様において、「アジュバント」という用語は、本明細書に記載される組成物と共に又は本明細書に記載される組成物の一部として投与した時に、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターに対する免疫応答を高める、増強する、及び/又はブーストするが、単独で投与された場合は、アレナウイルスウイルスベクターに対する免疫応答をもたらさない化合物を指す。いくつかの実施態様において、該アジュバントは、アレナウイルスウイルスベクターに対する免疫応答をもたらし、アレルギー又は他の有害反応を生じさせない。アジュバントは、例えば、リンパ球動員、B及び/又はT細胞の刺激、並びにマクロファージの刺激を含むいくつかのメカニズムによって免疫応答を増強することができる。本明細書に提供されるワクチン又は免疫原性組成物が、アジュバントを含むか又は1種以上のアジュバントと一緒に投与された時に、使用することができるアジュバントとしては、無機塩アジュバント又は無機塩ゲルアジュバント、粒子状アジュバント、微粒子状アジュバント、粘膜アジュバント、及び免疫刺激アジュバントを挙げることができるが、これらに限定されない。アジュバントの例としては、アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、及び硫酸アルミニウム)、3De-O-アシル化モノホスホリルリピドA(MPL)(GB 2220211参照)、MF59(Novartis)、AS03(GlaxoSmithKline)、AS04(GlaxoSmithKline)、ポリソルベート80(Tween 80; ICL Americas社)、イミダゾピリジン化合物(国際公開番号WO2007/109812として公開された国際出願PCT/US2007/064857参照)、イミダゾキノキサリン化合物(国際公開番号WO2007/109813として公開された国際出願PCT/US2007/064858参照)、及びQS21などのサポニン(Kensilらの文献、ワクチンデザイン:サブユニット及びアジュバントアプローチ(Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach (Powell&Newman編集,Plenum Press, NY, 1995);米国特許第5,057,540号参照)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、該アジュバントは、フロイントアジュバント(完全又は不完全)である。他のアジュバントは、必要に応じて、モノホスホリルリピドAなどの免疫刺激剤と組み合わせた水中油型エマルジョン(スクアレン又はピーナッツ油など)である(Stouteらの文献,1997, N.Engl.J.Med.336,86-91参照)。
該組成物は、単独で、又は医薬として許容し得る担体と共に、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、及び複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む、本明細書に記載されるアレナウイルスを含む。遺伝子改変アレナウイルス、とりわけ等張水性懸濁液若しくは分散液の懸濁液又は分散液を使用することができる。該医薬組成物は、滅菌することができ、かつ/又は賦形剤、例えば、防腐剤、安定化剤、湿潤剤並びに/又は乳化剤、可溶化剤、浸透圧及び/若しくは緩衝液を調節するための塩を含んでよく、それ自体既知の方法で、例えば、従来の分散剤及び懸濁プロセスによって調製される。ある実施態様において、そのような分散液又は懸濁液は、粘度調節剤を含んでよい。該懸濁液又は分散液は、約2〜8℃の温度に保たれるか、又は好ましくは、長期保存については、凍結した後、使用直前に解凍してよい。注射については、ワクチン又は免疫原性製剤は、水溶液中で、好ましくは生理学的に適合性のある緩衝液で製剤化してよい。該溶液は、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの処方剤を含有してよい。
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物はさらに、防腐剤を含む。他の実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、防腐剤を含まない。
該医薬組成物は、約103〜約1011フォーカス形成単位の遺伝子改変アレナウイルスを含む。非経口投与のための単位用量形態は、例えば、アンプル又はバイアル、例えば、約103〜1010フォーカス形成単位(例えば、相補細胞株におけるフォーカス形成単位)又は105〜1015個の物理的粒子の遺伝子改変アレナウイルスを含有するバイアルである。
別の実施態様において、本明細書に提供されるワクチン又は免疫原性組成物は、限定されないが、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、局所、皮下、経皮、鼻腔内及び吸入経路により、並びにスカリフィケーション(例えば、二股針を使用して、皮膚の最上層から傷を付けること)により、対象に投与するのに適切に製剤化される。具体的には、皮下、筋肉内又は静脈内経路を使用することができる。一態様において、該ワクチン又は免疫原性組成物は、対象への静脈内投与用に製剤化される。
鼻腔内への又は吸入による投与のために、本明細書に提供される使用のための調製物は、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の好適なガスを使用して、加圧パック又はネブライザーからエアロゾルスプレー提示の形態で好都合に製剤化することができる。加圧エアロゾルの場合には、投薬量単位は、定量を送達するためのバルブを提供することにより決定してよい。吸入器又は注入器で使用するための、例えば、ゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物とラクトース又はデンプンなどの好適な粉末基剤の粉末混合物を含めて製剤化してよい。
活性成分の投薬量は、ワクチン接種の種類によって、並びに対象及びその年齢、体重、個々の状態、個々の薬物動態データ、及び投与様式によって決まる。
また、本明細書に提供されるのは、活性成分として遺伝子改変アレナウイルスを含む医薬製剤の形態でのワクチンの製造のためのプロセス及び遺伝子改変アレナウイルスの使用である。本明細書に提供される医薬組成物は、それ自体既知の方法で、例えば、従来の混合及び/又は分散プロセスによって調製される。
(6.7 治療の方法)
本明細書に提供されるのは、癌などの腫瘍性疾患の治療及び/又は予防のための方法である。これらの方法は、癌などの腫瘍性疾患の治療及び/又は予防を必要とする対象に本明細書に記載される有効量のアレナウイルスを投与することを含む(第6.1節、第6.2節、第6.3節及び第6.4節参照)。また、本明細書に提供されるのは、発癌性ウイルスの感染の治療及び/又は予防の方法であって、発癌性ウイルスの感染の治療及び/又は予防を必要とする対象に、発癌性ウイルスの少なくとも1つの抗原を発現する有効量のアレナウイルスを投与することを含む、前記方法である。そのような発癌性ウイルスは、ヒトパピローマウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、又はヒトTリンパ好性ウイルスであり得る。発癌性ウイルスのこのような抗原は、ヒトパピローマウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、又はヒトTリンパ好性ウイルスの抗原であり得る。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるHPV感染を治療及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載されるHPV抗原を発現するアレナウイルスを該対象に投与することを含む、前記方法である(第6.1節、第6.2節、第6.3節、第6.4節及び第6.5節参照)。具体的な実施態様において、HPV感染を治療及び/又は予防する方法は、本明細書に記載される少なくとも1つのHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、及び複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む有効量のアレナウイルスウイルスベクターを、それを必要とする対象に投与することを含む。該対象は、限定されないがヒト、マウス、ラット、モルモットなどの哺乳動物、限定されないがウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ネコ、イヌ、ハムスター、ロバなどの家畜動物であり得る。具体的な実施態様において、該対象はヒトである。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象においてHPV感染に対する免疫応答又はその兆候を誘導する方法であって、HPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物を該対象に投与することを含む、前記方法である。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物が投与される対象は、HPVの感染若しくは再活性化を起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている。別の具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物が投与される対象は、HPV感染若しくはHPVによる再活性化を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物が投与される対象は、皮膚若しくは粘膜のケラチノサイトにおいてHPV感染を患っているか、HPV感染を起こしやすいか、又はHPV感染のリスクに曝されている。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物が投与される対象は、皮膚、子宮、生殖器、呼吸器の領域を含むが、これらに限定されない身体の1以上の器官においてHPV感染を患っているか、HPV感染を起こしやすいか、又はHPV感染のリスクに曝されている。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物が投与される対象は、子宮頸癌、肛門癌、外陰癌、膣癌、陰茎癌、HPV陽性の口咽頭癌(OSCC)、一般的な疣贅、足底疣贅、爪下又は爪周囲疣贅、性器疣贅、尖圭コンジローム又は性病疣贅、呼吸器乳頭腫症、及び疣贅状表皮発育異常症を含むが、これらに限定されない症状を患っている。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物は、HPV感染を患っているか、HPV感染を起こしやすいか、又はHPV感染のリスクに曝されている任意の年齢群の対象に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物は、免疫不全の対象、妊娠している対象、臓器若しくは骨髄移植を受けた対象、免疫抑制薬を服用している対象、血液透析を受けている対象、癌を有する対象、又はHPV感染若しくはHPVの再活性化を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている対象に投与される。より具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物は、HIV感染による免疫不全の対象、HPV感染若しくはHPVの再活性化を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている対象に投与される。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物は、播種性HPV感染のリスクが高まっている対象に投与される。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物は、HPVの潜伏感染を有する対象に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物は、免疫系が弱まった時に再活性化し得るHPVの潜伏感染を有する対象に投与される。したがって、本明細書に提供されるのは、HPVの再活性化を防止する方法である。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物は、1以上の遺伝子型のHPVに感染しているか、又は感染のリスクに曝されている対象に投与される。ある実施態様において、それらの遺伝子型の1以上には、HPV遺伝子型1(HPV1)、HPV遺伝子型2(HPV2)、HPV遺伝子型3(HPV3)、HPV遺伝子型4(HPV4)、HPV遺伝子型6(HPV6)、HPV遺伝子型7(HPV7)、HPV遺伝子型8(HPV8)、HPV遺伝子型10(HPV10)、HPV遺伝子型11(HPV11)、HPV遺伝子型13(HPV13)、HPV遺伝子型16(HPV16)、HPV遺伝子型18(HPV18)、HPV遺伝子型22(HPV22)、HPV遺伝子型26(HPV26)、HPV遺伝子型31(HPV31)、HPV遺伝子型32(HPV32)、HPV遺伝子型33(HPV33)、HPV遺伝子型35(HPV35)、HPV遺伝子型39(HPV39)、HPV遺伝子型42(HPV42)、HPV遺伝子型44(HPV44)、HPV遺伝子型45(HPV45)、HPV遺伝子型51(HPV51)、HPV遺伝子型52(HPV52)、HPV遺伝子型53(HPV53)、HPV遺伝子型56(HPV56)、HPV遺伝子型58(HPV58)、HPV遺伝子型59(HPV59)、HPV遺伝子型60(HPV60)、HPV遺伝子型63(HPV63)、HPV遺伝子型66(HPV66)、HPV遺伝子型68(HPV68)、HPV遺伝子型73(HPV73)、又はHPV遺伝子型82(HPV82)、又は他の遺伝子型が含まれる。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物は、HPV16、HPV18、HPV31、HPV33、HPV35、HPV39、HPV45、HPV51、HPV52、HPV56、HPV58、HPV59、HPV68、HPV73、及びHPV82などの1以上の「高リスク」遺伝子型のHPVに感染しているか、又は感染のリスクに曝されている対象に投与される。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物を対象に投与すると、HPV感染又はHPVの再活性化に対する細胞性免疫(CMI)が付与される。理論に束縛されるものではないが、別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物が、宿主(例えば、マクロファージ)に感染すると、主要組織適合性複合体(MHC)クラスI上での抗原の直接提示のために、対象となる抗原が宿主の抗原提示細胞(APC)で発現する。別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物を対象に投与すると、HPVの感染若しくはHPVの再活性化を治療又は予防するために、高レベルのIFN-γ及びCD8+T細胞応答が誘導される(IFN-γはCD8+T細胞によって生成される)。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物を投与すると、個体がHPV感染又はHPVの再活性化を生じるリスクが、そのような治療がない状態でHPV感染又はHPVの再活性化を生じるリスクと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれより大きく低下する。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物を投与すると、HPV感染若しくはHPVの再活性化の症状又は徴候が、そのような治療のない状態でのHPV感染又はHPVの再活性化の徴候又は症状と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれより大きく低下する。
