JP2018517236A - バイポーラ膜を有するフロー電池用バランシングセル及びその使用法 - Google Patents

バイポーラ膜を有するフロー電池用バランシングセル及びその使用法 Download PDF

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Abstract

【課題】フロー電池や他の電気化学システムの動作条件下では、水素の発生や酸素による酸化等の寄生反応が起きる場合がある。そのような寄生反応は、フロー電池の一方又は両方の電解液のpH、充電状態、又はその両方を変化させて、フロー電池の動作性能に悪影響を与えるおそれがある。
【解決手段】このような寄生反応の影響に対処するように構成された電気化学的バランシングセルは、第1の電極を収容する第1のチャンバと、第2の電極を収容する第2のチャンバと、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に配置される第3のチャンバと、前記第1のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第1の界面を形成するイオン選択膜と、前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第2の界面を形成するバイポーラ膜と、を備え得る。そのような電気化学的バランシングセルは、フロー電池の少なくとも1つの半電池と流体連通するように配置することができる。
【選択図】図3A

Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条に基づき、2015年4月14日に出願した米国特許仮出願第62/147,034号の優先権の利益を主張するものであり、そのすべての内容は参照することにより本出願に組み込まれる。
連邦政府資金による研究開発に関する記載
該当なし。
本開示は、一般にエネルギー貯蔵に関し、より具体的には、フロー電池用の電気化学的バランシングセル及びその使用法に関する。
電池やスーパーキャパシタ等の電気化学エネルギー貯蔵システムに関しては、大規模なエネルギー貯蔵用途で幅広い提案が行われている。この目的のため、これまでフロー電池等の様々な電池設計が検討されてきた。フロー電池は、電力密度のパラメータとエネルギー密度のパラメータとを互いに切り離すことができるため、他の種類の電気化学エネルギー貯蔵システムと比べて特に大規模用途で有利であり得る。
一般に、フロー電池とは、負の活物質と正の活物質とをそれぞれ対応する電解液中に含み、これらの電解液が、負極と正極とを有する電気化学セル内において膜すなわちセパレータの両側をそれぞれ別々に流れるものである。フロー電池は、これら2つの半電池内部で起こる活物質の電気化学反応によって充放電される。本明細書において、「活物質(active material)」、「電気活物質(electroactive material)」、「レドックス活物質(redox-active material)」という用語又はこれらの変化形は、フロー電池又はそれに類する電気化学エネルギー貯蔵システムの動作中(すなわち、充放電中)に酸化状態が変化する物質を指す用語として同義的に用いられる。
フロー電池は、大規模なエネルギー貯蔵用途に有望ではあるが、いくつかある要因の中でも特に、エネルギー貯蔵性能(例えば、往復(round trip)エネルギー効率)の不足や短いサイクル寿命といった問題に悩まされることが多かった。これまでの多大な研究努力にもかかわらず、商業的価値のあるフロー電池技術は未だ開発されていない。以下に、不十分なエネルギー貯蔵性能や、短いサイクル寿命、さらには他の性能劣化要因の原因となる特定の問題について説明する。
フロー電池の各半電池内の活物質の酸化と還元のバランスがとれた酸化・還元反応は、充放電サイクル中のフロー電池の正常な動作に寄与するため、望ましい電気化学反応である。本明細書では、このような反応を「生産的反応(productive reaction)」と呼ぶ場合がある。フロー電池やこれに類似する電気化学システムの2つの半電池の一方又は両方の内部では、望ましくない寄生反応が起きる場合もある。本明細書において、「寄生反応(parasitic reaction)」という用語は、生産的反応と共に起こる任意の副次的な電気化学反応を指す。
寄生反応は、電解液中の活物質以外の成分が関与するものであり得る。活物質の電気化学反応であっても、その反応の結果、その活物質が可逆的な酸化還元反応を起こすことができなくなるようなものも、性質上、寄生的であると考えることができる。水系電解液中で一般的に起こる寄生反応は、水素の発生、酸素による酸化、又はその両方である。例えば、水素の発生によって、電気化学システムの正の電解液を変化させずに負の電解液を少なくとも部分的に放電させてしまう場合がある。さらに深刻なのは、寄生反応によって電解液のpHが変化する場合があり、これにより活物質が不安定になるおそれがあることである。例えば、水素の発生によって、プロトンが消費されて電解液のpHが上昇してしまう場合がある。非水系の電解液においても同様に、望ましくない寄生反応の過程で電解質溶媒が酸化又は還元を受けてしまう場合がある。さらに、水系電解液と非水系電解液のいずれにおいても、寄生反応の影響が、電極材料や他のセルコンポーネントにも及ぶ場合(例えば、炭素又は金属の腐食、セパレータの酸化等)がある。
寄生反応によって放電が生じることにより、フロー電池の動作効率や他の性能パラメータが低下してしまう場合がある。一方の半電池において、他方の半電池よりも強い寄生反応が起これば、負の電解液と正の電解液との間に充電状態のアンバランスが生じる場合がある。「充電状態(state of charge)」(SOC)という用語は、よく理解されている電気化学エネルギー貯蔵用語であり、本明細書では、電気化学システムのある半電池内の電極における還元種と酸化種の相対量を指す。フロー電池の両電解液の間に電荷のアンバランスが生じると、一方の電極において物質移動が制限され、これにより往復の動作効率が低下する可能性がある。電荷のアンバランスは、充放電サイクルが完了する度に増大する可能性があるため、寄生反応によってフロー電池の性能の低下が進行してしまうおそれがある。
このような寄生反応の影響に対処するために、電解液の一方又は両方において電荷バランスを回復することができる。現在、様々な電解液の電荷バランス回復戦略が用意されているものの、いずれも、実行するのが難しかったり、高コストであったり、時間がかかるものであった。例えば、電解液中の活物質の還元種と酸化種それぞれの濃度を正しく求めるのは、それだけでも難しい作業であり、これにより電荷バランスの回復プロセスがさらに困難なものとなっている。それでも、電荷バランスの回復は、充分な注意を払えば実現できる場合が多い。
これに対して、寄生反応に伴うpHの変化の方が、はるかに対処が難しいと考えられる。プロトンや水酸化物イオンのわずかな濃度変化によって、劇的なpH変動が起こる場合があり、これが一部の活物質には問題となるおそれがある。適切な方法でpH変化に対処しなければ、電解液の耐用年数が大幅に損なわれかねない。ただし、外来の酸又は塩基を添加することによって電解液のpHを調整するのは、活物質のイオン強度や濃度を変化させてしまうため望ましくない場合がある。さらに、寄生反応の速度は非常に変動しやすいため、電解液において所望のpHウィンドウを維持するのに十分な速度で外来の酸又は塩基を添加するのは、時に困難であり得る。寄生反応によって起こるpH変化は電解液内で累積され得るため、緩衝剤は、pH変化がその緩衝能を上回るまでの一時的な予防策にしかならない可能性がある。
以上のことを考慮すれば、フロー電池やこれに類似する電気化学システムの代替的なバランス回復戦略は、当技術分野において非常に望ましいと考えられる。本開示は、上記のニーズを満たすと共に関連する利点も提供するものである。
いくつかの実施形態では、本開示は、第1の電極を収容する第1のチャンバと、第2の電極を収容する第2のチャンバと、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に配置される第3のチャンバと、前記第1のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第1の界面を形成するイオン選択膜と、前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第2の界面を形成するバイポーラ膜と、を備える電気化学的バランシングセルを提供する。
他の種々の実施形態では、本開示のフロー電池システムは、第1の電解液を含む第1の半電池と、第2の電解液を含む第2の半電池と、を備え、前記第1の半電池及び前記第2の半電池のうち少なくとも一方と、電気化学的バランシングセルと、が流体連通している。該電気化学的バランシングセルは、第1の電極を収容する第1のチャンバと、第2の電極を収容する第2のチャンバと、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に配置される第3のチャンバと、前記第1のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第1の界面を形成するイオン選択膜と、前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第2の界面を形成するバイポーラ膜と、を備える。
また、本開示には、フロー電池におけるpH変化を緩和する方法も記載されている。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の電極を収容する第1のチャンバと、第2の電極を収容する第2のチャンバと、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に配置される第3のチャンバと、前記第1のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第1の界面を形成するイオン選択膜と、前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第2の界面を形成するバイポーラ膜と、を備える電気化学的バランシングセルを設けることと、第1の活物質を含有する第1の電解液を前記第3のチャンバに導入することと、水又は水溶液を前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバにそれぞれ独立に導入することと、前記第2の電極を正極とし、前記第1の電極を負極として、前記電気化学的バランシングセル内に電流を誘起するように、前記電気化学的バランシングセルに電位を印加することと、前記バイポーラ膜において、水をプロトンと水酸化物イオンとに変化させることと、を含む。前記プロトンは、前記第3のチャンバ内の前記第1の電解液に移動し、前記水酸化物イオンは、前記第2のチャンバ内の前記水又は水溶液に移動する。さらなる実施形態では、本方法は、前記第1の電解液を前記電気化学的バランシングセルとフロー電池との間で移動させることをさらに含む。
