JP2018517701A - 改変されたケモカインペプチド - Google Patents

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Abstract

改変されたケモカインペプチドであって以下のアミノ酸配列:(a)N末端がELR配列を有し;(b)N末端から3番目のシステイン残基の前がPASQF配列であり;かつ(c)N末端から17番目のアミノ酸残基が改変されている、アミノ酸配列を含む改変ケモカインペプチドが提供される。このケモカインペプチドは、癌を処置すること、および腫瘍の増殖を阻害することに用いられ得る。【選択図】図2

Description

発明の分野
本発明は、治療用アンタゴニストであり得る改変されたケモカインペプチドに関する。具体的には、本発明は、癌を処置するためおよび腫瘍増殖を阻害するための改変されたケモカインに関する。
発明の背景
ケモカインは、誘導性の、分泌性の、構造的にかつ関連する低分子(約8〜14kD)の群である。ケモカインは、4つのサブファミリー、例えば、CXC、CC、CX3CおよびCに分けられる。ケモカインはまた、2つの主要な機能的サブファミリーにも分類される:「恒常的ケモカイン」および「炎症性ケモカイン」。
ケモカインは通常は、その構造に3つのβシートを有し、かつC末端にαらせん、およびN末端に4つの保存されたシステインを有する。ケモカインは、N末端に最初の2つのシステイン(Cys)を含む配列に基づいて、4つのサブファミリー(CXC、CC、CX3CおよびXC)に分類された。4つの種類の内でも、CXCおよびCCは、2つのメジャーなサブファミリーであるが、XCおよびCX3Cは、マイナーなサブファミリーである。細胞上のケモカインがケモカイン受容体とコンジュゲートした後に反応が起こる。ケモカイン受容体は、7つの膜貫通Gタンパク質結合受容体を備え、これはそれぞれ、結合標的上のリガンドの種類に応じて、CXCR、CCR、CXRおよびCXCRと命名される。ケモカイン受容体はさらに、CXCR1、CXCR2、CXCR4などのように数に応じて配置される。しかし、標的細胞上には1つのケモカイン受容体が示されるだけでなく、浸潤した炎症細胞の結合標的は、1つのケモカイン受容体に特異的ではなく、従って、特定の刺激および誘導下で異なる細胞のいくつかのケモカイン受容体が発現されなければならない。
例えば、グルタミン酸(E)−ロイシン(L)−アルギニン(R)特徴的配列(ELR特徴的配列)を有するELR−CXCケモカインとは、N末端に特徴的なELR−CXCのアミノ酸配列を有するタンパク質を指し、Xは、電荷の有無の状態の極性を有するアミノ酸であるか、またはXは存在しない。ELR−CXCケモカインは、発癌物質、IL−8および好中球活性化タンパク質2(NAP−2)の発現を調節し得る。それらの受容体は、CXCR1およびCXCR2であり、それらは、主に好中球を標的とする。ELR−CXCケモカインは、好中球の蓄積および活性化を促進し得る。したがって、この種のELR−CXCケモカインは、広範囲の急性および慢性炎症疾患の発生に重要な役割を果たす。これらの炎症としては、乾癬および関節リウマチが挙げられる。
さらに、ELR−CXCケモカインは、腫瘍発生に伴う血管新生に関連し、その誘導メカニズムは、この種のケモカイン、特にIL−8に関連して、内皮細胞(EC)上のCXCR1およびCXCR2とコンジュゲートすることによって生成される活性化である。現在、多くの異なる種類の腫瘍がELR−CXCケモカインを分泌し得、かつこれらのケモカインを過剰発現する腫瘍は、予後不良と関連することが証明されている。
CXCR1またはCXCR2とELR−CXCケモカインとの抗コンジュゲーションは、CXCR1または/およびCXCR2受容体の活性化によって誘導される異常なシグナル伝達が阻害されるように、2種の受容体を有する細胞の活性化に起因する関連疾患が処置されるように、実行可能なストラテジーである。従って、科学者は、CXCケモカインを阻害するための受容体タンパク質アナログを見出して調製することに努めている。
従って、出願人は、先行技術において遭遇する上記の状況に対処することを試みる。
発明の要旨
癌は先進国では最も一般的な死亡原因である。もし癌が早期に診断されれば、首尾よく処置される可能性は高い。癌の診断と処置にはかなりの進歩が見られているが、これらの薬物は深刻な副作用を引き起こすか、または無効である。したがって、癌の処置または癌の予防のための新規な方法または新規な組成物が必要とされている。
上記の問題を解決するために、本発明の一実施形態によれば、腫瘍増殖を阻害し、癌を処置するための改変されたケモカインが提供される。
本発明は、ペプチド配列を含む改変されたケモカインペプチドを提供する。ペプチド配列のN末端は、2つの特徴的な配列を含む。1つの特徴的な配列は、「(a)グルタミン酸(E)−ロイシン(L)−アルギニン(R)配列」であり、これは改変ケモカインペプチドのN末端に位置する。別の特徴的な配列は、「(b)プロリン(P)−アラニン(A)−セリン(S)−グルタミン(Q)−フェニルアラニン(F)−Cys配列」であり、これは、ケモカインペプチドのN末端から数えて、第3のシステイン(C)の上流に隣接する。改変されたケモカインペプチドは、(a)特徴的な配列、(b)特徴的な配列、および改変された位置を含む。上述の改変された位置は、改変されたケモカインペプチドのN末端から数えて17番目、12番目または13番目の位置にある。
一実施形態では、17位のフェニルアラニン(F)残基は、ロイシン(L)で置換されている。
一実施形態では、改変ケモカインペプチドの未改変前駆体は、起源のケモカインに由来する。起源のケモカインのN末端の最初の2つのシステインの間にゼロ〜2個のアミノ酸残基が位置し、かつアミノ酸残基の数が1〜2の場合、そのアミノ酸残基は電荷の有無の状態で極性を有する。
一実施形態では、起源のケモカインペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
一実施形態では、改変ケモカインペプチドは、配列番号10、配列番号11、および配列番号12から選択される。
本発明はまた、本発明の改変されたケモカインペプチドおよび薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物も提供する。
一実施形態では、この改変されたケモカインペプチドは、癌の処置または腫瘍増殖の阻害のために使用される。
本発明はさらに、治療有効量の本発明の改変されたケモカインペプチドおよび薬学的に許容される賦形剤を含む、癌を処置するため、または腫瘍増殖を阻害するための薬学的組成物を提供する。
一実施形態において、上記癌は、前立腺癌、乳癌、子宮癌、白血病、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、精巣癌、リンパ腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、膵臓癌、肺癌、脳腫瘍、皮膚癌、胃癌、口腔癌、肝臓癌、喉頭癌、胆嚢癌、甲状腺癌、肝臓癌、腎臓癌、または鼻咽頭癌を含む。