HPV感染の症状としては、子宮頸癌、肛門癌、外陰癌、膣癌、陰茎癌、HPV陽性の口咽頭癌(OSCC)、一般的な疣贅、足底の疣贅、爪下又は爪周囲の疣贅、性器疣贅、尖圭コンジローム又は性病疣贅、呼吸器乳頭腫症、及び疣贅状表皮発育異常症が挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施態様において、未成熟な新生児免疫系を有する対象へ、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物を投与すると、HPV感染又はHPVの再活性化に対する細胞性免疫(CMI)応答が、そのような治療がない状態でのHPV感染又はHPVの再活性化に対するCMI応答と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれよりも大きく誘導される。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物を投与すると、HPV抗原特異的免疫応答が誘導され、末梢血中で検出される抗原特異的CD8+T細胞の量が増加する。ある実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物を対象に投与すると、HPV抗原特異的CD8+T細胞の増加が誘導され、該HPV抗原特異的CD8+T細胞は、全CD8+T細胞集団の約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、30%、40%又は50%を含む。ある実施態様において、HPV抗原特異的CD8+T細胞のパーセンテージは、四量体染色アッセイなどを介して、当業者に公知の任意の方法によって決定することができる。
本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクター又はその組成物を対象に投与することによって誘導されるHPV感染若しくはHPVの再活性化に対する細胞性免疫(CMI)応答機能の変化は、当業者に公知の任意のアッセイによって測定することができ、該アッセイには、フローサイトメトリー(例えば、Perfettoらの文献,2004, Nat Rev Immun.,4(8):648-55参照)、リンパ球増殖アッセイ(例えば、Bonillaらの文献,2008,Ann Allergy Asthma Immunol.,101:101-4;及びHicksらの文献,1983,Am J Clin Pathol.,80:159-63参照)、Tリンパ球のサイトカインの測定に関して活性化後の表面マーカー発現の変化を決定することを含む、リンパ球活性化を測定するためのアッセイ(例えば、Carusoらの文献,1997, Cytometry.,27:71-6参照)、ELISPOTアッセイ(例えば、Czerkinskyらの文献,1983, J Immunol Methods.,65:109-121;及びHutchingsらの文献,1989,J Immunol Methods,120:1-8参照)、又はナチュラルキラー細胞の細胞傷害性アッセイ(例えば、Bonillaらの文献,2005,Ann Allergy Asthma Immunol. May; 94(5 Suppl 1):S1-63参照)が含まれるが、これらに限定されない。
((a)併用療法)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象におけるHPV感染を治療及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む2種以上のアレナウイルスウイルスベクターを該対象に投与することを含む、前記方法である。第6.1節〜第6.5節を参照されたい。具体的な実施態様において、HPV感染を治療及び/又は予防する方法は、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、及び複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターであって、例えば、その中のSゲノムセグメントのGPをコードするORFは、
・HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片;又は
・HPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片;
であり得るが、これらに限定されないHPV抗原をコードするヌクレオチド配列と置換されている第1のアレナウイルスウイルスベクターと、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターであって、例えば、その中のSゲノムセグメントのGPをコードするORFは、
・HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片;又は
・HPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片;
であり得るが、これらに限定されないHPV抗原をコードするヌクレオチド配列と置換されている第2のアレナウイルスウイルスベクターと、を投与することを含む。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染症を治療及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する2種のアレナウイルスウイルスベクターコンストラクト、又は2種のアレナウイルスゲノムセグメントを投与することを含む、前記方法である。具体的な実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、若しくは複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む2つのアレナウイルスウイルスベクターは、異なるHPV抗原を発現する。他の実施態様において、2つのアレナウイルスウイルスベクターコンストラクト、又はアレナウイルスゲノムセグメントは、異なるアレナウイルス骨格を有する。さらに他の実施態様において、2つのアレナウイルスウイルスベクターコンストラクト、又はアレナウイルスゲノムセグメントは、異なるHPV抗原を発現し、異なるアレナウイルス骨格を有する。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV感染を治療及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する3種以上のアレナウイルスウイルスベクターコンストラクト、又はアレナウイルスゲノムセグメントを投与することを含む、前記方法である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染症を治療及び/又は予防する方法であって、本明細書に記載されるHPV抗原をそれぞれ発現する4種以上のアレナウイルスウイルスベクターコンストラクト若しくはアレナウイルスゲノムセグメント、5種以上のアレナウイルスウイルスベクターコンストラクト若しくはアレナウイルスゲノムセグメント、6種以上のアレナウイルスウイルスベクターコンストラクト若しくはアレナウイルスゲノムセグメント、又は7種のアレナウイルスウイルスベクターコンストラクト若しくはアレナウイルスゲノムセグメントを投与することを含む、前記方法である。ある実施態様において、異なるアレナウイルスウイルスベクターのそれぞれは、本明細書に記載される異なるHPV抗原を発現する。ある実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターは、LCMV由来である。ある実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターは、フニンウイルス由来である。ある実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターは、LCMVとフニンウイルスの組み合わせに由来する。
ある具体的な実施態様において、HPV16タンパク質E7/E6融合タンパク質及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV16タンパク質E7/E6融合タンパク質を単独で発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与より高い抗原特異的CD8+T細胞応答を誘発する。ある具体的な実施態様において、HPV16タンパク質E7/E6融合タンパク質及びGM-CSFを発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV16タンパク質E7/E6融合タンパク質を単独で発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与より高い抗原特異的CD8+T細胞応答を誘発する。ある具体的な実施態様において、HPV16タンパク質E7/E6融合タンパク質及びGM-CSFを発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV16タンパク質E7/E6融合タンパク質を単独で発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与に対する抗原特異的CD8+T細胞応答より10%、50%、100%、150%、又は200%高い抗原特異的CD8+T細胞応答を誘発する。
ある具体的な実施態様において、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質を単独で発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与より高い抗原特異的CD8+T細胞応答を誘発する。ある具体的な実施態様において、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質及びGM-CSFを発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質を単独で発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与より高い抗原特異的CD8+T細胞応答を誘発する。ある具体的な実施態様において、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質及びGM-CSFを発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質を単独で発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与に対する抗原特異的CD8+T細胞応答より10%、50%、100%、150%、又は200%高い抗原特異的CD8+T細胞応答を誘発する。
ある具体的な実施態様において、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質を単独で発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与より高い抗原特異的CD8+T細胞応答を誘発する。ある具体的な実施態様において、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質及びGM-CSFを発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質を単独で発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与より高い抗原特異的CD8+T細胞応答を誘発する。ある具体的な実施態様において、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質及びGM-CSFを発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質を単独で発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与に対する抗原特異的CD8+T細胞応答より10%、50%、100%、150%、又は200%高い抗原特異的CD8+T細胞応答を誘発する。
ある具体的な実施態様において、HPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を単独で発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与より高い抗原特異的CD8+T細胞応答を誘発する。ある具体的な実施態様において、HPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質及びGM-CSFを発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を単独で発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与より高い抗原特異的CD8+T細胞応答を誘発する。ある具体的な実施態様において、HPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質及びGM-CSFを発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を単独で発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの投与に対する抗原特異的CD8+T細胞応答より10%、50%、100%、150%、又は200%高い抗原特異的CD8+T細胞応答を誘発する。
具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原は、本明細書に記載されるシグナルペプチド及び/又はリンカーと共に発現する。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、本明細書に記載されるシグナルペプチド及び/又はリンカーと共に発現する。
別の実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターの、本明細書に記載される1以上のHPV抗原をコードするように作製されたベクターは、LCMVクローン13又はLCMV MP株に基づくことができる。(例えば、6.8節参照)。
別の実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターの、本明細書に記載される1以上のHPV抗原をコードするように作製されたベクターは、LCMVクローン13又はLCMV MP株に基づくことができる。(例えば、第6.8節参照)。
別の実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターの、本明細書に記載される1以上のHPV抗原をコードするように作製されたベクターは、フニンウイルスに基づくことができる。
別の実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターの、本明細書に記載される1以上のHPV抗原をコードするように作製されたベクターは、フニンウイルスに基づくことができる。
((b)治療レジメン)
該HPV抗原は、本明細書に記載される任意のHPV抗原であり得る。理論に束縛されるものではないが、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターの投与の後に、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターを投与すると、プライム-ブースト効果がもたらされる。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染症を治療及び/又は予防する方法であって、それぞれが同一又は異なるHPV抗原を順次発現する2以上のアレナウイルスベクターコンストラクトを投与することを含む、前記方法である。各投与の時間間隔は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約12カ月、約18カ月、又は約24カ月であり得る。
ある実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクター、及び感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターは、同種である。ある実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクター、及び感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターは、異種である。