他の実施形態では、本方法は、第1の電極を収容する第1のチャンバと、第2の電極を収容する第2のチャンバと、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に配置される第3のチャンバと、前記第1のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第1の界面を形成するイオン選択膜と、前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第2の界面を形成するバイポーラ膜と、を備える電気化学的バランシングセルを設けることと、第1の活物質を含有する第1の電解液を前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバに導入することと、水系電解液を独立に前記第3のチャンバに導入することと、前記第2の電極を正極とし、前記第1の電極を負極として、前記電気化学的バランシングセル内に電流を誘起するように、前記電気化学的バランシングセルに電位を印加することと、前記バイポーラ膜において、水をプロトンと水酸化物イオンとに変化させることと、を含む。前記プロトンは、前記第3のチャンバ内の前記水系電解液に移動し、前記水酸化物イオンは、前記第2のチャンバ内の前記第1の電解液に移動する。さらなる実施形態では、本方法は、前記第1の電解液を前記電気化学的バランシングセルとフロー電池との間で移動させることをさらに含む。
上述の記載は、以下の詳細な説明をより良く理解できるように、本開示の特徴をやや大まかに概説したものである。以下に、本開示のさらなる特徴及び利点を説明する。上記及び上記以外の利点や特徴は、以下の説明からさらに明らかになるであろう。
本開示及びその利点のより完全な理解のために、以下に、本開示の具体的な実施形態を示す添付の図面と併せて読まれるべき説明を記す。
単一の電気化学セルを備える例示的なフロー電池の概略図である。 本開示の例示的な電気化学的バランシングセルを示す図である。 フロー電池の一例を図2の電気化学的バランシングセルに流体接続する例示的な構成を示す図である。 フロー電池の一例を図2の電気化学的バランシングセルに流体接続する例示的な構成を示す図である。 フロー電池の一例を図2の電気化学的バランシングセルに流体接続する例示的な構成を示す図である。 フロー電池の一例を図2の電気化学的バランシングセルに流体接続する例示的な構成を示す図である。 図2の電気化学的バランシングセルに電位を印加して、同セルの第3のチャンバに電解液を導入し、同セルの第1のチャンバ及び第2のチャンバに水又は水溶液を導入した状態を示す図である。 図2の電気化学的バランシングセルに電位を印加して、同セルの第1のチャンバ及び第2のチャンバに電解液を導入し、同セルの第3のチャンバに別の水系電解液を導入した状態を示す図である。
本開示は、部分的には、電解液のpHを調整することができる電気化学的バランシングセルに関する。また、本開示は、部分的には、電解液のpHを調整することができる電気化学的バランシングセルと流体連通するフロー電池に関する。また、本開示は、部分的には、電気化学的バランシングセルを用いた電解液のpH調整方法に関する。
本開示は、添付の図面及び例に関連付けて以下の記載を参照することによって、さらに容易に理解することができる。添付の図面及び例はいずれも本開示の一部をなす。本開示が本明細書に記載及び/又は図示する具体的な製品、方法、条件、又はパラメータに限定されないことを理解されたい。本明細書で用いる用語は、単に一例としての特定の実施形態を説明するためのものであって、特に明記しない限り、限定を意図するものではない。同様に、特に言及しない限り、本明細書内において、ある組成物に対する説明はいずれも、該組成物の固体、液体の双方を対象とすることを意図しており、さらに、該組成物を含有する溶液及び電解液、及びそのような溶液及び電解液を含む電気化学セル、フロー電池、及びその他のエネルギー貯蔵システムをも対象とすることを意図している。また、本開示において、電気化学セル、フロー電池、又は他のエネルギー貯蔵システムについて説明していると考えられる場合には、電気化学セル、フロー電池、又は他のエネルギー貯蔵システムを動作させる方法についても暗に説明しているものと認識されたい。
また、本明細書では、分かりやすくするため、本開示のいくつかの特徴を別個の実施形態と関連させて記載しているが、これらの特徴を相互に組み合わせて、単一の実施形態において備えることができるものと認識されたい。すなわち、明らかに両立できないか又は明示的に排除される場合を除いて、個々の実施形態は1以上の他のいずれかの実施形態と組み合わせることができると考えられ、そのような組み合わせは全く別の実施形態であると見なされる。逆に、簡潔にするため、本開示の種々の特徴を単一の実施形態に関連させて説明する場合があるが、これらの特徴を、別々に又は任意のより小さい組み合わせで備えることも可能である。さらにまた、ある特定の実施形態を一連のステップの一部として又はより包括的な構造の一部として記載する場合があるが、各ステップ又は各下位構造はそれ自体を独立した実施形態と見なすことも可能である。
特に言及しない限り、要素をリストアップしている場合には、リストアップした各要素及び同リスト内の各要素のすべての組み合わせをそれぞれ別個の実施形態として解釈すべきものと理解されたい。例えば、「A、B又はC」と示される実施形態のリストは、「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」又は「A、B又はC」という実施形態を含むものとして解釈される。
本開示において、文脈上明らかに他の意味を示す場合を除き、単数の冠詞「a(1つの)」、「an(1つの)」及び「the(その/前記)」は、対応する複数に対する言及も包含するものであり、特定の数値に対する言及は、少なくともその特定の値を包含するものである。このため、例えば「a material(1つの物質)」は、そのような物質及びその均等物のうち少なくとも1つを指す。
一般に、「約」という用語を使用する場合、開示する主題が達成しようとする所望の特性に応じて変動する可能性のある近似値を示し、機能に基づいて状況に応じて解釈されるべきものである。従って当業者であれば、個々の状況に応じてある程度の変動範囲を汲み取ることができるであろう。「約」という用語が許容する変動を規定する代表的な技法として、特定の値を表す際に有効桁数を使用することが考えられる。あるいは、「約」という用語が許容する変動範囲を、一連の値に段階を設けることによって規定することもできる。さらに、本開示におけるすべての範囲は上下限値を含みかつ連結可能であり、ある範囲で規定される値に対して言及する場合、その言及は範囲内のすべての個々の値を包含するものである。
上述のように、高い効率値を維持しながら大規模に動作することができるエネルギー貯蔵システムが非常に望ましい場合がある。フロー電池はこの点で大きな関心を集めてきたが、その動作特性にはまだかなり改善の余地が残されている。フロー電池の動作効率を低下させ得る要因の1つが、寄生反応である。フロー電池内で発生し得る寄生反応の種類としては、例えば、水素の発生や酸素による酸化を挙げることができる。水素の発生は、pH変化を伴うため特に問題となり得る。寄生反応はまた、電解液の一方又は両方を部分的に放電させる場合があり、これには、充電状態をアンバランスにしてしまう潜在的可能性がある。ただ、アンバランスな充電状態は、厄介ではあるが、充分な注意を払えば対処できる場合が多い。電解液のpH変化に関連する問題の方が、はるかに解決が難しいと考えられる。
フロー電池の性能を向上させることができる1つの方法として、配位錯体を一方又は両方の電解液中の活物質として組み込むことが挙げられる。本明細書において、「配位錯体(coordination complex)」、「配位化合物(coordination compound)」及び「金属−配位子化合物(metal-ligand compound)」という用語は、共有結合により金属が1つ以上の配位子に結合した任意の化合物を指す。配位錯体は、フロー電池の動作性能を向上させることができるものの、後述するように、特にpH変化の影響を受けやすい場合がある。
寄生反応は、いずれの種類のフロー電池にとっても望ましいものではない可能性があるが、水素の発生に伴うpH変化は、特に配位錯体を含有する電解液で問題となり得る。多くの場合、配位錯体のような物質は、狭いpHウィンドウ内でのみ安定であり得るが、電解液中に少量でもプロトン又は水酸化物イオンが発生すると、激しいpH変動が起こる可能性があるため、フロー電池の動作性能が低下してしまうおそれがある。さらに、電解液のpH調整によって、イオン強度の変化、活物質の濃度低下、又はその両方が引き起される可能性があるため、電解液のpH調整の管理は厄介なものとなる可能性がある。pH変化を未然に防ぐために緩衝剤を利用できる場合もあるが、すべての場合に利用できるわけではなく、又、電解液をその予想耐用年数にわたって使用可能な状態に保つのに十分な緩衝能を発揮することはできないかもしれない。
寄生反応に加えて、フロー電池の一方の半電池から他方の半電池への活物質のクロスオーバーによって、混入側の電解液内で望ましくない放電とそれに伴うpH変化が起こる場合もある。クロスオーバーの間に活物質が混入した側の電解液内では、活物質の性質に応じてpH上昇かpH低下が起こり得る。活物質のクロスオーバーに伴う放電及びpH変化は、寄生反応に関連した放電及びpH変化と同時に起こる場合があり、同様に対処することができる。
電解液の望ましくない放電は、対処が厄介ではあり得るものの、一方又は両方の電解液を所望の充電状態に戻す実現可能な方法は存在する。具体的には、一方又は両方の電解液をバランシングセルに導入して、必要に応じて酸化又は還元して充電状態のバランスを回復することができる。例えば、2チャンバ型リバランシングセルでバランス回復を図ることができる。この場合、一方のチャンバで活物質を酸化又は還元し、該活物質から遊離したイオンを、イオン選択膜を介して他方のチャンバに移動させて電荷バランスを維持する。しかしながら、このアプローチは電解液のpHには影響を与えない。さらに、各電解液のバランスを回復するためにそれぞれ別個のリバランシングセルが必要になるかもしれない。
これらの電解液のpH制御に関連する一般的な問題に鑑み、本発明者は、外来の酸又は塩基を電解液に添加することなく実施可能なpH補正戦略を発見した。すなわち、本発明者は、3チャンバ型電気化学的バランシングセルを利用し、該バランシングセルのバイポーラ膜内の水分子をその場(in situ)で分解することにより、バランシングセル内で電解液のpHを必要に応じて調整することができることを発見した。電気化学的バランシングセルでの電解液の処理方法に応じて、必要に応じてpHを上昇させることも低下させることもできる。以下に、セルの構造とその動作に関連するさらなる詳細についてより詳細に説明する。有利なことに、本開示の3チャンバ型電気化学的バランシングセルは、他のバランシングセルに接続することができ、そこで電解液の電荷バランスの回復をさらに図ることもできる。