図1は、起源のケモカインペプチド配列(配列番号1〜9)に対する配列アラインメント、すなわちCXCR1または/およびCXCR2に対して高い親和性を有するELR−CXCケモカインのアミノ酸配列の比較を示す。 図2は、本発明における改変されたケモカインペプチド(配列番号10〜配列番号12)のアミノ酸配列に対する配列アラインメントの比較を示す。 図3は、本発明のCXCL8で最大量の細胞が遊走したことを示す。 図4は、遊走した細胞の数を示す。黒のバーは、走化性がCXCL8によって誘発されることを示す。灰色のバーは、ELR−CXCケモカインおよびCXCL8−IP10の両方による処置を表す。白いバーは、ELR−CXCケモカインおよび17LIP10の両方での処置を表す。 図5は、処置群(IL8−17LIP10)およびプラセボ群(生理食塩水)の腫瘍容積を示す。 図6は、処置群(IL8−17LIP10)およびプラセボ群(生理食塩水)の腫瘍重量を示す。 図7は、処置群(IL8−17LIP10)およびプラセボ群(生理食塩水)の微小血管密度を示す。 図8は、CXCL8−IP10または生理食塩水の注射後の腫瘍容積を示す。A群には、500μg/kgのCXCL8−IP10を毎週4回注射した。B群には、500μg/kgのCXCL8−IP10を毎週2回注射した。C群には、250μg/kgのCXCL8−IP10を毎週2回注射した。D群には毎日100μlの生理食塩水を皮下注射した。 図9は、マウス肺から得られた腫瘍組織の外観の画像を示す。毎週4回、500μg/kg(i.p.)のCXCL8−IP10(図9A)または生理食塩水(図9B)を投与した24日後にマウスを屠殺して、肺組織を得た。矢印で示された白い部分は、肺に広がっている癌の病巣であった。 図10は、癌細胞におけるCXCR1およびCXCL8の発現レベルを示す。 図11は、走化性による本発明の拮抗作用の有効性を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、新規なケモカインを提供する。本発明の新規なケモカインは、CXCL1(配列番号3)、CXCL2(配列番号4)、CXCL3(配列番号5)、CXCL5(配列番号:6)、CXCL6(配列番号:7)、CXCL7(配列番号:8)、CXCL8(配列番号:2)およびhG31P(配列番号:1)などの、ELR−CXCケモカインまたはCXCR1もしくはCXCR2に対する高い結合親和性を有する物質に由来する。本発明においては、本発明におけるこの種のケモカインに応じて改変されており、これは主に、元の30sループ領域に置換されたPASQFの特徴的な配列に依存する(図1)。このPASQFは、非ELR−CXCケモカインであるCXCL10ケモカインにもともと存在する。
一実施形態では、本発明の改変ケモカインは、(a)「−N’−グルタミン酸(E)−ロイシン(L)−アルギニン(R)の特徴的な配列(これは、改変されたケモカインペプチドのN末端に位置する)、および(b)「−N’−プロリン(P)−アラニン(A)−セリン(S)−グルタミン(Q)−フェニルアラニン(F)−Cys」の特徴的な配列(これは、このケモカインペプチドのN末端から数えて、第3のシステイン(C)の上流に隣接する)を含む。本発明の改変ケモカインは、改変ケモカインペプチドのN末端から数えて17番目の位置に変異(改変)をさらに含むことに留意されたい。
一実施形態では、17位のもともとのアミノ酸残基はフェニルアラニン(F)であり、17番目のアミノ酸残基は、単一アミノ酸変異により非フェニルアラニン(F)アミノ酸に置換されている。他の実施形態において、17位のアミノ酸残基は、アラニン(A)、システイン(C)、セレノシステイン(U)、アスパラギン酸(D)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、リジン(K)、ピロリシン(O)、メチオニン(M)、プロリン(P)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、好ましくはロイシン(L)に置換されてもよい。アミノ酸置換のない起源のケモカインペプチドと比較して、改変されたケモカインは、より高い親和性を有し、かつ位置17で置換されたアミノ酸残基の後に腫瘍増殖を効果的に阻害することができた。
必要に応じて、本発明の例示的な実施形態では、本発明の改変ケモカインとしては、限定するものではないが、配列番号10、配列番号11および/または配列番号12が挙げられる(図2)。
例えば、配列番号10は、ELR−CXnXのアミノ酸の特徴的な配列の規則を満たすためにELR−CQCのN末端配列を含むだけでなく、オリゴペプチド配列Pro−Ala−Ser−Gln−Phe(PASQF)も有する。PASQFは、N末端から数えて3番目のシステイン(10192)の上流に置換された改変された配列であり、この第3のシステインは、PASQFオリゴペプチド配列のフェニルアラニンに隣接している。さらに重要なことには、17番目の位置のアミノ酸残基(第1の改変された位置)は、フェニルアラニンではなくロイシンである。
図2に示す配列によれば、ELR−CXCケモカインアナログの配列番号10、配列番号11および配列番号12は、PASQF改変配列を有し、これはケモカインペプチドのN末端から数えて三番目のシステイン(C)の上流に隣接している。さらに、本発明のケモカインの17位のアミノ酸残基は、ロイシンに変異されている。
本発明の改変ケモカイン、そのアナログおよびフラグメントは、血管新生に関連する疾患を処置し得る。血管新生関連の疾患としては、限定するものではないが、炎症性障害、慢性関節リウマチおよび乾癬、血管の不適切または不適当な侵襲に関連する障害、例えば、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、再狭窄および細胞増殖性障害/疾患、例えば、新生物、および癌関連障害(例えば、前立腺癌、乳癌、子宮癌、白血病、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、精巣癌、リンパ腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、膵臓癌、肺癌、脳腫瘍、皮膚癌、胃癌、口腔癌、肝臓癌、喉頭癌、胆嚢癌、甲状腺癌、肝臓癌、腎臓癌、または鼻咽頭癌)が挙げられる。
本発明の改変されたケモカインは、必要に応じて従来の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント、および所望のビヒクルを含む単位投薬製剤において、経口的に、口腔内に、非経口的に、吸入スプレーによって、直腸に、皮内に、経皮的に、または局所的に投与されてもよい。
本発明の改変されたケモカインは、単回投与で、24時間にわたる複数回投与で、または連続注入によって投与されてもよい。連続注入によって投与する場合、化合物は、限定するものではないが、静脈内重力ドリップ、静脈内注入ポンプ、埋め込み型注入ポンプ、または任意の局所経路などの当該分野で周知の方法によって供給されてもよい。処置の長さは、多くの要因、例えば、血管新生状態の持続期間および重症度に依存して変化する。本発明の改変されたケモカインを単独で、または他の薬剤と組み合わせて用いる被験体の処置は、血管新生が消失するまで継続されてもよいし、または処置は被験体の生涯にわたって続いてもよい。
別の実施形態では、本発明は、癌を治処置し、腫瘍を阻害するための薬学的組成物を提供する。薬学的組成物は、有効量の本発明の改変ケモカインまたはそのアナログおよび薬学的に許容される担体を含む。薬学的に許容される担体としては、溶媒、分散剤、コーティング、抗菌/抗真菌剤、等張剤、徐放性剤および/またはそのアナログを挙げてもよい。
1.細胞走化性
ボイデン(Boyden)チャンバーアッセイを用いて、LMVECの遊走を評価した。LMVECを、2%FCSを含むHuMedia−EB2上で、8時間培養した。細胞を、1.2×10細胞/cmの密度で、10μg/mlのフィブロネクチンでコーティングしたポリカーボネート膜(Sigma−Aldrich)上に播種した。10ng/mlのCXCL8、CXCL6、CXCL1、CXCL5、およびCXCL8−IP10またはIL8−F17LIP10を、それぞれ、ボイデンチャンバーの底に添加した。LMVECを、Boydenチャンバー上で37℃で4時間培養し、次いでDiff−Quick(Harleco)で固定して染色した。遊走した細胞の数を、HPF(X200)によってカウントした。
この結果によって、ケモカインCXCL8が存在する場合、多量の細胞が遊走したことが示される(図3)。