ある具体的な実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターは、旧世界アレナウイルスであり、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターは、旧世界アレナウイルスである。ある具体的な実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターは、旧世界アレナウイルスであり、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターは、新世界アレナウイルスである。ある具体的な実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターは、新世界アレナウイルスであり、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターは、新世界アレナウイルスである。ある具体的な実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターは、新世界アレナウイルスであり、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターは、旧世界アレナウイルスである。
ある具体的な実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターは、LCMVに由来し、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターは、LCMVに由来する。ある具体的な実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターは、LCMVに由来し、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターは、フニンウイルスに由来する。ある具体的な実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターは、フニンウイルスに由来し、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターは、フニンウイルスに由来する。ある具体的な実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターは、フニンウイルスに由来し、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターは、LCMVに由来する。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌などの腫瘍性疾患を治療及び/又は予防する方法であって、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターは、「プライム」として最初に投与され、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターは、「ブースト」として投与される、前記方法である。感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1及び第2のアレナウイルスウイルスベクターは、同一又は異なる腫瘍抗原を発現することができる。該腫瘍抗原は、ヒトパピローマウイルスの抗原、潜伏期関連核抗原などのカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスの抗原、EBV-EA、EBV-MA、又はEBV-VCAなどのエプスタイン-バーウイルスの抗原、MCV T抗原などのメルケル細胞ポリオーマウイルスの抗原、又はHTLV-1 Tax抗原などのヒトTリンパ好性ウイルスの抗原であり得る。該腫瘍抗原はまた、アルファフェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、CA-125、MUC-1、上皮腫瘍抗原(ETA)、チロシナーゼ、メラノーマ関連抗原(MAGE)、又はrasの異常な生成物、及びp53であり得る。該腫瘍性疾患は、子宮筋腫及びメラノサイト母斑などの良性新生物、上皮内癌などの潜在的に悪性の新生物、又は癌などの悪性新生物に関連する疾患であり得る。ある具体的な実施態様において、「プライム」投与は、LCMV由来の感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターを使用して行われ、「ブースト」は、フニンウイルス由来の感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターを使用して行われる。ある具体的な実施態様において、「プライム」投与は、フニンウイルス由来の感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターを使用して行われ、「ブースト」は、LCMV由来の感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターを使用して行われる。
ある実施態様において、HPV抗原若しくはその断片を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターの投与に続く、HPV抗原若しくはその断片を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV抗原若しくはその断片を発現するアレナウイルスウイルスベクターの単独投与よりも高い抗原特異的CD8+T細胞応答をもたらす。ある具体的な実施態様において、HPV16 E7/E6融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターの投与に続く、HPV16 E7/E6融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV16 E7/E6融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの単独投与よりも高い抗原特異的CD8+T細胞応答をもたらす。ある実施態様において、抗原特異的CD8+T細胞数は、第1の投与と比較して、第2の投与後に50%、100%、150%又は200%増加する。ある実施態様において、HPV16 E7/E6融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第3のアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV16 E7/E6融合タンパク質を発現する2つの連続するアレナウイルスウイルスベクターの投与よりも高い抗原特異的CD8+T細胞応答をもたらす。ある実施態様において、抗原特異的CD8+T細胞数は、第1の投与と比較して、第3の投与後に約50%、約100%、約150%、約200%又は約250%増加する(図5参照)。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染症を治療及び/又は予防する方法であって、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む2種以上のアレナウイルスウイルスベクターを投与することを含み、該2種以上のアレナウイルスウイルスベクターは同種であり、各投与の時間間隔が、約1週間、約2週間、約3週間、4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約12カ月、約18カ月、又は約24カ月である、前記方法である。
ある実施態様において、HPV抗原若しくはその断片を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクター、及びHPV抗原若しくはその断片を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2の異種のアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV抗原若しくはその断片を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクター、及びHPV抗原若しくはその断片を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2の同種のアレナウイルスウイルスベクターの投与よりも高い抗原特異的CD8+T細胞応答を誘発する。
ある具体的な実施態様において、HPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターはLCMVであり、HPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2の同種のアレナウイルスウイルスベクターはLCMVである。ある具体的な実施態様において、HPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターはフニンウイルスであり、HPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2の同種のアレナウイルスウイルスベクターはフニンウイルスである。
ある具体的な実施態様において、HPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターはLCMVであり、HPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2の異種のアレナウイルスウイルスベクターはフニンウイルスである。ある具体的な実施態様において、HPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターはフニンウイルスであり、HPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2の異種のアレナウイルスウイルスベクターはLCMVである。
ある具体的な実施態様において、HPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクター、及びHPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2の異種のアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクター、及びHPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2の同種のアレナウイルスウイルスベクターの投与よりも高いCD8+T細胞応答を誘発する。ある具体的な実施態様において、HPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクター、及びHPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2の異種のアレナウイルスウイルスベクターの投与は、HPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクター、及びHPV16 E7/E6融合タンパク質、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質若しくはHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2の同種のアレナウイルスウイルスベクターの投与よりも、約20%、約40%、約60%、約80%、約100%、約120%、約140%、約160%、約180%、又は約200%高いCD8+T細胞応答を誘発する(図14参照)。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、感染症を治療及び/又は予防する方法であって、2以上のアレナウイルスベクターコンストラクトを投与することを含み、該2以上のアレナウイルスベクターコンストラクトが異種であり、各投与の時間間隔が、約1週間、約2週間、約3週間、4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約12カ月、約18カ月、又は約24カ月である、前記方法である。
さらに別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターと1以上の複製欠損ウイルスベクターの併用である。より具体的な実施態様において、該複製欠損ウイルスベクターは、ポックスウイルス、アデノウイルス、アルファウイルス、単純ヘルペスウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、ポリオウイルス、アデノ随伴ウイルス、及びセンダイウイルス、並びにこれらの混合物を含む群から選択される。具体的な実施態様において、該ポックスウイルスは、改変ワクチンアンカラである。
さらに別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターと、HPV抗原を発現する1以上の複製欠損ウイルスベクターの併用である。より具体的な実施態様において、該複製欠損ウイルスベクターは、ポックスウイルス、アデノウイルス、アルファウイルス、単純ヘルペスウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、ポリオウイルス、アデノ随伴ウイルス、及びセンダイウイルス、並びにこれらの混合物を含む群から選択される。具体的な実施態様において、該ポックスウイルスは、改変ワクチンアンカラである。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターは、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターの前又は後に投与される。例えば、HPV抗原を発現する第1のアレナウイルスウイルスベクターは、第2のアレナウイルスウイルスベクターの第1の投与の約30〜60分前又は約30〜60分後に投与される。
別の実施態様において、ワクチン抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第1のアレナウイルスウイルスベクターは、ワクチン抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む第2のアレナウイルスウイルスベクターの前に投与される。ある実施態様において、該第1のアレナウイルスウイルスベクターと該第2のアレナウイルスウイルスベクターの投与の間に、約1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、1日、2日、3日、5日、1週間、2週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、1年の期間がある。
別の実施態様において、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又は2つのアレナウイルスゲノムセグメントを含む2つのアレナウイルスウイルスベクターは、特に、1:1比、1:2比、1:5比、1:10比、1:20比、1:50比、1:100比、1:200比、1:300比、1:400比、1:500比、1:600比、1:700比、1:800比、1:900比、1:1000比を含む、約1:1〜1:1000の範囲のモル比の治療レジメンで投与される。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又は2以上のアレナウイルスゲノムセグメントを含む2種以上のアレナウイルスウイルスベクターが投与される対象は、HPV感染若しくは再活性化を有するか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている。別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又は2以上のアレナウイルスゲノムセグメントを含む2種以上のアレナウイルスウイルスベクターが投与される対象は、HPVの感染若しくはHPVによる再活性化を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている。
本明細書に提供される方法を使用して治療することができる対象は、HPV感染若しくは再活性化を起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている。