本発明者が発見したバランス回復戦略についてさらに説明する前に、まず以下に、例示的なフロー電池の構成及びその動作特性をより詳細に説明する。活物質及び他のコンポーネントが単一のアセンブリに収容される一般的な電池技術(例えばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池等)とは異なり、フロー電池は、貯蔵タンクのレドックス活性エネルギー貯蔵物質を(例えばポンピングによって)1つ以上の電気化学セルを含む電気化学スタックを通過させて輸送するものである。この設計上の特徴により、電気エネルギー貯蔵システムの電源がエネルギー貯蔵容量から切り離されるため、大幅な設計の柔軟性とコストの最適化が実現可能となる。図1は、単一の電気化学セルを備える例示的なフロー電池の概略図である。図1は、単一の電気化学セルを備えるフロー電池を示しているが、複数の電気化学セルを互いに接続する手法は公知であり、以下では、それについて説明する。
図1に示すように、フロー電池システム1は電気化学セルを備える。この電気化学セルは、その2つの電極10,10’の間にセパレータ20を備えることを特徴とするものである。本明細書において、「セパレータ(separator)」及び「膜(membrane)」という用語は、電気化学セルの正極と負極との間に配置され、イオン伝導性及び電気的絶縁性を有する材料を指す。電極10,10’は、金属、炭素、グラファイト等の適切な導電性材料で形成されており、両電極の材料は同一であっても、異なっていてもよい。図1では、電極10,10’がセパレータ20から離間しているように図示しているが、より特定的な実施形態においては、電極10,10’はセパレータ20に接触して配置することができ、あるいは、多孔質材料を両電極間に配置することもできる。
ポンプ60は、第1の活物質30をタンク50から電気化学セルに輸送するためのものである。また、フロー電池は、適宜、第2の活物質40を収容する第2のタンク50’も含む。第2の活物質40は、第1の活物質30と同一の物質であってよく、又は異なる物質であってもよい。第2のポンプ60’は、第2の活物質40を電気化学セルに輸送するためのものである。また、電気化学セルからタンク50,50’に活物質30,40を戻す輸送のためにもポンプを用いてよい(図1には示していない)。また、例えばサイフォン等の、流体輸送に作用する他の方法によっても、第1及び第2の活物質30,40を電気化学セル内外に適宜輸送することができる。図1には電源又は負荷70も図示され、これによって電気化学セル回路が完成し、回路の動作中、ユーザによる電気の蓄積すなわち貯蔵が可能となる。
図1は、特定のフロー電池の具体的な構成を示すものであり、限定を意図するものではないことを理解されたい。従って、本開示の精神と合致するフロー電池が図1の構成とは様々な面で異なることがある。一例として、フロー電池システムは、固体、気体、及び/又は液体に溶解した気体である1つ以上の活物質を含むことができる。活物質は、大気に開放しているか又は単に大気への通気口を設けたタンク又は容器に貯蔵することができる。
上述の例示的なフロー電池は、本開示の電気化学的バランシングセルと流体連通するように配置することができる。種々の実施形態においては、本開示の電気化学的バランシングセルは、第1の電極を収容する第1のチャンバと、第2の電極を収容する第2のチャンバと、第1のチャンバと第2のチャンバとの間に配置される第3のチャンバと、第1のチャンバと第3のチャンバとの間の第1の界面を形成するイオン選択膜と、第2のチャンバと第3のチャンバとの間の第2の界面を形成するバイポーラ膜と、を備える。
いくつかの実施形態では、第1の電極が負極であり、第2の電極が正極であり得る。他の実施形態では、第1の電極が正極であり、第2の電極が負極であり得る。本明細書において、「負極(negative electrode)」及び「正極(positive electrode)」という用語は、相互に相対的に規定された電極のことであり、充電サイクル及び放電サイクルのいずれにおいてもそれらが動作する実際の電位とは無関係に、負極が正極より負の電位で(またその逆で)動作するか又は動作するように設計もしくは意図されるものである。負極は、可逆水素電極より負の電位で実際に動作するか又は動作するように設計もしくは意図される場合があり、そうでない場合もある。
本明細書において、「バイポーラ膜(bipolar membrane)」という用語は、逆の電荷を持つ2つのイオン交換層が互いに接触して重なり合った無孔質のイオン交換膜を指す。より特定的な実施形態では、バイポーラ膜は、アニオンに対して実質的に透過性である第1のイオン交換材料と、カチオンに対して実質的に透過性である第2のイオン交換材料と、を含むことができる。一方、第1のイオン交換材料は、カチオンに対しては実質的に不透過性であり、第2のイオン交換材料は、アニオンに対しては実質的に不透過性である。より具体的には、バイポーラ膜は、アニオン交換材料及びカチオン交換材料を層状に配置した構造を含み得る。
図2は、本開示の例示的な電気化学的バランシングセルの図である。図2に示すように、電気化学的バランシングセル100は、第1のチャンバ110と、第2のチャンバ120と、第3のチャンバ130と、を備える。第3のチャンバ130は、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120との間に配置される。第1のチャンバ110は、入口111及び出口112を有し、第2のチャンバ120は、入口121及び出口122を有し、第3のチャンバ130は、入口131及び出口132をそれぞれ有する。これらの入口111,121,131及び出口112,122,132から、電解液又は他の流体組成物を電気化学的バランシングセル100に導入したり、電気化学的バランシングセル100から取り出したりすることができる。この効果については、以下にさらに説明する。第1のチャンバ110は第1の電極114を収容し、第2のチャンバ120は第2の電極124を収容する。いくつかの実施形態では、第1の電極114を負極、第2の電極124を正極とすることができる。他の実施形態では、第1の電極114を正極、第2の電極124を負極とすることができる。電極114,124は、電解液のpH変化に対処するために電気化学的バランシングセル100に電位を印加することを可能にするものである。電解液は、第1のチャンバ、第2のチャンバ、第3のチャンバのうち少なくとも1つに存在し得る。より特定的な実施形態では、電気化学的バランシングセルは、例えば水系電解液等の少なくとも1つの電解液をフロー電池から受け取ることができる。
引き続き図2を参照すると、電気化学的バランシングセル100は、第1のチャンバ110と第3のチャンバ130との間にイオン選択膜140を備え、第2のチャンバ120と第3のチャンバ130との間にバイポーラ膜150を備える。種々の実施形態においては、イオン選択膜140は、カチオン交換材料とアニオン交換材料のいずれかを含むことができる。以下、特定の種類のイオン選択膜を選択するための検討事項を説明する。
イオン選択膜140がカチオン交換材料を含む実施形態においては、イオン選択膜140は、正電荷を持つイオン(すなわちカチオン)が第1のチャンバ110と第3のチャンバ130との間の界面を通過することを許し、負電荷を持つイオン(すなわちアニオン)の通過を実質的に遮断する。正電荷を持つイオンの移動は、カチオン交換材料を介して双方向(すなわち、第1のチャンバ110から第3のチャンバ130への方向及びその逆方向)で起こり得る。第1の電極114が負極である場合には、正電荷を持つイオンの移動が、概ね第1のチャンバ110に向かう方向で起こり、第1の電極114が正極である場合には、正電荷を持つイオンの移動が、概ね第1のチャンバ110から出る方向で起こる。配位錯体ベースの活物質の多くは全体として負電荷を帯びているため、この場合、イオン選択膜140としてカチオン交換材料を使用することにより、活物質を、第1のチャンバ110又は第3のチャンバ130内の元の電解液内に、実質的にとどめておくことができる。以下に、全体として負電荷を帯びる例示的な配位錯体について説明する。
電気化学的バランシングセル100のイオン選択膜140中に含まれ得る適切なカチオン交換材料としては、特に限定されるものではないが、電離してスルホン酸アニオンを生じる傾向が高いスルホン酸基を有するものが適切なカチオン交換材料である場合が多い。いくつかの実施形態では、カチオン交換材料は、過フッ素化スルホン化ポリマーなどのスルホン化ポリマーを含むことができる。DuPont社の「ナフィオン(NAFION:登録商標)」は、カチオン交換材料の代表例である。
イオン選択膜140がアニオン交換材料を含む代替的な実施形態では、イオン選択膜140は、負電荷を持つイオンが第1のチャンバ110と第3のチャンバ130との間の界面を通過することを許し、正電荷を持つイオンの通過を実質的に遮断する。ここでも、負電荷を持つイオンの移動は、イオン選択膜140において双方向で起こり得る。第1の電極114が正極である場合には、負電荷を持つイオンの移動が、概ね第1のチャンバ110に向かう方向で起こり、第1の電極114が負極である場合には、負電荷を持つイオンの移動が、概ね第1のチャンバ110から出る方向で起こる。イオン選択膜140に含める物質としてアニオン交換材料を選択することは、第1のチャンバ110又は第3のチャンバ130に収容される電解液中の活物質として、全体として正電荷を帯びる配位錯体が用いられた場合に行われ得る。それ以外の場合には、イオン選択膜140を介して活物質の望ましくないクロスオーバーを起こすおそれがある。イオン選択膜140に含めるのに適したアニオン交換材料としては、第四級アンモニウム官能基やホスホニウム基を有するものを挙げることができる。
同様に、バイポーラ膜150は、いずれかの種類の電荷を帯びた配位錯体を第2のチャンバ120及び第3のチャンバ130の少なくとも一方にとどめておくことを可能にするものである。バイポーラ膜は、カチオン交換材料とアニオン交換材料の両方を含むため、正電荷を持つ物質、及び負電荷を持つ物質のいずれの物質の通過も両方向で遮断する。従って、活物質が全体として正又は負の電荷を保っている限り、バイポーラ膜150は、電気化学的バランシングセル100内の活物質のクロスオーバーを実質的に遮断する。ただし、本明細書において詳述するように、バイポーラ膜150は、負電荷を持つ物質及び正電荷を持つ物質の外方向への移動を、そのカチオン交換材料とアニオン交換材料との間の界面から許してしまう場合がある。より特定的な実施形態では、バイポーラ膜150は、カチオン交換材料含有層と、アニオン交換材料含有層と、を含むことができる。第2の電極124が正極である場合、アニオン交換材料含有層が、第2のチャンバ120との界面を形成し、カチオン交換材料含有層が、第3のチャンバ130との界面を形成し得る。第2の電極124が負極である場合、カチオン交換材料含有層が、第2のチャンバ120との界面を形成し、アニオン交換材料含有層が、第3のチャンバ130との界面を形成し得る。
バイポーラ膜150中に存在し得る適切なカチオン交換材料及びアニオン交換材料としては、イオン選択膜140中に存在し得る材料と同じ種類のものを挙げることができるが、特に限定されるものではない。いくつかの実施形態では、イオン選択膜140中に存在するのと同じカチオン交換材料又はアニオン交換材料をバイポーラ膜150中に存在させることができる。他の実施形態では、全く異なるカチオン交換材料又はアニオン交換材料を、バイポーラ膜150中に存在させることができる。