図4において、黒のバーはケモカイン誘導を示し、灰色のバーはケモカインおよびCXCL8−IP10の併用処置を示しており、白いバーはケモカインおよびIL8−17LIP10による同時処置を示す。図4によれば、CXCL8−IP10およびIL8−17LIP10の両方とも、細胞遊走を阻害する効果を有し、IL8−17LIP10は、CXCL8−IP10より良好な細胞遊走阻害効果を有する。
2.投与された改変ケモカインペプチドによる異種移植片腫瘍を保有するBALB/cヌードマウスにおける抗腫瘍効果
BALB/cヌード雄性マウス(Bltw:NU−Foxn1nu、4〜6週齢)を入手して、特定の病原体のない条件下で、層流キャビネット内で飼育した。動物は自由に水道水および標準的なペレット食品にアクセスし、その健康状態を毎日モニターした。ヌードマウス異種移植アッセイのために、単層培養したGFP陽性PC3細胞(PC−3−GFP)を採取し、3匹のヌードマウスの右脇腹にマウス1匹につき5×10細胞を皮下接種した。2〜4週間後、移植のために腫瘍を採取した。実験の最後に、これらの3匹のマウス由来の腫瘍異種移植片を、リセット(reset)し、スライスし(1mm切片)、次いで、局所麻酔および滅菌手術条件下で、レシピエントのヌードマウスの前立腺組織に移植した。全部で24匹の動物が移植物を受けた。5日後(0日目)、その動物を、100μlの生理食塩水(対照群)または本発明の配列(配列番号13(IL8−17LIP10)、0.5mg/kg)(実験群)で24日間の皮下注射について、2つの群に分類した(12匹の動物/群)。成長腫瘍のGFP蛍光画像を、515nm発光フィルターを備える解剖顕微鏡の光学的構成の下で、デジタルカメラを用いて12、18および24日に撮影した。腫瘍容積は、式:容積=(長さ×幅)/2を用いて算出した。24日目に、全てのマウスを屠殺して、腫瘍のGFP蛍光画像を撮影した。血管の微小血管密度は、式:密度=微小血管長/腫瘍面積を用いて算出した。各マウス由来の腫瘍サンプルを、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、その後の免疫組織化学分析のための標準的な手順を用いてパラフィンに包埋した。
その結果によって、12、18および24日目に処置(実験)群およびプラセボ(対照)群の腫瘍容積が示される(図5)。図5によれば、本発明の配列(IL8−17LIP10)は、腫瘍増殖を効果的に阻害する。処置群の腫瘍容積は、プラセボ群と比較して5倍を超えて低下した。プラセボ群と比較して処置群について腫瘍容積のこの明らかな阻害は持続し、経時的にさらに顕著になった。
その結果によって、24日目に処置(実験)群およびプラセボ(対照)群の腫瘍重量が示される(図6)。図6によれば、本発明の配列(IL8−17LIP10)は腫瘍増殖を効果的に阻害し、腫瘍重量は2倍を超えて減少した。
3.異種移植腫瘍組織の免疫組織化学的分析
パラフィン包埋前立腺癌異種移植切片を脱ろうし、PBSに再水和した。詳細には、切片をPBSで3回リンスし、10mMのクエン酸ナトリウム(pH6.0)中で15分間熱処理した。3%の過酸化水素で10分間処理することにより、内因性ペルオキシダーゼ活性をブロックした。切片を、PBSを用いて繰り返し3回すすぎ、タンパク質ブロッキング溶液(PBS中に5%正常ウマ血清、pH7.5)と共に室温で15分間インキュベートし、PBSで3回洗浄し、次いでマウスモノクローナル抗VEGF抗体(1:50)、ウサギポリクローナル抗NF−κB抗体、またはヤギポリクローナル抗CD31抗体(1:50)とともに、4℃で20時間インキュベートした。反応後、切片をPBSで3回洗浄し、二次抗体の適切な希釈物とともに、37℃で40分間インキュベートした。PBSで3回洗浄した後、切片をビオチン化ヤギ抗マウスまたは抗ウサギ抗ヤギポリ免疫グロブリンと共に暗所で30分間インキュベートした。発色のために、切片を、PBSを用いて3回洗浄し、ジアミノベンジジン溶液中で10分間インキュベートし、次いでヘマトキシリンで1分間対比染色した(Kollmarら、2007)。陰性対照の切片を、一次抗体の代わりにPBSとともにインキュベートした。染色された切片の強度は、撮影された切片をグレースケール(スケール0〜255)に変換した後に測定し、Image−Pro 6.0 Microsoftを使用して計算した集積光学濃度(IOD)で表した。各群について、5つのマウス腫瘍異種移植片を分析した。異なる切片で無作為に選択された、1つの腫瘍あたり5つの撮影された切片を用いて、あらゆる腫瘍異種移植のグレイ値を平均した(Csillik et al.,2005)。CD31の免疫組織化学的分析を用いて微小血管密度を測定し、微小血管密度の測定値は、Image−Pro 6.0 Microsoftを使用して算出した、微小血管面積の平均パーセンテージを表している。
その結果によって、プラセボ(対照)群および処置(実験)群の微小血管密度が示される(図7)。図7によれば、本発明の配列(IL8−17LIP10)は、前立腺癌異種移植ヌードマウスの血管新生を効率的に阻害する。
4.投与された改変ケモカインペプチドによる、異種移植腫瘍を保有するC57BL/6ヌードマウスにおける抗腫瘍効果
C57BL/6ヌードマウスを、特定の病原体の下で層流キャビネット内で飼育した。動物は自由に水道水および標準的なペレット食品にアクセスし、その健康状態を毎日モニターした。5×10個の細胞のLLW2細胞(ルイス肺癌)を、マウス1匹あたり5×10個の細胞を用いて3匹のマウスの右四半分に注射した。2〜4週間後、移植のために腫瘍を採取した。この例では、24匹のマウスに移植した。移植の5日後、24匹のマウスを4つの群(1群6匹)に分類した。A群:500μg/kgのCXCL8−IP10の週4回の投与。B群:500μg/kgのCXCL8−IP10の週2回の投与。C群:250μg/kgのCXCL8−IP10の週2回の投与。D群:100μlの生理食塩水を毎日皮下投与した。腫瘍容積は、式:容積=(長さ×幅)/2を用いて算出した。24日目に、全てのマウスを屠殺し、腫瘍のGFP蛍光画像を撮影した。血管の微小血管密度は、式:密度=微小血管長/腫瘍面積を用いて算出した。各マウスの腫瘍サンプルを、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、その後の免疫組織化学分析のために標準的な手順を用いてパラフィンに包埋した。
図8によれば、A群が腫瘍増殖阻害において最高の改善を示す。24日目に、全てのマウスを屠殺して腫瘍容積を算出した。D群と比較して、CXCL8−IP10(500ug/kg)で1週間に4回処置した腫瘍容積は、A群と比較して30%減少していた。その結果、CXCL8−IP10は、腫瘍増殖の有意な阻害を有したことが示される。
図9によれば、腫瘍転移は、CXCL8−IP10によって有意に抑制された。500μg/kgのCXCL8−IP10を週に4回(図9A)または生理食塩水(図9B)を投与した後、マウスを24日目に屠殺にして肺を得た。矢印で示された白い部分は、肺に広がっている癌の病巣であった。CXCL8−IP10の投与後、マウス肺で転移性の病巣は生じなかった。
5.好中球走化性アッセイ
好中球の走化性は、改善されたボイデンチャンバーマイクロ走化性アッセイによって評価した。白血球は、一般的な濃度勾配により末梢血から採取した。好中球は、低濃度勾配領域の底から得て、赤血球混入は低張溶解によって除去した。精製した好中球(5×10/ml)をHBSS溶液(400mg/LのKCl、60mg/LのKHPO、8000mg/L、NaCl、350mg/LのNaHCO、90mg/LのNaHPO7HOおよび1000mg/Lのグルコース)に再懸濁し、次いで、Calcein AM(Invitrogen、Stockholm、Sweden)培地中で37℃で30分間培養した。ケモカイン(例えば、20ng/mlのCXCL8)を、下部チャンバー上で、単独で、または他のアンタゴニスト(例えば、IL8−IP10F17L)と組み合わせて配置し、精製した好中球を上部チャンバー上に置いた。5μmの細孔径のポリカーボネートフィルターを使用して、上部および下部チャンバーを分けた。細胞を5%CO加湿雰囲気中で、37℃で30分間培養した後、未遊走細胞およびフィルターを除去し、遊走した細胞を溶解して、VICTOR3(Perkin−Elmer、UK、励起:485nm;発光:530nm)を用いて分析した。細胞遊走のパーセンテージは、走化性指数(chemotaxis index:CI)の値によって示された。CI=(アンタゴニスト強度−HBSS強度)/(CXCL8強度−HBSS強度)×100%であり、ここで「アンタゴニスト強度」は、アンタゴニストによって引き起こされる細胞遊走であり、「CXCL8強度」は、CXCL8によって引き起こされる細胞遊走であり、かつ「HBSS強度」は、重力によって引き起こされる細胞遊走である。