別の実施態様において、本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含む前記2種以上のアレナウイルスウイルスベクターは、さらに、少なくとも別の免疫刺激ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を発現する。ある実施態様において、該免疫刺激ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、カルレティキュリン(CRT)若しくはその断片、ユビキチン若しくはその断片、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)若しくはその断片、インバリアント鎖(CD74)若しくはその抗原性断片、結核菌熱ショックタンパク質70若しくはその抗原性断片、単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22若しくはその抗原性断片、CD40リガンド若しくはその抗原性断片、又はFms-関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンド若しくはその抗原性断片である。
2つのアレナウイルスウイルスベクターが異なるアレナウイルス(例えば、LCMV及びフニンウイルス)由来である、感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターでの異種のプライム-ブースト法も提供される。これらのアレナウイルスウイルスベクターは、発癌性ウイルスの抗原、又は腫瘍関連ウイルスの抗原などの抗原を発現することができる。具体的な実施態様において、該発癌性ウイルスはヒトパピローマウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、メルケル細胞ポリオーマウイルス、又はヒトTリンパ好性ウイルスである。
(6.8 核酸、ベクター系及び細胞株)
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、及び複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの大きいゲノムセグメント(Lセグメント)をコードする核酸配列であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ該ゲノムセグメントは、HPV抗原をコードする異種ヌクレオチド配列などの、第6.5節に記載される異種ヌクレオチド配列を含む。
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、及び複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。別の実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスウイルスベクター、複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、及び複製欠損三セグメントアレナウイルスウイルスベクター、又はアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルスウイルスベクターの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列であり、糖タンパク質遺伝子のORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV抗原をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。あるより具体的な実施態様において、該HPV抗原は、第6.5節に記載される抗原である。
ある実施態様において、本明細書に提供される核酸配列は、LCMVの特定の株に由来することができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、Traub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN及びこれらの派生物が挙げられる。具体的な実施態様において、該核酸は、LCMVクローン13に由来する。他の具体的な実施態様において、該核酸は、LCMV MP株又はフニンウイルスに由来する。
より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号14、配列番号15、配列番号16、又は配列番号17の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)配列番号1のヌクレオチド1639〜3315の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列;及び(ii)HPV抗原をコードする異種ヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)配列番号1のヌクレオチド1639〜3315の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列;(ii)HPV抗原をコードする異種ヌクレオチド配列;及び(iii)免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)そのアミノ酸配列が、配列番号1の1639〜3315によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である発現産物をコードするヌクレオチド配列;及び(ii)HPV抗原をコードする異種ヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)そのアミノ酸配列が、配列番号1の1639〜3315によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である発現産物をコードするヌクレオチド配列;(ii)HPV抗原をコードする異種ヌクレオチド配列;及び(iii)免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)配列番号2のヌクレオチド1640〜3316の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列;及び(ii)HPV抗原をコードする異種ヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)配列番号2のヌクレオチド1640〜3316の配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列;(ii)HPV抗原をコードする異種ヌクレオチド配列;及び(iii)免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)そのアミノ酸配列が、配列番号2の1640〜3316によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である発現産物をコードするヌクレオチド配列;及び(ii)HPV抗原をコードする異種ヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)そのアミノ酸配列が、配列番号2の1640〜3316によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、少なくとも99%、又は100%同一である発現産物をコードするヌクレオチド配列;(ii)HPV抗原をコードする異種ヌクレオチド配列;及び(iii)免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)少なくとも1つの自己切断ペプチド又はリボソームスキッピング配列をコードするヌクレオチド配列;及び(ii)2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。具体的な実施態様において、自己切断ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、テシオウイルス2Aをコードする。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、自己切断ペプチド又はリボソームスキッピング配列(例えば、T2A)をコードする1以上のヌクレオチド配列によって隔てられた、2つ、3つ、4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードする核酸である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、自己切断ペプチド又はリボソームスキッピング配列をコードする1以上のヌクレオチド配列によって隔てられた、HPV16 E6/E7融合タンパク質及びHPV18 E6/E7融合タンパク質をコードする核酸である。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)少なくとも1つの自己切断ペプチド又はリボソームスキッピング配列をコードするヌクレオチド配列;(ii)2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードする異種ヌクレオチド配列;及び(iii)免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。具体的な実施態様において、自己切断ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、テシオウイルス2Aをコードする。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、自己切断ペプチド若しくはリボソームスキッピング配列(例えば、T2A)をコードする1以上のヌクレオチド配列によって隔てられた、2つ、3つ、4つ、又は5つのHPV抗原をコードする核酸である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV16 E6/E7融合タンパク質及びHPV18 E6/E7融合タンパク質、並びに自己切断ペプチド若しくはリボソームスキッピング配列をコードする1以上のヌクレオチド配列によってHPV16 E6/E7融合タンパク質から隔てられた1以上の免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする核酸である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV16 E6/E7融合タンパク質及びHPV18 E6/E7融合タンパク質、並びに自己切断ペプチド若しくはリボソームスキッピング配列をコードする1以上のヌクレオチド配列によってHPV18 E6/E7融合タンパク質から隔てられた1以上の免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする核酸である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、並びに自己切断ペプチド若しくはリボソームスキッピング配列をコードする1以上のヌクレオチド配列によってHPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質から隔てられた1以上の免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする核酸である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質、並びに自己切断ペプチド若しくはリボソームスキッピング配列をコードする1以上のヌクレオチド配列によってHPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質から隔てられた1以上の免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする核酸である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質、並びに自己切断ペプチド若しくはリボソームスキッピング配列をコードする1以上のヌクレオチド配列によってHPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質から隔てられた1以上の免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする核酸である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質、並びに自己切断ペプチド若しくはリボソームスキッピング配列をコードする1以上のヌクレオチド配列によってHPV18 E7/HPV16 E6融合タンパク質から隔てられた1以上の免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする核酸である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質、並びに自己切断ペプチド若しくはリボソームスキッピング配列をコードする1以上のヌクレオチド配列によってHPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質から隔てられた1以上の免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする核酸である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV16 E7/HPV18 E6/HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質、並びに自己切断ペプチド若しくはリボソームスキッピング配列をコードする1以上のヌクレオチド配列によってHPV16 E7/HPV18 E6 HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質から隔てられた1以上の免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする核酸である。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)少なくとも1つの自己切断ペプチド(又はリボソームスキッピング配列)をコードするヌクレオチド配列;(ii)2つ、3つ、若しくは4つ、又はそれより多くのHPV抗原をコードする異種ヌクレオチド配列;(iii)免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列;及び(iv)ヒトチロシナーゼからの分泌シグナルを含むシグナル配列、ヒト成長ホルモンの分泌シグナルを含むシグナル配列、組織プラスミノーゲン活性化因子のシグナル配列をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルス粒子のゲノムをまとめてコードする1以上のベクターを含むベクター系である。具体的には、本明細書に提供されるのは、1以上のベクターが、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの2つのアレナウイルスゲノムセグメント、すなわち、Lセグメント及びSセグメントをコードするベクター系である。そのようなベクター系は、
・この改変されたSゲノムセグメントを担持するアレナウイルス粒子が感染性子孫ウイルス粒子を生成することができないように改変されているアレナウイルスSゲノムセグメント、及びHPV抗原を(センス又はアンチセンスで)コードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスLゲノムセグメント;
・この改変されたLゲノムセグメントを担持するアレナウイルス粒子が感染性子孫ウイルス粒子を生成することができないように改変されているアレナウイルスLゲノムセグメント、及びHPV抗原を(センス又はアンチセンスで)コードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスSゲノムセグメント;
・この改変されたSゲノムセグメントを担持するアレナウイルス粒子が感染性子孫ウイルス粒子を生成することができないように改変されており、かつHPV抗原を(センス又はアンチセンスで)コードする異種ヌクレオチド配列を含むアレナウイルスSゲノムセグメント、及び野生型アレナウイルスLゲノムセグメント;又は
・この改変されたLゲノムセグメントを担持するアレナウイルス粒子が感染性子孫ウイルス粒子を生成することができないように改変されており、かつHPV抗原を(センス又はアンチセンスで)コードする異種ヌクレオチド配列を含むアレナウイルスLゲノムセグメント、及び野生型アレナウイルスSゲノムセグメント
を(1以上の別々のDNA分子上に)コードすることができる。
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、SゲノムセグメントのGPをコードするORFが:
・HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E6/タンパク質E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片;
・シャッフル化HPV16タンパク質E6/タンパク質E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E6/タンパク質E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片;又は
・シャッフル化HPV18タンパク質E6/タンパク質E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、
をコードする異種ヌクレオチド配列と置換されているアレナウイルス(例えば、LCMV又はフニンウイルス)ゲノムセグメントのcDNAである。
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、SゲノムセグメントのGPをコードするORFが:
・HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片;
・HPV16タンパク質E6/タンパク質E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片;
・シャッフル化HPV16タンパク質E6/タンパク質E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片;
・HPV18タンパク質E6/タンパク質E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片;又は
・シャッフル化HPV18タンパク質E6/タンパク質E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、
及び免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質、又はその断片をコードする異種ヌクレオチド配列と置換されているアレナウイルス(例えば、LCMV又はフニンウイルス)ゲノムセグメントのcDNAである。
ある実施態様において、
・カルレティキュリン(CRT)若しくはその断片;
・ユビキチン若しくはその断片;
・顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)若しくはその断片;
・インバリアント鎖(CD74)若しくはその抗原性断片;
・結核菌熱ショックタンパク質70若しくはその抗原性断片;
・単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22若しくはその抗原性断片;
・CD40リガンド若しくはその抗原性断片;又は
・Fms-関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンド若しくはその抗原性断片、
をコードする第2の異種ヌクレオチド配列を、該異種ヌクレオチド配列がさらにコードするか、又は該感染性複製欠損アレナウイルスゲノムがさらに含む。
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、SゲノムセグメントのGPをコードするORFが、自己切断ペプチド(又はリボソームスキッピング配列)をコードするヌクレオチド配列によって隔てられた、1以上のHPV抗原配列(例えば、上の段落で列挙されているもののうちの1以上)をコードする異種ヌクレオチド配列と置換されているアレナウイルス(例えば、LCMV又はフニンウイルス)ゲノムセグメントをコードする核酸配列である。具体的な実施態様において、自己切断ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、テシオウイルス2Aをコードする。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、この節の上記の核酸又はベクター系を含む細胞である。そのような細胞に由来する細胞株、そのような細胞を含む培養物、及び感染したそのような細胞を培養する方法も本明細書に提供される。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの大きいゲノムセグメント(Lセグメント)をコードする核酸を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ該ゲノムセグメントは、HPV抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV16 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV18 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV16 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片、及びHPV18 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV16 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片をコードし、かつカルレティキュリン又はその免疫調節断片をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV16 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片、及びHPV18 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片をコードし、かつカルレティキュリン又はその免疫調節断片をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV16 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片をコードし、かつユビキチン又はその免疫調節断片をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV16 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片、及びHPV18 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片をコードし、かつユビキチン又はその免疫調節断片をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV16 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片をコードし、かつGM-CSF又はその免疫調節断片をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。他のより具体的な実施態様において、短いゲノムセグメントは、HPV16 E7/E6融合タンパク質、GM-CSF、及び自己切断ペプチドをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、該自己切断ペプチドは2Aペプチドである。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV16タンパク質E6、HPV16タンパク質E7、HPV18タンパク質E6、及びHPV18タンパク質E7をコードする核酸配列を含む細胞である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片、HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片、HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7又はその抗原性断片をコードする核酸配列を含む細胞である。ある実施態様において、HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片、HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片、HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7又はその抗原性断片のうちの1つ、2つ、3つ、又は全4つは、シャッフル化配列であり得る。HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片、HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片、HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7又はその抗原性断片のそれぞれ1つは、HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片、HPV16のタンパク質E7若しくはその抗原性断片、HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片、及びHPV18のタンパク質E7若しくはその抗原性断片のうちの1つ又は2つの異なる配列に直接融合することができる。HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片、HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片、HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7又はその抗原性断片のそれぞれ1つは、リンカー又は自己切断ペプチドを介して、HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片、HPV16 タンパク質E7若しくはその抗原性断片、HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片のうちの1つ又は2つの異なる配列に融合することができる。HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片、HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片、HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7又はその抗原性断片のそれぞれ1つは、HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片、HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片、HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7又はその抗原性断片のうちの1つ又は2つの異なる配列に融合することができる。HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片、HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片、HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7又はその抗原性断片の配列は、当業者に公知の任意の方法で配置することができ、例えば、HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片、HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片、HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7又はその抗原性断片のそれぞれ1つは、HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片、HPV16タンパク質E7若しくはその抗原性断片、HPV18タンパク質E6若しくはその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7若しくはその抗原性断片のうちの異なる1つの上流又は下流にあり得る。HPV16タンパク質E6若しくはその抗原性断片、HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片、HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片、及びHPV18タンパク質E7又はその抗原性断片のそれぞれ1つは、シグナルペプチドに融合することができる。ある他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV16 E6/HPV16 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV16 E6/HPV18 E6融合タンパク質若しくはその抗原性断片、HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質若しくはその抗原性断片、HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV18 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片をコードする核酸配列を含む細胞である。ある他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、2種類の融合タンパク質をコードする核酸配列を含む細胞であり、第1の融合タンパク質は、HPV16 E6/HPV16 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV16 E6/HPV18 E6融合タンパク質若しくはその抗原性断片、HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質若しくはその抗原性断片、HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV18 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片であり、第2の融合タンパク質は、HPV16 E6/HPV16 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV16 E6/HPV18 E6融合タンパク質若しくはその抗原性断片、HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV16 E7/HPV18 E6融合タンパク質若しくはその抗原性断片、HPV16 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片、又はHPV18 E6/HPV18 E7融合タンパク質若しくはその抗原性断片から選択される異なる融合タンパク質である。ある他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、さらに、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする核酸配列を含む細胞である。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV16 E6/E7融合タンパク質及びHPV18 E6/E7融合タンパク質をコードする核酸配列を含む細胞である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV16 E6/E7融合タンパク質のシャッフル化配列及びHPV18 E6/E7融合タンパク質のシャッフル化配列をコードする核酸配列を含む細胞である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、互いに直接融合しているHPV16 E6/E7融合タンパク質及びHPV18 E6/E7融合タンパク質をコードする核酸配列を含む細胞である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、ペプチドリンカー又は自己切断ペプチドを介して互いに融合しているHPV16 E6/E7融合タンパク質及びHPV18 E6/E7融合タンパク質をコードする核酸配列を含む細胞である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV18 E6/E7融合タンパク質の上流に位置するHPV16 E6/E7融合タンパク質をコードする核酸配列を含む細胞である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、HPV18 E6/E7融合タンパク質の下流に位置するHPV16 E6/E7融合タンパク質をコードする核酸配列を含む細胞である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドに融合したHPV16 E6/E7融合タンパク質をコードする核酸配列を含む細胞である。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、シグナルペプチドに融合したHPV18 E6/E7融合タンパク質をコードする核酸配列を含む細胞である。ある具体的な実施態様において、該異種ヌクレオチド配列はさらに、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、HPV16 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片、及びHPV18 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片をコードし、かつGM-CSF又はその免疫調節断片をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。他のより具体的な実施態様において、短いゲノムセグメントは、HPV16 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片、及びHPV18 E7/E6融合タンパク質又はその抗原性断片をコードし、かつGM-CSF及び自己切断ペプチドをコードする異種ヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、該自己切断ペプチドは2Aペプチドである。