上述の電気化学的バランシングセルをフロー電池と流体連通するように配置することによって、フロー電池システムを提供することができる。より特定的な実施形態においては、そのようなフロー電池システムは、第1の電解液を含む第1の半電池と、第2の電解液を含む第2の半電池と、を備え、第1の半電池及び第2の半電池のうち少なくとも一方が、電気化学的バランシングセルと流体連通している。いくつかの実施形態では、第1の半電池を、電気化学的バランシングセルと流体連通する負の半電池とすることができる。他の実施形態では、第1の半電池を、電気化学的バランシングセルと流体連通する正の半電池とすることができる。これらのいずれの構成においても、第2の半電池が電気化学的バランシングセルと流体連通しないように、電気化学的バランシングセルを構成することができる。種々の実施形態においては、第1の電解液又は第2の電解液がフロー電池と電気化学的バランシングセルとの間を循環するように、フロー電池システムを構成することができる。別の構成では、第1の半電池及び第2の半電池をそれぞれ別々のバランシングセルに流体接続することができる。以下に、例示的な構成を説明する。
図3A〜Dは、フロー電池の一例を図2の電気化学的バランシングセルに流体接続することができる例示的な構成を示す図である。図3A〜Dのフロー電池200は、図1に示すものと実質的に同様の構造を有しているが、図3A〜Dでは、分かりやすくするため、詳細を一部省略したり簡略化したりしている。以下に、特定の構成をより詳細に説明する。図3A〜Dは、電気化学的バランシングセル100がフロー電池200の負の半電池11及び正の半電池12の少なくとも一方からの出口ラインに接続されているように示しているが、このような配置は、全く例示的なものに過ぎないことを認識されたい。例えば、電気化学的バランシングセル100を、タンク30,40や、負の半電池11及び正の半電池12の少なくとも一方への入口ラインに接続することもできる。
いくつかの実施形態では、フロー電池の第1の半電池又は第2の半電池のいずれか一方を、電気化学的バランシングセルの第1のチャンバ及び第2のチャンバの両方に流体連通することができる。図3B及び3Dに示すように、第1の半電池及び第2の半電池は、負の半電池又は正の半電池とすることができる。以下にさらに詳述するように、このような実施形態では、第3のチャンバは水系電解液を収容することができる。
他の実施形態では、第1の半電池又は第2の半電池のいずれか一方を、第3のチャンバに流体連通することができる。図3A及び3Cに示すように、第1の半電池及び第2の半電池は、負の半電池又は正の半電池とすることができる。以下にさらに詳述するように、このような実施形態では、第1のチャンバ及び第2のチャンバは、水又は水溶液を収容することができる。
より具体的な実施形態においては、第1の電解液及び第2の電解液のうち少なくとも一方が、活物質として配位錯体を含有することができる。いくつかの実施形態では、第1の電解液と第2の電解液の両方が、活物質として配位錯体を含有することができる。以下に、例示的な配位錯体についてさらに開示する。
遷移金属は可変的に複数の酸化状態をとることができるため、フロー電池の活物質として使用するのに非常に望ましい場合がある。遷移金属がとり得る複数の酸化状態を循環させることにより、化学エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。代替的な実施形態では、この点に関して、ランタノイド金属も同様に用いることができる。フロー電池に含めるのに特に望ましい遷移金属としては、例えばAl、Cr、Ti及びFeが挙げられる。本開示の目的上、Alは遷移金属であると見なされる。より具体的な実施形態においては、遷移金属をTiとすることができる。本開示の配位化合物中に存在し得る他の適切な遷移金属及び典型金属としては、例えばCa、Ce、Co、Cu、Mg、Mn、Mo、Ni、Pd、Pt、Ru、Sr、Sn、V、Zn、Zr及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。種々の実施形態において、配位化合物は、酸化形態及び還元形態のいずれの状態にある場合も、酸化数が0以外である状態をとる遷移金属を含むことができる。この点に関して、Cr、Fe、Mn、Ti及びVが特に望ましい場合がある。
いくつかの実施形態では、フロー電池内の活物質の少なくとも1つが、少なくとも1つのカテコラート配位子又は置換カテコラート配位子を有する配位錯体を含み得る。スルホン化カテコラート配位子は、それを含む配位錯体の溶解度を促進することができるため、特に望ましい置換カテコラート配位子であり得る。いくつかの又は他の実施形態では、フロー電池内の活物質の少なくとも1つが、ヘキサシアノ鉄錯体を含み得る。ヘキサシアノ鉄錯体は、カテコラート配位子又は置換カテコラート配位子を有する遷移金属配位錯体を、第2の活物質として用いる場合に、それと組み合わせて第1の活物質として用いるのに特に望ましい場合がある。
より具体的な実施形態においては、配位錯体は以下の式を有することができる。
M(L)(L)(L
式中、Mは遷移金属であり、Dはアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム(C−Cアルキル)、又はアルカリ金属イオン(例えば、Li、Na又はK)であり、gは1〜6の範囲をとり、L、L、及びLは配位子である。より特定的な実施形態においては、L、L及びLの少なくとも1つを、カテコラート配位子又は置換カテコラート配位子とすることができる。他の実施形態では、L、L及びLのいずれもがカテコラート配位子又は置換カテコラート配位子であってよい。
単独で又は1つ以上のカテコラート配位子又は置換カテコラート配位子と共に、フロー電池中の配位錯体中に存在し得る他の配位子としては、例えば、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、グリコール酸塩、ポリオール、グルコン酸塩、ヒドロキシアルカン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フタル酸塩、サルコシン酸塩、サリチル酸塩、シュウ酸塩、尿素、ポリアミン、アミノフェノラート、アセチルアセトネート及び乳酸塩が挙げられる。ここで、化学的に実現可能である場合には、このような配位子を、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルケニル基、C1−6アルキニル基、5員環若しくは6員環のアリール基若しくはヘテロアリール基、ボロン酸若しくはその誘導体、カルボン酸若しくはその誘導体、シアノ、ハロゲン化物、ヒドロキシル、ニトロ、スルホン酸塩、スルホン酸若しくはその誘導体、ホスホン酸塩、ホスホン酸若しくはその誘導体又はポリエチレングリコール等のグリコール、から選択される少なくとも1つの基によって、任意に置換可能であるものと認識されたい。アルカン酸塩には、これらの配位子のα、β及びγ形態がいずれも含まれる。ポリアミンには、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が含まれるが、これらに限定されない。
存在し得る配位子の他の例として、単座配位子、二座配位子及び/又は三座配位子が挙げられる。フロー電池中の配位錯体中に存在し得る単座配位子の例としては、例えば、一酸化カルボニル又は一酸化炭素、窒化物、オキソ、ヒドロキソ、水、硫化物、チオール、ピリジン、ピラジン等が挙げられる。配位錯体中に存在し得る二座配位子の例としては、例えば、ビピリジン、ビピラジン、エチレンジアミン、(エチレングリコールなどの)ジオール等が挙げられる。配位錯体中に存在し得る三座配位子の例としては、例えば、テルピリジン、ジエチレントリアミン、トリアザシクロノナン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等が挙げられる。
いくつかの実施形態では、フロー電池中の活物質は、1つ以上の水系電解液内に溶存して存在し得る。本明細書において、「水系(aqueous)」という用語は、水が混合物又は溶液の主成分となっている状態を指す。本明細書において、「水系電解液(aqueous electrolyte solution)」という用語は、水を主溶媒とし、活物質を少なくとも部分的に可溶化した(理想的には完全に可溶化した)均一な液相を指す。この定義は、水溶液と、水相に少量成分として水混和性の有機溶媒を含有する溶液と、の両方を包含するものである。
水系電解液中に存在し得る例示的な水混和性の有機溶媒としては、例えばアルコール及びグリコールが挙げられ、場合により、1種類以上の後述の界面活性剤や他の成分を存在させてよい。より具体的な実施形態においては、水系電解液は少なくとも約98重量%の水を含有することができる。他のより具体的な実施形態においては、水系電解液は、少なくとも約55重量%の水、少なくとも約60重量%の水、少なくとも約65重量%の水、少なくとも約70重量%の水、少なくとも約75重量%の水、少なくとも約80重量%の水、少なくとも約85重量%の水、少なくとも約90重量%の水又は少なくとも約95重量%の水を含有してよい。いくつかの実施形態では、水系電解液は水混和性の有機溶媒を含有せず、水のみを溶媒として含んでよい。
さらなる実施形態において、水系電解液は、粘度調整剤、湿潤剤、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。適切な粘度調整剤としては、例えば、コーンスターチ、コーンシロップ、ゼラチン、グリセロール、グアーガム、ペクチン等を挙げることができる。他の適切な例については、当業者にはよく知られているであろう。適切な湿潤剤としては、例えば、様々な非イオン性の界面活性剤及び/又は洗剤を挙げることができる。いくつかの又は他の実施形態において、水系電解液は、グリコール又はポリオールをさらに含むことができる。適切なグリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びポリエチレングリコールを挙げることができる。適切なポリオールとしては、例えば、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを挙げることができる。水系電解液にこれらの成分のいずれかを含有させることは、例えば、配位錯体又はこれに類する活物質の溶解促進、及びフロー電池内で輸送される水系電解液の粘度低下の少なくともいずれかに役立ち得る。
溶媒と活物質としての配位錯体とに加えて、水系電解液は1つ以上の可動イオン(すなわち、外来の電解質)をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、適切な可動イオンとして、プロトン、ヒドロニウムイオン又は水酸化物イオンを挙げることができる。他の様々な実施形態では、プロトン、ヒドロニウムイオン又は水酸化物イオン以外の可動イオンが、単独で、又は、プロトン、ヒドロニウムイオン若しくは水酸化物イオンと一緒に、存在することができる。そのような代替的な可動イオンとしては、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属カチオン(例えば、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+及びSr2+)及びハロゲン化物(例えば、F、Cl又はBr)を挙げることができる。他の適切な可動イオンとしては、例えば、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、カルコゲニド、リン酸塩、リン酸水素、ホスホン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩及びそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。いくつかの実施形態では、可動イオンの約50%未満を、プロトン、ヒドロニウムイオン又は水酸化物イオンで構成することができる。他の種々の実施形態では、可動イオンの約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満又は約2%未満を、プロトン、ヒドロニウムイオン又は水酸化物イオンで構成することができる。