6.腫瘍細胞におけるCXCR1/2およびCXCL8遺伝子の発現レベル
癌細胞株のRNA(表1)を、TRIzol試薬(Invitrogen、America)により、それぞれ標準的な手順を用いて抽出し、RNAをNanoDrop(登録商標)ND−1000分光光度計で定量した。cDNA逆転写キット(Prime Script(商標)RT試薬キット、タカラ、日本)を用いて、サンプルのRNAの逆転写を行い、そのサンプルを氷上に置いた後、遺伝子発現分析を行った。GAPDHは、内部対照群であった。RT−PCR反応は、SYBR(Premix Ex Taq(商標)、タカラ、日本)で行い、ここでは、CXCLのプライマーは:5’−gagcactccataaggcacaaa−3’(フォワード)および5’−atggttccttccggtggt−3’(リバース)を、CXCL8について;5’−gaccaacatcgcagacacat−3’(フォワード)および5’−tgcttgtctcgttccacttg−3’(リバース)をCXCR1について;5’−ggctaagcaaaatgtgatatgtacc−3’(フォワード)および5’−caaggttcgtccgtgttgta−3’(リバース)をCXCR2について含んだ。
遺伝子発現は以下の式により算出した:遺伝子発現=2−ΔΔCt
図10は、腫瘍細胞における高いCXCR1発現を、部分的にRT−PCRによって示す。多くの腫瘍細胞は、CXCR1およびCXCR2受容体の物質であるCXCL8を高度に発現した。したがって、CXCR1/2アンタゴニストは、腫瘍増殖および転移を阻害するために使用してもよい。
図11は、アンタゴニストのより多くの設計を示す。CXCL8−IP10ペプチドの第1の改変位置および/または第2の改変位置および/または第3の改変位置のアミノ酸残基(単数または複数)を変更して、CXCR1/2によって誘導されるアンタゴニスト特性を改善した。これらのアンタゴニストは、CXCR1/2受容体の発現を効率的に抑制するか、または腫瘍細胞において、高いサイトカイン発現(CXCL1、2、3、5、6、7、および8など)に関連した、腫瘍増殖、薬物耐性、転移および血管新生を阻害した。
上述のように、本発明の改変されたケモカインは効率的に、腫瘍増殖および血管新生を阻害し、癌を処置し得る。
本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書および図面を含む)に開示された各特徴は、他に明示的に記載されていない限り、同じ、等価または同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられてもよい。したがって、別段明記しない限り、開示された各特徴は、等価または同様の特徴の一般的なシリーズの一例に過ぎない。
示したとおり、これらの変更は、本発明の図示された実施形態の前述の説明を考慮して本発明に対してなされてもよく、本発明の精神および範囲内に含まれるべきである。したがって、本発明は、その特定の実施形態を参照して本明細書に記載されているが、上記の開示では、ある自由度の修正、様々な変更、および置換が意図されている。いくつかの例では、本発明の実施形態のいくつかの特徴は、記載された本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、他の特徴の対応する使用なしに採用されることが理解されよう。したがって、特定の状況または材料を本発明の本質的な範囲および趣旨に適合させるために、多くの改変が行われ得る。
発明の分野
本発明は、治療用アンタゴニストであり得る改変されたケモカインペプチドに関する。具体的には、本発明は、癌を処置するためおよび腫瘍増殖を阻害するための改変されたケモカインに関する。
発明の背景
ケモカインは、誘導性の、分泌性の、構造的にかつ関連する低分子(約8〜14kD)の群である。ケモカインは、4つのサブファミリー、例えば、CXC、CC、CX3CおよびCに分けられる。ケモカインはまた、2つの主要な機能的サブファミリーにも分類される:「恒常的ケモカイン」および「炎症性ケモカイン」。
ケモカインは通常は、その構造に3つのβシートを有し、かつC末端にαらせん、およびN末端に4つの保存されたシステインを有する。ケモカインは、N末端に最初の2つのシステイン(Cys)を含む配列に基づいて、4つのサブファミリー(CXC、CC、CX3CおよびXC)に分類された。4つの種類の内でも、CXCおよびCCは、2つのメジャーなサブファミリーであるが、XCおよびCX3Cは、マイナーなサブファミリーである。細胞上のケモカインがケモカイン受容体とコンジュゲートした後に反応が起こる。ケモカイン受容体は、7つの膜貫通Gタンパク質結合受容体を備え、これはそれぞれ、結合標的上のリガンドの種類に応じて、CXCR、CCR、CXRおよびCXCRと命名される。ケモカイン受容体はさらに、CXCR1、CXCR2、CXCR4などのように数に応じて配置される。しかし、標的細胞上には1つのケモカイン受容体が示されるだけでなく、浸潤した炎症細胞の結合標的は、1つのケモカイン受容体に特異的ではなく、従って、特定の刺激および誘導下で異なる細胞のいくつかのケモカイン受容体が発現されなければならない。
例えば、グルタミン酸(E)−ロイシン(L)−アルギニン(R)特徴的配列(ELR特徴的配列)を有するELR−CXCケモカインとは、N末端に特徴的なELR−CXCのアミノ酸配列を有するタンパク質を指し、Xは、電荷の有無の状態の極性を有するアミノ酸であるか、またはXは存在しない。ELR−CXCケモカインは、発癌物質、IL−8および好中球活性化タンパク質2(NAP−2)の発現を調節し得る。それらの受容体は、CXCR1およびCXCR2であり、それらは、主に好中球を標的とする。ELR−CXCケモカインは、好中球の蓄積および活性化を促進し得る。したがって、この種のELR−CXCケモカインは、広範囲の急性および慢性炎症疾患の発生に重要な役割を果たす。これらの炎症としては、乾癬および関節リウマチが挙げられる。
さらに、ELR−CXCケモカインは、腫瘍発生に伴う血管新生に関連し、その誘導メカニズムは、この種のケモカイン、特にIL−8に関連して、内皮細胞(EC)上のCXCR1およびCXCR2とコンジュゲートすることによって生成される活性化である。現在、多くの異なる種類の腫瘍がELR−CXCケモカインを分泌し得、かつこれらのケモカインを過剰発現する腫瘍は、予後不良と関連することが証明されている。
CXCR1またはCXCR2とELR−CXCケモカインとの抗コンジュゲーションは、CXCR1または/およびCXCR2受容体の活性化によって誘導される異常なシグナル伝達が阻害されるように、2種の受容体を有する細胞の活性化に起因する関連疾患が処置されるように、実行可能なストラテジーである。従って、科学者は、CXCケモカインを阻害するための受容体タンパク質アナログを見出して調製することに努めている。
従って、出願人は、先行技術において遭遇する上記の状況に対処することを試みる。
発明の要旨