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核酸配列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されており、かつ短いゲノムセグメントは、1以上の自己切断ペプチド(又はリボソームスキッピング配列)によって隔てられたHPV抗原のうちの1以上をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態様において、1以上の自己切断ペプチドはT2Aペプチドである。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される2つの核酸又はベクター系を含む細胞である。そのような細胞に由来する細胞株、そのような細胞を含む培養物、及び感染したそのような細胞を培養する方法も本明細書に提供される。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号4若しくは配列番号5と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号4若しくは配列番号5と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含む発現ベクターである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号4若しくは配列番号5と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含む宿主細胞である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号6、7、8、若しくは9と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を含む核酸である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号6、7、8、若しくは9と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号6、7、8、若しくは9と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号6、7、8、若しくは9と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む単離タンパク質である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号6、7、8、若しくは9と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むタンパク質を発現する宿主細胞である。ある実施態様において、該宿主細胞は、細胞培地中で培養される。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号2若しくは配列番号3と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号2若しくは配列番号3と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含む発現ベクターである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、配列番号2若しくは配列番号3と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるヌクレオチド配列を含む宿主細胞である。
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、それぞれ、第6.2節及び第6.3節に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントを含むか若しくはそれからなるcDNA又は三セグメントアレナウイルスウイルスベクターである。
((a)非天然位置のオープンリーディングフレーム)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、第6.2節に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、表1に記載されるDNAヌクレオチド配列又はDNAヌクレオチド配列のセットである。そのような核酸を含む宿主細胞も第6.2節に提供されている。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAであり、該アレナウイルスゲノムセグメントは、第6.5節に記載される異種ORFをコードする。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントをコードするDNA発現ベクター系である。具体的には、本明細書に提供されるのは、1以上のベクターが本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクターの2つのアレナウイルスゲノムセグメント、すなわち、Lセグメント及びSセグメントをコードするDNA発現ベクター系である。そのようなベクター系は、(1以上の別々のDNA分子を)コードすることができる。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変され、DNA発現系の一部であるか、又はDNA発現系に組み込まれているアレナウイルスSセグメントのcDNAである。他の実施態様において、野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変されたアレナウイルスLセグメントのcDNAは、DNA発現系の一部であるか、又はDNA発現系に組み込まれている。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変され、(ii)GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されているアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるcDNAは、LCMVの特定の株に由来することができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、Traub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN及びこれらの派生物が挙げられる。具体的な実施態様において、該cDNAは、LCMVクローン13に由来する。他の具体的な実施態様において、該cDNAは、LCMV MP株に由来する。
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクター又は三セグメントアレナウイルスウイルスベクターをコードするように作製されたベクターは、LCMVの特定株に基づくことができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、Traub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN及びこれらの派生物が挙げられる。ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクター又は三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、LCMVクローン13に基づくことができる。他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクター又は三セグメントアレナウイルスウイルスベクターをコードするように作製されたベクターは、LCMV MP株に基づくことができる。LCMVクローン13のSセグメントの配列は、配列番号2として記載されている。ある実施態様において、LCMVクローン13のSセグメントの配列は、配列番号1に記載の配列である。LCMVクローン13のLセグメントの配列は、配列番号5として記載されている。LCMV株MPのSセグメントの配列は、配列番号53として記載されている。LCMV株MPのLセグメントの配列は、配列番号4として記載されている。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、この節の上記のcDNA又はベクター系を含む細胞である。そのような細胞由来の細胞株、そのような細胞を含む培養物、感染したそのような細胞を培養する方法も、本明細書に提供される。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを含む細胞である。いくつかの実施態様において、該細胞は、Sセグメント及び/又はLセグメントを含む。
((b)三セグメントアレナウイルスウイルスベクター)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、第6.3節に記載される三セグメントされたアレナウイルスウイルスベクターをコードする核酸である。より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、例えば、表2又は表3に記載されるDNAヌクレオチド配列又はDNAヌクレオチド配列のセットである。そのような核酸を含む宿主細胞も第6.3節に提供される。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、記載される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターをコードする核酸であり、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、第6.5節に記載される異種ORFをコードする。
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変された三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのcDNAからなるcDNAである。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)ORFの野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORFを担持するように改変され、(ii)第6.3節に記載される異種ORFをコードする三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのcDNAである。
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターを共にコードするDNA発現ベクター系である。具体的には、本明細書に提供されるのは、1以上のベクターが、本明細書に記載される三セグメントアレナウイルスウイルスベクターの3つのアレナウイルスゲノムセグメント、すなわち、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントをコードするDNA発現ベクター系である。そのようなベクター系は、(1以上の別々のDNA分子を)コードすることができる。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変され、DNA発現系の一部であるか、又はDNA発現系に組み込まれたアレナウイルスSセグメント(複数可)のcDNAである。他の実施態様において、野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変されたアレナウイルスLセグメント(複数可)のcDNAは、DNA発現系の一部であるか、又はDNA発現系に組み込まれている。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変され、(ii)GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが、除去され、アレナウイルス以外の生物からの異種ORFと置換されている三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのcDNAである。
ある実施態様において、本明細書に提供されるcDNAは、LCMVの特定の株に由来することができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、Traub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN及びこれらの派生物が挙げられる。具体的な実施態様において、該cDNAは、LCMVクローン13に由来する。他の具体的な実施態様において、該cDNAは、LCMV MP株に由来する。
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクター又は三セグメントアレナウイルスウイルスベクターをコードするように作製されたベクターは、LCMVの特定の株に基づくことができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、Traub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN及びこれらの派生物が挙げられる。ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクター又は三セグメントアレナウイルスウイルスベクターは、LCMVクローン13に基づくことができる。他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスウイルスベクター又は三セグメントアレナウイルスウイルスベクターをコードするように作製されたベクターは、LCMV MP株に基づくことができる。LCMVクローン13のSセグメントの配列は、配列番号2として記載されている。ある実施態様において、LCMVクローン13のSセグメントの配列は、配列番号1に記載の配列である。LCMVクローン13のLセグメントの配列は、配列番号5として記載されている。LCMV株MPのSセグメントの配列は、配列番号53として記載されている。LCMV株MPのLセグメントの配列は、配列番号4として記載されている。
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、この節の上記のcDNA又はベクター系を含む細胞である。そのような細胞由来の細胞株、そのような細胞を含む培養物、感染したそのような細胞を培養する方法も、本明細書に提供される。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、該三セグメントアレナウイルスウイルスベクターのcDNAを含む細胞である。いくつかの実施態様において、該細胞は、Sセグメント及び/又はLセグメントを含む。