フロー電池は、数時間の持続時間を有する持続性のある充放電サイクルを提供することができる。従って、フロー電池を使用して、エネルギーの供給・需要プロファイルを平滑化し、(例えば、太陽光エネルギーや風力エネルギー等の再生可能エネルギー源からの)間欠発電資産を安定化させる機構を提供することができる。よって、本開示の種々の実施形態では、このような長い充電又は放電の持続時間が望ましいエネルギー貯蔵の用途が含意されていることを理解されたい。例えば、限定を意図しない実施例においては、本開示のフロー電池は、送電網に接続されて、再生可能エネルギーの統合(renewables integration)、ピーク負荷シフト、送電網の安定化(grid firming)、ベースロード発電及び電力消費、エネルギー裁定取引、送配電資産の繰延、弱送電網のサポート、周波数調整、又はこれらの任意の組み合わせを可能とする。送電網に接続されない場合には、本開示のフロー電池を、遠隔キャンプ、前線作戦基地、送電網を利用しない電気通信、遠隔センサ等、及びこれらの任意の組み合わせのための電源として使用することができる。さらに、本明細書の開示は概してフロー電池を対象とするが、流れない(stationary)電解液を利用する電気化学エネルギー貯蔵媒体等の他の電気化学エネルギー貯蔵媒体にも本明細書に記載される電解液及び配位錯体を組み込み得るものと理解されたい。
いくつかの実施形態においては、フロー電池は、第1の水系電解液に接触させて負極を収容する第1のチャンバと、第2の水系電解液に接触させて正極を収容する第2のチャンバと、第1の水系電解液と第2の水系電解液との間に配置されたセパレータと、を含むことができる。これらのチャンバはそれぞれがフロー電池内で別個の貯留槽となるものであり、第1の電解液及び第2の電解液の少なくとも一方がこれらのチャンバを通過してそれぞれの電極及びセパレータに接触するように循環する。各チャンバとそれに関連付けられた電極及び電解液とで、対応する半電池を形成している。セパレータは,例えば以下を含むいくつかの機能を備える。すなわち、(1)第1の水系電解液と第2の水系電解液の混合を防ぐ障壁として機能すること、(2)正極と負極との短絡を低減又は防止するよう電気的に絶縁すること、及び(3)正の電解液チャンバと負の電解液チャンバとの間のイオン移動を容易にし、これにより充放電サイクル中の電子輸送のバランスをとること、である。負極及び正極の表面では、充放電サイクル中に電気化学反応を起こすことができる。図1に示すように、充放電サイクル中、各別個の貯蔵タンク内の電解液は対応するチャンバを通過して輸送され得る。充電サイクルにおいては、セルに電力を印加することで、第2の電解液に含まれる活物質が1以上の電子酸化を受けると共に、第1の電解液中の活物質が1以上の電子還元を受けることができる。同様に、放電サイクルにおいては、第2の活物質が還元されると共に第1の活物質が酸化されて電力が生成される。
セパレータは、いくつかの実施形態では多孔質膜とすることができ、他の種々の実施形態ではアイオノマー膜とすることができる。いくつかの実施形態では、セパレータをイオン伝導性ポリマーで形成することができる。
ポリマー膜は、アニオン伝導性又はカチオン伝導性の電解質とすることができる。「アイオノマー(ionomer)」と記載する場合、この用語は、電気的に中性の繰返し単位及びイオン化した繰返し単位の双方を含有するポリマー膜を指し、イオン化した繰返し単位はペンダント基としてポリマー骨格に共有結合している。一般に、イオン化した単位の比率は約1mol%〜約90mol%の範囲とすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、イオン化した単位の含有量は約15mol%未満であり、他の実施形態では、イオン含有量はより高く、例えば約80mol%超である。さらに別の実施形態では、イオン含有量は、例えば約15〜約80mol%の範囲のように中間範囲によって規定される。アイオノマーにおけるイオン化した繰返し単位としては、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性官能基が挙げられる。これらの官能基は、アルカリ又はアルカリ土類金属等の一価又は二価以上のカチオンによって電荷のバランスをとることができる。またアイオノマーとしては、第四級アンモニウム、スルホニウム、ホスファゼニウム、及びグアニジウムの残基又は塩を付加した又は組み込んだポリマー組成物も挙げられる。適切な例については、当業者にはよく知られているであろう。
いくつかの実施形態では、セパレータとして利用できるポリマーが、高フッ素化ポリマー骨格又は過フッ素化ポリマー骨格を含む場合がある。本開示において利用できる特定のポリマーとしては、テトラフルオロエチレンと1つ以上のフッ素化酸官能性コモノマーとの共重合体が挙げられる。この共重合体は、DuPont社から過フッ素化ポリマー電解質「ナフィオン(NAFION:登録商標)」として市販されているものである。他の有用な過フッ素化ポリマーとしては、テトラフルオロエチレンとFSO−CFCFCFCF−O−CF=CFの共重合体、「フレミオン(FLEMION:登録商標)」及び「セレミオン(SELEMION:登録商標)」が挙げられる。
さらに、スルホン酸基(又はカチオン交換スルホン酸基)で修飾した、実質的にフッ素化されていない膜を用いることもできる。このような膜としては、実質的に芳香族の骨格を有するものが挙げられ、例えば、ポリスチレン、ポリフェニレン、ビフェニルスルホン(BPSH)、又は、ポリエーテルケトン及びポリエーテルスルホン等の熱可塑性物質等を含むことができる。
電池セパレータ用の多孔質膜も本セパレータとして使用可能である。そのような膜はそれ自身ではイオン伝導性を待たないため、通常、セパレータとして機能させるために添加物を含浸させている。一般に、これらの膜は、ポリマー及び無機充填剤の混合物を含有し、多くの開放孔を有する。適切なポリマーとしては、例えば、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。適切な無機充填剤としては、炭化ケイ素マトリックス材、二酸化チタン、二酸化ケイ素、リン化亜鉛及びセリアが挙げられる。
セパレータは、ポリエステルや、ポリエーテルケトン、ポリ(塩化ビニル)、ビニルポリマー、置換ビニルポリマーで形成することもできる。これらは単独で、又は前述のポリマーのいずれかと組み合わせて使用できる。
多孔質セパレータは、電解液で満たされた開流路を介した両電極間の電荷移動を可能とする非伝導性の膜である。しかし、この透過性によって、活物質がセパレータを通過して一方の電極から他方の電極へ移動して、相互汚染及び/又はセルエネルギー効率の低下が引き起こされてしまう確率が高まる。この相互汚染の程度は、いくつかある特徴の中でも特に、孔のサイズ(有効径及び流路長)、孔の特性(疎水性/親水性)、電解液の性質、及び孔の電解液に対する濡れ性によって決まり得る。
多孔質セパレータの孔のサイズの分布は、両電解液間での活物質のクロスオーバーを実質的に防止するものであれば概ね十分である。適切な多孔質膜の平均孔サイズ分布は、約0.001nm〜20μm、より典型的には約0.001nm〜100nmとすることができる。多孔質膜の孔のサイズ分布はかなり広くとることができる。言い換えれば、多孔質膜は、非常に小さい径(略1nm未満)の第1の複数の孔と、非常に大きい径(略10μm超)の第2の複数の孔と、を含むことができる。孔のサイズが大きくなれば、活物質のクロスオーバー量が増大するおそれがある。多孔質膜が有する、活物質のクロスオーバーの実質的な防止力は、平均孔サイズと活物質のサイズとの相対的な差によって決まり得る。例えば、活物質が金属を中心とする配位錯体である場合には、該配位錯体の平均径は本多孔質膜の平均孔サイズよりも約50%大きくなり得る。一方、もし多孔質膜が実質的に均一な孔サイズを有していた場合には、該配位錯体の平均径はこの多孔質膜の平均孔サイズよりも約20%大きくなり得る。配位錯体が少なくとも1つの水分子とさらに配位結合すると、配位錯体の平均径はさらに大きくなる。少なくとも1つの水分子を持つ配位錯体の径は、一般に流体力学的径と見なされるものである。本実施形態では、この流体力学的径が平均孔サイズより概ね少なくとも約35%大きくなる。一方、平均孔サイズが実質的に均一である場合には、この流体力学的径が平均孔サイズよりも約10%大きくなり得る。
いくつかの実施形態において、セパレータは、安定性を高めるための補強材料を含むこともできる。適切な補強材料としては、ナイロン、綿、ポリエステル、結晶シリカ、結晶チタニア、非晶質シリカ、非晶質チタニア、ゴム、アスベスト、木材又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
フロー電池内のセパレータの膜厚は、約500μm未満、約300μm未満、約250μm未満、約200μm未満、約100μm未満、約75μm未満、約50μm未満、約30μm未満、約25μm未満、約20μm未満、約15μm未満又は約10μm未満とことができる。適切なセパレータとしては、セパレータが100μmの厚さを有する場合に、フロー電池が約85%超の電流効率及び100mA/cmの電流密度で動作可能であるものが挙げられる。さらなる実施形態においては、フロー電池は、セパレータが約50μm未満の厚さを有する場合に99.5%超の電流効率で動作可能であり、セパレータが約25μm未満の厚さを有する場合に99%超の電流効率で動作可能であり、セパレータが約10μm未満の厚さを有する場合に98%超の電流効率で動作可能である。従って、適切なセパレータとして、フロー電池が60%超の電圧効率及び100mA/cmの電流密度で動作可能であるものが挙げられる。さらなる実施形態では、適切なセパレータとして、フロー電池が70%超、80%超又は90%超の電圧効率で動作可能であるものが挙げられる。
セパレータを介した第1の活物質及び第2の活物質の拡散率は、約1×10−5mol/cm/日未満、約1×10−6mol/cm/日未満、約1×10−7mol/cm/日未満、約1×10−9mol/cm/日未満、約1×10−11mol/cm/日未満、約1×10−13mol/cm/日未満、又は約1×10−15mol/cm/日未満とすることができる。