癌は先進国では最も一般的な死亡原因である。もし癌が早期に診断されれば、首尾よく処置される可能性は高い。癌の診断と処置にはかなりの進歩が見られているが、これらの薬物は深刻な副作用を引き起こすか、または無効である。したがって、癌の処置または癌の予防のための新規な方法または新規な組成物が必要とされている。
上記の問題を解決するために、本発明の一実施形態によれば、腫瘍増殖を阻害し、癌を処置するための改変されたケモカインが提供される。
本発明は、ペプチド配列を含む改変されたケモカインペプチドを提供する。ペプチド配列のN末端は、2つの特徴的な配列を含む。1つの特徴的な配列は、「(a)グルタミン酸(E)−ロイシン(L)−アルギニン(R)配列」であり、これは改変ケモカインペプチドのN末端に位置する。別の特徴的な配列は、「(b)プロリン(P)−アラニン(A)−セリン(S)−グルタミン(Q)−フェニルアラニン(F)−Cys配列」であり、これは、ケモカインペプチドのN末端から数えて、第3のシステイン(C)の上流に隣接する。改変されたケモカインペプチドは、(a)特徴的な配列、(b)特徴的な配列、および改変された位置を含む。上述の改変された位置は、改変されたケモカインペプチドのN末端から数えて17番目、12番目または13番目の位置にある。
一実施形態では、17位のフェニルアラニン(F)残基は、ロイシン(L)で置換されている。
一実施形態では、改変ケモカインペプチドの未改変前駆体は、起源のケモカインに由来する。起源のケモカインのN末端の最初の2つのシステインの間にゼロ〜2個のアミノ酸残基が位置し、かつアミノ酸残基の数が1〜2の場合、そのアミノ酸残基は電荷の有無の状態で極性を有する。
一実施形態では、起源のケモカインペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
一実施形態では、改変ケモカインペプチドは、配列番号10、配列番号11、および配列番号12から選択される。
本発明はまた、本発明の改変されたケモカインペプチドおよび薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物も提供する。
一実施形態では、この改変されたケモカインペプチドは、癌の処置または腫瘍増殖の阻害のために使用される。
本発明はさらに、治療有効量の本発明の改変されたケモカインペプチドおよび薬学的に許容される賦形剤を含む、癌を処置するため、または腫瘍増殖を阻害するための薬学的組成物を提供する。
一実施形態において、上記癌は、前立腺癌、乳癌、子宮癌、白血病、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、精巣癌、リンパ腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、膵臓癌、肺癌、脳腫瘍、皮膚癌、胃癌、口腔癌、肝臓癌、喉頭癌、胆嚢癌、甲状腺癌、肝臓癌、腎臓癌、または鼻咽頭癌を含む。
図1は、起源のケモカインペプチド配列(配列番号1〜9)に対する配列アラインメント、すなわちCXCR1または/およびCXCR2に対して高い親和性を有するELR−CXCケモカインのアミノ酸配列の比較を示す。 図2は、本発明における改変されたケモカインペプチド(配列番号10〜配列番号12)のアミノ酸配列に対する配列アラインメントの比較を示す。 図3は、本発明のCXCL8で最大量の細胞が遊走したことを示す。 図4は、遊走した細胞の数を示す。黒のバーは、走化性がCXCL8によって誘発されることを示す。灰色のバーは、ELR−CXCケモカインおよびCXCL8−IP10の両方による処置を表す。白いバーは、ELR−CXCケモカインおよび17LIP10の両方での処置を表す。 図5は、処置群(IL8−17LIP10;SEQ ID NO:12)およびプラセボ群(生理食塩水)の腫瘍容積を示す。 図6は、処置群(IL8−17LIP10)およびプラセボ群(生理食塩水)の腫瘍重量を示す。 図7は、処置群(IL8−17LIP10)およびプラセボ群(生理食塩水)の微小血管密度を示す。 図8は、CXCL8−IP10または生理食塩水の注射後の腫瘍容積を示す。A群には、500μg/kgのCXCL8−IP10を毎週4回注射した。B群には、500μg/kgのCXCL8−IP10を毎週2回注射した。C群には、250μg/kgのCXCL8−IP10を毎週2回注射した。D群には毎日100μlの生理食塩水を皮下注射した。 図9は、マウス肺から得られた腫瘍組織の外観の画像を示す。毎週4回、500μg/kg(i.p.)のCXCL8−IP10(図9A)または生理食塩水(図9B)を投与した24日後にマウスを屠殺して、肺組織を得た。矢印で示された白い部分は、肺に広がっている癌の病巣であった。 図10は、癌細胞におけるCXCR1およびCXCL8の発現レベルを示す。 図11は、走化性による本発明の拮抗作用の有効性を示す。 図12は、本発明の改変ケモカインペプチドをi.p.で異種移植片ヌードマウスモデルに投与する、プラセボ群と比較した腫瘍重量を示す。 図13は、本発明の改変ケモカインペプチドを投与した異種移植片ヌードマウスの全生存率を対照群と比較して示す。
発明の詳細な説明
本発明は、新規なケモカインを提供する。本発明の新規なケモカインは、CXCL1(配列番号3)、CXCL2(配列番号4)、CXCL3(配列番号5)、CXCL5(配列番号:6)、CXCL6(配列番号:7)、CXCL7(配列番号:8)、CXCL8(配列番号:2)およびhG31P(配列番号:1)などの、ELR−CXCケモカインまたはCXCR1もしくはCXCR2に対する高い結合親和性を有する物質に由来する。本発明においては、本発明におけるこの種のケモカインに応じて改変されており、これは主に、元の30sループ領域に置換されたPASQFの特徴的な配列に依存する(図1)。このPASQFは、非ELR−CXCケモカインであるCXCL10ケモカインにもともと存在する。
一実施形態では、本発明の改変ケモカインは、(a)「−N’−グルタミン酸(E)−ロイシン(L)−アルギニン(R)の特徴的な配列(これは、改変されたケモカインペプチドのN末端に位置する)、および(b)「−N’−プロリン(P)−アラニン(A)−セリン(S)−グルタミン(Q)−フェニルアラニン(F)−Cys」の特徴的な配列(これは、このケモカインペプチドのN末端から数えて、第3のシステイン(C)の上流に隣接する)を含む。本発明の改変ケモカインは、改変ケモカインペプチドのN末端から数えて17番目の位置に変異(改変)をさらに含むことに留意されたい。
一実施形態では、17位のもともとのアミノ酸残基はフェニルアラニン(F)であり、17番目のアミノ酸残基は、単一アミノ酸変異により非フェニルアラニン(F)アミノ酸に置換されている。他の実施形態において、17位のアミノ酸残基は、アラニン(A)、システイン(C)、セレノシステイン(U)、アスパラギン酸(D)、アスパラギン(N)、グルタミン酸(E)、グルタミン(Q)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、リジン(K)、ピロリシン(O)、メチオニン(M)、プロリン(P)、アルギニン(R)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、好ましくはロイシン(L)に置換されてもよい。アミノ酸置換のない起源のケモカインペプチドと比較して、改変されたケモカインは、より高い親和性を有し、かつ位置17で置換されたアミノ酸残基の後に腫瘍増殖を効果的に阻害することができた。
必要に応じて、本発明の例示的な実施形態では、本発明の改変ケモカインとしては、限定するものではないが、配列番号10、配列番号11および/または配列番号12が挙げられる(図2)。
例えば、配列番号10は、ELR−CXnXのアミノ酸の特徴的な配列の規則を満たすためにELR−CQCのN末端配列を含むだけでなく、オリゴペプチド配列Pro−Ala−Ser−Gln−Phe(PASQF)も有する。PASQFは、N末端から数えて3番目のシステイン(10192)の上流に置換された改変された配列であり、この第3のシステインは、PASQFオリゴペプチド配列のフェニルアラニンに隣接している。さらに重要なことには、17番目の位置のアミノ酸残基(第1の改変された位置)は、フェニルアラニンではなくロイシンである。