(6.9 アッセイ)
(アレナウイルスベクターの感染力を測定するためのアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイをアレナウイルスベクター調製物の感染力を測定するために使用することができる。例えば、ウイルス/ベクター力価の決定は、「フォーカス形成単位アッセイ」(FFUアッセイ)により行うことができる。簡潔に述べると、相補細胞、例えば、LCMV GPタンパク質を発現するHEK 293細胞をプレーティングし、ウイルス/ベクター試料の異なる希釈物を接種する。インキュベーション期間の後、細胞に単層を形成させ、ウイルスを細胞に付着させるために、単層をメチルセルロースで覆う。プレートをさらにインキュベートすると、もとの感染した細胞はウイルス子孫を放出する。メチルセルロースが重層されるため、新しいウイルスの拡散は、隣接する細胞に制限される。結果として、各々の感染性粒子は、フォーカスと呼ばれる感染した細胞の円形のゾーンをもたらす。そのようなフォーカスを、LCMV-NPに対する抗体及びHRPベースの呈色反応を使用して見えるようにし、それにより、数えられるようにすることができる。ウイルス/ベクターの力価は、1ミリリットル当たりのフォーカス形成単位(FFU/mL)で計算することができる。
導入遺伝子を担持するベクターの感染力価(FFU/mL)を決定するために、このアッセイを、抗LCMV-NP抗体の代わりに、それぞれの導入遺伝子特異的抗体を使用することにより改変する。
(血清ELISA)
動物(例えば、マウス、モルモット)のワクチン接種時の液性免疫応答の決定は、抗原特異的血清ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)により行うことができる。簡潔に述べると、プレートを抗原(例えば、組換えタンパク質)でコーティングし、抗体の非特異的結合を避けるためにブロッキングし、血清の連続希釈物とともにインキュベートする。インキュベーション後、結合した血清-抗体を、例えば、酵素が結合した(全IgG又はIgGサブクラスを検出する)抗種(例えば、マウス、モルモット)特異的抗体及びその後の呈色反応を使用して検出することができる。抗体力価を、例えば、終点幾何平均力価として決定することができる。
(ARPE-19細胞における中和アッセイ)
血清中の誘導された抗体の中和活性の決定は、ATCCからのARPE-19細胞とGFPタグ化ウイルスとを使用する以下の細胞アッセイを使用して行う。さらに、外因性補体の源としての補足のモルモット血清を使用する。このアッセイは、中和に使用する1日又は2日前に、384ウェルプレートに6.5×103細胞/ウェル(50μl/ウェル)を播種することにより開始する。中和は、細胞を含まない96ウェル滅菌組織培養プレートで、37℃で1時間行う。中和インキュベーション工程の後、混合物を細胞に添加し、プレートリーダーによるGFP検出のために、さらに4日間インキュベートする。陽性の中和ヒト血清を各々のプレートでアッセイ陽性対照として使用して、全ての結果の信頼性を確認する。4パラメータロジスティック曲線フィッティングを使用して、力価(EC50)を決定する。追加の検査として、ウェルを蛍光顕微鏡で確認する。
(プラーク減少アッセイ)
簡潔に述べると、モルモットサイトメガロウイルスについてのプラーク減少(中和)アッセイを、緑色蛍光タンパク質がタグ付けされているGPCMVの分離株を使用して行い、5%ウサギ血清を外因性補体の源として使用し、プラークを蛍光顕微鏡観察により数え上げた。中和力価を、対照(免疫前)血清試料における希釈と比較して、プラークの50%減少をもたらす血清の最大希釈と定義した。
(モルモット肺線維芽細胞(GPL)細胞における中和アッセイ)
簡潔に述べると、試験血清及び対照(ワクチン接種前)血清の連続希釈物を、補足のウサギ血清(1%)を外因性補体の源として含むGPL完全培地中で調製した。希釈系列は、1:40から1:5120に及んだ。血清希釈物をeGFPタグ化ウイルス(1ウェル当たり100〜200pfu)と共に37℃で30分間インキュベートし、その後、コンフルエントなGPL細胞を含む12ウェルプレートに移した。試料を3連で処理した。37℃で2時間のインキュベーションの後、細胞をPBSで洗浄し、GPL完全培地を再供給し、37℃/5%CO2で5日間インキュベートした。プラークを蛍光顕微鏡観察により可視化し、計数し、対照ウェルと比較した。対照と比較したプラーク数の50%減少をもたらすその血清希釈を中和力価と表した。
(qPCR)
LCMV RNAゲノムを、製造元によって提供されるプロトコルに従って、QIAamp Viral RNAミニキット(QIAGEN)を使用して単離する。LCMV RNAゲノム相当物を、SuperScript(登録商標) III Platinum(登録商標) One-Step qRT-PCRキット(Invitrogen)並びにLCMV NPコード領域の部分に特異的なプライマー及びプローブ(FAMレポーター及びNFQ-MGBクエンチャー)を使用するStepOnePlusリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)で実施される定量的PCRにより検出する。反応の温度プロファイルは: 60℃で30分、95℃で2分の後、95℃で15秒、56℃で30秒を45サイクルである。RNAを、試料の結果と、プライマー及びプローブ結合部位を含むLCMV NPコード配列の断片に対応する、分光光学的に定量されたインビトロ転写RNA断片のlog10希釈系列から作成された標準曲線との比較により定量する。
(ウェスタンブロッティング)
組織培養フラスコ中又は懸濁下で成長させた感染細胞を、示された感染後の時点でRIPA緩衝液(Thermo Scientific)を使用して溶解させるか、又は細胞溶解なしでそのまま使用する。試料を還元剤及びNuPage LDS試料緩衝液(NOVEX)と共に99℃に10分間加熱し、室温に冷却した後、電気泳動のために4-12%SDS-ゲルに充填する。タンパク質を、Invitrogens iBlot Gel転写装置を使用して膜上にブロッティングし、ポンソー染色により可視化する。最後に、調製物を対象となるタンパク質に対する一次抗体及びアルカリホスファターゼコンジュゲート二次抗体でプロービングし、その後、1-Step NBT/BCIP溶液(INVITROGEN)で染色する。
(抗原特異的CD8+T細胞増殖の検出のためのMHC-ペプチド多量体染色アッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを使用して、抗原特異的CD8+T細胞応答を試験することができる。例えば、MHC-ペプチド四量体染色アッセイを使用することができる(例えば、Altmanらの文献,1996, Science; 274:94-96;及びMurali-Krishnaらの文献, 1998, Immunity, 8:177-187参照)。簡潔に述べると、このアッセイは、以下の工程を含み、四量体ッセイを使用して、抗原特異的T細胞の存在を検出する。T細胞がそれに対して特異的なペプチドを検出するために、T細胞は、ペプチドと(通常、蛍光標識されている)抗原特異的T細胞用の特別仕様のMHC分子の四量体の両方を認識しなければならない。その後、四量体を、蛍光標識を介してフローサイトメトリーにより検出する。
(抗原特異的CD4+T細胞増殖の検出のためのELISPOTアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを使用して、抗原特異的CD4+T細胞応答を試験することができる。例えば、ELISPOTアッセイを使用することができる(例えば、Czerkinskyらの文献, 1983,J Immunol Methods.; 65:109-121;及びHutchingsらの文献, 1989,J Immunol Methods.; 120:1-8参照)。簡潔に述べると、このアッセイは、以下の工程を含む:免疫スポットプレートを抗サイトカイン抗体でコーティングする。細胞を免疫スポットプレート中でインキュベートする。細胞はサイトカインを分泌し、その後、洗い落とされる。その後、プレートを第2のビオチン化抗サイトカイン抗体でコーティングし、アビジン-HRPシステムで可視化する。
(CD8+及びCD4+T細胞応答の機能性の検出のための細胞内サイトカインアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを使用して、CD8+及びCD4+T細胞応答の機能性を試験することができる。例えば、フローサイトメトリーと組み合わせた細胞内サイトカインアッセイを使用することができる(例えば、Suniらの文献, 1998,J Immunol Methods.; 212:89-98; Nomuraらの文献, 2000, Cytometry; 40:60-68;及びGhanekarらの文献, 2001, Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology; 8:628-63参照)。簡潔に述べると、このアッセイは、以下の工程を含む:特異的ペプチド又はタンパク質による細胞の活性化、タンパク質輸送の阻害(例えば、ブレフェルジンA)を加えて、サイトカインを細胞内に保持する。洗浄後、他の細胞マーカーに対する抗体を細胞に添加することができる。その後、細胞を固定し、透過処理する。抗サイトカイン抗体を添加し、細胞をフローサイトメトリーにより解析することができる。
(ウイルスベクターの複製欠損を確認するためのアッセイ)
感染性でかつ複製可能なウイルス粒子の濃度を決定する当業者に公知の任意のアッセイも使用して、試料中の複製欠損ウイルス粒子を測定することができる。例えば、非相補細胞を使用するFFUアッセイをこの目的で使用することができる。
さらに、プラークベースのアッセイは、ウイルス試料中のプラーク形成単位(PFU)に関してウイルス濃度を決定するために使用される標準的な方法である。具体的には、非相補宿主細胞のコンフルエントな単層に様々な希釈のウイルスを感染させ、寒天などの半固形培地で覆って、ウイルス感染が無制限に拡大するのを防ぐ。ウイルスが感染し、固定された細胞単層内の細胞でそれ自体を複製するのに成功すると、ウイルスプラークが形成される(例えば、Kaufmann, S.H.; Kabelitz, D.の文献(2002)、微生物学の方法(Methods in Microbiology) 第32巻:感染の免疫学(Immunology of Infection)、Academic Press. ISBN 0-12-521532-0参照)。プラーク形成は、解析されているウイルスによって、3〜14日間かかることがある。プラークを全体的に手作業で計数し、その結果を、プレートを作成するために使用した希釈係数と組み合わせて使用して、試料単位容量当たりのプラーク形成単位の数(PFU/mL)を計算する。PFU/mLの結果は、試料中の感染性複製可能粒子の数を表す。
(ウイルス抗原の発現についてのアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを、ウイルス抗原の発現を測定するために使用することができる。例えば、FFUアッセイを実施することができる。検出のために、それぞれのウイルス抗原に対するモノクローナル又はポリクローナル抗体調製物(複数可)を使用する(導入遺伝子特異的FFU)。さらに、ウェスタンブロッティングを実施することができる。
(動物モデル)
本明細書に記載されるHPV抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスを含むワクチン又はその組成物の安全性、忍容性、及び免疫原性効果を動物モデルで試験することができる。ある実施態様において、本明細書で使用されるワクチン及びその組成物の安全性、忍容性及び免疫原性効果を試験するために使用することができる動物モデルとしては、マウス、モルモット、ラット、及びサルが挙げられる。好ましい実施態様において、本明細書で使用されるワクチン及びその組成物の安全性、忍容性及び免疫原性効果を試験するために使用することができる動物モデルとしては、マウスが挙げられる。
(7. 実施例)
これらの実施例は、アレナウイルスベースのベクター技術をうまく使用して、アレナウイルスベクターに抗原を含めることによって、HPV感染に対する新しいワクチンを開発することができること、及びそのようなワクチンの投与がHPV感染を抑制するために、高レベルの抗原特異的CD8+T細胞応答を誘導することができることを実証する。
(7.1 アレナウイルスベクターゲノムの設計)
確立されている手法(米国特許出願公開US 2010/0297172 A1号;及びFlatzらの文献, 2010, Nat Med. March; 16(3): 339-345)に従って、抗原の発癌性を排除するための変異(Cassettiらの文献,2004, Vaccine 22:520-527)を含む、HPVの主要な発癌遺伝子型であるHPV16型のE6とE7の融合タンパク質を発現するrLCMVとrJUNVワクチンベクターを設計した。HPV感染細胞を標的とするT細胞免疫を生じさせるのに必要なエピトープが、HPV E6とE7の両方において線形であるので、2つの腫瘍関連抗原(TAA)は、単一ベクターに融合タンパク質として組み込むことができる。
図1は、短い(1;約3.4kb)及び大きい(2;約7.2kb)RNAセグメントからなる野生型アレナウイルスのゲノムを示す。短いセグメントは、核タンパク質(3)及び糖タンパク質(4)をコードするオープンリーディングフレームを担持する。大きいセグメントは、RNA依存性RNAポリメラーゼL(5)及びマトリックスタンパク質Z(6)をコードする。野生型アレナウイルスは、糖タンパク質遺伝子を欠失させ、該糖タンパク質遺伝子の代わりに、それに対する免疫応答が誘導されることになる最適な抗原(7)を挿入することにより、複製欠損ワクチンベクターにすることができる。
(E7E6を発現するrLCMVベクターの設計)
E7/E6融合タンパク質を単独で発現するか、又は免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質と融合したE7/E6融合タンパク質を発現するrLCMVワクチンベクターの作製のために、様々なrLCMVベクターコンストラクトを設計した。図2A及び図2Bは、HPV16 E7とE6の融合タンパク質を単独で、又は様々な免疫調節ペプチド、ポリペプチド、若しくはタンパク質と組み合わせて発現させるために作製した異なるベクターコンストラクトを示す。
以下の配列は、本明細書に記載される方法及び組成物と共に使用することができる例示的なアミノ酸配列並びにヌクレオチド配列である。場合によっては、DNA配列を使用して、ウイルスゲノムセグメントのRNA配列を説明する。RNA配列は、DNA配列から容易に推測することができる。例示的な配列としては:
Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有するHPV16 E7/E6融合タンパク質をコードする組換えLCMV(HK1-E7E6、配列番号10)、
Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有し、熱ショックタンパク質カルレティキュリンに連結されたHPV16 E7/E6融合タンパク質をコードする組換えLCMV(HK1-E7E6-CRT、配列番号11)、
Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有し、ユビキチンに連結されたHPV16 E7/E6融合タンパク質をコードする組換えLCMV(HK1-E7E6-Ub、配列番号12)、
Rb結合部位及びジンクフィンガーモチーフに変異を有し、自己切断ペプチド(2Aペプチド)をコードするヌクレオチド配列によって隔てられた顆粒球マクロファージコロニー刺激因子GM-CSFと共発現するHPV16 E7/E6融合タンパク質をコードする組換えLCMV(HK1-E7E6-GMCSF、配列番号13)
が挙げられる。
(7.2 ベクターの特徴付け)
作製したベクターの複製を分析するために、LCMV GPを発現するHEK 293懸濁細胞を使用して成長曲線を実施した。それぞれの細胞に、0.001の感染多重度(MOI)で個々のE7/E6ベクター(HK1-E7E6、HK1-E7E6-CRT、HK1-E7E6-Ub及びHK1-E7E6-GMCSF)、又は緑色蛍光タンパク質を発現する対照ベクター(HK1-GFP)を感染させた。試料を、24時間ごとに取りだし、フォーカス形成単位(FFU)アッセイにより分析した。図3に示すように、それぞれの結果は、試験した全てのベクターがHK1-GFPと比較して、同様の成長速度及びピーク力価を示し、個々のE7/E6導入遺伝子がレポーター遺伝子GFPよりも高い程度でベクター複製を妨害しなかったことを実証した。