また、フロー電池は、第1の電極及び第2の電極に電気的に接続された外部の電気回路を含むことができる。この回路は動作中、フロー電池を充放電することができる。第1の活物質、第2の活物質、又はこれら両活物質の正味のイオン電荷の符号について言及する場合、その言及は、フロー電池が動作中の条件下でのレドックス活物質の酸化形態及び還元形態の両方における正味のイオン電荷の符号に関するものである。フロー電池のさらなる例示的な実施形態によって以下が得られる。すなわち、(a)第1の活物質は、正味の正又は負の電荷を帯びると共にシステムの負の動作電位の範囲内の電位に対して酸化形態又は還元形態をとることができ、これにより、得られる第1の活物質の酸化形態又は還元形態が第1の活物質と同じ電荷符号(正又は負)を有し、かつアイオノマー膜も同符号の正味のイオン電荷を有すること、(b)第2の活物質は、正味の正又は負の電荷を帯びると共にシステムの正の動作電位の範囲内の電位に対して酸化形態又は還元形態をとることができ、これにより、得られる第2の活物質の酸化形態又は還元形態が第2の活物質と同じ電荷符号(正又は負の符号)を有し、かつアイオノマー膜も同じ符号の正味のイオン電荷を有すること、又は(a)及び(b)の双方、である。第1の活物質及び第2の活物質の少なくとも一方とアイオノマー膜の電荷を一致させることにより、高い選択性が得られ得る。より具体的には、このように電荷を一致させることにより、アイオノマー膜を通過する第1の活物質由来又は第2の活物質由来のイオンのモル流束を、約3%未満、約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.2%未満、又は約0.1%未満とすることができる。「イオンのモル流束(molar flux of ions)」という用語は、アイオノマー膜を通過し、外部の電気/電子の流れが帯びている電荷を平衡させるイオンの量を指す。すなわち、フロー電池は、アイオノマー膜によって活物質を実質的に遮断しながら動作可能であるか又は動作する。そのような遮断は、電荷が一致することにより促進され得る。
本開示に組み込まれるフロー電池は、以下の動作特性の1つ以上を有することができる。すなわち、(a)フロー電池の動作中、第1の活物質又は第2の活物質が、アイオノマー膜を通過するイオンのモル流束の約3%未満を構成すること、(b)往復電流効率が約70%超、約80%超、又は約90%超であること、(c)往復電流効率が約90%超であること、(d)第1の活物質と第2の活物質のいずれか又は両方の正味のイオン電荷の符号が、その酸化形態と還元形態の間で異ならず、かつアイオノマー膜の符号と一致すること、(e)アイオノマー膜の膜厚が、約100μm未満、約75μm未満、約50μm未満、又は約250μm未満であること、(f)フロー電池が、約100mA/cm超の電流密度及び約60%超の往復電圧効率で動作可能であること、及び(g)電解液のエネルギー密度が、約10Wh/L超、約20Wh/L超、又は約30Wh/L超であることである。
場合によっては、ユーザが、単一の電気化学セルから得られる電圧よりも高い充放電電圧を得ることを望む場合がある。このような場合、いくつかの電池セルを直列に接続して、各セルの電圧が加算されるようにしてもよい。これにより、バイポーラスタックが形成される。バイポーラスタックは、電気化学スタックとも呼ばれる。バイポーラプレートを用いて隣接する電気化学セルを接続してバイポーラスタックにすることで、隣接セル間での電子の移動を可能としながら流体又は気体の移動を防ぐことができる。個々のセルの正極コンパートメント及び負極コンパートメントは、バイポーラスタック内で共通の正及び負の流体マニホールドを介して流体接続することができる。このように、複数のセルを直列に積み重ねることにより、直流用途又は交流用途への変換に適した電圧を得ることができる。
追加の実施形態では、セル、バイポーラスタック又は電池を、より大型のエネルギー貯蔵システム内に組み込むことができる。この大型システムは、大型ユニットの動作に有用な配管及び制御装置を適宜含むものである。そのようなシステムに適した配管、制御装置及びその他の設備は当技術分野において公知であり、例えば、電解液を各チャンバ内外に移動させるためにチャンバと流体連通した配管及びポンプと、充放電した電解液を保持するための貯蔵タンクと、を含み得る。セル、セルスタック及び電池はまた、動作管理システムを備えることもできる。動作管理システムは、コンピュータ又はマイクロプロセッサ等の任意の適切なコントローラデバイスであってよく、各種のバルブ、ポンプ、循環回路等のいずれかの動作を設定する論理回路を有することができる。
より具体的な実施形態では、フロー電池システムは、(セル又はセルスタックを備える)フロー電池と、電解液を収容及び輸送するための貯蔵タンク及び配管と、制御ハードウェア及びソフトウェア(安全システムを備えていてもよい)と、電力調整ユニットと、を含むことができる。フロー電池セルスタックは、充電サイクルと放電サイクルの間の切替えを実現するものであり、これによりピーク電力が決定される。貯蔵タンクは、本明細書に開示した配位錯体等の、正の活物質及び負の活物質を収容するものであり、このタンクの容量によって同システムに貯蔵されるエネルギー量が決定される。制御ソフトウェア、ハードウェア及び任意選択的に備えられる安全システムは、センサ、緩和装置、及びその他の電子/ハードウェア制御装置及び安全防護装置を適宜含み、フロー電池システムの安全で自律的かつ効率的な動作を保証するものである。電力調整ユニットは、エネルギー貯蔵システムのフロントエンド部で用いられ、入力電力及び出力電力を、エネルギー貯蔵システムあるいはその利用用途に最適な電圧及び電流へ変換することができる。送電網に接続されたエネルギー貯蔵システムの例の場合、充電サイクルにおいて、電力調整ユニットは入力交流電力をセルスタックに適した電圧及び電流の直流電力に変換することができる。一方、放電サイクルにおいては、スタックが直流電力を生成し、電力調整ユニットはこの直流電力を送電網に送るのに適した電圧と周波数の交流電力に変換する。
ここまで、本開示の電気化学的バランシングセル及びフロー電池システムについて説明したが、以下では電気化学的バランシングセルを利用した電解液のpH調整方法についてさらに詳しく説明する。フロー電池が上述の電気化学的バランシングセルと流体連通する特定の構成に応じて、本電気化学的バランシングセルは、第1の電解液又は第2の電解液のいずれか一方のpHを上昇又は低下させるために適切に利用することができる。すなわち、本開示の電気化学的バランシングセルは、フロー電池の負の電解液又は正の電解液を電気化学的バランシングセルに導入して電位を印加することによって同電解液のpHを上昇又は低下させる構成において適切に使用することができる。以下、上述の各種セル構成をさらに詳細に説明する。
従って、いくつかの実施形態では、本開示の方法は、図2に示すような本開示の電気化学的バランシングセルを設けることと、第1の活物質を含有する第1の電解液を前記第3のチャンバに導入することと、水又は水溶液を前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとにそれぞれ独立に導入することと、前記第2の電極を正極とし、前記第1の電極を負極として、前記電気化学的バランシングセル内に電流を誘起するように、前記電気化学的バランシングセルに電位を印加することと、電位の印加によって、前記バイポーラ膜において、水をプロトンと水酸化物イオンとに変化させることとを含む。電位が印加されている状態では、前記プロトンは、前記第3のチャンバ内の前記第1の電解液に移動し、前記水酸化物イオンは、前記第2のチャンバ内の前記水又は水溶液に移動する。図4は、このような方法をさらに詳細に示すものであり、以下にこの方法についてより詳細に説明する。
他の種々の実施形態では、本開示の方法は、図2に示すような本開示の電気化学的バランシングセルを設けることと、第1の活物質を含有する第1の電解液を前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとに導入することと、水系電解液を前記第3のチャンバに導入することと、記第2の電極を正極とし、前記第1の電極を負極として、前記電気化学的バランシングセル内に電流を誘起するように、前記電気化学的バランシングセルに電位を印加することと、電位の印加によって、前記バイポーラ膜において、水をプロトンと水酸化物イオンとに変化させることとを含む。電位が印加されている状態では、前記プロトンは、前記第3のチャンバ内の前記水系電解液に移動し、前記水酸化物イオンは、前記第2のチャンバ内の前記第1の電解液に移動する。図5は、このような方法をさらに詳細に示すものであり、以下にこの方法についてより詳細に説明する。
いくつかの実施形態では、上記のいずれの構成においても、前記第1の電解液は水系電解液であってよい。フロー電池に含まれるべき水系電解液については、既に上記においてより詳しく説明している。いくつかの代替的な実施形態においては、実質的に非水系の電解液も同様に処理することができる。
いくつかの実施形態では、第1の電解液のフロー電池内での循環とは切り離して、第1の電解液のバランス回復を図ることができる。ただし、より特定的な実施形態においては、第1の電解液のバランス回復方法は、前記電気化学的バランシングセルを、フロー電池の少なくとも1つの半電池と流体連通するように配置することと、前記第1の電解液を前記電気化学的バランシングセルと前記フロー電池との間で移動させることとを含み得る。第1の電解液のフロー電池への移動は、連続的であっても不連続的であってもよい。第1の電解液を連続的に移動させる場合には、第1の電解液のうち一部を電気化学的バランシングセル内で循環させて、第1の電解液の残りをフロー電池で循環できる状態にしておくことが必要となる。第1の電解液を電気化学的バランシングセルからフロー電池に循環させることにより、pHバランスが調整された電解液をフロー電池に還流させることができる。
いくつかの実施形態では、前記第1の電解液を、前記フロー電池の負の半電池に移動させることができる。すなわち、いくつかの実施形態では、本開示の方法を、フロー電池の負の電解液のpHを変化させるために適切に用いることができる。他の実施形態では、前記第1の電解液を、前記フロー電池の正の半電池に移動させることができる。すなわち、いくつかの実施形態では、本開示の方法を、フロー電池の正の電解液のpHを変化させるために適切に用いることができる。第1の電解液をバランシングセル内のどのチャンバに移動させるかによって、必要に応じて、第1の電解液のpHを上昇させることもできれば、低下させることもできる。以下に、この点についてさらに開示する。
いくつかの実施形態では、フロー電池の第2の電解液もpH調整が必要な場合がある。いくつかの実施形態では、第1の電解液がバランス回復を終えて電気化学的バランシングセルから排出された後に、第2の電解液を同じ電気化学的バランシングセルに移動させることができる。他の実施形態では、第1の電解液と同時に第2の電解液のpH調整を行うために、第2の電解液を第2の電気化学的バランシングセルに移動させることができる。