図2に示す配列によれば、ELR−CXCケモカインアナログの配列番号10、配列番号11および配列番号12は、PASQF改変配列を有し、これはケモカインペプチドのN末端から数えて三番目のシステイン(C)の上流に隣接している。さらに、本発明のケモカインの17位のアミノ酸残基は、ロイシンに変異されている。
本発明の改変ケモカイン、そのアナログおよびフラグメントは、血管新生に関連する疾患を処置し得る。血管新生関連の疾患としては、限定するものではないが、炎症性障害、慢性関節リウマチおよび乾癬、血管の不適切または不適当な侵襲に関連する障害、例えば、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、再狭窄および細胞増殖性障害/疾患、例えば、新生物、および癌関連障害(例えば、前立腺癌、乳癌、子宮癌、白血病、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、精巣癌、リンパ腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、膵臓癌、肺癌、脳腫瘍、皮膚癌、胃癌、口腔癌、肝臓癌、喉頭癌、胆嚢癌、甲状腺癌、肝臓癌、腎臓癌、または鼻咽頭癌)が挙げられる。
本発明の改変されたケモカインは、必要に応じて従来の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント、および所望のビヒクルを含む単位投薬製剤において、経口的に、口腔内に、非経口的に、吸入スプレーによって、直腸に、皮内に、経皮的に、または局所的に投与されてもよい。
本発明の改変されたケモカインは、単回投与で、24時間にわたる複数回投与で、または連続注入によって投与されてもよい。連続注入によって投与する場合、化合物は、限定するものではないが、静脈内重力ドリップ、静脈内注入ポンプ、埋め込み型注入ポンプ、または任意の局所経路などの当該分野で周知の方法によって供給されてもよい。処置の長さは、多くの要因、例えば、血管新生状態の持続期間および重症度に依存して変化する。本発明の改変されたケモカインを単独で、または他の薬剤と組み合わせて用いる被験体の処置は、血管新生が消失するまで継続されてもよいし、または処置は被験体の生涯にわたって続いてもよい。
別の実施形態では、本発明は、癌を治処置し、腫瘍を阻害するための薬学的組成物を提供する。薬学的組成物は、有効量の本発明の改変ケモカインまたはそのアナログおよび薬学的に許容される担体を含む。薬学的に許容される担体としては、溶媒、分散剤、コーティング、抗菌/抗真菌剤、等張剤、徐放性剤および/またはそのアナログを挙げてもよい。
1.細胞走化性
ボイデン(Boyden)チャンバーアッセイを用いて、LMVECの遊走を評価した。LMVECを、2%FCSを含むHuMedia−EB2上で、8時間培養した。細胞を、1.2×10細胞/cmの密度で、10μg/mlのフィブロネクチンでコーティングしたポリカーボネート膜(Sigma−Aldrich)上に播種した。10ng/mlのCXCL8、CXCL6、CXCL1、CXCL5、およびCXCL8−IP10またはIL8−F17LIP10を、それぞれ、ボイデンチャンバーの底に添加した。LMVECを、Boydenチャンバー上で37℃で4時間培養し、次いでDiff−Quick(Harleco)で固定して染色した。遊走した細胞の数を、HPF(X200)によってカウントした。
この結果によって、ケモカインCXCL8が存在する場合、多量の細胞が遊走したことが示される(図3)。
図4において、黒のバーはケモカイン誘導を示し、灰色のバーはケモカインおよびCXCL8−IP10の併用処置を示しており、白いバーはケモカインおよびIL8−17LIP10(SEQ ID NO:12)による同時処置を示す。図4によれば、CXCL8−IP10およびIL8−17LIP10の両方とも、細胞遊走を阻害する効果を有し、IL8−17LIP10は、CXCL8−IP10より良好な細胞遊走阻害効果を有する。
2.投与された改変ケモカインペプチドによる異種移植片腫瘍を保有するBALB/cヌードマウスにおける抗腫瘍効果
BALB/cヌード雄性マウス(Bltw:NU−Foxn1nu、4〜6週齢)を入手して、特定の病原体のない条件下で、層流キャビネット内で飼育した。動物は自由に水道水および標準的なペレット食品にアクセスし、その健康状態を毎日モニターした。ヌードマウス異種移植アッセイのために、単層培養したGFP陽性PC3細胞(PC−3−GFP)を採取し、3匹のヌードマウスの右脇腹にマウス1匹につき5×10細胞を皮下接種した。2〜4週間後、移植のために腫瘍を採取した。実験の最後に、これらの3匹のマウス由来の腫瘍異種移植片を、リセット(reset)し、スライスし(1mm切片)、次いで、局所麻酔および滅菌手術条件下で、レシピエントのヌードマウスの前立腺組織に移植した。全部で24匹の動物が移植物を受けた。5日後(0日目)、その動物を、100μlの生理食塩水(対照群)または本発明の配列(配列番号12(IL8−17LIP10)、0.5mg/kg)(実験群)で24日間の皮下注射について、2つの群に分類した(12匹の動物/群)。成長腫瘍のGFP蛍光画像を、515nm発光フィルターを備える解剖顕微鏡の光学的構成の下で、デジタルカメラを用いて12、18および24日に撮影した。腫瘍容積は、式:容積=(長さ×幅)/2を用いて算出した。24日目に、全てのマウスを屠殺して、腫瘍のGFP蛍光画像を撮影した。血管の微小血管密度は、式:密度=微小血管長/腫瘍面積を用いて算出した。各マウス由来の腫瘍サンプルを、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、その後の免疫組織化学分析のための標準的な手順を用いてパラフィンに包埋した。
その結果によって、12、18および24日目に処置(実験)群およびプラセボ(対照)群の腫瘍容積が示される(図5)。図5によれば、本発明の配列(IL8−17LIP10;SEQ ID NO:12)は、腫瘍増殖を効果的に阻害する。処置群の腫瘍容積は、プラセボ群と比較して5倍を超えて低下した。プラセボ群と比較して処置群について腫瘍容積のこの明らかな阻害は持続し、経時的にさらに顕著になった。
その結果によって、24日目に処置(実験)群およびプラセボ(対照)群の腫瘍重量が示される(図6)。図6によれば、本発明の配列(IL8−17LIP10)は腫瘍増殖を効果的に阻害し、腫瘍重量は2倍を超えて減少した。
3.異種移植腫瘍組織の免疫組織化学的分析
パラフィン包埋前立腺癌異種移植切片を脱ろうし、PBSに再水和した。詳細には、切片をPBSで3回リンスし、10mMのクエン酸ナトリウム(pH6.0)中で15分間熱処理した。3%の過酸化水素で10分間処理することにより、内因性ペルオキシダーゼ活性をブロックした。切片を、PBSを用いて繰り返し3回すすぎ、タンパク質ブロッキング溶液(PBS中に5%正常ウマ血清、pH7.5)と共に室温で15分間インキュベートし、PBSで3回洗浄し、次いでマウスモノクローナル抗VEGF抗体(1:50)、ウサギポリクローナル抗NF−κB抗体、またはヤギポリクローナル抗CD31抗体(1:50)とともに、4℃で20時間インキュベートした。反応後、切片をPBSで3回洗浄し、二次抗体の適切な希釈物とともに、37℃で40分間インキュベートした。PBSで3回洗浄した後、切片をビオチン化ヤギ抗マウスまたは抗ウサギ抗ヤギポリ免疫グロブリンと共に暗所で30分間インキュベートした。発色のために、切片を、PBSを用いて3回洗浄し、ジアミノベンジジン溶液中で10分間インキュベートし、次いでヘマトキシリンで1分間対比染色した(Kollmarら、2007)。陰性対照の切片を、一次抗体の代わりにPBSとともにインキュベートした。染色された切片の強度は、撮影された切片をグレースケール(スケール0〜255)に変換した後に測定し、Image−Pro 6.0 Microsoftを使用して計算した集積光学濃度(IOD)で表した。各群について、5つのマウス腫瘍異種移植片を分析した。異なる切片で無作為に選択された、1つの腫瘍あたり5つの撮影された切片を用いて、あらゆる腫瘍異種移植のグレイ値を平均した(Csillik et al.,2005)。CD31の免疫組織化学的分析を用いて微小血管密度を測定し、微小血管密度の測定値は、Image−Pro 6.0 Microsoftを使用して算出した、微小血管面積の平均パーセンテージを表している。