((a)導入遺伝子発現)
ウェスタンブロット実験により、試験した全てのコンストラクトについてHPV E7E6抗原の存在を確認した。図4に示すように、LCMV GPを発現するHEK 293細胞に、個々のコンストラクト(0.001のMOIでHK1-E7E6(第1群)、HK1-E7E6-GMCSF(第2群)、HK1-E7E6-CRT(第3群)及びHK1-E7E6-Ub(第4群)又はHK1-GFP対照ベクター(第5群))を感染させた。感染後96時間の時点で細胞を分析した。タンパク質を、SDSゲル上で分離し、ニトロセルロース膜に転写し、HPV E7タンパク質発現を、抗HPV E7抗体及び適切な二次抗体で検出した。導入遺伝子の予想サイズを、科学ゲートウェイタンパク質分子量計算機(Science Gateway Protein Molecular Weight Calculator)に基づいて計算した(HK1-E7E6:約30kDa、HK1-mE7E6-GMCSF:約48kDa/30kDa、HK1-mE7E6-CRT:約78kDa;HK1-mE7E6-Ub:約38kDa)。矢印で示されている特定のバンドが、試験した全てのコンストラクトについて検出された。しかしながら、有意に異なる発現レベルが観察され、HK1-E7E6及びHK1-E7E6-Ub感染細胞は最低の抗原レベルを示した。
((b)免疫原性)
同種のプライム-ブースト設定でCD8+T細胞応答を誘導するHK1-E7E6の能力を調べるために、C57BL/6マウスに、HK1-E7/E6を0、41及び102日目に3回ワクチン接種した。その後、抗原(E7)特異的CD8+T細胞応答を、実験の10、38、48、73及び109日目に四量体染色によって分析した。得られたデータ(図5)は、有意な抗原特異的CD8+T細胞応答がHK1-E7E6での単回免疫化後に誘導されることを示す。これらの免疫応答は、繰り返し行うことができる同じワクチンベクターの再投与時に、かなり増強される、すなわちブーストされる。
その後、異なる試験ワクチンの免疫原性を、HK1-E7E6、HK1-E7E6-CRT、HK1-E7E6-Ub及びHK1-E7E6-GMCSFの静脈内免疫化の際に、マウスにおける抗原特異的CD8+T細胞頻度の誘導を評価することによって比較した。準最適ベクター用量(1×104 FFU)を、コンストラクトの区別を可能にするのに使用した。未処置マウスを対照として使用した。
その後、抗原(E7-)特異的CD8+T細胞応答を四量体染色によって分析した。図6は、1×10
4 FFUのHK1-E7E6、HK1-E7E6-CRT、HK1-E7E6-Ub及びHK1-E7E6-GMCSFの静脈内注射によって1回免疫したC57BL/6マウス(群当たりn=5)の結果を示す。未処置マウスを対照として使用した。その後、E7特異的CD8+T細胞応答を、免疫後9日目に四量体染色
によって分析した。四量体結合CD8+T細胞のパーセンテージを、全CD8+T細胞プールのパーセンテージとして表す。このデータは、HK1-E7E6-GMCSFが他の試験したベクターコンストラクトと比較してかなり高い抗原特異的CD8+T細胞応答を誘導することを示す。
その後、選択した試験ワクチンの免疫原性をさらに、ワクチン接種時のマウスにおける抗原特異的CD8+T細胞応答の誘導を評価することによって分析し、比較した。C57BL/6マウスを、無関係の陰性対照ベクターとしてHK1-E7E6、HK1-E7E6-GMCSF又はHK1-GFPで免疫した。HPV16 E7E6融合タンパク質(Rb結合部位及びE6亜鉛結合ドメインに変異を有する)を発現する組換えアデノウイルス5(Ad5)ベクターであるAd5-E7E6を、基準ベクターとして使用した。対照マウスに0.9% NaClを注射した。2回目の注射後7日目に、ワクチン接種マウスから脾細胞を単離し、HPV16 E6又はHPV16 E7ペプチドで刺激した。その後、IFN-γ生成CD8+T細胞のパーセンテージを二重免疫蛍光アッセイにより分析した。
図7は、ワクチンによって誘導されるペプチド特異的CD8+T細胞応答の検出を示す。C57BL/6マウス(群当たりn=5)を、0及び28日目に1×105 FFUのHK1-E7E6(第1群及び第2群)、HK1-GFP(第3群)、又はHK1-E7E6-GMCSF(第5群)、又は1×107 PFUのAd5-E7E6(第4群)で筋肉内注射により2回免疫した。対照マウス(第6群)に、0日目及び28日目に0.9% NaClを2回注射した。最後のワクチン接種後7日目に免疫化マウスから脾細胞を単離し、37℃で一晩、GolgiPlug(1μl/ml)の存在下で、HPV16 E6aa50-57ペプチド又はE7aa49-57ペプチド(全て1μg/ml)のいずれかで刺激した。細胞を、PE結合抗マウスCD8a抗体で染色し、洗浄し、透過処理し、CytoFiX/CytoPermで固定した。その後、細胞を洗浄し、FITCコンジュゲート抗マウスIFN-γ抗体で細胞内染色した。洗浄後、細胞をFACSカリバーで取得し、CellQuestソフトウェアで分析した。
このデータは、第1群、第2群、第4群及び第5群において強いHPV16 E7特異的CD8+T細胞応答、すなわち、HK1-E7E6、HK1-E7E6-GMCSF又はAd5-E7/E6をワクチン接種したマウスにおいて強い応答を示した。弱いHPV16 E6特異的CD8+T細胞応答が、HK1-E7E6-GMCSF又はAd5-E7E6で免疫したマウスで観察され、E7と比較してE6の免疫原性が弱いことが示された。
異なる免疫刺激配列をコードする試験ベクターの免疫原性をさらに調査及び比較するために、HK1-E7E6-GMCSF、HK1-E7E6-VP22、HK1-E7E6-CD40L、HK1-Flt3L-E7E6、HK1-Flt3L-E7E6シャッフル又はHK1-li-E7E6コンストラクトの静脈注射時に、抗原特異的CD8+T細胞頻度の誘導を分析した。さらに、異なるベクター用量を使用して、誘導される応答の用量依存性をさらに調べた。モック感染マウスを対照として使用した。異なる免疫化経路の効果を分析するために、1つの対照群に10
6 FFUのHK1-E7E6-GMCSFを筋肉内注射した。その後、血中を循環しているE7特異的CD8+T細胞の頻度を、実験の8及び18日目に四量体染色
によって分析した。四量体に結合しているCD8+T細胞のパーセンテージを、試験試料における全CD8+T細胞のパーセンテージとして表す。
図8は、106 FFUの用量で、約4%〜11%の範囲内のE7特異的CD8+の頻度が試験した全てのコンストラクトで達成することができることを示す上記実験の結果を示す。結果はさらに、有意に高いCD8+T細胞応答が、筋肉内注射と比較して静脈内免疫により誘導され得ることを実証する。
((c)保護効力)
その後、ワクチン候補の予防効果を、治療用HPVワクチンを開発するための最も一般的に使用されるモデルの1つであるTC-1モデル(Linらの文献, 1996、 Cancer Res.;56(1):21-6)において調べた。HPV-16 E6及びE7並びにc-Ha-ras癌遺伝子で共形質転換したマウス初代上皮細胞由来のTC-1腫瘍細胞をこの実験で使用した。2回目のワクチン接種後に、TC-1腫瘍細胞の皮下注射により免疫化マウスに負荷を与えた。さらに、免疫性を追加するために、負荷後、特定の治療群に3回目のワクチン投与を行った。保護効力を、腫瘍のないマウスの数を評価し、これらの動物における腫瘍体積を5日ごとに測定することにより評価した。ワクチン接種した動物及びワクチン接種していない対照動物における平均腫瘍体積を比較した。
図9A及び図9Bは、0及び28日目に1×105 FFUのHK1-E7E6(第1群及び第2群)、HK1-GFP(第3群)、又はHK1-E7E6-GMCSF(第5群)、又は1×107 PFUのAd5-E7E6(第4群)で筋肉内注射により2回免疫したC57BL/6マウス(群当たりn=5)の結果を示す。0及び28日目に、対照マウス(群6群)に0.9% NaClを2回注射した。55日目、第1群、第3群、第4群、第5群及び第6群のマウスに、同じレジメンでさらにブーストした。35日目に、該マウスに5×104のTC-1腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍成長を週に2回、動悸によりモニタリングした。
結果は、E7特異的CD8+T細胞応答の観察された誘導がワクチン接種したマウスにおける抗腫瘍効果とよく相関することを示した。HK1-E7E6又はHK1-E7E6-GMCSFでの免疫化は、実験群内で平均腫瘍体積及び腫瘍担持マウスのパーセンテージを著しく減少させた。観察結果は、Ad5-E7E6でのワクチン接種後に見られた効果と同等であった。
((d)治療効果)
ワクチン候補の治療効果をさらに評価するために、TC-1腫瘍担持マウスに試験ベクターをワクチン接種し、その後、血液中を循環しているE7特異的CD8+T細胞の頻度を分析した。図10は、1日目に1×105のTC-1腫瘍細胞を注射し、その後、4及び14日目に緩衝液(G1)、106 FFUのHK1-E7E6(G2)、106 FFUのHK1-E7E6-GMCSF(G3)、106 FFUのHK1-E7E6-CD40L(G4)、又は105 FFUのr3LCMV-E7E6をワクチン接種したC57BL/6マウスの結果を示す。E7-特異的CD8+T細胞を、13日目(A,B)及び23日目(C,D)に四量体染色によって分析した。結果は、試験した全てのベクターコンストラクトでの静脈内免疫化後にE7特異的CD8+T細胞の頻度が高いことを実証する。
また、抗ベクター免疫応答の誘導を調べるために、LCMV NP特異的CD8+T細胞の頻度を、示した試験ベクターでのワクチン接種後の腫瘍担持マウスにおいて分析した。この分析の結果は、図11に示しており、全てのベクターコンストラクトでの静脈内免疫後に、NP特異的CD8+T細胞の頻度が高いことを実証する。
腫瘍対照におけるE7特異的CD8+T細胞応答の影響を分析するために、ワクチン接種したマウスの体重(データ示さず)、並びにそれぞれの動物における腫瘍体積及び全生存期間をモニタリングした。図12Aは、1日目に1×105のTC-1腫瘍細胞を注射し、その後、4及び14日目にPBS(G1)、106 FFUのHK1-E7E6(G2)、106 FFUのHK1-E7E6-GMCSF(G3)、106 FFUのHK1-E7E6-CD40L(G4)、又は105 FFUのr3LCMV-E7E6(G5)をワクチン接種したC57BL/6マウスについての、腫瘍接種後約55日目までの腫瘍体積の結果を示す。図12Bは、腫瘍接種後80日目まで観察を延長した同じC57BL/6マウスの腫瘍体積の結果を示す。図12Cは、ワクチン接種後のマウスの全生存期間を示す。それぞれの結果は、腫瘍成長がHPV E7E6を発現するLCMVベクターをワクチン接種した全ての群で抑制され、これらのベクターを注射したマウスの全生存期間がより良好であったことを示す。しかしながら、HK1-E7E6(G2)での免疫化により与えられる保護は、他の試験コンストラクトよりも幾分低かった。
上記の同じ方法を使用して、抗ベクター免疫応答へのさらなる調査として、TC-1腫瘍担持マウスの末梢血中のE7特異的CD8+T細胞及びLCMV NP特異的CD8+T細胞の形成を分析し、続いて、PBS(G1)、1×107 PFUのAd5-E7E6(G2)及び106 FFUのHK1-E7E6(G3)をワクチン接種した。この分析の結果は、図13及び図14に示しており、再度、HK1-E7E6 LCMVベクターでの静脈内免疫後に、E7特異的CD8+T細胞及びLCMV NP特異的CD8+T細胞の頻度が高いことを実証する。さらに、HPV E7E6を発現するLCMVベクターは、HPV E7E6を発現するアデノベースのベクターよりも、免疫後にE7特異的CD8+T細胞のパーセンテージがさらに高いことを示した。
腫瘍体積及び全生存期間についても、PBS(G1)、1×107 PFUのAd5-E7E6(G2)及び106 FFUのHK1-E7E6(G3)をワクチン接種したマウスにおいてモニタリングした。図15Aは、腫瘍接種後80日目までの腫瘍体積の結果を示す。図15Bは、ワクチン接種後のマウスの全生存期間を示す。これらの結果は、HPV E7E6を発現するLCMVベクターが、腫瘍成長を抑制することができ、HPV E7E6を発現するアデノベースのベクターと比較してより良好な全生存期間をもたらしたことを示す。
(7.3 プライム-ブースト免疫化)
腫瘍成長との競争のために、強力な抗腫瘍免疫応答の迅速な誘導は、癌免疫療法の開発に成功するための重要な課題である。繰り返しのプライム-ブースト免疫戦略は、これらの目標を達成するために必要である可能性がある。複製欠損LCMVベクターは、同種のプライム-ブーストワクチン接種において効率的に再投与することができることが示されたが、異種プライム-ブースト免疫レジメンは、ワクチン接種間隔を短くするのを可能にするか、又はさらに高い有効性をもたらすことなどの異なる利点を提供し得る。フニンウイルス又はモペイアウイルスなどのアレナウイルス科の様々な他のメンバーの複製欠損フォームに基づくワクチンベクターを使用することができる。
HPV抗原に対するCD8+T細胞応答を誘導するそれぞれのベクターの能力を調べるために、フニンウイルスワクチン株Candid #1に基づき、Rb結合部位及びE6亜鉛結合ドメインに変異を有するHPV16 E7E6融合タンパク質をコードする複製欠損糖タンパク質欠損ベクター(rJUNV-E7E6)を作製した。C57BL/6マウスに、105 FFUのrJUNV-E7E6又はHK1-E7E6を静脈内注射により一回ワクチン接種した。免疫後8日目に抗原(E7エピトープ)特異的CD8+T細胞応答の誘導を、血液からの四量体染色によって分析した。図16に示す結果は、rJUNV-E7E6がrLCMVベースのHK1-E7E6ワクチンと同様の規模のCD8+T細胞応答を誘導したことを実証する。
抗原特異的CD8+T細胞応答の誘導に対する同種対異種のプライム-ブースト免疫化の効果を調べるために、0日目にC57BL/6マウスに、105 FFUのHK1-E7E6又はrJUNV-E7E6のいずれかを静脈内注射によりワクチン接種した。35日後に、マウスをそれぞれ同種又は異種ベクターのいずれかでブーストした(105 FFU i.v.)。抗原(E7エピトープ)特異的CD8+T細胞応答の誘導を、実験の8、28及び42日目に四量体染色によって分析した。図17の結果は、異種rJUNV-E7E6プライム-HK1-E7E6ブーストが、HK1-E7E6での同種のプライム-ブースト免疫化よりも有意に高いE7特異的CD8+T細胞頻度を誘導することを実証する(対応のない両側スチューデントt検定によりp<0.05)。さらに、このデータは、rJUNV-E7E6ベクター(生成細胞からのLCMV-GPでシュードタイプ化した)を、同じ糖タンパク質でシュードタイプ化したrLCMVベクターと同様に、同種のプライム-ブースト免疫化において効率的に再投与することができることを示す(図5と比較されたい)。
(7.4 複製可能三セグメントアレナウイルスウイルスベクター)
複製感染(replicating infection)によって誘発される炎症によるさらにより強いエフェクターT細胞応答を誘導する試みにおいて、HPV16型のE6とE7の融合タンパク質を発現する複製可能三セグメントLCMVベクターを作製した。複製しない二セグメントベクター(HK1-E7E6)及び類似の複製する三セグメントベクター(r3LCMV-E7E6)の免疫原性を、それぞれのベクターでの静脈内注射時に、マウスにおける抗原特異的CD8+T細胞応答の誘導を評価することによって比較した。C57BL/6マウスを、実験の0及び35日目に105 FFUのr3LCMV-E7E6又はHK1-E7E6で免疫した。エピトープ特異的CD8+T細胞を、抗CD8a抗体と組み合わせたE7エピトープ添加MHCクラスI四量体を使用して染色した。末梢血中のCD8+T細胞コンパートメント内のE7四量体結合細胞の頻度を計算した。図18は、これらの実験の結果を示し、非複製ベクターと比較して4〜5倍高い頻度のE7特異的CD8+をベクターの複製により誘導することができることを実証する。
複製可能ベクターを使用する同種対異種のプライム-ブースト免疫化の効果を調べるために、同種又は異種の組み合わせで、r3LCMV-E7E6及びフニンCandid #1ウイルスベースの類似の複製可能ベクター(r3JUNV-E7E6)でのワクチン接種後のマウスにおいて、抗原特異的CD8+T細胞応答の誘導を分析した。図19は、これらの実験の結果を示し、複製可能三セグメントLCMVベース及びJUNVベースのワクチンベクターの同種と異種の両方のプライム-ブーストの組み合わせが、強いHPV E7特異的CD8+T細胞応答を誘導することを実証する。
表1:配列