いくつかの実施形態では、第1の電解液を、第1の電解液の充電状態を調整するように構成されたリバランシングセルにさらに移動させることができる。充電状態を調整するように構成されたリバランシングセルへの電解液の移動は、本明細書に記載の電気化学的バランシングセルでのpH調整の前に行ってもよく、後に行ってもよい。充電状態の調整のために用いることができる例示的なリバランシングセルとしては、例えば、国際特許出願公開第2015/048074号に記載のものが挙げられる。国際特許出願公開第2015/048074号のすべての内容は参照することにより本出願に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、第1の電解液を電気化学的バランシングセルの第3のチャンバに導入することができ、水又は水溶液を前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとに導入することができる。このような導入は図3A及び3Cのセル構成を採用した場合に可能であり、これらについては既に上記においてより詳しく説明している。図4は、図2の電気化学的バランシングセルに電位を印加して、同セルの第3のチャンバに電解液を導入し、同セルの第1のチャンバ及び第2のチャンバに水又は水溶液を導入した状態を示す図である。図4では、第1の電解液が水系電解液であるように図示しているが、非水系電解液も同様に処理できるものと認識されたい。図4では、電位を印加した状態で起こるバランス回復反応がより良く理解できるように、分かりやすくするため、電気化学的バランシングセル100のフロー電池への流体連通や、図1〜3Dに記載している他の詳細の一部を省略している。
図4に示すように、第1の電極114と第2の電極124との間に電位が印加されると同時に、水系電解液が第3のチャンバ130に流入する。上述のように、この水系電解液は、フロー電池の負の半電池に接触している電解液であっても、フロー電池の正の半電池に接触している電解液であってもよい。さらに図4に示すように、第1のチャンバ110内の第1の電極114が負極となり、第2のチャンバ120内の第2の電極124が正極となるように電位が印加される。水系電解液が第3のチャンバ130に流入する一方で、第1のチャンバ110及び第2のチャンバ120には、水又は水溶液が流入する。第1のチャンバ110及び第2のチャンバ120のそれぞれに流入する水系流体の組成は、互いに同一であっても、異なっていてもよい。より特定的な実施形態では、第1のチャンバ110及び第2のチャンバ120に流入する水系流体の組成は互いに同一であり、さらにより特定的な実施形態では、これら水系流体組成物はいずれも水である。
水は荷電していないため、バイポーラ膜150内に流入することができる。バイポーラ膜150内への水の流入は、第2のチャンバ120内の水系流体組成物から起こり得るほか、第3のチャンバ130内の水系電解液からも起こり得る。水溶液の水そのものがバイポーラ膜150に水を供給することもできる。電位を印加している状態では、バイポーラ膜150中の水は電気分解されて、プロトン(すなわち、ヒドロニウムイオン)及び水酸化物イオンを生成し得る。図4に示すように、これらのプロトン及び水酸化物イオンは、その後バイポーラ膜150から移動する。負電荷を持つ水酸化物イオンは、正電荷を持つ第2の電極124に引き寄せられるため、第2のチャンバ120内の水又は水溶液内に移動する。一方、正電荷を持つプロトンは、バイポーラ膜150を通過して反対方向に移動し、第3のチャンバ130内の水系電解液内に流入する。このプロトンや水酸化物イオンの移動方向は、バイポーラ膜150内のカチオン交換材料とアニオン交換材料の配置によってもさらに促進され得る。具体的には、図4に示す方向は、アニオン交換材料層が第2のチャンバ120に面し、カチオン交換材料層が第3のチャンバ130に面する場合に促進され得る。
従って、図4に示すように、第2のチャンバ120内の水系流体組成物は、水酸化物イオンを取り込んでpHが上昇する。同様に、第3のチャンバ130内の水系電解液は、プロトンを取り込んでpHが低下する。この水系電解液におけるpH低下を利用して、フロー電池の動作中に寄生反応や他の要因によって生じたpH上昇を相殺することができる。具体的には、図4に示した動作構成は、フロー電池の負の電解液と正の電解液のいずれのpH低下にも利用できるものである。電位の印加は、例えば、水系電解液のpHが所望の値に達するまで継続することができる。上述のように、電気化学的バランシングセル100から排出された後の水系電解液は、フロー電池の適切な半電池に還流させることができる。
種々の実施形態においては、バランシングセルに印加する電位を約0.1V〜約2Vの範囲とすることができる。このような電位は、イオン選択膜及びバイポーラ膜が約4mm未満の膜厚を有し、電解液が約10mS/cm超等の妥当な導電率値を有する場合に印加することができる。
図4をさらに参照すると、第3のチャンバ130内の水系電解液がプロトンを取り込むと、負電荷を持つ第1の電極114にカチオンが引き寄せられることに促されて、カチオンがイオン選択膜140を通過して移動する。この可動カチオンには、例えば、水系電解液の負電荷を持つ活物質と関連づけられる(すなわち、配位錯体内の)対カチオンや、水系電解液内に存在する外来電解質に関連づけられるカチオン、又はその両方が含まれ得る。例示的な実施形態においては、この可動カチオンは、アルカリ金属イオンかアンモニウムイオンのいずれかであってよい。水系電解液がプロトンを取り込むと、水系電解液の電荷中性を保つようにカチオンの移動が起こる。1つの水酸化物イオンが第2のチャンバ120内の水系流体組成物内に移動する度に、1つの対応するカチオンが第1のチャンバ110内の水系流体組成物に移動するため、第1のチャンバ110及び第2のチャンバ120内の水系流体組成物の電荷中性も同様に保たれる。pHバランスの回復過程においては、水系流体組成物から水以外の成分を供給する必要はないため、水系流体組成物としては、水及び水溶液のいずれを使用してもよい。フロー電池からの水系電解液を第3のチャンバ130で処理する場合に、水系電解液も第1のチャンバ110及び第2のチャンバ120において同様に用いることができる。
他の実施形態では、フロー電池からの第1の水系電解液を電気化学的バランシングセルの前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバに導入することができ、別の水系電解液を前記第3のチャンバに導入することができる。このような導入は図3B及び3Dに示すセル構成を採用した場合に可能であり、これらについては既に上記においてより詳しく説明している。図5は、図2の電気化学的バランシングセルに電位を印加して、同セルの第1のチャンバ及び第2のチャンバに電解液を導入し、同セルの第3のチャンバに別の水系電解液を導入した状態を示す図である。ここでも、図5では、第1の電解液が水系電解液であるように図示しているが、非水系電解液も同様に処理できるものと認識されたい。同様に、図5では、電位を印加した状態で起こるバランス回復反応がより良く理解できるように、電気化学的バランシングセル100とフロー電池との流体連通の詳細や、図1〜3Dに記載している他の詳細の一部を省略している。
図5に示すように、第1の電極114と第2の電極124との間に電位が印加されると同時に、フロー電池からの水系電解液が第1のチャンバ110及び第2のチャンバ120に流入する。上述のように、この水系電解液は、フロー電池の負の半電池に接触している電解液であっても、フロー電池の正の半電池に接触している電解液であってもよい。さらに図5に示すように、第1のチャンバ110内の第1の電極114が負極となり、第2のチャンバ120内の第2の電極124が正極となるように電位が印加される。水系電解液が第1のチャンバ110及び第2のチャンバ120に流入すると同時に、第3のチャンバ130には、別の水系電解液が流入する。後述のように、第3のチャンバ130に流入する水系電解液は、外来の電解質を含有する水系電解液であってよく、この水系電解液によって、第1のチャンバ110に可動カチオンが後に供給され得る。適切な外来の電解質としては、上述したもののいずれかを挙げることができる。いくつかの実施形態では、第3のチャンバ130に流入する水系電解液を、レドックス活物質を含まないものとすることができる。
図4を参照して上述したように、荷電していない水はバイポーラ膜150内に流入することができる。ここでも、バイポーラ膜150内への水の流入は、第2のチャンバ120内の第1の電解液から起こり得るほか、第3のチャンバ130内の水系電解液からも起こり得る。電位を印加している状態では、バイポーラ膜150中の水は電気分解されて、プロトンと水酸化物イオンとを生成し得る。図5に示すように、これらのプロトンと水酸化物イオンとは、その後バイポーラ膜150から移動する。具体的には、負電荷を持つ水酸化物イオンは、正電荷を持つ第2の電極124に引き寄せられるため、第2のチャンバ120内のフロー電池から受け取った水系電解液内に移動する。一方、正電荷を持つプロトンは、バイポーラ膜150を通過して反対方向に移動し、第3のチャンバ130内の水系電解液内に流入する。このプロトンや水酸化物イオンの移動方向は、バイポーラ膜150内のカチオン交換材料とアニオン交換材料の配置によってもさらに促進され得る。具体的には、図5に示す方向は、アニオン交換材料層が第2のチャンバ120に面し、カチオン交換材料層が第3のチャンバ130に面する場合に促進され得る。
従って、図5に示すように、第2のチャンバ120内の水系電解液は、水酸化物イオンを取り込んでpHが上昇する。同様に、第3のチャンバ130内の水系電解液は、プロトンを取り込んでpHが低下する。この第2のチャンバ120内のフロー電池から受け取った水系電解液におけるpH上昇を利用して、フロー電池の動作中に寄生反応や他の要因によって生じたpH低下を相殺することができる。具体的には、図5に示した動作構成は、フロー電池の負の電解液と正の電解液のいずれのpH上昇にも利用できるものである。ここでも、電位の印加は、例えば、水系電解液のpHが所望の値に達するまで継続することができる。上述のように、電気化学的バランシングセル100から排出された後の水系電解液は、フロー電池の適切な半電池に還流させることができる。
図5をさらに参照すると、第3のチャンバ130内の水系電解液がプロトンを取り込むと、負電荷を持つ第1の電極114にカチオンが引き寄せられることに促されて、カチオンがイオン選択膜140を通過して移動する。この可動カチオンには、第3のチャンバ130に導入された水系電解液内に存在する外来電解質に関連づけられるカチオンが含まれ得る。例示的な実施形態においては、この可動カチオンは、アルカリ金属イオンかアンモニウムイオンのいずれかであってよい。図4を参照して上述したのと同様に、水系電解液がプロトンを取り込むと、水系電解液の電荷中性を保つようにカチオンの移動が起こる。同様に、1つの水酸化物イオンが第2のチャンバ120内の水系電解液内に移動する度に、1つの対応するカチオンが第1のチャンバ110内に移動するため、第1のチャンバ110内の水系電解液及び第2のチャンバ120内の水系電解液の全体としての電荷中性も保たれる。従って、これらの水系電解液の混合物をフロー電池に還流することによって、水系電解液全体の電荷バランスが回復する。
図4及び図5のいずれの構成においても、プロトン、水酸化物イオン、又はカチオンを受け取る側の水、水溶液及び/又は水系電解液は、フロー電池から供給されたり、フロー電池に還流したりすることはない。いくつかの実施形態では、これらの水系流体組成物は、プロトン、水酸化物イオン、又はカチオンを受け取る能力がなくなるまで、電気化学的バランシングセル内を再循環し得る。これらの水系流体組成物は、プロトン、水酸化物イオン、又はカチオンを受け取る能力がなくなった時に、廃棄されたり、再利用されたりして、新しい水系流体組成物と交換される。他の実施形態では、十分な吸着力がある状態を絶えず確保するために、新しい水系流体組成物を電気化学的バランシングセルの適切なチャンバに循環させておくことができる。