その結果によって、プラセボ(対照)群および処置(実験)群の微小血管密度が示される(図7)。図7によれば、本発明の配列(IL8−17LIP10)は、前立腺癌異種移植ヌードマウスの血管新生を効率的に阻害する。
4.投与された改変ケモカインペプチドによる、異種移植腫瘍を保有するC57BL/6ヌードマウスにおける抗腫瘍効果
C57BL/6ヌードマウスを、特定の病原体の下で層流キャビネット内で飼育した。動物は自由に水道水および標準的なペレット食品にアクセスし、その健康状態を毎日モニターした。5×10個の細胞のLLW2細胞(ルイス肺癌)を、マウス1匹あたり5×10個の細胞を用いて3匹のマウスの右四半分に注射した。2〜4週間後、移植のために腫瘍を採取した。この例では、24匹のマウスに移植した。移植の5日後、24匹のマウスを4つの群(1群6匹)に分類した。A群:500μg/kgのCXCL8−IP10の週4回の投与。B群:500μg/kgのCXCL8−IP10の週2回の投与。C群:250μg/kgのCXCL8−IP10の週2回の投与。D群:100μlの生理食塩水を毎日皮下投与した。腫瘍容積は、式:容積=(長さ×幅)/2を用いて算出した。24日目に、全てのマウスを屠殺し、腫瘍のGFP蛍光画像を撮影した。血管の微小血管密度は、式:密度=微小血管長/腫瘍面積を用いて算出した。各マウスの腫瘍サンプルを、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、その後の免疫組織化学分析のために標準的な手順を用いてパラフィンに包埋した。
図8によれば、A群が腫瘍増殖阻害において最高の改善を示す。24日目に、全てのマウスを屠殺して腫瘍容積を算出した。D群と比較して、CXCL8−IP10(500ug/kg)で1週間に4回処置した腫瘍容積は、A群と比較して30%減少していた。その結果、CXCL8−IP10は、腫瘍増殖の有意な阻害を有したことが示される。
図9によれば、腫瘍転移は、CXCL8−IP10によって有意に抑制された。500μg/kgのCXCL8−IP10を週に4回(図9A)または生理食塩水(図9B)を投与した後、マウスを24日目に屠殺にして肺を得た。矢印で示された白い部分は、肺に広がっている癌の病巣であった。CXCL8−IP10の投与後、マウス肺で転移性の病巣は生じなかった。
5.好中球走化性アッセイ
好中球の走化性は、改善されたボイデンチャンバーマイクロ走化性アッセイによって評価した。白血球は、一般的な濃度勾配により末梢血から採取した。好中球は、低濃度勾配領域の底から得て、赤血球混入は低張溶解によって除去した。精製した好中球(5×10/ml)をHBSS溶液(400mg/LのKCl、60mg/LのKHPO、8000mg/L、NaCl、350mg/LのNaHCO、90mg/LのNaHPO7HOおよび1000mg/Lのグルコース)に再懸濁し、次いで、Calcein AM(Invitrogen、Stockholm、Sweden)培地中で37℃で30分間培養した。ケモカイン(例えば、20ng/mlのCXCL8)を、下部チャンバー上で、単独で、または他のアンタゴニスト(例えば、IL8−IP10F17L)と組み合わせて配置し、精製した好中球を上部チャンバー上に置いた。5μmの細孔径のポリカーボネートフィルターを使用して、上部および下部チャンバーを分けた。細胞を5%CO加湿雰囲気中で、37℃で30分間培養した後、未遊走細胞およびフィルターを除去し、遊走した細胞を溶解して、VICTOR3(Perkin−Elmer、UK、励起:485nm;発光:530nm)を用いて分析した。細胞遊走のパーセンテージは、走化性指数(chemotaxis index:CI)の値によって示された。CI=(アンタゴニスト強度−HBSS強度)/(CXCL8強度−HBSS強度)×100%であり、ここで「アンタゴニスト強度」は、アンタゴニストによって引き起こされる細胞遊走であり、「CXCL8強度」は、CXCL8によって引き起こされる細胞遊走であり、かつ「HBSS強度」は、重力によって引き起こされる細胞遊走である。
6.腫瘍細胞におけるCXCR1/2およびCXCL8遺伝子の発現レベル
癌細胞株のRNA(表1)を、TRIzol試薬(Invitrogen、America)により、それぞれ標準的な手順を用いて抽出し、RNAをNanoDrop(登録商標)ND−1000分光光度計で定量した。cDNA逆転写キット(Prime Script(商標)RT試薬キット、タカラ、日本)を用いて、サンプルのRNAの逆転写を行い、そのサンプルを氷上に置いた後、遺伝子発現分析を行った。GAPDHは、内部対照群であった。RT−PCR反応は、SYBR(Premix Ex Taq(商標)、タカラ、日本)で行い、ここでは、CXCLのプライマーは:5’−gagcactccataaggcacaaa−3’(フォワード)および5’−atggttccttccggtggt−3’(リバース)を、CXCL8について;5’−gaccaacatcgcagacacat−3’(フォワード)および5’−tgcttgtctcgttccacttg−3’(リバース)をCXCR1について;5’−ggctaagcaaaatgtgatatgtacc−3’(フォワード)および5’−caaggttcgtccgtgttgta−3’(リバース)をCXCR2について含んだ。
遺伝子発現は以下の式により算出した:遺伝子発現=2−ΔΔCt
図10は、腫瘍細胞における高いCXCR1発現を、部分的にRT−PCRによって示す。多くの腫瘍細胞は、CXCR1およびCXCR2受容体の物質であるCXCL8を高度に発現した。したがって、CXCR1/2アンタゴニストは、腫瘍増殖および転移を阻害するために使用してもよい。
図11は、アンタゴニストのより多くの設計を示す。CXCL8−IP10ペプチドの第1の改変位置および/または第2の改変位置および/または第3の改変位置のアミノ酸残基(単数または複数)を変更して、CXCR1/2によって誘導されるアンタゴニスト特性を改善した。これらのアンタゴニストは、CXCR1/2受容体の発現を効率的に抑制するか、または腫瘍細胞において、高いサイトカイン発現(CXCL1、2、3、5、6、7、および8など)に関連した、腫瘍増殖、薬物耐性、転移および血管新生を阻害した。
実施例7.投与された改変ケモカインペプチドによる異種移植腫瘍を有するヌードマウスにおける抗腫瘍効果および生存率
ヌードマウス(4〜6週齢)は、国立実験動物センター(台湾)から購入した。PC9細胞を採取し、滅菌リン酸緩衝食塩水中に1×10 細胞/mlの密度で再懸濁した。実験群では、PC9細胞を、IL8T12SIP10、CXCL5T12SIP10、IL8T12S、およびCXCL5T12Sを含む改変ケモカインペプチド200μg/mlで前処理した。1×10 個のPC9細胞(混合等容積マトリゲル)を、マウスの背部(対照群、IL8T12SIP10群、およびCXCL5T12SIP10群について10匹のマウス;その他はIL8T12S群およびCXCL5T12S群について3匹のマウス)に皮下注射した。次いで、改変ケモカインペプチド(500μg/kg)またはPBS(対照群)を、週3日毎に腹腔内注射により投与した。全てのマウスを21日目に屠殺した。
結果によって、21日目の実験群および対照群の腫瘍重量が示される(図12)。図12によれば、本発明の配列(「IL8T12SIP10」および「CXCL5T12SIP10」)は、腫瘍増殖を効果的に阻害することが可能で、腫瘍重量は2倍を超えて低下した。
一方、投与された改変ケモカインペプチド、例えば、限定するものではないが、「IL8T12SIP10」および「CXCL5T12SIP10」の投与による異種移植片腫瘍を有するヌードマウスの生存日数は、明らかに対照群よりも長かった(図13)。
上述のように、本発明の改変されたケモカインは効率的に、腫瘍増殖および血管新生を阻害し、癌を処置し得る。
要約すると、本発明の改変ケモカインによって、起源のケモカインペプチドのN末端から数えて、3番目のシステイン(C)の上流に隣接する「プロリン(P)−アラニン(A)−セリン(S)−グルタミン(Q)−フェニルアラニン(F)」特徴的配列(すなわち、「IP10」)が示された。すなわち、「PASQF」特徴的配列は、第3のシステイン(Cys )と、第3のシステインから1アミノ酸後方のアミノ酸残基との間に位置する。
他方、本発明は、配列番号1の17番目のアミノ酸残基が、改変されることを実証した。すなわち、N末端からの起源のケモカインペプチドの第1のヒスチジン(H)により1アミノ酸が後方に移動することを意味する「改変アミノ酸残基の1つ」の位置が修飾されるであろう。例えば、一実施形態では、F17LおよびF17Vが表された。
さらに、本発明は、配列番号1の12番目のアミノ酸残基が改変されることを実証した。すなわち、「別の修飾アミノ酸残基」の位置は、「グルタミン酸(E)−ロイシン(L)−アルギニン(R)」特徴的配列C末端に向かって数えた起源のケモカインペプチドの第1トレオニン(T)(すなわち、N末端からの配列番号1の第4位、第5位、第6位)に位置し、改変される。例えば、一実施形態ではT12Sが示された。
さらに、本発明は、配列番号1の13番目のアミノ酸残基が改変されることを実証した。すなわち、「改変アミノ酸残基の他方」の位置とは、上記の「改変アミノ酸残基のもう一方」からC末端に向かって、起源のケモカインペプチドに沿って前方に移動するアミノ酸の1つを改変することを意味する。例えば、一実施形態では、Y13FおよびY13Wが表されている。
要約すると、配列番号12は、IL8−17LIP10も表す。IL8−17LIP10の「17L」は、ロイシンで置換された起源ケモカインペプチドの17番目のアミノ酸残基のアミノ酸残基を意味する。IL8−17LIP10の「IP10」は、「PASQF」特徴的配列を意味する。
本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約書および図面を含む)に開示された各特徴は、他に明示的に記載されていない限り、同じ、等価または同様の目的を果たす代替の特徴によって置き換えられてもよい。したがって、別段明記しない限り、開示された各特徴は、等価または同様の特徴の一般的なシリーズの一例に過ぎない。
示したとおり、これらの変更は、本発明の図示された実施形態の前述の説明を考慮して本発明に対してなされてもよく、本発明の精神および範囲内に含まれるべきである。したがって、本発明は、その特定の実施形態を参照して本明細書に記載されているが、上記の開示では、ある自由度の修正、様々な変更、および置換が意図されている。いくつかの例では、本発明の実施形態のいくつかの特徴は、記載された本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、他の特徴の対応する使用なしに採用されることが理解されよう。したがって、特定の状況または材料を本発明の本質的な範囲および趣旨に適合させるために、多くの改変が行われ得る。

Claims (12)

  1. ペプチド配列を含む改変されたケモカインペプチドであって、ここで前記ペプチド配列のN末端が:
    (a)「グルタミン酸(E)−ロイシン(L)−アルギニン(R)」配列であって、A特徴の配列として定義され、ここで前記A特徴の配列は、前記改変されたケモカインペプチドのN末端に位置する配列と;
    (b)「プロリン(P)−アラニン(A)−セリン(S)−グルタミン(Q)−フェニルアラニン(F)−Cys」配列であって、B特徴の配列として定義され、ここで前記B特徴の配列は、ケモカインペプチドのN末端から数えて3番目のシステイン(C)の上流に隣接している配列と、
    を含み、かつ
    ここで、前記改変されたケモカインペプチドは、A特徴の配列、B特徴の配列、および改変された位置からなり、ここで前記改変された位置は、改変されたケモカインペプチドのN末端から数えて17番目、12番目、または13番目の位置に位置する、改変されたケモカインペプチド。
  2. 前記改変されたケモカインペプチドのN末端から17番目の位置のフェニルアラニン(F)が、ロイシン(L)、バリン(V)、またはイソロイシン(I)で置換されている、請求項1に記載の改変されたケモカインペプチド。
  3. 前記改変されたケモカインペプチドのN末端から12番目の位置のトレオニン(T)が、セリン(S)で置換されている、請求項1に記載の改変されたケモカインペプチド。
  4. 前記改変されたケモカインペプチドのN末端から13番目の位置のチロシン(Y)が、ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、またはイソロイシン(I)で置換されている、請求項1に記載の改変されたケモカインペプチド。
  5. 前記改変されたケモカインペプチドの未改変の前駆体が、起源のケモカインペプチドに由来し、ここで前記起源のケモカインペプチドが、N末端から第一のシステインと第二のシステインとの間に位置する、ゼロ〜2個のアミノ酸残基(単数または複数)を有し、かつ前記アミノ酸残基(単数または複数)が、前記アミノ酸残基の数が1〜2個である場合に荷電の有無の極性を有する、請求項1に記載の改変されたケモカインペプチド。
  6. 前記起源のケモカインペプチドが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項5に記載の改変されたケモカインペプチド。
  7. 前記改変されたケモカインペプチドが、配列番号10、配列番号11、および配列番号12から選択される、請求項1に記載の改変されたケモカインペプチド。
  8. 請求項1に記載の改変されたケモカインペプチドおよび薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物。
  9. 前記改変されたケモカインペプチドが、癌を処置するため、または腫瘍増殖を阻害するために用いられる、請求項8に記載の薬学的組成物。
  10. 治療上有効な量の請求項1に記載の改変されたケモカインペプチドおよび薬学的に許容される賦形剤を含む、癌を処置するため、および腫瘍増殖を阻害するための薬学的組成物。
  11. 前記癌が、前立腺癌、乳癌、子宮癌、白血病、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、精巣癌、リンパ腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、膵臓癌、肺癌、脳腫瘍、皮膚癌、胃癌、口腔癌、肝臓癌、喉頭癌、胆嚢癌、甲状腺癌、肝臓癌、腎臓癌、または鼻咽頭癌を含む、請求項10に記載の薬学的組成物。
  12. 前記癌が、CXCR1/2発現、またはCXCL8、CXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、CXCL6およびCXCL7からなる多量のケモカインを有する細胞によって特徴付けられ、ここで前記癌が、ケモカイン受容体を発現する癌細胞によって特徴付けられる、請求項11に記載の薬学的組成物。
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