上記で別の定義を定めている場合を除き、又は当業者が別の意味で解している場合を除き、以下の段落における定義を本開示に適用することができる。
本明細書において、「エネルギー密度(energy density)」という用語は、活物質において単位体積当たりで貯蔵され得るエネルギーの量を指す。エネルギー密度は、エネルギー貯蔵の理論上のエネルギー密度を指し、以下の式1によって計算することができる。
エネルギー密度=(26.8A−h/mol)×OCV×[e] (1)
式中、OCVは50%の充電状態での開路電位であり、(26.8A−h/mol)はファラデー定数であり、[e]は99%の充電状態で活物質に貯蔵される電子の濃度である。正の電解液及び負の電解液の活物質がいずれも原子種又は分子種を主に含む場合、[e]は以下の式2によって計算することができる。
[e]=[活物質]×N/2 (2)
式中、[活物質]は負の電解液又は正の電解液の活物質のモル濃度のうちいずれか低い方であり、Nは活物質1分子当たりの移動電子の数である。関連用語の「電荷密度(charge density)」は、各電解液が含有する電荷の総量を指す。所与の電解液について、電荷密度は以下の式3によって計算することができる。
電荷密度=(26.8A−h/mol)×[活物質]×N (3)
式中、[活物質]及びNは上記で定めた通りである。
本明細書において、「電流密度(current density)」という用語は、電気化学セルに流れる総電流をセルの電極の幾何学的面積で除したものを指し、一般にmA/cmの単位で表される。
本明細書において、「電流効率(current efficiency)」(Ieff)という用語は、セルの放電時に生成される総電荷に対する充電時に移動する総電荷の比率であると説明することができる。電流効率は、フロー電池の充電状態の関数であり得る。限定を意図しないいくつかの実施形態では、電流効率は、充電状態が約35%〜約60%の範囲にある場合に求めることができる。
本明細書において、「電圧効率(voltage efficiency)」という用語は、所与の電流密度において観察される電極電位のその電極の半電池電位に対する比率(×100%)であると説明することができる。電圧効率には、電池の充電工程時の電圧効率や放電工程時の電圧効率、あるいは「往復電圧効率(round trip voltage efficiency)」が含まれ得る。所与の電流密度における往復電圧効率(Veff,RT)は、以下の式4を用いて、放電時のセル電圧(Vdischarge)と充電時の電圧(Vcharge)とから計算できる。
eff,RT=Vdischarge/Vcharge×100% (4)
以上開示した実施形態を参照して本開示を説明したが、当業者であれば、これらの実施形態が本開示を例示するものに過ぎないことが容易に認められるであろう。本開示の精神から逸脱することなく種々の変更が可能であることを理解されたい。上記の説明には含まれないが本開示の精神及び範囲に相応する任意の数の変形、改変、置き換え、又は同等の構成を組み込むことにより本開示を変更することができる。さらに、本開示の種々の実施形態について説明したが、本開示の態様は記載した実施形態の一部のみを含み得ることを理解されたい。従って、本開示は上述の記載によって限定されると見なされるべきではない。

Claims (23)

  1. 第1の電極を収容する第1のチャンバと、
    第2の電極を収容する第2のチャンバと、
    前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に配置される第3のチャンバと、
    前記第1のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第1の界面を形成するイオン選択膜と、
    前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第2の界面を形成するバイポーラ膜と、
    を備える電気化学的バランシングセル。
  2. 前記イオン選択膜がカチオン交換材料を含む、請求項1に記載の電気化学的バランシングセル。
  3. 前記カチオン交換材料が過フッ素化スルホン化ポリマーを含む、請求項2に記載の電気化学的バランシングセル。
  4. 前記第1の電極が負極であり、前記第2の電極が正極である、請求項1に記載の電気化学的バランシングセル。
  5. 前記第1の電極が正極であり、前記第2の電極が負極である、請求項1に記載の電気化学的バランシングセル。
  6. 前記第1のチャンバ、前記第2のチャンバ及び前記第3のチャンバのうち少なくとも1つが水系電解液を収容する、請求項1に記載の電気化学的バランシングセル。
  7. 第1の電解液を含む第1の半電池と、
    第2の電解液を含む第2の半電池と
    を備えるフロー電池システムであって、
    第1の電極を収容する第1のチャンバと、
    第2の電極を収容する第2のチャンバと、
    前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に配置される第3のチャンバと、
    前記第1のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第1の界面を形成するイオン選択膜と、
    前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第2の界面を形成するバイポーラ膜と、
    を備える電気化学的バランシングセルと、前記第1の半電池及び前記第2の半電池のうち少なくとも一方と、が流体連通しているフロー電池システム。
  8. 前記イオン選択膜がカチオン交換材料を含む、請求項7に記載のフロー電池システム。
  9. 前記第1の電極が負極であり、前記第2の電極が正極である、請求項7に記載のフロー電池システム。
  10. 前記第1の半電池又は前記第2の半電池のいずれか一方が、前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバの両方と流体連通し、
    前記第3のチャンバが水系電解液を収容する、請求項9に記載のフロー電池システム。
  11. 前記第1の半電池又は前記第2の半電池のいずれか一方が、前記第3のチャンバと流体連通し、
    前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバがそれぞれ独立に水又は水溶液を収容する、請求項9に記載のフロー電池システム。
  12. 前記第1の電解液及び前記第2の電解液のうち少なくとも一方が水系電解液を含む、請求項7に記載のフロー電池システム。
  13. 前記第1の電解液及び前記第2の電解液のうち少なくとも一方が、活物質として配位錯体を含む、請求項7に記載のフロー電池システム。
  14. 第1の電極を収容する第1のチャンバと、
    第2の電極を収容する第2のチャンバと、
    前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に配置される第3のチャンバと、
    前記第1のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第1の界面を形成するイオン選択膜と、
    前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第2の界面を形成するバイポーラ膜と、
    を備える電気化学的バランシングセルを設けることと、
    第1の活物質を含有する第1の電解液を前記第3のチャンバに導入することと、
    水又は水溶液を前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバにそれぞれ独立に導入することと、
    前記第2の電極を正極とし、前記第1の電極を負極として、前記電気化学的バランシングセル内に電流を誘起するように、前記電気化学的バランシングセルに電位を印加することと、
    前記バイポーラ膜において、水をプロトンと水酸化物イオンとに変化させることと
    を含む方法であって、
    ここで、前記プロトンが前記第3のチャンバ内の前記第1の電解液に移動し、前記水酸化物イオンが前記第2のチャンバ内の前記水又は水溶液に移動する、方法。
  15. 前記電気化学的バランシングセルを、フロー電池の少なくとも1つの半電池と流体連通するように配置することと、
    前記第1の電解液を前記電気化学的バランシングセルと前記フロー電池との間で移動させることと
    をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記第1の電解液を、前記フロー電池の負の半電池に移動させる、請求項15に記載の方法。
  17. 前記第1の電解液を、前記フロー電池の正の半電池に移動させる、請求項15に記載の方法。
  18. 前記第1の電解液として水溶液が含まれる、請求項15に記載の方法。
  19. 第1の電極を収容する第1のチャンバと、
    第2の電極を収容する第2のチャンバと、
    前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に配置される第3のチャンバと、
    前記第1のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第1の界面を形成するイオン選択膜と、
    前記第2のチャンバと前記第3のチャンバとの間の第2の界面を形成するバイポーラ膜と、
    を備える電気化学的バランシングセルを設けることと、
    第1の活物質を含有する第1の電解液を前記第1のチャンバ及び前記第2のチャンバに導入することと、
    水系電解液を前記第3のチャンバに導入することと、
    前記第2の電極を正極とし、前記第1の電極を負極として、前記電気化学的バランシングセル内に電流を誘起するように、前記電気化学的バランシングセルに電位を印加することと、
    前記バイポーラ膜において、水をプロトンと水酸化物イオンとに変化させることと
    を含む方法であって、
    ここで、前記プロトンが前記第3のチャンバ内の前記水系電解液に移動し、前記水酸化物イオンが前記第2のチャンバ内の前記第1の電解液に移動する、方法。
  20. 前記電気化学的バランシングセルを、フロー電池の少なくとも1つの半電池と流体連通するように配置することと、
    前記第1の電解液を前記電気化学的バランシングセルと前記フロー電池との間で移動させることと
    をさらに含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記第1の電解液を、前記フロー電池の負の半電池に移動させる、請求項20に記載の方法。
  22. 前記第1の電解液を、前記フロー電池の正の半電池に移動させる、請求項20に記載の方法。
  23. 前記第1の電解液として水溶液が含まれる、請求項20に記載の方法。
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